JP2023011321A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023011321000001
【課題】画像表示装置に適用した際に表示ムラの発生を抑制可能な位相差フィルムを提供する。
【解決手段】位相差フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たす。位相差フィルムの製造においては、ガラス転移温度がTgであるポリマーフィルムの少なくとも一方の面に熱収縮性フィルムが積層された積層体(10)を、加熱しながら一方向に延伸する。延伸に際しては、(Tg-4)~(Tg+5)℃の第一温度で20秒以上加熱した後、Tg~(Tg+5)℃の第二温度で20秒以上加熱する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置等のディスプレイには、コントラスト向上、視野角拡大等の光学補償や、金属電極で反射した外光の遮蔽(反射防止)のために、位相差フィルムが用いられている。非液晶性のポリマーを用いた位相差フィルムは、ポリマーフィルムを少なくとも一方向に延伸することにより光学異方性が付与される。
ポリマーフィルムを、縦延伸(自由端一軸延伸)すると、延伸方向にポリマーの分子鎖が配向するとともに、延伸方向と直交する方向、すなわち、幅方向および厚み方向には収縮作用が生じる。正の固有屈折率を有するポリマーのフィルムを縦延伸すると、長手方向の屈折率(nx)が大きくなり、幅方向の屈折率(ny)および厚み方向の屈折率(nz)が小さくなる。自由端一軸延伸では、幅方向の収縮率(幅の減少率)と、厚みの減少率が略同一であるため、nx>ny≒nzの屈折率異方性を有する位相差フィルム(ポジティブAプレート)が得られる。
ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に熱収縮性フィルムを積層した状態で加熱しながら積層体を延伸すると、熱収縮性フィルムの収縮力の影響により、通常の自由端一軸延伸に比べて幅方向(延伸方向と直交する方向)の収縮量が大きくなる。幅方向(進相軸方向)の屈折率nyがより小さくなり、厚み方向の屈折率nzが相対的に大きくなるため、nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムが得られる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムは、視認角度による位相差の変化が小さく、液晶表示装置の光学補償フィルムや、円偏光板用のλ/4板として用いられている。
特開2006-72309号公報 特開2006-91836号公報
熱収縮性フィルムの収縮力を利用してnx>nz>nyの屈折率異方性を持たせた位相差フィルムは、面内の位相差特性のバラツキが生じやすく、これに起因して画像表示装置に表示ムラが生じる場合がある。近年では、画像表示装置の高輝度化、高ダイナミックレンジ化が進み、わずかなムラであっても品質課題として顕在化するようになっている。そのため、位相差特性が均一でムラの少ない位相差フィルムが求められている。
本発明の一態様は、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たす位相差フィルムの製造方法である。ガラス転移温度がTgであるポリマーフィルムの少なくとも一方の面に熱収縮性フィルムが積層された積層体を、加熱しながら一方向に延伸し、熱収縮性フィルムを剥離除去することにより、nx>nz>nyを満たす位相差フィルムが得られる。
延伸に際しては、(Tg-4)~(Tg+5)℃の第一温度で20秒以上加熱した後、Tg~(Tg+5)℃の第二温度で20秒以上加熱することが好ましい。第二温度は、第一温度よりも1℃以上高いことが好ましい。
位相差フィルムの正面レターデーションは240~300nmであってもよい。位相差フィルムのNZ=(nx-nz)/(nx-ny)で定義されるNZ係数は、0.3~0.7であってもよい。
本発明の位相差フィルムは、画像表示装置に適用した際に、表示ムラの発生を抑制できる。
ポリマーフィルムと熱収縮性フィルムとの積層体を自由端一軸延伸する様子を模式的に示す断面図である。
本発明の一実施形態にかかる位相差フィルムは、nx>nz>nyの屈折率異方性を有する。nxは面内の遅相軸方向の屈折率、nyは面内の進相軸方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折率である。ポリマーフィルム(未延伸フィルム)に熱収縮性フィルムを積層した積層体を一方向に延伸することにより、nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムが得られる。
ポリマーフィルムの材料としては、正の固有複屈折を有する非液晶性のポリマー材料が好ましく用いられる。正の固有複屈折を有するポリマーは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その配向方向の屈折率が相対的に大きくなる。正の固有複屈折を有する非液晶性ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド等のスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系(ポリノルボルネン系)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルロースエステル類等が挙げられる。
一実施形態において、ポリマーフィルムの材料として、環状ポリオレフィン系樹脂が用いられる。環状ポリオレフィンは、透明性および耐熱性に優れるとともに、耐薬品性にも優れており、ディスプレイ用の光学フィルム材料として好適である。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα‐オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体や水素化物等が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、日本ゼオン製の「ゼオノア」および「ゼオネックス」、JSR製の「アートン」、三井化学製の「アペル」、TOPAS ADVANCEDPOLYMERS製の「トパス」等が挙げられる。
環状ポリオレフィン系フィルムは、環状ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有するものが好ましい。環状ポリオレフィン系フィルムにおける環状ポリオレフィン系樹脂の含有量は、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさら好ましく、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。
ポリマーフィルムの製造方法としては、溶液キャスト法、溶融押出法等の公知の方法を採用できる。フィルムの厚みは特に限定されないが、一般には、5μm~300μm程度である。フィルム中には、紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の添加剤が含まれていてもよい。
耐熱性の観点から、ポリマーフィルムのガラス転移温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上または135℃以上であってもよい。延伸加工性の観点から、ポリマーフィルムのガラス転移温度は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下、160℃以下または155℃以下であってもよい。ポリマーフィルムのガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により得られたDSC曲線の変曲点である。
熱収縮性フィルムは、上記のポリマーフィルムに貼り合わせて延伸する際に、延伸方向と直交する方向に熱収縮するものであれば特に限定されない。熱収縮性フィルムを構成する材料は特に限定されないが、ポリマーフィルムのガラス転移温度付近で熱収縮するものが好ましい。汎用性に優れ安価であることから、熱収縮性フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリエステル類が好ましく用いられる。
熱収縮性フィルムは、ポリマーフィルムのガラス転移温度Tgにおける収縮応力が0.5N/4mm以上であるものが好ましい。熱収縮性フィルムは、収縮率が異方性を有していてもよい。熱収縮性フィルムが収縮率異方性を有している場合、ポリマーフィルムのガラス転移温度Tgにおいて、ポリマーフィルムの延伸方向と直交する方向における収縮応力が0.5N/4mm以上であることが好ましい。
熱収縮性フィルムは、ポリマーフィルムの一方の面に積層してもよく、ポリマーフィルムの両面に積層してもよい。ポリマーフィルムの表面に適宜の粘着剤層を介して熱収縮性フィルムを貼り合わせることにより、ポリマーフィルムと熱収縮性フィルムとの積層体が形成される。熱収縮性フィルムを支持基材として、その上にポリマー溶液を塗布して溶媒を乾燥し、熱収縮性フィルム上に延伸対象のポリマーフィルム(塗膜)が密着積層された積層体を形成してもよい。
図1は、ポリマーフィルムと熱収縮性フィルムとの積層体10を自由端一軸延伸する様子を模式的に示す断面図である。加熱炉30の入口側(上流)には、一対のニップロール51,52が設けられており、加熱炉30の出口側(下流)には、一対のニップロール61,62が設けられている。出口側ニップロール61,62の周速度を入口側ニップロール51,52の周速度よりも大きくすることにより、積層体10は、加熱炉30内で、搬送方向に延伸される。延伸倍率(出口側ニップロールと入口側ニップロールの周速比)は、目的とする光学特性に応じて、例えば、1.01倍~2倍程度の範囲で設定される。
熱収縮性フィルムを積層していない単体のフィルムを、搬送方向に沿って延伸倍率p倍で延伸すると、幅と厚みが同一の比率で減少するため、幅および厚みは、それぞれ延伸前の(1/√p)倍となる。熱収縮性フィルムを積層した状態で搬送方向に沿って延伸すると、熱収縮性フィルムが幅方向に収縮するため、ポリマーフィルム単体の場合よりも、幅方向の収縮量が大きくなる。そのため、延伸倍率がp倍の場合、延伸後のフィルムの幅は、延伸前の(1/√p)倍よりも小さくなり、延伸後のフィルムの厚みは、延伸前の(1/√p)倍よりも大きくなる。これに伴って、幅方向(進相軸方向)の屈折率nyはより小さくなり、厚み方向の屈折率nzが相対的に大きくなるため、nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムが得られる。
nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムは、NZ=(nx-nz)/(nx-ny)で定義されるNZ係数が、0<NZ<1を満たす。位相差フィルムのNZ係数は、0.3~0.7が好ましく、0.4~0.6がより好ましい。NZ=0.5の位相差フィルムは、視認角度によるレターデーションの変化がなく、液晶表示装置の光学補償フィルムや、円偏光板用の位相差フィルムとして用いられている。延伸時の熱収縮性フィルムの収縮力による幅方向の収縮作用が大きいほど、位相差フィルムのNZが小さくなる傾向がある。
加熱炉30内での加熱温度(延伸温度)は、ポリマーフィルムのガラス転移温度Tg以上、かつ(Tg+5)℃以下が好ましい。延伸工程における加熱温度は、加熱炉30内において、積層体10から10mmの範囲内での最高温度である。延伸温度がTg~(Tg+5)℃の範囲内であることにより、位相差フィルムのNZ係数が適切な範囲に制御されるとともに、ムラが抑制される傾向がある。
加熱炉30内での積層体10の加熱時間、すなわち、加熱炉30内での積層体10の滞留時間は、40秒以上が好ましい。加熱時間が過度に短い場合は、ポリマーフィルムが急激に延伸・収縮されることにより、ムラが発生しやすくなる。
加熱炉30は、積層体10の搬送方向(延伸方向)に沿って、個別に温度調整可能な複数の加熱ゾーンを有していてもよい。図1では、加熱炉30が、上流側の第一ゾーン31と下流側の第二ゾーン32を有する形態を示している。加熱炉には3以上の加熱ゾーンが設けられていてもよい。各加熱ゾーンは隔壁により仕切られていてもよい。
一実施形態において、第一ゾーン31における加熱温度は、(Tg-4)~(Tg+5)℃の範囲であり、第二ゾーン32における加熱温度は、Tg~(Tg+5)℃である。第一ゾーン31および第二ゾーン32における加熱時間は、それぞれ20秒以上が好ましく、25秒以上または30秒以上であってもよい。
第一ゾーン31における加熱温度と第二ゾーン32における加熱温度は同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、第二ゾーン32の加熱温度が、第一ゾーン31の加熱温度よりも高い。第二ゾーン32の加熱温度は、第一ゾーン31の加熱温度よりも1℃以上高いことが好ましい。第二ゾーン32の加熱温度は、第一ゾーン31の加熱温度よりも2℃以上または3℃以上高くてもよい。第一ゾーン31と第二ゾーン32の温度差は、10℃以下が好ましく、8℃以下がより好ましく、6℃以下または5℃以下であってもよい。
加熱炉30内で搬送方向に沿って温度分布が存在する場合は、最も温度が高い場所で、フィルムの延伸が進行しやすい。加熱炉30が第一ゾーン31と第二ゾーン32の2つの加熱ゾーンに分割されており、第二ゾーン32の温度が第一ゾーン31の温度よりも高い場合は、主に第二ゾーン32で延伸が進行し、第一ゾーン31は予熱ゾーンとしての役割を果たす。加熱炉内での延伸に際して、相対的に低温の第一温度で20秒以上加熱した後、相対的に高温の第二温度で20秒以上加熱することにより、位相差フィルムのムラが低減する傾向がある。
上記の様に、第一温度は(Tg-4)~(Tg+5)℃が好ましく、第二温度はTg~(Tg+5)℃が好ましい。第一温度は第二温度と同一でもよいが、第二温度が第一温度よりも高いことが好ましく、第二温度は、第一温度よりも1℃以上高いことが好ましい。
第一温度での加熱時間と第二温度での加熱時間は同一でも異なっていてもよい。図1では、第一ゾーン31の長さと第二ゾーン32の長さが同一であるため、第一ゾーン31での加熱時間(第一温度での加熱時間)と第二ゾーン32での加熱時間(第二温度での加熱時間)は略同一となる。第一ゾーンの長さと第二ゾーンの長さに差を持たせて、第一ゾーンにおける第一温度での加熱時間と、第二ゾーンにおける第二温度での加熱時間に差を設けてもよい。
図1では、加熱炉30が2つの加熱ゾーン31,32を有する例を示したが、加熱炉30は複数のゾーンに分割されていなくてもよい。例えば、加熱炉の加熱温度がTg~(Tg+5)℃であり、加熱炉での加熱時間を40秒以上とすれば、「(Tg-4)~(Tg+5)℃の第一温度で20秒以上加熱した後、Tg~(Tg+5)℃の第二温度で20秒以上加熱する」との条件を満たす。
加熱炉は3以上の加熱ゾーンに分割されていてもよい。3以上の加熱ゾーンは、全ての加熱ゾーンの温度が同一でもよく、異なっていてもよい。例えば、3以上の加熱ゾーンは、上流側から下流側に向けて、段階的に温度が上昇するように各加熱ゾーンの温度が設定されていてもよい。3以上の加熱ゾーンのうち、2以上の加熱ゾーンの温度が同一であってもよい。加熱炉が3以上の加熱ゾーンを有する場合も、「(Tg-4)~(Tg+5)℃の第一温度で20秒以上加熱した後、Tg~(Tg+5)℃の第二温度で20秒以上加熱する」との条件を満たすように、各加熱ゾーンの温度を調整すればよい。
上記の様に、好ましい形態では、第一加熱温度が相対的に低く、第二加熱温度が相対的に高い。第一加熱温度は、(Tg-3)~(Tg+3)℃が好ましく、第二加熱温度は、(Tg+3)~(Tg+5)℃が好ましい。
第二加熱温度が高いほど、位相差フィルムのムラが低減する傾向がある。一方、第二加熱温度が過度に高いと、延伸による分子配向が生じ難く、正面レターデーションが十分に発現しない場合がある。上記の様に、(Tg+5)℃以下の第二加熱温度での加熱時間を20秒以上確保するとともに、第二加熱の前に第一温度で20秒以上の加熱(予熱)を実施することにより、ムラの抑制と位相差発現性とを両立できる。
第一加熱温度での加熱時間および第二加熱温度での加熱時間をそれぞれ20秒以上確保可能であれば、第一加熱温度での加熱前、第一加熱温度での加熱と第二加熱温度での加熱の間、および第二温度での加熱後に、加熱炉内において、上記以外の温度範囲で加熱を実施してもよい。例えば、第一加熱温度での加熱前に、第一温度よりもより低温で予熱を実施してもよい。また、第二温度での加熱後に、第二温度よりも低温で加熱を実施してもよい。
加熱炉内で積層体を延伸した後、ポリマーフィルムから熱収縮性フィルムを剥離除去することにより、位相差フィルムが得られる。位相差フィルムの正面レターデーションReは、例えば15nm~400nm程度であり、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。位相差フィルムを1/2波長板(λ/2板)として使用する場合、波長550nmにおける正面レターデーションは、240~300nmが好ましく、250~290nmがより好ましい。前述のように、位相差フィルムのNZ係数は、0.3~0.7が好ましく、0.4~0.6がより好ましい。
位相差フィルムの正面レターデーションおよびNZ係数は、位相差フィルムの用途や、画像表示装置の光学設計等に応じて適宜に設定される。例えば、NZ係数が0.3~0.7であるλ/2板は、IPS方式の液晶表示装置の光学補償に好適に用いられる。
IPS方式の液晶表示装置は、偏光子の吸収軸に対して45度の角度(方位角45度、135度、225度、315度)において斜め方向から視認した場合に、黒表示の光漏れが大きく、コントラストの低下やカラーシフトが生じ易い。液晶セルと偏光子との間に、正面レターデーションが波長λの1/2であり、NZ係数が0.5である位相差フィルムを配置することにより、斜め方向の黒輝度を低減し、コントラストを向上できる。
位相差フィルムの厚みは、特に制限されないが、強度や取扱性等の作業性の観点から、5~300μmが好ましい。正面レターデーションを大きくするために、位相差フィルムの厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上、40μm以上、または50μm以上であってもよい。位相差フィルムの厚みは250μm以下または200μm以下であってもよい。
位相差フィルムの面内複屈折Δnは、1.0×10-3以上であってもよい。面内複屈折Δn=nx-nyは、面内の遅相軸方向の屈折率nxと面内の進相軸方向の屈折率nyの差であり、正面レターデーションReを厚みで割った値である。延伸位相差フィルムでは、延伸倍率が大きいほどΔnが大きくなる傾向があり、Δnが大きいほど、小さな厚みで大きな正面レターデーションを実現できる。位相差フィルムのΔnは、1.3×10-3以上、または1.5×10-3以上であってもよい。
上記の様に、位相差フィルムは、液晶表示装置の光学補償等を目的とした画像表示装置用光学フィルムとして適用できる。位相差フィルムを偏光子と積層一体化して偏光板を形成してもよい。偏光子の一方の主面に、適宜の接着剤層または粘着剤層を介してと位相差フィルムを貼り合わせることにより、偏光板が得られる。偏光子と位相差フィルムの間に、他のフィルムが積層されていてもよい。
偏光子としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
中でも、高い偏光度を有することから、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。
PVA系偏光子として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸し、ヨウ素染色することにより得られる。
偏光子と位相差フィルムの配置角度は特に限定されない。例えば、液晶表示装置を斜め方向から視認した際の光抜けを抑制する光学補償の目的で位相差フィルムを用いる場合、偏光子の吸収軸方向と、位相差フィルムの遅相軸方向とが、平行または直交となるように、両者を配置することが好ましい。
上記の通り、搬送方向に沿って延伸した位相差フィルムは、搬送方向が遅相軸方向である。PVA系偏光子は延伸方向が吸収軸方向であるため、位相差フィルムと偏光子とをロールトゥーロールで積層することにより、偏光子の吸収軸方向と、位相差フィルムの遅相軸方向とが平行である偏光板が得られる。また、横延伸により配向させた偏光子と上記の位相差フィルムとをロールトゥーロールで積層することにより、偏光子の吸収軸方向と、位相差フィルムの遅相軸方向とが直交する偏光板が得られる。
偏光子の他方の面には、適宜の接着剤層または粘着剤層を介して、偏光子保護フィルムとしての透明フィルムが貼り合わせられていてもよい。偏光板には、上記の位相差フィルムおよび偏光子保護フィルム以外の光学フィルムが積層されていてもよい。偏光板には、画像表示セル等との貼り合わせのための接着剤層や粘着剤層が積層されていてもよい。
位相差フィルムおよび偏光板は、画像表示装置用光学フィルムとして用いることができる。例えば、画像表示セルの表面に、位相差フィルムを備える偏光板を、適宜の粘着剤を介して貼り合わることにより、画像表示パネルが得られる。画像表示セルが液晶セルである場合には、さらに光源としてのバックライトを組み合わせることにより、液晶表示装置が形成される。
上記の様に、本発明の位相差フィルムは、延伸条件を調整することにより、ムラの発生が抑制されている。そのため、本発明の位相差フィルムを用いることにより、表示ムラが抑制され、視認性に優れる画像表示装置を提供できる。
以下に、実施例および比較例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[位相差フィルムの製造例]
環状ポリオレフィン樹脂のペレット(JSR製「ARTON RH4900」、ガラス転移温度:141℃)を用い、溶融押出法により、厚み80μmの未延伸フィルムを作製した。このフィルムの両面に、熱収縮性を有する二軸延伸プロピレンフィルム(東レ製「トレファン」)を、粘着剤を介して貼り合わせて積層体を得た。
この積層体を、延伸方向に沿って8つの温度ゾーンを有する加熱炉を備えるロール延伸機を用いて、延伸倍率1.25倍で縦延伸した後、両面に貼り合わせられた熱収縮性フィルムを剥離除去して、延伸位相差フィルムを得た。
表1に示す様に、製造例1~5,7,9~11では、第1~第4ゾーンを同一の温度(第一温度)、第5~第6ゾーンを同一の温度(第二温度)とし、フィルムが加熱炉を通過する時間(合計延伸時間)が60秒となるようにフィルムの搬送速度(送り出し速度)を調整した。製造例6,8では、第1~第8ゾーンの温度を同一とした。製造例12~15では、各ゾーンの温度を表1に示す様に設定するとともに、フィルムの搬送速度を変更して、合計延伸時間を調整した。表1では、括弧内にその温度での延伸時間を示している。
[評価]
<位相差特性>
位相差フィルムを50mm×50mmのサイズに切り出し、偏光・位相差測定システム(Axometrics製「AxoScan」)により、測定波長550nmで、正面レターデーション、および遅相軸方向を回転中心として試料を40°傾斜した状態でのレターデーションを測定した。これらの測定値から、波長550nmにおける正面レターデーション:Re=(nx-ny)×dおよびNZ係数:NZ=(nx-nz)/(nx-ny)を算出した。nxは面内の遅相軸方向の屈折率、nyは面内の進相軸方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折率、dは厚みである。
<ムラ>
製造例の位相差フィルムと直線偏光板とを、位相差フィルムの遅相軸方向と偏光子の吸収軸方向が平行となるように、粘着剤層を介して貼り合わせた。この試料を、20cm×20cmのサイズに切り出し、位相差フィルム側の面が上側となるようにライトボックスの上に載置した。その上に、クロスニコルになるように別の直線偏光板を重ね合わせ、偏光板の吸収軸方向に対して方位角45°、極角(フィルムの法線とのなす角)0~40°の範囲から目視にて視認して、ムラの有無を以下の基準により評価した。
A:ムラが視認されない
B:わずかなムラがみられる
C:ムラがはっきりと視認される
製造例1~15の延伸条件(加熱温度および加熱時間)、ならびに位相差フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2023011321000002
136℃:(Tg-5℃)に設定した第1~第4ゾーンで30秒、146℃:(Tg+5℃)に設定した第5~第8ゾーンで30秒加熱しながら延伸を行った製造例1では、位相差フィルムに著しいムラがみられた。第1~第4ゾーンの温度(第一温度)を高くした製造例2~5では、温度上昇に伴ってムラが低減する傾向がみられたが、第一温度をさらに高くした製造例6,7では、温度上昇に伴ってムラが顕著となる傾向がみられた。
第1~第8ゾーンの温度を全て140℃とした製造例8では、位相差フィルムのムラが顕著であった。また、製造例8の位相差フィルムはNZ係数が0.9であり、他の例に比べてNZ係数が大きくなっていた。製造例8では、延伸温度が低いために、熱収縮性フィルムによる幅方向の収縮作用が十分に発現せず、NZ係数が十分に低下しなかったと考えられる。
第5~第8ゾーンの温度(第二温度)を高くした製造例9~11では、温度上昇に伴ってムラが低減する傾向がみられた。しかし、第二温度が148℃:(Tg+7℃)の製造例11では、延伸温度が高いために、レターデーションが小さい、位相差発現性が不十分であった。
140℃(第一温度)での加熱時間を10秒に短縮した製造例12では、製造例3に比べてムラが顕著となっていた。一方、第一温度での加熱時間を50秒とした製造例13では、製造例3に比べてムラが低減していた。これらの結果から、相対的に低温である第一温度での加熱時間を長くすることにより、ムラが低減する傾向があることが分かる。
146℃(第二温度)での加熱時間を10秒に短縮した製造例14では、製造例3に比べて位相差フィルムのNZ係数が大きくなっていた。一方、第二温度での加熱時間を50秒とした製造例15では、製造例3と同等のNZ係数を示した。これらの結果から、位相差発現性を確保可能な範囲で、第二温度を高くし、かつその加熱時間を長くすることにより、ムラが少なく、よりNZ係数が小さい位相差フィルムが得られることが分かる。
10 積層体
30 加熱炉
31,32 加熱ゾーン
51,52 入口側ニップロール
61,62 出口側ニップロール

Claims (5)

  1. 面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たす位相差フィルムの製造方法であって、
    ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に熱収縮性フィルムが積層された積層体を、加熱しながら一方向に延伸する延伸工程を有し、
    前記ポリマーフィルムのガラス転移温度がTgであり、
    前記延伸工程において、(Tg-4)~(Tg+5)℃の第一温度で20秒以上加熱した後、Tg~(Tg+5)℃の第二温度で20秒以上加熱する、
    位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記第二温度が、前記第一温度よりも1℃以上高い、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記ポリマーフィルムが環状ポリオレフィン系フィルムである、請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法。
  4. 位相差フィルムの正面レターデーションが240~300nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. 位相差フィルムのNZ=(nx-nz)/(nx-ny)で定義されるNZ係数が、0.3~0.7である、請求項1~4のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。

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