JP2023012377A - ウレタン樹脂組成物及びポリウレタンフォーム - Google Patents

ウレタン樹脂組成物及びポリウレタンフォーム Download PDF

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広晃 名藤
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Abstract

【課題】不燃性に優れるポリウレタンフォームが得られるウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含有するウレタン樹脂組成物であって、前記ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォームを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの0~1200秒までの総発熱量Xが8MJ/m2以下であり、かつ0~60秒までの総発熱量Yが0~1200秒までの総発熱量Xの30%未満である、ウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ウレタン樹脂組成物及び該ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォームに関する。
ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの各構造物の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタンフォームは、例えば各構造物の表面に、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を含むウレタン樹脂組成物を吹き付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
また、ポリウレタンフォームは、断熱性に優れ、かつ軽量であるものの、燃焼性が高いことで知られている。そのため、火災時の延焼を防止する観点などから、燃焼し難いポリウレタンフォームが求められている。
特許文献1では、ポリオール化合物、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒及び添加剤を含み、該添加剤が、分解温度の異なる複数の難燃剤を含有する硬質ウレタン樹脂組成物について記載されている。そして、該組成物により形成された硬質ウレタンフォームは、難燃性が良好であるとされている。
特許文献2では、赤燐を必須成分とし、かつリン酸塩含有難燃剤および塩素含有難燃剤のうち少なくとも何れかを含む準不燃性能を有するウレタン樹脂組成物について記載されている。
特許第6776279号 特許第6725606号
しかしながら、近年、より不燃性の高いポリウレタンフォームが求められており、そのような観点から、上記した特許文献1及び2に記載の発明のポリウレタンフォームは十分ではない。また、特許文献1及び2に記載の発明では、燃焼過程全体の総発熱量と、燃焼初期の発熱量の関係などについては記載も示唆もされていない。
そこで、本発明では、不燃性に優れるポリウレタンフォームが得られるウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリウレタンフォームに着火した時点での初期の発熱量の多さが、燃焼過程全体での発熱量を多くして、不燃性を悪化させていることを突き止めた。すなわち、火災が生じたときなどに、初期の発熱量を低減させることで不燃性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の[1]~[16]を提供する。
[1]ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含有するウレタン樹脂組成物であって、前記ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォームを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの0~1200秒までの総発熱量Xが8MJ/m以下であり、かつ0~60秒までの総発熱量Yが前記総発熱量Xの30%未満である、ウレタン樹脂組成物。
[2]前記コーンカロリーメーター試験における0~60秒までの総発熱量Yが1.7MJ/m以下である、上記[1]に記載のウレタン樹脂組成物。
[3]前記難燃剤が、熱分解時にガスを発生するガス発生難燃剤Aを少なくとも1種含有し、前記ガスが、窒素、水、アンモニア、二酸化炭素、及びハロゲン化水素からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載のウレタン樹脂組成物。
[4]前記ガス発生難燃剤Aが粉体であり、分解開始温度が160℃以上330℃以下である、上記[3]に記載のウレタン樹脂組成物。
[5]前記ガス発生難燃剤Aが、臭素化ビスフェノールA誘導体であり、かつ3級炭素に結合した臭素を有する、上記[3]又は[4]に記載のウレタン樹脂組成物。
[6]前記ガス発生難燃剤Aが、リン酸グアニジン及びメラミンシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[3]又は[4]に記載のウレタン樹脂組成物。
[7]前記ガス発生難燃剤Aの含有量が、前記ポリオール化合物100質量部に対して5~25質量部である、上記[3]~[6]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[8]前記難燃剤が、分解開始温度が330℃超450℃以下であるガス発生難燃剤Bを含有する、上記[1]~[7]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[9]前記ガス発生難燃剤Bの含有量が、前記ポリオール化合物100質量部に対して25~40質量部である、上記[8]に記載のウレタン樹脂組成物。
[10]前記難燃剤が、固相系難燃剤を含有する、上記[1]~[9]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[11]前記固相系難燃剤が赤燐を少なくとも含有する、上記[10]に記載のウレタン樹脂組成物。
[12]前記触媒が三量化触媒を含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[13]前記三量化触媒が4級アンモニウム塩を含む、上記[12]に記載のウレタン樹脂組成物。
[14]前記触媒が、イミダゾール誘導体を含む、上記[1]~[13]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[15]前記触媒が、ビスマス及びスズからなる群から選択される少なくとも1種の金属触媒を含む、上記[1]~[14]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
[16]上記[1]~[15]のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォーム。
本発明によれば、不燃性に優れるポリウレタンフォームが得られるウレタン樹脂組成物を提供することができる。
混合システムの一実施形態を示す模式図である。 混合システムの別の一実施形態を示す模式図である。
[ウレタン樹脂組成物]
本発明は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含有するウレタン樹脂組成物に関する。該ウレタン樹脂組成物は、該組成物により形成されるポリウレタンフォームを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの0~1200秒までの総発熱量Xが8MJ/m以下であり、かつ0~60秒までの総発熱量Yが0~1200秒までの総発熱量Xの30%未満である組成物である。なお0~1200秒までとは、測定開始から1200秒経過時までを意味し、0~60秒までとは、測定開始から60秒経過時までを意味する。
<総発熱量>
本発明のウレタン樹脂組成物は、該ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォームをISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの0~1200秒までの総発熱量Xが8MJ/m以下である。該総発熱量Xが8MJ/m超であると、ポリウレタンフォームの不燃性が低下する。不燃性をより優れたものとする観点から、ポリウレタンフォームの0~1200秒までの総発熱量Xは、好ましくは7MJ/m以下であり、より好ましくは6MJ/m以下である。総発熱量Xは低ければ低いほどよく、理想的には0MJ/mであるが、通常は1MJ/m以上である。
総発熱量Xは、ウレタン樹脂組成物の組成の調整、後述する総発熱量Yを低くすることなどにより、上記した所望の値に調整しやすくなる。
なお、本発明における総発熱量は、ポリウレタンフォームについてISO-5660の試験方法に準拠したコーンカロリーメーター試験により測定される。該コーンカロリーメーター試験は、放射熱強度50kW/mで行うこととする。コーンカロリーメーター試験を行うポリウレタンフォームは、ウレタン樹脂組成物から実施例に記載する方法により形成される。
本発明のウレタン樹脂組成物によりなるポリウレタンフォームのISO-5660の試験方法に準拠したコーンカロリーメーター試験における0~60秒までの総発熱量Yは、0~1200秒までの総発熱量Xの30%未満である。総発熱量Yが総発熱量Xの30%以上であると、燃焼過程全体の発熱量が大きくなってしまうため、ポリウレタンフォームの不燃性が低下する。すなわち、燃焼初期の発熱量を低下させることが、不燃性を向上させる上で重要となる。
ポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から、総発熱量Yは総発熱量Xの28%以下であることが好ましく、26%以下であることがより好ましい。
総発熱量Yは、ポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から、好ましくは1.7MJ/m以下であり、より好ましくは1.6MJ/m以下であり、さらに好ましくは1.5MJ/m以下であり、さらに好ましくは1.4MJ/m以下である。なお、総発熱量Yは0MJ/mであることが好ましいが、通常は0.5MJ/m以上となる。
<難燃剤>
本発明のウレタン樹脂組成物は難燃剤を含有する。該難燃剤は23℃において固体である固体難燃剤である。難燃剤としては、後述するガス発生難燃剤A、ガス発生難燃剤B、固相系難燃剤などが挙げられる。これらについて詳細に説明する。
(難燃剤A)
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれる難燃剤は、熱分解時にガスを発生するガス発生難燃剤Aを少なくとも1種類含有することが好ましい。ガス発生難燃剤Aを含有することにより、上記した総発熱量Yを低下させ易くなり、ポリウレタンフォームの不燃性が向上する。
ガス発生難燃剤Aの分解開始温度は330℃以下であり、好ましくは160℃以上330℃以下である。ガス発生難燃剤Aがこのような分解開始温度を備えることにより、総発熱量Yを低下させ易くなる。また、ガス発生難燃剤Aは、粉体であることが好ましい。
本発明において難燃剤の分解開始温度は、熱重量測定装置を用いて、乾燥空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の測定条件で測定される10%重量減少温度である。なお、10%重量減少温度とは、測定前の試料の重量の10%が減少する温度である。
ガス発生難燃剤Aは、熱分解時にガスを発生し、該ガスは、窒素、水、アンモニア、二酸化炭素、及びハロゲン化水素からなる群から選択される少なくとも1種である。
熱分解時に窒素を発生するガス発生難燃剤Aとしては、メラミン系化合物、グアニジン系化合物などが挙げられる。
メラミン系化合物としては、メラミン、メレム、メロンなどのメラミン又はメラミン誘導体、又はこれら塩が挙げられる。メラミン又はメラミン誘導体の塩としては、メラミンシアヌレート、硫酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリメタリン酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン、ホウ酸メラミン等が挙げられる。
グアニジン系化合物としては、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素等が挙げられる。
ガス発生難燃剤Aは、総発熱量Yを効果的に低減させて、ポリウレタンフォームの不燃性向上させる観点から、上記した中でも、リン酸グアニジン及びメラミンシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
熱分解時に水(水蒸気)を発生するガス発生難燃剤Aとしては、金属水酸化物が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウムなどが挙げられ、中でも水酸化アルミニウムが好ましい。
熱分解時にアンモニアを発生するガス発生難燃剤Aとしては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどのリン酸アンモニウム系難燃剤が挙げられる。
熱分解時に二酸化炭素を発生するガス発生難燃剤Aとしては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
熱分解時にハロゲン化水素を発生するガス発生難燃剤Aとしては、ハロゲン原子を有しかつ分解温度が330℃以下である化合物が挙げられる。中でも熱分解時に臭化水素を発生するガス発生難燃剤Aが好ましく、具体的には芳香族臭素化化合物がより好ましく、中でも臭素化ビスフェノールA誘導体が特に好ましい。
臭素化ビスフェノールA誘導体は、ビスフェノールA骨格を有し、かつ1つ以上の臭素原子を有する化合物である。臭素化ビスフェノールA誘導体としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)などが好ましい。
ガス発生難燃剤Aは、総発熱量Yを効果的に低減させて、ポリウレタンフォームの不燃性向上させる観点から、3級炭素に結合した臭素を有する臭素化ビスフェノールA誘導体が好ましく、中でも、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)が特に好ましい。
ガス発生難燃剤Aの含有量は、総発熱量Yを低減させる観点から、ポリオール化合物100質量部に対して5~25質量部であることが好ましく、10~20質量部であることがより好ましい。
(難燃剤B)
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれる難燃剤は、ポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から、分解開始温度が330℃超450℃以下のガス発生難燃剤Bを含有することが好ましい。また、上記したガス発生難燃剤A及びガス発生難燃剤Bを併用することがより好ましい。これにより、総発熱量X及びYを効果的に低減できるため、ポリウレタンフォームの不燃性が向上しやすくなる。なお、ガス発生難燃剤Bは、粉体であることが好ましい。
ガス発生難燃剤Bとしては、分解開始温度が330℃超450℃以下であり、かつ分解時にガスを発生させる化合物であれば特に限定されない。前記ガスとしては、例えば、窒素、水、アンモニア、二酸化炭素、及びハロゲン化水素からなる群から選択される少なくとも1種のガスが挙げられる。
ガス発生難燃剤Bとしては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水(水蒸気)を発生する難燃剤や、臭素水素を発生する難燃剤などが挙げられ、中でも、不燃性向上の観点から、臭化水素を発生するガス発生難燃剤Bが好ましい。臭化水素を発生するガス発生剤Bとしては、臭素化ポリスチレン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、又はエチレンビス(ペンタブロモフェニル)が好ましく、中でもエチレンビス(ペンタブロモフェニル)がより好ましい。
ウレタン樹脂組成物におけるガス発生難燃剤Bの含有量は、ポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは25~40質量部であり、より好ましくは30~35質量部である。
(固相系難燃剤)
本発明の難燃剤は、ポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から、固相系難燃剤を含有することが好ましい。固相系難燃剤は、上記したガス発生難燃剤A及びガス発生難燃剤Bの少なくともいずれかと併用することが好ましく、ガス発生難燃剤A、ガス発生難燃剤B及び固相系難燃剤のすべてを使用することが特に好ましい。すなわち、本発明における難燃剤は、ガス発生難燃剤A、ガス発生難燃剤B、及び固相系難燃剤のすべてを含有することが好ましい。
これらの難燃剤のすべてを含有することにより、総発熱量X及び総発熱量Yが低下しやすくなり、ポリウレタンフォームの不燃性が向上する。
本発明における固相系難燃剤とは、ガス発生難燃剤A及びガス発生難燃剤Bとは異なる難燃剤であり、熱分解に伴いガスを発生しない難燃剤である。
固相系難燃剤としては、例えば、赤燐、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウムなどが挙げられ、中でも固相系難燃剤は赤燐を少なくとも含むことが好ましく、赤燐及びホウ酸亜鉛を併用することがより好ましい。
赤燐としては、赤燐単体からなるものであってもよいし、赤燐に、樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを混合したり、被覆したりしたものであってもよい。
固相系難燃剤の含有量は、特に制限されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは20~80質量部であり、より好ましくは30~70質量部である。
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれる難燃剤の合計量は、特に制限されないが、好ましくは50~150質量部であり、より好ましくは60~140質量部であり、さらに好ましくは70~120質量部である。
(液状難燃剤)
本発明におけるウレタン樹脂組成物は、得られるポリウレタンフォームの不燃性向上の観点から液状難燃剤を含有することが好ましい。液状難燃剤の中でも、特にリン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤を使用すると、ポリウレタンフォームの不燃性を向上させることができ、また上記したガス発生難燃剤A、ガス発生難燃剤B及び固相系難燃剤などを使用した場合でも組成物の粘度を適切に制御することができる。ここで、液状難燃剤とは、23℃において液状の難燃剤である。
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)などが挙げられる。
液状難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは45質量部以上であり、そして好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下である。液状難燃剤の含有量がこれら下限値以上であると、ポリウレタンフォームの不燃性が向上し、これら上限値以下であるとポリウレタンフォームの機械的強度を向上させることができる。
<ポリオール化合物>
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれるポリオール化合物は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、臭素含有ポリオールなどが挙げられる。中でも、総発熱量を低くして、不燃性を向上させる観点から、後述するように、芳香族ポリエステルポリオールが好ましく、フタル酸系ポリエステルポリオールがより好ましい。また、フタル酸系ポリエステルポリオールなどの芳香族ポリエステルポリオールは、ポリオール化合物として単独で使用することも好ましいが、後述する通り、ポリエーテルポリオールなどの他のポリオール化合物と併用してもよい。
<ポリエーテルポリオール>
ポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、シュクロース類、ソルビトール類などの高官能類)、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、マンニッヒ縮合物など)などが挙げられる。これらはそれぞれ1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールが好ましい。これらポリエーテルポリオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記トリレンジアミン系ポリエーテルポリオールとは、開始剤としてトリレンジアミンを用いて得られたポリエーテルポリオールのことである。シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールも同様である。
上記マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子内に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物に、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールである。より具体的には、フェノール及びそのアルキル置換誘導体の少なくともいずれか、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られたマンニッヒ縮合物、又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、200~1,000mgKOH/gであることが好ましく、250~800mgKOH/gであることがより好ましく、300~500mgKOH/gがさらに好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステルポリオールなどが挙げられるが、得られるポリウレタンフォームの不燃性を考慮した場合、芳香族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリオール化合物は、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことが好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
芳香族ポリエステルポリオールの含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは90質量部以上、よりさらに好ましくは100質量部である。
なお、上記のとおり、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸系ポリエステルポリオールが好ましく、したがって、フタル酸系ポリエステルポリオールの含有量が上記範囲内である態様がより好ましい。
ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~400mgKOH/gであることが好ましく、150~350mgKOH/gであることがより好ましく、170~280mgKOH/gがさらに好ましい。
<臭素含有ポリオール>
臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリオール、脂肪族系臭素含有ポリオールが挙げられる。臭素含有ポリオールは、不燃性を向上させる観点から、芳香族系臭素含有ポリオールを含有することが好ましい。芳香族系臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリエステルポリオール、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを挙げることができる。
芳香族系臭素含有ポリエステルポリオールとしては、例えばテトラブロモフタル酸などの臭素含有多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応で得られるものが使用できる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュクロース、ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは1種単独、或いは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有多価アルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種または2種以上を付加重合して得られるものなどが使用できる。臭素含有ポリエーテルポリオール用いる場合、特に、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系臭素含有ポリオールとしては、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオール、脂肪族系臭素含有ポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらの中では、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオールが好ましい。
臭素含有ポリオールの水酸基価は、100~600mgKOH/gであることが好ましく、110~450mgKOH/gであることがより好ましく、110~350mgKOH/gであることがさらに好ましい。
<ポリイソシアネート化合物>
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中では、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタンフォームの物理特性、及びコストの低さの観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることがより好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)でもよい。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。また、ポリイソシアネート内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。
(イソシアネートインデックス)
本発明のウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスの範囲は、好ましくは130~600であり、より好ましくは150~550であり、さらに好ましくは230~500である。イソシアネートインデックスがこのような範囲であると、不燃性が向上しやすくなる。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56,100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
<発泡剤>
本発明のウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含有する。発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH22、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4、-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
本発明においては、発泡剤は水を含むことが好ましく、より詳細には、上記した低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、及びハイドロフルオロオレフィンから選択される少なくともいずれかの化合物と水を併用した発泡剤が好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であるさらに好ましく、そして2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以下であることがさらに好ましい。水の含有量がこれら下限値以上であると、ウレタン樹脂組成物を発泡させやすくなる。また、水の含有量がこれら上限値以下であると、不燃性を高めやすくなる。
本発明においては、発泡剤はハイドロフルオロオレフィンを含有することが好ましく、ハイドロフルオロオレフィンと上記した水とを共に含有することがより好ましい。ポリオール化合物100質量部に対するハイドロフルオロオレフィンの量は、10~60質量部が好ましく、15~55質量部がより好ましく、20~50質量部がさらに好ましい。
<触媒>
(金属触媒(樹脂化金属触媒))
本発明のウレタン樹脂組成物は、触媒を含有する。触媒は、例えば樹脂化触媒及び三量化触媒の一方又は両方を含有してもよく、両方を含有することが好ましい。
樹脂化触媒は、金属触媒を含有することが好ましい。この金属触媒は、一般的に樹脂化金属触媒と呼ばれるものである。本発明では、上記樹脂化金属触媒を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が促進され、特に初期反応速度を高めることができる。また、上記した難燃剤A、難燃剤B、又は固相難燃剤を一定量以上含有させるとポリウレタンフォームの反応性が阻害され発泡性が低下しやすいが、樹脂化金属触媒を含有させることで、ポリウレタンフォームの発泡性を良好に維持しやすくなる。上記金属触媒は、発泡性などの観点から、ビスマス及びスズからなる群から少なくとも1種選択されることが好ましく、ビスマスを含むことがより好ましい。
上記の樹脂化金属触媒は、ビスマス塩及びスズ塩から選択される金属塩が好ましく、ビスマス塩であることがより好ましい。金属塩は、有機酸金属塩であることが好ましく、より好ましくは炭素数5以上のカルボン酸の金属塩である。カルボン酸は、炭素数5以上であることで、発泡剤、特にハイドロフルオロオレフィンに対する安定性が良好となる。また、カルボン酸の炭素数は、触媒活性などの観点から、18以下が好ましく、12以下がより好ましい。カルボン酸は、脂肪族カルボン酸であることが好ましく、飽和脂肪族カルボン酸がより好ましい。カルボン酸は、直鎖であってもよいし、分岐構造を有してもよいが、分岐構造を有することが好ましい。
カルボン酸の具体例としては、オクチル酸、ラウリル酸、バーサチック酸、ペンタン酸及び酢酸等が挙げられ、これらのなかではオクチル酸が好ましい。すなわち、遷移金属塩は、オクチル酸の金属塩が好ましい。これらカルボン酸は、上記の通り直鎖状であってもよいが、分岐構造を有してもよい。なお、分岐構造を有するオクチル酸としては、2-エチルヘキサン酸が挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、カルボン酸のビスマス塩、カルボン酸の錫塩が好ましく、中でもオクチル酸のビスマス塩が好ましい。また、カルボン酸の金属塩は、アルキル金属のカルボン酸塩であってもよい。例えばカルボン酸錫塩はジアルキル錫カルボン酸塩等であってもよく、好ましくはジオクチル錫カルボン酸塩等である。
カルボン酸の金属塩の具体例としては、ビスマストリオクテート、ジオクチルスズバーサテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチル酸スズ等が挙げられ、好ましくはビスマストリオクテート、ジオクチルスズバーサテート、より好ましくはビスマストリオクテートである。
上記樹脂化金属触媒の含有量は、特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1.5~8質量部が更に好ましく、2~5質量部がより更に好ましい。
(イミダゾール誘導体)
本発明のウレタン樹脂組成物に使用される触媒は、樹脂化触媒として、樹脂化アミン触媒を含有することが好ましく、樹脂化アミン触媒として、イミダゾール誘導体を含有することがより好ましい。
イミダゾール誘導体は、ハイドロフルオロオレフィンの影響を受けにくく、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させやすくする。したがって、ウレタン樹脂組成物は、上記した金属触媒に加えて、イミダゾール誘導体を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートの反応性が高められ、発泡性がさらに良好となる。
イミダゾール誘導体は、好ましくは1位および2位がそれぞれ独立に炭素数8以下のアルキル基で置換されたイミダゾールであり、アルキル基は好ましくは炭素数6以下、より好ましくは炭素数4以下である。イミダゾール誘導体の好適な具体例は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2023012377000001

(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。)
一般式(1)におけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基はそれぞれ直鎖状であってもよいし、分岐構造を有してもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
1及びR2のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が前記下限値以上であると、立体障害が大きくなりハイドロフルオロオレフィン等の発泡剤の影響を受けにくくなるため好ましい。一方、R及びRのアルキル基の炭素数が前記上限値以下であると、極端に立体障害が大きくならないためポリオールとポリイソシアネートとの反応を速やかに進行させることが可能になり、発泡性も良好となる。
これらの観点から、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体としては、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。中でも、ハイドロフルオロオレフィン存在下での触媒の活性を向上させる観点と反応を速やかに進行させる観点から、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾールが好ましい。また、安定性をより高める観点からは1,2-ジメチルイミダゾールがさらに好ましい。
ウレタン樹脂組成物中のイミダゾール誘導体の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、1~18質量部がより好ましく、2~15質量部が更に好ましく、3~10質量部が特に好ましい。イミダゾール誘導体の含有量が前記下限値以上であるとウレタン結合の形成が生じやすくなり、反応が速やかに進行し、かつ発泡性が良好となる。一方、イミダゾール誘導体の含有量が前記上限値以下であると、反応速度が制御しやすくなるため好ましい。
ウレタン樹脂組成物中の樹脂化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは0.2~35質量部であり、より好ましくは2~30質量部であり、さらに好ましくは3~20質量部である。
(三量化触媒)
本発明のウレタン樹脂組成物に含まれる触媒は、三量化触媒を含有することが好ましい。三量化触媒は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒を含有することで未反応のイソシアネート基の反応を完了させることで良好なポリウレタンフォームが得られるという優位点がある。三量化触媒としては、金属触媒及びアンモニウム塩等が挙げられる。中でも、三量化触媒は、アンモニウム塩を含むことが好ましく、4級アンモニウム塩を含むことがより好ましい。
三量化触媒として使用される金属触媒(三量化金属触媒)としては、有機酸カリウムが挙げられ、好ましくは2-エチルヘキサン酸カリウム等のオクチル酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウム等の炭素数2~8のカルボン酸カリウムである。
アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができるが、これらのなかでは、4級アンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩は、例えばカルボン酸のアンモニウム塩である。アンモニウム塩におけるカルボン酸としては、例えば炭素数1~10、好ましくは炭素数2~8の飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸は、炭化水素基が直鎖であってもよいし、分岐を有してもよいが、分岐を有することが好ましい。カルボン酸の具体例としては、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、酢酸、及びギ酸などが挙げられるが、これらの中では2,2-ジメチルプロパン酸が好ましい。三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂組成物中の三量化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.5~30質量部が好ましく、1~25質量部がより好ましく、2~20質量部が更に好ましく、5~15質量部がより更に好ましい。三量化触媒の含有量が前記下限値以上であると、樹脂化と三量化との活性に大きな差が生まれず、発泡が2段階になることを抑制でき、発泡性が良好となる。一方、三量化触媒の含有量が前記上限値以下であると、樹脂化反応が活性に進行することで、樹脂化反応熱によって三量化の活性を助けることができ発泡性が良好となり、良好なポリウレタンフォームを形成することができる。
上記観点から、例えば、三量化触媒としてアンモニウム塩を含有した場合、アンモニウム塩の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.3~23質量部が好ましく、0.7~19質量部がより好ましく、1.5~15質量部が更に好ましく、3~11質量部がより更に好ましい。また、三量化触媒として金属触媒を含有した場合、金属触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.2~7質量部が好ましく、0.3~6質量部がより好ましく、0.5~5質量部が更に好ましく、2~4質量部がより更に好ましい。
<整泡剤>
本発明のウレタン樹脂組成物は、必要に応じて整泡剤を含有する。整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられるが、分子内に極性部分と非極性部分を有するような構造をもっていれば界面活性効果が得られるため、上記種類に捕らわれることはない。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~8質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
(その他の添加剤)
ウレタン樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱・光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
なおウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割されたウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。通常、ウレタン樹脂組成物を、ポリオール化合物を含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物とに分割する。
上記難燃剤、発泡剤、触媒、及び必要に応じて配合される整泡剤は、ポリオール組成物に含有されていてもよいし、ポリイソシアネート組成物に含有されていてもよいし、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物とは別に提供されてもよいが、ポリオール組成物に含有されることが好ましい。
また、後述するように、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物をエアゾール容器などに充填して使用する場合は、それぞれの組成物に発泡剤として低沸点化合物を含有させてもよい。ここで低沸点化合物としては、23℃、1気圧で気体になる成分である。 低沸点化合物としては、トリフルオロメタン(HFC-23)、ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ジメチルエーテル(DME)、プロパンとブタン類とを主成分とするLPG(液化石油ガス)、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン等の炭素数2~5の炭化水素等、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、空気(圧縮空気)等が挙げられる。これら低沸点化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
低沸点化合物は、例えばポリオール組成物におけるポリオール化合物100質量部に対して0.01~10質量部、ポリイソシアネート組成物におけるポリイソシアネート化合物100質量部に対して0.01~10質量部の範囲で使用するとよい。
ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、予め混練して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混合する方法、ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混合することにより製造される。
<ポリウレタンフォーム>
本発明のポリウレタンフォームは、上記したウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
本発明のポリウレタンフォームをISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの総発熱量X及びYについて上記したとおりである。これにより、本発明のポリウレタンフォームは、火災が生じたときなどに、初期の発熱量を低減させることで、不燃性を向上させることができる。
<ポリウレタンフォームの製造方法>
ポリウレタンフォームの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下のような混合システムを使用することができる。
図1に示すように、混合システム10は、ポリオール組成物が内部に封入された第1の容器11と、ポリイソシアネート組成物が内部に封入された第2の容器12とを備える。第1の容器11、及び第2の容器12は、例えばエアゾール容器(スプレー缶)である。
第1の容器11に封入されたポリオール組成物は、ポリオール組成物に含有される低沸点化合物の蒸気圧により吐出される。第2の容器12に封入されたポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート組成物に含有される低沸点化合物の蒸気圧により吐出される。なお、第1の容器11内部では、低沸点化合物は一部が気化して気相を形成する。第2の容器12内部においても同様である。
第1及び第2の容器11、12から吐出されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物は、低沸点化合物などにより発泡されながら混合して、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とが反応することで、ポリウレタンフォームを形成する。
混合システム10は、混合器13を備えるとよい。第1及び第2の容器11、12それぞれの吐出口11A、12Aは、供給ライン11B,12Bを介して混合器13に接続される。第1及び第2の容器11、12から吐出されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物は、それぞれ供給ライン11B,12Bを介して混合器13に供給され、これらは混合器13にて混合される。混合器13で混合されたポリオール組成物とポリイソシアネート組成物は、噴射器などにより、施工対象面に吹き付けられるとよい。
混合器13は、いわゆるスタテックミキサーと呼ばれる静止型混合器であることが好ましい。静止型混合器は、駆動部のない混合器であって、流体が管体内部を通過することで、流体が混合されるものである。静止型混合器は、例えば、図1に示すように管体13Aの内部にミキサーエレメント13Bが配置されたものが挙げられる。ミキサーエレメント13Bとしては、螺旋状に形成されたもの、複数の邪魔板が形成されたものなどがある。
静止型混合器は、噴射器の機能を兼ね備えたものでもよく、その場合、図1に示すように管体13A内部で混合されたポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合物を管体の先端13Cから噴射するとよい。なお、図1では、第1及び第2の容器11、12から吐出されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物が混合器に導入される態様を示しているが、混合器に導入される前に、吐出用ガンや治具などを備えていてもよい。
混合器に導入される前に、吐出用ガンを備えた態様の一例として、図2に混合システム20を示す。混合システム20は、第1の容器11と第2の容器12と、供給ライン11B及び12Bと、吐出用ガン14と、混合器13とを備える。第1の容器11と第2の容器12については上記説明したとおりであり、それぞれポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物を収容している。第1及び第2の容器から、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物が、それぞれ供給ライン11B、12Bを介して吐出用ガン14に送液される。吐出用ガン14はレバー14Aを備えており、送液のON-OFF機構を有する。具体的には、レバー14Aを引くと、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物が混合器13に送液され、レバー14Aを離すと混合器13への送液が停止される。吐出用ガン14を備える混合システム20を用いることで、必要に応じて送液を行うことができるため、ポリウレタンフォームを形成する際の作業性が向上する。
このような混合システムは、小型装置としての使用にも適しており、補修用途として好適に用いられる。
また、ポリウレタンフォームは上記した混合システム以外にも吹き付け装置によって、構造物に吹き付けることで形成させてもよい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。該混合液における、ポリオール組成物に対するポリイソシアネート組成物の容量比(ポリイソシアネート組成物/ポリオール組成物)は、特に限定されないが、通常は0.8~1.2であり、より一般的には0.9~1.1である。
吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。また原液温度設定・圧力等は一般的なウレタンフォームの吹き付け条件が適応できる。
本発明のウレタン樹脂組成物及びポリウレタンフォームの用途は特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の補修用途、該構造物の空洞に充填する用途、あるいは該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
<ポリオール>
(A-1) フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK-087、水酸基価=200mgKOH/g)
<整泡剤>
(B-1) シリコーン整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH-193)
<液状難燃剤>
(C-1) リン酸エステル:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
<難燃剤>
(D-1) リン酸二水素アンモニウム(太平化学産業社製)、難燃剤A、分解開始温度200℃、発生ガス:アンモニア
(D-2) メラミンシアヌレート(堺化学工業社製、製品名:MC-1N)、難燃剤A、分解開始温度320℃、発生ガス:窒素
(D-3) ポリリン酸アンモニウム(クラリアントケミカルズ社製、製品名:Exolit AP422)、難燃剤A、分解開始温度280℃、発生ガス:アンモニア
(D-4) テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル) (第一工業製薬社製、製品名:ピロガードSR-130)、難燃剤A、分解開始温度260℃、発生ガス:臭化水素
(D-5) 臭素化ポリスチレン(マナック社製、製品名:プラセフティ900)、難燃剤B、分解開始温度360℃、発生ガス:臭化水素
(D-6) 水酸化アルミニウム、難燃剤A、分解開始温度220℃、発生ガス:水
(D-7) ホウ酸カルシウム(キンセイマテック社製、製品名:コレマナイト)、固相系難燃剤
(D-8) リン酸グアニジン(三和ケミカル社製)、難燃剤A、分解開始温度260℃、発生ガス:窒素
(D-9) リン酸水素二アンモニウム(太平化学産業社製)、難燃剤A、分解開始温度150℃、発生ガス:アンモニア
(D-10) エチレンビステトラブロモフタルイミド(アルベマール社製、製品名:BT93)、難燃剤B、分解開始温度450℃、発生ガス:臭化水素
(D-11) 赤リン(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)、固相系難燃剤
(D-12) ホウ酸亜鉛(早川商事社製、製品名:FirebrakeZB)、固相系難燃剤
(D-13) エチレンビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール社製、製品名:SAYTEX8010)、難燃剤B、分解温度370℃、発生ガス:臭化水素
<発泡剤>
(E-1) トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))(ハネウェル社製、製品名:Solstice LBA)
(E-2) イオン交換水
<三量化触媒>
(F-1) 第4級アンモニウム塩 (エボニックジャパン社製、製品名:TMR-7)、エチレングリコールとの混合物(濃度45~55質量%)
(F-2) 2-エチルヘキサン酸カリウム(東京化成工業社製、製品コード:P0048)
<樹脂化触媒>
(G-1) イミダゾール誘導体 1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名:カオライザー No.390)濃度65~75質量%
(G-2) ビスマス系触媒 2-エチルヘキサン酸ビスマス(日東化成社製、製品名:Bi28)、濃度81~90質量%
[評価]
(分解開始温度)
各難燃剤の分解開始温度は以下のとおり評価した。
難燃剤を10mg採取して試料とし、示差熱-熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、「示差熱熱重量同時測定装置 STA7200」)により、昇温速度10℃/分、測定温度100~800℃の条件下で、難燃剤の質量が10%減少したときの温度を分解開始温度とした。
(コーンカロリーメーター試験)
各実施例及び比較例で作製した各実施例、比較例で得た石膏ボードを下地としたポリウレタンフォームを、縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備した。コーンカロリーメーター試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて加熱したときの0~1200秒までの総発熱量X、0~60秒までの総発熱量Yを求めた。
<評価基準>
◎ 総発熱量Xに対する総発熱量Yの割合が30%未満で、かつ総発熱量Yが1.4MJ/m以下
〇 総発熱量Xに対する総発熱量Yの割合が30%未満で、かつ総発熱量Yが1.4MJ/m超1.7MJ/m以下
△ 総発熱量Xに対する総発熱量Yの割合が30%未満で、かつ総発熱量Yが1.7MJ/m
× 総発熱量Xに対する総発熱量Yの割合が30%以上
[実施例1~14、比較例1~4]
表1~3の配合に従いポリオール組成物、及び液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなるポリイソシアネート組成物を調製した。それぞれの組成物を吹き付け装置(GRACO社製:A-25)に導入した。スプレーガン(GRACO社製:APガン)を利用して、表1~3に示す組成のポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合液からなるウレタン樹脂組成物を、厚さ12.5mmの石膏ボード上に吹き付けることで、ポリウレタンフォームを形成させた。該ポリウレタンフォームについて、上記のとおり各総発熱量を測定し、結果を表1~3に示した。
Figure 2023012377000002
Figure 2023012377000003
Figure 2023012377000004
なお、表中の各触媒の質量部は製品としての質量部である。
各実施例のウレタン樹脂組成物により形成されたポリウレタンフォームは、総発熱量Yの割合が少なく、そのため、燃焼過程全体の総発熱量を低減でき、不燃性に優れることが分かった。
これに対して、比較例のウレタン樹脂組成物により形成されたポリウレタンフォームは、総発熱量Yの割合が多く、そのため実施例と比較して不燃性に劣る結果となった。
10、20 混合システム
11 第1の容器
12 第2の容器
11A、12A 吐出口
11B、12B 供給ライン
13 混合器
13A 管体
13B ミキサーエレメント
13C 先端

Claims (16)

  1. ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含有するウレタン樹脂組成物であって、前記ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォームを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリーメーター試験をしたときの0~1200秒までの総発熱量Xが8MJ/m以下であり、かつ0~60秒までの総発熱量Yが前記総発熱量Xの30%未満である、ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記コーンカロリーメーター試験における0~60秒までの総発熱量Yが1.7MJ/m以下である、請求項1に記載のウレタン樹脂組成物。
  3. 前記難燃剤が、熱分解時にガスを発生するガス発生難燃剤Aを少なくとも1種含有し、前記ガスが、窒素、水、アンモニア、二酸化炭素、及びハロゲン化水素からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のウレタン樹脂組成物。
  4. 前記ガス発生難燃剤Aが粉体であり、分解開始温度が160℃以上330℃以下である、請求項3に記載のウレタン樹脂組成物。
  5. 前記ガス発生難燃剤Aが、臭素化ビスフェノールA誘導体であり、かつ3級炭素に結合した臭素を有する、請求項3又は4に記載のウレタン樹脂組成物。
  6. 前記ガス発生難燃剤Aが、リン酸グアニジン及びメラミンシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3又は4に記載のウレタン樹脂組成物。
  7. 前記ガス発生難燃剤Aの含有量が、前記ポリオール化合物100質量部に対して5~25質量部である、請求項3~6のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  8. 前記難燃剤が、分解開始温度が330℃超450℃以下であるガス発生難燃剤Bを含有する、請求項1~7のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  9. 前記ガス発生難燃剤Bの含有量が、前記ポリオール化合物100質量部に対して25~40質量部である、請求項8に記載のウレタン樹脂組成物。
  10. 前記難燃剤が、固相系難燃剤を含有する、請求項1~9のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  11. 前記固相系難燃剤が赤燐を少なくとも含有する、請求項10に記載のウレタン樹脂組成物。
  12. 前記触媒が三量化触媒を含む、請求項1~11のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  13. 前記三量化触媒が4級アンモニウム塩を含む、請求項12に記載のウレタン樹脂組成物。
  14. 前記触媒が、イミダゾール誘導体を含む、請求項1~13のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  15. 前記触媒が、ビスマス及びスズからなる群から選択される少なくとも1種の金属触媒を含む、請求項1~14のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物。
  16. 請求項1~15のいずれかに記載のウレタン樹脂組成物からなるポリウレタンフォーム。

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