JP2023018982A - 熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023018982A
JP2023018982A JP2021123402A JP2021123402A JP2023018982A JP 2023018982 A JP2023018982 A JP 2023018982A JP 2021123402 A JP2021123402 A JP 2021123402A JP 2021123402 A JP2021123402 A JP 2021123402A JP 2023018982 A JP2023018982 A JP 2023018982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot
less
steel sheet
rolled steel
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021123402A
Other languages
English (en)
Inventor
正春 岡
Masaharu Oka
啓達 小嶋
Hirotatsu Kojima
充 吉田
Mitsuru Yoshida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2021123402A priority Critical patent/JP2023018982A/ja
Publication of JP2023018982A publication Critical patent/JP2023018982A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】高強度、優れた延性、及び優れた靱性を有し、かつ、延性や靱性の異方性の小さい熱延鋼板を提供すること。【解決手段】所定の化学組成を有し、圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面の表面から板厚の1/4の深さの位置でのミクロ組織が、体積分率で、90%以上のマルテンサイトと、合計で0~10%の残留オーステナイト及びフェライトとからなり、前記位置での前記ミクロ組織における、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が3.0未満であり、面積が1.0μm2以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の割合が20.0%以下であり、板厚中心部において、{211}<011>方位の極密度が5.0以下であり、引張強さが950MPa以上である熱延鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、熱延鋼板及びその製造方法に関する。
建設機械用クレーンのブームは建設対象物の高層化により長尺化される傾向にある。そのため、ブーム自体の軽量化と、吊り上げ運搬容量の拡大を図るため、その素材となる鋼板に対しては、より高い強度を有するとともに、延性や靭性に優れることが要求されている。さらに、このような鋼板に対しては、近年、部材性能を高いレベルで確保するために、延性や靭性の異方性を小さくすることが要望されている。
このような要求に対し、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.08~0.25%、Si:0.01~1.0%、Mn:0.8~1.5%、P:0.025%以下、S:0.005%以下、Al:0.005~0.10%、Nb:0.001~0.05%、Ti:0.001~0.05%、Mo:0.1~1.0%、Cr:0.1~1.0%、B:0.0005~0.005%を含有し、マルテンサイト相または焼き戻しマルテンサイト相を体積率で90%以上の主相とし、旧オーステナイト粒のアスペクト比を3~18とした、降伏強さYS:960MPa以上の高強度を有し、vE-40が40J以上の高靱性を有する熱延鋼板およびその製造方法が報告されている。
また、熱延鋼板の異方性を低減する方法として、例えば、特許文献2には、質量%で、C:0.04~0.15%、Si:0.01~0.25%、Mn:0.1~2.5%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Al:0.005~0.05%、N:0.01以下、Ti:0.01~0.12%、B:0.0003~0.0050%を含有し、組織の90%以上がマルテンサイトであり、TiC析出量を0.05%以下とし、JISG0202に規定するA系介在物の清浄度が0.010%以下の熱延鋼板およびその製造方法が報告されている。
特許第5609383号公報 特開2014-47414号公報
特許文献1の鋼板では旧オーステナイト粒のアスペクト比を3以上としており、延性や靱性の異方性が大きいという問題があった。異方性があると、部材性能を高いレベルで維持することが困難になったり加工による寸法精度が悪くなったりするなどの理由で建設機械用クレーンのブームへの適用に課題がある。
特許文献2の鋼板では曲げ加工性、降伏強度及び-20℃での靱性の異方性は低減しているものの、延性の異方性については必ずしも低減していない。また、-40℃での吸収エネルギーや異方性についても開示されていない。
このように、従来の技術では高強度、優れた延性、及び優れた靱性を有し、かつ、延性や靱性の異方性の小さい熱延鋼板を得ることは困難であった。
本発明は、上述したような問題点を解決しようとするものであって、高強度、優れた延性、及び優れた靱性を有し、かつ、延性や靱性の異方性の小さい熱延鋼板を提供することを課題とする。
本発明者らは、C含有量、Si含有量、Mn含有量を変えた種々の鋼について、実験室で溶解、熱間圧延を行い、所用の強度、延性、靱性を得るための方法を種々検討した。その結果、引張強さが950MPa以上の高強度を確保しつつ延性や靱性の異方性を低減するためには、組織異方性を低減すること及び硫化物の形状異方性を低減することが重要であることを見出した。
具体的には、1)S含有量を0.0060%以下、望ましくは0.0010%以下にすること、2)表面から板厚の1/4の深さの位置でのミクロ組織について、マルテンサイト(フレッシュマルテンサイト及び焼き戻しマルテンサイトを含む)を体積分率で90%以上含有する組織とすること、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比を3.0未満とすること、及び面積が1.0μm以上の硫化物のうちアスペクト比が3.0超の硫化物の割合を20.0%以下とすること、並びに、3)板厚中心部において{211}<011>方位の極密度を5.0以下とすること、が重要であることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいてなされた。本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.08~0.25%、Si:0.01~1.00%、Mn:0.8~2.0%、P:0.020%以下、S:0.0060%以下、Al:0.005~1.000%、N:0.0010~0.0100%、Ti:0.005~0.300%、Ca:0.0005~0.0100%、Nb:0~0.300%、V:0~0.50%、Cr:0~3.0%、Mo:0~3.00%、Ni:0~5.0%、Cu:0~3.00%、B:0~0.0100%、Mg:0~0.0100%、Zr:0~0.0500%、REM:0~0.0500%、及び残部:Fe及び不純物からなる化学組成を有し、圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面の表面から板厚の1/4の深さの位置でのミクロ組織が、体積分率で、90%以上のマルテンサイトと、合計で0~10%の残留オーステナイト及びフェライトとからなり、前記位置での前記ミクロ組織における、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が3.0未満であり、面積が1.0μm以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合が20.0%以下であり、板厚中心部において{211}<011>方位の極密度が5.0以下であり、引張強さが950MPa以上である、熱延鋼板。
(2)前記化学組成が、質量%で、Nb:0.005~0.300%、V:0.01~0.50%、Cr:0.05~3.0%、Mo:0.05~3.00%、Ni:0.05~5.0%、Cu:0.10~3.00%、B:0.0003~0.0100%、Mg:0.0005~0.0100%、Zr:0.0010~0.0500%、及びREM:0.0010~0.0500%、からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、(1)に記載の熱延鋼板。
(3)(1)又は(2)に記載の前記化学組成を有する鋳造スラブを、1250℃以上1350℃以下に加熱する加熱工程と、前記加熱工程後の前記鋳造スラブに対し、熱間圧延を行って熱延鋼板とする熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程後の前記熱延鋼板を、100℃以下の巻取温度にて巻き取る巻き取り工程と、を有し、前記熱間圧延工程では、前記鋳造スラブに対し、仕上げ圧延温度が1000℃以上となるように圧延を行い、前記圧延終了後、0.10秒以内に冷却を開始するとともに、100℃/秒以上の平均冷却速度で50℃以上温度が低下するように第1冷却を行い、前記第1冷却後、Ar点以上の温度で5%以上20%以下の圧下率の軽圧下圧延を行い、前記軽圧下圧延の完了から前記巻取温度まで、平均冷却速度が50℃/秒以上となるように第2冷却を行う、熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、高強度、優れた延性、及び優れた靱性を有し、かつ、延性や靱性の異方性の小さい熱延鋼板とその製造方法とを提供することができる。この熱延鋼板は、建機用クレーンのブーム等に好適に適用でき、適用によって建機用クレーンのブーム等の軽量化に寄与できるので、産業上の貢献が極めて顕著である。
以下、本発明の一実施形態に係る熱延鋼板(本実施形態に係る熱延鋼板)及びその製造方法について説明する。
本実施形態に係る熱延鋼板は、質量%で、C:0.08~0.25%、Si:0.01~1.00%、Mn:0.8~2.0%、P:0.020%以下、S:0.0060%以下、Al:0.005~1.000%、N:0.0010~0.0100%、Ti:0.005~0.300%、Ca:0.0005~0.0100%を含有し、任意に、Nb、V、Cr、Mo、Ni、Cu、B、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、
圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面の表面から板厚の1/4の深さの位置でのミクロ組織が、体積分率で、90%以上のマルテンサイトと、合計で0~10%の残留オーステナイト及びフェライトとからなり、
前記位置での前記ミクロ組織における、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が3.0未満であり、面積が1.0μm以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合が20.0%以下であり、板厚中心部において{211}<011>方位の極密度が5.0以下であり、
引張強さが950MPa以上である。
まず、本実施形態に係る熱延鋼板の化学組成に含まれる各元素の含有量の範囲の限定理由について説明する。以下、各元素の含有量における%は、質量%である。
C:0.08~0.25%
Cは鋼の強度を増加させる元素である。C含有量が0.08%未満では950MPa以上の引張強さの確保が困難である。そのため、C含有量は0.08%以上とする。C含有量は、好ましくは0.10%以上である。
一方、C含有量が0.25%を超えると延性、溶接性、靭性などが著しく劣化する。そのため、C含有量は0.25%以下とする。C含有量は、好ましくは0.20%以下である。
Si:0.01~1.00%
Siは固溶強化により鋼板の強度を増大させるのに有用な元素である。また、Siはセメンタイトの生成を抑制するのに有用な元素である。Si含有量が0.01%未満ではそれらの効果が十分に得られない。そのため、Si含有量は0.01%以上とする。
一方、Si含有量が1.00%を超えると熱間圧延で生じるスケールの剥離性や化成処理性が著しく劣化する。また、所望の組織が得られない場合がある。そのため、Si含有量は1.00%以下とする。
Mn:0.8~2.0%
Mnは焼入れ性を高めるために有効な元素である。Mn含有量が0.8%未満では焼入れ性を高める効果が十分に得られない。そのため、Mn含有量は0.8%以上とする。
一方、Mn含有量が2.0%を超えると靭性が劣化する。そのため、Mn含有量は2.0%以下とする。また、Mn含有量が0.8%未満または2.0%を超えるとS、Ti、Caなどの含有量にもよるがアスペクト比の大きい硫化物が生成しやすくなる。
P:0.020%以下
Pは、粒界に偏析して粒界強度を低下させ、靱性を劣化させる不純物元素である。そのためP含有量は、低減させることが望ましい。P含有量は、現状の精錬技術と製造コストとを考慮し、0.020%以下とする。P含有量は少ない方が好ましいので0%でもよいが、製鋼コストを鑑み0.001%以上としてもよい。
S:0.0060%以下
Sは、熱間加工性及び靭性を劣化させ、さらに、延性や靭性の異方性を助長する不純物元素である。そのため、S含有量は、低減させることが望ましい。S含有量が0.0060%を超えると延性や靭性の異方性が大きくなる。そのため、現状の精錬技術と製造コストを考慮し、S含有量を0.0060%以下とする。S含有量は、好ましくは0.0010%以下である。S含有量を0.0010%以下にすることで延性や靭性の異方性を一層小さくすることができる。S含有量は少ない方が好ましいので0%でもよいが、製鋼コストを鑑み0.0001%以上としてもよい。
Al:0.005~1.000%
Alは脱酸剤として有用な元素である。また、Alは、AlNを形成して結晶粒粗大化の抑制に寄与する元素である。Al含有量が0.005%未満ではそれらの効果が得られない。そのため、Al含有量は0.005%以上とする。
一方、Al含有量が1.000%を超えると靭性が劣化する。そのため、Al含有量を1.000%以下とする。
N:0.0010~0.0100%
Nは窒化物を形成して結晶粒粗大化の抑制に寄与することで、靭性の劣化の抑制に有効な元素である。N含有量が0.0010%未満ではその効果が得られない。そのため、N含有量を0.0010%以上とする。
一方、N含有量が0.0100%を超えると靭性が劣化する。そのため、N含有量を0.0100%以下とする。
Ti:0.005~0.300%
TiはTiNを形成する元素であり、結晶粒の粗大化の抑制に有効な元素である。Ti含有量が0.005%未満ではこの効果が十分に得られない。そのためTi含有量を0.005%以上とする。Ti含有量は、好ましくは0.010%以上である。
一方、Ti含有量が0.300%を超えると、TiNが粗大化し靭性が劣化することがある。そのため、Ti含有量は0.300%以下とする。
Ca:0.0005~0.0100%
Caは、硫化物の形態を制御することによって、Sによる熱間加工性や靭性の劣化の抑制に有効な元素である。Ca含有量が0.0005%未満ではその効果が十分に得られない。そのため、Ca含有量を0.0005%以上とする。
一方、Caを過剰に含有しても効果が飽和するだけでなく、コストが上昇する。そのため、Ca含有量は0.0100%以下とする。
以上が本実施形態に係る熱延鋼板の基本成分であり、通常、上記以外はFe及び不純物からなるが、所望の強度レベルやその他の必要特性に応じて、任意元素として、Nb、V、Cr、Mo、Ni、Cu、B、Mg、Zr、REMからなる群から選択される1種又は2種以上を以下に示す範囲でさらに含有しても良い。上記任意元素は含有させなくてもよいので含有量の下限は0%である。また、本実施形態において、不純物とは、原料としての鉱石やスクラップから、または製造環境等から混入されるものであって、本実施形態に係る熱延鋼板に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。以下、上記任意元素について詳細に説明する。
Nb:0~0.300%
Nbは微細な炭窒化物を形成する元素であり、結晶粒の粗大化の抑制に有効な元素である。そのため、含有させてもよい。靭性を高める場合、Nb含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
一方、Nb含有量が過剰になると析出物が粗大になり、靭性が劣化することがある。そのため、含有させる場合、Nb含有量を0.300%以下とする。
V:0~0.50%
Vは、Nbと同様に微細な炭窒化物を形成する元素である。そのため、含有させてもよい。結晶粒の粗大化を抑制し、靭性を高める場合、V含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
一方、V含有量が0.50%を超えると、靭性が劣化することがある。そのため、含有させる場合、V含有量は0.50%以下とする。
Cr:0~3.0%
Mo:0~3.00%
Ni:0~5.0%
Cu:0~3.00%
Cr、Mo、Ni、Cuは、延性及び靭性を向上させる有効な元素である。そのため、含有させてもよい。延性及び靭性を向上させるには、Cr含有量は0.05%以上、Mo含有量は0.05%以上、Ni含有量は0.05%以上、Cu含有量は0.10%以上が好ましい。より好ましくは、Cr含有量は0.1%以上、Mo含有量は0.10%以上、Ni含有量は0.1%以上、Cu含有量は0.20%以上である。
一方、Crの含有量は3.0%、Mo、Cuの含有量は、それぞれ、3.00%、Niの含有量は5.0%を超えると、強度の上昇によって、靭性が低下することがある。したがって、含有させる場合、Cr含有量は3.0%以下、Mo含有量は3.00%以下、Ni含有量は5.0%以下、Cu含有量は3.00%以下とする。
B:0~0.0100%
Bは粒界に偏析し、P及びSの粒界偏析を抑制する元素である。また、鋼の焼き入れ性を高めるのに有効な元素でもある。そのため、含有させてもよい。粒界の強化によって、延性、靭性及び熱間加工性を向上させたり、焼き入れ性を向上させたりするためには、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
一方、B含有量が0.0100%を超えると、粒界に粗大な析出物が生じて、熱間加工性や靭性が損なわれることがある。したがって、含有させる場合、B含有量を0.0100%以下とする。
Mg:0~0.0100%
Zr:0~0.0500%
REM:0~0.0500%
Mg、Zr、REMは、硫化物の形態を制御し、Sによる熱間加工性や靭性の劣化の抑制に有効な元素である。そのため、含有させてもよい。靭性を向上させる場合、Mg含有量は0.0005%以上、Zr含有量は0.0010%以上、REM含有量は0.0010%以上とすることが好ましい。
一方、Mg、Zr及び/またはREMを過剰に含有しても効果が飽和する。そのため、含有させる場合、Mg含有量は0.0100%以下、Zr含有量は0.0500%以下、REM含有量は0.0500%以下とする。
ここで、REMは、Sc、Yおよびランタノイドからなる合計17元素を指し、上記REMの含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
上述した熱延鋼板の化学組成は、一般的な分析方法によって測定すればよい。例えば、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)を用いて測定すればよい。CおよびSは燃焼-赤外線吸収法を用い、Nは不活性ガス融解-熱伝導度法を用いて測定すればよい。Bは吸光光度法またはICP-MSを用いて測定すればよい。
次に、本実施形態に係る熱延鋼板のミクロ組織について説明する。
本実施形態では、表面から板厚の1/4の深さの位置(表面から板厚の1/8~3/8の範囲であれば許容される)のミクロ組織を規定する。その理由は、この位置のミクロ組織が、鋼板の代表的な組織であり、鋼板の特性との相関が強いからである。
<体積分率で、マルテンサイトを90%以上含有し、残部組織が残留オーステナイトとフェライトとからなる>
本実施形態に係る熱延鋼板は、組織の均質性を高め、異方性を低減するため、ミクロ組織を、主相としてマルテンサイト(フレッシュマルテンサイト及び焼き戻しマルテンサイトを含む)を体積分率で90%以上含有し、残部組織が、合計で0~10%の残留オーステナイトとフェライトとからなる組織とする。
残留オーステナイト及びフェライトは、圧延方向とそれに垂直な方向とで分布状況が異なるので、これらの含有量が大きくなると異方性が大きくなる。したがって、これらの合計含有量を10%以下とし、均質なマルテンサイト組織を90%以上とする。残留オーステナイト及びフェライトは含まれなくてもよいので、下限は0%である。
フレッシュマルテンサイト及び焼き戻しマルテンサイトのそれぞれの体積分率を限定する必要はないが、焼き戻しマルテンサイトの体積分率が増加すると強度が低下するので、強度確保の観点では、焼き戻しマルテンサイトの体積分率は5%未満であることが望ましい。
ミクロ組織における各組織の体積分率は、以下の方法で求める。
まず、熱延鋼板の任意の位置から、圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面が観察面となるように、試料を採取する。
上記観察面の表面から板厚方向に板厚の1/4の深さの位置のミクロ組織をレペラーエッチングやナイタールエッチングで現出し、1000倍の倍率で、100×100μmの範囲(視野)を、光学顕微鏡もしくはSEMにて観察する。そして、組織形態、炭化物の析出状態、転位密度などから各相を判定して、画像解析装置などを用いてマルテンサイト(フレッシュマルテンサイト及び焼き戻しマルテンサイト)とフェライトの面積分率を測定する。得られた各相の面積分率を体積分率とする。
フレッシュマルテンサイトと焼き戻しマルテンサイトとは、本実施形態では必ずしも区別する必要はないが、区別する場合には、ビッカース硬さ(Hv)およびC濃度(質量%)で区別する。マルテンサイトのビッカース硬さ(HvM)は、JIS Z 2244:2009に準拠して、試験力5gfでマルテンサイト粒内の3点におけるビッカース硬さを測り、そのビッカース硬さの平均値を算出することで得る。次に、そのマルテンサイトのC濃度(CM:質量%)を測定する。
本実施形態では、マルテンサイト粒内にセメンタイトが存在する場合、セメンタイトのC濃度も合わせた濃度をそのマルテンサイトのC濃度とする。マルテンサイトのC濃度(CM)は、FE-SEM付属の電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて、0.5μm以下のピッチで、C濃度を測定し、得られたC濃度の平均値を算出することで得る。得られたマルテンサイトのビッカース硬さ(HvM)とC濃度(CM)とから、焼き戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトとを区別する。具体的には、得られたHvMおよびCMが下記式1を満たす場合、焼き戻しマルテンサイトと判別し、それ以外の場合はフレッシュマルテンサイトと判断する。
HvM/(-982.1×CM+1676×CM+189)≦0.60…式1
上記式1の左辺の分母にマルテンサイトのC濃度(CM)を代入した値(-982.1×CM+1676×CM+189)は、そのC濃度の本来のマルテンサイトの硬さを表している。本実施形態に係る熱延鋼板のミクロ組織に含まれる焼き戻しマルテンサイトは、焼き戻しによるマルテンサイト粒内へのセメンタイト析出などにより、本来のマルテンサイトより硬さが低くなっている。一方、本実施形態に係る熱延鋼板に含まれるフレッシュマルテンサイトは、焼き戻されておらず、本来のマルテンサイトの硬さに近い硬さとなっている。そこで、本実施形態では、本来のマルテンサイトの硬さと、実際に測定して得られるマルテンサイトの硬さとの比を求めることで、焼き戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトとを区別する。
残留オーステナイトの体積分率は、以下の方法により測定する。
熱延鋼板の任意の位置から、板面に平行な断面が観察面となるように、試料を採取する。試料の表面を1/4深さの位置まで研削した後、化学研磨してからMo管球を用いたX線回折により、下記式に基づいて、フェライトの(200)の回折強度Iα(200)、フェライトの(211)の回折強度Iα(211)、オーステナイトの(200)の回折強度Iγ(220)及び(311)の回折強度Iγ(311)の強度比より、残留オーステナイトの体積分率を求める。下記式中のVγは残留オーステナイトの体積分率を示す。
Vγ=0.25×{Iγ(220)/(1.35×Iα(200)+Iγ(220))+Iγ(220)/(0.69×Iα(211)+Iγ(220))+Iγ(311)/(1.5×Iα(200)+Iγ(311))+Iγ(311)/(0.69×Iα(211)+Iγ(311))}
<旧オーステナイト粒の平均アスペクト比:3.0未満>
本実施形態に係る熱延鋼板は、圧延方向に平行な断面における旧オーステナイト粒の平均アスペクト比を3.0未満とする。旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が3.0以上になると延性や靱性の異方性が大きくなる。
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は、以下の方法で求める。
まず、熱延鋼板の任意の位置から、圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面が観察面となるように、試料を採取する。試料サイズは特に限定するものではないが、100個以上の旧オーステナイト粒を含んでいる必要がある。
上記観察面(圧延方向断面)の、表面から板厚の1/4の深さの位置の組織を、旧オーステナイト粒界を現出する腐食液(エタノール、2%ピクリン酸、1%塩化鉄(II))を用いてエッチングし、400倍の倍率で、光学顕微鏡もしくはSEMにて観察する。得られた画像において、画像解析装置などを用いて、100個以上の旧オーステナイト粒についてアスペクト比を測定し、これらを平均した値を旧オーステナイト粒の平均アスペクト比とする。ここで、旧オーステナイト粒のアスペクト比は、(アスペクト比)=(圧延方向の径(長径))/(板厚方向の径(短径))、で求める。
<面積が1.0μm以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合が20.0%以下>
面積が1.0μm以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合が20.0%を超えると、これらの硫化物が起点となってボイドが発生するため延性や靱性の異方性が大きくなる。そのため、本実施形態に係る熱延鋼板では、圧延方向に平行な断面において、面積が1.0μm以上の硫化物のうちアスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合を20.0%以下とする。
対象を面積が1.0μm以上かつアスペクト比が3.0超の硫化物とするのは、面積が1.0μm未満の硫化物、またはアスペクト比が3.0以下の硫化物はボイドの起点となりにくいからである。
面積が1.0μm以上の硫化物におけるアスペクト比が3.0超の硫化物の割合は、以下の方法で求める。
本実施形態において、硫化物とはSの質量分率が5%以上の介在物として定義される。そのため、アスペクト比が3.0超の硫化物の割合を求める場合、まず、鋼板の任意の位置から、圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面が観察面となるように、試料を採取する。試料サイズは特に限定するものではないが、面積が1.0μm以上の硫化物1000個以上を含んでいる必要がある。上記観察面の鋼板の表面から板厚の1/4の深さの位置の、研磨ままの組織を500倍の倍率で、SEMにて観察し、各介在物の組成をSEM付属のEDXを用いて測定して硫化物を判別する。また、画像解析装置などを用いて硫化物の面積を測定し、面積が1.0μm以上の硫化物についてアスペクト比を測定する。上記方法により面積が1.0μm以上の硫化物1000個以上についてアスペクト比を測定し、アスペクト比が3.0超の硫化物の割合を求める。ここで、硫化物のアスペクト比とは、(アスペクト比)=(圧延方向の長径)/(板厚方向の短径)、で求める。
<板厚中心部における{211}<011>方位の極密度:5.0以下>
本実施形態に係る熱延鋼板は、板厚中心部において、{211}<011>方位の極密度を5.0以下とする。熱延鋼板が、{211}<011>方位の極密度が5.0超である集合組織を有していると、組織異方性が大きくなり延性や靱性の異方性が大きくなる。
極密度については、板厚中心部が、鋼板の特性との相関が強いので、本実施形態では、板厚中心部における{211}<011>方位の極密度を指標として用いる。
極密度はEBSD解析による結晶方位情報により得ることができ、X線ランダム強度比と同義である。具体的には、{211}<011>方位の極密度は、以下の方法で求める。
まず、鋼板の任意の位置から圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面が観察面となるように、試料を採取する。走査電子顕微鏡とEBSD解析装置とを組み合わせた装置及びAMETEK社製のOIM Analysis(登録商標)を用いて、EBSD解析により、板厚中心部(板厚中心位置から鋼板の表方向および裏方向にそれぞれ板厚1/10程度の範囲)において、fccとbccとを区別して、1000個以上のbccの結晶粒の方位情報を測定し、級数展開法(harmonic series expansion)を用いたODF解析により求める。
<引張強さ:950MPa以上>
建設機械用クレーンのブームの軽量化への貢献を考慮し、本実施形態に係る熱延鋼板では、引張強さが950MPa以上である高強度鋼板であることを前提とする。
引張強さの上限は規定する必要はないが、引張強さが高くなると伸びが低下することが懸念されるので、引張強さを1570MPa以下としてもよい。
次に製造条件の限定理由について述べる。
本実施形態に係る熱延鋼板は、以下の工程を含む製造方法によって製造できる。
(I)所定の化学組成を有する鋳造スラブを、1250℃以上1350℃以下に加熱する加熱工程、
(II)前記加熱工程後の鋳造スラブに対し、熱間圧延を行って熱延鋼板とする熱間圧延工程、
(III)前記熱間圧延工程後の熱延鋼板を、100℃以下の巻取温度にて巻き取る巻き取り工程。
以下、各工程の好ましい条件について説明する。
本実施形態に係る熱延鋼板の製造においては、加熱工程に先行する製造工程は特に限定するものではない。すなわち、高炉や電炉等による溶製に引き続き、各種の二次製錬を行い、次いで、通常の連続鋳造、インゴット法による鋳造、または薄スラブ鋳造などの方法で鋳造すればよい。連続鋳造の場合には、鋳造スラブを一度低温まで冷却したのち、再度加熱してから熱間圧延してもよいし、鋳造スラブを低温まで冷却せずに、鋳造後にそのまま熱延してもよい。原料にはスクラップを使用しても構わない。
<加熱工程>
加熱工程では、鋳造スラブを1250℃以上1350℃以下に加熱する。ただし、鋳造スラブが1250℃以上の温度であるときは、加熱を省略し、熱間圧延工程に供することができる。
加熱温度が1250℃未満では硫化物の溶解が不十分となり未溶解の硫化物が残存し、熱間圧延時に圧延方向に延びて異方性が大きくなる原因となる。そのため、加熱温度を1250℃以上とする。加熱温度は、好ましくは1250℃超である。
一方、加熱温度が1350℃を超えるとスケールの生成が激しくなり表面性状が悪くなるとともに、結晶粒が粗大化して熱延鋼板の強度や低温靱性が低下する。そのため、加熱温度は1350℃以下とする。加熱温度は、好ましくは1350℃未満である。
<熱間圧延工程>
<巻き取り工程>
熱間圧延工程では、鋳造スラブに対し、仕上げ圧延温度(仕上げ圧延完了温度)が1000℃以上となるように圧延を行い、その後、圧延完了から0.10秒以内に冷却(第1冷却)を開始する。第1冷却では、100℃/秒以上の平均冷却速度で50℃以上温度が低下するように冷却を行う。
第1冷却後は、Ar点以上の温度で、5%以上20%以下の圧下率の軽圧下圧延を行い、その後、軽圧下圧延の完了時の温度から100℃以下の巻取温度まで、平均冷却速度が50℃/秒以上となるように第2冷却を行う。第2冷却完了後巻き取りを行う。
これによりスラブを熱延鋼板とする。
仕上げ圧延温度が1000℃未満になると集合組織が発達し組織の異方性が大きくなる。そのため、仕上げ圧延温度は1000℃以上とする。
一方、仕上げ圧延温度が1100℃を超えると結晶粒が粗大となる。そのため仕上げ圧延温度は1100℃以下とすることが好ましい。
圧延完了(仕上圧延の最終パスの完了)から冷却開始までの時間が0.10秒を超えるか、第1冷却の平均冷却速度が100℃/秒未満であるか、第1冷却による温度低下代が50℃未満であると、所望の硫化物が得られず、靱性が低下する。そのため、第1冷却では、仕上げ圧延後0.10秒以内に冷却を開始し、100℃/秒以上の平均冷却速度で50℃以上冷却する(温度低下代が50℃以上となる)。
第1の冷却では、引き続いて行う軽圧下をAr点(℃)以上で行うため、冷却停止温度はAr点以上とすることが好ましい。また、平均冷却速度の上限は限定する必要はないが、設備等を考慮し、1000℃/秒以下としてもよい。
圧延完了から0.10秒以内に冷却を開始する方法として、例えばタンデム圧延機のスタンド間の冷却装置を用いて冷却する等の方法が例示される。
ここで言う冷却とは、放冷による温度低下ではなく、放冷よりも大きな冷却速度での冷却を意味する。
本実施形態に係る熱延鋼板の製造方法では、上述した第1冷却の完了後、硫化物を微細に析出させるため、Ar点(℃)以上の温度で、5%以上20%以下の圧下率の圧延(軽圧下圧延)を行う。
軽圧下圧延温度がAr点未満であると、フェライトが生成する。したがって、軽圧下圧延温度は、フェライトの生成を抑制するためにAr点以上とする。また、軽圧下圧延の圧下率が5%未満では硫化物を微細析出させる効果が十分に得られない。また軽圧下圧延の圧下率が20%を超えると異方性が大きくなる。そのため、軽圧下圧延の圧下率を5%以上20%以下とする。
ここで、Ar点は、富士電波工機(株)社製、全自動変態記録測定装置などを用いて、所定の形状の試験片を950℃×30分加熱後、30℃/秒の速度で冷却し、膨張曲線を測定することで測定できる。
軽圧下圧延を行った後、軽圧下圧延完了温度から100℃以下の巻取温度まで、平均冷却速度が50℃/秒以上となるように冷却(第2冷却)し、その後巻き取る。平均冷却速度が50℃/秒未満であるか、巻取温度が100℃超であると残留オーステナイトやフェライトやベイナイトが多量に生成し、マルテンサイトの体積分率を90%以上とすることができない。
<その他の工程>
巻き取り工程後の熱延鋼板は、形状矯正、降伏点伸びの消失、及び板厚方向の硬さ分布の均質化のために調質圧延を行ってもよい。
調質圧延を行う場合、伸び率が0.2%未満ではその効果が十分でなはなく、伸び率が3.0%を超えると降伏比が大幅に増大するとともに伸びが劣化する。そのため、伸び率を0.2%~3.0%とすることが望ましい。
また、熱間圧延時に生成したスケールを除去するために熱間圧延後または調質圧延後に酸洗を行ってもよい。酸洗条件は公知の条件でよい。
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。これらの実施例は、本発明の効果を確認するための一例であり、本発明を限定するものではない。
表1に示す化学組成(残部はFe及び不純物)の鋼を鋳造し、表2に示す条件で加熱、圧延、第1冷却、軽圧下圧延、第2冷却を行い、表2に示す条件で巻取りを行って、板厚5.0mmの熱延鋼板を得た。軽圧下圧延は1パスで行った。No.8の実施例ではさらに伸び率が1.0%の調質圧延を実施した。表2中のSRTは、鋳片の加熱温度、FTは第1冷却前の熱間圧延の仕上げ圧延温度、CTは巻取温度を示す。
得られた熱延鋼板の、表面から板厚の1/4の深さの位置でのマルテンサイト、残留オーステナイト、フェライト及びその他の組織の体積分率、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比、面積が1.0μm以上の硫化物のうちアスペクト比が3.0超の硫化物の個数割合、板厚中心部での{211}<011>方位の極密度を、上述の方法で評価した。
結果を表3-1、表3-2に示す。
また、機械的特性として、JIS Z 2241:2011に準拠して、L方向(圧延方向)及びC方向(圧延方向に垂直な方向)からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行った。引張試験の応力-歪曲線より、引張強さ(TS)、全伸び(EL)を求めた。
靱性はL方向及びC方向から5mm幅のサブサイズVノッチシャルピー試験片を採取し、シャルピー試験をJIS Z 2242:2018に準拠して、試験温度を-40℃で行って評価した。
引張強さが950MPa以上、全伸びが10.0%以上、かつ、-40℃でのシャルピー吸収エネルギー(vE-40)が50J/cm以上であれば、高強度でかつ、優れた延性及び優れた靭性を有すると判断した。
また、それぞれの特性値のC方向の値に対するL方向の値の比(L方向の値/C方向の値)が0.90以上1.10以下であれば異方性が小さいと判断した。
結果を表3-1、表3-2に示す。
Figure 2023018982000001
Figure 2023018982000002
Figure 2023018982000003
Figure 2023018982000004
表3-1、表3-2から、No.1~9の本発明例はいずれも目標とする特性が得られていることが分かる。一方、化学組成または製造方法が本発明の範囲外であったNo.10~25の比較例は、いずれか1つ以上の特性が劣っていることが分かる。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.08~0.25%、
    Si:0.01~1.00%、
    Mn:0.8~2.0%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0060%以下、
    Al:0.005~1.000%、
    N:0.0010~0.0100%、
    Ti:0.005~0.300%、
    Ca:0.0005~0.0100%、
    Nb:0~0.300%、
    V:0~0.50%、
    Cr:0~3.0%、
    Mo:0~3.00%、
    Ni:0~5.0%、
    Cu:0~3.00%、
    B:0~0.0100%、
    Mg:0~0.0100%、
    Zr:0~0.0500%、
    REM:0~0.0500%、及び、
    残部:Fe及び不純物、
    からなる化学組成を有し、
    圧延方向に平行かつ板厚方向に平行な断面の表面から板厚の1/4の深さの位置でのミクロ組織が、体積分率で、90%以上のマルテンサイトと、合計で0~10%の残留オーステナイト及びフェライトとからなり、
    前記位置での前記ミクロ組織における、
    旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が3.0未満であり、
    面積が1.0μm以上の硫化物のうち、アスペクト比が3.0超の硫化物の個数の割合が20.0%以下であり、
    板厚中心部において、
    {211}<011>方位の極密度が5.0以下であり、
    引張強さが950MPa以上である
    ことを特徴とする熱延鋼板。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Nb:0.005~0.300%、
    V:0.01~0.50%、
    Cr:0.05~3.0%、
    Mo:0.05~3.00%、
    Ni:0.05~5.0%、
    Cu:0.10~3.00%、
    B:0.0003~0.0100%、
    Mg:0.0005~0.0100%、
    Zr:0.0010~0.0500%、及び、
    REM:0.0010~0.0500%、
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 請求項1又は2に記載の前記化学組成を有する鋳造スラブを、1250℃以上1350℃以下に加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程後の前記鋳造スラブに対し、熱間圧延を行って熱延鋼板とする熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程後の前記熱延鋼板を、100℃以下の巻取温度にて巻き取る巻き取り工程と、
    を有し、
    前記熱間圧延工程では、
    前記鋳造スラブに対し、仕上げ圧延温度が1000℃以上となるように圧延を行い、
    前記圧延終了後、0.10秒以内に冷却を開始するとともに、100℃/秒以上の平均冷却速度で50℃以上温度が低下するように第1冷却を行い、
    前記第1冷却後、Ar点以上の温度で5%以上20%以下の圧下率の軽圧下圧延を行い、
    前記軽圧下圧延の完了から前記巻取温度まで、平均冷却速度が50℃/秒以上となるように第2冷却を行う、
    ことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
JP2021123402A 2021-07-28 2021-07-28 熱延鋼板及びその製造方法 Pending JP2023018982A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021123402A JP2023018982A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 熱延鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021123402A JP2023018982A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 熱延鋼板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023018982A true JP2023018982A (ja) 2023-02-09

Family

ID=85160513

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021123402A Pending JP2023018982A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 熱延鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023018982A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5093422B2 (ja) 高強度鋼板及びその製造方法
CA2851325C (en) High-strength hot rolled steel sheet with excellent bendability and low-temperature toughness, and method for manufacturing the same
CN109072371B (zh) 温加工用高强度钢板及其制造方法
US9657380B2 (en) High strength hot-rolled steel sheet having excellent ductility, stretch flangeability and uniformity and method of manufacturing the same
EP2765211B1 (en) High-tensile-strength hot-rolled steel sheet and method for producing same
JP4431185B2 (ja) 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法
WO2013089156A1 (ja) 低温靭性に優れた高強度h形鋼及びその製造方法
KR20130140205A (ko) 열연 강판 및 그 제조 방법
KR20130125821A (ko) 열연 강판 및 그 제조 방법
JP5765497B1 (ja) 溶接部品質の優れた電縫鋼管及びその製造方法
JP5158272B2 (ja) 伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法
JP2004315900A (ja) 伸びフランジ成形性に優れた高強度鋼板およびその製造方法
JP2016211073A (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
EP2759613A1 (en) High-tensile-strength hot-rolled steel sheet and method for producing same
WO2012115181A1 (ja) 伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板及びその溶鋼の溶製方法
WO2020158065A1 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法
JP2017218672A (ja) 成形性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法
JP4867177B2 (ja) 焼付硬化性及び成形性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法
JP5205795B2 (ja) 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法
JP2012188745A (ja) 伸びフランジ性と曲げ加工性に優れた高強度鋼板およびその溶鋼の溶製方法
JP2017066453A (ja) 冷延鋼板、めっき鋼板およびこれらの製造方法
JP4712839B2 (ja) 耐水素脆化特性および加工性に優れた高強度冷延鋼板
WO2021172298A1 (ja) 鋼板、部材及びそれらの製造方法
WO2021153746A1 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
JP6042265B2 (ja) 降伏強度と成形性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240318