JP2023035066A - 制御装置、および、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチアクチュエータの応答性を向上させつつ、クラッチを押圧する最大荷重の低下を抑制可能な制御装置を提供する。【解決手段】電動モータ20の通電制御を行う通電制御部110と、所定の進角量を記憶する記憶部130と、を備える。クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義すると、通電制御部110は、少なくとも低負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、制御装置、および、その製造方法に関する。
従来、相対回転可能な第1伝達部と第2伝達部との間に設けられ、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチの状態を変更可能なクラッチ装置が知られている。
例えば特許文献1に記載されたクラッチ装置は、クラッチを押圧するクラッチアクチュエータ、および、クラッチアクチュエータを制御する制御装置を備えている。制御装置は、クラッチアクチュエータのブラシレスモータの作動を制御する。
ところで、クラッチアクチュエータの押圧部のストローク区間のうち、押圧部とクラッチとが接触するクラッチタッチポイントまでの区間であるクラッチのガタ詰め区間では、クラッチアクチュエータに対する負荷荷重は小さい。変速時間短縮のためには、この区間においてできる限り短い時間で押圧部をストローク変位させる必要がある。このクラッチのガタ詰め区間において、モータを進角制御すれば、モータの回転数が向上し、応答性の改善が期待できる。
一方、押圧部がクラッチに接触した後、すなわち、クラッチタッチポイント以降の区間である押圧力制御区間では、クラッチアクチュエータに対する負荷荷重が急激に大きくなり、モータの発生すべきトルクも大きくなる。モータの高トルク領域に対して進角制御を適用すると、モータの回転数が低下し応答性が低下するのみならず、ロックトルクが低下するおそれがある。これにより、クラッチを押圧する最大荷重が小さくなり、より大きなトルクを出力可能な体格の大きなモータを採用せざるを得なくなり、クラッチアクチュエータが大型化するおそれがある。
本発明の目的は、クラッチアクチュエータの応答性を向上させつつ、クラッチを押圧する最大荷重の低下を抑制可能な制御装置、および、その製造方法を提供することにある。
本発明は、相対回転可能な第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間において、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチ(70)を備えるクラッチ装置(1)に用いられるクラッチアクチュエータ(10)を制御する制御装置である。
クラッチアクチュエータは、ハウジング(12)と電動モータ(20)と回転並進部(2)とを有する。電動モータは、ハウジングに設けられたステータ(21)、ステータに設けられたコイル(22)、および、ステータに対し相対回転可能なロータ(23)を有し、通電によりロータからトルクを出力可能である。回転並進部は、電動モータからのトルクによる回転運動を並進運動に変換し、クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
制御装置は、電動モータの通電制御を行う通電制御部(110)と、所定の進角量を記憶する記憶部(130)と、を備える。クラッチアクチュエータの作動領域のうち、クラッチ側から回転並進部に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ側から回転並進部に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義すると、通電制御部は、少なくとも低負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき電動モータを進角制御する。
例えば、低負荷荷重領域においては前記所定の進角量の値を大きく設定し進角制御を行い、高負荷荷重領域においては前記所定の進角量の値を小さく設定するか0°に設定し進角制御を行えば、クラッチのガタ詰め区間に対応する区間においてクラッチアクチュエータの応答性を向上できるとともに、押圧力制御区間に対応する区間においてクラッチを押圧する最大荷重の低下を抑制できる。
以下、複数の実施形態によるクラッチアクチュエータを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による制御装置を適用したクラッチ装置を図1、2に示す。クラッチ装置1は、例えば車両の内燃機関と変速機との間に設けられ、内燃機関と変速機との間のトルクの伝達を許容または遮断するのに用いられる。
第1実施形態による制御装置を適用したクラッチ装置を図1、2に示す。クラッチ装置1は、例えば車両の内燃機関と変速機との間に設けられ、内燃機関と変速機との間のトルクの伝達を許容または遮断するのに用いられる。
クラッチ装置1は、クラッチアクチュエータ10、クラッチ70、「制御装置」としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という)100、「第1伝達部」としての入力軸61、「第2伝達部」としての出力軸62等を備えている。
クラッチアクチュエータ10は、ハウジング12、「原動機」としての電動モータ20、減速機30、「回転並進部」または「転動体カム」としてのトルクカム2等を備えている。
ECU100は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM等、入出力手段としてのI/O等を有する小型のコンピュータである。ECU100は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号等の情報に基づき、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、車両の各種装置および機器の作動を制御する。このように、ECU100は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。
ECU100は、各種センサからの信号等の情報に基づき、内燃機関等の作動を制御可能である。また、ECU100は、後述する電動モータ20の作動を制御することでクラッチアクチュエータ10の作動を制御可能である。ECU100については、後に詳述する。
入力軸61は、例えば、図示しない内燃機関の駆動軸に接続され、駆動軸とともに回転可能である。つまり、入力軸61には、駆動軸からトルクが入力される。
内燃機関を搭載する車両には、固定体11が設けられる(図2参照)。固定体11は、例えば筒状に形成され、車両のエンジンルームに固定される。固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、ボールベアリング141が設けられる。これにより、入力軸61は、ボールベアリング141を介して固定体11により軸受けされる。
ハウジング12は、固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間に設けられる。ハウジング12は、「ハウジング筒部」としてのハウジング内筒部121、ハウジング板部122、ハウジング外筒部123、シール溝部124、ハウジング段差面125、ハウジング側スプライン溝部127、ハウジング穴部128等を有している。
ハウジング内筒部121は、略円筒状に形成されている。ハウジング板部122は、ハウジング内筒部121の端部から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。ハウジング外筒部123は、ハウジング板部122の外縁部からハウジング内筒部121と同じ側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、ハウジング内筒部121とハウジング板部122とハウジング外筒部123とは、例えば金属により一体に形成されている。
上述のように、ハウジング12は、全体としては、中空、かつ、扁平形状に形成されている。
シール溝部124は、ハウジング内筒部121の外周壁から径方向内側へ凹むよう環状に形成されている。ハウジング段差面125は、シール溝部124とハウジング板部122との間において、ハウジング板部122とは反対側を向くよう円環の平面状に形成されている。
ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の軸方向に延びるようハウジング内筒部121の外周壁に形成されている。ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の周方向に複数形成されている。ハウジング穴部128は、ハウジング板部122を板厚方向に貫くよう形成されている。
ハウジング12は、外壁の一部が固定体11の壁面の一部に当接するよう固定体11に固定される(図2参照)。ハウジング12は、図示しないボルト等により固定体11に固定される。ここで、ハウジング12は、固定体11および入力軸61に対し同軸に設けられる。ここで、「同軸」とは、2つの軸が厳密に一致する同軸の状態に限らず、僅かに偏心している状態または傾いている状態を含むものとする(以下、同じ)。また、ハウジング内筒部121の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、略円筒状の空間が形成される。
ハウジング12は、「空間」としての収容空間120を有している。収容空間120は、ハウジング内筒部121とハウジング板部122とハウジング外筒部123との間に形成されている。
電動モータ20は、収容空間120に収容されている。電動モータ20は、ステータ21、コイル22、ロータ23、「磁石」としてのマグネット230、マグネットカバー24等を有している。
ステータ21は、ステータヨーク211、ステータティース212を有している。ステータ21は、例えば積層鋼板により形成されている。ステータヨーク211は、略円筒状に形成されている。ステータティース212は、ステータヨーク211の内周壁から径方向内側へ突出するようステータヨーク211と一体に形成されている。ステータティース212は、ステータヨーク211の周方向に等間隔で複数形成されている。コイル22は、複数のステータティース212のそれぞれに設けられている。ステータ21は、ステータヨーク211の外周壁がハウジング外筒部123の内周壁に嵌合するようハウジング12に固定されている。
ロータ23は、例えば鉄系の金属により形成されている。ロータ23は、ロータ本体231、ロータ筒部232を有している。ロータ本体231は、略円環状に形成されている。ロータ筒部232は、ロータ本体231の外縁部から筒状に延びるよう形成されている。
マグネット230は、ロータ23の外周壁に設けられている。マグネット230は、磁極が交互になるようロータ23の周方向に等間隔で複数設けられている。
マグネットカバー24は、マグネット230のロータ23の径方向外側の面を覆うようロータ23に設けられている。より詳細には、マグネットカバー24は、例えば非磁性の金属により形成されている。
クラッチアクチュエータ10は、ロータベアリング15を備えている。ロータベアリング15は、ハウジング段差面125に対しハウジング板部122側において、ハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。ロータベアリング15は、内輪151、外輪152、「軸受転動体」としての軸受ボール153等を有している。
内輪151、外輪152は、例えば金属により筒状に形成されている。外輪152は、内輪151の径方向外側に設けられている。軸受ボール153は、例えば金属により球状に形成されている。軸受ボール153は、内輪151の外周壁に環状に形成された溝部、および、外輪152の内周壁に環状に形成された溝部において、内輪151と外輪152との間で転動可能に設けられている。軸受ボール153は、内輪151および外輪152の周方向に複数設けられている。内輪151と外輪152との間で軸受ボール153が転動することにより、内輪151と外輪152とは相対回転可能である。軸受ボール153により、内輪151と外輪152との軸方向への相対移動が規制されている。
ロータベアリング15は、内輪151の内周壁がハウジング内筒部121の外周壁に当接し、内輪151の軸方向の一方の端面がハウジング板部122から所定距離離間した状態でハウジング内筒部121に設けられている。ロータ23は、ロータ本体231の内周壁がロータベアリング15の外周壁に嵌合するよう設けられている。これにより、ロータベアリング15は、ロータ23をハウジング12に対し相対回転可能に支持している。
ECU100は、コイル22に供給する電力を制御することにより、電動モータ20の作動を制御可能である。コイル22に電力が供給されると、ステータ21に回転磁界が生じ、ロータ23が回転する。これにより、ロータ23からトルクが出力される。このように、電動モータ20は、ステータ21、および、ステータ21に対し相対回転可能に設けられたロータ23を有し、電力の供給によりロータ23からトルクを出力可能である。
ここで、ロータ23は、ステータ21の径方向内側において、ステータ21に対し相対回転可能に設けられている。電動モータ20は、インナロータタイプのブラシレス直流モータである。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、回転角センサ170を備えている。回転角センサ170は、コイル22に対しハウジング板部122側に位置するよう電動モータ20に設けられている。
回転角センサ170は、ロータ23と一体に回転するマグネット230から発生する磁束を検出し、検出した磁束に応じた信号をECU100に出力する。これにより、ECU100は、回転角センサ170からの信号に基づき、ロータ23の回転角および回転数等を検出することができる。また、ECU100は、ロータ23の回転角および回転数等に基づき、ハウジング12および後述する従動カム50に対する駆動カム40の相対回転角度、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50および状態変更部80の軸方向の相対位置等を算出することができる。
図3に示すように、減速機30は、サンギヤ31、プラネタリギヤ32、キャリア33、第1リングギヤ34、第2リングギヤ35等を有している。
サンギヤ31は、ロータ23と同軸かつ一体回転可能に設けられている。つまり、ロータ23とサンギヤ31とは、異なる材料により別体に形成され、一体に回転可能なよう同軸に配置されている。
より詳細には、サンギヤ31は、サンギヤ基部310、「歯部」および「外歯」としてのサンギヤ歯部311、サンギヤ筒部312を有している。サンギヤ基部310は、例えば金属により略円環状に形成されている。サンギヤ筒部312は、サンギヤ基部310の外縁部から筒状に延びるようサンギヤ基部310と一体に形成されている。サンギヤ歯部311は、サンギヤ筒部312のサンギヤ基部310とは反対側の端部の外周壁に形成されている。
サンギヤ31は、サンギヤ基部310の外周壁がロータ筒部232の内周壁に嵌合するよう設けられている。これにより、サンギヤ31は、ロータベアリング15により、ロータ23とともに、ハウジング12に対し相対回転可能に支持されている。
ロータ23と一体回転するサンギヤ31には、電動モータ20のトルクが入力される。ここで、サンギヤ31は、減速機30の「入力部」に対応する。
プラネタリギヤ32は、サンギヤ31の周方向に沿って複数設けられ、サンギヤ31に噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転可能である。より詳細には、プラネタリギヤ32は、例えば金属により略円筒状に形成され、サンギヤ31の径方向外側においてサンギヤ31の周方向に等間隔で複数設けられている。プラネタリギヤ32は、「歯部」および「外歯」としてのプラネタリギヤ歯部321を有している。プラネタリギヤ歯部321は、サンギヤ歯部311に噛み合い可能なようプラネタリギヤ32の外周壁に形成されている。
キャリア33は、プラネタリギヤ32を回転可能に支持し、サンギヤ31に対し相対回転可能である。
より詳細には、キャリア33は、キャリア本体331、ピン335を有している。キャリア本体331は、例えば金属により略円環の板状に形成されている。キャリア本体331は、軸方向においてはコイル22とプラネタリギヤ32との間に位置している。
ピン335は、例えば金属により略円柱状に形成されている。ピン335は、軸方向の端部がキャリア本体331に固定されるようにして設けられている。
減速機30は、プラネタリギヤベアリング36を有している。プラネタリギヤベアリング36は、ピン335の外周壁とプラネタリギヤ32の内周壁との間に設けられている。これにより、プラネタリギヤ32は、プラネタリギヤベアリング36を介してピン335により回転可能に支持されている。すなわち、ピン335は、プラネタリギヤ32の回転中心に設けられ、プラネタリギヤ32を回転可能に支持している。また、プラネタリギヤ32とピン335とは、プラネタリギヤベアリング36を介して所定の範囲で軸方向に相対移動可能である。言い換えると、プラネタリギヤ32とピン335とは、プラネタリギヤベアリング36により、軸方向の相対移動可能範囲が所定の範囲に規制されている。
第1リングギヤ34は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部である第1リングギヤ歯部341を有し、ハウジング12に固定されている。より詳細には、第1リングギヤ34は、例えば金属により略円筒状に形成されている。第1リングギヤ34は、ステータ21に対しハウジング板部122とは反対側において、外縁部がハウジング外筒部123の内周壁に嵌合するようハウジング12に固定されている。そのため、第1リングギヤ34は、ハウジング12に対し相対回転不能である。
ここで、第1リングギヤ34は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第1リングギヤ歯部341は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の一方の端部側に噛み合い可能なよう第1リングギヤ34の内周壁に形成されている。
第2リングギヤ35は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部であり第1リングギヤ歯部341とは歯数の異なる第2リングギヤ歯部351を有し、後述する駆動カム40と一体回転可能に設けられている。より詳細には、第2リングギヤ35は、例えば金属により筒状に形成されている。
ここで、第2リングギヤ35は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第2リングギヤ歯部351は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の他方の端部側に噛み合い可能なよう第2リングギヤ35の軸方向の第1リングギヤ34側の端部の内周壁に形成されている。本実施形態では、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも多い。より詳細には、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも、プラネタリギヤ32の個数に整数を乗じた数分だけ多い。
また、プラネタリギヤ32は、同一部位において2つの異なる諸元をもつ第1リングギヤ34および第2リングギヤ35と干渉なく正常に噛み合う必要があるため、第1リングギヤ34および第2リングギヤ35の一方もしくは両方を転位させて各歯車対の中心距離を一定にする設計としている。
上記構成により、電動モータ20のロータ23が回転すると、サンギヤ31が回転し、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321がサンギヤ歯部311と第1リングギヤ歯部341および第2リングギヤ歯部351とに噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転する。ここで、第2リングギヤ歯部351の歯数が第1リングギヤ歯部341の歯数より多いため、第2リングギヤ35は、第1リングギヤ34に対し相対回転する。そのため、第1リングギヤ34と第2リングギヤ35との間で第1リングギヤ歯部341と第2リングギヤ歯部351との歯数差に応じた微小差回転が第2リングギヤ35の回転として出力される。これにより、電動モータ20からのトルクは、減速機30により減速されて、第2リングギヤ35から出力される。このように、減速機30は、電動モータ20のトルクを減速して出力可能である。本実施形態では、減速機30は、3k型の不思議遊星歯車減速機を構成している。
第2リングギヤ35は、後述する駆動カム40とは別体に形成され、駆動カム40と一体回転可能に設けられている。第2リングギヤ35は、電動モータ20からのトルクを減速して駆動カム40に出力する。ここで、第2リングギヤ35は、減速機30の「出力部」に対応する。
トルクカム2は、「回転部」としての駆動カム40、「並進部」としての従動カム50、「カム転動体」としてのカムボール3を有している。
駆動カム40は、駆動カム本体41、駆動カム特定形状部42、駆動カム板部43、駆動カム外筒部44、駆動カム溝400等を有している。駆動カム本体41は、略円環の板状に形成されている。駆動カム特定形状部42は、駆動カム本体41の外縁部から、駆動カム本体41の軸に対し傾斜して延びるよう形成されている。駆動カム板部43は、駆動カム特定形状部42の駆動カム本体41とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。駆動カム外筒部44は、駆動カム板部43の外縁部から駆動カム特定形状部42とは反対側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、駆動カム本体41と駆動カム特定形状部42と駆動カム板部43と駆動カム外筒部44とは、例えば金属により一体に形成されている。
駆動カム溝400は、駆動カム本体41の駆動カム特定形状部42側の面である一方の端面から他方の端面側へ凹みつつ、駆動カム本体41の周方向に延びるよう形成されている。駆動カム溝400は、駆動カム本体41の周方向において一方の端面からの深さが変化するよう形成されている。駆動カム溝400は、例えば駆動カム本体41の周方向に等間隔で3つ形成されている。
駆動カム40は、駆動カム本体41がハウジング内筒部121の外周壁とサンギヤ31のサンギヤ筒部312の内周壁との間に位置し、駆動カム板部43がプラネタリギヤ32に対しキャリア本体331とは反対側に位置するようハウジング内筒部121とハウジング外筒部123との間に設けられている。駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
第2リングギヤ35は、第2リングギヤ歯部351が形成された端部とは反対側の端部の内周壁が駆動カム板部43の外縁部に嵌合するよう駆動カム40と一体に設けられている。第2リングギヤ35は、駆動カム40に対し相対回転不能である。すなわち、第2リングギヤ35は、「回転部」としての駆動カム40と一体回転可能に設けられている。そのため、電動モータ20からのトルクが、減速機30により減速され、第2リングギヤ35から出力されると、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転する。すなわち、駆動カム40は、減速機30から出力されたトルクが入力されるとハウジング12に対し相対回転する。
従動カム50は、従動カム本体51、従動カム特定形状部52、従動カム板部53、カム側スプライン溝部54、従動カム溝500等を有している。従動カム本体51は、略円環の板状に形成されている。従動カム特定形状部52は、従動カム本体51の外縁部から、従動カム本体51の軸に対し傾斜して延びるよう形成されている。従動カム板部53は、従動カム特定形状部52の従動カム本体51とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。ここで、従動カム本体51と従動カム特定形状部52と従動カム板部53とは、例えば金属により一体に形成されている。
カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の内周壁において軸方向に延びるよう形成されている。カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の周方向に複数形成されている。
従動カム50は、従動カム本体51が駆動カム本体41に対しロータベアリング15とは反対側、かつ、駆動カム特定形状部42および駆動カム板部43の径方向内側に位置し、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合するよう設けられている。これにより、従動カム50は、ハウジング12に対し、相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
従動カム溝500は、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面である一方の端面から他方の端面側へ凹みつつ、従動カム本体51の周方向に延びるよう形成されている。従動カム溝500は、従動カム本体51の周方向において一方の端面からの深さが変化するよう形成されている。従動カム溝500は、例えば従動カム本体51の周方向に等間隔で3つ形成されている。
なお、駆動カム溝400と従動カム溝500とは、それぞれ、駆動カム本体41の従動カム本体51側の面側、または、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面側から見たとき、同一の形状となるよう形成されている。
カムボール3は、例えば金属により球状に形成されている。カムボール3は、3つの駆動カム溝400と3つの従動カム溝500との間のそれぞれにおいて転動可能に設けられている。すなわち、カムボール3は、合計3つ設けられている。
このように、駆動カム40と従動カム50とカムボール3とは、「転動体カム」としてのトルクカム2を構成している。駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、カムボール3は、駆動カム溝400および従動カム溝500においてそれぞれの溝底に沿って転動する。
上述のように、駆動カム溝400および従動カム溝500は、駆動カム40または従動カム50の周方向において深さが変化するよう形成されている。そのため、減速機30から出力されるトルクにより駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、カムボール3が駆動カム溝400および従動カム溝500において転動し、従動カム50は、駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、ストロークする。
このように、従動カム50は、駆動カム溝400との間にカムボール3を挟むようにして一方の端面に形成された複数の従動カム溝500を有し、駆動カム40およびカムボール3とともにトルクカム2を構成している。従動カム50は、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転すると駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動する。ここで、従動カム50は、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合しているため、ハウジング12に対し相対回転しない。また、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転するものの、軸方向には相対移動しない。
トルクカム2は、電動モータ20に対し軸方向の一方側に設けられ、電動モータ20からのトルクによる回転運動を、ハウジング12に対する軸方向の相対移動である並進運動に変換する。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、「付勢部材」としてのリターンスプリング55、リターンスプリングリテーナ56を備えている。リターンスプリング55は、例えばコイルスプリングであり、従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側において、ハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。リターンスプリング55は、一端が従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側の面に当接している。
リターンスプリングリテーナ56は、リテーナ内筒部561、リテーナ板部562、リテーナ外筒部563を有している。リテーナ内筒部561は、略円筒状に形成されている。リテーナ板部562は、リテーナ内筒部561の一方の端部から径方向外側に延びるよう環状の板状に形成されている。リテーナ外筒部563は、リテーナ板部562の外縁部からリテーナ内筒部561側へ延びるよう略円筒状に形成されている。リテーナ内筒部561とリテーナ板部562とリテーナ外筒部563とは、例えば金属により一体に形成されている。
リターンスプリングリテーナ56は、リテーナ内筒部561の内周壁がハウジング内筒部121の外周壁に嵌合するようハウジング内筒部121に固定されている。リターンスプリング55の他端は、リテーナ内筒部561とリテーナ外筒部563との間においてリテーナ板部562に当接している。
リターンスプリング55は、軸方向に伸びる力を有している。そのため、従動カム50は、駆動カム40との間にカムボール3を挟んだ状態で、リターンスプリング55により駆動カム本体41側へ付勢されている。
出力軸62は、軸部621、板部622、筒部623、摩擦板624を有している(図2参照)。軸部621は、略円筒状に形成されている。板部622は、軸部621の一端から径方向外側へ環状の板状に延びるよう軸部621と一体に形成されている。筒部623は、板部622の外縁部から軸部621とは反対側へ略円筒状に延びるよう板部622と一体に形成されている。摩擦板624は、略円環の板状に形成され、板部622の筒部623側の端面に設けられている。ここで、摩擦板624は、板部622に対し相対回転不能である。筒部623の内側には、クラッチ空間620が形成されている。
入力軸61の端部は、ハウジング内筒部121の内側を通り、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側に位置している。出力軸62は、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側において、入力軸61と同軸に設けられる。軸部621の内周壁と入力軸61の端部の外周壁との間には、ボールベアリング142が設けられる。これにより、出力軸62は、ボールベアリング142を介して入力軸61により軸受けされる。入力軸61および出力軸62は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
クラッチ70は、クラッチ空間620において入力軸61と出力軸62との間に設けられている。クラッチ70は、内側摩擦板71、外側摩擦板72、係止部701を有している。内側摩擦板71は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。内側摩擦板71は、内縁部が入力軸61の外周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、内側摩擦板71は、入力軸61に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
外側摩擦板72は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。ここで、内側摩擦板71と外側摩擦板72とは、入力軸61の軸方向において交互に配置されている。外側摩擦板72は、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、外側摩擦板72は、出力軸62に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。複数の外側摩擦板72のうち最も摩擦板624側に位置する外側摩擦板72は、摩擦板624に接触可能である。
係止部701は、略円環状に形成され、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁に嵌合するよう設けられる。係止部701は、複数の外側摩擦板72のうち最も従動カム50側に位置する外側摩擦板72の外縁部を係止可能である。そのため、複数の外側摩擦板72、複数の内側摩擦板71は、筒部623の内側からの脱落が抑制される。なお、係止部701と摩擦板624との距離は、複数の外側摩擦板72および複数の内側摩擦板71の板厚の合計よりも大きい。
複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに接触、つまり係合した状態である係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力が生じ、当該摩擦力の大きさに応じて内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転が規制される。一方、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに離間、つまり係合していない状態である非係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力は生じず、内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転は規制されない。
クラッチ70が係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、クラッチ70を経由して出力軸62に伝達される。一方、クラッチ70が非係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、出力軸62に伝達されない。
このように、クラッチ70は、入力軸61と出力軸62との間でトルクを伝達する。クラッチ70は、係合している係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を許容し、係合していない非係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を遮断する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、通常、非係合状態となる、所謂常開式(ノーマリーオープンタイプ)のクラッチ装置である。
状態変更部80は、「押圧部」または「弾性変形部」としての皿ばね81、皿ばねリテーナ82、皿ばねスラストベアリング83を有している。皿ばねリテーナ82は、リテーナ筒部821、リテーナフランジ部822を有している。リテーナ筒部821は、略円筒状に形成されている。リテーナフランジ部822は、リテーナ筒部821の一端から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。リテーナ筒部821とリテーナフランジ部822とは、例えば金属により一体に形成されている。皿ばねリテーナ82は、例えばリテーナ筒部821の他端が従動カム板部53の駆動カム40とは反対側の端面に接続するよう従動カム50に設けられている。ここで、リテーナ筒部821と従動カム板部53とは、例えば溶接により接続されている。
皿ばね81は、内縁部がリテーナ筒部821の径方向外側において、従動カム板部53とリテーナフランジ部822との間に位置するよう設けられている。皿ばねスラストベアリング83は、環状に形成され、リテーナ筒部821の径方向外側において、従動カム板部53と皿ばね81の内縁部との間に設けられている。
皿ばねリテーナ82は、リテーナフランジ部822が皿ばね81の軸方向の一端すなわち内縁部を係止可能なよう従動カム50に固定されている。そのため、皿ばね81および皿ばねスラストベアリング83は、リテーナフランジ部822により、皿ばねリテーナ82からの脱落が抑制されている。皿ばね81は、軸方向に弾性変形可能である。
図3は、状態変更部80を取り付けていない状態のクラッチアクチュエータ10を示す断面図である。
図1、2に示すように、カムボール3が、駆動カム本体41の一方の端面から駆動カム溝400の駆動カム本体41の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)、および、従動カム本体51の一方の端面から従動カム溝500の従動カム本体51の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)に位置するとき、駆動カム40と従動カム50との距離は、比較的小さく、皿ばね81の軸方向の他端すなわち外縁部とクラッチ70との間には、隙間Sp1が形成されている(図1参照)。そのため、クラッチ70は非係合状態であり、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達は遮断されている。
ここで、クラッチ70の状態を変更する通常作動時、ECU100の制御により電動モータ20のコイル22に電力が供給されると、電動モータ20が回転し、減速機30からトルクが出力され、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転する。これにより、カムボール3が最深部に対応する位置から駆動カム溝400および従動カム溝500の周方向の一方側へ転動する。これにより、従動カム50は、リターンスプリング55を圧縮しながらハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、クラッチ70側へ移動する。これにより、皿ばね81は、クラッチ70側へ移動する。
従動カム50の軸方向の移動により皿ばね81がクラッチ70側へ移動すると、隙間Sp1が小さくなり、皿ばね81の軸方向の他端は、クラッチ70の外側摩擦板72に接触する。皿ばね81がクラッチ70に接触した後さらに従動カム50が軸方向に移動すると、皿ばね81は、軸方向に弾性変形しつつ、外側摩擦板72を摩擦板624側へ押す。これにより、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに係合し、クラッチ70が係合状態となる。そのため、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達が許容される。
このとき、皿ばね81は、皿ばねスラストベアリング83に軸受けされながら従動カム50および皿ばねリテーナ82に対し相対回転する。このように、皿ばねスラストベアリング83は、皿ばね81からスラスト方向の荷重を受けつつ、皿ばね81を軸受けする。
ECU100は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に達すると、電動モータ20の回転を停止させる。これにより、クラッチ70は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に維持された係合保持状態となる。このように、状態変更部80の皿ばね81は、従動カム50から軸方向の力を受け、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50の軸方向の相対位置に応じてクラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
また、トルクカム2は、電動モータ20からのトルクによる回転運動を、ハウジング12に対する軸方向の相対移動である並進運動に変換し、クラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
出力軸62は、軸部621の板部622とは反対側の端部が、図示しない変速機の入力軸に接続され、当該入力軸とともに回転可能である。つまり、変速機の入力軸には、出力軸62から出力されたトルクが入力される。変速機に入力されたトルクは、変速機で変速され、駆動トルクとして車両の駆動輪に出力される。これにより、車両が走行する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、オイル供給部5を備えている(図1、2参照)。オイル供給部5は、一端がクラッチ空間620に露出するよう、出力軸62において通路状に形成されている。オイル供給部5の他端は、図示しないオイル供給源に接続される。これにより、オイル供給部5の一端からクラッチ空間620のクラッチ70にオイルが供給される。
ECU100は、オイル供給部5からクラッチ70に供給するオイルの量を制御する。クラッチ70に供給されたオイルは、クラッチ70を潤滑および冷却可能である。このように、本実施形態では、クラッチ70は、湿式クラッチであり、オイルにより冷却され得る。
本実施形態では、「回転並進部」としてのトルクカム2は、「回転部」としての駆動カム40および第2リングギヤ35とハウジング12との間に収容空間120を形成している。ここで、収容空間120は、駆動カム40および第2リングギヤ35に対しクラッチ70とは反対側においてハウジング12の内側に形成されている。電動モータ20および減速機30は、収容空間120に設けられている。クラッチ70は、駆動カム40に対し収容空間120とは反対側の空間であるクラッチ空間620に設けられている。
図3に示すように、スラストベアリング16は、「スラスト軸受転動体」としてのころ161、レース162、バックアッププレート163を有している。レース162は、例えば金属により環状の板状に形成されている。ころ161は、例えば金属により略円柱状に形成され、レース162の一方の端面に接触しながらレース162の周方向に転動可能に設けられている。ころ161は、レース162の周方向に複数設けられている。
バックアッププレート163は、プレート本体164、プレート凸部165を有している。プレート本体164は、略円環状に形成されている。プレート凸部165は、プレート本体164の内縁部から軸方向に突出するよう略円環状に形成されている。プレート本体164とプレート凸部165とは、例えば金属により一体に形成されている。
バックアッププレート163は、プレート凸部165がハウジング段差面125に当接するようハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。レース162は、他方の端面がプレート本体164のプレート凸部165とは反対側の端面に当接するようハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。ころ161は、レース162と駆動カム本体41との間に設けられ、レース162の駆動カム本体41側の端面と駆動カム本体41のレース162側の面とに接触しつつ、レース162の周方向に転動可能である。
スラストベアリング16は、駆動カム40からスラスト方向すなわち軸方向の荷重を受けつつ駆動カム40を軸受けする。本実施形態では、クラッチ70側からの軸方向の荷重は、皿ばね81、皿ばねスラストベアリング83、従動カム50、カムボール3、駆動カム40を経由してスラストベアリング16に作用する。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、「シール部材」としての内側シール部材191、外側シール部材192を備えている。内側シール部材191は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成されたオイルシールである。外側シール部材192は、例えばゴム等の弾性材料および金属環等により環状に形成されたオイルシールである。
内側シール部材191は、ハウジング内筒部121に形成されたシール溝部124に設けられている。内側シール部材191は、外縁部が駆動カム本体41の内周壁と摺動可能なようシール溝部124に設けられている。
外側シール部材192は、第2リングギヤ35に対し第1リングギヤ34とは反対側において、ハウジング外筒部123と駆動カム外筒部44との間に設けられている。外側シール部材192は、内縁部のシールリップ部が駆動カム外筒部44の外周壁と摺動可能なようハウジング外筒部123に設けられている。
ここで、外側シール部材192は、内側シール部材191の軸方向から見たとき、内側シール部材191の径方向外側に位置するよう設けられている(図1、2参照)。
上述のように、駆動カム本体41の内周壁は、内側シール部材191と摺動可能である。すなわち、内側シール部材191は、「回転部」としての駆動カム40に接触するよう設けられている。内側シール部材191は、駆動カム本体41とハウジング内筒部121との間を気密または液密にシールしている。
駆動カム外筒部44の外周壁は、外側シール部材192の内縁部であるシールリップ部と摺動可能である。すなわち、外側シール部材192は、「回転部」としての駆動カム40に接触するよう設けられている。外側シール部材192は、駆動カム外筒部44の外周壁とハウジング外筒部123の内周壁との間を気密または液密にシールしている。
上述のように設けられた内側シール部材191、および、外側シール部材192により、電動モータ20および減速機30を収容する収容空間120を気密または液密に保持可能であり、収容空間120と、クラッチ70が設けられたクラッチ空間620との間を気密または液密に保持可能である。これにより、例えばクラッチ70において摩耗粉等の異物が発生したとしても、当該異物がクラッチ空間620から収容空間120へ侵入するのを抑制できる。そのため、異物による電動モータ20または減速機30の作動不良を抑制できる。
以下、本実施形態の各部の構成について、より詳細に説明する。
図1~4に示すように、<1>本実施形態のECU100は、相対回転可能な入力軸61と出力軸62との間において、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチ70を備えるクラッチ装置1に用いられるクラッチアクチュエータ10を制御する制御装置である。
クラッチアクチュエータ10は、ハウジング12と電動モータ20と「回転並進部」としてのトルクカム2とを有する。電動モータ20は、ハウジング12に設けられたステータ21、ステータ21に設けられたコイル22、および、ステータ21に対し相対回転可能なロータ23を有し、通電によりロータ23からトルクを出力可能である。トルクカム2は、電動モータ20からのトルクによる回転運動を並進運動に変換し、クラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
ECU100は、電動モータ20の通電制御を行う通電制御部110と、所定の進角量を記憶する記憶部130と、を備える。
<11>電動モータ20は、ブラシレス直流モータであり、ロータ23に設けられた「磁石」としてのマグネット230を有している。クラッチアクチュエータ10は、マグネット230の磁束に基づき信号を出力可能な回転角センサ170を有している。ECU100は、回転角センサ170からの信号に基づき、ロータ23の回転角を検出可能である。
より詳細には、図4に示すように、ステータティース212は、ステータヨーク211の周方向に等間隔で15個形成されている。15個のステータティース212のそれぞれにコイル22が設けられている。マグネット230は、磁極が交互になるようロータ23の周方向に等間隔で20個設けられている。電動モータ20は、3相20極15スロットのブラシレス直流モータである。
回転角センサ170は、3つ設けられている。3つの回転角センサ170は、それぞれ、ステータヨーク211の周方向で隣り合う2つのコイル22間に設けられている。3つの回転角センサ170は、それぞれ、U相ホールIC171、V相ホールIC172、W相ホールIC173を有している。U相ホールIC171、V相ホールIC172、W相ホールIC173は、N極の磁界がかかると正(+)電圧、S極の磁界がかかると負(-)電圧が差動電圧で発生する。
図5に示すように、コイル22は、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253を有している。U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253は、それぞれの一端が電気的に接続されている。ECU100は、スイッチング素子271~276、電流検出部181を有している。
スイッチング素子271は、一端がバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子272の一端に接続している。スイッチング素子272の他端は、グランドに接続している。スイッチング素子273は、一端がバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子274の一端に接続している。スイッチング素子274の他端は、グランドに接続している。スイッチング素子275は、一端がバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子276の一端に接続している。スイッチング素子276の他端は、グランドに接続している。
電流検出部181は、スイッチング素子271、273、275とバッテリの正極との間に設けられ、当該箇所の電位差を検出することで、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253に流れる電流を検出可能である。
通電制御部110は、駆動制御部111、駆動タイミング演算部112、変位演算部113、カウント部114、回転角信号処理部115、回転数演算部116、検出電流処理部117を有している。
検出電流処理部117は、電流検出部181が検出した電流値を処理し、駆動タイミング演算部112に出力する。回転角信号処理部115は、U相ホールIC171、V相ホールIC172、W相ホールIC173から出力された信号を処理し、駆動タイミング演算部112、カウント部114、回転数演算部116に出力する。カウント部114は、回転角信号処理部115から出力された信号に基づき、カウント値を増減させ、変位演算部113に出力する。変位演算部113は、カウント部114から出力されたカウント値に基づき、状態変更部80の皿ばね81の軸方向の変位、すなわち、ストローク量を演算し、駆動タイミング演算部112に出力する。回転数演算部116は、回転角信号処理部115から出力された信号に基づき、ロータ23すなわち電動モータ20の回転数を演算し、駆動タイミング演算部112に出力する。
駆動タイミング演算部112は、記憶部130に記憶された所定の進角量、回転角信号処理部115から出力された信号、変位演算部113から出力された状態変更部80の皿ばね81の軸方向の変位、回転数演算部116から出力されたロータ23の回転数、検出電流処理部117から出力された電流値に基づき、スイッチング素子271~276の駆動タイミングを演算し、駆動制御部111に出力する。駆動制御部111は、駆動タイミング演算部112から出力された駆動タイミングに基づき、スイッチング素子271~276に対し駆動信号を出力する。
スイッチング素子271~276は、駆動制御部111から出力された駆動信号に基づき、オン/オフ作動する。これにより、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253に電流が流れ、ロータ23が回転する。このように、通電制御部110は、駆動制御部111によりスイッチング素子271~276の作動を制御し、電動モータ20の通電制御を行う。
<9>通電制御部110は、120°矩形波通電により電動モータ20の通電制御を行う。
より詳細には、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253の各コイルは、120°位相がずれた状態で、120°の期間オンしてコイルに電流を流入し、60°の期間オフ、120°の期間オンして電流を流出させ、60°の期間オフというサイクルを繰り返す。U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253の各コイルに流れる電流は、矩形波である。
次に、通電制御部110による進角制御について説明する。
<1>クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義する。
図6に示すように、クラッチアクチュエータ10の皿ばね81のストローク区間のうち、皿ばね81とクラッチ70とが接触するクラッチタッチポイントPs1までの区間であるクラッチ70の「ガタ詰め区間」では、クラッチアクチュエータ10のトルクカム2に対する負荷荷重は、リターンスプリング55の荷重のみのため、比較的小さい。一方、皿ばね81がクラッチ70に接触した後、すなわち、クラッチタッチポイントPs1以降の区間である「押圧力制御区間」では、クラッチアクチュエータ10のトルクカム2に対する負荷荷重は、クラッチ70からの反力が加わるため、急激に大きくなる。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10の「押圧部」としての皿ばね81とクラッチ70とが接触するクラッチタッチポイントPs1においてクラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重L1を前記所定値とする(図6参照)。
つまり、<10>本実施形態では、「低負荷荷重領域」は、「回転並進部」としてのトルクカム2に接続する皿ばね81がクラッチ70に接触するまでの「ガタ詰め区間」に対応する領域であり、「高負荷荷重領域」は、皿ばね81がクラッチ70を押圧するときの「押圧力制御区間」に対応する領域である。
<1>通電制御部110は、少なくとも低負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
より詳細には、通電制御部110は、U相ホールIC171、V相ホールIC172、W相ホールIC173からの信号等に基づき、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253に流れる電流の位相遅れを見越し、印加電圧の位相を前記所定の進角量分進めることにより進角制御を行う。
本実施形態では、通電制御部110は、低負荷荷重領域のとき、および、高負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
<2>通電制御部110は、前記所定の進角量を第1進角量、または、前記第1進角量と異なる値である第2進角量に変更可能である。通電制御部110は、クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち少なくとも「低負荷荷重領域」では前記第1進角量に基づき電動モータ20を進角制御し、「高負荷荷重領域」のうち少なくとも一部では前記第2進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
より詳細には、通電制御部110は、「低負荷荷重領域」では前記第1進角量に基づき電動モータ20を進角制御し、「高負荷荷重領域」では前記第2進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
<3>前記第1進角量は、前記第2進角量より大きい。
<4>通電制御部110は、前記第1進角量を30~90°に設定し電動モータ20を進角制御する。つまり、通電制御部110は、「低負荷荷重領域」すなわち「ガタ詰め区間」では、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253に印加する電圧の位相を30~90°進めることにより進角制御する。
<5>通電制御部110は、前記第2進角量を0°に設定し電動モータ20を進角制御する。つまり、通電制御部110は、「高負荷荷重領域」すなわち「押圧力制御区間」では、U相コイル251、V相コイル252、W相コイル253に印加する電圧の位相を0°進めることにより進角制御する。そのため、通電制御部110は、「高負荷荷重領域」すなわち「押圧力制御区間」では、実質的に進角制御を行わないということもできる。
<7>本実施形態では、通電制御部110は、ロータ23の回転角に基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する。
より詳細には、通電制御部110は、回転角信号処理部115から出力された信号に基づきロータ23の回転角を算出し、「低負荷荷重領域」すなわち「ガタ詰め区間」と「高負荷荷重領域」すなわち「押圧力制御区間」との境界に対応するロータ23の回転角を越えるとき、または、下回るとき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する。
電動モータ20の出力トルク(モータトルク)と電動モータ20の回転数(モータ回転数)との関係、すなわち、N-T特性を図7に示す。図7の実線は進角制御を行う場合のN-T特性を示し、一点鎖線は進角制御を行わない場合のN-T特性を示す。図7に示すように、モータトルクが小さい領域では、進角制御を行う場合の方が、進角制御を行わない場合と比べ、モータ回転数が高い。一方、モータトルクが大きい領域では、進角制御を行わない場合の方が、進角制御を行う場合と比べ、モータ回転数が高い。また、進角制御を行わない場合の方が、進角制御を行う場合と比べ、出力可能な最大トルクが大きい。
本実施形態では、「低負荷荷重領域」すなわち「ガタ詰め区間」では、進角制御を行うことで、モータ回転数を高め、クラッチアクチュエータ10の応答性を高め、「ガタ詰め区間」における皿ばね81とクラッチ70との接触までに要する時間を短縮できる。
一方、「高負荷荷重領域」すなわち「押圧力制御区間」では、実質的に進角制御を行わないことで、電動モータ20の出力可能な最大トルクを高め、「押圧力制御区間」におけるクラッチ70を押圧する最大荷重の低下を抑制できる。
次に、ECU100の製造方法について説明する。
<12>「制御装置」としてのECU100の製造方法は、計測工程と進角量算出工程とを含む。
計測工程では、ロータ23を外部から強制的に回転駆動しつつ、コイル22に発生する誘起電圧と、回転角センサ170からの信号と、を計測する。
より詳細には、図8の(A)に示すように、高分解能の回転角検出器9を経由して外部から低回転でクラッチアクチュエータ10のロータ23を強制的に回転駆動し、そのときコイル22に発生する誘起電圧と、回転角センサ170のU相ホールIC171、V相ホールIC172、W相ホールIC173から出力される信号と、を計測する。
計測工程での計測結果の一例を図9に示す。図9に示すように、例えばU相ホールIC171から出力される信号の実測値であるホールIC出力信号(実線)の位相は、例えばU相コイル251に発生する誘起電圧の位相より遅れている。このホールIC出力信号の位相の遅れは、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる。
進角量算出工程では、計測工程で計測した誘起電圧および回転角センサ170からの信号の立ち上がり位相差に基づき、所定の条件を満たす進角量を前記所定の進角量として算出する。
より詳細には、図9に示すように、誘起電圧の立ち上がりから、電気角で30°(θ0)経過した位置で、ホールIC出力信号が立ち上がるのが進角中立(進角量0°)の点である。進角中立からの電気角における角度進み量を「進角量」とよぶ。
進角量と、電動モータ20の無負荷時における回転数であるモータ無負荷回転数との関係を図10に示す。図10に示すように、進角量θLのとき、モータ無負荷回転数が最大となる。なお、モータ無負荷回転数が最大となる進角量θLは、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる。
進角量算出工程では、所定の条件において、例えばモータ特性としてのモータ無負荷回転数が最大(最良)となる進角量θLを最適進角量θLとし、実測値に対する進角量補正値θC(図9参照)を、前記所定の進角量として算出する。
<13>本実施形態では、ECU100とクラッチアクチュエータ10とは一体に設けられている。
より詳細には、図8の(A)、(B)に示すように、ECU100は、例えばクラッチアクチュエータ10のハウジング12に一体に取り付けられている。
ECU100の製造方法は、進角量記憶工程をさらに含む。進角量記憶工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量をECU100の記憶部130に記憶させる。
より詳細には、図8の(B)に示すように、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量、すなわち、進角量補正値θCをECU100の記憶部130に記憶させる。
図8の(C)に示すように、進角量記憶工程の後、一体のクラッチアクチュエータ10およびECU100は、変速機8に搭載される。その後、変速機8は、車両に搭載される。
一般に、クラッチの制御に進角制御を適用するにあたり、以下のような課題も存在する。すなわち、従来、ブラシレス直流モータは、低コスト化のために、例えばホールIC等の回転角度センサを複数個用い、モータの回転角を検出し、それに応じてモータのU相/V相/W相への通電、例えば3相各相の120°矩形波通電を駆動回路によって行っていた。しかしながら、回転角度センサの取付角度ばらつきや、ロータへの磁石の組み付け位置精度、センサ磁石の組み付け位置精度、製造時のステータティースの位置精度等、様々な製造上のばらつき要因によって、必ずしも正確な通電制御を行うことができていなかった。
例えば、一例として、回転角度センサとしてのホールICの取付角度ばらつきについては、モータがロータの磁石が20極、ステータティースが15歯に設定され、120°矩形波通電で制御されると仮定すると、360°/20極/3個×6=36°の機械角が、電気角360°に相当する。つまり、機械角1°は、電気角10°に相当する。この場合に、ホールICの組み付けばらつきが例えば±3°であると仮定すると、電気角で±30°ばらつくことになる。この回転角度センサの取付角度ばらつきに加え、前述のような様々なばらつきに起因して、制御進角量が大きくばらつき、その結果として、モータの無負荷回転数を含めたN-T特性(回転数-トルク特性)に大きな個体間ばらつきが発生することになる(図11参照)。これにより、クラッチアクチュエータの個体間で、ガタ詰め区間の応答性に大きなばらつきが発生し、車両個体によっては、クラッチ係合時間が長くなるおそれがあった。
回転角検出手段のばらつきを補償して、より正確な進角制御を行う方法として、例えば特開2005-12955号公報、および、特開2012-85370号公報に開示されたものがある。しかしながら、いずれも、数多く存在するばらつき要因を全て考慮したものではなく、適正な進角制御を実現するには不十分であった。
上述の工程を経て製造されたECU100では、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる最適な進角量を前記所定の進角量として用い、通電制御部110により電動モータ20の進角制御を行うことができるため、クラッチアクチュエータ10の個体間の性能ばらつきを抑制できる。
以上説明したように、<1>本実施形態の「制御装置」としてのECU100は、電動モータ20の通電制御を行う通電制御部110と、所定の進角量を記憶する記憶部130と、を備える。クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち、クラッチ70側から「回転並進部」としてのトルクカム2に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義すると、通電制御部110は、少なくとも低負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
例えば、低負荷荷重領域においては前記所定の進角量の値を大きく設定し進角制御を行い、高負荷荷重領域においては前記所定の進角量の値を小さく設定するか0°に設定し進角制御を行えば、クラッチ70のガタ詰め区間に対応する区間においてクラッチアクチュエータ10の応答性を向上できるとともに、押圧力制御区間に対応する区間においてクラッチ70を押圧する最大荷重の低下を抑制できる。
したがって、制御対象としてのクラッチアクチュエータ10の消費電力の増大および体格の大型化を招くことなく、クラッチアクチュエータ10の応答性を向上しつつ、クラッチ70を押圧する最大荷重の低下を抑制できる。
また、<2>本実施形態では、通電制御部110は、前記所定の進角量を第1進角量、または、前記第1進角量と異なる値である第2進角量に変更可能である。通電制御部110は、クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち少なくとも「低負荷荷重領域」では前記第1進角量に基づき電動モータ20を進角制御し、「高負荷荷重領域」のうち少なくとも一部では前記第2進角量に基づき電動モータ20を進角制御する。
また、<3>本実施形態では、前記第1進角量は、前記第2進角量より大きい。
また、<4>本実施形態では、通電制御部110は、前記第1進角量を30~90°に設定し電動モータ20を進角制御する。
また、<5>本実施形態では、通電制御部110は、前記第2進角量を0°に設定し電動モータ20を進角制御する。
また、<10>本実施形態では、「低負荷荷重領域」は、「回転並進部」としてのトルクカム2に接続する皿ばね81がクラッチ70に接触するまでの領域であり、「高負荷荷重領域」は、皿ばね81がクラッチ70を押圧するときの領域である。
上述のように、「ガタ詰め区間」に対応する「低負荷荷重領域」においては前記所定の進角量の値を第1進角量として30~90°に設定し進角制御を行い、「押圧力制御区間」に対応する「高負荷荷重領域」においては前記所定の進角量の値を第2進角量として0°に設定し進角制御を行うことにより、クラッチ70のガタ詰め区間に対応する区間においてクラッチアクチュエータ10の応答性を確実に向上できるとともに、押圧力制御区間に対応する区間においてクラッチ70を押圧する最大荷重の低下を確実に抑制できる。
また、<7>本実施形態では、通電制御部110は、ロータ23の回転角に基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する。
そのため、例えば「押圧部」のストローク量を検出するストロークセンサ等を用いることなく、簡単な構成で、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更するタイミングを決定することができる。
また、<9>本実施形態では、通電制御部110は、120°矩形波通電により電動モータ20の通電制御を行う。
そのため、ECU100内の制御回路を簡単にでき、低コスト化を図ることができる。
また、<11>本実施形態では、電動モータ20は、ブラシレス直流モータであり、ロータ23に設けられた「磁石」としてのマグネット230を有している。クラッチアクチュエータ10は、マグネット230の磁束に基づき信号を出力可能な回転角センサ170を有している。ECU100は、回転角センサ170からの信号に基づき、ロータ23の回転角を検出可能である。
そのため、オン/オフ信号を出力可能なホールIC等の安価な回転角センサを用いることができ、構成を単純化できるとともに低コスト化を図ることができる。
また、<12>本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、計測工程と進角量算出工程とを含む。計測工程では、ロータ23を外部から強制的に回転駆動しつつ、コイル22に発生する誘起電圧と、回転角センサ170からの信号と、を計測する。進角量算出工程では、計測工程で計測した誘起電圧および回転角センサ170からの信号の立ち上がり位相差に基づき、所定の条件を満たす進角量を前記所定の進角量として算出する。
また、<13>本実施形態では、ECU100とクラッチアクチュエータ10とは一体に設けられている。ECU100の製造方法は、進角量記憶工程をさらに含む。進角量記憶工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量をECU100の記憶部130に記憶させる。
上述の計測工程、進角量算出工程、進角量記憶工程を経て製造されたECU100では、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる最適な進角量を前記所定の進角量として用い、通電制御部110により電動モータ20の進角制御を行うことができるため、クラッチアクチュエータ10の個体間の性能ばらつきを抑制できる。
(第2実施形態)
第2実施形態による制御装置の製造方法を図12に基づき説明する。第2実施形態は、制御装置とクラッチアクチュエータとの配置、および、製造方法の一部が第1実施形態と異なる。
第2実施形態による制御装置の製造方法を図12に基づき説明する。第2実施形態は、制御装置とクラッチアクチュエータとの配置、および、製造方法の一部が第1実施形態と異なる。
<12>本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、第1実施形態と同様、計測工程と進角量算出工程とを含む。計測工程では、ロータ23を外部から強制的に回転駆動しつつ、コイル22に発生する誘起電圧と、回転角センサ170からの信号と、を計測する(図12の(A)参照)。進角量算出工程では、計測工程で計測した誘起電圧および回転角センサ170からの信号の立ち上がり位相差に基づき、所定の条件を満たす進角量を前記所定の進角量として算出する。
<14>本実施形態では、ECU100とクラッチアクチュエータ10とは別体に設けられている。本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、第1記憶媒体貼付刻印工程をさらに含む。第1記憶媒体貼付刻印工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量の情報を第1の記憶媒体201に格納し、クラッチアクチュエータ10に第1の記憶媒体201を貼付または刻印する。
より詳細には、第1記憶媒体貼付刻印工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量の情報を例えばQRコード(登録商標)等の第1の記憶媒体201に格納し、クラッチアクチュエータ10のハウジング12等に当該第1の記憶媒体201を貼付または刻印する(図12の(B)参照)。
<15>本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、進角量記憶工程をさらに含む。進角量記憶工程では、第1記憶媒体貼付刻印工程で第1の記憶媒体201に格納した情報に基づき、前記所定の進角量をECU100の記憶部130に記憶させる。
より詳細には、クラッチアクチュエータ10のハウジング12等に貼付または刻印した第1の記憶媒体201から前記所定の進角量の情報を読み取り、ECU100の記憶部130に記憶させる(図12の(C)参照)。
図12の(D)に示すように、進角量記憶工程の後、クラッチアクチュエータ10は、変速機8に搭載される。その後、変速機8は、進角量記憶工程で前記所定の進角量を記憶部130に記憶させたECU100とともに、車両に搭載される。
以上説明したように、上述の計測工程、進角量算出工程、第1記憶媒体貼付刻印工程、進角量記憶工程を経て製造されたECU100では、ECU100とクラッチアクチュエータ10とが別体に設けられる場合であっても、第1実施形態と同様、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる最適な進角量を前記所定の進角量として用い、通電制御部110により電動モータ20の進角制御を行うことができるため、クラッチアクチュエータ10の個体間の性能ばらつきを抑制できる。
(第3実施形態)
第3実施形態による制御装置の製造方法を図13に基づき説明する。第3実施形態は、製造方法の一部が第2実施形態と異なる。
第3実施形態による制御装置の製造方法を図13に基づき説明する。第3実施形態は、製造方法の一部が第2実施形態と異なる。
<12>本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、第2実施形態と同様、計測工程と進角量算出工程とを含む。計測工程では、ロータ23を外部から強制的に回転駆動しつつ、コイル22に発生する誘起電圧と、回転角センサ170からの信号と、を計測する(図13の(A)参照)。進角量算出工程では、計測工程で計測した誘起電圧および回転角センサ170からの信号の立ち上がり位相差に基づき、所定の条件を満たす進角量を前記所定の進角量として算出する。
<14>本実施形態では、第2実施形態と同様、ECU100とクラッチアクチュエータ10とは別体に設けられている。本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、第2実施形態と同様、第1記憶媒体貼付刻印工程をさらに含む。第1記憶媒体貼付刻印工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量の情報を第1の記憶媒体201に格納し、クラッチアクチュエータ10に第1の記憶媒体201を貼付または刻印する。
より詳細には、第1記憶媒体貼付刻印工程では、進角量算出工程で算出した前記所定の進角量の情報を例えばQRコード等の第1の記憶媒体201に格納し、クラッチアクチュエータ10のハウジング12等に当該第1の記憶媒体201を貼付または刻印する(図13の(B)参照)。
<16>本実施形態の「制御装置」としてのECU100の製造方法は、第2記憶媒体貼付刻印工程と進角量記憶工程とをさらに含む。第2記憶媒体貼付刻印工程では、第1記憶媒体貼付刻印工程で第1の記憶媒体201に格納した情報を例えばQRコード等の第2の記憶媒体202に格納し、クラッチアクチュエータ10が搭載される変速機8に第2の記憶媒体202を貼付または刻印する。
より詳細には、クラッチアクチュエータ10のハウジング12等に貼付または刻印した第1の記憶媒体201から前記所定の進角量の情報を読み取り、第2の記憶媒体202に格納し(図13の(C)参照)、変速機8のハウジング等に第2の記憶媒体202を貼付または刻印する。
進角量記憶工程では、第2記憶媒体貼付刻印工程で第2の記憶媒体202に格納した情報に基づき、前記所定の進角量をECU100の記憶部130に記憶させる。
より詳細には、第2記憶媒体貼付刻印工程の後、変速機8にクラッチアクチュエータ10を組み付ける。その後、車両工場にて、変速機8のハウジング等に貼付または刻印した第2の記憶媒体202から前記所定の進角量の情報を読み取り、ECU100の記憶部130に記憶させる(図13の(D)参照)。
以上説明したように、上述の計測工程、進角量算出工程、第1記憶媒体貼付刻印工程、第2記憶媒体貼付刻印工程、進角量記憶工程を経て製造されたECU100では、ECU100とクラッチアクチュエータ10とが別体に設けられ、車両の組み付け工程においてECU100が変速機8と別に供給される場合であっても、第2実施形態と同様、クラッチアクチュエータ10の個体毎に異なる最適な進角量を前記所定の進角量として用い、通電制御部110により電動モータ20の進角制御を行うことができるため、クラッチアクチュエータ10の個体間の性能ばらつきを抑制できる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義し、クラッチアクチュエータ10の「押圧部」としての皿ばね81とクラッチ70とが接触するクラッチタッチポイントPs1においてクラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重L1を前記所定値とする例を示した(図6参照)。これに対し、他の実施形態では、前記所定値は、クラッチタッチポイントPs1においてクラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重L1以外の値としてもよい。この場合、「低負荷荷重領域」および「高負荷荷重領域」は、「ガタ詰め区間」および「押圧力制御区間」に一致または対応しない。
上述の実施形態では、クラッチアクチュエータ10の作動領域のうち、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、クラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義し、クラッチアクチュエータ10の「押圧部」としての皿ばね81とクラッチ70とが接触するクラッチタッチポイントPs1においてクラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重L1を前記所定値とする例を示した(図6参照)。これに対し、他の実施形態では、前記所定値は、クラッチタッチポイントPs1においてクラッチ70側からトルクカム2に作用する負荷荷重L1以外の値としてもよい。この場合、「低負荷荷重領域」および「高負荷荷重領域」は、「ガタ詰め区間」および「押圧力制御区間」に一致または対応しない。
また、上述の実施形態では、第1進角量を30~90°に設定する例を示した。これに対し、他の実施形態では、第1進角量を30~90°以外に設定してもよい。
また、上述の実施形態では、第2進角量を0°に設定する例を示した。これに対し、他の実施形態では、第2進角量を0°以外に設定してもよい。
また、<6>他の実施形態では、通電制御部110は、「回転並進部」としてのトルクカム2の従動カム50の並進変位に基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更してもよい。この場合、従動カム50の並進変位は、従動カム50の軸方向の位置を検出可能なセンサにより検出することが考えられる。
また、<8>他の実施形態では、通電制御部110は、電動モータ20への通電電流、または、ロータ23の回転数のいずれかに基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更してもよい。この場合、簡単な構成で、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更するタイミングを決定することができる。
また、他の実施形態では、通電制御部110は、正弦波通電により電動モータ20の通電制御を行ってもよい。この場合、電動モータ20の制御精度および効率を高めることができるとともに、電動モータ20からの騒音を低減できる。
また、上述の実施形態では、第1の記憶媒体201および第2の記憶媒体202としてQRコード等のマトリックス型二次元コードを用いる例を示した。これに対し、他の実施形態では、第1の記憶媒体201および第2の記憶媒体202は、前記所定の進角量に関する情報を格納できるのであれば、どのような記憶媒体であってもよい。
また、他の実施形態では、回転並進部は、電動モータからのトルクによる回転運動を並進運動に変換可能であれば、トルクカムに限らず、ボールねじ、すべりねじ、シフトドラム、遊星ローラーねじ等どのようなものであってもよい。
また、他の実施形態では、駆動カム溝400および従動カム溝500は、それぞれ、3つ以上であれば、いくつ形成されていてもよい。また、カムボール3も、駆動カム溝400および従動カム溝500の数に合わせ、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明は、内燃機関からの駆動トルクによって走行する車両に限らず、モータからの駆動トルクによって走行可能な電気自動車やハイブリッド車等に適用することもできる。
また、他の実施形態では、「第2伝達部」からトルクを入力し、「クラッチ」を経由して「第1伝達部」からトルクを出力することとしてもよい。また、例えば、「第1伝達部」または「第2伝達部」の一方を回転不能に固定した場合、「クラッチ」を係合状態にすることにより、「第1伝達部」または「第2伝達部」の他方の回転を止めることができる。この場合、クラッチ装置をブレーキ装置として用いることができる。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
1 クラッチ装置、2 トルクカム(回転並進部)、10 クラッチアクチュエータ、12 ハウジング、20 電動モータ、21 ステータ、22 コイル、23 ロータ、61 入力軸(第1伝達部)、62 出力軸(第2伝達部)、70 クラッチ、100 ECU(制御装置)、110 通電制御部、130 記憶部
Claims (16)
- 相対回転可能な第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間において、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチ(70)を備えるクラッチ装置(1)に用いられるクラッチアクチュエータ(10)を制御する制御装置であって、
前記クラッチアクチュエータは、
ハウジング(12)と、
前記ハウジングに設けられたステータ(21)、前記ステータに設けられたコイル(22)、および、前記ステータに対し相対回転可能なロータ(23)を有し、通電により前記ロータからトルクを出力可能な電動モータ(20)と、
前記電動モータからのトルクによる回転運動を並進運動に変換し、前記クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能な回転並進部(2)と、を有し、
前記制御装置は、
前記電動モータの通電制御を行う通電制御部(110)と、
所定の進角量を記憶する記憶部(130)と、を備え、
前記クラッチアクチュエータの作動領域のうち、前記クラッチ側から前記回転並進部に作用する負荷荷重が所定値以下のときの領域を「低負荷荷重領域」、前記クラッチ側から前記回転並進部に作用する負荷荷重が前記所定値より大きいときの領域を「高負荷荷重領域」と定義すると、
前記通電制御部は、
少なくとも前記低負荷荷重領域のとき、前記所定の進角量に基づき前記電動モータを進角制御する制御装置。 - 前記通電制御部は、
前記所定の進角量を第1進角量、または、前記第1進角量と異なる値である第2進角量に変更可能であり、
前記クラッチアクチュエータの作動領域のうち少なくとも前記低負荷荷重領域では前記第1進角量に基づき前記電動モータを進角制御し、
前記高負荷荷重領域のうち少なくとも一部では前記第2進角量に基づき前記電動モータを進角制御する請求項1に記載の制御装置。 - 前記第1進角量は、前記第2進角量より大きい請求項2に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、前記第1進角量を30~90°に設定し前記電動モータを進角制御する請求項2または3に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、前記第2進角量を0°に設定し前記電動モータを進角制御する請求項2~4のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、前記回転並進部の並進変位に基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する請求項2~5のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、前記ロータの回転角に基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する請求項2~5のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、前記電動モータへの通電電流、または、前記ロータの回転数のいずれかに基づき、前記所定の進角量を前記第1進角量または前記第2進角量に変更する請求項2~5のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記通電制御部は、120°矩形波通電により前記電動モータの通電制御を行う請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記低負荷荷重領域は、前記回転並進部、または、前記回転並進部に接続する押圧部(81)が前記クラッチに接触するまでの「ガタ詰め区間」に対応する領域であり、
前記高負荷荷重領域は、前記回転並進部または前記押圧部が前記クラッチを押圧するときの「押圧力制御区間」に対応する領域である請求項1~9のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記電動モータは、ブラシレス直流モータであり、前記ロータに設けられた磁石(230)を有し、
前記クラッチアクチュエータは、前記磁石の磁束に基づき信号を出力可能な回転角センサ(170)を有し、
前記回転角センサからの信号に基づき、前記ロータの回転角を検出可能な請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置。 - 請求項11に記載の制御装置(100)の製造方法であって、
前記ロータを外部から強制的に回転駆動しつつ、前記コイルに発生する誘起電圧と、前記回転角センサからの信号と、を計測する計測工程と、
前記計測工程で計測した前記誘起電圧および前記回転角センサからの信号の立ち上がり位相差に基づき、所定の条件を満たす進角量を前記所定の進角量として算出する進角量算出工程と、
を含む制御装置の製造方法。 - 前記制御装置と前記クラッチアクチュエータとは一体に設けられており、
前記進角量算出工程で算出した前記所定の進角量を前記記憶部に記憶させる進角量記憶工程、
をさらに含む請求項12に記載の制御装置の製造方法。 - 前記制御装置と前記クラッチアクチュエータとは別体に設けられており、
前記進角量算出工程で算出した前記所定の進角量の情報を第1の記憶媒体(201)に格納し、前記クラッチアクチュエータに前記第1の記憶媒体を貼付または刻印する第1記憶媒体貼付刻印工程、
をさらに含む請求項12に記載の制御装置の製造方法。 - 前記第1記憶媒体貼付刻印工程で前記第1の記憶媒体に格納した情報に基づき、前記所定の進角量を前記記憶部に記憶させる進角量記憶工程、
をさらに含む請求項14に記載の制御装置の製造方法。 - 前記第1記憶媒体貼付刻印工程で前記第1の記憶媒体に格納した情報を第2の記憶媒体(202)に格納し、前記クラッチアクチュエータが搭載される変速機(8)に前記第2の記憶媒体を貼付または刻印する第2記憶媒体貼付刻印工程と、
前記第2記憶媒体貼付刻印工程で前記第2の記憶媒体に格納した情報に基づき、前記所定の進角量を前記記憶部に記憶させる進角量記憶工程と、
をさらに含む請求項14に記載の制御装置の製造方法。
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