JP2023023276A - 養殖魚類への効率的な給餌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】養殖魚類の仔魚への効率的な給餌方法を提供すること。【解決手段】給餌対象仔魚が摂餌可能な粒径を有する粒子状飼餌料を500個/ml以上の密度で含む飼育液中で仔魚を遊泳させることにより、該仔魚に該粒子状飼餌料を摂餌させる。【選択図】なし

Description

本発明は、養殖魚類に対する給餌方法、特に養殖魚類の仔魚に対する給餌方法に関する。
マダイやブリなどの養殖魚類の種苗生産では、生きたワムシやアルテミア等のプランクトンを給餌して種苗を生育している。しかしながら、ワムシやアルテミアを餌料として安定的に生産するには、専用の設備、並びに高度な技術、労力、及びコストが求められる。そのため、仔魚用の飼料(人工の餌)の開発が進められてきた。飼料に浮遊性を付与するには、海水よりも比重が軽い空気や油脂を添加することが必要である。しかしながら、仔魚用飼料の粒径は仔魚の口径(概ね400μm以下)よりも小さいことが求められ、この粒径の飼料に比重を軽くするほど均一に空気の泡を混じることは非常に困難である。そのため、一般的に試作される配合飼料は沈降性であるが、多くの場合、沈降性飼料は仔魚には摂餌されないか、されても偶発的で微量であるため成長に結びつかない。これは、孵化して間もない仔魚は、遊泳力が未発達であることから、成魚に比較し索餌能力が著しく低く、通常の飼育条件では、摂餌対象物となるのは仔魚の頭部の周辺に浮遊している餌に限定されるためである。仔魚用飼餌料の摂餌性を向上させる方法として、飼餌料の比重改良(特許文献1)、光波長制御飼育(特許文献2)、飼料の色による視認性向上(特許文献3)、水流による飼餌料と仔魚の遭遇率の向上(特許文献4)などの取組みが行われている。それぞれ一定の効果は認められるものの、安定的かつ十分量の飼餌料を摂餌させるまでに至っていない。一方、ワムシを用いた種苗生産は多くの魚種において確立されているが、内部栄養(卵内の栄養分依存)から外部栄養(摂餌物の栄養分依存)に切り替わる開口直後の給餌作業は非常に難しく、如何に早く餌を食べさせられるかによって生育や生残に大きな影響を与えることが知られている。現在は飼育環境の光量を上げることで餌料の視認性を向上させ摂餌しやすくするなどの試みが行われているが、狙ったタイミングで十分量の餌を摂餌させることは至難の業である。以上のことから、配合飼料やワムシ等の生物餌料を半強制的に速やかに摂餌せしめる給餌法が望まれている。
特許文献5には、数十ルクス以上の照度条件下で水槽の底に密集するウナギ仔魚の性質を利用して、サメ卵に種々の原料を添加し調製したペースト状の沈降性飼料を水槽底面に給餌する方法が開示されている。
特許文献6には、水中を浮遊し、水中に漂っている物体を受動的に摂餌する生物に対する有効な給餌方法として、水溶性高分子による密度調整を利用することにより、飼育水槽内に2層以上の安定な層を形成し、飼育水層とそれよりも密度の高い液体飼料層とが形成された飼育水槽内で、浮遊生物を飼育する方法が開示されている。
非特許文献1には、仔稚魚の日間ワムシ摂取量に及ぼすワムシ密度の影響について記載されていて、マダイでは、5個体/ml区と10個体/ml区では日間摂餌量に顕著な差はなく、イシダイ仔魚やクロダイ仔魚でも同様の傾向が認められたことが記載されている。
非特許文献2には、クロマグロ仔魚のワムシ摂取量に及ぼすワムシ密度の影響を調べる試験において、最適ワムシ密度が10~30個体/mlの範囲であったことが記載されている。
非特許文献3には、クエ仔魚の飼育における最適ワムシ密度が20~30個体/mlの範囲であったことが記載されている。
特開平5-219901号公報 特開2012-65625号公報 特開2009-207407号公報 特開2006-325458号公報 特開平11-253111号公報 特開2010-46037号公報
養殖研究所研究報告、1号、39-45頁、1980年 水産増殖、48巻、2号、169-177頁、2000年 水産増殖、54巻、2号、187-194頁、2006年
本発明者らは、半強制的に摂餌せしめる給餌法として、特許文献5に記載の給餌方法をウナギ以外の養殖魚に適用しようと試みたが、ウナギ以外の海産魚類仔魚は自然光に対する負の走光性を示さず、試みは成功しなかった。また、特許文献5はペースト状の餌を想定しており、ワムシや配合飼料のような粒子状飼餌料ではない。特許文献6も半強制的に摂餌せしめる給餌法であるが、飼育水中にコロイド状で分散する飼料を摂餌させる手法であり、配合飼料や生物餌料などの粒子状の飼餌料を摂餌させる手法ではない。
本発明は、このような実情に即して行われたものであり、養殖魚類の仔魚への効率的な給餌方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行ったところ、飼育水中に、粒子状飼餌料を500個/ml以上という極めて高密度で分散させることによって、孵化後間もなく胃が分化していない養殖魚類の仔魚に短時間で多量の粒子を摂餌させられることを見出した。この効果は、粒子状飼餌料の種類に関わらず認められ、シリカゲルのように食物ではない粒子でさえ仔魚は高い効率で摂取した。飼育液中の粒子状飼餌料の数密度が高くなればなるほど、仔魚が粒子状飼餌料に遭遇する確率も高くなるので、それと共に摂餌した仔魚の個体数や摂餌量も増大することが期待されたが、粒子状飼餌料の数密度が一定の値を超えると、意外にも、摂餌した仔魚の個体数や摂餌量はむしろ低下した。粒径が10μm以下のクロレラでは仔魚による摂餌が認められなかったことから、仔魚が認識できる一定以上の粒径が必要であることが示唆された。飼餌料との遭遇確率と仔稚魚の摂餌行動数は関連していると言われているため、飼餌料密度の調整は一般的に行われている手法である。しかしながら、生物餌料の場合は5~100個/mlの密度での調整であり、それ以上の密度にしても摂餌量に変化はないということが定説となっており(非特許文献1、2、3)、500個/ml以上は、従来技術からかけ離れた高密度である。
本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を加え、本発明を完成した。即ち、本発明は以下に関する。
[1]給餌対象仔魚が摂餌可能な粒径を有する粒子状飼餌料を500個/ml以上の数密度で含む飼育液中で仔魚を遊泳させることにより、該仔魚に該粒子状飼餌料を摂餌させることを含む、仔魚の給餌方法。
[2]飼育液中の粒子状飼餌料の数密度が40万個/ml以下である、[1]の方法。
[3]粒子状飼餌料の粒径が30μm以上である、[1]又は[2]の方法。
[4]粒子状飼餌料の粒径が400μm以下である、[1]~[3]のいずれかの方法。
[5]粒子状飼餌料が配合飼料である、[1]~[4]のいずれかの方法。
[6]粒子状飼餌料が生物餌料である、[1]~[4]のいずれかの方法。
[7]生物餌料がワムシ又はアルテミアである、[6]の方法。
[8]仔魚が、スズキ目又はカレイ目に属する魚類の仔魚である、[1]~[7]のいずれかの方法。
本発明によれば、養殖魚類の仔魚に短時間で多量の粒子状飼餌料を摂餌させられることできるようになり、配合飼料やワムシ等の生物餌料を効率的に給餌させることが可能となる。本発明を用いれば、嗜好性が乏しい配合飼料を半強制的に摂餌せしめることが可能なため、仔魚用配合飼料の開発ハードルを著しく下げることが出来る。また、ワムシ等の生物餌料を任意のタイミングで多量に摂餌せしめることが可能となり、種苗生産の効率化に貢献できる。
ブリ仔魚にワムシを給餌する際のワムシ数密度と、摂餌個体率および摂餌ワムシ数との相関を示す。 ササウシノシタ仔魚にワムシを給餌する際のワムシ数密度と、摂餌個体率(折れ線グラフ、右目盛り)および摂餌ワムシ数(棒グラフ、左目盛り)との相関を示す。 ササウシノシタ仔魚に卵黄粉を給餌する際の卵黄粉数密度と、摂餌個体率(折れ線グラフ、右目盛り)および摂餌卵黄粉数(棒グラフ、左目盛り)との相関を示す。 ササウシノシタ仔魚のワムシ摂餌状況を示す。 ササウシノシタ仔魚の卵黄粉摂餌状況を示す。
本発明は、給餌対象仔魚が摂餌可能な粒径を有する粒子状飼餌料を500個/ml以上の数密度で含む飼育液中で仔魚を遊泳させることにより、該仔魚に該粒子状飼餌料を摂餌させることを含む、仔魚の給餌方法(以下、本発明の方法という。)を提供するものである。
本発明の方法を適用することができる仔魚の魚種は、特に限定されないが、養殖の対象となる魚類が好ましい。そのような魚類としては、スズキ目、カレイ目(異体類)、フグ目、ニシン目、タラ目、ダツ目、キンメダイ目、サケ目、ウナギ目、コイ目等に属する魚類を挙げることができる。スズキ目に属する魚類としては、タイ科(例、マダイ、クロダイ、イシダイ)、アジ科(例、ブリ、カンパチ、ヒラマサ等のブリ類;シマアジ、ムロアジ等のアジ類)、サバ科(クロマグロ、キハダマグロ、カツオ、マサバ)、ハタ科(例、アカハタ、クエ、スジアラ、キジハタ)等を挙げることができる。カレイ目(異体類)に属する魚類としては、ササウシノシタ科(例、ササウシノシタ)、ウシノシタ科(例、クロウシノシタ)、ヒラメ科(例、ヒラメ)、カレイ科(例、マコガレイ、ホシガレイ、マツカワ)等を挙げることができる。フグ目に属する魚類としては、フグ科(例、トラフグ、マフグ)等を挙げることができる。ニシン目に属する魚類としては、ニシン科(例、ニシン、ウルメイワシ、マイワシ)等を挙げることができる。タラ目に属する魚類としては、タラ科(例、マダラ、スケトウダラ)等を挙げることができる。ダツ目に属する魚類としては、サンマ科(例、サンマ)、トビウオ科(例、トビウオ)等を挙げることができる。キンメダイ目に属する魚類としては、キンメダイ科(例、キンメダイ)等を挙げることができる。サケ目に属する魚類としては、サケ科(例、サケ、ニジマス、サクラマス、ヒメマス、ブラウントラウト、ヤマメ、アマゴ)、アユ科(例、アユ)等を挙げることができる。ウナギ目に属する魚類としては、ウナギ科(例、ニホンウナギ)等を挙げることができる。コイ目に属する魚類としては、コイ科(例、コイ、ソウギョ、ハクレン、ウグイ)、ドジョウ科(例、ドジョウ)等を挙げることができる。本発明の方法を適用する仔魚は、好ましくはスズキ目又はカレイ目(異体類)に属する魚類の仔魚であり、より好ましくは、タイ科(例、マダイ)、アジ科(特に、ブリ等のブリ類)又はササウシノシタ科(例、ササウシノシタ)に属する魚類の仔魚である。
本発明の方法を適用する魚の成長段階としては、孵化後間もなく、胃が分化していない段階が好ましい。胃が分化していない段階においては、胃と腸の境界のくびれ(幽門)がなく、摂取した飼餌料が腸まで容易に到達するので、大量の餌を強制的に摂取させることが可能となる。一方、胃が分化した段階においては、幽門によりせき止められて、摂餌した飼餌料が胃にて消化されるまでは腸まで届かないので、摂取する飼餌料の量が制限される。また、胃が分化した段階の魚は、運動器官や感覚器官の発達に伴って十分な摂餌能力を有するので、本発明の方法に依らなくても、十分な量の飼餌料を摂取することができる。
本明細書において、「仔魚」とは、卵から孵化して、各鰭の鰭条の本数が一定数に達するまでの成長段階の魚を意味する。この仔魚の段階は、多くの魚種において、「孵化後間もなく、胃が分化していない段階」と一致する。本発明の方法においては、開口し、摂餌可能な段階の仔魚が使用される。各魚類の仔魚が摂餌可能となる日齢は、水産養殖学の分野において周知である。例えば、マダイの仔魚は、通常3日齢において摂餌可能となる。
本明細書において「飼料」とは、養魚に対して栄養供給を目的に与えられる、種々の栄養源を人工的に配合した食物をいう。「飼料」と「配合飼料」は同義語で、相互に交換可能に使用される。「餌料」とは、養魚に対して栄養供給を目的に与えられる生物(例えば、動物プランクトン、虫等の小動物)そのものをいい、該生物の生死は問わない。「餌料」と「生物餌料」は同義語で、相互に交換可能に使用される。「飼餌料」は、養魚に対して栄養供給を目的に与えられる食物の総称であり、「飼料」と「餌料」の両方を包含する概念である。
本発明の方法においては「粒子状飼餌料」が用いられる。粒子状飼餌料は、通常固体であり、液状のものは適さない。粒子状飼餌料の形状としては、球状、フレーク状、円錐状、円柱状、楕円状、多面体、不定形、線状、棒状等が挙げられるが、これに限定されない。粒子状飼餌料には、配合飼料のみならず、生物餌料も包含される。配合飼料は、小麦粉、魚粉、カゼイン、ゼラチン、卵蛋白、ミルク蛋白、デンプン、ビタミン等の栄養源を配合し、フレーク状、顆粒状、ペレット状、粉末状、クランブル状等の適切な剤型に成型することにより調製することが出来る。おとひめA(日清丸紅飼料株式会社)、プラスアクアラン(ニュートリション)、ジェンママイクロZF75(スクレッティング株式会社)等の市販品を用いてもよい。生物餌料としては、ワムシ、アルテミア、甲殻類(ミジンコ等)の幼生、コペポーダ等を挙げることが出来るが、これに限定されない。ワムシには大型のワムシであるL型ワムシ(シオミズツボワムシ、Brachionus plicatilis)及び小型のワムシであるS型ワムシ(B. rotundiformis)が含まれる。生物餌料は、活餌のみならず、冷凍・蔵餌、乾燥餌等であってもよい。後述の実施例にも示されるように、粒子状飼餌料の呈味、匂い、色等に関わらず、本発明の方法により、仔魚に効率的に粒子状飼餌料を摂取させることが可能である。本発明の方法を適用すれば、仔魚は、シリカゲルのように本来魚にとって食物ではない粒子でさえ高い効率で摂取し得る。
本発明の方法で使用する粒子状飼餌料は、給餌対象仔魚が摂餌可能な粒径を有する。粒子状飼餌料の粒径は、好ましくは、給餌対象仔魚が視認することができ、給餌対象仔魚の口に入ることのできる粒径である。本明細書において「粒径」は、粒子状飼餌料1個の投影像の最大長を意味する。
本発明の方法で使用する粒子状飼餌料の粒径は、仔魚が視認できるよう、通常30μm以上、好ましくは50μm以上である。粒径が10μm以下であると、仔魚が識別できず、結果として仔魚が飼餌料を摂取することが困難である。
本発明の方法で使用する粒子状飼餌料の粒径は、仔魚の口に入るよう、仔魚の口径以下となるように調整することが好ましい。魚の種類によって仔魚の口径が異なるので、仔魚の口径以下となる粒径を一概に数値で特定することは難しいが、養殖対象となる魚類の仔魚の口径は、概ね400μm以下なので、粒子状飼餌料の粒径も400μm以下とすることが好ましい。もっとも、仔魚の種類に応じて、より大きな口径を有する仔魚の場合、粒子状飼餌料がその口径の口に入るよう、粒径を、例えば500μm以下、600μm以下等に適宜調整してもよい。或いは、より小さな口径を有する仔魚の場合、粒子状飼餌料がその口径の口に入るよう、粒径を、例えば350μm以下、300μm以下、250μm以下等に適宜調整してもよい。
一態様において、本発明の方法で使用する粒子状飼餌料の粒径は、30~400μmである。
本発明の方法で使用する粒子状飼餌料の比重は、特に限定されないが、長時間にわたり飼育液中に分散して、仔魚との遭遇確立を挙げるよう、0.8~2.0の範囲となるよう調整することが好ましい。本明細書において、粒子状飼餌料の比重とは、水中で粒子状飼餌料に水が十分に浸透した状態における比重を意味する。比重が低すぎると、粒子状飼餌料が水面に速やかに浮遊してしまうため仔魚との遭遇確率が低下し摂餌効率が低下するおそれがある。一方、比重が高すぎると、粒子状飼餌料が速やかに沈降してしまうため同様に仔魚との遭遇確率が低下し摂餌効率が低下するおそれがある。
一態様において、本発明の方法で使用する粒子状飼餌料は、沈降性である。沈降性飼餌料を飼育液中に加え、飼育液を攪拌して粒子状飼餌料を飼育液中に分散させることにより、仔魚との遭遇確率を上昇させることができる。
本発明の方法は、粒子状飼餌料を500個/ml以上という高い数密度で含む飼育液中で仔魚を遊泳させることを特徴とする。このように極めて高い数密度の粒子状飼餌料を含む飼育液中で仔魚を遊泳させることにより、短時間で効率的に仔魚に粒子状飼餌料を摂取させることができる。飼育液中の粒子状飼餌料の数密度は、好ましくは1000個/ml以上、より好ましくは3000個/ml以上、更に好ましくは5000個/以上である。仔魚が粒子状飼餌料に遭遇する確率を高くする観点からは、飼育液中の粒子状飼餌料の数密度は、高ければ高いほど好ましい。しかしながら、数密度が一定の値を超えると、仔魚が粒子状飼餌料に遭遇する確率はより高くなるにもかかわらず、意外にも、摂餌量はむしろ低下する。従って、飼育液中の粒子状飼餌料の数密度は、好ましくは40万個/ml以下、より好ましくは10万個/ml以下、更に好ましくは30000個/ml以下、より更に好ましくは25000個/ml以下、最も好ましくは20000個/ml以下である。
一態様において、飼育液中の粒子状飼餌料の数密度は、500個/ml~40万個/ml、好ましくは500個/ml~10万個/ml、より好ましくは1000個/ml~30000個/ml、更に好ましくは5000個/ml~20000個/mlである。
粒子状飼餌料が飼育液中に均一に分散するように、飼育液を適切な方法で撹拌することが好ましい。粒子状飼餌料を分散させる方法としては、エアレーション、水流、アジテーターによる撹拌、造波装置、飼育水槽の回転運動、横運動、縦運動などが挙げられるが、飼餌料が水中に分散するのであれば、これらに限定されない。
本発明の方法において、粒子状飼餌料を含む飼育液中で仔魚を遊泳させる時間は、仔魚が粒子状飼餌料を摂餌することができるのに十分であれば、特に限定されないが、通常2分以上、好ましくは3分以上で十分な摂餌が達成できる。腸内が粒子状飼餌料が満たされた後で、引き続き仔魚を粒子状飼餌料を含む飼育液中で仔魚を遊泳させても、それ以上の摂餌は期待できないので、粒子状飼餌料を含む飼育液中で仔魚を遊泳させる時間は、例えば15分以下、好ましくは5分以下にとどめることが好ましい。ワムシ等の生きた生物餌料を給餌する際に15分以上の時間を必要とする場合には、酸欠により生物餌料が死滅しないよう、酸素を投入することが望ましい。
飼育液中の仔魚の数密度は、特に限定されないが、通常0.01匹/ml~10匹/ml程度である。
粒子状飼餌料を含む飼育液中で仔魚を遊泳させる飼育水槽の形状、容量、材質、透明性などの物理的特徴は、特に限定されない。
刊行物、特許文献等を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度まで、本明細書に援用される。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
[実施例1]
スケトウダラ冷凍すり身50g、及びアブラツノザメの卵50gをミキサーで撹拌したペーストを凍結乾燥、粉砕、篩分けし、粒子径75~100μmのフレーク状の凍結乾燥飼料を得た。また、おとひめA(日清丸紅飼料株式会社)を篩分けし粒子径75~100μmに調製した。それぞれの飼料を50mlの海水に目的の飼料密度(25個/ml~40万個/ml)となるように投入し、200mlビーカー中で撹拌した。マダイ仔魚を20~30尾ずつ、それぞれの200mlビーカーに投入し、軽く撹拌しながら2分間給餌させた。給餌後、1匹の仔魚あたりの摂餌された飼料個数(粒子数)を計数した。表1に示したように、凍結乾燥飼料、おとひめAともに、飼料密度500個/ml以上の条件で摂餌個体率が高くなり、飼料密度5000個/ml~25000個/mlの条件において非常に高い摂餌個体率・摂餌個数を示した。飼料密度500個/mlでは、摂餌個体率は比較的高いものの、平均摂餌個数は低く、飼料密度100個/ml以下では摂餌個体率、摂餌個数ともに低かった。一方、飼料密度が10万個/mlを超えると、摂餌個数が若干低下する傾向が認められた。
Figure 2023023276000001
[実施例2]
実施例1の凍結乾燥飼料、卵黄球、シリカゲルPSQ60B、PSQ100B(富士シリシア化学株式会社)、卵黄粉(太陽化学株式会社)、プラスアクアラン(ニュートリション)、ジェンママイクロZF 75(スクレッティング株式会社)、おとひめA(日清丸紅飼料株式会社)、及びクロレラ(スーパー生クロレラV12、クロレラ工業株式会社)を用意し、それぞれ25000個/mlとなるように50mlの海水に分散させ、マダイ仔魚に5分間給餌させた。卵黄球は、鶏卵を30分煮沸して得られた卵黄を粉砕して調製した。摂餌量は腸管の充満度で評価し、0点:摂餌なし、1点:1~3個、2点:1/4摂餌、3点:半分量摂餌、4点:3/4摂餌、5点:充満、とした。結果、粒径が5~10μmの微小なクロレラでは、全く摂餌が確認されなかったが、それ以外の全ての飼料(粒径が30~150μm)で平均充満度が4点以上となった(表2)。クロレラ以外では、飼料の種類に関わらず(本来餌ではないシリカゲルでさえも)高い摂餌個体率及び平均充満度が達成されたことから、本発明によれば、呈味・匂い・色等の飼料の特性にほとんど左右されない給餌が可能であると考えられる。
Figure 2023023276000002
[実施例3]
S型ワムシ(粒径100~210μm)を2万個体/ml、20個体/mlとなるように50mlの海水に添加し、マダイ仔魚に2分間給餌させた。その結果、20個体/mlの実験区では、摂餌個体率37%、平均摂餌ワムシ数2.6個体に対し、2万個体/mlの実験区では、摂餌個体率100%、平均摂餌ワムシ数19.6個体と大きな違いが見られた(表3)。
Figure 2023023276000003
[実施例4]
孵化2日齢のアルテミア(粒径300~400μm)を5500個体/ml、25個体/mlとなるように100mlビーカーに添加し、マダイ仔魚に2分間給餌させた。その結果、25個体/mlの実験区では、摂餌個体率37%、平均摂餌アルテミア数0.5個体に対し、5500個体/mlの実験区では、摂餌個体率100%、平均摂餌アルテミア数3.2個体となった(表4)。なお、アルテミア4個体の摂餌で腸管が充満する状態であった。
Figure 2023023276000004
[実施例5]
L型ワムシ(粒径130~340μm)を、1~20000個体/mlの範囲で様々な密度となるように50mlの海水にそれぞれ添加し、ブリ仔魚に5分間給餌させた。結果、ワムシ密度が1000個体/ml以上で急激に摂餌量および摂餌個体率が増加することがわかった(図1)。
[実施例6]
S型ワムシ(粒径100~210μm)および、卵黄粉(粒径50~100μm)を様々な数密度となるように50mlの海水にそれぞれ添加し、ササウシノシタ仔魚に5分間給餌させた。結果、数密度が1000個体/ml以上で急激に摂餌量および摂餌個体率が増加することがわかった(図2、3)。最大摂餌量となった際の仔魚の摂餌状況を図4、図5に示す。
本発明によれば、養殖魚類の仔魚に短時間で多量の粒子状飼餌料を摂餌させられることできるようになり、配合飼料やワムシ等の生物餌料を効率的に給餌させることが可能となる。本発明を用いれば、嗜好性が乏しい配合飼料を半強制的に摂餌せしめることが可能なため、人工仔魚用飼料の開発ハードルを著しく下げることが出来る。また、ワムシ等の生物餌料を任意のタイミングで多量に摂餌せしめることが可能となり、種苗生産の効率化に貢献できる。

Claims (8)

  1. 給餌対象仔魚が摂餌可能な粒径を有する粒子状飼餌料を500個/ml以上の数密度で含む飼育液中で仔魚を遊泳させることにより、該仔魚に該粒子状飼餌料を摂餌させることを含む、仔魚の給餌方法。
  2. 飼育液中の粒子状飼餌料の数密度が40万個/ml以下である、請求項1記載の方法。
  3. 粒子状飼餌料の粒径が30μm以上である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 粒子状飼餌料の粒径が400μm以下である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5. 粒子状飼餌料が配合飼料である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  6. 粒子状飼餌料が生物餌料である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  7. 生物餌料がワムシ又はアルテミアである、請求項6記載の方法。
  8. 仔魚が、スズキ目又はカレイ目に属する魚類の仔魚である、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
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