JP2023036439A - 開閉器 - Google Patents

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Abstract

【課題】開閉器の誤動作を抑制する技術を提供する。【解決手段】開閉器は、電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、振動感知手段が内部に設けられている制御装置を備えている。制御装置は、過電流検出手段が電路の過電流事故を検出するとともに停電検出手段による電路の停電が検出されたとき、又は、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときに開閉器本体をトリップ動作させる。【選択図】図2

Description

本明細書は、電路の開閉を行う開閉器に関する技術を開示する。
特許文献1に、地震等の災害に伴って停電が生じた際、電力供給が再開された後に電力需要家の電気設備への通電に起因する火災等の二次災害の発生を防止することが可能な開閉器が開示されている。特許文献1の開閉器は、電路で過電流事故が生じた場合に開閉器をトリップ動作させず(開放せず)、トリップ状態を準備状態とする。そして、停電検出手段により停電が検出された場合、及び、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により停電が検出された場合に開閉器をトリップ動作させる(開放する)。すなわち、特許文献1の開閉器は、振動感知手段で振動が検出されただけではトリップ動作を行わず、振動の検出とともに停電が検出された場合にトリップ動作を行う。これにより、例えば開閉器の周囲を大型車両が通過して振動が発生した場合等、地震等の災害でない振動が検出された場合に、開閉器がトリップ動作を行う(誤動作を行う)ことを防止することができる。
特開2007-273389号公報
特許文献1の開閉器は、停電と振動の双方が検出された場合にトリップ動作を行う。それにより、開閉器の誤動作(誤開放)が抑制される。しかしながら、特許文献1の開閉器は、振動の検出と同時に偶然電路の電圧が一時的に電圧低下した場合、振動の検出とともに停電が検出されたと判断し、トリップ動作が実行されることが起こりえる。なお、電路の一時的な電圧低下とは、電圧が通常電圧のおよそ90%以下の状態がおよそ2秒以下発生することを意味し、「瞬低」と呼ばれることがある。すなわち、特許文献1の開閉器は、一般的には停電と呼ばれない極めて短時間の停電(瞬低)の発生と、地震等の災害でない振動の検出とが偶然発生するといった特殊な状態が生じた場合、トリップ動作が不要であるにも関わらず、トリップ動作を実行するといった誤動作を行うことが起こりえる。本明細書では、開閉器の誤動作を抑制する技術を提供することを目的とする。
本明細書で開示する開閉器の一形態は、電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、振動感知手段が内部に設けられている制御装置を備えている。そして、制御装置は、過電流検出手段が電路の過電流事故を検出するとともに停電検出手段による電路の停電が検出されたとき、又は、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときに開閉器本体をトリップ動作させてよい。
本明細書で開示する開閉器の他の形態は、電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における地絡事故を検出する地絡検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、振動感知手段が内部に設けられている制御装置を備えている。そして、制御装置は、過電流検出手段が電路の過電流事故を検出したときに開閉器本体のトリップ動作を準備状態とし、下記(1)~(3)のいずれかの場合に開閉器本体をトリップ動作させることができる。(1)過電流検出手段による過電流事故の検出とともに停電検出手段による電路の停電が検出されたとき。(2)地絡検出手段により地絡事故が検出されるとともに過電流検出手段により過電流事故が検出されていないとき。(3)振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたとき。
本明細書で開示する開閉器のさらに他の形態は、電路における地絡事故を検出する地絡検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、振動感知手段が内部に設けられている制御装置を備えている。そして、制御装置は、地絡検出手段により地絡事故が検出されたとき、又は、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときに開閉器本体をトリップ動作させてよい。
開閉器の概略図を示す。 第1実施例の開閉器のブロック図を示す。 第2実施例の開閉器のブロック図を示す。 第3実施例の開閉器のブロック図を示す。 第4実施例の開閉器のブロック図を示す。 第5実施例の開閉器のブロック図を示す。
本明細書で開示する開閉器は、電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、制御装置を備えていてよい。過電流検出手段、停電検出手段、振動感知手段及び制御装置の全てが、一体にパッケージされていてよい。あるいは、過電流検出手段、停電検出手段及び振動感知手段のうちの幾つかが、制御装置とは別の開閉器本体に配置されていてもよい。この場案、制御装置と開閉器本体をケーブルで接続することにより、両者を異なる場所に設置することができる。例えば、制御装置を電柱下部に設置し、開閉器本体を電柱上部に配置することができる。
上記開閉器は、過電流検出手段が電路の過電流事故を検出したときに開閉器本体のトリップ動作を準備状態とし、電路を閉じた状態としてよい。そして、過電流事故の検出とともに停電検出手段による電路の停電が検出されたときに開閉器本体のトリップ動作を実行してよい。また、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときも、開閉器本体のトリップ動作を実行してよい。すなわち、開閉器は、振動感知手段により振動が検出された場合であっても、停電検出手段による電路の停電が所定時間継続して検出されない場合は、開閉器本体のトリップ動作を実行しない。これにより、電路の電圧が一時的に低下した状態(いわゆる瞬低の場合)のときにトリップ動作が実行されることを防止することができる。本明細書で開示する開閉器は、電路が瞬低した場合(トリップ動作不要の場合)にトリップ動作を実行するという誤動作を抑制することができる。
また、本明細書で開示する開閉器は、上記構成に加え、電路における地絡事故を検出する地絡検出手段を備えていてよい。この場合、地絡検出手段により地絡事故が検出されるとともに過電流検出手段により過電流事故が検出されていないときにも、トリップ動作を実行することができる。
また、本明細書で開示する開閉器は、地絡検出手段に加え、さらに過電流検出手段の出力信号及び振動感知手段の出力信号が入力されるアンド回路を備えていてよい、このような形態であっても、地絡検出手段により地絡事故が検出されるとともに過電流検出手段により過電流事故が検出されていないときに、トリップ動作を実行することができる。
図1を参照し、高圧気中開閉器100の概略を説明する。高圧気中開閉器100は、開閉器の一例であり、過電流ロック形(SOG形)の高圧気中開閉器である。高圧気中開閉器100は、開閉器本体50と、開閉器本体50の動作を制御する制御装置30を備えている。開閉器本体50と制御装置30は、ケーブルで接続されている。開閉器本体50は電柱(図示省略)の上部に設置され、制御装置30は電柱下部に設置されている。まず、開閉器本体50内の構成について説明する。
(開閉器本体の構造)
開閉器本体50は、電路52上に設けられている。より具体的には、開閉器本体50は、電力供給側(電源側)電路52aと、需要家側(負荷側)電路52bに接続され、両者を電気的に接続している(電路52を閉じている)。電路52は、R相、S相及びT相を有している。電路52上には、電源側から負荷側に向けて、零相変流器58、開閉部54、制御電源用変圧器80及び電流検出部60がこの順に配置されている。
零相変流器58は、電路52に生じた零相電流(地絡電流)を検出する。零相変流器58の両端は、制御装置30に接続されている。詳細は後述するが、零相変流器58の両端は、制御装置30内の回路(地絡検出回路31:図2を参照)に接続されている。零相変流器58が零相電流を検出すると、検出信号を制御装置30(地絡検出回路31)に出力する。
開閉部54は、スイッチ54r、54s及び54tを備えている。スイッチ54r、54s及び54tは、各々電路52のR相、S相及びT相上に設けられている。開閉部54が開くと電路52が開放され、開閉部54が閉じると電路52が閉じる。
制御電源用変圧器80は、巻数の異なる2個のコイルを備えており、一次側コイルは電路52のうちの2相(S相、T相)に接続されており、二次側コイルは制御装置30内の回路(電源回路33,蓄勢回路35:図2を参照)に接続されている。制御電源用変圧器80によって、制御装置30内の回路を駆動する電力を発生させることができる。高圧気中開閉器100は、電路52の電圧を利用して制御装置30内の回路を駆動する電力を確保することができるので、制御装置30内の回路を駆動するためだけの電源を別途設けることを省略することができる。
電流検出部60は、変流器60r及び60tを備えている。上記したように、電流検出部60は、開閉部54より下流(需要家側電路52b側)に設けられている。そのため、変流器60r及び60tは、各々電路52のR相及びT相を流れる負荷電流を検出することができる。電流検出部60は、マイクロスイッチ70に接続されている。マイクロスイッチ70は双投形であり、常閉接点72、常開接点74及び共通接点76を備えている。常閉接点72及び共通接点76は、制御装置30内の回路(過電流検出回路36:図2を参照)に接続されている。マイクロスイッチ70は、電流検出部60(変流器60r,60t)によって過電流検出閾値以上の電流が検出されたときに、常開接点74と共通接点76が接続する(常閉接点72が開く)。常開接点74と共通接点76が接続すると、制御装置30に検出信号が出力される。また、常閉接点72は、トリップコイル56に接続されている。トリップコイル56は、制御装置30内の部品(常開接点41:図2を参照)に接続されている。トリップコイル56は、開閉部54のスイッチ54r、54s及び54tをトリップ動作(開放)させる。
(制御装置の構造:第1実施例)
図2を参照し、制御装置30について説明する。制御装置30内には、複数の回路、常開接点41及び振動感知部10が設けられている。地絡検出回路31は、零相変流器58に接続されており(図1も参照)、零相変流器58からの出力信号を検出したときに地絡検出信号を動作判定回路32に出力する。
電源回路33は、制御電源用変圧器80に接続されており(図1も参照)、電路52のS相とT相の線間電圧を平滑して直流電圧に変換する。また、電源回路33は、停電検出回路34に接続されている。そのため、停電検出回路34は、電路52が停電すると、電源回路33からの電力供給が停止し、電路52が停電していると判断することができる。停電検出回路34は、電路52が停電していると判断した場合に、停電検出信号をアンド回路37及び振動感知部10(動作遅延タイマ回路4)に出力する。なお、図示は省略しているが、電源回路33によって変換された直流電圧は、制御装置30内の停電検出回路34以外の回路にも供給される。
蓄勢回路35は、制御電源用変圧器80に接続されており、電路52のS相とT相の線間電圧をトリップコイル56の励磁用の電源として蓄える(図1も参照)。蓄勢回路35とトリップコイル56の間に、常開接点41が設けられている。常開接点41が閉じると、蓄勢回路35に蓄えられていた電力がトリップコイル56へ供給され、トリップコイル56が励磁されて開閉部54のトリップ動作を行う。
過電流検出回路36は、電流検出部60に接続されており(図1も参照)、電流検出部60から過電流検出信号が入力されたときに、異常検出信号をオア回路42に出力する。オア回路42には、過電流検出回路36からの出力信号(異常検出信号)及び後述する動作遅延タイマ回路4からの出力信号が入力される。電流検出部60からの出力信号との一方、あるいは、双方がオア回路42に入力されると、オア回路42は、出力信号をアンド回路37及びロック回路38に出力する。ロック回路38は、異常検出信号が入力されたときに、ロック信号を動作判定回路32に出力し、開閉部54のトリップ動作をロックする。すなわち、ロック回路38にロック信号が入力されると、開閉部54の開放動作が禁止される。
動作判定回路32は、地絡検出回路31から地絡検出信号が入力されたときに、ロック回路38からのロック信号の入力の有無を判断する。動作判定回路32は、ロック信号が入力されていないときはトリップ動作許可信号をオア回路39に出力し、ロック信号が入力されているときはオア回路39にトリップ動作許可信号を出力しない。
アンド回路37は、停電検出回路34からの停電検出信号とオア回路42の出力信号の双方が入力されたときに、トリップ動作許可信号をオア回路39に出力する。なお、上述したように、オア回路42の出力信号は、過電流検出回路36からの出力信号、及び/又は、動作遅延タイマ回路4からの出力信号に相当する。すなわち、アンド回路37は、停電検出回路34からの停電検出信号のみ、あるいは、オア回路42からの出力信号のみが入力された場合は、オア回路39にトリップ動作許可信号を出力しない。オア回路39は、動作判定回路32からのトリップ動作許可信号、あるいは、アンド回路37からのトリップ動作許可信号が入力されたときに、トリップ動作要請信号を動作出力回路40に出力する。なお、オア回路39は、動作判定回路32とアンド回路37の双方からトリップ動作許可信号が入力された場合も、トリップ動作要請信号を動作出力回路40に出力する。
動作出力回路40は、オア回路39からトリップ動作要請信号が入力されたときに常開接点41を閉じる。これにより、蓄勢回路35からトリップコイル56に電力が供給され、開閉部54のトリップ動作が行われる。
振動感知部10には、振動感センサ14、振動検出回路12、リセットタイマ回路8、振動検出テスト回路6及び動作遅延タイマ回路4が設けられている。振動感センサ14は、所定値以上の振動を検出すると、振動検出回路12に検出信号を出力する。振動感センサ14は、例えば震度5に相当する振動を検出したときに検出信号を出力するように調整されている。
振動検出回路12は、振動感センサ14からの検出信号が入力されたときに、リセットタイマ回路8及び動作遅延タイマ回路4に振動検出信号を出力する。リセットタイマ回路8は、振動検出回路12からの振動検出信号の入力が停止したときにカウントを開始し、所定時間(例えば5秒)経過したときに、振動感センサ14にリセット信号を出力する。振動感センサ14は、リセットタイマ回路8からリセット信号が入力されると、初期状態に復帰する。なお、リセットタイマ回路8の所定時間は、任意であり、例えば1分であってよく、10分であってよく、1時間であってもよい。
動作遅延タイマ回路4には、振動検出回路12からの振動検出信号に加え、停電検出回路34からの停電検出信号も入力される。動作遅延タイマ回路4は、振動検出信号及び停電検出信号を遅延してオア回路42に出力する。オア回路42は、アンド回路37とロック回路38に信号を出力する。具体的には、動作遅延タイマ回路4は、振動検出信号及び停電検出信号の双方が所定時間(例えば2秒)継続して入力されたときに、オア回路42を経由してアンド回路37とロック回路38に信号を出力する。すなわち、振動検出回路12又は停電検出回路34からの入力信号が所定時間未満の場合は、動作遅延タイマ回路4からオア回路42に信号が出力されず、アンド回路37及びロック回路38に動作遅延タイマ回路4からの信号は入力されない。なお、動作遅延タイマ回路4は、オア回路42(すなわち、アンド回路37とロック回路38)に信号を出力した後、初期状態に復帰する。また、動作遅延タイマ回路4の所定時間は、任意であり、例えば1秒であってよく、3秒であってよく、5秒であってもよい。
オア回路42は、過電流検出回路36からの過電流検出信号、あるいは、動作遅延タイマ回路4からの出力信号(振動検出信号,停電検出信号)が入力されたときに、アンド回路37とロック回路38に信号を出力する。なお、オア回路39は、過電流検出回路36からの過電流検出信号と動作遅延タイマ回路4からの出力信号の双方が入力された場合も、アンド回路37とロック回路38に信号を出力する。
振動検出テスト回路6は、振動検出回路12にテスト信号を入力することができる。すなわち、振動検出テスト回路6は、振動検出確認用の疑似信号を振動検出回路12に入力することができる。また、振動検出テスト回路6を設けることにより、制御装置10の定期点検の際に振動感知部10の故障の有無を確認することもできる。
上述したように、高圧気中開閉器100は、地絡検出回路31、過電流検出回路36、停電検出回路34、その他のSOG動作に必要とする回路、振動感知部10の全てが、制御装置30内に一体にパッケージされているため、制御装置30内の回路構成を簡単にすることができ、さらに、制御装置30を小型化することができる。また、高圧気中開閉器100は、上述した機器(センサ、回路等)の全てを制御装置30内に一体化して配置したため、例えば振動感知装置を有していない高圧気中開閉器と比較して、配線接続数が増加することはない。換言すると、高圧気中開閉器100は、例えば開閉器本体及び制御装置とは別体の振動感知装置を有する高圧気中開閉器と比較して、振動感知装置と開閉器本体又は制御装置の配線接続を省略できる分、配線接続等の煩雑な作業を省略することができる。
(高圧気中開閉器の動作)
以下、高圧気中開閉器100の動作について説明する。まず、電路52で地絡事故が生じた場合について説明する。電路52で地絡事故が生じると、地絡検出回路31から動作判定回路32に地絡検出信号が入力される。上述したように、動作判定回路32は、ロック回路38からのロック信号の入力の有無を判断する。ロック回路38は、過電流検出回路36から過電流検出信号がオア回路42を経由して入力されているとき、及び/又は、動作遅延タイマ回路4からの信号が入力されているときに、動作判定回路32にロック信号を出力する。換言すると、ロック回路38は、過電流検出回路36からの過電流検出信号が入力されていないとともに、動作遅延タイマ回路4からの信号が入力されていないときに、動作判定回路32にロック信号を出力しない。そのため、電路52に過電流検出閾値以上の電流が流れておらず、電路52で停電が発生しているとともに振動検出回路12(振動感センサ14)が所定値以上の振動が検出している状態ではない場合に、動作判定回路32からオア回路39にトリップ動作許可信号が出力され、オア回路39から動作出力回路40にトリップ動作要請信号が出力され、常開接点41が閉じ、トリップコイル56が開閉部54のトリップ動作を行う。
一方、電路52に過電流検出閾値以上の電流が流れている(異常検出信号が過電流検出回路36からオア回路42を経由してロック回路38に出力されている)ときは、ロック回路38から動作判定回路32にロック信号が出力されているので、開閉部54のトリップ動作はロックされる(トリップ動作を準備状態とする)。そして、電路52が停電すると、停電検出回路34からアンド回路37に停電検出信号が出力された後に、開閉部54のトリップ動作が行われる。これにより、電路52に過電流が流れている状態で開閉部54が開放されることが防止され、高圧気中開閉器100(開閉器本体50)の故障を防止することができる。
また、振動検出回路12(振動感センサ14)が所定値以上の振動が検出したときは、ロック回路38から動作判定回路32にロック信号が出力されているので、開閉部54のトリップ動作はロックされる(トリップ動作を準備状態とする)。そして、電路52が停電すると、停電検出回路34からアンド回路37に停電検出信号が出力された後に、開閉部54のトリップ動作が行われる。なお、振動検出回路12(振動感センサ14)が所定値以上の振動を検出しているとともに電路52で停電が発生している場合も、ロック回路38から動作判定回路32にロック信号が出力される、しかしながら、この場合は、地絡事故の有無にかかわらず、トリップ動作が行われる。
次に、電路52で過電流事故が生じ、電路52が停電した場合について説明する。電路52で過電流事故が生じると、電流検出部60からオア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に異常検出信号が出力される。そのため、電路52に過電流ロック値以上の電流が流れているときは、ロック回路38から動作判定回路32にロック信号が出力され、開閉部54のトリップ動作はロックされる。そして、電路52が停電すると、停電検出回路34からアンド回路37に停電検出信号が出力される。電流検出部60からの異常検出信号及び停電検出回路34からの停電検出信号がアンド回路37に入力されると、アンド回路37からオア回路39にトリップ動作許可信号が出力される。その結果、オア回路39から動作出力回路40にトリップ動作要請信号が出力され、常開接点41が閉じ、トリップコイル56が開閉部54のトリップ動作を行う。電路52に過電流が流れている状態で開閉部54が開放されることが防止され、高圧気中開閉器100(開閉器本体50)の故障を防止することができる。
次に、振動検出回路12(振動感センサ14)が所定値以上の振動を検出したとともに電路52で停電が発生した場合について説明する。このような状態は、典型的に、地震の発生に伴って停電が発生した場合に起こり得る。停電検出回路34によって電路52の停電が検出されると、停電検出回路34からアンド回路37及び動作遅延タイマ回路4に停電検出信号が出力される。また、上述したように、動作遅延タイマ回路4は、振動検出信号及び停電検出信号の双方が所定時間継続して入力されたときに、オア回路42を経由してアンド回路37とロック回路38に信号を出力する。すなわち、停電検出回路34からの停電検出信号が所定時間継続して動作遅延タイマ回路4に入力されたときのみ、動作遅延タイマ回路4からの出力信号(停電検出信号)が、オア回路42を経由してアンド回路37に入力される。換言すると、電路52が一時的に電圧低下(所定時間未満の電圧低下)した場合は、停電検出回路34からのオア回路42を経由しない停電検出信号はアンド回路37に入力されるが、動作遅延タイマ回路4からオア回路42に信号が出力されないので、動作遅延タイマ回路4からの出力信号(停電検出信号)はアンド回路37に入力されない。
アンド回路37に停電検出回路34からの停電検出信号と動作遅延タイマ回路4からの信号の双方が入力されると、アンド回路37からオア回路39にトリップ動作許可信号が出力され、オア回路39から動作出力回路40にトリップ動作要請信号が出力され、常開接点41が閉じ、トリップコイル56が開閉部54のトリップ動作を行う。すなわち、地震の発生に伴って電路52で停電が発生した場合に、開閉部54が開放される。その結果、電力系統を復電した際に負荷機器に通電されることが防止され、火災等の二次災害の発生を防止することができる。
一方、電路52が一時的に電圧低下しただけの場合、動作遅延タイマ回路4からの信号がアンド回路37に入力されず、開閉部54のトリップ動作が行われない。そのため、高圧気中開閉器100では、一般的には停電と呼ばれない極めて短時間の停電(瞬低)の発生と、地震等の災害でない振動の検出とが同時に行われた場合に、開閉部54がトリップ動作を行うことを防止することができる。すなわち、高圧気中開閉器100は、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。
なお、動作遅延タイマ回路4の信号を、オア回路39又は動作出力回路40に直接出力してもよい。この場合、オア回路42を省略することができる。すなわち、動作遅延タイマ回路4の信号を、オア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に出力しなくてもよい。この場合でも、地震の発生に伴って電路52で停電が発生した場合は開閉部54のトリップ動作を行い、瞬低の発生と地震等の災害でない振動の検出とが同時に行われた場合は、開閉部54がトリップ動作を行うことを防止することができる。
(高圧気中開閉器の変形例:第2~第5実施例)
以下、図3~図6を参照し、高圧気中開閉器100a~100dについて説明する。高圧気中開閉器100a~100dは、高圧気中開閉器100の変形例である。高圧気中開閉器100a~100dは、振動感知部10a~10dの構造が高圧気中開閉器100の振動感知部10と異なる。高圧気中開閉器100a~100dについて、高圧気中開閉器100と同じ構成については、高圧気中開閉器100に付した参照番号と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
(第2実施例)
図3に示すように、高圧気中開閉器100aの振動感知部10aには、振動感センサ14、振動検出回路12、リセットタイマ回路8、振動検出テスト回路6、停電継続確認回路20及びアンド回路22が設けられている。停電継続確認回路20に、停電検出回路34からの停電検出信号が入力される。停電継続確認回路20は、停電検出信号を遅延してアンド回路22に出力する。具体的には、停電継続確認回路20は、停電検出信号が所定時間(例えば2秒)継続して入力されたときに、停電検出信号をアンド回路22に出力する。なお、停電継続確認回路20が停電検出信号を検出する所定時間は、任意であり、例えば1秒であってよく、3秒であってよく、5秒であってもよい。
アンド回路22には、振動検出回路12からの振動検出信号も入力される。アンド回路22に停電継続確認回路20からの停電検出信号と振動検出回路12からの振動検出信号の双方が入力されると、アンド回路22はオア回路42に信号を出力し、アンド回路22の出力信号が、オア回路42を経由してアンド回路37とロック回路38に入力される。すなわち、停電検出回路34から停電継続確認回路20に入力される停電検出信号が所定時間未満の場合は、アンド回路22からオア回路42に信号が出力されないので、アンド回路22からの出力信号はアンド回路37に入力されず、開閉部54のトリップ動作が行われない。高圧気中開閉器100aも、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。なお、高圧気中開閉器100aにおいても、アンド回路22の信号を、オア回路39又は動作出力回路40に直接出力してもよい。オア回路42を省略することができる。すなわち、信号出力回路24の信号を、オア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に出力しなくてもよい。
(第3実施例)
図4に示すように、高圧気中開閉器100bの振動感知部10bには、振動感センサ14、振動検出回路12、リセットタイマ回路8、振動検出テスト回路6、アンド回路22及び信号出力回路24が設けられている。アンド回路22に、停電検出回路34からの停電検出信号及び振動検出回路12からの振動検出信号が入力される。アンド回路22は、停電検出信号及び振動検出信号の双方が入力されると、信号出力回路24に信号を出力する。信号出力回路24は、アンド回路22の信号を遅延し、オア回路42を経由して、アンド回路37とロック回路38に信号を出力する。具体的には、信号出力回路24は、アンド回路22からの信号が所定時間(例えば2秒)継続して入力されたときに、オア回路42を経由して、アンド回路37とロック回路38に信号を出力する。なお、信号出力回路24がアンド回路22からの信号を検出する所定時間は、任意であり、例えば1秒であってよく、3秒であってよく、5秒であってもよい。
高圧気中開閉器100bでは、停電検出回路34からアンド回路22に入力される停電検出信号が所定時間未満の場合であっても、アンド回路22から信号出力回路24に信号が出力される。しかしながら、アンド回路22から信号出力回路24に出力される信号が所定時間未満の場合は、信号出力回路24からオア回路42に信号が出力されない。そのため、アンド回路22の出力信号は、アンド回路37に信号が出力されない。そのため、高圧気中開閉器100bも、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。なお、高圧気中開閉器100bにおいても、信号出力回路24の信号を、オア回路39又は動作出力回路40に直接出力してもよい。オア回路42を省略することができる。すなわち、信号出力回路24の信号を、オア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に出力しなくてもよい。
(第4実施例)
図5に示すように、高圧気中開閉器100cの振動感知部10cには、振動感センサ14、振動検出回路12、リセットタイマ回路8、振動検出テスト回路6、動作遅延タイマ回路4及び信号出力回路24が設けられている。振動感知部10cは、振動感知部10の動作遅延タイマ回路4の出力信号が、信号出力回路24に入力される構造を有していると捉えることもできる(図2も参照)。高圧気中開閉器100cでは、動作遅延タイマ回路4によって停電検出回路34からの停電検出信号が遅延され、さらに、信号出力回路24によって動作遅延タイマ回路4の出力信号が遅延される。そのため、高圧気中開閉器100cは、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合をより確実に防止することができる。なお、高圧気中開閉器100cにおいても、信号出力回路24の信号を、オア回路39又は動作出力回路40に直接出力してもよい。オア回路42を省略することができる。すなわち、信号出力回路24の信号を、オア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に出力しなくてもよい。
(第5実施例)
図6に示すように、高圧気中開閉器100dの振動感知部10dには、振動感センサ14、振動検出回路12、リセットタイマ回路8、振動検出テスト回路6、停電継続確認回路20、アンド回路22及び信号出力回路24が設けられている。振動感知部10dは、振動感知部10aのアンド回路22の出力信号が、信号出力回路24に入力される構造を有していると捉えることもできる(図3も参照)。あるいは、振動感知部10dは、停電検出回路34からの停電検出信号が、停電継続確認回路20を経てアンド回路22に入力される構造を有していると捉えることもできる(図4も参照)。高圧気中開閉器100dでは、停電継続確認回路20によって停電検出回路34からの停電検出信号が遅延され、さらに、信号出力回路24によってアンド回路22の出力信号が遅延される。そのため、高圧気中開閉器100dも、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合をより確実に防止することができる。なお、高圧気中開閉器100dにおいても、信号出力回路24の信号を、オア回路39又は動作出力回路40に直接出力してもよい。オア回路42を省略することができる。すなわち、信号出力回路24の信号を、オア回路42を経由してアンド回路37及びロック回路38に出力しなくてもよい。
(高圧気中開閉器の他の変形例1)
図示は省略するが、変形例1の高圧気中開閉器は、上述した高圧気中開閉器100、100a、100b、100c及び100dにおいて、開閉器本体50(図1を参照)から零相変流器58を省略し、制御装置30(図2~図6を参照)から地絡検出回路31、動作判定回路32、ロック回路38及びオア回路39を省略したものである。すなわち、変形例1の高圧気中開閉器は、地絡機能(GR機能)を有しない過電流保護機能(SO機能)のみを有する開閉器本体に対し、内部に振動感知部10、10a、10b、10c及び10dのいずれかを備える制御装置30を接続したものである。このタイプの高圧気中開閉器も、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。
(高圧気中開閉器の他の変形例2)
図示は省略するが、変形例2の高圧気中開閉器は、上述した高圧気中開閉器100、100a、100b、100c及び100dにおいて、開閉器本体50(図1を参照)から零相変流器58を省略し、制御装置30(図2~図6を参照)から地絡検出回路31、動作判定回路32、ロック回路38及びオア回路42を省略したものである。すなわち、変形例2の高圧気中開閉器は、地絡機能(GR機能)を有しない過電流保護機能(SO機能)のみを有する開閉器本体に対し、動作遅延タイマ回路4の出力信号をオア回路39に直接入力する形態の制御装置(図2を参照)、アンド回路22の出力信号をオア回路39に直接入力する形態の制御装置(図3を参照)、信号出力回路24の出力信号をオア回路39に直接入力する形態の制御装置(図4~図6を参照)のいずれかを接続したものである。このタイプの高圧気中開閉器も、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。
(高圧気中開閉器の他の変形例3)
図示は省略するが、変形例2の高圧気中開閉器は、上述した高圧気中開閉器100、100a、100b、100c及び100dにおいて、開閉器本体50(図1を参照)から電流検出部60を省略し、制御装置30(図2~図6を参照)から過電流検出回路36、ロック回路38及び動作判定回路32を省略したものである。すなわち、変形例3の高圧気中開閉器は、過電流保護機能(SO機能)を有しない地絡機能(GR機能)のみを有する開閉器本体に対し、内部に振動感知部10、10a、10b、10c及び10dのいずれかを備える制御装置30を接続したものである。さらに、アンド回路37を省略し、動作遅延タイマ回路4の出力信号をオア回路39に直接入力(図2を参照)、アンド回路22の出力信号をオア回路39に直接入力(図3を参照)、あるいは、信号出力回路24の出力信号をオア回路39に直接入力()してもよい。このタイプの高圧気中開閉器も、開閉部54のトリップ動作が不要なときにトリップ動作が行われるといった不具合を防止することができる。
(その他の変形例)
過電流ロック形(SOG形)の高圧気中開閉器(図1を参照)に代え、過電流蓄勢トリップ付き地絡蓄勢トリップ形(SOSG形)の高圧気中開閉器に対し、内部に振動感知部10、10a、10b、10c及び10dのいずれかを備える制御装置30(図2~図6を参照)を接続してもよい。なお、過電流ロック形(SOG形)の高圧気中開閉器100(図1及び図2を参照)において、動作遅延タイマ回路4に対し、停電検出回路34からの停電検出信号を入力せず、振動検出回路12からの振動検出信号のみを入力してもよい。このような構成であっても、地震の発生に伴い電路52で停電が発生した際、開閉部54は開放される。また、高圧気中開閉器100、100a、100b、100c及び100dは、過電流を検出した場合に点灯する点灯ランプ、及び/又は、振動を検出した場合に点灯する点灯ランプを備えていてよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
14:振動感知手段
30:制御装置
34:停電検出手段
54:電路
60:過電流検出手段
100:開閉器

Claims (6)

  1. 電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、該振動感知手段が内部に設けられている制御装置と、を備えた開閉器であって、
    制御装置は、
    過電流検出手段が電路の過電流事故を検出するとともに停電検出手段による電路の停電が検出されたとき、又は、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときに開閉器本体をトリップ動作させる開閉器。
  2. 電路における過電流事故を検出する過電流検出手段と、電路における地絡事故を検出する地絡検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、該振動感知手段が内部に設けられている制御装置と、を備えた開閉器であって、
    制御装置は、
    過電流検出手段が電路の過電流事故を検出したときに開閉器本体のトリップ動作を準備状態とし、
    下記(1)~(3)のいずれかの場合に開閉器本体をトリップ動作させる、振動感知装置。
    (1)過電流検出手段による過電流事故の検出とともに停電検出手段による電路の停電が検出されたとき
    (2)地絡検出手段により地絡事故が検出されるとともに過電流検出手段により過電流事故が検出されていないとき
    (3)振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたとき
  3. 電路における地絡事故を検出する地絡検出手段と、電路における停電を検出する停電検出手段と、振動を検出する振動感知手段と、該振動感知手段が内部に設けられている制御装置と、を備えた開閉器であって、
    制御装置は、地絡検出手段により地絡事故が検出されたとき、又は、振動感知手段により振動が検出されるとともに停電検出手段により電路の停電が所定時間継続して検出されたときに開閉器本体をトリップ動作させる開閉器。
  4. 制御装置内に停電検出手段及び振動感知手段の出力信号を受信する動作遅延手段を備えており、
    動作遅延手段は、停電検出手段の出力信号と振動感知手段の出力信号の双方が所定時間入力された場合に、開閉器本体をトリップ動作させる信号を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉器。
  5. 制御装置内に停電検出手段からの信号継続を確認する停電継続確認手段と、停電検出手段及び振動感知手段の出力信号を受信するアンド回路と、を備えており、
    停電継続確認手段は、停電検出手段の出力信号が所定時間継続して入力された場合にアンド回路に信号を出力し、
    アンド回路は、停電継続確認手段及び振動感知手段からの信号を入力した場合に、開閉器本体をトリップ動作させる信号を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉器。
  6. 制御装置内に停電検出手段及び振動感知手段の出力信号を受信するアンド回路と、アンド回路の出力信号を受信する信号出力手段と、を備えており、
    信号出力手段は、アンド回路の出力信号を所定時間継続して受信した場合に、開閉器本体をトリップ動作させる信号を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉器。

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