JP2023016124A - 基板-ダイヤモンド膜積層体及び電子デバイス - Google Patents

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新矢 大曲
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Abstract

【課題】基板と、当該基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、基板-ダイヤモンド膜積層体であって、ダイヤモンド膜中の線状欠陥の形成が抑制されている、基板-ダイヤモンド膜積層体を提供する。【解決手段】基板と、前記基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、積層体であって、透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、前記積層体の断面を観察した場合、前記基板と前記ダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察される、基板-ダイヤモンド膜積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、基板-ダイヤモンド膜積層体、及びこれを用いた電子デバイスに関する。
ダイヤモンドは、高絶縁破壊電界(>10MV/cm)、高速キャリア移動度(電子:4500cm2/Vs、正孔:3800cm2/Vs)、物質中最高の熱伝導率(22W/cmK)等の優れた物性を有しており、さらに、化学的安定性及び耐放射線性にも優れているため、高温・極限環境下で動作するパワーデバイス材料としての応用が期待されている。
ダイヤモンドをパワーデバイス材料などに応用するためには、ホウ素などの不純物をダイヤモンド結晶中に高濃度でドープして、ダイヤモンド結晶を低抵抗化する。ダイヤモンド結晶中にホウ素などの不純物をドープする方法としては、マイクロ波CVD法等が広く使用されている。
例えば、非特許文献1にはマイクロ波CVD法を用いたダイヤモンド膜の結晶性評価例が示されている。非特許文献1に開示から明らかなとおり、ダイヤモンド膜中には、結晶品質を低下させる原因となる線状欠陥が多数形成されている。また、例えば、非特許文献2には、熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド膜についても、結晶品質を低下させる線状欠陥が多数形成されることが記載されている。ダイヤモンド膜に含まれる線状欠陥には、基板の線状欠陥から継承されるものと、ダイヤモンド膜の成長時に形成されるものとがある。
基板の線状欠陥から継承されるダイヤモンド膜の線状欠陥は、ダイヤモンド膜中を主として成長方向に伸展するものである。一方、ダイヤモンド膜の成長時に形成される線状欠陥については、様々な方向に延びる形態が存在している。
M.P. Martineau他, Physical Status Solidi C6 (2009) 1953. X.L. Liao, R.J. Zhang, C.S. Lee, S.T. Lee, Y.W. Lam, Diamond and Related Materials 6 (1997) 521-525.
本発明者は、ダイヤモンド膜に含まれる線状欠陥について、鋭意検討を重ねた結果、ダイヤモンド膜に含まれる線状欠陥の中でも、基板の線状欠陥から継承される線状欠陥は、ダイヤモンド膜の成長前後の成長条件等を工夫することによって低減させ得る可能性があると考えた。
本発明者は、このような観点からさらに検討を重ねたところ、基板の表面にダイヤモンド膜を形成する初期段階において、基板とダイヤモンド膜との界面部分に複数の粒状構造体を形成させると、基板中に含まれる線状欠陥がダイヤモンド膜中に承継されることが抑制されるという新たな知見を得た。
本発明は、基板と、当該基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、基板-ダイヤモンド膜積層体であって、ダイヤモンド膜中の線状欠陥の形成が抑制されている、基板-ダイヤモンド膜積層体を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基板と、基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、積層体であって、透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、積層体の断面を観察した場合、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察される基板-ダイヤモンド膜積層体は、基板中に含まれる線状欠陥がダイヤモンド膜中に承継されることが好適に抑制されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基板と、前記基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、積層体であって、
透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、前記積層体の断面を観察した場合、前記基板と前記ダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察される、基板-ダイヤモンド膜積層体。
項2. 前記粒状構造体の粒径が、10nm以下である、項1に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
項3. 前記界面部分において、前記複数の粒状構造体は、10nm以下の間隔で並んで存在している、項1または2に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
項4. 前記ダイヤモンド膜の厚みが、0.01μm以上1mm以下である、項1~3のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
項5. 前記ダイヤモンド膜の厚みの最大値と最小値との差は、前記厚みの最大値の10%以下である、項1~4のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
項6. 前記ダイヤモンド膜に不純物が含まれている、項1~5のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
項7. 項1~6のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体を含む、電子デバイス。
本発明によれば、基板と、当該基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、基板-ダイヤモンド膜積層体であって、ダイヤモンド膜中の線状欠陥の形成が抑制されている、基板-ダイヤモンド膜積層体を提供することができる。
実施例1で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体の界面部分の断面について、透過電子顕微鏡を用いて取得した像(右側の(b)の像は、左側の(a)の像を拡大したもの)である。 実施例1で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体の界面部分の断面について、透過電子顕微鏡を用いて取得した像(左側の(a)の像)と、(a)の像に対応する位置における蛍光X線元素分析による2次元マッピング像((b)の左側がタングステン元素、右側が鉄元素)である。 比較例1で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体の界面部分の断面について、透過電子顕微鏡を用いて取得した像である。 比較例2で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体の界面部分の断面について、透過電子顕微鏡を用いて取得した像である。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体は、少なくとも、基板と、基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える積層体である。本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体は、透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、前記積層体の断面を観察した場合、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察されることを特徴としている。本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体は、このような特徴を備えることにより、ダイヤモンド膜中の線状欠陥の形成が抑制されている。以下、本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体について、詳述する。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体において、ダイヤモンド膜の結晶構造は、単結晶でもよいし、多結晶でもよい。例えば、ダイヤモンド膜を成膜する基板として、単結晶ダイヤモンド基板を用いると、単結晶ダイヤモンド膜が得られる。また、例えば、多結晶ダイヤモンド基板を用いると、多結晶ダイヤモンド膜が得られる。なお、多結晶ダイヤモンド膜の合成には、異種基板(Si、SiC、GaN、WCなど)を用いることもできる。異種基板上に、ダイヤモンド微粒子を用いて所謂「傷つけ処理」を施すことにより、ダイヤモンドの核生成を促し、多結晶ダイヤモンドを成長させることができる。なお、傷つけ処理は、基材によっては不要な場合がある。
以上のとおり、本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体に含まれる基板については、表面にダイヤモンド膜を成長させることができるものであれば、特に制限されず、単結晶ダイヤモンド基板、多結晶ダイヤモンド基板、シリコン基板、シリコンカーバイド基板、窒化ガリウム基板、窒化アルミニウム基板、酸化ガリウム基板、またはイットリア安定化ジルコニア基板などが挙げられる。これらの中でも、単結晶ダイヤモンド基板、多結晶ダイヤモンド基板が好ましく、単結晶ダイヤモンド基板がさらに好ましい。
基板の厚みについては、基板-ダイヤモンド膜積層体の用途などに応じて適宜調整すればよく、例えば、50μm~1cm程度が挙げられる。
基板の表面に積層されたダイヤモンド膜は、前記の通り、単結晶でもよいし、多結晶でもよい。また、ダイヤモンド膜は、不純物を含んでいなくてもよいし、不純物を含んでいてもよい。不純物としては、例えば、ホウ素、リンなどが挙げられる。
例えば、ダイヤモンド膜にホウ素元素やリン元素などの不純物を含有させる場合、後述する熱フィラメントCVD法によってダイヤモンド膜を形成する際に、炭素源となるガス(メタンなど)と共に、ホウ素源となるガス(トリメチルボロン、ホスフィン(PH3)など)を共存させることにより、ダイヤモンド膜に不純物を含有させることができる。ダイヤモンド膜中の不純物濃度としては、例えば1×1018~1×1022cm-3程度の範囲、好ましくは1×1019~1×1021cm-3程度の範囲、さらに好ましくは1×1020~1×1021cm-3程度の範囲が挙げられる。なお、ダイヤモンド膜における不純物の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した値である。
また、後述の通り、本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体において、基板とダイヤモンド膜との界面部分に複数の粒状構造体を好適に形成するためには、熱フィラメントCVD法を利用し、ダイヤモンド膜を所定条件で形成することが好ましい。金属フィラメントを利用した、熱フィラメントCVD法によってダイヤモンド膜を形成すると、金属フィラメントを構成する金属がダイヤモンド膜中に含まれ、金属がドープされたダイヤモンド膜となる。すなわち、本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体において、ダイヤモンド膜には、通常、フィラメントに由来する金属が含まれる。熱フィラメントCVD法によって、基板とダイヤモンド膜との界面部分に複数の粒状構造体が形成されるようにダイヤモンド膜を積層する具体的な方法については、後述する。なお、ダイヤモンド膜の製膜手法として一般的なマイクロ波CVD法では、ダイヤモンド膜に金属元素は含まれない。
ダイヤモンド膜中に含まれる金属元素の具体例としては、タングステン、タンタル、レニウム、ルテニウム等が挙げられる。
ダイヤモンド膜中の金属元素の濃度としては、特に制限されないが、例えば1×1018~1×1022cm-3程度の範囲、好ましくは1×1019~1×1022cm-3程度の範囲、さらに好ましくは1×1019~1×1021cm-3程度の範囲が挙げられる。なお、ダイヤモンド膜における金属元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した値である。
ダイヤモンド膜の厚みについては、基板-ダイヤモンド膜積層体の用途などに応じて適宜調整すればよく、例えば1μm~1mm程度、好ましくは1~100μm程度、より好ましくは1~50μm程度が挙げられる。
また、ダイヤモンド膜の厚みの最大値と最小値との差は、厚みの最大値の10%以下であることが好ましく、厚みの最大値の5%以下であることがより好ましく、厚みの最大値の3%以下であることがさらに好ましい。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体は、透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、前記積層体の断面を観察した場合、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察される。具体的な観察方法は、実施例に記載の方法を採用する。
粒状構造体の粒径は、例えば10nm以下、1~10nm、5~10nmなどである。
また、基板とダイヤモンド膜との界面部分において、複数の粒状構造体は、例えば10nm以下の間隔で並んで存在している。当該間隔は、例えば、1~10nm、5~10nmなどである。
後述の通り、熱フィラメントCVD法において、所定の圧力条件(例えば30Torr程度)において、金属フィラメント(純度99.95%程度のタングステン)の温度を5~10分間で室温(20℃程度)から2200℃程度まで急激に上昇させ、2200℃程度のフィラメント温度でダイヤモンド膜の製膜を行うことにより、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が好適に形成される。
粒状構造体の組成については限定的ではないが、例えば、基板-ダイヤモンド膜積層体の界面部分について、蛍光X線元素分析を行うと、粒状構造体に対応する位置に金属フィラメントを構成する金属(タングステン、鉄など)が検出される。従って、粒状構造体には、金属フィラメントを構成する金属(タングステン、鉄など)が含まれていてもよい。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体には、基板、ダイヤモンド膜に加えて、積層体の用途に応じて他の層が積層されていてもよい。他の層としては、特に制限されず、ダイヤモンドをパワーデバイス材料として用いる際に積層される、公知の層(例えば、電極、絶縁膜、他の半導体膜など)を設けることができる。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体は、例えば、熱フィラメントCVD法により好適に製造することができる。
本発明の基板-ダイヤモンド膜積層体を熱フィラメントCVD法で製造する際の方法としては、例えば、以下の工程を備える方法が挙げられる。
工程(1):基板及びフィラメントが配置された真空容器中に、炭素源、必要に応じて不純物源(例えば、ホウ素源、リン源など)を含むキャリアガスを導入する工程
工程(2):炭素源を含むキャリアガスをフィラメントで加熱して、基板上に製膜する製膜工程
工程(1)において、真空容器中に配置するフィラメントを構成する金属としては、フィラメントを構成できるものであれば特に制限されない。金属元素の具体例としては、タングステン、タンタル、レニウム、ルテニウム等が挙げられ、これらの中でもタングステンが好ましい。金属元素は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(1)において、真空容器中に配置する基板は、前記の基板である。
工程(1)においては、真空容器中を真空状態とした後、炭素源を含むキャリアガスを導入する。炭素源としては、ダイヤモンドを形成できるものであれば特に制限されず、例えば、メタンなどが挙げられる。炭素源は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、不純物としてホウ素をドープする場合であれば、ホウ素源としては、ホウ素としてダイヤモンド中にドープされて、ダイヤモンドの結晶構造を保持できるものであれば、特に制限されず、好ましくはトリメチルボロン、ジボランなどが挙げられる。不純物源は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
キャリアガスとしては、特に制限されず、例えば、水素ガスを使用することができる。炭素源を含むキャリアガス中における炭素源の濃度としては、好ましくは0.5~5.0体積%程度、より好ましくは1.0~3.0体積%程度が挙げられる。
また、ダイヤモンド膜に不純物を含ませる場合であれば、キャリアガス中における炭素源に対する不純物源の濃度としては、ダイヤモンド膜中に含ませる不純物濃度に応じて適宜設定すればよい。例えば、不純物としてホウ素を含ませる場合、ダイヤモンド膜におけるホウ素の濃度を1×1018cm-3~1×1021cm-3とする場合であれば、キャリアガス中における炭素源に対するホウ素源の濃度としては、好ましくは100ppm以上、より好ましくは1000~20000ppm程度、さらに好ましくは5000~10000ppm程度が挙げられる。
工程(2)においては、キャリアガスをフィラメントで加熱して、ダイヤモンド膜を基板の上に製膜する製膜工程を行う。フィラメントの加熱温度は、使用するフィラメントを構成する金属元素の種類や、ダイヤモンド膜中に含有させる金属元素や不純物の濃度に応じて、適宜設定すればよく、好ましくは2000~2400℃程度、より好ましくは2000~2200℃程度が挙げられる。
工程(2)における真空容器内の全圧としては、特に制限されず、例えば10~100Torr程度、より好ましくは10~80Torr程度が挙げられる。
本発明において、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体を好適に形成するためには、特に、熱フィラメントCVD法において、所定の圧力条件(例えば30Torr程度)において、金属フィラメント(純度99.95%程度のタングステン)の温度を5~10分間で室温(20℃程度)から2200℃程度まで急激に上昇させ、2200℃程度のフィラメント温度でダイヤモンド膜の製膜を行うことが好ましい。このような製膜条件を採用すると、ダイヤモンド膜の製膜初期段階で、基板の表面に粒状構造体が形成され、その上にダイヤモンド膜が積層されて、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が好適に形成される。
工程(2)における基板の温度としては、特に制限されず、例えば700~1200℃程度、より好ましくは700~1100℃程度が挙げられる。
工程(2)における製膜時間は、目的とする厚み等に応じて適宜選択すればよく、通常3~50時間程度である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1>
厚み500μmの単結晶ダイヤモンド基板(001)の表面上に、熱フィラメント化学気相成長法(熱フィラメントCVD法)により、厚み5μmの単結晶ダイヤモンドを製膜し、基板-ダイヤモンド膜積層体を得た。実施例1における製膜条件は以下の通りである。
(製膜条件)
・キャリアガス:水素97体積%、メタン3体積%(炭素源)である。
・全圧:30Torr
・フィラメント材料:タングステン純度99.95%
・フィラメント温度:2200℃ フィラメントの昇温は、室温(20℃程度)から5分間で急激に2200℃まで上昇させた。
・基板温度:1100℃
・基板サイズ:3mm×3mm
・製膜時間:10時間
・基板前処理のオフ角:2.5°
(ダイヤモンド膜中の金属濃度の測定)
実施例1で形成したダイヤモンド層に含まれる金属濃度(タングステン濃度)を二次イオン質量分析法(SIMS、Cs+イオン加速電圧15.0kV)により測定した。その結果、ダイヤモンド層の金属濃度(タングステン濃度)は2×1018cm-3であった。
<比較例1>
厚み500μmの単結晶ダイヤモンド基板(001)の表面上に、マイクロ波CVD法によりにより、厚み5μmの単結晶ダイヤモンドを製膜し、基板-ダイヤモンド膜積層体を得た。実施例における製膜条件は以下の通りである。
(製膜条件)
・キャリアガス:水素97体積%、メタン3体積%(炭素源)である。
・全圧:80Torr
・基板温度:1000℃
・基板サイズ:3mm×3mm
・製膜時間:10時間
・基板前処理のオフ角:2.5°
<比較例2>
実施例1の製膜条件において、「・フィラメント温度:2200℃ フィラメントの昇温は、室温(20℃程度)から5分間で急激に2200℃まで上昇させた。」を「・フィラメント温度:2200℃ フィラメントの昇温は、室温(20℃程度)から30分間で2200℃まで上昇としたこと以外は、実施例1と同様にして、熱フィラメント化学気相成長法(熱フィラメントCVD法)により、厚み5μmの単結晶ダイヤモンドを製膜し、基板-ダイヤモンド膜積層体を得た。
(ダイヤモンド膜中の金属濃度の測定)
比較例2で形成したダイヤモンド層に含まれる金属濃度(タングステン濃度)を二次イオン質量分析法(SIMS、Cs+イオン加速電圧15.0kV)により測定した。その結果、ダイヤモンド層の金属濃度(タングステン濃度)は2×1018cm-3であった。
[界面部分の透過電子顕微鏡観察]
実施例及び比較例で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体について、それぞれ、収束イオンビーム加工法を用いて厚み方向に切断して、断面を取得した。具体的には、エネルギー30keVの収束Gaイオンビームを走査させながら試料表面に入射させ、縦横それぞれ10μm、および数μm程度の各種矩形状パターンで試料を削り落としていくことにより、それぞれ、最終的に縦横10μm、厚さ100nm以下の観察用試料を準備した。その際、厚さ方向の結晶方位が[110]方向となるようにした。
次に、これらの観察試料について、電子線エネルギー200keVの電子線を用いて透過電子顕微鏡観察を行った。試料保持機構の角度調整機能を用いて、電子線の入射方向が[110]方向となるよう、試料角度の調整を行った。回折図形観察においては、明視野の条件にて制限視野絞りを入れ、カメラ長を0.4mとした。像観察は、回折電子を遮断して、回折図形の中心部の透過電子線のみが通るように対物スリットを挿入して結像させることにより行った。
界面部分の透過電子顕微鏡観察の結果、実施例1の基板-ダイヤモンド膜積層体では、倍率を10万倍以上にすると、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察された。図1の(a)及び(b)の像において、それぞれ、右側は基板、左側はダイヤモンド膜である。基板には、斜め方向に伝搬する線状欠陥が多く存在していることが分かる。さらに、ダイヤモンド膜中の線状欠陥は、基板中の線状欠陥よりも数が少なく、基板中の線状欠陥は、ダイヤモンド膜にまで伝搬することが抑制されていることも分かる。図1の右側の(b)の像は、図1の左側の(a)の像を拡大したものである。この拡大画像を観察すると、大きさ5nm程度の粒状構造体が、数nm程度の間をあけて界面部分に並んで存在していることが分かる。この粒状構造体の存在によって、基板の線状欠陥が、ダイヤモンド膜中に伝搬することが抑制されているといえる。
一方、比較例1,2の基板-ダイヤモンド膜積層体では、倍率を10万倍以上にしても、基板とダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体は観察されず、基板中の線状欠陥がダイヤモンド膜にまで伝搬していることが分かる(図3,4)。
[界面部分の蛍光X線元素マッピング]
実施例1で得られた基板-ダイヤモンド膜積層体について、蛍光X線元素分析による2次元マッピング像を図2に示す。図2の透過電子顕微鏡像の白色の部分が、前記の粒状構造体に対応している。この領域に対応する蛍光X線元素分析により検出された鉄とタングステンの2次元マッピング像(なお、タングステンについてはバックグラウンドにかなり近く見分けにくい)には、この粒状構造体に対応する位置に、本分析の検出限界を上回る程度の数%程度の濃度の鉄とタングステンが有意に検出されている。このことから、基板とダイヤモンド膜との界面部分に存在する複数の粒状構造体において、フィラメント中に存在する金属元素の濃度が、粒状構造体の周囲のダイヤモンド膜中の金属元素濃度よりも高いことが分かる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、基板と、前記基板に積層されたダイヤモンド膜とを備える、積層体であって、
    透過電子顕微鏡を用い、電子線エネルギー200keV、110面入射の明視野の条件で、前記積層体の断面を観察した場合、前記基板と前記ダイヤモンド膜との界面部分に、複数の粒状構造体が観察される、基板-ダイヤモンド膜積層体。
  2. 前記粒状構造体の粒径が、10nm以下である、請求項1に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
  3. 前記界面部分において、前記複数の粒状構造体は、10nm以下の間隔で並んで存在している、請求項1または2に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
  4. 前記ダイヤモンド膜の厚みが、0.01μm以上1mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
  5. 前記ダイヤモンド膜の厚みの最大値と最小値との差は、前記厚みの最大値の10%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
  6. 前記ダイヤモンド膜に不純物が含まれている、請求項1~5のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の基板-ダイヤモンド膜積層体を含む、電子デバイス。
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