JP2023020167A - 車両用照明カバーの防曇装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】LED光源の周囲の車両用照明カバーを持続的に防曇し易い防曇装置を提供する。【解決手段】車両用照明カバーの防曇装置であって、通気孔を有する筐体と、前記筐体内に配置されたLED光源と、前記筐体内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材と、を備えることを特徴とする防曇装置。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用照明カバーの防曇装置に関する。
従来、自動車のヘッドランプを包囲する筐体内等において、余分な水分を除去する試みがなされている。例えば特許文献1には、a)脱湿剤を含むハウジングと、b)該ハウジングと一体化され且つ熱源近傍に配向された、空気不透過性で且つ水蒸気透過性の層と、c)筐体内部から脱湿剤までの経路を提供する装置の通気孔と、d)脱湿剤近傍に第1開口と、ハウジング外側の大気に隣接する第2開口を有し、ハウジング内部の脱湿剤から外部大気までの経路を作り出す拡散チューブと、e)熱源が水分を脱湿剤から追い出す温度まで脱湿剤を加熱することができるように、ハウジングを配置するための手段とを含んで成る、熱源を含む筐体内部に存在する水分を減少させるための装置が開示されている。
特許文献1の装置では、自動車のヘッドランプの熱を利用して、水分を脱湿剤から放出させて脱湿剤の再生を行うことができる。このような脱湿剤の再生は、発熱温度が高いハロゲンランプ等を用いる場合には可能であるが、発熱温度の低いLED光源を用いる場合には脱湿剤を再生し難く、持続的に脱湿し難いと考えられる。また、近年ではヘッドランプ周囲の照明カバーの持続的な曇り止め技術の向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、LED光源の周囲の車両用照明カバーを持続的に防曇し易い防曇装置を提供することにある。
本願発明の実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置は、下記[1]の通りである。
[1]車両用照明カバーの防曇装置であって、
通気孔を有する筐体と、
前記筐体内に配置されたLED光源と、
前記筐体内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材と、を備えることを特徴とする防曇装置。
[1]車両用照明カバーの防曇装置であって、
通気孔を有する筐体と、
前記筐体内に配置されたLED光源と、
前記筐体内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材と、を備えることを特徴とする防曇装置。
上記アクリレート系樹脂は、LED光源の発光前後の温度範囲、例えば約20℃から30℃までの温度範囲内において優れた吸放湿性を発揮する。具体的には、上記アクリレート系樹脂は、LED光源の発光前の高湿度の環境下では筐体内の水分を顕著に吸湿することができる一方、発光後の温度が上昇した環境下においては放湿して吸湿機能を再生することができる。更に、筐体の通気孔を介して換気することができ、アクリレート系樹脂から放湿された水分を筐体外へ放出することができる。以上の構成により、車両用照明カバーを持続的に防曇し易くすることができる。
実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置は、下記[2]~[11]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記吸放湿材は繊維構造体であり、前記繊維構造体は前記アクリレート系樹脂を含有する繊維Aを含む[1]に記載の防曇装置。
[3]前記繊維Aは、1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する[2]に記載の防曇装置。
[4]前記繊維構造体は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記繊維Aは前記低融点樹脂を介して互いに結合されている[2]または[3]に記載の防曇装置。
[5]前記繊維構造体は、前記筐体の前記通気孔の開口を覆っている[2]~[4]のいずれかに記載の防曇装置。
[6]前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂を含有するアクリレート系微粒子を有している[1]~[5]のいずれかに記載の防曇装置。
[7]前記アクリレート系微粒子は1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する[6]に記載の防曇装置。
[8]前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記アクリレート系微粒子は、前記低融点樹脂を介して互いに結合されている[6]または[7]に記載の防曇装置。
[9]更に、前記筐体内に前記LED光源から発生する熱を放熱するヒートシンクを備える[1]~[8]のいずれかに記載の防曇装置。
[10]更に、前記筐体内に前記ヒートシンクから前記吸放湿材に向って送風する送風部材を備える[9]に記載の防曇装置。
[11]前記通気孔は、前記LED光源よりも下側に位置する[1]~[10]のいずれかに記載の防曇装置。
[2]前記吸放湿材は繊維構造体であり、前記繊維構造体は前記アクリレート系樹脂を含有する繊維Aを含む[1]に記載の防曇装置。
[3]前記繊維Aは、1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する[2]に記載の防曇装置。
[4]前記繊維構造体は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記繊維Aは前記低融点樹脂を介して互いに結合されている[2]または[3]に記載の防曇装置。
[5]前記繊維構造体は、前記筐体の前記通気孔の開口を覆っている[2]~[4]のいずれかに記載の防曇装置。
[6]前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂を含有するアクリレート系微粒子を有している[1]~[5]のいずれかに記載の防曇装置。
[7]前記アクリレート系微粒子は1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する[6]に記載の防曇装置。
[8]前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記アクリレート系微粒子は、前記低融点樹脂を介して互いに結合されている[6]または[7]に記載の防曇装置。
[9]更に、前記筐体内に前記LED光源から発生する熱を放熱するヒートシンクを備える[1]~[8]のいずれかに記載の防曇装置。
[10]更に、前記筐体内に前記ヒートシンクから前記吸放湿材に向って送風する送風部材を備える[9]に記載の防曇装置。
[11]前記通気孔は、前記LED光源よりも下側に位置する[1]~[10]のいずれかに記載の防曇装置。
本発明によれば上記構成により、LED光源の周囲の車両用照明カバーを持続的に防曇し易い防曇装置を提供できる。
以下では、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の実施の形態に係る防曇装置は、車両用照明カバーの防曇装置であって、通気孔を有する筐体と、筐体内に配置されたLED光源と、筐体内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材と、を備える。
上記アクリレート系樹脂は、LED光源の発光前後の温度範囲、例えば約20℃から30℃までの温度範囲内において優れた吸放湿性を発揮する。具体的には、上記アクリレート系樹脂は、LED光源の発光前の高湿度の環境下では筐体内の水分を顕著に吸湿することができる一方、発光後の温度が上昇した環境下においては放湿して吸湿機能を再生することができる。更に、筐体の通気孔を介して換気することができ、アクリレート系樹脂から放湿された水分を筐体外へ放出することができる。以上の構成により、車両用照明カバーを持続的に防曇し易くすることができる。以下では図1~3を参照しながら、各実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置について説明する。
図1に示す通り、第1の実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置31は、通気孔11を有する筐体10と、筐体10内に配置されたLED光源2と、筐体10内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材4aと、を備えている。
吸放湿材4aが有するアクリレート系樹脂としては、-[CH2-CH(CO2H)]-で示されるアクリル酸単位、及び/または-[CH2-CH(CO2X)]-で示されるアクリル酸塩単位を有する樹脂が挙げられ、少なくとも-[CH2-CH(CO2X)]-で示されるアクリル酸塩単位を有する樹脂が好ましい。これにより吸放湿性が向上する。上記Xは、Cu、Zn、Al、Ag、Fe、Mn、Co、Ni等の金属元素、Li、Na、K等のアルカリ金属元素、Be、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属元素、NH4 、陽性のアミン等の有機系陽イオン等が好ましく挙げられる。このうち金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素がより好ましく、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素が更に好ましい。これらは1種または2種以上含まれていてもよい。
アクリレート系樹脂は、飽和塩法により調湿された20℃の環境下において、85%RHにおける飽和吸湿率が、43%RHにおける飽和吸湿率よりも30質量%以上高いことが好ましい。これによりアクリレート系樹脂が吸放湿し易くなる。20℃、85%RHの空気を30℃まで加熱するとその空気の湿度は約43%RHにまで低下するため、上記の通り20℃、85%RHと20℃、43%RHの環境下における飽和吸湿率の差を求めることにより、LED光源の発光前後の約20℃から30℃までの温度変化に係る飽和吸湿率差を推測することができる。当該飽和吸湿率差は、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、90質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。飽和吸湿率については、後記する実施例に記載の方法により測定することができる。
アクリレート系樹脂は、飽和塩法により調湿された20℃の環境下において、85%RHにおける飽和吸湿率が、23%RHにおける飽和吸湿率よりも50質量%以上高いことが好ましい。これによりアクリレート系樹脂が吸放湿し易くなる。当該飽和吸湿率差は、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。
アクリレート系樹脂は、飽和塩法により調湿された20℃の環境下において、43%RHにおける飽和吸湿率が20質量%以上であることが好ましい。これにより、中湿度の環境下においても、ある程度高い吸湿性を維持することができる。当該飽和吸湿率は、より好ましくは25質量%以上である。一方、当該飽和吸湿率が45質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
アクリレート系樹脂は、飽和塩法により調湿された20℃の環境下において、85%RHにおける飽和吸湿率が60質量%以上であることが好ましい。これにより、高湿度の環境下において高い吸湿性を発揮することができる。当該飽和吸湿率は、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。一方、当該飽和吸湿率が95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよい。
アクリレート系樹脂は、飽和塩法により調湿された20℃の環境下において、23%RHにおける飽和吸湿率が10質量%以上であることが好ましい。これにより、低湿度の環境下においても高い吸湿性を発揮することができる。当該飽和吸湿率は、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。
吸放湿材4aは、繊維構造体であり、繊維構造体はアクリレート系樹脂を含有する繊維Aを含むことが好ましい。繊維構造体としては、シート状の繊維構造体が挙げられる。シート状の繊維構造体としては、織物、編物、または不織布が好ましく、不織布がより好ましい。不織布としてはニードルパンチ、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンボンド等の不織布加工方法を用いて得られたものが挙げられる。
シート状の繊維構造体は、折り曲げたり丸めたりし易いため車両の狭小な筐体10内に配置し易い。シート状の繊維構造体は、湾曲または屈曲した状態で配置されてもよく、ロール状に配置されてもよく、繊維シート層を複数積層した積層体の形態で配置されてもよい。シート状の繊維構造体は、空気の流路を形成するための隔壁を有していてもよい。隔壁については特開2001-149723号公報等を参照することができる。
繊維構造体は、繊維構造体の質量を100質量%としたとき、上記繊維Aを10質量%以上の含量で含むことが好ましい。これにより、繊維Aの効果が発揮され易くなる。より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更により好ましくは90質量%以上である。一方、繊維Aの含量は、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよい。繊維構造体は、繊維A以外の繊維、ゴム、樹脂、プラスチック、金属、紙等を含んでいてもよい。
繊維構造体の目付は、50g/m2以上が好ましい。これにより繊維構造体の強度が向上する。より好ましくは100g/m2以上である。一方、繊維構造体の目付は、好ましくは600g/m2以下である。これにより、繊維構造体の吸放湿性が向上する。より好ましくは500g/m2以下であり、更に好ましくは450g/m2以下、更により好ましくは400g/m2以下である。当該目付は、繊維構造体を120℃、5時間乾燥したときの目付であることが好ましい。
繊維構造体の密度は、0.01g/cm3以上が好ましい。これにより繊維構造体の強度が向上する。より好ましくは0.02g/cm3以上である。一方、繊維構造体の密度は、好ましくは0.10g/cm3以下である。これにより繊維構造体の吸放湿性が向上する。より好ましくは0.08g/cm3以下であり、更に好ましくは0.05g/cm3以下、更により好ましくは0.03g/cm3以下である。当該密度は、例えば下記の方法により算出することができる。まず繊維構造体を5cm角に切断し、120℃、5時間乾燥させた後、平らな面に試料を置き、5cm角で125gの板を試料に載せて厚みを測定する(Tcm)。更に試料の質量を測定(Wg)して、W/25/Tを算出して得られた値を密度(g/cm3)とすることができる。
繊維構造体は、アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、繊維Aは低融点樹脂を介して互いに結合されていることが好ましい。即ち、繊維Aが融点の低いバインダー樹脂により結合されていることが好ましい。これにより繊維構造体の強度が向上する。低融点樹脂としては、例えば繊維の接着用途等で用いられている樹脂を用いることができ、酢酸ビニル単量体を構成単位に含むエチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であるアクリル系樹脂、ブタジエン-スチレン系ゴム、ブタジエン-アクリロニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム等の合成ゴム等が好ましく挙げられる。低融点樹脂は繊維状であってもよい。繊維構造体は、繊維Aと低融点樹脂とを混合して形成してもよく、低融点樹脂層を形成し、その表面に繊維Aを付着させることにより形成してもよい。
繊維Aは、1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有することが好ましい。塩型カルボキシル基の含量は、より好ましくは2mmоl/g以上、更に好ましくは4mmоl/g以上であって、より好ましくは9mmоl/g以下、更に好ましくは8mmоl/g以下である。これにより、繊維Aの吸湿性と放湿性の両特性が発揮され易くなる。
繊維Aの塩型カルボキシル基の含量は、例えば下記の方法により求めることができる。まず十分乾燥した繊維A約1gを精秤し(Xg)、これに200mlの水を加えた後、50℃に加温しながら1N塩酸水溶液を添加してpH2とする。次いで0.1N苛性ソーダ水溶液で滴定曲線を求める。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された苛性ソーダ水溶液消費量(Ycc)を求め、0.1×Y/Xの式に当てはめてカルボキシル基量を算出する。別途、上記1N塩酸水溶液の添加によるpH2への調整をしないこと以外は上記と同様にして、滴定曲線を求めカルボン酸量を求める。更に(カルボキシル基量-カルボン酸量)の値を求めて、この値を繊維Aの塩型カルボキシル基量とする。
繊維Aは、アクリレート系樹脂を樹脂成分として含んでいてもよく、アクリレート系樹脂をアクリレート系微粒子として含んでいてもよい。また繊維Aは、アクリレート系樹脂を樹脂成分として含み、且つアクリレート系樹脂をアクリレート系微粒子として含んでいてもよい。繊維Aがアクリレート系樹脂をアクリレート系微粒子として含む態様としては、アクリレート系微粒子が繊維の樹脂中に混合されている態様、アクリレート系微粒子が繊維表面に付着している態様等が挙げられる。
繊維Aは、繊維Aを100質量%としたとき、アクリレート系微粒子を1質量%以上の含量で含むことが好ましい。より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。一方、アクリレート系微粒子の含量は100質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
繊維Aが樹脂成分としてアクリレート系樹脂を含む場合、繊維Aは例えばアクリル系繊維のニトリル基を加水分解してカルボキシル基を導入し、必要に応じてカルボキシル基の少なくとも一部を塩型とすることにより得ることができる。上記アクリル系繊維はアクリロニトリルを40質量%含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことが更に好ましい。一方、上記アクリル系繊維のアクリロニトリルの含量は、100質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよい。また繊維Aは、上記加水分解前にヒドラジン処理等により架橋構造を導入したものであってもよい。また繊維Aは、更にアミド基を導入したものであってもよい。このような繊維の詳細については、特開平9-59872号公報、特開平5-132858号公報、特開2000-314082号公報等を参照することができる。なおアクリレート系樹脂は、後述するアクリロニトリルモノマーと共重合し得るエチレン性不飽和モノマーに由来する単位を有していてもよい。
繊維Aは、アクリレート系樹脂以外の樹脂(以下ではその他の樹脂と呼ぶ場合がある)を樹脂成分として含んでいてもよい。その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、融点が260℃以下の熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体的には、ナイロン6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;等が好ましく挙げられる。これらは単独で、または2種以上併用して用いてもよい。
吸放湿材4aは、アクリレート系樹脂を含有するアクリレート系微粒子を有していることが好ましい。微粒子であることにより、単位質量当りの表面積を大きくすることができ、吸放湿性を向上することができる。
吸放湿材4aは、アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、アクリレート系微粒子は、低融点樹脂を介して互いに結合されていることが好ましい。即ち、アクリレート系微粒子が融点の低いバインダー樹脂により結合されていることが好ましい。低融点樹脂としては、例えば繊維の接着用途等で用いられている樹脂を用いることができ、酢酸ビニル単量体を構成単位に含むエチレン-酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であるアクリル系樹脂、ブタジエン-スチレン系ゴム、ブタジエン-アクリロニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム等の合成ゴム等が好ましく挙げられる。低融点樹脂は繊維状であってもよい。吸放湿材4aは、アクリレート系微粒子と低融点樹脂とを混合して形成してもよく、低融点樹脂層を形成し、その表面にアクリレート系微粒子を付着させることにより形成してもよい。
アクリレート系微粒子は1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有することが好ましい。当該塩型カルボキシル基の含量は、より好ましくは2mmоl/g以上、更に好ましくは4mmоl/g以上であって、より好ましくは9mmоl/g以下、更に好ましくは8mmоl/g以下である。これにより、アクリレート系樹脂の吸湿性と放湿性の両特性が発揮され易くなる。アクリレート系微粒子の塩型カルボキシル基の含量は、上記繊維Aの塩型カルボキシル基の含量と同様に、アクリレート系微粒子のカルボキシル基量とカルボン酸量を求めて、(カルボキシル基量-カルボン酸量)を算出することにより求めることができる。
アクリレート系微粒子の平均粒子径が0.1μm以上、50μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であることにより微粒子の強度を向上できる。そのため、平均粒子径は、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上、更により好ましくは10μm以上である。一方、平均粒子径が50μm以下であることにより吸放湿し易くすることができる。そのため、平均粒子径は、より好ましくは45μm以下、更に好ましくは40μm以下である。平均粒子径は、例えば島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD2000」を用いて、水を分散媒として測定した結果を、体積基準で表し、そのメディアン径を平均粒子径とすればよい。
アクリレート系微粒子は、例えばアクリロニトリル系ポリマーのニトリル基を加水分解することによりカルボキシル基を導入し、必要に応じてカルボキシル基の少なくとも一部を塩型とすることにより得ることができる。またアクリレート系微粒子は、上記加水分解前にヒドラジン処理等により架橋構造を導入したものであってもよい。またアクリレート系微粒子は、更にアミド基を導入したものであってもよい。またアクリレート系微粒子は、後述する架橋性ビニル系モノマーに由来する単位を有し、当該単位により架橋されていてもよい。
上記アクリロニトリル系ポリマーは、アクリロニトリルモノマーと共重合し得るエチレン性不飽和モノマーに由来する構成単位を有していてもよい。エチレン性不飽和モノマーとしては、ハロゲン化ビニルモノマー;ハロゲン化ビニリデンモノマー;メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの塩等の不飽和カルボン酸系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸エステル系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル系モノマー;メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン等の不飽和ケトン系モノマー;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;アクリルアミドおよびそのアルキル置換体等のアクリルアミド系モノマー;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸およびこれらの塩等の不飽和スルホン酸系モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハロゲン置換体等のスチレン系モノマー;アリルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル等のアリル系モノマー;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の塩基性ビニル系モノマー;アクロレイン、メタクリロレイン等の不飽和アルデヒド系モノマー;グリシジルメタクリレート、N-メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル系モノマー等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上併用して用いてもよい。
アクリレート系微粒子、アクリレート系微粒子の樹脂への混合方法等の詳細については、特開平8-225610号公報、特開平10-237126号公報、特開2015-224413号公報を参照することができる。
吸放湿材4aは、貫通孔を有する板状部材であってもよい。板状部材の内壁がアクリレート系樹脂を有していることが好ましい。貫通孔の形状は、円柱、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱等の多角柱等が挙げられる。貫通孔の個数は1つ以上であり、2つ以上であることが好ましい。板状部材の構造としては、具体的には、ハニカム構造やコルゲート構造等が挙げられる。板状部材は、例えばアクリレート系樹脂を表面に付着させて湾曲または屈曲させた板を複数積層して、空気を通過させる通路、即ち貫通孔を設けることにより形成することができる。当該板は金属製、木製、樹脂製、紙製のいずれであってもよい。
貫通孔は、平均水力直径が1.6mm以下であることが好ましい。平均水力直径が1.6mm以下であると、空気の流速が大きくなるため吸放湿材4aが吸放湿し易くなる。より好ましくは1.4mm以下、更に好ましくは1.2mm以下である。一方、平均水力直径が0.6mm以上であると圧力損失を低減することができる。そのため、好ましくは0.6mm以上、より好ましくは0.8mm以上である。水力直径とは、流路である貫通孔の軸方向に垂直な方向の貫通孔の断面と等価とみなせる円管の直径である。平均水力直径は4×(上記断面における貫通孔の断面積の総和/上記断面における貫通孔の周長の総和)の式で求めることができる。
アクリレート系樹脂は、筐体10内に存在していればよく、筐体10内に配置された各部材の表面に付着していてもよい。例えば、後述するヒートシンク20の表面、送風部材21の表面、筐体10の内面等のうち少なくとも1つの部位に直接または間接に付着していてもよい。即ちヒートシンク20、送風部材21、筐体10等のうち少なくとも1つの部材を吸放湿材として機能させてもよい。アクリレート系樹脂を付着させる際には、バインダー樹脂を用いてもよい。
図示していないが防曇装置31は、筐体10内に吸湿剤を有していてもよい。吸湿剤としては、シリカゲル、ゼオライト、多孔性金属錯体(MOF)、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等の有機高分子多孔質体等の多孔質材料が好ましい。このうちシリカゲル、多孔性金属錯体(MOF)がより好ましい。これらは単独で、または2種以上併用して用いてもよい。多孔性金属錯体は、金属イオンと、架橋配位子を有する化合物から構成されるものである。金属イオンとしては、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム等のイオンが好ましい。架橋配位子としては、2-メチルイミダゾール、テレフタル酸、トリメシン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、またはこれらに加えてアミノ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基等の官能基を有している化合物等が挙げられる。
図1に示す通り、吸放湿材4aは、防曇装置31の筐体10内において、LED光源2よりも下側に配置されていることが好ましい。LED光源2よりも上側は発熱により温度上昇し易い一方、LED光源2よりも下側は温度上昇し難いため相対湿度が大きくなり易い。そこで、LED光源2よりも下側に吸放湿材4aを配置することにより、効率的に吸湿することができる。吸放湿材4aは、後述するヒートシンク20よりも下側に位置することがより好ましい。また防曇装置31は、複数の吸放湿材を有していてもよく、吸放湿材は、LED光源2よりも下側と上側にそれぞれ設けられていてもよい。
LED光源2は、車両用ヘッドランプに用いられるものであることが好ましい。LED光源2は、発光部であるLEDチップと、発光制御を行うLED回路を有することが好ましい。
図1に示す通り、防曇装置31は、筐体10内にレンズ5とリフレクタ6とを有していることが好ましい。これにより、LED光源2から射出された光をリフレクタ6によって反射して、その反射された光をレンズ5により集めて所望の方向に透過させることができる。また図示していないが、防曇装置31は、筐体10内にロービームとハイビームとを切り替えるための可動シェードを有していてもよく、レンズ5の周囲にレンズカバーを有していてもよく、レンズ5とLED光源2との間にプロジェクタユニットを有していてもよい。
図1に示す通り、車両用照明カバー3は、筐体10の前部に取り付けられていることが好ましい。車両用照明カバー3は、LED光源2等を保護できるものであることが好ましい。また車両用照明カバー3は、レンズ機能を有していることが好ましい。車両用照明カバー3の素材は、ポリカーボネート等の樹脂、ガラス等が挙げられる。
筐体10は、LED光源2等を内蔵できるものであればよく、その形状等は限定されない。筐体10の素材としては、樹脂、金属等が挙げられる。
通気孔11は、筐体10内の空気を換気できるように設けられていればよい。筐体10内の空間は、通気孔11を介して車外空間に連通していることが好ましい。これにより走行時に換気し易くすることができる。通気孔11の開口12の形状は特に限定されず、円状、楕円状、線状、矩形状等が挙げられる。
図1に示す通り、通気孔11は、LED光源2よりも下側に位置することが好ましい。上述の通り、LED光源2よりも下側の空気の相対湿度が大きくなり易いが、下側に通気孔11を設けることにより、相対湿度の高い部分の空気を筐体10外に放出し易くすることができる。通気孔11は、後述するヒートシンク20よりも下側に位置することがより好ましい。
通気孔11は、複数設けられていてもよい。その場合、通気孔11は、LED光源2よりも下側と上側にそれぞれ設けられていることが好ましい。これにより筐体10内の空気を循環させ易くすることができる。また通気孔11は、後述するヒートシンク20よりも下側と上側にそれぞれ設けられていることがより好ましい。
図1に示す通り、防曇装置31は、更に、筐体10内にLED光源2から発生する熱を放熱するヒートシンク20を備えることが好ましい。これにより、LED光源2の劣化を低減することができる。ヒートシンク20としては、伝熱性に優れる金属等の物質で形成された板や棒等の突起部を複数有するものが挙げられる。ヒートシンク20の形状としては、剣山状、蛇腹状等が挙げられる。ヒートシンク20は、LED光源2に直接、または間接に接するように設けられていることが好ましい。これによりLED光源2より生成された熱をヒートシンク20が効率的に吸収することができる。
図1に示す通り、更に、筐体10内にヒートシンク20から吸放湿材4aに向って送風する送風部材21を備えることが好ましい。このように送風することにより、加熱された空気が吸放湿材4aに接して吸放湿材4aが放湿し易くなる。
送風部材21としては、ファンを電動モータにて回転駆動させる電動送風機が挙げられる。電動送風機は、制御装置(図示せず)から出力される制御電圧によって回転数が制御されるものであってもよい。また電動送風機は、制御装置により電動モータの回転方向を切り替えることによって送風方向を切り替えることが可能なものであってもよい。当該制御装置は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されるものであってもよい。
次に図2を参照して、第2の実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置32について説明する。第1の実施の形態に係る防曇装置と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
図2に示す通り、防曇装置32の筐体10内において、吸放湿材4bはLED光源2よりも上側に配置されていることが好ましい。これにより、LED光源2により加熱された空気が上昇して吸放湿材4bに接し易くなるため、吸放湿材4bが放湿し易くなる。また、防曇装置32は、複数の吸放湿材を有していてもよく、吸放湿材は、LED光源2よりも下側と上側にそれぞれ設けられていてもよい。
図2に示す通り、送風部材21は、ヒートシンク20よりも下側に配置されていることが好ましい。また、送風部材21は、上側に向かって送風するものであることがより好ましい。これにより、ヒートシンク20の熱が上側の吸放湿材4bに届き易くなる。
次に図3を参照して、第3の実施の形態に係る車両用照明カバーの防曇装置33について説明する。第1の実施の形態に係る防曇装置と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
図3に示す通り、吸放湿材4cは、筐体10の通気孔11の開口12を覆っていることが好ましい。吸放湿材4cは、繊維構造体であることが好ましい。このように吸放湿材4cをフィルタとして機能させることにより、通気孔11からの塵、雨、虫の侵入を防止することができる。更に、雨の日において、吸放湿材4cが通気孔11の開口12で吸湿することにより、高湿な空気の筐体10内への侵入を防止し易くすることができる。吸放湿材4cの開口12側の面には多孔質のフィルムが設けられていてもよいが、フィルムが設けられていないことが好ましい。これにより、吸放湿材4cの吸放湿性を発揮し易くすることができる。また図示していないが、吸放湿材4cの一部は通気孔11から筐体10外に延在していてもよい。
防曇装置33は、通気孔11の開口12以外の部分においても吸放湿材を有していてもよい。その場合、吸放湿材は、LED光源2よりも下側に位置していてもよく、上側に位置していてもよい。
防曇装置33は筐体10内に、吸放湿材4cから通気孔11に向かって送風する送風部材21を有していることが好ましい。例えば停車時において、吸放湿材4cから通気孔11に向かって送風することにより、吸放湿材4cから放出された水分を筐体10外に放出することができる。また、送風部材21の送風方向を逆に切り替えて、外部の空気を通気孔11から導入してもよい。
防曇装置31~33は、車両のヘッドライトに限らず、車両の照明カバーと筐体によりLED光源が内蔵されている部分に用いることができる。車両としては自動車、電車、重機、自転車、自動二輪車等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
アクリレート系樹脂の微粒子である日本エクスラン工業株式会社製のタフチック(登録商標)HU-1200Pを用いて、下記飽和吸湿率の測定を行って吸放湿性を評価した。
アクリレート系樹脂の微粒子である日本エクスラン工業株式会社製のタフチック(登録商標)HU-1200Pを用いて、下記飽和吸湿率の測定を行って吸放湿性を評価した。
[飽和吸湿率の測定方法]
試料0.2gを熱風乾燥機で105℃、3時間乾燥させた後、質量を測定し、この値をWd1(g)とした。次に乾燥後の試料を温度20℃、飽和塩法により所定の相対湿度で調湿した密閉容器内に48時間静置し、吸湿飽和に達した後の試料の質量を測定したWw1(g)。次いで、下記式に基づいて所定の相対湿度における飽和吸湿率を算出した。
飽和吸湿率(重量%)={(Ww1-Wd1)/Wd1}×100
試料0.2gを熱風乾燥機で105℃、3時間乾燥させた後、質量を測定し、この値をWd1(g)とした。次に乾燥後の試料を温度20℃、飽和塩法により所定の相対湿度で調湿した密閉容器内に48時間静置し、吸湿飽和に達した後の試料の質量を測定したWw1(g)。次いで、下記式に基づいて所定の相対湿度における飽和吸湿率を算出した。
飽和吸湿率(重量%)={(Ww1-Wd1)/Wd1}×100
なお飽和塩法によれば、過剰の塩を含む飽和水溶液を密閉容器中に入れ、温度と湿度を平衡させることによって一定湿度を実現することができる。用いた塩と、その塩の飽和水溶液と平衡にある空気の相対湿度との関係の一部を示すと以下の通りである。なお、50%RH、65%RH、90%RH、95%RHについては恒温恒湿器を用いて調湿した。
・塩化リチウム:11%RH
・酢酸カリウム:23%RH
・塩化マグネシウム:32%RH
・炭酸カリウム:43%RH
・臭化ナトリウム:56%RH
・塩化ナトリウム:75%RH
・塩化カリウム:85%RH
・硫酸カリウム:97%RH
・塩化リチウム:11%RH
・酢酸カリウム:23%RH
・塩化マグネシウム:32%RH
・炭酸カリウム:43%RH
・臭化ナトリウム:56%RH
・塩化ナトリウム:75%RH
・塩化カリウム:85%RH
・硫酸カリウム:97%RH
実施例2
アクリレート系樹脂を含む繊維である日本エクスラン工業株式会社製のモイスファイン(登録商標)を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
アクリレート系樹脂を含む繊維である日本エクスラン工業株式会社製のモイスファイン(登録商標)を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
比較例1
A型シリカゲルである富士シリシア化学株式会社製のフジシリカゲルA形を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
A型シリカゲルである富士シリシア化学株式会社製のフジシリカゲルA形を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
比較例2
B型シリカゲルである富士シリシア化学株式会社製のフジシリカゲルB形を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
B型シリカゲルである富士シリシア化学株式会社製のフジシリカゲルB形を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
比較例3
活性炭である株式会社クラレ製のクラレコール(登録商標)GSを用いて、実施例1と同様の測定を行った。
活性炭である株式会社クラレ製のクラレコール(登録商標)GSを用いて、実施例1と同様の測定を行った。
比較例4
Y型ゼオライトである東ソー株式会社製のHSZ-300を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
Y型ゼオライトである東ソー株式会社製のHSZ-300を用いて、実施例1と同様の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。また、20℃、85%RHの空気を30℃まで加熱するとその空気の湿度は約43%RHにまで低下する。そこで、LED光源の発光前後の約20℃から30℃までの温度変化に係る飽和吸湿率差を推測するために20℃の環境下における(85RH%における飽和吸湿率)-(43RH%における飽和吸湿率)の値を求めた。同様に(85RH%における飽和吸湿率)-(23RH%における飽和吸湿率)の値も求めた。これら飽和吸湿率差も表1に示す。
表1に示す通り、アクリレート系樹脂を用いた実施例1、2は、アクリレート系樹脂を用いなかった比較例1~4よりも、飽和吸湿率差が大きかった。このことより、実施例1、2のアクリレート系樹脂を含む吸放湿剤は、LED光源の発光前の高湿度の環境下では筐体内の水分を顕著に吸湿することができる一方、発光後の温度が上昇した環境下においては放湿して吸湿機能を再生し易いと考えられる。更に実施例1、2のアクリレート系樹脂は、低湿度~高湿度の範囲にわたって比較的高い吸湿性を示した。以上より、実施例1、2のアクリレート系樹脂を含む吸放湿剤では、持続的に防曇機能を発揮できると考えられる。
1 防曇装置
2 LED光源
3 車両用照明カバー
4a、4b、4c 吸放湿材
5 レンズ
6 リフレクタ
10 筐体
11 通気孔
12 通気孔の開口
20 ヒートシンク
21 送風部材
2 LED光源
3 車両用照明カバー
4a、4b、4c 吸放湿材
5 レンズ
6 リフレクタ
10 筐体
11 通気孔
12 通気孔の開口
20 ヒートシンク
21 送風部材
Claims (11)
- 車両用照明カバーの防曇装置であって、
通気孔を有する筐体と、
前記筐体内に配置されたLED光源と、
前記筐体内に配置されアクリレート系樹脂を有する吸放湿材と、を備えることを特徴とする防曇装置。 - 前記吸放湿材は繊維構造体であり、前記繊維構造体は前記アクリレート系樹脂を含有する繊維Aを含む請求項1に記載の防曇装置。
- 前記繊維Aは、1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する請求項2に記載の防曇装置。
- 前記繊維構造体は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記繊維Aは前記低融点樹脂を介して互いに結合されている請求項2または3に記載の防曇装置。
- 前記繊維構造体は、前記筐体の前記通気孔の開口を覆っている請求項2~4のいずれかに記載の防曇装置。
- 前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂を含有するアクリレート系微粒子を有している請求項1~5のいずれかに記載の防曇装置。
- 前記アクリレート系微粒子は1~10mmоl/gの塩型カルボキシル基を有する請求項6に記載の防曇装置。
- 前記吸放湿材は、前記アクリレート系樹脂の融点よりも融点が低い低融点樹脂を有し、前記アクリレート系微粒子は、前記低融点樹脂を介して互いに結合されている請求項6または7に記載の防曇装置。
- 更に、前記筐体内に前記LED光源から発生する熱を放熱するヒートシンクを備える請求項1~8のいずれかに記載の防曇装置。
- 更に、前記筐体内に前記ヒートシンクから前記吸放湿材に向って送風する送風部材を備える請求項9に記載の防曇装置。
- 前記通気孔は、前記LED光源よりも下側に位置する請求項1~10のいずれかに記載の防曇装置。
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JP2021125397A JP2023020167A (ja) | 2021-07-30 | 2021-07-30 | 車両用照明カバーの防曇装置 |
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