JP2023026225A - ハイドロコロイド型粘着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材 - Google Patents

ハイドロコロイド型粘着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材 Download PDF

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Abstract

【課題】実用可能な粘接着性及び吸水性を有し、水蒸気透過率が高く、生体からの剥離時の痛みを軽減できる、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材を提供する。【解決手段】アクリル系ブロック共重合体及び吸水剤(Z)を含むハイドロコロイド型粘接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材に関する。
従来から、アクリル系ブロック共重合体又はアクリル系ブロック共重合体を含む組成物は、その優れた粘接着性能から、粘接着剤として用いることが検討されている。例えば、ブリードが少なく、透明性、粘着特性、及び加工性に優れた粘接着剤を得るために、特定の2種のアクリル系トリブロック共重合体を組み合わせた、粘接着剤組成物が検討されている(特許文献1参照)。
粘接着剤は種々の用途で用いられるが、その一例として、皮膚などの生体表面と接触する面の少なくとも一部を粘接着剤からなる粘接着剤層として含む生体表面付着材(例えば創傷被覆材)がある。この生体表面付着材では、生体表面への追随性など、他の用途とは異なる特性が要求される。例えば、生体表面に付着させることを主目的とした、特定のアクリル系トリブロック共重合体と特定のジブロック共重合体とを含む粘接着剤組成物が検討されている(特許文献2参照)。
また、ハイドロコロイド型粘接着剤は、それ自体が粘着性を有し、治癒過程で滲出する創傷分泌物を吸収し、かつ湿潤状態を保持することにより、良好な創傷治癒効果を示すとして近年その重要性が増している。
一般に、ハイドロコロイド型粘接着剤は、熱可塑性ゴムからなるマトリックスに親水性のコロイド粒子(吸水剤)が分散されており、その多くは、一定時間で自重の3~5倍程度の水又は創傷部位からの滲出液を吸収し得るように調製されている。水等を吸収しても所望の粘着性を発揮できるよう、ゴム成分を種々検討した提案がなされている(特許文献3、4参照)。
特開2018-003035号公報 特開2020-023720号公報 特表2002-512295号公報 特開2015-188500号公報
これらハイドロコロイド型粘接着剤や該粘接着剤を用いた創傷被覆材は、吸水性は高いものの水蒸気透過率には課題があり、快適さという観点で課題があった。また、滲出液の吸収に伴う粘着力の低下を考慮し、滲出液吸収前には皮膚に対して非常に強い粘着性を有しているものが多く、周辺の健常な皮膚部位へ貼付した場合に、付着力が過度に強くなり、創傷被覆材剥離時に強い痛みを伴うものが少なくなく、場合によっては再生中の皮膚を剥がしてしまう場合もあった。
上記特許文献4においては、特定の可塑剤を必須成分とすることで、創傷被覆材の剥離時に強い痛みが発生することを回避することが提案されている。しかしながら、安全性や生産性の観点から、可塑剤を使用せずとも生体からの剥離時に強い痛みを伴わないようにすることが求められており、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物には更なる改善が必要とされている。
本発明の課題は、実用可能な粘着性及び吸水性を有し、水蒸気透過率が高く、生体から剥離する際の痛みを軽減できるハイドロコロイド型粘接着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材を提供することにある。
本発明者らは上記課題に対して鋭意研究を行なった結果、アクリル系ブロック共重合体と吸水剤とを含むハイドロコロイド型粘接着剤組成物が、実用可能な粘着性及び吸水性を確保しつつ、水蒸気透過率が高く、かつ生体からの剥離時の皮膚の痛みを軽減し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記[1]~[7]に関する。
[1]アクリル系ブロック共重合体及び吸水剤(Z)を含むハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
[2]前記吸水剤(Z)が、多糖類又はその誘導体;ポリアクリル酸又はその塩;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;タンパク質;及び、ポリ-N-ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つである、上記[1]に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
[3]前記ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して前記吸水剤(Z)を5~50質量%含有する、上記[1]又は[2]に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
[4]前記アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル単位からなる2つの重合体ブロック(A1)及び(A2)と、アクリル酸エステル単位からなる1つの重合体ブロック(B)とを有し、かつ(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有するアクリル系トリブロック共重合体(I)を含む、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
[5]前記アクリル系ブロック共重合体におけるメタクリル酸エステル単位の合計含有量が4~35質量%である、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
[6]基材と、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する物品。
[7]基材と、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する創傷被覆材。
本発明によれば、実用可能な粘着性及び吸水性を有し、水蒸気透過率が高く、生体からの剥離時の痛みを軽減できる、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物、ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品、及び創傷被覆材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品である積層シートの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る創傷被覆材の平面図及び断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は「メタクリル酸エステル」と「アクリル酸エステル」との総称であり、また「(メタ)アクリル」は「メタクリル」と「アクリル」との総称である。
本明細書における記載事項を任意に選択した態様又は任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「~単位」(ここで「~」は単量体を示す)とは「~に由来する構成単位」を意味し、例えば「アクリル酸エステル単位」とは「アクリル酸エステルに由来する構成単位」を意味する。
本明細書において、各構成単位に関して「由来する」とは、上記単量体が重合するのに必要な構造の変化を受けたことを意味する。
本明細書において、「成分(X)を主成分として含有する」とは、成分(X)が50質量%以上含まれることを意味する。
本明細書において、「ハイドロコロイド型粘接着剤組成物」とは、吸水性のコロイド粒子からなる吸水剤がマトリクス中に分散され、粘接着性を有する組成物を意味する。
[ハイドロコロイド型粘接着剤組成物]
本発明の実施形態に係るハイドロコロイド型粘接着剤組成物は、アクリル系ブロック共重合体及び吸水剤(Z)を含む。
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物は、アクリル系ブロック共重合体中に吸水性のコロイド粒子からなる吸水剤(Z)が分散したものであり、水や創傷部位からの滲出液を吸収する。また、アクリル系ブロック共重合体がマトリクスとなることで、水蒸気透過率が高く、かつ適度な柔軟性を付与させやすく、吸水剤(Z)が吸水した後も粘接着性が低下しづらい。このため、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を生体の創傷部付近等に貼付する場合、快適性が保たれやすく、また、予めアクリル系ブロック共重合体の粘接着性を適度なものとしておくことにより、生体に貼付後、当該生体から上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を剥離除去する際の痛みを軽減することができる。
以下、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を構成する各成分について説明する。
[アクリル系ブロック共重合体]
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれるアクリル系ブロック共重合体は、好ましくは後述するアクリル系トリブロック共重合体(I)を含み、より好ましくは、上記アクリル系トリブロック共重合体(I)及び後述するアクリル系トリブロック共重合体(II)を含む。アクリル系トリブロック共重合体(II)が、粘接着剤組成物に含まれることにより、タックと加工性がより向上する傾向にあり、生体表面への追随性により優れ、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる。
アクリル系ブロック共重合体をマトリクスとして用いることにより、例えば、スチレン系ブロック共重合体をマトリクスとする場合に比べて、吸水性を有するコロイド粒子からなる吸水剤(Z)を均一に分散させやすくなる。また、アクリル系ブロック共重合体を用いると、スチレン系ブロック共重合体に比べて柔軟性を高めやすいため、快適性の確保や可塑剤の使用量の低減を行いやすいという利点がある。
<アクリル系トリブロック共重合体(I)>
上記アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸エステル単位からなる2つの重合体ブロック(A1)及び(A2)とアクリル酸エステル単位からなる1つの重合体ブロック(B)とを有し、かつ(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有するアクリル系トリブロック共重合体(I)を含むことが好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(I)は、重合体ブロック(A1)、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A2)の順に結合した、(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有する。このような構造のアクリル系トリブロック共重合体(I)が、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれることにより、接着力、保持力、凝集力が優れる傾向にある。
(重合体ブロック(A1)及び(A2))
アクリル系トリブロック共重合体(I)は、メタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロック(A1)及び(A2)の2つのメタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックを有する。換言すると、アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれるメタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックの数は2つである。
重合体ブロック(A1)及び(A2)の構成単位となるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルなどの官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の耐熱性、耐久性を向上させる観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルがより好ましく、重合体ブロック(A1)及び(A2)と重合体ブロック(B)との相分離がより明瞭となり、凝集力が高くなる点からメタクリル酸メチルが更に好ましい。
重合体ブロック(A1)及び(A2)は、これらメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。また、上記アクリル系トリブロック共重合体(I)は、メタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックとして重合体ブロック(A1)及び(A2)の2つを有するが、これら重合体ブロック(A1)及び(A2)を構成するメタクリル酸エステルは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、重合体ブロック(A1)及び(A2)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(A1)及び(A2)のそれぞれの重合体ブロック中、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。また、重合体ブロック(A1)及び(A2)のメタクリル酸エステル単位の割合は100質量%であってもよい。
なお、メタクリル酸エステル単位からなる各重合体ブロック(A1)及び(A2)に含まれるメタクリル酸エステル単位の立体規則性は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(I)では、重合体ブロック(A1)及び(A2)の合計含有量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下であり、また、好ましくは4質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。換言すれば、アクリル系トリブロック共重合体(I)において、重合体ブロック(A1)及び(A2)の合計含有量は、好ましくは4~35質量%である。
重合体ブロック(A1)及び(A2)の合計含有量が上記範囲内であると、アクリル系トリブロック共重合体(I)をハイドロコロイド型粘接着剤組成物に用いた際に、優れた粘接着特性を有するだけでなく、生体表面への追随性に優れ、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる粘接着剤層を作製できる傾向にある。
アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれる重合体ブロック(A1)及び(A2)それぞれの含有量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(I)において、重合体ブロック(A1)及び(A2)それぞれの重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,500以上、更に好ましくは6,000以上であり、また、好ましくは30,000以下、より好ましくは25,000以下である。重合体ブロック(A1)及び(A2)それぞれの重量平均分子量が上記範囲内であると、アクリル系トリブロック共重合体(I)をハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含有させた際に、製造時の取り扱い性に優れたまま、優れた凝集力を発現し、タックと接着力がより向上する。また、当該粘接着剤組成物の耐熱接着性、保持力がより優れる傾向にある。
アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれる重合体ブロック(A1)及び(A2)それぞれの重量平均分子量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(重合体ブロック(B))
アクリル系トリブロック共重合体(I)は、アクリル酸エステル単位からなる重合体ブロック(B)を1つ有する。換言すると、アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれるアクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックの数は1つである。
重合体ブロック(B)の構成単位となるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルなどの、官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸フェノキシエチルなどの、官能基を有するアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、粘接着剤組成物とした際の透明性及び柔軟性の観点から、一般式CH=CH-COOR(式中、Rは炭素数1~10の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルがより好ましく、重合体ブロック(A1)及び(A2)と重合体ブロック(B)との相分離が明瞭となり粘接着剤組成物が高い凝集力を発現する点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルなどの、官能基を有さないアクリル酸エステルが更に好ましい。粘接着剤組成物が常温で適度な粘着性を有し、かつ、広い温度範囲及び広い剥離速度条件下で安定した接着力を発現する点から、アクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル及びアクリル酸イソオクチルから選ばれる少なくとも1種がより更に好ましく、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルが特に好ましい。
重合体ブロック(B)は、これらアクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。重合体ブロック(B)中に含まれるアクリル酸エステル単位の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。また、重合体ブロック(B)のアクリル酸エステル単位の割合は100質量%であってもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(I)では、重合体ブロック(B)の含有量は、65質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、77質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(B)の含有量は96質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましい。重合体ブロック(B)の含有量が上記範囲内であると、アクリル系トリブロック共重合体(I)をハイドロコロイド型粘接着剤組成物に用いた際に、粘接着性能に優れるだけでなく、生体表面への追随性に優れ、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる粘接着剤層が得られる。
重合体ブロック(A1)及び(A2)、ならびに重合体ブロック(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、お互いのモノマー成分が含有されていてもよい。例えば、重合体ブロック(A1)又は(A2)と重合体ブロック(B)との境界でテーパード構造を有していてもよい。また、重合体ブロック(A1)又は(A2)と重合体ブロック(B)とはお互いのモノマー成分を含有しないものであってもよい。
また、重合体ブロック(A1)及び(A2)並びに重合体ブロック(B)は、必要に応じて他の単量体単位を含有してもよい。上記他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε-カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。各重合体ブロックがこれら他の単量体を含有する場合、その含有量は、各重合体ブロックを構成する単量体の全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
アクリル系トリブロック共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000~250,000である。粘接着性能及び製造時の取扱性の点からは、60,000~240,000であることがより好ましい。アクリル系トリブロック共重合体(I)のMwが50,000以上であると粘接着性能を良好にしやすくなる。また、Mwが250,000以下であれば製造時の取り扱い性を良好にしやすくなる。
アクリル系トリブロック共重合体(I)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~1.5であることが好ましく、1.0~1.4であることが、生体表面への移行成分量を少なくしやすく、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減しやすい観点からより好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。
アクリル系トリブロック共重合体(I)の特に好ましい態様は、メタクリル酸エステル単位からなる2つの重合体ブロック(A1)及び(A2)とアクリル酸エステル単位からなる1つの重合体ブロック(B)とを有し、(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有するトリブロック共重合体であり、重量平均分子量が50,000~250,000であり、重合体ブロック(A1)及び(A2)の合計含有量が35質量%以下であり、重合体ブロック(A1)及び(A2)それぞれの重量平均分子量が3,000以上であるアクリル系トリブロック共重合体である。
<アクリル系トリブロック共重合体(II)>
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に、任意成分として含まれ得るアクリル系トリブロック共重合体(II)は、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも2つの重合体ブロック(C1)及び(C2)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1つの重合体ブロック(D)とを有し、かつ(C1)-(D)-(C2)ブロック構造を有し、2つの重合体ブロック(C1)及び(C2)のうち少なくとも1つの重量平均分子量が、上記アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれる重合体ブロック(A1)及び(A2)の重量平均分子量よりも小さい。好ましくは、2つの重合体ブロック(C1)及び(C2)の重量平均分子量がいずれも、上記アクリル系トリブロック共重合体(I)に含まれる重合体ブロック(A1)及び(A2)の重量平均分子量よりも小さい。
(重合体ブロック(C1)及び(C2))
アクリル系トリブロック共重合体(II)は、メタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロック(C1)及び(C2)の2つのメタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックを有する。
重合体ブロック(C1)及び(C2)の構成単位となるメタクリル酸エステルの具体例は、アクリル系トリブロック共重合体(I)の重合体ブロック(A1)及び(A2)の構成単位となるメタクリル酸エステルと同様である。
これらの中でも、得られる重合体の耐熱性、耐久性を向上させる観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルがより好ましく、重合体ブロック(C1)及び(C2)と重合体ブロック(D)との相分離がより明瞭となり、凝集力が高くなる点からメタクリル酸メチルが更に好ましい。重合体ブロック(C1)及び(C2)は、これらメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。重合体ブロック(C1)及び(C2)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。また、重合体ブロック(C1)及び(C2)のメタクリル酸エステル単位の割合は100質量%であってもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)においては、重合体ブロック(C1)及び(C2)の合計含有量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上である。換言すれば、アクリル系トリブロック共重合体(II)において、重合体ブロック(A1)及び(A2)の合計含有量は、好ましくは5~25質量%である。
重合体ブロック(C1)及び(C2)の合計含有量が上記範囲内であると、アクリル系トリブロック共重合体(II)を粘接着剤組成物に含有させた際に、凝集力を損なわずに、タックと加工性がより向上する傾向にある。
また、アクリル系トリブロック共重合体(II)は、重量平均分子量が異なる重合体ブロック(C1)及び(C2)を有することが好ましい。この場合、重合体ブロック(C1)及び(C2)のうち少なくとも1つの重量平均分子量は300以上3,000未満である。また、500以上3,000未満であることが好ましい。重合体ブロック(C1)及び(C2)のうち少なくとも1つの重量平均分子量が300以上である場合には、得られるアクリル系トリブロック共重合体(II)が凝集力に優れる傾向がある。また、重合体ブロック(C1)及び(C2)のうち少なくとも1つの重量平均分子量が3,000未満である場合には、得られるアクリル系トリブロック共重合体(II)の溶融粘度が低くなり、粘接着剤組成物を製造する際の生産性に優れる傾向がある。
(C1)-(D)-(C2)ブロック構造のうち、重合体ブロック(C2)の重量平均分子量が300以上3,000未満であることが好ましく、500以上2,000以下であることがより好ましい。また、重合体ブロック(C1)の重量平均分子量が3,000以上10,000以下であることが好ましく、3,000以上7,000以下であることがより好ましい。上記範囲内にあることで、粘度、凝集力及び製造時の取扱性に優れる。
なお、重合体ブロック(C1)及び(C2)に含まれるメタクリル酸エステル単位の立体規則性は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(重合体ブロック(D))
アクリル系トリブロック共重合体(II)は、アクリル酸エステル単位からなる重合体ブロック(D)を少なくとも1つ有する。
重合体ブロック(D)の構成単位となるアクリル酸エステルの具体例は、アクリル系トリブロック共重合体(I)の重合体ブロック(B)の構成単位となるアクリル酸エステルと同様である。
これらの中でも、粘接着剤組成物とした際の透明性及び柔軟性の観点から、一般式CH=CH-COOR(式中、Rは炭素数1~10の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルがより好ましく、重合体ブロック(C1)及び(C2)と重合体ブロック(D)の相分離が明瞭となり粘接着剤組成物が高い凝集力を発現する点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルなどの、官能基を有さないアクリル酸エステルが更に好ましい。粘接着剤組成物が常温で適度な粘着性を有し、かつ、広い温度範囲及び広い剥離速度条件下で安定した接着力を発現する点から、アクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル及びアクリル酸イソオクチルから選ばれる少なくとも1種がより更に好ましく、アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
重合体ブロック(D)は、これらアクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。重合体ブロック(D)中に含まれるアクリル酸エステル単位の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。また、重合体ブロック(D)のアクリル酸エステル単位の割合は100質量%であってもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)では、重合体ブロック(D)の含有量は、通常75質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、重合体ブロック(D)の含有量は通常95質量%以下であり、94質量%以下であることが好ましい。重合体ブロック(D)の含有量が上記範囲内であると、アクリル系トリブロック共重合体(II)を粘接着剤組成物に含有させた際に、保持力を損なわずに、タックと加工性がより向上し、生体表面への追随性に優れ、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる粘接着剤層が得られる。
重合体ブロック(C1)及び(C2)、並びに重合体ブロック(D)には、本発明の効果を損なわない範囲で、お互いのモノマー成分が含有されていてもよい。例えば、重合体ブロック(C1)又は(C2)と重合体ブロック(D)との境界でテーパード構造を有していてもよい。また、重合体ブロック(C1)又は(C2)と重合体ブロック(D)とはお互いのモノマー成分を含有しないものであってもよい。
また、上記重合体ブロック(C1)及び(C2)、ならびに重合体ブロック(D)は、必要に応じて他の単量体単位を含有してもよい。かかる他の単量体の具体例は、アクリル系トリブロック共重合体(I)の重合体ブロック(A1)及び(A2)ならびに重合体ブロック(B)に必要に応じて含有される他の単量体単位に用いられるものとして例示される他の単量体と同様である。各重合体ブロックがこれら他の単量体を含有する場合、その含有量は、各重合体ブロックを構成する単量体の全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
アクリル系トリブロック共重合体(II)は、重合体ブロック(C1)、重合体ブロック(D)、重合体ブロック(C2)の順に結合した、(C1)-(D)-(C2)ブロック構造を有する。このような構造のアクリル系トリブロック共重合体(II)が、粘接着剤組成物に含まれることにより、タックと加工性がより向上する傾向にあり、生体表面への追随性により優れ、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の重量平均分子量は10,000~120,000である。凝集力及び製造時の取扱性の点からは、20,000~110,000であることが好ましく、25,000~100,000であることがより好ましく、30,000~90,000であることが更に好ましい。粘接着剤組成物に含有させた際に、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重量平均分子量が10,000未満であると凝集力に劣るおそれがある。また、重量平均分子量が120,000を超えると製造時の取り扱い性や生体表面への追随性が損なわれる傾向や、創傷被覆材の剥離時に皮膚の痛みを感じやすくなる傾向にある。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の分子量分布は1.0~1.5であることが好ましく、1.0~1.4であることが、生体表面への移行成分量を少なくしやすく、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減しやすい観点からより好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)は、B型粘度計で測定した100℃での溶融粘度が100,000mPa・s以下であることが好ましい。上記溶融粘度は、1,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましく、5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であることがより好ましい。このような溶融粘度を有することにより、アクリル系トリブロック共重合体(II)は常温(約25℃)で固体状ではなく低い流動性を有する性状となり、粘接着剤組成物に添加した場合に作業性に優れる傾向がある。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の特に好ましい態様は、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも2つの重合体ブロック(C1)及び(C2)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1つの重合体ブロック(D)とを有し、かつ(C1)-(D)-(C2)ブロック構造を有し、重合体ブロック(C1)及び(C2)の合計含有量が25質量%以下であり、重合体ブロック(C1)及び(C2)のうち少なくとも1つの重量平均分子量が300以上3,000未満であるアクリル系トリブロック共重合体である。
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物にアクリル系トリブロック共重合体(II)が含まれる場合、アクリル系トリブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との質量比は特に限定されないが、接着力、凝集力、及び粘着特性をバランスよく兼ね備えるためには、アクリル系トリブロック共重合体(I):アクリル系トリブロック共重合体(II)の質量比は、好ましくは100:1~100:500、より好ましくは100:2~100:400、更に好ましくは100:3~100:300、より更に好ましくは100:4~100:200、より更に好ましくは100:5~100:100、より更に好ましくは100:6~100:90、特に好ましくは100:7~100:80である。
上記アクリル系ブロック共重合体におけるメタクリル酸エステル単位の合計含有量は、耐久性等の観点から、アクリル系ブロック共重合体の全質量に対して、好ましくは4~35質量%、より好ましくは4.5~30質量%、更に好ましくは5~25質量%、より更に好ましくは5~20質量%である。
<アクリル系トリブロック共重合体の製造方法>
上記アクリル系トリブロック共重合体の製造方法としては、特に限定はなく公知の手法に準じた方法を採用することができる。
一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が取られる。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特開平06-93060号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩等の鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特表平05-507737号公報参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特開平11-335432号公報参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(Macromolecular Chemistry and Physics、2000年、201巻、p.1108~1114参照)等が挙げられる。リビングアオン重合により得られた共重合体の分子量分布はフリーラジカル重合により得られた重合体の分子量分布に比べてシャープなピークを有する傾向があり、全モノマーの重合を最後まで完結させやすい傾向にあることから、アクリル系モノマーのブロック共重合体には、未反応のモノマー原料が残存しにくい。
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法は、得られるブロック共重合体の透明性が高いものとなり、残存単量体が少なく臭気が抑えられ、また、粘接着剤組成物として用いる際、貼り合わせ後の気泡の発生を抑制できるため好ましい。更に、生体表面への移行成分量も少なくしやすく、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減しやすい観点から好ましい。更に、メタクリル酸エステル重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクチックとなり、粘接着剤組成物の耐熱性を高める効果がある点、比較的温和な温度条件下でリビング重合が可能で工業的に生産する場合に環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機にかかる電力)が小さい点でも好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
AlR (1)
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、又はN,N-二置換アミノ基を表すか、あるいはRが上記したいずれかの基であり、R及びRが一緒になって置換若しくは無置換のアリーレンジオキシ基を形成する。)
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取り扱いの容易さ等の点から、イソブチルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等が好ましく挙げられる。
上記有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、テトラメチレンジリチウム等のアルキルリチウム及びアルキルジリチウム;フェニルリチウム、p-トリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウム及びアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウム及びアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム等のリチウムアルコキシド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、重合開始効率が高いことから、アルキルリチウムが好ましく、中でもtert-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムがより好ましく、sec-ブチルリチウムが更に好ましい。
また、上記リビングアニオン重合は、通常、重合反応に不活性な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル等が挙げられ、トルエンが好適に用いられる。
ブロック共重合体は、例えば、単量体を重合して得た所望のリビングポリマー末端に、所望の重合体ブロック(重合体ブロック(A1)、重合体ブロック(B)等)を形成する工程を所望の回数繰り返した後、重合反応を停止させることにより製造できる。具体的には、例えば有機アルミニウム化合物の存在下、有機アルカリ金属化合物からなる重合開始剤により、第1の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第1工程、第2の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第2工程、及び、第3の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第3工程を含む複数段階の重合工程を経て、得られた重合体の活性末端をアルコール等と反応させ、重合反応を停止させることにより、アクリル系トリブロック共重合体(I)及びアクリル系トリブロック共重合体(II)を製造できる。上記のような方法によれば、重合体ブロック(A1)-重合体ブロック(B)-重合体ブロック(A2)からなるトリブロック共重合体、重合体ブロック(C1)-重合体ブロック(D)-重合体ブロック(C2)からなるトリブロック共重合体を製造できる。
重合温度としては、重合体ブロック(A1)、(A2)及び(C1)、(C2)を形成する際は0~100℃、重合体ブロック(B)及び(D)を形成する際は-50~50℃が好ましい。上記範囲より重合温度が低い場合には、反応の進行が遅くなり、反応を完結させるのに長時間必要となる。一方、上記範囲より重合温度が高い場合には、リビングポリマー末端の失活が増え、分子量分布が広くなったり、所望のブロック共重合体が得られなくなったりする。また、各重合体ブロックはそれぞれ1秒~20時間の範囲で重合できる。
なお、上記アクリル系ブロック共重合体がアクリル系トリブロック共重合体(I)及び(II)を含む場合は、アクリル系トリブロック共重合体(I)及び(II)をそれぞれ上述したいずれかの方法で作製し、それらを溶融混練することで、アクリル系ブロック共重合体を製造することができる。
[吸水剤(Z)]
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれる吸水剤(Z)としては、例えば、コーンスターチ、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン、ペクチン、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、寒天、キチン、キトサン、カラヤガム、アラビアゴム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デンプンアセテート、デンプンホスフェート、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、酸化デンプン、デキストリン化デンプン、デンプン・アクリル酸グラフト重合体等の多糖類又はその誘導体;ポリアクリル酸又はその塩;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質;及び、ポリ-N-ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができる。
これらのなかで、特に耐熱性のよいカルボキシメチルセルロース・ナトリウム等を吸水剤(Z)として使用することが好ましい。
上記カルボキシメチルセルロース・ナトリウムの市販品としては、セロゲン(登録商標)F-3H(第一工業製薬株式会社)、カルボキシメチルセルロースの市販品としては、MAC200HC、サンローズ(登録商標)F10LC(以上、日本製紙ケミカル株式会社)等が挙げられる。
吸水剤(Z)は、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物中に均一に分散していることが好ましい。均一に分散していることにより、粘着性能や吸水性能にばらつきが生じにくいことから、性能のばらつきを評価することで、均一に吸水剤が分散できている指標とすることができる。均一に分散していない場合は、粘着性能面、吸水性の観点でばらつきが生じやすくなる。
吸水剤(Z)の含有量は、適度な吸水速度と吸水量を得る観点から、粘着剤組成物全体の質量に対して、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~50質量%、更に好ましくは15~50質量%である。吸水剤(Z)の含有量を上記範囲とすると、吸液性、特に吸水性、創傷部位との接着性、及び適度な保形性(側面からの膏体のはみだし防止性)を得やすい。
<他の任意成分>
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれ得る他の任意成分としては、粘着付与樹脂、可塑剤等が挙げられる。
(粘着付与樹脂)
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物には、粘着付与樹脂が含まれていてもよい。上記粘接着剤組成物に粘着付与樹脂が含まれることにより、接着性、タック及び相容性のうち少なくとも一つを向上させやすくなる。
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれ得る粘着付与樹脂としては、従来から粘接着剤において用いられている粘着付与樹脂のいずれもが使用できる。具体的な粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂(ロジン、ロジン誘導体、水素添加ロジン誘導体など);テルペン系樹脂;(水添)石油系樹脂;スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、水素化芳香族コポリマー、及びフェノール系樹脂等の芳香族炭化水素系樹脂;及び、クマロン-インデン系樹脂などが挙げられる。
本明細書においてロジン系樹脂とは、松から得られる琥珀色、無定形の天然樹脂のことであり、その主成分はアビエチン酸とその異性体の混合物を意味する。また、このアビエチン酸又はその異性体の持つ反応性を利用して、エステル化、重合、水素添加(以下、水添とも称する。)等の変性をしたものも上記ロジン系樹脂に含まれる。
ロジン系樹脂としては、例えば、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)、及びこれらを更に水添等の変性を行ったものが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐着色性の観点から、水添ロジンエステルが好ましい。
本明細書において、テルペン系樹脂とは、テルペン系単量体を含む原料を重合して得られるオリゴマーを意味する。また、このようにして得られたオリゴマーを水添等変性したオリゴマーも上記テルペン系樹脂に含まれる。テルペンとは一般的に、イソプレン(C)の重合体を意味し、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類される。テルペン系単量体とは、これらを基本骨格として有する単量体であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレイン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノーレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピンネオール、β-テルピンネオール、γ-テルピンネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等が挙げられる。また、テルペン系単量体を含む原料には、テルペン系単量体と共重合可能な他の単量体、例えばベンゾフラン(CO)等のクマロン系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン等のビニル芳香族化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール系単量体等が含まれていてもよい。
上記テルペン系単量体と共重合可能な他の単量体を含む原料を重合して得られるオリゴマーとしては、テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。このようなテルペンフェノール系樹脂も上記テルペン系樹脂に含まれる。また、テルペン系単量体、及び、テルペン系単量体と共重合可能な他の単量体を含む原料を重合して得られたオリゴマーを水添等変性したものもテルペン系樹脂に含まれる。
本明細書において(水添)石油系樹脂とは、C5留分、C9留分、C5留分の精製成分、C9留分の精製成分、又はこれら留分若しくは精製成分の混合物からなる原料を重合することにより得られるオリゴマーを意味する。また、このようにして得られたオリゴマーを水添等変性したものも上記(水添)石油系樹脂に含まれる。なお、C5留分には、通常、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン及びシクロペンテン等が含まれ、C9留分には、通常、スチレン、アリルベンゼン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、β-メチルスチレン及びインデン等が含まれる。また、C9留分には少量のC8留分及びC10留分が含まれる場合がある。
上記(水添)石油系樹脂は、C5留分又はその精製成分を原料にしたC5樹脂、C9留分又はその精製成分を原料にしたC9樹脂、C5留分又はその精製成分とC9留分又はその精製成分との混合物を原料にした、C5-C9共重合樹脂に大別される。これらの中でも、耐熱性及び耐着色性の観点から、水添石油系樹脂が特に好適に用いられる。
上記芳香族炭化水素系樹脂としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、β-メチルスチレン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン、メトキシスチレン、t-ブチルスチレン、クロロスチレン、インデン、メチルインデン、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、若しくはこれらの混合物からなる原料を重合することにより得られるオリゴマーや、これらのオリゴマーを水添等変性したものが挙げられる。これらの中でも、特に相容性、耐熱性、耐着色性の観点からスチレン系樹脂が好適に用いられる。
これら粘着付与樹脂は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。これら粘着付与樹脂が2種以上含まれている場合には、接着力やタックのバランスに優れる点で望ましい。また、上記粘着付与樹脂の軟化点については、高い接着力を発現する点から、50~160℃のものが好ましい。上記軟化点は、JIS K2207(1996)に規定される環球法で測定することができる。
粘着付与樹脂の含有量は、その用途等に応じ適切に設定すればよいが、より高い接着力、タック及び凝集力を両立しつつ、生体表面への追随性及び保持力の高い粘接着剤層が得られる点から、アクリル系トリブロック共重合体100質量部に対し、好ましくは1~180質量部、より好ましくは2~100質量部、更に好ましくは4~80質量部、より更に好ましくは5~60質量部、より更に好ましくは6~50質量部、より更に好ましくは7~40質量部、より更に好ましくは8~30質量部、特に好ましくは9~25質量部である。
粘着付与樹脂が、(水添)石油系樹脂、テルペン系単量体のみから構成されるテルペン系樹脂の場合は、アクリル系トリブロック共重合体との相容性の観点から含有量を高めにくい傾向にある。したがって、これらを粘着付与樹脂として用いる場合は、接着力、タック及び凝集力、及び相容性の観点から、粘着付与樹脂の含有量は、アクリル系トリブロック共重合体(I)100質量部に対して、好ましくは2~40質量部、より好ましくは2~30質量部である。
(可塑剤)
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物には、可塑剤が含まれていてもよいし、可塑剤が含まれていなくてもよい。上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に可塑剤が含有されることにより、接着力とタックのバランスに優れる粘接着剤組成物が得られやすくなる。なお、可塑剤が含まれない場合は、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物から可塑剤がブリードアウトすることによる粘着性能の低下を抑制しやすくなる。
かかる可塑剤の例としては、例えば、ジブチルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ビス(2-エチルヘキシル)フタレート、ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート、ジn-デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジn-オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジn-ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3-ブチレングリコールとのエステル化物、安息香酸とジプロピレングリコールのエステル化物等エステルオリゴマー類;イソ酪酸酢酸スクロース等の糖誘導体;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレンなどの低分子量重合体;ポリアクリル酸n-ブチル、ポリアクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリルオリゴマー;ダイアナプロセスオイルPWシリーズ(出光興産株式会社製)、SUNPURE LW70及びPシリーズ(日本サン石油株式会社製)等のパラフィン系オイル;SUNPURE N90及びNX90、SUNTHENEシリーズ(日本サン石油株式会社製)等のナフテン系オイル;JSO AROMA790(日本サン石油株式会社製)、Vivatec500(H&R社製)等のアロマ系オイル等が挙げられる。これら可塑剤は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
可塑剤の含有量は、その用途等に応じ適切に設定すればよいが、ブリードがなく、透明性に優れる粘接着剤組成物が得られ、生体表面への追随性や保持力の高く、かつ創傷被覆材の剥離時の皮膚の痛みを軽減できる粘接着剤層が得られる点から、アクリル系トリブロック共重合体(I)100質量部に対し、1~40質量部であることが好ましく、1~25質量部であることがより好ましい。
(他の重合体及び添加剤)
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体、軟化剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤、屈折率調整剤、フィラー、硬化剤、膠着防止剤等の添加剤が含まれていても良い。これら他の重合体及び添加剤は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
上記他の重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体(アクリル系トリブロック共重合体(I)及び(II)は除く)等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;スチレン-メタクリル酸メチル共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン-ビニルアルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。これらの中でも、上記粘接着剤組成物に含まれるアクリル系トリブロック共重合体(I)との相容性の観点から、アクリル系樹脂(アクリル系トリブロック共重合体(I)及び(II)は除く)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、AS樹脂、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン及びスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(アクリル系トリブロック共重合体(I)及び(II)は除く)がより好ましい。
上記フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、及び有機繊維;炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の無機充填剤;カーボンブラック等が挙げられる。これらのフィラーが含まれていると、得られる粘接着剤組成物に耐久性、耐熱性、耐候性が付与される。
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に膠着防止剤を含ませると、取り扱い性の向上が期待できる場合がある。上記膠着防止剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックス等のワックス類;低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィン;アクリル系樹脂粉末;ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン;オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミド等のアミド系樹脂粉末、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカ等が挙げられる。
[ハイドロコロイド型粘接着剤組成物の製造方法]
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物の製造方法は特に制限されないが、吸水剤、粘着付与樹脂、等を均一に混合する観点から、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合又は混練装置を使用して、通常100~250℃の範囲内の温度で混合することが好ましい。得られた粘接着剤組成物は、加熱溶融して使用可能である。加工性・取扱性の観点から、溶融粘度が低いことが好ましい。一方、粘接着剤組成物の粘着特性と高保持力(耐クリープ性)を両立する観点からは、溶融粘度は高いことが好ましい。
[ハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品]
上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物は、当該ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する物品の形態で使用することができ、例えば、基材と上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層とを含む物品である、積層フィルム、積層シート等の積層体の形態で好適に用いられる。
上記ハイドロコロイド型粘着剤組成物は、基材に適量塗布し粘接着剤層とすることで該物品を得ることができる。なお、上記粘接着剤層が支持体の中心部分に位置するように、上記ハイドロコロイド型粘着剤組成物を直接支持体の上に塗布、あるいは貼付することにより、あるいはここで支持体と粘接着剤層との間にフィルムなどを介在させることにより、当該粘接着剤組成物を救急絆創膏のパッドとして使用することもできる。
図1は、本発明の一実施形態に係るハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる粘接着剤層を含む物品である積層シートの断面図である。図1に示すように、積層シート100は、この順に積層された、基材10、ハイドロコロイド型粘接着剤層20、及び剥離シート30を備えている。
そして、ハイドロコロイド型粘接着剤層20が、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層である。
ハイドロコロイド型粘接着剤層20が、吸水性及び粘接着性を備えているので、積層シート100をそのまま又は適切なサイズや形状に切断し剥離シート30を除去すれば、創傷部等の貼付対象部位に貼り付けることができる。
上記粘接着剤層を形成するには、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を加熱溶融して用いる場合、例えば、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法等を用いてシート状やフィルム状等の形状に形成できる。例えば、剥離シート上に、加熱溶融した粘接着剤組成物を、例えばホットメルトコーターを用い溶融塗工する方法により、100~1,000μmの厚さの粘接着剤層を形成することができる。該粘接着剤層の厚さは、特に制限されないが、皮膚への固定性を担保し、基材厚みとのバランスの点から、一定厚とする場合は、100~1,000μmが好ましく、より好ましくは150~900μm、更に好ましくは200~800μmである。
これに、基材をラミネートすることで該物品を作製することができる。上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物の溶融粘度が高い場合、例えば180℃での溶融粘度が20,000mPa・sを超える溶融粘度の場合には、より高い温度で加熱溶融させるため、Tダイから加熱溶融物を非接触で基材上に塗布するホットメルト塗工法が、粘接着剤層の厚み制御、均質性、及び基材に必要な耐熱性の観点から好ましい。
ここで用いられる基材としては、適度な伸縮性、柔軟性、強度を備えるものであれば特に限定されず、適度の通気性、透湿性及び菌バリヤー性の性質を備えるものが特に好ましい。例えばポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル及びポリアクリル酸等のフィルム、フォーム、不織布、織布及び編み布等が挙げられる。中でも上述の観点からポリウレタン性のフィルムが好ましい。
上記基材の厚さが5μmよりも小さいと、粘接着剤層を含む物品(典型的には粘接着シート又はフィルム)の強度や取り扱い性が低下して、例えば生体表面付着材として用いる場合には、皮膚への貼付が困難になり、他の部材等との接触によって破れたり、入浴等の水との接触によって短時間で皮膚から剥離したりすることがある。また、基材の厚さが大きすぎる(1mmより超える)と、例えば生体表面付着材として用いる場合には、皮膚の動きに追随しにくくなり、粘接着剤層を含む物品の辺縁部に剥がれるきっかけを形成しやすくなるため、短時間で皮膚から剥離したり、貼付中の違和感が増えたりするおそれがある。
また、使用する剥離シートは貼付材の分野で慣用のものを用いることができる。例えばシリコーン離型処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材やポリエステルフィルム等を用いることができる。また、剥離体の目付けは、限定はされないが、通常、50~150g/m程度が好ましく、60~100g/m程度がより好ましい。剥離シートは1枚としてもよいが、剥離シートの略中心部に、その外形を分断する線状の剥離シート分断部を1本若しくは2本以上設けることによって、一方の剥離シートを剥がしても、他方の剥離体が残り、粘着面に触れることなく貼付作業ができるようになり、作業性が向上する。貼付材をロール状とした場合においては、特に剥離シートを剥ぎ取りやすくし、取り扱い性を向上させるのに有効である。また、2枚以上の剥離シートを粘着剤から剥離しやすいように、剥離シートを一方に覆い被さるか又は折り返すように配置しても、取り扱い性を向上させるのに有効である。
上記剥離シートの長さは、粘着剤の流出防止、生産性、取扱性、経済性及び製法の容易性等の観点より、粘着剤の塗工領域よりも、0.2mm以上、特に1~5mm大きくすることが好ましい。
上記物品を生体表面付着材として用いる場合には、その物品に、局所投与可能な薬学的活性剤を更に含んでいてもよい。
局所投与可能な薬学的活性剤としては、例えば、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤(ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)など)、ビタミン、有効オイル、保湿剤などが挙げられる。より具体的な局所投与可能な薬学的活性剤としては、例えば、ヨウ素、ポビドンヨード、銀、サリチル酸又はその塩、アセチルサリチル酸又はその塩、クロルヘキシジン(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン)、スルファセタミド及びその塩、エリスロマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、レタパムリン、ムピロシン、ゲンタマイシン、マフェナイド、リドカイン、テトラサイクリン、安息香酸、シクロピロクスオラミン、ウンデシレン酸アルカノールアミド、ビホナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、チオコナゾール、テルビナフィン、トルシクラート、トルナフタート、チモール、スルファセタミド、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、カメリナ油、ヤシ油、ホホバ油、バラ油、ゴマ油、シア脂、麻実油、マカデミアナッツ油、ラノリン、ビタミン、例えば、ビタミンA、ビタミンAパルミテート、ビタミンB3、ビタミンC、並びにトコフェロール及びそのエステル、例えば、α-トコフェロール及びα-トコフェロールアセテートが挙げられる。
局所投与可能な薬学的活性剤は、その用途に応じて適切な量を物品中に含ませることができる。例えば、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物に含まれるアクリル系トリブロック共重合体(I)100質量部に対して、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下、5質量部以下、2質量部以下、又は1質量部以下の量で使用できる。
[創傷被覆材]
上記物品は好適には生体表面付着材として使用できる。上記生体表面付着材は、例えば、医薬、獣医学用途、外科的処置用途として用いることができる。例えば、生体表面付着材を、創傷を治療するために創傷を覆って使用する創傷被覆材として用いることができる。つまり、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する創傷被覆材とすることができる。
上記生体表面付着材の具体例としては、例えば救急絆創膏(殺菌剤入り)、サージカルドレッシング・サージカルテープ、絆創膏、止血絆、縫合用テープ、抗菌テープ等が挙げられる。
図2は、本発明の一実施形態に係る絆創膏タイプの創傷被覆材200の平面図及び断面図である。図2(a)は、剥離シート30a、30b側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIB-IIBで示されるラインに沿う断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、創傷被覆材200は、基材10上の中央部に、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層を含むパッド層21が設けられ、その周囲に粘接着剤層40が設けられている。そして、パッド層21及び粘接着剤層40を覆うように、一対の剥離シート30a、30bが設けられている。剥離シート30bのパッド層21側の端部は折り返されており、更にその上に、剥離シート30aのパッド層21側の端部が重なっている。
使用者が、パッド層21上に位置する端部から、順次剥離シート30a及び30bを剥離することにより、パッド層21及び粘接着剤層40を露出させ、これを創傷部等の貼付対象部位に貼り付けることができる。
パッド層21は、任意の柔軟性のある保護層と、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘着剤層とからなる態様であってもよいし、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層のみからなる態様であってもよい。上記保護層が存在する場合、パッド層21は、予め形成された保護層と上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層とを、接着その他の方法により一体化させてもよいし、柔軟性のあるフィルム上に、上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を押し出して、保護層と一体になったパッド層21を得るようにしてもよい。繊維状あるいはスポンジ状のパッド材に上記ハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含浸させてパッド層21を得るようにしてもよい。
なお、積層シート100及び創傷被覆材200における、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層以外の各部の材料としては、従来公知の各種材料を用いることができる。例えば、基材10としては、上記物品を構成する基材として説明したものと同様の材料や部材を用いることができる。また、剥離材30、30a、30bとしては、上記物品を構成する剥離シートとして説明したものと同様の材料や部材を用いることができる。粘接着剤層40としては、例えば、上記アクリル系ブロック共重合体からなる粘接着剤組成物からなる粘接着剤層を用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下に示す製造例1~3では、単量体やその他の化合物は、常法により乾燥精製し、窒素にて脱気して使用した。また、単量体やその他の化合物の反応系への移送及び供給は窒素雰囲気下で行った。なお、ブロック共重合体の溶融混練や、ブロック共重合体と吸水剤(Z)との溶融混練は空気雰囲気下で行った。
以下の製造例において、重合体(ブロックを形成する重合体)及びアクリル系トリブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算分子量で求めた。GPCで用いた測定装置及び条件は次のとおりである。
[GPC測定の装置及び条件]
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC-8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」
及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
また、以下の例において、ブロック共重合体における各重合体ブロックの含有量は、H-NMR測定によって求めた。H-NMR測定で用いた測定装置及び条件は次のとおりである。
H-NMR測定の装置及び条件]
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM-ECX400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
H-NMRスペクトルにおいて、3.6ppm及び4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基に含まれる酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子(-O-CH)及びアクリル酸n-ブチル単位のエステル基に含まれる酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子(-O-CH-CH-CH-CH)に帰属され、その積分値の比によって各重合体ブロックの含有量を求めた。
実施例及び比較例で得られた粘接着剤組成物からなる粘接着剤層を有する粘接着テープの評価は、以下の方法により行った。
[ループタック特性]
後述の方法により作製した厚さ300μmの粘接着剤層を有する粘接着テープを23℃、50%RH雰囲気中で、粘接着剤層が外側に来るようにして幅10mm×長さ100mmのループ状にし、ループタックテスター(ChemInstruments社製「LT-1000」)に、ループと交差する方向に設置した25mm幅のポリメタクリル酸メチル(PMMA)板(デラグラスA999、旭化成テクノプラス株式会社製)を取り付け、PSTC-16に記載された方法に従い、タックの値(引き剥がし時の最大値)を測定し、試験数3回の平均値を算出した。
ループタックの値が2未満であると、粘接着テープを貼布した直後から良好な粘着性が発現せず、また追随性も低いことが多い。また、15を超えると、追随性は高い傾向にあるが、貼り直しにくかったり、剥がす際に痛みを生じやすくなったりする。これらの観点から、ループタックの値は、2~15Nであることが好ましい。また、物性のばらつきについては、試験数3回の平均値及び標準偏差を算出し、これらの値から変動係数(CV)を計算し、CVが15未満の場合を合格「G」と評価し、15以上の場合を不合格「NG」と評価した。
[皮膚から剥がす際の痛み]
10名のパネラー(試験対象:50~60代の成人)に対して、後述の方法により作製した厚さ300μmの粘接着剤層を有する粘接着テープを幅10mm×長さ100mmに裁断し、23℃、50%RH雰囲気で前腕内側部に貼布し、手のひらで10秒間押し当てて圧着した。貼布してから10分経過後に、手で剥離した際の痛みを4段階(0:痛みなし、1:わずかに痛みあり、2:痛みあり、3:耐えられない痛みあり)で官能評価した。かかる官能評価において、各パネラーが採点した評価点の平均値を評価結果とした。
[水蒸気透過率]
後述の方法により作製した厚さ300μmの粘接着剤層(直径70mmの円状)を用い、透過部径60mmの透湿カップにセットし、JIS Z0208 カップ法を参考に、25℃、50%RH雰囲気の条件にて、水蒸気透過率を測定し、試験数2回の平均値及び標準偏差を算出し、これらの値から変動係数(CV)を計算し、CVが10未満の場合を合格「G」と評価し、10以上の場合を不合格「NG」と評価した。
[水分含有率]
JIS K7251 B法を参考に、一辺が2~4mmのサンプルを25℃、50%RH雰囲気の条件にて、24時間以上調湿した後、カールフィッシャー水分計MKC-510N(京都電子工業製)、水分気化装置ADP-511を用い、気化温度130℃、窒素ガス雰囲気下、にて水分含有率(調湿後のサンプルの全質量に対する水分の質量の割合(質量%))を測定し、試験数2回の平均値及び標準偏差を算出し、これらの値から変動係数を計算し、変動係数が5未満の場合を合格「G」と評価し、5以上の場合を「NG」と評価した。
<製造例1> アクリル系トリブロック共重合体(I-1)の製造
(1)3Lの三口フラスコに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にて撹拌しながら、トルエン1,409gと1,2-ジメトキシエタン32.7gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム24.5mmolを含有するトルエン溶液48.6gを加え、更にsec-ブチルリチウム2.55mmolを含有するsec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.50gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル22.7gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。
(3)引き続き、重合液の内部温度を-30℃に冷却し、アクリル酸n-ブチル434gを2時間かけて滴下し、滴下終了後-30℃にて5分間撹拌した。
(4)更に、これにメタクリル酸メチル29.4gを加え、一晩室温にて撹拌した。
(5)メタノ-ル15gを添加して重合反応を停止した後、得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、液状沈殿物を析出させた。その後、液状沈殿物を回収し、乾燥させることにより、アクリル系トリブロック共重合体(I-1)440gを得た。得られたアクリル系トリブロック共重合体(I-1)の重量平均分子量(Mw)を上述の方法でGPCを測定により求めた。また、上述したH-NMR測定により、アクリル系トリブロック共重合体(I-1)中のメタクリル酸メチル単位からなる重合体ブロックの合計含有量を求めた。
<製造例2> アクリル系トリブロック共重合体(I-2)の製造
(1)3Lの三口フラスコに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にて撹拌しながら、トルエン1,302gと1,2-ジメトキシエタン65.1gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム60.3mmolを含有するトルエン溶液120.0gを加え、更にsec-ブチルリチウム7.50mmolを含有するsec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.34gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル53.9gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。
(3)引き続き、重合液の内部温度を-30℃に冷却し、アクリル酸n-ブチル360gを2時間かけて滴下し、滴下終了後-30℃にて5分間撹拌した。
(4)更に、これにメタクリル酸メチル53.9gを加え、一晩室温にて撹拌した。
(5)メタノ-ル20gを添加して重合反応を停止した後、得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、液状沈殿物を析出させた。その後、液状沈殿物を回収し、乾燥させることにより、アクリル系トリブロック共重合体(I-2)440gを得た。得られたアクリル系トリブロック共重合体(I-2)の重量平均分子量(Mw)を上述の方法でGPCを測定により求めた。また、上述したH-NMR測定により、アクリル系トリブロック共重合体(I-2)中のメタクリル酸メチル単位からなる重合体ブロックの合計含有量を求めた。
<製造例3> アクリル系トリブロック共重合体(II-1)の製造
(1)3Lの三口フラスコに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にて撹拌しながら、トルエン1,409gと1,2-ジメトキシエタン32.7gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム24.5mmolを含有するトルエン溶液48.6gを加え、更にsec-ブチルリチウム7.65mmolを含有するsec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.50gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル30.1gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。少量サンプリングし、得られたポリメタクリル酸メチルの重量平均分子量を上述の方法でGPCを測定により求めた。
(3)引き続き、重合液の内部温度を-30℃に冷却し、アクリル酸n-ブチル427gを2時間かけて滴下し、滴下終了後-30℃にて5分間撹拌した。
(4)更に、これにメタクリル酸メチル7.60gを加え、一晩室温にて撹拌した。
(5)メタノ-ル20gを添加して重合反応を停止した後、得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、液状沈殿物を析出させた。その後、液状沈殿物を回収し、乾燥させることにより、アクリル系トリブロック共重合体(II-1)440gを得た。得られたアクリル系トリブロック共重合体(II-1)の重量平均分子量を上述の方法でGPCを測定により求めた。また、上述したH-NMR測定により、アクリル系トリブロック共重合体(II-1)中のメタクリル酸メチル単位からなる重合体ブロックの合計含有量を求めた。
製造例1~3で得られたアクリル系ブロック共重合体の組成及び物性値を表1に示す。
Figure 2023026225000001
実施例及び比較例では、粘着付与樹脂、吸水剤、酸化防止剤及び基材として、以下のものを使用した。
(粘着付与樹脂)
・商品名「Foral 85E」Eastman製、水添ロジンエステル
・商品名「YSresin SX100」ヤスハラケミカル株式会社製、芳香族炭化水素系樹脂
・商品名「ARKON P90」荒川化学工業株式会社製、水素化石油樹脂
(吸水剤(Z))
・商品名「セロゲンF-3H」第一工業製薬製、カルボキシメチルセルロース
(酸化防止剤)
・商品名「アデカスタブAO-60」ADECA製
(基材)
・ポリエチレンテレフタレート製フィルム:東洋紡エステルフィルムE5000、厚さ50μm
<実施例1~3>
表2に記載の、ハイドロコロイド型粘接着剤組成物の組成及びニーダー混練温度に従い、ニーダーに、アクリル系トリブロック共重合体(I-1)又は(I-2)を投入して均一に溶融した後、アクリル系トリブロック共重合体(II-1)、及び吸水剤を投入してこれら混合物が均一になるように溶融混練し、粘接着剤組成物を調製した。得られた粘接着剤組成物を、2枚のテフロンシート(厚さ1mm、「テフロン」は登録商標)に挟んだ後、溶融混練温度と同温度、プレス圧50kgf/cmの条件でプレス成型して、300μm厚のシートを作製した。
ループタック評価、及び皮膚からの剥がす際の痛みの評価を行うサンプルについては、テフロンシート(厚さ1mm)/PET基材(50μm)/粘接着剤組成物/テフロンシート(厚さ1mm)にした以外は、上述と同じようにプレス成形して、片面に厚さ50μmのPETを有し、粘接着剤層の厚みが300μmのシートを作製した。
上述の方法にて、ループタック特性、水蒸気透過率、水分含有率の測定と、皮膚からの剥がす際の痛みの評価とを行った。
<実施例4、5>
表2に記載のハイドロコロイド型粘着剤組成物の組成、ニーダー混練温度に従い、ニーダーに、アクリル系トリブロック共重合体(I-1)を投入して均一に溶融させた後、アクリル系トリブロック共重合体(II-1)、粘着付与樹脂、吸水剤を投入してこれら混合物が均一になるように溶融混練し、粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を、実施例1~3と同様の手法により、300μm厚のシート、並びにループタック評価、及び皮膚からの剥がす際の痛みの評価用の片面に厚さ50μmのPETを有し、粘着層の厚みが300μmのシートを作製した。上述の方法にて、ループタック特性、水蒸気透過率、水分含有率、皮膚からの剥がす際の痛みの評価を行った。
<比較例1>
表2に記載のハイドロコロイド型粘着剤組成物の組成、ニーダー混練温度に従い、ニーダーに、スチレン系トリブロック共重合体(JSR株式会社製SIS5229)と酸化防止剤アデカスタブAO-60を投入して均一に溶融させた後、粘着付与樹脂、吸水剤を投入してこれら混合物が均一になるように溶融混練し、粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を、実施例1~3と同様の手法により、300μm厚のシート、並びにループタック評価、及び皮膚からの剥がす際の痛みの評価用の片面に厚さ50μmのPETを有し、粘着層の厚みが300μmのシートを作製した。上述の方法にて、ループタック特性、水蒸気透過率、水分含有率、皮膚からの剥がす際の痛みの評価を行った。
Figure 2023026225000002
表2に示したように、アクリル系ブロック共重合体及び吸水剤を含むハイドロコロイド型粘着剤組成物からなる実施例1~5の粘着シートは、ループタック特性、水分含有率、水蒸気透過率のいずれもばらつきの小さい値が得られており、均一な粘着剤組成物が得られていることが判る。また、それらのループタックは適度な値であり、良好なループタック特性(つまり、貼付対象物に追随し緩やかに粘接着する特性)を持つことを示している。更に、これらの粘着シートは、水分含有率及び水蒸気透過率が高く、皮膚からの剥がす際の痛みもなかったことが判る。
一方、アクリル系ブロック共重合体ではなくスチレン系トリブロック共重合体を用いた比較例1は、水蒸気透過が低く、創傷被覆材の剥離時にわずかに痛みがあったことが判る。
本発明のハイドロコロイド型粘接着剤組成物は、好適には、医薬、獣医学用途、外科的処置用途等における生体表面付着材の粘接着剤層を形成するために用いることができる。
また、本発明のハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する物品は、好適には、医薬、獣医学用途、外科的処置用途等における生体表面付着材として用いることができる。
更に、本発明の創傷被覆材は、創傷を治療するために創傷を覆うように生体に貼付して用いられる。
10:基材
20:ハイドロコロイド型粘接着剤組成物からなる粘接着剤層
21:パッド層
30、30a、30b:剥離シート
40:粘接着剤層
100:積層シート
200:絆創膏タイプの創傷被覆材

Claims (7)

  1. アクリル系ブロック共重合体及び吸水剤(Z)を含むハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
  2. 前記吸水剤(Z)が、多糖類又はその誘導体;ポリアクリル酸又はその塩;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;タンパク質;及び、ポリ-N-ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
  3. 前記ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して前記吸水剤(Z)を5~50質量%含有する、請求項1又は2に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
  4. 前記アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル単位からなる2つの重合体ブロック(A1)及び(A2)と、アクリル酸エステル単位からなる1つの重合体ブロック(B)とを有し、かつ(A1)-(B)-(A2)ブロック構造を有するアクリル系トリブロック共重合体(I)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
  5. 前記アクリル系ブロック共重合体におけるメタクリル酸エステル単位の合計含有量が4~35質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物。
  6. 基材と、請求項1~5のいずれか1項に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する物品。
  7. 基材と、請求項1~5のいずれか1項に記載のハイドロコロイド型粘接着剤組成物を含む粘接着剤層を有する創傷被覆材。
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