JP2023017636A - 推定装置、推定方法、推定プログラム、ロボットシステム及び学習モデル生成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大掛かりな設備を用いることなく、導電性を有する柔軟材料の電気特性を利用して、ロボットに接触する利用者の識別情報を推定する。【解決手段】推定装置(1)は導電性を有し、かつ付与された圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えたロボット(2)における複数の検出点の間の電気特性を検出部で検出する。推定部(5)は、学習モデル(51)を用いてロボット(2)の電気特性から利用者の識別情報を推定する。柔軟材料に圧力を与えた際の電気特性と、ロボット(2)に接触し、かつ、柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを学習用データとして用いて、その電気特性を入力とし、利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、電気特性を入力し、入力した電気特性に対応する利用者の識別情報を出力するように学習される。【選択図】図1
Description
本開示は、推定装置、推定方法、推定プログラム、ロボットシステム及び学習モデル生成装置に関する。
従来、ユーザの作業や動作を支援するロボットに関する技術開発が盛んに行われている。ロボットは、人や物との緩衝を考慮するため、多数の特殊な接触センサを備えて、ロボットに対する人や物の接触を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ロボットに対する人や物の接触を検出するために、ロボットの外郭に生じる形状変化を検出することが考えられるが、形状変化を検出する側面で、変形を検出するためには、特殊な検出装置が要求される。例えば、カメラによる物体の変位と振動を測定して、変形画像を取得し、変形量を抽出する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、光の透過量から変形量を推定する柔軟触覚センサに関する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、多数の特殊な接触センサを備えて接触を検出する側面では、接触を検出するための各部位に接触センサを備えることが要求され、センサ数が膨大となって、ロボットの大型化を招くので好ましくはない。また、多数の特殊な接触センサ自体がロボットの接触状態を阻害する虞もある。
また、形状変化を検出する側面では、変形量を検出するためにカメラや光の透過量を検出するセンサとセンサ出力を解析する解析装置等を含むシステムは、大規模なものとなり、ロボットの大型化を招くので好ましくはない。また、変形量を検出するためにロボットの全ての部位に対して変形量を検出するセンサを配置することが要求され、好ましくはない。特に、介護ロボット等のロボットでは、ロボットに接触する個々の利用者に応じて様々な適用ずれの調整を行うことがあるため、利用者の識別を行う場合がある。しかしながら、利用者の識別を行うために別の装置が必要とされ、大掛かりな設備となり好ましくはない。
本開示は、大掛かりな設備を用いることなく、導電性を有する柔軟材料の電気特性を利用して、ロボットに接触する利用者の識別情報を推定することができる推定装置、推定方法、推定プログラム、ロボットシステム及び学習モデル生成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1態様は、
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部と、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する推定部と、
を含む推定装置である。
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部と、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する推定部と、
を含む推定装置である。
第2態様は、第1態様の推定装置において、
前記学習モデルを用いて推定して得られた推定結果から新たな学習用データを利用者毎に収集し、収集した利用者毎の学習用データを用いて、前記学習モデルを継続的に学習する学習部を更に含む。
前記学習モデルを用いて推定して得られた推定結果から新たな学習用データを利用者毎に収集し、収集した利用者毎の学習用データを用いて、前記学習モデルを継続的に学習する学習部を更に含む。
第3態様は、第1態様又は第2態様の推定装置において、
前記電気特性は、体積抵抗であり、
前記柔軟材料は、繊維状及び網目状の少なくとも一方の構造、又は内部に微小な空気泡が複数散在する構造のウレタン材の少なくとも一部に導電性が付与された材料を含む。
前記電気特性は、体積抵抗であり、
前記柔軟材料は、繊維状及び網目状の少なくとも一方の構造、又は内部に微小な空気泡が複数散在する構造のウレタン材の少なくとも一部に導電性が付与された材料を含む。
第4態様は、第1態様から第3態様の何れか1態様の推定装置において、
前記柔軟材料は、前記ロボットの骨格の周囲に配置され、前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなる材料で形成されるか、又は前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなるように、硬さが異なる複数の材料を積層して形成される。
前記柔軟材料は、前記ロボットの骨格の周囲に配置され、前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなる材料で形成されるか、又は前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなるように、硬さが異なる複数の材料を積層して形成される。
第5態様は、第1態様から第4態様の何れか1態様の推定装置において、
前記柔軟材料は、前記ロボットの複数の異なる部位に配置され、
前記検出部は、前記複数の異なる部位の各々における複数の検出点の間の電気特性を検出し、
前記学習モデルは、前記複数の異なる部位の各々に対する利用者の接触状態により定まる当該利用者の識別情報を出力するように学習される。
前記柔軟材料は、前記ロボットの複数の異なる部位に配置され、
前記検出部は、前記複数の異なる部位の各々における複数の検出点の間の電気特性を検出し、
前記学習モデルは、前記複数の異なる部位の各々に対する利用者の接触状態により定まる当該利用者の識別情報を出力するように学習される。
第6態様は、第1態様から第5態様の何れか1態様の推定装置において、
前記学習モデルは、前記柔軟材料をリザーバとして当該リザーバを用いたリザーバコンピューティングによるネットワークを用いて学習させることで生成されたモデルを含む。
前記学習モデルは、前記柔軟材料をリザーバとして当該リザーバを用いたリザーバコンピューティングによるネットワークを用いて学習させることで生成されたモデルを含む。
第7態様は、
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットと、
前記推定装置と、
を備えたロボットシステムである。
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットと、
前記推定装置と、
を備えたロボットシステムである。
第8態様は、
コンピュータが
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
推定方法である。
コンピュータが
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
推定方法である。
第9態様は、
コンピュータに
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
処理を実行させるための推定プログラムである。
コンピュータに
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
処理を実行させるための推定プログラムである。
第10態様は、
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を入力とし、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報を出力する学習モデルを生成する学習モデル生成部
を含む学習モデル生成装置である。
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を入力とし、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報を出力する学習モデルを生成する学習モデル生成部
を含む学習モデル生成装置である。
本開示によれば、大掛かりな設備を用いることなく、導電性を有する柔軟材料の電気特性を利用して、ロボットに接触する利用者の識別情報を推定することができる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。
なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本開示では、主として非線形に変形する部材に対する物理量の推定を説明するが、線形に変形する部材に対する物理量の推定に適用可能であることは言うまでもない。
なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本開示では、主として非線形に変形する部材に対する物理量の推定を説明するが、線形に変形する部材に対する物理量の推定に適用可能であることは言うまでもない。
本開示において「ロボット」とは、複数のパーツが連携して構成され、少なくとも一部のパーツが可動可能な構造体を含む概念である。ロボットの一例には、介護ロボット、ペットロボット、盲導犬ロボット、介助犬ロボット等が挙げられ、人と接触するロボットであれば対象とされる。「利用者の識別情報」とは、ロボットに接触し、かつ、ロボットを構成する少なくとも1つのパーツに対して圧力等のエネルギを与える利用者を一意に識別するための情報である。
本開示において「柔軟材料」とは、外部力が与えられることによって少なくとも一部が撓み等のように変形可能な材料を含む概念であり、ゴム材料等の柔らかい弾性体、繊維状及び網目状の少なくとも一方の骨格を有する構造体、及び内部に微小な空気泡が複数散在する構造体を含む。外部力の一例には圧力が挙げられる。繊維状及び網目状の少なくとも一方の骨格を有する構造体、及び内部に微小な空気泡が複数散在する構造体の一例には、ウレタン材などの高分子材料が挙げられる。「導電性が付与された柔軟材料」とは、導電性を有する材料を含む概念であり、導電性を付与するために導電材を柔軟材料に付与した材料、及び柔軟材料が導電性を有する材料を含む。また、導電性が付与された柔軟材料は、変形に応じて電気特性が変化する機能を有する。なお、変形に応じて電気特性が変化する機能を生じさせる物理量の一例には柔軟材料に与えられる圧力による刺激(以下、圧力刺激という。)を示す圧力値が挙げられる。柔軟材料の変形に応じて変化する電気特性を表す物理量の一例には、電気抵抗値が挙げられる。また、他例には、電圧値、又は電流値が挙げられる。電気抵抗値は、柔軟材料の体積抵抗値と捉えることが可能である。
柔軟材料は、導電性を与えることで、圧力による変形に応じた電気特性が現れる。すなわち、導電性が付与された柔軟材料は、電気経路が複雑に連携し、変形に応じて電気経路が伸縮したり膨縮したりする。また、電気経路が一時的に切断される挙動、及び以前と異なる接続が生じる挙動を示す場合もある。従って、柔軟材料は、所定距離を隔てた位置(例えば電極が配置された検出点の位置)の間では、与えられた力(例えば圧力刺激)の大きさや分布に応じて異なる電気特性を有する挙動を示す。このため、柔軟材料に与えられた力(例えば圧力刺激)の大きさや分布に応じて電気特性が変化する。
本開示の推定装置は、学習済みの学習モデルを用いて、ロボットに備えられた導電性を有する柔軟材料における電気特性から、ロボットに接触し、かつ、その柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報を推定する。学習モデルは、導電性を有する柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、ロボットに接触し、かつ、その柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いる。学習モデルは、時系列の電気特性を入力とし、その時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を出力するように学習される。
以下の説明では、導電性を有する柔軟材料としてウレタン部材の全部または少なくとも一部に導電材料が配合されたシート部材(以下、導電性ウレタンという。)が、ロボットの少なくとも一部の外郭部に配置された場合を説明する。また、導電性ウレタンを変形させる物理量としてはロボット、すなわち柔軟材料に与えられる圧力刺激を示す値(圧力値)を適用する。なお、圧力刺激に応じて変化する物理量としては、導電性ウレタンの電気抵抗値を適用した場合を説明する。
図1に、本開示の推定装置としての識別情報推定装置1の構成の一例を示す。
識別情報推定装置1における推定処理は、学習済みの学習モデル51を用いて、ロボット2に配置された導電性ウレタン22における電気特性から、ロボット2に接触する未知の利用者の識別情報を推定し、出力する。ロボット2に接触(例えば、握手等)する利用者毎に接触状態に特徴(例えば、握手の仕方等)があり、接触状態の特徴に応じて導電性ウレタン22の変形、つまり、電気特性が異なる点に着目し、導電性ウレタン22の電気特性から、例えば、Aさんの握手、Bさんの握手等を推定することが可能とされる。つまり、導電性ウレタン22の電気特性から利用者の識別情報を推定することが可能とされる。これにより、特殊な装置や大型の装置を用いたり、ロボット2の外郭の変形を直接計測したりすることなく、利用者の識別情報を推定することが可能となる。学習モデル51は、接触状態(例えば、握手)及び利用者の識別情報(例えば、Aさん)をラベルとし、当該利用者の識別情報における導電性ウレタンの電気特性(すなわち、ロボット2に配置された導電性ウレタンの電気抵抗値)を入力として学習される。学習モデル51の学習については後述する。
ここで、ロボット2の構造を説明する。図2に人型に模した介護ロボット200のロボット構造の一例を示す。人型の介護ロボット200は、一例として、利用者との握手等を含む触れ合い、利用者の自立支援、利用者の抱き抱え、利用者の移乗支援等を行う機能を備えている。なお、介護ロボット200は、人型に限定されるものではなく、利用者と接触して介護を行う機能を備えたものであればよい。
図2に示す介護ロボット200は、頭部210、胴体部220、腕部230(上腕232、前腕234、手236)、脚部240(大腿242、下腿244、足246)の各々のパーツが骨格21によって連結される。介護ロボット200は、骨格21の周囲に導電性ウレタン22を配置することで、介護ロボット200の外側である外郭に導電性ウレタン22が配置される。ロボット2に配置された導電性ウレタン22は、電極等の検出点75を介して電気特性検出部76(図8)に接続される。
例えば、図3に上腕232の概略構造の一例を断面図で示すように、上腕232の骨格21の周囲に、人工筋肉などの構造物を含む内部層25が配置され、内部層25の周囲に表皮としても機能する外郭部27が配置される。なお、内部層25を不要とし、骨格21の周囲に表皮として機能する外郭部27を配置してもよい。
導電性ウレタン22は、骨格21の周囲に配置する材料、すなわち外郭部27の少なくとも一部に配置すればよく、内部に配置してもよいし外部に配置してもよい(図4)。具体的な一例には、外郭部27のA-A断面を外郭断面27-1として示すように、外郭部27の内部を全て導電性ウレタン22で構成しても良い。また、外郭断面27-2に示すように、外郭部27の外側(表面側)の一部に導電性ウレタン22を形成しても良く、外郭断面27-3に示すように、外郭部27の内側(骨格側)に導電性ウレタン22を形成しても良い。さらに、外郭断面27-4に示すように、外郭部27の内部の一部に導電性ウレタン22を形成しても良い。また、外郭断面27-5に示すように、外郭部27を構成する柔軟性を有する材料27Aの外側に導電性ウレタン22を配置しても良く、外郭断面27-6に示すように、外郭部27の内側(骨格側)の外部に導電性ウレタン22を配置しても良い。導電性ウレタン22を外郭部27を構成する材料27Aの外部に配置する場合、導電性ウレタン22と外郭部27を構成する材料とを積層するのみでもよく、導電性ウレタン22と外郭部27を構成する材料とを接着等により一体化してもよい。なお、導電性ウレタン22を外郭部27を構成する材料の外部に配置する場合であっても、導電性ウレタン22が導電性を有するウレタン部材であるため、外郭部27を構成する材料の柔軟性は阻害されない。
また、導電性ウレタン22は、所定の硬さの柔軟性を有するように形成してもよく、例えば、図5に概念的に示すように、深さに応じて硬さが変化する柔軟性を有するように形成してもよい。図5に示す例では、外郭断面27-7として示す外郭部27を導電性ウレタン22で構成する場合、外郭部27の外側(表面側)から内側(骨格側)に向かうに従って、すなわち深さが深くなるのに従って徐々に硬さが硬くなるように導電性ウレタン22を形成することが可能である。また、外郭断面27-8に示すように、硬さが異なる複数の導電性ウレタン22(硬さ:22X<22Y<22Z)を配置しても良い。導電性ウレタン22を含む外郭部27の硬さ(柔軟性)を深さに応じて変化するように構成することで、人体の表皮部分に近い触感を提供することが可能である。
以降では、説明を簡単にするため、本開示のロボットの一例として、図6に示す簡易型のロボットを含む自立型介護ロボットシステムをロボット2として適用した場合を説明する。ロボット2は、骨格21の周囲にロボット2の外側である外郭として導電性ウレタン22を配置して外郭部を形成する。
図6に示すように、ロボット2は、表示部211及び首部212を含んで頭部210を構成し、上部胴体222、及び下部胴体224を含んで胴体部220を構成する。また、ロボット2は、肩部231、アーム部233、及び手236を含んで腕部230を構成し、図示しない移動機構を備えたベース部241を含んで脚部240を構成する。頭部210、胴体部220、腕部230及び脚部240は、骨格21によって連結される。
図6に示すロボット2では、胴体部220(上部胴体222、及び下部胴体224)、腕部230(肩部231、アーム部233、及び手236)、脚部240(ベース部241)の各々の外側に導電性ウレタン22を含む外郭部27が配置される。なお、外郭部27は、1枚のシートで構成して配置してもよく、各々のパーツ毎に配置してもよい。各々のパーツ毎に導電性ウレタン22を含む外郭部27を配置する場合、外郭部27の一部が重複するように配置してもよい。ロボット2に配置された導電性ウレタン22は、電極等の検出点75を介して電気特性検出部76(図8)に接続される。
腕部230は、肩部231を支点として、アーム部233が屈曲可能に形成される。腕部230でアーム部233が屈曲可能に形成する構成には、線形又は非線形に変形する弾性体を含む部材が適用可能であり、付与された物理量(例えば圧力や流体の供給)により所定方向に収縮力を発生する弾性収縮体が一例として挙げられる。弾性収縮体の一例には、公知技術のエアバッグタイプの部材を適用可能である(例えば、特公昭52-40378号参照)。エアバッグタイプの弾性収縮体(例えば、ラバーアクチュエータ)は、ゴム部材等の柔らかい弾性体で構成される管状体の外周を、有機又は無機高張力繊維、例えば芳香族ポリアミド繊維の編組み補強構造により被覆した本体を有し、両端開口を閉塞部材によって封止したものである。ラバーアクチュエータは、その閉塞部材に設けられた接続口を介して内部空洞に加圧流体が供給されることによって膨径変形し、軸線方向に沿って収縮力が発生するようになっている。このラバーアクチュエータは、膨径変形によって、ラバーアクチュエータの長さが変化する。ただし、ラバーアクチュエータを適用対象とするのはあくまで一例に過ぎず、本開示の推定装置はラバーアクチュエータ以外の部材にも適用可能である。
ロボット2は、図示しない弾性収縮体の駆動によって、図7に示すように、アーム部233が屈曲する。アーム部233の作動によって、人体の腕部を模擬することが可能となる。
また、ロボット2は、ベース部241に図示しない移動機構を備えることで、移動可能とされる。ベース部241には、ロボット2の制御を行う制御装置250が備えられている(図17)。制御装置250は、識別情報推定装置1として動作する機能部を含む。
また、ロボット2は、操作部115、表示部211、マイク117、スピーカ118を備えることで(図17)、ユーザからの指示やユーザの状態、及びユーザへの応答等の情報を取得したり、提供したりすることが可能である。
なお、ロボット2は、ベース部241を含む脚部240以外の部位において、骨格21の連携による各パーツを移動するための駆動部119(図17)を備えている。駆動部119(図17)の駆動によって、ロボット2は、パーツ毎の移動、或いは複数のパーツが連携した移動によって、各種の姿勢を維持したり、各種の挙動を実行したりすることが可能となる。よって、ロボット2は、自立型介護ロボットシステムとして動作する。
ところで、識別情報推定装置1は、利用者の識別情報を推定するために、ロボット2に配置された導電性ウレタン22における電気特性を検出する。
図8に示すように、距離を隔てて配置された複数(図8では2個)の検出点75からの信号によって、導電性ウレタン22の電気特性(すなわち、電気抵抗値である体積抵抗値)を検出することが可能である。図8は、外郭部27の一部として配置された導電性ウレタン22を平面展開した場合を例示した。また、図8では、導電性ウレタン22上の側辺部分に検出点75を偏らせて、導電性ウレタン22上で距離を隔てて対角位置に配置された複数の検出点75からの信号により電気抵抗値を検出する検出セット#1が示されている。なお、複数の検出点75の配置は、図8に示す位置に限定されるものではなく、導電性ウレタン22の電気特性を検出可能な位置であれば何れの位置でもよい。例えば、複数の検出点75を離間して配置すればよく、側辺部分への配置に限定されず、中央部分であってもよく、側辺部分と中央部分との組み合わせであってもよい。また、導電性ウレタン22の電気特性は、電気特性(すなわち、電気抵抗値である体積抵抗値)の検出する電気特性検出部76を検出点75に接続し、その出力を用いればよい。
外郭部27に導電性ウレタン22を備えて構成されるロボット2において検出される電気抵抗値は、ロボット2の外郭部27に圧力刺激が与えられる等の導電性ウレタン22の変形によって、その変形の前後で変化する。よって、時系列の電気抵抗値の検出、すなわち、ロボット2に圧力刺激が与えられていない状態からの電気抵抗値の変化を検出(例えば予め定めた閾値を超えた電気抵抗値を検出)することで、ロボット2に対する利用者の接触を検出することが可能となる。具体的には、ロボット2に対する利用者の接触を示す接触状態は、圧力刺激を伴う。よって、ロボット2に導電性ウレタン22を配置することで、ロボット2に対する利用者の接触を検出可能となる。また、ロボット2に与えられた圧力刺激の位置や分布、及び大きさの何れか1つが変化しても電気抵抗値は変化する。従って、時系列に変化した電気抵抗値から、ロボット2に対する利用者の接触位置を含む接触状態を検出することも不可能ではない。
ロボット2に形成される導電性ウレタン22を含む外郭部27は、ロボット2の外側を一体構造として導電性ウレタン22を含む外郭部27を形成してもよく、パーツ毎に独立した導電性ウレタン22を含む外郭部27を形成してもよい。
なお、1つの導電性ウレタン22の電気特性の検出精度を向上するため、図8に示す検出点(2個)より多くの検出点を用いてもよい。
一例としては、各々検出点が配置された複数の導電性ウレタン片からなる列を1列または複数列並べて導電性ウレタン22を形成し、複数の導電性ウレタン片毎に電気特性を検出してもよい。例えば、導電性ウレタン片23(図9)を、配列して導電性ウレタン22を構成してもよい(図10、図11)。図9に示す例は、距離を隔てて対角位置に配置された検出点75Aからの信号により電気抵抗値を検出する第1の検出セット#1と、他の対角位置に配列された検出点75Bからの信号により電気抵抗値を検出する第2の検出セット#2とを示している。また、図10に示す例では、導電性ウレタン片23(図9)を、外郭部27の長手方向に配列(4x1)して導電性ウレタン22を構成し、順に、第1の検出セット#1から第8の検出セット#8を構成することを示している。さらに、図11に示す例では、導電性ウレタン片23(図9)において各々第1の検出セット#1を採用し、外郭部27の長手方向及び幅方向に配列(4x2)して導電性ウレタン22を構成し、第1の検出セット#1から第8の検出セット#8を構成することを示している。
また、他例としては、導電性ウレタン22上における検出範囲を分割して分割した検出範囲毎に検出点を設けて検出範囲毎に電気特性を検出してもよい。例えば、図10及び図11に示す導電性ウレタン片23の大きさに相当する領域を検出範囲として導電性ウレタン22に設定し、設定した検出範囲毎に検出点を配置して、検出範囲毎に電気特性を検出すればよい。
図1に示すように、識別情報推定装置1は、推定部5を備えている。推定部5には、導電性ウレタン22における電気抵抗の大きさ(電気抵抗値)を表す時系列の入力データ4が入力される。具体的には、導電性ウレタン22の検出点75に接続された電気特性検出部76から出力される電気特性(すなわち、電気抵抗値である体積抵抗値)が入力される。入力データ4は、ロボット2の利用者毎の接触状態3に対応する。また、推定部5は、推定結果として接触状態3を示す物理量(接触状態値)及び接触状態3に対応付けられた利用者の識別情報を表す出力データ6を出力する。なお、推定部5は、学習済みの学習モデル51を含む。
学習モデル51は、接触状態3に応じた圧力刺激により変化する導電性ウレタン22の電気抵抗(入力データ4)から、利用者のロボット2に対する接触状態及び接触状態に対応付けられた利用者の識別情報(出力データ6)を導出する学習を済ませたモデルである。学習モデル51は、例えば、学習済みのニューラルネットワークを規定するモデルであり、ニューラルネットワークを構成するノード(ニューロン)同士の間の結合の重み(強度)の情報の集合として表現される。
学習モデル51は、学習処理部52(図12)の学習処理により生成される。学習処理部52は、接触状態3により生じる圧力刺激で変化する導電性ウレタン22における電気特性(入力データ4)を用いて学習処理を行う。すなわち、接触状態3及び接触状態3に対応付けられた利用者の識別情報をラベルとして導電性ウレタン22における電気抵抗を時系列に測定した大量のデータを学習データとする。具体的には、学習データは、電気抵抗値(入力データ4)を含んだ入力データと、その入力データに対応する接触状態3を表す接触状態値及び接触状態値に対応付けられた利用者の識別情報(出力データ6)とのセットを大量に含む。ここでは、導電性ウレタン22の電気抵抗値(入力データ4)の各々に測定時刻を示す情報を付与することで時系列情報が対応付けられる。この場合、接触状態3として定まる期間について、導電性ウレタン22における時系列の電気抵抗値のセットに測定時刻を示す情報を付与して時系列情報を対応付けてもよい。
次に、学習処理部52について説明する。
学習処理部52が行う学習処理では、上述した導電性ウレタン22が配置されたロボット2の外郭部27が検出部として適用され、接触状態3と、接触状態3に対応付けられた利用者の識別情報と、導電性ウレタン22による電気抵抗値(入力データ4)とが学習データとして用いられる。
学習処理部52が行う学習処理では、上述した導電性ウレタン22が配置されたロボット2の外郭部27が検出部として適用され、接触状態3と、接触状態3に対応付けられた利用者の識別情報と、導電性ウレタン22による電気抵抗値(入力データ4)とが学習データとして用いられる。
例えば、利用者のロボット2に対する接触状態及び接触状態に対応付けられた利用者の識別情報を学習データとする。具体的には、少なくとも一部のパーツに対して圧力等のエネルギが与えられる所定の接触状態となるように、利用者毎に、ロボット2に対して所定姿勢で接触したり動きを伴って接触したりする等を行うことを指示し、そのときの電気抵抗値を検出して、接触状態及び利用者の識別情報を対応付けて学習データとする。ロボット2は、利用者から少なくとも一部のパーツに対して圧力等のエネルギが与えられることによって外郭部27が変形して、導電性ウレタン22の電気抵抗値が変化するので、時系列に電気抵抗値を検出して、接触状態(接触状態値)及び利用者の識別情報を対応付けて学習データとすることが可能となる。学習モデル51は、複数の異なるパーツ(部位)の各々に対する利用者の接触状態により定まる当該利用者の識別情報を出力するように学習される。
学習処理部52は、図示しないCPUを含むコンピュータを含んで構成可能であり、学習データ収集処理及び学習処理を実行する。図13に、図示しないCPUが実行する学習データ収集処理の一例を示す。学習処理部52は、ステップS100で、上述した利用者の接触状態を得るための指示を行い、ステップS102で、接触状態に応じた圧力刺激により変化する導電性ウレタン22の電気抵抗値を時系列に取得する。次のステップS104では、取得した時系列の電気抵抗値に接触状態3を示す接触状態値及び利用者の識別情報をラベルとして付与して、記憶する。学習処理部52は、これら接触状態値、利用者の識別情報、及び導電性ウレタン22の電気抵抗値のセットが予め定めた所定数、又は予め定めた所定時間に達するまで(ステップS106で、肯定判断されるまで否定判断し)、上記処理を繰り返す。これにより、学習処理部52は、各利用者について、接触状態3毎に、導電性ウレタン22における電気抵抗値を時系列に取得し、記憶することが可能となり、各利用者について、記憶された接触状態毎の時系列の導電性ウレタン22の電気抵抗値のセットが学習データとなる。
また、識別情報推定装置1は、学習部7を備えていてもよい。学習部7は、学習モデル51を用いて推定して得られた推定結果から新たな学習データを利用者毎に収集し、収集した利用者毎の学習データを用いて、学習モデル51を継続的に学習する。つまり、識別情報推定装置1は、学習モデル51を継続的に自己学習する機能を備えており、利用者の識別情報の推定精度をより向上させることができる。なお、学習部7による自己学習は、学習処理部52による学習処理と同様である。
ところで、接触状態のうち、ロボット2に利用者が接触等の圧力刺激を伴って付勢した場合、利用者が外郭部27に接触する付勢状態から付勢力(押圧力)が大きくなるのに従って、電気特性(電気抵抗値)が大きく変化する。従って、時系列の電気特性が接触検出用に予め定めた閾値を超えること検出することで、少なくとも利用者が外郭部27に接触した付勢状態を検出可能である。よって、少なくとも利用者が外郭部27に接触した付勢状態を検出するのであれば、接触した付勢状態を特定する付勢力(押圧力)に対応する時系列の電気特性を学習データとすればよい。
図19に、ロボット2のアーム部233における電気特性の一例を示す。図19は、ロボット2のアーム部233を、異なる付勢力(ピーク値P1~P8の押圧力)によって利用者の手により押圧した際の導電性ウレタン22の電気特性を示す。また、ピーク値P1~P7は、利用者が接触に至らない接触状態とし、ピーク値P8は、利用者が接触したときの接触状態とする。
図19に示すように、導電性ウレタン22の時系列の電気特性(各ピーク値P1~P8を含む前後の電気特性)の各々が、利用者の付勢力(押圧力)に応じてアーム部233に接触し、付勢された際の接触状態における特徴パターンである。すなわち、アーム部233が利用者の手により押圧されると、電気抵抗値が急激に上昇し、押圧が解除(利用者の手が離間)されると電気抵抗値が徐々に低下するパターンが、特徴パターンとして現れている。図19に示す例では、ピーク値P1~P7に比べて、ピーク値P8が大きい電気抵抗値となっている。このため、ピーク値P1~P7を超える電気抵抗値を閾値thに定めることで、利用者が外郭部27に接触した付勢状態を検出可能である。よって、学習処理部52は、接触した付勢状態を特定する付勢力(押圧力)に対応する時系列の電気特性を学習データとして学習する。
一方、接触状態を表す特徴パターンは、ロボット2に接触する利用者に応じて異なる。例えば、Aさんの握手を表す特徴パターンと、Bさんの握手を表す特徴パターンとは異なっている。つまり、接触状態を表す特徴パターンによって、利用者を識別することが可能とされる。
従って、接触状態に応じてロボット2における圧力刺激が変化し、その圧力刺激の変化に対応する電気特性を時系列に取得することで、接触状態に対応付けられた利用者の識別情報に時系列の電気特性を対応付けて記憶することが可能となる。当該時系列の電気特性、接触状態を示す接触状態値、及び接触状態値に対応付けられた利用者の識別情報のセットを学習データとすることが可能となる。
次に、上述した学習データの一例を表で示す。表1は、学習データとして、時系列の電気抵抗値データ(r)と、接触状態値と、利用者の識別情報とを対応付けたデータの一例である。表2は、ロボット2における各パーツが連携することを考慮して、各パーツで検出された時系列の電気抵抗値を示す特性データ(J)のセットと、接触状態値と、利用者の識別情報とを対応付けたデータの一例である。このセットに含まれる何れかの特性データ(J)に接触状態の特徴、すなわち、特徴パターンが含まれる。各特性データ(J)は、全て学習データとして用いる。例えば、ロボット2で検出された複数の特性データ(J)と、接触状態値(表2ではロボットが利用者を「両腕で抱える」動作を示す値)と、利用者の識別情報(表2では「Aさん」を示す値)を学習データとして用いる。
次に、学習処理部52における学習処理ついて説明する。図14は、学習処理において学習処理部52の図示しないCPUにおける機能を示す図である。
学習処理部52の図示しないCPUは、生成器54及び演算器56の機能部を含む。生成器54は、入力である時系列に取得された電気抵抗値の前後関係を考慮して出力を生成する機能を有する。
学習処理部52の図示しないCPUは、生成器54及び演算器56の機能部を含む。生成器54は、入力である時系列に取得された電気抵抗値の前後関係を考慮して出力を生成する機能を有する。
また、学習処理部52は、学習用データとして、上述した入力データ4(電気抵抗値)と、入力データ4(電気抵抗値)に対応する接触状態3及び利用者の識別情報である出力データ6とのセットを多数保持している。
生成器54は、入力層540、中間層542、および出力層544を含んで、公知のニューラルネットワーク(NN:Neural Network)を構成する。ニューラルネットワーク自体は公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、中間層542は、ノード間結合およびフィードバック結合を有するノード群(ニューロン群)を多数含む。その中間層542には、入力層540からのデータが入力され、中間層542の演算結果のデータは、出力層544へ出力される。
生成器54は、入力された入力データ4(電気抵抗)から接触状態及び利用者の識別情報を表す生成出力データ6Aを生成するニューラルネットワークである。生成出力データ6Aは、入力データ4(電気抵抗)から接触状態及び利用者の識別情報を推定したデータである。生成器54は、時系列に入力された入力データ4(電気抵抗)から、接触状態に近い状態を示す生成出力データを生成する。生成器54は、多数の入力データ4(電気抵抗)を用いて学習することで、ロボット2すなわち導電性ウレタン22に圧力刺激が与えられる接触状態に近い生成出力データ6Aを生成できるようになる。他の側面では、時系列に入力された入力データ4である電気特性をパターンとして捉え、当該パターンを学習することで、ロボット2すなわち導電性ウレタン22に圧力刺激が与えられる接触状態に近い生成出力データ6Aを生成できるようになる。
演算器56は、生成出力データ6Aと、学習データの出力データ6とを比較し、その比較結果の誤差を演算する演算器である。学習処理部52は、生成出力データ6A、および学習データの出力データ6を演算器56に入力する。これに応じて、演算器56は、生成出力データ6Aと、学習データの出力データ6との誤差を演算し、その演算結果を示す信号を出力する。
学習処理部52は、演算器56で演算された誤差に基づいて、ノード間の結合の重みパラメータをチューニングする、生成器54の学習を行う。具体的には、生成器54における入力層540と中間層542とのノード間の結合の重みパラメータ、中間層542内のノード間の結合の重みパラメータ、および中間層542と出力層544とのノード間の結合の重みパラメータの各々を例えば勾配降下法や誤差逆伝搬法等の手法を用いて、生成器54にフィードバックする。すなわち、学習データの出力データ6を目標として、生成出力データ6Aと学習データの出力データ6との誤差を最小化するように全てのノード間の結合を最適化する。
学習モデル51は、学習処理部52の学習処理により生成される。学習モデル51は、学習処理部52による学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合として表現される。
図15に学習処理の流れの一例を示す。学習処理部52は、ステップS110で、時系列に測定した結果の学習データである、接触状態を示す情報及び利用者の識別情報をラベルとした入力データ4(電気抵抗)を取得する。学習処理部52は、ステップS112で、時系列に測定した結果の学習データを用いて学習モデル51を生成する。すなわち、上記のようにして多数の学習データを用いて学習した学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合を得る。そして、ステップS114で、学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合として表現されるデータを学習モデル51として記憶する。
なお、生成器54は、時系列入力の前後関係を考慮して出力を生成する機能を有する再帰型ニューラルネットワークを用いてもよく、他の手法を用いてもよい。
そして、上記識別情報推定装置1では、以上に例示した手法により生成した学習済みの生成器54(すなわち、学習結果のノード間の結合の重みパラメータの情報の集合として表現されるデータ)を学習モデル51として用いる。十分に学習した学習モデル51を用いれば、ロボット2、すなわち外郭部27に配置された導電性ウレタン22における時系列の電気抵抗値から接触状態及び利用者の識別情報を同定することも不可能ではない。
なお、学習処理部52による処理は、本開示の学習モデル生成装置の処理の一例である。また、識別情報推定装置1は、本開示の推定部および推定装置の一例である。接触状態3を示す情報及び利用者の識別情報である出力データ6は、本開示の識別情報の一例である。
ところで、上述したように、導電性ウレタン22は、上述したように電気経路が複雑に連携し、変形に応じた電気経路の伸縮、膨縮、一時的な切断、及び新たな接続が生じる等の挙動を示し、結果的に、与えられた力(例えば圧力刺激)に応じて異なる電気特性を有する挙動を示す。このことは、導電性ウレタン22を、導電性ウレタン22の変形に関するデータを貯留するリザーバとして扱うことが可能である。すなわち、識別情報推定装置1は、物理的なリザーバコンピューティング(PRC:Physical Reservoir Computing)と呼ばれるネットワークモデル(以下、PRCNという。)に、導電性ウレタン22を適用することが可能である。PRCおよびPRCN自体は公知の技術であるため、詳細な説明を省略するが、すなわち、PRC、及びPRCNは、導電性ウレタン22の変形に関する情報の推定に好適に適用可能である。
図16に、導電性ウレタン22を含むロボット2を、導電性ウレタン22を含むロボット2の変形に関するデータを貯留するリザーバとして扱って学習する学習処理部52の一例を示す。導電性ウレタン22は、多様な圧力刺激の各々に応じた電気特性(電気抵抗値)となり、電気抵抗値を入力する入力層として機能し、また、導電性ウレタン22の変形に関するデータを貯留するリザーバ層として機能する。導電性ウレタン22は、接触状態3により与えられた圧力刺激に応じて異なる電気特性(入力データ4)を出力するので、推定層で、導電性ウレタン22の電気抵抗値から与えられた圧力刺激3を推定することが可能である。従って、学習処理では、推定層を学習すればよい。
上述の識別情報推定装置1は、例えば、コンピュータに上述の各機能を表すプログラムを実行させることにより実現可能である。
図17に、識別情報推定装置1の各種機能を実現する処理を実行する実行装置としてコンピュータを含んで構成した制御装置250の一例を示す。
識別情報推定装置1として機能する制御装置250は、図17に示すコンピュータ本体100を備えている。コンピュータ本体100は、CPU102、揮発性メモリ等のRAM104、ROM106、ハードディスク装置(HDD)等の補助記憶装置108、及び入出力インターフェース(I/O)110を備えている。これらのCPU102、RAM104、ROM106、補助記憶装置108、及び入出力I/O110は、相互にデータ及びコマンドを授受可能にバス112を介して接続された構成である。また、入出力I/O110には、外部装置と通信するための通信部114が接続されている。通信部114は、導電性ウレタン22を含むロボット2との間で、入力データ4(電気抵抗)を取得する機能する。すなわち、通信部114は、検出部である、ロボット2に配置された導電性ウレタン22における検出点75に接続された電気特性検出部76から入力データ4(電気抵抗)を取得することが可能である。
また、入出力I/O110には、キーボード等の操作部115、ディスプレイ等の表示部211、音声入力のためのマイク117、音声出力のためのスピーカ118、及び駆動部119が接続されている。表示部211は、ロボット2の頭部210に配置される。また、操作部115、マイク117、及びスピーカ118は、例えば、ロボット2の胴体部220の内部に配置される(図示省略)。駆動部119は、ロボット2の骨格21の連携による各パーツを移動可能に駆動するように配置される(図示省略)。
補助記憶装置108には、コンピュータ本体100を本開示の推定装置の一例として識別情報推定装置1として機能させるための制御プログラム108Pが記憶される。CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出してRAM104に展開して処理を実行する。これにより、制御プログラム108Pを実行したコンピュータ本体100は、本開示の推定装置の一例として識別情報推定装置1として動作する。
なお、補助記憶装置108には、学習モデル51を含む学習モデル108M、及び各種データを含むデータ108Dが記憶される。制御プログラム108Pは、CD-ROM等の記録媒体により提供するようにしても良い。
次に、コンピュータにより実現された識別情報推定装置1における推定処理について説明する。
図18に、コンピュータ本体100において、実行される制御プログラム108Pによる推定処理の流れの一例を示す。
図18に示す推定処理は、コンピュータ本体100に電源投入されると、CPU102により実行される。すなわち、CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出し、RAM104に展開して処理を実行する。
図18に示す推定処理は、コンピュータ本体100に電源投入されると、CPU102により実行される。すなわち、CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出し、RAM104に展開して処理を実行する。
まず、CPU102は、ステップS200で、補助記憶装置108の学習モデル108Mから学習モデル51を読み出し、RAM104に展開することで、学習モデル51を取得する。具体的には、学習モデル51として表現された重みパラメータによるノード間の結合となるネットワークモデル(図14、図16参照)を、RAM104に展開する。よって、重みパラメータによるノード間の結合が実現された学習モデル51が構築される。
次に、CPU102は、ステップS202で、導電性ウレタン22に与えられた圧力刺激による接触状態及び利用者の識別情報を推定する対象となる未知の入力データ4(電気抵抗)を、通信部114を介して時系列に取得する。
次に、CPU102は、ステップS204で、ステップS200で取得した学習モデル51を用いて、ステップS202において取得した入力データ4(電気抵抗)に対応する出力データ6(未知の接触状態及び利用者の識別情報)を推定する。
そして、次のステップS206で、推定結果の出力データ6(接触状態及び利用者の識別情報)を、通信部114を介して出力したり、スピーカ118から音を発するようにデータを出力したり、表示部211に表示するようにデータを出力して、本処理ルーチンを終了する。
なお、図18に示す推定処理は、本開示の推定方法で実行される処理の一例である。
以上説明したように、本開示によれば、導電性ウレタン22に対して、利用者毎の接触状態3における圧力刺激に応じて変化する入力データ4(電気抵抗)から、接触状態3及び利用者の識別情報を推定することが可能となる。すなわち、特殊な装置や大型の装置を用いたり、柔軟部材の変形を直接計測したりすることなく、未知の接触状態及び利用者の識別情報を推定することが可能となる。
また、利用者毎の接触状態に応じて電気特性が変化し、当該電気特性(時系列の電気抵抗)に接触状態の特徴が反映されるので、導電性ウレタン22において時系列に変化する電気抵抗値から接触状態及び利用者の識別情報を推定可能である。すなわち、ロボット2が様々な利用者、接触状態であっても、上述した学習モデルを用いることで、適切な接触状態、利用者の識別情報を推定できる。
本実施形態に係る識別情報推定装置1では、上述した学習処理によって学習された学習モデル51を用いることによって、導電性ウレタン22の電気特性を入力することで、電気特性に対応した様々な利用者、接触状態を推定できることを確認した。
なお、本実施形態では、上述したように、柔軟部材の一例として導電性ウレタンを適用した場合を説明したが、柔軟部材は導電性を有する材料であればよく、導電性ウレタンに限定されないことは勿論である。
また、本実施形態では、上述した学習処理によって学習された学習モデル51を用いて、導電性ウレタン22の電気特性に対応した様々な利用者、接触状態を推定する場合を説明した。この場合、接触状態として利用者が外郭部27に接触した付勢状態を検出することに注目する場合、識別情報推定装置1を、時系列の電気特性が接触検出用に予め定めた閾値を超えることを検出する機能部分は、ロボット2の利用者の接触を検出する接触検出装置として適用可能である。
本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態では、推定処理、学習処理を、フローチャートを用いた処理によるソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば各処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
また、推定装置の一部、例えば学習モデル等のニューラルネットワークを、ハードウェア回路として構成してもよい。
1 識別情報推定装置
2 ロボット
3 利用者毎の接触状態
4 入力データ
5 推定部
6 出力データ
6A 生成出力データ
7 学習部
22 導電性ウレタン
23 導電性ウレタン片
51 学習モデル
52 学習処理部
54 生成器
56 演算器
75 検出点
76 電気特性検出部
2 ロボット
3 利用者毎の接触状態
4 入力データ
5 推定部
6 出力データ
6A 生成出力データ
7 学習部
22 導電性ウレタン
23 導電性ウレタン片
51 学習モデル
52 学習処理部
54 生成器
56 演算器
75 検出点
76 電気特性検出部
Claims (10)
- 導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部と、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する推定部と、
を含む推定装置。 - 前記学習モデルを用いて推定して得られた推定結果から新たな学習用データを利用者毎に収集し、収集した利用者毎の学習用データを用いて、前記学習モデルを継続的に学習する学習部を更に含む
請求項1に記載の推定装置。 - 前記電気特性は、体積抵抗であり、
前記柔軟材料は、繊維状及び網目状の少なくとも一方の構造、又は内部に微小な空気泡が複数散在する構造のウレタン材の少なくとも一部に導電性が付与された材料を含む
請求項1又は請求項2に記載の推定装置。 - 前記柔軟材料は、前記ロボットの骨格の周囲に配置され、前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなる材料で形成されるか、又は前記ロボットの骨格に近づくに従って、硬さが硬くなるように、硬さが異なる複数の材料を積層して形成される
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の推定装置。 - 前記柔軟材料は、前記ロボットの複数の異なる部位に配置され、
前記検出部は、前記複数の異なる部位の各々における複数の検出点の間の電気特性を検出し、
前記学習モデルは、前記複数の異なる部位の各々に対する利用者の接触状態により定まる当該利用者の識別情報を出力するように学習される
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の推定装置。 - 前記学習モデルは、前記柔軟材料をリザーバとして当該リザーバを用いたリザーバコンピューティングによるネットワークを用いて学習させることで生成されたモデルを含む
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の推定装置。 - 導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットと、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の推定装置と、
を備えたロボットシステム。 - コンピュータが
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
推定方法。 - コンピュータに
導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を取得し、
前記柔軟材料に圧力を与えた際の時系列の電気特性と、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報とを利用者毎の学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記利用者の識別情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、入力した時系列の電気特性に対応する利用者の識別情報を推定する
処理を実行させるための推定プログラム。 - 導電性を有し、かつ与えられた圧力の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を外郭部の少なくとも一部に備えたロボットにおける前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部から前記電気特性を入力とし、前記ロボットに接触し、かつ、前記柔軟材料に圧力を与える利用者の識別情報を出力する学習モデルを生成する学習モデル生成部
を含む学習モデル生成装置。
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