JP2023026392A - 接着性樹脂組成物、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

接着性樹脂組成物、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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弘幸 吉田
Hiroyuki Yoshida
潤 鈴木
Jun Suzuki
真哉 尾崎
Shinya Ozaki
甲介 鹿島
Kosuke Kajima
巧太 澤口
Kota SAWAGUCHI
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Abstract

【課題】フッ素系樹脂の接着に好適に用いられる接着性樹脂組成物であって、フッ素系樹脂同士、又はフッ素系樹脂とフッ素系樹脂以外の材料との接着も可能な接着性樹脂組成物、並びに、これを用いた、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法を提供する。【解決手段】スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとを少なくとも含み、全樹脂分に占める前記スチレン系エラストマーの割合が50質量%以上であり、前記スチレン系エラストマーの含有量が、前記ポリエチレン系樹脂の含有量より多い接着性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、接着性樹脂組成物、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
食品や医薬品等の包装材料として、バリア性の高いフィルム積層体が使用されている。例えば、特許文献1には、エポキシ基を含有するアクリル酸エステル又はその誘導体と、ポリオレフィンと、芳香族ビニル単量体とを溶融混練中でラジカル重合させて得た変性ポリオレフィン、及び、密度0.940g/cm以下のポリエチレンと、スチレン系熱可塑性エラストマーと、からなる接着性樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂と分子内不飽和結合を有する化合物とエポキシ化合物とを含む接着性樹脂組成物が記載されている。
特許文献3には、エチレン系重合体と25℃で液状であるエポキシ変性ジエン共重合体とからなる押出ラミネート用樹脂組成物が記載されている。
特許文献4には、オレフィン系樹脂とゴム状重合体とアクリルグラフト共重合体からなるオレフィン系樹脂とフッ素系樹脂の接着性を有する共押出成形に好適な樹脂組成物を用いた積層体が記載されている。
特開2015-117281号公報 特開2000-103914号公報 特開2003-64226号公報 特開2000-15754号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、ラジカル重合開始剤存在下で溶融混練を行うため、最終的に作製される接着性樹脂組成物に開始剤が残存すると、長期保管した場合に、樹脂の性質が大きく変化する可能性がある。また、特許文献1に記載の技術では、エポキシ基を有するモノマーの共重合によりエポキシ基を樹脂に部分的に導入している。この場合、樹脂の溶融温度付近でなければ樹脂の接着性が現れないため、より低温又は短時間では必要とする接着性が得られない問題がある。
特許文献2に記載の技術では、エポキシ化合物としてエポキシ化植物油を使用している。エポキシ化植物油は、大豆油、亜麻仁油等の植物油に含まれる不飽和脂肪酸(リノレン酸、リノール酸等)をエポキシ化して得られ、分子量が数百程度である。このため、フィルム化したときにエポキシ化合物がブリードしてしまい、接着不良を起こしやすくなるという問題がある。
特許文献3に記載の技術では、エチレン系重合体が98.5~99.9質量部を占めるため、ポリプロピレンに接着せず、ポリプロピレン基材への押出ラミネート、ポリプロピレンとの共押出用接着樹脂としては使用できないという問題があった。
上記に加えて、特許文献1~3に記載の接着性樹脂は、すべてフッ素系樹脂との接着性が不十分であるという問題があった。
特許文献4に記載の技術は、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂との接着性を有することを提案しているが、カルボン酸又はその無水物基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基からなる官能基を有する変性オレフィン重合体にラジカル重合単量体を反応させて作製している。このため、例えばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂といった末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基を有するエンジニアリング・プラスチックとの反応基が存在しない場合には、それらとの接着性が大きく低下する問題があった。また、エポキシ基を有する変性オレフィン重合体を使用する場合も、エポキシ基を有する不飽和化合物を用いてオレフィン系重合体を変性すると、最終的に作製される接着性樹脂組成物に開始剤が残存し、長期保管した場合に、樹脂の性質が大きく変化する可能性がある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、フッ素系樹脂の接着に好適に用いられる接着性樹脂組成物であって、フッ素系樹脂同士、又はフッ素系樹脂とフッ素系樹脂以外の材料との接着も可能な接着性樹脂組成物、並びに、これを用いた、フッ素系樹脂接着用フィルム、積層体、及び積層体の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、第1の態様として、スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとを少なくとも含み、全樹脂分に占める前記スチレン系エラストマーの割合が50質量%以上であり、前記スチレン系エラストマーの含有量が、前記ポリエチレン系樹脂の含有量より多いことを特徴とする接着性樹脂組成物を提供する。
第2の態様は、第1の態様において、前記スチレン系エラストマーとして、スチレン含有率が8~20質量%のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を含有する。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記スチレン系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、前記スチレン系エラストマーを51~75質量部の割合で含有する。
第4の態様は、第1~第3のいずれか1の態様において、前記ポリエチレン系樹脂として、エチレン-ブテン1共重合体からなる第1ポリエチレン系樹脂と、エチレン-ブテン1共重合体とは異なる第2ポリエチレン系樹脂とを含有する。
第5の態様は、第4の態様において、前記第2ポリエチレン系樹脂の密度が、0.900~0.930g/cmの範囲内である。
第6の態様は、第1~第5のいずれか1の態様において、前記スチレン系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、前記エポキシ化ポリブタジエンを0.1~0.9質量部の割合で含有する。
第7の態様は、第1~第6のいずれか1の態様において、前記エポキシ化ポリブタジエンが、1,2-ポリブタジエンにエポキシ基を部分的に導入したものであり、かつ数平均分子量が500~4000の範囲内である。
また、本発明は、第8の態様として、第1~第7のいずれか1の態様の接着性樹脂組成物から形成された、単層構成のフッ素系樹脂接着用フィルムを提供する。
また、本発明は、第9の態様として、第1~第7のいずれか1の態様の接着性樹脂組成物から形成された層を有する積層体を提供する。
また、本発明は、第10の態様として、第9の態様の積層体の製造方法であって、下記の(1)~(3)のいずれか1つの工程:
(1)前記接着性樹脂組成物からなる接着層を溶融押出した後、前記接着層の両側にフィルムを積層させて熱圧着により積層体を得る工程、
(2)前記接着性樹脂組成物からなる接着層を、基材となるフィルム上に溶融押出し、前記接着層の前記基材とは反対側の面に合わせ材を積層させて熱圧着により、基材/接着層/合わせ材となる積層体を得る工程、
(3)基材の原料となる樹脂と、前記接着性樹脂組成物とを同時に溶融押出成形する工程、
を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、フッ素系樹脂の接着に好適に用いられる接着性樹脂組成物であって、フッ素系樹脂同士、又はフッ素系樹脂とフッ素系樹脂以外の材料との接着を目的とした接着性樹脂組成物を提供することができる。
実施形態の積層体の概略を示す断面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
実施形態の接着性樹脂組成物は、スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとを少なくとも含む。さらに、スチレン系エラストマーの含有量が、ポリエチレン系樹脂の含有量より多くなっている。
《スチレン系エラストマー》
実施形態の接着性樹脂組成物において、スチレン系エラストマーは、接着性樹脂組成物に粘着力を付与することができる。スチレン系エラストマー成分としては、例えば、スチレンの重合により得られるブロック等からなるハードセグメントと、エチレン、ブタジエン、イソプレン等の脂肪族オレフィンの重合により得られるブロック等からなるソフトセグメントとを有するブロック共重合体が挙げられる。
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SIBS)等の少なくとも1種以上が挙げられる。
スチレン系エラストマーは、水素化により、分子内の不飽和結合を完全に飽和化していることが好ましい。例えば、スチレン系エラストマーとして、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を用いることが好ましい。スチレン系エラストマーのスチレン含有率は、例えば8~20質量%の範囲内が好ましく、10~16質量%の範囲内がより好ましい。これにより、接着性樹脂組成物の硬化を抑制でき、接着性の低下を抑制できる。
スチレン系エラストマーの商品名としては、例えば、JSR株式会社のダイナロン(登録商標)、旭化成株式会社のタフテックHシリーズ(登録商標)、クレイトンポリマー株式会社のクレイトン(登録商標)Gポリマーなどが挙げられる。
実施形態の接着性樹脂組成物において、スチレン系エラストマーの含有量は、スチレン系エラストマーとポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、50質量部より多くされている。スチレン系エラストマーの含有量としては、例えば、51質量部以上が好ましく、51~80質量部の割合であってもよい。スチレン系エラストマーの含有量が、55質量部、60質量部、65質量部、70質量部、75質量部などであってもよい。実施形態の接着性樹脂組成物は、スチレン系エラストマーを主成分とすることにより、柔軟性、接着力、粘着力を向上することができる。
《ポリエチレン系樹脂》
実施形態の接着性樹脂組成物において、ポリエチレン系樹脂は、接着性樹脂組成物に加工性、粘着力を付与することができる。ポリエチレン系樹脂の少なくとも一部として、ブテン含有エチレン系重合体を含むことが好ましい。ポリエチレン系樹脂が、ブテン含有エチレン系重合体のみであってもよい。ブテン含有エチレン系重合体と、ブテン含有エチレン系重合体とは異なるポリエチレン系樹脂とを併用してもよい。
ブテン含有エチレン系重合体は、ブテンモノマーを共重合成分として含有するエチレン系重合体である。ブテン含有エチレン系重合体中のブテン含有率が5~25mol%であることが好ましく、10~20mol%がより好ましい。ブテン含有エチレン系重合体は、エポキシ化ポリブタジエンとの親和性に優れる成分である。
また、ブテン含有エチレン系重合体とは異なるポリエチレン系樹脂を、ブテン含有エチレン系重合体と合わせたポリエチレン系樹脂中のブテン含有率が、0.1~5mol%であることが好ましく、0.3~4mol%であることがより好ましい。
ブテン含有率とは、1種又は2種以上のポリマーに使用される、ブテンとブテン以外のモノマー(エチレン、ヘキセン、オクテン等)とを合わせたモノマーの合計量に対するブテンモノマーの割合である。ブテン含有率が、前記の下限値以上であると、接着層に良好な粘着力を付与できる。また、ブテン含有率が、前記の上限値以下であると、安定した成形加工性を付与できる。
ブテン含有エチレン系重合体の密度は、0.850~0.910g/cmであることが好ましく、0.860~0.890g/cmであることがより好ましい。ブテンとしては、ブテン1(すなわち、α-ブテン)、ブテン2(すなわち、β-ブテン)、イソブチレンが挙げられる。ブテン含有エチレン系重合体が、エチレン-ブテン1共重合体であることが好ましい。
ブテン含有エチレン系重合体の商品名としては、三井化学株式会社のタフマー(登録商標)、住友化学株式会社のエクセレン(登録商標)FX、ダウ・ケミカル・カンパニーのエンゲージ(登録商標)等が挙げられる。
接着性樹脂組成物が、ポリエチレン系樹脂として、エチレン-ブテン1共重合体からなる第1ポリエチレン系樹脂と、エチレン-ブテン1共重合体とは異なる第2ポリエチレン系樹脂とを含有することが好ましい。第1ポリエチレン系樹脂が1種でもよく、2種以上でもよい。第2ポリエチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等から選択される少なくとも1種以上が挙げられる。第2ポリエチレン系樹脂が、第1ポリエチレン系樹脂(ブテン含有エチレン系重合体)と相溶する成分であることが好ましい。
第2ポリエチレン系樹脂は、メタロセン系触媒により重合されたポリエチレンであることが好ましい。なかでも、メタロセン系触媒により重合された、C6-LLDPE、C8-LLDPE等のエチレン-αオレフィン共重合体;長鎖分岐ポリエチレン等が好適である。メタロセン系触媒により重合されたポリエチレン系樹脂は、分子量分布が狭い傾向にある。このため接着阻害要因となり得る低分子量成分が少なく、接着剤として用いた場合に高い接着性を得やすくなる。
接着性樹脂組成物の成形加工性及び接着性を考慮すると、第2ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、長鎖分岐ポリエチレンから選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。第2ポリエチレン系樹脂を配合することにより、接着性樹脂組成物の特性、接着性の他、成形加工性等を調整できる。ポリエチレン系樹脂としては、バイオマスポリエチレンでもよく、石油由来ポリエチレンでもよく、両者を併用してもよい。
第2ポリエチレン系樹脂の密度としては、0.900~0.930g/cmであることが好ましく、0.905~0.925g/cmであることがより好ましい。第2ポリエチレン系樹脂の密度が比較的低いことにより、接着性樹脂組成物から形成される接着層の硬化を抑制し、柔軟性を付与して、高い接着力を維持することができる。
実施形態の接着性樹脂組成物において、ポリエチレン系樹脂の含有量は、スチレン系エラストマーとポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、50質量部より少なくされている。ポリエチレン系樹脂の含有量としては、例えば、49質量部以上が好ましく、20~49質量部の割合であってもよい。ポリエチレン系樹脂として、第1ポリエチレン系樹脂と第2ポリエチレン系樹脂とを用いる場合、ポリエチレン系樹脂の含有量は、第1ポリエチレン系樹脂と第2ポリエチレン系樹脂との合計量である。第1ポリエチレン系樹脂の割合は、第2ポリエチレン系樹脂の割合より多くても少なくてもよい。
《エポキシ化ポリブタジエン》
エポキシ化ポリブタジエンは、ポリブタジエンの酸化によりエポキシ基を導入した化合物である。エポキシ化ポリブタジエンは、フッ素系樹脂のフッ素成分と相溶し、フッ素系樹脂との接着性を向上するための官能基として、エポキシ基を有する。また、接着性樹脂組成物がエポキシ基を有する成分を含有することにより、金属材料との接着も可能となる。また、接着性樹脂組成物がエポキシ基を有する成分を含有することにより、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を末端又は側鎖に有する樹脂との接着性が向上する。
エポキシ化ポリブタジエンの原料となるポリブタジエンとしては、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエンが挙げられる。エポキシ化ポリブタジエンが、1,2-ポリブタジエンにエポキシ基を部分的に導入したものであることが好ましい。
エポキシ化ポリブタジエンの商品名としては、日本曹達株式会社の液状ポリブタジエンJP-100,JP-200、株式会社ADEKAのアデカサイザー(登録商標)BF-1000等が挙げられる。
エポキシ化ポリブタジエンが、常温で液状であることが好ましい。エポキシ化ポリブタジエンの数平均分子量は、500~4000の範囲内が好ましく、800~2500の範囲内がより好ましい。エポキシ化ポリブタジエンの数平均分子量が前記の上限値以下であると、エポキシ化ポリブタジエンが常温で固形状態となることによる粘着性の低下を抑制でき、接着性の低下を防止することができる。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算により測定することができる。
実施形態の接着性樹脂組成物が、スチレン系エラストマーとポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、エポキシ化ポリブタジエンの含有量が0.1~0.9質量部であることが好ましく、0.3~0.7質量部であることがより好ましい。エポキシ化ポリブタジエンの含有量が前記の上限値以下であると、接着阻害の要因となる接着性樹脂組成物中の低分子成分を低減することができる。
《接着性樹脂組成物》
実施形態の接着性樹脂組成物において、スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとが、均一に分散又は相溶していることが好ましい。実施形態の接着性樹脂組成物が、スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとから製造されてもよい。実施形態の接着性樹脂組成物が、他の樹脂又は添加剤を含んでもよい。実施形態の接着性樹脂組成物は、プラスチック、金属等の被着体の接着に用いることができる。被着体の少なくとも一つがフッ素系樹脂を含んでもよい。
エポキシ化ポリブタジエン中のエポキシ基が、疎水性のスチレン系エラストマー及びポリエチレン系樹脂で保護されるため、水分によるエポキシ基の開環を抑制することができる。これにより、エポキシ基と被着体との相互作用による接着性を保持することができる。被着体がエポキシ基と反応する官能基を有してもよく、被着体がエポキシ基と反応する官能基を有しなくてもよい。
実施形態の接着性樹脂組成物は、他の接着剤やアンカーコート剤等を使用せずに、フッ素系樹脂同士又はフッ素系樹脂とそれ以外の材料とを接着することができる。このため、溶剤の使用量を削減でき、環境負荷を低減できる。
実施形態において、接着性樹脂組成物の全樹脂分には、原料としての樹脂だけでなく、反応して高分子化合物の一部となるエポキシ化ポリブタジエン等も含まれる。また、無機充填剤などは、接着性樹脂組成物の全樹脂分には含まない。
実施形態の接着性樹脂組成物は、全樹脂分に占める前記スチレン系エラストマーの割合が50質量%以上であるが、50~75質量%であることが好ましく、54~75質量%であることがより好ましく、60~75質量%であることがさらに好ましい。
《フッ素系樹脂接着用フィルム》
実施形態のフッ素系樹脂接着用フィルムは、実施形態の接着性樹脂組成物から形成されている。実施形態の接着性樹脂組成物を単層構成で成形することにより、フッ素系樹脂接着用フィルムを形成することができる。フッ素系樹脂接着用フィルムが多層構成であってもよい。
実施形態のフッ素系樹脂接着用フィルムは、溶融成形により成形することが可能な面方向の広がりを有する平板な成形体であってもよい。フィルムが、極薄の厚みを有するフィルムであってもよく、肉厚のフィルムであってもよい。フィルムがシート状であってもよい。単層構成のフッ素系樹脂接着用フィルムの製造方法は特に限定されず、インフレーション成形法、Tダイ成形法による、単層押出法によって製造することができる。
実施形態のフッ素系樹脂接着用フィルムは、少なくとも片側の被着体にフッ素系樹脂を用いればよい。例えば、フッ素系樹脂フィルム同士を積層する場合のフィルム同士の接着用途でもよく、フッ素系樹脂フィルムとフッ素系樹脂以外の他の樹脂フィルムを積層する場合のフィルム同士の接着用途でもよい。
《積層体》
実施形態の積層体は、実施形態の接着性樹脂組成物から形成された層を有する。積層体が2層以上の接着層を有する多層構成の接着性を有する積層体であってもよい。基材の少なくとも片面に実施形態の接着性樹脂組成物からなる接着層が積層された積層体であってもよい。
図1に、積層体の一例を示す。図1に示す積層体1は、接着層10と、第1フィルム11と、第2フィルム12とを有する。第1フィルム11又は第2フィルム12の少なくとも一方が、フッ素系樹脂フィルムであってもよい。接着層10は、実施形態明の接着性樹脂組成物を用いて形成することができる。
フッ素系樹脂フィルムを形成するフッ素系樹脂材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル(EPA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、及びこれらの1種又は2種以上を含む混合物などを用いることができる。フッ素系樹脂材料が、無水マレイン酸(MAH)のグラフト等により酸変性されていてもよい。
第1フィルム11又は第2フィルム12の少なくとも一方が、フッ素系樹脂フィルムとは異なる樹脂フィルムであってもよい。フッ素系樹脂フィルムとは異なる樹脂フィルムを形成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
積層体は、例えば、下記の(1)~(3)のいずれか1つの工程を用いて製造することができる。
(1)接着性樹脂組成物からなる接着層を溶融押出した後、接着層の両側にフィルムを積層させて熱圧着により積層体を得る工程。
(2)接着性樹脂組成物からなる接着層を、基材となるフィルム上に溶融押出し、接着層の基材とは反対側の面に合わせ材を積層させて熱圧着により、基材/接着層/合わせ材となる積層体を得る工程。
(3)基材の原料となる樹脂と、接着性樹脂組成物とを同時に溶融押出成形する工程。
積層体の成形方法は、特に限定されないが、インフレーション成形法、Tダイ成形法等の共押出法によって製造することができる。接着層は、スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとを少なくとも含む原料を溶融混練し、熱溶融状態において均一に相溶又は分散させてから、成形することが好ましい。実施形態の接着性樹脂組成物をペレット化してから、ペレットを溶融して接着層のフィルムを成形してもよい。
上記の(2)の工程において、基材/接着層/合わせ材となる積層体を得る際、基材上に樹脂を押し出す押出ラミネート法を使用してもよい。先に、基材/接着層を積層した後で、接着層上に合わせ材を重ね合わせて熱圧着してもよい。基材と合わせ材の間に樹脂を押し出すサンドラミネート法を使用して、基材と合わせ材との間に接着層を形成してもよい。接着層の成形に、Tダイ成形法を使用してもよい。実施形態の接着性樹脂組成物を押し出す基材は、フッ素系樹脂材料でもよく、フッ素系樹脂以外の樹脂フィルムでもよい。例えば、基材として、フッ素系樹脂以外の樹脂フィルムを用いる場合には、合わせ材としてフッ素系樹脂フィルムをセッティングして積層することができる。
上記の(3)の工程において、共押出法を用いて基材の原料となる樹脂と、接着性樹脂組成物とを同時に溶融押出成形する場合、基材と接着層の2層を共押出してもよく、3層以上を共押出してもよい。例えば表層側に実施形態の接着性樹脂組成物を配置し、その表層の合わせ材側にフッ素系樹脂組成物をセッティングし積層することで、最終的にフッ素系樹脂層と接着層とが隣接する積層体を形成することができる。例えば、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体のように、融点が200℃以下で、かつ溶融押出が可能なフッ素系樹脂を用いる場合、共押出法によって実施形態の接着性樹脂組成物に隣接する層としてフッ素系樹脂を同時に溶融押出してもよい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
積層体の用途は特に限定されないが、包装材料、電子部品材料、構造部品材料、産業資材等が挙げられる。積層体における接着層の被着体が、樹脂フィルムに限らず、樹脂板、蒸着フィルム、金属箔、金属板等であってもよい。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ30μmのポリ(クロロトリフルオロエチレン)フィルム(PCTFE、ダイキン社製「ネオフロン(登録商標)」)と、厚さ60μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、住友化学社製「スミカセン(登録商標)E」)を用意した。
上記2種類のフィルムの間に接着性樹脂組成物として、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.923g/cm)25質量部、水素添加スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS、スチレン含有率13質量%)55質量部、エチレン-ブテン1共重合体(E-B1)20質量部、添加剤としてエポキシ化ポリブタジエン(E-PB、数平均分子量1,000)0.8質量部を混錬し、押出機で接着性樹脂フィルムを押し出し、押出ラミネートを行い、積層体(PCTFE/接着性樹脂組成物/LLDPE=30μm/30μm/60μm)を得た。
なお、接着性樹脂組成物の全樹脂分中における水素添加スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体の割合は、54.6質量%であった。
上記で得た試験片を用いてオートグラフ(登録商標)を用いて剥離強度を測定した。剥離強度の測定は、PCTFEフィルムを剥離角度90度で、剥離速度5mm/minで剥離し、PCTFEフィルムと、接着性樹脂/LLDPE積層体との剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2~4、比較例1)
接着性樹脂組成物の組成を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、接着性樹脂フィルムを得た。また、実施例1と同様にして、PCTFEフィルムと接着性樹脂/LLDPE積層体との剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、接着性樹脂組成物の全樹脂分中における水素添加スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体の割合は、実施例2は64.5質量%、実施例3は69.4質量%、実施例4は74.4質量%であった。
(比較例2)
接着性樹脂フィルムを用いず、PCTFEフィルム/LLDPEフィルムを実施例1と同様の条件で押出ラミネートを行ったが、容易に剥離してしまい、全く接着していなかった。
表1に示す接着性樹脂組成物の組成は、スチレン系エラストマー(SEBS)とポリエチレン系樹脂(LDPE及びE-B1)との合計が100質量部となるように示した。
Figure 2023026392000001
1…積層体、10…接着層、11…第1フィルム、12…第2フィルム。

Claims (10)

  1. スチレン系エラストマーと、ブテン含有エチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂と、エポキシ化ポリブタジエンとを少なくとも含み、全樹脂分に占める前記スチレン系エラストマーの割合が50質量%以上であり、前記スチレン系エラストマーの含有量が、前記ポリエチレン系樹脂の含有量より多いことを特徴とする接着性樹脂組成物。
  2. 前記スチレン系エラストマーとして、スチレン含有率が8~20質量%のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  3. 前記スチレン系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、前記スチレン系エラストマーを51~75質量部の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂として、エチレン-ブテン1共重合体からなる第1ポリエチレン系樹脂と、エチレン-ブテン1共重合体とは異なる第2ポリエチレン系樹脂とを含有することを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  5. 前記第2ポリエチレン系樹脂の密度が、0.900~0.930g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の接着性樹脂組成物。
  6. 前記スチレン系エラストマーと前記ポリエチレン系樹脂との合計量100質量部に対して、前記エポキシ化ポリブタジエンを0.1~0.9質量部の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ化ポリブタジエンが、1,2-ポリブタジエンにエポキシ基を部分的に導入したものであり、かつ数平均分子量が500~4000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物から形成された、単層構成のフッ素系樹脂接着用フィルム。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物から形成された層を有する積層体。
  10. 請求項9に記載の積層体の製造方法であって、下記の(1)~(3)のいずれか1つの工程:
    (1)前記接着性樹脂組成物からなる接着層を溶融押出した後、前記接着層の両側にフィルムを積層させて熱圧着により積層体を得る工程、
    (2)前記接着性樹脂組成物からなる接着層を、基材となるフィルム上に溶融押出し、前記接着層の前記基材とは反対側の面に合わせ材を積層させて熱圧着により、基材/接着層/合わせ材となる積層体を得る工程、
    (3)基材の原料となる樹脂と、前記接着性樹脂組成物とを同時に溶融押出成形する工程、
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
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