JP2023013067A - 粘着テープ - Google Patents

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Kota SUETSUGU
大亮 渡辺
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Abstract

【課題】 高荷重保持力と耐落下衝撃性との相反する性能を両立しながら、経時での密着昂進により再剥離しにくくなるマット面であっても、被着面に対して水平方向に引き伸ばすことで容易に剥離できる粘着テープを提供することを目的とする。【解決手段】 基材層及び上記基材層の片面又は両面に粘着剤層を有し、上記粘着剤層は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有し、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内であり、上記基材層は、破断応力が1MPa~100MPaの範囲内であり、且つ破断伸度が300%~3000%であることを特徴とする粘着テープ。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着テープおよび接着体に関する。
粘着テープは、作業性に優れ、且つ、接着信頼性が高い。そのため、粘着テープは、接合手段として、薄型テレビ、家電製品、OA機器等の比較的大型の電子機器、又は携帯電子端末、カメラ、パソコン等の比較的小型の電子機器を構成する部品の固定の場面で広く使用されている。より詳細には、OA機器、IT・家電製品、自動車等の各産業分野において、大型の電子機器を構成する、板金同士の固定又は外装部品と筐体との固定、及び小型の電子機器への外装部品又は電池等の剛体部品の固定といった、部品固定用途、並びに該部品の仮固定用途だけでなく、製品情報を表示するラベル用途等でも使用されている。
近年、地球環境保護の観点から省資源等を目的として、上述した各産業分野では、使用後の製品を分解することにより、当該製品に使用されている再利用又は再使用可能な部品を、再利用又は再使用する傾向が増えている。この際、粘着テープを使用している場合には、部品に貼付された粘着テープを剥離する必要があるが、粘着テープは、通常、接着力が大きく、かつ、製品中の多くの箇所に貼付されているため、それらを剥離する作業は、相当の労力を伴うものであった。そのため、再利用又は再使用の際に比較的容易に剥離及び除去可能な粘着テープが求められている。
容易に剥離及び除去可能な粘着テープに関する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。当該特許文献1には、接着部及びタブ部を備え、上記接着部の両面に貼着された被着体から、タブ部を挟持し、接着面とほぼ平行な方向(水平方向)に引き伸ばして剥離することができる粘着テープが開示されている。また、小型の電子機器のように内部の部材間のスペースが狭い場合、上記スペースに貼付した粘着テープを接着面と平行な方向に伸長剥離することが困難であることから、特許文献2では、接着面に対して30°方向に伸張させることによって再び取り外すことが可能な粘着テープが開示されている。
特開2015-124289号公報 特表2016-504449号公報
ところで、上述のように剥離及び除去可能な粘着テープは、小型から大型の各種機器の構成部品の固定に利用されるため、高荷重を負荷される場合でも、各部品を強固に固定できる必要がある。一方、部品を固定した機器を落下させて、大きな衝撃が加わった場合にも、粘着テープは、各部品から剥がれることなく強固に固定された状態を維持し続ける必要がある。しかし、高荷重を負荷された状態での保持特性と、耐落下衝撃性との2つの特性を両立させることが困難であり、一方の特性を高めると、他方の特性が十分に得られない傾向にある。そのため、粘着テープが、高荷重負荷に対する保持特性と耐落下衝撃性との2つの特性の両立を十分に達成できないという課題がある。
また、各種機器の構成部品の再利用又は再使用のためには、粘着テープには、比較的容易に剥離及び除去可能な特性が求められる。しかし、被着体の表面がマット面である場合、被着体の表面が平滑面である場合と比較して経時で密着性が上昇しやすいため、粘着テープをマット面に接着した状態から水平方向に引き伸ばして剥離する際に、被着体表面に糊残りが生じる問題や、粘着テープが千切れる等により容易に剥離できないという問題がある。そのため、粘着テープは、各部品を強固に固定できることに加えて、被着面がマット面であっても粘着テープを容易に引き伸ばして剥離可能となるために、接着力は高く且つ再剥離性に優れる特性が求められる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされた発明であり、高荷重保持力と耐落下衝撃性との相反する性能を両立しながら、経時での密着昂進により再剥離しにくくなるマット面であっても、被着面に対して水平方向に引き伸ばすことで容易に剥離できる粘着テープを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材層及び上記基材層の片面又は両面に粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着剤層は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有し、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内であり、上記基材層は、破断応力が1MPa~100MPaの範囲内であり、且つ破断伸度が300%~3000%であることを特徴とする粘着テープを提供する。
本発明は、高荷重保持力と耐落下衝撃性との相反する性能を両立しながら、被着面が経時での密着昂進により再剥離しにくくなるマット面であっても水平方向に引き伸ばすことで、千切れや被着面への糊残りが生じにくく被着体から容易に剥離できる粘着テープを提供することができる。
本発明の1つの実施形態による粘着テープの概略断面図である。 実施例及び比較例における耐落下衝撃性の評価に使用する試験片を説明する概略平面図である。 実施例及び比較例における耐落下衝撃性の評価方法を説明する概略模式図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の粘着テープは、基材層及び上記基材層の片面又は両面に粘着剤層を有する。本実施形態の粘着テープにおいて、上記粘着剤層は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有し、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内である。また、本実施形態の粘着テープにおいて、上記基材層は、破断応力が1MPa~100MPaの範囲内であり、且つ破断伸度が300%~3000%である。
図1は、本発明の1つの実施形態による粘着テープの概略断面図であり、基材層3の両面に粘着剤層2を有する粘着テープ1の例を示しており、粘着剤層2は、異なる範囲に貯蔵弾性率を示すアクリル系ブロック共重合体(X)及び(Y)を所定の比率で含有し、基材層3は所定の物性を示す。
本実施形態の粘着テープは、被着体と接着した状態から粘着テープを引き伸ばして剥離することが可能な伸長剥離性粘着テープである。本実施形態の粘着テープによれば、所定の物性を具備する基材層に設けられた粘着剤層が、貯蔵弾性率の異なる2種類のアクリル系ブロック共重合体を含有することで、高荷重保持力と耐落下衝撃性との相反する性能を両立しながら、被着面が平滑面であっても経時での密着昂進により再剥離しにくくなるマット面であっても、水平方向に引き伸ばすことでテープの千切れや被着面への糊残りの発生を抑制して容易に剥離可能となる。
詳述すれば、本実施形態の粘着テープによれば、粘着剤層内に貯蔵弾性率の異なるアクリル系ブロック共重合体(X)及び(Y)が、所定の割合で混在していることで、高貯蔵弾性率のアクリル系ブロック共重合体(X)に由来して発揮される高凝集力により、粘着剤層が高荷重に対して高い保持力を維持しつつ、低貯蔵弾性率のアクリル系ブロック共重合体(Y)に由来して発揮される衝撃吸収性により、粘着剤層の落下衝撃への耐久性を向上させることができ、高荷重保持力と耐落下衝撃性とのバランスを取ることが可能となる。本発明者らは、粘着剤層に含有されるアクリル系ブロック共重合体の種類及び貯蔵弾性率の組み合わせにより、高荷重保持力や耐落下衝撃性に違いが生じることを知得して本発明に至ったのである。
また、表面がマット面である被着体に粘着テープを貼合する場合、マット面の凹凸に粘着剤層が入り込みやすくなり、平滑面に粘着テープを貼合する場合と比較して被着面に対する粘着テープの経時密着性がより高くなる。このため、マット面に貼合された粘着テープを水平方向に引き伸ばして被着体から剥離しようとすると、より大きな力が必要となるため、引き伸ばす過程でテープが千切れやすくなり、また、被着面への糊残りが生じやすくなる。これに対し、本実施形態の粘着テープによれば、所定の物性を具備する基材層に設けられた上記粘着剤層が、貯蔵弾性率の異なるアクリル系ブロック共重合体(X)及び(Y)を含有するアクリル系ブロック共重合体を主成分とすることで、経時で密着性が上昇しやすいマット面に貼付する場合であっても強固に接着でき、且つ粘着テープを水平方向に引き伸ばして剥離する際に千切れや糊残りが生じにくくなり容易に剥離可能となる。
本実施形態の粘着テープは、基材層の少なくとも一方の面に当該基材層と当接して粘着剤層を備えている。本実施形態の粘着テープは、基材層の片面に、上記基材層と当接する1つの粘着剤層を備える片面粘着仕様であってもよく、基材層の両面に当該基材層と当接して2つの粘着剤層をそれぞれ備える両面粘着仕様であってもよい。両面粘着仕様の場合、基材層の各面に設けられた粘着剤層はそれぞれ同一であってもよく、或いはそれぞれ異なっていてもよい。中でも、本実施形態の粘着テープは両面粘着仕様であることが好ましく、基材層の各面に設けられた粘着剤層は、共に貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有し、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内であることが好ましい。
本実施形態の粘着テープは、基材層の片面又は両面に粘着剤層を設け、ロール状に巻いたものの総称だけでなく、基材層の片面又は両面に粘着剤層を設けた板状のもので、且つ剥離ライナーが貼り合わされたものも含む。
本実施形態の粘着テープは引き伸ばして剥離可能であり、具体的には、被着体と接着した状態から被着面に対して少なくとも水平方向に伸長して剥離することが可能である。ここで、水平方向とは、テープを引き伸ばす際に、テープの被着体側の表面が被着面に対してなす角度(引き伸ばし角度とする場合がある。)が0°となる方向をいい、すなわち0°剥離である。本実施形態の粘着テープは、少なくとも被着面に対して水平方向に引き伸ばすことで剥離可能であるが、水平方向だけでなく被着面に対して所望の角度を成す方向、例えば垂直方向に引き伸ばす場合であっても、被着面の表面粗さに因らず剥離可能であることが好ましい。すなわち本実施形態の粘着テープの引き伸ばし角度は0°~90°の範囲が好ましい。
以下、本実施形態の粘着テープについて詳説する。
1.粘着剤層
本実施形態における粘着剤層は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有する。また、上記粘着剤層は、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内である。
[1]組成
本実施形態における粘着剤層は、粘着樹脂を少なくとも含む粘着剤組成物により形成される。上記粘着剤組成物は、上記粘着樹脂のみを含んでいても良く、上記粘着樹脂の他に他の成分を含有してもよい。また、本実施形態においては、上記粘着樹脂は、アクリル系ブロック共重合体を必須に含む。
粘着剤層及び該粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、アクリル系ブロック共重合体を含む粘着樹脂を主成分とする。ここで主成分とは、粘着剤組成物中に最も多く含まれる成分であって、30質量%以上とすることができ、40質量%以上であることが好ましく、中でも50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上の順で好ましい。
<1>粘着樹脂
粘着剤組成物に含有される粘着樹脂は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)とを所定の比率で含有する。上記粘着樹脂は、上記アクリル系ブロック共重合体(X)及び上記アクリル系ブロック共重合体(Y)を含有するアクリル系ブロック共重合体を主成分とする。
粘着樹脂中に占めるアクリル系ブロック共重合体の含有割合は、粘着樹脂中にアクリル系ブロック共重合体が最も多く含まれていればよく、中でも50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上の順で好ましく、100質量%、すなわち粘着樹脂がアクリル系ブロック共重合体のみで構成されることが特に好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体中の上記アクリル系ブロック共重合体(X)及び上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の総和の割合は、80質量%以上、90質量%以上の順で好ましく、100質量%、すなわち粘着樹脂が上記アクリル系ブロック共重合体(X)及び上記アクリル系ブロック共重合体(Y)のみで構成されることが特に好ましい。粘着樹脂中に占めるアクリル系ブロック共重合体の含有割合、及びアクリル系ブロック共重合体中の上記アクリル系ブロック共重合体(X)及び上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の総和の割合がそれぞれ上記の範囲にあることで、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)及び(Y)による効果を十分に奏することが可能となるからである。
本実施形態において、上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率(X/Y)は、90/10~30/70の範囲内である。アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が上記の範囲内にあることにより、高荷重保持力と耐落下衝撃性との相反する性能を両立しながら、経時での密着昂進により再剥離しにくくなるマット面であっても、引き伸ばすことで容易に剥離することができる。含有比率(X/Y)が上記範囲の上限を超過すると、アクリル系ブロック共重合体(X)の割合が多くとなることで粘着剤層の凝集力が高まる一方で、アクリル系ブロック共重合体(Y)の割合が減少することにより耐落下衝撃性が不足する場合があり、一方、含有比率(X/Y)が上記範囲の下限を下回ると、アクリル系ブロック共重合体(Y)の割合が過剰となることで粘着剤層の衝撃吸収性が高まる一方で、アクリル系ブロック共重合体(X)の割合が減少することにより、粘着剤層が所望の凝集力を得られず、高荷重保持力と再剥離性が不足する場合がある。アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率(X/Y)は90/10~30/70の範囲内であればよく、中でも85/15~35/65の範囲内が更に好ましく、80/20~40/60の範囲内がより好ましい。上記アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率(X/Y)を上記の範囲内とすることで、高い凝集力による高荷重保持力と衝撃吸収性とのバランスをより高めることができ、且つマット面の被着体に貼った際も良好な再剥離性が得られるからである。
なお、アクリル系ブロック共重合体(X)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率(X/Y)とは、アクリル系ブロック共重合体(X)の配合量(質量部)と上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の配合量(質量部)との比率である。
(1)アクリル系ブロック共重合体(X)
アクリル系ブロック共重合体(X)は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内が好ましく、0.13MPa~0.27MPaの範囲内がさらに好ましく、0.15MPa~0.25MPaの範囲内がより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(X)の弾性率を上記の範囲内とすることで、粘着剤層の凝集力を高め高い荷重に対する保持力を高く発現でき、アクリル系ブロック共重合体(Y)との所定の範囲でのブレンドによる高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性との両立に優れるからである。
アクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率は、アクリル系ブロック共重合体(X)をアプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E‐0010GT)上に塗布して形成したアクリル系共重合体(X)層を、2mm厚になるまで重ね合わせたものを試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、上記試験片を挟み込み、23℃、周波数1Hzで測定できる。
また、粘着剤層からアクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率を測定する方法は、粘着層を溶剤に溶かした溶液からアクリル系ブロック共重合体(X)を抽出し、上述と同様にして測定できる。
なお、アクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率は、例えばハードブロックとソフトブロックの重量比(後述する一般式(1)中のp,q,r)により調整することができる。後述するアクリルブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率も、同様の方法で調整することができる。
上記アクリル系ブロック共重合体(X)の重量平均分子量は、アクリル系ブロック共重合体(X)による効果を発揮できる範囲であれば特に限定されないが、50,000以上とすることができ、中でも60,000以上が好ましく、70,000が更に好ましく、80,000以上であることがより好ましい。また、上記重量平均分子量は、300,000以下とすることができ、中でも150,000以下であることが好ましく、145,000以下であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量の範囲としてより具体的には、重量平均分子量が50,000~300,000の範囲内であることが好ましく、60,000~300,000の範囲内であることが更に好ましく、70,000~150,000の範囲内であることがより好ましく、80,000~145,000の範囲内であることが特に好ましい。上記アクリル系ブロック共重合体(X)の重量平均分子量が上記の範囲内にあることで、上記アクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率を所定の範囲に調整しやすくなり、アクリル系ブロック共重合体(Y)と所定の範囲でブレンドしたときに、高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面に対する再剥離性に優れるからである。
また、上記アクリル系ブロック共重合体(X)の数平均分子量は、アクリル系ブロック共重合体(X)による効果を発揮できる範囲であれば特に限定されないが、50,000以上とすることができ、中でも60,000以上が好ましく、70,000がさらに好ましく、80,000以上であることがより好ましい。また、上記数平均分子量は、300,000以下とすることができ、中でも150,000以下であることが好ましく、145,000以下であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の数平均分子量の範囲としてより具体的には、50,000~300,000の範囲内であることが好ましく、60,000~300,000の範囲内であることが更に好ましく、70,000~150,000範囲内であることがより好ましく、80,000~145,000の範囲内であることが特に好ましい。上記アクリル系ブロック共重合体(X)の数平均分子量が上記の範囲内にあることで、上記アクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率を所定の範囲に調整しやすくなり、アクリル系ブロック共重合体(Y)と所定の範囲でブレンドしたときに、高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面に対する再剥離性に優れるからである。
アクリル系ブロック共重合体(X)の重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC法により測定される標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。GPC装置としては、例えば東ソー株式会社製「HLC-8329GPC」を用いることができる。後述するアクリルブロック共重合体(Y)の重量平均分子量及び数平均分子量も、同様の方法で測定することができる。
-測定条件-
・ サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離液:THF
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel GMHHR-H(20)2本
・ ガードカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2,000万(東ソー株式会社製)
また、アクリル系ブロック共重合体(X)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量の比)は、1.0~2.0の範囲内が好ましく、1.0~1.7の範囲内が更に好ましく、1.0~1.5の範囲内がより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(X)の分子量分布が上記の範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(Y)と所定の範囲でブレンドしたときに、高荷重保持力と耐落下衝撃性と被着面、特にマット面に対する再剥離性に優れるからである。
上記アクリル系ブロック共重合体(X)は、所定の範囲内に貯蔵弾性率を示すものであればよく、ジブロック共重合体(アクリル系ジブロック共重合体とする場合がある。)であってもよく、トリブロック共重合体(アクリル系トリブロック共重合体とする場合がある。)であってもよく、トリブロック以上のブロック共重合体であってもよい。また、上記アクリル系ブロック共重合体(X)は、1種のみを用いても良く2種以上用いても良い。中でも、上記アクリル系ブロック共重合体(X)は、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[A1]と、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[B1]とを有するトリブロック共重合体であることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(X)として所定の貯蔵弾性率を示すアクリル系トリブロック共重合体を用いることで、より高い凝集力を発揮することができるからである。
なお、アクリル系ブロック共重合体(X)における、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[A1]、及びアクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[B1]のことを、それぞれ略して重合体ブロック[A1]、及び重合体ブロック[B1]と称する場合がある。
また、本明細書における「メタクリル酸アルキルエステル単量体単位」とは、メタクリル酸アルキルエステル単量体を(共)重合又はグラフト重合した場合の、メタクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位、すなわちメタクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位をいう。同様に、本明細書における「アクリル酸アルキルエステル単量体単位」とは、アクリル酸アルキルエステル単量体を(共)重合又はグラフト重合した場合の、アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位、すなわちアクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位をいう。
アクリル系ブロック共重合体(X)としては、トリブロック型の構造を有すればよく、例えば以下の構造式(X1)~(X4)で表すことができる。
[A1]-[B1]-[A1] …(X1)
[B1]-[A1]-[A1] …(X2)
[B1]-[A1]-[B1] …(X3)
[A1]-[B1]-[B1] …(X4)
(上記式(X1)~(X4)中、[A1]はメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[A1]を表し、[B1]はアクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[B1]を表す。式(X1)中の2つの[A1]は互いに構造が同じであっても良く異なっても良い。式(X2)中の2つの[A1]は互いに構造が異なる。式(X3)中の2つの[B1]は互いに構造が同じであっても良く異なっても良い。式(X4)中の2つの[B1]は互いに構造が異なる。)
上記構造式(X1)~(X4)中の重合体ブロック[A1]は、ハードセグメントとして機能し、重合体ブロック[B1]がソフトセグメントとして機能する。中でも上記式(X1)で表されるトリブロック共重合体であることが好ましい。
ハードセグメントである重合体ブロック[A1]は、1種のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位とするものであっても良く、2種以上のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位として含んでいても良い。重合体ブロック[A1]の単量体単位を構成するメタクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸2-ヘキシルデシル等が挙げられる。これらの中でも、高荷重保持力に優れ粘着テープを引き伸ばして剥離する際の再剥離性及び解体性に優れる観点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
また、ソフトセグメントである重合体ブロック[B1]は、1種のアクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位とするものであっても良く、2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位として含んでいても良い。重合体ブロック[B1]の単量体単位を構成するアクリル酸アルキルエステル単量体として、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等が挙げられる。これらの中でも、高い接着力と良好な再剥離性とを両立できる観点から、重合体ブロック[B1]は、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、及び、これらの共重合体からなる群から選択されることが好ましい。
重合体ブロック[A1]のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体(X)が所望の物性を示すことが可能であれば特に限定されないが、例えば20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上140℃以下が更に好ましく、40℃以上130℃以下がより好ましい。重合体ブロック[A1]のガラス転移温度を上記の範囲とすることで、高い凝集力に基づき、高荷重保持力に優れ粘着テープを引き伸ばして剥離する際の再剥離性及び解体性に優れる観点を発揮することができる。
また、重合体ブロック[B1]のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体(X)が所望の物性を示すことが可能であれば特に限定されないが、例えば-80℃以上40℃以下が好ましく、-70℃以上30℃以下が更に好ましく、-60℃以上20℃以下がより好ましい。重合体ブロック[B1]のガラス転移温度を上記の範囲とすることで、優れた耐衝撃性の効果を奏することができる。
アクリル系ブロック共重合体(X)を構成する重合体ブロック[A1]および[B1]のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体(X)を示差走査熱量計(DSC)により分析して得られる曲線において認められる、重合体ブロック[A1]および[B1]のの転移領域の外挿開始温度である。アクリル系ブロック共重合体(X)の重合体ブロック[A1]および[B1]に由来する複数のガラス転移温度がDSC測定で得られる曲線に基づき認められ、それぞれの重合体ブロックと同様の化学構造(単量体組成、立体規則性等)を有する重合体のガラス転移温度を元に、重合体ブロック[A1]および[B1]それぞれに由来するガラス転移温度を帰属することができる。
アクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[A1]の割合は、10質量%~30質量%の範囲内であることが好ましく、中でも14質量%~27質量%の範囲内であることが好ましく、18質量%~25質量%の範囲内であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[A1]の割合が上記範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(Y)との所定の範囲でのブレンド時に高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。
1つのアクリル系ブロック共重合体(X)中に2種以上の重合体ブロック[A1]が含まれる場合、アクリル系ブロック共重合体(X)中の重合体ブロック[A1]の割合とは、アクリル系ブロック共重合体(X)の質量中の占める上記重合体ブロック[A1]の合計質量の割合を意味する。
また、アクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[B1]の割合は、70質量%~90質量%の範囲内であることが好ましく、中でも73質量%~86質量%の範囲内であることが好ましく、75質量%~82質量%の範囲内であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[B1]の割合が上記範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(Y)との所定の範囲でのブレンド時に高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。1つのアクリル系ブロック共重合体(X)中に2種以上の重合体ブロック[B1]が含まれる場合、アクリル系ブロック共重合体(X)中の重合体ブロック[B1]の割合とは、アクリル系ブロック共重合体(X)の質量中の占める上記重合体ブロック[B]の合計質量の割合を意味する。
アクリル系ブロック共重合体(X)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、分子側鎖中又は分子主鎖末端において、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基等の官能基等に変性されてもよい。
アクリル系ブロック共重合体(X)として、より具体的には、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するトリブロック共重合体が好ましく挙げられる。
Figure 2023013067000002
(上記一般式(1)中、A、B及びCはそれぞれ独立して、繰り返し単位を表し、A及びCはそれぞれ独立して、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、Bはアクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表し、AとCとは同一の化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよくは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよい。上記一般式中(1)中、*は他の原子との結合を表す結合手である。)
上記一般式(1)中、A及びCは、Bとは異なる繰り返し単位を表し、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。上記一般式(1)中のA及びCは、アクリル系ブロック共重合体(X)における重合体ブロック[A1]を構成する。すなわち、上記一般式(1)中の「-(A)-」部のポリマーブロック、及び「-(C)-」部のポリマーブロックが、それぞれアクリル系ブロック共重合体(X)における重合体ブロック[A1]に相当する。上記一般式(1)中のA及びCはそれぞれ独立しており、互いに同一のメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよく、或いは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位でもよい。すなわち、アクリル系ブロック共重合体(X)における重合体ブロック[A1]は、1種の構造の重合体ブロックを含んでいても良く、2種以上の異なる構造の重合体ブロックを含んでいても良い。
一般式(1)中のA及びCにおける、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位は、以下の一般式(2)で表されることが好ましい。
Figure 2023013067000003
(上記一般式(2)中、Rは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rで置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表す。)
上記一般式(2)中、Rは、再剥離性及び高荷重保持力の観点から、炭素原子数1~12のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましい。Rとしての、炭素原子数1~12のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよく、接着力の観点から、直鎖状又は分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。該炭素原子数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ジシクロペンタニル基等の環状のアルキル基が挙げられる。また、炭素原子数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基等の環状のアルキル基が挙げられる。上記炭素原子数1~4のアルキル基としては、再剥離性及び高荷重保持力の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記一般式(2)中の好ましいRは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、又はシクロブチル基のいずれかのアルキル基であり、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R(ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基)で置換されてもよい。
上記一般式(1)中のA及びCにおいて、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を構成する具体的な単量体については、上述した重合体ブロック[A1]の単量体単位を構成するメタクリル酸アルキルエステル単量体と同様とすることができる。
上記一般式(1)中、Bは、A及びCとは異なる繰り返し単位を表し、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。上記一般式(1)中のBは、アクリル系ブロック共重合体(X)における重合体ブロック[B1]を構成する。すなわち、上記一般式(1)中の「-(B)-」部のポリマーブロックは、アクリル系ブロック共重合体(X)における重合体ブロック[B1]に相当する。
一般式(1)中のBにおける、アクリル酸アルキルエステル単量体単位は、以下の一般式(3)で表わされることが好ましい。
Figure 2023013067000004
(上記一般式(3)中、Rは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rで置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表わす。)
上記一般式(3)中、Rは、接着性の観点から、炭素原子数1~12のアルキル基がより好ましく、炭素原子数4~8のアルキル基がさらに好ましい。該アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよく、接着性の観点から、直鎖状又は分岐状が好ましい。
上記一般式(3)中、炭素原子数1~12のアルキル基の例示は、上記一般式(2)中の、炭素原子数1~12のアルキル基の例示と同様である。
上記一般式(3)中の好ましいRは、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はシクロオクチル基のいずれかのアルキル基であり、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R(ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基)で置換されてもよい。
上記一般式(1)中のBにおいて、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を構成する具体的な単量体については、上述した重合体ブロック[B1]の単量体単位を構成するアクリル酸アルキルエステル単量体と同様とすることができる。
上記一般式(1)中、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。p、q及びrのそれぞれの値は分子量等に関係する。p/(p+q+r)は、0.06~0.20であることが好ましく、0.11~0.16であることがより好ましい。また、q/(p+q+r)は、0.61~0.88であることが好ましく、0.68~0.77であることがより好ましい。また、r/(p+q+r)は、0.06~0.20であることが好ましく、0.11~0.16であることがより好ましい。p/(p+q+r)、q/(p+q+r)及びr/(p+q+r)をそれぞれ上記の範囲内とすることで、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(X)が高い貯蔵弾性率を確保することができ、高凝集力を発現して粘着剤層の保持力、特に高い荷重をかけたときの保持力を高めることができ、また、平滑面だけでなくマット面に対する経時再剥離性を良好とすることができる。
一般式(1)中のAとCとは、同一の繰り返し単位であってもよく、異なる繰り返し単位であっても良いが、中でも一般式(1)中のAとCとが同一の繰り返し単位であることが好ましい。換言すれば、アクリル系ブロック共重合体(X)が上記式(X1)で表され、且つ式(X1)中の2つの[A1]が同一である(互いに構造が同じである)トリブロック共重合体であることが好ましい。より高い貯蔵弾性率を確保できるため、高荷重保持力、経時再剥離性、及び保存安定性に優れた接着力をより確保しやすくなるからである。具体的には、アクリル系ブロック共重合体(X)が、後述する一般式(4)で表わされる繰り返し単位を有する場合、RとRとが同一の基であり、p/(p+q+r)が、0.06~0.20であり、q/(p+q+r)が0.61~0.88であり、r/(p+q+r)が0.06~0.20であることが好ましい。
一般式(1)中のAとCとが異なる繰り返し単位である場合、上記一般式(1)で表されるトリブロック共重合体の分子中に含まれる「-(A)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(A)-」部のポリマーブロックの総重量をaと称する。)と、「-(B)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(B)-」部のポリマーブロックの総重量をbと称する。)との割合は、粘着特性の観点から、a/bの質量比において、5/90~15/70の範囲内が好ましく、9/82~12/75の範囲内がより好ましい。
また、一般式(1)中のAとCとが異なる繰り返し単位である場合、上記一般式(1)で表されるトリブロック共重合体の分子中に含まれる「-(C)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(C)-」部のポリマーブロックの総重量をcと称する。)と、「-(B)-」部のポリマーブロックの総重量との割合は、粘着特性の観点から、c/bの質量比において、5/90~15/70の範囲内が好ましく、9/82~12/75の範囲内がより好ましい。
一般式(1)中のAとCとが同じ繰り返し単位である場合、一般式(1)中のAとCとが同一の繰り返し単位である場合、トリブロック共重合体(X)の分子中に含まれる「-(A)-」部のポリマーブロック及び「-(C)-」部のポリマーブロックの総重量(「-(A)-」部のポリマーブロック及び「-(C)-」部のポリマーブロックの総重量をdと称する。)と、「-(B)-」部のポリマーブロックの総重量(bと称する)との割合(d/b)は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[A1]及び上記重合体ブロック[B1]の重量から算出される重量割合と同様とすることができる。具体的には、d/bは10/90~30/70の範囲内とすることができ、好ましくは14/86~27/73の範囲内、より好ましくは18/82~25/75の範囲内である。
なお、一般式(1)中のAとCとが同じ繰り返し単位である場合、「(A)-」部のポリマーブロックの総重量と「-(C)-」部のポリマーブロックの総重量との和の割合が、アクリル系ブロック共重合体(X)中の上記重合体ブロック[A1]の割合となる。
アクリル系ブロック共重合体(X)は、中でも以下の一般式(4)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2023013067000005
(上記一般式(4)中、R及びRはそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rに置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、Rは、炭素原子数4~8のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rに置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。)
上記一般式(4)中、Rは、上記一般式(2)におけるRと同様の態様を適用できる。上記一般式(4)中、Rは、上記一般式(3)におけるRと同様の態様を適用できる。上記一般式(4)中、Rは、上記一般式(2)におけるRと同様の態様を適用できる。
また、上記一般式(4)中、p、q及びrは、上記一般式(1)におけるp、q及びrと同様の態様を適用できる。さらに、上記一般式(4)中、R及びRは同一であっても、或いは異なっていてもよい。
上記一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましい。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、又はウンデシル基からなる群から選択されることが好ましい。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましい。R、R及びRがそれぞれ上記の官能基軍から選択されるとき、上記一般式(4)中のp/(p+q+r)が、0.06~0.20であり、q/(p+q+r)が、0.61~0.88であり、r/(p+q+r)が、0.06~0.20であることが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(X)が取り得るトリブロック共重合体としては、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)の物性を有することが可能であれば特に限定されないが、上記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸t-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸プロピルブロック-ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。上記の中でも、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)による効果を奏しやすいことから、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
(2)アクリル系ブロック共重合体(Y)
アクリル系ブロック共重合体(Y)は、0.01MPa~0.05MPaの範囲内が好ましく、0.01MPa~0.04MPaの範囲内がさらに好ましく、0.01MPa~0.03MPaの範囲内がより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率を上記の範囲内とすることで、粘着剤層がアクリル系ブロック共重合体(Y)に由来した衝撃吸収性の効果をより高め、アクリル系ブロック共重合体(X)との所定の範囲でのブレンドによる高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性との両立に優れるからである。
アクリル系ブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率の測定方法と同様の方法により測定できる。
また、粘着剤層からアクリル系ブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率を測定する方法も、上述した粘着剤層からのアクリル系ブロック共重合体(X)の貯蔵弾性率の測定方法と同様の方法により測定できる。
上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量は、アクリル系ブロック共重合体(Y)による効果を発揮できる範囲であれば特に限定されないが、30,000以上が好ましく、中でも40,000以上が更に好ましく、50,000以上がより好ましい。また、上記重量平均分子量は、200,000以下であることが好ましく、中でも150,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがさらに好ましく、80,000以下であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量の範囲としてより具体的には、30,000~200,000の範囲内であることが好ましく、40,000~200,000の範囲内であることが更に好ましく、50,000~200,000の範囲内であることがより好ましい。上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量が上記の範囲内にあることで、アクリル系ブロック共重合体(X)と所定の範囲でブレンドしたときに、高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。
また、上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の数平均分子量は、アクリル系ブロック共重合体(Y)による効果を発揮できる範囲であれば特に限定されないが、30,000以上が好ましく、中でも40,000以上が更に好ましく、50,000がより好ましい。また、上記数平均分子量は、200,000以下であることが好ましく、中でも150,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがさらに好ましく、80,000以下であることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の数平均分子量の範囲としてより具体的には、30,000~200,000の範囲内であることが好ましく、40,000~200,000の範囲内であることが更に好ましく、50,000~200,000範囲内であることがより好ましい。上記アクリル系ブロック共重合体(Y)の数平均分子量が上記の範囲内にあることで、アクリル系ブロック共重合体(X)と所定の範囲でブレンドしたときに、高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。
アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定することができる。
アクリル系ブロック共重合体(Y)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量の比)は、1.0~2.0の範囲内が好ましく、1.0~1.7の範囲内が更に好ましく、1.0~1.5の範囲内がより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)の分子量分布が上記の範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(X)と所定の範囲でブレンドすることにより高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。
上記アクリル系ブロック共重合体(Y)は、上述した所定の範囲内に貯蔵弾性率を示すものであればよく、ジブロック共重合体でもよく、トリブロック以上のブロック共重合体であってもよい。また、上記アクリル系ブロック共重合体(Y)は、1種のみを用いても良く2種以上用いても良い。中でも、上記アクリル系ブロック共重合体(Y)は、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[A2]と、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[B2]とを有する、トリブロック共重合体又はジブロック共重合体であることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)は、ジブロック共重合体のみを含んでいても良く、トリブロック共重合体のみを含んでいても良く、ジブロック共重合体とトリブロック共重合体の両方を含んでいても良い。中でも所定の貯蔵弾性率を示し易く、更にハードセグメントとソフトセグメントによる効果を奏しやすいことから、アクリル系ブロック共重合体(Y)が、トリブロック共重合体であることが好ましい。
なお、アクリル系ブロック共重合体(Y)における、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[A2]、及びアクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロック[B2]のことを、それぞれ略して重合体ブロック[A2]、及び重合体ブロック[B2]と称する場合がある。
ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)としては、例えば以下の構造式(Y1)で表すことができる。
[A2]-[B2] …(Y1)
また、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)としては、例えば以下の構造式(Y2)~(Y5)で表すことができる。
[A2]-[B2]-[A2] …(Y2)
[B2]-[A2]-[A2] …(Y3)
[B2]-[A2]-[B2] …(Y4)
[A2]-[B2]-[B2] …(Y5)
(上記式(Y1)~(Y5)中、[A2]はメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、[B2]はアクリル酸アルキルエステル単量体単位を主体とする重合体ブロックを表す。式(Y2)中の2つの[A2]は互いに構造が同じであっても良く異なっても良い。式(Y3)中の2つの[A2]は互いに構造が異なる。式(Y4)中の2つの[B2]は互いに構造が同じであっても良く異なっても良い。式(Y5)中の2つの[B1]は互いに構造が異なる。)
上記構造式(Y1)~(Y5)中の重合体ブロック[A2]は、ハードセグメントとして機能し、重合体ブロック[B2]がソフトセグメントとして機能する。
中でもアクリル系ブロック共重合体(Y)は、上記式(Y2)で表されるアクリル系トリブロック共重合体であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]の単量体単位を構成するメタクリル酸アルキルエステル単量体として具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸2-ヘキシルデシル等が挙げられる。中でも高荷重保持力と解体性の観点からメタクリル酸メチル好ましい。重合体ブロック[A2]は、1種のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位とするものであっても良く、2種以上のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位として含んでいても良い。
また、アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[B2]の単量体単位を構成するアクリル酸アルキルエステル単量体として具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等が挙げられる。中でも高い接着力と良好な再剥離性とを両立できる観点から、重合体ブロック[B2]は、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、及び、これらの共重合体からなる群から選択されることが好ましい。重合体ブロック[B2]は、1種のアクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位とするものであっても良く、2種以上のアクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位として含んでいても良い。
アクリル系ブロック共重合体(Y)中の上記重合体ブロック[A2]の割合は、2質量%~16質量%の範囲内であることが好ましく、中でも5質量%~14質量%の範囲内であることが好ましく、8質量%~12質量%の範囲内であることがさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)中の重合体ブロック[A2]の割合が上記範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(X)と所定の範囲でブレンドした時に高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。1つのアクリル系ブロック共重合体(Y)中に2種以上の重合体ブロック[A2]が含まれる場合、アクリル系ブロック共重合体(Y)中の重合体ブロック[A2]の割合とは、アクリル系ブロック共重合体(Y)の質量中の占める上記重合体ブロック[A2]の合計質量の割合を意味する。
また、アクリル系ブロック共重合体(Y)中の上記重合体ブロック[B2]の割合は、84質量%~98質量%の範囲内であることが好ましく、中でも86質量%~95質量%の範囲内であることが好ましく、88質量%~92質量%の範囲内であることがさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(Y)中の上記重合体ブロック[B2]の割合が上記範囲にあることで、アクリル系ブロック共重合体(X)との所定の範囲でのブレンド時に高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。1つのアクリル系ブロック共重合体(Y)中に2種以上の重合体ブロック[B2]が含まれる場合、アクリル系ブロック共重合体(Y)中の重合体ブロック[B2]の割合とは、アクリル系ブロック共重合体(Y)の質量中の占める上記重合体ブロック[B2]の合計質量の割合を意味する。
重合体ブロック[A2]のガラス転移温度は、特に限定されないが、20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上140℃以下が更に好ましく、40℃以上130℃以下がより好ましい。重合体ブロック[A2]のガラス転移温度を上記の範囲とすることで、高い凝集力に基づき、高荷重保持力に優れ粘着テープを引き伸ばして剥離する際の再剥離性及び解体性に優れる観点を発揮することができる。
また、重合体ブロック[B2]のガラス転移温度は、特に限定されないが、-80℃以上40℃以下が好ましく、-70℃以上30℃以下が更に好ましく、-60℃以上20℃以下がより好ましい。重合体ブロック[B2]のガラス転移温度を上記の範囲とすることで、優れた耐衝撃性の効果を奏することができる。
アクリル系ブロック共重合体(Y)を構成する重合体ブロック[A2]および[B2]のガラス転移温度は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)を構成する重合体ブロック[A1]および[B1]のガラス転移温度と同様の方法で特定することができる。
アクリル系ブロック共重合体(Y)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、分子側鎖中又は分子主鎖末端において、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基等の官能基等に変性されてもよい。
ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)としてより具体的には、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するアクリル系ジブロック共重合体が好ましく挙げられる。
Figure 2023013067000006
(上記一般式(5)中、D及びEはそれぞれ独立して、繰り返し単位を表し、Dはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、Eはアクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。上記一般式中(5)中、*は他の原子との結合を表す結合手である。)
上記一般式(5)中のDは、ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]を構成する。すなわち、上記一般式(5)中の「-(D)-」部のポリマーブロックが、ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]に相当する。また、上記一般式(5)中のEは、ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[B2]を構成する。すなわち、上記一般式(5)中の「-(E)-」部のポリマーブロックが、ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[B2]に相当する。
一般式(5)中のDにおけるメタクリル酸アルキルエステル単量体単位は、上述した一般式(1)中のA及びCにおけるメタクリル酸アルキルエステル単量体単位と同様の形態を適用できる。
また、一般式(5)中のEにおけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位は、上述した一般式(1)中のBにおけるアクリル酸アルキルエステル単量体単位と同様の形態を適用できる。なお、一般式(5)中のEは、1種のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位とするものであっても良く、2種以上のメタクリル酸アルキルエステル単量体を単量体単位として含んでいても良い。
ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)は、以下の一般式(6)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2023013067000007
(上記一般式(6)中、Rは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rで置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、Rは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Rで置換されてもよく、当該置換基Rは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表わす。)
上記一般式(6)中、Rは、上記一般式(2)におけるRと同様の態様を適用できる。上記一般式(6)中、Rは、上記一般式(3)におけるRと同様の形態を適用できる。上記一般式(6)中、s及びtは、上記一般式(1)におけるp及びqと同様の形態を適用できる。
上記一般式(5)及び(6)中、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表わす。s及びtのそれぞれの値は分子量等に関係する。s/(s+t)は、0.02~0.20であることが好ましく、0.10~0.16であることがより好ましい。また、t/(s+t)は、0.80~0.98であることが好ましく、0.84~0.90であることがより好ましい。s/(s+t)及びt/(s+t)の範囲をそれぞれ上記の範囲とすることで、ジブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率やその他物性を所定の範囲に調整することが可能となるからである。
アクリル系ブロック共重合体(Y)が取り得るジブロック共重合体としては、上述したアクリル系ブロック共重合体(Y)の物性を有することが可能であれば特に限定されないが、上記ジブロック共重合体の好ましい形態としては、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック、ポリメタクリル酸エチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック、ポリメタクリル酸プロピルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸t-ブチルブロック、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸プロピルブロック等が挙げられる。
また、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)としてより具体的には、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を有するアクリル系トリブロック共重合体が好ましく挙げられる。
Figure 2023013067000008
(上記一般式(7)中、F、G及びHはそれぞれ独立して、繰り返し単位を表し、F及びHはそれぞれ独立してメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、Gはアクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、u、v及びwはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表し、F及びHは同一の化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよく、或いは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよい。上記一般式中(7)中、*は他の原子との結合を表す結合手である。)
上記一般式(7)中、F及びHは、Gとは異なる繰り返し単位を表し、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。上記一般式(7)中のF及びHは、アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]を構成する。すなわち、上記一般式(1)中の「-(F)-」部のポリマーブロック、及び「-(H)-」部のポリマーブロックが、それぞれアクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]に相当する。
上記一般式(7)中、F及びHはそれぞれ独立しており、互いに同一の化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよく、或いは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位でもよい。すなわち、アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[A2]は、1種の構造の重合体ブロックを含んでいても良く、2種以上の異なる構造の重合体ブロックを含んでいても良い。
一般式(7)中のF及びHの詳細は、上述の一般式(1)中のA及びCの詳細と同様とすることができる。一般式(7)中のF及びHにおける、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位は、上述した一般式(2)で表されることが好ましい。
上記一般式(7)中、Gは、F及びHとは異なる繰り返し単位を表し、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。上記一般式(7)中のGは、アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[B2]を構成する。すなわち、上記一般式(7)中の「-(G)-」部のポリマーブロックは、アクリル系ブロック共重合体(Y)における重合体ブロック[B2]に相当する。
一般式(7)中のGの詳細は、上述の一般式(1)中のBの詳細と同様とすることができる。また、一般式(7)中のGにおける、アクリル酸アルキルエステル単量体単位は、上述した一般式(3)で表されることが好ましい。
上記一般式(7)中、u、v及びwはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。u、v及びwのそれぞれの値は分子量等に関係する。u/(u+v+w)は、0.01~0.10であることが好ましく、0.05~0.08であることがより好ましい。また、v/(u+v+w)は、0.79~0.98であることが好ましく、0.84~0.90であることがより好ましい。また、w/(u+v+w)は、0.01~0.10であることが好ましく、0.05~0.08であることがより好ましい。u、v及びwを上記の範囲内とすることで、アクリル系ブロック共重合体(Y)であるアクリルトリブロック共重合体の貯蔵弾性率やその他物性を所定の範囲に調整することが可能となるからである。
一般式(7)中のFとHとは、同一の繰り返し単位であってもよく、異なる繰り返し単位であっても良いが、中でも貯蔵弾性率等を所望の範囲に調整しやすいことから、一般式(7)中のFとHとが同一の繰り返し単位であることが好ましい。換言すれば、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)が上記式(Y2)で表され、且つ式(Y2)中の2つの[A2]が互いに同じ構造であることが好ましい。
具体的には、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)が、後述する一般式(8)で表わされる繰り返し単位を有する場合、R11とR15とが同一の基であり、u/(u+v+w)が、0.01~0.20であり、v/(u+v+w)が0.60~0.98であり、w/(u+v+w)が0.01~0.20であることが好ましい。u/(u+v+w)、v/(u+v+w)及びw/(u+v+w)をそれぞれ上記の範囲内とすることで、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)の貯蔵弾性率やその他物性を所定の範囲に調整することが可能となるからである。
トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)は、中でも以下の一般式(8)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2023013067000009
(上記一般式(8)中、R11及びR15はそれぞれ独立して、上記一般式(4)中のR及びRと同様に定義され、R13は上記一般式(4)中のRと同様に定義され、u、v及びwはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。)
上記一般式(8)中、R11は、上記一般式(2)におけるRと同様の態様を適用できる。上記一般式(8)中、R13は、上記一般式(3)におけるRと同様の態様を適用できる。上記一般式(8)中、R15は、上記一般式(2)におけるRと同様の態様を適用できる。
また、上記一般式(8)中、u、v及びwは、上記一般式(7)におけるu、v及びwと同様の態様を適用できる。さらに、上記一般式(8)中、R11及びR15は同一であっても、或いは異なっていてもよい。
上記一般式(8)中、R11は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましい。R13は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、又はウンデシル基からなる群から選択されることが好ましい。R15は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましい。また、R11、R13、R15がそれぞれ上記の官能基群から選択されるとき、u/(u+v+w)が、0.01~0.20であり、v/(u+v+w)が、0.60~0.98であり、w/(u+v+w)が、0.01~0.20であることが好ましい。
一般式(7)中のFとHとが異なる繰り返し単位である場合、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)の分子中に含まれる「-(F)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(F)-」部のポリマーブロックの総重量をa2と称する。)と、「-(G)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(G)-」部のポリマーブロックの総重量をb2と称する。)との割合は、粘着特性の観点から、a2/b2の質量比において、1/98~8/84の範囲内であるのが好ましく、4/92~6/88の範囲内であるのがより好ましい。
一般式(7)中のFとHとが異なる繰り返し単位である場合、トリブロック型のアクリル系ブロック共重合体(Y)の分子中に含まれる「-(H)-」部のポリマーブロックの総重量(当該「-(H)-」部のポリマーブロックの総重量をc2と称する。)と、「-(G)-」部のポリマーブロックの総重量との割合は、粘着特性の観点から、c2/b2の質量比において、1/98~8/84の範囲内であるのが好ましく、4/92~6/88の範囲内であるのがより好ましい。
一般式(7)中のFとHとが同じ繰り返し単位である場合、トリブロック共重合体(Y)の分子中に含まれる「-(F)-」部のポリマーブロック及び「-(H)-」部のポリマーブロックの総重量(「-(F)-」部のポリマーブロック及び「-(H)-」部のポリマーブロックの総重量をd2と称する。)と、「-(G)-」部のポリマーブロックの総重量(b2と称する)との割合(d2/b2)は、上述したアクリル系ブロック共重合体(Y)中の上記重合体ブロック[A2]及び上記重合体ブロック[B2]の重量から算出される重量割合と同様とすることができる。
具体的には、d2/b2の質量比は、2/98~16/84の範囲内でとすることができ、好ましくは5/95~14/86の範囲内であり、より好ましくは8/92~12/88の範囲内である。
なお、一般式(7)中のFとHとが同じ繰り返し単位である場合、「-(F)-」部のポリマーブロックの総重量と「-(H)-」部のポリマーブロックの総重量との和の割合が、アクリル系ブロック共重合体(Y)中の上記重合体ブロック[A2]の割合となる。
アクリル系ブロック共重合体(Y)が取り得るトリブロック共重合体としては、上述したアクリル系ブロック共重合体(Y)の物性を有することが可能であれば特に限定されないが、上記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸t-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸プロピルブロック-ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。中でもポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。
(その他)
粘着樹脂を構成するアクリル系ブロック共重合体は、上述した貯蔵弾性率が所定の範囲にあるアクリル系ブロック共重合体(X)を1種又は2種以上と、貯蔵弾性率が所定の範囲内にあるアクリル系ブロック共重合体(Y)を1種又は2種以上と、のみを含んでいてもよく、アクリル系ブロック共重合体(X)及びアクリル系ブロック共重合体(Y)の他に、任意のアクリルブロック共重合体(Z)を含んでいても良い。アクリル系ブロック共重合体が、アクリル系ブロック共重合体(X)と、アクリル系ブロック共重合体(Y)と、アクリルブロック共重合体(Z)とを含む場合、アクリル系ブロック共重合体の総量に占めるアクリル系ブロック共重合体(X)及び(Y)の総含有量は、アクリル系ブロック共重合体(X)及びアクリル系ブロック共重合体(Y)を含有することによる効果を阻害しない量であればよい。
<2>粘着付与樹脂
本実施形態における粘着剤組成物は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)及びアクリル系ブロック共重合体(Y)を含む粘着樹脂の他に、粘着付与樹脂を1種又は2種以上含んでいても良い。換言すれば、本実施形態において粘着剤層は、粘着付与樹脂を1種又は2種以上さらに含有してもよい。粘着剤層が粘着付与樹脂を含むことで、より接着力に優れた粘着テープが実現され得る。
粘着付与樹脂としては、軟化点が95℃以上であることが好ましい。より好ましくは、軟化点が、95℃~180℃のものが好ましく、95℃~140℃のものが、高い接着性能を備えた粘着剤層を形成するうえでより好ましい。なお、(メタ)アクリレート系の粘着付与樹脂を使用する場合には、そのガラス転移温度が30℃~200℃のものが好ましく、50℃~160℃のものがより好ましい。
上記粘着付与樹脂として、軟化点(軟化温度)が95℃以上である粘着付与樹脂を好ましく使用しえる。上述した下限値以上の軟化点をもつ粘着付与樹脂を含む粘着剤層によると、より接着力に優れた粘着テープが実現され得る。上記で例示した粘着付与樹脂のうち、上記軟化点を有するテルペン系粘着付与樹脂(例えばテルペン変性フェノール樹脂)、ロジン系粘着付与樹脂(例えば、重合ロジンのエステル化物)等を好ましく用いることができる。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されず、例えば凡そ200℃以下とすることができる。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K 5902及びJIS K 2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
上記粘着付与樹脂の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態としては、粘着樹脂の総量100質量部に対して粘着付与樹脂を10~75質量部含有することが好ましく、20~60質量部含有することがより好ましく、30~50質量部含有することがさらに好ましい。粘着剤層における粘着付与樹脂の含有量の範囲が上記範囲であると、被着体との密着性を確保しやすくなる。
上記粘着付与樹脂の具体例としては、ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、粘着付与樹脂は、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂が好ましい。
<3>架橋剤
本実施形態における粘着剤組成物は、粘着剤層の凝集力をより一層向上させるために架橋剤を含有することができる。上記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、架橋剤は、アクリル重合体の製造後に混合し、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤が好ましく、アクリル重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を使用することがより好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタンイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、3官能のポリイソシアネート系化合物である、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネートが特に好ましい。
<4>フィラー
本実施形態における粘着剤組成物は、上述したアクリル系ブロック共重合体(X)及びアクリル系ブロック共重合体(Y)を含む粘着樹脂を少なくとも必須に含むが、更にフィラーを1種又は2種以含有することが好ましい。換言すれば、本実施形態において粘着剤層は、フィラーを1種又は2種以上さらに含有してもよい。フィラーを含むことにより、粘着テープが伸長した際にフィラーが該粘着剤層から露出し、これにより粘着剤層と被着体との接着面積が小さくなるため、被着体の貼付面(以下、「接着面」と称することもある)に対して比較的大きい角度、例えば垂直方向(90°方向)で粘着テープを伸長する場合であっても、また、速い速度で伸長させた場合であっても、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができるからである。
上記フィラーの種類としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができ、無機フィラーであってもよく、有機フィラーであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機フィラーの材料の具体例としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素-ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。また、有機フィラーとして熱硬化樹脂系中空フィラーなどが挙げられる。
上記無機フィラーの材料の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ホウ素化チタン、カーボン、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、金、銀、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズ、酸化スズの水和物、硼砂、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム-カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化モリブデン、酸化アンチモン、赤リン、マイカ、クレイ、カオリン、タルク、ゼオライト、ウォラストナイト、スメクタイト、シリカ(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)、シリコーン、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニア、セリウム、錫、インジウム、炭素、イオウ、テリウム、コバルト、モリブデン、ストロンチウム、クロム、バリウム、鉛、酸化錫、酸化インジウム、ダイヤモンド、マグネシウム、白金、亜鉛、マンガン、ステンレスなどが挙げられる。なお、シリコーンは、無機成分であるシロキサン結合が主鎖で、側鎖がアルキル鎖等の有機基でつながった無機-有機ハイブリッド構造を有する無機ポリマーである。これらの中でも、シリコーン、水酸化アルミニウム、ニッケルなどのフィラーが好ましく、シリコーン(シリコーン系フィラー)が、上述したフィラーを含むことに因る伸長剥離性の効果を高く発揮できるとともに、テープの耐衝撃性をより高めることができるため更に好ましい。
また、上記無機フィラーは、粘着剤組成物への分散性向上のため、シランカップリング処理、ステアリン酸処理などの表面処理を施したものであってもよい。
上記無機フィラーのなかでもシリコーン系フィラーとしては、具体的には、直鎖状のオルガノポリシロキサンを三次元架橋させてなるシリコーンゴム粒子(特開昭63-77942号公報、特開平3-93834号公報、特開平04-198324号公報参照)、シリコーンゴムを粉末化したもの(米国特許第3843601号明細書、特開昭62-270660号公報、特開昭59-96,122号公報参照)などが利用できる。更には、上記方法で得られたシリコーンゴム粒子の表面を(R’SiO3/2)n(R’は置換又は非置換の一価炭化水素基を表す)で表される三次元網目状に架橋した構造を持つポリオルガノシルセスキオキサン硬化物であるシリコーンレジンで被覆した構造のシリコーン複合粒子(特開平7-196815号公報参照)も利用できる。
かかるシリコーン粒子としては、トレフィルE-500、トレフィルE-600、トレフィルE-601、トレフィルE-850等がそれぞれ上記の商品名で東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)から、また、KMP-600、KMP-601、KMP-602、KMP-605等が信越化学工業(株)から市販されているものが使用できる。
また、別のシリコーン系フィラーとしては、アクリル変性シリコーン粒子を用いることができる。アクリル変性シリコーン粒子としては、下記一般式(9)で示されるポリオルガノシロキサンと、アクリル酸系エステル単量体及び/又はメタクリル酸系エステル単量体と、これと共重合可能な官能基含有単量体との、乳化グラフト重合体が挙げられる。
Figure 2023013067000010
(上記一般式(9)中、R及びRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリ-ル基を示し、X、X、X、X、X、及びXはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリ-ル基、炭素数1~20のアルコキシ基又はヒドロキシル基を示し、Y及びYはそれぞれ独立して、X又は-[O-Si(X)(X)]-Xで示される基を示し、X、X、及びXはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリ-ル基、炭素数1~20のアルコキシ基又はヒドロキシル基を示し、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX並びにY及びY中の少なくとも2個の基はヒドロキシル基であり、a、b及びcはそれぞれ独立して、0≦a≦1,000の正数、100≦b≦10,000の正数、1≦c≦1,000を満たす正数である。)
上記アクリル酸系エステル単量体又はメタクリル酸系エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
上記アクリル酸系エステル単量体及び/又はメタクリル酸系エステル単量体と共重合可能な官能基含有単量体としては、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、ビニル基、アリル基等を含む不飽和結合を有する単量体等が挙げられる。
上記アクリル変性シリコーン粒子は、上記一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサン100質量部に対して、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体が10~100質量部、これと共重合可能な官能基含有単量体が0.01~20質量部を混合し、乳化グラフト重合して得られるものが好ましい。乳化グラフト重合における条件は、特に限定されず、重合時に用いる開始剤としては、通常アクリル系ポリマーに用いる公知のラジカル開始剤を使用できる。また、乳化剤も公知のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用できる。
上記アクリル変性シリコーン粒子は、スプレードライ乾燥、気流式乾燥等により造粒し粉体化することができる。中でも、生産性の観点からスプレードライヤーが好ましい。粉体化は熱間乾燥することが好ましく、80~150℃で処理することが好ましい。また、上記アクリル変性シリコーン粒子としては、例えば、シャリーヌ R-170S、シャリーヌ R-200(以上、日信化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
フィラーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、規則的な形状であってもよく、不規則な形状であってもよい。フィラーの形状の具体例としては、多角形状、立方体状、楕円状、球状、針状、平板状、鱗片状などが挙げられる。これらの形状のフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの形状のフィラーが凝集したものであってもよい。これらの中でも、フィラーの形状としては、楕円状、球状、多角形状が好ましく、球状がより好ましい。粘着テープが伸長した際に、粘着剤層の被着体に対する滑りが良好となり、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができるからである。
フィラーの粒度分布(D90/D10)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.5~20が好ましく、耐衝撃性の点で、2.5~15がより好ましく、2.5~5が更に好ましい。フィラーの粒度分布(D90/D10)が好ましい範囲内であると、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができ、粘着テープの基材の厚さが薄い場合であっても千切れにくく、且つ、耐衝撃性、せん断接着力、及び割裂接着力に優れる。一方、フィラーの粒度分布(D90/D10)が、2.5未満であると、伸長剥離性を損なうことがあり、20を超えると、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能を損なうことがある。
フィラーの粒度分布(D90/D10)は、例えば、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することによりフィラーの平均粒子径を測定して、粒度分布に換算することで得られる。
フィラーの平均粒径は、0.1~40μmであり、好ましくは1~40μmであり、より好ましくは3~35μmであり、さらに好ましくは5~30μmであり、特に好ましくは10~25μmである。フィラーの平均粒径が好ましい範囲内であると、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができ、粘着テープの基材の厚さが薄い場合であっても千切れにくく、且つ、耐衝撃性、せん断接着力、及び割裂接着力に優れる。一方、フィラーの粒径が、0.1μm未満であると、伸長剥離性を損なうことがあり、40μmを超えると、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能を損なうことがある。
フィラーの平均粒径は、体積平均粒径を指し、例えば、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することにより測定することができる。
本実施形態において、フィラーの平均粒径と粘着剤層の平均厚さとの比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、[フィラーの体積平均粒径/粘着剤層の平均厚さ]で表される、粘着剤層の平均厚さに対するフィラーの平均粒径との比率が、5/100以上であることが好ましく、5/100~95/100であることがより好ましく、10/100~75/100が更に好ましく、20/100~60/100が特に好ましい。上記比率が5/100以上であると、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができ、粘着テープの基材の厚さが薄い場合であっても千切れにくい。また、比率が95/100以下であること、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能もより優れる点で有利である。
本実施形態の粘着剤層におけるフィラーの含有量は、粘着樹脂100質量部に対して、0~300質量部が好ましく、1~100質量部であることがさらに好ましく、10~60質量部であることが好ましく、20~50質量部であることがより好ましい。粘着樹脂100質量部に対するフィラーの含有量が1質量%以上であることにより、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができる。また、粘着樹脂100質量部に対するフィラーの含有量が100質量部以下であることにより、被着体に粘着剤組成物が残留したり、耐衝撃性が悪くなったり、また、せん断接着力や割裂接着力が弱くなったりすることを防止することができる。

本実施形態の粘着剤層におけるフィラーの含有量は、粘着剤層の前駆体である粘着剤組成物を調製する際に、適宜調製することができる。
本実施形態の粘着剤層全体の体積に占めるフィラーの体積比率は、フィラーを含有することにより、粘着テープの高荷重保持力や耐衝撃性を損なわず、また、接着力や再剥離性を低下させない割合であれば特に限定されないが、例えば11体積%~44体積%の範囲内とすることができ、中でも13体積%~42体積%の範囲内であることが好ましく、15体積%~40体積%の範囲内であることがさらに好ましく、17体積%~38体積%の範囲内であることがより好ましい。フィラーの体積比が所定値以上であることにより、より簡易に且つより速やかに粘着テープを剥がすことができる。また、フィラーの体積比が所定値以下であることにより、被着体に粘着剤層が残留したり、耐衝撃性が悪くなったり、また、せん断接着力や割裂接着力が弱くなったりすることを防止することができる。
粘着剤層全体の体積に対するフィラーの体積比は、下記数式より算出することができる。各材料の密度は、JIS Z 8804に準拠して測定した値である。粘着剤層全体の体積に対するフィラーの体積比とは、換言すれば、粘着剤層を形成する粘着剤の体積に対するフィラーの体積比である。2種類以上の粘着樹脂を含む場合は、下記数式(1)により粘着樹脂ごとの体積(粘着樹脂A1の体積A1,粘着樹脂A2の体積A2…等)を算出し、その和を粘着樹脂全体の体積Aとする。
粘着樹脂の質量A(g)/粘着樹脂の密度A(g/cm)=粘着樹脂の体積A(cm) ・・・数式(1)
フィラーの質量B(g)/フィラーの密度B(g/cm)=フィラーの体積B(cm) ・・・数式(2)
フィラーの体積B(cm)/(粘着樹脂の体積A(cm)+フィラーの体積B(cm))×100=フィラーの体積比(%) ・・・数式(3)
また、粘着剤層及びそれを形成する粘着剤が粘着樹脂及びフィラー以外の他の成分Cを含む場合は、上記他の成分についても重量及び密度から体積を算出し、フィラーの体積Bを粘着樹脂の体積A、フィラーの体積B及び該他の成分の体積Cの和で除することで、フィラーの体積比を算出することができる。具体的には、粘着剤層及びそれを形成する粘着剤が粘着付与樹脂を含む場合は、上述した粘着樹脂の体積A及びフィラーの体積Bに加えて、下記数式(4)により粘着付与樹脂の体積Cを算出し、下記数式(5)によりフィラーの体積比(%)を算出することができる。
粘着付与樹脂の質量C(g)/粘着付与樹脂の密度C(g/cm)=粘着付与樹脂の体積C(cm) ・・・数式(4)
フィラーの体積B(cm)/(粘着樹脂の体積A(cm)+フィラーの体積B(cm)+粘着付与樹脂の体積C(cm))×100=フィラーの体積比(%) ・・・数式(5)
<5>その他の成分
本実施形態において、粘着剤層は、上述した粘着樹脂やフィラーの他に、任意でその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、特に制限はなく、粘着テープの特性を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、粘着樹脂以外のポリマー成分、架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、金属不活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記粘着剤層におけるその他の成分の含有量は、粘着テープの特性を損なわない範囲で適宜選択することができる。
(2)物性
本実施形態において、粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率G’(23℃)が、0.01MPa~100.0MPaの範囲内であることが好ましく、0.05MPa~10.0MPaの範囲内であることが更に好ましく、0.10MPa~10.0MPaの範囲内であることがより好ましい。粘着剤層の貯蔵弾性率が上記範囲にあることにより、高荷重保持力と耐落下衝撃性とマット面への再剥離性に優れるからである。
粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率G’(23℃)は、粘着剤層を2mm厚になるように重ね合わせて試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、試験片を挟み込み、温度23℃、周波数1Hzで測定した値である。
上記粘着剤層は、25%伸長時応力が0.04~0.4MPaであることが好ましく、0.05~0.1MPaがより好ましい。粘着剤層の25%伸長時応力が、好ましい範囲内であると、粘着テープとして好適な接着強度を得ることができ、伸長剥離する際でも比較的容易に引き剥がすことが可能となる。また、粘着剤層の25%伸長時応力が0.04MPa以上であると、硬質な被着体同士を固定していながら粘着テープのせん断方向への荷重が生じた場合でも、粘着テープが剥がれ難く、0.4MPa以下であると、粘着テープを引き剥がす際、該粘着テープを伸長させるために必要な力が過大となることがない。
上記粘着剤層の25%伸長時応力は、粘着剤層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、25%伸長したときに測定した応力値を指す。
上記粘着剤層は、破断強度が0.5~2.1MPaであることが好ましく、1.0~2.1MPaがより好ましい。粘着剤層の破断強度が、上記好ましい範囲内であると、粘着テープを引き伸ばして剥がす際にも、該粘着テープが千切れてしまうことを抑制することができ、該粘着テープを伸長させるための荷重が過剰になり過ぎないため、引き剥がしによる再剥離作業が容易になる。また、粘着剤層の破断強度が0.5MPa以上であると、粘着テープを引き伸ばして剥がす際に、該粘着剤層の凝集破壊による糊残りが生じ難く、2.1MPa以下であると、十分な粘着性が得られる。
上記粘着剤層の破断強度は、粘着剤層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
上記粘着剤層は、破断伸度が450~1300%であることが好ましく、500~1200%がより好ましく、600~1100%が更に好ましい。粘着剤層の破断伸度が上記好ましい範囲内にあることで、好適な接着性と再剥離性(剥がしやすさ)を両立することができる。
上記粘着剤層の破断伸度は、粘着剤層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
上記粘着剤層は、平均厚みが5μm~150μmであることが好ましく、10μm~120μmであることがより好ましく、20μm~110μmであることが更に好ましく、30μm~100μmであることが特に好ましい。なお、粘着テープが両面に粘着剤層を有する場合、「粘着剤層の平均厚み」とは、粘着テープにおける一方の面の粘着剤層の平均厚みを意味する。粘着テープの両面に粘着剤層を有する場合、一方の面の粘着剤層の平均厚みと、他方の面の粘着剤層の平均厚みとは、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じ平均厚みであることが好ましい。
上記粘着剤層の平均厚みは、次の方法により測定することができる。即ち、粘着テープを液体窒素中に1分間浸漬した後、ピンセットを用いて液体窒素中で、粘着テープの幅方向を折り目として折り曲げて割り、該粘着テープの厚み方向の割断面観察用の切片を作製する。上記切片をデシケータ内で常温に戻した後、上記割断面に対して電子線が垂直に入射するように試料台に固定し、電子顕微鏡を用いて、上記割断面の観察を行う。電子顕微鏡のスケールを基に、上記粘着テープにおける粘着剤層の厚みを10箇所測定し、その算術平均値を粘着剤層の平均厚みとする。なお、粘着剤層の厚みは、一方側の表面から他方側の表面までを積層方向に沿って測った長さである。
2.基材層
本実施形態において、基材層は、粘着剤層を支持し、かつ、粘着シートに伸長性を付与する機能を有する。本実施形態において基材層は、破断応力が1~100MPaであり、且つ破断伸度が300~3000%である。
上記基材層は、所定の物性を具備すれば、単層構造であってもよく、2層、3層、又はそれ以上の複層構造であってもよい。
(1)物性
本実施形態において、基材層は、破断応力が1~100MPaであることが好ましい。破断応力が1MPa以上であることにより、粘着テープを被着体よりを剥がす際において、粘着テープを引っ張っても千切れることなく被着体から剥がすことができる。また、破断応力が100MPa以下であることにより、粘着テープを引っ張る際の応力が大きくなりすぎるのを避けることができる。中でも基材層の破断応力は、10MPa以上又は10MPa超90MPa以下であることが好ましく、更に好ましくは15~90MPaであり、より好ましくは30~90MPaであり、よりさらに好ましくは50~90MPaである。基材層の破断応力を上記範囲内とすることで、マット面や平滑面の被着面を有する被着体から粘着テープを引き伸ばす際に、水平方向だけでなく垂直方向に引き伸ばす場合であっても、粘着テープが千切れることなく容易に引き伸ばし可能となり、被着体からの再剥離性をより高めることができる。
上記基材層の破断応力は、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
また、当該破断応力は、適宜材料を選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
上記基材層は、破断伸度が300~3000%であることが好ましい。破断伸度が400%以上であることにより、粘着テープが強固に被着体に接着している場合でも、該粘着テープを剥がす際の応力が大きくなり過ぎない。また、破断伸度が3000%以下であることにより、粘着テープを剥がす際に、引き伸ばし距離が長くなりすぎず小スペースでの作業が可能となる。中でも上記基材層の破断伸度のより好ましい範囲は、500~2500%であり、好ましくは530~1700%であり、さらに好ましくは560~1300%であり、よりさらに好ましくは600~1200%である。上記範囲内とすることで、粘着テープを所望の方向に引き伸ばして剥離する際に要する応力が過剰になるのを防ぐことができ、引き伸ばしによる剥離性を良好とすることができる。
上記基材層の破断伸度は、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
また、当該破断伸度は、基材層の材料を適宜選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
上記基材層は、50%モジュラスが0.1~5MPaであることが好ましい。50%モジュラスが0.1MPa以上であることにより、粘着テープや被着体に負荷がかかった際にズレなどの形状変形に伴う不具合を抑制することができる。また、50%モジュラスが5MPa以下であることにより、被着体より粘着テープを剥がす初期段階において、作業者が、比較的軽い力で引っ張ることができる。中でも上記基材層の50%モジュラスのより好ましい範囲は、0.5~4.5MPaであり、さらに好ましくは1~4MPaである。基材層の50%モジュラスを上記範囲内とすることにより、被着体から粘着テープを引き伸ばして剥がす初期段階において、過剰な力を要することなく引っ張ることができる。
上記基材層の50%モジュラスは、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、伸度が50%の際に測定した応力値を指す。
また、当該50%モジュラスは、適宜材料を選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
上記基材層は、ゴム硬度が25~90Aであることが好ましく、より好ましくは30~85Aであり、さらに好ましくは35~80Aである。ゴム硬度が25A以上であることにより、粘着テープを引き伸ばして剥がす際に該粘着テープのちぎれを防止することができる。また、ゴム硬度が90A以下であることにより、基材層が軟らかくなり、例えば、粘着テープが貼り付いた被着体を落下した際に、粘着テープが衝撃を吸収しやすくなり、被着体を衝撃から保護することができる。換言すれば、粘着テープの耐衝撃性を向上させることができる。
上記基材層のゴム硬度は、ショアA硬度であり、デュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)(型式:GS-719G、株式会社テクロック製)を用い、JIS K 6253に準拠して測定した値を指す。
また、当該ゴム硬度は、例えば樹脂の分子量を変更したり、スチレン単量体単位を含む場合には当該単量体単位を変更したりする等、適宜材料を選択するなどの方法で調整することができる。
上記基材層は、平均厚さが10~500μmであることが好ましい。厚さが10μm以上であることにより、粘着テープの強度を確保することができ、また、厚さが500μm以下であることにより、厚さが厚すぎて粘着テープを引っ張りにくくなることを避けることができる。中でも上記基材層の平均厚さは、好ましくは20~250μmであり、より好ましくは30~200μmである。基材層の平均厚さを上記範囲内とすることで、引き伸ばしによる剥離性と衝撃に耐え得る強度とをより効果的に発揮することが可能となる。
本明細書において、「基材層の厚さ」とは、基材層中の任意の5点の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスター産業株式会社製)を用いて測定し、それら測定値の平均値を指す。
本実施形態において、上記粘着剤層と上記基材層との厚さの比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、[粘着剤層の厚さ/基材層の厚さ]で表される、基材層の厚さに対する粘着剤層の厚さの比率が、1/6~6/1であることが好ましく、1/3~3/1であることがより好ましく、1/2~2/1であることが更に好ましい。基材層の厚さに対する粘着剤層の厚さの比率が好ましい範囲内にあると、粘着テープの優れた接着性と再剥離性(剥がしやすさ)を得ることができる。一方、上記比率が6/1より大きいと、粘着テープの再剥離性工程で粘着剤層のみが被着体に残存してしまう可能性がある。また、上記比率が1/6より小さいと、被着体の表面が凹凸形状などの場合に粘着剤層が追従できずに接着強度が低下してしまう懸念がある。なお、基材層の両面に粘着剤層が設けられている場合、粘着剤層と基材層との厚さの比率を算出する際の「粘着剤層の厚さ」とは、基材層の両面に設けられた粘着剤層の厚さの和をいう。
(2)組成
上記基材層は、上述の特性を備えれば特に制限はなく、通常、樹脂を主成分とする基材用組成物により構成される。すなわち、上記基材層としては、樹脂フィルムや樹脂シート等の樹脂層を用いることができる。また、上記基材層は、樹脂のみで構成されていても良く、樹脂の他に任意の成分を含んでいてもよい。
(樹脂)
上記基材層を構成する樹脂は、上述の特性を備えれば特に制限はなく、例えば、スチレン系樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリイミド;フッソ樹脂;ナイロン;アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、2種以上併用することが好ましい。
これらの中でも、スチレン系樹脂又はポリウレタン樹脂は、好適な破断応力や破断伸度を得易いため好ましく、スチレン系樹脂がより好ましい。上記スチレン系樹脂は、熱可塑性を示す樹脂であるため、押出成形や射出成形等の成形性に優れ、基材層を成形し易い。また、スチレン系樹脂は、一般的に熱可塑性樹脂と呼ばれる樹脂群の中でも特に優れた破断伸度が得られ易く、粘着シートの基材として好適に使用できる。
上述の理由から、基材層は、スチレン系樹脂又はポリウレタン樹脂を主成分とすることが好ましく、スチレン系樹脂を主成分とすることがより好ましい。以下、スチレン系樹脂及びポリウレタン樹脂についてさらに詳細に説明する。主成分とは、基材層の質量全体(100質量%)中で最も含有量が多い成分をいい、通常、50%以上を占める成分をいう。
-スチレン系樹脂-
基材層がスチレン系樹脂を主成分として含む場合、基材層の全樹脂成分に対してスチレン系樹脂が占める割合(質量%)としては、50~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、65~100質量%が更に好ましく、70~100質量%が特に好ましい。スチレン系樹脂の割合が上記好ましい範囲内であることで、破断伸度や破断応力が優れた基材層を得ることができる。
上記スチレン系樹脂は、例えば、線状構造、分岐構造、又は多分岐構造の単一構造のものを使用してもよく、異なる構造のものを混合して使用してもよい。線状構造が豊富なスチレン系樹脂は、基材層に優れた破断伸度を与えることができる。一方、分岐構造や多分岐構造でありながら分子末端にスチレンブロックを配したものは、擬似的架橋構造を取ることができ、優れた凝集力を与えることができる。このため、スチレン系樹脂は、必要な機械特性にあわせて混合して使用することが好ましい。
上記スチレン系樹脂としては、該スチレン系樹脂の全質量に対して、下記化学式(A)で表される構造単位を5~50質量%の範囲で有するものを使用することが好ましく、5~40質量%の範囲で有するものを使用することがより好ましく、10~30質量%の範囲で有するものを使用することが更に好ましく、15~25質量%の範囲で有するものを使用することが特に好ましい。スチレン系樹脂の全質量に対する下記化学式(A)で表される構造単位の割合が上記好ましい範囲内であることで、破断伸度や破断応力が好適な範囲で得られ易くなる。なお、下記化学式(A)中の*は他の原子との結合を表わす結合手であり、後述の化学式においても同様である。
Figure 2023013067000011
上記スチレン系樹脂としては、特に限定されないが、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのビニル芳香族ブロック共重合体が好ましく挙げられる。具体的には、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、並びにこれらの共重合体の水添物などが挙げられる。これらは、1種単独または2種以上併用することができる。
中でもスチレン系樹脂は、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせて使用することが特に好ましい。
上記スチレン系樹脂として、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせて使用する場合、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との合計質量に対する、スチレン-イソプレン共重合体の含有量が、0~80質量%であることが好ましく、0~70質量%の範囲であることがより好ましく、0~50質量%であることが更に好ましく、0~30質量%であることが特に好ましい。スチレン-イソプレン共重合体の含有量が上記好ましい範囲内であると、優れた破断伸度や破断応力を維持しながら熱耐久性との両立が可能となる。
また、スチレン-イソプレン共重合体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算で測定された重量平均分子量が、1万~80万の範囲であるものを使用することが好ましく、3万~50万の範囲であるものを使用することがより好ましく、5万~30万の範囲であるものを使用することが更に好ましい。スチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量が上記好ましい範囲内であることで、加熱流動性や溶剤希釈時の相溶性を確保できるため、製造工程における作業性が良好でありながら、熱耐久性を備えた基材層を得ることができるため好ましい。
ここで、GPC法によるスチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量の測定は、GPC装置(SC-8020、東ソー株式会社製)を用いて測定される、標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
-測定条件-
・ サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離液:テトラヒドロフラン
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel(登録商標) GMHHR-H(20) 2本
・ ガードカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2,000万(東ソー株式会社製)
スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、及びスチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、アニオンリビング重合法によりブロック共重合体を得、必要に応じてカップリング剤を添加して反応させることにより得ることができる。
具体的にはスチレン-イソプレン共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法などが挙げられる。
スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法、リビング性活性末端を有するブロック共重合体を製造した後にカップリング剤と反応させてカップリングしたブロック共重合体を製造する方法などが挙げられる。
スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、上記方法で製造したスチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを混合する方法などが挙げられる。
また、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、ひとつの重合工程で同時に混合物として製造することも可能である。
より具体的な一態様としては、アニオンリビング重合法により、第一に、重合溶媒中、アニオン重合開始剤を用いてスチレン単量体を重合し、リビング性の活性末端を有するポリスチレンブロックを形成する。第二に、ポリスチレンブロックのリビング性の活性末端からイソプレンを重合し、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体を得る。第三に、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の一部とカップリング剤とを反応させ、カップリングしたスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を形成する。第四に、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の残部を、重合停止剤を用いて、そのリビング性の活性末端を失活させ、スチレン-イソプレンジブロック共重合体を形成させる。また、当該スチレン-イソプレンジブロック共重合体は、上記ビニル芳香族ブロック共重合体として使用してもよい。
また、スチレン系樹脂は、スチレン系ブロック共重合体の水添物(水添スチレン系ブロック共重合体と称する場合がある。)が好ましく、中でもスチレン系化合物単位を主体とする重合体ブロックA、および直鎖状の水添ブタジエン構造単位と側鎖を有する水添イソプレン構造単位とのランダムコポリマーで構成されるブロックである重合体ブロックBと、で構成されるスチレン系ブロック共重合体の水添物が好ましい。重合体ブロックB内に、結晶性に寄与する直鎖状の構造単位と伸張性に寄与する側鎖を有する構造単位とがランダムに存在することで、伸張性と破断強度の向上とをより両立させやすくなるからである。このようなスチレン系ブロック共重合体の水添物として具体的には、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンで形成されるブロック共重合体の水添物である。また、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体は、スチレン-イソプレン/ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水添物である。中でもスチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水添物が特に好ましい。
-ポリウレタン樹脂-
基材層がポリウレタン樹脂を主成分として含む場合、基材層の材料において、全樹脂成分に対してポリウレタン樹脂が占める割合(質量%)としては、50~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、65~100質量%が更に好ましく、70~100質量%が特に好ましい。ポリウレタン樹脂の割合が上記好ましい範囲内であることで、破断伸度や破断応力が優れた基材層を得ることができる。
上記ポリウレタン樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、45℃以上の軟化点を有するものが好ましく、55℃以上の軟化点を有するものがより好ましい。また、軟化点の上限としては、110℃以下であることが好ましい。本明細書の「軟化点」は、JIS K 2207(環球式)に準拠して測定した値を指す(以下、軟化点については同様の測定法である)。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応物を好適に使用することができる。上記反応物として具体的には、エステル系ポリウレタン、エ-テル系ポリウレタン等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上併用することができる。
ポリオール(b1-1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオール(b1-1)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが、基材層の機械特性を得ることができるため好ましい。基材層において、耐熱性が必要となる場合はポリエステルポリオールを使用することが好ましく、耐水性や耐生分解性が必要な場合はポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステル、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な低分子量のポリオールとしては、例えば、概ね重量平均分子量が60~280程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノールなどを使用することができる。
上記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びそれらの無水物又はエステル化物などが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、後述する低分子量のポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
上記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールの製造に使用可能な、炭酸エステル及び/又はホスゲンと反応しうる低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノールなどが挙げられる。
ポリイソシアネート(b1-2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキシレン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)とを反応させてポリウレタン樹脂(b1)を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、反応容器に仕込んだポリオール(b1-1)を、常圧又は減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、ポリイソシアネート(b1-2)を一括又は分割して供給し反応させる方法などが挙げられる。
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応は、ポリイソシアネート(b1-2)が有するイソシアネート基(NCO)と、ポリオール(b1-1)が有する水酸基(OH)との当量比(NCO/OH当量比)が、1.0~20.0の範囲で行うことが好ましく、1.1~13.0の範囲で行うことがより好ましく、1.2~5.0の範囲で行うことが更に好ましく、1.5~3.0の範囲で行うことが特に好ましい。
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応条件としては、特に制限はなく、安全、品質、コスト等の諸条件を考慮して適宜選択することができるが、反応温度としては70~120℃が好ましく、反応時間としては30分間~5時間が好ましい。
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒、有機金属系触媒などを使用することができる。
また、上記反応は、無溶剤の環境下で行ってもよく、有機溶剤の存在下で行ってもよい。有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤は、ポリウレタン樹脂(b1)の製造途中又はポリウレタン(b1)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
(その他の成分)
基材層は、上述した樹脂の他に、任意でその他の成分を含むことができる。基材層におけるその他の成分としては、特に制限はなく、粘着テープの特性を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、粘着付与樹脂;上述した樹脂以外の他のポリマー;架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機系充填剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基材層におけるその他の成分の含有量としては、粘着テープの特性を損なわない範囲で適宜選択することができる。
3.任意の構成
本実施形態の粘着テープは、基材層及び当該基材層の少なくとも一方の表面に設けられた粘着剤層を必須の構成部材として有するが、上記粘着剤層の基材層とは反対側の面に剥離シートを有していても良い。剥離シートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、一軸延伸ポリプロピレン(CPP))、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム;上記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、上記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面若しくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書内で規定する粘着テープの物性及び厚さは、上記剥離ライナーを除いた粘着テープの物性及び厚さをいうものとする。
4.粘着テープ
本実施形態の粘着テープは、基材層と、当該基材層の少なくとも一方の表面に粘着剤層とを備えるものであれば、その形状・寸法は特に限定されず、例えば、所定の被着体へ貼り付けるために適した形状・寸法を有する粘着テープ(例えば打ち抜き加工された後の状態の粘着テープ)、及びシート状の長尺の粘着テープ(例えば特定の形状に加工される前の粘着テープ)が含まれる。また、本実施形態の粘着テープは、例えば被着体への貼付け又は被着体からの剥離のために、非接着性の把持領域を任意に設けることができる。
本実施形態の粘着テープの(平均)厚さとしては、特に制限はなく、粘着剤層及び基材層の(平均)厚さなどに応じて適宜選択することができるが、20~1000μmであることが好ましく、30~600μmであることがより好ましく、50~400μmであることが更に好ましく、80~300μmであることが特に好ましい。粘着テープの厚さを上記の範囲内とすることで、被着面に対して粘着テープを水平方向に引き伸ばして剥離する際の引き伸ばし性及び再剥離性が良好となり、また、優れた耐衝撃性や保持力を発揮することができる。
なお、本明細書において、「粘着テープの厚さ」とは、粘着テープを、長さ方向に100mm間隔で5箇所、幅方向に切断し、各切断面において幅方向に100mm間隔で5点の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスター産業株式会社製)を用いて測定した、合計25点の厚さの平均値を指す。
本実施形態の粘着テープの硬度(タイプA硬度(ショアA硬度))は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10~80が好ましく、20~75がより好ましく、30~70が更に好ましい。粘着テープのショアA硬度が上記好ましい範囲内であると、粘着テープの引き剥がしによる再剥離性作業が容易になる。一方、ショアA硬度が、10未満であると、粘着テープを引き伸ばして剥がす際に該粘着テープが千切れてしまうことがあり、80を超えると、粘着テープを引き伸ばして再剥離性しようとした場合に、引き伸ばすための応力が高くなりすぎることで再剥離性することができないことがある。
粘着テープのゴム硬度は、ショアA硬度であり、デュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)(型式:GS-719G、株式会社テクロック製)を用い、JIS K 6253に準拠して測定した値を指す。
本実施形態の粘着テープの25%伸長時応力は、0.15~10MPaであることが好ましく、0.16~10MPaがより好ましく、0.17~5MPaがさらに好ましく、0.18~4.5MPaが最も好ましい。粘着テープの25%伸長時応力が0.15MPa~10MPaであると、粘着テープとして好適な接着強度を得ることができ、伸長剥離する際でも比較的容易に引き剥がすことが可能となる。一方、粘着テープの25%伸長時応力が、0.15MPa未満であると、硬質な被着体同士を固定していながら粘着テープのせん断方向への荷重が生じた場合に粘着テープが剥がれる虞がある。また、粘着テープの25%伸長時応力が、10MPaを超えると、粘着テープを引き剥がす際、該粘着テープを伸長させるために必要な力が過大となってしまう傾向がある。
粘着テープの25%伸長時応力は、粘着テープを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、25%伸長したときに測定した応力値を指す。
本実施形態の粘着テープの破断応力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~100.0MPaが好ましく、3~90.0MPaがより好ましく、5~80.0MPaが更に好ましく、10~80.0MPaが特に好ましい。粘着テープの破断応力が、上記好ましい範囲内であると、粘着テープを早く引き伸ばして剥がす際にも該粘着テープが千切れてしまうことを抑制することができ、該粘着テープを伸長させるための荷重が過剰になり過ぎないため引き剥がしによる再剥離性作業が容易になる。粘着テープの破断応力が小さすぎると粘着テープを早く引き伸ばして剥がす際に該粘着テープが千切れてしまうことがあり、粘着テープの破断応力が大きすぎると粘着テープを引き伸ばして再剥離性しようとした場合に、十分に引き伸ばすことができず再剥離性することができないことがある。特に本実施形態の粘着テープにおいては、粘着テープの破断応力を5MPa超、好ましくは10MPa以上とすることで、耐落下性を良好にしつつ、平滑面及びマット面に対して粘着テープを引き延ばして剥離する際に、水平方向に加えてより密着性が高くなり凝集破壊が生じやすくなる垂直方向に引き伸ばして剥離する場合であっても、粘着テープが引き伸ばす過程で千切れにくくなり、良好な再剥離性を発揮することができ、被着面に対する引き伸ばし角度の自由度を上げることができる。なお、粘着テープを引き伸ばして変形させる際に必要な力は、該粘着テープの厚さにも依存することになり、例えば、粘着テープの厚さが厚く破断応力が高い粘着テープを引き伸ばして再剥離性しようとした場合にも、十分に引き伸ばすことができず再剥離性することができないことがある。
粘着テープの破断応力は、粘着テープを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
本実施形態の粘着テープの破断伸度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400~2000%が好ましい。粘着テープの破断伸度が400%以上であると、粘着テープが強固に被着体に接着している場合でも、該粘着テープを再剥離性する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向へ引き伸ばすための応力が過剰になるのを抑制して、適度な力で引き伸ばすことができ、また、該粘着テープが過剰に伸びすぎることなく容易に引き剥がすことができる。一方、破断伸度が2000%以下であると、粘着テープを再剥離性する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向への引き伸ばし距離が長くなりすぎず小スペースでの作業が可能となる。中でも粘着テープの破断伸度は、500~1800%がより好ましく、600~1200%が更に好ましい。上記範囲内とすることで、粘着テープを被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向へ引き伸ばして剥がす際に、粘着テープが破断せず且つ引き伸ばし距離が長くなりすぎずに剥離可能となるため、作業性がより向上するからである。
粘着テープの破断伸度は、粘着テープを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
本実施形態の粘着テープは、耐衝撃性、特に耐落下衝撃性に優れる。耐落下衝撃性に優れるとは、粘着テープを介して接合した物品を所望の高さから落下させたときに、落下時に衝撃を受けても物品の接合状態が維持できることをいう。耐落下衝撃性は、例えば、後述する実施例の欄における「耐落下衝撃性の評価」に記載の方法で確認することができる。耐落下衝撃性の評価において、粘着テ-プの剥がれ又は破壊が生じる撃芯の高さとしては、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができるが、特に優れた耐落下衝撃性が得られることから、50cm以上であることが好ましく、中でも60cm以上であることが好ましく、70cm以上であることが更に好ましく、80cm以上であることがより好ましく、120cm以上であることが特に好ましい。
本実施形態の粘着テープの貯蔵弾性率G’(23℃)は、1.0×10~1.0×10Paであることが好ましく、5.0×10~5.0×10Paであることがより好ましく、1.0×10~1.0×10Paであることが更に好ましく、3.0×10~8.0×10Paであることがよりさらに好ましい。粘着テープの貯蔵弾性率G’(23℃)が上記範囲にあることにより、被着体の歪などに対して追従し易く優れた接着強度が得られ易くなり、粘着テープの寸法安定性も確保することができるため、好適な貼付作業性が得られる。
本実施形態の粘着テープの180°ピール接着力は、3N/20mm~50N/20mmが好ましく、5N/20mm~45N/20mmがより好ましく、7N/20mm~40N/20mmが更に好ましい。180°ピール接着力が、上記好ましい範囲内であると、被着体からの剥がれやズレを引き起こさず適度な接着力を有しながら、該粘着テープを被着体の貼付面に対して水平方向へ引き伸ばして再剥離性する際に、被着体に糊残りせずに容易に引き剥がすことができる。粘着テープの180°ピール接着力は、JIS Z 0237に準拠して測定した値を指し、幅20mm、長さ100mmのサイズにカットした粘着テープを。23℃、50%RHの環境下にて、上記粘着シートの粘着面のうち測定対象面をSUS板の表面に、2kgのローラーを1往復させて圧着したものを、23℃、50%RHの環境下に1時間放置した後、引張試験機を用いて、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度[N/20mm幅]を測定する。粘着テープが両面粘着テープである場合には、他方の粘着面に厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせた後、測定対象粘着面をSUS板に圧着して測定を行う。
本実施形態の粘着テープは、被着体の表面が平滑面である場合だけでなく、被着体の表面がマット面である場合でも、これらの面を被着面として粘着テープを貼合し、上記被着面に対して水平方向に引き伸ばすことで、テープがちぎれずに、被着体に糊残りせずに容易に引き剥がすことができる。特に被着面がマット面である場合、経時での密着昂進により再剥離しにくくなるところ、本実施形態の粘着テープは、所定の組成を含む粘着剤層と所定の物性を満たす基材層との積層構成を有することで、マット面に対する良好な接着性を発揮しつつ、引き延ばして再剥離する際は容易に引き伸ばしが可能となる。なお、被着体の表面が平滑面であるとは、被着体の表面の算術表面粗さRaが0.20μm未満であることをいい、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.10μm以下である。また、被着体の表面がマット面であるとは、被着体の表面の算術表面粗さRaが0.20μm以上であることをいい、好ましくは0.25μm以上、より好ましくは0.30μm以上である。被着体の算術表面粗さRaは、後述する実施例の項で記載する方法により測定した値である。
本実施形態の粘着テープは、せん断接着力が1MPa以上であることが好ましく、0.7~4.0MPaであることが好ましく、1.0~4.0MPaの範囲がより好ましく、1.5~4.0MPaの範囲が更に好ましい。せん断接着力が上記好ましい範囲内であると、高荷重保持力と接着性を両立しやすい効果を奏する。
粘着テープのせん断接着力は、以下の方法で測定することができる。まず、粘着テープを20mm幅×20mm長さに切断したものを、23℃50%RH雰囲気下で、清潔で表面平滑なステンレス板1(360番耐水研磨紙でヘアライン研磨処理)の表面に貼付面積が20mm×20mmになるように貼付し、その反対面を清潔で表面平滑なステンレス板2(360番耐水研磨紙でヘアライン研磨処理)の表面に貼付面積が20mm×20mmになるように貼付した後、5kgローラーで1往復させることによってそれらを圧着させ、23℃の環境下に24時間放置することによって試験片を作製する。上記試験片を構成するステンレス板1を固定した状態で、テンシロン引張試験機を用い、23℃50%RH雰囲気下で、ステンレス板2を粘着テープのせん断方向に300mm/minの速度で引っ張ったときの値である。
5.粘着テープの製造方法
本実施形態の粘着テープの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。本実施形態の粘着テープの製造方法では、粘着剤層形成工程と、基材層形成工程と、積層工程とを含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の層形成工程を含む。また、粘着剤層形成工程と、基材層形成工程とを同時に行う多層同時形成工程により製造することもできる。
粘着剤層形成工程は、粘着剤層を形成することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離シートの表面に、ヒートプレス法、押し出し成型によるキャスト法、一軸延伸法、逐次二次延伸法、同時二軸延伸法、インフレーション法、チューブ法、カレンダー法、溶液法などの方法により粘着剤層を形成する方法などが挙げられる。これらの中でも、押し出し成型によるキャスト法、溶液法が好ましい。
基材層形成工程は、基材層を形成することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートプレス法、押し出し成型によるキヤスト法、一軸延伸法、逐次二次延伸法、同時二軸延伸法、インフレーション法、チューブ法、カレンダー法、溶液法などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、押し出し成型によるキヤスト法、インフレーション法、チューブ法、カレンダー法、溶液法が、基材層に好適な柔軟性や伸張性を付与する上で好ましい。
なお、基材層は、粘着剤層との密着性をより一層向上させることを目的として、表面処理が施されたものであってもよい。
表面処理法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、粘着テープの特性を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、表面研磨・摩擦法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線照射処理法、酸化処理法などが挙げられる。
積層工程は、基材層と、粘着剤層とを積層する工程である。基材層と粘着剤層とを積層する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、粘着剤層形成工程で形成した剥離シートに付着した状態の粘着剤層と基材層とを加圧してラミネートする方法などが挙げられる。
6.用途
本実施形態の粘着テープは、1つの物体(被着体)の表面に貼合し、該表面に対して引き伸ばすようにして、上記1つの物体(被着体)から除去することが可能である。また、本実施形態の粘着テープは、2つの物体(被着体)の間を接合し、該2つの物体(被着体)の間から引き伸ばすようにして該2つの物体から除去することが可能である。いずれにおいても、粘着テープの引き伸ばし方向は、少なくとも水平方向であることが好ましく、被着面に対する引き伸ばし角度が0°~90°の範囲内となる方向であることがより好ましい。
本実施形態の粘着テープは、薄型テレビ、家電製品、OA機器等の比較的大型の電子機器を構成する板金同士の固定や外装部品と筐体との固定、携帯電子端末、カメラ、パソコン等の比較的小型の電子機器への外装部品や電池等の剛体部品の固定などのような各産業分野での部品固定や該部品の仮固定、並びに製品情報を表示するラベルなどの用途に好適に使用できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る粘着テープは、上記の例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
1.評価方法
以下に、実施例および比較例における評価方法を示す。
(1)アクリル系共重合体(1)~(4)の貯蔵弾性率G'
後述する合成例1~4において調製した各アクリル系共重合体(1)~(4)の貯蔵弾性率G'は、後述する各アクリル系共重合体(1)~(4)をそれぞれアプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E‐0010GT)上に塗布して形成したアクリル系共重合体層を、2mm厚になるまで重ね合わせたものを試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、上記試験片を挟み込み、23℃、周波数1Hzで測定した値とした。
(2)粘着剤組成物中に含まれるアクリル系共重合体全体の貯蔵弾性率G'
後述する粘着剤組成物中に含まれるアクリル系共重合体全体(1種単体又は2種以上の混合物)での貯蔵弾性率G'は、粘着付与樹脂、シリコーン粒子及び酢酸エチルを添加する前の粘着剤組成物(アクリル共重合体組成物)をアプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E‐0010GT)上に塗布して形成したアクリル系共重合体組成物層を、2mm厚になるまで重ね合わせたものを試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、上記試験片を挟み込み、23℃、周波数1Hzで測定した値とした。
(3)基材層の破断応力、破断伸度の測定
各基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張ることで、基材層の破断応力、及び破断伸度を測定した。
(4)基材層の50%モジュラスの測定
各基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張ることで、基材層が50%伸長したときの応力値を測定した。
(5)基材層及び粘着剤層の厚さの測定
基材層及び粘着剤層を、長さ方向に100mm間隔で5箇所、幅方向に切断し、各切断面において幅方向に100mm間隔で5点の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスター産業株式会社製)を用いて測定した。当該合計25点の厚さを平均して得られた値を基材層及び粘着剤層の厚さとした。
(6)フィラーの平均粒子径の測定
レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することによりフィラーの平均粒径(一次粒子径)を測定した。
(7)高荷重保持力の評価
JIS Z0237に規定する25mm幅×80mm幅のSUS304鋼板に、25mm幅×25mm長さに裁断した各粘着テープの一方の面を室温にて重さ5kgのローラーで毎分300mmの速さで一往復圧着して貼り合わせた後、これを23℃、30分の条件にて放置した。その後、試験片の反対面をJIS Z0237に規定する25mm幅×80mm幅のSUS304鋼板に室温にて重さ5kgのローラーで毎分300mmの速さで一往復圧着して貼り合わせた。次いで、40℃雰囲気下に30分放置した。この後、試験片の掴み代部分に5kgの錘を取り付け、垂下させて試験を開始し、23℃50%RH下で落下するまでの時間を測定した。高荷重保持力については、落下時間が120分以上の場合を合格とした。また、120分未満の場合を不合格とした。
(8)再剥離性1(0°方向及び90°方向における平滑被着面に対する初期再剥離性)
10mm幅×60mm全長の上記粘着テープを清潔で表面平滑なアルミ板上(表面平均粗さ(Ra):0.06μm)に貼付する際において、上記粘着テープのうち10mm幅×10mm長さの部分が掴み手となるように、上記アルミ板から上記掴み手がはみ出した状態で貼付した。その後、上記粘着テープの反対面も同じ表面平均粗さ(Ra)のアルミ板に貼付し、2kg荷重を加えながらローラー1往復加圧したものを試験片とした。上記試験片は、粘着テープの上記掴み手がアルミ板からはみ出し、上記掴み手以外の粘着テープの部分が2枚のアルミ板に挟持されていた。上記試験片を貼付後40℃,50%RH雰囲気下で24時間放置し、23℃50%RH下において、被着面に対して90°方向におよそ300mm/minの速度で、粘着テープの長手方向に掴み手部分を手で引き伸ばした。また、別の試験片については、被着面に対して0°方向におよそ300mm/minの速度で、粘着テープの長手方向に掴み手部分を手で引き伸ばした。0°及び90°の各引き伸ばし方向について、それぞれ10回試験を実施し、試験回数10回の内、粘着テープの切れ及び粘着テープ剥離後の被着体への粘着剤の残留の程度を以下の基準で目視評価した。
(基準)
○:10回ともに、粘着テープの切れ及び粘着剤残りなく、きれいに剥がせた。
△:6~9回は、粘着テープの切れ及び粘着剤残りなく、きれいに剥がせた。
×:5~10回は、粘着テープの切れ又は、粘着剤残りが生じた。又は、粘着テープを引き伸ばして剥がすことができなかった。
(9)再剥離性2(0°方向及び90°方向におけるマット被着面に対する初期再剥離性)
10mm幅×60mm全長の上記粘着テープを清潔で表面マット印刷されたアルミ板(表面平均粗さ(Ra):0.47μm)上に貼付する際において、上記粘着テープのうち10mm幅×10mm長さの部分が掴み手となるように、上記アルミ板から上記掴み手がはみ出した状態で貼付した。その後、上記粘着テープの反対面も同じ表面平均粗さ(Ra)のアルミ板に貼付し、2kg荷重を加えながらローラー1往復加圧したものを試験片とした。上記試験片は、粘着テープの上記掴み手がアルミ板からはみ出し、上記掴み手以外の粘着テープの部分が2枚のアルミ板に挟持されていた。上記試験片を、貼付後40℃,50%RH雰囲気下で24時間放置し、23℃50%RH下において、被着面に対して90°方向におよそ300mm/minの速度で、粘着テープの長手方向に掴み手部分を手で引き伸ばした。また、別の試験片については、被着面に対して0°方向におよそ300mm/minの速度で、粘着テープの長手方向に掴み手部分を手で引き伸ばした。0°及び90°の各引き伸ばし方向について、それぞれ10回試験を実施し、試験回数10回の内、粘着テープの切れ及び粘着テープ剥離後の被着体への粘着剤の残留の程度を以下の基準で目視評価した。
(基準)
○:10回ともに、粘着テープの切れ及び粘着剤残りなく、きれいに剥がせた。
△:6~9回は、粘着テープの切れ及び粘着剤残りなく、きれいに剥がせた。
×:5~10回は、粘着テープの切れ又は、粘着剤残りが生じた。又は、粘着テープを引き伸ばして剥がすことができなかった。
なお、上記再剥離性1及び2の評価で使用した被着体の表面平均粗さ(a)は、下記の方法で測定した。3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製VertScan R3300G)により、被着体として用いた上記表面平滑なアルミ板及び表面マット印刷されたアルミ板の表面平均粗さ(Ra)を評価した。各アルミ板のテープとの接着面の任意の箇所を10点測定し、得られたRaの平均値を各アルミ板の表面平均粗さ(Ra)とした。
<測定条件>
対物レンズ:5倍
内部レンズ:0.5倍
測定モード:Phaseモード
スキャンレンジ:+10、-40
波長フィルター:520
補間:完全
近似面:多項式近似1次
(10)耐落下衝撃性
図2に示すように、長さ20mm、幅2mmに切断した各粘着テ-プ1を、それぞれ2枚用意した。ポリカーボネート板11(長さ50mm、幅25mm、厚さ0.2mm、タキロンシーアイ社製)に、上記粘着テ-プ1を40mmの間隔をあけて平行に貼付した。その粘着テ-プ1の反対面に、アクリル板12(長さ50mm、幅25mm、厚さ2.5mm、アクリライトL、色調:無色、三菱レイヨン株式会社製)を貼付し、4kgの重りで10秒間の加圧圧着後、雰囲気40℃、50%RHの条件下で24時間静置したものを試験片10とした。なお、図2は、アクリル板12側から見た試験片10の概略平面図であり、説明のためにアクリル板12の位置をずらして図示しているが、実際はアクリル板12の外周とポリカーボネート板11の外周とが平面視上重なるように配置した。
次に、図3(左図)に示すように、被着体に粘着テープが貼り付けられた物品を想定して、試験片10のポリカーボネート板11側に300gのステンレス製の荷重21を備えた状態で、デュポン衝撃試験機(テスタ-産業株式会社製)の台座の上に、コの字型測定台22(長さt:150mm、幅(図中符号なし):100mm、高さh:45mm、厚さw:5mmのアルミ製)を設置し、試験片10を、雰囲気23℃、50%RHの条件下で、アクリル板12側が下向きになる様にコの字型測定台22に向かって落下させた。図3(左図)中の矢印Xは荷重21を備えた試験片10の落下方向を示す。そして、図3(右図)は、試験片10のアクリル板12側が下向きになってコの字型測定台22に落下した状態を示す概略図である。
コの字型測定台22の高さ方向の最頂部を基準Oとして、上記基準Oから試験片10の荷重21との接着面の位置Pまでの高さHを10cmから開始して10cmずつ変化させながら、高さ毎に5回落下させ、試験片10における粘着テ-プ1の剥がれ又は破壊が認められた時の高さHを測定した。
2.材料及び粘着剤組成物の調製
以下に、実施例および比較例の粘着テープの作成に使用した基材層の材料、並びに粘着剤組成物の調製について説明する。
<基材用材料(1)>
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3,000mL、開始剤として濃度10.5質量%のsec-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液)9.2mLを仕込み、60℃に昇温した後、スチレンを100mL加えて60分間重合した。その後、同温度で、イソプレン270mL及びブタジエン350mLを加え、その後90分間反応させた。続いて、同温度でスチレン100mLを添加して60分間重合させた後、メタノ-ル0.52mLで重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてパラジウムカ-ボン(パラジウム担持量:5質量%)を29.3g添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカ-ボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより基材用材料(1)を得た。得られた基材用材料(1)は、スチレン-エチレンブチレン-スチレン共重合体及びスチレン-エチレンブチレン共重合体の樹脂組成物(1)であり、樹脂組成物(1)の全量に対するスチレン-エチレンブチレン共重合体の割合0.5質量%、下記化学式(A)で表されるスチレン由来の構造単位29質量%、重量平均分子量が98000、分子量分布が1.03、水素添加率が98%であった。
Figure 2023013067000012
<基材用原料(2)>
基材用材料(2)としては、スチレン-イソプレン共重合体及びスチレン-イソプレン-スチレン共重合体の混合物(以下、「SIS」と称することがある)からなる樹脂組成物(2)を用いた。当該混合物は、上記化学式(A)で表されるスチレン由来の構造単位25重量%であり、上記樹脂組成物(2)の全量に対するスチレン-イソプレン共重合体の割合が17重量%であった。
<<シリコーンフィラー(1)>>
シリコーンフィラー(1)としては、表面がシリコーンレジンであり、内部がシリコーンゴムであるシリコーンレジン/ゴム複合粒子(信越化学工業社製、KMP-601、体積平均粒径:12μm、粒度分布(D90/D10):4.4)を使用した。
<<粘着樹脂>>
(合成例1:アクリル系共重合体(1))
アルゴンで内部を置換した内容積1000mlのフラスコ内に、乾燥トルエン500mlと、重合開始剤としてのビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム・テトラヒドロフラナート錯体〔(C5Me5)2SmMe(THF)〕0.75gの乾燥トルエン溶液80mlを加えて混合溶液を調製した。当該混合溶液に対して、0℃でメタクリル酸メチル(MMA)を12.0ml加え、0℃で30分間攪拌した。そして、系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル1)。上記のMMAの重合後、重合反応系を-78℃まで冷却し、アクリル酸n-ブチル(nBA)88.0mlを第2番目のモノマーとして加え、-78℃で3時間攪拌を行った。そして、系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル2)。上記のnBAの重合後、この重合系にMMA12.0mlを第3番目のモノマーとして-78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった後、0℃に昇温して、さらに1時間攪拌した。得られた反応混合液に、メタノールを50ml加えて室温で2時間反応させることによって重合を停止した。この重合停止後の反応溶液を大量のヘキサン中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。そして、白色沈殿物の一部をサンプリングした(サンプル3)。
上記サンプル1~3中の各重合体について、NMR測定、DSC測定、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)測定を行った。そして、当該測定結果に基づいて、数平均分子量(Mn)、PMMA/PnBA(ポリメタクリル酸メチルブロック/ポリアクリル酸n-ブチルブロック)比等を求めたところ、上記の白色沈殿物はポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック-ポリアクリル酸n-ブチル(PnBA)ブロック-ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロックのアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA)であることが確認された。アクリル系共重合体(1)であるアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA、以下、トリブロック共重合体(1)と称する。)のPMMAブロック部のガラス転移温度は113.7℃であり、PnBAブロック部のガラス転移温度は-46.8℃であり、トリブロック共重合体(1)全体の重量平均分子量(Mn)は95936であり、トリブロック共重合体(1)全体のMw/Mn(分子量分布)は1.09であり、トリブロック共重合体(1)中の各重合体ブロックの割合はPMMA(11質量%)-PnBA(78質量%)-PMMA(11質量%)であることが確認された。PMMA-b-PnBA-b-PMMAで表されるトリブロック共重合体(1)の弾性率は、0.20MPaであった。
(合成例2:アクリル系共重合体(2))
アルゴンで内部を置換した内容積1000mlのフラスコ内に、乾燥トルエン500mlと、重合開始剤としてのビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム・テトラヒドロフラナート錯体〔(C5Me5)2SmMe(THF)〕0.75gの乾燥トルエン溶液80mlを加えて混合溶液を調製した。当該混合溶液に対して、0℃でメタクリル酸メチル(MMA)を4.3ml加え、0℃で30分間攪拌した。系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル7)。上記のMMAの重合後、重合反応系を-78℃まで冷却し、アクリル酸n-ブチル(nBA)80.0mlを第2番目のモノマーとして加え、-78℃で3時間攪拌を行った。系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル8)。上記のnBAの重合後、この重合系にMMA4.3mlを第3番目のモノマーとして-78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった後、0℃に昇温して、さらに1時間攪拌した。得られた反応混合液に、メタノールを50ml加えて室温で2時間反応させることによって重合を停止した。この重合停止後の反応溶液を大量のヘキサン中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。そして、白色沈殿物の一部をサンプリングした(サンプル9)。
上記サンプル7~9中の各重合体について、NMR測定、DSC測定、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)測定を行った。そして、当該測定結果に基づいて、数平均分子量(Mn)、PMMA/PnBA(ポリメタクリル酸メチルブロック/ポリアクリル酸n-ブチルブロック)比等を求めたところ、上記白色沈殿物は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック-ポリアクリル酸n-ブチル(PnBA)ブロック-ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロックを有するアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA)であることが確認された。アクリル系共重合体(2)であるアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA、以下、トリブロック共重合体(2)と称する。)のPMMAブロック部のガラス転移温度は101.2℃であり、PnBAブロック部のガラス転移温度は-47.2℃であり、トリブロック共重合体(2)全体の重量平均分子量(Mn)は75609であり、トリブロック共重合体(2)全体のMw/Mn(分子量分布)は1.09であり、トリブロック共重合体(2)中の各重合体ブロックの割合はPMMA(5質量%)-PnBA(90質量%)-PMMA(5質量%)であることが確認された。PMMA-b-PnBA-b-PMMAで表されるトリブロック共重合体(2)の弾性率は、0.02MPaであった。
(合成例3:アクリル系共重合体(3))
アルゴンで内部を置換した内容積1000mlのフラスコ内に、乾燥トルエン500mlと、重合開始剤としてのビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム・テトラヒドロフラナート錯体〔(C5Me5)2SmMe(THF)〕0.75gの乾燥トルエン溶液80mlを加えて混合溶液を調製した。当該混合溶液に対して、0℃でメタクリル酸メチル(MMA)を16.5ml加え、0℃で30分間攪拌した。そして、系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル4)。上記のMMAの重合後、重合反応系を-78℃まで冷却し、アクリル酸-nブチル(nBA)75.0mlと、アクリル酸-2エチルヘキシル(2EHA)63.0mlとを第2番目のモノマーとして加え、-78℃で3時間攪拌を行った。系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル5)。上記のnBAの重合後、この重合系にMMA16.5mlを第3番目のモノマーとして-78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった後、0℃に昇温して、さらに1時間攪拌した。得られた反応混合液に、メタノールを50ml加えて室温で2時間反応させることによって重合を停止した。この重合停止後の反応溶液を大量のヘキサン中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。そして、白色沈殿物の一部をサンプリングした(サンプル6)。
上記サンプル4~6中の各重合体について、NMR測定、DSC測定、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)測定を行った。そして、当該測定結果結果に基づいて、数平均分子量(Mn)、PMMA/PnBA/P2EHA(ポリメタクリル酸メチル/ポリアクリル酸n-ブチル/ポリアクリル酸-2エチルヘキシル)比等を求めたところ、上記の白色沈殿物はポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック-ポリアクリル酸n-ブチル(PnBA)/ポリアクリル酸-2エチルヘキシル(2EHA)ブロック-ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロックのアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA/2EHA-b-PMMA)であることが確認された。アクリル系共重合体(3)であるアクリル系トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA/2EHA-b-PMMA、以下、トリブロック共重合体(3)と称する。)のPMMAブロック部のガラス転移温度は105.8℃であり、PnBAブロック部のガラス転移温度は-55.6℃であり、トリブロック共重合体(3)全体の重量平均分子量(Mn)は144560であり、トリブロック共重合体(3)全体のMw/Mn(分子量分布)は1.08であり、トリブロック共重合体(3)中の各重合体ブロックの割合はPMMA(10質量%)-PnBA(44質量%)/2EHA(36質量%)-PMMA(10質量%)であることが確認された。PMMA-b-PnBA/2EHA-b-PMMAで表されるトリブロック共重合体(3)の弾性率は、0.15MPaであった。
(合成例4:アクリル系共重合体(4))
n-ブチルアクリレート97.97質量部と、アクリル酸2質量部と、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.03質量部とを、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を含む酢酸エチルに供給し、77℃で8時間溶液重合させることによって、アクリル系共重合体(4)であるアクリル系ランダム共重合体(4)を得た。Mwは70万であり、Mw/Mn(分子量分布)は4.7であった。アクリル系ランダム共重合体(4)の弾性率は、0.08MPaであった。
合成例1~4で得た各アクリル系共重合体の貯蔵弾性率を下記表1に示す。
Figure 2023013067000013

<粘着剤組成物の調製>
・粘着剤組成物(1)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)60質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)40質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(1)を得た。
・粘着剤組成物(2)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)40質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)60質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(2)を得た。
・粘着剤組成物(3)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(3)60質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)40質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(3)を得た。
・粘着剤組成物(4)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)80質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)20質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(4)を得た。
・粘着剤組成物(5)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)60質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)40質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(2)(YSポリスターT130、ヤスハラケミカル株式会社、軟化点130℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(5)を得た。
・粘着剤組成物(6)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(3)80質量部と、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)20質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(6)を得た。
・粘着剤組成物(7)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)100質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(7)を得た。
・粘着剤組成物(8)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(2)100質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(8)を得た。
・粘着剤組成物(9)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)95質量部に対して、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)5質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(9)を得た。
・粘着剤組成物(10)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(1)10質量部に対して、合成例2で得られたトリブロック共重合体(2)90質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(10)を得た。
・粘着剤組成物(11)
上述した合成例4で得られたアクリル系ランダム共重合体100質量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂(ハリタックPCJ、ハリマ化成株式会社、軟化点135℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の混合物(1)を得た。次に、上記混合物(1)100質量部に対し、架橋剤(バーノックD-40、DIC株式会社製;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7重量%、不揮発分40重量%)1.6質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合することで粘着剤層用組成物(11)を得た。
・粘着剤組成物(12)
上述した合成例1で得られたトリブロック共重合体(3)100質量部と、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(1)(タマノル803L、荒川化学工業株式会社、軟化点150℃)42質量部と、シリコーン粒子(1)を34質量部と、酢酸エチルを加えて均一になるよう攪拌混合することによって固形分40質量%の粘着剤組成物(12)を得た。
3.粘着テープの製造
〔実施例1〕
上記基材用材料(1)が固形分20質量%となる様にトルエンを用いて希釈した基材層形成用塗布液(1)を調製した。そして、アプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に上記塗布液(1)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材(1A)を作製した。上述の測定方法で、基材(1A)の破断強度、破断伸度、及び50%モジュラスを測定した。
次に上記粘着剤組成物(1)をアプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(藤森工業株式会社製、フィルムバイナ 75E‐0010GT以下同様)上に塗布し、80℃にて3分間乾燥させることによって、離型ライナー付きの粘着剤層を作製した。粘着剤層全体の体積に占める上記フィラーの体積比率は21体積%であった。
次に、基材(1A)の両面に濡れ張力が48mN/mとなるようコロナ処理した後、上記粘着剤層を上記基材(1A)両面にそれぞれ貼り合わせて離型ライナー/粘着剤層/基材(1A)/粘着剤層/離型ライナーの積層構造物を作成し、上記積層構造物に対して0.2MPaで加圧して基材(1A)の両面にそれぞれ粘着剤層をラミネートすることによって、両面粘着テープの形態を有する実施例1の粘着テープを製造した。
〔実施例2〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の粘着テープを製造した。
〔実施例3〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の粘着テープを製造した。
〔実施例4〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(4)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4の粘着テープを製造した。
〔実施例5〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5の粘着テープを製造した。
〔実施例6〕
アプリケーターにより乾燥後の厚みが70μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に上記基材層形成用塗布液(1)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材(1B)を作製した。上述の測定方法で、基材(1B)の破断強度、破断伸度、及び50%モジュラスを測定した。
実施例1の粘着テープの製造において、基材(1A)を基材(1B)に変更したことと、粘着剤組成物(1)の乾燥後の厚みを40μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6の粘着テープを製造した。
〔実施例7〕
上記基材用材料(2)が固形分30質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(2)を調製した。そして、アプリケーターにより乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナー(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に上記塗布液(2)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材(2)を作製した。上述の測定方法で、基材(2)の破断強度、破断伸度、及び50%モジュラスを測定した。
実施例1の粘着テープの製造において、基材(1A)を基材(2)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例7の粘着テープを製造した。
〔実施例8〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(6)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例8の粘着テープを製造した。
〔比較例1〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の粘着テープを製造した。
〔比較例2〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(8)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の粘着テープを製造した。
〔比較例3〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(9)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3の粘着テープを製造した。
〔比較例4〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(10)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4の粘着テープを製造した。
〔比較例5〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(7)に変更したことと、基材(1A)を基材(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例5の粘着テープを製造した。
〔比較例6〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(11)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、両面粘着テープの形態にし、その後、40℃環境下で48時間放置することで、比較例6の粘着テープを製造した。
〔比較例7〕
実施例1の粘着テープの製造において、粘着剤組成物(1)を粘着剤組成物(12)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例7の粘着テープを製造した。
基材(1A)、(1B)及び(2)の各々の破断強度、破断伸度、及び50%モジュラス、並びに実施例及び比較例で得られた粘着テープについて上述の方法で評価した結果を表2及び表3に示す。
Figure 2023013067000014
Figure 2023013067000015
実施例1~8の粘着テープは、高荷重保持力が高く且つ耐落下衝撃性にも優れ、高荷重保持力と耐落下衝撃性とを両立させることができ、更に平滑面及びマット面に対する再剥離性が良好であった。一方、比較例1~7の粘着テープは、高荷重保持力と高耐落下衝撃性と平滑面及びマット面に対する再剥離性との両立を達成することができなかった。
1…粘着テ-プ、2…粘着剤層、3…基材層、10…試験片、11…ポリカーボネート板、12…アクリル板、21…荷重

Claims (8)

  1. 基材層及び前記基材層の片面又は両面に粘着剤層を有し、
    前記粘着剤層は、貯蔵弾性率が0.10MPa~0.30MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(X)と、貯蔵弾性率が0.01MPa~0.05MPaの範囲内のアクリル系ブロック共重合体(Y)と、を含有し、
    前記アクリル系ブロック共重合体(X)と前記アクリル系ブロック共重合体(Y)との含有比率が90/10~30/70の範囲内であり、
    前記基材層は、破断応力が1MPa~100MPaの範囲内であり、且つ破断伸度が300%~3000%であることを特徴とする粘着テープ。
  2. 前記アクリル系ブロック共重合体(X)の重量平均分子量が50,000~300,000の範囲内である、請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記アクリル系ブロック共重合体(X)が、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる重合体ブロック[A1]と、アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる重合体ブロック[B1]とを有するトリブロック共重合体であり、
    前記アクリル系ブロック共重合体(X)中の前記重合体ブロック[A1]の割合が、10質量%~30質量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
  4. 前記アクリル系ブロック共重合体(Y)の重量平均分子量が30,000~200,000の範囲内である、請求項1~3の何れか1項に記載の粘着テープ。
  5. 前記アクリル系ブロック共重合体(Y)が、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる重合体ブロック[A2]と、アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる重合体ブロック[B2]とを有するトリブロック又はジブロック共重合体であり、
    前記アクリル系ブロック共重合体(Y)中の前記重合体ブロック[A2]の割合が、2質量%~16質量%の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
  6. 前記粘着剤層は、フィラーを1種又は2種以上含有する、請求項1~5の何れか1項に記載の粘着テープ。
  7. 前記粘着剤層は、粘着付与樹脂を1種又は2種以上含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
  8. 引き伸ばして剥離可能な、請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
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