JP2023013748A - スキンケア剤およびスキンケア製品 - Google Patents

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真吾 丸山
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Abstract

【課題】保湿効果に優れるスキンケア剤を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態に係るスキンケア剤は、平均粒子径が18nm以下であり、粒度分布指標が0.14以下であり、100nm以上の粒子を含まない単一分散のナノエマルションを含有しており、上記ナノエマルションは、難水溶性機能性成分、界面活性剤、オイルおよび水性媒体を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、スキンケア剤およびスキンケア製品に関する。
難水溶性物質の水溶化手法として、エマルション化が知られている。例えば、特許文献1には、平均粒子径が18nm以下であり、粒度分布指標が0.14以下であり、かつ、100nm以上の粒子を含まない単一分散のナノエマルションが記載されている。
国際公開第2021/005676号
しかしながら、特許文献1に記載されたナノエマルションには、さらなる応用の途が拓かれていた。本発明者らが鋭意検討したところ、特定のナノエマルションを含んでいるスキンケア剤は、保湿効果に優れることが判明した。
本発明には、以下の構成が包含されている。
<1>
スキンケア剤であって、
平均粒子径が18nm以下であり、粒度分布指標が0.14以下であり、100nm以上の粒子を含まない単一分散のナノエマルションを含有しており、
上記ナノエマルションは、難水溶性機能性成分、界面活性剤、オイルおよび水性媒体を含んでいる、スキンケア剤。
<2>
上記難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質、グリセリンエステル系の油剤、繊維状タンパク質およびコエンザイムQ10から選択される1種類以上を含んでいる、<1>に記載のスキンケア剤。
<3>
上記難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質を含んでおり、
上記界面活性剤は、ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油を含んでおり、
上記オイルは、リンゴ酸ジイソステアリルを含んでいる、
<1>または<2>に記載のスキンケア剤。
<4>
上記難水溶性機能性成分は、グリセリンエステル系の油剤を含んでおり、
上記界面活性剤は、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油を含んでおり、
上記オイルは、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでいる、
<1>または<2>に記載のスキンケア剤。
<5>
<1>~<4>のいずれかに記載のスキンケア剤を含んでいる、スキンケア製品。
<6>
クリーム、乳液、または化粧水である、<5>に記載のスキンケア製品。
本発明の一態様によれば、保湿効果に優れるスキンケア剤を提供することができる。
〔1.スキンケア剤〕
本明細書において「スキンケア剤」とは、スキンケア製品などに配合できる有効成分を表す。スキンケア剤は、それ自体として(スキンケア製品などに配合しない状態で)、製造、流通または販売できる。ある側面において、本発明は、スキンケアを行うためのナノエマルションを開示していると言える。
本発明の一実施形態に係るスキンケア剤は、ナノエマルションを含有している。スキンケア剤は、ナノエマルションのみを含んでいてもよいし、他の物質とナノエマルションが混合されていてもよい。他の物質の例としては、水性媒体(超純水、緩衝液、生理食塩水などの水を含んでいる媒体)が挙げられる。他の物質とナノエマルションとが混合されている場合、当該ナノエマルションの含有率は、例えば、20質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、または90質量%以上であってもよい。
[1.1.ナノエマルション]
本発明の一実施形態に係るスキンケア剤は、平均粒子径が18nm以下であり、粒度分布指標が0.14以下であり、100nm以上の粒子を含まない単一分散のナノエマルションを含有している。
本明細書において「ナノエマルション」とは、微小なミセルの分散系を表す。本発明の一実施形態に係るスキンケア剤は、ナノエマルションを含有しているので、スキンケア製品(クリーム、乳液、化粧水など)に優れた保湿効果を与えられる。また、本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を化粧水に応用した場合には、透明な製品が得られ、外観に優れるという効果をさらに得られる。
ナノエマルションの平均粒子径は、18nm以下であり、16nm以下が好ましく、14nm以下がより好ましい。ナノエマルションの平均粒子径が18nm以下であれば、後述する難水溶性機能性成分の生体への吸収効率を改善できる。本明細書において、ナノエマルションの粒径は、動的光散乱法により求められる流体力学的径である。本明細書において、ナノエマルションの平均粒径は、強度基準の平均粒子径(Z平均)である。平均粒子径は、例えば、Zetasizer Nano ZS(Malvern Institutes製)を用いて、測定モード「size-small-vol-cell×1.SOP」によって測定する。
ナノエマルションの粒度分布指標(PDI)は、0.14以下であり、0.138以下が好ましく、0.136以下がより好ましい。粒度分布指標が0.14以下であるナノエマルションは、平均粒子径が18nm以下となりやすい。そのため、このようなナノエマルションは、安定性に優れる。粒度分布指標は、粒度分布に基づいて計算される。粒度分布指数は、例えば、Zetasizer Nano ZS(Malvern Institutes社製)を用いて、測定モード「size-small-vol-cell×1.SOP」によって測定する。
ナノエマルションは単一分散である。単一分散とは、粒度分布において1つのみのピークを有していることを意味する。例えば、Zetasizer Nano ZS(Malvern Institutes製)を使用して粒度分布を測定すると、粒子群が単一分散であるか否かが判断できる。単一分散でない場合には、「Peak-2」「Peak-3」のように2つ目以降のピークが表示される。単一分散であるナノエマルションは、生体への吸収性に優れ、かつ安定性に優れる。
ナノエマルションは、粒子径が100nm以上の粒子を含んでおらず、80nm以上の粒子を含んでおらず、さらに好ましくは50nm以上の粒子を含んでいない。この条件を満たすナノエマルションは、粒子の均質性が高いと言える。
本明細書では、簡便のため、「ナノエマルションの平均粒子径」「ナノエマルションの粒度分布指標」「単一分散のナノエマルション」との表現を採用している。これらの表現は、厳密には、「ナノエマルションに含まれているミセルの平均粒子径」「ナノエマルションに含まれているミセルの粒度分布指標」「含まれているミセルの粒度分布が単一分散であるナノエマルション」を意図している。
ナノエマルションは、安定性に優れた水中油型ナノエマルションであることが好ましい。一実施形態において、ナノエマルションは、25℃において、14日間以上は安定な状態で存在する。
一実施形態において、ナノエマルションは、難水溶性機能性成分、界面活性剤、オイルおよび水性媒体を含んでいる。以下、各成分について説明する。
[1.1.1難水溶性機能性成分]
ナノエマルションは、難水溶性機能性成分を含んでいる。一実施形態において、難水溶性機能性成分は、保湿効果を有している有効成分である。
本明細書において、「難水溶性」とは、日本薬局方に規定される「溶けにくい」「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」を意味し、好ましくは「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」を意味し、より好ましくは「ほとんど溶けない」を意味する。溶解度で表現すると、難水溶性機能性成分は、20℃の水に対する溶解度が10mg/mL以下であり、好ましくは1mg/mL以下であり、より好ましくは0.1mg/mL以下である。
難水溶性機能性成分は水に対する溶解度が低いが、オイルおよび界面活性剤と共にナノエマルションを形成させることにより、水性媒体中に分散させられる。したがって、難水溶性機能性成分は脂溶性であることが好ましい。
本明細書において「機能性成分」とは、何らかの機能を有している成分であれば特に限定されない。機能性成分の例としては、生体に対して所定の栄養的または健康上の利益を提供する成分が挙げられる。
栄養的または健康上の利益を提供する成分の例としては、化粧品などに用いられる、肌改善成分、保湿成分、抗老化成分、育毛成分、発毛成分が挙げられる。このような難水溶性機能性成分の具体例としては、スフィンゴ脂質、グリセリンエステル系の油剤、繊維状タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、コエンザイムQ10、クルクミン、トコトリエノール、カロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、およびキサントフィルなど)、レスベラトロル、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンK)およびその誘導体、セサミン、α-リポ酸、フェルラ酸、オリザノールが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、ナノエマルションに含まれる難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質、グリセリンエステル系の油剤、繊維状タンパク質およびコエンザイムQ10から選択される1種類以上であることが好ましい。
スフィンゴ脂質の例としては、セラミド、スフィンゴシン、スフィンゴミエリンが挙げられる。これらの中でも、保湿効果を得る観点からは、セラミドが好ましい。セラミドとは、スフィンゴシンの窒素原子に脂肪酸が結合したアミドである。セラミドの具体例としては、セラミドNG(セラミド2)、セラミドNP(セラミド3)が挙げられる。
グリセリンエステル系の油剤の例としては、PCAオレイン酸グリセリル、PCAイソステアリン酸グリセリルが挙げられる。これらの中でも、保湿効果を得る観点からは、PCAオレイン酸グリセリルが好ましい。PCAオレイン酸グリセリルは、ピロリドンカルボン酸とモノオレイン酸グリセリルとのエステルであり、INCI名は「PCA Glyceryl Oleate」である。
ナノエマルションにおける難水溶性機能性成分の含有量の下限は、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。難水溶性機能性成分の含有量の上限は特に限定されないが、例えば5質量%以下であってもよい。難水溶性機能性成分の含有量が範囲であれば、保湿効果を向上させやすい。
[1.1.2.界面活性剤]
界面活性剤の例としては、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート80、およびイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルから選択される1種類以上であることが好ましい。これらの界面活性剤を使用すれば、ナノエマルションの粒子径が小さく、粒子径分布が狭く、かつ、粒子径の均質性が向上する傾向にある。
ポリソルベート80とは、INCI名「Polysorbate 80」で表される化合物である。
ポリオキシエチレンヒマシ油とは、ヒマシ油にポリオキシエチレンが付加した化合物である。ポリオキシエチレンヒマシ油に含まれるポリオキシエチレンは、酸化エチレンの平均付加モル数が2~100モルであることが好ましく、10~50モルであることがより好ましい。ポリオキシエチレンヒマシ油の例としては、PEG35-ヒマシ油が挙げられる。また、水添したポリオキシエチレンヒマシ油を使用してもよい。水添したポリオキシエチレンヒマシ油の例としては、PEG20-水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG35-水添ヒマシ油、PEG40-水添ヒマシ油、PEG50-水添ヒマシ油が挙げられる。
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルは、イソステアリン酸グリセリルのポリオキシエチレンエーテルである。イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルに含まれるポリオキシエチレンは、酸化エチレンの平均付加モル数が10~40モルであることが好ましく、14~30モルであることがより好ましい。イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの例としては、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-25グリセリル、イソステアリン酸PEG-30グリセリルが挙げられる。
ナノエマルションの安定性をより向上させる観点から、界面活性剤は2種類以上が含まれていてもよい。本発明の一実施形態において、2種類以上の界面活性剤が、ナノエマルションに含まれる場合、使用比率は特に限定されない。例えば、ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油を混合して用いる場合、その混合比は、(1:99)~(99:1)でありうる。例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油およびイソステアリン酸ポリオキシグリセリルを混合して用いる場合、その混合比は、(1:99)~(99:1)でありうる。
界面活性剤の含有量の下限は、ナノエマルション全体に対して、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。界面活性剤の含有量の下限は、ナノエマルション全体に対して、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。界面活性剤の含有量が10質量%以上であれば、オイルに溶解した難水溶性機能性成分が、水と充分に混ざりあいやすい。界面活性剤の含有量が40質量%以下であれば、ナノエマルションの粒子径が小さく、粒子径分布が狭く、かつ、粒子径の均質性が向上する傾向にある。
[1.1.3.オイル]
オイルは、通常、化粧品用に使用されうるオイルであれば特に限定されない。オイルの具体例としては、天然由来油(アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、アーモンド油、ベルガモット油、ツバキ油、月見草油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、キリ油、キャノーラ油、紅花油、ククイナッツ油、グレープシード油、ヘーゼルナッツ油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、ピスタチオナッツ油、ヤシ油(ココナッツ油)、植物性スクワランなど);合成油(中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、流動パラフィンなど)が挙げられる。天然由来油の中では、植物油がより好ましい。
生体への吸収性および難溶性機能性成分の溶解性の観点から、オイルは、より好ましくは大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、リンゴ酸ジイソステアリル、ヤシ油(ココナッツ油)、ベルガモット油、ローズヒップ油およびアーモンド油から選択される1種類以上であり、さらに好ましくはリンゴ酸ジイソステアリルおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドから選択される1種類以上である。オイルは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
オイルの凝固点は、25℃以下であることがより好ましい。このようなオイルは、室温(25℃)で固化せず、ナノエマルションの安定性が向上する。
オイルを用いることにより、乳化粒子の粒子径が小さく安定なナノエマルションを得ることができる。
[1.1.4.水性媒体]
「水性媒体」とは、水を含んでいる媒体を一般に指す。水性媒体の具体例としては、水(超純水、蒸留水、イオン交換水など)、緩衝液(リン酸緩衝溶液など)、生理食塩水が挙げられる。水性媒体は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
ナノエマルションに含まれる水性媒体の含有量の下限は、ナノエマルションの総重量に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましい。ナノエマルションに含まれる水性媒体の含有量の上限は、ナノエマルションの総重量に対して、99.9質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。ナノエマルションに含まれる水性媒体の含有量が50質量%以上であれば、ナノエマルションを好適に形成できる。また、ナノエマルションに含まれる水性媒体の含有量が99.9質量%以下であれば、難水溶性機能性成分の濃度が低くなりすぎない。
[1.1.5.好適な成分の組合せ]
本発明者らは、ナノエマルションを形成する成分の好適な組み合わせをも見出した。この組合せにより形成されるナノエマルションを配合したスキンケア剤は、保湿効果を向上させやすい傾向にある。
組合せ1においては、ナノエマルションを構成する各成分は、以下の条件を満たしている。
・難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質(セラミドなど)を含んでいる。一実施形態において、スフィンゴ脂質以外の難水溶性機能性成分は含まれていない。
・界面活性剤は、ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油(PEG35-ヒマシ油など)を含んでいる。一実施形態において、ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油以外の界面活性剤は含まれていない。
・オイルは、リンゴ酸ジイソステアリルを含んでいる。一実施形態において、リンゴ酸ジイソステアリル以外のオイルは含まれていない。
組合せ1においては、各成分が下記(i-a)および(ii-a)の条件を満たしていることがより好ましく、(i-a)、(ii-a)および(iii-a)の条件を満たしていることがさらに好ましい。このような組成でナノエマルションを調製すれば、平均粒子径を小さくでき、粒子径分布を狭くでき、かつ、粒子径の均質性を向上させられる。
(i-a)「ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルの重量」の値が、9.20~240である。
(ii-a)「ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルおよび難水溶性機能性成分の重量」の値が、5.20~200である。
(iii-a)難水溶性機能性成分のLogPが4.2以上であるならば、「オイルの重量/難水溶性機能性成分の重量」の値が、[-0.38×(難水溶性機能性成分のLogP)+5.169]~2000である。難水溶性機能性成分のLogPが4.2未満であるならば、「オイルの重量/難水溶性機能性成分の重量」の値が、[-4.955×(難水溶性機能性成分のLogP)+23.56]~2000である。
条件(i-a)において、「ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルの重量」の値の下限は、より好ましくは9.40以上であり、さらに好ましくは9.60であり、さらにより好ましくは10以上であり、特に好ましくは20以上である。
条件(ii-a)において、「ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルおよび難水溶性機能性成分の重量」の値の下限は、より好ましくは5.8以上であり、さらに好ましくは6.0以上であり、さらにより好ましくは8.0以上である。
条件(iii-a)において、難水溶性機能性成分のLogPが4.2以上であるとき、「オイルの重量/難水溶性機能性成分の重量」の値の下限は、より好ましくは[-0.38×(難水溶性機能性成分のLogP)+5.9]以上であり、さらに好ましくは[-0.38×(難水溶性機能性成分のLogP)+6.7]以上である。条件(iii)を満たす場合、難水溶性機能性成分を安定的に溶解するためのオイルの量が充分となり、安定性に優れたマイクロエマルションを実現することができる。
ここで、LogPとは、化学物質の1-オクタノール/水(または緩衝液)分配係数の常用対数値である。本明細書において、LogPとは、OECD GUIDELINE FOR THE TESTING OF CHEMICALS, "Partition Coefficient (n-octanol/water): Shake Flask Method"によるフラスコ振盪法によって測定された値をいう。LogPの値が大きい化合物ほど、親油性が高い。すなわち、LogPの値が大きい化合物ほど脂溶性が高い。
組合せ1のナノエマルションの調製に際しては、国際公開第2021/005676号の記載を適宜参照することができる。
(組合せ2)
組合せ2においては、ナノエマルションを構成する各成分は、以下の条件を満たしている。
・難水溶性機能性成分は、グリセリンエステル系の油剤(PCAオレイン酸グリセリルなど)を含んでいる。一実施形態において、グリセリンエステル系の油剤以外の難水溶性機能性成分は含まれていない。
・界面活性剤は、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油を含んでいる。一実施形態において、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油以外の界面活性剤は含まれていない。
・オイルは、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでいる。一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリド以外のオイルは含まれていない。
組合せ2においては、各成分が下記(i-b)および(ii-b)の条件を満たしていることがより好ましく、(i-b)、(ii-b)および(iii-b)の条件を満たしていることがさらに好ましい。このような組成でナノエマルションを調製すれば、平均粒子径を小さくでき、粒子径分布を狭くでき、かつ、粒子径の均質性を向上させられる。
(i-b)「イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルの重量」の値が6.50~240である。
(ii-b)「イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルおよび難水溶性機能性成分の重量」の値が、6.50~200である。
(iii-b)「オイルの重量/難水溶性機能性成分の重量」の値が、2.30~2000である。
条件(i-b)において、「イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルの重量」の値の下限は、より好ましくは7.5以上であり、さらに好ましくは8.5以上であり、さらにより好ましくは9.0以上であり、特に好ましくは9.6以上である。
条件(ii-b)において、「イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油の合計重量/オイルおよび難水溶性機能性成分の重量」の値の下限は、より好ましくは6.6以上であり、さらに好ましくは6.7以上であり、さらにより好ましくは6.8以上である。
条件(iii-b)において「オイルの重量/難水溶性機能性成分の重量」の値の下限は、より好ましくは2.35以上であり、さらに好ましくは2.45以上である。条件(iii)を満たす場合、難水溶性機能性成分を安定的に溶解するためのオイルの量が充分となり、安定性に優れたマイクロエマルションを実現することができる。
[1.2.ナノエマルションの製造方法]
ナノエマルションは、例えば、以下の手順によって得られる。
1.難水溶性機能性成分、界面活性剤およびオイルを混合して、組成物を得る。
2.得られた組成物と水性媒体とを混合して、ナノエマルションを得る。
工程1において、界面活性剤、オイルおよび難水溶性機能性成分を混合する順序は、特に限定されない。全ての成分を同時に混合してもよい。界面活性剤とオイルとを混合した後に、難水溶性機能性成分を混合してもよい。界面活性剤と難水溶性機能性成分とを混合した後に、オイルを混合してもよい。オイルと難水溶性機能性成分とを混合した後に、界面活性剤を混合してもよい。
工程1において、各成分を混合する方法は、界面活性剤、オイルおよび難水溶性機能性成分を均一に溶解させることができる方法であれば、特に限定されない。例えば、各成分を混合して攪拌する方法が挙げられる。この方法では、特に強い剪断力をかけなくとも、各成分を均一に攪拌できる。攪拌には、例えば、マグネティックスターラーを用いることができる。
工程1において、各成分を混合するときの温度は、特に限定されない。好ましくは20~90℃以下であり、より好ましくは30~75℃である。
工程2において、組成物および水性媒体を混合する方法は、水性媒体中に組成物を乳化粒子として分散させられるならば、特に限定されない。例えば、組成物と水性媒体とを混合して攪拌する方法が挙げられる。攪拌には、例えば、マグネティックスターラーを用いることができる。工程2においては、水性媒体を一度に全量を加えてもよく、数回に分けて攪拌しながら加えてもよい。
工程2において組成物および水性媒体を混合するときの温度は、特に限定されない。好ましくは20~90℃であり、より好ましくは30~75℃である。
〔2.スキンケア製品〕
本発明の一実施形態に係るスキンケア製品は、本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を含有している。「スキンケア製品」とは、皮膚に対して様々な効果をもたらす製品を意味する。スキンケア製品は、日本国での法規制上の分類において、医薬品、医薬部外品、化粧品または雑貨でありうる。スキンケア製品の剤型の例としては、クリーム、乳液、化粧水、ローション、軟膏、ジェル、ボディパウダーが挙げられる。
スキンケア製品がクリームである場合、水を主成分とし、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースおよびステアリン酸グリセリルを含むことが好ましい。この実施形態における各成分の好ましい含有量は、クリーム全体の質量を100質量%として、以下の通りである。
・難水溶性機能性成分:3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
・ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース:10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
・ステアリン酸グリセリル:10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
・水:30質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
スキンケア製品が乳液である場合、水を主成分とし、パルミチン酸イソプロピルを含むことが好ましい。この実施形態における各成分の好ましい含有量は、乳液全体の質量を100質量%として、以下の通りである。
・難水溶性機能性成分:3.0質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい
・パルミチン酸イソプロピル:10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
・水:30質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
スキンケア製品が化粧水である場合、水を主成分とし、1,3-ブチレングリコールを含むことが好ましい。この実施形態における各成分の好ましい含有量は、化粧水全体の質量を100質量%として、以下の通りである。
・難水溶性機能性成分:3.0質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。
・1,3-ブチレングリコール:30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
・水:50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
上記各実施形態において、各成分の含有率が上記の範囲内であれば、保湿効果が向上する。これらの実施形態において、難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質(セラミドなど)、グリセリンエステル系の油剤(PCAオレイン酸グリセリルなど)および繊維状タンパク質およびコエンザイムQ10から選択される1種類以上であることが好ましい。
スキンケア製品は、ナノエマルションの他に、スキンケア製品に含まれる通常の成分および/または添加剤を含んでいてもよい。このような成分および/または添加剤の例としては、保湿剤類、油脂類、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素化合物類、シリコーン類、カチオン化ポリマー類、界面活性剤類(陽イオン界面活性剤類・陰イオン界面活性剤類・非イオン界面活性剤類・両性界面活性剤類)、増粘・ゲル化剤類、防腐剤類、キレート剤類、pH調整剤・酸・アルカリ類、溶剤類、抗炎症剤類、香料、色素類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、パール光沢剤が挙げられる。
保湿剤類の例としては、多価アルコール類(1,3-ブチレングリコ-ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなど)、蛋白質・ペプチド類(ゼラチン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチドなど)およびその誘導体、アミノ酸類(アルギニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、トリメチルグリシンなど)、植物抽出成分類(アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキスなど)、クエン酸塩、コンドロイチン硫酸、乳酸ナトリウム、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウムが挙げられる。
油脂類の例としては、植物油脂類(ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ、アボカド油、ゴマ油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、ティーツリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、液状シア脂、ホホバ油など)、炭化水素類(流動パラフィン、スクワラン、軽質流動イソパラフィン、セレシン、パラフィンロウ、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなど)、脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸など)、シリコーン油(ジメチコン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンなど)、エステル類(コハク酸ジ2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)など)、ロウ類(ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、鯨ロウ、セラック、綿ロウ、モクロウ、水添ホホバ油など)が挙げられる。
ラノリン類の例としては、液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリンが挙げられる。
高級アルコール類の例としては、直鎖アルコール類(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなど)、分枝鎖アルコール(モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなど)、脂肪族アルコール(水添ナタネ油アルコールなど)が挙げられる。
フッ素系化合物類の例としては、フッ素系化合物類およびその誘導体(ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチル、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロメチルジステアリルアミド、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロエチルポリエチレングリコールリン酸など)が挙げられる。
シリコーン類の例としては、低粘度ジメチルポリシロキサン、高粘度ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノ変性ポリシロキサン、カチオン変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサンが挙げられる。
カチオン化ポリマー類の例としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウムの重合体または共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体が挙げられる。
陽イオン界面活性剤類の例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムが挙げられる。
陰イオン界面活性剤類の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、アシルN-メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩が挙げられる。
非イオン界面活性剤類の例としては、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリルなど)、ポリオキシエチレンヒマシ油(PEG20-水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG40-水添ヒマシ油、PEG50-水添ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油)、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシドが挙げられる。
両性界面活性剤類の例としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシ-N-ヒドロキシイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
増粘・ゲル化剤類の例としては、セトステアリルグルコシド、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸、トラガントガム、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルボマー、メドウフォーム油脂肪酸ジメチコンコポリオール、アクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂アルカノールアミン液、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが挙げられる。
防腐剤類の例としては、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコ-ル、プロピレングリコール、1,8オクタンジール等の多価アルコール類、四級アンモニウム塩類が挙げられる。
キレート剤の例としては、エデト酸塩、ホスホン酸類、ポリアミノ酸類が挙げられる。
pH調整剤・酸・アルカリ類の例としては、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、塩酸、硫酸、硝酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびそれらの塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、アンモニア水、アミノメチルプロパノールおよびそれらの塩類が挙げられる。
溶剤類の例としては、水、エタノール、デカメチルシクロペンタシロキサン、低級アルコール類(2-プロパノールなど)が挙げられる。
抗炎症剤類の例としては、甘草誘導体(グリチルリチン酸、グリチルリチン酸2K、カルベノキソロン二ナトリウムなど)、アラントイン、グアイアズレン、アロエ、α-ビサボロールが挙げられる。
酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、トコフェロールが挙げられる。
紫外線防止剤の例としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。
パール光沢剤の例としては、酸化チタン、酸化スズ、マイカ、塩化ビスマス等が挙げられる。
上述の成分を用いて、常法に則り、スキンケア製品を調製することができる。
本発明の一実施形態に係るスキンケア製品を適用する部位は、特に限定されない。適用可能な部位としては例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中が挙げられる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔製造例〕
表1に記載の組成により、セラミドまたはPCAオレイン酸グリセリルを難水溶性機能性成分として含有するナノエマルションを調製した。具体的な手順は下記の通りである。
1.10mLのビーカーに、難水溶性機能性成分、オイルおよび界面活性剤を入れた。
2.60℃にて、難水溶性機能性成分が全て均一に溶解するまで攪拌し、粘性のある液体を得た。攪拌にはマグネティックスターラーを用いた。
3.工程2で得られた組成物にイオン交換水を加え、60℃にて1~3分間、さらに攪拌した。
4.不均一な溶け残りやダマが無いことを目視で確認した後、氷水槽で室温まで冷却した。
Figure 2023013748000001
表1において使用されている成分の詳細は、下記の通りである。
・ポリソルベート80:レオドールTW-O120V(花王株式会社製)
・ポリオキシエチレンヒマシ油:CO-35(日光ケミカルズ株式会社製)
・イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:ブラウノンRGL-20MISE(青木油脂株式会社製)
・リンゴ酸ジイソステアリル:DISM(日光ケミカルズ株式会社製)
・中鎖脂肪酸トリグリセリド:ココナードMT(花王株式会社製)
・セラミド:CERAMIDE2(クローダジャパン社製)
・PCAオレイン酸グリセリル:アミグリP-30V(太陽化学株式会社製)
ナノエマルション1の平均粒子径は12.29nm、PDIは0.136、100nm以上の粒子を含まず、粒度分布にもサブピークは存在しなかった。ナノエマルション2の平均粒子径は13.02nm、PDIは0.019、100nm以上の粒子を含まず、粒度分布にもサブピークは存在しなかった。これらの測定は、Zetasizer Nano ZS(Malvern Institutes製)を用いて、測定モード「size-small-vol-cell×1.SOP」で測定した。
〔実施例1〕
本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を、皮膚用クリームに応用した場合の効果を検討した。具体的には、腕の皮膚にスキンケア剤を配合したクリームを継続的に塗布し、皮膚の水分量の変化を測定した。
[製造例1]
下記手順に基づき、皮膚用クリームを調製した。使用した成分および含有率を、表2A、2Bに示す。
1.A相およびB相を加温溶解させた。
2.A相にB相を投入し、ホモミキサーにより乳化させた。
3.乳化完了後に冷却して、皮膚用クリームの基剤を調製した。
4.工程3で得た基剤にスキンケア剤を加え、室温で混合した。
Figure 2023013748000002
[実施例1-1~1-2、比較例1-1~1~3]
下記の手順により、調製したクリームによる保湿効果を検討した。
1.被検者の右前腕内側に、表2Bの組成で調製したクリームを、1日2回塗布した(1回あたり0.05mL)。実施例または比較例に係るクリームのそれぞれを、2箇所ずつ塗布した。
2.クリームの塗布から8日後、塗布した箇所の水分量を測定し、塗布前における水分量と比較した。水分量の測定には、モイスチャーチェッカー(SCALAR製)を用いた。表3に記載の値は、2箇所における測定値の平均値である。
実施例1-1および比較例1-2では、クリームに含まれているセラミドの合計含有率が同じ(0.03質量%)になるように調整した。実施例1-2および比較例1-3では、クリームに含まれているPCA酸オレイン酸グリセリルの合計含有率が同じ(0.10質量%)になるように調整した。なお、比較例1-2で配合したのは、ナノエマルション化していないセラミド含有原料(SK-INFLUX、Evonik製)である。
Figure 2023013748000003
[結果]
表3によると、実施例1-1に係るクリームを塗布した皮膚は、比較例1-2に係るクリームを塗布した皮膚よりも、水分量の向上幅が大きかった。つまり、セラミドをナノエマルション化して配合することにより保湿効果が向上した。同様に、実施例1-2に係るクリームを塗布した皮膚は、比較例1-3に係るクリームを塗布した皮膚よりも、水分量の向上幅が大きかった。つまり、PCAオレイン酸グリセリルをナノエマルション化して配合することにより保湿効果が向上した。
なお、比較例1-2、1-3に係るクリームを塗布した皮膚は、比較例1-1に係るクリームを塗布した皮膚と比較して、水分量は変化しないか、むしろ減少していた。このことから、セラミドまたはPCAオレイン酸グリセリルをナノエマルション化せずに配合しても、保湿効果が得られないことが示唆される。
この結果から、本発明の一実施形態に係るスキンケア剤をクリームに応用すると、皮膚に対して優れた保湿効果を与えられると言える。
〔実施例2〕
本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を、乳液に応用した場合の効果を検討した。具体的には、腕の皮膚にスキンケア剤を配合した乳液を継続的に塗布し、皮膚の水分量の変化を測定した。
[製造例2]
下記手順に基づき、乳液を調製した。使用した成分および含有率を、表4A、4Bに示す。
1.A相およびB相を加温溶解させた。
2.A相にB相を投入し、プロペラ攪拌機により乳化させた。
3.乳化完了後に冷却した。
4.C相を加えて攪拌した。
5.D相を加えて乳液基剤を調製した。
6.工程5で調製した乳液にスキンケア剤を加え、室温にて攪拌した。
Figure 2023013748000004
[実施例2-1~2-2、比較例2-1~2~3]
下記の手順により、調製した乳液による保湿効果を検討した。
1.被検者の右前腕内側に、表4Bの組成で調製した乳液を塗布した(0.05mL)。実施例または比較例に係る乳液のそれぞれを、2箇所ずつ塗布した。
2.乳液の塗布から15分後および30分後、塗布した箇所の水分量を測定し、塗布前における水分量と比較した。水分量の測定には、モイスチャーチェッカー(SCALAR製)を用いた。表5に記載の値は、2箇所における測定値の平均値である。
実施例2-1および比較例2-2では、乳液に含まれているセラミドの合計含有率が同じ(0.03質量%)になるように調整した。実施例2-2および比較例2-3では、乳液に含まれているPCA酸オレイン酸グリセリルの合計含有率が同じ(0.10質量%)になるように調整した。なお、比較例2-2で配合したのは、ナノエマルション化していないセラミド含有原料(SK-INFLUX、Evonik製)である。
Figure 2023013748000005
[結果]
表5によると、実施例2-1に係る乳液を塗布した皮膚は、比較例2-2に係る乳液を塗布した皮膚よりも、30分後における水分量が高かった。つまり、セラミドをナノエマルション化して配合することにより保湿効果が長続きした。同様に、実施例2-2に係る乳液を塗布した皮膚は、比較例2-3に係る乳液を塗布した皮膚よりも、30分後における水分量が高かった。つまり、PCAオレイン酸グリセリルをナノエマルション化して配合することにより保湿効果が長続きした。
比較例2-2、2-3に係る乳液を塗布した皮膚と、実施例2-1、2-2に係る乳液を塗布した皮膚とを比較すると、15分後における水分量は同程度であったが、30分後における水分量は前者の方が低かった。このことから、セラミドまたはPCAオレイン酸グリセリルをナノエマルション化せずに配合しても、保湿効果が長続きしないことが示唆される。
この結果から、本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を乳液に応用すると、皮膚に対して優れた保湿効果を与えると言える。
〔実施例3〕
本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を、化粧水に応用した場合の効果を検討した。具体的には、腕の皮膚にスキンケア剤を配合した化粧水を継続的に塗布し、皮膚の水分量の変化を測定した。
[製造例3]
下記手順に基づき、化粧水を調製した。使用した成分および含有率を、表6A、6Bに示す。
1.A相を加温溶解させ、冷却した。
2.混合したB相をA相に加え、均一になるように攪拌した。
3.C相を加えて化粧水の基剤を調製した。
4.工程3で調製した基剤に、スキンケア剤を添加した。
Figure 2023013748000006
[実施例3-1、比較例3-1、3-2]
下記の手順により、調製した化粧水による保湿効果を検討した。
1.被検者の右前腕内側に、表6Bの組成で調製した化粧水を、1日2回塗布した(1回あたり0.03mL)。実施例または比較例に係る化粧水のそれぞれを、2箇所ずつ塗布した。
2.化粧水の塗布から7日後および14日後、塗布した箇所の水分量を測定し、塗布前における水分量と比較した。水分量の測定には、モイスチャーチェッカー(SCALAR製)を用いた。表7に記載の値は、2箇所における測定値の平均値である。
実施例3-1および比較例3-2では、化粧水に含まれているセラミドの合計含有率が同じ(0.03質量%)になるように調整した。なお、比較例3-2で配合したのは、ナノエマルション化していないセラミド含有原料(SK-INFLUX、Evonik製)である。
Figure 2023013748000007
[結果]
表7によると、実施例3-1に係る化粧水を塗布した皮膚は、比較例3-2に係る化粧水を塗布した皮膚よりも、14日後における水分量が高かった。つまり、セラミドをナノエマルション化して配合することにより保湿効果が高まった。また、実施例3-1が透明であったのに対して、比較例3-2は半透明であった。つまり、セラミドをナノエマルション化して配合することにより、透明な製品が得られ、外観に優れることが示唆される。
この結果から、本発明の一実施形態に係るスキンケア剤を化粧水に応用すると、皮膚に対して優れた保湿効果を与え、かつ外観に優れると言える。
本発明は、スキンケア製品などに利用できる。

Claims (6)

  1. スキンケア剤であって、
    平均粒子径が18nm以下であり、粒度分布指標が0.14以下であり、100nm以上の粒子を含まない単一分散のナノエマルションを含有しており、
    上記ナノエマルションは、難水溶性機能性成分、界面活性剤、オイルおよび水性媒体を含んでいる、スキンケア剤。
  2. 上記難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質、グリセリンエステル系の油剤、繊維状タンパク質およびコエンザイムQ10から選択される1種類以上を含んでいる、請求項1に記載のスキンケア剤。
  3. 上記難水溶性機能性成分は、スフィンゴ脂質を含んでおり、
    上記界面活性剤は、ポリソルベート80およびポリオキシエチレンヒマシ油を含んでおり、
    上記オイルは、リンゴ酸ジイソステアリルを含んでいる、
    請求項1または2に記載のスキンケア剤。
  4. 上記難水溶性機能性成分は、グリセリンエステル系の油剤を含んでおり、
    上記界面活性剤は、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルおよびポリオキシエチレンヒマシ油を含んでおり、
    上記オイルは、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでいる、
    請求項1または2に記載のスキンケア剤。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のスキンケア剤を含んでいる、スキンケア製品。
  6. クリーム、乳液、または化粧水である、請求項5に記載のスキンケア製品。
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