JP2023036266A - 細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置 - Google Patents

細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置 Download PDF

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昌宏 武居
Masahiro Takei
大介 川嶋
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Abstract

【課題】細胞に異方性がある場合にも低侵襲で、高効率に、イオンチャネルの評価が可能な細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置を提供する。【解決手段】細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10は、基板25と、基板25上に設けられる4以上の電極20および基板25上に設けられ、細胞または細胞群が配置される細胞配置部28からなる測定部45と、を備え、電極20は、細胞配置部28の周囲に配置される。【選択図】図2

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)第48回可視化情報シンポジウム、講演論文集 2020年9月24日公開 (2)第48回可視化情報シンポジウム 2020年9月25日公開 (3)日本機械学会第31回バイオフロンティア講演会、講演論文集 2020年12月8日公開 (4)日本機械学会第31回バイオフロンティア講演会 2020年12月12日公開 (5)日本機械学会 関東支部第27期総会・講演会、講演論文集 2021年3月3日公開 (6)日本機械学会 関東支部第27期総会・講演会 2021年3月10日公開
本発明は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置に関する。
創薬や細胞識別などの分野において、細胞膜上のタンパク質のイオンチャネルが注目されている。イオンチャネルは、細胞膜のイオン透過路で静止膜電位の形成、活動電位の発生、化学伝達物質放出制御、筋収縮制御、ホルモン分泌の制御を担っている。
創薬分野において、イオンチャネルは多くの疾患に関与するため、イオンチャネルを標的とした創薬が進められている。例えば、イオンチャネル標的薬の一つのアムロジピンは、ジヒドロピリジン系カルシウム・イオンチャネル拮抗薬の一つで、世界中で服用されている。
イオンチャネル創薬は、様々な疾患に関与する重要な創薬ターゲットであるが、イオンチャネル薬は医薬品全体の5%程度しかない。これの原因として、低侵襲で、容易に、高効率で、異方性のある細胞の薬効評価を行うことが困難であるということが挙げられる。例えば、高い精度でイオンチャネルのイオンの流れを電気的に計測する方法としてパッチクランプ法があるが、評価速度が低く高度な実験技術と経験が必要である。そのため、イオンチャネルのイオンの流れを低侵襲で、容易に高効率で、評価する方法が求められている。
細胞識別分野において、目的細胞と異種細胞とを低侵襲で識別する細胞識別技術は、再生医療において、重要な技術である。細胞識別技術としては、フローサイトメトリーがある。フローサイトメトリーは、高効率で細胞識別をすることができるが、蛍光試薬を利用する侵襲的な手法のため、肝細胞の再生医療応用には、不適である。幹細胞の再生応用には、品質、安全性の観点から、蛍光試薬を必要としない低侵襲で細胞および組織の状態などを計測評価する方法が求められている。
非特許文献1には、低侵襲で、効率的に細胞識別できる技術として、くし形インピーダンスセンサを利用し、細胞群外液のインピーダンスを経時的に計測する技術が開示されている。
D. Kawashima, S.Li, H.Obara, M. Takei, Low-frequency impedance-based cell discrimination considering ion transport model in cell suspension, IEEE Transactions on Biomedical Engineering, 68, 3, 1015-1023 (2021)
しかし、非特許文献1の技術では、細胞に異方性がある場合、計測精度が劣るという問題があった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、細胞に異方性がある場合にも低侵襲で、高効率に、イオンチャネルの評価が可能な細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1> 本発明の一態様に係る細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサは、基板と、前記基板上に設けられる4以上の電極および前記基板上に設けられ、細胞または細胞群が配置される細胞配置部からなる測定部と、を備え、前記電極は、前記細胞配置部の周囲に配置される。
<2> 上記<1>に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサは、前記電極は、前記細胞配置部の中心を中心として同心円状に配置されてもよい。
<3> 上記<1>または<2>に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサは、前記測定部が2以上あってもよい。
<4> 上記<1>~<3>のいずれか1つ記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサは、前記電極と前記電極の周囲を覆う絶縁体とからなる電極層を備えてもよい。
<5> 上記<4>に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサは、前記電極層が2以上積層されてもよい。
<6> 本発明の一態様に係る細胞イメージング装置は、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサを備える細胞イメージング装置であって、前記電極間に電流又は電位差を印加し、前記電流を印加する場合は電流印加電圧測定パターンに基づき電位差と位相を測定し、前記電極間に前記電位差を印加する場合は電圧印加電流測定パターンに基づき電流と位相を測定する、電流電圧印加測定部と、前記電流印加電圧測定パターンまたは前記電圧印加電流測定パターン、前記細胞配置部を分割して得たメッシュ座標、および各前記電極の座標を基に、ヤコビ行列を計算するヤコビ行列計算部と、前記ヤコビ行列計算部で計算された前記ヤコビ行列と、前記電流電圧印加測定部で測定された前記電位差および位相または前記電流および位相と、から前記細胞または前記細胞群の電気物性分布を計算する電気物性分布計算部と、
を備えてもよい。
<7> 上記<6>に記載の細胞イメージング装置は、前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1Hz以上1THz以下であってもよい。
<8> 上記<6>に記載の細胞イメージング装置は、前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1kHz以上1MHz以下であってもよい。
<9> 上記<6>に記載の細胞イメージング装置は、前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1MHz超であってもよい。
<10> 上記<6>~<9>のいずれか1つに記載の細胞イメージング装置は、前記電気物性分布から、イオン輸送モデルを用い、前記細胞または前記細胞群のイオン輸送能を評価することで、前記細胞または前記細胞群を識別する細胞識別部をさらに備えてもよい。
<11> 上記<6>~<10>のいずれか1つに記載の細胞イメージング装置は、前記細胞または前記細胞群を前記細胞配置部に供給する細胞供給部をさらに備えてもよい。
<12> 上記<6>~<11>のいずれか1項に記載の細胞イメージング装置は、前記細胞または前記細胞群に刺激を与える刺激部を備えてもよい。
本発明の上記態様によれば、細胞に異方性がある場合にも低侵襲で、高効率に、イオンチャネルの評価が可能な細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る細胞イメージング装置の模式図である。 電流電圧印加測定部の模式図である。 電流印加電圧測定パターンを説明するための図である。 細胞識別のフローチャートである。 第2実施形態に係る細胞イメージング装置の模式図である。 第2実施形態に係る電流電圧印加測定部の模式図である。 細胞腫の違いによるイメージ画像の違いを説明するための図である。 細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例の平面図である。 細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例の平面図である。 図9の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサのA-A線に沿った断面図である。 細胞イメージング装置の一例を示す写真である。 細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの電極の写真である。 スフェロイドの顕微鏡写真である。 2次元イメージングの時間変化を示す図である。 3次元イメージングの予想像である。
(細胞イメージング装置)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る細胞イメージング装置100について説明する。図1に示すように、細胞イメージング装置100は、電流電圧印加測定部1及びイメージング計算部50を備える。イメージング計算部50は、ヤコビ行列計算部3、電気物性分布計算部4、細胞識別部5、及び出力部6を備える。
細胞イメージング装置100のイメージング計算部50は、例えば、Central Processing Unit(CPU),Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)及びHard Disk Drive(HDD)/Solid State Drive(SSD)を備える。ヤコビ行列計算部3、電気物性分布計算部4、細胞識別部5、及び出力部6は、CPUにおいて、所定のプログラムを実行することで実現される。プログラムは、記録媒体経由で取得してもよく、ネットワーク経由で取得してもよい。また、細胞イメージング装置100の構成を実現するための専用のハードウェア構成を用いてもよい。以下、各部について説明する。
(電流電圧印加測定部)
電流電圧印加測定部1について、図2を用いて説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
まず方向について定義する。基板25の表面と平行な一方向をx方向、基板25の表面に沿って、x方向と直交する方向をy方向とする。z方向は、基板25の表面と垂直な方向である。z方向は、x方向及びy方向と直交する方向である。以下、+z方向を「上」、-z方向を「下」と表現する場合がある。上下は、必ずしも重力が加わる方向とは一致しない。
図2に示すように、電流電圧印加測定部1は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10と制御部30とを備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10は、基板25と、基板25上に設けられるQ個の電極20と、基板25上に設けられ、細胞が配置される細胞配置部28とを備える。測定部45は、電極20、細胞配置部28とからなる。ここで、電極20の数Qは4以上である。より好ましい電極20の数は8個以上である。図2の例では、電極20の数Qは、8個である。電極20の数が4以上あることで、細胞の電気物性分布を評価することができる。電極20の配置位置は、細胞配置部28の周囲に配置されるのであれば、特に限定されない。電極20は、細胞配置部28の中心を中心として円周状に配置されることが好ましい。電極20は、細胞配置部28の中心を中心として円周上に、均等に配置されることがより好ましい。電流電圧印加測定部1は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10の細胞配置部28に細胞を配置後、電極20間に所定の電流または電位差を印加し、電位差または電流を測定する。
電流電圧印加測定部1は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10の細胞配置部28に細胞を配置後、電極20間に所定の電流または電位差を印加し、電位差または電流を測定する。電流を印加する場合は、あらかじめ決めた電流印加電圧測定パターン(多数ある電極から二つずつの電極を順番に選び、電流を印加し順次電位差を測定するパターン)に基づき、電位差を測定する。このとき、位相(印加電流と測定電位差との時間的なずれ)も測定することが望ましい。電位差を印加する場合は、あらかじめ決めた電圧印加電流測定パターン(多数ある電極から二つずつの電極を順番に選び、電位差を印加し順次電流を測定するパターン)に基づき、電流を測定する。このとき、位相(印加電位差と測定電流との時間的なずれ)も測定することが好ましい。以後、電流を印加する場合を中心に記載し、電位差を印加する場合の詳細な記載を省略する場合もある。
(基板)
基板25は、特に限定されない。基板25には、例えば、樹脂基板、ガラス基板などを用いることができる。
(電極)
電極20は、基板25上に設けられる。電気的に制御部30と接続される。本実施形態では、電極20と、配線接続部35とが、基板配線32で接続され、配線接続部35と制御部30とが外部配線36で接続される。細胞に電流または電位差を印加できれば、電極20の材質や形状は特に限定されない。電極20の材料としては、例えば、Au、Ag、Cuなどの金属、導電性高分子などが挙げられる。
電極20の幅および長さは、細胞または細胞群に対して、精度よく電流又は電位差を印加することができるのであれば、特に限定されない。電極20の幅は例えば、0.15mmである。電極20の長さは例えば、0.40mmである。
(細胞配置部)
細胞配置部28は、基板25上に設けられる。細胞配置部28の大きさは細胞または細胞群を配置できる程度の大きさ位であれば、特に限定されない。例えば、細胞配置部28は、直径1mmの円状の領域であってもよい。細胞群は、例えば、スフェロイド、オルガノイドが挙げられる。
細胞配置部28には、公知の方法で、一個の細胞またはスフェロイド、オルガノイドなどの細胞群を静止させて配置してもよい。また、公知の方法で、細胞または細胞群を流動させることで、細胞または細胞群を細胞配置部28上に、連続的または間欠的に流動させてもよい。
(制御部)
制御部30は、例えば、電流を印加する電流印加電極(または電位差を印加する電圧印加電極)と電位差を測定する電圧測定電極(または電流を測定する電流測定電極)の切り替えを行うためのマルチプレクサ、電圧測定(または電流測定)と位相測定を行うインピーダンスアナライザなどを備える。インピーダンスアナライザとは、印加周波数と振幅を変化させて、インピーダンス、すなわち、測定電位差(印加電位差)と印加電流(測定電流)の比、および、その位相とを計測する部品である。制御部30は、例えば、CPUにおいて、所定のプログラムを実行し、マルチプレクサおよびインピーダンスアナライザを制御することで、インピーダンス測定(電位差と電流の比、およびその位相の測定)を行う。電流電圧印加測定部1内部だけで制御部30を制御し、インピーダンス測定を行ってもよいし、イメージング計算部50で実行されたプログラムに応じて制御部30を制御し、インピーダンス測定を行ってもよい。インピーダンス測定の結果は、電気物性分布計算部4に送られる。電気物性分布計算部4への情報の伝達方法は特に限定されない。制御部30から有線でイメージング計算部50の電気物性分布計算部4に送ってもよいし、無線でイメージング計算部50の電気物性分布計算部4に送ってもよい。
制御部30は、あらかじめ決めた電流印加電圧測定パターン(どの電極間に電流を印加し、どの電極間に電位差を測定するかのパターン)に基づき、電極20間に電流を印加し、電位差を測定する。または、制御部30は、あらかじめ決めた電圧印加電流測定パターンに基づき、電極20間に電位差を印加し、電流を測定する。電流を印加する場合、同様に電位差を印加する場合も、どの電極20間に電流(電位差)を印加し、どの電極間で電位差(電流)を測定するかについては、特に限定されないが、2次元的または3次元的に配置した電極20に「満遍なく」電流(電位差)を印加し電位差(電流)を測定することが好ましい。「満遍なく電流(電位差)を印加し電位差(電流)を測定する」とは、全ての電極20が一度は電流電位差の印加または測定に用いられるように、電流電位差を印加測定することを意味する。
図3の電極配置を例にして電極20への電流印加電圧測定パターンを説明する。電極20の位置を表す番号は、例えば、基準となる第1電極から反時計回りに番号が振られる。電流印加電圧測定パターンの数Mは、各電流印加電圧測定パターンで異なる。以下、各電流印加電圧測定パターンについて説明する。なお、以下に説明する電流印加電圧測定パターンは、電圧印加電流測定パターンにも適用することができる。以下、電流印加電圧測定パターンの例を説明するが、本発明は、以下の電流印加電圧測定パターンに限定されない。
まず、対極法による電流印加電圧測定パターンについて説明する。この場合、対向する一対の電極間に電流を印加する。例えば図3(a)で説明をすると、1番電極と9番電極、2番電極と10番電極といったように、対向する電極に電流を印加する。図3(a)の場合は、電極数Qが16であるので、全部で8通りある。電位差は、電流を印加する電極を除外した第2電極および第3電極、第3電極および第4電極のように電極ペアで測定し、第2電極および第3電極の電極ペアから第15電極と第16電極の電極ペアまで測定するので、1つの電流印加パターンに13通りの電圧測定パターンが存在する。したがって、対極法の場合、測定数(測定パターン)Mは、全部で104通りとなる。ここで、電流を印加して電位差を測定した場合は、測定パターンは、電圧測定パターンとなる。電位差を印加して電流を測定した場合は、測定パターンは電流測定パターンとなる。
次に、隣接法による電流印加電圧測定パターンについて説明する。この場合、隣接する電極間に電流を印加する。例えば図3(b)で説明をすると、1番電極と2番電極、2番電極と3番電極といったように、隣接する電極に電流を印加する。図3(b)の場合は、電極数Qが16であるので、全部で16通りある。電位差は、電流を印加する電極を除外した第3電極および第4電極のように電極ペアで測定し、第3電極および第4電極から第15電極と第16電極まで測定するので、1つの電流印加パターンに13通りの電圧測定パターンが存在する。したがって、隣接法の場合では、測定数(測定パターン)Mは、全部で208通りとなる。
リファレンス法による電流印加電圧測定パターンについて説明する。この場合、基準となる電極と、基準となる電極以外の電極との間のすべての組み合わせで電位差を測定する。例えば、図3(c)で説明をすると、1番電極と2番電極、1番電極と3番電極といったように、基準となる電極と基準となる電極以外の電極との間に電流を印加する。図3(c)の場合は、電極数Qが16であるので、全部で16通りある。電位差は、電流を印加する電極を除外した第3電極および第4電極のように電極ペアで測定し、第3電極および第4電極の電極ペアから第15電極と第16電極の電極ペアまで測定するので、1つの電流印加パターンに13通りの電圧測定パターンが存在する。したがって、リファレンス法では、測定数(測定パターン)Mは、全部で208通りとなる。
2端子法による電流印加電圧パターンについて説明する。この場合は、電流を印加する電極と電位差を測定する電極とが同じであり、全ての電極の組み合わせで電圧を測定する。電極数Qが16の場合は、測定数(測定パターン)Mは、全部で120通りとなる。
印加する電流値(または電位差)とその印加周波数は、細胞への影響や装置の簡便性を鑑みて、例えば、1.0mA以下の電流、1Hz以上1THz以下までの印加周波数が好ましい。細胞群外液のイオン濃度をイメージングする場合は、印加周波数は1kHz以上1MHz以下であることが好ましい。細胞群内部のイオン濃度をイメージングする場合は、印加周波数は1MHz超であることが好ましい。
以下、本実施形態の細胞イメージング装置100では、隣接法を用いて、電位差を測定した例について説明する。なお、以下では、電極20の配置が2次元の例を用いて説明するが、電極20の配置が3次元の場合にも適用することができる。
(ヤコビ行列計算部3)
ヤコビ行列は、空間に分布する電気物性(導電率、誘電率)の基準に対する変化に対して、電流印加したときの測定電位差(または、電圧印加したときの測定電流)がどれだけ変化するかを示した感度行列である。細胞または細胞群のヤコビ行列(感度行列)は細胞または細胞群の電気物性の空間分布などで異なり、細胞又は細胞群のヤコビ行列が分かれば電気物性分布を算出することができる。ヤコビ行列計算部3は、あらかじめ決められた電流印加電圧測定パターン(または電圧印加電流測定パターン)、メッシュ座標、および各電極20の座標を基に、細胞配置部28に配置された細胞または細胞群の領域についてヤコビ行列を計算する。ヤコビ行列計算部3は、細胞または細胞群の配置された画像データ、イオン濃度などをベースとして、例えば、下記式(3)を用いてヤコビ行列Jを計算する。以下、ヤコビ行列Jについて説明する。
まず、細胞配置部28が含まれる領域に対して、Q個の電極20に応じて、適切な解像度が得られるように、その領域を2次元のメッシュに分割する(3次元の場合は、3次元のメッシュに分割する)。例えば、電極20がQ=8個の場合は、細胞配置部28をx方向に64分割、y方向におよそ64分割の合計4096点に分割してメッシュnを作成してもよい(1≦n≦N)。この場合、メッシュ数Nは4096となる。メッシュ数や形状は、電極20の個数や必要な解像度に合わせて適宜設定することができる。電極の配置が3次元的であれば、3次元のメッシュに分割する。
ヤコビ行列Jは、下記の式(1)で表される。式(1)のMは、電流印加電圧測定パターンの数を示し、Nはメッシュ数を示す。メッシュn(1≦n≦N)におけるヤコビ行列J nは、式(2)で示される。メッシュn(1≦n<N)の電流印加電圧測定パターンm(1≦m≦M)におけるヤコビ行列要素J nmは、下記の式(3)を用い、計算される。ここで、σは、電気物性分布の例としてメッシュnにおける導電率を示すが、他の電気物性分布(導電率差分布Δσ、誘電率分布、誘電率差分布、位相分布、位相差分布)でもよい。Aはn番目のメッシュの面積(3次元の場合は体積)を示す。Zm(e,d)は、電流印加電圧測定パターンmにおける測定電位差Vを示す。eは電流印加電圧測定パターンmにおける電流印加電極ペアを示し、dは電流印加電圧測定パターンmにおける電圧測定電極ペアを意味する。v(i)は、電流印加電極ペアeへの電流印加により誘発された、電圧測定電極ペアd間の電位差を示す。v(i)は電圧測定電極ペアdへの電流印加により誘発された、電流印加電極ペアe間の電位差である。∇はナブラ記号で微分演算子である。
Figure 2023036266000002
(電気物性分布計算部)
電気物性分布計算部4は、ヤコビ行列計算部3から送られてきた細胞または細胞群のヤコビ行列Jと、電流電圧印加測定部1で測定された電位差および位相(または電流および位相)とから細胞または細胞群の電気物性分布を計算する。ここで、電気物性分布とは、例えば、導電率分布σ、導電率差分布Δσ、誘電率分布、誘電率差分布、位相分布、および、位相差分布などである。以後、導電率と導電率差(時間tの基準に対する時間tの導電率)を区別して記載する場合があり、差を表す記号としてΔを用いる。以下、導電率分布σに焦点をあてて説明する。細胞および細胞群のヤコビ行列Jと、測定したインピーダンスZから、導電率分布σを求める問題は、不適切逆問題と呼ばれ、例えば、繰り返し計算を使って求めることができる。その繰り返し回数を右数の数字で表す。繰り返し回数0回目の初期の導電率分布σは(右上の数字は繰り返し回数)、細胞又は細胞群のヤコビ行列Jを用い下記の式(4)から計算される。Tは転置行列を示す。式(4)中のZは、下記の式(5)に示す通り、あらかじめ決められた電流印加電圧測定パターン(または電圧印加電流測定パターン)M個の要素を持つ列ベクトルである。式(5)中のZmは、下記の式(6)で表される。式(6)中のmは、電流印加電圧測定パターンである。
細胞又は細胞群の導電率分布σは、初期の導電率分布σを繰り返し回数のスタートとして、下記の式(7)を用いて計算される。式(7)中のiは、繰り返し計算回数を表す。式(7)中のRは正則化行列、λは計算を収束させるための、任意のパラメータを示し、例えば、0.01である。Rは例えば、下記の式(8)で表され、細胞または細胞群のヤコビ行列Jの関数である。計算された細胞又は細胞群の電気物性分布は、細胞識別部5または出力部6に送られる。電気物性分布計算部4は、電気物性分布(例えば、導電率分布)を別の電気物性分布に変換して細胞識別部5又は出力部6に送ってもよい。例えば、電気物性分布計算部4は、導電率分布σを下記の式(9)を用いることで、イオン濃度分布に変換して細胞識別部5に送ってもよい。下記の式(9)でCexp(x,y,t)は、時間tにおける座標(x、y)における計測イオン濃度、γは定数、σ(x,y,t)は時間tにおける座標(x、y)における導電率を示す。
Figure 2023036266000003
Figure 2023036266000004
(細胞識別部)
細胞識別部5は、電気物性分布計算部4から送られた電気物性分布から、イオン輸送モデルを用い、細胞または細胞群のイオン輸送能を評価することで、細胞または細胞群を識別する。イオン輸送能の評価は、例えば、以下の方法により行うことができる。図4は、細胞識別のフローチャートを示す。まず、細胞のイオン輸送能の初期値の設定を行う(S1)。ここで、細胞のイオン輸送能としては、拡散係数、膜透過率などが挙げられる。次に、設定した細胞のイオン輸送の値およびイオン輸送モデルを用いて、数値解析を行い、モデルイオン濃度Cnum(x,y,t)(M)を求める(S2)。ここで、イオン輸送モデルは、例えば、下記の(10)式で表されるFickの拡散方程式などである。下記の(10)式において、D(x,y)は、座標(x、y)における拡散係数(m/s)を示し、tは時間(s)、∇はナブラ記号で微分演算子である。次に、得られたモデルイオン濃度Cnum(x,y,t)と計測イオン濃度Cexp(x,y,t)との誤差を計算し(S3)。誤差の数値が規定値の範囲内かどうかを判定する(S4)。誤差の数値が範囲外であれば、再度イオン輸送能の数値を設定し(S5)、モデルイオン濃度Cnumを計算しなおす(S2)。誤差の数値が規定値の範囲内であれば、細胞識別部5は、その細胞のイオン輸送能の数値などに基づき細胞または細胞群を識別する(S6)。識別した細胞または細胞群の情報は出力部6に送られる。
Figure 2023036266000005
(出力部)
出力部6は、電気物性分布計算部4から送られた細胞または細胞群の電気物性分布、細胞識別部5から送られた細胞または細胞群の識別情報を出力する。細胞または細胞群の電気物性分布および識別情報の出力先は特に限定されない。出力先は、液晶ディスプレイのような表示部であってもよいし、HDDのような記憶装置であってもよい。
<第2実施形態>
次に第2実施形態に係る細胞イメージング装置100Aについて図5および図6を用いて説明する。なお、この第2の実施形態においては、第1の実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。図6に示すように、細胞イメージング装置100Aは、電流電圧印加測定部1A及びイメージング計算部50を備える。イメージング計算部50は、ヤコビ行列計算部3、電気物性分布計算部4、細胞識別部5、及び出力部6を備える。
(電流電圧印加測定部)
電流電圧印加測定部1Aについて、図6を用いて説明する。図6に示すように、電流電圧印加測定部1Aは、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Aと、制御部30と、細胞または細胞群に刺激を与える刺激部60Aおよび60Bと、細胞または細胞群を細胞配置部28に供給する細胞供給部70と、を備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Aは、基板25と、基板25上に設けられるQ個の電極20と、基板25上に設けられ、細胞が配置される細胞配置部28とを備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Aは、電極20および細胞配置部28からなる測定部を2以上備える。第2実施形態では、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Aは、測定部45A、45Bおよび45Cの3つの測定部を有する。ここで、各測定部の電極20の数Qはそれぞれ4以上である。電極20の数は、各測定部によって、同一でもよいし、異なっていてもよい。複数の測定部を備えることで、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Aは、同時に複数の細胞または細胞群の測定を行うことができる。また、各測定部の電極20は、各測定部の細胞配置部28の中心を中心として、円周上に均等に配置されることがより好ましい。電流電圧印加測定部1Aは、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10に細胞を配置後、電極20間に所定の電流または電圧を印加し、電位差または電流を測定する。各測定部における測定は同時に行ってもよいし、各測定部ごとに測定時間をずらしてもよい。
刺激部60Aおよび60Bは、細胞または細胞群に刺激を与える機能を有する。刺激の種類は、細胞又は細胞群に刺激を与えられるのであれば、特に限定されず、機械的刺激、電気的刺激、薬液的刺激などが挙げられる。刺激部60Aは、薬液を供給する薬液供給手段である。刺激部60Bは電気的に細胞または細胞群に刺激を与える電極である。
刺激部60Aおよび60Bによって、細胞または細胞群に刺激を与え、細胞群内部および/または細胞群外液のイオン濃度をイメージングすることで、細胞群の細胞膜に3次元的に分布したイオンチャネルの動作を確認することができる。例えば、ヒドロピリジン系カルシウム・イオンチャネル拮抗薬のひとつのアムロジピンは、L型Caイオンチャネルを阻害し、他のN型やT型Caイオンチャネルなどは阻害しない特徴を持つ。したがって、図7のように、細胞群内部および/または細胞群外液のイオン濃度イメージング画像に異方性が顕著に表れる。刺激部60Aを備えることで、薬液的刺激によるイオンチャネルの挙動を可視化でき、薬液の影響を詳細に調べることができる。
細胞供給部70は、細胞または細胞群を細胞配置部28に供給する。細胞供給部は、細胞又は細胞群を細胞配置部28に供給できるのであれば特に限定されない。細胞供給部70は細胞配置部28に静止して細胞を配置してもよいし、細胞又は細胞群を連続的または間欠的に細胞配置部28を通過するように流動させてもよい。
<細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例1>
次に細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例である細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Bを説明する。図8に示すように細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Bは、基板25と、基板25上に設けられるQ個の電極20A,20Bと、基板25上に設けられ、細胞が配置される細胞配置部28とを備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Bは、電極20A,20Bおよび細胞配置部28からなる測定部45Dを備える。電極20Aの個数は4個以上であり、電極20Bの個数は4個以上である。電極20Aと電極20Bの数は同一であってもよく、異なっていてもよい。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Bの電極20Aおよび20Bは、細胞配置部28の中心を中心として同心円状に配置される。具体的には、異なる半径の同心円C1,C2の円周上に電極20A,20Bがそれぞれ配置される。電極20Aは、半径の小さい内側の円C1に配置され、電極20Bは、半径が大きい外側の円C2に配置される。各電極20A,20Bは、各円C1、C2のそれぞれの円周上に均等に配置されることが好ましい。また、電極20Aと電極20Bとは、動径方向に重ならないように配置されることが好ましい。このように電極20Aと電極20Bとを配置することで、同じ面内に電極を配置していても3次元の細胞イメージングを行うことができる。
<細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例2>
次に細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの変形例である細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cを図9および図10を用いて説明する。図9は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cの平面図である。図10は、図9のA-A線に沿った断面図である。図9および図10に示すように、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cは、基板25と、基板25上に設けられるQ個の電極20C,20Dと、基板25上に設けられ、細胞が配置される細胞配置部28とを備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cは、電極20C,20D、細胞配置部28とからなる測定部45Dを備える。電極20Cと電極20Cの周囲を覆う絶縁体81Aによって、電極層80Aが構成される。同様に、電極20Dと電極20Dの周囲を覆う絶縁体81Bによって、電極層80Bが構成される。本実施形態では、電極層80Aの上に電極層80Bが設けられている。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cは、極20Cと電極20Cの周囲を覆う絶縁体81Aおよび電極層80A、電極20Dと電極20Dの周囲を覆う絶縁体81Bとからなる電極層80Bを備える。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10Cにおいて、電極層が2以上積層されていてもよい。電極20Cと電極20Dとは、それぞれXY平面において円状に配置される。電極20Cの個数は4以上であり、電極20Dの数は4以上である。電極20Cおよび電極20Dの数は同一であってもよく、異なっていてもよい。このように電極20Cと電極20Dとを3次元的に配置することで、3次元の細胞イメージングを行うことができる。
以上、本開示の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10および細胞イメージング装置を詳説した。なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
(実施例)
次に、本開示の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置の有効性を検証するために実験した例について説明する。
細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサおよび細胞イメージング装置を用いて、細胞配置部にスフェロイドを静止させて配置して、導電率分布から、細胞群外液のイオン濃度を2次元的にイメージングした。図11は、本開示の細胞イメージング装置の一例の写真である。本実施例で用いた細胞イメージング装置は、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ、マルチプレクサ、インピーダンスアナライザ(IM3570,HIOKI, Japan)および制御・データ集積用PCで構成される。図12は細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ10の電極の拡大図である。細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサの電極は、イメージング領域のx-y平面内に1層あたり8電極を2層分、合計16電極からなる。各電極長le=0.40mm、電極幅we=0.15mmである。1層および多層の電極間においてインピーダンス計測される電極ペア数はそれぞれ、40パターンと208パターンである。電極ペアの切替は、マルチプレクサで行われ、各電極ペアにおいて、インピーダンスアナライザを用いて定電圧を印加し、電流を計測した。細胞スフェロイド(直径317μm)(図13はスフェロイドの顕微鏡写真)をイメージング対象の細胞組織として、センサ中央に固定し、スクロース溶液を5μL滴下し、インピーダンス計測を開始した。時刻t=0sのときのインピーダンスを基準に正規化したインピーダンスZnにより、逆問題解析により、導電率分布を求めた。このときの印加電圧の周波数は、1kHzから1MHzまで掃引した。
図14は、1層目の8電極(電極ペア数40パターン)を使用した場合において、t=20s、t=27s、t=34sにおける本発明によるスフェロイド外液のイオン濃度分布の2D+時間のイメージング結果である。図14に示した通り、スクロース溶液を滴下した後、時間が経過することで、図14のイメージング像の左上側に多くのイオンが発していることが分かった。一般に、スフェロイドを形成した場合、細胞分布や性質は非等方的になる。以上より、本開示の細胞イメージング装置により、細胞または細胞群のイオンチャネルの評価が可能であることが分かった。
次に、図12で示した2層分16電極(電極ペア数208パターン)を使用した場合の3Dイメージング例を示す。図15(a)は、2層分16電極を使用した場合の3次元的な電位分布を示す。図15(b)は、本発明により得られる、ある時間の細胞群外液のイオン濃度分布の3Dイメージングの予想図である。色が濃色ほどイオン濃度が高く、細胞スフェロイドの周囲の濃度が高いことが分かる。中心部はスフェロイドのため塗りつぶしている。そのスフェロイドの近傍は導電率が高く、外縁部に近づくに従って導電率は低くなると予想される。図14のように時刻tの経過により導電率分布も変化し、導電率の上昇がスフェロイド近傍から観察されている。そのため、スフェロイドからのイオンの流出および周囲溶液への拡散を、本発明により3次元的にイメージングできることが予想される。
1 電流電圧印加測定部、3 ヤコビ行列計算部、4 電気物性分布計算部、5 細胞識別部、6 出力部、10 細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ、20 電極、25 基板、28 細胞配置部、100 細胞イメージング装置

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられる4以上の電極および前記基板上に設けられ、細胞または細胞群が配置される細胞配置部からなる測定部と、
    を備え、
    前記電極は、前記細胞配置部の周囲に配置される、細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ。
  2. 前記電極は、前記細胞配置部の中心を中心として同心円状に配置される、請求項1に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ。
  3. 前記測定部が2以上ある、請求項1または2に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ。
  4. 前記電極と前記電極の周囲を覆う絶縁体とからなる電極層を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ。
  5. 前記電極層が2以上積層される、請求項4に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサ。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞イメージング用電気インピーダンス・トモグラフィセンサを備える細胞イメージング装置であって、
    前記電極間に電流又は電位差を印加し、前記電流を印加する場合は電流印加電圧測定パターンに基づき電位差と位相を測定し、前記電極間に前記電位差を印加する場合は電圧印加電流測定パターンに基づき電流と位相を測定する、電流電圧印加測定部と、
    前記電流印加電圧測定パターンまたは前記電圧印加電流測定パターン、前記細胞配置部を分割して得たメッシュ座標、および各前記電極の座標を基に、ヤコビ行列を計算するヤコビ行列計算部と、
    前記ヤコビ行列計算部で計算された前記ヤコビ行列と、前記電流電圧印加測定部で測定された前記電位差および位相または前記電流および位相と、から前記細胞または前記細胞群の電気物性分布を計算する電気物性分布計算部と、
    を備える、細胞イメージング装置。
  7. 前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1Hz以上1THz以下である、請求項6に記載の細胞イメージング装置。
  8. 前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1kHz以上1MHz以下である、請求項6に記載の細胞イメージング装置。
  9. 前記電流電圧印加測定部において、印加する前記電流または前記電位差の印加周波数が1MHz超である、請求項6に記載の細胞イメージング装置。
  10. 前記電気物性分布から、イオン輸送モデルを用い、前記細胞または前記細胞群のイオン輸送能を評価することで、前記細胞または前記細胞群を識別する細胞識別部をさらに備える、請求項6~9のいずれか1項に記載の細胞イメージング装置。
  11. 前記細胞または前記細胞群を前記細胞配置部に供給する細胞供給部をさらに備える、請求項6~10のいずれか1項に記載の細胞イメージング装置。
  12. 前記細胞または前記細胞群に刺激を与える刺激部を備える、請求項6~11のいずれか1項に記載の細胞イメージング装置。
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