JP2023014185A - 哺乳動物合成染色体の構築をリアルタイムでモニタリングするための、及び哺乳動物合成染色体を生体工学的に操作するための組成物及び方法 - Google Patents

哺乳動物合成染色体の構築をリアルタイムでモニタリングするための、及び哺乳動物合成染色体を生体工学的に操作するための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合成染色体および合成染色体を含む真核生物宿主細胞を提供すること。【解決手段】本発明は、煩雑で費用がかかり、かつ恐らくは突然変異原性である分析の必要をなくしつつ、標準化された蛍光技術によって合成染色体の形成をリアルタイムでモニタリングすることを可能にする、組成物及び方法を包含する。本発明の合成染色体は、少なくとも2つの異なる標識の付されたタグを結合するための部位を含み、2つのタグのうちの第1のタグは合成染色体と内在性染色体の両方に存在する第1の部位を検出し、第2の合成染色体に特異的なタグは内在性染色体とは別の合成染色体上に存在する第2の部位を同定する。【選択図】 図1

Description

本発明の分野は、標準化された顕微鏡検査によって合成染色体の生産をリアルタイムでモニタリングすることを可能にする組成物及び方法を包含する。
以下の議論においては、背景及び前置きの目的で、ある一定の物品及び方法について説明されることになる。本明細書中に含まれるいかなるものも、先行技術の「承認」として解釈されるべきではない。出願人は、本明細書中で参照される物品及び方法が適用法規条項の下での先行技術を構成していないことを必要に応じて実証する権利を明白に留保している。
完全に機能的な哺乳動物合成染色体を生成する能力は、遺伝的障害の細胞ベースでの矯正、トランスジェニック動物における組換えタンパク質の生産、様々な種類の細胞における、及びヒトの疾病の動物モデルにおける多大なヒト遺伝子の調節及び発現の分析、減数分裂及び染色体構造に関する研究、細胞の分化及び脱分化の方向付け、人工多能性幹細胞の形成、新規な自己分泌及び傍分泌細胞情報伝達ネットワークの作出、コードされた多数の因子を化学量論的に生産する能力を有する多重発現系の作出、生物回路の生産、核構造を探査することが可能なDNAエレメントの挿入及び核構造内に発見された相互作用を用いてゲノムの発現を調節するための下流での使用、並びに、大型DNAエレメントの操作、例えば、限定するものではないが合成染色体上での染色体腕交換又は多数の大型DNAエレメントの合成染色体上への組み込み、のための強力なシステムに相当する。
完全に機能的な哺乳動物合成染色体にはウイルスベースの送達システムに勝るいくつかの利点、例えば搭載量の大きさの増大、染色体外での維持が潜在的な宿主細胞の破壊を回避するという事実、導入された遺伝子の転写サイレンシング及び潜在的な免疫学的合併症の回避があり、かつ哺乳動物合成染色体はその合成染色体が挿入されることになっている生物種を由来元として該生物種に合うように調整されることが可能である。しかしながら、哺乳動物合成染色体の生産の成功が実証済みである一方で、染色体生産の成功を確認するには対象の合成染色体を同定及び特徴解析するための膨大なスクリーニング時間及び努力を必要とする。合成染色体の生産プロセスは事実上、場当たり的である。よって、新たな合成染色体が生成されていると同時に該合成染色体の生産をリアルタイムで追跡することを可能にする組成物及び方法が、当分野において必要とされている。本発明は、この必要に対処する方法及び組成物を提供する。
新たな合成染色体が生成されていると同時に該合成染色体の生産をリアルタイムで追跡することを可能にする組成物及び方法が、当分野において必要とされている。
本概要は、以下に詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を単純化して紹介するために提供される。本概要は、特許請求の範囲に記載された主題の要所又は本質的特徴を同定するようには意図されておらず、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定するために使用されるようにも意図されていない。特許請求の範囲に記載された主題のその他の特徴、詳細、有用性及び利点は、添付の図面において例証されかつ添付の特許請求の範囲において定められた態様を含めて、以下に記載された詳細な説明から明白となろう。
いくつかの実施形態では、本発明は、合成染色体の生産をスクリーニングする方法であって、内在性染色体タグ及び合成染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株を構築するステップであって、内在性染色体タグ及び合成染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株ゲノムに安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株を、合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションするステップと;合成染色体生産リポーター細胞株における合成染色体の生産をモニタリングするステップと、を含んでなる方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、合成染色体の生産をスクリーニングする方法であって、合成染色体生産リポーター細胞株を提供するステップと;合成染色体生産リポーター細胞株を、合成染色体生産の構成要素並びに内在性染色体タグ及び合成染色体タグを用いてトランスフェクションするステップであって、内在性染色体タグ及び合成染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株における合成染色体の生産をモニタリングするステップと、を含んでなる方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、合成染色体の生産をスクリーニングする方法であって、内在性染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株を構築するステップであって内在性染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株ゲノムに安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株を、合成染色体生産の構成要素及び合成染色体タグを用いてトランスフェクションするステップであって、合成染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株における合成染色体の生産をモニタリングするステップと、を含んでなる方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、合成染色体の生産をスクリーニングする方法であって、合成染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株を構築するステップであって合成染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株ゲノムに安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株を、合成染色体生産の構成要素及び内在性染色体タグを用いてトランスフェクションするステップであって、内在性染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれるようになるステップと;合成染色体生産リポーター細胞株における合成染色体の生産をモニタリングするステップと、を含んでなる方法を提供する。
前述の実施形態のいくつかの態様では、リポーター細胞株の中に存在する内在性染色体の腕は、合成染色体中の組換え部位との相互作用に適合する組換え部位を含んでなる。
さらに、前述の実施形態のいくつかの態様では、内在性染色体タグ及び合成染色体タグのタグは蛍光性タグであり、かつモニタリングステップは蛍光顕微鏡法によって実施される。この態様のいくつかの構成において、蛍光性タグは、TagBFP、TagCFP、TagGFP2、TagYFP、TagRFP、FusionRed、mKate2、TurboGFP、TurboYFP、TurboRFP、TurboFP602、TurboFP635、TurboFP650、AmCyan1、AcvGFP1、ZsGreen1、ZsYellow1、mBanana、mOrange、mOrange2、DsRed-Express2、DsRed-Express、tdTomato、DsRed-Monomer、DsRed2、AsRed2、mStrawberry、mCherry、HcRed1、mRaspberry、E2-Crimson、mPlum、Dendra2、Timer、及びPAmCherry、HALO-tag、又は赤外線シフト型蛍光タンパク質から選択される。
前述の実施形態の他の態様では、内在性染色体タグ及び合成染色体タグのタグは化学発光性(chemilumenscent)タグであり、かつモニタリングステップは化学発光(chemilumenscent)顕微鏡法によって実施されるか、又は、リン光性のタグであってモニタリングステップはリン光顕微鏡法によって実施される。
前述の実施形態のいくつかの態様では、内在性染色体タグはヒストンH1、H2A、H2B、H3、H4、又はH5に特異的なマーカーを含んでなり、合成染色体タグは既知配列のデータベースに対してスクリーニング済みの4ヌクレオチドを含んでなる。
前述の実施形態のいくつかの態様では、合成染色体生産リポーター細胞株は、哺乳動物細胞株、胚細胞株、多能性細胞株、成体由来幹細胞、再プログラム化された細胞株又はヒト細胞株から選択され、好ましい態様では、合成染色体生産リポーター細胞株はヒト細胞株HT1080である。
本発明の実施形態のいくつかの態様では、合成染色体生産リポーター細胞株は、トップダウン方式で合成染色体を生産するために合成染色体生産の構成要素でトランスフェクションされ、他の態様では、合成染色体生産リポーター細胞株は、ボトムアップ方式で合成染色体を生産するために合成染色体生産の構成要素でトランスフェクションされ、さらに他の態様では、合成染色体生産リポーター細胞株は、天然に存在するミニクロモソームの遺伝子操作によって合成染色体を生産するために合成染色体生産の構成要素でトランスフェクションされ、また、好ましい態様では、合成染色体生産リポーター細胞株は、染色体セグメントの標的設定型増幅によるデノボ染色体生成によって合成染色体を生産するために合成染色体生産の構成要素でトランスフェクションされ、かつ、この態様の好ましい方法において、染色体セグメントは染色体の挟動原体領域である。
前述の実施形態のいくつかの態様では、内在性染色体タグは複数の内在性染色体タグを含んでなる。
前述の実施形態のいくつかの態様では、内在性染色体タグは、融合タンパク質、核酸/タンパク質キメラ、核酸/タンパク質複合体(例えばRNA/CRISPR-CAS9など)又は内在性染色体に特異的なTALENタンパク質と蛍光性又はリン光性の標識とを含んでなる構成部分であり、かつ合成染色体タグは、核酸/タンパク質キメラである。
本発明はさらに、内在性染色体タグ及び合成染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株であって、内在性染色体タグ及び合成染色体タグが合成染色体生産リポーター細胞株のゲノムに安定的に組み込まれている細胞株も提供する。
加えて、本発明はさらに、合成染色体生産細胞株によって生産された合成染色体、及び合成染色体であってその生産が本発明の方法によってリアルタイムでモニタリング済みである合成染色体も、提供する。
本発明の上記及びその他の態様及び使用は、詳細な説明において説明されることになろう。
本発明によれば、合成染色体および合成染色体を含む真核生物宿主細胞が提供された。
新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するためのシステムを作出するための方法ステップを示す簡略化フローチャート。この実施形態では、追跡システムの構成要素は生産細胞株の内在性ゲノムに取り込まれる。 新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するための別例のシステムを作出するための方法ステップを示す簡略化フローチャート。この実施形態では、追跡システムの構成要素は合成染色体に取り込まれ、よって該合成染色体とともに生産細胞株の中に同時に運び込まれる。 新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するためのさらに別例のシステムを作出するための方法ステップを示す簡略化フローチャート。この実施形態では、追跡システムの1つの構成要素は合成染色体に取り込まれ、また追跡システムの1つの構成要素は生産細胞株の内在性ゲノムに取り込まれる。 内在性ゲノムから合成染色体への「染色体腕」の交換をモニタリングするための方法ステップを示す簡略化フローチャート。 合成染色体生産細胞株の中で合成染色体を作出する(この場合、特定の染色体セグメントの標的設定型増幅による人為的デノボ染色体生成を介する)1つの例示のプロセスであって、本発明の方法によってモニタリングされるプロセスの詳細を示す図。 内在性染色体特異的タグベクター、合成染色体特異的タグベクター、並びに内在性及び合成の混合型染色体特異的ベクターの簡略化構築物を示す図。 本発明の方法を使用したリアルタイム合成染色体生産のタイムラインを示す図。 合成染色体のモニタリング、単離、及び精製のうち少なくともいずれかを行うためにCRISPR/Cas蛍光視覚化システムを使用することについての図式表示。 合成染色体のモニタリング、単離、及び精製のうち少なくともいずれかを行うために2つの異なるCRISPR/Cas蛍光視覚化システムを使用することについての図式表示。 内在性染色体と合成染色体との間の染色体腕交換をモニタリングするために2つの異なるCRISPR/Cas蛍光視覚化システムを使用することについての図式表示。
本明細書中に記載された方法は、別途指定のないかぎり、分子生物学(組換え技法を含む)、細胞生物学、生化学、及び細胞工学技術の、いずれも当業者の技能の範囲内にある従来の技法及び説明を使用することができる。そのような従来の技法には、オリゴヌクレオチド合成、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション及びライゲーション、細胞の形質転換及び形質導入、組換えシステムの操作、トランスジェニック動物及び植物の作出、並びにヒト遺伝子療法が挙げられる。適切な技法の具体的な例証は、本明細書中の実施例を参照することにより得ることが可能である。しかしながら、同等の従来手法も当然ながら使用することが可能である。そのような従来の技法及び説明は、標準的な実験手引き書、例えばグリーン(Green)ら編、「ゲノム分析:実験手引き書シリーズ(Genome Analysis:A Laboratory Manual Series)」(第I~IV巻)、1999年;ウェイナー(Weiner)ら編、「遺伝的多様性:実験手引き書(Genetic Variation:A Laboratory Manual)」、2007年;サムブルック(Sambrook)及びラッセル(Russell)、「分子クローニング:実験手引き書からの縮約プロトコール(Condensed Protocols from Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、2006年;及びサムブルック(Sambrook)及びラッセル(Russell)、「分子クローニング:実験手引き書(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、2002年(いずれもコールド・スプリング・ハーバー研究所出版社(Cold Spring Harbor Laboratory Press)から);ボラグ(Bollag)ら、「タンパク質方法論(Protein Methods)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley and Sons)、1996年;ワグナー(Wagner)ら編、「遺伝子治療のための非ウイルスベクター(Nonviral Vectors for Gene Therapy)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、1999年;カプリフト(Kaplift)及びルーイ(Loewy)編、「ウイルスベクター(Viral Vectors)」、アカデミック・プレス、1995年;レフコビッツ(Lefkovits)編、「免疫学的方法手引き書(Immunology Methods Manual)」、アカデミック・プレス、1997年;ミーガー(Meager)編、「遺伝子治療の技法、適用及び規制、実験室からクリニックへ(Gene Therapy Techniques,Applications and Regulations From Laboratory to Clinic)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、1999年;M.ジャッカ(Giacca)、「遺伝子治療(Gene Therapy)」、シュプリンガー社(Springer)、2010年;レドゥー(LeDoux)編、「遺伝子治療プロトコール(Gene Therapy Protocols)」、シュプリンガー社、2008年;ドイル(Doyle)及びグリフィス(Griffiths)編、「細胞及び組織の培養:バイオテクノロジーにおける実験手法(Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、1998年;G.ハドラクツキー(Hadlaczky)編、「哺乳動物染色体工学-方法及びプロトコール(Mammalian Chromosome Engineering-Methods and Protocols)」、ヒューマナ出版社(Humana Press)、2011年;ランサ(Lanza)及びクリマンスカヤ(Klimanskaya)編、「基本的な幹細胞の方法(Essential Stem Cell Methods)」、アカデミック・プレス、2011年;健康科学政策委員会(Board on Health Sciences Policy)、「幹細胞療法:臨床提供物の品質及び安全性を保証するための機会:共同ワークショップの概要(Stem Cell Therapies:Opportunities for Ensuring the Quality and Safety of Clinical Offerings:Summary of a Joint Workshop)」、全米アカデミー出版局(National Academies Press)、2014年;ランサ(Lanza)及びアタラ(Atala)編、「幹細胞生物学の要点(Essentials of Stem Cell Biology)」第3版、アカデミック・プレス、2013年;並びに、アタラ(Atala)及びランサ(Lanza)編、「幹細胞のハンドブック(Handbook of Stem Cells)」、アカデミック・プレス、2012年、に見出すことが可能であり、これらの文献は全て参照によりその全体があらゆる目的に関して本願に援用される。本発明の組成物、研究ツール及び方法について説明がなされる前に、記載されたその具体的な方法、組成物、標的及び用途は当然様々に変化しうるものであって本発明はそれらに限定されないことが理解されるべきである。さらに、本明細書中で使用される用語は、特定の態様のみについて説明するためのものであり、かつ、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになる本発明の範囲を限定するようには意図されていないことも、理解されるべきである。
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「及び(and)」及び「その(the)」には、文脈からそうでないことが明白に決定づけられないかぎり、複数の指示物を含む。よって、例えば、「組成物(a composition)」への言及は1つの組成物又は組成物の混合物を指し、また「アッセイ(an assay)」への言及は当業者に既知の等価な複数のステップ及び方法への言及を含む、などである。
別途記載のないかぎり、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書中に記載された全ての出版物は、該出版物中に記載され、かつ目下記載される発明に関連して使用される可能性のあるデバイス、調合物及び方法論について説明及び開示する目的で、参照により本願に組み込まれる。
値の範囲が提供される場合、当然ながら、その範囲の上限値及び下限値と、その明示された範囲の中の任意の他の明示された値又は途中にある値との間にあるそれぞれの値は、本発明の範囲内に包含される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は独立に、明示された範囲内の任意の明確に除外された上下限値に応じて、そのより狭い範囲に含まれうる。明示された範囲が上下限値を両方とも含む場合、その含まれた上下限値のうち一方のみを除外する範囲も、本発明に含まれる。
以降の説明において、多数の具体的詳細が、本発明についてのより完全な理解を提供するために述べられる。しかしながら、本発明がこれらの具体的詳細のうち1以上を伴わずに実行される場合もあることは、本明細書を読めば当業者には明白であろう。その他の例では、当業者に良く知られた周知の特徴及び手順は、本発明を不明瞭にしないようにするために、説明はなされていない。
[定義]
明白な定めのないかぎり、本明細書中で使用される用語は当業者が理解するような平易かつ通常の意味を有するように意図されている。以降の定義は、読み手が本発明を理解する助けとなるように意図されているが、特に指定のないかぎりそのような用語の意味を変えるか又はそうでなければ限定するようには意図されていない。
本明細書中で使用されるような(例えばポリペプチドの核酸結合ドメインに関しての)「結合(している)」は、ポリペプチドと核酸との間の非共有結合性の相互作用を指す。非共有結合性相互作用の状態にある間、ポリペプチド及び核酸は、「会合した」、「相互作用している」、又は「結合している」と言われる。結合相互作用は、一般に、10-6M未満~10-15M未満の解離定数(Kd)を特徴とする。「親和性」は、結合の強さ、より低いKdで相互に関連している高い結合親和性を指す。
「結合ドメイン」によって意味されるのは、別の分子に非共有結合で結合することが可能であるポリペプチド又はタンパク質のドメインである。結合ドメインが結合することができるのは、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)及びタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)のうち少なくともいずれかである。
「動原体」は、染色体が細胞分裂によって娘細胞へと分離する能力を与える任意の核酸配列である。動原体は、核酸配列、例えば動原体を含有する合成染色体の、有糸分裂及び減数分裂による安定した分離をもたらしうる。動原体は、必ずしも動原体が導入される細胞と同じ生物種に由来する必要はないが、ただし動原体はその生物種の細胞のDNA分離を促進する能力を有することが好ましい。「二動原体(の)」染色体は2つの動原体を含有する染色体である。「以前は二動原体であった染色体」は、二動原体染色体が断片化したときに生じる染色体である。「染色体」は、細胞の分裂時に細胞内で複製及び分離することができる核酸分子(及び会合タンパク質)である。典型的には、染色体は、動原体領域、複製起点、テロメア領域、並びに動原体領域とテロメア領域との間の核酸の領域を含有する。「端部着糸型染色体(acrocentric chromosome)」は、不等な長さの腕を備えた染色体を指す。
「コード配列」すなわちペプチドを「コードする」配列とは、適切な制御配列の制御下に置かれた時にin vivoで転写(DNAの場合)及び翻訳(mRNAの場合)されてポリペプチドを生じる核酸分子である。コード配列の境界は、典型的には5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決まる。
DNA「制御配列」という用語は、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流の調節ドメイン、複製開始点、内部リボソーム進入部位、エンハンサーなどであって、総体として受容細胞中のコード配列の複製、転写及び翻訳を提供するものをまとめて指している。選択されたコード配列が適切な宿主細胞の中で複製、転写及び翻訳されることが可能である限り、上記の種類の制御配列全てが存在する必要があるとは限らない。
「内在性染色体」とは、合成染色体の生成又は導入に先立って細胞内に見出される染色体を指す。
本明細書中で使用されるように、「真正染色質」は拡散的に染まりかつ典型的には遺伝子を含有する染色質を指し、「異質染色質」は、異常に凝縮されたままであり転写不活性であると考えられる染色質を指す。高頻度反復配列DNA(サテライトDNA)は通常は動原体を囲む異質染色質の領域に位置する。
用語「異種DNA」若しくは「外来性DNA」(又は「異種RNA」若しくは「外来性RNA」)は互換的に使用され、該DNA若しくはRNAが存在しているゲノムの一部としては天然に存在しないか、又は該DNA若しくはRNAが天然において生じるのとは異なる位置及び量のうち少なくともいずれか一方でゲノム若しくは細胞の中に見出される、DNA又はRNAを指している。異種DNAの例には、限定するものではないが、対象とする遺伝子産物又は遺伝子産物群をコードするDNAが挙げられる。異種DNAの他の例には、限定するものではないが、追跡可能なマーカータンパク質及び調節DNA配列をコードするDNAが挙げられる。
「作動可能なように連結された(Operably linked)」とは、エレメントの配置構成であって、そのように表現される構成要素がその通常の機能を実施するように構成される、配置構成を指す。よって、コード配列に作動可能なように連結された制御配列は、該コード配列の発現をもたらすことができる。制御配列は、該配列がコード配列の発現を導くように機能する限り、コード配列に隣接している必要はない。よって、例えば、翻訳されないが転写される介在配列がプロモーター配列とコード配列との間に存在することが可能であり、かつ該プロモーター配列はなおもコード配列に「作動可能なように連結された」とみなすことが可能である。実際、そのような配列は一続きの同じDNA分子(すなわち染色体)上に存在する必要はなく、かつそれでもなお相互作用して調節の変更をもたらすことができる。
「プロモーター」又は「プロモーター配列」とは、細胞内でRNAポリメラーゼに結合し、ポリヌクレオチド又はポリペプチドコード配列、例えばメッセンジャーRNA、リボソームRNA、核小体の核内低分子(small nuclear of nucleolar)RNA、又は任意のRNAポリメラーゼI、II若しくはIIIのうち任意の部類のものによって転写される任意の種類のRNAなど、の転写を開始することができるDNA調節領域である。
「認識配列」とは、タンパク質、DNA若しくはRNA分子、又はこれらの組み合わせ(例えば、限定するものではないが制限エンドヌクレアーゼ、修飾メチラーゼ又はレコンビナーゼ)が認識して結合する、ヌクレオチドの特定の配列である。例えば、Creレコンビナーゼの認識配列は、8塩基対のコアの両側に隣接する2つの13塩基対逆向き反復配列(レコンビナーゼ結合部位としての役割を果たす)を含有する34塩基対の配列であり、loxPと呼ばれる(例えばサウアー(Sauer)、カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Current Opinion in Biotechnology)、1994年、第5巻、p.521-527を参照のこと)。認識配列の他の例には、限定するものではないが、レコンビナーゼ酵素であるバクテリオファージλインテグラーゼによって認識されるattB及びattP、attR及びattL並びにその他が挙げられる。attBと呼ばれる組換え部位は、2つの9塩基対コア型Int結合部位と7塩基対のオーバーラップ領域とを含有するおよそ33塩基対の配列であり;attPは、コア型Int結合部位及びアーム型Int結合部位に加えて補助タンパク質IHF、FIS及びXisのための部位を含有するおよそ240塩基対の配列である(例えば、ランディ(Landy)、カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Current Opinion in Biotechnology)、1993年、第3巻、p.699-7071を参照のこと)。
「レコンビナーゼ」とは、特異的組換え部位におけるDNAセグメントの交換を触媒する酵素である。インテグラーゼは、ウイルス又はトランスポゾン、さらに恐らくは古代のウイルスを通常は由来元とするレコンビナーゼを指す。「組換えタンパク質」には、1以上の組換え部位を用いた組換え反応に関与する、切出し(excisive)タンパク質、取り込み(integrative)タンパク質、酵素、補助因子及び関連タンパク質が含まれる(ランディ(Landy)、カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Current Opinion in Biotechnology)、1993年、第3巻、p.699-707を参照のこと)。本明細書中の方法で使用される組換えタンパク質は、プラスミドなどのような適切なベクター上の発現カセットを介して細胞に送達されることが可能である。他の実施形態では、組換えタンパク質は、所望の核酸を送達するために使用される同じ反応混合物中のタンパク質の形態で細胞に送達されることが可能である。さらに他の実施形態では、レコンビナーゼは細胞内にコードされていて、高度に制御された誘導型プロモーターを使用して必要に応じて発現されることも考えられる。
「リボソームRNA」(rRNA)は、リボソームの構造の一部を形成し、かつタンパク質の合成に関与する特殊なRNAである。リボソームRNAは、真核細胞においては複数個のコピーとして存在する遺伝子の転写によって生産される。ヒト細胞では、1倍体ゲノムあたりおよそ250コピーのrRNA遺伝子(すなわちrRNAをコードする遺伝子)が、少なくとも5つの異なる染色体(第13、14、15、21及び22染色体)上でクラスターをなして散在している。ヒト細胞では、高度に保存されたrRNA遺伝子の複数のコピーはタンデムに配置構成された一連のrDNAユニットの中に位置付けられており、該rDNAユニットは一般に長さ約40~45kbであって、転写される領域と、長さ及び配列が様々なスペーサー(すなわち遺伝子間スペーサー)DNAとして知られる非転写領域とを含有している。
本明細書中で使用されるように、用語「選択マーカー」は、細胞内に、特に本発明の状況においては培養中の細胞内に導入される遺伝子であって、人為選択に適した形質を付与する遺伝子を指す。一般に用いられる選択マーカーは当業者に良く知られている。好ましい実施形態では、ヒトの合成染色体システムにおいて使用される選択マーカーはヒトにおいて非免疫原性であるべきであり、限定するものではないが:ヒト神経成長因子受容体(米国特許第6,365,373号明細書に記載されるようなMAbで検出される);短縮型ヒト成長因子受容体(MAbで検出される);突然変異型ヒトジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR;蛍光MTX基質を利用可能);分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP;蛍光基質を利用可能);ヒトチミジル酸合成酵素(TS;抗ガン剤フルオロデオキシウリジンに対する抵抗性を付与する);ヒトグルタチオンS-トランスフェラーゼ・アルファ(GSTA1;グルタチオンを幹細胞選択的アルキル化剤であるブスルファンにコンジュゲートする;CD34細胞における化学保護作用を有する選択マーカー);造血幹細胞中のCD24細胞表面抗原;N-ホスホノアセチル-L-アスパラギン酸(PALA)に対する抵抗性を付与するヒトCAD遺伝子;ヒト多剤耐性1(MDR-1;薬剤耐性の増大によって選択可能であるか又はFACSによって富化されるP-糖タンパク質表面タンパク質);ヒトCD25(IL-2α;Mab-FITCによって検出可能);メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT;カルムスチンによって選択可能);及びシチジンデアミナーゼ(CD;Ara-Cによって選択可能)が挙げられる。ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ブラストサイジン、G418、テトラサイクリンのような薬物選択マーカーも使用されうる。加えて、FACsソーティングを使用して、任意の蛍光マーカー遺伝子が、化学発光マーカー(例えばHalotag(登録商標))が使用される場合などのように、正の選択に使用されてもよい。対象とする細胞を単離又は富化するための磁気ビーズ又は表面に結合することが可能である構成部分に連結された細胞表面タンパク質は、さらなる選択マーカーのメカニズムである。
「部位特異的組換え」は、単一の核酸分子上の2つの特定部位の間で、又は2つの異なる分子の間で行われる、インテグラーゼ又はレコンビナーゼのような外来性タンパク質の存在を必要とする部位特異的な組換えを指す。ある種の部位特異的組換えシステムは、特定部位の配向、特定のシステム、及び補助的なタンパク質又は因子の存在によって制御される緻密な事象を伴って、DNAの特異的な欠失、反転、又は挿入を行うために使用することが可能である。加えて、DNAのセグメントが図4に記載されているように染色体間で交換されることが可能である(染色体腕交換)。
「合成染色体」(「人工染色体」とも呼ばれる)は、異種遺伝子を受け入れて発現する能力を有する細胞の中で内在性染色体と一緒に安定的に複製及び分離する、核酸分子、典型的にはDNAである。「哺乳動物合成染色体」は、活性な哺乳動物動原体を有する染色体を指す。「ヒト合成染色体」は、ヒト細胞の中で機能し、かつ好ましくはヒト細胞の中で生産される動原体を備えた染色体を指す。例示の人工染色体については、例えば米国特許第8,389,802号明細書;同第7,521,240号明細書;同第6,025,155号明細書;同第6,077,697号明細書;同第5,891,691号明細書;同第5,869,294号明細書;同第5,721,118号明細書;同第5,712,134号明細書;同第5,695,967号明細書;及び同第5,288,625号明細書並びに公開PCT出願である国際公開第97/40183号及び同第98/08964号を参照されたい。
用語「対象者」、「個体」又は「患者」は本明細書中では互換的に使用可能であり、哺乳動物を、及びいくつかの実施形態ではヒトを、指すことができる。
「ベクター」は、プラスミド、ファージ、ウイルス性構築物、コスミド、細菌人工染色体、P-1由来人工染色体又は酵母人工染色体(chromsome)のようなレプリコンであって、別のDNAセグメントを取り付けることのできるレプリコンである。いくつかの実例では、ベクターは、例えば組換え部位を含んでなるように遺伝子操作された1つの内在性染色体から合成染色体への腕交換の場合のように、染色体であってよい。ベクターはDNAセグメントを細胞内に形質導入して発現させるために使用される。
[本発明]
本発明は、煩雑で費用がかかり、かつ恐らくは突然変異誘発性である分析の必要をなくして、蛍光顕微鏡法のような標準化された顕微鏡検査法によるか又はその他の視感法によって合成染色体の形成をリアルタイムでモニタリングすることを可能にする、組成物及び方法を包含する。本発明より以前は、合成染色体の生産は、新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡することができず、かつ薬物耐性細胞のコロニーがクローニングされ、増殖せしめられ、多数のクローンの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)スクリーニングのような低処理能の方法で分析された後にようやく成功の測定が可能であるという、事実上場当たり的なものであった。
本発明の組成物及び方法の利点には、1)合成染色体の生産が標準化された蛍光顕微鏡法(又は他の視覚的手段)によってリアルタイムでモニタリング可能であり、不成功のクローン(すなわち、合成染色体を生じなかった薬物耐性コロニー)の迅速な排除を可能にしていること;2)染色体形成に関して試験するための定期的なFISH分析の必要が縮小又は排除されること;3)該システムは合成染色体の生成のための構成要素を試験するために使用可能であり、かつ試験構成要素の化学量論性を評価することが可能であって、合成染色体生産の最適化につながること;4)該システムは、合成染色体の生産を制御又は強化する潜在的低分子化合物のスクリーニングを可能にする、アッセイ可能な形式を提供すること;5)フローサイトメトリーに基づくソーティング、単離及び導入の際に合成染色体を同定するための、潜在的に突然変異原性である染料の必要が低減又は排除されること;並びに、6)スクリーニングステップの縮小又は排除により、必要とされる試薬のコスト及び合成染色体を特徴解析するために要する時間が縮小されること、が挙げられる。例えば、リンデンバウム(Lindenbaum)及びパーキンズ(Perkins)ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acid Research)、2004年、第32巻、第21号、e172は、哺乳動物のサテライトDNAに基づいた人工染色体発現(ACE)システムの生産について述べている。このシステムでは、新しい合成染色体をリアルタイムで追跡することはできず、薬物耐性細胞のコロニーがおよそ3か月をかけてクローニングされ、増殖せしめられ、多数のクローンの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)スクリーニングで分析された後にしか成功を測定することができなかった。本発明は、実施に少なくとも4日を要するFISH分析の繰り返しを低減するか又は完全に排除することを可能にする。
合成染色体の生産のリアルタイムモニタリングのための本発明の組成物及び方法は、「トップダウン」方式、「ボトムアップ」方式、天然に存在するミニクロモソームの遺伝子操作、及び特定の染色体セグメントの標的設定型増幅による人為的デノボ染色体生成(いずれも以下により詳細に議論される)を含む、合成染色体生産のあらゆる方法論に適用可能である。
図1は、新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するためのシステムを作出するための一実施形態の方法ステップを示す簡略化フローチャートである。方法100の第1のステップ101は、合成染色体を生産するための場となる合成染色体生産リポーター細胞株を構築するステップである。合成染色体生産リポーター細胞株の構築は本質的に、少なくとも2つの規定のタグであって:1つは染色体遺伝子操作リポーター細胞株の内在性染色体に特異的な標識付きタグ、及び1つは生産されることになる合成染色体上の配列に特異的な異なる標識の付されたタグ、を発現するように細胞株を安定的に形質転換することを要する(すなわち、タグがリポーター細胞株の内在性染色体によってコードされる「シス型内在性染色体」システム)。合成染色体生産リポーター細胞株を構築するために使用される方法及びタグは、細胞の由来元の生物種及び生産される合成染色体上のタグ相補体に応じて異なることになろう。
第2のステップ103は、ステップ101で構築された合成染色体生産リポーター細胞株を、合成染色体の生産に適切な構成要素を用いてトランスフェクション又は形質転換するステップである。適切な構成要素は、使用される染色体生産の方法(すなわち、該方法が「トップダウン」、「ボトムアップ」、ミニクロモソームの遺伝子操作、又はデノボ染色体生成であるかどうか)、及び合成染色体への遺伝子搭載物を操作するために選択されたシステム、に応じて変わることになろう。
最後に、第3のステップ105は、例えば蛍光顕微鏡法、又は内在性染色体特異的なタグ及び合成染色体特異的なタグを分析及び追跡するための他の視覚的手段によって、合成染色体の生産をリアルタイムでモニタリングするステップである。内在性染色体特異的なタグは、合成染色体生産リポーター細胞株の「健康状態(health)」を保証するために内在性染色体集団を評価することを可能にし、合成染色体特異的なタグは、合成染色体の形成及び継続的存在を評価することを可能にする。加えて、合成染色体特異的なタグが合成染色体上の部位特異的な取り込み配列(受容部位)に特異的である場合、標識付きのタグからのシグナルは間接的に受容部位の数の尺度である。
図2は、本発明の組成物及び方法の代替実施形態を示す。図1と同じように、図2は新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するためのシステムを作出するための一実施形態の方法ステップを示す簡素化されたフローチャートである。方法200の第1のステップ201は、合成染色体を生産するための場となる合成染色体生産細胞株を選択するステップである。注意すべきなのは、先述の実施形態ではリポーター細胞株が2つの規定のリポータータグを発現するように構築され(「シス型内在性染色体」)、この代替実施形態では合成染色体生産細胞株はリポータータグを発現せず;その代わりに合成染色体がリポータータグを発現するように遺伝子操作される(すなわち、タグが合成染色体によってコードされる「シス型合成染色体」)、ということである。
第2のステップ203は、ステップ201で構築された合成染色体生産細胞株を、合成染色体の生産に適切な構成要素を用いてトランスフェクションするステップである。第1の実施形態に関して議論されたように、適切な構成要素は、使用される染色体生産の方法(すなわち、該方法が「トップダウン」、「ボトムアップ」、ミニクロモソームの遺伝子操作、又はデノボ染色体生成であるかどうか)、及び合成染色体への遺伝子搭載物を操作するために選択されたシステム、に応じて変わることになろう。しかしながら、第1の実施形態とは対照的にこの代替実施形態では、合成染色体は、2つのリポータータグであって:1つは合成染色体生産細胞株の内在性染色体に特異的な標識付きタグ、及び1つは生産されることになる合成染色体上の配列に特異的な異なる標識の付されたタグ、を発現するように遺伝子操作される。
最後に、方法200の第3のステップ205は、方法100の第3のステップ105と同じであって:蛍光顕微鏡法又は内在性染色体特異的なタグ及び合成染色体特異的なタグを追跡することによる他の視覚的手段で、合成染色体の生産をリアルタイムでモニタリングする。内在性染色体特異的なタグは、合成染色体生産細胞株の「健康状態」を保証するために内在性染色体集団を評価することを可能にし、合成染色体特異的なタグは、合成染色体の形成及び継続的存在を評価することを可能にする。
この代替法は、図1に例証された方法が合成染色体生産リポーター細胞株の構築を必要とし、図2の方法はリポートするという特徴が細胞株に備わるように遺伝子操作することを伴わず合成染色体生産のための細胞株を選択することのみを必要とする、という点で異なっている。いずれの方法においても、遺伝子操作されて合成染色体をリポート及び生産する細胞(図1の方法)、又は合成染色体を生産するためだけに使用される細胞(図2の方法)の選択は、少なくとも部分的には、合成染色体がどの生物種のために生産されているか、及び合成染色体が最終的に送達される細胞の種類、によって決まる。例えば、ヒトにおいて使用される合成染色体を生産するためには、合成染色体の生産のためにヒト細胞株を選ぶことが望ましい、というのも、完全にヒト化された合成染色体は、ヒト以外の哺乳動物細胞で生産された合成染色体がヒト患者に送達された時に有するおそれのある潜在的な免疫反応及び遺伝的安定性に関する問題のような問題を、回避する見込みがあるからである。
図3は、本発明の組成物及び方法のさらに別の代替実施形態を例証する。図1及び2と同じように、図3は新しい合成染色体の生産をリアルタイムで追跡するためのシステムを作出するための一実施形態の方法ステップの簡素化されたフローチャートである。方法300の第1のステップ301は、合成染色体を生産するための場となる合成染色体生産リポーター細胞株を構築するステップである。合成染色体生産リポーター細胞株の構築は本質的に、2つのタグのうち一方すなわち内在性染色体に特異的な標識付きタグを発現するために細胞株を安定的に形質転換することを要する。ステップ303では、合成染色体リポーター細胞株は、合成染色体生産の構成要素と、合成染色体に組み込まれる合成染色体タグとを用いてトランスフェクションされる。この実施形態では、リポーター細胞株は内在性染色体に特異的な標識付きタグを発現するように遺伝子操作され、かつ合成染色体は、合成染色体に特異的な異なる標識付きのタグを発現するように遺伝子操作される(すなわち、タグが異なる染色体すなわち内在性染色体及び合成染色体によって発現される「トランス型染色体」システム)。先述の実施形態では、2つの規定のリポータータグを発現するためにリポーター細胞株が構築されたか(「シス型内在性染色体」システム)、又は合成染色体が2つの規定のリポータータグを発現するように遺伝子操作されたか(「シス型合成染色体」システム)のいずれかであることに注意されたい。
最後に、方法300の第3のステップ305は、方法100の第3のステップ105及び方法200の205と同じであって:蛍光顕微鏡法、又は内在性染色体特異的なタグ及び合成染色体特異的なタグを追跡することによる他の視覚的手段で、合成染色体の生産をリアルタイムでモニタリングする。内在性染色体特異的なタグは、合成染色体生産細胞株の「健康状態」を保証するために内在性染色体集団を評価することを可能にし、合成染色体特異的なタグは、合成染色体の形成及び継続的存在を評価することを可能にする。
合成染色体生産リポーター細胞株が合成染色体に特異的な異なる標識付きのタグを発現するように安定的に形質転換され、かつ合成染色体は内在性染色体に特異的な標識付きタグを発現するように遺伝子操作される別の代替システムである、「逆トランス型染色体」システムを構築することも考えられることに注意されたい。本質的に、図1(「シス型内在性染色体」システム)、図2(「シス型合成染色体システム」)、図3(「トランス型染色体」システム)又は「逆トランス型染色体システム」のシステムを選択するかどうかは、単に、ベクターの設計、合成染色体を作出するための方法、遺伝子操作されている細胞株などに基づいた設計上の選択にすぎない。
合成染色体が生産されると、該合成染色体はいくつもの数の薬理学的、治療的及び生物学的適用、例えば、トランスジェニック動物における組換えタンパク質の生産、様々な種類の細胞又は動物モデルにおける多大なヒト遺伝子の調節及び発現の分析、並びにex vivo遺伝子療法のための染色体ベースの遺伝子送達ベクターの分析、細胞の分化及び脱分化の方向付け、人工多能性幹細胞の形成、新規な自己分泌及び傍分泌細胞情報伝達ネットワークの作出、多数のコードされた因子を化学量論的に生産する能力を有する多重発現系の作出、生物回路の生産、核構造を探査することが可能なDNAエレメントの挿入及び核構造内に発見された相互作用を用いてゲノムの発現を調節するための下流での使用、並びに、大きなDNAエレメント(>50Kb、>100Kb、>200Kb以上)の操作であって、例えば、限定するものではないが合成染色体上への染色体腕交換又は多数の大きなDNAエレメントの合成染色体上への組み込み、に使用される可能性がある。
図4は、内在性ゲノムから合成染色体への「染色体腕」の交換をモニタリングするために本発明の方法をどのように使用することが考えられるかを示す方法ステップの簡素化されたフローチャートである。ステップ401では、内在性染色体タグ及び合成染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株が構築される。ステップ403では、合成染色体生産リポーター細胞株の内在性染色体の腕が、組換え部位を用いて遺伝子操作されるために選択される。ステップ405では、合成染色体生産リポーター細胞株は合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションされ、かつステップ407では、内在性染色体を色付けする標識が合成染色体と会合しているとして検出されるかどうかを確認することにより、内在性染色体の腕の、合成染色体の一部分との交換がモニタリングされる。
≪合成染色体を生産する細胞≫
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されること、及び合成染色体を生産すること、のうち少なくともいずれか一方のための細胞は、合成染色体由来の遺伝子又は調節配列が最終的に発現せしめられる場となる対象者(ヒト患者、動物又は植物)に天然に存在する細胞であってよい。そのような細胞は、ある個体に特異的な合成染色体の生産を目的として樹立された初代培養細胞株であってもよい。他の実施形態では、遺伝子操作されること、及び合成染色体を生産すること、のうち少なくともいずれか一方のための細胞は、樹立細胞株に由来する。組織培養用の種々様々の細胞株が当分野において知られている。細胞株の例には、限定するものではないが、ヒト細胞株、例えば293-T(胎生腎)、721(黒色腫)、A2780(卵巣)、A172(膠芽腫)、A253(癌腫)、A431(上皮)、A549(癌腫)、BCP-1(リンパ腫)、BEAS-2B(肺)、BR293(乳房)、BxPC3(膵臓の癌腫(cancinoma))、Cal-27(舌)、COR-L23(肺)、COV-434(卵巣)、CMLT1(白血病)、DUI45(前立腺)、DuCaP(前立腺)、FM3(リンパ節)、H1299(肺)、H69(肺)、HCA2(繊維芽細胞)、HEK0293(胎生腎)、HeLa(頚部)、HL-60(骨髄芽球)、HMEC(上皮)、HT-29(結腸)、HUVEC(臍静脈上皮)、Jurkat(T細胞白血病)、JY(リンパ芽球様)、K562(リンパ芽球様)、KBM-7(リンパ芽球様)、Ku812(リンパ芽球様)、KCL22(リンパ芽球様)、KGI(リンパ芽球様)、KYO1(リンパ芽球様)、LNCap(前立腺)、Ma-Mel(黒色腫)、MCF-7(乳腺)、MDF-10A(乳腺)、MDA-MB-231、-468及び-435(乳房)、MG63(骨肉腫)、MOR/0.2R(肺)、MONO-MAC6(白血球)、MRC5(肺)、MSU1.1(繊維芽細胞)、NCI-H69(肺)、NALM-1(末梢血)、NW-145(黒色腫)、OPCN/OPCT(前立腺)、Peer(白血病)、Raji(Bリンパ腫)、Saos-2(骨肉腫)、Sf21(卵巣)、Sf9(卵巣)、SiHa(子宮頸がん)、SKBR3(乳癌)、SKOV-2(卵巣癌腫)、T-47D(乳腺)、T84(肺)、U373(膠芽腫)、U87(膠芽腫)、U937(リンパ腫)、VCaP(前立腺)、WM39(皮膚)、WT-49(リンパ芽球様)、並びにYAR(B細胞)が挙げられる。対象となるげっ歯動物細胞株には、限定するものではないが、3T3(マウス繊維芽細胞)、4T1(マウス乳房)、9L(ラット膠芽腫)、A20(マウスリンパ腫)、ALC(マウス骨髄)、B16(マウス黒色腫)、B35(ラット神経芽細胞腫)、bEnd.3(マウス脳)、C2C12(マウス筋芽細胞)、C6(ラット神経膠腫)、CGR8(マウス胚)、CT26(マウス癌腫)、E14Tg2a(マウス胚)、EL4マウス白血病)、EMT6/AR1(マウス乳房)、Hepa1c1c7(マウス肝臓がん)、J558L(マウス骨髄腫)、MC-38(マウス腺癌)、MTD-1A(マウス上皮)、RBL(ラット白血病)、RenCa(マウス癌腫)、X63(マウスリンパ腫)、YAC-1(マウスBe細胞)、BHK-1(ハムスター腎臓)、及びCHO(ハムスター卵巣)が挙げられる。有用な植物細胞株として挙げられるのは、限定するものではないが、BY-2、Xan-1、GV7、GF11、GT16、TBY-AtRER1B、3n-3、及びG89(タバコ);VR、VW、及びYU-1(ブドウ);PAR、PAP、及びPAW(アメリカヤマゴボウ);Spi-WT、Spi-1-1、及びSpi12F(ホウレンソウ);PSB、PSW及びPSG(ゴマ);A.per、A.pas、A.plo(アスパラガス);Pn及びPb(タケ);並びにDG330(ダイズ);胚細胞株;多能性細胞株;成体由来の幹細胞;再プログラム化された細胞株;任意の生物種の一般的な動物細胞株又は広くは胚性若しくは再プログラム化された細胞;ゼブラフィッシュ細胞株;初代イヌ細胞;初代ウマ細胞;ニワトリDT40細胞;イヌ細胞株;ネコ細胞株;患者の細胞株;並びに、いくつかの好ましい実施形態では、HT1080ヒト細胞株が利用される。潜在的な有用細胞には任意の生細胞が含まれるが、ただし真核生物由来のものが特に企図される。これらの細胞株及びその他のものは、当業者に既知の様々な供給源より入手可能である(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(米国バージニア州マナッサス)を参照されたい)。本明細書中に記載された1以上のベクターでトランスフェクションされた細胞は、1以上のベクター由来の配列を含んでなる新たな細胞株を樹立するために使用される。
≪標識付きタグを送達するためのベクター≫
内在性染色体に特異的な標識付きタグ及び合成染色体に特異的な標識付きタグの送達に使用されることになるベクターの選択は、伝播が望まれる場である細胞の種類のような、様々な要因に依存することになろう。ある種のベクターは所望のDNA塩基配列を増幅して大量に作製するのに有用である一方、他のベクターは培養中の細胞における発現に適している。さらに他のベクターは、動物の全身の細胞における導入及び発現に適している。適切なベクターの選択は十分に当業者の技術の範囲内にあり、数多くのベクターが市販されている。構築物を調製するために、ポリヌクレオチドがベクターに、典型的には該ベクターの開裂された制限酵素切断部位への配列のライゲーションによって、挿入される。別例として、所望のヌクレオチド配列は、相同組換え又は部位特異的組換えによって挿入されることも可能である。典型的には相同組換えは、相同な領域を、所望のヌクレオチド配列の両側隣接部においてベクターに取り付けることにより行なわれる(例えばcre-lox、att部位など)。そのような配列を含有する核酸は、例えばオリゴヌクレオチドのライゲーションによって、又は相同領域と所望のヌクレオチド配列の一部分との両方を含んでなるプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって、付加されることが可能である。使用されうる例示のベクターには、限定するものではないが、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNAに由来するものが挙げられる。例えば、pBR322、pUC19/18、pUC118、119及びM13mpシリーズのベクターのようなプラスミドベクターが使用されてもよい。バクテリオファージベクターには、λgt10、λgt11、λgt18-23、λZAP/R及びEMBLシリーズのバクテリオファージベクターが含まれうる。利用されうるコスミドベクターには、限定するものではないが、pJB8、pCV103、pCV107、pCV108、pTM、pMCS、pNNL、pHSG274、COS202、COS203、pWE15、pWE16及びシャロミド9シリーズのベクターが挙げられる。さらなるベクターには、機能的な稔性プラスミド(Fプラスミド)に基づいた細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、及び、P1バクテリオファージのDNAに由来するDNA構築物であるP1由来人工染色体(PACS)が挙げられる。別例として、かつ好ましくは、例えば、限定するものではないがヘルペスウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス又はウシ乳頭腫ウイルスのようなウイルスに由来するものを含む組換えウイルスベクターが遺伝子操作されうる。
好ましい実施形態では、内在性染色体及び合成染色体に印を付けるか又は「色付けする(paint)」ために使用されるタグに会合せしめられる、本発明で利用される標識は、発現された蛍光タンパク質であり;よって、発現カセットが使用されうる。発現ベクターは転写及び翻訳の調節配列を提供し、かつ、コード領域が転写開始領域並びに転写及び翻訳の終結領域の転写制御の下で作動可能なように連結されている場合に、誘導型又は構成的発現を提供しうる。これらの制御領域はポリペプチドをコードする遺伝子に固有のものであってもよいし、生物種特異的な内在性プロモーターを含む、外来供給源に由来するものであってもよい。一般に、転写及び翻訳の調節配列には、限定するものではないが、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、並びにエンハンサー又は活性化因子の配列が挙げられる。構成的及び誘導型プロモーターに加えて、強力なプロモーター(例えばT7、CMVなど)は、特に高い発現レベルがin vivo(細胞系)又はin vitroの発現系において望まれる場合に、本明細書中に記載された構築物において用いられる。その他の例示のプロモーターには、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、アデノウイルスプロモーター、ヒトCMVの前初期遺伝子由来のプロモーター、及びRSVの長い末端反復配列(LTR)由来のプロモーターが挙げられる。別例として、プロモーターは、例えばレトロウイルスの5’UTRによって提供されることも可能である。
発現ベクターは一般に、対象とするタンパク質をコードする核酸配列の挿入に備えるために、プロモーター配列の近くに位置する便利な制限部位を有する。発現宿主において作動する選択マーカーが、ベクターを含有する細胞の選択を容易にするために存在してもよい。加えて、発現構築物は追加のエレメントを備えうる。例えば、発現ベクターは1つ又は2つの複製システムを有し;よって生物体の中で、例えば発現用の哺乳動物細胞並びにクローニング及び増幅用の原核生物宿主の中で、該ベクターが維持されることを可能としていてもよい。加えて、発現構築物は、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために選択マーカー遺伝子を含有してもよい。選択遺伝子は当分野において良く知られており、使用される宿主細胞とともに変わることになろう。
≪合成染色体の生産≫
本発明の合成染色体生産方法のリアルタイムモニタリングは、現在使用されている全ての合成染色体生産方法に適用可能である。上記に簡潔に論じられたように、本発明のリアルタイムモニタリング方法は、当分野で使用される「トップダウン」、「ボトムアップ」、ミニクロモソームの遺伝子操作、及び人為的デノボ染色体生成の方法の全てに適用可能である。合成染色体形成の「ボトムアップ」方式は、典型的な宿主細胞に適した動原体及び選択マーカー遺伝子をテロメア及びゲノムDNAの有無にかかわらず含んでなるクローニングされたα-サテライト配列を用いての、許容細胞株のトランスフェクションの後の、細胞を仲介したデノボ染色体形成に依存する。(これらの方法のプロトコール及び詳細な説明については、例えば、ハリントン(Harrington)ら、ネイチャー・ジェネティクス(Nat.Genet.)、1997年、第15巻、p.345-55;イケノ(Ikeno)ら、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat.Biotechnol.)、1998年、第16巻、p.431-39;マスモト(Masumoto)ら、クロモソーマ(Chromosoma)、1998年、第107巻、p.406-16、エバーソール(Ebersole)ら、ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス(Hum. Mol.Gene.)、2000年、第9巻、p.1623-31;ヘニング(Henning)ら、米国科学アカデミー紀要(PNAS USA)、1999年、第96巻、p.592-97;グライムス(Grimes)ら、エンボ・リポーツ(EMBO Rep.)、2001年、第2巻、p.910-14;メヒア(Mejia)ら、ゲノミクス(Genomics)、2002年、第79巻、p.297-304;及びグライムス(Grimes)ら、モレキュラー・セラピー(Mol.Ther.)、2002年、第5巻、p.798-805を参照されたい。)酵母人工染色体、細菌人工染色体又はP1由来人工染色体ベクターの中にクローニングされた合成及び天然由来いずれのα-サテライト反復構造(arrays)も、当分野においてデノボ合成の染色体形成に使用されてきた。ボトムアップ式アセンブリの該生成物は、直線状であっても環状であってもよく、単純化及びコンカテマー化のうち少なくともいずれか一方が為されたインプットDNAをα-サテライトDNAに基づく動原体とともに含んでなり、かつ典型的には1~10Mbの範囲の大きさであることが可能である。ボトムアップ式で得られた合成染色体はさらに、合成染色体上への標的DNA配列の部位特異的な取り込みを可能にする核酸配列を組み込むように遺伝子操作される。
合成染色体を生産する「トップダウン」方式は、既存の染色体腕の無作為な短縮及び目標を定めた短縮のうち少なくともいずれか一方を連続して次々に行って、動原体、テロメア、及びDNA複製起点を含んでなる削減型合成染色体を生じることを伴う。(これらの方法のプロトコール及び詳細な説明については、例えば、ヘラー(Heller)ら、米国科学アカデミー紀要、1996年、第93巻、p.7125-30;サフェリー(Saffery)ら、米国科学アカデミー紀要、2001年、第98巻、p.5705-10;チュウ(Choo)、トレンズ・イン・モレキュラー・メディシン(Trends Mol.Med.)、2001年、第7巻、p.235-37;バーネット(Barnett)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nuc.Ac.Res.)、1993年、第21巻、p.27-36;ファー(Farr)ら、米国科学アカデミー紀要、1991年、第88巻、p.7006-10;及びカトー(Katoh)ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、2004年、第321巻、p.280-90を参照されたい。)「トップダウン」式の合成染色体は、天然に存在する発現遺伝子を欠くように最適に構築され、かつ標的DNA配列の、短縮型染色体上への例えば部位特異的DNAインテグラーゼを介した部位特異的な取り込みを可能にするDNA配列を含有するように、遺伝子操作される。
当分野で既知の合成染色体を生産する第3の方法は、天然に存在するミニクロモソームを遺伝子操作することである。この生産方法は、典型的には、動原体機能を有している機能的な例えばヒトの新生動原体を含有するがα-サテライトDNA配列を欠いており、かつ非必須のDNAを欠くように遺伝子操作された染色体の、放射線照射誘発性の断片化を伴う。(これらの方法のプロトコール及び詳細な説明については、例えば、オーリシュ(Auriche)ら、エンボ・リポーツ、2001年、第2巻、p.102-07;モラッリ(Moralli)ら、サイトジェネティクス・アンド・セル・ジェネティクス(Cytogenet.Cell Genet.)、2001年、第94巻、p.113-20;及びカリン(Carine)ら、ソマティック・セル・アンド・モレキュラー・ジェネティクス(Somat.Cell Mol.Genet.)、1989年、第15巻、p.445-460を参照されたい。)合成染色体を生成するための他の方法と同様に、遺伝子操作されたミニクロモソームは、標的DNA配列の部位特異的な取り込みを可能にするDNA配列を含有するように遺伝子操作されることが可能である。
合成染色体の生産のための第4の手法は、特異的な染色体セグメントの標的設定型の増幅による人為的デノボ染色体生成を伴う。この手法は、端部着糸型染色体上に位置した動原体周囲/リボソームDNA領域の大規模増幅を伴う。増幅は、リボソームRNAのような染色体の挟動原体領域に特異的な、過剰なDNAを、標的DNA配列の部位特異的な取り込みを可能にするDNA配列及びさらには染色体の挟動原体領域の中に取り込まれる薬物選択マーカーとともに、同時トランスフェクションすることが引き金となって起きる。(これらの方法のプロトコール及び詳細な説明については、例えば、クソンカ(Csonka)ら、ジャーナル・オブ・セル・サイエンス(J.Cell Sci)、2002年、第113巻、p.3207-16;ハドラクツキー(Hadlaczky)ら、カレント・オピニオン・イン・モレキュラー・セラピューティクス(Curr.Opini.Mol.Ther.)、2001年、第3巻、p.125-32;並びに、リンデンバウム(Lindenbaum)及びパーキンズ(Perkins)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nuc.Ac.Res.)、2004年、第32巻、第21号、e172を参照されたい。)このプロセスの際に、同時トランスフェクションされたDNAを用いた端部着糸型染色体の挟動原体領域への標的設定により、大規模な染色体DNA増幅、動原体配列の複製/活性化、並びにその後の二動原体染色体の切断及び解離が引き起こされて、複数の部位特異的取り込み部位を含有する「離脱(break-off)」サテライトDNAに基づく合成染色体が生じる。このプロセスの1つの例示の実施形態は図5に示されている。
図5は、染色体生産のリアルタイムモニタリングのための方法の一実施形態の図式表示である。例示の構成要素は列記されており、かつ以下の注記のとおり、すなわち:ヒストンH2B赤色蛍光タンパク質タグ、これはヒトの遺伝子操作細胞株の内在性染色体に特異的である;LacI緑色蛍光タンパク質タグ、これは合成染色体に特異的である;pHurDNAベクター及びpHUPattPPurolacOベクター、これは合成染色体を作出するための構成要素を送達する;合成染色体上のlacO配列に結合したLacI緑色蛍光タンパク質;並びに染色体に結合したヒストンH2B赤色蛍光タンパク質、である。該プロセスにおいて、ヒト遺伝子操作細胞株は、合成染色体を作出するための構成要素を送達する2つのベクターを用いてトランスフェクションされ、かつこれらのベクターはヒトの遺伝子操作細胞株の内在性染色体の中に取り込まれる。lacOアレイの大規模増幅が引き起こされ、内在性染色体と合成染色体の構成要素とから二動原体染色体が形成される。加えて、LacI緑色蛍光タンパク質タグは合成染色体上のlacOアレイに局在する。二動原体染色体の有糸分裂による切断の後、新しく形成された合成染色体はヒトの遺伝子操作細胞株の中に維持される。ヒストン赤色蛍光タンパク質タグ及びLacI緑色蛍光タグの同時局在化により、二色フローサイトメトリーによる合成染色体の精製が可能となる。
図6は、内在性染色体特異的タグのベクター、合成染色体特異的タグのベクター並びに内在性及び合成染色体に特異的な複合型ベクターの簡略化された構築物を示す。例示の構成要素は列記され、以下の注記のとおり、すなわち:内在性染色体特異的タグ;内在性染色体に結合する構成部分(例えばヒストンに結合する構成部分);第1のリポーター構成部分(例えば第1の蛍光タンパク質);合成染色体特異的タグ;合成染色体に結合する構成部分(例えばlacリプレッサー);第2のリポーター構成部分(例えば第2の蛍光タンパク質);及び選択マーカー(例えば、ハイグロマイシン耐性に関するような薬物耐性遺伝子)、である。
≪合成染色体生産細胞への構成要素の送達≫
本発明のリポータータグ及び合成染色体生産に適切な構成要素のうち少なくともいずれか一方を担持するベクターは、遺伝子操作がなされるか、合成染色体を生産するかのうち少なくともいずれか一方のための細胞に、当分野で既知の任意の方法によって送達されることが可能である。トランスフェクション及び形質転換という用語は、外来性の核酸、例えば発現ベクターが、何らかのコード配列が実際に発現されるかどうかにかかわらず宿主細胞によって採り込まれることを指す。多数のトランスフェクションの方法、例えば、アグロバクテリウム介在性の形質転換、プロトプラスト形質転換(ポリエチレングリコール(PEG)介在性の形質転換、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、及びマイクロセル融合を含む)、脂質介在性の送達、リポソーム、エレクトロポレーション、ソノポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃及び炭化ケイ素ウィスカー介在性の形質転換並びにこれらの組み合わせ(例えば、パスコフスキー(Paszkowski)ら、エンボ・ジャーナル(EMBO J.)、1984年、第3巻、p.2717-2722;ポトライカス(Potrykus)ら、モレキュラー・ジェネティクス・アンド・ゲノミクス(Mol.Gen.Genet.)、1985年、第199巻、p.169-177;ライヒ(Reich)ら、バイオテクノロジー(Biotechnology)、1986年、第4巻、p.1001-1004;クライン(Klein)ら、ネイチャー(Nature)、1987年、第327巻、p.70-73;米国特許第6,143,949号明細書;パスコフスキー(Paszkowski)ら、「セル・カルチャー・アンド・ソマティック・セル・ジェネティクス・オブ・プランツ(Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants)」第6巻の書中の、「モレキュラー・バイオロジー・オブ・プラント・ヌクレアー・ジーンズ(Molecular Biology of Plant Nuclear Genes)」(シェル(Schell)及びバシル(Vasil)編、アカデミック・パブリッシャーズ(Academic Publishers)、1989年);並びにフレーム(Frame)ら、ザ・プラント・ジャーナル(Plant J.)、1994年、第6巻、941-948を参照されたい);リン酸カルシウムを用いる直接的採り込み(ウィグラー(Wigler)ら、米国科学アカデミー紀要、1979年、第76巻、p.1373-1376);ポリエチレングリコール(PEG)介在性のDNAの採り込み;リポフェクション(例えば、シュトラウス(Strauss)、メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Meth.Mol.Biol.)、1996年、第54巻、p.307-327を参照);マイクロセル融合(ランバート(Lambert)、米国科学アカデミー紀要、1991年、第88巻、p.5907-5911;米国特許第5,396,767号明細書;ソーフォード(Sawford)ら、ソマティック・セル・アンド・モレキュラー・ジェネティクス(Somatic Cell Mol.Genet.)、1987年、第13巻、p.279-284;ダール(Dhar)ら、ソマティック・セル・アンド・モレキュラー・ジェネティクス、1984年、第10巻、p.547-559;及びマクニール-キラリー(McNeill-Killary)ら、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Meth.Enzymol.)、1995年、第254巻、p.133-152を参照);脂質介在性の搬送システム(例えば、タイフェル(Teifel)ら、バイオテクニクス(Biotechniques)、1995年、第19巻、p.79-80;アルブレヒト(Albrecht)ら、アナルズ・オブ・ヘマトロジー(Ann.Hematol.)、1996年、第72巻、p.73-79;ホルメン(Holmen)ら、イン・ヴィトロ・セルラー・アンド・ディベロプメンタル・バイオロジー,アニマル(In Vitro Cell Dev.Biol.Anim.)、1995年、第31巻、p.347-351;レーミ(Remy)ら、バイオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconjug.Chem.)、1994年、第5巻、p.647-654;ルブロック(Le Bolch)ら、テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、1995年、第36巻、p.6681-6684;及びレフラー(Loeffler)ら、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Meth.Enzymol.)、1993年、第217巻、p.599-618を参照);又は他の適切な方法によるものが、当業者に知られている。合成染色体の送達のための方法はさらに、米国特許出願シリアル番号第09/815,979号にも記載されている。トランスフェクションの成功は一般に、トランスフェクションされた細胞内の異種核酸の存在の検出、例えば異種核酸の何らかの視覚化、選択マーカーの発現又は宿主細胞内でのベクターの作動についての何らかの兆候など、によって認識される。本発明を実行するのに有用な送達方法の説明については、米国特許第5,011,776号明細書;米国特許第5,747,308号明細書;米国特許第4,966,843号明細書;米国特許第5,627,059号明細書;米国特許第5,681,713号明細書;キム(Kim)及びエバーワイン(Eberwine)、アナリティカル・アンド・バイオアナリティカル・ケミストリー(Anal.Bioanal.Chem.)、2010年、第397巻、第8号、p.3173-3178を参照されたい。
≪標識付きタグ≫
上記に、図1~4の議論において論じられるように、本発明は、2つのタグすなわち:1つは合成染色体生産細胞株の内在性染色体に特異的な標識付きタグ、及び1つは生産される予定の合成染色体上の配列に特異的な異なる標識の付された(differently-labled)タグ、に関する。しかしながら、さらに他の実施形態では、合成染色体の複数の領域を識別するためにさらなるタグが企図されることも考えられる。合成染色体生産リポーター細胞株の内在性染色体に特異的な標識付きタグは、好ましくは、細胞株のすべての内在性染色体に特異的なタグ、例えば、ヒストンH1、H2A、H2B、H3、H4、及びH5に特異的なマーカーのようなヒストン特異的マーカーである。別例として、いずれも単一の標識(例えば蛍光タンパク質)に連結された、種々の染色体に特異的なタグの集団が使用される場合がありうることも企図される。好ましい実施形態では、内在性染色体に特異的な標識付きタグは融合ペプチドであるが;ただし、内在性染色体に特異的な標識付きタグがさらに、内在性染色体に特異的な核酸配列であるタグ部分と、蛍光性若しくはリン光性のタンパク質のようなタンパク質である標識部分とを備えた核酸/タンパク質キメラであることも考えられるし、又は、タグ部分が内在性染色体に特異的なTALENタンパク質であって、蛍光性、リン光性、若しくは発光性タンパク質のようなタンパク質である標識部分を備えたものであることも考えられる。加えて、タグ部分はさらに、蛍光タンパク質と融合せしめられ、かつ合成染色体の特異的結合及び視覚化をもたらすRNA構成部分を同時発現する、修飾型CRISPR部分(ヌクレアーゼ不全)であることも考えられる(例えば、チェン(Chen)ら、セル(Cell)、2013年、第155巻、p.1479-1491;並びにチェン(Chen)及びホアン(Huang)、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymololgy)、2014年、第546巻、p.337-354を参照されたい)。図8~10は、合成染色体のモニタリング、単離、及び精製のうち少なくともいずれかを行うためにCRISPR/Cas蛍光視覚化システムを使用することについての図式表示である。図8では、単一リポーターシステムであって、CRISPR構成部分が蛍光タンパク質と融合せしめられ、かつ同時発現されたRNA構成部分が合成染色体の特異的結合及び視覚化をもたらすシステムが使用される。図9は2つの異なる細胞株を示す。一方の細胞株は合成染色体に結合した1つのCRISPR/Cas/蛍光構成部分を含有し、他方の細胞株は、2つの合成染色体に結合した2つのCRISPR/Cas/蛍光構成部分であって、1つが蛍光タンパク質1を備えたもの、もう1つが蛍光タンパク質2を備えたもの、を示す。図10は、内在性すなわち合成染色体を生産する細胞に生来存在する染色体と合成染色体との間での部位特異的な腕交換を検出するための、2つの異なるCRISPR/Cas/蛍光構成部分の使用を示す。2つの異なるCRISPR/Cas/蛍光構成部分はさらに、合成染色体が単離されることも可能にする。
さらに、好ましい実施形態では、全ての内在性染色体に特異的であり全ての内在性染色体に印を付けることになる標識付きタグが選ばれるが;しかしながら、言及されるように、2以上の標識付きタグ、例えば単一若しくは少数の染色体に特異的な複数の標識付きタグ又は単一の染色体にそれぞれ特異的である複数のタグなど、が使用されることも考えられることは、当業者には明らかなはずである。
好ましい実施形態では、合成染色体に特異的なタグは、合成染色体上の固有の核酸配列、例えば任意の4ヌクレオチド一覧(固有である可能性が高く、かつ既知配列のデータベースについてスクリーニングすることが可能であるもの)に相補的な核酸配列と蛍光タンパク質とを核酸/タンパク質キメラとして含んでなる。好ましい実施形態では、合成染色体特異的タグは合成染色体上の部位特異的取り込み配列(受容部位)に特異的であり;よって、標識付きタグからのシグナルは間接的に受容部位の数の尺度として働き、かつ生産された合成染色体は該染色体の受容部位の数によって分類されることが可能である。
本発明で使用するように企図される標識には、合成染色体生産細胞株の内在性染色体に特異的なタグ、及び合成染色体上の配列に特異的なタグと併せて利用されることが可能な、任意の視認可能な標識が挙げられる。好ましい実施形態では、標識は、合成染色体生産細胞によって転写及び翻訳されて、タグを組み込んだ融合タンパク質又は核酸/タンパク質キメラとなる、蛍光標識である。本発明に特に有用な蛍光タンパク質には、限定するものではないが、TagBFP、TagCFP、TagGFP2、TagYFP、TagRFP、FusionRed、mKate2、TurboGFP、TurboYFP、TurboRFP、TurboFP602、TurboFP635、又はTurboFP650(いずれもロシア連邦モスクワのエブロジェン(Evrogen)より入手可能);AmCyan1、AcvGFP1、ZsGreen1、ZsYellow1、mBanana、mOrange、mOrange2、DsRed-Express2、DsRed-Express、tdTomato、DsRed-Monomer、DsRed2、AsRed2、mStrawberry、mCherry、HcRed1、mRaspberry、E2-Crimson、mPlum、Dendra2、Timer、及びPAmCherry(いずれも米国カリフォルニア州パロアルトのクロンテック(Clontech)より入手可能);HALO-tag(登録商標);赤外線(近赤外シフト型)タグ(米国ウィスコンシン州マディソンのプロメガ(Promega)より入手可能);並びに当分野で既知の他の蛍光性タグ、加えて後に発見される蛍光性タグが挙げられる。
〈視覚化及びモニタリング〉
本発明のリポータータグが蛍光標識で標識付けされる場合、合成染色体生産細胞内における標識の位置確認は蛍光顕微鏡で行われうる。一般に、細胞は使用されている特定の蛍光標識の励起波長の光源で励起され、結果として生じる発光波長の蛍光が検出される。好ましい実施形態では、励起光源は蛍光標識の励起のために適したレーザーである。標識を検出するために使用される共焦点顕微鏡は、細胞培養ディッシュ全体を自動的に走査するために、コンピュータ制御式の載物台を備えて自動化されてもよい。同様に、顕微鏡は、培養物中の各細胞又は細胞コロニーによって生成された蛍光シグナルを自動的に記録するために、自動データ収集システムに取り付けられた光変換器(例えば光電子増倍管、ソリッドステートアレイ、CCDカメラなど)を装備していてもよい。別例として、レーザーでの励起(excitiation)に続いてフローストリーム中のそれぞれの「細胞」のイメージを捕捉するイメージングフローサイトメータ、例えばFlowsight(登録商標)(米国ワシントン州シアトルのアムニス(Amnis))を使用し;よって合成染色体の生産についての各細胞コロニーの評価を自動化することもできる。
リンデンバウム(Lindenbaum)及びパーキンズ(Perkins)ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acid Research)、2004年、第32巻、第21号、:e172は、先行技術を使用した哺乳動物サテライトDNAを用いる人工染色体発現(ACE)システムの生産について述べている。この先行技術のシステムでは、従来の単色及び二色FISH分析並びに高解像度FISH法が、PCRで生成されたプローブを使用するか又はニックトランスレーションされたプローブを使用して行なわれた。テロメア配列の検出については、有糸分裂期のスプレッドが市販のペプチド核酸プローブを用いてハイブリダイゼーションされた。顕微鏡検査は蛍光顕微鏡を使用して実施された。そのプロセスにはおよそ3か月を要した。本発明は、FISH分析の繰り返しを低減するか又は完全に排除することを可能とし、本願の新しい方法によって染色体を仕分けするために使用されたであろう潜在的に突然変異原性の染料の必要を無くし、かつ合成染色体の発生をリアルタイムで観察することを可能にする。加えて、本発明の方法は、対象とするDNAエレメントが合成染色体の中に挿入された場合の該合成染色体の下流の遺伝子操作をより容易にすることを可能にする。図7は、本明細書中に記載されるような合成染色体を生産する方法についてのタイムラインを示す。
以下の実施例は、本発明を作製及び使用する方法についての完全な開示及び説明を当業者に提供するために示されており、かつ本発明者らが自身の発明と見なすものの範囲を限定するようには意図されず、また下記の実験が実施された全て又は唯一の実験であると表明又は示唆するようにも意図されていない。具体的な実施形態において示されるような発明に対し、広く記載されるような本発明の思想又は範囲から逸脱することなく多数の変更及び改変のうち少なくともいずれかがなされうることは、当業者には十分理解されよう。したがって、当面の実施形態は全ての点で例証として、かつ限定的ではないものとして、みなされるべきである。
使用される数字(例えば、量、温度など)に関しての正確さを保証する努力はなされているが、何らかの実験上の誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途指定のないかぎり、部は重量比での部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は気圧又はほぼ気圧である。
実施例1:タグを送達するためのベクターの構築
合成プラットフォーム染色体のリアルタイムモニタリングについては、細胞株HT1080が、内在性染色体特異的なタグのベクター(全ての生来存在する内在性染色体を識別するタグ)を、合成染色体特異的なタグのベクター(内在性染色体とは別に合成染色体を識別するタグ)と一緒に担持するように遺伝子操作された(図6を参照されたい、また例えばロビネット(Robinett)ら、ザ・ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J Cell Biol.)、1996年、第135巻、第6号、Pt2:1685-700を参照されたい)。内在性染色体特異的なタグは、染色体特異的な結合構成部分、例えばヒストンタンパク質のようなDNA結合性タンパク質(例えば、キムラ(Kimura)ら、ザ・ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J Cell Biol.)、2000年、第153巻、第7号:1341-53を参照)、染色質構造に含まれるタンパク質、又はゲノム編集タンパク質、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)(例えば、ターニッシュ(Thanisch)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、2014年、第42巻、第6号:e38;及びミヤナリ(Miyanari)ら、ネイチャー・ストラクチュラル・アンド・モレキュラー・バイオロジー(Nat Struct Mol Biol.)、2013年、第20巻、第11号:1321-24を参照)、CRISPER/Casシステムのタンパク質(例えば、アントン(Anton)ら、ヌクレウス(Nucleus)、2014年、第5巻、第2号:163-72を参照)、若しくは人工メガヌクレアーゼを含んでなるものであった。内在性染色体特異的なタグについては、染色体特異的な結合構成部分は、標準的な顕微鏡検査又はフローサイトメトリーの方法論によって検出されるリポーター構成部分と共に融合及び発現せしめられた。リポーター構成部分は、好ましい実施形態では、蛍光性の分子(例えば緑色蛍光タンパク質)のような分子又は化学的リガンドに結合したタンパク質融合タグ(例えばHaloTag)を含んでなる。
合成染色体特異的なタグのベクターは、例えば、合成染色体上に人為作製されたLacオペロン配列に結合する細菌Lacリプレッサータンパク質、又は合成染色体に特異的なDNA配列に結合するように遺伝子操作されたゲノム編集タンパク質(例えばTALENS、RNA/CRISPR-CAS)のような、DNA配列特異的な結合構成部分を含んでなるものであった。合成染色体特異的なタグは、標準的な顕微鏡検査又はフローサイトメトリーの方法論によって検出可能なリポーター構成部分と共に融合及び発現せしめられた。合成染色体特異的なタグに融合せしめられるリポーター構成部分は、好ましい実施形態では、蛍光性の分子(例えば赤色蛍光タンパク質)のような分子又は化学的リガンドに結合したタンパク質融合タグ(例えばHaloTag(登録商標))を含んでなる。
内在性染色体特異的なタグおよび合成染色体特異的なタグは、プロモーター(例えばヒトのグルコース-6-リン酸イソメラーゼプロモーター)から発現され、かつ2つの固有のベクターから発現されるが、内在性染色体特異的なタグ及び合成染色体特異的なタグは、単一のベクター上で適切な薬物選択(例えばハイグロマイシン耐性を付与する発現遺伝子)と組み合わされることも考えられる(再度、図5を参照されたい)。別例として、内在性染色体特異的なタグ及び合成染色体特異的なタグは、誘導型プロモーター(例えばテトラサイクリンで調節可能なプロモーター)から発現されることが可能である。その後の遺伝子操作細胞株からのタグ及びタグベクター配列のうち少なくともいずれか一方の除去については、部位特異的組換え配列(例えばloxP配列)が、内在性染色体特異的なタグのベクター及び合成染色体特異的なタグのベクター上で両側に隣接して配置され、これらの配列は、適切な部位特異的レコンビナーゼ(例えばCreタンパク質)を導入してその結果生じる組換え体を標準的な顕微鏡検査又はフローサイトメトリーの方法論によって同定することにより、選択的に除去された。
実施例2:宿主細胞株ゲノムへのタグベクターの送達
宿主細胞株ゲノムへのタグベクターのトランスフェクションについては、線状化されたタグベクターDNAが、標準的な哺乳動物細胞トランスフェクション試薬、例えば限定するものではないがlipofectamine(登録商標)LTX(サーモフィッシャー(ThermoFisher))又はViafect(商標)(プロメガ(Promega))を使用してHT1080宿主細胞ゲノムに導入され、培養液中でおよそ2~5日間増殖せしめられた。宿主細胞ゲノム内に取り込まれると、取り込まれた内在性染色体特異的タグ及び合成染色体特異的タグからの発現により、両タグを生産する宿主細胞のFACs選択が可能となった。
トランスフェクションの前日、HT1080宿主細胞株の細胞は、24ウェル組織培養ディッシュの各ウェルにおよそ2~8×10個の付着細胞の密度になるように分配され、またpMC1のようなタグエレメントベクターは、精製され(例えば、米国カリフォルニア州バレンシアのキアゲン(Qiagen)のキアゲンEndoFree(登録商標)プラスミドマキシキットを使用)、線状化され、そしてベクターの濃度がトランスフェクションのために決定された。培養されたHT1080細胞はトランスフェクションの3~5時間前にフィードされた(were fed)。pMC1ベクターは、EF1/HTLVプロモーター、緑色蛍光タンパク質マーカー配列、lacIF;SV40ポリA、IFN-ベータ足場/マトリックス付着領域、R6K複製起点、ベータ・グロー(beta glow)マトリックス付着領域、ヒストンH2B配列、mCherry選択マーカー、IRES配列、ハイグロマイシン耐性遺伝子、bGHポリA及び3’UTR配列を含んでなる。24ウェルの準コンフルエントな組織培養ディッシュの1ウェル当たり250~500ngのベクターDNAが、例えばLipofectamine(登録商標)-LTXを介したトランスフェクション(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)、米国ニューヨーク州グランドアイランド)を使用して、HT1080細胞をトランスフェクションするために使用された。細胞はトランスフェクションの後1~5日間維持され、その時点で細胞はトリプシン処理され、10cmのディッシュに移された。10cmディッシュへのプレーティングの時点又はプレーティングの1~3日後に、ハイグロマイシン選択培地が10cmディッシュに添加された。ハイグロマイシン耐性のクローンはリングでクローニングされて24ウェルのディッシュで増殖せしめられた。両方のタグエレメントを発現するクローンは96ウェルの組織培養ディッシュの中にシングルセルソーティングされた。単個細胞クローンは培養下で増殖せしめられ、かつ取り込まれたタグエレメントの最適なパフォーマンスを備えたクローンを同定するために、クローンが培養下で成育するにつれて蛍光顕微鏡を使用してモニタリングされた。最適な候補は培養下で増殖せしめられ、かつ将来の使用のために標準的な方法で低温貯蔵された。
実施例3:サテライトDNAに基づいた人工染色体のデノボ生成
合成染色体のデノボ生産については、外来性DNA配列がHT1080合成染色体生産細胞株に導入され、かつ、端部着糸型染色体の動原体を挟んだ異質染色質領域に取り込まれ次第、端部着糸型染色体の短腕(rDNA/動原体領域)の大規模増幅が引き起こされた。増幅事象の間、動原体は重複せしめられて2つの活性動原体を備えた二動原体染色体を生じた。その後の有糸分裂事象は二動原体染色体の開裂及び解離を生じて、増幅されたrDNAのコピーを含有する場合もある同時増幅されたトランスフェクション導入遺伝子のサブドメインを伴ったサテライト反復配列で主に構成された、大きさおよそ20~120Mbの離脱をもたらした。新しく生成された合成染色体は、内在性染色体タグ、及びHT1080合成染色体生産細胞株に遺伝子操作で導入済みの合成染色体タグを介した、蛍光による染色体の色付けの観察によって認証される。
トランスフェクションの前日、HT1080合成染色体生産細胞株の細胞は、およそ2.0~8.0×10個の付着細胞の密度になるように24ウェル組織培養ディッシュに分配され、外来性DNAを含んでなるベクターは、精製され(例えば、キアゲンEndoFree(登録商標)プラスミドマキシキットを使用)、線状化され、そしてベクターの濃度がトランスフェクションのために決定された。培養されたHT1080細胞はトランスフェクションの3~5時間前にフィードされた(were fed)。24ウェルの準コンフルエントな組織培養ディッシュあたり225ngのpSPOP48lacHurDNAベクター及び12.5ngのEF1alphaattPPuroベクターが、標準的なトランスフェクション試薬、例えばサーモフィッシャー(ThermoFisher)のLipofectamine(登録商標)LTX、プロメガのViafect(商標)、又はインビトロジェン(Invitrogen)のリン酸カルシウムトランスフェクションキットを使用してHT1080細胞をトランスフェクションするために使用された。pSPOP48lacHurDNAベクターはLacI反復配列及びリボソームDNA配列を含んでなる。EF1alphaattPPuroベクターは、部位特異的組換えシステムのための構成要素並びにアンピシリン及びピューロマイシン耐性遺伝子を含んでなる。細胞はトランスフェクションの後1~3日間維持され、その時点で細胞はトリプシン処理され、10cmのディッシュに再度プレーティングされた。プレーティングの時点又はプレーティングの1~3日後に、選択培地が10cmディッシュに添加された。選択的条件は、2~3日ごとに培地を交換して10~21日間維持された。コロニーが直径2~3mmに達した時、抗生物質耐性のクローンが摘取された。十分に分離されたコロニーが好ましい。細胞はクローニングシリンダー及びトリプシンの使用によって取り出され、増幅用に24ウェルプレートに移された。
実施例4:合成染色体プラットフォームのリアルタイムモニタリング
合成染色体プラットフォームの作出のために、内在性染色体に特異的なタグ、例えばヒトH2B-RFP融合タンパク質と、合成染色体に特異的なタグ、例えばGFPに融合されたLacリプレッサーであるLacI-GFPとを発現するHT1080合成染色体生産リポーター細胞が、24ウェル組織培養ディッシュにおよそ2.0~8×10個の付着細胞となるように播種された。染色体に特異的なタグタンパク質は構成的に発現される。播種の1日後に、標準的なトランスフェクション方法論、例えばインビトロジェンのリン酸カルシウムトランスフェクションキット、Lipofectamine(登録商標)-LTXを仲介したトランスフェクション(米国ニューヨーク州グランドアイランドのライフ・テクノロジーズ社(Life Technologies,Inc.))又はViafect(商標)(プロメガ)などを用いてトランスフェクションが実行される。HT1080遺伝子操作細胞株へのトランスフェクションについては、線状化されたベクター(pSPOP48lacHurDNA)が、ヒトのプロモーターと薬物選択マーカー(例えばピューロマイシン耐性)との間に挿入された部位特異的組換え部位(例えばattP)を担持している線状化プラスミド(pEF1alphaattPPuro)と共に同時トランスフェクションされる。加えて、pSPOP48lacHurDNAは、およそ48コピーの合成染色体特異的タグ認識配列(例えば48コピーのlacオペレーター配列、lacO)、すなわち合成染色体特異的タグLacI-GFPによって認識され結合される配列、を含有する。同時トランスフェクションについては、過剰量のpSPOP48lacHurDNAがpEF1alphaattPPuroプラスミドと一緒に(pSPOP48lacHurDNAがpEF1alphaattPPuroに対して>3:1のモル過剰量で)送達される。トランスフェクションの24時間後、24ウェルディッシュの各ウェルからのHT1080細胞はトリプシン処理され、10cmの細胞培養ディッシュに(24ウェルディッシュの1ウェル分が1枚の10cmディッシュに)プレーティングされ、インキュベーションされる。トランスフェクションの1~4日後、培地は0.5マイクログラム/mlのピューロマイシンを含有する完全培地で構成されている選択培地に置き換えられる。選択培地は、薬物耐性のクローンの出現が眼で見えるまで、2~3週間にわたって1週間に3回交換される。24ウェルディッシュ中の候補物の最初の蛍光顕微鏡検査で成熟した合成染色体の離脱産物を備えたクローンが観察される場合、蛍光顕微鏡法による細胞の検査はリングによるクローニング(ring cloning)の前に10cm組織培養ディッシュにおける観察へとより早期に移行させることが可能であることに注意されたい。合成染色体を生成するプロセスはこれまで場当たり的であったので、最初の合成染色体形成のための時間は完全には決まらない。
クローンが視認可能である場合、96個のクローンがリングによるクローニングで単離され、各クローンは24ウェル組織培養ディッシュのウェル中に移され、薬物選択を伴い培養される。この時、24ウェルディッシュ中のほぼコンフルエントな細胞(2~10日)がトリプシン処理を用いて採取され、個々のクローン細胞懸濁液は、2枚の別個の24ウェルプレートの同位置のウェルに分配される。一方のディッシュは合成染色体生産のリアルタイムモニタリングに使用され、他方の同等のディッシュは日常的な維持及び増殖に使用される。合成染色体生産についてモニタリングされている24ウェルディッシュでの増殖中、細胞は標準的な蛍光顕微鏡法を利用して48時間ごとに分析され、かつ赤色に標識された内在性染色体(内在性染色体に結合しているH2B-RFPの存在)と、合成染色体タグの共局在化した点状の染色;すなわち新しく合成されたプラットフォーム染色体、又は合成されるプラットフォーム染色体の前駆物質である「ソーセージ」染色体におけるLacI-GFPタグの存在とを示す、有糸核分裂細胞の出現について確認される。pSPOP48lacHurDNA及びpEF1alphaattPPuroベクターを、生来存在する端部着糸型染色体の動原体/rDNA領域内に標的設定することにより、lacOが反復した反復構造の増殖を含む、取り込まれたプラスミドの内因性の大規模増幅と、二動原体染色体の形成並びにその後の離脱及び合成染色体生産とが引き起こされる。必要ならば、コルセミド(KaryoMax(登録商標)コルセミド溶液、米国ニューヨーク州グランドアイランドのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies))のような細胞周期停止作用薬が、リアルタイムでの凝縮染色体の視覚的調査を容易にするためにG2/M期の細胞の集団を増大させるべく添加されることが可能である。内在性染色体タグ及び合成染色体タグを利用する合成染色体生産のリアルタイムでのモニタリングは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)のような静的な方法を使用して生産をモニタリングする必要性を軽減する。日常的な維持及び増殖のために使用された24ウェルディッシュ由来の細胞がほぼコンフルエントに達したとき、これらの細胞は引き続き2枚の別個の24ウェルディッシュに継代され、一方のディッシュはさらなる増殖及び維持のためであり、他方は、新しく生産された安定に有糸分裂する合成染色体を含有するクローンが同定されるまで(およそ2~4週間)のリアルタイムモニタリングに使用される。プロセス全体を通じた培養物の顕微鏡写真及び動画のうち少なくともいずれか一方が撮影されて、合成染色体形成の進行、すなわち外来性DNAエレメントの取り込み;組み込まれた外来性DNAを備えた染色体領域の増幅;二動原体染色体の形成;及び二動原体染色体の有糸分裂による切断、が記録される。
新しい合成染色体を含有する単離クローンはさらに3枚の15cmディッシュへと増殖せしめることが可能である。1枚のディッシュは長期の極低温保管に供される。残り2枚のディッシュはコルセミドを使用して中期で分裂阻止され、合成染色体が先に述べられたようにして採取及び精製される(例えば、バンダービル(Vanderbyl)ら、サイトメトリー(Cytometry)、2001年、第44巻、第2号、p.100-05;並びにリンデンバウム(Lindenbaum)及びパーキンズ(Perkins)ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acid Research)、2004年、第32巻、第21号、:e172を参照されたい)。染色体を対比染色するために潜在的な突然変異原性物質(例えばHoechst(登録商標)及びクロモマイシンA3)を利用する先述の方法とは対照的に、合成プラットフォーム染色体上へのH2B-RFP及びLacI-GFPの結合及び存在は、二色の蛍光活性化ソーティングと、その後の治療対象の細胞への送達のための合成染色体の単離とを可能にする。更に、H2B-RFP及びLacI-GFPでコーティングされた単離合成染色体は、続いて対象の細胞種への合成染色体の送達について評価及び最適化するために、すなわち、トランスフェクションされた細胞のうち送達された合成染色体を有するものの比率(%)を蛍光によってモニタリングするために、利用可能である。このプロセスの概観は図7に示される。
先行する記述は本発明の原理を例証しているにすぎない。当然ながら、当業者であれば、本明細書中で明示的に説明も表示もされなかったが本発明の原理を具体化しかつ本発明の思想及び範囲内に含まれる様々な配置構成を考案することができるであろう。更に、本明細書中で挙げられた実施例及び条件付きの言い回しはすべて、主として読み手が本発明の原理及び本発明者により当分野の促進に寄与される概念を理解するのを助けるように意図されており、そのような具体的に挙げられた実施例及び条件に対する限定を伴わないものとして解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその具体的実施例を列挙する本明細書中の全ての記述は、それらの構造的及び機能的いずれの等価物をも包含するように意図されている。加えて、そのような等価物は、現時点で既知の等価物及び将来開発される等価物、すなわち開発される任意の要素であって構造に関係なく同一の機能を果たすもの、の両方を含むように意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書中において示されかつ説明された例示の実施形態に限定されるようには意図されない。むしろ、本発明の範囲及び思想は添付の特許請求の範囲によって具体化される。後続の特許請求の範囲において、用語「手段」が使用されないかぎり、そこに列挙された特徴又は要素はいずれも、米国特許法第112条第6段落に準ずるミーンズ・プラス・ファンクションの限定として解釈されるべきではない。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
合成染色体の生産をスクリーニングするための方法であって:前記方法は、
合成染色体生産リポーター細胞株を提供するステップと;
内在性染色体タグ及び合成染色体タグを用いて合成染色体生産リポーター細胞株をトランスフェクションするステップと;
合成染色体生産の構成要素を用いて合成染色体生産リポーター細胞株をトランスフェクションするステップと;
内在性染色体タグ及び合成染色体タグを使用することにより合成染色体生産リポーター細胞株における合成染色体の生産をモニタリングするステップと、を含んでなる方法。
[付記2]
内在性染色体タグ及び合成染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株のゲノムに安定的に取り込まれる、付記1に記載の方法。
[付記3]
内在性染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株のゲノムに安定的に取り込まれるようになり、合成染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれるようになる、付記1に記載の方法。
[付記4]
内在性染色体タグ及び合成染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれる、付記1に記載の方法。
[付記5]
内在性染色体タグは合成染色体に安定的に取り込まれるようになり、合成染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株のゲノムに安定的に取り込まれるようになる、付記1に記載の方法。
[付記6]
合成染色体生産リポーター細胞株に存在する内在性染色体の腕は、合成染色体中の組換え部位との相互作用に適合する組換え部位を含んでなる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記7]
内在性染色体タグ及び合成染色体タグは蛍光性タグを含んでなり、モニタリングステップは蛍光顕微鏡法によって実施される、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記8]
蛍光性タグは、TagBFP、TagCFP、TagGFP2、TagYFP、TagRFP、FusionRed、mKate2、TurboGFP、TurboYFP、TurboRFP、TurboFP602、TurboFP635、TurboFP650、AmCyan1、AcvGFP1、ZsGreen1、ZsYellow1、mBanana、mOrange、mOrange2、DsRed-Express2、DsRed-Express、tdTomato、DsRed-Monomer、DsRed2、AsRed2、mStrawberry、mCherry、HcRed1、mRaspberry、E2-Crimson、mPlum、Dendra2、Timer、及びPAmCherry、HALO-tag、又は赤外線シフト型蛍光タンパク質から選択される、付記7に記載の方法。
[付記9]
内在性染色体タグ及び合成染色体タグのタグは化学発光性のタグを含んでなり、かつモニタリングステップは化学発光顕微鏡法によって実施されるか、又はリン光性のタグを含んでなりモニタリングステップはリン光顕微鏡法によって実施される、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記10]
内在性染色体タグはヒストンH1、H2A、H2B、H3、H4、又はH5に特異的なマーカーを含んでなる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記11]
合成染色体タグは既知配列のデータベースに対してスクリーニング済みの4ヌクレオチドを含んでなる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記12]
合成染色体生産リポーター細胞株は、哺乳動物細胞株、胚細胞株、多能性細胞株、成体由来の幹細胞、再プログラム化された細胞株又はヒト細胞株から選択される、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記13]
合成染色体生産リポーター細胞株はヒト細胞株HT1080である、付記12に記載の方法。
[付記14]
合成染色体生産リポーター細胞株は、トップダウン方式によって合成染色体を生産するように、合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションされる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記15]
合成染色体生産リポーター細胞株は、ボトムアップ方式によって合成染色体を生産するように、合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションされる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記16]
合成染色体生産リポーター細胞株は、天然に存在するミニクロモソームの遺伝子操作によって合成染色体を生産するように、合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションされる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記17]
合成染色体生産リポーター細胞株は、染色体セグメントの標的設定型の増幅によるデノボ染色体生成によって合成染色体を生産するように、合成染色体生産の構成要素を用いてトランスフェクションされる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記18]
染色体セグメントは染色体の挟動原体領域である、付記17に記載の方法。
[付記19]
内在性染色体タグは複数の内在性染色体タグを含んでなる、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記20]
内在性染色体タグは、融合タンパク質、核酸/タンパク質キメラ、核酸/タンパク質複合体(例えばRNA/CRISPR-CAS9複合体)、又は内在性染色体に特異的なTALENタンパク質と蛍光性若しくはリン光性の標識とを含んでなる構成部分である、付記1~5のいずれか1項に記載の方法。
[付記21]
内在性染色体タグ及び合成染色体タグを含んでなる合成染色体生産リポーター細胞株であって、内在性染色体タグ及び合成染色体タグは合成染色体生産リポーター細胞株のゲノムに安定的に組み込まれている、合成染色体生産リポーター細胞株。
[付記22]
付記1~20のいずれか1項に記載の方法によって生産された合成染色体。
[付記23]
付記1~20のいずれか1項に記載の方法によって生産され、かつ大きさが20~120Mbpである、合成染色体。

Claims (16)

  1. 合成染色体であって、
    少なくとも2つの異なる標識の付されたタグを結合するための部位を含み、
    第1のタグは、前記合成染色体と内在性染色体の両方に存在する第1の部位を検出し、
    第2の合成染色体に特異的なタグは、内在性染色体とは別の前記合成染色体上に存在する第2の部位を同定する、合成染色体。
  2. 大きさが20~120Mbpである、請求項1に記載の合成染色体。
  3. 前記第2の部位は、既知配列のデータベースに対してスクリーニング済みの4ヌクレオチドの合成染色体に特異的な配列を含む、請求項1に記載の合成染色体。
  4. 前記第1のタグは、前記内在性染色体および前記合成染色体の両方に存在する複数の部位を検出する、請求項1に記載の合成染色体。
  5. 前記複数の部位は、同一部位の複数のコピーを含む、請求項4に記載の合成染色体。
  6. 前記第1のタグは、H1、H2A、H2B、H3、H4およびH5から選択される少なくとも1つのヒストンに結合するドメインを含む、請求項1に記載の合成染色体。
  7. 前記複数の部位は、2つ以上の異なるタグによって結合するための異なる部位を含む、請求項4に記載の合成染色体。
  8. 前記第1のタグおよび/または前記第2のタグは、融合タンパク質、核酸/タンパク質キメラ、核酸/タンパク質複合体、TALENタンパク質を含む部分、およびヌクレアーゼ不全CRISPR部分から選択されるタグを含み、蛍光性若しくはリン光性の標識をさらに含む、請求項1に記載の合成染色体。
  9. 請求項1に記載の合成染色体を含む真核生物宿主細胞。
  10. 請求項9に記載の合成染色体を含む真核生物宿主細胞であって、前記第1のタグおよび前記第2のタグは、前記真核生物宿主細胞のゲノムから発現される、真核生物宿主細胞。
  11. 請求項9に記載の合成染色体を含む真核生物宿主細胞であって、前記第1のタグおよび前記第2のタグは前記合成染色体から発現される、真核生物宿主細胞。
  12. 請求項9に記載の合成染色体を含む真核生物宿主細胞であって、前記第1のタグは前記真核生物宿主細胞のゲノムから発現され、前記第2のタグは前記合成染色体から発現される、真核生物宿主細胞。
  13. 請求項9に記載の合成染色体を含む真核生物宿主細胞であって、前記第1のタグは前記合成染色体から発現され、前記第2のタグは前記真核生物宿主細胞のゲノムから発現される、真核生物宿主細胞。
  14. 前記合成染色体に存在する前記第2の部位は、同一部位の複数のコピーを含む、請求項1に記載の合成染色体。
  15. 前記第2の部位は、複数のlacオペレーター(lacO)配列のアレイを含み、前記合成染色体に特異的なタグはLacIを含む、請求項14に記載の合成染色体。
  16. 請求項6に記載の合成染色体であって、
    前記第1のタグおよび前記第2のタグは蛍光性若しくはリン光性の標識で標識され、前記第2のタグは前記合成染色体上で核酸配列に結合する、合成染色体。
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