JP2023010356A - 筆記具用可逆熱変色性インキ組成物およびそれを収容してなる筆記具 - Google Patents

筆記具用可逆熱変色性インキ組成物およびそれを収容してなる筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐久性と、インキ組成物中での分散安定性に優れ、実用的な筆跡濃度とインキ吐出性を高度に両立して良好な筆跡を形成できる可逆熱変色性インキ組成物とそれを収容した筆記具の提供。【解決手段】 可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)が0.1~1.5μmであり、かつ、前記マイクロカプセル顔料の数平均膜厚(Y)が0.02~0.2μmである、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料とビヒクルとを含むインキ組成物、ならびにそれを収容した筆記具。【選択図】 図2

Description

本発明は筆記具用可逆熱変色性インキ組成物に関する。また、本発明はその組成物を収容してなる筆記具にも関する。
従来、温度変化により色調が変化する筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を収容した筆記具が知られ、この筆記具を用いて形成した筆跡は、加熱や擦過により変色させることができるため、様々な用途で広く利用されている。
筆記具用可逆熱変色性インキ組成物として、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分および(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有するインキ組成物を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、高温側変色点(完全消色温度)以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点(完全発色温度)以下の温度域で発色状態となり、温度変化により発色状態から消色状態に可逆的に変化する熱変色機能を有すると共に、平均粒子径が特定の範囲にあることにより保存安定性に優れる筆跡を形成できるものであるが、熱変色性筆記具による筆跡が良好であるためにはマイクロカプセル顔料が耐久性を有し、筆跡を擦過した際にマイクロカプセルの膜が破壊されて熱変色機能が損なわれたり、光に曝された場合に内包物が劣化したりすることが生じないことが求められる。
マイクロカプセル顔料の耐久性を向上させるためにはマイクロカプセル顔料の膜の厚み(膜厚)を大きくすることが考えられるが、粒子径を同一としたまま膜厚のみを大きくすると、粒子全体の体積に対する内包物の体積割合が減少するため、筆跡濃度が低下し易くなる。また、筆跡濃度が低下しないようにマイクロカプセル顔料の配合割合を増やすと、インキ組成物中におけるマイクロカプセル顔料の分散安定性が低下し易くなったり、筆記具の筆記先端部(ペン先)においてインキが乾燥して筆記不良を生じ易くなる傾向にあった。
一方、内包物の体積割合を維持したまま膜厚を大きくすることにより筆跡濃度は維持されるが、粒子径が大きくなるため、インキ組成物中におけるマイクロカプセル顔料の分散安定性や、筆記具のペン先からのインキ吐出性が低下し易くなる傾向にあった。
特開2006-335848号公報
本発明は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、耐久性とインキ組成物中での分散安定性に優れ、さらに、筆記具としての実用的な筆跡濃度、インキ吐出安定性を奏して良好な筆跡を形成できるように、平均粒子径と数平均膜厚について好適な範囲を限定すると共に、その二つの関係性を特定した、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物およびそれを収容してなる筆記具を提供しようとするものである。
本発明による筆記具用可逆熱変色性インキ組成物は、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、
(ロ)電子受容性化合物、および
(ハ)(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物であって、
前記マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)が0.1~1.5μmであり、前記マイクロカプセル顔料の数平均膜厚(Y)が0.02~0.2μmである、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
また、本発明による筆記具は、前記筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を収容してなるものである。
本発明によるインキ組成物は、平均粒子径と、数平均膜厚が、それぞれ特定の範囲にある可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いることにより、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、外力や刺激等に対する耐久性と、インキ組成物中での分散安定性に優れている。さらに、本発明によるインキ組成物を収容した筆記具は、実用的な筆跡濃度とインキ吐出性を高度に両立して良好な筆跡を形成できる、という優れた特性を奏するものである。
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
本発明による筆記具用可逆熱変色性インキ組成物(以下、「インキ組成物」または「筆記具用インキ」と表すことがある)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとからなる。以下に、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
本発明によるインキ組成物は、着色剤として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)を含有する。
本発明によるインキ組成物に用いられるマイクロカプセル顔料は、可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなるものである。この可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分および(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることができる。
このようなマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の一例としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する組成物が挙げられる(図1参照)。
また、このようなマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の他の例としては、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する組成物も挙げることができる(図2参照)。しかし、これまで筆記具用インキに用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径と数平均膜厚に関した数値化は明らかになっておらず、マイクロカプセル顔料の耐久性と熱変色特性のバランスに優れる平均粒子径と数平均膜厚の関係性について初めて数値化するに至り、筆記具用インキに適した良好な平均粒子径および数平均膜厚の関係式を見出すに至った。
[マイクロカプセル顔料]
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、およびビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらの中でもフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
以下に(イ)成分に用いることができる化合物を例示する。
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物のほか、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色または黒色を呈する化合物等であってもよい。
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、および電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体、酸性リン酸エステルおよびその誘導体、アゾ-ル系化合物およびその誘導体、1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸およびその誘導体、ならびに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸およびその誘導体としては、芳香族カルボン酸およびその誘導体、または、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸およびその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素およびその誘導体、チオ尿素およびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ならびにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、および無機塩類等が挙げられる。
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物およびトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステルまたはアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、およびモリブデン等を例示できる。
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
フェノール性水酸基を2有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
フェノール性水酸基を3有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-エトキシ-3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
フェノール性水酸基を4以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2-メチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,4-フェニレン)ビス(メチリジン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-5-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ビシクロヘキシル、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゼンジオール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチル-1,2-ベンゼンジオール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステルおよびその金属塩、ならびに1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環あるいは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸または分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるかまたは炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル化合物も有効である。
エステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコールまたはn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
また、(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000002
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、XおよびXのいずれか一方は-(CHOCORまたは(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、YおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、rおよびpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す〕
式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにRが水素原子であり、かつ、mが0の場合がより好ましい。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
Figure 2023010356000003
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である)
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000004
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000005
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000006
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基またはアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す)
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000007
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す)
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000008
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す)
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000009
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基または炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子またはメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000010
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す)
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000011
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す)
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000012
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基または炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す)
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
Figure 2023010356000013
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す)
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
さらに、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖または側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(図3参照)。
上記の可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
さらに、可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合しても良い。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で配合される。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
本発明においては、マイクロカプセル顔料は特定の構造を有している。その特定の構造は、マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(以下、「平均粒子径」と表すことがある)(X)と、数平均膜厚(Y)とによって表現される。
本発明において、平均粒子径は体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いる。
平均粒子径の最適な測定方法としては直接的測定法にてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置LA-300(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定できる。
キャリブレーションに用いる直接的測定法としては、
(i)顕微鏡で撮影した画像から個々の粒子の面積(2次元)を計測して相当径を測定する画像解析法、
(ii)コールターカウンターを用いて検出器の微小な穴(アパチャー)に定電流を流し、その穴を粒子が通過する際に生じるインピーダンスの変化から相当径を測定する、コールター法(電気的検知帯法)などが挙げられ、レーザー測定法のキャリブレーションはこれらによって得られた値を元に行なう。
画像解析法による平均粒子径の測定は、例えば、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」(商品名、株式会社マウンテック製)を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することができる。
なお、コールター法による平均粒子径の測定は、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合に適用可能であり、例えば、ベックマン・コールター株式会社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いて測定することができる。
また、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料は、数平均膜厚(Y)が特定される。数平均膜厚は、凍結されたマイクロカプセル顔料の断面画像を画像解析することによって得ることができる。具体的には、
(i)マイクロカプセル顔料の分散体、例えば水分散体をレーザー測定法にて平均粒子径を測定し、体積基準平均粒子径(X)を得、
(ii)マイクロカプセル顔料の分散体を凍結し、ミクロトームにより厚さ50μmの薄片試料を作製し、
(iii)得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡、例えばHT7700(商品名、株式会社日立ハイテク製)により、マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)の値の±10%の範囲幅の粒子径を有するマイクロカプセル顔料を10個選択し、
(iv)選択した個々のマイクロカプセル顔料を観察し、均等分割される4点の膜厚の平均値を算出する。選択した個々の膜厚を平均することによりマイクロカプセル顔料の数平均膜厚(Y)を得ることができる。
本発明はこのようなパラメーターと、平均粒子径とが一定の条件を満たす場合に、インキ組成物が優れた効果を奏することを見だして完成されたものである。
まず、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料は、その体積基準平均粒子径(X)が、0.1~1.5μmであり、好ましくは0.3~1.0μmである。マイクロカプセル顔料の平均粒子径が過度に小さいと、一般的に発色濃度が低下する傾向にあり、また過度に大きいと、マイクロカプセル顔料の沈降や筆記具のインキ吐出性低下の原因となることがあるので注意が必要である。したがって、平均粒子径(X)が上記範囲内にあることで、発色濃度を維持しながら、インキ組成物の分散安定性と筆記具におけるインキ吐出性が改良できる。
また、インキ組成物のペン先からの吐出性および吐出安定性を維持するために、粗大なマイクロカプセル顔料の含有量が少ないことが好ましい。具体的には粒子径が5μm以上のマイクロカプセル顔料の含有率(以下、「大粒子含有率」と表すことがある)が、マイクロカプセル顔料の総体積を基準として1体積%以下であることが好ましい。
また、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料は、数平均膜厚(Y)が0.02~0.2μmであり、0.04~0.15μmであることが好ましく、0.05~0.1μmであることがより好ましい。数平均膜厚(Y)が適当な範囲内にあることによって、耐久性と発色濃度のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
さらに、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料は、体積基準平均粒子径(X)と数平均膜厚(Y)の比Y/Xは下記式(1)を満たすことが好ましく、(1a)を満たすことがより好ましく、(1b)を満たすことが時に好ましい。また、比Y/Xは下記式(2)を満たすことが好ましく、(2a)を満たすことがより好ましく、(2b)を満たすことが時に好ましい。比Y/Xが適当な範囲内にあることによって、発色濃度を維持しながら、耐久性とインキ組成物の分散安定性のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
Y/X<0.2 (1)
Y/X<0.1 (1a)
Y/X<0.09 (1b)
0.02<Y/X (2)
0.03<Y/X (2a)
0.04<Y/X (2b)
比Y/Xが0.2以上であると、粒子径に対して膜厚が相対的に大きくなり、マイクロカプセル顔料に内包される可逆熱変色性組成物の相対量は少なくなるため発色濃度が低下する。印刷用インキのように印刷の塗布量、厚みで濃度が確保できる用途においては問題ないが、本発明のような筆記具用インキにおいては、ペン先からのインキ吐出量が印刷用インキと比較して圧倒的に少ないため、比Y/Xが0.2以上であるような可逆熱変色性組成物の比率では、筆記具用インキにおいては、視認に耐えうる十分な筆跡濃度が得られない。従って、体積基準平均平均粒子径(X)が0.1~1.5μmの範囲で、かつ、Y/X<0.2とすることが好ましい。
一方、比Y/Xが0.02以下であると、マイクロカプセル顔料に内包される可逆熱変色性組成物の割合の相対量は多くなり、発色に対しては有利なものの、逆に膜厚が小さくなり、膜強度が脆弱化する。筆記具用インキに含まれる種々の溶剤、界面活性剤等の極性物質に対する耐久性が弱くなるため、マイクロカプセル顔料の劣化を招き、濃度が低下したり消失する問題が発生する。仮に粒子径が3μmや、10μmといった、一定以上の大きいマイクロカプセル顔料であれば、比Y/Xが0.02以下であっても膜の厚みが一定量確保できるため、発色濃度が高いマイクロカプセル顔料となるが、その場合はマイクロカプセル顔料の粒子径が大きいことで、狭いペン先から潤沢にマイクロカプセル顔料が吐出できないという筆記具用インキとしての不具合が発生する場合がある。
以上の通り、本発明は筆記具用可逆熱変色性インキ組成物に、より適した平均粒子径を特定するに加えて、熱変色特性の安定性と、筆記性の両面で効果を発現できる最適な平均粒子径、数平均膜厚、そしてその二つの関係式を特定した点に特徴を有する。
[マイクロカプセル顔料の製造方法]
本発明によるインキ組成物に用いられるマイクロカプセル顔料は、上記の(イ)、(ロ)、および(ハ)成分を含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたものである。
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包することにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
なお、マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等の製造方法から、用途に応じて適宜選択される。これらのマイクロカプセル顔料は、その製造工程上、真球もしくは若干の窪みを有する略球形の形状となる。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂被膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
本発明のインキ組成物に用いられるマイクロカプセル顔料は、体積基準平均粒子径(X)および数平均膜厚(Y)が特定の条件を満たすことが必要である。特定の条件を満たすためには、マイクロカプセルの製造条件を調整することが必要である。
マイクロカプセルの製造方法は、上記したとおり、種々の方法があり、それぞれの方法に応じて適切な条件は変化する。また、用いられる可逆熱変色性組成物を構成する成分や、マイクロカプセル被膜を形成する成分によっても変化する。
例えば、マイクロカプセルを界面重合法により製造しようとする場合、マイクロカプセルの平均粒子径や数平均膜厚は、重合温度、重合時間、可逆熱変色性組成物と被膜材料の配合比、反応液の攪拌速度などによって変化するので、実験により適正条件を設定する必要がある。
[筆記具用可逆熱変色性インキ組成物およびそれを収容した筆記具]
本発明による筆記具用可逆熱変色性インキ組成物は、マイクロカプセル顔料とビヒクルを含んでなる。
インキ組成物中のマイクロカプセル顔料の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、5~40質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましい。マイクロカプセル顔料の配合率が上記の範囲内にあることにより、所望の発色濃度が得られると共にインキ吐出性の低下を防止することができる。
ビヒクルは、筆記具用に用いられる一般的なものを用いることができる。例えば、水および/または有機溶剤と必要により各種添加剤を含むものを用いることができる。マイクロカプセル顔料をビヒクル中に分散させてインキ組成物とすることで、ボールペン用、マーキングペン用、万年筆用、筆ペン用、カリグラフィー用ペン等のインキ組成物を調製することができる。
本発明による筆記具は、このインキ組成物を収容してなるものである。
ビヒクルとしては、有機溶剤を含む油性ビヒクル、あるいは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルが挙げられる。本発明に適用されるビヒクルとして好ましくは、水性ビヒクルである。ビヒクルが水性ビヒクルである場合、インキ組成物には、水と相溶性のある水溶性有機溶剤を配合させることができる。水溶性有機溶剤は、インキの水分蒸発を抑制し、ビヒクルの比重変動を防いでマイクロカプセル顔料の良好な分散安定性を維持すると共に、後述する高分子凝集剤、または、高分子凝集剤と後述する分散剤とが形成する緩やかな凝集体の構造を安定化することができる。
有機溶剤としては特に限定されるものではなく、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、チオエチレングリコール、等のグリコール溶剤、
ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、グリセリン、ソルビトール、その他の高級アルコール等のアルコール溶剤、
トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、等のアルコールアミン、
スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン
等を例示できる。
有機溶剤は一種、または二種以上を併用して用いることができる。
本発明によるインキ組成物が水溶性有機溶剤を含む場合、水溶性有機溶剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、1~40質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、10~25質量%であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の配合率が40質量%を超えると、インキ粘度が高くなり易くなる。一方、配合率が1質量%未満では、水分蒸発を抑制する効果に乏しくなる。
水としては特に制限されるものではなく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水、および蒸留水等を例示できる。
有機溶剤、あるいは水の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、10~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましい。
ビヒクルには、目的に応じて、また筆記具の種類に適切な添加剤を添加することができる。ビヒクルに含まれる添加剤としては、剪断減粘性付与剤、高分子凝集剤、分散剤、水溶性樹脂、比重調整剤、界面活性剤、防錆剤、pH調整剤、気泡吸収剤、湿潤剤、消泡剤、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、つや消し剤、浸透剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
インキ組成物としては、ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキ(ゲルインキ)が挙げられる。
剪断減粘性とは、静置時には高粘度を有し、剪断応力が加えられると粘度が低下する特性である。剪断減粘性インキは、剪断応力が加わらない静置時には高粘度であるため、ボールペンに収容される場合には、ボールペン内で安定的に保持されており、筆記時にはボールの高速回転によって生じる高剪断応力によってボール近傍のインキ組成物が低粘度化し、その結果、インキ組成物はボールとボール収容部の間隙から吐出して非筆記面に付着する。
また、剪断減粘性インキは、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降を抑制できると共に、筆跡の滲みを抑制できるため、良好な筆跡を形成することができる。さらに、剪断減粘性インキ組成物を収容したボールペンは、不使用時におけるボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキ組成物の逆流を防止したりすることができる。
剪断減粘性付与剤としては、例えば、水溶性多糖類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、ポリ-N-ビニルカルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ベンジリデンキシリトールおよびその誘導体、アルカリ増粘型アクリル樹脂、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
剪断減粘性付与剤は一種、または二種以上を併用して用いることができる。
水溶性多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量が約100万~800万)、グアーガム、ローカストビーンガムおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物等を例示できる。
本発明によるビヒクルが剪断減粘性付与剤を含む場合、剪断減粘性付与剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、0.1~20質量%であることが好ましい。
また、インキ組成物としては、ビヒクル中に高分子凝集剤を含む凝集性インキが挙げられる。
高分子凝集剤を含むインキ組成物(凝集性インキ)は、マイクロカプセル顔料が高分子凝集剤を介して緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料同士が接触して凝集することが抑制されるため、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができる。
高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
水溶性多糖類としては、例えば、トラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等を例示できる。
さらに、水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示できる。
上記の高分子凝集剤の中でも、分散性に優れることから、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
高分子凝集剤として具体的には、住友精化株式会社製、製品名:HEC Aグレード、同Sグレード、同CFグレード、ダイセルファインケム株式会社製、製品名:HECダイセル SPタイプ、同SEタイプ、同EEタイプ、ダウケミカル日本株式会社製、製品名:CELLOSIZE WPタイプ、同QPタイプ、同EPタイプ、三晶株式会社製、製品名:SANHEC等を例示できる。
本発明によるビヒクルが高分子凝集剤を含む場合、高分子凝集剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、0.1~1質量%であることが好ましく、0.3~0.5質量%であることがより好ましい。上記の範囲内にあることにより、マイクロカプセル顔料が緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させる効果を十分に発現させることができる。
本発明によるインキ組成物には、分散剤を配合させることができ、インキ組成物中におけるマイクロカプセル顔料の分散性を高めることができる。
また、高分子凝集剤と分散剤を併用することもでき、両者を併用する場合、インキ組成物中におけるマイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができると共に、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性をよりいっそう向上させることができる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースおよびその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂、アクリル系高分子、PO・EO付加物、ポリエステルのアミン系オリゴマー等を例示できる。
上記の分散剤の中でも、マイクロカプセル顔料の分散性に優れることから、アクリル系高分子分散剤が好ましく、カルボキシ基を有するアクリル系高分子分散剤がより好ましく、側鎖にカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤がさらに好ましい。
分散剤として特に好ましくは、側鎖に複数のカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であり、具体的には、日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース43000を例示できる。
本発明によるインキ組成物が分散剤を含む場合、分散剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、0.01~2質量%であることが好ましく、0.1~1.5質量%であることがより好ましい。分散剤の配合率が2質量%を超えると、外部から振動等が加わった際にマイクロカプセル顔料が沈降または浮上し易くなる。一方、配合率が0.01質量%未満では、分散性向上の効果が発現され難くなる。
本発明によるインキ組成物には、例えば、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を配合させることができ、インキ組成物に、紙面への固着性や粘性を付与することができる。
水溶性樹脂は一種、または二種以上を併用して用いることができる。
本発明によるインキ組成物がアクリル系高分子分散剤を含む場合、アクリル系高分子分散剤の安定性に優れることから、上記の水溶性樹脂の中でもポリビニルアルコールが好ましい。さらに、インキ組成物が酸性域でも可溶性に富むことから、けん化度が70~89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールがより好ましい。
本発明によるインキ組成物が水溶性樹脂を含む場合、水溶性樹脂の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、0.3~3質量%であることが好ましく、0.5~1.5質量%であることがより好ましい。
本発明によるインキ組成物には、比重調整剤を配合させることができ、ビヒクルの粘度が低い場合に、インキ組成物が外部から振動等の刺激を受けた際にインキ中組成物でマイクロカプセル顔料が沈降または浮上して局在化することを抑制することができる。
マイクロカプセル顔料の比重は、マイクロカプセル顔料の粒子径、マイクロカプセルに内包される成分やその含有量、カプセル被膜の成分や膜厚、およびマイクロカプセル顔料の発色状態、温度によって左右されるが、その比重は、マイクロカプセル顔料が完全発色状態であり、20℃の環境下で水を基準物質とした場合、好ましくは1.05~1.20、より好ましくは1.10~1.20、さらに好ましくは1.12~1.15の範囲である。また、ヒステリシス幅(ΔH)が大きいマイクロカプセル顔料は、分子内に芳香環を2以上有する(ハ)成分を用いることが多く、上記のような大きい比重を有しているが、このようなマイクロカプセル顔料は、比重調整剤を配合したインキ組成物中において、ビヒクルの粘度が低い場合でも、輸送等によって外部から振動などの影響を受けた際にインキ組成物中でマイクロカプセル顔料が沈降または浮上することが抑制される。
なお、マイクロカプセル顔料の比重は、下記の方法により測定することができる。
(マイクロカプセル顔料の比重測定方法)
1.スクリュー管瓶にグリセリン水溶液30mlと完全発色状態のマイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得る。
2.マイクロカプセル顔料分散液30mlを20℃に調温し、回転数1000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機としては、冷却・卓上遠心機「H103N」(商品名、株式会社コクサン製)を用いることができる。
3.マイクロカプセル顔料分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈殿している場合、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面で浮遊した状態を確認した場合は、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
上記の一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上している、または沈殿している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリュー管瓶底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重は、20℃に調温した水溶液を、JIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法により測定することができる。
マイクロカプセル顔料の沈降、浮上安定性は、ビヒクルとマイクロカプセル顔料との比重差が極小のときに最大となり、上記の比重調整剤は、ビヒクルの比重をマイクロカプセル顔料の比重に近づけるものである。ビヒクルの比重は、ビヒクル中に溶解させた水溶性物質の比重とその添加量に左右されるため、ビヒクル中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加し、溶解させると、ビヒクルの比重をより大きくすることができる。
比重調整剤としては、ビヒクルに溶解し、ビヒクルの比重がマイクロカプセル顔料の比重に近づくように調整できるものが挙げられ、例えば、原子量90~185の範囲に含まれる6族元素の酸素酸およびその塩を例示できる。
上記の酸素酸およびその塩は、遷移金属元素の酸素酸およびその塩からなる群から選択されるものであり、その酸素酸イオンは金属原子などに酸素原子が通常4もしくは6配位した四面体または八面体を形成してなるものといわれている。
四面体または八面体ユニットとしては、単独のものでもよいし、それらが稜、頂点を介して結合した構造を持つポリ酸およびその塩であるポリ酸塩であってもよい。ポリ酸は金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であるが、ただ一種類の金属によって構成され、縮合する陰イオンが全て同じ型のポリ酸をイソポリ酸といい、二種類以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸という。そして、それぞれの塩をイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩という。上記ポリ酸にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸等が、上記ポリ酸塩にはイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩等が含まれる。
比重調整剤としては、単独の酸素酸およびその塩、イソポリ酸およびその塩、ヘテロポリ酸およびその塩等が挙げられる。
単独の酸素酸としては、例えば、モリブデン酸、タングステン酸等を例示でき、さらに単独の酸素酸の塩としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等を例示できる。
イソポリ酸としては、例えば、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソタングステン酸等を例示でき、さらに、イソポリ酸塩としては、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム等を例示できる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、タングストケイ酸等を例示でき、さらに、ヘテロポリ酸塩としては、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム等を例示できる。
上記の酸素酸およびその塩は一種、または二種以上を併用して用いることができる。
上記の比重調整剤の中でも、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
上記のイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、およびパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため、添加量に応じて高比重の液体を調整することが容易であり、好適である。
本発明によるインキ組成物が比重調整剤を含む場合、比重調整剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、2~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。比重調整剤の配合率が20質量%を超えると、マイクロカプセル顔料が凝集し易くなる。一方、比重調整剤の配合率が2質量%未満では、ビヒクルの比重調整効果が乏しくなる。
また、マイクロカプセル顔料:比重調整剤の質量比は、好ましくは1:0.05~1:4、より好ましくは1:0.075~1:2、さらに好ましくは1:0.1~1:1.5である。
本発明によるインキ組成物には、界面活性剤を配合させることができ、インキ組成物の表面張力を適切な範囲に調整することができる。
界面活性剤には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などがあるが、何れも好適に用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を例示でき、これらの界面活性剤は、インキ組成物の成分や用途などに応じて適切に選択される。
本発明によるインキ組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の配合率は特に限定されるものではないが、インキ組成物の総質量を基準として、0.01~2質量%であることが好ましく、0.05~1質量%であることがより好ましい。
インキ組成物に配合するマイクロカプセル顔料のヒステリシス幅(ΔH)が大きい場合、その比重は1より大きく、ビヒクルの比重を調整する際に、水より比重が大きい水溶性有機溶剤を用いると比重の調整を容易とし易いことから、水溶性有機溶剤としては、比重が1.1を超えるグリセリン等を用いることが好ましい。
本発明によるインキ組成物には、その他必要に応じて、その他の添加剤を配合させることもできる。その他の添加剤としては、例えば、
ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、
石炭酸、1,2-ベンゾチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤または防黴剤、
アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のpH調整剤、
アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α-トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α-グルコシルルチン、α-リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等の気泡吸収剤、
還元または非還元デンプン加水分解物、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、およびピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤のほか、
消泡剤等を例示できる。
また、本発明によるインキ組成物がボールペンに収容される場合、インキ組成物には潤滑剤を配合させることが好ましくい。潤滑剤は、チップ本体内部に設けられるボール受け座と、チップ本体の前端に備えられるボールとの潤滑性を向上させて、ボール受け座の摩耗を容易に防止することができ、筆記感を向上させることができるものである。
潤滑剤としては、例えば、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、およびアルカノールアミン塩等のリン酸エステル系界面活性剤等を例示できる。
本発明によるインキ組成物を、金属製のボール受け座が設けられるチップ本体と、金属製のボールとからなるボールペンチップを備えるボールペンに適用する場合には、潤滑剤としてリン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましい。
リン酸エステル系界面活性剤は、リン酸基が金属類に対して吸着し易い性質を有するため、リン酸エステル系界面活性剤を含むインキ組成物を上記のボールペンに適用すると、リン酸エステル系界面活性剤がボールおよびボール受け座に吸着して、ボール表面およびボール受け座の表面にリン酸エステル系界面活性剤からなる潤滑層を形成し、ボールとボール受け座との間の潤滑性を向上させてボールを円滑に回転させることができる。そして、ボール受け座の摩耗を抑制して、書き味等の筆記感を良好とすることができる。
また、本発明によるインキ組成物には、一般の染料または顔料等の非熱変色性着色剤を配合させることもでき、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈する。
本発明によるインキ組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、従来知られている任意の方法を用いることができる。具体的には、上記の各成分を配合した混合物を、プロペラ攪拌、ホモディスパー、もしくはホモミキサー等の各種攪拌機で攪拌することにより、またはビーズミル等の各種分散機等で分散することにより、インキ組成物を製造することができる。
本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転速度1rpm(剪断速度3.84sec-1)の条件で測定した場合、マイクロカプセル顔料の沈降または凝集を抑制できることから、好ましくは1~2000mPa・s、より好ましくは3~1500mPa・s、さらに好ましくは500~1000mPa・sの範囲である。また、20℃の環境下において、回転速度100rpm(剪断速度384sec-1)の条件で測定した場合、ボールペンのペン先からのインキ吐出性を良好とすることができることから、粘度は、好ましくは1~200mPa・s、より好ましくは10~100mPa・s、さらに好ましくは20~50mPa・sの範囲である。粘度が上記の範囲内にあることにより、マイクロカプセル顔料の分散安定性や、ボールペンの機構内におけるインキ組成物の易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、粘度は、レオメーター「Discovery HR-2、コーンプレート(直径40mm、角度1°)」(商品名、TAインスツルメンツ・ジャパン株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて、回転速度1rpm(剪断速度3.84sec-1)、または、回転速度100rpm(剪断速度384sec-1)の条件で測定することができる。
本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは20~50mN/m、より好ましくは25~45mN/mの範囲である。表面張力が上記の範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキ組成物の紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器「DY-300」(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて、白金プレートを用いた垂直平板法により測定することができる。
本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~10、より好ましくは4~9の範囲である。pHが上記の範囲内にあることにより、インキ組成物中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集または沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター「IM-40S」(商品名、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて測定することができる。
本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数30rpmの条件で測定した場合、好ましくは1~20mPa・s、より好ましくは1~10mPa・s、さらに好ましくは1~5mPa・sの範囲である。粘度が上記の範囲内にあることにより、インキ組成物の流動性とマイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
なお、粘度は、BL型回転粘度計「TVB-M型粘度計(L型ローター)」(商品名、東機産業株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて測定することができる。
本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは25~50mN/m、より好ましくは25~45mN、さらに好ましくは35~45mN/mの範囲である。表面張力が上記の範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキ組成物の紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器「DY-300」(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃環境下に置いて、ガラスプレートを用いた垂直平板法により測定することができる。
本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~8、より好ましくは4~7、さらに好ましくは5~6の範囲である。pHが上記の範囲内にあることにより、インキ組成物中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集または沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター「IM-40S」(商品名、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて測定することができる。
本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えた、ボールペンレフィルまたはボールペンに充填して用いられる。
ボールペンチップは、チップ本体と、チップ本体の前端に備えられたボールとからなり、例えば、金属製のパイプからなるチップ本体の先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料からなるチップ本体に、ドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属またはプラスチック製チップ本体の内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、あるいは、上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を例示できる。
チップ本体およびボールの材質としては特に限定されるものではなく、例えば、超硬合金(超硬)、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、およびゴム等を例示できる。さらに、ボールにはDLCコート等の表面処理を施すこともできる。
ボールの直径は、一般に0.2~3mm、好ましくは0.2~2mm、より好ましくは0.2~1.5mm、さらに好ましくは0.2~1mm、特に好ましくは0.2~0.5mmのものが適用できる。
一般的に、可逆熱変色性組成物を内包するマイクロカプセル顔料は汎用の顔料粒子よりも平均粒子径が大きいため、マイクロカプセル顔料を含有するインキ組成物を、直径の小さいボールを備えたボールペンに適用すると、ペン先からのインキ吐出性が損なわれ易く、カスレや線飛び等の筆記不良を生じたり、筆跡濃度が損なわれたりすることがある。しかしながら、マイクロカプセル顔料の平均粒子径が0.1~1.5μmの範囲にある本発明によるインキ組成物を、直径の小さいボール、特に、直径が0.2~0.5mmのボールを筆記先端部に備えたボールペンに収容する場合、ペン先からのインキ吐出性がよりいっそう向上するため、筆記不良を抑制できると共に、明瞭で筆跡濃度の高い筆跡を形成できるボールペンとすることができるため、好適である。
インキ充填機構としては、例えば、インキ組成物を直に充填することのできるインキ収容体を例示できる。
インキ収容体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、金属製管状体が用いられる。
インキ収容体に、ボールペンチップを直接、または接続部材を介して連結させ、インキ収容体にインキ組成物を直接充填することにより、ボールペンレフィル(以下、「レフィル」と表すことがある)を形成することができる。このレフィルを軸筒内に収容することでボールペンを形成することができる。
インキ収容体に充填されるインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体としては、液栓または固体栓が挙げられる。
液栓は不揮発性液体および/または難揮発性液体からなり、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、および脂肪酸変性シリコーンオイル等を例示できる。
不揮発性液体および/または難揮発性液体は一種、または二種以上を併用して用いることができる。
不揮発性液体および/または難揮発性液体には、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、およびステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、ならびにセルロース系化合物等を例示できる。
固体栓としては、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、およびポリメチルペンテン製等の固体栓を例示できる。
インキ逆流防止体として、上記した液栓と固体栓を併用して用いることもできる。
また、軸筒自体をインキ充填機構とし、軸筒内にインキ組成物を直接充填すると共に、軸筒の前端部にボールペンチップを装着することで、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えたボールペンを形成することもできる。
インキ充填機構に充填されるインキ組成物が低粘度である場合、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えたボールペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキ組成物をペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として備え、これを介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節体を備え、これを介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構、(3)多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝および該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキ組成物を誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介して、インキ組成物をペン先に供給する機構等が挙げられる。
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば特に制限されるものではない。合成樹脂としては、例えば、汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。特に、成形性が高く、ペン芯性能を得られ易いことから、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が好適に用いられる。
ボールペンが上記のインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構としては、上記したインキ収容体や軸筒のほか、インキ組成物を充填できるインキ吸蔵体を用いることができる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させた繊維集束体であり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲になるように調整して構成されたものである。
また、インキ収容体にインキ組成物を含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の前端に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにボールペンチップを、直接または接続部材を介してインキ供給機構に連結させることにより、ボールペンチップと、インキ充填機構と、インキ供給機構とを備えたボールペンレフィルを形成することもできる。あるいは、インキ収容体にインキ組成物を含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の内部に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにボールペンチップを、直接または接続部材を介してインキ収容体に連結させることによっても、ボールペンレフィルを形成することができる。
本発明によるインキ組成物を収容するボールペンの構成として具体的には、(1)軸筒内に、インキ組成物を充填したインキ収容体を有し、インキ収容体には、直接または接続部材を介してボールペンチップが連結され、インキ組成物の端面にはインキ逆流防止体が充填されたボールペン、(2)軸筒内に直接インキ組成物が充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(3)軸筒内に直接インキ組成物が充填され、上記のペン芯を介してインキ組成物をペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(4)軸筒内に、インキ組成物を含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構が備えられるボールペン等を例示できる。
また、本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、マーキングペンチップと、インキ充填機構とを備えたマーキングペンレフィル、またはマーキングペンに充填して用いられる。
マーキングペンチップとしては、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、または、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成形体等を例示でき、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
インキ充填機構としては、例えば、インキ組成物を充填できるインキ吸蔵体を例示できる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させた繊維集束体であり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
軸筒内に、インキ組成物を含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するように、マーキングペンチップを直接、または接続部材を介して軸筒に連結させることにより、マーキングペンを形成することができる。
また、インキ収容体にインキ組成物を含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するように、マーキングペンチップを直接、または接続部材を介してインキ収容体に連結させることにより、マーキングペンレフィル(以下、「レフィル」と表すことがある)を形成することができる。このレフィルを軸筒に収容することでマーキングペンを形成することができる。
インキ収容体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、金属製管状体が用いられる。
マーキングペンチップと、インキ充填機構とを備えたマーキングペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキ組成物をペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として備え、これを介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節体を備え、これを介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構、(3)多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝および該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキ組成物を誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介して、インキ組成物をペン先に供給する機構、(4)弁機構によるインキ流量調節体を備え、開弁によりインキ組成物をペン先に供給する機構等が挙げられる。
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば特に制限されるものではない。合成樹脂としては、例えば、汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。特に、成形性が高く、ペン芯性能を得られ易いことから、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が好適に用いられる。
弁機構としては、チップの押圧により開放する、従来より汎用のポンピング式形態が使用でき、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
マーキングペンがインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構としては、上記したインキ吸蔵体のほか、インキ組成物を直接充填できるインキ収容体を用いることができる。また、軸筒自体をインキ充填機構として、インキ組成物を直接充填してもよい。
また、インキ収容体にインキ組成物を含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の前端に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにマーキングペンチップを、直接または接続部材を介してインキ供給機構に連結させることにより、マーキングペンチップと、インキ充填機構と、インキ供給機構とを備えたマーキングペンレフィルを形成することもできる。あるいは、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の内部に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにマーキングペンチップを、直接または接続部材を介してインキ収容体に連結させることによっても、マーキングペンレフィルを形成することができる。
本発明によるインキ組成物を収容するマーキングペンの構成として具体的には、(1)軸筒内に、インキ組成物を含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、毛細間隙が形成された、繊維加工体または樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように、直接または接続部材を介して軸筒に連結されたマーキングペン、(2)軸筒内に直接インキ組成物が充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキ組成物をペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(3)軸筒内に直接インキ組成物が充填され、上記のペン芯を介してインキ組成物をペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(4)チップの押圧により開弁する弁機構を介してチップとインキ収容体とが備えられ、インキ収容体に直接インキ組成物が充填されるマーキングペン、(5)軸筒内に、インキ組成物を含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体を収容したインキ収容体を有し、毛細間隙が形成された、繊維加工体または樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように、直接または接続部材を介してインキ収容体に連結されたマーキングペン等を例示できる。
また、ボールペンまたはマーキングペンが、インキ組成物を直に充填するものである場合、マイクロカプセル顔料の再分散を容易とするために、インキ組成物が充填されるインキ収容体または軸筒に、インキ組成物を攪拌する攪拌ボール等の攪拌体を内蔵することが好ましい。攪拌体の形状としては、球状体、棒状体等が挙げられる。攪拌体の材質としては特に限定されるものではなく、例えば、金属、セラミック、樹脂、硝子等を例示できる。
さらに、上記したボールペンまたはマーキングペン等の筆記具は、着脱可能な構造としてインキカートリッジ形態とすることもできる。この場合、筆記具のインキカートリッジに収容されるインキ組成物を使い切った後に、新たなインキカートリッジと取り替えることで使用することができる。
インキカートリッジとしては、筆記具本体に接続することで筆記具を構成する軸筒を兼ねたものや、筆記具本体に接続した後に軸筒(後軸)を被覆して保護するものが用いられる。なお、後者においては、インキカートリッジ単体で用いるほか、使用前の筆記具において、筆記具本体とインキカートリッジが接続されているものや、筆記具のユーザーが使用時に軸筒内のインキカートリッジを接続して使用を開始するように非接続状態で軸筒内に収容したもののいずれであってもよい。
さらに、上記した構成の筆記具には、ペン先(筆記先端部)を覆うように装着されるキャップを設けてキャップ式筆記具とすることにより、ペン先が乾燥して筆記できなくなることや、筆記先端部が汚染・破損されることを防ぐことができる。
また、軸筒内にレフィルが収容されるボールペンまたはマーキングペンは、軸筒内に、軸筒から筆記先端部を出没可能とする出没機構を設けて出没式筆記具とすることもでき、筆記先端部が汚染・破損されることを防ぐことができる。
出没式筆記具は、筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構としては、例えば、(1)軸筒の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部(クリップ)を径方向外方に突設させ、操作部を前方にスライド操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドスライド式の出没機構、(2)軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる後端ノック式の出没機構、(3)軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドノック式の出没機構、(4)軸筒後部の操作部を回転操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる回転式の出没機構等を例示できる。
さらに、ボールペンやマーキングペンの形態は上記した構成に限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色調のインキ組成物を導出させるチップを装着させたりするほか、相異なる形態のチップを装着させると共に、各チップから導出されるインキ組成物の色調が相異なる複合式筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
また、軸筒内に複数のレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのレフィルの筆記先端部を軸筒開口部から出没させる複合タイプの出没式筆記具とすることもできる。
本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)は0.1~1.5μmであるが、平均粒子径の範囲は、インキ組成物を適用する筆記具の種類によって調整されることが好ましい。例えば、インキ充填機構がインキ組成物を直接充填する構成のものであり、インキ供給機構が、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝および該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキ組成物を誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を備えた筆記具(直液式筆記具)に収容されるインキ組成物においては、マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)が0.3~1.0μmの範囲にあることが好ましい。
平均粒子径が上記の範囲にあるマイクロカプセル顔料を含むインキ組成物は、インキ組成物が低粘度であってもインキ組成物中における分散安定性に優れ、マイクロカプセル顔料の凝集または沈降が抑制されるため、ペン先からのインキ吐出性が阻害され難く、カスレや線飛び等の筆記不良を生じ難いものである。また、上記構成の筆記具は、低粘度のインキ組成物がインキ充填機構に直接充填されるため、インキ吐出量が多く、明瞭な筆跡を形成することができ、さらに、インキ供給機構は、インキ充填機構からのインキ流量を適度に調節する効果を奏するため、より安定的にペン先からインキ組成物を吐出することができるものである。
よって、直液式筆記具に、マイクロカプセル顔料の平均粒子径が上記の範囲にある本発明によるインキ組成物を適用することにより、ペン先から安定的にインキ組成物が吐出され、明瞭で筆跡濃度が高い筆跡を形成することができるため、好適に用いられる。
さらに、本発明によるインキ組成物は、直液式筆記具において、ペン先が、直径が0.2~0.5mmであるボールを備えたボールペンチップであるボールペン(直液式ボールペン)に収容されることがより好ましい。
直液式ボールペンはペン先に備えられるボールの直径が小さいため、特に、汎用の顔料よりも平均粒子径が大きいマイクロカプセル顔料を含むインキ組成物を適用する場合、ペン先からのインキ吐出性が損なわれ易いものであるが、マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)が0.3~1.0μmであるインキ組成物を適用することにより、ペン先からのインキ吐出性が向上し、カスレや線飛び等の筆記不良を抑制することができるため、明瞭で筆跡濃度が高い筆跡を形成することができるボールペンとすることができ、より好適に用いられる。
本発明によるインキ組成物を収容した筆記具を用いて被筆記面に筆記することにより筆跡を形成することが可能であり、その筆跡は指による擦過や、加熱具または冷却具によって温度変化させることによって変色させることができる。
加熱具としては、摩擦熱によって加熱できる摩擦部材および摩擦体、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光等を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用等が挙げられるが、簡便な方法により変色させることができることから、摩擦部材および摩擦体が好ましい。
冷却具としては、ペルチエ素子を用いた通電冷熱変色具、冷水や氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、畜冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用等が挙げられる。
摩擦部材および摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましいが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛等を用いることもできる。
なお、鉛筆による筆跡を消去するために用いられる一般的な消しゴムを使用して、筆跡を擦過してもよいが、擦過時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない上記の摩擦部材および摩擦体が好適に用いられる。
摩擦部材および摩擦体の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)等を例示できる。シリコーン樹脂は擦過により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
上記の摩擦部材または摩擦体は筆記具とは別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。また、筆記具と、筆記具とは別体の任意形状の摩擦部材または摩擦体とを組み合わせて、筆記具セットを得ることもできる。
筆記具がキャップ式筆記具の場合、摩擦部材または摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)あるいは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等に摩擦部材または摩擦体を設けることができる。
筆記具が出没式筆記具の場合、摩擦部材または摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、さらにクリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)、あるいはノック部に摩擦部材または摩擦体を設けることができる。
以下に実施例を示す。なお、特に断らない限り、実施例中の「部」は、「質量部」を示す。
・実施例1
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部を混合して可逆熱変色性組成物を調製した。この組成物を、被膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマーを45部、助溶剤を40部からなる混合溶液に投入した。この混合溶液を10%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながらホモミキサーで10,000rpmの攪拌速度で攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液をフィルタープレス機でろ過することにより可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが60℃であり、発色している状態から、加熱することにより黒色から無色に可逆的に変化した。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)は、画像解析法によりキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-300(商品名、株式会社堀場製作所製))を用いて測定した。得られた平均粒子径(X)は、0.75μmであった。また、粒子径が5μm以上のマイクロカプセル顔料の含有率(大粒子含有率)は、マイクロカプセル顔料の総体積を基準として0体積%であった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の数平均膜厚(Y)は、可逆熱変色性組成物が発色状態のマイクロカプセル顔料の水分散体を凍結して、マイクロカプセル顔料の異形化をなくしたものをミクロトームにより、厚さ50μmの薄片試料を作製し、透過型電子顕微鏡(HT7700(商品名、株式会社日立ハイテク製))により、観察画像を解析して測定した。本発明の定義に従い、観察画像の視野内のマイクロカプセル顔料から10個を選択して画像解析により、選択したマイクロカプセル顔料の膜厚の平均値を算出した。その平均値から得られた数平均膜厚(Y)は、0.06μmであった。
(可逆熱変色性ボールペンの作製)
実施例1のマイクロカプセル顔料(予め-20℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25部と、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.2部と、尿素10部と、グリセリン10部と、ノニオン系浸透性付与剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコSW-WET-366)0.5部と、変性シリコーン系消泡剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコ8034)0.1部と、リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、製品名:プライサーフAL)0.5部と、pH調整剤(トリエタノールアミン)0.5部と、防黴剤〔ロンザジャパン株式会社製、製品名:プロキセルXL-2(S)〕0.2部と、水53部とを混合して、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
得られたインキ組成物をポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填した後、樹脂製ホルダーを介して、直径0.5mmの超硬製のボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、さらに尾栓をパイプの後部に嵌合させ、遠心分離により脱気処理を行い、ボールペンレフィルを得た。
次いで、上記のレフィルを軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを作製した。
上記のボールペンは、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒の後部側壁に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。なお、軸筒後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
・実施例2~5、ならびに比較例1~3
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1の被膜材料の添加量および攪拌速度を表1に記載のとおり変更して、実施例2~5、ならびに比較例1~3の筆記具に使用する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
(可逆熱変色性ボールペンの作製)
実施例1のインキ組成物と同様にして調製したインキ組成物を用いて、実施例1と同様の構造を有する、実施例2~5、ならびに比較例1~3の可逆熱変色性ボールペンを作製した。
(初期筆記試験)
実施例1~5、ならびに比較例1~3のボールペンを用いて、室温(20℃)環境下で、A4サイズの試験用紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、1行あたり12個の楕円形上の丸(長径15mm、短径8mm程度)を、丸が互いに接するように螺旋状に手書きで、3行連続筆記した。なお、試験用紙には旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aを用いた。
(筆跡濃度の評価)
上記の初期筆記試験で得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準で筆跡濃度を評価した。評価結果は、以下の表1のとおりである。
A: 筆跡濃度は非常に濃く、鮮明である。
B: 筆跡濃度は濃い。
C: 筆跡濃度は僅かに薄いが、視認は十分可能である。
D: 筆跡濃度は幾分薄いが、実用上問題はない。
E: 筆跡濃度は薄く、視認性が低い。実用上問題がある。
(インキ吐出性の評価)
上記の初期筆記試験で得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準でインキ吐出性を評価した。評価結果は、以下の表1のとおりである。
A: 筆跡にカスレや線飛びがない。
B: 筆跡にカスレや線飛びが若干あるが、実用上問題はない。
C: 筆跡にカスレや線飛びが多数ある。実用上問題がある。
(経時保存)
上述の、初期筆記試験を行った各ボールペンを、50℃に設定した恒温槽内に60日間、筆記先端部を下向きにして静置させ、60日経過後に恒温槽から取り出した。
(分散安定性の評価)
上述の経時保存を行った各ボールペン内のレフィルに収容されるインキの状態を目視にて確認し、下記基準で分散安定性を評価した。評価結果は、以下の表1のとおりである。
A: レフィル内のインキにマイクロカプセル顔料の沈降等は見られず、初期と同等の外観である。
B: レフィル内のインキは、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降に伴う僅かな分離が見られるが、実用上問題はない。
C: レフィル内のインキに、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降に伴う分離が見られる。実用上問題がある。
(マイクロカプセル顔料の被膜耐久性の評価)
上述の経時保存を行った各ボールペンを、室温(20℃)環境下で、A4サイズの試験用紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、1行あたり12個の楕円形状の丸(長径15mm、短径8mm程度)を、丸が互いに接するように螺旋状に手書きで、3行連続筆記した。なお、試験用紙には旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aを用いた。
得られた筆跡を目視にて確認し、初期筆記試験による筆跡濃度と、経時保存後の各ボールペンの筆跡濃度の差から、下記基準でマイクロカプセル顔料の被膜耐久性を評価した。評価結果は、以下の表1のとおりである。
A: 筆跡濃度は、初期筆記試験で得られた筆跡と比較して全く変化がない。
B: 筆跡濃度は、初期筆記試験で得られた筆跡と比較して殆ど変化がない。
C: 筆跡濃度は、初期筆記試験で得られた筆跡より僅かに薄い。
D: 筆跡濃度は、初期筆記試験で得られた筆跡より幾分薄いが、実用上問題はない。
E: 筆跡濃度は、初期筆記試験で得られた筆跡より顕著に薄い。実用上問題がある。
実施例1~5、ならびに比較例1~3で得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を調製する際の被膜材料添加量、および攪拌速度、マイクロカプセル顔料の平均粒子径(X)、数平均膜厚(Y)、Y/X、および大粒子含有率、ならびに、筆跡濃度評価、インキ吐出性評価、分散安定性評価、および被膜耐久性評価の結果を、以下の表1に示す。
Figure 2023010356000014
応用例1
(可逆熱変色性ボールペンの作製)
実施例2の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-20℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25部と、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.2部と、尿素10部と、グリセリン10部と、ノニオン系浸透性付与剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコSW-WET-366)0.5部と、変性シリコーン系消泡剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコ8034)0.1部と、リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、製品名:プライサーフAL)0.5部と、pH調整剤(トリエタノールアミン)0.5部と、防黴剤〔ロンザジャパン株式会社製、製品名:プロキセルXL-2(S)〕0.2部と、水53部とを混合して、筆記具可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
上記のインキ組成物をポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填した後、樹脂製ホルダーを介して、直径0.5mmのステンレス鋼製のボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、さらに尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、後軸筒を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、ボールペンを作製した。なお、後軸筒後端部に摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のボールペンを用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では黒色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-20℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-20℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
また、ボールペンに用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、分散安定性と被膜の耐久性に優れるものであった、そして、上記のボールペンはインキ吐出性が良好で、ボールペンにより形成した筆跡は鮮明であった。
応用例2
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製)
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部を、2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン1部に代えた以外は、実施例3と同様の配合および方法で可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを調製した。
上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aは完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが60℃であり、発色している状態から、加熱することにより桃色から無色に可逆的に変化した。
(可逆熱変色性マーキングペンの作製)
上記のマイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して桃色に発色させたもの)20部を、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)(ダウケミカル日本株式会社製、製品名:CELLOSIZE EP-09)0.4部と、アクリル系高分子分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース43000)0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)(ロンザジャパン株式会社製、製品名:ソジウムオマジン)0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)(ロンザジャパン株式会社製、製品名:グライカシル2000)0.2部と、グリセリン18部と、消泡剤0.2部と、pH調整剤(10%希釈リン酸溶液)1部と、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)(SOMETU社製、製品名:SPT)8部と、水46.6部とからなる水性ビヒクル中に混合し、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記のインキ組成物を含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部に、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有するポリアセタール樹脂の押出成形体からなる樹脂加工ペン体(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを作製した。キャップの頂部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して桃色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では桃色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-20℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-20℃以下に冷却すると、再び文字が桃色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
また、マーキングペンに用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、分散安定性と被膜の耐久性に優れるものであった、そして、上記のマーキングペンはインキ吐出性が良好で、マーキングペンにより形成した筆跡は鮮明であった。
応用例3
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bの調製)
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部を、6-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン5部に代えた以外は、実施例1と同様の配合および方法で可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを調製した。
上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bは完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが59℃であり、発色している状態から、加熱することにより赤色から無色に可逆的に変化した。
(可逆熱変色性ボールペンの作製)
上記のマイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して赤色に発色させたもの)25部と、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.2部と、尿素10部と、グリセリン10部と、ノニオン系浸透性付与剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコSW-WET-366)0.5部と、変性シリコーン系消泡剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコ8034)0.1部と、リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、製品名:プライサーフAL)0.5部と、pH調整剤(トリエタノールアミン)0.5部と、防黴剤〔ロンザジャパン株式会社製、製品名:プロキセルXL-2(S)〕0.2部と、水53部とを混合して、筆記具可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
上記のインキ組成物をポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填した後、樹脂製ホルダーを介して、直径0.3mmの超硬製のボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、さらに尾栓をパイプの後部に嵌合させ、遠心分離により脱気処理を行い、ボールペンレフィルを得た。
次いで、上記のレフィルを軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを作製した。
上記のボールペンは、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒の後部側壁に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。なお、軸筒後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のボールペンを用いて紙面に筆記して赤色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では赤色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-20℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-20℃以下に冷却すると、再び文字が赤色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
また、ボールペンに用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、分散安定性と被膜の耐久性に優れるものであった、そして、上記のボールペンはインキ吐出性が良好で、ボールペンにより形成した筆跡は鮮明であった。
応用例4
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cの調製)
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部を、3′,6′-ビス〔3-フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン2部に代えた以外は、実施例3と同様の配合および方法で可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを調製した。
上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cは完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが60℃であり、発色している状態から、加熱することにより青色から無色に可逆的に変化した。
(可逆熱変色性マーキングペンの作製)
上記のマイクロカプセル顔料C(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)23部を、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)(ダウケミカル日本株式会社製、製品名:CELLOSIZE WP-09)0.4部と、アクリル系高分子分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース43000)0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)(ロンザジャパン株式会社製、製品名:ソジウムオマジン)0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)(ロンザジャパン株式会社製、製品名:グライカシル2000)0.2部と、グリセリン30部と、消泡剤0.01部と、pH調整剤(10%希釈リン酸溶液)0.03部と、水45.76部とからなる水性ビヒクル中に混合し、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記のインキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(チゼル型)を、樹脂製のホルダーを介して接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを作製した。なお、軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、文字は消色して無色となり、この状態は-20℃以下に冷却しない限り維持することができた。なお、紙面を冷凍庫に入れて-20℃以下に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
また、マーキングペンに用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、分散安定性と被膜の耐久性に優れるものであった、そして、上記のマーキングペンはインキ吐出性が良好で、マーキングペンにより形成した筆跡は鮮明であった。
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (11)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、
    (ロ)電子受容性化合物、および
    (ハ)(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物であって、前記マイクロカプセル顔料の体積基準平均粒子径(X)が0.1~1.5μmであり、かつ、前記マイクロカプセル顔料の数平均膜厚(Y)が0.02~0.2μmである、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
  2. 前記平均粒子径(X)と、前記数平均膜厚(Y)が、下記式(1)を満たす請求項1に記載のインキ組成物。
    Y/X<0.2 (1)
  3. 前記平均粒子径(X)が0.3~1.0μmである、請求項1または2に記載のインキ組成物。
  4. 粒子径が5μm以上のマイクロカプセル顔料の含有率が、前記マイクロカプセル顔料の総体積を基準として1体積%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  5. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の配合率が、前記インキ組成物の総質量を基準として5~40質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  6. 前記ビヒクルが水性ビヒクルである、請求項1~5のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を収容してなる筆記具。
  8. ボールペンである、請求項7に記載の筆記具。
  9. 直径が0.2~0.5mmのボールを筆記先端部に備えてなる、請求項8に記載のボールペン。
  10. マーキングペンである、請求項7に記載の筆記具
  11. 前記筆記具によって形成される筆跡を摩擦熱で変色させることができる摩擦部材をさらに備えてなる、請求項7~10のいずれか1項に記載の筆記具。
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