以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(概要)
本発明では、光伝送路で接続される収容局装置と基地局装置とを備えるシステムにおいて、基地局装置にビーム形成回路としてバトラーマトリクスを備える。収容局装置は、バトラーマトリクスの1つ入力ポート又は複数の入力ポートに対して、1つの光波長、周波数又は光偏波を割り当てる。ここで、1つの光波長、周波数又は光偏波を割り当てるとは、例えば、基地局装置が分配器を備えることにより、1つの光波長、周波数又は光偏波に応じた信号を複数に分配してバトラーマトリクスの1つ入力ポート又は複数の入力ポートに対して信号を出力することを意味する。さらに、収容局装置は、光波長、周波数又は光偏波のいずれかの組み合わせ、あるいは、周波数又は光波長を切り替えることで、基地局装置のビーム及びビーム幅を遠隔で制御する。これにより、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことを可能にする。以下、具体的な構成について実施形態を例に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における無線通信システム1の構成例を示す図である。無線通信システム1は、収容局装置10と、基地局装置20とを備える。収容局装置10と、基地局装置20とは、光伝送路30を介して接続されている。光伝送路30は、例えば光ファイバである。光伝送路30は、1以上のシングルコアファイバでもよいし、1以上のコアを有するマルチコアファイバでもよい。以下の説明では、収容局装置10から基地局装置20へ向かう方向を下り方向、基地局装置20から収容局装置10へ向かう方向を上り方向とする。
図1では、基地局装置20が1台の場合を示しているが、無線通信システム1は複数の基地局装置20を備えてもよい。この場合、収容局装置10と複数の基地局装置20とは、パッシブ光ネットワーク(Passive Optical Network : PON)で接続されていてもよい。収容局装置10と複数の基地局装置20とが、PONで接続される場合には、収容局装置10と複数の基地局装置20との間に光スプリッタ(分岐部)が設けられる。光スプリッタは、収容局装置10から出力された光信号を分岐して基地局装置20に出力する。パッシブ光ネットワークは、例えば、WDM-PON(Wavelength Division. Multiplexing - Passive Optical Network)、又は、TDM-PON(Time Division Multiplexing - Passive Optical Network)である。
収容局装置10は、送信信号の光波長を切り替えることによって、基地局装置20のビームを遠隔で制御する。収容局装置10は、アナログRoF技術を用いて基地局装置20のビームを遠隔で制御する。なお、第1の実施形態における送信信号は、RF信号(Radio Frequency信号)である。
基地局装置20は、収容局装置10から送信された信号を無線により放射する。
次に、収容局装置10及び基地局装置20の具体的な構成について説明する。
収容局装置10は、制御部11と、光変調部12とを備える。
制御部11は、基地局装置20においてビーム形成したい方向に応じた光波長を選択する。例えば、制御部11は、光変調部12で利用する光波長として、適用可能な光波長λT1,…,λTnのうちいずれか1つ又は複数を選択する。
光変調部12は、RF帯の送信信号を、ある光波長λTjの光信号を用いて強度変調する。これにより、光変調部12は、光波長λTjの光変調信号を生成する。光変調部12は、生成した光変調信号を、光伝送路30を介して基地局装置20に伝送する。
基地局装置20は、光分波器21と、複数の光分配器22と、複数のO/E23と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。なお、図1では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、光分配器22は光波長λTの数nだけ備えられる必要があり、O/E23は光分配器22の分配数に応じた数だけ備えられる必要がある。
光分波器21は、光伝送路30を介して受信した光変調信号を波長に応じて分波する。例えば、光分波器21は、AWG(Arrayed Waveguide Grating)である。光分波器21により分波された光変調信号は、光分配器22に入力される。
光分配器22は、光分波器21から出力された光変調信号を分配する。なお、光分配器22の分配数は、2以上であればよい。
O/E23は、光分配器22から出力された光変調信号を電気信号に変換する光電変換部である。
ビーム形成回路24は、N(=2n(n∈Z+))個の入力ポートと、N個の出力ポートとを持つ。なお、Nは1以上の整数である。ビーム形成回路24は、例えばバトラーマトリクスである(例えば、参考文献1参照)。なお、光波長λTjは、バトラーマトリクスが形成できるビーム及びセクタビームと一対一に対応している。
(参考文献1:Wei Hong, Zhi Hao Jiang, Chao Yu, Jianyi Zhou, Peng Chen, Zhiqiang Yu, Hui Zhang, Binqi Yang, Xingdong Pang, Mei Jiang, Yujian Cheng, Mustafa K. Taher Al-Nuaimi, Yan Zhang, Jixin Chen, and Shiwen He, “Multibeam antenna technologies for 5G wireless communications”, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, 65(12), 6231-6249 (2017).)
ビーム形成回路24であるバトラーマトリクスは、ある1つの入力ポートにRF信号を入力すると、全出力ポートから振幅が等しく、かつ、位相が線形に傾いたRF信号が出力される。入力ポートによって位相の傾きはそれぞれ異なる。出力ポートにアンテナ25-1~25-Nを備えることで、ビーム形成が可能となる。RF信号を入力するポートを切り替えることでビーム切替が可能となり、形成されるビーム同士は直交している。
ビーム形成回路24であるバトラーマトリクスの複数の入力ポートに同じRF信号を同相で入力することで、隣接する直交ビーム同士を合成してセクタビームを形成することが可能になる。すなわち、入力ポートの組み合わせの切替によりセクタビーム切替も可能になる。
ビーム形成回路24の入力ポートには、複数のO/E23が接続される。ビーム形成回路24の出力ポートには、アンテナ25-1~25-Nが接続される。ビーム形成回路24のN個の入力ポートには、複数のO/E23から出力された電気信号が同相で入力される。
図2は、第1の実施形態における無線通信システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
制御部11は、基地局装置20においてビーム形成したい方向に応じた光波長を選択する(ステップS101)。例えば、制御部11は、光波長λT1,…,λTnのうち、1つ光波長λTjを選択する。制御部11は、選択した光波長λTjの光信号を光強度変調するように光変調部12を制御する。
光変調部12は、送信信号を、制御部11により指定された光波長λTjの光信号を用いて強度変調する(ステップS102)。これにより、光変調部12は、光波長λTjの光変調信号を生成する。光変調部12は、生成した光変調信号を光伝送路30に送出する(ステップS103)。
光伝送路30に送出された光変調信号は、基地局装置20に入力される。基地局装置20の光分波器21は、入力された光変調信号を波長に応じて分波する(ステップS104)。光分波器21の出力ポートには、波長数に応じた数の光分配器22が接続されている。そのため、光分波器21によって分波された光変調信号は、波長に応じた出力ポートに接続されている光分配器22に出力される。図2では、光波長λTjの光変調信号が光分波器21により分波されて、光波長λTjに応じた出力ポートに接続されている光分配器22に入力されたものとする。
光分配器22は、入力された光変調信号を分配する(ステップS105)。光分配器22の出力ポートには、分配数に応じた数のO/E23が接続されている。そのため、光分配器22によって分配された光変調信号は、光分配器22の出力ポートに接続されているO/E23に出力される。
O/E23は、入力された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS106)。この処理により、光変調信号は、電気信号に変換される。O/E23は、変換後の電気信号をビーム形成回路24に出力する。この際、ビーム形成回路24の入力ポートには、各O/E23から出力された電気信号が同相で入力される。ビーム形成回路24は、電気信号が入力された入力ポートに応じた方向にビームを形成する。これにより、電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25から無線信号が発出される。電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25は、入力された電気信号に応じた無線信号を放射する(ステップS107)。
以上のように構成された無線通信システム1によれば、収容局装置10において送信信号の光波長を切り替えることで、遠隔で送信ビームの方向を切り替えることができる。さらに、基地局装置20は、受信した信号を波長に応じて分波した後に、分配することで同相の信号をビーム形成回路24に入力する。その結果、基地局装置20から送出されるビームの幅を制御することができる。そのため、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことが可能になる。
なお、無線通信システム1では、複数の光波長の組み合わせを同時利用して波長分割多重することでマルチビーム形成も可能になる。
(第1の実施形態の変形例)
図1に示す基地局装置20において、図3のように光分配器22に代えて分配器26を備え、分配器26とO/E23の順番を入れ替えて構成されてもよい。図3は、第1の実施形態の変形例における無線通信システム1aの構成例を示す図である。無線通信システム1aは、収容局装置10と、基地局装置20aとを備える。収容局装置10と、基地局装置20aとは、光伝送路30を介して接続されている。図3に示す無線通信システム1aは、基地局装置20aの構成が図1に示す無線通信システム1と異なる。無線通信システム1aのその他の構成については、無線通信システム1と同様である。
基地局装置20aは、光分波器21と、複数のO/E23と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nと、複数の分配器26とを備える。基地局装置20aは、光分波器21の後段に複数のO/E23が接続され、各O/E23の後段にそれぞれ分配器26が備えられる点で基地局装置20と構成が異なる。そのため、ビーム形成回路24の入力ポートそれぞれには、分配器26が接続されることになる。
分配器26は、入力された電気信号を分配する。分配器26の出力ポートには、ビーム形成回路24が接続されている。そのため、分配器26によって分配された電気信号は、ビーム形成回路24に出力される。このように、図3に示す基地局装置20では光伝送路30を介して受信した光変調信号(光信号)を分波した直後に分配したのに対し、基地局装置20aでは光伝送路30を介して受信した光変調信号を分波して光電変換した後に分配する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、収容局装置が送信信号の周波数を制御して、基地局装置のビーム形成を遠隔で制御する点が、第1の実施形態との差分である。第2の実施形態では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図4は、第2の実施形態における無線通信システム1bの構成例を示す図である。無線通信システム1bは、収容局装置10bと、基地局装置20bとを備える。収容局装置10bと、基地局装置20bとは、光伝送路30を介して接続されている。
収容局装置10bは、送信信号の周波数を切り替えることによって、基地局装置20bのビームを遠隔で制御する。なお、第2の実施形態における送信信号は、BB信号(Base Band信号)であってもよいし、IF信号(Intermediate Frequency信号)であってもよいし、RF信号であってもよい。
収容局装置10bは、制御部11bと、光変調部12bと、周波数変換部13とを備える。
制御部11bは、基地局装置20bにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数を選択する。例えば、制御部11bは、m(mは1以上の整数)個の周波数fT1,…,fTmのいずれか1つ又は複数を選択する。
周波数変換部13は、入力された送信信号を、制御部11bにより指定された周波数fTiに変換する。なお、iは1以上m以下の整数である。
光変調部12bは、周波数fTiの信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調する。これにより、光変調部12bは、光変調信号を生成する。
基地局装置20bは、O/E23と、分波器27と、複数の周波数変換部28-1~28-Nと、複数の分配器26-1~26-Nと、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。
分波器27は、O/E23により取り出された電気信号を周波数に応じて分波する。
周波数変換部28-1~28-Nは、入力された電気信号の周波数をRF帯の周波数に変換する。
ビーム形成回路24の入力ポートには、分配器26が接続される。ビーム形成回路24の出力ポートには、アンテナ25-1~25-Nが接続される。ビーム形成回路24のN個の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。なお、m個の周波数fT1,…,fTmは、バトラーマトリクスが形成できるビーム及びセクタビームと一対一に対応している。
図4は、第2の実施形態における無線通信システム1bの処理の流れを示すシーケンス図である。
制御部11bは、基地局装置20bにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数を選択する(ステップS201)。例えば、制御部11bは、N個の周波数fT1,…,fTmのうち、1つの周波数fTiを選択する。制御部11bは、選択した周波数fTiに周波数変換するように周波数変換部13を制御する。
周波数変換部13は、入力された送信信号を、制御部11bにより指定された周波数fTiに変換する(ステップS202)。周波数変換部13は、周波数fTiの送信信号を光変調部12bに出力する。光変調部12bは、周波数変換部13から出力された周波数fTiの送信信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調する(ステップS203)。これにより、光変調部12bは、光変調信号を生成する。光変調部12bは、生成した光変調信号を光伝送路30に送出する(ステップS204)。
光伝送路30に送出された光変調信号は、基地局装置20bに入力される。基地局装置20bのO/E23は、入力された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS205)。この処理により、光変調信号は、周波数fTiの電気信号に変換される。O/E23は、周波数fTiの電気信号を分波器27に出力する。分波器27に出力された周波数fTiの電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS206)。
分波器27の出力ポートには、複数の周波数変換部28-1~28-Nが接続されている。例えば、周波数fT1に対応する分波器27の出力ポートには周波数変換部28-1が接続され、周波数fTiに対応する分波器27の出力ポートには周波数変換部28-iが接続され、周波数fTmに対応する分波器27の出力ポートには周波数変換部28-Nが接続される。そのため、分波器27によって周波数毎に分波された電気信号は、周波数に応じた出力ポートに接続されている周波数変換部28に出力される。図5では、周波数fTiの電気信号が分波器27により分波されて、周波数変換部28-iに入力されたものとする。
周波数変換部28-iは、入力された電気信号の周波数をRF帯の周波数に変換する(ステップS207)。周波数変換部28-iは、RF帯の電気信号を分配器26に出力する。分配器26は、周波数変換部28-iから出力されたRF帯の電気信号を分配する(ステップS208)。分配器26によって分配されたRF帯の電気信号は、ビーム形成回路24に出力される。ビーム形成回路24の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。ビーム形成回路24は、電気信号が入力された入力ポートに応じた方向にビームを形成する。これにより、電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25から無線信号が発出される。電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25は、入力された電気信号に応じた無線信号を放射する(ステップS209)。
以上のように構成された無線通信システム1bによれば、収容局装置10bにおいて送信信号の周波数を切り替えることで、遠隔で送信ビームの方向を切り替えることができる。さらに、基地局装置20bは、受信した信号を周波数に応じて分波した後に、分配することで同相の信号をビーム形成回路24に入力する。その結果、基地局装置20bから送出されるビームの幅を制御することができる。そのため、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことが可能になる。
さらに、無線通信システム1bでは、ビーム形成回路24に周波数を割り当てることで基地局装置20の制御や光ファイバ距離情報が不要となり、基地局装置20bの簡易化が可能になる。
(第2の実施形態の変形例)
収容局装置10bが、複数の周波数を同時利用してサブキャリア多重(SCM:Subcarrier Multiplexing)することで、基地局装置20bにおいてマルチビーム形成するように構成されてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、収容局装置が光波長及び周波数を制御して、基地局装置のビーム形成を遠隔で制御する点が、第1の実施形態との差分である。第3の実施形態では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図6は、第3の実施形態における無線通信システム1cの構成例を示す図である。無線通信システム1cは、収容局装置10cと、基地局装置20cとを備える。収容局装置10cと、基地局装置20cとは、光伝送路30を介して接続されている。
収容局装置10cは、送信信号の周波数及び光波長を切り替えることによって、基地局装置20cのビームを遠隔で制御する。なお、第3の実施形態における送信信号は、BB信号であってもよいし、IF信号であってもよいし、RF信号であってもよい。
収容局装置10cは、制御部11cと、光変調部12cと、周波数変換部13とを備える。
制御部11cは、基地局装置20cにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数及び光波長を選択する。例えば、制御部11cは、光変調部12aで利用する光波長として、適用可能な光波長λT1,…,λTnのうちいずれか1つ又は複数を選択する。例えば、制御部11cは、光波長λTjに対して適用可能な周波数fj
T1,…,fj
Tmjのうちいずれか1つ又は複数を選択する。jは1以上の整数である。
周波数変換部13は、入力された送信信号を、制御部11cにより指定された周波数fj
Tiに変換する。
光変調部12cは、周波数fj
Tiの信号を用いて、制御部11cにより指定されたある波長λTjの光信号を強度変調する。これにより、光変調部12cは、波長λTjの光変調信号を生成する。
基地局装置20cは、光分波器21と、複数のO/E23と、複数の分波器27と、複数の周波数変換部28と、複数の分配器26と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。なお、図6では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、O/E23及び分波器27は光波長λTの数nだけ備えられる必要があり、周波数変換部28及び分配器26は光波長λTjが利用する周波数の数mjだけ備えられる必要がある。
ビーム形成回路24の入力ポートには、複数の分配器26が接続される。ビーム形成回路24の出力ポートには、アンテナ25-1~25-Nが接続される。ビーム形成回路24のN個の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。なお、光波長λTjと周波数fj
TiのΣn
j=1mj通りの組み合わせは、バトラーマトリクスが形成できるビーム及びセクタビームと一対一に対応している。
図7は、第3の実施形態における無線通信システム1cの処理の流れを示すシーケンス図である。
制御部11cは、基地局装置20cにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数及び光波長を選択する(ステップS301)。例えば、制御部11cは、周波数fj
T1,…,fj
Tmjのうち、1つの周波数fj
Tiを選択する。さらに、制御部11cは、光波長λT1,…,λTnのうち、1つ光波長λTjを選択する。制御部11cは、選択した周波数fj
Tiに周波数変換するように周波数変換部13を制御する。さらに制御部11cは、選択した光波長λTjで光強度変調するように光変調部12cを制御する。
周波数変換部13は、入力された送信信号を、制御部11cにより指定された周波数fj
Tiに変換する(ステップS302)。周波数変換部13は、周波数fj
Tiの送信信号を光変調部12cに出力する。光変調部12cは、制御部11cにより指定された光波長λTjに対して、周波数変換部13から出力された周波数fj
Tiの送信信号を用いて強度変調する(ステップS303)。これにより、光変調部12cは、光波長λTjの光変調信号を生成する。光変調部12cは、生成した光変調信号を光伝送路30に送出する(ステップS304)。
光伝送路30に送出された光変調信号は、基地局装置20cに入力される。基地局装置20cの光分波器21は、入力された光波長λTjの光変調信号を分波する(ステップS305)。光分波器21の出力ポートには、光波長の数に応じてO/E23が接続されている。そのため、光分波器21によって波長毎に分波された光変調信号は、波長に応じた出力ポートに接続されているO/E23に出力される。図7では、光波長λTjの光変調信号が光分波器21により分波されて、O/E23に入力されたものとする。
O/E23は、入力された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS306)。この処理により、光変調信号は、周波数fj
Tiの電気信号に変換される。O/E23は、周波数fj
Tiの電気信号を分波器27に出力する。分波器27に出力された周波数fj
Tiの電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS307)。分波器27で分波された電気信号は、周波数変換部28に入力される。
周波数変換部28は、入力された電気信号の周波数をRF帯の周波数に変換する(ステップS308)。周波数変換部28は、RF帯の電気信号を分配器26に出力する。分配器26は、周波数変換部28から出力されたRF帯の電気信号を分配する(ステップS309)。分配器26によって分配されたRF帯の電気信号は、ビーム形成回路24に出力される。ビーム形成回路24の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。ビーム形成回路24は、電気信号が入力された入力ポートに応じた方向にビームを形成する。これにより、電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25から無線信号が発出される。電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25は、入力された電気信号に応じた無線信号を放射する(ステップS310)。
以上のように構成された無線通信システム1cによれば、収容局装置10cにおいて送信信号の周波数及び光波長の組み合わせを切り替えることで、遠隔で送信ビームの方向を切り替えることができる。さらに、基地局装置20cは、受信した信号を光波長に応じて分波して周波数に応じて分波した後に、分配することで同相の信号をビーム形成回路24に入力する。その結果、基地局装置20cから送出されるビームの幅を制御することができる。そのため、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことが可能になる。
(第3の実施形態の変形例)
収容局装置10cが、複数の光波長と、複数の周波数とを同時利用して、サブキャリア多重と波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)することで、基地局装置20cにおいてマルチビーム形成するように構成されてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、収容局装置が送信信号の光偏波及び周波数を制御して、基地局装置のビーム形成を遠隔で制御する点が、第1の実施形態との差分である。第4の実施形態では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図8は、第4の実施形態における無線通信システム1dの構成例を示す図である。無線通信システム1dは、収容局装置10dと、基地局装置20dとを備える。収容局装置10dと、基地局装置20dとは、光伝送路30を介して接続されている。
収容局装置10dは、送信信号の周波数及び光波長を切り替えることによって、基地局装置20dのビームを遠隔で制御する。なお、第4の実施形態における送信信号は、BB信号であってもよいし、IF信号であってもよいし、RF信号であってもよい。
収容局装置10dは、制御部11dと、光変調部12dと、周波数変換部13とを備える。
制御部11dは、基地局装置20dにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数及び光偏波を選択する。例えば、制御部11dは、光変調部12bで利用する光偏波として、適用可能な光偏波X,Yのうちいずれか1つ又は複数を選択する。ここで、X,Yは、それぞれ水平偏波と、垂直偏波を表す。例えば、制御部11dは、光偏波k(kはX又はY)に対して適用可能な周波数fk
T1,…,fk
Tmkのうちいずれか1つ又は複数を選択する。
周波数変換部13dは、入力された送信信号を、制御部11dにより指定された周波数fk
Tiに変換する。
光変調部12dは、周波数fk
Tiの信号を用いて、制御部11dにより指定されたある光偏波kの光信号を強度変調する。これにより、光変調部12dは、光偏波kの光変調信号を生成する。
基地局装置20dは、偏波分離部29と、複数のO/E23-X,23-Yと、複数の分波器27と、複数の周波数変換部28と、複数の分配器26と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。なお、図8では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、分波器27は光偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要があり、周波数変換部28は光偏波Xが利用する周波数の数mXと光偏波Yが利用する周波数の数mYの合計数(mX+mY個)だけ備えられる必要がある。
偏波分離部29は、光伝送路30を介して受信した光変調信号の光偏波k成分を分離する。
ビーム形成回路24の入力ポートには、分配器26が接続される。ビーム形成回路24の出力ポートには、アンテナ25-1~25-Nが接続される。ビーム形成回路24のN個の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。なお、光偏波kと周波数fk
Tiの(mX+mY)通りの組み合わせは、バトラーマトリクスが形成できるビーム及びセクタビームと一対一に対応している。
図9は、第4の実施形態における無線通信システム1dの処理の流れを示すシーケンス図である。
制御部11dは、基地局装置20dにおいてビーム形成したい方向に応じた周波数及び光偏波を選択する(ステップS401)。例えば、制御部11dは、周波数fX
T1,…,fX
Tmjのうち、1つの周波数fX
Tiを選択する。さらに、制御部11dは、光偏波kのうち、1つ光偏波Xを選択する。制御部11dは、選択した周波数fX
Tiに周波数変換するように周波数変換部13を制御する。さらに制御部11dは、選択した光偏波Xの光信号を光強度変調するように光変調部12dを制御する。
周波数変換部13は、入力された送信信号を、制御部11dにより指定された周波数fX
Tiに変換する(ステップS402)。周波数変換部13は、周波数fX
Tiの送信信号を光変調部12dに出力する。光変調部12dは、制御部11dにより指定された光偏波Xの光信号に対して、周波数変換部13から出力された周波数fX
Tiの送信信号を用いて強度変調する(ステップS403)。これにより、光変調部12dは、光偏波Xの光変調信号を生成する。光変調部12dは、生成した光変調信号を光伝送路30に送出する(ステップS404)。
光伝送路30に送出された光変調信号は、基地局装置20dに入力される。基地局装置20dの偏波分離部29は、入力された光偏波Xの光変調信号の光偏波k成分を分離する(ステップS405)。偏波分離部29の出力ポートには、偏波数に応じてO/E23-X,23-Yが接続されている。そのため、偏波分離部29によって分離された光変調信号は、光偏波成分に応じた出力ポートに接続されているO/E23-X,23-Yに出力される。図9では、光偏波Xの光変調信号が偏波分離部29により分離されて、O/E23-Xに入力されたものとする。
O/E23-Xは、入力された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS406)。この処理により、光変調信号は、周波数fX
Tiの電気信号に変換される。O/E23-Xは、周波数fX
Tiの電気信号を分波器27に出力する。分波器27に出力された周波数fX
Tiの電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS407)。分波器27で分波された電気信号は、周波数変換部28に入力される。
周波数変換部28は、入力された電気信号の周波数をRF帯の周波数に変換する(ステップS408)。周波数変換部28は、RF帯の電気信号を分配器26に出力する。分配器26は、周波数変換部28から出力されたRF帯の電気信号を分配する(ステップS409)。分配器26によって分配されたRF帯の電気信号は、ビーム形成回路24に出力される。ビーム形成回路24の入力ポートには、分配器26から出力された電気信号が同相で入力される。ビーム形成回路24は、電気信号が入力された入力ポートに応じた方向にビームを形成する。これにより、電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25から無線信号が発出される。電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25は、入力された電気信号に応じた無線信号を放射する(ステップS410)。
以上のように構成された無線通信システム1dによれば、収容局装置10dにおいて送信信号の光偏波及び周波数の組み合わせを切り替えることで、遠隔で送信ビームの方向を切り替えることができる。さらに、基地局装置20dは、受信した信号を偏波に応じて分離して周波数に応じて分波した後に、分配することで同相の信号をビーム形成回路24に入力する。その結果、基地局装置20dから送出されるビームの幅を制御することができる。そのため、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことが可能になる。
(第4の実施形態の変形例)
収容局装置10dが、複数の光偏波と、複数の周波数とを同時利用して、サブキャリア多重と偏波分割多重(PDM:Polarization Division Multiplexing)を行うことで、基地局装置20dにおいてマルチビーム形成するように構成されてもよい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、収容局装置が送信信号の光波長及び光偏波を制御して、基地局装置のビーム形成を遠隔で制御する点が、第1の実施形態との差分である。第4の実施形態では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図10は、第5の実施形態における無線通信システム1eの構成例を示す図である。無線通信システム1eは、収容局装置10eと、基地局装置20eとを備える。収容局装置10eと、基地局装置20eとは、光伝送路30を介して接続されている。
収容局装置10eは、送信信号の光波長及び光偏波を切り替えることによって、基地局装置20eのビームを遠隔で制御する。なお、第5の実施形態における送信信号は、RF信号である。
収容局装置10eは、制御部11eと、光変調部12eとを備える。
制御部11eは、基地局装置20eにおいてビーム形成したい方向に応じた光波長及び光偏波を選択する。例えば、制御部11eは、光変調部12bで利用する光偏波として、適用可能な光偏波X,Yのうちいずれか1つ又は複数を選択する。例えば、制御部11eは、光変調部12eで利用する光波長として、適用可能な光波長λT1,…,λTnのうちいずれか1つ又は複数を選択する。
光変調部12eは、RF帯の送信信号を、ある光波長λTjである光偏波kの光信号を用いて強度変調する。これにより、光変調部12eは、光波長λTjである光偏波kの光変調信号を生成する。
基地局装置20eは、光分波器21と、複数の偏波分離部29と、複数の光分配器22と、複数のO/E23と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。なお、図10では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、偏波分離部29は光波長λTの数nだけ備えられる必要がある。
ビーム形成回路24の入力ポートには、複数のO/E23が接続される。ビーム形成回路24の出力ポートには、アンテナ25-1~25-Nが接続される。ビーム形成回路24のN個の入力ポートには、複数のO/E23から出力された電気信号が同相で入力される。なお、光波長λTjと光偏波kとの2n通りの組み合わせは、バトラーマトリクスが形成できるビーム及びセクタビームと一対一に対応している。
図11は、第5の実施形態における無線通信システム1eの処理の流れを示すシーケンス図である。
制御部11eは、基地局装置20eにおいてビーム形成したい方向に応じた光偏波及び光波長を選択する(ステップS501)。例えば、制御部11eは、光波長λT1,…,λTnのうち、1つ光波長λTjを選択する。さらに、制御部11eは、光偏波kのうち、1つ光偏波Xを選択する。制御部11eは、選択した光波長λTjである光偏波Xの光信号を光強度変調するように光変調部12eを制御する。
光変調部12eは、送信信号を、制御部11eにより指定された光波長λTjである光偏波Xの光信号を用いて強度変調する(ステップS502)。これにより、光変調部12eは、光波長λTjである光偏波Xの光変調信号を生成する。光変調部12eは、生成した光変調信号を光伝送路30に送出する(ステップS503)。
光伝送路30に送出された光変調信号は、基地局装置20eに入力される。基地局装置20eの光分波器21は、入力された光変調信号を波長に応じて分波する(ステップS504)。光分波器21の出力ポートには、波長数に応じて偏波分離部29が接続されている。そのため、光分波器21によって分波された光変調信号は、波長に応じた出力ポートに接続されている偏波分離部29に出力される。図11では、光波長λTjの光変調信号が光分波器21により分波されて、光波長λTjに応じた出力ポートに接続されている偏波分離部29に入力されたものとする。
偏波分離部29は、光偏波Xの光変調信号の光偏波k成分を分離する(ステップS505)。偏波分離部29の出力ポートには、光偏波数に応じた数の光分配器22が接続されている。そのため、偏波分離部29によって分離された光変調信号は、光偏波成分に応じた出力ポートに接続されている光分配器22に出力される。図11では、光偏波Xの光変調信号が偏波分離部29により分離されて、光偏波Xの出力ポートに接続されている光分配器22-Xに入力されたものとする。
光分配器22-Xは、入力された光変調信号を分配する(ステップS506)。光分配器22-Xの出力ポートには、分配数に応じた数のO/E23が接続されている。そのため、光分配器22-Xによって分配された光変調信号は、光分配器22-Xの出力ポートに接続されているO/E23に出力される。
O/E23は、入力された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS507)。この処理により、光変調信号は、電気信号に変換される。O/E23は、変換後の電気信号をビーム形成回路24に出力する。ビーム形成回路24の入力ポートには、O/E23から出力された電気信号が同相で入力される。ビーム形成回路24は、電気信号が入力された入力ポートに応じた方向にビームを形成する。これにより、電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25から無線信号が発出される。電気信号を入力した入力ポートに対応する出力ポートに接続されたアンテナ25は、入力された電気信号に応じた無線信号を放射する(ステップS508)。
以上のように構成された無線通信システム1eによれば、収容局装置10eにおいて送信信号の光波長及び光偏波の組み合わせを切り替えることで、遠隔で送信ビームの方向を切り替えることができる。さらに、基地局装置20eは、受信した信号を光波長に応じて分波して偏波に応じて分離した後に、分配することで同相の信号をビーム形成回路24に入力する。その結果、基地局装置20eから送出されるビームの幅を制御することができる。そのため、基地局装置の制御および光ファイバの距離情報を不要として、送受アンテナのビーム及びビーム幅の制御を行うことが可能になる。
(第5の実施形態の変形例)
収容局装置10eが、複数の光偏波と、複数の光波長とを同時利用して、波長分割多重と偏波分割多重を行うことで、基地局装置20eにおいてマルチビーム形成するように構成されてもよい。
図10に示す基地局装置20eの構成において、図12のように光分配器22に代えて分配器26を備え、分配器26とO/E23の順番を入れ替えて構成されてもよい。図12は、第5の実施形態の第1変形例における無線通信システム1fの構成例を示す図である。無線通信システム1fは、収容局装置10eと、基地局装置20fとを備える。収容局装置10eと、基地局装置20fとは、光伝送路30を介して接続されている。図12に示す無線通信システム1fは、基地局装置20fの構成が図10に示す無線通信システム1eと異なる。無線通信システム1fのその他の構成については、無線通信システム1eと同様である。
基地局装置20fは、光分波器21と、複数の偏波分離部29と、複数の光分配器22と、複数のO/E23と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。基地局装置20fは、偏波分離部29の後段に複数のO/E23が備えられ、各O/E23の後段にそれぞれ分配器26が備えられる点で基地局装置20eと構成が異なる。そのため、ビーム形成回路24の入力ポートそれぞれには、分配器26が接続されることになる。
分配器26は、入力された電気信号を分配する。分配器26の出力ポートには、ビーム形成回路24が接続されている。そのため、分配器26によって分配された電気信号は、ビーム形成回路24に出力される。このように、図10に示す基地局装置20eでは光伝送路30を介して受信した光変調信号(光信号)を偏波分離した直後に分配したのに対し、基地局装置20fでは光伝送路30を介して受信した光変調信号を偏波分離して光電変換した後に分配する。
さらに、図10に示す基地局装置20eの構成において、図13のように光分波器21と偏波分離部29の順番を入れ替えて構成されてもよい。図13は、第5の実施形態の第2変形例における無線通信システム1gの構成例を示す図である。無線通信システム1gは、収容局装置10eと、基地局装置20gとを備える。収容局装置10eと、基地局装置20gとは、光伝送路30を介して接続されている。図13に示す無線通信システム1gは、基地局装置20gの構成が図10に示す無線通信システム1eと異なる。無線通信システム1gのその他の構成については、無線通信システム1eと同様である。
基地局装置20gは、光分波器21と、偏波分離部29と、複数の光分配器22と、複数のO/E23と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。基地局装置20gは、偏波分離部29の後段に複数の光分波器21が接続され、各光分波器21の後段にそれぞれ光分配器22が備えられる点で基地局装置20eと構成が異なる。
偏波分離部29は、光伝送路30を介して受信した光変調信号の光偏波k成分を分離する。偏波分離部29は、成分毎に分離した光変調信号をそれぞれ光分波器21に出力する。光分波器21は、入力された光変調信号を分配する。このように、図10に示す基地局装置20eでは光伝送路30を介して受信した光変調信号(光信号)を光分波器21により分波した直後に偏波分離したのに対し、基地局装置20gでは光伝送路30を介して受信した光変調信号を偏波分離した直後に分波する。
さらに、図13に示す基地局装置20gの構成において、図14のように光分配器22に代えて分配器26を備え、分配器26とO/E23の順番を入れ替えて構成されてもよい。図14は、第5の実施形態の第3変形例における無線通信システム1hの構成例を示す図である。無線通信システム1hは、収容局装置10eと、基地局装置20hとを備える。収容局装置10eと、基地局装置20hとは、光伝送路30を介して接続されている。図14に示す無線通信システム1hは、基地局装置20hの構成が図13に示す無線通信システム1gと異なる。無線通信システム1hのその他の構成については、無線通信システム1gと同様である。
基地局装置20hは、偏波分離部29と、光分波器21と、複数のO/E23と、複数の分配器26と、ビーム形成回路24と、複数のアンテナ25-1~25-Nとを備える。基地局装置20hは、光分波器21の後段に複数のO/E23が接続され、各O/E23の後段にそれぞれ分配器26が備えられる点で基地局装置20gと構成が異なる。そのため、ビーム形成回路24の入力ポートそれぞれには、分配器26が接続されることになる。
このように、図13に示す基地局装置20gでは光伝送路30を介して受信した光変調信号(光信号)を偏波分離及び分波した直後に分配して光電変換したのに対し、図14に示す基地局装置20hでは光伝送路30を介して受信した光変調信号を偏波分離及び分波した直後にした偏波分離した直後に光電変換して分波する。
なお、図12~図14に示す構成において、収容局装置10eが、複数の光偏波と、複数の光波長とを同時利用して、波長分割多重と偏波分割多重を行うことで、基地局装置20eにおいてマルチビーム形成するように構成されてもよい。
(第6の実施形態)
第1の実施形態から第5の実施形態では、下り方向に対する信号送信の構成について説明した。第6の実施形態では、上り方向に対する信号送信の構成について説明する。なお、第6の実施形態では、基地局装置において波長多重して収容局装置に信号を送信する構成について説明する。
図15は、第6の実施形態における無線通信システム1iの構成例を示す図である。無線通信システム1iは、収容局装置10iと、基地局装置20iとを備える。収容局装置10iと、基地局装置20iとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20iは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の光変調部35と、光合波器36とを備える。
アンテナ31-1~31-Nは、外部の装置から送信された無線信号を受信する。外部の装置とは、例えば基地局装置20iが通信を行う対象となる無線装置である。アンテナ31-1~31-Nは、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。
ビーム形成回路32は、第1の実施形態におけるビーム形成回路24と同様に、N個の入力ポートと、N個の出力ポートとを持つ。ビーム形成回路32の入力ポートには、複数の分配器33が接続される。ビーム形成回路32の出力ポートには、アンテナ31-1~31-Nが接続される。ビーム形成回路32は、アンテナ31-1~31-Nから出力された電気信号を出力ポートから入力し、入力ポートに接続される複数の分配器33に出力する。
分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する。
合成器34は、各分配器33により分配された電気信号を合成する。
光変調部35は、合成器34により合成された電気信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調する。これにより、光変調部35は、光変調信号を生成する。
光合波器36は、各光変調部35により生成された各光変調信号を合波して波長分割多重する。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。
収容局装置10iは、光分波器14と、複数のO/E15と、出力部16とを備える。
光分波器14は、光伝送路30を介して受信した波長多重信号を波長に応じて分波する。例えば、光分波器14は、AWGである。光分波器14により波長毎に分波された光信号は、O/E15に入力される。
O/E15は、光分波器14により波長毎に分波された光信号を電気信号に変換する光電変換部である。
出力部16は、入力された波長λR1,…,λRmに対応する電気信号を復調する。例えば、出力部16は、入力された波長λR1,…,λRmに対応する電気信号のうち、1つを選択して復調してもよい。これは、N個の受信ビームのうち、1つのビームを選択することと同値である。なお、出力部16は、複数波長を選択し、同時利用することでマルチビーム形成も可能である。出力部16は、入力された波長λR1,…,λRmに対応する電気信号の複数を復調した後にMIMO(Multiple Input Multiple Output)信号処理を行ってもよい。
図16は、第6の実施形態における無線通信システム1iの処理の流れを示すシーケンス図である。
アンテナ31は、外部の装置から送信された無線信号を受信する(ステップS601)。アンテナ31は、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。ビーム形成回路32は、電気信号が入力された出力ポートに対応する入力ポートに接続された分配器33に電気信号を出力する。図15では、例えば、ビーム形成回路32の入力ポートiから電気信号が出力されたものとする。
ビーム形成回路32の入力ポートiに接続されている分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する(ステップS602)。分配器33により分配された電気信号は、合成器34に入力される。合成器34は、各分配器33から出力された電気信号を合成する(ステップS603)。合成器34によって合成された電気信号は、光変調部35に出力される。
光変調部35は、合成器34によって合成された電気信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調する(ステップS604)。これにより、光変調部35は、光変調信号を生成する。各光変調部35は、生成した光変調信号を光合波器36に出力する。光合波器36は、各光変調部35により生成された光変調信号を合波して波長分割多重する(ステップS605)。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。光合波器36は、生成した波長多重信号を、光伝送路30を介して収容局装置10iに送出する(ステップS606)。
光伝送路30に送出された波長多重信号は、収容局装置10iに入力される。収容局装置10iの光分波器14は、入力された波長多重信号を波長に応じて分波する(ステップS607)。これにより、波長多重信号は、対応するO/E15に出力される。光分波器14には、波長数に応じた数のO/E15が接続されている。O/E15は、光分波器14により分波された光変調信号を電気信号に変換する(ステップS608)。O/E15は、電気信号を出力部16に出力する。出力部16は、入力された電気信号を復調する(ステップS609)。
以上のように構成された無線通信システム1iによれば、上り方向においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第6の実施形態の変形例)
図15に示す基地局装置20iにおいて、図17のように合成器34に代えて光合成器37を備え、光合成器37を光変調部35と光合波器36との間に備えるように構成されてもよい。図17は、第6の実施形態の変形例における無線通信システム1jの構成例を示す図である。無線通信システム1jは、収容局装置10iと、基地局装置20jとを備える。収容局装置10iと、基地局装置20jとは、光伝送路30を介して接続されている。図17に示す無線通信システム1jは、基地局装置20jの構成が図15に示す無線通信システム1iと異なる。無線通信システム1jのその他の構成については、無線通信システム1iと同様である。
基地局装置20jは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の光変調部35と、複数の光合成器37と、光合波器36とを備える。基地局装置20jは、合成器34に代えて光合成器37を備え、光合成器37が光変調部35と光合波器36との間に備えられる点で基地局装置20iと構成が異なる。
光合成器37は、各光変調部35により生成された光変調信号を合成する。光合成器37の出力ポートには、光合波器36が接続されている。そのため、光合成器37によって合成された光変調信号は、光合波器36に出力される。光合波器36は、各光合成器37によって合成された各光変調信号を波長分割多重する。このように、図15に示す基地局装置20iでは電気信号を合成したのに対し、基地局装置20jでは光信号を合成する。
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、基地局装置においてサブキャリア多重して収容局装置に信号を送信する点が、第6の実施形態との差分である。第7の実施形態では、第6の実施形態との差分を中心に説明する。
図18は、第7の実施形態における無線通信システム1kの構成例を示す図である。無線通信システム1kは、収容局装置10kと、基地局装置20kとを備える。収容局装置10kと、基地局装置20kとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20kは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の周波数変換部38と、合波器39と、光変調部35とを備える。
周波数変換部38は、ビーム形成回路32から出力された電気信号の周波数を変換する。
合波器39は、各周波数変換部38から出力された電気信号を合波する。
光変調部35は、合波器39により合波された電気信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調してサブキャリア多重する。これにより、光変調部35は、多重信号を生成する。
収容局装置10kは、O/E15と、分波器17と、出力部16とを備える。
分波器17は、O/E15により出力された電気信号を周波数に応じて分波する。例えば、分波器17は、周波数fR1,…,fRmの電気信号を分波する。
図19は、第7の実施形態における無線通信システム1kの処理の流れを示すシーケンス図である。
アンテナ31は、外部の装置から送信された無線信号を受信する(ステップS701)。アンテナ31は、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。ビーム形成回路32は、電気信号が入力された出力ポートに対応する入力ポートに接続された分配器33に電気信号を出力する。図19では、例えば、ビーム形成回路32の入力ポートiから電気信号が出力されたものとする。
ビーム形成回路32の入力ポートiに接続されている分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する(ステップS702)。分配器33により分配された電気信号は、合成器34に入力される。合成器34は、各分配器33から出力された電気信号を合成する(ステップS703)。合成器34によって合成された電気信号は、周波数変換部38に出力される。
周波数変換部38は、合成器34によって合成された電気信号を周波数変換する(ステップS704)。これにより、電気信号の周波数は、周波数fRiに変換される。周波数変換部38は、周波数fRiの電気信号を合波器39に出力する。合波器39は、各周波数変換部38から出力された電気信号を合波する(ステップS705)。合波器39によって合波された電気信号は、光変調部35に出力される。
光変調部35は、合波器39により合波された電気信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調してサブキャリア多重する(ステップS706)。これにより、光変調部35は、多重信号を生成する。光変調部35は、生成した多重信号を、光伝送路30を介して収容局装置10kに送出する(ステップS707)。
光伝送路30に送出された多重信号は、収容局装置10kに入力される。収容局装置10kのO/E15は、入力された多重信号を電気信号に変換する(ステップS708)。この処理により、多重信号は、周波数多重された電気信号に変換される。O/E15は、周波数多重された電気信号を分波器17に出力する。分波器17に入力された周波数多重された電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS709)。分波器17で分波された周波数fRiの電気信号は出力部16に入力される。出力部16は、入力された周波数fRiの電気信号を復調する(ステップS710)。
以上のように構成された無線通信システム1kによれば、上り方向においても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、基地局装置においてサブキャリア多重及び波長分割多重して収容局装置に信号を送信する点が、第6の実施形態との差分である。第8の実施形態では、第6の実施形態との差分を中心に説明する。
図20は、第8の実施形態における無線通信システム1lの構成例を示す図である。無線通信システム1lは、収容局装置10lと、基地局装置20lとを備える。収容局装置10lと、基地局装置20lとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20lは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の周波数変換部38と、複数の合波器39と、複数の光変調部35と、光合波器36とを備える。なお、図20では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、合波器39及び光変調部35は光波長λRの数nだけ備えられる必要があり、周波数変換部38は光波長λRjが利用する周波数の数mjだけ備えられる必要がある。
光合波器36は、光変調部35によりサブキャリア多重された信号を合波して波長分割多重する。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。
収容局装置10lは、光分波器14と、複数のO/E15と、複数の分波器17と、出力部16とを備える。なお、図20では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、O/E15及び分波器17は光波長λRの数nだけ備えられる必要がある。
図21は、第8の実施形態における無線通信システム1lの処理の流れを示すシーケンス図である。
アンテナ31は、外部の装置から送信された無線信号を受信する(ステップS801)。アンテナ31は、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。ビーム形成回路32は、電気信号が入力された出力ポートに対応する入力ポートに接続された分配器33に電気信号を出力する。
分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する(ステップS802)。分配器33により分配された電気信号は、合成器34に入力される。合成器34は、各分配器33から出力された電気信号を合成する(ステップS803)。合成器34によって合成された電気信号は、周波数変換部38に出力される。
各周波数変換部38は、合成器34から出力された電気信号を光波長λRjに対応した周波数fj
Riに変換する(ステップS804)。周波数変換部38は、周波数fj
Riの電気信号を合波器39に出力する。合波器39は、各周波数変換部38から出力された電気信号を合波する(ステップS805)。合波器39によって合波された電気信号は、光変調部35に出力される。
光変調部35は、合波器39により合波された電気信号を用いて、ある波長の光信号を強度変調してサブキャリア多重する(ステップS806)。これにより、光変調部35は、多重信号を生成する。光変調部35は、生成した多重信号を、光合波器36に出力する。光合波器36は、各光変調部35により生成された多重信号を合波して波長分割多重する(ステップS807)。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。光合波器36は、生成した波長多重信号を、光伝送路30を介して収容局装置10fに送出する(ステップS808)。
光伝送路30に送出された波長多重信号は、収容局装置10lに入力される。収容局装置10lの光分波器14は、入力された波長多重信号を波長に応じて分波する(ステップS809)。これにより、波長多重信号は、光波長λRjの光変調信号となり、対応するO/E15に出力される。光分波器14には、波長数に応じた数のO/E15が接続されている。O/E15は、光分波器14により分波された光波長λRjの光変調信号を電気信号に変換する(ステップS810)。この処理により、光波長λRjの光変調信号は、周波数fj
Riの電気信号に変換される。O/E15は、周波数fj
Riの電気信号を分波器17に出力する。
分波器17に出力された周波数fj
Riの電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS811)。分波器17で分波された周波数fj
Riの電気信号は出力部16に入力される。出力部16は、入力された周波数fj
Riの電気信号を復調する(ステップS812)。例えば、出力部16は、光波長λRjと周波数fj
RiのΣn
j=1mj通りの組み合わせのうち、1つを選択して復調してもよい。これは、Σn
j=1mj個の受信ビームのうち、1つのビームを選択することと同値である。なお、出力部16は、複数の周波数及び複数の光波長を選択し、同時利用することでマルチビーム形成も可能である。出力部16は、入力された周波数fj
R1,…,fj
Rmの電気信号の複数を復調した後にMIMO信号処理を行ってもよい。
以上のように構成された無線通信システム1lによれば、上り方向においても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、基地局装置においてサブキャリア多重及び偏波分割多重して収容局装置に信号を送信する点が、第6の実施形態との差分である。第9の実施形態では、第6の実施形態との差分を中心に説明する。
図22は、第9の実施形態における無線通信システム1mの構成例を示す図である。無線通信システム1mは、収容局装置10mと、基地局装置20mとを備える。収容局装置10mと、基地局装置20mとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20mは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の周波数変換部38と、複数の合波器39と、複数の光変調部35と、偏波合波部40とを備える。なお、図22では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、光変調部35及び合波器39は光偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要があり、周波数変換部38は光偏波Xが利用する周波数の数mXと光偏波Yが利用する周波数の数mYの合計数(mX+mY個)だけ備えられる必要がある。
偏波合波部40は、複数の光変調部35によりサブキャリア多重された信号を合波して偏波分割多重する。これにより、偏波合波部40は、偏波多重信号を生成する。
収容局装置10mは、偏波分離部18と、複数のO/E15-X,15-Yと、複数の分波器17と、出力部16とを備える。なお、図22では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、O/E15及び分波器17は光偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要がある。
偏波分離部18は、光伝送路30を介して受信した偏波多重信号の光偏波k成分を分離する。
図23は、第9の実施形態における無線通信システム1mの処理の流れを示すシーケンス図である。
アンテナ31は、外部の装置から送信された無線信号を受信する(ステップS901)。アンテナ31は、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。ビーム形成回路32は、電気信号が入力された出力ポートに対応する入力ポートに接続された分配器33に電気信号を出力する。
分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する(ステップS902)。分配器33により分配された電気信号は、合成器34に入力される。合成器34は、各分配器33から出力された電気信号を合成する(ステップS903)。合成器34によって合成された電気信号は、周波数変換部38に出力される。
周波数変換部38は、合成器34によって合成された電気信号を光偏波kに対応した周波数fk
Riに変換する(ステップS904)。周波数変換部38は、fk
Riの電気信号を合波器39に出力する。合波器39は、各周波数変換部38から出力された電気信号を合波する(ステップS905)。合波器39によって合波された電気信号は、光変調部35に出力される。
光変調部35は、合波器39により合波された電気信号を用いて、光偏波kの光信号を強度変調してサブキャリア多重する(ステップS906)。これにより、光変調部35は、多重信号を生成する。光変調部35は、生成した多重信号を、偏波合波部40に出力する。偏波合波部40は、各光変調部35により生成された多重信号を合波して偏波分割多重する(ステップS907)。これにより、偏波合波部40は、偏波多重信号を生成する。偏波合波部40は、生成した偏波多重信号を、光伝送路30を介して収容局装置10mに送出する(ステップS908)。
光伝送路30に送出された偏波多重信号は、収容局装置10mに入力される。収容局装置10mの偏波分離部18は、入力された偏波多重信号の光偏波kを分離する(ステップS909)。これにより、偏波多重信号は、光偏波kの光変調信号となり、対応するO/E15に出力される。O/E15は、偏波分離部18により分離された光偏波kの光変調信号を電気信号に変換する(ステップS910)。この処理により、光偏波kの光変調信号は、周波数fk
Riの電気信号に変換される。O/E15は、周波数fk
Riの電気信号を分波器17に出力する。
分波器17に出力された周波数fk
Riの電気信号は、周波数に応じて分波される(ステップS911)。分波器17で分波された周波数fk
Riの電気信号は出力部16に入力される。出力部16は、入力された周波数fk
Riの電気信号を復調する(ステップS912)。例えば、出力部16は、光偏波kと周波数fk
Riの(mX+mY)通りの組み合わせのうち、1つを選択して復調してもよい。これは、(mX+mY)個の受信ビームのうち、1つのビームを選択することと同値である。なお、出力部16は、複数の周波数及び複数の光偏波を選択し、同時利用することでマルチビーム形成も可能である。出力部16は、入力された周波数fk
R1,…,fk
Rmの電気信号の複数を復調した後にMIMO信号処理を行ってもよい。
以上のように構成された無線通信システム1mによれば、上り方向においても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、基地局装置において波長分割多重及び偏波分割多重して収容局装置に信号を送信する点が、第6の実施形態との差分である。第10の実施形態では、第6の実施形態との差分を中心に説明する。
図24は、第10の実施形態における無線通信システム1nの構成例を示す図である。無線通信システム1nは、収容局装置10nと、基地局装置20nとを備える。収容局装置10nと、基地局装置20nとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20nは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の光変調部35と、複数の偏波合波部40と、光合波器36とを備える。なお、図24では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、偏波合波部40は光波長λRの数nだけ備えられる必要があり、光変調部35は光波長λRjが利用する偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要がある。
偏波合波部40は、複数の光変調部35によりサブキャリア多重された信号を合波して偏波分割多重する。これにより、偏波合波部40は、偏波多重信号を生成する。
光合波器36は、偏波合波部40により偏波分割多重された信号を合波して波長分割多重する。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。
収容局装置10nは、光分波器14と、複数の偏波分離部18と、複数のO/E15と、出力部16とを備える。なお、図24では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、偏波分離部18は光波長λRの数nだけ備えられる必要があり、O/E15は光波長λRjが利用する光偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要がある。
図25は、第10の実施形態における無線通信システム1nの処理の流れを示すシーケンス図である。
アンテナ31は、外部の装置から送信された無線信号を受信する(ステップS1001)。アンテナ31は、受信した無線信号を電気信号に変換してビーム形成回路32に出力する。ビーム形成回路32は、電気信号が入力された出力ポートに対応する入力ポートに接続された分配器33に電気信号を出力する。
分配器33は、ビーム形成回路32から出力された電気信号を分配する(ステップS1002)。分配器33により分配された電気信号は、合成器34に入力される。合成器34は、各分配器33から出力された電気信号を合成する(ステップS1003)。合成器34によって合成された電気信号は、光変調部35に出力される。
光変調部35は、合成器34によって合成された電気信号を光波長λRjで光偏波kの光信号を強度変調する(ステップS1004)。光変調部35は、光偏波kの光変調信号を偏波合波部40に出力する。
偏波合波部40は、各光変調部35により生成された光変調信号を合波して偏波分割多重する(ステップS1005)。これにより、偏波合波部40は、偏波多重信号を生成する。偏波合波部40は、生成した偏波多重信号を、光合波器36に出力する。光合波器36は、各偏波合波部40から出力された偏波多重信号を合波して波長分割多重する(ステップS1006)。これにより、光合波器36は、波長多重信号を生成する。光合波器36は、生成した波長多重信号を、光伝送路30を介して収容局装置10nに送出する(ステップS1007)。
光伝送路30に送出された波長多重信号は、収容局装置10nに入力される。収容局装置10nの光分波器14は、入力された波長多重信号を波長に応じて分波する(ステップS1008)これにより、波長多重信号は、光波長λRjの光変調信号となり、対応する偏波分離部18に出力される。偏波分離部18は、入力された光波長λRjの光変調信号の光偏波kを分離する(ステップS1009)。これにより、光波長λRjの光変調信号は、光偏波kの光変調信号となり、対応するO/E15に出力される。O/E15は、偏波分離部18により分離された光偏波kの光変調信号を電気信号に変換する(ステップS1010)。この処理により、光偏波kの光変調信号は、電気信号に変換される。O/E15は、電気信号を出力部16に出力する。
出力部16は、入力された電気信号を復調する(ステップS1011)。例えば、出力部16は、光波長λRjと光偏波kの2n通りの組み合わせのうち、1つを選択して復調してもよい。これは、2n個の受信ビームのうち、1つのビームを選択することと同値である。なお、出力部16は、複数の光波長及び複数の光偏波を選択し、同時利用することでマルチビーム形成も可能である。出力部16は、入力された電気信号の複数を復調した後にMIMO信号処理を行ってもよい。
以上のように構成された無線通信システム1nによれば、上り方向においても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第10の実施形態の変形例)
図24に示す基地局装置20nの構成において、図26のように合成器34に代えて光合成器37を備えるように構成されてもよい。図26は、第10の実施形態の第1変形例における無線通信システム1oの構成例を示す図である。無線通信システム1oは、収容局装置10nと、基地局装置20oとを備える。収容局装置10nと、基地局装置20oとは、光伝送路30を介して接続されている。図26に示す無線通信システム1oは、基地局装置20oの構成が図24に示す無線通信システム1nと異なる。無線通信システム1oのその他の構成については、無線通信システム1nと同様である。
基地局装置20oは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の光変調部35と、複数の光合成器37と、複数の偏波合波部40と、光合波器36とを備える。基地局装置20oは、各分配器33の後段に複数の光変調部35が備えられ、光変調部35の後段に光合成器37が備えられ、光合成器37の後段に偏波合波部40が備えられる点で基地局装置20nと構成が異なる。
各分配器33は、入力された電気信号を分配する。各分配器33により分配された電気信号は、光変調部35により光変調される。光変調部35は、光変調により生成した光変調信号を光合成器37に出力する。各光合成器37は、複数の光変調部35から出力された光変調信号を合成する。偏波合波部40は、各光合成器37により合成された光変調信号を偏波分割多重する。光合波器36は、各偏波合波部40により偏波分割多重された光変調信号を合波する。
さらに図24に示す収容局装置10n及び基地局装置20hは、図27のように構成されてもよい。図27は、第10の実施形態の第2変形例における無線通信システム1pの構成例を示す図である。無線通信システム1pは、収容局装置10pと、基地局装置20pとを備える。収容局装置10pと、基地局装置20pとは、光伝送路30を介して接続されている。
基地局装置20pは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の合成器34と、複数の光変調部35と、複数の光合波器36と、偏波合波部40とを備える。基地局装置20pは、光合波器36と偏波合波部40との順番が入れ替わっている点で基地局装置20nと構成が異なる。この場合、基地局装置20pは、複数の光合波器36と、1つの偏波合波部40を備える。
光合波器36は、複数の光変調部35から出力された光変調信号を合波する。偏波合波部40は、各光合波器36により合波された光変調信号を偏波分割多重する。
収容局装置10pは、偏波分離部18と、複数の光分波器14と、複数のO/E15と、出力部16とを備える。なお、図27では、説明の簡単化のため記載を省略しているが、O/E15は光波長λRの数nだけ備えられる必要があり、光分波器14は光波長λRjが利用する光偏波の数(例えば、2)だけ備えられる必要がある。
図24に示す基地局装置20nでは偏波分割多重した後に合波したのに対し、基地局装置20pでは光変調信号を合波した後に偏波分割多重する。収容局装置10nでは、光伝送路30を介して受信した偏波多重信号の光偏波k成分を偏波分離部18により分離した後に、光分波器14により波長に応じて分波する。
さらに図27に示す収容局装置10p及び基地局装置20pは、図28のように構成されてもよい。図28は、第10の実施形態の第3変形例における無線通信システム1qの構成例を示す図である。無線通信システム1qは、収容局装置10pと、基地局装置20qとを備える。収容局装置10pと、基地局装置20qとは、光伝送路30を介して接続されている。図28に示す無線通信システム1qは、基地局装置20qの構成が図27に示す無線通信システム1pと異なる。無線通信システム1qのその他の構成については、無線通信システム1pと同様である。
基地局装置20qは、複数のアンテナ31-1~31-Nと、ビーム形成回路32と、複数の分配器33と、複数の光変調部35と、複数の光合成器37と、複数の光合波器36と、偏波合波部40とを備える。基地局装置20qは、各分配器33の後段に複数の光変調部35が備えられ、光変調部35の後段に光合成器37が備えられ、光合成器37の後段に光合波器36が備えられる点で基地局装置20pと構成が異なる。
このように、図27に示す基地局装置20pでは電気信号を合成した後に光変調したのに対し、基地局装置20qでは光変調した後に光変調信号を合成する。
(第1の実施形態から第10の実施形態における変形例)
第1の実施形態から第5の実施形態における構成と、第6の実施形態から第10の実施形態における構成とが組み合わされてもよい。例えば、第1の実施形態(下り方向の制御)と、第6の実施形態(上り方向の制御)とが組み合わせされてもよい。この場合、収容局装置として収容局装置10と収容局装置10iとが組み合わされ、基地局装置として基地局装置20と基地局装置20iとが組み合わされる。例えば、第2の実施形態と、第7の実施形態とが組み合わせされてもよい。例えば、第3の実施形態と、第8の実施形態とが組み合わせされてもよい。例えば、第4の実施形態と、第9の実施形態とが組み合わせされてもよい。例えば、第5の実施形態と、第10の実施形態とが組み合わせされてもよい。
第1の実施形態から第10の実施形態では、波長のみ制御、周波数のみ制御、周波数と光波長を制御、周波数と光偏波を制御、光偏波と光波長を制御する構成を示した。第1の実施形態から第10の実施形態において、光偏波と、光波長と、周波数との全てを制御するように構成されてもよい。このように構成される場合、例えば、下り方向への送信の場合には、第1の実施形態に示す構成(波長制御)と第4の実施形態に示す構成(周波数及び光偏波制御)とを組み合わせて、光偏波と、光波長と、周波数との全てを制御するように構成すればよい。上り方向への送信の場合には、例えば、第6の実施形態(波長制御)に示す構成と第9の実施形態(周波数及び光偏波制御)に示す構成とを組み合わせて、光偏波と、光波長と、周波数との全てを制御するように構成すればよい。
上述した実施形態における収容局装置10、10b、10c、10d、10e、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10p、10qや基地局装置20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、20k、20l、20m、20n、20o、20p、20qの一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。