JP2023030982A - 車載装置の異常箇所特定システム、および車載装置の異常箇所特定装置 - Google Patents

車載装置の異常箇所特定システム、および車載装置の異常箇所特定装置 Download PDF

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淳 田端
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Abstract

【課題】異常の要因の絞り込みができる車載装置の異常箇所特定システムを提供する。【解決手段】CPU92は、車両VC(1)から変速比の切り替え時に異常が生じた旨の通知を受けると、異常が生じる前における所定の切り替え時のデータをビッグデータDBから探索する。所定の切り替えは、異常が生じた切り替えと、クラッチC1,C2およびブレーキB1,B2からなる摩擦係合要素のうち状態が変化する要素が、一部のみ一致する。そして、CPU92は、そのデータに基づき、異常要因を特定する。【選択図】図1

Description

本発明は、車載装置の異常箇所特定システム、および車載装置の異常箇所特定装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、変速装置の異常要因を特定する装置が記載されている。この装置は、変速装置のソレノイドバルブの作動の異常と作動油にエアが混入した異常とを識別する。
特許第6741139号明細書
ところで、変速装置は、複数の摩擦係合要素の状態の組み合わせによって各変速比を実現する。すなわち、摩擦係合要素のそれぞれは、解放状態と係合状態との2つの状態を取り得る。そして、変速比の切り替え時には、複数の摩擦係合要素が状態を変化させることが多い。しかし、その場合、上記装置によってソレノイドバルブの作動に異常が生じていることを特定できたとしても、作動に異常が生じたソレノイドバルブの候補が複数存在することとなる。そして、上記装置では、それら複数のソレノイドバルブのうちのいずれのソレノイドバルブの作動に異常が生じていたのかを特定することはできない。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.車載装置の異常箇所特定システムにおいて、前記車載装置は、複数の操作部を備えて且つ、該複数の操作部のそれぞれの状態の組み合わせによって、当該車載装置に課せられたいくつかの状態を選択的に実現する装置であり、前記操作部は、複数の状態のいずれかに切り替え可能な部材であり、前記複数の操作部の組み合わせを変更する処理である第1変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態と基準となる状態との不整合に基づき、前記車載装置の異常を判定する異常判定処理と、前記異常判定処理によって異常である旨判定される場合、前記組み合わせを変更する処理である第2変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態に基づき、前記複数の操作部のうちの異常の要因となる操作部を絞り込む絞り込み処理と、を実行し、前記複数の操作部のうちの前記第2変更処理によって状態が切り替えられる前記操作部は、前記複数の操作部のうちの前記第1変更処理によって状態が切り替えられる前記操作部の一部のみを含む車載装置の異常箇所特定システムである。
上記構成では、第1変更処理の実行に伴って異常が生じる場合、第2変更処理の実行に伴う車載装置の状態に基づき異常の要因となる操作部を絞り込む。ここで、複数の操作部のうちの第2変更処理によって状態が切り替えられる操作部は、複数の操作部のうちの第1変更処理によって状態が切り替えられる操作部の一部のみを含む。そのため、第2変更処理の実行に伴う車載装置の状態の基準となる状態からのずれが大きい場合には、第1変更処理および第2変更処理の双方によって状態が切り替えられる操作部が異常である可能性が高い。一方、第2変更処理の実行に伴う車載装置の状態の基準となる状態からのずれが小さい場合には、第1変更処理によって状態が切り替えられて且つ第2変更処理によっては状態が切り替えられない操作部が異常である可能性が高い。このように、第2変更処理に伴う車載装置の状態を用いることにより、異常の要因を絞り込むことができる。
2.記憶装置と、実行装置と、を備え、前記記憶装置には、絞り込み写像を規定する写像データが記憶されており、前記実行装置は、前記異常判定処理と、前記絞り込み処理と、入力変数取得処理と、を実行し、前記入力変数取得処理は、前記絞り込み写像への入力変数を取得する処理であり、前記入力変数には、前記第2変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態を示す変数が含まれ、前記絞り込み写像は、前記入力変数取得処理によって取得された前記入力変数の入力に対して、前記一部の操作部が異常であるか否かに関する判定結果を出力する写像であり、前記絞り込み処理は、前記入力変数取得処理によって取得される前記入力変数を前記絞り込み写像に入力することによって、前記一部の操作部が異常であるか否かに関する判定結果を出力する処理である上記1記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
上記構成では、絞り込み写像の出力変数の値を用いて絞り込み処理を実現できる。特に、絞り込み写像を用いることにより、第2変更処理の実行に伴う車載装置の状態を示す変数の値等の入力変数の値がアナログ的な値であったとしても、その値を十分に反映した出力を算出することができる。
3.前記実行装置は、可変処理を実行し、前記可変処理は、前記異常と判定されたときの前記組み合わせの変更に応じて、前記絞り込み処理において入力とする前記車載装置の状態に対応する前記組み合わせの変更を可変設定する処理であって且つ、前記写像データを変更する処理である上記2記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
たとえば、第1変更処理とは異なる組み合わせの変更に伴って異常と判定される場合、その変更において状態が切り替えられる操作部は、第1変更処理とは完全には一致しない。したがって、第2変更処理によって状態が切り替えられる操作部が含まれないおそれがある。
そこで、上記構成では、可変処理を実行する。これにより、たとえば第1変更処理および第2変更処理とは異なる第3変更処理の実行に伴って異常と判定される場合、第1変更処理および第2変更処理とは異なる第4変更処理の実行に伴う車載装置の状態を用いる絞り込み処理を行う。これにより、複数の操作部のうちの第4変更処理によって状態が切り替えられる操作部が、複数の操作部のうちの第3変更処理によって状態が切り替えられる操作部の一部のみを含むようにすることができる。またたとえば、第2変更処理の実行に伴って異常と判定される場合、第1変更処理の実行に伴う車載装置の状態を用いる絞り込み処理を行うこともできる。
特に、上記構成では、写像データを変更することから、絞り込み写像の入力に対する出力の関係を適切なものとすることができる。
4.前記操作部が油圧を調整するバルブであり、前記車載装置が油圧制御回路を含む上記2または3記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
油圧制御回路は、複数のバルブの状態の組み合わせによって、互いに異なる状態を実現可能である。そのため、油圧制御回路による制御に異常が生じた場合には、要因を特定することが困難となりやすい。そのため、上記絞り込み処理の利用価値が特に大きい。
5.前記車載装置が、車載原動機の回転速度と駆動輪の回転速度との比である変速比を変更する変速装置であり、前記変速装置は、前記バルブの操作によって状態が切り替えられる複数の摩擦係合要素を含む上記4記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
変速装置は、複数の摩擦係合要素の状態の切り替えによって様々な変速比を実現できる。特に、変速比の切り替えにおいては、複数の摩擦係合要素の状態が切り替わる傾向がある。そのため、上記絞り込み処理の利用価値が高い。
6.前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴う前記車載装置が搭載された車両の前後方向の加速度を示す変数である加速度変数を取得する処理を含む上記5記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
変速比の切り替えが正常に行われる場合と比較して、正常に行われない場合には、車両の前後方向の加速度が大きくなる傾向がある。そのため、絞り込み写像への入力変数に、第2変更処理の実行に伴う前後方向の加速度を含めることにより、第2変更処理の実行時に異常の前兆があるか否かを高精度に把握しつつ、絞り込み処理を実現できる。
7.前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴う前記バルブを駆動する電流の挙動を示す変数である電流挙動変数を取得する処理を含む上記5または6記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
バルブの作動に異常が生じる場合には、正常時とは誘起電圧が異なることから、電流の挙動も異なったものとなる。そのため、絞り込み写像への入力変数に、第2変更処理の実行に伴う電流の挙動を含めることにより、第2変更処理の実行時に異常の前兆があるか否かを高精度に把握しつつ、絞り込み処理を実現できる。
8.前記実行装置は、学習処理を実行し、前記学習処理は、前記変速比の切り替え時において前記変速装置の入力軸の回転速度と基準速度との乖離量が所定範囲から外れる場合に、前記変速比の次回の切り替え時における操作量を学習補正量に応じて補正する処理であり、前記学習補正量は、前記変速比の切り替え時において前記入力軸の回転速度と前記基準速度との乖離量が前記所定範囲から外れる量を小さくするための値であり、前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴って使用された前記学習補正量を取得する処理を含む上記5~7のいずれか1つに記載の車載装置の異常箇所特定システムである。
回転速度の制御に異常が生じる場合には、学習補正量の絶対値が大きくなる傾向にある。そのため、絞り込み写像への入力変数に、学習補正量を含めることにより、第2変更処理の実行時に異常の前兆があるか否かを高精度に把握しつつ、絞り込み処理を実現できる。
9.上記2~8のいずれか1つに記載の車載装置の異常箇所特定システムにおける前記実行装置は、第1実行装置および第2実行装置を備え、前記第1実行装置は、前記異常判定処理を実行し、前記第2実行装置は、前記入力変数取得処理および前記絞り込み処理を実行し、前記第2実行装置を備える車載装置の異常箇所特定装置である。
一実施形態にかかる異常箇所特定システムの構成を示す図である。 同実施形態にかかる変速装置の係合を示す図である。 同実施形態にかかる車載制御装置が実行する処理を示すブロック図である。 (a)および(b)は、異常箇所特定システムが実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態にかかる車載制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 変速比の切り替え時における各種状態の推移を例示するタイムチャートである。 同実施形態にかかるデータ解析センターが実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態にかかる車載制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 (a)~(g)は、上記実施形態の変更例において用いるデータを例示する図である。
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す車両VC(1)は、内燃機関10を備えている。内燃機関10のクランク軸12には、動力分割装置を構成する遊星歯車機構20が機械的に連結されている。遊星歯車機構20は、内燃機関10、第1モータジェネレータ22、および第2モータジェネレータ24の動力を分割する。遊星歯車機構20のキャリアCには、クランク軸12が機械的に連結されている。遊星歯車機構20のサンギアSには、第1モータジェネレータ22の回転軸22aが機械的に連結されている。遊星歯車機構20のリングギアRには、第2モータジェネレータ24の回転軸24aが機械的に連結されている。なお、第1モータジェネレータ22の端子には、第1インバータ23の出力電圧が印加される。また、第2モータジェネレータ24の端子には、第2インバータ25の出力電圧が印加される。
遊星歯車機構20のリングギアRには、第2モータジェネレータ24の回転軸24aに加えて、さらに、変速装置26を介して駆動輪30が機械的に連結されている。変速装置は、クラッチC1,C2およびブレーキB1,B2等の摩擦係合要素の係合状態の切り替えによって、入力軸の回転速度と出力軸の回転速度との比である変速比を可変とする。特に変速装置26は、車両VC(1)の前進状態における変速比を1速から4速までの4通りに変更可能な装置である。
図2に、摩擦係合要素のそれぞれの係合状態、解放状態の組み合わせによって、1速から4速と後退とを実現する例を示した。図2に示すように、クラッチC1およびブレーキB2を係合状態として且つクラッチC2およびブレーキB1を解放状態とする組み合わせによって、1速が実現する。また、クラッチC1およびブレーキB1を係合状態として且つクラッチC2およびブレーキB2を解放状態とする組み合わせによって、2速が実現する。
図1に戻り、キャリアCには、オイルポンプ32の従動軸32aが機械的に連結されている。オイルポンプ32は、オイルパン34内のオイルを潤滑油として遊星歯車機構20に循環させたり、同オイルを作動油として変速装置26に吐出したりするポンプである。なお、オイルポンプ32から吐出された作動油は、変速装置26内の油圧制御回路28によってその圧力が調整されて作動油として利用される。油圧制御回路28は、複数のソレノイドバルブ28aを備えている。油圧制御回路28は、各ソレノイドバルブ28aの通電によって、作動油の流動状態や作動油の油圧を制御する回路である。複数のソレノイドバルブ28aには、クラッチC1,C2を駆動するための各別のバルブ、およびブレーキB1,B2を駆動するための各別のバルブが含まれる。さらに、複数のソレノイドバルブ28aのうちの1つは、クラッチC1,C2およびブレーキB1,B2を駆動するためのソレノイドバルブ28aに供給される作動油の油圧Poilを調整するバルブである。
制御装置40は、制御対象としての内燃機関10の制御量である、トルクおよび排気成分比率等を制御すべく、内燃機関10の各種操作部を操作する。また、制御装置40は、制御対象としての第1モータジェネレータ22の制御量であるトルクおよび回転速度等を制御すべく、第1インバータ23を操作する。また、制御装置40は、制御対象としての第2モータジェネレータ24の制御量であるトルクおよび回転速度等を制御すべく、第2インバータ25を操作する。
制御装置40は、上記制御量を制御する際、クランク角センサ50の出力信号Scrを参照する。また、制御装置40は、第1モータジェネレータ22の回転軸22aの回転角を検知する第1回転角センサ52の出力信号Sm1、および第2モータジェネレータ24の回転軸24aの回転角を検知する第2回転角センサ54の出力信号Sm2を参照する。また、制御装置40は、油温センサ56によって検出される作動油の温度である油温Toil、および車速センサ58によって検出される車速SPDを参照する。また制御装置40は、アクセルセンサ62によって検出されるアクセルペダル60の踏み込み量であるアクセル操作量ACCP、および電流センサ64によって検出されるソレノイドバルブ28aを流れる電流Iを参照する。なお、電流センサ64は、実際には、複数のソレノイドバルブ28aの各々の電流を検出する複数の専用のセンサを含む。また、制御装置40は、油圧センサ66によって検出される油圧Poilを参照する。また、制御装置40は、加速度センサ68によって検出される車両VCの前後加速度Gxを参照する。
制御装置40は、CPU42、ROM44、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである記憶装置46、通信機47、周辺回路48、およびローカルネットワーク49を備えている。CPU42、ROM44、記憶装置46、通信機47、周辺回路48は、ローカルネットワーク49を介して互いに通信可能とされている。ここで、周辺回路48は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路、電源回路、およびリセット回路等を含む。制御装置40は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより制御量を制御する。
通信機47は、たとえばインターネット等のグローバルネットワーク80を介してデータ解析センター90と通信可能となっている。
データ解析センター90は、複数の車両VC(1),VC(2),…から送信されるデータをビッグデータDBとして収集し解析する。データ解析センター90は、CPU92、ROM94、記憶装置96、通信機97およびローカルネットワーク99を備えている。CPU92、ROM94、記憶装置96および通信機97は、ローカルネットワーク99を介して互いに通信可能とされている。なお、記憶装置96は、電気的に書き換え可能な不揮発性の装置であり、ビッグデータDBを記憶している。
制御装置40およびデータ解析センター90は、本実施形態にかかる異常の要因特定システムを構成する。ここでは、異常として、変速装置26の変速比の切り替え時に生じる異常を例示する。以下では、変速比の切り替えに関する処理、要因の特定のための前処理、制御装置による異常判定に関する処理、要因の特定に関する処理、および結果の通知に関する処理の順に詳述する。
「変速比の切り替えに関する処理」
図3に、変速比の切り替えに関する処理を示す。図3に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
変速比指令値設定処理M10は、変速比の切り替え期間におけるアクセル操作量ACCPおよび車速SPDに基づき、変速比の指令値である変速比指令値Vsft*を設定する処理である。油圧指令値設定処理M12は、変速比の切り替え時において、切替に用いられるソレノイドバルブ28aによって調整される油圧の指令値のベース値である油圧指令値P0*を設定する処理である。油圧指令値P0*の設定の入力は、アクセル操作量ACCPと、油温Toilと、変速比指令値Vsft*および切替変数ΔVsftである。ここで切替変数ΔVsftは、変速比の切り替えがアップシフトであるかダウンシフトであるか、変速比の切り替え中ではないかの3つの状態を識別する変数である。たとえば、変速比指令値Vsft*が3速を示して且つ切替変数ΔVsftがアップシフトである場合、変速の種類が、3速から4速への切り替えであることを示す。
変速比指令値設定処理M10は、マップデータがROM44に予め記憶された状態でCPU42により油圧指令値P0*をマップ演算することにより実現される。ここで、マップデータは、アクセル操作量ACCPと、変速の種類と、油温Toilとを入力変数とし、油圧指令値P0*を出力変数とするデータである。なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理とすればよい。またマップ演算は、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
詳しくは、油圧指令値P0*は、図3に示すフェーズ1、フェーズ2、およびフェーズ3のそれぞれにおけるものである。ここで、フェーズ1は、変速比の切り替え指令が出てから予め定められた所定時間が経過するまでの期間である。フェーズ2は、トルク相の終了までの期間であり、フェーズ3は、変速比の切り替えの完了までの期間である。なお、フェーズ3については、マップデータの出力変数の値は、実際には油圧指令値P0*の上昇速度とする。
学習補正量算出処理M14は、第2モータジェネレータ24の回転軸24aの回転速度Nm2と基準速度Nm2*との差である吹き量ΔNm2に基づき、油圧指令値P0*を補正する学習補正量ΔPを算出する処理である。ここで、学習補正量ΔPは、油圧指令値P0*を定めるアクセル操作量ACCPおよび変速の種類によって定まる領域毎に、各別に設定される。また、回転速度Nm2は、CPU42により、第2回転角センサ54の出力信号Sm2に基づき算出される。また、CPU42は、基準速度Nm2*を、変速比指令値Vsft*、切替変数ΔVsft、および車速SPDを入力として設定する。この処理は、マップデータがROM44に予め記憶された状態で、CPU42によって基準速度Nm2*をマップ演算することにより実現できる。ここでのマップデータは、変速比指令値Vsft*、切替変数ΔVsftおよび車速SPDを入力変数とし、基準速度Nm2*を出力変数とするデータである。
学習補正量ΔPは、吹き量ΔNm2が所定範囲から外れる量を小さくするための補正量である。
補正処理M16は、油圧指令値P0*に学習補正量ΔPを加算することによって油圧指令値P*を算出する処理である。
電流変換処理M18は、油圧指令値P*をソレノイドバルブ28aに流れる電流の指令値(電流指令値I*)に変換する処理である。
制御装置40は、変速比指令値Vsft*の値が変化する場合、電流指令値I*を図2に示すようにフェーズ毎に変化させることによって摩擦係合要素を解放状態から締結状態に切り替える。なお、締結状態から解放状態に切り替えられる摩擦係合要素に対応する油圧指令値や電流指令値についても、上記同様のマップデータに基づくマップ演算とすればよい。
「要因の特定のための前処理」
図4に、上記前処理の手順を示す。図4(a)に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。また、図4(b)に示す処理は、ROM94に記憶されたプログラムをCPU92がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4(a)に示す一連の処理において、制御装置40のCPU42は、まず車両データを取得する(S10)。車両データは、変速比指令値Vsft*、切替変数ΔVsft、吹き量ΔNm2、学習補正量ΔP、電流I、前後加速度Gx、および回転速度Nm2等を含む。
次にCPU42は、通信機47を操作することによって、車両VC(1)の識別記号である車両IDとともに車両データをデータ解析センター90に送信する(S12)。なお、CPU42は、S12の処理を完了する場合、図4(a)に示す一連の処理を一旦終了する。
これに対し、図4(b)に示すように、データ解析センター90のCPU92は、S12の処理によって送信されたデータを受信する(S20)。そして、CPU92は、ビッグデータDBに、車両IDに紐づけて車両データを加える(S22)。なお、CPU92は、S22の処理を完了する場合、図4(b)に示した一連の処理を一旦終了する。
「制御装置による異常判定に関する処理」
図5に、異常判定に関する処理の手順を示す。図5に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図5に示す一連の処理において、CPU42は、まず、変速比の切り替え制御時であるか否かを判定する(S30)。そしてCPU42は、切り替え制御時であると判定する場合(S30:YES)、アクセル操作量ACCP、変速比指令値Vsft*、切替変数ΔVsft、および回転速度Nm2を取得する(S32)。
次にCPU42は、変速指令が出されてから所定期間が経過したか否かを判定する(S34)。ここで所定期間は、変速制御が完了するのに要する時間として想定される最大値に応じて設定されている。そして、CPU42は、所定期間が未だ経過していないと判定する場合(S34:NO)、吹き量ΔNm2の絶対値が閾値ΔNm2th以上となる状態が所定時間継続したか否かを判定する(S40)。この処理は、変速制御に異常が生じたか否かを判定する処理である。
すなわち、変速制御に異常が生じる場合、変速装置26の入力側の回転速度が大きく吹きあがる事態等が生じる。図6に、これについて例示する。
図6は、2速から3速への切り替え時の例である。図6において、第2モータジェネレータ24の回転軸24aの回転速度Nm2が、変速装置26の入力軸の回転速度に対応する。図6においては、クランク軸12の回転速度NE、第1モータジェネレータ22の回転軸22aの回転速度Nm1等を併せ記載している。また、図6において、油圧指令値P*のうち、クラッチC2およびブレーキB1に関するものを、それぞれ、「Pc2*」および「Pb1*」と記載した。また、クラッチC2およびブレーキB1に関する実際の油圧を、それぞれ「Pc2」および「Pb1」と記載した。なお、図6において、時刻t1は、2速から3速への切り替えの開始時刻である。
図6に実線にて示すように、クラッチC2およびブレーキB1に関する油圧が正常に制御できている場合、図6に実線にて示すように、回転速度NE,Nm2も正常となる。これに対し、油圧の制御に異常が生じるなどすると、図6に一点鎖線にて示すように、時刻t2付近において、クランク軸12の回転速度NEおよび第2モータジェネレータ24の回転軸24aの回転速度Nm2が吹きあがる現象が生じる。
図5に戻り、CPU42は、所定時間以上継続したと判定する場合(S40:YES)、異常がある旨の仮判定をする(S42)。
CPU42は、S42の処理を完了する場合と、S40の処理において否定判定する場合と、には、S32の処理に戻る。
一方、CPU42は、所定期間が経過したと判定する場合(S34:YES)、変速が未完了であるか否かを判定する(S36)。ここでCPU42は、実際の変速比が変速比指令値Vsft*となっていない場合に変速が未完了と判定すればよい。CPU42は、変速が未完了と判定する場合(S36:YES)、異常がある旨判定する(S38)。
一方、CPU42は、変速が完了していると判定する場合(S36:NO)、仮異常判定がなされたか否かを判定する(S44)。CPU42は、仮異常判定がなされていないと判定する場合(S44:NO)、カウンタCを初期化する(S46)。カウンタCは、変速の種類毎に各別に設けられている。
一方、CPU42は、仮異常判定がなされたと判定する場合(S44:YES)、カウンタCを「1」だけインクリメントする(S48)。そしてCPU42は、カウンタCの値が「1」よりも大きい所定値Cth以上であるか否かを判定する(S50)。CPU42は、所定値Cth以上であると判定する場合(S50:YES)、S38の処理に移行する。そして、CPU42は、変速比を所定の変速比に固定するフェールセーフ処理を実行する(S52)。ここでの所定の変速比は、異常が生じたときに締結状態とされるべきだった摩擦係合要素を解放状態とする変速比である。
また、CPU42は、図1に示す表示器70を操作して異常がある旨の視覚情報を表示器70に表示させる報知処理を実行する(S54)。そしてCPU42は、通信機47を操作することによって、データ解析センター90に、異常データを送信する(S56)。異常データは、異常が生じた旨、およびその時の変速比の切り替えを特定する情報を含むデータである。
なお、CPU42は、S46,S56の処理を完了する場合と、S30,S50の処理において否定判定する場合と、には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
「要因の特定に関する処理」
データ解析センター90では、異常データを受信すると、そのときの異常の種類に応じた処理を実行する。すなわち、1速から2速への切り替え時に生じた異常であるか、2速から3速への切り替え時に生じた異常であるかに応じて異なる処理を実行する。以下では、2速から3速への切り替え時に異常が生じた場合の処理を例にとって説明する。
図7に、要因の特定に関する処理の手順を示す。図7に示す処理は、ROM94に記憶されたプログラムをCPU92がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図7に示す一連の処理において、CPU92は、まず、異常データを受信したか否かを判定する(S60)。CPU92は、異常データを受信したと判定する場合(S60:YES)、2速から3速への切り替え時における異常であるか否かを判定する(S62)。CPU92は、2速から3速への切り替え時における異常であると判定する場合(S62:YES)、ビッグデータDBから3速から1速への切り替え時における車両データのうち極力最新のデータを探索する(S64)。ここでの車両データは、S56の処理によって送信されたデータに含まれる車両IDに紐づけられたデータである。この処理は、2速から3速への切り替えに伴う異常と関連する切り替え時における車両データを探索する処理である。
すなわち、図2に示すように、2速から3速への切り替え時には、クラッチC2が解放状態から係合状態に切り替わって且つ、ブレーキB1が係合状態から解放状態に切り替わる。そのため、クラッチC2およびブレーキB1の少なくとも1つについて、係合状態と解放状態との2つの状態の1つからもう1つに切り替わる処理が正常に実行されていない可能性が高い。そのため、係合状態と解放状態との2つの状態の1つからもう1つに切り替わる摩擦係合要素が、2速から3速への切り替え時のものと一部共通するものを選択する。
その1つが、3速から1速への切り替えとなる。すなわち、3速から1速への切り替えにおいては、クラッチC2が係合状態から解放状態に切り替わる。すなわち、クラッチC2が係合状態と解放状態との2つの状態の1つからもう1つに切り替わる摩擦係合要素となっている点は、2速から3速への切り替えと、3速から1速への切り替えとで共通である。一方、3速から1速への切り替えにおいては、ブレーキB1の状態は変化しない。これは、3速から1速への切り替え時において何らかの異常の兆候があるのであれば、2速から3速への切り替えに異常が生じた要因として、クラッチC2の異常の可能性が高いことを意味する。すなわち、係合状態と解放状態との2つの状態の1つからもう1つに切り替わる摩擦係合要素が1部のみ共通となる切り替えを選択することにより、異常箇所の絞り込みをしやすくなる。
図7に戻り、3速から1速への切り替えに関する車両データには、時系列データとしての吹き量ΔNm2(1),ΔNm2(2),ΔNm2(3)が含まれる。また、同車両データには、学習補正量ΔPが含まれる。学習補正量ΔPがガード値に近い場合やガード値に一致している場合には、学習補正量ΔPによる補正対象とされる油圧によって駆動される部分の異常の可能性が高い。すなわち、学習補正量ΔPは、補正対象とされる油圧によって駆動される部分の異常の可能性の大小と相関を有する変数である。また、同車両データには、前後加速度Gxが含まれる。変速比の切り替えが正常に実行される場合と異常が生じる場合とでは、車両VC(1)の前後加速度Gxに相違が生じる。したがって、前後加速度Gxは、異常の有無の情報を含む変数である。また、同車両データには、変速比の切り替え期間においてソレノイドに流れる電流Iの極大値と極小値との差である振幅ΔIが含まれる。振幅ΔIは、ソレノイドに生じる誘起電圧と相関を有する変数である。誘起電圧は、ソレノイドバルブの挙動に応じて異なったものとなる。そのため、誘起電圧は、変速比の切り替え時におけるソレノイドバルブの駆動状態を示す変数である。したがって、振幅ΔIも、変速比の切り替え時におけるソレノイドバルブの駆動状態を示す変数である。
CPU92は、探索した車両データを、要因を絞り込むための絞り込み写像への入力変数x(1)~x(6)に代入する(S66)。絞り込み写像は、図1に示す記憶装置96に記憶されている写像データDMによって規定されている。写像データDMは、1速から2速への切り替え時の異常、2速から3速への切り替え時の異常等、異常の種類毎に、各別のデータとなっている。そのため、図7の処理においては、CPU92は、写像データDMのうち、2速から3速への切り替え時の異常用の絞り込み写像を規定するデータを用いる。
次に、CPU92は、ビッグデータDBから1速から2速への切り替え時における車両データのうち極力最新のデータを探索する(S68)。ここでの車両データは、S56の処理によって送信されたデータに含まれる車両IDに紐づけられたデータである。この処理も、2速から3速への切り替えに伴う異常と関連する切り替え時における車両データを探索する処理である。
すなわち、図2に示すように、1速から2速への切り替えにおいては、ブレーキB1が解放状態から係合状態に切り替わる。すなわち、ブレーキB1が係合状態と解放状態との2つの状態の1つからもう1つに切り替わる摩擦係合要素となっている点は、2速から3速への切り替えと、1速から2速への切り替えとで共通である。一方、1速から2速への切り替えにおいては、クラッチC2の状態は変化しない。これは、1速から2速への切り替え時において何らかの異常の兆候があるのであれば、2速から3速への切り替えに異常が生じた要因として、ブレーキB1の異常の可能性が高いことを意味する。
図7に戻り、1速から2速への切り替えに関する車両データには、時系列データとしての吹き量ΔNm2(1),ΔNm2(2),ΔNm2(3)、学習補正量ΔP、前後加速度Gx、および振幅ΔIが含まれる。
CPU92は、探索した車両データを、要因を絞り込むための絞り込み写像への入力変数x(7)~x(12)に代入する(S70)。
次にCPU92は、ビッグデータDBから、1速であって且つWOT時における油圧Poilに関するデータのうちの極力最新のデータを探索する(S72)。ここでのデータは、S56の処理によって送信されたデータに含まれる車両IDに紐づけられたデータである。WOTとは、「Wide Open Throttle」の略である。ここでは、アクセル操作量ACCPが、油圧Poilの指令値を最大とする領域にある場合にWOTであるとする。これは、油圧Poilが正常に上昇制御されているかを把握するための情報を取得するための処理である。
次にCPU92は、探索した車両データを、要因を絞り込むための絞り込み写像への入力変数x(13)に代入する(S74)。
そしてCPU92は、2速から3速への切り替え時の異常用の絞り込み写像に、入力変数x(1)~x(13)を入力することによって、異常の要因を示す変数である要因変数y(1)~y(4)の値を算出する(S76)。ここで、絞り込み写像は、ニューラルネットワークである。また、ニューラルネットワークの出力層の活性化関数fpは、ソフトマックス関数である。要因変数y(1)は、クラッチC2の油圧制御用のソレノイドバルブの異常の確率を示す。また、要因変数y(2)は、ブレーキB1の油圧制御用のソレノイドバルブの異常の確率を示す。また、要因変数y(3)は、油圧Poilを制御するソレノイドバルブの異常の確率を示す。また、要因変数y(4)は、異常の要因が不明である確率を示す。
上記絞り込み写像を規定する写像データDMは、次のようにして学習されたデータである。すなわち、意図的に以下の異常を生じさせた4種類以上の装置を用いてS64,S68,S72で探索したデータを生成することによって、訓練データのうちの入力変数を生成する。
ここで、異常の1つの種類は、たとえばクラッチC2用のソレノイドバルブの摺動部の摩擦を大きくしたり、同ソレノイドバルブに異物を混入させたり、同ソレノイドに過度に大きい抵抗体を接続したり、したものである。それら装置を用いて生成された入力変数に対しては、訓練データの要因変数y(1)~y(4)のうちの要因変数y(1)のみが「1」であって且つ、それ以外を「0」とする。
また、異常の別の種類には、たとえばブレーキB1用のソレノイドバルブの摺動部の摩擦を大きくしたり、同ソレノイドバルブに異物を混入させたり、同ソレノイドに過度に大きい抵抗体を接続したり、したものである。それら装置を用いて生成された入力変数に対しては、訓練データの要因変数y(1)~y(4)のうちの要因変数y(2)のみが「1」であって且つ、それ以外を「0」とする。
また、異常の別の種類には、たとえば油圧Poil制御用のソレノイドバルブの摺動部の摩擦を大きくしたり、同ソレノイドバルブに異物を混入させたり、同ソレノイドに過度に大きい抵抗体を接続したり、したものである。それら装置を用いて生成された入力変数に対しては、訓練データの要因変数y(1)~y(4)のうちの要因変数y(3)のみが「1」であって且つ、それ以外を「0」とする。
また、異常の別の種類には、クラッチC2、ブレーキB1および油圧Poil制御用のそれぞれのソレノイドバルブの異常に特定されない異常を生じさせたものである。これは、たとえば、変速比の切り替え時に変速装置26に過度に大きい衝撃を加えるなどして実現できる。それら装置を用いて生成された入力変数に対しては、訓練データの要因変数y(1)~y(4)のうちの要因変数y(4)のみが「1」であって且つ、それ以外を「0」とする。
次にCPU92は、要因変数y(1)~y(4)のうちの最大値を、最大値ymaxに代入する(S78)。ここで、最大値ymaxが要因変数y(1)の値である場合、クラッチC2の異常の可能性が高いと判定する。また、最大値ymaxが要因変数y(2)の値である場合、ブレーキB1の異常の可能性が高いと判定する。最大値ymaxが要因変数y(3)の値である場合、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aの異常の可能性が高いと判定する。最大値ymaxが要因変数y(4)の値である場合、要因を特定できないと判定する。
そして、CPU92は、通信機97を操作することによって、要因変数y(1)~y(4)のうちの最大値ymaxとなるものに応じた異常判定結果を、S60の処理において受信したデータの送信元の車両VC(1)に送信する(S80)。
なお、CPU92は、S80の処理を完了する場合と、S60,S62の処理において否定判定する場合と、には、図7に示した一連の処理を一旦終了する。
「結果の通知に関する処理」
図8に、結果の通知に関する処理の手順を示す。図8に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図8に示す一連の処理において、CPU42は、まずS80の処理によって送信された異常判定結果に関するデータを受信する(S90)。そしてCPU42は、表示器70を操作することによって、異常判定結果を表示する(S92)。
なお、CPU42は、S92の処理を完了する場合、図8に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
制御装置40のCPU42は、変速比の切り替え期間における回転速度Nm2と基準速度Nm2*との差の絶対値が閾値ΔNm2th以上であることに基づき、変速制御に異常が生じたか否かを判定する。CPU42は、異常が生じたと判定する場合、フェールセーフ処理をするとともにユーザに異常が生じた旨報知する。また、CPU42は、異常が生じたと判定する場合、その旨をデータ解析センター90に送信する。
データ解析センター90のCPU92は、異常が生じたときの変速比の切り替えによって状態が変化する摩擦係合要素と同一の摩擦係合要素の状態が変化する別の変速比の切り替えのデータをビッグデータDBから探索する。そして、CPU92は、そのデータに基づき異常要因を特定する。
このように、CPU92は、異常が生じたときの変速比の切り替えによって状態が変化すべき摩擦係合要素と同じ摩擦係合要素の状態が変化する別の変速比の切り替えに着目する。これにより、摩擦係合要素の状態を変化させる装置であるソレノイドバルブ28aのうちのいずれのバルブに異常があるかを絞り込むことができる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)CPU92は、絞り込み写像を用いて要因を絞り込む処理を実行した。そのため、吹き量ΔNm2等のアナログ的な変数の値を絞り込み処理にアナログ的に反映させることができる。これに対し、たとえば吹き量ΔNm2、学習補正量ΔPの絶対値等に対してそれぞれ閾値を設け、閾値以上か否かで分岐して最終的な要因を特定するロジックとする場合には、アナログ的な変数の情報を絞り込み処理に十分に活用できない。
(2)絞り込み写像を、異常と判定された変速比の切り替え毎に各別に用意した。これにより、全ての異常に共通の絞り込み写像を用意する場合と比較して、1つの写像の入力変数および出力変数の次元を低減できる。したがって、全ての異常に共通の絞り込み写像を用いる場合と比較して、写像の出力変数の値を算出する演算負荷を軽減できる。
(3)絞り込み写像への入力変数に、前後加速度Gxを含めた。これにより、異常判定される前において異常の前兆があったか否かをより高精度に把握可能な変数に基づき絞り込み処理を実現できる。そのため、絞り込み処理の精度を高めることができる。
(4)絞り込み写像への入力変数に、振幅ΔIを含めた。ソレノイドバルブ28aの作動に異常が生じる場合には、正常時とは誘起電圧が異なることから、電流Iの挙動も異なったものとなる。そのため、絞り込み写像への入力変数に、それ以前の電流挙動を示す振幅ΔIを含めることにより、異常判定される前において異常の前兆があったか否かをより高精度に把握可能な変数に基づき絞り込み処理を実現できる。そのため、絞り込み処理の精度を高めることができる。
(5)絞り込み写像への入力変数に学習補正量ΔPを含めた。変速比の切り替え時の回転速度Nm2が基準速度Nm2*から大きくずれる場合には、学習補正量ΔPの絶対値が大きくなる傾向にある。そのため、絞り込み写像への入力変数に学習補正量ΔPを含めることにより、異常判定される前において異常の前兆があったか否かをより高精度に把握可能な変数に基づき絞り込み処理を実現できる。そのため、絞り込み処理の精度を高めることができる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]異常箇所特定システムは、制御装置40およびデータ解析センター90に対応する。複数の操作部は、ソレノイドバルブ28aに対応する。車載装置は、変速装置26に対応する。異常判定処理は、S34~S50の処理に対応する。絞り込み処理は、S64~S78の処理に対応する。第1変更処理は、2速から3速への変更処理に対応する。第2変更処理および一部の操作部は、それぞれ、3速から1速への変更処理およびクラッチC2用のソレノイドバルブ28a、または、1速から2速への変更処理およびブレーキB1用のソレノイドバルブ28aに対応する。[2]実行装置は、CPU42,92およびROM44,94に対応する。記憶装置は、記憶装置96に対応する。入力変数取得処理は、S64,S68,S72の処理に対応する。[3]可変処理は、S62の処理において肯定判定される場合に限ってS64の処理に移行することに対応する。すなわち、それ以外の場合には、別の処理を実行して別の変速比の切り替えにおける変数が用いられることに対応する。[4]油圧制御回路は、油圧制御回路28に対応する。[5]車載原動機は、内燃機関10および第2モータジェネレータ24に対応する。[6]加速度変数は、前後加速度Gxに対応する。[7]電流挙動変数は、振幅ΔIに対応する。[8]学習処理は、学習補正量算出処理M14および補正処理M16に対応する。[9]第1実行装置は、CPU42およびROM44に対応する。第2実行装置は、CPU92およびROM94に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
「絞り込み写像の入力変数について」
・図7には、吹き量ΔNm2の時系列データとして、所定時間毎にサンプリングされた3個の吹き量ΔNm2を例示したが、これに限らない。たとえば、2個であってもよく、またたとえば、4個以上であってもよい。
・絞り込み写像への入力変数に吹き量ΔNm2の時系列データを含めることは必須ではない。たとえば、入力変数に、時系列データの代わりに、吹き量ΔNm2の最大値、吹き量ΔNm2の平均値、および吹き量ΔNm2が所定値以上である継続時間の3つのうちの少なくとも1つ以上を含めてもよい。
・絞り込み写像への入力変数のうち変速時における回転軸の回転速度を示す変数としては、吹き量に限らない。たとえば、回転速度Nm2および基準速度Nm2*からなる2次元の変数であってもよい。
・ソレノイドに生じる誘起電圧と相関を有する変数としては、振幅ΔIに限らない。換言すれば、バルブを駆動する電流の挙動を示す変数としては、振幅ΔIに限らない。たとえば、電流Iの取り得る範囲を複数に分割し、電流Iのサンプリング値がそれら分割された各領域に入っている個数を同変数としてもよい。その場合、変数は、領域の数と同じ次元数を有する。もっとも、入力変数に、ソレノイドに生じる誘起電圧と相関を有する変数を含めることは必須ではない。
・入力変数に、前後加速度Gxを含めることは必須ではない。また、入力変数に学習補正量ΔPを含めることは必須ではない。
・絞り込み写像の入力変数に、異常が生じたときの変速装置26の状態を示す変数を含めてもよい。すなわち、2速から3速への切り替え時に図5の処理によって異常が生じたと判定される場合、入力変数に、2速から3速への切り替え時における変数を含めてもよい。ここでの変数は、たとえば、S64またはS68の処理において探索されるものと同種類の変数としてもよい。
「絞り込み写像について」
・図7には、ニューラルネットワークとして、中間層の層数が2層以上のネットワークを例示したが、これに限らない。中間層の層数が1層であってもよい。
・絞り込み写像としては、ニューラルネットワークに限らない。たとえば、決定木であってもよい。またたとえば、異常要因の候補毎に、その候補である確率を示す確率的識別モデルを各別に設けてもよい。さらに、確率的識別モデルに代えて、決定論的識別モデルを設けてもよい。これは、たとえば異常要因の候補がクラッチC1を駆動するソレノイドバルブ28aである場合、同ソレノイドバルブ28aが要因であるか否かに応じて出力変数の値の符号が正または負となるモデルによって実現できる。なお、このモデルとしては、サポートベクトルマシン等を利用できる。
「可変処理について」
・上記実施形態では、異常が生じた変速比の切り替えの種類毎に、絞り込み写像および入力変数を変更したが、これに限らない。たとえば、2速から3速への切り替え時における異常時であっても、3速から4速への切り替え等、あらゆる切り替えの種類の全てに関する変速装置26の状態を示す変数を入力変数としてもよい。換言すれば、たとえば、上記実施形態において入力変数となりうる変数の全てを入力変数としてもよい。
さらに、入力変数のみならず絞り込み写像自体も、全ての異常に共通の1つの写像としてもよい。ただし、その場合、入力変数に異常の種類を特定する変数を含める。
「絞り込み処理について」
・絞り込み処理としては、絞り込み写像への入力に、異常判定がなされる以前におけるデータを用いるものに限らない。たとえば、異常判定がなされた後、車両VC(1)が修理工場に持ち込まれると、修理工場において、絞り込み処理の入力となるデータを収集すべく、変速比の切り替えを実行してもよい。
・絞り込み処理としては、機械学習による学習済みモデルを用いるものに限らない。たとえば、異常箇所と、変速比の切り替えの種類との関係を規定したデータを利用して、絞り込み処理を実行してもよい。
図9に、上記データを例示する。図9に示すデータは、2速から3速への切り替え時に異常が生じたと判定された場合に利用するデータである。図9においては、1速のWOT時、1速から2速への切り替え時、2速から3速への切り替え時、3速から1速への切り替え時のそれぞれについて、異常が検知される確率の大小を示す。
詳しくは、×は異常が生じたことを示す。△は、異常と判定される可能性が高いことを示す。〇は、異常と判定される可能性が低いことを示す。なお、1速のWOT時には、油圧Poilが油圧指令値に上昇しない場合に異常と判定することとする。
詳しくは、図9(a)は、ブレーキB1駆動用のソレノイドバルブ28aが異常要因であると判定するパターンを示す。すなわち、図2に示すように、2速から3速への切り替え時と、1速から2速への切り替え時とは、双方とも、ブレーキB1の状態が変化する。そのため、ブレーキB1駆動用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、1速から2速への切り替え時においても異常が生じる可能性が高い。
図9(b)は、クラッチC2駆動用のソレノイドバルブ28aが異常要因であると判定するパターンを示す。すなわち、図2に示すように、2速から3速への切り替え時と、3速から1速への切り替え時とは、双方とも、クラッチC2の状態が変化する。そのため、クラッチC2駆動用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、3速から1速への切り替え時においても異常が生じる可能性が高い。
図9(c)は、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aが異常要因であると判定するパターンを示す。すなわち、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、1速のWOT時において油圧Poilを油圧指令値とする制御に異常がある可能性が高い。また、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、いずれの変速比への切り替えについても、異常が生じる可能性が高い。
図9(d)は、絞り込みができないパターンを示す。すなわち、2速から3速への切り替え時と、1速から2速への切り替え時とは、双方とも、ブレーキB1の状態が変化する。そのため、ブレーキB1駆動用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、1速から2速への切り替え時においても異常が生じる可能性が高い。しかし、図9(d)は、1速から2速への切り替え時に異常の可能性が低いとしている。さらに、2速から3速への切り替え時と、3速から1速への切り替え時とは、双方とも、クラッチC2の状態が変化する。そのため、クラッチC2駆動用のソレノイドバルブ28aに異常がある場合には、3速から1速への切り替え時においても異常が生じる可能性が高い。しかし、図9(d)では、3速から1速への切り替え時に異常の可能性が低いとしている。そのため、クラッチC2の制御とブレーキB2の制御との双方とも異常要因と考えにくい。さらに、1速のWOT時においても異常の可能性が低いとしていることから、油圧Poilの制御の異常の可能性も低い。したがって、クラッチC2およびブレーキB1の制御と油圧Poilの制御とのいずれにも異常の要因がある可能性が低い。そのため、異常要因の特定を不可としている。
図9(e)は、クラッチC2またはブレーキB1が異常要因であると判定するパターンを示す。これは、1速のWOT時の油圧Poilの制御が正常であって且つ、1速から2速への切り替えと、3速から1速への切り替えとの双方とも異常の可能性が高いためである。
図9(f)は、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aが異常要因であると判定するパターンを示す。図9(f)と図9(c)との相違は、図9(f)においては、3速から1速への切り替えにおいて、異常が検出される可能性が低いとしている点である。しかし、要求駆動力が小さい変速の場合に、油圧Poilの制御性が低下していても、3速から1速への切り替えにおいて異常が検知されない可能性があると考えられる。
図9(g)は、油圧Poil制御用のソレノイドバルブ28aが異常要因であると判定するパターンを示す。図9(g)と図9(c)との相違は、図9(g)においては、1速から2速への切り替えにおいて、異常が検出される可能性が低いとしている点である。しかし、要求駆動力が小さい変速の場合に、油圧Poilの制御性が低下していても、1速から2速への切り替えにおいて異常が検知されない可能性があると考えられる。
CPU92は、2速から3速への切り替え時に異常が生じた旨の通知を受けると、1速WOT時と、1速から2速への切り替え時と、3速から1速への切り替え時とのデータを探索する。そして、たとえば1速WOT時の油圧Poilが指令値から所定以上離れている場合には、1速WOT時が△となっているパターンを探索する。一方、CPU92は、所定以上離れていない場合には、1速WOT時が〇となっているパターンを探索する。同様に、CPU92は、1速から2速への切り替え時の吹き量ΔNm2の絶対値が所定以上となっている場合には、1速から2速への切り替え時が△となっているパターンを探索する。このようにして、図9のいずれのパターンと一致するかを判定することによって、絞り込み処理を実現できる。
「車載装置について」
・車載装置としては、変速装置に限らない。たとえば、油圧駆動式のロックアップクラッチの駆動装置であってもよい。その場合、ロックアップクラッチを解放状態とスリップ状態と直結状態とで切り替える際に、複数のソレノイドバルブを利用する。したがって、ロックアップクラッチの制御に異常が生じた旨判定された場合に、上記実施形態の要領で要因を特定することは有効である。
「実行装置について」
・実行装置としては、CPU42,92とROM44,94とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
「異常箇所特定システムについて」
・上記実施形態では、制御装置40およびデータ解析センター90によって、異常箇所特定システムを構成したが、これに限らない。たとえば、データ解析センター90を、ユーザが所持する多機能携帯端末に代えてもよい。すなわち、図4(b)の処理および図7の処理を実行する主体を、ユーザが所持する多機能携帯端末としてもよい。ただし、図4(b)の処理においては、ユーザが所持する車両VC(1)の車両データのみを受信することが望ましい。また、図7の処理を実行する主体に限って、ユーザが所持する多機能携帯端末としてもよい。その場合、S64,S68,S72の処理は、多機能携帯端末からデータ解析センター90に該当するデータを要求することによって、データ解析センター90から送信されたデータを多機能携帯端末が受信する処理となる。またたとえば、異常箇所特定システムを、車両VC(1)に搭載される機器のみで構成してもよい。
「車両について」
・ハイブリッド車両としては、シリーズ・パラレルハイブリッド車両に限らない。たとえば、パラレルハイブリッド車両であってもよい。もっとも、車両の推力生成装置として、内燃機関および回転電機を備える車両にも限らない。たとえば、回転電機のみを備える車両であってもよい。
10…内燃機関
12…クランク軸
20…遊星歯車機構
22…第1モータジェネレータ
23…第1インバータ
24…第2モータジェネレータ
25…第2インバータ
26…変速装置
28…油圧制御回路
28a…ソレノイドバルブ
30…駆動輪
32…オイルポンプ
40…制御装置
90…データ解析センター

Claims (9)

  1. 車載装置の異常箇所特定システムにおいて、
    前記車載装置は、複数の操作部を備えて且つ、該複数の操作部のそれぞれの状態の組み合わせによって、当該車載装置に課せられたいくつかの状態を選択的に実現する装置であり、
    前記操作部は、複数の状態のいずれかに切り替え可能な部材であり、
    前記複数の操作部の組み合わせを変更する処理である第1変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態と基準となる状態との不整合に基づき、前記車載装置の異常を判定する異常判定処理と、
    前記異常判定処理によって異常である旨判定される場合、前記組み合わせを変更する処理である第2変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態に基づき、前記複数の操作部のうちの異常の要因となる操作部を絞り込む絞り込み処理と、を実行し、
    前記複数の操作部のうちの前記第2変更処理によって状態が切り替えられる前記操作部は、前記複数の操作部のうちの前記第1変更処理によって状態が切り替えられる前記操作部の一部のみを含む車載装置の異常箇所特定システム。
  2. 記憶装置と、実行装置と、を備え、
    前記記憶装置には、絞り込み写像を規定する写像データが記憶されており、
    前記実行装置は、前記異常判定処理と、前記絞り込み処理と、入力変数取得処理と、を実行し、
    前記入力変数取得処理は、前記絞り込み写像への入力変数を取得する処理であり、
    前記入力変数には、前記第2変更処理の実行に伴う前記車載装置の状態を示す変数が含まれ、
    前記絞り込み写像は、前記入力変数取得処理によって取得された前記入力変数の入力に対して、前記一部の操作部が異常であるか否かに関する判定結果を出力する写像であり、
    前記絞り込み処理は、前記入力変数取得処理によって取得される前記入力変数を前記絞り込み写像に入力することによって、前記一部の操作部が異常であるか否かに関する判定結果を出力する処理である請求項1記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  3. 前記実行装置は、可変処理を実行し、
    前記可変処理は、前記異常と判定されたときの前記組み合わせの変更に応じて、前記絞り込み処理において入力とする前記車載装置の状態に対応する前記組み合わせの変更を可変設定する処理であって且つ、前記写像データを変更する処理である請求項2記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  4. 前記操作部が油圧を調整するバルブであり、
    前記車載装置が油圧制御回路を含む請求項2または3記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  5. 前記車載装置が、車載原動機の回転速度と駆動輪の回転速度との比である変速比を変更する変速装置であり、
    前記変速装置は、前記バルブの操作によって状態が切り替えられる複数の摩擦係合要素を含む請求項4記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  6. 前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴う前記車載装置が搭載された車両の前後方向の加速度を示す変数である加速度変数を取得する処理を含む請求項5記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  7. 前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴う前記バルブを駆動する電流の挙動を示す変数である電流挙動変数を取得する処理を含む請求項5または6記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  8. 前記実行装置は、学習処理を実行し、
    前記学習処理は、前記変速比の切り替え時において前記変速装置の入力軸の回転速度と基準速度との乖離量が所定範囲から外れる場合に、前記変速比の次回の切り替え時における操作量を学習補正量に応じて補正する処理であり、
    前記学習補正量は、前記変速比の切り替え時において前記入力軸の回転速度と前記基準速度との乖離量が前記所定範囲から外れる量を小さくするための値であり、
    前記入力変数取得処理は、前記入力変数として、前記第2変更処理の実行に伴って使用された前記学習補正量を取得する処理を含む請求項5~7のいずれか1項に記載の車載装置の異常箇所特定システム。
  9. 請求項2~8のいずれか1項に記載の車載装置の異常箇所特定システムにおける前記実行装置は、第1実行装置および第2実行装置を備え、
    前記第1実行装置は、前記異常判定処理を実行し、
    前記第2実行装置は、前記入力変数取得処理および前記絞り込み処理を実行し、
    前記第2実行装置を備える車載装置の異常箇所特定装置。
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