JP2023019923A - 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 - Google Patents

半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023019923A
JP2023019923A JP2021125003A JP2021125003A JP2023019923A JP 2023019923 A JP2023019923 A JP 2023019923A JP 2021125003 A JP2021125003 A JP 2021125003A JP 2021125003 A JP2021125003 A JP 2021125003A JP 2023019923 A JP2023019923 A JP 2023019923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
semiconductor device
composition
barrier layer
channel layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021125003A
Other languages
English (en)
Inventor
敦史 山田
Atsushi Yamada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2021125003A priority Critical patent/JP2023019923A/ja
Publication of JP2023019923A publication Critical patent/JP2023019923A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Junction Field-Effect Transistors (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Abstract

【課題】オフリーク電流が抑えられた、高性能の半導体装置を実現する。【解決手段】半導体装置1Aは、窒化物半導体を含むバッファ層10、チャネル層20及びバリア層30を有する。バッファ層10は、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有し、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する、傾斜Al組成を有する。チャネル層20は、バッファ層10の面10b側に設けられる。バリア層30は、チャネル層20の、バッファ層10側とは反対側の面20aに設けられる。チャネル層20の、バリア層30との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。傾斜Al組成のバッファ層10は、p型半導体性を発現する。このバッファ層10により、バンドが押し上げられ、閾値電圧が高められて、オフリーク電流が低減される。これにより、電力効率の高い、高性能の半導体装置1Aが実現される。【選択図】図5

Description

本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置に関する。
窒化物半導体を用いた半導体装置が知られている。例えば、窒化物半導体基板と、その上に形成されるバッファ層、チャネル層及び電子供給層を含むエピタキシャル成長層とを含むヘテロ接合電界効果トランジスタが知られている。このヘテロ接合電界効果トランジスタに関し、窒化物半導体基板とバッファ層との界面に、そこに偏析するドナー型不純物を補償するアクセプタ型不純物を、ドナー型不純物と所定の濃度関係で導入し、バッファリーク電流及び電流コラプスを抑える技術が知られている。
また、基板上に形成されるバッファ層、チャネル層及び障壁層を備える、窒化物ベースの高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)が知られている。このHEMTに関し、バッファ層とチャネル層との間に、p型ドーパントをドープされた正孔供給源層と、それに近接した、n型ドーパントをドープされた電子供給源層とを備えるエネルギー障壁を設け、チャネル層へのキャリアの閉じ込めを改善する技術が知られている。
国際公開第2017/221532号パンフレット 国際公開第2005/083793号パンフレット
窒化物半導体を用いたHEMTを備える半導体装置では、窒化物半導体のチャネル層上に、よりバンドギャップの大きい窒化物半導体のバリア層を設ける構造が採用される。バリア層の自発分極、バリア層とチャネル層との格子定数差に起因した歪みによって発生するピエゾ分極により、チャネル層に二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)が生成される。バリア層側に、ソース電極及びドレイン電極、並びにそれらの間に位置するゲート電極が設けられ、それらに所定の電圧が供給されて、半導体装置のトランジスタ機能が実現される。
このような半導体装置に関し、ゲート電極直下のチャネル層に生成される2DEGを低減して閾値電圧を高め、オフリーク電流の発生を抑える技術が知られている。しかし、これまでの技術では、強い分極電界のために、ゲート電極直下のチャネル層に生成される2DEGが十分に低減されず、閾値電圧が高められない場合があった。そのため、オフリーク電流が十分に抑えられず、高性能の半導体装置が得られないことがあった。或いは、オフリーク電流を抑える技術を採用することで、オン抵抗の悪化等、半導体装置の他の性能が劣化してしまう場合があった。
1つの側面では、本発明は、オフリーク電流が抑えられた、高性能の半導体装置を実現することを目的とする。
1つの態様では、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層と、前記バッファ層の前記第2面側に設けられ、第2窒化物半導体を含むチャネル層と、前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に設けられ、第3窒化物半導体を含む第1バリア層とを有する半導体装置が提供される。
また、別の態様では、上記のような半導体装置の製造方法、上記のような半導体装置を備える電子装置が提供される。
1つの側面では、オフリーク電流が抑えられた、高性能の半導体装置を実現することが可能になる。
半導体装置の例を示す図である。 半導体装置の別の例を示す図である。 第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。 窒化物半導体のAl組成と自発分極の関係について説明する図(その1)である。 第1の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。 第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。 第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。 第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。 第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。 窒化物半導体のAl組成と自発分極の関係について説明する図(その2)である。 第2の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。 第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。 第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。 第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。 第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。 第3の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。 第3の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。 第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。 第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。 第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の別の例について説明する図である。 第5の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。 第6の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。 第7の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。 第8の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。
窒化物半導体を用いた半導体装置は、高い飽和電子速度やワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧、高出力デバイスとしての開発が行われている。窒化物半導体を用いた半導体装置としては、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)、例えば、HEMTについての報告が数多くなされている。HEMTの1つとして、AlGaN(アルミニウムガリウムナイトライド)層をバリア層(「電子供給層」とも称される)として用い、GaN(ガリウムナイトライド)層をチャネル層(「電子走行層」とも称される)として用いたHEMTが知られている。
このようなHEMTでは、AlGaN層の自発分極、及びGaN層との格子定数差に起因した歪みによってAlGaN層に発生するピエゾ分極により、AlGaN層との接合界面近傍のGaN層に二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)が生成される。AlGaN層側に、ソース電極及びドレイン電極、並びにそれらの間に位置するゲート電極が設けられ、それらに所定の電圧が供給されて、トランジスタ機能が実現される。GaN系窒化物半導体を用いたHEMTは、通信向け高出力増幅器等への応用が期待されている。
このような半導体装置に関し、ゲート電極直下のチャネル層に生成される2DEGを低減して閾値電圧を高め、オフリーク電流の発生を抑える技術が知られている。
図1は半導体装置の例を示す図である。図1(A)には、半導体装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。図1(B)には、半導体装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。
図1(A)に示す半導体装置100Aは、HEMTの一例である。半導体装置100Aは、窒化物半導体が用いられたチャネル層101と、チャネル層101上に設けられ、窒化物半導体が用いられたバリア層102とを有する。例えば、チャネル層101にはGaNが用いられ、バリア層102にはAlGaNが用いられる。バリア層102との接合界面近傍のチャネル層101に2DEG103が生成される。半導体装置100Aは更に、バリア層102上に設けられたキャップ層104Aと、キャップ層104A上に設けられたゲート電極105と、バリア層102上に設けられたソース電極106及びドレイン電極107とを有する。キャップ層104Aにはp型窒化物半導体、例えば、p型不純物としてMg(マグネシウム)を含有したGaN(p-GaN)が用いられる。このようなキャップ層104A上に、ゲート電極105が設けられ、ゲート電極105の両側のバリア層102上に、ソース電極106及びドレイン電極107が設けられる。ゲート電極105、ソース電極106及びドレイン電極107には、金属が用いられる。
例示の半導体装置100Aは、p-GaNのキャップ層104Aの固定電荷により、ゲート電極105直下のチャネル層101とバリア層102との接合界面のバンドを押し上げ、2DEG103の生成を抑えようとするものである。
また、図1(B)に示す半導体装置100Bは、HEMTの一例である。半導体装置100Bは、バリア層102上に設けられたキャップ層104BにInGaN(インジウムガリウムナイトライド)が用いられる点で、上記半導体装置100Aと相違する。
例示の半導体装置100Bにおいて、AlGaNのバリア層102上に設けられるInGaNのキャップ層104Bは、圧縮ひずみを有する。半導体装置100Bは、この圧縮歪みに起因してキャップ層104Bに発生するピエゾ分極により、ゲート電極105直下のチャネル層101とバリア層102との接合界面のバンドを押し上げ、2DEG103の生成を抑えようとするものである。
半導体装置100A及び半導体装置100Bにおいて、ゲート電極105直下のチャネル層101に生成される2DEG103が抑えられれば、ゲート電圧オフ時にドレイン電極107とソース電極106との間に流れる電流が遮断される、ノーマリオフ型のHEMTが実現される。即ち、閾値電圧の高いHEMTが実現される。このようにチャネル層101の2DEG103の生成を部分的に抑えるように変調するために、半導体装置100A及び半導体装置100Bではそれぞれ、p-GaNを用いたキャップ層104A及びInGaNを用いたキャップ層104Bが設けられる。
しかし、半導体装置100Aのように、キャップ層104Aにp-GaNを用いると、それに含有されるMg等のp型不純物がチャネル層101に拡散し、オン抵抗(Ron)の悪化を招く場合がある。更に、GaNに含有されるMg等のp型不純物の活性化率が低いために、キャップ層104Aの寄与が小さく、チャネル層101の2DEG103の濃度が十分に変調されない場合がある。p型不純物の活性化率が低いことから、キャップ層104Aのp-GaNに多量のp型不純物を導入すると、前述のようなp型不純物のチャネル層101への拡散、オン抵抗の悪化が起こり易くなる。
また、キャップ層104BにInGaNを用いる半導体装置100Bでは、その製造過程において、バリア層102上のキャップ層104Bの形成後、キャップ層104Bが表面に露出した状態で高温の熱に曝される場合がある。このようにキャップ層104Bが表面に露出した状態で高温の熱に曝されると、比較的熱に弱いIn(インジウム)が脱離する等、キャップ層104Bがダメージを受け易くなる。キャップ層104Bがダメージを受けると、リーク電流が増大したり、チャネル層101の2DEG103の十分な変調効果が得られなかったりする場合がある。
半導体装置100A及び半導体装置100Bでは、2DEG103の濃度変調による高閾値電圧化(低オフリーク電流化)を十分に実現することができなかったり、高閾値電圧化を実現しようとするとオン抵抗やリーク電流の増加を招いてしまったりする場合がある。
また、図2は半導体装置の別の例を示す図である。図2(A)には、半導体装置の第3の例の要部断面図を模式的に示している。図2(B)には、半導体装置の第4の例の要部断面図を模式的に示している。
図2(A)に示す半導体装置100Cは、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型FETの一例である。半導体装置100Cは、チャネル層108としてp-GaNが用いられる。チャネル層108に形成されたリセスに、n型窒化物半導体の再成長層109及び再成長層110、例えば、n型不純物を含有したGaN(n-GaN)が再成長により設けられる。再成長層109上及び再成長層110上にそれぞれソース電極106及びドレイン電極107が設けられ、再成長層109と再成長層110との間のチャネル層108上に、ゲート絶縁膜111を介してゲート電極105が設けられる。ゲート絶縁膜111には、例えば、Al(酸化アルミニウム)が用いられる。
例示の半導体装置100Cは、n-GaNの再成長層109と再成長層110との間の、p-GaNのチャネル層108に、電子輸送経路が形成されるMIS型FETの構造によって、高閾値電圧化、低オフリーク電流化を実現しようとするものである。
しかし、半導体装置100Cでは、チャネル層108のp-GaNに含有されるp型不純物の活性化率が低いことから、そのp-GaNに多量のp型不純物を含有させると、オン抵抗の悪化が起こり易くなる。更に、半導体装置100Cでは、チャネル層108の、ゲート絶縁膜111との界面又はその近傍の領域が電子輸送経路として使用されるが、当該領域は欠陥が生じ易く、電子移動度が低くなる。
また、図2(B)に示す半導体装置100Dは、HEMTの一例である。半導体装置100Dは、チャネル層108としてp-GaNが用いられ、そのチャネル層108上に、AlGaNのバリア層102が設けられ、その上に、ゲート電極105、ソース電極106及びドレイン電極107が設けられた構成を有する。
半導体装置100Dでは、p-GaNのチャネル層108が、AlGaNのバリア層102で覆われるため、チャネル層108に含有されるp型不純物の活性化が難しい。そのため、p-GaNに多量のp型不純物を含有させる必要があり、オン抵抗の悪化が起こり易くなる。
このように、窒化物半導体を用いる半導体装置に関し、閾値電圧を高めてオフリーク電流の発生を抑えるために、例えば、上記半導体装置100A,100B或いは半導体装置100C,100Dに示したような技術を採用することが考えられる。しかし、これまでの技術では、強い分極電界のために、ゲート電極直下のチャネル層に生成される電子が十分に低減されず、閾値電圧が高められない場合があり、オフリーク電流が十分に抑えられず、電力効率の高い、高性能の半導体装置が得られないことがあった。或いは、閾値電圧を高めてオフリーク電流を抑える技術を採用することで、オン抵抗の悪化等、半導体装置の他の性能が劣化してしまう場合があった。
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、オフリーク電流が抑えられた、高性能の半導体装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図3は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図3には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図3に示す半導体装置1Aは、HEMTの一例である。半導体装置1Aは、バッファ層10、チャネル層20、バリア層30、ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60を有する。
バッファ層10には、窒化物半導体、例えば、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する窒化物半導体であって、面10a側から、それとは反対側の面10b側に向かって、Al組成が減少する窒化物半導体が用いられる。例えば、バッファ層10には、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなる、AlGaN、InAlN(インジウムアルミニウムナイトライド)、InAlGaN(インジウムアルミニウムガリウムナイトライド)等の窒化物半導体が用いられる。尚、バッファ層10の詳細については後述する。
バッファ層10は、例えば、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD、若しくはMetal Organic Vapor Phase Epitaxy;MOVPE)法、又は分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法を用いて、所定の下地基板(図示せず)上に形成される。バッファ層10が形成される下地基板には、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN、AlN(アルミニウムナイトライド)、サファイア、ダイヤモンド等の基板、又はそのような基板上にAlN、AlGaN等の窒化物半導体の層が形成されたもの等が用いられる。バッファ層10は、MOVPE法等を用いて、面10bが(0001)面、即ち、III族極性面となるように、その面10b側とは反対側の面10aが所定の下地基板に面して、当該下地基板上に形成される。
チャネル層20は、バッファ層10の面10b側に設けられる。チャネル層20には、窒化物半導体、例えば、GaNが用いられる。チャネル層20には、GaNのほか、AlGaN、InGaN等の窒化物半導体が用いられてもよい。チャネル層20は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。チャネル層20は、例えば、MOVPE法等を用いて、バッファ層10のIII族極性面である面10b上に形成される。この場合、チャネル層20は、バッファ層10側とは反対側の面20aが(0001)面、即ち、III族極性面となる。
バリア層30は、チャネル層20の面20a側に設けられる。バリア層30には、窒化物半導体、例えば、AlGaNが用いられる。バリア層30には、AlGaNのほか、InAlGaN、InAlN等の窒化物半導体が用いられてもよい。バリア層30は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。バリア層30は、例えば、MOVPE法等を用いて、チャネル層20のIII族極性面である面20a上に形成される。この場合、バリア層30は、チャネル層20側とは反対側の面30aが(0001)面、即ち、III族極性面となる。
半導体装置1Aでは、AlGaN等が用いられるバリア層30の自発分極、及びGaN等が用いられるチャネル層20との格子定数差に起因して発生するピエゾ分極により、バリア層30との接合界面近傍のチャネル層20に2DEG1aが生成される。フェルミ準位がチャネル層20とバリア層30との接合界面の伝導帯よりも上(高エネルギー側)となるようにすることで、バリア層30との接合界面近傍のチャネル層20に2DEG1aが生成される。チャネル層20及びバリア層30には、チャネル層20に2DEG1aが生成されるような組み合わせの窒化物半導体が用いられる。
尚、ここでは図示を省略するが、チャネル層20とバリア層30との間には、AlN、AlGaN等の窒化物半導体を用いた、単層構造又は積層構造のスペーサ層が設けられてもよい。また、バリア層30の、チャネル層20側とは反対側の面30aには、GaN等の窒化物半導体を用いた、単層構造又は積層構造のキャップ層が設けられてもよい。
ゲート電極40は、バリア層30の面30a側に設けられる。ゲート電極40には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属が用いられる。ゲート電極40は、ショットキー電極として機能するように設けられる。ゲート電極40とバリア層30の面30aとの間(面30a上にキャップ層が設けられる場合にはゲート電極40と当該キャップ層との間)には、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜(図示せず)が介在されてもよい。
ソース電極50及びドレイン電極60は、バリア層30の面30a側に、ゲート電極40を挟むように設けられる。ソース電極50及びドレイン電極60には、Ta(タンタル)、Al(アルミニウム)等の金属が用いられる。ソース電極50及びドレイン電極60は、オーミック電極として機能するように設けられる。ソース電極50及びドレイン電極60は、オーミック電極として機能すれば、バリア層30と接続されてもよいし、バリア層30を貫通してチャネル層20と接続されてもよい。ソース電極50及びドレイン電極60が接続されるバリア層30又はチャネル層20の部位には、n型不純物を含有するGaNやAlGaN等の窒化物半導体を用いた再成長層がコンタクト層として設けられてもよい。
半導体装置1Aの動作時には、ソース電極50とドレイン電極60との間に所定の電圧が供給され、それらの間に位置するゲート電極40に所定のゲート電圧が供給される。ソース電極50とドレイン電極60との間のチャネル層20にキャリアの電子の輸送経路が形成され、半導体装置1Aのトランジスタ機能が実現される。
半導体装置1Aでは、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する窒化物半導体を用いたバッファ層10であって、その面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する、いわゆる傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる。このような傾斜Al組成のバッファ層10上に、チャネル層20が設けられ、その上に更に、バリア層30が設けられる。これにより、半導体装置1Aでは、傾斜Al組成のバッファ層10によってバンドが押し上げられ、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。
ここで、傾斜Al組成のバッファ層10について述べる。
図4は窒化物半導体のAl組成と自発分極の関係について説明する図である。図4(A)はAlNの層の自発分極の様子を模式的に示す図である。図4(B)はGaN等の層の自発分極の様子を模式的に示す図である。図4(C)はAlGaN等の層の自発分極の様子を模式的に示す図である。
窒化物半導体は、[0001]方向(c軸)に沿った自発分極を有する。一例として、AlNの自発分極は、-0.081C/mであり、GaNの自発分極は、-0.029C/mであり、InN(インジウムナイトライド)の自発分極は、-0.032C/mである。GaN及びInNは、同程度の自発分極を有している一方、AlNは、それらよりも強い自発分極を有している。
分極電荷は、(0001)面を用いた場合、例えば、図4(A)及び図4(B)に示すように、窒化物半導体の層150a及び層150bの各々の上端側に負電荷(「-」で図示)が生じ、下端側に正電荷(「+」で図示)が生じる。AlNは、GaNよりも自発分極が強いため、AlNの層150aに生じる電荷量は、GaNの層150bに生じる電荷量よりも大きくなる。尚、InNは、GaNと同程度の自発分極を有しているため、InN、及びGaNの一部がInNで置換されたInGaNについても、GaNと同様のことが言える(図4(B))。
GaNの一部がAlNで置換されたAlGaN(或いはAlNの一部がGaNで置換されたAlGaN)は、そのAl組成に応じて、AlNとGaNの中間の電荷量となる。この時、AlGaNのAl組成を、その層の上端に向かって減少させると、その層内における下層部の上端側に生じる比較的大きな負電荷量が、その直上に積層される上層部の下端側に生じる比較的小さな正電荷量と相殺されるようになる。そのため、それらを含む層全体では、図4(C)に示す層150cのように自発分極が発生し、その層150c中の広範囲に負電荷が発生するようになる。Al組成を層150cの上端に向かって減少させたAlGaNは、このように層150c中の広範囲に負電荷が発生することで、即ち、層150c中に広がる負の固定電荷が発生することで、p型半導体の性質(「p型半導体性」とも言う)を発現するようになる。ここでは、このようにAl組成を変化させることによってp型半導体性を発現させることを、「分極pドーピング」と言う。
尚、InN及びGaNは、同程度の自発分極を有しているため、InNの一部がAlNで置換されたInAlN、及びGaNの一部がInNで置換されたInGaNのその一部がAlNで置換されたInAlGaNについても、AlGaNと同様のことが言える。
上記図3に示した半導体装置1Aでは、このようにAl組成を面10a側から面10b側に向かって減少させることでp型半導体性を発現するようになる、傾斜Al組成の窒化物半導体が、バッファ層10に用いられる。
例えば、半導体装置1Aにおいて、傾斜Al組成のバッファ層10には、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなるAlGaNを用いることができる。傾斜Al組成のバッファ層10には、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなるInAlNを用いることもできる。傾斜Al組成のバッファ層10には、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなるInAlGaNを用いることもできる。また、傾斜Al組成のバッファ層10には、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなるものであれば、AlGaN、InAlN及びInAlGaNのうちの2種以上が組み合わされたものが用いられてもよい。傾斜Al組成のバッファ層10の最下層(下地基板が設けられる側)には、AlNの層が含まれてもよく、傾斜Al組成のバッファ層10の最上層(チャネル層20が設けられる側)には、GaN、InN又はInGaNの層が含まれてもよい。
傾斜Al組成のバッファ層10には、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する窒化物半導体を用いることができ、少なくとも一部にInAlGa1-(m+n)N(0≦m<1,0<n≦1,0<m+n≦1)で表される窒化物半導体を含むものを用いることができる。傾斜Al組成のバッファ層10は、面10a側から面10b側に向かってAl組成が低くなるように、下地基板の上に、MOVPE法等を用いて形成される。
図5は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。図5(A)には傾斜Al組成のバッファ層が設けられた半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図5(B)には傾斜Al組成のバッファ層が設けられた半導体装置の一例のバンド構造を示している。図5(B)において、Ecは伝導帯、Evは価電子帯、Efはフェルミ準位を表している。図5(B)には傾斜Al組成のバッファ層が設けられた半導体装置のバンド構造を実線で表している。図5(B)には比較のため、バッファ層が傾斜Al組成とされない半導体装置のバンド構造を点線で表している。
図5(A)に示す半導体装置1Aでは、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少するAlGa1-xN(0≦x≦1)のバッファ層10が設けられる。図5(A)に示す半導体装置1Aでは、このようなバッファ層10の面10b上に、GaNのチャネル層20が設けられ、そのチャネル層20の面20a上に、AlGaNのバリア層30が設けられる。バリア層30の自発分極、及びチャネル層20との格子定数差に起因して発生するピエゾ分極により、バリア層30との接合界面近傍のチャネル層20に2DEG1aが生成される。このような構成を有する半導体装置1Aのバンド構造は、例えば、図5(B)に実線で示すようなものとなる。
半導体装置1Aにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバッファ層10では、その層中に負の固定電荷が発生し(図4(C))、p型半導体性が発現する。半導体装置1Aでは、このようなp型半導体性を発現する傾斜Al組成のバッファ層10上に、チャネル層20が設けられる。これにより、バッファ層10が傾斜Al組成とされない場合に比べて、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられる。即ち、バッファ層10が傾斜Al組成とされない半導体装置では、例えば、図5(B)に点線で示すバンド構造に見られるように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが比較的低くなる。これに対し、傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる半導体装置1Aでは、そのバッファ層10のp型半導体性により、例えば、図5(B)に実線で示すバンド構造に見られるように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられ、比較的高くなる。半導体装置1Aでは、このようにバッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられることで、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。オフリーク電流が低減されることで、電力効率の高い、高性能の半導体装置1Aが実現される。
半導体装置1Aにおいて、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10は、そのp型半導体性の程度、即ち、バッファ層10中に広がる負の固定電荷の濃度(「分極pドーピング濃度」とも言う)を、所定の範囲に設定することが好ましい。例えば、バッファ層10は、次の式(1)を満たすように、分極pドーピング濃度が設定される。
3.25×1013×(c1-c2)/t1≧1×1017[cm-3]・・・(1)
式(1)において、c1は、バッファ層10の面10a側のAl組成を示す。c2は、バッファ層10の面10b側のAl組成を示す。t1は、バッファ層10の厚さ、即ち、面10a側から面10b側までの厚さ[cm]を示す。
バッファ層10の分極pドーピング濃度が、式(1)のような関係を満たすように設定されることで、チャネル層20のバンドを効果的に押し上げ、高閾値電圧化、低オフリーク電流化を可能にする、十分なp型半導体性が、バッファ層10に発現される。
また、分極pドーピングされたバッファ層10による効果を高めるためには、チャネル層20の厚さ、即ち、バッファ層10側からバリア層30側までの厚さが、50nm以下に設定されることが好ましい。チャネル層20がこのような比較的薄い厚さに設定されることで、p型半導体性のバッファ層10の、チャネル層20への寄与が高められ、チャネル層20のバンドが効果的に押し上げられ、高閾値電圧化、低オフリーク電流化が、より効果的に実現される。
半導体装置1Aでは、オフリーク電流の低減のために、バッファ層10、並びにバッファ層10とチャネル層20との界面或いはチャネル層20に、意図的に不純物がドーピングされない。バッファ層10に不純物がドーピングされないため、バッファ層10から、それとチャネル層20との界面或いはチャネル層20に、ドーピングされた不純物が拡散することも起こらない。そのため、ドーピングされた不純物による電流コラプスの悪化、チャネル層20の電子移動度の低下等が抑えられる。これにより、低オン抵抗、高出力の半導体装置1Aが実現される。
続いて、第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法について述べる。
図6~図8は第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図6(A)、図6(B)、図7(A)、図7(B)、図8(A)及び図8(B)にはそれぞれ、第1の実施の形態に係る半導体装置形成の一例の各工程の要部断面図を模式的に示している。以下、各工程について順に説明する。
図6(A)には半導体層の第1の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図6(A)に示すように、所定の基板2上に、MOVPE法を用いて、核形成層3、バッファ層4、及び傾斜Al組成のバッファ層10が順次成長される。基板2には、例えば、半絶縁性SiC基板が用いられる。基板2上に、核形成層3として、例えば、厚さ100nmのAlN層が成長される。核形成層3上に、バッファ層4として、例えば、厚さ500nmのAl0.3Ga0.7N層が成長される。バッファ層4上に、傾斜Al組成のバッファ層10として、その面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する、厚さ200nmのAlGa1-xN層(0≦x≦1)が成長される。例えば、面10a側から面10b側に向かってAl組成が一定のレートで減少するように、バッファ層10が成長される。
バッファ層10の分極pドーピング濃度Na[cm-3]は、面10a側のAl組成をc1、面10b側のAl組成をc2、厚さをt1[cm]とした時、Na=3.25×1013×(c1-c2)/t1で表される。バッファ層10の分極pドーピング濃度Na[cm-3]は、Na≧1×1017[cm-3]となるように設定されることが好ましい。例えば、バッファ層10の面10a側のAl組成c1=0.3、面10b側のAl組成c2=0.0とすれば、分極pドーピング濃度Na=4.87×1017[cm-3]となる。
尚、ここでは、傾斜Al組成のバッファ層10としてAlGa1-xN層(0≦x≦1)を用いる例を示すが、バッファ層10には、前述のように、InAlN、InAlGaN等を含む層が用いられてもよい。
図6(B)には半導体層の第2の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
傾斜Al組成のバッファ層10の形成後、図6(B)に示すように、そのバッファ層10の面10b上に、MOVPE法を用いて、チャネル層20及びバリア層30が順次成長される。バッファ層10の面10b上に、チャネル層20として、例えば、厚さ50nmのGaN層が成長される。チャネル層20の面20a上に、バリア層30として、例えば、厚さ20nmのAl0.3Ga0.7N層が成長される。
尚、チャネル層20とバリア層30との間には、AlN等のスペーサ層が設けられてもよく、バリア層30の面30a上には、GaN等のキャップ層が設けられてもよい。
図6(A)及び図6(B)に示した、MOVPE法を用いた上記各層の成長において、GaNの成長には、Ga(ガリウム)源であるトリメチルガリウム(Tri-Methyl-Gallium;TMGa)とNH(アンモニア)との混合ガスが用いられる。AlGaNの成長には、Al源であるトリメチルアルミニウム(Tri-Methyl-Aluminum;TMAl)とTMGaとNHとの混合ガスが用いられる。AlNの成長には、TMAlとNHとの混合ガスが用いられる。また、InAlGaNを成長する場合には、In源であるトリメチルインジウム(Tri-Methyl-Indium;TMIn)とTMAlとTMGaとNHとの混合ガスが用いられる。InAlNを成長する場合には、TMInとTMAlとNHとの混合ガスが用いられる。成長する窒化物半導体に応じて、TMGa、TMAl、TMIn等の原料の供給と停止(切り替え)、供給時の流量(他原料との混合比)が適宜設定される。キャリアガスには、H(水素)又はN(窒素)が用いられる。成長圧力は、1kPa~100kPa程度、成長温度は700℃~1200℃程度とされる。
基板2上に、図6(A)に示すような核形成層3、バッファ層4及び傾斜Al組成のバッファ層10、並びに図6(B)に示すようなチャネル層20及びバリア層30といった窒化物半導体層が形成された後、素子間分離領域(図示せず)が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術を用いて、素子間分離領域を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。そして、形成されたレジストパターンをマスクとして、その開口部の窒化物半導体層に対し、Cl(塩素)系ガスを用いたドライエッチング、又はAr(アルゴン)等のイオン注入が行われ、素子間分離領域が形成される。素子分離領域の形成後、マスクとして用いたレジストパターンは、有機溶剤等を用いて除去される。
図7(A)にはソース電極及びドレイン電極の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
基板2上の窒化物半導体層及び素子間分離領域(図示せず)の形成後、図7(A)に示すように、ソース電極50及びドレイン電極60が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ソース電極50及びドレイン電極60を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ20nmのTaが蒸着され、その上に厚さ200nmのAlが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、窒化物半導体層上、この例ではバリア層30上に、ソース電極50及びドレイン電極60が形成される。その後、窒素雰囲気中、400℃~1000℃、例えば、550℃で熱処理(合金化処理)が行われることで、ソース電極50及びドレイン電極60のオーミックコンタクトが確立される。これにより、オーミック電極として機能するソース電極50及びドレイン電極60が形成される。
図7(B)にはパッシベーション膜の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
ソース電極50及びドレイン電極60の形成後、図7(B)に示すように、ソース電極50及びドレイン電極60が形成された窒化物半導体層上に、パッシベーション膜70が形成される。例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、厚さ2nm~500nm、例えば、厚さ100nmのパッシベーション膜70が形成される。パッシベーション膜70の形成には、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法、スパッタ法等が用いられてもよい。パッシベーション膜70には、例えば、Si、Al、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、Ta及びW(タングステン)の少なくとも1種を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物が用いられる。例えば、パッシベーション膜70として、SiN(窒化シリコン)膜が形成される。
図8(A)にはパッシベーション膜の開口部の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
パッシベーション膜70の形成後、図8(A)に示すように、ゲート電極40を形成する領域のパッシベーション膜70が除去され、窒化物半導体層の一部、この例ではバリア層30の一部を露出させる開口部70aが形成される。その際は、まず、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極40を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成され、それをマスクとしてドライエッチングが行われる。このエッチングにより、レジストパターンの開口部から露出するパッシベーション膜70が除去され、パッシベーション膜70に開口部70aが形成される。パッシベーション膜70のエッチングは、例えば、F(フッ素)系又はCl系ガスを用いたドライエッチングによって行われる。このほか、パッシベーション膜70のエッチングは、フッ酸やバッファードフッ酸等を用いたウェットエッチングによって行われてもよい。パッシベーション膜70のエッチング後、マスクとして用いたレジストパターンは、有機溶剤等を用いて除去される。
図8(B)にはゲート電極の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
パッシベーション膜70の開口部70aの形成後、図8(B)に示すように、ゲート電極40が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極40を形成する領域であってパッシベーション膜70の開口部70aを包含する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ30nmのNiが蒸着され、その上に厚さ400nmのAuが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、パッシベーション膜70の開口部70aのバリア層30上、及び開口部70aの外側のパッシベーション膜70上に、ショットキー電極として機能するゲート電極40が形成される。
以上のような工程により、図8(B)に示すような構成を有する半導体装置1Aaが形成される。面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が設けられることで、閾値電圧が高く、オフリーク電流が低い、高性能の半導体装置1Aaが実現される。
尚、半導体装置1Aaのゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60に用いる金属の種類及び層構造は上記の例に限定されるものではなく、それらの形成方法も上記の例に限定されるものではない。ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60にはそれぞれ、単層構造が用いられてもよいし、積層構造が用いられてもよい。ソース電極50及びドレイン電極60の形成時には、それらの電極用金属の形成によってオーミックコンタクトが実現されるようであれば、必ずしも上記のような熱処理が行われることを要しない。ゲート電極40の形成時には、その電極用金属の形成後、更に熱処理が行われてもよい。
ここでは、基板2として、半絶縁性SiC基板を用いる例を示したが、FETの機能を持つ構造部に窒化物半導体が用いられていれば、他の基板材料が用いられてもよい。基板2には、半絶縁性基板が用いられてもよいし、導電性基板が用いられてもよい。基板2には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイア基板、GaN基板、AlN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
ここでは、半導体装置1Aaにショットキー電極として機能するゲート電極40を設ける例を示したが、ゲート電極40とバリア層30との間に、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜を設け、MIS型ゲート構造としてもよい。
[第2の実施の形態]
図9は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図9には第2の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図9に示す半導体装置1Bは、HEMTの一例である。半導体装置1Bは、バッファ層10、チャネル層20、バリア層80、ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60を有する。半導体装置1Bでは、バリア層80として、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有し、チャネル層20側から、それとは反対側の面80a側に向かって、Al組成が増加する傾斜Al組成のバリア層80が設けられる。半導体装置1Bは、このような構成を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1A等と相違する。尚、バリア層80の詳細については後述する。
半導体装置1Bにおいて、バッファ層10及びチャネル層20にはそれぞれ、上記第1の実施の形態で半導体装置1A等について述べたのと同様のものを用いることができる。即ち、バッファ層10には、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有し、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が用いられる。傾斜Al組成のバッファ層10には、AlGaN、InAlN又はInAlGaNのほか、AlGaN、InAlN及びInAlGaNのうちの2種以上が組み合わされたものを用いることができる。傾斜Al組成のバッファ層10の最下層にはAlNの層が含まれてもよく、最上層にはGaN、InN又はInGaNの層が含まれてもよい。また、チャネル層20には、GaN、AlGaN、InGaN等の窒化物半導体が用いられる。チャネル層20の、傾斜Al組成のバリア層80との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。
ここで、傾斜Al組成のバリア層80について述べる。
図10は窒化物半導体のAl組成と自発分極の関係について説明する図である。図10(A)はAlNの層の自発分極の様子を模式的に示す図である。図10(B)はGaN等の層の自発分極の様子を模式的に示す図である。図10(C)はAlGaN等の層の自発分極の様子を模式的に示す図である。
窒化物半導体は、[0001]方向(c軸)に沿った自発分極を有する。前述のように、AlNの自発分極は、-0.081C/mであり、GaNの自発分極は、-0.029C/mであり、InNの自発分極は、-0.032C/mである。GaN及びInNは、同程度の自発分極を有している一方、AlNは、それらよりも強い自発分極を有している。
分極電荷は、(0001)面を用いた場合、例えば、図10(A)及び図10(B)に示すように、窒化物半導体の層150a及び層150bの各々の上端側に負電荷(「-」で図示)が生じ、下端側に正電荷(「+」で図示)が生じる。AlNは、GaNよりも自発分極が強いため、AlNの層150aに生じる電荷量は、GaNの層150bに生じる電荷量よりも大きくなる。尚、InNは、GaNと同程度の自発分極を有しているため、InN、及びGaNの一部がInNで置換されたInGaNについても、GaNと同様のことが言える(図10(B))。
GaNの一部がAlNで置換されたAlGaN(或いはAlNの一部がGaNで置換されたAlGaN)は、そのAl組成に応じて、AlNとGaNの中間の電荷量となる。この時、AlGaNのAl組成を、その層の上端に向かって増加させると、その層内における下層部の上端側に生じる比較的小さな負電荷量が、その直上に積層される上層部の下端側に生じる比較的大きな正電荷量と相殺されるようになる。そのため、それらを含む層全体では、図10(C)に示す層150dのように自発分極が発生し、その層150d中の広範囲に正電荷が発生するようになる。Al組成を層150dの上端に向かって増加させたAlGaNは、このように層150d中の広範囲に正電荷が発生することで、即ち、層150d中に広がる正の固定電荷が発生することで、n型半導体の性質(「n型半導体性」とも言う)を発現するようになる。ここでは、このようにAl組成を変化させることによってn型半導体性を発現させることを、「分極nドーピング」と言う。
尚、InN及びGaNは、同程度の自発分極を有しているため、InNの一部がAlNで置換されたInAlN、及びGaNの一部がInNで置換されたInGaNのその一部がAlNで置換されたInAlGaNについても、AlGaNと同様のことが言える。
上記図9に示した半導体装置1Bでは、このようにAl組成をチャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かって増加させることでn型半導体性を発現するようになる、傾斜Al組成の窒化物半導体が、バリア層80に用いられる。
例えば、半導体装置1Bにおいて、傾斜Al組成のバリア層80には、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が高くなるAlGaNを用いることができる。傾斜Al組成のバリア層80には、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が高くなるInAlNを用いることもできる。傾斜Al組成のバリア層80には、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が高くなるInAlGaNを用いることもできる。また、傾斜Al組成のバリア層80には、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が高くなるものであれば、AlGaN、InAlN及びInAlGaNのうちの2種以上が組み合わされたものが用いられてもよい。傾斜Al組成のバリア層80の最上層(ソース電極50及びドレイン電極60が設けられる側)には、AlNの層が含まれてもよく、傾斜Al組成のバリア層80の最下層(チャネル層20が設けられる側)には、GaN、InN又はInGaNの層が含まれてもよい。
傾斜Al組成のバリア層80には、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する窒化物半導体を用いることができ、少なくとも一部にInAlGa1-(p+q)N(0≦p<1,0<q≦1,0<p+q≦1)で表される窒化物半導体を含むものを用いることができる。傾斜Al組成のバリア層80は、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が高くなるように、チャネル層20の面20a上に、MOVPE法等を用いて形成される。
図11は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。図11(A)には傾斜Al組成のバッファ層及びバリア層が設けられた半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(B)には傾斜Al組成のバッファ層及びバリア層が設けられた半導体装置の一例のバンド構造を示している。図11(B)において、Ecは伝導帯、Evは価電子帯、Efはフェルミ準位を表している。図11(B)には傾斜Al組成のバッファ層及びバリア層が設けられた半導体装置のバンド構造を実線で表している。図11(B)には比較のため、バッファ層及びバリア層が傾斜Al組成とされない半導体装置のバンド構造を点線で表している。
図11(A)に示す半導体装置1Bでは、上記半導体装置1Aと同様に、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少するAlGa1-xN(0≦x≦1)のバッファ層10が設けられる。図11(A)に示す半導体装置1Bでは、このようなバッファ層10の面10b上に、GaNのチャネル層20が設けられ、そのチャネル層20の面20a上に、バリア層80が設けられる。チャネル層20の、バリア層80との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。図11(A)に示す半導体装置1Bでは、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かってAl組成が増加するAlGa1-yN(0≦y≦1)のバリア層80が設けられる。図11(A)に示す半導体装置1Bでは、このようなバリア層80の面80a上に、ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60が設けられる。このような構成を有する半導体装置1Bのバンド構造は、例えば、図11(B)に実線で示すようなものとなる。
半導体装置1Bにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバッファ層10では、その層中に負の固定電荷が発生し(図4(C))、p型半導体性が発現する。半導体装置1Bにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバリア層80では、その層中に正の固定電荷が発生し(図10(C))、n型半導体性が発現する。半導体装置1Bでは、バッファ層10が傾斜Al組成とされない場合に比べて、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられる。半導体装置1Bでは更に、バリア層80が傾斜Al組成とされない場合に比べて、バリア層80のバンドが押し下げられる。即ち、バッファ層10及びバリア層80が傾斜Al組成とされない半導体装置では、例えば、図11(B)に点線で示すように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが比較的低くなり、バリア層80のバンドが比較的高くなる。これに対し、傾斜Al組成のバッファ層10及びバリア層80が設けられる半導体装置1Bでは、バッファ層10のp型半導体性により、例えば、図11(B)に実線で示すように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられて比較的高くなる。半導体装置1Bでは更に、バリア層80のn型半導体性により、例えば、図11(B)に実線で示すように、バリア層80のバンドが押し下げられて比較的低くなる。
半導体装置1Bでは、このようにバッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられることで、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。半導体装置1Bでは更に、バリア層80のバンドが押し下げられることで、バリア層80との接合界面近傍のチャネル層20に生成される2DEG1aが増加され、オン抵抗が低減される。傾斜Al組成のバッファ層10及びバリア層80が設けられることで、傾斜Al組成のバッファ層10によってオフリーク電流が低減され、傾斜Al組成のバリア層80によってオン抵抗が低減され、高効率且つ高出力で動作する、高性能の半導体装置1Bが実現される。
半導体装置1Bにおいて、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かってAl組成が増加する傾斜Al組成のバリア層80は、そのn型半導体性の程度、即ち、バリア層80中に広がる正の固定電荷の濃度(「分極nドーピング濃度」とも言う)を、所定の範囲に設定することが好ましい。例えば、バリア層80は、次の式(2)を満たすように、分極nドーピング濃度が設定される。
3.25×1013×(c4-c3)/t2≧5×1017[cm-3]・・・(2)
式(2)において、c3は、バリア層80のチャネル層20側のAl組成を示す。c4は、バリア層80の、チャネル層20側とは反対側、即ち、面80a側のAl組成を示す。t2は、バリア層80の厚さ、即ち、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側までの厚さ[cm]を示す。
バリア層80の分極nドーピング濃度が、式(2)のような関係を満たすように設定されることで、バリア層80のバンドを効果的に押し下げ、低オン抵抗を可能にする、十分なn型半導体性が、バリア層80に発現される。
続いて、第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法について述べる。
図12~図14は第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図12(A)、図12(B)、図13(A)、図13(B)、図14(A)及び図14(B)にはそれぞれ、第2の実施の形態に係る半導体装置形成の一例の各工程の要部断面図を模式的に示している。以下、各工程について順に説明する。
図12(A)には半導体層の第1の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図12(A)に示すように、所定の基板2上に、MOVPE法を用いて、核形成層3、バッファ層4、及び傾斜Al組成のバッファ層10が順次成長される。基板2には、例えば、半絶縁性SiC基板が用いられる。基板2上に、核形成層3として、例えば、厚さ100nmのAlN層が成長される。核形成層3上に、バッファ層4として、例えば、厚さ500nmのAl0.3Ga0.7N層が成長される。バッファ層4上に、傾斜Al組成のバッファ層10として、その面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する、厚さ200nmのAlGa1-xN層(0≦x≦1)が成長される。例えば、面10a側から面10b側に向かってAl組成が一定のレートで減少するように、バッファ層10が成長される。
バッファ層10の分極pドーピング濃度Na[cm-3]は、面10a側のAl組成をc1、面10b側のAl組成をc2、厚さをt1[cm]とした時、Na=3.25×1013×(c1-c2)/t1で表される。バッファ層10の分極pドーピング濃度Na[cm-3]は、Na≧1×1017[cm-3]となるように設定されることが好ましい。例えば、バッファ層10の面10a側のAl組成c1=0.3、面10b側のAl組成c2=0.0とすれば、分極pドーピング濃度Na=4.87×1017[cm-3]となる。
尚、ここでは、傾斜Al組成のバッファ層10としてAlGa1-xN層(0≦x≦1)を用いる例を示すが、バッファ層10には、前述のように、InAlN、InAlGaN等を含む層が用いられてもよい。
図12(B)には半導体層の第2の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
傾斜Al組成のバッファ層10の形成後、図12(B)に示すように、そのバッファ層10の面10b上に、MOVPE法を用いて、チャネル層20及びバリア層80が順次成長される。バッファ層10の面10b上に、チャネル層20として、例えば、厚さ50nmのGaN層が成長される。チャネル層20の面20a上に、傾斜Al組成のバリア層80として、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かってAl組成が増加する、厚さ20nmのAlGa1-yN層(0≦y≦1)が成長される。例えば、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が一定のレートで増加するように、バリア層80が成長される。
バリア層80の分極nドーピング濃度Nd[cm-3]は、チャネル層20側のAl組成をc3、面80a側のAl組成をc4、厚さをt2[cm]とした時、Nd=3.25×1013×(c4-c3)/t2で表される。バリア層80の分極nドーピング濃度Nd[cm-3]は、Nd≧5×1017[cm-3]となるように設定されることが好ましい。例えば、バリア層80のチャネル層20側のAl組成c3=0.1、バリア層80の面80a側のAl組成c4=0.3とすれば、分極nドーピング濃度Nd=3.25×1018[cm-3]となる。
尚、ここでは、傾斜Al組成のバリア層80としてAlGa1-yN層(0≦y≦1)を用いる例を示すが、バリア層80には、前述のように、InAlN、InAlGaN等を含む層が用いられてもよい。
尚、チャネル層20とバリア層80との間には、AlN等のスペーサ層が設けられてもよく、バリア層80の面80a上には、GaN等のキャップ層が設けられてもよい。
基板2上に、図12(A)に示すような核形成層3、バッファ層4及び傾斜Al組成のバッファ層10、並びに図12(B)に示すようなチャネル層20及び傾斜Al組成のバリア層80といった窒化物半導体層が形成された後、素子間分離領域(図示せず)が形成される。例えば、Cl系ガスを用いたドライエッチング、又はAr等のイオン注入により、素子間分離領域が形成される。
図13(A)にはソース電極及びドレイン電極の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
基板2上の窒化物半導体層及び素子間分離領域(図示せず)の形成後、図13(A)に示すように、ソース電極50及びドレイン電極60が形成される。例えば、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術、並びに熱処理技術が用いられ、オーミック電極として機能するソース電極50及びドレイン電極60が形成される。
図13(B)にはパッシベーション膜の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
ソース電極50及びドレイン電極60の形成後、図13(B)に示すように、ソース電極50及びドレイン電極60が形成された窒化物半導体層上に、パッシベーション膜70が形成される。例えば、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、プラズマCVD法等を用いて、厚さ2nm~500nm、例えば、厚さ100nmのSiN膜が、パッシベーション膜70として形成される。
図14(A)にはパッシベーション膜の開口部の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
パッシベーション膜70の形成後、図14(A)に示すように、ゲート電極40を形成する領域のパッシベーション膜70が除去され、窒化物半導体層の一部、この例ではバリア層80の一部を露出させる開口部70aが形成される。例えば、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術が用いられ、パッシベーション膜70に開口部70aが形成される。
図14(B)にはゲート電極の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
パッシベーション膜70の開口部70aの形成後、図14(B)に示すように、ゲート電極40が形成される。例えば、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術が用いられ、パッシベーション膜70の開口部70a内及びその外側に、ショットキー電極として機能するゲート電極40が形成される。
以上のような工程により、図14(B)に示すような構成を有する半導体装置1Baが形成される。半導体装置1Baでは、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10、及びチャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が増加する傾斜Al組成のバリア層80が設けられる。これにより、オフリーク電流及びオン抵抗が低減され、高効率且つ高出力で動作する、高性能の半導体装置1Baが実現される。
尚、半導体装置1Baのゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60に用いる金属の種類及び層構造は上記の例に限定されるものではなく、それらの形成方法も上記の例に限定されるものではない。ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60にはそれぞれ、単層構造が用いられてもよいし、積層構造が用いられてもよい。ソース電極50及びドレイン電極60の形成時には、それらの電極用金属の形成によってオーミックコンタクトが実現されるようであれば、必ずしも上記のような熱処理が行われることを要しない。ゲート電極40の形成時には、その電極用金属の形成後、更に熱処理が行われてもよい。
ここでは、基板2として、半絶縁性SiC基板を用いる例を示したが、FETの機能を持つ構造部に窒化物半導体が用いられていれば、他の基板材料が用いられてもよい。基板2には、半絶縁性基板が用いられてもよいし、導電性基板が用いられてもよい。基板2には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイア基板、GaN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
ここでは、半導体装置1Baにショットキー電極として機能するゲート電極40を設ける例を示したが、ゲート電極40とバリア層80との間に、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜を設け、MIS型ゲート構造としてもよい。
[第3の実施の形態]
図15は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図15には第3の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図15に示す半導体装置1Cは、HEMTの一例である。半導体装置1Cは、傾斜Al組成のバリア層80にリセス83が設けられ、そのリセス83にゲート電極40が設けられた構成を有する。半導体装置1Cは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1B等と相違する。
半導体装置1Cのバリア層80には、例えば、チャネル層20の面20aには達しない、有底のリセス83が設けられる。リセス83が設けられることで、バリア層80には、チャネル層20側からそれとは反対側(面80a側)に向かう方向の厚さ(チャネル層20の面20aからの高さ)が、比較的薄い厚さT1の部位81と、比較的厚い厚さT2の部位82とが設けられる。比較的薄い厚さT1の部位81は、ゲート電極40直下に設けられる。比較的厚い厚さT2の部位82は、ゲート電極40とソース電極50との間及びソース電極50の直下、並びにゲート電極40とドレイン電極60との間及びドレイン電極60の直下に、設けられる。
尚、ソース電極50及びドレイン電極60の直下には、バリア層80を貫通するか、或いはバリア層80を貫通してチャネル層20に達するリセスに形成される、n-GaN等の再成長層がコンタクト層として設けられてもよい。
半導体装置1Cでは、ゲート電極40直下のバリア層80にリセス83が設けられることで、ゲート電極40直下のバリア層80が薄くなり、分極が弱められ、チャネル層20に生成される2DEG1a(全部又は一部)が消失する。これにより、ノーマリオフ型の半導体装置1Cが実現される。
また、半導体装置1Cでは、そのバリア層80に、チャネル層20側から面80a側に向かってAl組成が増加する傾斜Al組成が採用される。そのため、ゲート電極40直下の、バリア層80の薄い部位81には、比較的Al組成の低い窒化物半導体が残るようになる。従って、比較的Al組成の高い窒化物半導体を残す場合に比べて、ゲート電極40直下のバリア層80を薄くすることによる2DEG1aの減少量が大きくなる。
このように半導体装置1Cでは、傾斜Al組成のバッファ層10及びバリア層80が設けられ、その傾斜Al組成のバリア層80の、ゲート電極40が設けられる部位81に、リセス83が設けられる。これにより、傾斜Al組成のバッファ層10によってオフリーク電流が低減され、傾斜Al組成のバリア層80によってオン抵抗が低減され、高効率且つ高出力で動作する、ノーマリオフ型の高性能の半導体装置1Cが実現される。
図16は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造について説明する図である。図16(A)には傾斜Al組成のバッファ層及びバリア層が設けられ、ゲート電極直下のバリア層にリセスが設けられた半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図16(B)及び図16(C)には傾斜Al組成のバッファ層及びバリア層が設けられ、ゲート電極直下のバリア層にリセスが設けられた半導体装置の一例のバンド構造を示している。ここで、図16(B)にはゲート電極直下のバンド構造を示し、図16(C)にはゲート電極直下以外のバンド構造を示している。図16(B)及び図16(C)において、Ecは伝導帯、Evは価電子帯、Efはフェルミ準位を表している。
図16(A)に示す半導体装置1Cでは、上記半導体装置1Bと同様に、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少するAlGa1-xN(0≦x≦1)のバッファ層10が設けられる。図16(A)に示す半導体装置1Cでは、このようなバッファ層10の面10b上に、GaNのチャネル層20が設けられ、そのチャネル層20の面20a上に、バリア層80が設けられる。チャネル層20の、バリア層80との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。図16(A)に示す半導体装置1Cでは、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かってAl組成が増加するAlGa1-yN(0≦y≦1)のバリア層80が設けられる。図16(A)に示す半導体装置1Cでは、バリア層80にリセス83が設けられ、比較的薄い厚さT1の部位81と、比較的厚い厚さT2の部位82とが形成される。図16(A)に示す半導体装置1Cでは、このようなバリア層80のリセス83の部位81に、ゲート電極40が設けられ、バリア層80の部位82の面80a上に、ソース電極50及びドレイン電極60が設けられる。このような構成を有する半導体装置1Cのバンド構造は、例えば、図16(B)及び図16(C)に示すようなものとなる。
半導体装置1Cにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバッファ層10では、その層中に負の固定電荷が発生し(図4(C))、p型半導体性が発現する。半導体装置1Cにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバリア層80では、その層中に正の固定電荷が発生し(図10(C))、n型半導体性が発現する。半導体装置1Cでは、バッファ層10のp型半導体性により、例えば、図16(B)及び図16(C)に示すように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられる。更に、半導体装置1Cのゲート電極40直下では、n型半導体性のバリア層80にリセス83が形成され、比較的薄い部位81が形成されることで、分極が弱められ、例えば、図16(B)に示すように、チャネル層20に生成される2DEG1aが消失する。半導体装置1Cのゲート電極40直下以外では、n型半導体性のバリア層80の、比較的厚い部位82により、例えば、図16(C)に示すように、バリア層80のバンドが押し下げられる。
半導体装置1Cでは、このようにバッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられることで、閾値電圧が高められてオフリーク電流が低減される。半導体装置1Cでは更に、ゲート電極40直下においては分極が弱められることで、2DEG1aが消失されてノーマリオフ化され、ゲート電極40直下以外ではバンドが押し下げられることで、2DEG1aが増加されてオン抵抗が低減される。傾斜Al組成のバッファ層10及びバリア層80が設けられ、ゲート電極40直下のバリア層80にリセス83が設けられることで、オフリーク電流及びオン抵抗が低減され、高効率且つ高出力で動作する、ノーマリオフ型の高性能の半導体装置1Cが実現される。
続いて、第3の実施の形態に係る半導体装置の形成方法について述べる。
図17は第3の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図17(A)及び図17(B)にはそれぞれ、第3の実施の形態に係る半導体装置形成の一例の各工程の要部断面図を模式的に示している。
図17(A)にはバリア層のリセスの形成工程の要部断面図を模式的に示している。
第3の実施の形態では、上記第2の実施の形態で述べた図12(A)、図12(B)、図13(A)、図13(B)及び図14(A)の工程までは同じとすることができる。第3の実施の形態では、図14(A)の工程後、図17(A)に示すように、パッシベーション膜70又はその上に形成されるレジストパターン(図示せず)をマスクとして、バリア層80のエッチングが行われる。バリア層80のエッチングは、例えば、Cl系ガスを用いたドライエッチングによって行われる。これにより、バリア層80に、パッシベーション膜70の開口部70aに連通するリセス83が形成される。バリア層80のエッチングでは、例えば、チャネル層20の面20aからリセス83の底面までの高さが2nm以上となるようにする。
図17(B)にはゲート電極の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
バリア層80のリセス83の形成後、図17(B)に示すように、ゲート電極40が形成される。例えば、上記同様に、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術が用いられ、バリア層80のリセス83内、パッシベーション膜70の開口部70a内及びその外側に、ショットキー電極として機能するゲート電極40が形成される。
以上のような工程により、図17(B)に示すような構成を有する半導体装置1Caが形成される。
尚、半導体装置1Caのゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60に用いる金属の種類及び層構造は上記の例に限定されるものではなく、それらの形成方法も上記の例に限定されるものではない。ソース電極50及びドレイン電極60の形成時には、それらの電極用金属の形成によってオーミックコンタクトが実現されるようであれば、必ずしも上記のような熱処理が行われることを要しない。ゲート電極40の形成時には、その電極用金属の形成後、更に熱処理が行われてもよい。
基板2には、半絶縁性基板が用いられてもよいし、導電性基板が用いられてもよい。基板2には、半絶縁性SiC基板のほか、導電性SiC基板、サファイア基板、GaN基板、Si基板、ダイヤモンド基板等が用いられてもよい。
ここでは、半導体装置1Caにショットキー電極として機能するゲート電極40を設ける例を示したが、ゲート電極40と、バリア層80のリセス83の内面との間に、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜を設け、MIS型ゲート構造としてもよい。
ここでは、バリア層80に、チャネル層20の面20aには達しないリセス83を設ける例を示したが、チャネル層20の面20aに達するリセス83を設けることもできる。この場合、リセス83に設けられるゲート電極40と、リセス83の側面及びリセス83の底面のチャネル層20の面20aとの間には、ゲート絶縁膜が設けられてもよい。
また、ここでは、傾斜Al組成のバリア層80にリセス83を設ける例を示したが、均一組成のAlGaN等のバリア層、例えば、上記第1の実施の形態で述べたバリア層30にリセスを設け、ゲート電極40直下の2DEG1aを消失させるようにしてもよい。
[第4の実施の形態]
図18は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図18(A)には第4の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図18(B)には第4の実施の形態に係る半導体装置の一例のバンド構造を示している。図18(B)において、Ecは伝導帯、Evは価電子帯、Efはフェルミ準位を表している。
図18(A)に示す半導体装置1Dは、HEMTの一例である。半導体装置1Dは、傾斜Al組成のバリア層80の面80a上に更に、傾斜Al組成のバリア層90が設けられた構成を有する。半導体装置1Dは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1B等と相違する。
図18(A)に示す半導体装置1Dでは、上記半導体装置1Bと同様に、面10a側から面10b側に向かってAl組成が減少するAlGa1-xN(0≦x≦1)のバッファ層10が設けられる。図18(A)に示す半導体装置1Dでは、このようなバッファ層10の面10b上に、GaNのチャネル層20が設けられ、そのチャネル層20の面20a上に、バリア層80が設けられる。チャネル層20の、バリア層80との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。図18(A)に示す半導体装置1Dでは、チャネル層20側からそれとは反対側の面80a側に向かってAl組成が増加するAlGa1-yN(0≦y≦1)のバリア層80が設けられる。図18(A)に示す半導体装置1Dでは更に、バリア層80の面80a上に、バリア層80側からそれとは反対側の面90a側に向かってAl組成が増加するAlGa1-zN(0≦z≦1)のバリア層90が設けられる。例えば、バリア層90の、バリア層80の面80aとの界面におけるAl組成は、そのバリア層80の面80aのAl組成よりも小さくなるように設定される。図18(A)に示す半導体装置1Dでは、このようなバリア層90の面90a上に、ゲート電極40、ソース電極50及びドレイン電極60が設けられる。このような構成を有する半導体装置1Dのバンド構造は、例えば、図18(B)に示すようなものとなる。
半導体装置1Dにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバッファ層10では、その層中に負の固定電荷が発生し(図4(C))、p型半導体性が発現する。半導体装置1Dにおいて、上記のような傾斜Al組成とされたバリア層80及びバリア層90では、その層中に正の固定電荷が発生し(図10(C))、n型半導体性が発現する。半導体装置1Dでは、傾斜Al組成とされたバッファ層10のp型半導体性により、例えば、図18(B)に示すように、バッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられる。半導体装置1Dでは、バリア層80のn型半導体性により、例えば、図18(B)に示すように、バリア層80のバンドが押し下げられる。半導体装置1Dでは更に、傾斜Al組成とされ、バリア層80の面80aとの界面におけるAl組成を当該面80aのAl組成よりも小さくしたバリア層90により、例えば、図18(B)に示すように、当該面80aとの界面にエネルギー障壁が形成される。
半導体装置1Dでは、このようにバッファ層10及びチャネル層20のバンドが押し上げられることで、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。半導体装置1Dでは、バリア層80のバンドが押し下げられることで、チャネル層20に生成される2DEG1aが増加され、オン抵抗が低減される。半導体装置1Dでは更に、バリア層80上に、エネルギー障壁を形成するバリア層90が設けられることで、リーク電流が低減される。傾斜Al組成のバッファ層10、バリア層80及びバリア層90が設けられることで、オフリーク電流、オン抵抗及びリーク電流が低減され、高効率且つ高出力で動作する、高性能の半導体装置1Dが実現される。
続いて、第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法について述べる。
図19は第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図19(A)及び図19(B)にはそれぞれ、第4の実施の形態に係る半導体装置形成の一例の各工程の要部断面図を模式的に示している。
図19(A)には半導体層の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
第4の実施の形態では、上記第2の実施の形態で述べた図12(A)及び図12(B)の工程までは同じとすることができる。第4の実施の形態では、図12(B)の工程後、図19(A)に示すように、バリア層80の面80a上に、傾斜Al組成のバリア層90として、バリア層80側からそれとは反対側の面90a側に向かってAl組成が増加する、厚さ10nmのAlGa1-zN層(0≦z≦1)が成長される。例えば、バリア層80側から面90a側に向かってAl組成が一定のレートで増加するように、バリア層90が成長される。
バリア層90の分極nドーピング濃度Nd[cm-3]は、バリア層80側のAl組成をc5、面90a側のAl組成をc6、厚さをt3[cm]とした時、Nd=3.25×1013×(c6-c5)/t3で表される。バリア層90の分極nドーピング濃度Nd[cm-3]は、Nd>0[cm-3]となるように設定される。但し、バリア層90のバリア層80側のAl組成c5が、バリア層80の面80a側のAl組成c4よりも小さくなるように、即ち、c5<c4となるように、設定される。これにより、バリア層90とバリア層80との界面に、リーク電流を抑えるエネルギー障壁が形成される。例えば、バリア層90のバリア層80側のAl組成c5=0.1、バリア層90の面90a側のAl組成c6=0.15とすれば、分極nドーピング濃度Nd=1.63×1018[cm-3]となる。
尚、ここでは、傾斜Al組成のバリア層90としてAlGa1-zN層(0≦z≦1)を用いる例を示すが、バリア層80には、前述のように、InAlN、InAlGaN等を含む層が用いられてもよい。
バリア層90の形成後は、上記第2の実施の形態で述べた図13(A)、図13(B)、図14(A)及び図14(B)の工程の例に従い、ソース電極50及びドレイン電極60の形成、パッシベーション膜70及びその開口部70aの形成、ゲート電極40の形成が行われる。これにより、図19(B)に示すような構成を有する半導体装置1Daが形成される。オフリーク電流、オン抵抗及びリーク電流が低減され、高効率且つ高出力で動作する、高性能の半導体装置1Daが実現される。
尚、第4の実施の形態において、ゲート電極40直下のバリア層80及びバリア層90には、上記第3の実施の形態の例に従い、リセスを設けることもできる。
図20は第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の別の例について説明する図である。図20(A)及び図20(B)にはそれぞれ、第4の実施の形態に係る半導体装置形成の別例の各工程の要部断面図を模式的に示している。
ゲート電極40直下のバリア層80及びバリア層90にリセスを形成する場合には、例えば、次のような方法が用いられる。まず、上記のようにバリア層90が形成され、図13(A)、図13(B)及び図14(A)の工程の例に従い、ソース電極50及びドレイン電極60の形成、パッシベーション膜70及びその開口部70aの形成が行われる。その後、図20(A)に示すように、パッシベーション膜70又はその上に形成されるレジストパターン(図示せず)をマスクとして、バリア層90及びバリア層80のエッチングが行われる。これにより、バリア層90及びバリア層80に、パッシベーション膜70の開口部70aに連通するリセス93が形成される。そして、バリア層90及びバリア層80のリセス93の形成後、図20(B)に示すように、ゲート電極40が形成される。これにより、図20(B)に示すような構成を有する半導体装置1Dbが形成される。
半導体装置1Dbでは、ゲート電極40直下のバリア層90及びバリア層80にリセス93が設けられることで、ゲート電極40直下の2DEG1aが消失されてノーマリオフ化される。オフリーク電流、オン抵抗及びリーク電流が低減され、高効率且つ高出力で動作する、ノーマリオフ型の高性能の半導体装置1Dbが実現される。
ここでは、バリア層90として、バリア層80側からそれとは反対側の面90a側に向かってAl組成が増加する傾斜Al組成のバリア層90を設ける例を示した。このほか、バリア層90のバリア層80側のAl組成(c5)が、バリア層80の面80a側のAl組成(c4)よりも小さくなれば(c5<c4)、バリア層90は必ずしも傾斜Al組成にすることを要しない。バリア層90が傾斜Al組成でなくても、バリア層80側のAl組成が、バリア層80の面80a側のAl組成よりも小さければ、バリア層80とバリア層90との界面にエネルギー障壁を形成し、リーク電流を抑えることが可能である。
また、第1の実施の形態で述べたバリア層30の面30a上に、バリア層30側のAl組成が、バリア層30(その面30a)のAl組成よりも小さくなるバリア層90であって、傾斜Al組成とされた又は傾斜Al組成とされないバリア層90が設けられてもよい。このようにしても、バリア層30とバリア層90との界面にエネルギー障壁を形成し、リーク電流を抑えることが可能である。
以上、第1~第4の実施の形態について説明した。
上記第1~第4の実施の形態で述べたような構成を有する半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等は、各種電子装置に適用することができる。一例として、上記のような構成を有する半導体装置を、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
[第5の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、半導体パッケージへの適用例を、第5の実施の形態として説明する。
図21は第5の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。図21には第5の実施の形態に係る半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
図21に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1A(図3)、半導体装置1Aが搭載されたリードフレーム210、及びそれらを封止する樹脂220を含む。
半導体装置1Aは、例えば、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置1Aには、上記ゲート電極40と接続されたパッド40a、ソース電極50と接続されたパッド50a、及びドレイン電極60と接続されたパッド60aが設けられる。パッド40a、パッド50a及びパッド60aはそれぞれ、Au、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置1A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
半導体装置1Aの、ゲート電極40と接続されたパッド40a及びドレイン電極60と接続されたパッド60aが設けられる面とは反対側の面に、ソース電極50と接続された外部接続用電極が設けられてもよい。当該外部接続用電極を、ソースリード212に繋がるダイパッド210aに、半田等の導電性接合材を用いて接続してもよい。
例えば、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。
上記のように、半導体装置1Aでは、チャネル層20の下に、チャネル層20側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる。バッファ層10は、p型半導体性を有し、バッファ層10によってバンドが押し上げられ、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。これにより、電力効率の高い、高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
ここでは、半導体装置1Aを例にしたが、他の半導体装置1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等を用いて同様に半導体パッケージを得ることが可能である。
[第6の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、力率改善回路への適用例を、第6の実施の形態として説明する。
図22は第6の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。図22には第6の実施の形態に係る力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図22に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、上記半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられる。
上記のように、半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等では、チャネル層20の下に、チャネル層20側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる。バッファ層10は、p型半導体性を有し、バッファ層10によってバンドが押し上げられ、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。これにより、電力効率の高い、高性能の半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が実現される。このような半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
[第7の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、電源装置への適用例を、第7の実施の形態として説明する。
図23は第7の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。図23には第7の実施の形態に係る電源装置の一例の等価回路図を示している。
図23に示す電源装置400は、一次側回路410及び二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
一次側回路410には、上記第6の実施の形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数、ここでは一例として4つのスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
二次側回路420には、複数、ここでは一例として3つのスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441~444に、上記半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421~423には、シリコンを用いた通常のMIS型FETが用いられる。
上記のように、半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等では、チャネル層20の下に、チャネル層20側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる。バッファ層10は、p型半導体性を有し、バッファ層10によってバンドが押し上げられ、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。これにより、電力効率の高い、高性能の半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が実現される。このような半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
[第8の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、増幅器への適用例を、第8の実施の形態として説明する。
図24は第8の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。図24には第8の実施の形態に係る増幅器の一例の等価回路図を示している。
図24に示す増幅器500は、デジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530及びパワーアンプ540を含む。
デジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてデジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、上記半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられる。
上記のように、半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等では、チャネル層20の下に、チャネル層20側に向かってAl組成が減少する傾斜Al組成のバッファ層10が設けられる。バッファ層10は、p型半導体性を有し、バッファ層10によってバンドが押し上げられ、閾値電圧が高められ、オフリーク電流が低減される。これにより、電力効率の高い、高性能の半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が実現される。このような半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
上記半導体装置1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db等を適用した各種電子装置(上記第5~第8の実施の形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器又は電子装置に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置、送信器、受信器、レーダー装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層と、
前記バッファ層の前記第2面側に設けられ、第2窒化物半導体を含むチャネル層と、
前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に設けられ、第3窒化物半導体を含む第1バリア層と
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記バッファ層は、前記第1面側のAl組成をc1、前記第2面側のAl組成をc2、前記第1面側から前記第2面側までの厚さをt1[cm]とした時、3.25×1013×(c1-c2)/t1≧1×1017[cm-3]の関係を満たすことを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記チャネル層の、前記バッファ層側から前記第1バリア層側までの厚さが、50nm以下であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記第1バリア層は、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する前記第3窒化物半導体を含み、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、Al組成が増加することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5) 前記第1バリア層は、前記チャネル層側のAl組成をc3、前記チャネル層側とは反対側のAl組成をc4、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側までの厚さをt2[cm]とした時、3.25×1013×(c4-c3)/t2≧5×1017[cm-3]の関係を満たすことを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
(付記6) 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられ、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第4窒化物半導体を含む第2バリア層を有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層側のAl組成が、前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側のAl組成よりも小さいことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7) 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と
を有し、
前記第1バリア層は、
前記ゲート電極と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、第1厚さを有する第1部位と、
前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有する第2部位と
を含むことを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8) 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層の前記第2面側に、第2窒化物半導体を含むチャネル層を形成する工程と、
前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に、第3窒化物半導体を含む第1バリア層を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記第1バリア層を形成する工程は、
Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する前記第3窒化物半導体を含み、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、Al組成が増加する前記第1バリア層を形成する工程を含むことを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第4窒化物半導体を含む第2バリア層を形成する工程を有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層側のAl組成が、前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側のAl組成よりも小さいことを特徴とする付記8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極を形成する工程と
を有し、
前記第1バリア層を形成する工程は、
前記ゲート電極と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、第1厚さを有する第1部位と、
前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有する第2部位と
を形成する工程を含むことを特徴とする付記8乃至10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層と、
前記バッファ層の前記第2面側に設けられ、第2窒化物半導体を含むチャネル層と、
前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に設けられ、第3窒化物半導体を含む第1バリア層と
を有する半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。
1A,1Aa,1B,1Ba,1C,1Ca,1D,1Da,1Db,100A,100B,100C,100D 半導体装置
1a,103 2DEG
2 基板
3 核形成層
4,10 バッファ層
10a,10b,20a,30a,80a,90a 面
20,101,108 チャネル層
30,80,90,102 バリア層
40,105 ゲート電極
40a,50a,60a パッド
50,106 ソース電極
60,107 ドレイン電極
70 パッシベーション膜
70a 開口部
81,82 部位
83,93 リセス
104A,104B キャップ層
109,110 再成長層
111 ゲート絶縁膜
150a,150b,150c,150d 層
200 半導体パッケージ
210 リードフレーム
210a ダイパッド
211 ゲートリード
212 ソースリード
213 ドレインリード
220 樹脂
230 ワイヤ
300 PFC回路
310,421,422,423,441,442,443,444 スイッチ素子
320 ダイオード
330 チョークコイル
340,350 コンデンサ
360 ダイオードブリッジ
370 交流電源
400 電源装置
410 一次側回路
420 二次側回路
430 トランス
440 フルブリッジインバータ回路
500 増幅器
510 デジタルプレディストーション回路
520,530 ミキサー
540 パワーアンプ
T1,T2 厚さ

Claims (9)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層と、
    前記バッファ層の前記第2面側に設けられ、第2窒化物半導体を含むチャネル層と、
    前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に設けられ、第3窒化物半導体を含む第1バリア層と
    を有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記バッファ層は、前記第1面側のAl組成をc1、前記第2面側のAl組成をc2、前記第1面側から前記第2面側までの厚さをt1[cm]とした時、3.25×1013×(c1-c2)/t1≧1×1017[cm-3]の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記チャネル層の、前記バッファ層側から前記第1バリア層側までの厚さが、50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記第1バリア層は、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する前記第3窒化物半導体を含み、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、Al組成が増加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記第1バリア層は、前記チャネル層側のAl組成をc3、前記チャネル層側とは反対側のAl組成をc4、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側までの厚さをt2[cm]とした時、3.25×1013×(c4-c3)/t2≧5×1017[cm-3]の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられ、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第4窒化物半導体を含む第2バリア層を有し、
    前記第2バリア層は、前記第1バリア層側のAl組成が、前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側のAl組成よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられるソース電極及びドレイン電極と、
    前記第1バリア層の、前記チャネル層側とは反対側に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極と
    を有し、
    前記第1バリア層は、
    前記ゲート電極と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、第1厚さを有する第1部位と、
    前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間と対向し、前記チャネル層側から、前記チャネル層側とは反対側に向かって、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有する第2部位と
    を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層を形成する工程と、
    前記バッファ層の前記第2面側に、第2窒化物半導体を含むチャネル層を形成する工程と、
    前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に、第3窒化物半導体を含む第1バリア層を形成する工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、Alと、Ga及びInのうちの少なくとも一方とを含有する第1窒化物半導体を含み、前記第1面側から前記第2面側に向かって、Al組成が減少するバッファ層と、
    前記バッファ層の前記第2面側に設けられ、第2窒化物半導体を含むチャネル層と、
    前記チャネル層の、前記バッファ層側とは反対側に設けられ、第3窒化物半導体を含む第1バリア層と
    を有する半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。
JP2021125003A 2021-07-30 2021-07-30 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 Pending JP2023019923A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021125003A JP2023019923A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021125003A JP2023019923A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023019923A true JP2023019923A (ja) 2023-02-09

Family

ID=85160086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021125003A Pending JP2023019923A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023019923A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9478539B1 (en) Compound semiconductor device and method of manufacturing the same
US8569797B2 (en) Field effect transistor and method of manufacturing the same
TWI485850B (zh) 化合物半導體裝置及其製造方法
US8669592B2 (en) Compound semiconductor device and method for fabricating the same
US20130082336A1 (en) Semiconductor device and method for fabricating the same
JP5765171B2 (ja) 化合物半導体装置の製造方法
JP6035721B2 (ja) 半導体装置の製造方法
US20130083567A1 (en) Compound semiconductor device and method for fabricating the same
US20130256683A1 (en) Compound semiconductor and method of manufacturing the same
US10600901B2 (en) Compound semiconductor device and manufacturing method thereof
JP2014027187A (ja) 化合物半導体装置及びその製造方法
US20140084345A1 (en) Compound semiconductor device and method of manufacturing the same
US10665710B2 (en) Compound semiconductor device and fabrication method
JP2006286698A (ja) 電子デバイス及び電力変換装置
JP2022061810A (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP2023019923A (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
US20120241759A1 (en) Nitride semiconductor device and electronic device
US20240006526A1 (en) Semiconductor device, method for manufacturing semiconductor device, and electronic device
US20230231045A1 (en) Semiconductor device, method for manufacturing semiconductor device, and electronic device
JP7231824B2 (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP2022076302A (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP7231826B2 (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP2023137759A (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP2022166890A (ja) 半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
JP6020043B2 (ja) 化合物半導体装置及びその製造方法