JP2023013243A - 電力利用設備 - Google Patents

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崇 市川
Takashi Ichikawa
佑介 梅津
Yusuke Umetsu
謙一 崎元
Kenichi Sakimoto
和繁 杉本
Kazushige Sugimoto
直樹 野口
Naoki Noguchi
大輔 友藤
Daisuke Tomofuji
和彦 谷村
Kazuhiko Tanimura
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Abstract

【課題】 簡単な構成で、電力出力装置の応答性を考慮することなく、電力利用設備の外部電力系統に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる電力利用設備を提供する。【解決手段】 電力利用設備は、外部電力系統と所定の第1接続点を介して接続される少なくとも1つの電力出力装置と、第1接続点より外部電力系統側の第2接続点に接続される電力変換器と、電力変換器に接続される蓄電器と、制御器と、を備える。制御器は、第1電力偏差に基づいて、電力出力装置からの出力電力を増減する第1指令を生成する第1指令生成部と、授受電力目標値から授受電力を差し引いた第2電力偏差に基づいて、出力電力を調整する第2指令を生成する第2指令生成部とを含む。第2指令生成部は、第2電力偏差が電力授受要求値に基づいて定められる上限値を超えた場合、蓄電器を充電する充電指令を生成し、下限値未満の場合、蓄電器から放電する放電指令を生成する。【選択図】図1

Description

本開示は、発電機等の電力出力装置を備え、外部電力系統に電力の授受が可能となるように接続される電力利用設備に関する。
近年、商用電力系統等の外部電力系統を管轄する電気事業者が、外部電力系統からの電力を利用する工場等の電力利用設備に対して、外部電力系統から電力利用設備に供給される電力(受電電力)を抑制する等の要請を行うことがある。これに対して、受電電力を抑制した電力利用設備は、電気事業者から対価の支払い(例えば電力料金の割引等)を受ける。このような取引は、ディマンドリスポンス(Demand Response)によるネガワット取引と称される。
また、電力利用設備として、原動機発電機や蓄電池等の電力出力装置を備えた電力利用設備が知られている。このような電力利用設備において、ネガワット取引を行う場合、電力利用設備は、電力出力装置が出力する電力を増やすことで、外部電力系統から電力利用設備に供給される電力の抑制量(ディマンドリスポンスの要求量。以下、DR要求量)を賄うことが可能となる。
しかし、負荷へ供給される電力は負荷の状況に応じて変化する。このため、外部電力系統に対する授受電力を適切に制御する(抑制量がDR要求量を下回らないようにする)には、負荷の状況に応じて電力出力装置の出力電力を制御する必要が生じる。
このような観点から、下記特許文献1では、蓄電池を備えたシステムにおいてディマンドリスポンスの要求(DR要求)が行われた場合に、実受電電力に受電電力バイアス値を加算してネガワット取引時の仮想受電電力を算出し、実受電電力に代えてその仮想受電電力に基づいて蓄電池から出力されるシステム出力の指令値を生成している。
しかし、特許文献1では、DR要求の有無で制御態様を切り替える必要が生じる。また、特許文献1では、蓄電池から出力されるシステム出力の指令値(電力値)を算出している。このため、システム出力の現在値を計測する必要が生じる。このため、複数の電力出力装置を備えた電力利用設備においては、個々の出力値を計測し、個々の指令値を算出する必要が生じる。
また、特許文献1の態様を、蓄電池の代わりに原動機発電機等の発電機を用いた電力利用設備に適用しようとした場合、システム出力の指令値を算出する際に、応答の遅い原動機発電機の応答性を考慮した指令値にする必要が生じる。応答性を考慮しないと、指令値に発電機の出力が追従できなくなり、制御が発散してしまう恐れがある。また、特性の異なる複数の電力出力装置を備えた電力利用設備においては、それぞれの応答性を考慮する必要が生じ、特許文献1の態様をそのようなシステムに適用することは容易ではない。
これに関し、下記特許文献2には、複数の発電機のそれぞれの特性を考慮した制御態様が開示されているが、複数の発電機に対して個別に制御が必要であることは変わらず、発電機ごとに制御パラメータの設計を行う必要が生じる。
特開2018-160949号公報 国際公開第2015/098083号
以上のように、特許文献1および2の制御態様では、様々な種類の電力出力装置を備えた電力利用設備の制御に容易に適用ができない。また、上記のような課題は、DR要求に伴う電力出力装置の制御だけでなく、売電等の電力出力装置の様々な制御状況においても生じ得る。
さらに、需給調整市場における取引において、例えば、三次調整力-2と呼ばれるような、より短い単位時間での電力需給要求が求められる場合がある。
そこで、本開示の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、電力出力装置を備えた電力利用設備において、簡単な構成で、電力出力装置の応答性を考慮することなく、電力利用設備の外部電力系統に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる電力利用設備を提供することにある。
本開示の一態様における電力利用設備は、外部電力系統と所定の第1接続点を介して電力の授受を行うように接続される少なくとも1つの電力出力装置と、前記第1接続点における授受電力を計測する電力計測器と、前記第1接続点より前記外部電力系統側の第2接続点に、前記外部電力系統と電力の授受を行うように接続される電力変換器と、前記電力変換器に接続される蓄電器と、前記電力出力装置および前記電力変換器を制御する制御器と、を備え、前記制御器は、所定の電力授受要求値を取得し、前記電力授受要求値に基づいて授受電力目標値を生成する目標値生成部と、前記第1接続点において計測された授受電力を取得し、前記授受電力目標値から、取得した前記授受電力を差し引いた第1電力偏差を算出する電力偏差算出部と、前記第1電力偏差に基づいて、前記電力出力装置からの出力電力を増減する第1指令を生成する第1指令生成部と、前記授受電力目標値から前記授受電力を差し引いた第2電力偏差に基づいて、前記蓄電器の充放電により前記電力変換器からの出力電力を調整する第2指令を生成する第2指令生成部と、を含み、前記第1指令生成部は、前記第1電力偏差が所定の第1しきい値以上である場合、前記出力電力を減少させる減少指令を生成し、前記第1電力偏差が前記第1しきい値以下の第2しきい値未満である場合、前記出力電力を増加させる増加指令を生成し、前記第2指令生成部は、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる上限値を超えた場合に、前記蓄電器を充電する充電指令を生成し、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる下限値未満の場合に、前記蓄電器から放電する放電指令を生成する。
本開示によれば、電力出力装置を備えた電力利用設備において、簡単な構成で、電力出力装置の応答性を考慮することなく、電力利用設備の外部電力系統に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる。
図1は、本開示の一実施の形態に係る電力利用設備を含む電力システムの概略構成を示すブロック図である。 図2は、ネガワット取引におけるディマンドリスポンスを例示する模式的なグラフである。 図3は、図2に示すディマンドリスポンスにおいて受電電力計画値と実需要とに差が生じた場合の例を示す模式的なグラフである。 図4は、需給調整市場における三次調整力-2を例示する模式的なグラフである。 図5は、図1に示す制御器の制御ブロックの構成を示すブロック図である。 図6は、図5に示す目標値生成部、電力偏差算出部および第1指令生成部の構成例を示すブロック図である。 図7は、図3に示すディマンドリスポンスにおいて本実施の形態における授受電力制御を行った場合の模式的なグラフである。 図8は、図5に示す電力偏差補正部の構成例を示すブロック図である。 図9は、図5に示す第2指令生成部の構成例を示すブロック図である。 図10は、図5に示す充電状態補正部の構成例を示すブロック図である。 図11は、本実施の形態において電力出力装置の出力電力を売電する場合を示すグラフである。 図12は、図8に示す補正値生成部の入出力関係の他の例を示す図である。 図13は、図10に示す補正値算出部の入出力関係の他の例を示す図である。
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1は、本開示の一実施の形態に係る電力利用設備を含む電力システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力利用設備1は、複数の電力出力装置2iを備えている。ここで、i=1,2,…mである。図1の例では3つの電力出力装置2iが存在するため、m=3である。複数の電力出力装置2iは、第1接続点31を介して、外部電力系統4に接続されている。第1接続点31には、電力利用設備1に設けられる負荷5も接続されている。また、電力利用設備1は、第1接続点31における授受電力RP1を計測する電力計測器8を備えている。
これにより、電力利用設備1は、第1接続点31を介して外部電力系統4と電力の授受が可能となる。すなわち、外部電力系統4からの電力を受電して負荷5に電力を供給することができる。また、複数の電力出力装置2iから出力された電力を負荷5に供給する、または、外部電力系統4に送電(売電)することも可能である。
さらに、電力利用設備1は、第1接続点31より外部電力系統4側の第2接続点32において外部電力系統4に接続される電力変換器91を備えている。電力変換器91には、蓄電器92が接続される。電力変換器91は、蓄電器92に蓄えられた電力を放電することにより外部電力系統4に電力を供給し、外部電力系統4の電力を蓄電器92に供給することにより、蓄電器92を充電する。蓄電器92は、例えば2次電池またはキャパシタ等である。電力利用設備1は、蓄電器92の充電状態を検出する充電状態検出器93を備えている。なお、充電状態は、以下の説明および図面ではSOC(State Of Charge)とも表記される。
電力利用設備1は、複数の電力出力装置2iおよび電力変換器91を制御する制御器6を備えている。なお、これに代えて、制御器6は、電力利用設備1とは独立して設けられてもよい。また、制御器6は、複数の電力出力装置2iのそれぞれを制御する複数の電力出力装置制御器と、各電力出力装置制御器に制御指令を与える上位の制御器とを含んでもよい。制御器6は、例えばマイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを備えている。例えば、制御器6は、CPU、RAM等のメインメモリ、ストレージ、通信インターフェイス等を備えている。制御器6のストレージには、制御プログラムや各種データが記憶される。
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、または手段(…部)は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
外部電力系統4は、例えば商用電力系統である。電力利用設備1は、例えば工場である。電力出力装置2iは、例えば発電機である。発電機には、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン等の原動機発電機が含まれる。電力出力装置2iは、例えば2次電池、キャパシタ等の蓄電器でもよい。複数の電力出力装置2iは、発電効率、発電コスト、および応答性能等が異なる複数種類の発電機を含んでいてもよい。さらに、複数の電力出力装置2iは、発電機と蓄電器とを両方含んでいてもよい。
なお、第1接続点31には、制御器6とは独立した発電設備が接続されていてもよい。このような発電設備は、例えば太陽光発電設備等の再生可能エネルギーを利用した発電設備である。このような発電設備は発電電力を調整することができないため、制御器6の制御対象とはしない。なお、再生可能エネルギーとは、太陽光、水力、風力、地熱等の自然エネルギーを意味する。また、原動機発電機等、制御器6により発電電力が調整可能な電力出力装置であっても、制御器6の制御対象ではない電力出力装置が存在してもよい。
以下では、ネガワット取引時における制御器6の制御態様を例示する。以下の例では、例えばアグリゲータ等の他の電力管理システム7から制御器6に送られる電力授受要求値RQTおよび電力計測器8で計測された授受電力RP1等に基づいて、電力出力装置2iからの出力電力を増減する第1指令SC1および電力変換器91からの出力電力を調整する第2指令SC2を生成する態様を例示する。
電力授受要求値RQTは、受電電力計画値BLに対する複数の要求成分を含む。なお、以下の例において、電力授受要求値および制御器6の制御の基準となる時間的な区分として、第1単位時間、第2単位時間および第3単位時間を用いて説明する。例えば、第1単位時間は45分であり、第2単位時間は30分であり、第3単位時間は15分であるが、この組み合わせに限られない。
複数の要求成分は、第1単位時間ごとの第1受電抑制要求量RQ1および第2単位時間ごとの第2受電抑制要求量RQ2を含む。例えば、第1受電抑制要求量RQ1は、三次調整力-2による要求量に相当し、第2受電抑制要求量RQ2は、DR要求量に相当する。第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2は、互いに独立した要求成分である。
まず先に、第2受電抑制要求量RQ2について説明する。図2は、ネガワット取引におけるディマンドリスポンスを例示する模式的なグラフである。図2のグラフにおける横軸は、時刻を示し、縦軸は、需要電力を示す。図2において、第1受電抑制要求量RQ1は考慮されていない。
制御器6のストレージには、受電電力計画値BLのデータが記憶されている。受電電力計画値BLは、第2単位時間ごとの授受電力計画値を示している。受電電力計画値BLは、例えば、1日を第2単位時間ごとの時間帯に分け、直近の数日間の第2単位時間ごとの需要量の実績値を、第2単位時間帯ごとに平均したものを基準に作成されてもよい。ただし、受電電力計画値BLの決定方法は特に限定されず、種々の方法が想定される。第2単位時間は、上述の通り、例えば30分であるが、特に限定されない。
受電電力計画値BLのデータは、予めディマンドリスポンスの要求者であるアグリゲータ等の他の電力管理システム7に送られる。以下、本明細書では、ディマンドリスポンスをDRと省略する場合がある。電力管理システム7は、電力利用設備1から送られる受電電力計画値BLに基づいて第2受電抑制要求量RQ2を対応する電力利用設備1の制御器6に送信する。制御器6に送信される第2受電抑制要求量RQ2のデータは、対象の時間帯を示すDR要求期間TDRの情報を含む。図2の例では、12時から17時の間に第2受電抑制要求量RQ2分の需要抑制が要請されている。なお、受電電力計画値BLのデータは、過去の需要量を基に、電力管理システム7が計算し、電力利用設備1に通知する場合もある。
電力管理システム7は、DR要求期間TDRにおける電力利用設備1の外部電力系統4との接続点である第3接続点30における授受電力である実需要RLを監視する。第3接続点30は、第1接続点31および第2接続点32より外部電力系統4側に位置する。電力変換器91と外部電力系統4との間の電力の授受がない場合、第3接続点30における実需要RLは、第1接続点31における授受電力RP1に一致する。なお、本実施の形態において、実需要RLおよび授受電力RP1は、電力利用設備1が外部電力系統4から電力供給を受ける場合を正の値とする。電力管理システム7は、電力利用設備1における実需要RLが受電電力計画値BLから第2受電抑制要求量RQ2を差し引いた電力となっているか、すなわち、DR要求期間TDRにおいてRP=BL-RQ2となっているか否かを判定する。電力管理システム7は、実需要RLが受電電力計画値BLから第2受電抑制要求量RQ2分抑制されている場合、ディマンドリスポンスを達成していると判定し、電力利用設備1に対して所定の対価を付与する。電力管理システム7は、実需要RLが受電電力計画値BLから第2受電抑制要求量RQ2分抑制されていない場合、ディマンドリスポンスを達成していないと判定し、電力利用設備1に対して所定のペナルティを要求する。
上記のように、受電電力計画値BLは、例えば過去の実需要RLの実績値等に基づいて設定される。しかし、実際の負荷5の需要は日々変化するため、ディマンドリスポンス実施時における負荷5の需要が受電電力計画値BLに一致するとは限らない。したがって、第2受電抑制要求量RQ2分の電力を単に電力出力装置2iで追加出力するだけではディマンドリスポンスを達成できない場合が生じ得る。
図3は、図2に示すディマンドリスポンスにおいて受電電力計画値と実需要とに差が生じた場合の例を示す模式的なグラフである。図3の例では、DR要求期間TDRにおいて電力利用設備1で必要とされる電力は、実需要RLとして示されており、受電電力計画値BLより増加している。この場合、DR要求期間TDRにおいて、受電電力計画値BLに対して第2受電抑制要求量RQ2分の電力を電力出力装置2iから追加出力しただけでは、授受電力RP1を、受電電力計画値BLに対して予め想定していた仮想需要である授受電力目標値RPoまで抑制することができない。すなわち、受電電力計画値BLに対する実際の需要の増加分(RL―BL)だけ第2受電抑制要求量RQ2を抑制できていない結果となる。図3における斜線領域がDR要求に対して未達成の電力量を表している。
このように、DR要求に対する電力出力装置2iの出力調整は、実需要RLに応じて行う必要が生じる。このため、本実施の形態における制御器6は、後述する図5に示す目標値生成部60、電力偏差算出部61、第1指令生成部62、および電力偏差補正部63を制御ブロックまたは制御回路として備えている。
次に、第1受電抑制要求量RQ1について説明する。図4は、需給調整市場における三次調整力-2を例示する模式的なグラフである。図4のグラフにおける横軸は、時刻を示し、縦軸は、需要電力を示す。図4は、受電電力計画値BLの変動がなく、DR要求がない、すなわち第2受電抑制要求量RQ2が0である場合を示している。
前述の通り、電力管理システム7は、電力利用設備1から送られる受電電力計画値BLに基づいて第2受電抑制要求量RQ2を対応する電力利用設備1の制御器6に送信する。電力利用設備1は、このような計画値に基づいて授受電力の調整を行うことで外部電力系統4における電力の同時同量(balancing)を実現するように動作する。
一方で、送配電事業者においても需要予測等をもとに策定した発電計画に基づき系統運用を行っている。しかし、太陽光発電などによる発電量の変化や、想定以上の気温上昇による電力消費の増加などによって、電力の実需給が予測から外れる場合がある。そのような場合、送配電事業者は、電力管理システム7を介して一部の需要家に対し、例えば、三次調整力-2と呼ばれる、受電電力を抑制するような差分電力要求を出すことがある。電力管理システム7は、三次調整力-2における要求として、要求時点から第1単位時間後に、対応する電力利用設備1における受電電力計画値から授受電力を所定の要求量増減させることを要求する。本実施の形態では、所定の要求量を第1受電抑制要求量RQ1と表記する。
本実施の形態において、制御器6は、第3単位時間ごとに差分電力要求の有無を監視する。第3単位時間は、第1単位時間および第2単位時間より短い時間に設定される。例えば、第1単位時間が45分であり、第2単位時間が30分である場合、第3単位時間は、両者の最大公約数である15分に設定される。
本実施の形態においては、基準時刻を[n]とし、基準時刻[n]から第3単位時間後の時刻を[n+1]とし、時刻[n+1]から第3単位時間後の時刻を[n+2]とし、時刻[n+2]から第3単位時間後の時刻を[n+3]とする。時刻[n+2]は、基準時刻[n]から第2単位時間後の時刻に等しく、時刻[n+3]は、基準時刻から第1単位時間後の時刻に等しい。さらに、基準時刻[n]において生じた差分電力要求における第1受電抑制要求量RQ1をRQ1[n+3]と表記する。
図4には、10:00において第1受電抑制要求量RQ1が第1の値P1から第1の値P1より大きい第2の値P2に変化している例が示されている。基準時刻[n]を10:00とすると、時刻[n-1]までの差分電力要求における第1受電抑制要求量RQ1[j](j=…,n-1,n,n+1,n+2)は、何れもP1である。このため、仮に基準時刻[n]において第1受電抑制要求量RQ1が変化しなければ、時刻[n+2]、すなわち、10:30までの授受電力目標値RPoは、RPo=BL-P1となる。
しかし、基準時刻[n]である10:00に第1受電抑制要求量RQ1が第1の値P1から第1の値P1より大きい第2の値P2に変化したため、対応する電力利用設備1においては、基準時刻[n]から第1単位時間後の時刻[n+3]、すなわち、10:45までに、受電電力計画値BLから第2の値P2分の受電抑制を行う必要が生じる。このため、制御器6は、基準時刻[n]以降の授受電力目標値RPoを、受電電力計画値BLから第1受電抑制要求量RQ1[n+3]=P2を差し引いた値に設定する。
また、差分電力要求に対しては、許容差TIが設定されている。許容差TIは、例えば、差分電力要求の上下10%の範囲に設定される。図4の例において、制御器6は、基準時刻[n]までは、実需要RLが、第1の値P1に基づく授受電力目標値RPo1(RPo1=BL-P1)を中心とする許容差TI範囲内、すなわち、上限値UL1と下限値LL1との間の範囲となるように出力電力の調整を行う必要がある。また、制御器6は、時刻[n+3]以降は、実需要RLが、第2の値P2に基づく授受電力目標値RPo2(RPo2=BL-P2)を中心とする許容差TI範囲内、すなわち、上限値UL2と下限値LL2との間の範囲となるように、出力電力の調整を行う必要がある。なお、上限値は、差分電力要求の上限値、すなわち、需要電力を抑制する抑制量の上限値を意味し、図4における需要電力としては授受電力目標値RPoの許容最小値となる。同様に、下限値は、差分電力要求の下限値、すなわち、需要電力を抑制する抑制量の下限値を意味し、図4における需要電力としては授受電力目標値RPoの許容最大値となる。
また、基準時刻[n]から時刻[n+3]までの期間は、制御器6は、差分電力要求の移行期間として基準時刻[n]までの下限値LL1と時刻[n+3]からの上限値UL2との間の範囲となるように出力電力の調整を行う。
ここで、差分電力要求時における授受電力目標値RPoへの追従性は、DR要求に対する授受電力目標値RPoへの追従性に比べて、より短期間での追従性が求められる。例えば、DR要求に対しては30分単位での追従性が求められる一方、差分電力要求に対しては5分単位での追従性が求められる。そのため、電力出力装置2iの出力調整だけでは、差分電力要求の許容範囲を外れてしまう恐れがある。そこで、本実施の形態では、電力変換器91および蓄電器92を用いてより短時間での電力調整を可能としている。
このため、本実施の形態における制御器6は、後述する図5に示す目標値生成部60、制限範囲生成部64、第2指令生成部65、および充電状態補正部66を制御ブロックまたは制御回路として備えている。
図5は、図1に示す制御器の制御ブロックの構成を示すブロック図である。上述したように、制御器6のストレージには、予め受電電力計画値BLの情報が記憶されている。制御器6は、電力計測器8により計測された第1接続点31における授受電力RP1の情報を取得する。さらに、電力管理システム7は、第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2を制御器6に送信する。制御器6は、第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2の情報を取得し、ストレージに記憶する。より具体的には、制御器6のストレージには、計画値テーブルが記憶される。計画値テーブルは、第3単位時間ごとの時刻と、各時刻に対応する受電電力計画値BL、第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2とが対応付けられたデータセットを有している。計画値テーブルの各データは、第3単位時間の刻み幅で展開され、ストレージに記憶される。
上述したように、第1受電抑制要求量RQ1に関して、制御器6は、時刻[n]の時点で時刻[n]から第1単位時間後の時刻[n+3]における値を取得する。したがって、時刻[n]における計画値テーブルは、時刻[n+3]までの第3単位時間ごとの第1受電抑制要求量RQ1の値を含んでいる。
なお、計画値テーブルは、差分電力要求の有効または無効を示すデータを含んでもよい。差分電力要求に対する電力調整を行う時間帯を予め電力管理システム7に登録しておくことにより、電力利用設備1は、登録した時間帯内に限って差分電力要求に対する電力調整を行うことが可能となる。仮に、登録した時間帯外に差分電力要求が生じても当該電力利用設備1は、差分電力要求を行わない。差分電力要求の有効または無効を示すデータは、差分電力要求が登録した時間帯内に生じたかどうかのチェックを行い得る。
制御器6は、上述したDR要求および差分電力要求に基づいて電力出力装置2iおよび電力変換器91を制御するために、目標値生成部60、電力偏差算出部61、第1指令生成部62、電力偏差補正部63、制限範囲生成部64、第2指令生成部65、および充電状態補正部66を備えている。
まず、電力出力装置2iに対する第1指令SC1の制御系について説明する。図6は、図5に示す目標値生成部、電力偏差算出部および第1指令生成部の構成例を示すブロック図である。目標値生成部60は、受電電力計画値BLから第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2を差し引いて授受電力目標値RPoを算出する。なお、基準時刻[n]における差分電力要求は、第1単位時間後の時刻[n+3]に第1受電抑制要求量RQ1[n+3]の受電抑制を行うものであるが、上述の通り、基準時刻[n]の時点で授受電力目標値RPoに組み込まれる。すなわち、基準時刻[n]における授受電力目標値RPoは、RPo=BL[n]-RQ2[n]-RQ1[n+3]となる。
電力偏差算出部61は、所定の授受電力目標値RPoから、計測した授受電力RP1を差し引いた第1電力偏差ΔRPを算出する。なお、後述するように、第1電力偏差ΔRPは、RPo-RP1に、電力偏差補正部63において算出される電力補正値RPcが加算され、充電状態補正部66において算出されるSOC補正値SOCcが減算された値となるが、ひとまず電力補正値RPcおよびSOC補正値SOCcは考慮しない。
第1指令生成部62は、電力偏差算出部61で算出された第1電力偏差ΔRPに基づいて電力出力装置2iの出力電力を増減する第1指令SC1を生成する。第1指令生成部62で生成される第1指令SC1は、増加指令SC1u、減少指令SC1dおよび維持指令SC1mを含む状態指令である。本明細書において、状態指令とは、電力出力装置2iを出力増加状態、出力減少状態または出力維持状態の何れかの電力出力状態にするための指令であり、具体的な電力出力目標値を含まない概念として定義される。
増加指令SC1uは、電力出力装置2iに対して、出力電力(瞬時値)を増加させる(出力増加状態にする)指令である。例えば、電力出力装置2iが原動機発電機である場合、増加指令SC1uは、原動機のガバナに発電電力を増加させる指令である。また、減少指令SC1dは、電力出力装置2iに対して、出力電力(瞬時値)を減少させる(出力減少状態にする)指令である。例えば、電力出力装置2iが原動機発電機である場合、減少指令SC1dは、原動機のガバナに発電電力を低減させる指令である。また、維持指令SC1mは、電力出力装置2iに対して、出力電力(瞬時値)を維持させる(出力維持状態にする)指令である。例えば、電力出力装置2iが原動機発電機である場合、維持指令SC1mは、原動機のガバナに発電電力を維持させる指令である。
図6には、第1指令生成部62における指令生成態様がグラフとして模式的に示されている。図6に示すように、第1指令生成部62は、第1電力偏差ΔRPが所定の第1しきい値T1以上である場合、減少指令SC1dを生成し、第1電力偏差ΔRPが第1しきい値T1より小さい第2しきい値T2未満である場合、増加指令SC1uを生成する。さらに、第1指令生成部62は、第1電力偏差ΔRPが第2しきい値T2以上かつ第1しきい値T1未満である場合、維持指令SC1mを生成する。
例えば、第1しきい値T1が所定の正の値に設定され、第2しきい値T2が第1しきい値T1と同じ大きさの負の値に設定される。これに代えて、第1しきい値T1が所定の正の値に設定され、第2しきい値T2が第1しきい値T1と異なる大きさの負の値に設定されてもよい。また、第1電力偏差ΔRPに所定のオフセット値が与えられる場合、第1しきい値T1および第2しきい値T2は、いずれも正の値またはいずれも負の値としてもよい。
第1指令生成部62で生成された第1指令SC1は、複数の電力出力装置2iのそれぞれに送られる。このとき、複数の電力出力装置2iのそれぞれに送られる第1指令SC1は、共通の指令である。すなわち、電力出力装置2iの出力特性等に応じて第1指令SC1を個別にカスタマイズする必要はない。
第1指令生成部62から出力される第1指令SC1は、例えば、連続して出力されるパルスによって構成されてもよい。この場合、増加指令SC1uは、例えば正のパルスである出力増加パルスを連続して出力する状態として構成される。また、減少指令SC1dは、例えば負のパルスである出力減少パルスを連続して出力する状態として構成される。また、維持指令SC1mは、パルスを出力しない状態として構成される。これに代えて、パルスの振幅または幅が異なる3つのパルスをこれらの状態指令SC1u,SC1d,SC1mに割り当ててもよい。
このような第1指令SC1を受信した各電力出力装置2iは、その第1指令SC1の内容に応じた出力制御を行う。増加指令SC1uを受信している間、電力出力装置2iは、出力を上げ続ける。減少指令SC1dを受信している間、電力出力装置2iは、出力を下げ続ける。維持指令SC1mを受信している間、電力出力装置2iは、出力を維持し続ける。例えば、電力出力装置2iが発電機である場合、第1指令SC1に応じてガバナの出力を調整する。
このとき、各電力出力装置2iは、各自の応答性に合わせて出力制御を行う。例えば、応答が速い電力出力装置2iは、増加指令SC1uに対して高いレートで出力を増加させる。応答が遅い電力出力装置2iは、増加指令SC1uに対して低いレートで出力を増加させる。このため、複数の電力出力装置2iにおいて原動機の種類が異なったり、応答性が異なったりしていても、制御器6は、各電力出力装置2iの応答性を考慮することなく、一の(共通する)第1指令SC1を出力すればよい。
図7は、図3に示すディマンドリスポンスにおいて本実施の形態における授受電力制御を行った場合の模式的なグラフである。図7において、受電電力計画値BL、および電力管理システム7が要求する第2受電抑制要求量RQ2は、図3と同じである。また、図7においても、図3と同様に、DR要求期間TDRにおいて電力利用設備1で必要とされる電力である実需要RLが、受電電力計画値BLより増加している。
本実施の形態によれば、計測される授受電力RP1が授受電力目標値RPo(=BL-RQ2)に一致するように制御される。すなわち、電力利用設備1における実需要RLが受電電力計画値BLより増えると、その増加分の電力を補うように、電力出力装置2iの出力電力が増加する。この結果、受電電力計画値BLに対してDR要求期間TDRにおいて電力出力装置2iが負担した電力は、第2受電抑制要求量RQ2に、受電電力計画値BLに対する実需要RLの偏差分を加えた電力RQcとなる。このときの電力量は、図7における斜線領域で示される。
図7からも明らかなように、上記構成によれば、授受電力RP1の授受電力目標値RPoとの第1電力偏差ΔRPに応じて電力出力装置2iが出力する電力を増減させることにより、電力利用設備1における負荷の変動状況にかかわらず、授受電力RP1を授受電力目標値RPoに維持することができる。
また、複数の電力出力装置2iが第1接続点31に接続されているにもかかわらず、電力出力装置2iの出力電力を個別に計測する必要がないため、電力利用設備1におけるシステム構成を簡単にすることができる。さらに、上述したように、電力出力装置2iに対する第1指令SC1は、単純な増加指令SC1u、減少指令SC1dまたは維持指令SC1mだけであり、制御器6において電力出力装置2iの応答性等を考慮して制御調整を行う必要がない。
このような第1指令SC1に対して電力出力装置2iにおいて、応答速度の速い電力出力装置2iは速く応答し、応答速度の遅い電力出力装置2iは遅く応答するため、複数の電力出力装置2iとして応答性の異なる電力出力装置2iが設けられていても、複数の電力出力装置2i間で自動的に応答性に応じた出力電力の分担を行うことができる。言い換えると、応答性の異なる複数の電力出力装置2iを共通の第1接続点31に接続して、電力の分担調整を簡単に行うことができる。応答性の異なる複数の電力出力装置2iとして、異なる種類の発電機が接続されてもよいし、発電機と蓄電池とが接続されてもよい。
さらに、複数の電力出力装置2iとして、例えば定格近くで出力している余力の少ない電力出力装置と、余力の多い電力出力装置とが存在する場合、増加指令SC1uに対して、余力の少ない電力出力装置は定格以上の電力は出力しないため、自動的に余力の多い電力出力装置に負担する出力電力を増やすような分担を行うことができる。
以上より、本実施の形態によれば、電力出力装置2iを備えた電力利用設備1において、簡単な構成で、電力出力装置2iの応答性を考慮することなく、電力利用設備1の外部電力系統4に対する授受電力RP1が授受電力目標値RPoとなるように適切に制御することができる。
また、第1指令生成部62は、第1指令SC1を生成するために、各電力出力装置2iの出力電力または負荷の消費電力を取得する必要がない。すなわち、本実施の形態における電力利用設備1は、電力出力装置2iの出力電力を個別に計測する、または、負荷の消費電力を計測する構成は不要である。したがって、電力利用設備1におけるシステム構成を簡単にすることができる。さらに、電力利用設備1における機器構成の変更が必要となった場合であっても、制御を変更することなく対応することができる。
ここで、本実施の形態において、第1指令生成部62は、第1電力偏差ΔRPが第2しきい値T2以上かつ第1しきい値T1未満である場合、維持指令SC1mを生成する。すなわち、第1電力偏差ΔRPが0ではない場合であっても、電力出力装置2iから出力される出力電力が維持される。このような増加指令も減少指令も出ない不感帯領域を作ることにより、電力出力装置2iからの出力電力を頻繁に変化することを抑制できる。
その一方で、第1電力偏差ΔRPが第1しきい値T1と第2しきい値T2との間で維持された場合に、第1電力偏差ΔRPが残り続けることになる。そこで、制御器6は、授受電力RP1だけでなく、授受電力量に基づいた制御も行う。より具体的には、制御器6の電力偏差補正部63は、授受電力量に基づく電力補正値を生成し、その電力補正値RPcを用いて第1電力偏差ΔRPを補正する。このとき、第1電力偏差ΔRPは、RPo+RPc-RP1となる。
図8は、図5に示す電力偏差補正部の構成例を示すブロック図である。図8に示されるように、電力偏差補正部63は、電力量偏差算出部631および補正値生成部632を備えている。電力量偏差算出部631は、授受電力RP1を積算して得られる授受電力量RE1および授受電力目標値RPoを積算して得られる授受電力量目標値REoを算出し、授受電力量RE1の授受電力量目標値REoに対する電力量偏差ΔREを算出する。電力量偏差算出部631は、授受電力量RE1を得るための授受電力RP1の積算および授受電力量目標値REoを得るための授受電力目標値RPoの積算を、第2単位時間ごとにリセットする。
本実施の形態において、電力量偏差算出部631は、授受電力量算出部633および授受電力量目標値算出部634を備えている。授受電力量算出部633は、計測された授受電力RP1を積算して授受電力量RE1を算出する。授受電力量目標値算出部634は、授受電力目標値RPoから後述するSOC補正値SOCcを減算した値を積算して授受電力量目標値REoを算出する。
授受電力量算出部633および授受電力量目標値算出部634は、いずれも積分器を含む。すなわち、授受電力量算出部633は、入力される授受電力RP1(瞬時値)を積分する。授受電力量算出部633には、第2単位時間ごとにリセット信号Srが入力される。電力偏差補正部63は、タイマ635を備え、第2単位時間ごとにリセット信号Srを出力する。授受電力量算出部633は、リセット信号Srを受信するごとに積分結果をリセットする。この結果出力された積分値は、授受電力RP1が第2単位時間分積算された授受電力量RE1となる。
同様に、授受電力量目標値算出部634は、入力される授受電力目標値RPoからSOC補正値SOCcを減算したSOC補正後の授受電力目標値RPo-SOCc(瞬時値)を積分する。授受電力量目標値算出部634にも、タイマ635から第2単位時間ごとに出力されるリセット信号Srが入力される。授受電力量目標値算出部634は、リセット信号Srを受信するごとに積分結果をリセットする。この結果出力された積分値は、SOC補正後の授受電力目標値RPo-SOCcが第2単位時間積算された授受電力量目標値REoとなる。
本実施の形態において、リセット信号Srの周期は、第2単位時間であり、電力管理システム7による第2受電抑制要求量RQ2の更新タイミングに等しい。これにより、電力量による電力調整を、電力管理システム7がディマンドリスポンスの達成に関する評価を行うタイミングに合わせることができる。
電力量偏差算出部631は、授受電力量目標値REoから授受電力量RE1を差し引いて電力量偏差ΔREを算出する。補正値生成部632は、電力量偏差ΔREから電力補正値RPcを生成する。より詳しくは、補正値生成部632は、電力量偏差ΔREが所定の第3しきい値T3以上である場合、第1電力偏差ΔRPが増加するような電力補正値RPcを生成し、電力量偏差ΔREが第3しきい値T3より小さい第4しきい値T4未満である場合、第1電力偏差ΔRPが減少するような電力補正値RPcを生成する。本実施の形態において、第3しきい値T3は、所定の正の値に設定され、第4しきい値T4は、第3しきい値T3と同じ大きさの負の値に設定される。
例えば、第1電力偏差ΔRPが0より大きく第1しきい値T1より小さい値が維持された場合、電力量偏差ΔREは、第2単位時間内において単調増加する。電力量偏差ΔREが第3しきい値T3を超えると、補正値生成部632は、第1電力偏差ΔRPが増加するような電力補正値RPcを生成する。例えば、電力補正値RPcとして所定の正のオフセット値Pchが与えられる。オフセット値Pchの大きさは、特に限定されないが、例えば第1しきい値T1以上としてもよい。
オフセット値Pchの大きさが第1しきい値T1の大きさより大きい場合、第1指令生成部62に入力される補正後の第1電力偏差ΔRPは、第1しきい値T1を超える、または、超え易くなる。したがって、第1指令生成部62は、減少指令SC1dを出力する、または、出力し易くなる。この結果、第1電力偏差ΔRPが減少する。
第1電力偏差ΔRPが0より小さく第2しきい値T2より小さい値が維持された場合も同様である。電力量偏差ΔREが第4しきい値T4を下回ると、補正値生成部632は、第1電力偏差ΔRPが減少するような電力補正値RPcを生成する。例えば、電力補正値RPcとして所定の負のオフセット値Pclが与えられる。
オフセット値Pclの大きさが第2しきい値T2の大きさより大きい場合、第1指令生成部62に入力される補正後の第1電力偏差ΔRPは、第2しきい値T2を下回る、または、下回り易くなる。したがって、第1指令生成部62は、増加指令SC1uを出力する、または、出力し易くなる。この結果、第1電力偏差ΔRPが増加する。
このような構成によれば、計測された授受電力RP1に基づく第1電力偏差ΔRPに、授受電力量RE1に基づく電力補正値RPcを加えることにより、授受電力RP1の瞬時値だけを制御した場合に生じ得る微小な偏差の蓄積を補正することができる。したがって、ディマンドリスポンスの達成率の評価、判定に用いられる第2単位時間ごとの授受電力量RE1が授受電力量目標値REoとなるように適切に制御することができる。これにより、ディマンドリスポンスの達成率を高くすることができる。
なお、本実施の形態において、補正値生成部632は、電力量偏差ΔREが第4しきい値T4以上かつ第3しきい値T3未満である場合、電力補正値RPcを0とする。すなわち、この場合は電力量による補正が行われない。さらに、補正値生成部632は、電力補正値RPcとして0を出力している状態から所定のオフセット値Pch,Pclを出力するように切り替えるしきい値である第3しきい値T3および第4しきい値T4と、電力補正値RPcとして所定のオフセット値Pch,Pclを出力している状態から0に切り替えるしきい値である第5しきい値T5および第6しきい値T6との間に、ヒステリシス特性を持たせている。
すなわち、正のオフセット値Pchを出力している状態から電力補正値RPcを0に切り替える第5しきい値T5は、電力量偏差ΔREが0より大きく第3しきい値T3より小さい値に設定される。同様に、負のオフセット値Pclを出力している状態から電力補正値RPcを0に切り替える第6しきい値T6は、電力量偏差ΔREが0より小さく第4しきい値T4より大きい値に設定される。
これにより、頻繁に電力補正値RPcの値が切り替わるのを防止し、安定した制御を行うことができる。
次に、電力変換器91に対する第2指令SC2の制御系について説明する。上述の通り、制御器6のストレージに記憶される計画値テーブルは、差分電力要求に伴う第3単位時間ごとの第1受電抑制要求量RQ1のデータを含んでいる。また、制御器6のストレージには、差分電力要求の許容差TIの値が記憶される。
制限範囲生成部64は、第1受電抑制要求量RQ1の第1単位時間における最大値RQ1MAXから上限値ULを生成する。上述したように、基準時刻[n]において制御器6が取得した第1受電抑制要求量RQ1は、第1単位時間後の第1受電抑制要求量RQ1[n+3]である。したがって、基準時刻[n]において、計画値テーブルは、第1受電抑制要求量RQ1[n],RQ1[n+1],RQ1[n+2],RQ1[n+3]のデータを含んでいる。制限範囲生成部64は、基準時刻[n]から時刻[n+3]までの間の第1受電抑制要求量RQ1のうちの最大値RQ1MAXを抽出する。制限範囲生成部64は、抽出した第1単位時間における第1受電抑制要求量RQ1の最大値RQ1MAXに許容差TIを加算したものから基準時刻[n]において取得した第1受電抑制要求量RQ1の値、すなわち、基準時刻[n]から第1単位時間後の第1受電抑制要求量RQ1[n+3]を差し引いて上限値ULを算出する。
図4の例において、RQ1[n]=RQ1[n+1]=RQ1[n+2]=P1であり、RQ1[n+3]=P2(P2>P1)である。このため、基準時刻[n]における最大値RQ1MAXは、P2である。したがって、基準時刻[n]における上限値ULは、P2+TI-P2=TIとなる。前述した通り、上限値ULは、需要電力を抑制する上限値を意味し、図4における需要電力としては授受電力目標値RPoの許容最小値となる。したがって、図4の基準時刻[n]における上限値ULは、UL2となる。
同様に、制限範囲生成部64は、第1受電抑制要求量RQ1の第1単位時間における最小値RQ1MINから下限値LLを生成する。基準時刻[n]において、制限範囲生成部64は、基準時刻[n]から時刻[n+3]までの間の第1受電抑制要求量RQ1のうちの最小値RQ1MINを抽出する。制限範囲生成部64は、抽出した第1単位時間における第1受電抑制要求量RQ1の最小値RQ1MINにから許容差TIを減算したものから基準時刻[n]において取得した第1受電抑制要求量RQ1の値、すなわち、基準時刻[n]から第1単位時間後の第1受電抑制要求量RQ1[n+3]を差し引いて下限値LLを算出する。
図4の例において、基準時刻[n]における最小値RQ1MINは、P1である。したがって、基準時刻[n]における下限値LLは、P1-TI-P2=-(TI+P2-P1)となる。前述した通り、下限値LLは、需要電力を抑制する下限値を意味し、図4における需要電力としては授受電力目標値RPoの許容最大値となる。したがって、図4の基準時刻[n]における下限値LLは、LL1となる。
同様に、例えば、図4の例において、時刻[n+4]における最大値RQ1MAXは、時刻[n+1]から時刻[n+4]までの第1受電抑制要求量RQ1の最大値であるP2である。したがって、時刻[n+4]における上限値ULは、P2+TI-P2=TIとなる。すなわち、図4の時刻[n+4]における上限値ULもUL2となる。また、時刻[n+4]における最小値RQ1MINは、時刻[n+1]から時刻[n+4]までの第1受電抑制要求量RQ1の最小値であるP2である。したがって、時刻[n+4]における下限値LLは、P2-TI-P2=-TIとなる。すなわち、図4の時刻[n+4]における下限値LLはLL2となる。
このようにして、制限範囲生成部64は、第3単位時間ごとの各時刻において上限値ULおよび下限値LLを生成する。生成された上限値ULおよび下限値LLは、制御器6のストレージに記憶される。図4の例において、基準時刻[n]までの上限値および下限値の組み合わせは(UL1,LL1)である。同様に、基準時刻[n]から時刻[n+3]までの上限値および下限値の組み合わせは、(UL2,LL1)である。同様に、時刻[n+3]以降の上限値および下限値の組み合わせは、(UL2,LL2)である。
図9は、図5に示す第2指令生成部の構成例を示すブロック図である。第2指令生成部65は、目標値生成部60で生成された授受電力目標値RPo、電力計測器8で計測された授受電力RP1、制限範囲生成部64で生成された上限値ULおよび下限値LLに基づいて第2指令SC2を生成する。
第2指令生成部65は、授受電力目標値RPoから授受電力RP1を差し引いて第2電力偏差ΔPを算出する減算器651と、減算器651から出力される第2電力偏差ΔPを上限値ULおよび下限値LLと比較して第2指令として出力する出力電力指令値DPoを算出する指令値算出部652と、を含む。
授受電力目標値RPoから授受電力RP1を差し引いた値である第2電力偏差ΔPは、ΔP=RPo-RP1で表される。第2電力偏差ΔPは、電力偏差補正部63および充電状態補正部66で生成される各補正値により補正される前の第1電力偏差ΔRPに等しい。
指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPと上限値ULおよび下限値LLとを比較する。上述の通り、上限値ULおよび下限値LLは、第3単位時間ごとに更新される。第2電力偏差ΔPが上限値ULより大きい場合、指令値算出部652は、蓄電器92を充電するような出力電力指令値DPoを算出する。このときの出力電力指令値は、蓄電器92が放電する方向、すなわち、電力変換器91を介して外部電力系統4に電力を出力する方向を正とすると、-(ΔP-UL)で表される。
指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPが下限値LLより小さい場合、蓄電器92から放電するような出力電力指令値DPoを生成する。このときの出力電力指令値DPoは、蓄電器92が放電する方向を正とすると、DPo=-(ΔP-LL)で表される。指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPが上限値ULと下限値LLとの間である場合、出力電力指令値DPoを0とする。
第2指令生成部65は、指令値算出部652が算出した出力電力指令値DPoを含む第2指令SC2を生成し、電力変換器91に出力する。なお、第2指令生成部65は、出力電力指令値DPoが0である場合、第2指令SC2を生成しないようにしてもよい。
図4の例では、時刻[n-2]である9:30の時点で需要電力がUL1を下回っている。この場合、第2電力偏差ΔPは、許容差TIより大きい正の値ΔP[n-2]となる。したがって、指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPがこのときの上限値UL1より大きいと判定し、出力電力指令値DPo=-(ΔP[n-2]-UL1)<0を算出する。第2指令生成部65は、この出力電力指令値DPo分を蓄電器92に充電するような第2指令SC2を生成する。
また、図4の例では、時刻[n+5]である11:15の時点で需要電力がLL2を上回っている。この場合、第2電力偏差ΔPは、許容差TIより大きい負の値ΔP[n+5]となる。したがって、指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPがこのときの下限値LL2より小さいと判定し、出力電力指令値DPo=-(ΔP[n+5]-LL2)>0を算出する。第2指令生成部65は、この出力電力指令値DPo分を蓄電器92に放電するような第2指令SC2を生成する。
例えば、図4の例において、RPo1,RPo2,TI,RP1[n-2],RP1[n+5]の各値を、以下の値とする。なお、RP1[n-2]は、時刻[n-2]における授受電力であり、RP1[n+5]は、時刻[n+5]における授受電力である。
RPo1=10MW
RPo2=9MW
TI=0.1MW
RP1[n-2]=9.7MW
RP1[n+5]=9.3MW
このとき、時刻[n-2]における第2電力偏差ΔP[n-2]は、0.3MWであり、許容差TI=0.1MWより大きい。したがって、指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPがこのときの上限値UL1より大きいと判定し、出力電力指令値DPo=-(ΔP[n-2]-UL1)=-(0.3MW-0.1MW)=-0.2MWを算出する。これにより、第2指令SC2は、蓄電器92を0.2MW充電するように電力変換器91を制御する充電指令となる。
同様に、時刻[n+5]における第2電力偏差ΔP[n+5]は、-0.3MWであり、許容差TI=-0.1MWより小さい。したがって、指令値算出部652は、第2電力偏差ΔPがこのときの下限値LL2未満であると判定し、出力電力指令値DPo=-(ΔP[n+5]-LL2)=-(-0.3MW-(-0.1MW))=0.2MWを算出する。これにより、第2指令SC2は、蓄電器92を0.2MW放電するように電力変換器91を制御する放電指令となる。
このように、本実施の形態によれば、差分電力要求等の授受電力目標値RPoの変動に伴って、電力出力装置2iの出力電力が増減し、第2単位時間ごとの授受電力目標値RPoの達成を実現する。さらに、本実施の形態によれば、第2単位時間より短い時間単位での授受電力RP1の変動に対して、蓄電器92を用いた電力補償が行われる。この結果、第3接続点30での授受電力が受電電力計画値BLに対する各要求成分を満足させることができる。したがって、簡単な構成で、電力出力装置2iの応答性を考慮することなく、電力利用設備1の外部電力系統4に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる。
また、蓄電器92を用いた電力補償の際、電力出力装置2iの出力調整の結果、すなわち、第1接続点31における授受電力RP1が差分電力要求の許容差を超えた場合に、その超えた分を蓄電器92において補償するように電力変換器91が制御される。したがって、蓄電器92の容量を、電力出力装置2iの応答速度、電力利用設備1に接続される負荷5の変動または受電電力計画値BL等を考慮した必要最小限に抑えることができる。
なお、図4の例では、継続して差分電力要求が生じている例を示しているが、差分電力要求が生じていない場合、または、差分電力要求が無効に設定されている期間は、電力変換器91に対する制御は行われなくてもよい。これにより、蓄電器92に対する充放電の回数または頻度が低減することができる。したがって、充放電に伴う電力の損失を抑制し、蓄電器92の劣化を抑制することができる。
以上のように、本実施の形態では、電力出力装置2iに対する出力電力の調整では対応し切れない、短い時間単位での授受電力RP1の変動が蓄電器92により補償される。蓄電器92による電力補償をいつでも実行可能とするためには、蓄電器92のSOCが基準値から逸脱した状態とならないようにすることが望ましい。すなわち、例えば、SOCが過剰に高い過充電の状態になると、外部電力系統4から蓄電器92への充電が行えない。また、例えばSOCが過剰に低い過放電の状態になると、蓄電器92から外部電力系統4への放電が行えない。
そこで、本実施の形態においては、充電状態補正部66が充電状態検出器93で検出されたSOC検出値SOCdに基づいて第1電力偏差ΔRPを補正するためのSOC補正値SOCcを生成する。図10は、図5に示す充電状態補正部の構成例を示すブロック図である。充電状態補正部66は、減算器661と、補正値算出部662と、を含む。減算器661は、所定のSOC目標値SOCoからSOC検出値SOCdを差し引いてSOC偏差ΔSOCを算出する。SOC目標値SOCoは、制御器6のストレージに予め記憶される。
補正値算出部662は、SOC偏差ΔSOCからSOC補正値SOCcを算出する。補正値算出部662は、SOC偏差ΔSOCが所定の第1参照値R1以上である場合に、蓄電器92を充電する充電補正値SOCccをSOC補正値SOCcとして生成する。また、補正値算出部662は、SOC偏差ΔSOCが第1参照値R1以下の所定の第2参照値R2未満である場合に、蓄電器92から放電する放電補正値SOCcdをSOC補正値SOCcとして生成する。補正値算出部662は、SOC偏差ΔSOCが第2参照値R2以上かつ第1参照値R1未満である場合、SOC補正値SOCcは、0を出力する。すなわち、この場合には、蓄電器92のSOC補正に関わる充放電は行われない。
例えば、第1参照値R1が所定の正の値に設定され、第2参照値R2が第1参照値R1と同じ大きさの負の値に設定される。これに代えて、第1参照値R1が所定の正の値に設定され、第2参照値R2が第1参照値R1と異なる大きさの負の値に設定されてもよい。
本実施の形態において、SOC補正値SOCcは、第3単位時間ごとに更新される。言い換えると、SOC補正値SOCcは、第3単位時間の間、同じ値に保持される。そのために、充電状態補正部66は、補正値保持部663およびタイマ664を含む。補正値保持部663は、補正値算出部662の出力を第3単位時間保持する。
タイマ664は、第3単位時間ごとに保持信号Shを出力する。補正値保持部663には、第3単位時間ごとに保持信号Shが入力される。補正値保持部663は、第1タイミングにおける保持信号Shを受信してから第3単位時間経過後の第2タイミングにおいて次の保持信号Shを受信するまで、第1タイミングにおける補正値算出部662の出力を、充電状態補正部66が出力するSOC補正値SOCcとして保持する。この結果、充電状態補正部66が出力するSOC補正値SOCcは、第3単位時間ごとに更新される値となる。
このようにして生成されたSOC補正値SOCcは、電力偏差算出部61および電力偏差補正部63に入力される。電力偏差算出部61は、授受電力目標値RPoからSOC補正値SOCcを減算する。例えば、SOC補正値SOCcが充電補正値SOCccである場合、第1電力偏差ΔRPがSOC補正値SOCcにより減少する。これにより、第1指令SC1が増加指令SC1uになり易くなる、または、第1指令SC1が減少指令SC1dになり難くなる。このため、電力出力装置2iからの出力電力が促進される。
この結果、外部電力系統4から電力利用設備1へ電力を受ける側を正とする授受電力RP1は、授受電力目標値RPoより低くなり易くなる。そのため、第2指令生成部65における第2電力偏差ΔP(=RPo-RP1)が上限値ULを超え易くなる。上述の通り、第2電力偏差ΔPが上限値ULを超えた場合、指令値算出部652は、蓄電器92を充電するような出力電力指令値DPoを算出し、蓄電器92が充電される。
一方、SOC補正値SOCcが放電補正値SOCcdである場合、第1電力偏差ΔRPがSOC補正値SOCcにより増加する。これにより、第1指令SC1が減少指令SC1dになり易くなる、または、第1指令SC1が増加指令SC1uになり難くなる。このため、電力出力装置2iからの出力電力が抑制される。
この結果、授受電力RP1は、授受電力目標値RPoを超え易くなる。そのため、第2指令生成部65における第2電力偏差ΔP(=RPo-RP1)が下限値LLより低くなり易くなる。上述の通り、第2電力偏差ΔPが下限値LLより低くなった場合、指令値算出部652は、蓄電器92から放電するような出力電力指令値DPoを算出し、蓄電器92が放電される。
このように、蓄電器92のSOCの値に応じて、電力出力装置2iからの出力電力を調整することにより、第3接続点30での授受電力が受電電力計画値BLに対する各要求成分を満足し、かつ、蓄電器92のSOCをSOC目標値SOCoに近づけるように、電力変換器91が動作する。これにより、蓄電器92のSOCをSOC目標値SOCoに基づく所定範囲内に維持することができる。このため、蓄電器92に対して充放電を行う装置を別途用いることなく、蓄電器92を用いた電力調整を継続することができる。さらに、蓄電器92の蓄電容量を低減することができる。
また、本実施の形態において、充電状態補正部66は、SOC偏差ΔSOCが第2参照値R2以上かつ第1参照値R1未満である場合、SOC補正値SOCcとして0を出力する。すなわち、SOC偏差ΔSOCが0ではない場合であっても、SOCによる第1電力偏差ΔRPの補正は行わない。このようなSOC補正を行わない不感帯領域を作ることにより、蓄電器92のSOC補正に関わる充放電が頻繁に行われることを抑制できる。
SOC補正値SOCcは、電力偏差補正部63にも入力される。すなわち、授受電力量目標値算出部634は、授受電力目標値RPoからSOC補正値SOCcを減算した値を積算して授受電力量目標値REoを生成する。このように、授受電力量目標値REoも、授受電力目標値RPoを、SOC補正値SOCcを用いて補正した値から生成される。
このように、授受電力量RE1に基づく電力補正値RPcを生成する際にも、SOC補正値SOCcを考慮することにより、蓄電器92のSOCを適切に制御することができる。
[他の実施の形態]
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行するための態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造または機能の詳細を実質的に変更できる。
例えば、上記実施の形態においては、第1受電抑制要求量RQ1および第2受電抑制要求量RQ2が何れも受電電力計画値BLに対して外部電力系統4から電力利用設備1に供給される電力を抑制する量である場合を例示したが、第1受電抑制要求量RQ1または第2受電抑制要求量RQ2が受電電力計画値BLに対して受電電力を増大する量である場合であっても、上記実施の形態における構成によって同様に制御可能である。
また、上記実施の形態においては、外部電力系統4から電力利用設備1に電力が供給される場合の制御態様、すなわち、受電電力の制御態様を例示したが、電力利用設備1の電力出力装置2iの出力電力が外部電力系統4に供給される場合の制御態様、すなわち、売電電力の制御態様についても、上記実施の形態を適用可能である。
電力出力装置2iが電力利用設備1の需要電力以上の発電を行い、余剰電力を系統へ逆潮流させることにより、電気事業者へ売電する取引が存在する。この場合、事前に電気事業者と計画した電力である売電計画値を系統へ逆潮流させる必要がある。
このような場合にも、負荷5へ供給される電力の変化に対して、外部電力系統4に対する授受電力RP1を適切に制御する、言い換えると、売電計画値とずれないようにするには、負荷5の状況に応じて電力出力装置2iの出力電力を制御する必要が生じる。すなわち、電力利用設備1における売電電力の制御についても、DR要求に伴う受電電力の制御と同様の課題が生じる。
例えば、上記構成をそのまま利用し、授受電力が売電電力となる場合には、授受電力RP1を負の値として扱うことで同様の制御を行うことができる。図11は、本実施の形態において電力出力装置の出力電力を売電する場合を示すグラフである。図2のグラフと同様に、需要電力(受電電力)が正の値となり、売電電力は負の値となっている。
図11のグラフにおいて、授受電力RP1は、売電電力(外部電力系統4に供給される電力)となるため負の値で推移する。図11のグラフは、期間TSにおいて小売電気事業者等から売電要求量RQ2分の売電要求があった場合を示している。この場合、期間TSにおける授受電力目標値RPoは、第2単位時間ごとの売電要求量(売電電力目標値)RQ2である(RPo=RQ2(<0))。したがって、電力偏差算出部61から出力される第1電力偏差ΔRPは、ΔRP=RQ2-RP1(RQ2,RP1<0)となる。第1指令生成部62は、この第1電力偏差ΔRPに応じて第1指令SC1を生成する。
上記構成によって、授受電力RP1が売電要求量RQ2に等しい授受電力目標値RPoに一致するように制御される。また、この場合においても、電力偏差補正部63により、電力量に基づいて第1電力偏差ΔRPに補正を行うことにより、より適切な制御を実現することができる。さらに、第2指令生成部65により、授受電力目標値RPoと授受電力RP1との差分に応じて蓄電器92を充放電するための第2指令SC2が生成される。したがって、電力利用設備1の外部電力系統4に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる。
このように、上記実施の形態においては、第3接続点30における授受電力が外部電力系統4から電力を供給する場合、すなわち、正の値をとる場合および外部電力系統4に電力を供給する場合、すなわち、負の値をとる場合の何れについても同じ制御態様で制御可能である。したがって、例えば夜間は売電を行い、昼間は受電を行う等受電電力が正の値にも負の値にもなる電力利用設備1にも適用可能である。
なお、第3接続点30における授受電力が外部電力系統4に電力を供給する場合を正の値とし、外部電力系統4から電力を供給する場合を負の値としても同様の制御を行うことができる。
また、上記実施の形態では、第1のしきい値T1と第2のしきい値T2とが異なる値に設定される態様を例示したが、第1のしきい値T1と第2のしきい値T2とは同じ値(例えば0)に設定されてもよい。この場合、第1指令生成部62は、第1指令SC1として共通のしきい値以上の場合に減少指令SC1dを生成し、共通のしきい値未満の場合に増加指令SC1uを生成する。すなわち、維持指令SC1mは生成されない。
同様に、上記実施の形態では、補正値生成部632は、電力量偏差ΔREが第4しきい値T4以上かつ第3しきい値T3未満である場合に補正を行わない(電力補正値RPcを0とする)態様を例示したが、これに限られない。例えば、第3しきい値T3と第4しきい値T4とが同じ値に設定されてもよい。この場合、電力偏差補正部63は、常に有意の電力補正値RPc(≠0)を出力する。
あるいは、第3しきい値T3および第4しきい値T4が互いに異なる値に設定され、その間にヒステリシス特性を持たせてもよい。図12は、図8に示す補正値生成部の入出力関係の他の例を示す図である。図12においては、図8のうち、補正値生成部632Bのみを図示しているが、電力偏差補正部63のその他の構成は、図8に示す構成と同様である。
図12に示す補正値生成部632Bは、入力される電力量偏差ΔREの値に応じて、正のオフセット値Pchまたは負のオフセット値Pclの何れかを出力する。補正値生成部632Bは、正のオフセット値Pchを出力している状態から電力量偏差ΔREが0より小さい第4しきい値T4未満になった場合に、出力する電力補正値RPcを負のオフセット値Pclに切り替える。さらに、補正値生成部632Bは、負のオフセット値Pclを出力している状態から電力量偏差ΔREが0より大きい第3しきい値T3以上になった場合に、出力する電力補正値RPcを正のオフセット値Pchに切り替える。
このような構成によっても、頻繁に電力補正値RPcの値が切り替わるのを防止し、安定した制御を行うことができる。
また、上記実施の形態では、DR要求量または売電要求量RQ2の単位時間である第2単位時間と電力量偏差算出部631に送られるリセット信号Srの送信間隔とが同じ場合を例示したが、それらは互いに異なっていてもよい。例えば、リセット信号Srの送信間隔は、第2単位時間の整数倍の値等としてもよい。
また、上記実施の形態では、SOC補正値SOCcを算出するための第1参照値R1と第2参照値R2とが異なる値に設定される態様を例示したが、第1参照値R1と第2参照値R2とは同じ値(例えば0)に設定されてもよい。この場合、補正値算出部662は、SOC補正値SOCcとして共通のしきい値以上の場合に充電補正値SOCccを出力し、共通のしきい値未満の場合に放電補正値SOCcdを出力する。すなわち、SOC補正値SOCcは0になることはない。ただし、この場合でも、補正値保持部663によりSOC補正値SOCcは、第3単位時間保持される。
あるいは、第1参照値R1および第2参照値R2が互いに異なる値に設定され、その間にヒステリシス特性を持たせてもよい。図13は、図10に示す補正値算出部の入出力関係の他の例を示す図である。図13においては、図10のうち、補正値算出部662Bのみを図示しているが、充電状態補正部66のその他の構成は、図10に示す構成と同様である。
図13に示す補正値算出部662Bは、入力されるSOC偏差ΔSOCの値に応じて、充電補正値SOCccまたは放電補正値SOCcdの何れかを出力する。補正値算出部662Bは、正の充電補正値SOCccを出力している状態からSOC偏差ΔSOCが0より小さい第2参照値R2未満になった場合に、出力するSOC補正値SOCcを負の放電補正値SOCcdに切り替える。さらに、補正値算出部662Bは、負の放電補正値SOCcdを出力している状態からSOC偏差ΔSOCが0より大きい第1参照値R1以上になった場合に、出力するSOC補正値SOCcを正の充電補正値SOCccに切り替える。
このような構成によっても、頻繁にSOC補正値SOCcの値が切り替わるのを防止し、安定した制御を行うことができる。
また、上記実施の形態では、充電状態補正部66の補正値保持部663におけるSOC補正値の保持間隔を第3単位時間としている例を示したが、これに限られない。例えば、タイマ664からの保持信号Shの送信間隔は、第3単位時間の整数倍の値等としてもよい。
また、上記実施の形態において、電力量偏差算出部631が、授受電力RP1から授受電力量RE1を算出し、授受電力目標値RPoおよびSOC補正値SOCcから授受電力量目標値REoを算出し、授受電力量目標値REoから授受電力量RE1を差し引くことで電力量偏差ΔREを生成する構成を例示した。これに代えて、電力量偏差算出部631は、授受電力目標値RPoからSOC補正値SOCcを減算し、さらに授受電力RP1を差し引いた値を積分することにより電力量偏差ΔREを算出してもよい。
また、上記実施の形態では、電力出力装置2iが、第1電力偏差ΔRPに応じた第1指令SC1に基づいて電力を出力する態様を説明したが、電力出力装置2iは、第1電力偏差ΔRPに応じた第1指令SC1に加えて、それ以外の制御信号に基づいて制御されてもよい。例えば、制御器6またはその他の制御器において燃料費が最も安くなるような負荷配分を算出および設定し、そのような負荷配分となるような制御指令を電力出力装置2iに入力してもよい。そのような制御指令に基づいて電力出力装置2iが制御されている状態で、さらに制御器6から増加指令SC1uを受信した場合、電力出力装置2iは、現在の出力電力をさらに増加させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態における第1指令SC1に基づく制御態様は、予めDR要求がお行われる期間として設定されたDR要求期間TDRの間だけ)適用され、それ以外の場合には、第1指令SC1を用いた電力利用設備1の制御を行わなくてもよい。同様に、上記実施の形態における第2指令SC2に基づく制御態様は、差分電力要求が有効であると予め設定された期間にのみ適用され、それ以外の場合には、第2指令SC2を用いた電力利用設備1の制御を行わなくてもよい。すなわち、電力利用設備1は、上記実施の形態における制御態様とそれ以外の制御態様とを適宜切り替え可能に構成されてもよい。この場合、DR要求期間TDRおよび差分電力要求の有効期間以外の期間は、例えば、燃料費等が最適となる運用パターンで電力出力装置2iの出力電力を設定してもよい。これに代えて、DR要求期間TDRか否かにかかわらず、第1指令SC1を用いた電力利用設備1の制御を行ってもよい。また、差分電力要求の有効期間か否かにかかわらず、第2指令SC2を用いた電力利用設備1の制御を行ってもよい。
上記実施の形態においては、第1指令生成部62および第2指令生成部65が一の制御器6に含まれる態様を例示したが、第1の制御器に第1指令生成部62が含まれ、第2の制御器に第2指令生成部65が含まれてもよい。制御器6のその他の構成、すなわち、目標値生成部60、電力偏差算出部61、電力偏差補正部63、制限範囲生成部64、または充電状態補正部66は、第1の制御器または第2の制御器の何れかに含まれてもよいし、これらの制御器とは異なる第3の制御器に含まれてもよい。
また、第1接続点31に接続される電力出力装置2iの数は、1つでも2以上でもよい。また、上述したように第1接続点31に接続される電力出力装置2iは、発電機または蓄電器等、種々の電力出力装置が適用され得る。電力出力装置2iとして蓄電器が適用される場合には、単に発電するだけでなく電力出力装置2iである蓄電器に充電することも可能である。複数の電力出力装置2iが第1接続点31に接続される場合には、同様の応答性を有する電力出力装置2iが接続されてもよいし、応答性の異なる電力出力装置2iが接続されてもよい。
電力変換器91に接続される蓄電器92は、特に限定されない。例えば、蓄電器92は、2次電池でもよいし、キャパシタでもよい。
また、上記実施の形態においては、充電状態補正部66により蓄電器92のSOCを所定範囲に維持するように動作する態様を例示したが、充電状態補正部66はなくてもよい。その場合、例えば、電力利用設備1は、蓄電器92のSOCを所定範囲内に維持するように蓄電器92を充放電する充放電システムを別途備えてもよい。この充放電システムは、第1指令SC1および第2指令SC2による制御系統とは別の制御系統で動作してもよい。
[本開示のまとめ]
本開示の一態様に係る電力利用設備は、外部電力系統と所定の第1接続点を介して電力の授受を行うように接続される少なくとも1つの電力出力装置と、前記第1接続点における授受電力を計測する電力計測器と、前記第1接続点より前記外部電力系統側の第2接続点に、前記外部電力系統と電力の授受を行うように接続される電力変換器と、前記電力変換器に接続される蓄電器と、前記電力出力装置および前記電力変換器を制御する制御器と、を備え、前記制御器は、所定の電力授受要求値を取得し、前記電力授受要求値に基づいて授受電力目標値を生成する目標値生成部と、前記第1接続点において計測された授受電力を取得し、前記授受電力目標値から、取得した前記授受電力を差し引いた値から第1電力偏差を算出する電力偏差算出部と、前記第1電力偏差に基づいて、前記電力出力装置からの出力電力を増減する第1指令を生成する第1指令生成部と、前記授受電力目標値から前記授受電力を差し引いた第2電力偏差に基づいて、前記蓄電器の充放電により前記電力変換器からの出力電力を調整する第2指令を生成する第2指令生成部と、を含み、前記第1指令生成部は、前記第1電力偏差が所定の第1しきい値以上である場合、前記出力電力を減少させる減少指令を生成し、前記第1電力偏差が前記第1しきい値以下の第2しきい値未満である場合、前記出力電力を増加させる増加指令を生成し、前記第2指令生成部は、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる上限値を超えた場合に、前記蓄電器を充電する充電指令を生成し、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる下限値未満の場合に、前記蓄電器から放電する放電指令を生成する。
上記構成によれば、差分電力要求等の授受電力目標値の変動に伴って、電力出力装置の出力電力が増減し、第2単位時間ごとの授受電力目標値の達成を実現する。さらに、上記構成によれば、第2単位時間より短い時間単位での授受電力の変動に対して、蓄電器を用いた電力補償が行われる。この結果、第3接続点での授受電力が受電電力計画値に対する各要求成分を満足させることができる。したがって、簡単な構成で、電力出力装置の応答性を考慮することなく、電力利用設備の外部電力系統に対する授受電力を種々の需給要求に対応させることができる。
前記制御器は、前記電力授受要求値から前記上限値および前記下限値を生成する制限範囲生成部を含み、前記制限範囲生成部は、前記電力授受要求値に含まれる所定の要求成分の第1単位時間における最大値から前記上限値を生成し、前記要求成分の前記第1単位時間における最小値から前記下限値を生成してもよい。
前記電力利用設備は、蓄電器の充電状態を検出する充電状態検出器を備え、前記制御器は、所定の充電状態目標値から前記充電状態の検出値を差し引いた充電状態偏差に基づいて充電状態補正値を生成し、前記第1電力偏差から前記充電状態補正値を減算して前記第1電力偏差を補正する充電状態補正部を含み、前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が所定の第1参照値以上である場合に、前記蓄電器を充電する充電補正値を前記充電状態補正値として生成し、前記充電状態偏差が前記第1参照値以下の第2参照値以下である場合に、前記蓄電器から放電する放電補正値を前記充電状態補正値として生成してもよい。
上記構成によれば、蓄電器の充電状態の値に応じて、電力出力装置からの出力電力を調整することにより、電力授受要求値に含まれる要求成分を満足し、かつ、蓄電器の充電状態を充電状態目標値に近づけるように、電力変換器が動作する。これにより、蓄電器の充電状態を充電状態目標値に基づく所定範囲内に維持することができる。このため、蓄電器に対して充放電を行う装置を別途用いることなく、蓄電器を用いた電力調整を継続することができる。さらに、蓄電器の蓄電容量を低減することができる。
前記制御器は、前記第1電力偏差に電力補正値を加算して前記第1電力偏差を補正する電力偏差補正部を備え、前記電力偏差補正部は、前記授受電力を積算して得られる授受電力量および前記授受電力目標値を積算して得られる授受電力量目標値を算出し、前記授受電力量の前記授受電力量目標値に対する電力量偏差を算出する電力量偏差算出部と、前記電力量偏差から前記電力補正値を生成する補正値生成部と、を備え、前記電力量偏差算出部は、前記授受電力量を得るための前記授受電力の積算および前記授受電力量目標値を得るための前記授受電力目標値の積算を、予め定められた積算時間ごとにリセットしてもよい。このような構成によれば、計測された授受電力に基づく第1電力偏差に、授受電力量に基づく電力補正値を加えることにより、授受電力の瞬時値だけを制御した場合に生じ得る微小な偏差の蓄積を補正することができる。したがって、第2単位時間ごとの授受電力量が授受電力量目標値となるように適切に制御することができる。
前記電力利用設備は、前記蓄電器の充電状態を検出する充電状態検出器を備え、前記制御器は、所定の充電状態目標値から前記充電状態の検出値を差し引いた充電状態偏差に基づいて充電状態補正値を生成し、前記第1電力偏差から前記充電状態補正値を減算して前記第1電力偏差を補正する充電状態補正部を含み、前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が所定の第1参照値以上である場合に、前記蓄電器を充電する充電補正値を前記充電状態補正値として生成し、前記充電状態偏差が前記第1参照値以下の第2参照値未満である場合に、前記蓄電器から放電する放電補正値を前記充電状態補正値として生成し、前記授受電力量は、前記授受電力から前記充電状態補正値を減算した値を積算してもよい。
前記第1参照値と前記第2参照値とは異なる値であり、前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が前記第2参照値以上かつ前記第1参照値未満である場合、前記充電状態補正値を0としてもよい。充電状態偏差が0ではない場合であっても、充電状態に応じた第1電力偏差の補正を行わない不感帯領域を作ることにより、蓄電器の充電状態の補正に関わる充放電が頻繁に行われることを抑制できる。
前記補正値生成部は、前記電力量偏差が所定の第3しきい値以上である場合、前記第1電力偏差が増加するような前記電力補正値を生成し、前記電力量偏差が前記第3しきい値以下の第4しきい値未満である場合、前記第1電力偏差が減少するような前記電力補正値を生成してもよい。これによれば、電力量偏差に基づく補正値の生成においても、電力出力装置の出力電力を計測する必要がないため、電力利用設備におけるシステム構成を簡単にすることができる。
前記第3しきい値と前記第4しきい値とは異なる値であり、前記補正値生成部は、前記電力量偏差が前記第4しきい値以上かつ前記第3しきい値未満である場合、前記電力補正値を0としてもよい。
前記第1しきい値と前記第2しきい値とは異なる値であり、前記第1指令生成部は、前記第1電力偏差が前記第2しきい値以上かつ前記第1しきい値未満である場合、前記出力電力を維持させる維持指令を生成してもよい。これにより、出力電力に対する指令として、減少指令および増加指令に、維持指令を加えることにより、電力出力装置からの出力電力をより安定化させることができる。これにより、出力電力に対する指令として、減少指令および増加指令に、維持指令を加えることにより、電力出力装置からの出力電力をより安定化させることができる。
前記電力授受要求値は、所定の第1単位時間ごとの第1受電抑制要求量、前記第1単位時間より短い第2単位時間ごとの第2受電抑制要求量を含み、前記電力偏差算出部は、前記第1単位時間および前記第2単位時間より短い第3単位時間ごとに、前記第2単位時間ごとに予め定められる授受電力計画値から前記第1受電抑制要求量および前記第2受電抑制要求量を差し引いて前記授受電力目標値を算出してもよい。あるいは、前記授受電力目標値は、予め定められた第2単位時間ごとの売電電力目標値を含んでもよい。
前記電力利用設備は、複数の前記電力出力装置を備え、前記複数の電力出力装置は、共通の前記第1接続点を介して、前記外部電力系統に接続されてもよい。
前記電力出力装置は、発電機を含んでもよい。また、前記電力出力装置は、蓄電器を含んでもよい。
1 電力利用設備
2i(i=1,2,3,…) 電力出力装置
4 外部電力系統
6 制御器
8 電力計測器
30 第3接続点
31 第1接続点
32 第2接続点
60 目標値生成部
61 電力偏差算出部
62 第1指令生成部
63 電力偏差補正部
64 制限範囲生成部
65 第2指令生成部
66 充電状態(SOC)補正部
91 電力変換器
92 蓄電器
93 充電状態(SOC)検出器
631 電力量偏差算出部
632 補正値生成部

Claims (14)

  1. 外部電力系統と所定の第1接続点を介して電力の授受を行うように接続される少なくとも1つの電力出力装置と、
    前記第1接続点における授受電力を計測する電力計測器と、
    前記第1接続点より前記外部電力系統側の第2接続点に、前記外部電力系統と電力の授受を行うように接続される電力変換器と、
    前記電力変換器に接続される蓄電器と、
    前記電力出力装置および前記電力変換器を制御する制御器と、を備え、
    前記制御器は、
    所定の電力授受要求値を取得し、前記電力授受要求値に基づいて授受電力目標値を生成する目標値生成部と、
    前記第1接続点において計測された授受電力を取得し、前記授受電力目標値から、取得した前記授受電力を差し引いた第1電力偏差を算出する電力偏差算出部と、
    前記第1電力偏差に基づいて、前記電力出力装置からの出力電力を増減する第1指令を生成する第1指令生成部と、
    前記授受電力目標値から前記授受電力を差し引いた第2電力偏差に基づいて、前記蓄電器の充放電により前記電力変換器からの出力電力を調整する第2指令を生成する第2指令生成部と、
    を含み、
    前記第1指令生成部は、前記第1電力偏差が所定の第1しきい値以上である場合、前記出力電力を減少させる減少指令を生成し、前記第1電力偏差が前記第1しきい値以下の第2しきい値未満である場合、前記出力電力を増加させる増加指令を生成し、
    前記第2指令生成部は、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる上限値を超えた場合に、前記蓄電器を充電する充電指令を生成し、前記第2電力偏差が前記電力授受要求値に基づいて定められる下限値未満の場合に、前記蓄電器から放電する放電指令を生成する、電力利用設備。
  2. 前記制御器は、前記電力授受要求値から前記上限値および前記下限値を生成する制限範囲生成部を含み、
    前記制限範囲生成部は、前記他の電力管理システムから取得される前記電力授受要求値に含まれる所定の要求成分の第1単位時間における最大値から前記上限値を生成し、前記要求成分の前記第1単位時間における最小値から前記下限値を生成する、請求項1に記載の電力利用設備。
  3. 前記蓄電器の充電状態を検出する充電状態検出器を備え、
    前記制御器は、所定の充電状態目標値から前記充電状態の検出値を差し引いた充電状態偏差に基づいて充電状態補正値を生成し、前記第1電力偏差から前記充電状態補正値を減算して前記第1電力偏差を補正する充電状態補正部を含み、
    前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が所定の第1参照値以上である場合に、前記蓄電器を充電する充電補正値を前記充電状態補正値として生成し、前記充電状態偏差が前記第1参照値以下の第2参照値未満である場合に、前記蓄電器から放電する放電補正値を前記充電状態補正値として生成する、請求項1または2に記載の電力利用設備。
  4. 前記制御器は、前記第1電力偏差に電力補正値を加算して前記第1電力偏差を補正する電力偏差補正部を備え、
    前記電力偏差補正部は、
    前記授受電力を積算して得られる授受電力量および前記授受電力目標値を積算して得られる授受電力量目標値を算出し、前記授受電力量の前記授受電力量目標値に対する電力量偏差を算出する電力量偏差算出部と、
    前記電力量偏差から前記電力補正値を生成する補正値生成部と、を備え、
    前記電力量偏差算出部は、前記授受電力量を得るための前記授受電力の積算および前記授受電力量目標値を得るための前記授受電力目標値の積算を、予め定められた積算時間ごとにリセットする、請求項1から3の何れかに記載の電力利用設備。
  5. 前記蓄電器の充電状態を検出する充電状態検出器を備え、
    前記制御器は、所定の充電状態目標値から前記充電状態の検出値を差し引いた充電状態偏差に基づいて充電状態補正値を生成し、前記第1電力偏差から前記充電状態補正値を減算して前記第1電力偏差を補正する充電状態補正部を含み、
    前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が所定の第1参照値以上である場合に、前記蓄電器を充電する充電補正値を前記充電状態補正値として生成し、前記充電状態偏差が前記第1参照値以下の第2参照値未満である場合に、前記蓄電器から放電する放電補正値を前記充電状態補正値として生成し、
    前記授受電力量は、前記授受電力から前記充電状態補正値を減算した値を積算する、請求項4に記載の電力利用設備。
  6. 前記第1参照値と前記第2参照値とは異なる値であり、
    前記充電状態補正部は、前記充電状態偏差が前記第2参照値以上かつ前記第1参照値未満である場合、前記充電状態補正値を0とする、請求項3または5に記載の電力利用設備。
  7. 前記補正値生成部は、前記電力量偏差が所定の第3しきい値以上である場合、前記第1電力偏差が増加するような前記電力補正値を生成し、前記電力量偏差が前記第3しきい値以下の第4しきい値未満である場合、前記第1電力偏差が減少するような前記電力補正値を生成する、請求項4または5に記載の電力利用設備。
  8. 前記第3しきい値と前記第4しきい値とは異なる値であり、
    前記補正値生成部は、前記電力量偏差が前記第4しきい値以上かつ前記第3しきい値未満である場合、前記電力補正値を0とする、請求項7に記載の電力利用設備。
  9. 前記第1しきい値と前記第2しきい値とは異なる値であり、
    前記指令生成部は、前記第1電力偏差が前記第2しきい値以上かつ前記第1しきい値未満である場合、前記出力電力を維持させる維持指令を生成する、請求項1から8の何れかに記載の電力利用設備。
  10. 前記電力授受要求値は、所定の第1単位時間ごとの第1受電抑制要求量、前記第1単位時間より短い第2単位時間ごとの第2受電抑制要求量を含み、
    前記電力偏差算出部は、前記第1単位時間および前記第2単位時間より短い第3単位時間ごとに、前記第2単位時間ごとに予め定められる授受電力計画値から前記第1受電抑制要求量および前記第2受電抑制要求量を差し引いて前記授受電力目標値を算出する、請求項1から9の何れかに記載の電力利用設備。
  11. 前記授受電力目標値は、予め定められた第2単位時間ごとの売電電力目標値を含む、請求項1から10の何れかに記載の電力利用設備。
  12. 複数の前記電力出力装置を備え、
    前記複数の電力出力装置は、共通の前記第1接続点を介して、前記外部電力系統に接続されている、請求項1から10の何れかに記載の電力利用設備。
  13. 前記電力出力装置は、発電機を含む、請求項1から12の何れかに記載の電力利用設備。
  14. 前記電力出力装置は、蓄電器を含む、請求項1から13の何れかに記載の電力利用設備。
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