JP2023009440A - 光照射医療装置 - Google Patents

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【課題】手技の効率化に資する光照射医療装置を提供する。【解決手段】長手軸方向xに遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向xに延在している内腔11を有するシャフト10と、内腔11に配置されている光ファイバー20と、内腔11に配置されており、光ファイバー20の遠位部の一部を覆っている筒部材40と、内腔11の筒部材40よりも近位側に配置されており、光ファイバー20を周回するように線材52がらせん状に巻回されているコイル部材50と、を有し、光ファイバー20はその遠位部の所定区間に長手軸方向xに延在しておりシャフト10の径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部21を有し、筒部材40が光拡散部21の一部を覆っており、コイル部材50が光ファイバー20に対して長手軸方向xに移動可能であり、コイル部材50の最大外径よりも筒部材40の最大外径の方が大きい光照射医療装置1。【選択図】図2

Description

本発明は、血管や消化管等の体内管腔において、がん細胞等の組織に光を照射するための光照射医療装置に関するものである。
光線力学的療法(Photodynamic Therapy:PDT)では、光増感剤を静脈注射や腹腔内投与で体内に投与し、がん細胞等の対象組織に光増感剤を集積させ、特定の波長の光を照射することにより光増感剤を励起させる。励起された光増感剤が基底状態に戻るときにエネルギー転換が生じ、活性酸素種を発生させる。活性酸素種が対象組織を攻撃することにより、対象組織を除去することができる。レーザー光を用いたアブレーションでは、対象組織にレーザー光を照射し、焼灼することが行われる。このような光照射を行うための装置が提案されている。
特許文献1には、光拡散用光ファイバを使用して患者の組織を照明する方法が開示されている。シースを、光拡散用ファイバの長さに沿って遠位に又は近位に摺動させることによって、医療処置を実施するために光拡散用ファイバの所望の長さを露出させることも開示されている。
特表2018-516098号公報
特許文献1に記載されているような光ファイバでは露出部の長さを調整することができるが、装置の周方向において発光強度分布にムラが生じることがあった。このため、対象組織の全体を照射するためには光射出と発光部位の位置調整を繰り返し行う必要があり、手技の長時間化や患者および術者の負担を引き起こすおそれがあった。そこで本発明は、手技の効率化に資する光照射医療装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の光照射医療装置の一実施態様は、長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、シャフトの内腔に配置されている光ファイバーと、シャフトの内腔に配置されており、光ファイバーの遠位部の一部を覆っている筒部材と、シャフトの内腔の筒部材よりも近位側に配置されており、光ファイバーを周回するように線材がらせん状に巻回されているコイル部材と、を有し、光ファイバーはその遠位部の所定区間に長手軸方向に延在しておりシャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有し、筒部材が光拡散部の一部を覆っており、コイル部材が光ファイバーに対して長手軸方向に移動可能であり、コイル部材の最大外径よりも筒部材の最大外径の方が大きい点に要旨を有する。上記光照射医療装置によれば、光拡散部のうち筒部材に覆われている部分では光拡散部から射出される光が筒部材の内面で反射するため、反射光が光拡散部のうち筒部材で覆われていない部分である露出部から様々な方向に拡散されやすくなる。その結果、シャフトの周方向において露出部の発光強度分布が均一化されやすくなる。これにより、腫瘍等の対象組織への照射回数や対象組織に対する露出部の位置調整の回数を減らすことができるため、手技の効率化が図られる。また、コイル部材が光ファイバーに対して長手軸方向に移動可能であるため、対象組織の形状に合わせて長手軸方向における露出部の長さを調整することが可能である。さらに、コイル部材の最大外径よりも筒部材の最大外径の方が大きいことにより、光ファイバーに対するコイル部材の移動操作が行いやすくなる。
上記光照射医療装置において、コイル部材は光拡散部の近位端よりも遠位側の位置まで移動可能であってもよい。コイル部材を最も遠位側に移動させたときに、コイル部材の遠位端が、筒部材の近位端よりも近位側に位置していてもよい。コイル部材を最も近位側に移動させたときに、コイル部材の遠位端が、光拡散部の近位端よりも近位側に位置していてもよい。筒部材の最小内径よりもコイル部材の最小内径の方が大きくてもよい。長手軸方向において、筒部材よりもコイル部材の方が長くてもよい。コイル部材は線材の線径の2倍以下のピッチを有する第2ピッチ部を有していてもよい。
上記光照射医療装置において、筒部材は光拡散部を周回するように線材がらせん状に巻回されている第1コイル部を有していてもよい。筒部材は、第1コイル部の内腔に、光拡散部を周回するように線材がらせん状に巻回されている第2コイル部を有していてもよい。第1コイル部の線材の線径が、第2コイル部の線材の線径よりも大きくてもよい。
上記光照射医療装置において、光ファイバーは、長手軸方向に延在しているコアを有し、光ファイバーは、コアの外周に配されている第1クラッドを有している第1区間を有し、光ファイバーは、光拡散部に、コアの外周に配されており第1クラッドよりも外周面の表面粗さが大きい第2クラッドを有し第1区間よりも遠位側に位置している第2区間を有していてもよい。光ファイバーは、長手軸方向に延在しているコアを有し、光ファイバーは、コアの外周に配されている第1クラッドを有している第1区間を有し、光ファイバーは、光拡散部に、クラッドが存在せず第1区間よりも遠位側に位置している第3区間を有していてもよい。
上記光照射医療装置によれば、光拡散部のうち筒部材に覆われている部分では光拡散部から射出される光が筒部材の内面で反射するため、反射光が光拡散部のうち筒部材で覆われていない部分である露出部から様々な方向に拡散されやすくなる。その結果、シャフトの周方向において露出部の発光強度分布が均一化されやすくなる。これにより、腫瘍等の対象組織への照射回数や対象組織に対する露出部の位置調整の回数を減らすことができるため、手技の効率化が図られる。また、コイル部材が光ファイバーに対して長手軸方向に移動可能であるため、対象組織の形状に合わせて長手軸方向における露出部の長さを調整することが可能である。さらに、コイル部材の最大外径よりも筒部材の最大外径の方が大きいことにより、光ファイバーに対するコイル部材の移動操作が行いやすくなる。
本発明の一実施形態に係る光照射医療装置の断面図(一部側面図)である。 図1に示した光照射医療装置の遠位側を拡大した断面図(一部側面図)である。 図2に示した光照射医療装置においてコイル部材を遠位側に移動させた状態を示す断面図(一部側面図)である。 図2に示した光照射医療装置のIV-IV線における切断部端面図である。 図2に示した筒部材の切断部端面図である。 図2に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。 図2に示した光照射医療装置の他の変形例を示す断面図(一部側面図)である。 図2に示した光照射医療装置のさらに他の変形例を示す断面図(一部側面図)である。 図2に示した光照射医療装置のさらに他の変形例を示す断面図(一部側面図)である。 図2に示した光ファイバーの遠位側を拡大した断面図である。 図10に示した光ファイバーの変形例を示す断面図である。 図10に示した光ファイバーの他の変形例を示す断面図である。
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
本発明の光照射医療装置の一実施態様は、長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、シャフトの内腔に配置されている光ファイバーと、シャフトの内腔に配置されており、光ファイバーの遠位部の一部を覆っている筒部材と、シャフトの内腔の筒部材よりも近位側に配置されており、光ファイバーを周回するように線材がらせん状に巻回されているコイル部材と、を有し、光ファイバーはその遠位部の所定区間に長手軸方向に延在しておりシャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有し、筒部材が光拡散部の一部を覆っており、コイル部材が光ファイバーに対して長手軸方向に移動可能であり、コイル部材の最大外径よりも筒部材の最大外径の方が大きい点に要旨を有する。上記光照射医療装置によれば、光拡散部のうち筒部材に覆われている部分では光拡散部から射出される光が筒部材の内面で反射するため、反射光が光拡散部のうち筒部材で覆われていない部分である露出部から様々な方向に拡散されやすくなる。その結果、シャフトの周方向において露出部の発光強度分布が均一化されやすくなる。これにより、腫瘍等の対象組織への照射回数や対象組織に対する露出部の位置調整の回数を減らすことができるため、手技の効率化が図られる。また、コイル部材が光ファイバーに対して長手軸方向に移動可能であるため、対象組織の形状に合わせて長手軸方向における露出部の長さを調整することが可能である。さらに、コイル部材の最大外径よりも筒部材の最大外径の方が大きいことにより、光ファイバーに対するコイル部材の移動操作が行いやすくなる。
光照射医療装置は、PDTや光アブレーションにおいて血管や消化管等の体内管腔で、がん細胞等の対象組織である処置部に対して特定の波長の光を照射するために用いられる。光照射医療装置は、単独で処置部まで送達されるものであってもよく、送達用のカテーテルや内視鏡と共に用いられてもよい。内視鏡を用いた治療では、内視鏡の鉗子チャンネルを通じて光照射医療装置が体内に配置され、処置部まで送達される。
図1~図12を参照しながら、装置の基本構成について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る光照射医療装置の断面図(一部側面図)である。図2は図1に示した光照射医療装置の遠位側を拡大した断面図(一部側面図)である。図3は図2に示した光照射医療装置においてコイル部材を遠位側に移動させた状態を示す断面図(一部側面図)である。図4は図2に示した光照射医療装置のIV-IV線における切断部端面図である。図5は図2に示した筒部材の切断部端面図である。図6~図9は図2に示した光照射医療装置のさらに他の変形例を示す断面図(一部側面図)である。図10は図2に示した光ファイバーの遠位側を拡大した断面図である。図11~図12は図10に示した光ファイバーの変形例を示す断面図である。光照射医療装置1は、シャフト10と光ファイバー20と筒部材40とコイル部材50を有している。以下では光照射医療装置を単に装置と称することがある。光ファイバー20と筒部材40の位置関係を理解しやすくするために、図10~図12ではシャフト10を省略している。
本明細書において、装置1の遠位側とは、シャフト10の長手軸方向xの遠位端側であって処置対象側を指す。装置1の近位側とは、シャフト10の長手軸方向xの近位端側であって使用者の手元側を指す。各部材をシャフト10の長手軸方向xにおいて二等分割したときの近位側を近位部、遠位側を遠位部と称することがある。装置1の径方向において、内方はシャフト10の長手軸方向xに延びる中心軸cに向かう方向を指し、外方は内方とは反対の放射方向を指す。
シャフト10は長手軸方向xと径方向と周方向pを有している。図1に示すようにシャフト10は、長手軸方向xに遠位端と近位端を有しており、長手軸方向xに延在している内腔11を有している。シャフト10は、内腔11を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。シャフト10はその内腔11に光ファイバー20、筒部材40およびコイル部材50を配置するために筒形状を有している。シャフト10は、内腔11を1つのみ有する筒形状を有していることが好ましい。シャフト10は体内に挿入されるため、好ましくは可撓性を有している。シャフト10は内周面12と外周面13を有している。
シャフト10は、一または複数の線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内側表面または外側表面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;樹脂チューブ;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手軸方向に接続したものが挙げられる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。シャフト10が樹脂チューブである場合、シャフト10は単層または複数層から構成することができる。シャフト10は長手軸方向xまたは周方向pの一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
シャフト10は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。シャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分は、光透過性を有する樹脂から構成されていることが好ましい。シャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分は、透明樹脂から構成されていてもよい。
図1に示すようにシャフト10の遠位端には先端チップ15が取り付けられていてもよい。シャフト10の遠位端部による生体組織の損傷を回避することができる。先端チップ15の形状としては、例えば円柱形状、長円柱形状、半球形状、長円球形状、角錐台形状、円錐台形状、長円錐台形状、角丸錐台形状、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
図1では、シャフト10の近位部がハンドル60に接続されている。術者がハンドル60を把持することで、装置1の操作が行いやすくなる。ハンドル60は、例えば長手軸方向xに延在している。ハンドル60は、一または複数の部材から構成することができる。図1では、ハンドル60は長手軸方向xに延在している中空部61を有している。ハンドル60は例えば筒形状を有していてもよい。図1では、中空部61にシャフト10と光ファイバー20が挿通されている。
ハンドル60の構成材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
光ファイバー20は対象組織まで光信号を送信する伝送路である。図1~図2に示すように光ファイバー20は、シャフト10の内腔11に配置されている。光ファイバー20はその遠位部の所定区間に長手軸方向xに延在しておりシャフト10の径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部21を有している。光拡散部21は発光エリアとして機能する。光拡散部21は、シャフト10の長手軸方向xおよび周方向pに延在するように配されている。光拡散部21は外周面23を有している。光拡散部21の外周面23はシャフト10の内周面12側に面している。図1では光ファイバー20の近位端部はハンドル60から近位側に向かって延出している。光ファイバー20の近位端部は半導体レーザー等の光源に接続される。
内視鏡を通じて、装置1を体腔内の対象組織がある位置まで挿入する。このとき、対象組織がシャフト10の外周面13よりも径方向の外方に位置するように配される。光拡散部21から射出された光がシャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分を透過することで、装置1の周りにある対象組織に光が到達する。
光拡散部21からは、少なくともシャフト10の径方向の外方に向かって光が射出されればよく、光拡散部21からは、シャフト10の周方向pの全体に亘ってシャフト10の径方向の外方に向かって光が射出されることが好ましい。光拡散部21からは、さらにシャフト10の遠位方向、すなわち前方に向かって光が射出されてもよい。ただし、装置1には光拡散部21からシャフト10の遠位方向のみに光が射出されるものは含まれないことが好ましい。
図1~図2に示すように光拡散部21の一部が筒部材40に覆われている。本明細書では、筒部材40を光ファイバー20から取り外したときに少なくとも径方向の外方に光が射出される部分を光拡散部21と称している。筒部材40が光拡散部21の一部を覆っている状態では、光拡散部21の遠位端と近位端の少なくともいずれかが筒部材40に隠れて視認できないことがあり、光拡散部21の遠位端と近位端の位置を把握することが困難な場合がある。このため、光拡散部21の遠位端と近位端の位置の特定は、筒部材40を光ファイバー20から取り外した状態で行うものとする。
本明細書では、光拡散部21のうち、筒部材40に覆われておらずシャフト10側に露出している部分を露出部22と称している。シャフト10の径方向において、露出部22とシャフト10の間には別の部材が存在しないことが好ましいが、露出部22から射出される光を遮らない部材であれば配されていてもよい。
光拡散部21は、光ファイバー20とは別個の拡散部材(例えば拡散板やプリズム)ではなく、光ファイバー20の一部を構成する部分である。光ファイバー20はコアとクラッドを有している。クラッドはコアの外周に配されて、コアの径方向の外方の一部を覆っている。光拡散部21は(i)コアのみ配されている態様、(ii)コアおよびクラッドが配されている態様、または(iii)一部がコアのみが配されており、他部がコアおよびクラッドが配されている態様のいずれかから構成されていることが好ましい。クラッドの径方向の外方には保護用の被覆材が配されていてもよいが、光拡散部21ではコアおよびクラッド以外の部材は配されていないことが好ましい。
コアおよびクラッドを構成する材料は特に限定されず、プラスチック、石英ガラス、フッ化物ガラス等のガラスを用いることができる。
シャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分では、シャフト10を構成する樹脂に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機系粒子、架橋アクリル系粒子、架橋スチレン系粒子等の有機系粒子の光拡散性の材料を添加することができる。光拡散部21から射出される光がシャフト10によって一層拡散されやすくなる。
光拡散部21は、光ファイバー20の最も遠位側に配されていることが好ましい。これにより光拡散部21の形成が行いやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。
長手軸方向xにおいて光拡散部21の長さは光ファイバー20の全長の50分の1以上、45分の1以上、30分の1以上の長さに設定されてもよい。このような長さに設定することで一度の照射で対象組織全体を照射しやすくなる。また、長手軸方向xにおいて光拡散部21の長さは光ファイバー20の全長の20分の1以下、25分の1以下、30分の1以下の長さに設定されてもよい。このような長さに設定することで対象外の組織への照射を防ぐことができる。
光拡散部21は、シャフト10の周方向pの一部のみに配されていてもよいが、図4に示すように、光拡散部21は、シャフト10の周方向pの全体に配されていることが好ましい。周方向pの広範囲を一度に照射することができるため、手技の効率化が図られる。
図10~図12を参照しながら光ファイバー20の構成例を説明する。図10~図12では、光ファイバー20は、長手軸方向xに延在しているコア25を有し、光ファイバー20は、コア25の外周に配されている第1クラッド26を有している第1区間31を有している。第1区間31では、コア25と第1クラッド26の境界で光が全反射しやすくなるため、第1区間31では、光がコア25内に閉じ込められながら光ファイバー20の遠位側に伝搬される。
第1区間31では、1つの第1クラッド26の中に1つのコア25が配されていることが好ましい。第1区間31では光ファイバーはシングルコア光ファイバーと言い換えることができる。
光ファイバー20のプロファイルの増加を防ぐために、第1区間31では第1クラッド26が光ファイバー20の径方向の最も外側に位置していてもよい。すなわち、第1区間31には被覆材などの他の部材が配されなくてもよい。
図示していないが、光ファイバー20の第1区間31には、第1クラッド26の外周に被覆材が配されていてもよい。第1区間31の外側を保護することが可能となり、第1区間31において外への光漏れや射出を抑制することもできる。被覆材は、第1クラッド26の外周面上に配される被覆層であってもよく、第1クラッド26を内包するシースであってもよい。被覆材は、紫外線硬化樹脂等の樹脂から構成することができる。
図10では、光ファイバー20は、光拡散部21に、コア25の外周に配されており第1クラッド26よりも外周面の表面粗さが大きい第2クラッド27を有し第1区間31よりも遠位側に位置している第2区間32を有している。第1区間31よりも第2区間32でクラッドの表面粗さを大きくすることで、光の一部はコア25内に閉じ込められながら光ファイバー20の遠位側に伝搬され、残りの光は第2クラッド27から外に漏れて径方向の外方に射出される。なお、第1区間31では光が径方向の外方に射出されないか、または第2区間32よりも光の漏れ量が小さいことが好ましい。
第1区間31と同様に、第2区間32では、1つの第2クラッド27の中に1つのコア25が配されていることが好ましい。第1区間31の第1クラッド26と第2区間32の第2クラッド27は一体成形されていてもよく、第1区間31用の光ファイバーと第2区間32用の光ファイバーが長手軸方向xに接合されていてもよい。
第2区間32では、第2クラッド27が光ファイバー20の径方向の最も外側に位置していることが好ましい。すなわち、第2区間32では、コア25と第2クラッド27以外の部材(例えば被覆材)が配されていないことが好ましい。この構成により、第2区間32からシャフト10の径方向の外方に向かって光を射出することができる。
第2区間32の第2クラッド27の外周面の表面粗さは、第1区間31の第1クラッド26の外周面の表面粗さよりも大きい。ここで、表面粗さは、光ファイバー20の外周面の長手軸方向における粗さ曲線の基準長さ間での算術平均粗さRaである。基準長さは、使用するレーザー顕微鏡の拡大率に応じて設定すればよいが、例えば200μmである。上記算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に規定される算術平均粗さRaに相当し、JIS B 0633(2001)に準じて測定される。測定には、JIS B 0651(2001)に規定される測定機(例えば、キーエンス社製レーザー顕微鏡 VK-X3000)を用いる。
第2区間32の第2クラッド27の外周面の表面粗さの平均値が、第1区間31の第1クラッド26の外周面の表面粗さの平均値よりも大きいことが好ましい。第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第2区間32では第2クラッド27から光が径方向の外方に射出されやすくなる。その結果、長手軸方向xにおいて光拡散部21の発光強度分布が均一化されやすくなる。表面粗さの平均値とは、測定対象となる区間(例えば第1区間31)において、長手軸方向xに並ぶように設定された10点以上の測定点の表面粗さ値の平均値である。
図10に示すように、長手軸方向xにおいて第2区間32を遠位部323と近位部324に二等分割したときに、近位部324における第2クラッド27の外周面の表面粗さの平均値が、遠位部323における第2クラッド27の外周面の表面粗さの平均値よりも小さいことが好ましい。この構成により、近位部324では遠位部323よりもコア25内に光を閉じ込める効果を高めつつ、遠位部323では第2クラッド27から径方向の外方に向かって光を射出されやすくなるため、長手軸方向xにおいて第2区間32の発光強度分布が均一化されやすくなる。
図1および図10から理解できるように長手軸方向xにおいて第1区間31よりも第2区間32の方が短いことが好ましい。光拡散部21を形成しやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。長手軸方向xにおいて第2区間32の長さは、第1区間31の長さの20分の1以下、25分の1以下、30分の1以下の長さに設定することができる。また、長手軸方向xにおいて第2区間32の長さは、第1区間31の長さの50分の1以上、45分の1以上、あるいは30分の1以上の長さに設定されてもよい。
図10から理解できるように第2区間32の第2クラッド27の平均厚みは、第1区間31の第1クラッド26の平均厚みよりも小さいことが好ましい。このようにクラッドの厚みを調整することで、第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第2区間32では第2クラッド27から光が径方向の外方に射出されやすくなる。ここでクラッドの厚みは、キーエンス社製レーザー顕微鏡 VK-X3000を用いて測定することができる。
図11~図12に示すように、光ファイバー20が第1区間31を有している場合、光ファイバー20は、光拡散部21に、クラッドが存在せず第1区間31よりも遠位側に位置している第3区間33を有していてもよい。第3区間33ではクラッドが存在しないことにより、コア25からの光が径方向の外方に射出される。
第3区間33では、コア25の周方向の少なくとも一部でクラッドが存在していないことが好ましく、コア25の周方向の全体でクラッドが存在していないことがより好ましい。
第3区間33では、光ファイバー20の中ではコア25が径方向の最も外側に位置していることが好ましい。但し、第3区間33の少なくとも一部が筒部材40により覆われていることが好ましい。すなわち、第3区間33では、クラッドだけでなく、コア25と筒部材40以外のあらゆる部材(例えば被覆材)が配されていないことが好ましい。
長手軸方向xにおいて、第3区間33のコア25の外径は一定の値であってもよく、長手軸方向xの位置によってコア25の外径が異なる値であってもよい。
図11~図12に示すように、長手軸方向xにおいて、第3区間33の遠位端は、コア25の遠位端と同じ位置にあることが好ましい。第3区間33を形成しやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。
第3区間33のコア25の外周面の表面粗さは、第1区間31の第1クラッド26の外周面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第3区間33ではコア25から光が径方向の外方に射出されやすくなる。
光拡散部21には第2区間32と第3区間33の少なくともいずれか一方が配されていることが好ましく、第2区間32と第3区間33の両方が配されていてもよい。図11に示すように、光拡散部21には、その近位側から遠位側に向かって順に第2区間32、第3区間33が配されていることが好ましい。この構成により、長手軸方向xにおいて光拡散部21の発光強度分布が均一化されやすくなる。この効果を高めるためには、長手軸方向xにおいて第1区間31と第2区間32と第3区間33は隣接していることが好ましい。
光ファイバー20が第2区間32と第3区間33を有している場合、図11に示すように長手軸方向xにおいて第2区間32よりも第3区間33の方が短いことが好ましい。この構成により、長手軸方向xにおける露出部22の全体の発光強度分布を均一化させやすくなる。なお、長手軸方向xにおいて第3区間33よりも第2区間32の方が短い態様も許容される。
長手軸方向xにおいて第3区間33の長さは、第2区間32および第3区間33の合計長さの20%以下の大きさであることが好ましく、18%以下の大きさであることがより好ましく、15%以下の大きさであることがさらに好ましい。また、長手軸方向xにおいて第3区間33の長さは、第2区間32および第3区間33の合計長さの5%以上、8%以上、あるいは10%以上の大きさであってもよい。この構成により、長手軸方向xにおける露出部22の発光強度分布を均一化させやすくなる。
第2区間32の第2クラッド27の外周面の表面粗さの平均値は、第3区間33のコア25の外周面の表面粗さの平均値よりも小さいことが好ましい。この構成により、第2区間32と第3区間33のそれぞれで、長手軸方向xにおける発光強度分布を均一化させやすくなる。
図10に示すように、光ファイバー20は、光拡散部21に第2区間32のみを有していてもよい。すなわち、光ファイバー20は、光拡散部21に第3区間33を有していなくてもよい。第2区間32のみを有する構成であっても、長手軸方向xにおける露出部22の発光強度分布を均一化させることができる。コア25が露出していないため、手技中の装置1の曲げに伴う光ファイバー20の損傷を防ぐ効果も有する。
光ファイバー20が、光拡散部21に第2区間32のみを有している場合、長手軸方向xにおいて、第2区間32の遠位端がコア25の遠位端と同じ位置にあることが好ましい。
図12に示すように、光ファイバー20は、光拡散部21に第3区間33のみを有していてもよい。すなわち、光ファイバー20は、光拡散部21に第2区間32を有していなくてもよい。第3区間33のみを有する構成であっても、長手軸方向xにおける露出部22の発光強度分布を均一化させることができる。
第2区間32および第3区間33は、エッチングや研磨によりクラッドを剥離させることで形成することができる。第2区間32や第3区間33の表面粗さを調整するために、第2クラッド27の外周面や第3区間33のコア25の外周面に凹凸が配されていてもよい。凹凸は、機械的または化学的に第2クラッド27または第3区間33のコア25の表面を荒らすことで形成可能である。表面を荒らす方法としては、エッチング加工、ブラスト加工、けがき針、ワイヤブラシ、またはサンドペーパーを用いる方法が挙げられる。
光拡散部21からは治療用の第1光線が射出されればよい。第1光線は、体内組織を照射し、PDTやPITといった光治療に適した波長のレーザー光であることが好ましい。第1光線のほか、標的化用の第2光線が射出されてもよい。第2光線は、第1光線の射出前に治療部位を把握するために射出される光線であり、第1光線よりも放射エネルギーが低いことが好ましい。
図1~図2に示すように筒部材40は、シャフト10の内腔11に配置されており、光ファイバー20の遠位部の一部を覆っている。詳細には、筒部材40が光拡散部21の一部を覆っている。装置1によれば、光拡散部21のうち筒部材40に覆われている部分では光拡散部21から射出される光が筒部材40の内面で反射するため、反射光が光拡散部21のうち筒部材40で覆われていない部分である露出部22から様々な方向に拡散されやすくなる。その結果、シャフト10の周方向pにおいて露出部22の発光強度分布が均一化されやすくなる。これにより、腫瘍等の対象組織への照射回数や対象組織に対する露出部22の位置調整の回数を減らすことができるため、手技の効率化が図られる。なお、図2には、近位側から遠位側に向かって進んだ光が、露出部22から直接射出される様子と、筒部材40で反射した後、露出部22から射出される様子の一例を太い矢印で示した。
筒部材40は光拡散部21の一部のみを覆うものであり、光拡散部21の全部を覆うものではない。すなわち、光拡散部21には必ず露出部22が形成される。
筒部材40は、シャフト10の長手軸方向xに延在するように形成される。筒部材40のうち、シャフト10の長手軸方向xに平行な方向を筒部材40の軸方向と称する。図4に示すように、筒部材40は、内周面43と外周面44を有している。内周面43は、シャフト10の周方向pに延在しており光ファイバー20の外周面23側に面している。外周面44は、シャフト10の周方向pに延在しておりシャフト10の内周面12側に面している。光拡散部21から射出される光は、少なくとも筒部材40の内周面43で反射されることが好ましい。
図2、図5~図8に示すように、筒部材40は、遠位端401側が閉じられており、近位端402側が開口した形状を有していてもよい。その場合、筒部材40は遠位端401側の外側端面45と遠位端401側の内側端面46を有している。この形状は、遠位端401側の閉じられている部分を筒底とした有底筒形状と言い換えることもできる。遠位端401側の外側端面45は、筒部材40を遠位側から近位側に向かって見たときに視認可能な面である。遠位端401側の内側端面46は、有底筒形状の内底面に相当する。この構成により、筒部材40の内周面43だけでなく遠位端401側の内側端面46でも光を反射することができるため、反射光が露出部22から様々な方向に拡散されやすくなる。なお、図9に示すように筒部材40は遠位端401側と近位端402側がそれぞれ開口した筒形状であってもよい。
内周面43は曲面部のみから構成されていてもよく、平面部のみから構成されていてもよく、曲面部と平面部の組み合わせから構成されていてもよい。内周面43で反射された光を多方向に拡散しやすくするためには、内周面43は曲面部を有していることが好ましい。内側端面46は平面部のみから構成されていてもよく、曲面部のみから構成されていてもよく、曲面部と平面部の組み合わせから構成されていてもよい。
筒部材40は、1つの内腔を有していることが好ましい。筒部材40の形状は特に限定されないが、円筒形状、長円筒形状、または多角筒形状であってもよい。筒部材40の軸方向の長さは筒部材40の最大外径より大きくても小さくてもよい。
図2、図4~図6に示すように筒部材40は、光拡散部21を周回するように線材42aがらせん状に巻回されている第1コイル部41aを有していることが好ましい。光拡散部21のうち第1コイル部41aに覆われている部分では光拡散部21から射出される光がコイル部41の内面で反射するため、反射光が光拡散部21のうち筒部材40で覆われていない露出部22から様々な方向に拡散されやすくなる。第1コイル部41aの構成については後述する。
筒部材40は線材が巻回されたコイル形状を有していなくてもよく、図8に示すように樹脂チューブや金属パイプ等の筒状体であってもよい。
筒部材40の内周面43によって光を反射する効果を高めるため、光拡散部21から射出される光はシャフト10の径方向の外方に向かって筒部材40を透過しないことが好ましい。
長手軸方向xにおいて、筒部材40の遠位端401は、光拡散部21の遠位端と同じ位置か、光拡散部21の遠位端よりも遠位側に位置していることが好ましい。
光拡散部21は長手軸方向を有しており、光拡散部21の長手軸方向はシャフト10の長手軸方向xと平行になっている。図2に示すように、筒部材40の近位端402は、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも遠位側に位置していることが好ましい。光拡散部21の長手軸方向において露出部22を長く形成することができるため、長手軸方向の広範囲を一度に照射することができる。
筒部材40は、光拡散部21の遠位端を含む位置に配されていることが好ましい。筒部材40は、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも近位側には位置していないことが好ましい。
長手軸方向xにおいて筒部材40の全体が、シャフト10の内腔11に配置されていることが好ましい。
長手軸方向xにおいて、筒部材40の長さは露出部22の長さの2分の1以下、3分の1以下、4分の1以下の長さに設定することができる。また、長手軸方向xにおいて、筒部材40の長さは露出部22の長さの20分の1以上、18分の1以上、15分の1以上の長さに設定されてもよい。
シャフト10の長手軸方向xにおいて筒部材40の外径は一定であってもよく、長手軸方向xの位置によって筒部材40の外径が異なっていてもよい。例えば、長手軸方向xにおいて筒部材40を遠位部と近位部に二等分割したときに、筒部材40の遠位部の平均外径が、筒部材40の近位部の平均外径よりも大きくてもよい。
筒部材40は、シャフト10よりも反射率が高い材料から構成されていることが好ましい。この構成により、筒部材40の内面で反射光が拡散されやすくなる。ここで、反射率は光拡散部21から射出される光の反射率を指し、単位は%である。反射率は、オーシャンフォトニクス社製 反射率測定システム OP-RF-VIS-GT50を用いて測定することができる。
筒部材40は金属から構成されていることが好ましく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウムおよびこれらの合金等の放射線不透過性金属でもよく、ステンレス鋼、Ni-Ti合金等の超弾性合金でもよい。
筒部材40が、筒部材本体と、筒部材本体の内面に配されている反射層とを有していてもよい。筒部材本体の材料によらず、反射層によって光拡散部21からの光を反射させることができる。例えば樹脂線材が巻回されたコイル体または樹脂チューブが筒部材本体であってもよい。反射層は、筒部材本体の内面に反射材料を含むコート剤が塗布されることで配されてもよく、蒸着、スパッタリング、電気メッキ、化学メッキ等の方法で筒部材本体の内面に反射材料を付着させることにより配されてもよい。なお、反射層は金属薄膜であってもよい。反射材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、スズ、二酸化チタン、五酸化タンタル、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウムまたはこれらの組み合わせが挙げられる。筒部材40が反射層を有する場合、筒部材本体にはシャフト10の構成材料として挙げた材料のいずれかを用いることができる。
筒部材40の遠位端401側を加熱して変形させることによって、図5のような遠位端401側が閉じられた筒部材40を得ることができる。また、1つの内腔を有する筒状コイルと、筒状コイルとは別の金属部材を準備し、金属部材を加熱して筒状コイルの遠位側の開口を塞ぐように溶着することで遠位端401側が閉じられた筒部材40を得ることもできる。
筒部材40の内周面43に凹凸が配されていてもよい。内周面43の表面を粗面化させてマイクロメートルオーダーまたはナノメートルオーダーの微細な凹凸を形成することにより、反射光が多方向に拡散されやすくなる。
筒部材40の内周面43の凹凸構造は、筒部材40の内周面43をエッチング加工、ブラスト加工、けがき針、ワイヤブラシ、またはサンドペーパーを用いて荒らすことによって形成することができる。
シャフト10の長手軸方向xにおいて、凹凸は、筒部材40の一部のみに配されていてもよく、凹凸は、筒部材40の全体に配されていてもよい。また、シャフト10の周方向において、凹凸は、筒部材40の一部のみに配されていてもよく、凹凸は、筒部材40の全体に配されていてもよい。
図9に示すように、筒部材40の遠位端401側には光拡散部21からの光を反射する反射材17が配されていることが好ましい。反射材17とは、例えば反射面が近位側を向くように配されたミラーである。この構成により、筒部材40の内周面だけでなく反射材17によっても光を反射することができるため、反射光が様々な方向に拡散されやすくなる。
反射材17の表面は、アルミニウム、金、銀、銅、スズ、二酸化チタン、五酸化タンタル、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、またはフッ化マグネシウムから構成されていることが好ましい。
図9に示すように、反射材17は、筒部材40よりも遠位側に配されていることが好ましい。図示していないが、筒部材40の内腔の最も遠位側に反射材17が配されていてもよい。筒部材40の遠位端401側が閉じられている場合には、筒部材40の内側端面46と反射材17の遠位端面が接していてもよい。
光ファイバー20が第2区間32を有している場合、図10に示すように筒部材40は第2区間32の一部を覆っていることが好ましく、第2区間32の遠位部の一部を覆っていることがより好ましい。光拡散部21から径方向の外方に射出された光を第2区間32のうち筒部材40に覆われた部分で反射させることができる。なお、筒部材40は、第2区間32の全部を覆っていないことが好ましい。
図11~図12に示すように、光ファイバー20が第3区間33を有している場合、筒部材40が第3区間33の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。光拡散部21から径方向の外方に射出された光を第3区間33のうち筒部材40に覆われた部分で反射させることができる。長手軸方向xにおいて、図12に示すように筒部材40は第3区間33の一部のみを覆っていてもよい。その場合、筒部材40は第3区間33の遠位部の一部を覆っていることが好ましい。また、長手軸方向xにおいて、図11に示すように筒部材40が第3区間33の全体を覆っていてもよい。
光ファイバー20が第2区間32と第3区間33を有している場合、筒部材40の近位端402は、第2区間32の遠位端よりも遠位側に位置していてもよい。このように筒部材40が第3区間33のみに配され、第2区間32に配されていなくてもよい。
光ファイバー20が第2区間32と第3区間33を有している場合、筒部材40の近位端402が第2区間32の遠位端よりも近位側に位置していてもよい。このように筒部材40が第2区間32の一部と第3区間33の少なくとも一部に配されていてもよい。
以下では第1コイル部41aの構成について詳述する。第1コイル部41aを構成する線材42aは先端から基端まで単一の線状部材から構成されていてもよく、線材42aはその長手軸方向において互いに連結された複数の線状部材から構成されてもよい。
線材42aの長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせであってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれるものとする。本明細書の他の説明においても同様である。
線材42aの長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状または長円形状であることが好ましい。このような断面形状であれば、図5に示すようにシャフト10の長手軸方向xに沿った断面において、筒部材40の内周面43にはそれぞれ長手軸方向xに複数の凸部491が並ぶように配される。その結果、2つの凸部491の間には凹部492が配されることが好ましい。内周面43の凸部491と凹部492により、反射光は多方向に拡散されやすくなる。
線材42aの線径(太さ)や、線材42aの巻き数は特に限定されない。図1~図2では、第1コイル部41aが単層巻きされている例を示したが、多層巻きされていてもよく、単層巻きと多層巻きが組み合わされてもよい。第1コイル部41aの軸方向の長さは第1コイル部41aの最大外径より大きくても小さくてもよい。
第1コイル部41aのピッチPは特に限定されず、軸方向において一定であってもよく、軸方向の位置によって異なっていてもよい。ピッチPとは、図1に示すように軸方向において第1コイル部41aを形成する隣り合う2つの線材42aの中心軸の間隔である。
第1コイル部41aでは、軸方向において隣り合う線材42a同士の間に隙間が形成されていてもよいが、隣り合う線材42a同士の隙間は大きすぎないことが好ましい。隣り合う線材42aの隙間から光が漏れ過ぎると露出部22での発光強度が小さくなることがあるためである。したがって、第1コイル部41aは線材42aの線径の2倍以下のピッチを有する第1ピッチ部48を有していることが好ましい。
図1に示すように、第1ピッチ部48において、第1コイル部41aは線材42aの線径と同じピッチを有していてもよい。このようなコイルは、一般に密着巻きコイルと称される。密着巻きコイルでは、隣り合う2つの線材42aの間に隙間がなく、第1コイル部41aから光が漏れにくいため好ましい。
線材42aの線径が、その長手軸方向で変化している場合(例えば、太径部と、太径部よりも線径が細い細径部がある場合)には、第1ピッチ部48において、筒部材40は線材42aの線径よりも小さいピッチを有していてもよい。
第1ピッチ部48において、第1コイル部41aは線材42aの線径の1.1倍以上のピッチを有していてもよく、1.2倍以上のピッチを有していてもよい。また、第1ピッチ部48において、第1コイル部41aは線材42aの線径の1.9倍以下のピッチを有していてもよく、1.8倍以下のピッチを有していてもよい。このようにピッチを設定することで、第1コイル部41aからの光の漏れを抑えることができるため好ましい。
第1ピッチ部48が第1コイル部41aの軸方向の一部のみを構成していてもよい。また、図1のように、第1ピッチ部48が第1コイル部41aの軸方向の全体を構成していてもよい。
第1コイル部41aが、筒部材40の軸方向の一部のみを構成していることが好ましい。例えば、筒部材40が、シャフト10の周方向に延びた形状を有する胴部と、胴部よりも遠位側に位置する底部を有している場合、胴部が第1コイル部41aであることが好ましい。
図7に示すように、筒部材40は、第1コイル部41aの内腔に、光拡散部21を周回するように線材42bがらせん状に巻回されている第2コイル部41bを有していることが好ましい。第2コイル部41bの存在によって、第1コイル部41aの内腔を狭めることができる。その結果、光ファイバー20に対して筒部材40の位置がずれにくくなり露出部22の遠位端の位置が固定されるため、照射位置を安定させることができる。図7の態様では、第2コイル部41bがスペーサーとして機能していると言い換えることもできる。
図7に示すように、第1コイル部41aの線材42aの線径が、第2コイル部41bの線材42bの線径よりも大きいことが好ましい。このように線材の太さを設定することで、第1コイル部41aに対して第2コイル部41bが長手軸方向xにずれにくくなるため、露出部22の遠位端の位置を固定することができる。
第2コイル部41bの内周面は光拡散部21に接しており、第1コイル部41aの内周面は第2コイル部41bの外周面に接していることが好ましい。このように第1コイル部41aと第2コイル部41bを配置することで、光ファイバー20に対して筒部材40の位置がずれにくくなり露出部22の遠位端の位置が固定されやすくなる。
図7に示すように、第1コイル部41aはその遠位端側が閉じられており、近位端側が開口した形状を有しており、第2コイル部41bは遠位端側と近位端側がそれぞれ開口した形状を有していてもよい。
図示していないが、第1コイル部41aが遠位端側と近位端側がそれぞれ開口した形状を有しており、第2コイル部41bはその遠位端側が閉じられており、近位端側が開口した形状を有していてもよい。その場合、第2コイル部41bの遠位端側の内側端面が光拡散部21の遠位端面に接することとなる。
第1コイル部41aの線材42aの長手軸方向に垂直な断面の形状と、第2コイル部41bの線材42bの長手軸方向に垂直な断面の形状は、互いに相似であってもよく、異なっていてもよい。図7では線材42a、42bの長手軸方向に垂直な断面の形状が、いずれも円形状である例を示した。
図1~図2に示すように、コイル部材50は、シャフト10の内腔11の筒部材40よりも近位側に配置されており、光ファイバー20を周回するように線材52がらせん状に巻回されている。このようにコイル部材50が光ファイバー20を覆うことにより、近位側のトルクが遠位側に伝わりやすくなり、装置1の操作性を高めることができる。コイル部材50が光ファイバー20に対して長手軸方向xに移動可能であるため、対象組織の形状に合わせて長手軸方向xにおける露出部22の長さを調整することが可能である。例えば、図2に比べて図3の態様ではコイル部材50の遠位端が遠位側に位置していることにより、露出部22の長さが短くなっている。このように光拡散部21に対するコイル部材50の位置を変えることにより、長手軸方向xにおける露出部22の長さを調整することができる。さらに、コイル部材50の最大外径よりも筒部材40の最大外径の方が大きいことにより、光ファイバー20に対するコイル部材50の移動操作が行いやすくなる。
コイル部材50は、シャフト10の長手軸方向xに延在するように形成される。コイル部材50のうち、シャフト10の長手軸方向xに平行な方向をコイル部材50の軸方向と称する。図2に示すように、コイル部材50は、内周面53と外周面54を有している。内周面53は、シャフト10の周方向pに延在しており光ファイバー20の外周面23側に面している。外周面54は、シャフト10の周方向pに延在しておりシャフト10の内周面12側に面している。
図1に示すように、コイル部材50は遠位端501側と近位端502側がそれぞれ開口した形状を有していることが好ましい。これにより、長手軸方向xにおけるコイル部材50の移動操作が行いやすくなる。
図1では、コイル部材50の近位部が操作部65に接続されている。図2の状態から操作部65をハンドル60に対して遠位側に動かすと、図3に示すようにコイル部材50の遠位端501が筒部材40の近位端402に近づくようにコイル部材50が動かされる。その結果、長手軸方向xにおける露出部22の長さを図2の状態よりも短くすることができる。また、図3の状態から操作部65をハンドル60に対して近位側に動かすと、図2に示すようにコイル部材50の遠位端501が筒部材40の近位端402から離れるようにコイル部材50が動かされる。その結果、長手軸方向xにおける露出部22の長さを図3の状態よりも長くすることができる。
図1では操作部65をハンドル60に対してスライドさせることによって、コイル部材50を光ファイバー20に対して長手軸方向xに移動させる態様を例として挙げたが、この態様に限られない。例えば、操作部65をハンドル60に対して回転させることによってコイル部材を光ファイバーに対して長手軸方向xに移動させてもよい。例えば、ハンドル60と操作部65は、ラックアンドピニオン機構を有していてもよい。
コイル部材50は操作部65に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。コイル部材50と操作部65の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。図1では、コイル部材50の近位部が操作部65に直接固定されている例を示した。
操作部65は、術者が把持する、摘まむ、または指を引っ掛ける等の部分を備えていればよく、その形状は特に限定されない。
操作部65の構成材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
コイル部材50を光ファイバー20に対して長手軸方向xに移動可能とするために、コイル部材50は光ファイバー20に固定されていない。また、光ファイバー20の外周面は、コイル部材50の内周面53と離れて配されることが好ましい。なお、体腔内の湾曲した形状に装置1を挿入した状態で、コイル部材50を光ファイバー20に対して遠位側または近位側に移動させたときに、コイル部材50の内周面の一部が光ファイバー20の外周面に接することは許容される。
図3に示すように、コイル部材50は光拡散部21の近位端よりも遠位側の位置まで移動可能であることが好ましい。このようにコイル部材50の移動範囲を設定することで、コイル部材50の遠位端501の停止位置によって、長手軸方向xにおける露出部22の長さを調整することができる。
コイル部材50は、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも近位側の位置まで移動可能であることが好ましい。この構成により、長手軸方向において露出部22の長さを確保することができる。なお、コイル部材50は、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも遠位側の位置まで移動しないことが好ましい。
図3に示すように、コイル部材50を最も遠位側に移動させたときに、コイル部材50の遠位端501が、筒部材40の近位端402よりも近位側に位置することが好ましい。このようにコイル部材50を動かすことで、露出部22が最も短くなるように調整することができる。コイル部材50を最も遠位側に移動させたときに、コイル部材50が光拡散部21の一部を覆っていることが好ましい。この構成により、光拡散部21の近位端部からの光の漏れをコイル部材50によって遮ることができる。
コイル部材50を最も遠位側に移動させたときに、コイル部材50の遠位端が501、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも近位側に位置することが好ましい。この構成により、長手軸方向において露出部22の長さを確保することができる。すなわち、コイル部材50の遠位端が、光拡散部21の長手軸方向の中点211よりも遠位側の位置まで移動しないことが好ましい。
図2に示すようにコイル部材50を最も近位側に移動させたときに、コイル部材50の遠位端501が、光拡散部21の近位端よりも近位側に位置することが好ましい。このようにコイル部材50の移動範囲を定めることで、露出部22が最も長くなるように調整することができる。また、コイル部材50の遠位端501を光拡散部21の近位端より近位側に位置させることで、コイル部材50の内面に照射される光拡散部21からの光の量を減らすことができ、発熱を防ぐことができる。特に、照射時間や照射回数の増加が必要な場合に有益である。
コイル部材50の遠位端501は、光拡散部21の近位端よりも近位側の位置から光拡散部21の近位端よりも遠位側の位置まで移動可能であることが好ましい。遠位端501を光拡散部21の近位端よりも遠位側に位置させることで露出部22の長さの調整が可能となり、遠位端501を光拡散部21の近位端より近位側に位置させることで発熱を防ぐことができる。コイル部材50を上記の範囲で移動可能に構成することで、所望の目的に応じて、コイル部材50の配置すなわち長手軸方向xにおけるコイル部材50の遠位端501と光拡散部21の近位端との位置関係を変えることができる。
コイル部材50を最も近位側に移動させたときに、コイル部材50の遠位端501が、光拡散部21の近位端よりも遠位側に位置していてもよい。このようにコイル部材50の移動範囲を定めることで、露出部22が最も短い場合であっても光拡散部21の近位端部からの光の漏れをコイル部材50によって遮ることができる。
図7に示すように筒部材40の最小内径よりもコイル部材50の最小内径の方が大きいことが好ましい。コイル部材50を摺動させたときにコイル部材50の内周面が光ファイバー20の外周面に接触しにくくなるため、コイル部材50の移動操作が行いやすくなる。
コイル部材50が長手軸方向xのいずれの位置にあっても光拡散部21の一部が筒部材40とコイル部材50に覆われていないことが好ましい。すなわち、長手軸方向xにおいて筒部材40の近位端402とコイル部材50の遠位端501が離れて配されていることが好ましい。筒部材40とコイル部材50をこのように配置することで、露出部22が形成されるため、露出部22から径方向の外方に向かって光を射出することが可能となる。
長手軸方向xにおいて、コイル部材50が光拡散部21の一部を覆うように重なっているときに、光拡散部21から射出される光は、コイル部材50のうち光拡散部21を覆っている部分の内周面で反射されることが好ましい。反射光が光拡散部21のうちコイル部材50で覆われていない露出部22から様々な方向に拡散されやすくなる。
コイル部材50の内周面53は曲面部のみから構成されていてもよく、平面部のみから構成されていてもよく、曲面部と平面部の組み合わせから構成されていてもよい。内周面53で反射された光を多方向に拡散しやすくするためには、内周面53は曲面部を有していることが好ましい。
コイル部材50の内面によって光を反射する効果を高めるため、光拡散部21から射出される光はシャフト10の径方向の外方に向かってコイル部材50を透過しないことが好ましい。
図1に示すように、長手軸方向xにおいて、筒部材40よりもコイル部材50の方が長いことが好ましい。コイル部材50によって光ファイバーの長手軸方向xの広範囲を覆うことができるため、トルク伝達性を高めることができる。
コイル部材50のうち光拡散部21を覆っている部分は、シャフト10よりも反射率が高い材料から構成されていることが好ましい。この構成により、コイル部材50の内面で反射光が拡散されやすくなる。ここで、反射率は光拡散部21から射出される光の反射率を指し、単位は%である。コイル部材50の反射率は、筒部材40と同様の方法で測定することができる。
コイル部材50は金属から構成されていることが好ましく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウムおよびそれらの合金等の放射線不透過性金属でもよく、ステンレス鋼、Ni-Ti合金等の超弾性合金でもよい。
コイル部材50の一部が樹脂から構成されていてもよい。コイル部材50が、コイル部材本体と、コイル部材本体の内面に配されている反射層とを有していてもよい。コイル部材本体の材料によらず、反射層によって光拡散部21からの光を反射させることができる。例えば樹脂線材が巻回されたコイル体または樹脂チューブがコイル部材本体であってもよい。反射層は、コイル部材本体の内面に反射材料を含むコート剤が塗布されることで配されてもよく、蒸着、スパッタリング、電気メッキ、化学メッキ等の方法で反射材料をコイル部材本体の内面に付着させることにより配されてもよい。なお、反射層は金属薄膜であってもよい。反射材料としては、筒部材40の説明で挙げたものを用いることができる。コイル部材50が反射層を有する場合、コイル部材本体にはシャフト10の構成材料として挙げた材料の少なくともいずれか1つを用いることができる。
コイル部材50を構成する線材52はその長手軸方向に先端と基端を有している。線材52は先端から基端まで単一の線状部材から構成されていてもよく、線材52はその長手軸方向において互いに連結された複数の線状部材から構成されてもよい。
線材52の長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせであってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれるものとする。本明細書の他の説明においても同様である。
線材52の長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状または長円形状であることが好ましい。このような断面形状であれば、筒部材40と同様に、シャフト10の長手軸方向xに沿った断面において、コイル部材50の内周面53にそれぞれ長手軸方向xに複数の凸部が並ぶように配され、2つの凸部の間には凹部が配される。内周面53の凸部と凹部により、光拡散部21の近位側で反射光は多方向に拡散されやすくなる。
コイル部材50を構成する線材52の線径(太さ)や、線材52の巻き数は特に限定されない。コイル部材50の軸方向の長さはコイル部材50の最大外径より大きくても小さくてもよい。
コイル部材50のピッチPは特に限定されず、軸方向において一定であってもよく、軸方向の位置によって異なっていてもよい。ピッチPとは、図1に示すように軸方向においてコイル部材50を形成する隣り合う2つの線材52の中心軸の間隔である。
コイル部材50は、軸方向において隣り合う線材52同士の間に隙間が形成されていてもよいが、近位側のトルクを遠位側に伝わりやすくするために、図1に示すようにコイル部材50は線材52の線径の2倍以下のピッチを有する第2ピッチ部58を有していることが好ましい。第2ピッチ部58において、コイル部材50は線材52の線径と同じピッチを有していてもよい。すなわち、隣り合う2つの線材52の間に隙間がなくてもよい。なお、線材52の線径が、その長手軸方向で変化している場合(例えば、太径部と、太径部よりも線径が細い細径部がある場合)には、第2ピッチ部58において、コイル部材50は線材52の線径よりも小さいピッチを有していてもよい。
第2ピッチ部58において、コイル部材50は線材52の線径の1.1倍以上のピッチを有していてもよく、1.2倍以上のピッチを有していてもよい。また、第2ピッチ部58において、コイル部材50は線材52の線径の1.9倍以下のピッチを有していてもよく、1.8倍以下のピッチを有していてもよい。このようにピッチを設定することで、近位側のトルクが遠位側に伝わりやすくなり、コイル部材50からの光の漏れも抑えることができる。
第2ピッチ部58がコイル部材50の軸方向の一部のみを構成していてもよい。また、図1のように、第2ピッチ部58がコイル部材50の軸方向の全体を構成していてもよい。
コイル部材50は、単層巻きコイルであってもよく、多層巻きコイルであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。例えば図1ではコイル部材50が単層巻きコイルである例を示している。このように構成することで、コイル部材50が光拡散部21の近位部の一部を覆っているときに、コイル部材50の内周面53で反射光が多方向に拡散されやすくなる。
図1~図2に示すように、筒部材40の第1コイル部41aは単層巻きされており、かつコイル部材50も長手軸方向xの全体に亘って単層巻きされていることが好ましい。筒部材40とコイル部材50の形成が行いやすくなるため製造上好ましい。また、筒部材40の内周面43では反射光が多方向に拡散されやすくなる。さらに、コイル部材50で光拡散部21の一部を覆ったときに、コイル部材50の内周面53でも反射光が多方向に拡散されやすくなる。
図6に示すように、筒部材40の第1コイル部41aは単層巻きされており、コイル部材50は、多層巻きされている第3コイル部51aを有していていてもよい。単層巻きされている第1コイル部41aにより、筒部材40の内周面では反射光が多方向に拡散されやすくなる。また、多層巻きされている第3コイル部51aにより、近位側のトルクが遠位側に伝わりやすくなり、装置1の操作性を高めることができる。
第1コイル部41aは放射線不透過材料から構成されていることが好ましい。第1コイル部41aを放射線不透過マーカーとして利用することができるため、光拡散部21の遠位側の位置を術者が把握しやすくなる。第3コイル部51aは軸方向の広範囲に延在するように配されることが好ましいため、放射線不透過性材料から構成するとかえって光拡散部21の位置が把握しにくくなる。このため、第3コイル部51aは第1コイル部41aよりも放射線が透過しやすい材料から構成されていることが好ましい。
第1コイル部41aは、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウム、またはこれらの合金から構成されていることが好ましい。第3コイル部51aは、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成されていることが好ましい。
図6では、コイル部材50は、多層巻きされている第3コイル部51aと、第3コイル部51aよりも遠位側に位置しており単層巻きされている第4コイル部51bとを有している。この構成において、コイル部材50を最も遠位側に移動させたときに、第4コイル部51bが光拡散部21の一部を覆うことが好ましい。第3コイル部51aでは、線材52bが光ファイバー20にらせん状に3層巻回されている。第4コイル部51bでは、線材52aが光ファイバー20にらせん状に1層巻回されている。このように第3コイル部51aを設けることにより、近位側のトルクが遠位側に伝わりやすくなり、装置1の操作性を高めることができる。また、第4コイル部51bを設けることにより、第4コイル部51bに第3コイル部51aとは異なる機能を付与することができる。例えば、第4コイル部51bを放射線不透過マーカーとして利用することができる。あるいは、第4コイル部51bが光拡散部21の一部を覆ったときに、コイル部材50の内周面53によって反射光が多方向に拡散されやすくなる。
長手軸方向xにおいて、第3コイル部51aは、第4コイル部51bよりも長いことが好ましい。この構成により、近位側のトルクが遠位側に伝わりやすくなり、装置1の操作性を高めることができる。
図示していないが、コイル部材50において、多層巻きされている第3コイル部51aは、単層巻きされている第4コイル部51bよりも遠位側に位置していてもよい。
図6に示すように、第4コイル部51bが光拡散部21の一部を覆っており、第3コイル部51aが光拡散部21よりも近位側に位置していることが好ましい。詳細には、第4コイル部51bの遠位端が、光拡散部21の近位端よりも遠位側に位置しており、第4コイル部51bの近位端が、光拡散部21の近位端よりも近位側に位置していることが好ましい。この構成により、第4コイル部51bには光拡散部21からの光の反射とトルクの良好な伝達の両方の機能が付与されやすくなる。
第4コイル部51bは、第3コイル部51aよりも放射線が透過しにくい放射線不透過材料から構成されていることが好ましい。これにより、第4コイル部51bを放射線不透過マーカーとして利用することができるため、光拡散部21の近位側の位置を術者が把握しやすくなる。
第4コイル部51bは、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウム、またはこれらの合金から構成されていることが好ましい。第4コイル部51bは、第3コイル部51aと同じ材料から構成されていてもよいが、異なる材料から構成されていることが好ましい。第3コイル部51aの各層は、異なる材料から構成されていてもよいが、同じ材料から構成されていることが好ましい。第4コイル部51bは、第1コイル部41aと異なる材料から構成されていてもよいが、同じ材料から構成されていることが好ましい。
筒部材40は光拡散部21に固定されていることが好ましい。図2に示すように、筒部材40が光拡散部21の外周面23に固定されていることがより好ましい。また、図2および図5から理解できるように筒部材40の内周面43が、光拡散部21の外周面23に固定されていることがさらに好ましい。体内に装置1を挿入しても長手軸方向xにおいて筒部材40の近位端402の位置が光拡散部21に対してずれないように固定されるため、照射位置を安定させることができる。なお、筒部材40が光拡散部21の外周面23に固定されている場合であっても、装置1の湾曲に追従して筒部材40も湾曲することが好ましい。
筒部材40と光拡散部21との固定は、筒部材40と光拡散部21を接着する、筒部材40をかしめることで光拡散部21に筒部材40を固定する等の方法が挙げられる。
光拡散部21への筒部材40の固定に際しては、筒部材40は、光拡散部21の外周面23に接していることが好ましく、筒部材40の内周面43が、光拡散部21の外周面23に接していることがより好ましい。筒部材40が取り付けられた光ファイバー20のプロファイルの増加を防ぐとともに筒部材40によって光が反射しやすくなる。
光拡散部21が光ファイバー20の最遠位に配される場合、図2に示すように光拡散部21は遠位端面212を有する。その場合、光拡散部21の遠位端面212は筒部材40に固定されていないことが好ましい。このように遠位端面212を非固定にすることで、装置1が体内の屈曲部を通る場合でも、筒部材40の遠位端側が突っ張らずにシャフト10の湾曲に追従しやすくなる。その結果、光ファイバー20の破損のリスクを低減することができ、シャフト10の周方向pにおいて露出部22の発光強度分布も均一化されやすくなる。なお、光拡散部21の遠位端面212は筒部材40に対して動かないように固定されていなければよく、図2に示すように光拡散部21の遠位端面212が筒部材40に接していることは許容される。
光拡散部21の遠位端面212は、図2に示すように光ファイバー20の長手軸方向に対して垂直な平面形状を有していることが好ましいが、光ファイバー20の長手軸方向に対して傾斜している平面形状を有していてもよく、曲面形状を有していてもよい。
図2に示すように、筒部材40の外周面44がシャフト10の内周面12に接していることが好ましい。これにより、シャフト10に対する筒部材40の位置がずれにくくなり露出部22の位置が固定されるため、照射位置を安定させることができる。なお、筒部材40はシャフト10の内腔11に挿入されていればよく、筒部材40の外周面44が、シャフト10の内周面12に固着されていなくてもよい。
筒部材40が第2区間32の一部を覆っている場合、筒部材40は第2区間32の第2クラッド27の外周面に接していてもよい。また、筒部材40が第3区間33の少なくとも一部を覆っている場合、筒部材40は第3区間33のコア25の外周面に接していてもよい。
図2に示すように、コイル部材50の外周面54は、シャフト10の内周面12と離れて配されていることが好ましい。この構成により、光ファイバー20に対するコイル部材50の移動操作が行いやすくなる。なお、体腔内の湾曲した形状に装置1を挿入した状態で、コイル部材50を光ファイバー20に対して遠位側または近位側に移動させたときに、コイル部材50の外周面54の一部がシャフト10の内周面12に一時的に接することは許容される。
図2に示すように、光拡散部21の外周面23は、シャフト10の内周面12と離れて配されていることが好ましい。露出部22において、光拡散部21の外周面23が、シャフト10の内周面12と離れて配されていることがより好ましい。また、長手軸方向xの全体にわたって、光拡散部21の外周面23が、シャフト10の内周面12と離れて配されていることがさらに好ましい。このようにシャフト10の内腔11に光拡散部21を配することで、光拡散部21でのシャフト10の柔軟性を維持することができる。
シャフト10の周方向pの全体において、光拡散部21の外周面23がシャフト10の内周面12と離れて配されていることが好ましい。また、シャフト10の径方向における光拡散部21の外周面23とシャフト10の内周面12との距離が、シャフト10の周方向pのいずれの位置でも均一であることが好ましい。これにより、周方向pにおいて露出部22の発光強度分布が均一化されやすくなる。
1:光照射医療装置
10:シャフト
20:光ファイバー
21:光拡散部
22:露出部
25:コア
26:第1クラッド
27:第2クラッド
31:第1区間
32:第2区間
33:第3区間
40:筒部材
50:コイル部材
x:長手軸方向
p:周方向

Claims (12)

  1. 長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ前記長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、
    前記シャフトの前記内腔に配置されている光ファイバーと、
    前記シャフトの前記内腔に配置されており、前記光ファイバーの遠位部の一部を覆っている筒部材と、
    前記シャフトの前記内腔の前記筒部材よりも近位側に配置されており、前記光ファイバーを周回するように線材がらせん状に巻回されているコイル部材と、を有し、
    前記光ファイバーはその遠位部の所定区間に前記長手軸方向に延在しており前記シャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有し、
    前記筒部材が前記光拡散部の一部を覆っており、
    前記コイル部材が前記光ファイバーに対して前記長手軸方向に移動可能であり、
    前記コイル部材の最大外径よりも前記筒部材の最大外径の方が大きい光照射医療装置。
  2. 前記コイル部材は前記光拡散部の近位端よりも遠位側の位置まで移動可能である請求項1に記載の光照射医療装置。
  3. 前記コイル部材を最も遠位側に移動させたときに、前記コイル部材の遠位端が、前記筒部材の近位端よりも近位側に位置する請求項1または2に記載の光照射医療装置。
  4. 前記コイル部材を最も近位側に移動させたときに、前記コイル部材の遠位端が、前記光拡散部の近位端よりも近位側に位置する請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  5. 前記筒部材の最小内径よりも前記コイル部材の最小内径の方が大きい請求項1~4のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  6. 前記長手軸方向において、前記筒部材よりも前記コイル部材の方が長い請求項1~5のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  7. 前記コイル部材は前記線材の線径の2倍以下のピッチを有する第2ピッチ部を有している請求項1~6のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  8. 前記筒部材は前記光拡散部を周回するように線材がらせん状に巻回されている第1コイル部を有している請求項1~7のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  9. 前記筒部材は、前記第1コイル部の内腔に、前記光拡散部を周回するように線材がらせん状に巻回されている第2コイル部を有している請求項8に記載の光照射医療装置。
  10. 前記第1コイル部の線材の線径が、前記第2コイル部の線材の線径よりも大きい請求項9に記載の光照射医療装置。
  11. 前記光ファイバーは、前記長手軸方向に延在しているコアを有し、
    前記光ファイバーは、前記コアの外周に配されている第1クラッドを有している第1区間を有し、
    前記光ファイバーは、前記光拡散部に、前記コアの外周に配されており前記第1クラッドよりも外周面の表面粗さが大きい第2クラッドを有し前記第1区間よりも遠位側に位置している第2区間を有している請求項1~10のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
  12. 前記光ファイバーは、前記長手軸方向に延在しているコアを有し、
    前記光ファイバーは、前記コアの外周に配されている第1クラッドを有している第1区間を有し、
    前記光ファイバーは、前記光拡散部に、前記クラッドが存在せず前記第1区間よりも遠位側に位置している第3区間を有している請求項1~11のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
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