JP2023016097A - 自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラム - Google Patents

自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】外来ノイズの多い環境下においても精度良く自動車車体の振動特性を求めることができる自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラムを提供する。【解決手段】自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて加振する加振装置11と、加振した自動車車体に発生する振動加速度の時刻歴データと自動車車体への入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得装置21と、入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データとをそれぞれ同じ時間間隔で複数の区間に分割し、分割した各区間について入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、分割した全ての区間について、入力振動の中心周波数と、振動加速度の周波数応答関数のピーク値と、を求める振動時刻歴データ処理装置31と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラムに関し、特に、加速度計を設置した自動車車体を加振する振動特性試験において、外来ノイズを排除して加速度計により計測した振動加速度により自動車車体の振動特性を求めることができる自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラムに関する。
自動車車体の振動特性を求めるための振動特性試験では、一般に、計測対象とする全周波数帯域の成分を含むランダム波(ホワイトノイズ)にて自動車車体を加振し、該自動車車体の所定部位に発生した振動の加速度(以下、「振動加速度」という)を加速度センサーにより計測し、該計測した振動加速度の時刻歴応答をフーリエ変換(FFT)することにより周波数応答関数を得て評価している。この方法では、比較的短時間で全周波数帯域での自動車車体の振動特性を得ることができる点に優位性があり、励起源(例えば、加振器)により自動車車体を強制的に加振させる振動特性試験で広く用いられている。また、励起源の振動特性がわかっており、入力する振動の周波数成分が特定されている場合には、励起源の周波数特性(入力波形及び入力周波数)を再現した振動を自動車車体に入力して加振することも行われている。
このように、自動車車体に振動を入力して当該自動車車体を強制的に加振させるものとして、例えば、特許文献1には、車体の一部を載置した加振台を上下に振動させて加振し、加振台に取付けられた加速度計、車体側に接続されるデータ記録計及びデータ解析器で構成される振動計測手段により車体の振動を計測することで、車両振動特性を計測する技術が開示されている。
また、特許文献2には、駆動ローラを評価対象車両のタイヤに当接させて当該タイヤを従動回転させたときの評価対象車両の振動レベルを、当該評価対象車両に設けられた加速度センサーの出力に基づいて評価する技術が開示されている。
特開2000-88697号公報 特開2007-327863号公報
自動車車体に発生した振動加速度を計測する加速度センサーには、半導体式センサー(MEMS)、ひずみゲージセンサー及び圧電式センサー等があるが、計測可能な周波数帯域の広い圧電式センサーが広く用いられている。これは、加速度センサーの質量付加によって計測対象の振動特性に影響を与えないために加速度センサーは軽量・小型である必要があり、構造が簡単で軽量化・小型化が容易な圧電式センサーが有利であるためである。
圧電素子のごくわずかな電荷量変化を直接検出する圧電式センサーは、軽量かつ小型であるために振動特性への質量付加効果は小さいことが長所であるが、加速度センサーの小型化は、検出感度が高くなる一方で出力信号が微弱化して自動車車体の外部から飛来する電気ノイズ(以下、「外来ノイズ」という)の影響を受けやすいことが短所である。特に、自動車車体の振動特性を評価する振動試験は、板厚が薄いパネル部品の振動計測において加速度センサーの重量による質量付加の影響を受けやすいため、特に小型かつ軽量な圧電式加速度センサーが用いられる。
しかしながら、計測環境には外来ノイズが多数存在しており、特に飛来する外来ノイズの周波数成分が明確でない場合には、加振器による振動に由来する成分に加えて外来ノイズ由来の成分が重畳して加速度センサーの出力信号に混入してしまうために、問題となる。
このような外来ノイズを低減する対策としては、試験環境を外来ノイズから遮断することが第1の対策であり、専用の接地線(アース)、電力線への高周波フィルター設置、信号ケーブルや計測器のシールド強化は必須である。そして、これら対策を施した上でも、混入を阻止できない外来ノイズについては、計測後のデータ処理で外来ノイズを除去する必要がある。
一般に、評価対象とする周波数帯域外の外来ノイズについては、ハイパスフィルター又はローパスフィルターにより一律に除去することで対応可能である。一方、評価対象とする周波数帯域の信号については、外来ノイズに由来する信号と目的とする振動に由来する信号とを分別して、外来ノイズ成分を除去又は低減する必要がある。
しかしながら、特に、自動車車体のように複雑かつ多数の共振点を示す構造体の振動試験では、外来ノイズをフィルターにより一律に分離又は除去することは困難であった。
そのうえ、自動車車体のパネル部品を対象とした振動特性試験において小型化した圧電式加速度センサーを用いると、加速度センサーからの出力信号が微弱であるため、外来ノイズ混入の影響を受けやすいという問題があった。
さらに、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、評価対象とする振動の周波数領域が1Hz~100Hzのものであった。しかしながら、特許文献1及び特許文献2で評価対象とした周波数帯域よりも高い周波数帯域においては、音響に近くなって振動のレベルも低く、加速度センサーからの出力信号の強度も小さくなるため、外来ノイズに由来する成分を適切に分離又は除去することが困難であるという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外来ノイズが多い環境下においてもこれらを適切に除去又は低減し、加速度センサーを用いて計測した振動加速度に基づいて自動車車体の振動特性を求めることができる自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
(1)本発明に係る自動車車体の振動特性試験装置は、自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求めるものであって、
前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する加振装置と、
該加振装置により加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、を有し、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得装置と、
該振動時刻歴データ取得装置により取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理装置と、を備え、
該振動時刻歴データ処理装置は、
前記振動時刻歴データ取得装置により取得した前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割部と、
前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出部と、
前記入力振動の時刻歴データの前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定部と、
前記振動時刻歴データ区間分割部により分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出部と、
前記入力振動区間中心周波数決定部により前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定部と、
前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出部と、
前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得部と、を有することを特徴とするものである。
(2)本発明に係る自動車車体の振動特性試験装置は、自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求めるものであって、
所定の周波数範囲内で前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとに、該入力周波数が一定の振動を前記自動車車体に入力して加振する加振装置と、
該加振装置により加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、を有し、前記複数設定された入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得装置と、
該振動時刻歴データ取得装置により前記入力周波数ごとに取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理装置と、を備え、
該振動時刻歴データ処理装置は、
前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出部と、
前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定部と、
前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出部と、
前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定部により決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定部と、
前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出部と、
前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得部と、を有することを特徴とするものである。
(3)本発明に係る自動車車体の振動特性試験方法は、自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求めるものであって、
前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する加振プロセスと、
該加振プロセスにおいて加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、により、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得プロセスと、
該振動時刻歴データ取得プロセスにより取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理プロセスと、を含み、
該振動時刻歴データ処理プロセスは、
前記振動時刻歴データ取得プロセスにおいて取得した前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割ステップと、
前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出ステップと、
前記入力振動の時刻歴データの前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定ステップと、
前記振動時刻歴データ区間分割ステップにおいて分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出ステップと、
前記入力振動区間中心周波数決定ステップにおいて前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップと、
前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップにおいて設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出ステップと、
前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得ステップと、を有することを特徴とするものである。
(4)本発明に係る自動車車体の振動特性試験方法は、自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求めるものであって、
所定の周波数範囲内で前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとに、該入力周波数が一定の振動を前記自動車車体に入力して加振する加振プロセスと、
該加振プロセスにおいて加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、により、前記複数設定された入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得プロセスと、
該振動時刻歴データ取得プロセスにおいて、前記入力周波数ごとに取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理プロセスと、を含み、
該振動時刻歴データ処理プロセスは、
前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出ステップと、
前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定ステップと、
前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出ステップと、
前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定ステップにより決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定ステップと、
前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定ステップにより設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出ステップと、
前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得ステップと、を有することを特徴とするものである。
(5)本発明に係る自動車車体の振動特性試験プログラムは、自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する振動特性試験において、前記自動車車体に入力する入力振動の時刻歴データと、該入力振動の時刻歴データと同期して取得した前記自動車車体の振動加速度の時刻歴データとを用いて前記自動車車体の振動特性を求めるものであって、
コンピュータを、
前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割部と、
前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出部と、
前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定部と、
前記振動時刻歴データ区間分割部により分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出部と、
前記入力振動区間中心周波数決定部により前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定部と、
前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出部と、
前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得部と、して実行させる機能を有することを特徴とするものである。
(6)本発明に係る自動車車体の振動特性試験プログラムは、自動車車体に入力周波数一定の振動を入力して前記自動車車体を加振する振動特性試験において、前記入力周波数を所定の周波数範囲で複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとの前記自動車車体の入力振動の時刻歴データと、該入力振動の時刻歴データと同期して取得した前記自動車車体の振動加速度の時刻歴データとを用いて前記自動車車体の振動特性を求めるものであって、
コンピュータを、
前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出部と、
前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定部と、
前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出部と、
前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定部により決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定部と、
前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出部と、
前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得部と、して実行させる機能を有することを特徴とするものである。
本発明においては、自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて自動車車体を加振したときの自動車車体への入力振動の時刻歴データとこれに同期して取得した自動車車体の振動加速度の時刻歴データとを取得し、入力した振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データとをそれぞれ所定の時間間隔で区間分割し、該分割した全区間について自動車車体に入力した振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値を求めることにより、専用のアース、高周波フィルター、シールドがなくても、センサーの信号に混入する定常的な外来ノイズを排除して自動車車体の振動特性を求めることができる。
また、本発明においては、所定の周波数範囲内で自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、各入力周波数について、入力周波数一定の振動を自動車車体に入力して加振し、加振した自動車車体に発生する振動加速度の時刻歴データと自動車車体への入力振動の時刻歴データとを同期して取得し、入力振動の時刻歴データに基づいて自動車車体への入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値を求めることにより、専用のアース、高周波フィルター、シールドがなくても、センサーの信号に混入する定常的な外来ノイズを排除して自動車車体の振動特性を求めることができる。
本発明の実施の形態1に係る自動車車体の振動特性試験装置の構成を説明する図である。 本発明の実施の形態1及び2において振動特性試験の対象とする自動車車体と、該自動車車体を支持する部位と振動を入力する部位とを説明する図である。 本発明の実施の形態1及び2に係る自動車車体の振動特性試験装置及び方法における自動車車体と加振装置との接続を説明する図である。 本発明の実施の形態1に係る自動車車体の振動特性試験装置及び方法において、自動車車体に入力する振動の入力波の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る自動車車体の振動特性試験装置及び方法において、自動車車体に入力する振動の入力周波数を連続的に変化させる周波数掃引の一例を説明するグラフである。 本発明の実施の形態1に係る自動車車体の振動特性試験方法の処理の流れを示すフロー図である。 本発明の実施の形態2に係る自動車車体の振動特性試験装置の構成を説明する図である。 本発明の実施の形態2に係る自動車車体の振動特性試験方法の処理の流れを示すフロー図である。 実施例において、自動車車体に生じた振動加速度の時刻歴データのグラフである。 実施例において、自動車車体に生じた振動加速度の時刻歴データを複数の区間に分割し、該区間ごとに求めた振動加速度の周波数応答関数のグラフの一例である。 実施例において、自動車車体に生じた振動加速度の時刻歴データを複数の分割した区間ごとに求めた振動加速度の周波数応答関数と、各区間において周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を示すグラフである。 実施例において、自動車車体に入力した振動の時刻歴データと、自動車車体に生じた振動加速度の時刻歴データとをそれぞれ同じ時間間隔で複数の区間に分割し、該区間ごとに求めた入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を全区間にわたって取得した周波数応答関数のグラフである(発明例)。 実施例において、自動車車体に入力する振動を周波数掃引して加振したときの自動車車体に生じた振動加速度の時刻歴データを一括してフーリエ変換して求めた周波数応答関数のグラフである(比較例)。
<自動車車体>
以下に記載する本発明の実施の形態1及び実施の形態2において、一例として図2に示すように振動特性試験の対象とする自動車車体100は、シャシー、足回り部品、駆動系部品、内装部品等を含まない、いわゆる車体骨格(ホワイトボディー)であり、フロントサイドメンバー101やリアサイドメンバー103等の車体骨格部品や、車体フロア105等のパネル部品、等を有してなる。
そして、自動車車体100は、図2に示すように、自動車車体100の車体フロア105が、床面110上に設置された4つのエアマウント111(空気ばね)に載荷されて床面110の上面に支持されている。そのため、自動車車体100に振動を入力すると、エアマウント111に支持されている車体フロア105の振動は拘束されず、自動車車体100が加振される。
もっとも、本発明は、自動車車体を支持する部位や方法をこれに限定するものではなく、評価対象とする振動特性に応じて自動車車体を支持する部位や支持方法を適宜選択すればよい。
以下、自動車車体100を試験対象とする場合について、本発明に係る自動車車体の振動特性試験装置、方法及びプログラム(以下、それぞれ、「振動特性試験装置」、「振動特性試験方法」及び「振動特性試験プログラム」という)について説明する。
[実施の形態1]
<振動特性試験装置>
本発明の実施の形態1に係る振動特性試験装置1は、一例として、自動車車体100に振動を入力して加振し、自動車車体100の振動特性を求めるものであって、図1に示すように、加振装置11と、振動時刻歴データ取得装置21と、振動時刻歴データ処理装置31と、を備えたものである。
以下、振動特性試験装置1の各構成について説明する。
≪加振装置≫
加振装置11は、図2に示すように、自動車車体100に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて自動車車体100を加振するものである。
そして、加振装置11は、図1に示すように、関数発生器13と、加振器制御装置15と、加振器17と、を有してなる。
関数発生器13は、自動車車体100に入力する振動の入力波(入力波形及び入力周波数)を生成するものである。そして、関数発生器13は生成する入力波を、自動車車体100に入力する振動の入力波が所定の周波数範囲で連続的に変化させる(周波数掃引)。
自動車車体100に入力する振動の入力波の所定の周波数範囲は、例えば、車体骨格全体が変形するモードの振動を対象とする場合には1.0Hz~200Hz、パネル部品の振動や車室内騒音・音響に係る振動を対象とする場合には100Hz~1000Hz等、計測目的に応じて設定するとよい。さらに、設定した所定の周波数範囲における連続的に周波数を変化させる速度(周波数掃引速度)は、対象とする周波数の信号が5周期~10周期以上含まれるように設定するとよい。
例えば、10Hz~200Hzを対象とした場合、下限である10Hzの振動が10周期含まれるためには1.0秒間の加振・計測が必要である。この場合、1秒間に1Hz周波数を上昇させるとよい。
また、10Hz~1000Hzなど対象とする周波数帯域が広い場合には、時間定率で直線的に周波数を変化させると長時間の計測となり、高周波側の計測で不必要にデータ量が増えるので、対数的に周波数を増減させてもよい。
具体的には、音響計測等で用いられる単位であるオクターブを使用し、オクターブ定率で周波数を増減させるとよい。
10Hz~1000Hzを対象とすると、時間定率1.0Hz/s秒で周波数変化させた場合990秒必要であるが、オクターブ定率1オクターブ20秒で周波数変化させた場合134秒で、各周波数5周期~10周期の解析に必要な信号を計測することができる。
図4に、関数発生器13により生成した振動の入力波の一例を、また、図5に入力波の周波数掃引速度の一例を示す。
関数発生器13により生成する入力波の入力波形は、特に限定されるものではない。ただし、矩形波やノコギリ波等の入力波形では、後述する振動時刻歴データ処理装置31によるフーリエ変換の実行時に高調波成分が出現することから、振動時刻歴データ処理が難しくなる。また、ランダム波は特定時刻に特徴的な入力周波数を決めることができない。よって、入力波の入力波形は、サイン波(正弦波)などの三角関数波形が最適である。
加振器制御装置15は、関数発生器13により生成した入力波の振動パターンで加振器17を駆動制御するものである。
加振器17として動電式加振器を用いる場合、加振器制御装置15は、動電式加振器に投入する投入電力パターンを生成する。
加振器17は、加振器制御装置15により生成された投入電力パターンで駆動し、自動車車体100を加振するものであり、図3に示すように、床面110の上面に防振ゴム115を介して設置されている。
そして、本実施の形態1では一例として、加振器17が、鋼製の加振棒19を介して、自動車車体100のアンダーフレームの一部であるリアサイドメンバー103に接着された取付ブラケット107に接続されている。これにより、加振器17が駆動することで、加振棒19を介して自動車車体100のリアサイドメンバー103に振動が入力して加振する。
なお、加振器17としては、前述したように動電式加振器を用いることができるが、これに限定されるものではない。
≪振動時刻歴データ取得装置≫
振動時刻歴データ取得装置21は、図1に示すように、加振装置11により加振された自動車車体100に発生する振動加速度を計測する加速度計23と、自動車車体100への入力振動の時刻歴データを計測する入力振動計25と、振動加速度の時刻歴データと入力振動の時刻歴データとを同期して取得するデータロガー27と、を有して構成される。
加速度計23は、自動車車体100に設置され、加振器17により生じた自動車車体100の振動加速度を計測するものである。
加速度計23は、自動車車体100における複数の部位に設置してもよい。
入力振動計25は、加振装置11により自動車車体100に入力する振動を計測するものであり、本実施の形態1においては、図3に示すように、加振棒19と取付ブラケット107との間に入力振動計25を設置した。
データロガー27は、加速度計23により計測される自動車車体100の振動加速度の時刻歴データと、入力振動計25により計測される自動車車体100に入力する振動(加振力又は加振加速度等)の時刻歴データと、を同期して取得する。
加速度計23及び入力振動計25としては、加速度センサーを用いることができる。加速度センサーの種類には特段の制限はなく、所望の振動レベルが計測できる感度と周波数範囲を備えたものであればよい。ただし、加速度センサーの大きさ及び質量は極力小型・軽量である方が良くて、試験対象である自動車車体100の振動特性への加速度センサーの質量付加効果を低減することができて好ましい。
もっとも、入力振動計25としては、自動車車体100に入力する振動の加振力と加振加速度の双方を同時に計測することができるインピーダンスヘッドを好ましく用いることができる。
さらに、データロガー27としては、入力振動計25で計測される入力振動の時刻歴データと、複数の加速度計23で計測される振動の時刻歴データとを多チャンネルで同時に収録でき、かつ、サンプリング周波数(サンプリング速度)が計測対象とする周波数範囲をカバーしているものを用いる。
≪振動時刻歴データ処理装置≫
振動時刻歴データ処理装置31は、振動時刻歴データ取得装置21により取得した自動車車体100への入力振動の時刻歴データを用いて、自動車車体100に生じた振動加速度の時刻歴データを処理し、自動車車体100の振動特性を求めるものである。
本実施の形態1において、振動時刻歴データ処理装置31は、図1に示すように、振動時刻歴データ区間分割部33と、入力振動区間周波数応答関数算出部35と、入力振動区間中心周波数決定部37と、振動加速度区間周波数応答関数算出部39と、区間ピーク値抽出周波数帯域設定部41と、区間ピーク値抽出部43と、全区間周波数応答関数取得部45と、を有する。
なお、振動時刻歴データ処理装置31は、コンピュータ(PC等)のCPU(中央演算処理装置)によって構成されたものであってもよい。この場合、上記の各部は、コンピュータのCPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
(振動時刻歴データ区間分割部)
振動時刻歴データ区間分割部33は、振動時刻歴データ取得装置21により取得した入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割するものである。
(入力振動区間周波数応答関数算出部)
入力振動区間周波数応答関数算出部35は、振動時刻歴データ区間分割部33により分割した入力振動の時刻歴データの区間ごとに、入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、入力振動の周波数応答関数を算出するものである。
周波数応答関数は、振動のフーリエ変換により求めたゲイン(dB)と位相からなるが、本実施の形態1では差を明確に示すため、周波数応答関数としてゲイン(dB)を用いて比較した。
(入力振動区間中心周波数決定部)
入力振動区間中心周波数決定部37は、入力振動の時刻歴データの各区間において、入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、各区間における自動車車体100への入力振動の中心周波数として決定するものである。
すなわち、自動車車体100に目標とする周波数の振動を与えると、ピーク値となって現れるため、入力振動の中心周波数として決定できる。
(振動加速度区間周波数応答関数算出部)
振動加速度区間周波数応答関数算出部39は、振動時刻歴データ区間分割部33により分割した振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、振動加速度の周波数応答関数(ゲイン(dB))を算出するものである。
(区間ピーク値抽出周波数帯域設定部)
区間ピーク値抽出周波数帯域設定部41は、入力振動区間中心周波数決定部37により各区間について決定した入力振動の中心周波数に基づいて、振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、振動加速度の区間周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するものである。
ここで、各区間においてピーク値を抽出する周波数帯域の中心位置は、対応する区間について決定した前記入力振動の中心周波数の位置とし、各区間における周波数帯域の幅は、例えば、対応する各区間における入力振動の周波数応答関数で観測されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)の2倍とすればよい。
(区間ピーク値抽出部)
区間ピーク値抽出部43は、振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、区間ピーク値抽出周波数帯域設定部41により設定された周波数帯域における振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するものである。
(全区間周波数応答関数取得部)
全区間周波数応答関数取得部45は、各区間における入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての区間について取得するものである。
<振動特性試験方法>
本発明の実施の形態1に係る振動特性試験方法は、一例として図2に示すように、自動車車体100に振動を入力して加振し、自動車車体100の振動特性を求めるものであって、図6に示すように、加振プロセスP1と、振動時刻歴データ取得プロセスP3と、振動時刻歴データ処理プロセスP5と、を備えたものである。以下、例として図1に示す振動特性試験装置1を用いた場合における振動特性試験方法の各プロセスについて説明する。
≪加振プロセス≫
加振プロセスP1は、自動車車体100を入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて自動車車体100を加振する。本実施の形態1では、図1に示す加振装置11により、自動車車体100を加振する。
≪振動時刻歴データ取得プロセス≫
振動時刻歴データ取得プロセスP3は、加振プロセスP1において加振された自動車車体100に発生する振動加速度を計測する加速度計23と、自動車車体100に入力する入力振動を計測する入力振動計25と、により、振動加速度の時刻歴データと入力振動の時刻歴データとを同期して取得するものである。
そして、加速度計23により計測した振動加速度の時刻歴データと、入力振動計25により計測した入力振動の時刻歴データは、それぞれ同期してデータロガー27に記録する。
≪振動時刻歴データ処理プロセス≫
振動時刻歴データ処理プロセスP5は、振動時刻歴データ取得プロセスP3により取得した入力振動の時刻歴データを用いて振動加速度の時刻歴データを処理し、自動車車体100の振動特性を求めるものであり、図6に示すように、振動時刻歴データ区間分割ステップS5aと、入力振動区間周波数応答関数算出ステップS5bと、入力振動区間中心周波数決定ステップS5cと、振動加速度区間周波数応答関数算出ステップS5dと、区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS5eと、区間ピーク値抽出ステップS5fと、全区間周波数応答関数取得ステップS5gと、を有する。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31が行う。
(振動時刻歴データ区間分割ステップ)
振動時刻歴データ区間分割ステップS5aは、振動時刻歴データ取得プロセスP3において取得した入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の振動時刻歴データ区間分割部33が行う。
(入力振動区間周波数応答関数算出ステップ)
入力振動区間周波数応答関数算出ステップS5bは、入力振動の時刻歴データの区間ごとに、入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、入力振動の周波数応答関数を算出するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の入力振動区間周波数応答関数算出部35が行う。
(入力振動区間中心周波数決定ステップ)
入力振動区間中心周波数決定ステップS5cは、入力振動の時刻歴データの各区間において入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、各区間における自動車車体100への入力振動の中心周波数として決定するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の入力振動区間中心周波数決定部37が行う。
(振動加速度区間周波数応答関数算出ステップ)
振動加速度区間周波数応答関数算出ステップS5dは、振動時刻歴データ区間分割ステップS5aにおいて分割した振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、振動加速度の周波数応答関数を算出するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の振動加速度区間周波数応答関数算出部39が行う。
(区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップ)
区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS5eは、入力振動区間中心周波数決定ステップS5cにおいて各区間について決定した入力振動の中心周波数に基づいて、振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の区間ピーク値抽出周波数帯域設定部41が行う。
(区間ピーク値抽出ステップ)
区間ピーク値抽出ステップS5fは、振動加速度の時刻歴データの区間ごとに、区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS5eにおいて設定された周波数帯域における振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の区間ピーク値抽出部43が行う。
(全区間周波数応答関数取得ステップ)
全区間周波数応答関数取得ステップS5gは、各区間における入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての区間について取得するものである。本実施の形態1では、図1に示す振動時刻歴データ処理装置31の全区間周波数応答関数取得部45が行う。
<振動特性試験プログラム>
上記の本実施の形態1についての説明は振動特性試験装置及び方法についてのものであったが、本実施の形態1は、コンピュータによって構成された振動時刻歴データ処理装置31の各部を機能させる振動特性試験プログラムとして構成することができる。
本発明の実施の形態1に係る振動特性試験プログラムは、一例として図2に示すような、自動車車体100に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて自動車車体100を加振する振動特性試験において、自動車車体100に入力する入力振動の時刻歴データと、入力振動の時刻歴データと同期して取得した自動車車体100の振動加速度の時刻歴データとを用いて自動車車体100の振動特性を求めるものであって、コンピュータを、図1に示すような、振動時刻歴データ区間分割部33と、入力振動区間周波数応答関数算出部35と、入力振動区間中心周波数決定部37と、振動加速度区間周波数応答関数算出部39と、区間ピーク値抽出周波数帯域設定部41と、区間ピーク値抽出部43と、全区間周波数応答関数取得部45と、して実行させる機能を有するものである。
以上、本実施の形態1に係る振動特性試験装置、方法及びプログラムによれば、同じ時間間隔の複数の区間に分割し、分割した全区間について、自動車車体100に入力した振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値を求めることにより、定常的な外来ノイズを適切に除去又は低減して自動車車体100の振動特性を求めることができる。
さらに、本実施の形態1によれば、振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域以外の範囲の周波数応答関数を、自動車車体100を加振した全時間分積算・平均化することで定常的な外来ノイズの周波数応答関数を算出することができる。
そして、このように算出した外来ノイズの周波数応答関数と、入力振動の周波数応答関数とを比較し、外来ノイズ由来による周波数応答関数のピークと入力振動による周波数応答関数のピークとが重畳している周波数領域では、振動加速度の周波数応答関数のピーク値から外来ノイズによる周波数応答関数のピーク値を差し引くことで、加振した自動車車体100の周波数応答関数の精度をさらに向上することができる。
[実施の形態2]
上記の実施の形態1は、振動の入力周波数を所定の周波数範囲内で連続的に変化させて自動車車体を加振して該自動車車体の振動特性を求めるものであったが、自動車車体の振動特性を求めるには、所定の周波数範囲内で自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとに、該入力周波数が一定の振動を自動車車体に入力して加振するようにしたものであってもよい(ステップワイズ加振)。
以下、本実施の形態2に係る振動特性試験装置、方法及びプログラムを、図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7に示す振動特性試験装置51において、実施の形態1で示した振動特性試験装置1(図1)と同一及び対応する部分には同一の符号を付し、実施の形態1と異なる部分を主として説明する。
<振動特性試験装置>
本発明の実施の形態2に係る振動特性試験装置51は、実施の形態1と同様に、図7に示すように、加振装置11と、振動時刻歴データ取得装置21と、振動時刻歴データ処理装置81と、を備えており、加振装置11と振動時刻歴データ取得装置21は実施の形態1と同等のものである。
もっとも、本実施の形態2では、加振装置11の関数発生器13により生成する入力周波数は連続的に変化するものではなく、所定の周波数範囲内で一定の周波数とし、これを複数生成するように設定する。
これによって、加振装置11は、複数設定した入力周波数ごとに、入力周波数が一定の振動を自動車車体100に入力して加振する。
そして、振動時刻歴データ取得装置21は、複数設定された入力周波数ごとに、加振装置11により加振された自動車車体100に発生する振動加速度の時刻歴データと、自動車車体100への入力振動の時刻歴データと、を同期してデータロガー27に取得する。
≪振動時刻歴データ処理装置≫
振動時刻歴データ処理装置81は、入力周波数ごとに取得した入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データとを処理し、自動車車体100の振動特性を求めるものであり、図7に示すように、入力振動周波数応答関数算出部83と、入力振動中心周波数決定部85と、振動加速度周波数応答関数算出部87と、ピーク値抽出周波数帯域設定部89と、ピーク値抽出部91と、全周波数範囲周波数応答関数取得部93と、を有する。
なお、振動時刻歴データ処理装置81は、コンピュータ(PC等)によって構成されたものであってもよい。この場合、上記の各部は、コンピュータのCPU(中央演算処理装置)が所定のプログラムを実行することによって機能する。
(入力振動周波数応答関数算出部)
入力振動周波数応答関数算出部83は、入力周波数ごとに、入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、入力振動の周波数応答関数を算出するものである。
周波数応答関数は、振動のフーリエ変換により求めたゲイン(dB)と位相からなるが、差を明確に示すため、周波数応答関数としてゲイン(dB)を用いて比較した。
(入力振動中心周波数決定部)
入力振動中心周波数決定部85は、各入力周波数において、入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定するものである。すなわち、入力振動として目標とする周波数の振動を与えると、ピーク値となって現れるため、入力振動の中心周波数として決定できる。
(振動加速度周波数応答関数算出部)
振動加速度周波数応答関数算出部87は、入力周波数ごとに、振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、振動加速度の周波数応答関数(ゲイン(dB))を算出するものである。
(ピーク値抽出周波数帯域設定部)
ピーク値抽出周波数帯域設定部89は、各入力周波数について入力振動中心周波数決定部85により決定した入力振動の中心周波数に基づいて、入力周波数ごとに、振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するものである。
ここで、各入力周波数においてピーク値を抽出する周波数帯域の位置は、対応する入力周波数について決定した入力振動の中心周波数とし、各入力周波数における周波数帯域の幅は、例えば、対応する各入力周波数における入力振動の周波数応答関数で観測されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)の2倍とすればよい。
(ピーク値抽出部)
ピーク値抽出部91は、入力周波数ごとに、ピーク値抽出周波数帯域設定部89により設定された周波数帯域における振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するものである。
(全周波数範囲周波数応答関数取得部)
全周波数範囲周波数応答関数取得部93は、各入力周波数における入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、入力周波数が設定された周波数範囲について取得するものである。
<振動特性試験方法>
本実施の形態2に係る自動車車体の振動特性試験方法は、一例として図2に示すように、自動車車体100に振動を入力して加振し、自動車車体100の振動特性を求めるものであって、図8に示すように、加振プロセスP11と、振動時刻歴データ取得プロセスP13と、振動時刻歴データ処理プロセスP15と、を含むものである。以下、図7に示す振動特性試験装置51を用いた場合における振動特性試験方法の各プロセスについて説明する。
≪加振プロセス≫
加振プロセスP11は、所定の周波数範囲内で自動車車体100に入力する振動の入力周波数を複数設定し、複数設定した入力周波数ごとに、入力周波数が一定の振動を前記自動車車体100に入力して加振するものである。本実施の形態2では、図3に示すように、加振装置11(図7)により、自動車車体100を加振する。
≪振動時刻歴データ取得プロセス≫
振動時刻歴データ取得プロセスP13は、加振プロセスP11において加振された自動車車体100に発生する振動加速度を計測する加速度計23と、自動車車体100に入力する入力振動を計測する入力振動計25と、により、複数設定された入力周波数ごとに、振動加速度の時刻歴データと入力振動の時刻歴データとを同期して取得するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ取得装置21により、振動加速度の時刻歴データと入力振動の時刻歴データとを同期して取得する。
≪振動時刻歴データ処理プロセス≫
振動時刻歴データ処理プロセスP15は、入力周波数ごとに取得した入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データとを処理し、自動車車体100の振動特性を求めるものであり、図8に示すように、入力振動周波数応答関数算出ステップS15aと、入力振動中心周波数決定ステップS15bと、振動加速度周波数応答関数算出ステップS15cと、ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS15dと、ピーク値抽出ステップS15eと、全周波数範囲周波数応答関数取得ステップS15fと、を有する。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81により、振動加速度の時刻歴データと入力振動の時刻歴データとを処理し、自動車車体100の振動特性を求める。
(入力振動周波数応答関数算出ステップ)
入力振動周波数応答関数算出ステップS15aは、入力周波数ごとに、入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、入力振動の周波数応答関数を算出するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81の入力振動周波数応答関数算出部83により行う。
(入力振動中心周波数決定ステップ)
入力振動中心周波数決定ステップS15bは、各入力周波数において、入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、各入力周波数における入力振動の中心周波数として決定するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81の入力振動中心周波数決定部85により行う。
(振動加速度周波数応答関数算出ステップ)
振動加速度周波数応答関数算出ステップS15cは、入力周波数ごとに、振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、振動加速度の周波数応答関数(ゲイン(dB))を算出するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81の振動加速度周波数応答関数算出部87により行う。
(ピーク値抽出周波数帯域設定ステップ)
ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS15dは、各入力周波数について入力振動中心周波数決定ステップS15bにおいて決定した入力振動の中心周波数に基づいて、入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81のピーク値抽出周波数帯域設定部89により行う。
(ピーク値抽出ステップ)
ピーク値抽出ステップS15eは、入力周波数ごとに、ピーク値抽出周波数帯域設定ステップS15dにおいて設定された周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81のピーク値抽出部91により行う。
(全周波数範囲周波数応答関数取得ステップ)
全周波数範囲周波数応答関数取得ステップS15fは、各入力周波数における入力振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、入力周波数が設定された周波数範囲について取得するものである。本実施の形態2では、図7に示す振動時刻歴データ処理装置81の全周波数範囲周波数応答関数取得部93により行う。
<振動特性試験プログラム>
上記の本発明に実施の形態2に係る説明は、振動特性試験装置及び方法についてのものであったが、本発明の実施の形態2は、コンピュータによって構成された振動時刻歴データ処理装置31の各部を機能させる振動特性試験プログラムとして構成することができる。
本実施の形態2に係る自動車車体の振動特性試験プログラムは、一例として図2に示すような、自動車車体100に入力周波数一定の振動を入力して自動車車体100を加振する振動特性試験において、入力周波数を所定の周波数範囲で複数設定し、複数設定した入力周波数ごとの自動車車体100の入力振動の時刻歴データと、入力振動の時刻歴データと同期して取得した自動車車体100の振動加速度の時刻歴データとを用いて自動車車体100の振動特性を求めるものであり、コンピュータを、図7に示すような、入力振動周波数応答関数算出部83と、入力振動中心周波数決定部85と、振動加速度周波数応答関数算出部87と、ピーク値抽出周波数帯域設定部89と、ピーク値抽出部91と、全周波数範囲周波数応答関数取得部93と、して実行させる機能を有するものである。
以上、本実施の形態2に係る振動特性試験装置、方法及びプログラムによれば、所定の周波数範囲内で自動車車体100に入力する振動の入力周波数を複数設定し、各入力周波数について自動車車体100に入力した振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値を求めることにより、定常的な外来ノイズを適切に除去又は低減して自動車車体100の振動特性を求めることができる。
さらに、本実施の形態2によれば、前述した実施の形態1と同様に、振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域以外の範囲の周波数応答関数を、自動車車体100を加振した全時間分積算・平均化することで定常的な外来ノイズの周波数応答関数を算出することができる。
そして、このように算出した外来ノイズの周波数応答関数と、入力振動の周波数応答関数とを比較し、外来ノイズ由来による周波数応答関数のピークと入力振動による周波数応答関数のピークとが重畳している周波数領域では、振動加速度の周波数応答関数のピーク値から外来ノイズによる周波数応答関数のピーク値を差し引くことで、加振した自動車車体100の振動加速度の周波数応答関数の精度をさらに向上することができる。
なお、本実施の形態2において、自動車車体100を加振する入力振動の所定の周波数の範囲は、本実施の形態1同様に、目的とする周波数帯域に設定するとよい。
また、該所定の周波数範囲内における複数の一定の入力周波数は、目的とする周波数帯域に対して、分析に必要な周波数分解能から周波数変更量のステップ幅を決定し、一定周波数保持時間(ステップ長さ)を加振周波数の振動が5周期~10周期以上に相当するように設定するとよい。
例えば、100Hz~120Hz帯域に分析対象の共振点ピークが含まれていることが既知の場合、0.5Hz単位で100Hzから120Hzまで周波数を段階的に変化させることで、ピンポイントでの計測ができる。この場合、ステップ長さは0.2sec/stepとするとよい。
本発明において、自動車車体への入力振動と自動車車体の振動加速度の時刻歴データは100MBを超える大容量となるため、振動時刻歴データ取得装置及び振動時刻歴データ処理装置は、このような大容量データを取得及び処理することができる性能を要する。
本発明の作用効果を検証するための試験を行ったので、以下、これについて説明する。
試験では、前述した図2に示すように、4つのエアマウント111を介して床面110上に自動車車体100を支持し、前述した本発明の実施の形態1に係る振動特性試験装置1(図1)を用い、加振装置11により自動車車体100のリアサイドメンバー103に振動を入力して加振したときの自動車車体100の振動特性を求めた。
まず、加振装置11の加振器17と自動車車体100のリアサイドメンバー103とを加振棒19及び取付ブラケット107を用いて接続した(図3)。次いで、加振した自動車車体100に生じる振動加速度を計測する加速度計23を自動車車体100のルーフパネル前方中央に設置し、自動車車体100への入力振動の加速度を計測する入力振動計25を加振棒19と取付ブラケット107との間に設置した。ここで、加速度計23には、小型タイプの圧電式加速度センサーを用い、入力振動計25には、インピーダンスヘッドを用いた。
次に、関数発生器13により自動車車体100に入力する振動の入力波を生成し、これを加振器制御装置15に入力して加振器17に投入する投入電力パターンを作成した。そして、作成した投入電力パターンで加振器17を駆動し、自動車車体100に振動を入力した。このとき、自動車車体100に入力する振動の入力波は正弦波とし、1.0Hzから600Hzの周波数範囲を1.0Hz/secで連続的に変化させた。
続いて、振動時刻歴データ取得装置21により、自動車車体100に発生した振動加速度の時刻歴データと、自動車車体100に入力した振動の時刻歴データと、を同期して取得した。
ここで、加速度計23により計測した自動車車体100の振動加速度の時刻歴データと、入力振動計25により計測した入力振動(加速度)の時刻歴データと、を同期してデータロガー27により取得した。加速度計23による振動加速度と入力振動計25による入力振動の加速度は、いずれも、サンプリング周波数2.0kHzとした。図9に、自動車車体100に生じた振動加速度の時刻歴データのグラフを示す。
そして、振動時刻歴データ処理装置31により、自動車車体100に入力した振動の時刻歴データと、自動車車体100に発生した振動加速度の時刻歴データと、を同じ時間間隔で複数の区間に分割し、該分割した全ての区間について、自動車車体100に入力した振動の中心周波数と振動加速度の周波数応答関数のピーク値とを取得し、自動車車体100の周波数応答関数を求めた。
ここで、入力振動の時刻歴データと振動加速度の時刻歴データは、いずれも、1.024秒間隔で分割して、分割した区間ごとにフーリエ変換し、入力振動と振動加速度それぞれの周波数応答関数を求めた。なお、フーリエ変換にはハニング窓関数を適用した。図10に、自動車車体100に生じた振動加速度の時刻歴データを複数の区間に分割し、区間ごとにフーリエ変換して求めた振動加速度の周波数応答関数を時刻列順に表示したグラフを示す。
図10中の(a)の稜線状に見えるのは、入力する振動の周波数変化に伴い周波数応答関数(ゲイン(dB))のピークが変化する自動車車体100の振動特性を示している箇所である。
図10中の(b)は、特定の周波数において周波数応答関数が-20dB~-30dBの範囲で時間の経過によらず一定の大きさであり、当該特定の周波数の外来ノイズを示している箇所である。
図10中の(c)は、周波数及び時間の経過によらず広い範囲で周波数応答関数が-30dB~-40dBの範囲で同程度の大きさであり、外来ノイズ(ホワイトノイズ)を示している箇所である。
続いて、各区間について、入力した振動の周波数応答関数のピーク値に基づいて中心周波数を求めた。さらに、区間ごとに求めた中心周波数に基づいて、発生した振動加速度のピーク値を抽出する周波数帯域を設定し、各区間における発生した振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出した。
図11に、入力振動の時刻歴データを複数の区間に分割し、各区間について求めた入力振動の中心周波数と、該中心周波数に基づいて決定した振動加速度の時刻歴データのピーク値を抽出する周波数帯域の例となるグラフを示す。図11において、ピーク抽出周波数帯域の後のカッコ内に記載した周波数は、入力振動の中心周波数である。
そして、全区間について、入力した振動の中心周波数と、振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、分割した全ての区間にわたって取得し、自動車車体100の振動特性として求めた。
図12に、発明例として、全区間について取得した入力振動の中心周波数と振動加速度の振動応答関数(ゲイン(dB))のピーク値との関係を示す。これは、図10の(a)に対応している。
なお、本実施例では、比較例として、振動時刻歴データ取得装置21により取得した振動加速度の時刻歴データを区間分割せずに一括してフーリエ変換を行い、周波数応答関数を求めた。このようにして求めた周波数応答関数を図13に示す。これは、図10の(a)、(b)及び(c)を全時間分積算・平均化したものに相当する。
発明例に係る図12の結果と比較例に係る図13の結果とを比較すると、発明例の方が外来ノイズは低減し、さらに、周波数応答関数の値が大きいことがわかる。これより、本発明によれば、加速度計による振動加速度の出力信号と外来ノイズとのS/N比を向上させて、周波数応答関数を良好に求めることができた。
1 振動特性試験装置
11 加振装置
13 関数発生器
15 加振器制御装置
17 加振器
19 加振棒
21 振動時刻歴データ取得装置
23 加速度計
25 入力振動計
27 データロガー
31 振動時刻歴データ処理装置
33 振動時刻歴データ区間分割部
35 入力振動区間周波数応答関数算出部
37 入力振動区間中心周波数決定部
39 振動加速度区間周波数応答関数算出部
41 区間ピーク値抽出周波数帯域設定部
43 区間ピーク値抽出部
45 全区間周波数応答関数取得部
51 振動特性試験装置
81 振動時刻歴データ処理装置
83 入力振動周波数応答関数算出部
85 入力振動中心周波数決定部
87 振動加速度周波数応答関数算出部
89 ピーク値抽出周波数帯域設定部
91 ピーク値抽出部
93 全周波数範囲周波数応答関数取得部
100 自動車車体
101 フロントサイドメンバー
103 リアサイドメンバー
105 車体フロア
107 取付ブラケット
110 床面
111 エアマウント
115 防振ゴム

Claims (6)

  1. 自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験装置であって、
    前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する加振装置と、
    該加振装置により加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、を有し、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得装置と、
    該振動時刻歴データ取得装置により取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理装置と、を備え、
    該振動時刻歴データ処理装置は、
    前記振動時刻歴データ取得装置により取得した前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割部と、
    前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出部と、
    前記入力振動の時刻歴データの前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定部と、
    前記振動時刻歴データ区間分割部により分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出部と、
    前記入力振動区間中心周波数決定部により前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定部と、
    前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出部と、
    前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得部と、を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験装置。
  2. 自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験装置であって、
    所定の周波数範囲内で前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとに、該入力周波数が一定の振動を前記自動車車体に入力して加振する加振装置と、
    該加振装置により加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、を有し、前記複数設定された入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得装置と、
    該振動時刻歴データ取得装置により前記入力周波数ごとに取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理装置と、を備え、
    該振動時刻歴データ処理装置は、
    前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出部と、
    前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定部と、
    前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出部と、
    前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定部により決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定部と、
    前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出部と、
    前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得部と、を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験装置。
  3. 自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験方法であって、
    前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する加振プロセスと、
    該加振プロセスにおいて加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、により、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得プロセスと、
    該振動時刻歴データ取得プロセスにより取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理プロセスと、を含み、
    該振動時刻歴データ処理プロセスは、
    前記振動時刻歴データ取得プロセスにおいて取得した前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割ステップと、
    前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出ステップと、
    前記入力振動の時刻歴データの前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定ステップと、
    前記振動時刻歴データ区間分割ステップにおいて分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出ステップと、
    前記入力振動区間中心周波数決定ステップにおいて前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップと、
    前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定ステップにおいて設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出ステップと、
    前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得ステップと、を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験方法。
  4. 自動車車体に振動を入力し、該自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験方法であって、
    所定の周波数範囲内で前記自動車車体に入力する振動の入力周波数を複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとに、該入力周波数が一定の振動を前記自動車車体に入力して加振する加振プロセスと、
    該加振プロセスにおいて加振された前記自動車車体に発生する振動加速度を計測する加速度計と、前記自動車車体に入力する入力振動を計測する入力振動計と、により、前記複数設定された入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データと前記入力振動の時刻歴データとを同期して取得する振動時刻歴データ取得プロセスと、
    該振動時刻歴データ取得プロセスにおいて前記入力周波数ごとに取得した前記入力振動の時刻歴データを用いて前記振動加速度の時刻歴データを処理し、前記自動車車体の振動特性を求める振動時刻歴データ処理プロセスと、を含み、
    該振動時刻歴データ処理プロセスは、
    前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出ステップと、
    前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定ステップと、
    前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出ステップと、
    前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定ステップにより決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定ステップと、
    前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定ステップにより設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出ステップと、
    前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得ステップと、を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験方法。
  5. 自動車車体に入力する振動の入力周波数を所定の周波数範囲で連続的に変化させて前記自動車車体を加振する振動特性試験において、前記自動車車体に入力する入力振動の時刻歴データと、該入力振動の時刻歴データと同期して取得した前記自動車車体の振動加速度の時刻歴データとを用いて前記自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記入力振動の時刻歴データと前記振動加速度の時刻歴データのそれぞれを同じ時間間隔で複数の区間に分割する振動時刻歴データ区間分割部と、
    前記入力振動の時刻歴データの前記区間ごとに、該入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動区間周波数応答関数算出部と、
    前記各区間において前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各区間における前記自動車車体への入力振動の中心周波数として決定する入力振動区間中心周波数決定部と、
    前記振動時刻歴データ区間分割部により分割した前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、該振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度区間周波数応答関数算出部と、
    前記入力振動区間中心周波数決定部により前記各区間について決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定する区間ピーク値抽出周波数帯域設定部と、
    前記振動加速度の時刻歴データの前記区間ごとに、前記区間ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する区間ピーク値抽出部と、
    前記各区間における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、全ての前記区間について取得する全区間周波数応答関数取得部と、して実行させる機能を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験プログラム。
  6. 自動車車体に入力周波数一定の振動を入力して前記自動車車体を加振する振動特性試験において、前記入力周波数を所定の周波数範囲で複数設定し、該複数設定した入力周波数ごとの前記自動車車体の入力振動の時刻歴データと、該入力振動の時刻歴データと同期して取得した前記自動車車体の振動加速度の時刻歴データとを用いて前記自動車車体の振動特性を求める自動車車体の振動特性試験プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記入力周波数ごとに、前記入力振動の時刻歴データのフーリエ変換を行い、前記入力振動の周波数応答関数を算出する入力振動周波数応答関数算出部と、
    前記各入力周波数において、前記入力振動の周波数応答関数がピーク値を示す周波数を、前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数として決定する入力振動中心周波数決定部と、
    前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の時刻歴データのフーリエ変換を行い、該振動加速度の周波数応答関数を算出する振動加速度周波数応答関数算出部と、
    前記各入力周波数について前記入力振動中心周波数決定部により決定した前記入力振動の中心周波数に基づいて、前記入力周波数ごとに、前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出する周波数帯域を設定するピーク値抽出周波数帯域設定部と、
    前記入力周波数ごとに、前記ピーク値抽出周波数帯域設定部により設定された前記周波数帯域における前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値を抽出するピーク値抽出部と、
    前記各入力周波数における前記入力振動の中心周波数と前記振動加速度の周波数応答関数のピーク値とのデータ対を、前記入力周波数が設定された周波数範囲について取得する全周波数範囲周波数応答関数取得部と、して実行させる機能を有することを特徴とする自動車車体の振動特性試験プログラム。
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