JP2023029268A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】歯ブラシの把持性を損なうことなく、オーバーブラッシング状態の発生を効果的に防止することができるとともに、安価に製造することができる歯ブラシを提供する。【解決手段】毛束10が植設されたヘッド部1と、該ヘッド部1に連設されたネック部2と、持ち手となる柄部3とを備え、前記柄部3が、前記ネック部2と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材4と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材4を被覆するように形成された被覆材5とを有し、前記芯材4が、前記被覆材5内に埋設される芯材本体6と、その先端部側に設けられて、前記ヘッド部1に作用するブラッシング圧に応じて前記毛束10の突出方向Aと逆方向Bに揺動変位する可動部7とを有し、前記被覆材5の先端側部分には、前記可動部7の揺動変位を許容する空間部8が設けられている歯ブラシ。【選択図】図1
Description
本発明は、毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部に連設されたネック部と、持ち手となる柄部とを備えた歯ブラシに関する。
従来、例えば特許文献1に示されるように、歯と歯茎に優しく当たり心地のよい操作性を与えつつ、オーバーブラッシングを容易に抑制できるようにするため、長軸方向先端側に設けられ植毛面を有するヘッド部と、ヘッド部より後端側に配置された把持部(柄部)と、植毛面と把持部との間に配置されたネック部と、植毛面よりも後端側に配置され、硬質樹脂で形成された硬質部と、軟質樹脂で形成され硬質部の少なくとも一部を被覆する軟質部とを含み、植毛面と直交する第1方向の外力により変形して、硬質部が長軸方向に軟質部を挟持して圧縮する変形部とを備えた歯ブラシが知られている。
特許文献1に開示された歯ブラシは、硬質樹脂からなる硬質部と、この硬質部を被覆する軟質樹脂からなる軟質部とを有する変形部が、ヘッド部と把持部との間に配設され、毛束の植毛面と直交する第一方向の外力に応じて前記変形部が変形するように構成されている。そして、使用者が、歯ブラシの把持部を把持した状態で歯を磨く際に生じる変形部の変形を十分に感じることを可能として、オーバーブラッシング状態となるのを防止できるとしている。
上述のように把持部に設けられた変形部を変形させるように構成した場合、この変形に応じてオーバーブラッシング状態にあることを使用者が感知できる反面、歯ブラシの把持性が低下して、歯磨き操作に支障をきたすおそれがある。また、硬質樹脂よりも高価なエラストマー等からなる軟質樹脂により硬質部を被覆しているので、歯ブラシの製造コストが高くつくという問題があった。さらに、歯磨き時に作用する外力に応じて変形部が変形する際に、この変形部を構成する硬質部と軟質部との剛性差に応じて両者が剥離する可能性がある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、歯ブラシの把持性を損なうことなく、オーバーブラッシング状態の発生を効果的に防止することができるとともに、安価に製造することができる歯ブラシを提供することを目的としている。
本発明に係る歯ブラシは、毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部に連設されたネック部と、持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材を被覆するように形成された被覆材とを有し、前記芯材が、前記被覆材内に埋設される芯材本体と、その先端部側に設けられて、前記ヘッド部の植毛面と直交する方向に作用するブラッシング圧に応じて前記毛束の突出方向と逆方向に揺動変位する可動部とを有し、前記被覆材の先端側部分には、前記可動部の揺動変位を許容する空間部が設けられたものである。
この構成によれば、使用者が歯を磨く際に、第二の硬質樹脂からなる被覆材を変形させることなく、第二の硬質樹脂からなる芯材本体の先端部側に設けられた可動部を、被覆材の空間部内において揺動変位させることが許容される。このため、歯ブラシの使用者は、柄部の外周部に位置する被覆材を安定して把持した状態で、ヘッド部の毛束を歯に当接させることにより歯を磨くことができるとともに、前記ブラッシング圧に応じて芯材の可動部を揺動変位させることができる。したがって、歯ブラシの把持部を軟質合成樹脂で被覆した従来技術のように、把持部が変形して歯ブラシの把持性が悪化する等の問題を生じることなく、歯ブラシのヘッド部およびネック部を変形させることにより、過大なブラッシング圧が作用するのを防止して、適正に歯を磨くことができる。しかも、特許文献1のように高価なエラストマー等からなる軟質樹脂を用いことなく、エラストマーよりも安価な二種類の硬質樹脂を選択することにより歯ブラシを安価に製造できるという利点がある。
また、前記芯材本体及び前記被覆材の一方に、止着用の凸部が形成されているとともに、同他方に、前記凸部が嵌入される凹部が形成された構成としてもよい。
この構成によれば、柄部の芯材を構成する第一の硬質樹脂と、被覆材を構成する第二の硬質樹脂とを互いに低密着の性質を有する素材で形成したにも拘わらず、芯材から被覆材が引き抜かれるのを防止して、両者の結合状態を安定して保持することができる。
また、前記可動部は、前記柄部の幅方向に間隔を置いて配設された第一可動部と第二可動部とを有していることが好ましい。
この構成によれば、可動部の全体を一枚の板状体等により形成したものに比べて、第一可動部及び第二可動部を軽い力で揺動変位させることができるため、歯ブラシの柔軟性を効果的に向上させることができる。
また、前記被覆材には、前記第一可動部と前記第二可動部との間に配設されるスペーサ部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、被覆材の先端側部分を把持して歯を磨く際に、使用者の指が前記空間部内に入り込むことをスペーサ部により阻止することができる。このため、被覆材を安定して把持した状態で、歯ブラシを操作することが可能となり、歯を適正に磨くことができるという利点がある。
また、前記被覆材の先端部近傍には、前記空間部内の水分を被覆材の外部に排出する水抜き穴が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、歯ブラシの使用後に、空間部を上向きにした状態で歯ブラシを保管した場合に、空間部内に溜まった水分を速やかに外部に排出することができるため、歯ブラシのべたつきを防止して、その清潔性を確保できるという利点がある。
また、前記被覆材の先端面には、前記可動部の揺動変位を規制する規制部が設けられた構成としてもよい。
この構成によれば、歯ブラシの使用時に、可動部が被覆材から大きく飛び出した状態となるのを規制して、この可動部及び歯ブラシのネック部が使用者の手等に当たるのを効果的に防止することができる。しかも、可動部が規制部に当接した時点で可動部の挙動が顕著に変化するために、この状態を使用者に明確に認識させて、歯を磨く際に過大なブラッシング圧が付与されるのを防止することができる。
また、前記空間部の側壁面が、それぞれ外広がりのテーパ面に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、歯ブラシのヘッド部に作用するブラッシング圧に応じて、空間部の側壁面に沿って可動部をスムーズに揺動変位させことができる。このため、歯を磨く際に、可動部が空間部の側壁面に擦れて不快な異音が発生したり、可動部のスムーズな揺動変位が阻害されたりするのを確実に防止できるという利点がある。
また、前記可動部の後端部側には、前記可動部の揺動起点となる円弧状の湾曲部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、歯ブラシの使用時にヘッド部に作用するブラッシング圧に応じて湾曲部を拡開変形させることにより、可動部を毛束の突出方向と逆方向にスムーズに揺動変位させることができる。
また、前記湾曲部が、前記毛束の突出方向と逆方向に向けて凹入していることが好ましい。
この構成によれば、湾曲部を、毛束の突出方向に向けて凹入させた場合のように、湾曲部を覆う被覆材の板厚が極端に小さくなることを防止して、被覆材の剛性を十分に確保することができる。
また、前記ネック部の後端面と前記被覆材の先端面との間に、指等の挟みこみを防止するための間隙が設けられた構成としてもよい。
この構成によれば、歯を磨く際に、使用者の指等が仮にネック部の後端面と被覆材の先端面との間に入ったとしても抜け易く、使用者の指等が前記間隙に挟み込まれて過大な挟圧力を受けるのを防止することができる。
また、前記空間部の側壁面と前記可動部の側端面との間に、指等の挟みこみを防止するための間隙が設けられた構成としてもよい。
この構成によれば、歯を磨く際に、使用者の指等が仮に空間部の側壁面と可動部の側端面との間に入ったとしても抜け易く、使用者の指等が前記間隙に挟み込まれて過大な挟圧力を受けるのを防止することができる。
また、前記可動部は、断面視で前記ヘッド部の植毛面に直交する方向である縦方向の寸法(a)が該方向に直交する横方向の寸法(b)よりも大きい縦長形状部を、少なくとも一部に有していることが好ましい。
この構成によれば、可動部の剛性を十分に確保しつつ、可動部の横寸法(b)を小さく抑えることが可能であり、可動部の横寸法(b)に対応した空間部の幅寸法が、過度に大きくなることを抑制して、歯ブラシの把持性を良好に維持することができる。しかも、歯ブラシの使用時に可動部が過度に揺動変位することが抑制されるため、適正なブラッシング圧が得られるという利点がある。
また、前記可動部の縦寸法(a)と横寸法(b)との比率(a)/(b)が、2.2以下であることが好ましい。
この構成によれば、可動部の縦寸法(a)が過大になることで歯ブラシの柄部が太くなり、把持性が低下することや、可動部の横寸法が過少になることで歯ブラシのネック部が横方向に変形し易くなったりすることを防止できるという利点がある。
また、前記可動部は、一本の棒状体からなり、前記可動部の横寸法が、2.5mm以上、4.5mm以下であることが好ましい。
この構成によれば、可動部7の横寸法が4.5mmより大きくなることによる歯ブラシの把持性の低下を防止することができる。また、可動部の横寸法が2.5mmより小さくなることに起因して歯ブラシのヘッド部が横方向にぐらつきやすくなるのを防止することができる。
本発明に係る歯ブラシによれば、歯ブラシの把持性を損なうことなく、オーバーブラッシングを効果的に防止することができるとともに、安価に製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明に係る歯ブラシの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1~図4は、本発明の代表的な実施形態に係る歯ブラシを示している。この歯ブラシは、毛束10が植設されたヘッド部1と、このヘッド部1の後端部に連設された略棒状のネック部2と、持ち手となる柄部3とを備えている。柄部3は、例えばポリアセタール樹脂(POM)等からなる第一の硬質樹脂によりネック部2と一体に形成された芯材4と、第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する硬質樹脂、つまり成形時に第一の硬質樹脂と混ざり合うことなく、成形後に互いに分離した状態となる性質を有する第二の硬質樹脂により芯材4を被覆するように形成された被覆材5とを有している。
例えば、ポリアセタール樹脂(POM)ポリアミド樹脂(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、もしくはポリプロピレン樹脂(PP)等からなる結晶化樹脂は、相手が結晶化樹脂の場合(但し、PP同士は除く)、または非結晶化樹脂の場合に、互いに低密着の性質を有している。このため、芯材4を構成する第一の硬質樹脂及び被覆材5を構成する第二の硬質樹脂のいずれか一方を、ポリアセタール樹脂(POM)等の結晶化樹脂とし、同他方を、例えばアクリロニトリルブタジェンスチレン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)もしくはアクリル樹脂(PMMA)等からなる非結晶化樹脂することにより、成形時に第一の硬質樹脂と第二の硬化樹脂とが混ざり合うことがなく、成形後に芯材4と被覆材5とが互いに分離した状態とすることができる。
なお、前記結晶化樹脂の中でもポリプロピレン樹脂(PP)同士は、密着性が高いために、第一の硬質樹脂及び第二の硬質樹脂の両方をポリプロピレン樹脂(PP)で形成したものを除き、第一の硬質樹脂及び第二の硬質樹脂の両方を結晶化樹脂とした場合においても、芯材4と被覆材5とが互いに融着した状態となるのを防止することができる。例えば、芯材4を構成する第一の硬質樹脂及び被覆材5を構成する第二の硬質樹脂のいずれか一方を、ポリアセタール樹脂(POM)等の結晶化樹脂とし、同他方を、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)もしくはポリプロピレン樹脂(PP)等からなる結晶化樹脂とすることにより、成形時に第一の硬質樹脂と第二の硬化樹脂とが混ざり合うのを防止して、成形後に芯材4と被覆材5とを互いに分離させた状態とすることができる。
芯材4は、図3に示すように、被覆材5内に埋設される略棒状の芯材本体6と、この芯材本体6の先端部側に設けられた可動部7とを有している。芯材本体6の外周面には、三角形の集合体からなる凹凸面61が螺旋状に延びるように形成されている。また、芯材本体6の腹部側、つまり毛束10の植設面側には、ピン状体からなる止着用の凸部62が長手方向の略中央部に形成されている。芯材本体6の後端部近傍部分63には、その腹部側に複数の板状体からなる止着用の凸部64が一定間隔で形成されている。さらに、芯材本体6の後端部には、その後端側に至るほど直径が大きくなる円錐台状部65が設けられている。
可動部7は、後広がりの円錐台状に形成されたネック部2の後端面に沿ってその幅方向に延びる板状の先端部71と、芯材本体6の先端面に沿ってその幅方向に延びる板状の後端部72とを有している。可動部7の先端部71と後端部72との間には、柄部3の長手方向に延びる左右一対の角棒状体からなる第一可動部73と第二可動部74とが、柄部3の幅方向に所定の間隔を置いて配設されている。
第一可動部73及び第二可動部74の後端部近傍には、可動部7の揺動起点となる円弧状の湾曲部75が、それぞれ毛束10の突出方向Aと逆方向Bに向けて凹入するように形成されている。そして、後述するように歯ブラシの使用時に、ヘッド部1の表面からなる植毛面と直交する方向に作用するブラッシング圧に応じて湾曲部75が拡開するように変形することにより、可動部7の先端部71が毛束10の突出方向Aと逆方向Bに揺動変位するように構成されている(図6参照)。
被覆材5の先端側部分には、図5の下方側に位置する裏面側部分、つまり柄部3の背部側部分が開口した凹入部からなる空間部8が形成されている。これにより、可動部7の先端部71及び第一,第二可動部73,74等が、空間部8内を揺動変位することが許容されるようになっている。空間部8の左右両端部に位置する側壁面81,81は、図5に示すように、それぞれ外広がりのテーパ面に形成されている。また、被覆材5には、可動部7の第一可動部73と第二可動部74との間に配設されるスペーサ部82が設けられ、このスペーサ部82により前記空間部8が左右に区画されている。
被覆材5の先端部近傍、具体的には図4および図5に示すスペーサ部82の先端部には、可動部7の先端部71に対向する段部からなる規制部83が設けられている。そして、図6に示すように、可動部7が揺動変位して先端部71が規制部83に当接した時点で、可動部7の揺動変位が規制されるようになっている。さらに、被覆材5の先端部近傍には、空間部8内の水分を毛束10の突出方向Aに排出するための水抜き穴84(図4参照)が形成されている。
上述の構成を有する歯ブラシの製造方法について以下に説明する。まず、歯ブラシのヘッド部1とネック部2と柄部3の芯材4とが一体に連設された一次成形品11(図3参照)を成形するための一次金型を型締めした状態で、この一次金型内にポリアセタール樹脂(POM)等の結晶化樹脂からなる第一の硬質樹脂を注入して前記一次成形品11を成形する。
次いで、一次金型を型開きした後、前記空間部8、スペーサ部82及び規制部83等を有する被覆材5からなる二次成形品12を成形するための二次金型を型締めした状態で、この二次金型内に前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する硬化樹脂、例えばアクリロニトリルブタジェンスチレン樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)もしくはアクリル樹脂(PMMA)等からなる非結晶化樹脂、または例えばポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)もしくはポリプロピレン樹脂(PP)等の結晶化樹脂からなる第二の硬質樹脂を注入して二次成形品12を成形する。このようにして第一の硬質樹脂からなる一次成形品11の芯材4が、第二の硬質樹脂からなる被覆材5により被覆された歯ブラシを成形することができる。
図1に示すように、一次成形品11の芯材本体6には、ピン状体からなる止着用の凸部62及び複数の板状体からなる止着用の凸部64が設けられており、被覆材5からなる二次成形品12により芯材4を被覆する際に、前記凸部62,64が嵌入される凹部51,52が、被覆材5にそれぞれ形成される。また、当実施形態では、芯材本体6の後端部に設けられた円錐台状部65の後端面が、被覆材5の外部に露出した状態で、円錐台状部65の周面が被覆材5により覆われるようになっている。
さらに、被覆材5の先端側部分に空間部8を形成するための抜型を前記二次金型に設けるとともに、この抜型の側壁面をテーパ状に傾斜させた形状とすることにより、空間部8の側壁面81,81が、外広がりのテーパ面に形成されることになる。また、被覆材5の先端部近傍に水抜き穴84を形成するための抜型を二次金型に設けることにより、この水抜き穴84を有する歯ブラシを形成することができる。
なお、被覆材5を構成する第二の硬化樹脂として、透明な材料を用いてもよい。この「透明」とは、可視光の透過を認めることができることを意味する。また、可視光を透過しない物質(例えば、ラメ、顔料など)を少量混合した樹脂であっても、可視光を透過することができれば透明に該当する。透明合成樹脂としては、特に、JIS K 7105の試験方法により測定した値が80%以上である樹脂を用いることが好ましい。このように透明な材料からなる第二の硬化樹脂で被覆材5を構成すれば、芯材4の外周面に設けられた三角形の集合体からなる凹凸面61等からなる模様が、被覆材5を透かして視認可能となり、これによって歯ブラシのデザイン性を向上させることができる。
上述のようにして、毛束10が植設されたヘッド部1と、このヘッド部1に連設されたネック部2と、持ち手となる柄部3とを備え、ネック部2と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材4と、第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂からなる被覆材5とにより柄部3が構成された歯ブラシを、二色成形により容易かつ安価に製造することができる。そして、柄部3に位置する一次成形品11の芯材4に、芯材本体6と、その先端部側に位置する可動部7とを設け、二次成形品12からなる被覆材5の先端側部分に、可動部7の揺動変位を許容する空間部8を設けた構成としたため、歯ブラシの把持性を損なうことなく、優れた操作性が得られるという利点がある。
すなわち、歯ブラシの柄部3を構成する一次成形品11の芯材4と、二次成形品12の被覆材5とを、互いに低密着の性質を有する硬質樹脂で形成したため、一次成形品11と二次成形品12とが組み合わされた歯ブラシを二色成形によって形成したにも拘わらず、芯材4と被覆材5とが互いに融着した状態となることが防止される。この結果、使用者が歯を磨く際に、第二の硬質樹脂からなる被覆材5を変形させることなく、芯材本体6の先端部側に設けられた第一の硬化樹脂からなる可動部7を、被覆材5の空間部8内において揺動変位させることが許容される。
このため、歯ブラシの使用者は、柄部3の外周部に位置する被覆材5を安定して把持した状態で、ヘッド部1の毛束10を歯に当接させることにより歯を磨くことができるとともに、ブラッシング圧に応じて芯材4の可動部7を、図6の矢印B示す方向に揺動変位させることができる。したがって、歯ブラシの把持部を軟質合成樹脂で被覆した従来技術のように、把持部が変形して歯ブラシの把持性が悪化する等の問題を生じることなく、歯ブラシのヘッド部1およびネック部2を変形させることにより、過大なブラッシング圧が作用するのを防止しつつ、適正に歯を磨くことができる。しかも、特許文献1のように高価なエラストマー等からなる軟質樹脂を用いことなく、エラストマーよりも安価な二種類の硬質樹脂を選択することにより歯ブラシを安価に製造することが可能である。
なお、一次成形品11と二次成形品12とからなる歯ブラシを二色成形で形成してなる上述の実施形態に代え、第一の硬化樹脂により歯ブラシのヘッド部1とネック部2と芯材4とが一体に連設されてなる成形品と、第二の硬化樹脂により形成された被覆材5からなる成形品とを、別々に射出成形等の手段で形成した後、これらを一体に結合することも可能である。しかし、この場合には、製造工程が複雑になって製造コストが高くなることが避けらないため、上述の二色成形法により芯材4と被覆材5とが一体に形成された歯ブラシを安価に製造することが好ましい。
また、上述の代表的な実施形態では、止着用の凸部62,64が芯材本体6に設けられるとともに、これらの凸部62,64が嵌入される凹部51,52が被覆材5に設けられた構成としたため、柄部3を構成する芯材本体6と被覆材5とを一体化させた状態を安定して保持することができる。すなわち、上述のように一次成形品11の芯材4と、二次成形品12の被覆材5とを、互いに低密着の性質を有する硬質樹脂で形成した場合には、芯材4と被覆材5とを強固に一体化することができないので、被覆材5を無理やり後端部側に引っ張ったり、被覆材5を回動操作したりすると、芯材4と被覆材5とが分離される可能性がある。しかし、上述のように芯材本体6に設けられた凸部62,64を、被覆材5に設けられた凹部51,52に嵌入させた構成とすれば、簡単な構成で芯材4から被覆材5が引き抜かれること等を効果的に防止して、両者の結合状態を安定して保持できるという利点がある。
なお、芯材本体6の腹部側、つまり毛束10の植設面側に止着用の凸部62及び凸部64を設けてなる代表的な実施形態に代え、毛束10の植設面とは反対側に位置する芯材本体6の背部側に、止着用の凸部を設けるとともに、この凸部が嵌入される凹部を被覆材5の背部側に設けた構成としてもよい。また、止着用の凸部を被覆材5に設けるとともに、この凸部が嵌入される凹部を芯材本体6に設けた構成とすることも可能である。
図1に示すように、芯材本体6の後端部に円錐台状部65を設けるとともに、その周面を被覆材5により覆うように構成した場合には、円錐台状部65を被覆材5の抜け止め部として機能させることができるため、芯材4と被覆材5との分離を、より効果的に防止することができる。また、芯材本体6の外周面に設けられた三角形の集合体からなる凹凸面61に対応した凹凸面を被覆材5の内周面に設けた構成とすれば、芯材4と被覆材5とを、より強固に結合することができる。
上述の代表的な実施形態に示すように、芯材本体6の先端部側に設けられ可動部7に、柄部3の幅方向に間隔を置いて配設された第一可動部73と第二可動部74とが設けられた構成によれば、可動部の全体を一枚の板状体等で形成したものに比べて、第一可動部73及び第二可動部74を軽い力で揺動変位させることができるため、歯ブラシの柔軟性を向上させることができる。また、第一可動部73及び第二可動部74の板厚を増減することで、歯ブラシの硬度を調節することも可能である。
しかも、上述のように第一可動部73と第二可動部74との間に配設されるスペーサ部82を、被覆材5の先端側部分に設けた構成とすることにより、被覆材5の先端側部分を把持して歯を磨く際に、使用者の指が前記空間部8内に入り込むことを前記スペーサ部82により阻止することができる。したがって、被覆材5の先端側部分を安定して把持した状態で、歯ブラシを操作することが可能となり、歯を適正に磨くことができるという利点がある。
代表的な実施形態では、被覆材5の先端部近傍に、空間部8内の水分を外部に排出する水抜き穴、具体的には毛束の突出方向Aに延びる水抜き穴84が設けられている。この構成によれば、歯ブラシの使用後に、空間部8を上向きにした状態で歯ブラシを保管した場合に、空間部8内に溜まった水分を速やかに外部に排出することができるため、歯ブラシのべたつきを防止して、その清潔性を確保できるという利点がある。
また、図6に示すように、被覆材5の先端部に可動部7の揺動変位を規制する規制部83が設けられた構成とすれば、歯ブラシの使用時に、可動部7が被覆材5から大きく飛び出した状態となるのを規制して、この可動部7及び歯ブラシのネック部2が使用者の手等に当たるのを効果的に防止することができる。しかも、可動部7が規制部83に当接した時点で可動部7の挙動が顕著に変化するために、この状態を使用者に明確に認識させて、歯を磨く際に過大なブラッシング圧が付与されるのを防止することができる。
さらに、図5に示すように、空間部8の側壁面81,81を、それぞれ外広がりのテーパ面に形成した場合には、歯ブラシのヘッド部1の植毛面と直交する方向に作用するブラッシング圧に応じて、空間部8の側壁面81,81に沿って可動部7をスムーズに揺動変位させることができる。このため、歯を磨く際に、可動部7が空間部8の側壁面81,81に擦れて不快な異音が発生したり、可動部7のスムーズな揺動変位が阻害されたりするのを確実に防止できるという利点がある。
代表的な実施形態では、可動部7の揺動起点となる円弧状の湾曲部75を、可動部7の後端部側、具体的には、角棒状体からなる第一可動部73及び第二可動部74の後端部近傍に設けた構成としている。この構成によれば、歯ブラシの使用時にヘッド部1に作用するブラッシング圧に応じて湾曲部75を拡開変形させることにより(図6参照)、可動部7の先端部を毛束10の突出方向Aと逆方向Bにスムーズに揺動変位させることができる。
なお、図6に示すように、湾曲部75を、毛束の突出方向Aと逆方向Bに向けて凹入させてなる代表的な実施形態に代え、湾曲部を、毛束の突出方向Aに向けて凹入させることも可能である。しかし、このように構成した場合には、湾曲部を覆う被覆材5の板厚が極端に小さくなって被覆材5の剛性が低下する可能性がある。このため、代表的な実施形態に示すように、湾曲部75を毛束の突出方向Aと逆方向Bに向けて凹入させることにより、被覆材5の剛性を十分に確保することが望ましい。
図7~図9は、本発明の他の実施形態に係る歯ブラシを示している。本実施形態では、ネック部2aの後端部に連設された可動部7aの全体が一本の円柱状体により形成されるとともに、この可動部7aに対応した空間部8aが被覆材5aに形成されている。このように可動部7aの全体を、一本の円柱状体により形成した場合には、図5に示すように、第一可動部73及び第二可動部74と、これらに間に配設されるスペーサ部82とを有する上記の代表的実施形態に比べ、柄部3aの構造を簡略化して、その洗浄作業等を容易に行うことができるという利点がある。
この反面、本実施形態では、上記の代表的実施形態のようにスペーサ部82(図5参照)を被覆材5aの空間部8a内に設けることができないので、柄部3aの全体を握るように把持するパームグリップ法によれば、使用者の指が空間部8a内に入り込んで歯ブラシの把持性が悪化する可能性がある。このため、例えば図10に示すように、柄部3bの外形を、略六角形状に形成する等により、歯ブラシの柄部3bを親指と人差し指と中指とで鉛筆を持つように握るペングリップ法により把持し易い形状とすることが望ましい。
具体的には、植毛面の反対側(毛束の突出方向と逆方向B側)に位置する背部31と、その左右に設けられた傾斜面からなる背部側面32,33と、植毛面側(毛束の突出方向A側)に位置するの腹部34と、その左右に設けられた傾斜面からなる腹部側面35,36とを有する略六角形状に柄部3bの外形を形成する。このように柄部3bを形成することで、使用者により把持された柄部3bの回転が防止されて、柄部3aの把持状態が安定化される。
そして、歯ブラシの柄部3bをペングリップ法で把持する際(図11参照)には、図10に示すように植毛面側に位置する腹部34に、使用者の親指Oが押し当てられるとともに、植毛面の反対側に位置する背部側面32,33に、それぞれ人差し指H及び中指Nが添えられた状態となり、植毛面の反対側に位置する背部31に使用者の指が押し当てられることはない。このため、被覆材5aの背部側に設けられた空間部8a(図9参照)内に使用者の指が入り込むことがなく、歯ブラシの把持性が悪化することが防止される。
また、ネック部2aの後端面と被覆材5aの先端面との間には、図8に示すように、所定幅の隙間85aが設けられている。これにより、仮に隙間85a内に指等が入ったとしても抜け易くして、使用者の指等に過大な挟圧力を受けるのを防止することができる。なお、一枚の平板状等からなる可動部7aの後端部側に、可動部7aの揺動起点となる円弧状の湾曲部を設けた構成としてもよい。
さらに、空間部8aの側壁面81aと可動部7aの側端面との間には、図9に示すように、所定幅の隙間86aが設けられている。これにより、仮に隙間86a内に指等が入ったとしても抜け易くして、使用者の指等に過大な挟圧力を受けるのを防止できるように構成している。しかも、可動部7aが揺動変位する際に、その側端面が空間部8aの側壁面81aに接触するのを確実に防止して、可動部7aをスムーズに揺動変位させることができるという利点もある。
しかし、上述のように空間部8aの側壁面81aと可動部7aの側端面との間に所定幅の隙間86aを設けた場合、図9の上方側に位置する空間部8aの開口面積が大きくなって、この空間部8a内に指等が入り込み易くなるために、柄部3aの把持性が低下する傾向がある。このため、空間部8aの上面を覆う図略の被覆部を設ける等により、柄部3aの把持性を向上させることが好ましい。このように空間部8aの開口面を覆う被覆部を設ける場合には、この空間部8a内の水分を外部に排出するための水抜き穴、つまり毛束の突出方向Aと逆方向Bに向けて空間部8a内の水分を排出する排出口を前記被覆部に設けた構成とすることが、さらに好ましい。
なお、本実施形態では、図8に示すように、先窄まりの円柱状体からなる可動部7aを設けた例について説明したが、この構成に代え、図12に示すように、同一の断面形状で真直ぐに伸びる円柱状体からなる可動部7bを設けた構成としてもよい。また、前記円柱状体の可動部7a,7bに代え、図13に示すように、断面円弧状の可動部7cを設けた構成、あるいは断面平板状の可動部(図示せず)を設けた構成としてもよい。
図14~図17は、本発明の更に他の実施形態に係る歯ブラシを示している。本実施形態では、歯ブラシの柄部3が、ネック部2と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材4と、第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂からなる被覆材5とを有し、芯材4が、被覆材5内に埋設される芯材本体6と、その先端部側に設けられて、ヘッド部1の植毛面と直交する方向に作用するブラッシング圧に応じて毛束の突出方向Aと逆方向Bに揺動変位する可動部7dとを有している。一方、歯ブラシの長さ方向に垂直な断面視における可動部7dの形状は、図15及び図16に示すように、ヘッド部1の植毛面に直交する方向である縦方向の寸法(a)が、該方向に直交する横方向の寸法(b)よりも大きい縦長形状に形成されている。
また、被覆材5の先端側部分に設けられた空間部8dは、その腹部側面から背部側面に貫通するように形成されている。この空間部8dの幅寸法、つまり空間部8dの左右両側壁面81d,81dの間隔が、可動部7dの横寸法(b)に対応した値、例えば該横寸法(b)とほぼ同一か、あるいはこれよりやや大きく(横寸法(b)の2倍程度までの間隔で)形成されることにより、可動部7dが空間部8d内において揺動変位することが許容される。また、被覆材5の先端部には、図17に示すように、側壁面81d,81dの腹部側部分を互いに連結する架橋部88dが設けられ、この架橋部88dにより可動部7dは歯ブラシの軸線上にあるまっすぐな状態から毛束10の突出方向A側に変位しないよう当止される。
このように可動部7dの断面形状を縦長に形成した場合、その横寸法(b)を小さく抑えつつ、図15の上下方向、つまりブラッシング圧の作用方向における可動部7dの剛性を十分に確保することが可能である。すなわち、剛性を十分に確保しつつ、可動部7dの横寸法(b)が抑えられることで、これに対応する空間部8dの幅寸法も、過度に大きくなることが抑制され、把持性が良好に維持されるのである。
また、図17に示すように、所定幅の隙間85dがネック部2dの後端面と被覆材5dの先端面との間に設けられている。これにより、仮に隙間85d内に指等が入ったとしても抜け易くし、使用者の指等に過大な挟圧力を受けるのを防止することができる。また、図15に示すように、所定幅の隙間85dが、空間部8dの側壁面81dと可動部7dの側端面との間に設けられている。これにより、仮に隙間86d内に指等が入ったとしても抜け易くして、使用者の指等に過大な挟圧力を受けるのを防止できる。このように空間部8dの側壁面81dと可動部7dの側端面との間に隙間86dを設けた構成とすれば、可動部7dが揺動変位する際に、その側端面が空間部8dの側壁面81dに接触するのを確実に防止して、可動部7dをスムーズに揺動変位させることができるという利点もある。
また、図17に示すように、被覆材5の先端側部分に設けられた空間部8dは、被覆材5の上面から下面に貫通するように形成されている。この空間部8dは、水分を外部に排出するための水抜き穴の役目を果たすことになる。被覆材5の先端部には、側壁面81d,81dの上面側部を互いに連結する架橋部88dが設けられているので、可動部7dが毛束10の突出方向A側に揺動変位するのを確実に規制できるとともに、可動部7dが横方向に揺動変位するのを効果的に抑制できる。
ここで、可動部7dの断面形状は、長さ方向に均一である必要はなく、一部に縦長形状を有する構成としてもよい。例えば、可動部7dの先端側を、縦長の楕円形状とするとともに、可動部7dの基端側を真円形状とし、あるいは断面形状を徐々に変化させるように構成としてもよい。また、楕円形にも限られず、図19に示すように、縦寸法(a)が横寸法(b)よりも大きい長円形とし、あるいは図20に示すように、縦寸法(a)が横寸法(b)よりも大きい長方形としてもよい。図20では、可動部7dの成形性を考慮してコーナ部70にR状の面取りが設けられた構成としているが、このR状の面取りを省略することも可能である。
以下に、図14~図17に示した可動部が縦長形状の実施形態の例について、可動部の断面形状(図16)の縦横の寸法を変更した種々の例(実施例1~13、比較例1~5)について、可動部の後方部分を固定し、ヘッド部1に荷重Pを負荷したときの可動部の曲げ応力について、FEM解析した結果について説明する。
図18に示すように、可動部7の後方部分を固定具Qにより保持することにより、可動部7よりも後方側部分が動かないように固定した状態で、ヘッド部1の植毛面全体に荷重Pを負荷して、複数のメッシュに分割した可動部7の各要素に生じる曲げ応力のうちの最大曲げ応力σmaxを、FEM解析した結果、表1に示す解析データが得られた。このFEM解析には、ダッソー・システムズ社製の「Solidworks simulations」を用いた。
解析条件は次のとおりである。
・ 荷重:植毛台全体を1Nで押し下げる。
・ 可動部の材質:PBT(ポリブチレンテレフタレート)。
・ 可動部の長さl(図18):10mm/15mm/20mm/25mm。
・ 押下位置(植毛台の中央位置)と固定位置の間の距離L(図18):可動部長さが10mmの場合は71.9mm、可動部長さが15mmの場合は76.9mm、可動部長さが20mmの場合は81.9mm、可動部長さが25mmの場合は86.9mm。
・ 荷重:植毛台全体を1Nで押し下げる。
・ 可動部の材質:PBT(ポリブチレンテレフタレート)。
・ 可動部の長さl(図18):10mm/15mm/20mm/25mm。
・ 押下位置(植毛台の中央位置)と固定位置の間の距離L(図18):可動部長さが10mmの場合は71.9mm、可動部長さが15mmの場合は76.9mm、可動部長さが20mmの場合は81.9mm、可動部長さが25mmの場合は86.9mm。
歯ブラシとして使用するにあたり、可動部7が柔らかすぎず、硬すぎない最大応力値σmaxとしては、およそ0.8×107N/m2~2.0×107N/m2である。横寸法(b)が3mmである場合において、縦も3mmにすると、比較例1~3に示すように最大応力値σmaxが2.0×107N/m2より大きく、可動部7が柔らかすぎる歯ブラシになってしまうことがわかるが、横寸法(b)が同じ3mmでも、縦寸法(a)を4mm以上にすると、実施例1~3に示すように、最大応力値σmaxが2.0×107N/m2以下となり、必要な硬さを有する可動部7が得られる。このことから、縦横比率a/bを1.3以上とすることが好ましいことが分かる。
しかし、横寸法(b)が同じ3mmであっても、縦寸法(a)が6mmになると、実施例12のように最大応力値σmaxが0.882×107N/m2となり、かなり硬めになり、限界に近づく。よって、縦横比率a/bを2.0以下とすることが好ましいことがわかる。また、横寸法(b)が4.5mmになると、実施例13のように縦寸法(a)を5mmにしても最大応力値σmaxが0.811×107N/m2となり、硬めの限界になる。よって、横寸法(b)は4.5mm以下であることが好ましいことがわかる。これに対して、横寸法(b)が5mmになると、比較例5からわかるように縦寸法(a)を同じ5mmにしても最大応力値σmaxが0.8×107N/m2未満となり、硬すぎるものとなる。
横寸法(b)が2.5mmだと、実施例4や実施例10のように、縦寸法(a)が5mmの場合、実施例4のように、最大応力値σmaxが1.48×107N/m2となり、縦寸法(a)が6.5mmの場合、実施例10のように、最大応力値σmaxが0.997×107N/m2となり、縦寸法(a)をかなり大きめにしなければ適度な硬さが得られない。したがって、横寸法(b)を2.5mm以上とすることが好ましい。
1 ヘッド部
2 ネック部
3 柄部
4 芯材
5 被覆材
6 芯材本体
7 可動部
8 空間部
10 毛束
11 一次成形品
12 二次成形品
73 第一可動部
74 第二可動部
75 湾曲部
81 側壁面
82 スペーサ部
83 規制部
84 水抜き穴
2 ネック部
3 柄部
4 芯材
5 被覆材
6 芯材本体
7 可動部
8 空間部
10 毛束
11 一次成形品
12 二次成形品
73 第一可動部
74 第二可動部
75 湾曲部
81 側壁面
82 スペーサ部
83 規制部
84 水抜き穴
Claims (8)
- 毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部に連設されたネック部と、持ち手となる柄部とを備え、
前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材を被覆するように形成された被覆材とを有し、
前記芯材が、前記被覆材内に埋設される芯材本体と、その先端部側に設けられて、前記ヘッド部の植毛面と直交する方向に作用するブラッシング圧に応じて前記毛束の突出方向と逆方向に揺動変位する可動部とを有し、
前記被覆材の先端側部分には、前記可動部の揺動変位を許容する空間部が設けられている、歯ブラシ。 - 前記可動部は、
断面視で前記ヘッド部の植毛面に直交する方向である縦方向の寸法(a)が該方向に直交する横方向の寸法(b)よりも大きい縦長形状部を、少なくとも一部に有している、請求項1記載の歯ブラシ。 - 前記可動部の縦寸法(a)と横寸法(b)との比率(a)/(b)が、2.2以下である、請求項2記載の歯ブラシ。
- 前記可動部は、一本の棒状体からなり、前記可動部の横寸法(b)が、2.5mm以上、4.5mm以下である、請求項1記載の歯ブラシ。
- 前記被覆材の先端部近傍には、前記空間部内の水分を被覆材の外部に排出する水抜き穴が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
- 前記被覆材の先端面には、前記可動部の揺動変位を規制する規制部が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
- 前記ネック部の後端面と前記被覆材の先端面との間に、指等の挟みこみを防止するための間隙が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
- 前記空間部の側壁面と前記可動部の側端面との間に、指等の挟みこみを防止するための間隙が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
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