JP2023009860A - 磁性粉濃度センサ、及び試料中の磁性粉濃度の検出方法 - Google Patents

磁性粉濃度センサ、及び試料中の磁性粉濃度の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で温度変動の影響を受け難く、且つ簡便に試料中の磁性粉濃度を測定することができる磁性粉濃度センサ、及び磁性粉濃度の検出方法を提供する。【解決手段】実施形態の磁性粉濃度センサ1aは、第1コイル11と、第1コイル11によって生成される磁束A1に基づく電圧e2を生じさせる第2コイル12と、を備えている。第1コイル11及び第2コイル12は磁心となるコア材3を共有していてコア材3の第1部分31及び第2部分32にそれぞれ巻かれている。コア材3は、第1部分31及び第2部分32を含む第1環状部3aと、第1部分31又は第2部分32を第1環状部3aと共有している第2環状部3bと、を有し、第1環状部3a及び第2環状部3bのいずれか一方は、被検試料Sに晒される部分4を含んでいる。【選択図】図3

Description

本発明は、磁性粉濃度センサ、及び試料中の磁性粉濃度の検出方法に関する。
従来、各種機械装置において、その故障の予防や予知のために、軸受けや歯車などの係合部に供給される潤滑油やグリースなどに含まれる金属粉の濃度が監視されている。すなわち、軸受けなどの劣化が進むと、金属製の各機構部品から剥がれ落ちた金属粉が潤滑油やグリース中に多く混入するので、この潤滑油などに含まれる鉄粉などの金属粉の濃度を監視又は適宜に測定することによって、軸受けなどの劣化具合を把握することができる。そして、得られた金属粉の濃度に基づいて、実質的な故障に至る前に部品の交換や調整などの予防保全を行うことができる。このような金属粉の濃度の測定には、例えば、金属粉が有する磁気的特性(強磁性)を利用した、所謂磁気バランス式電磁誘導法が用いられている(例えば特許文献1参照)。
磁気バランス式電磁誘導法では、空芯の検出コイルの両側それぞれに空芯の励磁コイルが配置される。この二つの励磁コイルは、その発生磁界が検出コイル付近で互いに打ち消されるように配置される。二つの励磁コイルに交流が通電されている状態で一方の励磁コイルの空芯部に磁性粉濃度の検出対象の試料(被検試料)が挿入されると、検出コイル付近での磁気バランスが崩れるため、電磁誘導によって磁性粉の濃度に応じた電圧が検出コイルに誘起される。従って、検出コイルに誘起する電圧を監視若しくは測定することによって、潤滑油などの中の鉄粉などの濃度の測定、延いては、各種機械装置の劣化の早期把握を通じて適切な予防保全を行うことができる。
特開2008-249549号公報
特許文献1に記載のようなコイルの空芯部に被検試料が挿入される構成では、励磁コイルへの通電によって生じる磁束は励磁コイルの周囲を通って一巡する。そのため、各コイルを地磁気などの外来ノイズから遮断する金属製のシールドケースで覆う場合、シールドケースが各コイルに近接して配置されると、シールドケースが磁束の通り道になり易い。その場合、シールドケースの熱膨張/熱収縮、及び撓みなどによって、検出コイル付近の磁気バランスが崩れて正確な濃度検出ができないことがある。一方、シールドケースが磁束の通り道とならない程度に各コイルとシールドケースとの間隔が確保されると、磁性粉濃度を検出するセンサ全体の小型化が阻害されることがある。
加えて各励磁コイルと検出コイルとの間隔も、温度によって変動する可能性がある。すなわち、各励磁コイル及び検出コイルそれぞれを固定している部材の熱膨張及び熱収縮によって各コイル間の間隔が変動し、その結果、検出コイル付近の磁気バランスが崩れて測定精度が影響を受けることがある。
このような温度変動による磁性粉濃度の測定精度への影響に鑑み、励磁コイルの空芯部への被検試料の挿入前の検出コイルの出力が測定され、その出力と、被検試料の挿入後の検出コイルのピーク出力との差に基づいて磁性粉濃度が決定されることがある。しかし、このような方法は、磁性粉濃度の測定毎の被検試料の挿入のための手動操作を要するか、自動的に被検試料を挿抜するための駆動機構の具備を要するため、測定作業の煩雑化や、磁性粉濃度を検出するセンサの構造の複雑化を招くことがある。特に、機械装置に常時装着される定置式のセンサにおいて、その装置中を循環する潤滑油などの中の磁性粉の濃度の常時監視が求められる場合は、励磁コイルの空芯部に被検試料が無い状態を実現することは、前述した手動操作や駆動機構が無い限り、困難である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、小型及びシンプルな構造で、しかも温度変動の影響を受け難いため高精度で、且つ簡便に試料中の磁性粉濃度を測定することができる磁性粉濃度センサ、及び、そのように高精度で簡便に磁性粉濃度を測定し得る、試料中の磁性粉濃度の検出方法を提供することを目的とする。
本発明の磁性粉濃度センサは、第1コイルと、前記第1コイルによって生成される磁束に基づく電圧を生じさせる第2コイルと、を備えていて前記電圧を用いて試料中の磁性粉の濃度を示す磁性粉濃度センサであって、前記第1コイル及び前記第2コイルは磁心となるコア材を共有していて前記コア材の第1部分及び第2部分にそれぞれ巻かれており、前記コア材は、前記第1部分及び前記第2部分を含む第1環状部と、前記第1部分又は前記第2部分を前記第1環状部と共有している第2環状部と、を有し、前記第1環状部及び前記第2環状部のいずれか一方は、被検試料に晒される部分を含んでいる。
前記第1環状部は、前記被検試料に晒される部分である間隙を前記第1部分と前記第2部分との間に有していてもよい。
前記第2環状部は、前記第1環状部との非共有部分に、前記被検試料に晒されない間隙を有していてもよい。
前記磁性粉濃度センサは前記第2環状部に巻かれている第3コイルをさらに備え、前記第3コイルは、前記第2コイルに直列接続され、且つ、前記第1コイルによって生成される磁束に基づいて、前記第2コイルが生じさせる前記電圧と反対方向の電圧を生じさせるように構成されている、ことが好ましい。
前記磁性粉濃度センサは、前記コア材が固定される固定部材と、前記固定部材への前記コア材の固定に用いられる固定補助部材と、前記固定部材と前記固定補助部材の少なくとも一部との間に配置されている緩和部材と、をさらに備え、前記緩和部材は、前記固定部材及び前記固定補助部材の少なくともいずれかの線膨張係数との大小関係について前記コア材の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有している、ことが好ましい。
前記緩和部材の線膨張係数は、前記固定部材及び前記固定補助部材それぞれの線膨張係数よりも大きくてもよい。
前記コア材は、第1方向における一端側で前記固定部材の第1連結部に連結され、且つ、前記一端側と反対側の他端側で前記固定補助部材の第2連結部に連結されており、
前記緩和部材は、前記第1連結部よりも前記第1方向において前記コア材の前記他端側に位置する前記固定部材の第3連結部、及び前記第2連結部よりも前記第1方向において前記コア材の前記一端側に位置する前記固定補助部材の第4連結部に連結されていてもよい。
本発明の試料中の磁性粉濃度の検出方法は、第1コイル、及び前記第1コイルによって生成される磁束に基づく電圧を生じさせる第2コイルを有するセンサに被検試料を供給することと、前記第2コイルの前記電圧を含む前記センサの出力を把握することと、を含む、試料中の磁性粉濃度の検出方法であって、前記第1コイル及び前記第2コイルは、共通のコア材の互いに異なる部分にそれぞれ巻かれており、前記コア材は、前記第1コイル又は前記第2コイルが巻かれている部分を共有する二つの環状部を有し、前記センサに前記被検試料を供給することは、前記コア材の前記二つの環状部の一方だけを前記被検試料に晒すことを含んでいる。
前記二つの環状部の前記一方は間隙を有しており、前記二つの環状部の前記一方だけを前記被検試料に晒すことは、前記間隙を前記被検試料に晒すことを含んでいてもよい。
本発明によれば、小型及びシンプルな構造で、しかも温度変動の影響を受け難いため高精度で、且つ簡便に試料中の磁性粉濃度を測定することができる磁性粉濃度センサ、及び、そのように高精度で簡便に磁性粉濃度を測定し得る、試料中の磁性粉濃度の検出方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサの一例を示す模式図である。 図1の磁性粉濃度センサによる磁性粉の検出原理を示す図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサの他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサのさらに他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサのさらに他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサの構造の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサの構造の他の例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサの各コイルの他の例を示す模式図である。 図7Aに例示の構造のコイルの出力波形の比較例を示す図である。 図7Aに例示の構造のコイルの出力波形の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサにおけるコア材の取り付け構造を例示する側面図である。 図8AのVIIIB部の断面の拡大図である。 図8Aに例示の構造を有しない磁性粉濃度センサの温度ヒステリシスを示す図である。 図8Aに例示の構造を有する一実施形態の磁性粉濃度センサの温度特性の一例を示す図である。 本発明に係る磁性粉濃度センサの設置例を示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る磁性粉濃度センサ、及び試料中の磁性粉濃度の検出方法を説明する。ただし、以下に説明される実施形態及び添付の図面は、本発明に係るセンサ及び検出方法の一例を示しているに過ぎない。本発明に係る磁性粉濃度センサ及び試料中の磁性粉濃度の検出方法は、以下に説明される実施形態及び添付の図面に例示される、構造、形状、並びに各構成要素間の相対的な大きさ及び位置関係に限定されない。
<基本構成>
図1には、本発明の一実施形態の磁性粉濃度センサ1が模式的に示されている。図1に示されるように、一実施形態の磁性粉濃度センサ1は、第1コイル11、第2コイル12、並びに、第1コイル11及び第2コイル12の磁心となるコア材3を備えている。すなわち、第1コイル11及び第2コイル12は、コア材3を共有していて、コア材3の互いに異なる部分にそれぞれ巻かれている。図1の例の第1コイル11はコア材3の第1部分31に巻かれ、第2コイル12はコア材3の第2部分32に巻かれている。
図1から明らかなように、第1コイル11及び第2コイル12は、少なくともコア材3を介して磁気的に結合している。すなわち、第1コイル11及び第2コイル12は、それぞれ、相手側が作り出す磁場の変化に基づく電圧を電磁誘導によって生起させる。第1コイル11は、第2コイル12を流れる電流によって生成される磁束の変化に基づく電圧を生じさせ、同様に第2コイル12は、通電により第1コイル11で生成される磁束の変化に基づく電圧を生じさせる。図1の例では、第1コイル11は交流電源Eに接続されており、第2コイル12は、第2コイル12において誘起される電圧e2に基づく電圧又は電流などの電気量を測定可能な測定器Mに接続されている。すなわち、図1の例の磁性粉濃度センサ1は、第1コイル11が生成する磁束に基づいて第2コイル12で誘起される電圧e2を用いて、磁性粉濃度の測定対象である試料(被検試料S)中の磁性粉の濃度を示す磁性粉濃度センサである。図1の磁性粉濃度センサ1において第1コイル11は励磁コイルであり、第2コイル12は検出コイルである。
本実施形態の磁性粉濃度センサ1によって内部の磁性粉濃度を検出される試料としては、例えば、前述した各種機械装置に用いられている潤滑油、グリース、などの鉱工業における潤滑用油脂類が例示される。しかし、本実施形態の磁性粉濃度センサ1の測定対象となる試料は潤滑用油脂類に限定されない。測定対象となる試料は、例えば不純物でもあり得る磁性粉の検出が求められる各種業界、例えば食品業界、原料業界、陶磁器業界などで用いられ、加工され、又は生産される任意の原材料、中間材、完成材、又は副資材であってもよい。
測定対象となる試料が用いられる各種機械装置は、例えば、鉄道車両、産業用ロボットなどの工作機械、発電機、船舶、エスカレータやエレベータのような昇降機などであり得るが、これらに限定されない。測定対象試料の状態としては液体が好ましいことがあるが、測定対象試料は固体又は気体であってもよい。また本実施形態の磁性粉濃度センサによってその濃度が検出される磁性粉としては鉄粉が例示される。しかし、本実施形態において濃度の測定対象となる磁性粉は、その存在の有無又は濃度の高低によって周囲の磁界(磁路)に影響を与え得る程度に磁性(強磁性)を有するものであればよく、鉄粉に限定されない。
コア材3は、高い透磁率を有し、好ましくは小さい鉄損を有する任意の材料で形成されている。コア材3の材料としては、フェライト、ケイ素鋼板、及び、例えばPCパーマロイのようなパーマロイなどが例示される。第1コイル11及び第2コイル12(並びに後述する第3コイル13(図3参照))は、十分な導電性を有する線材をコア材3に巻回することによって形成されている。第1~第3のコイル11~13それぞれを構成する導電性の材料としては銅が例示されるが、各コイルを構成する線材の材料は銅に限定されない。励磁コイル(図1では第1コイル11)では、導電線の巻回数、及び導電線を流れる電流に応じた磁場が生起され、検出コイル(図1では第2コイル12)では、錯交磁束の変化の速度及び導電線の巻回数に応じた電圧が誘起される。
コア材3は、全体として板状の形体を有し、図1に示される平面視においてコア材3を貫通する二つの空洞30を有している。図1の例においてコア材3は全体として矩形の平面形状を有し、各空洞30も矩形の平面形状を有している。しかし、コア材3及び各空洞30は、円形又は楕円形などの任意の平面形状を有し得る。
コア材3は、各空洞30をそれぞれ囲む第1環状部3a及び第2環状部3bを有している。第1環状部3aは、コア材3において第1コイル11が巻かれている部分である第1部分31、及び第2コイル12が巻かれている部分である第2部分32を含んでいる。第2環状部3bは、コア材3のうちの第1環状部3aに含まれていない部分である第3部分33を含んでいる。図1の例において第1~第3の部分31~33は互いに平行に延びており、その延在方向と直交する方向に沿って第1部分31と第2部分32とが対向し、第1部分31と第3部分33とが対向している。第2部分32と第3部分33とは第1部分31を介して対向している。
なお、第1~第3の部分31~33は、コア材3のうちの各コイル11~13が巻かれている部分が互いに異なる部分であることを示すために特定の「部分」として区別して称されているに過ぎない。従って、第1~第3の部分31~33それぞれは、コア材3における任意の箇所において任意の大きさを占める領域であり得る。また、第1~第3の部分31~33は、それぞれ、図1の例のように直線状に延びずに湾曲していてもよい。
図1の例において、第2環状部3bは、第1コイル11が巻かれている部分である第1部分31を第1環状部3aと共有している。そして第2環状部3bは、第2部分32を含んでいない。すなわち、第1環状部3aと第2環状部3bとは、互いに共有している部分と、それぞれが独自に有する部分とを含んでいる。第1環状部3aと第2環状部3bとは、共有している第1部分31の中心を通って第1~第3の部分31~33の対向方向に垂直な平面に関して面対称であってもよい。なお、第1環状部3aと第2環状部3bは、図5を参照して後述される例のように、第2コイル12が巻かれている部分である第2部分32を共有していてもよい。その場合、第2環状部3bは第1コイル11が巻かれている第1部分31を含まない(図5参照)。
図1の例では、第1環状部3aと第2環状部3bとの共有部分である第1部分31に第1コイル11が巻かれている。交流電源Eからの通電によって生成されて第1コイル11の一端から出る磁束Aは、周囲環境よりも高い透磁率を有するコア材3の内部を主に通って第1コイル11の他端に戻る。具体的には、第1コイル11の一端から出る磁束Aの一部の磁束A1は、第1環状部3aを通って第1コイル11の他端に戻り、磁束A1以外の磁束A2は、第2環状部3bを通って第1コイル11の他端に戻る。第1環状部3aの磁気抵抗と第2環状部3bの磁気抵抗とが同じであれば、磁束A1及び磁束A2それぞれの大きさ(各磁束の磁束線の数)は互いに略同じである。
そして本実施形態の磁性粉濃度センサ1では、第1環状部3a及び第2環状部3bのいずれか一方は被検試料に晒される部分4を含んでいる。すなわち図1の例のように、第1環状部3aが被検試料に晒される部分4(「被検試料に晒される部分4」は、以下では「感知部4」とも称される)を含む場合、第2環状部3bは被検試料に晒される部分を含まない。図1の例と異なり第2環状部3bが被検試料に晒される部分を含んでいる場合は、第1環状部3aは被検試料に晒される部分を含まない。第1環状部3a又は第2環状部3bは、互いの共有部分でない任意の位置に、被検試料に晒される部分を有し得る。
なお、第1環状部3a又は第2環状部3bが「被検試料に晒される」は、各環状部の一部又は全部が、被検試料に直接接触する、又は、被検試料中の磁性粉によって各環状部内を通る磁束が影響を受ける程度に直接又は間接的に被検試料に相対することを意味している。従って、第1環状部3a及び第2環状部3bが、例えば磁気シールドとして作用する強磁性体を介して被検試料に相対する部分を有していても、必ずしも当該環状部が被検試料に晒される部分を有しているとは限らない。
また「被検試料」は、未知の濃度で磁性粉を含む可能性を有していて実施形態の磁性粉濃度センサによって正にその内部の磁性粉の濃度を測定される、例えば潤滑用油脂などの前述した各種の原材料や副資材などである。従って図1において、例え感知部4が晒される被検試料と同種の潤滑油やグリースなどに第2環状部3bの一部又は全部が晒されても、その第2環状部3bが晒される潤滑油やグリースなどが磁性粉濃度の測定対象でなければ、それらは「被検試料」ではない。すなわちその場合でも第2環状部3bは被検試料に晒される部分を含まない。また、第1環状部3a又は第2環状部3bが既知の濃度で磁性粉を含む物質に晒されていても、その物質は「被検試料」ではなく、またその物質に晒されている環状部は被検試料に晒される部分を必ずしも有しない。
図1に例示の磁性粉濃度センサ1では、第1環状部3aは、第1部分31と第2部分32との間に間隙51を有している。同様に、第2環状部3bは、第1部分31と第3部分33との間に間隙52を有している。第1環状部3aは第2環状部3bとの非共有部分に間隙51を有し、第2環状部3bは、第1環状部3aとの非共有部分に間隙52を有している。間隙51の近傍では、第1環状部3aが間隙51を挟んで第1部分31側と第2部分32側に分離されており、間隙51は、第1環状部3aを部分的に不連続にしている。同様に、間隙52の近傍では、第2環状部3bが間隙52を挟んで第1部分31側と第3部分33側に分離されており、間隙52は、第2環状部3bを部分的に不連続にしている。間隙51は第1環状部3aに囲まれる空洞30と連通しており、間隙52は第2環状部3bに囲まれる空洞30と連通している。
図1の例では、第1環状部3aを不連続にする間隙51が被検試料Sに晒される。すなわち第1環状部3aにおいて間隙51が被検試料に晒される部分(感知部)4である。第1環状部3aは、間隙51によって構成される感知部4を第1部分31と第2部分32との間に有している。前述したように本実施形態の磁性粉濃度センサ1では、第1環状部3a及び第2環状部3bのいずれか一方が被検試料に晒される部分を含んでいる。従って図1の第2環状部3bの間隙52は被検試料に晒されない。なお、第2環状部3bが被検試料に晒される部分を有する場合は、間隙52が被検試料に晒されてもよい。その場合、第2環状部3bは、第1部分31と第3部分33との間に、被検試料に晒される部分を有し得る。
なお感知部4は、例えば、被検試料Sを透さない隔壁(図示せず)で囲まれることによって、その周囲の部分と隔てられる。その状態で感知部4に被検試料Sを供給することによって、感知部4だけを被検試料Sに晒すと共に、被検試料Sへの感知部4以外の部分の曝露を防ぐことができる。
また、第1部分31と第2部分32とが対向する方向における両部分の間の空洞30の幅Wは、コア材3を過剰に増大させない範囲で大きい方が好ましい。磁束A1のうちで第2コイル12内を通らずに第1部分31へと漏れる磁束を少なくすることができ、間隙51と、第2コイル12が巻かれている第2部分32とを、磁束A1の通り道として磁気的に直列接続できるからである。少なくとも、幅Wは間隙51の間隔G(間隙51を通る磁束A1に沿う方向の間隙51の長さ)よりも大きいことが好ましい。同様の観点で、第1部分31と第3部分33との間の空洞30の幅も、少なくとも間隙52の間隔よりも大きいことが好ましい。
<実施形態の磁性粉濃度センサの作用>
図1及び図2を参照して、本実施形態の磁性粉濃度センサ1の作用、すなわち、磁性粉濃度の検出原理が説明される。前述したように、第1コイル11に電流が流れると、その電流に応じて生じる磁場の磁束線は第1環状部3a及び第2環状部3bそれぞれを通って第1コイル11に帰着する(図1の磁束Aの矢印は、交流電源Eから矢印D1の方向に電流が流れているときの磁束線の向きを示している)。磁束Aの磁束線は、第1環状部3aを通る磁路の磁気抵抗と第2環状部3bを通る磁路の磁気抵抗との比率に反比例する比率で第1環状部3aと第2環状部3bとに分岐する。
第1及び第2の環状部3a、3bそれぞれを通る磁路の磁気抵抗は、間隙51又は間隙52の磁気抵抗と、第1及び第2の環状部3a、3bそれぞれの各間隙51、52以外の部分の磁気抵抗との和である。ここで間隙51及び間隙52が空気や一般的な油脂のような非磁性体で充填されていると、各環状部を通る磁路の磁気抵抗は、その空気や油脂の低い透磁率に基づく間隙51又は間隙52の高い磁気抵抗によって主に支配される。そのため、磁束Aは、主に間隙51及び間隙52それぞれに存在する物質の透磁率、すなわち間隙51及び間隙52の内部の透磁率に基づいて第1環状部3a側(磁束A1)と第2環状部3b側(磁束A2)に分配される。そして間隙51及び間隙52の内部の透磁率は、間隙51及び間隙52それぞれに存在する物質における、磁性体のような高い透磁率を有する物質の含有量に依存する。
本実施形態では、前述したように第1環状部3a及び第2環状部3bのいずれか一方が被検試料に晒される感知部4を含んでいる。図1の例では、第1環状部3aだけが感知部4を有している。図2には、磁性粉S1を含む被検試料Sに第1環状部3aの感知部4が晒されている状態が示されている。感知部4を構成する間隙51が、磁性粉S1を含む被検試料Sで充填されている。一方、第2環状部3bは間隙52を有しているが、感知部を有していない。そのため間隙52は被検試料Sで充填されておらず、例えば、空気などの非磁性体に晒されている。
図2に示されるように第1環状部3aだけが感知部4において被検試料Sに晒されていてその被検試料Sが磁性粉S1を含んでいると、感知部4を構成する間隙51の内部の透磁率が、磁性粉S1を含まない場合と比べて増大する。そのため第1環状部3aの磁気抵抗が減少する。第1環状部3aの磁気抵抗は、被検試料Sに晒されていない第2環状部3bの磁気抵抗よりも低下し得る。感知部を含まない第2環状部3bの磁気抵抗は、被検試料S中の磁性粉S1の存在に影響されないが、減少する第1環状部3aの磁気抵抗に対して相対的に増加し得る。そのため、図2に示されるように、磁束Aのうちの第2環状部3b側の磁束A2は、被検試料Sが磁性粉S1を含まない時よりも減少し、一方、第1環状部3a側の磁束A1は、被検試料Sが磁性粉S1を含まない時よりも増大する。
第1環状部3a側に分配される磁束A1が増大すると、第1コイル11に流れる電流の交番に応じて増加又は減少する第2コイル12の鎖交磁束の最大値が増大する。そのため、交流電源Eから供給される電流の周波数が一定であれば、第2コイル12の鎖交磁束の変化の速度は磁束A1の増大に伴って大きくなる。その結果、第2コイル12に電磁誘導によって誘起される電圧e2は被検試料Sが磁性粉S1を含まない時よりも増大する。前述したように、間隙51の内部の透磁率は、間隙51の内部に存在する物質における高い透磁率を有する物質の含有量に依存する。そのため、第2コイル12には、間隙51(感知部4)が晒される被検試料S中の磁性粉S1の濃度に応じて増減する電圧e2が誘起される。従って、磁性粉濃度センサ1は、第2コイル12に誘起される電圧e2を用いて、被検試料S中の磁性粉S1の濃度を示すことができる。
なお、図1及び図2の例と異なり、第2環状部3bが、被検試料Sに晒される感知部を備えている場合でも、磁性粉濃度センサ1は、第2コイル12に誘起される電圧e2を用いて、被検試料Sに含まれる磁性粉S1の濃度を示すことができる。すなわち、その場合は第1環状部3aが感知部4を備えないため、被検試料S内の磁性粉S1の濃度が上昇すると、感知部を含む第2環状部3bの磁気抵抗が減少し、一方、感知部4を備えない第1環状部3aの磁気抵抗は第2環状部3bの磁気抵抗に対して相対的に増大する。そのため、第1環状部3a側に分配される磁束A1は、磁性粉S1の濃度が低いときよりも減少する。その結果、第2コイル12の鎖交磁束の変化の速度は、磁性粉S1の濃度が低いときよりも小さくなるため、第2コイル12に誘起される電圧e2は低下する。このように、第2環状部3bが感知部を含む(すなわち第1環状部3aは感知部4を含まない)場合も、第2コイル12に誘起される電圧は、被検試料3に含まれる磁性粉S1の濃度によって変化する。従って、磁性粉濃度センサ1は、第2コイル12に誘起される電圧e2を用いて磁性粉S1の濃度を示すことができる。
また本実施形態では、地磁気などによる周囲の磁場の変化の影響を少なくすることができる。すなわち、磁性粉濃度センサ1の周囲全体の磁場の変化によって第1環状部3aの磁束の通り易さに変化が生じても、その通り易さの変化は第2環状部3bにも同様に生じ得る。従って、第1環状部3a側及び第2環状部3b側それぞれへの磁束Aの分配比率に変化は生じ難い。そのため、第2コイル12によって誘起される電圧e2は周囲の磁場の変化の影響を受け難い。従って、安定して磁性粉濃度を測定することができる。
このように、本実施形態の磁性粉濃度センサ1によれば、第1コイル11が巻かれている部分を共有するコア材3の二つの環状部3a、3bの一方だけが被検試料に晒される部分4を備えている。そのため、その部分を被検試料Sに晒すことによって、被検試料S中の磁性粉S1の濃度に応じて、第1環状部3a側と第2環状部3b側とに分配される磁束Aの分配比率を変えることができる。そのため、第2コイル12に誘起される電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料S中の磁性粉S1の濃度を得ることができる。そして本実施形態では、第1コイル11への通電によって生じる磁束Aは、主にコア材3内を通って一巡するため、シールドケースなどで磁性粉濃度センサ1が覆われる場合でもシールドケースが磁束の通り道になり難い。従って、温度変化によるシールドケースの膨張/収縮や撓みなどが、第2コイル12の鎖交磁束に影響し難い。
また、コア材3に第1及び第2のコイル11、12が巻かれているため、同じ巻回数でも空芯コイルよりも高いインダクタンス値を得ることができる。そのため、少ない巻回数で、浮遊容量や巻き線抵抗の顕著な増大を回避しながら、容易にインダクタンス値を増大させて感度向上を図ることができる。換言すれば、所定のインダクタンス値に伴う巻き線抵抗を小さくすることができるので、巻き線抵抗の温度特性による影響を小さくすることができる。また、図1及び図2の例のように間隙51、52を有する場合は、前述したように各環状部の磁気抵抗において各間隙の磁気抵抗が支配的となるため、コア材3の鉄損や磁気特性の温度変動の影響を受け難くすることができる。
加えて、励磁コイル(第1コイル11)と検出コイル(第2コイル12)とがコア材3で連結されているので、各コイルが個々に形成されて、固定用の部材を介して組み合わされる場合と比べて、両コイルの相対位置が温度変化によって変化し難い。そのため、温度変動の影響を少なくして測定精度を向上させることができる。そして、以上述べたように温度変動の影響を軽減できるので、磁性粉濃度の測定毎に検出コイルに被検試料を挿入するような操作も不要にし得ると考えられる。
潤滑油中の鉄粉濃度の測定では、数十℃の温度変動がある環境下で、重量比100ppmの濃度の安定検知が必要とされることがある。本発明者らの調査では、潤滑油中の100ppmの濃度の鉄粉による潤滑油の透磁率の変化は僅か数十ppm程度と考えられた。これに対して、例えば銅やPCパーマロイの線膨張係数は十数ppm/℃程もあるため、数十℃の温度変化にも鑑みると、磁性粉濃度センサの各要素に用いられる材料が有する線膨張係数による各要素の熱変形量は、感知可能であることが望まれる透磁率の変化に対して決して小さくないものと考えられる。従って、前述した温度変動の影響の軽減、及び後述される、温度変動の影響をさらに抑制する構造は、試料中の磁性粉濃度の安定した測定において有益であると考えられる。
さらに、上記の通りシールドケースが磁束の通り道になり難いため、ケースの内面と磁性粉濃度センサ1とがより近接する小型のシールドケースを採用し得ることもある。従ってセンサ全体の小型化にも寄与し得ることがある。このように本実施形態の磁性粉濃度センサ1によれば、小型及びシンプルな構造でありながら、温度変化の影響を少なくして試料中の磁性粉濃度を高精度で且つ簡便に測定し得ると考えられる。
<変形例1>
図3には、本実施形態の磁性粉濃度センサの他の例である磁性粉濃度センサ1aが示されている。図3に示されるように、磁性粉濃度センサ1aは、第2環状部3bに巻かれている第3コイル13をさらに備えている。第3コイル13は、第2環状部3bが有する第3部分33に巻かれていて第2コイル12に直列接続されている。すなわち、第2コイル12及び第3コイル13それぞれの一端同士が接続され、第2コイル12及び第3コイル13の他端がそれぞれ測定器Mに接続されている。
そして第3コイル13は、第1コイル11によって生成される磁束Aに基づいて、第2コイル12が生じさせる電圧e2と反対方向の電圧e3を生じさせるように構成されている。例えば、図3に示される向きの磁束A1及び磁束A2が増加するときには、第2コイル12に図3中の矢印の向きの電圧e2が生じる。これに対して、第3コイル13は、第3コイル13に図示されている矢印の向きの電圧e3を生じさせる。従って、測定器Mには、電圧e2と電圧e3との差電圧が入力される。
例えば、電圧e2と電圧e3とが同じであれば、測定器Mの示度は0vである。しかし、前述したように、二つの環状部3a、3bのいずれか一方(図3では第1環状部3a)だけが有する感知部4が、磁性粉を含む被検試料Sに晒されると、その磁性粉の濃度に応じて二つの環状部3a、3bそれぞれへの磁束Aの分配比率が変化する。従って、電圧e2と電圧e3とは、磁性粉濃度の高低に応じて互いに逆方向に変化する。従って、磁性粉濃度が高い程大きくなる(低い程小さくなる)、電圧e2と電圧e3との差電圧から、試料中の磁性粉の濃度を得ることができる。
一方、温度変化によって第1コイル11の巻き線抵抗がその温度特性によって増減して励磁電流が変化すると、磁束A及び磁束A1の変化に伴って第2コイル12の鎖交磁束数が変化して電圧e2が意図せず変化することがある。その場合、第2コイル12の電圧e2だけが測定されていると、その温度変化による電圧e2の変化が、磁性粉濃度によるものと誤認させてしまうことがある。しかし、図3の例では、そのような場合には電圧e3も電圧e2と同方向に変化するため、両電圧の変化が相殺される。そのため、温度変化による電圧e2の変化を磁性粉の含有又はその濃度の変化と誤認させることを防ぐことができる。従って、より安定して精度よく磁性粉濃度を測定することができる。
すなわち、第3コイル13は、検出コイルとして機能する第2コイル12に対して、補償コイルとして機能する。なお、本例においても、第2環状部3bが間隙52による感知部を有していてもよい。第2環状部3bが感知部を有する場合でも、第3コイル13は、容易に理解され得るように第2コイル12に対する補償コイルとして機能し得る。加えて、第3コイル13を検出コイルとして扱い、第2コイル12を補償コイルとして扱い得ることも理解されるべきである。
互いに補償し合う関係にある第2コイル12と第3コイル13は、互いに同じ特性を有するように構成されていることが好ましい。すなわち、両コイルの鎖交磁束の変化の速度が同じであれば、同じ振幅及び位相を有する電圧が両コイルそれぞれに誘起されるように、巻回数や導線の直径が揃えられることが好ましい。同様の趣旨から、前述したように、第1環状部3aと第2環状部3bとが、面対称の形状を有していることが好ましい。さらに、被検試料に晒されない間隙51又は間隙52、すなわち感知部4ではないいずれかの間隙が、磁性粉を含まない又は既知の濃度で磁性粉を含む、被検試料と同種の物質に晒されてもよい。その場合、補償コイルによる補償作用の精緻さが向上することがある。また、感知部4ではないいずれかの間隙が、被検試料Sそのものからフィルタ(図示せず)によって磁性粉がろ過されてなる参照試料に晒されてもよい。例えば被検試料Sの温度による感知部4への影響を補償し得ることがある。
このように、第1環状部3aと第2環状部3bとの間で、互いの形状、電気的特性、磁気的特性、及び温度的特性などを同じにしておくことが、精緻な補償を実現するうえで好ましい(この好適性は図1及び図2に示される磁性粉濃度センサ1にも該当する)。第1環状部3a及び第2環状部3bの間でこれらの特性が略同じであれば、被検試料Sが磁性粉を含んでいないときには、電圧e2と電圧e3との差電圧は0Vとなる。従って、測定器Mで得られる測定値から磁性粉の濃度を導出するための処理が容易になることがある。
なお、第1環状部3a及び第2環状部3bは、被検試料Sが磁性粉を含んでいないときに必ずしも電圧e2と電圧e3との差が0Vになるように構成されていなくてもよい。図3の例の磁性粉濃度センサ1aは、そのような場合に有益なゼロ点調整回路6を備えている。ゼロ点調整回路6は、可変抵抗61と固定抵抗62とを含んでいる。固定抵抗62の一端が、互いに接続されている第2コイル12及び第3コイル13の接続点に接続され、固定抵抗62の他端は可変抵抗61の可動端子に接続されている。そして可変抵抗61の両端の固定端子が、第2コイル12の他端及び第3コイル13の他端にそれぞれ接続されている。被検試料Sが磁性粉を含んでいないときに第2コイル12と第3コイル13とが互いに異なる電圧を誘起しようとする場合でも、可変抵抗61を調整することによって、第2コイル12の他端と第3コイル13の他端との間の差電圧を0Vにすることができる。
<変形例2>
図4には、本実施形態の磁性粉濃度センサのさらに他の例である磁性粉濃度センサ1bが示されている。図1~図3の例では第1環状部3aが間隙51を有し、第2環状部3bが間隙52を有している。しかし本実施形態においてコア材3は、図4の磁性粉濃度センサ1bのように、二つの環状部のいずれにも間隙を有していなくてもよい。コア材3が間隙を有していなくても、第1及び第2の環状部3a、3bのいずれか一方が感知部4を有しているので、被検試料中の磁性粉の濃度を測定することができる。
例えば図4の磁性粉濃度センサ1bにおいて第2環状部3bは、第1部分31と第3部分33との間の中間部分34を、被検試料に晒される部分4として有していてもよい。その場合、被検試料における磁性粉の濃度の増減に応じて、中間部分34の近傍の被検試料を含めた第1環状部3aの全体的な磁気抵抗が減少又は増加する。そのため、第1コイル11からの磁束のうちで第2環状部3b側に分配される磁束の比率が増加又は減少する。すなわち第1環状部3a側に分配される磁束が減少又は増加する。従って、被検試料の磁性粉の濃度に応じて、第2コイル12で誘起される電圧e2が減少又は増加する。従って、電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料中の磁性粉濃度を検出できる。第2環状部3bが被検試料に晒される部分を有しておらず、第1環状部3aが、第1部分31と第2部分32との間の中間部分を被検試料に晒される部分として有している場合も、第2コイル12で誘起される電圧e2が、被検試料における磁性粉の濃度の増減に応じて増加又は減少する。従って、電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料中の磁性粉濃度を検出できる。
或いは、二つの空洞30のうちの第2環状部3bの空洞30が、被検試料に晒される部分4であってもよい。第2環状部3bに囲まれる空洞30が被検試料に晒される場合、その被検試料に含まれる磁性粉の濃度の増減に応じて、第2環状部3b側の磁気抵抗が減少又は増加する。そのため、被検試料に晒されない第1環状部3aの磁気抵抗は、第2環状部3b側の磁気抵抗に対して相対的に増加又は減少する。その結果、第1コイル11からの磁束のうちで第1環状部3a側に分配される磁束の比率は減少又は増加する。従って、電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料中の磁性粉濃度を検出できる。
<変形例3>
図5には、本実施形態の磁性粉濃度センサのさらに他の例である磁性粉濃度センサ1cが示されている。磁性粉濃度センサ1cも、コア材3と、コア材3の第1部分31に巻かれた第1コイル11と、コア材3の第2部分32に巻かれた第2コイル12とを含んでいる。コア材3を介して第1コイル11と磁気的に結合している第2コイル12は、通電により第1コイル11で生成される磁束の変化に基づく電圧を生じさせる。そのため、第2コイル12は測定器Mに接続されている。一方、第1コイル11は、第3コイル13を介して交流電源Eに接続されている。すなわち、磁性粉濃度センサ1cにおいても第1コイル11が励磁コイルとして機能し、第2コイル12は検出コイルとして機能する。
磁性粉濃度センサ1cのコア材3は、図1~図4の例と同様に、第1部分31及び第2部分32を含む第1環状部3aと、第3部分33を含む第2環状部3bとを有しており、第3部分に第3コイル13が巻かれている。また、第1環状部3a及び第2環状部3bは、それぞれ、間隙51、52を有している。しかし、磁性粉濃度センサ1cの第2環状部3bは、コア材3の第1部分31ではなく第2部分32を第1環状部3aと共有している。そのため、第2部分32と第3部分33とが対向し、第3部分33と第1部分31とは第2部分32を介して対向している。そして、第1コイル11及び第3コイル13それぞれの一端同士が接続され、第1コイル11及び第3コイル13それぞれの他端が交流電源Eに接続されている。従って、検出コイルである第2コイル12は、いずれも励磁コイルである第1コイル11と第3コイル13とに挟まれている。本変形例においても、第1環状部3a及び第2環状部3bのいずれか一方が、被検試料に晒される部分4(感知部)を含んでいる。そのため、以下に説明されるように、被検試料Sの濃度を得ることができる。
図5の磁性粉濃度センサ1cでは、第1環状部3aが、被検試料に晒される部分4として間隙51を有している。第1コイル11及び第3コイル13は、交流電源Eから電流が供給されると、第1コイル11及び第3コイル13それぞれから出る磁束A1、A3が、第2部分32で打ち消し合うように形成されている。例えば、図5において矢印D1の方向に電流が流れると、第1コイル11及び第3コイル13は、それぞれ矢印で示される向きの磁束A1、磁束A3を生じさせる。好ましくは、第1コイル11及び第3コイル13は、交流電源Eからの通電によって互いに同じ大きさの磁束を生じさせるように構成される。磁束A1と磁束A3とが互いに同じ大きさを有する場合、第2部分32を通過する磁束は存在しなくなり、第2コイル12では電圧が誘起されない。
しかし間隙51が晒される被検試料Sが磁性粉を含んでいると、第1環状部3a側の磁気抵抗が低下する。そのため、第3コイル13からの磁束A3の一部は、第2部分32を通らずに第1部分31を通って一巡する。そのため、第2部分32における磁束A1と磁束A3との均衡が崩れ、第2コイル12に電圧e2が生じ得る。すなわち、被検試料Sに含まれる磁性粉の濃度の増減に応じて、第1環状部3aの磁気抵抗が減少又は増加する。そのため、磁束A3のうち第1部分31を通過する磁束線が増加又は減少し、それに伴って、打ち消されずに第2部分32を通る磁束線の数が増加又は減少し、もって電圧e2が増加又は減少する。従って、電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料S中の磁性粉濃度を検出することができる。なお、第2環状部3bだけが被検試料に晒される部分を含んでいる場合(例えば間隙52が被検試料Sに晒される場合)も同様に、電圧e2を監視又は測定することによって、被検試料S中の磁性粉濃度を検出することができる。
<より具体的な構造例>
図6A及び図6Bには、一実施形態の磁性粉濃度センサの構造及び形状のより具体的な例が示されている。図6Aに示される例の磁性粉濃度センサ10aは、図3の例と同様に、コア材3と、第1~第3のコイル11~13とを含んでいる。コイル11~13は、それぞれ、コア材3の互いに対向する三つの部分に巻かれている。コア材3は、第1コイル11と第2コイル12との間に間隙51を有し、第1コイル11と第3コイル13との間に間隙52を有している。コア材3は、コア材3の平面形状を有する、コア材3全体の厚さよりも薄い板状材の積層体で構成されている。そうすることによってコア材3内で生じる渦電流損を小さくすることができる。
図6Aの磁性粉濃度センサ10aは、それぞれ平板状の固定部材71及び固定部材72を含んでいる。薄板の積層体で構成されるコア材3は固定部材71及び固定部材72で挟まれると共にこれら固定部材71、72に、ネジなどの締結部材73で固定されている。固定部材71、72は、間隙51、52それぞれを露出させる各開口と、第1~第3のコイル11~13を露出させる開口とを有している。コア材3の対向する二つの側面には半円筒形の切り欠き301が設けられており、締結部材73は、固定部材71に設けられたキリ穴を介して切り欠き301に通され、さらに固定部材72に螺合される。コア材3における締結部材73の貫通箇所をキリ穴ではなく側面に設けた切り欠きとすることによって、コア材3の熱変形などを幾分許容してコア材3内の応力の発生を抑制し得ることがある。また、コア材3の小型化に寄与し得ることがある。
図6Bに示される例の磁性粉濃度センサ10bも、薄板の積層体であるコア材3と、コア材3の三つの部分にそれぞれ巻かれている第1~第3のコイル11~13とを含んでいる。しかし図6Bの例のコア材3は、間隙51を第2コイル12の直近に有し、間隙52を第3コイル13の直近に有している。間隙51は、第2コイル12が巻かれている第2部分32が延びる方向においてコア材3を第2部分32側と第1部分31側とに分断している。そのため間隙51において、向かい合う二つの端面は、第2部分32が延びる方向と直交している。同様に、間隙52は、第3コイル13が巻かれている第3部分33が延びる方向においてコア材3を第3部分33側と第1部分31側とに分断しており、間隙52において向かい合う二つの端面は第3部分33が延びる方向と直交している。
そして間隙51及び間隙52は、それぞれ、第1コイル11と対向している。逆に、第1コイル11と第2コイル12とは対向しておらず、同様に第1コイル11と第3コイル13も対向していない。そのため、コア材3の内部を通らずに各コイル間を行き来する漏れ磁束が少ないと考えられる。従って検出感度が高まることがある。また、コア材3内を通る磁束による誘導成分と位相の異なる成分を誘導させる漏れ磁束が少ないので、第2コイル12の巻き線構造と第3コイル13の巻き線構造との対称性が多少不完全であっても、被検試料S(図3参照)が磁性粉を含んでいないときの両コイルの出力電圧間に、ゼロ点調整でも解消されずに残留電圧となるような顕著な差が生じ難い。また、各コイルが互い違いに配置されるので、コア材3の小型化に寄与し得ることがある。
図7Aには、一実施形態の磁性粉濃度センサの第1~第3のコイル11~13の他の例、特に第2コイル12及び第3コイル13の他の例が示されている。図7Aにおいて各コイルは、コア材3の第1~第3の部分31~33それぞれの軸方向(図7AのY方向)における同一位置で複数回巻回(多層巻き)されている。各コイルを構成する線材は、軸方向に直交する径方向において積層するように巻かれている。例えば第1コイル11は、コア材3の第1部分31の表面に接する(少なくとも近接する)第1端部11aと、第1端部11aと反対側の端部であって第1端部11aよりも第1部分31から離間する第2端部11bとを有している。図7AのY方向の上側から下側を眺めるように第1コイル11を見ると、すなわち-Y方向に沿って第1コイル11を見ると、第1コイル11を構成する線材は第1端部11aから第2端部11bへと時計周りに巻かれている。
一方、第2コイル12は、第1端部12a、第1端部12aと反対側の端部である第2端部12b、及び、第1端部12aと第2端部12bとの間の中間部12cを有している。第3コイル13も、同様に、第1端部13a、第2端部13b、及び中間部13cを有している。また、第2コイル12及び第3コイル13は、それぞれ、二つの巻回位置に分割して巻回されている。第2コイル12では、第1端部12aから中間部12cまでが一方の巻回位置に巻かれており、中間部12cから第2端部12bまでが他方の巻回位置に巻かれている。すなわち、第2コイル12は、第1端部12aと中間部12cとの間の分割コイル121と、中間部12cと第2端部12bとの間の分割コイル122とに分割して形成されており、これら二つの分割コイルによって構成されている。同様に、第3コイル13は、分割コイル131と分割コイル132とに分割して形成されており、これら二つの分割コイルによって構成されている。
分割コイル121では、第1端部12aがコア材3の第2部分32の表面に接して(少なくとも近接して)おり、中間部12cは第1端部12aよりも第2部分32から離間している。一方、分割コイル122では、第2端部12bがコア材3の第2部分32に接して(少なくとも近接して)おり、中間部12cは第2端部12bよりも第2部分32から離間している。図7Aの-Y方向に沿って第2コイル12を見ると、分割コイル121を構成する線材は、第1端部12aから中間部12cへと、すなわち、第2部分32の表面に沿う内周側から第2部分32と離間する外周側へと、反時計回りに巻かれている。一方、分割コイル122を構成する線材は、第2端部12bから中間部12cへと、すなわち、第2部分32の表面に沿う内周側から第2部分32と離間する外周側へと、時計回りに巻かれている。しかし、第2コイル12全体では、線材は第1端部12aから第2端部12bまで一貫して(-Y方向に沿って見たときに)反時計周りに巻かれており、第2コイル12は単一のコイルとしても成り立っている。第3コイル13の分割コイル131、132も、第2コイル12の分割コイル121、122それぞれと同様の方法で巻回されている。
図7Aの例のように分割コイル121、122、又は分割コイル131、132によって構成される第2コイル12及び第3コイル13は、以下に説明されるように、磁性粉濃度センサの検出精度を向上させることがある。
磁性粉濃度センサにおいて励磁コイル及び検出コイルとして機能する第1~第3のコイル11~13が多層巻きによって形成されると、各コイルにおける内周側の第1端部11a、12a、13a、並びに第2コイル12及び第3コイル13の第2端部12b、13bは、コア材3に近接しているため、図7Aに容量Cs1で示されるように、コア材3と静電結合する。コア材3は多くの場合良好な導電体なので、これらコア材3に近接する各端部は互いに同じ電位を有することになる。一方、コア材3から離間する、第1コイル11の第2端部11b、並びに第2コイル12及び第3コイル13の中間部12c、13cは、互いに隣接しているため、図7Aに容量Cs2で示されるように、互いに静電結合する。そうすると、第1コイル11に電圧e1に示される電圧が印加されると、第2コイル12の分割コイル121、122には、電磁誘導とは別に、静電結合によって電圧e21が誘起される(図示されていないが、第3コイル13にも同様に静電結合によって電圧が誘起される)。
ここで、第2コイル12が、第1端部12aから第2端部12bまで、一貫してコア材3に近接する内側からコア材3と離間する外側に向かって巻かれている、又は一貫して外側から内側に向かって巻かれていると(例えば分割コイル121だけで構成されていると)、電磁誘導によって誘起されるべき出力電圧が電圧e21によって変動する。その結果、第2コイル12の出力と第3コイル13の出力との間に、被検試料S(図3参照)中の磁性粉の存在に依らず差異が生じることがある。しかも静電結合による電圧e21は、出力電圧の振幅だけでなく位相も変化させるため、ゼロ点調整回路6を用いても十分な調整が困難になることがある。
しかし、図7Aの例では、第2コイル12が、第1端部12aと第2端部12bとの間において、径方向における巻回方向(内側から外側又は外側から内側)が互いに異なる二つのコイル(分割コイル121、122)によって構成されているので、両分割コイルに誘起される電圧e21が相殺される。第3コイル13においても、同様に静電結合による電圧は相殺される。従って、第2及び第3のコイル12、13それぞれの出力電圧が、静電結合による電圧の影響を受け難く、結果として、磁性粉濃度センサの検出精度が向上することがある。なお、分割コイル121と分割コイル122とは、巻回方向を除いて互いに同じ構造及び同じ特性を有しているのが好ましい。分割コイル131と分割コイル132も同様である。
図7Aでは、第2コイル12は、コア材3に近接する第1端部12a及び第2端部12bそれぞれから外側に向かって巻回され、コア材3と離間する中間部12cで分割コイル121、122同士が連結されている。しかし、第2コイル12(及び第3コイル13)は、コア材3に近接する中間部から、それぞれ、コア材3と離間する外側の両端部それぞれに向かって巻回される二つに分割コイルによって構成されてもよい。すなわち、第2コイル12及び第3コイル13は、それぞれ、所謂α巻きと呼ばれる巻回方法で巻回されていてもよい。その場合でも、静電結合による電圧が相殺され得る。
図7B及び図7Cには、被検試料に磁性粉が含まれていない状態での第2コイル12及び第3コイル13の出力間の差電圧edの実測波形の例が、第1コイル11への印加電圧e1(2V/div)と共に示されている。図7Bには、第2コイル12及び第3コイル13が図7Aに示されるような分割コイルで形成されていない場合の差電圧edの実測波形が示され、図7Cには、両コイルが図7Aに示されるような分割コイルで形成されている場合の差電圧edの実測波形が示されている。なお、差電圧edのスケールは、図7Bでは100mV/divであり、図7Cでは10mV/divである。
図7Bから明らかなように、第2コイル12及び第3コイル13が分割コイルで構成されていないと、被検試料が磁性粉を含んでいないにも拘らず、500mVp-p程度の差電圧edが生じている。しかも、差電圧edの位相は入力電圧e1の位相と明らかに異なっている。一方、図7Cでは、差電圧edの振幅は数mVp-p程度に抑えられており、また、入力電圧e1との位相差も大きく低減されている。第2及び第3コイル12、13を分割コイルで構成することによって、磁性粉濃度センサの検出精度を向上させ得ることが解る。
<コア材の固定構造>
前述したように、実施形態の磁性粉濃度センサには、温度変動に対して安定して正確な磁性粉濃度を得るべく見出された幾つかの構成が備わっている。しかし、本発明者は、さらに温度変動の影響を抑制すべく鋭意検討を重ね、コア材に応力を生じさせないことが、前述した僅かな濃度の磁性粉の検出を実現すべく温度変動の影響を抑制するうえで好ましいことを見出した。すなわち、コア材に応力が生じると、磁歪の影響が生じたり、コア材を構成する薄板の積層状態の変化の影響が生じたりして、結果的にセンサの出力が温度変動によって変動することを見出した。実施形態の磁性粉濃度センサでは、コア材は、図6Aの例の固定部材71、72のような、コア材3を固定、保持、若しくは保護する部材、又は、磁性粉濃度センサの設置個所への取り付けを媒介する部材に固定され得る。温度変化を伴う環境下でも応力の発生を抑制し得る、コア材と周辺部材との取り付け構造の例を、図8A、及び図8AのVIIIB部の拡大断面図を示す図8Bを参照して、以下に説明する。
図8Aには、一実施形態の磁性粉濃度センサ10cの側面図が例示されている。磁性粉濃度センサ10cは、先に参照した図1~図5に例示の磁性粉濃度センサ1、1a~1cなどが含むコア材と同様のコア材3、及び第1及び第2コイル11、12のような少なくとも二つのコイル(励磁コイル及び検出コイル)を含んでいる(図8Aには第2コイル12が示されている)。加えて、磁性粉濃度センサ10cは、図6Aの例の磁性粉濃度センサ10aと同様に、コア材3が固定される固定部材71、72、及び、固定部材72へのコア材3の固定に用いられる部材である固定補助部材(図8Aの例では、締結部材73及び中継部材74)を備えている。
コア材3は、図8Aに示されるX方向(第2方向)において積層されている複数の板状材によって構成されている。固定部材72は、固定部材71との間でコア材3を挟持すべくコア材3を支持する平板状の支持部72a、及び、磁性粉濃度センサ10cの所定の設置個所への取り付けを媒介する取り付け部72bを含んでいる。取り付け部72bは、図8Aに示されるY方向(第2方向と直交する第1方向)におけるコア材3の一端側3αで支持部72aと連結しており、一端側3αから他端側3βへと延びている。図8Aの磁性粉濃度センサ10cは、さらに、締結部材75~77及びスペーサ78を含んでいる。締結部材73、75~77としては、ネジ及びリベットなどが例示されるが、複数の部材を固定、結束、又は締め付けできるものであれば、これらに限定されない。
固定部材71、72、締結部材73、75~77、中継部材74、及びスペーサ78は、例えば、非磁性の任意の材料で形成されている。非磁性の材料を用いることによってコア材3を通る磁束への影響を少なくすることができる。固定部材71、72、及び中継部材74の材料としては銅が例示され、締結部材73、75~77、及びスペーサ76の材料としては、SUS304などのステンレス鋼が例示される。しかし、これら各構成要素の材料はステンレス鋼又は銅に限定されない。
磁性粉濃度センサ10cは、さらに、コア材3に生じ得る応力を緩和する緩和部材81、82を備えている。緩和部材81、82は、固定部材72並びに固定補助部材(締結部材73及び中継部材74)の少なくともいずれかとコア材3との間の線膨張係数の違いによってコア材3に生じ得る応力又は歪みを緩和する。図8Aに示されるように、緩和部材81は、固定部材72と固定補助部材である締結部材73の一部(頭部73b)との間に配置されている。緩和部材82は、固定部材72の取り付け部72bと固定補助部材である中継部材74との間に配置されている。
緩和部材81は、固定補助部材である締結部材73の線膨張係数との大小関係についてコア材3の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有している。すなわち、コア材3の線膨張係数が締結部材73の線膨張係数よりも小さい(大きい)場合、緩和部材81は、締結部材73の線膨張係数よりも大きい(小さい)線膨張係数を有する材料で形成される。緩和部材82は、固定部材72の線膨張係数との大小関係についてコア材3の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有している。すなわち、コア材3の線膨張係数が固定部材72の線膨張係数よりも小さい(大きい)場合、緩和部材82は、固定部材72の線膨張係数よりも大きい(小さい)線膨張係数を有する材料で形成される。
例えば前述したように固定部材72が銅で形成され、締結部材73がSUS304で形成され、そしてコア材3がPCパーマロイで形成される場合、コア材3の線膨張係数は、固定部材72及び固定補助部材(締結部材73)それぞれの線膨張係数よりも小さい。この場合、緩和部材81及び緩和部材82は、いずれも、亜鉛やアルミニウムのような、銅やSUS304よりも大きな線膨張係数を有する材料で形成される。すなわち緩和部材81、82の線膨張係数は、固定部材72及び固定補助部材(締結部材73)それぞれの線膨張係数よりも大きい。緩和部材81、82は、このように固定部材72及び固定補助部材(例えば締結部材73)の少なくともいずれかの線膨張係数との大小関係についてコア材3の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有しているので、以下に説明されるように、コア材3に生じ得る応力を緩和することができる。
図8Aに示されるコア材3は、その一端側3αにおいて固定部材71及び二つの緩和部材81と共に、締結部材73によって固定部材72に共締めされている。締結部材73は、X方向に沿って延在していて一端において固定部材72と結合(例えば螺合)している。締結部材73は、緩和部材81及びコア材3を貫通する本体部73aを有すると共に、固定部材72と結合している一端の反対側に、緩和部材81と共にコア材3を押す押圧部として頭部73bを有している。緩和部材81は、X方向においてコア材3と共に、押圧部である頭部73bと固定部材72とに挟まれている。
締結部材73によるコア材3の固定部材72への固定に関して、温度変化によるコア材3でのX方向に関する応力の発生を防ぐ又は抑制するには、次の式(1)を成立させるか、少なくとも両辺の差を極力小さくする必要がある。式(1)において、W1~W3は、図8Aに示されるように、それぞれ、コア材3全体、固定部材71、及び各緩和部材81のX方向における長さ(厚さ)であり、α1~α4は、それぞれ、コア材3、固定部材71、緩和部材81、及び締結部材73の線膨張係数である。式(1)は、X方向において、締結部材73の熱変形量と、コア材3、固定部材71及び緩和部材81の熱変形量とが等しいことを示している。式(1)は式(2)に変形することができる。
α1*W1+α2*W2+2*α3*W3=α4*(W1+W2+2*W3)…(1)
W1(α1-α4)+W2(α2-α4)+2*W3(α3-α4)=0 …(2)
式(2)が成立する又はその左辺が極力ゼロに近づくためには、左辺の第1項及び第2項の和の正負と、第3項の正負とが逆である必要がある。ここで、固定部材71のα2と締結部材73のα4との差が、コア材3のα1と締結部材73のα4との差と比べて小さいと仮定すると、式(2)の左辺の第1項及び第2項の和の正負は、W2がW1よりも極端に大きくない限り、第1項の正負に支配される。従って、コア材3のα1が締結部材73のα4よりも小さい場合、緩和部材81のα3は、好ましくは、締結部材73のα4よりも大きい。また、コア材3のα1が締結部材73のα4よりも大きい場合は、緩和部材81のα3は、好ましくは、締結部材73のα4よりも小さい。このように、緩和部材81の材料を線膨張係数について適切に選択することによって、コア材3に生じ得る応力を、少なくとも抑制することができる。
なお、前述した「固定部材71のα2と締結部材73のα4との差が、コア材3のα1と締結部材73のα4との差と比べて小さい」という仮定は十分に成立し得る。例えば、前述したように、コア材3、固定部材71、及び締結部材73は、それぞれ、PCパーマロイ、銅、及びSUS304で形成されてもよい。例えばこれらの材料が用いられれば、上記仮定は成立する。また、図8A及び図8Bに示される締結部材76による、コア材3を構成する複数の板状材の結束においては、固定部材71を共締めしていない(すなわち上記式(2)の左辺の第2項は存在しない)。従って、締結部材76と組み合わされる緩和部材81の材料は、固定部材71のα2に関係なく、単に締結部材76の線膨張係数との大小関係についてコア材3の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有する材料から選択され得る。
図8A及び図8Bに示されるように、コア材3は、その他端側3βでは、締結部材75によって、中継部材74に固定されている。中継部材74は、Y方向に延びる部分と、そのY方向に延びる部分の両端それぞれからX方向における互いに逆方向に突出する部分とを含むように二つの屈折部を有しているクランク型の角柱体である。中継部材74は、緩和部材82を介して固定部材72の取り付け部72bに固定されている。すなわちコア材3は、Y方向における一端側3αの反対側である他端側3βでは、固定部材71、72には直接固定されずに、中継部材74及び緩和部材82を介して固定部材72に固定されている。このような固定構造によって、後述されるように、温度変化によるY方向に関するコア材3での応力の発生が、防止又は抑制され得る。
図8Bに示されるように、具体的には、固定部材71、及び固定部材72の支持部72aは、コア材3の他端側3βと対応する側に、それぞれ開口70a、70bを有し、締結部材75の頭部は開口70a内に位置している。締結部材75の本体部は、二つの緩和部材81及びコア材3を貫通して開口70b内に突出している。X方向における中継部材74のコア材3側の端部が開口70b内に挿入され、開口70b内で緩和部材81と当接すると共に、締結部材75と結合(例えば螺合)されている。すなわちコア材3は、図8Aに示されるようにY方向(第1方向)における一端側3αで、固定部材72における締結部材73との連結部(第1連結部721)に連結され、且つ、一端側3αと反対側の他端側3βで、固定補助部材である中継部材74における締結部材75との螺合部(第2連結部742)に連結されている。
緩和部材82は、Y方向に延びる部分を含む、例えば板状又は柱状などの任意の形状を有している。緩和部材82は、第1連結部721よりもY方向においてコア材3の他端側3βに位置する、固定部材72(取り付け部72b)の第3連結部723に連結されている。緩和部材82は、Y方向においてコア部材3の他端側3βに位置する端部において第3連結部723に連結されている。そして緩和部材82は、第2連結部742よりもY方向においてコア材3の一端側3αに位置する中継部材74の第4連結部744に連結されている。緩和部材82は、Y方向においてコア部材3の一端側3αに位置する端部において第4連結部744に連結されている。緩和部材82は、ネジ、リベット、及び接着剤などの任意の連結具を用いて、中継部材74及び固定部材72の取り付け部72bと連結され得る。
図8A及び図8Bに示される、固定部材72へのコア材3の取り付け構造の下で、Y方向に関して、温度変化によるコア材3での応力の発生を防ぐ又は抑制するには、次の式(3)を成立させるか、少なくとも両辺の差を極力小さくする必要がある。式(3)は、距離L1の間で、コア材3の膨張・収縮と、その他の部材(固定部材72、中継部材74及び緩和部材82)の膨張・収縮とが相殺することを示している。式(3)は、コア材3と固定部材72との熱変形量の差と、中継部材74と緩和部材82との熱変形量の差とが等しいことを示しているともいえる。式(3)において、L1~L4は、図8Aに示されるように、Y方向における熱変形が無い状態での、第1連結部721と第2連結部742との間、第1連結部721と第3連結部723との間、第4連結部744と第2連結部742との間、及び、第4連結部744と第3連結部723との間、それぞれの距離(長さ)である。α1、α2、α5、及びα6は、それぞれ、コア材3、固定部材72、中継部材74、及び緩和部材82の線膨張係数である。Y方向における熱変形が無い状態では、L1-L3+L4=L2である。また、材料選択を容易にすべく、固定部材72及び中継部材74が線膨張率α2を有する同じ材料で形成されると、式(3)は式(4)に変形することができる。
α1*L1=α2*L2-α6*L4+α5*L3…(3)
L1(α2-α1)+L4*(α2-α6)=0 …(4)
式(4)が成立する、又はその左辺が極力ゼロに近づくためには、左辺の第1項の正負と、第2稿の正負とが逆である必要がある。従って、コア材3のα1が固定部材72(及び中継部材74)のα2よりも小さい場合(第1項が正の値)、緩和部材82のα6は、好ましくは、固定部材72のα2よりも大きい。また、コア材3のα1が固定部材72のα2よりも大きい場合(第1項が負の値)は、緩和部材82のα6は、好ましくは、固定部材72のα2よりも小さい。このように、緩和部材82の材料を線膨張係数について適切に選択することによって、Y方向に関してコア材3に生じ得る応力を少なくとも抑制することができる。
なお、図8A及び図8Bに示されるように、コア材3を構成する複数の薄板は、コア材3の他端側3βの近傍においても締結部材76によって結束されているため、他端側3βにおいても、コア材3を構成する薄板同士は離間し得ない。また、緩和部材81を介して締結部材76によって結束されているため、X方向に関してコア材3内に応力は生じ難い。また固定部材71、72のいずれも締結部材76ではコア材3と共締めされていないので、Y方向に関する応力も生じ難い。さらに、コア材3の他端側3βにおいて、固定部材71と固定部材72とが、締結部材77によってスペーサ78を介して連結されている。コア材3の他端側3βにおける固定部材71と固定部材72との離間が防がれる。なお、コア材3は締結部材77によって固定部材71、72に直接固定されていないので、締結部材77による両固定部材の連結は、Y方向に関する応力をもたらし難い。
図9Aには、図8Aに例示の取り付け構造を用いずにコア材が固定された磁性粉濃度センサにおいて周囲温度を0℃から40℃まで周期的に変化させたときに確認されたセンサの出力P2(例えば図1及び図3に示される電圧e2)が温度変化P1と共に示されている。すなわち、センサ出力P2が確認された磁性粉濃度センサでは、コア材は、緩和部材を介さずに締結部材で固定部材に固定され、且つ、その両端において直接固定部材に固定された。一方、図9Bには、図8Aに例示の取り付け構造と同様の原理で応力が抑制されるようにコア材が固定された磁性粉濃度センサにおいて、図9Aと同様に周囲温度を周期的に変化させたときに確認されたセンサの出力P4が温度変化P3と共に示されている。なお、図9A及び図9Bは、センサ出力P2、P4の絶対値を示すことを意図していないので、センサ出力P2、P4に関する縦軸の目盛りは省略されている。
図9Aに示されるように、図8Aに例示の構造が採用されていない磁性粉濃度センサの出力P2は、周囲温度が高温側に変化して20℃付近に戻ったときの値と、低温側に変化して20℃付近に戻ったときの値とが乖離しており、温度ヒステリシスを有している。また、センサ出力開始後、センサ出力P2は直ぐには安定せず、温度変化のサイクル毎に値が変化している。このようなセンサ出力P2の不安定さは、前述したように、コア材内で生じる応力が影響しているものと考えられた。特に温度ヒステリシスについては、高温側及び低温側で生じた応力による磁歪の影響などが、20℃付近に温度が復帰するだけでは解消されずにより低温側又は高温側に至るまで残留していることによるものと考えられた。
これに対して、図9Bに示されるセンサ出力P4は、高温側から20℃付近に戻ったときの値と低温側から20℃付近に戻ったときの値とが略一致しており、温度ヒステリシスを略有していない。また、センサ出力開始後、速やかに出力P4が安定している。これらは、図8Aに例示の取り付け構造の原理を用いることによって、コア材内での応力の発生が抑制されたことによるものと考えられる。
<磁性粉濃度センサの設置例>
上記に説明された各例の磁性粉濃度センサは、任意の形態で使用され、その使用形態に関して何ら限定されない。各例の磁性粉濃度センサは、例えば携帯式の磁性粉濃度センサとして用いられてもよいが、前述したように、測定毎に被検試料を磁性粉濃度センサに対して相対移動させる操作が不要な点で、定置式の磁性粉濃度センサとして用いられることが、より有益なことがある。図10に幾つかの設置例が示されるように、実施形態の磁性粉濃度センサ1は、摩耗により生じる金属粉を除去すべく油槽T1に設けられる磁気栓T3に付与されてもよい。また、実施形態の磁性粉濃度センサ1は、油槽T1に装備される油面計T4に付与されてもよく、油槽T1に接続されている配管T2の側面又は内部に設置されてもよい。いずれの場合も、実施形態の磁性粉濃度センサ1は、二つの環状部のいずれか一方だけが、油槽T1内若しくは配管T2内の油に晒されるように設置される。
<試料中の磁性粉濃度の検出方法>
本発明の一実施形態に係る、試料中の磁性粉濃度の検出方法を、再度、図1~図5を適宜参照して説明する。なお、図1~図5に例示の各磁性粉濃度センサは、一実施形態の試料中の磁性粉濃度の検出方法の実施に適しているが、一実施形態の磁性粉濃度の検出方法に用いられるセンサは、図1~図5に例示の各磁性粉濃度センサに限定されない。なお、以下では、図1~図5に例示の各磁性粉濃度センサは、特に互いに区別する必要がないときは、単に「センサ1」とも称される。
一実施形態の試料中の磁性粉濃度の検出方法は、例えば図1に示されるような、第1コイル11、及び第1コイル11によって生成される磁束に基づく電圧e2を生じさせる第2コイル12を有するセンサ1に被検試料Sを供給することと、第2コイル12の電圧e2を含むセンサ1の出力を把握することと、を含んでいる。センサ1において第1コイル11及び第2コイル12は、共通のコア材3の互いに異なる部分(第1部分31及び第2部分32)にそれぞれ巻かれていてコア材3を介して磁気的に結合している。コア材3は、第1コイル11が巻かれている部分を共有する二つの環状部(第1環状部3a及び第2環状部3b)を有している。そして本実施形態においてセンサ1に被検試料Sを供給することは、コア材3の二つの環状部3a、3bの一方だけを被検試料Sに晒すことを含んでいる。なお、一実施形態の試料中の磁性粉濃度の検出方法は、第2コイル12に電圧を誘起させるべく、第1コイル11に交流電流を供給することをさらに含み得る。また、被検試料Sの供給の前に、上記センサ1の如く二つのコイルが異なる部分に巻かれているコア材を備えていてそのコア材の二つの環状部3a、3bのいずれかが晒される被検試料中の磁性粉の濃度を検出可能なセンサが用意される。
図1~図5を参照して前述したように、センサ1の第2コイル12は、第1環状部3a又は第2環状部3bのいずれか一方が被検試料Sに晒されることによって、被検試料Sに含まれる磁性粉の濃度に応じた電圧e2を誘起させ得る。従って、図1のように電圧e2そのものである磁性粉濃度センサ1の出力を把握することによって被検試料S中の磁性粉の濃度を得ることができる。或いは、図3のように電圧e2と、第3コイル13で誘起される電圧e3とを含む磁性粉濃度センサ1aの出力を把握することによって被検試料S中の磁性粉の濃度を得ることができる。
なお、本実施形態の磁性粉濃度の検出方法に用いられるセンサは、図5の例の磁性粉濃度センサ1cのように、第2コイル12が巻かれている第2部分32を共有する二つの環状部(第1環状部3a及び第2環状部3b)を有していてもよい。前述したように、図5の磁性粉濃度センサ1cにおいても、二つの環状部3a、3bのいずれか一方が被検試料Sに晒されることによって、被検試料S中の磁性粉の濃度に応じた電圧e2が第2コイル12に誘起される。従って、電圧e2そのものである磁性粉濃度センサ1cの出力を把握することによって被検試料S中の磁性粉の濃度を得ることができる。
また、本実施形態の磁性粉濃度の検出方法に用いられるセンサ1において、コア材3の二つの環状部3a、3bの一方又は両方は、図1の磁性粉濃度センサ1のように間隙51又は間隙52を有していてもよい。そして、本実施形態の磁性粉濃度の検出方法において二つの環状部3a、3bの一方だけを被検試料Sに晒すことは、間隙51又は間隙52を被検試料Sに晒すことを含んでいてもよい。コア材3の鉄損や磁気特性の温度変動の影響を受け難くすることができる。なお間隙51又は間隙52を被検試料Sに晒すことは、間隙51又は間隙52を被検試料Sで充填することを含んでいてもよい。
1、1a、1b、1c、10a、10b 10c 磁性粉濃度センサ
11~13 第1~第3コイル
3 コア材
31~33 第1部分~第3部分
3a 第1環状部
3b 第2環状部
3α コア材の一端側
3β コア材の他端側
4 被検試料に晒される部分(感知部)
51、52 間隙
71、72 固定部材
721、723 第1及び第3の連結部
73 締結部材(固定補助部材)
73b 頭部(押圧部)
74 中継部材(固定補助部材)
742、744 第2及び第4の連結部
81、82 緩和部材
A、A1~A3 磁束
e2 第2コイルに誘起される電圧
S 被検試料
S1 磁性粉
X X方向(第2方向)
Y Y方向(第1方向)

Claims (9)

  1. 第1コイルと、
    前記第1コイルによって生成される磁束に基づく電圧を生じさせる第2コイルと、
    を備えていて前記電圧を用いて試料中の磁性粉の濃度を示す磁性粉濃度センサであって、
    前記第1コイル及び前記第2コイルは磁心となるコア材を共有していて前記コア材の第1部分及び第2部分にそれぞれ巻かれており、
    前記コア材は、
    前記第1部分及び前記第2部分を含む第1環状部と、
    前記第1部分又は前記第2部分を前記第1環状部と共有している第2環状部と、
    を有し、
    前記第1環状部及び前記第2環状部のいずれか一方は、被検試料に晒される部分を含んでいる、磁性粉濃度センサ。
  2. 前記第1環状部は、前記被検試料に晒される部分である間隙を前記第1部分と前記第2部分との間に有している、請求項1記載の磁性粉濃度センサ。
  3. 前記第2環状部は、前記第1環状部との非共有部分に、前記被検試料に晒されない間隙を有している、請求項2記載の磁性粉濃度センサ。
  4. 前記第2環状部に巻かれている第3コイルをさらに備え、
    前記第3コイルは、前記第2コイルに直列接続され、且つ、前記第1コイルによって生成される磁束に基づいて、前記第2コイルが生じさせる前記電圧と反対方向の電圧を生じさせるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁性粉濃度センサ。
  5. 前記コア材が固定される固定部材と、
    前記固定部材への前記コア材の固定に用いられる固定補助部材と、
    前記固定部材と前記固定補助部材の少なくとも一部との間に配置されている緩和部材と、
    をさらに備え、
    前記緩和部材は、前記固定部材及び前記固定補助部材の少なくともいずれかの線膨張係数との大小関係について前記コア材の線膨張係数とは逆の線膨張係数を有している、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁性粉濃度センサ。
  6. 前記緩和部材の線膨張係数は、前記固定部材及び前記固定補助部材それぞれの線膨張係数よりも大きい、請求項5記載の磁性粉濃度センサ。
  7. 前記コア材は、第1方向における一端側で前記固定部材の第1連結部に連結され、且つ、前記一端側と反対側の他端側で前記固定補助部材の第2連結部に連結されており、
    前記緩和部材は、前記第1連結部よりも前記第1方向において前記コア材の前記他端側に位置する前記固定部材の第3連結部、及び前記第2連結部よりも前記第1方向において前記コア材の前記一端側に位置する前記固定補助部材の第4連結部に連結されている、請求項5又は6記載の磁性粉濃度センサ。
  8. 第1コイル、及び前記第1コイルによって生成される磁束に基づく電圧を生じさせる第2コイルを有するセンサに被検試料を供給することと、
    前記第2コイルの前記電圧を含む前記センサの出力を把握することと、
    を含む、試料中の磁性粉濃度の検出方法であって、
    前記第1コイル及び前記第2コイルは、共通のコア材の互いに異なる部分にそれぞれ巻かれており、
    前記コア材は、前記第1コイル又は前記第2コイルが巻かれている部分を共有する二つの環状部を有し、
    前記センサに前記被検試料を供給することは、前記コア材の前記二つの環状部の一方だけを前記被検試料に晒すことを含んでいる、試料中の磁性粉濃度の検出方法。
  9. 前記二つの環状部の前記一方は間隙を有しており、
    前記二つの環状部の前記一方だけを前記被検試料に晒すことは、前記間隙を前記被検試料に晒すことを含んでいる、請求項8記載の試料中の磁性粉濃度の検出方法。
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