JP2023003611A - 巻上機 - Google Patents

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Kenichi Kimura
祥子 諏訪園
Shoko Suwazono
恵一 興梠
Keiichi Korogi
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Abstract

【課題】メンテナンスや入替の作業を従来よりも容易に行いうる巻上機を提供する。【解決手段】巻上機は、ロープの巻き取りおよび巻き戻しを行う駆動綱車と、駆動綱車の回転軸に沿って配置され、駆動綱車を回転させるシャフトと、シャフトの一端に取り付けられ、固定子の磁界に対する磁力により回転する回転子と、を備える。回転子は、シャフトとの間で第1嵌合部および複数の第2嵌合部を形成するボス部を有する。ボス部は、シャフトの一端が挿入される筒状本体と、筒状本体の内周に突出し、シャフトの一端側の端面に臨むフランジ部とを有する。第1嵌合部では、筒状本体の内周面とシャフトの外周面が嵌着され、各々の第2嵌合部では、フランジ部を挿通してシャフトに対して軸方向に嵌入されたピンにより、フランジ部およびシャフトがピンを介して嵌着される。【選択図】図1

Description

本発明は、巻上機に関する。
従来から、電動機で駆動綱車を回転させて乗りかごを移動させるエレベータ用の巻上機が知られている。近年では、エレベータの輸送能力を向上させるために巻上機の大容量化および高速化が要望される一方で、環境性能の向上のために巻上機に対して低騒音化および低振動化も要望されている。また、エレベータの据付工事を容易にするために、巻上機の小型化および軽量化の要望も存在している。
上記の要望に応えるため、例えば、特許文献1には、綱車が固定された回転軸と、回転軸の先端部に外周側から嵌着するとともに回転子鉄心の内周側に嵌着するスパイダーと、を備えた巻上機が開示されている。特許文献1の巻上機では、回転軸の先端部には、嵌着用の先端部外周部が形成されるとともに、先端側から軸方向に延び出す嵌着用の凸部が形成されている。そして、スパイダーには、凸部の外周側と嵌着する凸部用嵌着部が形成されるとともに、先端部外周部に嵌着する後端側延出し部が形成されている。特許文献1によれば、回転軸と嵌着するスパイダーの剛性が向上してスパイダーのたわみ抑制効果が顕著になり、組立性を悪化させずに運転中の騒音、振動を抑制できるとされている。
特許第5955563号公報
近年の持続可能な社会を構築する観点からは、巻上機のメンテナンスや入替(リプレイス)の容易さが巻上機の性能指標の1つとして重要視されつつある。例えば、高層ビルの最上階等でスペースの限られた機械室内において、巻上機の分解および組立を簡易に行えることは非常に好ましい。
一方で、例えば特許文献1の場合、機械室でのメンテナンスや入替の際には大掛かりな油圧機器等の搬入が必要となり、また現場で比較的大きな作業空間を確保する必要も生じる。そのため、巻上機のメンテナンスや入替の作業が困難となり、例えばメンテナンスや入替に伴うエレベータの停止が長期間になりうる点で改善の余地があった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、メンテナンスや入替の作業を従来よりも容易に行いうる巻上機を提供する。
本発明の一態様に係る巻上機は、ロープの巻き取りおよび巻き戻しを行う駆動綱車と、駆動綱車の回転軸に沿って配置され、駆動綱車を回転させるシャフトと、シャフトの一端に取り付けられ、固定子の磁界に対する磁力により回転する回転子と、を備える。回転子は、シャフトとの間で第1嵌合部および複数の第2嵌合部を形成するボス部を有する。ボス部は、シャフトの一端が挿入される筒状本体と、筒状本体の内周に突出し、シャフトの一端側の端面に臨むフランジ部とを有する。第1嵌合部では、筒状本体の内周面とシャフトの外周面が嵌着され、各々の第2嵌合部では、フランジ部を挿通してシャフトに対して軸方向に嵌入されたピンにより、フランジ部およびシャフトがピンを介して嵌着される。
上記の巻上機において、シャフトの一端には、回転軸に直交する第1接合面が形成されてもよく、フランジ部には、回転軸に直交する第2接合面が第1接合面に対向して形成されてもよい。また、第1接合面と第2接合面が接触した状態で、フランジ部およびシャフトがボルトで固定される接合部をさらに有していてもよい。
上記の第1嵌合部は、シャフトの先端側に設けられた第1領域と、第1領域から軸方向に間隔をあけて設けられた第2領域において、それぞれ前記筒状本体の内周面と前記シャフトの外周面が嵌着してもよい。
また、シャフトの外径は、第2領域の対応部位よりも第1領域の対応部位の方が小さくてもよく、筒状本体の内径は、第2領域の対応部位よりも第1領域の対応部位の方が小さくてもよい。
上記のピンは、嵌入方向の先端側が縮径するテーパ形状であってもよく、第2嵌合部の嵌着時に、ピンに挿入されたボルトによりシャフトにピンが締結されてもよい。
また、上記のフランジ部は、回転子とシャフトの分解時にシャフトの一端を押圧する引抜用ねじを螺合可能なねじ穴を有していてもよい。
本発明の一態様の巻上機は、メンテナンスや入替の作業を従来よりも容易に行うことができる。
第1実施形態の巻上機の正面図である。 第1実施形態の巻上機の左側面図である。 図1におけるシャフトと回転子の分解図である。 第2実施形態の巻上機の正面図である。 第2実施形態における第1嵌合部の嵌入工程を示す拡大図である。 第3実施形態の巻上機の正面図である。 第3実施形態の巻上機の左側面図である。 第4実施形態の巻上機の正面図である。 第4実施形態の巻上機の左側面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
図面においては、巻上機の回転軸AXの延長方向と平行な方向を軸方向と称する。また、以下の説明では、回転軸AXを中心とする周方向を単に周方向と称し、回転軸AXを中心とする径方向を単に径方向と称する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の巻上機1の正面図であり、図2は、第1実施形態の巻上機1の左側面図である。第1実施形態の巻上機1は、例えばエレベータ用の巻上機に適用される。
巻上機1は、円筒状の駆動綱車2と、シャフト3と、第1軸受台4と、第2軸受台5と、回転子6と、固定子7とを備える。駆動綱車2は、外周面にロープ巻取面2aを有し、乗りかごと重りを繋ぐロープ(不図示)を巻き取りまたは巻き戻す機能を担う。シャフト3は、駆動綱車2を軸方向に貫通し、駆動綱車2に対して同心状に取り付けられている。
第1軸受台4および第2軸受台5はそれぞれ取付台8の上に立設されている。取付台8は、例えば、エレベータの機械室の床に固定される。第1軸受台4は、駆動綱車2に対して一方側(図1の左側)に配置され、シャフト3を受ける第1軸受4aを有する。第2軸受台5は、駆動綱車2に対して他方側(図1の右側)に配置され、シャフト3を受ける第2軸受5aを有する。第1軸受4aおよび第2軸受5aには、例えば自動調心ころ軸受を用いることができる。これにより、シャフト3および駆動綱車2は、第1軸受台4の第1軸受4aと、第2軸受台5の第2軸受5aにより回転可能に軸支される。
また、シャフト3の一方側の端部は、第1軸受台4を貫通して一方側に突出する。以後、シャフト3において第1軸受台4よりも一方側に突出する部位を片持軸部10とも称する。
回転子6および固定子7は、第1軸受台4よりも一方側に配置されている。また、第2軸受台5には、駆動綱車2の回転を制止するブレーキ装置(図示せず)が設置される。
回転子6は、シャフト3の片持軸部10と嵌着される円筒状のボス部11と、ボス部11の外周側に同心状に配置される円筒状の磁極部12とを有する。磁極部12の外周には、異なる磁極が周方向に周期的に配置されるように複数の磁石12aが取り付けられている。ボス部11と磁極部12は、周方向に複数配置される支柱13により径方向において接続される。また、回転子6の各支柱13の間には、周方向に環状になすように複数の通風穴14が形成されている。
回転子6の外周には、エアギャップを隔てて回転子6の磁極部12と相対するように円筒状の固定子7が配置されている。図2に示すように、固定子7の下側は取付台8に固定されている。また、固定子7にはコイル(不図示)が巻回されている。コイルの電流制御により固定子7の磁界を順番に切り替えることで、回転子6の磁界に対する吸引力または反発力が固定子7に発生する。これにより、回転子6の取り付けられたシャフト3を介して駆動綱車2が回転駆動する。
次に、第1実施形態におけるシャフト3と回転子6の嵌合構造について詳細に説明する。ここで、図1におけるシャフト3と回転子6の部分断面は、図2のB-O-C-D-E線での断面である。また、図3は、図1におけるシャフト3と回転子6の分解図である。
シャフト3の片持軸部10は円柱状であり、片持軸部10の外周面は回転子6のボス部11と嵌着する外周嵌着面10aを構成する。外周嵌着面10aは、シャフト3の回転軸AXと同心である。また、片持軸部10の一方側の端面は第1接合面10bをなしている。片持軸部10の第1接合面10bは、外周嵌着面10aに対して直交する平面であり、軸方向に延びるピン穴15およびボルト穴16がそれぞれ複数開口されている。ピン穴15の形状は、有底円筒形状のくぼみである。ボルト穴16には雌ネジが内周に刻設され、固定ボルト19を螺合することができる。
ピン穴15およびボルト穴16は、回転軸AXの同心円上において周方向に一定間隔をあけて配置されている。第1実施形態では、ピン穴15およびボルト穴16はそれぞれ90度間隔をあけて第1接合面10bに4つずつ開口され、ピン穴15とボルト穴16の位置の位相は45度ずれている。
また、回転子6のボス部11は、円筒状のボス本体11aと、ボス本体11aの一方側に形成される環状のフランジ部11bとを有する。ボス本体11aの内径は、片持軸部10の外径に対してしまりばめとなる寸法であり、ボス本体11aの内周面は、片持軸部10の外周嵌着面10aと嵌着される内周嵌着面11a1を構成する。
ボス部11のフランジ部11bは、ボス本体11aの内周側に突出するとともに、中央が円形に開口した平板である。フランジ部11bの他方側の面は、片持軸部10の第1接合面10bと対向する第2接合面11b1を構成する。フランジ部11bの第2接合面11b1は、ボス本体11aの内周嵌着面11a1に対して直交する平面である。
また、フランジ部11bには、片持軸部10のピン穴15およびボルト穴16と対応する位置にそれぞれピン穴17およびボルト穴18が形成されている。フランジ部11bのピン穴17は、片持軸部10のピン穴15と同径の丸穴であって、フランジ部11bを貫通している。シャフト3と回転子6の組立状態では、フランジ部11bのピン穴17が片持軸部10のピン穴15と一体化して面一になる。また、フランジ部11bのボルト穴18は、例えば固定ボルト19を挿通可能な丸穴である。
シャフト3の片持軸部10は、回転子6のボス部11に対して他方側から挿入されている。シャフト3と回転子6の組立状態では、片持軸部10の外周嵌着面10aとボス本体11aの内周嵌着面11a1が嵌着されて両者が面接触し、第1嵌着部22が形成される。
第1嵌着部22は、片持軸部10に対して回転子6を固定するとともに、回転子6の偏心量を抑制する機能を担う。なお、第1嵌着部22の径、長さ、締代などの仕様は、回転子6に作用するラジアル方向の力(例えば、回転子6の質量による荷重、偏心による回転時の遠心力、磁気吸引力など)を支え、かつ片持軸部10に回転子6を精度よく同心に固定できる条件下で適宜設定できる。
また、シャフト3と回転子6の組立状態では、片持軸部10の第1接合面10bに対してフランジ部11bの第2接合面11b1が臨む。そして、固定ボルト19は、フランジ部11bのボルト穴18を挿通して片持軸部10のボルト穴16に螺合される。これにより、第1接合面10bと第2接合面11b1が固定ボルト19の機械的接合で密着し、軸方向と交差する平面上に接合部24が形成される。
第1接合面10bおよび第2接合面11b1はいずれも第1嵌着部22の嵌着面に対して直角であり、第1接合面10bおよび第2接合面11b1の接合により回転子6の軸方向位置が定まる。また、第1接合面10bと第2接合面11b1を密着させて固定ボルト19で締結したときには、締付けに伴う部材の傾き等も生じない。以上のように、接合部24は、シャフト3に対する回転子6の軸方向位置を位置決めするとともに、片持軸部10に回転子6が精度よく同心に固定された状態を保持する機能を担う。
また、シャフト3と回転子6の組立状態では、片持軸部10およびフランジ部11bの各ピン穴15、17にはピン26が嵌入される。これにより、片持軸部10のピン穴15およびフランジ部11bのピン穴17に対してピン26が嵌着され、軸方向と交差する平面上に複数の第2嵌着部28が形成される。
複数の第2嵌着部28は、回転子6からシャフト3にトルクを伝達する機能を担う。また、第2嵌着部28は、回転子6の回転方向およびラジアル方向の動きに対して片持軸部10に回転子6を強固に固定する機能も担う。
ここで、ピン26の形状は、ピン穴15、17に対して外径がしまりばめとなる寸法の円筒形である。ピン26の中心には、ピン26を軸方向に貫通する空気抜き穴26aが形成されている。ピン26の空気抜き穴26aは、組立の際にピン穴15の底部に残った空気を外側に逃がし、空気圧でピン26の嵌入抵抗が増加することを抑制する機能を担う。また、空気抜き穴26aの内周には、片持軸部10およびフランジ部11bからピン26を引き抜く際に治具(不図示)を締結するための雌ねじ26bが一方側に刻設されている。
また、複数の第2嵌着部28は回転子6とシャフト3間のトルクを分散して伝達するので、各々の第2嵌着部28で要求されるピン26の嵌着力は、第2嵌着部28の数が多いほど低くなる。したがって、第1実施形態によれば、各々の第2嵌着部28での嵌着力を、大掛かりな油圧機器を必要とせずに作業員の人力で簡単に分解および組立のできる程度の大きさに留めることが可能になる。
一例として、第2嵌着部28の設計では、各々の第2嵌着部28の嵌着力が人力で簡単に分解および組立できる程度となるように、ピン26およびピン穴15、17の寸法や締代などの仕様を決定すればよい。また、第2嵌着部28の数は、正回転および逆回転のトルクをガタ無く確実に伝達するために要求される総嵌着力に対して第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着力を除算し、その商を切り上げて整数にすることで算出できる。
なお、第1実施形態では、第1嵌着部22、第2嵌着部28および接合部24の3つの要素により、回転子6が片持軸部10に精度良く同心に支えられた状態で、回転方向、ラジアル方向、軸方向のいずれにもシャフト3と回転子6が強固に固定される。そして、シャフト3および回転子6は正回転・逆回転のトルクをガタ無く確実に伝達できる。これにより、巻上機1の振動および騒音が低減するとともに、回転電機の特性が向上して巻上機1の小型化にも寄与する。
次に、第1実施形態におけるシャフト3および回転子6の組立作業と分解作業について説明する。
シャフト3および回転子6の組立作業において、作業員は、回転子6のボス部11に対してシャフト3の片持軸部10を他方側から挿入する。ボス部11への片持軸部10の挿入は、例えば、片持軸部10のボルト穴16を利用して回転子6を片持軸部10側に引き寄せる構成の治具等を用いて、人力により組み立てることができる。
その後、フランジ部11bのボルト穴18を経て片持軸部10のボルト穴16に固定ボルト19を螺合する。この段階で、片持軸部10の外周嵌着面10aとボス本体11aの内周嵌着面11a1が嵌着されて第1嵌着部22が形成される。また、片持軸部10の第1接合面10bとフランジ部11bの第2接合面11b1が密着して接合部24が形成される。第1嵌着部22の嵌着力は、片持軸部10に回転子6を精度よく同心に固定できる程度で足りるので、作業員は回転子6のボス部11に片持軸部10を人力で容易に挿入できる。
そして、作業員は、フランジ部11bおよび片持軸部10の各ピン穴15、17にピン26を嵌入する。ピン26の嵌入は、例えばハンマーや挿入治具等を使用して人力で行われる。これにより、複数の第2嵌着部28が形成され、シャフト3と回転子6が強固に固定される。第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着力は、大掛かりな油圧機器を必要とせずに作業員の人力で嵌着できる程度の大きさに留まる。また、ピン26には軸方向に空気抜き穴26aが形成され、ピン穴15の空気圧で嵌入抵抗が増加することもない。したがって、作業員は、各々のピン穴15、17に対してピン26を人力で容易に嵌入できる。
一方、シャフト3および回転子6の分解作業では、まず、作業員は、ジャッキ等を有する引き抜き用の治具を用いてピン26をピン穴15、17から引き抜く。ピン26の引き抜きは、ピン26の雌ねじ26bに治具を螺合することで容易に行うことができる。
そして、固定ボルト19を外した後、回転子6を片持軸部10から引き抜くことで、シャフト3と回転子6が分離する。例えば、作業員は、回転子6を片持軸部10から引き抜くときには、通風穴14から治具を挿入してボス本体11aの端面に治具を引っ掛け、片持軸部10に対して治具をねじ機構等で離間させることで分解すればよい。かかる分解作業においても、作業員は、油圧機器を必要とせずに人力でシャフト3と回転子6を分離できる。
以下、第1実施形態における嵌着力の算出例を、比較例と対比して具体的に説明する。
比較例は、上記の特許文献1(特許第5955563号公報)と同様であり、スパイダーの後端側延出し部と回転軸の先端部外周部を主とする嵌着部でトルク伝達を担う構成である。比較例の構成は、嵌着部の締代で面を押す力(嵌着力)と嵌着部の摩擦力(嵌着摩擦力)で、回転軸に対して回転子を精度良く保持しつつ強固に固定する。また、比較例の構成では、嵌着部の摩擦トルク(嵌着摩擦トルクとも称する)で、回転子と一体のスパイダーから回転軸へのトルク伝達を行う。
比較例における上記の嵌着力、嵌着摩擦力、嵌着摩擦トルク、摩擦係数および作用半径(嵌着部の半径)の関係は、以下の式(1)から式(4)の通りである。但し、Fは嵌着摩擦力、Wは嵌着力、μは摩擦係数、Tは嵌着摩擦トルク、rは作用半径である。
F=W×μ …式(1)
W=F/μ …式(2)
T=F×r …式(3)
F=T/r …式(4)
嵌着摩擦力は、巻上機の分解および組立に必要な力であり、嵌着摩擦トルクはトルク伝達に必要な力である。そのため、これらパラメータの実際の値で巻上機の分解および組立の難易度を判断することができる。
例えば、大容量高速型の巻上機の代表的な機種の場合、比較例の構成での嵌着摩擦力は以下のようになる。なお、摩擦係数の値は、潤滑状態、表面粗さ、経年劣化等によりばらつくので、トルク伝達の計算では摩擦係数の最小値μaを使用し、分解および組立の計算では摩擦係数の最大値μbを使用する。
比較例の計算条件は下記の通りである。なお、巻上機には、伝達トルクTmと同じ値の嵌着摩擦トルクが必要である。
伝達トルクTm :45kN・m(安全率を含む設計値)
比較例での嵌着摩擦トルクT1:45kN・m(トルク伝達に必要な値)
比較例での作用半径r1 :0.2m
摩擦係数μ :0.15(トルク伝達時μa)~0.40(分解・組立時μb)
比較例の構成において、式(4)に基づきトルク伝達に必要な嵌着摩擦力F1aを計算した結果を、以下の式(5)に示す。
F1a=T1/r1=45/0.2=225(kN) …式(5)
また、比較例の構成において、式(2)に基づきトルク伝達に必要な嵌着力W1を計算した結果を、以下の式(6)に示す。但し、摩擦係数は、トルク伝達時の摩擦係数μa=0.15を用いる。
W1=F1a/μa=225/0.15=1500(kN) …式(6)
また、比較例の構成において、式(1)に基づき分解・組立時の嵌着摩擦力F1bを計算した結果を、以下の式(7)に示す。但し、嵌着力W1=1500(kN)とし、摩擦係数は、分解・組立時の摩擦係数μb=0.40を用いる。
F1b=W1×μb=1500×0.4=600(kN) …式(7)
上記の分解・組立時の嵌着摩擦力F1bが、比較例において巻上機の分解や組立の際に回転子の引き抜きや挿入に必要となる力である。比較例の構成では、嵌着摩擦力F1bは式(7)のように600kNであるため、人力での巻上機の分解・組立は事実上不可能である。つまり、比較例の構成では、巻上機の実際の分解・組立作業において600kNを超える力が得られる油圧機器と、当該油圧機器に対応する治具および工具など含む装置を事前に準備し、これら装置を高層ビル最上階の機械室に搬入する必要が生じる。しかし、装置の機械室への搬入や、機械室での作業スペースの確保は実際には困難であることから、比較例ではメンテナンスや入替の所要時間が長くなり、エレベータの停止が長期間になるという問題がある。
次に、第1実施形態の巻上機1での嵌着力について説明する。
第1実施形態のシャフト3と回転子6は、片持軸部10の外周嵌着面10aとボス本体11aの内周嵌着面11a1の嵌合による第1嵌着部22と、片持軸部10およびフランジ部11bに嵌入されたピン26による複数の第2嵌着部28との2種類の嵌着部を有する。
第1嵌着部22は、高精度の加工や組立が可能な円筒形の締り嵌めであり、シャフト3に対する回転子6の偏心量を小さくし、回転子6を片持軸部10に精度良く固定する作用がある。第1嵌着部22は、主に回転子6に作用するラジアル方向の力を支える機能を担う。上記のようにシャフト3と回転子6間のトルク伝達は主に第2嵌着部28が担い、第1嵌着部22はトルク伝達の機能を期待されないため、第1嵌着部22で必要な嵌着力は大幅に低減する。
例えば、大容量高速型の巻上機の代表的な機種の仕様で、回転子6に作用するラジアル方向の力は100kNである。第1嵌着部22は上記のラジアル方向の力を支持するので、第1嵌着部22に必要な嵌着力W2は100kNとなる。このように、比較例と比べて第1嵌着部22の嵌着力は非常に小さくなることが分かる。したがって、第1実施形態では、比較例と比べて第1嵌着部22の寸法を小さくしてボス部11を小型軽量化することができる。
そして、第1嵌着部22の分解・組立時の嵌着摩擦力F2bは、嵌着力W2と摩擦係数μの積で算出できる。したがって、第1嵌着部22の分解・組立時の嵌着摩擦力F2bは、嵌着力W2=100kNと、分解・組立時の摩擦係数μb=0.40の積から40kNとなる。
また、第1実施形態は、各々の第2嵌着部28を人力で分解・組立可能な値に設定し、複数の第2嵌着部28でシャフト3と回転子6のトルク伝達を担う構成である。一例として、第1実施形態において、各々の第2嵌着部28での嵌着摩擦力と、複数の第2嵌着部28における嵌着摩擦トルクの総和は以下のようになる。
まず、第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着摩擦力を人力で分解・組立可能な値に設定すると、第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着力も同時に決定される。また、第2嵌着部28がトルクを伝達するときには、第2嵌着部28と片持軸部10の軸中心距離を作用半径とするトルクの接線力が、ピン26と回転子6との嵌着部位からピン26と片持軸部10の嵌着部位へ伝達される。したがって、正回転・逆回転のトルクをガタ無く確実に伝達するには、ピン26と回転子6の嵌着部位、ピン26と片持軸部10の嵌着部位のそれぞれに、上記したトルクの接線力に相当する総嵌着力が要求される。
複数の第2嵌着部28の総嵌着力は、ピン26と回転子6の嵌着部位の総嵌着力と、ピン26と片持軸部10の嵌着部位の総嵌着力を加えた値となる。通常、ピン26と回転子6の嵌着部位とピン26と片持軸部10の嵌着部位では総嵌着力は同じ値になるので、第2嵌着部28の総嵌着力はトルクの接線力の2倍の値が必要になる。また、要求される総嵌着力が第2嵌着部28の1か所の嵌着力よりも大きい場合、総嵌着力を担える数の第2嵌着部28を設ける必要がある。具体的には、総嵌着力に対して1か所当たりの嵌着力を除算し、その商を切り上げた整数個以上の第2嵌着部28を設ければよい。
ここで、第2嵌着部28におけるトルクの接線力、総嵌着力、1か所当たりの嵌着力、嵌着摩擦力の関係は、以下の式(8)から式(11)の通りである。但し、R3はトルクの接線力、T3は伝達トルクの設計値、r3は作用半径である。また、W3は第2嵌着部28の総嵌着力、w3は第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着力、nは第2嵌着部28の数である。また、F3bは嵌着摩擦力、μbは分解組立時の摩擦係数である。
R3=T3/r3 …式(8)
W3=2×R3 …式(9)
w3=W3/n=2×R3/n=2×T3/r3/n …式(10)
F3b=w3×μb=2×T3/r3/n×μb …式(11)
以下、大容量高速型の巻上機の代表的な機種の仕様で、第2嵌着部28の数を4個とした場合を想定する。この場合の計算条件は下記の通りである。
伝達トルクT3 :45kN・m(安全率を含む設計値)
作用半径r3 :0.16m(r2=0.8×r1=0.8×0.2=0.16)
第2嵌着部28の数n :4
摩擦係数μb :0.40(分解・組立時の摩擦係数)
第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着力w3につき、式(10)に基づき計算した結果を、以下の式(12)に示す。
w3=2×T3/r3/n=2×45/0.16/4=141(kN) …式(12)
また、第2嵌着部28の嵌着摩擦力F3bにつき、式(11)に基づき計算した結果を、以下の式(13)に示す。
F3b=w3×μb=141×0.4=56(kN) …式(13)
以上の計算例から明らかなように、第1実施形態において、第1嵌着部22の嵌着摩擦力F2bは40kNであり、第2嵌着部28の1か所当たりの嵌着摩擦力F3bは56kNである。したがって、第1実施形態の構成では、比較例と比べて分解・組立時の嵌着摩擦力が非常に小さくなり、人力での巻上機1の分解・組立が十分可能なことが分かる。したがって、第1実施形態の構成では、分解・組立の際に大掛かりな油圧機器等を機械室に搬入しなくてすむので、メンテナンスや入替の作業を容易に行うことができる。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の巻上機1の正面図であり、図5は、第2実施形態における第1嵌合部22の嵌入工程を示す拡大図である。なお、以下の各実施形態の説明では、第1実施形態と共通の要素に関する重複説明を適宜省略する。
第2実施形態は、第1嵌着部22の内周嵌着面および外周嵌着面を軸方向に分割して形成する例である。第1嵌着部22はラジアル方向の荷重による曲げモーメントを受ける。そのため、第1嵌着部22の軸方向全長は、必要な嵌着力から求まる嵌着部の寸法よりも長くする方が合理的な設計となりうる。
第2実施形態では、必要な嵌着力から求まる第1嵌着部22の長さを2つの領域に分け、一方の領域(第1領域)を片持軸部10の先端側に配置し、他方の領域(第2領域)を片持軸部10の根本側に配置する。
図5に示すように、シャフト3の片持軸部10の外周面には、それぞれ外周嵌着面10aの一部をなす円柱状の第1領域31と第2領域32が形成されている。外周嵌着面10aの第1領域31は、片持軸部10の先端側に形成されている。外周嵌着面10aの第2領域32は、第1領域31から軸方向に間隔をあけて片持軸部10の根本側に形成されている。
片持軸部10の第1領域31および第2領域32は、それぞれ回転軸AXと同心の円柱状である。片持軸部10の第1領域31の外径は、片持軸部10の第2領域32の外径よりもわずかに小さく設定されている。また、第1領域31および第2領域32の軸方向の嵌着長さは、それぞれに作用する力の大きさに比例して決定されている。なお、第2嵌着部28がラジアル方向の力を支える作用を利用することで、第1領域31の嵌着長さを短く設定してもよい。
また、片持軸部10の第1領域31と第2領域32の間には、第1領域31と第2領域32と比べて径方向内側にくぼんだ環状の軸側ニゲ部33が形成されている。
一方、ボス部11のボス本体11aの内周面には、それぞれ内周嵌着面11a1の一部をなす円筒状の第1領域34と第2領域35が形成されている。内周嵌着面11a1の第1領域34は、ボス本体11aの一方側(フランジ部寄り)に形成され、片持軸部10の第1領域31を受ける。内周嵌着面11a1の第2領域35は、第1領域34から軸方向に間隔をあけてボス本体11aの他方側に形成され、片持軸部10の第2領域32を受ける。
ボス本体11aの第1領域34および第2領域35は、それぞれ回転軸AXと同心の円筒状である。ボス本体11aの第1領域34の内径は、ボス本体11aの第2領域35の内径よりもわずかに小さく設定されている。ボス本体11aの第1領域34と第2領域35の内径差は、片持軸部10の第1領域31と第2領域32の外径差に対応する。また、ボス本体11aの第1領域34の内径は、片持軸部10の第1領域31に対してしまりばめとなる寸法であり、ボス本体11aの第2領域35の内径は、片持軸部10の第2領域32に対してしまりばめとなる寸法である。
また、ボス本体11aの第1領域34と第2領域35の間には、第1領域34と第2領域35と比べて径方向外側にくぼんだ環状のボス側ニゲ部36が形成されている。
回転子6にシャフト3を嵌入する場合、ボス部11には片持軸部10が他方側から挿入される。このとき、図5(a)から図5(b)に示すように、片持軸部10の第1領域31は、ボス本体11aの第2領域35、ボス側ニゲ部36の位置を通過して第1領域34の手前まで挿入される。ボス本体11aの第2領域35およびボス側ニゲ部36は、いずれもボス本体11aの第1領域34よりも内径が大きい。そのため、片持軸部10の第1領域31は、ボス本体11aの第2領域35およびボス側ニゲ部36に干渉せずに第1領域34の手前まで挿入できる。
図5(b)の状態では、片持軸部10の第1領域31はボス本体11aの第1領域34より他方側に位置し、径方向においてボス本体11aのボス側ニゲ部36に対向している。片持軸部10の第2領域32はボス本体11aの第2領域35より他方側に位置し、ボス本体11aには挿入されていない。なお、図5(b)の状態では、ボス本体11aの第2領域35は、径方向において片持軸部10の軸側ニゲ部33に対向している。
図5(b)の状態から、ボス本体11aを他方側に押し進めると、片持軸部10の第1領域31およびボス本体11aの第1領域34の嵌入と、片持軸部10の第2領域32およびボス本体11aの第2領域35の嵌入がそれぞれほぼ同時に開始される。そして、図5(c)に示すように、片持軸部10の第1接合面10bとフランジ部11bの第2接合面11b1が接触するまで片持軸部10がボス部11に押し込まれる。
図5(c)の状態では、片持軸部10の第1領域31とボス本体11aの第1領域34がしまりばめとなり、片持軸部10の第2領域32とボス本体11aの第2領域35がしまりばめとなる。これにより、第1実施形態と同様に、片持軸部10の外側嵌着面10aとボス本体11aの内側嵌着面11a1が嵌着されて面接触し、第1嵌着部22が構成される。したがって、第2実施形態においても、第1嵌着部22に関して第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態では、片持軸部10の第1領域31およびボス本体11aの第1領域34の嵌入と、片持軸部10の第2領域32およびボス本体11aの第2領域35の嵌入がほぼ同時に進行し、嵌入開始から嵌入終了までの挿入代が大幅に短くなる。例えば、第1嵌着部22において嵌着する部分を第1領域(31、34)と第2領域(32、35)に2等分して割り当てた場合、嵌入時の挿入代は1/2に低減する。
嵌入開始から嵌入終了までの挿入代が短くなると、分解・組立に用いる治具のストロークも短くなるので、第2実施形態では、第1実施形態よりも省スペースで巻上機1の分解・組立を行うことが可能となる。また、第2実施形態では、嵌入開始から嵌入終了までの挿入代が短くなることで、巻上機1の分解・組立の時間を短縮することもできる。
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の巻上機1の正面図であり、図7は、第3実施形態の巻上機1の左側面図である。
第3実施形態は、第2嵌着部28のピンの形状をテーパ状に形成した例である。第3実施形態では、第2嵌着部28のピンとして、先端側が後端側よりも縮径した形状のテーパピン40が適用される。また、片持軸部10とフランジ部11bのピン穴15、17は、テーパピン40に対応するテーパ形状に形成される。
また、テーパピン40の中央には、軸方向に沿って空気抜き穴を兼ねる貫通穴40aが形成され、貫通穴40aには締付ボルト41が挿入される。締付ボルト41は片持軸部10のピン穴15の底に形成された雌ねじ穴42と螺合し、テーパピン40を片持軸部10に締め付けて固定する機能を担う。
第3実施形態でのテーパピン40の嵌入では、フランジ部11bと片持軸部10の各ピン穴15、17にテーパピン40を挿入する。その後、テーパピン40の貫通穴40aに締付ボルト41を挿入し、締付ボルト41をピン穴15内の雌ねじ穴42と螺合する。これにより、テーパピン40が締代の分までピン穴15、17に嵌入されて第2嵌着部28が形成される。
第3実施形態では、以下の式(14)、(15)に示すように、テーパピン40の挿入代と第2嵌着部28の締代を精度よく定めることができる。但し、テーパピン40の挿入代と第2嵌着部28の締代は、テーパピン40とピン穴15、17の接した瞬間をゼロとする。
テーパピン40の挿入代=締付ボルト41の回転数×ねじのピッチ …式(14)
第2嵌着部28の締代=テーパピン40の挿入代×テーパ比 …式(15)
また、第3実施形態でのテーパピン40の挿入において、嵌入開始から嵌入終了までの挿入代は、式(16)に示すように、第2嵌着部28の締代をテーパ比で除した値である。
テーパピン40の挿入代=第2嵌着部28の締代/テーパ比 …式(16)
第3実施形態では、テーパピン40とピン穴15の接した瞬間をゼロとして、締付ボルト41の回転でテーパピン40の挿入量を精度よく調整できる。また、第3実施形態では、第2嵌着部28の締代をテーパピン40の挿入量で精度よく管理できるので、複数の第2嵌着部28における締代のばらつきを抑制できる。
例えば、式(15)においてテーパ比を1/50とすると、第3実施形態での第2嵌着部28の締代は直径でテーパピン40の挿入量の1/50であり、締代(半径)の精度は挿入量の100倍となる。したがって、第3実施形態の場合、第1実施形態で円筒形のピンとピン穴の加工公差を管理する場合に比べ、締代のばらつきを小さくできることが分かる。
このように、第3実施形態では、締代に比例する嵌着摩擦力のばらつきが小さくなるので、ばらつきを考慮した第2嵌着部28の最大側の嵌着摩擦力を小さく設計できる。以上の理由から、第3実施形態では、第1実施形態と比べて第2嵌着部28での嵌着摩擦力を低減できる。
また、第3実施形態では、第2嵌着部28の分解・組立のときにテーパピン40の嵌入開始から嵌入終了までの挿入代が大幅に短くなる。そのため、第3実施形態では、第1実施形態に比べて、第2嵌着部28の分解・組立作業が容易となり、作業時間も短縮できる。
例えば、第2嵌着部28において、必要な締代を直径20μm、テーパ比1/50とする。この場合、式(16)からテーパピン40の挿入代は1mmとなる。一方、第1実施形態のように円筒形のピンを適用するとピンの挿入代は数十mm以上となるので、第3実施形態では第1実施形態よりもピンの挿入代が大幅に短くなることが分かる。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態の巻上機1の正面図であり、図9は、第4実施形態の巻上機1の左側面図である。図8におけるシャフト3と回転子6の部分断面は、図9のB-O-J-D-E線での断面である。
第4実施形態では、フランジ部11bに引抜用ねじ(不図示)を螺合する引抜用ねじ穴43が形成される。引抜用ねじ穴43の数は、引抜用ねじの軸力と本数の積が第1嵌着部22の嵌着摩擦力よりも大きくなるように設定される。図9では、フランジ部11bの周方向に4つの引抜用ねじ穴43が等間隔に形成された例を示している。
第4実施形態では、シャフト3と回転子6の分解時に引抜用ねじ穴43に引抜用ねじを螺合する。すると、引抜用ねじが片持軸部10の第1接合面10bに当接し、回転子6を片持軸部10から引き抜く力が生じる。そして、引抜用ねじのねじ込み量に比例して回転子6が片持軸部10から離間し、これによりシャフト3と回転子6を分解できる。第4実施形態によれば、フランジ部11bに引抜用ねじをねじ込むことでシャフト3と回転子6の分解が可能になるので、引抜用治具の簡略化と分解作業の手間の削減を図ることができる。
<実施形態の補足事項>
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。例えば、第1実施形態から第4実施形態の構成のうちから複数の実施形態の構成を任意に組み合わせて適用してもよい。
また、上記実施形態において、第1嵌着部22を構成する外周嵌着面10aおよび内周嵌着面11a1を、他方側から一方側に縮径するテーパ形状に形成してもよい。
また、第2実施形態での第1嵌着部22の嵌着面の形状は、ボス側の内周面と軸側の外周面の干渉を避けることができれば上記の形状に限定されない。例えば、片持軸部10において、第2領域32よりも先端側の部分を第1領域31の外径と面一の円柱状に形成し、溝状のニゲ部を形成しなくてもよい。あるいは、ボス本体11aにおいて、第1領域34よりも他方側の部分を第2領域35の内径と面一の円筒状に形成し、溝状のニゲ部を形成しなくてもよい。なお、ボス側の内周面と軸側の外周面の干渉を避けることができれば、片持軸部10の第1領域31と第2領域32の間をテーパ形状などで繋いでもよく、ボス本体11aの第1領域34と第2領域35の間をテーパ形状などで繋いでもよい。
上記実施形態では、本発明をエレベータの巻上機に適用した場合の構成例について説明した。しかしながら、本発明は、ロープを巻き上げる巻上機であれば、如何なる用途の巻上機にも適用可能である。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…巻上機、2…駆動綱車、3…シャフト、6…回転子、7…固定子、10…片持軸部、10a…外周嵌着面、10b…第1接合面、11…ボス部、11a…ボス本体、11a1…内周嵌着面、11b…フランジ部、11b1…第2接合面、15,17…ピン穴、16,18…ボルト穴、19…固定ボルト、22…第1嵌着部、24…接合部、26…ピン、28…第2嵌着部、31,34…第1領域、32,35…第2領域、40…テーパピン、41…締付ボルト、42…雌ねじ穴、43…引抜用ねじ穴

Claims (6)

  1. ロープの巻き取りおよび巻き戻しを行う駆動綱車と、
    前記駆動綱車の回転軸に沿って配置され、前記駆動綱車を回転させるシャフトと、
    前記シャフトの一端に取り付けられ、固定子の磁界に対する磁力により回転する回転子と、を備え、
    前記回転子は、前記シャフトとの間で第1嵌合部および複数の第2嵌合部を形成するボス部を有し、
    前記ボス部は、前記シャフトの一端が挿入される筒状本体と、前記筒状本体の内周に突出し、前記シャフトの一端側の端面に臨むフランジ部とを有し、
    前記第1嵌合部では、前記筒状本体の内周面と前記シャフトの外周面が嵌着され、
    各々の前記第2嵌合部では、前記フランジ部を挿通して前記シャフトに対して軸方向に嵌入されたピンにより、前記フランジ部および前記シャフトが前記ピンを介して嵌着される
    巻上機。
  2. 前記シャフトの一端には、前記回転軸に直交する第1接合面が形成され、
    前記フランジ部には、前記回転軸に直交する第2接合面が前記第1接合面に対向して形成され、
    前記第1接合面と前記第2接合面が接触した状態で、前記フランジ部および前記シャフトがボルトで固定される接合部をさらに有する
    請求項1に記載の巻上機。
  3. 前記第1嵌合部は、前記シャフトの先端側に設けられた第1領域と、前記第1領域から前記軸方向に間隔をあけて設けられた第2領域において、それぞれ前記筒状本体の内周面と前記シャフトの外周面が嵌着する
    請求項1または請求項2に記載の巻上機。
  4. 前記シャフトの外径は、前記第2領域の対応部位よりも前記第1領域の対応部位の方が小さく、
    前記筒状本体の内径は、前記第2領域の対応部位よりも前記第1領域の対応部位の方が小さい
    請求項3に記載の巻上機。
  5. 前記ピンは、嵌入方向の先端側が縮径するテーパ形状であり、
    前記第2嵌合部の嵌着時に、前記ピンに挿入されたボルトにより前記シャフトに前記ピンが締結される
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の巻上機。
  6. 前記フランジ部は、前記回転子と前記シャフトの分解時に前記シャフトの一端を押圧する引抜用ねじを螺合可能なねじ穴を有する
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の巻上機。

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