本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものである。
パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある。
しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技が単調となることを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が所定の操作規則に従って操作された場合に特定の制御を実行する特定制御実行手段と、を備えたものであり、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで特定条件を成立させる条件成立手段と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とを少なくとも所定条件の成立に基づいて切り替える切替手段とを備える。
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出を実行する演出実行手段を備え、前記特定制御実行手段は、前記タイミング示唆演出により示唆された前記操作タイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御を実行するものである。
請求項3記載の遊技機は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記所定期間において遊技者が前記操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングを判別するタイミング判別手段と、前記切替手段により前記第2状態に切り替える場合に、前記第2操作規則として、前記タイミング判別手段によって判別された前記操作タイミングとは異なるタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される操作規則を設定する操作規則設定手段とを備える。
請求項4記載の遊技機は、請求項3記載の遊技機において、前記第2操作規則として、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される遅延操作規則と、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも早いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも規定されている。
請求項5記載の遊技機は、請求項4記載の遊技機において、前記タイミング判別手段は、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたかを少なくとも判別するものであり、前記操作規則設定手段は、前記タイミング判別手段により、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたと判別された場合に、前記遅延操作規則を設定するものである。
請求項1記載の遊技機によれば、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで条件成立手段により特定条件が成立される。所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とが少なくとも所定条件の成立に基づいて切替手段により切り替えられる。
これにより、第1状態であることを期待して、遊技者に特定条件が成立した状態で操作手段を操作させることができるので、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出が演出実行手段によって実行される。また、タイミング示唆演出により示唆された操作タイミングで操作手段が操作された場合に、特定制御実行手段により特定の制御が実行される。
これにより、特定の制御が実行されることを期待して、タイミング示唆演出により示唆されたタイミングで遊技者に操作を行わせることができるので、タイミング示唆演出に注目させることができる。よって、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定期間において遊技者が操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングがタイミング判別手段によって判別される。また、切替手段により第2状態に切り替える場合に、第2操作規則として、タイミング判別手段により判別された操作タイミングとは異なる操作タイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される操作規則が操作規則設定手段により設定される。
これにより、第2状態に切り替えられると、遊技者が操作していたタイミングとは異なるタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されないので、特定の制御が実行されるタイミングで遊技者に操作され難くすることができる。よって、第2状態において特定の制御が実行されることを抑制できるという効果がある。
請求項4記載の遊技機によれば、請求項3記載の遊技機の奏する効果に加え、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される遅延操作規則と、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも早いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも第2操作規則として規定されている。これにより、第2状態において設定される操作規則に多様性を持たせることができるという効果がある。
請求項5記載の遊技機によれば、請求項4記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたかが少なくともタイミング判別手段によって判別され、そのタイミング判別手段により特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたと判別された場合に、操作規則設定手段によって遅延操作規則が設定される。
これにより、特定条件が成立した状態の前半で操作を行った遊技者に対して、特定条件の成立よりも遅いタイミングで操作手段を操作しなければ特定の制御が実行されない操作規則に切り替えることができる。即ち、操作手段を早めに操作する遊技者にとって、操作され難いタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されない操作規則が設定されるので、第2状態において特定の制御を実行され難くすることができるという効果がある。
第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。
パチンコ機の遊技盤の正面図である。
パチンコ機の背面図である。
パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
遊技盤及び動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
盤面と盤面下部ユニットとの正面分解斜視図である。
盤面下部ユニットの正面分解斜視図である。
(a)は、ベース部材、第1アウト口、第2アウト口、左下板部材及び右下板部材の正面図であり、(b)は、図15(a)のXVb-XVb線におけるベース部材及び左下板部材の断面図である。
上下動作ユニットの正面斜視図である。
上下動作ユニットの背面斜視図である。
上下動作ユニットの正面分解斜視図である。
上下動作ユニットの背面分解斜視図である。
上下動作ユニットの正面図である。
上下動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面斜視図である。
複合動作ユニットの背面斜視図である。
複合動作ユニットの正面分解斜視図である。
複合動作ユニットの背面分解斜視図である。
伸縮演出装置の正面分解斜視図である。
伸縮演出装置の背面分解斜視図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
突起部の基準水平線からの距離を表すグラフである。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面斜視図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの背面斜視図である。
スライド動作ユニットの正面分解斜視図である。
スライド動作ユニットの背面分解斜視図である。
傾倒動作ユニットの正面分解斜視図である。
傾倒動作ユニットの背面分解斜視図である。
演出部材及び第2駆動装置の正面分解斜視図である。
(a)及び(b)は、伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)及び(b)は、伝達部材及びねじりバネの正面図である。
伝達部材の揺動角度に対する演出部材の揺動角度を模式的に示す模式図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面図である。
(a)及び(b)は、第2実施形態における伝達部材及びねじりバネの正面図である。
伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)及び(b)は、第3実施形態における伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)は、第4実施形態における伝達部材の背面斜視図であり、(b)は、移動当接部材の背面斜視図である。
(a)及び(b)は、伝達部材の背面斜視図であり、(c)及び(d)は、伝達部材の上面図である。
演出部材の本体部材を模式的に図示した正面模式図である。
伝達部材及びねじりバネの正面図である。
第5実施形態における複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
(a)は、第6実施形態における回動アーム部材の部分正面図であり、(b)は、図69(a)の矢印LXIXb方向視における回動アーム部材の部分上面図であり、(c)は、回動アーム部材の部分正面図である。
(a)及び(b)は、切替装置の正面斜視図である。
(a)及び(b)は、複合動作ユニットの正面図である。
(a)及び(b)は、第7実施形態における傾倒動作ユニットの正面図である。
第1制御例における各種カウンタ、特別図柄保留球格納エリア、特別図柄保留球実行エリア、普通図柄保留球格納エリアの構成を模式的に示した図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第1制御例における主制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第1当たり乱数テーブルを示した模式図であり、(b)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第1当たり種別選択テーブルを示した模式図であり、(c)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第2当たり乱数テーブルを示した模式図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された変動パターン選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)はその変動パターン選択テーブル内に設定された、大当たり用変動パターンテーブルを模式的に示した図であり、(c)は、外れ用(通常)変動パターンテーブルを模式的に示した図であり、(d)は、外れ用(確変)変動パターンテーブルを模式的に示した図である。
(a)は、第1制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第1制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
第1制御例における入球演出選択テーブルの内容を模式的に示した図である。
第1制御例における表示制御装置の電気的構成を模式的に示したブロック図である。
(a)は、第1制御例における表示制御装置のワークRAMの内容を模式的に示した図であり、(b)は第1制御例における補正情報テーブルの内容を模式的に示した図である。
第1制御例における表示領域の設定座標を示した図である。
(a)から(c)は、第1制御例における電源投入時の表示態様の一例を示した図である。
(a)から(b)は、第1制御例における第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例を示した図である。
(a)は、第1制御例における背面Aを説明する説明図であり、(b)は、背面Bを説明する説明図である。
第1制御例における表示データテーブルを模式的に示した図である。
第1制御例における転送データテーブルを模式的に示した図である。
第1制御例における描画リストを模式的に示した図である。
第1制御例における時短遊技中の変動表示態様のタイミングチャートの一例である。
(a)から(b)は、第1制御例における時短中の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。
(a)から(b)は、第1制御例における時短中の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。
第1制御例における時間演出が設定されるタイミングチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動開始処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される停止設定処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される始動入賞処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される先読み処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される普通図柄変動処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるスルーゲート通過処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される大当たり制御処理を示すフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される時間設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン受信処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される予告選択処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される同期演出管理処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される延長演出設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される特定時間演出処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される入球演出設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるブート処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるV割込処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される変動パターンコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される停止種別コマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される特殊演出補正処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される大当たり関連コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるオープニングコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるラウンド数コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるエンディングコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される予告コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される入球演出コマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される特定時間演出コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される演出モード変更コマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される停止コマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるエラーコマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される表示設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される警告画像設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるポインタ更新処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される演出情報補正処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される転送設定処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される常駐画像転送設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される通常画像転送設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される描画処理を示したフローチャートである。
(a)から(b)は、第1制御例におけるステッピングモータの制御についての説明図である。
(a)から(b)は、スライド位置検出センサによる検出可否をスライド位置検出センサと遮光板との位置関係毎に示した図である。
演出部材が原点位置にある場合において、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図である。
(a)は、演出部材が正面視左方向へと首振り動作を行った場合における、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図であり、(b)は、演出部材が正面視右方向へと首振り動作を行った場合における、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図である。
第2制御例におけるパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
(a)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された動作シナリオテーブルの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれるスライド動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図であり、(c)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれる傾倒動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれる初期動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された首振り領域テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
第2制御例におけるスライド動作の動作ステップ数と、演出部材の首振り可能方向との対応関係を示した図である。
第2制御例における首振り動作の動作ステップ数と、スライド動作の動作ステップ数との対応関係を示した図である。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される原点復帰処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される役物動作設定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される実行コマンド処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される初期動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される初期動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される追加動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される傾倒方向設定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される異常検知処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるスライド動作処理を示したフローチャートである。
第3制御例におけるパチンコ機の正面図である。
第3制御例におけるパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
(a)は、第3制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第3制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定されたタイミング演出選択テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された押下期間テーブルの構成を模式的に示した模式図である。
第3制御例における押下期間テーブルに含まれる序盤難易度3用テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、タイミング演出中のサブ表示装置の表示内容の一例を示した図であり、(b)は、タイミング演出において遊技者が枠ボタンの押下に成功した場合の表示内容の一例を示した図である。
(a)は、タイミング演出において遊技者が枠ボタンの押下に失敗した場合の表示内容の一例を示した図であり、(b)は、タイミング演出として高難易度の演出態様が選択された場合におけるサブ表示装置の表示内容の一例を示した図である。
(a)は、タイミング演出において遊技者がノルマを達成した場合におけるサブ表示装置の表示内容を示した図であり、(b)は、タイミング演出において遊技者がノルマを達成できなかった場合におけるサブ表示装置の表示内容を示した図である。
第3制御例におけるタイミング演出が設定された変動演出の態様の変化を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるタイミング演出処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される中盤設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される終盤設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される報知態様設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理2を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第4制御例における回転点灯ユニットの分解正面斜視図であり、(b)は、第4制御例における回転点灯ユニットの側面図である。
(a)~(c)は、第4制御例において、回転部材が低速回転状態の場合において、見た目の品位が悪化する点灯状態を例示した図である。
(a)~(c)は、第4制御例において、回転部材が低速回転状態の場合において、見た目の品位が良い点灯状態を例示した図である。
(a)~(e)は、第4制御例において、回転部材が高速回転状態の場合における点灯制御の一例を示した図である。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される点灯制御処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される低速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される回転速度識別処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される加速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される高速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例において回転点灯ユニットが退避位置にある場合のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
第4制御例において回転点灯ユニットが張出位置にある場合のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
第3制御例の変形例における押下期間と表示態様との対応関係を示した図である。
第3制御例の変形例において、通常の押下期間が設定されている場合に、押下期間と楽曲との対応関係を示した図である。
第3制御例の変形例において、タイミングが遅めの押下期間が設定されている場合に、押下期間と楽曲との対応関係を示した図である。
(a)は、第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置のROMに規定されたタイミング演出選択テーブルの規定内容を示した図であり、(b)は、第3制御例の変形例における演出態様と獲得可能ポイントとの対応関係を示した図であり、(c)は、音声ランプ制御装置のROMに規定された押下期間テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置の内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される成功時処理を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるタイミング処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるオフセット設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される中盤設定処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される終盤設定処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される報知態様設定処理2を示したフローチャートである。
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図57を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29~33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29~33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29~33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29~33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。また、第1可変入賞装置65は、ルータ加工によって盤面下部ユニット300のベース部材310に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、大当たりA(16R確変大当たり)と、大当たりB(16R時短大当たり)と、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)とが設けられている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「16R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に特別図柄の高確率状態(確変状態)へ移行するとともに普通図柄の時短状態となる大当たりのことであり、「2R確変有時短無大当たり」とは、最大ラウンド数が2ラウンドの大当たりの後に特別図柄の高確率状態(確変状態)へ移行するものの普通図柄の時短状態は付与されない大当たりのことである。また、「16R時短大当たり」は、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に、特別図柄の低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(本実施形態では、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「特別図柄の高確率状態(確変状態)」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動状態(確変状態)を示し、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変状態)は、後述する普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「特別図柄の低確率状態」とは、確変状態でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変状態よりも大当たり確率が低い状態をいう。また、普通図柄の時短状態(時短中)とは、普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10の通常状態とは、特別図柄の確変状態中でも普通図柄の時短状態中でもない遊技の状態(特別図柄の大当たり確率も普通図柄(第2図柄)の当たり確率もアップしていない状態)である。
普通図柄の時短状態中は、普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い開放時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、時短状態中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、普通図柄の時短状態中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、普通図柄の時短状態中において、普通図柄(第2図柄)の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、普通図柄の時短状態中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、普通図柄(第2図柄)の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして普通図柄(第2図柄)を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は12インチの液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、普通図柄(第2図柄)の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、普通図柄の時短状態中は、普通図柄(第2図柄)の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、時短状態中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、時短状態中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、時短状態中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間を、普通図柄の時短状態中において通常状態中よりも短く設定する場合は、普通図柄の当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、普通図柄(第2図柄)の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、普通図柄(第2図柄)の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。一方、第2入賞口640には電動役物640aが設けられており、通常時(時短中でない場合)は電動役物640aが開放され難く、第2入賞口640へ遊技球を入球させることが困難な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物640aが閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物640aのない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物640aを開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に第1特定入賞口65aが設けられている。また、可変表示装置80の左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド65b(図15参照、外形のみが図示される)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイド65bを駆動して開閉板を正面側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aの左方に配設される正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として左側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して開閉板を左方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
本実施形態では、左打ちを行うことで第2可変入賞装置650に球を入賞させることが可能であるので、遊技状態が変化するごとに左打ちと、右打ちと、を切り替える煩わしさを解消することができる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、可変表示装置80の左側に限らず、例えば、第1入賞口64の下方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口314及び第2アウト口315が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口314又は第2アウト口315を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口314は、第1入賞口64の左側下方に配設される一方、第2アウト口315は、第1入賞口64の右側下方に配設される。即ち、第2アウト口315は、第1入賞口64を挟んで第1アウト口314の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第1入賞口64よりも正面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第2アウト口315を通って球排出路へ案内される一方、第1入賞口64よりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第1アウト口314を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100~104に収納されている。基板ボックス100~104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図102参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図101参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図100)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29~33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、その他駆動モータ531,561,631,661,751が含まれる。
ここで、各種駆動モータ(上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、その他駆動モータ531,561,631,661,751)について説明する。これらの各種駆動モータは、例えば、公知のステッピングモータで構成され、パチンコ機10に搭載されている各役物を動作させるために、各役物に対応付けて複数設けられている。この各種駆動モータは、対応するモータ制御用IC(モータドライバ)によって駆動される。具体的には、音声ランプ制御装置113のMPU221からモータ制御用IC(モータドライバ)に対して、回転のステップ数と、回転方向(正方向、または負方向)と、回転速度とを少なくとも含むコマンドを出力する。制御用IC(モータドライバ)は、出力されたコマンドに基づいて、対応する各種駆動モータを駆動する。なお、モータ制御用IC(モータドライバ)は、単一のICで複数の駆動モータに対して動作を設定可能なものを採用してもよいし、複数のモータ制御用IC(モータドライバ)を設けて別々の役物に対応する駆動モータをそれぞれ動作させるように構成してもよい。複数の駆動モータに対して動作を設定可能なモータ制御用IC(モータドライバ)を採用する場合は、回転ステップ数等を送信するためのコマンドに、駆動モータの種別を特定するための情報を含ませて出力すればよい。
ここで、上下用駆動モータ431を例に挙げて、駆動モータの動作について説明する。設定されたコマンドに基づいて、制御用IC(モータドライバ)が上下用駆動モータ431を動作させる場合は、1ステップの動作を実行させる毎に、音声ランプ制御装置113のMPU221に対して動作を実行させたことを通知するための信号(実行信号)が出力される。この実行信号により、MPU221は、設定した動作の進捗を把握することができる。なお、音声ランプ制御装置113のRAM223には、図示しないステップカウンタが設けられている。このステップカウンタは、役物毎に設けられており、各役物が原点(退避)位置から何ステップ分動作したのかをカウントするカウンタである。即ち、原点(退避)位置を0ステップの位置として、制御用ICからの実行信号を受信する度にその値が1ずつ更新される。より具体的には、役物が原点(退避)位置から終点(張出)位置へと向かう方向(正方向)へ1ステップ動作する毎にその値が1ずつ加算される。また、終点(張出)位置から原点(退避)位置へと向かう方向(負方向)へ1ステップ動作する毎にその値が1ずつ減算される。よって、ステップカウンタの値に基づいて各役物の動作位置を容易に把握することができる。
ここで、原点位置とは、役物毎に設定されている特定の配置を指し、電源投入に基づく原点復帰において移行する位置のことである。具体的には、各役物には、原点位置か否かを検出するための原点センサ(図示せず)が設けられており、電源投入時に原点センサがオンでなければ、原点センサがオンを検出するまで役物を可変させる(即ち、各種駆動モータを駆動する)。この原点位置が、各役物の動作の基準位置となる。なお、上述したステップカウンタは、原点復帰により役物が原点位置となった場合(即ち、原点センサがオンを検出した場合)に、0にリセットされる。そして、上述した通り、モータ制御用ICより出力される実行信号に基づいて、ステップカウンタの値が1ずつ更新される。
次いで、モータ制御用IC(モータドライバ)による各種駆動モータ(ここでは上下用駆動モータ431)の制御の一例について、図135を参照して説明する。なお、説明を分かり易くするために、1ステップで90度回転する(即ち、4ステップで1周する)ステッピングモータを例に取って説明するが、実際の上下用駆動モータ431は、1ステップの回転角度をより細かく設定できるように構成されている。具体的には、1ステップで1度回転するように構成されている。
まず、図135(a)は、ステッピングモータで構成される上下用駆動モータ431の概要を示す図である。この上下用駆動モータ431は、対応するモータ制御用ICに対して音声ランプ制御装置113から励磁制御データを送ることにより、その励磁制御データに対応した部位が励磁されるように構成されている。具体的には、図135(a)に示す「A,B,C,D」に対応した4桁の2進数で構成された励磁制御データによって、モータ制御用ICにより励磁される。具体的には、上下用駆動モータ431の各部位(即ち、A,B,C,Dのいずれか)に対応する励磁制御データが「1」であれば励磁され、励磁制御データが「0」であれば励磁されない。例えば、励磁制御のデータが「1100」であれば、A及びBが励磁され、CおよびDは励磁されない。この励磁制御データは、音声ランプ制御装置113のROM222に設けられている励磁テーブル(図135(b)参照)に規定されている。
また、音声ランプ制御装置113には、励磁テーブル(図135(b)参照)に規定された複数の励磁制御データの中から1の励磁制御データを選択して設定するために用いられる励磁カウンタが設けられている。この励磁カウンタは、「0」を起点として正方向に1ずつ更新することができ、励磁カウンタの値が「3」となってから値が更新されると値が「0」に戻るループカウンタとなっている。この励磁カウンタ値が更新される度に、対応する励磁制御データが読み出されて設定される。励磁制御データが設定されると、励磁制御データに基づく各部位の励磁が即座に行われる(即ち、励磁制御データの設定からタイムラグなく上下用駆動モータ431が動作する)。更に、励磁カウンタは、負の方向にも更新することができる。つまり、値が「0」を起点として、「0」→「3」→「2」→「1」→「0」の順番に更新することができる。負方向に更新する場合は、正方向に更新した場合と上下用駆動モータ431の回転方向が逆向きになる。励磁カウンタを更新する方向(正方向であるか、負方向であるか)と、励磁カウンタの更新頻度とは、動作を設定する役物の種別毎に予め定められている。なお、この励磁カウンタの最大値は、駆動モータのステップ数に応じて変化する。具体的には、例えば、1ステップで1度回転する(即ち、モータが1回転するのに360ステップを要する)駆動モータの場合、励磁カウンタは「0」~「359」の範囲で更新されるループカウンタとなる。
次いで、上下用駆動モータ431の各部位を励磁するための励磁制御データの具体例について、図135(b)を参照して説明する。図135(b)は、励磁制御データを規定した励磁テーブルと、その励磁テーブルに規定された励磁制御データに基づいて励磁された上下用駆動モータ431の状態との対応関係を示す図である。なお、図135(b)に示した通り、励磁テーブルには、励磁カウンタの値毎に励磁制御データが規定されている。
具体的には、図135(b)に示した通り、上下用駆動モータ431に対応するシーケンスデータとして、励磁カウンタ「0」~「3」の順に「1100,0110,0011,1001」の励磁制御データがそれぞれ規定されている。また、励磁カウンタ値「0」に対応するシーケンスデータである「1100」が設定されると、上下用駆動モータ431のA、およびBの各位置が励磁される。また、励磁カウンタ値「1」に対応するシーケンスデータである「0110」が設定されると、上下用駆動モータ431のB、およびCの各位置が励磁されるので、励磁カウンタ値が「0」の状態から時計回りに90度回転する。また、励磁カウンタ値「2」に対応するシーケンスデータである「0011」が設定されると、上下用駆動モータ431のC、およびDの各位置が励磁され、励磁カウンタ値が「1」の状態から時計回りに90度回転する。また、励磁カウンタ値「3」に対応するシーケンスデータである「1001」が設定されると、上下用駆動モータ431のA、およびDの各位置が励磁されるので、励磁カウンタ値が「2」の状態から時計回りに90度回転する。このように、図135に示した例では、励磁カウンタの値が正方向に1更新される毎に、上下用駆動モータ431が時計回りに90度ずつ回転する。なお、上述した通り、励磁カウンタの値が負方向に更新される場合は、上下用駆動モータ431が反時計回りに90度ずつ回転する。
以上のように、上下用駆動モータ431の制御を、簡略化した動作モデルで説明したが、本実施形態で実際に用いられる上下用駆動モータ431では、1ステップ毎に(即ち、励磁カウンタを1更新する毎に)1度ずつ回転させることができる。即ち、各役物を可変させる場合は、可変させるステップ数に応じた回数だけ励磁カウンタの値を1ずつ更新し、励磁カウンタの更新毎に励磁カウンタに対応する励磁制御データを設定することで、正確に各役物を可変させることができる。
このように、本実施形態では、モータドライバに対してコマンドを設定することにより、コマンドで指定した回転速度、回転方向、および回転ステップ数で各種駆動モータを駆動させることができる。よって、役物を用いた多彩な演出動作を実現することができる。
なお、各役物には、演出に応じた固有の動作パターンが設定されている。この動作パターンは、上述したモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定するコマンドを、経過時間毎に規定したものである。
また、本実施形態では、モータドライバに対して設定したコマンドに基づいて各種駆動モータが動作完了したか否かを、各種駆動モータが動作したステップ数に基づいて判断している。即ち、コマンドにより設定したステップ数と、モータドライバにより1ステップの動作が設定される度にモータドライバから出力される実行信号の受信回数とに基づいて、各種駆動モータに設定した動作が完了したか否かを判断しているが、これに限られるものではない。例えば、各種駆動モータを動作させるためのコマンドを設定してからの経過時間を計測し、その経過時間に基づいて各種駆動モータの動作が完了したか否かを判別するように構成してもよい。
ここで、本実施形態において協調して制御される上下用駆動モータ431と開閉用駆動モータ466との制御について説明する。詳細は後述の第1制御例において説明するが、本実施形態では、上下動作ユニット装置(落下役物)400が可動する演出(落下役物シナリオ)として、上下動作ユニット装置(落下役物)400のレンズ部材460と扉部材470とが上下用駆動モータ431の駆動により、正面視下方向(落下方向)へと可動される演出が設けられている。当該演出(落下役物シナリオ)では、レンズ部材460と扉部材470とが正面視下方向(落下方向)へ可動された後、扉部材470が開閉用駆動モータ466により開放される演出と、開放されない演出とが設けられている。
本実施形態における音声ランプ制御装置113は、当該演出(落下役物シナリオ)において扉部材470が開放される演出が実行されている場合に、扉部材470を開閉するための開閉用駆動モータ466に対して、AからDの全ての位置に対する励磁がオフとなるように制御(通電停止制御)する(図108のS1706参照)。全ての位置に対する励磁がオフである場合は、開閉用駆動モータ466の静止トルク(所謂、ディテントルク)、即ち、扉部材470を閉状態で維持するトルクは最小となる。この場合に、上下用駆動モータ431が駆動し、スライド部材450が落下方向へ可動され、可動が終了すると、扉部材470へ正面視下向きの慣性力が発生する。
ここで、本実施形態では、上述した扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が、扉部材470へと発生する慣性力よりも小さくなるように構成されている。これにより、扉部材470を開放するために開閉用駆動モータ466を駆動せずともスライド部材450が正面視下方向(落下方向)へ可動される際に、扉部材470に働く慣性力によって、扉部材470を開放状態とすることができる。つまり、扉部材470がスライド部材450と共に正面視下方向へ移動し終わると(即ち、アーム部材440、およびレンズ部材460が張出位置に配置されると)、扉部材470に対して正面視下方向の慣性力(即ち、正面視下方向への移動を続けようとする力)が作用して扉部材470が開放状態となる。よって、開閉用モータ466を駆動するための消費電力を低減することができる。
なお、スライド部材450の移動に伴い扉部材470に発生する慣性力が、扉部材470を開放するのに充分でない場合には、開閉用駆動モータ466を駆動して開放するようにしてもよい。この場合においては、スライド部材450の移動に伴い扉部材470に発生する慣性力を用いることで、開閉用駆動モータ466の駆動トルクを低減することができ、消費電力の低減や、開閉用駆動モータ466の小型化を図ることができる。
また、演出パターンに応じて、開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放する場合と、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放する場合とを切り替えても良い。例えば、期待度の高い演出パターンの実行時には、扉部材470を確実に開放するために開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放し、一方、期待度の低い演出パターンの実行時には、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放するように構成してもよい。これにより、期待度の高い演出パターンにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合を抑制することができる。
さらに、上下用駆動モータ431が駆動し、スライド部材450が落下方向へ可動されない場合、即ち、扉部材470に慣性力が働かない場合には、扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が扉部材470を閉状態で維持するのに充分なトルクとなるように構成されている。このため、落下役物シナリオが実行されない期間においても、開閉用駆動モータ466を励磁して扉部材470を閉状態で維持する必要がなく、消費電力の低減を図ることができる。なお、扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が扉部材470を閉状態で維持するのに必要なトルクが不足している場合は、例えば、扉部材470の先端部分に磁石を設けることで、扉部材470を閉状態で維持するのに必要なトルクが少なくなるように構成してもよい。
一方、演出(落下役物シナリオ)として扉部材470が開放されない演出が実行されている場合は、扉部材を開閉するための開閉用駆動モータ466が回転しないように励磁制御される。具体的には、上述した励磁テーブル(図135(b)のうち、現在の励磁カウンタに基づいて該当する部位(AからD)を一定時間励磁し続けることで、開閉用駆動モータ466には停止位置を保とうとするトルク(所謂、ホールディングトルク)が発生し、扉部材470が閉状態で維持されることになる。これにより、扉部材470が開放されない演出であるにも関わらず、スライド部材450が落下方向へ可動される際の勢い(慣性力)によって、扉部材470が開放されてしまうことを確実に防止(抑制)できる。
なお、上述した扉部材470の開閉制御とその開閉制御によって制御された扉部材470の開閉状態とが一致しない場合は、その後に実行される演出を変更するようにしてもよい。
具体的には、扉部材470が開放される落下役物シナリオに基づく演出が実行されている場合に、開閉用駆動モータ466が通電停止制御され、その後、扉部材470が開放されることで、扉部材470の背面側に位置するレンズ部材460が視認可能となる。そして、遊技者はそのレンズ部材460を通して第3図柄表示装置81に表示される「激アツ」との文字を視認することができる。レンズ部材460を通して第3図柄表示装置81の表示を視認することで、当該表示が拡大されて表示されることとなり、遊技者に対して当該表示をより印象的に感じさせることができる。
一方、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されたものの、扉部材470が開放されなかった場合には、第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されているにも関わらず、扉部材470が開放され、レンズ部材460が視認できる演出であるにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合が発生したとの印象を与えてしまうことになる。そこで、当該演出において、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されたものの、扉部材470が開放されなかったことを扉部材470が状態を検知可能な原点センサなどにより検出し、その場合には、その後に第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されないように演出を変更する。これにより、扉部材470が開放されずとも、第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されないため、扉部材470が開放されない演出が実行されたと遊技者に認識させることができ、上述した不具合が発生したとの印象を与えることがないようにできる。この場合において、特定のLEDを点灯させたり、外部出力端子を通してホールコンピュータへ通知することで、当該不具合が発生したことを従業員に対して報知するようにしてもよい。
また、上下動作ユニット装置(落下役物)400のレンズ部材460と扉部材470とを落下させるシナリオとして、一度の動作で退避位置から張出位置まで移動させるシナリオと、複数の動作(例えば、2度)で退避位置から張出位置まで移動させるシナリオとを設けるようにしてもよい。これにより、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されているにも関わらず、その後、扉部材470が開放されなかった場合に、2度目の動作で扉部材470を開放したとしても、2度の動作によって扉部材470が退避位置から張出位置へと移動する演出であると感じさせることができ、遊技者に対して違和感を与えることがないようにできる。
さらに、扉部材470が開放される落下役物シナリオと、扉部材470が開放されない落下役物シナリオとで、上下用駆動モータ431の駆動速度を変更し、扉部材470に働く慣性力を変化するように構成してもよい。具体的には、扉部材470が開放される落下役物シナリオでは、上下用駆動モータ431の駆動速度を速くし、扉部材470に働く慣性力が大きくなるようにし、一方、扉部材470が開放されない落下役物シナリオでは、上下用駆動モータ431の駆動速度を遅くし、扉部材470に働く慣性力が小さくなるようにする。これにより、扉部材470の開閉を精度よく制御することができる。落下役物のシナリオに応じて上下用駆動モータ431の駆動速度を変更するものには限られず、同一の落下役物シナリオにおいても、例えば、上方向へ移動させる場合と、下方向へ移動させる場合とで上下用駆動モータ431の駆動速度を変更するようにしてもよい。
また、演出パターンに応じて、開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放する場合と、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放する場合とを切り替えても良い。例えば、期待度の高い演出パターンの実行時には、扉部材470を確実に開放するために開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放し、一方、期待度の低い演出パターンの実行時には、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放するようにする。これにより、期待度の高い演出パターンにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合を抑制することができる。
本実施形態における入出力ポート225には、RTC(リアルタイムクロック)292が接続されている。このRTC292は、時間を計時するための計時手段として用いられ、専用の内部電源(本実施形態では、電池)が備えられているので、パチンコ機10に電源が供給されていない状態においても計時を継続することができる。ここで、パチンコ機10を製造する場合に、計時手段に同じ時刻(例えば、現在時刻)を設定して製造することで、複数のパチンコ機10において同一の時刻情報を取得することが可能となる。
このように構成することで、通常の演出とは別に、各パチンコ機10の遊技状況とは関係なく、定期的に(1時間毎に5分間)経過時間に応じた特別な態様の演出(時間演出)を複数のパチンコ機10で同期して実行することができる。また、この時間演出が実行(表示)される期間(以下、時間演出期間という)における特定時間(時間演出の開始から1分経過毎)には、パチンコ機10の遊技状態を示唆する特定時間演出が実行される。具体的に、特定時間演出(カウントダウン演出)は、計4文字のカウントダウンの文字(「3」、「2」、「1」、「0」)が1文字ずつ順にそれぞれ3秒(計12秒)表示された後に、キャラクタ画像(女の子の画像など)が8秒表示される計20秒の演出であり、演出が開始されてからの経過時間に応じて表示(演出)態様が設定される。例えば、演出の開始時点(演出開始から0秒経過時点)では、カウントダウンの文字として「3」が表示される表示(演出)態様が設定される。また、演出の開始から6秒経過時点では、カウントダウンの文字として「1」が表示される表示(演出)態様が設定される。この特定時間演出(カウントダウン演出)では、パチンコ機10の遊技状態が確変状態であり、かつ、時短状態でない場合(所謂、潜伏確変状態である場合)には、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が赤色で表示される(潜伏確変状態でない場合は黒色で表示される)。詳細は第1制御例において具体的に説明する。
ここで、遊技状態が確変状態でありかつ時短状態でない状態(所謂、潜伏確変状態)は、特別図柄の大当たり確率がアップした状態であり、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態(即ち、遊技者にとって有利な状態)である。一方で、潜伏確変状態は、時短状態ではないため、普通図柄の当たり確率は通常状態と同じであり、上述したように、第2入賞口640に付随する電動役物640aが閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらい状態である。この場合は、通常状態と同様に、電動役物640aのない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。このように、潜伏確変状態は、パチンコ機10の内部状態として大当たりとなる確率がアップしている以外は、通常状態と同じ動作(遊技方法)となるため、遊技者は、現在の遊技状態が通常状態であるのか、潜伏確変状態であるのかを判別することが困難となっている。また、詳細は後述するが、潜伏確変状態では、通常状態と同様の演出が選択され、第3図柄表示装置81に表示されるようになっているので、遊技者は第3図柄表示装置81に表示される演出から現在の遊技状態が通常状態であるのか、潜伏確変状態であるのかを判別することが困難となっている。
そこで、本実施形態では、上述したように、時間演出期間において潜伏確変状態ある場合に実行される特定時間演出では、表示されるカウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が通常状態の場合とは異なる色(赤色)で表示されるようにしている。これにより、遊技者は特定時間演出において遊技状態が遊技者にとって有利な状態である潜伏確変状態となっていることを容易に認識することができる。その結果、遊技者に対して特定時間演出の演出内容に興味を抱かせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、計時手段(RTC)による計時の精度を向上させるために、外部から時刻情報を補正するための補正手段(GPSや電波時計など)を設けても良い。
また、外部から時刻情報を補正するための補正手段(例えば、GPSや電波時計など)により、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に、時刻情報を補正するようにしてもよい。これにより、専用の内部電源(本実施形態では、電池)を設けなくとも、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に、計時手段による時刻情報を更新することができるため、計時手段の製造コストやメンテナンスコスト(内部電源の劣化による交換費用など)を低減することができる。なお、補正手段による時刻情報の補正は、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に限られず、定期的(例えば、1時間毎)に実行するようにしてもよい。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
ここで、表示制御装置114により第3図柄表示装置81に表示される表示内容について説明する。第3図柄は、「0」から「9」の数字の主図柄により構成されている。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
例えば、特別図柄の抽選結果が「大当たりA」または「大当たりC」であれば、奇数番号である「1,3,4,7,9」の主図柄が揃って停止表示される変動表示が行われる。また、「大当たりB」であれば、偶数番号である「0,2,4,6,8」の主図柄が揃う変動表示が行われる。
第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、上側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の下側の1/3が予告演出、キャラクタおよび保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1~Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1~Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1~Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1~Z3には、数字の昇順に主図柄が配列され、各図柄列Z1~Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。この主表示領域Dmの略中央が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも下方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの小領域Ds1~Ds3に等区分されている。このうち、小領域Ds1は、第1入賞口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域であり、小領域Ds2は、予告演出画像を表示する領域であり、小領域Ds3は、第2入賞口640に入球した球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域である。
実際の表示画面では、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計3個停止表示される。なお、変動表示される場合には、中央部に表示される主図柄以外にも、その前後に配置された主図柄が視認可能に表示されるので、最大で合計9個主図柄が表示される場合もある。副表示領域Dsにおいては、保留球1つに対して「●」図柄が一つ表示されて、特別図柄1、特別図柄2に対してそれぞれ最大4個までの保留球に対応して保留図柄が表示される。即ち、副表示領域Dsには、最大で8個の保留図柄が表示される。
なお、本実施形態では、特別図柄1と特別図柄2とで同じ保留図柄(デザイン)としたが、それに限らず、異なる図柄(例えば、特別図柄1に対しては、「●」図柄として、特別図柄2に対しては、白抜きの四角形の図柄)で表示するように構成してもよい。
これにより、第1入賞口64と第2入賞口640との保留球、即ち、特別図柄1と特別図柄2との保留球をそれぞれ識別し易く表示することができる。また、普通図柄の当たり種別により第2入賞口640へ入球した保留球の表示態様を異なるように表示したので、遊技者に、長時間当たりで発生した保留球であることを容易に判別させることができる。
なお、本実施形態では、第3図柄表示装置81の主表示領域Dm、副表示領域Dsには、上記した、主図柄、保留図柄等以外にも文字表示やキャラクタ等の予告演出表示や、総変動回数の表示等が適宜表示される。また、保留図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。
なお、本実施形態においては、第1入賞口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1または小領域Ds3における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。更に、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを最大保留数分の4つ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
また、表示制御装置114には、サブ表示装置690が接続されている。このサブ表示装置690は、第3図柄表示装置81と解像度が異なる表示装置(例えば、液晶パネル)となっている。具体的には、第3図柄表示装置81の解像度は(横800ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素))となっており、サブ表示装置690の解像度は(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素))となっている(図82参照)。なお、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との解像度はそれぞれ上述したものと異なるものであってもよいし、サブ表示装置690の解像度と第3図柄表示装置81とは同一の解像度であってもよいし、第3図柄表示装置81よりもサブ表示装置690の解像度が高いものであってもよい。また、第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690として採用可能なディスプレイ方式は、液晶パネルを用いた方式に限られるものではなく、任意の方式のディスプレイ(例えば、PDP方式、CRT方式、有機EL方式、MEMSシャッター方式等)を採用してもよい。
詳細は図81を参照して後述するが、本実施形態における表示制御装置114は、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに対して第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とのそれぞれに表示する画像を包含する一の画像データ(本実施形態では横1200ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)の解像度の画像データ)を用いて表示制御を行う。その一の画像データのうち第3図柄表示装置81の解像度に該当する部分の画像データ(横800ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)の領域)が第3図柄表示装置81に表示され、残りの部分におけるサブ表示装置690の解像度に該当する部分の画像データ(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素)の領域)がサブ表示装置690に表示される。なお、残りのデータ(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素)の領域)は未使用となる。
これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する表示内容の同期をとることが容易となり、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される表示内容とがずれてしまう不具合を抑制することができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110~114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110~114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図12を参照して、遊技盤13及び動作ユニット200について説明する。まず、図5から図7を参照して、背面ケース210への各ユニット300~700の収容構造について説明する。
図5は、遊技盤13及び動作ユニット200の分解正面斜視図であり、図6及び図7は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図7では、複合動作ユニット500が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図5から図7に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図6紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、上下動作ユニット400、複合動作ユニット500、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、複合動作ユニット500は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の右上部に配設される(図7参照)。この図7に示す状態に対し、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700が背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の下部に配設される。また、この図7に示す状態に対し、上下動作ユニット400は複合動作ユニット500の正面側に、重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図5参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、複合動作ユニット500)に対し、他の動作ユニット(例えば、上下動作ユニット400)が正面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットを、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13(図2参照)が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図8から図10を参照して、上下動作ユニット400、複合動作ユニット500、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の動作態様の概略について説明する。なお、図8から図10の説明においては、図5から図7を適宜参照する。
図8から図10は、動作ユニット200の正面図である。なお、図8では上下動作ユニット400のアーム部材440(図18参照)が張出位置に配置された状態が、図9では複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図26参照)が伸張状態を形成された状態が、図10では傾倒動作ユニット600が幅方向略中央に配置された状態が、それぞれ図示される。
図8に示すように、上下動作ユニット400は、アーム部材440(図18参照)を、図5に示す退避位置と図8に示す張出位置との間で動作させる。図5に示す退避位置では、アーム部材440は、背面ケース210の開口211aの上方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図8に示す張出位置では、アーム部材440が下降され、レンズ部材460(図18参照)が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
図9に示すように、複合動作ユニット500は、回動アーム部材550(図22参照)が下方へ張り出す張出位置へ配置され前板部材546が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配設される伸張状態と、回動アーム部材550が上方へ退避される退避位置へ配置され前板部材546が背面ケース210の開口211aの上方に退避される縮小状態(図5参照)と、を形成可能とされる。図5に示す縮小状態では、前板部材546は、背面ケース210の開口211aの上方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。
図10に示すように、傾倒動作ユニット600は、スライド動作ユニット700の支柱部材720(図47参照)が左右にスライド移動されることで、図5に示す退避位置と、図10に示す張出位置との間で移動可能とされる。図5に示す退避位置では、傾倒動作ユニット600は、背面ケース210の開口211aの右外方に退避され、センターフレーム86の内側において遊技者から視認される(図2参照)。一方、図10に示す張出位置では、傾倒動作ユニット600が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
なお、図10では、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625(図46参照)が開放され、内部のサブ表示装置690が視認される状態が図示される。即ち、図10の状態に傾倒動作ユニット600が配置されると、開口211aを通して視認される第3図柄表示装置81(図2参照)に表示される演出と、傾倒動作ユニット600の内部のサブ表示装置690に表示される演出との両方を遊技者に視認させることができる。
これら各動作ユニット400~700は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット400~700のうちの層を違えて配設されるものについては、例え動作部材が背面ケース210の開口211aの内方に張り出す態様のものであっても同時に動作させることができる。即ち、図8から図10で例示したように、各動作ユニット400~700をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
図11は、動作ユニット200の正面図である。なお、図11では、複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図22参照)が伸張状態とされ、上下動作ユニット400のアーム部材440及びレンズ部材460が張出位置に配置されると共に扉部材470が開放状態を形成される。
図11に示すように、上下動作ユニット400のレンズ部材460を通して、複合動作ユニット500の前板部材546が視認される。レンズ部材460には、後述するように、拡大レンズ加工が形成されるので、前板部材546が拡大視される。
即ち、図11に示す状態から、複合動作ユニット500の回転板520(図24参照)が第1軸部512(図24参照)を中心に揺動動作され、前板部材546が上下動作ユニット400のレンズ部材470から正面視で離間する位置(図39参照)まで移動されると、前板部材546は通常の大きさで視認される。これにより、前板部材546が通常の大きさで視認される状態と、拡大視される状態(図11参照)とを切り替えることができ、演出効果を向上させることができる。
図12は、動作ユニット200の正面図である。なお、図12では、複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図22参照)が伸張状態とされ、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置され傾倒状態とされ、傾倒動作ユニット600と前板部材546とが当接する直前の状態が図示される。傾倒動作ユニット600が更に傾倒されることで、傾倒動作ユニット600と前板部材546とは当接される。この場合に、複合動作ユニット500を正面視時計回りに揺動させることで(図39参照)、あたかも、傾倒動作ユニット600から複合動作ユニット500に力が加えられるように見せる演出を行うことができる(ユニット同士の動作を関連付け、より複雑な演出を行うことができる)。これにより、演出効果を向上させることができる。
次いで、図13から図15を参照して、盤面下部ユニット300について説明する。図13は、盤面13と盤面下部ユニット300との正面分解斜視図である。図13に示すように、遊技盤13の下部には、内レール61の下縁に沿って開口され盤面下部ユニット300が挿通される受け入れ開口13aが形成される。
図14は、盤面下部ユニット300の正面分解斜視図である。図14に示すように、盤面下部ユニット300は、遊技盤13の受け入れ開口13aに内嵌固定されるベース部材310と、そのベース部材310の正面視左下方に配設され球を第1アウト口314へ案内する左下板部材320と、ベース部材310の正面視右下方に配設され球を第2アウト口315へ案内する右下板部材330と、正面からベース部材310に締結固定され左下板部材320及び右下板部材330が挿通軸343で軸支される前蓋部材340と、を主に備える。
ベース部材310は、遊技盤13の受け入れ開口13aの形状と略同等の形状であり受け入れ開口13aよりも若干小さな断面形状に形成される板状の本体部311と、その本体部311の正面側を覆う態様で薄板状に形成される装飾前板部312と、その装飾前板部312の幅方向略中央部に取り付けられる可動演出部材313と、その可動演出部材313の正面視左方に形成される矩形状孔である第1アウト口314と、可動演出部材313の正面視右方に形成される矩形状孔である第2アウト口315と、を主に備える。
可動演出部材313は、遊技盤13の幅方向中心下縁に配設され、図示しない駆動装置により回転される回転演出部材313aを備える。ここで、遊技盤13の幅方向中心下縁にアウト口が配設される場合、可動演出部材313を遊技盤13の幅方向中心下縁に配置することはできない。本実施形態では、遊技盤13の幅方向中心下縁にアウト口を配設せず、遊技盤13の中心から左右に離間した位置に第1アウト口314及び第2アウト口315を配設することで、可動演出部材313を遊技盤13の幅方向中心下縁に配設するスペースを確保することができる。
図15を参照して、第1アウト口314、第2アウト口315、左下板部材320及び右下板部材330の形状について説明する。図15(a)は、ベース部材310、第1アウト口314、第2アウト口315、左下板部材320及び右下板部材330の正面図であり、図15(b)は、図15(a)のXVb-XVb線におけるベース部材310及び左下板部材320の断面図である。なお、図15(a)では、ベース部材310に締結固定される前蓋部材340の外形と、第1アウト口314及び第2アウト口315の上方に形成される釘とが図示される。
第1アウト口314及び第2アウト口315は、遊技領域から球が排出される開口である。第1アウト口314に比較して第2アウト口315は幅方向の形成長さが短くされる。その理由については後述する。また、第2アウト口315の上内側面に前後方向へ延設される案内リブ315aが形成される。その案内リブ315aにより、第2アウト口315へ流入する球が高くはね、第2アウト口315の上底面に衝突する場合に球に加えられる抵抗を抑制することができる。また、第2アウト口315から排出される球の流れを前後方向に整えることができ、排出される球の方向のばらつきを抑制することができる。
また、後述する左下板部材320の緩衝リブ322は、遊技盤13(図13参照)の幅方向中央へ向かうほど高く形成される(図15(a)参照)。これにより、遊技盤13の幅方向中央へ向かうほど遊技領域の上下幅が大きくなる本実施形態においても、左下板部材320に落下する球の跳ね返りを抑制する効果を損ねることがない。即ち、遊技盤13の幅方向中央に近いほど、球の落下高さは高くなるので、落下した球が左下板部材320に衝突した場合の衝撃が大きくなる恐れがある。これに対し、緩衝リブ322は遊技盤13の幅方向中央へ向かうほど高く形成されるので、遊技盤13の幅方向中央に近いほど緩衝リブ322が撓むことで落下の衝撃を和らげるクッション効果の度合いを大きくすることができる。
ここで、緩衝リブ322,332の縦横比と、落下する球の着地頻度との関係について説明する。例えば、緩衝リブ322,332に着地する球の落下高さは高いが、その位置に球が到達する頻度が極端に低い場合、わざわざ球の跳ね返りを抑制せずとも、他の球の排出の障害にならない場合がある。この場合にまで緩衝リブ322,332の縦横比を大きく形成すると、遊技領域のスペースを不必要に抑制することになる。従って、緩衝リブ322,332の縦横比は、球の落下高さのみでなく、落下高さと、その位置に球が着地する頻度との関係で設定されることが好ましい。
図15に示すように、緩衝リブ322,332の上方を流下する球は経路c1,c2で流下開始され、その後複数の分岐b1~b10を経て、着地領域z0~z4に到達する。なお、以下の説明では、球が流下する確率が経路c1とc2とで等しく(1/2)、分岐b1~b10での左右への分岐の確率がそれぞれ左右均等(1/2)である場合を説明する。なお、右上方から球が流下されることは無いものと仮定する。
着地領域z0に球が到達する確率について説明する。着地領域z0に到達するためには、分岐b5で左側を流下して経路c11に到達する必要がある。分岐b5までは、経路c1から分岐b1を経て到達する場合と、経路c2から到達する場合とが考えられる。そのため、球が経路c11に到達して、着地領域z0に球が到達する確率は、経路c1から流下される球の確率1/8(=1/2×(1/2)^2)と、経路c2から流下される球の確率1/4(=1/2×1/2)との総和で表されるので、3/8である(「^」はべき乗を意味する)。即ち、それぞれの確率は、経路c1,c2を球が流下する確率1/2と、着地領域z0に到達するまでに球が通る分岐b1~b10の数だけ1/2を累乗した数との積で表される。
着地領域z1に球が到達する確率について説明する。着地領域z1に到達するためには、分岐b3で左側を流下して経路c15に到達するか、分岐b4で左側を流下して経路c16に到達するか、分岐b6で右側を流下して経路c14に到達するか、分岐b7で右側を流下して経路c13に到達する必要がある。
分岐b3までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c15に到達するまでに分岐が3つ存在するので、球が経路c15に到達する確率は1/16(=1/2×(1×2)^3)である。また、分岐b4までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c16に到達するまでに分岐が4つ存在するので、球が経路c16に到達する確率は1/32(=1/2×(1×2)^4)である。また、分岐b6までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c14に到達するまでに分岐が3つ存在するので、球が経路c14に到達する確率は1/16(=1/2×(1×2)^3)である。
分岐b7までは、経路c1及び経路c2から球が流下される場合の両方が考えられ、経路c1から流下した球が経路c13に到達するまでに分岐が4つ存在する場合と、分岐が3つ存在する場合がある。経路c2から流下した球が経路c13に到達するまでに分岐が2つ存在する。そのため、球が経路c13に到達する確率は、経路c1から流下される球の確率3/32(=1/2×(1/2)^4+1/2×(1/2)^3)と、経路c2から流下される球の確率1/8(=1/2×(1/2)^2)との総和で表されるので、7/32である。
ここで、着地領域z1に球が到達する確率は、上述した経路c13~c16に球が到達する確率の総和であるので、12/32である。
着地領域z2に球が到達する確率について説明する。着地領域z2に球が到達する確率は、経路c12に球が到達する確率で表せ、これは、分岐b7に到達した球が経路c13に到達する確率と等しくなる。そのため、着地領域z2に球が到達する確率は7/32である。
着地領域z3に球が到達する確率について説明する。着地領域z3に到達するためには、分岐b9で左側を流下して経路c17に到達するか、分岐b10で左側を流下して経路c18に到達する必要がある。
分岐b9までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c17に到達するまでに分岐が6つ存在するので、球が経路c17に到達する確率は1/128(=1/2×(1×2)^6)である。また、分岐b10までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c18に到達するまでに分岐が7つ存在するので、球が経路c18に到達する確率は1/256(=1/2×(1×2)^7)である。
着地領域z3に球が到達する確率は、上述した経路c17及びc18に球が到達する確率の総和であるので、3/256である。
着地領域z4に球が到達する確率について説明する。着地領域z4に到達するためには、分岐b10で右側を流下して経路c19に到達する必要がある。なお、分岐b10の右側を流下した球は全て経路c19で流下するものとする。経路c19に球が到達する確率は、分岐b10に到達した球が経路c18に到達する確率と等しくなる。そのため、着地領域z4に球が到達する確率は1/256(=1/2×(1×2)^7)である。
これらのことから、各着地領域z0~z4へ球が到達する割合は、(z0:z1:z2:z3:z4)=(96:96:56:3:1)となる。この割合は、緩衝リブ322,332と相関関係を有する。
例えば、着地領域z1と着地領域z3とを比較すると、各着地領域z1,z3に落下する球の高さは同等であるのに緩衝リブ322,332の縦横比は着地領域z3の方が着地領域z1より小さい。これは、着地領域z3に球が到達する割合が、着地領域z1に球が到達する割合の1/32であるためである。即ち、落下する球のバウンドを着地領域z1ほどに抑制せずとも、着地領域z3においては球の排出が滞るおそれが小さい。そこで、着地領域z3においては、着地領域z1に比較して緩衝リブ332の縦横比を小さくすることで、第2アウト口315の配設位置を下方へ下げることができる。
例えば、着地領域z2と着地領域z4とを比較すると、着地領域z2への球の落下距離よりも着地領域z4への球の落下距離の方が長いのに、緩衝リブ322,332の縦横比は着地領域z2の方が着地領域z4より大きい。これは、着地領域z4に球が到達する割合が、着地領域z2に球が到達する割合の1/56であるためである。即ち、落下する球のバウンドを着地領域z2ほどに抑制せずとも、着地領域z4においては球の排出が滞るおそれが小さい。そこで、着地領域z4においては、着地領域z2に比較して緩衝リブ332の縦横比を小さくすることで、第2アウト口315の配設位置を下方へ下げることができる。
なお、上述した説明では、分岐b1~b10の球の分岐の確率は、左右均等(1/2)である場合を説明したが、釘の幅を変化させることで、分岐b1~b10で球が分岐する確率を調整することが可能である。例えば、分岐b1の左側の矢印が通る流路の釘の間隔を球の直径と同程度に小さくすることで、分岐b1で球が右側の矢印に沿って流下する確率を1/2よりも大きくすることができる。他の分岐b2~b10においても、同様に球の分岐の確率を調整することができる。
これにより、経路c11~c19に球が到達する頻度を調整することができ、緩衝リブ322の縦横比の設計自由度を向上させることができる。
また、緩衝リブ322は上面が後方へ向かうにつれて下降傾斜して形成される(図15(b)参照)。これにより、第1アウト口314への球流れを速くすることができる。
図14に戻って説明する。左下板部材320は、長尺板状の本体部321と、その本体部321の上面において左右方向に連設される薄厚の板がそれぞれ前後方向に延設される緩衝リブ322と、その緩衝リブ322の前面を連結する態様で形成される連結前板323と、本体部321の正面視左端において上方へ隆起して形成される段部324と、その段部324から正面視左方へ延設される球流れレール部325と、本体部321の正面視右端部において前後方向に穿設される軸支孔326と、を主に備える。
緩衝リブ322は、第1アウト口314へ向かう球が通過する部分であり、上下方向に落下する球の上下方向への跳ね返りを抑制する。即ち、緩衝リブ322は左右方向に連設される薄厚の板から形成されるので、落下する球に衝突される際に、厚み方向に撓むことで、その衝突の衝撃を和らげることができる。また、球が緩衝リブ322の上面を左右方向に移動する際には、球が緩衝リブ322の間にはまり込むことで、球が制動される。また、緩衝リブ322は、正面視右方(遊技盤13(図2参照)の幅方向内側へ向かうほど、形成高さ及び縦横比が大きくされる。
連結前板323は、緩衝リブ322を連結することで、緩衝リブ322の強度を向上させる。
段部324は、球流れレール部325から流下された球を上下方向に落下させるための嵩上げ部である。これにより、球流れレール部325を流下する球から緩衝リブ322へ左右方向の荷重が負荷されることを抑制することができる。これにより、緩衝リブ322が左右方向の荷重を受けて左右方向に折れることを防止することができる。
即ち、緩衝リブ322は前後方向に延設される薄厚の壁部から形成されるので、左右方向の荷重が負荷されることで折れる恐れがある。一方、本実施形態では、左右方向の速度を備え、左右方向の荷重を緩衝リブ322に負荷する恐れのある球流れレール325の上面を転動する球が、段部324から緩衝リブ322へ上下方向に落下する態様で形成される。これにより、球が緩衝リブ322へ着地する位置を、球の左右方向の速度が速いほど、幅方向右方へ寄せることができる。
従って、球が緩衝リブ322に着地する際に緩衝リブ322に左右方向で与えられる負荷を、幅方向左方(外側)へ向かうほど小さくすることができる。そのため、緩衝リブ322の幅方向左方へいくほど球の左右方向の荷重による折れが発生するおそれが低くなり、幅方向右方に比較して緩衝リブ322の縦横比を小さく形成することができる。この場合、遊技盤13の下面に形成される曲面に沿って緩衝リブ322の下面を形成できるので、緩衝リブ322が幅方向で同じ長さである場合に比較して緩衝リブ322を配設する位置を下方に下げることができる。
ここで、緩衝リブ322の縦横比を幅方向左右の位置で一定に保ったまま(緩衝リブ322の上面が緩衝リブ322の下面と同一の曲線で形成される状態で)、遊技盤13の下面に形成される曲面に沿って緩衝リブ322の下面を形成することも考えられる。しかし、この場合、段部324の配設位置が高くなり、その段部324に向けて下降傾斜して形成される球流れレール部325の配設位置も高くなる。この場合、球流れレール部325と内レール61(図13参照)との間のデッドスペースが大きくなり、遊技領域が抑制される。
一方で、緩衝リブ322の縦横比は大きい方が、球の勢いを落とす作用(減速作用)は大きくなる。従って、緩衝リブ322は、段部324付近から遊技領域の中央へ向けて縦横比を大きくする態様で形成される。
なお、段部324の形成高さに影響しないように段部324の手前まで緩衝リブ322の上面を緩衝リブ322の下面の曲線と同一の曲線で形成する(緩衝リブ322の左右方向の途中で高さが最大に形成される)ことも考えられる。しかし、この場合、着地領域z1に到達した球が左方に転動することが妨げられる。そのため、着地領域z1に球が滞留し易くなり、球の排出をスムーズに行いにくくなる。
これに対し、本実施形態では、緩衝リブ322の幅方向における緩衝リブ322の上面の高さの変動が少ないので、着地領域z1に到達した球が左方(着地領域z2側)に容易に転動する。従って、着地領域z1に球が滞留する前に球を着地領域z2に流すことができるので、球の排出をスムーズにすることができる。
また、段部324は、緩衝リブ322の上方を流下し左方へ流れる球をせき止める機能を有する。これにより、球が前蓋部材340(図13参照)に衝突した後で第1アウト口314の横幅以上に跳ね返ることを防止することができる。
軸支孔326は、前蓋部材340の挿通軸343が挿通され、軸支される部分である。
右下板部材330は、長尺板状の本体部331と、その本体部331の上面において左右方向に連設される薄厚の壁部がそれぞれ前後方向に延設される緩衝リブ332と、その緩衝リブ332の前面を連結する態様で形成される連結前板333と、本体部331の正面視右端において下方へ窪んで形成される凹設部324と、その凹設部324から正面視右方へ延設される球流れレール部335と、本体部331の正面視左端部において前後方向に穿設される軸支孔336と、を主に備える。
なお、右下板部材330の構成と左下板部材320の構成とは多くの部分で共通する。即ち、本体部331は本体部321と、緩衝リブ332は緩衝リブ322と、連結前板333は連結前板323と、球流れレール部335は球流れレール部325と、軸支孔336は軸支孔326と、それぞれ技術的思想が共通するので、共通部分については説明を省略する。
緩衝リブ332は、緩衝リブ322に比較して左右の形成幅が短く形成される。これにより、第2アウト口315の左右の形成幅を短くでき、第2アウト口315の配設位置を第1アウト口314に比較して下方へ下げることができるので、その分、第1可変入賞装置65の大開放口ソレノイド65bの配設スペースを確保することができる(第1可変入賞装置65の配設位置を下方へ下げることができる)。
ここで、緩衝リブ332の形成幅を緩衝リブ322に比較して短くできるのは、第2アウト口315への球の流下経路を規制していることによる。即ち、図14に示すように、第2アウト口315の正面視右上に第1可変入賞装置65が配設されることで、開閉板の開放時には球は第1特定入賞口65aへ流入され、開閉板の閉鎖時には球は第1可変入賞装置65の正面側を鉛直下方へ落下される。これにより、第2アウト口315に正面視右上から球が流下することを防止することができる。換言すると、第2アウト口315の右上部に球の流下が規制される非流下領域が形成される。
そのため、右下板部材330への球の流下方向は、鉛直方向の落下と幅方向から(球流れレール部335から)の流下のみに限定される(斜め右上方からの流下が規制される)。従って、斜め右上方からの球の流入が無いので球が跳ねる方向を制限でき、緩衝リブ332の形成幅を狭めることができると共に第2アウト口315の形成幅を狭めることができる。結果として第1可変入賞装置65の配設スペースを確保することができる。
凹設部334は、球流れレール部335を流下した球を跳ねさせるための窪みである。そのため、凹設部334の形成幅は、隣接する緩衝リブ332に当接されずに球を載置可能な幅とされる。
球流れレール部335を流下した球は凹設部334に落下され、凹設部334の上面に当接されることで跳ね返り、緩衝リブ332に落下する。これにより、緩衝リブ332に幅方向から荷重が負荷されることが防止され、緩衝リブ332が折れることを防止することができる。
なお、凹設部334は、ベース部材310を遊技盤13に締結固定する締結ネジが挿通される締結孔Bの正面に形成される。これにより、盤面下部ユニット300を遊技盤13に締結固定するために締結孔Bに締結ネジをねじ込む際にドライバー等の締結工具を使用しやすくすることができる。即ち、凹設部334は、緩衝リブ332が折れることを防止する効果と、ベース部材310の締結固定を容易にする効果との両方を備える。
前蓋部材340は、最上部に第1入賞口64が形成される板状の本体部341と、その本体部341の中心に開口形成され回転演出部材313aを視認可能とする開口部342と、軸支孔326,336に挿通される一対の挿通軸343と、を主に備える。
本体部341は遊技領域の下縁に当接して形成され、側壁部により球の流下方向が限定される。即ち、右方から本体部341に衝突した球は左方へ貫通することはできず、一方で左方から本体部341に衝突した球は右方へ貫通することはできない。
挿通軸343は、軸支孔326,336に挿通される部分である。そのため、挿通軸343の直径は軸支孔326,336よりも若干小さく形成される。
次いで、図16から図21を参照して、上下動作ユニット400について説明する。図16は、上下動作ユニット400の正面斜視図であり、図17は、上下動作ユニット400の背面斜視図である。なお、図16及び図17では、上下動作ユニット400のアーム部材440が退避位置に配置された状態が図示される。
図18は、上下動作ユニット400の正面分解斜視図であり、図19は、上下動作ユニット400の背面分解斜視図である。図18及び図19に示すように、上下動作ユニット400は、背面視右側に背面側から正面側へ向けて窪むと共にその窪みが上下方向に延設される上下溝部414を備えるベース部材410と、そのベース部材410の連結孔413を中心に回転される回転クランク部材420と、その回転クランク部材420の駆動力を発生させる駆動装置430と、回転クランク部材420から駆動力が伝達されベース部材410の軸部412を中心に揺動されるアーム部材440と、ベース部材410の上下溝部414の反対側に配設されアーム部材440の揺動に連動して上下方向にスライド移動可能に形成されるスライド部材450と、アーム部材440の先端に形成される摺動孔443に吊り下げられアーム部材440の揺動に連動して上下方向にスライド移動可能に形成されるレンズ部材460と、そのレンズ部材460にそれぞれ軸支される一対の扉部材470と、を主に備える。
ベース部材410は、左右に長尺の板状に形成される本体部411と、その本体部411の右端部から正面側へ向けて円柱状に突設されアーム部材440の軸支孔442が軸支される軸部412と、前後方向に円形に穿設され回転クランク部材420と伝達ギア432が連結される連結孔413と、本体部411の背面視右側で背面側から正面側へ向けて形成される窪みが上下方向に延設される上下溝部414と、その上下溝部414の左右両外側において正面から背面側へ向けて窪む凹設部415と、を主に備える。
上下溝部414は、組立状態(図2参照)において、背面側に複合動作ユニット500の伸縮演出装置540が収容される部分である。複合動作ユニット500は、後述するように、伸縮演出装置540が縮小状態へ向かうほど伸縮演出装置540の揺動角度が抑制されるため、伸縮演出装置540が揺動されることで上下溝部414の左右内側面に衝突することが防止される。凹設部415は、スライド部材450のスライド案内部452が案内される部分である。
回転クランク部材420は、板状の本体部421と、その本体部421の一方の端部から正面側に円柱状に突設されアーム部材440の挿通部444に挿通される摺動突起部422と、伝達ギア432の嵌合部432aに係合され伝達ギア432と回転クランク部材420との相対回転を不能とする係合部423と、を主に備える。
摺動突起部422がアーム部材440の挿通部444に挿通され回転されることで、アーム部材440に駆動装置430の駆動力が伝達され、アーム部材440が軸部412を中心に揺動される。
駆動装置430は、ベース部材410に締結固定される上下用駆動モータ431と、その上下用駆動モータ431により回転駆動される駆動ギア431aと、その駆動ギア431aと歯合される伝達ギア432と、その伝達ギア432の正面側に連結孔413の内径より若干小さな外径で形成されると共に内側側面が回転クランク部材420の係合部423に嵌合される嵌合部432aと、を主に備える。
嵌合部432aは、三角形の各頂点に円形状が配置された断面形状からなる窪みを備える部分であって、ベース部材410の連結孔413に挿通されると共に、その先端側で回転クランク部材420の係合部423が相対回転不能に嵌合される。これにより、ベース部材410の本体部411を伝達ギア432と回転クランク部材420とで板挟みする態様で形成され、上述したように、伝達ギア432と回転クランク部材420の相対回転が不能とされるので、伝達ギア432と回転クランク部材420とは同期して回転する。即ち、上下用駆動モータ431の駆動力が伝達ギア432を介して回転クランク部材420へ伝達される。
アーム部材440は、長尺棒状に形成される本体部441と、基端側(正面視右側)に穿設され軸部412に揺動可能に軸支される軸支孔442と、基端側の反対側の端部である揺動端側に長孔として穿設されレンズ部材460の摺動突起部463が挿通される摺動孔443と、回転クランク部材420の摺動突起部422が挿通される有底孔状の挿通部444と、を主に備える。
なお、摺動突起部422を挿通部444に挿通させた状態で回転クランク部材420が一回転可能な形状に挿通部444の形状が設定される。そのため、回転クランク部材420の回転方向によらず、アーム部材440は揺動動作を行うことができる。
スライド部材450は、矩形板状の本体部451と、その本体部451の左右両端部から後方へ延設されると共に凹設部415に上下スライド可能に案内されるスライド案内部452と、本体部451の幅方向中心部において正面に形成される上下方向に延設される窪みであると共にレンズ部材460の摺動突起部463が挿通される中央案内凹設部453と、本体部451の左右両端部において正面に形成され上下方向に延設される窪みであると共にレンズ部材460の安定スライド部464が案内される両端案内凹設部454と、を主に備える。
レンズ部材460は、中央に円形の開口が形成される板状の本体部461と、その本体部461の開口に嵌め込まれる拡大レンズ加工が形成された拡大レンズ462と、本体部461の幅方向中央上端部において背面側へ突設されると共にアーム部材440の摺動孔443に上下スライド可能に挿通される摺動突起部463と、本体部461の幅方向両端部において背面側へ突設されスライド部材450の両端案内凹設部454に上下スライド可能に挿通される安定スライド部464と、本体部461の正面視左下方に軸回転可能に配設され扉部材470の下側軸部473及び上側軸部474が挿通される一対の回転筒465と、その一対の回転筒465を図示しない伝達機構により互いに逆方向に回転させる開閉用駆動モータ466と、を主に備える。
図20を参照して、上下動作ユニット400の移動動作について説明する。図20は、上下動作ユニット400の正面図である。なお、図20では、上下動作ユニット400のアーム部材440が張出位置へ配置された場合の扉部材470の閉鎖状態が図示される。
アーム部材440が退避位置(図16参照)から張出位置(図20参照)へ揺動されると、アーム部材440の揺動端側の摺動孔443に軸支されるレンズ部材460の摺動突起部463(図18参照)が、スライド部材450の中央案内凹設部453をスライド移動される。レンズ部材460はスライド部材450の両端案内凹設部454に上下方向に案内され、スライド部材450はベース部材410の凹設部415に上下方向に案内されるので、アーム部材440の揺動によりレンズ部材460は上下方向にスライド移動される。
図18及び図19に戻って説明する。扉部材470は、円形状板を上下2分割して構成され、下側に形成される下側本体部471と、その下側本体部471の上側に形成される上側本体部472と、下側本体部471の下端部において背面側に円柱状に突設されレンズ部材460の回転筒465に相対回転不能に挿通される下側軸部473と、上側本体部472の下端部において背面側に円柱状に突設されレンズ部材460の回転筒465に相対回転不能に挿通される上側軸部474と、を主に備える。
下側本体部471は、上側本体部472と当接される側の側面に突設される案内突起部471aを備え、上側本体部472は、下側本体部471と当接される側の側面に凹設される受け入れ凹設部472aを備える。これらの案内突起部471a及び受け入れ凹設部472aが嵌合されることで、閉鎖状態における下側本体部471と上側本体部472との相対的な位置合わせを行うことができる。なお、本実施形態では、案内突起部471aが先細り形状で突設されるので、案内突起部471aを受け入れ凹設部472aに確実に嵌合させることができる。
図21を参照して、扉部材470の動作について説明する。図21は、上下動作ユニット400の正面図である。なお、図21では、上下動作ユニット400のアーム部材440が張出位置へ配置された場合の扉部材470の開放状態が図示される。
下側軸部473及び上側軸部474(図19参照)は、レンズ部材460の回転筒465(図18参照)の回転により回転される。一対の回転筒465は、開閉用駆動モータ466(図19参照)の駆動力により互いに逆方向に回転されるので、扉部材470を、閉鎖状態(図20参照)から開放状態(図21参照)にする場合に、下側本体部471と上側本体部472とを互いに外側(反対方向)に揺動させることができる。また、扉部材470を、開放状態(図21参照)から閉鎖状態(図20参照)にする場合に、下側本体部471と上側本体部472とを互いに内側に揺動させることができる。
これにより、レンズ部材460の正面側を単一のカバー部材を揺動させて覆う場合に比較して、下側本体部471及び上側本体部472を揺動させる時間を半分とすることができる。
次いで、図22から図45を参照して、複合動作ユニット500について説明する。複合動作ユニット500は回動アーム部材550を退避位置(図22参照)から張出位置(図9参照)へ揺動させることで伸縮演出装置540を第3図柄表示装置81の正面側へ配置させるユニットである。また、伸縮演出装置540は、ベース部材510の第1軸部512(図24参照)を中心に揺動可能に形成される。
図22は、複合動作ユニット500の正面斜視図であり、図23は、複合動作ユニット500の背面斜視図である。なお、図22及び図23では、回動アーム部材550が第3図柄表示装置81(図2参照)の外側に形成される終端位置である退避位置に配置される状態が図示される。
図24は、複合動作ユニット500の正面分解斜視図であり、図25は、複合動作ユニット500の背面分解斜視図である。
図24及び図25に示すように、複合動作ユニット500は、伸縮演出装置540をスライド動作および揺動動作させることで演出を行うユニットであり、骨格を形成するベース部材510と、そのベース部材510の第1軸部512を中心に回転可能に形成される回転板520と、ベース部材510に締結固定され回転板520の駆動力を発生させる第1駆動装置530と、回転板520の正面に締結固定され回転板520の径方向へ伸縮可能に形成される伸縮演出装置540と、その伸縮演出装置540に一方の端部が連結され反対側の他方の端部がベース部材510に軸支されると共に揺動動作により伸縮演出装置540の伸縮動作を形成する回動アーム部材550と、ベース部材510に締結固定され回動アーム部材550の駆動力を発生させる第2駆動装置560と、その第2駆動装置560の駆動力を回動アーム部材550へ伝達する回転クランク部材570と、ベース部材510の前方から締結固定され回動アーム部材550や回動クランク部材570等の回転軸側の機構部分を目隠しする前カバー580と、を主に備える。
ベース部材510は、矩形板形状の本体部511と、その本体部511の幅方向略中央下部から前方へ向けて突設される円柱状の第1軸部512と、その第1軸部512を中心とした円弧に沿って穿設される3列の円弧状孔513と、その3列の円弧状孔513の内の第2円弧状孔513bに隣接して穿設される第1貫通孔514と、軸部512と本体部511の右端部との略中間位置で本体部511から前方へ向けて突設される円柱状の第2軸部515と、その第2軸部515に隣接して穿設される第2貫通孔516と、本体部511の正面視右下端部から前方へ向けて突設される円柱状の第3軸部517と、本体部511の縁から前方へ折曲形成される折曲壁部518と、を主に備えて構成される。
第1軸部512は、回転板520の軸支孔522に挿通され、回転板520の回転軸となる部分である。そのため、第1軸部512の直径は回転板520の軸支孔522の内径よりも若干小さく形成される。
円弧状孔513は、第1軸部512に近い側から、第1円弧状孔513a、第2円弧状孔513b及び第3円弧状孔513cを備える。
第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cは、回転板520の挿通軸525が挿通され、回転板520の回転を案内する長孔である。これにより、回転板520が回転される際に第1軸部512が受ける負荷を軽減することができ、回転板520の耐久性の向上を図ることができる。なお、図24及び図25には、挿通軸525の先端にカラーが締結された状態が図示されるが、第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cは、カラーと本体部521との間に配置される(カラーの締結前に挿通される)。
第2円弧状孔513bは、回転板520の円弧状ラック526が配置され移動される長孔である。略中央部の上側が開放され、その開放された部分に第1駆動装置530の駆動ギア532が配置される。これにより、本体部511の板厚部分に、第1駆動装置530の駆動モータ531と回転板520の円弧状ラック526との歯合部分を配設することができるので、複合動作ユニット500の厚さ方向の寸法(図22前後方向の寸法)を抑制することができる。
第1貫通孔514及び第2貫通孔516は、それぞれ第1駆動装置530の駆動ギア532及び第2駆動装置560の駆動ギア562が挿通される貫通孔である。
第2軸部515は、正面側に回動クランク部材570の蓋部575が締結固定され、本体部571の回転の中心軸となる円柱状部である。そのため、第2軸部515の直径は回動クランク部材570の本体部571の内周径よりも若干小さな寸法で形成される。
第3軸部517は、回動アーム部材550の軸支孔552に挿通され、回動アーム部材550の回動の中心軸となる部分である。そのため、第3軸部517の直径は、回動アーム部材550の軸支孔552の内径よりも若干小さな寸法で形成される。第3軸部517の周囲には回動アーム部材550を退避位置へ向けて移動させる付勢力を発生させるねじりバネ517aが巻き付けられる。
ねじりバネ517aは、第3軸部517に巻き付けられるコイル部分の両端から腕部がそれぞれ延設される態様で形成される。一方の腕部は、折曲壁部518の正面視右下部(第1ストッパ部518a付近)に固定され、その一方の腕部の反対側の他方の腕部は、回動アーム部材550の係止部555に係止される。
折曲壁部518は、第3軸部517に隣接される第1ストッパ部518aと、第1軸部512の右方に形成される第2ストッパ部518bと、第1軸部512の左方に形成される第3ストッパ部518cと、を主に備える。
第1ストッパ部518aは、回動アーム部材550の回動を規制する部分である。即ち、回動アーム部材550は張出位置(図9参照)まで下降されると第1ストッパ部518aに当接され、下降が停止される。
図24に示すように、第2ストッパ部518bの方が第3ストッパ部518cよりも下方に配設される。回転板520の下面は軸支孔522を基準に左右対称に形成されるので(図37参照)、回転板520は、第2ストッパ部512bへ向かう回転方向の方が大きな回転角度で回転することができる。即ち、後述する伸縮演出装置540は、正面視反時計回りの揺動よりも、正面視時計回りの揺動の最大角度が大きく形成される。
回転板520は、扇形板状の本体部521と、その本体部521の根本部分で厚み方向に円形に穿設される軸支孔522と、その軸支孔522の内径より若干大きな幅で本体部521の前面において直線的に凹設されるレール受け溝523と、そのレール受け溝523の下端部両側において前方へ張り出して形成される一対の伸縮ストッパ524と、本体部521の背面から突設される複数(本実施形態では3本)の挿通軸525と、本体部521の背面から軸支孔522を中心とする円弧状に突設され外周部にギア歯が刻設される円弧状ラック526と、を主に備える。
軸支孔522は、ベース部材510の第1軸部512が挿通される。そのため、回転板520は第1軸部512を中心に揺動される。
レール受け溝523は、伸縮演出装置540のスライドレール545が締結固定される部分であり、伸縮演出装置540はレール受け溝523の延設方向に沿って伸縮動作をする。そのため、回転板520の姿勢により、伸縮演出装置540の移動方向が変化される。
伸縮ストッパ524は、伸縮演出装置540のスライド板544の内側面に上下方向で当接され、スライド板544の移動幅を規制する部分である。レール受け溝523の両側に形成され、その両側においてスライド板544の内側面と当接されることで、スライドレール545が伸縮方向と直交する方向に負荷を受けることを抑制し、耐久性の向上を図ることができる。
挿通軸525は、ベース部材510の第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cに挿通され回転板520の回転を案内する部分であって、直径が第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cの幅寸法よりも若干小さく形成される。また、先端に第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cの幅寸法よりも大径のカラー部材が締結固定されることで、回転板520がベース部材510に引き抜き不能に連結される。
円弧状ラック526は、ベース部材510の第2円弧状孔513bに挿通され、第1駆動装置530の駆動ギア532と歯合される。円弧状ラック526と第1駆動装置530との歯合部分がベース部材510の厚み部分を含んだ領域で形成されるので、複合動作ユニット500の厚み方向の寸法を抑制することができる。
第1駆動装置530は、ベース部材510に締結固定される駆動モータ531と、ベース部材510の第1貫通孔514に挿通され駆動モータ531により軸回転される駆動ギア532と、を主に備える。
次いで、図26及び図27を参照して伸縮演出装置540について説明する。図26は、伸縮演出装置540の正面分解斜視図であり、図27は、伸縮演出装置540の背面分解斜視図である。
図26及び図27に示すように、伸縮演出装置540は、骨格を成す本体部材541と、その本体部材541の背面に一対が締結固定され本体部材541との間に回動アーム部材550の本体部551が挿通される第1案内部材542及び第2案内部材543と、その第1案内部材542及び第2案内部材543の挿通孔542d,543dの延設方向に沿って軸スライド可能に配設されるスライド板544と、そのスライド板544及び回転板520とを連結し一方の端部がレール受け溝523に内嵌され締結固定されるスライドレール545と、本体部材541の正面側に嵩上げされて締結固定される前板部材546と、その前板部材546の軸支部546cに摺動可能に軸支される連結摺動部材547と、その連結摺動部材547に締結固定されると共に前垂れ部548bが本体部材541の前方で移動可能に形成される装飾部材548と、を主に備える。
本体部材541は、骨格を形成する板状の本体部541aと、その本体部541aの幅方向中央部において背面側へ向けて突設される円柱状の突起部541bと、その突起部541bの背面視左側に上下一対で突設される第1嵩上げ締結部541cと、突起部541bの背面視右側に上下一対で突設される第2嵩上げ締結部541dと、本体部541aの背面視左上部に突設される案内締結部541eと、本体部541aの正面側に複数(本実施形態では3箇所)形成され前板部材546が締結固定される締結孔541fと、を主に備える。
突起部541bは、回動アーム部材550の円弧状孔554に挿通される部分である。そのため、突起部541bの直径は、円弧状孔554の内周面の幅寸法より若干小さく形成される。また、突起部541bが円弧状孔554に挿通されるので、回動アーム部材550を揺動させると、本体部材541を連動させることができる。
第1嵩上げ締結部541cは、第1案内部材542を締結固定する部分であり、第2嵩上げ締結部541dは、第2案内部材543を締結固定する部分である。第1嵩上げ締結部541cよりも第2嵩上げ締結部541dの方が縦方向に離れる距離が長いのは、回動アーム部材550に干渉しない位置を選択して配設されるためである。ここで、本実施形態において、回動アーム部材は、その回動軌跡において、本体部材541の正面視左下方を通過しない(図37、図40及び図44参照)。そのため、一対の第2嵩上げ締結部541dの配設間隔を第1嵩上げ締結部541cに比較して広げることが可能となり、第2嵩上げ締結部541dの剛性を向上させることができる。
案内締結部541eは、第1案内部材542の補助締結部542eが締結固定される部分であり、伸縮演出装置540の伸張状態において、回動アーム部材550の上面が案内される部分である。即ち、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554に案内されていなくとも、回動アーム部材550の上方への回動には案内締結部541eが回動アーム部材550の上面に案内されるので、回動アーム部材550と伸縮演出部材540とが連動して動作される。
締結孔541fは、前板部材546の締結部546bが締結固定される貫通孔である。
第1案内部材542は、第1嵩上げ締結部541cに締結固定される締結板部542aと、その締結板部542aの上面に背面側へ一段乗り上げた位置から上方向へ延設される背面規制部542bと、その背面規制部542bの左右両側から背面へ壁状に突設される案内レール部542cと、背面規制部542bの上端部において背面側へ突設された部分に上下方向へ貫通形成される挿通孔542dと、背面規制部542bから延設され案内締結部541eに締結固定される補助締結部542eと、を主に備える。
背面規制部542bは、回動アーム部材550の背面に配設される部分であって、回動アーム部材550が背面へ移動し円弧状孔554から突起部541bが脱落することを防止する部分である。
案内レール部542cは、伸縮演出装置540が伸縮動作する場合にスライド板544のレール受け部544dの移動を案内し、スライド板544の第1案内部材542に対する姿勢のずれを抑制する部分である。
挿通孔542dは、スライド板544のスライド棒544eが挿通される孔である。挿通孔542dの内径はスライド棒544eの直径より若干大きく形成されるので、スライド板544は第1案内部材542に対してスライド移動可能に形成される。
第2案内部材543は、第2嵩上げ締結部541dに締結固定される締結板部543aと、その締結板部543aの上面に背面側へ一段乗り上げた位置から上方向へ延設される背面規制部543bと、その背面規制部543bの左右両側から背面へ壁状に突設される案内レール部543cと、背面規制部543bの上端部において背面側へ突設された部分に上下方向へ貫通形成される挿通孔543dと、を主に備える。
背面規制部543bは、回動アーム部材550の背面に配設される部分であって、回動アーム部材550が背面へ移動し円弧状孔554から突起部541bが脱落することを防止する部分である。
案内レール部543cは、伸縮演出装置540が伸縮動作する場合にスライド板544のレール受け部544dの移動を案内し、スライド板544の第1案内部材543に対する姿勢のずれを抑制する部分である。
挿通孔543dは、スライド板544のスライド棒544eが挿通される孔である。挿通孔543dの内径はスライド棒544eの直径より若干大きく形成されるので、スライド板544は第1案内部材543に対してスライド移動可能に形成される。
スライド板544は、矩形板状に形成される本体部544aと、その本体部544aの背面において上下方向へ延設される幅広の窪みが形成される凹設部544bと、その凹設部544bの左右両側の正面において上下方向へ延設される窪みが形成される両端凹設部544cと、その両端凹設部544cの上下端部において正面側へ向けて半円状に突設されるレール受け部544dと、両端凹設部544cの内側で上下方向に延設される円柱状のスライド棒544eと、本体部544aの上下方向略中央に正面へ向けて突設される演出補助壁544fと、凹設部544bの上下端において左右両端で背面へ向けて突設されるストッパ部544gと、を主に備える。
凹設部544bは、回転板520の伸縮ストッパ524に対してスライド板544を案内する部分である。そのため、凹設部544bの内側面の幅は、伸縮ストッパ524の幅寸法よりも若干大きく形成される。
両端凹設部544cは、案内部材542,543の挿通孔542d,543dが穿設される突起部を収容する部分である。これにより、案内部材542,543の挿通孔542d,543dが穿設される突起部を外側から案内することができる。
レール受け部544dは、案内部材542,543の案内レール部542c,543cに収容される部分である。これにより、案内部材542,543のスライド板544に対するぐらつきを抑制することができる。
スライド棒544eは、案内部材542,543の挿通孔542d,543dに挿通される円柱状の棒である。これにより、案内部材542,543はスライド棒544eの延設方向(図26上下方向)にスライド移動可能に形成される。
演出補助部544fは、伸縮演出装置540が伸張状態の時に装飾部材548の後ろ垂れ部548cに当接され、装飾部材548を移動させる部分である。これにより、伸縮演出装置540の外観を変化させることができる。
ストッパ部544gは、回転板520の伸縮ストッパ524に当接され、スライド板544の上下移動端を規定する部分である。
スライドレール545は、市販のミニレール部材である。一方の端部が回転板520のレール受け溝523に沿って締結固定され、その一方の端部の反対側の他方の端部がスライド板544の凹設部544bに締結固定される。
前板部材546は、遊技者から視認可能な演出部分であって、本体部材541と正面視において略同形状に形成される板状の本体部546aと、その本体部546aから背面側へ向けて締結孔541fの形成位置に合わせて突設される締結部546bと、本体部546aの上端部から背面側へ向けて突設される一対の軸支部546cと、を主に備える。
締結部546bは、本体部材541に前板部材546を固定する部分であって、締結孔541fを通してネジ止めすることで締結部546bが締結固定される。
軸支部546cは、連結摺動部材547を摺動可能に軸支する部分である。そのため、軸支部546cの直径は連結摺動部材547の摺動長孔547bの内周面の幅よりも若干小さく形成される。
連結摺動部材547は、板状に形成される本体部547aと、上下に延びる長孔状に形成され前後方向に穿設される一対の摺動長孔547bと、上下方向に穿設される一対の挿通孔547cと、を主に備える。
摺動長孔547bは、前板部材546の軸支部546cが挿通される部分である。そのため、摺動長孔547bの内周面の幅は軸支部546cより若干大きく形成される。摺動長孔547bの内周面の幅より外形の大きいカラー部材が軸支部546cの先端部に締結固定されることで、連結摺動部材547は、前板部材546に引き抜き不能に軸支される。挿通孔547cは、装飾部材548を締結固定する締結ネジが挿通される円形孔である。
装飾部材548は、板状に形成され連結摺動部材547が下方から締結固定される本体部548aと、その本体部548aの前側で下方へ垂下して形成される前垂れ部548bと、本体部548aの後ろ側で下方へ垂下して形成される後ろ垂れ部548cと、を主に備える。
前垂れ部548bは、連結摺動部材547が前板部材546に対して移動すると、前板部材546に被さる状態(図43参照)と、前板部材546とは離間して視認される状態(図37参照)とを形成可能である。これにより、伸縮演出部材540の外観を変化させることができ、演出効果を向上させることができる。
後ろ垂れ部548cは、伸縮演出装置540の伸縮動作によりスライド板544の演出補助壁544fに当接される部分であり、後ろ垂れ部548cが演出補助壁544fに当接されることで装飾部材548が前板部材546に対して移動される。
図24及び図25に戻って説明する。回動アーム部材550は、長尺に棒状に形成される本体部551と、その本体部551の一方の端部に前後方向に穿設される軸支孔552と、その軸支孔552に近接して本体部551の背面側に形成される特殊形状の有底長孔である異形長孔553と、一方の端部の反対側の端部である他方の端部の正面側に形成される円弧状の有底長孔である円弧状孔554と、本体部551の軸支孔552付近において背面側へ突設され先端が鉤状に折り曲げられると共にねじりバネ517aの他方の腕部が係止される係止部555と、を主に備える。
軸支孔552は、ベース部材510の第3軸部517が挿通される円形孔である。そのため、軸支孔552の内径は、第3軸部517の直径より若干大きく形成され、それにより回動アーム部材550が第3軸部517を中心に回動可能に形成される。
異形長孔553は、回動クランク部材570の摺動突起部574が挿通される部分である。異形長孔553の形状については後述する。
円弧状孔554は、伸縮演出装置540の突起部541bが挿通される長孔である。そのため、円弧状孔554の幅寸法は突起部541bの直径より若干大きく形成される。また、円弧状孔554の形成する円弧は、伸縮演出装置540が伸張状態で第1軸部512を中心に揺動された場合に突起部541bが形成する円弧と一致する(図37から図39まで参照)。
また、円弧状孔554は、回転アーム部材550の他方の端部の先端部に開放され、先端部において幅が広がる口先部554aを備える。
第2駆動装置560は、回動クランク部材570を回転させる駆動力を発生させる装置であって、ベース部材510に締結固定される駆動モータ561と、ベース部材510の第2貫通孔516に挿通され駆動モータ561により軸回転される駆動ギア562と、を主に備える。
駆動ギア562は、回動クランク部材570の伝達ギア歯572に歯合される。これにより、駆動ギア562が回転されると、それに伴い回動クランク部材570が回転される。
回動クランク部材570は、回動アーム部材550に駆動力を伝達する部材であって、第2軸部515に軸支されるリング状の本体部571と、その本体部571の外周面に刻設される伝達ギア歯572と、その伝達ギア歯572の正面側に被さる態様で形成される規制傘部573と、本体部571の中心とは偏心した位置で正面側に突設される摺動突起部574と、本体部571の内周径よりも大きな直径で形成され第2軸部515の正面側に締結固定される蓋部575と、を主に備える。
伝達ギア歯572は、第2駆動装置560の駆動ギア562と歯合される。これにより、駆動モータ561の駆動力が回動クランク部材570に伝達される。
規制傘部573は、駆動ギア532が伝達ギア歯572の正面側に位置ずれすることを抑制する。これにより、駆動ギア532と伝達ギア歯572との歯合関係を適正化することができる。
摺動突起部574は、回動アーム部材550の異形長孔553に挿通される部分である。即ち、摺動突起部574と回動アーム部材550の形状との関係により、駆動力の伝達が形成されるか否かが決定される。
蓋部575は、本体部571をベース部材510に引き抜き不能に配設するための部分である。
図28から図31を参照して、回動アーム部材550の揺動と回動クランク部材570の回転との関係について説明する。まず、図28(a)及び図29(a)を参照して、回動アーム部材550の異形長孔553の形状について説明する。
図28(a)及び図29(a)は、回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図28(a)では、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態が図示され、図29(a)では、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態が図示され、図28(a)及び図29(a)において、異形長孔553と摺動突起部574とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
図28(a)に示すように、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態において、回動クランク部材570の回転軸および摺動突起部574を結ぶ直線と、回動クランク部材570の回転軸および軸支孔552を結ぶ直線と、が直交される上向き直交状態が形成される。
図29(a)に示すように、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態において、回動クランク部材570の回転軸および摺動突起部574を結ぶ直線と、回動クランク部材570の回転軸および軸支孔552を結ぶ直線と、が直交される下向き直交状態を形成可能とされる。なお、図29(a)では、上述した下向き直交状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに所定角度回転された状態が図示される。
異形長孔553は、摺動突起部574が移動することで駆動力が回動アーム部材550に伝達される伝達溝部553aと、その伝達溝部553aの上端部から連結される第1非伝達壁部553bと伝達溝部553aの下端部から連結される第2非伝達壁部553cと、それら第1非伝達壁部553bと第2非伝達壁部553cとを連結する選択壁部553dと、を主に備える。
伝達溝部553aは、図28(a)に示すように、上向き直交状態において回動クランク部材570の摺動突起部574を起点として、左方に直線的に延設される凹設溝である。伝達溝部553aは、回転クランク部材570の摺動突起部574が上向き直交状態から下向き直交状態へ移動可能な長さで形成され、その内周面の形成幅は摺動突起部574の直径より若干大きく形成される。そのため、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動する間、回動クランク部材570から駆動力が回動アーム部材550へ伝達される。
第1非伝達壁部553bは、図28(a)に示すように、上向き直交状態において、伝達溝部553aの右端部の上側壁面から、回動クランク部材570の回転軸を中心とした摺動突起部574の外接円に沿って形成される壁部である。即ち、上向き直交状態から回転クランク部材570が正面視時計回りに回転される場合、回動クランク部材570が回動アーム部材550に対して空回りし、回動クランク部材570から駆動力は回動アーム部材550へ伝達されない。
なお、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態(図28(a)参照)から回動アーム部材550が正面視反時計回りに回転されるとき、第1非伝達壁部553bの移動方向は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bと対向配置される場合、回動アーム部材550が回転されることで摺動突起部574へ与えられる負荷は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bに対向配置される場合、回動アーム部材550の回転が防止される。
第2非伝達壁部553cは、図29(a)に示すように、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態において、伝達溝部553aの右端部の下側壁面から、回動クランク部材570の回転軸を中心とした摺動突起部574の外接円に沿って形成される壁部である。即ち、下向き直交状態(図29(a)の状態から回動クランク部材570が正面視時計回りに所定量回転された状態)から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される場合、回動クランク部材570が回動アーム部材550に対して空回りし、回動クランク部材570から駆動力は回動アーム部材550へ伝達されない。
なお、図29(a)に図示される状態から回動アーム部材550が正面視時計回りに回転されるとき、第2非伝達壁部553bの移動方向は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cと対向配置される場合(図29(b)参照)、回動アーム部材550が回転されることで摺動突起部574へ与えられる負荷は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに対向配置される場合、回動アーム部材550の回転が防止される。
選択壁部553dは、第1非伝達壁部553bの正面視右端部と、第2非伝達壁部553cの正面視右端部とを結ぶ滑らかな曲面から形成される壁部であり、第1非伝達壁部553bを延長させた曲線よりも上側に形成される。
選択壁部553dは、第2非伝達壁部553cの右側部分と対向配置され、選択壁部553dの左端部へ向かうほど第2非伝達壁部553cとの距離が離される態様で形成される。そのため、例えば上向き直交状態(図28(a)参照)から、回動クランク部材570を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bを越え第2非伝達壁部553cに到達するまでの間の余裕部D(図32(b)参照)では、回動アーム部材550には駆動力が伝達されず、かつ回転の規制も生じない。即ち、回動クランク部材570から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず、かつ摺動突起部574による回動アーム部材550の回転の規制も生じない。
第2非伝達壁部553cの右端部は、軸支孔552を中心とした円弧S1に沿って形成される(円弧S1との形成角度が小さい)一方で、選択壁部553dの右端部は、第2非伝達壁部553cの右端部と円弧S1との形成角度よりも大きな角度で軸支孔552を中心とした円弧S2と交差する態様で形成される。
この場合、摺動突起部574と軸支孔552との距離が変化する場合に、その変化量に対応するため必要となる回動アーム部材550の揺動量が変化する。即ち、摺動突起部574と選択壁部553dの右端部が当接した状態で摺動突起部574と軸支孔552との間隔が所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量は、摺動突起部574と第2非伝達壁部553cの右端部が当接した状態で所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量に比較して小さくなる。従って、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに沿って回転するか、選択壁部553dに沿って回転するかで、回動クランク部材570の速度に対する回動アーム部材550の揺動速度を変化させることができる。
図28から図31に戻って説明する。図28から図31は、回動アーム部材550の揺動および回動クランク部材570の回転を時系列で図示した回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図28(a)では、上述した上向き直交状態が形成され(回動アーム部材550が退避位置に配置され)、図28から図31では、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される状態が順に図示され、異形長孔553と回動クランク部材570の一部とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
なお、図28から図31までにおいて、伸縮演出装置540は上下方向に伸縮する姿勢を位置検出センサ(図示せず)で検出され、その姿勢で揺動を停止される。即ち、図28から図31までにおいて、突起部541bは上下方向にのみ移動する。この場合、伸縮演出装置540の揺動は第1駆動装置530(図25参照)の駆動ギア532との間の抵抗により防止される。
図28(a)の状態では、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる。この場合において、突起部541bから鉛直下方に距離h1だけ下がった位置に基準水平線Oを設定する。即ち、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる場合、突起部541bは基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
図28(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T1だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の伝達溝部553aを移動され、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2<h1)だけ離間した位置に配置される状態(図28(b)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
図28(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T2(T2≒180度>T1)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の伝達溝部553aを移動され(伝達領域)、第2非伝達壁部553cに対面する領域に侵入し、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h3(h3<h2)だけ離間した位置に配置される状態(図29(a)参照)の状態に到達する。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
図28(c)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T3(T3>T2)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図29(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
なお、図29(a)及び図29(b)の状態から回動アーム部材550を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制され、それにより、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図29(a)及び図29(b)の状態からの正面視時計回りの回転を防止される。
ここで、回動アーム部材550の回転を図29(a)の状態で停止させる方法としては、回動クランク部材570を停止させることが考えられる。しかし、回動アーム部材550の演出速度を張出位置へ到達する直前まで高速とし回動クランク部材570を急停止させると第2駆動装置560に負荷がかかり、回動クランク部材570の速度低下を緩やかにすると演出効果を向上させることができなくなる。
一方、本実施形態では、図28及び図29に示すように、回動クランク部材570を図29(a)の状態で停止させず図29(b)の状態まで回転させることで、回動アーム部材550の回転を図29(a)の状態で停止させることができる(突起部541を基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に停止させることができる)。これにより、回動アーム部材550を張出位置に到達させるまで回動クランク部材570の速度を維持し、その後、図29(a)の状態から図29(b)の状態までに回動クランク部材570を減速させることができる。そのため、回動クランク部材570を急停止させる必要がない。従って、回動アーム部材550の演出効果の向上と、第2駆動装置560の耐久性の向上との両立を図ることができる。
図29(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T4(T4≒270度>T3)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図30(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
即ち、回動クランク部材570が図29(a)に示す状態から、反時計回りに1/4周回転される間、回動アーム部材550が同じ姿勢に維持され、突起部541bが同じ位置に維持される。なお、回動アーム部材550が同じ姿勢に維持され、突起部541bが同じ位置に維持される長さは本実施形態では回動クランク部材570が1/4周回転される間とされたが、それに限定される必要はない。前板部材546が下方位置に配置され続ける長さは、異形長孔553の第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)の長さを変えることで変化させることができる。例えば、第2非伝達壁部553cを本実施形態より長くすることで、前板部材546が下方位置に配置され続ける長さを本実施形態より長くすることができる。
図30(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T5(T5>T4)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の選択壁部553dを押し上げ、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2>h3)だけ離間した位置に配置される状態(図30(b)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
即ち、回動アーム部材550及び回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される場合には、選択壁部553dと摺動突起部574とが当接されることで、回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
図30(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T6(T6>T5)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域に侵入し、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h1(h1>h2)だけ離間した位置に配置される状態(図31参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
図31の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域を移動され、図28(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されない(非伝達領域)。
なお、図31の状態から回動アーム部材550を正面視反時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制され、それにより、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図31の状態からの正面視反時計回りの回転を防止される。
ここで、回動アーム部材550の回転を図31の状態で停止させる方法としては、回動クランク部材570を停止させることが考えられる。しかし、回動アーム部材550の演出速度を退避位置へ到達する直前まで高速とし回動クランク部材570を急停止させると第2駆動装置560に負荷がかかり、回動クランク部材570の速度低下を緩やかにすると演出効果を向上させることができなくなる。
一方、本実施形態では、回動クランク部材570を図31の状態で停止させず図28(a)の状態まで回転させることで、回動アーム部材550の回転を図31の状態で停止させることができる。これにより、回動アーム部材550を張出位置に到達させるまで回動クランク部材570の速度を維持し、その後、図31の状態から図28(a)の状態までに回動クランク部材570を減速させることができる。そのため、回動クランク部材570を急停止させる必要がない。従って、回動アーム部材550に連動される伸縮演出装置540の演出効果の向上と、第2駆動装置560の耐久性の向上との両立を図ることができる。
図28から図31に示すように、回動クランク部材570を同じ方向へ1回転させることで、回動アーム部材550を退避位置から張出位置の間を往復で揺動させることができる。
これらのことから、図28から図31に示すように回動クランク部材570を反時計回りに等速で回転させる場合、回動クランク部材570の回転周期の半分の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動される。それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に維持され、それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動される。これにより、回動クランク部材570が等速で移動される場合であっても突起部541bの移動速度(伸縮演出装置540の伸縮方向への移動速度)を2倍に変化させることができる。
ここで、回動アーム部材550の退避位置において、回動アーム部材550及び回動クランク部材570は上向き直交状態を形成可能とされ(図28(a)参照)、回動アーム部材550の張出位置において、回動アーム部材550及び回動クランク部材570は下向き直交状態を形成可能とされる(図29(a)参照)。なお、図29(a)の状態から、回動クランク部材570を正面視時計回りに所定量回転させることで下向き直交状態を形成可能である。
そのため、本実施形態において、回動アーム部材550を退避位置から張出位置に揺動させるために、回動クランク部材570が半周(180度)回転される。そのため、回動クランク部材570が等速で回転される場合、回動アーム部材550が退避位置から張出位置まで揺動されるのに要する時間(図28(a)から図29(a)まで参照)と、張出位置から退避位置まで揺動されるのに要する時間(図29(a)から図31を経て図28(a)まで参照)とを同等にすることができる。
図32から図35を参照して、回動アーム部材550の揺動と回動クランク部材570の回転との関係について説明する。図32から図35は、回動アーム部材550の揺動および回動クランク部材570の回転を時系列で図示した回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図32から図35では、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される状態が図示され、異形長孔553と回動クランク部材570の一部とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
なお、図32(a)では、上述した上向き直交状態が形成され(回動アーム部材550が退避位置に配置され)、図32(b)から図35では、図32(a)から回動アーム部材550及び回動クランク部材570が所定量回転された状態が時系列に沿って順に図示される。
図32(a)の状態では、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる。この場合において、突起部541bは基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
図32(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T11だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域を移動され、図32(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h1だけ離間した位置に維持される。
なお、図32(b)の状態から回動アーム部材550を正面視反時計回りに回転させる場合、摺動突起部574は移動を規制されるので、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図32(b)の状態からの正面視反時計回りの回転を防止される。
図32(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T12(T12>T11)だけ回転される)と、図33(a)に示すように、摺動突起部574が異形長孔553の内周面と若干離間され、回動アーム部材550は重力の作用により下方へ揺動される。この場合、図32(b)の状態から摺動突起部574が第1非伝達壁部553bを越え第2非伝達壁部553cに到達するまでの間の余裕部Dでは、回動アーム部材550には駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h4(h4<h1)だけ離間した位置に配置される。
図33(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T13(T13>T12)だけ回転される)と、図33(b)に示すように、重力の作用で下方へ揺動する回動アーム部材550の異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動突起部574が当接される。即ち、図33(b)の状態から、図34(a)の状態までは、回動アーム部材550に駆動力が伝達される(伝達領域)。図33(b)の状態では、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h5(h5<h4)だけ離間した位置に配置される。
図33(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T14(T14≒90度>T13)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cの右端部に収容され、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に配置される状態(図34(a)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が当接され、回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
ここで、図32(b)から図34(a)までに示される回動クランク部材570の回転と、図30(a)から図31までに示される回動クランク部材570の回転とは、回動クランク部材570の回転方向が異なるが、回動クランク部材570の回転領域(位相)は同じである。
この場合に、図32(b)から図34(a)までに示される回動クランク部材570の回転では、回動クランク部材570の摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が当接されない間は回動アーム部材550に駆動力が伝達されず(非伝達領域)、一方で、図30(a)から図31までに示される回動クランク部材570の回転では、常時、回動アーム部材550に駆動力が伝達される(伝達領域)。
従って、回動クランク部材570の回転方向により、回動アーム部材550への駆動力の伝達の態様を変化させることができる。これにより、回動クランク部材570の回転方向を反転させることで、回動アーム部材550の演出態様を2通り形成することができる。
即ち、本実施形態では、回動クランク部材570の摺動突起部574が図32(a)と図34(a)との間を回転する場合に、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転されると、回動アーム部材550は、摺動突起部574が異形長孔553の内周面と当接するまでは、重力加速度に依存した自由落下で揺動される(非伝達領域)。一方で、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転されると、回動アーム部材550は回転クランク部材570の回転速度に依存した速度で揺動される(伝達領域)。
これにより、回動クランク部材570の回転速度が等速とされる場合でも、回動クランク部材570の回転方向を反転させることで、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の回動アーム部材550の揺動速度のバリエーションを増やすことができる。
また、回動アーム部材550の揺動速度のバリエーションの増加は、異形長孔553の形状(余裕部Dの形成)により達成されるので、回動アーム部材550への駆動力の伝達の態様を変化させるための切換スイッチなど他の部材を不要とでき、部材コストを低減することができる。
本実施形態では、余裕部Dが回動アーム部材550の軸支孔552側に形成される。そのため、余裕部Dが回動クランク部材570の回転軸に対して軸支孔552の反対側に形成される場合に比較して、摺動突起部574が余裕部Dを所定距離通過する間に突起部541bが下方へ移動する距離を長くすることができる。そのため、回動クランク部材570の余裕部Dの形成範囲を抑制しつつ、回動クランク部材570の回転方向を異ならせた場合の回動アーム部材550の動作の変化を顕著にすることができる。
図34(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T15(T15>T14)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図34(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
なお、図34(b)の状態から回動アーム部材550を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制されるので、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図34(b)の状態からの正面視時計回りの回転を防止される。
図34(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T16(T16≒180度>T15)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図35(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
図35(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T17(T17>T16)だけ回転される)と、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動され(伝達領域)、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2>h3)だけ離間した位置に配置される状態(図35(b)参照)に到達する。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
ここで、回動クランク部材570の回転と回動アーム部材550の揺動とが常時連動する場合、回動クランク部材570と回動アーム部材550との始動のタイミングをずらすことが困難であった。そのため、回動クランク部材570と回動アーム部材550とを始動させる際には、各部材の慣性に打ち勝つ力の剛性分の大きな力を発生させることが必要となる。そのため、駆動力の大きな駆動装置が必要となり、駆動装置が大型化する恐れがあった。
一方、本実施形態では、回動クランク部材570と回動アーム部材550との始動のタイミングをずらすことができる。即ち、例えば、図34(b)の状態から図35(a)の状態までは回動クランク部材570のみを回転させ、図35(a)の状態から図35(b)の状態に到達するまでに回動クランク部材570に連動させることで回動アーム部材550を始動させることができる。
これにより、回動アーム部材550の始動には回動クランク部材570の勢いを利用することができるので、第2駆動装置560に必要な駆動力を抑制することができる。従って、第2駆動装置560を小型化することができる。
図35(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転されると、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動され、図32(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
これらのことから、図32から図35に示すように回動クランク部材570を時計回りに等速で回転させる場合、回動クランク部材570の回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動される。それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に維持され、それに続く回転周期の半分の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動される。これにより、回動クランク部材570が等速で移動される場合であっても突起部541bの移動速度(伸縮演出装置540の伸縮方向への移動速度)を2倍に変化させることができる。
また、回動アーム部材550の移動速度は、下降移動する場合は部分的に重力加速度で増速され、その一方で、上昇移動する場合は常時回動クランク部材570の回転速度に沿った速度とされる。これにより、突起部541b(伸縮演出装置540)の速度変化の態様を突起部541b(伸縮演出装置540)の移動の向きにより変化させることができる。
図36を参照して、回動クランク部材570が時計回り又は反時計回りに回転される場合の突起部541b(伸縮演出装置540)の基準水平線Oからの距離の変化について説明する。
図36は、突起部541b(図28(a)参照)の基準水平線Oからの距離を表すグラフである。図36に示すグラフは、横軸に、回動クランク部材570の上側直交状態(図28(a)参照)を左端として、そこから右方へ増大する態様で揺動角度が示され、縦軸に、突起部541bの基準水平線Oからの距離が示される。
図36では、回動クランク部材570が反時計周りに回転される場合の突起部541bの基準水平線Oからの距離が曲線CC1で示され、回動クランク部材570が時計周りに回転される場合の突起部541bの基準水平線Oからの距離が曲線CW1で示される。なお、曲線CC1,CW1は、それぞれ図28から図35までの突起部541bの状態と対応しており、各曲線の、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の比較のために、曲線CC1を左右反転させた曲線が曲線CC2として想像線で図示される。曲線CC1,CW1の比較により、上述したように、回動クランク部材570の回転方向が反転することで、回動アーム部材550により上下移動される突起部541bの上昇速度および下降速度を変化させることができる。
なお、曲線CW1の比較対象として、回動クランク部材570が時計回りに回転する場合に摺動突起部574が第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)に当接するまでは回動アーム部材550(図28(a)参照)が退避位置に配置される場合を曲線CW2として破線で図示する。なお、これは、ねじりバネ517a(図23参照)が回動アーム部材550を上向きに揺動させる付勢力が大きく設定される場合に対応する。この場合、回動アーム部材550が退避位置に配置される期間をより長くすることができる。
曲線CC1,CW1において、突起部541b(図28(a)参照)の水平基準線Oからの距離が変化されずに維持される角度範囲N1において、回動クランク部材570と回動アーム部材550(図28(a)参照)との間で駆動力が伝達されない非伝達領域が形成される。なお、この角度範囲N1の幅は、第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)の形成幅により調整することができる。
また、曲線CW1において、回動クランク部材570(図28(a)参照)の摺動突起部574が回動アーム部材550の異形長孔553(図28(a)参照)に当接するまでの角度範囲N2では、回動クランク部材570と回動アーム部材550との間で駆動力が伝達されない非伝達領域が形成される。なお、この角度範囲N2の幅は、第1非伝達壁部553b(図28(a)参照)の形成幅により調整することができる。
図36に示すように、回動クランク部材570(図28(a)参照)が同一位相に配置される場合である角度T11から角度T14までと、角度T4から角度T6までとの間において、曲線CW1と曲線CC1との形状が異なっている(曲線CW1と曲線CC1を左右反転させた曲線CC2とが重ならない)。
即ち、角度T4から角度T6までの間を回動クランク部材570(図28(a)参照)が回動アーム部材550(図28(a)参照)を持ち上げる態様で回転する場合の方が、角度11から角度T14までの間を回動クランク部材570が回動アーム部材550を押し下げる態様で回転する場合に比較して緩やかな曲線となる。
これは、曲線CW1では摺動突起部574(図28(a)参照)が異形長孔553の第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)に当接して回動アーム部材550(図28(a)参照)が回転され、曲線CC1では、摺動突起部574が異形長孔553の選択壁部553d(図28(a)参照)に当接して回動アーム部材550が回転されることによる。
図28(a)に戻って説明する。上述したように、異形長孔553において、第2非伝達壁部553cの右端部は、軸支孔552を中心とした円弧S1に沿って形成される(円弧S1との形成角度が小さい)一方で、選択壁部553dの右端部は、第2非伝達壁部553cの右端部と円弧S1との形成角度よりも大きな角度で軸支孔552を中心とした円弧S2と交差する態様で形成される。
この場合、摺動突起部574と軸支孔552との距離が変化する場合に、その変化量に対応するため必要となる回動アーム部材550の揺動量が変化する。即ち、摺動突起部574と選択壁部553dの右端部が当接した状態で摺動突起部574と軸支孔552との間隔が所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量は、摺動突起部574と第2非伝達壁部553cの右端部が当接した状態で所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量に比較して小さくなる。
従って、図36に示すように、回動クランク部材570を等速で回転させる場合であっても、回動クランク部材570の回転方向によって、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の突起部541bの移動速度を変化させることができる。
図28から図35では、回動クランク部材570が一方向に回転される場合を説明したが、回動クランク部材570の回転方向を途中で反転させることも可能である。回動クランク部材570の回転方向を反転させるタイミングとしては、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bに対向配置される状態(例えば図28(a)、図31、図32(a)及び図32(b)参照、回動アーム部材550は退避位置に配置される)や、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに対向配置される状態(例えば図29(a)、図29(b)、図34(b)及び図35(a)参照、回動アーム部材550は張出位置に配置される)が好ましい。
この場合、回動クランク部材570の回転方向に回動アーム部材550が当接されないので、回動クランク部材570の回転方向反転時に回動アーム部材550から回動クランク部材570に負荷される抵抗を抑制することができる。また、本実施形態では、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態と、張出位置に配置される状態とを検出する位置検出センサ(図示せず)が配設されるので、回動アーム部材550が退避位置または張出位置に配置された状態で回動クランク部材570の回転方向を反転する制御を容易とすることができる。
回転クランク部材570の回転方向を反転させることで、伸縮演出装置540の上下方向への往復動作のバリエーションを増やすことができる。
例えば、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態(図28(a)参照)から、回動クランク部材570が反時計回りに半周回転され(図29(a)参照)、次いで、回動クランク部材570の回転の向きが反転され、時計回りに半周回転されることで、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合が例示される(図28(a)参照)。即ち、摺動突起部574が軸支孔552の反対側を移動される場合である。
この場合、伸縮演出装置540の突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の半分の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動する。この場合、突起部541bは、横軸が0度から180度までの曲線CC1(図36参照)にそって下降移動する。次いで、突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の半分の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動する。この場合、突起部541bは、横軸が180度から360度までの曲線CW1(図36参照)にそって上昇移動する。
これにより、回動クランク部材570が等速で回転する場合、伸縮演出装置540の突起部541bが所定距離(h1-h3)だけ下降移動する期間と、所定距離(h1-h3)だけ上昇移動される期間とを同じにすることができる。
また、例えば、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態(図32(a)参照)から、回動クランク部材570が時計回りに1/4周回転され(図34(a)参照)、次いで、回動クランク部材570の回転の向きが反転され、反時計回りに1/4周回転されることで、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合が例示される(図32(a)参照)。即ち、摺動突起部574が軸支孔552に近接される側を移動する場合である。
この場合、伸縮演出装置540の突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の1/4の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動する。この場合、突起部541bは、横軸が0度から90度までの曲線CW1(図36参照)にそって下降移動する。次いで、突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の1/4の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動する。この場合、突起部541bは、横軸が270度から360度までの曲線CC1(図36参照)にそって上昇移動する。
これにより、回動クランク部材570が等速で回転される場合、伸縮演出装置540の突起部541bが所定距離(h1-h3)だけ下降移動される期間と、所定距離(h1-h3)だけ上昇移動される期間とを同じにすることができると共に、その所定期間を摺動突起部574が軸支孔552の反対側を移動される場合に比較して短くすることができる。
また、伸縮演出装置540の突起部541bが下降移動する場合は部分的に(角度T11から角度T13まで)自由落下とすることができ、その一方で、伸縮演出装置540の突起部541bが上昇移動する場合は常時回動クランク部材570の回転速度に沿った速度で移動される。そのため、回動クランク部材570の回転速度が同じ場合でも、伸縮演出装置540の突起部541bの移動方向によって、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の伸縮演出装置540の移動態様(速度変化の度合い)を変化させることができる。換言すれば、図36の角度T11から角度T13までの範囲における曲線CW1と曲線CC2とを異ならせることができる。
次いで、伸縮演出装置540の伸縮状態の違いによる揺動角度の違いについて説明する。まず、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合の揺動角度について説明する。
図37から図39は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図37から図39では、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合(回動アーム部材550が張出位置に配置される場合)が図示される。また、図37では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図38では、図37の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図39では、図37の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。なお、図37から図39に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図29(a)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図37から図39において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h3だけ離間した位置に配置される。
図37から図39に図示されるように、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡は、第1軸部512を中心とした円弧状に形成され、回動アーム部材550の円弧状孔554の延設方向に沿う。換言すれば、突起部541bの揺動軌跡に沿って円弧状孔554が延設される。そのため、突起部541bの揺動方向に対面して円弧状孔554の内側面が配置されることはなく、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働くことは無い。従って、突起部541bの揺動角度は、回転板520の揺動の規制の仕方に依存する。即ち、回転板520が第3ストッパ部518cに当接されるまで揺動可能であり、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ1まで揺動可能とされ、回転板520が第2ストッパ部518bに当接されるまで揺動可能であり、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ2まで揺動可能とされる。
ここで、図39に示すように、突起部541bが正面視左側に揺動角度θ2で揺動されると、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554から離間する。この場合、伸縮演出装置540は回動アーム部材550から独立して伸縮方向へ移動され、突起部541bが円弧状孔554へ復帰できなくなり、動作不良をおこす恐れがある。
これに対し、本実施形態では、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554から離間した状態でも、伸縮演出装置540の第1嵩上げ締結部541c及び案内締結部541eが回動アーム部材550と係合可能に配設されることで、突起部541bと円弧状孔554との位置合わせを行うことができる。即ち、伸縮演出装置540が回動アーム部材550と独立して伸縮方向へ移動されることを防止することができる。
これにより、突起部541bが円弧状孔554へ復帰できなくなる不良を解消しながら、回動アーム部材550の長さを短くすることができる。これにより、回動アーム部材550の配設領域を抑制し、その分、他の可動部材の配設領域を確保することができる。また、回動アーム部材550の材料コストを削減することができる。
また、突起部541bが円弧状孔554から離間した状態(図39参照)で回動アーム部材550が揺動すると、突起部541bと円弧状孔554との位置関係がずれ、突起部541bが円弧状孔554へ復帰することが困難となり、動作不良を起こす恐れがある。これに対し、本実施形態では、摺動突起部574が異形長孔553に当接することで、回動アーム部材550の揺動が防止される(図39参照)。
それに加えて、摺動突起部574の回転軸から遠い側の点(回転軸から最も遠い点)の移動軌跡が、摺動突起部574と当接される異形長孔553の側面に沿って形成される(図39参照)ので、回動アーム部材550の姿勢を維持したまま、回動クランク部材570を図39の状態から反時計回りに回転させることができる。
ここで、例えば、図28から図31までに示すように、回動クランク部材570が反時計回りに回転する場合において、回動アーム部材550が張出位置に配置された直後(図29(a)参照)に突起部541bが円弧状孔554から離間され、次いで、回動クランク部材570が図30(a)に示す状態に配置されるまでに突起部541bが円弧状孔554に復帰する場合を考える。突起部541bが円弧状孔554に復帰した後であれば、回動クランク部材570が更に回転され、図30(b)に示す状態まで回動アーム部材550が揺動しても、突起部541bが円弧状孔554に復帰できなくなるという動作不良が起きることはない。
この場合、回動アーム部材550と伸縮演出装置540とをそれぞれ揺動動作させる場合に、突起部541bと円弧状孔554との位置関係に合わせて回動クランク部材570を停止制御または始動制御する必要は無く、回動クランク部材570の回転を継続できる。換言すれば、制御する必要があるのは伸縮演出装置540の揺動のタイミングのみで、回動クランク部材570は制御の必要はなく、回転を継続させたままとしておけば良い。そのため、伸縮演出装置540と回動アーム部材550とを異なったタイミングでそれぞれ揺動させる複雑な動作の制御負担を抑制することができる。
なお、本実施形態では、円弧状孔554の開口端部(図39左端部)へ向かうほど、円弧状孔554の幅を広げられる口先部554aが形成される。これにより、突起部541bが円弧状孔554へ復帰する場合の位置ずれ(伸縮演出装置540の伸縮方向の位置ずれ)を大きく許容することができ、第1嵩上げ締結部541c及び案内締結部541eの回動アーム部材550とのクリアランスを大きく確保することができる。
次いで、伸縮演出装置540が伸張状態と縮小状態との間の状態である中間状態を形成する場合の揺動角度について説明する。伸縮演出装置540が伸張状態とされる状態(図37参照)から、回動アーム部材550を時計回りに揺動させることで、突起部541bが円弧状孔554に対応して移動し、伸縮演出装置540が中間状態を形成する。
図40から図42は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図40から図42では、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合(回動アーム部材550が張出位置と退避位置との中間に配置される場合)が図示される。この場合、突起部541bの揺動軌跡が形成する半径は、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合(図37から図39参照)より短い。即ち、突起部541bの揺動軌跡が伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により変化される。
また、図40では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図41では、図40の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図42では、図40の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。
なお、図40から図42に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図28(b)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図40から図42において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h2だけ離間した位置に配置される。
このとき、前板部材546は、回動アーム部材550が揺動することで円弧状孔554が上方に移動するのに連動して従動する。そのため、円弧状孔554には、後述するように突起部541bの揺動角度を変化させる機能と、回動アーム部材550及び前板部材546を連動させる機能とを合わせ持つ。これにより、機能の集約化を図ることができる。
図40から図42に図示されるように、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡と、回動アーム部材550の円弧状孔554の形状とは、曲率半径の中心軸は共に上側で一致するものの、曲率半径や姿勢が互いに異なる。突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554とは、形成角度α1(図42参照)で交差するので、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働く(図42参照)。
図41に示すように、回転板520が正面視反時計回りに回転される場合、突起部541bは円弧状孔554とは当接されない。即ち、回転板520が第3ストッパ部518cに当接されるまで揺動可能とされるので、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ3まで揺動可能とされる(角度θ3=角度θ1)。
図42に示すように、回転板520が正面視時計回りに回転される場合、突起部541bは円弧状孔554の第1ストッパ面554bで当接される。この状態において、案内締結部541eが回動アーム部材550の上側面に当接され、伸縮演出装置540の伸縮方向への状態変化が防止されるので、図42の状態において伸縮演出装置540の揺動が停止される。
即ち、回転板520は第3ストッパ部518cに当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ4まで揺動可能とされる(角度θ4<角度θ2)。従って、伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により、突起部541bの揺動角度を変化させることができる。これにより、伸縮演出装置540の伸縮状態を異ならせることで、伸縮演出装置540の揺動角度のバリエーションを増やすことができる。なお、図42の状態において、案内締結部541eが回動アーム部材550の本体部551に当接される。
次いで、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合の揺動角度について説明する。伸縮演出装置540が中間状態とされる状態(図40参照)から、回動アーム部材550を時計回りに揺動させることで、突起部541bが円弧状孔554に対応して移動し、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する。
図43から図45は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図43から図45では、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合(回動アーム部材550が退避位置に配置される場合)が図示される。この場合、突起部541bの揺動軌跡が形成する半径は、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合(図40から図42参照)より短い。即ち、突起部541bの揺動軌跡が伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により変化される。
また、図43では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図44では、図43の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図45では、図43の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。なお、図43から図45に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図28(a)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図43から図45において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
このとき、前板部材546は、回動アーム部材550が揺動することで円弧状孔554が上方に移動するのに連動して従動する。そのため、円弧状孔554には、突起部541bの揺動角度を変化させる機能と、回動アーム部材550及び前板部材546を連動させる機能とを合わせ持つ。これにより、機能の集約化を図ることができる。
図43から図45に図示されるように、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡と、回動アーム部材550の円弧状孔554の形状とが互いに異なり、曲率半径の中心軸は反転する。即ち、突起部541bの揺動軌跡の曲率半径の中心軸は突起部541bの下方にあり、円弧状孔554の曲率半径の中心軸は円弧状孔554の上方に配置される。この場合、突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554とが、形成角度α2(角度α2>角度α1)で交差し、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働く(図44及び図45参照)。
図44に示すように、回転板520が正面視反時計回りに回転される場合、突起部541bが円弧状孔554の第2ストッパ面554cで当接される。この場合、回転板520は第3ストッパ部518c(図41参照)に当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ5まで揺動可能とされる(角度θ5<角度θ1=角度θ3)。
図45に示すように、回転板520が正面視時計回りに回転される場合、突起部541bが円弧状孔554の第3ストッパ面554dで当接される。この場合、回転板520は第3ストッパ部518cに当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ6まで揺動可能とされる(角度θ6<角度θ4<角度θ2)。従って、伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により、突起部541bの揺動角度を変化させることができる。これにより、伸縮演出装置540の揺動幅のバリエーションを増やすことができる。
ここで、中間状態における突起部541bの移動軌跡と円弧状孔554との形成角度α1よりも、縮小状態における突起部541bの移動軌跡と円弧状孔554との形成角度α2の方が大きく形成される。
突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554との関係において、形成角度が90度であれば、突起部541bが円弧状孔554を横断する態様で揺動されることになり、突起部541bの揺動角度は最小とされる。一方、突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554との関係において、形成角度が0度(図37から図39参照)であれば、突起部541bが円弧状孔554の延設方向に沿って揺動されることになり、突起部541bの揺動角度は最大とされる。そのため、縮小状態(形成角度α2)における突起部541bの揺動角度を中間状態(形成角度α1)における突起部541bの揺動角度に比較して小さくすることができる(形成角度α1<形成角度α2)。
上述したように、伸縮演出装置540の伸縮状態が変化されることで、突起部541bの揺動角度が変化され、その際、円弧状孔554の内周面(第1ストッパ面554b、第2ストッパ面554c及び第3ストッパ面554d)が、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパとして機能する。これにより、円弧状孔554の内周面を、伸縮演出装置540の伸縮状態が異なる各場合において、突起部541bの揺動角度を規制する部分として兼用することができる。そのため、突起部541bの揺動角度を規制するストッパを配設するスペースを抑制することができる。
また、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパは、回動アーム部材550が退避位置に配置されることで第3図柄表示装置81の正面側からは退避される。従って、第3図柄表示装置81の正面側に固定のストッパを配設する場合と異なり、回動アーム部材550が退避位置に配置されてもストッパが第3図柄表示装置81の前面に残留することを防止することができる。これにより、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合には、他の部材を第3図柄表示装置81の前面に配置させることができるので、他の可動部材(例えば、スライド動作ユニット700の支柱部材720)の張出スペースを確保することができる。
また、回動アーム部材550の円弧状孔554は、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパとしての機能と、回動アーム部材550を揺動させることで伸縮演出装置540に第2駆動装置560の駆動力を伝達し、伸縮演出装置540に伸縮動作をさせる伝達装置としての機能と、を備える。これにより、機能の集約化を図ることができ、部品点数を減少させることができる。
図46から図57を参照して、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700について説明する。傾倒動作ユニット600は演出部材620を首振り動作(傾倒動作)させるユニットであり(図12参照)、スライド動作ユニット700は傾倒動作ユニット600を左右方向へスライド移動させるユニットである。図46は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面斜視図であり、図47は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の背面斜視図である。なお、図46及び図47では、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の支柱部材720(図47参照)が退避位置に配置された状態が図示される。
図48は、スライド動作ユニット700の正面分解斜視図であり、図49は、スライド動作ユニット700の背面分解斜視図である。なお、図48及び図49では、理解を容易とするために傾倒動作ユニット600が分解されずに図示される。
スライド動作ユニット700は、左右方向に長尺の板状に形成されるベース部材710と、そのベース部材710のスライド板711に一方の端部が締結固定され左右方向にスライド移動可能に形成される支柱部材720と、その支柱部材720に一方の端部が締結固定され傾倒動作ユニット600のベース部材610が締結固定される他方の端部が上下方向に伸縮可能に形成されるスライドレール730と、本体部710の背面レール部716を摺動可能に形成され傾倒動作ユニット600の軸支突部612に軸支される連結部材740と、支柱部材720の左右方向への移動の駆動力を発生させる駆動装置750と、その駆動装置750の背面側に形成されベース部材710に締結固定される背面カバー部材760と、を主に備える。
ベース部材710は、スライド動作ユニット700の骨格を形成する部材であって、左右方向にスライド移動可能に形成され背面側から支柱部材720が締結固定されるスライド板711と、ベース部材710の背面視左下部に断面円形で凹設され固定軸部753aが軸支される軸支孔712と、ベース部材710の背面視右下部に左右方向へ延設される長孔状に凹設され軸支孔712と上下位置が一致されると共に移動軸部754aがスライド可能に軸支されるスライド軸支孔713と、ソレノイドにより上下に揺動可能に形成され支柱部材720の係止部725の左右方向への移動を規制するレバー部材714と、ベース部材710の上端部において正面側へ断面下向き円弧状に突設され連結部材740の上側転動部材742が転動される正面レール部715と、その正面レール部715に背面側から断面円弧状に凹設され連結部材740の挿通板部741bが挿通される背面レール部716と、ベース部材710の背面視左下部に軸支孔712と上下位置が一致する位置であって軸支孔712の右側の位置に配設されるスライド原点検出センサ717と、ベース部材710の背面視右下部にスライド軸支孔713と上下位置が一致する位置であってスライド軸支孔713の左側の位置に配設されるスライド原点検出センサ718と、を主に備える。
レバー部材714がスライド板711に締結固定される支柱部材720の左右方向へのスライド移動を規制するので、傾倒動作ユニット600を退避位置に維持する場合の駆動装置750の駆動力を不要とすることができる。
ここで、本実施形態では、傾倒動作ユニット600が正面レール部715及び背面レール部716の形成方向(円弧軌道)に沿って移動されるので、傾倒動作ユニット600に連結される支柱部材720の左右方向へのスライド移動が傾倒動作ユニット600に負荷される重力の作用で生じ得る。例えば、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置される場合(図46参照)、傾倒動作ユニット600の移動方向は、正面レール部715の形状に沿って斜め下方向へ向けられる。そのため、傾倒動作ユニット600に連結される支柱部材720の移動方向がスライド板711の移動方向に沿った左右方向であっても、支柱部材720が重力により移動される恐れがある。本実施形態では、レバー部材714が下方へ揺動されることで支柱部材720の係止部725とかみ合わせられ、左右方向への支柱部材720の移動が規制されるので、駆動装置750の駆動力を不要としても、支柱部材720を退避位置に維持することができる。従って、駆動装置750の耐久性向上を図ることができる。
スライド原点検出センサ717は、支柱部材720がスライド移動の原点位置(退避位置)に配置されているか否かを検出するために用いられる。スライド原点検出センサ717は、一対の発光部と受光部とを有し、それらの発光部と受光部とはパチンコ機10の前後方向に並べて設けられる。具体的には、発光部はパチンコ機10の背面側から前面側へ向かって光を照射するように配置され、その発光部から照射される光を受光(検出)可能となるように、発光部の前面側に10mmの隙間を設けて受光部が配置される。詳細は後述するが、左右方向に可動される支柱部材720が原点位置(退避位置)へ可動されると、支柱部材720の下端部がスライド原点検出センサ717の発光部と受光部との間に位置するように構成されている。よって、支柱部材720が原点位置(退避位置)に配置されている場合には、発光部から受光部へと向かう光が支柱部材720の下端部によって遮蔽される。これにより、スライド原点検出センサ717の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽されたか否かを判別することによって、支柱部材720が原点位置(退避位置)に配置されているか否かを判別することができる。
スライド位置検出センサ718は、支柱部材720がスライド移動の張出位置に配置されているか否かを検出するために用いられる。スライド位置検出センサ718は、スライド原点センサ717と同一の位置関係の発光部と受光部とを有している。詳細は後述するが、左右方向に可動される支柱部材720が張出位置へと可動されると、支柱部材720の下端部がスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に位置するように構成されている。よって、支柱部材720が張出位置に配置されている場合には、発光部から受光部へと向かう光が支柱部材720の下端部によって遮蔽される。これにより、スライド位置検出センサ718の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽されたか否かを判別することによって、支柱部材720が張出位置に配置されているか否かを判別することができる。
支柱部材720は、上下方向に長尺の板状に形成される本体部721と、その本体部721の下端部に左右方向に連設して前後方向に穿設されベース部材710のスライド板711に締結固定されるネジが挿通される第1締結部722と、本体部721の正面視左端部に上下方向に連設して前後方向に穿設されスライドレール730が締結固定される第2締結部723と、その第2締結部723の連設方向と平行な方向に延設される長孔であって本体部721の正面視右側部に形成されるスライド孔724と、本体部721の右下端部から上向きに突設されレバー部材714とかみ合う鉤状の係止部725と、本体部721の下面に締結固定され本体部721との間に駆動装置750のベルト755が挟み込まれる下蓋部726と、本体部721の下端部背面側から突設され背面カバー部材760のスライド凹設部764の内周面を転動可能に形成される転動部727と、本体部721の上端部から下前方へ吊り下げられ下方の端部においてベース部材610の鉤状部617に連結されるコイルスプリング728と、を主に備える。
スライドレール730は、第2締結部723の連設方向に伸縮可能な姿勢で支柱部材720に締結固定される。
スライド孔724は、第2締結部723の連設方向と平行な方向に延設される長孔であって、傾倒動作ユニット600の補助部材615が挿通される長孔である。そのため、スライド孔724により、上下移動する傾倒動作ユニット600の左右方向への姿勢のずれ(傾倒動作ユニット600の支柱部材720に対する相対回転)を抑制することができる。
下蓋部726は、上面側に前後方向に延設される歯形が形成される。この歯形は、駆動装置750のベルト755の内周面に形成される歯形と歯合される形状とされる。これにより、支柱部材720が駆動装置750のベルト755に対して滑ることを抑制することができる。
また、下蓋部726には、スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部から照射される光を遮蔽するための遮蔽部726aが下面側に設けられている。遮蔽部726aは、支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)のスライド方向(左右方向)に横長な長方形形状であり、可動方向に対する垂直方向の厚みがスライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との隙間(約10mm)に比べて薄く(約1mm)形成される。この遮蔽部726aは、支柱部材720が左右方向に可動されることで、スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に可動可能となっている。支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)が原点位置(退避位置)である場合には、スライド原点検出センサ717の発光部と受光部との間に遮蔽部726aが位置することとなり、スライド原点検出センサ717の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽される。また、支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)が張出位置である場合には、スライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に遮蔽部726aが位置することとなり、スライド位置検出センサ718の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽される。これにより、スライド原点検出センサ717の受光部(または発光部)が遮蔽部726aにより遮蔽されていると検出される場合には、傾倒動作ユニット600が原点位置(退避位置)に配置されていると判別することができる。また、スライド位置検出センサ718の受光部(または発光部)が遮蔽部726aにより遮蔽されていると検出される場合には、傾倒動作ユニット600が張出位置に配置されていると判別することができる。
転動部727は、背面カバー760のスライド凹設部764に転動可能に挿通されることで摩擦抵抗を抑制しつつ、支柱部材720の下端部を軸とした前後方向への傾きを抑制することができる。
コイルスプリング728は、傾倒動作ユニット600を上方へ移動させる付勢力である。傾倒動作ユニット600にはコイルスプリング728からの付勢力が常時負荷されるので、傾倒動作ユニット600が重力により下方へ落下されることが抑制される。
連結部材740は、傾倒動作ユニット600の軸支突部612に回転可能に軸支される三角形板状の本体部材741と、その本体部材741から突設される転動軸741cに軸支されベース部材710の正面レール部715の上面を転動される一対の筒状の上側転動部材742と、本体部材741の転動軸741cに正面側から締結固定され正面レール部715の正面側を覆う態様で配設される前カバー部材743と、その前カバー部材743の背面側下部に配設され下半部を前カバー部材743に外嵌保持され上半部が正面レール部715の下面を転動される筒状の下側転動部材744と、を主に備える。
本体部材741は、三角形板状に形成される部材であって、上端部に背面から凹設される円形の窪みであり傾倒動作ユニット600の軸支突部612に回転可能に軸支される軸支部741aと、下端部に正面側へ突設される板状の部材であってベース部材710の背面レール部716にスライド移動可能に挿通される挿通板部741bと、軸支部741aから挿通板部741bへ引かれた垂線に対し線対称な位置から正面側へ円柱状に突設され上側転動部材742が回転可能に軸支される一対の転動軸741cと、を主に備える。
挿通板部741bは、ベース部材710の背面レール部716に挿通されるので、連結部材740が背面レール部716に沿って移動可能に形成される。そのため、軸支部741aで軸支される傾倒動作ユニット600も、背面レール部716に沿って移動可能に形成される。
転動軸741cは、軸支部741aから挿通板部741bへ引かれた垂線に対して線対称な位置に一対で形成される。そのため、一対の転動軸741cが上側転動部742を介して円弧状に形成される正面レール部715に当接される場合に、正面レール部715の上面から連結部材740へかけられる負荷(円弧の法線方向の力)は、軸支部741aを通る。従って、連結部材740により傾倒動作ユニット600の軸支突部612を安定して保持することができる。
上側転動部材742は、軸支部741aに回転可能に軸支され、正面レール部715の上面に当接される。即ち、連結部材740が正面レール部715に沿ってスライド移動されると、上側転動部742は正面レール部715の上面を転動される。これにより、連結部材740のスライド移動時に生じる摩擦抵抗を減らし、スライド移動に必要な駆動力を抑制することができる。
下側転動部材744は、前カバ-部材743の下部に下半部が回転可能に外嵌され正面レール部715の下面に上端部が当接される。即ち、連結部材740が正面レール部715に沿ってスライド移動されると、下側転動部744は正面レール部715の下面を転動される。これにより、連結部材740のスライド移動時に正面レール部715との間で生じる摩擦抵抗を減らし、スライド移動に必要な駆動力を抑制することができる。
このように、本実施形態では、正面レール部715の上面とは上側転動部材742が転動し、正面レール部715の下面とは下側転動部材744が転動する。これにより、摩擦抵抗を抑制しながら、連結部材740の上側転動部材742と下側転動部材744とにより正面レール部715の上下面を挟んだ状態を維持することができる。
ここで、傾倒動作ユニット600は、後述するように重心が上方に形成されるため、前後方向へ傾く恐れがある。この場合に、連結部材740は、上側転動部材742と下側転動部材744とにより正面レール部715の上下面を挟んでいるので、傾倒動作ユニット600の前後の両方向への傾きに対して、抵抗力を発生させることができる。これにより、傾倒動作ユニット600の姿勢維持をしやすくすることができる。
前カバー部材743は、連結部材740の転動軸741cの正面側から軸支されることで上側転動部材742を引き抜き不能に軸支する。
駆動装置750は、ベース部材710に締結固定されると共に支柱部材720をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ751と、その駆動モータ751に軸支される駆動ギア752と、その駆動ギア752に歯合されると共にベルト755が巻き付けられる軸固定ギア753と、その軸固定ギア753と離間して配設されベルト755が巻き付けられると共に回転軸754aがスライド移動可能に形成される軸移動ギア754と、軸固定ギア753と軸移動ギア754とに巻き付けられ軸固定ギア753の回転により移動されるベルト755と、軸移動ギア754を軸固定ギア753から離反する方向へ移動させる付勢力を発生させるコイルスプリング756と、を主に備える。
軸固定ギア753は、回転軸としての円柱部材であってベース部材710の軸支孔712に挿通される固定軸部753aを備える。また、軸移動ギア754は、回転軸としての円柱部材であってベース部材710のスライド軸支孔713に挿通される移動軸部754aを備える。
軸固定ギア753及び軸移動ギア754は、同形状のギアとして形成される。ベルト755の内周面には軸固定ギア753及び軸移動ギア754のギア歯と噛み合う歯形が形成される。これにより、ベルト755と軸固定ギア753及び軸移動ギア754との間の滑りを抑制し、軸固定ギア753の回転量を確実にベルト755に伝達することができる。
コイルスプリング756は、一方の端部がベース部材710のスライド軸支孔713n背面視右方に形成される鉤状部に固定され、他方の端部が軸移動ギア754を覆うケースに固定される。これにより、軸移動ギア754を軸支孔712の反対側に移動させる付勢力を発生させることができ、ベルト755に適切な張力を与えることができるので、ベルト755が軸固定ギア753及び軸移動ギア754から脱落することを防止することができる。
背面カバー部材760は、ベース部材710の背面において駆動装置750を覆う部材であって、正面側が開かれた箱状に形成される本体部761と、その本体部761の底面において固定軸部753aを受け入れる窪みである凹設部762と、スライド軸支孔713と同形状に延設され移動軸部754aを受け入れる窪みである移動凹設部763と、左右方向に延設され転動部727を受け入れる窪みであるスライド凹設部764と、を主に備える。
スライド凹設部764は、その上下内側面を転動部727が転動される窪みである。支柱部材720のスライド移動の摩擦抵抗を抑制すると共に、支柱部材720が前後方向に傾くことを抑制する。即ち、支柱部材720が前後方向に傾くと、転動部727がスライド凹設部764の上内側面か下内側面のどちらか一方に当接される。これにより、支柱部材720の前後方向への傾きを抑制することができる。
次いで、図50及び図51を参照して、傾倒動作ユニット600について説明する。図50は、傾倒動作ユニット600の正面分解斜視図であり、図51は、傾倒動作ユニット600の背面分解斜視図である。
傾倒動作ユニット600は、スライドレール730の他方の端部に締結固定される板状のベース部材610と、下端部がベース部材610に揺動可能に軸支される箱状の演出部材620と、その演出部材620の揺動の駆動力を発生させる第1駆動装置630と、その第1駆動装置630の駆動力を演出部材620へ伝達する伝達部材640と、その伝達部材640に当接され伝達部材640を移動させる付勢力を生じさせるねじりバネ650と、演出部材620の第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625を開閉動作させる駆動力を発生させる第2駆動装置660と、を主に備える。
ベース部材610は、スライドレール730が締結固定されると共に縦に長尺の板状に形成される本体部611と、その本体部611の正面側から円柱状に突設され連結部材740の軸支部741aが軸支される軸支突部612と、その軸支突部612の鉛直上方で前後方向に穿設される円形孔であり演出部材620の揺動軸部626が揺動可能に軸支される第1軸支孔613と、その第1軸支孔613の鉛直上方で前後方向に穿設される円形孔であり伝達部材640の筒状部642が揺動可能に軸支される第2軸支孔614と、本体部611の背面に形成され支柱部材720のスライド孔724に上下スライド移動可能に挿通される補助部材615と、第1駆動装置630の駆動軸が挿通される挿通孔616と、本体部611の下端部から背面側へ向けて延設される鉤形状の鉤状部617と、本体部611の背面左上部に配設される一対の発光部と受光部とを備える傾倒原点センサ618と、を主に備える。
第2軸支孔614は、その下縁から正面側へ断面円弧状で突設される下受け板部614aを備える。下受け板部614aにより、伝達部材640の筒状部642の回転が案内される。なお、下受け板部614aは、筒状部642の外径と略同等の長さの左右幅で形成される(図53(a)参照)。
補助部材615がスライド孔724に挿通されることで、ベース部材610の左右方向の傾きを抑制できるので、ベース部材610を上下方向にスムーズにスライド移動させることができる。
鉤状部617は、コイルスプリング728の一端が掛けられ、付勢力が負荷される部分である。
図52を参照して、演出部材620及び第2駆動装置660について説明する。図52は、演出部材620及び第2駆動装置660の正面分解斜視図である。なお演出部材620の内部に配設されるサブ表示装置690が想像線で図示され、演出部材620及び第2駆動装置660の説明には図50及び図51を適宜参照する。
演出部材620は、サブ表示装置690が内部に配設される箱状の部材であって、矩形板状の本体部材621と、その本体部材621の上下から前方へ延設され本体部材621に被さる態様で曲げられる上下カバー部材622と、その上下カバー部材622の両側面から取り付けられる板状部材であって上下カバー部材622と共に前方が開口された矩形の箱形状を形成する左右カバー部材623と、前方の開口を開閉する部材であって第2駆動装置660の嵌合孔665aに連結され移動される第1カーテン部材624と、その第1カーテン部材624と共に前方の開口を開閉する部材であって第1カーテン部材624に引かれることで移動される第2カーテン部材625と、本体部材621の背面下部から突設される円柱形状の揺動軸部626と、本体部材621の背面左下側の位置であって演出部材620が原点位置に配置されている場合に傾倒原点センサ618の発光部から受光部へと照射される光を遮蔽する位置に配置されるセンサ遮蔽部627と、を主に備え、重心位置G(図53参照)が揺動軸部626よりも上方(高い位置)に形成される。なお、その重心位置Gは、倒立状態(図53参照)において摺動軸部621a及び揺動軸部626(図53参照)を通る直線上に形成される。
本体部材621は、揺動軸部626の鉛直上方で背面側に突設される円柱状の摺動軸部621a(図51参照)を備える。摺動軸部621aは、伝達部材640(図51参照)の摺動孔643に摺動可能に挿通される。
上下カバー部材622は、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625が駆動装置660の駆動力により開放された状態において、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625を内側に収容する部材である。
左右カバー部材623は、内側面に溝状に形成され第2カーテン部材625のスライド突部625cが摺動可能とされるスライド溝623aを備える。
スライド溝623aは、上下に延設される直線状の溝の上下端に円弧状に形成させる曲線状の溝が連結される。これにより、第2カーテン部材625は、スライド溝623aの形状に沿って直線移動と曲線移動とが順に生じる態様でスライド移動される。
第1カーテン部材624は、第2駆動装置660の開閉軸664を軸に上下方向へ揺動される部材であり、断面C字に板材が折曲された形状の本体部624aと、その本体部624aの端部から左右方向に突設され第2駆動装置660の嵌合孔665aに相対回転不能に嵌合される嵌合部624bと、その嵌合部624b付近で一方の端部が本体部624に揺動可能に軸支され他方の端部が第2カーテン部材625の連結突部625bに連結される連結部材624cと、を主に備える。
第2カーテン部材625は、第1カーテン部材624に引かれて上下方向へ移動される部材であり、断面C字の板状に形成される本体部625aと、その本体部624aの断面C字の端部から左右方向に突設され連結部材624cの他方の端部と連結される連結突部625bと、本体部625aの折曲部付近から左右方向外側へ突設され左右カバー部材623のスライド溝623aに挿通されるスライド突部625cと、を主に備える。
第2駆動装置660は、演出部材620の背面側に締結固定される駆動モータ661と、その駆動モータ661に軸支される駆動ギア662と、その駆動ギア662に一方のギアが歯合され互いに反対方向に回転される一対の伝達ギア663と、その伝達ギア663に相対回転不能に挿通され図示しない軸支機構により演出部材620の本体部材621の正面側に回転可能に軸支される開閉軸664と、その一対の開閉軸664の両端に相対回転不能に固定される伝達部材665と、を主に備える。
伝達部材665は、第1カーテン部材624の嵌合部624bが相対回転不能に嵌合される嵌合孔665aを備える。これにより、第1カーテン部材624は、開閉軸664を軸として上下に揺動される。
図50及び図51に戻って説明する。第1駆動装置630は、ベース部材610の挿通孔616に駆動軸が挿通されベース部材に締結固定される駆動モータ631と、その駆動モータ631の駆動軸に固定されるネジ歯車形状のウォーム632と、そのウォーム632と噛み合うはす歯歯車形状のウォームホイール633と、を主に備える。
ウォーム632は、2条ねじで形成される。本実施形態では、ウォーム632と噛み合うウォームホイール633の歯数が約20とされるので、ウォーム632が10回転する間にウォームホイール633は1回転する。これにより、駆動モータ631が制御の分解能の最小単位で動作される場合の、ウォームホイール633及び伝達部材640の回転角度を大幅に低減することができる。
ウォームホイール633は、回転軸中心から突設されベース部材610の第2軸支孔614に挿通されると共に伝達部材640の筒状部643に相対回転不能に係止される係止突部633aを備える。なお、ウォーム632とウォームホイール633との間の駆動力の伝達は、構造上、ウォーム632からウォームホイール633への一方向に限定される(ウォームホイール633が能動的に回転すると、その力はウォーム632の軸方向にかかる)。これにより、ウォームホイール633を停止させる際に駆動モータ631が受ける負荷を低減することができる。また、駆動モータ631の動力を断った状態においてウォームホイール633及び伝達部材640を停止させておくことができ、駆動モータ631の電力消費量を抑制することができる。
図53を参照して、伝達部材640及びねじりバネ650について説明する。図53(a)及び図53(b)は、伝達部材640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図53(a)及び図53(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示され、伝達部材640及びねじりバネ650の説明には図50及び図51を適宜参照する。また、図53(a)では、伝達部材640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、この状態において、ねじりバネ650の付勢力は伝達部材640の揺動方向で釣り合っている。図53(b)では、図53(a)の倒立状態から伝達部材640が正面視反時計回りに所定量揺動され演出部材620が所定量揺動された状態が図示される。
伝達部材640は、ウォームホイール633(図50参照)の回転により揺動される部材であって、長尺矩形の棒状に形成される本体部641と、その本体部641の一方の端部において前後方向に延設され第1駆動装置630の係止突部633aが係止される筒状部642と、本体部641の他方の端部に筒状部642の軸径方向に延設される長孔として穿設される摺動孔643と、本体部641の揺動方向両側に離間して配設される当接部644と、その当接部644と本体部641の正面側側面とを連結する幅のある円弧形状の正面円弧板部645と、当接部644と本体部641の背面側側面とを連結する幅のある円弧形状の背面円弧板部646と、を主に備える。
図53に示すように、当接部644、正面円弧板部645及び背面円弧板部646は、ねじりバネ650の付勢腕部652を取り囲む態様で配設される。これにより、ねじりバネ650が伝達部材640から脱落する(外れる)ことを防止することができる。
筒状部642は、ベース部材610の第2軸支孔614(図50参照)に軸支され、第1駆動装置630の係止突部633a(図50参照)に相対回転不能に係止される。
摺動孔643は、演出部材620の摺動軸部621aが挿通される。これにより、伝達部材640が第1駆動装置630(図50参照)の駆動力により第2軸支孔614(図50参照)を中心に揺動されると、演出部材620の摺動軸部621aが摺動孔643を摺動され(軸径方向にスライド移動され)ながら、演出部材620が第1軸支孔613を中心に揺動される。
このように演出部材620を揺動させることで、第1駆動装置630の制御の分解能の最小単位で駆動モータ631を回転させる場合の演出部材620の揺動角度を抑制することができる。例えば、演出部材620を揺動させる方法として、演出部材620の揺動軸部626にギアを直結して、そのギアに駆動モータの駆動力を伝達する方法も考えられる。しかし、この場合、駆動モータを制御の分解能の最小単位の角度P0(図53(a)参照、なお、理解を容易にするために、実際の角度P0に対して角度を数倍に大きく図示している)で回転させる場合に演出部材620の重心Gが倒立状態から左右方向にずれる移動量X1は、演出部材620の重心Gが揺動軸部626から離間するほど大きくなる。そのため、演出部材620の重心Gが揺動軸部626から離間するほど、演出部材620の重心Gの位置調整が困難になり、演出部材620の重心Gが揺動軸部626の真上に配置される倒立状態に演出部材620を静止させることが困難となる。
これに対し、本実施形態では、駆動モータ631の駆動力を演出部材620に伝達する伝達部材640が演出部材620の摺動軸部621aに連結される。この摺動軸部621aから伝達部材640の揺動軸である筒状部642までの長さが、摺動軸部621aから演出部材620の揺動軸である揺動軸部626までの長さに比較して短く形成される。
そのため、演出部材620が揺動軸部626の径方向に長尺な場合であっても、第1駆動装置630の制御の分解能の最小単位の角度P0(図53(a)参照、なお、理解を容易にするために、実際の角度P0に対して角度を数倍に大きく図示している)で第1駆動装置630を動作させる場合の演出部材620の重心Gの移動量X2を抑制することができる。そのため、演出部材620の重心Gが揺動軸である揺動軸部626の真上に配置される倒立状態に演出部材620を静止させることを容易とすることができる。
また、演出部材620を揺動させる方法として、演出部材620に揺動軸部626を中心とした円弧上にギア歯を形成し、そのギア歯に歯合するギアを駆動モータで回転させることで演出部材620を揺動させる方法が考えられる。しかし、この場合、演出部材620の揺動範囲が大きくなるほど、円弧上のギア歯を形成する範囲が演出部材620の左右方向に大きく必要となる。そのため、演出部材620を揺動方向に細い形状で形成する場合には、円弧上のギア歯が演出部材620からはみ出ししてしまうため、演出効果の妨げとなる。そのため、演出部材620の設計自由度が低くなる。
一方で、本実施形態では、演出部材620に駆動モータ631の駆動力を伝達する伝達部材640は、揺動軸である筒状部642が演出部材620の揺動軸である揺動軸部626の鉛直上方に配置されると共に、演出部材620の左右方向中心で揺動軸部621aと連結される。伝達部材640に追従して演出部材620は揺動するので、演出部材620の揺動範囲に対する伝達部材640の形成範囲を演出部材620の左右方向中央付近に抑えることができる。これにより、演出部材620を左右方向に細いものとしても、演出部材620から伝達部材640がはみ出すことを抑制することができ、演出部材620の設計自由度を向上させることができる。
演出部材620の摺動軸部621aの下面は伝達部材640の摺動孔643の内周面に当接される。これにより、演出部材620の重さが揺動軸部626だけでなく、伝達部材640へも負荷される。即ち、演出部材620の重さに対向する力を、揺動軸部626だけでなく伝達部材640の筒状部642からも生じさせることができる。そのため、演出部材640を揺動軸部626及び筒状部642の2点で支持することができ、揺動軸部626及び筒状部642に負荷される径方向の力を抑制することができる。
ここで、演出部材620は、図53(a)に示す倒立状態が平常状態とされるので、伝達部材640が揺動され倒立状態から所定量揺動された後で、素早く倒立状態に復帰できることが望ましい。
本実施形態では、図53(b)に示すように、伝達部材640が図53(a)に図示される状態から正面視反時計回りに揺動角度φ1で揺動されると、演出部材620は揺動角度φ2で揺動される(φ2<φ1)。
即ち、第1駆動装置630(図50参照)の駆動力で揺動される伝達部材640の揺動角度に比較して演出部材620の揺動角度の方が小さくされる。そのため、演出部材620を倒立状態(図53(a)参照)に復帰しやすくすることができる。
また、本実施形態では、伝達部材640の軸径方向に長孔状の摺動孔643が形成され、その摺動孔643に演出部材620の摺動軸部621aが挿通される。そして、伝達部材640と演出部材620の揺動軸が異なり、伝達部材640の摺動孔643の方が演出部材620の摺動軸部621aに比較して揺動半径が短いため、伝達部材640が揺動されるほど、摺動軸部621aが伝達部材640の揺動軸から遠ざかる。そのため、倒立状態(図53(a)参照)における演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さR1が、倒立状態から所定量揺動された状態(図54(b)参照)における演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さR2に比較して短くされる。
即ち、倒立状態に近づくほど伝達部材640の腕長さが短くされることになり、伝達部材640が所定角度揺動される場合の演出部材620の揺動角度を伝達部材640の腕長さが一定の場合に比較して、倒立状態に近づくほど小さくすることができる。そのため、駆動モータ631の回転速度を変化させずとも、所定の停止位置付近では演出部材620の動作速度を増加させる一方、倒立状態付近では演出部材620の動作速度を減少させ、演出部材620を倒立状態で静止しやすくすることができる(演出部材620の重心が第1軸支孔613の鉛直上方に配置された状態で演出部材620を停止制御することを容易にすることができる)。
図55を参照して、演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さを変化させることによる、伝達部材640の揺動角度に対する演出部材620の揺動角度の変化について説明する。
図55は、伝達部材640(図53(a)参照)の揺動角度に対する演出部材620(図53(a)参照)の揺動角度を模式的に示す模式図である。図55において、回転軸M1が演出部材620の回転軸である揺動軸部626(図53(a)参照)に対応し、回転軸M2が伝達部材640の揺動軸である筒状部642(図53(a)参照)に対応する。直線a1~a4は、伝達部材640の配置を模式化したものであり、回転軸M2から放射状に描かれる直線であって、直線a1は回転軸M1を通り、直線a2~a4は、直線a1との形成角度を順に15度ずつ加算する態様で形成される。即ち、直線a1~a4の隣り合う直線どうしの形成する角度は15度ずつとされる。
回転軸M2を中心として腕長さR1(図53(a)参照)と等しい半径で描かれる円弧が円弧SR1で図示され、回転軸M2を中心として腕長さR2(図54(b)参照)と等しい半径で描かれる円弧が円弧SR2で図示される。なお、円弧SR0は、回転軸M1を中心として描かれる円弧であり、腕長さR1に回転軸M1及び回転軸M2の間の距離を加えた長さの半径の円弧である。
これらの円弧は、演出部材620と伝達部材640(図53(a)参照)との連結位置の軌跡を仮定するものである。本実施形態では、連結位置としての摺動軸部621a(図53(a)参照)が演出部材620から突設され、演出部材620と伝達部材640との連結位置は円弧SR0に沿って移動する。なお、演出部材620と伝達部材640との連結位置が円弧SR1や円弧SR2に沿って移動する場合としては、演出部材620に軸径方向に長尺の長孔が形成され、伝達部材640からその長孔に挿通される軸が突設される場合が想定される。
また、図55に示すように、直線a1と円弧SR0との交点が交点P10で図示され、直線a1と円弧SR1との交点が交点P11で図示され、直線a1と円弧SR2との交点が交点P12で図示される。
同様に、直線a2と円弧SR0との交点が交点P20で図示され、直線a2と円弧SR1との交点が交点P21で図示され、直線a2と円弧SR2との交点が交点P22で図示される。直線a3と円弧SR0との交点が交点P30で図示され、直線a3と円弧SR1との交点が交点P31で図示され、直線a3と円弧SR2との交点が交点P32で図示される。直線a4と円弧SR0との交点が交点P40で図示され、直線a4と円弧SR1との交点が交点P41で図示され、直線a4と円弧SR2との交点が交点P42で図示される。なお、交点P10及び交点P11は同じ位置に配置され、交点P40及び交点P42は同じ位置に配置される。
また、図55に示すように、回転軸M1及び交点P10を通る直線と回転軸M1及び交点P20を通る直線とが形成する角度が角度A10で図示され、回転軸M1及び交点P11を通る直線と回転軸M1及び交点P21を通る直線とが形成する角度が角度A11で図示され、回転軸M1及び交点P12を通る直線と回転軸M1及び交点P22を通る直線とが形成する角度が角度A12で図示される。
同様に、回転軸M1及び交点P20を通る直線と回転軸M1及び交点P30を通る直線とが形成する角度が角度A20で図示され、回転軸M1及び交点P21を通る直線と回転軸M1及び交点P31を通る直線とが形成する角度が角度A21で図示され、回転軸M1及び交点P22を通る直線と回転軸M1及び交点P32を通る直線とが形成する角度が角度A22で図示される。回転軸M1及び交点P30を通る直線と回転軸M1及び交点P40を通る直線とが形成する角度が角度A30で図示され、回転軸M1及び交点P31を通る直線と回転軸M1及び交点P41を通る直線とが形成する角度が角度A31で図示され、回転軸M1及び交点P32を通る直線と回転軸M1及び交点P42を通る直線とが形成する角度が角度A32で図示される。なお、これらの角度は、演出部材620の揺動角度に対応する。
ここで、(回転軸M1及び回転軸M2の距離:腕長さR1:腕長さR2)の比率は、本実施形態では、(1:2.32:2.54)とされる。角度を実測すると、角度A32は11.07度であり、角度A31は10.77度であり、角度A30は11.37度である。即ち、直線a4から直線a3までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合が最も演出部材640の揺動角度が大きく、円弧SR2に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合以上で形成される(角度A30は角度A31よりも角度A32に近い)。
角度A22は10.87度であり、角度A21は10.59度であり、角度A20は10.82度である。即ち、直線a3から直線a2までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合の揺動角度は、円弧SR2に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合を下回る。この場合には、角度A22と角度A20との差は、角度A20と角度A21との差よりも小さい(角度A20は角度A21よりも角度A22に近い)。
角度A12は10.78度であり、角度A11は10.50度であり、角度A10は10.53度である。即ち、直線a2から直線a1までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合の揺動角度は、円弧SR1に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合を上回る。この場合には、角度A12と角度A10との差は、角度A10と角度A11との差よりも大きい(角度A10は角度A12よりも角度A11に近い)。
これらから、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡を円弧SR0とすることで、例えば、伝達部材640が等速で揺動される場合に、演出部材620の角速度の調整自由度を向上させることができることがわかる。即ち、直線a4に伝達部材640が配置される時の角速度は伝達部材640と演出部材620との連結位置の軌跡が円弧SR2の場合の角速度(高速側)に寄せ、直線a1に伝達部材640が配置される時の角速度は伝達部材640と演出部材620との連結位置の軌跡が円弧SR1の場合の角速度(低速側)に寄せることができる。
また、それぞれの角度の比を計算すると、角度A22/角度A32は、0.98であり、角度A12/角度A22は、0.99である。角度A21/角度A31は、0.98であり、角度A11/角度A21は、0.99である。即ち、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡が円弧SR1,SR2である場合には、伝達部材640が等速で倒立状態へ向けて揺動される場合の演出部材620の角速度の減速比率は1~2%と小さい。
一方、角度A20/角度A30は、0.95であり、角度A10/角度A20は、0.97である。即ち、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡が円弧SR0(回転軸M1を中心とした円弧)である場合には、伝達部材640が等速で倒立状態へ向けて揺動される場合の演出部材620の角速度の減速比率を3~5%とすることができる。即ち、連結位置の軌跡が円弧SR1,SR2(回転軸M2を中心とした円弧)である場合に比較して、演出部材620の角速度の減速比率を大きくすることができる。
図53(a)に示すように、倒立状態において演出部材620の摺動軸部621aは伝達部材640の摺動孔643の下端部に当接される。倒立状態において、演出部材620の重心Gは演出部材620の揺動軸部626及び伝達部材640の筒状部642の鉛直上方に形成されるので、演出部材620の自重による力が揺動軸部626及び筒状部642に対し鉛直下方へかけられる。そのため、演出部材620の自重により演出部材620を揺動される方向の成分の力が発生しないので、第1駆動装置630の動力を遮断しても演出部材620の姿勢を倒立状態で維持することができる。これにより、第1駆動装置630の耐久性向上を図ることができる。
また、演出部材620の自重による力が揺動軸部626及び筒状部642に対し鉛直下方へかけられることから、揺動軸部626及び筒状部642の回転抵抗を上昇させることができ、演出部材620の倒立状態での姿勢維持をしやすくすることができる。
ねじりバネ650は、伝達部材640の揺動に伴いコイル部651を巻き戻す方向(伝達部材640を押し戻す方向)に付勢力が発生される弾性バネであり、演出部材620の揺動軸部626の周囲に巻かれるコイル部651と、伝達部材640の本体部641の揺動方向両側面に沿って延設される付勢腕部652と、コイル部651の端部および付勢腕部652の端部を筒状部642及び揺動軸部626の間を通って連結する連結腕部653と、を主に備える。
コイル部651は、演出部材620の揺動軸部626の直径の約3倍の内径で形成される。そのため、付勢腕部652が揺動されコイル部651を縮径変形させる負荷が生じる場合に、コイル部651の変形量を確保することができ、付勢腕部652や連結腕部653に変形が集中することを抑制することができる。
付勢腕部652は、伝達部材640の本体部641、当接部644、正面円弧板部645及び背面円弧板部646により囲われる。これにより、付勢腕部652が伝達部材640から脱落する(外れる)ことを防止することができる。
また、付勢腕部652は伝達部材640の揺動する平面上で下受け板部614aと当接可能に形成される。そのため、伝達部材640の揺動方向に配置される付勢腕部652からは、伝達部材640を押し戻す付勢力が発生され、伝達部材640の揺動方向の反対側に配置される付勢腕部652は、下受け板部614aに移動を防止される。これにより、ねじりバネ650は、伝達部材640の揺動方向によらず伝達部材640を押し戻す方向への付勢力を発生可能に形成される。
付勢腕部652及び連結腕部653の連結部分において、伝達部材640の反対側に屈曲される屈曲部653aが形成される。この場合、後述するように伝達部材640の当接部644が、ねじりバネ650の屈曲部653aに押し付けられることで、屈曲部653aが伸張される(図54(b)参照)。これにより、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材640の本体部641との当接位置が筒状部642から遠くなり、伝達部材640にねじりバネ650から負荷されるモーメントを増大させることができる。
図54を参照して、ねじりバネ650から発生され伝達部材640を押し戻す付勢力の変化について説明する。図54(a)及び図54(b)は、伝達部材640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図54(a)及び図54(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示され、ねじりバネ650から発生される付勢力の変化の説明には図53を適宜参照する。
また、図54(a)では、図53(b)の状態から、更に伝達部材640が正面視反時計回りに回転され正面視左側の付勢腕部652が伝達部材640の当接部644の内側面に押し付けられ始める状態が図示され、図54(b)では、図54(a)の状態から、更に伝達部材640が正面視反時計回りに回転され、ねじりバネ650の屈曲部653aが引き延ばされた状態が図示される。
図54(a)の状態では、ねじりバネ650の正面視左側の付勢腕部652には、伝達部材640を押し返す付勢力が生じる。この付勢力は、コイル部651を起点として生じる付勢力と、屈曲部653aを起点として生じる付勢力との総和となる。
即ち、図53(b)の状態では、一対の屈曲部653aの内、正面視左側に配置される屈曲部653aに伝達部材640が押し付けられないため、ねじりバネ650の正面視左側の付勢腕部652には、伝達部材640を押し返す付勢力として、コイル部651を起点とした付勢力のみが生じる。
一方、図54(a)の状態では、コイル部651を起点とした付勢力に加え、屈曲部653aを起点とした付勢腕部652の変形により付勢力が生じる。そのため、付勢腕部652のバネ定数を増大させることができる。なお、屈曲部653aを起点とした付勢腕部652の変形は、コイル部651を起点とした変形に比較して、変形を受ける部分の長さが短くなるので、伝達部材640の単位変形量当たりで生じる付勢力をより大きくすることができる。
図54(b)の状態では、ねじりバネ650の屈曲部653aが伝達部材640の当接部644により押されることで、付勢腕部652及び連結腕部653の成す角度が広げられる。これにより、図54(a)の状態における伝達部材640の本体部641及びねじりバネ650の付勢腕部652の当接位置と筒状部642との間の距離である当接位置長さL1に比較して、図54(b)の状態における同様の当接位置長さL2が伝達部材640の筒状部642から離反される。即ち、当接位置長さが伸張される。これにより、伝達部材640を押し戻すねじりバネ650の腕長さが長くされるので、ねじりバネ650から伝達部材640へ負荷されるモーメントを増大させることができる。
従って、例えば、図54(a)の状態と図54(b)の状態とで、ねじりバネ650が発生させる付勢力が略同等である場合、図54(b)において、より伝達部材640へ負荷されるモーメントを大きくすることができる。そのため、伝達部材640及び演出部材620をより押し戻し易くすることができる。
図53及び図54に示すように、伝達部材640を押し戻すねじりバネ650の付勢力は、伝達部材640(演出部材620)の退避位置からの揺動角度が小さい内は小さく、揺動角度が大きくなるほど弾性的に増加され、図54(a)の状態を境に弾性的な増加分以上に増加される。そのため、演出部材620が最大揺動角度(図54(b)参照)とされた場合に必要なねじりバネ650の付勢力が決定されている場合に、ねじりバネが弾性的な増加のみを行う場合に比較して、揺動角度が小さい場合の付勢力をより小さく設定することができる(柔らかいバネを使用することができる)。
これにより、演出部材620の揺動開始時の動作速度がねじりバネ650の付勢力に減速される度合いを低減することができ、演出部材620の動作開始時の動作速度を高速化することができる。
また、図54(a)の状態を境に付勢力が弾性的な増加分以上に増加されることから、演出部材620の揺動角度が図54(a)の状態以上とされる場合の、演出部材620の減速加速度を上げることができる。これにより、演出部材620の揺動動作の間で、演出部材620を減速させ始めるタイミングを遅らせることができる。従って、演出部材620を高速状態で揺動させられる揺動角度を拡大することができ、傾倒動作ユニット600の演出効果を向上させることができる。
次いで、図56を参照して、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700のスライド動作について説明する。図56は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面図である。なお、図56では、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置された状態が想像線で図示され、傾倒動作ユニット600が退避位置から所定量スライド移動された状態が実線で図示される。
図56に示すように、上下方向にスライド移動可能に形成される傾倒動作ユニット600とスライド動作ユニット700とを連結する連結部材740は、正面レール部715の延設方向に移動可能に形成される。ここで、傾倒動作ユニット600の重さは連結部材740に負荷されるので、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置されると、傾倒動作ユニット600が重力により正面レール部715に沿って正面視左方に付勢される。そのため、傾倒動作ユニット600を退避位置に維持するために、駆動装置750を固定することが考えられる。
これに対し本実施形態では、レバー部材714が上下に揺動可能に形成され、レバー部材714が下方へ揺動されると、支柱部材720の係止部725と噛み合わされ、支柱部材720の左右方向へのスライド移動が規制される。
これにより、傾倒動作ユニット600を退避位置に機械的に維持することが可能となるので、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置される場合に駆動装置750を停止させた状態で傾倒動作ユニット600を退避位置に維持できる。従って、駆動装置750の耐久性を向上させることができる。
なお、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置された状態から、レバー部材714を上方へ揺動させ、駆動装置750を動作させることで、支柱部材720を移動可能となり、傾倒動作ユニット600を左右方向にスライド移動させることができる。
図56に示すように、傾倒動作ユニット600が倒立状態で退避位置に配置されると、傾倒動作ユニット600の重心Gの鉛直下方に連結部材740の軸支部741aが配置される。
ここで、傾倒動作ユニット600のスライド移動の方向は正面レール部715に沿うため、図56において、退避位置(図56の想像線参照)から所定量スライド移動される間において傾倒動作ユニット600の移動は、常時、上下方向成分を備える。
そのため、傾倒動作ユニット600の重心Gと連結部材740の軸支部741aとが鉛直方向でずれていると、連結部材740から傾倒動作ユニット600を回転させる方向に負荷がかけられる恐れがある。これは、逆方向へ傾倒動作ユニット600がスライド移動される場合も同様である。
これに対し、本実施形態では、重心Gの鉛直下方に連結部材740の軸支部741aが配置されるので、連結部材740から傾倒動作ユニット600に負荷される力の上下方向成分と重心Gとが同一線上に形成される。これにより、連結部材740から傾倒動作ユニット600を回転させる方向に負荷がかけられることを抑制することができ、傾倒動作ユニット600の姿勢を安定させることができる。
次いで、図57を参照して、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)が、スライド動作ユニット700のスライド動作に与える影響について説明する。図57は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面図である。なお、図57では、傾倒動作ユニット600の演出部材620が図54(b)の状態まで揺動された状態が図示される。
図57に示すように、演出部材620が正面視反時計回りに揺動された状態において、演出部材620の重心Gは、連結部材740よりも正面視左側に配置される。そのため、連結部材740に負荷される正面視左向きの加速度が増大される。
この場合、傾倒動作ユニット600を退避位置からスライド動作させるために必要な駆動力を抑制することができるので、駆動装置750の駆動モータ751を小型化することができる。
<第2実施形態>
次いで、図58及び図59を参照して、第2実施形態における傾倒動作ユニット2600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の本体部641のねじりバネ650との当接面が平坦面である場合を説明したが、第2実施形態における傾倒動作ユニット2600は、伝達部材2640の本体部2641が、ねじりバネ650の付勢腕部652の先端部に当接される突き当て部2641aを備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図58(a)、図58(b)及び図59は、第2実施形態における伝達部材2640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図58(a)、図58(b)及び図59では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示される。また、図58(a)では、伝達部材2640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図58(b)では、図58(a)の倒立状態から伝達部材2640が正面視反時計回りに所定量揺動され、ねじりバネ650の付勢腕部652の先端部に突き当て部2641aの下面が当接された状態が図示され、図59では、図58(b)の状態から更に伝達部材2640が正面視反時計回りに揺動された状態が図示される。
図58に示すように、伝達部材2640が倒立状態(図58(a)参照)から揺動されると、本体部2641がねじりバネ650の付勢腕部652に押し当てられ、本体部2641を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力を、ねじりバネ650が発生させる。伝達部材2640が揺動され付勢腕部652が変形されると、コイル部651は、変形を受けた側の付勢腕部652に連結される連結腕部653により縮径変形される。即ち、コイル部651が縮径される程、伝達部材2640を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力が増大される。
また、図58に示すように、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材2640との揺動角度の違いから、伝達部材2640の本体部2641と付勢腕部652との当接位置(付勢腕部652の先端位置)は、伝達部材2640の揺動により変化される。即ち、伝達部材2640が揺動される程、付勢腕部652の先端部は本体部2641の先端側(摺動孔643へ近接する側)へ移動される。
従って、図58(b)に示すように、突き当て部2641aの下面が付勢腕部642の先端部に当接される状態において、さらに伝達部材2640が正面視反時計回りに回転されると、付勢腕部642は付き当て部2641aに本体部2641の先端側への移動を規制される。
図59に示すように、付移腕部642が付き当て部2641aに移動を規制される状態で伝達部材2640が揺動されると、ねじりバネ650が全体として変形される。即ち、付勢腕部642が本体部2641の先端側への移動を規制される分、付勢腕部642の根本側(屈曲部653a側)が、下方へ移動される。これにより、コイル部651を縮径させる方向(ねじりバネ650の付勢力が増大する方向)へ連結腕部653が移動される。
即ち、付き当て部2641aの無い場合に比較して、伝達部材2640を図59の状態まで揺動させた場合のねじりバネ650の付勢力を増大させることができる。これにより、ねじりバネ650が発生させる付勢力の変化の度合い(伝達部材2640の揺動角度に対する付勢力の増加割合)を、図59に示す状態において図58に示す状態に比較して増大させることができる。従って、伝達部材2640の揺動角度が小さい場合には、ねじりバネ650の付勢力を抑制し、伝達部材2640の始動速度を高速化しながら、揺動角度が大きい場合(図59参照)には、ねじりバネ650の付勢力を非線形(弾性的な変化以上)に増大させ、伝達部材2640を倒立状態に復帰させるのに十分な付勢力を得ることができる。
<第3実施形態>
次いで、図60を参照して、第3実施形態における傾倒動作ユニット3600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の本体部641のねじりバネ650との当接面が一定幅である場合を説明したが、第3実施形態における傾倒動作ユニット3600は、伝達部材3640の本体部3641が、ねじりバネ650の先端部と当接される側面に、先端側へ近づくほど幅広となる態様で傾斜される傾斜側面3641aを備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図60(a)及び図60(b)は、第3実施形態における伝達部材3640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図60(a)及び図60(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示される。また、図60(a)では、伝達部材3640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図60(b)では、図60(a)の倒立状態から伝達部材3640が正面視反時計回りに所定量揺動された状態が図示される。
図60に示すように、伝達部材3640が倒立状態(図60(a)参照)から揺動されると、本体部3641がねじりバネ650の付勢腕部652に押し当てられ、本体部3641を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力を、ねじりバネ650が発生させる。
図60(a)に示す状態から、図60(b)に示す状態に伝達部材3640が揺動されると、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材3640との揺動角度の違いから、伝達部材3640の本体部3641と付勢腕部652との当接位置(付勢腕部652の先端位置)は、伝達部材3640の揺動により変化される。即ち、伝達部材3640の倒立状態(図60(a)参照)からの揺動角度が大きくなる程、付勢腕部652の先端部は本体部3641の先端側(摺動孔643へ近接する側)へ移動される。
そのため、付勢腕部652の先端部は、本体部3641の傾斜側面3641aに沿って摺動する。即ち、ねじりバネ650には、伝達部材3640が揺動されると、その伝達部材3640の揺動角度により生じる変形に加え、傾斜側面3641aにより伝達部材3640の幅が拡大されることによる変形が生じる。この場合、伝達部材3640の先端部へ向かうほど伝達部材3640の幅はより拡大されるので、伝達部材3640の倒立状態(図60(a)参照)からの揺動角度が大きくなるほど、傾斜側面3641aにより伝達部材3640の幅が拡大されることによるねじりバネ650の変形が大きくなる。そのため、伝達部材3640の揺動角度が大きくなるに従って、ねじりバネ650が発生させる付勢力の増大割合(伝達部材3640の揺動角度に対するねじりバネ650の付勢力の変化)を大きくすることができる。
<第4実施形態>
次いで、図61から図64を参照して、第4実施形態における傾倒動作ユニット4600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の当接部644が固定される場合を説明したが、第4実施形態における傾倒動作ユニット4600は、伝達部材4640が、当接部644に加え、その当接部644よりも幅の短い移動当接部材4647を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図61(a)は、第4実施形態における伝達部材4640の背面斜視図であり、図61(b)は、移動当接部材4647の背面斜視図である。なお、図61(a)では、移動当接部材4647の図示が省略される。
図61(a)に示すように、伝達部材4640の正面円弧板部4645は、当接部644の配設間隔よりも短い間隔で左右対称に配置され前後方向に穿設される案内孔4645aを備える。案内孔4645aは、移動当接部材4647の一対の背面突起部4647bを前後方向に移動可能に案内する貫通孔である。
図61(b)に示すように、移動当接部材4647は、長尺の板状に形成される本体部4647aと、その本体部4647aの両端部から背面側に突設される一対の背面突起部4647bと、本体部4647の略中央から正面側に先端半球状に突設される正面突起部4647cと、を主に備える。
なお、本体部4647aの正面突起部4647cの反対側にコイルスプリング4648の一方の端部が固着され、そのコイルスプリング4648の他方の端部が本体部641bに固着される(図62(c)及び図62(d)参照)。また、理解を容易とするため、図61(a)、図61(b)、図62(a)及び図62(b)ではコイルスプリング4648の図示を省略する。
背面突起部4647bは、伝達部材4640の案内孔4645aに正面側から挿通される部分であり、その挿通時に正面円弧板部4645から十分な長さ(ねじりバネ650の付勢腕部652と当接可能な長さ)が突き出される態様で形成される。なお、背面突起部4647bは、ねじりバネ650の付勢腕部652と面(線)で当接(図64(b)参照)する角度に傾斜して形成される。これにより、付勢腕部652と背面突起部4647bが点で当接される場合に比較して付勢腕部652に加えられる負荷が軽減され(応力集中が抑制され)、付勢腕部652の耐久性を向上させることができる。
正面突起部4647cは、演出部材4620の本体部材4621(図63参照)に当接される部分であって、本体部材4621に形成される逃げ開口部4621aとの関係から、移動当接部材4647が正面円弧板部4645から離反されたり(図62(c)参照)、移動当接部材4647が正面円弧板部4645に近接されたりする(図62(d)参照)。なお、正面突起部4647cの先端が半球状に形成されるため、逃げ開口部4621aから本体部材4621の表面上に正面突起部4647cを乗り上げさせやすくすることができる。
図62(a)及び図62(b)は、伝達部材4640の背面斜視図であり、図62(c)及び図62(d)は、伝達部材4640の上面図である。なお、図62(a)及び図62(c)では、移動当接部材4647が正面円弧板部4645から離反された状態が、図62(b)及び図62(d)では、移動当接部材4647が正面円弧板部4645に近接された状態が、それぞれ図示される。
図63は、演出部材4620の本体部材4621を模式的に図示した正面模式図である。なお、本体部材4621に対して倒立状態を形成する伝達部材4640が中心状態4640Cとして、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動された状態が反時計揺動状態4640Lとして、伝達部材4640が正面視時計回りに揺動された状態が時計揺動状態4640Rとして、それぞれ想像線で図示される。また、中心状態4640C、反時計揺動状態4640L及び時計揺動状態4640Rにおいて、理解を容易とするために、当接部644、正面円弧板部4645及び背面円弧板部646の図示が省略される。
本体部材4621は、前後方向に穿設される逃げ開口部4621aを備える。図63に示すように、逃げ開口部4621aは、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動される場合に正面突起部4647c(図62参照)が移動する領域(中心状態4640Cと反時計揺動状態4640Lとの間)で形成される。
伝達部材4640の正面突起部4647cが逃げ開口部4621aと正面視で重なる場合は、正面突起部4647cが逃げ開口部4621aに挿通され、移動当接部材4647がコイルスプリング4648の弾性力により伝達部材4640の本体部641から離反される(図62(c)参照)。一方、正面突起部4647cが逃げ開口部4621aと重ならない(本体部材4621と重なる)場合は、正面突起部4647cが演出部材4620の本体部材4621の背面側の側面に当接され、移動当接部材4647が伝達部材4640の本体部641に近接される(図62(d)参照)。
即ち、移動当接部材4647の背面突起部4647bは、伝達部材4640が倒立状態から正面視時計回りに揺動される場合にねじりバネ650の付勢腕部652と当接可能な位置まで張り出される。よって、伝達部材4640が倒立状態から正面視時計回りに揺動される場合の方が、正面視反時計回りに揺動される場合に比較して、ねじりバネ650の付勢腕部652が発生する付勢力の増大割合(揺動角度に対する付勢力の上昇の度合い)を上昇させることができる。
図64(a)及び図64(b)は、伝達部材4640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図64(a)及び図64(b)では、ベース部材610及び演出部材4620の外形が想像線で図示されると共に、理解を容易とするために移動当接部材4647の本体部4647aの図示が省略される。また、図64(a)では、伝達部材4640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図64(b)では、図64(a)の倒立状態から伝達部材4640が正面視時計回りに所定量揺動され正面視左側の付勢腕部652が背面突起部4647bに当接された状態が図示される。
図64(b)に示すように、伝達部材4640の揺動角度が小さいうちに、付勢腕部652に伝達部材4640の本体部641の反対側(当接部644側)から当接可能とすることで、伝達部材4640が正面視時計回りに回転される場合にねじりバネ650が生じる付勢力を増大させることができる。
これにより、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動される場合の始動速度を高速化させたまま、伝達部材4640が正面視時計回りに揺動される場合の付勢力の向上を図ることができる。従って、演出部材4620が、背面ケース210の内側面に衝突することを抑制することができる。
即ち、傾倒動作ユニット4600が退避位置に配置される状態において、演出部材4620が倒立状態とされると、背面ケース210の内側面は演出部材620と近接される(図5参照)。ここで、演出部材4620が、正面視反時計回りに揺動された状態(図57参照)から、倒立状態へむけて勢いよく揺動されると、演出部材4620を減速しきれず、背面ケース210の内側面に演出部材4620が衝突される恐れがある。
これに対し、本実施形態では、演出部材4620が倒立状態から正面視時計回りに揺動されるタイミングで背面突起部4647bが突き出され(図62(d)参照)、ねじりバネ650の付勢力を増大させることができる。これにより、演出部材4620が倒立状態から正面視反時計回りに傾倒する場合の動作速度を高速に維持したまま、演出部材4620が倒立状態から正面視時計回りに傾倒する場合に演出部材4620を十分に減速させることができる。
また、伝達部材4640の揺動方向の反対側に配設される背面突起部4647bと付勢腕部652との当接点で背面突起部4647bを押し戻す方向(図64(b)正面視反時計回り)に付勢力が生じる。これにより、伝達部材4640に近接される側(図64(b)右側)に配置される付勢腕部652のみで伝達部材4640を押し戻す場合に比較して、より大きな付勢力で伝達部材4640を押し戻すことができる。一方で、伝達部材4640に近接される側に配置される付勢腕部652が発生させる付勢力の向上も図ることができる。
即ち、図64に示すように、伝達部材4640に近接される側の反対側に配置される当接部644と付勢腕部652とが当接される位置から下受け板部614aまでの距離に比較して、その下受け板部614aから屈曲部653aまでの距離は短い。この場合、下受け板部614を支点として、当接部644からの力で屈曲部653aを移動させることは容易であるが、その逆は困難である(支点から作用点までの距離に差があるため)。
そのため、当接部644と付勢腕部652とが当接されることで生じる正面視左側の付勢腕部652の変形によって生じる付勢力は、ねじりバネ650全体の変形で生じる。即ち、正面視左側の付勢腕部652と背面突起部4647bとが当接されることで下受け板部641aを支点に正面視左側の屈曲部653aが正面視左方(コイル部651の内径を狭める方向)に移動される変形は、連結腕部653、コイル部651及び正面視右方の付勢腕部652の変形を生じさせる。この場合、コイル部651が内径を縮小される変形を受けるため、コイル部651及び連結腕部653にはコイル部651の内径を大きくする側への付勢力が生じ、正面視右方(伝達部材4640の揺動方向側)の付勢腕部652が伝達部材640を押し返す付勢力を向上させることができる。
<第5実施形態>
次いで、図65から図68を参照して、第5実施形態における複合動作ユニット5500について説明する。
第1実施形態では、回動アーム部材550が張出位置に配置された場合に、第2非伝達壁部553cが回動クランク部材570の回転軸を中心とした円に沿った形状となる場合を説明したが、第5実施形態における回動アーム部材5550は、非伝達壁部5553cが、回動クランク部材570から離反する方向へ凹設される凹設部5556を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図65から図68は、第5実施形態における複合動作ユニット5500の正面図である。なお、図65では、回動アーム部材5550が張出位置に配置され回動クランク部材570の摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端部付近に配置された状態が、図66では、図65の状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556に収容された状態が、図67では、図66の状態から摺動突起部574が凹設部5556から外れる位置まで回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転された状態が、図68では、図67の状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から二つ面の凹設部5556に収容された状態が、それぞれ図示される。
図65から図68に示すように、複合動作ユニット5550の第2非伝達壁部5553cは、回動クランク部材570から離反する方向へ凹設される凹設部5556を備える。
凹設部5556は、正面視左側に形成される円弧形状(円形状の約1/4)の第1壁部5556aと、正面視右側に形成される円弧形状(円形状の約1/4)の第2壁部5556bと、を主に備え、回動クランク部材570の摺動突起部574の摺動を可能にする形状とされる。即ち、凹設部5556の第2非伝達壁部5553cからの凹設深さは摺動突起部574の半径以下とされ、凹設部5556及び第2非伝達壁部5553cの連結部は滑らかな曲面から形成される。
図65に示す状態から回動クランク部材570が図66に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574と第2非伝達壁部5553cとの間に隙間が生じ、回動アーム部材5550が、ねじりバネ517aの生じる付勢力により摺動突起部574と当接されるまで揺動される。この場合、回動クランク部材570が回転されるに従って、第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556の第1壁部5556aが摺動突起部574に摺動されながら回動アーム部材5550が揺動される。
即ち、図65に示す状態から図66に示す状態までの間は、回動アーム部材5550がねじりバネ517aの付勢力により揺動されているに過ぎず、第2駆動装置560の駆動力で回動アーム部材5550が揺動されるわけではない。そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は非伝達状態を形成する。
図66に示す状態から回動クランク部材570が図67に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556の第2壁部5556bに押し当てられ、回動アーム部材5550が再び張出位置まで揺動される(押し下げられる)。即ち、図66に示す状態から図67に示す状態までの間は、第2壁部5556bが摺動突起部574に押進され移動されることにより回動アーム部材5550が揺動されるので、回動クランク部材570を介して第2駆動装置560の駆動力が回動アーム部材5550に伝達される。
そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は伝達状態を形成する。
図67に示す状態から回動クランク部材570が図68に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574と第2非伝達壁部5553cとの間に隙間が生じ、回動アーム部材5550が、ねじりバネ517aの生じる付勢力により摺動突起部574と当接されるまで揺動される。この場合、回動クランク部材570が回転されるに従って、第2非伝達壁部5553cの左端から二つ目の凹設部5556の第1壁部5556aが摺動突起部574に摺動されながら回動アーム部材5550が揺動される。
即ち、図67に示す状態から図68に示す状態までの間は、回動アーム部材5550がねじりバネ517aの付勢力により揺動されているに過ぎず、第2駆動装置560の駆動力で回動アーム部材5550が揺動されるわけではない。そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は非伝達状態を形成する。
図65から図68に図示されるように、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される状態において、摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で非伝達状態が形成され、摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で伝達状態が形成される。
なお、回動クランク部材570の回転方向が逆転すれば、第1壁部5556aと第2壁部5556bとの関係は逆転する。即ち、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される場合には、摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で伝達状態が形成され、摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で非伝達状態が形成される。
図65から図68に図示されるように、本実施形態では、回動クランク部材570の揺動方向を切り替えることなく、回動アーム部材5550が退避位置(図22参照)と張出位置との間を揺動される揺動動作に加え、回動アーム部材5550が張出位置付近で幅の小さな態様(前板部材546の下端が位置U1と位置U2との間で移動される態様)で揺動される揺動動作を形成することができる。
これにより、駆動装置560の駆動方向を切り替えることでは形成困難な揺動動作を回動アーム部材5550に生じさせることができる。すなわち、回動アーム部材5550に張出位置付近で幅の小さな揺動動作を行わせることは、駆動装置560の駆動方向を短い間隔で繰り返し切り替えることでも形成可能である。しかし、この場合、揺動動作の幅は、駆動装置560の駆動方向の切り替え速度に依存する。また、回動アーム部材5550の揺動動作の速度が大きな状態で駆動装置560の駆動方向を切り替えたとしても、駆動装置560及び回動アーム部材5550の慣性が大きく瞬時に駆動方向を切り替えられず、駆動方向の切り替えに要する時間が長くなる恐れがあった。
これに対し、本実施形態における回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動動作では、回動クランク部材570の回転方向を切り替える必要がないので、駆動方向の切り替えに要する時間を不要とすることができる。
また、回動アーム部材5550が正面視時計回りに揺動される動作(上向きの揺動動作)の動作速度は、ねじりバネ517aが生じる付勢力に依存し、回動アーム部材5550が正面視反時計回りに揺動される動作(下向きの揺動動作)の動作速度は、回動クランク部材570の回転速度に依存する。そのため、ねじりバネ517aの付勢力を増大させ、回動クランク部材570の回転速度を高速化することにより、回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動速度を高速化することができる。
これにより、回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動動作の高速化と、揺動方向の切り替え時間の短縮と、を両立させることができる。
<第6実施形態>
次いで、図69から図71を参照して、第6実施形態における複合動作ユニット6500について説明する。
第1実施形態では、複合動作ユニット500の回動アーム部材550が一体成型される場合を説明したが、第6実施形態における回動アーム部材6550は、二部材が連結されることで形成される。その二部材が相対的に揺動されることで、他方の端部に形成される円弧状孔554の姿勢が変化される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図69(a)及び図69(c)は、第6実施形態における回動アーム部材6550の部分正面図であり、図69(b)は、図69(a)の矢印LXIXb方向視における回動アーム部材6550の部分上面図である。なお、図69(a)では、先端揺動部材6556の先端が上方へ向けられる第1姿勢が形成される状態が図示され、図69(b)では、先端揺動部材6556の先端が下方へ向けられる第2姿勢が形成される状態が図示される。
図69(a)に示すように、回動アーム部材6550は、第3軸部517(図71参照)に軸支される本体部6551と、その本体部6551の他方の端部に連結される先端揺動部材6556と、本体部6551の他方の端部の上面に固定され先端揺動部材6556の姿勢を切り替える切替装置6590と、を主に備える。なお、先端揺動部材6556に円弧状孔6554が形成される。
本体部6551は、他方の端部に前後方向に穿設され先端揺動部材6556の揺動中心となる軸支孔6551aを備える。
先端揺動部材6556は、本体部6551と連結される側の端部が本体部6551を前後で挟む態様で形成され、先端揺動部材6556の揺動中心として穿設される軸支孔6556aと、その軸支孔6556a及び先端揺動部材6556の軸支孔6551aに挿通される棒材である軸支棒6556bと、軸支孔6556aから円弧状孔6554の反対側へ延設される延設部の端部から前後方向に突設され切替装置6590の案内長孔6591dに連結される摺動軸6556cと、を主に備える。
円弧状孔6554は、上側の内側面に突設される返し部6554aを備える。返し部6554aは、伸縮演出部材6540の突起部541bに摺動される部分であって、円弧状孔6554の先端側から摺動される場合には抵抗が抑制される一方で、反対方向で摺動される場合には摺動抵抗が増大される左右非対称形状の突部である。
図70(a)及び図70(b)は、切替装置6590の正面斜視図である。なお、図70(a)では、C字状部材6591がスイッチ部材6592から押し上げられる押し上げ状態が図示され、図70(b)では、C字状部材6591がスイッチ部材6592に対して押し下げられる押し下げ状態が図示される。また、押し上げ状態が、図69(c)の状態に対応し、押し下げ状態が、図69(a)の状態に対応する。
C字状部材6591は、中央に移動円柱部6592aが挿通可能な内径の孔が穿設される長尺板状の本体部6591aと、その本体部6591aに穿設される孔の内径と同じ内径の筒状に突設され内周面に溝加工が形成される筒状案内部6591bと、本体部6591aの長尺方向の両端部から下方へ延設され本体部6551の前後方向に対向配置される一対の腕部6591cと、その腕部6591cの先端側に穿設され先端揺動部材6556の摺動軸6556cが案内される長孔である案内長孔6591dと、を主に備える。
筒状案内部6591bの内周面に形成される溝加工は、スイッチ部材6592の移動円柱部6592aとの関係でノック機構を形成するための溝加工である。C字状部材6591は、この溝加工により、スイッチ部材6592に押し付けられる方向に押進されるたびに押し上げ状態と押し下げ状態とが切り替えられる。なお、ノック機構を形成するために必要な付勢力を形成するバネ部材等の他の部材の図示は省略され、本実施形態では、筒状案内部6591bが伸縮演出装置6540の押し込み部6541a(図71参照)に押進される。
スイッチ部材6592は、筒状案内部6591aに挿通され筒状案内部6591aの内周面の溝を移動可能な突起が外周面から突設される移動円柱部6592aと、その移動円柱部6592aが軸回転可能に連結され回動アーム部材6550の本体部6551の上面に固定される固定板部6592bと、を主に備える。
ここで、ノック機構では、筒状部材と、その筒状部材の内周側を案内される円柱部材とが相対回転しながら、軸方向の互いの相対位置が切り替えられる。即ち、筒状部材と円柱部材とが相対回転しない場合、軸方向の相対位置を切り替えることが困難となる。
これに対し、スイッチ部材6592の移動円柱部6592aは、固定板部6592bに対して軸回転可能に連結される。そのため、C字状部材6591がスイッチ部材6592に近接する方向へ移動されるとき(図70(a)下方へ押し下げられるとき)、筒状案内部6591bに対して移動円柱部6592aが相対回転可能とされ、ノック機構が機能する。
そのため、回動アーム部材6550の本体部6551に固定される固定板部6592bと、C字状部材6591とを相対回転させることなく押し上げ状態と押し下げ状態とを切り替えることができる。従って、先端揺動部材6556の摺動軸6556cがC字状部材6591の案内長穴6591dに挿通された状態を維持したまま、切替装置6590の状態を、押し上げ状態と押し下げ状態とで切り替えることができる。
図71(a)及び図71(b)は、複合動作ユニット6500の正面図である。図71(a)では、回動アーム部材6550が張出位置に配置され切替装置6590が押し上げ状態とされる状態が図示され、図K4では、回動アーム部材6550が張出位置に配置され切替装置6590が押し下げ状態とされる状態が図示される。なお、図71(a)及び図71(b)において、伸縮演出装置6540は、揺動可能範囲の左端まで揺動された位置に配置される。
図71(a)及び図71(b)に示すように、回動アーム部材6550が張出位置に配置された状態において、切替装置6590の状態を切り替えることで、伸縮演出装置540の正面視時計回りの最大揺動角度を切り替えることができる。
即ち、切替装置6590が押し上げ状態を形成する場合(図71(a)参照)は、円弧状孔6554の上側の内側面に伸縮演出部材6540の突起部541bが当接され、伸縮演出装置6540の揺動角度が制限される。
この位置において円弧状孔6554の内側面および返し部6554aがストッパとして機能し、伸縮演出装置6540の揺動速度が高速な場合でも、図71(a)に図示される配置で伸縮演出装置6540を急停止させることができる(突起部541bの移動軌跡RIが返し部6554aに当接される)。
これに対し、切替装置6590が押し下げ状態を形成する場合(図71(b)参照)は、伸縮演出装置6540の突起部541bは円弧状孔6554及び返し部6554aには衝突されない(突起部541bの移動軌跡RIが返し部6554aに当接されない)。そのため、円弧状孔6554に沿って伸縮演出装置6540の突起部541bが移動され、その突起部541bは円弧状孔6554の口先部554aから外側へ放出される。
そのため、回転板520が第2ストッパ部518bに当接されるまで伸縮演出装置6540は正面視時計回りに揺動される(図71(b)参照)。この位置において第2ストッパ部518bがストッパとして機能し、伸縮演出装置6540の揺動速度が高速な場合でも、伸縮演出装置540を急停止させることができる。
これにより、伸縮演出装置6540を正面視時計回りに揺動させ、伸縮演出装置6540を急停止させる演出をさせる場合の揺動角度を複数(本実施形態では2種類)形成することができ、演出のバリエーションを増加させることができる。なお、切替装置6590の状態の切り替えは、伸縮演出部材6540が正面視反時計回りに揺動されることで、切替装置6590の筒状案内部6591bが、本体部材6541aの正面視右上部から右方へ延設される押し込み部6541aによって押進されることで生じる。そのため、先端揺動部材6556を揺動させる駆動装置として、伸縮演出部材6540の揺動を生じさせる第2駆動装置560が兼用されるので、駆動装置の配設個数を削減することができる。
また、図71(a)及び図71(b)では、先端揺動部材6556が僅かに揺動されることで伸縮演出装置6540の揺動範囲を変化させることができる。この場合、揺動角度が僅かなので、遊技者にとってその変化を気付きにくくさせることができる。
ここで、回動アーム部材6550を遊技者が視認可能な状態である場合に(図71参照)、回動アーム部材6550の状態の変化から伸縮演出装置6540の揺動角度が把握できるとすると、伸縮演出装置6540の動作への期待感が薄れ、伸縮演出装置6540の注目度が低下される。
これに対し、本実施形態では、伸縮演出装置6540の揺動角度を変化させるために先端揺動部材6556が揺動される角度が小さく、その変化に遊技者が気付くことを困難とすることができる。これにより、伸縮演出装置6540の動作への期待感を高めることができ、伸縮演出装置6540の注目度を向上させることができる。
<第7実施形態>
次いで、図72を参照して、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の端部に長孔形状の摺動孔643が形成され、その摺動孔643に演出部材620が案内可能に支持される場合を説明したが、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600は、伝達部材7600の端部に軸支孔7643が形成され、その軸支孔7643に演出部材620が軸支される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図72(a)及び図72(b)は、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600の正面図である。図72(a)では、伝達部材7640の軸支孔7643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図72(b)では、図72(b)では、倒立状態から伝達部材7640が反時計回りに所定角度揺動された状態が図示される。なお、図72(a)及び図72(b)では、理解を容易にするために、演出部材620の外形が想像線で図示され、その背面側の伝達部材7640及びベース部材7610が視認可能とされると共にねじりバネ650及び軸支突部612の図示が省略される。
図72(a)に図示されるように、ベース部材7610は、本体部611の第2軸支孔614の鉛直下方に、前後方向に穿設される摺動孔7613を備える。摺動孔7613は、演出部材620の揺動軸部626が挿通される長孔であって、その長孔の長手方向が上下方向に沿って形成される。揺動軸部626は摺動孔7613にスライド移動可能に支持される。
伝達部材7640は、本体部641の筒状部642が形成される端部の反対側の端部に軸支孔7643が穿設される。軸支孔7643は、演出部材620の摺動軸部621aを揺動可能に軸支する部分であり、摺動軸部621aの直径より若干大きな内径で穿設される。
演出部材620の揺動動作は、第1駆動装置630(図51参照)の駆動モータ631の回転により伝達部材7640が第2軸支孔614を中心に揺動することにより生じる。
本実施形態では、摺動軸部621aは軸支孔7643に軸支されるので、伝達部材7640が揺動すると、演出部材620の摺動軸部621aが、伝達部材7640の揺動軌跡に沿って移動する(摺動軸部621aが本体部641の長手方向に移動することは無い)。一方で、揺動軸部626は摺動孔7613に挿通されているので、伝達部材7640が揺動すると、揺動軸部626はベース部材7610に対して相対的にスライド移動する。
ここで、伝達部材7640の揺動角度と、演出部材620の揺動角度の違いについて説明する。図72(b)に示すように、伝達部材7640が倒立状態から伝達揺動角度φ71だけ揺動する場合、演出部材620が演出揺動角度φ72だけ揺動する(演出揺動角度φ72<伝達揺動角度φ71)。そのため、駆動モータ631の分解能の最小単位で伝達部材7640を揺動させる場合に演出部材620の揺動角度を伝達部材7640の揺動角度よりも小さくすることができる。これにより、演出部材620の揺動角度の調整の精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、伝達部材7640が倒立状態から伝達揺動角度φ71だけ揺動する場合の演出部材620の揺動角度を、第1実施形態の場合に比較して小さくすることができることを説明する。
図72(b)に図示される連結線J1は、摺動軸部621aから揺動軸部626まで引かれた線である。仮想連結線J2は、連結線J1と等しい長さとされ、筒状部642を通り本体部641の長手方向に引かれた線から摺動孔7613の上部に揺動軸部626が配置された場合(図72(a)参照)の揺動軸部626の中心まで引かれた線である。なお、仮想連結線J2の揺動角度である仮想角度φ73は、第1実施形態の第1軸支孔613が、摺動孔7613の上部に形成されるとした場合に、第1実施形態の伝達部材640が伝達揺動角度φ71だけ揺動することに伴い揺動される演出部材620の揺動角度に対応する。
図72(b)に示すように、演出揺動角度φ72は、仮想角度φ73よりも小さくされ、第7実施形態の傾倒動作ユニット7600によれば、伝達部材7640を所定角度揺動させる場合の演出部材620の揺動角度を、第1実施形態の場合に比較して小さくすることができる。従って、駆動モータ631(図51参照)の分解能の最小単位で伝達部材7640を揺動させる場合に演出部材620の揺動量をそれよりも小さくすることができ、演出部材620の揺動角度の調整の精度を向上させることができる。
<第1制御例>
次いで、上述した各実施形態における制御例について、図73から図134を参照して説明する。本第1制御例では、第1実施形態で説明したパチンコ機10で実行される制御処理(表示演出等の遊技の制御に関わる処理)について説明する。本制御例では、電源投入時に用いられる表示画像を通常演出時などに補正して用いるように制御している。これにより、電源投入時と通常演出時とで共通の表示画像を利用できるため、表示制御装置114におけるキャラクタROM234(図79参照)の容量を節約することができる。
本制御例では、特定の役物(伸縮演出装置540(図9参照)や傾倒動作ユニット600(図9参照))が可動する演出において、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される演出の内容を補正するように制御している。これにより、特定の役物が可動する演出において、例えば、第3図柄表示装置81が視認困難となる場合に、第3図柄表示装置81にて表示していた表示内容をサブ表示装置690に表示することで、遊技者に対して表示内容を視認しやすい遊技機とすることができる。
本制御例では、上下動作ユニット(落下役物)400に付随する扉部材470を開放するために慣性力を用いるようにしている。具体的には後述するが、上下動作ユニット400に付随する扉部材470が可動した後に、扉部材470の開放状態が形成される演出において、扉部材470を閉状態に維持している開閉用駆動モータ466を励磁しないよう制御(通電停止制御)している。そして、上下動作ユニット(落下役物)400に付随する扉部材470が落下方向へ可動され終わると、扉部材470へ発生する慣性力により扉部材470が開放される。このように、開閉用駆動モータ466を駆動せずとも扉部材470を開放することができるので、消費電力を低減することができる。
本制御例では、変動表示において当該変動表示が大当たりとなる期待度を示唆する予告演出が表示される。この予告演出には、上述した遊技状態を示唆する特定時間演出と同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が含まれている。具体的には、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が表示された後に大当たりとなる期待度を示す画像(女の子の画像など)が表示される演出であるカウントダウン予告演出が含まれている。このような同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である、遊技状態を示唆する特定時間演出(カウントダウン演出)と、大当たりとなる期待度を示唆する予告演出の一演出であるカウントダウン予告演出とが重複して実行されると、遊技者が困惑してしまう虞がある。
そこで、本制御例では、大当たりとなる期待度を示唆する予告演出としてカウントダウン予告演出が実行(表示)される場合には、そのカウントダウン予告演出が実行される変動表示が終了するまで、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように制限(回避)している。これにより、時間演出期間において、カウントダウン予告演出が実行される場合には、カウントダウン予告演出と同種の表示態様(カウントダウン)を含む特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように、演出の実行(表示)を制限(回避)することができる。その結果、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることで、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
本制御例では、入賞口への入球に基づいて表示される入球演出を第3図柄表示領域の第1領域81aから第4領域81dまでの各領域に順に表示するようにしている。これにより、入賞口へ遊技球が入球する間隔が短い場合においても、当該入球演出を表示する期間を長くすることができ、遊技者に対して入球演出を視認しやすい遊技機とすることができる。
なお、本制御例は第1実施形態で説明したパチンコ機10に限られず、上述した各実施形態のいずれかのパチンコ機10で実行するようにしてもよいし、上述した各実施形態を組み合わせたパチンコ機10で実行するようにしてもよい。
<第1制御例におけるパチンコ機10の電気的構成>
まず、図73から図76を参照し、主制御装置110に設けられているRAM203について説明する。主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。
ここで、図73を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図92参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図102参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203のカウンタ用バッファ203yに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1~第4エリア)とからなる特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとがそれぞれ設けられており、これらの各エリアには、第1入賞口64と第2入賞口640とへの入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1~第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203cが設けられており、これらの各エリアには、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0~399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0~399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0~399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0~399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図92参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図102参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブル202aは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられる。即ち、第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)は、低確率時用の第1当たり乱数テーブルと、高確率時用の第1当たり乱数テーブルとで構成され、それぞれのテーブルに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なっている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。なお、特別図柄の低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aと、特別図柄の高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aとは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0~99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0~99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
ここで、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0~399の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は1個あり、その乱数値である「0」は、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が1なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/400」となる。
また、本実施形態では、特別図柄の外れの一種として、特別図柄の大当たりではないが、特定入賞口(大開放口)65aが開放される外れ種別(小当たり)が設けられている。この小当たりになると、特定入賞口(大開放口)65aが所定時間(0.2秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放された後、閉鎖される開閉動作が2回繰り返される。即ち、大当たりC(2R確変時短無大当たり)になった場合と同一の開閉動作が行われる。特別図柄の低確率時において、小当たりとなる乱数値(判定値)として、「10,11」の2個が第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に規定されている。乱数値の総数が400ある中で、小当たりとなる乱数値の総数は2であるので、第1特別図柄の小当たりとなる確率は「2/400」となる。
なお、小当たりは外れの一種であるため、小当たりとなった前後で遊技状態が変更されることはない。例えば、特別図柄の確変状態中に小当たりとなった場合は、小当たりの終了後も特別図柄の確変状態が継続するし、通常状態(特別図柄の低確率状態、且つ、普通図柄の通常状態)において小当たりとなった場合は、小当たりの終了後も通常状態が継続する。この小当たりは、上述した通り、特定入賞口65aの開閉動作が2R確変時短無大当たりになった場合と同一であるため、通常状態において小当たりとなり、特定入賞口(大開放口)65aの開閉動作を視認した遊技者に対して、2R確変時短無大当たりとなったことを期待させることができる。よって、通常状態において小当たりとなる度に、通常状態よりも有利な特別図柄の確変状態へと移行したことを期待させることができるので、通常状態における遊技が単調となってしまうことを防止(抑制)することができる。また、特別図柄の大当たりとならなくても、外れの一部(小当たり)で特定入賞口65aの開閉動作を実行するように構成することで、遊技者が賞球を獲得する機会を増加させることができる。よって、通常状態等において遊技者の持ち球が減りすぎてしまい、遊技者に対して過剰に不利となってしまうことを防止(抑制)することができる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は10個あり、その値である「0~9」は、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が10なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/40」となる。また、小当たりとなる乱数値(判定値)として、「10」のみが第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に規定されている。乱数値の総数が400ある中で、小当たりとなる乱数値の総数は1であるので、小当たりとなる確率は「1/400」となる。
なお、特別図柄の高確率時に小当たりとなる確率が、特別図柄の低確率時よりも低くなるように構成しているのは、特別図柄の高確率時においては、ラウンド数が多く、且つ、特定入賞口65aの開放期間が長い大当たり(30秒が経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで開放される動作が16回繰り返される16R大当たり)となり、多量の賞球を獲得することを期待して遊技を行うため、小当たりとなっても煩わしいだけだからである。つまり、通常状態では、小当たりとなることで2R確変時短無大当たりになったかもしれない(特定入賞口65aの開閉動作後に有利な確変状態に移行するかもしれない)という期待感を抱かせることができるが、既に確変状態となった状態では、小当たりであろうと、2R確変時短無大当たりであろうと、賞球をほとんど得られず、単に現状(確変状態)が維持されるに過ぎないからである。よって、本実施形態では、特別図柄の高確率状態において小当たりとなる確率が低くなるように構成している。これにより、特別図柄の高確率状態における遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0~99の範囲のループカウンタとして構成されており、この第1当たり種別カウンタC2の値と、ROM202内に設けられている第1当たり種別選択テーブル202b(図75(b)参照)とに基づいて大当たり種別が決定される。具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値が、「0~39」である場合には大当たりA(16R確変大当たり)が選択され、「40~79」である場合には大当たりB(16R時短大当たり)が選択され、「80~99」である場合には大当たりC(2R確変有時短無大当たり)が選択される。
本実施形態では、第1当たり種別選択テーブル202b(図75(b)参照)に設定されている大当たり種別は、大当たりA、大当たりB、大当たりCの3種類としたが、それに限らず、4種類以上の大当たり種別が選択されるように構成してもよいし、2種類以下、例えば、1種類の大当たり種別のみが選択されるようにしてもよい。また、特別図柄1の大当たりと、特別図柄2の大当たりとでそれぞれ選択される大当たり種別の種類や、割合が異なるように設定してもよい。
停止種別選択カウンタC3は、例えば0~99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。本実施形態では、停止種別選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される外れ時の停止種別が選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄以外で停止する「外れリーチ」(例えば90~99の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば0~89の範囲)との2つの停止(演出)パターンが選択される。停止種別選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
尚、停止種別選択カウンタC3の値(乱数値)から、特別図柄の停止種別を決定するための乱数値は、停止種別選択テーブル(図示せず)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。また、本実施形態ではこのテーブルを、特別図柄の高確率時用と、特別図柄の低確率時用とに分けており、テーブルに応じて、外れの停止種別ごとに設定される乱数値の範囲を変えている。これは、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態であるか、特別図柄の低確率状態であるか等に応じて、停止種別の選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0~89と広い高確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。また、低確率状態であれば、第1入賞口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0~79と狭い低確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。
変動種別カウンタCS1は、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図102参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターンテーブル(図76参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
ここで、図76を参照して変動パターンテーブル202dについて説明する。この変動パターンテーブル202dは、図76(a)に示すように、大当たり用変動パターンテーブル202d1(図76(b)参照)と、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2(図76(c)参照)と、外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3(図76(d)参照)とが少なくとも設定されている。なお、図示は省略したが、このほかにも、時短遊技状態における変動パターンテーブル等が設定されている。
まず、図76(b)を参照して、大当たり用変動パターンテーブル202d1について説明する。図76(b)は、この大当たり用変動パターンテーブル202d1の内容を模式的に示した模式図である。大当たり用変動パターンテーブル202d1は、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。大当たりの変動パターンとしては、ノーマルリーチ各種(30秒)、スーパーリーチ各種(60秒)、スペシャルリーチ(90秒)がそれぞれ設定されている。各変動パターンに対して、それぞれ変動種別カウンタCS1の値が判定値として設定されている。
具体的には、ノーマルリーチ各種(30秒)の変動パターンについては、「0~50」が、スーパーリーチ各種(60秒)の変動パターンについては、「51~179」が、スペシャルリーチ各種(90秒)の変動パターンについては、「180~198」がそれぞれ変動種別カウンタCS1の判定値として設定される。主制御装置110のMPU201は、特別図柄の抽選結果が大当たりとなる場合の変動パターンを選択する時には、取得している変動種別カウンタCS1の値に対応する判定値が設定されている変動パターンを大当たり用変動パターンテーブル202d1より選択する。
図76(c)は、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2の内容を模式的に示した模式図である。外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2は、特別図柄の抽選結果が外れである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。特別図柄の抽選結果が外れである場合には、上述したように、図示しない停止種別選択テーブルより停止種別が完全外れ(非リーチ)であるか、リーチ外れ(リーチ共通)であるかが停止種別選択カウンタC3の値によって決定される。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0~79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80~99」の範囲にあれば外れリーチを設定する。
ここで、変動パターン種別が、完全外れである場合には、変動時間の比較的に短い短外れ(7秒)と変動時間の長い長外れ(10秒)が設定されている。短外れ(7秒)に対しては、「0~98」が、長外れ(10秒)に対しては、「99~198」が変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
また、外れリーチに対しては、外れのノーマルリーチ各種(30秒)に対して「0~149」が、外れのスーパーリーチ各種(60秒)に対して「150~197」が、外れのスペシャルリーチ各種(90秒)に対して「198」が、変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
このように、主制御装置110のMPU201は、通常遊技状態時に特別図柄の抽選結果が外れである場合には、停止種別が決定され、外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2より取得している変動種別選択カウンタCS1の値に基づいて、外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2より変動パターンを選択する。
図76(d)は、外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3の内容を模式的に示した模式図である。この外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3は、遊技状態が確変遊技状態である場合に、外れとなる特別図柄の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。この外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3では、設定されている変動種別選択カウンタCS1の値が、上述した外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2とは異なる点で相違する。
なお、上述したように、遊技状態が確変遊技状態である場合には、図示しない停止種別選択テーブルにより停止種別選択カウンタC3の値が「0~89」の範囲にあれば、完全外れが決定され、「90~99」の範囲にあれば外れリーチが決定される。
このように、通常遊技状態よりも確変遊技状態である場合には、外れである場合にリーチとなる確率が低く設定されている。よって、確変時に外れの変動時間が長くなってしまい、大当たりとなるまでの期間が長くなってしまうことを抑制できる。よって、大当たりし易い確変遊技状態時に遊技が間延びしてしまい、遊技者が退屈に感じる不具合を抑制できる。
また、本制御例では、変動パターンテーブル202dに時短用変動パターン選択テーブル(図示せず)が設けられている。この時短用変動パターン選択テーブルは、遊技状態が時短遊技状態である場合に、特別図柄の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。時短用変動パターン選択テーブルは、変動種別カウンタCS1の値に関わらず0.6秒の変動パターンが選択されるように規定されている。この0.6秒の変動パターンは、図柄などが変動表示される0.125秒の期間と、図柄などが停止表示される0.475秒の期間とで構成される。これにより、時短遊技状態では、短時間(0.6秒)で一の変動表示が終了されるので、時短遊技状態における遊技の回転率(効率)を向上させることができる。また、図柄が変動表示される期間を非常に短い期間(0.125秒)とすることにより、遊技者に対して遊技の回転率(効率)が非常に良いとの印象を与えることができる。
図73に戻り、説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0~239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル(図75(c)参照)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル(図75(c)参照)によって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブルは、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
図75(c)に示すように、普通図柄の低確率時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5~28」となっている。これら乱数値は、低確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている。このように普通図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5~28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放される。なお、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5~204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5~204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1入賞口64へ球が入球し易い状態となる。なお、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0~239)、タイマ割込処理(図92参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図102参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
次いで、図74を参照して、主制御装置110に設けられるROM202とRAM203の内容について説明する。ROM202は、上述したように、第1当たり乱数テーブル202a、第1当たり種別選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル205c、変動パターンテーブル202dが少なくとも設けられている。ROM202に設けられた各テーブルの内容は、図75、および図76を参照して上述した通りであるため、その詳細な説明を省略する。
また、RAM203は、図74に示すように、特別図柄1保留球格納エリア203aと、特別図柄2保留球格納エリア203bと、普通図柄保留球格納エリア203cと、特別図柄1保留球数カウンタ203dと、特別図柄2保留球数カウンタ203eと、普通図柄保留球数カウンタ203fと、確変フラグ203gと、時短中カウンタ203hと、大当たりフラグ203iと、カウンタ用バッファ203yと、その他メモリエリア203zとを少なくとも有している。
特別図柄1保留球格納エリア203aは、第1入賞口64(特別図柄1)専用の記憶エリアであり、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入賞口64へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1~C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。なお、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄1保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1~C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1~C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア~保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア~保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄1保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア~第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
本パチンコ機10では、球が第1入賞口64へ入賞(始動入賞)し、その始動入賞に応じて各カウンタC1~C3の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、その取得された各カウンタC1~C3の各値から、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が予測(推定)される。このように、本来の特別図柄の抽選が行われる前に、始動入賞に対応するデータ(各カウンタC1~C3の各値)に基づいて、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報を予測することを、以後、特別図柄の抽選結果を先読みすると記載する。なお、各種情報としては、当否、停止種別、変動パターンなどが該当する。
そして、先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113へ送信される。入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113によって受信されると、音声ランプ制御装置113は、入賞情報コマンドから、当否、停止種別、および変動パターンを抽出し、それらを入賞情報としてRAM233の特別図柄1または特別図柄2のうち該当する特別図柄の入賞情報格納エリア223aに格納する。
本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選により得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を予測する。なお、この予測(先読み)は、当該始動入賞に対応する変動が開始される時点での、遊技状態(通常遊技状態または確変遊技状態)に応じた大当たり判定値を参照するように構成している。これにより、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果を正確に予測することができる。
特別図柄2保留球格納エリア203bは、第2入賞口640(特別図柄2)専用の記憶エリアであり、上述した特別図柄1保留球格納エリア203aに対して、第1入賞口64(特別図柄1)が第2入賞口640(特別図柄2)に変更される点で相違するのみであるので、その詳細な説明は省略する。
普通図柄保留球格納エリア203cは、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄1保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄1保留球数カウンタ203dは、第1入賞口64への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄1保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、第1入賞口64へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図96のS504参照)。一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図93のS210参照)。
この特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄1における変動表示の保留回数N1)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図93のS211、図96のS505参照)。保留球数コマンドは、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
なお、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81に保留球数図柄を表示する。
特別図柄2保留球数カウンタ203eは、第2入賞口640(特別図柄2)の保留球数をカウントするためのカウンタである。この特別図柄2保留球数カウンタ203eは、特別図柄1保留球数カウンタ203dに対して、第1入賞口(特別図柄1)が第2入賞口640(特別図柄2)に変わる点で相違するのみでありその他の点については同一であるので詳細な説明については省略する。なお、特別図柄2保留球数カウンタ203eは、図96のS510の処理により1ずつ加算され、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図93のS205参照)。また、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄2における変動表示の保留回数N2)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図93のS206、図96のS511参照)。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通入球口(スルーゲート)67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、初期値がゼロに設定されており、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図99のS804参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図98のS705参照)。
球が普通入球口(スルーゲート)67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203cに記憶される(図99のS805)。一方、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203cには新たに何も記憶されない(図99のS803:No)。
確変フラグ203gは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態(特別図柄の高確率状態)であるか否かを示すフラグであり、確変フラグ203gの値がオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であることを示し、確変フラグ203gの値がオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(特別図柄の低確率状態)であることを示す。この確変フラグ203gは、初期値がオフに設定されており、大当たり制御処理において、大当たりA(16R確変大当たり)または大当たりC(2R確変有時短無大当たり)に基づくエンディング演出の開始タイミング(大当たり遊技の終了タイミング)であると判別された場合に、オンに設定される(図103のS1214参照)。そして、特別図柄1変動開始処理(図95参照)や特別図柄2変動開始処理(図94参照)において遊技状態が確変状態であるか否かを判別するために参照され(図95のS403、図94のS303参照)、次の大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図103のS1202参照)。
具体的には、特別図柄1変動開始処理(図95、S213)または特別図柄2変動開始処理(図94、S208)が実行されると、特別図柄の抽選が行われる。特別図柄1変動開始処理(図95、S213)または特別図柄2変動開始処理(図94、S208)では、確変フラグ203gの値が参照され、その値がオンであれば、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに基づいて、特別図柄の抽選が行われる一方、確変フラグ203gの値がオフであれば、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに基づいて、特別図柄の抽選が行われる。
時短中カウンタ203hは、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203hの値が0より大きい場合は、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203hの値が0であれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203hは、大当たり制御処理によりエンディング演出の開始タイミング(即ち、大当たり遊技の終了タイミング)に、大当たりB(16R時短大当たり)が実行されていた場合に100に設定される(図103のS1215参照)。そして、普通図柄変動処理で時短中であるか否かを判別するために参照され(図98のS708参照)、特別図柄変動処理において、変動時間が経過する毎に1ずつ減算されるものである(図93のS222参照)。なお、時短中カウンタ203hの値が0より大きく、上述した確変フラグ203gがオンである場合は、パチンコ機10が特別図柄の確変状態かつ時短状態であることを示す。
大当たりフラグ203iは、大当たりの発生有無を示すフラグである。大当たりフラグ203iがオンになっている場合に、主制御装置110のMPU201が実行する大当たり制御処理(図103、S1206)により可変入賞装置65が開放状態に設定される大当たり遊技が実行される。
小当たりフラグ203jは、小当たりの発生有無を示すフラグである。小当たりフラグ203jがオンになっている場合に、主制御装置110のMPU201が実行する大当たり制御処理により可変入賞装置65が開放状態にされる小当たり遊技が実行される。
時短フラグ203kは、パチンコ機10が特別図柄の時短状態(普通図柄の高確率状態)であるか否かを示すフラグである。時短フラグ203kの値がオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であることを示し、時短フラグ203kの値がオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(普通図柄の低確率状態)であることを示す。この時短フラグ203kは、初期値がオフに設定されており、大当たり制御処理において、大当たりA(16R確変大当たり)に基づくエンディング演出の開始タイミング(大当たり遊技の終了タイミング)であると判別された場合に、オンに設定される(図103のS1214参照)。そして、普通図柄変動処理(図98参照)において遊技状態が時短状態であるか否かを判別するために参照されて(図98のS708,S715,S719参照)、次の大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図103のS1202参照)。
上述したように、大当たりA(16R確変大当たり)では、確変フラグ203gと時短フラグ203kとが共にオンに設定され、確変遊技と共に時短遊技が付与される。一方、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)では、確変フラグ203gはオンに設定されるものの、時短フラグ203kはオフのままとなり、確変遊技のみが付与される。時短中カウンタ203hとは別に時短フラグ203kを設ける構成としているのは、大当たりA(16R確変大当たり)となることにより付与される普通図柄の時短状態が、少なくとも次に大当たりとなるまで継続するからである。つまり、時短状態となる期間が、大当たりとなるタイミングによって可変するため、時短期間が不定であり、時短中カウンタ203hに対して回数を設定することができないためである。よって、大当たりBの終了後に設定される固定回数(100回)の時短状態は時短中カウンタ203hによりカウントする一方で、大当たりAの終了後に設定される時短状態は、時短フラグ203gにより設定するように構成されている。これにより、普通図柄の時短状態をより正確に判別することができる。
ここで、確変遊技(特別図柄の確変状態)は、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に基づいて実行される特別図柄の抽選により大当たりとなる確率が高確率に設定されるものであり、演出態様を変更するなどで確変遊技であることを示唆しなければ、遊技者が現在の遊技が通常遊技であるのか確変遊技であるのかを判別することが困難なものである。一方、時短遊技は、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放回数や開放時間が変更されるため、通常遊技であるのか時短遊技であるのかを判別することが容易なものである。
よって、遊技者は大当たりA(16R確変大当たり)に基づいて確変遊技と共に時短遊技が付与された場合は、確変遊技であることを容易に認識することができるが、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)に基づいて確変遊技のみが付与された場合は、確変遊技であることを認識することが困難となる(所謂、潜伏確変状態)。これにより、遊技者は通常遊技か確変遊技のどちらの遊技状態であるかを推測する必要があり、遊技者の興趣を向上させることができる。加えて、上述した通り、本実施形態では、大当たりCになった場合と同一の特定入賞口65aの開閉動作が実行される小当たりを設けているので、特定入賞口65aが2ラウンドの開閉動作が実行されたとしても、大当たりCであるとは限らない。よって、2ラウンドの開閉動作が実行される度に、大当たりCであることを期待させることができるので、遊技者の興趣をより向上させることができる。
その他メモリエリアは203z、は上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、主制御装置110のMPU201が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域や、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)などを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図102参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図101参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図100参照)が即座に実行される。
次に、図77(a)を参照して、音声ランプ制御装置113のROM222、およびRAM223について説明を行う。音声ランプ制御装置113のROM222には、変動パターン選択テーブル222aと、入球演出選択テーブル222bとが少なくとも格納されている。
変動パターン選択テーブル222aは、既に公知のものであるため簡単に説明するが、音声ランプ制御装置113は主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに基づいて、その変動パターンコマンドが示す大まかな変動内容(変動時間、変動種別(リーチ、外れ等))から更に詳細な変動内容を変動パターン選択テーブル222aより決定する。これにより、さらに多様な変動態様を決定することができる。ここでは、主制御装置110から指示された大まかな変動内容に対して、抽選により複数種類の中より1の変動態様が決定される。
入球演出選択テーブル222bは、時短遊技中に第2入賞口640へ遊技球が入球することに基づいて実行される入球演出の演出内容を規定したテーブルである。ここで、入球演出とは、大当たりとなる期待度を示唆するために、大当たりとなるまでの変動回数に応じた態様で実行される演出である。より詳述すると、時短遊技中に主制御装置110から入賞情報コマンドを受信する毎に、その入賞情報コマンドに基づいて更新された入賞情報格納エリア223aの記憶内容から、保留球の中に大当たりに対応する保留球が存在するか否か、および大当たりに対応する保留球が存在する場合に、大当たりとなるまでの変動回数を判定し、大当たりとなるまでの変動回数に応じた態様で演出が実行される。
また、1の入球演出は、第3図柄表示装置81における表示領域を4分割したうちの1の表示領域で実行され、一旦入球演出が開始されると、前の入球演出の表示内容を表示させつつ、新たな入球に対応する入球演出を異なる表示領域で表示させることができる。即ち、球が第2入球口640へと入球する毎に、第3図柄表示装置81の表示画面に設けられた4つの表示領域に入球演出が順に表示されていき、最大で4種類の入球演出が第3図柄表示装置81において同時に表示されるように構成されている。
入球演出選択テーブル222bは、入球演出の演出内容が大当たりとなるまでの変動回数に対応付けて規定されている。この入球演出選択テーブル222bは、後述する入球演出設定処理(図115参照)において、時短遊技中に第2入賞口640へ遊技球が入球したと判別された場合に参照され、入球演出の演出内容を選択するために用いられる(図115のS2403参照)。
入球演出の種類としては、レベル0入球演出からレベル5入球演出までの6種類の入球演出が設けられており(図78参照)、大当たりとなるまでの変動回数が少なくなるにつれて、レベルの高い入球演出が選択される。これにより、遊技者は入球演出のレベルを判別することで、大当たりとなるまでの回数(大当たりとなる期待度)を予測することができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
本制御例における入球演出の表示画像は、レベルに応じたコメント(例えば、「急げ」、「チャンス?」等)を表示するコメント部と、所定の図柄(例えば、「星印」)の表示個数によって今回の入球演出のレベルを示唆するためのレベル示唆部とで構成されており、入球演出のレベルに応じて各部(コメント部、およびレベル示唆部)の表示態様が設定される。コメント部に表示させるコメントとして、入球演出のレベルに対応した複数のコメントが規定されており、演出カウンタ223iの値に応じて選択される。一方、レベル示唆部には入球演出のレベル(即ち、大当たりとなるまでの変動回数)に応じた個数の「星印」図柄が表示される。例えば、レベル0予告演出では「星印」は0個であり(図89(a)の81a参照)、レベル1予告演出では「星印」が1個(図89(b)の81b参照)、レベル2予告演出では「星印」が2個表示される(図89(b)の81c参照)。これにより、遊技者に対して、実行されている入球演出のレベルを容易に判別させることができる。一方、コメント部では、演出カウンタ223iの値に応じて選択されるコメントが表示されるので、入球演出における表示態様のバリエーションを増やすことができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、レベル示唆部を設けず、コメント部のみにより大当たりまでの変動回数を示唆するように構成してもよい。これにより、コメント部の表示のみから当該入球演出のレベルを推測させることができるので、入球演出の表示内容により注目させることができる。
ここで、図78を参照して、入球演出選択テーブル222bの詳細な内容について説明する。図78は、入球演出選択テーブル222bの内容を模式的に示した模式図である。この入球演出選択テーブル222bは、上述したように、大当たりとなるまでの変動回数を示唆するための入球演出の演出内容が、大当たりまでの変動回数に対応付けて規定されている。
具体的には、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が4より大きい場合、即ち、入賞情報格納エリア223aに第2特別図柄の抽選による大当たりに対応する抽選結果が格納されていない場合、レベル0の入球演出が選択されるように規定されている。また、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が4回である場合、即ち、入賞情報格納エリア223aの4番目の保留に第2特別図柄の大当たりの抽選結果が格納されている場合、レベル1の入球演出が選択されるように規定されている。
同様にして、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が、3回である場合はレベル2の入球演出が、2回である場合はレベル3の入球演出が、1回である場合はレベル4の入球演出が、0回である(当該変動で大当たりとなる)場合はレベル5の入球演出がそれぞれ選択されるように規定されている。このように、大当たりまでの変動回数に応じて異なるレベルの入球演出を実行するように構成することで、遊技者に対して大当たりまでの変動回数を予測させることができる。よって、表示演出に対してより注目させて遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を高めることができる。
図77に戻り、説明を続ける。図77(b)は、音声ランプ制御装置113のRAM223の内容を模式的に示した模式図である。このRAM223には、入賞情報格納エリア223aと、特別図柄1保留球数カウンタ223bと、特別図柄2保留球数カウンタ223cと、変動開始フラグ223dと、停止種別選択フラグ223e、表示領域カウンタ223f、演出時間格納エリア223g、演出モード格納エリア233h、回避フラグ233i、演出カウンタ223j、電源断フラグ223y、その他メモリエリア223zとが少なくとも設けられている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、8つのエリア(特別図柄1用の第1エリア~第4エリア、特別図柄2用の第1エリア~第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、特別図柄1または特別図柄2のうち該当する特別図柄の4つのエリア(第1エリア~第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
特別図柄1保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている特別図柄1の変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄1保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入賞口64への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得して、特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する(図107のS1607参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄1保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
また、特別図柄2保留球数カウンタ223cは、特別図柄1保留球数カウンタ223bと同様に、主制御装置110において保留されている特別図柄2の変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。特別図柄1保留球数カウンタ223bとは、第2入賞口640への入球によって保留球数が加算され、第3図柄表示装置81において特別図図柄1の保留球数図柄の表示とは異なる特別図図柄2の保留球数図柄の表示に用いられる点でのみ相違し、その他は同一であるため、その詳細な説明を省略する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aまたは特別図柄2保留球数カウンタ203bと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aまたは特別図柄2保留球数カウンタ203bの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
変動開始フラグ223dは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合に実行される変動パターン受信処理においてオンされ(図108のS1701参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図109のS1802参照)。変動開始フラグ223dがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図107のS1604参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図109のS1807参照)。停止種別選択フラグ223eがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別が設定される。また、設定された停止種別は、表示用停止種別コマンドによって、表示制御装置114に通知される。表示制御装置114では、音声ランプ制御装置113より受信した表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
表示領域カウンタ223fは、上述した入球演出を表示するための表示領域を特定するために用いられる。上述した通り、本実施形態では、第3図柄表示装置81の表示領域を4分割し(第1領域81a、第2領域81b、第3領域81c、第4領域81d)、各表示領域に対して別々の入球演出を表示可能に構成されている。表示領域カウンタ223fは、これらの4つの表示領域(第1領域81aから第4領域81d、図89または図90参照)の中から、今回の入球演出を表示させるための表示領域を決定するために用いられる。この表示領域カウンタ223fは、音声ランプ制御装置113が立ち上がる際に1に初期化され、後述する入球演出設定処理(図115参照)において、1から4の範囲で繰り返し更新される。
詳細については、図89および90を参照して後述するが、新たな入球演出が選択されると、その新たな入球演出が、表示領域カウンタ223fの値に対応した第3図柄表示装置81の表示領域に対して表示されるように制御される。具体的には、表示領域カウンタ223fの値が1である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに入球演出の表示が設定される。また、値が2である場合は第3図柄表示装置81の第2領域81bに設定され、値が3である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81cに設定され、値が4である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに設定されるように制御される。この表示領域カウンタ223fの値は、値が昇順1ずつ更新され、最大値である4となってから更に更新されると1に戻るように構成されているため、最大で4つの入球演出を異なる表示領域(第1領域81a、第2領域81b、第3領域81c、第4領域81d)に対して同時に表示させることができる(図89、図90参照)。複数の異なる入球演出を同時に表示させることができるので、表示演出を多様化することができる。
演出時間格納エリア223gは、上述した時間演出の開始時刻を格納しておく領域である。この演出時間格納エリア223gに格納された時間演出の開始時刻と、RTC292より取得した現在時刻とに基づいて、定期的(1時間毎に5分間)に実行される時間演出や、その時間演出の実行中の特定時間(各時間演出の開始から1分経過毎で5分経過まで)に実行される特定時間演出が実行される(図91参照)。この演出時間格納エリア223gは、パチンコ機10の電源が投入された際に、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理の時間設定処理(図105参照)で設定されるものであり、時間演出と特定時間演出の開始時刻を示す情報が、電源投入時刻を基準として相対的に設定される。具体的には、9時00分に音声ランプ制御装置113の電源が投入された場合には、まず、電源投入時刻(9時00分)から55分後の9時55分が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定される。そして、その最初の時間演出の開始時刻から1時間毎の時刻(10時55分、11時55分・・・)が時間演出の開始時刻を示す情報として24時間分設定される。また、各時間演出の開始時刻から1分毎に5分経過まで(9時56分、9時57分、9時58分、9時59分、10時56分、10時57分・・・)が特定時間演出の開始時刻(開始タイミング)を示す情報として設定される。さらに、時間演出期間は5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻(10時00分、11時00分・・・)を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定される(図91参照)。
なお、本制御例では、電源が投入された時刻を基準として各時間演出(時間演出、特定時間演出)を実行するように設定したが、これに限られず、電源投入時刻に関わらず各時間演出(時間演出、特定時間演出)の開始時刻を設定するようにしてもよい。例えば、毎時00分を時間演出の開始時刻として設定するようにしてもよい。これにより、複数のパチンコ機10の電源を投入する際に、その電源投入時刻がずれたとしても、時間演出の開始時刻がずれることがなく、複数のパチンコ機10で時間演出を同期して実行することができる。
演出モード格納エリア223hは、現在の演出期間を示す情報が格納される領域であり、この演出モード格納エリア223hの情報に基づいて、演出期間に対応した演出が選択され、実行(表示)される。本制御例では、演出期間として、上述した時間演出期間の他に、時間演出期間の終了時点でその後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)に移行する時間演出延長期間と、時間演出期間および時間演出延長期間のいずれにも該当しない通常遊技期間の3つの演出期間が設定される。なお、以降の説明の簡略化のため、通常遊技期間を演出モードA、時間演出期間を演出モードB、時間演出延長期間を演出モードCとして表記する。演出モード格納エリア223hには、これら3つの演出モードを識別するための情報として、演出モードAが設定されている場合には、演出モードAを示す値である「00H」が演出モード格納エリア223hに格納され、演出モードBが設定されている場合には、演出モードBを示す値である「01H」が格納され、演出モードCが設定されている場合には、演出モードCを示す値である「02H」が格納される。このように、演出期間(演出モード)に対応する情報を演出モード格納エリア223hに格納しておくことで、現在の演出期間がいずれの演出期間であるかを、容易に識別することができる。
回避フラグ223iは、時間演出期間(演出モードB)において実行(表示)される予告演出(時間予告演出)として、カウントダウンの表示態様を含むカウントダウン予告演出が実行(表示)されるか否かを判別するために用いられるフラグである。この回避フラグ223iが、オンである場合は時間予告演出としてカウントダウン予告演出が実行(表示)されることを示し、オフである場合はカウントダウン予告演出が実行(表示)されないことを示す。この回避フラグ223iがオンである場合は、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように制限(回避)される。これにより、時間予告演出としてカウントダウン予告演出が実行される場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように、演出の実行(表示)を制限(回避)することができる。その結果、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることを防止でき、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
この回避フラグ223iは、予告選択処理(図111参照)において、演出モードB(時間演出期間)の場合に選択される予告演出(時間予告演出)として、カウントダウン予告演出が選択された場合にオンに設定される(図111のS2007参照)。そして、そのカウントダウン予告演出が実行(表示)される変動表示が終了した場合にオフに設定される。
なお、このような回避フラグ223iを設けずに、通常予告演出と時間予告演出とで異なる表示態様の演出を選択し、実行するようにしてもよい。具体的には、通常予告演出ではカウントダウン予告演出が選択されるが、時間予告演出ではカウントダウン予告演出が選択されないようにしてもよい。これにより、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることを抑制できる。
演出カウンタ223jは、音声ランプ制御装置113において、各種演出(変動パターン、予告演出など)の選択や各種抽選等に用いられるカウンタであり、図示は省略したが、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図106参照)において0から198の範囲で繰り返し更新される。
電源断フラグ223yは、瞬間的な停電があったか否かを判別するために用いられるフラグである。この電源断フラグ223yは、主制御装置110から電源断コマンドを受信し、電源断処理が実行される前にオンに設定される(図106のS1518参照)。その後、RAM223は揮発性メモリであるため、RAM223の情報は一定時間(100ミリ秒)経過後に全て消えてしまう。よって、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理(図104)において、電源断フラグ223yがオンである場合は(図104の1308:Yes参照)、電源断フラグ223yがオンに設定されてから一定時間(100ミリ秒)経過前に音声ランプ制御装置113が立ち上がった場合、即ち、瞬間的な停電があった場合である。この場合には、RAM223の情報は全て消えておらず、RAM223の作業領域に不要な情報(または、一部の情報のみが消えてしまったことで不完全となった情報など)が残っている場合があるので、RAM223の作業領域の情報をクリアする(図104のS1309参照)。これにより、不要(または、不完全)な情報に基づいて処理が実行されることがなくなるので、音声ランプ制御装置113の各処理を正常に動作させることができる。
その他メモリエリア223zは上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)や、演出時間を計時する経時タイマなどを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図107参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。また、計時タイマは、変動演出等の演出が開始されてからの経過時間を計時する。この計時タイマにより計時された経過時間に基づいて、各種制御(各種役物の動作の設定や、演出の発展等)が行われる。
次に、図79を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図79は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図116のS2501参照)の終了後に実行される初期化処理(図116のS2502参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
さらに、NAND型フラッシュメモリ234aには、補正情報テーブル234a3が設けられている(図79参照)。この補正情報テーブル234a3には、電源投入時に表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)へ表示される画像(以下、電源投入時画像という)を補正するためのデータ(以下、補正情報という)が格納されている(図80(b)参照)。本制御例では、電源投入時画像を電源投入時以外の演出において流用して表示することで、キャラクタROM234の容量削減を図っている。しかし、電源投入時画像を、電源投入時以外の各演出においてそのままの表示態様(位置、大きさ)で流用して表示すると、各演出の視認性を損なう虞がある。そこで、補正情報テーブル234a3を用いて、電源投入時画像を電源投入時以外の各演出において適切な表示態様(位置、大きさ)に補正することで、各演出の視認性を損なうことなく電源投入時画像を流用して表示するようにしている。
なお、電源投入時画像は3種類の画像で構成されており、それら各種電源投入時画像のそれぞれに対して表示態様(位置、大きさ)を補正することが可能となっている。ここで、電源投入時画像を構成する3種類の画像(以下、各種電源投入時画像という)について説明する。電源投入時画像は、遊技者等に対して電源投入に伴う初期化処理などが行われていることを報知するための画像である電源投入時主画像と、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選結果を報知するための画像である電源投入時変動画像と、遊技者等に対して本パチンコ機10の機種を容易に識別可能にするための画像である電源投入時タイトル画像とで構成されている。これら各種電源投入時画像は電源投入時に予め定められた表示態様(位置、大きさ)で各表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)に表示されるものであり、詳細については図82を参照して後述する。
この補正情報テーブル234a3は、特殊演出補正処理(図121参照)または演出情報補正処理(図131参照)において参照され、現在実行(表示)されている演出に応じた補正情報が補正情報格納エリア233mへ格納される。補正情報格納エリア233mへ格納された補正情報は、描画処理(図134参照)において、描画リスト(図87参照)を生成する際に参照され、各種電源投入時画像の表示態様を設定するための詳細情報(表示可否、表示位置(座標)または大きさ(拡大率))が補正情報に基づいて補正される。これにより、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像)の表示態様を補正して表示することができる。
ここで、図80(b)を参照して、補正情報テーブル234a3の内容について説明する。図80(b)は、補正情報テーブル234a3の内容を模式的に示した模式図である。この補正情報テーブル234a3は、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像)の各演出に応じた補正情報が格納されており、通常演出用の補正情報と、デモ演出用の補正情報と、伸縮役物可動用の補正情報と、傾倒役物可動用の補正情報とが少なくとも設けられている。
各演出用の補正情報としては、電源投入時画像の画像種別毎に、表示可否(オンorオフ)に対応する補正情報と、座標補正量に対応する補正情報と、拡大率に対応する補正情報とが規定されている。表示可否(オンorオフ)に対応する補正情報は、対応する画像を表示するか否かを決定するための値であり、値がオンである場合には対応する画像が表示されるように設定(補正)され、値がオフである場合には対応する画像が非表示となるように設定(補正)される。また、座標補正量に対応する補正情報は、対応する画像の表示位置(座標)を補正するためのものであり、対応する画像が電源投入時に表示される位置(座標)からこの座標補正量に対応する補正情報に基づいて移動した位置(座標)に表示されるように設定(補正)される。さらに、拡大率に対応する補正情報は、対応する画像の大きさ(拡大率)を補正するためのものであり、対応する画像の左上の角を原点(基準点)として右下方向へこの拡大率に基づいて画像が拡大(または左上方向へ縮小)されるように設定(補正)される。
通常演出用の補正情報は、電源投入時の初期化処理が終了し、パチンコ機10において通常の遊技が行われる場合に用いられる補正情報である。また、デモ演出用の補正情報は、デモ演出が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。さらに、伸縮役物可動用の補正情報は、伸縮演出装置540(図9参照)の可動する演出(伸縮役物シナリオ)が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。また、傾倒役物可動用の補正情報は、傾倒動作ユニット600における演出部材620の可動する演出(傾倒役物シナリオ)が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。
具体的に、通常演出用の補正情報は、電源投入時主画像と、電源投入時タイトル画像とがオフに設定されており、電源投入時変動画像がオンに設定されている。そして、電源投入時変動画像の座標補正量は(-600,-450)に設定されており、拡大率は×1(等倍)に設定されている。その結果、通常演出が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とは非表示となるように補正され、電源投入時変動画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(-600,-450)移動した位置(座標)に、等倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、電源投入時に第3図柄表示装置81の右下部に表示されていた電源投入時変動画像が、通常演出が実行される場合には第3図柄表示装置81の左上の角に表示される(図83(a)参照)。
また、デモ演出用の補正情報は、電源投入時主画像と電源投入時変動画像とがオフに設定されており、電源投入時タイトル画像がオンに設定されている。そして、電源投入時タイトル画像の座標の補正量は(-700,0)に設定され、拡大率は×2(2倍)に設定されている。その結果、デモ演出が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時変動画像とは非表示となるように補正され、電源投入時タイトル画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(-700,0)移動した位置(座標)に、2倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、電源投入時にサブ表示装置690の中央部に表示されていた電源投入時タイトル画像が、デモ演出が実行される場合には第3図柄表示装置81の中央部に拡大されて表示される(図83(b)参照)。
ここで、デモ演出とは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出である。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
さらに、伸縮役物可動用の補正情報は、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とがオフに設定されており、電源投入時変動画像がオンに設定されている。そして、電源投入時変動画像の座標補正量は(200,-450)に設定されており、拡大率は×1(等倍)に設定されている。その結果、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する演出(伸縮役物シナリオ)が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とは非表示となるように補正され、電源投入時変動画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(200,-450)移動した位置(座標)に、等倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、通常演出が実行される場合に第3図柄表示装置81の左上の角に表示される電源投入時変動画像が、伸縮役物シナリオが実行される場合にはサブ表示装置690の左上の角に表示される。
また、傾倒役物可動用の補正情報は、通常演出用の補正情報と同一の情報が設定されている。その結果、傾倒動作ユニット600の演出部材620が可動する演出(傾倒役物シナリオ)が実行される場合には、通常演出が実行される場合と同様に、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が補正される。
このように、電源投入時以外の演出が実行される際には、その演出に応じた補正情報テーブル234a3の補正情報に基づいて、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が補正されて表示される。これにより、電源投入時以外の各演出で各種電源投入時画像を流用して表示することができるので、キャラクタROM234の容量を節約することができる。また、各種電源投入時画像を各演出において適切な表示態様(位置、大きさ)に補正して表示することができるので、各演出の視認性を損なうことなく、各種電源投入時画像を流用して表示することができる。
なお、各演出で可動される役物の動作に連動して、各種電源投入時画像の表示される位置が移動されるように補正してもよい。具体的には、一の演出における経過時間に対応する各種電源投入時画像の補正情報を規定しておく。例えば、電源投入時変動画像が第3図柄表示装置81の右上に表示される演出が実行されている場合に、傾倒動作ユニット600が右から左へと徐々にスライド(移動)する演出が実行されるとする。この場合に、電源投入時変動画像を傾倒動作ユニット600の動作に合わせて左にスライド表示していくことで、電源投入時変動画像が傾倒動作ユニット600の背面とならない位置にスライドして表示させることができるので、傾倒動作ユニット600の動作によって電源投入時変動画像が視認困難となってしまうことを防止(抑制)できる。即ち、遊技者に対して電源投入時変動画像を明瞭に視認させることができる。また、電源投入時変動画像が第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄の表示される領域まで移動表示した場合には、傾倒動作ユニット600に内蔵されているサブ表示装置690に移動して表示するように座標設定されていてもよい。このように構成されていることで、第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄の視認性を損なうことなく、電源投入時変動画像を移動して表示することができる。なお、移動表示させる対象は電源投入時変動画像に限られず、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄であってもよいし、保留図柄であってもよいし、キャラクタ等の図柄であってもよい。
また、各種電源投入時画像を移動させる場合に、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との間を行き来するように移動させるようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに画像を跨いで表示する場合には、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との解像度が異なるため、その解像度の差を公知のスケーラー(例えば、ビデオスケーラー)などを用いて調整(変換)すればよい。これにより、各種電源投入時画像を移動可能な範囲を広げることができる。
さらに、電源投入時において各種電源投入時画像を移動可能なように、補正情報を設定してもよい。この場合、電源投入時に最初に読み込まれる第1プログラム記憶エリアのプログラムと共に電源投入時に使用する補正情報を読み込むようにしておけば良い。ここで、パチンコ機10では、電源投入時に各種役物を原点位置へと移動させるための原点復帰動作が実行される。よって、各種役物が原点復帰動作により可動するため、第3図柄表示装置81やサブ表示装置690が視認しにくくなるタイミングがある。そこで、各種役物の可動状態に応じて各種電源投入時画像の表示位置(座標)を補正することで、各種役物の原点復帰動作中においても、各種電源投入時画像を視認しやすい遊技機とすることができる。
次いで、画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図87参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図118(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235d、電源投入時タイトル画像エリア235fが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入賞口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像エリア235fに対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図116参照)。
ここで、図81から図83を参照して、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690の表示領域と、その表示領域に表示される電源投入時画像について説明する。まず、図81は、表示制御装置114により描画される画像と、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690の表示領域との関係を模式的に示した模式図である。本制御例におけるパチンコ機10は、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とを備えており、各表示装置(第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690)に表示される画像を一定期間(例えば、20ミリ秒)毎に更新するための制御が表示制御装置114により実行される。
具体的には、表示制御装置114は、横1200ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)分の画像データを一定期間(例えば、20ミリ秒)毎に更新(描画)する。これらの画像データが各表示装置に設定されることにより、各表示装置(第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690)に表示される画像が一定期間毎に更新される。また、各ピクセル(画素)に対応する画像データは、それぞれR(赤)に対応するデータ、G(緑)に対応するデータ、およびB(青)に対応するデータの3つのデータで構成されている。各色のデータは例えば8ビットで構成され、各色の階調(レベル)を8ビット刻み(即ち、256段階)で設定することができる。即ち、各色に対する設定値として、「00H」~「FFH」までの256段階の値のいずれかを設定することができる。
各表示装置に設けられている各ピクセル(画素)には、赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とが設けられており、画像データが設定されることにより、各色の階調(レベル)を設定することができる。なお、各表示装置を構成する各ピクセル(画素)は十分微細であり、1つのピクセル(画素)を構成する、赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とを肉眼で見分けることが困難である。よって、肉眼ではこれら3色が合成された色の見た目となる。
各ピクセル(画素)に対して設定される画像データについて、具体例を挙げて説明する。例えば、RのデータがFFH(255階調)であり、他の色のデータがそれぞれ00H(0階調)であれば、当該画像データが設定された画素が最大階調(最大レベル)の赤色で表示される(当該画素が最大階調の赤色の見た目となる)。また、Rのデータ、およびGのデータがそれぞれ80H(128階調)であり、Bのデータが00H(0階調)であれば、128/255階調の赤色と128/255階調の緑色が合成された結果、当該画像データが設定された画素が最大階調の黄色の見た目で表示される。更に、Rのデータ、Gのデータ、Bのデータが全てFFH(255階調)であれば、R,G,Bの3色が全て最大階調(255/255階調)に設定されるため、これらの3色が合成された結果、当該データが設定された画素は白色の見た目で表示される。一方、3色のデータが全て00Hであれば、3色が全て無表示となる結果、当該データが設定された画素は黒色の見た目で表示される。
このように、各表示装置の表示画面を構成する各ピクセル(画素)の表示色を、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ256段階で表現することができるので、各表示装置に対して精彩な画像を表示させることができる。なお、本制御例では各画素において赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とを設ける構成としていたが、画像の表示に必要な色が網羅的に表現できる範囲で変更してもよい。例えば、赤、緑、青の3色に代えて、黄、シアン、マゼンタの3色としてもよい。また、赤、緑、青に加えて、黄色を発色可能な領域を各ピクセル(画素)に設けると共に、黄色に対応する8ビットのデータを画像データに追加するように構成してもよい。黄色を発色可能な領域を追加することにより、色彩表現をより精彩とすることができる。特に、黄色の成分を多く含み、且つ、表示演出等で用いられる頻度の高い色(例えば、金色等)を精彩に表現することができるので、表示演出の興趣をより向上させることができる。
図81に示した通り、画像データを構成する各ピクセル(画素)の表示データには、座標データが対応付けられている。ここで、座標データは、各表示装置におけるデータの設定位置(設定ピクセル)を特定するためのデータである。本実施形態では、水平座標として0~1200の範囲を指定することができ、垂直座標として0~600の範囲を指定することができる。
図81に示した横長長方形領域のうち、左上の角の位置の座標を原点座標(0,0)と規定し、右下の角の位置の座標を(1200,600)と規定している。また、座標(0,0),(800,0),(0,600),(800,600)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に規定された画像データは、第3図柄表示装置81に対して表示させる画像を規定した領域(第3図柄表示装置用領域)である。この領域における各ピクセル(画素)データの配置と、第3図柄表示装置81において実際に画像データが設定される位置とが一致するように各座標が設定されている。
一方、(800,0),(1200,0),(800,300),(1200,300)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に規定された画像データはサブ表示装置690に対して表示させる画像を規定した領域(サブ表示装置用領域)である。さらに、残りの(800,300),(1200,300),(800,600),(1200,600)の4点を頂点とする長方形形状の領域は予備の領域(未使用領域)であり、この領域の画像データは表示に用いられることはない。
このように、本制御例における表示制御装置114は、第3図柄表示装置81に設定するための画像データと、サブ表示装置690に対して設定する画像データとを一の画像データとして描画し、その画像データの座標に応じて第3図柄表示装置81へ表示するかサブ表示装置690へ表示するかが変更される。これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される画像(演出)を同期させることが容易となり、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される画像(演出)がずれてしまうなどの不具合を抑制することができる。なお、これに限られず、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを別々に描画するように構成してもよい。
次いで、図82を参照して、電源投入時に表示制御装置114により、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690に表示される電源投入時画像について説明する。ここで、電源投入時主画像は横450ピクセル(画素)×縦200ピクセル(画素)分の画像データとして規定され、電源投入時変動画像は横100ピクセル(画素)×縦100ピクセル(画素)分の画像データとして規定され、電源投入時タイトル画像は横200ピクセル(画素)×縦50ピクセル(画素)分の画像データとして規定されている。なお、各種電源投入時画像の表示位置(座標)の説明を簡易にするため、各種電源投入時画像の表示位置(座標)を示す場合には、各種電源投入時画像の画像データにおける左上角のピクセル(画素)の座標を代表的に指す(示す)こととする。例えば、図82(a)における電源投入時主画像は、(100,50),(550,50),(100,250),(550,250)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に表示される画像データである。この場合、電源投入時主画像の画像データの左上角のピクセル(画素)の座標である(100,50)を、電源投入時主画像の表示位置(座標)として代表的に指す(示す)こととし、電源投入時主画像の表示位置(座標)は(100,50)であると表現する。
表示制御装置114は、電源投入直後に、まず、電源投入時タイトル画像に対応する画像データをキャラクタROM234から電源投入時タイトル画像エリア235fへ転送する。次いで、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送し、その後、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。これにより、表示制御装置114は、まず電源投入時タイトル画像エリア235gに格納された画像データを用いて、電源投入時タイトル画像を表示させる。電源投入時タイトル画像の表示位置(座標)は(900,100)であり、サブ表示装置690の中央部に電源投入時タイトル画像が表示される(図82(a)参照)。
次いで、表示制御装置114は、電源投入時主画像を表示させる。電源投入時主画像の表示位置(座標)は(100,50)であり、第3図柄表示装置81の中央部に電源投入時主画像が表示される(図82(a)参照)。これらの表示が行われている間、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。
ここで、サブ表示装置690は、第3図柄表示装置81よりも表示画面の解像度が低いので、そのサブ表示装置690に対して画像を表示させるために設定する画像データは、第3図柄表示装置81に対して画像を表示させるための画像データよりもデータ量が少なくなる。よって、表示制御装置114では、画像を表示させるためのデータ量が少ないサブ表示装置690に表示する画像(電源投入時タイトル画像)を最初に常駐用ビデオRAMに格納するようにしているので、電源が投入されてから画像が表示されるまでの時間を短縮することができる。
その後、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の画面に向かって右下の位置((600,450)の座標)に「○」図柄の電源投入時変動画像と、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する(図82(b),(c)参照)。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は、それを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合はそれを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、「○」、「×」を示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
さらに、この電源投入時変動画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、遊技の実行中に停電などにより電源が一度切断され復旧した場合に、停電前に実行されていた遊技における変動または変動の結果を簡単な変動演出により、すぐに確認することができるので、遊技者が感じる不満を低減することができる。
なお、電源投入時に表示される画像として、簡易的なキャラクタ画像などを設け、第3図柄表示装置81に表示するようにしてもよい。これにより、電源投入時に表示される簡単な変動演出においても、演出のバリエーションを増やすことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、ここで用いる簡易的なキャラクタ画像は、通常演出時にサブ表示装置690において用いられるキャラクタ画像としてもよい。これにより、新たに簡易的なキャラクタ画像を設けることなく、サブ表示装置690に表示されるデータ容量の少ないキャラクタ画像を共通化して利用することができるので、キャラクタROM234の容量を節約できるとともに、常駐用ビデオRAM235への画像の転送時間を短くすることができる。
さらに、常駐用ビデオRAM235へ転送が完了した画像から順次第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690へ表示するようにしてもよい。これにより、電源を投入してから通常の遊技を開始可能となるまでの間に実行される簡易演出においても、順次演出のバリエーションを増やしていくことができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、常駐用ビデオRAM235へ画像を転送する際には公知の画像圧縮技術により解像度が低くなるように圧縮した画像を転送し、その後、常駐用ビデオRAM235に転送が完了した画像を解凍するようにしてもよい。そして、圧縮した画像が常駐用ビデオRAMに格納された時点で、その画像をサブ表示装置690へ表示するように構成してもよい。これにより、低解像度に圧縮された画像であっても、解像度の低いサブ表示装置690であれば違和感なく当該画像を表示することができ、電源を投入してから画像が表示されるまでの時間を短くすることができる。
次に、図83を参照して、通常演出時とデモ演出時における表示画面について説明する。図83(a)は、通常演出時における第3図柄表示装置81の表示画面を模式的に示した模式図であり、図83(b)は、デモ演出時における第3図柄表示装置81の表示画面を模式的に示した模式図である。
通常演出時は、後述する補正情報テーブル234a3に基づいて、電源投入時変動画像の表示座標が(-600,-450)されて表示されることとなる。電源投入時における電源投入時変動画像の表示座標は(600,450)であるので、通常演出時には(0,0)の位置に電源投入時変動画像が表示されることとなる(図83(a)参照)。この電源投入時変動画像は、通常演出時には特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)の変動結果を示すものとして利用される。
また、デモ演出時は、後述する補正情報テーブル234a3に基づいて、電源投入時タイトル画像の表示座標が(-700,0)されて表示されることとなる。電源投入時における電源投入時タイトル画像の表示位置は(900,100)であるので、デモ演出時には(200,100)の位置に電源投入時タイトル画像が表示されることとなる(図83(b)参照)。
図79に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入賞口64または第2入賞口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、補正情報格納エリア233m、特殊演出補正フラグ233n、背景画像変更フラグ233p、演出モードフラグ233rを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア234a1に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBまたは大当たりCのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
また、第1入賞口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口であるので、普通図柄の大当たりとなって電動役物640aが開放され、球が第2入賞口640へ入り易くなると賞球が多くなる。これにより、パチンコ機10は、遊技を行っても、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態になるので、遊技者は、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態で特別図柄の大当たりを得られるという期間感を得ることができる。従って、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
尚、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図85を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図85は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。
MPU231は、この背面種別によって、背景モードに対応した背景(海中、浜辺、準備期間の背景、時間演出専用の背景)のいずれかを表示させることが特定される場合は、背景のうち遊技者によって指定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。
尚、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図85の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図87参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図86を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図86は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図86のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図86のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図86の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図87参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図86の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図116参照)の中でオンに設定される(図116のS2505参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図132(b)のS4805参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図118(b)のS2801参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図119~図127参照)および表示設定処理(図128~図130参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図132(a)のS4701参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図132(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図133参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図57参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図87参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図87参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図118(b)のS2803参照)の中で、ポインタ更新処理(図130のS4305参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図87参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置114の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図87を参照して、描画リストの詳細について説明する。図87は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図87に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図118(b)のS2803参照)が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図128のS4307参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233jは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233jは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図116のS2502参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233jは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233jの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図133参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233jを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図133のS4913参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図133のS4914参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233kは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図134のS5002参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233kは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233kの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図118(b)参照)の描画処理が実行される度に行われる(図134のS5002参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
補正情報格納エリア233mは、上述した補正情報テーブル234a3の補正情報が格納されるエリアであり、この補正情報格納エリア233mに格納された補正情報に基づいて、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)の表示態様(位置、大きさ)が補正されて表示されることとなる。補正情報格納エリア233mは、音声ランプ制御装置113の電源投入時に全ての画像種別に対して初期値(表示可否はオン、座標補正量は(0,0)、拡大率は×1倍(等倍))が設定されるので、電源投入時には各種電源投入時画像が初期位置(図82参照)で表示される。そして、遊技状態(表示されている演出)に応じて、補正情報テーブル234a3の補正情報が設定される。例えば、通常演出の実行中であれば、補正情報テーブル234a3の通常演出用の補正情報が設定される(図131のS4604参照)。
特殊演出補正フラグ233nは、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出(伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオ)に対応する補正情報(伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報)が、補正情報格納エリア233mに設定されているか否かを判別するためのフラグである。特殊演出補正フラグ233nが、オンである場合には伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されていることを示し、オフである場合には伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されていないことを示す。特殊演出フラグ233nがオンである場合には、演出情報補正処理(図131参照)において、通常演出用またはデモ演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されないようにしている(図131のS4602:No参照)。これにより、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が実行中であるにも関わらず、補正情報格納エリア233mに設定されている伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が、演出情報補正処理(図131参照)によって通常演出用またはデモ演出用の補正情報に書き換えられてしまうことを防止できる。その結果、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が実行中であるにも関わらず、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が通常演出またはデモ演出に対応した表示態様(位置、大きさ)となってしまうとの不具合を防止(抑制)でき、遊技者が困惑してしまうことを防止(抑制)することができる。
この特殊演出補正フラグ233nは、特殊演出補正処理(図121参照)において、伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定された場合にオンに設定される(図121のS3205参照)。そして、変動表示(演出)が停止される場合にオフに設定される(図126(b)のS4101参照)。即ち、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が停止される場合に、特殊演出補正フラグ233nがオフに設定される。特殊演出補正フラグ233nがオフに設定されることで、演出情報補正処理(図131参照)によって補正情報格納エリア233mに通常演出用またはデモ演出用の補正情報を設定することが可能となる(図131のS4602:Yes参照)。このように、演出に応じた補正情報を補正情報格納エリア233mに設定することができるので、各種電源投入時画像を各演出に適した表示態様(位置、大きさ)に補正して表示することができる。
背面画像変更フラグ233pは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像の種別を変更するか否かを判別するためのフラグである。この背面画像変更フラグ233pは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドや、演出モード変更コマンドを受信した場合にオンに設定される(図126(a)のS4001参照)。そして、通常画像転送設定処理において参照され(図133のS4909参照)、背面画像の変更処理が実行される際にオフに設定される(図133のS4910参照)。これにより、音声ランプ制御装置113から受信した背面画像変更コマンドや演出モード変更コマンドに対応した背面画像を表示することができる。
演出モードフラグ233rは、現在の演出モード(演出期間)を判別するために設定、参照されるフラグであり、演出モードフラグ233rに設定されている演出モードに基づいて、背面画像が変更される。この演出モードフラグ233rは、音声ランプ制御装置113から受信した演出モード変更コマンドに基づいて設定され(図126(a)のS4002参照)、その設定された演出モードフラグ233rの値に基づいて、後述する通常画像転送設定処理において、背面画像データが設定されることとなる(図133のS4911参照)。これにより、音声ランプ制御装置113で設定する演出モードに応じて、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690に表示される背面画像を変更することができる。
次に、図88から図90を参照して、本制御例の時短遊技中に実行される入球演出について説明する。この入球演出は、第2入賞口640への遊技球の入球に基づいて、実行(変動)中の変動表示が大当たりとなる期待度を示唆する演出である。図88は、入球演出が実行される場合のタイミングチャートを示した図である。本制御例における時短遊技では、第2特別図柄に基づく変動表示が0.6秒(図柄などが変動表示される0.125秒の期間と、図柄などが停止表示される0.475秒の期間とで構成)で終了する。この場合に、変動演出の実行に基づいて大当たりとなる期待度を一の表示領域に表示すると、変動演出が短時間(0.6秒)で終了する(即ち、大当たりとなる期待度の表示が0.6秒で終了する)ので、遊技者が大当たりとなる期待度を認識することが困難となる。
そこで、本制御例では、大当たりとなる期待度を示す入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの4領域に順に表示するようにしたので、例えば、第1領域81aに入球演出を表示しつつ、次の入球演出を第2領域81bに表示することができる。これにより、大当たりとなる期待度を示す入球演出の表示期間を長くすることができ、遊技者に対して大当たりとなる期待度を認識させやすい、即ち、わかりやすい遊技機を提供することができる。
また、大当たりとなる期待度を示す入球演出は、第2入賞口640の保留が上限(本制御例では4)である場合にも、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて表示される(所謂、オーバーフロー時にも入球演出が表示される)。これにより、第2入賞口640の保留が上限(4)となっていても、遊技者に対して継続して第2入賞口640へ遊技球を入球させたいと思わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
さらに、大当たりとなる期待度を示す入球演出は、大当たりまでの残変動回数に対応した演出となっている。具体的には後述するが、大当たりとなるまでの残変動回数が減少することに基づいて、大当たりとなる期待度の高い入球演出(レベルの高い入球演出)となるように制御される。これにより、入球演出のレベル(大当たりとなる期待度)が徐々に増加するので、遊技者に対して大当たりの到来を徐々に予感させることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
具体的に、図88を参照して説明する。まず、大当たり遊技の終了後に遊技状態が時短遊技状態へと移行し、大当たり遊技中に第2特別図柄の保留球数が4となっていると、その保留球のうち最も古い入賞に基づく変動である変動1が開始される。ここで、各保留球の入賞情報に大当たりの入賞情報がないとすると、大当たりまでの残変動回数は未定(4より大)である。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づき、入球演出としてレベル0入球演出が選択される(図78参照)。よって、変動1の実行中に第2入賞口640へ1球目の入球(抽選結果は外れ)があった場合は、レベル0の入球演出が第3図柄表示装置81の第1領域81aに表示されると共に、第2特別図柄の保留球数は4に変化する(図89(a)参照)。
次いで、変動1が終了すると、保留球に基づく変動2が開始され、第2特別図柄の保留球数が3となる。この変動2の実行中に第2入賞口640へ2球目の入球(抽選結果は大当たり)があった場合は、大当たりまでの残変動回数が4回となる。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル1入球演出が選択される(図78参照)。よって、レベル1の入球演出が第3図柄表示装置81の第2領域81bに表示されると共に、第2特別図柄の保留球数が4に変化する。
そして、変動2が終了し保留球に基づく変動3が開始されると、第2特別図柄の保留球数が3になると共に、大当たりまでの残変動回数が3回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル2入球演出が選択される(図78参照)。よって、変動3の実行中に第2入賞口640へ3球目の入球(抽選結果は外れ)があると、レベル2の入球演出が第3図柄表示装置81の第3領域81cに表示される(図89(b)参照)と共に、第2特別図柄の保留図柄が4に変化する。さらに、当該変動3の実行中に第2入賞口640へ4球目の入球(オーバーフロー)があった場合は、大当たりまでの残変動回数は3回である。この場合、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル2入球演出が選択される(図78参照)。よって、レベル2の入球演出が第3表示装置81の第4領域81dに表示される。
次いで、変動3が終了し保留球に基づく変動4が開始されると、第2特別図柄の保留球数が3となると共に、大当たりまでの残変動回数が2回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル3入球演出が選択される(図78参照)。しかし、この変動4の実行中に第2入賞口640への入球がなければ、入球演出が新たに表示されることはなく、そのまま変動4が終了する。
変動4が終了すると、保留球に基づく変動5が開始され、第2特別図柄の保留球数が2に減少すると共に、大当たりまでの残変動回数が1回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル4入球演出が選択される(図78参照)。よって、この変動5の実行中に第2入賞口640へ遊技球が入球すると、レベル4の入球演出が第3表示装置81の第1領域81aに表示される(図90(a)参照)と共に、第2特別図柄の保留球数が3へと増加する。
そして、変動5が終了すると、大当たりの入賞情報の保留球に基づく変動6が開始され、第2特別図柄の保留球数が2へと減少すると共に、大当たりまでの残変動回数が0回(当該変動が大当たり)へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル5入球演出が選択される(図78参照)。よって、この変動6の実行中に第2入賞口640へ遊技球が入球すると、レベル5の入球演出が第3図柄表示装置81の第2領域81bに表示される(図90(b)参照)と共に、第2特別図柄の保留球数が3へと増加する。その後、変動6の変動が終了すると、大当たり遊技が実行されることとなる。
このように、本制御例では、大当たりまでの残変動回数に応じて、入球演出の種別が変更されるよう構成しているので、遊技者は大当たりに基づく変動が実行される前に、大当たりとなることを予め認識することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、大当たりまでの残変動回数が減少することに基づいて、入球演出のレベルが徐々に増加するため、遊技者に対して大当たりの到来を徐々に予感させることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、時短遊技における一の変動演出の変動時間を短く(0.6秒)することで、遊技の回転率(効率)の向上を図っている。しかし、変動時間が短いことにより、その変動時間において実行(表示)される変動演出も短くなっている。その結果、第2入賞口640へ継続的に遊技球が入球されなければ、変動演出が継続して行われず(即ち、変動演出が実行(表示)されない期間が長くなり)、遊技がつまらないものとなってしまう虞がある。そこで、本制御例では、第2入賞口640への入球に基づいて、大当たりとなる期待度を表示するように構成した。これにより、遊技者に対し遊技球を第2入賞口640へ入球させたいと思わせ、第2入賞口640へ継続的に遊技球が入球するよう遊技させることができるので、変動演出を継続的に表示することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、本制御例では、大当たりまでの残変動回数に応じた入球演出を行うようにしたが、これに限られず、大当たりまでの残変動回数を遊技者が認識困難となる態様の入球演出を実行するようにしてもよいし、大当たりまでの残変動回数とは無関係に上述した入球演出を行うようにしてもよい。これにより、大当たりの到来を予感することなく大当たりとなる場合を設けることができ、遊技に意外性を持たせ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、上述した入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順に表示するように構成している。これにより、一の入球に基づく入球演出は、その後新たに第2入賞口640へ遊技球が4球入球するまで継続して表示されることとなり、第2入賞口640へ遊技球が入球する間隔が非常に短い場合でも、入球演出が表示される時間を確保することができ、遊技者が入球演出を視認(認識)できないとの不具合を抑制することができる。なお、入球演出が表示されていない領域を判別して表示されていない領域を優先的に利用して表示するようにしてもよい。これにより、入球演出が表示される時間をより長く確保することができる。
さらに、本制御例では、第2入賞口640の保留が上限となっており、更に第2入賞口640へ遊技球が入球した場合(所謂、オーバーフロー)でも入球演出を行うように構成している。これにより、第2入賞口640の保留が上限となっていても、入球することに基づいて入球演出が表示されるので、遊技者に対して第2入賞口640の保留が上限となっていても、継続して第2入賞口640へ遊技球を入球させたいと思わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。また、付与されている時短遊技の回数以上に入球演出が表示されることになるため、遊技者に対して時短遊技が多く付与されていると感じさせることができる。
なお、本制御例では、入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示するように構成したが、これに限られるものではない。例えば、逆順(反時計回り)に表示するように構成してもよいし、ランダムに表示するようにしてもよい。さらに、特定の演出や変動が実行される場合や大当たりの入賞情報がある場合などに表示順序を変更するようにしてもよい。これにより、表示される入球演出の順序を変更することができ、単調な遊技となってしまうことを防ぎ、遊技者が早期に飽きてしまうことを防ぐことができる。
また、大当たりとなる期待度に応じて、第3図柄表示装置81の各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序を変更してもよい。例えば、大当たりとなる期待度が低い場合には、入球演出を第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示し、一方、大当たりとなる期待度が高い場合には、逆順(反時計回り)に表示するようにする。これにより、遊技者は各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序で期待度を認識することができ、各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の内容を細かく見る必要がなくなるので、遊技者の負担を軽減することができる。
次に、図91を参照して、本制御例において設定される各演出期間(各演出モード)について説明する。本制御例では、上述したように、通常の演出が実行(表示)される期間である通常遊技期間(演出モードA)と、定期的(1時間毎に5分間)に設定される演出期間であって、経過時間に応じた特別な態様の演出(時間演出)が実行(表示)される期間である時間演出期間(演出モードB)と、その時間演出期間(演出モードB)の終了時点でその後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)に移行する時間演出延長期間(演出モードC)とが設けられている。
図91は本制御例における各演出期間(通常遊技期間、時間演出期間、時間演出延長期間)を示したタイミングチャートである。上述したように、本制御例では、通常遊技期間(演出モードA)および時間演出期間(演出モードB)の開始時刻を示す情報が演出時間格納エリア223gに設定されている。この演出時間格納エリア223gは、パチンコ機10の電源投入時に音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理(図104参照)内の時間設定処理(図105参照)によって、RTC292(計時手段)から取得された時刻情報(電源投入時刻を示す情報)に基づいて、通常遊技期間(演出モードA)および、時間演出期間(演出モードB)の開始時刻を示す情報が設定されるものである。この演出時間格納エリア223gの開始時刻を示す情報に基づいて各演出期間が設定される。
具体的に、演出時間格納エリア223gには、電源投入時刻から55分後の時刻を示す情報が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定されている。その結果、電源投入時刻から55分後に時間演出期間(演出モードB)が設定される。なお、電源投入から55分間は通常遊技期間(演出モードA)が設定される。時間演出期間は、5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定されている。その結果、時間演出の開始時刻から5分間が経過すると、通常遊技期間(演出モードA)が設定される。このように、通常遊技期間(55分間)と時間演出期間(5分間)とが繰り返し設定されるように演出時間格納エリア223gの開始時刻を示す情報が設定されており、1時間毎に5分間の時間演出期間(演出モードB)が設定されることとなる。
ここで、時間演出期間の5分間が経過すると、その時点で記憶されている保留記憶または変動中の特別図柄で当否判定結果が大当たりとなるものが設定されているか否かが判別される。そして、大当たりとなるものが設定されていると判別されると、その変動が終了するまでの時間で時間演出延長期間(演出モードC)が設定される。この場合には、時間演出延長期間(演出モードC)が終了した際に、通常遊技期間(演出モードA)が設定されることとなる。
また、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった場合には、その後時間演出延長期間(演出モードC)へ移行するか否かに関わらず、第3図柄表示装置81の表示態様が時間演出期間の終了を示唆する前兆表示態様へと切り替えられる。この前兆表示態様へと切り替わることで、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示(大当たりとなるか外れとなるかに関わらず)は、遊技者に視認困難となる表示態様に可変される。具体的には、縮小されて第3図柄表示装置81の表示領域右下部にて継続して変動表示される。そして、それまで実行(表示)されていた変動表示とは無関係に、外れを示す第3図柄が第3図柄表示装置81の中央部に停止表示される(即ち、疑似的に外れを示す第3図柄が表示される)。ここで、前兆表示態様において疑似的に停止表示される第3図柄は、少し揺れて表示させることで、完全に停止表示していないことを報知する。このように、前兆表示態様に切り替えて表示して第3図柄があたかも停止表示したかのように見せることで、他のパチンコ機10とも同じタイミングで第3図柄が停止表示したかのように思わせることができる。これにより、時間演出期間の終了時における表示態様を、複数のパチンコ機10で同じ表示態様とすることができ、遊技者に違和感を与えてしまうことを防止(抑制)できる。
なお、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下の場合に、第3図柄の変動表示が実行(表示)されていない場合においても、同様に、表示態様が前兆表示態様へと切り替えられる。これにより、変動表示が実行(表示)されているか否かに関わらず表示態様が前兆表示態様へと切り替えられるので、時間演出期間の終了時における表示態様を複数のパチンコ機10で同じ表示態様とすることができる。
なお、前兆表示態様において、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示が可変される、遊技者に視認困難となる表示態様とは上述したものに限られない。例えば、遊技者が第3図柄の変動表示であることを認識困難な態様に可変されて表示されるようにしてもよいし、全く表示されないようにしてもよい。これにより、疑似的に外れを示す第3図柄が表示されていることを認識し難くすることができ、第3図柄があたかも停止表示したかのように見せるとの効果をより強めることができる。
さらに、時間演出期間(演出モードB)が終了されるタイミング(即ち、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行するか否かの分かれ目のタイミング)では、時間演出期間であることを示す「スーパー魚群タイム」という文字の後に、「終了?」という文字(報知態様)が表示される。その後、時間演出延長期間(演出モードC)が設定されると、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行したことを報知する「スーパー魚群タイム延長!!」という文字が表示されて、魚群の背景画像が再度表示される。なお、時間演出延長期間で実行(表示)される演出を延長演出と呼ぶ。
時間演出延長期間(演出モードC)へ移行すると、前兆表示態様に切り替えられることで、遊技者に視認困難となる表示態様に可変されていた(縮小されていた)第3図柄の変動表示が、再度視認可能(容易)な表示態様に可変されて(拡大されて)表示される(図83参照)。第3図柄の変動表示が再度視認可能(容易)な表示態様に可変される(拡大される)場合には、新たな特別図柄の変動が開始されたかのように遊技者に報知(表示)される(以下、再変動演出という)。これにより、前兆表示態様において遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示を、再度視認可能(容易)な態様に可変させる(拡大させる)にあたり、遊技者に対して違和感を与えることなく可変させる(拡大させる)ことができる。
また、時間演出延長期間(演出モードC)は大当たりとなる変動表示が終了されるまで(即ち、大当たり遊技が開始されるまで)の期間となっている。時間演出延長期間(演出モードC)では、その時間演出延長期間(演出モードC)の残り時間(例えば、115秒)が第3図柄表示装置81に表示される(即ち、大当たり遊技が開始されるまでの残時間が第3図柄表示装置81に表示される)。
なお、本実施形態では、時間演出延長期間(演出モードC)が設定される場合は、大当たりとなる保留記憶が設定されている場合か、大当たりとなる変動がすでに開始されている場合(変動中)である。よって、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行することは、遊技者にとって大当たりが報知されることとなる。ここで、時間演出期間は、同一のパチンコ機10同士で同期して同じ演出が実行されており、同じタイミングで時間演出延長期間(演出モードC)へ移行するか否かの演出が表示される。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行することで、他(周囲)の遊技者も当該パチンコ機10が大当たりとなることを判別できる(即ち、周囲の遊技者に対して大当たりとなることを報知できる)ので、他(周囲)の遊技者の射幸心も煽ることができる。
一方、時間演出期間(演出モードB)が終了し、通常遊技期間(演出モードA)が設定されると、時間演出期間(演出モードB)の終了を報知する「スーパー魚群タイム終了!!」の文字が表示される。この表示は、前兆表示態様において、遊技者に視認困難となる表示態様に可変された第3図柄の変動表示が停止表示されるまで表示される。そして、次の変動からは、第3図柄の縮小表示が解除されて、第3図柄が通常サイズで変動表示される。このように構成することで、時間演出期間(演出モードB)が終了し、その後時間演出延長期間(演出モードC)へ移行しない場合においても、前兆表示態様に切り替えられることで視認困難な態様に可変された変動表示を、遊技者に対して違和感を与えることなく停止させることができる。
一方、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった時点で、第3図柄の変動表示が実行(表示)されていない場合には、通常遊技期間(演出モードA)が設定されると、時間演出期間(演出モードB)の終了を報知する「スーパー魚群タイム終了!!」の文字が所定時間(3秒間)表示される。そして、次の変動からは、第3図柄は縮小表示されることなく通常サイズ(図83(a)参照)で変動表示される。
なお、本実施形態では、時間演出延長期間(演出モードC)が設定される条件を、その後大当たりとなる場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)としたが、それに限らず、スーパーリーチとなる変動パターンが選択される保留記憶が設定されている場合としてもよいし、特別図柄の抽選とは無関係な抽選を実行して所定の抽選結果となった場合に設定するように構成してもよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行したにも関わらず、大当たりとならない場合を設けることができる。これにより、遊技者は、時間演出延長期間(演出モードC)において大当たりとなるか否かに注目するので、遊技者の興趣を向上させることができる。
ここで、時間演出期間(演出モードB)では、定期的(1分毎)に特定時間演出(カウントダウン演出)が行われる(図91参照)。これにより、時間演出期間において、他に(例えば、隣に)設置されているパチンコ機10と同期して同じ特定時間演出(カウントダウン演出)を行うことができ、複数のパチンコ機10で一体感のある演出を提供することを目的とした時間演出の効果をより高めることができる。
また、この特定時間演出(カウントダウン演出)は、パチンコ機10の遊技状態に基づいて演出内容が変化するものである。具体的には、パチンコ機10の遊技状態が確変状態であり、かつ、時短状態でない場合(所謂、潜伏確変状態である場合)には、カウントダウン演出において表示されるカウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が赤色で表示される(潜伏確変状態でない場合は黒色で表示される)。これにより、遊技者は遊技状態が確変状態でありかつ時短状態でない状態(所謂、潜伏確変状態)であることを容易に認識することができる。よって、遊技者に対して特定時間演出の演出内容に興味を抱かせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、潜伏確変状態であることを報知する報知態様は上述したものに限られるものではない。例えば、潜伏確変状態であることを報知するための図柄(画像)や文字を表示させるようにしてもよい。この場合に、それらの図柄(画像)として、各種電源投入時画像を補正して流用するように構成してもよい。これにより、潜伏確変状態であることを報知するための図柄(画像)を別途用意する必要がなくなるので、データ容量(ROMの容量)を削減することができる。
さらに、本制御例では、上述した特定時間演出(カウントダウン演出)の他に、同種の表示態様(カウントダウン)を含むカウントダウン予告演出が実行されるように構成されている。このカウントダウン予告演出は、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に基づいて実行(表示)されるものである。即ち、定期的(1分毎)に実行される特定時間演出(カウントダウン演出)と異なるタイミングで実行(表示)される場合がある。よって、他に(例えば、隣に)設置されている同種のパチンコ機10と異なるタイミングで、特定時間演出(カウントダウン演出)と同種の表示態様(カウントダウン)を含むカウントダウン予告演出が実行される場合がある。これにより、遊技に意外性を持たせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、カウントダウン予告演出は、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が表示された後に、大当たりとなる期待度を示唆するキャラクタ図柄が表示されたり、枠ボタン22の連打(または押下)が示唆され、枠ボタン22の連打(または押下)に基づいて大当たりとなる期待度を示唆する図柄や文字が表示されたりする演出である。
本制御例では、カウントダウン予告演出の実行(表示)中に特定時間演出(カウントダウン演出)の演出タイミングとなることが考えられる。この場合、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複(または、上書き)されて表示されることで、遊技者にとってわかりにくい遊技機となってしまう虞がある。そこで、本制御例では、カウントダウン予告演出の実行中には、上述した回避フラグ223iをオンに設定し(図111のS2007参照)、この回避フラグ223iがオンである場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(設定)されないように構成している(図114のS2305:Yes参照)。これにより、上述した問題が発生することを防止(抑制)し、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。
本制御例では、カウントダウンの態様を例として、そのカウントダウンの態様を含む演出が重複して表示されることを回避(制限)する構成について説明した。しかし、重複して表示されることを回避(制限)する演出は、カウントダウンの態様を含む演出に限られない。同種の態様を含む演出のうち、重複して表示され得る他の演出についても同様に適用可能である。例えば、ボタンの押下を示唆する演出が重複して表示され得る場合には、ボタンの押下を示唆する演出が重複して表示されることを回避(制限)するようにしてもよい。
本制御例では、同種の態様(カウントダウン)を含む演出(カウントダウン演出、カウントダウン予告演出)が重複して表示されないようにするために、カウントダウン予告演出が実行(表示)されている場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように回避(制限)した。しかし、これに限られず、同種の態様(カウントダウン)を含む演出のうち、いずれか一方の演出時間を調整(延長や短縮)したり、開始タイミングを変更したりするように構成してもよい。例えば、20秒後に特定時間演出(カウントダウン演出)が実行される場合に、カウントダウン予告演出(通常時には演出時間が30秒)が実行(設定)されるとする。この場合に、カウントダウン予告演出の演出時間を短縮して(例えば、15秒に短縮して)設定すればよい。これにより、同種の態様を含む演出のうち、いずれか一方の演出を非表示にせずとも、同種の態様を含む演出が重複して表示されることを防止(抑制)できる。その結果、より多くの演出を表示することができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、同種の態様(カウントダウン)を含む演出のうち、いずれか一方の開始タイミングを変更することで、次のようにしてもよい。例えば、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを、カウントダウン予告演出が終了するまで(または終了してから所定時間経過するまで)遅延させるように構成してもよい。
さらに、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを遅延させる場合には、遅延されなかった場合に設定(表示)されているであろう表示(演出)態様(即ち、開始タイミングが遅延されなかった他のパチンコ機10で表示されている表示(演出)態様)から、特定時間演出(カウントダウン演出)が開始(表示)されるように構成してもよい。具体的に、特定時間演出(カウントダウン演出)が5秒遅延される場合を例として説明する。上述した通り、特定時間演出(カウントダウン演出)は、カウントダウンの文字が「3」から3秒毎に1ずつカウントダウンされる演出である。よって、遅延時間が5秒の場合、遅延されなかった場合に表示される表示(演出)態様(他のパチンコ機10で表示されている表示(演出)態様)は、カウントダウンの文字として「2」が表示される表示(演出)態様である。これに合わせて、5秒遅延されて開始される特定時間演出(カウントダウン演出)を、カウントダウンの文字として「2」が表示される表示(演出)態様から開始するように制御する。これにより、開始タイミングが遅延された特定時間演出(カウントダウン演出)を、他のパチンコ機10で実行(表示)されている特定時間演出(カウントダウン演出)と同期して表示することができる。その結果、複数のパチンコ機10で実行される特定時間演出(カウントダウン演出)がずれることなく実行(表示)されるため、遊技者に違和感を与えてしまうことを防止(抑制)できる。
特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを遅延させる方法としては、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングが遅延されている期間を計測する手段(計時手段)を設け、その計測結果に基づいて遅延されて開始される特定時間演出(カウントダウン演出)の表示(演出)態様を設定する方法が挙げられる。また、他の方法として、特定時間演出(カウントダウン演出)が遅延されている期間は、制御処理として演出の表示(演出)態様を設定する処理(例えば、画像の表示ポインタの更新処理など)が実行されていても、特定時間演出(カウントダウン演出)に関わる画像および音声が出力されないように処理する(例えば、特定時間演出に関わる音声のみをミュートするなど)方法が挙げられる。
<第1制御例における主制御装置の制御処理について>
次に、図92から図103のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図92は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99、239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1~C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図93~図97を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図98および図99を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図93を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図93は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄1保留球数カウンタ2203d(特別図柄における変動表示の保留回数N1)と、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を取得する(S203)。次に、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0よりも大きいか否か(即ち、特別図柄2の保留記憶があるか)を判別する(S204)。
特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンド(特図2保留球数コマンド)を設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図102参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cにそれぞれ格納する。
S206の処理により特図2保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄2保留球格納エリア203bの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S208の処理へ移行する。
一方、S204の処理において、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0である(即ち、特別図柄2の保留球がない)と判別された場合には(S204:No)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0より大きい(即ち、特別図柄1の保留球が記憶されている)か判別する(S209)。特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0である(特別図柄1の保留球が記憶されていない)と判別された場合には(S209:No)、特別図柄1,特別図柄2共に保留球が無い状態であるので、この処理を終了する。
一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0でなければ(S209:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を減算し(S210)、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S211)。S211の処理により特図1保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S212)。S212の処理では、特別図柄1保留球格納エリア203eの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S208の処理へ移行する。
S208の処理では、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて変動表示を開始するための特別図柄変動開始処理を実行する(S208)。なお、特別図柄変動開始処理については、図94を参照して後述する。その後、この処理を終了する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S213)。第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S213:No)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新し(S214)、本処理を終了する。
一方、S213の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S213:Yes)、停止設定処理を実行し(S215)、この処理を終了する。なお、停止設定処理(S215)については、図95を参照して後述する。
次に、図94を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図94は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図92参照)の特別図柄変動処理(図93参照)の中で実行される処理であり、特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとの共通の実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」、「特別図柄の小当たり」、又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37A,37Bおよび第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理では、まず、特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとの共通の実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び、停止種別カウンタCN1の各値を取得する(S301)。次に、確変中であるかを判定する(S302)。
確変中である場合は(S302:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)より取得する(S303)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に設定された10の乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0~9」の10個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
なお、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とでは、大当たりと判定される判定値を同じとしたが、それに限らず、異なる乱数値としてもよい。このように構成することで、第1特別図柄では外れと判定される乱数値が第2特別図柄では、当たりと判定されるように構成され、大当たりの偏りを抑制できる。
また、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とで、大当たり乱数値の個数を同じに設定したが、それに限らず、第1特別図柄と第2特別図柄とで大当たりと判定される乱数値の数を異なるように設定してもよい。このように、構成することで、第1特別図柄と第2特別図柄とで大当たりの確率を異ならせることができ、大当たり確率の高い方の特別図柄で抽選が実行される場合には、遊技者により大当たりへの期待を持たせることができる。
一方、S302の処理において、確変中でない場合は(S302:No)、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(低確率遊技状態)であるので、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)とに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S304)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、低確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている1の乱数値と比較する。特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0」の1個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、この当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
そして、S303またはS304の処理によって取得した特別図柄の抽選結果が、特別図柄の大当たりであるかを判定し(S305)、特別図柄の大当たりであると判定された場合には(S305:Yes)、大当たりを示す大当たり時の表示態様を設定する(S306)。
このS306の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB、大当たりCのいずれか)に応じて、第1図柄表示装置37A、37Bの表示態様が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別が停止種別として設定される。次に、大当たり時の変動パターンを変動種別カウンタCS1の値に基づいて、第1当たり種別選択テーブル(図75(b)参照)より変動パターンを決定する(S307)。具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値を、第1当たり種別選択テーブルに格納されている乱数値と比較する。この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0~39」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりA(16R確変大当たり)となり、値「40~79」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりB(16R時短大当たり)となり、「80~99」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりC(2R確変時短無大当たり)となる。その後、S310の処理へ移行する。
一方、S305の処理において、特別図柄の外れであると判定された場合には(S305:No)、特別図柄に対応した外れ時の表示様態を設定する(S308)。このS308の処理では、判定された外れに応じて、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が設定される。次に、外れ時の変動パターンを、現在の保留球数に基づいて決定する(S309)。その後、S310の処理へ移行する。
S310の処理では、決定した各変動パターンを音声ランプ制御装置113へ通知するための変動パターンコマンドを設定し(S310)、停止種別コマンドを設定し(S311)、その後、この処理を終了し特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図95を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される停止設定処理(S215)を説明する。図95は、停止設定処理(S215)を示したフローチャートである。この停止設定処理処理(S215)は、タイマ割込処理(図92参照)の特別図柄変動処理(図93参照)の中で実行される処理である。
停止設定処理(S215)では、まず、第1図柄表示装置37A,37Bの停止図柄に対応した表示態様を設定する(S261)。停止図柄の設定は、図94の特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるか、大当たりCとなるか、小当たりとなるか、外れとなるかが決定される。
尚、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には、赤色のLEDを点灯させ、大当たりCになる場合には黄色のLEDを点灯させる。また、小当たりである場合には、紫色のLEDを点灯させ、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。なお、上記したLEDの表示色や点灯態様に限らず、各大当たり、小当たりの種別、変動状態を識別可能な点灯態様であれば、他の点灯態様であってもよい。
S261の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S262)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S262:Yes)、大当たりフラグ203iをオンに設定し(S263)、大当たりの開始を設定し(S264)、その後、S265の処理に移行する。
一方、S262の処理において、今回の抽選結果が大当たりでなければ(S262:No)、今回の抽選結果が小当たりであるかを判定する(S266)。今回の抽選結果が小当たりであれば(S266:Yes)、小当たりフラグ203jをオンに設定し(S267),小当たりの開始を設定し(S268)、その後、S265の処理へ移行する。
S266の処理において、今回の抽選結果が外れであれば(S266:No)、時短中カウンタ203hの値が1以上であるか判別する(S269)。時短中カウンタ203hの値が0であると判別された場合には(S269:No)、S265の処理へ移行する。一方、時短中カウンタ203hが1以上であると判別された場合には(S269:Yes)、時短中カウンタ203hの値を1減算し(S270)、S265の処理へ移行する。
S265の処理では、停止コマンドを設定し(S265)、この処理を終了する。
次に、始動入賞情報処理(S105)を説明する。まず、図96のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図96は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタを取得し、その値の保留処理を実行するための処理である。
始動入賞処理(図96,S105)が実行されると、まず、球が第1入賞口64に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S501)。ここでは、第1入賞口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入賞口64に入賞したと判別されると(S501:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)を取得する(S502)。そして、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S503)。
そして、第1入賞口64への入賞がないか(S501:No)、或いは、第1入賞口64への入賞があっても特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満でなければ(503:No)、S507の処理へ移行する。一方、第1入賞口64への入賞があり(S501:Yes)、且つ、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満であれば(S503:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算する(S504)。そして、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S505)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図102参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する。
S505の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S506)。尚、S506の処理では、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S507~S512までの処理では、S501~S506までの処理に対して、同様の処理が第2入賞口640の入賞に対しても実行される。第2入賞口640の入賞に対して、第2特別図柄に対する保留処理が実行される点で異なるのみで、その他の処理については同一であるので、その詳細な説明は省略する。そして、S407の処理において球が第2入賞口640へ入賞していないと判定された場合(S507:No)と、S512の処理の後、先読み処理を実行する(S513)。その後、この処理を終了する。
次に、図97を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(図96のS105参照)内の1処理である先読み処理(S513)について説明する。図97は、この先読み処理(S513)を示すフローチャートである。
この先読み処理(図97,S513)では、まず、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞があるかどうかが判定される(S601)。判定の結果、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞がない場合(S601;No)、そのまま本処理を終了する。一方、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞があった場合(S601:Yes)、変動開始時の遊技状態が確変であるかどうか否かを判定し(S602)、遊技状態が確変であれば(S602:Yes)、高確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に基づいて抽選結果を取得し(S603)、S605の処理に移る。S602の処理において、遊技状態が確変でなければ(S602:No)、低確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に基づいて抽選結果を取得し(S604)、S605の処理に移る。S605の処理では、S603,S604の処理で実行した大当たり判定結果を含む入賞情報コマンドを設定し(S605)、この処理を終了する。なお、この先読み処理(S513)では、本実施形態に限らず、選択される変動パターンの種別(外れリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ等)まで判別して入賞情報コマンドによって音声ランプ制御装置113に対して通知するように構成してもよい。
次に、図98を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図98は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第2図柄表示装置において行う第2図柄の変動表示や、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理(図98,S106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S701)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置において当たりを示す表示がなされている最中と、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S701:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S701:No)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S702)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中でなければ(S702:No)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S703)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S704)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であれば(S704:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0でなければ(S704:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S705)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S706)。S706の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203cの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S707)。
次に、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを判定する(S708)。
パチンコ機10が普通図柄の時短状態である場合は(S708:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S709)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S709:Yes)、S711の処理に移行する。
S709の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S709:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の第2当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S710)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5~204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0~4,205~239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図75(c)参照)。
S708の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S708:No)、S711の処理へ移行する。S711の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の第2当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S711)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5~28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0~4,29~239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図75(c)参照)。
次に、S710またはS711の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S712)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S712:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S713)。このS713の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S714)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S714:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S715)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S715:Yes)、S717の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第1入賞口64に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物640aの開放回数および開放時間が設定される。
S715の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S715:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S716)、S719の処理へ移行する。S714の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S714:No)、S717の処理へ移行する。S717の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S717)、S719の処理へ移行する。
S712の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S712:No)、外れ時の表示態様を設定する(S718)。このS718の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S719の処理へ移行する。
S719の処理では、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S719)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S719:Yes)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S720)、本処理を終了する。一方、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S719:No)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S721)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第2入賞口640へ球が入球し易い状態となる。
S702の処理において、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であれば(S702:Yes)、第2図柄表示装置において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S722)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置において変動表示が開始される前に、S720の処理またはS721の処理によって予め設定された時間である。
S722の処理において、変動時間が経過していなければ(S722:No)、本処理を終了する。一方、S722の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S722:Yes)、第2図柄表示装置の停止表示を設定する(S723)。S723の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S713の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S718の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S723の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図102参照)の第2図柄表示更新処理(S1107参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置における変動表示が終了し、S713の処理またはS718の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理(図98,S106)によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S724)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S724:Yes)、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御開始を設定し(S725)、本処理を終了する。S725の処理によって、電動役物640aの開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図102参照)の電動役物開閉処理(S1105参照)が実行された場合に、電動役物640aの開閉制御が開始され、S716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物640aの開閉制御が継続される。一方、S724の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S724:No)、S725の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図99のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図99は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理(図99,S107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したか否かを判定する(S801)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したと判定されると(S801:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S802)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S803)。
球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していないか(S801:No)、或いは、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満でなければ(S803:No)、本処理を終了する。一方、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過し(S801:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満であれば(S803:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1加算する(S804)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cの空き保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S805)、本処理を終了する。尚、S805の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図100は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S901)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図101を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図101は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S1002)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S1003)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S1004)、オンされていれば(S1004:Yes)、処理をS1012へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1004:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1005)、記憶されていなければ(S1005:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS1012へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1005:Yes)、RAM判定値を算出し(S1006)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1007:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1012へ移行する。なお、メイン処理(図102)のS1114の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S1012の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S1012)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。RAM203の初期化処理(S1013,S1014)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S1013)、その後、RAM203の初期値を設定する(S1014)。RAM203の初期化処理の実行後は、S1010の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S1004:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S1005:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1007:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S1008)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S1009)、S1010の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM203に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S1010の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。ここで、変動中の特別図柄が記憶されている場合には、音声ランプ制御装置113に対して表示制御装置114に電源時投入変動画像(図82(b)~(C)参照)を変動表示させるように指示される。なお、この変動指示については、立ち上げ処理内の例えば、初期設定(S1001)で実行するようにしてもよいし、他の処理で実行してもよい。次いで、割込みを許可して(S1011)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図102を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図102は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1101~S1107の各処理が実行され、その残余時間でS1110,S1111のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理(図102参照)においては、まず、タイマ割込処理(図92参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1101)。具体的には、タイマ割込処理(図92参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図93参照)や始動入賞処理(図96参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図103参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1102)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1103)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1104)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1104)をメイン処理(図102参照)において実行しているが、タイマ割込処理(図92参照)において実行しても良い。また、大当たり制御処理(S1104)の詳細については、図103を参照して後述する。
次に、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1105)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図98参照)のS725の処理によって電動役物640aの開閉制御開始が設定された場合に、電動役物640aの開閉制御を開始する。尚、この電動役物640aの開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1106)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS307の処理またはS309の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS307,S309の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS306,S308の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1107)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図98参照)のS720の処理またはS721の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図98参照)のS723の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図98参照)のS713の処理またはS718の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1108)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1108:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1109)、既に所定時間が経過していれば(S1109:Yes)、処理をS1101へ移行し、上述したS1101以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1109:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1110,S1111)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1110)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1102の処理と同一の方法によって実行する(S1111)。
ここで、S1101~S1107の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1108の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1108:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図100のNMI割込処理が実行されたということなので、S1112以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1112)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1113)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1114)、RAM203のアクセスを禁止して(S1115)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1108の処理は、S1101~S1107で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1110とS1111の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1101の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1101の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S1001)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1101の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図103のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1104)を説明する。図103は、この大当たり制御処理(S1104)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1104)は、メイン処理(図102参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理(図103,S1104)では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるかを判定する(S1201)。具体的には、停止設定処理(図95参照)のS264の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始されると判定する。S1201の処理において、特別図柄の大当たりが開始される場合には(S1201:Yes)、確変フラグ203g、および時短フラグ203kを共にオフに設定し(S1202)、オープニングコマンドを設定して(S1203)、本処理を終了する。
一方、S1201の処理において、特別図柄の大当たりが開始されない場合には(S1201:No)、特別図柄の大当たり中であるかを判定する(S1204)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1204の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1204:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1204の処理において、特別図柄の大当たり中であると判別した場合には(S1204:Yes)、S1205の処理を実行する。S1205の処理では、新たなラウンドの開始タイミングであるか判別する(S1205)。S1205の処理において、新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合には(S1205:Yes)、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放し(S1206)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定し(S1207)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1205の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでないと判別した場合には(S1205:No)、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したかを判別する(S1208)。特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していれば(S1208:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖し(S1209)、その後、本処理を終了する。
一方、S1208の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していなければ(S1208:No)、エンディング演出の開始タイミングであるか判別する(S1210)。エンディング演出の開始タイミングは、15ラウンドが終了して開閉扉65f1が閉状態にされ、球はけ時間である待機時間(本実施形態では、3秒)が経過した場合に、エンディング演出の開始タイミングとして判別する。エンディング演出の開始タイミングであると判別した場合には(S1210:Yes)、大当たりフラグ203iをオフにして(S1211)、エンディングコマンドを設定する(S1212)。そして、大当たり種別がAまたはCであるかを判別する(S1213)。S1213の処理において、大当たり種別がAまたはCでなければ(S1213:No)、時短中カウンタに100を設定し(S1217)、その後、本処理を終了する。
一方、S1213の処理において、大当たり種別がAまたはCであれば(S1213:Yes)、確変フラグ203gをオンにし(S1214)、大当たり種別がAであるかを判別する(S1215)。大当たり種別がAでなければ(S1215:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S1215の処理において、大当たり種別がAであれば(S1215:Yes)、時短フラグ203kをオンにして(S1216)、その後、この処理を終了する。
<第1制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図104から図115を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図104を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図104は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1301)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1519の電源断処理(図106参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1302)。図106を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図106のS1516:Yes)、S1519の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1519の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1302:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1303)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1306の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1303:Yes)、S1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1303:No)、S1308へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1303:Yes)、S1304へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1303:No)、S1308へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1302:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1519の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1304の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1304)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1305:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1306)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1305:No)、RAM223の異常を報知して(S1307)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1308の処理では、電源断フラグ223yがオンされているか否かを判別する(S1308)。電源断フラグ223yはS1519の電源断処理の実行時にオンされる(図106のS1519参照)。つまり、電源断フラグ223yは、S1519の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグ223yがオンされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1308:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1309)、電源断フラグ223yをオフに設定した後(S1310)、RAM223の初期値を設定する(S1311)。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。その後、割込み許可を設定し(S1312)、時間設定処理を実行して(S1313)、メイン処理へ移行する。時間設定処理の詳細については、図105を参照して後述する。
一方、電源断フラグ223yがオフされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1308:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1309をスキップして、処理をS1311へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1312)、割込み許可を設定し(S1311)、時間設定処理を実行して(S1313)、メイン処理へ移行する。
なお、S1309のクリア処理をスキップするのは、S1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至った場合には、S1304の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図105を参照して、上述した音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理において実行される時間設定処理(S1313)について説明する。図105は、時間設定処理(S1313)を示したフローチャートである。この時間演出設定処理(S1313)は、通常遊技期間(演出モードA)および時間演出期間(演出モードB)が実行される開始時刻を示す情報を演出時間格納エリア223gに設定するための処理である。
時間設定処理(S1313)では、まず、RTC292より時間情報を取得する(S1401)。ここで取得される時間情報は、「時、分」の値が取得される。なおRTC292は、内部に電池を有した計時手段であり、パチンコ機10を組み立てる際に、所定の治具によりパチンコ機10に同じ現在時刻が初期設定される構成となっている。内部電池の容量は、約3年半程度の稼働時間となっている。また、RTC292は、カレンダー機能も有しており、「年月日」も判別可能な構成となっている。よって、例えば、クリスマスの日には、クリスマス専用の背景画像に変更させたり、サンタ等の特別なキャラクタ等を表示させたりする制御をすることも可能なように構成されている。
そして、S1401の処理において取得した時間情報(電源投入時刻)を基準として、通常遊技期間(演出モードA)、時間演出期間(演出モードB)および特定時間演出が実行(設定)される開始時刻をそれぞれ算出し、演出時間格納エリア223gに設定して(S1402)、本処理を終了する。
S1402の処理で演出時間格納エリア223gに設定される情報について、9時00分に音声ランプ制御装置113の電源が投入された場合を例として、具体的に説明する。演出時間格納エリア223gには、電源投入時刻(9時00分)から55分後の9時55分が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定される。そして、その最初の時間演出の開始時刻から1時間毎の時刻(10時55分、11時55分・・・)が時間演出の開始時刻を示す情報として24時間分設定される。また、時間演出中における時間演出の開始タイミングから1分毎(9時56分、9時57分、9時58分、9時59分、10時56分、10時57分・・・)が特定時間演出の開始時刻(開始タイミング)を示す情報として設定される。さらに、時間演出期間は5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻(10時00分、11時00分・・・)を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定される(図91参照)。
なお、本制御例では、電源が投入された時刻を基準として各時間演出(時間演出、特定時間演出)を実行するように設定したが、これに限られず、電源投入時刻に関わらず各時間演出(時間演出、特定時間演出)の開始時刻を設定してもよい。例えば、毎時00分を時間演出の開始時刻として設定してもよい。これにより、複数のパチンコ機10の電源を投入する際に、その電源投入時刻がずれたとしても、時間演出の開始時刻がずれることがなく、複数のパチンコ機10で時間演出を同期して実行することができる。
本制御例では計時手段としてRTC292を用いるようにしたが、これに限られるものではない。例えば、計時手段としてカウンタを設けて、次のようにしてもよい。通常遊技期間(55分間)を測定(計時)する場合には、通常遊技期間(55分間)が開始されてからカウンタの値を定期的(例えば1秒毎)にカウントアップ(またはカウントダウン)することで測定(計時)する。そして、カウンタの値が55分を示す値(例えば3300)となった場合に、55分が経過したと判別する。このように構成することで、RTC292を設ける必要がなくなるため、パチンコ機10をより安価に構成することができる。
次に、図106を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図106は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1501の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1501)、1m秒以上経過していなければ(S1501:No)、S1502~S1510の処理を行わずにS1511の処理へ移行する。S1501の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1502~S1510が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1511のコマンド判定処理やS1512の変動表示設定処理などを短い周期で実行する方が好ましいからである。S1511の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1512の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1501の処理で1m秒以上経過していれば(S1501:Yes)、まず、S1503~S1512の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1502)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1508の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1503)、その後電源投入報知処理を実行する(S1504)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。
また、停電等による電源断からの復旧時には、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この特別図柄の変動中であることを含む演出許可コマンドを受信したことに基づいて、この電源投入報知処理(S1504)で表示用変動パターンコマンドを作成し、表示制御装置114へ向けて送信する。表示制御装置114では、この電源投入時変動画像の変動開始コマンドを簡易コマンド判定処理(図118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく変動パターンに基づいて、電源投入時変動画像による変動表示を実行する(図82(b)または(c)参照)。ここで作成される表示用変動パターンコマンドは、上述したように、簡易な画像である電源投入時変動画像による変動表示を実行するためのものであるので、後述する変動パターン選択処理(図110参照)で選択されるものよりも簡易なものである。これにより、表示用変動パターンコマンドを作成するための処理負荷を軽減することができ、電源断からの復旧時にレスポンス良く電源投入時変動画像を表示させることができる。
さらに、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信された後に、当該演出許可コマンドに基づいて実行される変動表示を停止するための停止コマンドが主制御装置110より音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この停止コマンドを受信したことに基づいて、表示制御装置114へ表示用停止コマンドを送信する。表示制御装置114では、表示用停止コマンドを受信したことを簡易コマンド判定処理(118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく表示態様で電源投入時変動画像(図82(b)または(c)参照)を停止させる。
また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1505の処理へ移行する。
S1505の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1506)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1507)。この枠ボタン入力監視・演出処理は、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22の操作に対応する表示用コマンドを設定する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1508)、その後音編集・出力処理を実行する(S1509)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29~33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1509の処理後、液晶演出実行管理処理が実行される(S1510)。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1508のランプ編集処理が実行される。なお、S1509の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
液晶演出実行管理処理の後に、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1511)。このコマンド判定処理の詳細については、図107を参照して後述する。
次に、S1512の処理へ移行する。S1512の処理では、変動表示設定処理が実行される(S1512)。変動表示設定処理では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図109を参照して後述する。
変動表示設定処理(S1512)を終えると、次いで、パチンコ機10の演出モードに基づいた演出を実行するための同期演出管理処理を実行し(S1513)、時間演出期間(演出モードB)において特定時間演出を実行するための特定時間演出処理を実行する(S1514)。そして、第2入賞口640への遊技球の入球に基づく入球演出を実行するための入球演出設定処理を実行し(S1515)、S1516の処理へ移行する。同期演出管理処理(S1513)と、特定時間演出処理(S1514)と、入球演出設定処理(S1515)との詳細については、それぞれ図112及び113、図114、図116を参照して後述する。
入球演出設定処理(S1515)が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1516)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1516の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1516:Yes)、電源断フラグ223y及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1518)、電源断処理を実行する(S1519)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1520)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1516の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1516:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1517)、RAM223が破壊されていなければ(S1517:No)、S1501の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1517:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図107を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1511)について説明する。図81は、このコマンド判定処理(S1511)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1511)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理(S1511)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1601)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1601:Yes)、変動パターン受信処理(S1602)を実行して、メイン処理へ戻る。
ここで、図108を参照して、変動パターン受信処理(S1602)の詳細について説明する。図108は、変動パターン受信処理(S1602)を示すフローチャートである。この変動パターン受信処理(S1602)は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて、変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンの役物シナリオに基づいて各種役物(上下動作ユニット装置(落下役物)400、伸縮演出装置(伸縮役物)540、傾倒動作ユニット(傾倒役物)600など)の動作設定を行う処理である。
変動パターン受信処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dをオンし(S1701)、また、受信した変動パターンコマンドから変動パターン種別を抽出する(S1702)。ここで抽出された変動パターン種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図109参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の開始とその変動パターン種別を通知する表示用変動パターンコマンドを設定するために用いられる。
そして、抽出した変動パターン種別に落下役物シナリオがあるか否かを判別する(S1703)。S1703の処理において、落下役物シナリオがあると判別された場合は(S1703:Yes)、上下動作ユニット装置(落下役物)400の可動する演出が実行される場合であるので、上下動作ユニット装置(落下役物)400を可動させるための落下役物シナリオを設定する(S1704)。S1704の処理において設定される落下役物シナリオは、変動パターン種別に基づいて設定される変動演出の変動時間と同一の時間分の上下動作ユニット装置(落下役物)400の動作を規定したものである。この落下役物シナリオに基づいて、上下用駆動モータ431を駆動することにより、上下動作ユニット装置(落下役物)400と変動演出とを同期(連動)して可動させることができる。
S1704の処理を終えると、次いで、上下動作ユニット装置(落下役物)400の扉部材470の開放設定があるか否かを判別する(S1705)。S1705の処理において、扉部材470の開放設定があると判別された場合は(S1705:Yes)、扉部材470が開放されるように、開閉用駆動モータ466の励磁を行わないよう(オフ)に設定する(通電停止制御)。これにより、扉部材470を閉状態に維持するための開閉用駆動モータ466の静止トルク(所謂、ディテントルク)が最小となり、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動する慣性力によって扉部材470が開放されることとなる。図示は省略したが、扉部材470の開放設定がない場合、即ち、扉部材470を閉状態のままとする場合は、開閉用駆動モータ466が停止するように開放用駆動モータ466を励磁制御する。これにより、扉部材470の開放設定がない場合には、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動しても、開放用駆動モータ466の静止トルク、即ち、扉部材470を閉状態で維持するためのトルク(所謂、ホールディングトルク)が最大となるように励磁されるので、扉部材470は閉状態に維持され、開放されない。なお、扉部材470を閉状態で維持するためのトルク(ホールディングトルク)は、最大となるようにせずとも良く、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動する際に扉部材470に発生する慣性力により扉部材470が開放されない程度のトルクであればよい。この場合、開閉用駆動モータ466を励磁する電流を微弱なものとすることができるので、消費電力を低減することができる。
一方、S1705の処理において落下役物の開放設定がないと判別された場合は(S1705:No)、S1706の処理をスキップしてS1707の処理へ移行し、落下役物シナリオがないと判別された場合は(S1703:No)、S1704からS1706の処理をスキップしてS1707の処理へ移行する。
S1703,S1705またはS1706の処理を終えると、伸縮役物シナリオがあるか否かを判別する(S1707)。S1707の処理において、伸縮役物シナリオがあると判別された場合は(S1707:Yes)、伸縮演出装置540(図9参照)の前板部材546が下方位置へと可動するように、駆動モータ561を励磁制御する伸縮役物シナリオを設定し(S1708)、S1709の処理へ移行する。一方、S1707の処理において、伸縮役物シナリオがないと判別された場合は(S1707:No)、S1708の処理をスキップしてS1709の処理へ移行する。
S1709の処理では、傾倒役物シナリオがあるか否かを判別する(S1709)。S1709の処理において、傾倒役物シナリオがあると判別された場合は(S1709:Yes)、傾倒動作ユニット600(図9参照)が張出位置へと可動するように、駆動モータ631を励磁制御する傾倒役物シナリオを設定し(S1710)、本処理を終了する。一方、S1709の処理において、傾倒役物シナリオがないと判別された場合は(S1709:No)、S1708の処理をスキップして本処理を終了する。
図107に戻り、説明を続ける。S1601の処理において、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1601:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1603)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1603:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223eをオンに設定し(S1604)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1605)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図109参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1603:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1606)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1606:Yes)、受信した保留球数コマンドが特図1保留球数コマンドであるか、特図2保留球数コマンドであるかを判別して、そのコマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)と、主制御装置110の特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223b、および特別図柄2保留球数カウンタ223cにそれぞれ格納する(S1607)。また、S1607の処理では、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値をそれぞれ表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する。S1607の処理の終了後は、メイン処理に戻る。
ここで、特図1保留球数コマンド又は特図2保留球数コマンドは、球が第1入賞口64又は第2入賞口640に入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1607の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値が主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を修正し、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。尚、S1607の処理が実行されると、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄が第3図柄表示装置81に表示される。
S1606の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1606:No)、次いで、主制御装置110より入賞情報コマンドを受信したか判別する(S1608)。S1608の処理において、入賞情報コマンドを受信したと判別した場合には(S1608:Yes)、その受信した入賞情報コマンドに基づいた入賞情報(特別図柄の抽選結果など)を入賞情報格納エリア223aに格納し(S1609)、本処理を終了する。
一方、入賞情報コマンドを受信しなかった場合(S1608:No)、大当たりに関するコマンドを受信したか否かを判定する(S1610)。S1610の処理において、大当たりに関するコマンドを受信した場合(S1610:Yes)、受信した大当たりに関するコマンドに対応する処理を実行し(S1611)、本処理を終了する。大当たりに関するコマンドとしては、例えば、オープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドがある。また、受信した大当たりに関するコマンドに対応する処理としては、例えば、表示用オープニングコマンド、表示用ラウンド数コマンド、表示用エンディングコマンドを設定する処理がある。
S1610の処理において、大当たりに関するコマンドを受信していないと判別された場合には、(S1610:No)、停止コマンドを受信したか否かを判別する(S1612)。S1612の処理において、停止コマンドを受信したと判別された場合は(S1612:Yes)、実行されている変動表示の停止処理を実行し(S1613)、回避フラグ223iをオフに設定し(S1614)、表示用停止コマンドを設定して(S1615)、本処理を終了する。
S1615の処理により設定された表示用停止コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1501)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、当該表示停止コマンドを受信すると、実行中の変動演出を、停止種別コマンドにより設定された停止種別に基づく表示態様で停止させる。
一方、S1612の処理において、停止コマンドを受信していないと判別した場合には(S1612:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1616)、メイン処理に戻る。その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図109を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1512)について説明する。図109は、この変動表示設定処理(S1512)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1512)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dがオンか否かを判別する(S1801)。そして、変動開始フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1801:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1806の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223dがオンであると判別された場合(S1801:Yes)、変動開始フラグ223dをオフし(S1802)、次いで、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づく変動パターン種別を選択するための変動パターン選択処理を実行する(S1803)。
ここで、図110を参照して、変動パターン選択処理(S1803)の詳細について説明する。図110は、変動パターン選択処理(S1803)を示すフローチャートである。この変動パターン選択処理では、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドと、音声ランプ制御装置113でカウントしている演出カウンタ223jとに基づいて、演出モードに応じた変動パターン種別を選択する処理である。
変動パターン選択処理では、まず、演出カウンタ223jの値を取得する(S1901)。次いで、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)であるか否かを判別する(S1902)。演出モードの判別は、演出モード格納エリア223hの値を参照して判別を行う。上述したように、演出モード格納エリア223hの値は、「00H」であれば演出モードAであることを示し、「01H」であれば演出モードBであることを示し、「02H」であれば演出モードCであることを示すものである。
S1902の処理において、演出モード格納エリア223hの値が演出モードA(通常遊技期間)であると判別された場合は(S1902:Yes)、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する通常遊技期間(演出モードA)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1903)、本処理を終了する。ここで選択された変動パターンに基づいて、後述する変動表示設定処理において表示用変動パターンコマンドとして設定される(図109のS1804参照)。
一方、S1902の処理において、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)でないと判別された場合は(S1902:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるか否かを判別する(S1904)。
S1904の処理において、演出モード格納エリア223hの値が演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S1904:Yes)、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する時間演出期間(演出モードB)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1905)、本処理を終了する。
一方、S1904の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S1904:No)、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)の場合である。この場合、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する時間演出延長期間(演出モードC)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1906)、本処理を終了する。
このように、変動パターン選択処理(S1803)では、現在の演出モードに応じた変動パターンを選択するようにしているため、各演出期間(演出モード)に応じた変動表示を実行(表示)することができる。
図109に戻り、説明を続ける。S1803の処理を終えると、S1803の処理において選択した変動パターンに基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1804)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。S1804の処理を終えると、次いで、当否判定結果に基づく(大当たりとなる期待度を示唆する)予告演出を設定するための予告選択処理を実行する(S1805)。なお、この予告選択処理も現在の演出モードに応じた予告演出が選択されるように構成されている。
ここで、図111を参照して予告選択処理(S1805)の詳細について説明する。図111は、予告選択処理(S1805)を示すフローチャートである。この予告選択処理(S1805)は、上述した変動表示設定処理(図109参照)において実行され、現在の演出モードに応じた当否判定結果に基づく予告演出を設定するための処理である。
予告選択処理(S1805)では、まず、演出カウンタ223jを取得し(S2001)、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)であるか否かを判別する(S2002)。S2002の処理において、現在の演出モード(演出モード格納エリア223hの値)が演出モードA(通常遊技期間)であると判別された場合は(S2002:Yes)、入賞情報格納エリア223aに格納されている各保留球の当否判定結果と、演出カウンタ223jの値とに基づいて、通常遊技期間の予告演出である通常予告演出を選択し(S2003)、S2011の処理へ移行する。
一方、S2002の処理において、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)でないと判別された場合は(S2002:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるか否かを判別する(S2004)。
S2004の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S2004:No)、入賞情報格納エリア223aに格納されている各保留球の当否判定結果と、演出カウンタ223jの値とに基づいて、時間演出期間の予告演出である時間予告演出を選択し(S2005)、S2006の処理へ移行する。
S2006の処理では、S2005の処理において選択された時間予告演出が、カウントダウンの表示態様を含む予告演出(カウントダウン予告演出)であるか否かを判別する(S2006)。S2006の処理において、選択された時間予告演出がカウントダウン予告演出であると判別された場合は(S2006:Yes)、特定時間演出(カウントダウン演出)を実行しないようにするため、回避フラグ223iをオンにして(S2007)、S2011の処理へ移行する。S2007の処理によって、回避フラグ223iがオンに設定されることで、カウントダウン予告演出が実行されることを判別可能となる。この回避フラグ223iがオンである場合には、後述する特定時間演出処理(図114参照)において特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように制御される(図114のS2305:Yes)。これにより、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出(カウントダウン予告演出、特定時間演出(カウントダウン演出))が重複して行われることを防止(抑制)でき、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を防止(抑制)することができる。
なお、本実施形態では、第2入賞口640への入球に基づいてカウントダウン予告演出が実行される場合に回避フラグ223iをオンに設定し、特定時間演出が実行されないように制御したが、これに限られるものではない。例えば、第2入賞口640への入球に基づいてカウントダウン予告演出が実行されるタイミングを、入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報に基づいて先読み(推測)する。即ち、カウントダウン予告演出が実行される期間を先読み(推測)する。その先読み(推測)結果に基づいて、カウントダウン予告演出が実行される期間において、特定時間演出(カウントダウン演出)が重複して実行されないように設定してもよい。これにより、特定時間演出が開始されるタイミングよりも前に、特定時間演出を実行するための処理を中止できる。その結果、特定時間演出を実行するための準備(例えば、画像データの転送処理など)を省略できるので、処理負荷を軽減することができる。
また、重複を防止(抑制)するのは表示態様だけに限られず、音声や楽曲が重複してしまうことを防止(抑制)するようにしてもよい。さらに、表示態様に対して音声が異なってしまうことを防止(抑制)するようにしてもよい。例えば、ボタンを押せという表示が出ていないのに、「ボタンを押してね」という音声が出力されてしまうことを防止(抑制)する。
さらに、同種の表示態様を含む演出の重複を防止(抑制)するだけに限られず、同種の表示態様を含む演出が連続して(または頻繁に)実行されることを防止してもよい。具体的には、カウントダウン予告演出が実行される期間の近傍(例えば、前後1分)において、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように、回避フラグ223iをオンに設定する。これにより、遊技者に対して、より分かり易い遊技機を提供できる。
一方、S2006の処理において、選択された時間予告演出がカウントダウンの予告演出以外のものであると判別された場合は(S2006:No)、S2007の処理をスキップして、S2011の処理へ移行する。
S2004の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S2004:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であるか否かを判別する(S2008)。S2008の処理において現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であると判別された場合は(S2008:Yes)、次いで、当該変動の当否判定結果が当たりであるか否かを判別する(S2009)。
S2009の処理において、当該変動の当否判定結果が当たりであると判別された場合は(S2009:Yes)、当該変動が大当たりとなることを示唆する予告演出であるスーパー魚群予告演出を選択して(S2010)、S2011の処理へ移行する。
S2003,S2006,S2007またはS2010の処理を終えると、選択した予告演出を示す表示用予告コマンドを設定して(S2011)、本処理を終了する。ここで設定された表示用予告コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用予告コマンドを受信すると、そのコマンドに応じた予告演出を第3図柄表示装置81に表示する。
一方、S2008の処理において現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)ではないと判別された場合(S2008:No)、または、S2009の処理において、当該変動の当否判定結果が外れであると判別された場合は(S2009:No)、実行する予告演出がないため、そのまま本処理を終了する。なお、S2003およびS2005の処理では、演出カウンタ223jの値により予告演出が選択されない場合があり、その場合も同様に、表示用予告コマンドを設定せず、本処理を終了する。
なお、本制御例では、時間演出延長期間(演出モードC)において、時間演出期間(演出モードB)において定期的(1分毎)に実行される特定時間演出(カウントダウン演出)は実行されないようにしているが、これに限られず、時間演出期間(演出モードB)と同様に特定時間演出(カウントダウン演出)を実行してもよい。この場合は、上述した回避フラグ223iを用いて、時間演出期間(演出モードB)と同様にカウントダウン予告演出と重複するタイミングで特定時間演出(カウントダウン演出)が行われないように制御すればよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)においても、カウントダウン予告演出などが重複して実行されたりすることを抑制でき、遊技者に対してわかりやすい遊技機を提供できる。また、時間演出延長期間(演出モードC)において定期的に実行される特定時間演出の表示態様は、カウントダウンの表示態様を含まないものとしてもよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)において特定時間演出を定期的に実行しても、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が実行されない。よって、遊技者に対してわかりやすい遊技機を提供できる。
図109に戻り、説明を続ける。S1805の処理を終えると、次いで、停止種別選択フラグ223eがオンであるか否かを判別する(S1806)。そして、停止種別選択フラグ223eがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1806:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223eがオンであると判別された場合(S1806:Yes)、停止種別選択フラグ223eをオフし(S1807)、次いで、コマンド判定処理(図107参照)のS1605の処理において、停止種別コマンドから抽出した変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1808)。主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定し(S1809)、S1810の処理へ移行する。S1810の処理では、設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1810)。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
次に、図112を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である同期演出管理処理(S1513)について説明する。図112は、この同期演出管理処理(S1513)を示したフローチャートである。この同期演出管理処理(S1513)では、RTC292より時間情報を取得して、その時間情報に基づいて、通常遊技期間、時間演出期間、時間演出延長期間であるかを判別して、それを示す演出モードを設定する処理を実行する。
同期演出管理処理(図112、S1513)では、まず、RTC292より「時、分」の時間情報を取得する(S2101)。そして、演出モード格納エリア223hに、演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)が設定されているか判別する(S2102)。演出モードAを示す値(「00H」)が設定されていると判別した場合には(S2102:Yes)、S2101の処理で取得した時間データは演出モードB(時間演出期間)への移行タイミング(時間演出期間の期間となったか)を判別する(S2103)。S2103の処理において、演出モードB(時間演出期間)への移行タイミングであると判別した場合、即ち、時間演出の開始タイミングであると判別した場合には(S2103:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)を設定し(S2104)、演出モードB(時間演出期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定し(S2105)、本処理を終了する。一方、S2103の処理において時間演出期間でないと判別した場合には、S2104およびS2105の処理をスキップして、本処理を終了する。
一方、S2102の処理において、演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)が設定されていないと判別した場合には(S2102:No)、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)が設定されているか否かを判別する(S2106)。S2106の処理において、演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)が設定されていると判別した場合には(S2106:Yes)、S2101の処理で取得した時間データは時間演出終了から3秒以内であるか、即ち、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒以内かを判別する(S2107)。
S2107の処理において、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒以内であると判別された場合には(S2107:Yes)、延長演出を実行(表示)するための延長演出設定処理を実行する(S2108)。その後、メイン処理(図106参照)へ戻る。延長演出設定処理(S2108)については、図113を参照して詳細について説明する。
一方、S2107の処理において、取得した時間データが時間演出終了から3秒以内でないと判別された場合は、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒より長い場合であるため、S2108の処理をスキップして、本処理を終了する。
S2106の処理において、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「00H」)が設定されていない、即ち、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であると判別した場合には(S2106:No)、時間演出延長期間外であるか否か、即ち、時間演出延長期間(演出モードC)の終了タイミングであるか否かを判別する(S2109)。S2109の処理において、時間演出延長期間の終了タイミングであると判別した場合には(S2109:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)を設定し(S2110)、演出モードA(通常遊技期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2111)、本処理を終了する。一方、S2109の処理において、取得した時間データが時間演出延長期間の終了タイミングでないと判別された場合は(S2109:No)、S2110およびS2111の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図113を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される同期演出管理処理(図112参照)内の一処理である延長演出設定処理(S2108)を説明する。図113は、この延長演出設定処理(S2108)の内容を示したフローチャートである。
延長演出設定処理(図113、S2108)では、まず、大当たり遊技中であるか判別する(S2201)。大当たり遊技中であると判別した場合には(S2201:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)を設定する(S2202)。そして、演出モードA(通常遊技期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2203)、本処理を終了する。
本制御例では、上述したように、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されている場合には(S2201:Yes)、その大当たり遊技の終了後に通常遊技期間(演出モードA)へと移行させる(S2202およびS2203)ように制御しているが、これに限られるものではない。例えば、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても、その大当たり遊技が時間演出期間(演出モードB)の終了前に終了した場合には、時間演出期間(演出モードB)を設定してもよい。また、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても、その後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たりである場合)には、大当たり遊技の終了後に、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行させてもよい。これにより、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても延長演出などを実行(表示)できるので、遊技者の興趣を向上できる。
一方、S2201の処理において、大当たり遊技中でないと判別した場合には(S2201:No)、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングであるか判別する(S2204)。S2204の処理において、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングであると判別した場合には(S2204:Yes)、再変動演出が設定されているか否か、即ち、延長演出が実行される(演出モードCへ移行する)ことが決定しているか否かを判別する(S2205)。再変動演出が設定されている場合、即ち、その後延長演出が実行される(演出モードCへ移行する)ことが決定されている場合には(S2205:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードCを示す値(「02H」)に設定して(S2206)、演出モードCに基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2207)、本処理を終了する。
一方、S2205の処理において、再変動演出が設定されていないと判別した場合は(S2205:No)、その後、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行せず、通常遊技期間(演出モードA)へと移行することとなるため、S2202の処理へ移行する。これにより、時間演出期間(演出モードB)の終了時に(S2204:Yes)、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行しない場合(S2205:No)、演出モードA(通常遊技期間)へと移行させることができる(S2202およびS2203)。
また、S2204の処理において、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングでない(即ち、時間演出が継続して実行される)と判別した場合には(S2204:No)、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されているか、または変動中の当否判定結果が当たりであるか否かを判別する(S2208)。S2208の処理において、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されている、または、変動中の当否判定が当たりであると判別した場合には(S2208:Yes)、当たりとなる変動が終了するまでの時間を算出して、時間演出延長期間の演出時間(延長演出時間)として設定する(S2209)。そして、再変動演出を設定し(S2210)、本処理を終了する。
ここで、再変動演出とは、時間演出期間から時間演出延長期間へと移行することを示唆すると共に、新たな特別図柄の変動が開始されたかのように遊技者に報知(表示)する演出である。具体的には、魚群の表示態様が右から出現する表示態様が表示されると共に、遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示が、再度視認可能(容易)な態様に可変される(拡大される)。上述したように、本制御例では時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった場合には、前兆表示態様へと切り替わることで、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示は、遊技者に視認困難となる表示態様(縮小表示)に可変される。再変動演出では、この遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示を、再度視認可能(容易)な態様に可変する(拡大する)際に、魚群の表示態様が右から出現する表示態様を表示する。これにより、遊技者は魚群の表示態様に注目することになるため、遊技者に対して違和感を与えることなく、第3図柄の変動表示を可変させる(拡大させる)ことができる。
一方、S2208の処理において、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されておらず、変動中の当否判定結果が外れであると判別した場合には(S2208:No)、S2209およびS2210の処理をスキップして本処理を終了する。
次に、図114を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である特定時間演出処理(S1514)について説明する。図114は、特定時間演出処理(S1514)の内容を示したフローチャートである。この特定時間演出処理(S1514)は、時間演出期間(演出モードB)において、特定時間演出を実行(表示)するための処理である。
特定時間演出処理では、まず、RTC292より時間情報を取得する(S2301)。次いで、演出モード格納エリア233hを参照して、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるかを判別する(S2302)。S2302の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S2302:No)、以降の処理で特定時間演出を実行するタイミングと判別されることはないため、そのまま本処理を終了する。
一方、S2302の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S2302:Yes)、次いで、S2301の処理において取得した時間情報(現在時刻)と、演出時間格納エリア223gに格納されている特定時間演出の開始時刻を示す情報とに基づいて、特定時間演出タイミングであるか否かを判別する(S2303)。S2303の処理において、特定時間演出タイミングでないと判別された場合は(S2303:No)、特定時間演出を実行するタイミングではないため、そのまま本処理を終了する。
S2303の処理において、特定時間演出であると判別された場合は(S2303:Yes)、次いで、デモ演出の実行中であるか否かを判別する(S2304)。S2304の処理において、デモ演出の実行中であると判別された場合は(S2304:Yes)、そのまま本処理を終了する。これにより、デモ演出の実行中、即ち、遊技者が遊技を行っていない場合には、当該パチンコ機10の遊技状態が確変遊技状態(潜伏確変状態)であるか否かを示唆する演出である特定時間演出を表示しないようにでき、遊技をしていない遊技者に対して遊技状態を示唆してしまうことを防止(抑制)できる。
一方、S2304の処理においてデモ演出の実行中でないと判別された場合は(S2304:No)、次いで、回避フラグ223iがオンであるか否かを判別する(S2305)。S2305の処理において、回避フラグ223iがオンであると判別された場合は(S2305:Yes)、第2入賞口640への入球に基づく予告演出のうちカウントダウン予告演出が実行されている場合であるため、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)を表示しないようにするため、そのまま本処理を終了する(即ち、特定時間演出(カウントダウン演出)の設定を行わない)。
S2305の処理において、回避フラグ223iがオフであると判別された場合は(S2305:No)、特定時間演出(カウントダウン演出)を実行するために、表示用特定時間演出コマンドを設定して、本処理を終了する。
S2305の処理により、特定時間演出の実行中に第2入賞口640への入賞に基づくカウントダウン予告演出が実行される場合には(回避フラグ223iがオンの場合には)、特定時間演出に係るカウントダウン演出が実行されないように制御される(S2305:Yes)。これにより、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である、カウントダウン予告演出と特定時間演出(カウントダウン演出)とが重複して実行されることがないため、遊技者にとってわかりやすい遊技を提供できる。
次に、図115を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である入球演出設定処理(S1515)について説明する。図115は、入球演出設定処理(S1515)の内容を示したフローチャートである。この入球演出設定処理(S1515)では、時短遊技中において、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて入球演出を表示するための処理である。この入球演出は、大当たりとなるまでの残変動回数で選択される種別が変更されるものである。また、入球演出の表示される領域は、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dへと順に設定される。
入球演出設定処理(S1515)では、まず、遊技状態が時短遊技中であるか否かを判別する(S2401)。S2401の処理において、時短遊技中でないと判別された場合は(S2401:No)、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づく入球演出を実行(表示)しないので、そのまま本処理を終了する。
一方、S2401の処理において、時短遊技中であると判別された場合は(S2401:Yes)、次いで、遊技球が第2入賞口640へ入球したか否かを判別する(S2402)。本制御例では、主制御装置110で第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて、入球コマンドが音声ランプ制御装置113に向けて送信されている(図示せず)。音声ランプ制御装置113では、入球コマンドを受信することにより、RAM223のその他メモリエリア223zに第2入賞口640へ入球があったことを記憶しておき、S2402の処理において、第2入賞口640へ入球があったか否かを判別する。
なお、これに限られず、第2入賞口640へ遊技球が入球したことを検知する入球検知スイッチを設けることにより、第2入賞口640へ遊技球が入球したことを音声ランプ制御装置113で検知可能としてもよい。また、入球検知スイッチは、主制御装置110で使用されている第2入賞口640への入球を検知しているスイッチを兼用して使用してもよい。これにより、遊技機の製造コストを低減できる。
S2402の処理において、第2入賞口640へ遊技球が入球していないと判別された場合は(S2402:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S2402の処理において、主制御装置110より上述した入球コマンドを受信しており、第2入賞口640へ遊技球が入球したと判別された場合は(S2402:Yes)、入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報と、入球演出選択テーブル222bとに基づいて、入球演出を選択する(S2403)。そして、S2403の処理において選択した入球演出と、表示領域カウンタ223fとに基づいて、表示用入球演出コマンドを設定する(S2404)。ここで設定された表示用入球演出コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、この表示用入球演出コマンドを受信すると、コマンドに対応した表示領域(第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81d)に入球演出を表示する。
S2404の処理を終えると、表示領域カウンタ223fの値を1加算し(S2405)、その加算された表示領域カウンタ223fの値が5であるか否かを判別する(S2406)。S2406の処理において、表示領域カウンタ223fの値が5であると判別された場合は(S2406:Yes)、当該入球演出設定処理において第4領域81d(図89または図90参照)に入球演出を表示設定しており、次に入球演出を表示する領域を第1領域81a(図89または図90参照)とするために、表示領域カウンタ223fの値を1に初期化して(S2407)、本処理を終了する。一方、S2406の処理において、表示領域カウンタ223fが5でない(即ち、2から4のいずれかである)と判別された場合は(S2406:No)、表示領域カウンタ223fの値を初期化する必要がないため、S2407の処理をスキップして、本処理を終了する。
ここで、S2404の処理により表示領域カウンタ223fに応じた第3図柄表示装置81の領域に入球演出を表示することができる。具体的には、表示領域カウンタ223fの値が、1である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに、2である場合は第3図柄表示装置81の第2領域81bに、3である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81cに、4である場合は第3図柄表示装置81の第4領域81dに、入球演出が表示されることとなる。そして、S2405からS2407の処理により、入賞演出設定処理(S1515)が実行され、表示用入球演出コマンドが設定される毎に、表示領域カウンタ223の値を更新することができるので、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dへと順に入球演出を表示することができ、第4領域81dへ入球演出を表示した後は、第1領域81aから再び入球演出を順に表示させることができる。これにより、一の入球に基づく入球演出は、その後新たに第2入賞口640へ遊技球が4球入球するまで継続して表示されることとなり、第2入賞口640へ遊技球が入球する間隔が非常に短い場合でも、入球演出が表示される時間を確保することができる。その結果、遊技者が入球演出を視認(認識)できない(または困難である)との不具合を抑制することができる。
なお、本制御例では、入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示するように構成したが、これに限られず、逆順(反時計回り)に表示するように構成してもよいし、ランダムに表示するようにしてもよい。さらに、特定の演出や変動が実行される場合や大当たりの入賞情報がある場合などに表示順序を変更するようにしてもよい。これにより、表示される入球演出の順序を変更することができ、単調な遊技となってしまうことを防ぎ、遊技者が早期に飽きてしまうことを防ぐことができる。
また、大当たりとなる期待度に応じて、第3図柄表示装置81の各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序を変更してもよい。例えば、大当たりとなる期待度が低い場合には、入球演出を第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示し、一方、大当たりとなる期待度が高い場合には、逆順(反時計回り)に表示するようにする。これにより、遊技者は各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序で期待度を認識することができ、各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の内容を細かく見る必要がなくなるので、遊技者の負担を軽減することができる。
さらに、本制御例では、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの4領域へと順に入球演出を表示するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置の表示領域をさらに細分化(例えば、第1領域から第6領域までの6領域に分割)して順に表示するようにしてもよいし、第3図柄表示装置の表示領域の分割数を減らして(例えば、第1領域から第2領域までの2領域に分割)表示するようにしてもよい。
また、本制御例では、第3図柄表示装置81の各表示領域(第1領域81aから第4領域81d)のいずれに表示するかを、音声ランプ制御装置113にて選択するように構成したが、これに限られず、例えば、表示制御装置114において選択するように構成してもよい。これにより、音声ランプ制御装置113の処理負荷を低減することができる。
<第1制御例における表示制御装置の制御処理について>
次に、図116から図134を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図116を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図116は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S2501)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図117を参照して、ブート処理(S2501)について説明する。図117は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S2501)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S2601)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S2602)。これにより、MPU231は、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S2602の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S2602の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S2603)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S2604)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図116のS2501参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図116のS2502参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S2605)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S2501)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図117に示すブート処理では、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S2602の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S2603~S2605の処理を実行するようにしてもよい。
また、S2601の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S2601及びS2602の処理を含めて複数回繰り返した後、S2603~S2605の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S2601及びS2602の処理を行わずに、S2603~S2605の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図116の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S2502)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S2503)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S2503の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S2504)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S2504の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S2505)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図132(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図132(a)のS4702参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図118(b)参照)において、電源投入時画像である電源投入時主画像や電源投入時変動画像(図82参照)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入賞口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、電源投入時変動画像(図82参照)をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S2505の処理の後、割込許可を設定し(S2506)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S2506の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図118(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図118(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2701)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図118(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図118(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図87参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図118(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2801)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2801:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、電源投入時画像(図82(a)参照)ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2802)を実行し、次いで、表示設定処理(S2803)を実行する。
コマンド判定処理(S2802)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図119~図127を参照して後述する。
表示設定処理(S2803)では、コマンド判定処理(S2802)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。尚、この表示設定処理の詳細については、図128~図130を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2804)。このタスク処理では、表示設定処理(S2803)もしくは簡易表示設定処理(S2810)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
タスク処理を終えると、演出情報補正処理を実行する(S2805)。この演出情報補正処理(S2805)では、上述したタスク処理において決定された1フレーム分の画像のうち、電源投入時の表示に用いられる各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)のスプライトについて、表示の有無や、表示座標位置や拡大率を補正する。なお、演出情報補正処理(S2805)はタスク処理(S2804)内で実行するように構成してもよい。
次に、転送設定処理を実行する(S2806)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図132および図133を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2807)。この描画処理では、タスク処理(S2804)および演出情報補正処理(S2805)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2806)により設定された転送指示とから、図87に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図134を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2808)。そして、V割込処理を終了する。S2808の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2801の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2801:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像(図82参照)を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2809)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2810)を実行して、S2804の処理へ移行する。
次いで、図119~図127を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2802)の詳細について説明する。まず、図119は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図119に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2901)、未処理の新規コマンドがなければ(S2901:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2901:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S2803)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2902)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2903)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2904)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2904:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2905)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図120(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S2905)の詳細について説明する。図120(a)は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3001)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S3001の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S3001で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S3002)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S3001の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S3003)。表示設定処理では、S3003の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S3001の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3004)、ポインタ233fを0に初期化する(S3005)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3006)、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する演出が実行される場合に演出画面の補正を行うための特殊演出補正処理を実行する(S3007)。S3007の処理を終えると、変動パターンコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S3005の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S3001の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S3002の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S3004の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図121を参照して、特殊演出補正処理(S3007)の詳細について説明する。図121は、特殊演出補正処理(S3007)を示すフローチャートである。この特殊演出補正処理(S3007)は、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する演出が実行される場合に、表示装置(第3図柄表示装置81またはサブ表示装置690)に表示される各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)の補正を行うための処理である。
特殊演出補正処理(S3007)では、まず、受信した変動パターンコマンドに基づく演出が伸縮演出装置(伸縮役物)540を可動する演出か否か(伸縮役物シナリオがあるか否か)を判別する(S3201)。S3201の処理において、伸縮役物シナリオがあると判別された場合は(S3201:Yes)、当該変動において、伸縮演出装置540(図9参照)の前面部材546が下方位置へ移動し、第3図柄表示装置81が視認困難(または視認できない)となる演出が実行される場合である。この場合、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より伸縮役物可動用補正情報を設定し(S3202)、S3205の処理へ移行する。S3202の処理により、第3図柄表示装置81に表示されている電源投入時変動画像(図83(a)参照)が、サブ表示装置690に補正されて表示される。よって、第3図柄表示装置81の前面側へと伸縮装置540の前面部材546が移動した場合でも、遊技者はサブ表示装置690を見ることにより、電源投入時変動画像を容易に視認することができる。ここで、電源投入時変動画像とは、図83(a)に示すように、第3図柄表示装置81の右上に表示される「○」図柄である。また、この「○」図柄以外にも、「×」図柄も変動画像として表示される。この変動画像は、この「○」図柄と「×」図柄とを交互に表示することで、特別図柄(特別図柄1または特別図柄2)が変動表示中であることを報知している。そして、「○」図柄が停止表示されると特別図柄の当たりを報知し、「×」図柄が停止表示されると特別図柄の外れを報知する。
一方、S3201の処理において、伸縮役物シナリオがないと判別された場合は(S3201:No)、次いで、受信した変動パターンコマンドに基づく演出が傾倒動作ユニット600(図9参照)を可動する演出か否か(傾倒役物シナリオがあるか否か)を判別する(S3203)。S3203の処理において、傾倒役物シナリオがあると判別された場合は(S3203:Yes)、当該変動において、サブ表示装置690が設けられている傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動し、サブ表示装置690が視認困難となる演出が実行される場合である。この場合、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より傾倒役物可動用補正情報を設定し(S3204)、S3205の処理へ移行する。S3204の処理により、サブ表示装置690が設けられている傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動し、サブ表示装置690が視認困難となる演出が実行される場合においても、遊技者は第3図柄表示装置81に表示される電源投入時変動画像を容易に視認できる。
また、上述したS3202およびS3204の処理では、実行される演出に対応して電源投入時変動画像の表示態様(位置、大きさ)を補正する情報を設定することで、遊技者が視認しやすい表示態様となるよう制御している。これにより、実行される演出毎に遊技者が視認しやすい表示態様となる画像を保持する必要がないため、ROM234の領域を節約できる。
S3202またはS3204の処理を終えると、特殊演出補正フラグ233nをオンに設定して(S3205)、本処理を終了する。S3205の処理でオンにされる特殊演出補正フラグ233nは、特殊演出補正処理(S3007)において、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオの実行に伴い、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)を補正する情報を設定したことを示すフラグである。この特殊演出補正フラグ233nがオンに設定されることにより、後述する演出情報補正処理において、伸縮役物シナリオや傾倒役物シナリオに基づく変動が実行されるにも関わらず、通常演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに格納されてしまうことを防止(抑制)することができる。一方、S3203の処理において傾倒役物シナリオがないと判別された場合は(S3203:No)、そのまま本処理を終了する。
なお、傾倒動作ユニット(傾倒役物)600は、上述したように、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とを有しており(図50参照)、これらのカーテン部材は、傾倒動作ユニットに設けられているサブ表示装置690を遊技者が視認可能な開状態と、サブ表示装置690を遊技者が視認困難な閉状態とに切り替え可能となっている。そこで、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とが閉状態となっている場合は、サブ表示装置690に表示する画像を第3図柄表示装置81に表示するよう補正するようにしてもよい。また、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とが閉状態となるか否かは、上述した伸縮役物や傾倒役物の動作を判別する際と同様に、当該演出における役物シナリオに基づいて判別してもよいし、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625との原点位置を検出している原点センサにより判別し、これらのカーテン部材が原点位置(閉状態)であると判別された場合にサブ表示装置690の表示を第3図柄表示装置81に表示するよう切り替えるようにしてもよい。これにより、不具合等により、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625が閉状態、即ち、サブ表示装置690の視認が困難となる状態となった場合でも、サブ表示装置690の表示画像を補正して第3図柄表示装置に表示することができる。
さらに、上述した傾倒動作ユニット(傾倒役物)600や伸縮演出装置(伸縮役物)540においても同様に、原点位置を検出する原点センサの判別結果に基づいて、補正情報を変更するようにしてもよい。これにより、役物が故障するなどして、役物シナリオと異なる動作となっている場合においても、その状態を正確に検知し、各種演出を第3図柄表示装置81またはサブ表示装置690の遊技者が視認可能な位置へと表示することができる。
なお、本実施形態では、伸縮演出装置540が上下動する場合と傾倒動作ユニット600が傾倒する場合とで説明したがそれに限らず、傾倒動作ユニット600が第3図柄表示装置81の前面側をスライド動作する動作シナリオが設定されている場合にこの特殊演出補正処理(S3007)で実行した内容と同様の処理を実行してもよい。なお、傾倒動作ユニット600がスライド動作する場合にも、スライド動作する一連の動作シナリオが音声ランプ制御装置113で設定される。その場合に、音声ランプ制御装置113がスライド動作を実行する変動パターンであることを表示用変動パターンコマンドで通知するので、その場合に、補正情報格納エリア233mへスライド動作補正情報を設定する。ここで、スライド動作補正情報は、スライド動作に合わせて、第3図柄表示装置81に補正され表示されている電源投入時変動画像(図83(a)に示す「○」図柄(または「×」図柄に変動表示))がスライド動作する傾倒動作ユニット600の背面側にならない位置に移動するように表示座標が設定されている。本実施形態では、変動画像(図83(a)参照)は、第3図柄表示装置81の左上に表示したが、右下に表示するように構成した場合には、傾倒動作ユニット600が右側より左方向にスライド動作してきた場合に、その傾倒動作ユニット600の動作に合わせて序々に左方向へスライド(移動)して表示設定される。そのような座標情報がスライド動作補正情報には設定されている。また、傾倒動作ユニット600の動作に合わせて左にスライド表示していき、第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄が表示される領域まで移動表示した場合には、傾倒動作ユニット600に内蔵されているサブ表示装置690に移動して表示するように座標設定されていてもよい。このように構成されていることで、遊技者により特別図柄の変動中であることを示す変動画像(図83(a)参照)を見やすく表示することができる。なお、本実施形態では、移動表示させる対象を変動画像(図83(a)参照)としたが、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄であってもよいし、保留図柄であってもよいし、キャラクタ等の図柄であってもよい。なお、上記したスライド動作補正情報は、音声ランプ制御装置113で設定されるスライド動作の動作シナリオに対応して予め表示制御装置114に設定されているものであり、スライド動作タイミングに合わせて座標情報が可変して設定されるように設定されているものである。
また、本制御例では、各種電源投入時画像の表示位置を補正するようにしたが、これに限られず、通常演出時に第3図柄表示装置81やサブ表示装置690で表示される画像(キャラクタ画像や、変動図柄)などの表示位置を補正するようにしてもよい。
図119に戻り、説明を続ける。S2904の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2904:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2906)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2906:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2907)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図120(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S2907)の詳細について説明する。図120(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S3101)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図118(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S3102)。
そして、停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S3102の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定し(S3103)、この停止種別コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S3102の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S2804)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S3103によって設定された停止図柄判別フラグからS3102の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
上述したように、本実施形態では、キャラクタROM234を、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しているが、第3図柄表示装置81において描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送することができる。よって、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81における描画の応答性を高く保つことができる。
尚、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S3101の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS3102の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本実施形態のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図119に戻り、説明を続ける。S2906の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別された場合は(S2906:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、大当たり関連コマンドがあるか否かを判別する(S2908)。S2908の処理において、大当たり関連コマンドがあると判別された場合は(S2908:Yes)、大当たり関連コマンド処理を実行して(S2909)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図122を参照して、大当たり関連コマンド処理(S2909)の詳細について説明する。図122は大当たり関連コマンド処理(S2909)を示したフローチャートである。この大当たり関連コマンド処理(S2909)は、音声ランプ制御装置113より受信した大当たりの演出を実行するための各種コマンド(表示用オープニングコマンド、表示用ラウンド数コマンド、表示用エンディングコマンド)に対応する処理を実行するための処理である。
大当たり関連コマンド処理(S2909)では、まず、未処理のコマンドの中に、表示用オープニングコマンドがあるか否かを判別する(S3301)。S3301の処理において、表示用オープニングコマンドがあると判別された場合は(S3301:Yes)、オープニングコマンド処理(S3302)を実行して、S3303の処理へ移行する。
ここで、図123(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S3302)の詳細について説明する。図123(a)は、オープニングコマンド処理を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用オープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
このオープニングコマンド処理では、まず、オープニング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3401)。次いで、S3401で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S3402)。
そして、S3401の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたオープニング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3403)、ポインタ233fを0に初期化する(S3404)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3405)、オープニングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
このオープニングコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S3404の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S3401の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたオープニング表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S3402の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定されたオープニング表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、このオープニングコマンド処理が実行されると、オープニング転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。これにより、第3図柄表示装置81においてオープニング演出が行われている最中に、ラウンド演出およびエンディング演出に必要な画像データをキャラクタROM234から、通常用ビデオRAM236に転送することができる。上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)に演出に使用する画像データが、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送されるまでに多くの時間を要する。
新たに開始されるラウンド数を示す表示用ラウンド数コマンドは、第3図柄表示装置81におけるオープニング演出が終了したタイミングに合わせて、音声ランプ制御装置113から送信されてくるので、1ラウンド目を示す表示用ラウンド数コマンドを受信してから、ラウンド演出に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送していては、オープニング演出が終了してからラウンド演出を開始するまでに多くの待ち時間が生じ、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうおそれがあった。
また、エンディング演出の開始を指示する表示用エンディングコマンドは、第3図柄表示装置81におけるラウンド演出が全て(16ラウンド分)終了したタイミングに合わせて、音声ランプ制御装置113から送信されてくるので、表示用エンディングコマンドを受信してから、エンディング演出に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送していては、ラウンド演出が終了してからエンディング演出を開始するまでに多くの待ち時間が生じ、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうおそれがあった。
そこで、本制御例では、表示用オープニングコマンドを受信した場合に、そこからラウンド演出およびエンディング演出に必要なデータの転送を開始し、第3図柄表示装置81において大当たりの変動表示が終了するまでに、ラウンド演出およびエンディング演出に必要なデータの転送が終了するように制御している。これにより、第3図柄表示装置81においてオープニング演出が終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてラウンド演出を開始できると共に、第3図柄表示装置81においてラウンド演出が全て(5ラウンド分)終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてエンディング演出を開始できるので、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうことがない。よって、遊技者を安心させることができる。
なお、上述したように、本実施形態では、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別されたら、そこからオープニング演出において使用する画像データの転送を開始し、第3図柄表示装置81において大当たりとなる変動演出が終了するまでに、オープニング演出において使用する画像データの転送が終了するように制御している。これにより、第3図柄表示装置81において大当たりとなる変動演出が終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてオープニング演出を開始できるので、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうことがない。よって、遊技者を安心させることができる。
図122に戻り、説明を続ける。S3301の処理において、表示用オープニングコマンドがないと判別されると(S3301:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S3303)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S3303:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S3304)、S3305の処理へ移行する。
ここで、図123(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理(S3304)の詳細について説明する。図123(b)は、ラウンド数コマンド処理(S3304)を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理(S3304)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3501)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3502)。
そして、S3501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3503)、ポインタ233fを0に初期化する(S3504)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3505)、ラウンド数コマンド処理を終了し、大当たり関連コマンド処理に戻る。
ここで、図122の説明に戻る。S3303の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S3303:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別し(S3305)、表示用エンディングコマンドがあれば(S3305:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S3306)、コマンド判定処理へ戻る。一方、S3305の処理において、表示用エンディングコマンドがない場合は(S3305:No)、S3306の処理をスキップして、コマンド判定処理に戻る。
ここで、図124(a)を参照して、エンディングコマンド処理(S3306)の詳細について説明する。図124(a)は、エンディングコマンド処理(S3306)を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理(S3306)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるラウンド数に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3601)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3602)。
そして、S3601の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3603)、ポインタ233fを0に初期化する(S3604)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3605)、エンディングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図119に戻り、説明を続ける。S2908の処理において、大当たり関連コマンドがないと判別されると(S2908:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用予告コマンドがあるか否かを判別し(S2910)、表示用予告コマンドがあれば(S2910:Yes)、予告コマンド処理を実行して(S2911)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図124(b)を参照して、予告コマンド処理(S2911)の詳細について説明する。図124(b)は、予告コマンド処理を示すフローチャートである。この予告コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用予告コマンドに対応する処理を実行するものである。
予告コマンド処理では、まず、表示用予告コマンドによって示される予告演出表示データテーブルを決定し、その決定した予告演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3701)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3702)。
そして、S3701の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された予告演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3703)、ポインタ233fを0に初期化する(S3704)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3705)、予告コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この予告コマンド処理(S2911)により、予告演出表示データテーブルに基づいて表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において演出モードに対応して設定された予告演出が第3図柄表示装置81に表示されることとなる。
図119に戻り説明を続ける。S2910の処理において、表示用予告コマンドがないと判別されると(S2910:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用入球演出コマンドがあるか否かを判別し(S2912)、表示用入球演出コマンドがあれば(S2912:Yes)、入球演出コマンド処理を実行して(S2913)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図125(a)を参照して、入球演出コマンド処理(S2913)の詳細について説明する。図125(a)は、入球演出コマンド処理(S2913)を示すフローチャートである。この入球演出コマンド処理(S2913)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用入球演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
入球演出コマンド処理では、まず、表示用入球演出コマンドによって示される入球演出表示データテーブルを決定する。そして、その決定した入球演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、コマンドによって示される表示領域(第1領域81aから第4領域81dのいずれか)に表示されるように表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3801)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3802)。
そして、S3801の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された入球演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3803)、ポインタ233fを0に初期化する(S3804)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3805)、入球演出コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この入球演出コマンド処理(S2913)により、入球演出表示データテーブルとコマンドによって示される表示領域とに基づいて、表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において選択された入球演出が第3図柄表示装置81の各表示領域(第1領域81aから第4領域81d)に順に表示されることになる。これにより、第3図柄表示装置81の表示画面に設けられた4つの表示領域(第1領域81aから第4領域81d)に順に入球演出が表示されていき、最大で4種類の入球演出が第3図柄表示装置81において同時に表示することができる。
図119に戻り説明を続ける。S2912の処理において、表示用入球演出コマンドがないと判別されると(S2912:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用特定時間演出コマンドがあるか否かを判別し(S2914)、表示用特定時間演出コマンドがあれば(S2914:Yes)、特定時間演出コマンド処理を実行して(S2915)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図125(b)を参照して、特定時間演出コマンド処理(S2915)の詳細について説明する。図125(b)は、特定時間演出コマンド処理(S2915)を示すフローチャートである。この特定時間演出コマンド処理(S2915)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用特定時間演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
特定時間演出コマンド処理では、まず、表示用特定時間演出コマンドによって示される特定時間演出表示データテーブルを決定し、その決定した特定時間演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3901)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3902)。
そして、S3901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された特定時間演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3903)、ポインタ233fを0に初期化する(S3904)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3905)、入球演出コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この特定時間演出コマンド処理(S2915)により、特定時間演出表示データテーブルに基づいて表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において選択された特定時間演出(カウントダウン演出)が第3図柄表示装置81に表示されることとなる。
図119に戻り、説明を続ける。S2914の処理において、表示用特定時間演出コマンドがないと判別されると(S2914:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用演出モード変更コマンドがあるか否かを判別し(S2916)、表示用演出モード変更コマンドがあれば(S2916:Yes)、演出モード変更コマンド処理を実行して(S2917)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図126(a)を参照して、演出モード変更コマンド処理(S2917)の詳細について説明する。図126(a)は、演出モード変更コマンド処理(S2917)を示すフローチャートである。この演出モード変更コマンド処理(S2917)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用特定時間演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
演出モード変更コマンド処理では、まず、背面画像変更フラグ233pをオンに設定して(S4001)、受信したコマンドに基づく演出モード種別に対応する演出モードフラグ233rをオンに設定し(S4002)、本処理を終了する。
S4001の処理においてオンに設定される背面画像変更フラグ233pにより、後述する通常画像転送設定処理(図133参照)で背面画像を変更するための処理(S4910~S4915)が実行されることとなる。また、S4002においてオンに設定される演出モードフラグ233rは、通常画像転送設定処理(図133参照)における背面画像を変更するための処理において参照され(図133のS4911参照)、演出モードフラグ233rに設定されている演出モード種別に基づいて背面画像が変更される。これにより、音声ランプ制御装置113より受信した演出モード変更コマンドに応じて、背面画像を変更することができる。その結果、演出モードが変更されることに基づいて背面画像を変更することができ、遊技者に対して演出モードが変更されたことを容易に認識させることができる。
図119に戻り、説明を続ける。S2916の処理において、表示用演出モードコマンドがないと判別されると(S2916:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止コマンドがあるか否かを判別し(S2918)、表示用停止コマンドがあれば(S2918:Yes)、停止コマンド処理を実行して(S2919)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図126(b)を参照して、停止コマンド処理(S2919)の詳細について説明する。図126(b)は、停止コマンド処理(S2919)を示すフローチャートである。この停止コマンド処理(S2919)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用停止コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止コマンド処理では、特殊演出補正フラグ233nをオフに設定して(S4101)、本処理を終了する。S4101の処理においてオフに設定される特殊演出補正フラグ233nは、上述したように、音声ランプ制御装置113より変動パターンコマンドを受信した場合に実行される特殊演出補正処理(S3007)において、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する伸縮役物シナリオがある場合、または、傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する傾倒役物シナリオがある場合に、補正情報格納エリア233mへ対応する補正情報テーブル234a3の補正情報が格納されると共にオンに設定されるものである。
この停止コマンド処理は、各変動演出が停止される場合に音声ランプ制御装置113より送信される停止コマンドに基づいて実行される処理である。よって、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオに基づく変動演出が停止した場合に、特殊演出補正フラグ233nをオフにされることとなる。これにより、V割込処理(図118(b)参照)で実行される演出情報補正処理(S2804参照)において、通常演出用の補正情報またはデモ演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されることにより、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオの変動演出に基づいて表示される座標等が補正されていた画像が元の座標等に補正されて表示されることとなる。
ここで、図119の説明に戻る。S2918の処理において、表示用停止コマンドがないと判別されると(S2918:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2920)、エラーコマンドがあれば(S2920:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2921)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図127を参照して、エラーコマンド処理(S2921)の詳細について説明する。図127は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S4201)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S4202)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S4201の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S4202の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
尚、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S4202に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図119の説明に戻る。S2920の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2920:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2922)、S2901の処理へ戻る。
その他の未処理のコマンドとしては、例えば、背面画像変更コマンドなどが挙げられる。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面画像変更コマンドを受信している場合は、背面画像変更コマンド処理が実行される(S2922)。この背面画像変更コマンド処理では、まず、背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S4703)に通知する背面画像変更フラグ233pをオンに設定する。そして、背面画像種別(背面A~C)毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンすると共に、その他の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオフに設定して、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、背面画像変更コマンド処理により設定される背面画像変更フラグ233pがオンされていることを検出すると、設定されている背面画像判別フラグから、変更後の背面画像種別を特定する。そして、その特定された背面画像種別が背面B又は背面Cである場合は、上述したように、それらの背面画像に対応する画像データの一部が常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されていないので、所定の範囲の背面画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送するよう、画像コントローラ237に対する転送指示の設定を行う。
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A~Cのいずれかを表示させることが規定されていた場合、設定されている背面画像判別フラグから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
尚、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。背面画像変更コマンド処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2901の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2901:Yes)、再びS2902~S2922の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2901~S2922の処理が繰り返し実行され、S2901の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
尚、V割込処理(図118(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2809)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、電源投入時画像(図82参照)を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図120(a)参照)および停止種別コマンド処理(図120(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
また、特別図柄の変動中に電源断が発生して、その後復旧した場合には、上述した主制御装置110のMPU201が電源投入時に実行する立ち上げ処理(図101参照)のS1010で送信する特別図柄の変動中であることを含む演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113が受信することで、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するメイン処理(図106参照)のS1504の処理において、表示制御装置114に対して出力する電源投入時変動画像の変動開始コマンド(コマンド判定処理(図107、S1511)のS1616で受信処理)をこの表示制御装置114が受信することで、簡易コマンド判定処理(S2809)で受信処理され、その後に実行される簡易表示設定処理(S2810)で変動表示の開始(電源投入時変動画像の表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する)が設定される。なお、主制御装置110より電源断時に変動中であった特別図柄に対応する電源時投入時変動画像の変動開始の指示が出力されるタイミングでは、電源投入時変動画像は常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送済みとなっているので、直ぐに変動表示の開始が第3図柄表示装置81において実行(表示開始)される。この場合、図82(b)~(c)に示す電源投入時変動画像が交互に表示される。
なお、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信された後に、当該演出許可コマンドに基づいて実行される変動表示を停止するための停止コマンドが主制御装置110より音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この停止コマンドを受信したことに基づいて、表示制御装置114へ表示用停止コマンドを送信する。表示制御装置114では、表示用停止コマンドを受信したことを簡易コマンド判定処理(118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく表示態様で電源投入時変動画像(図82(b)または(c)参照)を停止させる。
なお、上述した電源投入時変動画像を停止させるための表示用停止コマンドを受信する前に、表示制御装置114において常駐用ビデオRAM235への転送を完了していた場合は、電源投入時変動画像のみが第3図柄表示装置81の通常演出用の座標位置(図83(a)参照)に表示される。電源投入時変動画像を停止させるための表示用停止コマンドには、電源投入時変動画像の停止態様が定められているため、通常演出用の停止態様を選択できないためである。ただし、これに限られるものではなく、電源投入時変動画像の停止態様(大当たりまたは外れ)に基づいて、表示制御装置114において停止態様を決定して表示するようにしてもよい。これにより、電源投入時変動画像の変動が実行されている場合においても、常駐用ビデオRAM235への転送が完了した時点から通常演出へと切り替えることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図120(a)参照)では、S3001の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S3002の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図128~図130を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2803)の詳細について説明する。図128は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図128に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S4301)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S4301:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S4302~S4304の処理をスキップし、S4305の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S4301:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S4302)、S4303~S4304の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S4303の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S4303)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S4303:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S4304)。
ここで、図129を参照して、警告画像設定処理(S4304)の詳細について説明する。図129は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S4401)。
タスク処理では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S4401の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S4402)、表示設定処理に戻る。
ここで、図128の説明に戻る。警告画像設定処理(S4304)の後、又は、S4303の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S4303:No)、次いで、S4305の処理へ移行する。
S4305では、ポインタ更新処理を実行する(S4305)。ここで、図130を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図130は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S4501)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S4501の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S4502)。その結果、End情報であれば(S4502:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S4503)、デモ用表示データテーブルであれば(S4503:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4504)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S4505)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S4503の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S4503:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S4506)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S4502の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S4502:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図128に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S4306)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S4306の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S4307)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S4308)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S4308:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S4308:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S4309)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S4309:Yes)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4310)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4311)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4312)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S4313)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S4314)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S4315)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S4315の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2804)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S4315によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S4309の処理において、確定表示フラグがオンではなくオフであれば(S4309:No)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S4316)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S4316:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4317)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4318)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S4319)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S4320)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S4321)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S4316の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S4316:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図118(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2810)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像(図82参照)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図131を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である演出情報補正処理(S2805)の詳細について説明する。図131は、演出情報補正処理(S2805)を示すフローチャートである。この演出情報補正処理(S2805)は、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)を、通常演出時やデモ演出時に表示する位置を補正して利用するための処理である。
演出情報補正処理(S2805)では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別する(S4601)。S4601の処理において簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別された場合は(S4601:No)、電源投入時の簡易画像を表示している状態であるので演出情報の補正は行わずに、本処理を終了する。
一方、S4601の処理において簡易画像表示フラグ233cがオフであると判別された場合は(S4601:Yes)、後述する転送設定処理(図132(a)参照)において、常駐画像の転送が完了し、通常演出を実行可能な状態となっているため、次いで、特殊演出補正フラグ233nがオフであるか否かを判別する(S4602)。
S4602の処理において、特殊演出補正フラグ233nがオンであると判別された場合は(S4602:No)、上述した特殊演出補正処理(図121参照)において、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する伸縮役物シナリオ、または、傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する傾倒役物シナリオに基づく演出に対応する補正情報が、補正情報格納エリア233mへ既に格納されている場合であるので、補正情報の設定を行うことなく、そのまま本処理を終了する。
一方、S4602の処理において、特殊演出補正フラグ233nがオフであると判別された場合は(S4602:Yes)、現在実行されている演出に応じた補正情報を設定するために、デモ表示フラグがオフであるか否かを判別する(S4603)。
S4603の処理において、デモ表示フラグがオフであると判別された場合は(S4603:Yes)、デモ演出が実行されていない、即ち、通常演出が実行されている場合であるので、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より通常演出用補正情報を設定して(S4604)、本処理を終了する。
一方、S4603の処理において、デモ表示フラグがオンであると判別された場合は(S4603:No)、デモ演出が実行されている場合であるので、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3よりデモ演出用補正情報を設定して(S4605)、本処理を終了する。
このように、演出情報補正処理(S2805)では、パチンコ機10の状態(電源投入時、通常演出時、デモ演出時など)に応じて各種電源投入時画像の表示する位置を補正する補正情報の設定を行っている。これにより、パチンコ機10の複数の状態において、共通の画像を利用して演出を行うことができるため、ROM234の容量を節約することができる。また、表示する位置や拡大率などの表示態様を補正するように構成しているため、各演出に応じて、遊技者に視認しやすい演出を実行することができる。
次いで、図132及び図133を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2806)の詳細について説明する。まず、図132(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S4701)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S4701:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S4702)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図132(b)を参照して後述する。
一方、S4701の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S4701:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S4703)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図133を参照して後述する。
次いで、図132(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2806)の一処理である常駐画像転送設定処理(S4702)について説明する。図132(b)は、この常駐画像転送設定処理(S4702)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S4801)、転送指示を送信していれば(S4801:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S4802)。このS4802の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S4802の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S4802:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S4802:Yes)、S4803の処理へ移行する。また、S4801の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S4801:No)、S4803の処理へ移行する。
S4803の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S4803)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S4803:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S4804)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S4803の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S4803:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S4805)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図118(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)ではなく、コマンド判定処理(図119~図127参照)および表示設定処理(図128~図130参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図133参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図132(a)のS4701:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、本制御例では、電源投入時に表示される各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)を、表示位置を補正することで、通常演出においても利用できるように構成した。これにより、電源投入時と通常演出時とでそれぞれ利用する画像を用意する必要がないため、キャラクタROM234の容量を節約することができる。
さらに、本制御例では、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを一の画像データとして扱い、その座標に応じて第3図柄表示装置81へ表示するかサブ表示装置690へ表示するかが制御される。これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像を別々に制御(転送など)する必要がないため、制御負荷を軽減することができる。なお、これに限られず、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを各々設けるようにしてもよい。
また、サブ表示装置690は、第3図柄表示装置81よりも解像度が低いものであるため、そのサブ表示装置690に表示する画像のデータ量は、第3図柄表示装置81に表示する画像のデータ量よりも少ないものとなる。よって、表示制御装置114では、画像のデータ量が少ないサブ表示装置690に表示する画像(電源投入時タイトル画像)を最初に常駐用ビデオRAMに格納するようにしているので、電源が投入されてから画像が表示されるまでの時間を短縮することができる。
ここで、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示するための画像データは、上述したように一の画像データにより構成されている。よって、電源投入時に、まず、サブ表示装置690へ電源投入時画像である電源投入時タイトル画像(図82(a)参照)を表示する場合は、第3図柄表示装置81へ表示される領域(図81参照、横800×縦600の領域)のデータについては0データを設定すればよい。なお、これに限られず、電源投入時には、まず、サブ表示装置690へ表示するための画像データをサブ表示装置690の解像度に合わせた画像データ(図81参照、横400×縦300の画像データ)を用いて、サブ表示装置690への表示を行うようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置690へ表示するための画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像など)が常駐用ビデオRAM235へ格納されたことを契機に、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示するための画像データ(図81参照、横1200×縦600)を用いて、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示を行うように切り替える。これにより、電源投入時にサブ表示装置690に表示設定する画像のデータ量を小さくすることができるので、電源投入してからサブ表示装置690に電源投入時画像(電源投入時タイトル画像)を表示するまでの時間を短縮することができる。
次いで、図133を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2806)の一処理である通常画像転送設定処理(S4703)について説明する。図133は、この通常画像転送設定処理(S4703)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2803)のポインタ更新処理(S4305)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S4901)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S4902)、転送データ情報であれば(S4902:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S4903)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S4904)、S4905の処理へ移行する。
また、S4902の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S4902:No)、S4903及びS4904の処理をスキップして、S4905の処理へ移行する。S4905の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S4905)、転送指示を設定していれば(S4905:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S4906)。
このS4906の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S4906の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S4906:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S4906:Yes)、S4907の処理へ移行する。また、S4905の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S4905:No)、S4907の処理へ移行する。
S4907の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S4907)、転送開始フラグがオンであれば(S4907:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S4908)、S4903の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S4913の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S4907:No)、次いで、背面画像変更フラグ233pはオンか否かを判別する(S4909)。そして、背面画像変更フラグ233pがオンではなく、オフであれば(S4909:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更223rフラグがオンであれば(S4909:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグ233pをオフに設定した後(S4910)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S4911)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S4912)、S4913の処理へ移行する。
尚、オン状態にある背面画像判別フラグが背面Aのものである場合、対応する画像データは全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されているので、通常用ビデオRAM236に転送すべき画像データが存在しない。よって、S4909の処理では、オン状態にある背面画像判別フラグが背面Aのものであれば、そのまま通常画像転送処理を終了する。
S4913の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S4913)。このS4913の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233jを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233jより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S4913の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S4913:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S4913の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S4913:No)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S4914)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S4914の処理の後、格納画像データ判別フラグ233jを更新し(S4915)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233jの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図134を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2807)の詳細について説明する。図134は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2804)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2806)により設定された転送指示から、図87に示す描画リストを生成する(S5001)。即ち、S5001の処理では、タスク処理(S2804)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2806)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233kによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S5002)。ここでは、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233kが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S5002の処理の後、描画対象バッファフラグ233kを更新する(S5003)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233kの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図118(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、説明したように、本第1制御例では、電源投入時に用いられる表示画像を通常演出時などに補正して用いるように制御している。これにより、電源投入時と通常演出時とで共通の表示画像を利用できるため、ROMの容量を節約することができる。
また、本制御例では、特定の役物(伸縮演出装置540(図9参照)や傾倒動作ユニット600(図9参照))が可動する演出において、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される演出の内容を補正するように制御している。これにより、特定の役物が可動する演出において、例えば、第3図柄表示装置81が視認困難となる場合に、第3図柄表示装置81にて表示していた表示内容をサブ表示装置690に表示することで、遊技者に対して表示内容を視認しやすい遊技機とすることができる。
さらに、上下動作ユニット400が可動し、扉部材470が開放する演出において、扉部材470が落下移動される際に、扉部材470を閉状態で維持するための開閉用駆動モータ466を励磁しないよう制御(通電停止制御)している。これにより、開閉用駆動モータ466を駆動せずとも、扉部材470が落下移動される際に扉部材470に働く慣性力によって扉部材470が開放されるので、消費電力を低減することができる。
また、本パチンコ機10において、定期的に実行される時間演出期間において、入賞口への入球に基づいて特定の予告演出が実行される場合に、その時間演出期間において実行される演出を制限するように制御している。これにより特定の予告演出であるカウントダウン演出が実行される場合に、時間演出期間において実行されるカウントダウン演出が制限することができる。その結果、時間演出期間において、カウントダウン演出が重複して行われることで、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
さらに、入賞口への入球に基づいて表示される入球演出を第3図柄表示領域の第1領域81aから第4領域81dまでの各領域に順に表示するようにしている。これにより、入賞口へ遊技球が入球する間隔が短い場合においても、当該入球演出を表示する期間を長くすることができ、遊技者に対して入球演出を視認しやすい遊技機とすることができる。
なお、本制御例は第1実施形態で説明したパチンコ機10に限られず、上述した各実施形態のいずれかのパチンコ機10で実行するようにしてもよいし、上述した各実施形態を組み合わせたパチンコ機10で実行するようにしてもよい。
<第2制御例>
次に、図136~図156を参照して、第2制御例について説明する。上述した第1制御例では、普通図柄の時短状態において実行される入球演出や、定期的(1時間毎に5分間)に実行される時間演出期間(演出モードB)、およびその時間演出期間(演出モードB)中に実行される特定時間演出等、多種多様な表示演出を実行することで遊技者の興趣向上を図っていた。上記第1制御例では、時間演出期間や特定時間演出の開始時刻を、パチンコ機10に対する電源投入時に設定する構成としている。これにより、同一のタイミングで電源を一斉に投入した複数のパチンコ機10に対して、同一のタイミングで各演出(時間演出、特定時間演出等)を開始させることができるので、複数のパチンコ機10で統一感のある演出を実行することができる。
これに加えて第2制御例では、傾倒動作ユニット600等の動作を好適に制御できる技術について説明する。ここで、傾倒動作ユニット600等の役物は、上述した通り、ステッピングモータ等で構成される駆動モータにより駆動される。この駆動モータは、一般的に表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)に比較して、個体差が生じやすい上に、経年劣化が生じやすくなることが知られている。即ち、表示装置に対して画像データを設定した場合に、表示が遅れる等の不具合はほとんど生じないが、駆動モータに対して動作データを設定した場合には、経年劣化等により、駆動速度が低下(トルクが低下)したり、脱調が発生したりといった不具合が発生する可能性がある。即ち、同じ動作シナリオを設定したとしても、動作のステップ数や動作速度にバラツキが生じてしまう虞があるため、各パチンコ機10で異なる動作が実行されてしまう場合がある。
これに対して第2制御例では、傾倒動作ユニット600やスライド動作ユニット700等の動作状況を電源投入時に毎回チェックし、劣化等が生じている場合には動作シナリオを補正するための補正値を設定するように構成した。これにより、各パチンコ機10において、駆動モータで駆動される各種役物の動作を好適に実行させることができる。
この第2制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図136を参照して、本実施形態におけるスライド動作ユニット700のスライド動作位置を検出するためのスライド位置検出センサ718の出力について説明する。上述した通り、スライド動作ユニット700のベース部材710には、支柱部材720が原点位置(退避位置)にあるか否かを検出するためのスライド原点センサ717と、張出位置にあるか否かを検出するためのスライド位置検出センサ718とが設けられている(図49参照)。これらは同種のセンサで構成されているため、ここではスライド位置検出センサ718についてのみ説明を行い、スライド原点検出センサ717についての説明は省略する。
図136(a)は、スライド動作ユニット700が原点(退避位置)から張出位置へと向かう方向にスライド動作している途中の状態における、遮光板726aとスライド位置検出センサ718との位置関係を示した図である。図136(a)に示した通り、スライド位置検出センサ718には遮光検出部718aが設けられている。この遮光検出部718aは、上述した発光部、及び受光部の双方を示しており、この遮光検出部718aの発光部より照射された光が受光部により受光されるか否かにより、遮光板726aが張出位置にあるか否かを判別することができる。
図136(a)の例では、遮光板726aが遮光検出部718aよりも正面視右方向に配置されている状態を示している。つまり、遮光検出部718aと遮光板726aとの配置がずれている状態を示している。この場合、遮光検出部718aの発光部と、受光部との間には遮るものが無いため、発光部からの光が受光部により受光される。受光部が光を受光している間は、スライド位置検出センサ718の出力がL(ロー)状態となる。このスライド位置検出センサ718の出力は音声ランプ制御装置113により受信され、その出力がL(ロー)であれば、支柱部材720が張出位置に到達していないと判別される。
一方、遮光板726aの左端が、遮光検出部718aの右端に掛かると、発光部から照射される光が遮光板726aにより遮光され始める(図136(b)参照)。そして、図136(c)に示したように、遮光板726aが遮光検出部718aと完全に重なる配置となった場合に、遮光検出部718aの発光部から照射される光が完全に遮蔽される。即ち、受光部が光を受光できなくなる。この場合、スライド位置検出センサ718の出力はH(ハイ)に設定される。音声ランプ制御装置113は、スライド位置検出センサ718からの出力がH(ハイ)であることを検出すると、支柱部材720が張出位置にあると判別する。ここで、音声ランプ制御装置113は、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)であるか、L(ロー)であるかを、出力信号の電圧値によって判別している。即ち、スライド位置検出センサ718から出力される電圧が5Vであれば、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)と判別し、電圧が0Vであれば、スライド位置検出センサ718の出力がLと判別する。
なお、スライド原点センサ717も同様の構成のため、支柱部材720が原点位置(退避位置)にあれば出力がH(ハイ)に設定され、原点位置(退避位置)からずれていれば出力がL(ロー)に設定される。音声ランプ制御装置113は、各センサの出力がHであるかLであるかを判別するだけで、支柱部材720のおおまかな配置(原点位置であるか、張出位置であるか、これらの間の位置であるか)を容易に把握することができる。
次に、図137、および図138を参照して、傾倒動作ユニット600の演出部材620が原点位置(倒立状態)であるか否かを検出するための傾倒原点センサ618について説明する。この傾倒原点センサ618は、上述したスライド原点検出センサ717や、スライド位置検出センサ718と同種のセンサで構成されている。
図137は、傾倒動作ユニット600の演出部材620が原点位置(倒立状態)にある場合を示した図である。図に示した通り、演出部材620が原点位置(倒立状態)にある場合は、演出部材620側に設けられたセンサ遮蔽部627が、ベース部材610側に設けられた傾倒原点センサ618の発光部と受光部との間に配置されるため、発光部から照射された光が遮光され、受光部へと届かなくなる。つまり、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)に設定される。このH(ハイ)の信号を音声ランプ制御装置113へと出力することで、演出部材が原点位置(倒立状態)にあることを通知することができる。
図138(a)は、演出部材620が正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)を行った場合における、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627との位置関係を示した図であり、図138(b)は、演出部材620が正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)を行った場合における、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627との位置関係を示した図である。
図138(a)に示した通り、演出部材620が正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)を行うと、演出部材620に設けられたセンサ遮蔽部627も、演出部材620に連動して左上方向へと可変する。これにより、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627とがずれるので、傾倒原点センサ618の発光部から照射された光が受光部により受光可能な状態となる。上述した他のセンサと同様に、発光部からの光が受光部により受光されている間は、傾倒原点センサ618の出力がL(ロー)に設定される。このH(ハイ)の信号を音声ランプ制御装置113へと出力することで、演出部材620が原点位置(倒立状態)からずれていることを通知することができる。
一方、図138(b)に示した通り、演出部材620が正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)を行うと、演出部材620に設けられたセンサ遮蔽部627も、演出部材620に連動して右下方向へと可変する。これにより、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627とがずれるので、傾倒原点センサ618の発光部から照射された光が受光部により受光可能な状態となる。よって、この場合も、傾倒原点センサ618の出力がL(ロー)に設定され、音声ランプ制御装置113へと通知される。
このように、傾倒原点センサ618を用いることにより、演出部材620が原点位置(倒立状態)に有るか否かを容易に検出して音声ランプ制御装置113へと通知することができる。
なお、本制御例では、単一の傾倒原点センサ618を用いて、演出部材620が原点位置にあるか否かのみを判別可能な構成としていたが、この態様に限られるものではない。演出部材620が右側、および左側に傾倒動作(首振り動作)を行った際の最大の可動位置にあるか否かを検出するためのセンサをそれぞれ設けておいてもよい。このように構成することで、傾倒動作(首振り動作)が最大の可動位置に達した場合に確実に首振り動作を停止させ、逆方向(原点方向)へと首振り方向を逆転させることができる。よって、首振り動作を実行する場合に、演出部材620の可動域を超えて動作してしまうことを防止(抑制)できるので、故障や異常動作が発生する可能性を低下させることができる。
<第2制御例における電気的構成について>
次に、図139~図142を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。まず、図139は、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
図139に示した通り、本制御例では、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225に対して各種センサ230が電気的に接続されている。この各種センサ230とは、具体的には、上述した傾倒原点センサ618と、スライド原点検出センサ717と、スライド位置検出センサ718とが少なくとも設けられている。これらの他にも、例えば、上下動作ユニット400の原点位置を検出するためのセンサや、複合動作ユニット500の原点位置を検出するためのセンサ等の様々なセンサが設けられている。各種センサ230により、各役物の動作状況を正確に把握することができるので、好適に役物の動作を制御することができる。
また、本制御例では、その他装置228を構成する装置として、スライド動作ユニット700のスライド動作を行わせるためのスライド用駆動モータ751と、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)を行わせるための傾倒用駆動モータ661とが設けられている。これらのモータにより、各動作ユニットを駆動することができる。
次に、図140(a)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられているROM222について説明する。図140(a)に示した通り、第2制御例における音声ランプ制御装置113のROM222には、第1制御例におけるROM222の構成に加え、動作シナリオテーブル222cと、首振り領域テーブル222dとが追加されている。
動作シナリオテーブル222cは、各役物を用いた演出を実行する場合の動作内容を規定したデータテーブルである。より具体的には、各役物に対応する各種駆動モータに対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、動作方向等)が規定されているデータテーブルである。この動作シナリオテーブル222cの詳細について、図141、図142(a)を参照して説明する。
図141(a)は、動作シナリオテーブル222cを示すブロック図である。この動作シナリオテーブル222cには、駆動(可変)可能な役物の種別毎にデータが格納されている。より具体的には、図141(a)に示した通り、例えば、スライド動作ユニット700を駆動する演出が設定された場合に、スライド用駆動モータ751に対応するモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値を規定したスライド動作テーブル222c1や、傾倒動作ユニット600を駆動する演出が設定された場合に、傾倒用駆動モータ661に対応するモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値を規定した傾倒動作テーブル222c2等が設けられている。
これらについて、図141(b),(c)を参照してより具体的に説明する。図141(b)は、上述したスライド動作テーブル222c1の規定内容を示した図である。図141(b)に示した通り、スライド動作テーブル222c1には、動作シナリオに基づく設定の進捗状況を示す動作ポインタ223nの値毎に、モータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、および動作方向)が規定されている。
ここで、動作速度とは、モータドライバが1ステップの動作を設定するための信号(パルス)をスライド用駆動モータ751に対して出力する頻度を示しており、1秒間あたりに出力される信号(パルス)の数(pps,puls per second)により表す。例えば、動作速度が100ppsであれば、モータドライバからスライド用駆動モータ751に対して1秒間に100回信号(パルス)を出力することを意味する。即ち、1秒間に100ステップの速度でスライド用駆動モータ751を駆動させることを意味している。また、動作ステップ数とは、スライド用駆動モータ751により実行される動作の回数を示し、換言すれば、モータドライバからスライド用駆動モータ751に対して1ステップの動作を設定するための信号(パルス)を出力する回数を示す。例えば、動作ステップ数120とは、スライド用駆動モータ751に対して1ステップの動作を120回設定することを意味する。更に、動作方向とは、スライド用駆動モータ751の駆動方向(モータの回転方向)を意味しており、正方向、および負方向の2種類の方向を設定することができる。なお、スライド用駆動モータ751においては、退避位置(原点位置)から張出位置へと向かう方向を正方向、張出位置から退避位置(原点位置)へと向かう方向を負方向としている。これらの設定値を、スライド用駆動モータ751を駆動するためのモータドライバに対して設定することにより、対応する動作を正確に実行させることができる。
図141(b)に示した通り、動作ポインタ223nの値「01H」には、スライド動作ユニット700の支柱部材720を退避位置(原点位置)から張出位置までスライド動作させるための動作(往路の動作)が対応付けられている。具体的には、動作速度として100ppsが規定され、動作ステップ数として120が規定され、動作方向として正方向が規定されている。この設定内容は、演出においてスライド動作ユニット700が駆動されるタイミングとなった場合にモータドライバに対して出力(設定)される。
なお、120ステップは、張出位置までのステップ数の設計値を意味している。即ち、スライド用駆動モータ751が設計通りの動作で120ステップ駆動することにより、支柱部材720がスライド位置検出センサ718の検出位置(図136(c)参照)へと到達することを意味する。ここで、設計通りの動作とは、スライド用駆動モータ751が脱調や空転等なく同一の動作を正確に実行すると共に、モータの駆動力を支柱部材720に対して伝達するための各種のギア等が正確に回動した場合の動作を意味する。
動作ポインタ223nの値「02H」には、スライド動作ユニット700の支柱部材720を張出位置から退避位置(原点位置)までスライド動作させるための動作(復路の動作)が対応付けられている。具体的には、動作速度として100ppsが規定され、動作ステップ数として120が規定され、動作方向として負方向が規定されている。この設定内容は、演出においてスライド動作ユニット700を原点位置(退避位置)へと退避させるタイミングとなった場合にモータドライバに対して出力(設定)される。この退避させるタイミングは、演出の種別に応じて予め規定されている。
また、図141(c)は、上述した傾倒動作テーブル222c2の規定内容を示した図である。傾倒動作テーブル222c2も、スライド動作テーブル222c1と同様に、動作ポインタ223nの値毎に、モータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、および動作方向)が規定されている。動作ポインタの値「01H」、および「02H」には、演出部材620を正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)させるための設定値が対応付けられている。即ち、動作ポインタ値「01H」には、原点位置(倒立状態)から正面視左方向へと傾倒動作するための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、正方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。
また、動作ポインタ値「02H」には、正面視左方向へと傾倒した演出部材620を原点位置(倒立状態)へと戻すための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、負方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。動作ポインタ値「01H」に対応する設定値を設定し、その設定動作が完了した後で動作ポインタ値「02H」に対応する設定値を設定することにより、演出部材620が原点位置から正面視右方向へ10ステップの傾倒動作(首振り動作)を行った後、原点位置(倒立状態)への戻り動作を行う。
更に、動作ポインタの値「03H」、および「04H」には、演出部材620を正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)させるための設定値が対応付けられている。即ち、動作ポインタ値「03H」には、原点位置(倒立状態)から正面視右方向へと傾倒動作するための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、正方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視右方向へと10ステップ動作する。
また、動作ポインタ値「02H」には、正面視左方向へと傾倒した演出部材620を原点位置(倒立状態)へと戻すための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、負方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。動作ポインタ値「03H」に対応する設定値を設定し、その設定動作が完了した後で動作ポインタ値「04H」に対応する設定値を設定することにより、演出部材620が原点位置から正面視右方向へ10ステップの傾倒動作(首振り動作)を行った後、原点位置(倒立状態)への戻り動作を行う。
このように、動作ポインタ223nの値に対応付けて、モータドライバに対する設定内容を規定しておくことにより、動作ポインタ223nの値を更新し、更新後の値に対応する設定値を設定するだけで、容易に演出部材620の動作を設定することができる。
動作シナリオテーブル222cには、上述したスライド動作テーブル222c1(図141(b)参照)や、傾倒動作テーブル222c2(図141(c)参照)の他にも、駆動する役物(上下動作ユニット400や複合動作ユニット500等)の種別毎に、専用のデータテーブルがそれぞれ規定されている(図示なし)。動作シナリオテーブル222cに規定された各役物に対応するテーブルを参照して、対応するモータドライバに対して設定値を出力することにより、対応する演出において毎回同一の動作を実行させることができる。
なお実際には、モータやギア等には、個体差や経年劣化等による動作バラつきが生じ得るため、動作シナリオテーブル222cに規定された設定値を同じタイミングで設定したしても、目的の動作を行うことができない可能性がある。詳細については後述するが、本制御例では、上述したバラつきの影響を吸収するために、電源投入時に役物の動作が設計値からどれだけずれているのかを測定(解析)し、解析結果に応じてスライド動作の設定値を補正(修正)するように構成している。即ち、動作シナリオテーブル222cに規定されている設定値に対して、個体バラつき等を補正するための補正値を加算(又は減算)するように構成している。これにより、個体差や経年劣化の影響下でも、各パチンコ機10における役物の動作を違和感なく実行することができる。
更に、本制御例の動作シナリオテーブル222cには、パチンコ機10に対する電源投入に基づいて実行される初期動作において各役物に対応するモータドライバへの設定内容が規定された初期動作テーブル222c5が規定されている(図141(a)参照)。初期動作テーブル222c5に基づいて初期動作を実行することにより、各役物が正常に動作するか否かを判別することができる。また、初期動作の実行時には、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)の内容や、スライド動作ユニット700のスライド動作の内容を解析し、解析結果に応じて動作を補正するための補正値が特定される。この初期動作テーブル222c5の詳細について、図142(a)を参照して説明する。
図142(a)は、初期動作テーブル222c5の規定内容を示した図である。図142(a)に示した通り、この初期動作テーブル222c5は、動作ポインタ223nの値に対応付けて、動作を設定する役物の種別と、その役物に対応するモータドライバに設定するための設定値(動作速度、動作ステップ数、及び動作方向)とが規定されている。
より具体的には、動作ポインタ223nの値「01H」には、役物の種別としてスライド動作ユニット700が対応付けられており、動作内容として正方向へ動作速度100ppsの動作が規定されている。なお、動作ステップ数は定められていなく、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで正方向(張出位置の方向)へとスライド動作が繰り返される。即ち、1ステップの動作を設定し、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)になったかを確認し、出力がL(ロー)のままであれば再度1ステップの動作を設定するという流れで動作が繰り返される。なお、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となるまでに設定した動作ステップ数は、補正用カウンタ223wによってカウントされ、動作完了後に、原点位置から張出位置までの動作ステップ数の設計値である120ステップとの差分が解析される。この解析された差分に応じて、スライド動作の設定値を補正するための補正値が算出される。ここで、1ステップの動作を繰り返し設定する場合は、通常遊技中において複数ステップの動作が設定される場合と同じ動作速度となるように、1ステップの動作に対して例えば10ミリ秒の遅延が設定される。即ち、10ミリ秒毎に(100ppsの動作速度で)1ステップの動作が設定されるように構成されている。これにより、通常遊技中と同一の動作態様とすることができるので、動作の見た目から異常が発生していると勘違いしてしまうことを防止できる。なお、以降の説明においても、各種センサに向けて1ステップ毎に動作を設定する場合には、通常遊技中と同一の動作速度となるように遅延が設定される。
動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」には、初期動作を設定する役物の種別として傾倒動作ユニット600が対応付けられている。動作ポインタ223nの値「02H」に対応する動作内容として、正方向に動作速度100ppsで動作ステップ数10ステップの動作が規定されている。また、動作ポインタ223nの値「03H」に対応する動作内容として、負方向に100ppsの動作速度で傾倒原点センサ618を検出するまでの動作が規定されている。また、動作ポインタ223nの値「04H」に対応する動作内容として、負方向に100ppsの動作速度で10ステップの動作が規定され、動作ポインタ223nの値「05H」に対応する動作内容として、正方向に100ppsの動作速度で傾倒原点センサ618を検出するまで継続する動作が規定されている。
傾倒動作ユニット600に対して設定される初期動作をまとめると、スライド動作ユニット700が張出位置まで動作し、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値が「02H」に更新されると、まず、傾倒動作ユニット600の演出部材620を正面視左方向へ10ステップ動作させる。そして、10ステップの動作が完了すると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値が「03H」に更新されると共に、原点方向への動作(即ち、正面視右方向への動作)が設定される。この動作は、動作ポインタ223nの値「01H」において実行される動作と同様に、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップずつ繰り返し実行される。
そして、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出すると、動作ポインタ223nの値が「04H」に更新されると共に、正面視右方向へ10ステップの動作(つまり、原点位置を通り過ぎて更に傾倒動作を行う方向の動作)が設定される。この10ステップの動作が完了すると、動作ポインタ223nの値が「05H」に更新されると共に、原点方向への動作(即ち、正面視左方向への動作)が設定される。この動作も、動作ポインタ223nの値「03H」において実行される動作と同様に、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップずつ繰り返し実行される。これらの動作を実行することにより、通常遊技状態において演出部材620が駆動され得る正面視右方向、及び正面視左方向の傾倒動作(首振り動作)がそれぞれ正常に実行できるか否かを容易に確認することができる。
なお、この傾倒動作ユニット600の初期動作において、傾倒動作(首振り動作)が実行されることにより原点位置から離れた演出部材620が再度原点位置へと戻るまでの動作ステップ数が補正用カウンタ223wによってカウントされ、原点位置へと戻った後に、設計値との差分が解析される。この解析された差分に応じて、スライド動作の設定値を補正するための補正値が算出される。即ち、本制御例では、傾倒動作、およびスライド動作のうち、いずれかの実動作と設計上の動作とがずれていると判別した場合に、スライド動作ユニット700に対する設定値(動作速度)を補正するように構成されている。
動作ポインタ223nの値「06H」には、役物の種別としてスライド動作ユニット700が対応付けられており、動作内容として正方向へ動作速度100ppsの動作が規定されている。なお、動作ポインタ223nの値が「01H」の場合の動作と同様に、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップの動作が繰り返し設定される。
図示については省略したが、初期動作テーブル222c5には、上記以外の役物に対応した初期動作も規定されている。この初期動作テーブル222c5を用いて初期動作を実行することにより、各種演出において演出動作を実行する役物の不具合の有無を電源投入時に容易に判別することができる。よって、不具合の生じたパチンコ機10で遊技が行われることを防止(抑制)することができるので、遊技者に対して安心して遊技を行わせることができる。
本制御例では、初期動作テーブル222c5に基づく初期動作の実行中に、初期動作を実行すると共にスライド動作テーブル222c1の動作速度を補正するための補正値を算出するように構成されているが、必ずしもスライド動作テーブル222c1を動作シナリオテーブル222cに規定する必要はない。動作速度を補正するための補正値を算出するのに代えて、初期動作時のスライド動作、および首振り動作の動作ステップ数に基づいて通常遊技中におけるスライド動作の動作シナリオを作成し、RAM223に格納するように構成してもよい。この変形例についてより具体的に説明するために、初期動作においてスライド動作の張出位置までの動作ステップ数が125ステップであり、首振り動作の1周期に要する動作ステップ数が45ステップであると判別した場合を仮定する。この場合には、まず、初期動作により判別された張出位置までの実際の動作ステップ数をスライド動作の動作ステップ数として設定する。そして、125ステップのスライド動作を実行するまでの間に丁度3周期(3回)の首振り動作(3×45ステップ)を実行させるための、スライド動作の動作速度を通常遊技中の動作速度として設定する。即ち、100pps×125ステップ/(3×45ステップ)=93ppsを動作速度として設定する。そして、通常遊技中にスライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出が設定された場合には、初期動作において算出された、動作ステップ数125ステップ、動作速度93ppsを支柱部材720のスライド動作に対して毎回設定すればよい。このように構成することで、支柱部材720が張出位置へとスライド移動するまでの間に、確実に規定回数(3回)の首振り動作を実行させることができる。また、スライド動作テーブル222c1をROM222に規定しておく場合に比較して、ROM222の容量を削減することができる。
本制御例では初期動作において動作ステップ数に基づいて補正値を算出するように構成されていたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作に要する動作時間と、首振り動作に要する動作時間とに基づいて、設計上の動作時間とのずれを判別し、そのずれを補正するための補正値を算出するように構成してもよい。また、上記変形例では、初期動作において動作ステップ数に基づいてスライド動作の設定内容を算出するように構成されていたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作に要する動作時間と、首振り動作に要する動作時間とに基づいて、首振り動作が3回終了するタイミングでスライド動作の張出位置へと到達するようにスライド動作の動作ステップ数と動作速度とを決定するように構成してもよい。
図140に戻って説明を続ける。首振り領域テーブル222dは、傾倒役物600の演出部材620を傾倒動作(首振り動作)させる場合に参照されるデータテーブルであり、傾倒動作が可能な方向を規定している。ここで、本制御例では、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)と、支柱部材720のスライド動作とが連動して実行されるように構成されている。より具体的には、支柱部材720が原点位置から張出位置へと向かうスライド動作が実行されている間に、支柱部材720の上方において演出部材620が3往復の傾倒動作(首振り動作)を行う(左方向への首振り動作と右方向への首振り動作とを交互に3回ずつ行う)ように制御される。つまり、演出部材620が首振り動作を実行する位置はスライド動作の推移に応じて可変することとなる。
また、上述した通り、演出部材620を含む傾倒動作ユニット600は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の下部に配設されており(図5参照)、支柱部材720が原点位置や張出位置にある状態においては、演出部材620と外壁部212の内側面とが近接するように構成されている。よって、例えば、スライド動作の原点位置の近傍で演出部材620が正面視右方向へと首振り動作を行ったり、スライド動作の張出位置の近傍で演出部材620が正面視左方向へと首振り動作を行ったりすると、演出部材620と外壁部212とが衝突してしまう虞がある。そこで、本制御例では、首振り領域テーブル222dに、演出部材620が首振り動作を実行できる動作方向を規定しておくことにより、演出部材620と外壁部212との衝突(干渉)を防止している。なお、支柱部材720のスライド動作と、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)とがいずれも正規の動作(設計通りの動作)となっている場合に、演出部材620と外壁部212とが衝突(干渉)する虞がないように動作シナリオが規定されている。首振り領域テーブル222dが役立つのは、例えば、不具合によりスライド動作が途中で停止してしまったり、動作速度が途中で変わってしまったりといったイレギュラーな事態となった場合である。
ここで、まず、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)と、支柱部材720のスライド動作とがいずれも正規の動作(設計通りの動作)を行った場合の動作態様について、図144を参照して説明する。図144は、演出部材620の首振り動作の動作ステップ数と、支柱部材720のスライド動作の動作ステップ数との対応関係を示した図である。この図において、ステップ数「0」が各役物(演出部材620、支柱部材720)の原点位置を示している。また、首振り動作のステップ数が正の値の範囲は、原点位置よりも正面視左側に演出部材620が配置されていることを意味し、ステップ数が負の値の範囲は、原点位置よりも正面視右側に演出部材620が配置されていることを意味する。
図144に示した通り、スライド動作が10ステップ行われるまでは、スライド動作が1ステップ行われる毎に左方向への首振り動作が1ステップ実行される。即ち、スライド動作の原点位置の右側に配置された外壁部212から離れる方向の首振り動作が実行される。そして、スライド動作のステップ数が10になると共に、首振り動作のステップ数が正方向に10ステップになった場合は(図144のa位置参照)、首振り動作の方向を反転させ、負方向へと首振り動作の方向を切り替える。この負方向への首振り動作は、演出部材620の原点位置を越えて実行される。スライド動作のステップ数が30となると共に、演出部材620が原点位置から負方向(正面視右方向)に10ステップ進んだ位置へと到達した場合は(図144のb位置参照)、再度首振り動作の方向を反転させて、正方向の首振り動作に切り替える。
そして、以降も20ステップ毎に首振り動作の方向を反転させながら(図144のc,d,e位置参照)、スライド動作を進行する。そして、スライド動作の動作ステップ数が120ステップになる(スライド動作の張出位置に到達する)と共に、演出部材620が負方向(原点位置の右側)から原点位置に到達したことに基づいて、動作が停止される。なお、原点位置へと戻す場合にも、図144に示した関係性を保ったままスライド動作の原点位置まで支柱部材が戻される。
図144に示したスライド動作、及び首振り動作を実行することにより、演出部材620を他の構成と衝突させずに毎回同一の首振り動作を実行させることができる。一方、演出部材620や、支柱部材720は駆動モータで駆動されるため、駆動モータやギアの個体差および経年劣化等により、同じ動作シナリオを設定したとしても、図144の対応関係が崩れてしまう可能性がある。また、故障やノイズ等の影響により、スライド動作や首振り動作が一時的に停止してしまう可能性もある。かかる場合にも、正常動作時と同一の設定値(動作速度、動作ステップ数、動作方向)を設定してしまうと、演出部材620が外壁部212へと衝突(干渉)してしまう等の不具合が生じる虞がある。そこで、本制御例では、首振り動作が可能な動作方向を、スライド動作のステップ数に応じて規定した首振り領域テーブル222dを設けることにより、演出部材620が他の構成に干渉する不具合を抑制する構成としている。
首振り領域テーブル222dの詳細について、図142(b)を参照して説明する。図142(b)は、本制御例における首振り領域テーブル222dの規定内容を示した図である。本制御例では、演出部材620が首振り動作の原点位置に到達する度に、この首振り領域テーブル222dが参照され、首振り動作の方向が判別される。
図142(b)に示した通り、首振り領域テーブル222dには、支柱部材720のスライド動作の動作ステップ数(スライド動作の進捗状況)に対応付けて、首振り動作を実行可能な方向(首振り可能方向)が規定されている。また、スライド動作の動作ステップ数と首振り可能方向との関係は、原点位置から張出位置へと向かう方向(往路)のスライド動作であるか、張出位置から原点位置へと向かう方向(復路)のスライド動作であるかを区別して規定されている。
具体的には、図142(b)に示した通り、往路のスライド動作(動作ポインタの値「01H」に対応するスライド動作)において、スライド動作の動作ステップ数「0~14」の範囲に対して首振り可能方向「左側」が対応付けられている。即ち、スライド動作の原点位置に比較的近い動作範囲(動作ステップ数が0~14の範囲)において、演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合には、演出部材620を正面視右側へと首振り動作させることが禁止(規制)される。これにより、外壁部212のうちスライド動作の原点位置の右側の部分と、演出部材620とが衝突し、外壁部212や演出部材620が破損してしまうことを防止(抑制)できる。
また、スライド動作の動作ステップ数「15~104」の範囲に対して首振り可能方向として「両側」が対応付けられている。即ち、動作ステップ数「15~104」の範囲において演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合は、正面視右側、及び正面視左側のどちらに対しても制限なく首振り動作を設定することができる。この動作ステップ数の範囲においては、外壁部212と演出部材620とが十分に離れており、動作方向によらず衝突(干渉)する可能性が無いためである。
更に、スライド動作の動作ステップ数「105~120」に対しては、首振り可能方向「右側」が対応付けられている。即ち、スライド動作の張出位置に比較的近い動作範囲(動作ステップ数が105~120の範囲)において、演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合には、演出部材620を正面視左側へと首振り動作させることが禁止(規制)される。これにより、外壁部212のうちスライド動作の張出位置の左側の部分と、演出部材620とが衝突し、外壁部212や演出部材620が破損してしまうことを防止(抑制)できる。
一方、往路のスライド動作(動作ポインタの値「02H」に対応するスライド動作)では、スライド動作の動作ステップ数「0~14」の範囲に対して首振り可能方向「右側」が対応付けられ、動作ステップ数「15~104」には首振り可能方向「両側」が対応付けられ、動作ステップ数「105~120」には首振り可能方向「左側」が対応付けられている。往路のスライド動作中にも、これらの対応関係を参照して首振り動作の動作方向を設定することにより、演出部材620を外壁部212に衝突させることなく動作させることができる。
首振り可能方向についてまとめると、図143に示した通り、スライド動作の原点位置(スライド原点検出センサ717の検出位置)を含む15ステップ分の領域(0ステップ~14ステップ)は、左側(正面視左方向)にのみ首振り動作を設定することが可能となる。一方で、スライド動作の張出位置(スライド位置検出センサ718の検出位置)を含む15ステップ分の領域(104ステップ~120ステップ)は、右側(正面視右方向)にのみ首振り動作を設定することが可能となる。そして、上記以外の領域では、首振り動作を方向の制限なく設定することができるように構成されている。このように、スライド動作のステップ数に対応させて首振り動作の方向を規定しておくことにより、演出部材620がパチンコ機10の他の構成と干渉してしまうことを防止することができる。
図140に戻って説明を続ける。第2制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223には、第1制御例におけるRAM223の構成に加えて、ステップカウンタ223kと、動作シナリオフラグ223mと、動作ポインタ223nと、首振り方向フラグ223oと、補正値格納エリア223pと、追加動作フラグ223qと、原点復帰中フラグ223rと、初期動作中フラグ223sと、スライド待機フラグ223tと、首振り待機フラグ223uと、首振りカウンタ223vと、補正用カウンタ223wとが追加されている。
ステップカウンタ223kは、駆動モータで駆動される各役物の動作ステップ数をカウントするためのカウンタである。なお、カウントの基準(動作ステップ数が0の位置)は、各役物の原点位置に設定されている。このステップカウンタ223kは、役物の種別毎の動作ステップ数を別個にカウントできるように構成されている。即ち、ステップカウンタ223kは、演出部材620の動作ステップ数をカウントするためのカウンタや、支柱部材720の動作ステップ数をカウントするためのカウンタ等、役物を駆動するための駆動モータの個数分だけ別々のカウンタが設けられている。
ステップカウンタ223kは、パチンコ機10に設けられている各種駆動モータのいずれかから、1ステップの動作を実行したことを示す実行信号を受信する毎に、その実行信号を出力した駆動モータの種別に対応するカウンタ値が1ずつ更新される(図149のS1622参照)。また、パチンコ機10の電源が投入されると、各種役物を原点位置に戻すための原点復帰動作が実行されるが、その原点復帰動作により各種役物が原点に復帰すると、ステップカウンタ223kの値に対して0が設定される。この原点復帰動作によって、ステップカウンタ223kの値が0となる位置を確実に各役物の原点位置に設定することができるので、各役物の動作状況(駆動位置)を正確に把握することができる。
動作シナリオフラグ223mは、動作シナリオテーブル222cに規定された、各役物の演出動作に対応する動作シナリオのうち、いずれの動作シナリオが設定されているかを示すフラグである。この動作シナリオフラグ223mは、例えば1バイト(8ビット)で構成され、各ビットに動作シナリオの種別が対応付けられている。例えば、動作シナリオフラグ223mの第0ビットは、スライド動作テーブル222c1に対応しており、この第0ビットが1(オン)であれば、スライド動作テーブル222c1が動作シナリオとして設定されていることを意味する、0(オフ)であれば、スライド動作テーブル222c1が設定されていないことを意味する。他のビットについても同様に、各ビットに対応する動作シナリオが設定されていれば、対応するビットが1(オン)に設定され、対応する動作シナリオが設定されていなければ、対応するビットが0(オフ)に設定される。
この動作シナリオフラグ223mは、変動パターン受信処理(図108参照)の中で、変動パターンコマンドに基づいて動作シナリオを特定した場合に、そのシナリオに対応するビットが1(オン)に設定される(図108のS1704,S1708,S1710参照)。また、動作シナリオが設定された変動演出が終了する毎に、設定されていたシナリオに対応するビットが0(オフ)に設定される。この動作シナリオフラグ223mにより、現在設定されている動作シナリオの種別を容易に判別することができる。
動作ポインタ223nは、設定されている動作シナリオの進捗状況を識別するために用いられるポインタである。上述した通り、動作シナリオテーブル222cを構成する各データテーブルは、この動作ポインタ223nの値と、設定する動作内容(動作速度、動作ステップ数、動作方向)とが対応付けられて規定されている。本制御例では、1の設定内容の動作を駆動モータに設定し、設定内容に応じた動作が完了すると、動作ポインタ223nの値が更新される。
また、動作ポインタ223nは、設定されている動作シナリオ毎にポインタ値を別個に更新していくことができる。即ち、動作ポインタ223nは、動作シナリオ毎に設けられた異なるポインタの総称である。動作ポインタ223nを構成する各ポインタは、対応する動作シナリオが新たに設定されることにより、その値に「01H」が設定される。そして、以降はポインタ値に対応する動作内容が完了する度に、ポインタ値が更新され(図150のS5312、図151のS5411、図152のS5505、図154のS5712,S5713参照)、更新後のポインタ値に対応する動作内容が設定される。また、対応する動作シナリオが設定された変動演出が終了すると、ポインタ値は「00H」にリセットされる。この動作ポインタ223nを用いることにより、設定されている動作シナリオを正確に把握することができる。
首振り方向フラグ223oは、首振り動作の方向を示すフラグである。この首振り方向フラグ223oの値がオンであれば、正方向(正面視左方向)への首振り動作が実行されていることを示し、オフであれば、負方向(正面視右方向)への首振り動作が実行されていることを示す。この首振り方向フラグ223oは、傾倒動作に対応する動作シナリオが設定されている場合において、動作ポインタ223nの値が更新された場合に、更新後の動作ポインタ223nの値が示す動作内容に対応する値に更新される(図152のS5507参照)。つまり、動作内容として正方向の首振り動作が設定された場合には、首振り方向フラグ223oがオンに設定され、負方向の首振り動作が設定された場合には、首振り方向フラグ223oがオフに設定される。首振り動作において原点位置に到達した場合は、この首振り方向フラグ223oを参照して首振り動作の方向が特定される。そして、同一の首振り動作の方向のまま原点を通過しても問題ないか否かが、首振り領域テーブル222dに基づいて判別される。
補正値格納エリア223pは、経年劣化や個体差等による役物動作のバラつきを補正する補正値を記憶するための記憶領域である。より具体的には、支柱部材720の動作速度を、演出部材620の実際の動作に合わせて補正するための補正値が格納される。この補正値格納エリア223pに格納される補正値は、パチンコ機10に対して電源が投入されたことに基づいて実行される初期動作の実行中に算出され、この補正値格納エリア223pに格納される(図151のS5406,S5409参照)。補正値には、大別して、演出部材620の実際の首振り動作の状況に応じた補正値と、支柱部材720の実際のスライド動作の状況に応じた補正値とが少なくとも設けられており、これらの補正値に応じてスライド動作のステップ数を補正することができる。
演出部材620の実際の首振り動作の状況に応じた補正値とは、演出部材620が原点位置から正面視右方向、及び正面視左方向にそれぞれ首振り動作を行う際のステップ数の設計値(往路10ステップと復路10ステップの首振り動作を左右2方向で実行するので、合計40ステップ)と、一連の動作を設定して原点に復帰するまでに実際に要したステップ数との比である。
一方、支柱部材720の実際の首振り動作の状況に応じた補正値とは、支柱部材720が原点位置から張出位置までスライド動作を行う際のステップ数の設計値(120ステップ)と、実際のスライド動作において原点位置から張出位置まで動作させるために要したステップ数との比である。これらの補正値により、動作シナリオの設定内容を補正することで、支柱部材720のスライド動作の態様を、演出部材620の実際の首振り動作の態様に合わせることができる。即ち、首振り動作に要する実際のステップ数が設計値に比較して多かった場合は、設計値よりも多くのステップ数を設定する必要が生じるため、首振り動作の実行期間が長くなる。この場合であっても、3往復の首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを合わせるために、スライド動作の動作速度を遅らせるための補正値が補正値格納エリア223pに格納される。
一方、首振り動作に要する実際のステップ数が設計値に比較して少なかった場合は、設計値よりも少ないステップ数で首振り動作が終了するため、首振り動作の実行期間が短くなる。この場合であっても、3往復の首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを合わせるために、スライド動作の動作速度を速めるための補正値が補正値格納エリア223pに格納される。
スライド動作を設定する場合は、補正値格納エリア223pに格納された補正値を、スライド動作テーブル223c1に規定された動作速度に乗じた値を新たな動作速度として設定することにより、首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを一致させることができる。よって、演出部材620と支柱部材720とを同時に動作させる場合の動作品位を向上させることができる。
追加動作フラグ223qは、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化した後に設定される可能性がある追加動作期間であるか否かを示すためのフラグである。ここで、本制御例では、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化したにも拘らず、対応するセンサの出力がH(ハイ)にならなかった場合に、センサ方向へ追加で動作を設定するように構成されている。この追加の動作は、対応するセンサの出力がH(ハイ)となるまで1ステップずつ繰り返し設定される。この追加の動作が設定される期間のことを追加動作期間と呼ぶ。この追加動作期間を設定することにより、経年劣化や個体差等によりセンサを検出するまでのステップ数がずれてしまった場合にも、即座にエラーを報知せず、センサ方向へと移動させることができる。この追加動作フラグ223qは、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を経過しても対応するセンサの出力がH(ハイ)とならなかった場合に実行される異常検知処理(図155参照)の中でオンに設定され、追加動作により対応するセンサの出力がL(ロー)となったことを検出すると、オフに設定される(図153のS5604参照)。
原点復帰中フラグ223rは、パチンコ機10に対して電源が投入された場合に実行される原点復帰動作(原点位置からずれている役物を原点位置へ復帰させるための動作)の実行中であるか否かを示すフラグである。この原点復帰中フラグ223rがオンであれば、原点復帰動作の実行中であることを示し、オフであれば、原点復帰動作の実行中でないことを示す。この原点復帰中フラグ223rは、原点復帰処理(図146参照)の中で、
原点復帰動作が設定された場合にオンに設定される(図146のS5103参照)。一方、原点復帰動作において、全ての役物が原点位置に復帰したと判別された場合にオフに設定される(図150のS5304参照)。この原点復帰中フラグ223rを用いることにより、原点復帰動作中であるか否かを容易に判別することができる。
初期動作中フラグ223sは、原点復帰動作が終了した後で、各役物が正常に動作するか否かを判別するために実行される初期動作の実行中であるか否かを示すフラグである。この初期動作中フラグ223sがオンであれば、初期動作の実行中であることを示し、オフであれば、初期動作の実行中でないことを示す。この初期動作中フラグ223sは、原点復帰動作が終了した後でオンに設定され(図150のS5304参照)、初期動作テーブル222c5に規定されている全ての動作が終了した場合にオフに設定される。この初期動作中フラグ223sを用いることにより、初期動作の実行中であるか否かを容易に判別することができる。
スライド待機フラグ223tは、演出部材620と支柱部材720とが連動して動作する演出において、支柱部材720の張出位置へのスライド動作が、演出部材620の首振り動作よりも先に終わってしまった場合に設定されるスライド待機期間であるか否かを判別するためのフラグである。このスライド待機期間は、首振り動作が完了するまでスライド動作を待機させるための期間であり、スライド動作の張出位置から原点位置へと戻す動作を実行する場合に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とを同時に開始させるために設定される。
このスライド待機フラグ223tがオンであれば、上述したスライド待機期間中であることを示し、オフであれば、スライド待機期間中でないことを示す。このスライド待機フラグ223tは、スライド動作処理(図156参照)の中で、スライド動作が完了し、首振り動作が未完了であると判別された場合にオンに設定される(図156のS5909参照)。一方、スライド動作、首振り動作が共に完了し、張出位置から原点位置へ戻る動作が設定された場合にオフに設定される(図154のS5706参照)。
首振り待機フラグ223uは、演出部材620と支柱部材720とが連動して動作する演出において、演出部材620の首振り動作が、支柱部材720の張出位置へのスライド動作よりも先に終わってしまった場合に設定される首振り待機期間であるか否かを判別するためのフラグである。この首振り待機期間は、スライド動作が完了するまで首振り動作を待機させるための期間であり、スライド動作の張出位置から原点位置へと戻す動作を実行する場合に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とを同時に開始させるために設定される。
この首振り待機フラグ223uがオンであれば、上述した首振り待機期間中であることを示し、オフであれば、首振り待機期間中でないことを示す。この首振り待機フラグ223uは、傾倒方向設定処理(図154参照)の中で、首振り動作(傾倒動作)が完了し、スライド動作が未完了であると判別された場合にオンに設定される(図154のS5703参照)。一方、スライド動作、首振り動作が共に完了し、張出位置から原点位置へ戻る動作が設定された場合にオフに設定される(図156のS5911参照)。
首振りカウンタ223vは、首振り動作を実行する場合の実行回数をカウントするためのカウンタである。本制御例では、傾倒動作テーブル222c2に基づいて、原点位置から左右方向に各10ステップずつ首振り動作を実行した後、原点位置へと戻る動作を3回繰り返すように構成されている。しかし、傾倒動作テーブル222c2に対して全く同じ動作を3回分規定すると、ROM222の容量を圧迫してしまう虞がある。そこで、本制御例では、首振り動作1回分の動作内容のみを傾倒動作テーブル222c2に規定しておき、1回の首振り動作が終了する(即ち、傾倒動作テーブル222c2に規定されている動作ポインタ223nの値「01H」~「04H」に対応する動作が全て終了する)度に、首振りカウンタ223vを用いて首振り回数をカウントするように構成されている。そして、カウント回数が3回となった場合には、首振り動作を終了し、カウント回数が3回に満たない場合は動作ポインタ223nの値を「01H」に戻して、再度「01H」~「04H」に対応する動作を順に設定していくように構成されている。これにより、傾倒動作テーブル222c2のデータ量を削減しつつ、首振り動作を毎回同じ回数(3回)繰り返させることができる。
補正用カウンタ223wは、初期動作において、演出部材620の実際の首振り動作のステップ数や、支柱部材720の実際のスライド動作のステップ数をカウントするためのカウンタである。この補正用カウンタ223wによってカウントされたステップ数と、ステップ数の設計値とを比較することにより、実動作が設計値からどれだけずれているのかを解析(判別)することができる。即ち、個体差や経年劣化等の影響を解析(判別)することができる。この補正用カウンタ223wによりカウントされた各役物のステップ数に応じて、スライド動作の動作速度を補正するための補正値が算出される(図151のS5406,S5409参照)。
<第2制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次いで、図145~図156を参照して、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図145は、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は、第1制御例と同様に、パチンコ機10の電源投入時に実行される処理である。
この立ち上げ処理のうち、S1301~S1313の各処理では、それぞれ第1制御例における立ち上げ処理(図104参照)で実行されるS1301~S1313の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例における立ち上げ処理では、第1制御例における立ち上げ処理に加えて、原点復帰処理(S1321)が実行される点で相違する。
この原点復帰処理(S1321)は、第1制御例と同様にS1301からS1312の処理が実行された後に実行され、原点位置からずれている役物を原点位置へと戻すための処理である。そして、原点復帰処理(S1321)の実行後には時間設定処理(S1313)が実行され、本処理が終了される。
次いで、図146を参照して、上記した原点復帰処理(S1321)の詳細について説明する。図146は、原点復帰処理(S1321)を示すフローチャートである。この原点復帰処理(S1321)は、本パチンコ機10に備えられる各種役物のうち、電源投入時に原点位置でない役物を、原点位置に移動(可動)させるための処理である。
原点復帰処理(S1321)では、まず、出力がL(0V)の(即ち、センサの受光部が遮光されていない)原点センサ(例えば、スライド原点検出センサ717、傾倒原点センサ618等)があるか否かを判別する(S5101)。S5101の処理において、出力がL(0V)の原点センサがあると判別された場合は(S5101:Yes)、いずれかの役物(傾倒動作ユニット600の演出部材620、スライド動作ユニット700の支柱部材720など)が原点位置にない場合である。よって、この場合は、原点位置からずれている役物を原点位置に復帰(可動)させるために、S5102の処理へ移行する。
S5102の処理では、出力がL(0V)のセンサに対応する役物に対して、原点方向への動作(可動)を設定する(S5102)。そして、原点復帰中フラグ223rをオンに設定して(S5103)、本処理を終了する。なお、S5102の処理では、確実に原点位置へと戻るように、例えば、各役物における原点位置から張出位置までのステップ数の2倍のステップ数の動作が設定される。
一方、S5101の処理において、出力がL(0V)の原点センサがないと判別された場合は(S5101:No)、電源投入の時点で全ての役物が既に原点位置になっていたことを意味する。即ち、役物を原点位置に復帰(可動)させる必要がないため、各種役物の初期動作を設定するためのS5104,S5105の各処理を実行する。
S5104の処理では、各種役物に対して初期動作の開始を設定し(S5104)、初期動作中フラグ223sをオンに設定して(S5105)、本処理を終了する。上述した通り、初期動作は、各種役物が正常に動作しているかをチェックするために行われる。電源投入時毎に各種役物が正常に動作するかをチェックすることができるので、各種役物の異常を早期に検出することができる。
この原点復帰処理(S1321)を実行することにより、全ての役物を原点位置へと復帰(可動)させることができる。原点位置へと復帰したことを契機として、対応する役物のステップカウンタ223kを0にリセットすることができるので、原点復帰以降、全ての役物の動作ステップ数を正確に把握することができる。また、初期動作を原点復帰後に実行することができるので、初期動作において毎回同じ動作を行わせることができる。よって、初期動作において異常が発生しているか否かを外見からも容易に判別することができる。
次いで、図147を参照して、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図147は、メイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、第1制御例と同様に、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される処理である。
このメイン処理のうち、S1501~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるメイン処理(図106参照)で実行されるS1501~S1520の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例におけるメイン処理では、第1制御例におけるメイン処理に加えて、役物動作設定処理(S1531)が実行される点で相違する。
この役物動作設定処理(S1531)は、第1制御例と同様にS1501からS1515の処理が実行された後に実行される。そして、役物動作設定処理(S1531)の実行後にはS1516からS1520の各処理が実行される。この役物動作設定処理(S1531)は、選択されている変動パターンに基づいて、各役物の動作を設定するための処理である。
次に、図148を参照して、上述した役物動作設定処理(S1531)の詳細について説明する。図148は、役物動作設定処理(S1531)を示すフローチャートである。この役物動作設定処理(S1531)は、上述した通り、本パチンコ機10に備えられる各種役物の動作を設定するための処理である。
役物動作設定処理(S1531)では、まず、役物の動作開始タイミングであるか否かを判別する(S5201)。ここで、役物の動作開始タイミング、および動作させる役物の種別は、変動パターン毎に規定されている。S5201の処理では、変動パターンの進行状況に基づいて、動作開始タイミングになったか否かを判別している。
S5201の処理において、役物の動作開始タイミングでないと判別された場合は(S5201:No)、役物の動作を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了してメイン処理へ戻る。一方、S5201の処理において、役物の動作開始タイミングであると判別された場合は(S5201:Yes)、開始タイミングとなった役物の動作を設定するために、S5202の処理へ移行する。
S5202の処理では、開始する動作(スライド動作、傾倒(首振り)動作、初期動作等)に対応する動作ポインタ223nの値を「01H」に設定する(S5202)。そして、動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222cのうち、今回動作させる役物に対応するテーブルから読み出す(S5203)。次いで、S5203の処理において読み出した動作内容が、支柱部材720のスライド動作であるか否かを判別する(S5204)。
S5204の処理において、読み出した動作内容がスライド動作であると判別された場合は(S5204:Yes)、読み出した動作内容のうち、動作速度(pps)に対して補正値格納エリア223pに格納されている補正値(スライド動作に対応する補正値、および首振り動作に対応する補正値の両方)を乗じた値を動作速度として設定し(S5205)、S5206の処理へ移行する。上述した通り、この補正値は、初期動作における演出部材620の実際の首振り動作の動作ステップ数、および支柱部材720の実際の動作ステップ数に基づいて算出される値である。この補正値によってスライド動作の動作速度を補正することにより、首振り動作の終了タイミングと、スライド動作の動作終了タイミングとを一致させることができる。
一方、S5204の処理において、読み出した動作内容がスライド動作でないと判別された場合は(S5204:No)、動作を補正する必要がないため、S5205の処理をスキップして、S5206の処理へ移行する。
S5204またはS5205の処理を終えると、読み出した動作内容(または補正した動作内容)に基づいて動作コマンドを設定し(S5206)、本処理を終了する。S5206の処理によって設定された動作コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファ(図示せず)に記憶される。そして、MPU221により実行されるメイン処理(図147参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、コマンドに対応する各種モータ(上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)に向けて送信される。各種モータの制御用IC(図示せず)は、受信した動作コマンドに基づいて各種モータを駆動制御する。これにより、各種モータに対応する各種役物が可動される。
次いで、図149を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1511)について説明する。図149は、コマンド判定処理(S1511)を示すフローチャートである。このコマンド判定処理(S1511)は、第1制御例と同様に、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図147参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定し、対応する制御を実行するための処理である。
このコマンド判定処理(S1511)のうち、S1601~S1616の各処理では、それぞれ第1制御例におけるコマンド判定処理(図107参照)で実行されるS1601~S1616の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例におけるコマンド判定処理(S1511)では、第1制御例におけるコマンド判定処理(S1511)に加えて、S1621からS1623の処理が実行される点で相違する。以下、第1制御例におけるコマンド判定処理(図107参照)と同一の部分には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第2制御例におけるコマンド判定処理(S1511)では、まず、第1制御例と同様にS1601からS1615の処理が実行される。そして、S1612の処理において、停止コマンドを受信していないと判別した場合に(S1612:No)、各種モータ(上下用駆動も他431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)から出力される実行信号(実行コマンド)を受信したか否かを判別する(S1621)。S1621の処理において、各役物に対応するモータドライバ(制御用IC)から実行コマンドを受信していないと判別した場合には、S1616の処理を実行して、本処理を終了する。
一方、S1621の処理において、いずれかのモータドライバ(制御用IC)から実行コマンドを受信したと判別した場合には(S1621:Yes)、その動作コマンドを出力したモータドライバ(役物)に対応するステップカウンタ223kを更新し(S1622)、実行コマンド(実行信号)に応じて各役物の動作を制御するための実行コマンド処理を実行して(S1623)、本処理を終了する。S1622の処理により、動作に対応するステップカウンタ223kが更新(加算)されることで、各動作(スライド動作、首振り動作など)の状態(動作ステップ数)を正確に判別できる。
次に、図150から図156を参照して、上記した実行コマンド処理(S1623)の詳細について説明する。まず、図150は、実行コマンド処理(S1623を示すフローチャートである。この実行コマンド処理(S1623)は、各種モータ(上下用駆動も他431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)から送信される実行信号(実行コマンド)を受信した場合に実行される処理である。
実行コマンド処理(S1623)では、まず、原点復帰中フラグ223rがオンであるか否かを判別する(S5301)。S5301の処理において、原点復帰中フラグ223rがオンであると判別された場合は(S5301:Yes)、上述した音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理(図145参照)で実行される原点復帰処理(図146参照)において、原点復帰動作の実行中であることを意味する。よって、この場合には、原点復帰動作が終了したか否かを判別するために、出力がL(0V)の(即ち、センサの受光部が遮光されていない)原点センサがあるか否かを判別する(S5302)。
S5302の処理において、出力がL(0V)の原点センサがあると判別された場合は(S5302:Yes)、いずれかの役物が原点位置からずれている(即ち、復帰(可動)中である)場合であり、役物を原点位置に復帰(可動)させる処理が継続されているため、そのまま本処理を終了する。なお、複数の役物が原点復帰中の場合には、S5302の処理において原点位置に復帰したと判別された役物から順番に動作停止を設定する。また、設定した原点復帰動作のステップ数を経過しても原点に復帰しない役物が存在する場合は、故障等により駆動用モータが正常に動作していない可能性が高いため、エラーを報知する。
一方、S5302の処理において、出力がL(0V)の原点センサがないと判別された場合は(S5302:No)、全ての役物が原点位置にある(即ち、復帰(可動)を終えた)場合であるので、役物を原点位置に復帰(可動)させる処理を終了し、各種役物の初期動作の開始を設定する(S5303)。そして、原点復帰中フラグ223rをオフに設定し、初期動作中フラグ223sをオンに設定して(S5304)、本処理を終了する。
S5301の処理において、原点復帰中フラグ223rがオンでないと判別された場合は(S5301:No)、全ての役物が原点位置に復帰(可動)されている場合であるので、次いで、初期動作中フラグ223sがオンであるか否かを判別する(S5305)。S5305の処理において、初期動作フラグ223sがオンであると判別された場合は(S5305:Yes)、各種役物の初期動作が実行中であることを意味するため、初期動作中の設定を行うための初期動作処理を実行して(S5306)、本処理を終了する。この初期動作処理(S5306)の詳細については、図151を参照して後述する。
一方、S5305の処理において、初期動作フラグ223sがオフであると判別された場合は(S5305:No)、次いで、受信した実行コマンドが傾倒動作に対応するコマンドであるか否かを判別する(S5307)。S5307の処理において、受信した実行コマンドが傾倒(首振り)動作に対応するコマンドであると判別された場合は(S5307:Yes)、傾倒(首振り)動作を実行する(傾倒用駆動モータ661を駆動する)ために、傾倒動作処理を実行し(S5308)、本処理を終了する。この傾倒動作処理(S5308)の詳細については、図152から図155を参照して後述する。
S5307の処理において、受信した実行コマンドが傾倒(首振り)動作に対応するコマンドでないと判別された場合は(S5307:No)、次いで、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドであるか否かを判別する(S5309)。S5309の処理において、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドであると判別された場合は(S5309:Yes)、スライド動作を実行する(スライド用駆動モータ751を駆動させる)ために、スライド動作処理の処理を実行して(S5310)、本処理を終了する。このスライド動作処理(S5310)の詳細については、図156を参照して後述する。
一方、S5309の処理において、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドでないと判別された場合は(S5309:No)、その他の役物(動作)に対する実行コマンドを受信した場合である。この場合は、受信した実行コマンドに対応する役物の動作が完了したか否かを判別するために、役物に対応するステップカウンタ223kの値が、設定したステップ数に到達したか否かを判別する(S5311)。S5311の処理において、設定したステップ数に到達していないと判別された場合は(S5311:No)、そのまま本処理を終了する。
S5311の処理において、設定したステップ数に到達したと判別された場合は(S5311:Yes)、次いで、受信した実行コマンドに対応する(動作に対応する)動作ポインタ223nの値に1を加算する(S5312)。そして、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222cから読み出し(S5313)、その読み出した動作内容に基づいて、動作コマンドを設定し(S5314)、本処理を終了する。
次に、図151を参照して、上記した実行コマンド処理(図150参照)において実行される初期動作処理(S5306)の詳細について説明する。図151は、初期動作処理(S5306)を示したフローチャートである。この初期動作処理(S5306)は、各種役物の初期動作を実行するための処理である。
初期動作処理(S5306)では、まず、補正用カウンタ223wの値に1を加算する(S5401)。この補正用カウンタ223wは、上述した通り、初期動作における支柱部材720の実際の動作ステップ数や、演出部材620の実際の動作ステップ数をカウントするために用いられる。即ち、動作ポインタ223nの値が「01H」の間に実行されるスライド動作に対する初期動作の動作ステップ数をカウントして、動作ステップ数の設計値である120との比によってスライド動作に対応する補正値を算出するために用いられる。また、動作ポインタ223nの値が「02H」~「05H」の間に実行される、首振り動作に対応する初期動作の動作ステップ数をカウントして、首振り動作の1周期の動作ステップ数の設計値である40との比によって首振り動作に対応する補正値を算出するために用いられる。
なお、本制御例では、毎回の初期動作処理において(即ち、首振り動作の初期動作が終了した後も)、補正用カウンタ223wの値を更新するように構成されているが、首振り動作の初期動作が終了し、補正値の算出が終了した後は、補正用カウンタ223wの更新処理(S5401)をスキップするように構成してもよい。これにより初期動作処理(S5306)における処理負荷を軽減することができる。
S5401の処理が終了すると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値を読み出して(S5402)、読み出した動作ポインタ223nの値に基づいて初期動作テーブル222c5を参照し、対応する役物の動作の完了条件が成立したか否かを判別する(S5403)。S5403の処理において、対応する役物の動作の完了条件が成立していないと判別された場合は(S5403:No)、対応する役物に対して1ステップ分の動作を設定して(S5404)、本処理を終了する。
一方、S5403の処理において、対応する役物の動作の完了条件が成立したと判別された場合は(S5403:Yes)、次いで、S5402の処理において読み出した動作ポインタ223nの値が01Hであるか否かを判別する(S5405)。S5405の処理において、動作ポインタ223nの値が01Hであると判別された場合は(S5405:Yes)、初期動作において、支柱部材720の往路のスライド動作が完了したことを意味する(図142(a)参照)。よって、この場合は、スライド動作の動作ステップ数の設計値(120ステップ)と、実際の動作ステップ数(補正用カウンタ223wのカウント値)との比(補正用カウンタ223wの値を120で除した値)をスライド動作の補正値として、補正値格納エリア223pに格納する(S5406)。そして、補正用カウンタ223wの値を初期化して(S5407)、S5411の処理へ移行する。
S5406の処理において、補正用カウンタ223wを初期化することにより、次に実行される首振り動作の初期動作において、実際の動作ステップ数をカウントするために用いることができる。よって、スライド動作に要する実際の動作ステップ数をカウントするカウンタと、首振り動作に要する実際の動作ステップ数をカウントするカウンタとを共用の1のカウンタ(補正用カウンタ223w)で賄うことができるので、RAM223の容量を削減することができる。
一方、S5405の処理において、動作ポインタ223nの値が「01H」でないと判別された場合は(S5405:No)、次いで、動作ポインタ223nの値が「05H」であるか否かを判別する(S5408)。S5408の処理において、動作ポインタ223nの値が05Hであると判別した場合は(S5408:Yes)、首振り動作の初期動作(動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」に対応する動作)が全て完了したことを意味するので、首振り動作に対応する補正値を算出する処理を行う。即ち、首振り動作の一周期における動作ステップ数の設計値である40を、実際に初期動作において首振り動作に要した動作ステップ数(動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」の間にカウントされた補正カウンタ223wの値)で除したものを傾倒(首振り)動作の補正値として補正値格納エリア223pに格納する(S5409)。そして、補正用カウンタ値223wの値を初期化して(S5410)、S5411の処理へ移行する。
なお、S5408の処理において、動作ポインタ223nの値が「05H」でない(即ち、「06H」以上である)と判別された場合は(S5408:No)、そのままS5411の処理へ移行する。
S5407,S5408またはS5410の処理を終えると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値に1を加算し(S5411)、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作を設定して(S5412)、本処理を終了する。
次に、図152を参照して、上記した実行コマンド処理(図150参照)において実行される傾倒動作処理(S5308)の詳細について説明する。図152は、傾倒動作処理(S5308)を示したフローチャートである。この傾倒動作処理(S5308)は、傾倒動作ユニット600(図9参照)に設けられる演出部材620の傾倒動作を設定するための処理である。
傾倒動作処理(S5308)では、まず、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオンであるか否かを判別する(S5501)。この追加動作フラグ223qは、上述した通り、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化したにも拘らず、対応するセンサの出力がH(ハイ)にならなかった場合に、センサ方向へ追加で動作を設定する追加動作期間であるか否かを示している。
S5501の処理において、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオンであると判別された場合は(S5501:Yes)、演出部材620の追加動作期間中であることを意味するので、原点センサ(傾倒原点センサ618)を検出するまで追加動作を実行するための追加動作処理(S5502)を実行して、本処理を終了する。この追加動作処理(S5502)の詳細については、図153を参照して後述する。
一方、S5501の処理において、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオフであると判別された場合は(S5501:No)、次いで、演出部材620を傾倒(首振り)動作させるための傾倒用駆動モータ661のステップ数が、設定したステップ数に到達したか否かを判別する(S5503)。即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作(往路動作または復路動作)が完了したか否かを判別する。
S5503の処理において、傾倒用駆動モータ661の動作ステップ数が、設定したステップ数に到達していないと判別された場合は(S5503:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S5505の処理において、傾倒用駆動モータ661の動作ステップ数が、設定したステップ数(傾倒動作テーブル222c2参照)に到達したと判別された場合は(S5503:Yes)、1の動作ポインタ223nの値に対応する演出部材620の傾倒(首振り)動作(往路動作または復路動作)が完了したことを意味するので、次いで、演出部材620の傾倒(首振り)動作が往路動作(原点位置と反対方向への動作)であったか否かを現在の動作ポインタ223nの値から判別する(S5504)。即ち、動作ポインタ223nの値が「01H」、または「03H」のどちらかであるか否かを判別する。
S5504の処理において、演出部材620の傾倒(首振り)動作が往路動作(原点位置と反対方向への動作)であったと判別された場合は(S5504:Yes)、その後、演出部材620を復路動作(原点位置方向への可動動作)にするための処理(S5505~S5507)を実行する。
S5505の処理では、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値に1を加算して(S5505)、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222c(傾倒動作テーブル222c2)から読み出して設定する(S5506)。そして、首振り方向フラグ223oの値を復路の首振り方向に対応する値に更新(反転)して(S5507)、本処理を終了する。例えば、首振り方向フラグ223oの値が1の状態(正方向の首振り動作)でS5507の処理が実行されると、首振り動作フラグ223oの値が0に更新(反転)され、値が0の状態(正方向の首振り動作)でS5507の処理が実行されると、首振り動作フラグ223oの値が1に更新(反転)される。これにより、首振り動作の動作方向が反転するのに合わせて首振り方向フラグ223oを更新することができるので、動作方向を正確に把握することができる。
一方、S5504の処理において、演出部材620の傾倒(首振り)動作が復路動作(原点位置方向への動作)であった(演出部材620に対応する動作ポインタ223nの値が「02H」、または「04H」)と判別された場合は(S5504:No)、演出部材620が原点位置の方向に可動された場合であるので、次いで、演出部材620に対応する原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であるか(演出部材620が原点位置であるか)否かを判別する(S5508)。
S5508処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がL(0V)であると判別された場合は(S5508:No)、傾倒用駆動モータ661が設定通りに駆動していない、演出部材620の可動が妨げられている、経年劣化等によりステップ数がずれた等の異常が発生している可能性が高い場合であるので、異常検知処理を実行して(S5510)、本処理を終了する。この異常検知処理(S5510)の詳細については、図155を参照して後述する。
一方、S5508の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であると判別された場合は(S5508:Yes)、傾倒方向設定処理を実行して(S5509)、本処理を終了する。
次に、図153を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される追加動作処理(S5502)の詳細について説明する。図153は、追加動作処理を示したフローチャートである。この追加動作処理(S5502)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、傾倒動作ユニット600に設けられる演出部材620が、設定した動作ステップ数の動作を完了しても原点位置に可動されていない(異常が発生している可能性がある)場合に(S5508:No)実行され、演出部材620を原点位置に可動する、または、エラー報知を行うための処理である。
追加動作処理(S5502)では、まず、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であるか否かを判別する(S5601)。S5601の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)でないと判別された場合は(S5601:No)、前回の追加動作処理(S5502)、または後述する異常検知処理(図155参照)において設定された1ステップの動作を実行した後も、演出部材620が原点位置からずれている場合を意味する。この場合は、傾倒(首振り)動作に対応するステップカウンタ223kの値が10以上であるか否かを判別する(S5605)。
S5605の処理において、ステップカウンタ223kの値が10より小さいと判別された場合には(S5605:No)、再度、演出部材620を原点位置へと可動させるために、1ステップ分の追加動作を設定して(S5606)、本処理を終了する。
一方、S5605の処理において、ステップカウンタ223kの値が10以上であると判別された場合は(S5605:Yes)、原点位置に復帰しないために追加動作処理(S5502)が繰り返し実行され、S5606の処理によって演出部材620(傾倒用駆動モータ661)を10ステップ以上可動させた(追加動作させた)にも関わらず、演出部材620が原点位置へと可動されなかった場合である。即ち、通常動作の範囲内であれば原点位置に十分到達できる動作ステップ数の動作が実行されたことを意味する。よって、この場合には、エラーコマンドを設定して(S5607)、本処理を終了する。
なお、エラーコマンドを設定する場合は、上述したものに限られず、演出部材620の動作が通常の可動(設定)範囲外の傾倒(首振り)動作となっており、さらに傾倒動作(可動)させると、他の役物などと接触する虞がある場合に、エラーコマンドを設定して処理を終了するようにしてもよい。
また、エラーと判定する動作ステップ数は、10ステップに限られるものではなく、役物や駆動用モータの種別に応じて任意に定めてもよい。例えば、比較的劣化しやすい(動作ステップ数がずれやすい)駆動用モータを採用した場合には、エラーと判別するまでの動作ステップ数をより多く(例えば、15回)しておいても良い。逆に、比較的正確で寿命の長い駆動用モータを採用した場合には、より少ない動作ステップ数(例えば、5回)でエラーと判別するように構成してもよい。
S5601の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であると判別された場合は(S5601:Yes)、前回の追加動作処理(S5502)で実行されたS5606の処理(または異常検知処理のS5801の処理)により設定された1ステップの動作で、演出部材620が原点位置へ可動された場合である。この場合には、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値を更新し(S5602)、更新後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222c(傾倒動作テーブル222c2)から読み出して設定する(S5603)。そして、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qをオフに設定して(S5604)、本処理を終了する。
次に、図154を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される傾倒方向設定処理(S5509)の詳細について説明する。図154は、傾倒方向設定処理を示したフローチャートである。この傾倒方向設定処理(S5509)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、傾倒動作ユニット600に設けられる演出部材620が首振り動作において原点位置へ到達した場合に(S5508:Yes)実行される処理である。
傾倒方向設定処理(S5509)では、まず、首振りカウンタ223vの値が3(または3より大)であるか否かを判別する(S5701)。この首振りカウンタ223vの値は、後述するS5714の処理によって更新されるものであり、演出部材620の首振り動作が1回(左側の往復と右側の往復で1回とみなす)実行される毎に1加算されるものである(S5715参照)。よって、首振りカウンタ223vの値が3である場合には、演出部材620の首振り動作が3回実行された場合である。
S5701の処理において、首振りカウンタ223vの値が3であると判別された場合には(S5701:Yes)、演出部材620の首振り(傾倒)動作が規定回数(3回)完了した場合であるので、次いで、傾倒動作ユニット600に設けられる支柱部材720のスライド動作が往路である(または往路であった)か否かを判別する(S5702)。S5702の処理において、支柱部材720のスライド動作が復路である(または復路であった)と判別された場合は(S5702:No)、その後、演出部材620の首振り動作を行うことはないので、そのまま本処理を終了する。
一方、支柱部材720のスライド動作が往路である(往路であった)と判別された場合は(S5702:Yes)、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了した後に、演出部材620の首振り動作を実行するために、S5703の処理へ移行する。
S5703の処理では、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了済みであるか否かを判別する(S5703)。より具体的には、スライド待機フラグ223tがオンであれば、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了したと判別し、スライド待機フラグ223tがオフであれば、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了していないと判別する。
S5703の処理において、スライド待機フラグ223tがオンであり、スライド動作が完了済みであると判別された場合は(S5703:Yes)、スライド動作に対応する動作ポインタ223nの値を02Hに設定し、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値に03Hを設定する(S5705)。そして、S5705の処理により設定された動作ポインタ223nの値に基づいて、動作シナリオテーブル(スライド動作テーブル222c1および傾倒動作テーブル222c2)から動作内容を読み出して設定する(S5706)。S5706の処理により、傾倒動作ユニット600の支柱部材720が復路方向へ可動され、演出部材620が首振り(傾倒)動作(3往復)されるように設定される。
S5706の処理を終えると、スライド待機フラグ223tをオフに設定して(S5707)、首振りカウンタ223vの値を0に初期化して(S5708)、本処理を終了する。
一方、S5703の処理において、スライド待機フラグ223tがオフであり、スライド動作が完了していないと判別された場合は(S5703:No)、支柱部材720のスライド動作が完了するまで待機するために、首振り待機フラグ223uをオンに設定し(S5704)、首振りカウンタ223vの値を0に初期化して(S5708)、この処理を終了する。
S5701の処理において、首振りカウンタ223vの値が3でない(2以下である)と判別された場合は(S5701:No)、首振り(傾倒)動作を継続させるために、S5709の処理へ移行する。
S5709の処理では、首振り方向フラグ223oの値に基づいて、原点位置に到達前の首振り方向を特定する(S5709)。そして、スライド動作に対応するステップカウンタ223kの値と、首振り領域テーブル222d(図142参照)とに基づいて、首振り可能方向を特定する(S5710)。
S5710の処理を終えると、S5709の処理において特定した原点到達前の首振り方向から、原点通過後の首振り方向(進行方向)を特定し、その原点通過後の首振り方向(進行方向)が、S5710の処理において特定した首振り可能方向と合致しているか否かを判別する(S5711)。S5711の処理において、原点通過後の首振り方向(進行方向)が首振り可能方向でないと判別された場合は(S5711:No)、原点通過後の首振り方向(進行方向)が首振り可能方向となるように、首振り(傾倒)動作に対応する動作ポインタ223nの値を3回更新して(S5712)、S5714の処理へ移行する。
一方、S5711の処理において、原点通過後の首振り(傾倒)方向(進行方向)が首振り可能方向であると判別された場合は(S5711:Yes)、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を1回更新し(S5713)、S5714の処理へ移行する。
ここで、S5712およびS5713の処理について具体的に説明する。傾倒方向設定処理(S5509)が実行される場合は、上述したように演出部材620が原点位置の場合である。この場合には、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値は「02H」(首振り方向が左側であった場合)または「04H」(首振り方向が右側であった場合)となっている。そこで、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を3回更新すると、02H(首振り方向が左側)が設定されていた場合には01H(首振り方向が左側)が設定され、04H(首振り方向が右側)が設定されていた場合には03H(首振り方向が右側)が設定される。即ち、前回設定されていた首振り方向と同一方向に往路動作する値に更新される。これにより、原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向でない場合には、再度同一方向に往路動作するように設定される。
一方、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を1回更新する場合には、02H(首振り方向が左側)が設定されていた場合には03H(首振り方向が右側)が設定され、「04H」(首振り方向が右側)が設定されていた場合には「01H」(首振り方向が左側)が設定される。即ち、前回設定されていた首振り方向と反対方向(原点位置を通過する方向)に往路動作する値に更新される。これにより、原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向である場合には、反対方向原点位置を通過する方向)に往路動作するように設定され、演出部材620を、原点位置を中心として左右方向に首振り(傾倒)動作させることができる。
なお、S5711の処理において原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向であるか否かの判別は、上述したものに限られない。例えば、次に演出部材620が原点位置となるまでに、支柱部材720が可動される位置を先読み(推測)して、首振り可能方向を特定し、首振り可能方向を判別するようにしてもよい。このように構成することで、より精度よく首振り可能方向を判別できる。その結果、演出部材620が他の構成(他の役物や外壁部212等)に接触してしまう不具合を防止(抑制)できる。
S5712、またはS5713の処理を終えると、更新後の動作ポインタ223nの値に基づいて、動作シナリオテーブル(傾倒動作テーブル222c2)を参照し、動作内容を読み出して設定する(S5714)。そして、首振りカウンタ223vの値を更新して(S5715)、本処理を終了する。S5715の処理における首振りカウンタ223vの値の更新は、演出部材620が左右に1往復動作した場合(左側に往復動作した後、右側に往復動作した場合)に1加算されるものである。なお、これに限られず、演出部材620が原点位置に可動される毎に1加算するようにしても当然よい。
次に、図155を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される異常検知設定処理(S5510)の詳細について説明する。図155は、異常検知処理を示したフローチャートである。この異常検知処理(S5510)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、演出部材620の復路動作が終了した、即ち、原点位置への可動が終了した場合に、原点センサ(傾倒原点センサ618)により演出部材620が原点位置からずれていると判別された場合に実行される処理である。
異常検知処理(S5510)では、まず、異常が検知された役物(ここでは演出部材620)に対して、1ステップの動作に対応する動作コマンドを設定する(S5801)。そして、S5801の処理により動作を設定した役物に対応するステップカウンタ223kの値を0にリセットし(S5802)、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qをオンに設定して(S5803)、本処理を終了する。S5801からS5803の処理により、上述した追加動作処理(図153)において、最大10ステップ分の追加動作が実行され、演出部材620が原点位置へと可動される(図153のS5606参照)。また、追加動作処理(図153)において、10ステップ分の追加動作が実行されても、演出部材620が原点位置へと可動されない場合には、エラーの報知が行われる(図153のS5607参照)。
次に、図156を参照して、上述した実行コマンド処理(図150参照)において実行されるスライド動作処理(S5310)の詳細について説明する。図156は、スライド動作処理を示したフローチャートである。このスライド動作処理(S5310)は、上述した実行コマンド処理(図150参照)において、スライド動作に対応する実行コマンドを受信した、即ち、支柱部材720のスライド動作に対応する1ステップ分の動作が完了した場合に実行される処理である。
スライド動作処理(S5310)では、まず、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオンであるか否かを判別する(S5901)。S5901の処理において、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオンであると判別された場合は(S5901:Yes)、支柱部材720の復路動作が終了した、即ち、原点位置への可動が終了したにも関わらず、原点センサ(スライド原点検出センサ717)により支柱部材720が原点位置にないと判別され、10ステップの追加動作が実行される場合である。この場合には、上述した追加動作処理(図153)をスライド動作役物(支柱部材720)に対して実行して(S5902)、本処理を終了する。
一方、S5901の処理において、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオフであると判別された場合は(S5901:No)、次いで、スライド動作に対応するステップカウンタ223kが設定したステップ数(スライド動作テーブル222c1参照)に到達したか否かを判別する(S5903)。
S5903の処理において、スライド動作に対応するステップカウンタ223kの値が、設定したステップ数(スライド動作テーブル222c1参照)に到達していないと判別された場合は(S5903:No)、継続してスライド動作を実行するため、そのまま本処理を終了する。
一方、S5903の処理において、スライド動作に対応するステップカウンタ223kが、設定したステップ数に到達したと判別した場合は(S5903:Yes)、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動された場合である。この場合には、対応するセンサ(スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718)により、原点位置または張出位置に支柱部材720が可動されているか否かを判別するために、対応するセンサの出力がH(5V)であるか否かを判別する(S5904)。
S5904の処理において、対応するセンサの出力がL(0V)である、即ち、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動されていないと判別された場合は(S5904)、上述した異常検知処理(図155参照)を、スライド動作役物(支柱部材720)に対して実行して(S5905)、本処理を終了する。
一方、S5904の処理において、対応するセンサの出力がH(5V)である、即ち、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動されていると判別された場合には(S5904:Yes)、次に、スライド動作に対応する動作ポインタ223nの値が01H(往路動作)であるか否かを判別する(S5906)。
S5906の処理において、動作ポインタ223nの値が「02H」(復路動作)であると判別された場合は(S5906:No)、スライド動作ユニット700に設けられた支柱部材720のスライド動作を終了するタイミングであるので、そのまま本処理を終了する。
一方、S5906の処理において、動作ポインタ223nの値が01H(往路動作)であると判別された場合は(S5906:Yes)、支柱部材720を復路動作させるために、S5907の処理へ移行する。
S5907の処理では、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであるか否かを判別する(S5907)。S5907の処理では、首振り待機フラグ223uがオンであるか否かに基づいて、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであるか否かを判別する。具体的には、首振り待機フラグ223uがオンである場合には、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであると判別し、首振り待機フラグ223uがオフである場合には、演出部材620の傾倒(首振り)動作が未完了であると判別する。
S5907の処理において、首振り待機フラグ223uがオフである、即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作が未完了であると判別された場合は(S5907:No)、スライド動作が完了したことを示すためにスライド待機フラグ223tをオンに設定して(S5908)、本処理を終了する。S5908の処理によってオンに設定されたスライド待機フラグ223tは、上述した傾倒方向設定処理(図154参照)においてスライド動作が完了したか否かを判別する際に参照される(図154のS5703参照)。
一方、S5907の処理において、首振り待機フラグ223uがオンである、即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであると判別された場合は(S5907:Yes)、傾倒動作ユニット600を復路動作させるために、S5909の処理へ移行する。
S5909の処理では、スライド動作に対応する動作ポインタ223nを02H(復路動作)に設定すると共に、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nを「03H」(右側への首振り開始動作)に設定する(S5909)。そして、更新後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を、それぞれスライド動作テーブル222c1と傾倒動作テーブル222c2とから読み出して設定する(S5910)。その後、首振り待機フラグ223uをオフに設定して(S5911)、本処理を終了する。
以上説明した通り、本制御例では、電源投入に基づく初期動作の実行時に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作との実際の動作ステップ数を解析し、設計値との差異を判別可能に構成している。そして、設計値との差に応じてスライド動作の動作速度を補正することにより、演出部材620の傾倒動作と、支柱部材720のスライド動作とが終了するタイミングを一致させることができる。即ち、スライド動作が終了するまでの間に、予め定められている演出部材620の動作内容(3回の首振り動作)を終了させることができる。よって、スライド動作が終了しても首振り動作だけが実行され続けてしまったり、首振り動作が終了してもスライド動作が終了せず、演出部材620が停止した状態でスライド動作が続行されてしまったりといった動作のバラつきが発生してしまうことを抑制することができる。従って、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とが複合して動作する場合において、動作品位を向上させることができる。
また、本制御例では、スライド動作のステップ数に応じて、首振り動作における首振り可能方向を規定している。そして、演出部材620の首振り動作の実行中に首振り動作の原点位置へと到達した場合には、現在のスライド動作のステップ数を判別し、原点を通過して逆方向の首振り動作を実行可能かどうか判別するように構成されている。これにより、何らかの不具合や異常等により、スライド動作の動作ステップ数と、首振り動作の動作ステップ数との対応関係が図144に示した対応関係からずれてしまった場合にも、他の構成(外壁部212等)と演出部材620とが干渉(衝突)してしまう不具合を防止(抑制)することができる。
なお、本制御例では、初期動作においてスライド動作の実際の動作ステップ数と、首振り動作の実際の動作ステップ数とを解析し、補正値を算出するように構成していたが、補正値の算出タイミングはこれに限られるものではない。例えば、遊技者が遊技を行っていないと判別された場合(デモ演出中)にも、スライド動作、および首振り動作の実際の動作ステップ数を解析し、補正値を算出するように構成してもよい。これにより、遊技中にスライド動作や首振り動作の動作ステップ数が変わってしまったとしても、デモ演出において、変更後の動作に合わせた補正値を算出することができるので、首振り動作とスライド動作とが複合する演出動作において、動作品位をより向上させることができる。また、例えば、スライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出の実行中に、スライド動作の動作シナリオを補正するように構成してもよい。より具体的には、例えば、首振り動作とスライド動作とが複合して実行される場合に、首振り動作の最初の1周期に要するステップ数をカウントしておき(または動作時間をカウントしておき)、合計3周期(3回)の首振り動作を行うために要する残りの動作ステップ数(または動作時間)を算出してもよい。そして、3周期(3回)の首振り動作を行うための(即ち、残り2周期の首振り動作を実行するための)残りのステップ数と、スライド動作の残りの動作ステップ数とに基づいて、スライド動作の動作速度を補正するように構成してもよい。より詳述すると、例えば、スライド動作の動作ステップ数が70ステップの状態において、スライド動作の1周期の動作が終了した場合には、首振り動作が80ステップ分(2周期分)残っていることになる。この場合には、以降のスライド動作の動作速度に対して、スライド動作の残りの動作ステップ数と、首振り動作の残りの動作ステップ数との比を乗じて補正した値(80ステップ/70ステップ×100pps)を新たな動作速度に設定すれば良い。更に、初期動作において、首振り動作に要する実際の動作ステップ数とスライド動作に要する実際の動作ステップ数とを予め判別しておき、その判別結果を加味して補正値を算出するように構成してもよい。この処理は、具体的には、傾倒方向設定処理(図154参照)において、首振りカウンタ223vが1であるか否か(首振り動作の1周期が終了したか否か)を判別するように構成し、1周期が終了したと判別された時点で、スライド動作、および首振り動作の残りの動作ステップ数を判別する処理を実行すればよい。そして、算出した残りの動作ステップ数に応じてスライド動作の動作速度を補正してもよい。これにより、スライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出が実行される毎に、スライド動作を補正することができるので、より確実にスライド動作の張出位置へと到達するまでに規定回数(3回)の首振り動作を行わせることができる。更に、上述した場合において、スライド動作テーブル222c1を廃止してもよい。そして、首振り動作の1周期が終了した時点での演出部材620の動作ステップ数(または動作時間)に基づいて、演出部材620の残りの動作に合うように支柱部材720の動作内容を算出するように構成してもよい。
本制御例では、補正値に基づいてスライド動作の動作速度を補正するように構成していたが、スライド動作の動作速度と、首振り動作の動作速度の両方を補正するように構成しても良い。具体的には、例えば、スライド動作の実際の動作ステップ数と、設計値との比をスライド動作の補正値として動作速度に乗じ、設計通りの動作が実行された場合に張出位置に到達する時間と、実際の動作で張出位置に到達する時間とを一致させても良い。具体的には、例えば、動作ステップ数が設計値よりも1割多い場合は、動作速度を1割増加させることにより、ステップ数の増加を動作速度で吸収(相殺)し、設計通りの動作時間で張出位置まで到達するように構成しても良い。同様にして、首振り動作の実際の動作ステップ数から補正値を算出し、首振り動作を3往復させるまでの時間を設計値での動作に一致させてもよい。これにより、毎回同じ動作時間で役物の動作を終了させることができるし、同一回数の首振り動作を確実に実行させることができる。
本制御例では、スライド動作の動作速度を補正する場合に、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数との比によって補正値を算出していたが、補正値を算出するのに代えて、設計上の動作ステップ数と実際の動作ステップ数とのずれ幅に応じた動作シナリオを複数用意しておいてもよい。そして、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数とのずれ幅を判別することによって、そのずれ幅に対応する動作シナリオを選択するように構成してもよい。これにより、スライド動作を実行する場合に、毎回補正値から動作速度を再計算する必要がなく、ずれ幅に対応する動作シナリオを読み出して設定すれば良いので、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理負荷を軽減できる。
本制御例では、スライド動作の動作内容を補正するための補正値を計算するように構成していたが、予めROM222等に選択可能な補正値を規定しておいてもよい。そして、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数とのずれ幅に対応する補正値を選択し、スライド動作を設定する場合の補正値として使用してもよい。これにより、補正値を算出するという処理に代えて、ずれ幅に対応する補正値を選択するという比較的軽い処理で補正値を選択できるので、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理負荷を軽減することができる。
本制御例では、スライド動作、および首振り動作に要する実際のステップ数と、設計上のステップ数(Typ値)との比によって補正値を算出するように構成していたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作、および首振り動作に要する時間を測定し、設計上の動作時間との比によって補正値を算出するように構成してもよい。例えば、支柱部材720による原点位置から張出位置までのスライド動作の設計上の動作時間は1.2秒(120ステップ÷100pps)であるのに対し、実際に張出位置まで到達するのに1.5秒を要した場合(所要時間が1.25倍になっている場合)には、スライド動作の補正値として1.25を補正値格納エリア223pに対して記憶しておいてもよい。
本制御例では、支柱部材720のスライド動作のステップ数に応じて、首振り動作の原点位置となる毎に、首振り領域テーブル222dに規定された首振り可能方向を判別して原点到達後の首振り方向を判別するように構成していたが、この構成に限られるものではない。例えば、首振り動作の1ステップ毎に、スライド位置を加味した演出部材620の位置座標を計算し、原点位置と張出位置との間の領域に演出部材620が収まるか否かを判別するように構成してもよい。より詳述すると、例えば、演出部材620が正面視右方向へと首振り動作を実行する場合に、最も右側に配置される演出部材620の上面右端の端点の水平座標(スライド動作方向の座標)を1ステップ毎に算出するように構成してもよい。そして、算出した水平座標が、演出部材620、および支柱部材720がいずれも原点位置にある場合における演出部材620の右端(原点位置から右方向へ10cm)の水平座標に一致した場合に、右方向への首振り動作を注視して原点方向(正面視左方向)へと首振り方向を反転させるように構成してもよい。同様にして、演出部材620が正面視左方向へと首振り動作を実行する場合に、最も左側に配置される演出部材620の上面左端の端点の水平座標(スライド動作方向の座標)を1ステップ毎に算出するように構成してもよい。そして、演出部材620が原点位置、支柱部材720が張出位置にある場合における演出部材620の左端(張出位置から左方向へ10cm)の水平座標に一致した場合に、左方向への首振り動作を注視して原点方向(正面視右方向)へと首振り方向を反転させるように構成してもよい。
以下、水平座標の計算方法をより具体的に説明する。なお、本変形例では、演出部材620の幅を20cm、首振り動作の動作半径を15cm、演出部材620の動作1ステップで演出部材620が首振り動作を行うことにより回転する角度を6度(つまり、10ステップで60度)とし、原点位置から張出位置までの水平距離を60cm(つまり1ステップ0.5cm)とする。この場合、右方向へ例えば5ステップ演出部材620を動作させると、演出部材620が30度(6度×5ステップ)回動する。これにより、演出部材620の上面の中点が正面視右方向に7.5cm(水平座標として15ステップ)可変する(15cm×sin30°)。そして、演出部材620の上面における右端の端点の水平座標は、上面の中心から更に正面視右側に約8.7cm(水平座標として18ステップ)右側となる(10cm×cos30°)。つまり、水平座標として33ステップ分右側が演出部材620の右端の座標となる。よって、原点位置(倒立状態)における演出部材620の右半分の幅が20ステップ分(10cm)であることを加味すると、スライド動作の動作ステップ数が原点位置から13ステップ以下の場合に、右側への首振り動作を打ち切って、首振り方向を左側へと反転させればよい。
このように、スライド動作の動作ステップ数と、首振り動作の動作ステップ数を水平座標に変換し、左右の水平座標の閾値(外壁部212と干渉しない限界の座標)と比較して首振り方向を可変させることにより、首振り動作とスライド動作とが設計上の動作からずれた場合にも、首振り動作を、干渉を防止(抑制)できるぎりぎりの範囲で動作させることができる。よって、より躍動感のある首振り動作を実現することができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
本制御例では、演出部材620が支柱部材720の上方に設けられ、首振り動作とスライド動作とが一体となって行われる役物の動作シナリオの補正方法について説明したが、本発明を適用できる役物はこの構成に限られるものではない。複数の互いに連動して動作する役物であれば適用することができ、例えば、遊技盤13の右側、および左側にそれぞれ演出部材620と同一の部材を設けておき、これらがスライド動作せず、互いに同期して首振り動作を実行するように構成してもよい。
本制御例では、首振り可能方向を規定しておき、演出部材620と外壁部212等の他の構成が衝突(干渉)しないように制御を行っていたが、首振り動作を動作途中で変更するする条件はこれに限られるものではない。例えば、スライド動作により張出位置へと到達するタイミングと、演出部材620が正面視右側から原点位置へと到達するタイミングとがずれるか否かを判別してもよい。そして、タイミングがずれそうな場合に首振り動作の動作内容(設定値)を補正して、スライド動作により張出位置へと到達するタイミングと、演出部材620が正面視右側から原点位置へと到達するタイミングとが一致するようにしてもよい。より具体的には、例えば、スライド動作の原点位置から張出位置までの間の所定位置(例えば、張出位置の10ステップ前)において、首振り動作が終了するまでの残りのステップ数を判別する。そして、残りのステップ数で首振り動作が完了する動作速度に補正するように構成してもよい。例えば、スライド動作が残り10ステップの状態で、首振り動作の原点位置まで5ステップしか残っていないと判別した場合には、首振り動作の動作速度を半分(100pps→50pps)に設定することにより、スライド動作が10ステップ実行される間に首振り動作が丁度5ステップ実行されるよう補正してもよい。また、スライド動作に対して首振り動作の残りステップ数が少ない場合には、動作速度を可変させるのに代えて、ウエイトを入れるように構成してもよい。ウエイトは、1回だけ入れてもよいし、複数回に分けて入れてもよい。一方、逆に、スライド動作が残り10ステップの状態で、首振り動作の原点位置までの首振り動作が20ステップ残っていると判別した場合には、首振り動作の動作速度を倍(100pps→200pps)に設定することにより、スライド動作が10ステップ実行される間に首振り動作が丁度20ステップ実行されるよう補正してもよい。また、スライド動作の動作ステップ数で首振り動作の動作内容を補正するタイミングを判別するのに代えて、センサ等でスライド位置を判別して首振り動作を補正するか否か判別してもよい。このように、スライド動作が終了するタイミングと、首振り動作が終了するタイミングとを一致させることにより、演出部材620と支柱部材720とが複合して動作する場合における見た目の品位を向上させることができる。また、首振り動作を動作途中で変更する他の条件の例として、スライド動作の途中で、スライド動作の位置(残りの動作ステップ数)と、首振り動作の回数とを判別し、残りの動作ステップ数で既定の首振り回数(3回)を完了できるか否か判別してもよい。そして、既定の首振り回数に満たないと判別された場合には、首振り動作の動作速度を可変させることにより、既定の首振り回数を達成できる動作に補正してもよい。なお、これらの残りの動作ステップ数や首振り回数を判別する処理や、首振り動作の動作速度の補正を行う処理は、スライド動作処理(図156参照)におけるS5901の処理で追加動作フラグ223qがオフと判別された(S5901:No)後に実行すればよい。
本制御例では、追加動作処理(図153参照)において、センサ方向へ追加で1ステップの動作を行っても対応するセンサの出力がHとならなかった場合に、エラーコマンドを設定してエラーを報知するように構成していたが、エラーを報知する方法はこれに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置81において異常の発生を報知するための画像を表示すると共に、異常を検知した役物を一定期間(例えば、10秒間)専用(異常検知時用)の動作態様で動作させ続けると共に、他の異常を検知していない役物の動作を停止させるように構成してもよい。このように構成することで、どの役物に異常が発生したのかを見た目から容易に判別することができる。即ち、ホールの店員等は、エラーが報知された場合に、動作し続けている役物に何らかの異常が起きていると容易に判別することができる。
本制御例では、役物(演出部材620と支柱部材720と)が複合して動作する場合を想定していたが、これに代えて、またはこれに加えて、支柱部材720と他の構成とを連動して制御してもよい。例えば、支柱部材720がスライド動作に連動させて、電飾部29~33の点灯パターンを切り替えるように構成してもよい。この場合において、支柱部材720のスライド動作に合わせた点灯パターンを設定してもよい。また、支柱部材720が原点位置へと復帰する毎に点灯態様を切り替えるように構成してもよい。例えば、原点位置と張出位置とをスライド動作によって1往復する毎に、電飾部29~33の点灯色を赤→緑→青→赤・・・のように切り替えてもよい。このように構成することで、単に前回のスライド動作時に設定していた点灯色を記憶しておき、スライド動作の開始に合わせて切り替えれば良いので、電飾部29~33の点灯制御を単純化することができる。また、スライド動作の進行状況に合わせて点灯パターンを切り替える場合に比較して、スライド動作の進行状況と点灯パターンの切り替えタイミングとがずれてしまうことを抑制できる。よって、スライド動作時の見た目の品位を向上させることができる。また、原点位置への復帰を契機に点灯色を切り替えれば良いので、支柱部材720をスライド動作させるための駆動用モータが変更となったり、ギア比等の機構が変更となる等によりスライド動作の往復時間が変更になったとしても、変更前の点灯制御データをそのまま流用することができる。即ち、変更後の構成に合わせて点灯パターンを変更するという工程が省略できるので、設計者の作業を削減することができる。
<第3制御例>
次いで、図157~図173を参照して、第3制御例におけるパチンコ機10について説明する。上記した第1制御例では、通常遊技中に第3図柄表示装置81や、サブ表示装置690に対して画像を表示させる場合に、各種電源投入時画像を流用することにより、キャラクタROM234の容量を削減するための技術について説明した。
これに対して第3制御例では、サブ表示装置690において実行される興趣演出の一つであるタイミング演出において、遊技者の参加意欲をより高めることができる制御方法についての説明を行う。なお、詳細については後述するが、タイミング演出とは、サブ表示装置690において表示される画像により、正面枠14に設けられた枠ボタン229を押下(操作)するタイミングが示唆される演出であり、特別図柄の変動表示が実行されている間に実行される興趣演出の一種である。このタイミング演出では、サブ表示装置690において示唆されたタイミングと、遊技者が枠ボタン229を実際に操作したタイミングとが合致する毎にポイントが加算されていき、タイミング演出が終了するまでに獲得されたポイントが所定の基準値(ノルマ)以上となっていれば、遊技者に対して特典を付与する演出である。
この第3制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、枠ボタン22に代えて枠ボタン229が設けられている点、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図157を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の正面図について説明する。図157に示した通り、本制御例におけるパチンコ機10は、貸球操作部40に対して正面視左側に、枠ボタン229が設けられていると共に、枠ボタン22が削除されている。この枠ボタン229は、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBの4種類のボタン種別で構成されている。これら4種類のボタンがタイミング演出で用いられる。即ち、タイミング演出では、枠ボタン229の押下(操作)タイミング、および押下(操作)するボタンの種別が示唆されるように構成されている(図163、図164参照)。そして、演出により示唆されたタイミングと、ボタンの種別とがいずれも合致した場合に、ポイントが加算される演出となっている。
次に、図163~図165を参照して、タイミング演出の表示態様について説明する。まず、図163(a)は、タイミング演出が実行されている場合におけるサブ表示装置690の表示態様の一例を示した図である。図163に示した通り、タイミング演出が実行されると、サブ表示装置690に対して複数の表示領域(表示領域901,902,903,904a,904b,904c,904d,905)が表示される。
サブ表示装置690の表示領域の下半分に表示される表示領域904a,904b,904c,904d,905は、枠ボタン229を押下(操作)するタイミング、および操作すべきボタン種別を遊技者に示唆するための表示が行われる表示領域である。図163に示した通り、表示領域905に、縦長長方形形状の押下示唆領域911aと、横長長方形形状の4つのスクロール表示領域911b~911eとで構成されている。各スクロール表示領域911b~911eは、この順に縦に並べて表示される。
各スクロール表示領域911b~911eは、各種画像を正面視左方向(押下示唆領域911aの方向)へとスクロール表示可能に構成されている。スクロール表示される各種画像としては、図163に示した通り、例えばスクロールバー912a~912eや、連打バー913a等が設けられている。スクロール表示される各種画像が押下示唆領域911aと重なる位置までスクロールしたタイミングで対応する種別のボタンを押下することにより、ポイントが加算される。なお、スクロールバーは、押下示唆領域911aに重なったタイミングで対応するボタン種別が1回押下されることにより対応するポイント(10ポイント、または50ポイント)が加算されるように構成されている。一方、連打バーは、押下示唆領域911aに重なっている間に、対応するボタンが10回押下されることにより、対応するポイント(50ポイント)が加算されるように構成されている。
押下示唆領域911aの上方には、押下示唆領域911aを指す吹き出し型の表示領域901が表示されている。この表示領域901には、「バーが重なるタイミングでボタンをPUSHして1000ポイントを目指せ!」という文字が表示されている。この表示領域901の表示内容により、各スクロール表示領域911b~911eにおいてスクロール表示される各種画像が押下示唆領域911aの位置までスクロールしたタイミングで枠ボタン229を押下すればポイントが加算されることを、遊技者に対して容易に理解させることができる。
また、サブ表示装置690の右上には、略長方形形状の表示領域902が表示される。この表示領域902には、各スクロール表示領域911b~911eにスクロール表示され得る画像の種別と、その画像が押下示唆領域911aに重なったタイミングで対応する種別のボタンを押下(操作)した場合に獲得できるポイントとの対応関係が表示される。具体的には、白抜きのスクロールバーは50ポイントであることが表示され、ハッチングされたスクロールバーは10ポイントであることが表示され、「連打!!」との文字が表示されたスクロールバーは50ポイントであることが表示される。画像とポイントとの対応関係を表示領域902に明示しておくことにより、ポイントの増減に対して遊技者が疑念を抱くことを防止(抑制)することができるので、遊技者に安心してタイミング演出中の遊技を行わせることができる。
表示領域902の下方には、横長長方形形状の表示領域903が表示される。この表示領域903には、今回のタイミング演出において獲得したトータルのポイントと、ノルマとが表示される。図163(a)の例では、ノルマが1000ポイントであるのに対して、現在までに100ポイントを獲得した状態を示しているので、表示領域902には「ポイント:0100/1000」との文字が表示される。これにより、ノルマに対する現状のポイントを遊技者に対して容易に認識させることができる。よって、ノルマを目指して遊技を行わせることができるので、遊技者の参加意欲を向上させることができる。
なお、本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に、特典として現在の遊技状態を報知するように構成されている。本制御例では、第1制御例と同様に、大当たり種別として2R確変大当たりが設けられている。また、外れの一種として2R確変大当たりと同一の開放動作を小当たりが設けられており、演出や特定入賞口65aの開放動作から2R確変大当たりに当選したのか、小当たりとなったのかを識別できないように構成されている。このため、特定入賞口65aの2Rの開放動作が実行された後に遊技者が遊技状態を認識することが困難となる。そこで、本制御例では、タイミング演出の特典として、タイミング演出の終了時にノルマが達成されていれば、現在の遊技状態(特別図柄の確変状態であるか、低確率状態であるか)を報知するように構成している。これにより、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を、積極的にタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
また、タイミング演出に成功した場合の特典を、遊技結果に影響が無いもの(現在の遊技状態の報知)とすることにより、純粋に遊技者の押下(操作)タイミングの巧拙によって特典を付与するかどうかを決定することができる。これに対して、仮に、変動開始時(タイミング演出が開始されるよりも前)に既に結果が決まっているもの(例えば、大当たり等)を特典として設定してしまうと、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出の結果(ノルマを達成する態様が表示可能かどうか)が定められてしまう。ノルマが達成できない態様のタイミング演出が存在すると、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまう虞がある。これに対して本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に付与される特典を、遊技結果に影響が無い「遊技状態の報知」に設定している。これにより、純粋に枠ボタン229の押下タイミングの巧拙に応じて特典を付与するか否かを決定することができる。即ち、特典が付与された場合に、遊技者が自力で特典を獲得したという感覚をより強く抱かせることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
表示領域905の左側には、円形の表示領域904a~904dが縦に並べて表示される。各表示領域904a~904dは、それぞれスクロール表示領域911b~911eと垂直位置が略同一となるように表示される。また、これらの表示領域904a~904dの内側には、それぞれ「上」、「右」、「左」、「下」の文字が表示される。これらの文字により、各表示領域904a~904dと垂直位置が略同一のスクロール表示領域911b~911eが対応するボタン種別を、遊技者に対して容易に認識させることができる。即ち、「上」という文字が表示された表示領域904aと垂直位置が略同一のスクロール表示領域911bは、上ボタンUBの押下(操作)タイミングを示唆するための表示領域であることを認識させることができる。同様に、スクロール表示領域911cは、右ボタンRBの押下(操作)タイミングを示唆し、スクロール表示領域911dは、左ボタンLBの押下(操作)タイミングを示唆し、スクロール表示領域911eは、下ボタンDBの押下(操作)タイミングを示唆することを容易に認識させることができる。
タイミング演出を実行することにより、ノルマ達成を目指して枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図163(b)、および図164(a)を参照して、タイミング演出において枠ボタン229の操作を検出した場合の表示態様について説明する。まず、図163(b)は、タイミング演出においてスクロール表示された画像が押下示唆領域911aに重なったタイミングで枠ボタン229を押下することができた(ポイントを獲得できた)場合の表示態様を示している。
図163(b)は、スライド表示領域911bにおいてスクロール表示された白抜きのスクロールバー912aが、押下示唆領域911aと重なったタイミングで遊技者が上ボタンUBを押下した場合の表示内容を示している。図163(b)に示した通り、遊技者が上ボタンUBを押下したことを検出すると、「上」という文字が付された(上ボタンUBに対応する)表示領域904aが点灯する。これにより、遊技者の操作(押下)をパチンコ機10が正常に検出していることを遊技者に認識させることができるので、より安心してタイミング演出中の遊技を行わせることができる。
また、表示領域904a~904dに対して左側には、遊技者がタイミング良く枠ボタン229を押下(操作)したことを示すための表示領域921が形成される。この表示領域921には、「GREAT」という文字が表示されるので、遊技者は枠ボタン229の操作タイミングが合っていたことを容易に認識することができる。更に、表示領域921の下方には、押下が成功したことにより付与されたポイントを示す文字922が表示される。この「+50」という文字922により、遊技者に対して獲得したポイントを容易に認識させることができる。加えて、獲得したポイントに合わせて表示領域903の表示が更新される(0100/1000→0150/1000)。これらの表示内容によって、遊技者に対して枠ボタン229を押下するタイミング、およびボタン種別のいずれも合致していた(押下に成功した)ことを認識させることができる。また、獲得した(付与された)ポイントや、現在までの合計のポイントも容易に確認することができる。
次に、図164(a)を参照して、ボタンを押下するタイミングが示唆表示領域911aからずれた場合の表示内容について説明する。図164(a)は、スクロールバー912aが押下示唆領域911aに到達するよりも前に上ボタンUBの押下を検出した場合の表示内容を示した図である。この場合も、上ボタンUBの押下を正常に検出したことを報知するために、「上」という文字が付された(上ボタンUBに対応する)表示領域904aが点灯する。
また、表示領域904aの左側には、遊技者が枠ボタン229を押下(操作)に失敗したことを示すための表示領域921が形成される。この表示領域921には、「BAD」という文字が表示されるので、遊技者は枠ボタン229の押下(操作)タイミングが誤っていたことを容易に認識することができる。更に、表示領域921の下方には、押下に失敗したことによりペナルティーが課されたことを示す文字924が表示される。この「-10」という文字924により、押下の失敗でポイントが減算されてしまったことを容易に認識させることができる。よって、より注意深く枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。加えて、減算されたポイントに合わせて表示領域903の表示が更新される(0100/1000→0090/1000)。これらの表示内容によって、遊技者に対して枠ボタン229を押下に失敗していたことを認識させることができる。また、減算されたポイントや、現在までの合計のポイントも容易に確認することができる。
次いで、難易度が異なる態様の例について説明する。詳細については後述するが、本制御例では、タイミング演出を実行する場合に、複数の難易度の中から今回実行するタイミング演出の難易度を決定できる。また、決定された難易度は固定ではなく、タイミング演出の進行状況や、遊技者のタイミング演出への参加状況等に応じて演出の途中で見直される場合がある。
図164(b)は、難易度が高いタイミング演出の態様を例示した図である。図164(b)に示した通り、本変形例では、難易度が高くなると、獲得できるポイントが少ないスクロールバー(押下に成功すると10ポイントが付与されるスクロールバー915a~915e)の出現割合が高くなる。つまり、より多くの回数正確に枠ボタン229の押下を行わなければ、ノルマを達成することができないようになる。また、難易度が高くなると、スクロール速度も速くなるように構成されている。これにより、枠ボタン229を押下するタイミングを合わせることが難しくなるように構成されている。難易度が異なる態様のタイミング演出を設けておくことにより、タイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが得意な遊技者にも、苦手な遊技者にも対応することができる。即ち、遊技者の技量に応じて難易度を可変させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図165を参照して、タイミング演出の結果を報知する際の表示態様について説明する。図165(a)は、特別図柄の確変状態中に実行されたタイミング演出において、ノルマである1000ポイントを達成した(例えば、1200ポイント獲得した)場合にサブ表示装置690に対して表示される表示内容を例示した図である。図165(a)に示した通り、タイミング演出が終了し、ノルマを達成していると判別した場合は、表示領域905の内側に、タイミング演出の結果を報知するための結果報知領域916が形成される。この結果報知領域には、「ノルマ達成!!現在の状態は確変!!」という文字が表示される。この表示により、遊技者に対して現在の遊技状態が特別図柄の確変状態であることを認識させることができる。なお、特別図柄の低確率状態では、「現在の状態は確変!!」という文字に代えて、例えば「現在の状態は低確・・・」という文字が表示される。
一方、図165(b)は、タイミング演出において、ノルマである1000ポイントに満たなかった(例えば、600ポイントしか獲得できなかった)場合にサブ表示装置690に対して表示される表示内容を例示した図である。図165(b)に示した通り、タイミング演出が終了し、ノルマを達成していないと判別した場合にも、表示領域905の内側に、タイミング演出の結果を報知するための結果報知領域916が形成される。この結果報知領域には、「ノルマ未達成 残念・・・」という文字が表示される。即ち、タイミング演出でノルマを達成できなかったことのみが報知され、現在の遊技状態が報知されることはない(特典が付与されない)。
このように、タイミング演出においてノルマを達成することにより、結果報知領域916において現在の遊技状態が報知されるので、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を積極的にタイミング演出に参加させることができる。
なお、本制御例では、スコアを達成した場合に遊技状態の報知を特典として設定しているが、タイミング演出における特典はこれに限られるものではない。タイミング演出の実行が決定されるよりも前に決定された遊技結果に左右されない特典であればよく、例えば、ノルマを達成することにより、その後の表示演出(変動パターン演出)の表示態様を特別な態様に変更するように構成してもよい。このように構成することで、特別な態様の表示演出を見るために、積極的にタイミング演出に参加させることができる。
本制御例では、難易度を変更する場合に、スクロールバーの種別や個数、スクロール速度を変更するように構成していたが、難易度の変更方法はこれに限られるものではない。例えば、難易度が高くなるにつれて、ノルマのポイントが高くなっていくように構成してもよい。また、例えば、難易度が高くなっていくにつれて、使用するボタン種別が増加していくように構成してもよい。
本制御例では、連打バーが押下示唆領域911aと重なっている間に10回の押下を検出することでポイントが加算されるように構成していたが、押下回数は10回に限られるものではない。10回より少ない回数に設定してもよいし、多い回数に設定してもよい。また、難易度に応じて押下回数を変更してもよく、例えば、難易度が高くなるにつれて押下回数が多くなるように構成してもよい。これにより、難易度の変更方法に多様性を持たせることができる。
<第3制御例における電気的構成について>
次に、図158~図162を参照して、第3制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図158は、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。図158に示した通り、本制御例では、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225に対し、枠ボタン229が接続されている。この枠ボタン229には、ボタン種別として、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBの4種類が設けられている。上述した通り、これら4種類のボタンは、タイミング演出(図163、図164参照)で用いられる。
次に、図159(a)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたROM222の構成について説明する。本制御例におけるROM222には、第1制御例におけるROM222の構成に加えて、タイミング演出選択テーブル222dと、押下期間テーブル222eとが設けられている。
タイミング演出選択テーブル222dは、特別図柄の変動表示中に実行される興趣演出の一種であるタイミング演出の態様が規定されたデータテーブルである。タイミング演出を実行する場合には、このタイミング演出選択テーブル222dが参照されて、タイミング演出中におけるサブ表示装置690の表示態様(難易度)が設定される。なお、難易度とは、サブ表示装置690において示唆されたタイミングおよびボタン種別に合わせて枠ボタン229を押下(操作)する場合における、タイミングの合わせ易さを意味する。難易度が高いほど、枠ボタン229を押下(操作)するタイミングがシビアになったり、短い期間でより多くのボタンの種別の押下(操作)を指示されたりする(図164(b)参照)。
また、本制御例のタイミング演出は、3種類の期間(序盤期間、中盤期間、終盤期間)に分かれており、期間毎に別個のタイミングで表示態様を設定することができるように構成されている。より具体的には、タイミング演出の開始時に、序盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の序盤期間が開始される。そして、序盤期間の終了時に中盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の中盤期間が開始される。更に、中盤期間の終了時に終盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の終盤期間が開始される。
タイミング演出テーブル222dの詳細について、図160を参照して説明する。図160に示した通り、タイミング演出テーブル222dには、タイミング演出の難易度を示す難易度カウンタ223γの値に対応付けて、タイミング演出の演出態様が規定されている。より具体的には、序盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用序盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用序盤演出が対応付けられている。図示については省略したが、以下同様に、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用序盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用序盤演出が対応付けられている、また、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用序盤演出が対応付けられている。なお、難易度の数字が大きいほど、難易度が高いことを示している。即ち、難易度5用序盤演出が最も難易度の高い態様であり、難易度1用序盤演出が最も難易度の低い態様である。
中盤期間の態様も同様に規定されている。即ち、中盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用中盤演出が対応付けられている。
更に、終盤期間の態様も同様に規定されている。即ち、中盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用終盤演出が対応付けられている。
なお、詳細については後述するが、難易度カウンタ223γの値は、遊技者の遊技状況に応じて適時更新される。例えば、中盤期間の態様を設定する際に、序盤期間で遊技者の獲得したポイントが比較的少ない(例えば、200未満)と判別された場合には、難易度カウンタの値が1減算され、減算後の値に対応する難易度の演出態様が設定される。これにより、中盤期間の態様を、序盤期間よりも難易度が低い態様に設定することができるので、遊技者がポイントを獲得できない状態が長く続くことにより、タイミング演出の途中で演出への参加を諦めてしまうことを防止(抑制)することができる。逆に、序盤期間で遊技者が獲得したポイントが比較的多いと判別された場合には、難易度カウンタ223γの値に1が加算される。これにより、タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行う場合に、遊技者にとって難易度の低い態様が続いてしまい、遊技が間延びしてしまうことを防止(抑制)できる。
このように、難易度カウンタ223γの値に応じてタイミング演出選択テーブル222dから異なる難易度の演出を選択することができるので、タイミング演出の態様を多様化することができる。よって、遊技者の興趣を向上させることができる。また、異なる難易度を設けることにより、各遊技者の技量に合った難易度を設定することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
図159(a)に戻って説明を続ける。押下期間テーブル222eは、枠ボタン229を押下した場合に、スクロールバー等の画像が押下示唆領域911aに重なるタイミングで押下された(押下に成功した)と判定されるか否かを、タイミング演出が開始されてからの経過時間に対応付けて規定したデータテーブルである。タイミング演出の実行中に枠ボタン229を構成するいずれかのボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)が押下されると、この押下期間テーブル222eが参照されて、今回のボタン押下が成功であったか失敗であったかが判別される。そして、成功であればポイントが加算される演出が実行され(図163(b)参照)、失敗であればポイントが減算される(ペナルティーが課される)演出が実行される(図164(a)参照)。この押下期間テーブル222eの詳細について、図161、および図162を参照して説明する。
図161は、押下期間テーブル222eの構成を示すブロック図である。図161に示した通り、押下期間テーブル222eとして、設定期間や難易度に応じた複数のデータテーブルが規定されている。例えば、序盤期間において設定される難易度1用序盤演出に対応するテーブルとして、序盤難易度1用テーブル222e1が設けられている。難易度1用序盤演出が設定されると、対応する押下期間テーブルとして、この序盤難易度1用テーブル222e1が設定される。同様に、難易度2用序盤演出~難易度5用序盤演出に対しても同様であり、それぞれ対応する押下期間テーブルとして、序盤難易度2用テーブル222e2~序盤難易度5用テーブル222e5が規定されている。
更に、中盤期間においても序盤期間と同様であり、具体的には、難易度1用中盤演出~難易度5用中盤演出に対応した押下期間テーブルとして、中盤難易度1用テーブル2226~中盤難易度5用テーブル222e10が設けられている。
一方、終盤期間においては、序盤期間や中盤期間とは異なる構成となっている。即ち、1の終盤期間用の演出態様に対して、複数の押下期間テーブルが対応付けられている。ここで、複数の押下期間テーブルとは、成功と検出される範囲の広さ(期間の長さ)が異なるテーブルを意味する。同じ態様の終盤期間用の演出が表示されていたとしても、成功と検出される期間を異ならせることにより、難易度を異ならせることができる。即ち、タイミング演出の表示態様を増やすことなく、難易度に多様性を持たせることができるので、キャラクタROM234の容量を削減することができる。
なお、成功と検出される範囲が広いテーブルを選択するのは、終盤期間に到達するまでに遊技者の獲得したポイントが少ない(例えば、600ポイント未満)と判別された場合である。終盤期間に至るまでに獲得したポイントが少なすぎると、遊技者がタイミング演出でノルマを達成することを諦めてしまう虞がある。そこで、本制御例では、終盤期間を設定する場合に、ポイントが600ポイント未満であるか否かを判別し、600ポイント未満であれば成功と検出する範囲が広い押下期間テーブルを選択するように構成されている。これにより、成功と検出する範囲が広くなることにより、遊技者がより簡単にポイントを獲得可能となるため、最後まで諦めずにタイミング演出に参加させることができる。
一方、成功と検出される範囲が狭いテーブルを選択するのは、終盤期間に到達するまでに遊技者の獲得したポイントが多い(例えば、900ポイント以上)と判別された場合である。終盤期間に至るまでに獲得したポイントが多すぎると、遊技者が余裕を感じてしまい、終盤期間における枠ボタン229の操作が雑になってしまう虞がある。そこで、本制御例では、成功と検出される範囲が狭いテーブルを選択することにより、タイミング演出の最後まで緊張感を抱かせながら枠ボタン229の操作を実行させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
難易度1~難易度3に対応する終盤期間の演出が選択された場合には、成功と検出される範囲が通常の広さの押下期間テーブルと、成功と検出される範囲が比較的広い押下期間テーブルとが選択される可能性がある。例えば、終盤期間の演出態様として、難易度1用終盤演出が選択された場合は、押下期間テーブルとして、終盤難易度1通常範囲テーブル222e13と、終盤難易度1広範囲テーブル222e18とのうちいずれかが選択される。
一方で、難易度4、および難易度5に対応する終盤期間の演出が選択された場合には、成功と検出される範囲が通常の広さの押下期間テーブルと、成功と検出される範囲が比較的広い押下期間テーブルとに加えて、成功と検出される範囲が比較的狭い押下期間テーブルが選択される可能性がある。例えば、終盤期間の演出態様として、難易度5用終盤演出が選択された場合は、押下期間テーブルとして、終盤難易度5狭範囲テーブル222e12と、終盤難易度5通常範囲テーブル222e17と、終盤難易度5広範囲テーブル222e22とが選択される可能性がある。
なお、難易度4や難易度5に対応する終盤期間の演出が選択された場合にのみ、成功と検出される範囲が狭い押下期間テーブルを選択するように構成しているのは、タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行っている可能性が高いからである。タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行っている場合には、通常の検出範囲でのタイミング演出では簡単すぎると感じさせてしまう虞がある。よって、この場合は、難易度の高い態様で表示することに加え、成功と検出する範囲も狭くなるように構成し、タイミング演出が得意な遊技者でも楽しむことができるように構成している。これにより、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図162を参照し、押下期間テーブル222eを構成する各テーブルの具体的な規定内容について、序盤難易度3用テーブル222e3を例に取って説明する。の、この序盤難易度3用テーブル222e3が設定されるのに合わせて、演出態様として難易度3用序盤演出が設定されるが、この難易度3用序盤演出の表示態様は、図162(a)に示した表示態様となる。よって、序盤難易度3用テーブル222eを説明するにあたり、図163も適時参照しながら説明を行う。
図162は、序盤難易度3用テーブル222e3の規定内容を示した図である。図162に示した通り、序盤難易度3用テーブル222e3には、タイミング演出が開始されてからの経過時間(定期的に更新されるタイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて押下期間の種別(成功期間、失敗期間、および連打期間のいずれであるか)が規定されている。また、押下期間の種別は、上ボタンUB用の押下期間と、右ボタンRB用の押下期間と、左ボタンLB用の押下期間と、下ボタンDB用の押下期間とがそれぞれ規定されている。
具体的には、タイミング演出が開始されてからの経過時間が0ミリ秒~1499ミリ秒(1.499秒)の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。また、経過時間が1500ミリ秒~1699ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBが操作された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912a)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911c~911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
また、経過時間が1700ミリ秒~2199ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が2200ミリ秒~2399ミリ秒の範囲には、下ボタンDBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、下ボタンDBが押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを押下した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911eにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912e)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911b~911dにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が2400ミリ秒~2999ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が3000ミリ秒~3199ミリ秒の範囲には、右ボタンRBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、右ボタンRBが押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを押下した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911cにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912b)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911b,911d、および911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が3200ミリ秒~3799ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が3800ミリ秒~4999ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として連打期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBが10回押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示される連打バー(図163における連打バー913a)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911c~911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が5000ミリ秒~5199ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として連打期間が対応付けられ、右ボタンRBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBがトータル10回押下されるか、右ボタンRBを押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示される連打バー(図163における連打バー913a)と、スクロール表示領域911dにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912c)とが押下示唆領域911aに重なると共に、他のスクロール表示領域911d,911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
図示については省略したが、以降の経過時間に対しても、ボタン種別に応じた押下期間が規定されている。この序盤難易度3用テーブル222e3を用いることにより、押下期間をタイミング演出の表示態様に同期させて更新することができる。なお、押下期間テーブル222eに規定されている他のテーブルについても同様の構成となっているので、その詳細な説明は省略する。
次に、図159(b)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられているRAM223の構成について説明する。本制御例におけるRAM223には、第1制御例におけるRAM223の構成に加え、タイミング演出許可フラグ223αと、確変状態フラグ223βと、難易度カウンタ223γと、タイミング演出ポインタ223δと、連打回数カウンタ223εと、連打成功フラグ223ζと、スコアカウンタ223ηとが設けられている。
タイミング演出許可フラグ223αは、変動表示の態様を選択する際に、演出としてタイミング演出を設定することが可能か否かを示すフラグである。このタイミング演出許可フラグ223αがオンであれば、変動演出の態様としてタイミング演出を設定可能であることを示し、オフであれば、タイミング演出を設定できないことを示す。
ここで、上述した通り、本制御例では、2R確変大当たりとなった場合と、小当たりとなった場合とで、特定入賞口65aの開放動作が共通となる上に、第3図柄表示装置81において実行される演出も共通となっている。このため、特定入賞口65aが2Rの開放動作を行った場合に、2R確変大当たりとなって特別図柄の確変状態へと移行したのか、単に小当たりとなったに過ぎず、遊技状態が変更されなかったのかを識別することができない。換言すれば、大当たりAや大当たりBが終了してから1度も特定入賞口65aによる2Rの開放動作が実行されていない場合には、遊技者にとって現在の遊技状態が明らかである。よって、この場合にタイミング演出を実行したとしても、遊技状態を報知するという特典を得たいと思わず、タイミング演出に参加しない虞がある。そこで、本制御例では、大当たりAや大当たりBが実行された後、1度も特定入賞口65aによる2Rの開放動作が実行されていない場合は、タイミング演出をオフに設定することによりタイミング演出が選択されなくなるように構成している(図173のS1827参照)。
また、このタイミング演出許可フラグ223αは、2R確変大当たり、または小当たりとなることによりオンに設定される(図173のS1824参照)。なお、一度タイミング演出が実行されると、タイミング演出許可フラグ223αがオフにリセットされる(図172のS6412参照)。これにより、タイミング演出が実行される機会を、1回の特定入賞口65aによる2R開放動作に対して1回のみに限ることができる。よって、より真剣にタイミング演出に取り組ませることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
確変状態フラグ223βは、特別図柄の高確率状態であるか否かを判別するためのフラグである。この確変状態フラグ223βがオンであれば、特別図柄の確変状態であることを示し、オフであれば、確変状態でないことを示す。この確変状態フラグ223βは、16R確変大当たり(大当たりA)、または2R確変大当たり(大当たりC)となった場合にオンに設定され(図173のS1823,S1826参照)、16R時短大当たり(大当たりB)となった場合にオフに設定される(図173のS1826参照)。タイミング演出においてノルマを達成し、現在の遊技状態を報知する場合には、この確変状態フラグ223βを参照して遊技状態が報知される。
難易度カウンタ223γは、タイミング演出の各期間(序盤期間、中盤期間、終盤期間)において設定する演出の難易度を識別するためのカウンタである。この難易度カウンタ223γの値が0であれば、難易度1に対応する演出態様が選択され、値が1であれば、難易度2に対応する演出態様が選択され、値が2であれば、難易度3に対応する演出態様が選択される。また、難易度カウンタ223γの値が3であれば、難易度4に対応する演出態様が選択され、値が4であれば、難易度5に対応する演出態様が選択される。
この難易度カウンタ223γは、初期値が0に設定されている。つまり、電源投入時に0にリセットされる。また、タイミング演出の中盤期間の演出態様を設定する場合において、遊技者がポイントを比較的多く獲得している(現在遊技している遊技者にとって難易度が低すぎる)と判別された場合に、カウンタ値に1が加算される(図170のS6203参照)。これにより、中盤期間に選択される演出態様として、序盤期間の演出態様よりも難易度を高くすることができる。一方、中盤期間の演出態様を設定する場合において、遊技者が獲得したポイントが少ない(現在遊技している遊技者にとって難易度が高すぎる)と判別された場合に、カウンタ値が1減算される(図170のS6207参照)。これにより、中盤期間に選択される演出態様として、序盤期間の演出態様よりも難易度を低くすることができる。このように、難易度カウンタ223γを用いることにより、遊技者の技量に応じて難易度を可変させることができるので、より遊技者に適した難易度に合わせ込むことができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
タイミング演出ポインタ223δは、タイミング演出が開始されてからの経過時間を示すためのポインタであり、1ミリ秒毎に更新される。タイミング演出の実行中は、このタイミング演出ポインタ223δが参照され、押下期間の種別が判別される。このタイミング演出ポインタ223δは、例えばメイン処理の中で定期的に更新される。
連打回数カウンタ223εは、タイミング演出の連打期間において、対応するボタンを何回押下されたかカウントするためのカウンタである。この連打回数カウンタ223εの値に応じて連打が成功したか否かが判別される。この連打回数カウンタ223εは、連打期間において対応するボタンの操作を検出する毎に1が加算され(図168のS6007参照)、連打期間において規定の連打回数に到達すると0にリセットされる(図168のS6011参照)。また、連打期間の終了時にも0にリセットされる。この連打回数カウンタ223εにより、連打回数を正確に判別することができる。
連打成功フラグ223ζは、連打期間において規定の連打回数に到達したか否かを示すフラグであり、オンであれば連打回数に到達したことを示す。一方、オフであれば連打回数に到達していないか、連打期間でないことを示す。この連打成功フラグ223ζは、規定の連打回数に到達したと判別された場合にオンに設定され(図168のS6011参照)、連打期間が終了するとオフに設定される。この連打成功フラグ223ζがオンの間は、設定されている連打期間に対応するボタンを規定回数以上に押下し続けてしまっても、失敗と判別されないように制御される。これにより、遊技者に対して連打回数を気にせず安心して連打させることができる。
スコアカウンタ223ηは、遊技者が1のタイミング演出の中で獲得したポイント(スコア)をカウントするためのカウンタである。タイミング演出の終了時には、このスコアカウンタ223ηの値と、ノルマである1000ポイントとが比較され、ノルマを達成したか否かが判別される。このスコアカウンタ223ηは、タイミング演出中に枠ボタン229の押下を検出する度に更新される(図168のS6010,S6014,S6016参照)。
次に、図166を参照して、タイミング演出が設定された変動パターンが実行される場合における、表示態様の計時変化について説明する。まず、前提として、タイミング演出は、タイミング演出許可フラグ223αがオンであり、且つ、変動時間が30秒以上の変動演出(リーチが発生する変動演出)が選択された場合に一定確率(例えば、10%の確率)で選択される演出である。
図166に示した通り、タイミング演出が設定された変動演出が開始されてから10秒が経過すると、第3図柄表示装置81においてリーチ演出が発生する。そして、リーチ演出の発生から5秒が経過した時点(変動開始から15秒が経過した時点)で、序盤期間の演出態様が選択され、選択された演出態様のタイミング演出がサブ表示装置690において開始される。
タイミング演出が開始されてから5秒が経過すると(変動開始から20秒が経過すると)、序盤期間が終了すると共に、中盤期間の演出態様が選択され、選択内容に基づいて中盤期間が開始される。更に、中盤期間の開始から5秒が経過すると(変動開始から25秒が経過すると)、中盤期間が終了すると共に、終盤期間の演出態様が選択され、選択内容に基づいて終盤期間が開始される。そして、終盤期間の開始から2秒が経過すると、終盤期間が終了すると共に、今回のタイミング演出の結果(ノルマを達成したか否か)の報知が設定される。この報知は1秒間行われる。
<第3制御例における音声ランプ制御装置の電気的構成について>
次いで、図167~図173を参照して、第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図167は、第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
このメイン処理のうち、S1501~S1511、およびS1513~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるメイン処理(図106参照)で実行されるS1501~S1511、およびS1513~S1520の各処理と同一の処理が実行される。また、第3制御例におけるメイン処理では、S1510の処理が終了すると、タイミング演出中の各種設定を行うためのタイミング演出処理(S1541)が実行され、処理をS1511へと移行する。S1511の処理では、第1制御例におけるコマンド判定処理(S1511)と同一の処理が実行され、次いで、第1制御例における変動表示設定処理(図109参照)に代えて、変動表示設定処理2(S1542)が実行される。この変動表示設定処理2が終了すると、第1制御例と同様に、S1513以降の処理が実行される。
ここで、図168のフローチャートを参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行される枠ボタン入力監視・演出処理(S1507)の詳細について説明する。枠ボタン入力監視・演出処理自体は、第1制御例におけるメイン処理(図106参照)においても実行されていたが、その詳細な説明は省略していたので、改めて説明する。
枠ボタン入力監視・演出処理(S1507)では、まず、タイミング演出中であるか否かを判別し(S6001)、タイミング演出中ではないと判別した場合は(S6001:No)、そのまま、本処理を終了する。一方、タイミング演出中であると判別した場合は(S6001:Yes)、次いで、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出したか否かを判別する(S6002)。そして、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出しなかったと判別した場合は(S6002:No)、そのまま、本処理を終了する。
一方、S6002の処理において、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出したと判別した場合は(S6002:Yes)、押下を検出したボタン種別に応じた押下期間テーブル222eを読み出す(S6003)。その後、読み出した押下期間テーブル222eとタイミング演出ポインタ223δの値とに基づいて、押下期間種別を特定する(S6004)。
S6004の処理が終了すると、次に、連打期間か否かを判別し(S6005)、連打期間であると判別した場合は(S6005:Yes)、次いで、連打成功フラグ223ζがオンであるか否かを判別する(S6006)。連打成功フラグ223ζがオンであると判別した場合は(S6006:Yes)、連打期間中に所定回数(10回)の枠ボタンの押下を成功済であることを意味し、連打回数をカウントする必要がないため、そのまま、本処理を終了する。
一方、S6006の処理において、連打成功フラグ223ζがオフであると判別した場合は(S6006:No)、連打回数カウンタ223εに1を加算し(S6007)加算後の値が10以上であるか否かを判別する(S6008)。即ち、1の連打期間において、所定回数(10回)の連打を達成したか否かを判別する。S6008の処理において、加算後の連打回数カウンタ223εの値が10よりも小さいと判別した場合は(S6008:No)、そのまま本処理を終了する。
これに対し、更新後の連打回数カウンタ223εの値が10以上であると判別した場合は(S6008:Yes)、所定回数の連打を達成したことを意味するので、表示用成功演出コマンドを設定することにより(S6009)、連打成功に対応する演出を設定すると共に、スコアカウンタ223ηに連打成功に対応するポイント(スコア)として50を加算する(S6010)。その後、連打回数カウンタ223εをリセットし、連打成功フラグ223ζをオンに設定して(S6011)、本処理を終了する。
S6005の処理において、連打期間ではないと判別した場合は(S6005:No)、次いで、押下成功期間であるか否かを判別し(S6012)、押下成功期間ではない(押下失敗期間である)と判別した場合は(S6012:No)、表示用失敗演出コマンドを設定する(S6013)。この表示用失敗コマンドにより、遊技者に対して枠ボタン229の押下タイミングがサブ表示装置690において示唆されたタイミングからずれていたことを報知する演出が表示される(図164(a)参照)。押下の失敗を報知することにより、遊技者に対して枠ボタン229の押下タイミングを修正す機会を与え、次の押下をより慎重に行わせることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができる。S6013の処理が終了すると、押下の失敗に対するペナルティーとして、スコアカウンタ223ηから10を減算して(S6014)、本処理を終了する。なお、S6014の処理において、スコアカウンタの値が既に0だった場合は、ポイントの減算が行われない。
一方、S6012の処理において、押下成功期間であると判別した場合は(S6012:Yes)、表示用成功演出コマンドを設定することで(S6015)、押下に成功したことを遊技者に報知する(図163(b)参照)。この報知により、遊技者が成功したタイミングを認識することができるので、次回も同じタイミングで枠ボタン229を操作させることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができる。そして、スコアカウンタ223ηに対して、押下に成功した際に押下示唆領域911aに重なっていたバーの種別に応じたポイント(スコア)を加算して(S6016)、本処理を終了する。
次に、図169のフローチャートを参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行されるタイミング演出処理(S1541)の詳細について説明する。このタイミング演出処理(S1541)は、上述した通り、タイミング演出中の各種設定を行うための処理である。
このタイミング演出処理(S1541)では、まず、タイミング演出が設定されているか否かを判別し(S6101)、タイミング演出が設定されていないと判別した場合は(S6101:No)、そのまま、本処理を終了する。一方、タイミング演出が設定されていると判別した場合は(S6101:Yes)、次いで、変動開始から15秒が経過しているか否かを判別し(S6102)、15秒が経過したと判別した場合は(S6102:Yes)、タイミング演出の開始タイミングであることを意味するので、今回のタイミング演出の態様を決定するために、まず、難易度カウンタ223γの値を読み出す(S6103)。
S6103の処理が終了すると、次いで、読み出したカウンタ値に対応する演出態様(難易度)をタイミング演出選択テーブル222d(図160参照)から選択する(S6104)。例えば、難易度カウンタ223γが4であれば、演出態様として難易度5用序盤演出を選択し、難易度カウンタ223γが1であれば、難易度2用序盤演出を選択する。そして、S6104の処理で選択した演出態様を表示制御装置114へと通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6105)。表示制御装置114は、この表示用序盤態様コマンドを受信することにより、サブ表示装置690において対応する難易度のタイミング演出を開始させる。
S6105の処理が終了すると、S6103で読み出した難易度カウンタ223γの値に対応するテーブルを、押下期間テーブル222eから読み出し(S6106)、その読み出したテーブルを押下期間格納エリアに格納して(S6107)、本処理を終了する。この押下期間格納エリアは、音声ランプ制御装置113のRAM223内に設けられている(図示なし)。枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)のS6004の処理では、この押下期間格納エリアに格納された押下期間テーブル222eと、タイミング演出ポインタ223δの値とが参照され、タイミング演出ポインタ223δの値に対応する押下期間が成功期間であれば枠ボタン229の押下が成功したと判別される。
一方、S6102の処理において、変動開始から15秒経過していないと判別した場合は(S6102:No)、変動開始から20秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6108)。即ち、タイミング演出の中盤期間へと移行するタイミングであるか否かを判別する。S6108の処理において、変動開始から20秒が経過した(中盤期間へと移行するタイミングである)と判別した場合は(S6108:Yes)、中盤期間の態様を設定するための中盤設定処理を実行し(S6109)、本処理を終了する。この中盤設定処理(S6109)の詳細については、図170を参照して後述する。
一方、S6108の処理において、変動開始から20秒が経過したタイミングでない(中盤期間への移行タイミングでない)と判別した場合は(S6108:No)、次いで、変動開始から25秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6110)。即ち、中盤期間から終盤期間への移行タイミングであるか否かを判別する。S6110の処理において、変動開始から25秒が経過したと判別した場合は(S6110:Yes)、終盤期間の演出態様を設定するための終盤設定処理を実行し(S6111)、本処理を終了する。この終盤設定処理(S6111)の詳細は、図171を参照して後述する。
一方、S6110の処理において、変動開始から25秒が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6110:No)、次いで、変動開始から27秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6112)。即ち、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するタイミングであるか否かを判別する。S6112の処理において、変動開始から27秒が経過したタイミングであると判別した場合は(S6112:Yes)、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するための報知態様設定処理を実行し(S6113)、本処理を終了する。この報知態様設定処理の詳細は、図172を参照して後述する。
一方、変動開始から27秒が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6112:No)、次いで、連打期間の終了タイミングか否かを判別する(S6114)。連打期間の終了タイミングでないと判別した場合は(S6114:Yes)、そのまま、本処理を終了する。一方、連打期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6114:Yes)、連打成功フラグ223ζをオフに設定し(S6115)、本処理を終了する。
次に、図170を参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される中盤設定処理(S6109)の詳細について説明する。図170は、この中盤設定処理(S6109)を示すフローチャートである。中盤設定処理(S6109)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6201)、スコアカウンタ223ηの値が600よりも大きいか(比較的多くのポイントを獲得しているか)否かを判別する(S6202)。
読み出した値が600よりも大きいと判別した場合は(S6202:Yes)、序盤期間において比較的多くのポイントを獲得できており、現在遊技している遊技者にとって難易度が易しすぎる虞がある。よって、この場合は、難易度カウンタ223γの値に1を加算することにより(S6203)、中盤期間の演出態様として序盤期間よりも難易度の高い演出が設定されるように制御する。これにより、タイミング演出の途中で、遊技者の技量によりマッチした演出態様(難易度)に変更することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6203の処理が終了した後は、処理をS6209へと移行する。
S6202の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600以下であると判別した場合は(S6202:No)、次に、読み出したスコアカウンタ223ηの値が50より小さいか否か判別する(S6204)。読み出した値が50よりも小さいと判別した場合は(S6204:Yes)、序盤期間において遊技者の獲得したポイントが極端に少ないことを示す。即ち、序盤期間におけるタイミング演出の難易度が難しすぎて、遊技者がタイミング演出についていけなくなったり、タイミング演出自体を放棄してしまった虞がある。この場合は、難易度カウンタ223γの値を0に設定することにより(S6205)、中盤期間以降に設定される演出態様として、難易度が最も低い演出態様が選択されるように制御する。これにより、序盤期間の難易度が高すぎて押下のタイミングを合わせることが困難だった遊技者や、序盤期間の演出態様を見ただけで難しそうな印象を受けてしまい、タイミング演出を放棄してしまった遊技者に対して、タイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6205の処理が終了すると、処理をS6209へと移行する。
S6204の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が50以上であると判別した場合は(S6204:No)、次いで、スコアカウンタ223ηの値が200より小さいか(タイミング演出に参加している遊技者の獲得したポイントが比較的少ないか)否かを判別する(S6206)。S6206の処理において、スコアカウンタ223ηの値が200より小さいと判別した場合は(S6206:Yes)、遊技者にとって難易度が高すぎるため、このままのペースではノルマに対して大幅に低いポイントで終了してしまう可能性が高いことを意味する。この場合、遊技者がタイミング演出の途中で、ノルマを達成できないと判断してタイミング演出への参加を諦めてしまう虞がある。また、今回のタイミング演出は最後まで参加したものの、ノルマに対して獲得ポイントが低すぎて、次回以降タイミング演出への参加を諦めてしまう虞がある。よって、これらの状況を防止すべく、S6207の処理において、難易度カウンタ223γの値を1減算する(S6207)。これにより、中盤期間以降の難易度を易しくできるので、序盤期間においてあまりポイントを獲得できなかった遊技者に対して、タイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6207の処理が終了すると、処理をS6209へと移行する。
一方、S6206の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が200以上であると判別した場合は(S6206:No)、難易度カウンタ223γの値を読み出して(S6208)、S6209の処理へ移行する。
S6209の処理では、難易度カウンタ223γの値に基づき、演出選択テーブル222dから中盤演出の態様を選択し(S6209)、選択した態様を表示制御装置114に対して通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6210)。そして、押下期間テーブル222eから、難易度カウンタ223γの値に対応するデータテーブルを読み出し(S6211)、読み出したテーブルを押下期間格納エリアに格納して(S6212)、本処理を終了する。
この中盤設定処理を実行することにより、序盤期間において遊技者が獲得したポイントに応じて、中盤期間以降の演出態様を、より遊技者の技量にマッチした難易度の態様に可変することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図171のフローチャートを参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される終盤設定処理(S6111)の詳細について説明する。この終盤設定処理(S6111)は、上述した通り、タイミング演出の終盤期間の演出態様を設定するための処理である。
この終盤設定処理(S6111)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6301)、その値が900よりも大きいか否かを判別する(S6302)。即ち、中盤期間が終了するまでに900ポイント以上獲得しているか否かを判別する。そして、スコアカウンタ223ηの値が900よりも大きいと判別した場合は(S6302:Yes)、次いで、難易度カウンタ223γの値が3よりも大きいか否かを判別する(S6303)。
難易度カウンタ223γの値が3以下であると判別した場合は(S6303:No)、押下期間テーブル222eから、成功期間が通常の範囲のテーブルを読み出して(S6304)、処理をS6309へと移行する。一方、難易度カウンタ223γの値が3よりも大きいと判別した場合は(S6303:Yes)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する成功期間が狭い狭範囲用のテーブルを読み出し(S6304)、S6309の処理へ移行する。
このように、難易度カウンタ223γの値に応じて異なる成功期間の長さが異なるテーブルを設定するのは、難易度を遊技者にマッチさせるためである。即ち、中盤期間を経ても比較的高難易度の演出態様(難易度4や難易度5)が設定されている場合は、遊技者の技量が高い可能性が高い。そして、S6303の処理へと移行するのは、比較的ポイントを多く獲得できている場合であるため、現在の難易度でも遊技者にとって易しすぎる虞がある。そこで、技量の高い遊技者に対しては、更に難しい難易度とするために、成功範囲を序盤期間や中盤期間よりも狭くするように構成している。これにより、技量の高い遊技者に対してより難易度の高いタイミング演出を提供できるので、タイミング演出における遊技者の興趣を向上できる。
一方で、難易度カウンタ223γの値が3以下の状態でS6303の処理へと移行した場合は、比較的技量が低いにも拘わらず、まぐれで多くのポイントを獲得した可能性がある。この場合に難易度を上げてしまうと、終盤で連続して枠ボタン229の押下を失敗してしまう虞があり、タイミング演出に対して悪い印象を抱いてしまう虞がある。特に、終盤演出の開始時点でノルマである1000ポイントを超えていたにも拘わらず、終盤期間で連続して失敗してしまい、ペナルティーの積算で演出終了時にノルマを割ってしまうと、遊技者のタイミング演出に対するモチベーションを大きく低下させてしまう虞がある。そこで、本制御例では、技量が低いと推察される難易度カウンタ223γが3以下の場合には、ポイントを比較的多く獲得していても成功期間の範囲が通常のまま保たれるように構成している。これにより、技量の低い遊技者に対して、タイミング演出に対するモチベーションを向上させることができる。
S6302の処理において、スコアカウンタ223ηの値が900以下であると判別した場合は(S6302:No)、次いで、スコアカウンタ223ηの値が600より小さいか否かを判別する(S6306)。S6306の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600より小さいと判別した場合は(S6206:Yes)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する広範囲用のテーブルを読み出して(S6307)、S6309の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が600より小さい場合は、遊技者が中盤期間までに獲得したポイントが比較的少ないため、遊技者にとって難易度が高すぎる可能性が高いためである。よって、この場合は、成功期間が広い押下期間を選択することにより、枠ボタン229を押下した場合に成功と判定される可能性が高くなるように構成している。即ち、難易度を遊技者に合わせることができる。また、終盤期間において成功期間を広くすることにより、押下に成功し易くなるため、遊技者に対して調子が出てきた(コツをつかんだ)と錯覚させることができる。よって、例えノルマに到達しなかったとしても、終盤期間の手応えから、次回はより多くのポイントを獲得できるかのように錯覚させることができる。よって、次回のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
一方、S6306の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600以上であると判別した場合は(S6306:No)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する通常範囲用のテーブルを読み出し(S6308)、S6309の処理へ移行する。S6304,S6305,S6307、およびS6308の処理のいずれかが実行された後で実行されるS6309の処理では、押下期間テーブル222eから読み出したデータテーブルを押下期間格納エリアに格納し(S6309)、本処理を終了する。
この終盤設定処理により、中盤期間の終了までに遊技者が獲得したポイントに応じて、終盤期間の成功期間の範囲を、より遊技者の技量にマッチした広さに可変することができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図172を参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される報知態様設定処理(S6113)の詳細について説明する。図172は、この報知態様設定処理(S6113)を示すフローチャートである。この報知態様設定処理は、上述した通り、タイミング演出の結果を報知するための報知演出(報知態様)を設定するための処理である。
報知態様設定処理(S6113)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出し(S6401)、その値が1000以上であるか否かを判別する(S6402)。即ち、タイミング演出において、ノルマである1000ポイントを達成したか否かを判別する。S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000よりも小さい(即ち、今回のタイミング演出ではノルマを達成できなかった)と判別した場合は(S6402:No)、次いで、表示制御装置114に対して失敗時の報知態様(図165参照)を設定する(S6403)。
S6303の処理が終了すると、次いで、スコアカウンタ223ηの値が50以下であるか否かを判別する(S6404)。スコアカウンタ223ηの値が50以下である場合は(S6404:Yes)、難易度カウンタ223γの値を0に設定し(S6405)、S6412の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が50以下の場合は、遊技者が序盤期間の態様を視認しただけで早々に諦めてしまった可能性が高い。よって、この場合は、次回のタイミング演出において、難易度が最も易しい演出態様が選択されるように構成し、ノルマが達成できそうだと感じさせることができる。よって、次回のタイミング演出において遊技者の参加意欲を向上させることができる。
一方、スコアカウンタ223ηの値が50よりも大きい場合は(S6404:No)、難易度カウンタ223γの値から1を減算し(S6406)、S6412の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が50よりも大きい場合は、それなりにタイミング演出に参加した上で、ノルマに満たなかったことを意味する。よって、この場合は次回のタイミング演出で選択される難易度を1段階下げることにより、遊技者の参加意欲を向上できる構成としている。
S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000以上である(タイミング演出のノルマを達成した)と判別した場合は、確変状態フラグ223βを読み出して(S6407)、現在が特別図柄の確変状態であるか否か(確変状態フラグ223βがオンであるか否か)を判別する(S6408)。そして、確変状態であると判別した場合は(S6408:Yes)、表示制御装置114に対して確変状態を報知するための報知態様を設定し、処理をS6411へと移行する。一方、S6408の処理において、特別図柄の確変状態でない(特別図柄の低確率状態である)と判別した場合は(S6408:No)、特別図柄の低確率状態(通常状態)を報知するための報知態様を設定して(S6409)、処理をS6411へと移行する。
S6411の処理では、難易度カウンタ223γの値に対して1を加算して、処理をS6412へと移行する。なお、難易度カウンタ223γの値が最大値である4の場合は、値が4のまま保たれる。S6412の処理では、タイミング演出許可フラグ223αをオフに設定することにより、次に2R確変大当たり、または小当たりとなるまでタイミング演出が選択されなくなるように設定して(S6412)、本処理を終了する。
次に、図173を参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行される変動表示設定処理2(S1542)の詳細について説明する。図173は、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される変動表示設定処理2(S1542)を示すフローチャートである。
この変動表示設定処理2(S1542)のうち、S1801~S1810の各処理では、それぞれ第1制御例における変動表示設定処理(S1512、図109参照)で実行されるS1801~S1810の各処理と同一の処理が実行される。
また、本制御例における変動表示設定処理2(S1542)では、S1805の処理が終了すると、変動パターンコマンドにより通知されたのが大当たりC(2R確変大当たり)に対応する変動パターンであるか否かを判別する(S1821)。S1821の処理において、大当たりCに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1821:Yes)、特別図柄の確変状態へと移行することを意味するので、確変状態フラグ223βをオンに設定し(S1823)、S1824の処理へ移行する。
一方、S1821の処理において、大当たりCに対応する変動パターンでないと判別した場合は(S1821:No)、次いで、小当たりに対応する変動パターンであるか否かを判別し(S1822)、小当たりに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1822:Yes)、処理をS1824へと移行する。S1824の処理では、タイミング演出許可フラグ223αをオンに設定することにより、以降の変動演出において興趣演出としてタイミング演出の態様が選択可能となるように設定し(S1824)、S1806の処理へ移行する。
S1822の処理において、小当たりに対応する変動パターンではないと判別した場合は(S1822:No)、次いで、大当たりA、または大当たりBに対応する変動パターンか否かを判別する(S1825)。S1825の処理において、大当たりAに対応する変動パターンでも、大当たりBに対応する変動パターンでもないと判別した場合は(S1825:No)、S1806の処理へ移行する。一方、大当たりA、または大当たりBのいずれかに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1825:Yes)、確変状態フラグ223βを大当たり種別に応じた値に更新する(S1826)。即ち、大当たりA(16R確変大当たり)であれば、確変状態フラグ223βをオンに設定し、大当たりB(16R時短大当たり)であれば、確変状態フラグ223βをオフに設定する。次いで、タイミング演出許可フラグ223αをオフに設定し(S1827)、S1806以降の処理を実行する。
以上説明した通り、本制御例のパチンコ機10では、複数の種別のボタンをタイミングよく操作することによりポイントを獲得できるタイミング演出を実行可能に構成し、ノルマを達成した場合に、特典として現在の遊技状態を報知するように構成されている。これにより、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を、積極的にタイミング演出に参加させることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
また、タイミング演出に成功した場合の特典を、遊技結果に影響が無いもの(現在の遊技状態の報知)とすることにより、純粋に遊技者の押下(操作)タイミングの巧拙によって特典を付与するかどうかを決定することができる。これに対して、仮に、変動開始時(タイミング演出が開始されるよりも前)に既に結果が決まっているもの(例えば、大当たり等)を特典として設定してしまうと、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出の結果(ノルマを達成する態様が表示可能かどうか)が定められてしまう。ノルマが達成できない態様のタイミング演出が存在すると、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまう虞がある。これに対して本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に付与される特典を、遊技結果に影響が無い「遊技状態の報知」に設定している。これにより、純粋に枠ボタン229の押下タイミングの巧拙に応じて特典を付与するか否かを決定することができる。即ち、特典が付与された場合に、遊技者が自力で特典を獲得したという感覚をより強く抱かせることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
また、本制御例では、タイミング演出の実行中において、遊技者のポイント獲得状況に応じて難易度を可変可能に構成されている。即ち、ポイント獲得状況から遊技者の技量を判別し、より遊技者にマッチした難易度の演出態様に変更するように構成されている。これにより、難易度が難しすぎたり、逆に、難易度が易しすぎてタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまうことを防止できる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲をより向上させることができる。
更に、本制御例では、タイミング演出が終了した場合に、遊技者のポイント獲得状況に応じて、次回のタイミング演出の難易度をより遊技者にマッチした難易度に可変するように構成されている。このように構成することで、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲をより向上させることができる。
本制御例では、序盤期間、中盤期間、および終盤期間の3種類の期間を設定する場合に、遊技者の技量やタイミング演出への参加状況に応じて演出態様を選択するように構成していたが、期間は3種類に限られるものではない。例えば、5種類の期間に対してそれぞれ演出態様を設定するように構成してもよい。期間を増やすことで、遊技者の技量等をより正確に判別し、技量にマッチした演出態様を提供することができる。また、逆に期間を少なくしてもよい。これにより、遊技者の技量等を判別するための処理回数を削減できるので、MPU221の処理負荷を軽減することができる。
本制御例では、序盤期間、中盤期間、および終盤期間の3種類の期間を設定する場合に、遊技者の技量やタイミング演出への参加状況に応じて演出態様を選択するように構成していたが、1又は複数の期間の難易度を固定とし、一部の期間の難易度のみを遊技者の技量等に応じて可変できるように構成してもよい。より具体的には、例えば、序盤期間の難易度を比較的難易度が易しい演出態様に設定してもよい。これにより、序盤期間の態様を視認した遊技者に対して、タイミング演出でノルマを容易に達成できそうだという印象を抱かせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、連打期間において10回枠ボタン229を操作されたことに基づいて、連打が成功したと判別してポイントが加算されるように構成していたが、連打に成功したか否かの判断基準は、10回の操作に限定されるものではない。連打期間の長さや、連打バーの長さに応じて任意の値を設定することができる。また、設定されている演出態様に応じて連打に成功したと判別される回数を可変させてもよい。例えば、難易度が低い(例えば、難易度が1の)演出態様の場合には、連打に成功したと判別される回数を10回よりも少ない回数(例えば、6回)に設定し、逆に、比較的難易度が高い(例えば、難易度が4や5の)演出態様の場合には、連打に成功したと判別される回数を10回よりも多い回数(例えば、15回)に設定してもよい。これにより、スクロールバーの表示パターンや、成功期間の範囲だけでなく、連打に成功したと判別される回数でも難易度に差をつけることができるので、難易度を可変するためのバリエーションにより多様性を持たせることができる。
本制御例では、連打期間において所定回数(10回)枠ボタン229を操作されたことに基づいて、連打が成功したと判別してポイントが加算されるように構成していたが、連打以外の操作でも連打と判別するように構成してもよい。例えば、連打期間の間の所定期間(例えば、2秒以上)対応する種別のボタンを押下し続けることにより、所定回数(10回)連打された場合と同様に、連打に成功したと判別してもよい。これにより、連打が苦手な遊技者でも、単に枠ボタン229を押下し続ける(長押しする)だけで連打と判定されてポイントを獲得することができるので、遊技者の負担を軽減することができる。この場合において、連打期間に所定回数(10回)の連打を行ったことにより付与されるポイントを、単に連打期間において枠ボタン229を押下し続けた(長押しした)場合に付与されるポイントよりも多くなるように構成してもよい。このように構成することで、技量の高い上級者には積極的に連打を行わせ、技量の低い(連打が苦手な)遊技者に対しては、少しでもポイントを稼ぐために長押しを行わせることができる。即ち、遊技者の技量に応じて連打期間に対する多様な参加方法を提供できるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、タイミング演出の難易度を設定するための期間として複数の期間を設けていたが、これに代えて、枠ボタン229の操作に失敗した回数や成功した回数に応じて難易度を流動的に可変させるように構成してもよい。これにより、遊技者の操作状況をリアルタイムで難易度に反映させることができる。
本制御例では、序盤期間の演出態様を、難易度カウンタ223γの値に対応する難易度の演出態様に設定するように構成しているが、これに限られるものではない。例えば、序盤期間は難易度カウンタ223γの値によらず比較的簡単な難易度(例えば、難易度2)に設定してもよい。このように構成することで、タイミング演出の開始から少なくとも一定期間(序盤期間が終了するまで)は比較的簡単な演出態様にできるので、遊技者がよりタイミング演出に参加し易くなる。よって、遊技者のタイミング演出に対するs参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、遊技状態の報知をタイミング演出の特典としていたが、これに限られるものではない。例えば、特別図柄の抽選結果をタイミング演出によって報知するように構成してもよい。即ち、タイミング演出においてノルマを達成した場合に大当たりを報知するように構成してもよい。この場合において、特別図柄の抽選が外れでタイミング演出が選択された場合には、ノルマを達成できない演出態様のタイミング演出を選択するように構成してもよい。より具体的には、例えば、特別図柄の外れの場合においてタイミング演出が実行される場合には、序盤期間~終盤期間までの間にスクロール表示されるスクロールバーや連打バーにより獲得できる合計のポイントが最大で900~990ポイントとなるように構成し、特別図柄の当たりの場合は、例えば最大で1000ポイント~1200ポイント獲得できるパターンを選択するように構成してもよい。即ち、タイミング演出選択テーブル222dに対して規定する演出態様として、各期間および各難易度に対応する大当たり用の演出態様と、外れ用の演出態様とを別々に規定しておけばよい。そして、タイミング演出処理(図169参照)において各期間の演出態様を設定する場合には(図169のS6104、図170のS6209、図171のSのS6304,S6305,S6307,S6308)、実行中の変動演出の結果(大当たりであるか、外れであるか)を判別して演出態様を選択するように構成してもよい。このように構成することで、タイミング演出における難易度を遊技者の技量にマッチさせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、大当たり用の態様と、外れ用の態様とで獲得可能なポイントの上限を変更することにより、特別図柄の抽選結果が外れであるにも拘らず、ノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。よって、ノルマを達成したにも拘わらず大当たりが開始されず、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止し、安心してタイミング演出に参加させることができる。
本制御例では、大当たりA、または大当たりBの終了後に少なくとも1回小当たり、または大当たりCとなった後でなければタイミング演出が設定されないように構成していたが、タイミング演出の実行条件は、これに限られるものではない。例えば、保留球数に応じてタイミング演出の選択され易さを変更してもよい。具体的には、保留球数が多い程、タイミング演出が選択され易くなるように構成し、保留球が少ないほど選択され難くなるように構成してもよい。上述した通り、本制御例のタイミング演出は、枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する必要がある。このため、タイミング演出に片手では参加し難く、両手を使用して参加した方が押下を成功させやすくなるように構成されている。即ち、タイミング演出でノルマを達成しようとする遊技者は、一時的に操作ハンドル51から手を離してタイミング演出に参加する可能性がある。よって、保留球数が少ない状態でタイミング演出に参加すると、タイミング演出中に保留球を増やすことができないので、タイミング演出が設定された変動演出の終了後に、特別図柄の抽選が途切れてしまう虞がある。つまり、遊技効率が悪くなってしまう虞がある。よって、保留球の少ない状況下ではタイミング演出が設定され難い構成とすることにより、保留球が少ない状況下では遊技者に球を打ち出させることができるので、保留球を貯めやすくすることができる。よって、遊技効率をアップさせることができる。一方で、保留球の個数が多い場合には、変動中に球を打ち続けることにより、更に保留球が増加する場合があり、保留球数の上限を上回る個数の入球が検出される虞がある。よって、この場合には、両手を用いて参加することによりノルマを達成し易いタイミング演出の発生頻度を高めることにより、保留球数がオーバーフローしてしまうことを防止(抑制)することができる。
本制御例では、タイミング演出として枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する演出が実行されるように構成しているが、ボタンの個数は4種類に限られるものではない。例えば、単一の枠ボタンをタイミング良く押下する演出をタイミング演出として実行してもよい。このように構成することで、片手でハンドル51を操作しつつ、もう片方の手でタイミング演出に参加することができるので、遊技効率を低下させることなくタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、タイミング演出において操作するボタンの種別を減らすことによって、より判り易いゲーム性とすることができる。一方、操作するボタンの種別を本制御例よりも多くしてもよい。操作するボタンが増加する程、タイミング演出の難易度を増加させることができるので、タイミング演出の技量が高い遊技者に対して満足感を抱かせることができる。なお、ポイントの獲得状況や前回のタイミング演出で獲得したトータルポイント等から遊技者の技量を判別し、技量に応じて使用するボタンの個数を増減させてもよい。即ち、技量が低かったり、前回全く参加していないと判別される場合には、例えば、1種類のボタンで参加できる態様のタイミング演出を実行するように構成し、それ以外の遊技者に対しては4種類のボタンを用いるタイミング演出の態様を設定してもよい。このように構成することにより、見た目から明らかに難易度が下がったことを認識させることができるので、技量の低い遊技者に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、タイミング演出が設定された変動演出が実行されると、リーチが発生してから5秒経過時にタイミング演出が開始されるように構成し、14秒間実行されるように構成していたが、タイミング演出の開始期間や継続期間はこれに限られず、任意に設定することができる。例えば、変動時間を全て用いてタイミング演出を実行するように構成してもよい。サブ表示装置690においてタイミング演出が実行されていたとしても、特別図柄の抽選結果は第3図柄表示装置81において表示されるので、変動時間を全て費やしてタイミング演出を実行したとしても、特別図柄の抽選結果を見逃すことを防止(抑制)できる。よって、より長い期間タイミング演出を実行できるので、遊技者の興趣をより向上することができる。
本制御例では、変動演出の実行中にタイミング演出を実行するように構成しているが、タイミング演出の実行期間はこれに限られるものではない。例えば、大当たり(特別遊技状態)中にタイミング演出を実行するように構成してもよい。この場合において、タイミング演出でノルマを達成することにより、大当たり終了後に特別図柄の確変状態へと移行することが報知されるように構成してもよい。このように構成することで、大当たり中が賞球を獲得するための単なる作業となってしまうことを防止(抑制)できるので、大当たり中の遊技に対する興趣を向上させることができる。なお、この場合において、大当たりA(16R確変大当たり)にも拘らず遊技者がノルマを達成できなかった場合には、例えばタイミング演出の報知期間において特別図柄の低確率状態が報知され、その後の大当たりのエンディングで逆転演出を行って特別図柄の確変状態を報知するように構成してもよい。これにより、タイミング演出でノルマを達成できなかった場合にも、エンディング期間で逆転演出が発生することを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
<第3制御例の変形例>
次いで、図187~図198参照して、第3制御例の変形例について説明する。上述した第3制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合の特典として、現在の遊技状態を報知するように構成していた。また、タイミング演出の途中で遊技者の獲得ポイントを判別し、より遊技者の技量に有った難易度に可変するように構成していた。
これに対して第3制御例の変形例では、タイミング演出のノルマを達成した場合に付与される特典を特別図柄の大当たりに設定している。即ち、タイミング演出でノルマを達成した場合は、変動演出の終了後に特別図柄の大当たりが開始される。これに伴って、外れに対応する変動演出においてタイミング演出が実行された場合に、遊技者がノルマを達成し難くなるように構成している。より具体的には、外れに対応する変動演出において実行されるタイミング演出では、序盤期間において遊技者が所定以上のポイント(400ポイント以上)を獲得している場合に、タイミング演出の態様を、遊技者が押下タイミングを誤り易い態様に切り替えるように構成している。より具体的には、タイミング演出において流れる楽曲と、各スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(成功期間)とをずらしている。これにより、楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を押下した場合に失敗と判定されるので、押下するタイミングを惑わすことができる。よって、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成することを防止(抑制)することができるので、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが開始されないことにより、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)することができる。また、序盤期間では楽曲のリズムと成功期間とが一致する態様でタイミング演出を実行し、中盤期間以降において楽曲と成功期間とをずらすことにより、中盤期間以降において遊技者が押下により失敗し易くなるように構成している。なお、タイミングのずらし方については、楽曲のリズムに比較して成功期間の方が早いタイミングで設定されるパターンと、楽曲のリズムに対して遅いタイミングで設定されるパターンとが設けられている。これらは、遊技者の癖に応じて使い分けられる。即ち、比較的早めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して早めると、遊技者の癖(早めに枠ボタン229を操作する傾向)に合致し、かえってポイントを獲得し易くなる可能性がある。逆に、比較的遅めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせると、遊技者の癖(遅めに枠ボタン229を操作する傾向)に合致し、かえってポイントを獲得し易くなる可能性がある。よって、本変形例では、遊技者が早めに枠ボタン229を操作しがちか、遅めに操作しがちかを判別し遊技者の癖に応じてより成功し難くなるタイミングで成功期間が設定されるようにタイミングをずらしている。
また、本変形例では、終盤期間における演出態様として、複数種類の態様から1の態様を選択可能に構成している。より具体的には、獲得可能なポイントが比較的多い(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様と、獲得可能なポイントが比較的少ない(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様とを選択可能に構成している。外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了までに遊技者の獲得したポイントが所定以上(750ポイント以上)の場合には、獲得可能なポイントが少ない態様を設定することにより、タイミング演出が終了するまでに遊技者がノルマである1000ポイントを達成してしまうことを防止している。このように構成することで、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまう状況をより確実に防止(抑制)することができる。
この第3制御例の変形例におけるパチンコ機10が、第3制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第3制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図187を参照して、本変形例において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を判別する方法について説明する。本変形例では、上述した通り、外れに対応する変動演出の中盤期間において、タイミング演出中に流れる楽曲と、成功期間とをずらすことにより遊技者が失敗期間で枠ボタン229を押下し易くなるように構成している。即ち、外れに対応する変動演出において、ノルマに達し難くなるように構成している。また、成功期間をずらすにあたり、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じてずらし方を変えている。具体的には、枠ボタン229を早めに押しがちな遊技者に対しては、楽曲のリズムに対して成功期間を遅らせ、遅めに押しがちな遊技者に対しては、楽曲のリズムに対して成功期間を早める。これにより、外れに対応する変動演出において遊技者がポイントを獲得し難くできるので、より確実に外れ時にノルマを達成してしまう不具合を防止(抑制)することができる。
遊技者の癖(傾向)は、序盤期間に判別される。より具体的には、序盤期間に設定される成功期間(スクロールバーが押下示唆領域911aと重なる期間)において、遊技者が比較的早めに枠ボタン229を押下した回数と、比較的遅めに押下した回数とをカウントしておく。そして、早めに押下した回数が多ければ、早めに押す癖(傾向)がある遊技者であると判別して、中盤期間以降に成功期間を楽曲のリズムから遅らせる。一方、遅めに押下した回数が多ければ、遅めに押す癖(傾向)がある遊技者と判別して、中盤期間以降に成功期間を楽曲のリズムよりも早める。
なお、序盤期間において流れる楽曲としては、比較的テンポが遅い楽曲が設定され、成功期間も楽曲のテンポに合わせたタイミングで設定される。仮に、序盤期間においてテンポの早い楽曲を設定し、且つ、楽曲のテンポに合わせた多量のスクロールバーが連続して表示されるように構成してしまうと、遊技者がテンポについていけず、枠ボタン229を真剣に押下し無くなってしまう可能性がある。この場合、序盤期間における遊技者の傾向を把握(集計)したとしても、遊技者が真剣にリズムに合わせて枠ボタン229を押下したのか、途中でテンポについていけなくなってしまい、押下のタイミングがずれたかを見分けることができないため、遊技者の実際の癖(傾向)とは異なる癖(傾向)と判定されてしまう虞がある。これに対して本変形例では、大半の遊技者が十分に余裕を持って楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を押下することができるテンポ(リズム)の楽曲が設定される。これにより、各遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)をより正確に判定することができる。
図187に示した通り、序盤期間における各成功期間は、早め成功区間、ジャスト成功区間、遅め成功区間の3つの区間に分けられている。早め成功区間は、0.2秒間設定される成功期間のうち、成功期間の開始からの0.08秒間である。この早め成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーの一部と押下示唆領域911aの右側とが重なった状態の表示態様となる(図187のHK参照)。この早め成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合には、早めに押下したとカウントされる。
また、成功期間のうち、0.08秒~0.12秒の0.04秒間はジャスト成功区間となる。このジャスト成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーが押下示唆領域911aに完全に重なった状態の表示態様となる(図187のJK参照)。このジャスト成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合は、ジャストタイミングで枠ボタン229を押下したことを意味するので、早めの押下回数にも遅めの押下回数にもカウントされない。
更に、成功期間のうち0.12秒~0.2秒の0.08秒間は遅め成功区間となる。この遅め成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーの左側が押下示唆領域911aの左端よりも更に左側にはみ出した状態の表示態様となる(図187のOK参照)。この遅め成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合には、遅めに押下したとカウントされる。
なお、早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間であるかは本変形例におけるROM222に設けられた押下期間テーブル222eに規定されている。即ち、上述した第2制御例では、成功期間であるか、失敗期間であるかをタイミング演出の開始からの経過時間、および枠ボタン229のボタン種別に対応付けて規定されていたが、本制御例では、これらに加えて成功期間の区分(早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間)が規定されている。本制御例では、押下期間テーブル222eと、経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)と、遊技者が操作したボタン種別とに応じて、遊技者が早めにボタンを押下したのか、遅めに押下したのかを判別している。
このように、本変形例では、序盤期間において設定される各成功期間を、早め成功区間と、ジャスト成功区間と、遅め成功区間とに区分し、遊技者が各区分において枠ボタン229を操作した回数をそれぞれカウントするように構成している。これにより、遊技者が枠ボタン229を早めに押しがちであるか、遅めに押しがちであるかを判別することができる。よって、中盤期間以降に楽曲のリズムと成功期間とをずらす場合に、遊技者の傾向に反するずらし方をすることができる。即ち、遊技者がより成功期間において枠ボタン229を押下し難くすることができるので、外れに対応する変動演出において、遊技者がノルマを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)することができる。
次に、図188、および図189を参照して、中盤期間以降における押下期間(成功期間、および失敗期間)と、楽曲のリズムとの対応関係について説明する。まず、図188は、楽曲のリズムと成功期間とが一致している場合における、両者の対応関係を示した図である。なお、リズムと成功期間とを一致させる場合とは、タイミング演出における序盤期間や、大当たりに対応する変動演出でタイミング演出が設定された場合等である。
図188の上側は、タイミング演出において流れる楽曲の音程の計時変化を示しており、図189の下側は、押下期間(成功期間であるか、失敗期間であるか)の計時変化をボタン種別毎に示している。図188に示した通り、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBのそれぞれに対応する成功期間は、タイミング演出中の楽曲で新たな音程となるタイミングと一致している。例えば、図188において上ボタンUBの成功期間は3回設けられており、それぞれ楽曲において「ミ」(最も左側の音符)、「ド」(左から2番目の音符)、「シ」(最も右側の音符)の音程となるタイミングとそれぞれ一致するタイミングで設定される。
同様に、右ボタンRBの成功期間は1回設けられており、楽曲において「ソ」(右から3番目の音符)の音程となるタイミングと一致するタイミングで設定される。また、左ボタンLBの成功期間は2回設けられており、それぞれ楽曲において「ラ」(左から3番目の音符)、「ド」(左から4番目の音符)の音程となるタイミングとそれぞれ一致するタイミングで設定される。また、下ボタンDBの成功期間は1回設けられており、楽曲において「シ」(右から2番目の音符)の音程となるタイミングと一致するタイミングで設定される。
このように、楽曲の音程が変わるタイミングと、成功期間とを一致させることにより、楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を操作することにより成功と判定されるようになる。よって、遊技者がタイミングを合わせて枠ボタン229を操作し易くできる。
なお、本制御例では、成功期間を一致させるか、ずらすかを押下期間(失敗期間、および成功期間)の設定タイミングによって可変させている。即ち、序盤期間が終了してから中盤期間の押下期間(および演出態様)を設定するまでの期間を可変することにより、楽曲のリズムと成功期間を一致させたり、ずらしたりしている。このように構成することにより、押下期間テーブル222eとして、楽曲のリズムと成功期間とが一致するテーブルと、楽曲のリズムと成功期間とがずれるテーブルとをそれぞれ用意する必要が無くなり、単に同一のテーブルを設定する場合の設定タイミングを可変させるだけでよいので、ROM222の容量を削減することができる。また、同様に、タイミング演出の表示態様として、楽曲のリズムと成功期間とが一致する態様、ずれる態様をそれぞれ用意しておく必要がないため、表示制御装置114のキャラクタROM234の容量を削減することができる。
押下期間(および中盤期間の演出態様)の設定タイミングとしては、序盤期間が終了してから0.5秒後、1秒後、1.5秒後の3種類のオフセット期間が設けられている。ここで、中盤期間における押下期間や演出態様の設定タイミングが可変しても、サブ表示装置690の表示態様等が異常とならないために、序盤期間における表示態様は、設定タイミングを遅らせる場合を基準に設定されている。即ち、序盤期間が終了してから少なくとも1.5秒間分の表示態様が、序盤期間に対応する表示用データテーブルに対して規定されている。これにより、序盤期間が終了してから中盤期間が設定されるまでの期間においてもサブ表示装置690に対してタイミング演出の演出態様を正常に表示させ続けることができる。
本制御例では、序盤期間が終了してから1秒後に中盤期間の押下期間(および中盤期間の演出態様)を設定することにより、楽曲のリズムと成功期間とを一致させることができるように構成されている。即ち、図188に図示したオフセットt1は、1秒間を意味する。
次に、図189を参照して、中盤期間において楽曲のタイミングに対して成功期間が遅めに設定される場合の例について説明する。なお、上述した通り、成功期間が遅めに設定される場合とは、外れに対応する変動演出の序盤期間において、枠ボタン229を楽曲のリズムに対して早めに押す癖(傾向)がある遊技者と判別された場合である。
図189に示した通り、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせる場合には、序盤期間が終了してから中盤期間の押下期間(および演出態様)が設定されるまでの期間(オフセット期間)としてt2(1.5秒)が選択される。即ち、図188に示したオフセットt1よりも0.5秒長いオフセット期間が選択される。これにより、中盤期間における押下期間の設定タイミングが、楽曲のリズムと一致するタイミング(図188参照)から0.5秒遅れる。即ち、楽曲のリズムに対して成功期間を遅らせることができる。よって、序盤期間においてリズムに合わせて枠ボタン229を押下していた遊技者が、序盤期間と同様にリズムに合わせて枠ボタン229を押下し続けることにより、失敗期間において枠ボタン229を押下させることができる。よって、外れに対応する変動演出に対して設定されたタイミング演出において、遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
<第3制御例の変形例における電気的構成について>
次に、図190、および図191を参照して、第3制御例の変形例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。まず、図190(a)を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113に設けられたROM222タイミング演出選択テーブル222dについて説明する。このタイミング演出選択テーブル222dは、上述した第3制御例におけるタイミング演出選択テーブル222dと同様に、タイミング演出の態様が規定されたデータテーブルである。タイミング演出の各期間(序盤期間、中盤期間、および終盤期間)を開始する場合にはこのタイミング演出選択テーブル222dに規定された演出態様に基づいて、表示制御装置114に対して各期間の表示態様を通知するコマンドを設定する。表示制御装置114のワークRAM233におけるデータテーブル格納エリア233bには、変動表示データテーブル等と同様に、タイミング演出の各期間の表示態様に対応する表示データテーブルが格納されるように構成されている。表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して表示態様として設定する。
図190(a)に示した通り、本変形例のタイミング演出選択テーブル222dには、タイミング演出の各期間に対応付けて、選択可能な演出態様が規定されている。より具体的には、序盤期間に対して、序盤用演出が規定されている。タイミング演出の開始時には、この序盤用演出がタイミング演出選択テーブル222dから読み出され、表示制御装置114に対して通知される。
また、中盤期間に対して、中盤用演出が規定されている。この中盤用演出は、序盤期間の終了後に設定されるオフセット期間が経過した際に、このタイミング演出選択テーブル222dから読み出されて表示制御装置114に対して通知される。なお、上述した通り、オフセット期間は変動演出の種別(大当たりに対応する変動演出か、外れに対応する変動演出か)や、遊技者の枠ボタン229押下時の癖(傾向)に応じて異なる値が選択される。具体的には、大当たりに対応する変動演出の場合には、序盤期間終了後のオフセット期間としてt1(1秒)が設定される。オフセット期間として1秒が設定されると、タイミング演出において流れる楽曲のリズム(音程の変化)と、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとが一致するように構成されている。一方、外れに対応する変動演出中であって、且つ、早めに(早め成功区間で)枠ボタン229を押す癖(傾向)の遊技者が遊技を行っていると判別された場合は、オフセット期間としてt2(1.5秒)が設定される。これにより、楽曲のリズムに対して、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングを遅らせることができる。即ち、遊技者が押下に失敗し易くできるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。更に、外れに対応する変動演出中であって、且つ、遅めに(早め成功区間で)枠ボタン229を押す癖(傾向)の遊技者が遊技を行っていると判別された場合は、オフセット期間としてt3(0.5秒)が設定される。これにより、楽曲のリズムに対して、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングを早めることができる。即ち、遊技者が押下に失敗し易くできるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。
終盤期間に対しては、選択可能な演出態様として終盤通常用演出と、終盤失敗用演出の2種類が規定されている。終盤通常用演出は、獲得可能なポイントが比較的多い態様の演出であり、大当たりに対応する変動演出に対してタイミング演出が設定された場合や、外れに対応する変動演出において、中盤期間が終了するまでに獲得したポイントが少ない(750ポイント未満)場合に選択される。一方、終盤失敗用演出は、獲得可能なポイントが比較的少ない態様の演出であり、外れに対応する変動演出において、中盤期間が終了するまでに獲得したポイントが多い(750ポイント以上)場合に選択される。獲得可能な複数の演出態様を設けておくことにより、外れに対応する変動演出において中盤期間が終了するまでに遊技者が比較的多くのポイントを獲得していたとしても、終盤期間でポイントを調節することができる。よって、外れに対応する変動演出にも拘わらず、ノルマを達成してしまう(1000ポイント以上獲得してしまう)ことを防止(抑制)することができる。
次に、図190(b)を参照して、タイミング演出選択テーブル222dに規定されている各テーブルにおいて獲得可能なポイントについて説明する。図190(b)は、タイミング演出選択テーブル222dに規定されている演出態様毎の、遊技者が全ての成功期間において対応するボタン種別の押下を行った場合に獲得するポイント(最大獲得ポイント)を示した図である。図190(b)に示した通り、序盤用演出では、白抜きのスクロールバーが9回と、連打バーが1回表示される。これらのスクロールバーは、何れも押下に成功した場合に50ポイントが付与される(図163(a)の配当表参照)ので、序盤用演出における最大獲得ポイントは500ポイント(9回×50ポイント+1回×50ポイント)である。
また、中盤用演出では、ハッチングされたスクロールバーが15回と、白抜きのスクロールバーが2回と、連打バーが2回表示される。ハッチングされたスクロールバーは押下に成功した場合に10ポイントが付与される(図163(a)の配当表参照)ので、中盤用演出における最大獲得ポイントは350ポイント(15回×10ポイント+2回×50ポイント+2回×50ポイント)である。
更に、終盤通常用演出では、ハッチングされたスクロールバーが10回と、白抜きのスクロールバーが3回表示されるので、最大獲得ポイントは250ポイント(10回×10ポイント+3回×50ポイント)である。一方、終盤失敗用演出では、ハッチングされたスクロールバーが10回のみ表示されるので、最大獲得ポイントが100ポイント(10回×10ポイント)となる。
本制御例では、大当たりに対応する変動演出においてタイミング演出が設定された場合に終盤用通常演出が設定される。終盤用通常演出が設定されることにより、タイミング演出においてトータルで最大1100ポイント(500ポイント+350ポイント+250ポイント)を獲得させることができるので、タイミング良く枠ボタン229を押下することにより、ノルマである1000ポイントを達成させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、外れに対応する変動演出における中盤期間の終了時点で遊技者の獲得ポイントが750ポイント未満の場合にも、終盤用通常演出が設定されるように構成されている。終盤通常用演出における最大獲得ポイントを達成したとしても、ノルマである1000ポイントに到達できないからである。ノルマを達成できないことが確定している場合に、比較的多くのポイントを獲得し易い演出態様(終盤通常用演出)を設定する構成とすることで、たとえノルマを達成できなかったとしても、今回のタイミング演出で惜しい所までいったという感覚を遊技者に抱かせ易くできるので、次回のタイミング演出に対するモチベーションを上昇させることができる。
一方、外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了時点で、ノルマを達成するまでの残りのポイントが250ポイント以下の場合には、終盤用失敗演出を設定するように構成されている。仮に終盤用通常演出を設定し、最大獲得ポイントである250ポイントを遊技者が獲得してしまうと、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが付与されないという状況が発生してしまい、遊技者に対して不信感を抱かせてしまう虞があるからである。そこで、本変形例では、中盤期間の終了時点においてノルマに対する残りのポイントが少ないと判別された場合に、獲得可能なポイントが少ない終盤失敗用演出を設定するように構成している。このように構成することにより、外れに対応する変動演出において遊技者がタイミング演出のノルマである1000ポイントを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)することができる。
なお、図190(b)に示した通り、本変形例において、序盤期間では他の期間(中盤期間、および終盤期間)に比較して獲得できるポイントが多いスクロールバー(白抜きのスクロールバー)の出現割合が高くなるように構成されている。即ち、序盤期間では少ない成功回数でより多くのポイントを獲得できるように構成されているので、難易度が低いと感じさせることができる。これにより、序盤期間における表示内容(表示されるスクロールバーの組み合わせ)から、タイミング演出において遊技者に対してノルマを容易に達成できそうな印象を抱かせることができることができるので、タイミング演出の開始直後から遊技者に対して積極的にタイミング演出に参加させることができる。また、序盤期間においてポイントを獲得し易くし(難易度を低くし)、より多くのポイントを獲得させておくことにより、中盤期間や終盤期間において多少枠ボタン229の押下に失敗したとしても、序盤期間において多量のポイントを獲得した印象から、十分に挽回できると感じさせることができる。よって、遊技者がタイミング演出の途中でノルマの達成を諦めてしまう(タイミング演出への参加を放棄してしまう)ことを防止(抑制)し、最後までタイミング演出に参加させ続けることができる。
なお、本変形例では、序盤期間における難易度を比較的低くすることにより、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させていたが、参加意欲を向上させるための構成はこれに限られるものではない。例えば、遊技者の参加状況を判別し、遊技者がタイミング演出に積極的に参加していないと判別される場合には、遊技者がより参加し易い表示態様に切り替えてもよい。参加状況を判別する方法としては、例えば、タイミング演出中に遊技者が枠ボタン229を押下したトータル回数をカウントするカウンタ手段を設けておき、タイミング演出の開始から所定期間(例えば、2秒間)が経過するまでに、カウンタ手段のカウント値(遊技者の押下回数)が所定数以下(例えば、5以下)であれば、遊技者がタイミング演出に積極的に参加していないと判別してもよい。また、遊技者がより参加し易い表示態様としては、例えば、枠ボタン229を構成する複数のボタン種別のうち、単一のボタン種別のみで参加できる演出態様に切り替えてもよい。これにより、単に1のボタン種別をタイミング良く押下すれば、ポイントを獲得できるというより単純なゲーム性に切り替えられるので、タイミング演出を敬遠していた遊技者の参加意欲を向上させることができる。また、遊技者が参加し易い表示態様の別例として、例えば、連打バーを連続して表示させるように構成してもよい。スクロールバーは、押下示唆領域911aと重なる期間が短く、タイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが比較的難しいのに対して、連打バーは、押下示唆期間911aと重なる期間が比較的長いため、ポイントを得ることが容易であると遊技者に感じさせることができる。よって、途中まで積極的に参加していなかった遊技者に対して、タイミング演出への参加意欲を向上させることができる。
なお、これらを実現するためには、タイミング演出の表示態様として、切り替え用の表示態様(表示データテーブル)を別途表示制御装置234のキャラクタROMに用意しておけばよい。また、切り替え用の表示態様に合わせた押下期間テーブルを、別途押下期間テーブル222eに設けておけばよい。そして、タイミング演出の開始から所定期間(例えば、2秒)経過時点において、遊技者が今回のタイミング演出において枠ボタン229を押下した回数を読み出し、所定回数以下(例えば、5回以下)であれば、切り替え用の態様を設定すればよい。即ち、切り替え用の表示態様を表示制御装置114に対して通知することにより、表示態様を切り替えると共に、切り替え用の押下期間テーブルを押下期間テーブル222eから読み出して押下期間格納エリアに格納すればよい。
次に、図190(c)を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113のROM222に設けられた押下期間テーブル222eについて説明する。この押下期間テーブル222eは、上記第3制御例における押下期間テーブル222eと同様に、枠ボタン229を押下した場合に、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングで押下された(押下に成功した)と判定されるか否かを、タイミング演出が開始されてからの経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて規定したデータテーブルである。
図190(c)に示した通り、本制御例では、押下期間テーブル222eは、序盤期間用テーブル222e31と、中盤期間用テーブル222e32と、終盤期間用通常テーブル222e33と、終盤期間用失敗テーブル222e34とで構成されている。
序盤期間用テーブル222e31は、序盤期間におけるボタン種別毎の成功期間、および失敗期間を経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて規定したデータテーブルであり、タイミング演出の開始時に序盤用演出と合わせて設定される。タイミング演出選択テーブル222dに規定された序盤用演出と、序盤期間用テーブル222e31とを同じタイミングで設定することにより、サブ表示装置690においてスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを一致させることができる。また、序盤期間用テーブル222e31には、各成功期間に対して区分が規定されている。つまり、早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間であるかが規定されている。この序盤期間用テーブル222e31に規定された区分と、遊技者が枠ボタン229を押下したタイミングとに応じて、遊技者の癖(早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)を判別することができる。
同様に、中盤期間用テーブル222e32は、中盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、序盤期間の終了時に設定されるオフセット期間が終了した場合に、中盤用演出の設定と共に選択される。また、終盤期間用通常テーブル222e33は、終盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、終盤期間において終盤通常用演出が設定される場合に選択される。更に、終盤期間用失敗テーブル222e34は、終盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、終盤期間において終盤失敗用演出が設定される場合に選択される。このように、演出態様に応じた押下期間テーブルを設けておくことにより、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを一致させることができる。
次に、図191を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223について説明する。図191は、RAM223の構成を示したブロック図である。図191に示した通り、本変形例におけるRAM223には、第3制御例におけるRAM223の構成に加えて、早め回数カウンタ223πと、遅め回数カウンタ223ρと、オフセット格納エリア223σとが追加されている。
早め回数カウンタ223πは、タイミング演出の序盤期間において、遊技者が早め成功区間で対応するボタン種別を押下した回数をカウントするためのカウンタである。この早め回数カウンタ223πは、初期値が0に設定されている。また、タイミング演出の序盤期間において遊技者が早め成功区間で対応するボタン種別を押下したことを検出する度に、その値に1が加算される(図193のS7003参照)。序盤期間が終了すると、この早め回数カウンタ223πの値と、後述する遅め回数カウンタ223ρの値とが比較され、遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)が判別されて、対応するオフセット期間が設定される(図195のS7107,S7108参照)。この早め回数カウンタ223πは、タイミング演出において結果の報知を設定すると共に0にリセット(初期化)される(図198のS6425参照)。
遅め回数カウンタ223ρは、タイミング演出の序盤期間において、遊技者が遅め成功区間で対応するボタン種別を押下した回数をカウントするためのカウンタである。この遅め回数カウンタ223ρは、初期値が0に設定されている。また、タイミング演出の序盤期間において遊技者が遅め成功区間で対応するボタン種別を押下したことを検出する度に、その値に1が加算される(図193のS7005参照)。序盤期間が終了すると、この遅め回数カウンタ223ρの値と、上述した早め回数カウンタ223πの値とが比較され、遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)が判別されて、対応するオフセット期間が設定される(図195のS7107,S7108参照)。この遅め回数カウンタ223ρは、タイミング演出において結果の報知を設定すると共に0にリセット(初期化)される(図198のS6425参照)。
オフセット格納エリア223σは、序盤演出が終了してから、中盤演出に対応する押下期間、および演出態様を設定するまでのオフセット期間を記憶しておくための記憶領域である。上述した通り、オフセット期間は、序盤期間の終了時点において遅め回数カウンタ223ρの値と、早め回数カウンタ223πの値とに基づいて判別された遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)に基づいて選択される(図195のS7102,S7107,S7108)。このオフセット格納エリア223σに格納されたオフセット期間が経過した場合に、中盤期間に対応する押下期間、および演出態様が設定される。
<第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図192~図198を参照して第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図192は、本変形例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)を示すフローチャートである。この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)は、上記第3制御例における枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)に代えて実行される処理であり、枠ボタン229の入力を監視し、入力が確認された場合に対応する演出を設定するための処理である。
この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)のうち、S6001~6011,S6013、およびS6014の各処理では、それぞれ第3制御例における枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)のS6001~6011,S6013、およびS6014の各処理と同一の処理が実行される。また、本変形例では、S6005の処理において、枠ボタン229の押下(操作)を検出したのが連打期間中でない(S6005:No)と判別された場合に、現在が失敗期間であるか否かを判別する(S6021)。
S6021の処理において、失敗期間でないと判別した場合は(S6021:No)、成功期間において対応するボタン種別を押下したことを意味するため、押下に成功した際の態様を設定するための成功時処理(S6022)を実行して、本処理を終了する。一方、S6021の処理において、失敗期間であると判別した場合は(S6021:Yes)、S6013以降の処理を実行する。
次に、図193のフローチャートを参照して、上述した成功時処理(S6022)の詳細について説明する。この成功時処理(S6022)では、まず、序盤期間であるか否かを判別し(S7001)、序盤期間でない(即ち、中盤期間、または終盤期間である)と判別した場合は(S7001:No)、処理をS7006へと移行する。
一方、S7001の処理において、現在が序盤期間であると判別した場合は(S7001:Yes)、次いで、枠ボタン229の押下を検出したのが成功期間のうちの早め成功区間であるか否かを判別する(S7002)。そして、早め成功区間であると判別した場合は(S7002:Yes)、早め回数カウンタ223πの値に1を加算して(S7003)、処理をS7006へと移行する。これに対して、S7002の処理において早め成功区間でないと判別した場合は(S7002:No)、次に、現在が遅め成功区間であるか否かを判別する(S7004)。そして、遅め成功区間であると判別した場合には(S7004:Yes)、遅め回数カウンタ223ρの値に1を加算し(S7005)、処理をS7006へと移行する。一方、S7004の処理において遅め成功区間でないと判別された場合には(S7004:No)、そのまま処理をS7006へと移行する。
S7006の処理では、表示用成功演出コマンドを設定することで(S7006)、押下に成功したことを遊技者に報知するためのサブ表示装置690の表示態様(図163(b)参照)を設定する。この報知により、遊技者が成功したタイミングを認識することができる。S7006の処理が終了すると、スコアカウンタ223ηに対して、押下に成功した際に押下示唆領域911aに重なっていたバーの種別に応じたポイント(スコア)を加算して(S7007)、本処理を終了する。
この成功時処理を実行することにより、枠ボタン229の押下に成功した区間の種別に応じて早め回数カウンタ223πや遅め回数カウンタ223ρを更新することができるので、序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)のデータを蓄積することができる。よって、中盤期間以降の表示態様、および押下期間を設定する際に、遊技者の癖(傾向)に応じた設定を行うことができる。
次に、図194~図198を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるタイミング演出処理2(S1562)について説明する。このタイミング演出処理2(S1562)は、メイン処理の中で、第3制御例におけるタイミング演出処理(図169参照)に代えて実行される処理であり、タイミング演出中の各種設定を行うために実行される。
このタイミング演出処理2(S1562)のうち、S6101,S6102,S6105,S6114、およびS6115の各処理では、それぞれ第3制御例におけるS6101,S6102,S6105,S6114、およびS6115の各処理と同一の処理が実行される。
また、本変形例におけるタイミング演出処理2(S1562)では、変動開始から15秒が経過したと判別され(S6102:Yes)、タイミング演出の開始タイミングとなった場合に、まず、タイミング演出の楽曲を設定する(S6021)。即ち、音声出力装置226に対し、タイミング演出用の楽曲の出力を指示するためのコマンド(音声用楽曲コマンド)を設定する。ここで設定された音声用楽曲コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理のコマンド出力処理(図167参照S1502参照)において、音声出力装置226に対して出力される。音声出力装置226では、この音声用楽曲コマンドを受信することによって、この音声用楽曲コマンドによって示される楽曲(タイミング演出用の楽曲)の出力が開始される。
S6121の処理が終了すると、次いで、タイミング演出選択テーブル222dから演出態様として序盤用演出の態様を選択し(S6122)、第3制御例と同様に、選択した演出態様を通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6105)。ここで設定された表示用序盤態様コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理のコマンド出力処理(図167参照S1502参照)において、表示出力装置114に対して出力される。表示制御装置114では、この表示用序盤態様コマンドを受信することによって、サブ表示装置690においてタイミング演出の表示が開始される。
S6105の処理が終了すると、次いで、押下期間テーブル222eから序盤期間用テーブル222e31を読み出して(S6123)、その読み出した序盤期間用テーブル222e31をRAM223に設けられた押下期間格納エリア(図示なし)に格納し(S6124)、本処理を終了する。枠ボタン入力監視・演出処理2(図192参照)のS6004の処理では、この押下期間格納エリアに格納された序盤期間用テーブル222e31が参照されて、枠ボタン229の押下が成功したか否か判別される。また、上述した通り、序盤期間用テーブル222e31には、成功期間の区間(早め成功区間、ジャスト成功区間、および遅め成功区間)も規定されている。成功時処理では、押下期間格納エリアに格納された序盤期間用テーブル222e31に基づいて、成功期間のうち何れの区間であるかが判別されて、各種カウンタ(早め回数カウンタ223π、遅め回数カウンタ223ρ)の値が更新される。
一方、S6102の処理において、変動開始から15秒経過時点でないと判別された場合には(S6102:No)、次いで、変動開始から19秒が経過したか否か判別する(S6125)。ここで、19秒とは本変形例における序盤期間の終了タイミングである。なお、上述した通り、序盤期間の表示態様を設定するための、表示制御装置114のワークRAM233に記憶された表示データテーブルは、序盤期間が終了してから少なくとも1.5秒分の表示態様(表示演出)が余分に規定されている。このため、序盤期間が終了してから0.5秒~1.5秒のオフセット期間を経て中盤期間の演出態様を設定したとしても、オフセット期間中にサブ表示装置690の表示が途切れてしまうことを防止(抑制)することができる。
S6125の処理において、変動開始から19秒が経過したと判別した場合は(S6125:Yes)、次いで、変動演出の結果や遊技者の癖(傾向)等に応じたオフセット期間を設定するためのオフセット設定処理を実行し(S6126)、本処理を終了する。このオフセット設定処理(S6126)の詳細については、図195を参照して後述する。
一方、S6125の処理において、変動開始から19秒経過時点でないと判別した場合は(S6125:No)、オフセット設定処理(S6126)により設定されたオフセット期間が経過したか否かを判別する(S6127)。そして、オフセット期間が経過したと判別した場合は(S6127:Yes)、中盤期間の各種設定を行うための中盤設定処理2を実行して(S6128)、本処理を終了する。この中盤設定処理2(S6128)の詳細については、図196を参照して後述する。
S6127の処理において、オフセット期間が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6127:No)、次いで、中盤期間の終了タイミングであるか否か判別する(S6129)。なお、中盤期間の終了タイミングとは、オフセット期間が経過してから5秒後である。S6129の処理において、中盤期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6129:Yes)、タイミング演出における終盤期間の設定を行うための終盤設定処理2を実行し(S6130)、本処理を終了する。この終盤設定処理2(S6130)の詳細については、図197を参照して後述する。
S6129の処理において、中盤期間の終了タイミングでないと判別した場合は(S6129:No)、次いで、終盤期間の終了タイミングであるか否かを判別する(S6131)。なお、終盤期間の終了タイミングとは、中盤期間の終了から2秒後である。S6131の処理において、終盤期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6131:Yes)、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するための報知態様設定処理2を実行し(S6132)、本処理を終了する。この報知態様設定処理2(S6132)の詳細については、図198を参照して後述する。更に、S6131の処理において、終盤期間の終了タイミングでないと判別された場合は(S6131:No)、S6114以降の処理を実行する。上述した通り、S6114,S6115の各処理は、第3制御例におけるタイミング演出処理(図169参照)のS6114,S6115の各処理と同一であるため、その説明については省略する。
次に、図195のフローチャートを参照して、上述したオフセット設定処理(S6126)の詳細について説明する。このオフセット設定処理(S6126)は、序盤期間が終了してから中盤期間の設定を行うまでのオフセット期間を遊技者の癖(傾向)等に応じて設定するための処理である。
このオフセット設定処理(S6126)では、まず、外れに対応する変動演出の実行中であるか否かを判別し(S7101)、外れに対応する変動演出でない(即ち、大当たりに対応する変動演出である)と判別した場合は(S7101:No)、オフセット期間として通常用のオフセット期間であるt1(1秒)を設定し(S7102)、本処理を終了する。この通常用のオフセット期間t1(1秒)が設定された場合には、序盤期間の終了後1秒経過時点で押下期間、およびサブ表示装置690の演出態様が設定される。このタイミングで中盤期間の設定を行うことにより、上述した通り、楽曲のリズム(音程の変化)と成功期間(およびスクロールバーが押下示唆領域911aに重なる表示態様となるタイミング)が一致する(図188参照)。よって、遊技者がリズムに合わせて枠ボタン229を操作することにより、容易にポイントを獲得することができる。よって、大当たり時のタイミング演出においてノルマを達成し易くできる。従って、ノルマを達成し、大当たりとなることにより、遊技者に対してタイミング演出中の頑張りにより自力で大当たりを引き当てたかのように感じさせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
一方、S7101の処理において、外れに対応する変動演出が実行中であると判別した場合は(S7101:Yes)、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S7103)、その値が400未満であるか否かを判別する(S7104)。そして、値が400未満であると判別した場合は(S7104:Yes)、処理を上述したS7102へと移行する。即ち、中盤期間以降も、楽曲のリズムと一致するタイミングで成功期間が設定されるオフセット値(t1)を設定する。スコアカウンタ223ηの値が400未満(つまり、遊技者が序盤期間において獲得したポイントが400ポイント未満)の場合には、中盤期間、および終盤期間において獲得可能なポイント(350ポイント+250ポイント)を全て獲得したとしてもノルマである1000ポイントに満たないためである。よって、この場合には、楽曲のリズムに合わせてボタンを押下するだけで容易にポイントが獲得できる態様に設定する。これにより、ノルマを達成不可能な範囲で、より多くのポイントを獲得させることができるので、タイミング演出のノルマを達成できなかった遊技者に対して、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。よって、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。
一方、S7104の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が400以上であると判別した場合は(S7104:No)、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じたオフセット期間を設定するための処理(S7105~S7108)を実行する。即ち、早め回数カウンタ223π、および遅め回数カウンタ223ρの値を読み出して(S7105)、早め回数カウンタ223πの値が遅め回数カウンタ223ρの値よりも大きい値であるか否かを判別する(S7106)。即ち、遊技者が序盤期間において早め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が高い(表示よりも早めに枠ボタン229を操作する傾向にある)か否かを判別する。
S7106の処理において、早め回数カウンタ223πの値が遅め回数カウンタ223ρの値以下であると判別した場合は(S7106:No)、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(楽曲のリズムに有ったタイミング)よりも若干遅めに枠ボタン229を押下する傾向があることを意味する。よって、この場合は、楽曲のリズムよりも成功期間を早めることにより、遅めに枠ボタン229を押下しがちな遊技者がより失敗し易くなるように構成する。即ち、オフセット期間として比較的短めのオフセット期間t3(0.5秒)を設定して(S7107)、本処理を終了する。
これに対し、S7106の処理において、早め回数カウンタ223πの値の方が大きいと判別した場合は(S7106:Yes)、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(楽曲のリズムに有ったタイミング)よりも若干早めに枠ボタン229を押下する傾向があることを意味する。よって、この場合は、楽曲のリズムよりも成功期間を遅らせることにより、早めに枠ボタン229を押下しがちな遊技者がより失敗し易くなるように構成する。即ち、オフセット期間として比較的長めのオフセット期間t2(1.5秒)を設定して(S7108)、本処理を終了する。
このように、外れに対応する変動演出において、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を解析(判別)し、解析結果(判別結果)に応じて遊技者が成功期間に枠ボタン229を押下し難くなるオフセット期間を設定することにより、外れに対応する変動演出にも拘らず遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
また、中盤期間以降の押下期間、および演出態様を、本処理で設定したオフセット期間の経過後に設定するように構成することで、押下期間や演出態様のバリエーションが増加してしまうことを防止することができる。即ち、押下期間テーブル222eとして、楽曲のリズムと成功期間とが一致するテーブルと、楽曲のリズムと成功期間とがずれるテーブルとをそれぞれ別々に用意する必要が無くなるため、ROM222の容量を削減することができる。同様に、中盤期間以降の演出態様(表示データテーブル)として、楽曲のリズムとスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとが一致する表示態様と、楽曲のリズムとスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとがずれる表示態様とをそれぞれ別々に用意する必要が無くなるため、ワークRAM233やキャラクタROM234の容量を削減することができる。
次に、図196のフローチャートを参照して、上述した中盤設定処理2(S6128)について説明する。この中盤設定処理2(S6128)は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出における中盤期間の各種設定を行うための処理である。
この中盤設定処理2(S6128)のうち、S6210、およびS6212の各処理では、それぞれ第3制御例における中盤設定処理(図170参照)のS6210、およびS6212の各処理と同一の処理が実行される。また、本変形例における中盤設定処理2(S6128)では、まず、タイミング演出選択テーブル222dから演出態様として中盤用演出を選択し(S6221)、第3制御例と同様に、処理選択した態様を表示制御装置114に対して通知するための表示用中盤態様コマンドを設定する(S6210)。これにより、中間期間の表示態様を設定することができる。
S6210の処理が終了すると、押下期間テーブル222eから中盤期間用テーブル222e32を読み出して(S6222)、その読み出した中盤期間用テーブル222e32を押下期間格納エリア(図示なし)に格納する(S6212)。これにより、中間期間の表示態様に合わせた成功期間を設定することができる。
この中盤設定処理2(S6128)を実行することにより、中盤期間の表示態様と押下期間とを同じタイミングで設定することができる。つまり、サブ表示装置690に表示される押下示唆領域911aにスクロールバーが重なるタイミングで成功期間を設定することができる。
次に、図197のフローチャートを参照して、上述した終盤設定処理2(S6130)の詳細について説明する。この終盤設定処理2(S6130)は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出における終盤期間の各種設定を行うための処理である。
この終盤設定処理2(S6130)では、まず、外れに対応する変動演出の実行中であるか否かを判別し(S6311)、外れに対応する変動演出の実行中であれば(S6311:Yes)、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6301)、その値が750以上か否かを判別する(S6312)。そして、スコアカウンタ223ηの値が750以上であると判別した場合は(S6312:Yes)、ノルマである1000ポイントを達成不可能(達成困難)な演出態様に設定するための処理(S6313~S6315)を実行する。
より具体的には、タイミング演出選択テーブル222dから、演出態様として終盤失敗用演出を選択し(S6313)、選択した態様を表示制御装置114へ通知するための表示用終盤失敗態様コマンドを設定する(S6314)。そして、通知した表示態様(演出態様)に合致した押下期間を設定するために、押下期間テーブル222eから終盤期間用失敗テーブル222e34を読み出して押下期間格納エリアに格納し(S6315)、本処理を終了する。これにより、終盤期間において遊技者が獲得可能な最大のポイントを100ポイントに制限することができる。上述した通り、本変形例では、序盤期間において最大500ポイント、中盤期間において最大350ポイントを獲得可能に構成している(図190(b)参照)ため、終盤期間において獲得可能なポイントを100ポイント以下とすることにより、外れに対応する変動演出においてノルマが達成されることを確実に防止(抑制)することができる。即ち、ノルマを達成したにも拘らず、その後に大当たりが開始されないことにより遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)できるので、タイミング演出を安心して楽しませることができる。
一方、S6311の処理において、外れに対応する変動演出の実行中でない(即ち、大当たりに対応する変動演出の実行中である)と判別した場合(S6311:No)、または、S6312の処理においてスコアカウンタ223ηの値が750よりも小さいと判別した場合は(S6312:No)、終盤期間の演出態様として、獲得できるポイントが比較的多い通常用の態様を設定するための処理(S6316~S6318)を実行する。具体的には、タイミング演出選択テーブル222dから、演出態様として終盤通常用演出を選択し(S6316)、選択した態様を表示制御装置114へ通知するための表示用終盤通常態様コマンドを設定する(S6317)。
S6317の処理が終了すると、通知した表示態様(演出態様)に合致した押下期間を設定するために、押下期間テーブル222eから終盤期間用通常テーブル222e33を読み出して押下期間格納エリアに格納し(S6318)、本処理を終了する。これにより、終盤期間においてより多くのポイントを獲得可能とすることができる。よって、大当たりに対応する変動演出の場合には(S6311:No)、ノルマをより達成し易くできるので、遊技者のタイミング演出に対するモチベーションを向上させることができる。また、外れに対応する変動演出においてスコアカウンタ223ηの値が750未満の場合には(S6311:Yes、且つ、S6312:No)、ノルマを達成不可能な範囲で、より多くのポイントを獲得させることができる。よって、タイミング演出のノルマを達成できなかった遊技者に対して、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。従って、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。このように、終盤設定処理2(S6130)によって、遊技者が中盤期間の終了までに獲得したポイント数に応じたタイミング演出の演出態様を設定することができる。
次に、図198のフローチャートを参照して、上述した報知態様設定処理2(S6132)の詳細について説明する。この報知態様設定処理2は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出の結果に応じた報知態様を設定するための処理である。
この報知態様設定処理2(S6132)のうち、S6401、およびS6402の各処理では、それぞれ第3制御例における報知態様設定処理(図172参照)のS6401、およびS6402の各処理と同一の処理が実行される。また、本制御例における報知態様設定処理2(S6132)では、S6402の処理においてスコアカウンタ223ηの値が1000以上である(遊技者がノルマを達成した)と判別した場合に(S6402:Yes)、大当たりを報知するための報知態様を表示制御装置114に対して設定し(S6421)、処理をS6425へと移行する。
一方、S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000未満である(遊技者がノルマを達成できなかった)と判別した場合は(S6402:No)、次いで、現在実行中の変動演出が大当たりに対応する変動演出であるか否かを判別する(S6422)。S6422の処理において、大当たりに対応する変動演出であると判別した場合は(S6422:Yes)、大当たりにも拘らず遊技者がノルマを達成できなかったことを意味する。よって、この場合は、失敗時の報知態様(図165参照)が一旦表示された後、大当たりが報知される態様が表示される報知態様(逆転演出の報知態様)が表示制御装置114に対して設定される(S6423)。このように、逆転演出を設定することにより、ノルマを達成できなかったとしても、大当たりとなることを遊技者に対して認識させることができる。S6423の処理が終了した後は、処理をS6425へと移行する。
一方、S6422の処理において、今回の変動演出が大当たりでない(即ち、外れに対応する変動演出である)と判別した場合は(S6422:No)、失敗時の報知態様(図165参照)が表示されるように表示制御装置114に対して設定し(S6424)、処理をS6425へと移行する。失敗時の報知態様を設定することにより、タイミング演出においてノルマが達成できなかったことを遊技者に対して認識させることができる。
S6421,S6423、およびS6424のいずれかの処理が終了した後で実行されるS6425の処理では、各種カウンタ(スコアカウンタ223η、早め回数カウンタ223π、および遅め回数カウンタ223ρ)の値に対して0を設定することにより初期化して、本処理を終了する。この報知態様設定処理2(S6132)を実行することにより、タイミング演出の結果を遊技者に対して容易に理解させることができる。
以上説明した通り、第3制御例の変形例では、タイミング演出のノルマを達成した場合に付与される特典を特別図柄の大当たりに設定している。これに伴って、外れに対応する変動演出においてタイミング演出が実行された場合に、遊技者がノルマを達成し難くなるように構成している。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある。しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
また、上述した従来型の遊技機の中には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタンを備えると共に、所定の表示演出時に演出ボタンの操作を示唆する複数の示唆画像が表示させることで、遊技者に対して参加を促すものがある(以下、「遊技者参加型演出」という)。この遊技者参加型演出では、示唆画像によって示唆されるタイミングに合わせて演出ボタンを操作することにより得点が加算されていき、得点が基準点以上となった場合に遊技者に対して特典(例えば、当たり)が付与される。
しかしながら、当たりとなるか否かは遊技者参加型演出の開始よりも前に実行される抽選によって既に決定されている。このため、従来型の遊技機では、当たりの場合にのみ基準点を達成可能とする必要があり、当たりの場合と外れの場合とで遊技者参加型演出の表示態様を変更せざるを得なかった。よって、遊技者参加型演出の表示態様から当たりか外れかを予測できてしまい、遊技者の参加意欲を向上させ難いという問題点があった。
これに対して本変形例では、外れに対応する変動演出において実行されるタイミング演出において、中盤期間以降の成功期間を、タイミング演出中に流れる楽曲のリズムからずらして設定されるように構成している。これにより、序盤期間においてリズム通りに枠ボタン229を操作することによってポイントを獲得していた遊技者に対して、押下タイミングを狂わせることができるので、遊技者が中盤期間以降にポイントを獲得し難くすることができる。よって、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成することを防止(抑制)できるので、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが開始されないことにより、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)することができる。
また、本変形例では、タイミングのずらし方として、楽曲のリズムに比較して成功期間の方が早いタイミングで設定されるずらし方と、楽曲のリズムに対して遅いタイミングで設定されるずらし方とを選択できる。これらは、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じて使い分けられる。即ち、比較的早めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせることにより、遊技者がより成功期間に枠ボタン229を操作し難くなるように構成している。一方、比較的遅めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して早めることにより、遊技者がより成功期間に枠ボタン229を操作し難くなるように構成している。これにより、遊技者の癖(傾向)を加味して、各遊技者にとって成功期間で枠ボタン229を押下することが困難となる態様でタイミング演出を実行することができるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)できる。なお、本変形例では、スクロールバーと押下示唆領域911aとが重なる表示態様となる期間と、成功期間とが完全に一致するように構成したうえで、成功期間と楽曲のリズムとをずらすように構成している。このように構成することにより、楽曲に惑わされずにサブ表示装置690の表示に従って枠ボタン229の押下を行えば、対応するポイントが加算される。よって、外れの場合にも、遊技者が「不正に失敗させようとしている」という感想を抱き難くすることができる。従って、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
また、本変形例では、終盤期間における演出態様として、複数種類の態様から1の態様を選択可能に構成している。より具体的には、獲得可能なポイントが比較的多い(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様と、獲得可能なポイントが比較的少ない(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様とを選択可能に構成している。外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了までに遊技者の獲得したポイントが所定以上(750ポイント以上)の場合には、獲得可能なポイントが少ない態様を設定することにより、タイミング演出が終了するまでに遊技者がノルマである1000ポイントを達成してしまうことを防止している。このように構成することで、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまう状況をより確実に防止(抑制)することができる。
本変形例では、中盤期間以降において、タイミング演出中に流れる楽曲のリズムと、成功期間が設定されるタイミングとをずらすことにより、遊技者が成功期間において枠ボタン229を押下し難くなるように構成していたが、外れに対応する変動演出においてノルマの達成を防止(抑制)するための構成はこれに限られるものではない。例えば、タイミング演出の難易度を、外れに対応する変動演出であるか否かに応じて可変させてもよい。ここで、難易度の変更方法としては、例えば、上述した第3制御例と同様に、スクロールバーの数や、押下示唆領域911aの広さ(成功期間の長さ)を可変させる方法が挙げられる。即ち、難易度を難しくする場合には、ポイントの少ない(10ポイントの)スクロールバー(ハッチングされたスクロールバー)を多く表示させたり、押下示唆領域911aを狭く(成功期間を短時間に)すればよい。ポイントが少ないスクロールバーを多く表示させる程、枠ボタン229の押下をより多くの回数成功しなければノルマを達成できなくなるため、難易度を難しくすることができる。また、押下示唆領域911aを狭く(成功期間を短時間に)する程、押下示唆領域911a成功期間にタイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが困難となるため、難易度を難しくすることができる。なお、これらの難易度変更方法を実現するためには、タイミング演出の演出態様(表示態様)を設定するための表示データテーブルとして、難易度の異なる複数のテーブル(スクロールバーの表示個数が異なるテーブルや、押下示唆領域911aの広さが異なるテーブル)をキャラクタROM234に記憶しておくと共に、ワークRAM233のデータテーブル格納エリア233bに対して、難易度の異なる複数の表示データテーブルを記憶可能に構成すればよい。また、タイミング演出に用いられる各表示データテーブルの表示態様に対応する押下期間を設定するためのデータテーブルを押下期間テーブル222eに設けておけばよい。このように、難易度に応じた表示態様の表示データテーブル、および各表示データテーブルの表示態様に応じた押下期間を設定するためのデータテーブルを用意しておくことにより、難易度変更を行う際に、対応する難易度の表示データテーブルと、その表示データテーブルに対応する押下期間とを設定するだけで容易に難易度を可変させることができる。
なお、難易度の選択(変更)は、上記第3制御例と同様に、タイミング演出の実行期間において複数回設定し直すように構成してもよいし、1回のタイミング演出において1回のみ設定する(例えば、タイミング演出の開始時に設定する)ように構成してもよい。また、難易度は、単に実行中の変動演出が大当たりに対応する変動演出であるか、外れに対応する変動演出であるかに応じて設定することに限定されるものではない。例えば、遊技者の技量(獲得したポイント)に応じて難易度を可変させるように構成してもよい。より具体的には、例えば、序盤期間において獲得したポイントが多いほど、中盤期間以降の難易度が難しくなるように構成してもよい。これにより、ノルマを達成できない範囲でより遊技者の技量に応じた難易度でタイミング演出を実行できる。よって、より多くのポイントを獲得させつつ、ノルマを未達成とすることができるので、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。よって、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。
また、外れに対応する変動演出においてノルマの達成を防止(抑制)するために難易度を可変させる別の方法として、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とをずらしてもよい。ここで、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを完全にずらしてしまうと、遊技者が確実に押下示唆領域911aとスクロールバーとが重なったタイミングで枠ボタン229を押下したという感触を得たにも拘らず、押下に失敗したと判定されてしまい、タイミング演出に対して不信感を抱いてしまう虞がある。このため、例えば、スクロールバーと押下示唆領域911aとが完全に重なった表示態様(図187のJK参照)になる期間と、成功期間とは一致させておきつつ、成功期間を時間的に早い側、或いは遅い側にシフトさせるように構成してもよい。また、シフトする方向は、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じて可変させてもよい。即ち、第3制御例の変形例と同様に、遊技者が早め成功区間で枠ボタン229を押下しがちか、遅め成功区間で枠ボタン229を押下しがちかを、序盤期間における押下状況(早め回数カウンタ223π、遅め回数カウンタ223ρの値)に基づいて解析する。そして、遊技者の癖(傾向)から、遊技者が押下に成功し難い側に成功期間をシフトさせてもよい。即ち、枠ボタン229を早めに押下する傾向の遊技者の場合には、中盤期間以降に成功期間を遅い側にシフトし、枠ボタン229を遅めに押下する傾向の遊技者の場合には、中盤期間以降に成功期間を早い側にシフトしてもよい。これにより、遊技者が序盤期間と同じタイミングで枠ボタン229を押下し続けた場合に、失敗期間で押下させ易くできるので、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
本変形例では、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成し難くなるように、楽曲のリズム(音程の変化)と、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとをずらしていたが、これに限られるものではない。例えば、サブ表示装置690の右側からスクロール表示されるスクロールバーの少なくとも一部が、押下示唆領域911aへ到達する前に(スクロール表示の途中で)非表示となるように構成してもよい。このように構成することで、遊技者は、非表示となる前のスクロール速度から押下示唆領域911aへと到達するタイミングを予測して枠ボタン229を押下しなければならないので、成功期間において枠ボタン229を押下することをより困難とすることができる。よって、外れに対応する変動演出の場合に、遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。また、スクロールの途中で非表示とする態様は、大当たりに対応する変動演出の実行中にも設定することができる。大当たりの場合にも、外れの場合にもスクロールの途中で非表示とされることにより、外れの場合にだけ露骨に難しくなったと感じさせてしまうことを防止(抑制)できる。よって、タイミング演出の途中で遊技者の参加意欲を低下させてしまうことを防止し、最後まで参加させることができる。更に、大当たりの場合には、スクロールバーがスクロール表示中に非表示となるものの、成功期間が長くなるように構成してもよい。そして、外れの場合には、成功期間が短くなるように構成してもよい。このように構成することで、大当たりの場合には、スクロールバーが非表示となる前のスクロール速度からタイミングを図ることにより、成功と判定され易くできる。一方、外れの場合には、スクロール速度からタイミングを図ったとしても、失敗と判定され易くできる。よって、大当たりに対応する変動演出において設定されたタイミング演出では、ノルマを達成し易くできる一方で、外れに対応する変動演出でノルマが達成されることをより確実に防止(抑制)することができる。
本変形例では、序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)について、早め成功区間(図187参照)に遊技者が枠ボタン229を押下した回数と、遅め成功区間(図187参照)に遊技者が枠ボタン229を押下した回数との比較により判別していたが、この構成に限られるものではない。例えば、ジャスト成功区間(図187参照)において遊技者が枠ボタン229を押下した回数もカウントしておき、成功期間において枠ボタン229を押下した回数に対する早め成功区間、遅め成功区間で枠ボタン229を押下した回数の割合から遊技者の癖(傾向)を判別してもよい。つまり、例えば、早め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が5割を超えている場合には、早めに押下する癖(傾向)がある遊技者と判別し、遅め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が5割を超えている場合は、遅めに押下する癖(傾向)がある遊技者と判別してもよい。上記第3制御例の変形例では、例えば、序盤期間において1回のみ遅め成功区間で枠ボタン229を押下し、他の成功期間での押下が全てジャスト成功区間における押下だった場合にも、遅めに枠ボタン229を押下する傾向の遊技者であると判別してしまう(図195のS7106参照)。これに対して、早め成功区間、遅め成功区間でそれぞれ枠ボタン229を操作した割合から遊技者の癖(傾向)を判別することによって、より正確に遊技者の傾向を解析することができる。
本制御例では、外れに対応する変動演出において、遊技者の癖(傾向)に応じて押下期間を楽曲のリズムに対して0.5秒早め、または遅めにずらすように構成していたが、これに限られるものではない。遊技者が枠ボタン229を押下し難くなるタイミングであれば、ずらす時間は任意に定めることができる。また、必ずしも同じ時間一律に押下期間をずらす必要はない。1のタイミング演出において、押下期間をランダムに遅らせたり、早めたりしてもよい。このように構成することで、成功期間における押下をより困難とすることができるので、外れに対応する変動演出にも拘らずノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
本変形例では、序盤期間における獲得可能ポイントを500ポイントとし、中盤期間における獲得可能ポイントを350ポイントとし、終盤期間における獲得可能ポイントを250ポイント、または100ポイントとしている。そして、タイミング演出のノルマを1000ポイントとしているが、各期間のポイント、およびノルマは、外れに対応する変動演出においてノルマが達成できなくなる範囲で任意に定めることができる。
本変形例では、変動演出において特に制限なくタイミング演出が設定されるように構成していたが、タイミング演出に制限を設けてもよい。例えば、保留球数に応じてタイミング演出の選択され易さを変更してもよい。具体的には、保留球数が多い程、タイミング演出が選択され易くなるように構成し、保留球が少ないほど選択され難くなるように構成してもよい。上述した通り、本制御例のタイミング演出は、枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する必要がある。このため、タイミング演出に片手では参加し難く、両手を使用して参加した方が押下を成功させやすくなるように構成されている。即ち、タイミング演出でノルマを達成しようとする遊技者は、一時的に操作ハンドル51から手を離してタイミング演出に参加する可能性がある。よって、保留球数が少ない状態でタイミング演出に参加すると、タイミング演出中に保留球を増やすことができないので、タイミング演出が設定された変動演出の終了後に、特別図柄の抽選が途切れてしまう虞がある。つまり、遊技効率が悪くなってしまう虞がある。よって、保留球の少ない状況下ではタイミング演出が設定され難い構成とすることにより、保留球が少ない状況下では遊技者に球を打ち出させることができるので、保留球を貯めやすくすることができる。よって、遊技効率をアップさせることができる。一方で、保留球の個数が多い場合には、変動中に球を打ち続けることにより、更に保留球が増加する場合があり、保留球数の上限を上回る個数の入球が検出される虞がある。よって、この場合には、両手を用いて参加することによりノルマを達成し易いタイミング演出の発生頻度を高めることにより、保留球数がオーバーフローしてしまうことを防止(抑制)することができる。
本制御例では、タイミング演出として枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する演出が実行されるように構成しているが、ボタンの個数は4種類に限られるものではない。例えば、単一の枠ボタンをタイミング良く押下する演出をタイミング演出として実行してもよい。このように構成することで、片手でハンドル51を操作しつつ、もう片方の手でタイミング演出に参加することができるので、遊技効率を低下させることなくタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、タイミング演出において操作するボタンの種別を減らすことによって、より判り易いゲーム性とすることができる。一方、操作するボタンの種別を本制御例よりも多くしてもよい。操作するボタンが増加する程、タイミング演出の難易度を増加させることができるので、タイミング演出の技量が高い遊技者に対して満足感を抱かせることができる。
本制御例では、変動演出の実行中にタイミング演出を実行するように構成しているが、タイミング演出の実行期間はこれに限られるものではない。例えば、大当たり(特別遊技状態)中にタイミング演出を実行するように構成してもよい。この場合において、タイミング演出でノルマを達成することにより、大当たり終了後に特別図柄の確変状態へと移行することが報知されるように構成してもよい。そして、16R通常大当たりにおいてタイミング演出が設定された場合には、上記第3制御例の変形例において外れに対応する変動演出で実行した制御と同様の制御を行えばよい。即ち、16R通常大当たりにおいてノルマが達成されることを防止(抑制)する制御を行えばよい。大当たりにおいてタイミング演出を設定することにより、大当たり中が賞球を獲得するための単なる作業となってしまうことを防止(抑制)できるので、大当たり中の遊技に対する興趣を向上させることができる。なお、この場合において、16R確変大当たり(大当たりA)にも拘らず遊技者がノルマを達成できなかった場合には、例えばタイミング演出の報知期間において特別図柄の低確率状態が報知され、その後の大当たりのエンディングで逆転演出を行って特別図柄の確変状態を報知するように構成してもよい。これにより、タイミング演出でノルマを達成できなかった場合にも、エンディング期間で逆転演出が発生することを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
上記第3制御例、および第3制御例の変形例では、押下期間テーブル222eにおいて、タイミング演出ポインタ223δの値に対応付けて押下期間(成功期間、失敗期間等)を規定していたが、これに限られるものではない。変動演出等の演出が開始されてからの経過時間を計時する計時タイマはの値い対応付けて押下期間を規定しておいてもよい。このように構成することにより、タイミング演出ポインタ222eを省略することができるので、RAM223の容量を削減することができる。
本変形例では、タイミング演出の序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を判定するように構成していたが、遊技者の癖(傾向)を判定する期間はこれに限られるものではない。例えば、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出のゲーム性を説明する期間(ゲーム説明期間)を設定しておき、そのゲーム説明期間において枠ボタン229の操作説明を行う際に、遊技者に操作を促してタイミング演出への参加方法を認識させつつ、遊技者の癖(傾向)を判別するように構成してもよい。この場合において、遊技者に操作を促す際は、一定のテンポの楽曲を流しておき、この楽曲のテンポに合わせて一定間隔、一定速度で複数のスクロールバーが表示されるように構成してもよい。これにより、一定の間隔で遊技者に対して枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者の癖(傾向)をより正確に把握することができる。
<第4制御例>
次に、図174~図186を参照して、第4制御例におけるパチンコ機10について説明する。上記第1制御例では、各役物が単独で、または複合して可変動作を行う場合の制御例について説明した。これに対して第4制御例では、可変動作と点灯動作とを複合して行う役物の好適な制御方法について説明する。
この第4制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、変動演出等において可動する演出を行う役物として、回転点灯ユニット800が追加されている点、音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図185、図186を参照して、本制御例における遊技盤13の正面図について説明する。図185は、上述した回転点灯ユニット800が退避位置にある場合における遊技盤13の正面図であり、図186は、回転点灯ユニット800が張出位置にある場合における遊技盤13の正面図である。回転点灯ユニット800が可変動作を行う演出の実行期間外である場合は、図185に示す退避位置に配置される。一方、回転点灯ユニット800が可変動作を行う演出が設定された場合には、回転点灯ユニット800が図186に示す張出位置に配置されて、演出に応じた動作(回転動作、および点灯動作)が行われる。
図185に示した通り、回転点灯ユニット800の退避位置は、第3図柄表示装置81の正面視左下である。図185に示した通り、回転点灯ユニット800が退避位置に配置されると、回転点灯ユニット800の右上部分が僅かに視認できるのみであり、大半が他の構成に隠れて正面から視認できない状態となる。一方、回転点灯ユニット800の張出位置は、図186に示した通り、第3図柄表示装置81の下方である。この場合、回転点灯ユニット800の大部分を遊技者が正面から視認することができる。
次に、図175~図178を参照して、本制御例における回転点灯ユニット800の構成について説明する。まず、図175(a)は、本制御例における回転点灯ユニット800の分解斜視図であり、図175(b)は、左側面側からの回転点灯ユニット800の側面図である。
図175(a)に示した通り、回転点灯ユニット800は、手前側に回転軸822を中心として回転可能な略円形の回転部材820が設けられ、その背面側に、点灯及び消灯が可能な点灯装置810が設けられている。回転部材820には6個の貫通孔821a~821fが設けられている。これらの貫通孔821a~821fは、全て直径が同一となる円形で構成されており、回転軸822を中心とする円周上において等間隔で(60度おきに)配置されている。これにより、回転部材820が60度回転する毎に、同一の形状(見た目)となる(6回対称である)。また、回転部材820は、半透明の材質(例えば、PS材)で構成されている。このため、貫通孔821a~821fの背面側以外の部分が点灯した場合にも、大まかな点灯状況を正面側から視認することができる。
点灯装置810には、回転部材820の回転軸822を挿通するための挿通口812が設けられている(図175(b)参照)。この挿通孔812を介し、回転軸822が、回転部材820を回転させるための駆動モータに対して物理的に接続される。即ち、駆動モータによって回転するのは回転部材820のみであり、点灯装置810は回転しない。
点灯装置810は、その前面側が導光板で構成され、導光板の背面側(点灯装置810の内部)にLEDが設けられている。内部のLEDを点灯させることにより、導光板を介して遊技者がLEDの光を視認することができる。また、LEDは前面側の全てを照らせるように、導光板の背面側に満遍なく配置されており、全てのLEDを点灯させることにより、点灯装置810の前面側が均等に光っている見た目となる。
また、点灯装置810の前面側には、局所的に円形に発光させることが可能な複数の領域が設けられている。即ち、6つの円形点灯領域811a~811fが設けられている。これらの円形点灯領域811a~811fの形状は、貫通口821a~821fと略同一の直径の円で構成されている。また、挿通孔812を中心とする円周状に等間隔で(60度おきに)配置されている。円形点灯領域811a~811fが配置される円周と、貫通口821a~821fが配置される円周とは略同一の直径で構成されているので、回転部材820が回転することにより、いずれかの貫通口がいずれかの円形点灯領域の前面側に到達することにより、全ての貫通口が全ての円形点灯領域の手前側で完全に重なるように構成されている。
なお、円形点灯領域811a~811fを局所的に発光させるためには、例えば、各円形点灯領域811a~811fの円周部分で、他の領域と導光板を分割すると共に、円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDの光が他の領域に漏れないように、内部に仕切りを設けておけばよい。そして、円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDを別個に点灯制御可能に構成すればよい。このように構成することで、全てのLEDを点灯させれば、点灯装置810の前面側が全体的に点灯した見た目となる一方で、いずれかの円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDを独立して点灯させることにより、その領域のみ円形に点灯した見た目とすることができる。
ここで、円形点灯領域811a~811fに設けられているLEDは、赤色のLEDと白色のLEDとで構成されており、他の領域に設けられているLEDは白色のLEDのみで構成されている。そして、点灯装置810を全体的に点灯させる場合には、全ての白色のLEDを点灯させることにより点灯装置810の全体が白色で点灯した見た目とすることができる。一方、円形点灯領域811a~811f一部又は全部のみを点灯させる場合には、対応する領域に設けられた赤色のLEDの点灯を設定するように構成されている。
次に、図176~図178を参照して、回転部材820の回転速度毎の点灯装置810の点灯制御方法について説明する。ここで、まず、回転点灯ユニット800を用いた演出の概要について説明する。本制御例では、回転点灯ユニット800を用いた演出として、回転部材820が回転して各貫通口821a~821fと、各円形点灯領域811a~811fとが前後で重なる位置となる毎に(即ち、回転部材820が60度回転する毎に)、円形点灯領域811a~811fが1箇所ずつ赤色の点灯状態となっていく演出が設けられている。この演出では、赤色の点灯状態となった円形点灯領域の個数によって、当該変動演出において大当たりとなる期待度を示唆する。このため、遊技者に対して、なるべく多くの円形点灯領域が点灯することを期待して回転点灯ユニット800の状態を確認させることができる。なお、この期間は、遊技者が点灯状態となった円形点灯領域の個数を容易に視認できるように、回転部材820の回転速度として比較的遅い速度(例えば、1秒間に60度回転する回転速度)が設定される(低速回転状態が設定される)。
また、上述した低速回転状態は、回転部材820が1回転するまで継続する。回転部材820が1回転すると、回転速度を加速させる。そして、回転速度が所定速度以上(例えば、1秒間に1回転以上)になった場合には、点灯装置820を全点灯の状態に切り替える。なお、回転速度が所定速度以上(例えば、1秒間に1回転以上)になって以降も回転速度が継続して加速される。そして、回転速度が比較的速い速度(1秒間に3回転する速度)に到達した(高速回転状態になった)と判別されると、点灯装置810に対して前面同位相の間欠点灯を設定する(つまり、全ての白色LEDに対し、一定の周波数で点灯と消灯とを繰り返すように設定する)。詳細については図178を参照して後述するが、この間欠点灯の点灯周波数、および点灯期間は、回転している回転部材820の回転方向が、所謂ワゴンホイール効果により逆回転の見た目となるように設定される。
そして、逆回転の見た目となって以降は、低速回転状態において点灯された個数の円形点灯領域を再度、間欠点灯の点灯周波数に合わせて点灯させる。この高速回転状態においても、円形点灯領域の点灯個数が増加される場合がある。よって、遊技者に対して演出を最後まで確認させることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができる。
なお、本制御例では、回転点灯ユニット800の動作として、回転部材820の回転動作のみが動作シナリオに規定されている。そして、点灯装置810は、回転部材820の実際の回転動作から回転速度を判別して、点灯態様を切り替えるように構成されている。より詳述すると、回転点灯ユニット800を動作させる演出に対応する動作シナリオには、まず、回転点灯ユニット800を退避位置(図185参照)から張出位置(図186参照)へと可動させる動作が規定されている。そして、張出位置(図186参照)への可動が終了した(センサにより張出位置となったことを検出した)場合の動作として、動作シナリオには回転部材820の低速回転状態での回転動作が規定されている。また、低速回転状態に設定してから所定期間(例えば、6秒)が経過した場合の動作として、回転部材820の回転速度を加速させる動作が規定されている。そして、回転速度を加速させる動作の後に設定する動作として、高速回転状態で所定期間(例えば、6秒)が経過すると、回転速度を減速させて回転部材820の回転を停止させる動作が規定され、その後の動作として、回転点灯ユニット800を退避位置へと可動させる動作が規定されている。このように、動作シナリオには回転部材820の動作のみを規定しておき、点灯装置810の点灯態様を回転部材820の速度に合わせて可変させることにより、回転部材820の回転動作と点灯装置810の点灯制御とがずれてしまうことを抑制できる。即ち、回転部材820の回転速度が変更された場合に、より確実に点灯態様を変更することができるので、回転点灯ユニット800の見た目の品位を向上させることができる。
次に、図176、および図177を参照して、低速回転状態(低速動作時)における点灯制御の方法について説明する。まず、図176は、低速回転状態(低速動作時)において、見た目の品位が悪くなる点灯制御の例を示した図であり、図177は、本制御例における低速回転時(低速動作時)の点灯制御例を示した図である。即ち、低速回転時(低速動作時)に図176のような見た目となることを防止し、図177のような見た目とする制御方法について説明する。
図176は、上述した通り、低速回転状態(低速動作時)において見た目の品位が悪化してしまう点灯制御を例示した図である。この例では、低速回転状態において、2個の円形点灯領域が点灯した状態で回転部材820が60度回転する場合を示した図である。
貫通孔821a~821fの配置が、円形点灯領域811a~811fの位置に重なった状態になると、貫通孔821a~821fを介して円形点灯領域811a~811fが視認可能となる。図176(a)は、貫通口821e,821fが、それぞれ点灯状態に設定された2つの円形点灯領域と重なっている状態を示している。
また、図176(b)は、回転部材820が回転し、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態を示した図である。この悪例では、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致する前に、次の点灯位置を点灯させてしまっているため、貫通孔821a,821e,821fから中途半端に円形点灯領域の赤色の光が漏れ出た状態となっている。よって、見た目の品位が悪くなってしまっている。これは、貫通孔821a~821fは回転部材820の回転量に応じて連続的に変化するのに対して、円形点灯領域811a~811fは位置が固定となっているためである。即ち、各円形点灯領域の点灯位置を貫通孔821a~821fに連続的に追従させることができないため、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態では、見た目の品位が悪化してしまう。
図176(c)は、各円形点灯領域の点灯状況が図176(b)の状態を保ったまま、回転部材820が60度回転し、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが再度一致した場合を示している。この場合には、図176(a)と同様に、点灯状態に設定された2つの円形点灯領域と、貫通孔821e,821fとの配置が重なるため、円形点灯領域からの光を正面から綺麗に視認することができる。このように、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致していない回転位置において1又は複数の円形点灯領域が点灯状態になると、見た目の品位が悪化してしまう(図176(b)参照)。そこで、本制御例では、見た目の品位向上を図るために、図177に示す点灯状態となるように点灯制御を行う。
図177は、本制御例における低速回転状態(低速動作時)の点灯制御方法を例示した図である。図177に示した通り、本制御例では、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致している場合にのみ、対応する円形点灯領域を点灯させるように制御を行い(図177(a),(c)参照)、それ以外の中間位置においては、全ての円形点灯領域811a~811fを消灯状態に設定する。このように構成することで、貫通孔821a~821fと円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態で1又は複数の円形点灯領域が点灯し、中途半端な見た目となってしまうことを防止(抑制)できる。よって、低速回転状態(低速動作時)の見た目の品位を向上させることができる。
なお、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致しているか否かは、図示しない回動センサによって検出可能となるように構成されている。この回動センサは、回転部材820が60度回転する毎に出力がHとなるように構成されている。例えば、貫通孔821aが円形点灯領域811aの位置に一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811bに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811cに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811dに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811eに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811fに一致している(重なっている)状態でも同様に出力がHに設定される。一方、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれている場合には、出力がLに設定されるように構成されている。
次に、図178を参照して、高速回転状態(高速動作時)の点灯制御方法について説明する。上述した通り、高速回転時においては、全ての白色LEDに対し、一定の周波数(24Hz)で点灯と消灯とを繰り返すように設定する。また、1回の点灯期間は極めて短くなるように構成され(例えば、オンDUTY0.5%)、点灯した瞬間における回転部材820の配置が何とか視認できる(回転していることが認識できない)長さの期間となるように構成されている。
図178に示した通り、高速回転状態においては、回転部材820が45度回転する毎に、瞬間的に点灯装置810の全体が白色点灯する(全点灯する)。高速回転状態においては、回転部材820が1秒間に3回(1秒間に1080度)回転するのに対して、点灯周波数が24Hz(1秒間に24回)に設定されるため(1080度÷24=45度)である。一方、瞬間的に点灯している期間以外は、点灯装置810が消灯状態となるため、回転部材820の姿も見えなくなってしまう。よって、遊技者の目線では、回転している回転部材820を連続的に視認することができず、24Hzのコマ送りのような見た目となって認識されることになる。
図178を参照して遊技者目線での回転部材820の見え方をより具体的に説明する、図178(a)に示した配置において点灯装置810が瞬間的に全点灯すると、図178(a)の配置が遊技者に認識されるが、点灯期間が瞬間的(オンDUTY0.5%)なので、遊技者が認識できるのは回転部材820の配置のみであり、回転方向を認識することができない。その後、回転部材820が45度回転するまで点灯装置810が消灯状態に設定されるため(図178(b)参照)、この期間において遊技者は回転部材820の姿を視認することができない。
次の24Hz期間になると(即ち、図178(b)の配置になると)、点灯装置810が再度、瞬間的に全点灯状態となる。この場合も、図178(a)の配置と同様に点灯期間が十分短いため、遊技者が認識できるのは回転部材820の配置のみである。そして、次の24Hz期間まで再度消灯が設定され(図178(d)参照)、次の24Hz期間に到達すると、瞬間的に全点灯が設定されて図178(e)の配置が遊技者に認識される。以降も同様の制御によって、24Hzで回転部材820の配置が認識される。
ここで、上述した通り、回転部材820は、60度回転する毎に、同一の形状(見た目)となる(6回対称である)ように構成されているので、図178に示すように、周期的に回転部材820の配置のみを認識させることにより、回転方向を誤認させることができる。即ち、実際には図178(a)の配置から、貫通孔821a~貫通孔821fが時計回り(正方向)に45度回転することにより、図178(c)の配置に到達しているにも拘わらず、回転部材820が反時計回りに15度回転したかのように認識させることができる。これは、見た目から貫通孔821aと貫通孔821fとを区別することができないため、図178(a)において貫通孔821aが配置されていた位置に最も近い(15度だけ異なる)、図178(c)における貫通孔821fを、貫通孔821aと認識(誤認)させることができるためである。
以降も同様に、見た目の回転量が最も少ない方向へ回転していると認識させ続けることにより、本来の回転方向と、遊技者が認識する回転方向とを逆転させることができる。このように、点灯制御の切り替えのみにより回転方向が変更された見た目となるように構成することで、回転部材820の回転方向の変更を省略することができる。よって、回転方向を変更するために、急停止や急反転が行われることにより駆動モータに対して過剰な負荷をかけてしまうことを防止(抑制)できるので、駆動モータを故障し難くすることができる。従って、より長く安定して稼働できるパチンコ機10を提供することができる。
本制御例では、高速回転状態において回転部材820が45度回転する毎に(即ち、24Hzで)点灯装置810を全点灯に設定していたが、点灯装置810を点灯させる周波数はこれに限られるものではない。高速回転状態において、1の全点灯から次の全点灯までに回転部材820が回転する角度が30度(即ち、隣接する貫通孔の間隔である60度の半分)よりも大きく、且つ、60度(即ち、隣接する貫通孔の間隔)よりも小さくなる範囲で任意に定めることができる。つまり、1の貫通孔の回転前の配置と、その1の貫通孔に対して回転方向と逆隣(即ち、左側)に隣接する貫通孔の回転後の配置とを比較した場合の角度が、1の貫通孔が実際に回転した角度よりも小さくなっていればよい。このように構成することで、移動角度の小さい(移動距離が小さい)方向に移動(回転)したと誤認させることができるので、点灯装置810が瞬間的に全点灯に設定される毎に、貫通孔が逆隣りに隣接する貫通孔の位置に移動しているかのような見た目にできる。よって、回転速度や回転方向を変更せずに、点灯制御だけで逆回転しているように感じさせることができるので、駆動モータに対して過剰な負荷をかけてしまうことを防止(抑制)し、より長く安定して稼働できるパチンコ機10を提供することができる。
<第4制御例における電気的構成について>
次に、図174を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223の構成について説明する。図174は、本制御例におけるRAM223の構成を示したブロック図である。図174に示した通り、本制御例におけるRAM223は、第1制御例におけるRAM223の構成に加え、点灯状態カウンタ223θと、点灯位置格納エリア223ιと、点灯設定済フラグ223κと、初回識別済フラグ223λと、速度識別用タイマ223μと、前回値格納エリア223νと、速度格納エリア223ξとが追加されている。
点灯状態カウンタ223θは、点灯装置810の点灯状態の種別を示すカウンタであり、カウンタ値に応じて異なる点灯状態を示すことができる。具体的には、「01H」は、低速回転状態(低速動作時)の点灯制御を行うための点灯状態(図177参照)であることを意味し、「02H」は、低速回転状態から高速回転状態へと遷移する、回転速度の加速時における点灯状態(全点灯状態)であることを意味し、「03H」は、高速回転状態(高速動作時)における点灯状態(図178参照)であることを意味する。一方、カウンタ値が「00H」であれば、点灯装置810の点灯制御が行われない状態であることを意味する。この点灯状態カウンタ223θは、点灯状態を切り替えるタイミングで更新される(図181のS6613、図183のS6805、図184のS6909参照)。この点灯状態カウンタ223θは、メイン処理の中で実行される点灯制御処理(図180参照)において参照され、カウンタ値に応じた点灯制御が設定される。
点灯位置格納エリア223ιは、各円形点灯領域821a~821fの点灯状態を示す情報が格納される領域である。この点灯位置格納エリア223ιは、例えば1バイトで構成され、第0ビットから第5ビットがそれぞれ円形点灯領域821a~821fに対応している。この点灯位置格納エリア223ιを構成する各ビットは、値が1(オン)であれば対応する円形点灯領域が点灯状態であることを示し、オフであれば消灯状態であることを示す。この点灯位置格納エリア223ιに格納される情報は、低速回転状態や、高速回転状態において、回動センサの出力がHとなったことを検出する毎に(貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが重なる毎に)、その値が更新される(図181のS6608,S6610、図184のS6911,S6912参照)。また、回転点灯ユニット800を用いた演出が終了するタイミングで全ての値がクリアされる。
点灯設定済フラグ223κは、回動センサの出力がHとなったことに基づいて点灯状態の更新が行われたか否かを示すフラグである。この点灯設定済フラグ223κがオンであれば、回動センサの出力がHとなったことに基づいて点灯状態が更新済みであることを示し、オフであれば、点灯状態の更新を行っていないことを示す。この点灯設定済フラグ223κがオフの状態で回動センサのH出力を検出した場合に、点灯状態が更新されると共に点灯設定済フラグ223κがオンに設定される(図181のS6612、図184のS6914参照)。また、点灯状態の更新後、最初に回動センサのL出力を検出した場合にオフに設定される(図181のS6604,S6611、図184のS6911参照)。この点灯設定済フラグ223κを参照して点灯状態の更新を行うように制御することにより、回動センサの出力がHとなっている間に、複数回点灯状態が更新されてしまうことを防止することができる。
初回識別済フラグ223λは、回転部材820の回転速度を識別するため基準値(速度識別用タイマ223μの値)を取得済か否かを示すフラグである。この初回識別済フラグ223λがオンであれば、回転速度を識別するため基準値(速度識別用タイマ223μの値)が取得済みであることを示し、オフであれば、基準値が未取得であることを示す。この初回識別済フラグ223λがオンであれば、既に取得されている基準値に基づいて回転速度が算出される(図182のS6701参照)。一方、初回識別済フラグ223λがオフであれば、回転速度を識別するための基準値が取得された後で、フラグがオンに設定される(図182のS6703参照)。この初回識別済フラグ223λを用いることにより、回転部材820の回転速度を正確に判別することができる。
速度識別用タイマ223μは、回転部材820の回転速度を算出するために用いられるタイマである。この速度識別用タイマ223μは、例えばメイン処理の中で定期的(1ミリ秒毎)に更新される。回動センサの出力がHになってから、次に出力がHとなるまでの時間を、速度識別用タイマ223μの値の差分により判別することで、回転部材820の回転速度が算出される。
前回値格納エリア223νは、回動センサのH出力を検出した時点における速度識別用タイマ223μの値を格納するための記憶領域である。次に回動センサがH出力となった場合は、この前回値格納エリア223νに格納された値と、現状の速度識別用タイマ223μの値との差分によって60度回動するのに要した時間が算出される。この算出した時間に基づいて、回転速度が算出される(図182のS6706)。この前回値格納エリア223νに格納されるデータは、回転速度識別処理(図182参照)が実行される毎に、回転速度を算出された後で速度識別用タイマ223μの現在の値が上書きされる。
速度格納エリア223ξは、回転部材820の回転速度に対応する情報を格納するための記憶領域である。この速度格納エリア223ξに格納されるデータは、回転速度識別処理において回転速度が算出される毎に上書きされる(図182のS6706参照)。この速度格納エリア223ξに格納された回転速度に応じた情報に基づいて、回転部材820の回転速度が判別され、回転速度に応じた点灯装置810の点灯制御が行われる。
<第4制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図179~図184を参照して、第4制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種制御処理について説明する。まず、図179は、本制御例における音声ランプ制御装置113のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理のうち、S1501~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるS1501~S1520の各処理と同一の処理が実行される。
また、本制御例におけるメイン処理では、S1510の液晶演出実行管理処理が終了すると、次いで、速度識別用タイマ223μに1を加算することにより更新して(S1551)、処理をS1511へと移行する。この速度識別用タイマ223μは、上述した通り、回転部材820の速度を算出するために用いられるタイマである。
また、本制御例におけるメイン処理では、S1515の入球演出設定処理が終了すると、次いで、点灯装置810の点灯状態を制御するための点灯制御処理が実行される(S1552)。そして、点灯制御処理(S1552)の実行後にはS1516~S1520の処理が実行され、本処理が終了される。
次いで、図180~図184を参照して、上記した点灯制御処理(S1552)の詳細について説明する。まず、図180は点灯制御処理(S1552)を示すフローチャートである。この点灯制御処理(S1552)は、点灯装置810の点灯状態を、回転部材820の速度に応じて制御するための処理である。
点灯制御処理(S1552)では、まず、点灯状態カウンタ値223θの値が「01H」であるか否かを判別する(S6501)。S6501の処理において、点灯状態カウンタ値223θが01Hであると判別された場合は(S6501:Yes)、回転部材820が低速回転状態に設定されている場合の点灯状態を設定するための低速時処理を実行し(S6502)、本処理を終了する。
一方、S6501の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「01H」で無いと判別された場合は(S6501:No)、次いで、点灯状態カウンタの値223θが「02H」であるか否かを判別する(S6503)。そして、点灯状態カウンタ223θの値が「02H」であると判別された場合は(S6503:Yes)、回転部材820が低速回転状態から高速回転状態へと遷移する途中の加速状態における点灯状態を設定するための加速時処理を実行し(S6504)、本処理を終了する。
一方、S6503の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「02H」で無いと判別された場合は(S6503:No)、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」であるか否かを判別する(S6505)。S6505の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」であると判別された場合は(S6505:Yes)、回転部材820の高速回転状態における点灯状態を設定するための高速時処理を実行し(S6506)、本処理を終了する。
一方で、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」で無いと判別された場合は(S6505:No)、点灯状態カウンタ223θの値が「00H」であり、点灯装置810を制御する必要がないため、本処理を終了する。
次いで、図181を参照して上述した低速時処理(S6502)の詳細について説明する。図181は低速時処理(S6502)を示すフローチャートである。この低速時処理(S6502)は、上述した通り、回転部材820が低速回転状態に設定されている場合の点灯状態を設定するための処理である。
低速時処理(S6502)では、まず、回動センサの出力がH(ハイ)であるか否かを判別し(S6601)、出力がHでない(出力がLである)と判別した場合は(S6601:No)、次いで、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かを判別する(S6602)。S6602の処理において、点灯設定済フラグ223κがオフである場と判別した合は(S6602:No)、円形点灯領域811a~811fの位置とずれた位置に貫通孔821a~821fが配置されている状態で、且つ、既に点灯装置810が消灯状態に設定済であることを意味するので、このまま本処理を終了する。
一方、S6602の処理において、点灯設定済みフラグ223κがオンであると判別した場合は(S6602:Yes)、円形点灯領域811a~811fのいずれかが点灯した状態で、円形点灯領域811a~811fの位置とずれた位置に貫通孔821a~821fが配置されたことを意味するので、円形点灯領域811a~811fを全て消灯する(S6603)。これにより、点灯状態に設定されている円形点灯領域が存在する状態で、円形点灯領域811a~811fの位置と、貫通孔821a~821fとがずれてしまうこと(図176(b)参照)を防止(抑制)できるので、見た目の品位を向上させることができる。S6603の処理が終了すると、点灯設定済フラグをオフに設定し(S6604)、本処理を終了する。
一方、S6601の処理において、回動センサの出力がHであると判別した場合は(S6601:Yes)、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かが判別され(S6605)、点灯設定済みフラグ223κがオンであると判別した場合は(S6605:Yes)、既に点灯状態を設定済であり、重ねて点灯状態を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了する。
これに対して、点灯設定済フラグ223κがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S6605:No)、回動センサの出力がHの位置(円形点灯領域811a~811fの位置と、貫通孔821a~821fの位置とが重なる位置)となったが、点灯状態を未設定であることを意味する。よって、この場合はまず、回転部材820の回転速度を識別するための回転速度識別処理を実行する(S6606)。この回転速度識別処理(S6606)の詳細については、図182を参照して後述する。
S6606の処理が終了すると、秒速1回転よりも速い回転速度か否かが判別され(S6607)、秒速1回転以下の回転速度であると判別した場合は(S6607:No)、低速回転状態の範囲内の回転速度であるため、図177に例示した点灯状態を設定するために、まず、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのデータを上位ビット側にシフトし(S6608)、次いで、シフトしたデータのうち、値が1(オン)のビットの個数が今回の演出の目標値(期待度)に一致しているか否か判別する(S6609)。
S6609の処理において、値が1(オン)のビットの個数が目標値よりも少ないと判別した場合は(S6609:No)、値が0(オフ)のビットのうち、1つ上位のビットが1に設定されているビットを1に設定し(S6610)、処理をS6611へと移行する。S6610の処理により、点灯状態に設定される円形点灯領域の個数を1つ増加させることができる。一方、値が1(オン)のビットの個数が目標値(期待度)に一致している場合は、S6610の処理をスキップして、処理をS6611へと移行する。
S6611の処理では、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのうち、オンのビットに対応する点灯位置(円形点灯領域)が赤色点灯するように設定すると共に、点灯設定済フラグ223κをオンに設定して(S6611)、本処理を終了する。
また、S6607の処理において、秒速1回転よりも速い回転速度であると判断された場合は(S6607:Yes)、回転部材820が低速回転状態から高速回転状態へと遷移する途中の加速状態となったことを意味するので、点灯装置810の内部に設けられた白色のEDを全て点灯状態に設定する(S6612)。そして、点灯状態カウンタ223θの値に「02H」を設定し(S6613)、初回識別済フラグ223λをオフに設定して(S6614)、本処理を終了する。
この低速時処理を実行することにより、低速回転状態において、図177で上述した点灯状態に設定することができるので、見た目の品位を向上させることができる。
次に、図182のフローチャートを参照して、上述した回転速度識別処理(S6606)について説明する。この回転速度識別処理(S6606)は、上述した通り、回転部材820の回転速度を識別(算出)するための処理である。この回転速度識別処理(S6606)では、まず、初回識別済フラグ223λがオンであるか否かを判別する(S6701)。
S6701の処理において、初回識別済フラグ223λがオンで無い(即ち、オフである)と判別された場合は(S6701:No)、速度識別用タイマ223μの値を前回値格納エリア223νに格納し(S6702)、初回識別済フラグ223λをオンに設定して(S6703)、本処理を終了する。上述した通り、速度識別用タイマ223μの値を前回値格納エリア223νに格納しておくことにより、次回の回転速度識別処理において、回転部材820が60度回転するまでに要する時間を容易に算出することができる。
一方、S6701の処理において、初回識別済フラグ223λがオンであると判別した場合は(S6701:Yes)、速度識別用タイマ223μの値を読み出して(S6704)、読み出した値と、前回値格納エリアに格納された値との差分を算出する(S6705)。この差分は、回動センサの出力が前回Hとなってから、今回再度Hとなるまでの時間を表す。即ち、回転部材820が60度回転するまでに要した時間を意味する。S6705の処理が終了すると、次いで、算出した差分(60度回転するのに要した時間)から、回転部材820の回転速度を算出し、速度格納エリアに格納して(S6706)、本処理を終了する。本処理によって算出された回転部材820の回転速度に応じて、適切な点灯状態に設定することができる。
次に、図183を参照して、上述した加速時処理(S6504)について説明する。図183は、加速時処理(S6504)を示すフローチャートである。この加速時処理(S6504)は、低速回転状態から高速回転状態へと移行する途中の加速状態における点灯状態を設定するための処理である。
加速時処理(S6504)では、まず、回動センサの出力がHであるか否かが判別され(S6801)、出力がHでない(即ち、Lである)と判別された場合は(S6801:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S6801の処理において、出力がHであると判別した場合は(S6802:Yes)、回転部材820の回転速度が高速回転状態の速度に達したか否かを判別するために、上述した回転速度識別処理(S6802)を実行する。この回転速度識別処理は、図182を参照して説明した回転速度識別処理と同一の処理が実行されるに過ぎないため、その詳細な説明については省略する。
S6802の処理が終了すると、次いで、算出された回転速度が秒速3回転であるか否かが判別され(S6803)、秒速3回転でない(秒速1回転以上、3回転未満である)と判別した場合は(S6803:No)、高速回転状態に移行していないため、そのまま本処理を終了する。
一方、S6803の処理において、回転部材の回転速度が秒速3回転であると判別された場合は(S6803:Yes)、高速回転状態に遷移したことを意味するので、高速回転状態用の点灯制御に切り替える。即ち、点灯周波数24Hz、オンDUTY0.5%の点灯態様を設定するためのコマンドを、点灯装置810のLEDドライバに対して設定する(S6804)。その後、点灯状態カウンタ223θの値として「03H」を設定することにより、高速回転状態に遷移したことを示し(S6805)、初回識別済フラグ223λをオフに設定して(S6806)、本処理を終了する。この加速時処理により、高速回転状態への遷移を即座に識別し、点灯状態を切り替えることができる。
次に、図184のフローチャートを参照して、上述した高速時処理(S6506)について説明する。この高速時処理(S6506)は、上述した通り、回転部材820が高速回転状態に設定されている場合における点灯状態を設定するための処理である。この高速時処理では、まず、回動センサの出力がHであるか否かを判別し(S6901)、出力がHでない(即ち、Lである)と判別した場合は(S6901:No)、次いで、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かを判別する(S6902)。
S6902の処理において、点灯設定済フラグ223κがオフであると判別した場合は(S6902:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S6902の処理において、点灯設定済フラグ223κがオンであると判別した場合は(S6902:Yes)、赤色LEDの点灯が設定されている円形点灯領域の点灯状態を解除(消灯)し(S6903)、点灯設定済フラグ223κをオフに設定して(S6904)、本処理を終了する。
一方、S6901の処理において、回動センサの出力がHであると判別した場合は(S6901)、点灯設定済みフラグ223λがオンであるか否かを判別し、点灯設定済みフラグ223λがオンであれば(S6905)、既に点灯状態が設定されていることを意味し、重ねて点灯状態を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了する。これに対して、点灯設定済フラグ223λがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S6905:No)、次いで、高速回転状態における点灯期間(24Hz、オンDUTY0.5%の期間)であるか否かを判別し(S6906)、点灯期間でなければ(S6906:No)、そのまま本処理を終了する。
S6906の処理において、高速回転状態における点灯期間(24Hz、オンDUTY0.5%の期間)であると判別した場合は(S6906:Yes)、次いで、回転部材820の回転速度から高速回転状態が終了したか否かを判別するために、回転速度識別処理を実行する(S6907)。この回転速度識別処理(S6907)は、図182において上述した回転速度識別処理(S6606)と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明については省略する。
回転速度識別処理(S6907)が終了すると、次いで、算出された回転速度が秒速3回転未満になったか否かを判別し(S6908)、秒速3回転未満になっていれば(S6908:Yes)、動作シナリオに基づいて高速回転状態が終了され、回転部材820が回転停止に向けて減速し始めたことを意味するので、点灯状態の終了を設定するS6909~S6911の処理を実行する。即ち、全LEDの消灯を設定し(S6909)、点灯状態カウンタ223θに対して「00H」を設定することにより、点灯装置810の点灯制御を行う状態が終了したことを示す(S6910)。そして、点灯設定済フラグ223κをオフに設定すると共に、点灯位置格納エリア223ιのデータを全て0クリアして(S6911)、本処理を終了する。
一方で、S6908の処理において、回転速度が秒速3回転未満となっていない(高速回転状態の回転速度を維持している)と判別された場合は(S6908:No)、まず、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのデータを、下位ビット側にシフトする(S6912)。即ち、低速回転状態とは逆向きにデータをシフトする。そして、シフト後のデータを参照し、値が1(オン)のビットに対応する点灯位置(円形点灯領域)に設けられている赤色LEDをオン状態に設定する(S6913)。そして、点灯設定済フラグ223κをオンに設定して(S6914)、本処理を終了する。
このS6913の処理を実行することにより、図178に例示した点灯状態で制御される白色のLEDとは別に、円形点灯領域811a~811fに設けられた赤色のLEDを制御して、当該変動表示における大当たりの期待度を再度表示させることができる。また、赤色のLEDは、白色のLEDの点灯期間であり、且つ、回動センサの出力がHの場合にのみ点灯されるので、回転部材820が180度回転する毎に赤色LEDが点灯状態に設定される。点灯の1周期に回転部材820が回転する角度が45度であるのに対し、円形点灯領域が60度おきに配置されているので、これらの最小公倍数が180度だからである。ここで、上述した通り、高速回転状態において回転部材820が時計回りに45度回転すると、遊技者の目線では反時計回りに15度回転した見た目となる。よって、回転部材820が時計回りに180度回転すると、遊技者の目線では反時計回りに60度回転したように見えることになる。よって、S6912、およびS6913の処理を実行することで、反時計回りに円形点灯領域1個分回転が進んだ見た目となる毎に、赤色LEDの点灯位置を遊技者の見た目に追従させて反時計回りに1個分移動させることができる。よって、高速回転状態において、回転部材820の回転方向や回転速度を変更することなく、点灯制御だけで回転方向が変わったかのような見た目とすることができる。また、反対方向へと回転し始めた見た目となったことに合わせて、期待度を示す赤色LEDの点灯演出も行うことができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
以上説明した通り、第4制御例におけるパチンコ機10では、回転動作と点灯動作とを複合して行う回転点灯ユニット800が構成に追加されている。この回転点灯ユニット800は、回転動作する回転部材820と、向きが固定の点灯装置810とで構成されており、回転部材820に設けられた貫通孔821a~821fを介して、点灯装置810の円形点灯領域811a~811fが発する赤色の光を遊技者に視認させ、発光箇所の個数により大当たりに対する期待度を報知する演出が行われる。しかし、貫通孔821a~821fと、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態で1又は複数の円形点灯領域が点灯すると、中途半端な見た目となってしまう虞がある。そこで、本制御例では、貫通孔821a~821fと、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致した場合にのみ対応する円形点灯領域を点灯させるように制御し、位置がずれた状態では点灯装置810の全体を消灯させるように構成している。このように構成することにより、回転点灯ユニット800の見た目の品位を向上させることができる。
また、本制御例では、回動センサの検出頻度に応じて回転部材820の回転速度を判別し、回転速度に応じて点灯装置810の点灯制御を変更することができる。経過時間に応じて回転部材820の回転制御と、点灯装置810の点灯制御とを独立して設定するのではなく、実際の回転部材820の回転速度を判別して点灯装置810の点灯制御を変更することにより、回転部材820の実際の動作によりマッチした点灯制御を実行することができる。
本制御例では、回転部材820の背面側に点灯装置810を配置していたが、これに限られるものではない。例えば、回転部材820の背面側に液晶表示装置を配置し、各貫通口位置に対して、大当たりの期待度を示す画像を表示させてもよい。これにより、点灯装置810を配置する場合に比較して、より自由度の高い演出を実行することができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
本制御例では、回転部材820に6つの貫通孔821a~821fが設けられていたが、貫通孔の個数は任意に定めることができる。また、回転部材820の正面側から点灯装置810の点灯態様を視認できる構成は、背面側まで貫通した貫通孔に限定されるものではない。例えば、貫通孔に代えて、透明なガラス板やアクリル板等を配置して、背面側の点灯態様を視認できるように構成してもよい。また、回転部材820の他の位置に比べて厚みを薄くすることにより、他の部分よりも背面側の点灯態様が視認し易くなるように構成してもよい。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、正面レール部715が単一の円弧形状から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、正面レール部715が複数の円弧から形成され、隣り合う円弧の向きが反転される態様(波形状)でも良い。この場合、演出部材620のスライド移動速度が断続的に変化され、演出部材620の姿勢が不安定とされるので、演出部材620をがたつかせる演出を行わせることができる。
上記各実施形態では、演出部材620が倒立状態を形成する場合に、演出部材620の重心Gが第1軸支部613の鉛直上方である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、重心が第1軸支部613の斜め上方に配置されても良い。
上記各実施形態では、左下板部材320の緩衝リブ322の上面が左右方向に水平となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、緩衝リブ322の上面が幅方向外側に近づくにつれ下降傾斜されても良い。この場合、盤面幅方向外側から左下板部材320の上面に流入される球の速度を重力方向の加速度で減速させることができ、球の減速時間を短縮化することができる。
上記各実施形態では、伝達部材640の摺動孔643が長孔で形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、摺動孔643が円形状に形成され、摺動孔643と摺動軸部621aとの位置ずれ分を伝達部材640が伸縮することで調整する態様でも良い。この場合、伝達部材640の配置範囲を抑制することができる。
上記第4実施形態では、当接部644の位置を2位置で切り替えられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、当接部644の位置を連続的に可変する(可動とする)ものとしても良い。この場合、ねじりバネ650の付勢力の変化割合を連続的に増加させることができる。
上記第6実施形態では、先端揺動部材6556の姿勢が2位置で変化する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、先端揺動部材6556の姿勢変化を複数段階で生じさせても良い。この場合、伸縮演出装置6540の揺動量を複数種類で形成することができ、演出のバリエーションを増加させることができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、上記した各実施形態、各制御例のそれぞれ、またはその一部を組み合わせて構成しても当然良い。さらに、複数の制御装置で構成したが、一つの統合した制御装置またはいくつかを統合した制御装置で構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<回動アーム部材550の異形長孔553で駆動力伝達を変化させる技術思想の一例>
第1軸を中心に回転されその第1軸と偏心した位置に突起部が突設されるクランク部材と、前記突起部が挿通される挿通部を備え第1位置とその第1位置から離間した第2位置との間で移動可能に形成されるアーム部材と、前記クランク部材を前記第1軸を中心に回転させる駆動力を発生させる駆動装置と、を備え、前記挿通部は、挿通された前記突起部の移動方向に対面する前記挿通部の内周面に前記突起部が当接されることで前記アーム部材に前記駆動力が伝達され、前記アーム部材を前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能に形成される伝達領域と、その伝達領域に連結される領域であって、前記駆動力の伝達が遮断される非伝達領域と、を備えることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、回転軸から偏心した位置に突設される突起部を備えるクランク部材と、そのクランク部材の突起部が挿通される挿通部を備えるアーム部材と、を備え、クランク部材の回転に連動してアーム部材が動作する遊技機がある(例えば特開2009-000306号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、クランク部材とアーム部材とは常時連動する。そのため、アーム部材をクランク部材の始動時から駆動させることになり、クランク部材の始動のタイミングとアーム部材を駆動させるタイミングとをずらすことができなかった。この場合、クランク部材の始動時に、クランク部材およびアーム部材の慣性に打ち勝つ大きな力が必要となり、駆動装置が大型化するという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、アーム部材の挿通部は、伝達領域と、その伝達領域に連結される非伝達領域と、を備えるため、突起部を非伝達領域に挿通した状態でクランク部材を始動させることで、アーム部材を駆動させるタイミングとクランク部材の始動のタイミングとをずらすことができる。即ち、クランク部材が始動されても、突起部が非伝達領域から伝達領域へ侵入するまで、アーム部材に駆動力は伝達されない。これにより、クランク部材の始動時に必要な駆動力を抑制することができ、駆動装置の小型化を図ることができる。
なお、突起部が非伝達領域を移動する間、アーム部材は、停止されても、移動されても良い。例えば、アーム部材が移動される場合には、重力や補助用の弾性バネが生じる弾性力等により移動される場合が例示される。
なお、挿通部としては、有底凹部状の窪みや、貫通された長孔等が例示される。
遊技機A1において、前記クランク部材は一回転以上の回転を可能に形成され、前記挿通部は、前記クランク部材が一の回転方向に回転されることにより前記伝達領域となる一方、前記クランク部材が前記一の回転方向の反対方向である他の回転方向に回転されることにより前記非伝達領域となる選択領域を備えることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、クランク部材の回転方向によりアーム部材への駆動力の伝達の態様を変化させることができる。これにより、クランク部材の回転速度を変化させずとも、駆動装置の駆動力の方向を反転させることで、クランク部材が同位相に配置される場合のアーム部材の速度態様を2通り形成することができ、アーム部材の速度のバリエーションを増加させることができる。
遊技機A2において、前記挿通部が、前記突起部と、前記クランク部材が前記一の回転方向に回転される場合に前記突起部の移動方向に対面する前記挿通部の内周面と、が離間される余裕部を備えることで、前記選択領域が形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3は、遊技機A2の奏する効果に加え、前記選択領域が、挿通部が余裕部を備えることで形成されるので、アーム部材への駆動力の伝達の態様を変化させるための他の部材を不要とでき、材料コストを低減することができる。
遊技機A1からA3のいずれかにおいて、前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方が、前記アーム部材の移動範囲の終端位置として形成され、その終端位置として形成される前記第1位置または前記第2位置のどちらか一方に前記アーム部材が配置された場合に、前記終端位置として形成される前記第1位置または前記第2位置のどちらか一方の反対側の他方へ向けた前記アーム部材の移動を抑制するバウンド抑制機構が形成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、アーム部材がアーム部材の可動範囲の終端位置として形成される第1位置または第2位置のどちらか一方に配置された場合に、その反対側の他方へ向けたアーム部材の移動を抑制するために駆動装置が発生させる必要がある駆動力を抑制することができる。そのため、駆動装置の耐久性を向上させることができる。
なお、バウンド抑制機構としては、磁石の吸着力を利用する場合、鉤爪形状の部材で動きを抑制する場合およびクランク部材の突起部がアーム部材から受ける荷重がクランク部材の軸方向へ向かう態様でアーム部材の挿通部が形成される場合等が例示される。
磁石で吸着する場合には、磁石が別部材として必要であるが、磁石の内部組成により大小様々な吸着力を生じさせることができ、設計自由度を向上させることができる。
鉤爪形状の部材で動きを抑制する場合には、鉤爪形状の部材を動作させる駆動装置が必要であるが、鉤爪形状の部材でアーム部材の移動を機械的にせき止めることができる。
クランク部材の突起部がアーム部材から受ける荷重がクランク部材の軸へ向かう態様でアーム部材の挿通部が形成される場合には、アーム部材の移動抑制のための別部材が配設不要であり、アーム部材のバウンドを機械的に抑制することができる。
遊技機A4において、前記アーム部材が前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方に配置された場合に、前記挿通部の前記非伝達領域の前記伝達領域との連結位置付近の外形が、前記クランク部材の回転軸を中心とした前記突起部の外接円と略同一とされることで前記バウンド抑制機構が形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、アーム部材が第1位置または第2位置に配置された後、クランク部材の回転を継続することにより、バウンド抑制機構が形成される。これにより、アーム部材の移動状態から停止状態への変化を滑らかに形成することができる。
また、バウンド抑制機構において、挿通部から突起部へかけられる負荷は、クランク部材の回転軸へ向けられるので、クランク部材の回転方向に負荷がかけられることを抑制でき、駆動装置にかけられる負担を抑制することができる。
遊技機A1からA5のいずれかにおいて、前記アーム部材が前記第1位置に配置された場合に、前記挿通部の前記非伝達領域の前記伝達領域との連結位置付近の外形が、前記クランク部材の回転軸を中心とした前記突起部の外接円と略同一とされ、前記第1位置から前記第2位置へ向けてアーム部材を移動させる付勢力が負荷され、前記挿通部の前記非伝達領域の前記第1位置側の側面に前記挿通部の内側に突設される内側窪み部または前記突起部を収容可能な大きさで前記挿通部の外側に突設される外側窪み部の少なくとも一方が形成されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1からA5のいずれかの奏する効果に加え、アーム部材が第1位置に配置された場合に、挿通部の非伝達領域の伝達領域との連結位置付近の外形が、クランク部材の回転軸を中心とした突起部の外接円と略同一とされ、第1位置から第2位置へ向けてアーム部材を移動させる付勢力がアーム部材に負荷される。この場合、クランク部材の突起部が挿通部の非伝達領域に配置されることで、アーム部材の移動が突起部に防止され、アーム部材は停止される。クランク部材が回転され、突起部が非伝達領域を移動されることで、突起部と内側窪み部または外側窪み部とが対向配置されると、アーム部材が移動される。即ち、突起部が内側窪み部と対向配置される場合、突起部に内側窪み部が押し出され、アーム部材はクランク部材の反対側へ移動される。また、突起部が外側窪み部と対向配置される場合、突起部が外側窪み部に収容され、アーム部材はクランク部材側へ移動される。
これにより、クランク部材の突起部が非伝達領域を移動することで、クランク部材が回転されることにより突起部が伝達領域を移動する場合に生じるアーム部材の移動動作とは移動幅の異なる移動動作を生じさせることができる。したがって、駆動装置の耐久性の向上と、アーム部材の移動幅の変化との両立を図ることができる。
即ち、アーム部材の移動幅を変化させるためには、駆動装置の駆動力の方向をアーム部材の移動幅に応じて反転させる必要がある。この場合、駆動装置の制御負担が大きくなるし、振動など移動幅の小さな動作を行うことは困難である。
一方、遊技機A6によれば、クランク部材の突起部が非伝達領域を移動され突起部と内側窪み部または外側窪み部とが対向配置されることで移動幅の異なるアーム部材の動きが形成される。そのため、駆動装置の駆動力の方向を反転させることなく、アーム部材の移動の移動幅を変化させることができる。また、隣り合った内側窪み部または外側窪み部の形成間隔を狭めることで、振動など移動幅の小さな動作をアーム部材に行わせることができる。
なお、突起部を収容可能な態様とは、凹設部に突起部の全体が含まれる態様でも良いし、突起部の一部が凹設部に含まれる態様でも良い。
<伸縮演出装置540の揺動幅を円弧状孔554で制限する技術思想の一例>
所定の移動軌跡に沿って移動可能であって、互いに異なる第1位置と第2位置とに配置可能な可動部材と、その可動部材に対応して移動し、可動部材に当接することで前記可動部材の前記所定の移動軌跡の移動幅を制限すると共に、前記可動部材が前記第1位置に配置されるか前記第2位置に配置されるかによって前記可動部材の移動幅を変化させるストッパ部材と、を備えることを特徴とする遊技機B1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される可動部材と、その可動部材の移動幅を制限するストッパ部材と、を備える遊技機がある(例えば特開2012-016623号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、ストッパ部材は移動不能に固定されるので、可動部材が第1位置に配置される場合と、第2位置に配置される場合とでストッパ部材を別々に用意する必要があり、ストッパ部材を配設するスペースが広範囲になるという問題点があった。
これに対し、遊技機B1によれば、ストッパ部材が可動部材に対応して移動するので、可動部材が第1位置に配置される場合のストッパ部材を、可動部材が第2位置に配置される場合のストッパ部材と兼用できる。これにより、ストッパ部材を配設するスペースを抑制することができる。
また、ストッパ部材は、可動部材が第1位置に配置されるか、可動部材が第2位置に配置されるかによって、可動部材の移動幅を変化させるので、可動部材の移動幅のバリエーションを増やすことができる。
なお、ストッパ部材としては、伝達部材から突設され可動部材に当接される突起部や、伝達部材に凹設され可動部材の一部を収容する窪みの内壁部等が例示される。
なお、移動の態様としては、直線移動、曲線移動、蛇行移動、振動、揺動および回転移動等が例示される。また、各移動の態様における移動幅とは、例えば、直線移動、曲線移動、蛇行移動および振動等の場合には実際の移動距離や2点間の直線距離等を意味し、揺動および回転移動等の場合には、実際の移動距離や移動角度等を意味する。
遊技機B1において、前記可動部材は、第1軸に揺動可能に軸支されると共に前記第1軸の径方向に伸縮動作する中間部材を備え、前記第1位置と前記第2位置とでは、前記中間部材の伸縮長さが異なり、前記所定の移動軌跡は、前記第1軸を中心とした円弧状に形成され、前記ストッパ部材は、前記中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における前記可動部材の前記所定の移動軌跡に沿って延設されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、可動部材が、第1軸を中心として揺動可能に軸支されると共に第1軸の径方向に伸縮動作可能に形成される中間部材を備える。そのため、中間部材の伸縮方向の長さによって、第1軸を中心とした可動部材の所定の移動軌跡の曲率半径を変化させることができる。
ここで、ストッパ部材は、中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における可動部材の所定の移動軌跡に沿って延設される(ストッパ部材の延設方向の曲率と中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における可動部材の所定の移動軌跡の曲率とが同一とされる)。この場合、中間部材が所定の伸縮状態とされる場合に、可動部材はストッパ部材に沿って移動され、可動部材をストッパ部材の延設方向に亘って移動させることができる。そのため、可動部材の移動幅(揺動角度)を最大とすることができる。
一方で、中間部材を所定の伸縮状態と異なる伸縮状態とすると、可動部材の所定の移動軌跡の曲率と、ストッパ部材の延設方向の曲率とを異ならせることができ、可動部材の所定の移動軌跡とストッパ部材の延設方向とを交差させることができる。そのため、可動部材の移動幅を短縮することができる。従って、中間部材の伸縮状態を変化させることで、可動部材の移動幅を変化させることができる。
遊技機B2において、前記可動部材は、前記ストッパ部材へ向けて突設される突起部を備え、前記ストッパ部材は、前記突起部が挿通される挿通部を備え、前記突起部が前記挿通部に挿通された状態において前記可動部材と前記ストッパ部材とが前記中間部材の伸縮方向に連動し、前記可動部材は、前記挿通部に当接されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、可動部材の突起部がストッパ部材の挿通部に挿通されることで、可動部材とストッパ部材とが中間部材の伸縮方向に連動するので、可動部材を伸縮させる駆動装置とストッパ部材を移動させる駆動装置とを兼用することができる。また、挿通部は、可動部材に当接されることで可動部材の移動を規制する。即ち、ストッパ部材の挿通部が、可動部材の移動を規制するストッパとしての機能と、可動部材およびストッパ部材を連動させる機能と、を備える。これにより、機能の集約化を図ることができる。
遊技機B3において、前記中間部材が伸縮動作することにより、前記挿通部に対する前記第1軸の配置が、内周側と外周側とで反転することを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、中間部材が伸縮動作されることにより、挿通部に対する第1軸の配置が内周側と外周側とで反転する。これにより、第1軸が挿通部の内周側に配置される場合と、第1軸が挿通部の外周側に配置される場合とで、可動部材の移動幅を変化させることができる。
即ち、挿通部の内周側に第1軸が配置される場合(可動部材が所定の移動軌跡で移動される場合の突起部の移動軌跡が挿通部の形状に沿う場合)は、突起部の移動軌跡と挿通部の形状とが近似され、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を広くできる。一方、挿通部の外周側に第1軸が配置される場合(可動部材が所定の移動軌跡で移動される場合の突起部の移動軌跡が挿通部の形状と略反転する場合)は、突起部の移動軌跡と挿通部の内側壁面とが形成する角度が大きくなり、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を狭くできる。
遊技機B3又はB4において、前記挿通部は、前記中間部材の伸縮状態を維持したまま姿勢変化可能に形成され、前記挿通部が姿勢変化することで前記可動部材と前記挿通部との当接位置が変化され、前記可動部材の所定の移動軌跡の移動幅が変化することを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B3又はB4の奏する効果に加え、中間部材の伸縮状態を維持したまま挿通部の姿勢を変化させることで可動部材と挿通部との当接位置が変化する。この場合、中間部材の伸縮状態を維持したまま、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を変化させることができる。
遊技機B3からB5のいずれかにおいて、前記挿通部は、前記突起部を前記移動軌跡に沿って出入り可能とする溝部を備え、その溝部を介して前記突起部が前記挿通部から離間される離間状態を形成可能とされ、前記可動部材は、前記離間状態において前記ストッパ部材と係合される位置決め補助部を備えることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B3からB5のいずれかの奏する効果に加え、突起部が溝部を介して挿通部から離間される離間状態を形成可能であると共に、可動部材が、離間状態においてストッパ部材と係合される位置決め補助部を備える。そのため、可動部材の動作範囲に比較して、ストッパ部材の形成範囲を小さくすることができ、ストッパ部材の材料コストを削減することができると共に、離間状態における可動部材とストッパ部材との位置ずれを防止することができる。即ち、突起部がストッパ部材の挿通部から離間されたとしても、位置決め補助部により可動部材のストッパ部材に対する相対移動が抑制されるので、突起部を再び挿通部へ戻すことができる。
<倒立支持される演出部材620を2点支持する技術思想の一例>
ベース部材と、そのベース部材に形成される支持部に変位可能に支持され所定の位置から上昇移動する可動部材と、その可動部材を変位させる駆動力を発生する駆動装置と、前記可動部材に連結され、前記駆動装置から発生した駆動力を前記可動部材へ伝達する伝達部材と、を備える遊技機において、前記伝達部材は、前記ベース部材に形成される軸支部に揺動可能に軸支され、前記支持部から前記可動部材および前記伝達部材の連結位置までの長さに比較して、前記軸支部から可動部材および前記伝達部材の連結位置までの長さが短いことを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、ベース部材に形成される支持部に変位可能に支持され所定の位置から上昇移動する可動部材をギアによる駆動力の伝達で駆動させる遊技機がある(例えば特開2011-120640号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、駆動装置の制御の分解能の最小単位(例えば、ステッピングモータでは1ステップ)で駆動装置を動作させる場合の可動部材の重心の移動量は、可動部材の支持部から可動部材の重心までの長さに比例する。そのため、可動部材の重心が支持部から径方向に離れるほど、可動部材の重心の位置調整が困難になる。
また、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態から、可動部材の重心が一方にずれた場合に、その逆方向に可動部材を変位させる駆動力を発生させ可動部材を倒立状態に維持しようとしても、その駆動力により重心が他方にずれると、駆動力の方向と重力の方向とが一致し、可動部材は大幅に変位することになる。
そのため、可動部材が支持部の径方向に長尺になるほど、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態に可動部材を静止させることが困難となるという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、可動部材に駆動装置の駆動力を伝達させて可動部材を上昇移動させる伝達部材が、ベース部材の軸支部に軸支されると共に可動部材に連結され、可動部材および連結部材の連結位置から軸支部までの長さが、可動部材および連結部材の連結位置から支持部までの長さに比較して短く形成される。そのため、可動部材が支持部の径方向に長尺な場合であっても、駆動装置の制御の分解能の最小単位で駆動装置を動作させる場合の可動部材の重心の移動量を、抑制することができる。従って、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態に可動部材を静止させることを容易とすることができる。
なお、可動部材がベース部材に支持される態様としては、ベース部材に可動部材が揺動可能に軸支される態様や、ベース部材に可動部材がスライド移動可能に支持される態様や、それらが複合された態様等が例示される。
遊技機C1において、前記伝達部材は、前記可動部材が前記所定の位置から上昇移動するほど、前記軸支部から前記可動部材との連結位置までの腕長さが短縮されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、支持部を中心に変位される可動部材が所定の位置から上昇移動するほど、軸支部から可動部材との連結位置までの伝達部材の腕長さが短縮される。そのため、伝達部材の腕長さが一定の場合に比較して、可動部材の速度の設計自由度を向上させることができる。
例えば、伝達部材を回転させる駆動装置の回転数が一定で動作する場合に、伝達部材の腕長さが所定の第1の長さで固定される場合と、伝達部材の腕長さが第1の長さより短い第2の長さで固定される場合とを仮定して説明する。駆動装置の回転数が一定の場合、伝達部材が第1の長さで固定される場合の方が、伝達部材の腕長さが第2の長さで固定される場合に比較して、伝達部材が所定の位相に配置される際の可動部材の重心の移動速度は速くなる。
ここで、所定の位置付近では伝達部材を第1の腕長さとした場合に発生する速度で可動部材を素早く動作させ、倒立状態付近では伝達部材を第2の腕長さとした場合に発生する速度でゆっくりと可動部材を動作させたい場合を考える。そのための方法としては、駆動装置の回転数を途中で変化させる方法が考えられるが、駆動装置の回転数を変化させることが困難な場合には採用できない。また、駆動装置の回転数を変化させることができる場合であっても回転数を途中で変化させるには、その変化のタイミングを検出するための検出センサが必要となるので、コストが嵩むという問題点があった。
一方、遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、伝達部材の軸支される軸支部から伝達部材と可動部材との連結位置までの腕長さが、伝達部材が所定の位置から上昇移動するほど短縮される態様で形成される。そのため、所定の位置付近では伝達部材を第1の腕長さとし、倒立状態付近では伝達部材を第2の腕長さとすることができるので、可動部材の速度の設計自由度を向上させることができる。
なお、軸支部から伝達部材と可動部材との連結位置までの腕長さが固定される構成としては、伝達部材から突設される突部が可動部材に挿通され連結される場合等が例示される。また、腕長さが変化可能とされる構成としては、伝達部材に長孔が形成され、可動部材から突設される突部が伝達部材の長孔にスライド可能に挿通される場合や、可動部材が支持部に支持される部分に長孔を備え、ベース部材からその長孔に挿通される挿通軸棒が形成される場合等が例示される。
遊技機C1又はC2において、前記可動部材は、前記支持部と平行な方向に突設される突起部を備え、前記伝達部材は、前記軸支部の径方向に延設される長孔であって前記突起部が挿通される挿通部を備えることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3では、遊技機C1又はC2の奏する効果に加え、挿通部が軸支部の径方向へ延設され、その挿通部に伝達部材の突起部が挿通されることで伝達部材と可動部材とが連結されるので、連結位置の移動方向が軸支部の径方向に制限される。そのため、伝達アームの揺動に伴い、軸支部から伝達部材の可動部材との連結位置までの長さを機械的に変化させることができる。
なお、挿通部としては、貫通形成される長孔や、有底の窪みとして形成される凹設部等が例示される。
遊技機C3において、前記軸支部は前記支持部の鉛直上方に配置され、前記支持部および前記突起部を結ぶ直線上に前記可動部材の重心が配置されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、可動部材が支持部の鉛直上方に突起部を配置させる姿勢をとる場合に、支持部、軸支部、突起部および可動部材の重心が鉛直線上に形成される。この場合、可動部材の重心にかけられる重力が支持部および軸支部に対し鉛直下方へ負荷される。そのため、可動部材に回転方向の力が負荷されないので、駆動装置の動力を遮断しても可動部材の姿勢を維持することができる。これにより、駆動装置の負担を低減することができる。
遊技機C1からC4において、前記伝達部材と前記駆動装置との間にウォームギアが介設され、駆動装置の回転が前記ウォームギアにより減速されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C1からC4の奏する効果に加え、伝達部材と駆動装置との間にウォームギアが介設され、そのウォームギアにより駆動装置の回転が減速されるので、駆動装置が制御の分解能の最小単位で動作する場合の、可動部材の移動幅を大幅に低減することができる。また、ウォームギアを介した力の伝達方向は、駆動装置側から伝達部材側への一方向に限定されるので、伝達部材側からの荷重でウォームギアが回転することを防止することができ、駆動装置の停止時に駆動装置に掛けられる負担を低減することができる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記支持部の上方に前記可動部材の重心を移動させる付勢力が前記可動部材の変位方向の双方向で発生する付勢装置を備え、前記付勢力は、前記可動部材の重心が前記支持部の鉛直上方に配置される倒立状態において変位方向で釣り合い、前記可動部材が前記倒立状態から変位するほど大きくなることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかにおいて、付勢装置が、支持部の上方に可動部材の重心を移動させる付勢力を発生し、その付勢力は、可動部材の重心が支持部の鉛直上方に配置される状態(倒立状態)から可動部材が変位するほど大きくなる。即ち、倒立状態において付勢力を最小とすることができる。
そのため、所定の位置からの可動部材の上昇移動時には付勢力を大きくすることで可動部材が所定の位置に配置される状態から可動部材を上昇移動させる駆動装置の負担を低減することができる。
また、付勢力は、可動部材の変位方向の双方向で発生し、倒立状態において変位方向で釣り合う。そのため、可動部材が所定の位置から上昇移動され、駆動装置を停止制御した場合に、可動部材が倒立状態に至らない場合でも、倒立状態を通り過ぎる場合でも、付勢力により可動部材の姿勢を倒立状態に向かわせることができる。これにより、可動部材を倒立状態で停止させることを容易にすることができる。
遊技機C6において、前記可動部材は、重心が前記支持部の鉛直上方から所定量変位するまでの第1状態と、前記所定量以上に変位する第2状態とを形成可能であって、前記第1状態に比較して、前記第2状態の方が、変位が同一の場合の付勢力の変化の割合が大きくなることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C6の奏する効果に加え、可動部材の重心が支持部の鉛直上方に配置される倒立状態側の第1状態よりも、倒立状態から可動部材が所定量より大きく変位される第2状態の方が、変位が同一の場合の付勢力の変化の割合が大きくなる。この場合、第2状態に可動部材が配置される状態から可動部材を始動させる場合に、駆動装置の始動時の負担を抑制できる。また、倒立状態付近に可動部材が配置される場合の可動部材の加速度を低減することができるので、可動部材を倒立状態で停止させることを容易とすることができる。
<ねじりバネ650のバネ定数が揺動の途中で変化する技術思想の一例>
第1位置と第2位置との間を移動可能に形成される可動部材と、その可動部材を移動させる駆動力を発生させる駆動装置と、前記可動部材を前記第1位置へ復帰させる付勢力を発生させる付勢装置と、を備える遊技機において、前記可動部材が、前記第1位置から所定位置までの第1付勢領域に配置される場合に生じる付勢力の変化割合に対して、前記可動部材が、前記第1付勢領域に連結される領域であって前記第1位置から離反して形成される第2付勢領域に配置される場合に生じる付勢力の変化割合が大きく形成されることを特徴とする遊技機D1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、可動部材を駆動装置が発生させる駆動力で移動させる際の補助力として弾性バネ等の付勢装置による付勢力を用いる遊技機がある(例えば特開2011-120640号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、付勢装置の付勢力は、可動部材の変位量により比例的に増加されるものであり、可動部材の配置により付勢装置の目的を変化させることは困難であるという問題点があった。即ち、ある領域では付勢力を抑えることで可動部材の動きをしなやかにし、別のある領域では付勢力を向上させ可動部材の動きを急激にするということが困難であった。
一方、遊技機D1によれば、第1位置へ向けて付勢される付勢力の変化割合が、可動部材が第1付勢領域に配置される場合に比較して、可動部材が第2付勢領域に配置される場合の方が大きくされる。即ち、例えば、第2位置に停止された可動部材を第1位置へ向けて始動させる際(第2付勢領域)には付勢装置により十分な付勢力を得られる一方、可動部材が第1付勢領域に配置された場合には付勢力の変化が抑制され可動部材の動作をしなやかに(緩やかに)させることができる。
なお、付勢装置の付勢力の変化割合が可動部材の配置により変化される態様としては、可動部材に付勢量を発生させる付勢装置の個数が途中で増加する場合や、付勢装置が弾性バネから形成され弾性バネのバネ定数が可動部材の配置により変化される場合等が例示される。
遊技機D1において、前記付勢装置は、前記可動部材の移動方向と交差すると共に前記可動部材を移動方向で挟む一対の面上にそれぞれ配置される一対の長尺部材であって、一方の端部が前記可動部材の両側面にそれぞれ対向配置されると共に前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部が移動を抑制される弾性バネから形成され、前記可動部材は、前記一対の長尺部材に挟まれる本体部と、前記一対の長尺部材に対して前記本体部の反対側に形成されると共に前記本体部の移動方向において前記一対の長尺部材の少なくとも一方と当接可能に形成される当接部と、を備え、その当接部は前記可動部材に連結固定され、前記可動部材が前記第1付勢領域に配置されると、前記可動部材は、前記一対の長尺部材の内、前記可動部材の移動によりその可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材に当接され付勢力を与えられ、前記可動部材は、他方の長尺部材と前記当接部とが当接され付勢力を与えられることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、付勢装置による付勢力の変化割合の変化を、可動部材と一対の長尺部材との当接タイミングを、長尺部材ごとにずらすことで形成することができる。そのため、制御により付勢装置の付勢力を変化させたり、付勢力を向上させる別部材を用意したりすることを不要とできる。
即ち、一対の長尺部材は他方の端部が移動を規制されるので、可動部材の移動により可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材は可動部材に押し付けられ移動するが、反対側の他方の長尺部材は、可動部材から力を受けない。そのため、第1付勢領域では、可動部材の移動に際して、可動部材の移動方向の反対側に配設される他方の長尺部材は、その場に留まる。
一方、第2付勢領域では、可動部材が移動されることで、他方の長尺部材が当接部に当接される。これにより、他方の長尺部材からも付勢力が発生される。従って、第2付勢領域において可動部材に与えられる付勢力を増大させることができる。
なお、弾性バネとしては、コイルスプリング、ねじりバネ及び板バネ等が例示される。
遊技機D1又はD2において、前記付勢装置は、前記可動部材の移動方向と交差すると共に前記可動部材を移動方向で挟む一対の面上にそれぞれ配置される一対の長尺部材であって、一方の端部が前記可動部材の両側面にそれぞれ対向配置されると共に前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部が移動を抑制される弾性バネから形成され、前記可動部材は、前記一対の長尺部材に挟まれる本体部と、前記一対の長尺部材に対して前記本体部の反対側に形成されると共に前記本体部の移動方向において前記一対の長尺部材の少なくとも一方と当接可能に形成される当接部と、を備え、その当接部は前記可動部材に連結固定され、前記可動部材が前記第1付勢領域に配置されると、前記可動部材は、前記一対の長尺部材の内、前記可動部材の移動によりその可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材に当接され付勢力を与えられ、前記可動部材が前記第2付勢領域に配置されると、前記一方の長尺部材の中間部が、前記本体部に対して一方の長尺部材側に配置される当接部に押し付けられることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、付勢力の変化割合の変化は、一方の長尺部材の中間部が、当接部に押し付けられることにより形成される。即ち、可動部材の移動により既に変形されている一方の長尺部材が、当接部に押し付けられる中間部を起点に更に変形されることで付勢力の変化割合の変化が生じる。ここで、中間部を起点とする変形は、他方の端部を起点とする変形に比較して変形を受ける部分の長さが短くなるので、可動部材の移動量に対する付勢力の変化の割合が増大する。これにより、第2付勢領域において、可動部材の移動量に対する付勢力の変化を増大させることができる。よって、付勢力の変化割合を大きくすることができる。
遊技機D3において、前記一方の長尺部材は、対向配置される前記当接部側へ向けて折り曲げられる第1折曲点を備え、その第1折曲点において前記一方の長尺部材が前記当接部に押し付けされることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、一方の長尺部材が第1折曲点で対向配置される当接部と当接されるので、一方の長尺部材が当接部との当接により引き延ばされる。そのため、可動部材に付勢力を与える付勢装置の先端部分を、付勢力の起点となる長尺部材の他方の端部や第1折曲点から離反させることができる。従って、第2付勢領域において可動部材が付勢装置から負荷されるモーメントをより大きくすることができる。
遊技機D4において、前記可動部材は、前記長尺部材の他方の端部から離反するほど移動方向へ拡大される先端拡大領域を備え、その先端拡大領域において前記可動部材と前記長尺部材の一方の端部とが当接されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、可動部材が先端拡大領域を備え、その先端拡大領域において可動部材と長尺部材の一方の端部とが当接される。そのため、一方の長尺部材が当接部に押し付けられることにより一方の長尺部材が引き延ばされると、可動部材と長尺部材との当接位置が長尺部材の他方の端部から離反する方向へ移動され、長尺部材の変形量が増大される。そのため、付勢装置から可動部材へ負荷される付勢力を増加させることができる。
遊技機D2からD5のいずれかにおいて、前記当接部と前記本体部との配置間隔を変化可能とされることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D2からD5のいずれかの奏する効果に加え、長尺部材の生じる付勢力の変化のバリエーションを増やすことができる。即ち、例えば、当接部と本体部との配置間隔が狭められる場合、長尺部材の付勢力の変化の割合が増大するタイミングをより早期に設定することができる。
<アウト口が複数配設され下板320に緩衝リブ322が形成される技術思想の一例>
球が流下可能に形成される遊技領域の内部で、その遊技領域の下縁に当接して配置される盤内役物と、その盤内役物の幅方向一側に形成され球を前記遊技領域から排出する開口である第1アウト口と、前記幅方向一側の反対側である前記盤内役物の幅方向他側に形成され球を遊技領域から排出する開口である第2アウト口と、を備える遊技機において、前記第1アウト口および前記第2アウト口は、開口の下側面から正面に延設され上面に案内面を有する下板部を備え、その下板部の前記案内面は、前記第1アウト口または前記第2アウト口の内で対応する側の開口方向へリブ状に延設される緩衝リブを備えると共に、幅方向外側において前記案内面から盛り上げられて形成される段部を備え、前記緩衝リブの縦横比が幅方向外側へ向かうほど小さく形成されることを特徴とする遊技機E1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、アウト口が複数配設される遊技機がある(例えば特開平9-192301号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、アウト口の個数が増える分、各アウト口の大きさを抑える方がアタッカー等の配設スペースを確保できて好ましい一方で、アウト口を小さくしすぎると、遊技球の排出が滞るおそれがあるという問題点があった。
例えば、アウト口手前側において球が上下にバウンドする高さがアウト口の縦幅以上になると球はアウト口の前方に滞留する。また、例えば、アウト口の幅方向の側面に役物に側面が配設され壁となる場合、幅方向からアウト口手前側へ流入した球は役物の側面に衝突して幅方向へ跳ね返る。このとき、幅方向に跳ね返る量がアウト口の横幅以上になると、球はアウト口の前方に滞留する。
一方、遊技機E1によれば、下板部に形成される案内面に緩衝リブが形成されるので、球の跳ね返りを抑制したり、球を減速させたりすることができる。即ち、上下方向から球が衝突する場合には緩衝リブが撓み変形することで緩衝リブがクッションとなり球の跳ね返りを抑制することができる。また、左右方向から球が衝突する場合には、球が緩衝リブにはまり込むことで制動される。
ここで、開口方向へ延設される緩衝リブは、左右方向からの負荷に弱く、左右方向からの球の衝突により破損するおそれがある。
これに対し、遊技機E1によれば、案内面が、幅方向外側において段部を備えるため、左右方向から緩衝リブへ向けて流下する球が段部の上から緩衝リブへ落下することになる。この場合、球の緩衝リブへの衝突の向きの上下方向成分を大きくすることができ、緩衝リブの破損を抑制することができる。
なお、段部は案内面上を左右方向に移動する球をせき止める機能を備えるので、案内面上を移動する球がアウト口の横幅以上に跳ね返ることを防止することができる。
遊技領域の幅方向中央に向かうほど緩衝リブが高く形成されるので、流下する球が集中しやすい遊技領域の幅方向中央付近において大きな跳ね返り抑制効果を得ることができる。これにより、アウト口から球をスムーズに排出することができる。また、遊技領域の下辺の曲線と緩衝リブの下面とを合わせることで、アウト口の配設位置を下方修正することができる。
ここで、緩衝リブの形成高さが高いほど球の跳ね返り抑制効果が大きくなるのは、緩衝リブの撓み量が大きくなるためである。即ち、緩衝リブの撓み量が大きいほどクッション効果が十分に働き、跳ね返りを抑制し易くできる。そのため、緩衝リブの縦横比を左右方向で一定にする(縦方向の長さを一定にする)方が、跳ね返り抑制効果のためには好ましい。
一方で、緩衝リブの縦横比を一定にする(縦方向の長さを一定にする)と、段部の形成高さを高くする必要があり、その段部に至るまでの球の経路も上方に配置させる必要があるので、結果的に遊技領域を狭めることになり、スペース効率上好ましくない。
一方、遊技機E1では、流下する球が集中しにくい遊技領域の幅方向外側では緩衝リブの縦横比(縦方向の長さ)を小さくし、流下する球が集中しやすい遊技領域の幅方向中央では緩衝リブの縦横比(縦方向の長さ)を大きくしている。これにより、球の排出効率の向上と、遊技領域の確保との両立を図ることができる。
なお、開口方向へ延設されるとは、特に限定されるものではなく、直線形、波形、山形等の形状で開口方向へ沿って延設されることを意味する。
遊技機E1において、前記案内面は、前記遊技領域の幅方向外側へ下降傾斜する外傾斜部を備えることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、案内面が外傾斜部を備えるので、幅方向外側から案内面に流入する球の速度を重力加速度で減速させることができ、球の減速時間を短縮化することができる。
遊技機E1又はE2において、前記第1アウト口または前記第2アウト口の少なくとも一方の斜め上方に、球が流下不能とされる非流下領域が形成されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E1又はE2の奏する効果に加え、非流下領域から案内面へ向けて斜め下方向へ流れる球の流下が制限されるので、案内面へ至るまでの球の流下経路の数を低減することができる。そのため、流下した球の跳ね返る方向を狭めることができる。これにより、第1アウト口または第2アウト口の少なくとも一方の外形を狭めることができる。
遊技機E3において、前記非流下領域は、前記遊技領域に配設され正面側へ開閉可能とされる開閉装置が、前記第1アウト口または前記第2アウト口の少なくとも一方の上方に配設され、前記開閉装置の正面側に形成されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E3の奏する効果に加え、非流下領域が開閉装置により形成される。これにより、第1アウト口または第2アウト口の非流下領域側へ望む方向の開口寸法を抑制することにより生じるスペースを、開閉装置の配設スペースとして利用することができる。
また、開閉装置は、閉状態の場合には、開閉装置の前方を流下する球を遊技領域下方に流下させ、開状態の場合には、開閉装置の前方を流下する球を遊技領域の後方へ流下させる機能を有する。そのため、釘などと衝突することにより球が不規則に流下する場合に比較して、非流下領域の形成を確実に行うことができる。
遊技機E1からE4のいずれかにおいて、前記第1アウト口または前記第2アウト口の上底面に、開口方向へリブ状に延設される方向調整リブを備えることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E1からE4のいずれかの奏する効果に加え、第1アウト口または第2アウト口の上底面に開口方向へリブ状に延設される方向調整リブを備えるため、第1アウト口または第2アウト口の上底面に衝突しながら流下する球に対する抵抗を抑制することができる。
<特徴F群>(電源投入時画像を通常時も使用)
所定の表示態様を表示可能な表示手段と、前記表示手段に前記表示態様を表示させる表示制御手段と、その表示制御手段により表示される前記表示態様に対応した表示データが記憶された記憶手段と、その記憶手段より前記表示データを読み出して、前記表示制御手段により前記表示手段に表示される表示データとして設定する設定手段と、を有し、前記記憶手段には、遊技の初期設定が実行されている場合に表示する初期画像に対応した初期表示データが記憶され、前記設定手段は、前記初期設定において前記初期表示データを前記記憶手段より読み出して、前記表示手段に表示させる表示データとして設定するものであり、前記初期設定の完了後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記表示手段に表示させる表示データとして使用するものであることを特徴とする遊技機F1。
ここで、従来より、遊技機においては、液晶表示装置等の表示装置に様々な演出画像を表示して遊技の興趣向上が図られている。このような遊技機では、一般的に、表示装置に表示させる画像の画像情報を予め記憶手段に記憶させておき、画像を表示する際に、記憶手段から対応する画像情報を読み出し、画像処理を施した上で、表示装置にその画像を表示させるように構成されている(例えば、特開2006-223598)。しかしながら、上述した遊技機は、画像情報が増大することで、遊技機で使用する画像データが多くなってしまい、記憶するための記憶手段の大容量化や、その読み出す処理等による負荷が増大する不具合があった。このような問題点により、画像表示制御の向上が求められていた。
遊技機F1によれば、初期設定時に表示される初期表示データが、初期設定完了後の演出についても使用されるので、表示データを共通化することができ、表示データ量を削減でき、画像表示制御の向上をすることができるという効果がある。
遊技機F1において、前記表示手段は、第1表示手段と、その第1表示手段とは異なる第2表示手段とで構成され、前記表示制御手段は、前記第1表示手段または前記第2表示手段に前記表示態様を表示させるものであり、前記設定手段は、前記初期設定において前記初期表示データを前記記憶手段より読み出して、前記第1表示手段と前記第2表示手段とに表示させる表示データとして設定するものであり、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段と前記第2表示手段とのどちらか一方に表示させる表示データとして設定するものであることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とで構成された表示手段に対しても表示データの共通化を行うことができ、表示制御の負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機F2において、前記初期表示データは、前記第1表示手段と前記第2表示手段との表示領域を一つの表示領域として設定されているものであることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とを一つの表示データとして設定することができるので、表示制御を簡略化できるという効果がある。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、取得条件の成立に基づいて、情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得した情報を判別する判別手段と、その判別手段により判別した判別結果を示す識別情報を動的表示することが可能な動的表示手段と、を有し、前記識別情報は、前記初期画像で表示される初期識別情報と前記初期設定完了後の動的表示で表示される通常識別情報とで構成されているものであることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F1からF3のいずれかの遊技機の奏する効果に加え、判別手段による判別結果を示す識別情報は、初期画像で表示される初期識別情報と通常識別情報とで構成されているので、遊技者により初期設定であることを認識させることができるという効果がある。
遊技機F4において、前記初期画像は、第1表示手段に対して表示される前記初期識別情報を含む表示画像と前記第2表示手段に対して表示される遊技内容を示す遊技情報画像を含む表示画像とで少なくとも構成されていることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、初期画像が第1表示手段に表示される初期識別情報と第2表示手段に表示される遊技情報画像を含む表示画像とで構成されているので、遊技者に遊技内容と判別結果とを同時に初期設定中も報知することができるという効果がある。
遊技機F4またはF5において、前記第1表示手段に前記初期設定中に表示される前記初期識別情報は、前記通常識別情報より少ないデータ量で構成されているものであることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、初期識別情報が通常識別情報よりも少ない表示データで構成されているので、初期設定時における制御負荷を軽減して、早く初期識別情報を読み出して表示させることができるという効果がある。
遊技機F4からF6のいずれかにおいて、前記第2表示手段は、前記第1表示手段よりも小さい表示領域で構成されており、所定期間遊技が行われない場合に、前記第2表示手段には、前記初期画像で表示される前記遊技情報画像を含む表示画像が表示されるものであることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F4からF6のいずれかの奏する効果に加え、遊技が所定期間行われない場合には、初期表示データを使用して第2表示手段に遊技情報画像を含む表示画像が表示されるので、制御負荷を軽減して、遊技内容の報知を行うことができるという効果がある。
遊技機F7において、前記所定期間遊技が行われない場合には、前記初期画像のうち、第1表示手段に対して表示される前記表示画像に対応する表示データは、非表示に設定されるものであることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F7の奏する効果に加え、第1表示手段に表示される初期画像は非表示に設定されるので、第1表示手段に異なる表示を行うことができるという効果がある。
遊技機F2からF8のいずれかにおいて、前記設定手段は、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段に対して設定する場合には、前記第2表示手段に対応する表示データを非表示に設定し、第2表示手段に対して設定する場合には、第1表示手段に対応表する示データを非表示に設定するものであることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F2からF8のいずれかの奏する効果に加え、これにより、第1表示手段と第2表示手段とで独立して初期表示データを使用して表示を行うことができるという効果がある。
遊技機F9において、前記設定手段は、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段に対して設定する場合には、初期設定中とは異なる表示位置に表示されるように設定するものであることを特徴とする遊技機F10。
遊技機F10によれば、遊技機F9の奏する効果に加え、初期設定で表示された表示と異なる表示であるかのうように遊技者に見せることができ、初期表示データを多種多様に使用することができるという効果がある。
<特徴G群>(シャッターとメイン液晶とで変動内容によって○×の位置変える)
識別情報を表示することが可能な第1表示手段と、その第1表示手段とは異なる第2表示手段と、前記第1表示手段または前記第2表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、特定の前記識別情報が前記第1表示手段または前記第2表示手段に表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、前記動的表示手段により動的表示される前記識別情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とのどちらかに切り替えて表示させる切替表示手段とを有するものであることを特徴とする遊技機G1。
ここで、例えば、遊技機の演出を行う表示手段を複数設け、それぞれの表示手段で変動演出や大当たり演出を行うことで、複数の表示手段を用いた相乗的な演出を行うことで、遊技者の興趣を向上させることを目的とした遊技機が知られている(例えば、特開2004-081256)。しかしながら、上述した遊技機では、複数の表示装置を利用した利便性の向上が求められていた。このような問題点により、利便性の向上が求められていた。
遊技機G1によれば、第1表示手段または第2表示手段に表示される演出(識別情報の動的表示)が、切替表示手段により、第1表示手段と第2表示手段とのどちらかに切り替えて表示することができる。これにより、識別情報を遊技の状態に応じて遊技者が視認し易い位置に表示することができ、利便性の向上を向上できるという効果がある。
遊技機G1において、前記第1表示手段に動的表示される前記識別情報の視認を困難にする位置である第1位置に駆動可能な第1駆動手段と、前記第2表示手段に動的表示される前記識別情報の視認を困難にする位置である第2位置に駆動可能な第2駆動手段と、を有し、前記切り替え表示手段は、前記第1駆動手段が前記第1位置となる場合には、前記識別情報を前記第2表示手段に表示させ、前記第2駆動手段が前記第2位置となる場合には、前記識別情報を前記第1表示手段に表示させるように切り替えるものであることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、第1駆動手段と第2駆動手段とにより、識別情報の視認が妨げられる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機G1またはG2において、前記第2表示手段は、前記第1表示手段の前面側を移動可能な移動手段を有し、前記切り替え表示手段は、前記移動手段により前記第2表示手段が移動される場合には、前記識別情報が前記第2表示手段に表示されるように切り替えるものであることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G1またはG2の奏する効果に加え、第2表示手段により前記識別情報の視認が妨げられる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記第1表示手段と前記第2表示手段とに表示される表示態様の表示データは、一の表示領域に表示される表示データとして前記第1表示手段と前記第2表示手段とに対応した合成表示データで構成されているものであることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかにおいて、第1表示手段と第2表示手段との表示データを合成表示データで設定することができるので、制御負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機G4において、前記第1表示手段と前記第2表示手段とのそれぞれの表示領域を一の表示領域として設定するための座標情報が設定されているものであり、前記合成表示データは、前記座標情報に対応して、それぞれの座標について表示する表示データで構成されているものであることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とに表示する表示データを容易に設定することができるという効果がある。
<特徴H群>(落下制御)
第1位置と第2位置とに少なくとも可動可能な可動部を有する可動部材と、その可動部材を第3位置と第4位置とに駆動させる駆動手段と、を有した遊技機において、前記第1位置から前記第2位置へと可動することを規制する規制手段と、第1条件の成立に基づいて、前記規制手段による規制を解除させた状態で前記第3位置から前記第4位置に前記可動部材を前記駆動手段により駆動させ、前記第1条件とは異なる第2条件の成立に基づいて、前記規制手段により規制させた状態で前記第3位置から前記第4位置に前記可動部材を前記駆動手段により駆動させる駆動制御手段とを有するものであることを特徴とする遊技機H1。
ここで、例えば、遊技機に設けられた可動役物を可動させることで、大当たりとなる期待度の示唆などが行われている。このような遊技機において、可動役物の可動パターンを増やすことで、遊技者の興趣を向上させる遊技機が提案されている(例えば、特開2008-079687)。この場合、可動役物の可動パターンを増やすために駆動装置(例えば、モータなど)を多く使用する必要があり、消費電力が増大してしまうという不具合があった。このような問題点により、消費電力の抑制が求められていた。
遊技機H1によれば、駆動手段を駆動させることで、その駆動振動等により可動部が可動することが可能であるので、可動部を電気的等で可動させる場合と比べて、消費電力の増大を抑制できるという効果がある。
遊技機H1において、前記可動部を前記第2位置から前記第1位置に可動させる可動手段を有するものであることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、前記駆動手段により第4位置に可動部材が駆動されることで、可動部が第2位置に可動した場合にも、可動手段により第1位置に復帰させることができるという効果がある。なお、この場合、可動手段を設けずに、可動部材を第4位置から第3位置に駆動させる慣性力(加速度)により可動部を第1位置に可動させるように構成してもよい。
遊技機H1またはH2において、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、その特典付与手段により前記特典が付与されるか否かを示す演出を所定の演出期間で実行する演出実行手段とを有し、前記駆動制御手段は、前記演出実行手段により演出が実行される期間に、可動条件が成立している場合に、前記可動部材を前記第3位置から前記第4位置に駆動させるものであり、前記特典付与手段により前記特典が付与されることを示す演出が実行される場合に、前記規制手段による規制を解除した状態で駆動し易いものであることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1またはH2の奏する効果に加え、特典が付与され易い演出では、規制が解除された状態で可動部材が第4位置に駆動され易いので、可動部が第2位置に可動する場合に特典が付与されることを遊技者に期待させることができるという効果がある。
遊技機H1からH3のいずれかにおいて、前記駆動制御手段は、前記規制手段による規制が解除されている状態と規制されている状態とで同じ動作で前記可動部材を可動させるものであることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H1からH3のいずれかの奏する効果に加え、可動部材が駆動される動作の違いにより規制されているか否かを判別されることを抑制できるという効果がある。ここで、動作とは、速度や駆動パターンの違い、駆動方向の違い等である。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記駆動制御手段は、前記可動部材を前記第3位置から前記第4位置に駆動させる場合に、前記第3位置と第4位置との間の位置である途中位置で、所定期間、仮停止させるものであることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H1からH4のいずれかの奏する効果に加え、仮停止させることで、励磁されていない場合に第2位置に可動部を慣性力等により可動させ易くできるという効果がある。
遊技機H1からH5のいずれかにおいて、前記第4位置は、前記第3位置に対して下方の位置で構成されており、前記駆動手段は、前記第3位置と前記第4位置とを往復動作可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H1からH5のいずれかの奏する効果において、下降させる重力により可動部を可動させやすく構成できるという効果がある。
遊技機H1からH6のいずれかにおいて、前記可動手段は、ステッピングモータで構成され、前記規制手段は、前記ステッピングモータを停止状態で通電させるものであることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H1からH6の奏する効果に加え、可動手段と規制手段とをステッピングモータで構成することができ、構成を簡素化することができるという効果がある。
<特徴I群>(類似演出の実行を回避)
演出を実行可能な演出実行手段と、その演出実行手段により特定の演出が実行される特定期間を設定する特定期間設定手段と、その特定期間設定手段により前記特定期間が設定されており、前記特定の演出を実行する場合には、その演出の実行期間によって実行可能な特定条件が成立しているかを判別する特定条件判別手段と、を有し、前記演出実行手段は、前記特定条件判別手段により前記特定条件が成立していると判別されたことに基づいて、前記特定の演出を実行するものであることを特徴とする遊技機I1。
ここで、例えば、遊技機の電源を立ち上げてから一定の時間が経過した場合において、通常の一般演出とは異なる特定演出に移行させ、定期的に実行される定期演出を表示することにより、遊技者の興趣を向上させることを目的とした遊技機が提案されている(例えば、特開2007-252534)。この場合、定期的に実行される定期演出において、その定期演出と類似する音声や画像を伴う演出が実行される場合に、定期演出が実行されているのか否かを判別することが困難となり、遊技者が困惑してしまうとの不具合があった。このような問題点により、遊技者が分かり易い遊技機が求めれていた。
遊技機I1によれば、特定演出を実行する期間において、実行前にその実行可否が判別されるので、演出の実行タイミングの不具合による遊技者の混乱を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機I1において、計時情報を計時することが可能な計時手段を有し、前記特定期間設定手段は、前記計時手段により所定の計時情報が計時されたことに基づいて、前記特定期間の開始を少なくとも設定するものであることを特徴とする遊技機I2。
遊技機I2によれば、遊技機I1の奏する効果に加え、所定の計時情報が計時されたことに基づいて特定期間の開始が設定されるので、他の遊技機でも同時期に特定期間が設定され易く構成できるという効果がある。
遊技機I1またはI2において、前記演出実行手段は、前記特定期間中に前記特定演出以外の通常演出を実行するものであり、前記特定条件判別手段は、実行されている前記通常演出に基づいて前記特定条件が成立しているかを判別するものであることを特徴とする遊技機I3。
遊技機I3によれば、遊技機I1またはI2の奏する効果に加え、通常演出に基づいて特定条件の成立が判別されるので、特定の演出と通常演出との関係を考慮して特定の演出を実行することができるという効果がある。
遊技機I3において、遊技者が操作することが可能な操作手段と、その操作手段が操作されたことを検出する検出手段とを有し、前記特定の演出と前記通常演出の少なくとも一つには、前記操作手段を遊技者に操作させる操作演出を含むものであり、前記特定条件は、前記特定の演出と前記通常演出との前記操作演出が同期しない場合に成立するものであることを特徴とする遊技機I4。
遊技機I4によれば、遊技機I3の奏する効果に加え、特定の演出と通常演出との操作演出とが同時期に実行される不具合を抑制できるので、遊技者により分かり易い遊技を提供できるという効果がある。
遊技機I1からI4のいずれかにおいて、始動条件の成立に基づいて識別情報の動的表示を実行する動的表示実行手段と、遊技者に有利な特典が付与されることとなる特定の前記識別情報が表示され易い遊技状態である特別遊技状態を設定する特別遊技状態設定手段と、を有し、前記特定の演出は、前記特別遊技状態が設定されているか否かを示す示唆演出が含まれているものであることを特徴とする遊技機I5。
遊技機I5によれば、遊技機I1からI4のいずれかの奏する効果に加え、特定の演出により特別遊技状態が設定されていることを認識することができ、特定の演出に興味を持たせることができるという効果がある。
遊技機I2からI5のいずれかにおいて、前記特定期間設定手段は、電源が投入されてから予め定められた時間が経過する毎に所定期間の間、前記特定期間を設定するものであり、前記演出実行手段は、前記特定期間が設定されたことに基づいて、所定期間毎に前記特定条件が成立している場合に前記特定の演出を実行するものであり、前記特定条件判別手段により前記特定条件が成立していないと判別された場合に、前記特定の演出を遅延させて前記演出実行手段により実行させる遅延手段を有するものであることを特徴とする遊技機I6。
遊技機I6によれば、遊技機I2からI5のいずれかの奏する効果に加え、特定条件が成立していない場合にも、遅延させて特定の演出が実行されるので、遊技者により混乱を与えるのを抑制できるという効果がある。
<特徴J群>(0.125秒演出)
取得条件の成立に基づいて情報を取得することが可能な情報取得手段と、その情報取得手段により取得された前記情報が記憶される記憶手段と、始動条件の成立に基づいて、前記記憶手段に記憶された情報を判別する判別手段と、その判別手段により判別された判別結果を示す識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に特定の判別結果を示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、所定の演出が出力される演出態様出力手段と、前記情報取得手段により情報が取得されたことに基づいて、前記始動条件の成立前に前記取得した情報の判別をする事前判別手段と、その事前判別手段の判別結果に基づいた演出の出力を前記演出態様出力手段に対して実行する演出実行手段と、を有し、前記演出態様出力手段には、前記演出の出力が設定される出力領域が複数設定されており、前記演出実行手段は、新たな前記演出の出力を実行する場合に、先に前記演出を出力した前記出力領域とは異なる前記出力領域に対して、前記新たな演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J1。
ここで、例えば、パチンコ機において、始動口へ遊技球が入賞して保留記憶数が増加する際に当該保留の乱数情報を事前に判定(先読み)して、その判定結果が所定の結果(大当たりなど)であることを示唆する演出を実行することにより、当該保留に対応する変動表示が大当たりとなるか否かに対する遊技者の期待感を高めることを目的とした遊技機が知られている(例えば特開2012-16499)。このような遊技機において、変動時間を短時間に構成することで、遊技の効率をあげると、抽選結果等の演出期間も短くなってしまい遊技者に分かり難くなってしまうという不具合があった。この問題点に対して、変動時間が短くなった場合にも遊技者に分かり易い遊技機を提供できることを目的とする。
遊技機J1によれば、事前判別手段の判別結果に基づいた演出(保留の判定結果を示唆する演出)が出力される出力領域が複数設定されており、その複数の出力領域に対して先に演出を出力した出力領域とは異なる出力領域に次の演出が出力される。これにより、当該演出の実行中に、新たに事前判別手段の判別結果が取得される場合でも、事前判別手段の判別結果に基づく演出を、異なる出力領域に表示することで、実行中の演出を終了することなく、新たな事前判別手段の判別結果に基づいた演出を実行することができる。その結果、遊技者が困惑するとの不具合を抑制することができる。
遊技機J1において、前記複数の出力領域には、所定の順序が設定されており、前記演出実行手段は、新たな前記演出を実行する場合に、先に前記演出を出力した前記出力領域の次に対応する順序の前記出力領域に対して前記新たな演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J2。
遊技機J2によれば、遊技機J1の奏する効果に加え、出力領域に設定された順序に従って演出が順に出力されるので、直近の演出と新たな演出との出力領域が重複してしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機J1またはJ2において、前記演出態様出力手段は、前記所定の演出である所定の表示態様が表示される表示手段で構成され、前記出力領域として前記表示手段の表示領域を複数分割して小領域が設定されているものであることを特徴とする遊技機J3。
遊技機J3によれば、遊技機J1またはJ2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示領域を有効に利用して、複数の演出を同時に表示することができる。よって、演出期間がより長く設定することができるという効果がある。
遊技機J2またはJ3において、前記記憶手段は、予め定められた所定数まで前記情報を記憶可能に構成され、前記情報取得手段は、前記取得条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶された前記情報が前記所定数未満であれば前記情報を取得するものであり、前記演出実行手段は、前記取得条件が成立し、前記情報が前記情報取得手段により取得されなかった場合にも、先に出力した前記出力領域の次の順序に対応した前記出力領域に対して演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J4。
遊技機J4によれば、遊技機J2またはJ3の奏する効果に加え、より多く情報が取得されているかのように遊技者に思わせることができるという効果がある。
遊技機J3またはJ4において、前記取得手段により前記情報が取得された場合には、その情報に対する前記事前判別手段による判別結果に基づいて前記演出実行手段により実行される演出内容を決定し、前記取得条件が成立して前記情報取得手段により前記情報が取得されなかった場合には、前記特定の判別結果以外の判別結果に基づいて前記演出実行手段により実行される演出内容を決定する演出内容決定手段を有するものであることを特徴とする遊技機J5。
遊技機J5によれば、遊技機J3の奏する効果に加え、あたかも情報が取得されているかのように遊技者に思わせて遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機J5において、前記演出内容決定手段は、演出期間を前記演出内容と共に決定するものであり、前記演出実行手段により前記演出の出力が実行される前記出力領域に前記決定された演出期間が経過していない前記演出が実行されている場合に、その実行中の演出を強制的に終了させる終了手段を有しているものであることを特徴とする遊技機J6。
遊技機J6によれば、遊技機J5の奏する効果に加え、同じ出力領域に異なる演出が出力される不具合を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を提供できるという効果がある。
遊技機J5において、前記演出内容決定手段は、演出期間を前記演出内容と共に決定するものであり、前記演出実行手段は、新たに決定された前記演出の出力を実行する前記出力領域に前記演出期間が経過していない前記演出を実行している場合には、その実行中の演出に上書きして新たに決定された前記演出を実行するものであることを特徴とする遊技機J7。
遊技機J7によれば、遊技機J5の奏する効果に加え、同じ出力領域に異なる演出が出力される不具合を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を提供できるという効果がある。
<特徴K群>(複合して動作する役物を1の動作条件で動作させる)
第1可動範囲で可動可能な、第1可動手段と、第2可動範囲で可動可能な、前記第1可動手段とは異なる第2可動手段と、前記第1可動手段に対して第1の可動パターンを設定する第1可動設定手段と、前記第2可動手段に対して第2の可動パターンを設定する第2可動設定手段と、前記第1の可動パターンにより可動する前記第1可動手段の動作と、前記第2の可動パターンにより可動する前記第2可動手段の動作とに応じた動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立するように前記第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正するための補正データを決定する決定手段と、その決定手段により決定された前記補正データに基づいて、前記第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする遊技機K1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、モータ等で可変する可変部材を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変部材を可変させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変部材の数を増加させた場合に、好適に動作を設定することが困難となる虞があった。また、上述した遊技機の中には、1の演出において複数の可変部材を複合して可変させるものがあり、より多様な演出動作を実行できるものがある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、複数の可変部材を複合して可変させた場合に、可変態様が互いにずれてしまい、動作品位が悪化してしまう場合があった。
これに対して遊技機K1によれば、第1可動範囲で、第1可動手段が可動され、第2可動範囲で、第1可動手段とは異なる第2可動手段が可動される。第1可動手段に対して第1の可動パターンが第1可動設定手段により設定され、第2可動手段に対して第2の可動パターンが第2可動設定手段により設定される。第1の可動パターンにより可動する第1可動手段の動作と、第2の可動パターンにより可動する第2可動手段の動作とに応じた動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立するように第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正するための補正データが決定手段により決定される。決定手段により決定された補正データに基づいて、第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方が補正手段により補正される。
これにより、動作条件に反する動作が実行されることを抑制できるので、第1可動手段と、第2可動手段とを好適に可動させることができるという効果がある。
遊技機K1において、所定の可動演出を実行する演出実行手段を備え、前記第1可動手段と、前記第2可動手段とは、少なくとも前記所定の可動演出において可動されるものであることを特徴とする遊技機K2。
遊技機K2によれば、所定の可動演出が演出実行手段により実行される。また、第1可動手段と、第2可動手段とは、少なくとも所定の可動演出において可動される。
これにより、所定の可動演出において可動される第1可動手段と、第2可動手段とを動作条件に即して動作させることができる。よって、所定の可動演出において動作条件に反する動作が行われることを抑制することができるので、所定の可動演出における第1可動手段、および第2可動手段の動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機K1又はK2において、前記第2可動手段は、第1可動手段に付随して構成され、前記第1可動手段と共に可動可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機K3。
遊技機K3によれば、遊技機K1又はK2の奏する効果に加え、第2可動手段が第1可動手段に付随して構成され、第1可動手段と共に可動されるので、第1可動手段と、第2可動手段の動作とで一体感のある動作を行わせることができるという効果がある。
遊技機K1からK3のいずれかにおいて、前記決定手段により決定される異なる前記補正データが複数記憶された記憶手段と、前記動作条件が成立していない場合に、前記第1可動手段と前記第2可動手段とのそれぞれの可動位置に基づいて前記動作条件を成立させるのに必要な情報を判別する情報判別手段と、を備え、前記決定手段は、前記情報判別手段により判別された情報に基づいて、前記記憶手段より前記補正データを決定するものであることを特徴とする遊技機K4。
遊技機K4によれば、遊技機K1からK3のいずれかにおいて、決定手段により決定される異なる補正データが記憶手段に複数記憶される。動作条件が成立していない場合に、第1可動手段と、第2可動手段とのそれぞれの可動位置に基づいて動作条件を成立させるのに必要な情報が情報判別手段により判別され、その情報判別手段により判別された情報に基づいて、補正データが決定手段により記憶手段から決定される。
これにより、動作条件が成立していない場合に、補正データを記憶手段から決定するという比較的処理負荷の軽い処理により可動パターンを補正することができるので、処理負荷を軽減することができるという効果がある。
遊技機K1からK4のいずれかにおいて、前記決定手段は、前記動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立する動作となるように前記第2可動手段の可動パターンを補正する前記補正データを決定するものであることを特徴とする遊技機K5。
遊技機K5によれば、遊技機K1からK4のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立する動作となるように第2可動手段の可動パターンを補正する補正データが決定手段により決定されるので、第2可動手段を補正することなく、動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機K5において、遊技機に対する電源投入に基づいて前記第1可動設定手段と、前記第2可動設定手段との動作内容を確認するための投入期間を設定する期間設定手段を備え、前記決定手段は、前記投入期間において前記動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立するように前記第2の可動パターンを補正する前記補正データを決定するものであり、前記補正手段は、前記決定手段により決定された前記補正データに基づいて、前記投入期間が終了した後に設定される可動パターンを補正するものであることを特徴とする遊技機K6。
遊技機K6によれば、遊技機K5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技機に対する電源投入に基づいて第1可動設定手段と、第2可動設定手段との動作内容を確認するための投入期間が期間設定手段により設定され、投入期間において動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立するように第2の可動パターンを補正する補正データが決定手段により決定される。決定された補正データに基づいて、投入期間が終了した後に設定される可動パターンが補正手段により補正される。
これにより、投入期間が終了した後は、動作条件が成立した状態に補正された可動パターンを設定することができる。即ち、遊技機が稼働している大半の時間において、動作条件が成立した状態で第1可動手段と第2可動手段とを可動させることができるという効果がある。
<特徴L群>(一方の役物の動作を他方に合わせ込む)
第1可動範囲で可動可能な、第1可動手段と、第2可動範囲で可動可能な、前記第1可動手段とは異なる第2可動手段と、前記第1可動手段と前記第2可動手段とを所定の可動データに基づいて可動させる可動制御手段と、を備えた遊技機において、前記第1可動手段に対して予め定められた第1の可動パターンに対応する第1可動データを設定する第1可動設定手段と、設定された前記第1可動データにより前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定する決定手段と、その決定手段により決定された可動データで前記可動制御手段により前記第2可動手段が可動するように設定する第2可動設定手段とを備えることを特徴とする遊技機L1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、モータ等で可変する可変部材を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変部材を可変させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変部材の数を増加させた場合に、好適に動作を設定することが困難となる虞があった。また、上述した遊技機の中には、1の演出において複数の可変部材を複合して可変させるものがあり、より多様な演出動作を実行できるものがある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、複数の可変部材を複合して可変させた場合に、可変態様が互いにずれてしまい、動作品位が悪化してしまう場合があった。
これに対して遊技機L1によれば、第1可動手段に対して予め定められた第1の可動パターンに対応する第1可動データが第1可動設定手段により設定される。設定された第1可動データにより第1の可動パターンで可動する第1可動手段の動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定される。決定手段により決定された可動データで可動制御手段により第2可動手段が可動するように第2可動設定手段により設定される。
これにより、第2可動手段を第1可動手段の動作に対応した動作で可動させることができるので、第1可動手段と、第2可動手段とを好適に可動させることができるという効果がある。
遊技機L1において、所定の可動演出を実行する演出実行手段を備え、前記第1可動手段と、前記第2可動手段とは、少なくとも前記所定の可動演出において可動されるものであることを特徴とする遊技機L2。
遊技機L2によれば、遊技機L1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の可動演出が演出実行手段により実行される。そして、第1可動手段と、第2可動手段とは、少なくとも所定の可動演出において可動される。
これにより、所定の可動演出において第1可動手段の動作に対応した動作で第2可動手段を可動させることができる。よって、所定の可動演出において第1可動手段、および第2可動手段の動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1又はL2において、前記第2可動手段は、前記第1可動手段に付随して構成され、前記第1可動手段と共に可動可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機L3。
遊技機L3によれば、遊技機L1又はL2の奏する効果に加え、第2可動手段が第1可動手段に付随して構成され、第1可動手段と共に可動されるので、第1可動手段と、第2可動手段の動作とで一体感のある動作を行わせることができるという効果がある。
遊技機L1からL3のいずれかにおいて、前記決定手段は、前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の動作が終了したことに基づいて、前記第1の可動パターンで可動された前記第1可動手段の動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L4。
遊技機L4によれば、遊技機L1からL3のいずれかが奏する効果に加え、第1の可動パターンで可動する第1可動手段の動作が終了したことに基づいて、第1の可動パターンで可動された第1可動手段の動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定されるので、一連の第1の可動パターンの動作を加味した可動データを決定することができる。よって、第1可動手段の動作により適合した態様で第2可動手段を動作させることができるので、第1可動手段、および第2可動手段の動作品位をより向上することができるという効果がある。
遊技機L4において、遊技機に対する電源投入に基づく初期設定を行うための初期設定期間を設定する期間設定手段を備え、前記第1可動設定手段は、前記初期設定期間が設定されたことに基づいて前記第1可動データを設定するものであることを特徴とする遊技機L5。
遊技機L5によれば、遊技機L4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技機に対する電源投入に基づく初期設定を行うための初期設定期間が期間設定手段により設定される。そして、初期設定期間が設定されたことに基づいて第1可動設定手段により第1可動データが設定される。
これにより、初期設定期間において第1の可動パターンで可動された第1可動手段の動作に対応した可動データを決定することができるので、初期設定期間の終了後には、第2可動手段を第1可動手段に対応した動作で可動させることができるという効果がある。
遊技機L5において、前記初期設定期間の終了後に前記第1可動手段を可動させるか否かを判別する可動判別手段と、その可動判別手段により前記第1可動手段を可動させると判別された場合に、予め定められた特定の可動パターンに対応する特定可動データを設定する特定可動設定手段と、を備え、前記決定手段は、前記特定の可動パターンに対応した動作を設定するための前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L6。
遊技機L6によれば、遊技機L5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、初期設定期間の終了後に第1可動手段を可動させるか否かが可動判別手段により判別され、その可動判別手段により第1可動手段を可動させると判別された場合に、予め定められた特定の可動パターンに対応する特定可動データが特定可動設定手段により設定される。特定の可動パターンに対応した動作を設定するための第2可動手段の可動データが決定手段により決定される。
これにより、特定の可動パターンに対応する動作で第2可動手段を可動させることができるので、第1可動手段と、第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1からL6のいずれかにおいて、前記決定手段は、少なくとも前記第1可動パターンが設定された前記第1可動手段の動作が終了するタイミングと、前記第2可動手段の動作が終了するタイミングとが合うように可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L7。
遊技機L7によれば、遊技機L1からL6のいずれかが奏する効果に加え、少なくとも第1可動パターンが設定された第1可動手段の動作が終了するタイミングと、第2可動手段の動作が終了するタイミングとが合うように決定手段により可動データが決定されるので、遊技者が最も注目するタイミングの一つである動作終了タイミングにおいて、第1可動手段と、第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1からL3のいずれかにおいて、前記動作判別手段は、設定された前記第1可動データにより前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の可動量が所定の可動量となったことに基づいて、前記第1可動手段の動作を判別するものであることを特徴とする遊技機L8。
遊技機L8によれば、遊技機L1からL3の奏する効果に加え、設定された第1可動データにより第1の可動パターンで可動する第1可動手段の可動量が所定の可動量となったことに基づいて、第1可動手段の動作が動作判別手段により判別されるので、第2可動手段の動作をより細かく第1可動手段の動作に対応させていくことができるという効果がある。
遊技機L8において、前記決定手段は、前記第1可動手段の可動量が前記所定の可動量となってから前記第1の可動パターンが終了するまでの動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L9。
遊技機L9によれば、遊技機L8の奏する効果に加え、第1可動手段の可動量が所定の可動量となってから第1の可動パターンが終了するまでの動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定されるので、所定の可動量となって以降の第2可動手段の動作を第1可動手段の動作に対応した動作とすることができる。よって、第1可動手段と第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L10において、前記第1可動設定手段により前記第1可動データが設定されたことに基づいて、前記第2可動手段に対して予め定められた第2の可動パターンに対応する第2可動データを設定する可動設定手段を備えることを特徴とする遊技機L11。
遊技機L11によれば、遊技機L10の奏する効果に加え、第1可動設定手段により第1可動データが設定されたことに基づいて、第2可動手段に対して予め定められた第2の可動パターンに対応する第2可動データが可動設定手段により設定されるので、第1可動手段の可動量が所定の可動量となる前も、第2可動手段を第2の可動パターンで動作させておくことができる。よって、所定の可動量となるまで第2可動手段が停止状態となってしまうことを抑制できるので、遊技者に対して違和感を抱かせてしまうことを抑制することができるという効果がある。
<特徴M群>(役物用LEDの点灯制御)
所定の可動範囲で可動可能であり、背面側からの発光態様が前面より視認可能に構成された視認部を複数有する可動手段と、その可動手段の背面側に設けられ、前記可動手段の背面側より前記視認部を所定の発光態様で発光可能な発光部を有する発光手段と、前記可動手段を可動制御可能な可動制御手段と、その可動制御手段により可動される可動パターンとして特定可動パターンを少なくとも決定可能な可動パターン決定手段と、その可動パターン決定手段により前記特定可動パターンが決定された場合に、前記視認部が前記発光手段の前記発光部に対向する位置である発光位置に前記可動部が位置したことを契機に前記発光部を発光させ、前記可動手段が前記発光位置より所定量可動された場合に消灯させる特定発光パターンで少なくとも発光制御可能な発光制御手段とを備えることを特徴とする遊技機M1。
パチンコ機等の遊技機において、モータ等で動作する可変手段を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変手段を動作させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変手段の多様化に伴い、複雑な構成の可変手段においてそれぞれの可変手段を好適に可動させることが困難となる虞があった。また、上述した従来の遊技機の中には、可変手段の可動に合わせてLED等で構成される発光装置の発光態様を可変させるものがある。かかる遊技機では、可変手段の動作に合わせて発光装置を発光させることによって、よりインパクトの強い演出動作を実行することができる。しかしながら、この従来の遊技機では、可変手段の動作と、発光装置の発光態様とがずれてしまう場合があった。かかる場合には、演出動作の見た目の品位が低下してしまう虞がある。
これに対して遊技機M1では、可動手段が所定の可動範囲で可動される。その可動手段は、背面側からの発光態様が前面より視認可能に構成された視認部を複数有して構成される。可動手段の背面側には、視認部を所定の発光態様で発光可能な発光部を有した発光手段が設けられている。可動手段が可動制御手段により可動制御され、その可動制御手段により可動される可動パターンとして特定可動パターンが少なくとも可動パターン決定手段により決定される。可動パターン決定手段により特定可動パターンが決定された場合に、視認部が発光手段の発光部に対抗する位置である発光位置に可動部が位置したことを契機に発光部を発光させ、可動手段が発光位置より所定量可動された場合に発光させる特定発光パターンで少なくとも発光制御手段により発光制御される。
これにより、視認部と発光部とがずれた状態で発光部が発光されることを抑制できるので、発光手段が発光した状態において可動手段の見た目の品位を向上させることができる。よって、発光手段と可動手段とを好適に動作させることができるという効果がある。
遊技機M1において、前記可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されるものであることを特徴とする遊技機M2。
遊技機M2によれば、遊技機M2の奏する効果に加え、可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されているので、可動手段が回転している間は、発光位置と、発光位置以外の配置とが交互に繰り返される。よって、複数回配置される可能性がある発光位置において、毎回品位の良い見た目で動作させることができるという効果がある。
遊技機M1又はM2において、前記可動パターン決定手段は、前記可動パターンとして前記特定可動パターンと、その特定可動パターンとは異なる所定可動パターンとを少なくとも含む複数の可動パターンから1の可動パターンを決定可能なものであり、前記発光制御手段は、前記所定可動パターンが決定された場合に、前記特定発光パターンとは異なる所定発光パターンで前記発光手段を発光制御するものであることを特徴とする遊技機M3。
遊技機M3によれば、遊技機M1又はM2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動パターン決定手段は、可動パターンとして特定可動パターンと、その特定可動パターンとは異なる所定可動パターンとを少なくとも含む複数の可動パターンから1の可動パターンが可動パターン決定手段により決定される。所定可動パターンが決定された場合に、特定発光パターンとは異なる所定発光パターンで発光制御手段により発光手段が発光制御される。
これにより、可動パターンに応じて異なる発光パターンで発光制御することができるので、発光パターンに応じて可動手段の見た目をより大きく変えることができる。よって、いずれの可動パターンで可動されているのかを見た目からより容易に判別することができるという効果がある。
遊技機M3において、前記所定可動パターンは、前記特定可動パターンよりも可動速度が速く設定されているものであることを特徴とする遊技機M4。
遊技機M4によれば、遊技機M3の奏する効果に加え、所定可動パターンは、特定可動パターンよりも可動速度が速く設定されているので、可動手段の可動パターンを可動速度から容易に判別することができるという効果がある。
遊技機M3またはM4において、前記所定発光パターンは、前記可動手段が前記発光位置以外に位置している場合にも前記発光手段を発光させる発光パターンであることを特徴とする遊技機M5。
遊技機M5によれば、遊技機M3又はM4の奏する効果に加え、所定発光パターンで発光制御されると、可動手段が発光位置以外に位置している場合にも発光手段が発光されるので、特定発光パターンと所定発光パターンとで発光手段の発光態様の違いを遊技者がより容易に認識することができるという効果がある。
遊技機M1からM5のいずれかにおいて、前記可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成され、前記視認部は、前記所定の回転軸を中心とする所定の円周上に等間隔で複数箇所に設けられているものであり、前記可動手段は、前記視認部の箇所数に応じた回転対称性を有するものであり、前記発光部は、前記視認部の箇所数と同一の箇所数設けられているものであることを特徴とする遊技機M6。
遊技機M6によれば、遊技機M2からM5のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動手段が所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されている。そして、視認部が、所定の回転軸を中心とする所定の円周上に等間隔で複数箇所に設けられている。また、可動手段は、視認部の箇所数に応じた回転対称性を有している。そして、発光部は、視認部の箇所数と同一の箇所数設けられている。
これにより、可変手段が回転している場合は、一定の回転角度毎に発光位置となるので、特定可動パターンにおいて、一定の回転角度となる前後における見た目の品位を向上させることができる。
遊技機M6において、前記発光制御手段は、前記特定発光パターンとして、前記回転体が前記発光位置となる毎に、前回前記発光位置となった場合に発光されていた前記発光部の箇所数以上の箇所数の前記発光部を発光させるように制御するものであることを特徴とする遊技機M7。
遊技機M7によれば、遊技機M6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定発光パターンとして、回転体が発光位置となる毎に、前回発光位置となった場合に発光されていた発光部の箇所数以上の箇所数の発光部が発光されるように発光制御手段により制御される。
これにより、見た目の変化に応じて可動パターンや発光パターンが切り替わったことをより容易に認識させることができるという効果がある。
遊技機M3からM7のいずれかにおいて、前記可動パターン決定手段により決定される可動パターンには、前記所定可動パターンよりも可動速度が速く設定された高速可動パターンが含まれ、前記発光制御手段は、前記所定可動パターンから前記高速可動パターンへと移行する場合に、前記所定周期毎に前記発光部を発光させるように制御するものであることを特徴とする遊技機M6。
遊技機M6によれば、遊技機M3からM7のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動パターン決定手段により決定される可動パターンには、所定可動パターンよりも可動速度が速く設定された高速可動パターンが含まれる。所定可動パターンから高速可動パターンへと移行する場合に、所定周期毎に発光部を発光させるように発光手段により制御される。
これにより、発光部が発光する周期によって、高速可動パターンとなったことをより容易に認識させることができるという効果がある。
遊技機M6において、前記所定周期は、前記高速可動パターンが設定された前記可動手段が前記発光位置となる周期よりも短く、前記発光位置から次の前記発光位置へと可動するまでの間の中点に到達するまでの時間よりも長いものであることを特徴とする遊技機M7。
遊技機M6によれば、遊技機M7の奏する効果に加え、所定周期は、高速可動パターンが設定された可動手段が発光位置となる周期よりも短く、発光位置から次の発光位置へと可動するまでの間の中点に到達するまでの時間よりも長く構成されているので、所定周期の間に視認部が回転により移動する回転角度に比較して、回転前の視認部の配置に対する、回転方向と逆側に隣接する視認部が所定周期の間に回転により配置される位置の角度の方が小さくなる。つまり、所定周期毎に回転方向と逆側に隣接する視認部を、所定周期が経過する前に認識していた視認部と誤認させることができるので、可動手段の回転方向が逆回転の見た目とすることができる。よって、可変手段の動作を変更せずに回転方向が変更された見た目とすることができるので、可変手段の負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機M7において、前記発光制御手段は、それぞれの前記発光部を所定の順序で発光させる第3発光パターンで前記発光手段を発光させるものであることを特徴とする遊技機M8。
遊技機M8によれば、遊技機M7の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、それぞれの発光部が所定の順序で発光される第3発光パターンで発光制御手段により発光手段が発光されるので、より興趣性の高い態様で発光させることができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴N群>(ミニゲーム制御)
遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が所定の操作規則に従って操作された場合に特定の制御を実行する特定制御実行手段と、を備えた遊技機において、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで特定条件を成立させる条件成立手段と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とを少なくとも所定条件の成立に基づいて切り替える切替手段とを備えることを特徴とする遊技機N1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある(例えば、特開2003-325886号)。
しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
また、上述した従来型の遊技機の中には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタンを備えると共に、所定の表示演出時に演出ボタンの操作を示唆する複数の示唆画像が表示させることで、遊技者に対して参加を促すものがある(以下、「遊技者参加型演出」という)。この遊技者参加型演出では、示唆画像によって示唆されるタイミングに合わせて演出ボタンを操作することにより得点が加算されていき、得点が基準点以上となった場合に遊技者に対して特典(例えば、当たり)が付与される。
しかしながら、当たりとなるか否かは遊技者参加型演出の開始よりも前に実行される抽選によって既に決定されている。このため、従来型の遊技機では、当たりの場合にのみ基準点を達成可能とする必要があり、当たりの場合と外れの場合とで遊技者参加型演出の表示態様を変更せざるを得なかった。よって、遊技者参加型演出の表示態様から当たりか外れかを予測できてしまい、遊技者の参加意欲を向上させ難いという問題点があった。
これに対して遊技機N1では、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで条件成立手段により特定条件が成立される。所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とが少なくとも所定条件の成立に基づいて切替手段により切り替えられる。
これにより、第1状態であるか、第2状態であるかに応じて特定条件が成立した状態で操作手段を操作した場合に、特定の制御が実行されるか否かを切り替えることができる。よって、第1状態であることを期待して、遊技者に特定条件が成立した状態で操作手段を操作させることができるので、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。また、第1状態と第2状態とを切り替えるという単純な制御によって、特定の制御の実行され易さを可変させることができるという効果がある。
遊技機N1において、前記所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出を実行する演出実行手段を備え、前記特定制御実行手段は、前記タイミング示唆演出により示唆された前記操作タイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御を実行するものであることを特徴とする遊技機N2。
遊技機N2によれば、遊技機N1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出が演出実行手段によって実行される。また、タイミング示唆演出により示唆された操作タイミングで操作手段が操作された場合に、特定制御実行手段により特定の制御が実行される。
これにより、特定の制御が実行されることを期待して、タイミング示唆演出により示唆されたタイミングで遊技者に操作を行わせることができるので、タイミング示唆演出に注目させることができる。よって、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機N1又はN2において、前記所定期間において遊技者が前記操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングを判別するタイミング判別手段と、前記切替手段により前記第2状態に切り替える場合に、前記第2操作規則として、前記タイミング判別手段によって判別された前記操作タイミングとは異なるタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される操作規則を設定する操作規則設定手段とを備えることを特徴とする遊技機N3。
遊技機N3によれば、遊技機N1又はN2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定期間において遊技者が操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングがタイミング判別手段によって判別される。また、切替手段により第2状態に切り替える場合に、第2操作規則として、タイミング判別手段により判別された操作タイミングとは異なる操作タイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される操作規則が操作規則設定手段により設定される。
これにより、第2状態に切り替えられると、遊技者が操作していたタイミングとは異なるタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されないので、特定の制御が実行されるタイミングで遊技者に操作され難くすることができる。よって、第2状態において特定の制御が実行されることを抑制できるという効果がある。
遊技機N3において、前記第2操作規則として、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される遅延操作規則と、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも早いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも規定されていることを特徴とする遊技機N4。
遊技機N4によれば、遊技機N3の奏する効果に加え、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される遅延操作規則と、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも早いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも第2操作規則として規定されている。これにより、第2状態において設定される操作規則に多様性を持たせることができるという効果がある。
遊技機N4において、前記タイミング判別手段は、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたかを少なくとも判別するものであり、前記操作規則設定手段は、前記タイミング判別手段により、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたと判別された場合に、前記遅延操作規則を設定するものであることを特徴とする遊技機N5。
遊技機N5によれば、遊技機N4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたかが少なくともタイミング判別手段によって判別され、そのタイミング判別手段により特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたと判別された場合に、操作規則設定手段によって遅延操作規則が設定される。
これにより、特定条件が成立した状態の前半で操作を行った遊技者に対して、特定条件の成立よりも遅いタイミングで操作手段を操作しなければ特定の制御が実行されない操作規則に切り替えることができる。即ち、操作手段を早めに操作する遊技者にとって、操作され難いタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されない操作規則が設定されるので、第2状態において特定の制御を実行され難くすることができるという効果がある。
遊技機N1からN5のいずれかにおいて、所定の判定値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の経過に基づいて、前記判定値が予め定めた特定の値であるかを判定する判定手段と、その判定手段により前記判定値が特定の値であると判定されたことに基づいて遊技者にとって有利な状態を示す特定の報知を実行する報知手段とを備え、前記特定の制御は、前記記憶手段に記憶された前記所定の判定値を前記特定の値に近づくように更新する制御であることを特徴とする遊技機N6。
遊技機N6によれば、遊技機N1からN6のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の判定値が記憶手段によって記憶される。所定期間の経過に基づいて、判定値が予め定めた特定の値であるかが判定手段によって判定され、その判定手段により判定値が特定の値であると判定されたことに基づいて遊技者にとって有利な状態を示す特定の報知が報知手段によって実行される。特定の制御では、記憶手段に記憶された所定の判定値を特定の値に近づくように更新するように制御される。
これにより、所定の判定値が特定の値に達し、特定の報知が実行されることを期待して、特定条件が成立した状態で遊技者に操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機N6において、抽選条件の成立に基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を備え、前記特定の報知は、前記抽選手段による抽選結果が前記特定の抽選結果となったことを示す報知であることを特徴とする遊技機N7。
遊技機N7によれば、遊技機N6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、抽選条件の成立に基づいて抽選手段により抽選が実行され、その抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技が特典遊技実行手段によって実行される。特定の報知として、抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことを示す報知が行われる。
これにより、遊技者に対して特定の報知が行われることをより強く期待させて操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の参加意欲をより向上させることができるという効果がある。
遊技機N7において、前記切替手段は、前記抽選手段による抽選結果が前記特定の抽選結果とは異なる抽選結果であった場合に、前記第2状態に切り替えるものであることを特徴とする遊技機N8。
遊技機N8によれば、遊技機N7の奏する効果に加え、抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果とは異なる抽選結果であった場合に、切替手段によって第2状態に切り替えられるので、特定の抽選結果とならないにも拘らず、特定の報知が行われてしまうことを防止することができるという効果がある。
<特徴O群>(表示態様を可変させてミニゲームの難易度を変更する)
遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段に対する操作に応じて演出態様が可変される操作演出を実行可能な演出実行手段と、その演出実行手段により前記操作演出が実行される場合に、前記操作手段の操作が有効となる有効期間を設定する有効期間設定手段と、前記有効期間において前記操作手段が操作され、所定の第1条件が成立した場合に、所定の判別値を遊技者に有利な値に更新する第1更新と、その第1更新に比較して遊技者に不利な値に更新する第2更新との何れか一方を実行することが可能な判別値更新手段と、1の前記有効期間に対して、前記判別値更新手段により前記第1更新が実行され易い第1更新期間と、その第1更新期間に比較して前記第1更新が実行され難い第2更新期間とを設定する更新期間設定手段と、前記操作演出の態様として、前記第1更新期間において遊技者が前記操作手段を操作し易くなる第1演出態様と、その第1演出態様に比較して前記第1更新期間において遊技者が前記操作手段を操作し難くなる第2演出態様との何れか一方を設定することが可能な演出態様設定手段とを備えることを特徴とする遊技機O1。
遊技機O1によれば、第1演出態様が設定されることで、第1更新期間において操作手段を操作し易くなる一方で、第2演出態様が設定されることで第1更新期間において操作手段を操作し難くなるので、操作演出の態様に応じて第1更新の実行され易さを可変させることができるという効果がある。
遊技機O1において、前記操作演出は、遊技者が前記操作手段を操作する操作タイミングを示すタイミング示唆態様が含まれており、前記判別値更新手段は、前記操作手段が操作されたタイミングが前記操作演出に設定さている前記操作タイミングに対応する場合に前記第1更新が実行され易く、前記操作手段が操作されたタイミングが前記操作タイミングに対応しない場合に前記第1更新が実行され難いものであることを特徴とする遊技機O2。
遊技機O2によれば、タイミング示唆態様に応じて第1更新が実行され易い操作タイミングを容易に図ることができるので、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機O1又はO2において、有利条件の成立を判別する有利条件判別手段と、その遊技条件判別手段により前記有利条件が成立したと判別された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段を備え、前記演出実行手段は、前記有利条件判別手段による判別結果を示す前記操作演出を実行するものであることを特徴とする遊技機O3。
遊技機O3によれば、遊技機O1又はO2の奏する効果に加え、有利条件が成立している場合に、操作演出において判別値が特定の値となる可能性がある。即ち、特定の演出が実行される可能性があるため、特定の演出が実行されることを期待して操作演出に参加させることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機O3において、前記演出態様設定手段は、前記有利条件判別手段により前記有利条件が判別されている場合に、前記第1演出態様を設定し、前記有利条件が判別されていない場合には、前記第2演出態様を設定するものであることを特徴とする遊技機O4。
遊技機O4によれば、遊技機O3の奏する効果に加え、有利条件が判別されていない場合には第1演出態様が設定されるので、第1更新期間において第1更新期間において操作手段を操作し難くすることができるので、第1更新期間における操作し易さに応じて有利状態が判別されているか否かを遊技者に予測させることができる。よって、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができる。
遊技機O3又はO4において、前記有効期間が終了したことに基づいて、前記所定の判別値が特定の値であるか判別する判別手段と、その判別手段により前記所定の判別値が特定の値になったと判別されたことに基づいて、前記有利状態を示唆する特定演出を実行する特定演出実行手段と、を備え、前記第1更新は、前記第2更新に比較して前記所定の判別値が前記特定の値になり易く更新するものであることを特徴とする遊技機O5。
遊技機O5によれば、第1更新が実行される程、所定の判別値が特定の値となり易く構成されている。特定の値となれば、特定演出が実行される。これにより、所定の判別値が特定の値となることを期待して、遊技者に操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
10 パチンコ機(遊技機)
229 枠ボタン(操作手段)
S6105,S6120,S6314,S6317 演出実行手段
S6121 条件成立手段
S7002 タイミング判別手段
S7007 特定制御実行手段
S7107,S7108 切替手段、操作規則設定手段
本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものである。
パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある。
しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技が単調となることを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が所定の操作規則に従って操作された場合に特定の制御を実行する特定制御実行手段と、を備えたものであり、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで特定条件を成立させる条件成立手段と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とを少なくとも所定条件の成立に基づいて切り替える切替手段とを備える。
請求項1記載の遊技機によれば、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで条件成立手段により特定条件が成立される。所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とが少なくとも所定条件の成立に基づいて切替手段により切り替えられる。
これにより、第1状態であることを期待して、遊技者に特定条件が成立した状態で操作手段を操作させることができるので、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。
パチンコ機の遊技盤の正面図である。
パチンコ機の背面図である。
パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
遊技盤及び動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの分解正面斜視図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
動作ユニットの正面図である。
盤面と盤面下部ユニットとの正面分解斜視図である。
盤面下部ユニットの正面分解斜視図である。
(a)は、ベース部材、第1アウト口、第2アウト口、左下板部材及び右下板部材の正面図であり、(b)は、図15(a)のXVb-XVb線におけるベース部材及び左下板部材の断面図である。
上下動作ユニットの正面斜視図である。
上下動作ユニットの背面斜視図である。
上下動作ユニットの正面分解斜視図である。
上下動作ユニットの背面分解斜視図である。
上下動作ユニットの正面図である。
上下動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面斜視図である。
複合動作ユニットの背面斜視図である。
複合動作ユニットの正面分解斜視図である。
複合動作ユニットの背面分解斜視図である。
伸縮演出装置の正面分解斜視図である。
伸縮演出装置の背面分解斜視図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
(a)及び(b)は、回動アーム部材及び回動クランク部材の正面図である。
突起部の基準水平線からの距離を表すグラフである。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面斜視図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの背面斜視図である。
スライド動作ユニットの正面分解斜視図である。
スライド動作ユニットの背面分解斜視図である。
傾倒動作ユニットの正面分解斜視図である。
傾倒動作ユニットの背面分解斜視図である。
演出部材及び第2駆動装置の正面分解斜視図である。
(a)及び(b)は、伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)及び(b)は、伝達部材及びねじりバネの正面図である。
伝達部材の揺動角度に対する演出部材の揺動角度を模式的に示す模式図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面図である。
傾倒動作ユニット及びスライド動作ユニットの正面図である。
(a)及び(b)は、第2実施形態における伝達部材及びねじりバネの正面図である。
伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)及び(b)は、第3実施形態における伝達部材及びねじりバネの正面図である。
(a)は、第4実施形態における伝達部材の背面斜視図であり、(b)は、移動当接部材の背面斜視図である。
(a)及び(b)は、伝達部材の背面斜視図であり、(c)及び(d)は、伝達部材の上面図である。
演出部材の本体部材を模式的に図示した正面模式図である。
伝達部材及びねじりバネの正面図である。
第5実施形態における複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
複合動作ユニットの正面図である。
(a)は、第6実施形態における回動アーム部材の部分正面図であり、(b)は、図69(a)の矢印LXIXb方向視における回動アーム部材の部分上面図であり、(c)は、回動アーム部材の部分正面図である。
(a)及び(b)は、切替装置の正面斜視図である。
(a)及び(b)は、複合動作ユニットの正面図である。
(a)及び(b)は、第7実施形態における傾倒動作ユニットの正面図である。
第1制御例における各種カウンタ、特別図柄保留球格納エリア、特別図柄保留球実行エリア、普通図柄保留球格納エリアの構成を模式的に示した図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第1制御例における主制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第1当たり乱数テーブルを示した模式図であり、(b)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第1当たり種別選択テーブルを示した模式図であり、(c)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された第2当たり乱数テーブルを示した模式図である。
(a)は、第1制御例における主制御装置のROMに設定された変動パターン選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)はその変動パターン選択テーブル内に設定された、大当たり用変動パターンテーブルを模式的に示した図であり、(c)は、外れ用(通常)変動パターンテーブルを模式的に示した図であり、(d)は、外れ用(確変)変動パターンテーブルを模式的に示した図である。
(a)は、第1制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第1制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
第1制御例における入球演出選択テーブルの内容を模式的に示した図である。
第1制御例における表示制御装置の電気的構成を模式的に示したブロック図である。
(a)は、第1制御例における表示制御装置のワークRAMの内容を模式的に示した図であり、(b)は第1制御例における補正情報テーブルの内容を模式的に示した図である。
第1制御例における表示領域の設定座標を示した図である。
(a)から(c)は、第1制御例における電源投入時の表示態様の一例を示した図である。
(a)から(b)は、第1制御例における第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例を示した図である。
(a)は、第1制御例における背面Aを説明する説明図であり、(b)は、背面Bを説明する説明図である。
第1制御例における表示データテーブルを模式的に示した図である。
第1制御例における転送データテーブルを模式的に示した図である。
第1制御例における描画リストを模式的に示した図である。
第1制御例における時短遊技中の変動表示態様のタイミングチャートの一例である。
(a)から(b)は、第1制御例における時短中の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。
(a)から(b)は、第1制御例における時短中の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。
第1制御例における時間演出が設定されるタイミングチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動開始処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される停止設定処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される始動入賞処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される先読み処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される普通図柄変動処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるスルーゲート通過処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
第1制御例における主制御装置内のMPUにより実行される大当たり制御処理を示すフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される時間設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン受信処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される予告選択処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される同期演出管理処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される延長演出設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される特定時間演出処理を示したフローチャートである。
第1制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される入球演出設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるブート処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるV割込処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される変動パターンコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される停止種別コマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される特殊演出補正処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される大当たり関連コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるオープニングコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるラウンド数コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるエンディングコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される予告コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される入球演出コマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される特定時間演出コマンド処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される演出モード変更コマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される停止コマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるエラーコマンド処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される表示設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される警告画像設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行されるポインタ更新処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される演出情報補正処理を示したフローチャートである。
(a)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される転送設定処理を示したフローチャートであり、(b)は、第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される常駐画像転送設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される通常画像転送設定処理を示したフローチャートである。
第1制御例における表示制御装置内のMPUにより実行される描画処理を示したフローチャートである。
(a)から(b)は、第1制御例におけるステッピングモータの制御についての説明図である。
(a)から(b)は、スライド位置検出センサによる検出可否をスライド位置検出センサと遮光板との位置関係毎に示した図である。
演出部材が原点位置にある場合において、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図である。
(a)は、演出部材が正面視左方向へと首振り動作を行った場合における、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図であり、(b)は、演出部材が正面視右方向へと首振り動作を行った場合における、傾倒原点センサとセンサ遮蔽部との位置関係を示した図である。
第2制御例におけるパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
(a)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された動作シナリオテーブルの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれるスライド動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図であり、(c)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれる傾倒動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第2制御例における動作シナリオテーブルに含まれる初期動作テーブルの規定内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第2制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された首振り領域テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
第2制御例におけるスライド動作の動作ステップ数と、演出部材の首振り可能方向との対応関係を示した図である。
第2制御例における首振り動作の動作ステップ数と、スライド動作の動作ステップ数との対応関係を示した図である。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される原点復帰処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される役物動作設定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される実行コマンド処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される初期動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される初期動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される追加動作処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される傾倒方向設定処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される異常検知処理を示したフローチャートである。
第2制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるスライド動作処理を示したフローチャートである。
第3制御例におけるパチンコ機の正面図である。
第3制御例におけるパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
(a)は、第3制御例における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、第3制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定されたタイミング演出選択テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置のROMに規定された押下期間テーブルの構成を模式的に示した模式図である。
第3制御例における押下期間テーブルに含まれる序盤難易度3用テーブルの規定内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、タイミング演出中のサブ表示装置の表示内容の一例を示した図であり、(b)は、タイミング演出において遊技者が枠ボタンの押下に成功した場合の表示内容の一例を示した図である。
(a)は、タイミング演出において遊技者が枠ボタンの押下に失敗した場合の表示内容の一例を示した図であり、(b)は、タイミング演出として高難易度の演出態様が選択された場合におけるサブ表示装置の表示内容の一例を示した図である。
(a)は、タイミング演出において遊技者がノルマを達成した場合におけるサブ表示装置の表示内容を示した図であり、(b)は、タイミング演出において遊技者がノルマを達成できなかった場合におけるサブ表示装置の表示内容を示した図である。
第3制御例におけるタイミング演出が設定された変動演出の態様の変化を模式的に示した模式図である。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるタイミング演出処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される中盤設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される終盤設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される報知態様設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理2を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した模式図である。
(a)は、第4制御例における回転点灯ユニットの分解正面斜視図であり、(b)は、第4制御例における回転点灯ユニットの側面図である。
(a)~(c)は、第4制御例において、回転部材が低速回転状態の場合において、見た目の品位が悪化する点灯状態を例示した図である。
(a)~(c)は、第4制御例において、回転部材が低速回転状態の場合において、見た目の品位が良い点灯状態を例示した図である。
(a)~(e)は、第4制御例において、回転部材が高速回転状態の場合における点灯制御の一例を示した図である。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される点灯制御処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される低速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される回転速度識別処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される加速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される高速時処理を示したフローチャートである。
第4制御例において回転点灯ユニットが退避位置にある場合のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
第4制御例において回転点灯ユニットが張出位置にある場合のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
第3制御例の変形例における押下期間と表示態様との対応関係を示した図である。
第3制御例の変形例において、通常の押下期間が設定されている場合に、押下期間と楽曲との対応関係を示した図である。
第3制御例の変形例において、タイミングが遅めの押下期間が設定されている場合に、押下期間と楽曲との対応関係を示した図である。
(a)は、第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置のROMに規定されたタイミング演出選択テーブルの規定内容を示した図であり、(b)は、第3制御例の変形例における演出態様と獲得可能ポイントとの対応関係を示した図であり、(c)は、音声ランプ制御装置のROMに規定された押下期間テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置の内容を模式的に示した模式図である。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される成功時処理を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるタイミング処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるオフセット設定処理を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される中盤設定処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される終盤設定処理2を示したフローチャートである。
第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される報知態様設定処理2を示したフローチャートである。
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図57を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29~33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29~33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29~33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29~33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。また、第1可変入賞装置65は、ルータ加工によって盤面下部ユニット300のベース部材310に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、大当たりA(16R確変大当たり)と、大当たりB(16R時短大当たり)と、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)とが設けられている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「16R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に特別図柄の高確率状態(確変状態)へ移行するとともに普通図柄の時短状態となる大当たりのことであり、「2R確変有時短無大当たり」とは、最大ラウンド数が2ラウンドの大当たりの後に特別図柄の高確率状態(確変状態)へ移行するものの普通図柄の時短状態は付与されない大当たりのことである。また、「16R時短大当たり」は、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりの後に、特別図柄の低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(本実施形態では、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「特別図柄の高確率状態(確変状態)」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動状態(確変状態)を示し、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変状態)は、後述する普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「特別図柄の低確率状態」とは、確変状態でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変状態よりも大当たり確率が低い状態をいう。また、普通図柄の時短状態(時短中)とは、普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10の通常状態とは、特別図柄の確変状態中でも普通図柄の時短状態中でもない遊技の状態(特別図柄の大当たり確率も普通図柄(第2図柄)の当たり確率もアップしていない状態)である。
普通図柄の時短状態中は、普通図柄(第2図柄)の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い開放時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、時短状態中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、普通図柄の時短状態中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、普通図柄の時短状態中において、普通図柄(第2図柄)の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、普通図柄の時短状態中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、普通図柄(第2図柄)の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして普通図柄(第2図柄)を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は12インチの液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、普通図柄(第2図柄)の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、普通図柄の時短状態中は、普通図柄(第2図柄)の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、時短状態中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、時短状態中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、時短状態中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、普通図柄(第2図柄)の変動表示にかかる時間を、普通図柄の時短状態中において通常状態中よりも短く設定する場合は、普通図柄の当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、普通図柄(第2図柄)の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、普通図柄(第2図柄)の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。一方、第2入賞口640には電動役物640aが設けられており、通常時(時短中でない場合)は電動役物640aが開放され難く、第2入賞口640へ遊技球を入球させることが困難な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物640aが閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物640aのない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物640aを開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に第1特定入賞口65aが設けられている。また、可変表示装置80の左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド65b(図15参照、外形のみが図示される)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイド65bを駆動して開閉板を正面側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aの左方に配設される正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として左側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して開閉板を左方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
本実施形態では、左打ちを行うことで第2可変入賞装置650に球を入賞させることが可能であるので、遊技状態が変化するごとに左打ちと、右打ちと、を切り替える煩わしさを解消することができる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、可変表示装置80の左側に限らず、例えば、第1入賞口64の下方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口314及び第2アウト口315が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口314又は第2アウト口315を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口314は、第1入賞口64の左側下方に配設される一方、第2アウト口315は、第1入賞口64の右側下方に配設される。即ち、第2アウト口315は、第1入賞口64を挟んで第1アウト口314の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第1入賞口64よりも正面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第2アウト口315を通って球排出路へ案内される一方、第1入賞口64よりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第1アウト口314を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100~104に収納されている。基板ボックス100~104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図102参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図101参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図100)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29~33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、その他駆動モータ531,561,631,661,751が含まれる。
ここで、各種駆動モータ(上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、その他駆動モータ531,561,631,661,751)について説明する。これらの各種駆動モータは、例えば、公知のステッピングモータで構成され、パチンコ機10に搭載されている各役物を動作させるために、各役物に対応付けて複数設けられている。この各種駆動モータは、対応するモータ制御用IC(モータドライバ)によって駆動される。具体的には、音声ランプ制御装置113のMPU221からモータ制御用IC(モータドライバ)に対して、回転のステップ数と、回転方向(正方向、または負方向)と、回転速度とを少なくとも含むコマンドを出力する。制御用IC(モータドライバ)は、出力されたコマンドに基づいて、対応する各種駆動モータを駆動する。なお、モータ制御用IC(モータドライバ)は、単一のICで複数の駆動モータに対して動作を設定可能なものを採用してもよいし、複数のモータ制御用IC(モータドライバ)を設けて別々の役物に対応する駆動モータをそれぞれ動作させるように構成してもよい。複数の駆動モータに対して動作を設定可能なモータ制御用IC(モータドライバ)を採用する場合は、回転ステップ数等を送信するためのコマンドに、駆動モータの種別を特定するための情報を含ませて出力すればよい。
ここで、上下用駆動モータ431を例に挙げて、駆動モータの動作について説明する。設定されたコマンドに基づいて、制御用IC(モータドライバ)が上下用駆動モータ431を動作させる場合は、1ステップの動作を実行させる毎に、音声ランプ制御装置113のMPU221に対して動作を実行させたことを通知するための信号(実行信号)が出力される。この実行信号により、MPU221は、設定した動作の進捗を把握することができる。なお、音声ランプ制御装置113のRAM223には、図示しないステップカウンタが設けられている。このステップカウンタは、役物毎に設けられており、各役物が原点(退避)位置から何ステップ分動作したのかをカウントするカウンタである。即ち、原点(退避)位置を0ステップの位置として、制御用ICからの実行信号を受信する度にその値が1ずつ更新される。より具体的には、役物が原点(退避)位置から終点(張出)位置へと向かう方向(正方向)へ1ステップ動作する毎にその値が1ずつ加算される。また、終点(張出)位置から原点(退避)位置へと向かう方向(負方向)へ1ステップ動作する毎にその値が1ずつ減算される。よって、ステップカウンタの値に基づいて各役物の動作位置を容易に把握することができる。
ここで、原点位置とは、役物毎に設定されている特定の配置を指し、電源投入に基づく原点復帰において移行する位置のことである。具体的には、各役物には、原点位置か否かを検出するための原点センサ(図示せず)が設けられており、電源投入時に原点センサがオンでなければ、原点センサがオンを検出するまで役物を可変させる(即ち、各種駆動モータを駆動する)。この原点位置が、各役物の動作の基準位置となる。なお、上述したステップカウンタは、原点復帰により役物が原点位置となった場合(即ち、原点センサがオンを検出した場合)に、0にリセットされる。そして、上述した通り、モータ制御用ICより出力される実行信号に基づいて、ステップカウンタの値が1ずつ更新される。
次いで、モータ制御用IC(モータドライバ)による各種駆動モータ(ここでは上下用駆動モータ431)の制御の一例について、図135を参照して説明する。なお、説明を分かり易くするために、1ステップで90度回転する(即ち、4ステップで1周する)ステッピングモータを例に取って説明するが、実際の上下用駆動モータ431は、1ステップの回転角度をより細かく設定できるように構成されている。具体的には、1ステップで1度回転するように構成されている。
まず、図135(a)は、ステッピングモータで構成される上下用駆動モータ431の概要を示す図である。この上下用駆動モータ431は、対応するモータ制御用ICに対して音声ランプ制御装置113から励磁制御データを送ることにより、その励磁制御データに対応した部位が励磁されるように構成されている。具体的には、図135(a)に示す「A,B,C,D」に対応した4桁の2進数で構成された励磁制御データによって、モータ制御用ICにより励磁される。具体的には、上下用駆動モータ431の各部位(即ち、A,B,C,Dのいずれか)に対応する励磁制御データが「1」であれば励磁され、励磁制御データが「0」であれば励磁されない。例えば、励磁制御のデータが「1100」であれば、A及びBが励磁され、CおよびDは励磁されない。この励磁制御データは、音声ランプ制御装置113のROM222に設けられている励磁テーブル(図135(b)参照)に規定されている。
また、音声ランプ制御装置113には、励磁テーブル(図135(b)参照)に規定された複数の励磁制御データの中から1の励磁制御データを選択して設定するために用いられる励磁カウンタが設けられている。この励磁カウンタは、「0」を起点として正方向に1ずつ更新することができ、励磁カウンタの値が「3」となってから値が更新されると値が「0」に戻るループカウンタとなっている。この励磁カウンタ値が更新される度に、対応する励磁制御データが読み出されて設定される。励磁制御データが設定されると、励磁制御データに基づく各部位の励磁が即座に行われる(即ち、励磁制御データの設定からタイムラグなく上下用駆動モータ431が動作する)。更に、励磁カウンタは、負の方向にも更新することができる。つまり、値が「0」を起点として、「0」→「3」→「2」→「1」→「0」の順番に更新することができる。負方向に更新する場合は、正方向に更新した場合と上下用駆動モータ431の回転方向が逆向きになる。励磁カウンタを更新する方向(正方向であるか、負方向であるか)と、励磁カウンタの更新頻度とは、動作を設定する役物の種別毎に予め定められている。なお、この励磁カウンタの最大値は、駆動モータのステップ数に応じて変化する。具体的には、例えば、1ステップで1度回転する(即ち、モータが1回転するのに360ステップを要する)駆動モータの場合、励磁カウンタは「0」~「359」の範囲で更新されるループカウンタとなる。
次いで、上下用駆動モータ431の各部位を励磁するための励磁制御データの具体例について、図135(b)を参照して説明する。図135(b)は、励磁制御データを規定した励磁テーブルと、その励磁テーブルに規定された励磁制御データに基づいて励磁された上下用駆動モータ431の状態との対応関係を示す図である。なお、図135(b)に示した通り、励磁テーブルには、励磁カウンタの値毎に励磁制御データが規定されている。
具体的には、図135(b)に示した通り、上下用駆動モータ431に対応するシーケンスデータとして、励磁カウンタ「0」~「3」の順に「1100,0110,0011,1001」の励磁制御データがそれぞれ規定されている。また、励磁カウンタ値「0」に対応するシーケンスデータである「1100」が設定されると、上下用駆動モータ431のA、およびBの各位置が励磁される。また、励磁カウンタ値「1」に対応するシーケンスデータである「0110」が設定されると、上下用駆動モータ431のB、およびCの各位置が励磁されるので、励磁カウンタ値が「0」の状態から時計回りに90度回転する。また、励磁カウンタ値「2」に対応するシーケンスデータである「0011」が設定されると、上下用駆動モータ431のC、およびDの各位置が励磁され、励磁カウンタ値が「1」の状態から時計回りに90度回転する。また、励磁カウンタ値「3」に対応するシーケンスデータである「1001」が設定されると、上下用駆動モータ431のA、およびDの各位置が励磁されるので、励磁カウンタ値が「2」の状態から時計回りに90度回転する。このように、図135に示した例では、励磁カウンタの値が正方向に1更新される毎に、上下用駆動モータ431が時計回りに90度ずつ回転する。なお、上述した通り、励磁カウンタの値が負方向に更新される場合は、上下用駆動モータ431が反時計回りに90度ずつ回転する。
以上のように、上下用駆動モータ431の制御を、簡略化した動作モデルで説明したが、本実施形態で実際に用いられる上下用駆動モータ431では、1ステップ毎に(即ち、励磁カウンタを1更新する毎に)1度ずつ回転させることができる。即ち、各役物を可変させる場合は、可変させるステップ数に応じた回数だけ励磁カウンタの値を1ずつ更新し、励磁カウンタの更新毎に励磁カウンタに対応する励磁制御データを設定することで、正確に各役物を可変させることができる。
このように、本実施形態では、モータドライバに対してコマンドを設定することにより、コマンドで指定した回転速度、回転方向、および回転ステップ数で各種駆動モータを駆動させることができる。よって、役物を用いた多彩な演出動作を実現することができる。
なお、各役物には、演出に応じた固有の動作パターンが設定されている。この動作パターンは、上述したモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定するコマンドを、経過時間毎に規定したものである。
また、本実施形態では、モータドライバに対して設定したコマンドに基づいて各種駆動モータが動作完了したか否かを、各種駆動モータが動作したステップ数に基づいて判断している。即ち、コマンドにより設定したステップ数と、モータドライバにより1ステップの動作が設定される度にモータドライバから出力される実行信号の受信回数とに基づいて、各種駆動モータに設定した動作が完了したか否かを判断しているが、これに限られるものではない。例えば、各種駆動モータを動作させるためのコマンドを設定してからの経過時間を計測し、その経過時間に基づいて各種駆動モータの動作が完了したか否かを判別するように構成してもよい。
ここで、本実施形態において協調して制御される上下用駆動モータ431と開閉用駆動モータ466との制御について説明する。詳細は後述の第1制御例において説明するが、本実施形態では、上下動作ユニット装置(落下役物)400が可動する演出(落下役物シナリオ)として、上下動作ユニット装置(落下役物)400のレンズ部材460と扉部材470とが上下用駆動モータ431の駆動により、正面視下方向(落下方向)へと可動される演出が設けられている。当該演出(落下役物シナリオ)では、レンズ部材460と扉部材470とが正面視下方向(落下方向)へ可動された後、扉部材470が開閉用駆動モータ466により開放される演出と、開放されない演出とが設けられている。
本実施形態における音声ランプ制御装置113は、当該演出(落下役物シナリオ)において扉部材470が開放される演出が実行されている場合に、扉部材470を開閉するための開閉用駆動モータ466に対して、AからDの全ての位置に対する励磁がオフとなるように制御(通電停止制御)する(図108のS1706参照)。全ての位置に対する励磁がオフである場合は、開閉用駆動モータ466の静止トルク(所謂、ディテントルク)、即ち、扉部材470を閉状態で維持するトルクは最小となる。この場合に、上下用駆動モータ431が駆動し、スライド部材450が落下方向へ可動され、可動が終了すると、扉部材470へ正面視下向きの慣性力が発生する。
ここで、本実施形態では、上述した扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が、扉部材470へと発生する慣性力よりも小さくなるように構成されている。これにより、扉部材470を開放するために開閉用駆動モータ466を駆動せずともスライド部材450が正面視下方向(落下方向)へ可動される際に、扉部材470に働く慣性力によって、扉部材470を開放状態とすることができる。つまり、扉部材470がスライド部材450と共に正面視下方向へ移動し終わると(即ち、アーム部材440、およびレンズ部材460が張出位置に配置されると)、扉部材470に対して正面視下方向の慣性力(即ち、正面視下方向への移動を続けようとする力)が作用して扉部材470が開放状態となる。よって、開閉用モータ466を駆動するための消費電力を低減することができる。
なお、スライド部材450の移動に伴い扉部材470に発生する慣性力が、扉部材470を開放するのに充分でない場合には、開閉用駆動モータ466を駆動して開放するようにしてもよい。この場合においては、スライド部材450の移動に伴い扉部材470に発生する慣性力を用いることで、開閉用駆動モータ466の駆動トルクを低減することができ、消費電力の低減や、開閉用駆動モータ466の小型化を図ることができる。
また、演出パターンに応じて、開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放する場合と、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放する場合とを切り替えても良い。例えば、期待度の高い演出パターンの実行時には、扉部材470を確実に開放するために開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放し、一方、期待度の低い演出パターンの実行時には、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放するように構成してもよい。これにより、期待度の高い演出パターンにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合を抑制することができる。
さらに、上下用駆動モータ431が駆動し、スライド部材450が落下方向へ可動されない場合、即ち、扉部材470に慣性力が働かない場合には、扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が扉部材470を閉状態で維持するのに充分なトルクとなるように構成されている。このため、落下役物シナリオが実行されない期間においても、開閉用駆動モータ466を励磁して扉部材470を閉状態で維持する必要がなく、消費電力の低減を図ることができる。なお、扉部材470を閉状態で維持するトルク(静止トルク)が扉部材470を閉状態で維持するのに必要なトルクが不足している場合は、例えば、扉部材470の先端部分に磁石を設けることで、扉部材470を閉状態で維持するのに必要なトルクが少なくなるように構成してもよい。
一方、演出(落下役物シナリオ)として扉部材470が開放されない演出が実行されている場合は、扉部材を開閉するための開閉用駆動モータ466が回転しないように励磁制御される。具体的には、上述した励磁テーブル(図135(b)のうち、現在の励磁カウンタに基づいて該当する部位(AからD)を一定時間励磁し続けることで、開閉用駆動モータ466には停止位置を保とうとするトルク(所謂、ホールディングトルク)が発生し、扉部材470が閉状態で維持されることになる。これにより、扉部材470が開放されない演出であるにも関わらず、スライド部材450が落下方向へ可動される際の勢い(慣性力)によって、扉部材470が開放されてしまうことを確実に防止(抑制)できる。
なお、上述した扉部材470の開閉制御とその開閉制御によって制御された扉部材470の開閉状態とが一致しない場合は、その後に実行される演出を変更するようにしてもよい。
具体的には、扉部材470が開放される落下役物シナリオに基づく演出が実行されている場合に、開閉用駆動モータ466が通電停止制御され、その後、扉部材470が開放されることで、扉部材470の背面側に位置するレンズ部材460が視認可能となる。そして、遊技者はそのレンズ部材460を通して第3図柄表示装置81に表示される「激アツ」との文字を視認することができる。レンズ部材460を通して第3図柄表示装置81の表示を視認することで、当該表示が拡大されて表示されることとなり、遊技者に対して当該表示をより印象的に感じさせることができる。
一方、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されたものの、扉部材470が開放されなかった場合には、第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されているにも関わらず、扉部材470が開放され、レンズ部材460が視認できる演出であるにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合が発生したとの印象を与えてしまうことになる。そこで、当該演出において、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されたものの、扉部材470が開放されなかったことを扉部材470が状態を検知可能な原点センサなどにより検出し、その場合には、その後に第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されないように演出を変更する。これにより、扉部材470が開放されずとも、第3図柄表示装置81に「激アツ」との文字が表示されないため、扉部材470が開放されない演出が実行されたと遊技者に認識させることができ、上述した不具合が発生したとの印象を与えることがないようにできる。この場合において、特定のLEDを点灯させたり、外部出力端子を通してホールコンピュータへ通知することで、当該不具合が発生したことを従業員に対して報知するようにしてもよい。
また、上下動作ユニット装置(落下役物)400のレンズ部材460と扉部材470とを落下させるシナリオとして、一度の動作で退避位置から張出位置まで移動させるシナリオと、複数の動作(例えば、2度)で退避位置から張出位置まで移動させるシナリオとを設けるようにしてもよい。これにより、開閉用駆動モータ466が通電停止制御されているにも関わらず、その後、扉部材470が開放されなかった場合に、2度目の動作で扉部材470を開放したとしても、2度の動作によって扉部材470が退避位置から張出位置へと移動する演出であると感じさせることができ、遊技者に対して違和感を与えることがないようにできる。
さらに、扉部材470が開放される落下役物シナリオと、扉部材470が開放されない落下役物シナリオとで、上下用駆動モータ431の駆動速度を変更し、扉部材470に働く慣性力を変化するように構成してもよい。具体的には、扉部材470が開放される落下役物シナリオでは、上下用駆動モータ431の駆動速度を速くし、扉部材470に働く慣性力が大きくなるようにし、一方、扉部材470が開放されない落下役物シナリオでは、上下用駆動モータ431の駆動速度を遅くし、扉部材470に働く慣性力が小さくなるようにする。これにより、扉部材470の開閉を精度よく制御することができる。落下役物のシナリオに応じて上下用駆動モータ431の駆動速度を変更するものには限られず、同一の落下役物シナリオにおいても、例えば、上方向へ移動させる場合と、下方向へ移動させる場合とで上下用駆動モータ431の駆動速度を変更するようにしてもよい。
また、演出パターンに応じて、開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放する場合と、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放する場合とを切り替えても良い。例えば、期待度の高い演出パターンの実行時には、扉部材470を確実に開放するために開閉用モータ466を駆動して扉部材470を開放し、一方、期待度の低い演出パターンの実行時には、開閉用モータ466を駆動せずに扉部材470を開放するようにする。これにより、期待度の高い演出パターンにも関わらず、扉部材470が開放されないとの不具合を抑制することができる。
本実施形態における入出力ポート225には、RTC(リアルタイムクロック)292が接続されている。このRTC292は、時間を計時するための計時手段として用いられ、専用の内部電源(本実施形態では、電池)が備えられているので、パチンコ機10に電源が供給されていない状態においても計時を継続することができる。ここで、パチンコ機10を製造する場合に、計時手段に同じ時刻(例えば、現在時刻)を設定して製造することで、複数のパチンコ機10において同一の時刻情報を取得することが可能となる。
このように構成することで、通常の演出とは別に、各パチンコ機10の遊技状況とは関係なく、定期的に(1時間毎に5分間)経過時間に応じた特別な態様の演出(時間演出)を複数のパチンコ機10で同期して実行することができる。また、この時間演出が実行(表示)される期間(以下、時間演出期間という)における特定時間(時間演出の開始から1分経過毎)には、パチンコ機10の遊技状態を示唆する特定時間演出が実行される。具体的に、特定時間演出(カウントダウン演出)は、計4文字のカウントダウンの文字(「3」、「2」、「1」、「0」)が1文字ずつ順にそれぞれ3秒(計12秒)表示された後に、キャラクタ画像(女の子の画像など)が8秒表示される計20秒の演出であり、演出が開始されてからの経過時間に応じて表示(演出)態様が設定される。例えば、演出の開始時点(演出開始から0秒経過時点)では、カウントダウンの文字として「3」が表示される表示(演出)態様が設定される。また、演出の開始から6秒経過時点では、カウントダウンの文字として「1」が表示される表示(演出)態様が設定される。この特定時間演出(カウントダウン演出)では、パチンコ機10の遊技状態が確変状態であり、かつ、時短状態でない場合(所謂、潜伏確変状態である場合)には、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が赤色で表示される(潜伏確変状態でない場合は黒色で表示される)。詳細は第1制御例において具体的に説明する。
ここで、遊技状態が確変状態でありかつ時短状態でない状態(所謂、潜伏確変状態)は、特別図柄の大当たり確率がアップした状態であり、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態(即ち、遊技者にとって有利な状態)である。一方で、潜伏確変状態は、時短状態ではないため、普通図柄の当たり確率は通常状態と同じであり、上述したように、第2入賞口640に付随する電動役物640aが閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらい状態である。この場合は、通常状態と同様に、電動役物640aのない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。このように、潜伏確変状態は、パチンコ機10の内部状態として大当たりとなる確率がアップしている以外は、通常状態と同じ動作(遊技方法)となるため、遊技者は、現在の遊技状態が通常状態であるのか、潜伏確変状態であるのかを判別することが困難となっている。また、詳細は後述するが、潜伏確変状態では、通常状態と同様の演出が選択され、第3図柄表示装置81に表示されるようになっているので、遊技者は第3図柄表示装置81に表示される演出から現在の遊技状態が通常状態であるのか、潜伏確変状態であるのかを判別することが困難となっている。
そこで、本実施形態では、上述したように、時間演出期間において潜伏確変状態ある場合に実行される特定時間演出では、表示されるカウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が通常状態の場合とは異なる色(赤色)で表示されるようにしている。これにより、遊技者は特定時間演出において遊技状態が遊技者にとって有利な状態である潜伏確変状態となっていることを容易に認識することができる。その結果、遊技者に対して特定時間演出の演出内容に興味を抱かせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、計時手段(RTC)による計時の精度を向上させるために、外部から時刻情報を補正するための補正手段(GPSや電波時計など)を設けても良い。
また、外部から時刻情報を補正するための補正手段(例えば、GPSや電波時計など)により、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に、時刻情報を補正するようにしてもよい。これにより、専用の内部電源(本実施形態では、電池)を設けなくとも、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に、計時手段による時刻情報を更新することができるため、計時手段の製造コストやメンテナンスコスト(内部電源の劣化による交換費用など)を低減することができる。なお、補正手段による時刻情報の補正は、パチンコ機10に電源が供給される度(立ち上げられる度)に限られず、定期的(例えば、1時間毎)に実行するようにしてもよい。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
ここで、表示制御装置114により第3図柄表示装置81に表示される表示内容について説明する。第3図柄は、「0」から「9」の数字の主図柄により構成されている。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
例えば、特別図柄の抽選結果が「大当たりA」または「大当たりC」であれば、奇数番号である「1,3,4,7,9」の主図柄が揃って停止表示される変動表示が行われる。また、「大当たりB」であれば、偶数番号である「0,2,4,6,8」の主図柄が揃う変動表示が行われる。
第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、上側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の下側の1/3が予告演出、キャラクタおよび保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1~Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1~Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1~Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1~Z3には、数字の昇順に主図柄が配列され、各図柄列Z1~Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。この主表示領域Dmの略中央が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも下方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの小領域Ds1~Ds3に等区分されている。このうち、小領域Ds1は、第1入賞口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域であり、小領域Ds2は、予告演出画像を表示する領域であり、小領域Ds3は、第2入賞口640に入球した球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域である。
実際の表示画面では、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計3個停止表示される。なお、変動表示される場合には、中央部に表示される主図柄以外にも、その前後に配置された主図柄が視認可能に表示されるので、最大で合計9個主図柄が表示される場合もある。副表示領域Dsにおいては、保留球1つに対して「●」図柄が一つ表示されて、特別図柄1、特別図柄2に対してそれぞれ最大4個までの保留球に対応して保留図柄が表示される。即ち、副表示領域Dsには、最大で8個の保留図柄が表示される。
なお、本実施形態では、特別図柄1と特別図柄2とで同じ保留図柄(デザイン)としたが、それに限らず、異なる図柄(例えば、特別図柄1に対しては、「●」図柄として、特別図柄2に対しては、白抜きの四角形の図柄)で表示するように構成してもよい。
これにより、第1入賞口64と第2入賞口640との保留球、即ち、特別図柄1と特別図柄2との保留球をそれぞれ識別し易く表示することができる。また、普通図柄の当たり種別により第2入賞口640へ入球した保留球の表示態様を異なるように表示したので、遊技者に、長時間当たりで発生した保留球であることを容易に判別させることができる。
なお、本実施形態では、第3図柄表示装置81の主表示領域Dm、副表示領域Dsには、上記した、主図柄、保留図柄等以外にも文字表示やキャラクタ等の予告演出表示や、総変動回数の表示等が適宜表示される。また、保留図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。
なお、本実施形態においては、第1入賞口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1または小領域Ds3における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。更に、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを最大保留数分の4つ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
また、表示制御装置114には、サブ表示装置690が接続されている。このサブ表示装置690は、第3図柄表示装置81と解像度が異なる表示装置(例えば、液晶パネル)となっている。具体的には、第3図柄表示装置81の解像度は(横800ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素))となっており、サブ表示装置690の解像度は(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素))となっている(図82参照)。なお、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との解像度はそれぞれ上述したものと異なるものであってもよいし、サブ表示装置690の解像度と第3図柄表示装置81とは同一の解像度であってもよいし、第3図柄表示装置81よりもサブ表示装置690の解像度が高いものであってもよい。また、第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690として採用可能なディスプレイ方式は、液晶パネルを用いた方式に限られるものではなく、任意の方式のディスプレイ(例えば、PDP方式、CRT方式、有機EL方式、MEMSシャッター方式等)を採用してもよい。
詳細は図81を参照して後述するが、本実施形態における表示制御装置114は、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに対して第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とのそれぞれに表示する画像を包含する一の画像データ(本実施形態では横1200ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)の解像度の画像データ)を用いて表示制御を行う。その一の画像データのうち第3図柄表示装置81の解像度に該当する部分の画像データ(横800ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)の領域)が第3図柄表示装置81に表示され、残りの部分におけるサブ表示装置690の解像度に該当する部分の画像データ(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素)の領域)がサブ表示装置690に表示される。なお、残りのデータ(横400ピクセル(画素)×縦300ピクセル(画素)の領域)は未使用となる。
これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する表示内容の同期をとることが容易となり、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される表示内容とがずれてしまう不具合を抑制することができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110~114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110~114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図12を参照して、遊技盤13及び動作ユニット200について説明する。まず、図5から図7を参照して、背面ケース210への各ユニット300~700の収容構造について説明する。
図5は、遊技盤13及び動作ユニット200の分解正面斜視図であり、図6及び図7は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図7では、複合動作ユニット500が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図5から図7に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図6紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、上下動作ユニット400、複合動作ユニット500、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、複合動作ユニット500は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の右上部に配設される(図7参照)。この図7に示す状態に対し、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700が背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の下部に配設される。また、この図7に示す状態に対し、上下動作ユニット400は複合動作ユニット500の正面側に、重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図5参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、複合動作ユニット500)に対し、他の動作ユニット(例えば、上下動作ユニット400)が正面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットを、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13(図2参照)が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図8から図10を参照して、上下動作ユニット400、複合動作ユニット500、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の動作態様の概略について説明する。なお、図8から図10の説明においては、図5から図7を適宜参照する。
図8から図10は、動作ユニット200の正面図である。なお、図8では上下動作ユニット400のアーム部材440(図18参照)が張出位置に配置された状態が、図9では複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図26参照)が伸張状態を形成された状態が、図10では傾倒動作ユニット600が幅方向略中央に配置された状態が、それぞれ図示される。
図8に示すように、上下動作ユニット400は、アーム部材440(図18参照)を、図5に示す退避位置と図8に示す張出位置との間で動作させる。図5に示す退避位置では、アーム部材440は、背面ケース210の開口211aの上方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図8に示す張出位置では、アーム部材440が下降され、レンズ部材460(図18参照)が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
図9に示すように、複合動作ユニット500は、回動アーム部材550(図22参照)が下方へ張り出す張出位置へ配置され前板部材546が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配設される伸張状態と、回動アーム部材550が上方へ退避される退避位置へ配置され前板部材546が背面ケース210の開口211aの上方に退避される縮小状態(図5参照)と、を形成可能とされる。図5に示す縮小状態では、前板部材546は、背面ケース210の開口211aの上方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。
図10に示すように、傾倒動作ユニット600は、スライド動作ユニット700の支柱部材720(図47参照)が左右にスライド移動されることで、図5に示す退避位置と、図10に示す張出位置との間で移動可能とされる。図5に示す退避位置では、傾倒動作ユニット600は、背面ケース210の開口211aの右外方に退避され、センターフレーム86の内側において遊技者から視認される(図2参照)。一方、図10に示す張出位置では、傾倒動作ユニット600が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
なお、図10では、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625(図46参照)が開放され、内部のサブ表示装置690が視認される状態が図示される。即ち、図10の状態に傾倒動作ユニット600が配置されると、開口211aを通して視認される第3図柄表示装置81(図2参照)に表示される演出と、傾倒動作ユニット600の内部のサブ表示装置690に表示される演出との両方を遊技者に視認させることができる。
これら各動作ユニット400~700は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット400~700のうちの層を違えて配設されるものについては、例え動作部材が背面ケース210の開口211aの内方に張り出す態様のものであっても同時に動作させることができる。即ち、図8から図10で例示したように、各動作ユニット400~700をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
図11は、動作ユニット200の正面図である。なお、図11では、複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図22参照)が伸張状態とされ、上下動作ユニット400のアーム部材440及びレンズ部材460が張出位置に配置されると共に扉部材470が開放状態を形成される。
図11に示すように、上下動作ユニット400のレンズ部材460を通して、複合動作ユニット500の前板部材546が視認される。レンズ部材460には、後述するように、拡大レンズ加工が形成されるので、前板部材546が拡大視される。
即ち、図11に示す状態から、複合動作ユニット500の回転板520(図24参照)が第1軸部512(図24参照)を中心に揺動動作され、前板部材546が上下動作ユニット400のレンズ部材470から正面視で離間する位置(図39参照)まで移動されると、前板部材546は通常の大きさで視認される。これにより、前板部材546が通常の大きさで視認される状態と、拡大視される状態(図11参照)とを切り替えることができ、演出効果を向上させることができる。
図12は、動作ユニット200の正面図である。なお、図12では、複合動作ユニット500の伸縮演出装置540(図22参照)が伸張状態とされ、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置され傾倒状態とされ、傾倒動作ユニット600と前板部材546とが当接する直前の状態が図示される。傾倒動作ユニット600が更に傾倒されることで、傾倒動作ユニット600と前板部材546とは当接される。この場合に、複合動作ユニット500を正面視時計回りに揺動させることで(図39参照)、あたかも、傾倒動作ユニット600から複合動作ユニット500に力が加えられるように見せる演出を行うことができる(ユニット同士の動作を関連付け、より複雑な演出を行うことができる)。これにより、演出効果を向上させることができる。
次いで、図13から図15を参照して、盤面下部ユニット300について説明する。図13は、盤面13と盤面下部ユニット300との正面分解斜視図である。図13に示すように、遊技盤13の下部には、内レール61の下縁に沿って開口され盤面下部ユニット300が挿通される受け入れ開口13aが形成される。
図14は、盤面下部ユニット300の正面分解斜視図である。図14に示すように、盤面下部ユニット300は、遊技盤13の受け入れ開口13aに内嵌固定されるベース部材310と、そのベース部材310の正面視左下方に配設され球を第1アウト口314へ案内する左下板部材320と、ベース部材310の正面視右下方に配設され球を第2アウト口315へ案内する右下板部材330と、正面からベース部材310に締結固定され左下板部材320及び右下板部材330が挿通軸343で軸支される前蓋部材340と、を主に備える。
ベース部材310は、遊技盤13の受け入れ開口13aの形状と略同等の形状であり受け入れ開口13aよりも若干小さな断面形状に形成される板状の本体部311と、その本体部311の正面側を覆う態様で薄板状に形成される装飾前板部312と、その装飾前板部312の幅方向略中央部に取り付けられる可動演出部材313と、その可動演出部材313の正面視左方に形成される矩形状孔である第1アウト口314と、可動演出部材313の正面視右方に形成される矩形状孔である第2アウト口315と、を主に備える。
可動演出部材313は、遊技盤13の幅方向中心下縁に配設され、図示しない駆動装置により回転される回転演出部材313aを備える。ここで、遊技盤13の幅方向中心下縁にアウト口が配設される場合、可動演出部材313を遊技盤13の幅方向中心下縁に配置することはできない。本実施形態では、遊技盤13の幅方向中心下縁にアウト口を配設せず、遊技盤13の中心から左右に離間した位置に第1アウト口314及び第2アウト口315を配設することで、可動演出部材313を遊技盤13の幅方向中心下縁に配設するスペースを確保することができる。
図15を参照して、第1アウト口314、第2アウト口315、左下板部材320及び右下板部材330の形状について説明する。図15(a)は、ベース部材310、第1アウト口314、第2アウト口315、左下板部材320及び右下板部材330の正面図であり、図15(b)は、図15(a)のXVb-XVb線におけるベース部材310及び左下板部材320の断面図である。なお、図15(a)では、ベース部材310に締結固定される前蓋部材340の外形と、第1アウト口314及び第2アウト口315の上方に形成される釘とが図示される。
第1アウト口314及び第2アウト口315は、遊技領域から球が排出される開口である。第1アウト口314に比較して第2アウト口315は幅方向の形成長さが短くされる。その理由については後述する。また、第2アウト口315の上内側面に前後方向へ延設される案内リブ315aが形成される。その案内リブ315aにより、第2アウト口315へ流入する球が高くはね、第2アウト口315の上底面に衝突する場合に球に加えられる抵抗を抑制することができる。また、第2アウト口315から排出される球の流れを前後方向に整えることができ、排出される球の方向のばらつきを抑制することができる。
また、後述する左下板部材320の緩衝リブ322は、遊技盤13(図13参照)の幅方向中央へ向かうほど高く形成される(図15(a)参照)。これにより、遊技盤13の幅方向中央へ向かうほど遊技領域の上下幅が大きくなる本実施形態においても、左下板部材320に落下する球の跳ね返りを抑制する効果を損ねることがない。即ち、遊技盤13の幅方向中央に近いほど、球の落下高さは高くなるので、落下した球が左下板部材320に衝突した場合の衝撃が大きくなる恐れがある。これに対し、緩衝リブ322は遊技盤13の幅方向中央へ向かうほど高く形成されるので、遊技盤13の幅方向中央に近いほど緩衝リブ322が撓むことで落下の衝撃を和らげるクッション効果の度合いを大きくすることができる。
ここで、緩衝リブ322,332の縦横比と、落下する球の着地頻度との関係について説明する。例えば、緩衝リブ322,332に着地する球の落下高さは高いが、その位置に球が到達する頻度が極端に低い場合、わざわざ球の跳ね返りを抑制せずとも、他の球の排出の障害にならない場合がある。この場合にまで緩衝リブ322,332の縦横比を大きく形成すると、遊技領域のスペースを不必要に抑制することになる。従って、緩衝リブ322,332の縦横比は、球の落下高さのみでなく、落下高さと、その位置に球が着地する頻度との関係で設定されることが好ましい。
図15に示すように、緩衝リブ322,332の上方を流下する球は経路c1,c2で流下開始され、その後複数の分岐b1~b10を経て、着地領域z0~z4に到達する。なお、以下の説明では、球が流下する確率が経路c1とc2とで等しく(1/2)、分岐b1~b10での左右への分岐の確率がそれぞれ左右均等(1/2)である場合を説明する。なお、右上方から球が流下されることは無いものと仮定する。
着地領域z0に球が到達する確率について説明する。着地領域z0に到達するためには、分岐b5で左側を流下して経路c11に到達する必要がある。分岐b5までは、経路c1から分岐b1を経て到達する場合と、経路c2から到達する場合とが考えられる。そのため、球が経路c11に到達して、着地領域z0に球が到達する確率は、経路c1から流下される球の確率1/8(=1/2×(1/2)^2)と、経路c2から流下される球の確率1/4(=1/2×1/2)との総和で表されるので、3/8である(「^」はべき乗を意味する)。即ち、それぞれの確率は、経路c1,c2を球が流下する確率1/2と、着地領域z0に到達するまでに球が通る分岐b1~b10の数だけ1/2を累乗した数との積で表される。
着地領域z1に球が到達する確率について説明する。着地領域z1に到達するためには、分岐b3で左側を流下して経路c15に到達するか、分岐b4で左側を流下して経路c16に到達するか、分岐b6で右側を流下して経路c14に到達するか、分岐b7で右側を流下して経路c13に到達する必要がある。
分岐b3までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c15に到達するまでに分岐が3つ存在するので、球が経路c15に到達する確率は1/16(=1/2×(1×2)^3)である。また、分岐b4までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c16に到達するまでに分岐が4つ存在するので、球が経路c16に到達する確率は1/32(=1/2×(1×2)^4)である。また、分岐b6までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c14に到達するまでに分岐が3つ存在するので、球が経路c14に到達する確率は1/16(=1/2×(1×2)^3)である。
分岐b7までは、経路c1及び経路c2から球が流下される場合の両方が考えられ、経路c1から流下した球が経路c13に到達するまでに分岐が4つ存在する場合と、分岐が3つ存在する場合がある。経路c2から流下した球が経路c13に到達するまでに分岐が2つ存在する。そのため、球が経路c13に到達する確率は、経路c1から流下される球の確率3/32(=1/2×(1/2)^4+1/2×(1/2)^3)と、経路c2から流下される球の確率1/8(=1/2×(1/2)^2)との総和で表されるので、7/32である。
ここで、着地領域z1に球が到達する確率は、上述した経路c13~c16に球が到達する確率の総和であるので、12/32である。
着地領域z2に球が到達する確率について説明する。着地領域z2に球が到達する確率は、経路c12に球が到達する確率で表せ、これは、分岐b7に到達した球が経路c13に到達する確率と等しくなる。そのため、着地領域z2に球が到達する確率は7/32である。
着地領域z3に球が到達する確率について説明する。着地領域z3に到達するためには、分岐b9で左側を流下して経路c17に到達するか、分岐b10で左側を流下して経路c18に到達する必要がある。
分岐b9までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c17に到達するまでに分岐が6つ存在するので、球が経路c17に到達する確率は1/128(=1/2×(1×2)^6)である。また、分岐b10までは、経路c1から球が流下される場合のみが考えられ、球が経路c18に到達するまでに分岐が7つ存在するので、球が経路c18に到達する確率は1/256(=1/2×(1×2)^7)である。
着地領域z3に球が到達する確率は、上述した経路c17及びc18に球が到達する確率の総和であるので、3/256である。
着地領域z4に球が到達する確率について説明する。着地領域z4に到達するためには、分岐b10で右側を流下して経路c19に到達する必要がある。なお、分岐b10の右側を流下した球は全て経路c19で流下するものとする。経路c19に球が到達する確率は、分岐b10に到達した球が経路c18に到達する確率と等しくなる。そのため、着地領域z4に球が到達する確率は1/256(=1/2×(1×2)^7)である。
これらのことから、各着地領域z0~z4へ球が到達する割合は、(z0:z1:z2:z3:z4)=(96:96:56:3:1)となる。この割合は、緩衝リブ322,332と相関関係を有する。
例えば、着地領域z1と着地領域z3とを比較すると、各着地領域z1,z3に落下する球の高さは同等であるのに緩衝リブ322,332の縦横比は着地領域z3の方が着地領域z1より小さい。これは、着地領域z3に球が到達する割合が、着地領域z1に球が到達する割合の1/32であるためである。即ち、落下する球のバウンドを着地領域z1ほどに抑制せずとも、着地領域z3においては球の排出が滞るおそれが小さい。そこで、着地領域z3においては、着地領域z1に比較して緩衝リブ332の縦横比を小さくすることで、第2アウト口315の配設位置を下方へ下げることができる。
例えば、着地領域z2と着地領域z4とを比較すると、着地領域z2への球の落下距離よりも着地領域z4への球の落下距離の方が長いのに、緩衝リブ322,332の縦横比は着地領域z2の方が着地領域z4より大きい。これは、着地領域z4に球が到達する割合が、着地領域z2に球が到達する割合の1/56であるためである。即ち、落下する球のバウンドを着地領域z2ほどに抑制せずとも、着地領域z4においては球の排出が滞るおそれが小さい。そこで、着地領域z4においては、着地領域z2に比較して緩衝リブ332の縦横比を小さくすることで、第2アウト口315の配設位置を下方へ下げることができる。
なお、上述した説明では、分岐b1~b10の球の分岐の確率は、左右均等(1/2)である場合を説明したが、釘の幅を変化させることで、分岐b1~b10で球が分岐する確率を調整することが可能である。例えば、分岐b1の左側の矢印が通る流路の釘の間隔を球の直径と同程度に小さくすることで、分岐b1で球が右側の矢印に沿って流下する確率を1/2よりも大きくすることができる。他の分岐b2~b10においても、同様に球の分岐の確率を調整することができる。
これにより、経路c11~c19に球が到達する頻度を調整することができ、緩衝リブ322の縦横比の設計自由度を向上させることができる。
また、緩衝リブ322は上面が後方へ向かうにつれて下降傾斜して形成される(図15(b)参照)。これにより、第1アウト口314への球流れを速くすることができる。
図14に戻って説明する。左下板部材320は、長尺板状の本体部321と、その本体部321の上面において左右方向に連設される薄厚の板がそれぞれ前後方向に延設される緩衝リブ322と、その緩衝リブ322の前面を連結する態様で形成される連結前板323と、本体部321の正面視左端において上方へ隆起して形成される段部324と、その段部324から正面視左方へ延設される球流れレール部325と、本体部321の正面視右端部において前後方向に穿設される軸支孔326と、を主に備える。
緩衝リブ322は、第1アウト口314へ向かう球が通過する部分であり、上下方向に落下する球の上下方向への跳ね返りを抑制する。即ち、緩衝リブ322は左右方向に連設される薄厚の板から形成されるので、落下する球に衝突される際に、厚み方向に撓むことで、その衝突の衝撃を和らげることができる。また、球が緩衝リブ322の上面を左右方向に移動する際には、球が緩衝リブ322の間にはまり込むことで、球が制動される。また、緩衝リブ322は、正面視右方(遊技盤13(図2参照)の幅方向内側へ向かうほど、形成高さ及び縦横比が大きくされる。
連結前板323は、緩衝リブ322を連結することで、緩衝リブ322の強度を向上させる。
段部324は、球流れレール部325から流下された球を上下方向に落下させるための嵩上げ部である。これにより、球流れレール部325を流下する球から緩衝リブ322へ左右方向の荷重が負荷されることを抑制することができる。これにより、緩衝リブ322が左右方向の荷重を受けて左右方向に折れることを防止することができる。
即ち、緩衝リブ322は前後方向に延設される薄厚の壁部から形成されるので、左右方向の荷重が負荷されることで折れる恐れがある。一方、本実施形態では、左右方向の速度を備え、左右方向の荷重を緩衝リブ322に負荷する恐れのある球流れレール325の上面を転動する球が、段部324から緩衝リブ322へ上下方向に落下する態様で形成される。これにより、球が緩衝リブ322へ着地する位置を、球の左右方向の速度が速いほど、幅方向右方へ寄せることができる。
従って、球が緩衝リブ322に着地する際に緩衝リブ322に左右方向で与えられる負荷を、幅方向左方(外側)へ向かうほど小さくすることができる。そのため、緩衝リブ322の幅方向左方へいくほど球の左右方向の荷重による折れが発生するおそれが低くなり、幅方向右方に比較して緩衝リブ322の縦横比を小さく形成することができる。この場合、遊技盤13の下面に形成される曲面に沿って緩衝リブ322の下面を形成できるので、緩衝リブ322が幅方向で同じ長さである場合に比較して緩衝リブ322を配設する位置を下方に下げることができる。
ここで、緩衝リブ322の縦横比を幅方向左右の位置で一定に保ったまま(緩衝リブ322の上面が緩衝リブ322の下面と同一の曲線で形成される状態で)、遊技盤13の下面に形成される曲面に沿って緩衝リブ322の下面を形成することも考えられる。しかし、この場合、段部324の配設位置が高くなり、その段部324に向けて下降傾斜して形成される球流れレール部325の配設位置も高くなる。この場合、球流れレール部325と内レール61(図13参照)との間のデッドスペースが大きくなり、遊技領域が抑制される。
一方で、緩衝リブ322の縦横比は大きい方が、球の勢いを落とす作用(減速作用)は大きくなる。従って、緩衝リブ322は、段部324付近から遊技領域の中央へ向けて縦横比を大きくする態様で形成される。
なお、段部324の形成高さに影響しないように段部324の手前まで緩衝リブ322の上面を緩衝リブ322の下面の曲線と同一の曲線で形成する(緩衝リブ322の左右方向の途中で高さが最大に形成される)ことも考えられる。しかし、この場合、着地領域z1に到達した球が左方に転動することが妨げられる。そのため、着地領域z1に球が滞留し易くなり、球の排出をスムーズに行いにくくなる。
これに対し、本実施形態では、緩衝リブ322の幅方向における緩衝リブ322の上面の高さの変動が少ないので、着地領域z1に到達した球が左方(着地領域z2側)に容易に転動する。従って、着地領域z1に球が滞留する前に球を着地領域z2に流すことができるので、球の排出をスムーズにすることができる。
また、段部324は、緩衝リブ322の上方を流下し左方へ流れる球をせき止める機能を有する。これにより、球が前蓋部材340(図13参照)に衝突した後で第1アウト口314の横幅以上に跳ね返ることを防止することができる。
軸支孔326は、前蓋部材340の挿通軸343が挿通され、軸支される部分である。
右下板部材330は、長尺板状の本体部331と、その本体部331の上面において左右方向に連設される薄厚の壁部がそれぞれ前後方向に延設される緩衝リブ332と、その緩衝リブ332の前面を連結する態様で形成される連結前板333と、本体部331の正面視右端において下方へ窪んで形成される凹設部324と、その凹設部324から正面視右方へ延設される球流れレール部335と、本体部331の正面視左端部において前後方向に穿設される軸支孔336と、を主に備える。
なお、右下板部材330の構成と左下板部材320の構成とは多くの部分で共通する。即ち、本体部331は本体部321と、緩衝リブ332は緩衝リブ322と、連結前板333は連結前板323と、球流れレール部335は球流れレール部325と、軸支孔336は軸支孔326と、それぞれ技術的思想が共通するので、共通部分については説明を省略する。
緩衝リブ332は、緩衝リブ322に比較して左右の形成幅が短く形成される。これにより、第2アウト口315の左右の形成幅を短くでき、第2アウト口315の配設位置を第1アウト口314に比較して下方へ下げることができるので、その分、第1可変入賞装置65の大開放口ソレノイド65bの配設スペースを確保することができる(第1可変入賞装置65の配設位置を下方へ下げることができる)。
ここで、緩衝リブ332の形成幅を緩衝リブ322に比較して短くできるのは、第2アウト口315への球の流下経路を規制していることによる。即ち、図14に示すように、第2アウト口315の正面視右上に第1可変入賞装置65が配設されることで、開閉板の開放時には球は第1特定入賞口65aへ流入され、開閉板の閉鎖時には球は第1可変入賞装置65の正面側を鉛直下方へ落下される。これにより、第2アウト口315に正面視右上から球が流下することを防止することができる。換言すると、第2アウト口315の右上部に球の流下が規制される非流下領域が形成される。
そのため、右下板部材330への球の流下方向は、鉛直方向の落下と幅方向から(球流れレール部335から)の流下のみに限定される(斜め右上方からの流下が規制される)。従って、斜め右上方からの球の流入が無いので球が跳ねる方向を制限でき、緩衝リブ332の形成幅を狭めることができると共に第2アウト口315の形成幅を狭めることができる。結果として第1可変入賞装置65の配設スペースを確保することができる。
凹設部334は、球流れレール部335を流下した球を跳ねさせるための窪みである。そのため、凹設部334の形成幅は、隣接する緩衝リブ332に当接されずに球を載置可能な幅とされる。
球流れレール部335を流下した球は凹設部334に落下され、凹設部334の上面に当接されることで跳ね返り、緩衝リブ332に落下する。これにより、緩衝リブ332に幅方向から荷重が負荷されることが防止され、緩衝リブ332が折れることを防止することができる。
なお、凹設部334は、ベース部材310を遊技盤13に締結固定する締結ネジが挿通される締結孔Bの正面に形成される。これにより、盤面下部ユニット300を遊技盤13に締結固定するために締結孔Bに締結ネジをねじ込む際にドライバー等の締結工具を使用しやすくすることができる。即ち、凹設部334は、緩衝リブ332が折れることを防止する効果と、ベース部材310の締結固定を容易にする効果との両方を備える。
前蓋部材340は、最上部に第1入賞口64が形成される板状の本体部341と、その本体部341の中心に開口形成され回転演出部材313aを視認可能とする開口部342と、軸支孔326,336に挿通される一対の挿通軸343と、を主に備える。
本体部341は遊技領域の下縁に当接して形成され、側壁部により球の流下方向が限定される。即ち、右方から本体部341に衝突した球は左方へ貫通することはできず、一方で左方から本体部341に衝突した球は右方へ貫通することはできない。
挿通軸343は、軸支孔326,336に挿通される部分である。そのため、挿通軸343の直径は軸支孔326,336よりも若干小さく形成される。
次いで、図16から図21を参照して、上下動作ユニット400について説明する。図16は、上下動作ユニット400の正面斜視図であり、図17は、上下動作ユニット400の背面斜視図である。なお、図16及び図17では、上下動作ユニット400のアーム部材440が退避位置に配置された状態が図示される。
図18は、上下動作ユニット400の正面分解斜視図であり、図19は、上下動作ユニット400の背面分解斜視図である。図18及び図19に示すように、上下動作ユニット400は、背面視右側に背面側から正面側へ向けて窪むと共にその窪みが上下方向に延設される上下溝部414を備えるベース部材410と、そのベース部材410の連結孔413を中心に回転される回転クランク部材420と、その回転クランク部材420の駆動力を発生させる駆動装置430と、回転クランク部材420から駆動力が伝達されベース部材410の軸部412を中心に揺動されるアーム部材440と、ベース部材410の上下溝部414の反対側に配設されアーム部材440の揺動に連動して上下方向にスライド移動可能に形成されるスライド部材450と、アーム部材440の先端に形成される摺動孔443に吊り下げられアーム部材440の揺動に連動して上下方向にスライド移動可能に形成されるレンズ部材460と、そのレンズ部材460にそれぞれ軸支される一対の扉部材470と、を主に備える。
ベース部材410は、左右に長尺の板状に形成される本体部411と、その本体部411の右端部から正面側へ向けて円柱状に突設されアーム部材440の軸支孔442が軸支される軸部412と、前後方向に円形に穿設され回転クランク部材420と伝達ギア432が連結される連結孔413と、本体部411の背面視右側で背面側から正面側へ向けて形成される窪みが上下方向に延設される上下溝部414と、その上下溝部414の左右両外側において正面から背面側へ向けて窪む凹設部415と、を主に備える。
上下溝部414は、組立状態(図2参照)において、背面側に複合動作ユニット500の伸縮演出装置540が収容される部分である。複合動作ユニット500は、後述するように、伸縮演出装置540が縮小状態へ向かうほど伸縮演出装置540の揺動角度が抑制されるため、伸縮演出装置540が揺動されることで上下溝部414の左右内側面に衝突することが防止される。凹設部415は、スライド部材450のスライド案内部452が案内される部分である。
回転クランク部材420は、板状の本体部421と、その本体部421の一方の端部から正面側に円柱状に突設されアーム部材440の挿通部444に挿通される摺動突起部422と、伝達ギア432の嵌合部432aに係合され伝達ギア432と回転クランク部材420との相対回転を不能とする係合部423と、を主に備える。
摺動突起部422がアーム部材440の挿通部444に挿通され回転されることで、アーム部材440に駆動装置430の駆動力が伝達され、アーム部材440が軸部412を中心に揺動される。
駆動装置430は、ベース部材410に締結固定される上下用駆動モータ431と、その上下用駆動モータ431により回転駆動される駆動ギア431aと、その駆動ギア431aと歯合される伝達ギア432と、その伝達ギア432の正面側に連結孔413の内径より若干小さな外径で形成されると共に内側側面が回転クランク部材420の係合部423に嵌合される嵌合部432aと、を主に備える。
嵌合部432aは、三角形の各頂点に円形状が配置された断面形状からなる窪みを備える部分であって、ベース部材410の連結孔413に挿通されると共に、その先端側で回転クランク部材420の係合部423が相対回転不能に嵌合される。これにより、ベース部材410の本体部411を伝達ギア432と回転クランク部材420とで板挟みする態様で形成され、上述したように、伝達ギア432と回転クランク部材420の相対回転が不能とされるので、伝達ギア432と回転クランク部材420とは同期して回転する。即ち、上下用駆動モータ431の駆動力が伝達ギア432を介して回転クランク部材420へ伝達される。
アーム部材440は、長尺棒状に形成される本体部441と、基端側(正面視右側)に穿設され軸部412に揺動可能に軸支される軸支孔442と、基端側の反対側の端部である揺動端側に長孔として穿設されレンズ部材460の摺動突起部463が挿通される摺動孔443と、回転クランク部材420の摺動突起部422が挿通される有底孔状の挿通部444と、を主に備える。
なお、摺動突起部422を挿通部444に挿通させた状態で回転クランク部材420が一回転可能な形状に挿通部444の形状が設定される。そのため、回転クランク部材420の回転方向によらず、アーム部材440は揺動動作を行うことができる。
スライド部材450は、矩形板状の本体部451と、その本体部451の左右両端部から後方へ延設されると共に凹設部415に上下スライド可能に案内されるスライド案内部452と、本体部451の幅方向中心部において正面に形成される上下方向に延設される窪みであると共にレンズ部材460の摺動突起部463が挿通される中央案内凹設部453と、本体部451の左右両端部において正面に形成され上下方向に延設される窪みであると共にレンズ部材460の安定スライド部464が案内される両端案内凹設部454と、を主に備える。
レンズ部材460は、中央に円形の開口が形成される板状の本体部461と、その本体部461の開口に嵌め込まれる拡大レンズ加工が形成された拡大レンズ462と、本体部461の幅方向中央上端部において背面側へ突設されると共にアーム部材440の摺動孔443に上下スライド可能に挿通される摺動突起部463と、本体部461の幅方向両端部において背面側へ突設されスライド部材450の両端案内凹設部454に上下スライド可能に挿通される安定スライド部464と、本体部461の正面視左下方に軸回転可能に配設され扉部材470の下側軸部473及び上側軸部474が挿通される一対の回転筒465と、その一対の回転筒465を図示しない伝達機構により互いに逆方向に回転させる開閉用駆動モータ466と、を主に備える。
図20を参照して、上下動作ユニット400の移動動作について説明する。図20は、上下動作ユニット400の正面図である。なお、図20では、上下動作ユニット400のアーム部材440が張出位置へ配置された場合の扉部材470の閉鎖状態が図示される。
アーム部材440が退避位置(図16参照)から張出位置(図20参照)へ揺動されると、アーム部材440の揺動端側の摺動孔443に軸支されるレンズ部材460の摺動突起部463(図18参照)が、スライド部材450の中央案内凹設部453をスライド移動される。レンズ部材460はスライド部材450の両端案内凹設部454に上下方向に案内され、スライド部材450はベース部材410の凹設部415に上下方向に案内されるので、アーム部材440の揺動によりレンズ部材460は上下方向にスライド移動される。
図18及び図19に戻って説明する。扉部材470は、円形状板を上下2分割して構成され、下側に形成される下側本体部471と、その下側本体部471の上側に形成される上側本体部472と、下側本体部471の下端部において背面側に円柱状に突設されレンズ部材460の回転筒465に相対回転不能に挿通される下側軸部473と、上側本体部472の下端部において背面側に円柱状に突設されレンズ部材460の回転筒465に相対回転不能に挿通される上側軸部474と、を主に備える。
下側本体部471は、上側本体部472と当接される側の側面に突設される案内突起部471aを備え、上側本体部472は、下側本体部471と当接される側の側面に凹設される受け入れ凹設部472aを備える。これらの案内突起部471a及び受け入れ凹設部472aが嵌合されることで、閉鎖状態における下側本体部471と上側本体部472との相対的な位置合わせを行うことができる。なお、本実施形態では、案内突起部471aが先細り形状で突設されるので、案内突起部471aを受け入れ凹設部472aに確実に嵌合させることができる。
図21を参照して、扉部材470の動作について説明する。図21は、上下動作ユニット400の正面図である。なお、図21では、上下動作ユニット400のアーム部材440が張出位置へ配置された場合の扉部材470の開放状態が図示される。
下側軸部473及び上側軸部474(図19参照)は、レンズ部材460の回転筒465(図18参照)の回転により回転される。一対の回転筒465は、開閉用駆動モータ466(図19参照)の駆動力により互いに逆方向に回転されるので、扉部材470を、閉鎖状態(図20参照)から開放状態(図21参照)にする場合に、下側本体部471と上側本体部472とを互いに外側(反対方向)に揺動させることができる。また、扉部材470を、開放状態(図21参照)から閉鎖状態(図20参照)にする場合に、下側本体部471と上側本体部472とを互いに内側に揺動させることができる。
これにより、レンズ部材460の正面側を単一のカバー部材を揺動させて覆う場合に比較して、下側本体部471及び上側本体部472を揺動させる時間を半分とすることができる。
次いで、図22から図45を参照して、複合動作ユニット500について説明する。複合動作ユニット500は回動アーム部材550を退避位置(図22参照)から張出位置(図9参照)へ揺動させることで伸縮演出装置540を第3図柄表示装置81の正面側へ配置させるユニットである。また、伸縮演出装置540は、ベース部材510の第1軸部512(図24参照)を中心に揺動可能に形成される。
図22は、複合動作ユニット500の正面斜視図であり、図23は、複合動作ユニット500の背面斜視図である。なお、図22及び図23では、回動アーム部材550が第3図柄表示装置81(図2参照)の外側に形成される終端位置である退避位置に配置される状態が図示される。
図24は、複合動作ユニット500の正面分解斜視図であり、図25は、複合動作ユニット500の背面分解斜視図である。
図24及び図25に示すように、複合動作ユニット500は、伸縮演出装置540をスライド動作および揺動動作させることで演出を行うユニットであり、骨格を形成するベース部材510と、そのベース部材510の第1軸部512を中心に回転可能に形成される回転板520と、ベース部材510に締結固定され回転板520の駆動力を発生させる第1駆動装置530と、回転板520の正面に締結固定され回転板520の径方向へ伸縮可能に形成される伸縮演出装置540と、その伸縮演出装置540に一方の端部が連結され反対側の他方の端部がベース部材510に軸支されると共に揺動動作により伸縮演出装置540の伸縮動作を形成する回動アーム部材550と、ベース部材510に締結固定され回動アーム部材550の駆動力を発生させる第2駆動装置560と、その第2駆動装置560の駆動力を回動アーム部材550へ伝達する回転クランク部材570と、ベース部材510の前方から締結固定され回動アーム部材550や回動クランク部材570等の回転軸側の機構部分を目隠しする前カバー580と、を主に備える。
ベース部材510は、矩形板形状の本体部511と、その本体部511の幅方向略中央下部から前方へ向けて突設される円柱状の第1軸部512と、その第1軸部512を中心とした円弧に沿って穿設される3列の円弧状孔513と、その3列の円弧状孔513の内の第2円弧状孔513bに隣接して穿設される第1貫通孔514と、軸部512と本体部511の右端部との略中間位置で本体部511から前方へ向けて突設される円柱状の第2軸部515と、その第2軸部515に隣接して穿設される第2貫通孔516と、本体部511の正面視右下端部から前方へ向けて突設される円柱状の第3軸部517と、本体部511の縁から前方へ折曲形成される折曲壁部518と、を主に備えて構成される。
第1軸部512は、回転板520の軸支孔522に挿通され、回転板520の回転軸となる部分である。そのため、第1軸部512の直径は回転板520の軸支孔522の内径よりも若干小さく形成される。
円弧状孔513は、第1軸部512に近い側から、第1円弧状孔513a、第2円弧状孔513b及び第3円弧状孔513cを備える。
第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cは、回転板520の挿通軸525が挿通され、回転板520の回転を案内する長孔である。これにより、回転板520が回転される際に第1軸部512が受ける負荷を軽減することができ、回転板520の耐久性の向上を図ることができる。なお、図24及び図25には、挿通軸525の先端にカラーが締結された状態が図示されるが、第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cは、カラーと本体部521との間に配置される(カラーの締結前に挿通される)。
第2円弧状孔513bは、回転板520の円弧状ラック526が配置され移動される長孔である。略中央部の上側が開放され、その開放された部分に第1駆動装置530の駆動ギア532が配置される。これにより、本体部511の板厚部分に、第1駆動装置530の駆動モータ531と回転板520の円弧状ラック526との歯合部分を配設することができるので、複合動作ユニット500の厚さ方向の寸法(図22前後方向の寸法)を抑制することができる。
第1貫通孔514及び第2貫通孔516は、それぞれ第1駆動装置530の駆動ギア532及び第2駆動装置560の駆動ギア562が挿通される貫通孔である。
第2軸部515は、正面側に回動クランク部材570の蓋部575が締結固定され、本体部571の回転の中心軸となる円柱状部である。そのため、第2軸部515の直径は回動クランク部材570の本体部571の内周径よりも若干小さな寸法で形成される。
第3軸部517は、回動アーム部材550の軸支孔552に挿通され、回動アーム部材550の回動の中心軸となる部分である。そのため、第3軸部517の直径は、回動アーム部材550の軸支孔552の内径よりも若干小さな寸法で形成される。第3軸部517の周囲には回動アーム部材550を退避位置へ向けて移動させる付勢力を発生させるねじりバネ517aが巻き付けられる。
ねじりバネ517aは、第3軸部517に巻き付けられるコイル部分の両端から腕部がそれぞれ延設される態様で形成される。一方の腕部は、折曲壁部518の正面視右下部(第1ストッパ部518a付近)に固定され、その一方の腕部の反対側の他方の腕部は、回動アーム部材550の係止部555に係止される。
折曲壁部518は、第3軸部517に隣接される第1ストッパ部518aと、第1軸部512の右方に形成される第2ストッパ部518bと、第1軸部512の左方に形成される第3ストッパ部518cと、を主に備える。
第1ストッパ部518aは、回動アーム部材550の回動を規制する部分である。即ち、回動アーム部材550は張出位置(図9参照)まで下降されると第1ストッパ部518aに当接され、下降が停止される。
図24に示すように、第2ストッパ部518bの方が第3ストッパ部518cよりも下方に配設される。回転板520の下面は軸支孔522を基準に左右対称に形成されるので(図37参照)、回転板520は、第2ストッパ部512bへ向かう回転方向の方が大きな回転角度で回転することができる。即ち、後述する伸縮演出装置540は、正面視反時計回りの揺動よりも、正面視時計回りの揺動の最大角度が大きく形成される。
回転板520は、扇形板状の本体部521と、その本体部521の根本部分で厚み方向に円形に穿設される軸支孔522と、その軸支孔522の内径より若干大きな幅で本体部521の前面において直線的に凹設されるレール受け溝523と、そのレール受け溝523の下端部両側において前方へ張り出して形成される一対の伸縮ストッパ524と、本体部521の背面から突設される複数(本実施形態では3本)の挿通軸525と、本体部521の背面から軸支孔522を中心とする円弧状に突設され外周部にギア歯が刻設される円弧状ラック526と、を主に備える。
軸支孔522は、ベース部材510の第1軸部512が挿通される。そのため、回転板520は第1軸部512を中心に揺動される。
レール受け溝523は、伸縮演出装置540のスライドレール545が締結固定される部分であり、伸縮演出装置540はレール受け溝523の延設方向に沿って伸縮動作をする。そのため、回転板520の姿勢により、伸縮演出装置540の移動方向が変化される。
伸縮ストッパ524は、伸縮演出装置540のスライド板544の内側面に上下方向で当接され、スライド板544の移動幅を規制する部分である。レール受け溝523の両側に形成され、その両側においてスライド板544の内側面と当接されることで、スライドレール545が伸縮方向と直交する方向に負荷を受けることを抑制し、耐久性の向上を図ることができる。
挿通軸525は、ベース部材510の第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cに挿通され回転板520の回転を案内する部分であって、直径が第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cの幅寸法よりも若干小さく形成される。また、先端に第1円弧状孔513a及び第3円弧状孔513cの幅寸法よりも大径のカラー部材が締結固定されることで、回転板520がベース部材510に引き抜き不能に連結される。
円弧状ラック526は、ベース部材510の第2円弧状孔513bに挿通され、第1駆動装置530の駆動ギア532と歯合される。円弧状ラック526と第1駆動装置530との歯合部分がベース部材510の厚み部分を含んだ領域で形成されるので、複合動作ユニット500の厚み方向の寸法を抑制することができる。
第1駆動装置530は、ベース部材510に締結固定される駆動モータ531と、ベース部材510の第1貫通孔514に挿通され駆動モータ531により軸回転される駆動ギア532と、を主に備える。
次いで、図26及び図27を参照して伸縮演出装置540について説明する。図26は、伸縮演出装置540の正面分解斜視図であり、図27は、伸縮演出装置540の背面分解斜視図である。
図26及び図27に示すように、伸縮演出装置540は、骨格を成す本体部材541と、その本体部材541の背面に一対が締結固定され本体部材541との間に回動アーム部材550の本体部551が挿通される第1案内部材542及び第2案内部材543と、その第1案内部材542及び第2案内部材543の挿通孔542d,543dの延設方向に沿って軸スライド可能に配設されるスライド板544と、そのスライド板544及び回転板520とを連結し一方の端部がレール受け溝523に内嵌され締結固定されるスライドレール545と、本体部材541の正面側に嵩上げされて締結固定される前板部材546と、その前板部材546の軸支部546cに摺動可能に軸支される連結摺動部材547と、その連結摺動部材547に締結固定されると共に前垂れ部548bが本体部材541の前方で移動可能に形成される装飾部材548と、を主に備える。
本体部材541は、骨格を形成する板状の本体部541aと、その本体部541aの幅方向中央部において背面側へ向けて突設される円柱状の突起部541bと、その突起部541bの背面視左側に上下一対で突設される第1嵩上げ締結部541cと、突起部541bの背面視右側に上下一対で突設される第2嵩上げ締結部541dと、本体部541aの背面視左上部に突設される案内締結部541eと、本体部541aの正面側に複数(本実施形態では3箇所)形成され前板部材546が締結固定される締結孔541fと、を主に備える。
突起部541bは、回動アーム部材550の円弧状孔554に挿通される部分である。そのため、突起部541bの直径は、円弧状孔554の内周面の幅寸法より若干小さく形成される。また、突起部541bが円弧状孔554に挿通されるので、回動アーム部材550を揺動させると、本体部材541を連動させることができる。
第1嵩上げ締結部541cは、第1案内部材542を締結固定する部分であり、第2嵩上げ締結部541dは、第2案内部材543を締結固定する部分である。第1嵩上げ締結部541cよりも第2嵩上げ締結部541dの方が縦方向に離れる距離が長いのは、回動アーム部材550に干渉しない位置を選択して配設されるためである。ここで、本実施形態において、回動アーム部材は、その回動軌跡において、本体部材541の正面視左下方を通過しない(図37、図40及び図44参照)。そのため、一対の第2嵩上げ締結部541dの配設間隔を第1嵩上げ締結部541cに比較して広げることが可能となり、第2嵩上げ締結部541dの剛性を向上させることができる。
案内締結部541eは、第1案内部材542の補助締結部542eが締結固定される部分であり、伸縮演出装置540の伸張状態において、回動アーム部材550の上面が案内される部分である。即ち、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554に案内されていなくとも、回動アーム部材550の上方への回動には案内締結部541eが回動アーム部材550の上面に案内されるので、回動アーム部材550と伸縮演出部材540とが連動して動作される。
締結孔541fは、前板部材546の締結部546bが締結固定される貫通孔である。
第1案内部材542は、第1嵩上げ締結部541cに締結固定される締結板部542aと、その締結板部542aの上面に背面側へ一段乗り上げた位置から上方向へ延設される背面規制部542bと、その背面規制部542bの左右両側から背面へ壁状に突設される案内レール部542cと、背面規制部542bの上端部において背面側へ突設された部分に上下方向へ貫通形成される挿通孔542dと、背面規制部542bから延設され案内締結部541eに締結固定される補助締結部542eと、を主に備える。
背面規制部542bは、回動アーム部材550の背面に配設される部分であって、回動アーム部材550が背面へ移動し円弧状孔554から突起部541bが脱落することを防止する部分である。
案内レール部542cは、伸縮演出装置540が伸縮動作する場合にスライド板544のレール受け部544dの移動を案内し、スライド板544の第1案内部材542に対する姿勢のずれを抑制する部分である。
挿通孔542dは、スライド板544のスライド棒544eが挿通される孔である。挿通孔542dの内径はスライド棒544eの直径より若干大きく形成されるので、スライド板544は第1案内部材542に対してスライド移動可能に形成される。
第2案内部材543は、第2嵩上げ締結部541dに締結固定される締結板部543aと、その締結板部543aの上面に背面側へ一段乗り上げた位置から上方向へ延設される背面規制部543bと、その背面規制部543bの左右両側から背面へ壁状に突設される案内レール部543cと、背面規制部543bの上端部において背面側へ突設された部分に上下方向へ貫通形成される挿通孔543dと、を主に備える。
背面規制部543bは、回動アーム部材550の背面に配設される部分であって、回動アーム部材550が背面へ移動し円弧状孔554から突起部541bが脱落することを防止する部分である。
案内レール部543cは、伸縮演出装置540が伸縮動作する場合にスライド板544のレール受け部544dの移動を案内し、スライド板544の第1案内部材543に対する姿勢のずれを抑制する部分である。
挿通孔543dは、スライド板544のスライド棒544eが挿通される孔である。挿通孔543dの内径はスライド棒544eの直径より若干大きく形成されるので、スライド板544は第1案内部材543に対してスライド移動可能に形成される。
スライド板544は、矩形板状に形成される本体部544aと、その本体部544aの背面において上下方向へ延設される幅広の窪みが形成される凹設部544bと、その凹設部544bの左右両側の正面において上下方向へ延設される窪みが形成される両端凹設部544cと、その両端凹設部544cの上下端部において正面側へ向けて半円状に突設されるレール受け部544dと、両端凹設部544cの内側で上下方向に延設される円柱状のスライド棒544eと、本体部544aの上下方向略中央に正面へ向けて突設される演出補助壁544fと、凹設部544bの上下端において左右両端で背面へ向けて突設されるストッパ部544gと、を主に備える。
凹設部544bは、回転板520の伸縮ストッパ524に対してスライド板544を案内する部分である。そのため、凹設部544bの内側面の幅は、伸縮ストッパ524の幅寸法よりも若干大きく形成される。
両端凹設部544cは、案内部材542,543の挿通孔542d,543dが穿設される突起部を収容する部分である。これにより、案内部材542,543の挿通孔542d,543dが穿設される突起部を外側から案内することができる。
レール受け部544dは、案内部材542,543の案内レール部542c,543cに収容される部分である。これにより、案内部材542,543のスライド板544に対するぐらつきを抑制することができる。
スライド棒544eは、案内部材542,543の挿通孔542d,543dに挿通される円柱状の棒である。これにより、案内部材542,543はスライド棒544eの延設方向(図26上下方向)にスライド移動可能に形成される。
演出補助部544fは、伸縮演出装置540が伸張状態の時に装飾部材548の後ろ垂れ部548cに当接され、装飾部材548を移動させる部分である。これにより、伸縮演出装置540の外観を変化させることができる。
ストッパ部544gは、回転板520の伸縮ストッパ524に当接され、スライド板544の上下移動端を規定する部分である。
スライドレール545は、市販のミニレール部材である。一方の端部が回転板520のレール受け溝523に沿って締結固定され、その一方の端部の反対側の他方の端部がスライド板544の凹設部544bに締結固定される。
前板部材546は、遊技者から視認可能な演出部分であって、本体部材541と正面視において略同形状に形成される板状の本体部546aと、その本体部546aから背面側へ向けて締結孔541fの形成位置に合わせて突設される締結部546bと、本体部546aの上端部から背面側へ向けて突設される一対の軸支部546cと、を主に備える。
締結部546bは、本体部材541に前板部材546を固定する部分であって、締結孔541fを通してネジ止めすることで締結部546bが締結固定される。
軸支部546cは、連結摺動部材547を摺動可能に軸支する部分である。そのため、軸支部546cの直径は連結摺動部材547の摺動長孔547bの内周面の幅よりも若干小さく形成される。
連結摺動部材547は、板状に形成される本体部547aと、上下に延びる長孔状に形成され前後方向に穿設される一対の摺動長孔547bと、上下方向に穿設される一対の挿通孔547cと、を主に備える。
摺動長孔547bは、前板部材546の軸支部546cが挿通される部分である。そのため、摺動長孔547bの内周面の幅は軸支部546cより若干大きく形成される。摺動長孔547bの内周面の幅より外形の大きいカラー部材が軸支部546cの先端部に締結固定されることで、連結摺動部材547は、前板部材546に引き抜き不能に軸支される。挿通孔547cは、装飾部材548を締結固定する締結ネジが挿通される円形孔である。
装飾部材548は、板状に形成され連結摺動部材547が下方から締結固定される本体部548aと、その本体部548aの前側で下方へ垂下して形成される前垂れ部548bと、本体部548aの後ろ側で下方へ垂下して形成される後ろ垂れ部548cと、を主に備える。
前垂れ部548bは、連結摺動部材547が前板部材546に対して移動すると、前板部材546に被さる状態(図43参照)と、前板部材546とは離間して視認される状態(図37参照)とを形成可能である。これにより、伸縮演出部材540の外観を変化させることができ、演出効果を向上させることができる。
後ろ垂れ部548cは、伸縮演出装置540の伸縮動作によりスライド板544の演出補助壁544fに当接される部分であり、後ろ垂れ部548cが演出補助壁544fに当接されることで装飾部材548が前板部材546に対して移動される。
図24及び図25に戻って説明する。回動アーム部材550は、長尺に棒状に形成される本体部551と、その本体部551の一方の端部に前後方向に穿設される軸支孔552と、その軸支孔552に近接して本体部551の背面側に形成される特殊形状の有底長孔である異形長孔553と、一方の端部の反対側の端部である他方の端部の正面側に形成される円弧状の有底長孔である円弧状孔554と、本体部551の軸支孔552付近において背面側へ突設され先端が鉤状に折り曲げられると共にねじりバネ517aの他方の腕部が係止される係止部555と、を主に備える。
軸支孔552は、ベース部材510の第3軸部517が挿通される円形孔である。そのため、軸支孔552の内径は、第3軸部517の直径より若干大きく形成され、それにより回動アーム部材550が第3軸部517を中心に回動可能に形成される。
異形長孔553は、回動クランク部材570の摺動突起部574が挿通される部分である。異形長孔553の形状については後述する。
円弧状孔554は、伸縮演出装置540の突起部541bが挿通される長孔である。そのため、円弧状孔554の幅寸法は突起部541bの直径より若干大きく形成される。また、円弧状孔554の形成する円弧は、伸縮演出装置540が伸張状態で第1軸部512を中心に揺動された場合に突起部541bが形成する円弧と一致する(図37から図39まで参照)。
また、円弧状孔554は、回転アーム部材550の他方の端部の先端部に開放され、先端部において幅が広がる口先部554aを備える。
第2駆動装置560は、回動クランク部材570を回転させる駆動力を発生させる装置であって、ベース部材510に締結固定される駆動モータ561と、ベース部材510の第2貫通孔516に挿通され駆動モータ561により軸回転される駆動ギア562と、を主に備える。
駆動ギア562は、回動クランク部材570の伝達ギア歯572に歯合される。これにより、駆動ギア562が回転されると、それに伴い回動クランク部材570が回転される。
回動クランク部材570は、回動アーム部材550に駆動力を伝達する部材であって、第2軸部515に軸支されるリング状の本体部571と、その本体部571の外周面に刻設される伝達ギア歯572と、その伝達ギア歯572の正面側に被さる態様で形成される規制傘部573と、本体部571の中心とは偏心した位置で正面側に突設される摺動突起部574と、本体部571の内周径よりも大きな直径で形成され第2軸部515の正面側に締結固定される蓋部575と、を主に備える。
伝達ギア歯572は、第2駆動装置560の駆動ギア562と歯合される。これにより、駆動モータ561の駆動力が回動クランク部材570に伝達される。
規制傘部573は、駆動ギア532が伝達ギア歯572の正面側に位置ずれすることを抑制する。これにより、駆動ギア532と伝達ギア歯572との歯合関係を適正化することができる。
摺動突起部574は、回動アーム部材550の異形長孔553に挿通される部分である。即ち、摺動突起部574と回動アーム部材550の形状との関係により、駆動力の伝達が形成されるか否かが決定される。
蓋部575は、本体部571をベース部材510に引き抜き不能に配設するための部分である。
図28から図31を参照して、回動アーム部材550の揺動と回動クランク部材570の回転との関係について説明する。まず、図28(a)及び図29(a)を参照して、回動アーム部材550の異形長孔553の形状について説明する。
図28(a)及び図29(a)は、回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図28(a)では、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態が図示され、図29(a)では、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態が図示され、図28(a)及び図29(a)において、異形長孔553と摺動突起部574とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
図28(a)に示すように、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態において、回動クランク部材570の回転軸および摺動突起部574を結ぶ直線と、回動クランク部材570の回転軸および軸支孔552を結ぶ直線と、が直交される上向き直交状態が形成される。
図29(a)に示すように、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態において、回動クランク部材570の回転軸および摺動突起部574を結ぶ直線と、回動クランク部材570の回転軸および軸支孔552を結ぶ直線と、が直交される下向き直交状態を形成可能とされる。なお、図29(a)では、上述した下向き直交状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに所定角度回転された状態が図示される。
異形長孔553は、摺動突起部574が移動することで駆動力が回動アーム部材550に伝達される伝達溝部553aと、その伝達溝部553aの上端部から連結される第1非伝達壁部553bと伝達溝部553aの下端部から連結される第2非伝達壁部553cと、それら第1非伝達壁部553bと第2非伝達壁部553cとを連結する選択壁部553dと、を主に備える。
伝達溝部553aは、図28(a)に示すように、上向き直交状態において回動クランク部材570の摺動突起部574を起点として、左方に直線的に延設される凹設溝である。伝達溝部553aは、回転クランク部材570の摺動突起部574が上向き直交状態から下向き直交状態へ移動可能な長さで形成され、その内周面の形成幅は摺動突起部574の直径より若干大きく形成される。そのため、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動する間、回動クランク部材570から駆動力が回動アーム部材550へ伝達される。
第1非伝達壁部553bは、図28(a)に示すように、上向き直交状態において、伝達溝部553aの右端部の上側壁面から、回動クランク部材570の回転軸を中心とした摺動突起部574の外接円に沿って形成される壁部である。即ち、上向き直交状態から回転クランク部材570が正面視時計回りに回転される場合、回動クランク部材570が回動アーム部材550に対して空回りし、回動クランク部材570から駆動力は回動アーム部材550へ伝達されない。
なお、回動アーム部材550が退避位置に配置された状態(図28(a)参照)から回動アーム部材550が正面視反時計回りに回転されるとき、第1非伝達壁部553bの移動方向は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bと対向配置される場合、回動アーム部材550が回転されることで摺動突起部574へ与えられる負荷は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bに対向配置される場合、回動アーム部材550の回転が防止される。
第2非伝達壁部553cは、図29(a)に示すように、回動アーム部材550が張出位置に配置された状態において、伝達溝部553aの右端部の下側壁面から、回動クランク部材570の回転軸を中心とした摺動突起部574の外接円に沿って形成される壁部である。即ち、下向き直交状態(図29(a)の状態から回動クランク部材570が正面視時計回りに所定量回転された状態)から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される場合、回動クランク部材570が回動アーム部材550に対して空回りし、回動クランク部材570から駆動力は回動アーム部材550へ伝達されない。
なお、図29(a)に図示される状態から回動アーム部材550が正面視時計回りに回転されるとき、第2非伝達壁部553bの移動方向は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cと対向配置される場合(図29(b)参照)、回動アーム部材550が回転されることで摺動突起部574へ与えられる負荷は回動クランク部材570の回転軸へ向けられる。そのため、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに対向配置される場合、回動アーム部材550の回転が防止される。
選択壁部553dは、第1非伝達壁部553bの正面視右端部と、第2非伝達壁部553cの正面視右端部とを結ぶ滑らかな曲面から形成される壁部であり、第1非伝達壁部553bを延長させた曲線よりも上側に形成される。
選択壁部553dは、第2非伝達壁部553cの右側部分と対向配置され、選択壁部553dの左端部へ向かうほど第2非伝達壁部553cとの距離が離される態様で形成される。そのため、例えば上向き直交状態(図28(a)参照)から、回動クランク部材570を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bを越え第2非伝達壁部553cに到達するまでの間の余裕部D(図32(b)参照)では、回動アーム部材550には駆動力が伝達されず、かつ回転の規制も生じない。即ち、回動クランク部材570から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず、かつ摺動突起部574による回動アーム部材550の回転の規制も生じない。
第2非伝達壁部553cの右端部は、軸支孔552を中心とした円弧S1に沿って形成される(円弧S1との形成角度が小さい)一方で、選択壁部553dの右端部は、第2非伝達壁部553cの右端部と円弧S1との形成角度よりも大きな角度で軸支孔552を中心とした円弧S2と交差する態様で形成される。
この場合、摺動突起部574と軸支孔552との距離が変化する場合に、その変化量に対応するため必要となる回動アーム部材550の揺動量が変化する。即ち、摺動突起部574と選択壁部553dの右端部が当接した状態で摺動突起部574と軸支孔552との間隔が所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量は、摺動突起部574と第2非伝達壁部553cの右端部が当接した状態で所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量に比較して小さくなる。従って、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに沿って回転するか、選択壁部553dに沿って回転するかで、回動クランク部材570の速度に対する回動アーム部材550の揺動速度を変化させることができる。
図28から図31に戻って説明する。図28から図31は、回動アーム部材550の揺動および回動クランク部材570の回転を時系列で図示した回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図28(a)では、上述した上向き直交状態が形成され(回動アーム部材550が退避位置に配置され)、図28から図31では、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される状態が順に図示され、異形長孔553と回動クランク部材570の一部とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
なお、図28から図31までにおいて、伸縮演出装置540は上下方向に伸縮する姿勢を位置検出センサ(図示せず)で検出され、その姿勢で揺動を停止される。即ち、図28から図31までにおいて、突起部541bは上下方向にのみ移動する。この場合、伸縮演出装置540の揺動は第1駆動装置530(図25参照)の駆動ギア532との間の抵抗により防止される。
図28(a)の状態では、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる。この場合において、突起部541bから鉛直下方に距離h1だけ下がった位置に基準水平線Oを設定する。即ち、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる場合、突起部541bは基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
図28(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T1だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の伝達溝部553aを移動され、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2<h1)だけ離間した位置に配置される状態(図28(b)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
図28(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T2(T2≒180度>T1)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の伝達溝部553aを移動され(伝達領域)、第2非伝達壁部553cに対面する領域に侵入し、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h3(h3<h2)だけ離間した位置に配置される状態(図29(a)参照)の状態に到達する。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
図28(c)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T3(T3>T2)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図29(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
なお、図29(a)及び図29(b)の状態から回動アーム部材550を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制され、それにより、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図29(a)及び図29(b)の状態からの正面視時計回りの回転を防止される。
ここで、回動アーム部材550の回転を図29(a)の状態で停止させる方法としては、回動クランク部材570を停止させることが考えられる。しかし、回動アーム部材550の演出速度を張出位置へ到達する直前まで高速とし回動クランク部材570を急停止させると第2駆動装置560に負荷がかかり、回動クランク部材570の速度低下を緩やかにすると演出効果を向上させることができなくなる。
一方、本実施形態では、図28及び図29に示すように、回動クランク部材570を図29(a)の状態で停止させず図29(b)の状態まで回転させることで、回動アーム部材550の回転を図29(a)の状態で停止させることができる(突起部541を基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に停止させることができる)。これにより、回動アーム部材550を張出位置に到達させるまで回動クランク部材570の速度を維持し、その後、図29(a)の状態から図29(b)の状態までに回動クランク部材570を減速させることができる。そのため、回動クランク部材570を急停止させる必要がない。従って、回動アーム部材550の演出効果の向上と、第2駆動装置560の耐久性の向上との両立を図ることができる。
図29(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T4(T4≒270度>T3)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図30(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
即ち、回動クランク部材570が図29(a)に示す状態から、反時計回りに1/4周回転される間、回動アーム部材550が同じ姿勢に維持され、突起部541bが同じ位置に維持される。なお、回動アーム部材550が同じ姿勢に維持され、突起部541bが同じ位置に維持される長さは本実施形態では回動クランク部材570が1/4周回転される間とされたが、それに限定される必要はない。前板部材546が下方位置に配置され続ける長さは、異形長孔553の第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)の長さを変えることで変化させることができる。例えば、第2非伝達壁部553cを本実施形態より長くすることで、前板部材546が下方位置に配置され続ける長さを本実施形態より長くすることができる。
図30(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T5(T5>T4)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の選択壁部553dを押し上げ、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2>h3)だけ離間した位置に配置される状態(図30(b)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
即ち、回動アーム部材550及び回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される場合には、選択壁部553dと摺動突起部574とが当接されることで、回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
図30(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される(上向き直交状態(図28(a)参照)から反時計回りに角度T6(T6>T5)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域に侵入し、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h1(h1>h2)だけ離間した位置に配置される状態(図31参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
図31の状態から、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域を移動され、図28(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されない(非伝達領域)。
なお、図31の状態から回動アーム部材550を正面視反時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制され、それにより、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図31の状態からの正面視反時計回りの回転を防止される。
ここで、回動アーム部材550の回転を図31の状態で停止させる方法としては、回動クランク部材570を停止させることが考えられる。しかし、回動アーム部材550の演出速度を退避位置へ到達する直前まで高速とし回動クランク部材570を急停止させると第2駆動装置560に負荷がかかり、回動クランク部材570の速度低下を緩やかにすると演出効果を向上させることができなくなる。
一方、本実施形態では、回動クランク部材570を図31の状態で停止させず図28(a)の状態まで回転させることで、回動アーム部材550の回転を図31の状態で停止させることができる。これにより、回動アーム部材550を張出位置に到達させるまで回動クランク部材570の速度を維持し、その後、図31の状態から図28(a)の状態までに回動クランク部材570を減速させることができる。そのため、回動クランク部材570を急停止させる必要がない。従って、回動アーム部材550に連動される伸縮演出装置540の演出効果の向上と、第2駆動装置560の耐久性の向上との両立を図ることができる。
図28から図31に示すように、回動クランク部材570を同じ方向へ1回転させることで、回動アーム部材550を退避位置から張出位置の間を往復で揺動させることができる。
これらのことから、図28から図31に示すように回動クランク部材570を反時計回りに等速で回転させる場合、回動クランク部材570の回転周期の半分の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動される。それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に維持され、それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動される。これにより、回動クランク部材570が等速で移動される場合であっても突起部541bの移動速度(伸縮演出装置540の伸縮方向への移動速度)を2倍に変化させることができる。
ここで、回動アーム部材550の退避位置において、回動アーム部材550及び回動クランク部材570は上向き直交状態を形成可能とされ(図28(a)参照)、回動アーム部材550の張出位置において、回動アーム部材550及び回動クランク部材570は下向き直交状態を形成可能とされる(図29(a)参照)。なお、図29(a)の状態から、回動クランク部材570を正面視時計回りに所定量回転させることで下向き直交状態を形成可能である。
そのため、本実施形態において、回動アーム部材550を退避位置から張出位置に揺動させるために、回動クランク部材570が半周(180度)回転される。そのため、回動クランク部材570が等速で回転される場合、回動アーム部材550が退避位置から張出位置まで揺動されるのに要する時間(図28(a)から図29(a)まで参照)と、張出位置から退避位置まで揺動されるのに要する時間(図29(a)から図31を経て図28(a)まで参照)とを同等にすることができる。
図32から図35を参照して、回動アーム部材550の揺動と回動クランク部材570の回転との関係について説明する。図32から図35は、回動アーム部材550の揺動および回動クランク部材570の回転を時系列で図示した回動アーム部材550及び回動クランク部材570の正面図である。なお、図32から図35では、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される状態が図示され、異形長孔553と回動クランク部材570の一部とが隠れ線で図示されると共に伸縮演出装置540の前板部材546及び突起部541bが想像線で図示される。
なお、図32(a)では、上述した上向き直交状態が形成され(回動アーム部材550が退避位置に配置され)、図32(b)から図35では、図32(a)から回動アーム部材550及び回動クランク部材570が所定量回転された状態が時系列に沿って順に図示される。
図32(a)の状態では、回動クランク部材570が上向き直交状態とされる。この場合において、突起部541bは基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
図32(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T11だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第1非伝達壁部553bに対面する領域を移動され、図32(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h1だけ離間した位置に維持される。
なお、図32(b)の状態から回動アーム部材550を正面視反時計回りに回転させる場合、摺動突起部574は移動を規制されるので、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図32(b)の状態からの正面視反時計回りの回転を防止される。
図32(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T12(T12>T11)だけ回転される)と、図33(a)に示すように、摺動突起部574が異形長孔553の内周面と若干離間され、回動アーム部材550は重力の作用により下方へ揺動される。この場合、図32(b)の状態から摺動突起部574が第1非伝達壁部553bを越え第2非伝達壁部553cに到達するまでの間の余裕部Dでは、回動アーム部材550には駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h4(h4<h1)だけ離間した位置に配置される。
図33(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T13(T13>T12)だけ回転される)と、図33(b)に示すように、重力の作用で下方へ揺動する回動アーム部材550の異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動突起部574が当接される。即ち、図33(b)の状態から、図34(a)の状態までは、回動アーム部材550に駆動力が伝達される(伝達領域)。図33(b)の状態では、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h5(h5<h4)だけ離間した位置に配置される。
図33(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T14(T14≒90度>T13)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cの右端部に収容され、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に配置される状態(図34(a)参照)に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が当接され、回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。
ここで、図32(b)から図34(a)までに示される回動クランク部材570の回転と、図30(a)から図31までに示される回動クランク部材570の回転とは、回動クランク部材570の回転方向が異なるが、回動クランク部材570の回転領域(位相)は同じである。
この場合に、図32(b)から図34(a)までに示される回動クランク部材570の回転では、回動クランク部材570の摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が当接されない間は回動アーム部材550に駆動力が伝達されず(非伝達領域)、一方で、図30(a)から図31までに示される回動クランク部材570の回転では、常時、回動アーム部材550に駆動力が伝達される(伝達領域)。
従って、回動クランク部材570の回転方向により、回動アーム部材550への駆動力の伝達の態様を変化させることができる。これにより、回動クランク部材570の回転方向を反転させることで、回動アーム部材550の演出態様を2通り形成することができる。
即ち、本実施形態では、回動クランク部材570の摺動突起部574が図32(a)と図34(a)との間を回転する場合に、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転されると、回動アーム部材550は、摺動突起部574が異形長孔553の内周面と当接するまでは、重力加速度に依存した自由落下で揺動される(非伝達領域)。一方で、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転されると、回動アーム部材550は回転クランク部材570の回転速度に依存した速度で揺動される(伝達領域)。
これにより、回動クランク部材570の回転速度が等速とされる場合でも、回動クランク部材570の回転方向を反転させることで、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の回動アーム部材550の揺動速度のバリエーションを増やすことができる。
また、回動アーム部材550の揺動速度のバリエーションの増加は、異形長孔553の形状(余裕部Dの形成)により達成されるので、回動アーム部材550への駆動力の伝達の態様を変化させるための切換スイッチなど他の部材を不要とでき、部材コストを低減することができる。
本実施形態では、余裕部Dが回動アーム部材550の軸支孔552側に形成される。そのため、余裕部Dが回動クランク部材570の回転軸に対して軸支孔552の反対側に形成される場合に比較して、摺動突起部574が余裕部Dを所定距離通過する間に突起部541bが下方へ移動する距離を長くすることができる。そのため、回動クランク部材570の余裕部Dの形成範囲を抑制しつつ、回動クランク部材570の回転方向を異ならせた場合の回動アーム部材550の動作の変化を顕著にすることができる。
図34(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T15(T15>T14)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図34(b)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
なお、図34(b)の状態から回動アーム部材550を正面視時計回りに回転させる場合、摺動突起部574が回動クランク部材570の回転軸へ向けて第2非伝達壁部553cにより押される。この場合、摺動突起部574は移動を規制されるので、回動アーム部材550の揺動が規制される。そのため、回動アーム部材550は、図34(b)の状態からの正面視時計回りの回転を防止される。
図34(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T16(T16≒180度>T15)だけ回転される)と、摺動突起部574が異形長孔553の第2非伝達壁部553cに摺動され、図35(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置されないので、摺動突起部574は回動アーム部材550に対して空転され、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達されず(非伝達領域)、突起部541は基準水平線Oから鉛直上方へ距離h3だけ離間した位置に維持される。
図35(a)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される(上向き直交状態(図32(a)参照)から時計回りに角度T17(T17>T16)だけ回転される)と、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動され(伝達領域)、突起部541が基準水平線Oから鉛直上方に距離h2(h2>h3)だけ離間した位置に配置される状態(図35(b)参照)に到達する。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
ここで、回動クランク部材570の回転と回動アーム部材550の揺動とが常時連動する場合、回動クランク部材570と回動アーム部材550との始動のタイミングをずらすことが困難であった。そのため、回動クランク部材570と回動アーム部材550とを始動させる際には、各部材の慣性に打ち勝つ力の剛性分の大きな力を発生させることが必要となる。そのため、駆動力の大きな駆動装置が必要となり、駆動装置が大型化する恐れがあった。
一方、本実施形態では、回動クランク部材570と回動アーム部材550との始動のタイミングをずらすことができる。即ち、例えば、図34(b)の状態から図35(a)の状態までは回動クランク部材570のみを回転させ、図35(a)の状態から図35(b)の状態に到達するまでに回動クランク部材570に連動させることで回動アーム部材550を始動させることができる。
これにより、回動アーム部材550の始動には回動クランク部材570の勢いを利用することができるので、第2駆動装置560に必要な駆動力を抑制することができる。従って、第2駆動装置560を小型化することができる。
図35(b)の状態から、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転されると、摺動突起部574が伝達溝部553aを移動され、図32(a)の状態に到達する。この間、摺動突起部574の移動方向に異形長孔553の内周面が配置され互いに当接されるので、摺動突起部574から回動アーム部材550へ駆動力が伝達される(伝達領域)。即ち、回動アーム部材550が揺動される。
これらのことから、図32から図35に示すように回動クランク部材570を時計回りに等速で回転させる場合、回動クランク部材570の回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動される。それに続く回転周期の1/4の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置に維持され、それに続く回転周期の半分の期間で突起部541bが基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動される。これにより、回動クランク部材570が等速で移動される場合であっても突起部541bの移動速度(伸縮演出装置540の伸縮方向への移動速度)を2倍に変化させることができる。
また、回動アーム部材550の移動速度は、下降移動する場合は部分的に重力加速度で増速され、その一方で、上昇移動する場合は常時回動クランク部材570の回転速度に沿った速度とされる。これにより、突起部541b(伸縮演出装置540)の速度変化の態様を突起部541b(伸縮演出装置540)の移動の向きにより変化させることができる。
図36を参照して、回動クランク部材570が時計回り又は反時計回りに回転される場合の突起部541b(伸縮演出装置540)の基準水平線Oからの距離の変化について説明する。
図36は、突起部541b(図28(a)参照)の基準水平線Oからの距離を表すグラフである。図36に示すグラフは、横軸に、回動クランク部材570の上側直交状態(図28(a)参照)を左端として、そこから右方へ増大する態様で揺動角度が示され、縦軸に、突起部541bの基準水平線Oからの距離が示される。
図36では、回動クランク部材570が反時計周りに回転される場合の突起部541bの基準水平線Oからの距離が曲線CC1で示され、回動クランク部材570が時計周りに回転される場合の突起部541bの基準水平線Oからの距離が曲線CW1で示される。なお、曲線CC1,CW1は、それぞれ図28から図35までの突起部541bの状態と対応しており、各曲線の、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の比較のために、曲線CC1を左右反転させた曲線が曲線CC2として想像線で図示される。曲線CC1,CW1の比較により、上述したように、回動クランク部材570の回転方向が反転することで、回動アーム部材550により上下移動される突起部541bの上昇速度および下降速度を変化させることができる。
なお、曲線CW1の比較対象として、回動クランク部材570が時計回りに回転する場合に摺動突起部574が第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)に当接するまでは回動アーム部材550(図28(a)参照)が退避位置に配置される場合を曲線CW2として破線で図示する。なお、これは、ねじりバネ517a(図23参照)が回動アーム部材550を上向きに揺動させる付勢力が大きく設定される場合に対応する。この場合、回動アーム部材550が退避位置に配置される期間をより長くすることができる。
曲線CC1,CW1において、突起部541b(図28(a)参照)の水平基準線Oからの距離が変化されずに維持される角度範囲N1において、回動クランク部材570と回動アーム部材550(図28(a)参照)との間で駆動力が伝達されない非伝達領域が形成される。なお、この角度範囲N1の幅は、第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)の形成幅により調整することができる。
また、曲線CW1において、回動クランク部材570(図28(a)参照)の摺動突起部574が回動アーム部材550の異形長孔553(図28(a)参照)に当接するまでの角度範囲N2では、回動クランク部材570と回動アーム部材550との間で駆動力が伝達されない非伝達領域が形成される。なお、この角度範囲N2の幅は、第1非伝達壁部553b(図28(a)参照)の形成幅により調整することができる。
図36に示すように、回動クランク部材570(図28(a)参照)が同一位相に配置される場合である角度T11から角度T14までと、角度T4から角度T6までとの間において、曲線CW1と曲線CC1との形状が異なっている(曲線CW1と曲線CC1を左右反転させた曲線CC2とが重ならない)。
即ち、角度T4から角度T6までの間を回動クランク部材570(図28(a)参照)が回動アーム部材550(図28(a)参照)を持ち上げる態様で回転する場合の方が、角度11から角度T14までの間を回動クランク部材570が回動アーム部材550を押し下げる態様で回転する場合に比較して緩やかな曲線となる。
これは、曲線CW1では摺動突起部574(図28(a)参照)が異形長孔553の第2非伝達壁部553c(図28(a)参照)に当接して回動アーム部材550(図28(a)参照)が回転され、曲線CC1では、摺動突起部574が異形長孔553の選択壁部553d(図28(a)参照)に当接して回動アーム部材550が回転されることによる。
図28(a)に戻って説明する。上述したように、異形長孔553において、第2非伝達壁部553cの右端部は、軸支孔552を中心とした円弧S1に沿って形成される(円弧S1との形成角度が小さい)一方で、選択壁部553dの右端部は、第2非伝達壁部553cの右端部と円弧S1との形成角度よりも大きな角度で軸支孔552を中心とした円弧S2と交差する態様で形成される。
この場合、摺動突起部574と軸支孔552との距離が変化する場合に、その変化量に対応するため必要となる回動アーム部材550の揺動量が変化する。即ち、摺動突起部574と選択壁部553dの右端部が当接した状態で摺動突起部574と軸支孔552との間隔が所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量は、摺動突起部574と第2非伝達壁部553cの右端部が当接した状態で所定量変化する場合の回動アーム部材550の揺動量に比較して小さくなる。
従って、図36に示すように、回動クランク部材570を等速で回転させる場合であっても、回動クランク部材570の回転方向によって、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の突起部541bの移動速度を変化させることができる。
図28から図35では、回動クランク部材570が一方向に回転される場合を説明したが、回動クランク部材570の回転方向を途中で反転させることも可能である。回動クランク部材570の回転方向を反転させるタイミングとしては、摺動突起部574が第1非伝達壁部553bに対向配置される状態(例えば図28(a)、図31、図32(a)及び図32(b)参照、回動アーム部材550は退避位置に配置される)や、摺動突起部574が第2非伝達壁部553cに対向配置される状態(例えば図29(a)、図29(b)、図34(b)及び図35(a)参照、回動アーム部材550は張出位置に配置される)が好ましい。
この場合、回動クランク部材570の回転方向に回動アーム部材550が当接されないので、回動クランク部材570の回転方向反転時に回動アーム部材550から回動クランク部材570に負荷される抵抗を抑制することができる。また、本実施形態では、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態と、張出位置に配置される状態とを検出する位置検出センサ(図示せず)が配設されるので、回動アーム部材550が退避位置または張出位置に配置された状態で回動クランク部材570の回転方向を反転する制御を容易とすることができる。
回転クランク部材570の回転方向を反転させることで、伸縮演出装置540の上下方向への往復動作のバリエーションを増やすことができる。
例えば、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態(図28(a)参照)から、回動クランク部材570が反時計回りに半周回転され(図29(a)参照)、次いで、回動クランク部材570の回転の向きが反転され、時計回りに半周回転されることで、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合が例示される(図28(a)参照)。即ち、摺動突起部574が軸支孔552の反対側を移動される場合である。
この場合、伸縮演出装置540の突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の半分の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動する。この場合、突起部541bは、横軸が0度から180度までの曲線CC1(図36参照)にそって下降移動する。次いで、突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の半分の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動する。この場合、突起部541bは、横軸が180度から360度までの曲線CW1(図36参照)にそって上昇移動する。
これにより、回動クランク部材570が等速で回転する場合、伸縮演出装置540の突起部541bが所定距離(h1-h3)だけ下降移動する期間と、所定距離(h1-h3)だけ上昇移動される期間とを同じにすることができる。
また、例えば、回動アーム部材550が退避位置に配置される状態(図32(a)参照)から、回動クランク部材570が時計回りに1/4周回転され(図34(a)参照)、次いで、回動クランク部材570の回転の向きが反転され、反時計回りに1/4周回転されることで、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合が例示される(図32(a)参照)。即ち、摺動突起部574が軸支孔552に近接される側を移動する場合である。
この場合、伸縮演出装置540の突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の1/4の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h1だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h3(h3<h1)だけ離間した位置まで下降移動する。この場合、突起部541bは、横軸が0度から90度までの曲線CW1(図36参照)にそって下降移動する。次いで、突起部541bは、回転クランク部材570の回転周期の1/4の期間で基準水平線Oから鉛直上方に距離h3だけ離間した位置から、基準水平線Oから距離h1(h1>h3)だけ離間した位置まで上昇移動する。この場合、突起部541bは、横軸が270度から360度までの曲線CC1(図36参照)にそって上昇移動する。
これにより、回動クランク部材570が等速で回転される場合、伸縮演出装置540の突起部541bが所定距離(h1-h3)だけ下降移動される期間と、所定距離(h1-h3)だけ上昇移動される期間とを同じにすることができると共に、その所定期間を摺動突起部574が軸支孔552の反対側を移動される場合に比較して短くすることができる。
また、伸縮演出装置540の突起部541bが下降移動する場合は部分的に(角度T11から角度T13まで)自由落下とすることができ、その一方で、伸縮演出装置540の突起部541bが上昇移動する場合は常時回動クランク部材570の回転速度に沿った速度で移動される。そのため、回動クランク部材570の回転速度が同じ場合でも、伸縮演出装置540の突起部541bの移動方向によって、回動クランク部材570が同一位相に配置される場合の伸縮演出装置540の移動態様(速度変化の度合い)を変化させることができる。換言すれば、図36の角度T11から角度T13までの範囲における曲線CW1と曲線CC2とを異ならせることができる。
次いで、伸縮演出装置540の伸縮状態の違いによる揺動角度の違いについて説明する。まず、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合の揺動角度について説明する。
図37から図39は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図37から図39では、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合(回動アーム部材550が張出位置に配置される場合)が図示される。また、図37では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図38では、図37の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図39では、図37の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。なお、図37から図39に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図29(a)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図37から図39において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h3だけ離間した位置に配置される。
図37から図39に図示されるように、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡は、第1軸部512を中心とした円弧状に形成され、回動アーム部材550の円弧状孔554の延設方向に沿う。換言すれば、突起部541bの揺動軌跡に沿って円弧状孔554が延設される。そのため、突起部541bの揺動方向に対面して円弧状孔554の内側面が配置されることはなく、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働くことは無い。従って、突起部541bの揺動角度は、回転板520の揺動の規制の仕方に依存する。即ち、回転板520が第3ストッパ部518cに当接されるまで揺動可能であり、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ1まで揺動可能とされ、回転板520が第2ストッパ部518bに当接されるまで揺動可能であり、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ2まで揺動可能とされる。
ここで、図39に示すように、突起部541bが正面視左側に揺動角度θ2で揺動されると、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554から離間する。この場合、伸縮演出装置540は回動アーム部材550から独立して伸縮方向へ移動され、突起部541bが円弧状孔554へ復帰できなくなり、動作不良をおこす恐れがある。
これに対し、本実施形態では、突起部541bが回動アーム部材550の円弧状孔554から離間した状態でも、伸縮演出装置540の第1嵩上げ締結部541c及び案内締結部541eが回動アーム部材550と係合可能に配設されることで、突起部541bと円弧状孔554との位置合わせを行うことができる。即ち、伸縮演出装置540が回動アーム部材550と独立して伸縮方向へ移動されることを防止することができる。
これにより、突起部541bが円弧状孔554へ復帰できなくなる不良を解消しながら、回動アーム部材550の長さを短くすることができる。これにより、回動アーム部材550の配設領域を抑制し、その分、他の可動部材の配設領域を確保することができる。また、回動アーム部材550の材料コストを削減することができる。
また、突起部541bが円弧状孔554から離間した状態(図39参照)で回動アーム部材550が揺動すると、突起部541bと円弧状孔554との位置関係がずれ、突起部541bが円弧状孔554へ復帰することが困難となり、動作不良を起こす恐れがある。これに対し、本実施形態では、摺動突起部574が異形長孔553に当接することで、回動アーム部材550の揺動が防止される(図39参照)。
それに加えて、摺動突起部574の回転軸から遠い側の点(回転軸から最も遠い点)の移動軌跡が、摺動突起部574と当接される異形長孔553の側面に沿って形成される(図39参照)ので、回動アーム部材550の姿勢を維持したまま、回動クランク部材570を図39の状態から反時計回りに回転させることができる。
ここで、例えば、図28から図31までに示すように、回動クランク部材570が反時計回りに回転する場合において、回動アーム部材550が張出位置に配置された直後(図29(a)参照)に突起部541bが円弧状孔554から離間され、次いで、回動クランク部材570が図30(a)に示す状態に配置されるまでに突起部541bが円弧状孔554に復帰する場合を考える。突起部541bが円弧状孔554に復帰した後であれば、回動クランク部材570が更に回転され、図30(b)に示す状態まで回動アーム部材550が揺動しても、突起部541bが円弧状孔554に復帰できなくなるという動作不良が起きることはない。
この場合、回動アーム部材550と伸縮演出装置540とをそれぞれ揺動動作させる場合に、突起部541bと円弧状孔554との位置関係に合わせて回動クランク部材570を停止制御または始動制御する必要は無く、回動クランク部材570の回転を継続できる。換言すれば、制御する必要があるのは伸縮演出装置540の揺動のタイミングのみで、回動クランク部材570は制御の必要はなく、回転を継続させたままとしておけば良い。そのため、伸縮演出装置540と回動アーム部材550とを異なったタイミングでそれぞれ揺動させる複雑な動作の制御負担を抑制することができる。
なお、本実施形態では、円弧状孔554の開口端部(図39左端部)へ向かうほど、円弧状孔554の幅を広げられる口先部554aが形成される。これにより、突起部541bが円弧状孔554へ復帰する場合の位置ずれ(伸縮演出装置540の伸縮方向の位置ずれ)を大きく許容することができ、第1嵩上げ締結部541c及び案内締結部541eの回動アーム部材550とのクリアランスを大きく確保することができる。
次いで、伸縮演出装置540が伸張状態と縮小状態との間の状態である中間状態を形成する場合の揺動角度について説明する。伸縮演出装置540が伸張状態とされる状態(図37参照)から、回動アーム部材550を時計回りに揺動させることで、突起部541bが円弧状孔554に対応して移動し、伸縮演出装置540が中間状態を形成する。
図40から図42は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図40から図42では、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合(回動アーム部材550が張出位置と退避位置との中間に配置される場合)が図示される。この場合、突起部541bの揺動軌跡が形成する半径は、伸縮演出装置540が伸張状態を形成する場合(図37から図39参照)より短い。即ち、突起部541bの揺動軌跡が伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により変化される。
また、図40では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図41では、図40の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図42では、図40の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。
なお、図40から図42に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図28(b)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図40から図42において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h2だけ離間した位置に配置される。
このとき、前板部材546は、回動アーム部材550が揺動することで円弧状孔554が上方に移動するのに連動して従動する。そのため、円弧状孔554には、後述するように突起部541bの揺動角度を変化させる機能と、回動アーム部材550及び前板部材546を連動させる機能とを合わせ持つ。これにより、機能の集約化を図ることができる。
図40から図42に図示されるように、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡と、回動アーム部材550の円弧状孔554の形状とは、曲率半径の中心軸は共に上側で一致するものの、曲率半径や姿勢が互いに異なる。突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554とは、形成角度α1(図42参照)で交差するので、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働く(図42参照)。
図41に示すように、回転板520が正面視反時計回りに回転される場合、突起部541bは円弧状孔554とは当接されない。即ち、回転板520が第3ストッパ部518cに当接されるまで揺動可能とされるので、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ3まで揺動可能とされる(角度θ3=角度θ1)。
図42に示すように、回転板520が正面視時計回りに回転される場合、突起部541bは円弧状孔554の第1ストッパ面554bで当接される。この状態において、案内締結部541eが回動アーム部材550の上側面に当接され、伸縮演出装置540の伸縮方向への状態変化が防止されるので、図42の状態において伸縮演出装置540の揺動が停止される。
即ち、回転板520は第3ストッパ部518cに当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ4まで揺動可能とされる(角度θ4<角度θ2)。従って、伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により、突起部541bの揺動角度を変化させることができる。これにより、伸縮演出装置540の伸縮状態を異ならせることで、伸縮演出装置540の揺動角度のバリエーションを増やすことができる。なお、図42の状態において、案内締結部541eが回動アーム部材550の本体部551に当接される。
次いで、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合の揺動角度について説明する。伸縮演出装置540が中間状態とされる状態(図40参照)から、回動アーム部材550を時計回りに揺動させることで、突起部541bが円弧状孔554に対応して移動し、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する。
図43から図45は、複合動作ユニット500の正面図である。なお、図43から図45では、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合(回動アーム部材550が退避位置に配置される場合)が図示される。この場合、突起部541bの揺動軌跡が形成する半径は、伸縮演出装置540が中間状態を形成する場合(図40から図42参照)より短い。即ち、突起部541bの揺動軌跡が伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により変化される。
また、図43では、ベース部材510の第1軸部512の鉛直線上に伸縮演出装置540の突起部541bが配置される状態が図示され、図44では、図43の状態から突起部541が正面視反時計回りに移動される状態が図示され、図45では、図43の状態から突起部541が正面視時計回りに移動される状態が図示される。なお、図43から図45に図示される回動アーム部材550の姿勢は、図28(a)に図示される回動アーム部材550の姿勢と同じである。そのため、図43から図45において、前板部材546は、基準水平線Oから上方に距離h1だけ離間した位置に配置される。
このとき、前板部材546は、回動アーム部材550が揺動することで円弧状孔554が上方に移動するのに連動して従動する。そのため、円弧状孔554には、突起部541bの揺動角度を変化させる機能と、回動アーム部材550及び前板部材546を連動させる機能とを合わせ持つ。これにより、機能の集約化を図ることができる。
図43から図45に図示されるように、伸縮演出装置540が縮小状態を形成する場合の突起部541bの揺動軌跡と、回動アーム部材550の円弧状孔554の形状とが互いに異なり、曲率半径の中心軸は反転する。即ち、突起部541bの揺動軌跡の曲率半径の中心軸は突起部541bの下方にあり、円弧状孔554の曲率半径の中心軸は円弧状孔554の上方に配置される。この場合、突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554とが、形成角度α2(角度α2>角度α1)で交差し、円弧状孔554が突起部541bの揺動を停止させるストッパとして働く(図44及び図45参照)。
図44に示すように、回転板520が正面視反時計回りに回転される場合、突起部541bが円弧状孔554の第2ストッパ面554cで当接される。この場合、回転板520は第3ストッパ部518c(図41参照)に当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視反時計回りに揺動角度θ5まで揺動可能とされる(角度θ5<角度θ1=角度θ3)。
図45に示すように、回転板520が正面視時計回りに回転される場合、突起部541bが円弧状孔554の第3ストッパ面554dで当接される。この場合、回転板520は第3ストッパ部518cに当接されるまでは揺動されず、突起部541bは正面視時計回りに揺動角度θ6まで揺動可能とされる(角度θ6<角度θ4<角度θ2)。従って、伸縮演出装置540の伸縮方向の状態により、突起部541bの揺動角度を変化させることができる。これにより、伸縮演出装置540の揺動幅のバリエーションを増やすことができる。
ここで、中間状態における突起部541bの移動軌跡と円弧状孔554との形成角度α1よりも、縮小状態における突起部541bの移動軌跡と円弧状孔554との形成角度α2の方が大きく形成される。
突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554との関係において、形成角度が90度であれば、突起部541bが円弧状孔554を横断する態様で揺動されることになり、突起部541bの揺動角度は最小とされる。一方、突起部541bの揺動軌跡と円弧状孔554との関係において、形成角度が0度(図37から図39参照)であれば、突起部541bが円弧状孔554の延設方向に沿って揺動されることになり、突起部541bの揺動角度は最大とされる。そのため、縮小状態(形成角度α2)における突起部541bの揺動角度を中間状態(形成角度α1)における突起部541bの揺動角度に比較して小さくすることができる(形成角度α1<形成角度α2)。
上述したように、伸縮演出装置540の伸縮状態が変化されることで、突起部541bの揺動角度が変化され、その際、円弧状孔554の内周面(第1ストッパ面554b、第2ストッパ面554c及び第3ストッパ面554d)が、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパとして機能する。これにより、円弧状孔554の内周面を、伸縮演出装置540の伸縮状態が異なる各場合において、突起部541bの揺動角度を規制する部分として兼用することができる。そのため、突起部541bの揺動角度を規制するストッパを配設するスペースを抑制することができる。
また、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパは、回動アーム部材550が退避位置に配置されることで第3図柄表示装置81の正面側からは退避される。従って、第3図柄表示装置81の正面側に固定のストッパを配設する場合と異なり、回動アーム部材550が退避位置に配置されてもストッパが第3図柄表示装置81の前面に残留することを防止することができる。これにより、回動アーム部材550が退避位置に配置される場合には、他の部材を第3図柄表示装置81の前面に配置させることができるので、他の可動部材(例えば、スライド動作ユニット700の支柱部材720)の張出スペースを確保することができる。
また、回動アーム部材550の円弧状孔554は、伸縮演出装置540の揺動角度を規制するストッパとしての機能と、回動アーム部材550を揺動させることで伸縮演出装置540に第2駆動装置560の駆動力を伝達し、伸縮演出装置540に伸縮動作をさせる伝達装置としての機能と、を備える。これにより、機能の集約化を図ることができ、部品点数を減少させることができる。
図46から図57を参照して、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700について説明する。傾倒動作ユニット600は演出部材620を首振り動作(傾倒動作)させるユニットであり(図12参照)、スライド動作ユニット700は傾倒動作ユニット600を左右方向へスライド移動させるユニットである。図46は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面斜視図であり、図47は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の背面斜視図である。なお、図46及び図47では、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の支柱部材720(図47参照)が退避位置に配置された状態が図示される。
図48は、スライド動作ユニット700の正面分解斜視図であり、図49は、スライド動作ユニット700の背面分解斜視図である。なお、図48及び図49では、理解を容易とするために傾倒動作ユニット600が分解されずに図示される。
スライド動作ユニット700は、左右方向に長尺の板状に形成されるベース部材710と、そのベース部材710のスライド板711に一方の端部が締結固定され左右方向にスライド移動可能に形成される支柱部材720と、その支柱部材720に一方の端部が締結固定され傾倒動作ユニット600のベース部材610が締結固定される他方の端部が上下方向に伸縮可能に形成されるスライドレール730と、本体部710の背面レール部716を摺動可能に形成され傾倒動作ユニット600の軸支突部612に軸支される連結部材740と、支柱部材720の左右方向への移動の駆動力を発生させる駆動装置750と、その駆動装置750の背面側に形成されベース部材710に締結固定される背面カバー部材760と、を主に備える。
ベース部材710は、スライド動作ユニット700の骨格を形成する部材であって、左右方向にスライド移動可能に形成され背面側から支柱部材720が締結固定されるスライド板711と、ベース部材710の背面視左下部に断面円形で凹設され固定軸部753aが軸支される軸支孔712と、ベース部材710の背面視右下部に左右方向へ延設される長孔状に凹設され軸支孔712と上下位置が一致されると共に移動軸部754aがスライド可能に軸支されるスライド軸支孔713と、ソレノイドにより上下に揺動可能に形成され支柱部材720の係止部725の左右方向への移動を規制するレバー部材714と、ベース部材710の上端部において正面側へ断面下向き円弧状に突設され連結部材740の上側転動部材742が転動される正面レール部715と、その正面レール部715に背面側から断面円弧状に凹設され連結部材740の挿通板部741bが挿通される背面レール部716と、ベース部材710の背面視左下部に軸支孔712と上下位置が一致する位置であって軸支孔712の右側の位置に配設されるスライド原点検出センサ717と、ベース部材710の背面視右下部にスライド軸支孔713と上下位置が一致する位置であってスライド軸支孔713の左側の位置に配設されるスライド原点検出センサ718と、を主に備える。
レバー部材714がスライド板711に締結固定される支柱部材720の左右方向へのスライド移動を規制するので、傾倒動作ユニット600を退避位置に維持する場合の駆動装置750の駆動力を不要とすることができる。
ここで、本実施形態では、傾倒動作ユニット600が正面レール部715及び背面レール部716の形成方向(円弧軌道)に沿って移動されるので、傾倒動作ユニット600に連結される支柱部材720の左右方向へのスライド移動が傾倒動作ユニット600に負荷される重力の作用で生じ得る。例えば、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置される場合(図46参照)、傾倒動作ユニット600の移動方向は、正面レール部715の形状に沿って斜め下方向へ向けられる。そのため、傾倒動作ユニット600に連結される支柱部材720の移動方向がスライド板711の移動方向に沿った左右方向であっても、支柱部材720が重力により移動される恐れがある。本実施形態では、レバー部材714が下方へ揺動されることで支柱部材720の係止部725とかみ合わせられ、左右方向への支柱部材720の移動が規制されるので、駆動装置750の駆動力を不要としても、支柱部材720を退避位置に維持することができる。従って、駆動装置750の耐久性向上を図ることができる。
スライド原点検出センサ717は、支柱部材720がスライド移動の原点位置(退避位置)に配置されているか否かを検出するために用いられる。スライド原点検出センサ717は、一対の発光部と受光部とを有し、それらの発光部と受光部とはパチンコ機10の前後方向に並べて設けられる。具体的には、発光部はパチンコ機10の背面側から前面側へ向かって光を照射するように配置され、その発光部から照射される光を受光(検出)可能となるように、発光部の前面側に10mmの隙間を設けて受光部が配置される。詳細は後述するが、左右方向に可動される支柱部材720が原点位置(退避位置)へ可動されると、支柱部材720の下端部がスライド原点検出センサ717の発光部と受光部との間に位置するように構成されている。よって、支柱部材720が原点位置(退避位置)に配置されている場合には、発光部から受光部へと向かう光が支柱部材720の下端部によって遮蔽される。これにより、スライド原点検出センサ717の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽されたか否かを判別することによって、支柱部材720が原点位置(退避位置)に配置されているか否かを判別することができる。
スライド位置検出センサ718は、支柱部材720がスライド移動の張出位置に配置されているか否かを検出するために用いられる。スライド位置検出センサ718は、スライド原点センサ717と同一の位置関係の発光部と受光部とを有している。詳細は後述するが、左右方向に可動される支柱部材720が張出位置へと可動されると、支柱部材720の下端部がスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に位置するように構成されている。よって、支柱部材720が張出位置に配置されている場合には、発光部から受光部へと向かう光が支柱部材720の下端部によって遮蔽される。これにより、スライド位置検出センサ718の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽されたか否かを判別することによって、支柱部材720が張出位置に配置されているか否かを判別することができる。
支柱部材720は、上下方向に長尺の板状に形成される本体部721と、その本体部721の下端部に左右方向に連設して前後方向に穿設されベース部材710のスライド板711に締結固定されるネジが挿通される第1締結部722と、本体部721の正面視左端部に上下方向に連設して前後方向に穿設されスライドレール730が締結固定される第2締結部723と、その第2締結部723の連設方向と平行な方向に延設される長孔であって本体部721の正面視右側部に形成されるスライド孔724と、本体部721の右下端部から上向きに突設されレバー部材714とかみ合う鉤状の係止部725と、本体部721の下面に締結固定され本体部721との間に駆動装置750のベルト755が挟み込まれる下蓋部726と、本体部721の下端部背面側から突設され背面カバー部材760のスライド凹設部764の内周面を転動可能に形成される転動部727と、本体部721の上端部から下前方へ吊り下げられ下方の端部においてベース部材610の鉤状部617に連結されるコイルスプリング728と、を主に備える。
スライドレール730は、第2締結部723の連設方向に伸縮可能な姿勢で支柱部材720に締結固定される。
スライド孔724は、第2締結部723の連設方向と平行な方向に延設される長孔であって、傾倒動作ユニット600の補助部材615が挿通される長孔である。そのため、スライド孔724により、上下移動する傾倒動作ユニット600の左右方向への姿勢のずれ(傾倒動作ユニット600の支柱部材720に対する相対回転)を抑制することができる。
下蓋部726は、上面側に前後方向に延設される歯形が形成される。この歯形は、駆動装置750のベルト755の内周面に形成される歯形と歯合される形状とされる。これにより、支柱部材720が駆動装置750のベルト755に対して滑ることを抑制することができる。
また、下蓋部726には、スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部から照射される光を遮蔽するための遮蔽部726aが下面側に設けられている。遮蔽部726aは、支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)のスライド方向(左右方向)に横長な長方形形状であり、可動方向に対する垂直方向の厚みがスライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との隙間(約10mm)に比べて薄く(約1mm)形成される。この遮蔽部726aは、支柱部材720が左右方向に可動されることで、スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に可動可能となっている。支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)が原点位置(退避位置)である場合には、スライド原点検出センサ717の発光部と受光部との間に遮蔽部726aが位置することとなり、スライド原点検出センサ717の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽される。また、支柱部材720(及び、傾倒動作ユニット600)が張出位置である場合には、スライド位置検出センサ718の発光部と受光部との間に遮蔽部726aが位置することとなり、スライド位置検出センサ718の発光部から受光部へと照射される光が遮蔽される。これにより、スライド原点検出センサ717の受光部(または発光部)が遮蔽部726aにより遮蔽されていると検出される場合には、傾倒動作ユニット600が原点位置(退避位置)に配置されていると判別することができる。また、スライド位置検出センサ718の受光部(または発光部)が遮蔽部726aにより遮蔽されていると検出される場合には、傾倒動作ユニット600が張出位置に配置されていると判別することができる。
転動部727は、背面カバー760のスライド凹設部764に転動可能に挿通されることで摩擦抵抗を抑制しつつ、支柱部材720の下端部を軸とした前後方向への傾きを抑制することができる。
コイルスプリング728は、傾倒動作ユニット600を上方へ移動させる付勢力である。傾倒動作ユニット600にはコイルスプリング728からの付勢力が常時負荷されるので、傾倒動作ユニット600が重力により下方へ落下されることが抑制される。
連結部材740は、傾倒動作ユニット600の軸支突部612に回転可能に軸支される三角形板状の本体部材741と、その本体部材741から突設される転動軸741cに軸支されベース部材710の正面レール部715の上面を転動される一対の筒状の上側転動部材742と、本体部材741の転動軸741cに正面側から締結固定され正面レール部715の正面側を覆う態様で配設される前カバー部材743と、その前カバー部材743の背面側下部に配設され下半部を前カバー部材743に外嵌保持され上半部が正面レール部715の下面を転動される筒状の下側転動部材744と、を主に備える。
本体部材741は、三角形板状に形成される部材であって、上端部に背面から凹設される円形の窪みであり傾倒動作ユニット600の軸支突部612に回転可能に軸支される軸支部741aと、下端部に正面側へ突設される板状の部材であってベース部材710の背面レール部716にスライド移動可能に挿通される挿通板部741bと、軸支部741aから挿通板部741bへ引かれた垂線に対し線対称な位置から正面側へ円柱状に突設され上側転動部材742が回転可能に軸支される一対の転動軸741cと、を主に備える。
挿通板部741bは、ベース部材710の背面レール部716に挿通されるので、連結部材740が背面レール部716に沿って移動可能に形成される。そのため、軸支部741aで軸支される傾倒動作ユニット600も、背面レール部716に沿って移動可能に形成される。
転動軸741cは、軸支部741aから挿通板部741bへ引かれた垂線に対して線対称な位置に一対で形成される。そのため、一対の転動軸741cが上側転動部742を介して円弧状に形成される正面レール部715に当接される場合に、正面レール部715の上面から連結部材740へかけられる負荷(円弧の法線方向の力)は、軸支部741aを通る。従って、連結部材740により傾倒動作ユニット600の軸支突部612を安定して保持することができる。
上側転動部材742は、軸支部741aに回転可能に軸支され、正面レール部715の上面に当接される。即ち、連結部材740が正面レール部715に沿ってスライド移動されると、上側転動部742は正面レール部715の上面を転動される。これにより、連結部材740のスライド移動時に生じる摩擦抵抗を減らし、スライド移動に必要な駆動力を抑制することができる。
下側転動部材744は、前カバ-部材743の下部に下半部が回転可能に外嵌され正面レール部715の下面に上端部が当接される。即ち、連結部材740が正面レール部715に沿ってスライド移動されると、下側転動部744は正面レール部715の下面を転動される。これにより、連結部材740のスライド移動時に正面レール部715との間で生じる摩擦抵抗を減らし、スライド移動に必要な駆動力を抑制することができる。
このように、本実施形態では、正面レール部715の上面とは上側転動部材742が転動し、正面レール部715の下面とは下側転動部材744が転動する。これにより、摩擦抵抗を抑制しながら、連結部材740の上側転動部材742と下側転動部材744とにより正面レール部715の上下面を挟んだ状態を維持することができる。
ここで、傾倒動作ユニット600は、後述するように重心が上方に形成されるため、前後方向へ傾く恐れがある。この場合に、連結部材740は、上側転動部材742と下側転動部材744とにより正面レール部715の上下面を挟んでいるので、傾倒動作ユニット600の前後の両方向への傾きに対して、抵抗力を発生させることができる。これにより、傾倒動作ユニット600の姿勢維持をしやすくすることができる。
前カバー部材743は、連結部材740の転動軸741cの正面側から軸支されることで上側転動部材742を引き抜き不能に軸支する。
駆動装置750は、ベース部材710に締結固定されると共に支柱部材720をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ751と、その駆動モータ751に軸支される駆動ギア752と、その駆動ギア752に歯合されると共にベルト755が巻き付けられる軸固定ギア753と、その軸固定ギア753と離間して配設されベルト755が巻き付けられると共に回転軸754aがスライド移動可能に形成される軸移動ギア754と、軸固定ギア753と軸移動ギア754とに巻き付けられ軸固定ギア753の回転により移動されるベルト755と、軸移動ギア754を軸固定ギア753から離反する方向へ移動させる付勢力を発生させるコイルスプリング756と、を主に備える。
軸固定ギア753は、回転軸としての円柱部材であってベース部材710の軸支孔712に挿通される固定軸部753aを備える。また、軸移動ギア754は、回転軸としての円柱部材であってベース部材710のスライド軸支孔713に挿通される移動軸部754aを備える。
軸固定ギア753及び軸移動ギア754は、同形状のギアとして形成される。ベルト755の内周面には軸固定ギア753及び軸移動ギア754のギア歯と噛み合う歯形が形成される。これにより、ベルト755と軸固定ギア753及び軸移動ギア754との間の滑りを抑制し、軸固定ギア753の回転量を確実にベルト755に伝達することができる。
コイルスプリング756は、一方の端部がベース部材710のスライド軸支孔713n背面視右方に形成される鉤状部に固定され、他方の端部が軸移動ギア754を覆うケースに固定される。これにより、軸移動ギア754を軸支孔712の反対側に移動させる付勢力を発生させることができ、ベルト755に適切な張力を与えることができるので、ベルト755が軸固定ギア753及び軸移動ギア754から脱落することを防止することができる。
背面カバー部材760は、ベース部材710の背面において駆動装置750を覆う部材であって、正面側が開かれた箱状に形成される本体部761と、その本体部761の底面において固定軸部753aを受け入れる窪みである凹設部762と、スライド軸支孔713と同形状に延設され移動軸部754aを受け入れる窪みである移動凹設部763と、左右方向に延設され転動部727を受け入れる窪みであるスライド凹設部764と、を主に備える。
スライド凹設部764は、その上下内側面を転動部727が転動される窪みである。支柱部材720のスライド移動の摩擦抵抗を抑制すると共に、支柱部材720が前後方向に傾くことを抑制する。即ち、支柱部材720が前後方向に傾くと、転動部727がスライド凹設部764の上内側面か下内側面のどちらか一方に当接される。これにより、支柱部材720の前後方向への傾きを抑制することができる。
次いで、図50及び図51を参照して、傾倒動作ユニット600について説明する。図50は、傾倒動作ユニット600の正面分解斜視図であり、図51は、傾倒動作ユニット600の背面分解斜視図である。
傾倒動作ユニット600は、スライドレール730の他方の端部に締結固定される板状のベース部材610と、下端部がベース部材610に揺動可能に軸支される箱状の演出部材620と、その演出部材620の揺動の駆動力を発生させる第1駆動装置630と、その第1駆動装置630の駆動力を演出部材620へ伝達する伝達部材640と、その伝達部材640に当接され伝達部材640を移動させる付勢力を生じさせるねじりバネ650と、演出部材620の第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625を開閉動作させる駆動力を発生させる第2駆動装置660と、を主に備える。
ベース部材610は、スライドレール730が締結固定されると共に縦に長尺の板状に形成される本体部611と、その本体部611の正面側から円柱状に突設され連結部材740の軸支部741aが軸支される軸支突部612と、その軸支突部612の鉛直上方で前後方向に穿設される円形孔であり演出部材620の揺動軸部626が揺動可能に軸支される第1軸支孔613と、その第1軸支孔613の鉛直上方で前後方向に穿設される円形孔であり伝達部材640の筒状部642が揺動可能に軸支される第2軸支孔614と、本体部611の背面に形成され支柱部材720のスライド孔724に上下スライド移動可能に挿通される補助部材615と、第1駆動装置630の駆動軸が挿通される挿通孔616と、本体部611の下端部から背面側へ向けて延設される鉤形状の鉤状部617と、本体部611の背面左上部に配設される一対の発光部と受光部とを備える傾倒原点センサ618と、を主に備える。
第2軸支孔614は、その下縁から正面側へ断面円弧状で突設される下受け板部614aを備える。下受け板部614aにより、伝達部材640の筒状部642の回転が案内される。なお、下受け板部614aは、筒状部642の外径と略同等の長さの左右幅で形成される(図53(a)参照)。
補助部材615がスライド孔724に挿通されることで、ベース部材610の左右方向の傾きを抑制できるので、ベース部材610を上下方向にスムーズにスライド移動させることができる。
鉤状部617は、コイルスプリング728の一端が掛けられ、付勢力が負荷される部分である。
図52を参照して、演出部材620及び第2駆動装置660について説明する。図52は、演出部材620及び第2駆動装置660の正面分解斜視図である。なお演出部材620の内部に配設されるサブ表示装置690が想像線で図示され、演出部材620及び第2駆動装置660の説明には図50及び図51を適宜参照する。
演出部材620は、サブ表示装置690が内部に配設される箱状の部材であって、矩形板状の本体部材621と、その本体部材621の上下から前方へ延設され本体部材621に被さる態様で曲げられる上下カバー部材622と、その上下カバー部材622の両側面から取り付けられる板状部材であって上下カバー部材622と共に前方が開口された矩形の箱形状を形成する左右カバー部材623と、前方の開口を開閉する部材であって第2駆動装置660の嵌合孔665aに連結され移動される第1カーテン部材624と、その第1カーテン部材624と共に前方の開口を開閉する部材であって第1カーテン部材624に引かれることで移動される第2カーテン部材625と、本体部材621の背面下部から突設される円柱形状の揺動軸部626と、本体部材621の背面左下側の位置であって演出部材620が原点位置に配置されている場合に傾倒原点センサ618の発光部から受光部へと照射される光を遮蔽する位置に配置されるセンサ遮蔽部627と、を主に備え、重心位置G(図53参照)が揺動軸部626よりも上方(高い位置)に形成される。なお、その重心位置Gは、倒立状態(図53参照)において摺動軸部621a及び揺動軸部626(図53参照)を通る直線上に形成される。
本体部材621は、揺動軸部626の鉛直上方で背面側に突設される円柱状の摺動軸部621a(図51参照)を備える。摺動軸部621aは、伝達部材640(図51参照)の摺動孔643に摺動可能に挿通される。
上下カバー部材622は、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625が駆動装置660の駆動力により開放された状態において、第1カーテン部材624及び第2カーテン部材625を内側に収容する部材である。
左右カバー部材623は、内側面に溝状に形成され第2カーテン部材625のスライド突部625cが摺動可能とされるスライド溝623aを備える。
スライド溝623aは、上下に延設される直線状の溝の上下端に円弧状に形成させる曲線状の溝が連結される。これにより、第2カーテン部材625は、スライド溝623aの形状に沿って直線移動と曲線移動とが順に生じる態様でスライド移動される。
第1カーテン部材624は、第2駆動装置660の開閉軸664を軸に上下方向へ揺動される部材であり、断面C字に板材が折曲された形状の本体部624aと、その本体部624aの端部から左右方向に突設され第2駆動装置660の嵌合孔665aに相対回転不能に嵌合される嵌合部624bと、その嵌合部624b付近で一方の端部が本体部624に揺動可能に軸支され他方の端部が第2カーテン部材625の連結突部625bに連結される連結部材624cと、を主に備える。
第2カーテン部材625は、第1カーテン部材624に引かれて上下方向へ移動される部材であり、断面C字の板状に形成される本体部625aと、その本体部624aの断面C字の端部から左右方向に突設され連結部材624cの他方の端部と連結される連結突部625bと、本体部625aの折曲部付近から左右方向外側へ突設され左右カバー部材623のスライド溝623aに挿通されるスライド突部625cと、を主に備える。
第2駆動装置660は、演出部材620の背面側に締結固定される駆動モータ661と、その駆動モータ661に軸支される駆動ギア662と、その駆動ギア662に一方のギアが歯合され互いに反対方向に回転される一対の伝達ギア663と、その伝達ギア663に相対回転不能に挿通され図示しない軸支機構により演出部材620の本体部材621の正面側に回転可能に軸支される開閉軸664と、その一対の開閉軸664の両端に相対回転不能に固定される伝達部材665と、を主に備える。
伝達部材665は、第1カーテン部材624の嵌合部624bが相対回転不能に嵌合される嵌合孔665aを備える。これにより、第1カーテン部材624は、開閉軸664を軸として上下に揺動される。
図50及び図51に戻って説明する。第1駆動装置630は、ベース部材610の挿通孔616に駆動軸が挿通されベース部材に締結固定される駆動モータ631と、その駆動モータ631の駆動軸に固定されるネジ歯車形状のウォーム632と、そのウォーム632と噛み合うはす歯歯車形状のウォームホイール633と、を主に備える。
ウォーム632は、2条ねじで形成される。本実施形態では、ウォーム632と噛み合うウォームホイール633の歯数が約20とされるので、ウォーム632が10回転する間にウォームホイール633は1回転する。これにより、駆動モータ631が制御の分解能の最小単位で動作される場合の、ウォームホイール633及び伝達部材640の回転角度を大幅に低減することができる。
ウォームホイール633は、回転軸中心から突設されベース部材610の第2軸支孔614に挿通されると共に伝達部材640の筒状部643に相対回転不能に係止される係止突部633aを備える。なお、ウォーム632とウォームホイール633との間の駆動力の伝達は、構造上、ウォーム632からウォームホイール633への一方向に限定される(ウォームホイール633が能動的に回転すると、その力はウォーム632の軸方向にかかる)。これにより、ウォームホイール633を停止させる際に駆動モータ631が受ける負荷を低減することができる。また、駆動モータ631の動力を断った状態においてウォームホイール633及び伝達部材640を停止させておくことができ、駆動モータ631の電力消費量を抑制することができる。
図53を参照して、伝達部材640及びねじりバネ650について説明する。図53(a)及び図53(b)は、伝達部材640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図53(a)及び図53(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示され、伝達部材640及びねじりバネ650の説明には図50及び図51を適宜参照する。また、図53(a)では、伝達部材640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、この状態において、ねじりバネ650の付勢力は伝達部材640の揺動方向で釣り合っている。図53(b)では、図53(a)の倒立状態から伝達部材640が正面視反時計回りに所定量揺動され演出部材620が所定量揺動された状態が図示される。
伝達部材640は、ウォームホイール633(図50参照)の回転により揺動される部材であって、長尺矩形の棒状に形成される本体部641と、その本体部641の一方の端部において前後方向に延設され第1駆動装置630の係止突部633aが係止される筒状部642と、本体部641の他方の端部に筒状部642の軸径方向に延設される長孔として穿設される摺動孔643と、本体部641の揺動方向両側に離間して配設される当接部644と、その当接部644と本体部641の正面側側面とを連結する幅のある円弧形状の正面円弧板部645と、当接部644と本体部641の背面側側面とを連結する幅のある円弧形状の背面円弧板部646と、を主に備える。
図53に示すように、当接部644、正面円弧板部645及び背面円弧板部646は、ねじりバネ650の付勢腕部652を取り囲む態様で配設される。これにより、ねじりバネ650が伝達部材640から脱落する(外れる)ことを防止することができる。
筒状部642は、ベース部材610の第2軸支孔614(図50参照)に軸支され、第1駆動装置630の係止突部633a(図50参照)に相対回転不能に係止される。
摺動孔643は、演出部材620の摺動軸部621aが挿通される。これにより、伝達部材640が第1駆動装置630(図50参照)の駆動力により第2軸支孔614(図50参照)を中心に揺動されると、演出部材620の摺動軸部621aが摺動孔643を摺動され(軸径方向にスライド移動され)ながら、演出部材620が第1軸支孔613を中心に揺動される。
このように演出部材620を揺動させることで、第1駆動装置630の制御の分解能の最小単位で駆動モータ631を回転させる場合の演出部材620の揺動角度を抑制することができる。例えば、演出部材620を揺動させる方法として、演出部材620の揺動軸部626にギアを直結して、そのギアに駆動モータの駆動力を伝達する方法も考えられる。しかし、この場合、駆動モータを制御の分解能の最小単位の角度P0(図53(a)参照、なお、理解を容易にするために、実際の角度P0に対して角度を数倍に大きく図示している)で回転させる場合に演出部材620の重心Gが倒立状態から左右方向にずれる移動量X1は、演出部材620の重心Gが揺動軸部626から離間するほど大きくなる。そのため、演出部材620の重心Gが揺動軸部626から離間するほど、演出部材620の重心Gの位置調整が困難になり、演出部材620の重心Gが揺動軸部626の真上に配置される倒立状態に演出部材620を静止させることが困難となる。
これに対し、本実施形態では、駆動モータ631の駆動力を演出部材620に伝達する伝達部材640が演出部材620の摺動軸部621aに連結される。この摺動軸部621aから伝達部材640の揺動軸である筒状部642までの長さが、摺動軸部621aから演出部材620の揺動軸である揺動軸部626までの長さに比較して短く形成される。
そのため、演出部材620が揺動軸部626の径方向に長尺な場合であっても、第1駆動装置630の制御の分解能の最小単位の角度P0(図53(a)参照、なお、理解を容易にするために、実際の角度P0に対して角度を数倍に大きく図示している)で第1駆動装置630を動作させる場合の演出部材620の重心Gの移動量X2を抑制することができる。そのため、演出部材620の重心Gが揺動軸である揺動軸部626の真上に配置される倒立状態に演出部材620を静止させることを容易とすることができる。
また、演出部材620を揺動させる方法として、演出部材620に揺動軸部626を中心とした円弧上にギア歯を形成し、そのギア歯に歯合するギアを駆動モータで回転させることで演出部材620を揺動させる方法が考えられる。しかし、この場合、演出部材620の揺動範囲が大きくなるほど、円弧上のギア歯を形成する範囲が演出部材620の左右方向に大きく必要となる。そのため、演出部材620を揺動方向に細い形状で形成する場合には、円弧上のギア歯が演出部材620からはみ出ししてしまうため、演出効果の妨げとなる。そのため、演出部材620の設計自由度が低くなる。
一方で、本実施形態では、演出部材620に駆動モータ631の駆動力を伝達する伝達部材640は、揺動軸である筒状部642が演出部材620の揺動軸である揺動軸部626の鉛直上方に配置されると共に、演出部材620の左右方向中心で揺動軸部621aと連結される。伝達部材640に追従して演出部材620は揺動するので、演出部材620の揺動範囲に対する伝達部材640の形成範囲を演出部材620の左右方向中央付近に抑えることができる。これにより、演出部材620を左右方向に細いものとしても、演出部材620から伝達部材640がはみ出すことを抑制することができ、演出部材620の設計自由度を向上させることができる。
演出部材620の摺動軸部621aの下面は伝達部材640の摺動孔643の内周面に当接される。これにより、演出部材620の重さが揺動軸部626だけでなく、伝達部材640へも負荷される。即ち、演出部材620の重さに対向する力を、揺動軸部626だけでなく伝達部材640の筒状部642からも生じさせることができる。そのため、演出部材640を揺動軸部626及び筒状部642の2点で支持することができ、揺動軸部626及び筒状部642に負荷される径方向の力を抑制することができる。
ここで、演出部材620は、図53(a)に示す倒立状態が平常状態とされるので、伝達部材640が揺動され倒立状態から所定量揺動された後で、素早く倒立状態に復帰できることが望ましい。
本実施形態では、図53(b)に示すように、伝達部材640が図53(a)に図示される状態から正面視反時計回りに揺動角度φ1で揺動されると、演出部材620は揺動角度φ2で揺動される(φ2<φ1)。
即ち、第1駆動装置630(図50参照)の駆動力で揺動される伝達部材640の揺動角度に比較して演出部材620の揺動角度の方が小さくされる。そのため、演出部材620を倒立状態(図53(a)参照)に復帰しやすくすることができる。
また、本実施形態では、伝達部材640の軸径方向に長孔状の摺動孔643が形成され、その摺動孔643に演出部材620の摺動軸部621aが挿通される。そして、伝達部材640と演出部材620の揺動軸が異なり、伝達部材640の摺動孔643の方が演出部材620の摺動軸部621aに比較して揺動半径が短いため、伝達部材640が揺動されるほど、摺動軸部621aが伝達部材640の揺動軸から遠ざかる。そのため、倒立状態(図53(a)参照)における演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さR1が、倒立状態から所定量揺動された状態(図54(b)参照)における演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さR2に比較して短くされる。
即ち、倒立状態に近づくほど伝達部材640の腕長さが短くされることになり、伝達部材640が所定角度揺動される場合の演出部材620の揺動角度を伝達部材640の腕長さが一定の場合に比較して、倒立状態に近づくほど小さくすることができる。そのため、駆動モータ631の回転速度を変化させずとも、所定の停止位置付近では演出部材620の動作速度を増加させる一方、倒立状態付近では演出部材620の動作速度を減少させ、演出部材620を倒立状態で静止しやすくすることができる(演出部材620の重心が第1軸支孔613の鉛直上方に配置された状態で演出部材620を停止制御することを容易にすることができる)。
図55を参照して、演出部材620の摺動軸部621aから伝達部材640の筒状部642までの腕長さを変化させることによる、伝達部材640の揺動角度に対する演出部材620の揺動角度の変化について説明する。
図55は、伝達部材640(図53(a)参照)の揺動角度に対する演出部材620(図53(a)参照)の揺動角度を模式的に示す模式図である。図55において、回転軸M1が演出部材620の回転軸である揺動軸部626(図53(a)参照)に対応し、回転軸M2が伝達部材640の揺動軸である筒状部642(図53(a)参照)に対応する。直線a1~a4は、伝達部材640の配置を模式化したものであり、回転軸M2から放射状に描かれる直線であって、直線a1は回転軸M1を通り、直線a2~a4は、直線a1との形成角度を順に15度ずつ加算する態様で形成される。即ち、直線a1~a4の隣り合う直線どうしの形成する角度は15度ずつとされる。
回転軸M2を中心として腕長さR1(図53(a)参照)と等しい半径で描かれる円弧が円弧SR1で図示され、回転軸M2を中心として腕長さR2(図54(b)参照)と等しい半径で描かれる円弧が円弧SR2で図示される。なお、円弧SR0は、回転軸M1を中心として描かれる円弧であり、腕長さR1に回転軸M1及び回転軸M2の間の距離を加えた長さの半径の円弧である。
これらの円弧は、演出部材620と伝達部材640(図53(a)参照)との連結位置の軌跡を仮定するものである。本実施形態では、連結位置としての摺動軸部621a(図53(a)参照)が演出部材620から突設され、演出部材620と伝達部材640との連結位置は円弧SR0に沿って移動する。なお、演出部材620と伝達部材640との連結位置が円弧SR1や円弧SR2に沿って移動する場合としては、演出部材620に軸径方向に長尺の長孔が形成され、伝達部材640からその長孔に挿通される軸が突設される場合が想定される。
また、図55に示すように、直線a1と円弧SR0との交点が交点P10で図示され、直線a1と円弧SR1との交点が交点P11で図示され、直線a1と円弧SR2との交点が交点P12で図示される。
同様に、直線a2と円弧SR0との交点が交点P20で図示され、直線a2と円弧SR1との交点が交点P21で図示され、直線a2と円弧SR2との交点が交点P22で図示される。直線a3と円弧SR0との交点が交点P30で図示され、直線a3と円弧SR1との交点が交点P31で図示され、直線a3と円弧SR2との交点が交点P32で図示される。直線a4と円弧SR0との交点が交点P40で図示され、直線a4と円弧SR1との交点が交点P41で図示され、直線a4と円弧SR2との交点が交点P42で図示される。なお、交点P10及び交点P11は同じ位置に配置され、交点P40及び交点P42は同じ位置に配置される。
また、図55に示すように、回転軸M1及び交点P10を通る直線と回転軸M1及び交点P20を通る直線とが形成する角度が角度A10で図示され、回転軸M1及び交点P11を通る直線と回転軸M1及び交点P21を通る直線とが形成する角度が角度A11で図示され、回転軸M1及び交点P12を通る直線と回転軸M1及び交点P22を通る直線とが形成する角度が角度A12で図示される。
同様に、回転軸M1及び交点P20を通る直線と回転軸M1及び交点P30を通る直線とが形成する角度が角度A20で図示され、回転軸M1及び交点P21を通る直線と回転軸M1及び交点P31を通る直線とが形成する角度が角度A21で図示され、回転軸M1及び交点P22を通る直線と回転軸M1及び交点P32を通る直線とが形成する角度が角度A22で図示される。回転軸M1及び交点P30を通る直線と回転軸M1及び交点P40を通る直線とが形成する角度が角度A30で図示され、回転軸M1及び交点P31を通る直線と回転軸M1及び交点P41を通る直線とが形成する角度が角度A31で図示され、回転軸M1及び交点P32を通る直線と回転軸M1及び交点P42を通る直線とが形成する角度が角度A32で図示される。なお、これらの角度は、演出部材620の揺動角度に対応する。
ここで、(回転軸M1及び回転軸M2の距離:腕長さR1:腕長さR2)の比率は、本実施形態では、(1:2.32:2.54)とされる。角度を実測すると、角度A32は11.07度であり、角度A31は10.77度であり、角度A30は11.37度である。即ち、直線a4から直線a3までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合が最も演出部材640の揺動角度が大きく、円弧SR2に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合以上で形成される(角度A30は角度A31よりも角度A32に近い)。
角度A22は10.87度であり、角度A21は10.59度であり、角度A20は10.82度である。即ち、直線a3から直線a2までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合の揺動角度は、円弧SR2に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合を下回る。この場合には、角度A22と角度A20との差は、角度A20と角度A21との差よりも小さい(角度A20は角度A21よりも角度A22に近い)。
角度A12は10.78度であり、角度A11は10.50度であり、角度A10は10.53度である。即ち、直線a2から直線a1までの間で伝達部材640を揺動させる場合において、円弧SR0に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合の揺動角度は、円弧SR1に沿って伝達部材640と演出部材620とが連結される場合を上回る。この場合には、角度A12と角度A10との差は、角度A10と角度A11との差よりも大きい(角度A10は角度A12よりも角度A11に近い)。
これらから、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡を円弧SR0とすることで、例えば、伝達部材640が等速で揺動される場合に、演出部材620の角速度の調整自由度を向上させることができることがわかる。即ち、直線a4に伝達部材640が配置される時の角速度は伝達部材640と演出部材620との連結位置の軌跡が円弧SR2の場合の角速度(高速側)に寄せ、直線a1に伝達部材640が配置される時の角速度は伝達部材640と演出部材620との連結位置の軌跡が円弧SR1の場合の角速度(低速側)に寄せることができる。
また、それぞれの角度の比を計算すると、角度A22/角度A32は、0.98であり、角度A12/角度A22は、0.99である。角度A21/角度A31は、0.98であり、角度A11/角度A21は、0.99である。即ち、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡が円弧SR1,SR2である場合には、伝達部材640が等速で倒立状態へ向けて揺動される場合の演出部材620の角速度の減速比率は1~2%と小さい。
一方、角度A20/角度A30は、0.95であり、角度A10/角度A20は、0.97である。即ち、伝達部材640と演出部材620(図53(a)参照)との連結位置の軌跡が円弧SR0(回転軸M1を中心とした円弧)である場合には、伝達部材640が等速で倒立状態へ向けて揺動される場合の演出部材620の角速度の減速比率を3~5%とすることができる。即ち、連結位置の軌跡が円弧SR1,SR2(回転軸M2を中心とした円弧)である場合に比較して、演出部材620の角速度の減速比率を大きくすることができる。
図53(a)に示すように、倒立状態において演出部材620の摺動軸部621aは伝達部材640の摺動孔643の下端部に当接される。倒立状態において、演出部材620の重心Gは演出部材620の揺動軸部626及び伝達部材640の筒状部642の鉛直上方に形成されるので、演出部材620の自重による力が揺動軸部626及び筒状部642に対し鉛直下方へかけられる。そのため、演出部材620の自重により演出部材620を揺動される方向の成分の力が発生しないので、第1駆動装置630の動力を遮断しても演出部材620の姿勢を倒立状態で維持することができる。これにより、第1駆動装置630の耐久性向上を図ることができる。
また、演出部材620の自重による力が揺動軸部626及び筒状部642に対し鉛直下方へかけられることから、揺動軸部626及び筒状部642の回転抵抗を上昇させることができ、演出部材620の倒立状態での姿勢維持をしやすくすることができる。
ねじりバネ650は、伝達部材640の揺動に伴いコイル部651を巻き戻す方向(伝達部材640を押し戻す方向)に付勢力が発生される弾性バネであり、演出部材620の揺動軸部626の周囲に巻かれるコイル部651と、伝達部材640の本体部641の揺動方向両側面に沿って延設される付勢腕部652と、コイル部651の端部および付勢腕部652の端部を筒状部642及び揺動軸部626の間を通って連結する連結腕部653と、を主に備える。
コイル部651は、演出部材620の揺動軸部626の直径の約3倍の内径で形成される。そのため、付勢腕部652が揺動されコイル部651を縮径変形させる負荷が生じる場合に、コイル部651の変形量を確保することができ、付勢腕部652や連結腕部653に変形が集中することを抑制することができる。
付勢腕部652は、伝達部材640の本体部641、当接部644、正面円弧板部645及び背面円弧板部646により囲われる。これにより、付勢腕部652が伝達部材640から脱落する(外れる)ことを防止することができる。
また、付勢腕部652は伝達部材640の揺動する平面上で下受け板部614aと当接可能に形成される。そのため、伝達部材640の揺動方向に配置される付勢腕部652からは、伝達部材640を押し戻す付勢力が発生され、伝達部材640の揺動方向の反対側に配置される付勢腕部652は、下受け板部614aに移動を防止される。これにより、ねじりバネ650は、伝達部材640の揺動方向によらず伝達部材640を押し戻す方向への付勢力を発生可能に形成される。
付勢腕部652及び連結腕部653の連結部分において、伝達部材640の反対側に屈曲される屈曲部653aが形成される。この場合、後述するように伝達部材640の当接部644が、ねじりバネ650の屈曲部653aに押し付けられることで、屈曲部653aが伸張される(図54(b)参照)。これにより、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材640の本体部641との当接位置が筒状部642から遠くなり、伝達部材640にねじりバネ650から負荷されるモーメントを増大させることができる。
図54を参照して、ねじりバネ650から発生され伝達部材640を押し戻す付勢力の変化について説明する。図54(a)及び図54(b)は、伝達部材640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図54(a)及び図54(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示され、ねじりバネ650から発生される付勢力の変化の説明には図53を適宜参照する。
また、図54(a)では、図53(b)の状態から、更に伝達部材640が正面視反時計回りに回転され正面視左側の付勢腕部652が伝達部材640の当接部644の内側面に押し付けられ始める状態が図示され、図54(b)では、図54(a)の状態から、更に伝達部材640が正面視反時計回りに回転され、ねじりバネ650の屈曲部653aが引き延ばされた状態が図示される。
図54(a)の状態では、ねじりバネ650の正面視左側の付勢腕部652には、伝達部材640を押し返す付勢力が生じる。この付勢力は、コイル部651を起点として生じる付勢力と、屈曲部653aを起点として生じる付勢力との総和となる。
即ち、図53(b)の状態では、一対の屈曲部653aの内、正面視左側に配置される屈曲部653aに伝達部材640が押し付けられないため、ねじりバネ650の正面視左側の付勢腕部652には、伝達部材640を押し返す付勢力として、コイル部651を起点とした付勢力のみが生じる。
一方、図54(a)の状態では、コイル部651を起点とした付勢力に加え、屈曲部653aを起点とした付勢腕部652の変形により付勢力が生じる。そのため、付勢腕部652のバネ定数を増大させることができる。なお、屈曲部653aを起点とした付勢腕部652の変形は、コイル部651を起点とした変形に比較して、変形を受ける部分の長さが短くなるので、伝達部材640の単位変形量当たりで生じる付勢力をより大きくすることができる。
図54(b)の状態では、ねじりバネ650の屈曲部653aが伝達部材640の当接部644により押されることで、付勢腕部652及び連結腕部653の成す角度が広げられる。これにより、図54(a)の状態における伝達部材640の本体部641及びねじりバネ650の付勢腕部652の当接位置と筒状部642との間の距離である当接位置長さL1に比較して、図54(b)の状態における同様の当接位置長さL2が伝達部材640の筒状部642から離反される。即ち、当接位置長さが伸張される。これにより、伝達部材640を押し戻すねじりバネ650の腕長さが長くされるので、ねじりバネ650から伝達部材640へ負荷されるモーメントを増大させることができる。
従って、例えば、図54(a)の状態と図54(b)の状態とで、ねじりバネ650が発生させる付勢力が略同等である場合、図54(b)において、より伝達部材640へ負荷されるモーメントを大きくすることができる。そのため、伝達部材640及び演出部材620をより押し戻し易くすることができる。
図53及び図54に示すように、伝達部材640を押し戻すねじりバネ650の付勢力は、伝達部材640(演出部材620)の退避位置からの揺動角度が小さい内は小さく、揺動角度が大きくなるほど弾性的に増加され、図54(a)の状態を境に弾性的な増加分以上に増加される。そのため、演出部材620が最大揺動角度(図54(b)参照)とされた場合に必要なねじりバネ650の付勢力が決定されている場合に、ねじりバネが弾性的な増加のみを行う場合に比較して、揺動角度が小さい場合の付勢力をより小さく設定することができる(柔らかいバネを使用することができる)。
これにより、演出部材620の揺動開始時の動作速度がねじりバネ650の付勢力に減速される度合いを低減することができ、演出部材620の動作開始時の動作速度を高速化することができる。
また、図54(a)の状態を境に付勢力が弾性的な増加分以上に増加されることから、演出部材620の揺動角度が図54(a)の状態以上とされる場合の、演出部材620の減速加速度を上げることができる。これにより、演出部材620の揺動動作の間で、演出部材620を減速させ始めるタイミングを遅らせることができる。従って、演出部材620を高速状態で揺動させられる揺動角度を拡大することができ、傾倒動作ユニット600の演出効果を向上させることができる。
次いで、図56を参照して、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700のスライド動作について説明する。図56は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面図である。なお、図56では、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置された状態が想像線で図示され、傾倒動作ユニット600が退避位置から所定量スライド移動された状態が実線で図示される。
図56に示すように、上下方向にスライド移動可能に形成される傾倒動作ユニット600とスライド動作ユニット700とを連結する連結部材740は、正面レール部715の延設方向に移動可能に形成される。ここで、傾倒動作ユニット600の重さは連結部材740に負荷されるので、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置されると、傾倒動作ユニット600が重力により正面レール部715に沿って正面視左方に付勢される。そのため、傾倒動作ユニット600を退避位置に維持するために、駆動装置750を固定することが考えられる。
これに対し本実施形態では、レバー部材714が上下に揺動可能に形成され、レバー部材714が下方へ揺動されると、支柱部材720の係止部725と噛み合わされ、支柱部材720の左右方向へのスライド移動が規制される。
これにより、傾倒動作ユニット600を退避位置に機械的に維持することが可能となるので、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置される場合に駆動装置750を停止させた状態で傾倒動作ユニット600を退避位置に維持できる。従って、駆動装置750の耐久性を向上させることができる。
なお、傾倒動作ユニット600が退避位置に配置された状態から、レバー部材714を上方へ揺動させ、駆動装置750を動作させることで、支柱部材720を移動可能となり、傾倒動作ユニット600を左右方向にスライド移動させることができる。
図56に示すように、傾倒動作ユニット600が倒立状態で退避位置に配置されると、傾倒動作ユニット600の重心Gの鉛直下方に連結部材740の軸支部741aが配置される。
ここで、傾倒動作ユニット600のスライド移動の方向は正面レール部715に沿うため、図56において、退避位置(図56の想像線参照)から所定量スライド移動される間において傾倒動作ユニット600の移動は、常時、上下方向成分を備える。
そのため、傾倒動作ユニット600の重心Gと連結部材740の軸支部741aとが鉛直方向でずれていると、連結部材740から傾倒動作ユニット600を回転させる方向に負荷がかけられる恐れがある。これは、逆方向へ傾倒動作ユニット600がスライド移動される場合も同様である。
これに対し、本実施形態では、重心Gの鉛直下方に連結部材740の軸支部741aが配置されるので、連結部材740から傾倒動作ユニット600に負荷される力の上下方向成分と重心Gとが同一線上に形成される。これにより、連結部材740から傾倒動作ユニット600を回転させる方向に負荷がかけられることを抑制することができ、傾倒動作ユニット600の姿勢を安定させることができる。
次いで、図57を参照して、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)が、スライド動作ユニット700のスライド動作に与える影響について説明する。図57は、傾倒動作ユニット600及びスライド動作ユニット700の正面図である。なお、図57では、傾倒動作ユニット600の演出部材620が図54(b)の状態まで揺動された状態が図示される。
図57に示すように、演出部材620が正面視反時計回りに揺動された状態において、演出部材620の重心Gは、連結部材740よりも正面視左側に配置される。そのため、連結部材740に負荷される正面視左向きの加速度が増大される。
この場合、傾倒動作ユニット600を退避位置からスライド動作させるために必要な駆動力を抑制することができるので、駆動装置750の駆動モータ751を小型化することができる。
<第2実施形態>
次いで、図58及び図59を参照して、第2実施形態における傾倒動作ユニット2600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の本体部641のねじりバネ650との当接面が平坦面である場合を説明したが、第2実施形態における傾倒動作ユニット2600は、伝達部材2640の本体部2641が、ねじりバネ650の付勢腕部652の先端部に当接される突き当て部2641aを備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図58(a)、図58(b)及び図59は、第2実施形態における伝達部材2640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図58(a)、図58(b)及び図59では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示される。また、図58(a)では、伝達部材2640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図58(b)では、図58(a)の倒立状態から伝達部材2640が正面視反時計回りに所定量揺動され、ねじりバネ650の付勢腕部652の先端部に突き当て部2641aの下面が当接された状態が図示され、図59では、図58(b)の状態から更に伝達部材2640が正面視反時計回りに揺動された状態が図示される。
図58に示すように、伝達部材2640が倒立状態(図58(a)参照)から揺動されると、本体部2641がねじりバネ650の付勢腕部652に押し当てられ、本体部2641を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力を、ねじりバネ650が発生させる。伝達部材2640が揺動され付勢腕部652が変形されると、コイル部651は、変形を受けた側の付勢腕部652に連結される連結腕部653により縮径変形される。即ち、コイル部651が縮径される程、伝達部材2640を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力が増大される。
また、図58に示すように、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材2640との揺動角度の違いから、伝達部材2640の本体部2641と付勢腕部652との当接位置(付勢腕部652の先端位置)は、伝達部材2640の揺動により変化される。即ち、伝達部材2640が揺動される程、付勢腕部652の先端部は本体部2641の先端側(摺動孔643へ近接する側)へ移動される。
従って、図58(b)に示すように、突き当て部2641aの下面が付勢腕部642の先端部に当接される状態において、さらに伝達部材2640が正面視反時計回りに回転されると、付勢腕部642は付き当て部2641aに本体部2641の先端側への移動を規制される。
図59に示すように、付移腕部642が付き当て部2641aに移動を規制される状態で伝達部材2640が揺動されると、ねじりバネ650が全体として変形される。即ち、付勢腕部642が本体部2641の先端側への移動を規制される分、付勢腕部642の根本側(屈曲部653a側)が、下方へ移動される。これにより、コイル部651を縮径させる方向(ねじりバネ650の付勢力が増大する方向)へ連結腕部653が移動される。
即ち、付き当て部2641aの無い場合に比較して、伝達部材2640を図59の状態まで揺動させた場合のねじりバネ650の付勢力を増大させることができる。これにより、ねじりバネ650が発生させる付勢力の変化の度合い(伝達部材2640の揺動角度に対する付勢力の増加割合)を、図59に示す状態において図58に示す状態に比較して増大させることができる。従って、伝達部材2640の揺動角度が小さい場合には、ねじりバネ650の付勢力を抑制し、伝達部材2640の始動速度を高速化しながら、揺動角度が大きい場合(図59参照)には、ねじりバネ650の付勢力を非線形(弾性的な変化以上)に増大させ、伝達部材2640を倒立状態に復帰させるのに十分な付勢力を得ることができる。
<第3実施形態>
次いで、図60を参照して、第3実施形態における傾倒動作ユニット3600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の本体部641のねじりバネ650との当接面が一定幅である場合を説明したが、第3実施形態における傾倒動作ユニット3600は、伝達部材3640の本体部3641が、ねじりバネ650の先端部と当接される側面に、先端側へ近づくほど幅広となる態様で傾斜される傾斜側面3641aを備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図60(a)及び図60(b)は、第3実施形態における伝達部材3640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図60(a)及び図60(b)では、ベース部材610及び演出部材620の外形が想像線で図示される。また、図60(a)では、伝達部材3640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図60(b)では、図60(a)の倒立状態から伝達部材3640が正面視反時計回りに所定量揺動された状態が図示される。
図60に示すように、伝達部材3640が倒立状態(図60(a)参照)から揺動されると、本体部3641がねじりバネ650の付勢腕部652に押し当てられ、本体部3641を倒立状態に復帰させる方向へ揺動させる付勢力を、ねじりバネ650が発生させる。
図60(a)に示す状態から、図60(b)に示す状態に伝達部材3640が揺動されると、ねじりバネ650の付勢腕部652と伝達部材3640との揺動角度の違いから、伝達部材3640の本体部3641と付勢腕部652との当接位置(付勢腕部652の先端位置)は、伝達部材3640の揺動により変化される。即ち、伝達部材3640の倒立状態(図60(a)参照)からの揺動角度が大きくなる程、付勢腕部652の先端部は本体部3641の先端側(摺動孔643へ近接する側)へ移動される。
そのため、付勢腕部652の先端部は、本体部3641の傾斜側面3641aに沿って摺動する。即ち、ねじりバネ650には、伝達部材3640が揺動されると、その伝達部材3640の揺動角度により生じる変形に加え、傾斜側面3641aにより伝達部材3640の幅が拡大されることによる変形が生じる。この場合、伝達部材3640の先端部へ向かうほど伝達部材3640の幅はより拡大されるので、伝達部材3640の倒立状態(図60(a)参照)からの揺動角度が大きくなるほど、傾斜側面3641aにより伝達部材3640の幅が拡大されることによるねじりバネ650の変形が大きくなる。そのため、伝達部材3640の揺動角度が大きくなるに従って、ねじりバネ650が発生させる付勢力の増大割合(伝達部材3640の揺動角度に対するねじりバネ650の付勢力の変化)を大きくすることができる。
<第4実施形態>
次いで、図61から図64を参照して、第4実施形態における傾倒動作ユニット4600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の当接部644が固定される場合を説明したが、第4実施形態における傾倒動作ユニット4600は、伝達部材4640が、当接部644に加え、その当接部644よりも幅の短い移動当接部材4647を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図61(a)は、第4実施形態における伝達部材4640の背面斜視図であり、図61(b)は、移動当接部材4647の背面斜視図である。なお、図61(a)では、移動当接部材4647の図示が省略される。
図61(a)に示すように、伝達部材4640の正面円弧板部4645は、当接部644の配設間隔よりも短い間隔で左右対称に配置され前後方向に穿設される案内孔4645aを備える。案内孔4645aは、移動当接部材4647の一対の背面突起部4647bを前後方向に移動可能に案内する貫通孔である。
図61(b)に示すように、移動当接部材4647は、長尺の板状に形成される本体部4647aと、その本体部4647aの両端部から背面側に突設される一対の背面突起部4647bと、本体部4647の略中央から正面側に先端半球状に突設される正面突起部4647cと、を主に備える。
なお、本体部4647aの正面突起部4647cの反対側にコイルスプリング4648の一方の端部が固着され、そのコイルスプリング4648の他方の端部が本体部641bに固着される(図62(c)及び図62(d)参照)。また、理解を容易とするため、図61(a)、図61(b)、図62(a)及び図62(b)ではコイルスプリング4648の図示を省略する。
背面突起部4647bは、伝達部材4640の案内孔4645aに正面側から挿通される部分であり、その挿通時に正面円弧板部4645から十分な長さ(ねじりバネ650の付勢腕部652と当接可能な長さ)が突き出される態様で形成される。なお、背面突起部4647bは、ねじりバネ650の付勢腕部652と面(線)で当接(図64(b)参照)する角度に傾斜して形成される。これにより、付勢腕部652と背面突起部4647bが点で当接される場合に比較して付勢腕部652に加えられる負荷が軽減され(応力集中が抑制され)、付勢腕部652の耐久性を向上させることができる。
正面突起部4647cは、演出部材4620の本体部材4621(図63参照)に当接される部分であって、本体部材4621に形成される逃げ開口部4621aとの関係から、移動当接部材4647が正面円弧板部4645から離反されたり(図62(c)参照)、移動当接部材4647が正面円弧板部4645に近接されたりする(図62(d)参照)。なお、正面突起部4647cの先端が半球状に形成されるため、逃げ開口部4621aから本体部材4621の表面上に正面突起部4647cを乗り上げさせやすくすることができる。
図62(a)及び図62(b)は、伝達部材4640の背面斜視図であり、図62(c)及び図62(d)は、伝達部材4640の上面図である。なお、図62(a)及び図62(c)では、移動当接部材4647が正面円弧板部4645から離反された状態が、図62(b)及び図62(d)では、移動当接部材4647が正面円弧板部4645に近接された状態が、それぞれ図示される。
図63は、演出部材4620の本体部材4621を模式的に図示した正面模式図である。なお、本体部材4621に対して倒立状態を形成する伝達部材4640が中心状態4640Cとして、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動された状態が反時計揺動状態4640Lとして、伝達部材4640が正面視時計回りに揺動された状態が時計揺動状態4640Rとして、それぞれ想像線で図示される。また、中心状態4640C、反時計揺動状態4640L及び時計揺動状態4640Rにおいて、理解を容易とするために、当接部644、正面円弧板部4645及び背面円弧板部646の図示が省略される。
本体部材4621は、前後方向に穿設される逃げ開口部4621aを備える。図63に示すように、逃げ開口部4621aは、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動される場合に正面突起部4647c(図62参照)が移動する領域(中心状態4640Cと反時計揺動状態4640Lとの間)で形成される。
伝達部材4640の正面突起部4647cが逃げ開口部4621aと正面視で重なる場合は、正面突起部4647cが逃げ開口部4621aに挿通され、移動当接部材4647がコイルスプリング4648の弾性力により伝達部材4640の本体部641から離反される(図62(c)参照)。一方、正面突起部4647cが逃げ開口部4621aと重ならない(本体部材4621と重なる)場合は、正面突起部4647cが演出部材4620の本体部材4621の背面側の側面に当接され、移動当接部材4647が伝達部材4640の本体部641に近接される(図62(d)参照)。
即ち、移動当接部材4647の背面突起部4647bは、伝達部材4640が倒立状態から正面視時計回りに揺動される場合にねじりバネ650の付勢腕部652と当接可能な位置まで張り出される。よって、伝達部材4640が倒立状態から正面視時計回りに揺動される場合の方が、正面視反時計回りに揺動される場合に比較して、ねじりバネ650の付勢腕部652が発生する付勢力の増大割合(揺動角度に対する付勢力の上昇の度合い)を上昇させることができる。
図64(a)及び図64(b)は、伝達部材4640及びねじりバネ650の正面図である。なお、図64(a)及び図64(b)では、ベース部材610及び演出部材4620の外形が想像線で図示されると共に、理解を容易とするために移動当接部材4647の本体部4647aの図示が省略される。また、図64(a)では、伝達部材4640の摺動孔643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図64(b)では、図64(a)の倒立状態から伝達部材4640が正面視時計回りに所定量揺動され正面視左側の付勢腕部652が背面突起部4647bに当接された状態が図示される。
図64(b)に示すように、伝達部材4640の揺動角度が小さいうちに、付勢腕部652に伝達部材4640の本体部641の反対側(当接部644側)から当接可能とすることで、伝達部材4640が正面視時計回りに回転される場合にねじりバネ650が生じる付勢力を増大させることができる。
これにより、伝達部材4640が正面視反時計回りに揺動される場合の始動速度を高速化させたまま、伝達部材4640が正面視時計回りに揺動される場合の付勢力の向上を図ることができる。従って、演出部材4620が、背面ケース210の内側面に衝突することを抑制することができる。
即ち、傾倒動作ユニット4600が退避位置に配置される状態において、演出部材4620が倒立状態とされると、背面ケース210の内側面は演出部材620と近接される(図5参照)。ここで、演出部材4620が、正面視反時計回りに揺動された状態(図57参照)から、倒立状態へむけて勢いよく揺動されると、演出部材4620を減速しきれず、背面ケース210の内側面に演出部材4620が衝突される恐れがある。
これに対し、本実施形態では、演出部材4620が倒立状態から正面視時計回りに揺動されるタイミングで背面突起部4647bが突き出され(図62(d)参照)、ねじりバネ650の付勢力を増大させることができる。これにより、演出部材4620が倒立状態から正面視反時計回りに傾倒する場合の動作速度を高速に維持したまま、演出部材4620が倒立状態から正面視時計回りに傾倒する場合に演出部材4620を十分に減速させることができる。
また、伝達部材4640の揺動方向の反対側に配設される背面突起部4647bと付勢腕部652との当接点で背面突起部4647bを押し戻す方向(図64(b)正面視反時計回り)に付勢力が生じる。これにより、伝達部材4640に近接される側(図64(b)右側)に配置される付勢腕部652のみで伝達部材4640を押し戻す場合に比較して、より大きな付勢力で伝達部材4640を押し戻すことができる。一方で、伝達部材4640に近接される側に配置される付勢腕部652が発生させる付勢力の向上も図ることができる。
即ち、図64に示すように、伝達部材4640に近接される側の反対側に配置される当接部644と付勢腕部652とが当接される位置から下受け板部614aまでの距離に比較して、その下受け板部614aから屈曲部653aまでの距離は短い。この場合、下受け板部614を支点として、当接部644からの力で屈曲部653aを移動させることは容易であるが、その逆は困難である(支点から作用点までの距離に差があるため)。
そのため、当接部644と付勢腕部652とが当接されることで生じる正面視左側の付勢腕部652の変形によって生じる付勢力は、ねじりバネ650全体の変形で生じる。即ち、正面視左側の付勢腕部652と背面突起部4647bとが当接されることで下受け板部641aを支点に正面視左側の屈曲部653aが正面視左方(コイル部651の内径を狭める方向)に移動される変形は、連結腕部653、コイル部651及び正面視右方の付勢腕部652の変形を生じさせる。この場合、コイル部651が内径を縮小される変形を受けるため、コイル部651及び連結腕部653にはコイル部651の内径を大きくする側への付勢力が生じ、正面視右方(伝達部材4640の揺動方向側)の付勢腕部652が伝達部材640を押し返す付勢力を向上させることができる。
<第5実施形態>
次いで、図65から図68を参照して、第5実施形態における複合動作ユニット5500について説明する。
第1実施形態では、回動アーム部材550が張出位置に配置された場合に、第2非伝達壁部553cが回動クランク部材570の回転軸を中心とした円に沿った形状となる場合を説明したが、第5実施形態における回動アーム部材5550は、非伝達壁部5553cが、回動クランク部材570から離反する方向へ凹設される凹設部5556を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図65から図68は、第5実施形態における複合動作ユニット5500の正面図である。なお、図65では、回動アーム部材5550が張出位置に配置され回動クランク部材570の摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端部付近に配置された状態が、図66では、図65の状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556に収容された状態が、図67では、図66の状態から摺動突起部574が凹設部5556から外れる位置まで回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転された状態が、図68では、図67の状態から回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から二つ面の凹設部5556に収容された状態が、それぞれ図示される。
図65から図68に示すように、複合動作ユニット5550の第2非伝達壁部5553cは、回動クランク部材570から離反する方向へ凹設される凹設部5556を備える。
凹設部5556は、正面視左側に形成される円弧形状(円形状の約1/4)の第1壁部5556aと、正面視右側に形成される円弧形状(円形状の約1/4)の第2壁部5556bと、を主に備え、回動クランク部材570の摺動突起部574の摺動を可能にする形状とされる。即ち、凹設部5556の第2非伝達壁部5553cからの凹設深さは摺動突起部574の半径以下とされ、凹設部5556及び第2非伝達壁部5553cの連結部は滑らかな曲面から形成される。
図65に示す状態から回動クランク部材570が図66に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574と第2非伝達壁部5553cとの間に隙間が生じ、回動アーム部材5550が、ねじりバネ517aの生じる付勢力により摺動突起部574と当接されるまで揺動される。この場合、回動クランク部材570が回転されるに従って、第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556の第1壁部5556aが摺動突起部574に摺動されながら回動アーム部材5550が揺動される。
即ち、図65に示す状態から図66に示す状態までの間は、回動アーム部材5550がねじりバネ517aの付勢力により揺動されているに過ぎず、第2駆動装置560の駆動力で回動アーム部材5550が揺動されるわけではない。そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は非伝達状態を形成する。
図66に示す状態から回動クランク部材570が図67に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574が第2非伝達壁部5553cの左端から一つ目の凹設部5556の第2壁部5556bに押し当てられ、回動アーム部材5550が再び張出位置まで揺動される(押し下げられる)。即ち、図66に示す状態から図67に示す状態までの間は、第2壁部5556bが摺動突起部574に押進され移動されることにより回動アーム部材5550が揺動されるので、回動クランク部材570を介して第2駆動装置560の駆動力が回動アーム部材5550に伝達される。
そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は伝達状態を形成する。
図67に示す状態から回動クランク部材570が図68に示す状態まで正面視反時計回りに回転されると、摺動突起部574と第2非伝達壁部5553cとの間に隙間が生じ、回動アーム部材5550が、ねじりバネ517aの生じる付勢力により摺動突起部574と当接されるまで揺動される。この場合、回動クランク部材570が回転されるに従って、第2非伝達壁部5553cの左端から二つ目の凹設部5556の第1壁部5556aが摺動突起部574に摺動されながら回動アーム部材5550が揺動される。
即ち、図67に示す状態から図68に示す状態までの間は、回動アーム部材5550がねじりバネ517aの付勢力により揺動されているに過ぎず、第2駆動装置560の駆動力で回動アーム部材5550が揺動されるわけではない。そのため、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転され、回動クランク部材570の摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合において、回動アーム部材5550及び回動クランク部材570は非伝達状態を形成する。
図65から図68に図示されるように、回動クランク部材570が正面視反時計回りに回転される状態において、摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で非伝達状態が形成され、摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で伝達状態が形成される。
なお、回動クランク部材570の回転方向が逆転すれば、第1壁部5556aと第2壁部5556bとの関係は逆転する。即ち、回動クランク部材570が正面視時計回りに回転される場合には、摺動突起部574が第1壁部5556aと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で伝達状態が形成され、摺動突起部574が第2壁部5556bと対向配置される場合には回動クランク部材570と回動アーム部材5550との間で非伝達状態が形成される。
図65から図68に図示されるように、本実施形態では、回動クランク部材570の揺動方向を切り替えることなく、回動アーム部材5550が退避位置(図22参照)と張出位置との間を揺動される揺動動作に加え、回動アーム部材5550が張出位置付近で幅の小さな態様(前板部材546の下端が位置U1と位置U2との間で移動される態様)で揺動される揺動動作を形成することができる。
これにより、駆動装置560の駆動方向を切り替えることでは形成困難な揺動動作を回動アーム部材5550に生じさせることができる。すなわち、回動アーム部材5550に張出位置付近で幅の小さな揺動動作を行わせることは、駆動装置560の駆動方向を短い間隔で繰り返し切り替えることでも形成可能である。しかし、この場合、揺動動作の幅は、駆動装置560の駆動方向の切り替え速度に依存する。また、回動アーム部材5550の揺動動作の速度が大きな状態で駆動装置560の駆動方向を切り替えたとしても、駆動装置560及び回動アーム部材5550の慣性が大きく瞬時に駆動方向を切り替えられず、駆動方向の切り替えに要する時間が長くなる恐れがあった。
これに対し、本実施形態における回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動動作では、回動クランク部材570の回転方向を切り替える必要がないので、駆動方向の切り替えに要する時間を不要とすることができる。
また、回動アーム部材5550が正面視時計回りに揺動される動作(上向きの揺動動作)の動作速度は、ねじりバネ517aが生じる付勢力に依存し、回動アーム部材5550が正面視反時計回りに揺動される動作(下向きの揺動動作)の動作速度は、回動クランク部材570の回転速度に依存する。そのため、ねじりバネ517aの付勢力を増大させ、回動クランク部材570の回転速度を高速化することにより、回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動速度を高速化することができる。
これにより、回動アーム部材5550の張出位置付近での揺動動作の高速化と、揺動方向の切り替え時間の短縮と、を両立させることができる。
<第6実施形態>
次いで、図69から図71を参照して、第6実施形態における複合動作ユニット6500について説明する。
第1実施形態では、複合動作ユニット500の回動アーム部材550が一体成型される場合を説明したが、第6実施形態における回動アーム部材6550は、二部材が連結されることで形成される。その二部材が相対的に揺動されることで、他方の端部に形成される円弧状孔554の姿勢が変化される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図69(a)及び図69(c)は、第6実施形態における回動アーム部材6550の部分正面図であり、図69(b)は、図69(a)の矢印LXIXb方向視における回動アーム部材6550の部分上面図である。なお、図69(a)では、先端揺動部材6556の先端が上方へ向けられる第1姿勢が形成される状態が図示され、図69(b)では、先端揺動部材6556の先端が下方へ向けられる第2姿勢が形成される状態が図示される。
図69(a)に示すように、回動アーム部材6550は、第3軸部517(図71参照)に軸支される本体部6551と、その本体部6551の他方の端部に連結される先端揺動部材6556と、本体部6551の他方の端部の上面に固定され先端揺動部材6556の姿勢を切り替える切替装置6590と、を主に備える。なお、先端揺動部材6556に円弧状孔6554が形成される。
本体部6551は、他方の端部に前後方向に穿設され先端揺動部材6556の揺動中心となる軸支孔6551aを備える。
先端揺動部材6556は、本体部6551と連結される側の端部が本体部6551を前後で挟む態様で形成され、先端揺動部材6556の揺動中心として穿設される軸支孔6556aと、その軸支孔6556a及び先端揺動部材6556の軸支孔6551aに挿通される棒材である軸支棒6556bと、軸支孔6556aから円弧状孔6554の反対側へ延設される延設部の端部から前後方向に突設され切替装置6590の案内長孔6591dに連結される摺動軸6556cと、を主に備える。
円弧状孔6554は、上側の内側面に突設される返し部6554aを備える。返し部6554aは、伸縮演出部材6540の突起部541bに摺動される部分であって、円弧状孔6554の先端側から摺動される場合には抵抗が抑制される一方で、反対方向で摺動される場合には摺動抵抗が増大される左右非対称形状の突部である。
図70(a)及び図70(b)は、切替装置6590の正面斜視図である。なお、図70(a)では、C字状部材6591がスイッチ部材6592から押し上げられる押し上げ状態が図示され、図70(b)では、C字状部材6591がスイッチ部材6592に対して押し下げられる押し下げ状態が図示される。また、押し上げ状態が、図69(c)の状態に対応し、押し下げ状態が、図69(a)の状態に対応する。
C字状部材6591は、中央に移動円柱部6592aが挿通可能な内径の孔が穿設される長尺板状の本体部6591aと、その本体部6591aに穿設される孔の内径と同じ内径の筒状に突設され内周面に溝加工が形成される筒状案内部6591bと、本体部6591aの長尺方向の両端部から下方へ延設され本体部6551の前後方向に対向配置される一対の腕部6591cと、その腕部6591cの先端側に穿設され先端揺動部材6556の摺動軸6556cが案内される長孔である案内長孔6591dと、を主に備える。
筒状案内部6591bの内周面に形成される溝加工は、スイッチ部材6592の移動円柱部6592aとの関係でノック機構を形成するための溝加工である。C字状部材6591は、この溝加工により、スイッチ部材6592に押し付けられる方向に押進されるたびに押し上げ状態と押し下げ状態とが切り替えられる。なお、ノック機構を形成するために必要な付勢力を形成するバネ部材等の他の部材の図示は省略され、本実施形態では、筒状案内部6591bが伸縮演出装置6540の押し込み部6541a(図71参照)に押進される。
スイッチ部材6592は、筒状案内部6591aに挿通され筒状案内部6591aの内周面の溝を移動可能な突起が外周面から突設される移動円柱部6592aと、その移動円柱部6592aが軸回転可能に連結され回動アーム部材6550の本体部6551の上面に固定される固定板部6592bと、を主に備える。
ここで、ノック機構では、筒状部材と、その筒状部材の内周側を案内される円柱部材とが相対回転しながら、軸方向の互いの相対位置が切り替えられる。即ち、筒状部材と円柱部材とが相対回転しない場合、軸方向の相対位置を切り替えることが困難となる。
これに対し、スイッチ部材6592の移動円柱部6592aは、固定板部6592bに対して軸回転可能に連結される。そのため、C字状部材6591がスイッチ部材6592に近接する方向へ移動されるとき(図70(a)下方へ押し下げられるとき)、筒状案内部6591bに対して移動円柱部6592aが相対回転可能とされ、ノック機構が機能する。
そのため、回動アーム部材6550の本体部6551に固定される固定板部6592bと、C字状部材6591とを相対回転させることなく押し上げ状態と押し下げ状態とを切り替えることができる。従って、先端揺動部材6556の摺動軸6556cがC字状部材6591の案内長穴6591dに挿通された状態を維持したまま、切替装置6590の状態を、押し上げ状態と押し下げ状態とで切り替えることができる。
図71(a)及び図71(b)は、複合動作ユニット6500の正面図である。図71(a)では、回動アーム部材6550が張出位置に配置され切替装置6590が押し上げ状態とされる状態が図示され、図K4では、回動アーム部材6550が張出位置に配置され切替装置6590が押し下げ状態とされる状態が図示される。なお、図71(a)及び図71(b)において、伸縮演出装置6540は、揺動可能範囲の左端まで揺動された位置に配置される。
図71(a)及び図71(b)に示すように、回動アーム部材6550が張出位置に配置された状態において、切替装置6590の状態を切り替えることで、伸縮演出装置540の正面視時計回りの最大揺動角度を切り替えることができる。
即ち、切替装置6590が押し上げ状態を形成する場合(図71(a)参照)は、円弧状孔6554の上側の内側面に伸縮演出部材6540の突起部541bが当接され、伸縮演出装置6540の揺動角度が制限される。
この位置において円弧状孔6554の内側面および返し部6554aがストッパとして機能し、伸縮演出装置6540の揺動速度が高速な場合でも、図71(a)に図示される配置で伸縮演出装置6540を急停止させることができる(突起部541bの移動軌跡RIが返し部6554aに当接される)。
これに対し、切替装置6590が押し下げ状態を形成する場合(図71(b)参照)は、伸縮演出装置6540の突起部541bは円弧状孔6554及び返し部6554aには衝突されない(突起部541bの移動軌跡RIが返し部6554aに当接されない)。そのため、円弧状孔6554に沿って伸縮演出装置6540の突起部541bが移動され、その突起部541bは円弧状孔6554の口先部554aから外側へ放出される。
そのため、回転板520が第2ストッパ部518bに当接されるまで伸縮演出装置6540は正面視時計回りに揺動される(図71(b)参照)。この位置において第2ストッパ部518bがストッパとして機能し、伸縮演出装置6540の揺動速度が高速な場合でも、伸縮演出装置540を急停止させることができる。
これにより、伸縮演出装置6540を正面視時計回りに揺動させ、伸縮演出装置6540を急停止させる演出をさせる場合の揺動角度を複数(本実施形態では2種類)形成することができ、演出のバリエーションを増加させることができる。なお、切替装置6590の状態の切り替えは、伸縮演出部材6540が正面視反時計回りに揺動されることで、切替装置6590の筒状案内部6591bが、本体部材6541aの正面視右上部から右方へ延設される押し込み部6541aによって押進されることで生じる。そのため、先端揺動部材6556を揺動させる駆動装置として、伸縮演出部材6540の揺動を生じさせる第2駆動装置560が兼用されるので、駆動装置の配設個数を削減することができる。
また、図71(a)及び図71(b)では、先端揺動部材6556が僅かに揺動されることで伸縮演出装置6540の揺動範囲を変化させることができる。この場合、揺動角度が僅かなので、遊技者にとってその変化を気付きにくくさせることができる。
ここで、回動アーム部材6550を遊技者が視認可能な状態である場合に(図71参照)、回動アーム部材6550の状態の変化から伸縮演出装置6540の揺動角度が把握できるとすると、伸縮演出装置6540の動作への期待感が薄れ、伸縮演出装置6540の注目度が低下される。
これに対し、本実施形態では、伸縮演出装置6540の揺動角度を変化させるために先端揺動部材6556が揺動される角度が小さく、その変化に遊技者が気付くことを困難とすることができる。これにより、伸縮演出装置6540の動作への期待感を高めることができ、伸縮演出装置6540の注目度を向上させることができる。
<第7実施形態>
次いで、図72を参照して、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600について説明する。
第1実施形態では、伝達部材640の端部に長孔形状の摺動孔643が形成され、その摺動孔643に演出部材620が案内可能に支持される場合を説明したが、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600は、伝達部材7600の端部に軸支孔7643が形成され、その軸支孔7643に演出部材620が軸支される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図72(a)及び図72(b)は、第7実施形態における傾倒動作ユニット7600の正面図である。図72(a)では、伝達部材7640の軸支孔7643が筒状部642の鉛直上方に配置される倒立状態が図示され、図72(b)では、図72(b)では、倒立状態から伝達部材7640が反時計回りに所定角度揺動された状態が図示される。なお、図72(a)及び図72(b)では、理解を容易にするために、演出部材620の外形が想像線で図示され、その背面側の伝達部材7640及びベース部材7610が視認可能とされると共にねじりバネ650及び軸支突部612の図示が省略される。
図72(a)に図示されるように、ベース部材7610は、本体部611の第2軸支孔614の鉛直下方に、前後方向に穿設される摺動孔7613を備える。摺動孔7613は、演出部材620の揺動軸部626が挿通される長孔であって、その長孔の長手方向が上下方向に沿って形成される。揺動軸部626は摺動孔7613にスライド移動可能に支持される。
伝達部材7640は、本体部641の筒状部642が形成される端部の反対側の端部に軸支孔7643が穿設される。軸支孔7643は、演出部材620の摺動軸部621aを揺動可能に軸支する部分であり、摺動軸部621aの直径より若干大きな内径で穿設される。
演出部材620の揺動動作は、第1駆動装置630(図51参照)の駆動モータ631の回転により伝達部材7640が第2軸支孔614を中心に揺動することにより生じる。
本実施形態では、摺動軸部621aは軸支孔7643に軸支されるので、伝達部材7640が揺動すると、演出部材620の摺動軸部621aが、伝達部材7640の揺動軌跡に沿って移動する(摺動軸部621aが本体部641の長手方向に移動することは無い)。一方で、揺動軸部626は摺動孔7613に挿通されているので、伝達部材7640が揺動すると、揺動軸部626はベース部材7610に対して相対的にスライド移動する。
ここで、伝達部材7640の揺動角度と、演出部材620の揺動角度の違いについて説明する。図72(b)に示すように、伝達部材7640が倒立状態から伝達揺動角度φ71だけ揺動する場合、演出部材620が演出揺動角度φ72だけ揺動する(演出揺動角度φ72<伝達揺動角度φ71)。そのため、駆動モータ631の分解能の最小単位で伝達部材7640を揺動させる場合に演出部材620の揺動角度を伝達部材7640の揺動角度よりも小さくすることができる。これにより、演出部材620の揺動角度の調整の精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、伝達部材7640が倒立状態から伝達揺動角度φ71だけ揺動する場合の演出部材620の揺動角度を、第1実施形態の場合に比較して小さくすることができることを説明する。
図72(b)に図示される連結線J1は、摺動軸部621aから揺動軸部626まで引かれた線である。仮想連結線J2は、連結線J1と等しい長さとされ、筒状部642を通り本体部641の長手方向に引かれた線から摺動孔7613の上部に揺動軸部626が配置された場合(図72(a)参照)の揺動軸部626の中心まで引かれた線である。なお、仮想連結線J2の揺動角度である仮想角度φ73は、第1実施形態の第1軸支孔613が、摺動孔7613の上部に形成されるとした場合に、第1実施形態の伝達部材640が伝達揺動角度φ71だけ揺動することに伴い揺動される演出部材620の揺動角度に対応する。
図72(b)に示すように、演出揺動角度φ72は、仮想角度φ73よりも小さくされ、第7実施形態の傾倒動作ユニット7600によれば、伝達部材7640を所定角度揺動させる場合の演出部材620の揺動角度を、第1実施形態の場合に比較して小さくすることができる。従って、駆動モータ631(図51参照)の分解能の最小単位で伝達部材7640を揺動させる場合に演出部材620の揺動量をそれよりも小さくすることができ、演出部材620の揺動角度の調整の精度を向上させることができる。
<第1制御例>
次いで、上述した各実施形態における制御例について、図73から図134を参照して説明する。本第1制御例では、第1実施形態で説明したパチンコ機10で実行される制御処理(表示演出等の遊技の制御に関わる処理)について説明する。本制御例では、電源投入時に用いられる表示画像を通常演出時などに補正して用いるように制御している。これにより、電源投入時と通常演出時とで共通の表示画像を利用できるため、表示制御装置114におけるキャラクタROM234(図79参照)の容量を節約することができる。
本制御例では、特定の役物(伸縮演出装置540(図9参照)や傾倒動作ユニット600(図9参照))が可動する演出において、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される演出の内容を補正するように制御している。これにより、特定の役物が可動する演出において、例えば、第3図柄表示装置81が視認困難となる場合に、第3図柄表示装置81にて表示していた表示内容をサブ表示装置690に表示することで、遊技者に対して表示内容を視認しやすい遊技機とすることができる。
本制御例では、上下動作ユニット(落下役物)400に付随する扉部材470を開放するために慣性力を用いるようにしている。具体的には後述するが、上下動作ユニット400に付随する扉部材470が可動した後に、扉部材470の開放状態が形成される演出において、扉部材470を閉状態に維持している開閉用駆動モータ466を励磁しないよう制御(通電停止制御)している。そして、上下動作ユニット(落下役物)400に付随する扉部材470が落下方向へ可動され終わると、扉部材470へ発生する慣性力により扉部材470が開放される。このように、開閉用駆動モータ466を駆動せずとも扉部材470を開放することができるので、消費電力を低減することができる。
本制御例では、変動表示において当該変動表示が大当たりとなる期待度を示唆する予告演出が表示される。この予告演出には、上述した遊技状態を示唆する特定時間演出と同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が含まれている。具体的には、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が表示された後に大当たりとなる期待度を示す画像(女の子の画像など)が表示される演出であるカウントダウン予告演出が含まれている。このような同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である、遊技状態を示唆する特定時間演出(カウントダウン演出)と、大当たりとなる期待度を示唆する予告演出の一演出であるカウントダウン予告演出とが重複して実行されると、遊技者が困惑してしまう虞がある。
そこで、本制御例では、大当たりとなる期待度を示唆する予告演出としてカウントダウン予告演出が実行(表示)される場合には、そのカウントダウン予告演出が実行される変動表示が終了するまで、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように制限(回避)している。これにより、時間演出期間において、カウントダウン予告演出が実行される場合には、カウントダウン予告演出と同種の表示態様(カウントダウン)を含む特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように、演出の実行(表示)を制限(回避)することができる。その結果、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることで、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
本制御例では、入賞口への入球に基づいて表示される入球演出を第3図柄表示領域の第1領域81aから第4領域81dまでの各領域に順に表示するようにしている。これにより、入賞口へ遊技球が入球する間隔が短い場合においても、当該入球演出を表示する期間を長くすることができ、遊技者に対して入球演出を視認しやすい遊技機とすることができる。
なお、本制御例は第1実施形態で説明したパチンコ機10に限られず、上述した各実施形態のいずれかのパチンコ機10で実行するようにしてもよいし、上述した各実施形態を組み合わせたパチンコ機10で実行するようにしてもよい。
<第1制御例におけるパチンコ機10の電気的構成>
まず、図73から図76を参照し、主制御装置110に設けられているRAM203について説明する。主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。
ここで、図73を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図92参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図102参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203のカウンタ用バッファ203yに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1~第4エリア)とからなる特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとがそれぞれ設けられており、これらの各エリアには、第1入賞口64と第2入賞口640とへの入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1~第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203cが設けられており、これらの各エリアには、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0~399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0~399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0~399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0~399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図92参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図102参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブル202aは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられる。即ち、第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)は、低確率時用の第1当たり乱数テーブルと、高確率時用の第1当たり乱数テーブルとで構成され、それぞれのテーブルに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なっている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。なお、特別図柄の低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aと、特別図柄の高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aとは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0~99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0~99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
ここで、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0~399の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は1個あり、その乱数値である「0」は、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が1なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/400」となる。
また、本実施形態では、特別図柄の外れの一種として、特別図柄の大当たりではないが、特定入賞口(大開放口)65aが開放される外れ種別(小当たり)が設けられている。この小当たりになると、特定入賞口(大開放口)65aが所定時間(0.2秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放された後、閉鎖される開閉動作が2回繰り返される。即ち、大当たりC(2R確変時短無大当たり)になった場合と同一の開閉動作が行われる。特別図柄の低確率時において、小当たりとなる乱数値(判定値)として、「10,11」の2個が第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に規定されている。乱数値の総数が400ある中で、小当たりとなる乱数値の総数は2であるので、第1特別図柄の小当たりとなる確率は「2/400」となる。
なお、小当たりは外れの一種であるため、小当たりとなった前後で遊技状態が変更されることはない。例えば、特別図柄の確変状態中に小当たりとなった場合は、小当たりの終了後も特別図柄の確変状態が継続するし、通常状態(特別図柄の低確率状態、且つ、普通図柄の通常状態)において小当たりとなった場合は、小当たりの終了後も通常状態が継続する。この小当たりは、上述した通り、特定入賞口65aの開閉動作が2R確変時短無大当たりになった場合と同一であるため、通常状態において小当たりとなり、特定入賞口(大開放口)65aの開閉動作を視認した遊技者に対して、2R確変時短無大当たりとなったことを期待させることができる。よって、通常状態において小当たりとなる度に、通常状態よりも有利な特別図柄の確変状態へと移行したことを期待させることができるので、通常状態における遊技が単調となってしまうことを防止(抑制)することができる。また、特別図柄の大当たりとならなくても、外れの一部(小当たり)で特定入賞口65aの開閉動作を実行するように構成することで、遊技者が賞球を獲得する機会を増加させることができる。よって、通常状態等において遊技者の持ち球が減りすぎてしまい、遊技者に対して過剰に不利となってしまうことを防止(抑制)することができる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は10個あり、その値である「0~9」は、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が10なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/40」となる。また、小当たりとなる乱数値(判定値)として、「10」のみが第1当たり乱数テーブル202a(図75(a)参照)に規定されている。乱数値の総数が400ある中で、小当たりとなる乱数値の総数は1であるので、小当たりとなる確率は「1/400」となる。
なお、特別図柄の高確率時に小当たりとなる確率が、特別図柄の低確率時よりも低くなるように構成しているのは、特別図柄の高確率時においては、ラウンド数が多く、且つ、特定入賞口65aの開放期間が長い大当たり(30秒が経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで開放される動作が16回繰り返される16R大当たり)となり、多量の賞球を獲得することを期待して遊技を行うため、小当たりとなっても煩わしいだけだからである。つまり、通常状態では、小当たりとなることで2R確変時短無大当たりになったかもしれない(特定入賞口65aの開閉動作後に有利な確変状態に移行するかもしれない)という期待感を抱かせることができるが、既に確変状態となった状態では、小当たりであろうと、2R確変時短無大当たりであろうと、賞球をほとんど得られず、単に現状(確変状態)が維持されるに過ぎないからである。よって、本実施形態では、特別図柄の高確率状態において小当たりとなる確率が低くなるように構成している。これにより、特別図柄の高確率状態における遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0~99の範囲のループカウンタとして構成されており、この第1当たり種別カウンタC2の値と、ROM202内に設けられている第1当たり種別選択テーブル202b(図75(b)参照)とに基づいて大当たり種別が決定される。具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値が、「0~39」である場合には大当たりA(16R確変大当たり)が選択され、「40~79」である場合には大当たりB(16R時短大当たり)が選択され、「80~99」である場合には大当たりC(2R確変有時短無大当たり)が選択される。
本実施形態では、第1当たり種別選択テーブル202b(図75(b)参照)に設定されている大当たり種別は、大当たりA、大当たりB、大当たりCの3種類としたが、それに限らず、4種類以上の大当たり種別が選択されるように構成してもよいし、2種類以下、例えば、1種類の大当たり種別のみが選択されるようにしてもよい。また、特別図柄1の大当たりと、特別図柄2の大当たりとでそれぞれ選択される大当たり種別の種類や、割合が異なるように設定してもよい。
停止種別選択カウンタC3は、例えば0~99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。本実施形態では、停止種別選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される外れ時の停止種別が選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄以外で停止する「外れリーチ」(例えば90~99の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば0~89の範囲)との2つの停止(演出)パターンが選択される。停止種別選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
尚、停止種別選択カウンタC3の値(乱数値)から、特別図柄の停止種別を決定するための乱数値は、停止種別選択テーブル(図示せず)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。また、本実施形態ではこのテーブルを、特別図柄の高確率時用と、特別図柄の低確率時用とに分けており、テーブルに応じて、外れの停止種別ごとに設定される乱数値の範囲を変えている。これは、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態であるか、特別図柄の低確率状態であるか等に応じて、停止種別の選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0~89と広い高確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。また、低確率状態であれば、第1入賞口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0~79と狭い低確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。
変動種別カウンタCS1は、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図102参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターンテーブル(図76参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
ここで、図76を参照して変動パターンテーブル202dについて説明する。この変動パターンテーブル202dは、図76(a)に示すように、大当たり用変動パターンテーブル202d1(図76(b)参照)と、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2(図76(c)参照)と、外れ用(確変)変動パターンテーブル202d3(図76(d)参照)とが少なくとも設定されている。なお、図示は省略したが、このほかにも、時短遊技状態における変動パターンテーブル等が設定されている。
まず、図76(b)を参照して、大当たり用変動パターンテーブル202d1について説明する。図76(b)は、この大当たり用変動パターンテーブル202d1の内容を模式的に示した模式図である。大当たり用変動パターンテーブル202d1は、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。大当たりの変動パターンとしては、ノーマルリーチ各種(30秒)、スーパーリーチ各種(60秒)、スペシャルリーチ(90秒)がそれぞれ設定されている。各変動パターンに対して、それぞれ変動種別カウンタCS1の値が判定値として設定されている。
具体的には、ノーマルリーチ各種(30秒)の変動パターンについては、「0~50」が、スーパーリーチ各種(60秒)の変動パターンについては、「51~179」が、スペシャルリーチ各種(90秒)の変動パターンについては、「180~198」がそれぞれ変動種別カウンタCS1の判定値として設定される。主制御装置110のMPU201は、特別図柄の抽選結果が大当たりとなる場合の変動パターンを選択する時には、取得している変動種別カウンタCS1の値に対応する判定値が設定されている変動パターンを大当たり用変動パターンテーブル202d1より選択する。
図76(c)は、外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2の内容を模式的に示した模式図である。外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2は、特別図柄の抽選結果が外れである場合に、選択される変動パターンの種別(変動時間)が設定されたデータテーブルである。特別図柄の抽選結果が外れである場合には、上述したように、図示しない停止種別選択テーブルより停止種別が完全外れ(非リーチ)であるか、リーチ外れ(リーチ共通)であるかが停止種別選択カウンタC3の値によって決定される。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0~79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80~99」の範囲にあれば外れリーチを設定する。
ここで、変動パターン種別が、完全外れである場合には、変動時間の比較的に短い短外れ(7秒)と変動時間の長い長外れ(10秒)が設定されている。短外れ(7秒)に対しては、「0~98」が、長外れ(10秒)に対しては、「99~198」が変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
また、外れリーチに対しては、外れのノーマルリーチ各種(30秒)に対して「0~149」が、外れのスーパーリーチ各種(60秒)に対して「150~197」が、外れのスペシャルリーチ各種(90秒)に対して「198」が、変動種別カウンタCS1の判定値として設定されている。
このように、主制御装置110のMPU201は、通常遊技状態時に特別図柄の抽選結果が外れである場合には、停止種別が決定され、外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2より取得している変動種別選択カウンタCS1の値に基づいて、外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2より変動パターンを選択する。
図76(d)は、外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3の内容を模式的に示した模式図である。この外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3は、遊技状態が確変遊技状態である場合に、外れとなる特別図柄の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。この外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3では、設定されている変動種別選択カウンタCS1の値が、上述した外れ用(通常)変動パターン選択テーブル202d2とは異なる点で相違する。
なお、上述したように、遊技状態が確変遊技状態である場合には、図示しない停止種別選択テーブルにより停止種別選択カウンタC3の値が「0~89」の範囲にあれば、完全外れが決定され、「90~99」の範囲にあれば外れリーチが決定される。
このように、通常遊技状態よりも確変遊技状態である場合には、外れである場合にリーチとなる確率が低く設定されている。よって、確変時に外れの変動時間が長くなってしまい、大当たりとなるまでの期間が長くなってしまうことを抑制できる。よって、大当たりし易い確変遊技状態時に遊技が間延びしてしまい、遊技者が退屈に感じる不具合を抑制できる。
また、本制御例では、変動パターンテーブル202dに時短用変動パターン選択テーブル(図示せず)が設けられている。この時短用変動パターン選択テーブルは、遊技状態が時短遊技状態である場合に、特別図柄の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。時短用変動パターン選択テーブルは、変動種別カウンタCS1の値に関わらず0.6秒の変動パターンが選択されるように規定されている。この0.6秒の変動パターンは、図柄などが変動表示される0.125秒の期間と、図柄などが停止表示される0.475秒の期間とで構成される。これにより、時短遊技状態では、短時間(0.6秒)で一の変動表示が終了されるので、時短遊技状態における遊技の回転率(効率)を向上させることができる。また、図柄が変動表示される期間を非常に短い期間(0.125秒)とすることにより、遊技者に対して遊技の回転率(効率)が非常に良いとの印象を与えることができる。
図73に戻り、説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0~239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル(図75(c)参照)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル(図75(c)参照)によって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブルは、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
図75(c)に示すように、普通図柄の低確率時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5~28」となっている。これら乱数値は、低確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている。このように普通図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5~28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放される。なお、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5~204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5~204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1入賞口64へ球が入球し易い状態となる。なお、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0~239)、タイマ割込処理(図92参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図102参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
次いで、図74を参照して、主制御装置110に設けられるROM202とRAM203の内容について説明する。ROM202は、上述したように、第1当たり乱数テーブル202a、第1当たり種別選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル205c、変動パターンテーブル202dが少なくとも設けられている。ROM202に設けられた各テーブルの内容は、図75、および図76を参照して上述した通りであるため、その詳細な説明を省略する。
また、RAM203は、図74に示すように、特別図柄1保留球格納エリア203aと、特別図柄2保留球格納エリア203bと、普通図柄保留球格納エリア203cと、特別図柄1保留球数カウンタ203dと、特別図柄2保留球数カウンタ203eと、普通図柄保留球数カウンタ203fと、確変フラグ203gと、時短中カウンタ203hと、大当たりフラグ203iと、カウンタ用バッファ203yと、その他メモリエリア203zとを少なくとも有している。
特別図柄1保留球格納エリア203aは、第1入賞口64(特別図柄1)専用の記憶エリアであり、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入賞口64へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1~C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。なお、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄1保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1~C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1~C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア~保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア~保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄1保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア~第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
本パチンコ機10では、球が第1入賞口64へ入賞(始動入賞)し、その始動入賞に応じて各カウンタC1~C3の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、その取得された各カウンタC1~C3の各値から、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が予測(推定)される。このように、本来の特別図柄の抽選が行われる前に、始動入賞に対応するデータ(各カウンタC1~C3の各値)に基づいて、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報を予測することを、以後、特別図柄の抽選結果を先読みすると記載する。なお、各種情報としては、当否、停止種別、変動パターンなどが該当する。
そして、先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113へ送信される。入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113によって受信されると、音声ランプ制御装置113は、入賞情報コマンドから、当否、停止種別、および変動パターンを抽出し、それらを入賞情報としてRAM233の特別図柄1または特別図柄2のうち該当する特別図柄の入賞情報格納エリア223aに格納する。
本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選により得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を予測する。なお、この予測(先読み)は、当該始動入賞に対応する変動が開始される時点での、遊技状態(通常遊技状態または確変遊技状態)に応じた大当たり判定値を参照するように構成している。これにより、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果を正確に予測することができる。
特別図柄2保留球格納エリア203bは、第2入賞口640(特別図柄2)専用の記憶エリアであり、上述した特別図柄1保留球格納エリア203aに対して、第1入賞口64(特別図柄1)が第2入賞口640(特別図柄2)に変更される点で相違するのみであるので、その詳細な説明は省略する。
普通図柄保留球格納エリア203cは、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄1保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄1保留球数カウンタ203dは、第1入賞口64への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄1保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、第1入賞口64へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図96のS504参照)。一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図93のS210参照)。
この特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄1における変動表示の保留回数N1)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図93のS211、図96のS505参照)。保留球数コマンドは、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
なお、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81に保留球数図柄を表示する。
特別図柄2保留球数カウンタ203eは、第2入賞口640(特別図柄2)の保留球数をカウントするためのカウンタである。この特別図柄2保留球数カウンタ203eは、特別図柄1保留球数カウンタ203dに対して、第1入賞口(特別図柄1)が第2入賞口640(特別図柄2)に変わる点で相違するのみでありその他の点については同一であるので詳細な説明については省略する。なお、特別図柄2保留球数カウンタ203eは、図96のS510の処理により1ずつ加算され、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図93のS205参照)。また、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄2における変動表示の保留回数N2)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図93のS206、図96のS511参照)。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通入球口(スルーゲート)67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、初期値がゼロに設定されており、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図99のS804参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図98のS705参照)。
球が普通入球口(スルーゲート)67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203cに記憶される(図99のS805)。一方、球が普通入球口(スルーゲート)67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203cには新たに何も記憶されない(図99のS803:No)。
確変フラグ203gは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態(特別図柄の高確率状態)であるか否かを示すフラグであり、確変フラグ203gの値がオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であることを示し、確変フラグ203gの値がオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(特別図柄の低確率状態)であることを示す。この確変フラグ203gは、初期値がオフに設定されており、大当たり制御処理において、大当たりA(16R確変大当たり)または大当たりC(2R確変有時短無大当たり)に基づくエンディング演出の開始タイミング(大当たり遊技の終了タイミング)であると判別された場合に、オンに設定される(図103のS1214参照)。そして、特別図柄1変動開始処理(図95参照)や特別図柄2変動開始処理(図94参照)において遊技状態が確変状態であるか否かを判別するために参照され(図95のS403、図94のS303参照)、次の大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図103のS1202参照)。
具体的には、特別図柄1変動開始処理(図95、S213)または特別図柄2変動開始処理(図94、S208)が実行されると、特別図柄の抽選が行われる。特別図柄1変動開始処理(図95、S213)または特別図柄2変動開始処理(図94、S208)では、確変フラグ203gの値が参照され、その値がオンであれば、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに基づいて、特別図柄の抽選が行われる一方、確変フラグ203gの値がオフであれば、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに基づいて、特別図柄の抽選が行われる。
時短中カウンタ203hは、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203hの値が0より大きい場合は、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203hの値が0であれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203hは、大当たり制御処理によりエンディング演出の開始タイミング(即ち、大当たり遊技の終了タイミング)に、大当たりB(16R時短大当たり)が実行されていた場合に100に設定される(図103のS1215参照)。そして、普通図柄変動処理で時短中であるか否かを判別するために参照され(図98のS708参照)、特別図柄変動処理において、変動時間が経過する毎に1ずつ減算されるものである(図93のS222参照)。なお、時短中カウンタ203hの値が0より大きく、上述した確変フラグ203gがオンである場合は、パチンコ機10が特別図柄の確変状態かつ時短状態であることを示す。
大当たりフラグ203iは、大当たりの発生有無を示すフラグである。大当たりフラグ203iがオンになっている場合に、主制御装置110のMPU201が実行する大当たり制御処理(図103、S1206)により可変入賞装置65が開放状態に設定される大当たり遊技が実行される。
小当たりフラグ203jは、小当たりの発生有無を示すフラグである。小当たりフラグ203jがオンになっている場合に、主制御装置110のMPU201が実行する大当たり制御処理により可変入賞装置65が開放状態にされる小当たり遊技が実行される。
時短フラグ203kは、パチンコ機10が特別図柄の時短状態(普通図柄の高確率状態)であるか否かを示すフラグである。時短フラグ203kの値がオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の時短状態であることを示し、時短フラグ203kの値がオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(普通図柄の低確率状態)であることを示す。この時短フラグ203kは、初期値がオフに設定されており、大当たり制御処理において、大当たりA(16R確変大当たり)に基づくエンディング演出の開始タイミング(大当たり遊技の終了タイミング)であると判別された場合に、オンに設定される(図103のS1214参照)。そして、普通図柄変動処理(図98参照)において遊技状態が時短状態であるか否かを判別するために参照されて(図98のS708,S715,S719参照)、次の大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図103のS1202参照)。
上述したように、大当たりA(16R確変大当たり)では、確変フラグ203gと時短フラグ203kとが共にオンに設定され、確変遊技と共に時短遊技が付与される。一方、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)では、確変フラグ203gはオンに設定されるものの、時短フラグ203kはオフのままとなり、確変遊技のみが付与される。時短中カウンタ203hとは別に時短フラグ203kを設ける構成としているのは、大当たりA(16R確変大当たり)となることにより付与される普通図柄の時短状態が、少なくとも次に大当たりとなるまで継続するからである。つまり、時短状態となる期間が、大当たりとなるタイミングによって可変するため、時短期間が不定であり、時短中カウンタ203hに対して回数を設定することができないためである。よって、大当たりBの終了後に設定される固定回数(100回)の時短状態は時短中カウンタ203hによりカウントする一方で、大当たりAの終了後に設定される時短状態は、時短フラグ203gにより設定するように構成されている。これにより、普通図柄の時短状態をより正確に判別することができる。
ここで、確変遊技(特別図柄の確変状態)は、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に基づいて実行される特別図柄の抽選により大当たりとなる確率が高確率に設定されるものであり、演出態様を変更するなどで確変遊技であることを示唆しなければ、遊技者が現在の遊技が通常遊技であるのか確変遊技であるのかを判別することが困難なものである。一方、時短遊技は、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放回数や開放時間が変更されるため、通常遊技であるのか時短遊技であるのかを判別することが容易なものである。
よって、遊技者は大当たりA(16R確変大当たり)に基づいて確変遊技と共に時短遊技が付与された場合は、確変遊技であることを容易に認識することができるが、大当たりC(2R確変有時短無大当たり)に基づいて確変遊技のみが付与された場合は、確変遊技であることを認識することが困難となる(所謂、潜伏確変状態)。これにより、遊技者は通常遊技か確変遊技のどちらの遊技状態であるかを推測する必要があり、遊技者の興趣を向上させることができる。加えて、上述した通り、本実施形態では、大当たりCになった場合と同一の特定入賞口65aの開閉動作が実行される小当たりを設けているので、特定入賞口65aが2ラウンドの開閉動作が実行されたとしても、大当たりCであるとは限らない。よって、2ラウンドの開閉動作が実行される度に、大当たりCであることを期待させることができるので、遊技者の興趣をより向上させることができる。
その他メモリエリアは203z、は上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、主制御装置110のMPU201が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域や、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)などを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図102参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図101参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図100参照)が即座に実行される。
次に、図77(a)を参照して、音声ランプ制御装置113のROM222、およびRAM223について説明を行う。音声ランプ制御装置113のROM222には、変動パターン選択テーブル222aと、入球演出選択テーブル222bとが少なくとも格納されている。
変動パターン選択テーブル222aは、既に公知のものであるため簡単に説明するが、音声ランプ制御装置113は主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに基づいて、その変動パターンコマンドが示す大まかな変動内容(変動時間、変動種別(リーチ、外れ等))から更に詳細な変動内容を変動パターン選択テーブル222aより決定する。これにより、さらに多様な変動態様を決定することができる。ここでは、主制御装置110から指示された大まかな変動内容に対して、抽選により複数種類の中より1の変動態様が決定される。
入球演出選択テーブル222bは、時短遊技中に第2入賞口640へ遊技球が入球することに基づいて実行される入球演出の演出内容を規定したテーブルである。ここで、入球演出とは、大当たりとなる期待度を示唆するために、大当たりとなるまでの変動回数に応じた態様で実行される演出である。より詳述すると、時短遊技中に主制御装置110から入賞情報コマンドを受信する毎に、その入賞情報コマンドに基づいて更新された入賞情報格納エリア223aの記憶内容から、保留球の中に大当たりに対応する保留球が存在するか否か、および大当たりに対応する保留球が存在する場合に、大当たりとなるまでの変動回数を判定し、大当たりとなるまでの変動回数に応じた態様で演出が実行される。
また、1の入球演出は、第3図柄表示装置81における表示領域を4分割したうちの1の表示領域で実行され、一旦入球演出が開始されると、前の入球演出の表示内容を表示させつつ、新たな入球に対応する入球演出を異なる表示領域で表示させることができる。即ち、球が第2入球口640へと入球する毎に、第3図柄表示装置81の表示画面に設けられた4つの表示領域に入球演出が順に表示されていき、最大で4種類の入球演出が第3図柄表示装置81において同時に表示されるように構成されている。
入球演出選択テーブル222bは、入球演出の演出内容が大当たりとなるまでの変動回数に対応付けて規定されている。この入球演出選択テーブル222bは、後述する入球演出設定処理(図115参照)において、時短遊技中に第2入賞口640へ遊技球が入球したと判別された場合に参照され、入球演出の演出内容を選択するために用いられる(図115のS2403参照)。
入球演出の種類としては、レベル0入球演出からレベル5入球演出までの6種類の入球演出が設けられており(図78参照)、大当たりとなるまでの変動回数が少なくなるにつれて、レベルの高い入球演出が選択される。これにより、遊技者は入球演出のレベルを判別することで、大当たりとなるまでの回数(大当たりとなる期待度)を予測することができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
本制御例における入球演出の表示画像は、レベルに応じたコメント(例えば、「急げ」、「チャンス?」等)を表示するコメント部と、所定の図柄(例えば、「星印」)の表示個数によって今回の入球演出のレベルを示唆するためのレベル示唆部とで構成されており、入球演出のレベルに応じて各部(コメント部、およびレベル示唆部)の表示態様が設定される。コメント部に表示させるコメントとして、入球演出のレベルに対応した複数のコメントが規定されており、演出カウンタ223iの値に応じて選択される。一方、レベル示唆部には入球演出のレベル(即ち、大当たりとなるまでの変動回数)に応じた個数の「星印」図柄が表示される。例えば、レベル0予告演出では「星印」は0個であり(図89(a)の81a参照)、レベル1予告演出では「星印」が1個(図89(b)の81b参照)、レベル2予告演出では「星印」が2個表示される(図89(b)の81c参照)。これにより、遊技者に対して、実行されている入球演出のレベルを容易に判別させることができる。一方、コメント部では、演出カウンタ223iの値に応じて選択されるコメントが表示されるので、入球演出における表示態様のバリエーションを増やすことができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、レベル示唆部を設けず、コメント部のみにより大当たりまでの変動回数を示唆するように構成してもよい。これにより、コメント部の表示のみから当該入球演出のレベルを推測させることができるので、入球演出の表示内容により注目させることができる。
ここで、図78を参照して、入球演出選択テーブル222bの詳細な内容について説明する。図78は、入球演出選択テーブル222bの内容を模式的に示した模式図である。この入球演出選択テーブル222bは、上述したように、大当たりとなるまでの変動回数を示唆するための入球演出の演出内容が、大当たりまでの変動回数に対応付けて規定されている。
具体的には、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が4より大きい場合、即ち、入賞情報格納エリア223aに第2特別図柄の抽選による大当たりに対応する抽選結果が格納されていない場合、レベル0の入球演出が選択されるように規定されている。また、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が4回である場合、即ち、入賞情報格納エリア223aの4番目の保留に第2特別図柄の大当たりの抽選結果が格納されている場合、レベル1の入球演出が選択されるように規定されている。
同様にして、第2特別図柄の抽選結果に基づく大当たりまでの変動回数が、3回である場合はレベル2の入球演出が、2回である場合はレベル3の入球演出が、1回である場合はレベル4の入球演出が、0回である(当該変動で大当たりとなる)場合はレベル5の入球演出がそれぞれ選択されるように規定されている。このように、大当たりまでの変動回数に応じて異なるレベルの入球演出を実行するように構成することで、遊技者に対して大当たりまでの変動回数を予測させることができる。よって、表示演出に対してより注目させて遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を高めることができる。
図77に戻り、説明を続ける。図77(b)は、音声ランプ制御装置113のRAM223の内容を模式的に示した模式図である。このRAM223には、入賞情報格納エリア223aと、特別図柄1保留球数カウンタ223bと、特別図柄2保留球数カウンタ223cと、変動開始フラグ223dと、停止種別選択フラグ223e、表示領域カウンタ223f、演出時間格納エリア223g、演出モード格納エリア233h、回避フラグ233i、演出カウンタ223j、電源断フラグ223y、その他メモリエリア223zとが少なくとも設けられている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、8つのエリア(特別図柄1用の第1エリア~第4エリア、特別図柄2用の第1エリア~第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、特別図柄1または特別図柄2のうち該当する特別図柄の4つのエリア(第1エリア~第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
特別図柄1保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている特別図柄1の変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄1保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入賞口64への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得して、特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する(図107のS1607参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄1保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
また、特別図柄2保留球数カウンタ223cは、特別図柄1保留球数カウンタ223bと同様に、主制御装置110において保留されている特別図柄2の変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。特別図柄1保留球数カウンタ223bとは、第2入賞口640への入球によって保留球数が加算され、第3図柄表示装置81において特別図図柄1の保留球数図柄の表示とは異なる特別図図柄2の保留球数図柄の表示に用いられる点でのみ相違し、その他は同一であるため、その詳細な説明を省略する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aまたは特別図柄2保留球数カウンタ203bと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aまたは特別図柄2保留球数カウンタ203bの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
変動開始フラグ223dは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合に実行される変動パターン受信処理においてオンされ(図108のS1701参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図109のS1802参照)。変動開始フラグ223dがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図107のS1604参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図109のS1807参照)。停止種別選択フラグ223eがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別が設定される。また、設定された停止種別は、表示用停止種別コマンドによって、表示制御装置114に通知される。表示制御装置114では、音声ランプ制御装置113より受信した表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
表示領域カウンタ223fは、上述した入球演出を表示するための表示領域を特定するために用いられる。上述した通り、本実施形態では、第3図柄表示装置81の表示領域を4分割し(第1領域81a、第2領域81b、第3領域81c、第4領域81d)、各表示領域に対して別々の入球演出を表示可能に構成されている。表示領域カウンタ223fは、これらの4つの表示領域(第1領域81aから第4領域81d、図89または図90参照)の中から、今回の入球演出を表示させるための表示領域を決定するために用いられる。この表示領域カウンタ223fは、音声ランプ制御装置113が立ち上がる際に1に初期化され、後述する入球演出設定処理(図115参照)において、1から4の範囲で繰り返し更新される。
詳細については、図89および90を参照して後述するが、新たな入球演出が選択されると、その新たな入球演出が、表示領域カウンタ223fの値に対応した第3図柄表示装置81の表示領域に対して表示されるように制御される。具体的には、表示領域カウンタ223fの値が1である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに入球演出の表示が設定される。また、値が2である場合は第3図柄表示装置81の第2領域81bに設定され、値が3である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81cに設定され、値が4である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに設定されるように制御される。この表示領域カウンタ223fの値は、値が昇順1ずつ更新され、最大値である4となってから更に更新されると1に戻るように構成されているため、最大で4つの入球演出を異なる表示領域(第1領域81a、第2領域81b、第3領域81c、第4領域81d)に対して同時に表示させることができる(図89、図90参照)。複数の異なる入球演出を同時に表示させることができるので、表示演出を多様化することができる。
演出時間格納エリア223gは、上述した時間演出の開始時刻を格納しておく領域である。この演出時間格納エリア223gに格納された時間演出の開始時刻と、RTC292より取得した現在時刻とに基づいて、定期的(1時間毎に5分間)に実行される時間演出や、その時間演出の実行中の特定時間(各時間演出の開始から1分経過毎で5分経過まで)に実行される特定時間演出が実行される(図91参照)。この演出時間格納エリア223gは、パチンコ機10の電源が投入された際に、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理の時間設定処理(図105参照)で設定されるものであり、時間演出と特定時間演出の開始時刻を示す情報が、電源投入時刻を基準として相対的に設定される。具体的には、9時00分に音声ランプ制御装置113の電源が投入された場合には、まず、電源投入時刻(9時00分)から55分後の9時55分が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定される。そして、その最初の時間演出の開始時刻から1時間毎の時刻(10時55分、11時55分・・・)が時間演出の開始時刻を示す情報として24時間分設定される。また、各時間演出の開始時刻から1分毎に5分経過まで(9時56分、9時57分、9時58分、9時59分、10時56分、10時57分・・・)が特定時間演出の開始時刻(開始タイミング)を示す情報として設定される。さらに、時間演出期間は5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻(10時00分、11時00分・・・)を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定される(図91参照)。
なお、本制御例では、電源が投入された時刻を基準として各時間演出(時間演出、特定時間演出)を実行するように設定したが、これに限られず、電源投入時刻に関わらず各時間演出(時間演出、特定時間演出)の開始時刻を設定するようにしてもよい。例えば、毎時00分を時間演出の開始時刻として設定するようにしてもよい。これにより、複数のパチンコ機10の電源を投入する際に、その電源投入時刻がずれたとしても、時間演出の開始時刻がずれることがなく、複数のパチンコ機10で時間演出を同期して実行することができる。
演出モード格納エリア223hは、現在の演出期間を示す情報が格納される領域であり、この演出モード格納エリア223hの情報に基づいて、演出期間に対応した演出が選択され、実行(表示)される。本制御例では、演出期間として、上述した時間演出期間の他に、時間演出期間の終了時点でその後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)に移行する時間演出延長期間と、時間演出期間および時間演出延長期間のいずれにも該当しない通常遊技期間の3つの演出期間が設定される。なお、以降の説明の簡略化のため、通常遊技期間を演出モードA、時間演出期間を演出モードB、時間演出延長期間を演出モードCとして表記する。演出モード格納エリア223hには、これら3つの演出モードを識別するための情報として、演出モードAが設定されている場合には、演出モードAを示す値である「00H」が演出モード格納エリア223hに格納され、演出モードBが設定されている場合には、演出モードBを示す値である「01H」が格納され、演出モードCが設定されている場合には、演出モードCを示す値である「02H」が格納される。このように、演出期間(演出モード)に対応する情報を演出モード格納エリア223hに格納しておくことで、現在の演出期間がいずれの演出期間であるかを、容易に識別することができる。
回避フラグ223iは、時間演出期間(演出モードB)において実行(表示)される予告演出(時間予告演出)として、カウントダウンの表示態様を含むカウントダウン予告演出が実行(表示)されるか否かを判別するために用いられるフラグである。この回避フラグ223iが、オンである場合は時間予告演出としてカウントダウン予告演出が実行(表示)されることを示し、オフである場合はカウントダウン予告演出が実行(表示)されないことを示す。この回避フラグ223iがオンである場合は、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように制限(回避)される。これにより、時間予告演出としてカウントダウン予告演出が実行される場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように、演出の実行(表示)を制限(回避)することができる。その結果、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることを防止でき、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
この回避フラグ223iは、予告選択処理(図111参照)において、演出モードB(時間演出期間)の場合に選択される予告演出(時間予告演出)として、カウントダウン予告演出が選択された場合にオンに設定される(図111のS2007参照)。そして、そのカウントダウン予告演出が実行(表示)される変動表示が終了した場合にオフに設定される。
なお、このような回避フラグ223iを設けずに、通常予告演出と時間予告演出とで異なる表示態様の演出を選択し、実行するようにしてもよい。具体的には、通常予告演出ではカウントダウン予告演出が選択されるが、時間予告演出ではカウントダウン予告演出が選択されないようにしてもよい。これにより、時間演出期間において、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複して行われることを抑制できる。
演出カウンタ223jは、音声ランプ制御装置113において、各種演出(変動パターン、予告演出など)の選択や各種抽選等に用いられるカウンタであり、図示は省略したが、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図106参照)において0から198の範囲で繰り返し更新される。
電源断フラグ223yは、瞬間的な停電があったか否かを判別するために用いられるフラグである。この電源断フラグ223yは、主制御装置110から電源断コマンドを受信し、電源断処理が実行される前にオンに設定される(図106のS1518参照)。その後、RAM223は揮発性メモリであるため、RAM223の情報は一定時間(100ミリ秒)経過後に全て消えてしまう。よって、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理(図104)において、電源断フラグ223yがオンである場合は(図104の1308:Yes参照)、電源断フラグ223yがオンに設定されてから一定時間(100ミリ秒)経過前に音声ランプ制御装置113が立ち上がった場合、即ち、瞬間的な停電があった場合である。この場合には、RAM223の情報は全て消えておらず、RAM223の作業領域に不要な情報(または、一部の情報のみが消えてしまったことで不完全となった情報など)が残っている場合があるので、RAM223の作業領域の情報をクリアする(図104のS1309参照)。これにより、不要(または、不完全)な情報に基づいて処理が実行されることがなくなるので、音声ランプ制御装置113の各処理を正常に動作させることができる。
その他メモリエリア223zは上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)や、演出時間を計時する経時タイマなどを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図107参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。また、計時タイマは、変動演出等の演出が開始されてからの経過時間を計時する。この計時タイマにより計時された経過時間に基づいて、各種制御(各種役物の動作の設定や、演出の発展等)が行われる。
次に、図79を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図79は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図116のS2501参照)の終了後に実行される初期化処理(図116のS2502参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
さらに、NAND型フラッシュメモリ234aには、補正情報テーブル234a3が設けられている(図79参照)。この補正情報テーブル234a3には、電源投入時に表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)へ表示される画像(以下、電源投入時画像という)を補正するためのデータ(以下、補正情報という)が格納されている(図80(b)参照)。本制御例では、電源投入時画像を電源投入時以外の演出において流用して表示することで、キャラクタROM234の容量削減を図っている。しかし、電源投入時画像を、電源投入時以外の各演出においてそのままの表示態様(位置、大きさ)で流用して表示すると、各演出の視認性を損なう虞がある。そこで、補正情報テーブル234a3を用いて、電源投入時画像を電源投入時以外の各演出において適切な表示態様(位置、大きさ)に補正することで、各演出の視認性を損なうことなく電源投入時画像を流用して表示するようにしている。
なお、電源投入時画像は3種類の画像で構成されており、それら各種電源投入時画像のそれぞれに対して表示態様(位置、大きさ)を補正することが可能となっている。ここで、電源投入時画像を構成する3種類の画像(以下、各種電源投入時画像という)について説明する。電源投入時画像は、遊技者等に対して電源投入に伴う初期化処理などが行われていることを報知するための画像である電源投入時主画像と、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選結果を報知するための画像である電源投入時変動画像と、遊技者等に対して本パチンコ機10の機種を容易に識別可能にするための画像である電源投入時タイトル画像とで構成されている。これら各種電源投入時画像は電源投入時に予め定められた表示態様(位置、大きさ)で各表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)に表示されるものであり、詳細については図82を参照して後述する。
この補正情報テーブル234a3は、特殊演出補正処理(図121参照)または演出情報補正処理(図131参照)において参照され、現在実行(表示)されている演出に応じた補正情報が補正情報格納エリア233mへ格納される。補正情報格納エリア233mへ格納された補正情報は、描画処理(図134参照)において、描画リスト(図87参照)を生成する際に参照され、各種電源投入時画像の表示態様を設定するための詳細情報(表示可否、表示位置(座標)または大きさ(拡大率))が補正情報に基づいて補正される。これにより、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像)の表示態様を補正して表示することができる。
ここで、図80(b)を参照して、補正情報テーブル234a3の内容について説明する。図80(b)は、補正情報テーブル234a3の内容を模式的に示した模式図である。この補正情報テーブル234a3は、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像)の各演出に応じた補正情報が格納されており、通常演出用の補正情報と、デモ演出用の補正情報と、伸縮役物可動用の補正情報と、傾倒役物可動用の補正情報とが少なくとも設けられている。
各演出用の補正情報としては、電源投入時画像の画像種別毎に、表示可否(オンorオフ)に対応する補正情報と、座標補正量に対応する補正情報と、拡大率に対応する補正情報とが規定されている。表示可否(オンorオフ)に対応する補正情報は、対応する画像を表示するか否かを決定するための値であり、値がオンである場合には対応する画像が表示されるように設定(補正)され、値がオフである場合には対応する画像が非表示となるように設定(補正)される。また、座標補正量に対応する補正情報は、対応する画像の表示位置(座標)を補正するためのものであり、対応する画像が電源投入時に表示される位置(座標)からこの座標補正量に対応する補正情報に基づいて移動した位置(座標)に表示されるように設定(補正)される。さらに、拡大率に対応する補正情報は、対応する画像の大きさ(拡大率)を補正するためのものであり、対応する画像の左上の角を原点(基準点)として右下方向へこの拡大率に基づいて画像が拡大(または左上方向へ縮小)されるように設定(補正)される。
通常演出用の補正情報は、電源投入時の初期化処理が終了し、パチンコ機10において通常の遊技が行われる場合に用いられる補正情報である。また、デモ演出用の補正情報は、デモ演出が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。さらに、伸縮役物可動用の補正情報は、伸縮演出装置540(図9参照)の可動する演出(伸縮役物シナリオ)が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。また、傾倒役物可動用の補正情報は、傾倒動作ユニット600における演出部材620の可動する演出(傾倒役物シナリオ)が実行(表示)される場合に用いられる補正情報である。
具体的に、通常演出用の補正情報は、電源投入時主画像と、電源投入時タイトル画像とがオフに設定されており、電源投入時変動画像がオンに設定されている。そして、電源投入時変動画像の座標補正量は(-600,-450)に設定されており、拡大率は×1(等倍)に設定されている。その結果、通常演出が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とは非表示となるように補正され、電源投入時変動画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(-600,-450)移動した位置(座標)に、等倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、電源投入時に第3図柄表示装置81の右下部に表示されていた電源投入時変動画像が、通常演出が実行される場合には第3図柄表示装置81の左上の角に表示される(図83(a)参照)。
また、デモ演出用の補正情報は、電源投入時主画像と電源投入時変動画像とがオフに設定されており、電源投入時タイトル画像がオンに設定されている。そして、電源投入時タイトル画像の座標の補正量は(-700,0)に設定され、拡大率は×2(2倍)に設定されている。その結果、デモ演出が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時変動画像とは非表示となるように補正され、電源投入時タイトル画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(-700,0)移動した位置(座標)に、2倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、電源投入時にサブ表示装置690の中央部に表示されていた電源投入時タイトル画像が、デモ演出が実行される場合には第3図柄表示装置81の中央部に拡大されて表示される(図83(b)参照)。
ここで、デモ演出とは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出である。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
さらに、伸縮役物可動用の補正情報は、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とがオフに設定されており、電源投入時変動画像がオンに設定されている。そして、電源投入時変動画像の座標補正量は(200,-450)に設定されており、拡大率は×1(等倍)に設定されている。その結果、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する演出(伸縮役物シナリオ)が実行される場合には、電源投入時主画像と電源投入時タイトル画像とは非表示となるように補正され、電源投入時変動画像は電源投入時に表示される位置(座標)から(200,-450)移動した位置(座標)に、等倍の大きさで表示されるように補正される。具体的には図81から図83を参照して後述するが、この補正により、通常演出が実行される場合に第3図柄表示装置81の左上の角に表示される電源投入時変動画像が、伸縮役物シナリオが実行される場合にはサブ表示装置690の左上の角に表示される。
また、傾倒役物可動用の補正情報は、通常演出用の補正情報と同一の情報が設定されている。その結果、傾倒動作ユニット600の演出部材620が可動する演出(傾倒役物シナリオ)が実行される場合には、通常演出が実行される場合と同様に、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が補正される。
このように、電源投入時以外の演出が実行される際には、その演出に応じた補正情報テーブル234a3の補正情報に基づいて、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が補正されて表示される。これにより、電源投入時以外の各演出で各種電源投入時画像を流用して表示することができるので、キャラクタROM234の容量を節約することができる。また、各種電源投入時画像を各演出において適切な表示態様(位置、大きさ)に補正して表示することができるので、各演出の視認性を損なうことなく、各種電源投入時画像を流用して表示することができる。
なお、各演出で可動される役物の動作に連動して、各種電源投入時画像の表示される位置が移動されるように補正してもよい。具体的には、一の演出における経過時間に対応する各種電源投入時画像の補正情報を規定しておく。例えば、電源投入時変動画像が第3図柄表示装置81の右上に表示される演出が実行されている場合に、傾倒動作ユニット600が右から左へと徐々にスライド(移動)する演出が実行されるとする。この場合に、電源投入時変動画像を傾倒動作ユニット600の動作に合わせて左にスライド表示していくことで、電源投入時変動画像が傾倒動作ユニット600の背面とならない位置にスライドして表示させることができるので、傾倒動作ユニット600の動作によって電源投入時変動画像が視認困難となってしまうことを防止(抑制)できる。即ち、遊技者に対して電源投入時変動画像を明瞭に視認させることができる。また、電源投入時変動画像が第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄の表示される領域まで移動表示した場合には、傾倒動作ユニット600に内蔵されているサブ表示装置690に移動して表示するように座標設定されていてもよい。このように構成されていることで、第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄の視認性を損なうことなく、電源投入時変動画像を移動して表示することができる。なお、移動表示させる対象は電源投入時変動画像に限られず、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄であってもよいし、保留図柄であってもよいし、キャラクタ等の図柄であってもよい。
また、各種電源投入時画像を移動させる場合に、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との間を行き来するように移動させるようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに画像を跨いで表示する場合には、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690との解像度が異なるため、その解像度の差を公知のスケーラー(例えば、ビデオスケーラー)などを用いて調整(変換)すればよい。これにより、各種電源投入時画像を移動可能な範囲を広げることができる。
さらに、電源投入時において各種電源投入時画像を移動可能なように、補正情報を設定してもよい。この場合、電源投入時に最初に読み込まれる第1プログラム記憶エリアのプログラムと共に電源投入時に使用する補正情報を読み込むようにしておけば良い。ここで、パチンコ機10では、電源投入時に各種役物を原点位置へと移動させるための原点復帰動作が実行される。よって、各種役物が原点復帰動作により可動するため、第3図柄表示装置81やサブ表示装置690が視認しにくくなるタイミングがある。そこで、各種役物の可動状態に応じて各種電源投入時画像の表示位置(座標)を補正することで、各種役物の原点復帰動作中においても、各種電源投入時画像を視認しやすい遊技機とすることができる。
次いで、画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図87参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図118(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235d、電源投入時タイトル画像エリア235fが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入賞口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像エリア235fに対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図116参照)。
ここで、図81から図83を参照して、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690の表示領域と、その表示領域に表示される電源投入時画像について説明する。まず、図81は、表示制御装置114により描画される画像と、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690の表示領域との関係を模式的に示した模式図である。本制御例におけるパチンコ機10は、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とを備えており、各表示装置(第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690)に表示される画像を一定期間(例えば、20ミリ秒)毎に更新するための制御が表示制御装置114により実行される。
具体的には、表示制御装置114は、横1200ピクセル(画素)×縦600ピクセル(画素)分の画像データを一定期間(例えば、20ミリ秒)毎に更新(描画)する。これらの画像データが各表示装置に設定されることにより、各表示装置(第3図柄表示装置81、およびサブ表示装置690)に表示される画像が一定期間毎に更新される。また、各ピクセル(画素)に対応する画像データは、それぞれR(赤)に対応するデータ、G(緑)に対応するデータ、およびB(青)に対応するデータの3つのデータで構成されている。各色のデータは例えば8ビットで構成され、各色の階調(レベル)を8ビット刻み(即ち、256段階)で設定することができる。即ち、各色に対する設定値として、「00H」~「FFH」までの256段階の値のいずれかを設定することができる。
各表示装置に設けられている各ピクセル(画素)には、赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とが設けられており、画像データが設定されることにより、各色の階調(レベル)を設定することができる。なお、各表示装置を構成する各ピクセル(画素)は十分微細であり、1つのピクセル(画素)を構成する、赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とを肉眼で見分けることが困難である。よって、肉眼ではこれら3色が合成された色の見た目となる。
各ピクセル(画素)に対して設定される画像データについて、具体例を挙げて説明する。例えば、RのデータがFFH(255階調)であり、他の色のデータがそれぞれ00H(0階調)であれば、当該画像データが設定された画素が最大階調(最大レベル)の赤色で表示される(当該画素が最大階調の赤色の見た目となる)。また、Rのデータ、およびGのデータがそれぞれ80H(128階調)であり、Bのデータが00H(0階調)であれば、128/255階調の赤色と128/255階調の緑色が合成された結果、当該画像データが設定された画素が最大階調の黄色の見た目で表示される。更に、Rのデータ、Gのデータ、Bのデータが全てFFH(255階調)であれば、R,G,Bの3色が全て最大階調(255/255階調)に設定されるため、これらの3色が合成された結果、当該データが設定された画素は白色の見た目で表示される。一方、3色のデータが全て00Hであれば、3色が全て無表示となる結果、当該データが設定された画素は黒色の見た目で表示される。
このように、各表示装置の表示画面を構成する各ピクセル(画素)の表示色を、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ256段階で表現することができるので、各表示装置に対して精彩な画像を表示させることができる。なお、本制御例では各画素において赤色を発色可能な領域と、緑色を発色可能な領域と、青色を発色可能な領域とを設ける構成としていたが、画像の表示に必要な色が網羅的に表現できる範囲で変更してもよい。例えば、赤、緑、青の3色に代えて、黄、シアン、マゼンタの3色としてもよい。また、赤、緑、青に加えて、黄色を発色可能な領域を各ピクセル(画素)に設けると共に、黄色に対応する8ビットのデータを画像データに追加するように構成してもよい。黄色を発色可能な領域を追加することにより、色彩表現をより精彩とすることができる。特に、黄色の成分を多く含み、且つ、表示演出等で用いられる頻度の高い色(例えば、金色等)を精彩に表現することができるので、表示演出の興趣をより向上させることができる。
図81に示した通り、画像データを構成する各ピクセル(画素)の表示データには、座標データが対応付けられている。ここで、座標データは、各表示装置におけるデータの設定位置(設定ピクセル)を特定するためのデータである。本実施形態では、水平座標として0~1200の範囲を指定することができ、垂直座標として0~600の範囲を指定することができる。
図81に示した横長長方形領域のうち、左上の角の位置の座標を原点座標(0,0)と規定し、右下の角の位置の座標を(1200,600)と規定している。また、座標(0,0),(800,0),(0,600),(800,600)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に規定された画像データは、第3図柄表示装置81に対して表示させる画像を規定した領域(第3図柄表示装置用領域)である。この領域における各ピクセル(画素)データの配置と、第3図柄表示装置81において実際に画像データが設定される位置とが一致するように各座標が設定されている。
一方、(800,0),(1200,0),(800,300),(1200,300)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に規定された画像データはサブ表示装置690に対して表示させる画像を規定した領域(サブ表示装置用領域)である。さらに、残りの(800,300),(1200,300),(800,600),(1200,600)の4点を頂点とする長方形形状の領域は予備の領域(未使用領域)であり、この領域の画像データは表示に用いられることはない。
このように、本制御例における表示制御装置114は、第3図柄表示装置81に設定するための画像データと、サブ表示装置690に対して設定する画像データとを一の画像データとして描画し、その画像データの座標に応じて第3図柄表示装置81へ表示するかサブ表示装置690へ表示するかが変更される。これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される画像(演出)を同期させることが容易となり、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される画像(演出)がずれてしまうなどの不具合を抑制することができる。なお、これに限られず、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを別々に描画するように構成してもよい。
次いで、図82を参照して、電源投入時に表示制御装置114により、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690に表示される電源投入時画像について説明する。ここで、電源投入時主画像は横450ピクセル(画素)×縦200ピクセル(画素)分の画像データとして規定され、電源投入時変動画像は横100ピクセル(画素)×縦100ピクセル(画素)分の画像データとして規定され、電源投入時タイトル画像は横200ピクセル(画素)×縦50ピクセル(画素)分の画像データとして規定されている。なお、各種電源投入時画像の表示位置(座標)の説明を簡易にするため、各種電源投入時画像の表示位置(座標)を示す場合には、各種電源投入時画像の画像データにおける左上角のピクセル(画素)の座標を代表的に指す(示す)こととする。例えば、図82(a)における電源投入時主画像は、(100,50),(550,50),(100,250),(550,250)の4点を頂点とする長方形形状の領域内に表示される画像データである。この場合、電源投入時主画像の画像データの左上角のピクセル(画素)の座標である(100,50)を、電源投入時主画像の表示位置(座標)として代表的に指す(示す)こととし、電源投入時主画像の表示位置(座標)は(100,50)であると表現する。
表示制御装置114は、電源投入直後に、まず、電源投入時タイトル画像に対応する画像データをキャラクタROM234から電源投入時タイトル画像エリア235fへ転送する。次いで、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送し、その後、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。これにより、表示制御装置114は、まず電源投入時タイトル画像エリア235gに格納された画像データを用いて、電源投入時タイトル画像を表示させる。電源投入時タイトル画像の表示位置(座標)は(900,100)であり、サブ表示装置690の中央部に電源投入時タイトル画像が表示される(図82(a)参照)。
次いで、表示制御装置114は、電源投入時主画像を表示させる。電源投入時主画像の表示位置(座標)は(100,50)であり、第3図柄表示装置81の中央部に電源投入時主画像が表示される(図82(a)参照)。これらの表示が行われている間、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。
ここで、サブ表示装置690は、第3図柄表示装置81よりも表示画面の解像度が低いので、そのサブ表示装置690に対して画像を表示させるために設定する画像データは、第3図柄表示装置81に対して画像を表示させるための画像データよりもデータ量が少なくなる。よって、表示制御装置114では、画像を表示させるためのデータ量が少ないサブ表示装置690に表示する画像(電源投入時タイトル画像)を最初に常駐用ビデオRAMに格納するようにしているので、電源が投入されてから画像が表示されるまでの時間を短縮することができる。
その後、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の画面に向かって右下の位置((600,450)の座標)に「○」図柄の電源投入時変動画像と、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する(図82(b),(c)参照)。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は、それを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合はそれを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、「○」、「×」を示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
さらに、この電源投入時変動画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、遊技の実行中に停電などにより電源が一度切断され復旧した場合に、停電前に実行されていた遊技における変動または変動の結果を簡単な変動演出により、すぐに確認することができるので、遊技者が感じる不満を低減することができる。
なお、電源投入時に表示される画像として、簡易的なキャラクタ画像などを設け、第3図柄表示装置81に表示するようにしてもよい。これにより、電源投入時に表示される簡単な変動演出においても、演出のバリエーションを増やすことができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、ここで用いる簡易的なキャラクタ画像は、通常演出時にサブ表示装置690において用いられるキャラクタ画像としてもよい。これにより、新たに簡易的なキャラクタ画像を設けることなく、サブ表示装置690に表示されるデータ容量の少ないキャラクタ画像を共通化して利用することができるので、キャラクタROM234の容量を節約できるとともに、常駐用ビデオRAM235への画像の転送時間を短くすることができる。
さらに、常駐用ビデオRAM235へ転送が完了した画像から順次第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690へ表示するようにしてもよい。これにより、電源を投入してから通常の遊技を開始可能となるまでの間に実行される簡易演出においても、順次演出のバリエーションを増やしていくことができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、常駐用ビデオRAM235へ画像を転送する際には公知の画像圧縮技術により解像度が低くなるように圧縮した画像を転送し、その後、常駐用ビデオRAM235に転送が完了した画像を解凍するようにしてもよい。そして、圧縮した画像が常駐用ビデオRAMに格納された時点で、その画像をサブ表示装置690へ表示するように構成してもよい。これにより、低解像度に圧縮された画像であっても、解像度の低いサブ表示装置690であれば違和感なく当該画像を表示することができ、電源を投入してから画像が表示されるまでの時間を短くすることができる。
次に、図83を参照して、通常演出時とデモ演出時における表示画面について説明する。図83(a)は、通常演出時における第3図柄表示装置81の表示画面を模式的に示した模式図であり、図83(b)は、デモ演出時における第3図柄表示装置81の表示画面を模式的に示した模式図である。
通常演出時は、後述する補正情報テーブル234a3に基づいて、電源投入時変動画像の表示座標が(-600,-450)されて表示されることとなる。電源投入時における電源投入時変動画像の表示座標は(600,450)であるので、通常演出時には(0,0)の位置に電源投入時変動画像が表示されることとなる(図83(a)参照)。この電源投入時変動画像は、通常演出時には特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)の変動結果を示すものとして利用される。
また、デモ演出時は、後述する補正情報テーブル234a3に基づいて、電源投入時タイトル画像の表示座標が(-700,0)されて表示されることとなる。電源投入時における電源投入時タイトル画像の表示位置は(900,100)であるので、デモ演出時には(200,100)の位置に電源投入時タイトル画像が表示されることとなる(図83(b)参照)。
図79に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入賞口64または第2入賞口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、補正情報格納エリア233m、特殊演出補正フラグ233n、背景画像変更フラグ233p、演出モードフラグ233rを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア234a1に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBまたは大当たりCのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
また、第1入賞口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口であるので、普通図柄の大当たりとなって電動役物640aが開放され、球が第2入賞口640へ入り易くなると賞球が多くなる。これにより、パチンコ機10は、遊技を行っても、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態になるので、遊技者は、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態で特別図柄の大当たりを得られるという期間感を得ることができる。従って、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
尚、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図85を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図85は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。
MPU231は、この背面種別によって、背景モードに対応した背景(海中、浜辺、準備期間の背景、時間演出専用の背景)のいずれかを表示させることが特定される場合は、背景のうち遊技者によって指定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。
尚、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図85の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図87参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図86を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図86は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図86のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図86のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図86の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図87参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図86の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図116参照)の中でオンに設定される(図116のS2505参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図132(b)のS4805参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図118(b)のS2801参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図119~図127参照)および表示設定処理(図128~図130参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図132(a)のS4701参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図132(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図133参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図57参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図87参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図87参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図118(b)のS2803参照)の中で、ポインタ更新処理(図130のS4305参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図87参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置114の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図87を参照して、描画リストの詳細について説明する。図87は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図87に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図118(b)のS2803参照)が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図128のS4307参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233jは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233jは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図116のS2502参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233jは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233jの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図133参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233jを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図133のS4913参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図133のS4914参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233kは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図134のS5002参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233kは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233kの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図118(b)参照)の描画処理が実行される度に行われる(図134のS5002参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
補正情報格納エリア233mは、上述した補正情報テーブル234a3の補正情報が格納されるエリアであり、この補正情報格納エリア233mに格納された補正情報に基づいて、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)の表示態様(位置、大きさ)が補正されて表示されることとなる。補正情報格納エリア233mは、音声ランプ制御装置113の電源投入時に全ての画像種別に対して初期値(表示可否はオン、座標補正量は(0,0)、拡大率は×1倍(等倍))が設定されるので、電源投入時には各種電源投入時画像が初期位置(図82参照)で表示される。そして、遊技状態(表示されている演出)に応じて、補正情報テーブル234a3の補正情報が設定される。例えば、通常演出の実行中であれば、補正情報テーブル234a3の通常演出用の補正情報が設定される(図131のS4604参照)。
特殊演出補正フラグ233nは、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出(伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオ)に対応する補正情報(伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報)が、補正情報格納エリア233mに設定されているか否かを判別するためのフラグである。特殊演出補正フラグ233nが、オンである場合には伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されていることを示し、オフである場合には伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されていないことを示す。特殊演出フラグ233nがオンである場合には、演出情報補正処理(図131参照)において、通常演出用またはデモ演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されないようにしている(図131のS4602:No参照)。これにより、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が実行中であるにも関わらず、補正情報格納エリア233mに設定されている伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が、演出情報補正処理(図131参照)によって通常演出用またはデモ演出用の補正情報に書き換えられてしまうことを防止できる。その結果、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が実行中であるにも関わらず、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)が通常演出またはデモ演出に対応した表示態様(位置、大きさ)となってしまうとの不具合を防止(抑制)でき、遊技者が困惑してしまうことを防止(抑制)することができる。
この特殊演出補正フラグ233nは、特殊演出補正処理(図121参照)において、伸縮役物可動用または傾倒役物可動用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定された場合にオンに設定される(図121のS3205参照)。そして、変動表示(演出)が停止される場合にオフに設定される(図126(b)のS4101参照)。即ち、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)の可動する演出が停止される場合に、特殊演出補正フラグ233nがオフに設定される。特殊演出補正フラグ233nがオフに設定されることで、演出情報補正処理(図131参照)によって補正情報格納エリア233mに通常演出用またはデモ演出用の補正情報を設定することが可能となる(図131のS4602:Yes参照)。このように、演出に応じた補正情報を補正情報格納エリア233mに設定することができるので、各種電源投入時画像を各演出に適した表示態様(位置、大きさ)に補正して表示することができる。
背面画像変更フラグ233pは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像の種別を変更するか否かを判別するためのフラグである。この背面画像変更フラグ233pは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドや、演出モード変更コマンドを受信した場合にオンに設定される(図126(a)のS4001参照)。そして、通常画像転送設定処理において参照され(図133のS4909参照)、背面画像の変更処理が実行される際にオフに設定される(図133のS4910参照)。これにより、音声ランプ制御装置113から受信した背面画像変更コマンドや演出モード変更コマンドに対応した背面画像を表示することができる。
演出モードフラグ233rは、現在の演出モード(演出期間)を判別するために設定、参照されるフラグであり、演出モードフラグ233rに設定されている演出モードに基づいて、背面画像が変更される。この演出モードフラグ233rは、音声ランプ制御装置113から受信した演出モード変更コマンドに基づいて設定され(図126(a)のS4002参照)、その設定された演出モードフラグ233rの値に基づいて、後述する通常画像転送設定処理において、背面画像データが設定されることとなる(図133のS4911参照)。これにより、音声ランプ制御装置113で設定する演出モードに応じて、第3図柄表示装置81およびサブ表示装置690に表示される背面画像を変更することができる。
次に、図88から図90を参照して、本制御例の時短遊技中に実行される入球演出について説明する。この入球演出は、第2入賞口640への遊技球の入球に基づいて、実行(変動)中の変動表示が大当たりとなる期待度を示唆する演出である。図88は、入球演出が実行される場合のタイミングチャートを示した図である。本制御例における時短遊技では、第2特別図柄に基づく変動表示が0.6秒(図柄などが変動表示される0.125秒の期間と、図柄などが停止表示される0.475秒の期間とで構成)で終了する。この場合に、変動演出の実行に基づいて大当たりとなる期待度を一の表示領域に表示すると、変動演出が短時間(0.6秒)で終了する(即ち、大当たりとなる期待度の表示が0.6秒で終了する)ので、遊技者が大当たりとなる期待度を認識することが困難となる。
そこで、本制御例では、大当たりとなる期待度を示す入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの4領域に順に表示するようにしたので、例えば、第1領域81aに入球演出を表示しつつ、次の入球演出を第2領域81bに表示することができる。これにより、大当たりとなる期待度を示す入球演出の表示期間を長くすることができ、遊技者に対して大当たりとなる期待度を認識させやすい、即ち、わかりやすい遊技機を提供することができる。
また、大当たりとなる期待度を示す入球演出は、第2入賞口640の保留が上限(本制御例では4)である場合にも、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて表示される(所謂、オーバーフロー時にも入球演出が表示される)。これにより、第2入賞口640の保留が上限(4)となっていても、遊技者に対して継続して第2入賞口640へ遊技球を入球させたいと思わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
さらに、大当たりとなる期待度を示す入球演出は、大当たりまでの残変動回数に対応した演出となっている。具体的には後述するが、大当たりとなるまでの残変動回数が減少することに基づいて、大当たりとなる期待度の高い入球演出(レベルの高い入球演出)となるように制御される。これにより、入球演出のレベル(大当たりとなる期待度)が徐々に増加するので、遊技者に対して大当たりの到来を徐々に予感させることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
具体的に、図88を参照して説明する。まず、大当たり遊技の終了後に遊技状態が時短遊技状態へと移行し、大当たり遊技中に第2特別図柄の保留球数が4となっていると、その保留球のうち最も古い入賞に基づく変動である変動1が開始される。ここで、各保留球の入賞情報に大当たりの入賞情報がないとすると、大当たりまでの残変動回数は未定(4より大)である。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づき、入球演出としてレベル0入球演出が選択される(図78参照)。よって、変動1の実行中に第2入賞口640へ1球目の入球(抽選結果は外れ)があった場合は、レベル0の入球演出が第3図柄表示装置81の第1領域81aに表示されると共に、第2特別図柄の保留球数は4に変化する(図89(a)参照)。
次いで、変動1が終了すると、保留球に基づく変動2が開始され、第2特別図柄の保留球数が3となる。この変動2の実行中に第2入賞口640へ2球目の入球(抽選結果は大当たり)があった場合は、大当たりまでの残変動回数が4回となる。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル1入球演出が選択される(図78参照)。よって、レベル1の入球演出が第3図柄表示装置81の第2領域81bに表示されると共に、第2特別図柄の保留球数が4に変化する。
そして、変動2が終了し保留球に基づく変動3が開始されると、第2特別図柄の保留球数が3になると共に、大当たりまでの残変動回数が3回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル2入球演出が選択される(図78参照)。よって、変動3の実行中に第2入賞口640へ3球目の入球(抽選結果は外れ)があると、レベル2の入球演出が第3図柄表示装置81の第3領域81cに表示される(図89(b)参照)と共に、第2特別図柄の保留図柄が4に変化する。さらに、当該変動3の実行中に第2入賞口640へ4球目の入球(オーバーフロー)があった場合は、大当たりまでの残変動回数は3回である。この場合、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル2入球演出が選択される(図78参照)。よって、レベル2の入球演出が第3表示装置81の第4領域81dに表示される。
次いで、変動3が終了し保留球に基づく変動4が開始されると、第2特別図柄の保留球数が3となると共に、大当たりまでの残変動回数が2回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル3入球演出が選択される(図78参照)。しかし、この変動4の実行中に第2入賞口640への入球がなければ、入球演出が新たに表示されることはなく、そのまま変動4が終了する。
変動4が終了すると、保留球に基づく変動5が開始され、第2特別図柄の保留球数が2に減少すると共に、大当たりまでの残変動回数が1回へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル4入球演出が選択される(図78参照)。よって、この変動5の実行中に第2入賞口640へ遊技球が入球すると、レベル4の入球演出が第3表示装置81の第1領域81aに表示される(図90(a)参照)と共に、第2特別図柄の保留球数が3へと増加する。
そして、変動5が終了すると、大当たりの入賞情報の保留球に基づく変動6が開始され、第2特別図柄の保留球数が2へと減少すると共に、大当たりまでの残変動回数が0回(当該変動が大当たり)へと減少する。この場合、第2入賞口640へ遊技球が入球すると、入球演出選択テーブル222bに基づいて、入球演出としてレベル5入球演出が選択される(図78参照)。よって、この変動6の実行中に第2入賞口640へ遊技球が入球すると、レベル5の入球演出が第3図柄表示装置81の第2領域81bに表示される(図90(b)参照)と共に、第2特別図柄の保留球数が3へと増加する。その後、変動6の変動が終了すると、大当たり遊技が実行されることとなる。
このように、本制御例では、大当たりまでの残変動回数に応じて、入球演出の種別が変更されるよう構成しているので、遊技者は大当たりに基づく変動が実行される前に、大当たりとなることを予め認識することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、大当たりまでの残変動回数が減少することに基づいて、入球演出のレベルが徐々に増加するため、遊技者に対して大当たりの到来を徐々に予感させることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、時短遊技における一の変動演出の変動時間を短く(0.6秒)することで、遊技の回転率(効率)の向上を図っている。しかし、変動時間が短いことにより、その変動時間において実行(表示)される変動演出も短くなっている。その結果、第2入賞口640へ継続的に遊技球が入球されなければ、変動演出が継続して行われず(即ち、変動演出が実行(表示)されない期間が長くなり)、遊技がつまらないものとなってしまう虞がある。そこで、本制御例では、第2入賞口640への入球に基づいて、大当たりとなる期待度を表示するように構成した。これにより、遊技者に対し遊技球を第2入賞口640へ入球させたいと思わせ、第2入賞口640へ継続的に遊技球が入球するよう遊技させることができるので、変動演出を継続的に表示することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、本制御例では、大当たりまでの残変動回数に応じた入球演出を行うようにしたが、これに限られず、大当たりまでの残変動回数を遊技者が認識困難となる態様の入球演出を実行するようにしてもよいし、大当たりまでの残変動回数とは無関係に上述した入球演出を行うようにしてもよい。これにより、大当たりの到来を予感することなく大当たりとなる場合を設けることができ、遊技に意外性を持たせ、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、本制御例では、上述した入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順に表示するように構成している。これにより、一の入球に基づく入球演出は、その後新たに第2入賞口640へ遊技球が4球入球するまで継続して表示されることとなり、第2入賞口640へ遊技球が入球する間隔が非常に短い場合でも、入球演出が表示される時間を確保することができ、遊技者が入球演出を視認(認識)できないとの不具合を抑制することができる。なお、入球演出が表示されていない領域を判別して表示されていない領域を優先的に利用して表示するようにしてもよい。これにより、入球演出が表示される時間をより長く確保することができる。
さらに、本制御例では、第2入賞口640の保留が上限となっており、更に第2入賞口640へ遊技球が入球した場合(所謂、オーバーフロー)でも入球演出を行うように構成している。これにより、第2入賞口640の保留が上限となっていても、入球することに基づいて入球演出が表示されるので、遊技者に対して第2入賞口640の保留が上限となっていても、継続して第2入賞口640へ遊技球を入球させたいと思わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。また、付与されている時短遊技の回数以上に入球演出が表示されることになるため、遊技者に対して時短遊技が多く付与されていると感じさせることができる。
なお、本制御例では、入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示するように構成したが、これに限られるものではない。例えば、逆順(反時計回り)に表示するように構成してもよいし、ランダムに表示するようにしてもよい。さらに、特定の演出や変動が実行される場合や大当たりの入賞情報がある場合などに表示順序を変更するようにしてもよい。これにより、表示される入球演出の順序を変更することができ、単調な遊技となってしまうことを防ぎ、遊技者が早期に飽きてしまうことを防ぐことができる。
また、大当たりとなる期待度に応じて、第3図柄表示装置81の各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序を変更してもよい。例えば、大当たりとなる期待度が低い場合には、入球演出を第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示し、一方、大当たりとなる期待度が高い場合には、逆順(反時計回り)に表示するようにする。これにより、遊技者は各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序で期待度を認識することができ、各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の内容を細かく見る必要がなくなるので、遊技者の負担を軽減することができる。
次に、図91を参照して、本制御例において設定される各演出期間(各演出モード)について説明する。本制御例では、上述したように、通常の演出が実行(表示)される期間である通常遊技期間(演出モードA)と、定期的(1時間毎に5分間)に設定される演出期間であって、経過時間に応じた特別な態様の演出(時間演出)が実行(表示)される期間である時間演出期間(演出モードB)と、その時間演出期間(演出モードB)の終了時点でその後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)に移行する時間演出延長期間(演出モードC)とが設けられている。
図91は本制御例における各演出期間(通常遊技期間、時間演出期間、時間演出延長期間)を示したタイミングチャートである。上述したように、本制御例では、通常遊技期間(演出モードA)および時間演出期間(演出モードB)の開始時刻を示す情報が演出時間格納エリア223gに設定されている。この演出時間格納エリア223gは、パチンコ機10の電源投入時に音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理(図104参照)内の時間設定処理(図105参照)によって、RTC292(計時手段)から取得された時刻情報(電源投入時刻を示す情報)に基づいて、通常遊技期間(演出モードA)および、時間演出期間(演出モードB)の開始時刻を示す情報が設定されるものである。この演出時間格納エリア223gの開始時刻を示す情報に基づいて各演出期間が設定される。
具体的に、演出時間格納エリア223gには、電源投入時刻から55分後の時刻を示す情報が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定されている。その結果、電源投入時刻から55分後に時間演出期間(演出モードB)が設定される。なお、電源投入から55分間は通常遊技期間(演出モードA)が設定される。時間演出期間は、5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定されている。その結果、時間演出の開始時刻から5分間が経過すると、通常遊技期間(演出モードA)が設定される。このように、通常遊技期間(55分間)と時間演出期間(5分間)とが繰り返し設定されるように演出時間格納エリア223gの開始時刻を示す情報が設定されており、1時間毎に5分間の時間演出期間(演出モードB)が設定されることとなる。
ここで、時間演出期間の5分間が経過すると、その時点で記憶されている保留記憶または変動中の特別図柄で当否判定結果が大当たりとなるものが設定されているか否かが判別される。そして、大当たりとなるものが設定されていると判別されると、その変動が終了するまでの時間で時間演出延長期間(演出モードC)が設定される。この場合には、時間演出延長期間(演出モードC)が終了した際に、通常遊技期間(演出モードA)が設定されることとなる。
また、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった場合には、その後時間演出延長期間(演出モードC)へ移行するか否かに関わらず、第3図柄表示装置81の表示態様が時間演出期間の終了を示唆する前兆表示態様へと切り替えられる。この前兆表示態様へと切り替わることで、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示(大当たりとなるか外れとなるかに関わらず)は、遊技者に視認困難となる表示態様に可変される。具体的には、縮小されて第3図柄表示装置81の表示領域右下部にて継続して変動表示される。そして、それまで実行(表示)されていた変動表示とは無関係に、外れを示す第3図柄が第3図柄表示装置81の中央部に停止表示される(即ち、疑似的に外れを示す第3図柄が表示される)。ここで、前兆表示態様において疑似的に停止表示される第3図柄は、少し揺れて表示させることで、完全に停止表示していないことを報知する。このように、前兆表示態様に切り替えて表示して第3図柄があたかも停止表示したかのように見せることで、他のパチンコ機10とも同じタイミングで第3図柄が停止表示したかのように思わせることができる。これにより、時間演出期間の終了時における表示態様を、複数のパチンコ機10で同じ表示態様とすることができ、遊技者に違和感を与えてしまうことを防止(抑制)できる。
なお、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下の場合に、第3図柄の変動表示が実行(表示)されていない場合においても、同様に、表示態様が前兆表示態様へと切り替えられる。これにより、変動表示が実行(表示)されているか否かに関わらず表示態様が前兆表示態様へと切り替えられるので、時間演出期間の終了時における表示態様を複数のパチンコ機10で同じ表示態様とすることができる。
なお、前兆表示態様において、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示が可変される、遊技者に視認困難となる表示態様とは上述したものに限られない。例えば、遊技者が第3図柄の変動表示であることを認識困難な態様に可変されて表示されるようにしてもよいし、全く表示されないようにしてもよい。これにより、疑似的に外れを示す第3図柄が表示されていることを認識し難くすることができ、第3図柄があたかも停止表示したかのように見せるとの効果をより強めることができる。
さらに、時間演出期間(演出モードB)が終了されるタイミング(即ち、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行するか否かの分かれ目のタイミング)では、時間演出期間であることを示す「スーパー魚群タイム」という文字の後に、「終了?」という文字(報知態様)が表示される。その後、時間演出延長期間(演出モードC)が設定されると、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行したことを報知する「スーパー魚群タイム延長!!」という文字が表示されて、魚群の背景画像が再度表示される。なお、時間演出延長期間で実行(表示)される演出を延長演出と呼ぶ。
時間演出延長期間(演出モードC)へ移行すると、前兆表示態様に切り替えられることで、遊技者に視認困難となる表示態様に可変されていた(縮小されていた)第3図柄の変動表示が、再度視認可能(容易)な表示態様に可変されて(拡大されて)表示される(図83参照)。第3図柄の変動表示が再度視認可能(容易)な表示態様に可変される(拡大される)場合には、新たな特別図柄の変動が開始されたかのように遊技者に報知(表示)される(以下、再変動演出という)。これにより、前兆表示態様において遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示を、再度視認可能(容易)な態様に可変させる(拡大させる)にあたり、遊技者に対して違和感を与えることなく可変させる(拡大させる)ことができる。
また、時間演出延長期間(演出モードC)は大当たりとなる変動表示が終了されるまで(即ち、大当たり遊技が開始されるまで)の期間となっている。時間演出延長期間(演出モードC)では、その時間演出延長期間(演出モードC)の残り時間(例えば、115秒)が第3図柄表示装置81に表示される(即ち、大当たり遊技が開始されるまでの残時間が第3図柄表示装置81に表示される)。
なお、本実施形態では、時間演出延長期間(演出モードC)が設定される場合は、大当たりとなる保留記憶が設定されている場合か、大当たりとなる変動がすでに開始されている場合(変動中)である。よって、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行することは、遊技者にとって大当たりが報知されることとなる。ここで、時間演出期間は、同一のパチンコ機10同士で同期して同じ演出が実行されており、同じタイミングで時間演出延長期間(演出モードC)へ移行するか否かの演出が表示される。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行することで、他(周囲)の遊技者も当該パチンコ機10が大当たりとなることを判別できる(即ち、周囲の遊技者に対して大当たりとなることを報知できる)ので、他(周囲)の遊技者の射幸心も煽ることができる。
一方、時間演出期間(演出モードB)が終了し、通常遊技期間(演出モードA)が設定されると、時間演出期間(演出モードB)の終了を報知する「スーパー魚群タイム終了!!」の文字が表示される。この表示は、前兆表示態様において、遊技者に視認困難となる表示態様に可変された第3図柄の変動表示が停止表示されるまで表示される。そして、次の変動からは、第3図柄の縮小表示が解除されて、第3図柄が通常サイズで変動表示される。このように構成することで、時間演出期間(演出モードB)が終了し、その後時間演出延長期間(演出モードC)へ移行しない場合においても、前兆表示態様に切り替えられることで視認困難な態様に可変された変動表示を、遊技者に対して違和感を与えることなく停止させることができる。
一方、時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった時点で、第3図柄の変動表示が実行(表示)されていない場合には、通常遊技期間(演出モードA)が設定されると、時間演出期間(演出モードB)の終了を報知する「スーパー魚群タイム終了!!」の文字が所定時間(3秒間)表示される。そして、次の変動からは、第3図柄は縮小表示されることなく通常サイズ(図83(a)参照)で変動表示される。
なお、本実施形態では、時間演出延長期間(演出モードC)が設定される条件を、その後大当たりとなる場合(保留されている入賞情報が大当たり、または、大当たりとなる変動表示が実行中である場合)としたが、それに限らず、スーパーリーチとなる変動パターンが選択される保留記憶が設定されている場合としてもよいし、特別図柄の抽選とは無関係な抽選を実行して所定の抽選結果となった場合に設定するように構成してもよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行したにも関わらず、大当たりとならない場合を設けることができる。これにより、遊技者は、時間演出延長期間(演出モードC)において大当たりとなるか否かに注目するので、遊技者の興趣を向上させることができる。
ここで、時間演出期間(演出モードB)では、定期的(1分毎)に特定時間演出(カウントダウン演出)が行われる(図91参照)。これにより、時間演出期間において、他に(例えば、隣に)設置されているパチンコ機10と同期して同じ特定時間演出(カウントダウン演出)を行うことができ、複数のパチンコ機10で一体感のある演出を提供することを目的とした時間演出の効果をより高めることができる。
また、この特定時間演出(カウントダウン演出)は、パチンコ機10の遊技状態に基づいて演出内容が変化するものである。具体的には、パチンコ機10の遊技状態が確変状態であり、かつ、時短状態でない場合(所謂、潜伏確変状態である場合)には、カウントダウン演出において表示されるカウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が赤色で表示される(潜伏確変状態でない場合は黒色で表示される)。これにより、遊技者は遊技状態が確変状態でありかつ時短状態でない状態(所謂、潜伏確変状態)であることを容易に認識することができる。よって、遊技者に対して特定時間演出の演出内容に興味を抱かせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、潜伏確変状態であることを報知する報知態様は上述したものに限られるものではない。例えば、潜伏確変状態であることを報知するための図柄(画像)や文字を表示させるようにしてもよい。この場合に、それらの図柄(画像)として、各種電源投入時画像を補正して流用するように構成してもよい。これにより、潜伏確変状態であることを報知するための図柄(画像)を別途用意する必要がなくなるので、データ容量(ROMの容量)を削減することができる。
さらに、本制御例では、上述した特定時間演出(カウントダウン演出)の他に、同種の表示態様(カウントダウン)を含むカウントダウン予告演出が実行されるように構成されている。このカウントダウン予告演出は、第1入賞口64または第2入賞口640への入球に基づいて実行(表示)されるものである。即ち、定期的(1分毎)に実行される特定時間演出(カウントダウン演出)と異なるタイミングで実行(表示)される場合がある。よって、他に(例えば、隣に)設置されている同種のパチンコ機10と異なるタイミングで、特定時間演出(カウントダウン演出)と同種の表示態様(カウントダウン)を含むカウントダウン予告演出が実行される場合がある。これにより、遊技に意外性を持たせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、カウントダウン予告演出は、カウントダウンの文字(「3、2、1・・・」)が表示された後に、大当たりとなる期待度を示唆するキャラクタ図柄が表示されたり、枠ボタン22の連打(または押下)が示唆され、枠ボタン22の連打(または押下)に基づいて大当たりとなる期待度を示唆する図柄や文字が表示されたりする演出である。
本制御例では、カウントダウン予告演出の実行(表示)中に特定時間演出(カウントダウン演出)の演出タイミングとなることが考えられる。この場合、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が重複(または、上書き)されて表示されることで、遊技者にとってわかりにくい遊技機となってしまう虞がある。そこで、本制御例では、カウントダウン予告演出の実行中には、上述した回避フラグ223iをオンに設定し(図111のS2007参照)、この回避フラグ223iがオンである場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(設定)されないように構成している(図114のS2305:Yes参照)。これにより、上述した問題が発生することを防止(抑制)し、遊技者にとってわかりやすい遊技機とすることができる。
本制御例では、カウントダウンの態様を例として、そのカウントダウンの態様を含む演出が重複して表示されることを回避(制限)する構成について説明した。しかし、重複して表示されることを回避(制限)する演出は、カウントダウンの態様を含む演出に限られない。同種の態様を含む演出のうち、重複して表示され得る他の演出についても同様に適用可能である。例えば、ボタンの押下を示唆する演出が重複して表示され得る場合には、ボタンの押下を示唆する演出が重複して表示されることを回避(制限)するようにしてもよい。
本制御例では、同種の態様(カウントダウン)を含む演出(カウントダウン演出、カウントダウン予告演出)が重複して表示されないようにするために、カウントダウン予告演出が実行(表示)されている場合には、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行(表示)されないように回避(制限)した。しかし、これに限られず、同種の態様(カウントダウン)を含む演出のうち、いずれか一方の演出時間を調整(延長や短縮)したり、開始タイミングを変更したりするように構成してもよい。例えば、20秒後に特定時間演出(カウントダウン演出)が実行される場合に、カウントダウン予告演出(通常時には演出時間が30秒)が実行(設定)されるとする。この場合に、カウントダウン予告演出の演出時間を短縮して(例えば、15秒に短縮して)設定すればよい。これにより、同種の態様を含む演出のうち、いずれか一方の演出を非表示にせずとも、同種の態様を含む演出が重複して表示されることを防止(抑制)できる。その結果、より多くの演出を表示することができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、同種の態様(カウントダウン)を含む演出のうち、いずれか一方の開始タイミングを変更することで、次のようにしてもよい。例えば、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを、カウントダウン予告演出が終了するまで(または終了してから所定時間経過するまで)遅延させるように構成してもよい。
さらに、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを遅延させる場合には、遅延されなかった場合に設定(表示)されているであろう表示(演出)態様(即ち、開始タイミングが遅延されなかった他のパチンコ機10で表示されている表示(演出)態様)から、特定時間演出(カウントダウン演出)が開始(表示)されるように構成してもよい。具体的に、特定時間演出(カウントダウン演出)が5秒遅延される場合を例として説明する。上述した通り、特定時間演出(カウントダウン演出)は、カウントダウンの文字が「3」から3秒毎に1ずつカウントダウンされる演出である。よって、遅延時間が5秒の場合、遅延されなかった場合に表示される表示(演出)態様(他のパチンコ機10で表示されている表示(演出)態様)は、カウントダウンの文字として「2」が表示される表示(演出)態様である。これに合わせて、5秒遅延されて開始される特定時間演出(カウントダウン演出)を、カウントダウンの文字として「2」が表示される表示(演出)態様から開始するように制御する。これにより、開始タイミングが遅延された特定時間演出(カウントダウン演出)を、他のパチンコ機10で実行(表示)されている特定時間演出(カウントダウン演出)と同期して表示することができる。その結果、複数のパチンコ機10で実行される特定時間演出(カウントダウン演出)がずれることなく実行(表示)されるため、遊技者に違和感を与えてしまうことを防止(抑制)できる。
特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングを遅延させる方法としては、特定時間演出(カウントダウン演出)の開始タイミングが遅延されている期間を計測する手段(計時手段)を設け、その計測結果に基づいて遅延されて開始される特定時間演出(カウントダウン演出)の表示(演出)態様を設定する方法が挙げられる。また、他の方法として、特定時間演出(カウントダウン演出)が遅延されている期間は、制御処理として演出の表示(演出)態様を設定する処理(例えば、画像の表示ポインタの更新処理など)が実行されていても、特定時間演出(カウントダウン演出)に関わる画像および音声が出力されないように処理する(例えば、特定時間演出に関わる音声のみをミュートするなど)方法が挙げられる。
<第1制御例における主制御装置の制御処理について>
次に、図92から図103のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図92は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99、239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1~C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図93~図97を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図98および図99を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図93を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図93は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄1保留球数カウンタ2203d(特別図柄における変動表示の保留回数N1)と、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を取得する(S203)。次に、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0よりも大きいか否か(即ち、特別図柄2の保留記憶があるか)を判別する(S204)。
特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンド(特図2保留球数コマンド)を設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図102参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cにそれぞれ格納する。
S206の処理により特図2保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄2保留球格納エリア203bの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S208の処理へ移行する。
一方、S204の処理において、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0である(即ち、特別図柄2の保留球がない)と判別された場合には(S204:No)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0より大きい(即ち、特別図柄1の保留球が記憶されている)か判別する(S209)。特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0である(特別図柄1の保留球が記憶されていない)と判別された場合には(S209:No)、特別図柄1,特別図柄2共に保留球が無い状態であるので、この処理を終了する。
一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0でなければ(S209:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を減算し(S210)、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S211)。S211の処理により特図1保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S212)。S212の処理では、特別図柄1保留球格納エリア203eの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S208の処理へ移行する。
S208の処理では、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて変動表示を開始するための特別図柄変動開始処理を実行する(S208)。なお、特別図柄変動開始処理については、図94を参照して後述する。その後、この処理を終了する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S213)。第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S213:No)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新し(S214)、本処理を終了する。
一方、S213の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S213:Yes)、停止設定処理を実行し(S215)、この処理を終了する。なお、停止設定処理(S215)については、図95を参照して後述する。
次に、図94を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図94は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図92参照)の特別図柄変動処理(図93参照)の中で実行される処理であり、特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとの共通の実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」、「特別図柄の小当たり」、又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37A,37Bおよび第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理では、まず、特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bとの共通の実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び、停止種別カウンタCN1の各値を取得する(S301)。次に、確変中であるかを判定する(S302)。
確変中である場合は(S302:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)より取得する(S303)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に設定された10の乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0~9」の10個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
なお、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とでは、大当たりと判定される判定値を同じとしたが、それに限らず、異なる乱数値としてもよい。このように構成することで、第1特別図柄では外れと判定される乱数値が第2特別図柄では、当たりと判定されるように構成され、大当たりの偏りを抑制できる。
また、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とで、大当たり乱数値の個数を同じに設定したが、それに限らず、第1特別図柄と第2特別図柄とで大当たりと判定される乱数値の数を異なるように設定してもよい。このように、構成することで、第1特別図柄と第2特別図柄とで大当たりの確率を異ならせることができ、大当たり確率の高い方の特別図柄で抽選が実行される場合には、遊技者により大当たりへの期待を持たせることができる。
一方、S302の処理において、確変中でない場合は(S302:No)、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(低確率遊技状態)であるので、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)とに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S304)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、低確率時用の第1当たり乱数テーブルに格納されている1の乱数値と比較する。特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0」の1個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、この当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
そして、S303またはS304の処理によって取得した特別図柄の抽選結果が、特別図柄の大当たりであるかを判定し(S305)、特別図柄の大当たりであると判定された場合には(S305:Yes)、大当たりを示す大当たり時の表示態様を設定する(S306)。
このS306の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB、大当たりCのいずれか)に応じて、第1図柄表示装置37A、37Bの表示態様が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別が停止種別として設定される。次に、大当たり時の変動パターンを変動種別カウンタCS1の値に基づいて、第1当たり種別選択テーブル(図75(b)参照)より変動パターンを決定する(S307)。具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値を、第1当たり種別選択テーブルに格納されている乱数値と比較する。この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0~39」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりA(16R確変大当たり)となり、値「40~79」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりB(16R時短大当たり)となり、「80~99」のいずれかであった場合の大当たり種別は、大当たりC(2R確変時短無大当たり)となる。その後、S310の処理へ移行する。
一方、S305の処理において、特別図柄の外れであると判定された場合には(S305:No)、特別図柄に対応した外れ時の表示様態を設定する(S308)。このS308の処理では、判定された外れに応じて、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が設定される。次に、外れ時の変動パターンを、現在の保留球数に基づいて決定する(S309)。その後、S310の処理へ移行する。
S310の処理では、決定した各変動パターンを音声ランプ制御装置113へ通知するための変動パターンコマンドを設定し(S310)、停止種別コマンドを設定し(S311)、その後、この処理を終了し特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図95を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される停止設定処理(S215)を説明する。図95は、停止設定処理(S215)を示したフローチャートである。この停止設定処理処理(S215)は、タイマ割込処理(図92参照)の特別図柄変動処理(図93参照)の中で実行される処理である。
停止設定処理(S215)では、まず、第1図柄表示装置37A,37Bの停止図柄に対応した表示態様を設定する(S261)。停止図柄の設定は、図94の特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるか、大当たりCとなるか、小当たりとなるか、外れとなるかが決定される。
尚、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には、赤色のLEDを点灯させ、大当たりCになる場合には黄色のLEDを点灯させる。また、小当たりである場合には、紫色のLEDを点灯させ、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。なお、上記したLEDの表示色や点灯態様に限らず、各大当たり、小当たりの種別、変動状態を識別可能な点灯態様であれば、他の点灯態様であってもよい。
S261の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S262)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S262:Yes)、大当たりフラグ203iをオンに設定し(S263)、大当たりの開始を設定し(S264)、その後、S265の処理に移行する。
一方、S262の処理において、今回の抽選結果が大当たりでなければ(S262:No)、今回の抽選結果が小当たりであるかを判定する(S266)。今回の抽選結果が小当たりであれば(S266:Yes)、小当たりフラグ203jをオンに設定し(S267),小当たりの開始を設定し(S268)、その後、S265の処理へ移行する。
S266の処理において、今回の抽選結果が外れであれば(S266:No)、時短中カウンタ203hの値が1以上であるか判別する(S269)。時短中カウンタ203hの値が0であると判別された場合には(S269:No)、S265の処理へ移行する。一方、時短中カウンタ203hが1以上であると判別された場合には(S269:Yes)、時短中カウンタ203hの値を1減算し(S270)、S265の処理へ移行する。
S265の処理では、停止コマンドを設定し(S265)、この処理を終了する。
次に、始動入賞情報処理(S105)を説明する。まず、図96のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図96は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタを取得し、その値の保留処理を実行するための処理である。
始動入賞処理(図96,S105)が実行されると、まず、球が第1入賞口64に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S501)。ここでは、第1入賞口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入賞口64に入賞したと判別されると(S501:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)を取得する(S502)。そして、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S503)。
そして、第1入賞口64への入賞がないか(S501:No)、或いは、第1入賞口64への入賞があっても特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満でなければ(503:No)、S507の処理へ移行する。一方、第1入賞口64への入賞があり(S501:Yes)、且つ、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満であれば(S503:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算する(S504)。そして、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S505)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図102参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する。
S505の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S506)。尚、S506の処理では、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S507~S512までの処理では、S501~S506までの処理に対して、同様の処理が第2入賞口640の入賞に対しても実行される。第2入賞口640の入賞に対して、第2特別図柄に対する保留処理が実行される点で異なるのみで、その他の処理については同一であるので、その詳細な説明は省略する。そして、S407の処理において球が第2入賞口640へ入賞していないと判定された場合(S507:No)と、S512の処理の後、先読み処理を実行する(S513)。その後、この処理を終了する。
次に、図97を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(図96のS105参照)内の1処理である先読み処理(S513)について説明する。図97は、この先読み処理(S513)を示すフローチャートである。
この先読み処理(図97,S513)では、まず、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞があるかどうかが判定される(S601)。判定の結果、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞がない場合(S601;No)、そのまま本処理を終了する。一方、第1入賞口64または第2入賞口640に新たな入賞があった場合(S601:Yes)、変動開始時の遊技状態が確変であるかどうか否かを判定し(S602)、遊技状態が確変であれば(S602:Yes)、高確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に基づいて抽選結果を取得し(S603)、S605の処理に移る。S602の処理において、遊技状態が確変でなければ(S602:No)、低確率時用の第1当たり乱数テーブル(図75(a)参照)に基づいて抽選結果を取得し(S604)、S605の処理に移る。S605の処理では、S603,S604の処理で実行した大当たり判定結果を含む入賞情報コマンドを設定し(S605)、この処理を終了する。なお、この先読み処理(S513)では、本実施形態に限らず、選択される変動パターンの種別(外れリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ等)まで判別して入賞情報コマンドによって音声ランプ制御装置113に対して通知するように構成してもよい。
次に、図98を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図98は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、第2図柄表示装置において行う第2図柄の変動表示や、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理(図98,S106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S701)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置において当たりを示す表示がなされている最中と、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S701:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S701:No)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S702)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中でなければ(S702:No)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S703)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S704)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であれば(S704:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0でなければ(S704:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S705)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S706)。S706の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリア~保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203cの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S707)。
次に、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを判定する(S708)。
パチンコ機10が普通図柄の時短状態である場合は(S708:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S709)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S709:Yes)、S711の処理に移行する。
S709の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S709:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の第2当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S710)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5~204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0~4,205~239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図75(c)参照)。
S708の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S708:No)、S711の処理へ移行する。S711の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の第2当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S711)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5~28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0~4,29~239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図75(c)参照)。
次に、S710またはS711の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S712)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S712:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S713)。このS713の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S714)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S714:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S715)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S715:Yes)、S717の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第1入賞口64に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物640aの開放回数および開放時間が設定される。
S715の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S715:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S716)、S719の処理へ移行する。S714の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S714:No)、S717の処理へ移行する。S717の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S717)、S719の処理へ移行する。
S712の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S712:No)、外れ時の表示態様を設定する(S718)。このS718の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S719の処理へ移行する。
S719の処理では、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S719)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S719:Yes)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S720)、本処理を終了する。一方、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S719:No)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S721)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第2入賞口640へ球が入球し易い状態となる。
S702の処理において、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であれば(S702:Yes)、第2図柄表示装置において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S722)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置において変動表示が開始される前に、S720の処理またはS721の処理によって予め設定された時間である。
S722の処理において、変動時間が経過していなければ(S722:No)、本処理を終了する。一方、S722の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S722:Yes)、第2図柄表示装置の停止表示を設定する(S723)。S723の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S713の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S718の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S723の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図102参照)の第2図柄表示更新処理(S1107参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置における変動表示が終了し、S713の処理またはS718の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理(図98,S106)によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S724)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S724:Yes)、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御開始を設定し(S725)、本処理を終了する。S725の処理によって、電動役物640aの開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図102参照)の電動役物開閉処理(S1105参照)が実行された場合に、電動役物640aの開閉制御が開始され、S716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物640aの開閉制御が継続される。一方、S724の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S724:No)、S725の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図99のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図99は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図92参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理(図99,S107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したか否かを判定する(S801)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したと判定されると(S801:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S802)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S803)。
球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していないか(S801:No)、或いは、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満でなければ(S803:No)、本処理を終了する。一方、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過し(S801:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満であれば(S803:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1加算する(S804)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cの空き保留エリア(保留第1エリア~保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S805)、本処理を終了する。尚、S805の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図100は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S901)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図101を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図101は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S1002)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S1003)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S1004)、オンされていれば(S1004:Yes)、処理をS1012へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1004:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1005)、記憶されていなければ(S1005:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS1012へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1005:Yes)、RAM判定値を算出し(S1006)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1007:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1012へ移行する。なお、メイン処理(図102)のS1114の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S1012の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S1012)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。RAM203の初期化処理(S1013,S1014)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S1013)、その後、RAM203の初期値を設定する(S1014)。RAM203の初期化処理の実行後は、S1010の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S1004:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S1005:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1007:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S1008)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S1009)、S1010の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM203に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S1010の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。ここで、変動中の特別図柄が記憶されている場合には、音声ランプ制御装置113に対して表示制御装置114に電源時投入変動画像(図82(b)~(C)参照)を変動表示させるように指示される。なお、この変動指示については、立ち上げ処理内の例えば、初期設定(S1001)で実行するようにしてもよいし、他の処理で実行してもよい。次いで、割込みを許可して(S1011)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図102を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図102は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1101~S1107の各処理が実行され、その残余時間でS1110,S1111のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理(図102参照)においては、まず、タイマ割込処理(図92参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1101)。具体的には、タイマ割込処理(図92参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図93参照)や始動入賞処理(図96参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図103参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1102)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1103)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1104)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1104)をメイン処理(図102参照)において実行しているが、タイマ割込処理(図92参照)において実行しても良い。また、大当たり制御処理(S1104)の詳細については、図103を参照して後述する。
次に、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1105)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図98参照)のS725の処理によって電動役物640aの開閉制御開始が設定された場合に、電動役物640aの開閉制御を開始する。尚、この電動役物640aの開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1106)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS307の処理またはS309の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS307,S309の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図94参照)のS306,S308の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1107)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図98参照)のS720の処理またはS721の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図98参照)のS723の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図98参照)のS713の処理またはS718の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1108)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1108:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1109)、既に所定時間が経過していれば(S1109:Yes)、処理をS1101へ移行し、上述したS1101以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1109:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1110,S1111)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1110)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1102の処理と同一の方法によって実行する(S1111)。
ここで、S1101~S1107の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1108の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1108:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図100のNMI割込処理が実行されたということなので、S1112以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1112)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1113)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1114)、RAM203のアクセスを禁止して(S1115)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1108の処理は、S1101~S1107で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1110とS1111の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1101の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1101の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S1001)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1101の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図103のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1104)を説明する。図103は、この大当たり制御処理(S1104)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1104)は、メイン処理(図102参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理(図103,S1104)では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるかを判定する(S1201)。具体的には、停止設定処理(図95参照)のS264の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始されると判定する。S1201の処理において、特別図柄の大当たりが開始される場合には(S1201:Yes)、確変フラグ203g、および時短フラグ203kを共にオフに設定し(S1202)、オープニングコマンドを設定して(S1203)、本処理を終了する。
一方、S1201の処理において、特別図柄の大当たりが開始されない場合には(S1201:No)、特別図柄の大当たり中であるかを判定する(S1204)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1204の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1204:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1204の処理において、特別図柄の大当たり中であると判別した場合には(S1204:Yes)、S1205の処理を実行する。S1205の処理では、新たなラウンドの開始タイミングであるか判別する(S1205)。S1205の処理において、新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合には(S1205:Yes)、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放し(S1206)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定し(S1207)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1205の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでないと判別した場合には(S1205:No)、第1可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したかを判別する(S1208)。特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していれば(S1208:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖し(S1209)、その後、本処理を終了する。
一方、S1208の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していなければ(S1208:No)、エンディング演出の開始タイミングであるか判別する(S1210)。エンディング演出の開始タイミングは、15ラウンドが終了して開閉扉65f1が閉状態にされ、球はけ時間である待機時間(本実施形態では、3秒)が経過した場合に、エンディング演出の開始タイミングとして判別する。エンディング演出の開始タイミングであると判別した場合には(S1210:Yes)、大当たりフラグ203iをオフにして(S1211)、エンディングコマンドを設定する(S1212)。そして、大当たり種別がAまたはCであるかを判別する(S1213)。S1213の処理において、大当たり種別がAまたはCでなければ(S1213:No)、時短中カウンタに100を設定し(S1217)、その後、本処理を終了する。
一方、S1213の処理において、大当たり種別がAまたはCであれば(S1213:Yes)、確変フラグ203gをオンにし(S1214)、大当たり種別がAであるかを判別する(S1215)。大当たり種別がAでなければ(S1215:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S1215の処理において、大当たり種別がAであれば(S1215:Yes)、時短フラグ203kをオンにして(S1216)、その後、この処理を終了する。
<第1制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図104から図115を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図104を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図104は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1301)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1519の電源断処理(図106参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1302)。図106を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図106のS1516:Yes)、S1519の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1519の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1302:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1303)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1306の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1303:Yes)、S1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1303:No)、S1308へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1303:Yes)、S1304へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1303:No)、S1308へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1302:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1519の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1304の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1304)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1305:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1306)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1305:No)、RAM223の異常を報知して(S1307)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1308の処理では、電源断フラグ223yがオンされているか否かを判別する(S1308)。電源断フラグ223yはS1519の電源断処理の実行時にオンされる(図106のS1519参照)。つまり、電源断フラグ223yは、S1519の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグ223yがオンされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1519の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1308:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1309)、電源断フラグ223yをオフに設定した後(S1310)、RAM223の初期値を設定する(S1311)。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。その後、割込み許可を設定し(S1312)、時間設定処理を実行して(S1313)、メイン処理へ移行する。時間設定処理の詳細については、図105を参照して後述する。
一方、電源断フラグ223yがオフされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1308:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1309をスキップして、処理をS1311へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1312)、割込み許可を設定し(S1311)、時間設定処理を実行して(S1313)、メイン処理へ移行する。
なお、S1309のクリア処理をスキップするのは、S1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至った場合には、S1304の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図105を参照して、上述した音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理において実行される時間設定処理(S1313)について説明する。図105は、時間設定処理(S1313)を示したフローチャートである。この時間演出設定処理(S1313)は、通常遊技期間(演出モードA)および時間演出期間(演出モードB)が実行される開始時刻を示す情報を演出時間格納エリア223gに設定するための処理である。
時間設定処理(S1313)では、まず、RTC292より時間情報を取得する(S1401)。ここで取得される時間情報は、「時、分」の値が取得される。なおRTC292は、内部に電池を有した計時手段であり、パチンコ機10を組み立てる際に、所定の治具によりパチンコ機10に同じ現在時刻が初期設定される構成となっている。内部電池の容量は、約3年半程度の稼働時間となっている。また、RTC292は、カレンダー機能も有しており、「年月日」も判別可能な構成となっている。よって、例えば、クリスマスの日には、クリスマス専用の背景画像に変更させたり、サンタ等の特別なキャラクタ等を表示させたりする制御をすることも可能なように構成されている。
そして、S1401の処理において取得した時間情報(電源投入時刻)を基準として、通常遊技期間(演出モードA)、時間演出期間(演出モードB)および特定時間演出が実行(設定)される開始時刻をそれぞれ算出し、演出時間格納エリア223gに設定して(S1402)、本処理を終了する。
S1402の処理で演出時間格納エリア223gに設定される情報について、9時00分に音声ランプ制御装置113の電源が投入された場合を例として、具体的に説明する。演出時間格納エリア223gには、電源投入時刻(9時00分)から55分後の9時55分が最初の時間演出の開始時刻を示す情報として設定される。そして、その最初の時間演出の開始時刻から1時間毎の時刻(10時55分、11時55分・・・)が時間演出の開始時刻を示す情報として24時間分設定される。また、時間演出中における時間演出の開始タイミングから1分毎(9時56分、9時57分、9時58分、9時59分、10時56分、10時57分・・・)が特定時間演出の開始時刻(開始タイミング)を示す情報として設定される。さらに、時間演出期間は5分間であるので、時間演出の開始時刻から5分後の時刻(10時00分、11時00分・・・)を示す情報が通常遊技期間(演出モードA)の開始時刻を示す情報として設定される(図91参照)。
なお、本制御例では、電源が投入された時刻を基準として各時間演出(時間演出、特定時間演出)を実行するように設定したが、これに限られず、電源投入時刻に関わらず各時間演出(時間演出、特定時間演出)の開始時刻を設定してもよい。例えば、毎時00分を時間演出の開始時刻として設定してもよい。これにより、複数のパチンコ機10の電源を投入する際に、その電源投入時刻がずれたとしても、時間演出の開始時刻がずれることがなく、複数のパチンコ機10で時間演出を同期して実行することができる。
本制御例では計時手段としてRTC292を用いるようにしたが、これに限られるものではない。例えば、計時手段としてカウンタを設けて、次のようにしてもよい。通常遊技期間(55分間)を測定(計時)する場合には、通常遊技期間(55分間)が開始されてからカウンタの値を定期的(例えば1秒毎)にカウントアップ(またはカウントダウン)することで測定(計時)する。そして、カウンタの値が55分を示す値(例えば3300)となった場合に、55分が経過したと判別する。このように構成することで、RTC292を設ける必要がなくなるため、パチンコ機10をより安価に構成することができる。
次に、図106を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図106は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1501の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1501)、1m秒以上経過していなければ(S1501:No)、S1502~S1510の処理を行わずにS1511の処理へ移行する。S1501の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1502~S1510が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1511のコマンド判定処理やS1512の変動表示設定処理などを短い周期で実行する方が好ましいからである。S1511の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1512の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1501の処理で1m秒以上経過していれば(S1501:Yes)、まず、S1503~S1512の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1502)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1508の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1503)、その後電源投入報知処理を実行する(S1504)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。
また、停電等による電源断からの復旧時には、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この特別図柄の変動中であることを含む演出許可コマンドを受信したことに基づいて、この電源投入報知処理(S1504)で表示用変動パターンコマンドを作成し、表示制御装置114へ向けて送信する。表示制御装置114では、この電源投入時変動画像の変動開始コマンドを簡易コマンド判定処理(図118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく変動パターンに基づいて、電源投入時変動画像による変動表示を実行する(図82(b)または(c)参照)。ここで作成される表示用変動パターンコマンドは、上述したように、簡易な画像である電源投入時変動画像による変動表示を実行するためのものであるので、後述する変動パターン選択処理(図110参照)で選択されるものよりも簡易なものである。これにより、表示用変動パターンコマンドを作成するための処理負荷を軽減することができ、電源断からの復旧時にレスポンス良く電源投入時変動画像を表示させることができる。
さらに、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信された後に、当該演出許可コマンドに基づいて実行される変動表示を停止するための停止コマンドが主制御装置110より音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この停止コマンドを受信したことに基づいて、表示制御装置114へ表示用停止コマンドを送信する。表示制御装置114では、表示用停止コマンドを受信したことを簡易コマンド判定処理(118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく表示態様で電源投入時変動画像(図82(b)または(c)参照)を停止させる。
また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1505の処理へ移行する。
S1505の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1506)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1507)。この枠ボタン入力監視・演出処理は、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22の操作に対応する表示用コマンドを設定する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1508)、その後音編集・出力処理を実行する(S1509)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29~33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1509の処理後、液晶演出実行管理処理が実行される(S1510)。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1508のランプ編集処理が実行される。なお、S1509の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
液晶演出実行管理処理の後に、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1511)。このコマンド判定処理の詳細については、図107を参照して後述する。
次に、S1512の処理へ移行する。S1512の処理では、変動表示設定処理が実行される(S1512)。変動表示設定処理では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図109を参照して後述する。
変動表示設定処理(S1512)を終えると、次いで、パチンコ機10の演出モードに基づいた演出を実行するための同期演出管理処理を実行し(S1513)、時間演出期間(演出モードB)において特定時間演出を実行するための特定時間演出処理を実行する(S1514)。そして、第2入賞口640への遊技球の入球に基づく入球演出を実行するための入球演出設定処理を実行し(S1515)、S1516の処理へ移行する。同期演出管理処理(S1513)と、特定時間演出処理(S1514)と、入球演出設定処理(S1515)との詳細については、それぞれ図112及び113、図114、図116を参照して後述する。
入球演出設定処理(S1515)が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1516)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1516の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1516:Yes)、電源断フラグ223y及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1518)、電源断処理を実行する(S1519)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1520)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1516の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1516:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1517)、RAM223が破壊されていなければ(S1517:No)、S1501の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1517:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図107を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1511)について説明する。図81は、このコマンド判定処理(S1511)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1511)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理(S1511)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1601)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1601:Yes)、変動パターン受信処理(S1602)を実行して、メイン処理へ戻る。
ここで、図108を参照して、変動パターン受信処理(S1602)の詳細について説明する。図108は、変動パターン受信処理(S1602)を示すフローチャートである。この変動パターン受信処理(S1602)は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて、変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンの役物シナリオに基づいて各種役物(上下動作ユニット装置(落下役物)400、伸縮演出装置(伸縮役物)540、傾倒動作ユニット(傾倒役物)600など)の動作設定を行う処理である。
変動パターン受信処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dをオンし(S1701)、また、受信した変動パターンコマンドから変動パターン種別を抽出する(S1702)。ここで抽出された変動パターン種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図109参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の開始とその変動パターン種別を通知する表示用変動パターンコマンドを設定するために用いられる。
そして、抽出した変動パターン種別に落下役物シナリオがあるか否かを判別する(S1703)。S1703の処理において、落下役物シナリオがあると判別された場合は(S1703:Yes)、上下動作ユニット装置(落下役物)400の可動する演出が実行される場合であるので、上下動作ユニット装置(落下役物)400を可動させるための落下役物シナリオを設定する(S1704)。S1704の処理において設定される落下役物シナリオは、変動パターン種別に基づいて設定される変動演出の変動時間と同一の時間分の上下動作ユニット装置(落下役物)400の動作を規定したものである。この落下役物シナリオに基づいて、上下用駆動モータ431を駆動することにより、上下動作ユニット装置(落下役物)400と変動演出とを同期(連動)して可動させることができる。
S1704の処理を終えると、次いで、上下動作ユニット装置(落下役物)400の扉部材470の開放設定があるか否かを判別する(S1705)。S1705の処理において、扉部材470の開放設定があると判別された場合は(S1705:Yes)、扉部材470が開放されるように、開閉用駆動モータ466の励磁を行わないよう(オフ)に設定する(通電停止制御)。これにより、扉部材470を閉状態に維持するための開閉用駆動モータ466の静止トルク(所謂、ディテントルク)が最小となり、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動する慣性力によって扉部材470が開放されることとなる。図示は省略したが、扉部材470の開放設定がない場合、即ち、扉部材470を閉状態のままとする場合は、開閉用駆動モータ466が停止するように開放用駆動モータ466を励磁制御する。これにより、扉部材470の開放設定がない場合には、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動しても、開放用駆動モータ466の静止トルク、即ち、扉部材470を閉状態で維持するためのトルク(所謂、ホールディングトルク)が最大となるように励磁されるので、扉部材470は閉状態に維持され、開放されない。なお、扉部材470を閉状態で維持するためのトルク(ホールディングトルク)は、最大となるようにせずとも良く、上下動作ユニット装置(落下役物)400が落下方向に可動する際に扉部材470に発生する慣性力により扉部材470が開放されない程度のトルクであればよい。この場合、開閉用駆動モータ466を励磁する電流を微弱なものとすることができるので、消費電力を低減することができる。
一方、S1705の処理において落下役物の開放設定がないと判別された場合は(S1705:No)、S1706の処理をスキップしてS1707の処理へ移行し、落下役物シナリオがないと判別された場合は(S1703:No)、S1704からS1706の処理をスキップしてS1707の処理へ移行する。
S1703,S1705またはS1706の処理を終えると、伸縮役物シナリオがあるか否かを判別する(S1707)。S1707の処理において、伸縮役物シナリオがあると判別された場合は(S1707:Yes)、伸縮演出装置540(図9参照)の前板部材546が下方位置へと可動するように、駆動モータ561を励磁制御する伸縮役物シナリオを設定し(S1708)、S1709の処理へ移行する。一方、S1707の処理において、伸縮役物シナリオがないと判別された場合は(S1707:No)、S1708の処理をスキップしてS1709の処理へ移行する。
S1709の処理では、傾倒役物シナリオがあるか否かを判別する(S1709)。S1709の処理において、傾倒役物シナリオがあると判別された場合は(S1709:Yes)、傾倒動作ユニット600(図9参照)が張出位置へと可動するように、駆動モータ631を励磁制御する傾倒役物シナリオを設定し(S1710)、本処理を終了する。一方、S1709の処理において、傾倒役物シナリオがないと判別された場合は(S1709:No)、S1708の処理をスキップして本処理を終了する。
図107に戻り、説明を続ける。S1601の処理において、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1601:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1603)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1603:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223eをオンに設定し(S1604)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1605)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図109参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1603:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1606)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1606:Yes)、受信した保留球数コマンドが特図1保留球数コマンドであるか、特図2保留球数コマンドであるかを判別して、そのコマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)と、主制御装置110の特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223b、および特別図柄2保留球数カウンタ223cにそれぞれ格納する(S1607)。また、S1607の処理では、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値をそれぞれ表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する。S1607の処理の終了後は、メイン処理に戻る。
ここで、特図1保留球数コマンド又は特図2保留球数コマンドは、球が第1入賞口64又は第2入賞口640に入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1607の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値が主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を修正し、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。尚、S1607の処理が実行されると、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄が第3図柄表示装置81に表示される。
S1606の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1606:No)、次いで、主制御装置110より入賞情報コマンドを受信したか判別する(S1608)。S1608の処理において、入賞情報コマンドを受信したと判別した場合には(S1608:Yes)、その受信した入賞情報コマンドに基づいた入賞情報(特別図柄の抽選結果など)を入賞情報格納エリア223aに格納し(S1609)、本処理を終了する。
一方、入賞情報コマンドを受信しなかった場合(S1608:No)、大当たりに関するコマンドを受信したか否かを判定する(S1610)。S1610の処理において、大当たりに関するコマンドを受信した場合(S1610:Yes)、受信した大当たりに関するコマンドに対応する処理を実行し(S1611)、本処理を終了する。大当たりに関するコマンドとしては、例えば、オープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドがある。また、受信した大当たりに関するコマンドに対応する処理としては、例えば、表示用オープニングコマンド、表示用ラウンド数コマンド、表示用エンディングコマンドを設定する処理がある。
S1610の処理において、大当たりに関するコマンドを受信していないと判別された場合には、(S1610:No)、停止コマンドを受信したか否かを判別する(S1612)。S1612の処理において、停止コマンドを受信したと判別された場合は(S1612:Yes)、実行されている変動表示の停止処理を実行し(S1613)、回避フラグ223iをオフに設定し(S1614)、表示用停止コマンドを設定して(S1615)、本処理を終了する。
S1615の処理により設定された表示用停止コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1501)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、当該表示停止コマンドを受信すると、実行中の変動演出を、停止種別コマンドにより設定された停止種別に基づく表示態様で停止させる。
一方、S1612の処理において、停止コマンドを受信していないと判別した場合には(S1612:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1616)、メイン処理に戻る。その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図109を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1512)について説明する。図109は、この変動表示設定処理(S1512)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1512)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dがオンか否かを判別する(S1801)。そして、変動開始フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1801:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1806の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223dがオンであると判別された場合(S1801:Yes)、変動開始フラグ223dをオフし(S1802)、次いで、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づく変動パターン種別を選択するための変動パターン選択処理を実行する(S1803)。
ここで、図110を参照して、変動パターン選択処理(S1803)の詳細について説明する。図110は、変動パターン選択処理(S1803)を示すフローチャートである。この変動パターン選択処理では、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドと、音声ランプ制御装置113でカウントしている演出カウンタ223jとに基づいて、演出モードに応じた変動パターン種別を選択する処理である。
変動パターン選択処理では、まず、演出カウンタ223jの値を取得する(S1901)。次いで、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)であるか否かを判別する(S1902)。演出モードの判別は、演出モード格納エリア223hの値を参照して判別を行う。上述したように、演出モード格納エリア223hの値は、「00H」であれば演出モードAであることを示し、「01H」であれば演出モードBであることを示し、「02H」であれば演出モードCであることを示すものである。
S1902の処理において、演出モード格納エリア223hの値が演出モードA(通常遊技期間)であると判別された場合は(S1902:Yes)、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する通常遊技期間(演出モードA)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1903)、本処理を終了する。ここで選択された変動パターンに基づいて、後述する変動表示設定処理において表示用変動パターンコマンドとして設定される(図109のS1804参照)。
一方、S1902の処理において、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)でないと判別された場合は(S1902:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるか否かを判別する(S1904)。
S1904の処理において、演出モード格納エリア223hの値が演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S1904:Yes)、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する時間演出期間(演出モードB)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1905)、本処理を終了する。
一方、S1904の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S1904:No)、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)の場合である。この場合、変動パターン受信処理(図108参照)のS1702の処理において抽出した変動パターン種別と、S1901の処理において取得した演出カウンタ223jとに基づいて、対応する時間演出延長期間(演出モードC)の変動パターンを、変動パターン選択テーブル222aより選択し(S1906)、本処理を終了する。
このように、変動パターン選択処理(S1803)では、現在の演出モードに応じた変動パターンを選択するようにしているため、各演出期間(演出モード)に応じた変動表示を実行(表示)することができる。
図109に戻り、説明を続ける。S1803の処理を終えると、S1803の処理において選択した変動パターンに基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1804)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。S1804の処理を終えると、次いで、当否判定結果に基づく(大当たりとなる期待度を示唆する)予告演出を設定するための予告選択処理を実行する(S1805)。なお、この予告選択処理も現在の演出モードに応じた予告演出が選択されるように構成されている。
ここで、図111を参照して予告選択処理(S1805)の詳細について説明する。図111は、予告選択処理(S1805)を示すフローチャートである。この予告選択処理(S1805)は、上述した変動表示設定処理(図109参照)において実行され、現在の演出モードに応じた当否判定結果に基づく予告演出を設定するための処理である。
予告選択処理(S1805)では、まず、演出カウンタ223jを取得し(S2001)、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)であるか否かを判別する(S2002)。S2002の処理において、現在の演出モード(演出モード格納エリア223hの値)が演出モードA(通常遊技期間)であると判別された場合は(S2002:Yes)、入賞情報格納エリア223aに格納されている各保留球の当否判定結果と、演出カウンタ223jの値とに基づいて、通常遊技期間の予告演出である通常予告演出を選択し(S2003)、S2011の処理へ移行する。
一方、S2002の処理において、現在の演出モードが演出モードA(通常遊技期間)でないと判別された場合は(S2002:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるか否かを判別する(S2004)。
S2004の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S2004:No)、入賞情報格納エリア223aに格納されている各保留球の当否判定結果と、演出カウンタ223jの値とに基づいて、時間演出期間の予告演出である時間予告演出を選択し(S2005)、S2006の処理へ移行する。
S2006の処理では、S2005の処理において選択された時間予告演出が、カウントダウンの表示態様を含む予告演出(カウントダウン予告演出)であるか否かを判別する(S2006)。S2006の処理において、選択された時間予告演出がカウントダウン予告演出であると判別された場合は(S2006:Yes)、特定時間演出(カウントダウン演出)を実行しないようにするため、回避フラグ223iをオンにして(S2007)、S2011の処理へ移行する。S2007の処理によって、回避フラグ223iがオンに設定されることで、カウントダウン予告演出が実行されることを判別可能となる。この回避フラグ223iがオンである場合には、後述する特定時間演出処理(図114参照)において特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように制御される(図114のS2305:Yes)。これにより、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出(カウントダウン予告演出、特定時間演出(カウントダウン演出))が重複して行われることを防止(抑制)でき、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を防止(抑制)することができる。
なお、本実施形態では、第2入賞口640への入球に基づいてカウントダウン予告演出が実行される場合に回避フラグ223iをオンに設定し、特定時間演出が実行されないように制御したが、これに限られるものではない。例えば、第2入賞口640への入球に基づいてカウントダウン予告演出が実行されるタイミングを、入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報に基づいて先読み(推測)する。即ち、カウントダウン予告演出が実行される期間を先読み(推測)する。その先読み(推測)結果に基づいて、カウントダウン予告演出が実行される期間において、特定時間演出(カウントダウン演出)が重複して実行されないように設定してもよい。これにより、特定時間演出が開始されるタイミングよりも前に、特定時間演出を実行するための処理を中止できる。その結果、特定時間演出を実行するための準備(例えば、画像データの転送処理など)を省略できるので、処理負荷を軽減することができる。
また、重複を防止(抑制)するのは表示態様だけに限られず、音声や楽曲が重複してしまうことを防止(抑制)するようにしてもよい。さらに、表示態様に対して音声が異なってしまうことを防止(抑制)するようにしてもよい。例えば、ボタンを押せという表示が出ていないのに、「ボタンを押してね」という音声が出力されてしまうことを防止(抑制)する。
さらに、同種の表示態様を含む演出の重複を防止(抑制)するだけに限られず、同種の表示態様を含む演出が連続して(または頻繁に)実行されることを防止してもよい。具体的には、カウントダウン予告演出が実行される期間の近傍(例えば、前後1分)において、特定時間演出(カウントダウン演出)が実行されないように、回避フラグ223iをオンに設定する。これにより、遊技者に対して、より分かり易い遊技機を提供できる。
一方、S2006の処理において、選択された時間予告演出がカウントダウンの予告演出以外のものであると判別された場合は(S2006:No)、S2007の処理をスキップして、S2011の処理へ移行する。
S2004の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S2004:No)、次いで、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であるか否かを判別する(S2008)。S2008の処理において現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であると判別された場合は(S2008:Yes)、次いで、当該変動の当否判定結果が当たりであるか否かを判別する(S2009)。
S2009の処理において、当該変動の当否判定結果が当たりであると判別された場合は(S2009:Yes)、当該変動が大当たりとなることを示唆する予告演出であるスーパー魚群予告演出を選択して(S2010)、S2011の処理へ移行する。
S2003,S2006,S2007またはS2010の処理を終えると、選択した予告演出を示す表示用予告コマンドを設定して(S2011)、本処理を終了する。ここで設定された表示用予告コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用予告コマンドを受信すると、そのコマンドに応じた予告演出を第3図柄表示装置81に表示する。
一方、S2008の処理において現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)ではないと判別された場合(S2008:No)、または、S2009の処理において、当該変動の当否判定結果が外れであると判別された場合は(S2009:No)、実行する予告演出がないため、そのまま本処理を終了する。なお、S2003およびS2005の処理では、演出カウンタ223jの値により予告演出が選択されない場合があり、その場合も同様に、表示用予告コマンドを設定せず、本処理を終了する。
なお、本制御例では、時間演出延長期間(演出モードC)において、時間演出期間(演出モードB)において定期的(1分毎)に実行される特定時間演出(カウントダウン演出)は実行されないようにしているが、これに限られず、時間演出期間(演出モードB)と同様に特定時間演出(カウントダウン演出)を実行してもよい。この場合は、上述した回避フラグ223iを用いて、時間演出期間(演出モードB)と同様にカウントダウン予告演出と重複するタイミングで特定時間演出(カウントダウン演出)が行われないように制御すればよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)においても、カウントダウン予告演出などが重複して実行されたりすることを抑制でき、遊技者に対してわかりやすい遊技機を提供できる。また、時間演出延長期間(演出モードC)において定期的に実行される特定時間演出の表示態様は、カウントダウンの表示態様を含まないものとしてもよい。これにより、時間演出延長期間(演出モードC)において特定時間演出を定期的に実行しても、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出が実行されない。よって、遊技者に対してわかりやすい遊技機を提供できる。
図109に戻り、説明を続ける。S1805の処理を終えると、次いで、停止種別選択フラグ223eがオンであるか否かを判別する(S1806)。そして、停止種別選択フラグ223eがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1806:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223eがオンであると判別された場合(S1806:Yes)、停止種別選択フラグ223eをオフし(S1807)、次いで、コマンド判定処理(図107参照)のS1605の処理において、停止種別コマンドから抽出した変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1808)。主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定し(S1809)、S1810の処理へ移行する。S1810の処理では、設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1810)。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
次に、図112を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である同期演出管理処理(S1513)について説明する。図112は、この同期演出管理処理(S1513)を示したフローチャートである。この同期演出管理処理(S1513)では、RTC292より時間情報を取得して、その時間情報に基づいて、通常遊技期間、時間演出期間、時間演出延長期間であるかを判別して、それを示す演出モードを設定する処理を実行する。
同期演出管理処理(図112、S1513)では、まず、RTC292より「時、分」の時間情報を取得する(S2101)。そして、演出モード格納エリア223hに、演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)が設定されているか判別する(S2102)。演出モードAを示す値(「00H」)が設定されていると判別した場合には(S2102:Yes)、S2101の処理で取得した時間データは演出モードB(時間演出期間)への移行タイミング(時間演出期間の期間となったか)を判別する(S2103)。S2103の処理において、演出モードB(時間演出期間)への移行タイミングであると判別した場合、即ち、時間演出の開始タイミングであると判別した場合には(S2103:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)を設定し(S2104)、演出モードB(時間演出期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定し(S2105)、本処理を終了する。一方、S2103の処理において時間演出期間でないと判別した場合には、S2104およびS2105の処理をスキップして、本処理を終了する。
一方、S2102の処理において、演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)が設定されていないと判別した場合には(S2102:No)、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)が設定されているか否かを判別する(S2106)。S2106の処理において、演出モードB(時間演出期間)を示す値(「01H」)が設定されていると判別した場合には(S2106:Yes)、S2101の処理で取得した時間データは時間演出終了から3秒以内であるか、即ち、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒以内かを判別する(S2107)。
S2107の処理において、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒以内であると判別された場合には(S2107:Yes)、延長演出を実行(表示)するための延長演出設定処理を実行する(S2108)。その後、メイン処理(図106参照)へ戻る。延長演出設定処理(S2108)については、図113を参照して詳細について説明する。
一方、S2107の処理において、取得した時間データが時間演出終了から3秒以内でないと判別された場合は、時間演出期間の終了タイミング(通常遊技期間の開始タイミング)まで3秒より長い場合であるため、S2108の処理をスキップして、本処理を終了する。
S2106の処理において、演出モード格納エリア223hに演出モードB(時間演出期間)を示す値(「00H」)が設定されていない、即ち、現在の演出モードが演出モードC(時間演出延長期間)であると判別した場合には(S2106:No)、時間演出延長期間外であるか否か、即ち、時間演出延長期間(演出モードC)の終了タイミングであるか否かを判別する(S2109)。S2109の処理において、時間演出延長期間の終了タイミングであると判別した場合には(S2109:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)を設定し(S2110)、演出モードA(通常遊技期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2111)、本処理を終了する。一方、S2109の処理において、取得した時間データが時間演出延長期間の終了タイミングでないと判別された場合は(S2109:No)、S2110およびS2111の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図113を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される同期演出管理処理(図112参照)内の一処理である延長演出設定処理(S2108)を説明する。図113は、この延長演出設定処理(S2108)の内容を示したフローチャートである。
延長演出設定処理(図113、S2108)では、まず、大当たり遊技中であるか判別する(S2201)。大当たり遊技中であると判別した場合には(S2201:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードA(通常遊技期間)を示す値(「00H」)を設定する(S2202)。そして、演出モードA(通常遊技期間)に基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2203)、本処理を終了する。
本制御例では、上述したように、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されている場合には(S2201:Yes)、その大当たり遊技の終了後に通常遊技期間(演出モードA)へと移行させる(S2202およびS2203)ように制御しているが、これに限られるものではない。例えば、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても、その大当たり遊技が時間演出期間(演出モードB)の終了前に終了した場合には、時間演出期間(演出モードB)を設定してもよい。また、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても、その後大当たりとなると判別された場合(保留されている入賞情報が大当たりである場合)には、大当たり遊技の終了後に、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行させてもよい。これにより、時間演出期間(演出モードB)の終了3秒前の時点で、大当たり遊技が実行されていたとしても延長演出などを実行(表示)できるので、遊技者の興趣を向上できる。
一方、S2201の処理において、大当たり遊技中でないと判別した場合には(S2201:No)、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングであるか判別する(S2204)。S2204の処理において、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングであると判別した場合には(S2204:Yes)、再変動演出が設定されているか否か、即ち、延長演出が実行される(演出モードCへ移行する)ことが決定しているか否かを判別する(S2205)。再変動演出が設定されている場合、即ち、その後延長演出が実行される(演出モードCへ移行する)ことが決定されている場合には(S2205:Yes)、演出モード格納エリア223hに演出モードCを示す値(「02H」)に設定して(S2206)、演出モードCに基づく表示用演出モード変更コマンドを設定して(S2207)、本処理を終了する。
一方、S2205の処理において、再変動演出が設定されていないと判別した場合は(S2205:No)、その後、時間演出延長期間(演出モードC)へと移行せず、通常遊技期間(演出モードA)へと移行することとなるため、S2202の処理へ移行する。これにより、時間演出期間(演出モードB)の終了時に(S2204:Yes)、時間演出延長期間(演出モードC)へ移行しない場合(S2205:No)、演出モードA(通常遊技期間)へと移行させることができる(S2202およびS2203)。
また、S2204の処理において、時間演出期間(演出モードB)の終了タイミングでない(即ち、時間演出が継続して実行される)と判別した場合には(S2204:No)、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されているか、または変動中の当否判定結果が当たりであるか否かを判別する(S2208)。S2208の処理において、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されている、または、変動中の当否判定が当たりであると判別した場合には(S2208:Yes)、当たりとなる変動が終了するまでの時間を算出して、時間演出延長期間の演出時間(延長演出時間)として設定する(S2209)。そして、再変動演出を設定し(S2210)、本処理を終了する。
ここで、再変動演出とは、時間演出期間から時間演出延長期間へと移行することを示唆すると共に、新たな特別図柄の変動が開始されたかのように遊技者に報知(表示)する演出である。具体的には、魚群の表示態様が右から出現する表示態様が表示されると共に、遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示が、再度視認可能(容易)な態様に可変される(拡大される)。上述したように、本制御例では時間演出期間(演出モードB)の残り時間が3秒以下となった場合には、前兆表示態様へと切り替わることで、それまで実行(表示)されていた第3図柄の変動表示は、遊技者に視認困難となる表示態様(縮小表示)に可変される。再変動演出では、この遊技者に視認困難となる表示態様に可変された(縮小された)第3図柄の変動表示を、再度視認可能(容易)な態様に可変する(拡大する)際に、魚群の表示態様が右から出現する表示態様を表示する。これにより、遊技者は魚群の表示態様に注目することになるため、遊技者に対して違和感を与えることなく、第3図柄の変動表示を可変させる(拡大させる)ことができる。
一方、S2208の処理において、入賞情報格納エリア223aに当たりとなる入賞情報が記憶されておらず、変動中の当否判定結果が外れであると判別した場合には(S2208:No)、S2209およびS2210の処理をスキップして本処理を終了する。
次に、図114を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である特定時間演出処理(S1514)について説明する。図114は、特定時間演出処理(S1514)の内容を示したフローチャートである。この特定時間演出処理(S1514)は、時間演出期間(演出モードB)において、特定時間演出を実行(表示)するための処理である。
特定時間演出処理では、まず、RTC292より時間情報を取得する(S2301)。次いで、演出モード格納エリア233hを参照して、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であるかを判別する(S2302)。S2302の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)でないと判別された場合は(S2302:No)、以降の処理で特定時間演出を実行するタイミングと判別されることはないため、そのまま本処理を終了する。
一方、S2302の処理において、現在の演出モードが演出モードB(時間演出期間)であると判別された場合は(S2302:Yes)、次いで、S2301の処理において取得した時間情報(現在時刻)と、演出時間格納エリア223gに格納されている特定時間演出の開始時刻を示す情報とに基づいて、特定時間演出タイミングであるか否かを判別する(S2303)。S2303の処理において、特定時間演出タイミングでないと判別された場合は(S2303:No)、特定時間演出を実行するタイミングではないため、そのまま本処理を終了する。
S2303の処理において、特定時間演出であると判別された場合は(S2303:Yes)、次いで、デモ演出の実行中であるか否かを判別する(S2304)。S2304の処理において、デモ演出の実行中であると判別された場合は(S2304:Yes)、そのまま本処理を終了する。これにより、デモ演出の実行中、即ち、遊技者が遊技を行っていない場合には、当該パチンコ機10の遊技状態が確変遊技状態(潜伏確変状態)であるか否かを示唆する演出である特定時間演出を表示しないようにでき、遊技をしていない遊技者に対して遊技状態を示唆してしまうことを防止(抑制)できる。
一方、S2304の処理においてデモ演出の実行中でないと判別された場合は(S2304:No)、次いで、回避フラグ223iがオンであるか否かを判別する(S2305)。S2305の処理において、回避フラグ223iがオンであると判別された場合は(S2305:Yes)、第2入賞口640への入球に基づく予告演出のうちカウントダウン予告演出が実行されている場合であるため、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である特定時間演出(カウントダウン演出)を表示しないようにするため、そのまま本処理を終了する(即ち、特定時間演出(カウントダウン演出)の設定を行わない)。
S2305の処理において、回避フラグ223iがオフであると判別された場合は(S2305:No)、特定時間演出(カウントダウン演出)を実行するために、表示用特定時間演出コマンドを設定して、本処理を終了する。
S2305の処理により、特定時間演出の実行中に第2入賞口640への入賞に基づくカウントダウン予告演出が実行される場合には(回避フラグ223iがオンの場合には)、特定時間演出に係るカウントダウン演出が実行されないように制御される(S2305:Yes)。これにより、同種の表示態様(カウントダウン)を含む演出である、カウントダウン予告演出と特定時間演出(カウントダウン演出)とが重複して実行されることがないため、遊技者にとってわかりやすい遊技を提供できる。
次に、図115を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図106参照)内の一処理である入球演出設定処理(S1515)について説明する。図115は、入球演出設定処理(S1515)の内容を示したフローチャートである。この入球演出設定処理(S1515)では、時短遊技中において、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて入球演出を表示するための処理である。この入球演出は、大当たりとなるまでの残変動回数で選択される種別が変更されるものである。また、入球演出の表示される領域は、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dへと順に設定される。
入球演出設定処理(S1515)では、まず、遊技状態が時短遊技中であるか否かを判別する(S2401)。S2401の処理において、時短遊技中でないと判別された場合は(S2401:No)、第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づく入球演出を実行(表示)しないので、そのまま本処理を終了する。
一方、S2401の処理において、時短遊技中であると判別された場合は(S2401:Yes)、次いで、遊技球が第2入賞口640へ入球したか否かを判別する(S2402)。本制御例では、主制御装置110で第2入賞口640へ遊技球が入球したことに基づいて、入球コマンドが音声ランプ制御装置113に向けて送信されている(図示せず)。音声ランプ制御装置113では、入球コマンドを受信することにより、RAM223のその他メモリエリア223zに第2入賞口640へ入球があったことを記憶しておき、S2402の処理において、第2入賞口640へ入球があったか否かを判別する。
なお、これに限られず、第2入賞口640へ遊技球が入球したことを検知する入球検知スイッチを設けることにより、第2入賞口640へ遊技球が入球したことを音声ランプ制御装置113で検知可能としてもよい。また、入球検知スイッチは、主制御装置110で使用されている第2入賞口640への入球を検知しているスイッチを兼用して使用してもよい。これにより、遊技機の製造コストを低減できる。
S2402の処理において、第2入賞口640へ遊技球が入球していないと判別された場合は(S2402:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S2402の処理において、主制御装置110より上述した入球コマンドを受信しており、第2入賞口640へ遊技球が入球したと判別された場合は(S2402:Yes)、入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報と、入球演出選択テーブル222bとに基づいて、入球演出を選択する(S2403)。そして、S2403の処理において選択した入球演出と、表示領域カウンタ223fとに基づいて、表示用入球演出コマンドを設定する(S2404)。ここで設定された表示用入球演出コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図106参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、この表示用入球演出コマンドを受信すると、コマンドに対応した表示領域(第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81d)に入球演出を表示する。
S2404の処理を終えると、表示領域カウンタ223fの値を1加算し(S2405)、その加算された表示領域カウンタ223fの値が5であるか否かを判別する(S2406)。S2406の処理において、表示領域カウンタ223fの値が5であると判別された場合は(S2406:Yes)、当該入球演出設定処理において第4領域81d(図89または図90参照)に入球演出を表示設定しており、次に入球演出を表示する領域を第1領域81a(図89または図90参照)とするために、表示領域カウンタ223fの値を1に初期化して(S2407)、本処理を終了する。一方、S2406の処理において、表示領域カウンタ223fが5でない(即ち、2から4のいずれかである)と判別された場合は(S2406:No)、表示領域カウンタ223fの値を初期化する必要がないため、S2407の処理をスキップして、本処理を終了する。
ここで、S2404の処理により表示領域カウンタ223fに応じた第3図柄表示装置81の領域に入球演出を表示することができる。具体的には、表示領域カウンタ223fの値が、1である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81aに、2である場合は第3図柄表示装置81の第2領域81bに、3である場合は第3図柄表示装置81の第1領域81cに、4である場合は第3図柄表示装置81の第4領域81dに、入球演出が表示されることとなる。そして、S2405からS2407の処理により、入賞演出設定処理(S1515)が実行され、表示用入球演出コマンドが設定される毎に、表示領域カウンタ223の値を更新することができるので、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dへと順に入球演出を表示することができ、第4領域81dへ入球演出を表示した後は、第1領域81aから再び入球演出を順に表示させることができる。これにより、一の入球に基づく入球演出は、その後新たに第2入賞口640へ遊技球が4球入球するまで継続して表示されることとなり、第2入賞口640へ遊技球が入球する間隔が非常に短い場合でも、入球演出が表示される時間を確保することができる。その結果、遊技者が入球演出を視認(認識)できない(または困難である)との不具合を抑制することができる。
なお、本制御例では、入球演出を第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示するように構成したが、これに限られず、逆順(反時計回り)に表示するように構成してもよいし、ランダムに表示するようにしてもよい。さらに、特定の演出や変動が実行される場合や大当たりの入賞情報がある場合などに表示順序を変更するようにしてもよい。これにより、表示される入球演出の順序を変更することができ、単調な遊技となってしまうことを防ぎ、遊技者が早期に飽きてしまうことを防ぐことができる。
また、大当たりとなる期待度に応じて、第3図柄表示装置81の各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序を変更してもよい。例えば、大当たりとなる期待度が低い場合には、入球演出を第1領域81aから第4領域81dの各領域に順(時計周り)に表示し、一方、大当たりとなる期待度が高い場合には、逆順(反時計回り)に表示するようにする。これにより、遊技者は各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の表示順序で期待度を認識することができ、各領域(第1領域81aから第4領域)に表示される入球演出の内容を細かく見る必要がなくなるので、遊技者の負担を軽減することができる。
さらに、本制御例では、第3図柄表示装置81の第1領域81aから第4領域81dの4領域へと順に入球演出を表示するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置の表示領域をさらに細分化(例えば、第1領域から第6領域までの6領域に分割)して順に表示するようにしてもよいし、第3図柄表示装置の表示領域の分割数を減らして(例えば、第1領域から第2領域までの2領域に分割)表示するようにしてもよい。
また、本制御例では、第3図柄表示装置81の各表示領域(第1領域81aから第4領域81d)のいずれに表示するかを、音声ランプ制御装置113にて選択するように構成したが、これに限られず、例えば、表示制御装置114において選択するように構成してもよい。これにより、音声ランプ制御装置113の処理負荷を低減することができる。
<第1制御例における表示制御装置の制御処理について>
次に、図116から図134を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図116を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図116は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S2501)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図117を参照して、ブート処理(S2501)について説明する。図117は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S2501)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S2601)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S2602)。これにより、MPU231は、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S2602の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S2602の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S2603)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S2604)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図116のS2501参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図116のS2502参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S2605)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S2501)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図117に示すブート処理では、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S2601の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S2602の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S2603~S2605の処理を実行するようにしてもよい。
また、S2601の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S2601及びS2602の処理を含めて複数回繰り返した後、S2603~S2605の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S2601及びS2602の処理を行わずに、S2603~S2605の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図116の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S2502)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S2503)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S2503の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S2504)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S2504の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S2505)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図132(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図132(a)のS4702参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図118(b)参照)において、電源投入時画像である電源投入時主画像や電源投入時変動画像(図82参照)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入賞口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、電源投入時変動画像(図82参照)をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S2505の処理の後、割込許可を設定し(S2506)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S2506の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図118(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図118(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2701)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図118(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図118(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図87参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図118(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2801)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2801:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、電源投入時画像(図82(a)参照)ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2802)を実行し、次いで、表示設定処理(S2803)を実行する。
コマンド判定処理(S2802)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図119~図127を参照して後述する。
表示設定処理(S2803)では、コマンド判定処理(S2802)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。尚、この表示設定処理の詳細については、図128~図130を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2804)。このタスク処理では、表示設定処理(S2803)もしくは簡易表示設定処理(S2810)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
タスク処理を終えると、演出情報補正処理を実行する(S2805)。この演出情報補正処理(S2805)では、上述したタスク処理において決定された1フレーム分の画像のうち、電源投入時の表示に用いられる各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)のスプライトについて、表示の有無や、表示座標位置や拡大率を補正する。なお、演出情報補正処理(S2805)はタスク処理(S2804)内で実行するように構成してもよい。
次に、転送設定処理を実行する(S2806)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図132および図133を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2807)。この描画処理では、タスク処理(S2804)および演出情報補正処理(S2805)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2806)により設定された転送指示とから、図87に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図134を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2808)。そして、V割込処理を終了する。S2808の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2801の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2801:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像(図82参照)を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2809)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2810)を実行して、S2804の処理へ移行する。
次いで、図119~図127を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2802)の詳細について説明する。まず、図119は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図119に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2901)、未処理の新規コマンドがなければ(S2901:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2901:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S2803)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2902)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2903)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2904)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2904:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2905)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図120(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S2905)の詳細について説明する。図120(a)は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3001)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S3001の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S3001で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S3002)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S3001の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S3003)。表示設定処理では、S3003の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S3001の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3004)、ポインタ233fを0に初期化する(S3005)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3006)、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する演出が実行される場合に演出画面の補正を行うための特殊演出補正処理を実行する(S3007)。S3007の処理を終えると、変動パターンコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S3005の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S3001の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S3002の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S3004の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図121を参照して、特殊演出補正処理(S3007)の詳細について説明する。図121は、特殊演出補正処理(S3007)を示すフローチャートである。この特殊演出補正処理(S3007)は、伸縮演出装置540(図9参照)または傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する演出が実行される場合に、表示装置(第3図柄表示装置81またはサブ表示装置690)に表示される各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)の補正を行うための処理である。
特殊演出補正処理(S3007)では、まず、受信した変動パターンコマンドに基づく演出が伸縮演出装置(伸縮役物)540を可動する演出か否か(伸縮役物シナリオがあるか否か)を判別する(S3201)。S3201の処理において、伸縮役物シナリオがあると判別された場合は(S3201:Yes)、当該変動において、伸縮演出装置540(図9参照)の前面部材546が下方位置へ移動し、第3図柄表示装置81が視認困難(または視認できない)となる演出が実行される場合である。この場合、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より伸縮役物可動用補正情報を設定し(S3202)、S3205の処理へ移行する。S3202の処理により、第3図柄表示装置81に表示されている電源投入時変動画像(図83(a)参照)が、サブ表示装置690に補正されて表示される。よって、第3図柄表示装置81の前面側へと伸縮装置540の前面部材546が移動した場合でも、遊技者はサブ表示装置690を見ることにより、電源投入時変動画像を容易に視認することができる。ここで、電源投入時変動画像とは、図83(a)に示すように、第3図柄表示装置81の右上に表示される「○」図柄である。また、この「○」図柄以外にも、「×」図柄も変動画像として表示される。この変動画像は、この「○」図柄と「×」図柄とを交互に表示することで、特別図柄(特別図柄1または特別図柄2)が変動表示中であることを報知している。そして、「○」図柄が停止表示されると特別図柄の当たりを報知し、「×」図柄が停止表示されると特別図柄の外れを報知する。
一方、S3201の処理において、伸縮役物シナリオがないと判別された場合は(S3201:No)、次いで、受信した変動パターンコマンドに基づく演出が傾倒動作ユニット600(図9参照)を可動する演出か否か(傾倒役物シナリオがあるか否か)を判別する(S3203)。S3203の処理において、傾倒役物シナリオがあると判別された場合は(S3203:Yes)、当該変動において、サブ表示装置690が設けられている傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動し、サブ表示装置690が視認困難となる演出が実行される場合である。この場合、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より傾倒役物可動用補正情報を設定し(S3204)、S3205の処理へ移行する。S3204の処理により、サブ表示装置690が設けられている傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動し、サブ表示装置690が視認困難となる演出が実行される場合においても、遊技者は第3図柄表示装置81に表示される電源投入時変動画像を容易に視認できる。
また、上述したS3202およびS3204の処理では、実行される演出に対応して電源投入時変動画像の表示態様(位置、大きさ)を補正する情報を設定することで、遊技者が視認しやすい表示態様となるよう制御している。これにより、実行される演出毎に遊技者が視認しやすい表示態様となる画像を保持する必要がないため、ROM234の領域を節約できる。
S3202またはS3204の処理を終えると、特殊演出補正フラグ233nをオンに設定して(S3205)、本処理を終了する。S3205の処理でオンにされる特殊演出補正フラグ233nは、特殊演出補正処理(S3007)において、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオの実行に伴い、各種電源投入時画像の表示態様(位置、大きさ)を補正する情報を設定したことを示すフラグである。この特殊演出補正フラグ233nがオンに設定されることにより、後述する演出情報補正処理において、伸縮役物シナリオや傾倒役物シナリオに基づく変動が実行されるにも関わらず、通常演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに格納されてしまうことを防止(抑制)することができる。一方、S3203の処理において傾倒役物シナリオがないと判別された場合は(S3203:No)、そのまま本処理を終了する。
なお、傾倒動作ユニット(傾倒役物)600は、上述したように、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とを有しており(図50参照)、これらのカーテン部材は、傾倒動作ユニットに設けられているサブ表示装置690を遊技者が視認可能な開状態と、サブ表示装置690を遊技者が視認困難な閉状態とに切り替え可能となっている。そこで、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とが閉状態となっている場合は、サブ表示装置690に表示する画像を第3図柄表示装置81に表示するよう補正するようにしてもよい。また、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625とが閉状態となるか否かは、上述した伸縮役物や傾倒役物の動作を判別する際と同様に、当該演出における役物シナリオに基づいて判別してもよいし、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625との原点位置を検出している原点センサにより判別し、これらのカーテン部材が原点位置(閉状態)であると判別された場合にサブ表示装置690の表示を第3図柄表示装置81に表示するよう切り替えるようにしてもよい。これにより、不具合等により、第1カーテン部材624と第2カーテン部材625が閉状態、即ち、サブ表示装置690の視認が困難となる状態となった場合でも、サブ表示装置690の表示画像を補正して第3図柄表示装置に表示することができる。
さらに、上述した傾倒動作ユニット(傾倒役物)600や伸縮演出装置(伸縮役物)540においても同様に、原点位置を検出する原点センサの判別結果に基づいて、補正情報を変更するようにしてもよい。これにより、役物が故障するなどして、役物シナリオと異なる動作となっている場合においても、その状態を正確に検知し、各種演出を第3図柄表示装置81またはサブ表示装置690の遊技者が視認可能な位置へと表示することができる。
なお、本実施形態では、伸縮演出装置540が上下動する場合と傾倒動作ユニット600が傾倒する場合とで説明したがそれに限らず、傾倒動作ユニット600が第3図柄表示装置81の前面側をスライド動作する動作シナリオが設定されている場合にこの特殊演出補正処理(S3007)で実行した内容と同様の処理を実行してもよい。なお、傾倒動作ユニット600がスライド動作する場合にも、スライド動作する一連の動作シナリオが音声ランプ制御装置113で設定される。その場合に、音声ランプ制御装置113がスライド動作を実行する変動パターンであることを表示用変動パターンコマンドで通知するので、その場合に、補正情報格納エリア233mへスライド動作補正情報を設定する。ここで、スライド動作補正情報は、スライド動作に合わせて、第3図柄表示装置81に補正され表示されている電源投入時変動画像(図83(a)に示す「○」図柄(または「×」図柄に変動表示))がスライド動作する傾倒動作ユニット600の背面側にならない位置に移動するように表示座標が設定されている。本実施形態では、変動画像(図83(a)参照)は、第3図柄表示装置81の左上に表示したが、右下に表示するように構成した場合には、傾倒動作ユニット600が右側より左方向にスライド動作してきた場合に、その傾倒動作ユニット600の動作に合わせて序々に左方向へスライド(移動)して表示設定される。そのような座標情報がスライド動作補正情報には設定されている。また、傾倒動作ユニット600の動作に合わせて左にスライド表示していき、第3図柄表示装置81に表示されている第3図柄が表示される領域まで移動表示した場合には、傾倒動作ユニット600に内蔵されているサブ表示装置690に移動して表示するように座標設定されていてもよい。このように構成されていることで、遊技者により特別図柄の変動中であることを示す変動画像(図83(a)参照)を見やすく表示することができる。なお、本実施形態では、移動表示させる対象を変動画像(図83(a)参照)としたが、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄であってもよいし、保留図柄であってもよいし、キャラクタ等の図柄であってもよい。なお、上記したスライド動作補正情報は、音声ランプ制御装置113で設定されるスライド動作の動作シナリオに対応して予め表示制御装置114に設定されているものであり、スライド動作タイミングに合わせて座標情報が可変して設定されるように設定されているものである。
また、本制御例では、各種電源投入時画像の表示位置を補正するようにしたが、これに限られず、通常演出時に第3図柄表示装置81やサブ表示装置690で表示される画像(キャラクタ画像や、変動図柄)などの表示位置を補正するようにしてもよい。
図119に戻り、説明を続ける。S2904の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2904:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2906)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2906:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2907)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図120(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S2907)の詳細について説明する。図120(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S3101)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図118(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S3102)。
そして、停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S3102の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定し(S3103)、この停止種別コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S3102の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S2804)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S3103によって設定された停止図柄判別フラグからS3102の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
上述したように、本実施形態では、キャラクタROM234を、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しているが、第3図柄表示装置81において描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送することができる。よって、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81における描画の応答性を高く保つことができる。
尚、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S3101の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS3102の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本実施形態のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図119に戻り、説明を続ける。S2906の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別された場合は(S2906:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、大当たり関連コマンドがあるか否かを判別する(S2908)。S2908の処理において、大当たり関連コマンドがあると判別された場合は(S2908:Yes)、大当たり関連コマンド処理を実行して(S2909)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図122を参照して、大当たり関連コマンド処理(S2909)の詳細について説明する。図122は大当たり関連コマンド処理(S2909)を示したフローチャートである。この大当たり関連コマンド処理(S2909)は、音声ランプ制御装置113より受信した大当たりの演出を実行するための各種コマンド(表示用オープニングコマンド、表示用ラウンド数コマンド、表示用エンディングコマンド)に対応する処理を実行するための処理である。
大当たり関連コマンド処理(S2909)では、まず、未処理のコマンドの中に、表示用オープニングコマンドがあるか否かを判別する(S3301)。S3301の処理において、表示用オープニングコマンドがあると判別された場合は(S3301:Yes)、オープニングコマンド処理(S3302)を実行して、S3303の処理へ移行する。
ここで、図123(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S3302)の詳細について説明する。図123(a)は、オープニングコマンド処理を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用オープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
このオープニングコマンド処理では、まず、オープニング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3401)。次いで、S3401で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S3402)。
そして、S3401の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたオープニング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3403)、ポインタ233fを0に初期化する(S3404)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3405)、オープニングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
このオープニングコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S3404の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S3401の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたオープニング表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S3402の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定されたオープニング表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、このオープニングコマンド処理が実行されると、オープニング転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。これにより、第3図柄表示装置81においてオープニング演出が行われている最中に、ラウンド演出およびエンディング演出に必要な画像データをキャラクタROM234から、通常用ビデオRAM236に転送することができる。上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)に演出に使用する画像データが、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送されるまでに多くの時間を要する。
新たに開始されるラウンド数を示す表示用ラウンド数コマンドは、第3図柄表示装置81におけるオープニング演出が終了したタイミングに合わせて、音声ランプ制御装置113から送信されてくるので、1ラウンド目を示す表示用ラウンド数コマンドを受信してから、ラウンド演出に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送していては、オープニング演出が終了してからラウンド演出を開始するまでに多くの待ち時間が生じ、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうおそれがあった。
また、エンディング演出の開始を指示する表示用エンディングコマンドは、第3図柄表示装置81におけるラウンド演出が全て(16ラウンド分)終了したタイミングに合わせて、音声ランプ制御装置113から送信されてくるので、表示用エンディングコマンドを受信してから、エンディング演出に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送していては、ラウンド演出が終了してからエンディング演出を開始するまでに多くの待ち時間が生じ、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうおそれがあった。
そこで、本制御例では、表示用オープニングコマンドを受信した場合に、そこからラウンド演出およびエンディング演出に必要なデータの転送を開始し、第3図柄表示装置81において大当たりの変動表示が終了するまでに、ラウンド演出およびエンディング演出に必要なデータの転送が終了するように制御している。これにより、第3図柄表示装置81においてオープニング演出が終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてラウンド演出を開始できると共に、第3図柄表示装置81においてラウンド演出が全て(5ラウンド分)終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてエンディング演出を開始できるので、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうことがない。よって、遊技者を安心させることができる。
なお、上述したように、本実施形態では、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別されたら、そこからオープニング演出において使用する画像データの転送を開始し、第3図柄表示装置81において大当たりとなる変動演出が終了するまでに、オープニング演出において使用する画像データの転送が終了するように制御している。これにより、第3図柄表示装置81において大当たりとなる変動演出が終了した場合に、即座に、第3図柄表示装置81においてオープニング演出を開始できるので、遊技者に動作が停止していないかといった不安や、違和感を持たせてしまうことがない。よって、遊技者を安心させることができる。
図122に戻り、説明を続ける。S3301の処理において、表示用オープニングコマンドがないと判別されると(S3301:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S3303)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S3303:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S3304)、S3305の処理へ移行する。
ここで、図123(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理(S3304)の詳細について説明する。図123(b)は、ラウンド数コマンド処理(S3304)を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理(S3304)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3501)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3502)。
そして、S3501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3503)、ポインタ233fを0に初期化する(S3504)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3505)、ラウンド数コマンド処理を終了し、大当たり関連コマンド処理に戻る。
ここで、図122の説明に戻る。S3303の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S3303:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別し(S3305)、表示用エンディングコマンドがあれば(S3305:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S3306)、コマンド判定処理へ戻る。一方、S3305の処理において、表示用エンディングコマンドがない場合は(S3305:No)、S3306の処理をスキップして、コマンド判定処理に戻る。
ここで、図124(a)を参照して、エンディングコマンド処理(S3306)の詳細について説明する。図124(a)は、エンディングコマンド処理(S3306)を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理(S3306)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるラウンド数に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3601)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3602)。
そして、S3601の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3603)、ポインタ233fを0に初期化する(S3604)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3605)、エンディングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図119に戻り、説明を続ける。S2908の処理において、大当たり関連コマンドがないと判別されると(S2908:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用予告コマンドがあるか否かを判別し(S2910)、表示用予告コマンドがあれば(S2910:Yes)、予告コマンド処理を実行して(S2911)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図124(b)を参照して、予告コマンド処理(S2911)の詳細について説明する。図124(b)は、予告コマンド処理を示すフローチャートである。この予告コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用予告コマンドに対応する処理を実行するものである。
予告コマンド処理では、まず、表示用予告コマンドによって示される予告演出表示データテーブルを決定し、その決定した予告演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3701)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3702)。
そして、S3701の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された予告演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3703)、ポインタ233fを0に初期化する(S3704)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3705)、予告コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この予告コマンド処理(S2911)により、予告演出表示データテーブルに基づいて表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において演出モードに対応して設定された予告演出が第3図柄表示装置81に表示されることとなる。
図119に戻り説明を続ける。S2910の処理において、表示用予告コマンドがないと判別されると(S2910:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用入球演出コマンドがあるか否かを判別し(S2912)、表示用入球演出コマンドがあれば(S2912:Yes)、入球演出コマンド処理を実行して(S2913)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図125(a)を参照して、入球演出コマンド処理(S2913)の詳細について説明する。図125(a)は、入球演出コマンド処理(S2913)を示すフローチャートである。この入球演出コマンド処理(S2913)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用入球演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
入球演出コマンド処理では、まず、表示用入球演出コマンドによって示される入球演出表示データテーブルを決定する。そして、その決定した入球演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、コマンドによって示される表示領域(第1領域81aから第4領域81dのいずれか)に表示されるように表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3801)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3802)。
そして、S3801の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された入球演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3803)、ポインタ233fを0に初期化する(S3804)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3805)、入球演出コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この入球演出コマンド処理(S2913)により、入球演出表示データテーブルとコマンドによって示される表示領域とに基づいて、表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において選択された入球演出が第3図柄表示装置81の各表示領域(第1領域81aから第4領域81d)に順に表示されることになる。これにより、第3図柄表示装置81の表示画面に設けられた4つの表示領域(第1領域81aから第4領域81d)に順に入球演出が表示されていき、最大で4種類の入球演出が第3図柄表示装置81において同時に表示することができる。
図119に戻り説明を続ける。S2912の処理において、表示用入球演出コマンドがないと判別されると(S2912:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用特定時間演出コマンドがあるか否かを判別し(S2914)、表示用特定時間演出コマンドがあれば(S2914:Yes)、特定時間演出コマンド処理を実行して(S2915)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図125(b)を参照して、特定時間演出コマンド処理(S2915)の詳細について説明する。図125(b)は、特定時間演出コマンド処理(S2915)を示すフローチャートである。この特定時間演出コマンド処理(S2915)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用特定時間演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
特定時間演出コマンド処理では、まず、表示用特定時間演出コマンドによって示される特定時間演出表示データテーブルを決定し、その決定した特定時間演出表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S3901)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3902)。
そして、S3901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された特定時間演出表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3903)、ポインタ233fを0に初期化する(S3904)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S3905)、入球演出コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この特定時間演出コマンド処理(S2915)により、特定時間演出表示データテーブルに基づいて表示データテーブルバッファ233dが設定されることで、音声ランプ制御装置113において選択された特定時間演出(カウントダウン演出)が第3図柄表示装置81に表示されることとなる。
図119に戻り、説明を続ける。S2914の処理において、表示用特定時間演出コマンドがないと判別されると(S2914:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用演出モード変更コマンドがあるか否かを判別し(S2916)、表示用演出モード変更コマンドがあれば(S2916:Yes)、演出モード変更コマンド処理を実行して(S2917)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図126(a)を参照して、演出モード変更コマンド処理(S2917)の詳細について説明する。図126(a)は、演出モード変更コマンド処理(S2917)を示すフローチャートである。この演出モード変更コマンド処理(S2917)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用特定時間演出コマンドに対応する処理を実行するものである。
演出モード変更コマンド処理では、まず、背面画像変更フラグ233pをオンに設定して(S4001)、受信したコマンドに基づく演出モード種別に対応する演出モードフラグ233rをオンに設定し(S4002)、本処理を終了する。
S4001の処理においてオンに設定される背面画像変更フラグ233pにより、後述する通常画像転送設定処理(図133参照)で背面画像を変更するための処理(S4910~S4915)が実行されることとなる。また、S4002においてオンに設定される演出モードフラグ233rは、通常画像転送設定処理(図133参照)における背面画像を変更するための処理において参照され(図133のS4911参照)、演出モードフラグ233rに設定されている演出モード種別に基づいて背面画像が変更される。これにより、音声ランプ制御装置113より受信した演出モード変更コマンドに応じて、背面画像を変更することができる。その結果、演出モードが変更されることに基づいて背面画像を変更することができ、遊技者に対して演出モードが変更されたことを容易に認識させることができる。
図119に戻り、説明を続ける。S2916の処理において、表示用演出モードコマンドがないと判別されると(S2916:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止コマンドがあるか否かを判別し(S2918)、表示用停止コマンドがあれば(S2918:Yes)、停止コマンド処理を実行して(S2919)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図126(b)を参照して、停止コマンド処理(S2919)の詳細について説明する。図126(b)は、停止コマンド処理(S2919)を示すフローチャートである。この停止コマンド処理(S2919)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用停止コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止コマンド処理では、特殊演出補正フラグ233nをオフに設定して(S4101)、本処理を終了する。S4101の処理においてオフに設定される特殊演出補正フラグ233nは、上述したように、音声ランプ制御装置113より変動パターンコマンドを受信した場合に実行される特殊演出補正処理(S3007)において、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する伸縮役物シナリオがある場合、または、傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する傾倒役物シナリオがある場合に、補正情報格納エリア233mへ対応する補正情報テーブル234a3の補正情報が格納されると共にオンに設定されるものである。
この停止コマンド処理は、各変動演出が停止される場合に音声ランプ制御装置113より送信される停止コマンドに基づいて実行される処理である。よって、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオに基づく変動演出が停止した場合に、特殊演出補正フラグ233nをオフにされることとなる。これにより、V割込処理(図118(b)参照)で実行される演出情報補正処理(S2804参照)において、通常演出用の補正情報またはデモ演出用の補正情報が補正情報格納エリア233mに設定されることにより、伸縮役物シナリオまたは傾倒役物シナリオの変動演出に基づいて表示される座標等が補正されていた画像が元の座標等に補正されて表示されることとなる。
ここで、図119の説明に戻る。S2918の処理において、表示用停止コマンドがないと判別されると(S2918:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2920)、エラーコマンドがあれば(S2920:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2921)、S2901の処理へ戻る。
ここで、図127を参照して、エラーコマンド処理(S2921)の詳細について説明する。図127は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S4201)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S4202)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S4201の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S4202の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
尚、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S4202に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図119の説明に戻る。S2920の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2920:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2922)、S2901の処理へ戻る。
その他の未処理のコマンドとしては、例えば、背面画像変更コマンドなどが挙げられる。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面画像変更コマンドを受信している場合は、背面画像変更コマンド処理が実行される(S2922)。この背面画像変更コマンド処理では、まず、背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S4703)に通知する背面画像変更フラグ233pをオンに設定する。そして、背面画像種別(背面A~C)毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンすると共に、その他の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオフに設定して、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、背面画像変更コマンド処理により設定される背面画像変更フラグ233pがオンされていることを検出すると、設定されている背面画像判別フラグから、変更後の背面画像種別を特定する。そして、その特定された背面画像種別が背面B又は背面Cである場合は、上述したように、それらの背面画像に対応する画像データの一部が常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されていないので、所定の範囲の背面画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送するよう、画像コントローラ237に対する転送指示の設定を行う。
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A~Cのいずれかを表示させることが規定されていた場合、設定されている背面画像判別フラグから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
尚、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。背面画像変更コマンド処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2901の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2901:Yes)、再びS2902~S2922の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2901~S2922の処理が繰り返し実行され、S2901の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
尚、V割込処理(図118(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2809)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、電源投入時画像(図82参照)を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図120(a)参照)および停止種別コマンド処理(図120(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
また、特別図柄の変動中に電源断が発生して、その後復旧した場合には、上述した主制御装置110のMPU201が電源投入時に実行する立ち上げ処理(図101参照)のS1010で送信する特別図柄の変動中であることを含む演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113が受信することで、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するメイン処理(図106参照)のS1504の処理において、表示制御装置114に対して出力する電源投入時変動画像の変動開始コマンド(コマンド判定処理(図107、S1511)のS1616で受信処理)をこの表示制御装置114が受信することで、簡易コマンド判定処理(S2809)で受信処理され、その後に実行される簡易表示設定処理(S2810)で変動表示の開始(電源投入時変動画像の表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する)が設定される。なお、主制御装置110より電源断時に変動中であった特別図柄に対応する電源時投入時変動画像の変動開始の指示が出力されるタイミングでは、電源投入時変動画像は常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送済みとなっているので、直ぐに変動表示の開始が第3図柄表示装置81において実行(表示開始)される。この場合、図82(b)~(c)に示す電源投入時変動画像が交互に表示される。
なお、電源断時点で実行されていた遊技に基づく演出許可コマンドが主制御装置110の立ち上げ処理(図101参照)により音声ランプ制御装置113へ送信された後に、当該演出許可コマンドに基づいて実行される変動表示を停止するための停止コマンドが主制御装置110より音声ランプ制御装置113へ送信される。音声ランプ制御装置113では、この停止コマンドを受信したことに基づいて、表示制御装置114へ表示用停止コマンドを送信する。表示制御装置114では、表示用停止コマンドを受信したことを簡易コマンド判定処理(118(b)参照)で判別し、受信したコマンドに基づく表示態様で電源投入時変動画像(図82(b)または(c)参照)を停止させる。
なお、上述した電源投入時変動画像を停止させるための表示用停止コマンドを受信する前に、表示制御装置114において常駐用ビデオRAM235への転送を完了していた場合は、電源投入時変動画像のみが第3図柄表示装置81の通常演出用の座標位置(図83(a)参照)に表示される。電源投入時変動画像を停止させるための表示用停止コマンドには、電源投入時変動画像の停止態様が定められているため、通常演出用の停止態様を選択できないためである。ただし、これに限られるものではなく、電源投入時変動画像の停止態様(大当たりまたは外れ)に基づいて、表示制御装置114において停止態様を決定して表示するようにしてもよい。これにより、電源投入時変動画像の変動が実行されている場合においても、常駐用ビデオRAM235への転送が完了した時点から通常演出へと切り替えることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図120(a)参照)では、S3001の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S3002の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図128~図130を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2803)の詳細について説明する。図128は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図128に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S4301)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S4301:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S4302~S4304の処理をスキップし、S4305の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S4301:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S4302)、S4303~S4304の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S4303の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S4303)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S4303:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S4304)。
ここで、図129を参照して、警告画像設定処理(S4304)の詳細について説明する。図129は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S4401)。
タスク処理では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S4401の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S4402)、表示設定処理に戻る。
ここで、図128の説明に戻る。警告画像設定処理(S4304)の後、又は、S4303の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S4303:No)、次いで、S4305の処理へ移行する。
S4305では、ポインタ更新処理を実行する(S4305)。ここで、図130を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図130は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S4501)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S4501の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S4502)。その結果、End情報であれば(S4502:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S4503)、デモ用表示データテーブルであれば(S4503:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4504)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S4505)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S4503の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S4503:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S4506)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S4502の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S4502:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図128に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S4306)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S4306の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S4307)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S4308)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S4308:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S4308:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S4309)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S4309:Yes)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4310)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4311)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S4312)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S4313)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S4314)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S4315)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S4315の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2804)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S4315によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S4309の処理において、確定表示フラグがオンではなくオフであれば(S4309:No)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S4316)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S4316:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4317)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S4318)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S4319)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S4320)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S4321)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S4316の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S4316:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図118(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2810)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像(図82参照)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図131を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である演出情報補正処理(S2805)の詳細について説明する。図131は、演出情報補正処理(S2805)を示すフローチャートである。この演出情報補正処理(S2805)は、各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)を、通常演出時やデモ演出時に表示する位置を補正して利用するための処理である。
演出情報補正処理(S2805)では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別する(S4601)。S4601の処理において簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別された場合は(S4601:No)、電源投入時の簡易画像を表示している状態であるので演出情報の補正は行わずに、本処理を終了する。
一方、S4601の処理において簡易画像表示フラグ233cがオフであると判別された場合は(S4601:Yes)、後述する転送設定処理(図132(a)参照)において、常駐画像の転送が完了し、通常演出を実行可能な状態となっているため、次いで、特殊演出補正フラグ233nがオフであるか否かを判別する(S4602)。
S4602の処理において、特殊演出補正フラグ233nがオンであると判別された場合は(S4602:No)、上述した特殊演出補正処理(図121参照)において、伸縮演出装置540(図9参照)が可動する伸縮役物シナリオ、または、傾倒動作ユニット600(図9参照)が可動する傾倒役物シナリオに基づく演出に対応する補正情報が、補正情報格納エリア233mへ既に格納されている場合であるので、補正情報の設定を行うことなく、そのまま本処理を終了する。
一方、S4602の処理において、特殊演出補正フラグ233nがオフであると判別された場合は(S4602:Yes)、現在実行されている演出に応じた補正情報を設定するために、デモ表示フラグがオフであるか否かを判別する(S4603)。
S4603の処理において、デモ表示フラグがオフであると判別された場合は(S4603:Yes)、デモ演出が実行されていない、即ち、通常演出が実行されている場合であるので、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3より通常演出用補正情報を設定して(S4604)、本処理を終了する。
一方、S4603の処理において、デモ表示フラグがオンであると判別された場合は(S4603:No)、デモ演出が実行されている場合であるので、補正情報格納エリア233mへ補正情報テーブル234a3よりデモ演出用補正情報を設定して(S4605)、本処理を終了する。
このように、演出情報補正処理(S2805)では、パチンコ機10の状態(電源投入時、通常演出時、デモ演出時など)に応じて各種電源投入時画像の表示する位置を補正する補正情報の設定を行っている。これにより、パチンコ機10の複数の状態において、共通の画像を利用して演出を行うことができるため、ROM234の容量を節約することができる。また、表示する位置や拡大率などの表示態様を補正するように構成しているため、各演出に応じて、遊技者に視認しやすい演出を実行することができる。
次いで、図132及び図133を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2806)の詳細について説明する。まず、図132(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S4701)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S4701:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S4702)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図132(b)を参照して後述する。
一方、S4701の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S4701:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S4703)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図133を参照して後述する。
次いで、図132(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2806)の一処理である常駐画像転送設定処理(S4702)について説明する。図132(b)は、この常駐画像転送設定処理(S4702)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S4801)、転送指示を送信していれば(S4801:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S4802)。このS4802の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S4802の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S4802:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S4802:Yes)、S4803の処理へ移行する。また、S4801の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S4801:No)、S4803の処理へ移行する。
S4803の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S4803)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S4803:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S4804)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S4803の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S4803:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S4805)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図118(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図118(b)のS2809参照)および簡易表示設定処理(図118(b)のS2810参照)ではなく、コマンド判定処理(図119~図127参照)および表示設定処理(図128~図130参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図133参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図132(a)のS4701:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像、電源投入時変動画像および電源投入時タイトル画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、本制御例では、電源投入時に表示される各種電源投入時画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像、電源投入時タイトル画像)を、表示位置を補正することで、通常演出においても利用できるように構成した。これにより、電源投入時と通常演出時とでそれぞれ利用する画像を用意する必要がないため、キャラクタROM234の容量を節約することができる。
さらに、本制御例では、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを一の画像データとして扱い、その座標に応じて第3図柄表示装置81へ表示するかサブ表示装置690へ表示するかが制御される。これにより、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像を別々に制御(転送など)する必要がないため、制御負荷を軽減することができる。なお、これに限られず、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示する画像データを各々設けるようにしてもよい。
また、サブ表示装置690は、第3図柄表示装置81よりも解像度が低いものであるため、そのサブ表示装置690に表示する画像のデータ量は、第3図柄表示装置81に表示する画像のデータ量よりも少ないものとなる。よって、表示制御装置114では、画像のデータ量が少ないサブ表示装置690に表示する画像(電源投入時タイトル画像)を最初に常駐用ビデオRAMに格納するようにしているので、電源が投入されてから画像が表示されるまでの時間を短縮することができる。
ここで、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示するための画像データは、上述したように一の画像データにより構成されている。よって、電源投入時に、まず、サブ表示装置690へ電源投入時画像である電源投入時タイトル画像(図82(a)参照)を表示する場合は、第3図柄表示装置81へ表示される領域(図81参照、横800×縦600の領域)のデータについては0データを設定すればよい。なお、これに限られず、電源投入時には、まず、サブ表示装置690へ表示するための画像データをサブ表示装置690の解像度に合わせた画像データ(図81参照、横400×縦300の画像データ)を用いて、サブ表示装置690への表示を行うようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置690へ表示するための画像(電源投入時主画像、電源投入時変動画像など)が常駐用ビデオRAM235へ格納されたことを契機に、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示するための画像データ(図81参照、横1200×縦600)を用いて、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示を行うように切り替える。これにより、電源投入時にサブ表示装置690に表示設定する画像のデータ量を小さくすることができるので、電源投入してからサブ表示装置690に電源投入時画像(電源投入時タイトル画像)を表示するまでの時間を短縮することができる。
次いで、図133を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2806)の一処理である通常画像転送設定処理(S4703)について説明する。図133は、この通常画像転送設定処理(S4703)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2803)のポインタ更新処理(S4305)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S4901)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S4902)、転送データ情報であれば(S4902:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S4903)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S4904)、S4905の処理へ移行する。
また、S4902の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S4902:No)、S4903及びS4904の処理をスキップして、S4905の処理へ移行する。S4905の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S4905)、転送指示を設定していれば(S4905:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S4906)。
このS4906の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S4906の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S4906:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S4906:Yes)、S4907の処理へ移行する。また、S4905の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S4905:No)、S4907の処理へ移行する。
S4907の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S4907)、転送開始フラグがオンであれば(S4907:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S4908)、S4903の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S4913の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S4907:No)、次いで、背面画像変更フラグ233pはオンか否かを判別する(S4909)。そして、背面画像変更フラグ233pがオンではなく、オフであれば(S4909:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更223rフラグがオンであれば(S4909:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグ233pをオフに設定した後(S4910)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S4911)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S4912)、S4913の処理へ移行する。
尚、オン状態にある背面画像判別フラグが背面Aのものである場合、対応する画像データは全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されているので、通常用ビデオRAM236に転送すべき画像データが存在しない。よって、S4909の処理では、オン状態にある背面画像判別フラグが背面Aのものであれば、そのまま通常画像転送処理を終了する。
S4913の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S4913)。このS4913の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233jを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233jより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S4913の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S4913:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S4913の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S4913:No)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S4914)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S4914の処理の後、格納画像データ判別フラグ233jを更新し(S4915)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233jの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図134を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2807)の詳細について説明する。図134は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2804)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2806)により設定された転送指示から、図87に示す描画リストを生成する(S5001)。即ち、S5001の処理では、タスク処理(S2804)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2806)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233kによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S5002)。ここでは、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233kが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S5002の処理の後、描画対象バッファフラグ233kを更新する(S5003)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233kの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図118(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、説明したように、本第1制御例では、電源投入時に用いられる表示画像を通常演出時などに補正して用いるように制御している。これにより、電源投入時と通常演出時とで共通の表示画像を利用できるため、ROMの容量を節約することができる。
また、本制御例では、特定の役物(伸縮演出装置540(図9参照)や傾倒動作ユニット600(図9参照))が可動する演出において、第3図柄表示装置81とサブ表示装置690とに表示される演出の内容を補正するように制御している。これにより、特定の役物が可動する演出において、例えば、第3図柄表示装置81が視認困難となる場合に、第3図柄表示装置81にて表示していた表示内容をサブ表示装置690に表示することで、遊技者に対して表示内容を視認しやすい遊技機とすることができる。
さらに、上下動作ユニット400が可動し、扉部材470が開放する演出において、扉部材470が落下移動される際に、扉部材470を閉状態で維持するための開閉用駆動モータ466を励磁しないよう制御(通電停止制御)している。これにより、開閉用駆動モータ466を駆動せずとも、扉部材470が落下移動される際に扉部材470に働く慣性力によって扉部材470が開放されるので、消費電力を低減することができる。
また、本パチンコ機10において、定期的に実行される時間演出期間において、入賞口への入球に基づいて特定の予告演出が実行される場合に、その時間演出期間において実行される演出を制限するように制御している。これにより特定の予告演出であるカウントダウン演出が実行される場合に、時間演出期間において実行されるカウントダウン演出が制限することができる。その結果、時間演出期間において、カウントダウン演出が重複して行われることで、遊技者を困惑させてしまうとの不具合を抑制することができる。
さらに、入賞口への入球に基づいて表示される入球演出を第3図柄表示領域の第1領域81aから第4領域81dまでの各領域に順に表示するようにしている。これにより、入賞口へ遊技球が入球する間隔が短い場合においても、当該入球演出を表示する期間を長くすることができ、遊技者に対して入球演出を視認しやすい遊技機とすることができる。
なお、本制御例は第1実施形態で説明したパチンコ機10に限られず、上述した各実施形態のいずれかのパチンコ機10で実行するようにしてもよいし、上述した各実施形態を組み合わせたパチンコ機10で実行するようにしてもよい。
<第2制御例>
次に、図136~図156を参照して、第2制御例について説明する。上述した第1制御例では、普通図柄の時短状態において実行される入球演出や、定期的(1時間毎に5分間)に実行される時間演出期間(演出モードB)、およびその時間演出期間(演出モードB)中に実行される特定時間演出等、多種多様な表示演出を実行することで遊技者の興趣向上を図っていた。上記第1制御例では、時間演出期間や特定時間演出の開始時刻を、パチンコ機10に対する電源投入時に設定する構成としている。これにより、同一のタイミングで電源を一斉に投入した複数のパチンコ機10に対して、同一のタイミングで各演出(時間演出、特定時間演出等)を開始させることができるので、複数のパチンコ機10で統一感のある演出を実行することができる。
これに加えて第2制御例では、傾倒動作ユニット600等の動作を好適に制御できる技術について説明する。ここで、傾倒動作ユニット600等の役物は、上述した通り、ステッピングモータ等で構成される駆動モータにより駆動される。この駆動モータは、一般的に表示装置(第3図柄表示装置81、サブ表示装置690)に比較して、個体差が生じやすい上に、経年劣化が生じやすくなることが知られている。即ち、表示装置に対して画像データを設定した場合に、表示が遅れる等の不具合はほとんど生じないが、駆動モータに対して動作データを設定した場合には、経年劣化等により、駆動速度が低下(トルクが低下)したり、脱調が発生したりといった不具合が発生する可能性がある。即ち、同じ動作シナリオを設定したとしても、動作のステップ数や動作速度にバラツキが生じてしまう虞があるため、各パチンコ機10で異なる動作が実行されてしまう場合がある。
これに対して第2制御例では、傾倒動作ユニット600やスライド動作ユニット700等の動作状況を電源投入時に毎回チェックし、劣化等が生じている場合には動作シナリオを補正するための補正値を設定するように構成した。これにより、各パチンコ機10において、駆動モータで駆動される各種役物の動作を好適に実行させることができる。
この第2制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図136を参照して、本実施形態におけるスライド動作ユニット700のスライド動作位置を検出するためのスライド位置検出センサ718の出力について説明する。上述した通り、スライド動作ユニット700のベース部材710には、支柱部材720が原点位置(退避位置)にあるか否かを検出するためのスライド原点センサ717と、張出位置にあるか否かを検出するためのスライド位置検出センサ718とが設けられている(図49参照)。これらは同種のセンサで構成されているため、ここではスライド位置検出センサ718についてのみ説明を行い、スライド原点検出センサ717についての説明は省略する。
図136(a)は、スライド動作ユニット700が原点(退避位置)から張出位置へと向かう方向にスライド動作している途中の状態における、遮光板726aとスライド位置検出センサ718との位置関係を示した図である。図136(a)に示した通り、スライド位置検出センサ718には遮光検出部718aが設けられている。この遮光検出部718aは、上述した発光部、及び受光部の双方を示しており、この遮光検出部718aの発光部より照射された光が受光部により受光されるか否かにより、遮光板726aが張出位置にあるか否かを判別することができる。
図136(a)の例では、遮光板726aが遮光検出部718aよりも正面視右方向に配置されている状態を示している。つまり、遮光検出部718aと遮光板726aとの配置がずれている状態を示している。この場合、遮光検出部718aの発光部と、受光部との間には遮るものが無いため、発光部からの光が受光部により受光される。受光部が光を受光している間は、スライド位置検出センサ718の出力がL(ロー)状態となる。このスライド位置検出センサ718の出力は音声ランプ制御装置113により受信され、その出力がL(ロー)であれば、支柱部材720が張出位置に到達していないと判別される。
一方、遮光板726aの左端が、遮光検出部718aの右端に掛かると、発光部から照射される光が遮光板726aにより遮光され始める(図136(b)参照)。そして、図136(c)に示したように、遮光板726aが遮光検出部718aと完全に重なる配置となった場合に、遮光検出部718aの発光部から照射される光が完全に遮蔽される。即ち、受光部が光を受光できなくなる。この場合、スライド位置検出センサ718の出力はH(ハイ)に設定される。音声ランプ制御装置113は、スライド位置検出センサ718からの出力がH(ハイ)であることを検出すると、支柱部材720が張出位置にあると判別する。ここで、音声ランプ制御装置113は、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)であるか、L(ロー)であるかを、出力信号の電圧値によって判別している。即ち、スライド位置検出センサ718から出力される電圧が5Vであれば、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)と判別し、電圧が0Vであれば、スライド位置検出センサ718の出力がLと判別する。
なお、スライド原点センサ717も同様の構成のため、支柱部材720が原点位置(退避位置)にあれば出力がH(ハイ)に設定され、原点位置(退避位置)からずれていれば出力がL(ロー)に設定される。音声ランプ制御装置113は、各センサの出力がHであるかLであるかを判別するだけで、支柱部材720のおおまかな配置(原点位置であるか、張出位置であるか、これらの間の位置であるか)を容易に把握することができる。
次に、図137、および図138を参照して、傾倒動作ユニット600の演出部材620が原点位置(倒立状態)であるか否かを検出するための傾倒原点センサ618について説明する。この傾倒原点センサ618は、上述したスライド原点検出センサ717や、スライド位置検出センサ718と同種のセンサで構成されている。
図137は、傾倒動作ユニット600の演出部材620が原点位置(倒立状態)にある場合を示した図である。図に示した通り、演出部材620が原点位置(倒立状態)にある場合は、演出部材620側に設けられたセンサ遮蔽部627が、ベース部材610側に設けられた傾倒原点センサ618の発光部と受光部との間に配置されるため、発光部から照射された光が遮光され、受光部へと届かなくなる。つまり、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)に設定される。このH(ハイ)の信号を音声ランプ制御装置113へと出力することで、演出部材が原点位置(倒立状態)にあることを通知することができる。
図138(a)は、演出部材620が正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)を行った場合における、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627との位置関係を示した図であり、図138(b)は、演出部材620が正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)を行った場合における、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627との位置関係を示した図である。
図138(a)に示した通り、演出部材620が正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)を行うと、演出部材620に設けられたセンサ遮蔽部627も、演出部材620に連動して左上方向へと可変する。これにより、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627とがずれるので、傾倒原点センサ618の発光部から照射された光が受光部により受光可能な状態となる。上述した他のセンサと同様に、発光部からの光が受光部により受光されている間は、傾倒原点センサ618の出力がL(ロー)に設定される。このH(ハイ)の信号を音声ランプ制御装置113へと出力することで、演出部材620が原点位置(倒立状態)からずれていることを通知することができる。
一方、図138(b)に示した通り、演出部材620が正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)を行うと、演出部材620に設けられたセンサ遮蔽部627も、演出部材620に連動して右下方向へと可変する。これにより、傾倒原点センサ618と、センサ遮蔽部627とがずれるので、傾倒原点センサ618の発光部から照射された光が受光部により受光可能な状態となる。よって、この場合も、傾倒原点センサ618の出力がL(ロー)に設定され、音声ランプ制御装置113へと通知される。
このように、傾倒原点センサ618を用いることにより、演出部材620が原点位置(倒立状態)に有るか否かを容易に検出して音声ランプ制御装置113へと通知することができる。
なお、本制御例では、単一の傾倒原点センサ618を用いて、演出部材620が原点位置にあるか否かのみを判別可能な構成としていたが、この態様に限られるものではない。演出部材620が右側、および左側に傾倒動作(首振り動作)を行った際の最大の可動位置にあるか否かを検出するためのセンサをそれぞれ設けておいてもよい。このように構成することで、傾倒動作(首振り動作)が最大の可動位置に達した場合に確実に首振り動作を停止させ、逆方向(原点方向)へと首振り方向を逆転させることができる。よって、首振り動作を実行する場合に、演出部材620の可動域を超えて動作してしまうことを防止(抑制)できるので、故障や異常動作が発生する可能性を低下させることができる。
<第2制御例における電気的構成について>
次に、図139~図142を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。まず、図139は、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
図139に示した通り、本制御例では、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225に対して各種センサ230が電気的に接続されている。この各種センサ230とは、具体的には、上述した傾倒原点センサ618と、スライド原点検出センサ717と、スライド位置検出センサ718とが少なくとも設けられている。これらの他にも、例えば、上下動作ユニット400の原点位置を検出するためのセンサや、複合動作ユニット500の原点位置を検出するためのセンサ等の様々なセンサが設けられている。各種センサ230により、各役物の動作状況を正確に把握することができるので、好適に役物の動作を制御することができる。
また、本制御例では、その他装置228を構成する装置として、スライド動作ユニット700のスライド動作を行わせるためのスライド用駆動モータ751と、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)を行わせるための傾倒用駆動モータ661とが設けられている。これらのモータにより、各動作ユニットを駆動することができる。
次に、図140(a)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられているROM222について説明する。図140(a)に示した通り、第2制御例における音声ランプ制御装置113のROM222には、第1制御例におけるROM222の構成に加え、動作シナリオテーブル222cと、首振り領域テーブル222dとが追加されている。
動作シナリオテーブル222cは、各役物を用いた演出を実行する場合の動作内容を規定したデータテーブルである。より具体的には、各役物に対応する各種駆動モータに対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、動作方向等)が規定されているデータテーブルである。この動作シナリオテーブル222cの詳細について、図141、図142(a)を参照して説明する。
図141(a)は、動作シナリオテーブル222cを示すブロック図である。この動作シナリオテーブル222cには、駆動(可変)可能な役物の種別毎にデータが格納されている。より具体的には、図141(a)に示した通り、例えば、スライド動作ユニット700を駆動する演出が設定された場合に、スライド用駆動モータ751に対応するモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値を規定したスライド動作テーブル222c1や、傾倒動作ユニット600を駆動する演出が設定された場合に、傾倒用駆動モータ661に対応するモータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値を規定した傾倒動作テーブル222c2等が設けられている。
これらについて、図141(b),(c)を参照してより具体的に説明する。図141(b)は、上述したスライド動作テーブル222c1の規定内容を示した図である。図141(b)に示した通り、スライド動作テーブル222c1には、動作シナリオに基づく設定の進捗状況を示す動作ポインタ223nの値毎に、モータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、および動作方向)が規定されている。
ここで、動作速度とは、モータドライバが1ステップの動作を設定するための信号(パルス)をスライド用駆動モータ751に対して出力する頻度を示しており、1秒間あたりに出力される信号(パルス)の数(pps,puls per second)により表す。例えば、動作速度が100ppsであれば、モータドライバからスライド用駆動モータ751に対して1秒間に100回信号(パルス)を出力することを意味する。即ち、1秒間に100ステップの速度でスライド用駆動モータ751を駆動させることを意味している。また、動作ステップ数とは、スライド用駆動モータ751により実行される動作の回数を示し、換言すれば、モータドライバからスライド用駆動モータ751に対して1ステップの動作を設定するための信号(パルス)を出力する回数を示す。例えば、動作ステップ数120とは、スライド用駆動モータ751に対して1ステップの動作を120回設定することを意味する。更に、動作方向とは、スライド用駆動モータ751の駆動方向(モータの回転方向)を意味しており、正方向、および負方向の2種類の方向を設定することができる。なお、スライド用駆動モータ751においては、退避位置(原点位置)から張出位置へと向かう方向を正方向、張出位置から退避位置(原点位置)へと向かう方向を負方向としている。これらの設定値を、スライド用駆動モータ751を駆動するためのモータドライバに対して設定することにより、対応する動作を正確に実行させることができる。
図141(b)に示した通り、動作ポインタ223nの値「01H」には、スライド動作ユニット700の支柱部材720を退避位置(原点位置)から張出位置までスライド動作させるための動作(往路の動作)が対応付けられている。具体的には、動作速度として100ppsが規定され、動作ステップ数として120が規定され、動作方向として正方向が規定されている。この設定内容は、演出においてスライド動作ユニット700が駆動されるタイミングとなった場合にモータドライバに対して出力(設定)される。
なお、120ステップは、張出位置までのステップ数の設計値を意味している。即ち、スライド用駆動モータ751が設計通りの動作で120ステップ駆動することにより、支柱部材720がスライド位置検出センサ718の検出位置(図136(c)参照)へと到達することを意味する。ここで、設計通りの動作とは、スライド用駆動モータ751が脱調や空転等なく同一の動作を正確に実行すると共に、モータの駆動力を支柱部材720に対して伝達するための各種のギア等が正確に回動した場合の動作を意味する。
動作ポインタ223nの値「02H」には、スライド動作ユニット700の支柱部材720を張出位置から退避位置(原点位置)までスライド動作させるための動作(復路の動作)が対応付けられている。具体的には、動作速度として100ppsが規定され、動作ステップ数として120が規定され、動作方向として負方向が規定されている。この設定内容は、演出においてスライド動作ユニット700を原点位置(退避位置)へと退避させるタイミングとなった場合にモータドライバに対して出力(設定)される。この退避させるタイミングは、演出の種別に応じて予め規定されている。
また、図141(c)は、上述した傾倒動作テーブル222c2の規定内容を示した図である。傾倒動作テーブル222c2も、スライド動作テーブル222c1と同様に、動作ポインタ223nの値毎に、モータ制御用IC(モータドライバ)に対して設定する設定値(動作速度、動作ステップ数、および動作方向)が規定されている。動作ポインタの値「01H」、および「02H」には、演出部材620を正面視左方向へと傾倒動作(首振り動作)させるための設定値が対応付けられている。即ち、動作ポインタ値「01H」には、原点位置(倒立状態)から正面視左方向へと傾倒動作するための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、正方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。
また、動作ポインタ値「02H」には、正面視左方向へと傾倒した演出部材620を原点位置(倒立状態)へと戻すための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、負方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。動作ポインタ値「01H」に対応する設定値を設定し、その設定動作が完了した後で動作ポインタ値「02H」に対応する設定値を設定することにより、演出部材620が原点位置から正面視右方向へ10ステップの傾倒動作(首振り動作)を行った後、原点位置(倒立状態)への戻り動作を行う。
更に、動作ポインタの値「03H」、および「04H」には、演出部材620を正面視右方向へと傾倒動作(首振り動作)させるための設定値が対応付けられている。即ち、動作ポインタ値「03H」には、原点位置(倒立状態)から正面視右方向へと傾倒動作するための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、正方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視右方向へと10ステップ動作する。
また、動作ポインタ値「02H」には、正面視左方向へと傾倒した演出部材620を原点位置(倒立状態)へと戻すための設定値として、動作速度100pps、動作ステップ数10ステップ、負方向の動作方向がそれぞれ規定されている。この設定値がモータドライバに対して設定されると、傾倒部材620が100ppsの動作速度で正面視左方向へと10ステップ動作する。動作ポインタ値「03H」に対応する設定値を設定し、その設定動作が完了した後で動作ポインタ値「04H」に対応する設定値を設定することにより、演出部材620が原点位置から正面視右方向へ10ステップの傾倒動作(首振り動作)を行った後、原点位置(倒立状態)への戻り動作を行う。
このように、動作ポインタ223nの値に対応付けて、モータドライバに対する設定内容を規定しておくことにより、動作ポインタ223nの値を更新し、更新後の値に対応する設定値を設定するだけで、容易に演出部材620の動作を設定することができる。
動作シナリオテーブル222cには、上述したスライド動作テーブル222c1(図141(b)参照)や、傾倒動作テーブル222c2(図141(c)参照)の他にも、駆動する役物(上下動作ユニット400や複合動作ユニット500等)の種別毎に、専用のデータテーブルがそれぞれ規定されている(図示なし)。動作シナリオテーブル222cに規定された各役物に対応するテーブルを参照して、対応するモータドライバに対して設定値を出力することにより、対応する演出において毎回同一の動作を実行させることができる。
なお実際には、モータやギア等には、個体差や経年劣化等による動作バラつきが生じ得るため、動作シナリオテーブル222cに規定された設定値を同じタイミングで設定したしても、目的の動作を行うことができない可能性がある。詳細については後述するが、本制御例では、上述したバラつきの影響を吸収するために、電源投入時に役物の動作が設計値からどれだけずれているのかを測定(解析)し、解析結果に応じてスライド動作の設定値を補正(修正)するように構成している。即ち、動作シナリオテーブル222cに規定されている設定値に対して、個体バラつき等を補正するための補正値を加算(又は減算)するように構成している。これにより、個体差や経年劣化の影響下でも、各パチンコ機10における役物の動作を違和感なく実行することができる。
更に、本制御例の動作シナリオテーブル222cには、パチンコ機10に対する電源投入に基づいて実行される初期動作において各役物に対応するモータドライバへの設定内容が規定された初期動作テーブル222c5が規定されている(図141(a)参照)。初期動作テーブル222c5に基づいて初期動作を実行することにより、各役物が正常に動作するか否かを判別することができる。また、初期動作の実行時には、傾倒動作ユニット600の傾倒動作(首振り動作)の内容や、スライド動作ユニット700のスライド動作の内容を解析し、解析結果に応じて動作を補正するための補正値が特定される。この初期動作テーブル222c5の詳細について、図142(a)を参照して説明する。
図142(a)は、初期動作テーブル222c5の規定内容を示した図である。図142(a)に示した通り、この初期動作テーブル222c5は、動作ポインタ223nの値に対応付けて、動作を設定する役物の種別と、その役物に対応するモータドライバに設定するための設定値(動作速度、動作ステップ数、及び動作方向)とが規定されている。
より具体的には、動作ポインタ223nの値「01H」には、役物の種別としてスライド動作ユニット700が対応付けられており、動作内容として正方向へ動作速度100ppsの動作が規定されている。なお、動作ステップ数は定められていなく、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで正方向(張出位置の方向)へとスライド動作が繰り返される。即ち、1ステップの動作を設定し、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)になったかを確認し、出力がL(ロー)のままであれば再度1ステップの動作を設定するという流れで動作が繰り返される。なお、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となるまでに設定した動作ステップ数は、補正用カウンタ223wによってカウントされ、動作完了後に、原点位置から張出位置までの動作ステップ数の設計値である120ステップとの差分が解析される。この解析された差分に応じて、スライド動作の設定値を補正するための補正値が算出される。ここで、1ステップの動作を繰り返し設定する場合は、通常遊技中において複数ステップの動作が設定される場合と同じ動作速度となるように、1ステップの動作に対して例えば10ミリ秒の遅延が設定される。即ち、10ミリ秒毎に(100ppsの動作速度で)1ステップの動作が設定されるように構成されている。これにより、通常遊技中と同一の動作態様とすることができるので、動作の見た目から異常が発生していると勘違いしてしまうことを防止できる。なお、以降の説明においても、各種センサに向けて1ステップ毎に動作を設定する場合には、通常遊技中と同一の動作速度となるように遅延が設定される。
動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」には、初期動作を設定する役物の種別として傾倒動作ユニット600が対応付けられている。動作ポインタ223nの値「02H」に対応する動作内容として、正方向に動作速度100ppsで動作ステップ数10ステップの動作が規定されている。また、動作ポインタ223nの値「03H」に対応する動作内容として、負方向に100ppsの動作速度で傾倒原点センサ618を検出するまでの動作が規定されている。また、動作ポインタ223nの値「04H」に対応する動作内容として、負方向に100ppsの動作速度で10ステップの動作が規定され、動作ポインタ223nの値「05H」に対応する動作内容として、正方向に100ppsの動作速度で傾倒原点センサ618を検出するまで継続する動作が規定されている。
傾倒動作ユニット600に対して設定される初期動作をまとめると、スライド動作ユニット700が張出位置まで動作し、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値が「02H」に更新されると、まず、傾倒動作ユニット600の演出部材620を正面視左方向へ10ステップ動作させる。そして、10ステップの動作が完了すると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値が「03H」に更新されると共に、原点方向への動作(即ち、正面視右方向への動作)が設定される。この動作は、動作ポインタ223nの値「01H」において実行される動作と同様に、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップずつ繰り返し実行される。
そして、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出すると、動作ポインタ223nの値が「04H」に更新されると共に、正面視右方向へ10ステップの動作(つまり、原点位置を通り過ぎて更に傾倒動作を行う方向の動作)が設定される。この10ステップの動作が完了すると、動作ポインタ223nの値が「05H」に更新されると共に、原点方向への動作(即ち、正面視左方向への動作)が設定される。この動作も、動作ポインタ223nの値「03H」において実行される動作と同様に、傾倒原点センサ618の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップずつ繰り返し実行される。これらの動作を実行することにより、通常遊技状態において演出部材620が駆動され得る正面視右方向、及び正面視左方向の傾倒動作(首振り動作)がそれぞれ正常に実行できるか否かを容易に確認することができる。
なお、この傾倒動作ユニット600の初期動作において、傾倒動作(首振り動作)が実行されることにより原点位置から離れた演出部材620が再度原点位置へと戻るまでの動作ステップ数が補正用カウンタ223wによってカウントされ、原点位置へと戻った後に、設計値との差分が解析される。この解析された差分に応じて、スライド動作の設定値を補正するための補正値が算出される。即ち、本制御例では、傾倒動作、およびスライド動作のうち、いずれかの実動作と設計上の動作とがずれていると判別した場合に、スライド動作ユニット700に対する設定値(動作速度)を補正するように構成されている。
動作ポインタ223nの値「06H」には、役物の種別としてスライド動作ユニット700が対応付けられており、動作内容として正方向へ動作速度100ppsの動作が規定されている。なお、動作ポインタ223nの値が「01H」の場合の動作と同様に、スライド位置検出センサ718の出力がH(ハイ)となったことを検出するまで1ステップの動作が繰り返し設定される。
図示については省略したが、初期動作テーブル222c5には、上記以外の役物に対応した初期動作も規定されている。この初期動作テーブル222c5を用いて初期動作を実行することにより、各種演出において演出動作を実行する役物の不具合の有無を電源投入時に容易に判別することができる。よって、不具合の生じたパチンコ機10で遊技が行われることを防止(抑制)することができるので、遊技者に対して安心して遊技を行わせることができる。
本制御例では、初期動作テーブル222c5に基づく初期動作の実行中に、初期動作を実行すると共にスライド動作テーブル222c1の動作速度を補正するための補正値を算出するように構成されているが、必ずしもスライド動作テーブル222c1を動作シナリオテーブル222cに規定する必要はない。動作速度を補正するための補正値を算出するのに代えて、初期動作時のスライド動作、および首振り動作の動作ステップ数に基づいて通常遊技中におけるスライド動作の動作シナリオを作成し、RAM223に格納するように構成してもよい。この変形例についてより具体的に説明するために、初期動作においてスライド動作の張出位置までの動作ステップ数が125ステップであり、首振り動作の1周期に要する動作ステップ数が45ステップであると判別した場合を仮定する。この場合には、まず、初期動作により判別された張出位置までの実際の動作ステップ数をスライド動作の動作ステップ数として設定する。そして、125ステップのスライド動作を実行するまでの間に丁度3周期(3回)の首振り動作(3×45ステップ)を実行させるための、スライド動作の動作速度を通常遊技中の動作速度として設定する。即ち、100pps×125ステップ/(3×45ステップ)=93ppsを動作速度として設定する。そして、通常遊技中にスライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出が設定された場合には、初期動作において算出された、動作ステップ数125ステップ、動作速度93ppsを支柱部材720のスライド動作に対して毎回設定すればよい。このように構成することで、支柱部材720が張出位置へとスライド移動するまでの間に、確実に規定回数(3回)の首振り動作を実行させることができる。また、スライド動作テーブル222c1をROM222に規定しておく場合に比較して、ROM222の容量を削減することができる。
本制御例では初期動作において動作ステップ数に基づいて補正値を算出するように構成されていたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作に要する動作時間と、首振り動作に要する動作時間とに基づいて、設計上の動作時間とのずれを判別し、そのずれを補正するための補正値を算出するように構成してもよい。また、上記変形例では、初期動作において動作ステップ数に基づいてスライド動作の設定内容を算出するように構成されていたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作に要する動作時間と、首振り動作に要する動作時間とに基づいて、首振り動作が3回終了するタイミングでスライド動作の張出位置へと到達するようにスライド動作の動作ステップ数と動作速度とを決定するように構成してもよい。
図140に戻って説明を続ける。首振り領域テーブル222dは、傾倒役物600の演出部材620を傾倒動作(首振り動作)させる場合に参照されるデータテーブルであり、傾倒動作が可能な方向を規定している。ここで、本制御例では、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)と、支柱部材720のスライド動作とが連動して実行されるように構成されている。より具体的には、支柱部材720が原点位置から張出位置へと向かうスライド動作が実行されている間に、支柱部材720の上方において演出部材620が3往復の傾倒動作(首振り動作)を行う(左方向への首振り動作と右方向への首振り動作とを交互に3回ずつ行う)ように制御される。つまり、演出部材620が首振り動作を実行する位置はスライド動作の推移に応じて可変することとなる。
また、上述した通り、演出部材620を含む傾倒動作ユニット600は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する領域の下部に配設されており(図5参照)、支柱部材720が原点位置や張出位置にある状態においては、演出部材620と外壁部212の内側面とが近接するように構成されている。よって、例えば、スライド動作の原点位置の近傍で演出部材620が正面視右方向へと首振り動作を行ったり、スライド動作の張出位置の近傍で演出部材620が正面視左方向へと首振り動作を行ったりすると、演出部材620と外壁部212とが衝突してしまう虞がある。そこで、本制御例では、首振り領域テーブル222dに、演出部材620が首振り動作を実行できる動作方向を規定しておくことにより、演出部材620と外壁部212との衝突(干渉)を防止している。なお、支柱部材720のスライド動作と、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)とがいずれも正規の動作(設計通りの動作)となっている場合に、演出部材620と外壁部212とが衝突(干渉)する虞がないように動作シナリオが規定されている。首振り領域テーブル222dが役立つのは、例えば、不具合によりスライド動作が途中で停止してしまったり、動作速度が途中で変わってしまったりといったイレギュラーな事態となった場合である。
ここで、まず、演出部材620の傾倒動作(首振り動作)と、支柱部材720のスライド動作とがいずれも正規の動作(設計通りの動作)を行った場合の動作態様について、図144を参照して説明する。図144は、演出部材620の首振り動作の動作ステップ数と、支柱部材720のスライド動作の動作ステップ数との対応関係を示した図である。この図において、ステップ数「0」が各役物(演出部材620、支柱部材720)の原点位置を示している。また、首振り動作のステップ数が正の値の範囲は、原点位置よりも正面視左側に演出部材620が配置されていることを意味し、ステップ数が負の値の範囲は、原点位置よりも正面視右側に演出部材620が配置されていることを意味する。
図144に示した通り、スライド動作が10ステップ行われるまでは、スライド動作が1ステップ行われる毎に左方向への首振り動作が1ステップ実行される。即ち、スライド動作の原点位置の右側に配置された外壁部212から離れる方向の首振り動作が実行される。そして、スライド動作のステップ数が10になると共に、首振り動作のステップ数が正方向に10ステップになった場合は(図144のa位置参照)、首振り動作の方向を反転させ、負方向へと首振り動作の方向を切り替える。この負方向への首振り動作は、演出部材620の原点位置を越えて実行される。スライド動作のステップ数が30となると共に、演出部材620が原点位置から負方向(正面視右方向)に10ステップ進んだ位置へと到達した場合は(図144のb位置参照)、再度首振り動作の方向を反転させて、正方向の首振り動作に切り替える。
そして、以降も20ステップ毎に首振り動作の方向を反転させながら(図144のc,d,e位置参照)、スライド動作を進行する。そして、スライド動作の動作ステップ数が120ステップになる(スライド動作の張出位置に到達する)と共に、演出部材620が負方向(原点位置の右側)から原点位置に到達したことに基づいて、動作が停止される。なお、原点位置へと戻す場合にも、図144に示した関係性を保ったままスライド動作の原点位置まで支柱部材が戻される。
図144に示したスライド動作、及び首振り動作を実行することにより、演出部材620を他の構成と衝突させずに毎回同一の首振り動作を実行させることができる。一方、演出部材620や、支柱部材720は駆動モータで駆動されるため、駆動モータやギアの個体差および経年劣化等により、同じ動作シナリオを設定したとしても、図144の対応関係が崩れてしまう可能性がある。また、故障やノイズ等の影響により、スライド動作や首振り動作が一時的に停止してしまう可能性もある。かかる場合にも、正常動作時と同一の設定値(動作速度、動作ステップ数、動作方向)を設定してしまうと、演出部材620が外壁部212へと衝突(干渉)してしまう等の不具合が生じる虞がある。そこで、本制御例では、首振り動作が可能な動作方向を、スライド動作のステップ数に応じて規定した首振り領域テーブル222dを設けることにより、演出部材620が他の構成に干渉する不具合を抑制する構成としている。
首振り領域テーブル222dの詳細について、図142(b)を参照して説明する。図142(b)は、本制御例における首振り領域テーブル222dの規定内容を示した図である。本制御例では、演出部材620が首振り動作の原点位置に到達する度に、この首振り領域テーブル222dが参照され、首振り動作の方向が判別される。
図142(b)に示した通り、首振り領域テーブル222dには、支柱部材720のスライド動作の動作ステップ数(スライド動作の進捗状況)に対応付けて、首振り動作を実行可能な方向(首振り可能方向)が規定されている。また、スライド動作の動作ステップ数と首振り可能方向との関係は、原点位置から張出位置へと向かう方向(往路)のスライド動作であるか、張出位置から原点位置へと向かう方向(復路)のスライド動作であるかを区別して規定されている。
具体的には、図142(b)に示した通り、往路のスライド動作(動作ポインタの値「01H」に対応するスライド動作)において、スライド動作の動作ステップ数「0~14」の範囲に対して首振り可能方向「左側」が対応付けられている。即ち、スライド動作の原点位置に比較的近い動作範囲(動作ステップ数が0~14の範囲)において、演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合には、演出部材620を正面視右側へと首振り動作させることが禁止(規制)される。これにより、外壁部212のうちスライド動作の原点位置の右側の部分と、演出部材620とが衝突し、外壁部212や演出部材620が破損してしまうことを防止(抑制)できる。
また、スライド動作の動作ステップ数「15~104」の範囲に対して首振り可能方向として「両側」が対応付けられている。即ち、動作ステップ数「15~104」の範囲において演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合は、正面視右側、及び正面視左側のどちらに対しても制限なく首振り動作を設定することができる。この動作ステップ数の範囲においては、外壁部212と演出部材620とが十分に離れており、動作方向によらず衝突(干渉)する可能性が無いためである。
更に、スライド動作の動作ステップ数「105~120」に対しては、首振り可能方向「右側」が対応付けられている。即ち、スライド動作の張出位置に比較的近い動作範囲(動作ステップ数が105~120の範囲)において、演出部材620が原点位置へと到達したことを検出した場合には、演出部材620を正面視左側へと首振り動作させることが禁止(規制)される。これにより、外壁部212のうちスライド動作の張出位置の左側の部分と、演出部材620とが衝突し、外壁部212や演出部材620が破損してしまうことを防止(抑制)できる。
一方、往路のスライド動作(動作ポインタの値「02H」に対応するスライド動作)では、スライド動作の動作ステップ数「0~14」の範囲に対して首振り可能方向「右側」が対応付けられ、動作ステップ数「15~104」には首振り可能方向「両側」が対応付けられ、動作ステップ数「105~120」には首振り可能方向「左側」が対応付けられている。往路のスライド動作中にも、これらの対応関係を参照して首振り動作の動作方向を設定することにより、演出部材620を外壁部212に衝突させることなく動作させることができる。
首振り可能方向についてまとめると、図143に示した通り、スライド動作の原点位置(スライド原点検出センサ717の検出位置)を含む15ステップ分の領域(0ステップ~14ステップ)は、左側(正面視左方向)にのみ首振り動作を設定することが可能となる。一方で、スライド動作の張出位置(スライド位置検出センサ718の検出位置)を含む15ステップ分の領域(104ステップ~120ステップ)は、右側(正面視右方向)にのみ首振り動作を設定することが可能となる。そして、上記以外の領域では、首振り動作を方向の制限なく設定することができるように構成されている。このように、スライド動作のステップ数に対応させて首振り動作の方向を規定しておくことにより、演出部材620がパチンコ機10の他の構成と干渉してしまうことを防止することができる。
図140に戻って説明を続ける。第2制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223には、第1制御例におけるRAM223の構成に加えて、ステップカウンタ223kと、動作シナリオフラグ223mと、動作ポインタ223nと、首振り方向フラグ223oと、補正値格納エリア223pと、追加動作フラグ223qと、原点復帰中フラグ223rと、初期動作中フラグ223sと、スライド待機フラグ223tと、首振り待機フラグ223uと、首振りカウンタ223vと、補正用カウンタ223wとが追加されている。
ステップカウンタ223kは、駆動モータで駆動される各役物の動作ステップ数をカウントするためのカウンタである。なお、カウントの基準(動作ステップ数が0の位置)は、各役物の原点位置に設定されている。このステップカウンタ223kは、役物の種別毎の動作ステップ数を別個にカウントできるように構成されている。即ち、ステップカウンタ223kは、演出部材620の動作ステップ数をカウントするためのカウンタや、支柱部材720の動作ステップ数をカウントするためのカウンタ等、役物を駆動するための駆動モータの個数分だけ別々のカウンタが設けられている。
ステップカウンタ223kは、パチンコ機10に設けられている各種駆動モータのいずれかから、1ステップの動作を実行したことを示す実行信号を受信する毎に、その実行信号を出力した駆動モータの種別に対応するカウンタ値が1ずつ更新される(図149のS1622参照)。また、パチンコ機10の電源が投入されると、各種役物を原点位置に戻すための原点復帰動作が実行されるが、その原点復帰動作により各種役物が原点に復帰すると、ステップカウンタ223kの値に対して0が設定される。この原点復帰動作によって、ステップカウンタ223kの値が0となる位置を確実に各役物の原点位置に設定することができるので、各役物の動作状況(駆動位置)を正確に把握することができる。
動作シナリオフラグ223mは、動作シナリオテーブル222cに規定された、各役物の演出動作に対応する動作シナリオのうち、いずれの動作シナリオが設定されているかを示すフラグである。この動作シナリオフラグ223mは、例えば1バイト(8ビット)で構成され、各ビットに動作シナリオの種別が対応付けられている。例えば、動作シナリオフラグ223mの第0ビットは、スライド動作テーブル222c1に対応しており、この第0ビットが1(オン)であれば、スライド動作テーブル222c1が動作シナリオとして設定されていることを意味する、0(オフ)であれば、スライド動作テーブル222c1が設定されていないことを意味する。他のビットについても同様に、各ビットに対応する動作シナリオが設定されていれば、対応するビットが1(オン)に設定され、対応する動作シナリオが設定されていなければ、対応するビットが0(オフ)に設定される。
この動作シナリオフラグ223mは、変動パターン受信処理(図108参照)の中で、変動パターンコマンドに基づいて動作シナリオを特定した場合に、そのシナリオに対応するビットが1(オン)に設定される(図108のS1704,S1708,S1710参照)。また、動作シナリオが設定された変動演出が終了する毎に、設定されていたシナリオに対応するビットが0(オフ)に設定される。この動作シナリオフラグ223mにより、現在設定されている動作シナリオの種別を容易に判別することができる。
動作ポインタ223nは、設定されている動作シナリオの進捗状況を識別するために用いられるポインタである。上述した通り、動作シナリオテーブル222cを構成する各データテーブルは、この動作ポインタ223nの値と、設定する動作内容(動作速度、動作ステップ数、動作方向)とが対応付けられて規定されている。本制御例では、1の設定内容の動作を駆動モータに設定し、設定内容に応じた動作が完了すると、動作ポインタ223nの値が更新される。
また、動作ポインタ223nは、設定されている動作シナリオ毎にポインタ値を別個に更新していくことができる。即ち、動作ポインタ223nは、動作シナリオ毎に設けられた異なるポインタの総称である。動作ポインタ223nを構成する各ポインタは、対応する動作シナリオが新たに設定されることにより、その値に「01H」が設定される。そして、以降はポインタ値に対応する動作内容が完了する度に、ポインタ値が更新され(図150のS5312、図151のS5411、図152のS5505、図154のS5712,S5713参照)、更新後のポインタ値に対応する動作内容が設定される。また、対応する動作シナリオが設定された変動演出が終了すると、ポインタ値は「00H」にリセットされる。この動作ポインタ223nを用いることにより、設定されている動作シナリオを正確に把握することができる。
首振り方向フラグ223oは、首振り動作の方向を示すフラグである。この首振り方向フラグ223oの値がオンであれば、正方向(正面視左方向)への首振り動作が実行されていることを示し、オフであれば、負方向(正面視右方向)への首振り動作が実行されていることを示す。この首振り方向フラグ223oは、傾倒動作に対応する動作シナリオが設定されている場合において、動作ポインタ223nの値が更新された場合に、更新後の動作ポインタ223nの値が示す動作内容に対応する値に更新される(図152のS5507参照)。つまり、動作内容として正方向の首振り動作が設定された場合には、首振り方向フラグ223oがオンに設定され、負方向の首振り動作が設定された場合には、首振り方向フラグ223oがオフに設定される。首振り動作において原点位置に到達した場合は、この首振り方向フラグ223oを参照して首振り動作の方向が特定される。そして、同一の首振り動作の方向のまま原点を通過しても問題ないか否かが、首振り領域テーブル222dに基づいて判別される。
補正値格納エリア223pは、経年劣化や個体差等による役物動作のバラつきを補正する補正値を記憶するための記憶領域である。より具体的には、支柱部材720の動作速度を、演出部材620の実際の動作に合わせて補正するための補正値が格納される。この補正値格納エリア223pに格納される補正値は、パチンコ機10に対して電源が投入されたことに基づいて実行される初期動作の実行中に算出され、この補正値格納エリア223pに格納される(図151のS5406,S5409参照)。補正値には、大別して、演出部材620の実際の首振り動作の状況に応じた補正値と、支柱部材720の実際のスライド動作の状況に応じた補正値とが少なくとも設けられており、これらの補正値に応じてスライド動作のステップ数を補正することができる。
演出部材620の実際の首振り動作の状況に応じた補正値とは、演出部材620が原点位置から正面視右方向、及び正面視左方向にそれぞれ首振り動作を行う際のステップ数の設計値(往路10ステップと復路10ステップの首振り動作を左右2方向で実行するので、合計40ステップ)と、一連の動作を設定して原点に復帰するまでに実際に要したステップ数との比である。
一方、支柱部材720の実際の首振り動作の状況に応じた補正値とは、支柱部材720が原点位置から張出位置までスライド動作を行う際のステップ数の設計値(120ステップ)と、実際のスライド動作において原点位置から張出位置まで動作させるために要したステップ数との比である。これらの補正値により、動作シナリオの設定内容を補正することで、支柱部材720のスライド動作の態様を、演出部材620の実際の首振り動作の態様に合わせることができる。即ち、首振り動作に要する実際のステップ数が設計値に比較して多かった場合は、設計値よりも多くのステップ数を設定する必要が生じるため、首振り動作の実行期間が長くなる。この場合であっても、3往復の首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを合わせるために、スライド動作の動作速度を遅らせるための補正値が補正値格納エリア223pに格納される。
一方、首振り動作に要する実際のステップ数が設計値に比較して少なかった場合は、設計値よりも少ないステップ数で首振り動作が終了するため、首振り動作の実行期間が短くなる。この場合であっても、3往復の首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを合わせるために、スライド動作の動作速度を速めるための補正値が補正値格納エリア223pに格納される。
スライド動作を設定する場合は、補正値格納エリア223pに格納された補正値を、スライド動作テーブル223c1に規定された動作速度に乗じた値を新たな動作速度として設定することにより、首振り動作が完了するタイミングと、スライド動作の張出位置に到達するタイミングとを一致させることができる。よって、演出部材620と支柱部材720とを同時に動作させる場合の動作品位を向上させることができる。
追加動作フラグ223qは、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化した後に設定される可能性がある追加動作期間であるか否かを示すためのフラグである。ここで、本制御例では、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化したにも拘らず、対応するセンサの出力がH(ハイ)にならなかった場合に、センサ方向へ追加で動作を設定するように構成されている。この追加の動作は、対応するセンサの出力がH(ハイ)となるまで1ステップずつ繰り返し設定される。この追加の動作が設定される期間のことを追加動作期間と呼ぶ。この追加動作期間を設定することにより、経年劣化や個体差等によりセンサを検出するまでのステップ数がずれてしまった場合にも、即座にエラーを報知せず、センサ方向へと移動させることができる。この追加動作フラグ223qは、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を経過しても対応するセンサの出力がH(ハイ)とならなかった場合に実行される異常検知処理(図155参照)の中でオンに設定され、追加動作により対応するセンサの出力がL(ロー)となったことを検出すると、オフに設定される(図153のS5604参照)。
原点復帰中フラグ223rは、パチンコ機10に対して電源が投入された場合に実行される原点復帰動作(原点位置からずれている役物を原点位置へ復帰させるための動作)の実行中であるか否かを示すフラグである。この原点復帰中フラグ223rがオンであれば、原点復帰動作の実行中であることを示し、オフであれば、原点復帰動作の実行中でないことを示す。この原点復帰中フラグ223rは、原点復帰処理(図146参照)の中で、
原点復帰動作が設定された場合にオンに設定される(図146のS5103参照)。一方、原点復帰動作において、全ての役物が原点位置に復帰したと判別された場合にオフに設定される(図150のS5304参照)。この原点復帰中フラグ223rを用いることにより、原点復帰動作中であるか否かを容易に判別することができる。
初期動作中フラグ223sは、原点復帰動作が終了した後で、各役物が正常に動作するか否かを判別するために実行される初期動作の実行中であるか否かを示すフラグである。この初期動作中フラグ223sがオンであれば、初期動作の実行中であることを示し、オフであれば、初期動作の実行中でないことを示す。この初期動作中フラグ223sは、原点復帰動作が終了した後でオンに設定され(図150のS5304参照)、初期動作テーブル222c5に規定されている全ての動作が終了した場合にオフに設定される。この初期動作中フラグ223sを用いることにより、初期動作の実行中であるか否かを容易に判別することができる。
スライド待機フラグ223tは、演出部材620と支柱部材720とが連動して動作する演出において、支柱部材720の張出位置へのスライド動作が、演出部材620の首振り動作よりも先に終わってしまった場合に設定されるスライド待機期間であるか否かを判別するためのフラグである。このスライド待機期間は、首振り動作が完了するまでスライド動作を待機させるための期間であり、スライド動作の張出位置から原点位置へと戻す動作を実行する場合に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とを同時に開始させるために設定される。
このスライド待機フラグ223tがオンであれば、上述したスライド待機期間中であることを示し、オフであれば、スライド待機期間中でないことを示す。このスライド待機フラグ223tは、スライド動作処理(図156参照)の中で、スライド動作が完了し、首振り動作が未完了であると判別された場合にオンに設定される(図156のS5909参照)。一方、スライド動作、首振り動作が共に完了し、張出位置から原点位置へ戻る動作が設定された場合にオフに設定される(図154のS5706参照)。
首振り待機フラグ223uは、演出部材620と支柱部材720とが連動して動作する演出において、演出部材620の首振り動作が、支柱部材720の張出位置へのスライド動作よりも先に終わってしまった場合に設定される首振り待機期間であるか否かを判別するためのフラグである。この首振り待機期間は、スライド動作が完了するまで首振り動作を待機させるための期間であり、スライド動作の張出位置から原点位置へと戻す動作を実行する場合に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とを同時に開始させるために設定される。
この首振り待機フラグ223uがオンであれば、上述した首振り待機期間中であることを示し、オフであれば、首振り待機期間中でないことを示す。この首振り待機フラグ223uは、傾倒方向設定処理(図154参照)の中で、首振り動作(傾倒動作)が完了し、スライド動作が未完了であると判別された場合にオンに設定される(図154のS5703参照)。一方、スライド動作、首振り動作が共に完了し、張出位置から原点位置へ戻る動作が設定された場合にオフに設定される(図156のS5911参照)。
首振りカウンタ223vは、首振り動作を実行する場合の実行回数をカウントするためのカウンタである。本制御例では、傾倒動作テーブル222c2に基づいて、原点位置から左右方向に各10ステップずつ首振り動作を実行した後、原点位置へと戻る動作を3回繰り返すように構成されている。しかし、傾倒動作テーブル222c2に対して全く同じ動作を3回分規定すると、ROM222の容量を圧迫してしまう虞がある。そこで、本制御例では、首振り動作1回分の動作内容のみを傾倒動作テーブル222c2に規定しておき、1回の首振り動作が終了する(即ち、傾倒動作テーブル222c2に規定されている動作ポインタ223nの値「01H」~「04H」に対応する動作が全て終了する)度に、首振りカウンタ223vを用いて首振り回数をカウントするように構成されている。そして、カウント回数が3回となった場合には、首振り動作を終了し、カウント回数が3回に満たない場合は動作ポインタ223nの値を「01H」に戻して、再度「01H」~「04H」に対応する動作を順に設定していくように構成されている。これにより、傾倒動作テーブル222c2のデータ量を削減しつつ、首振り動作を毎回同じ回数(3回)繰り返させることができる。
補正用カウンタ223wは、初期動作において、演出部材620の実際の首振り動作のステップ数や、支柱部材720の実際のスライド動作のステップ数をカウントするためのカウンタである。この補正用カウンタ223wによってカウントされたステップ数と、ステップ数の設計値とを比較することにより、実動作が設計値からどれだけずれているのかを解析(判別)することができる。即ち、個体差や経年劣化等の影響を解析(判別)することができる。この補正用カウンタ223wによりカウントされた各役物のステップ数に応じて、スライド動作の動作速度を補正するための補正値が算出される(図151のS5406,S5409参照)。
<第2制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次いで、図145~図156を参照して、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図145は、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は、第1制御例と同様に、パチンコ機10の電源投入時に実行される処理である。
この立ち上げ処理のうち、S1301~S1313の各処理では、それぞれ第1制御例における立ち上げ処理(図104参照)で実行されるS1301~S1313の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例における立ち上げ処理では、第1制御例における立ち上げ処理に加えて、原点復帰処理(S1321)が実行される点で相違する。
この原点復帰処理(S1321)は、第1制御例と同様にS1301からS1312の処理が実行された後に実行され、原点位置からずれている役物を原点位置へと戻すための処理である。そして、原点復帰処理(S1321)の実行後には時間設定処理(S1313)が実行され、本処理が終了される。
次いで、図146を参照して、上記した原点復帰処理(S1321)の詳細について説明する。図146は、原点復帰処理(S1321)を示すフローチャートである。この原点復帰処理(S1321)は、本パチンコ機10に備えられる各種役物のうち、電源投入時に原点位置でない役物を、原点位置に移動(可動)させるための処理である。
原点復帰処理(S1321)では、まず、出力がL(0V)の(即ち、センサの受光部が遮光されていない)原点センサ(例えば、スライド原点検出センサ717、傾倒原点センサ618等)があるか否かを判別する(S5101)。S5101の処理において、出力がL(0V)の原点センサがあると判別された場合は(S5101:Yes)、いずれかの役物(傾倒動作ユニット600の演出部材620、スライド動作ユニット700の支柱部材720など)が原点位置にない場合である。よって、この場合は、原点位置からずれている役物を原点位置に復帰(可動)させるために、S5102の処理へ移行する。
S5102の処理では、出力がL(0V)のセンサに対応する役物に対して、原点方向への動作(可動)を設定する(S5102)。そして、原点復帰中フラグ223rをオンに設定して(S5103)、本処理を終了する。なお、S5102の処理では、確実に原点位置へと戻るように、例えば、各役物における原点位置から張出位置までのステップ数の2倍のステップ数の動作が設定される。
一方、S5101の処理において、出力がL(0V)の原点センサがないと判別された場合は(S5101:No)、電源投入の時点で全ての役物が既に原点位置になっていたことを意味する。即ち、役物を原点位置に復帰(可動)させる必要がないため、各種役物の初期動作を設定するためのS5104,S5105の各処理を実行する。
S5104の処理では、各種役物に対して初期動作の開始を設定し(S5104)、初期動作中フラグ223sをオンに設定して(S5105)、本処理を終了する。上述した通り、初期動作は、各種役物が正常に動作しているかをチェックするために行われる。電源投入時毎に各種役物が正常に動作するかをチェックすることができるので、各種役物の異常を早期に検出することができる。
この原点復帰処理(S1321)を実行することにより、全ての役物を原点位置へと復帰(可動)させることができる。原点位置へと復帰したことを契機として、対応する役物のステップカウンタ223kを0にリセットすることができるので、原点復帰以降、全ての役物の動作ステップ数を正確に把握することができる。また、初期動作を原点復帰後に実行することができるので、初期動作において毎回同じ動作を行わせることができる。よって、初期動作において異常が発生しているか否かを外見からも容易に判別することができる。
次いで、図147を参照して、第2制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図147は、メイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、第1制御例と同様に、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される処理である。
このメイン処理のうち、S1501~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるメイン処理(図106参照)で実行されるS1501~S1520の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例におけるメイン処理では、第1制御例におけるメイン処理に加えて、役物動作設定処理(S1531)が実行される点で相違する。
この役物動作設定処理(S1531)は、第1制御例と同様にS1501からS1515の処理が実行された後に実行される。そして、役物動作設定処理(S1531)の実行後にはS1516からS1520の各処理が実行される。この役物動作設定処理(S1531)は、選択されている変動パターンに基づいて、各役物の動作を設定するための処理である。
次に、図148を参照して、上述した役物動作設定処理(S1531)の詳細について説明する。図148は、役物動作設定処理(S1531)を示すフローチャートである。この役物動作設定処理(S1531)は、上述した通り、本パチンコ機10に備えられる各種役物の動作を設定するための処理である。
役物動作設定処理(S1531)では、まず、役物の動作開始タイミングであるか否かを判別する(S5201)。ここで、役物の動作開始タイミング、および動作させる役物の種別は、変動パターン毎に規定されている。S5201の処理では、変動パターンの進行状況に基づいて、動作開始タイミングになったか否かを判別している。
S5201の処理において、役物の動作開始タイミングでないと判別された場合は(S5201:No)、役物の動作を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了してメイン処理へ戻る。一方、S5201の処理において、役物の動作開始タイミングであると判別された場合は(S5201:Yes)、開始タイミングとなった役物の動作を設定するために、S5202の処理へ移行する。
S5202の処理では、開始する動作(スライド動作、傾倒(首振り)動作、初期動作等)に対応する動作ポインタ223nの値を「01H」に設定する(S5202)。そして、動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222cのうち、今回動作させる役物に対応するテーブルから読み出す(S5203)。次いで、S5203の処理において読み出した動作内容が、支柱部材720のスライド動作であるか否かを判別する(S5204)。
S5204の処理において、読み出した動作内容がスライド動作であると判別された場合は(S5204:Yes)、読み出した動作内容のうち、動作速度(pps)に対して補正値格納エリア223pに格納されている補正値(スライド動作に対応する補正値、および首振り動作に対応する補正値の両方)を乗じた値を動作速度として設定し(S5205)、S5206の処理へ移行する。上述した通り、この補正値は、初期動作における演出部材620の実際の首振り動作の動作ステップ数、および支柱部材720の実際の動作ステップ数に基づいて算出される値である。この補正値によってスライド動作の動作速度を補正することにより、首振り動作の終了タイミングと、スライド動作の動作終了タイミングとを一致させることができる。
一方、S5204の処理において、読み出した動作内容がスライド動作でないと判別された場合は(S5204:No)、動作を補正する必要がないため、S5205の処理をスキップして、S5206の処理へ移行する。
S5204またはS5205の処理を終えると、読み出した動作内容(または補正した動作内容)に基づいて動作コマンドを設定し(S5206)、本処理を終了する。S5206の処理によって設定された動作コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファ(図示せず)に記憶される。そして、MPU221により実行されるメイン処理(図147参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、コマンドに対応する各種モータ(上下用駆動モータ431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)に向けて送信される。各種モータの制御用IC(図示せず)は、受信した動作コマンドに基づいて各種モータを駆動制御する。これにより、各種モータに対応する各種役物が可動される。
次いで、図149を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1511)について説明する。図149は、コマンド判定処理(S1511)を示すフローチャートである。このコマンド判定処理(S1511)は、第1制御例と同様に、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図147参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定し、対応する制御を実行するための処理である。
このコマンド判定処理(S1511)のうち、S1601~S1616の各処理では、それぞれ第1制御例におけるコマンド判定処理(図107参照)で実行されるS1601~S1616の各処理と同一の処理が実行される。第2制御例におけるコマンド判定処理(S1511)では、第1制御例におけるコマンド判定処理(S1511)に加えて、S1621からS1623の処理が実行される点で相違する。以下、第1制御例におけるコマンド判定処理(図107参照)と同一の部分には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第2制御例におけるコマンド判定処理(S1511)では、まず、第1制御例と同様にS1601からS1615の処理が実行される。そして、S1612の処理において、停止コマンドを受信していないと判別した場合に(S1612:No)、各種モータ(上下用駆動も他431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)から出力される実行信号(実行コマンド)を受信したか否かを判別する(S1621)。S1621の処理において、各役物に対応するモータドライバ(制御用IC)から実行コマンドを受信していないと判別した場合には、S1616の処理を実行して、本処理を終了する。
一方、S1621の処理において、いずれかのモータドライバ(制御用IC)から実行コマンドを受信したと判別した場合には(S1621:Yes)、その動作コマンドを出力したモータドライバ(役物)に対応するステップカウンタ223kを更新し(S1622)、実行コマンド(実行信号)に応じて各役物の動作を制御するための実行コマンド処理を実行して(S1623)、本処理を終了する。S1622の処理により、動作に対応するステップカウンタ223kが更新(加算)されることで、各動作(スライド動作、首振り動作など)の状態(動作ステップ数)を正確に判別できる。
次に、図150から図156を参照して、上記した実行コマンド処理(S1623)の詳細について説明する。まず、図150は、実行コマンド処理(S1623を示すフローチャートである。この実行コマンド処理(S1623)は、各種モータ(上下用駆動も他431、開閉用駆動モータ466、スライド用駆動モータ751、傾倒用駆動モータ661)の制御用IC(図示せず)から送信される実行信号(実行コマンド)を受信した場合に実行される処理である。
実行コマンド処理(S1623)では、まず、原点復帰中フラグ223rがオンであるか否かを判別する(S5301)。S5301の処理において、原点復帰中フラグ223rがオンであると判別された場合は(S5301:Yes)、上述した音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理(図145参照)で実行される原点復帰処理(図146参照)において、原点復帰動作の実行中であることを意味する。よって、この場合には、原点復帰動作が終了したか否かを判別するために、出力がL(0V)の(即ち、センサの受光部が遮光されていない)原点センサがあるか否かを判別する(S5302)。
S5302の処理において、出力がL(0V)の原点センサがあると判別された場合は(S5302:Yes)、いずれかの役物が原点位置からずれている(即ち、復帰(可動)中である)場合であり、役物を原点位置に復帰(可動)させる処理が継続されているため、そのまま本処理を終了する。なお、複数の役物が原点復帰中の場合には、S5302の処理において原点位置に復帰したと判別された役物から順番に動作停止を設定する。また、設定した原点復帰動作のステップ数を経過しても原点に復帰しない役物が存在する場合は、故障等により駆動用モータが正常に動作していない可能性が高いため、エラーを報知する。
一方、S5302の処理において、出力がL(0V)の原点センサがないと判別された場合は(S5302:No)、全ての役物が原点位置にある(即ち、復帰(可動)を終えた)場合であるので、役物を原点位置に復帰(可動)させる処理を終了し、各種役物の初期動作の開始を設定する(S5303)。そして、原点復帰中フラグ223rをオフに設定し、初期動作中フラグ223sをオンに設定して(S5304)、本処理を終了する。
S5301の処理において、原点復帰中フラグ223rがオンでないと判別された場合は(S5301:No)、全ての役物が原点位置に復帰(可動)されている場合であるので、次いで、初期動作中フラグ223sがオンであるか否かを判別する(S5305)。S5305の処理において、初期動作フラグ223sがオンであると判別された場合は(S5305:Yes)、各種役物の初期動作が実行中であることを意味するため、初期動作中の設定を行うための初期動作処理を実行して(S5306)、本処理を終了する。この初期動作処理(S5306)の詳細については、図151を参照して後述する。
一方、S5305の処理において、初期動作フラグ223sがオフであると判別された場合は(S5305:No)、次いで、受信した実行コマンドが傾倒動作に対応するコマンドであるか否かを判別する(S5307)。S5307の処理において、受信した実行コマンドが傾倒(首振り)動作に対応するコマンドであると判別された場合は(S5307:Yes)、傾倒(首振り)動作を実行する(傾倒用駆動モータ661を駆動する)ために、傾倒動作処理を実行し(S5308)、本処理を終了する。この傾倒動作処理(S5308)の詳細については、図152から図155を参照して後述する。
S5307の処理において、受信した実行コマンドが傾倒(首振り)動作に対応するコマンドでないと判別された場合は(S5307:No)、次いで、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドであるか否かを判別する(S5309)。S5309の処理において、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドであると判別された場合は(S5309:Yes)、スライド動作を実行する(スライド用駆動モータ751を駆動させる)ために、スライド動作処理の処理を実行して(S5310)、本処理を終了する。このスライド動作処理(S5310)の詳細については、図156を参照して後述する。
一方、S5309の処理において、受信した実行コマンドがスライド動作に対応するコマンドでないと判別された場合は(S5309:No)、その他の役物(動作)に対する実行コマンドを受信した場合である。この場合は、受信した実行コマンドに対応する役物の動作が完了したか否かを判別するために、役物に対応するステップカウンタ223kの値が、設定したステップ数に到達したか否かを判別する(S5311)。S5311の処理において、設定したステップ数に到達していないと判別された場合は(S5311:No)、そのまま本処理を終了する。
S5311の処理において、設定したステップ数に到達したと判別された場合は(S5311:Yes)、次いで、受信した実行コマンドに対応する(動作に対応する)動作ポインタ223nの値に1を加算する(S5312)。そして、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222cから読み出し(S5313)、その読み出した動作内容に基づいて、動作コマンドを設定し(S5314)、本処理を終了する。
次に、図151を参照して、上記した実行コマンド処理(図150参照)において実行される初期動作処理(S5306)の詳細について説明する。図151は、初期動作処理(S5306)を示したフローチャートである。この初期動作処理(S5306)は、各種役物の初期動作を実行するための処理である。
初期動作処理(S5306)では、まず、補正用カウンタ223wの値に1を加算する(S5401)。この補正用カウンタ223wは、上述した通り、初期動作における支柱部材720の実際の動作ステップ数や、演出部材620の実際の動作ステップ数をカウントするために用いられる。即ち、動作ポインタ223nの値が「01H」の間に実行されるスライド動作に対する初期動作の動作ステップ数をカウントして、動作ステップ数の設計値である120との比によってスライド動作に対応する補正値を算出するために用いられる。また、動作ポインタ223nの値が「02H」~「05H」の間に実行される、首振り動作に対応する初期動作の動作ステップ数をカウントして、首振り動作の1周期の動作ステップ数の設計値である40との比によって首振り動作に対応する補正値を算出するために用いられる。
なお、本制御例では、毎回の初期動作処理において(即ち、首振り動作の初期動作が終了した後も)、補正用カウンタ223wの値を更新するように構成されているが、首振り動作の初期動作が終了し、補正値の算出が終了した後は、補正用カウンタ223wの更新処理(S5401)をスキップするように構成してもよい。これにより初期動作処理(S5306)における処理負荷を軽減することができる。
S5401の処理が終了すると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値を読み出して(S5402)、読み出した動作ポインタ223nの値に基づいて初期動作テーブル222c5を参照し、対応する役物の動作の完了条件が成立したか否かを判別する(S5403)。S5403の処理において、対応する役物の動作の完了条件が成立していないと判別された場合は(S5403:No)、対応する役物に対して1ステップ分の動作を設定して(S5404)、本処理を終了する。
一方、S5403の処理において、対応する役物の動作の完了条件が成立したと判別された場合は(S5403:Yes)、次いで、S5402の処理において読み出した動作ポインタ223nの値が01Hであるか否かを判別する(S5405)。S5405の処理において、動作ポインタ223nの値が01Hであると判別された場合は(S5405:Yes)、初期動作において、支柱部材720の往路のスライド動作が完了したことを意味する(図142(a)参照)。よって、この場合は、スライド動作の動作ステップ数の設計値(120ステップ)と、実際の動作ステップ数(補正用カウンタ223wのカウント値)との比(補正用カウンタ223wの値を120で除した値)をスライド動作の補正値として、補正値格納エリア223pに格納する(S5406)。そして、補正用カウンタ223wの値を初期化して(S5407)、S5411の処理へ移行する。
S5406の処理において、補正用カウンタ223wを初期化することにより、次に実行される首振り動作の初期動作において、実際の動作ステップ数をカウントするために用いることができる。よって、スライド動作に要する実際の動作ステップ数をカウントするカウンタと、首振り動作に要する実際の動作ステップ数をカウントするカウンタとを共用の1のカウンタ(補正用カウンタ223w)で賄うことができるので、RAM223の容量を削減することができる。
一方、S5405の処理において、動作ポインタ223nの値が「01H」でないと判別された場合は(S5405:No)、次いで、動作ポインタ223nの値が「05H」であるか否かを判別する(S5408)。S5408の処理において、動作ポインタ223nの値が05Hであると判別した場合は(S5408:Yes)、首振り動作の初期動作(動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」に対応する動作)が全て完了したことを意味するので、首振り動作に対応する補正値を算出する処理を行う。即ち、首振り動作の一周期における動作ステップ数の設計値である40を、実際に初期動作において首振り動作に要した動作ステップ数(動作ポインタ223nの値「02H」~「05H」の間にカウントされた補正カウンタ223wの値)で除したものを傾倒(首振り)動作の補正値として補正値格納エリア223pに格納する(S5409)。そして、補正用カウンタ値223wの値を初期化して(S5410)、S5411の処理へ移行する。
なお、S5408の処理において、動作ポインタ223nの値が「05H」でない(即ち、「06H」以上である)と判別された場合は(S5408:No)、そのままS5411の処理へ移行する。
S5407,S5408またはS5410の処理を終えると、初期動作に対応する動作ポインタ223nの値に1を加算し(S5411)、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作を設定して(S5412)、本処理を終了する。
次に、図152を参照して、上記した実行コマンド処理(図150参照)において実行される傾倒動作処理(S5308)の詳細について説明する。図152は、傾倒動作処理(S5308)を示したフローチャートである。この傾倒動作処理(S5308)は、傾倒動作ユニット600(図9参照)に設けられる演出部材620の傾倒動作を設定するための処理である。
傾倒動作処理(S5308)では、まず、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオンであるか否かを判別する(S5501)。この追加動作フラグ223qは、上述した通り、動作シナリオテーブル222cに規定された動作ステップ数を消化したにも拘らず、対応するセンサの出力がH(ハイ)にならなかった場合に、センサ方向へ追加で動作を設定する追加動作期間であるか否かを示している。
S5501の処理において、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオンであると判別された場合は(S5501:Yes)、演出部材620の追加動作期間中であることを意味するので、原点センサ(傾倒原点センサ618)を検出するまで追加動作を実行するための追加動作処理(S5502)を実行して、本処理を終了する。この追加動作処理(S5502)の詳細については、図153を参照して後述する。
一方、S5501の処理において、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qがオフであると判別された場合は(S5501:No)、次いで、演出部材620を傾倒(首振り)動作させるための傾倒用駆動モータ661のステップ数が、設定したステップ数に到達したか否かを判別する(S5503)。即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作(往路動作または復路動作)が完了したか否かを判別する。
S5503の処理において、傾倒用駆動モータ661の動作ステップ数が、設定したステップ数に到達していないと判別された場合は(S5503:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S5505の処理において、傾倒用駆動モータ661の動作ステップ数が、設定したステップ数(傾倒動作テーブル222c2参照)に到達したと判別された場合は(S5503:Yes)、1の動作ポインタ223nの値に対応する演出部材620の傾倒(首振り)動作(往路動作または復路動作)が完了したことを意味するので、次いで、演出部材620の傾倒(首振り)動作が往路動作(原点位置と反対方向への動作)であったか否かを現在の動作ポインタ223nの値から判別する(S5504)。即ち、動作ポインタ223nの値が「01H」、または「03H」のどちらかであるか否かを判別する。
S5504の処理において、演出部材620の傾倒(首振り)動作が往路動作(原点位置と反対方向への動作)であったと判別された場合は(S5504:Yes)、その後、演出部材620を復路動作(原点位置方向への可動動作)にするための処理(S5505~S5507)を実行する。
S5505の処理では、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値に1を加算して(S5505)、加算後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222c(傾倒動作テーブル222c2)から読み出して設定する(S5506)。そして、首振り方向フラグ223oの値を復路の首振り方向に対応する値に更新(反転)して(S5507)、本処理を終了する。例えば、首振り方向フラグ223oの値が1の状態(正方向の首振り動作)でS5507の処理が実行されると、首振り動作フラグ223oの値が0に更新(反転)され、値が0の状態(正方向の首振り動作)でS5507の処理が実行されると、首振り動作フラグ223oの値が1に更新(反転)される。これにより、首振り動作の動作方向が反転するのに合わせて首振り方向フラグ223oを更新することができるので、動作方向を正確に把握することができる。
一方、S5504の処理において、演出部材620の傾倒(首振り)動作が復路動作(原点位置方向への動作)であった(演出部材620に対応する動作ポインタ223nの値が「02H」、または「04H」)と判別された場合は(S5504:No)、演出部材620が原点位置の方向に可動された場合であるので、次いで、演出部材620に対応する原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であるか(演出部材620が原点位置であるか)否かを判別する(S5508)。
S5508処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がL(0V)であると判別された場合は(S5508:No)、傾倒用駆動モータ661が設定通りに駆動していない、演出部材620の可動が妨げられている、経年劣化等によりステップ数がずれた等の異常が発生している可能性が高い場合であるので、異常検知処理を実行して(S5510)、本処理を終了する。この異常検知処理(S5510)の詳細については、図155を参照して後述する。
一方、S5508の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であると判別された場合は(S5508:Yes)、傾倒方向設定処理を実行して(S5509)、本処理を終了する。
次に、図153を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される追加動作処理(S5502)の詳細について説明する。図153は、追加動作処理を示したフローチャートである。この追加動作処理(S5502)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、傾倒動作ユニット600に設けられる演出部材620が、設定した動作ステップ数の動作を完了しても原点位置に可動されていない(異常が発生している可能性がある)場合に(S5508:No)実行され、演出部材620を原点位置に可動する、または、エラー報知を行うための処理である。
追加動作処理(S5502)では、まず、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であるか否かを判別する(S5601)。S5601の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)でないと判別された場合は(S5601:No)、前回の追加動作処理(S5502)、または後述する異常検知処理(図155参照)において設定された1ステップの動作を実行した後も、演出部材620が原点位置からずれている場合を意味する。この場合は、傾倒(首振り)動作に対応するステップカウンタ223kの値が10以上であるか否かを判別する(S5605)。
S5605の処理において、ステップカウンタ223kの値が10より小さいと判別された場合には(S5605:No)、再度、演出部材620を原点位置へと可動させるために、1ステップ分の追加動作を設定して(S5606)、本処理を終了する。
一方、S5605の処理において、ステップカウンタ223kの値が10以上であると判別された場合は(S5605:Yes)、原点位置に復帰しないために追加動作処理(S5502)が繰り返し実行され、S5606の処理によって演出部材620(傾倒用駆動モータ661)を10ステップ以上可動させた(追加動作させた)にも関わらず、演出部材620が原点位置へと可動されなかった場合である。即ち、通常動作の範囲内であれば原点位置に十分到達できる動作ステップ数の動作が実行されたことを意味する。よって、この場合には、エラーコマンドを設定して(S5607)、本処理を終了する。
なお、エラーコマンドを設定する場合は、上述したものに限られず、演出部材620の動作が通常の可動(設定)範囲外の傾倒(首振り)動作となっており、さらに傾倒動作(可動)させると、他の役物などと接触する虞がある場合に、エラーコマンドを設定して処理を終了するようにしてもよい。
また、エラーと判定する動作ステップ数は、10ステップに限られるものではなく、役物や駆動用モータの種別に応じて任意に定めてもよい。例えば、比較的劣化しやすい(動作ステップ数がずれやすい)駆動用モータを採用した場合には、エラーと判別するまでの動作ステップ数をより多く(例えば、15回)しておいても良い。逆に、比較的正確で寿命の長い駆動用モータを採用した場合には、より少ない動作ステップ数(例えば、5回)でエラーと判別するように構成してもよい。
S5601の処理において、原点センサ(傾倒原点センサ618)の出力がH(5V)であると判別された場合は(S5601:Yes)、前回の追加動作処理(S5502)で実行されたS5606の処理(または異常検知処理のS5801の処理)により設定された1ステップの動作で、演出部材620が原点位置へ可動された場合である。この場合には、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値を更新し(S5602)、更新後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を動作シナリオテーブル222c(傾倒動作テーブル222c2)から読み出して設定する(S5603)。そして、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qをオフに設定して(S5604)、本処理を終了する。
次に、図154を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される傾倒方向設定処理(S5509)の詳細について説明する。図154は、傾倒方向設定処理を示したフローチャートである。この傾倒方向設定処理(S5509)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、傾倒動作ユニット600に設けられる演出部材620が首振り動作において原点位置へ到達した場合に(S5508:Yes)実行される処理である。
傾倒方向設定処理(S5509)では、まず、首振りカウンタ223vの値が3(または3より大)であるか否かを判別する(S5701)。この首振りカウンタ223vの値は、後述するS5714の処理によって更新されるものであり、演出部材620の首振り動作が1回(左側の往復と右側の往復で1回とみなす)実行される毎に1加算されるものである(S5715参照)。よって、首振りカウンタ223vの値が3である場合には、演出部材620の首振り動作が3回実行された場合である。
S5701の処理において、首振りカウンタ223vの値が3であると判別された場合には(S5701:Yes)、演出部材620の首振り(傾倒)動作が規定回数(3回)完了した場合であるので、次いで、傾倒動作ユニット600に設けられる支柱部材720のスライド動作が往路である(または往路であった)か否かを判別する(S5702)。S5702の処理において、支柱部材720のスライド動作が復路である(または復路であった)と判別された場合は(S5702:No)、その後、演出部材620の首振り動作を行うことはないので、そのまま本処理を終了する。
一方、支柱部材720のスライド動作が往路である(往路であった)と判別された場合は(S5702:Yes)、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了した後に、演出部材620の首振り動作を実行するために、S5703の処理へ移行する。
S5703の処理では、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了済みであるか否かを判別する(S5703)。より具体的には、スライド待機フラグ223tがオンであれば、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了したと判別し、スライド待機フラグ223tがオフであれば、支柱部材720のスライド動作(往路動作)が完了していないと判別する。
S5703の処理において、スライド待機フラグ223tがオンであり、スライド動作が完了済みであると判別された場合は(S5703:Yes)、スライド動作に対応する動作ポインタ223nの値を02Hに設定し、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nの値に03Hを設定する(S5705)。そして、S5705の処理により設定された動作ポインタ223nの値に基づいて、動作シナリオテーブル(スライド動作テーブル222c1および傾倒動作テーブル222c2)から動作内容を読み出して設定する(S5706)。S5706の処理により、傾倒動作ユニット600の支柱部材720が復路方向へ可動され、演出部材620が首振り(傾倒)動作(3往復)されるように設定される。
S5706の処理を終えると、スライド待機フラグ223tをオフに設定して(S5707)、首振りカウンタ223vの値を0に初期化して(S5708)、本処理を終了する。
一方、S5703の処理において、スライド待機フラグ223tがオフであり、スライド動作が完了していないと判別された場合は(S5703:No)、支柱部材720のスライド動作が完了するまで待機するために、首振り待機フラグ223uをオンに設定し(S5704)、首振りカウンタ223vの値を0に初期化して(S5708)、この処理を終了する。
S5701の処理において、首振りカウンタ223vの値が3でない(2以下である)と判別された場合は(S5701:No)、首振り(傾倒)動作を継続させるために、S5709の処理へ移行する。
S5709の処理では、首振り方向フラグ223oの値に基づいて、原点位置に到達前の首振り方向を特定する(S5709)。そして、スライド動作に対応するステップカウンタ223kの値と、首振り領域テーブル222d(図142参照)とに基づいて、首振り可能方向を特定する(S5710)。
S5710の処理を終えると、S5709の処理において特定した原点到達前の首振り方向から、原点通過後の首振り方向(進行方向)を特定し、その原点通過後の首振り方向(進行方向)が、S5710の処理において特定した首振り可能方向と合致しているか否かを判別する(S5711)。S5711の処理において、原点通過後の首振り方向(進行方向)が首振り可能方向でないと判別された場合は(S5711:No)、原点通過後の首振り方向(進行方向)が首振り可能方向となるように、首振り(傾倒)動作に対応する動作ポインタ223nの値を3回更新して(S5712)、S5714の処理へ移行する。
一方、S5711の処理において、原点通過後の首振り(傾倒)方向(進行方向)が首振り可能方向であると判別された場合は(S5711:Yes)、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を1回更新し(S5713)、S5714の処理へ移行する。
ここで、S5712およびS5713の処理について具体的に説明する。傾倒方向設定処理(S5509)が実行される場合は、上述したように演出部材620が原点位置の場合である。この場合には、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値は「02H」(首振り方向が左側であった場合)または「04H」(首振り方向が右側であった場合)となっている。そこで、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を3回更新すると、02H(首振り方向が左側)が設定されていた場合には01H(首振り方向が左側)が設定され、04H(首振り方向が右側)が設定されていた場合には03H(首振り方向が右側)が設定される。即ち、前回設定されていた首振り方向と同一方向に往路動作する値に更新される。これにより、原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向でない場合には、再度同一方向に往路動作するように設定される。
一方、首振り動作に対応する動作ポインタ223nの値を1回更新する場合には、02H(首振り方向が左側)が設定されていた場合には03H(首振り方向が右側)が設定され、「04H」(首振り方向が右側)が設定されていた場合には「01H」(首振り方向が左側)が設定される。即ち、前回設定されていた首振り方向と反対方向(原点位置を通過する方向)に往路動作する値に更新される。これにより、原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向である場合には、反対方向原点位置を通過する方向)に往路動作するように設定され、演出部材620を、原点位置を中心として左右方向に首振り(傾倒)動作させることができる。
なお、S5711の処理において原点通過後の首振り(進行)方向が首振り可能方向であるか否かの判別は、上述したものに限られない。例えば、次に演出部材620が原点位置となるまでに、支柱部材720が可動される位置を先読み(推測)して、首振り可能方向を特定し、首振り可能方向を判別するようにしてもよい。このように構成することで、より精度よく首振り可能方向を判別できる。その結果、演出部材620が他の構成(他の役物や外壁部212等)に接触してしまう不具合を防止(抑制)できる。
S5712、またはS5713の処理を終えると、更新後の動作ポインタ223nの値に基づいて、動作シナリオテーブル(傾倒動作テーブル222c2)を参照し、動作内容を読み出して設定する(S5714)。そして、首振りカウンタ223vの値を更新して(S5715)、本処理を終了する。S5715の処理における首振りカウンタ223vの値の更新は、演出部材620が左右に1往復動作した場合(左側に往復動作した後、右側に往復動作した場合)に1加算されるものである。なお、これに限られず、演出部材620が原点位置に可動される毎に1加算するようにしても当然よい。
次に、図155を参照して、上述した傾倒動作処理(図152参照)において実行される異常検知設定処理(S5510)の詳細について説明する。図155は、異常検知処理を示したフローチャートである。この異常検知処理(S5510)は、上述した傾倒動作処理(図152参照)において、演出部材620の復路動作が終了した、即ち、原点位置への可動が終了した場合に、原点センサ(傾倒原点センサ618)により演出部材620が原点位置からずれていると判別された場合に実行される処理である。
異常検知処理(S5510)では、まず、異常が検知された役物(ここでは演出部材620)に対して、1ステップの動作に対応する動作コマンドを設定する(S5801)。そして、S5801の処理により動作を設定した役物に対応するステップカウンタ223kの値を0にリセットし(S5802)、首振り(傾倒)動作に対する追加動作フラグ223qをオンに設定して(S5803)、本処理を終了する。S5801からS5803の処理により、上述した追加動作処理(図153)において、最大10ステップ分の追加動作が実行され、演出部材620が原点位置へと可動される(図153のS5606参照)。また、追加動作処理(図153)において、10ステップ分の追加動作が実行されても、演出部材620が原点位置へと可動されない場合には、エラーの報知が行われる(図153のS5607参照)。
次に、図156を参照して、上述した実行コマンド処理(図150参照)において実行されるスライド動作処理(S5310)の詳細について説明する。図156は、スライド動作処理を示したフローチャートである。このスライド動作処理(S5310)は、上述した実行コマンド処理(図150参照)において、スライド動作に対応する実行コマンドを受信した、即ち、支柱部材720のスライド動作に対応する1ステップ分の動作が完了した場合に実行される処理である。
スライド動作処理(S5310)では、まず、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオンであるか否かを判別する(S5901)。S5901の処理において、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオンであると判別された場合は(S5901:Yes)、支柱部材720の復路動作が終了した、即ち、原点位置への可動が終了したにも関わらず、原点センサ(スライド原点検出センサ717)により支柱部材720が原点位置にないと判別され、10ステップの追加動作が実行される場合である。この場合には、上述した追加動作処理(図153)をスライド動作役物(支柱部材720)に対して実行して(S5902)、本処理を終了する。
一方、S5901の処理において、スライド動作に対する追加動作フラグ223qがオフであると判別された場合は(S5901:No)、次いで、スライド動作に対応するステップカウンタ223kが設定したステップ数(スライド動作テーブル222c1参照)に到達したか否かを判別する(S5903)。
S5903の処理において、スライド動作に対応するステップカウンタ223kの値が、設定したステップ数(スライド動作テーブル222c1参照)に到達していないと判別された場合は(S5903:No)、継続してスライド動作を実行するため、そのまま本処理を終了する。
一方、S5903の処理において、スライド動作に対応するステップカウンタ223kが、設定したステップ数に到達したと判別した場合は(S5903:Yes)、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動された場合である。この場合には、対応するセンサ(スライド原点検出センサ717またはスライド位置検出センサ718)により、原点位置または張出位置に支柱部材720が可動されているか否かを判別するために、対応するセンサの出力がH(5V)であるか否かを判別する(S5904)。
S5904の処理において、対応するセンサの出力がL(0V)である、即ち、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動されていないと判別された場合は(S5904)、上述した異常検知処理(図155参照)を、スライド動作役物(支柱部材720)に対して実行して(S5905)、本処理を終了する。
一方、S5904の処理において、対応するセンサの出力がH(5V)である、即ち、支柱部材720が原点位置または張出位置に可動されていると判別された場合には(S5904:Yes)、次に、スライド動作に対応する動作ポインタ223nの値が01H(往路動作)であるか否かを判別する(S5906)。
S5906の処理において、動作ポインタ223nの値が「02H」(復路動作)であると判別された場合は(S5906:No)、スライド動作ユニット700に設けられた支柱部材720のスライド動作を終了するタイミングであるので、そのまま本処理を終了する。
一方、S5906の処理において、動作ポインタ223nの値が01H(往路動作)であると判別された場合は(S5906:Yes)、支柱部材720を復路動作させるために、S5907の処理へ移行する。
S5907の処理では、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであるか否かを判別する(S5907)。S5907の処理では、首振り待機フラグ223uがオンであるか否かに基づいて、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであるか否かを判別する。具体的には、首振り待機フラグ223uがオンである場合には、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであると判別し、首振り待機フラグ223uがオフである場合には、演出部材620の傾倒(首振り)動作が未完了であると判別する。
S5907の処理において、首振り待機フラグ223uがオフである、即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作が未完了であると判別された場合は(S5907:No)、スライド動作が完了したことを示すためにスライド待機フラグ223tをオンに設定して(S5908)、本処理を終了する。S5908の処理によってオンに設定されたスライド待機フラグ223tは、上述した傾倒方向設定処理(図154参照)においてスライド動作が完了したか否かを判別する際に参照される(図154のS5703参照)。
一方、S5907の処理において、首振り待機フラグ223uがオンである、即ち、演出部材620の傾倒(首振り)動作が完了済みであると判別された場合は(S5907:Yes)、傾倒動作ユニット600を復路動作させるために、S5909の処理へ移行する。
S5909の処理では、スライド動作に対応する動作ポインタ223nを02H(復路動作)に設定すると共に、傾倒(首振り)動作に対応する動作ポインタ223nを「03H」(右側への首振り開始動作)に設定する(S5909)。そして、更新後の動作ポインタ223nの値に対応する動作内容を、それぞれスライド動作テーブル222c1と傾倒動作テーブル222c2とから読み出して設定する(S5910)。その後、首振り待機フラグ223uをオフに設定して(S5911)、本処理を終了する。
以上説明した通り、本制御例では、電源投入に基づく初期動作の実行時に、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作との実際の動作ステップ数を解析し、設計値との差異を判別可能に構成している。そして、設計値との差に応じてスライド動作の動作速度を補正することにより、演出部材620の傾倒動作と、支柱部材720のスライド動作とが終了するタイミングを一致させることができる。即ち、スライド動作が終了するまでの間に、予め定められている演出部材620の動作内容(3回の首振り動作)を終了させることができる。よって、スライド動作が終了しても首振り動作だけが実行され続けてしまったり、首振り動作が終了してもスライド動作が終了せず、演出部材620が停止した状態でスライド動作が続行されてしまったりといった動作のバラつきが発生してしまうことを抑制することができる。従って、演出部材620の首振り動作と、支柱部材720のスライド動作とが複合して動作する場合において、動作品位を向上させることができる。
また、本制御例では、スライド動作のステップ数に応じて、首振り動作における首振り可能方向を規定している。そして、演出部材620の首振り動作の実行中に首振り動作の原点位置へと到達した場合には、現在のスライド動作のステップ数を判別し、原点を通過して逆方向の首振り動作を実行可能かどうか判別するように構成されている。これにより、何らかの不具合や異常等により、スライド動作の動作ステップ数と、首振り動作の動作ステップ数との対応関係が図144に示した対応関係からずれてしまった場合にも、他の構成(外壁部212等)と演出部材620とが干渉(衝突)してしまう不具合を防止(抑制)することができる。
なお、本制御例では、初期動作においてスライド動作の実際の動作ステップ数と、首振り動作の実際の動作ステップ数とを解析し、補正値を算出するように構成していたが、補正値の算出タイミングはこれに限られるものではない。例えば、遊技者が遊技を行っていないと判別された場合(デモ演出中)にも、スライド動作、および首振り動作の実際の動作ステップ数を解析し、補正値を算出するように構成してもよい。これにより、遊技中にスライド動作や首振り動作の動作ステップ数が変わってしまったとしても、デモ演出において、変更後の動作に合わせた補正値を算出することができるので、首振り動作とスライド動作とが複合する演出動作において、動作品位をより向上させることができる。また、例えば、スライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出の実行中に、スライド動作の動作シナリオを補正するように構成してもよい。より具体的には、例えば、首振り動作とスライド動作とが複合して実行される場合に、首振り動作の最初の1周期に要するステップ数をカウントしておき(または動作時間をカウントしておき)、合計3周期(3回)の首振り動作を行うために要する残りの動作ステップ数(または動作時間)を算出してもよい。そして、3周期(3回)の首振り動作を行うための(即ち、残り2周期の首振り動作を実行するための)残りのステップ数と、スライド動作の残りの動作ステップ数とに基づいて、スライド動作の動作速度を補正するように構成してもよい。より詳述すると、例えば、スライド動作の動作ステップ数が70ステップの状態において、スライド動作の1周期の動作が終了した場合には、首振り動作が80ステップ分(2周期分)残っていることになる。この場合には、以降のスライド動作の動作速度に対して、スライド動作の残りの動作ステップ数と、首振り動作の残りの動作ステップ数との比を乗じて補正した値(80ステップ/70ステップ×100pps)を新たな動作速度に設定すれば良い。更に、初期動作において、首振り動作に要する実際の動作ステップ数とスライド動作に要する実際の動作ステップ数とを予め判別しておき、その判別結果を加味して補正値を算出するように構成してもよい。この処理は、具体的には、傾倒方向設定処理(図154参照)において、首振りカウンタ223vが1であるか否か(首振り動作の1周期が終了したか否か)を判別するように構成し、1周期が終了したと判別された時点で、スライド動作、および首振り動作の残りの動作ステップ数を判別する処理を実行すればよい。そして、算出した残りの動作ステップ数に応じてスライド動作の動作速度を補正してもよい。これにより、スライド動作と首振り動作とが複合して実行される演出が実行される毎に、スライド動作を補正することができるので、より確実にスライド動作の張出位置へと到達するまでに規定回数(3回)の首振り動作を行わせることができる。更に、上述した場合において、スライド動作テーブル222c1を廃止してもよい。そして、首振り動作の1周期が終了した時点での演出部材620の動作ステップ数(または動作時間)に基づいて、演出部材620の残りの動作に合うように支柱部材720の動作内容を算出するように構成してもよい。
本制御例では、補正値に基づいてスライド動作の動作速度を補正するように構成していたが、スライド動作の動作速度と、首振り動作の動作速度の両方を補正するように構成しても良い。具体的には、例えば、スライド動作の実際の動作ステップ数と、設計値との比をスライド動作の補正値として動作速度に乗じ、設計通りの動作が実行された場合に張出位置に到達する時間と、実際の動作で張出位置に到達する時間とを一致させても良い。具体的には、例えば、動作ステップ数が設計値よりも1割多い場合は、動作速度を1割増加させることにより、ステップ数の増加を動作速度で吸収(相殺)し、設計通りの動作時間で張出位置まで到達するように構成しても良い。同様にして、首振り動作の実際の動作ステップ数から補正値を算出し、首振り動作を3往復させるまでの時間を設計値での動作に一致させてもよい。これにより、毎回同じ動作時間で役物の動作を終了させることができるし、同一回数の首振り動作を確実に実行させることができる。
本制御例では、スライド動作の動作速度を補正する場合に、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数との比によって補正値を算出していたが、補正値を算出するのに代えて、設計上の動作ステップ数と実際の動作ステップ数とのずれ幅に応じた動作シナリオを複数用意しておいてもよい。そして、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数とのずれ幅を判別することによって、そのずれ幅に対応する動作シナリオを選択するように構成してもよい。これにより、スライド動作を実行する場合に、毎回補正値から動作速度を再計算する必要がなく、ずれ幅に対応する動作シナリオを読み出して設定すれば良いので、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理負荷を軽減できる。
本制御例では、スライド動作の動作内容を補正するための補正値を計算するように構成していたが、予めROM222等に選択可能な補正値を規定しておいてもよい。そして、設計上の動作ステップ数と、実際の動作ステップ数とのずれ幅に対応する補正値を選択し、スライド動作を設定する場合の補正値として使用してもよい。これにより、補正値を算出するという処理に代えて、ずれ幅に対応する補正値を選択するという比較的軽い処理で補正値を選択できるので、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理負荷を軽減することができる。
本制御例では、スライド動作、および首振り動作に要する実際のステップ数と、設計上のステップ数(Typ値)との比によって補正値を算出するように構成していたが、これに限られるものではない。例えば、スライド動作、および首振り動作に要する時間を測定し、設計上の動作時間との比によって補正値を算出するように構成してもよい。例えば、支柱部材720による原点位置から張出位置までのスライド動作の設計上の動作時間は1.2秒(120ステップ÷100pps)であるのに対し、実際に張出位置まで到達するのに1.5秒を要した場合(所要時間が1.25倍になっている場合)には、スライド動作の補正値として1.25を補正値格納エリア223pに対して記憶しておいてもよい。
本制御例では、支柱部材720のスライド動作のステップ数に応じて、首振り動作の原点位置となる毎に、首振り領域テーブル222dに規定された首振り可能方向を判別して原点到達後の首振り方向を判別するように構成していたが、この構成に限られるものではない。例えば、首振り動作の1ステップ毎に、スライド位置を加味した演出部材620の位置座標を計算し、原点位置と張出位置との間の領域に演出部材620が収まるか否かを判別するように構成してもよい。より詳述すると、例えば、演出部材620が正面視右方向へと首振り動作を実行する場合に、最も右側に配置される演出部材620の上面右端の端点の水平座標(スライド動作方向の座標)を1ステップ毎に算出するように構成してもよい。そして、算出した水平座標が、演出部材620、および支柱部材720がいずれも原点位置にある場合における演出部材620の右端(原点位置から右方向へ10cm)の水平座標に一致した場合に、右方向への首振り動作を注視して原点方向(正面視左方向)へと首振り方向を反転させるように構成してもよい。同様にして、演出部材620が正面視左方向へと首振り動作を実行する場合に、最も左側に配置される演出部材620の上面左端の端点の水平座標(スライド動作方向の座標)を1ステップ毎に算出するように構成してもよい。そして、演出部材620が原点位置、支柱部材720が張出位置にある場合における演出部材620の左端(張出位置から左方向へ10cm)の水平座標に一致した場合に、左方向への首振り動作を注視して原点方向(正面視右方向)へと首振り方向を反転させるように構成してもよい。
以下、水平座標の計算方法をより具体的に説明する。なお、本変形例では、演出部材620の幅を20cm、首振り動作の動作半径を15cm、演出部材620の動作1ステップで演出部材620が首振り動作を行うことにより回転する角度を6度(つまり、10ステップで60度)とし、原点位置から張出位置までの水平距離を60cm(つまり1ステップ0.5cm)とする。この場合、右方向へ例えば5ステップ演出部材620を動作させると、演出部材620が30度(6度×5ステップ)回動する。これにより、演出部材620の上面の中点が正面視右方向に7.5cm(水平座標として15ステップ)可変する(15cm×sin30°)。そして、演出部材620の上面における右端の端点の水平座標は、上面の中心から更に正面視右側に約8.7cm(水平座標として18ステップ)右側となる(10cm×cos30°)。つまり、水平座標として33ステップ分右側が演出部材620の右端の座標となる。よって、原点位置(倒立状態)における演出部材620の右半分の幅が20ステップ分(10cm)であることを加味すると、スライド動作の動作ステップ数が原点位置から13ステップ以下の場合に、右側への首振り動作を打ち切って、首振り方向を左側へと反転させればよい。
このように、スライド動作の動作ステップ数と、首振り動作の動作ステップ数を水平座標に変換し、左右の水平座標の閾値(外壁部212と干渉しない限界の座標)と比較して首振り方向を可変させることにより、首振り動作とスライド動作とが設計上の動作からずれた場合にも、首振り動作を、干渉を防止(抑制)できるぎりぎりの範囲で動作させることができる。よって、より躍動感のある首振り動作を実現することができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
本制御例では、演出部材620が支柱部材720の上方に設けられ、首振り動作とスライド動作とが一体となって行われる役物の動作シナリオの補正方法について説明したが、本発明を適用できる役物はこの構成に限られるものではない。複数の互いに連動して動作する役物であれば適用することができ、例えば、遊技盤13の右側、および左側にそれぞれ演出部材620と同一の部材を設けておき、これらがスライド動作せず、互いに同期して首振り動作を実行するように構成してもよい。
本制御例では、首振り可能方向を規定しておき、演出部材620と外壁部212等の他の構成が衝突(干渉)しないように制御を行っていたが、首振り動作を動作途中で変更するする条件はこれに限られるものではない。例えば、スライド動作により張出位置へと到達するタイミングと、演出部材620が正面視右側から原点位置へと到達するタイミングとがずれるか否かを判別してもよい。そして、タイミングがずれそうな場合に首振り動作の動作内容(設定値)を補正して、スライド動作により張出位置へと到達するタイミングと、演出部材620が正面視右側から原点位置へと到達するタイミングとが一致するようにしてもよい。より具体的には、例えば、スライド動作の原点位置から張出位置までの間の所定位置(例えば、張出位置の10ステップ前)において、首振り動作が終了するまでの残りのステップ数を判別する。そして、残りのステップ数で首振り動作が完了する動作速度に補正するように構成してもよい。例えば、スライド動作が残り10ステップの状態で、首振り動作の原点位置まで5ステップしか残っていないと判別した場合には、首振り動作の動作速度を半分(100pps→50pps)に設定することにより、スライド動作が10ステップ実行される間に首振り動作が丁度5ステップ実行されるよう補正してもよい。また、スライド動作に対して首振り動作の残りステップ数が少ない場合には、動作速度を可変させるのに代えて、ウエイトを入れるように構成してもよい。ウエイトは、1回だけ入れてもよいし、複数回に分けて入れてもよい。一方、逆に、スライド動作が残り10ステップの状態で、首振り動作の原点位置までの首振り動作が20ステップ残っていると判別した場合には、首振り動作の動作速度を倍(100pps→200pps)に設定することにより、スライド動作が10ステップ実行される間に首振り動作が丁度20ステップ実行されるよう補正してもよい。また、スライド動作の動作ステップ数で首振り動作の動作内容を補正するタイミングを判別するのに代えて、センサ等でスライド位置を判別して首振り動作を補正するか否か判別してもよい。このように、スライド動作が終了するタイミングと、首振り動作が終了するタイミングとを一致させることにより、演出部材620と支柱部材720とが複合して動作する場合における見た目の品位を向上させることができる。また、首振り動作を動作途中で変更する他の条件の例として、スライド動作の途中で、スライド動作の位置(残りの動作ステップ数)と、首振り動作の回数とを判別し、残りの動作ステップ数で既定の首振り回数(3回)を完了できるか否か判別してもよい。そして、既定の首振り回数に満たないと判別された場合には、首振り動作の動作速度を可変させることにより、既定の首振り回数を達成できる動作に補正してもよい。なお、これらの残りの動作ステップ数や首振り回数を判別する処理や、首振り動作の動作速度の補正を行う処理は、スライド動作処理(図156参照)におけるS5901の処理で追加動作フラグ223qがオフと判別された(S5901:No)後に実行すればよい。
本制御例では、追加動作処理(図153参照)において、センサ方向へ追加で1ステップの動作を行っても対応するセンサの出力がHとならなかった場合に、エラーコマンドを設定してエラーを報知するように構成していたが、エラーを報知する方法はこれに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置81において異常の発生を報知するための画像を表示すると共に、異常を検知した役物を一定期間(例えば、10秒間)専用(異常検知時用)の動作態様で動作させ続けると共に、他の異常を検知していない役物の動作を停止させるように構成してもよい。このように構成することで、どの役物に異常が発生したのかを見た目から容易に判別することができる。即ち、ホールの店員等は、エラーが報知された場合に、動作し続けている役物に何らかの異常が起きていると容易に判別することができる。
本制御例では、役物(演出部材620と支柱部材720と)が複合して動作する場合を想定していたが、これに代えて、またはこれに加えて、支柱部材720と他の構成とを連動して制御してもよい。例えば、支柱部材720がスライド動作に連動させて、電飾部29~33の点灯パターンを切り替えるように構成してもよい。この場合において、支柱部材720のスライド動作に合わせた点灯パターンを設定してもよい。また、支柱部材720が原点位置へと復帰する毎に点灯態様を切り替えるように構成してもよい。例えば、原点位置と張出位置とをスライド動作によって1往復する毎に、電飾部29~33の点灯色を赤→緑→青→赤・・・のように切り替えてもよい。このように構成することで、単に前回のスライド動作時に設定していた点灯色を記憶しておき、スライド動作の開始に合わせて切り替えれば良いので、電飾部29~33の点灯制御を単純化することができる。また、スライド動作の進行状況に合わせて点灯パターンを切り替える場合に比較して、スライド動作の進行状況と点灯パターンの切り替えタイミングとがずれてしまうことを抑制できる。よって、スライド動作時の見た目の品位を向上させることができる。また、原点位置への復帰を契機に点灯色を切り替えれば良いので、支柱部材720をスライド動作させるための駆動用モータが変更となったり、ギア比等の機構が変更となる等によりスライド動作の往復時間が変更になったとしても、変更前の点灯制御データをそのまま流用することができる。即ち、変更後の構成に合わせて点灯パターンを変更するという工程が省略できるので、設計者の作業を削減することができる。
<第3制御例>
次いで、図157~図173を参照して、第3制御例におけるパチンコ機10について説明する。上記した第1制御例では、通常遊技中に第3図柄表示装置81や、サブ表示装置690に対して画像を表示させる場合に、各種電源投入時画像を流用することにより、キャラクタROM234の容量を削減するための技術について説明した。
これに対して第3制御例では、サブ表示装置690において実行される興趣演出の一つであるタイミング演出において、遊技者の参加意欲をより高めることができる制御方法についての説明を行う。なお、詳細については後述するが、タイミング演出とは、サブ表示装置690において表示される画像により、正面枠14に設けられた枠ボタン229を押下(操作)するタイミングが示唆される演出であり、特別図柄の変動表示が実行されている間に実行される興趣演出の一種である。このタイミング演出では、サブ表示装置690において示唆されたタイミングと、遊技者が枠ボタン229を実際に操作したタイミングとが合致する毎にポイントが加算されていき、タイミング演出が終了するまでに獲得されたポイントが所定の基準値(ノルマ)以上となっていれば、遊技者に対して特典を付与する演出である。
この第3制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、枠ボタン22に代えて枠ボタン229が設けられている点、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図157を参照して、本制御例におけるパチンコ機10の正面図について説明する。図157に示した通り、本制御例におけるパチンコ機10は、貸球操作部40に対して正面視左側に、枠ボタン229が設けられていると共に、枠ボタン22が削除されている。この枠ボタン229は、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBの4種類のボタン種別で構成されている。これら4種類のボタンがタイミング演出で用いられる。即ち、タイミング演出では、枠ボタン229の押下(操作)タイミング、および押下(操作)するボタンの種別が示唆されるように構成されている(図163、図164参照)。そして、演出により示唆されたタイミングと、ボタンの種別とがいずれも合致した場合に、ポイントが加算される演出となっている。
次に、図163~図165を参照して、タイミング演出の表示態様について説明する。まず、図163(a)は、タイミング演出が実行されている場合におけるサブ表示装置690の表示態様の一例を示した図である。図163に示した通り、タイミング演出が実行されると、サブ表示装置690に対して複数の表示領域(表示領域901,902,903,904a,904b,904c,904d,905)が表示される。
サブ表示装置690の表示領域の下半分に表示される表示領域904a,904b,904c,904d,905は、枠ボタン229を押下(操作)するタイミング、および操作すべきボタン種別を遊技者に示唆するための表示が行われる表示領域である。図163に示した通り、表示領域905に、縦長長方形形状の押下示唆領域911aと、横長長方形形状の4つのスクロール表示領域911b~911eとで構成されている。各スクロール表示領域911b~911eは、この順に縦に並べて表示される。
各スクロール表示領域911b~911eは、各種画像を正面視左方向(押下示唆領域911aの方向)へとスクロール表示可能に構成されている。スクロール表示される各種画像としては、図163に示した通り、例えばスクロールバー912a~912eや、連打バー913a等が設けられている。スクロール表示される各種画像が押下示唆領域911aと重なる位置までスクロールしたタイミングで対応する種別のボタンを押下することにより、ポイントが加算される。なお、スクロールバーは、押下示唆領域911aに重なったタイミングで対応するボタン種別が1回押下されることにより対応するポイント(10ポイント、または50ポイント)が加算されるように構成されている。一方、連打バーは、押下示唆領域911aに重なっている間に、対応するボタンが10回押下されることにより、対応するポイント(50ポイント)が加算されるように構成されている。
押下示唆領域911aの上方には、押下示唆領域911aを指す吹き出し型の表示領域901が表示されている。この表示領域901には、「バーが重なるタイミングでボタンをPUSHして1000ポイントを目指せ!」という文字が表示されている。この表示領域901の表示内容により、各スクロール表示領域911b~911eにおいてスクロール表示される各種画像が押下示唆領域911aの位置までスクロールしたタイミングで枠ボタン229を押下すればポイントが加算されることを、遊技者に対して容易に理解させることができる。
また、サブ表示装置690の右上には、略長方形形状の表示領域902が表示される。この表示領域902には、各スクロール表示領域911b~911eにスクロール表示され得る画像の種別と、その画像が押下示唆領域911aに重なったタイミングで対応する種別のボタンを押下(操作)した場合に獲得できるポイントとの対応関係が表示される。具体的には、白抜きのスクロールバーは50ポイントであることが表示され、ハッチングされたスクロールバーは10ポイントであることが表示され、「連打!!」との文字が表示されたスクロールバーは50ポイントであることが表示される。画像とポイントとの対応関係を表示領域902に明示しておくことにより、ポイントの増減に対して遊技者が疑念を抱くことを防止(抑制)することができるので、遊技者に安心してタイミング演出中の遊技を行わせることができる。
表示領域902の下方には、横長長方形形状の表示領域903が表示される。この表示領域903には、今回のタイミング演出において獲得したトータルのポイントと、ノルマとが表示される。図163(a)の例では、ノルマが1000ポイントであるのに対して、現在までに100ポイントを獲得した状態を示しているので、表示領域902には「ポイント:0100/1000」との文字が表示される。これにより、ノルマに対する現状のポイントを遊技者に対して容易に認識させることができる。よって、ノルマを目指して遊技を行わせることができるので、遊技者の参加意欲を向上させることができる。
なお、本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に、特典として現在の遊技状態を報知するように構成されている。本制御例では、第1制御例と同様に、大当たり種別として2R確変大当たりが設けられている。また、外れの一種として2R確変大当たりと同一の開放動作を小当たりが設けられており、演出や特定入賞口65aの開放動作から2R確変大当たりに当選したのか、小当たりとなったのかを識別できないように構成されている。このため、特定入賞口65aの2Rの開放動作が実行された後に遊技者が遊技状態を認識することが困難となる。そこで、本制御例では、タイミング演出の特典として、タイミング演出の終了時にノルマが達成されていれば、現在の遊技状態(特別図柄の確変状態であるか、低確率状態であるか)を報知するように構成している。これにより、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を、積極的にタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
また、タイミング演出に成功した場合の特典を、遊技結果に影響が無いもの(現在の遊技状態の報知)とすることにより、純粋に遊技者の押下(操作)タイミングの巧拙によって特典を付与するかどうかを決定することができる。これに対して、仮に、変動開始時(タイミング演出が開始されるよりも前)に既に結果が決まっているもの(例えば、大当たり等)を特典として設定してしまうと、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出の結果(ノルマを達成する態様が表示可能かどうか)が定められてしまう。ノルマが達成できない態様のタイミング演出が存在すると、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまう虞がある。これに対して本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に付与される特典を、遊技結果に影響が無い「遊技状態の報知」に設定している。これにより、純粋に枠ボタン229の押下タイミングの巧拙に応じて特典を付与するか否かを決定することができる。即ち、特典が付与された場合に、遊技者が自力で特典を獲得したという感覚をより強く抱かせることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
表示領域905の左側には、円形の表示領域904a~904dが縦に並べて表示される。各表示領域904a~904dは、それぞれスクロール表示領域911b~911eと垂直位置が略同一となるように表示される。また、これらの表示領域904a~904dの内側には、それぞれ「上」、「右」、「左」、「下」の文字が表示される。これらの文字により、各表示領域904a~904dと垂直位置が略同一のスクロール表示領域911b~911eが対応するボタン種別を、遊技者に対して容易に認識させることができる。即ち、「上」という文字が表示された表示領域904aと垂直位置が略同一のスクロール表示領域911bは、上ボタンUBの押下(操作)タイミングを示唆するための表示領域であることを認識させることができる。同様に、スクロール表示領域911cは、右ボタンRBの押下(操作)タイミングを示唆し、スクロール表示領域911dは、左ボタンLBの押下(操作)タイミングを示唆し、スクロール表示領域911eは、下ボタンDBの押下(操作)タイミングを示唆することを容易に認識させることができる。
タイミング演出を実行することにより、ノルマ達成を目指して枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図163(b)、および図164(a)を参照して、タイミング演出において枠ボタン229の操作を検出した場合の表示態様について説明する。まず、図163(b)は、タイミング演出においてスクロール表示された画像が押下示唆領域911aに重なったタイミングで枠ボタン229を押下することができた(ポイントを獲得できた)場合の表示態様を示している。
図163(b)は、スライド表示領域911bにおいてスクロール表示された白抜きのスクロールバー912aが、押下示唆領域911aと重なったタイミングで遊技者が上ボタンUBを押下した場合の表示内容を示している。図163(b)に示した通り、遊技者が上ボタンUBを押下したことを検出すると、「上」という文字が付された(上ボタンUBに対応する)表示領域904aが点灯する。これにより、遊技者の操作(押下)をパチンコ機10が正常に検出していることを遊技者に認識させることができるので、より安心してタイミング演出中の遊技を行わせることができる。
また、表示領域904a~904dに対して左側には、遊技者がタイミング良く枠ボタン229を押下(操作)したことを示すための表示領域921が形成される。この表示領域921には、「GREAT」という文字が表示されるので、遊技者は枠ボタン229の操作タイミングが合っていたことを容易に認識することができる。更に、表示領域921の下方には、押下が成功したことにより付与されたポイントを示す文字922が表示される。この「+50」という文字922により、遊技者に対して獲得したポイントを容易に認識させることができる。加えて、獲得したポイントに合わせて表示領域903の表示が更新される(0100/1000→0150/1000)。これらの表示内容によって、遊技者に対して枠ボタン229を押下するタイミング、およびボタン種別のいずれも合致していた(押下に成功した)ことを認識させることができる。また、獲得した(付与された)ポイントや、現在までの合計のポイントも容易に確認することができる。
次に、図164(a)を参照して、ボタンを押下するタイミングが示唆表示領域911aからずれた場合の表示内容について説明する。図164(a)は、スクロールバー912aが押下示唆領域911aに到達するよりも前に上ボタンUBの押下を検出した場合の表示内容を示した図である。この場合も、上ボタンUBの押下を正常に検出したことを報知するために、「上」という文字が付された(上ボタンUBに対応する)表示領域904aが点灯する。
また、表示領域904aの左側には、遊技者が枠ボタン229を押下(操作)に失敗したことを示すための表示領域921が形成される。この表示領域921には、「BAD」という文字が表示されるので、遊技者は枠ボタン229の押下(操作)タイミングが誤っていたことを容易に認識することができる。更に、表示領域921の下方には、押下に失敗したことによりペナルティーが課されたことを示す文字924が表示される。この「-10」という文字924により、押下の失敗でポイントが減算されてしまったことを容易に認識させることができる。よって、より注意深く枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。加えて、減算されたポイントに合わせて表示領域903の表示が更新される(0100/1000→0090/1000)。これらの表示内容によって、遊技者に対して枠ボタン229を押下に失敗していたことを認識させることができる。また、減算されたポイントや、現在までの合計のポイントも容易に確認することができる。
次いで、難易度が異なる態様の例について説明する。詳細については後述するが、本制御例では、タイミング演出を実行する場合に、複数の難易度の中から今回実行するタイミング演出の難易度を決定できる。また、決定された難易度は固定ではなく、タイミング演出の進行状況や、遊技者のタイミング演出への参加状況等に応じて演出の途中で見直される場合がある。
図164(b)は、難易度が高いタイミング演出の態様を例示した図である。図164(b)に示した通り、本変形例では、難易度が高くなると、獲得できるポイントが少ないスクロールバー(押下に成功すると10ポイントが付与されるスクロールバー915a~915e)の出現割合が高くなる。つまり、より多くの回数正確に枠ボタン229の押下を行わなければ、ノルマを達成することができないようになる。また、難易度が高くなると、スクロール速度も速くなるように構成されている。これにより、枠ボタン229を押下するタイミングを合わせることが難しくなるように構成されている。難易度が異なる態様のタイミング演出を設けておくことにより、タイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが得意な遊技者にも、苦手な遊技者にも対応することができる。即ち、遊技者の技量に応じて難易度を可変させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図165を参照して、タイミング演出の結果を報知する際の表示態様について説明する。図165(a)は、特別図柄の確変状態中に実行されたタイミング演出において、ノルマである1000ポイントを達成した(例えば、1200ポイント獲得した)場合にサブ表示装置690に対して表示される表示内容を例示した図である。図165(a)に示した通り、タイミング演出が終了し、ノルマを達成していると判別した場合は、表示領域905の内側に、タイミング演出の結果を報知するための結果報知領域916が形成される。この結果報知領域には、「ノルマ達成!!現在の状態は確変!!」という文字が表示される。この表示により、遊技者に対して現在の遊技状態が特別図柄の確変状態であることを認識させることができる。なお、特別図柄の低確率状態では、「現在の状態は確変!!」という文字に代えて、例えば「現在の状態は低確・・・」という文字が表示される。
一方、図165(b)は、タイミング演出において、ノルマである1000ポイントに満たなかった(例えば、600ポイントしか獲得できなかった)場合にサブ表示装置690に対して表示される表示内容を例示した図である。図165(b)に示した通り、タイミング演出が終了し、ノルマを達成していないと判別した場合にも、表示領域905の内側に、タイミング演出の結果を報知するための結果報知領域916が形成される。この結果報知領域には、「ノルマ未達成 残念・・・」という文字が表示される。即ち、タイミング演出でノルマを達成できなかったことのみが報知され、現在の遊技状態が報知されることはない(特典が付与されない)。
このように、タイミング演出においてノルマを達成することにより、結果報知領域916において現在の遊技状態が報知されるので、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を積極的にタイミング演出に参加させることができる。
なお、本制御例では、スコアを達成した場合に遊技状態の報知を特典として設定しているが、タイミング演出における特典はこれに限られるものではない。タイミング演出の実行が決定されるよりも前に決定された遊技結果に左右されない特典であればよく、例えば、ノルマを達成することにより、その後の表示演出(変動パターン演出)の表示態様を特別な態様に変更するように構成してもよい。このように構成することで、特別な態様の表示演出を見るために、積極的にタイミング演出に参加させることができる。
本制御例では、難易度を変更する場合に、スクロールバーの種別や個数、スクロール速度を変更するように構成していたが、難易度の変更方法はこれに限られるものではない。例えば、難易度が高くなるにつれて、ノルマのポイントが高くなっていくように構成してもよい。また、例えば、難易度が高くなっていくにつれて、使用するボタン種別が増加していくように構成してもよい。
本制御例では、連打バーが押下示唆領域911aと重なっている間に10回の押下を検出することでポイントが加算されるように構成していたが、押下回数は10回に限られるものではない。10回より少ない回数に設定してもよいし、多い回数に設定してもよい。また、難易度に応じて押下回数を変更してもよく、例えば、難易度が高くなるにつれて押下回数が多くなるように構成してもよい。これにより、難易度の変更方法に多様性を持たせることができる。
<第3制御例における電気的構成について>
次に、図158~図162を参照して、第3制御例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図158は、本制御例におけるパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。図158に示した通り、本制御例では、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225に対し、枠ボタン229が接続されている。この枠ボタン229には、ボタン種別として、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBの4種類が設けられている。上述した通り、これら4種類のボタンは、タイミング演出(図163、図164参照)で用いられる。
次に、図159(a)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたROM222の構成について説明する。本制御例におけるROM222には、第1制御例におけるROM222の構成に加えて、タイミング演出選択テーブル222dと、押下期間テーブル222eとが設けられている。
タイミング演出選択テーブル222dは、特別図柄の変動表示中に実行される興趣演出の一種であるタイミング演出の態様が規定されたデータテーブルである。タイミング演出を実行する場合には、このタイミング演出選択テーブル222dが参照されて、タイミング演出中におけるサブ表示装置690の表示態様(難易度)が設定される。なお、難易度とは、サブ表示装置690において示唆されたタイミングおよびボタン種別に合わせて枠ボタン229を押下(操作)する場合における、タイミングの合わせ易さを意味する。難易度が高いほど、枠ボタン229を押下(操作)するタイミングがシビアになったり、短い期間でより多くのボタンの種別の押下(操作)を指示されたりする(図164(b)参照)。
また、本制御例のタイミング演出は、3種類の期間(序盤期間、中盤期間、終盤期間)に分かれており、期間毎に別個のタイミングで表示態様を設定することができるように構成されている。より具体的には、タイミング演出の開始時に、序盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の序盤期間が開始される。そして、序盤期間の終了時に中盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の中盤期間が開始される。更に、中盤期間の終了時に終盤期間の態様がタイミング演出選択テーブル222dから選択され、タイミング演出の終盤期間が開始される。
タイミング演出テーブル222dの詳細について、図160を参照して説明する。図160に示した通り、タイミング演出テーブル222dには、タイミング演出の難易度を示す難易度カウンタ223γの値に対応付けて、タイミング演出の演出態様が規定されている。より具体的には、序盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用序盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用序盤演出が対応付けられている。図示については省略したが、以下同様に、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用序盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用序盤演出が対応付けられている、また、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用序盤演出が対応付けられている。なお、難易度の数字が大きいほど、難易度が高いことを示している。即ち、難易度5用序盤演出が最も難易度の高い態様であり、難易度1用序盤演出が最も難易度の低い態様である。
中盤期間の態様も同様に規定されている。即ち、中盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用中盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用中盤演出が対応付けられている。
更に、終盤期間の態様も同様に規定されている。即ち、中盤期間の態様として、難易度カウンタ223γの値「4」に対して難易度5用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「3」に対して難易度4用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「2」に対して難易度3用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「1」に対して難易度2用終盤演出が対応付けられ、難易度カウンタ223γの値「0」に対して難易度1用終盤演出が対応付けられている。
なお、詳細については後述するが、難易度カウンタ223γの値は、遊技者の遊技状況に応じて適時更新される。例えば、中盤期間の態様を設定する際に、序盤期間で遊技者の獲得したポイントが比較的少ない(例えば、200未満)と判別された場合には、難易度カウンタの値が1減算され、減算後の値に対応する難易度の演出態様が設定される。これにより、中盤期間の態様を、序盤期間よりも難易度が低い態様に設定することができるので、遊技者がポイントを獲得できない状態が長く続くことにより、タイミング演出の途中で演出への参加を諦めてしまうことを防止(抑制)することができる。逆に、序盤期間で遊技者が獲得したポイントが比較的多いと判別された場合には、難易度カウンタ223γの値に1が加算される。これにより、タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行う場合に、遊技者にとって難易度の低い態様が続いてしまい、遊技が間延びしてしまうことを防止(抑制)できる。
このように、難易度カウンタ223γの値に応じてタイミング演出選択テーブル222dから異なる難易度の演出を選択することができるので、タイミング演出の態様を多様化することができる。よって、遊技者の興趣を向上させることができる。また、異なる難易度を設けることにより、各遊技者の技量に合った難易度を設定することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
図159(a)に戻って説明を続ける。押下期間テーブル222eは、枠ボタン229を押下した場合に、スクロールバー等の画像が押下示唆領域911aに重なるタイミングで押下された(押下に成功した)と判定されるか否かを、タイミング演出が開始されてからの経過時間に対応付けて規定したデータテーブルである。タイミング演出の実行中に枠ボタン229を構成するいずれかのボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)が押下されると、この押下期間テーブル222eが参照されて、今回のボタン押下が成功であったか失敗であったかが判別される。そして、成功であればポイントが加算される演出が実行され(図163(b)参照)、失敗であればポイントが減算される(ペナルティーが課される)演出が実行される(図164(a)参照)。この押下期間テーブル222eの詳細について、図161、および図162を参照して説明する。
図161は、押下期間テーブル222eの構成を示すブロック図である。図161に示した通り、押下期間テーブル222eとして、設定期間や難易度に応じた複数のデータテーブルが規定されている。例えば、序盤期間において設定される難易度1用序盤演出に対応するテーブルとして、序盤難易度1用テーブル222e1が設けられている。難易度1用序盤演出が設定されると、対応する押下期間テーブルとして、この序盤難易度1用テーブル222e1が設定される。同様に、難易度2用序盤演出~難易度5用序盤演出に対しても同様であり、それぞれ対応する押下期間テーブルとして、序盤難易度2用テーブル222e2~序盤難易度5用テーブル222e5が規定されている。
更に、中盤期間においても序盤期間と同様であり、具体的には、難易度1用中盤演出~難易度5用中盤演出に対応した押下期間テーブルとして、中盤難易度1用テーブル2226~中盤難易度5用テーブル222e10が設けられている。
一方、終盤期間においては、序盤期間や中盤期間とは異なる構成となっている。即ち、1の終盤期間用の演出態様に対して、複数の押下期間テーブルが対応付けられている。ここで、複数の押下期間テーブルとは、成功と検出される範囲の広さ(期間の長さ)が異なるテーブルを意味する。同じ態様の終盤期間用の演出が表示されていたとしても、成功と検出される期間を異ならせることにより、難易度を異ならせることができる。即ち、タイミング演出の表示態様を増やすことなく、難易度に多様性を持たせることができるので、キャラクタROM234の容量を削減することができる。
なお、成功と検出される範囲が広いテーブルを選択するのは、終盤期間に到達するまでに遊技者の獲得したポイントが少ない(例えば、600ポイント未満)と判別された場合である。終盤期間に至るまでに獲得したポイントが少なすぎると、遊技者がタイミング演出でノルマを達成することを諦めてしまう虞がある。そこで、本制御例では、終盤期間を設定する場合に、ポイントが600ポイント未満であるか否かを判別し、600ポイント未満であれば成功と検出する範囲が広い押下期間テーブルを選択するように構成されている。これにより、成功と検出する範囲が広くなることにより、遊技者がより簡単にポイントを獲得可能となるため、最後まで諦めずにタイミング演出に参加させることができる。
一方、成功と検出される範囲が狭いテーブルを選択するのは、終盤期間に到達するまでに遊技者の獲得したポイントが多い(例えば、900ポイント以上)と判別された場合である。終盤期間に至るまでに獲得したポイントが多すぎると、遊技者が余裕を感じてしまい、終盤期間における枠ボタン229の操作が雑になってしまう虞がある。そこで、本制御例では、成功と検出される範囲が狭いテーブルを選択することにより、タイミング演出の最後まで緊張感を抱かせながら枠ボタン229の操作を実行させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
難易度1~難易度3に対応する終盤期間の演出が選択された場合には、成功と検出される範囲が通常の広さの押下期間テーブルと、成功と検出される範囲が比較的広い押下期間テーブルとが選択される可能性がある。例えば、終盤期間の演出態様として、難易度1用終盤演出が選択された場合は、押下期間テーブルとして、終盤難易度1通常範囲テーブル222e13と、終盤難易度1広範囲テーブル222e18とのうちいずれかが選択される。
一方で、難易度4、および難易度5に対応する終盤期間の演出が選択された場合には、成功と検出される範囲が通常の広さの押下期間テーブルと、成功と検出される範囲が比較的広い押下期間テーブルとに加えて、成功と検出される範囲が比較的狭い押下期間テーブルが選択される可能性がある。例えば、終盤期間の演出態様として、難易度5用終盤演出が選択された場合は、押下期間テーブルとして、終盤難易度5狭範囲テーブル222e12と、終盤難易度5通常範囲テーブル222e17と、終盤難易度5広範囲テーブル222e22とが選択される可能性がある。
なお、難易度4や難易度5に対応する終盤期間の演出が選択された場合にのみ、成功と検出される範囲が狭い押下期間テーブルを選択するように構成しているのは、タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行っている可能性が高いからである。タイミング演出が得意な遊技者が遊技を行っている場合には、通常の検出範囲でのタイミング演出では簡単すぎると感じさせてしまう虞がある。よって、この場合は、難易度の高い態様で表示することに加え、成功と検出する範囲も狭くなるように構成し、タイミング演出が得意な遊技者でも楽しむことができるように構成している。これにより、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図162を参照し、押下期間テーブル222eを構成する各テーブルの具体的な規定内容について、序盤難易度3用テーブル222e3を例に取って説明する。の、この序盤難易度3用テーブル222e3が設定されるのに合わせて、演出態様として難易度3用序盤演出が設定されるが、この難易度3用序盤演出の表示態様は、図162(a)に示した表示態様となる。よって、序盤難易度3用テーブル222eを説明するにあたり、図163も適時参照しながら説明を行う。
図162は、序盤難易度3用テーブル222e3の規定内容を示した図である。図162に示した通り、序盤難易度3用テーブル222e3には、タイミング演出が開始されてからの経過時間(定期的に更新されるタイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて押下期間の種別(成功期間、失敗期間、および連打期間のいずれであるか)が規定されている。また、押下期間の種別は、上ボタンUB用の押下期間と、右ボタンRB用の押下期間と、左ボタンLB用の押下期間と、下ボタンDB用の押下期間とがそれぞれ規定されている。
具体的には、タイミング演出が開始されてからの経過時間が0ミリ秒~1499ミリ秒(1.499秒)の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。また、経過時間が1500ミリ秒~1699ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBが操作された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912a)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911c~911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
また、経過時間が1700ミリ秒~2199ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が2200ミリ秒~2399ミリ秒の範囲には、下ボタンDBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、下ボタンDBが押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを押下した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911eにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912e)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911b~911dにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が2400ミリ秒~2999ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が3000ミリ秒~3199ミリ秒の範囲には、右ボタンRBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、右ボタンRBが押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを押下した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911cにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912b)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911b,911d、および911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が3200ミリ秒~3799ミリ秒の範囲には、全てのボタン種別に対する押下期間として失敗期間が対応付けられている。この期間にいずれかのボタンを押下した場合は、失敗と判定される。そして、経過時間が3800ミリ秒~4999ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として連打期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBが10回押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示される連打バー(図163における連打バー913a)のみが押下示唆領域911aに重なり、他のスクロール表示領域911c~911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
経過時間が5000ミリ秒~5199ミリ秒の範囲には、上ボタンUBに対する押下期間として連打期間が対応付けられ、右ボタンRBに対する押下期間として成功期間が対応付けられている。一方、他のボタン種別に対する押下期間として、失敗期間が対応付けられている。よって、この期間では、上ボタンUBがトータル10回押下されるか、右ボタンRBを押下された場合に成功と判定されてポイントが加算され、他のボタンを操作した場合には失敗と判定される。なお、この期間における、サブ表示装置690の表示内容としては、スクロール表示領域911bにおいてスクロール表示される連打バー(図163における連打バー913a)と、スクロール表示領域911dにおいてスクロール表示されるスクロールバー(図163におけるスクロールバー912c)とが押下示唆領域911aに重なると共に、他のスクロール表示領域911d,911eにおいてスクロール表示されたスクロールバーは押下示唆領域911aに到達していない状態が表示される。
図示については省略したが、以降の経過時間に対しても、ボタン種別に応じた押下期間が規定されている。この序盤難易度3用テーブル222e3を用いることにより、押下期間をタイミング演出の表示態様に同期させて更新することができる。なお、押下期間テーブル222eに規定されている他のテーブルについても同様の構成となっているので、その詳細な説明は省略する。
次に、図159(b)を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられているRAM223の構成について説明する。本制御例におけるRAM223には、第1制御例におけるRAM223の構成に加え、タイミング演出許可フラグ223αと、確変状態フラグ223βと、難易度カウンタ223γと、タイミング演出ポインタ223δと、連打回数カウンタ223εと、連打成功フラグ223ζと、スコアカウンタ223ηとが設けられている。
タイミング演出許可フラグ223αは、変動表示の態様を選択する際に、演出としてタイミング演出を設定することが可能か否かを示すフラグである。このタイミング演出許可フラグ223αがオンであれば、変動演出の態様としてタイミング演出を設定可能であることを示し、オフであれば、タイミング演出を設定できないことを示す。
ここで、上述した通り、本制御例では、2R確変大当たりとなった場合と、小当たりとなった場合とで、特定入賞口65aの開放動作が共通となる上に、第3図柄表示装置81において実行される演出も共通となっている。このため、特定入賞口65aが2Rの開放動作を行った場合に、2R確変大当たりとなって特別図柄の確変状態へと移行したのか、単に小当たりとなったに過ぎず、遊技状態が変更されなかったのかを識別することができない。換言すれば、大当たりAや大当たりBが終了してから1度も特定入賞口65aによる2Rの開放動作が実行されていない場合には、遊技者にとって現在の遊技状態が明らかである。よって、この場合にタイミング演出を実行したとしても、遊技状態を報知するという特典を得たいと思わず、タイミング演出に参加しない虞がある。そこで、本制御例では、大当たりAや大当たりBが実行された後、1度も特定入賞口65aによる2Rの開放動作が実行されていない場合は、タイミング演出をオフに設定することによりタイミング演出が選択されなくなるように構成している(図173のS1827参照)。
また、このタイミング演出許可フラグ223αは、2R確変大当たり、または小当たりとなることによりオンに設定される(図173のS1824参照)。なお、一度タイミング演出が実行されると、タイミング演出許可フラグ223αがオフにリセットされる(図172のS6412参照)。これにより、タイミング演出が実行される機会を、1回の特定入賞口65aによる2R開放動作に対して1回のみに限ることができる。よって、より真剣にタイミング演出に取り組ませることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
確変状態フラグ223βは、特別図柄の高確率状態であるか否かを判別するためのフラグである。この確変状態フラグ223βがオンであれば、特別図柄の確変状態であることを示し、オフであれば、確変状態でないことを示す。この確変状態フラグ223βは、16R確変大当たり(大当たりA)、または2R確変大当たり(大当たりC)となった場合にオンに設定され(図173のS1823,S1826参照)、16R時短大当たり(大当たりB)となった場合にオフに設定される(図173のS1826参照)。タイミング演出においてノルマを達成し、現在の遊技状態を報知する場合には、この確変状態フラグ223βを参照して遊技状態が報知される。
難易度カウンタ223γは、タイミング演出の各期間(序盤期間、中盤期間、終盤期間)において設定する演出の難易度を識別するためのカウンタである。この難易度カウンタ223γの値が0であれば、難易度1に対応する演出態様が選択され、値が1であれば、難易度2に対応する演出態様が選択され、値が2であれば、難易度3に対応する演出態様が選択される。また、難易度カウンタ223γの値が3であれば、難易度4に対応する演出態様が選択され、値が4であれば、難易度5に対応する演出態様が選択される。
この難易度カウンタ223γは、初期値が0に設定されている。つまり、電源投入時に0にリセットされる。また、タイミング演出の中盤期間の演出態様を設定する場合において、遊技者がポイントを比較的多く獲得している(現在遊技している遊技者にとって難易度が低すぎる)と判別された場合に、カウンタ値に1が加算される(図170のS6203参照)。これにより、中盤期間に選択される演出態様として、序盤期間の演出態様よりも難易度を高くすることができる。一方、中盤期間の演出態様を設定する場合において、遊技者が獲得したポイントが少ない(現在遊技している遊技者にとって難易度が高すぎる)と判別された場合に、カウンタ値が1減算される(図170のS6207参照)。これにより、中盤期間に選択される演出態様として、序盤期間の演出態様よりも難易度を低くすることができる。このように、難易度カウンタ223γを用いることにより、遊技者の技量に応じて難易度を可変させることができるので、より遊技者に適した難易度に合わせ込むことができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
タイミング演出ポインタ223δは、タイミング演出が開始されてからの経過時間を示すためのポインタであり、1ミリ秒毎に更新される。タイミング演出の実行中は、このタイミング演出ポインタ223δが参照され、押下期間の種別が判別される。このタイミング演出ポインタ223δは、例えばメイン処理の中で定期的に更新される。
連打回数カウンタ223εは、タイミング演出の連打期間において、対応するボタンを何回押下されたかカウントするためのカウンタである。この連打回数カウンタ223εの値に応じて連打が成功したか否かが判別される。この連打回数カウンタ223εは、連打期間において対応するボタンの操作を検出する毎に1が加算され(図168のS6007参照)、連打期間において規定の連打回数に到達すると0にリセットされる(図168のS6011参照)。また、連打期間の終了時にも0にリセットされる。この連打回数カウンタ223εにより、連打回数を正確に判別することができる。
連打成功フラグ223ζは、連打期間において規定の連打回数に到達したか否かを示すフラグであり、オンであれば連打回数に到達したことを示す。一方、オフであれば連打回数に到達していないか、連打期間でないことを示す。この連打成功フラグ223ζは、規定の連打回数に到達したと判別された場合にオンに設定され(図168のS6011参照)、連打期間が終了するとオフに設定される。この連打成功フラグ223ζがオンの間は、設定されている連打期間に対応するボタンを規定回数以上に押下し続けてしまっても、失敗と判別されないように制御される。これにより、遊技者に対して連打回数を気にせず安心して連打させることができる。
スコアカウンタ223ηは、遊技者が1のタイミング演出の中で獲得したポイント(スコア)をカウントするためのカウンタである。タイミング演出の終了時には、このスコアカウンタ223ηの値と、ノルマである1000ポイントとが比較され、ノルマを達成したか否かが判別される。このスコアカウンタ223ηは、タイミング演出中に枠ボタン229の押下を検出する度に更新される(図168のS6010,S6014,S6016参照)。
次に、図166を参照して、タイミング演出が設定された変動パターンが実行される場合における、表示態様の計時変化について説明する。まず、前提として、タイミング演出は、タイミング演出許可フラグ223αがオンであり、且つ、変動時間が30秒以上の変動演出(リーチが発生する変動演出)が選択された場合に一定確率(例えば、10%の確率)で選択される演出である。
図166に示した通り、タイミング演出が設定された変動演出が開始されてから10秒が経過すると、第3図柄表示装置81においてリーチ演出が発生する。そして、リーチ演出の発生から5秒が経過した時点(変動開始から15秒が経過した時点)で、序盤期間の演出態様が選択され、選択された演出態様のタイミング演出がサブ表示装置690において開始される。
タイミング演出が開始されてから5秒が経過すると(変動開始から20秒が経過すると)、序盤期間が終了すると共に、中盤期間の演出態様が選択され、選択内容に基づいて中盤期間が開始される。更に、中盤期間の開始から5秒が経過すると(変動開始から25秒が経過すると)、中盤期間が終了すると共に、終盤期間の演出態様が選択され、選択内容に基づいて終盤期間が開始される。そして、終盤期間の開始から2秒が経過すると、終盤期間が終了すると共に、今回のタイミング演出の結果(ノルマを達成したか否か)の報知が設定される。この報知は1秒間行われる。
<第3制御例における音声ランプ制御装置の電気的構成について>
次いで、図167~図173を参照して、第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図167は、第3制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
このメイン処理のうち、S1501~S1511、およびS1513~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるメイン処理(図106参照)で実行されるS1501~S1511、およびS1513~S1520の各処理と同一の処理が実行される。また、第3制御例におけるメイン処理では、S1510の処理が終了すると、タイミング演出中の各種設定を行うためのタイミング演出処理(S1541)が実行され、処理をS1511へと移行する。S1511の処理では、第1制御例におけるコマンド判定処理(S1511)と同一の処理が実行され、次いで、第1制御例における変動表示設定処理(図109参照)に代えて、変動表示設定処理2(S1542)が実行される。この変動表示設定処理2が終了すると、第1制御例と同様に、S1513以降の処理が実行される。
ここで、図168のフローチャートを参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行される枠ボタン入力監視・演出処理(S1507)の詳細について説明する。枠ボタン入力監視・演出処理自体は、第1制御例におけるメイン処理(図106参照)においても実行されていたが、その詳細な説明は省略していたので、改めて説明する。
枠ボタン入力監視・演出処理(S1507)では、まず、タイミング演出中であるか否かを判別し(S6001)、タイミング演出中ではないと判別した場合は(S6001:No)、そのまま、本処理を終了する。一方、タイミング演出中であると判別した場合は(S6001:Yes)、次いで、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出したか否かを判別する(S6002)。そして、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出しなかったと判別した場合は(S6002:No)、そのまま、本処理を終了する。
一方、S6002の処理において、操作ボタン(枠ボタン229)の押下を検出したと判別した場合は(S6002:Yes)、押下を検出したボタン種別に応じた押下期間テーブル222eを読み出す(S6003)。その後、読み出した押下期間テーブル222eとタイミング演出ポインタ223δの値とに基づいて、押下期間種別を特定する(S6004)。
S6004の処理が終了すると、次に、連打期間か否かを判別し(S6005)、連打期間であると判別した場合は(S6005:Yes)、次いで、連打成功フラグ223ζがオンであるか否かを判別する(S6006)。連打成功フラグ223ζがオンであると判別した場合は(S6006:Yes)、連打期間中に所定回数(10回)の枠ボタンの押下を成功済であることを意味し、連打回数をカウントする必要がないため、そのまま、本処理を終了する。
一方、S6006の処理において、連打成功フラグ223ζがオフであると判別した場合は(S6006:No)、連打回数カウンタ223εに1を加算し(S6007)加算後の値が10以上であるか否かを判別する(S6008)。即ち、1の連打期間において、所定回数(10回)の連打を達成したか否かを判別する。S6008の処理において、加算後の連打回数カウンタ223εの値が10よりも小さいと判別した場合は(S6008:No)、そのまま本処理を終了する。
これに対し、更新後の連打回数カウンタ223εの値が10以上であると判別した場合は(S6008:Yes)、所定回数の連打を達成したことを意味するので、表示用成功演出コマンドを設定することにより(S6009)、連打成功に対応する演出を設定すると共に、スコアカウンタ223ηに連打成功に対応するポイント(スコア)として50を加算する(S6010)。その後、連打回数カウンタ223εをリセットし、連打成功フラグ223ζをオンに設定して(S6011)、本処理を終了する。
S6005の処理において、連打期間ではないと判別した場合は(S6005:No)、次いで、押下成功期間であるか否かを判別し(S6012)、押下成功期間ではない(押下失敗期間である)と判別した場合は(S6012:No)、表示用失敗演出コマンドを設定する(S6013)。この表示用失敗コマンドにより、遊技者に対して枠ボタン229の押下タイミングがサブ表示装置690において示唆されたタイミングからずれていたことを報知する演出が表示される(図164(a)参照)。押下の失敗を報知することにより、遊技者に対して枠ボタン229の押下タイミングを修正す機会を与え、次の押下をより慎重に行わせることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができる。S6013の処理が終了すると、押下の失敗に対するペナルティーとして、スコアカウンタ223ηから10を減算して(S6014)、本処理を終了する。なお、S6014の処理において、スコアカウンタの値が既に0だった場合は、ポイントの減算が行われない。
一方、S6012の処理において、押下成功期間であると判別した場合は(S6012:Yes)、表示用成功演出コマンドを設定することで(S6015)、押下に成功したことを遊技者に報知する(図163(b)参照)。この報知により、遊技者が成功したタイミングを認識することができるので、次回も同じタイミングで枠ボタン229を操作させることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができる。そして、スコアカウンタ223ηに対して、押下に成功した際に押下示唆領域911aに重なっていたバーの種別に応じたポイント(スコア)を加算して(S6016)、本処理を終了する。
次に、図169のフローチャートを参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行されるタイミング演出処理(S1541)の詳細について説明する。このタイミング演出処理(S1541)は、上述した通り、タイミング演出中の各種設定を行うための処理である。
このタイミング演出処理(S1541)では、まず、タイミング演出が設定されているか否かを判別し(S6101)、タイミング演出が設定されていないと判別した場合は(S6101:No)、そのまま、本処理を終了する。一方、タイミング演出が設定されていると判別した場合は(S6101:Yes)、次いで、変動開始から15秒が経過しているか否かを判別し(S6102)、15秒が経過したと判別した場合は(S6102:Yes)、タイミング演出の開始タイミングであることを意味するので、今回のタイミング演出の態様を決定するために、まず、難易度カウンタ223γの値を読み出す(S6103)。
S6103の処理が終了すると、次いで、読み出したカウンタ値に対応する演出態様(難易度)をタイミング演出選択テーブル222d(図160参照)から選択する(S6104)。例えば、難易度カウンタ223γが4であれば、演出態様として難易度5用序盤演出を選択し、難易度カウンタ223γが1であれば、難易度2用序盤演出を選択する。そして、S6104の処理で選択した演出態様を表示制御装置114へと通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6105)。表示制御装置114は、この表示用序盤態様コマンドを受信することにより、サブ表示装置690において対応する難易度のタイミング演出を開始させる。
S6105の処理が終了すると、S6103で読み出した難易度カウンタ223γの値に対応するテーブルを、押下期間テーブル222eから読み出し(S6106)、その読み出したテーブルを押下期間格納エリアに格納して(S6107)、本処理を終了する。この押下期間格納エリアは、音声ランプ制御装置113のRAM223内に設けられている(図示なし)。枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)のS6004の処理では、この押下期間格納エリアに格納された押下期間テーブル222eと、タイミング演出ポインタ223δの値とが参照され、タイミング演出ポインタ223δの値に対応する押下期間が成功期間であれば枠ボタン229の押下が成功したと判別される。
一方、S6102の処理において、変動開始から15秒経過していないと判別した場合は(S6102:No)、変動開始から20秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6108)。即ち、タイミング演出の中盤期間へと移行するタイミングであるか否かを判別する。S6108の処理において、変動開始から20秒が経過した(中盤期間へと移行するタイミングである)と判別した場合は(S6108:Yes)、中盤期間の態様を設定するための中盤設定処理を実行し(S6109)、本処理を終了する。この中盤設定処理(S6109)の詳細については、図170を参照して後述する。
一方、S6108の処理において、変動開始から20秒が経過したタイミングでない(中盤期間への移行タイミングでない)と判別した場合は(S6108:No)、次いで、変動開始から25秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6110)。即ち、中盤期間から終盤期間への移行タイミングであるか否かを判別する。S6110の処理において、変動開始から25秒が経過したと判別した場合は(S6110:Yes)、終盤期間の演出態様を設定するための終盤設定処理を実行し(S6111)、本処理を終了する。この終盤設定処理(S6111)の詳細は、図171を参照して後述する。
一方、S6110の処理において、変動開始から25秒が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6110:No)、次いで、変動開始から27秒が経過したタイミングであるか否かを判別する(S6112)。即ち、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するタイミングであるか否かを判別する。S6112の処理において、変動開始から27秒が経過したタイミングであると判別した場合は(S6112:Yes)、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するための報知態様設定処理を実行し(S6113)、本処理を終了する。この報知態様設定処理の詳細は、図172を参照して後述する。
一方、変動開始から27秒が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6112:No)、次いで、連打期間の終了タイミングか否かを判別する(S6114)。連打期間の終了タイミングでないと判別した場合は(S6114:Yes)、そのまま、本処理を終了する。一方、連打期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6114:Yes)、連打成功フラグ223ζをオフに設定し(S6115)、本処理を終了する。
次に、図170を参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される中盤設定処理(S6109)の詳細について説明する。図170は、この中盤設定処理(S6109)を示すフローチャートである。中盤設定処理(S6109)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6201)、スコアカウンタ223ηの値が600よりも大きいか(比較的多くのポイントを獲得しているか)否かを判別する(S6202)。
読み出した値が600よりも大きいと判別した場合は(S6202:Yes)、序盤期間において比較的多くのポイントを獲得できており、現在遊技している遊技者にとって難易度が易しすぎる虞がある。よって、この場合は、難易度カウンタ223γの値に1を加算することにより(S6203)、中盤期間の演出態様として序盤期間よりも難易度の高い演出が設定されるように制御する。これにより、タイミング演出の途中で、遊技者の技量によりマッチした演出態様(難易度)に変更することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6203の処理が終了した後は、処理をS6209へと移行する。
S6202の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600以下であると判別した場合は(S6202:No)、次に、読み出したスコアカウンタ223ηの値が50より小さいか否か判別する(S6204)。読み出した値が50よりも小さいと判別した場合は(S6204:Yes)、序盤期間において遊技者の獲得したポイントが極端に少ないことを示す。即ち、序盤期間におけるタイミング演出の難易度が難しすぎて、遊技者がタイミング演出についていけなくなったり、タイミング演出自体を放棄してしまった虞がある。この場合は、難易度カウンタ223γの値を0に設定することにより(S6205)、中盤期間以降に設定される演出態様として、難易度が最も低い演出態様が選択されるように制御する。これにより、序盤期間の難易度が高すぎて押下のタイミングを合わせることが困難だった遊技者や、序盤期間の演出態様を見ただけで難しそうな印象を受けてしまい、タイミング演出を放棄してしまった遊技者に対して、タイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6205の処理が終了すると、処理をS6209へと移行する。
S6204の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が50以上であると判別した場合は(S6204:No)、次いで、スコアカウンタ223ηの値が200より小さいか(タイミング演出に参加している遊技者の獲得したポイントが比較的少ないか)否かを判別する(S6206)。S6206の処理において、スコアカウンタ223ηの値が200より小さいと判別した場合は(S6206:Yes)、遊技者にとって難易度が高すぎるため、このままのペースではノルマに対して大幅に低いポイントで終了してしまう可能性が高いことを意味する。この場合、遊技者がタイミング演出の途中で、ノルマを達成できないと判断してタイミング演出への参加を諦めてしまう虞がある。また、今回のタイミング演出は最後まで参加したものの、ノルマに対して獲得ポイントが低すぎて、次回以降タイミング演出への参加を諦めてしまう虞がある。よって、これらの状況を防止すべく、S6207の処理において、難易度カウンタ223γの値を1減算する(S6207)。これにより、中盤期間以降の難易度を易しくできるので、序盤期間においてあまりポイントを獲得できなかった遊技者に対して、タイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。S6207の処理が終了すると、処理をS6209へと移行する。
一方、S6206の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が200以上であると判別した場合は(S6206:No)、難易度カウンタ223γの値を読み出して(S6208)、S6209の処理へ移行する。
S6209の処理では、難易度カウンタ223γの値に基づき、演出選択テーブル222dから中盤演出の態様を選択し(S6209)、選択した態様を表示制御装置114に対して通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6210)。そして、押下期間テーブル222eから、難易度カウンタ223γの値に対応するデータテーブルを読み出し(S6211)、読み出したテーブルを押下期間格納エリアに格納して(S6212)、本処理を終了する。
この中盤設定処理を実行することにより、序盤期間において遊技者が獲得したポイントに応じて、中盤期間以降の演出態様を、より遊技者の技量にマッチした難易度の態様に可変することができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図171のフローチャートを参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される終盤設定処理(S6111)の詳細について説明する。この終盤設定処理(S6111)は、上述した通り、タイミング演出の終盤期間の演出態様を設定するための処理である。
この終盤設定処理(S6111)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6301)、その値が900よりも大きいか否かを判別する(S6302)。即ち、中盤期間が終了するまでに900ポイント以上獲得しているか否かを判別する。そして、スコアカウンタ223ηの値が900よりも大きいと判別した場合は(S6302:Yes)、次いで、難易度カウンタ223γの値が3よりも大きいか否かを判別する(S6303)。
難易度カウンタ223γの値が3以下であると判別した場合は(S6303:No)、押下期間テーブル222eから、成功期間が通常の範囲のテーブルを読み出して(S6304)、処理をS6309へと移行する。一方、難易度カウンタ223γの値が3よりも大きいと判別した場合は(S6303:Yes)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する成功期間が狭い狭範囲用のテーブルを読み出し(S6304)、S6309の処理へ移行する。
このように、難易度カウンタ223γの値に応じて異なる成功期間の長さが異なるテーブルを設定するのは、難易度を遊技者にマッチさせるためである。即ち、中盤期間を経ても比較的高難易度の演出態様(難易度4や難易度5)が設定されている場合は、遊技者の技量が高い可能性が高い。そして、S6303の処理へと移行するのは、比較的ポイントを多く獲得できている場合であるため、現在の難易度でも遊技者にとって易しすぎる虞がある。そこで、技量の高い遊技者に対しては、更に難しい難易度とするために、成功範囲を序盤期間や中盤期間よりも狭くするように構成している。これにより、技量の高い遊技者に対してより難易度の高いタイミング演出を提供できるので、タイミング演出における遊技者の興趣を向上できる。
一方で、難易度カウンタ223γの値が3以下の状態でS6303の処理へと移行した場合は、比較的技量が低いにも拘わらず、まぐれで多くのポイントを獲得した可能性がある。この場合に難易度を上げてしまうと、終盤で連続して枠ボタン229の押下を失敗してしまう虞があり、タイミング演出に対して悪い印象を抱いてしまう虞がある。特に、終盤演出の開始時点でノルマである1000ポイントを超えていたにも拘わらず、終盤期間で連続して失敗してしまい、ペナルティーの積算で演出終了時にノルマを割ってしまうと、遊技者のタイミング演出に対するモチベーションを大きく低下させてしまう虞がある。そこで、本制御例では、技量が低いと推察される難易度カウンタ223γが3以下の場合には、ポイントを比較的多く獲得していても成功期間の範囲が通常のまま保たれるように構成している。これにより、技量の低い遊技者に対して、タイミング演出に対するモチベーションを向上させることができる。
S6302の処理において、スコアカウンタ223ηの値が900以下であると判別した場合は(S6302:No)、次いで、スコアカウンタ223ηの値が600より小さいか否かを判別する(S6306)。S6306の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600より小さいと判別した場合は(S6206:Yes)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する広範囲用のテーブルを読み出して(S6307)、S6309の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が600より小さい場合は、遊技者が中盤期間までに獲得したポイントが比較的少ないため、遊技者にとって難易度が高すぎる可能性が高いためである。よって、この場合は、成功期間が広い押下期間を選択することにより、枠ボタン229を押下した場合に成功と判定される可能性が高くなるように構成している。即ち、難易度を遊技者に合わせることができる。また、終盤期間において成功期間を広くすることにより、押下に成功し易くなるため、遊技者に対して調子が出てきた(コツをつかんだ)と錯覚させることができる。よって、例えノルマに到達しなかったとしても、終盤期間の手応えから、次回はより多くのポイントを獲得できるかのように錯覚させることができる。よって、次回のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
一方、S6306の処理において、スコアカウンタ223ηの値が600以上であると判別した場合は(S6306:No)、押下期間テーブル222eから難易度カウンタ223γの値に対応する通常範囲用のテーブルを読み出し(S6308)、S6309の処理へ移行する。S6304,S6305,S6307、およびS6308の処理のいずれかが実行された後で実行されるS6309の処理では、押下期間テーブル222eから読み出したデータテーブルを押下期間格納エリアに格納し(S6309)、本処理を終了する。
この終盤設定処理により、中盤期間の終了までに遊技者が獲得したポイントに応じて、終盤期間の成功期間の範囲を、より遊技者の技量にマッチした広さに可変することができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
次に、図172を参照して、タイミング演出処理(S1541、図169参照)の中で実行される報知態様設定処理(S6113)の詳細について説明する。図172は、この報知態様設定処理(S6113)を示すフローチャートである。この報知態様設定処理は、上述した通り、タイミング演出の結果を報知するための報知演出(報知態様)を設定するための処理である。
報知態様設定処理(S6113)では、まず、スコアカウンタ223ηの値を読み出し(S6401)、その値が1000以上であるか否かを判別する(S6402)。即ち、タイミング演出において、ノルマである1000ポイントを達成したか否かを判別する。S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000よりも小さい(即ち、今回のタイミング演出ではノルマを達成できなかった)と判別した場合は(S6402:No)、次いで、表示制御装置114に対して失敗時の報知態様(図165参照)を設定する(S6403)。
S6303の処理が終了すると、次いで、スコアカウンタ223ηの値が50以下であるか否かを判別する(S6404)。スコアカウンタ223ηの値が50以下である場合は(S6404:Yes)、難易度カウンタ223γの値を0に設定し(S6405)、S6412の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が50以下の場合は、遊技者が序盤期間の態様を視認しただけで早々に諦めてしまった可能性が高い。よって、この場合は、次回のタイミング演出において、難易度が最も易しい演出態様が選択されるように構成し、ノルマが達成できそうだと感じさせることができる。よって、次回のタイミング演出において遊技者の参加意欲を向上させることができる。
一方、スコアカウンタ223ηの値が50よりも大きい場合は(S6404:No)、難易度カウンタ223γの値から1を減算し(S6406)、S6412の処理へ移行する。スコアカウンタ223ηの値が50よりも大きい場合は、それなりにタイミング演出に参加した上で、ノルマに満たなかったことを意味する。よって、この場合は次回のタイミング演出で選択される難易度を1段階下げることにより、遊技者の参加意欲を向上できる構成としている。
S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000以上である(タイミング演出のノルマを達成した)と判別した場合は、確変状態フラグ223βを読み出して(S6407)、現在が特別図柄の確変状態であるか否か(確変状態フラグ223βがオンであるか否か)を判別する(S6408)。そして、確変状態であると判別した場合は(S6408:Yes)、表示制御装置114に対して確変状態を報知するための報知態様を設定し、処理をS6411へと移行する。一方、S6408の処理において、特別図柄の確変状態でない(特別図柄の低確率状態である)と判別した場合は(S6408:No)、特別図柄の低確率状態(通常状態)を報知するための報知態様を設定して(S6409)、処理をS6411へと移行する。
S6411の処理では、難易度カウンタ223γの値に対して1を加算して、処理をS6412へと移行する。なお、難易度カウンタ223γの値が最大値である4の場合は、値が4のまま保たれる。S6412の処理では、タイミング演出許可フラグ223αをオフに設定することにより、次に2R確変大当たり、または小当たりとなるまでタイミング演出が選択されなくなるように設定して(S6412)、本処理を終了する。
次に、図173を参照して、メイン処理(図167参照)の中で実行される変動表示設定処理2(S1542)の詳細について説明する。図173は、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される変動表示設定処理2(S1542)を示すフローチャートである。
この変動表示設定処理2(S1542)のうち、S1801~S1810の各処理では、それぞれ第1制御例における変動表示設定処理(S1512、図109参照)で実行されるS1801~S1810の各処理と同一の処理が実行される。
また、本制御例における変動表示設定処理2(S1542)では、S1805の処理が終了すると、変動パターンコマンドにより通知されたのが大当たりC(2R確変大当たり)に対応する変動パターンであるか否かを判別する(S1821)。S1821の処理において、大当たりCに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1821:Yes)、特別図柄の確変状態へと移行することを意味するので、確変状態フラグ223βをオンに設定し(S1823)、S1824の処理へ移行する。
一方、S1821の処理において、大当たりCに対応する変動パターンでないと判別した場合は(S1821:No)、次いで、小当たりに対応する変動パターンであるか否かを判別し(S1822)、小当たりに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1822:Yes)、処理をS1824へと移行する。S1824の処理では、タイミング演出許可フラグ223αをオンに設定することにより、以降の変動演出において興趣演出としてタイミング演出の態様が選択可能となるように設定し(S1824)、S1806の処理へ移行する。
S1822の処理において、小当たりに対応する変動パターンではないと判別した場合は(S1822:No)、次いで、大当たりA、または大当たりBに対応する変動パターンか否かを判別する(S1825)。S1825の処理において、大当たりAに対応する変動パターンでも、大当たりBに対応する変動パターンでもないと判別した場合は(S1825:No)、S1806の処理へ移行する。一方、大当たりA、または大当たりBのいずれかに対応する変動パターンであると判別した場合は(S1825:Yes)、確変状態フラグ223βを大当たり種別に応じた値に更新する(S1826)。即ち、大当たりA(16R確変大当たり)であれば、確変状態フラグ223βをオンに設定し、大当たりB(16R時短大当たり)であれば、確変状態フラグ223βをオフに設定する。次いで、タイミング演出許可フラグ223αをオフに設定し(S1827)、S1806以降の処理を実行する。
以上説明した通り、本制御例のパチンコ機10では、複数の種別のボタンをタイミングよく操作することによりポイントを獲得できるタイミング演出を実行可能に構成し、ノルマを達成した場合に、特典として現在の遊技状態を報知するように構成されている。これにより、現在の遊技状態を知りたいと考える遊技者を、積極的にタイミング演出に参加させることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
また、タイミング演出に成功した場合の特典を、遊技結果に影響が無いもの(現在の遊技状態の報知)とすることにより、純粋に遊技者の押下(操作)タイミングの巧拙によって特典を付与するかどうかを決定することができる。これに対して、仮に、変動開始時(タイミング演出が開始されるよりも前)に既に結果が決まっているもの(例えば、大当たり等)を特典として設定してしまうと、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出の結果(ノルマを達成する態様が表示可能かどうか)が定められてしまう。ノルマが達成できない態様のタイミング演出が存在すると、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまう虞がある。これに対して本制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合に付与される特典を、遊技結果に影響が無い「遊技状態の報知」に設定している。これにより、純粋に枠ボタン229の押下タイミングの巧拙に応じて特典を付与するか否かを決定することができる。即ち、特典が付与された場合に、遊技者が自力で特典を獲得したという感覚をより強く抱かせることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
また、本制御例では、タイミング演出の実行中において、遊技者のポイント獲得状況に応じて難易度を可変可能に構成されている。即ち、ポイント獲得状況から遊技者の技量を判別し、より遊技者にマッチした難易度の演出態様に変更するように構成されている。これにより、難易度が難しすぎたり、逆に、難易度が易しすぎてタイミング演出に対する参加意欲を減退させてしまうことを防止できる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲をより向上させることができる。
更に、本制御例では、タイミング演出が終了した場合に、遊技者のポイント獲得状況に応じて、次回のタイミング演出の難易度をより遊技者にマッチした難易度に可変するように構成されている。このように構成することで、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲をより向上させることができる。
本制御例では、序盤期間、中盤期間、および終盤期間の3種類の期間を設定する場合に、遊技者の技量やタイミング演出への参加状況に応じて演出態様を選択するように構成していたが、期間は3種類に限られるものではない。例えば、5種類の期間に対してそれぞれ演出態様を設定するように構成してもよい。期間を増やすことで、遊技者の技量等をより正確に判別し、技量にマッチした演出態様を提供することができる。また、逆に期間を少なくしてもよい。これにより、遊技者の技量等を判別するための処理回数を削減できるので、MPU221の処理負荷を軽減することができる。
本制御例では、序盤期間、中盤期間、および終盤期間の3種類の期間を設定する場合に、遊技者の技量やタイミング演出への参加状況に応じて演出態様を選択するように構成していたが、1又は複数の期間の難易度を固定とし、一部の期間の難易度のみを遊技者の技量等に応じて可変できるように構成してもよい。より具体的には、例えば、序盤期間の難易度を比較的難易度が易しい演出態様に設定してもよい。これにより、序盤期間の態様を視認した遊技者に対して、タイミング演出でノルマを容易に達成できそうだという印象を抱かせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、連打期間において10回枠ボタン229を操作されたことに基づいて、連打が成功したと判別してポイントが加算されるように構成していたが、連打に成功したか否かの判断基準は、10回の操作に限定されるものではない。連打期間の長さや、連打バーの長さに応じて任意の値を設定することができる。また、設定されている演出態様に応じて連打に成功したと判別される回数を可変させてもよい。例えば、難易度が低い(例えば、難易度が1の)演出態様の場合には、連打に成功したと判別される回数を10回よりも少ない回数(例えば、6回)に設定し、逆に、比較的難易度が高い(例えば、難易度が4や5の)演出態様の場合には、連打に成功したと判別される回数を10回よりも多い回数(例えば、15回)に設定してもよい。これにより、スクロールバーの表示パターンや、成功期間の範囲だけでなく、連打に成功したと判別される回数でも難易度に差をつけることができるので、難易度を可変するためのバリエーションにより多様性を持たせることができる。
本制御例では、連打期間において所定回数(10回)枠ボタン229を操作されたことに基づいて、連打が成功したと判別してポイントが加算されるように構成していたが、連打以外の操作でも連打と判別するように構成してもよい。例えば、連打期間の間の所定期間(例えば、2秒以上)対応する種別のボタンを押下し続けることにより、所定回数(10回)連打された場合と同様に、連打に成功したと判別してもよい。これにより、連打が苦手な遊技者でも、単に枠ボタン229を押下し続ける(長押しする)だけで連打と判定されてポイントを獲得することができるので、遊技者の負担を軽減することができる。この場合において、連打期間に所定回数(10回)の連打を行ったことにより付与されるポイントを、単に連打期間において枠ボタン229を押下し続けた(長押しした)場合に付与されるポイントよりも多くなるように構成してもよい。このように構成することで、技量の高い上級者には積極的に連打を行わせ、技量の低い(連打が苦手な)遊技者に対しては、少しでもポイントを稼ぐために長押しを行わせることができる。即ち、遊技者の技量に応じて連打期間に対する多様な参加方法を提供できるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、タイミング演出の難易度を設定するための期間として複数の期間を設けていたが、これに代えて、枠ボタン229の操作に失敗した回数や成功した回数に応じて難易度を流動的に可変させるように構成してもよい。これにより、遊技者の操作状況をリアルタイムで難易度に反映させることができる。
本制御例では、序盤期間の演出態様を、難易度カウンタ223γの値に対応する難易度の演出態様に設定するように構成しているが、これに限られるものではない。例えば、序盤期間は難易度カウンタ223γの値によらず比較的簡単な難易度(例えば、難易度2)に設定してもよい。このように構成することで、タイミング演出の開始から少なくとも一定期間(序盤期間が終了するまで)は比較的簡単な演出態様にできるので、遊技者がよりタイミング演出に参加し易くなる。よって、遊技者のタイミング演出に対するs参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、遊技状態の報知をタイミング演出の特典としていたが、これに限られるものではない。例えば、特別図柄の抽選結果をタイミング演出によって報知するように構成してもよい。即ち、タイミング演出においてノルマを達成した場合に大当たりを報知するように構成してもよい。この場合において、特別図柄の抽選が外れでタイミング演出が選択された場合には、ノルマを達成できない演出態様のタイミング演出を選択するように構成してもよい。より具体的には、例えば、特別図柄の外れの場合においてタイミング演出が実行される場合には、序盤期間~終盤期間までの間にスクロール表示されるスクロールバーや連打バーにより獲得できる合計のポイントが最大で900~990ポイントとなるように構成し、特別図柄の当たりの場合は、例えば最大で1000ポイント~1200ポイント獲得できるパターンを選択するように構成してもよい。即ち、タイミング演出選択テーブル222dに対して規定する演出態様として、各期間および各難易度に対応する大当たり用の演出態様と、外れ用の演出態様とを別々に規定しておけばよい。そして、タイミング演出処理(図169参照)において各期間の演出態様を設定する場合には(図169のS6104、図170のS6209、図171のSのS6304,S6305,S6307,S6308)、実行中の変動演出の結果(大当たりであるか、外れであるか)を判別して演出態様を選択するように構成してもよい。このように構成することで、タイミング演出における難易度を遊技者の技量にマッチさせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、大当たり用の態様と、外れ用の態様とで獲得可能なポイントの上限を変更することにより、特別図柄の抽選結果が外れであるにも拘らず、ノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。よって、ノルマを達成したにも拘わらず大当たりが開始されず、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止し、安心してタイミング演出に参加させることができる。
本制御例では、大当たりA、または大当たりBの終了後に少なくとも1回小当たり、または大当たりCとなった後でなければタイミング演出が設定されないように構成していたが、タイミング演出の実行条件は、これに限られるものではない。例えば、保留球数に応じてタイミング演出の選択され易さを変更してもよい。具体的には、保留球数が多い程、タイミング演出が選択され易くなるように構成し、保留球が少ないほど選択され難くなるように構成してもよい。上述した通り、本制御例のタイミング演出は、枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する必要がある。このため、タイミング演出に片手では参加し難く、両手を使用して参加した方が押下を成功させやすくなるように構成されている。即ち、タイミング演出でノルマを達成しようとする遊技者は、一時的に操作ハンドル51から手を離してタイミング演出に参加する可能性がある。よって、保留球数が少ない状態でタイミング演出に参加すると、タイミング演出中に保留球を増やすことができないので、タイミング演出が設定された変動演出の終了後に、特別図柄の抽選が途切れてしまう虞がある。つまり、遊技効率が悪くなってしまう虞がある。よって、保留球の少ない状況下ではタイミング演出が設定され難い構成とすることにより、保留球が少ない状況下では遊技者に球を打ち出させることができるので、保留球を貯めやすくすることができる。よって、遊技効率をアップさせることができる。一方で、保留球の個数が多い場合には、変動中に球を打ち続けることにより、更に保留球が増加する場合があり、保留球数の上限を上回る個数の入球が検出される虞がある。よって、この場合には、両手を用いて参加することによりノルマを達成し易いタイミング演出の発生頻度を高めることにより、保留球数がオーバーフローしてしまうことを防止(抑制)することができる。
本制御例では、タイミング演出として枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する演出が実行されるように構成しているが、ボタンの個数は4種類に限られるものではない。例えば、単一の枠ボタンをタイミング良く押下する演出をタイミング演出として実行してもよい。このように構成することで、片手でハンドル51を操作しつつ、もう片方の手でタイミング演出に参加することができるので、遊技効率を低下させることなくタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、タイミング演出において操作するボタンの種別を減らすことによって、より判り易いゲーム性とすることができる。一方、操作するボタンの種別を本制御例よりも多くしてもよい。操作するボタンが増加する程、タイミング演出の難易度を増加させることができるので、タイミング演出の技量が高い遊技者に対して満足感を抱かせることができる。なお、ポイントの獲得状況や前回のタイミング演出で獲得したトータルポイント等から遊技者の技量を判別し、技量に応じて使用するボタンの個数を増減させてもよい。即ち、技量が低かったり、前回全く参加していないと判別される場合には、例えば、1種類のボタンで参加できる態様のタイミング演出を実行するように構成し、それ以外の遊技者に対しては4種類のボタンを用いるタイミング演出の態様を設定してもよい。このように構成することにより、見た目から明らかに難易度が下がったことを認識させることができるので、技量の低い遊技者に対する参加意欲を向上させることができる。
本制御例では、タイミング演出が設定された変動演出が実行されると、リーチが発生してから5秒経過時にタイミング演出が開始されるように構成し、14秒間実行されるように構成していたが、タイミング演出の開始期間や継続期間はこれに限られず、任意に設定することができる。例えば、変動時間を全て用いてタイミング演出を実行するように構成してもよい。サブ表示装置690においてタイミング演出が実行されていたとしても、特別図柄の抽選結果は第3図柄表示装置81において表示されるので、変動時間を全て費やしてタイミング演出を実行したとしても、特別図柄の抽選結果を見逃すことを防止(抑制)できる。よって、より長い期間タイミング演出を実行できるので、遊技者の興趣をより向上することができる。
本制御例では、変動演出の実行中にタイミング演出を実行するように構成しているが、タイミング演出の実行期間はこれに限られるものではない。例えば、大当たり(特別遊技状態)中にタイミング演出を実行するように構成してもよい。この場合において、タイミング演出でノルマを達成することにより、大当たり終了後に特別図柄の確変状態へと移行することが報知されるように構成してもよい。このように構成することで、大当たり中が賞球を獲得するための単なる作業となってしまうことを防止(抑制)できるので、大当たり中の遊技に対する興趣を向上させることができる。なお、この場合において、大当たりA(16R確変大当たり)にも拘らず遊技者がノルマを達成できなかった場合には、例えばタイミング演出の報知期間において特別図柄の低確率状態が報知され、その後の大当たりのエンディングで逆転演出を行って特別図柄の確変状態を報知するように構成してもよい。これにより、タイミング演出でノルマを達成できなかった場合にも、エンディング期間で逆転演出が発生することを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
<第3制御例の変形例>
次いで、図187~図198参照して、第3制御例の変形例について説明する。上述した第3制御例では、タイミング演出においてノルマを達成した場合の特典として、現在の遊技状態を報知するように構成していた。また、タイミング演出の途中で遊技者の獲得ポイントを判別し、より遊技者の技量に有った難易度に可変するように構成していた。
これに対して第3制御例の変形例では、タイミング演出のノルマを達成した場合に付与される特典を特別図柄の大当たりに設定している。即ち、タイミング演出でノルマを達成した場合は、変動演出の終了後に特別図柄の大当たりが開始される。これに伴って、外れに対応する変動演出においてタイミング演出が実行された場合に、遊技者がノルマを達成し難くなるように構成している。より具体的には、外れに対応する変動演出において実行されるタイミング演出では、序盤期間において遊技者が所定以上のポイント(400ポイント以上)を獲得している場合に、タイミング演出の態様を、遊技者が押下タイミングを誤り易い態様に切り替えるように構成している。より具体的には、タイミング演出において流れる楽曲と、各スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(成功期間)とをずらしている。これにより、楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を押下した場合に失敗と判定されるので、押下するタイミングを惑わすことができる。よって、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成することを防止(抑制)することができるので、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが開始されないことにより、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)することができる。また、序盤期間では楽曲のリズムと成功期間とが一致する態様でタイミング演出を実行し、中盤期間以降において楽曲と成功期間とをずらすことにより、中盤期間以降において遊技者が押下により失敗し易くなるように構成している。なお、タイミングのずらし方については、楽曲のリズムに比較して成功期間の方が早いタイミングで設定されるパターンと、楽曲のリズムに対して遅いタイミングで設定されるパターンとが設けられている。これらは、遊技者の癖に応じて使い分けられる。即ち、比較的早めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して早めると、遊技者の癖(早めに枠ボタン229を操作する傾向)に合致し、かえってポイントを獲得し易くなる可能性がある。逆に、比較的遅めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせると、遊技者の癖(遅めに枠ボタン229を操作する傾向)に合致し、かえってポイントを獲得し易くなる可能性がある。よって、本変形例では、遊技者が早めに枠ボタン229を操作しがちか、遅めに操作しがちかを判別し遊技者の癖に応じてより成功し難くなるタイミングで成功期間が設定されるようにタイミングをずらしている。
また、本変形例では、終盤期間における演出態様として、複数種類の態様から1の態様を選択可能に構成している。より具体的には、獲得可能なポイントが比較的多い(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様と、獲得可能なポイントが比較的少ない(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様とを選択可能に構成している。外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了までに遊技者の獲得したポイントが所定以上(750ポイント以上)の場合には、獲得可能なポイントが少ない態様を設定することにより、タイミング演出が終了するまでに遊技者がノルマである1000ポイントを達成してしまうことを防止している。このように構成することで、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまう状況をより確実に防止(抑制)することができる。
この第3制御例の変形例におけるパチンコ機10が、第3制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113に設けられたROM222、およびRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第3制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図187を参照して、本変形例において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を判別する方法について説明する。本変形例では、上述した通り、外れに対応する変動演出の中盤期間において、タイミング演出中に流れる楽曲と、成功期間とをずらすことにより遊技者が失敗期間で枠ボタン229を押下し易くなるように構成している。即ち、外れに対応する変動演出において、ノルマに達し難くなるように構成している。また、成功期間をずらすにあたり、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じてずらし方を変えている。具体的には、枠ボタン229を早めに押しがちな遊技者に対しては、楽曲のリズムに対して成功期間を遅らせ、遅めに押しがちな遊技者に対しては、楽曲のリズムに対して成功期間を早める。これにより、外れに対応する変動演出において遊技者がポイントを獲得し難くできるので、より確実に外れ時にノルマを達成してしまう不具合を防止(抑制)することができる。
遊技者の癖(傾向)は、序盤期間に判別される。より具体的には、序盤期間に設定される成功期間(スクロールバーが押下示唆領域911aと重なる期間)において、遊技者が比較的早めに枠ボタン229を押下した回数と、比較的遅めに押下した回数とをカウントしておく。そして、早めに押下した回数が多ければ、早めに押す癖(傾向)がある遊技者であると判別して、中盤期間以降に成功期間を楽曲のリズムから遅らせる。一方、遅めに押下した回数が多ければ、遅めに押す癖(傾向)がある遊技者と判別して、中盤期間以降に成功期間を楽曲のリズムよりも早める。
なお、序盤期間において流れる楽曲としては、比較的テンポが遅い楽曲が設定され、成功期間も楽曲のテンポに合わせたタイミングで設定される。仮に、序盤期間においてテンポの早い楽曲を設定し、且つ、楽曲のテンポに合わせた多量のスクロールバーが連続して表示されるように構成してしまうと、遊技者がテンポについていけず、枠ボタン229を真剣に押下し無くなってしまう可能性がある。この場合、序盤期間における遊技者の傾向を把握(集計)したとしても、遊技者が真剣にリズムに合わせて枠ボタン229を押下したのか、途中でテンポについていけなくなってしまい、押下のタイミングがずれたかを見分けることができないため、遊技者の実際の癖(傾向)とは異なる癖(傾向)と判定されてしまう虞がある。これに対して本変形例では、大半の遊技者が十分に余裕を持って楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を押下することができるテンポ(リズム)の楽曲が設定される。これにより、各遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)をより正確に判定することができる。
図187に示した通り、序盤期間における各成功期間は、早め成功区間、ジャスト成功区間、遅め成功区間の3つの区間に分けられている。早め成功区間は、0.2秒間設定される成功期間のうち、成功期間の開始からの0.08秒間である。この早め成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーの一部と押下示唆領域911aの右側とが重なった状態の表示態様となる(図187のHK参照)。この早め成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合には、早めに押下したとカウントされる。
また、成功期間のうち、0.08秒~0.12秒の0.04秒間はジャスト成功区間となる。このジャスト成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーが押下示唆領域911aに完全に重なった状態の表示態様となる(図187のJK参照)。このジャスト成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合は、ジャストタイミングで枠ボタン229を押下したことを意味するので、早めの押下回数にも遅めの押下回数にもカウントされない。
更に、成功期間のうち0.12秒~0.2秒の0.08秒間は遅め成功区間となる。この遅め成功区間では、サブ表示装置690において、スクロールバーの左側が押下示唆領域911aの左端よりも更に左側にはみ出した状態の表示態様となる(図187のOK参照)。この遅め成功区間において遊技者が対応するボタン種別を押下した場合には、遅めに押下したとカウントされる。
なお、早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間であるかは本変形例におけるROM222に設けられた押下期間テーブル222eに規定されている。即ち、上述した第2制御例では、成功期間であるか、失敗期間であるかをタイミング演出の開始からの経過時間、および枠ボタン229のボタン種別に対応付けて規定されていたが、本制御例では、これらに加えて成功期間の区分(早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間)が規定されている。本制御例では、押下期間テーブル222eと、経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)と、遊技者が操作したボタン種別とに応じて、遊技者が早めにボタンを押下したのか、遅めに押下したのかを判別している。
このように、本変形例では、序盤期間において設定される各成功期間を、早め成功区間と、ジャスト成功区間と、遅め成功区間とに区分し、遊技者が各区分において枠ボタン229を操作した回数をそれぞれカウントするように構成している。これにより、遊技者が枠ボタン229を早めに押しがちであるか、遅めに押しがちであるかを判別することができる。よって、中盤期間以降に楽曲のリズムと成功期間とをずらす場合に、遊技者の傾向に反するずらし方をすることができる。即ち、遊技者がより成功期間において枠ボタン229を押下し難くすることができるので、外れに対応する変動演出において、遊技者がノルマを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)することができる。
次に、図188、および図189を参照して、中盤期間以降における押下期間(成功期間、および失敗期間)と、楽曲のリズムとの対応関係について説明する。まず、図188は、楽曲のリズムと成功期間とが一致している場合における、両者の対応関係を示した図である。なお、リズムと成功期間とを一致させる場合とは、タイミング演出における序盤期間や、大当たりに対応する変動演出でタイミング演出が設定された場合等である。
図188の上側は、タイミング演出において流れる楽曲の音程の計時変化を示しており、図189の下側は、押下期間(成功期間であるか、失敗期間であるか)の計時変化をボタン種別毎に示している。図188に示した通り、上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDBのそれぞれに対応する成功期間は、タイミング演出中の楽曲で新たな音程となるタイミングと一致している。例えば、図188において上ボタンUBの成功期間は3回設けられており、それぞれ楽曲において「ミ」(最も左側の音符)、「ド」(左から2番目の音符)、「シ」(最も右側の音符)の音程となるタイミングとそれぞれ一致するタイミングで設定される。
同様に、右ボタンRBの成功期間は1回設けられており、楽曲において「ソ」(右から3番目の音符)の音程となるタイミングと一致するタイミングで設定される。また、左ボタンLBの成功期間は2回設けられており、それぞれ楽曲において「ラ」(左から3番目の音符)、「ド」(左から4番目の音符)の音程となるタイミングとそれぞれ一致するタイミングで設定される。また、下ボタンDBの成功期間は1回設けられており、楽曲において「シ」(右から2番目の音符)の音程となるタイミングと一致するタイミングで設定される。
このように、楽曲の音程が変わるタイミングと、成功期間とを一致させることにより、楽曲のリズムに合わせて枠ボタン229を操作することにより成功と判定されるようになる。よって、遊技者がタイミングを合わせて枠ボタン229を操作し易くできる。
なお、本制御例では、成功期間を一致させるか、ずらすかを押下期間(失敗期間、および成功期間)の設定タイミングによって可変させている。即ち、序盤期間が終了してから中盤期間の押下期間(および演出態様)を設定するまでの期間を可変することにより、楽曲のリズムと成功期間を一致させたり、ずらしたりしている。このように構成することにより、押下期間テーブル222eとして、楽曲のリズムと成功期間とが一致するテーブルと、楽曲のリズムと成功期間とがずれるテーブルとをそれぞれ用意する必要が無くなり、単に同一のテーブルを設定する場合の設定タイミングを可変させるだけでよいので、ROM222の容量を削減することができる。また、同様に、タイミング演出の表示態様として、楽曲のリズムと成功期間とが一致する態様、ずれる態様をそれぞれ用意しておく必要がないため、表示制御装置114のキャラクタROM234の容量を削減することができる。
押下期間(および中盤期間の演出態様)の設定タイミングとしては、序盤期間が終了してから0.5秒後、1秒後、1.5秒後の3種類のオフセット期間が設けられている。ここで、中盤期間における押下期間や演出態様の設定タイミングが可変しても、サブ表示装置690の表示態様等が異常とならないために、序盤期間における表示態様は、設定タイミングを遅らせる場合を基準に設定されている。即ち、序盤期間が終了してから少なくとも1.5秒間分の表示態様が、序盤期間に対応する表示用データテーブルに対して規定されている。これにより、序盤期間が終了してから中盤期間が設定されるまでの期間においてもサブ表示装置690に対してタイミング演出の演出態様を正常に表示させ続けることができる。
本制御例では、序盤期間が終了してから1秒後に中盤期間の押下期間(および中盤期間の演出態様)を設定することにより、楽曲のリズムと成功期間とを一致させることができるように構成されている。即ち、図188に図示したオフセットt1は、1秒間を意味する。
次に、図189を参照して、中盤期間において楽曲のタイミングに対して成功期間が遅めに設定される場合の例について説明する。なお、上述した通り、成功期間が遅めに設定される場合とは、外れに対応する変動演出の序盤期間において、枠ボタン229を楽曲のリズムに対して早めに押す癖(傾向)がある遊技者と判別された場合である。
図189に示した通り、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせる場合には、序盤期間が終了してから中盤期間の押下期間(および演出態様)が設定されるまでの期間(オフセット期間)としてt2(1.5秒)が選択される。即ち、図188に示したオフセットt1よりも0.5秒長いオフセット期間が選択される。これにより、中盤期間における押下期間の設定タイミングが、楽曲のリズムと一致するタイミング(図188参照)から0.5秒遅れる。即ち、楽曲のリズムに対して成功期間を遅らせることができる。よって、序盤期間においてリズムに合わせて枠ボタン229を押下していた遊技者が、序盤期間と同様にリズムに合わせて枠ボタン229を押下し続けることにより、失敗期間において枠ボタン229を押下させることができる。よって、外れに対応する変動演出に対して設定されたタイミング演出において、遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
<第3制御例の変形例における電気的構成について>
次に、図190、および図191を参照して、第3制御例の変形例におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。まず、図190(a)を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113に設けられたROM222タイミング演出選択テーブル222dについて説明する。このタイミング演出選択テーブル222dは、上述した第3制御例におけるタイミング演出選択テーブル222dと同様に、タイミング演出の態様が規定されたデータテーブルである。タイミング演出の各期間(序盤期間、中盤期間、および終盤期間)を開始する場合にはこのタイミング演出選択テーブル222dに規定された演出態様に基づいて、表示制御装置114に対して各期間の表示態様を通知するコマンドを設定する。表示制御装置114のワークRAM233におけるデータテーブル格納エリア233bには、変動表示データテーブル等と同様に、タイミング演出の各期間の表示態様に対応する表示データテーブルが格納されるように構成されている。表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して表示態様として設定する。
図190(a)に示した通り、本変形例のタイミング演出選択テーブル222dには、タイミング演出の各期間に対応付けて、選択可能な演出態様が規定されている。より具体的には、序盤期間に対して、序盤用演出が規定されている。タイミング演出の開始時には、この序盤用演出がタイミング演出選択テーブル222dから読み出され、表示制御装置114に対して通知される。
また、中盤期間に対して、中盤用演出が規定されている。この中盤用演出は、序盤期間の終了後に設定されるオフセット期間が経過した際に、このタイミング演出選択テーブル222dから読み出されて表示制御装置114に対して通知される。なお、上述した通り、オフセット期間は変動演出の種別(大当たりに対応する変動演出か、外れに対応する変動演出か)や、遊技者の枠ボタン229押下時の癖(傾向)に応じて異なる値が選択される。具体的には、大当たりに対応する変動演出の場合には、序盤期間終了後のオフセット期間としてt1(1秒)が設定される。オフセット期間として1秒が設定されると、タイミング演出において流れる楽曲のリズム(音程の変化)と、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとが一致するように構成されている。一方、外れに対応する変動演出中であって、且つ、早めに(早め成功区間で)枠ボタン229を押す癖(傾向)の遊技者が遊技を行っていると判別された場合は、オフセット期間としてt2(1.5秒)が設定される。これにより、楽曲のリズムに対して、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングを遅らせることができる。即ち、遊技者が押下に失敗し易くできるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。更に、外れに対応する変動演出中であって、且つ、遅めに(早め成功区間で)枠ボタン229を押す癖(傾向)の遊技者が遊技を行っていると判別された場合は、オフセット期間としてt3(0.5秒)が設定される。これにより、楽曲のリズムに対して、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングを早めることができる。即ち、遊技者が押下に失敗し易くできるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。
終盤期間に対しては、選択可能な演出態様として終盤通常用演出と、終盤失敗用演出の2種類が規定されている。終盤通常用演出は、獲得可能なポイントが比較的多い態様の演出であり、大当たりに対応する変動演出に対してタイミング演出が設定された場合や、外れに対応する変動演出において、中盤期間が終了するまでに獲得したポイントが少ない(750ポイント未満)場合に選択される。一方、終盤失敗用演出は、獲得可能なポイントが比較的少ない態様の演出であり、外れに対応する変動演出において、中盤期間が終了するまでに獲得したポイントが多い(750ポイント以上)場合に選択される。獲得可能な複数の演出態様を設けておくことにより、外れに対応する変動演出において中盤期間が終了するまでに遊技者が比較的多くのポイントを獲得していたとしても、終盤期間でポイントを調節することができる。よって、外れに対応する変動演出にも拘わらず、ノルマを達成してしまう(1000ポイント以上獲得してしまう)ことを防止(抑制)することができる。
次に、図190(b)を参照して、タイミング演出選択テーブル222dに規定されている各テーブルにおいて獲得可能なポイントについて説明する。図190(b)は、タイミング演出選択テーブル222dに規定されている演出態様毎の、遊技者が全ての成功期間において対応するボタン種別の押下を行った場合に獲得するポイント(最大獲得ポイント)を示した図である。図190(b)に示した通り、序盤用演出では、白抜きのスクロールバーが9回と、連打バーが1回表示される。これらのスクロールバーは、何れも押下に成功した場合に50ポイントが付与される(図163(a)の配当表参照)ので、序盤用演出における最大獲得ポイントは500ポイント(9回×50ポイント+1回×50ポイント)である。
また、中盤用演出では、ハッチングされたスクロールバーが15回と、白抜きのスクロールバーが2回と、連打バーが2回表示される。ハッチングされたスクロールバーは押下に成功した場合に10ポイントが付与される(図163(a)の配当表参照)ので、中盤用演出における最大獲得ポイントは350ポイント(15回×10ポイント+2回×50ポイント+2回×50ポイント)である。
更に、終盤通常用演出では、ハッチングされたスクロールバーが10回と、白抜きのスクロールバーが3回表示されるので、最大獲得ポイントは250ポイント(10回×10ポイント+3回×50ポイント)である。一方、終盤失敗用演出では、ハッチングされたスクロールバーが10回のみ表示されるので、最大獲得ポイントが100ポイント(10回×10ポイント)となる。
本制御例では、大当たりに対応する変動演出においてタイミング演出が設定された場合に終盤用通常演出が設定される。終盤用通常演出が設定されることにより、タイミング演出においてトータルで最大1100ポイント(500ポイント+350ポイント+250ポイント)を獲得させることができるので、タイミング良く枠ボタン229を押下することにより、ノルマである1000ポイントを達成させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、外れに対応する変動演出における中盤期間の終了時点で遊技者の獲得ポイントが750ポイント未満の場合にも、終盤用通常演出が設定されるように構成されている。終盤通常用演出における最大獲得ポイントを達成したとしても、ノルマである1000ポイントに到達できないからである。ノルマを達成できないことが確定している場合に、比較的多くのポイントを獲得し易い演出態様(終盤通常用演出)を設定する構成とすることで、たとえノルマを達成できなかったとしても、今回のタイミング演出で惜しい所までいったという感覚を遊技者に抱かせ易くできるので、次回のタイミング演出に対するモチベーションを上昇させることができる。
一方、外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了時点で、ノルマを達成するまでの残りのポイントが250ポイント以下の場合には、終盤用失敗演出を設定するように構成されている。仮に終盤用通常演出を設定し、最大獲得ポイントである250ポイントを遊技者が獲得してしまうと、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが付与されないという状況が発生してしまい、遊技者に対して不信感を抱かせてしまう虞があるからである。そこで、本変形例では、中盤期間の終了時点においてノルマに対する残りのポイントが少ないと判別された場合に、獲得可能なポイントが少ない終盤失敗用演出を設定するように構成している。このように構成することにより、外れに対応する変動演出において遊技者がタイミング演出のノルマである1000ポイントを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)することができる。
なお、図190(b)に示した通り、本変形例において、序盤期間では他の期間(中盤期間、および終盤期間)に比較して獲得できるポイントが多いスクロールバー(白抜きのスクロールバー)の出現割合が高くなるように構成されている。即ち、序盤期間では少ない成功回数でより多くのポイントを獲得できるように構成されているので、難易度が低いと感じさせることができる。これにより、序盤期間における表示内容(表示されるスクロールバーの組み合わせ)から、タイミング演出において遊技者に対してノルマを容易に達成できそうな印象を抱かせることができることができるので、タイミング演出の開始直後から遊技者に対して積極的にタイミング演出に参加させることができる。また、序盤期間においてポイントを獲得し易くし(難易度を低くし)、より多くのポイントを獲得させておくことにより、中盤期間や終盤期間において多少枠ボタン229の押下に失敗したとしても、序盤期間において多量のポイントを獲得した印象から、十分に挽回できると感じさせることができる。よって、遊技者がタイミング演出の途中でノルマの達成を諦めてしまう(タイミング演出への参加を放棄してしまう)ことを防止(抑制)し、最後までタイミング演出に参加させ続けることができる。
なお、本変形例では、序盤期間における難易度を比較的低くすることにより、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させていたが、参加意欲を向上させるための構成はこれに限られるものではない。例えば、遊技者の参加状況を判別し、遊技者がタイミング演出に積極的に参加していないと判別される場合には、遊技者がより参加し易い表示態様に切り替えてもよい。参加状況を判別する方法としては、例えば、タイミング演出中に遊技者が枠ボタン229を押下したトータル回数をカウントするカウンタ手段を設けておき、タイミング演出の開始から所定期間(例えば、2秒間)が経過するまでに、カウンタ手段のカウント値(遊技者の押下回数)が所定数以下(例えば、5以下)であれば、遊技者がタイミング演出に積極的に参加していないと判別してもよい。また、遊技者がより参加し易い表示態様としては、例えば、枠ボタン229を構成する複数のボタン種別のうち、単一のボタン種別のみで参加できる演出態様に切り替えてもよい。これにより、単に1のボタン種別をタイミング良く押下すれば、ポイントを獲得できるというより単純なゲーム性に切り替えられるので、タイミング演出を敬遠していた遊技者の参加意欲を向上させることができる。また、遊技者が参加し易い表示態様の別例として、例えば、連打バーを連続して表示させるように構成してもよい。スクロールバーは、押下示唆領域911aと重なる期間が短く、タイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが比較的難しいのに対して、連打バーは、押下示唆期間911aと重なる期間が比較的長いため、ポイントを得ることが容易であると遊技者に感じさせることができる。よって、途中まで積極的に参加していなかった遊技者に対して、タイミング演出への参加意欲を向上させることができる。
なお、これらを実現するためには、タイミング演出の表示態様として、切り替え用の表示態様(表示データテーブル)を別途表示制御装置234のキャラクタROMに用意しておけばよい。また、切り替え用の表示態様に合わせた押下期間テーブルを、別途押下期間テーブル222eに設けておけばよい。そして、タイミング演出の開始から所定期間(例えば、2秒)経過時点において、遊技者が今回のタイミング演出において枠ボタン229を押下した回数を読み出し、所定回数以下(例えば、5回以下)であれば、切り替え用の態様を設定すればよい。即ち、切り替え用の表示態様を表示制御装置114に対して通知することにより、表示態様を切り替えると共に、切り替え用の押下期間テーブルを押下期間テーブル222eから読み出して押下期間格納エリアに格納すればよい。
次に、図190(c)を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113のROM222に設けられた押下期間テーブル222eについて説明する。この押下期間テーブル222eは、上記第3制御例における押下期間テーブル222eと同様に、枠ボタン229を押下した場合に、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングで押下された(押下に成功した)と判定されるか否かを、タイミング演出が開始されてからの経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて規定したデータテーブルである。
図190(c)に示した通り、本制御例では、押下期間テーブル222eは、序盤期間用テーブル222e31と、中盤期間用テーブル222e32と、終盤期間用通常テーブル222e33と、終盤期間用失敗テーブル222e34とで構成されている。
序盤期間用テーブル222e31は、序盤期間におけるボタン種別毎の成功期間、および失敗期間を経過時間(タイミング演出ポインタ223δの値)に対応付けて規定したデータテーブルであり、タイミング演出の開始時に序盤用演出と合わせて設定される。タイミング演出選択テーブル222dに規定された序盤用演出と、序盤期間用テーブル222e31とを同じタイミングで設定することにより、サブ表示装置690においてスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを一致させることができる。また、序盤期間用テーブル222e31には、各成功期間に対して区分が規定されている。つまり、早め成功区間であるか、ジャスト成功区間であるか、遅め成功区間であるかが規定されている。この序盤期間用テーブル222e31に規定された区分と、遊技者が枠ボタン229を押下したタイミングとに応じて、遊技者の癖(早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)を判別することができる。
同様に、中盤期間用テーブル222e32は、中盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、序盤期間の終了時に設定されるオフセット期間が終了した場合に、中盤用演出の設定と共に選択される。また、終盤期間用通常テーブル222e33は、終盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、終盤期間において終盤通常用演出が設定される場合に選択される。更に、終盤期間用失敗テーブル222e34は、終盤期間における押下期間を規定したデータテーブルであり、終盤期間において終盤失敗用演出が設定される場合に選択される。このように、演出態様に応じた押下期間テーブルを設けておくことにより、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを一致させることができる。
次に、図191を参照して、本変形例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223について説明する。図191は、RAM223の構成を示したブロック図である。図191に示した通り、本変形例におけるRAM223には、第3制御例におけるRAM223の構成に加えて、早め回数カウンタ223πと、遅め回数カウンタ223ρと、オフセット格納エリア223σとが追加されている。
早め回数カウンタ223πは、タイミング演出の序盤期間において、遊技者が早め成功区間で対応するボタン種別を押下した回数をカウントするためのカウンタである。この早め回数カウンタ223πは、初期値が0に設定されている。また、タイミング演出の序盤期間において遊技者が早め成功区間で対応するボタン種別を押下したことを検出する度に、その値に1が加算される(図193のS7003参照)。序盤期間が終了すると、この早め回数カウンタ223πの値と、後述する遅め回数カウンタ223ρの値とが比較され、遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)が判別されて、対応するオフセット期間が設定される(図195のS7107,S7108参照)。この早め回数カウンタ223πは、タイミング演出において結果の報知を設定すると共に0にリセット(初期化)される(図198のS6425参照)。
遅め回数カウンタ223ρは、タイミング演出の序盤期間において、遊技者が遅め成功区間で対応するボタン種別を押下した回数をカウントするためのカウンタである。この遅め回数カウンタ223ρは、初期値が0に設定されている。また、タイミング演出の序盤期間において遊技者が遅め成功区間で対応するボタン種別を押下したことを検出する度に、その値に1が加算される(図193のS7005参照)。序盤期間が終了すると、この遅め回数カウンタ223ρの値と、上述した早め回数カウンタ223πの値とが比較され、遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)が判別されて、対応するオフセット期間が設定される(図195のS7107,S7108参照)。この遅め回数カウンタ223ρは、タイミング演出において結果の報知を設定すると共に0にリセット(初期化)される(図198のS6425参照)。
オフセット格納エリア223σは、序盤演出が終了してから、中盤演出に対応する押下期間、および演出態様を設定するまでのオフセット期間を記憶しておくための記憶領域である。上述した通り、オフセット期間は、序盤期間の終了時点において遅め回数カウンタ223ρの値と、早め回数カウンタ223πの値とに基づいて判別された遊技者の癖(枠ボタン229を早めに押下しがちか、遅めに押下しがちか)に基づいて選択される(図195のS7102,S7107,S7108)。このオフセット格納エリア223σに格納されたオフセット期間が経過した場合に、中盤期間に対応する押下期間、および演出態様が設定される。
<第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図192~図198を参照して第3制御例の変形例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図192は、本変形例における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)を示すフローチャートである。この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)は、上記第3制御例における枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)に代えて実行される処理であり、枠ボタン229の入力を監視し、入力が確認された場合に対応する演出を設定するための処理である。
この枠ボタン入力監視・演出処理2(S1561)のうち、S6001~6011,S6013、およびS6014の各処理では、それぞれ第3制御例における枠ボタン入力監視・演出処理(図168参照)のS6001~6011,S6013、およびS6014の各処理と同一の処理が実行される。また、本変形例では、S6005の処理において、枠ボタン229の押下(操作)を検出したのが連打期間中でない(S6005:No)と判別された場合に、現在が失敗期間であるか否かを判別する(S6021)。
S6021の処理において、失敗期間でないと判別した場合は(S6021:No)、成功期間において対応するボタン種別を押下したことを意味するため、押下に成功した際の態様を設定するための成功時処理(S6022)を実行して、本処理を終了する。一方、S6021の処理において、失敗期間であると判別した場合は(S6021:Yes)、S6013以降の処理を実行する。
次に、図193のフローチャートを参照して、上述した成功時処理(S6022)の詳細について説明する。この成功時処理(S6022)では、まず、序盤期間であるか否かを判別し(S7001)、序盤期間でない(即ち、中盤期間、または終盤期間である)と判別した場合は(S7001:No)、処理をS7006へと移行する。
一方、S7001の処理において、現在が序盤期間であると判別した場合は(S7001:Yes)、次いで、枠ボタン229の押下を検出したのが成功期間のうちの早め成功区間であるか否かを判別する(S7002)。そして、早め成功区間であると判別した場合は(S7002:Yes)、早め回数カウンタ223πの値に1を加算して(S7003)、処理をS7006へと移行する。これに対して、S7002の処理において早め成功区間でないと判別した場合は(S7002:No)、次に、現在が遅め成功区間であるか否かを判別する(S7004)。そして、遅め成功区間であると判別した場合には(S7004:Yes)、遅め回数カウンタ223ρの値に1を加算し(S7005)、処理をS7006へと移行する。一方、S7004の処理において遅め成功区間でないと判別された場合には(S7004:No)、そのまま処理をS7006へと移行する。
S7006の処理では、表示用成功演出コマンドを設定することで(S7006)、押下に成功したことを遊技者に報知するためのサブ表示装置690の表示態様(図163(b)参照)を設定する。この報知により、遊技者が成功したタイミングを認識することができる。S7006の処理が終了すると、スコアカウンタ223ηに対して、押下に成功した際に押下示唆領域911aに重なっていたバーの種別に応じたポイント(スコア)を加算して(S7007)、本処理を終了する。
この成功時処理を実行することにより、枠ボタン229の押下に成功した区間の種別に応じて早め回数カウンタ223πや遅め回数カウンタ223ρを更新することができるので、序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)のデータを蓄積することができる。よって、中盤期間以降の表示態様、および押下期間を設定する際に、遊技者の癖(傾向)に応じた設定を行うことができる。
次に、図194~図198を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるタイミング演出処理2(S1562)について説明する。このタイミング演出処理2(S1562)は、メイン処理の中で、第3制御例におけるタイミング演出処理(図169参照)に代えて実行される処理であり、タイミング演出中の各種設定を行うために実行される。
このタイミング演出処理2(S1562)のうち、S6101,S6102,S6105,S6114、およびS6115の各処理では、それぞれ第3制御例におけるS6101,S6102,S6105,S6114、およびS6115の各処理と同一の処理が実行される。
また、本変形例におけるタイミング演出処理2(S1562)では、変動開始から15秒が経過したと判別され(S6102:Yes)、タイミング演出の開始タイミングとなった場合に、まず、タイミング演出の楽曲を設定する(S6021)。即ち、音声出力装置226に対し、タイミング演出用の楽曲の出力を指示するためのコマンド(音声用楽曲コマンド)を設定する。ここで設定された音声用楽曲コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理のコマンド出力処理(図167参照S1502参照)において、音声出力装置226に対して出力される。音声出力装置226では、この音声用楽曲コマンドを受信することによって、この音声用楽曲コマンドによって示される楽曲(タイミング演出用の楽曲)の出力が開始される。
S6121の処理が終了すると、次いで、タイミング演出選択テーブル222dから演出態様として序盤用演出の態様を選択し(S6122)、第3制御例と同様に、選択した演出態様を通知するための表示用序盤態様コマンドを設定する(S6105)。ここで設定された表示用序盤態様コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理のコマンド出力処理(図167参照S1502参照)において、表示出力装置114に対して出力される。表示制御装置114では、この表示用序盤態様コマンドを受信することによって、サブ表示装置690においてタイミング演出の表示が開始される。
S6105の処理が終了すると、次いで、押下期間テーブル222eから序盤期間用テーブル222e31を読み出して(S6123)、その読み出した序盤期間用テーブル222e31をRAM223に設けられた押下期間格納エリア(図示なし)に格納し(S6124)、本処理を終了する。枠ボタン入力監視・演出処理2(図192参照)のS6004の処理では、この押下期間格納エリアに格納された序盤期間用テーブル222e31が参照されて、枠ボタン229の押下が成功したか否か判別される。また、上述した通り、序盤期間用テーブル222e31には、成功期間の区間(早め成功区間、ジャスト成功区間、および遅め成功区間)も規定されている。成功時処理では、押下期間格納エリアに格納された序盤期間用テーブル222e31に基づいて、成功期間のうち何れの区間であるかが判別されて、各種カウンタ(早め回数カウンタ223π、遅め回数カウンタ223ρ)の値が更新される。
一方、S6102の処理において、変動開始から15秒経過時点でないと判別された場合には(S6102:No)、次いで、変動開始から19秒が経過したか否か判別する(S6125)。ここで、19秒とは本変形例における序盤期間の終了タイミングである。なお、上述した通り、序盤期間の表示態様を設定するための、表示制御装置114のワークRAM233に記憶された表示データテーブルは、序盤期間が終了してから少なくとも1.5秒分の表示態様(表示演出)が余分に規定されている。このため、序盤期間が終了してから0.5秒~1.5秒のオフセット期間を経て中盤期間の演出態様を設定したとしても、オフセット期間中にサブ表示装置690の表示が途切れてしまうことを防止(抑制)することができる。
S6125の処理において、変動開始から19秒が経過したと判別した場合は(S6125:Yes)、次いで、変動演出の結果や遊技者の癖(傾向)等に応じたオフセット期間を設定するためのオフセット設定処理を実行し(S6126)、本処理を終了する。このオフセット設定処理(S6126)の詳細については、図195を参照して後述する。
一方、S6125の処理において、変動開始から19秒経過時点でないと判別した場合は(S6125:No)、オフセット設定処理(S6126)により設定されたオフセット期間が経過したか否かを判別する(S6127)。そして、オフセット期間が経過したと判別した場合は(S6127:Yes)、中盤期間の各種設定を行うための中盤設定処理2を実行して(S6128)、本処理を終了する。この中盤設定処理2(S6128)の詳細については、図196を参照して後述する。
S6127の処理において、オフセット期間が経過したタイミングでないと判別した場合は(S6127:No)、次いで、中盤期間の終了タイミングであるか否か判別する(S6129)。なお、中盤期間の終了タイミングとは、オフセット期間が経過してから5秒後である。S6129の処理において、中盤期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6129:Yes)、タイミング演出における終盤期間の設定を行うための終盤設定処理2を実行し(S6130)、本処理を終了する。この終盤設定処理2(S6130)の詳細については、図197を参照して後述する。
S6129の処理において、中盤期間の終了タイミングでないと判別した場合は(S6129:No)、次いで、終盤期間の終了タイミングであるか否かを判別する(S6131)。なお、終盤期間の終了タイミングとは、中盤期間の終了から2秒後である。S6131の処理において、終盤期間の終了タイミングであると判別した場合は(S6131:Yes)、タイミング演出の結果を報知する報知演出(報知態様)を設定するための報知態様設定処理2を実行し(S6132)、本処理を終了する。この報知態様設定処理2(S6132)の詳細については、図198を参照して後述する。更に、S6131の処理において、終盤期間の終了タイミングでないと判別された場合は(S6131:No)、S6114以降の処理を実行する。上述した通り、S6114,S6115の各処理は、第3制御例におけるタイミング演出処理(図169参照)のS6114,S6115の各処理と同一であるため、その説明については省略する。
次に、図195のフローチャートを参照して、上述したオフセット設定処理(S6126)の詳細について説明する。このオフセット設定処理(S6126)は、序盤期間が終了してから中盤期間の設定を行うまでのオフセット期間を遊技者の癖(傾向)等に応じて設定するための処理である。
このオフセット設定処理(S6126)では、まず、外れに対応する変動演出の実行中であるか否かを判別し(S7101)、外れに対応する変動演出でない(即ち、大当たりに対応する変動演出である)と判別した場合は(S7101:No)、オフセット期間として通常用のオフセット期間であるt1(1秒)を設定し(S7102)、本処理を終了する。この通常用のオフセット期間t1(1秒)が設定された場合には、序盤期間の終了後1秒経過時点で押下期間、およびサブ表示装置690の演出態様が設定される。このタイミングで中盤期間の設定を行うことにより、上述した通り、楽曲のリズム(音程の変化)と成功期間(およびスクロールバーが押下示唆領域911aに重なる表示態様となるタイミング)が一致する(図188参照)。よって、遊技者がリズムに合わせて枠ボタン229を操作することにより、容易にポイントを獲得することができる。よって、大当たり時のタイミング演出においてノルマを達成し易くできる。従って、ノルマを達成し、大当たりとなることにより、遊技者に対してタイミング演出中の頑張りにより自力で大当たりを引き当てたかのように感じさせることができるので、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。
一方、S7101の処理において、外れに対応する変動演出が実行中であると判別した場合は(S7101:Yes)、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S7103)、その値が400未満であるか否かを判別する(S7104)。そして、値が400未満であると判別した場合は(S7104:Yes)、処理を上述したS7102へと移行する。即ち、中盤期間以降も、楽曲のリズムと一致するタイミングで成功期間が設定されるオフセット値(t1)を設定する。スコアカウンタ223ηの値が400未満(つまり、遊技者が序盤期間において獲得したポイントが400ポイント未満)の場合には、中盤期間、および終盤期間において獲得可能なポイント(350ポイント+250ポイント)を全て獲得したとしてもノルマである1000ポイントに満たないためである。よって、この場合には、楽曲のリズムに合わせてボタンを押下するだけで容易にポイントが獲得できる態様に設定する。これにより、ノルマを達成不可能な範囲で、より多くのポイントを獲得させることができるので、タイミング演出のノルマを達成できなかった遊技者に対して、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。よって、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。
一方、S7104の処理において、読み出したスコアカウンタ223ηの値が400以上であると判別した場合は(S7104:No)、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じたオフセット期間を設定するための処理(S7105~S7108)を実行する。即ち、早め回数カウンタ223π、および遅め回数カウンタ223ρの値を読み出して(S7105)、早め回数カウンタ223πの値が遅め回数カウンタ223ρの値よりも大きい値であるか否かを判別する(S7106)。即ち、遊技者が序盤期間において早め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が高い(表示よりも早めに枠ボタン229を操作する傾向にある)か否かを判別する。
S7106の処理において、早め回数カウンタ223πの値が遅め回数カウンタ223ρの値以下であると判別した場合は(S7106:No)、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(楽曲のリズムに有ったタイミング)よりも若干遅めに枠ボタン229を押下する傾向があることを意味する。よって、この場合は、楽曲のリズムよりも成功期間を早めることにより、遅めに枠ボタン229を押下しがちな遊技者がより失敗し易くなるように構成する。即ち、オフセット期間として比較的短めのオフセット期間t3(0.5秒)を設定して(S7107)、本処理を終了する。
これに対し、S7106の処理において、早め回数カウンタ223πの値の方が大きいと判別した場合は(S7106:Yes)、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミング(楽曲のリズムに有ったタイミング)よりも若干早めに枠ボタン229を押下する傾向があることを意味する。よって、この場合は、楽曲のリズムよりも成功期間を遅らせることにより、早めに枠ボタン229を押下しがちな遊技者がより失敗し易くなるように構成する。即ち、オフセット期間として比較的長めのオフセット期間t2(1.5秒)を設定して(S7108)、本処理を終了する。
このように、外れに対応する変動演出において、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を解析(判別)し、解析結果(判別結果)に応じて遊技者が成功期間に枠ボタン229を押下し難くなるオフセット期間を設定することにより、外れに対応する変動演出にも拘らず遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
また、中盤期間以降の押下期間、および演出態様を、本処理で設定したオフセット期間の経過後に設定するように構成することで、押下期間や演出態様のバリエーションが増加してしまうことを防止することができる。即ち、押下期間テーブル222eとして、楽曲のリズムと成功期間とが一致するテーブルと、楽曲のリズムと成功期間とがずれるテーブルとをそれぞれ別々に用意する必要が無くなるため、ROM222の容量を削減することができる。同様に、中盤期間以降の演出態様(表示データテーブル)として、楽曲のリズムとスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとが一致する表示態様と、楽曲のリズムとスクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとがずれる表示態様とをそれぞれ別々に用意する必要が無くなるため、ワークRAM233やキャラクタROM234の容量を削減することができる。
次に、図196のフローチャートを参照して、上述した中盤設定処理2(S6128)について説明する。この中盤設定処理2(S6128)は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出における中盤期間の各種設定を行うための処理である。
この中盤設定処理2(S6128)のうち、S6210、およびS6212の各処理では、それぞれ第3制御例における中盤設定処理(図170参照)のS6210、およびS6212の各処理と同一の処理が実行される。また、本変形例における中盤設定処理2(S6128)では、まず、タイミング演出選択テーブル222dから演出態様として中盤用演出を選択し(S6221)、第3制御例と同様に、処理選択した態様を表示制御装置114に対して通知するための表示用中盤態様コマンドを設定する(S6210)。これにより、中間期間の表示態様を設定することができる。
S6210の処理が終了すると、押下期間テーブル222eから中盤期間用テーブル222e32を読み出して(S6222)、その読み出した中盤期間用テーブル222e32を押下期間格納エリア(図示なし)に格納する(S6212)。これにより、中間期間の表示態様に合わせた成功期間を設定することができる。
この中盤設定処理2(S6128)を実行することにより、中盤期間の表示態様と押下期間とを同じタイミングで設定することができる。つまり、サブ表示装置690に表示される押下示唆領域911aにスクロールバーが重なるタイミングで成功期間を設定することができる。
次に、図197のフローチャートを参照して、上述した終盤設定処理2(S6130)の詳細について説明する。この終盤設定処理2(S6130)は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出における終盤期間の各種設定を行うための処理である。
この終盤設定処理2(S6130)では、まず、外れに対応する変動演出の実行中であるか否かを判別し(S6311)、外れに対応する変動演出の実行中であれば(S6311:Yes)、スコアカウンタ223ηの値を読み出して(S6301)、その値が750以上か否かを判別する(S6312)。そして、スコアカウンタ223ηの値が750以上であると判別した場合は(S6312:Yes)、ノルマである1000ポイントを達成不可能(達成困難)な演出態様に設定するための処理(S6313~S6315)を実行する。
より具体的には、タイミング演出選択テーブル222dから、演出態様として終盤失敗用演出を選択し(S6313)、選択した態様を表示制御装置114へ通知するための表示用終盤失敗態様コマンドを設定する(S6314)。そして、通知した表示態様(演出態様)に合致した押下期間を設定するために、押下期間テーブル222eから終盤期間用失敗テーブル222e34を読み出して押下期間格納エリアに格納し(S6315)、本処理を終了する。これにより、終盤期間において遊技者が獲得可能な最大のポイントを100ポイントに制限することができる。上述した通り、本変形例では、序盤期間において最大500ポイント、中盤期間において最大350ポイントを獲得可能に構成している(図190(b)参照)ため、終盤期間において獲得可能なポイントを100ポイント以下とすることにより、外れに対応する変動演出においてノルマが達成されることを確実に防止(抑制)することができる。即ち、ノルマを達成したにも拘らず、その後に大当たりが開始されないことにより遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)できるので、タイミング演出を安心して楽しませることができる。
一方、S6311の処理において、外れに対応する変動演出の実行中でない(即ち、大当たりに対応する変動演出の実行中である)と判別した場合(S6311:No)、または、S6312の処理においてスコアカウンタ223ηの値が750よりも小さいと判別した場合は(S6312:No)、終盤期間の演出態様として、獲得できるポイントが比較的多い通常用の態様を設定するための処理(S6316~S6318)を実行する。具体的には、タイミング演出選択テーブル222dから、演出態様として終盤通常用演出を選択し(S6316)、選択した態様を表示制御装置114へ通知するための表示用終盤通常態様コマンドを設定する(S6317)。
S6317の処理が終了すると、通知した表示態様(演出態様)に合致した押下期間を設定するために、押下期間テーブル222eから終盤期間用通常テーブル222e33を読み出して押下期間格納エリアに格納し(S6318)、本処理を終了する。これにより、終盤期間においてより多くのポイントを獲得可能とすることができる。よって、大当たりに対応する変動演出の場合には(S6311:No)、ノルマをより達成し易くできるので、遊技者のタイミング演出に対するモチベーションを向上させることができる。また、外れに対応する変動演出においてスコアカウンタ223ηの値が750未満の場合には(S6311:Yes、且つ、S6312:No)、ノルマを達成不可能な範囲で、より多くのポイントを獲得させることができる。よって、タイミング演出のノルマを達成できなかった遊技者に対して、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。従って、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。このように、終盤設定処理2(S6130)によって、遊技者が中盤期間の終了までに獲得したポイント数に応じたタイミング演出の演出態様を設定することができる。
次に、図198のフローチャートを参照して、上述した報知態様設定処理2(S6132)の詳細について説明する。この報知態様設定処理2は、タイミング演出処理2(図194参照)の中で実行され、上述した通り、タイミング演出の結果に応じた報知態様を設定するための処理である。
この報知態様設定処理2(S6132)のうち、S6401、およびS6402の各処理では、それぞれ第3制御例における報知態様設定処理(図172参照)のS6401、およびS6402の各処理と同一の処理が実行される。また、本制御例における報知態様設定処理2(S6132)では、S6402の処理においてスコアカウンタ223ηの値が1000以上である(遊技者がノルマを達成した)と判別した場合に(S6402:Yes)、大当たりを報知するための報知態様を表示制御装置114に対して設定し(S6421)、処理をS6425へと移行する。
一方、S6402の処理において、スコアカウンタ223ηの値が1000未満である(遊技者がノルマを達成できなかった)と判別した場合は(S6402:No)、次いで、現在実行中の変動演出が大当たりに対応する変動演出であるか否かを判別する(S6422)。S6422の処理において、大当たりに対応する変動演出であると判別した場合は(S6422:Yes)、大当たりにも拘らず遊技者がノルマを達成できなかったことを意味する。よって、この場合は、失敗時の報知態様(図165参照)が一旦表示された後、大当たりが報知される態様が表示される報知態様(逆転演出の報知態様)が表示制御装置114に対して設定される(S6423)。このように、逆転演出を設定することにより、ノルマを達成できなかったとしても、大当たりとなることを遊技者に対して認識させることができる。S6423の処理が終了した後は、処理をS6425へと移行する。
一方、S6422の処理において、今回の変動演出が大当たりでない(即ち、外れに対応する変動演出である)と判別した場合は(S6422:No)、失敗時の報知態様(図165参照)が表示されるように表示制御装置114に対して設定し(S6424)、処理をS6425へと移行する。失敗時の報知態様を設定することにより、タイミング演出においてノルマが達成できなかったことを遊技者に対して認識させることができる。
S6421,S6423、およびS6424のいずれかの処理が終了した後で実行されるS6425の処理では、各種カウンタ(スコアカウンタ223η、早め回数カウンタ223π、および遅め回数カウンタ223ρ)の値に対して0を設定することにより初期化して、本処理を終了する。この報知態様設定処理2(S6132)を実行することにより、タイミング演出の結果を遊技者に対して容易に理解させることができる。
以上説明した通り、第3制御例の変形例では、タイミング演出のノルマを達成した場合に付与される特典を特別図柄の大当たりに設定している。これに伴って、外れに対応する変動演出においてタイミング演出が実行された場合に、遊技者がノルマを達成し難くなるように構成している。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある。しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
また、上述した従来型の遊技機の中には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタンを備えると共に、所定の表示演出時に演出ボタンの操作を示唆する複数の示唆画像が表示させることで、遊技者に対して参加を促すものがある(以下、「遊技者参加型演出」という)。この遊技者参加型演出では、示唆画像によって示唆されるタイミングに合わせて演出ボタンを操作することにより得点が加算されていき、得点が基準点以上となった場合に遊技者に対して特典(例えば、当たり)が付与される。
しかしながら、当たりとなるか否かは遊技者参加型演出の開始よりも前に実行される抽選によって既に決定されている。このため、従来型の遊技機では、当たりの場合にのみ基準点を達成可能とする必要があり、当たりの場合と外れの場合とで遊技者参加型演出の表示態様を変更せざるを得なかった。よって、遊技者参加型演出の表示態様から当たりか外れかを予測できてしまい、遊技者の参加意欲を向上させ難いという問題点があった。
これに対して本変形例では、外れに対応する変動演出において実行されるタイミング演出において、中盤期間以降の成功期間を、タイミング演出中に流れる楽曲のリズムからずらして設定されるように構成している。これにより、序盤期間においてリズム通りに枠ボタン229を操作することによってポイントを獲得していた遊技者に対して、押下タイミングを狂わせることができるので、遊技者が中盤期間以降にポイントを獲得し難くすることができる。よって、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成することを防止(抑制)できるので、ノルマを達成したにも拘らず大当たりが開始されないことにより、遊技者に対して不信感を抱かせてしまうことを防止(抑制)することができる。
また、本変形例では、タイミングのずらし方として、楽曲のリズムに比較して成功期間の方が早いタイミングで設定されるずらし方と、楽曲のリズムに対して遅いタイミングで設定されるずらし方とを選択できる。これらは、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じて使い分けられる。即ち、比較的早めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して遅らせることにより、遊技者がより成功期間に枠ボタン229を操作し難くなるように構成している。一方、比較的遅めに枠ボタン229を操作する傾向にある遊技者の場合には、成功期間を楽曲のリズムに対して早めることにより、遊技者がより成功期間に枠ボタン229を操作し難くなるように構成している。これにより、遊技者の癖(傾向)を加味して、各遊技者にとって成功期間で枠ボタン229を押下することが困難となる態様でタイミング演出を実行することができるので、外れに対応する変動演出においてノルマを達成してしまうことをより確実に防止(抑制)できる。なお、本変形例では、スクロールバーと押下示唆領域911aとが重なる表示態様となる期間と、成功期間とが完全に一致するように構成したうえで、成功期間と楽曲のリズムとをずらすように構成している。このように構成することにより、楽曲に惑わされずにサブ表示装置690の表示に従って枠ボタン229の押下を行えば、対応するポイントが加算される。よって、外れの場合にも、遊技者が「不正に失敗させようとしている」という感想を抱き難くすることができる。従って、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上することができる。
また、本変形例では、終盤期間における演出態様として、複数種類の態様から1の態様を選択可能に構成している。より具体的には、獲得可能なポイントが比較的多い(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様と、獲得可能なポイントが比較的少ない(即ち、成功期間が設定される回数の多い)態様とを選択可能に構成している。外れに対応する変動演出において、中盤期間の終了までに遊技者の獲得したポイントが所定以上(750ポイント以上)の場合には、獲得可能なポイントが少ない態様を設定することにより、タイミング演出が終了するまでに遊技者がノルマである1000ポイントを達成してしまうことを防止している。このように構成することで、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまう状況をより確実に防止(抑制)することができる。
本変形例では、中盤期間以降において、タイミング演出中に流れる楽曲のリズムと、成功期間が設定されるタイミングとをずらすことにより、遊技者が成功期間において枠ボタン229を押下し難くなるように構成していたが、外れに対応する変動演出においてノルマの達成を防止(抑制)するための構成はこれに限られるものではない。例えば、タイミング演出の難易度を、外れに対応する変動演出であるか否かに応じて可変させてもよい。ここで、難易度の変更方法としては、例えば、上述した第3制御例と同様に、スクロールバーの数や、押下示唆領域911aの広さ(成功期間の長さ)を可変させる方法が挙げられる。即ち、難易度を難しくする場合には、ポイントの少ない(10ポイントの)スクロールバー(ハッチングされたスクロールバー)を多く表示させたり、押下示唆領域911aを狭く(成功期間を短時間に)すればよい。ポイントが少ないスクロールバーを多く表示させる程、枠ボタン229の押下をより多くの回数成功しなければノルマを達成できなくなるため、難易度を難しくすることができる。また、押下示唆領域911aを狭く(成功期間を短時間に)する程、押下示唆領域911a成功期間にタイミングを合わせて枠ボタン229を押下することが困難となるため、難易度を難しくすることができる。なお、これらの難易度変更方法を実現するためには、タイミング演出の演出態様(表示態様)を設定するための表示データテーブルとして、難易度の異なる複数のテーブル(スクロールバーの表示個数が異なるテーブルや、押下示唆領域911aの広さが異なるテーブル)をキャラクタROM234に記憶しておくと共に、ワークRAM233のデータテーブル格納エリア233bに対して、難易度の異なる複数の表示データテーブルを記憶可能に構成すればよい。また、タイミング演出に用いられる各表示データテーブルの表示態様に対応する押下期間を設定するためのデータテーブルを押下期間テーブル222eに設けておけばよい。このように、難易度に応じた表示態様の表示データテーブル、および各表示データテーブルの表示態様に応じた押下期間を設定するためのデータテーブルを用意しておくことにより、難易度変更を行う際に、対応する難易度の表示データテーブルと、その表示データテーブルに対応する押下期間とを設定するだけで容易に難易度を可変させることができる。
なお、難易度の選択(変更)は、上記第3制御例と同様に、タイミング演出の実行期間において複数回設定し直すように構成してもよいし、1回のタイミング演出において1回のみ設定する(例えば、タイミング演出の開始時に設定する)ように構成してもよい。また、難易度は、単に実行中の変動演出が大当たりに対応する変動演出であるか、外れに対応する変動演出であるかに応じて設定することに限定されるものではない。例えば、遊技者の技量(獲得したポイント)に応じて難易度を可変させるように構成してもよい。より具体的には、例えば、序盤期間において獲得したポイントが多いほど、中盤期間以降の難易度が難しくなるように構成してもよい。これにより、ノルマを達成できない範囲でより遊技者の技量に応じた難易度でタイミング演出を実行できる。よって、より多くのポイントを獲得させつつ、ノルマを未達成とすることができるので、「惜しかった」という感想や、「次はノルマを達成できそうだ」という感想を抱かせることができる。よって、次回のタイミング演出における遊技者の参加意欲を向上させることができる。
また、外れに対応する変動演出においてノルマの達成を防止(抑制)するために難易度を可変させる別の方法として、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とをずらしてもよい。ここで、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングと、成功期間とを完全にずらしてしまうと、遊技者が確実に押下示唆領域911aとスクロールバーとが重なったタイミングで枠ボタン229を押下したという感触を得たにも拘らず、押下に失敗したと判定されてしまい、タイミング演出に対して不信感を抱いてしまう虞がある。このため、例えば、スクロールバーと押下示唆領域911aとが完全に重なった表示態様(図187のJK参照)になる期間と、成功期間とは一致させておきつつ、成功期間を時間的に早い側、或いは遅い側にシフトさせるように構成してもよい。また、シフトする方向は、遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)に応じて可変させてもよい。即ち、第3制御例の変形例と同様に、遊技者が早め成功区間で枠ボタン229を押下しがちか、遅め成功区間で枠ボタン229を押下しがちかを、序盤期間における押下状況(早め回数カウンタ223π、遅め回数カウンタ223ρの値)に基づいて解析する。そして、遊技者の癖(傾向)から、遊技者が押下に成功し難い側に成功期間をシフトさせてもよい。即ち、枠ボタン229を早めに押下する傾向の遊技者の場合には、中盤期間以降に成功期間を遅い側にシフトし、枠ボタン229を遅めに押下する傾向の遊技者の場合には、中盤期間以降に成功期間を早い側にシフトしてもよい。これにより、遊技者が序盤期間と同じタイミングで枠ボタン229を押下し続けた場合に、失敗期間で押下させ易くできるので、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
本変形例では、外れに対応する変動演出において遊技者がノルマを達成し難くなるように、楽曲のリズム(音程の変化)と、スクロールバーが押下示唆領域911aに重なるタイミングとをずらしていたが、これに限られるものではない。例えば、サブ表示装置690の右側からスクロール表示されるスクロールバーの少なくとも一部が、押下示唆領域911aへ到達する前に(スクロール表示の途中で)非表示となるように構成してもよい。このように構成することで、遊技者は、非表示となる前のスクロール速度から押下示唆領域911aへと到達するタイミングを予測して枠ボタン229を押下しなければならないので、成功期間において枠ボタン229を押下することをより困難とすることができる。よって、外れに対応する変動演出の場合に、遊技者がノルマを達成してしまうことを防止(抑制)できる。また、スクロールの途中で非表示とする態様は、大当たりに対応する変動演出の実行中にも設定することができる。大当たりの場合にも、外れの場合にもスクロールの途中で非表示とされることにより、外れの場合にだけ露骨に難しくなったと感じさせてしまうことを防止(抑制)できる。よって、タイミング演出の途中で遊技者の参加意欲を低下させてしまうことを防止し、最後まで参加させることができる。更に、大当たりの場合には、スクロールバーがスクロール表示中に非表示となるものの、成功期間が長くなるように構成してもよい。そして、外れの場合には、成功期間が短くなるように構成してもよい。このように構成することで、大当たりの場合には、スクロールバーが非表示となる前のスクロール速度からタイミングを図ることにより、成功と判定され易くできる。一方、外れの場合には、スクロール速度からタイミングを図ったとしても、失敗と判定され易くできる。よって、大当たりに対応する変動演出において設定されたタイミング演出では、ノルマを達成し易くできる一方で、外れに対応する変動演出でノルマが達成されることをより確実に防止(抑制)することができる。
本変形例では、序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)について、早め成功区間(図187参照)に遊技者が枠ボタン229を押下した回数と、遅め成功区間(図187参照)に遊技者が枠ボタン229を押下した回数との比較により判別していたが、この構成に限られるものではない。例えば、ジャスト成功区間(図187参照)において遊技者が枠ボタン229を押下した回数もカウントしておき、成功期間において枠ボタン229を押下した回数に対する早め成功区間、遅め成功区間で枠ボタン229を押下した回数の割合から遊技者の癖(傾向)を判別してもよい。つまり、例えば、早め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が5割を超えている場合には、早めに押下する癖(傾向)がある遊技者と判別し、遅め成功区間で枠ボタン229を押下した割合が5割を超えている場合は、遅めに押下する癖(傾向)がある遊技者と判別してもよい。上記第3制御例の変形例では、例えば、序盤期間において1回のみ遅め成功区間で枠ボタン229を押下し、他の成功期間での押下が全てジャスト成功区間における押下だった場合にも、遅めに枠ボタン229を押下する傾向の遊技者であると判別してしまう(図195のS7106参照)。これに対して、早め成功区間、遅め成功区間でそれぞれ枠ボタン229を操作した割合から遊技者の癖(傾向)を判別することによって、より正確に遊技者の傾向を解析することができる。
本制御例では、外れに対応する変動演出において、遊技者の癖(傾向)に応じて押下期間を楽曲のリズムに対して0.5秒早め、または遅めにずらすように構成していたが、これに限られるものではない。遊技者が枠ボタン229を押下し難くなるタイミングであれば、ずらす時間は任意に定めることができる。また、必ずしも同じ時間一律に押下期間をずらす必要はない。1のタイミング演出において、押下期間をランダムに遅らせたり、早めたりしてもよい。このように構成することで、成功期間における押下をより困難とすることができるので、外れに対応する変動演出にも拘らずノルマを達成してしまうことを防止(抑制)することができる。
本変形例では、序盤期間における獲得可能ポイントを500ポイントとし、中盤期間における獲得可能ポイントを350ポイントとし、終盤期間における獲得可能ポイントを250ポイント、または100ポイントとしている。そして、タイミング演出のノルマを1000ポイントとしているが、各期間のポイント、およびノルマは、外れに対応する変動演出においてノルマが達成できなくなる範囲で任意に定めることができる。
本変形例では、変動演出において特に制限なくタイミング演出が設定されるように構成していたが、タイミング演出に制限を設けてもよい。例えば、保留球数に応じてタイミング演出の選択され易さを変更してもよい。具体的には、保留球数が多い程、タイミング演出が選択され易くなるように構成し、保留球が少ないほど選択され難くなるように構成してもよい。上述した通り、本制御例のタイミング演出は、枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する必要がある。このため、タイミング演出に片手では参加し難く、両手を使用して参加した方が押下を成功させやすくなるように構成されている。即ち、タイミング演出でノルマを達成しようとする遊技者は、一時的に操作ハンドル51から手を離してタイミング演出に参加する可能性がある。よって、保留球数が少ない状態でタイミング演出に参加すると、タイミング演出中に保留球を増やすことができないので、タイミング演出が設定された変動演出の終了後に、特別図柄の抽選が途切れてしまう虞がある。つまり、遊技効率が悪くなってしまう虞がある。よって、保留球の少ない状況下ではタイミング演出が設定され難い構成とすることにより、保留球が少ない状況下では遊技者に球を打ち出させることができるので、保留球を貯めやすくすることができる。よって、遊技効率をアップさせることができる。一方で、保留球の個数が多い場合には、変動中に球を打ち続けることにより、更に保留球が増加する場合があり、保留球数の上限を上回る個数の入球が検出される虞がある。よって、この場合には、両手を用いて参加することによりノルマを達成し易いタイミング演出の発生頻度を高めることにより、保留球数がオーバーフローしてしまうことを防止(抑制)することができる。
本制御例では、タイミング演出として枠ボタン229を構成する複数のボタン(上ボタンUB、右ボタンRB、左ボタンLB、下ボタンDB)をタイミング良く押下する演出が実行されるように構成しているが、ボタンの個数は4種類に限られるものではない。例えば、単一の枠ボタンをタイミング良く押下する演出をタイミング演出として実行してもよい。このように構成することで、片手でハンドル51を操作しつつ、もう片方の手でタイミング演出に参加することができるので、遊技効率を低下させることなくタイミング演出に参加させることができる。よって、遊技者のタイミング演出に対する参加意欲を向上させることができる。また、タイミング演出において操作するボタンの種別を減らすことによって、より判り易いゲーム性とすることができる。一方、操作するボタンの種別を本制御例よりも多くしてもよい。操作するボタンが増加する程、タイミング演出の難易度を増加させることができるので、タイミング演出の技量が高い遊技者に対して満足感を抱かせることができる。
本制御例では、変動演出の実行中にタイミング演出を実行するように構成しているが、タイミング演出の実行期間はこれに限られるものではない。例えば、大当たり(特別遊技状態)中にタイミング演出を実行するように構成してもよい。この場合において、タイミング演出でノルマを達成することにより、大当たり終了後に特別図柄の確変状態へと移行することが報知されるように構成してもよい。そして、16R通常大当たりにおいてタイミング演出が設定された場合には、上記第3制御例の変形例において外れに対応する変動演出で実行した制御と同様の制御を行えばよい。即ち、16R通常大当たりにおいてノルマが達成されることを防止(抑制)する制御を行えばよい。大当たりにおいてタイミング演出を設定することにより、大当たり中が賞球を獲得するための単なる作業となってしまうことを防止(抑制)できるので、大当たり中の遊技に対する興趣を向上させることができる。なお、この場合において、16R確変大当たり(大当たりA)にも拘らず遊技者がノルマを達成できなかった場合には、例えばタイミング演出の報知期間において特別図柄の低確率状態が報知され、その後の大当たりのエンディングで逆転演出を行って特別図柄の確変状態を報知するように構成してもよい。これにより、タイミング演出でノルマを達成できなかった場合にも、エンディング期間で逆転演出が発生することを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
上記第3制御例、および第3制御例の変形例では、押下期間テーブル222eにおいて、タイミング演出ポインタ223δの値に対応付けて押下期間(成功期間、失敗期間等)を規定していたが、これに限られるものではない。変動演出等の演出が開始されてからの経過時間を計時する計時タイマはの値い対応付けて押下期間を規定しておいてもよい。このように構成することにより、タイミング演出ポインタ222eを省略することができるので、RAM223の容量を削減することができる。
本変形例では、タイミング演出の序盤期間において遊技者が枠ボタン229を押下する際の癖(傾向)を判定するように構成していたが、遊技者の癖(傾向)を判定する期間はこれに限られるものではない。例えば、タイミング演出が開始される前に、タイミング演出のゲーム性を説明する期間(ゲーム説明期間)を設定しておき、そのゲーム説明期間において枠ボタン229の操作説明を行う際に、遊技者に操作を促してタイミング演出への参加方法を認識させつつ、遊技者の癖(傾向)を判別するように構成してもよい。この場合において、遊技者に操作を促す際は、一定のテンポの楽曲を流しておき、この楽曲のテンポに合わせて一定間隔、一定速度で複数のスクロールバーが表示されるように構成してもよい。これにより、一定の間隔で遊技者に対して枠ボタン229を操作させることができるので、遊技者の癖(傾向)をより正確に把握することができる。
<第4制御例>
次に、図174~図186を参照して、第4制御例におけるパチンコ機10について説明する。上記第1制御例では、各役物が単独で、または複合して可変動作を行う場合の制御例について説明した。これに対して第4制御例では、可変動作と点灯動作とを複合して行う役物の好適な制御方法について説明する。
この第4制御例におけるパチンコ機10が、第1制御例におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、変動演出等において可動する演出を行う役物として、回転点灯ユニット800が追加されている点、音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223の構成が一部変更となっている点、および音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される一部処理が第1制御例におけるパチンコ機10から変更されている点である。その他の構成や、主制御装置110のMPU201によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については、第1制御例におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1制御例と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
まず、図185、図186を参照して、本制御例における遊技盤13の正面図について説明する。図185は、上述した回転点灯ユニット800が退避位置にある場合における遊技盤13の正面図であり、図186は、回転点灯ユニット800が張出位置にある場合における遊技盤13の正面図である。回転点灯ユニット800が可変動作を行う演出の実行期間外である場合は、図185に示す退避位置に配置される。一方、回転点灯ユニット800が可変動作を行う演出が設定された場合には、回転点灯ユニット800が図186に示す張出位置に配置されて、演出に応じた動作(回転動作、および点灯動作)が行われる。
図185に示した通り、回転点灯ユニット800の退避位置は、第3図柄表示装置81の正面視左下である。図185に示した通り、回転点灯ユニット800が退避位置に配置されると、回転点灯ユニット800の右上部分が僅かに視認できるのみであり、大半が他の構成に隠れて正面から視認できない状態となる。一方、回転点灯ユニット800の張出位置は、図186に示した通り、第3図柄表示装置81の下方である。この場合、回転点灯ユニット800の大部分を遊技者が正面から視認することができる。
次に、図175~図178を参照して、本制御例における回転点灯ユニット800の構成について説明する。まず、図175(a)は、本制御例における回転点灯ユニット800の分解斜視図であり、図175(b)は、左側面側からの回転点灯ユニット800の側面図である。
図175(a)に示した通り、回転点灯ユニット800は、手前側に回転軸822を中心として回転可能な略円形の回転部材820が設けられ、その背面側に、点灯及び消灯が可能な点灯装置810が設けられている。回転部材820には6個の貫通孔821a~821fが設けられている。これらの貫通孔821a~821fは、全て直径が同一となる円形で構成されており、回転軸822を中心とする円周上において等間隔で(60度おきに)配置されている。これにより、回転部材820が60度回転する毎に、同一の形状(見た目)となる(6回対称である)。また、回転部材820は、半透明の材質(例えば、PS材)で構成されている。このため、貫通孔821a~821fの背面側以外の部分が点灯した場合にも、大まかな点灯状況を正面側から視認することができる。
点灯装置810には、回転部材820の回転軸822を挿通するための挿通口812が設けられている(図175(b)参照)。この挿通孔812を介し、回転軸822が、回転部材820を回転させるための駆動モータに対して物理的に接続される。即ち、駆動モータによって回転するのは回転部材820のみであり、点灯装置810は回転しない。
点灯装置810は、その前面側が導光板で構成され、導光板の背面側(点灯装置810の内部)にLEDが設けられている。内部のLEDを点灯させることにより、導光板を介して遊技者がLEDの光を視認することができる。また、LEDは前面側の全てを照らせるように、導光板の背面側に満遍なく配置されており、全てのLEDを点灯させることにより、点灯装置810の前面側が均等に光っている見た目となる。
また、点灯装置810の前面側には、局所的に円形に発光させることが可能な複数の領域が設けられている。即ち、6つの円形点灯領域811a~811fが設けられている。これらの円形点灯領域811a~811fの形状は、貫通口821a~821fと略同一の直径の円で構成されている。また、挿通孔812を中心とする円周状に等間隔で(60度おきに)配置されている。円形点灯領域811a~811fが配置される円周と、貫通口821a~821fが配置される円周とは略同一の直径で構成されているので、回転部材820が回転することにより、いずれかの貫通口がいずれかの円形点灯領域の前面側に到達することにより、全ての貫通口が全ての円形点灯領域の手前側で完全に重なるように構成されている。
なお、円形点灯領域811a~811fを局所的に発光させるためには、例えば、各円形点灯領域811a~811fの円周部分で、他の領域と導光板を分割すると共に、円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDの光が他の領域に漏れないように、内部に仕切りを設けておけばよい。そして、円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDを別個に点灯制御可能に構成すればよい。このように構成することで、全てのLEDを点灯させれば、点灯装置810の前面側が全体的に点灯した見た目となる一方で、いずれかの円形点灯領域811a~811fに設けられたLEDを独立して点灯させることにより、その領域のみ円形に点灯した見た目とすることができる。
ここで、円形点灯領域811a~811fに設けられているLEDは、赤色のLEDと白色のLEDとで構成されており、他の領域に設けられているLEDは白色のLEDのみで構成されている。そして、点灯装置810を全体的に点灯させる場合には、全ての白色のLEDを点灯させることにより点灯装置810の全体が白色で点灯した見た目とすることができる。一方、円形点灯領域811a~811f一部又は全部のみを点灯させる場合には、対応する領域に設けられた赤色のLEDの点灯を設定するように構成されている。
次に、図176~図178を参照して、回転部材820の回転速度毎の点灯装置810の点灯制御方法について説明する。ここで、まず、回転点灯ユニット800を用いた演出の概要について説明する。本制御例では、回転点灯ユニット800を用いた演出として、回転部材820が回転して各貫通口821a~821fと、各円形点灯領域811a~811fとが前後で重なる位置となる毎に(即ち、回転部材820が60度回転する毎に)、円形点灯領域811a~811fが1箇所ずつ赤色の点灯状態となっていく演出が設けられている。この演出では、赤色の点灯状態となった円形点灯領域の個数によって、当該変動演出において大当たりとなる期待度を示唆する。このため、遊技者に対して、なるべく多くの円形点灯領域が点灯することを期待して回転点灯ユニット800の状態を確認させることができる。なお、この期間は、遊技者が点灯状態となった円形点灯領域の個数を容易に視認できるように、回転部材820の回転速度として比較的遅い速度(例えば、1秒間に60度回転する回転速度)が設定される(低速回転状態が設定される)。
また、上述した低速回転状態は、回転部材820が1回転するまで継続する。回転部材820が1回転すると、回転速度を加速させる。そして、回転速度が所定速度以上(例えば、1秒間に1回転以上)になった場合には、点灯装置820を全点灯の状態に切り替える。なお、回転速度が所定速度以上(例えば、1秒間に1回転以上)になって以降も回転速度が継続して加速される。そして、回転速度が比較的速い速度(1秒間に3回転する速度)に到達した(高速回転状態になった)と判別されると、点灯装置810に対して前面同位相の間欠点灯を設定する(つまり、全ての白色LEDに対し、一定の周波数で点灯と消灯とを繰り返すように設定する)。詳細については図178を参照して後述するが、この間欠点灯の点灯周波数、および点灯期間は、回転している回転部材820の回転方向が、所謂ワゴンホイール効果により逆回転の見た目となるように設定される。
そして、逆回転の見た目となって以降は、低速回転状態において点灯された個数の円形点灯領域を再度、間欠点灯の点灯周波数に合わせて点灯させる。この高速回転状態においても、円形点灯領域の点灯個数が増加される場合がある。よって、遊技者に対して演出を最後まで確認させることができるので、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができる。
なお、本制御例では、回転点灯ユニット800の動作として、回転部材820の回転動作のみが動作シナリオに規定されている。そして、点灯装置810は、回転部材820の実際の回転動作から回転速度を判別して、点灯態様を切り替えるように構成されている。より詳述すると、回転点灯ユニット800を動作させる演出に対応する動作シナリオには、まず、回転点灯ユニット800を退避位置(図185参照)から張出位置(図186参照)へと可動させる動作が規定されている。そして、張出位置(図186参照)への可動が終了した(センサにより張出位置となったことを検出した)場合の動作として、動作シナリオには回転部材820の低速回転状態での回転動作が規定されている。また、低速回転状態に設定してから所定期間(例えば、6秒)が経過した場合の動作として、回転部材820の回転速度を加速させる動作が規定されている。そして、回転速度を加速させる動作の後に設定する動作として、高速回転状態で所定期間(例えば、6秒)が経過すると、回転速度を減速させて回転部材820の回転を停止させる動作が規定され、その後の動作として、回転点灯ユニット800を退避位置へと可動させる動作が規定されている。このように、動作シナリオには回転部材820の動作のみを規定しておき、点灯装置810の点灯態様を回転部材820の速度に合わせて可変させることにより、回転部材820の回転動作と点灯装置810の点灯制御とがずれてしまうことを抑制できる。即ち、回転部材820の回転速度が変更された場合に、より確実に点灯態様を変更することができるので、回転点灯ユニット800の見た目の品位を向上させることができる。
次に、図176、および図177を参照して、低速回転状態(低速動作時)における点灯制御の方法について説明する。まず、図176は、低速回転状態(低速動作時)において、見た目の品位が悪くなる点灯制御の例を示した図であり、図177は、本制御例における低速回転時(低速動作時)の点灯制御例を示した図である。即ち、低速回転時(低速動作時)に図176のような見た目となることを防止し、図177のような見た目とする制御方法について説明する。
図176は、上述した通り、低速回転状態(低速動作時)において見た目の品位が悪化してしまう点灯制御を例示した図である。この例では、低速回転状態において、2個の円形点灯領域が点灯した状態で回転部材820が60度回転する場合を示した図である。
貫通孔821a~821fの配置が、円形点灯領域811a~811fの位置に重なった状態になると、貫通孔821a~821fを介して円形点灯領域811a~811fが視認可能となる。図176(a)は、貫通口821e,821fが、それぞれ点灯状態に設定された2つの円形点灯領域と重なっている状態を示している。
また、図176(b)は、回転部材820が回転し、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態を示した図である。この悪例では、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致する前に、次の点灯位置を点灯させてしまっているため、貫通孔821a,821e,821fから中途半端に円形点灯領域の赤色の光が漏れ出た状態となっている。よって、見た目の品位が悪くなってしまっている。これは、貫通孔821a~821fは回転部材820の回転量に応じて連続的に変化するのに対して、円形点灯領域811a~811fは位置が固定となっているためである。即ち、各円形点灯領域の点灯位置を貫通孔821a~821fに連続的に追従させることができないため、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態では、見た目の品位が悪化してしまう。
図176(c)は、各円形点灯領域の点灯状況が図176(b)の状態を保ったまま、回転部材820が60度回転し、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが再度一致した場合を示している。この場合には、図176(a)と同様に、点灯状態に設定された2つの円形点灯領域と、貫通孔821e,821fとの配置が重なるため、円形点灯領域からの光を正面から綺麗に視認することができる。このように、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致していない回転位置において1又は複数の円形点灯領域が点灯状態になると、見た目の品位が悪化してしまう(図176(b)参照)。そこで、本制御例では、見た目の品位向上を図るために、図177に示す点灯状態となるように点灯制御を行う。
図177は、本制御例における低速回転状態(低速動作時)の点灯制御方法を例示した図である。図177に示した通り、本制御例では、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致している場合にのみ、対応する円形点灯領域を点灯させるように制御を行い(図177(a),(c)参照)、それ以外の中間位置においては、全ての円形点灯領域811a~811fを消灯状態に設定する。このように構成することで、貫通孔821a~821fと円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態で1又は複数の円形点灯領域が点灯し、中途半端な見た目となってしまうことを防止(抑制)できる。よって、低速回転状態(低速動作時)の見た目の品位を向上させることができる。
なお、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致しているか否かは、図示しない回動センサによって検出可能となるように構成されている。この回動センサは、回転部材820が60度回転する毎に出力がHとなるように構成されている。例えば、貫通孔821aが円形点灯領域811aの位置に一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811bに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811cに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811dに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811eに一致している(重なっている)状態でも、円形点灯領域811fに一致している(重なっている)状態でも同様に出力がHに設定される。一方、貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれている場合には、出力がLに設定されるように構成されている。
次に、図178を参照して、高速回転状態(高速動作時)の点灯制御方法について説明する。上述した通り、高速回転時においては、全ての白色LEDに対し、一定の周波数(24Hz)で点灯と消灯とを繰り返すように設定する。また、1回の点灯期間は極めて短くなるように構成され(例えば、オンDUTY0.5%)、点灯した瞬間における回転部材820の配置が何とか視認できる(回転していることが認識できない)長さの期間となるように構成されている。
図178に示した通り、高速回転状態においては、回転部材820が45度回転する毎に、瞬間的に点灯装置810の全体が白色点灯する(全点灯する)。高速回転状態においては、回転部材820が1秒間に3回(1秒間に1080度)回転するのに対して、点灯周波数が24Hz(1秒間に24回)に設定されるため(1080度÷24=45度)である。一方、瞬間的に点灯している期間以外は、点灯装置810が消灯状態となるため、回転部材820の姿も見えなくなってしまう。よって、遊技者の目線では、回転している回転部材820を連続的に視認することができず、24Hzのコマ送りのような見た目となって認識されることになる。
図178を参照して遊技者目線での回転部材820の見え方をより具体的に説明する、図178(a)に示した配置において点灯装置810が瞬間的に全点灯すると、図178(a)の配置が遊技者に認識されるが、点灯期間が瞬間的(オンDUTY0.5%)なので、遊技者が認識できるのは回転部材820の配置のみであり、回転方向を認識することができない。その後、回転部材820が45度回転するまで点灯装置810が消灯状態に設定されるため(図178(b)参照)、この期間において遊技者は回転部材820の姿を視認することができない。
次の24Hz期間になると(即ち、図178(b)の配置になると)、点灯装置810が再度、瞬間的に全点灯状態となる。この場合も、図178(a)の配置と同様に点灯期間が十分短いため、遊技者が認識できるのは回転部材820の配置のみである。そして、次の24Hz期間まで再度消灯が設定され(図178(d)参照)、次の24Hz期間に到達すると、瞬間的に全点灯が設定されて図178(e)の配置が遊技者に認識される。以降も同様の制御によって、24Hzで回転部材820の配置が認識される。
ここで、上述した通り、回転部材820は、60度回転する毎に、同一の形状(見た目)となる(6回対称である)ように構成されているので、図178に示すように、周期的に回転部材820の配置のみを認識させることにより、回転方向を誤認させることができる。即ち、実際には図178(a)の配置から、貫通孔821a~貫通孔821fが時計回り(正方向)に45度回転することにより、図178(c)の配置に到達しているにも拘わらず、回転部材820が反時計回りに15度回転したかのように認識させることができる。これは、見た目から貫通孔821aと貫通孔821fとを区別することができないため、図178(a)において貫通孔821aが配置されていた位置に最も近い(15度だけ異なる)、図178(c)における貫通孔821fを、貫通孔821aと認識(誤認)させることができるためである。
以降も同様に、見た目の回転量が最も少ない方向へ回転していると認識させ続けることにより、本来の回転方向と、遊技者が認識する回転方向とを逆転させることができる。このように、点灯制御の切り替えのみにより回転方向が変更された見た目となるように構成することで、回転部材820の回転方向の変更を省略することができる。よって、回転方向を変更するために、急停止や急反転が行われることにより駆動モータに対して過剰な負荷をかけてしまうことを防止(抑制)できるので、駆動モータを故障し難くすることができる。従って、より長く安定して稼働できるパチンコ機10を提供することができる。
本制御例では、高速回転状態において回転部材820が45度回転する毎に(即ち、24Hzで)点灯装置810を全点灯に設定していたが、点灯装置810を点灯させる周波数はこれに限られるものではない。高速回転状態において、1の全点灯から次の全点灯までに回転部材820が回転する角度が30度(即ち、隣接する貫通孔の間隔である60度の半分)よりも大きく、且つ、60度(即ち、隣接する貫通孔の間隔)よりも小さくなる範囲で任意に定めることができる。つまり、1の貫通孔の回転前の配置と、その1の貫通孔に対して回転方向と逆隣(即ち、左側)に隣接する貫通孔の回転後の配置とを比較した場合の角度が、1の貫通孔が実際に回転した角度よりも小さくなっていればよい。このように構成することで、移動角度の小さい(移動距離が小さい)方向に移動(回転)したと誤認させることができるので、点灯装置810が瞬間的に全点灯に設定される毎に、貫通孔が逆隣りに隣接する貫通孔の位置に移動しているかのような見た目にできる。よって、回転速度や回転方向を変更せずに、点灯制御だけで逆回転しているように感じさせることができるので、駆動モータに対して過剰な負荷をかけてしまうことを防止(抑制)し、より長く安定して稼働できるパチンコ機10を提供することができる。
<第4制御例における電気的構成について>
次に、図174を参照して、本制御例における音声ランプ制御装置113に設けられたRAM223の構成について説明する。図174は、本制御例におけるRAM223の構成を示したブロック図である。図174に示した通り、本制御例におけるRAM223は、第1制御例におけるRAM223の構成に加え、点灯状態カウンタ223θと、点灯位置格納エリア223ιと、点灯設定済フラグ223κと、初回識別済フラグ223λと、速度識別用タイマ223μと、前回値格納エリア223νと、速度格納エリア223ξとが追加されている。
点灯状態カウンタ223θは、点灯装置810の点灯状態の種別を示すカウンタであり、カウンタ値に応じて異なる点灯状態を示すことができる。具体的には、「01H」は、低速回転状態(低速動作時)の点灯制御を行うための点灯状態(図177参照)であることを意味し、「02H」は、低速回転状態から高速回転状態へと遷移する、回転速度の加速時における点灯状態(全点灯状態)であることを意味し、「03H」は、高速回転状態(高速動作時)における点灯状態(図178参照)であることを意味する。一方、カウンタ値が「00H」であれば、点灯装置810の点灯制御が行われない状態であることを意味する。この点灯状態カウンタ223θは、点灯状態を切り替えるタイミングで更新される(図181のS6613、図183のS6805、図184のS6909参照)。この点灯状態カウンタ223θは、メイン処理の中で実行される点灯制御処理(図180参照)において参照され、カウンタ値に応じた点灯制御が設定される。
点灯位置格納エリア223ιは、各円形点灯領域821a~821fの点灯状態を示す情報が格納される領域である。この点灯位置格納エリア223ιは、例えば1バイトで構成され、第0ビットから第5ビットがそれぞれ円形点灯領域821a~821fに対応している。この点灯位置格納エリア223ιを構成する各ビットは、値が1(オン)であれば対応する円形点灯領域が点灯状態であることを示し、オフであれば消灯状態であることを示す。この点灯位置格納エリア223ιに格納される情報は、低速回転状態や、高速回転状態において、回動センサの出力がHとなったことを検出する毎に(貫通孔821a~821fの配置と、円形点灯領域811a~811fの位置とが重なる毎に)、その値が更新される(図181のS6608,S6610、図184のS6911,S6912参照)。また、回転点灯ユニット800を用いた演出が終了するタイミングで全ての値がクリアされる。
点灯設定済フラグ223κは、回動センサの出力がHとなったことに基づいて点灯状態の更新が行われたか否かを示すフラグである。この点灯設定済フラグ223κがオンであれば、回動センサの出力がHとなったことに基づいて点灯状態が更新済みであることを示し、オフであれば、点灯状態の更新を行っていないことを示す。この点灯設定済フラグ223κがオフの状態で回動センサのH出力を検出した場合に、点灯状態が更新されると共に点灯設定済フラグ223κがオンに設定される(図181のS6612、図184のS6914参照)。また、点灯状態の更新後、最初に回動センサのL出力を検出した場合にオフに設定される(図181のS6604,S6611、図184のS6911参照)。この点灯設定済フラグ223κを参照して点灯状態の更新を行うように制御することにより、回動センサの出力がHとなっている間に、複数回点灯状態が更新されてしまうことを防止することができる。
初回識別済フラグ223λは、回転部材820の回転速度を識別するため基準値(速度識別用タイマ223μの値)を取得済か否かを示すフラグである。この初回識別済フラグ223λがオンであれば、回転速度を識別するため基準値(速度識別用タイマ223μの値)が取得済みであることを示し、オフであれば、基準値が未取得であることを示す。この初回識別済フラグ223λがオンであれば、既に取得されている基準値に基づいて回転速度が算出される(図182のS6701参照)。一方、初回識別済フラグ223λがオフであれば、回転速度を識別するための基準値が取得された後で、フラグがオンに設定される(図182のS6703参照)。この初回識別済フラグ223λを用いることにより、回転部材820の回転速度を正確に判別することができる。
速度識別用タイマ223μは、回転部材820の回転速度を算出するために用いられるタイマである。この速度識別用タイマ223μは、例えばメイン処理の中で定期的(1ミリ秒毎)に更新される。回動センサの出力がHになってから、次に出力がHとなるまでの時間を、速度識別用タイマ223μの値の差分により判別することで、回転部材820の回転速度が算出される。
前回値格納エリア223νは、回動センサのH出力を検出した時点における速度識別用タイマ223μの値を格納するための記憶領域である。次に回動センサがH出力となった場合は、この前回値格納エリア223νに格納された値と、現状の速度識別用タイマ223μの値との差分によって60度回動するのに要した時間が算出される。この算出した時間に基づいて、回転速度が算出される(図182のS6706)。この前回値格納エリア223νに格納されるデータは、回転速度識別処理(図182参照)が実行される毎に、回転速度を算出された後で速度識別用タイマ223μの現在の値が上書きされる。
速度格納エリア223ξは、回転部材820の回転速度に対応する情報を格納するための記憶領域である。この速度格納エリア223ξに格納されるデータは、回転速度識別処理において回転速度が算出される毎に上書きされる(図182のS6706参照)。この速度格納エリア223ξに格納された回転速度に応じた情報に基づいて、回転部材820の回転速度が判別され、回転速度に応じた点灯装置810の点灯制御が行われる。
<第4制御例における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図179~図184を参照して、第4制御例における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種制御処理について説明する。まず、図179は、本制御例における音声ランプ制御装置113のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理のうち、S1501~S1520の各処理では、それぞれ第1制御例におけるS1501~S1520の各処理と同一の処理が実行される。
また、本制御例におけるメイン処理では、S1510の液晶演出実行管理処理が終了すると、次いで、速度識別用タイマ223μに1を加算することにより更新して(S1551)、処理をS1511へと移行する。この速度識別用タイマ223μは、上述した通り、回転部材820の速度を算出するために用いられるタイマである。
また、本制御例におけるメイン処理では、S1515の入球演出設定処理が終了すると、次いで、点灯装置810の点灯状態を制御するための点灯制御処理が実行される(S1552)。そして、点灯制御処理(S1552)の実行後にはS1516~S1520の処理が実行され、本処理が終了される。
次いで、図180~図184を参照して、上記した点灯制御処理(S1552)の詳細について説明する。まず、図180は点灯制御処理(S1552)を示すフローチャートである。この点灯制御処理(S1552)は、点灯装置810の点灯状態を、回転部材820の速度に応じて制御するための処理である。
点灯制御処理(S1552)では、まず、点灯状態カウンタ値223θの値が「01H」であるか否かを判別する(S6501)。S6501の処理において、点灯状態カウンタ値223θが01Hであると判別された場合は(S6501:Yes)、回転部材820が低速回転状態に設定されている場合の点灯状態を設定するための低速時処理を実行し(S6502)、本処理を終了する。
一方、S6501の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「01H」で無いと判別された場合は(S6501:No)、次いで、点灯状態カウンタの値223θが「02H」であるか否かを判別する(S6503)。そして、点灯状態カウンタ223θの値が「02H」であると判別された場合は(S6503:Yes)、回転部材820が低速回転状態から高速回転状態へと遷移する途中の加速状態における点灯状態を設定するための加速時処理を実行し(S6504)、本処理を終了する。
一方、S6503の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「02H」で無いと判別された場合は(S6503:No)、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」であるか否かを判別する(S6505)。S6505の処理において、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」であると判別された場合は(S6505:Yes)、回転部材820の高速回転状態における点灯状態を設定するための高速時処理を実行し(S6506)、本処理を終了する。
一方で、点灯状態カウンタ223θの値が「03H」で無いと判別された場合は(S6505:No)、点灯状態カウンタ223θの値が「00H」であり、点灯装置810を制御する必要がないため、本処理を終了する。
次いで、図181を参照して上述した低速時処理(S6502)の詳細について説明する。図181は低速時処理(S6502)を示すフローチャートである。この低速時処理(S6502)は、上述した通り、回転部材820が低速回転状態に設定されている場合の点灯状態を設定するための処理である。
低速時処理(S6502)では、まず、回動センサの出力がH(ハイ)であるか否かを判別し(S6601)、出力がHでない(出力がLである)と判別した場合は(S6601:No)、次いで、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かを判別する(S6602)。S6602の処理において、点灯設定済フラグ223κがオフである場と判別した合は(S6602:No)、円形点灯領域811a~811fの位置とずれた位置に貫通孔821a~821fが配置されている状態で、且つ、既に点灯装置810が消灯状態に設定済であることを意味するので、このまま本処理を終了する。
一方、S6602の処理において、点灯設定済みフラグ223κがオンであると判別した場合は(S6602:Yes)、円形点灯領域811a~811fのいずれかが点灯した状態で、円形点灯領域811a~811fの位置とずれた位置に貫通孔821a~821fが配置されたことを意味するので、円形点灯領域811a~811fを全て消灯する(S6603)。これにより、点灯状態に設定されている円形点灯領域が存在する状態で、円形点灯領域811a~811fの位置と、貫通孔821a~821fとがずれてしまうこと(図176(b)参照)を防止(抑制)できるので、見た目の品位を向上させることができる。S6603の処理が終了すると、点灯設定済フラグをオフに設定し(S6604)、本処理を終了する。
一方、S6601の処理において、回動センサの出力がHであると判別した場合は(S6601:Yes)、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かが判別され(S6605)、点灯設定済みフラグ223κがオンであると判別した場合は(S6605:Yes)、既に点灯状態を設定済であり、重ねて点灯状態を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了する。
これに対して、点灯設定済フラグ223κがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S6605:No)、回動センサの出力がHの位置(円形点灯領域811a~811fの位置と、貫通孔821a~821fの位置とが重なる位置)となったが、点灯状態を未設定であることを意味する。よって、この場合はまず、回転部材820の回転速度を識別するための回転速度識別処理を実行する(S6606)。この回転速度識別処理(S6606)の詳細については、図182を参照して後述する。
S6606の処理が終了すると、秒速1回転よりも速い回転速度か否かが判別され(S6607)、秒速1回転以下の回転速度であると判別した場合は(S6607:No)、低速回転状態の範囲内の回転速度であるため、図177に例示した点灯状態を設定するために、まず、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのデータを上位ビット側にシフトし(S6608)、次いで、シフトしたデータのうち、値が1(オン)のビットの個数が今回の演出の目標値(期待度)に一致しているか否か判別する(S6609)。
S6609の処理において、値が1(オン)のビットの個数が目標値よりも少ないと判別した場合は(S6609:No)、値が0(オフ)のビットのうち、1つ上位のビットが1に設定されているビットを1に設定し(S6610)、処理をS6611へと移行する。S6610の処理により、点灯状態に設定される円形点灯領域の個数を1つ増加させることができる。一方、値が1(オン)のビットの個数が目標値(期待度)に一致している場合は、S6610の処理をスキップして、処理をS6611へと移行する。
S6611の処理では、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのうち、オンのビットに対応する点灯位置(円形点灯領域)が赤色点灯するように設定すると共に、点灯設定済フラグ223κをオンに設定して(S6611)、本処理を終了する。
また、S6607の処理において、秒速1回転よりも速い回転速度であると判断された場合は(S6607:Yes)、回転部材820が低速回転状態から高速回転状態へと遷移する途中の加速状態となったことを意味するので、点灯装置810の内部に設けられた白色のEDを全て点灯状態に設定する(S6612)。そして、点灯状態カウンタ223θの値に「02H」を設定し(S6613)、初回識別済フラグ223λをオフに設定して(S6614)、本処理を終了する。
この低速時処理を実行することにより、低速回転状態において、図177で上述した点灯状態に設定することができるので、見た目の品位を向上させることができる。
次に、図182のフローチャートを参照して、上述した回転速度識別処理(S6606)について説明する。この回転速度識別処理(S6606)は、上述した通り、回転部材820の回転速度を識別(算出)するための処理である。この回転速度識別処理(S6606)では、まず、初回識別済フラグ223λがオンであるか否かを判別する(S6701)。
S6701の処理において、初回識別済フラグ223λがオンで無い(即ち、オフである)と判別された場合は(S6701:No)、速度識別用タイマ223μの値を前回値格納エリア223νに格納し(S6702)、初回識別済フラグ223λをオンに設定して(S6703)、本処理を終了する。上述した通り、速度識別用タイマ223μの値を前回値格納エリア223νに格納しておくことにより、次回の回転速度識別処理において、回転部材820が60度回転するまでに要する時間を容易に算出することができる。
一方、S6701の処理において、初回識別済フラグ223λがオンであると判別した場合は(S6701:Yes)、速度識別用タイマ223μの値を読み出して(S6704)、読み出した値と、前回値格納エリアに格納された値との差分を算出する(S6705)。この差分は、回動センサの出力が前回Hとなってから、今回再度Hとなるまでの時間を表す。即ち、回転部材820が60度回転するまでに要した時間を意味する。S6705の処理が終了すると、次いで、算出した差分(60度回転するのに要した時間)から、回転部材820の回転速度を算出し、速度格納エリアに格納して(S6706)、本処理を終了する。本処理によって算出された回転部材820の回転速度に応じて、適切な点灯状態に設定することができる。
次に、図183を参照して、上述した加速時処理(S6504)について説明する。図183は、加速時処理(S6504)を示すフローチャートである。この加速時処理(S6504)は、低速回転状態から高速回転状態へと移行する途中の加速状態における点灯状態を設定するための処理である。
加速時処理(S6504)では、まず、回動センサの出力がHであるか否かが判別され(S6801)、出力がHでない(即ち、Lである)と判別された場合は(S6801:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S6801の処理において、出力がHであると判別した場合は(S6802:Yes)、回転部材820の回転速度が高速回転状態の速度に達したか否かを判別するために、上述した回転速度識別処理(S6802)を実行する。この回転速度識別処理は、図182を参照して説明した回転速度識別処理と同一の処理が実行されるに過ぎないため、その詳細な説明については省略する。
S6802の処理が終了すると、次いで、算出された回転速度が秒速3回転であるか否かが判別され(S6803)、秒速3回転でない(秒速1回転以上、3回転未満である)と判別した場合は(S6803:No)、高速回転状態に移行していないため、そのまま本処理を終了する。
一方、S6803の処理において、回転部材の回転速度が秒速3回転であると判別された場合は(S6803:Yes)、高速回転状態に遷移したことを意味するので、高速回転状態用の点灯制御に切り替える。即ち、点灯周波数24Hz、オンDUTY0.5%の点灯態様を設定するためのコマンドを、点灯装置810のLEDドライバに対して設定する(S6804)。その後、点灯状態カウンタ223θの値として「03H」を設定することにより、高速回転状態に遷移したことを示し(S6805)、初回識別済フラグ223λをオフに設定して(S6806)、本処理を終了する。この加速時処理により、高速回転状態への遷移を即座に識別し、点灯状態を切り替えることができる。
次に、図184のフローチャートを参照して、上述した高速時処理(S6506)について説明する。この高速時処理(S6506)は、上述した通り、回転部材820が高速回転状態に設定されている場合における点灯状態を設定するための処理である。この高速時処理では、まず、回動センサの出力がHであるか否かを判別し(S6901)、出力がHでない(即ち、Lである)と判別した場合は(S6901:No)、次いで、点灯設定済フラグ223κがオンであるか否かを判別する(S6902)。
S6902の処理において、点灯設定済フラグ223κがオフであると判別した場合は(S6902:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S6902の処理において、点灯設定済フラグ223κがオンであると判別した場合は(S6902:Yes)、赤色LEDの点灯が設定されている円形点灯領域の点灯状態を解除(消灯)し(S6903)、点灯設定済フラグ223κをオフに設定して(S6904)、本処理を終了する。
一方、S6901の処理において、回動センサの出力がHであると判別した場合は(S6901)、点灯設定済みフラグ223λがオンであるか否かを判別し、点灯設定済みフラグ223λがオンであれば(S6905)、既に点灯状態が設定されていることを意味し、重ねて点灯状態を設定する必要がないため、そのまま本処理を終了する。これに対して、点灯設定済フラグ223λがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S6905:No)、次いで、高速回転状態における点灯期間(24Hz、オンDUTY0.5%の期間)であるか否かを判別し(S6906)、点灯期間でなければ(S6906:No)、そのまま本処理を終了する。
S6906の処理において、高速回転状態における点灯期間(24Hz、オンDUTY0.5%の期間)であると判別した場合は(S6906:Yes)、次いで、回転部材820の回転速度から高速回転状態が終了したか否かを判別するために、回転速度識別処理を実行する(S6907)。この回転速度識別処理(S6907)は、図182において上述した回転速度識別処理(S6606)と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明については省略する。
回転速度識別処理(S6907)が終了すると、次いで、算出された回転速度が秒速3回転未満になったか否かを判別し(S6908)、秒速3回転未満になっていれば(S6908:Yes)、動作シナリオに基づいて高速回転状態が終了され、回転部材820が回転停止に向けて減速し始めたことを意味するので、点灯状態の終了を設定するS6909~S6911の処理を実行する。即ち、全LEDの消灯を設定し(S6909)、点灯状態カウンタ223θに対して「00H」を設定することにより、点灯装置810の点灯制御を行う状態が終了したことを示す(S6910)。そして、点灯設定済フラグ223κをオフに設定すると共に、点灯位置格納エリア223ιのデータを全て0クリアして(S6911)、本処理を終了する。
一方で、S6908の処理において、回転速度が秒速3回転未満となっていない(高速回転状態の回転速度を維持している)と判別された場合は(S6908:No)、まず、点灯位置格納エリア223ιの各ビットのデータを、下位ビット側にシフトする(S6912)。即ち、低速回転状態とは逆向きにデータをシフトする。そして、シフト後のデータを参照し、値が1(オン)のビットに対応する点灯位置(円形点灯領域)に設けられている赤色LEDをオン状態に設定する(S6913)。そして、点灯設定済フラグ223κをオンに設定して(S6914)、本処理を終了する。
このS6913の処理を実行することにより、図178に例示した点灯状態で制御される白色のLEDとは別に、円形点灯領域811a~811fに設けられた赤色のLEDを制御して、当該変動表示における大当たりの期待度を再度表示させることができる。また、赤色のLEDは、白色のLEDの点灯期間であり、且つ、回動センサの出力がHの場合にのみ点灯されるので、回転部材820が180度回転する毎に赤色LEDが点灯状態に設定される。点灯の1周期に回転部材820が回転する角度が45度であるのに対し、円形点灯領域が60度おきに配置されているので、これらの最小公倍数が180度だからである。ここで、上述した通り、高速回転状態において回転部材820が時計回りに45度回転すると、遊技者の目線では反時計回りに15度回転した見た目となる。よって、回転部材820が時計回りに180度回転すると、遊技者の目線では反時計回りに60度回転したように見えることになる。よって、S6912、およびS6913の処理を実行することで、反時計回りに円形点灯領域1個分回転が進んだ見た目となる毎に、赤色LEDの点灯位置を遊技者の見た目に追従させて反時計回りに1個分移動させることができる。よって、高速回転状態において、回転部材820の回転方向や回転速度を変更することなく、点灯制御だけで回転方向が変わったかのような見た目とすることができる。また、反対方向へと回転し始めた見た目となったことに合わせて、期待度を示す赤色LEDの点灯演出も行うことができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
以上説明した通り、第4制御例におけるパチンコ機10では、回転動作と点灯動作とを複合して行う回転点灯ユニット800が構成に追加されている。この回転点灯ユニット800は、回転動作する回転部材820と、向きが固定の点灯装置810とで構成されており、回転部材820に設けられた貫通孔821a~821fを介して、点灯装置810の円形点灯領域811a~811fが発する赤色の光を遊技者に視認させ、発光箇所の個数により大当たりに対する期待度を報知する演出が行われる。しかし、貫通孔821a~821fと、円形点灯領域811a~811fの位置とがずれた状態で1又は複数の円形点灯領域が点灯すると、中途半端な見た目となってしまう虞がある。そこで、本制御例では、貫通孔821a~821fと、円形点灯領域811a~811fの位置とが一致した場合にのみ対応する円形点灯領域を点灯させるように制御し、位置がずれた状態では点灯装置810の全体を消灯させるように構成している。このように構成することにより、回転点灯ユニット800の見た目の品位を向上させることができる。
また、本制御例では、回動センサの検出頻度に応じて回転部材820の回転速度を判別し、回転速度に応じて点灯装置810の点灯制御を変更することができる。経過時間に応じて回転部材820の回転制御と、点灯装置810の点灯制御とを独立して設定するのではなく、実際の回転部材820の回転速度を判別して点灯装置810の点灯制御を変更することにより、回転部材820の実際の動作によりマッチした点灯制御を実行することができる。
本制御例では、回転部材820の背面側に点灯装置810を配置していたが、これに限られるものではない。例えば、回転部材820の背面側に液晶表示装置を配置し、各貫通口位置に対して、大当たりの期待度を示す画像を表示させてもよい。これにより、点灯装置810を配置する場合に比較して、より自由度の高い演出を実行することができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
本制御例では、回転部材820に6つの貫通孔821a~821fが設けられていたが、貫通孔の個数は任意に定めることができる。また、回転部材820の正面側から点灯装置810の点灯態様を視認できる構成は、背面側まで貫通した貫通孔に限定されるものではない。例えば、貫通孔に代えて、透明なガラス板やアクリル板等を配置して、背面側の点灯態様を視認できるように構成してもよい。また、回転部材820の他の位置に比べて厚みを薄くすることにより、他の部分よりも背面側の点灯態様が視認し易くなるように構成してもよい。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、正面レール部715が単一の円弧形状から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、正面レール部715が複数の円弧から形成され、隣り合う円弧の向きが反転される態様(波形状)でも良い。この場合、演出部材620のスライド移動速度が断続的に変化され、演出部材620の姿勢が不安定とされるので、演出部材620をがたつかせる演出を行わせることができる。
上記各実施形態では、演出部材620が倒立状態を形成する場合に、演出部材620の重心Gが第1軸支部613の鉛直上方である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、重心が第1軸支部613の斜め上方に配置されても良い。
上記各実施形態では、左下板部材320の緩衝リブ322の上面が左右方向に水平となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、緩衝リブ322の上面が幅方向外側に近づくにつれ下降傾斜されても良い。この場合、盤面幅方向外側から左下板部材320の上面に流入される球の速度を重力方向の加速度で減速させることができ、球の減速時間を短縮化することができる。
上記各実施形態では、伝達部材640の摺動孔643が長孔で形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、摺動孔643が円形状に形成され、摺動孔643と摺動軸部621aとの位置ずれ分を伝達部材640が伸縮することで調整する態様でも良い。この場合、伝達部材640の配置範囲を抑制することができる。
上記第4実施形態では、当接部644の位置を2位置で切り替えられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、当接部644の位置を連続的に可変する(可動とする)ものとしても良い。この場合、ねじりバネ650の付勢力の変化割合を連続的に増加させることができる。
上記第6実施形態では、先端揺動部材6556の姿勢が2位置で変化する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、先端揺動部材6556の姿勢変化を複数段階で生じさせても良い。この場合、伸縮演出装置6540の揺動量を複数種類で形成することができ、演出のバリエーションを増加させることができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、上記した各実施形態、各制御例のそれぞれ、またはその一部を組み合わせて構成しても当然良い。さらに、複数の制御装置で構成したが、一つの統合した制御装置またはいくつかを統合した制御装置で構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<回動アーム部材550の異形長孔553で駆動力伝達を変化させる技術思想の一例>
第1軸を中心に回転されその第1軸と偏心した位置に突起部が突設されるクランク部材と、前記突起部が挿通される挿通部を備え第1位置とその第1位置から離間した第2位置との間で移動可能に形成されるアーム部材と、前記クランク部材を前記第1軸を中心に回転させる駆動力を発生させる駆動装置と、を備え、前記挿通部は、挿通された前記突起部の移動方向に対面する前記挿通部の内周面に前記突起部が当接されることで前記アーム部材に前記駆動力が伝達され、前記アーム部材を前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能に形成される伝達領域と、その伝達領域に連結される領域であって、前記駆動力の伝達が遮断される非伝達領域と、を備えることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、回転軸から偏心した位置に突設される突起部を備えるクランク部材と、そのクランク部材の突起部が挿通される挿通部を備えるアーム部材と、を備え、クランク部材の回転に連動してアーム部材が動作する遊技機がある(例えば特開2009-000306号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、クランク部材とアーム部材とは常時連動する。そのため、アーム部材をクランク部材の始動時から駆動させることになり、クランク部材の始動のタイミングとアーム部材を駆動させるタイミングとをずらすことができなかった。この場合、クランク部材の始動時に、クランク部材およびアーム部材の慣性に打ち勝つ大きな力が必要となり、駆動装置が大型化するという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、アーム部材の挿通部は、伝達領域と、その伝達領域に連結される非伝達領域と、を備えるため、突起部を非伝達領域に挿通した状態でクランク部材を始動させることで、アーム部材を駆動させるタイミングとクランク部材の始動のタイミングとをずらすことができる。即ち、クランク部材が始動されても、突起部が非伝達領域から伝達領域へ侵入するまで、アーム部材に駆動力は伝達されない。これにより、クランク部材の始動時に必要な駆動力を抑制することができ、駆動装置の小型化を図ることができる。
なお、突起部が非伝達領域を移動する間、アーム部材は、停止されても、移動されても良い。例えば、アーム部材が移動される場合には、重力や補助用の弾性バネが生じる弾性力等により移動される場合が例示される。
なお、挿通部としては、有底凹部状の窪みや、貫通された長孔等が例示される。
遊技機A1において、前記クランク部材は一回転以上の回転を可能に形成され、前記挿通部は、前記クランク部材が一の回転方向に回転されることにより前記伝達領域となる一方、前記クランク部材が前記一の回転方向の反対方向である他の回転方向に回転されることにより前記非伝達領域となる選択領域を備えることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、クランク部材の回転方向によりアーム部材への駆動力の伝達の態様を変化させることができる。これにより、クランク部材の回転速度を変化させずとも、駆動装置の駆動力の方向を反転させることで、クランク部材が同位相に配置される場合のアーム部材の速度態様を2通り形成することができ、アーム部材の速度のバリエーションを増加させることができる。
遊技機A2において、前記挿通部が、前記突起部と、前記クランク部材が前記一の回転方向に回転される場合に前記突起部の移動方向に対面する前記挿通部の内周面と、が離間される余裕部を備えることで、前記選択領域が形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3は、遊技機A2の奏する効果に加え、前記選択領域が、挿通部が余裕部を備えることで形成されるので、アーム部材への駆動力の伝達の態様を変化させるための他の部材を不要とでき、材料コストを低減することができる。
遊技機A1からA3のいずれかにおいて、前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方が、前記アーム部材の移動範囲の終端位置として形成され、その終端位置として形成される前記第1位置または前記第2位置のどちらか一方に前記アーム部材が配置された場合に、前記終端位置として形成される前記第1位置または前記第2位置のどちらか一方の反対側の他方へ向けた前記アーム部材の移動を抑制するバウンド抑制機構が形成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、アーム部材がアーム部材の可動範囲の終端位置として形成される第1位置または第2位置のどちらか一方に配置された場合に、その反対側の他方へ向けたアーム部材の移動を抑制するために駆動装置が発生させる必要がある駆動力を抑制することができる。そのため、駆動装置の耐久性を向上させることができる。
なお、バウンド抑制機構としては、磁石の吸着力を利用する場合、鉤爪形状の部材で動きを抑制する場合およびクランク部材の突起部がアーム部材から受ける荷重がクランク部材の軸方向へ向かう態様でアーム部材の挿通部が形成される場合等が例示される。
磁石で吸着する場合には、磁石が別部材として必要であるが、磁石の内部組成により大小様々な吸着力を生じさせることができ、設計自由度を向上させることができる。
鉤爪形状の部材で動きを抑制する場合には、鉤爪形状の部材を動作させる駆動装置が必要であるが、鉤爪形状の部材でアーム部材の移動を機械的にせき止めることができる。
クランク部材の突起部がアーム部材から受ける荷重がクランク部材の軸へ向かう態様でアーム部材の挿通部が形成される場合には、アーム部材の移動抑制のための別部材が配設不要であり、アーム部材のバウンドを機械的に抑制することができる。
遊技機A4において、前記アーム部材が前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方に配置された場合に、前記挿通部の前記非伝達領域の前記伝達領域との連結位置付近の外形が、前記クランク部材の回転軸を中心とした前記突起部の外接円と略同一とされることで前記バウンド抑制機構が形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、アーム部材が第1位置または第2位置に配置された後、クランク部材の回転を継続することにより、バウンド抑制機構が形成される。これにより、アーム部材の移動状態から停止状態への変化を滑らかに形成することができる。
また、バウンド抑制機構において、挿通部から突起部へかけられる負荷は、クランク部材の回転軸へ向けられるので、クランク部材の回転方向に負荷がかけられることを抑制でき、駆動装置にかけられる負担を抑制することができる。
遊技機A1からA5のいずれかにおいて、前記アーム部材が前記第1位置に配置された場合に、前記挿通部の前記非伝達領域の前記伝達領域との連結位置付近の外形が、前記クランク部材の回転軸を中心とした前記突起部の外接円と略同一とされ、前記第1位置から前記第2位置へ向けてアーム部材を移動させる付勢力が負荷され、前記挿通部の前記非伝達領域の前記第1位置側の側面に前記挿通部の内側に突設される内側窪み部または前記突起部を収容可能な大きさで前記挿通部の外側に突設される外側窪み部の少なくとも一方が形成されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1からA5のいずれかの奏する効果に加え、アーム部材が第1位置に配置された場合に、挿通部の非伝達領域の伝達領域との連結位置付近の外形が、クランク部材の回転軸を中心とした突起部の外接円と略同一とされ、第1位置から第2位置へ向けてアーム部材を移動させる付勢力がアーム部材に負荷される。この場合、クランク部材の突起部が挿通部の非伝達領域に配置されることで、アーム部材の移動が突起部に防止され、アーム部材は停止される。クランク部材が回転され、突起部が非伝達領域を移動されることで、突起部と内側窪み部または外側窪み部とが対向配置されると、アーム部材が移動される。即ち、突起部が内側窪み部と対向配置される場合、突起部に内側窪み部が押し出され、アーム部材はクランク部材の反対側へ移動される。また、突起部が外側窪み部と対向配置される場合、突起部が外側窪み部に収容され、アーム部材はクランク部材側へ移動される。
これにより、クランク部材の突起部が非伝達領域を移動することで、クランク部材が回転されることにより突起部が伝達領域を移動する場合に生じるアーム部材の移動動作とは移動幅の異なる移動動作を生じさせることができる。したがって、駆動装置の耐久性の向上と、アーム部材の移動幅の変化との両立を図ることができる。
即ち、アーム部材の移動幅を変化させるためには、駆動装置の駆動力の方向をアーム部材の移動幅に応じて反転させる必要がある。この場合、駆動装置の制御負担が大きくなるし、振動など移動幅の小さな動作を行うことは困難である。
一方、遊技機A6によれば、クランク部材の突起部が非伝達領域を移動され突起部と内側窪み部または外側窪み部とが対向配置されることで移動幅の異なるアーム部材の動きが形成される。そのため、駆動装置の駆動力の方向を反転させることなく、アーム部材の移動の移動幅を変化させることができる。また、隣り合った内側窪み部または外側窪み部の形成間隔を狭めることで、振動など移動幅の小さな動作をアーム部材に行わせることができる。
なお、突起部を収容可能な態様とは、凹設部に突起部の全体が含まれる態様でも良いし、突起部の一部が凹設部に含まれる態様でも良い。
<伸縮演出装置540の揺動幅を円弧状孔554で制限する技術思想の一例>
所定の移動軌跡に沿って移動可能であって、互いに異なる第1位置と第2位置とに配置可能な可動部材と、その可動部材に対応して移動し、可動部材に当接することで前記可動部材の前記所定の移動軌跡の移動幅を制限すると共に、前記可動部材が前記第1位置に配置されるか前記第2位置に配置されるかによって前記可動部材の移動幅を変化させるストッパ部材と、を備えることを特徴とする遊技機B1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される可動部材と、その可動部材の移動幅を制限するストッパ部材と、を備える遊技機がある(例えば特開2012-016623号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、ストッパ部材は移動不能に固定されるので、可動部材が第1位置に配置される場合と、第2位置に配置される場合とでストッパ部材を別々に用意する必要があり、ストッパ部材を配設するスペースが広範囲になるという問題点があった。
これに対し、遊技機B1によれば、ストッパ部材が可動部材に対応して移動するので、可動部材が第1位置に配置される場合のストッパ部材を、可動部材が第2位置に配置される場合のストッパ部材と兼用できる。これにより、ストッパ部材を配設するスペースを抑制することができる。
また、ストッパ部材は、可動部材が第1位置に配置されるか、可動部材が第2位置に配置されるかによって、可動部材の移動幅を変化させるので、可動部材の移動幅のバリエーションを増やすことができる。
なお、ストッパ部材としては、伝達部材から突設され可動部材に当接される突起部や、伝達部材に凹設され可動部材の一部を収容する窪みの内壁部等が例示される。
なお、移動の態様としては、直線移動、曲線移動、蛇行移動、振動、揺動および回転移動等が例示される。また、各移動の態様における移動幅とは、例えば、直線移動、曲線移動、蛇行移動および振動等の場合には実際の移動距離や2点間の直線距離等を意味し、揺動および回転移動等の場合には、実際の移動距離や移動角度等を意味する。
遊技機B1において、前記可動部材は、第1軸に揺動可能に軸支されると共に前記第1軸の径方向に伸縮動作する中間部材を備え、前記第1位置と前記第2位置とでは、前記中間部材の伸縮長さが異なり、前記所定の移動軌跡は、前記第1軸を中心とした円弧状に形成され、前記ストッパ部材は、前記中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における前記可動部材の前記所定の移動軌跡に沿って延設されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、可動部材が、第1軸を中心として揺動可能に軸支されると共に第1軸の径方向に伸縮動作可能に形成される中間部材を備える。そのため、中間部材の伸縮方向の長さによって、第1軸を中心とした可動部材の所定の移動軌跡の曲率半径を変化させることができる。
ここで、ストッパ部材は、中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における可動部材の所定の移動軌跡に沿って延設される(ストッパ部材の延設方向の曲率と中間部材が所定の伸縮状態とされる場合における可動部材の所定の移動軌跡の曲率とが同一とされる)。この場合、中間部材が所定の伸縮状態とされる場合に、可動部材はストッパ部材に沿って移動され、可動部材をストッパ部材の延設方向に亘って移動させることができる。そのため、可動部材の移動幅(揺動角度)を最大とすることができる。
一方で、中間部材を所定の伸縮状態と異なる伸縮状態とすると、可動部材の所定の移動軌跡の曲率と、ストッパ部材の延設方向の曲率とを異ならせることができ、可動部材の所定の移動軌跡とストッパ部材の延設方向とを交差させることができる。そのため、可動部材の移動幅を短縮することができる。従って、中間部材の伸縮状態を変化させることで、可動部材の移動幅を変化させることができる。
遊技機B2において、前記可動部材は、前記ストッパ部材へ向けて突設される突起部を備え、前記ストッパ部材は、前記突起部が挿通される挿通部を備え、前記突起部が前記挿通部に挿通された状態において前記可動部材と前記ストッパ部材とが前記中間部材の伸縮方向に連動し、前記可動部材は、前記挿通部に当接されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、可動部材の突起部がストッパ部材の挿通部に挿通されることで、可動部材とストッパ部材とが中間部材の伸縮方向に連動するので、可動部材を伸縮させる駆動装置とストッパ部材を移動させる駆動装置とを兼用することができる。また、挿通部は、可動部材に当接されることで可動部材の移動を規制する。即ち、ストッパ部材の挿通部が、可動部材の移動を規制するストッパとしての機能と、可動部材およびストッパ部材を連動させる機能と、を備える。これにより、機能の集約化を図ることができる。
遊技機B3において、前記中間部材が伸縮動作することにより、前記挿通部に対する前記第1軸の配置が、内周側と外周側とで反転することを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、中間部材が伸縮動作されることにより、挿通部に対する第1軸の配置が内周側と外周側とで反転する。これにより、第1軸が挿通部の内周側に配置される場合と、第1軸が挿通部の外周側に配置される場合とで、可動部材の移動幅を変化させることができる。
即ち、挿通部の内周側に第1軸が配置される場合(可動部材が所定の移動軌跡で移動される場合の突起部の移動軌跡が挿通部の形状に沿う場合)は、突起部の移動軌跡と挿通部の形状とが近似され、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を広くできる。一方、挿通部の外周側に第1軸が配置される場合(可動部材が所定の移動軌跡で移動される場合の突起部の移動軌跡が挿通部の形状と略反転する場合)は、突起部の移動軌跡と挿通部の内側壁面とが形成する角度が大きくなり、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を狭くできる。
遊技機B3又はB4において、前記挿通部は、前記中間部材の伸縮状態を維持したまま姿勢変化可能に形成され、前記挿通部が姿勢変化することで前記可動部材と前記挿通部との当接位置が変化され、前記可動部材の所定の移動軌跡の移動幅が変化することを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B3又はB4の奏する効果に加え、中間部材の伸縮状態を維持したまま挿通部の姿勢を変化させることで可動部材と挿通部との当接位置が変化する。この場合、中間部材の伸縮状態を維持したまま、可動部材の所定の移動軌跡の移動幅を変化させることができる。
遊技機B3からB5のいずれかにおいて、前記挿通部は、前記突起部を前記移動軌跡に沿って出入り可能とする溝部を備え、その溝部を介して前記突起部が前記挿通部から離間される離間状態を形成可能とされ、前記可動部材は、前記離間状態において前記ストッパ部材と係合される位置決め補助部を備えることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B3からB5のいずれかの奏する効果に加え、突起部が溝部を介して挿通部から離間される離間状態を形成可能であると共に、可動部材が、離間状態においてストッパ部材と係合される位置決め補助部を備える。そのため、可動部材の動作範囲に比較して、ストッパ部材の形成範囲を小さくすることができ、ストッパ部材の材料コストを削減することができると共に、離間状態における可動部材とストッパ部材との位置ずれを防止することができる。即ち、突起部がストッパ部材の挿通部から離間されたとしても、位置決め補助部により可動部材のストッパ部材に対する相対移動が抑制されるので、突起部を再び挿通部へ戻すことができる。
<倒立支持される演出部材620を2点支持する技術思想の一例>
ベース部材と、そのベース部材に形成される支持部に変位可能に支持され所定の位置から上昇移動する可動部材と、その可動部材を変位させる駆動力を発生する駆動装置と、前記可動部材に連結され、前記駆動装置から発生した駆動力を前記可動部材へ伝達する伝達部材と、を備える遊技機において、前記伝達部材は、前記ベース部材に形成される軸支部に揺動可能に軸支され、前記支持部から前記可動部材および前記伝達部材の連結位置までの長さに比較して、前記軸支部から可動部材および前記伝達部材の連結位置までの長さが短いことを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、ベース部材に形成される支持部に変位可能に支持され所定の位置から上昇移動する可動部材をギアによる駆動力の伝達で駆動させる遊技機がある(例えば特開2011-120640号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、駆動装置の制御の分解能の最小単位(例えば、ステッピングモータでは1ステップ)で駆動装置を動作させる場合の可動部材の重心の移動量は、可動部材の支持部から可動部材の重心までの長さに比例する。そのため、可動部材の重心が支持部から径方向に離れるほど、可動部材の重心の位置調整が困難になる。
また、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態から、可動部材の重心が一方にずれた場合に、その逆方向に可動部材を変位させる駆動力を発生させ可動部材を倒立状態に維持しようとしても、その駆動力により重心が他方にずれると、駆動力の方向と重力の方向とが一致し、可動部材は大幅に変位することになる。
そのため、可動部材が支持部の径方向に長尺になるほど、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態に可動部材を静止させることが困難となるという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、可動部材に駆動装置の駆動力を伝達させて可動部材を上昇移動させる伝達部材が、ベース部材の軸支部に軸支されると共に可動部材に連結され、可動部材および連結部材の連結位置から軸支部までの長さが、可動部材および連結部材の連結位置から支持部までの長さに比較して短く形成される。そのため、可動部材が支持部の径方向に長尺な場合であっても、駆動装置の制御の分解能の最小単位で駆動装置を動作させる場合の可動部材の重心の移動量を、抑制することができる。従って、可動部材の重心が支持部の真上に配置される倒立状態に可動部材を静止させることを容易とすることができる。
なお、可動部材がベース部材に支持される態様としては、ベース部材に可動部材が揺動可能に軸支される態様や、ベース部材に可動部材がスライド移動可能に支持される態様や、それらが複合された態様等が例示される。
遊技機C1において、前記伝達部材は、前記可動部材が前記所定の位置から上昇移動するほど、前記軸支部から前記可動部材との連結位置までの腕長さが短縮されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、支持部を中心に変位される可動部材が所定の位置から上昇移動するほど、軸支部から可動部材との連結位置までの伝達部材の腕長さが短縮される。そのため、伝達部材の腕長さが一定の場合に比較して、可動部材の速度の設計自由度を向上させることができる。
例えば、伝達部材を回転させる駆動装置の回転数が一定で動作する場合に、伝達部材の腕長さが所定の第1の長さで固定される場合と、伝達部材の腕長さが第1の長さより短い第2の長さで固定される場合とを仮定して説明する。駆動装置の回転数が一定の場合、伝達部材が第1の長さで固定される場合の方が、伝達部材の腕長さが第2の長さで固定される場合に比較して、伝達部材が所定の位相に配置される際の可動部材の重心の移動速度は速くなる。
ここで、所定の位置付近では伝達部材を第1の腕長さとした場合に発生する速度で可動部材を素早く動作させ、倒立状態付近では伝達部材を第2の腕長さとした場合に発生する速度でゆっくりと可動部材を動作させたい場合を考える。そのための方法としては、駆動装置の回転数を途中で変化させる方法が考えられるが、駆動装置の回転数を変化させることが困難な場合には採用できない。また、駆動装置の回転数を変化させることができる場合であっても回転数を途中で変化させるには、その変化のタイミングを検出するための検出センサが必要となるので、コストが嵩むという問題点があった。
一方、遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、伝達部材の軸支される軸支部から伝達部材と可動部材との連結位置までの腕長さが、伝達部材が所定の位置から上昇移動するほど短縮される態様で形成される。そのため、所定の位置付近では伝達部材を第1の腕長さとし、倒立状態付近では伝達部材を第2の腕長さとすることができるので、可動部材の速度の設計自由度を向上させることができる。
なお、軸支部から伝達部材と可動部材との連結位置までの腕長さが固定される構成としては、伝達部材から突設される突部が可動部材に挿通され連結される場合等が例示される。また、腕長さが変化可能とされる構成としては、伝達部材に長孔が形成され、可動部材から突設される突部が伝達部材の長孔にスライド可能に挿通される場合や、可動部材が支持部に支持される部分に長孔を備え、ベース部材からその長孔に挿通される挿通軸棒が形成される場合等が例示される。
遊技機C1又はC2において、前記可動部材は、前記支持部と平行な方向に突設される突起部を備え、前記伝達部材は、前記軸支部の径方向に延設される長孔であって前記突起部が挿通される挿通部を備えることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3では、遊技機C1又はC2の奏する効果に加え、挿通部が軸支部の径方向へ延設され、その挿通部に伝達部材の突起部が挿通されることで伝達部材と可動部材とが連結されるので、連結位置の移動方向が軸支部の径方向に制限される。そのため、伝達アームの揺動に伴い、軸支部から伝達部材の可動部材との連結位置までの長さを機械的に変化させることができる。
なお、挿通部としては、貫通形成される長孔や、有底の窪みとして形成される凹設部等が例示される。
遊技機C3において、前記軸支部は前記支持部の鉛直上方に配置され、前記支持部および前記突起部を結ぶ直線上に前記可動部材の重心が配置されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、可動部材が支持部の鉛直上方に突起部を配置させる姿勢をとる場合に、支持部、軸支部、突起部および可動部材の重心が鉛直線上に形成される。この場合、可動部材の重心にかけられる重力が支持部および軸支部に対し鉛直下方へ負荷される。そのため、可動部材に回転方向の力が負荷されないので、駆動装置の動力を遮断しても可動部材の姿勢を維持することができる。これにより、駆動装置の負担を低減することができる。
遊技機C1からC4において、前記伝達部材と前記駆動装置との間にウォームギアが介設され、駆動装置の回転が前記ウォームギアにより減速されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C1からC4の奏する効果に加え、伝達部材と駆動装置との間にウォームギアが介設され、そのウォームギアにより駆動装置の回転が減速されるので、駆動装置が制御の分解能の最小単位で動作する場合の、可動部材の移動幅を大幅に低減することができる。また、ウォームギアを介した力の伝達方向は、駆動装置側から伝達部材側への一方向に限定されるので、伝達部材側からの荷重でウォームギアが回転することを防止することができ、駆動装置の停止時に駆動装置に掛けられる負担を低減することができる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記支持部の上方に前記可動部材の重心を移動させる付勢力が前記可動部材の変位方向の双方向で発生する付勢装置を備え、前記付勢力は、前記可動部材の重心が前記支持部の鉛直上方に配置される倒立状態において変位方向で釣り合い、前記可動部材が前記倒立状態から変位するほど大きくなることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかにおいて、付勢装置が、支持部の上方に可動部材の重心を移動させる付勢力を発生し、その付勢力は、可動部材の重心が支持部の鉛直上方に配置される状態(倒立状態)から可動部材が変位するほど大きくなる。即ち、倒立状態において付勢力を最小とすることができる。
そのため、所定の位置からの可動部材の上昇移動時には付勢力を大きくすることで可動部材が所定の位置に配置される状態から可動部材を上昇移動させる駆動装置の負担を低減することができる。
また、付勢力は、可動部材の変位方向の双方向で発生し、倒立状態において変位方向で釣り合う。そのため、可動部材が所定の位置から上昇移動され、駆動装置を停止制御した場合に、可動部材が倒立状態に至らない場合でも、倒立状態を通り過ぎる場合でも、付勢力により可動部材の姿勢を倒立状態に向かわせることができる。これにより、可動部材を倒立状態で停止させることを容易にすることができる。
遊技機C6において、前記可動部材は、重心が前記支持部の鉛直上方から所定量変位するまでの第1状態と、前記所定量以上に変位する第2状態とを形成可能であって、前記第1状態に比較して、前記第2状態の方が、変位が同一の場合の付勢力の変化の割合が大きくなることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C6の奏する効果に加え、可動部材の重心が支持部の鉛直上方に配置される倒立状態側の第1状態よりも、倒立状態から可動部材が所定量より大きく変位される第2状態の方が、変位が同一の場合の付勢力の変化の割合が大きくなる。この場合、第2状態に可動部材が配置される状態から可動部材を始動させる場合に、駆動装置の始動時の負担を抑制できる。また、倒立状態付近に可動部材が配置される場合の可動部材の加速度を低減することができるので、可動部材を倒立状態で停止させることを容易とすることができる。
<ねじりバネ650のバネ定数が揺動の途中で変化する技術思想の一例>
第1位置と第2位置との間を移動可能に形成される可動部材と、その可動部材を移動させる駆動力を発生させる駆動装置と、前記可動部材を前記第1位置へ復帰させる付勢力を発生させる付勢装置と、を備える遊技機において、前記可動部材が、前記第1位置から所定位置までの第1付勢領域に配置される場合に生じる付勢力の変化割合に対して、前記可動部材が、前記第1付勢領域に連結される領域であって前記第1位置から離反して形成される第2付勢領域に配置される場合に生じる付勢力の変化割合が大きく形成されることを特徴とする遊技機D1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、可動部材を駆動装置が発生させる駆動力で移動させる際の補助力として弾性バネ等の付勢装置による付勢力を用いる遊技機がある(例えば特開2011-120640号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、付勢装置の付勢力は、可動部材の変位量により比例的に増加されるものであり、可動部材の配置により付勢装置の目的を変化させることは困難であるという問題点があった。即ち、ある領域では付勢力を抑えることで可動部材の動きをしなやかにし、別のある領域では付勢力を向上させ可動部材の動きを急激にするということが困難であった。
一方、遊技機D1によれば、第1位置へ向けて付勢される付勢力の変化割合が、可動部材が第1付勢領域に配置される場合に比較して、可動部材が第2付勢領域に配置される場合の方が大きくされる。即ち、例えば、第2位置に停止された可動部材を第1位置へ向けて始動させる際(第2付勢領域)には付勢装置により十分な付勢力を得られる一方、可動部材が第1付勢領域に配置された場合には付勢力の変化が抑制され可動部材の動作をしなやかに(緩やかに)させることができる。
なお、付勢装置の付勢力の変化割合が可動部材の配置により変化される態様としては、可動部材に付勢量を発生させる付勢装置の個数が途中で増加する場合や、付勢装置が弾性バネから形成され弾性バネのバネ定数が可動部材の配置により変化される場合等が例示される。
遊技機D1において、前記付勢装置は、前記可動部材の移動方向と交差すると共に前記可動部材を移動方向で挟む一対の面上にそれぞれ配置される一対の長尺部材であって、一方の端部が前記可動部材の両側面にそれぞれ対向配置されると共に前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部が移動を抑制される弾性バネから形成され、前記可動部材は、前記一対の長尺部材に挟まれる本体部と、前記一対の長尺部材に対して前記本体部の反対側に形成されると共に前記本体部の移動方向において前記一対の長尺部材の少なくとも一方と当接可能に形成される当接部と、を備え、その当接部は前記可動部材に連結固定され、前記可動部材が前記第1付勢領域に配置されると、前記可動部材は、前記一対の長尺部材の内、前記可動部材の移動によりその可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材に当接され付勢力を与えられ、前記可動部材は、他方の長尺部材と前記当接部とが当接され付勢力を与えられることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、付勢装置による付勢力の変化割合の変化を、可動部材と一対の長尺部材との当接タイミングを、長尺部材ごとにずらすことで形成することができる。そのため、制御により付勢装置の付勢力を変化させたり、付勢力を向上させる別部材を用意したりすることを不要とできる。
即ち、一対の長尺部材は他方の端部が移動を規制されるので、可動部材の移動により可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材は可動部材に押し付けられ移動するが、反対側の他方の長尺部材は、可動部材から力を受けない。そのため、第1付勢領域では、可動部材の移動に際して、可動部材の移動方向の反対側に配設される他方の長尺部材は、その場に留まる。
一方、第2付勢領域では、可動部材が移動されることで、他方の長尺部材が当接部に当接される。これにより、他方の長尺部材からも付勢力が発生される。従って、第2付勢領域において可動部材に与えられる付勢力を増大させることができる。
なお、弾性バネとしては、コイルスプリング、ねじりバネ及び板バネ等が例示される。
遊技機D1又はD2において、前記付勢装置は、前記可動部材の移動方向と交差すると共に前記可動部材を移動方向で挟む一対の面上にそれぞれ配置される一対の長尺部材であって、一方の端部が前記可動部材の両側面にそれぞれ対向配置されると共に前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部が移動を抑制される弾性バネから形成され、前記可動部材は、前記一対の長尺部材に挟まれる本体部と、前記一対の長尺部材に対して前記本体部の反対側に形成されると共に前記本体部の移動方向において前記一対の長尺部材の少なくとも一方と当接可能に形成される当接部と、を備え、その当接部は前記可動部材に連結固定され、前記可動部材が前記第1付勢領域に配置されると、前記可動部材は、前記一対の長尺部材の内、前記可動部材の移動によりその可動部材との距離が近くなる側の一方の長尺部材に当接され付勢力を与えられ、前記可動部材が前記第2付勢領域に配置されると、前記一方の長尺部材の中間部が、前記本体部に対して一方の長尺部材側に配置される当接部に押し付けられることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、付勢力の変化割合の変化は、一方の長尺部材の中間部が、当接部に押し付けられることにより形成される。即ち、可動部材の移動により既に変形されている一方の長尺部材が、当接部に押し付けられる中間部を起点に更に変形されることで付勢力の変化割合の変化が生じる。ここで、中間部を起点とする変形は、他方の端部を起点とする変形に比較して変形を受ける部分の長さが短くなるので、可動部材の移動量に対する付勢力の変化の割合が増大する。これにより、第2付勢領域において、可動部材の移動量に対する付勢力の変化を増大させることができる。よって、付勢力の変化割合を大きくすることができる。
遊技機D3において、前記一方の長尺部材は、対向配置される前記当接部側へ向けて折り曲げられる第1折曲点を備え、その第1折曲点において前記一方の長尺部材が前記当接部に押し付けされることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、一方の長尺部材が第1折曲点で対向配置される当接部と当接されるので、一方の長尺部材が当接部との当接により引き延ばされる。そのため、可動部材に付勢力を与える付勢装置の先端部分を、付勢力の起点となる長尺部材の他方の端部や第1折曲点から離反させることができる。従って、第2付勢領域において可動部材が付勢装置から負荷されるモーメントをより大きくすることができる。
遊技機D4において、前記可動部材は、前記長尺部材の他方の端部から離反するほど移動方向へ拡大される先端拡大領域を備え、その先端拡大領域において前記可動部材と前記長尺部材の一方の端部とが当接されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、可動部材が先端拡大領域を備え、その先端拡大領域において可動部材と長尺部材の一方の端部とが当接される。そのため、一方の長尺部材が当接部に押し付けられることにより一方の長尺部材が引き延ばされると、可動部材と長尺部材との当接位置が長尺部材の他方の端部から離反する方向へ移動され、長尺部材の変形量が増大される。そのため、付勢装置から可動部材へ負荷される付勢力を増加させることができる。
遊技機D2からD5のいずれかにおいて、前記当接部と前記本体部との配置間隔を変化可能とされることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D2からD5のいずれかの奏する効果に加え、長尺部材の生じる付勢力の変化のバリエーションを増やすことができる。即ち、例えば、当接部と本体部との配置間隔が狭められる場合、長尺部材の付勢力の変化の割合が増大するタイミングをより早期に設定することができる。
<アウト口が複数配設され下板320に緩衝リブ322が形成される技術思想の一例>
球が流下可能に形成される遊技領域の内部で、その遊技領域の下縁に当接して配置される盤内役物と、その盤内役物の幅方向一側に形成され球を前記遊技領域から排出する開口である第1アウト口と、前記幅方向一側の反対側である前記盤内役物の幅方向他側に形成され球を遊技領域から排出する開口である第2アウト口と、を備える遊技機において、前記第1アウト口および前記第2アウト口は、開口の下側面から正面に延設され上面に案内面を有する下板部を備え、その下板部の前記案内面は、前記第1アウト口または前記第2アウト口の内で対応する側の開口方向へリブ状に延設される緩衝リブを備えると共に、幅方向外側において前記案内面から盛り上げられて形成される段部を備え、前記緩衝リブの縦横比が幅方向外側へ向かうほど小さく形成されることを特徴とする遊技機E1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、アウト口が複数配設される遊技機がある(例えば特開平9-192301号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、アウト口の個数が増える分、各アウト口の大きさを抑える方がアタッカー等の配設スペースを確保できて好ましい一方で、アウト口を小さくしすぎると、遊技球の排出が滞るおそれがあるという問題点があった。
例えば、アウト口手前側において球が上下にバウンドする高さがアウト口の縦幅以上になると球はアウト口の前方に滞留する。また、例えば、アウト口の幅方向の側面に役物に側面が配設され壁となる場合、幅方向からアウト口手前側へ流入した球は役物の側面に衝突して幅方向へ跳ね返る。このとき、幅方向に跳ね返る量がアウト口の横幅以上になると、球はアウト口の前方に滞留する。
一方、遊技機E1によれば、下板部に形成される案内面に緩衝リブが形成されるので、球の跳ね返りを抑制したり、球を減速させたりすることができる。即ち、上下方向から球が衝突する場合には緩衝リブが撓み変形することで緩衝リブがクッションとなり球の跳ね返りを抑制することができる。また、左右方向から球が衝突する場合には、球が緩衝リブにはまり込むことで制動される。
ここで、開口方向へ延設される緩衝リブは、左右方向からの負荷に弱く、左右方向からの球の衝突により破損するおそれがある。
これに対し、遊技機E1によれば、案内面が、幅方向外側において段部を備えるため、左右方向から緩衝リブへ向けて流下する球が段部の上から緩衝リブへ落下することになる。この場合、球の緩衝リブへの衝突の向きの上下方向成分を大きくすることができ、緩衝リブの破損を抑制することができる。
なお、段部は案内面上を左右方向に移動する球をせき止める機能を備えるので、案内面上を移動する球がアウト口の横幅以上に跳ね返ることを防止することができる。
遊技領域の幅方向中央に向かうほど緩衝リブが高く形成されるので、流下する球が集中しやすい遊技領域の幅方向中央付近において大きな跳ね返り抑制効果を得ることができる。これにより、アウト口から球をスムーズに排出することができる。また、遊技領域の下辺の曲線と緩衝リブの下面とを合わせることで、アウト口の配設位置を下方修正することができる。
ここで、緩衝リブの形成高さが高いほど球の跳ね返り抑制効果が大きくなるのは、緩衝リブの撓み量が大きくなるためである。即ち、緩衝リブの撓み量が大きいほどクッション効果が十分に働き、跳ね返りを抑制し易くできる。そのため、緩衝リブの縦横比を左右方向で一定にする(縦方向の長さを一定にする)方が、跳ね返り抑制効果のためには好ましい。
一方で、緩衝リブの縦横比を一定にする(縦方向の長さを一定にする)と、段部の形成高さを高くする必要があり、その段部に至るまでの球の経路も上方に配置させる必要があるので、結果的に遊技領域を狭めることになり、スペース効率上好ましくない。
一方、遊技機E1では、流下する球が集中しにくい遊技領域の幅方向外側では緩衝リブの縦横比(縦方向の長さ)を小さくし、流下する球が集中しやすい遊技領域の幅方向中央では緩衝リブの縦横比(縦方向の長さ)を大きくしている。これにより、球の排出効率の向上と、遊技領域の確保との両立を図ることができる。
なお、開口方向へ延設されるとは、特に限定されるものではなく、直線形、波形、山形等の形状で開口方向へ沿って延設されることを意味する。
遊技機E1において、前記案内面は、前記遊技領域の幅方向外側へ下降傾斜する外傾斜部を備えることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、案内面が外傾斜部を備えるので、幅方向外側から案内面に流入する球の速度を重力加速度で減速させることができ、球の減速時間を短縮化することができる。
遊技機E1又はE2において、前記第1アウト口または前記第2アウト口の少なくとも一方の斜め上方に、球が流下不能とされる非流下領域が形成されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E1又はE2の奏する効果に加え、非流下領域から案内面へ向けて斜め下方向へ流れる球の流下が制限されるので、案内面へ至るまでの球の流下経路の数を低減することができる。そのため、流下した球の跳ね返る方向を狭めることができる。これにより、第1アウト口または第2アウト口の少なくとも一方の外形を狭めることができる。
遊技機E3において、前記非流下領域は、前記遊技領域に配設され正面側へ開閉可能とされる開閉装置が、前記第1アウト口または前記第2アウト口の少なくとも一方の上方に配設され、前記開閉装置の正面側に形成されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E3の奏する効果に加え、非流下領域が開閉装置により形成される。これにより、第1アウト口または第2アウト口の非流下領域側へ望む方向の開口寸法を抑制することにより生じるスペースを、開閉装置の配設スペースとして利用することができる。
また、開閉装置は、閉状態の場合には、開閉装置の前方を流下する球を遊技領域下方に流下させ、開状態の場合には、開閉装置の前方を流下する球を遊技領域の後方へ流下させる機能を有する。そのため、釘などと衝突することにより球が不規則に流下する場合に比較して、非流下領域の形成を確実に行うことができる。
遊技機E1からE4のいずれかにおいて、前記第1アウト口または前記第2アウト口の上底面に、開口方向へリブ状に延設される方向調整リブを備えることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E1からE4のいずれかの奏する効果に加え、第1アウト口または第2アウト口の上底面に開口方向へリブ状に延設される方向調整リブを備えるため、第1アウト口または第2アウト口の上底面に衝突しながら流下する球に対する抵抗を抑制することができる。
<特徴F群>(電源投入時画像を通常時も使用)
所定の表示態様を表示可能な表示手段と、前記表示手段に前記表示態様を表示させる表示制御手段と、その表示制御手段により表示される前記表示態様に対応した表示データが記憶された記憶手段と、その記憶手段より前記表示データを読み出して、前記表示制御手段により前記表示手段に表示される表示データとして設定する設定手段と、を有し、前記記憶手段には、遊技の初期設定が実行されている場合に表示する初期画像に対応した初期表示データが記憶され、前記設定手段は、前記初期設定において前記初期表示データを前記記憶手段より読み出して、前記表示手段に表示させる表示データとして設定するものであり、前記初期設定の完了後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記表示手段に表示させる表示データとして使用するものであることを特徴とする遊技機F1。
ここで、従来より、遊技機においては、液晶表示装置等の表示装置に様々な演出画像を表示して遊技の興趣向上が図られている。このような遊技機では、一般的に、表示装置に表示させる画像の画像情報を予め記憶手段に記憶させておき、画像を表示する際に、記憶手段から対応する画像情報を読み出し、画像処理を施した上で、表示装置にその画像を表示させるように構成されている(例えば、特開2006-223598)。しかしながら、上述した遊技機は、画像情報が増大することで、遊技機で使用する画像データが多くなってしまい、記憶するための記憶手段の大容量化や、その読み出す処理等による負荷が増大する不具合があった。このような問題点により、画像表示制御の向上が求められていた。
遊技機F1によれば、初期設定時に表示される初期表示データが、初期設定完了後の演出についても使用されるので、表示データを共通化することができ、表示データ量を削減でき、画像表示制御の向上をすることができるという効果がある。
遊技機F1において、前記表示手段は、第1表示手段と、その第1表示手段とは異なる第2表示手段とで構成され、前記表示制御手段は、前記第1表示手段または前記第2表示手段に前記表示態様を表示させるものであり、前記設定手段は、前記初期設定において前記初期表示データを前記記憶手段より読み出して、前記第1表示手段と前記第2表示手段とに表示させる表示データとして設定するものであり、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段と前記第2表示手段とのどちらか一方に表示させる表示データとして設定するものであることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とで構成された表示手段に対しても表示データの共通化を行うことができ、表示制御の負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機F2において、前記初期表示データは、前記第1表示手段と前記第2表示手段との表示領域を一つの表示領域として設定されているものであることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とを一つの表示データとして設定することができるので、表示制御を簡略化できるという効果がある。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、取得条件の成立に基づいて、情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得した情報を判別する判別手段と、その判別手段により判別した判別結果を示す識別情報を動的表示することが可能な動的表示手段と、を有し、前記識別情報は、前記初期画像で表示される初期識別情報と前記初期設定完了後の動的表示で表示される通常識別情報とで構成されているものであることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F1からF3のいずれかの遊技機の奏する効果に加え、判別手段による判別結果を示す識別情報は、初期画像で表示される初期識別情報と通常識別情報とで構成されているので、遊技者により初期設定であることを認識させることができるという効果がある。
遊技機F4において、前記初期画像は、第1表示手段に対して表示される前記初期識別情報を含む表示画像と前記第2表示手段に対して表示される遊技内容を示す遊技情報画像を含む表示画像とで少なくとも構成されていることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、初期画像が第1表示手段に表示される初期識別情報と第2表示手段に表示される遊技情報画像を含む表示画像とで構成されているので、遊技者に遊技内容と判別結果とを同時に初期設定中も報知することができるという効果がある。
遊技機F4またはF5において、前記第1表示手段に前記初期設定中に表示される前記初期識別情報は、前記通常識別情報より少ないデータ量で構成されているものであることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、初期識別情報が通常識別情報よりも少ない表示データで構成されているので、初期設定時における制御負荷を軽減して、早く初期識別情報を読み出して表示させることができるという効果がある。
遊技機F4からF6のいずれかにおいて、前記第2表示手段は、前記第1表示手段よりも小さい表示領域で構成されており、所定期間遊技が行われない場合に、前記第2表示手段には、前記初期画像で表示される前記遊技情報画像を含む表示画像が表示されるものであることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F4からF6のいずれかの奏する効果に加え、遊技が所定期間行われない場合には、初期表示データを使用して第2表示手段に遊技情報画像を含む表示画像が表示されるので、制御負荷を軽減して、遊技内容の報知を行うことができるという効果がある。
遊技機F7において、前記所定期間遊技が行われない場合には、前記初期画像のうち、第1表示手段に対して表示される前記表示画像に対応する表示データは、非表示に設定されるものであることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F7の奏する効果に加え、第1表示手段に表示される初期画像は非表示に設定されるので、第1表示手段に異なる表示を行うことができるという効果がある。
遊技機F2からF8のいずれかにおいて、前記設定手段は、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段に対して設定する場合には、前記第2表示手段に対応する表示データを非表示に設定し、第2表示手段に対して設定する場合には、第1表示手段に対応表する示データを非表示に設定するものであることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F2からF8のいずれかの奏する効果に加え、これにより、第1表示手段と第2表示手段とで独立して初期表示データを使用して表示を行うことができるという効果がある。
遊技機F9において、前記設定手段は、前記初期設定後に実行される演出において、前記初期設定で読み出した前記初期表示データを前記第1表示手段に対して設定する場合には、初期設定中とは異なる表示位置に表示されるように設定するものであることを特徴とする遊技機F10。
遊技機F10によれば、遊技機F9の奏する効果に加え、初期設定で表示された表示と異なる表示であるかのうように遊技者に見せることができ、初期表示データを多種多様に使用することができるという効果がある。
<特徴G群>(シャッターとメイン液晶とで変動内容によって○×の位置変える)
識別情報を表示することが可能な第1表示手段と、その第1表示手段とは異なる第2表示手段と、前記第1表示手段または前記第2表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、特定の前記識別情報が前記第1表示手段または前記第2表示手段に表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、前記動的表示手段により動的表示される前記識別情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とのどちらかに切り替えて表示させる切替表示手段とを有するものであることを特徴とする遊技機G1。
ここで、例えば、遊技機の演出を行う表示手段を複数設け、それぞれの表示手段で変動演出や大当たり演出を行うことで、複数の表示手段を用いた相乗的な演出を行うことで、遊技者の興趣を向上させることを目的とした遊技機が知られている(例えば、特開2004-081256)。しかしながら、上述した遊技機では、複数の表示装置を利用した利便性の向上が求められていた。このような問題点により、利便性の向上が求められていた。
遊技機G1によれば、第1表示手段または第2表示手段に表示される演出(識別情報の動的表示)が、切替表示手段により、第1表示手段と第2表示手段とのどちらかに切り替えて表示することができる。これにより、識別情報を遊技の状態に応じて遊技者が視認し易い位置に表示することができ、利便性の向上を向上できるという効果がある。
遊技機G1において、前記第1表示手段に動的表示される前記識別情報の視認を困難にする位置である第1位置に駆動可能な第1駆動手段と、前記第2表示手段に動的表示される前記識別情報の視認を困難にする位置である第2位置に駆動可能な第2駆動手段と、を有し、前記切り替え表示手段は、前記第1駆動手段が前記第1位置となる場合には、前記識別情報を前記第2表示手段に表示させ、前記第2駆動手段が前記第2位置となる場合には、前記識別情報を前記第1表示手段に表示させるように切り替えるものであることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、第1駆動手段と第2駆動手段とにより、識別情報の視認が妨げられる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機G1またはG2において、前記第2表示手段は、前記第1表示手段の前面側を移動可能な移動手段を有し、前記切り替え表示手段は、前記移動手段により前記第2表示手段が移動される場合には、前記識別情報が前記第2表示手段に表示されるように切り替えるものであることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G1またはG2の奏する効果に加え、第2表示手段により前記識別情報の視認が妨げられる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記第1表示手段と前記第2表示手段とに表示される表示態様の表示データは、一の表示領域に表示される表示データとして前記第1表示手段と前記第2表示手段とに対応した合成表示データで構成されているものであることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかにおいて、第1表示手段と第2表示手段との表示データを合成表示データで設定することができるので、制御負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機G4において、前記第1表示手段と前記第2表示手段とのそれぞれの表示領域を一の表示領域として設定するための座標情報が設定されているものであり、前記合成表示データは、前記座標情報に対応して、それぞれの座標について表示する表示データで構成されているものであることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、第1表示手段と第2表示手段とに表示する表示データを容易に設定することができるという効果がある。
<特徴H群>(落下制御)
第1位置と第2位置とに少なくとも可動可能な可動部を有する可動部材と、その可動部材を第3位置と第4位置とに駆動させる駆動手段と、を有した遊技機において、前記第1位置から前記第2位置へと可動することを規制する規制手段と、第1条件の成立に基づいて、前記規制手段による規制を解除させた状態で前記第3位置から前記第4位置に前記可動部材を前記駆動手段により駆動させ、前記第1条件とは異なる第2条件の成立に基づいて、前記規制手段により規制させた状態で前記第3位置から前記第4位置に前記可動部材を前記駆動手段により駆動させる駆動制御手段とを有するものであることを特徴とする遊技機H1。
ここで、例えば、遊技機に設けられた可動役物を可動させることで、大当たりとなる期待度の示唆などが行われている。このような遊技機において、可動役物の可動パターンを増やすことで、遊技者の興趣を向上させる遊技機が提案されている(例えば、特開2008-079687)。この場合、可動役物の可動パターンを増やすために駆動装置(例えば、モータなど)を多く使用する必要があり、消費電力が増大してしまうという不具合があった。このような問題点により、消費電力の抑制が求められていた。
遊技機H1によれば、駆動手段を駆動させることで、その駆動振動等により可動部が可動することが可能であるので、可動部を電気的等で可動させる場合と比べて、消費電力の増大を抑制できるという効果がある。
遊技機H1において、前記可動部を前記第2位置から前記第1位置に可動させる可動手段を有するものであることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、前記駆動手段により第4位置に可動部材が駆動されることで、可動部が第2位置に可動した場合にも、可動手段により第1位置に復帰させることができるという効果がある。なお、この場合、可動手段を設けずに、可動部材を第4位置から第3位置に駆動させる慣性力(加速度)により可動部を第1位置に可動させるように構成してもよい。
遊技機H1またはH2において、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、その特典付与手段により前記特典が付与されるか否かを示す演出を所定の演出期間で実行する演出実行手段とを有し、前記駆動制御手段は、前記演出実行手段により演出が実行される期間に、可動条件が成立している場合に、前記可動部材を前記第3位置から前記第4位置に駆動させるものであり、前記特典付与手段により前記特典が付与されることを示す演出が実行される場合に、前記規制手段による規制を解除した状態で駆動し易いものであることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1またはH2の奏する効果に加え、特典が付与され易い演出では、規制が解除された状態で可動部材が第4位置に駆動され易いので、可動部が第2位置に可動する場合に特典が付与されることを遊技者に期待させることができるという効果がある。
遊技機H1からH3のいずれかにおいて、前記駆動制御手段は、前記規制手段による規制が解除されている状態と規制されている状態とで同じ動作で前記可動部材を可動させるものであることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H1からH3のいずれかの奏する効果に加え、可動部材が駆動される動作の違いにより規制されているか否かを判別されることを抑制できるという効果がある。ここで、動作とは、速度や駆動パターンの違い、駆動方向の違い等である。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記駆動制御手段は、前記可動部材を前記第3位置から前記第4位置に駆動させる場合に、前記第3位置と第4位置との間の位置である途中位置で、所定期間、仮停止させるものであることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H1からH4のいずれかの奏する効果に加え、仮停止させることで、励磁されていない場合に第2位置に可動部を慣性力等により可動させ易くできるという効果がある。
遊技機H1からH5のいずれかにおいて、前記第4位置は、前記第3位置に対して下方の位置で構成されており、前記駆動手段は、前記第3位置と前記第4位置とを往復動作可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H1からH5のいずれかの奏する効果において、下降させる重力により可動部を可動させやすく構成できるという効果がある。
遊技機H1からH6のいずれかにおいて、前記可動手段は、ステッピングモータで構成され、前記規制手段は、前記ステッピングモータを停止状態で通電させるものであることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H1からH6の奏する効果に加え、可動手段と規制手段とをステッピングモータで構成することができ、構成を簡素化することができるという効果がある。
<特徴I群>(類似演出の実行を回避)
演出を実行可能な演出実行手段と、その演出実行手段により特定の演出が実行される特定期間を設定する特定期間設定手段と、その特定期間設定手段により前記特定期間が設定されており、前記特定の演出を実行する場合には、その演出の実行期間によって実行可能な特定条件が成立しているかを判別する特定条件判別手段と、を有し、前記演出実行手段は、前記特定条件判別手段により前記特定条件が成立していると判別されたことに基づいて、前記特定の演出を実行するものであることを特徴とする遊技機I1。
ここで、例えば、遊技機の電源を立ち上げてから一定の時間が経過した場合において、通常の一般演出とは異なる特定演出に移行させ、定期的に実行される定期演出を表示することにより、遊技者の興趣を向上させることを目的とした遊技機が提案されている(例えば、特開2007-252534)。この場合、定期的に実行される定期演出において、その定期演出と類似する音声や画像を伴う演出が実行される場合に、定期演出が実行されているのか否かを判別することが困難となり、遊技者が困惑してしまうとの不具合があった。このような問題点により、遊技者が分かり易い遊技機が求めれていた。
遊技機I1によれば、特定演出を実行する期間において、実行前にその実行可否が判別されるので、演出の実行タイミングの不具合による遊技者の混乱を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機I1において、計時情報を計時することが可能な計時手段を有し、前記特定期間設定手段は、前記計時手段により所定の計時情報が計時されたことに基づいて、前記特定期間の開始を少なくとも設定するものであることを特徴とする遊技機I2。
遊技機I2によれば、遊技機I1の奏する効果に加え、所定の計時情報が計時されたことに基づいて特定期間の開始が設定されるので、他の遊技機でも同時期に特定期間が設定され易く構成できるという効果がある。
遊技機I1またはI2において、前記演出実行手段は、前記特定期間中に前記特定演出以外の通常演出を実行するものであり、前記特定条件判別手段は、実行されている前記通常演出に基づいて前記特定条件が成立しているかを判別するものであることを特徴とする遊技機I3。
遊技機I3によれば、遊技機I1またはI2の奏する効果に加え、通常演出に基づいて特定条件の成立が判別されるので、特定の演出と通常演出との関係を考慮して特定の演出を実行することができるという効果がある。
遊技機I3において、遊技者が操作することが可能な操作手段と、その操作手段が操作されたことを検出する検出手段とを有し、前記特定の演出と前記通常演出の少なくとも一つには、前記操作手段を遊技者に操作させる操作演出を含むものであり、前記特定条件は、前記特定の演出と前記通常演出との前記操作演出が同期しない場合に成立するものであることを特徴とする遊技機I4。
遊技機I4によれば、遊技機I3の奏する効果に加え、特定の演出と通常演出との操作演出とが同時期に実行される不具合を抑制できるので、遊技者により分かり易い遊技を提供できるという効果がある。
遊技機I1からI4のいずれかにおいて、始動条件の成立に基づいて識別情報の動的表示を実行する動的表示実行手段と、遊技者に有利な特典が付与されることとなる特定の前記識別情報が表示され易い遊技状態である特別遊技状態を設定する特別遊技状態設定手段と、を有し、前記特定の演出は、前記特別遊技状態が設定されているか否かを示す示唆演出が含まれているものであることを特徴とする遊技機I5。
遊技機I5によれば、遊技機I1からI4のいずれかの奏する効果に加え、特定の演出により特別遊技状態が設定されていることを認識することができ、特定の演出に興味を持たせることができるという効果がある。
遊技機I2からI5のいずれかにおいて、前記特定期間設定手段は、電源が投入されてから予め定められた時間が経過する毎に所定期間の間、前記特定期間を設定するものであり、前記演出実行手段は、前記特定期間が設定されたことに基づいて、所定期間毎に前記特定条件が成立している場合に前記特定の演出を実行するものであり、前記特定条件判別手段により前記特定条件が成立していないと判別された場合に、前記特定の演出を遅延させて前記演出実行手段により実行させる遅延手段を有するものであることを特徴とする遊技機I6。
遊技機I6によれば、遊技機I2からI5のいずれかの奏する効果に加え、特定条件が成立していない場合にも、遅延させて特定の演出が実行されるので、遊技者により混乱を与えるのを抑制できるという効果がある。
<特徴J群>(0.125秒演出)
取得条件の成立に基づいて情報を取得することが可能な情報取得手段と、その情報取得手段により取得された前記情報が記憶される記憶手段と、始動条件の成立に基づいて、前記記憶手段に記憶された情報を判別する判別手段と、その判別手段により判別された判別結果を示す識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に特定の判別結果を示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段と、所定の演出が出力される演出態様出力手段と、前記情報取得手段により情報が取得されたことに基づいて、前記始動条件の成立前に前記取得した情報の判別をする事前判別手段と、その事前判別手段の判別結果に基づいた演出の出力を前記演出態様出力手段に対して実行する演出実行手段と、を有し、前記演出態様出力手段には、前記演出の出力が設定される出力領域が複数設定されており、前記演出実行手段は、新たな前記演出の出力を実行する場合に、先に前記演出を出力した前記出力領域とは異なる前記出力領域に対して、前記新たな演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J1。
ここで、例えば、パチンコ機において、始動口へ遊技球が入賞して保留記憶数が増加する際に当該保留の乱数情報を事前に判定(先読み)して、その判定結果が所定の結果(大当たりなど)であることを示唆する演出を実行することにより、当該保留に対応する変動表示が大当たりとなるか否かに対する遊技者の期待感を高めることを目的とした遊技機が知られている(例えば特開2012-16499)。このような遊技機において、変動時間を短時間に構成することで、遊技の効率をあげると、抽選結果等の演出期間も短くなってしまい遊技者に分かり難くなってしまうという不具合があった。この問題点に対して、変動時間が短くなった場合にも遊技者に分かり易い遊技機を提供できることを目的とする。
遊技機J1によれば、事前判別手段の判別結果に基づいた演出(保留の判定結果を示唆する演出)が出力される出力領域が複数設定されており、その複数の出力領域に対して先に演出を出力した出力領域とは異なる出力領域に次の演出が出力される。これにより、当該演出の実行中に、新たに事前判別手段の判別結果が取得される場合でも、事前判別手段の判別結果に基づく演出を、異なる出力領域に表示することで、実行中の演出を終了することなく、新たな事前判別手段の判別結果に基づいた演出を実行することができる。その結果、遊技者が困惑するとの不具合を抑制することができる。
遊技機J1において、前記複数の出力領域には、所定の順序が設定されており、前記演出実行手段は、新たな前記演出を実行する場合に、先に前記演出を出力した前記出力領域の次に対応する順序の前記出力領域に対して前記新たな演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J2。
遊技機J2によれば、遊技機J1の奏する効果に加え、出力領域に設定された順序に従って演出が順に出力されるので、直近の演出と新たな演出との出力領域が重複してしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機J1またはJ2において、前記演出態様出力手段は、前記所定の演出である所定の表示態様が表示される表示手段で構成され、前記出力領域として前記表示手段の表示領域を複数分割して小領域が設定されているものであることを特徴とする遊技機J3。
遊技機J3によれば、遊技機J1またはJ2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示領域を有効に利用して、複数の演出を同時に表示することができる。よって、演出期間がより長く設定することができるという効果がある。
遊技機J2またはJ3において、前記記憶手段は、予め定められた所定数まで前記情報を記憶可能に構成され、前記情報取得手段は、前記取得条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶された前記情報が前記所定数未満であれば前記情報を取得するものであり、前記演出実行手段は、前記取得条件が成立し、前記情報が前記情報取得手段により取得されなかった場合にも、先に出力した前記出力領域の次の順序に対応した前記出力領域に対して演出の出力を実行するものであることを特徴とする遊技機J4。
遊技機J4によれば、遊技機J2またはJ3の奏する効果に加え、より多く情報が取得されているかのように遊技者に思わせることができるという効果がある。
遊技機J3またはJ4において、前記取得手段により前記情報が取得された場合には、その情報に対する前記事前判別手段による判別結果に基づいて前記演出実行手段により実行される演出内容を決定し、前記取得条件が成立して前記情報取得手段により前記情報が取得されなかった場合には、前記特定の判別結果以外の判別結果に基づいて前記演出実行手段により実行される演出内容を決定する演出内容決定手段を有するものであることを特徴とする遊技機J5。
遊技機J5によれば、遊技機J3の奏する効果に加え、あたかも情報が取得されているかのように遊技者に思わせて遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機J5において、前記演出内容決定手段は、演出期間を前記演出内容と共に決定するものであり、前記演出実行手段により前記演出の出力が実行される前記出力領域に前記決定された演出期間が経過していない前記演出が実行されている場合に、その実行中の演出を強制的に終了させる終了手段を有しているものであることを特徴とする遊技機J6。
遊技機J6によれば、遊技機J5の奏する効果に加え、同じ出力領域に異なる演出が出力される不具合を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を提供できるという効果がある。
遊技機J5において、前記演出内容決定手段は、演出期間を前記演出内容と共に決定するものであり、前記演出実行手段は、新たに決定された前記演出の出力を実行する前記出力領域に前記演出期間が経過していない前記演出を実行している場合には、その実行中の演出に上書きして新たに決定された前記演出を実行するものであることを特徴とする遊技機J7。
遊技機J7によれば、遊技機J5の奏する効果に加え、同じ出力領域に異なる演出が出力される不具合を抑制でき、遊技者に分かり易く遊技を提供できるという効果がある。
<特徴K群>(複合して動作する役物を1の動作条件で動作させる)
第1可動範囲で可動可能な、第1可動手段と、第2可動範囲で可動可能な、前記第1可動手段とは異なる第2可動手段と、前記第1可動手段に対して第1の可動パターンを設定する第1可動設定手段と、前記第2可動手段に対して第2の可動パターンを設定する第2可動設定手段と、前記第1の可動パターンにより可動する前記第1可動手段の動作と、前記第2の可動パターンにより可動する前記第2可動手段の動作とに応じた動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立するように前記第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正するための補正データを決定する決定手段と、その決定手段により決定された前記補正データに基づいて、前記第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする遊技機K1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、モータ等で可変する可変部材を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変部材を可変させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変部材の数を増加させた場合に、好適に動作を設定することが困難となる虞があった。また、上述した遊技機の中には、1の演出において複数の可変部材を複合して可変させるものがあり、より多様な演出動作を実行できるものがある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、複数の可変部材を複合して可変させた場合に、可変態様が互いにずれてしまい、動作品位が悪化してしまう場合があった。
これに対して遊技機K1によれば、第1可動範囲で、第1可動手段が可動され、第2可動範囲で、第1可動手段とは異なる第2可動手段が可動される。第1可動手段に対して第1の可動パターンが第1可動設定手段により設定され、第2可動手段に対して第2の可動パターンが第2可動設定手段により設定される。第1の可動パターンにより可動する第1可動手段の動作と、第2の可動パターンにより可動する第2可動手段の動作とに応じた動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立するように第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方を補正するための補正データが決定手段により決定される。決定手段により決定された補正データに基づいて、第1又は第2の可動パターンのうち少なくとも一方が補正手段により補正される。
これにより、動作条件に反する動作が実行されることを抑制できるので、第1可動手段と、第2可動手段とを好適に可動させることができるという効果がある。
遊技機K1において、所定の可動演出を実行する演出実行手段を備え、前記第1可動手段と、前記第2可動手段とは、少なくとも前記所定の可動演出において可動されるものであることを特徴とする遊技機K2。
遊技機K2によれば、所定の可動演出が演出実行手段により実行される。また、第1可動手段と、第2可動手段とは、少なくとも所定の可動演出において可動される。
これにより、所定の可動演出において可動される第1可動手段と、第2可動手段とを動作条件に即して動作させることができる。よって、所定の可動演出において動作条件に反する動作が行われることを抑制することができるので、所定の可動演出における第1可動手段、および第2可動手段の動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機K1又はK2において、前記第2可動手段は、第1可動手段に付随して構成され、前記第1可動手段と共に可動可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機K3。
遊技機K3によれば、遊技機K1又はK2の奏する効果に加え、第2可動手段が第1可動手段に付随して構成され、第1可動手段と共に可動されるので、第1可動手段と、第2可動手段の動作とで一体感のある動作を行わせることができるという効果がある。
遊技機K1からK3のいずれかにおいて、前記決定手段により決定される異なる前記補正データが複数記憶された記憶手段と、前記動作条件が成立していない場合に、前記第1可動手段と前記第2可動手段とのそれぞれの可動位置に基づいて前記動作条件を成立させるのに必要な情報を判別する情報判別手段と、を備え、前記決定手段は、前記情報判別手段により判別された情報に基づいて、前記記憶手段より前記補正データを決定するものであることを特徴とする遊技機K4。
遊技機K4によれば、遊技機K1からK3のいずれかにおいて、決定手段により決定される異なる補正データが記憶手段に複数記憶される。動作条件が成立していない場合に、第1可動手段と、第2可動手段とのそれぞれの可動位置に基づいて動作条件を成立させるのに必要な情報が情報判別手段により判別され、その情報判別手段により判別された情報に基づいて、補正データが決定手段により記憶手段から決定される。
これにより、動作条件が成立していない場合に、補正データを記憶手段から決定するという比較的処理負荷の軽い処理により可動パターンを補正することができるので、処理負荷を軽減することができるという効果がある。
遊技機K1からK4のいずれかにおいて、前記決定手段は、前記動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立する動作となるように前記第2可動手段の可動パターンを補正する前記補正データを決定するものであることを特徴とする遊技機K5。
遊技機K5によれば、遊技機K1からK4のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立する動作となるように第2可動手段の可動パターンを補正する補正データが決定手段により決定されるので、第2可動手段を補正することなく、動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機K5において、遊技機に対する電源投入に基づいて前記第1可動設定手段と、前記第2可動設定手段との動作内容を確認するための投入期間を設定する期間設定手段を備え、前記決定手段は、前記投入期間において前記動作条件が成立していない場合に、前記動作条件が成立するように前記第2の可動パターンを補正する前記補正データを決定するものであり、前記補正手段は、前記決定手段により決定された前記補正データに基づいて、前記投入期間が終了した後に設定される可動パターンを補正するものであることを特徴とする遊技機K6。
遊技機K6によれば、遊技機K5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技機に対する電源投入に基づいて第1可動設定手段と、第2可動設定手段との動作内容を確認するための投入期間が期間設定手段により設定され、投入期間において動作条件が成立していない場合に、動作条件が成立するように第2の可動パターンを補正する補正データが決定手段により決定される。決定された補正データに基づいて、投入期間が終了した後に設定される可動パターンが補正手段により補正される。
これにより、投入期間が終了した後は、動作条件が成立した状態に補正された可動パターンを設定することができる。即ち、遊技機が稼働している大半の時間において、動作条件が成立した状態で第1可動手段と第2可動手段とを可動させることができるという効果がある。
<特徴L群>(一方の役物の動作を他方に合わせ込む)
第1可動範囲で可動可能な、第1可動手段と、第2可動範囲で可動可能な、前記第1可動手段とは異なる第2可動手段と、前記第1可動手段と前記第2可動手段とを所定の可動データに基づいて可動させる可動制御手段と、を備えた遊技機において、前記第1可動手段に対して予め定められた第1の可動パターンに対応する第1可動データを設定する第1可動設定手段と、設定された前記第1可動データにより前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定する決定手段と、その決定手段により決定された可動データで前記可動制御手段により前記第2可動手段が可動するように設定する第2可動設定手段とを備えることを特徴とする遊技機L1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、モータ等で可変する可変部材を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変部材を可変させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変部材の数を増加させた場合に、好適に動作を設定することが困難となる虞があった。また、上述した遊技機の中には、1の演出において複数の可変部材を複合して可変させるものがあり、より多様な演出動作を実行できるものがある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、複数の可変部材を複合して可変させた場合に、可変態様が互いにずれてしまい、動作品位が悪化してしまう場合があった。
これに対して遊技機L1によれば、第1可動手段に対して予め定められた第1の可動パターンに対応する第1可動データが第1可動設定手段により設定される。設定された第1可動データにより第1の可動パターンで可動する第1可動手段の動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定される。決定手段により決定された可動データで可動制御手段により第2可動手段が可動するように第2可動設定手段により設定される。
これにより、第2可動手段を第1可動手段の動作に対応した動作で可動させることができるので、第1可動手段と、第2可動手段とを好適に可動させることができるという効果がある。
遊技機L1において、所定の可動演出を実行する演出実行手段を備え、前記第1可動手段と、前記第2可動手段とは、少なくとも前記所定の可動演出において可動されるものであることを特徴とする遊技機L2。
遊技機L2によれば、遊技機L1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の可動演出が演出実行手段により実行される。そして、第1可動手段と、第2可動手段とは、少なくとも所定の可動演出において可動される。
これにより、所定の可動演出において第1可動手段の動作に対応した動作で第2可動手段を可動させることができる。よって、所定の可動演出において第1可動手段、および第2可動手段の動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1又はL2において、前記第2可動手段は、前記第1可動手段に付随して構成され、前記第1可動手段と共に可動可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機L3。
遊技機L3によれば、遊技機L1又はL2の奏する効果に加え、第2可動手段が第1可動手段に付随して構成され、第1可動手段と共に可動されるので、第1可動手段と、第2可動手段の動作とで一体感のある動作を行わせることができるという効果がある。
遊技機L1からL3のいずれかにおいて、前記決定手段は、前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の動作が終了したことに基づいて、前記第1の可動パターンで可動された前記第1可動手段の動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L4。
遊技機L4によれば、遊技機L1からL3のいずれかが奏する効果に加え、第1の可動パターンで可動する第1可動手段の動作が終了したことに基づいて、第1の可動パターンで可動された第1可動手段の動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定されるので、一連の第1の可動パターンの動作を加味した可動データを決定することができる。よって、第1可動手段の動作により適合した態様で第2可動手段を動作させることができるので、第1可動手段、および第2可動手段の動作品位をより向上することができるという効果がある。
遊技機L4において、遊技機に対する電源投入に基づく初期設定を行うための初期設定期間を設定する期間設定手段を備え、前記第1可動設定手段は、前記初期設定期間が設定されたことに基づいて前記第1可動データを設定するものであることを特徴とする遊技機L5。
遊技機L5によれば、遊技機L4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技機に対する電源投入に基づく初期設定を行うための初期設定期間が期間設定手段により設定される。そして、初期設定期間が設定されたことに基づいて第1可動設定手段により第1可動データが設定される。
これにより、初期設定期間において第1の可動パターンで可動された第1可動手段の動作に対応した可動データを決定することができるので、初期設定期間の終了後には、第2可動手段を第1可動手段に対応した動作で可動させることができるという効果がある。
遊技機L5において、前記初期設定期間の終了後に前記第1可動手段を可動させるか否かを判別する可動判別手段と、その可動判別手段により前記第1可動手段を可動させると判別された場合に、予め定められた特定の可動パターンに対応する特定可動データを設定する特定可動設定手段と、を備え、前記決定手段は、前記特定の可動パターンに対応した動作を設定するための前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L6。
遊技機L6によれば、遊技機L5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、初期設定期間の終了後に第1可動手段を可動させるか否かが可動判別手段により判別され、その可動判別手段により第1可動手段を可動させると判別された場合に、予め定められた特定の可動パターンに対応する特定可動データが特定可動設定手段により設定される。特定の可動パターンに対応した動作を設定するための第2可動手段の可動データが決定手段により決定される。
これにより、特定の可動パターンに対応する動作で第2可動手段を可動させることができるので、第1可動手段と、第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1からL6のいずれかにおいて、前記決定手段は、少なくとも前記第1可動パターンが設定された前記第1可動手段の動作が終了するタイミングと、前記第2可動手段の動作が終了するタイミングとが合うように可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L7。
遊技機L7によれば、遊技機L1からL6のいずれかが奏する効果に加え、少なくとも第1可動パターンが設定された第1可動手段の動作が終了するタイミングと、第2可動手段の動作が終了するタイミングとが合うように決定手段により可動データが決定されるので、遊技者が最も注目するタイミングの一つである動作終了タイミングにおいて、第1可動手段と、第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L1からL3のいずれかにおいて、前記動作判別手段は、設定された前記第1可動データにより前記第1の可動パターンで可動する前記第1可動手段の可動量が所定の可動量となったことに基づいて、前記第1可動手段の動作を判別するものであることを特徴とする遊技機L8。
遊技機L8によれば、遊技機L1からL3の奏する効果に加え、設定された第1可動データにより第1の可動パターンで可動する第1可動手段の可動量が所定の可動量となったことに基づいて、第1可動手段の動作が動作判別手段により判別されるので、第2可動手段の動作をより細かく第1可動手段の動作に対応させていくことができるという効果がある。
遊技機L8において、前記決定手段は、前記第1可動手段の可動量が前記所定の可動量となってから前記第1の可動パターンが終了するまでの動作に対応した前記第2可動手段の可動データを決定するものであることを特徴とする遊技機L9。
遊技機L9によれば、遊技機L8の奏する効果に加え、第1可動手段の可動量が所定の可動量となってから第1の可動パターンが終了するまでの動作に対応した第2可動手段の可動データが決定手段により決定されるので、所定の可動量となって以降の第2可動手段の動作を第1可動手段の動作に対応した動作とすることができる。よって、第1可動手段と第2可動手段との動作品位を向上させることができるという効果がある。
遊技機L10において、前記第1可動設定手段により前記第1可動データが設定されたことに基づいて、前記第2可動手段に対して予め定められた第2の可動パターンに対応する第2可動データを設定する可動設定手段を備えることを特徴とする遊技機L11。
遊技機L11によれば、遊技機L10の奏する効果に加え、第1可動設定手段により第1可動データが設定されたことに基づいて、第2可動手段に対して予め定められた第2の可動パターンに対応する第2可動データが可動設定手段により設定されるので、第1可動手段の可動量が所定の可動量となる前も、第2可動手段を第2の可動パターンで動作させておくことができる。よって、所定の可動量となるまで第2可動手段が停止状態となってしまうことを抑制できるので、遊技者に対して違和感を抱かせてしまうことを抑制することができるという効果がある。
<特徴M群>(役物用LEDの点灯制御)
所定の可動範囲で可動可能であり、背面側からの発光態様が前面より視認可能に構成された視認部を複数有する可動手段と、その可動手段の背面側に設けられ、前記可動手段の背面側より前記視認部を所定の発光態様で発光可能な発光部を有する発光手段と、前記可動手段を可動制御可能な可動制御手段と、その可動制御手段により可動される可動パターンとして特定可動パターンを少なくとも決定可能な可動パターン決定手段と、その可動パターン決定手段により前記特定可動パターンが決定された場合に、前記視認部が前記発光手段の前記発光部に対向する位置である発光位置に前記可動部が位置したことを契機に前記発光部を発光させ、前記可動手段が前記発光位置より所定量可動された場合に消灯させる特定発光パターンで少なくとも発光制御可能な発光制御手段とを備えることを特徴とする遊技機M1。
パチンコ機等の遊技機において、モータ等で動作する可変手段を構成に含むものがある。かかる遊技機の中には、複数の可変手段を動作させることによって、多種多様な演出動作を実行することができるものがある(例えば、特開2008-012194号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、可変手段の多様化に伴い、複雑な構成の可変手段においてそれぞれの可変手段を好適に可動させることが困難となる虞があった。また、上述した従来の遊技機の中には、可変手段の可動に合わせてLED等で構成される発光装置の発光態様を可変させるものがある。かかる遊技機では、可変手段の動作に合わせて発光装置を発光させることによって、よりインパクトの強い演出動作を実行することができる。しかしながら、この従来の遊技機では、可変手段の動作と、発光装置の発光態様とがずれてしまう場合があった。かかる場合には、演出動作の見た目の品位が低下してしまう虞がある。
これに対して遊技機M1では、可動手段が所定の可動範囲で可動される。その可動手段は、背面側からの発光態様が前面より視認可能に構成された視認部を複数有して構成される。可動手段の背面側には、視認部を所定の発光態様で発光可能な発光部を有した発光手段が設けられている。可動手段が可動制御手段により可動制御され、その可動制御手段により可動される可動パターンとして特定可動パターンが少なくとも可動パターン決定手段により決定される。可動パターン決定手段により特定可動パターンが決定された場合に、視認部が発光手段の発光部に対抗する位置である発光位置に可動部が位置したことを契機に発光部を発光させ、可動手段が発光位置より所定量可動された場合に発光させる特定発光パターンで少なくとも発光制御手段により発光制御される。
これにより、視認部と発光部とがずれた状態で発光部が発光されることを抑制できるので、発光手段が発光した状態において可動手段の見た目の品位を向上させることができる。よって、発光手段と可動手段とを好適に動作させることができるという効果がある。
遊技機M1において、前記可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されるものであることを特徴とする遊技機M2。
遊技機M2によれば、遊技機M2の奏する効果に加え、可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されているので、可動手段が回転している間は、発光位置と、発光位置以外の配置とが交互に繰り返される。よって、複数回配置される可能性がある発光位置において、毎回品位の良い見た目で動作させることができるという効果がある。
遊技機M1又はM2において、前記可動パターン決定手段は、前記可動パターンとして前記特定可動パターンと、その特定可動パターンとは異なる所定可動パターンとを少なくとも含む複数の可動パターンから1の可動パターンを決定可能なものであり、前記発光制御手段は、前記所定可動パターンが決定された場合に、前記特定発光パターンとは異なる所定発光パターンで前記発光手段を発光制御するものであることを特徴とする遊技機M3。
遊技機M3によれば、遊技機M1又はM2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動パターン決定手段は、可動パターンとして特定可動パターンと、その特定可動パターンとは異なる所定可動パターンとを少なくとも含む複数の可動パターンから1の可動パターンが可動パターン決定手段により決定される。所定可動パターンが決定された場合に、特定発光パターンとは異なる所定発光パターンで発光制御手段により発光手段が発光制御される。
これにより、可動パターンに応じて異なる発光パターンで発光制御することができるので、発光パターンに応じて可動手段の見た目をより大きく変えることができる。よって、いずれの可動パターンで可動されているのかを見た目からより容易に判別することができるという効果がある。
遊技機M3において、前記所定可動パターンは、前記特定可動パターンよりも可動速度が速く設定されているものであることを特徴とする遊技機M4。
遊技機M4によれば、遊技機M3の奏する効果に加え、所定可動パターンは、特定可動パターンよりも可動速度が速く設定されているので、可動手段の可動パターンを可動速度から容易に判別することができるという効果がある。
遊技機M3またはM4において、前記所定発光パターンは、前記可動手段が前記発光位置以外に位置している場合にも前記発光手段を発光させる発光パターンであることを特徴とする遊技機M5。
遊技機M5によれば、遊技機M3又はM4の奏する効果に加え、所定発光パターンで発光制御されると、可動手段が発光位置以外に位置している場合にも発光手段が発光されるので、特定発光パターンと所定発光パターンとで発光手段の発光態様の違いを遊技者がより容易に認識することができるという効果がある。
遊技機M1からM5のいずれかにおいて、前記可動手段は所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成され、前記視認部は、前記所定の回転軸を中心とする所定の円周上に等間隔で複数箇所に設けられているものであり、前記可動手段は、前記視認部の箇所数に応じた回転対称性を有するものであり、前記発光部は、前記視認部の箇所数と同一の箇所数設けられているものであることを特徴とする遊技機M6。
遊技機M6によれば、遊技機M2からM5のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動手段が所定の回転軸を中心に回転可能な回転体で構成されている。そして、視認部が、所定の回転軸を中心とする所定の円周上に等間隔で複数箇所に設けられている。また、可動手段は、視認部の箇所数に応じた回転対称性を有している。そして、発光部は、視認部の箇所数と同一の箇所数設けられている。
これにより、可変手段が回転している場合は、一定の回転角度毎に発光位置となるので、特定可動パターンにおいて、一定の回転角度となる前後における見た目の品位を向上させることができる。
遊技機M6において、前記発光制御手段は、前記特定発光パターンとして、前記回転体が前記発光位置となる毎に、前回前記発光位置となった場合に発光されていた前記発光部の箇所数以上の箇所数の前記発光部を発光させるように制御するものであることを特徴とする遊技機M7。
遊技機M7によれば、遊技機M6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定発光パターンとして、回転体が発光位置となる毎に、前回発光位置となった場合に発光されていた発光部の箇所数以上の箇所数の発光部が発光されるように発光制御手段により制御される。
これにより、見た目の変化に応じて可動パターンや発光パターンが切り替わったことをより容易に認識させることができるという効果がある。
遊技機M3からM7のいずれかにおいて、前記可動パターン決定手段により決定される可動パターンには、前記所定可動パターンよりも可動速度が速く設定された高速可動パターンが含まれ、前記発光制御手段は、前記所定可動パターンから前記高速可動パターンへと移行する場合に、前記所定周期毎に前記発光部を発光させるように制御するものであることを特徴とする遊技機M6。
遊技機M6によれば、遊技機M3からM7のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可動パターン決定手段により決定される可動パターンには、所定可動パターンよりも可動速度が速く設定された高速可動パターンが含まれる。所定可動パターンから高速可動パターンへと移行する場合に、所定周期毎に発光部を発光させるように発光手段により制御される。
これにより、発光部が発光する周期によって、高速可動パターンとなったことをより容易に認識させることができるという効果がある。
遊技機M6において、前記所定周期は、前記高速可動パターンが設定された前記可動手段が前記発光位置となる周期よりも短く、前記発光位置から次の前記発光位置へと可動するまでの間の中点に到達するまでの時間よりも長いものであることを特徴とする遊技機M7。
遊技機M6によれば、遊技機M7の奏する効果に加え、所定周期は、高速可動パターンが設定された可動手段が発光位置となる周期よりも短く、発光位置から次の発光位置へと可動するまでの間の中点に到達するまでの時間よりも長く構成されているので、所定周期の間に視認部が回転により移動する回転角度に比較して、回転前の視認部の配置に対する、回転方向と逆側に隣接する視認部が所定周期の間に回転により配置される位置の角度の方が小さくなる。つまり、所定周期毎に回転方向と逆側に隣接する視認部を、所定周期が経過する前に認識していた視認部と誤認させることができるので、可動手段の回転方向が逆回転の見た目とすることができる。よって、可変手段の動作を変更せずに回転方向が変更された見た目とすることができるので、可変手段の負荷を軽減できるという効果がある。
遊技機M7において、前記発光制御手段は、それぞれの前記発光部を所定の順序で発光させる第3発光パターンで前記発光手段を発光させるものであることを特徴とする遊技機M8。
遊技機M8によれば、遊技機M7の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、それぞれの発光部が所定の順序で発光される第3発光パターンで発光制御手段により発光手段が発光されるので、より興趣性の高い態様で発光させることができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴N群>(ミニゲーム制御)
遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が所定の操作規則に従って操作された場合に特定の制御を実行する特定制御実行手段と、を備えた遊技機において、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで特定条件を成立させる条件成立手段と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とを少なくとも所定条件の成立に基づいて切り替える切替手段とを備えることを特徴とする遊技機N1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある(例えば、特開2003-325886号)。
しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
また、上述した従来型の遊技機の中には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタンを備えると共に、所定の表示演出時に演出ボタンの操作を示唆する複数の示唆画像が表示させることで、遊技者に対して参加を促すものがある(以下、「遊技者参加型演出」という)。この遊技者参加型演出では、示唆画像によって示唆されるタイミングに合わせて演出ボタンを操作することにより得点が加算されていき、得点が基準点以上となった場合に遊技者に対して特典(例えば、当たり)が付与される。
しかしながら、当たりとなるか否かは遊技者参加型演出の開始よりも前に実行される抽選によって既に決定されている。このため、従来型の遊技機では、当たりの場合にのみ基準点を達成可能とする必要があり、当たりの場合と外れの場合とで遊技者参加型演出の表示態様を変更せざるを得なかった。よって、遊技者参加型演出の表示態様から当たりか外れかを予測できてしまい、遊技者の参加意欲を向上させ難いという問題点があった。
これに対して遊技機N1では、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで条件成立手段により特定条件が成立される。所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とが少なくとも所定条件の成立に基づいて切替手段により切り替えられる。
これにより、第1状態であるか、第2状態であるかに応じて特定条件が成立した状態で操作手段を操作した場合に、特定の制御が実行されるか否かを切り替えることができる。よって、第1状態であることを期待して、遊技者に特定条件が成立した状態で操作手段を操作させることができるので、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。また、第1状態と第2状態とを切り替えるという単純な制御によって、特定の制御の実行され易さを可変させることができるという効果がある。
遊技機N1において、前記所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出を実行する演出実行手段を備え、前記特定制御実行手段は、前記タイミング示唆演出により示唆された前記操作タイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御を実行するものであることを特徴とする遊技機N2。
遊技機N2によれば、遊技機N1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出が演出実行手段によって実行される。また、タイミング示唆演出により示唆された操作タイミングで操作手段が操作された場合に、特定制御実行手段により特定の制御が実行される。
これにより、特定の制御が実行されることを期待して、タイミング示唆演出により示唆されたタイミングで遊技者に操作を行わせることができるので、タイミング示唆演出に注目させることができる。よって、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機N1又はN2において、前記所定期間において遊技者が前記操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングを判別するタイミング判別手段と、前記切替手段により前記第2状態に切り替える場合に、前記第2操作規則として、前記タイミング判別手段によって判別された前記操作タイミングとは異なるタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される操作規則を設定する操作規則設定手段とを備えることを特徴とする遊技機N3。
遊技機N3によれば、遊技機N1又はN2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定期間において遊技者が操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングがタイミング判別手段によって判別される。また、切替手段により第2状態に切り替える場合に、第2操作規則として、タイミング判別手段により判別された操作タイミングとは異なる操作タイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される操作規則が操作規則設定手段により設定される。
これにより、第2状態に切り替えられると、遊技者が操作していたタイミングとは異なるタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されないので、特定の制御が実行されるタイミングで遊技者に操作され難くすることができる。よって、第2状態において特定の制御が実行されることを抑制できるという効果がある。
遊技機N3において、前記第2操作規則として、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される遅延操作規則と、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも早いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも規定されていることを特徴とする遊技機N4。
遊技機N4によれば、遊技機N3の奏する効果に加え、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される遅延操作規則と、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも早いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも第2操作規則として規定されている。これにより、第2状態において設定される操作規則に多様性を持たせることができるという効果がある。
遊技機N4において、前記タイミング判別手段は、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたかを少なくとも判別するものであり、前記操作規則設定手段は、前記タイミング判別手段により、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたと判別された場合に、前記遅延操作規則を設定するものであることを特徴とする遊技機N5。
遊技機N5によれば、遊技機N4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたかが少なくともタイミング判別手段によって判別され、そのタイミング判別手段により特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたと判別された場合に、操作規則設定手段によって遅延操作規則が設定される。
これにより、特定条件が成立した状態の前半で操作を行った遊技者に対して、特定条件の成立よりも遅いタイミングで操作手段を操作しなければ特定の制御が実行されない操作規則に切り替えることができる。即ち、操作手段を早めに操作する遊技者にとって、操作され難いタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されない操作規則が設定されるので、第2状態において特定の制御を実行され難くすることができるという効果がある。
遊技機N1からN5のいずれかにおいて、所定の判定値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の経過に基づいて、前記判定値が予め定めた特定の値であるかを判定する判定手段と、その判定手段により前記判定値が特定の値であると判定されたことに基づいて遊技者にとって有利な状態を示す特定の報知を実行する報知手段とを備え、前記特定の制御は、前記記憶手段に記憶された前記所定の判定値を前記特定の値に近づくように更新する制御であることを特徴とする遊技機N6。
遊技機N6によれば、遊技機N1からN6のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の判定値が記憶手段によって記憶される。所定期間の経過に基づいて、判定値が予め定めた特定の値であるかが判定手段によって判定され、その判定手段により判定値が特定の値であると判定されたことに基づいて遊技者にとって有利な状態を示す特定の報知が報知手段によって実行される。特定の制御では、記憶手段に記憶された所定の判定値を特定の値に近づくように更新するように制御される。
これにより、所定の判定値が特定の値に達し、特定の報知が実行されることを期待して、特定条件が成立した状態で遊技者に操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の遊技に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機N6において、抽選条件の成立に基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を備え、前記特定の報知は、前記抽選手段による抽選結果が前記特定の抽選結果となったことを示す報知であることを特徴とする遊技機N7。
遊技機N7によれば、遊技機N6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、抽選条件の成立に基づいて抽選手段により抽選が実行され、その抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことに基づいて遊技者に有利な特典遊技が特典遊技実行手段によって実行される。特定の報知として、抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果となったことを示す報知が行われる。
これにより、遊技者に対して特定の報知が行われることをより強く期待させて操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の参加意欲をより向上させることができるという効果がある。
遊技機N7において、前記切替手段は、前記抽選手段による抽選結果が前記特定の抽選結果とは異なる抽選結果であった場合に、前記第2状態に切り替えるものであることを特徴とする遊技機N8。
遊技機N8によれば、遊技機N7の奏する効果に加え、抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果とは異なる抽選結果であった場合に、切替手段によって第2状態に切り替えられるので、特定の抽選結果とならないにも拘らず、特定の報知が行われてしまうことを防止することができるという効果がある。
<特徴O群>(表示態様を可変させてミニゲームの難易度を変更する)
遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段に対する操作に応じて演出態様が可変される操作演出を実行可能な演出実行手段と、その演出実行手段により前記操作演出が実行される場合に、前記操作手段の操作が有効となる有効期間を設定する有効期間設定手段と、前記有効期間において前記操作手段が操作され、所定の第1条件が成立した場合に、所定の判別値を遊技者に有利な値に更新する第1更新と、その第1更新に比較して遊技者に不利な値に更新する第2更新との何れか一方を実行することが可能な判別値更新手段と、1の前記有効期間に対して、前記判別値更新手段により前記第1更新が実行され易い第1更新期間と、その第1更新期間に比較して前記第1更新が実行され難い第2更新期間とを設定する更新期間設定手段と、前記操作演出の態様として、前記第1更新期間において遊技者が前記操作手段を操作し易くなる第1演出態様と、その第1演出態様に比較して前記第1更新期間において遊技者が前記操作手段を操作し難くなる第2演出態様との何れか一方を設定することが可能な演出態様設定手段とを備えることを特徴とする遊技機O1。
遊技機O1によれば、第1演出態様が設定されることで、第1更新期間において操作手段を操作し易くなる一方で、第2演出態様が設定されることで第1更新期間において操作手段を操作し難くなるので、操作演出の態様に応じて第1更新の実行され易さを可変させることができるという効果がある。
遊技機O1において、前記操作演出は、遊技者が前記操作手段を操作する操作タイミングを示すタイミング示唆態様が含まれており、前記判別値更新手段は、前記操作手段が操作されたタイミングが前記操作演出に設定さている前記操作タイミングに対応する場合に前記第1更新が実行され易く、前記操作手段が操作されたタイミングが前記操作タイミングに対応しない場合に前記第1更新が実行され難いものであることを特徴とする遊技機O2。
遊技機O2によれば、タイミング示唆態様に応じて第1更新が実行され易い操作タイミングを容易に図ることができるので、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機O1又はO2において、有利条件の成立を判別する有利条件判別手段と、その遊技条件判別手段により前記有利条件が成立したと判別された場合に、遊技者に有利となる特典を付与する特典付与手段を備え、前記演出実行手段は、前記有利条件判別手段による判別結果を示す前記操作演出を実行するものであることを特徴とする遊技機O3。
遊技機O3によれば、遊技機O1又はO2の奏する効果に加え、有利条件が成立している場合に、操作演出において判別値が特定の値となる可能性がある。即ち、特定の演出が実行される可能性があるため、特定の演出が実行されることを期待して操作演出に参加させることができる。よって、遊技者の参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機O3において、前記演出態様設定手段は、前記有利条件判別手段により前記有利条件が判別されている場合に、前記第1演出態様を設定し、前記有利条件が判別されていない場合には、前記第2演出態様を設定するものであることを特徴とする遊技機O4。
遊技機O4によれば、遊技機O3の奏する効果に加え、有利条件が判別されていない場合には第1演出態様が設定されるので、第1更新期間において第1更新期間において操作手段を操作し難くすることができるので、第1更新期間における操作し易さに応じて有利状態が判別されているか否かを遊技者に予測させることができる。よって、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができる。
遊技機O3又はO4において、前記有効期間が終了したことに基づいて、前記所定の判別値が特定の値であるか判別する判別手段と、その判別手段により前記所定の判別値が特定の値になったと判別されたことに基づいて、前記有利状態を示唆する特定演出を実行する特定演出実行手段と、を備え、前記第1更新は、前記第2更新に比較して前記所定の判別値が前記特定の値になり易く更新するものであることを特徴とする遊技機O5。
遊技機O5によれば、第1更新が実行される程、所定の判別値が特定の値となり易く構成されている。特定の値となれば、特定演出が実行される。これにより、所定の判別値が特定の値となることを期待して、遊技者に操作手段を操作させることができる。よって、遊技者の操作演出に対する参加意欲を向上させることができるという効果がある。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA6,B1からB6,C1からC7,D1からD6,E1からE5,F1からF10,G1からG5,H1からH7,I1からI6,J1からJ7,K1からK6,L1からL11,M1からM8,N1からN8,O1からO5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置等の表示装置が設けられた遊技機が知られている。この従来型の遊技機では、表示装置において、図柄やキャラクタ等の様々な表示画像が表示される表示演出を実行可能に構成されており、興趣の向上が図られている。この従来型の遊技機の中には、表示演出として、遊技者に有利な当たり遊技が付与されるか否かを示す表示演出等が実行されるものがある(例えば、特許文献1:特開2003-325886号公報)。
しかしながら、かかる表示演出は、抽選によって選ばれているだけなので、ある程度連続して遊技すると、一通りの演出が現出してしまう結果、遊技が単調になってしまうという問題点があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技が単調となることを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が所定の操作規則に従って操作された場合に特定の制御を実行する特定制御実行手段と、を備えたものであり、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで特定条件を成立させる条件成立手段と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、前記所定の操作規則として、前記特定条件が成立した状態で前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とを少なくとも所定条件の成立に基づいて切り替える切替手段とを備える。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出を実行する演出実行手段を備え、前記特定制御実行手段は、前記タイミング示唆演出により示唆された前記操作タイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御を実行するものである。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想1又は2に記載の遊技機において、前記所定期間において遊技者が前記操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングを判別するタイミング判別手段と、前記切替手段により前記第2状態に切り替える場合に、前記第2操作規則として、前記タイミング判別手段によって判別された前記操作タイミングとは異なるタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される操作規則を設定する操作規則設定手段とを備える。
技術的思想4の遊技機は、技術的思想3記載の遊技機において、前記第2操作規則として、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される遅延操作規則と、前記特定条件が成立する前記予め定められたタイミングよりも早いタイミングで前記操作手段が操作された場合に前記特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも規定されている。
技術的思想5の遊技機は、技術的思想4記載の遊技機において、前記タイミング判別手段は、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたかを少なくとも判別するものであり、前記操作規則設定手段は、前記タイミング判別手段により、前記特定条件が成立した1の状態のうち前半において前記操作手段が操作されたと判別された場合に、前記遅延操作規則を設定するものである。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、所定期間の間に予め定めた複数のタイミングで条件成立手段により特定条件が成立される。所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される第1操作規則が設定される第1状態と、所定の操作規則として、特定条件が成立した状態で操作手段が操作された場合に特定の制御が実行されない第2操作規則が設定される第2状態とが少なくとも所定条件の成立に基づいて切替手段により切り替えられる。
これにより、第1状態であることを期待して、遊技者に特定条件が成立した状態で操作手段を操作させることができるので、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定の操作規則に応じた操作タイミングを示唆するためのタイミング示唆演出が演出実行手段によって実行される。また、タイミング示唆演出により示唆された操作タイミングで操作手段が操作された場合に、特定制御実行手段により特定の制御が実行される。
これにより、特定の制御が実行されることを期待して、タイミング示唆演出により示唆されたタイミングで遊技者に操作を行わせることができるので、タイミング示唆演出に注目させることができる。よって、遊技が単調となってしまうことを抑制できるという効果がある。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、所定期間において遊技者が操作手段を操作したことに基づいて、その操作タイミングがタイミング判別手段によって判別される。また、切替手段により第2状態に切り替える場合に、第2操作規則として、タイミング判別手段により判別された操作タイミングとは異なる操作タイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される操作規則が操作規則設定手段により設定される。
これにより、第2状態に切り替えられると、遊技者が操作していたタイミングとは異なるタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されないので、特定の制御が実行されるタイミングで遊技者に操作され難くすることができる。よって、第2状態において特定の制御が実行されることを抑制できるという効果がある。
技術的思想4記載の遊技機によれば、技術的思想3記載の遊技機の奏する効果に加え、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも遅いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される遅延操作規則と、特定条件が成立する予め定められたタイミングよりも早いタイミングで操作手段が操作された場合に特定の制御が実行される早期操作規則とが少なくとも第2操作規則として規定されている。これにより、第2状態において設定される操作規則に多様性を持たせることができるという効果がある。
技術的思想5記載の遊技機によれば、技術的思想4記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたかが少なくともタイミング判別手段によって判別され、そのタイミング判別手段により特定条件が成立した1の状態のうち前半において操作手段が操作されたと判別された場合に、操作規則設定手段によって遅延操作規則が設定される。
これにより、特定条件が成立した状態の前半で操作を行った遊技者に対して、特定条件の成立よりも遅いタイミングで操作手段を操作しなければ特定の制御が実行されない操作規則に切り替えることができる。即ち、操作手段を早めに操作する遊技者にとって、操作され難いタイミングで操作されなければ特定の制御が実行されない操作規則が設定されるので、第2状態において特定の制御を実行され難くすることができるという効果がある。
10 パチンコ機(遊技機)
229 枠ボタン(操作手段)
S6105,S6120,S6314,S6317 演出実行手段
S6121 条件成立手段
S7002 タイミング判別手段
S7007 特定制御実行手段
S7107,S7108 切替手段、操作規則設定手段