JP2023018724A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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透 村澤
Toru Murasawa
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Abstract

【課題】 アイボックスの範囲を車両の幅方向に広げたときに、被投影部材(ウインドシールド等)の形状に起因して生じる画像の歪みを抑制する。【解決手段】 ヘッドアップディスプレイ装置は、曲面表示部210と、曲面表示部210に表示される画像の表示光を、車両1に設けられる被投影部材2に投影する光学系171と、を有し、曲面表示部210は、車両の幅方向に沿って設けられる第1~第m(mは2以上の自然数)の表示領域R1’、R2を有し、車両1の幅方向に沿って第1~第mの画像PS1’、PS2が、車両1の運転者が視認可能なように表示され、第1の画像PS1’を運転者に正対する位置の画像とする場合に、曲面表示部210の第1~第mの表示領域の内の、少なくとも第1の表示領域R1’は、第1の画像PS1’の、運転者から見た奥行き方向の歪みが抑制されるように、湾曲された形状を有する。【選択図】 図5

Description

本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置等に関する。
特許文献1には、車両用投影表示装置において、表示光を出射する表示デバイスとしてフレキシブル表示デバイスを使用し、そのフレキシブル表示デバイスの面を湾曲させることで、像面湾曲の収差を補正することが開示されている。
特開2015-230329号公報(明細書の[0015]、図3、図4等)
本発明者の検討によって、以下の課題が明らかとなった。車両の前方において、車両の幅方向(左右方向)に沿って複数の画像を表示する場合には、アイボックスの範囲を車両の幅方向(左右方向)に拡張する必要がある。
アイボックスの範囲が広がると、それに伴い、車両に備わる被投影部材(ウインドシールド等)における表示光を反射する範囲も広がり、被投影部材の湾曲の程度が大きい部分も、表示光の反射に用いられる可能性が高まる。
この場合、その大きな湾曲に起因して、表示画像の歪み(特に奥行き方向の歪み)が増大し、運転者等に違和感を生じさせる可能性が増大する。
なお、事前歪み処理の一種であるワーピング処理を実施し、電気的な画像補正によって、画像の歪みを軽減することも考えられるが、上記のように、アイボックスの範囲が広範囲化すると、画像処理の負担が増え、また、画像の歪みの程度も大きくなる傾向があるため、この点でも画像処理の負担が増えることが懸念される。
特許文献1には、このような、アイボックスの範囲が車両の幅方向(左右方向)に拡張される場合における課題については言及されておらず、その対策についても記載がない。
本発明の目的の1つは、アイボックスの範囲を車両の幅方向に広げたときに、例えば被投影部材(ウインドシールド等)の形状に起因して生じる画像の歪みを抑制することである。
本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
第1の態様において、ヘッドアップディスプレイ装置は、
車両に搭載され、
画像を表示する、画面が曲面を含む曲面表示部と、
前記曲面表示部に表示される前記画像の表示光を、前記車両に設けられる被投影部材に投影する光学系と、
を有し、
前記曲面表示部は、
前記車両の幅方向に沿って設けられる第1~第m(mは2以上の自然数)の表示領域を有し、
前記第1~第mの表示領域に対応して、前記車両の前方において、前記車両の幅方向に沿って第1~第mの画像が、前記車両の運転者が視認可能なように表示され、
前記第1の表示領域に対応する前記第1の画像を、前記運転者に正対する位置の画像とする場合に、
前記曲面表示部の前記第1~第mの表示領域の内の、少なくとも前記第1の表示領域は、前記第1の画像の、前記運転者から見た奥行き方向の歪みが抑制されるように、湾曲された形状を有する。
第1の態様では、車両の前方において、車両の幅方向(左右方向)に沿って複数の画像(虚像)が表示されるとき、その画像を運転者のみならず、例えば隣接して着席している同乗者も視認し得る場合が多いが、その場合であっても、運転者を優先して、表示画像(虚像)の歪み低減し、運転者から見た場合の画像の表示品質を改善する。
また、運転者は、その複数の画像を全部見ることができる場合が多いと考えられるが、この場合において、少なくとも、運転者に正対する(言い換えれば、運転者の正面に位置する)画像について歪み低減を実施する。
これは、運転者の正面(略正面、正面近傍を含む)に表示される画像(第1~第mの画像の内の第1の画像)が提示する情報は重要度が高い場合が多く、車両の運転上、影響が大きいと考えられるため、運転者に正対する画像を最優先として歪み低減を行うものである。
歪みの低減は、曲面表示部を用いて、表示面を、画像歪みの主要な要因である被投影部材(ウインドシールド)の曲面形状に対応させて湾曲させることで実現される。画像の表示光のうち、被投影部材で反射して最短距離で運転者の視点に到達する光線を主光線とするとき、画像を構成する各画素についての主光線の光路長の差を小さくすることで、画像の奥行き方向の歪みを抑制可能である。
第1の態様によれば、運転者には、表示される画像は、像距離方向(言い換えれば車両の前後方向、あるいは奥行き方向)の歪みが軽減されて、違和感の少ない画像として感得され得る。
表示しようとする画像の数だけヘッドアップディスプレイ(HUD)装置を個別に用意すると、車載表示システムが大規模化し、コストも増大する。これに対して、第1の態様によれば、各表示領域は、曲面表示部として集約されて(好ましくは一体的に)形成されている。
「曲面表示部」は、画面が曲面である表示部である。ここで「画面」は、一例であるが、画素を構成する発光素子(LED等)が形成されている基板や基材の表面(言い換えれば、発光素子の搭載面)に相当すると解釈可能である。また、「曲面表示部」は、「湾曲表示部」と称することもできる。
上述のとおり、曲面表示部の形状を、例えば歪みの最大の要因となる被投影部材の空間的な形状に対応するように湾曲させ、また、運転者の視点に至るので、各画素の主光線の光路長差を抑制するように、その湾曲形状(曲がり形状)を最適化することで、運転者から見た画像の歪みを低減することができる。
なお、「湾曲」という用語については、広く解釈するのが好ましい。例えば、「表示部(例えば板状パネル)の肉厚を(曲面内で)部分的に変化させて、曲面形状が微調整されていること」等も含むように解釈することができる。
また、曲面表示部は、例えば、「可撓性等を有し、変形可能なフレキシブル表示部」とすることができる。但し、これに限定されるものではない。「変形は不可(言い換えれば形状は固定)であるが、所望の湾曲形状を有する表示部」であってもよい。基板等の材質は問わない。
また、「正対」という用語は、「対向する」、「向き合う、向かい合う」等と言い換えることもできる。広義に解釈するのが好ましい。
また、例えば、複数の表示領域を集約的に配置してなる1つのHUD装置を、例えばウインドシールドの近くに配置することで、車両の幅方向(左右方向)の広範囲にわたって種々の画像を表示でき、適正な画像による情報提供等が可能となり、簡単な構成で、かつ専有面積を抑えて、かつローコストで新規なHUD装置を実現することが可能である。
第1の態様に従属する第2の態様において、
前記曲面表示部は、
曲面の表面をもつ共通基板の前記表面に、複数の表示素子を備える素子構造体が設けられ、前記素子構造体が第1~第mの領域に電気的に区分され、各区分によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されている、
又は、
曲面の表面をもつ共通基板の前記表面に、複数の表示素子を備える第1~第mの素子構造体が設けられ、前記各素子構造体によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されている、
又は、
曲面の表面をもつ基板の前記表面に、複数の表示素子を備える素子構造体が設けられた基板構造体がm個、隣接して配置され、かつ、隣接する各基板構造体同士が連結部で連結されて一体化され、前記各基板構造体によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されていてもよい。
第2の態様では、第1~第mの表示領域を有する曲面表示部の構成を例示している。例えば、曲げることが可能な共通基板(共通基材)に、複数の表示素子(例えばマイクロLED素子や電極)が形成されている素子構造体を設け、その素子構造体を電気的に区分(分離)し、その1つの区分を1つの表示領域とする、という構成であってもよい。
また、共通基板(共通基材)に、複数の素子構造体を隣接して設け、各素子構造体を1つの表示領域とする、という構成であってもよい。
また、素子構造体のみならず、その下地となる基板(基材)も個別化し(言い換えれば、上記の共通基板は個別基板に置換される)、一対の基板(基材)及び素子構造体で1つの基板構造体を構成し、この基板構造体を隣接して配置し、連結部(連結具)で連結して一体化し、その一体化された構造のうちの1つの基板構造体を1つの表示領域(1つの表示器、1つのディスプレイ等)とする、という構成であってもよい。
いずれも、被投影部材(ウインドシールド)の形状に近似した曲面を有し、かつ複数の表示領域を備える機械的な構造体を用いて、画像の歪み補正を、比較的簡易に実現することができる。コスト面でも有利となる。
第1又は第2の態様に従属する第3の態様において、
前記曲面表示部の前記第1~第mの表示領域の各々は、各表示領域に対応する前記第1~第mの各画像の、前記運転者から見た奥行き方向の歪みが抑制されるように、湾曲された形状を有してもよい。
第3の態様では、第1~第mの各画像を運転者が見ることを想定し、曲面表示部の湾曲形状(曲がり形状)の最適化に際しては、各画像を正面から、あるいは斜めから見る運転者を優先し、その運転者から見た画像の歪みが最小化(低減)されるように設計する。
第1の画像は、運転者に正対するが、第2~第mの画像についは、運転者の正面には表示されず、運転者は、斜めからそれらの画像を見ることになる。この斜めに見る第2~第mの画像についても、運転者から見て奥行き方向の歪みが抑制されるように、曲面表示部の曲面形状が決定される。
運転者にとって、複数の画像から得られる各情報は、例えば車両の安全な運行上、重要な意味をもつため、歪みの少ない高品質の画像を提供することが望ましい。このような点を考慮した設計を実施するものである。
第1又は第2の態様に従属する第4の態様において、
前記車両には、前記車両の幅方向に沿って、前記運転者の他、(m-1)人の同乗者が位置することができ、
各同乗者を、第1~第(m-1)の同乗者とするとき、
前記曲面表示部の湾曲形状は、
前記運転者に関しては、前記運転者から見た画像の歪みを低減するように決定されており、
かつ、
前記第1~第(m-1)の各同乗者に関しては、
前記運転者を最も重視して重み付けし、次に、自身を優先して重み付けし、次に、自身以外の同乗者により軽い重み付けをするか無視し、前記各重み付けに応じて決定されていてもよい。
第4の態様では、第1~第mの画像は、運転者以外の同乗者も見ることを想定し、各同乗者から見た画像の歪みも低減されるように、曲面表示部の湾曲形状(曲がり形状)が決定されている。
同乗者に関しては、優先的に運転者を重み付けし、次に、自身を優先的に重み付けし、次に、他の同乗者をより軽く重み付けするか無視し、それらの重み付けを総合的に考慮した湾曲形状とされる。
運転者のみならず、各同乗者にとっても見易い表示が実現されることから、運転者及び同乗者の双方にとって、違和感の少ない画像表示となる。結果的に、画像の表示品質が、さらに向上する。
第1乃至第4の態様に従属する第5の態様において、
前記第2~第mの画像のうち、前記被投影部材の形状に起因する歪みを受けにくい画像に対応する前記曲面表示部の表示領域は、湾曲のない、平面の表面を備える表示領域としてもよい。
第5の態様では、曲面の表面を有する表示領域と、平面の表面を有する表示領域とが混在する構成を採用する。1つの表示領域を1つの表示器とする場合には、曲がった断面形状の表示器と平板状の断面形状の表示器とが混在しているとみることができる。
運転者に正対しない画像に対応する、曲面表示部の表示領域に関して、画像の平坦性を確保し易い表示領域と、そうでない表示領域とに区分し、平坦性を確保し易い表示領域には、平板状の表示器を使用することで、コストを低下させることができる。
また、平板状のディスプレイは機械的応力が少なく、機械的に安定しているため、組み立て等の誤差を低減しつつ、比較的大きなサイズのフレキシブル基板を安定的に製造することもできる。
第1乃至第5の何れか1つの態様に従属する第6の態様において、
前記車両の高さ方向から見た平面視において、
前記複数の表示領域は、
前記車両の前部における、前記車両の幅方向の中央部において、
前記車両の幅方向の中心を通って、前記車両の前後方向に延びる中心線に対して、左右対称に配置されていてもよい。
第6の態様では、曲面表示部における複数の表示領域は、車両の前部の中央部において、車両の幅を二分する中心線に対して線対称に配置される。これによって、被投影部材(ウインドシールド等)の、車両の幅方向(左右方向)の広範な領域を、表示光の反射(及び透過)領域として有効活用できる。また、左右に対称の配置とすることで、曲がった断面形状をもつ曲面表示部において、応力がバランスされ、機械的な安定性を高く保つことができる。
第1乃至第6の何れか1つの態様に従属する第7の態様において、
前記曲面表示部に表示される前記画像に対して、前記被投影部材の形状に起因する歪みを軽減する事前歪み処理であるワーピング処理を実施するワーピング処理部を有し、
前記ワーピング処理部は、前記曲面表示部の形状の変形では除去できない、前記画像の歪みを抑制する処理を実施するようにしてもよい。
第7の態様によれば、曲面表示部の形状の変形では除去できない、画像の歪みを抑制するように事前歪み処理を実施することで、画像の歪みがさらに低減される。また、曲面表示部の湾曲形状によって、画像の歪みはかなり低減されているため、ワーピング処理の負担は軽減され、ワーピング処理の実行が容易化されるという利点もある。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
図1(A)は、右ハンドル車に2名が乗車している場合におけるHUD装置の配置例を示す図、図1(B)は、左ハンドル車に3名が乗車している場合におけるHUD装置の配置例を示す図である。 図2(A)は、図1(A)に対応する画像(虚像)表示例を示す図、図2(B)は、図1(B)に対応する画像(虚像)表示例を示す図である。 図3(A)は、3D表示装置の原理的構成を示す図、図3(B)は、3DHUDによる画像表示の例を示す図である。 図4(A)~(G)は、曲面表示部の製造方法の例を示す図である。 図5(A)は、視認者が2人(運転者と同乗者1名)の場合における、本発明を使用しない場合の表示例(比較例)を示す図、図5(B)は、本発明(運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する例)を使用した場合の表示例を示す図、図5(C)~(E)は、曲面表示部の構造例を示す図である。 図6は、運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する構成の変形例を示す図である。 図7(A)は、視認者が3人(運転者と同乗者2名)の場合における、本発明(運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する例)を使用した場合の表示例を示し、図7(B)~(D)は、曲面表示部の構造例を示す図である。 図8は、車両の前方において、車両の幅方向に沿って複数の画像が表示される場合に、各画像について、運転者から見た歪みが抑制されるように曲面表示部が設計される例を示す図である。 図9(A)は、視認者が3人(運転者と同乗者2名)の場合において、左端の運転者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図、図9(B)は、中央の同乗者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図、図9(C)は、右端の同乗者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図である。 図10は、図9(A)~(C)の各例を総合的に勘案した重み付けによる曲面表示部の湾曲形状の決定によって、運転者、及び各同乗者から見て歪みが低減された画像を表示する例を示す図である。 図11は、曲がりを有する表示領域(湾曲表示器)と、平板状の表示領域(平板表示器)とを混在させた構成の曲面表示部による表示例を示す図である。 図12(A)は、HUD装置の構成の一例を示す図、図12(B)は、HUD装置の構成の他の例を示す図である。
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
(第1の実施形態)
図1(A)は、右ハンドル車に2名が乗車している場合におけるHUD装置の配置例を示す図、図1(B)は、左ハンドル車に3名が乗車している場合におけるHUD装置の配置例を示す図である。
以下の説明では、主として「曲面表示部」という表現を使用する。「曲面表示部」は、画面が曲面である表示部である。ここで「画面」は、一例であるが、画素を構成する発光素子(LED等)が形成されている基板や基材の表面(言い換えれば、発光素子の搭載面)に相当すると解釈可能である。また、「曲面表示部」は、「湾曲表示部」と称することもできる。
また、「湾曲」という用語については、広く解釈するのが好ましい。例えば、「表示部(例えば板状パネル)の肉厚を(曲面内で)部分的に変化させて、曲面形状が微調整されていること」等も含むように解釈することができる。
また、曲面表示部は、例えば、「可撓性等を有し、変形可能なフレキシブル表示部」とすることができる。但し、これに限定されるものではない。「変形は不可(言い換えれば形状は固定)であるが、所望の湾曲形状を有する表示部」であってもよい。基板等の材質は問わない。
図1(A)において、X方向は車両1の幅方向(あるいは左右方向)、Y方向は車両1の高さ方向、Z方向は車両1の前方(広義には前後方向)を示す。前方(前後方向)は、奥行き方向、あるいは、画像(虚像)が表示される距離に関係することから像距離方向とも称される。
図示されるように、車両1は、ステアリングホイール8が右側にある、前列2人掛けの乗用車である。図1(A)では、運転席6に運転者S1が着座し、その隣の助手席に同乗者S2が着座している。後部座席11には、同乗者はいない状態である。
車両1のウインドシールド2側の部分である前方部分の、車両1の幅方向(左右方向)における中央部において、HUD装置101が、例えばインスツルメントパネル(不図示)の内部に配置されている。
このHUD装置101は、曲面表示部(図1(A)では不図示、図5(B)~(E)の符号210)を有し、この曲面表示部は、車両1の幅方向(左右方向)に沿って配置された複数(ここでは2つ)の表示領域R1、R2を有する。なお、「表示領域」という用語は、「表示部分」、「表示手段」、「表示パネル」、「表示器」、「ディスプレイ」等と言い換えることも可能である。
好ましくは、この表示領域R1、R2は、車両1の高さ方向から見た平面視において(言い換えれば、図1において)、車両1の幅方向(左右方向)の中心(中央の一点)を通って、車両1の前後方向に延びる中心線Qに対して、左右対称に配置される。なお、「車両1の幅方向の中心の位置」は、設計上の種々の要因を考慮して、柔軟に解釈するのが好ましい。
言い換えれば、曲面表示部における複数(ここでは2つ)の表示領域R1、R2は、車両1の前部の中央部において、車両の幅を2分する中心線Qに対して線対称に配置される。これによって、被投影部材(ここではウインドシールド2)の、車両1の幅方向(左右方向)の広範な領域を、画像の表示光の反射(及び透過)領域として有効活用できる。また、左右に対称の配置とすることで、曲がった断面形状をもつ曲面表示部において、応力がバランスされ、機械的な安定性を高く保つことができる。
各表示領域R1、R2から出射(投影)される表示光は、被投影部材(反射透過部材:ここではウインドシールド2)で一部が反射されて、運転者S1や同乗者S2の視点(眼)に到達する。図中、画像の表示光(主光線:最短距離で運転者S1の視点に到達する代表的な光線)が、矢印にて示されている。
なお、表示領域R1が表示する画像(ここでは虚像)は、運転者S1、同乗者S2のいずれもが見ることは可能である。但し、好ましい例では、その画像は、主として運転者S1が見ることを想定して表示される。表示領域R1によって表示される画像については、運転者S1が主たる視認者であり、同乗者S2は、従たる視認者である。
また、表示領域R2が表示する画像(虚像)についても、運転者S1が主たる視認者であるのが好ましく、同乗者S2が従たる視認者であるのが好ましい。
言い換えれば、HUD101は、運転者S1に対して歪みの少ない画像を提供することを最も重視して設計されるのが好ましい。
図1(B)においても、図1(A)の説明が、ほぼ同様に適用され得る。但し、図1(B)では、車両1は、前列3人掛けの左ハンドル車である。左側の運転席16には運転者S10が着座し、中央の座席18には第1の同乗者(単に同乗者ということがある)S20が着座し、右側の座席20には第2の同乗者(単に同乗者ということがある)S30が着座している。後部座席21には、同乗者がいない状態である。
また、図1(B)では、HUD装置103に含まれる曲面表示部(図6(A)~(D)における符号210)は、3つの表示領域R10、R20、R30を有する。
好ましい例において、表示領域R10が表示する画像(虚像)の主たる視認者は運転者S10であり、他の2人の同乗者S20、S30は従たる視認者である。
また、表示領域R20が表示する画像(虚像)の主たる視認者も運転者S10であるのが好ましい。他の2人(中央の同乗者S20、右端の同乗者S30)は従たる視認者であるのが好ましい。
また、表示領域R30が表示する画像(虚像)の主たる視認者も運転者S10であるのが好ましい。他の2人(中央の同乗者S20、右端の同乗者S30)は従たる視認者であるのが好ましい。
なお、車両1の前列の同乗者の数は、2人及び3人に限定されるものではない。一般には、m人(mは2以上の自然数、mは通常は2~4の範囲である)と表現することができる。
次に、図2を参照する。図2(A)は、図1(A)に対応する画像(虚像)表示例を示す図、図2(B)は、図1(B)に対応する画像(虚像)表示例を示す図である。
図2(A)において、手前側にアイボックスEBが設定され、奥側に、2つの表示領域(図1(A)の符号R1、R2)に対応する、仮想的な虚像表示面PSが設定される。なお、視認者の視点(眼)がアイボックスEBの範囲内に位置する場合に、画像(虚像)を視認可能である。なお、アイボックスEBは立体的なものであるが、説明の便宜上、平面的に描かれている。
虚像表示面PSは、表示領域R1に対応する虚像表示面PS1と、表示領域R2に対応する虚像表示面PS2と、を有する。虚像表示面PS1に表示される画像(虚像)に正対する(言い換えれば、その画像(虚像)を正面から見る)視認者は、運転者(図1(A)の符号S1)である。
なお、「正対」という用語は、「対向する」、「向き合う、向かい合う」等と言い換えることもできる。
また、虚像表示面PS2に表示される画像(虚像)に正対する(言い換えれば、その画像(虚像)を正面から見る)視認者は、同乗者(図1(A)の符号S2)である。運転者S1は、虚像表示面PS2に表示される画像(虚像)を斜めに見る。
図2(B)では、アイボックスEBは、運転者S10用のアイボックスEB10、同乗者用のアイボックスEB20及びEB30を有する。虚像表示面PSは、3つの表示領域R10~R30の各々に対応する虚像表示面PS10、PS20、PS30を有する。虚像表示面PS10に表示される画像に正対する(言い換えれば、その画像(虚像)を正面から見る)視認者は、運転者S10(図1(B)参照)である。同様に、虚像表示面PS20に表示される画像に正対する(言い換えれば、その画像(虚像)を正面から見る)視認者は、同乗者S20(図2(B)では、「同乗者1」と記載されている)である。同様に、虚像表示面PS30に表示される画像に正対する(言い換えれば、その画像(虚像)を正面から見る)視認者は、同乗者S30(図2(B)では、「同乗者2」と記載されている)である。運転者S10は、虚像表示面PS20、PS30に表示される画像(虚像)を斜めに見る。
虚像表示面PSは、図2(A)、(B)に示されるように、平面であるのが理想的であり、平面であれば、表示される画像(虚像)は、前後方向(奥行方向)に歪むことがなく、高い表示品質を確保することができる。
但し、実際には、ウインドシールド2、及び、他の光学系(例えば図3(B)に示される曲面ミラー171等)の曲面の影響を受けて、虚像表示面PSの形状は前後方向に歪み、これに伴い、表示画像(虚像)も歪むことになる。
この歪みを抑制するために、本発明では、曲面表示部の曲げ形状を最適化するという手法を採用する。なお、さらに、ワーピング処理を併用することもできる。具体例については後述する。
以下、HUD装置の表示原理や構成例等について、順を追って説明する。なお、以下の説明は一例であり、その説明に用いられる構成等に限定されるものではなく、種々、置換、変形、応用等が可能である。
図3を参照する。図3(A)は、3D表示装置の原理的構成を示す図、図3(B)は、3DHUDによる画像表示の例を示す図である。
図3(A)において、表示領域を備え、かつ画面が曲面である曲面表示部210(ここでは、説明の便宜上、曲面表示部210は平板状に描いている)の表示面211に、右眼用の画像(視差画像)QR、左眼用の画像(視差画像)QLが表示される。なお、「視差画像」とは、左右の眼が異なる位置にあることによって生じる視差(各眼が知覚する画像の差)が再現されている画像である。
曲面表示部210の光出射側を前方とするとき、曲面表示部210の前方に光学部材(図3(A)の例では符号RSを付して示している)が配置される。光学部材RSは光線分離部材として機能し、左上側に示されるように、具体的にはレンチキュラレンズ220、あるいは、パララックスバリア(視差バリア)225により構成することができる(但し、これらは例示であり、これらに限定されるものではない)。
また、パララックスバリア(視差バリア)は、例えば幅の細い短冊状(矩形形状)の遮蔽物225a~225nを、隙間(スリット)SLを設けつつ横方向に所定ピッチで配置したものであり、同じ画像であっても、遮蔽物によって、その画像の表示光の一部を遮蔽することで、左右の各眼用の、異なる映像の表示光(指向性のある表示光)を発生させるものであり、光線を左右の各眼用に分離する点ではレンチキュラレンズと共通する。但し、光を遮断するため映像がやや暗くなることがあり、この点ではレンチキュラレンズの方が有利となる。
光学部材として、現在の3Dディスプレイの分野で主流技術といわれるレンチキュラレンズ、又はパララックスバリア(視差バリア)を使用することで、表示される映像品質を安定に維持することができる。
光線分離機能を有する光学部材RSで分離された光(画像を再現する各眼用の再現光E(L1)、E(R1))が、光の結像点に位置する両眼AL、ARに入光したとすると、人には、輻輳(光の交差)が生じている箇所にて、見かけ上の立体像IM(具体的には、図2(A)で示したM(V1)、M(V2)等)が見える。言い換えれば、このことは、立体像IMが、3Dディスプレイによって生成された、とみることもできる。なお、図3(A)の例では、輻輳角はθcである。
次に、図3(B)を参照する。図3(B)では、視認者(車両の運転者等)の前にアイボックスEBが設定されており、アイポイントEP(C)は、アイボックスEBの中央に位置する。ウインドシールド2の前方に、左右の各眼に対応する仮想的な結像面PS(L)、PS(R)を設定したとすると、その重なりの領域の中央に虚像V(C)が位置する。虚像V(C)の輻輳角はθdであり、虚像V(C)は、視認者(ユーザー)には立体的な像として認識されることになる。
この立体的な虚像V(C)は、以下のようにして表示(形成)される。すなわち、図3(A)に示した3Dディスプレイにより生成された仮想的な立体像IMの、左右の各眼用の再現光e(L1)、e(R1)を、HUD装置の光学系に含まれる曲面ミラー(凹面鏡等)171にて反射させ(反射の回数は少なくとも1回)、これによって、表示光E(L1)、E(R1)としてウインドシールド2に投射(投影)し、その反射光が視認者の両眼に至り、ウインドシールド2の前方に像を結ぶことによって、虚像V(C)が表示(形成)されることになる。
次に、図4を参照する。図4(A)~(G)は、曲面表示部の製造方法の例を示す図である。曲面表示部は、多数の表示素子を含む。ここでは、表示素子として、マイクロLEDを用いることとする(但し、これに限定されるものではない)。
マイクロLEDを用いた表示デバイスでは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の画素(サブピクセル)が、例えばカラーフィルターを備えるLED(発光ダイオード)によって構成される。マイクロLEDを用いたディスプレイは、色鮮やかな表示が可能であり、また、光の利用効率が高く、低消費電力であり、かつ高輝度の表示にも対応可能である。
マイクロLEDデバイスは、多数の画素を高集積化できるメリットもあり、本発明には好ましいものである。但し、これに限定されるものではない。マイクロLEDデバイスに代えて、例えば、可撓性を有するフレキシブル基板を用いた液晶表示デバイスや、フレキシブル基板を用いた有機ELデバイス等を用いることも可能である。
図4(A)、(B)は、直説法と呼ばれる曲面表示部(フレキシブル表示パネル、フレキシブルディスプレイ等と言い換えることもできる)の製造方法を示している。図4(A)に示されるように、保持基板500上に、仮接着材501を介して、例えば可撓性のあるプラスチック基板502が形成される。このプラスチック基板502には、マイクロLED素子503と、このマイクロLED素子503を発光させるための電極504、505が形成されている。
保持基板500を除去することによって、図4(B)に示されるような曲面表示部(フレキシブル表示パネル、フレキシブルディスプレイ)210を得ることができる。図4(B)では、フレキシブル基板502を平板状に描いているが、これを適宜、曲げ加工して曲面をもつ形状とすることで、湾曲変形した曲面表示部を得ることができる。
図4(C)、(D)は、剥離法と呼ばれる製造方法を示している。図4(C)に示されるように、保持基板500上に、例えばプラスチック製のフィルム基板510を形成する。このプラスチック製のフィルム基板510上には、マイクロLED素子503、電極504、505が形成されている。プラスチック製のフィルム基板510を保持基板500から剥離することによって、図4(D)に示される曲面表示部(フレキシブル表示パネル、フレキシブルディスプレイ)210が得られる。
図4(E)~(G)は転写法と呼ばれる製造方法を示す。図4(E)に示されるように、保持基板(例えば無機基板)500上に剥離層506を介してマイクロLED素子503、及び電極504、505が形成されている。
図4(F)では、転写用のプラスチック基板507(表面に接着層508が形成されている)が、図4(E)の構造上に載置され、上側から押し付けられる。
図4(G)では、転写用のプラスチック基板507を剥離する。このとき、転写用のプラスチック基板507上の接着層508に、マイクロLED素子503及び電極504、505が転写される。これによって、曲面表示部(フレキシブル表示パネル、フレキシブルディスプレイ)210が得られる。
なお、曲面表示部として、変形可能なフレキシブル表示部を用いる場合、例えば、曲げ加工によって、画面の曲面形状、曲がりの程度等を、微調整することが可能であり、設計の自由度が高いといった利点がある。
次に、図5を参照する。図5(A)は、視認者が2人(運転者と同乗者1名)の場合における、本発明を使用しない場合の表示例(比較例)を示す図、図5(B)は、本発明(運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する例)を使用した場合の表示例を示す図、図5(C)~(E)は、曲面表示部の構造例を示す図である。なお、図5(B)は、先に示した図1(A)に対応する。
図5(A)の比較例において、3D表示装置(立体ディスプレイ)230は、先に図4(B)、(D)、(G)にて例示した曲面表示部(ここではフレキシブル表示パネル、フレキシブルディスプレイとする)210を有しているが、その形状(例えば断面形状)は平板状であり、湾曲変形されていない。なお、先に図3に示したように、3D表示装置は、レンチキュラレンズ等の光学系を有するが、図5においては、説明の便宜上、光学系は省略している。
また、曲面表示部210は、第1の表示領域(表示部分、表示器)R1と、第2の表示領域(表示部分、表示器)R2と、を有する。第1の表示領域R1から出射される画像の表示光は、被投影部材(ウインドシールド)2で、その一部が反射され、運転者S1、及び同乗者S2の視点(眼)に到達する。また、第2の表示領域R2から出射される画像の表示光は、被投影部材(ウインドシールド)2で、その一部が反射され、同乗者S2及び運転者S1の視点(眼)に到達する。この結果として、第1の表示領域R1に対応する画像(虚像)が、車両1の前方の虚像表示面(結像面)PS1上に表示(結像)され、第2の表示領域R2に対応する画像(虚像)が、車両1の前方の虚像表示面(結像面)PS2上に表示(結像)される。
図中、EB1は、運転者用のアイボックスを示し、EB2は、同乗者用のアイボックスを示す。
図5(A)の比較例では、虚像表示面PS1、PS2は、画像の歪みの最大の要因である被投影部材(ウインドシールド)2の湾曲形状の影響を受けて湾曲しており、このために、車両の前後方向(奥行き方向)に画像が歪む。
この原因は、表示光の光路長に差が生じることにある。例えば、第1の表示領域R1の一点から、周囲のあらゆる方向に光が出射され、その内の1つの光線が、被投影部材(ウインドシールド)2の所定高さ位置の点(第1の点)で反射されて、運転者S1の視点(一点)に到達するものとする。
同様に、ウインドシールド2における、同じ高さで、かつ車両の幅方向(左右方向)に所定距離シフトされた第2の点で反射されて、運転者S1の視点(一点)に到達する主光線を考える。
以下、同様に、ウインドシールド2の同じ高さで、かつ左右方向に少しずつシフトされた第3、第4・・・第n(nは5以上の自然数)の点で反射されて、運転者S1の視点((一点)に到達する主光線を考える。
図5(A)では、曲面表示部210は平板状であり、一方、ウインドシールド2は弓形に湾曲していることから、ウインドシールド2上の、横方向の位置が異なる各反射点を経由する表示光の光路長は、ウインドシールド2の湾曲の影響により異なる。この結果、各光線に対応する画像の結像点の位置(車両の前後方向の位置)が異なり、よって、図5(A)の上側に示されるように、第1の虚像表示面PS1は湾曲する。第2の虚像表示面PS2についても同様である。
これに対して、本発明を適用した図5(B)の例では、曲面表示部210は、ウインドシールド2の弓形の湾曲形状に近似させて、曲げられた形状(曲げ加工された断面形状)を有している。このため、ウインドシールド2の湾曲の影響は相殺され、上記の各光線の光路長の差は十分に縮小される。
図5(B)の例では、曲面表示部210の2つの表示領域R1、R2の双方を、ウインドシールド2の湾曲形状に対応させて湾曲させている。但し、これに限定されない。
より広義には、「少なくとも、運転者S1に正対する虚像表示面PS1に表示される画像に対応する表示領域R1の形状を、運転者S1から見た奥行き方向の画像の歪みを抑制するように湾曲した形状とする」という設計手法が採用される。
言い換えれば、車両1の前方において、車両1の幅方向(左右方向)に沿って複数の画像(虚像)が表示されるとき、その画像を運転者S1のみならず、例えば隣接して着席している同乗者S2も視認し得る場合が多いが、その場合であっても、運転者S1を優先して、表示画像(虚像)の歪み低減し、運転者S1から見た場合の画像の表示品質を改善する。
また、運転者S1は、その複数の画像を全部見ることができる場合が多いと考えられるが、この場合において、少なくとも、運転者S1に正対する(言い換えれば、運転者S1の正面に位置する)画像について歪み低減を実施する。
これは、運転者S1の正面(略正面、正面近傍を含む)に表示される画像(言い換えれば、第1~第m(mは2以上の自然数)の画像の内の第1の画像)が提示する情報は重要度が高い場合が多く、車両の運転上、影響が大きいと考えられるため、運転者に正対する画像を最優先として歪み低減を行うものである。
歪みの低減は、曲面表示部210を用いて、表示面を、画像歪みの主要な要因である被投影部材(ウインドシールド)の曲面形状に対応させて湾曲させることで実現される。画像の表示光のうち、被投影部材で反射して最短距離で運転者の視点に到達する光線を主光線とするとき、画像を構成する各画素についての主光線の光路長の差を小さくすることで、画像の奥行き方向の歪みを抑制可能である。
上記の構成を採用することで、運転者S1には、表示される画像は、像距離方向(言い換えれば車両の前後方向、あるいは奥行き方向)の歪みが軽減されて、違和感の少ない画像として感得され得る。
また、表示しようとする画像の数だけヘッドアップディスプレイ(HUD)装置を個別に用意すると、車載表示システムが大規模化し、コストも増大する。これに対して、図5(B)の構成によれば、各表示領域R1、R2は、曲面表示部210として集約されて(好ましくは一体的に)形成されており、上記の問題が解消される。
また、先に図1で示したように、複数の表示領域を集約的に配置してなる1つのHUD装置を、例えばウインドシールドの近くに配置することで、車両の幅方向(左右方向)の広範囲にわたって種々の画像を表示でき、適正な画像による情報提供等が可能となり、簡単な構成で、かつ専有面積を抑えて、かつローコストで新規なHUD装置を実現することが可能である。
ここで、図6を参照する。図6は、運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する構成の変形例を示す図である。
図6の例では、表示領域R1は湾曲しているが、表示領域R2’は平坦である。この結果、虚像表示面PS1については奥行き方向の歪みは抑制されるが、虚像表示面PS2’については、図5(A)の比較例と同じような歪みが残存する。
しかし、この場合においても、運転者S1が正面から見る画像については、歪みが低減されており、この点では表示品質が改善されている。
運転者S1が正面から見る画像は、例えば車両1の安全運転に有益な重要な情報を提示する場合が多いと考えられる。よって、その重要な画像の表示品質が改善されることで、運転者S1は、違和感なく、その重要な情報を取得することができるという効果が得られる。図6のような変形例も、本実施形態に含まれる。
ここで、図5に戻って説明を続ける。次に、図5(C)~(E)を参照して、曲面表示部における各表示領域の構成例について説明する。
図5(C)において、曲面表示部210は、曲面の表面をもつ共通基板Aの表面に、複数の表示素子(先に図4に示したマイクロLED素子503や電極504、505を含む)を備える素子構造体Bが設けられ、その素子構造体Bが複数の領域に電気的に区分され、各区分によって、複数の表示領域の各々(R1、R2)が形成されている構成を有する。言い換えれば、曲げることが可能な共通基板(共通基材)Aに、複数の表示素子(例えばマイクロLED素子や電極)が形成されている素子構造体Bを設け、その素子構造体Bを電気的に区分(分離)し、その1つの区分を1つの表示領域R1又はR2とする、という構成である。
ここで、共通基板Aは、先に示した図4(B)のプラスチック基板502、図4(D)のプラスチック製のフィルム基板510、図4(G)のプラスチック基板507及び接着層508に相当し、これらを大規模化したものを、総称して「共通基板」と称している。
また、素子構造体Bは、先に示した図4(B)、(D)、(E)における、マイクロLED素子503及び電極504、505に相当し、これらを複数(具体的には大規模に)集積したものを、「素子構造体」と称している。
また、図5(D)では、曲面の表面をもつ共通基板Aの表面に、複数の表示素子を備える複数の素子構造体(ここでは、2つの、個別化された素子構造体B’、B’)が設けられ、各素子構造体B’によって、複数の表示領域の各々(R1、R2)が形成されている構成を有する。
また、図5(E)では、曲面の表面をもつ基板(個別化された基板)A’の表面に、複数の表示素子を備える素子構造体(個別化された素子構造体)B’が設けられた基板構造体Cが複数(ここでは2個)、隣接して配置され、かつ、隣接する各基板構造体C同士が連結部(連結具610、620の少なくとも一方を有する)で連結されて一体化され、各基板構造体Cによって、複数の表示領域の各々(R1、R2)が形成されている構成を有する。
何れの例においても、被投影部材(ウインドシールド)2の形状に近似した曲面を有し、かつ複数の表示領域を備える機械的な構造体によって、画像の歪みを抑制可能である。また、フレキシブル表示部を使用した場合には、機械的な加工技術を用いて、自由な曲げ形状(湾曲形状)を、比較的簡易に実現することができる。コスト面でも有利となる。
次に、図7を参照する。図7(A)は、視認者が3人(運転者と同乗者2名)の場合における、本発明(運転者から見た、少なくとも正面の画像の歪みを低減する例)を使用した場合の表示例を示し、図7(B)~(D)は、曲面表示部の構造例を示す図である。なお、図7の例は、先に示した図1(B)の例に対応する。
曲面表示部210の構造は、基本的には図5の例と同様であるが、図6の例では、3人の視認者S10~S30に対応して、曲面表示部210には3つの表示領域R10、R20、R30が形成されている。また、虚像表示面(結像面)PSとして、第1~第3の虚像表示面PS10~PS30が設けられる。
図5(B)の例にて説明した内容は、図7(A)の例にも、適宜、適用され得る。ここでは再度の説明を省略する。
図7(A)の例によれば、ウインドシールド2の湾曲の影響が相殺され、特に、運転者S10に対応する虚像表示面PS10は平坦面(略平坦面)となる。よって、少なくとも、運転者S10が正面から見る画像については、前後方向(奥行き方向)における画像(虚像)の歪みが抑制され、表示品質が改善される。
図7(B)~(D)は、先に説明した図5(C)~(E)に対応する。図5(C)~(E)の例にて説明した内容は、図7(B)~(D)の例にも、適宜、適用され得る。ここでは再度の説明を省略する。なお、図7(D)の例では、曲面表示部210が3つの表示領域R10~R30を有していることに対応して、左端の表示領域R10と中央の表示領域R20の連結には、連結部(連結具)610a及び620aの少なくとも一方が使用される。同様に、中央の表示領域R20と右端の表示領域R30の連結には、連結部(連結具)610b及び620bの少なくとも一方が使用される。
何れの例においても、被投影部材(ウインドシールド)2の形状に近似した曲面を有し、かつ複数の表示領域を備える機械的な構造体によって、画像の歪みを抑制可能である。また、フレキシブル表示部を使用した場合には、機械的な加工技術を用いて、自由な曲げ形状(湾曲形状)を、機械的な加工技術を用いて、比較的簡易に実現することができる。コスト面でも有利となる。
(第2の実施形態)
次に、図8を参照する。図8は、車両の前方において、車両の幅方向に沿って複数の画像が表示される場合に、各画像について、運転者から見た歪みが抑制されるように曲面表示部が設計される例を示す図である。図8において、砂模様が付された範囲は、運転者S10の視界(目視範囲)を示す。
複数の画像が表示されるとき、運転者S10は、それらのすべての画像を見ることができる場合が多いと考えられる。そこで、各画像について、運転者S10から見た歪みが抑制されるように、各表示領域の湾曲形状を最適化する。
言い換えれば、第1~第m(mは2以上の自然数)の各画像を運転者が見ることを想定し、曲面表示部210の湾曲形状(曲がり形状)の最適化に際しては、各画像を正面から、あるいは斜めから見る運転者S10を優先し、その運転者S10から見た画像の歪みが最小化(低減)されるように設計する。
図8の例では、運転者S10に対応する虚像表示面PS10に表示される画像を第1の画像とし、中央の同乗者S20に対応する虚像表示面PS20に表示される画像を第2の画像とし、右端の同乗者S30に対応する虚像表示面PS30に表示される画像を第3の画像とする。
第1の画像は、運転者S0に正対するが、第2、第3(広義には第m)の画像についは、運転者S10の正面には表示されず、運転者S10は、斜めからそれらの画像を見ることになる。
この斜めに見る第2、第3(広義には第m)の画像についても、運転者S10から見て奥行き方向の歪みが抑制されるように、曲面表示部210の各表示領域R10~R30の曲面形状が最適化される。
運転者S10にとって、複数の各画像から得られる各情報は、例えば車両1の安全な運行上、重要な意味をもつため、歪みの少ない高品質の画像を提供することが望ましい。このような点を考慮した設計を実施するものである。これによって、運転者から見た、各表示画像の表示品質が向上し、違和感の少ない表示が可能となる。
(第3の実施形態)
次に、図9を参照する。図9(A)は、視認者が3人(運転者と同乗者2名)の場合において、左端の運転者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図、図9(B)は、中央の同乗者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図、図9(C)は、右端の同乗者が、前方に表示される複数の画像を見る例を示す図である。図9において、図8を同じ箇所には同じ参照符号を付している。
また、図9(A)は、先に示した図8と同じである。また、図9(A)~(C)において、砂模様が施された領域は、虚像表示面PS10、PS20、PS30の各々に表示される3つの画像に対する、左端の運転者S10、中央の同乗者S20、右端の同乗者S30の視界(あるいは視野)を示す。
図9(A)~(C)からわかるように、車両1の前方に表示される複数の画像については、運転者のみならず、各同乗者も視認可能であることも想定され得る。本実施形態では、この点を考慮して、図9(A)の場合のみならず、図9(B)、図9(C)の場合においても、表示される各画像の歪み低減の効果を得ることができるように、曲面表示部210の湾曲形状(曲がり形状)を最適化する。
この最適化のために、本実施形態では、複数の視認者の各々を重み付けし、その重み付けを考慮した設計を実施する。
図10を参照する。図10は、図9(A)~(C)の各例を総合的に勘案した重み付けによる曲面表示部の湾曲形状の決定によって、運転者、及び各同乗者から見て歪みが低減された画像を表示する例を示す図である。
図10の例は、先に示した図1(B)の例に対応する。視認者となり得るのは、車両1の前列に座るm人(ここではm=3)である。車両1には、車両1の幅方向に沿って、運転者S10の他、2人(言い換えれば(m-1)人)の同乗者が位置することができる。
左端の虚像表示面PS10に表示される画像は、運転者S10に正対することができる画像であり、これを第1の画像とする。
中央の虚像表示面PS20に表示される画像は、中央の同乗者S20に正対することができる画像であり、これを第2の画像とする。
右端の虚像表示面PS30に表示される画像は、右端の同乗者S30に正対することができる画像であり、これを第3の画像(広義には第mの画像)とする。
曲面表示部210の湾曲形状は、
運転者S10(言い換えればアイボックスEB10)に関しては、運転者S10から見た画像の歪みを低減するように決定されており、
かつ、
第1、第2の各同乗者S20、S30(言い換えれば、アイボックスEB20、EB30)に関しては、運転者S10を最も重視して重み付けし、次に、自身を優先して重み付けし、次に、自身以外の同乗者(一人又は複数)により軽い重み付けをするか無視し、各重み付けに応じて決定されていてもよい。
言い換えれば、図10の下側に示されるように、左端の運転者S10(言い換えればアイボックスEB10)に関しては、運転者S10のみが優先される。つまり、考慮される重み付けは、S10のみである。
また、中央の同乗者(アイボックスEB20)に関しては、運転者S10に最大の重み付けがなされ、次に、自身である中央の同乗者S20が重み付けされ、右端の同乗者S30については、より軽い重み付けがされるか、あるいは無視される。重み付けは、S10>S20(>S30)となる。
また、右端の同乗者(アイボックスEB30)に関しては、運転者S10に最大の重み付けがなされ、次に、自身である右端の同乗者S30が重み付けされ、中央の同乗者S20については、より軽い重み付けがされるか、あるいは無視される。重み付けは、S10>S30(>S20)となる。
具体的な設計手法としては、例えば以下の例があげられる(但し、一例であり、これに限定されるものではない)。
例えば、3Dグラフィックスや3DCAD(コンピュータ支援デザイン)の技法を用いて、自由曲面形状を、適宜、補正(微調整)していき、目的の曲面形状を実現することができる。
例えば、図10において、曲面表示部210の各表示領域R10、R20、R30を便宜上、連続した一つの自由曲面として取り扱い、この自由曲面を、高次(例えば、3次~5次)のスプライン曲面として数式(以下、スプライン曲面式、あるいは単に曲面式と称する)にて表現する。
このスプライン曲面式には、各種の条件設定を可能とするために、補正項が用意されており、スプライン曲面式は、一種の補正式ということもできる。
曲面補正のための条件としては、例えば、曲面の、空間における通過位置(複数の通過点)を指定する、所定の空間位置における接線ベクトルや法線ベクトルを指定する、所定位置における曲面自体の形状を指定する、といったことがあげられる。
これらの補正条件は、作業者が逐次設定することができるが、例えば、上記の視認者毎の重み付けを設定すると、自動的に、補正条件が生成され、補正式が決定される、というような自動化も可能である。
これを利用して、例えば、以下のようにして曲面形状を決定することができる。まず、先に示した図9(A)のように、運転者S10の視点に基づく曲面形状の最適化を実施する。
例えば、スプライン曲面式で定義される自由曲面の中で、どの領域を補正するかを示す領域指定を行う(ステップST1)。続いて、運転者S10の重み付け(予め決定しておく)を設定することで、補正条件を自動設定する(ステップST2)。これによって、運転者から見た画像の歪みを低減可能な曲面式が決定される。
続いて、先に図9(B)で示した、中央の同乗者の視点に基づく曲面形状の最適化を実施する。
運転者視点の場合と同様に、スプライン曲面式で定義される自由曲面の中で、どの領域を補正するかを示す領域指定を行う(ステップST3)。続いて、S10>S20(>S30)を満足する視認者毎の重み付け(予め決定しておく)を設定することで、補正条件を自動設定する(ステップST4)。これによって、中央の同乗者から見た画像の歪みを低減可能な曲面式が決定される。
続いて、先に図9(C)で示した、右端の同乗者の視点に基づく曲面形状の最適化を実施する。
スプライン曲面式で定義される自由曲面の中で、どの領域を補正するかを示す領域指定を行う(ステップST5)。続いて、S10>S30(>S20)を満足する視認者毎の重み付け(予め決定しておく)を設定することで、補正条件を自動設定する(ステップST6)。これによって、右端の同乗者から見た画像の歪みを低減可能な曲面式が決定される。
上記のステップST1~ST6を含む曲面表示部の湾曲形状の設定方法によって、図10に示される曲面表示部210の湾曲形状を一義的に決めることができる。
言い換えれば、曲面表示部210における第1~第3の各表示領域R10~R30を含む、見かけ上の連続した表示領域R70(図中、破線の楕円で囲まれて示されている)について、運転者及び各同乗者の重み付けを総合的に考慮した、湾曲形状(曲がり形状)の最適設計が実現される。
本実施形態によれば、運転者のみならず、各同乗者にとっても見易い表示が実現されることから、運転者及び同乗者の双方にとって、違和感の少ない画像表示となる。結果的に、画像の表示品質が、さらに向上する。
(第4の実施形態)
次に、図11を参照する。図11は、曲がりを有する表示領域(湾曲表示器)と、平板状の表示領域(平板表示器)とを混在させた構成の曲面表示部による表示例を示す図である。図11において、前掲の図8と同じ箇所には同じ符号を付している。
先に図5~図7を用いて説明したように、本発明では、運転者から見た画像の歪みを抑制することを優先し、少なくとも、運転者から見て正面(正面付近、正面近傍を含む)に位置する画像表示面の画像については、奥行き方向の歪みが低減されるように、曲面表示部210の湾曲形状が調整される。
また、先に、図8を用いて説明したように、運転者が正面から見る画像のみならず、斜めから見る画像についても、奥行き方向の歪みが軽減されるように、曲面表示部210の湾曲形状が最適化されるのが好ましい。
但し、図8の例では、曲面表示部210に含まれる各表示領域(好ましくは全部の表示領域)について、その湾曲形状の最適化設計を行う必要があり、設計が複雑化し、コストも上昇する傾向が生じるのは否めない。
そこで、本実施形態では、第1~第m(mは2以上の自然数)の画像が表示され、第1の画像は運転者が正面から見る画像であり、第2~第mの画像は、運転者が斜めから見る画像であり、このとき、第2~第mの画像のうち、被投影部材(ウインドシールド)等の形状に起因する歪みを受けにくい画像に対応する曲面表示部210の表示領域(例えば、円弧状に湾曲している曲面表示部の中央に位置する表示領域)は、湾曲のない、平面の表面を備える表示領域としてもよい。
言い換えれば、曲面の表面を有する表示領域と、平面の表面を有する表示領域とが混在する構成を採用することができる。
1つの表示領域を1つの表示器とする場合には、曲がった断面形状の表示器と平板状の断面形状の表示器とが混在しているとみることができる。
図11の例では、円弧状に湾曲している曲面表示部210の中央に位置する表示領域(先に示した図8では符号R20が付されている)が、平坦(平板)状の表示領域R20’となっている。
運転者S10に正対しない画像に対応する、曲面表示部210の表示領域に関して、画像の平坦性を確保し易い表示領域(R10、R30)と、そうでない表示領域(R20)とに区分し、平坦性を確保し易い表示領域R20については、平板状の表示器R20’を使用することで、コストを低下させることができる。また、平板状のディスプレイは機械的応力が少なく、機械的に安定しているため、組み立て等の誤差を低減しつつ、比較的大きなサイズのフレキシブル基板を安定的に製造することもできる。
(第5の実施形態)
次に、図12を参照する。図12(A)は、HUD装置の構成の一例を示す図、図12(B)は、HUD装置の構成の他の例を示す図である。
図12(A)の例では、HUD装置の表示制御を実施する制御部(具体的には少なくとも1つのプロセッサ)170と、表示画像データを生成する画像生成部180と、3D表示装置230と、光学系(例えば、図3(B)の曲面ミラー171等を含む)190と、を有する。
3D表示装置230は、曲面表示部210を有する。この曲面表示部210は、ここでは3つの表示領域R10’、R20、R30を有する(先に示した図7参照)。なお、先に図3(A)で説明したように、3D表示装置230は、レンチキュラレンズ等の光学部材を有するが、図12では記載していない。
図12(B)の例では、さらに、曲面表示部210に表示される画像に対して、被投影部材(ウインドシールド2)の形状に起因する歪みを軽減する事前歪み処理であるワーピング処理を実施するワーピング処理部185が設けられている。
より具体的には、ワーピング処理は、光学系(主として被投影部材)の曲面形状に起因して生じる画像(虚像)の歪みとは逆特性の歪みを、事前に、表示部(表示領域)に表示される画像(原画像)に対して与える処理ということができる。
ワーピング処理部185は、例えば、制御部170の制御の下で、曲面表示部210の形状の変形(湾曲加工)では除去できない、画像の歪みを抑制する処理を実施する。
曲面表示部210の形状の変形では除去できない、画像の歪みを抑制するように事前歪み処理を実施することで、画像の歪みがさらに低減される。また、曲面表示部210の湾曲加工によって、画像の歪みはかなり低減されているため、ワーピング処理の負担は軽減されるという利点もある。言い換えれば、ワーピング処理の実現が容易化される。
以上説明したように、本発明によれば、アイボックスの範囲を車両の幅方向に広げたときに、例えば被投影部材(ウインドシールド等)の形状に起因して生じる画像の歪みを抑制することができる。
本発明は、左右の各眼に同じ画像の表示光を入射させる単眼式、左右の各眼に、視差をもつ画像を入射させる視差式のいずれのHUD装置においても使用可能である。
また、曲面表示部としては、例えば、マイクロLED表示装置、可撓性のある基板に形成された液晶表示装置、有機EL表示装置等、種々のディスプレイ装置を使用することができる。また、形状は固定である曲面ディスプレイを採用することもできる。
また、本明細書において、車両という用語は、広義に、乗り物としても解釈し得るものである。また、ナビゲーションに関する用語(例えば標識等)についても、例えば、車両の運行に役立つ広義のナビゲーション情報という観点等も考慮し、広義に解釈するものとする。また、HUD装置には、シミュレータ(例えば、航空機のシミュレータやゲーム装置としてのシミュレータ等)として使用されるものも含まれるものとする。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
1・・・車両(自車両)、2・・・被投影部材(反射透光部材、ウインドシールド等)、
101、103・・・HUD装置(広義には表示装置)、170・・・制御部、180・・・画像生成部、185・・・ワーピング処理部、210・・・曲面表示部(好ましい例としてはフレキシブル表示部)、211・・・表示面(表面)、220・・・レンチキュラレンズ、225・・・パララックスバリア、230・・・3D表示装置、502、507・・・プラスチック基板、510・・・プラスチックフィルム基板、508・・・接着層、R1、R2、R10、R20、R30・・・表示領域、EB(EB1、EB2、EB10、EB20、EB30)・・・アイボックス、S1、S10・・・運転者、S2、S20、S30・・・同乗者、PS(PS1、PS2、PS10、PS20、PS30)・・・虚像表示面(結像面)

Claims (7)

  1. 車両に搭載され、
    画像を表示する、画面が曲面を含む曲面表示部と、
    前記曲面表示部に表示される前記画像の表示光を、前記車両に設けられる被投影部材に投影する光学系と、
    を有し、
    前記曲面表示部は、
    前記車両の幅方向に沿って設けられる第1~第m(mは2以上の自然数)の表示領域を有し、
    前記第1~第mの表示領域に対応して、前記車両の前方において、前記車両の幅方向に沿って第1~第mの画像が、前記車両の運転者が視認可能なように表示され、
    前記第1の表示領域に対応する前記第1の画像を、前記運転者に正対する位置の画像とする場合に、
    前記曲面表示部の前記第1~第mの表示領域の内の、少なくとも前記第1の表示領域は、前記第1の画像の、前記運転者から見た奥行き方向の歪みが抑制されるように、湾曲された形状を有する、
    ヘッドアップディスプレイ装置。
  2. 前記曲面表示部は、
    曲面の表面をもつ共通基板の前記表面に、複数の表示素子を備える素子構造体が設けられ、前記素子構造体が第1~第mの領域に電気的に区分され、各区分によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されている、
    又は、
    曲面の表面をもつ共通基板の前記表面に、複数の表示素子を備える第1~第mの素子構造体が設けられ、前記各素子構造体によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されている、
    又は、
    曲面の表面をもつ基板の前記表面に、複数の表示素子を備える素子構造体が設けられた基板構造体がm個、隣接して配置され、かつ、隣接する各基板構造体同士が連結部で連結されて一体化され、前記各基板構造体によって、前記第1~第mの表示領域の各々が形成されている、
    請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  3. 前記曲面表示部の前記第1~第mの表示領域の各々は、各表示領域に対応する前記第1~第mの各画像の、前記運転者から見た奥行き方向の歪みが抑制されるように、湾曲された形状を有する、
    請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 前記車両には、前記車両の幅方向に沿って、前記運転者の他、(m-1)人の同乗者が位置することができ、
    各同乗者を、第1~第(m-1)の同乗者とするとき、
    前記曲面表示部の湾曲形状は、
    前記運転者に関しては、前記運転者から見た画像の歪みを低減するように決定されており、
    かつ、
    前記第1~第(m-1)の各同乗者に関しては、
    前記運転者を最も重視して重み付けし、次に、自身を優先して重み付けし、次に、自身以外の同乗者により軽い重み付けをするか無視し、前記各重み付けに応じて決定されている、
    請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 前記第2~第mの画像のうち、前記被投影部材の形状に起因する歪みを受けにくい画像に対応する前記曲面表示部の表示領域は、湾曲のない、平面の表面を備える表示領域である、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  6. 前記車両の高さ方向から見た平面視において、
    前記複数の表示領域は、
    前記車両の前部における、前記車両の幅方向の中央部において、
    前記車両の幅方向の中心を通って、前記車両の前後方向に延びる中心線に対して、左右対称に配置されている、
    請求項1乃至5の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  7. 前記曲面表示部に表示される前記画像に対して、前記被投影部材の形状に起因する歪みを軽減する事前歪み処理であるワーピング処理を実施するワーピング処理部を有し、
    前記ワーピング処理部は、前記曲面表示部の形状の変形では除去できない、前記画像の歪みを抑制する処理を実施する、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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