JP2023021702A - 光学フィルター、分光カメラおよび光学フィルター制御方法 - Google Patents

光学フィルター、分光カメラおよび光学フィルター制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電圧感度を抑制しつつ、低電圧駆動することが可能である光学フィルターを提供する。【解決手段】光学フィルター10は、可動部24、基部25および連結部23を含む可動基板20と、可動基板20に対向配置された固定基板30と、可動部24を移動させる静電アクチュエーター部50と、固定基板30から可動基板20に向かって突出し、可動部24の移動により可動基板20に当接可能であるストッパー36と、を備える。第1静電アクチュエーター51は、固定基板30に設けられ、厚み方向から見た際に基部25とストッパー36との間に配置された第1電極511と、可動基板20に設けられた第1対向電極512とを有する。第2静電アクチュエーター52は、固定基板30に設けられ、厚み方向から見た際にストッパー36と光学領域LRとの間に配置された第2電極521と、可動基板20に設けられた第2対向電極522とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、光学フィルター、分光カメラおよび光学フィルター制御方法に関する。
従来、一対の反射膜間のギャップを制御することで透過波長を可変にする光学フィルターが知られている(例えば特許文献1参照)。このような光学フィルターは、ギャップを介して対向する一対の反射膜と、一方の反射膜が設けられた固定基板と、他方の反射膜が設けられた可動基板とを備えている。可動基板を撓ませ、一対の反射膜間のギャップを変更することで、光学フィルターを透過する光の波長が変化する。
特許文献1に記載の光学フィルター(波長可変干渉フィルター)には、反射膜間のギャップを変更する駆動機構として、光軸からの距離が異なる2つの静電アクチュエーターが用いられている。外周側に配置される第1静電アクチュエーターは、固定基板に設けられる第1電極と、可動基板に設けられる第3電極とを有し、第1電極および第3電極は、第1ギャップを介して対向配置される。内周側に配置される第2静電アクチュエーターは、固定基板に設けられる第2電極と、可動基板に設けられる第4電極とを有し、第2電極および第4電極は、第2ギャップを介して対向配置される。
このような光学フィルターでは、第1静電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、第1静電アクチュエーターの電極間に生じる静電引力によって可動基板を撓ませ、第1電極と第3電極とが当接するまで第1ギャップを変更する。第1静電アクチュエーターの電極同士が当接した後には、第2静電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、第2静電アクチュエーターの電極間に生じる静電引力によって可動基板を撓ませ、第2電極と第4電極とが当接するまで第2ギャップを変更する。これにより、反射膜間のギャップを段階的に小さく変更することができる。最終的には、第2静電アクチュエーターの電極同士が当接することで、反射膜間のギャップが最も小さくなる。
このような光学フィルターでは、第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターが駆動量を分担することによる低電圧化が可能である。
特開2011-191661号公報
しかし、上述した特許文献1に記載の光学フィルターでは、各静電アクチュエーターの電極同士を当接させることによる問題が存在する。すなわち、静電アクチュエーターには、電極間のギャップが小さくなるにつれて静電引力が急増するという特性が存在する。このため、電極同士を当接させない制御を行う場合、ギャップ調整範囲によっては印加電圧の変化量に対するギャップ変化量が増大する範囲が生じてしまう。この範囲では、電圧感度が高いことから、反射膜間のギャップを精度よく調整することが困難であり、その結果、分光波長を安定させることが困難となる。
本開示の一態様にかかる分光フィルターは、ギャップを介して対向する一対の反射膜と、前記一対の反射膜の一方である第1反射膜が設けられた可動部と、基部と、前記可動部および前記基部を連結して前記可動部を移動可能に支持する連結部と、を有する可動基板と、前記第1反射膜が形成された前記可動基板の第1面または前記可動基板の前記第1面とは反対側の第2面に対向配置された固定基板と、前記可動部を厚み方向に移動させる静電アクチュエーター部と、前記固定基板から前記可動基板に向かって突出し、前記可動部の移動により前記連結部に当接可能である第1ストッパーと、を備え、前記静電アクチュエーター部は、互いに独立して駆動可能な第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターを備え、前記厚み方向から見た際に前記一対の反射膜が前記ギャップを挟んで重なり合う領域を光学領域として、前記第1静電アクチュエーターは、前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記基部と重なる部分と前記第1ストッパーとの間に配置された第1電極と、前記可動基板において前記第1電極に対向配置された第1対向電極と、を有し、前記第2静電アクチュエーターは、前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記第1ストッパーと前記光学領域との間に配置された第2電極と、前記可動基板において前記第2電極に対向配置された第2対向電極と、を有する。
本開示の一態様にかかる分光カメラは、上述の光学フィルターと、前記光学フィルターから出射された光を受光して受光量に応じた受光信号を出力する受光部と、を備える。
本開示の一態様にかかる光学フィルター制御方法は、上述の光学フィルターの制御方法であって、前記第1静電アクチュエーターに対して第1駆動電圧を印加することで、前記可動部を前記固定基板に向かって移動させ、前記第1ストッパーを前記可動基板の前記連結部に当接させることと、前記第1駆動電圧を印加しながら、前記第2静電アクチュエーターに対して第2駆動電圧を印加することと、を含む。
第1実施形態の分光カメラの概略構成を示すブロック図。 第1実施形態の光学フィルターを模式的に示す断面図。 第1実施形態の光学フィルターを模式的に示す平面図。 第1実施形態の駆動テーブルを示す図。 第1実施形態の光学フィルターを模式的に示す断面図。 第1実施形態の光学フィルターの制御方法を説明するフローチャート。 第1実施形態の光学フィルターの動作を説明する模式図。 第2実施形態の光学フィルターを模式的に示す断面図。 第3実施形態の光学フィルターを模式的に示す断面図。 第3実施形態の光学フィルターの動作を説明する模式図。 第4実施形態の光学フィルターを模式的に示す断面図。 変形例の光学フィルターを模式的に示す平面図。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の分光カメラ1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、分光カメラ1は、光学フィルター10と、受光部60と、制御部70とを備える。分光カメラ1は、測定対象から入射される測定光を光学フィルター10によって分光し、受光部60で受光することで、所定の波長範囲における波長ごとのイメージングを行うカメラであり、測定対象の2次元分光スペクトルや色度などを取得可能である。このような分光カメラ1は、例えばプリンターやプロジェクター、またはドローンなどの各種機器に組み込まれて利用可能である。
(光学フィルターの構成)
図2は、光学フィルター10を模式的に示す断面図である。
光学フィルター10は、ファブリーペロー型の波長可変干渉フィルターであり、互いに対向配置された可動基板20および固定基板30と、可動基板20に設けられた第1反射膜41と、固定基板30に設けられ、第1反射膜41に対してギャップGを介して対向する第2反射膜42と、ギャップGの寸法を変化させる静電アクチュエーター部50と、を備える。
可動基板20および固定基板30は、それぞれ、各種ガラスや水晶等により形成され、受光部60(図1参照)の光軸Oに対して直交配置される。また、可動基板20および固定基板30は、互いの間にキャビティーCを形成する構造物として一体的に構成されている。
以下、可動基板20および固定基板30の各厚み方向、すなわち光学フィルター10において光軸Oに平行となる方向をZ方向とし、Z方向に直交する方向をX方向およびY方向とする。X方向およびY方向は互いに直交する方向である。
可動基板20は、反射膜41が形成された第1面21と、第1面21とは反対側である第2面22と、を有する。可動基板20の第2面22には、エッチング処理等によって複数の略環状の凹溝が形成されている。これにより、可動基板20は、複数の凹溝を含む連結部23と、連結部23に囲われる領域である可動部24と、連結部23の外側の領域である基部25とを有する。
図3は、光学フィルター10を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、可動基板20の連結部23は、後述のストッパー36に対向するように配置された補強部231と、Z方向から見た際に補強部231を挟むように配置された2つの可撓部232,233と、を備える。なお、図3では、補強部231の領域をハッチングによって強調表示している。
可撓部232,233は、それぞれ弾性変形可能なダイアフラム状に形成されている。可撓部232は、基部25に接続され、補強部231を支持する。可撓部233は、補強部231に接続され、可動部24を支持する。連結部23は、Z方向の厚みが薄く形成されることで、Z方向に弾性変形可能なダイアフラムとして形成されている。可動部24は、連結部23によってZ方向に移動可能に保持されている。
本実施形態の可動基板20では、連結部23の可撓部232,233が弾性変形することにより、可動部24が固定基板30側に移動可能である。可動基板20の第1面21における連結部23に相当する領域には、第1反射膜41が設けられている。
図2に示すように、固定基板30は、可動基板20の第1面21に対向配置される。また、固定基板30は、可動基板20に対向する第1面31と、第1面31とは反対側である第2面32とを有する。固定基板30の第1面31は、エッチング処理等によって加工されている。これにより、固定基板30は、可動部24に対向するミラー台33と、ミラー台33の外側に設けられる溝部34と、溝部34の外側の領域である基部35と、溝部34内に設けられた突起状のストッパー36と、を有する。
ミラー台33は、第2反射膜42が設けられる台座となる。なお、ミラー台33は、可動部24に対向配置されるが、XY平面において、可動部24よりも小さな範囲に設けられる。
溝部34は、ミラー台33よりも一段低い底面341を有する。この溝部34により、一対の反射膜41,42などの各要素が配置される光学フィルター10のキャビティーCが形成される。
基部35は、接合膜11,12を介して、可動基板20の基部25に接合される。基部35の内壁351は、キャビティーCに面する側壁となる。
ストッパー36(本発明の第1ストッパーに相当)は、溝部34の底面341から可動基板20側に向かって突出するように設けられている。溝部34の底面341を基準として、ストッパー36のZ方向の高さ寸法は、ミラー台33のZ方向の高さ寸法よりも大きい。すなわち、Z方向において、ストッパー36の先端は、ミラー台33よりも、可動基板20に近い位置に配置される。
また、ストッパー36は、連結部23の補強部231に対してZ方向に対向する位置に配置される。後述するが、可動基板20の可動部24が固定基板30に向かって移動したとき、ストッパー36の先端は、連結部23の補強部231に当接可能である。
ストッパー36は、図3に示すようにZ方向からの平面視において、光軸Oを中心とする略環状に形成されている。
なお、図示は省略するが、ストッパー36には、ストッパー36の環形状を分断するような1以上のスリットが形成されていてもよい。すなわち、ストッパー36は、溝部34の底面341において環状に並べられた複数の突起部によって構成されてもよい。例えば、後述の第1電極511(図2参照)から延びる引出配線がストッパー36のスリットを通過するように形成されてもよい。
第1反射膜41は、可動基板20の可動部24に設けられ、第2反射膜42は、固定基板30のミラー台33に設けられている。第1反射膜41および第2反射膜42は、ギャップGを介して互いに対向するように配置されている。このギャップGの寸法は、光学フィルター10を透過する光の波長に対応する。
なお、光学フィルター10をZ方向から見た際に第1反射膜41および第2反射膜42がギャップGを挟んで重なり合う領域を光学領域LRとする。この光学領域LRは、光学フィルター10の光学特性を規定する。
また、以下では、第1反射膜41および第2反射膜42を単に反射膜41,42と称する場合がある。
反射膜41,42としては、Ag等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、反射膜41,42として、TiO等の高屈折層とSiO等の低屈折層とを交互に積層することで構成された誘電体多層膜を用いてもよい。その他、反射膜41,42として、従来の波長可変干渉フィルターに用いられる任意の反射膜を利用できる。
また、本実施形態の光学フィルター10は、反射膜41,42間のギャップGの寸法を検出する容量検出部43をさらに備える。
容量検出部43は、第1反射膜41に形成された検出電極431と、第2反射膜42に形成された検出電極432とを有し、検出電極431,432は、互いに対向配置されている。検出電極431,432としては、例えばIGOやITOなどの透明電極を用いることができる。容量検出部43は、検出電極431と検出電極432との間にギャップGの寸法に応じた電荷を保持する。
静電アクチュエーター部50は、互いに独立して駆動可能な第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52を備える。
第1静電アクチュエーター51は、固定基板30に設けられた第1電極511と、可動基板20に設けられた第1対向電極512と、を有する。
第1電極511は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、固定基板30の溝部34内において、ストッパー36と基部35(すなわちZ方向から見た際に可動基板20の基部25に重なる部分)との間に配置される。
第1対向電極512は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、第1電極511に対向配置される。なお、可動基板20において第1対向電極512が配置される領域は、連結部23のうちの補強部231である。
本実施形態の第1静電アクチュエーター51では、第1対向電極512が接地電極であり、第1電極511に第1駆動電圧が印加されることで、第1電極511と第1対向電極512との間に電位差が生じ、第1駆動電圧に応じた静電引力が生じる。
第2静電アクチュエーター52は、固定基板30に設けられた第2電極521と、可動基板20に設けられた第2対向電極522と、を有する。
第2電極521は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、固定基板30の溝部34内において光学領域LRとストッパー36との間に配置される。
第2対向電極522は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、第2電極521に対向配置される。なお、可動基板20において第2対向電極522が配置される領域は、可動部24である。また、第2電極521と第2対向電極522との間のギャップは、初期状態において、第1電極511と第1対向電極512との間のギャップに等しく、かつ、一対の反射膜41,42間のギャップGより大きい寸法である。
本実施形態の第2静電アクチュエーター52では、第2対向電極522が接地電極であり、第2電極521に第2駆動電圧が印加されることで、第2電極521と第2対向電極522との間に電位差が生じ、第2駆動電圧に応じた静電引力が生じる。
なお、図示は省略するが、光学フィルター10には、第1電極511、第1対向電極512、第2電極521および第2対向電極522のそれぞれに電気接続された複数の電極端子が設けられている。第1電極511および第1対向電極512は、対応する電極端子に対して、固定基板30に形成される引出配線を介して接続されてもよいし、固定基板30に設けられる貫通配線を介して接続されてもよい。同様に、第2電極521および第2対向電極522は、対応する電極端子に対して、可動基板20に形成される引出配線を介して接続されてもよいし、可動基板20に設けられる貫通配線を介して接続されてもよい。これらの電極端子は、リード線またはワイヤボンディング等の接続部を介して、後述のフィルター駆動回路71(図1参照)に接続される。
また、第1対向電極512および第2対向電極522は、共通の接地端子に接続されてもよい。
また、本実施形態の光学フィルター10において、静電アクチュエーター部50は、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52とは独立して駆動可能な補助静電アクチュエーター55をさらに備える。
補助静電アクチュエーター55は、固定基板30に設けられた補助電極551と、可動基板20に設けられた補助対向電極552と、を有する。補助電極551は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、固定基板30の溝部34内においてストッパー36と第2電極521との間に配置される。補助対向電極552は、光軸Oを中心とする略環状に形成され、補助電極551に対向配置される。なお、可動基板20において補助対向電極552が配置される領域は、可動部24である。
本実施形態の補助静電アクチュエーター55では、補助対向電極552が接地電極であり、補助電極551にフィードバック電圧が印加されることで、補助電極551と補助対向電極552との間に電位差が生じ、フィードバック電圧に応じた静電引力が生じる。
なお、図示は省略するが、光学フィルター10には、補助電極551および補助対向電極552のそれぞれに電気接続された電極端子が設けられており、これら電極端子は、フィルター駆動回路71(図1参照)に接続されている。
(受光部60の構成)
図1において、受光部60は、光学フィルター10を透過した光を受光するセンサーである。受光部60としては、例えば、CCDやCMOS等のイメージセンサーを用いることができる。受光部60は、光学フィルター10を透過した光を受光すると、受光量に応じた受光信号を制御部70に出力する。
(制御部70の構成)
図1において、制御部70は、フィルター駆動回路71、受光制御回路72、および、分光測定部73等を備える。
フィルター駆動回路71は、光学フィルター10の駆動を制御する回路である。このフィルター駆動回路71は、第1駆動回路711、第2駆動回路712、駆動制御部713、容量検出回路714、補助駆動回路715および記憶部716を備える。
なお、フィルター駆動回路71は、光学フィルター10が設置される回路基板に設けられてもよいし、当該回路基板とは別体として設けられてもよい。
第1駆動回路711は、駆動制御部713の駆動指令に応じた第1駆動電圧を第1静電アクチュエーター51に印加する。
第2駆動回路712は、駆動制御部713の駆動指令に応じた第2駆動電圧を第2静電アクチュエーター52に印加する。
駆動制御部713は、分光測定部73から指示される目標波長に応じて、第1駆動回路711、第2駆動回路712および補助駆動回路715のそれぞれに駆動指令を出力する。なお、詳細は後述するが、駆動制御部713は、第1駆動回路711を制御する第1駆動モードと、第1駆動回路711および第2駆動回路712をそれぞれ制御する第2駆動モードとのいずれかを選択的に実施する。
容量検出回路714は、容量検出部43に保持される電荷を検出することで、ギャップGの寸法を検出する。
補助駆動回路715は、容量検出回路714から入力されるギャップGの検出信号が、駆動制御部713の駆動指令に応じた値になるように、補助静電アクチュエーター55にフィードバック電圧を印加する。すなわち、補助駆動回路715は、ギャップGの寸法が目標のギャップ寸法になるように、補助静電アクチュエーター55をフィードバック制御する。
記憶部716は、光学フィルター10を駆動するための駆動テーブルなどが記憶されている。駆動テーブルは、光学フィルターから透過させる光の目標波長と、各目標波長に対応するギャップGの寸法、第1駆動電圧および第2駆動電圧の各値とが記録されている。
図4は、駆動テーブルの例を示す。この駆動テーブルには、第1駆動モードに対応するm個の目標波長と、第2駆動モードに対応するn個の目標波長とが設定されている。なお、n,mは、1以上の自然数である。
第1駆動モードでは、第1駆動電圧として、各目標波長に対応する電圧値VA(1)~VA(m)が設定されており、第2駆動電圧として0が設定されている。第2駆動モードでは、第1駆動電圧として電圧値VA(m)が設定されており、第2駆動電圧として、各目標波長に対応する電圧値VB(1)~VB(n)が設定されている。
ここで、電圧値VA(1)~VA(m),電圧値VB(1)~VB(n)は、例えば番号の昇順に段階的に大きくなる電圧値である。電圧値VA(m)は、第1駆動電圧としての最大電圧値であり、電圧値VA(m)を印加された第1静電アクチュエーター51は、可動基板20がストッパー36に当接するまで可動基板20を撓ませることが可能である(図5参照)。また、電圧値VA(m)よりも小さい電圧値VA(m-1)を印加された第1静電アクチュエーター51は、可動基板20がストッパー36に当接する直前まで可動基板20を撓ませることが可能である。
図1において、受光制御回路72は、受光部60から出力された受光信号をサンプリングするサンプリング回路、受光信号を増幅する増幅回路、受光信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。受光制御回路72は、これらの各回路により受光信号を信号処理し、信号処理された受光信号を分光測定部73に入力する。
分光測定部73は、例えばユーザーの操作に基づいて、フィルター駆動回路71および受光制御回路72に分光測定の開始を指令する。そして、受光制御回路72から入力された受光信号に基づいて、測定対象に対する分光測定を実施する。
なお、本実施形態では、分光測定部73が制御部70に含まれる構成を例示するが、例えば、分光カメラ1とは別体に、分光測定部73が設けられていてもよい。この場合、例えば、分光カメラ1と通信可能に接続されるパーソナルコンピューターやタブレット端末等のコンピューターを分光測定部73として機能させることができる。
(光学フィルター10の制御方法)
次に、本実施形態の光学フィルター10の制御方法について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、例として、任意の1波長を目標波長として分光測定を実施する場合を説明する。
分光測定部73は、ユーザーの操作などに応じて、分光測定を指令する指令信号を駆動制御部713および受光制御回路72のそれぞれに入力する。駆動制御部713は、分光測定部73から目標波長を含む指令信号を受信し(ステップS1)、記憶部716の駆動テーブル(図4参照)から、目標波長に対応する第1駆動電圧および第2駆動電圧を読み出す(ステップS2)。
駆動制御部713は、読み出した第2駆動電圧が0である場合(ステップS3;Yesの場合)、第1駆動モードを実施する(ステップS4)。この場合、駆動制御部713は、第1駆動回路711に対して、目標波長に対応する第1駆動電圧を指令する駆動指令を出力すると共に、補助駆動回路715に対して目標波長に対応するギャップ寸法を指令する駆動指令を出力する。
これにより、第1駆動回路711は、第1静電アクチュエーター51に対して目標波長に対応する第1駆動電圧を印加し、第1静電アクチュエーター51は、静電引力により可動基板20を固定基板30側に引き寄せる。また、補助駆動回路715は、容量検出回路714から入力されるギャップGの検出信号と目標のギャップ寸法とに基づいて、補助静電アクチュエーター55に対してフィードバック電圧を印加する。
その結果、光学フィルター10は、例えば、図7における上段に示す状態から中段に示す状態へと変化し、反射膜41,42間のギャップGが目標の寸法に調整され、目標波長の光を透過させる。
なお、この第1駆動モードでは、図7の中段に示すように、可動部24を初期位置からストッパー36の先端位置までの第1範囲R1に移動させることができる。また、この第1駆動モードでは、可動基板20の連結部23のうち、主に可撓部232が変形する。
一方、駆動制御部713は、読みだした第2駆動電圧が0より大きい場合(ステップS3;Noの場合)、第2駆動モードを実施する(ステップS5)。この場合、駆動制御部713は、まず、第1駆動回路711に対して、読みだした第1駆動電圧である電圧値VA(m)を指令する駆動指令を出力する(第1駆動ステップ)。
これにより、第1駆動回路711は、第1静電アクチュエーター51に対して最大の電圧値VA(m)を印加する。第1静電アクチュエーター51は、静電引力により可動基板20を固定基板30側に引き寄せ、可動基板20をストッパー36に当接させる(図5参照)。
そして、駆動制御部713は、第2駆動回路712に対して、目標波長に対応する第2駆動電圧を指令する駆動指令を出力すると共に、補助駆動回路715に対して目標波長に対応するギャップ寸法を指令する駆動指令を出力する(第2駆動ステップ)。
これにより、第2駆動回路712は、第2静電アクチュエーター52に対して第2駆動電圧を印加する。第2静電アクチュエーター52は、図5に示す状態から可動基板20を固定基板30側にさらに引き寄せる。また、補助駆動回路715は、容量検出回路714から入力されるギャップGの検出信号と目標のギャップ寸法とに基づいて、補助静電アクチュエーター55に対してフィードバック電圧を印加する。
その結果、光学フィルター10は、例えば、図7における下段に示す状態へと変化し、反射膜41,42間のギャップが目標の寸法に調整され、目標波長の光を透過させる。
なお、上述のステップS5は、第1駆動ステップの実施中に第2駆動ステップを実施すればよい。このステップS5によれば、第1静電アクチュエーター51に対して第1駆動電圧が印加され、かつ、第2静電アクチュエーター52に対して第2駆動電圧が印加される。また、本実施形態では、補助的に、補助静電アクチュエーター55に対してフィードバック電圧が印加される。
このステップS5による第2駆動モードでは、図7の下段に示すように、ストッパー36の先端位置から第2反射膜42に最近接する調整位置までの第2範囲R2に、可動部24を移動させることができる。また、この第2駆動モードでは、可動基板20の連結部23のうち、可撓部232,233がそれぞれ変形するが、ストッパー36により可撓部232の変形量は最大に達し、主に可撓部233が変形することで、ギャップ寸法が制御される。
図7の下段に示す状態では、第1静電アクチュエーター51には、第1駆動電圧としての最大の電圧値VA(m)が印加され、第2静電アクチュエーター52には、目標波長に対応した第2駆動電圧が印加されている。ここで、第1静電アクチュエーター51は、基部25を支点とする連結部23の第1変形に対応する駆動量を担い、第2静電アクチュエーター52は、ストッパー36を支点とする連結部23の第2変形に対応する駆動量を担っている。
図6のフローチャートに戻って説明すると、ステップS4またはステップS5の後、分光測定部73は、受光制御回路72から出力される受光信号を受信する(ステップS6)。分光測定部73は、取得した受光信号に基づいて、測定対象の目標波長に対する光特性値を算出する。例えば、分光測定部73は、測定対象の目標波長に対する光量や反射率等を演算し、測定対象の2次元分光スペクトルなどを取得できる。
なお、測定波長域内の所定間隔となる各波長に対する分光スペクトルを算出する場合には、上述のフローチャートを繰り返し実施すればよい。
(第1実施形態の作用効果)
上述したように、本実施形態の光学フィルター10には、可動基板20の連結部23に当接可能なストッパー36が設けられている。このため、可動基板20の可動部24を固定基板30側に移動させる際、可動基板20に対して、基部25を支点とする連結部23の第1変形と、ストッパー36を支点とする連結部23の第2変形とを生じさせることができる。
ここで、本実施形態の光学フィルター10には、Z方向から見た際に、ストッパー36を挟むように配置された第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターが設けられている。第1静電アクチュエーター51は、基部25を支点とする連結部23の第1変形に対応する駆動量を担うことが可能であり、第2静電アクチュエーター52は、ストッパー36を支点とする連結部23の第2変形に対応する駆動量を担うことが可能である。
仮に、ギャップの寸法を変更させるための駆動量を1つのアクチュエーターで担う場合は、当該駆動量に対応する最大駆動電圧が大きくなり、電気消費量が増加する。これに対して、本実施形態では、ギャップの寸法を変更させるための駆動量を第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52に分担させることができる。その結果、第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターのそれぞれを低電圧で駆動することができ、高圧電源が不要となる。
また、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52のそれぞれは、ストッパー36の存在により、電極同士(具体的には、第1電極511と第1対向電極512、第2電極521と第2対向電極522)の距離が一定以上に保たれるため、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52のそれぞれにおける静電引力の急激な増加を抑制できる。
よって、本実施形態の光学フィルター10は、電圧感度を抑制しつつ、低電圧駆動することが可能である。
本実施形態において、可動基板20の連結部23は、ストッパー36に対向するように配置された補強部231と、Z方向からみた際に補強部231を挟むように配置された可撓部232,233とを備え、補強部231は、可撓部232,233よりも高い剛性を有する。
このような構成では、可動部24を固定基板30側に移動させる際、可動部24の変形や可動部24の姿勢の傾きが抑制され、光学領域LRでの分光特性のバラツキが抑制される。また、第1対向電極512の膜応力や温度変化による可動基板20の変形を抑制することができる。
本実施形態では、第1対向電極512が補強部231に設けられている。
このような構成では、可動部24を固定基板30側に移動させる際、第1対向電極512の姿勢が第1電極511に対して平行に保たれ、第1電極511と第1対向電極512との間の静電ギャップが均一になる。これにより、第1静電アクチュエーター51の制御が容易になる。
本実施形態の光学フィルター10には、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52とは独立して駆動可能な補助静電アクチュエーター55が設けられており、この補助静電アクチュエーター55は、固定基板30において第2電極521とストッパー36との間に配置された補助電極551と、可動基板20において補助電極551に対向配置された補助対向電極552と、を有する。
このような構成では、補助静電アクチュエーター55をフィードバック制御させることにより、第1反射膜41と第2反射膜42との間のギャップGの寸法をより正確に調整することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、図8を参照して説明する。第2実施形態の光学フィルター10Aは、主に、複数のストッパー36が存在する点が第1実施形態とは異なる。なお、以降の説明にあたり、第1実施形態と同様の機能を有する構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
図8は、第2実施形態の光学フィルター10Aの概略構成を模式的に示す断面図である。光学フィルター10Aにおいて、固定基板30は、複数のストッパー36として、第1ストッパー361および第2ストッパー362を備える。
第1ストッパー361および第2ストッパー362は、それぞれ、溝部34の底面341から可動基板20側に向かって突出するように設けられている。ここで、第1ストッパー361は、第2ストッパー362よりも外周側に配置され、第2ストッパー362は、第1ストッパー361と光学領域LRとの間に配置される。
また、溝部34の底面341を基準として、第1ストッパー361および第2ストッパー362の各高さ寸法は、ミラー台33の高さ寸法よりも大きいが、第2ストッパー362の高さ寸法は、第1ストッパー361の高さ寸法よりも低い。すなわち、第1ストッパー361および第2ストッパー362の各先端部は、外周側に位置されるほど、可動基板20に近い位置に配置される。
また、第2実施形態の光学フィルター10Aにおいて、可動基板20の連結部23Aは、第1ストッパー361に対向するように配置された補強部234と、第2ストッパー362に対向するように配置された補強部235と、補強部234,235に対して交互に配置された3つの可撓部236~238と、を備える。
補強部234,235および可撓部236~238の基本的構成は、第1実施形態の補強部231および可撓部232,233と同様である。
また、第2実施形態の光学フィルター10Aにおいて、静電アクチュエーター部50Aは、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52とは独立して駆動可能な第3静電アクチュエーター53を備える。
なお、第1静電アクチュエーター51のうち、第1電極511は、固定基板30の溝部34内において第1ストッパー361と基部35との間に配置され、第1対向電極512は、可動基板20のうちの補強部234において第1電極511に対向するように配置される。
また、第2静電アクチュエーター52のうち、第2電極521は、固定基板30の溝部34内において第1ストッパー361と第2ストッパー362との間に配置され、第2対向電極522は、可動基板20のうちの補強部235において第2電極521に対向するように配置される。
第3静電アクチュエーター53は、固定基板30に設けられた第3電極531と、可動基板20に設けられた第3対向電極532と、を有する。
第3電極531は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、固定基板30の溝部34内において光学領域LRと第2ストッパー362との間に配置される。第3対向電極532は、例えば、光軸Oを中心とする略環状に形成され、可動基板20のうちの可動部24において第3電極531に対向するように配置される。
なお、第2実施形態の光学フィルター10Aにおいて、補助静電アクチュエーター55は、複数のストッパー36のうち、最も光軸O側に配置されるストッパー36(ここでは第2ストッパー362)と光学領域LRとの間に配置されることが好ましい。
また、ここでは、図示を省略するが、フィルター駆動回路71(図1参照)は、第3静電アクチュエーター53を駆動するための第3駆動回路を備えるものとする。
第2実施可能の光学フィルター10Aの制御方法については、第1実施形態の光学フィルター10Aの制御方法の説明を応用して適用可能である。
具体的には、第2実施形態の光学フィルター10Aは、第1静電アクチュエーター51を駆動させる第1駆動モードと、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52をそれぞれ駆動させる第2駆動モードと、第1静電アクチュエーター51~第3静電アクチュエーター53をそれぞれ駆動させる第3駆動モードとを実施できる。
第3駆動モードにおいて、フィルター駆動回路71は、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52のそれぞれに対して最大電圧値を印加した状態で、第3静電アクチュエーター53に対して目標波長に対応する第3駆動電圧を印加する。
このような第2実施形態では、可動基板20の可動部24を固定基板30側に移動させる際、可動基板20に対して、基部25を支点とする連結部23Aの第1変形と、第1ストッパー361を支点とする連結部23Aの第2変形と、第2ストッパー362を支点とする連結部23Aの第3変形とを生じさせることができる。
また、第1静電アクチュエーター51は、基部25を支点とする連結部23Aの第1変形に対応する駆動量を担い、第2静電アクチュエーター52は、第1ストッパー361を支点とする連結部23Aの第2変形に対応する駆動量を担い、第3静電アクチュエーター53は、第2ストッパー362を支点とする連結部23Aの第3変形に対応する駆動量を担うことができる。
なお、第1静電アクチュエーター51~第3静電アクチュエーター53のそれぞれは、第1ストッパー361,第2ストッパー362の存在により、電極同士の距離が一定以上に保たれる。
以上により、第2実施形態では、反射膜41,42間のギャップGの寸法を変更させるための駆動量を第1静電アクチュエーター51~第3静電アクチュエーター53に分担させることができる。また、第1静電アクチュエーター51~第3静電アクチュエーター53のそれぞれにおける静電引力の急激な増加を第1ストッパー361,第2ストッパー362によって抑制できる。よって、第2実施形態の光学フィルター10Aは、第1実施形態と同様に電圧感度を抑制しつつ、第1実施形態よりも低電圧駆動することが可能である。
また、第2実施形態では、補助静電アクチュエーター55をフィードバック制御することにより、第1実施形態と同様、一対の反射膜間のギャップ寸法を正確に調整することができる。
また、第2実施形態の連結部23Aには、第1ストッパー361および第2ストッパー362のそれぞれに対応する補強部234,235が存在するため、第1実施形態と同様、光学領域LRでの分光特性のバラツキ抑制や、静電ギャップの均一化が可能になる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、図9を参照して説明する。第3実施形態の光学フィルター10Bは、主に、連結部23Bおよび静電アクチュエーター部50Bの構成が第1実施形態とは異なる。なお、以降の説明にあたり、第1実施形態と同様の機能を有する構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
第3実施形態の光学フィルター10Bにおいて、可動基板20の連結部23Bは、第1実施形態の補強部231を有さない。すなわち、連結部23Bは、可動基板20の第2面22に形成される環状の凹溝の底部として形成され、全体としてダイアフラム状に形成される。
また、第3実施形態の光学フィルター10Bにおいて、静電アクチュエーター部50Bは、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52を有するが、補助静電アクチュエーター55を有さない。
このような第3実施形態では、第1実施形態と同様、可動基板20の可動部24を固定基板30側に移動させる際、可動基板20に対して、基部25を支点とする連結部23Bの第1変形(図10の中段参照)と、ストッパー36を支点とする連結部23Bの第2変形(図10の下段参照)とを生じさせることができる。
また、第1静電アクチュエーター51は、基部25を支点とする連結部23Bの第1変形に対応する駆動量を担い、第2静電アクチュエーター52は、ストッパー36を支点とする連結部23Bの第2変形に対応する駆動量を担うことができる。
よって、第3実施形態の光学フィルター10Bにおいても、第1実施形態と同様、電圧感度を抑制しつつ、低電圧駆動することが可能である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について、図11を参照して説明する。第4実施形態の光学フィルター10Cは、主に、固定基板30Cの配置が第1実施形態とは異なる。なお、以降の説明にあたり、第1実施形態と同様の機能を有する構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
図11に示す光学フィルター10Cは、第1反射膜41が第1面21に形成された可動基板20と、可動基板20の第1面21とは反対側の第2面22に対向配置された固定基板30Cと、可動基板20の第1面21に対向配置された第2固定基板80とを備える。この第2固定基板80には、第1反射膜41にギャップGを介して対向する第2反射膜42が設けられる。
また、光学フィルター10Cでは、シリコン層27が可動基板20の一部を構成しており、このシリコン層27は、第1実施形態の第1対向電極512および第2対向電極522のそれぞれに相当する共通電極54として機能する。
また、光学フィルター10Cでは、第1電極511および第2電極521は、固定基板30Cに設けられた貫通配線56を介して、外部のフィルター駆動回路71に電気的に接続される。共通電極54は、可動基板20と固定基板30Cとの間に設けられた導電性支柱57と、固定基板30Cに設けられた貫通配線56とを介して、外部のフィルター駆動回路71に電気的に接続される。
この光学フィルター10Cにおいて、第1静電アクチュエーター51および第2静電アクチュエーター52は、それぞれ、静電引力により可動基板20を固定基板30C側に引き寄せることで、反射膜41,42間のギャップGの寸法を調整する。ここで、ストッパー36は、第1実施形態と同様、固定基板30Cに設けられており、可動基板20の可動部24が固定基板30Cに向かって移動する際、可動基板20の連結部23に当接可能である。
このような第4実施形態では、第1実施形態と同様、可動基板20の可動部24を固定基板30C側に移動させる際、可動基板20に対して、基部25を支点とする連結部23の第1変形と、ストッパー36を支点とする連結部23の第2変形とを生じさせることができる。
また、第1静電アクチュエーター51は、基部25を支点とする連結部23の第1変形に対応する駆動量を担い、第2静電アクチュエーター52は、ストッパー36を支点とする連結部23の第2変形に対応する駆動量を担うことができる。
よって、第4実施形態の光学フィルター10Cにおいても、第1実施形態と同様、電圧感度を抑制しつつ、低電圧駆動することが可能である。
[変形例]
本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
(変形例1)
前記各実施形態の光学フィルター10,10A~10Cは、例示的なものであり、様々な設計的変更が可能である。例えば、前記各実施形態において、可動基板20および固定基板30は接合膜11,12を介して接合されているが、接合膜11,12を介さずに直接接合されていてもよい。また、前記各実施形態の光学フィルター10,10A~10Cは、筐体やキャップなどで真空封止されたパッケージとして構成されてもよい。
(変形例2)
前記各実施形態の光学フィルター10,10A~10Cでは、可動基板20に設けられた対向電極(例えば第1対向電極512、第2対向電極522、第3対向電極532、補助対向電極552)が別々に形成されているが、これらは一体的に形成されていてもよい。また、可動基板20の一部がシリコンなどにより形成されることで、当該シリコン部分が対向電極として機能してもよい。
(変形例3)
前記各実施形態の光学フィルター10,10A~10Cでは、固定基板30に設けられた電極(例えば第1電極511、第2電極521、第3電極531、補助電極551)に対して駆動電圧が印加されているが、可動基板20に設けられた対向電極(例えば第1対向電極512、第2対向電極522、第3対向電極532、補助対向電極552)に対して駆動電圧が印加されてもよい。この場合、固定基板30に設けられた電極(例えば第1電極511、第2電極521、第3電極531、補助電極551)は、接地電極として形成されてもよい。
(変形例4)
前記第2実施形態では、複数のストッパー36として、第1ストッパー361および第2ストッパー362という2つのストッパー36が例示されるが、3つ以上のストッパー36が設けられてもよい。この場合、静電アクチュエーター部50Aは、ストッパー36と交互に設けられる4つ以上の静電アクチュエーターを含むことが好ましい。なお、補助静電アクチュエーター55は、最も光学領域LRに近い2つの静電アクチュエーターの間に配置されることが好ましい。
(変形例5)
前記各実施形態の光学フィルター10,10A~10Cにおいて、可動基板20の連結部23は、環状のダイアフラムとして構成されるが、これに限られない。
例えば、変形例にかかる光学フィルター10Dを図12に示す。なお、図12は、光学フィルター10Dの平面図であり、この図12において、第1実施形態と同様の機能を有する構成については、同符号を付している。
図12に示す光学フィルター10Dにおいて、可動基板20の連結部23Dは、環状の梁構造として構成される。具体的には、連結部23は、ストッパー36に対向するように配置された補強部231Dと、平面視において補強部231Dを挟むように配置された複数組(図12では4組)の可撓部232D,233Dと、を備える。
補強部231Dは、可撓部232D,233DよりもZ方向の厚みが大きく、可撓部232D,233Dも、構造的な強度が大きくなるように形成されている。また、補強部231Dは、平面視において矩形形状を有する。
各組の可撓部232D,233Dは、補強部231Dの矩形形状の一辺ごとに対応して形成される。可撓部232Dは、基部25に接続され、補強部231Dを片持ち梁状に支持する。可撓部233Dは、補強部231Dに接続され、可動部24を片持ち梁状に支持する。
このような変形例の光学フィルター10Dの連結部23Dにおいても、第1実施形態の連結部23と同様の効果を奏する。
(変形例6)
前記各実施形態では、光学フィルター10,10A~10Cとして、所望の波長の光を透過させる透過型分光フィルターを例示しているが、所望の波長の光を反射させる反射型分光フィルターであってもよい。
[本発明のまとめ]
本開示の一態様にかかる光学フィルターは、ギャップを介して対向する一対の反射膜と、前記一対の反射膜の一方である第1反射膜が設けられた可動部と、基部と、前記可動部および前記基部を連結して前記可動部を移動可能に支持する連結部と、を有する可動基板と、前記第1反射膜が形成された前記可動基板の第1面または前記可動基板の前記第1面とは反対側の第2面に対向配置された固定基板と、前記可動部を厚み方向に移動させる静電アクチュエーター部と、前記固定基板から前記可動基板に向かって突出し、前記可動部の移動により前記連結部に当接可能である第1ストッパーと、を備え、前記静電アクチュエーター部は、互いに独立して駆動可能な第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターを備え、前記厚み方向から見た際に前記一対の反射膜が前記ギャップを挟んで重なり合う領域を光学領域として、前記第1静電アクチュエーターは、前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記基部と重なる部分と前記第1ストッパーとの間に配置された第1電極と、前記可動基板において前記第1電極に対向配置された第1対向電極と、を有し、前記第2静電アクチュエーターは、前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記第1ストッパーと前記光学領域との間に配置された第2電極と、前記可動基板において前記第2電極に対向配置された第2対向電極と、を有する。
このような構成によれば、ギャップの寸法を変更させるための駆動量を第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターに分担させることができ、かつ、第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターのそれぞれにおける静電引力の急激な増加を抑制できる。よって、電圧感度を抑制しつつ、低電圧駆動することが可能な光学フィルターを提供できる。
本開示の一態様にかかる光学フィルターにおいて、前記可動基板の前記連結部は、前記第1ストッパーに対向する補強部と、前記厚み方向から見た際に前記補強部を挟むように配置され、前記厚み方向に弾性変形可能である複数の可撓部と、を備え、前記第1ストッパーは、前記連結部のうちの前記補強部に当接可能である。
このような構成では、可動部を移動させる際、可動部の変形や可動部の姿勢の傾きが抑制され、光学領域での分光特性のバラツキが抑制される。また、第1対向電極の膜応力や温度変化による可動基板の変形を抑制することができる。
本開示の一態様にかかる光学フィルターにおいて、前記第1静電アクチュエーターの前記第1対向電極は、前記可動基板における前記補強部に設けられる。
このような構成では、可動部を移動させる際、第1対向電極の姿勢が第1電極に対して平行に保たれ、第1電極と第1対向電極との間の静電ギャップが均一になる。これにより、第1静電アクチュエーターの制御が容易になる。
本開示の一態様にかかる光学フィルターにおいて、前記静電アクチュエーター部は、前記第1静電アクチュエーターおよび前記第2静電アクチュエーターとは独立して駆動可能な補助静電アクチュエーターをさらに備え、前記補助静電アクチュエーターは、前記固定基板において前記第2電極と前記第1ストッパーとの間に配置された補助電極と、前記可動基板において前記補助電極に対向配置された補助対向電極と、を有する。
このような構成では、補助静電アクチュエーターをフィードバック制御させることで、一対の反射膜間のギャップの寸法をより正確に調整することができる。
本開示の一態様にかかる光学フィルターは、前記固定基板から前記可動基板に向かって突出し、前記可動部の移動により前記連結部に当接可能である第2ストッパーをさらに備え、前記静電アクチュエーター部は、前記第1静電アクチュエーターおよび前記第2静電アクチュエーターとは独立して駆動可能な第3静電アクチュエーターをさらに備え、前記第2ストッパーは、前記第1ストッパーと前記光学領域との間に配置され、前記第3静電アクチュエーターは、前記固定基板において前記第2ストッパーと前記光学領域との間に配置された第3電極と、前記可動基板において前記第3電極に対向配置された第3対向電極と、を有する。
このような構成では、光学フィルターをより低電圧駆動することが可能である。
本開示の一態様にかかる分光カメラは、上述の光学フィルターと、前記光学フィルターから出射された光を受光して受光量に応じた受光信号を出力する受光部と、を備える。
このような構成では、上述の光学フィルターの効果と同様の効果を得られる。
本開示の一態様にかかる光学フィルター制御方法は、前記第1静電アクチュエーターに対して第1駆動電圧を印加することで、前記可動部を前記固定基板に向かって移動させ、前記第1ストッパーを前記可動基板の前記連結部に当接させることと、前記第1駆動電圧を印加しながら、前記第2静電アクチュエーターに対して第2駆動電圧を印加することと、を含む。
このような方法では、上述の光学フィルターの効果と同様の効果を得られる。
1…分光カメラ、10,10A~10D…光学フィルター、11,12…接合膜、20…可動基板、21…第1面、22…第2面、23,23A,23B,23D…連結部、231,231D…補強部、232,232D,233,233D,236~238…可撓部、234,235…補強部、24…可動部、25…基部、27…シリコン層、30,30C…固定基板、31…第1面、32…第2面、33…ミラー台、34…溝部、341…底面、35…基部、351…内壁、36…ストッパー、361…第1ストッパー、362…第2ストッパー、41…第1反射膜、42…第2反射膜、43…容量検出部、431,432…検出電極、50,50A,50B…静電アクチュエーター部、51…第1静電アクチュエーター、511…第1電極、512…第1対向電極、52…第2静電アクチュエーター、521…第2電極、522…第2対向電極、53…第3静電アクチュエーター、531…第3電極、532…第3対向電極、54…共通電極、55…補助静電アクチュエーター、551…補助電極、552…補助対向電極、56…貫通配線、57…導電性支柱、60…受光部、70…制御部、71…フィルター駆動回路、711…第1駆動回路、712…第2駆動回路、713…駆動制御部、714…容量検出回路、715…補助駆動回路、716…記憶部、72…受光制御回路、73…分光測定部、80…第2固定基板、C…キャビティー、G…ギャップ、LR…光学領域、O…光軸。

Claims (7)

  1. ギャップを介して対向する一対の反射膜と、
    前記一対の反射膜の一方である第1反射膜が設けられた可動部と、基部と、前記可動部および前記基部を連結して前記可動部を移動可能に支持する連結部と、を有する可動基板と、
    前記第1反射膜が形成された前記可動基板の第1面または前記可動基板の前記第1面とは反対側の第2面に対向配置された固定基板と、
    前記可動部を厚み方向に移動させる静電アクチュエーター部と、
    前記固定基板から前記可動基板に向かって突出し、前記可動部の移動により前記連結部に当接可能である第1ストッパーと、を備え、
    前記静電アクチュエーター部は、互いに独立して駆動可能な第1静電アクチュエーターおよび第2静電アクチュエーターを備え、
    前記厚み方向から見た際に前記一対の反射膜が前記ギャップを挟んで重なり合う領域を光学領域として、
    前記第1静電アクチュエーターは、
    前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記基部と重なる部分と前記第1ストッパーとの間に配置された第1電極と、
    前記可動基板において前記第1電極に対向配置された第1対向電極と、を有し、
    前記第2静電アクチュエーターは、
    前記固定基板に設けられる電極であって、前記厚み方向から見た際に前記第1ストッパーと前記光学領域との間に配置された第2電極と、
    前記可動基板において前記第2電極に対向配置された第2対向電極と、を有する、光学フィルター。
  2. 前記可動基板の前記連結部は、
    前記第1ストッパーに対向する補強部と、
    前記厚み方向から見た際に前記補強部を挟むように配置され、前記厚み方向に弾性変形可能である複数の可撓部と、を備え、
    前記第1ストッパーは、前記連結部のうちの前記補強部に当接可能である、請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記第1静電アクチュエーターの前記第1対向電極は、前記可動基板における前記補強部に設けられる、請求項2に記載の光学フィルター。
  4. 前記静電アクチュエーター部は、前記第1静電アクチュエーターおよび前記第2静電アクチュエーターとは独立して駆動可能な補助静電アクチュエーターをさらに備え、
    前記補助静電アクチュエーターは、
    前記固定基板において前記第2電極と前記第1ストッパーとの間に配置された補助電極と、
    前記可動基板において前記補助電極に対向配置された補助対向電極と、を有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の光学フィルター。
  5. 前記固定基板から前記可動基板に向かって突出し、前記可動部の移動により前記連結部に当接可能である第2ストッパーをさらに備え、
    前記静電アクチュエーター部は、前記第1静電アクチュエーターおよび前記第2静電アクチュエーターとは独立して駆動可能な第3静電アクチュエーターをさらに備え、
    前記第2ストッパーは、前記第1ストッパーと前記光学領域との間に配置され、
    前記第3静電アクチュエーターは、
    前記固定基板において前記第2ストッパーと前記光学領域との間に配置された第3電極と、
    前記可動基板において前記第3電極に対向配置された第3対向電極と、を有する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の光学フィルター。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の光学フィルターと、
    前記光学フィルターから出射された光を受光して受光量に応じた受光信号を出力する受光部と、を備える、分光カメラ。
  7. 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の光学フィルターの制御方法であって、
    前記第1静電アクチュエーターに対して第1駆動電圧を印加することで、前記可動部を前記固定基板に向かって移動させ、前記第1ストッパーを前記可動基板の前記連結部に当接させることと、
    前記第1駆動電圧を印加しながら、前記第2静電アクチュエーターに対して第2駆動電圧を印加することと、を含む、光学フィルター制御方法。
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