JP2022552831A - ホスホマンノムターゼ2欠損の処置のためのアルドースレダクターゼ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
本開示は、アルドースレダクターゼ阻害剤を使用して、PMM2-CDGを処置するための方法に関する。他の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGの処置を必要とする被験体におけるPMM2-CDGを処置する方法であって、AR阻害剤、例えば式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物、および薬学的に許容され得る担体を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。本開示は、PMM2-CDGを有する被験体におけるPMM2酵素活性を増大させる方法であって、前記被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤、例えば式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む方法に関する。
Description
関連出願
本出願は、2019年10月8日に出願された米国仮出願第62/912,441号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
本出願は、2019年10月8日に出願された米国仮出願第62/912,441号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
背景
ホスホマンノムターゼ2(PMM2)は、マンノース-6-リン酸(M6P)をマンノース-1-リン酸(M1P)に変換する酵素である。M1Pは、GDP-マンノースの前駆体であり、これは、タンパク質のグリコシル化のために重要なドリコール-P-オリゴ糖(dalichol-P-oligosaccharide)の産生のために必要である。
ホスホマンノムターゼ2(PMM2)は、マンノース-6-リン酸(M6P)をマンノース-1-リン酸(M1P)に変換する酵素である。M1Pは、GDP-マンノースの前駆体であり、これは、タンパク質のグリコシル化のために重要なドリコール-P-オリゴ糖(dalichol-P-oligosaccharide)の産生のために必要である。
PMM2は、細胞質内で絶対ホモ二量体を形成し、そしてマンノース-6-リン酸をマンノース-1-リン酸に変換する。各PMM2単量体は、触媒活性のための必須条件として、それ自体と二量体を形成するが、1つの二量体あたり1個の機能的活性部位が必要とされるのみである。(Andreotti,G.,et.al.,2015,PLoS ONE 10,e0139882.doi:10.1371/journal.pone.013988)。グルコース-1,6-二リン酸およびマンノース-1,6-二リン酸は、PMM2機能の内因性コアクチベーターであり、PMM2二量体に結合して安定化させる(同上)。
PMM2欠損は、最も一般的なグリコシル化の先天性障害(CDG)を担う(Van,S.E.et al.,FEBS Lett.1995,377,318-320,Ferreira,C.R.et al.,J.Inherit.Metab.Dis.2018,41,541-553)。PMM2-CDGは、多系統、多器官の疾患である。なぜなら、最低レベルのグリコシル化が、身体の全ての細胞において常に必要とされるからであり、異なる細胞型および器官は、多かれ少なかれ、過小なグリコシル化の複雑な結果を受けやすい。PMM2酵素活性の残留レベルが上昇すると、罹患した器官系の数および重症度が減少する。PMM2をコードする遺伝子の変異は、PMM2-CDGを担い(Jaeken,J.et al.,J Inherit Metab Dis.2008,31,669-72)、そしてPMM2遺伝子において、PMM2-CDGを引き起こす115より多い変異が見出されている。疾患を引き起こす全ての変異は、PMM2の酵素活性を低下させて、正常なタンパク質のグリコシル化のためのオリゴ糖を形成するには不十分な量の活性化マンノースをもたらすようである。PMM2-CDGはまた、CDG-1AまたはJaeken症候群としても公知である。PMM2-CDGは、様々な臨床的進行および提示を示し、罹患した個体は代表的に、幼児期に兆候および症状を発症する。PMM2-CDGにより影響を受ける器官としては、脳、肝臓、胃腸管、心臓および腎臓が挙げられる。罹患した幼児のうちの約20%が、複数の器官の不全に起因して、1歳未満で死亡する。PMM2-CDGの最も重篤な症例は、胎児水腫により特徴付けられ、そして大部分の症例では、胎児水腫を有する新生児は、死産であるか、または生後すぐに死亡する。幼児期を生存した大部分のPMM2-CDG患者は、知的障害および発育遅延を有する(Schiff,M.et al.,J Med Genet.,2017,54,843-851)。
現在、PMM2-CDGを処置するための有効な治療アプローチは存在せず、この疾患は、疾患の出現を減少させるための努力(例えば、作業療法、理学療法および言語療法)により管理されている。したがって、PMM2-CDGを処置するための方法に対する認識されているが満たされていない必要性がある。
現在、PMM2-CDGを処置するための有効な治療アプローチは存在せず、この疾患は、疾患の出現を減少させるための努力(例えば、作業療法、理学療法および言語療法)により管理されている。したがって、PMM2-CDGを処置するための方法に対する認識されているが満たされていない必要性がある。
Andreotti,G.,et.al.,2015,PLoS ONE 10,e0139882.doi:10.1371/journal.pone.013988
Van,S.E.et al.,FEBS Lett.1995,377,318-320
Ferreira,C.R.et al.,J.Inherit.Metab.Dis.2018,41,541-553
Jaeken,J.et al.,J Inherit Metab Dis.2008,31,669-72
Schiff,M.et al.,J Med Genet.,2017,54,843-851
概要
本開示は、PMM2-CDGの処置を必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ(AR)阻害剤を投与することにより、PMM2-CDGを処置するための方法に関する。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、ARの阻害は、PMM2酵素活性を増強し得ると考えられる。
本開示は、PMM2-CDGの処置を必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ(AR)阻害剤を投与することにより、PMM2-CDGを処置するための方法に関する。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、ARの阻害は、PMM2酵素活性を増強し得ると考えられる。
一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。いくつかの態様では、投与されるAR阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210ではない。一例では、PMM2-CDGの処置または予防のための方法は、エパルレスタットの投与を除外する。他の例では、PMM2-CDGの処置または予防のための方法は、エパルレスタットおよびα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸の投与を除外する。
本明細書に開示される方法にしたがって処置すべき被験体は、古典的な小児科の臨床提示、例えば、発育遅延、体軸性筋緊張低下(axial hypotonia)を伴う重症の脳症、異常な目の運動、精神運動遅滞および/または小脳低形成を有し得る。本明細書に開示される方法にしたがって処置すべき被験体は、性腺機能低下症、凝固異常および血栓事象、網膜色素変性症ならびに/または末梢神経障害を有し得る。
他の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGの処置を必要とする被験体におけるPMM2-CDGを処置する方法であって、AR阻害剤、例えば式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物、および薬学的に許容され得る担体を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。本開示は、PMM2-CDGを有する被験体におけるPMM2酵素活性を増大させる方法であって、前記被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤、例えば式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む方法に関する。
他の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGの処置を必要とする被験体におけるPMM2-CDGを処置する方法であって、治療有効量の
(a)式(I)~(VI)の化合物および薬学的に許容され得る担体;ならびに
(b)アルポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210のうちの1つまたはそれよりも多く
を投与することを含む方法に関する。
(a)式(I)~(VI)の化合物および薬学的に許容され得る担体;ならびに
(b)アルポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210のうちの1つまたはそれよりも多く
を投与することを含む方法に関する。
他の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGの治療のための、PMM2酵素活性を増大させるための、AR阻害剤の使用に関する。
他の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGを処置するための医薬の製造のための、AR阻害剤の使用に関する。
本開示はまた、PMM2-CDGの処置のための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)の使用に関する。
本開示はまた、PMM2-CDGの処置のための医薬の製造のための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)に関する。
本開示はまた、PMM2-CDGの処置のための医薬製剤であって、活性成分としてAR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)を含有する医薬製剤に関する。
詳細な説明
以下、様々な態様をより詳細に説明する。しかしながら、このような態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であるように提供されるものである。
以下、様々な態様をより詳細に説明する。しかしながら、このような態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であるように提供されるものである。
本開示は、PMM2-CDGの処置のためのAR阻害剤の使用に関する。
本開示において値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値および記述されている範囲内の任意の他の記述されている値または介在値は、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μM~8μMの範囲が記述されている場合、2μM、3μM、4μM、5μM、6μMおよび7μM、ならびに1μMを超えるかまたはそれに等しい値の範囲および8μM未満またはそれに等しい値の範囲も明示的に開示されていることが意図される。
文脈上特に明確な指示がない限り、「a」、「an」および「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「式Iの化合物」への言及は、単一の化合物、および同じまたは異なる化合物の2つまたはそれよりも多くを含む;「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、および同じまたは異なる賦形剤の2つまたはそれよりも多くを含む、などである。
「約」という語は、本開示の文脈上特に指示がない限り、またはこのような解釈との矛盾がない限り、その値のプラスまたはマイナス10%の範囲を意味し、例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味する、などである。例えば、「約49、約50、約55」などの数値のリストでは、「約50」は、前述の値と後述の値との間の間隔の半分未満まで拡大する範囲、例えば49.5超~52.5未満を意味する。さらに、「約ある値未満」または「約ある値を超える」という語句は、本明細書で提供される「約」という用語の定義を考慮して理解すべきである。
様々な実施形態の完全、簡潔かつ明確な説明を提供するために、本開示は、より広い開示の様々な要素、要素のグループ、範囲および他のエレメントの説明を含む。このようなエレメントを様々に組み合わせて、本開示のさらなる実施形態を提供し得ることを意図する。また、グループ内の任意のサブ範囲またはサブ範囲の組み合わせを含む任意の開示されるグループの個々のメンバーを含む任意の開示される特徴(例えば、置換基、類似体、化合物、構造、要素)は、任意の理由により、本開示または本開示の実施形態から除外され得ることを意図する。
本開示の様々な実施形態は、以下の番号の段落においてさらに詳細に説明される。
I.方法
I.方法
一般に、本開示は、PMM2-CDGの処置のための方法であって、それを必要とする被験体にアルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。化合物は、AR活性を阻害する任意の適切な化合物、例えば(例えば、5kDaまたはそれ未満のサイズを有する)小分子化合物、生物学的薬剤(例えば、アルドースレダクターゼに対する阻害性RNA)またはそれらの組み合わせであり得る。好ましくは、AR阻害剤は小分子化合物である。適切な小分子AR阻害剤は当技術分野で公知であり、本明細書に開示される。小分子AR阻害剤としては、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、米国特許第10,150,779号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸もまた、AR阻害剤である。本発明において使用するために好ましいAR阻害剤としては、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、米国特許第10,150,779号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。AR阻害剤は、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、および水素に代えて1つまたはそれを超える原子の安定同位体形態、例えば重水素を含有する化合物を含む任意の適切な分子形態で投与され得る。
一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼを投与することを含み、アルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210ではない。特定の実施形態では、本明細書に開示されるPMM2-CDGの処置のための方法は、エパルレスタットを投与することを含まない。特定の実施形態では、本明細書に開示されるPMM2-CDGの処置のための方法は、エパルレスタットまたはα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を投与することを含まない。
一例では、PMM2-CDGの処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bであるか、あるいは化合物Aまたは化合物Bの生理学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグである。
本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、治癒的または緩和的(例えば、疾患または疾患症候を制御または緩和する)治療を指す。これは、被験体の症状を改善または安定化する方法で、PMM2-CDGの症候、臨床徴候および基本的病状を回復させ、軽減し、停止させまたは遅延させることを含み得る。したがって、前記方法は、PMM2-CDGの処置、PMM2-CDGの合併症(例えば、症候および臨床徴候)の処置、ならびに/またはPMM2-CDGの合併症(例えば、症候および臨床徴候)の処置および予防に使用され得る。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、投与条件下で所望の治療効果を達成するために十分な化合物の量、例えば、PMM2-CDGの重症度を軽減または改善し、PMM2-CDGに関連する症状もしくは症候の進行を予防するか、またはPMM2-CDGの処置もしくは管理のための別の治療の治療効果を増強しもしくは他の方法で改善する量である。治療有効量は、処置されている被験体におけるPMM2酵素活性を増大させる量であり得る。投与される実際の量は、例えば、被験体の年齢、体重、性別、一般的健康(general heath)および薬物耐性、疾患の重症度、選択される剤形、投与経路および他の要因に基づいて、通常の技能の臨床医により決定され得る。典型的には、投与されるAR阻害剤の量は、約0.5~約60mg/kg体重/日、例えば約1.0~10mg/kgである。
本明細書に開示される方法の実施のいくつかの例では、治療有効量は、(例えば、処置前レベルと比較して)細胞内アルドースレダクターゼ活性を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれを超えて、例えば約100%減少させるために十分な量である。治療有効量は、(例えば、処置前レベルと比較して)PMM2酵素活性を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれを超えて、例えば約100%増大させる量であり得る。治療有効量は、PMM2-CDGを有する被験体のPMM2酵素レベルを回復するために十分であり得る。
「被験体」は、限定されないが、ヒト、飼育動物、例えばネコまたはイヌの被験体、家畜、例えば限定されないが、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、鳥類およびブタの被験体、野生動物(野生または動物園にかかわらず)、研究動物または実験動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなど、鳥類、例えばニワトリ、七面鳥、鳴き鳥などを含む、PMM2-CDGを有する任意の動物、特に哺乳動物であり得る。典型的には、本明細書に開示される方法を使用して処置すべきヒト被験体は、酵素的または遺伝的スクリーニングにより新生児のときにPMM2-CDGと診断され、PMM2活性の欠損を有する。
本開示はまた、被験体におけるPMM2-CDGの少なくとも1つの臨床的特徴または合併症の予防または処置に関する。子供、青年または成人に存在し得る代表的な臨床的特徴または合併症としては、例えば、交代性内斜視(alternating internal strabism)および他の異常な目の運動、体軸性筋緊張低下、知的障害、運動失調症、および反射低下が挙げられる。幼児期の後に、症状としては、網膜色素変性症、しばしば、発作様のエピソード、および時々てんかんが挙げられる。他の特徴は、様々な異形症(大きい、発育不全/形成異常の耳)、異常な皮下脂肪組織の分布(脂肪パッド、陥没乳頭)、軽度~中等度の肝腫大、骨格異常(環軸関節亜脱臼が挙げられる)、および性腺機能低下症である。幼児によっては、心内膜液浸出および/または心筋症を発症する。臨床スペクトルの他端には、非常に軽度の表現型(異形症なし、非常に軽度の知的障害、運動失調症)を有する患者がいる(Jaeken,J.et al,”Glycosylation and its Disorders:General Overview,”Elsevier,Reference Module in Biomedical Sciences,2016)。
特定の態様では、本開示は、PMM2-CDGの臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
一例では、本開示は、PMM2-CDGの臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
一例では、本開示は、PMM2-CDGの臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、前述の方法は、1つまたはそれを超えるAR阻害剤を含む製剤を投与することにより行われる。前記製剤は、所望の処置期間にわたって1日1回、1日2回、1日3回または1日4回投与することにより行われる投与に適合され得る。
代表的に、前記製剤は、前記方法は、数週間、数カ月間、数年間または数十年間にわたる慢性投与に適合される。代表的に、前記方法は、数カ月間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数年間または数十年間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。
II.AR阻害剤
代表的に、前記製剤は、前記方法は、数週間、数カ月間、数年間または数十年間にわたる慢性投与に適合される。代表的に、前記方法は、数カ月間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数年間または数十年間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。
II.AR阻害剤
適切な小分子AR阻害剤は当技術分野では知られておあり、本明細書に開示される。小分子AR阻害剤としては、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、国際公開第2012/009553号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。本発明において使用するために好ましいAR阻害剤としては、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、国際公開第2017/038505号、米国特許第10,150,779号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、米国特許第10,150,779号、国際公開第2012/009553号および国際公開第2017/038505号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書に記載される方法において使用するために適切な化合物を開示する。
式IおよびIIの化合物
式IおよびIIの化合物
式中、
R1はH、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ヒドロキシアルキルまたは(C1-C6)-アミノアルキルであり;
X1はNまたはCR3であり;
X2はNまたはCR4であり;
X3はNまたはCR5であり;
X4はNまたはCR6であり;ただし、X1、X2、X3またはX4のうちの2つまたは3つはNであり;
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルであり;
A1はNR11、O、SまたはCH2であり;
A2はNまたはCHであり;
A3はNR11、OまたはSであり;
R3~R10は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルもしくは(C1-C4)-アルキルスルホニルであるか;またはR3~R6の2つもしくはR7~R10の2つは共に(C1-C4)-アルキレンジオキシであり;ならびに
R11は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1は水素または(C1-C6)-アルキルである。特定の実施形態では、R1は水素である。特定の実施形態では、R1は(C1-C6)-アルキルである。特定の実施形態では、R1はtert-ブチルである。
特定の実施形態では、R3~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R3~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
特定の実施形態では、R3~R6は水素である。
特定の実施形態では、R7~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R7~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
特定の実施形態では、R7およびR10は水素である。
特定の実施形態では、R8は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R8は水素である。特定の実施形態では、R8はハロゲンである。特定の実施形態では、R8はハロアルキルである。
特定の実施形態では、R9は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R9は水素である。特定の実施形態では、R9はハロゲンである。特定の実施形態では、R9はハロアルキルである。
特定の実施形態では、YはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、A1はNR11、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A1はNR11またはOである。特定の実施形態では、A1はNR11またはSである。特定の実施形態では、A1はNR11である。特定の実施形態では、A1はOである。特定の実施形態では、A1はSである。
特定の実施形態では、A2はNまたはCHである。特定の実施形態では、A1はNである。特定の実施形態では、A1はCHである。
特定の実施形態では、A3はOまたはSである。特定の実施形態では、A3はOである。特定の実施形態では、A3はSである。
特定の実施形態では、X1およびX4は窒素である。
特定の実施形態では、X1およびX2は窒素である。
特定の実施形態では、X1およびX3は窒素である。
特定の実施形態では、X2およびX3は窒素である。
特定の実施形態では、X2およびX4は窒素である。
特定の実施形態では、X3およびX4は窒素である。
特定の実施形態では、R1は水素または(C1-C6)-アルキルであり;
X1およびX4はNであり;
X2はCR4であり;
X3はCR5であり;
YはC=Oであり;
A1はNR11、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R4およびR5は水素であり;
R7~R10は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルであり;ならびに
R11は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1は水素またはtert-ブチルであり;
X1およびX4はNであり;
X2はCR4であり;
X3はCR5であり;
YはC=Oであり;
A1はNR11、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R4およびR5は水素であり;
R7~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
R11は水素、(C1-C4)-アルキルまたはC(O)O-tert-ブチルである。
特定の実施形態では、R1は水素またはtert-ブチルであり;
X1およびX4はNであり;
X2はCHであり;
X3はCHであり;
YはC=Oであり;
A1はNR11、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R7、R8およびR10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
R9はハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
R11は水素またはメチルである。
特定の実施形態では、R1は水素またはtert-ブチルであり;
X1およびX4はNであり;
X2はCHであり;
X3はCHであり;
YはC=Oであり;
A1はNR11、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R7、R8およびR10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
R9は塩素またはトリフルオロメチルであり;ならびに
R11は水素またはメチルである。
式中、R1、R7-R9およびYは式(I)に記載されるとおりであり、好ましくは、R1は水素または(C1-C6)-アルキルであり、YはC=Oである。式(II)の例示的な化合物としては、以下のものおよびそれらの塩が挙げられる:
式(III)の化合物
AR阻害剤は、式(III)の化合物
式中、
R1はCO2R2またはCO2
-X+であり;
R2はH、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ヒドロキシアルキルまたは(C1-C6)-アミノアルキルであり;
X1はHまたはハロゲンであり;
X2はHまたはハロゲンであり;
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルであり;
A1はNR7、O、SまたはCH2であり;
A2はNまたはCHであり;
A3はNR7、OまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルであり;
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルであり;ならびに
X+は対イオンである。
当業者により、
特定の実施形態では、R1はCO2R2またはCO2
-X+である。特定の実施形態では、R1はCO2R2である。特定の実施形態では、R1はCO2
-X+である。
特定の実施形態では、R2は水素または(C1-C6)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は水素または(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は水素または(C1-C3)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は水素、メチルまたはエチルである。特定の実施形態では、R2は水素またはメチルである。特定の実施形態では、R2はメチルまたはエチルである。特定の実施形態では、R2はメチルである。特定の実施形態では、R2は水素である。特定の実施形態では、R2は(C1-C6)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は(C1-C6)-n-アルキルである。特定の実施形態では、R2は(C1-C2)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は(C1-C3)-アルキルである。特定の実施形態では、R2は(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R2はtert-ブチルである。
特定の実施形態では、R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルである。
特定の実施形態では、R3~R6は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R3~R6は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
特定の実施形態では、R3およびR6は水素である。特定の実施形態では、R3、R5およびR6は水素である。
特定の実施形態では、R4は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R4は水素である。特定の実施形態では、R4はハロゲンである。特定の実施形態では、R4はハロアルキルである。特定の実施形態では、R4はCF3である。
特定の実施形態では、R3~R6は水素である。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロアルキルである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はCF3である。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロゲンである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はFである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はClである。
特定の実施形態では、YはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、A1はNR7、O、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A1はNR7、OまたはSである。特定の実施形態では、A1はNR7、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A1はNR7またはOである。特定の実施形態では、A1はNR7またはSである。特定の実施形態では、A1はNR7である。特定の実施形態では、A1はOである。特定の実施形態では、A1はSである。
特定の実施形態では、A2はNまたはCHである。特定の実施形態では、A2はNである。特定の実施形態では、A2はCHである。
特定の実施形態では、A3はNR7、OまたはSである。特定の実施形態では、A3はOである。特定の実施形態では、A3はSである。特定の実施形態では、A3はNR7である。
特定の実施形態では、X1およびX2は水素である。
特定の実施形態では、X1およびX2はハロゲンである。特定の実施形態では、X1およびX2はClである。
特定の実施形態では、X1およびX2は独立して、水素またはハロゲンである。特定の実施形態では、X1は水素であり、X2はClである。特定の実施形態では、X1はClであり、X2は水素である。
特定の実施形態では、R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R7は水素である。特定の実施形態では、R7はC1-C4アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C3アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C2アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C4n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C3n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C3)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C2)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C4)-n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C3)-n-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたは(C1-C6)-アルキルであり;
X1はHであり;
X2はHであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたはtert-ブチルであり;
X1はHであり;
X2はHであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R6~R6は独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたはtert-ブチルであり;
X1はHであり;
X2はHであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3、R5およびR6は水素であり;
R4は水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたは(C1-C6)-アルキルであり;
X1はハロゲンであり;
X2はハロゲンであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたはtert-ブチルであり;
X1はハロゲンであり;
X2はハロゲンであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたはtert-ブチルであり;
X1はClであり;
X2はClであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、R1はCO2R2であり;
R2はHまたはtert-ブチルであり;
X1はClであり;
X2はClであり;
YはC=Oであり;
A1はNR7、OまたはSであり;
A2はNであり;
A3はOまたはSであり;
R3、R5およびR6は水素であり;
R4は水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
AR阻害剤は、式(IV)の化合物
式中、
X1はHまたはハロゲンであり;
X2はHまたはハロゲンであり;
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルであり;
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンであり;
A1はNR7、O、SまたはCH2であり;
A2はNまたはCHであり;
A3はNR7、OまたはSであり;
R3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルであり;ならびに
R7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
C2-C5アルキレン上の適切な置換基としては、1つまたはそれを超えるアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオが挙げられる。好ましい置換C2-C5アルキレンは置換エチレンである。より好ましい置換C2-C5アルキレンは-C(CH3)2C(CH3)2-である。
当業者により、
ここで、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
特定の実施形態では、式(IV)のR3~R6は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルまたは(C1-C4)-アルキルスルホニルである。
特定の実施形態では、式(IV)のR3~R6は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R3~R6は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
特定の実施形態では、式(IV)のR3およびR6は水素である。特定の実施形態では、R3、R5およびR6は水素である。
特定の実施形態では、式(IV)のR4は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R4は水素である。特定の実施形態では、R4はハロゲンである。特定の実施形態では、R4はハロアルキルである。特定の実施形態では、R4はCF3である。
特定の実施形態では、式(IV)のR3~R6は水素である。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロアルキルである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はCF3である。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はハロゲンである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はFである。特定の実施形態では、R3、R5、R6は水素であり、R4はClである。
特定の実施形態では、式(IV)のYはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、式(IV)のA1はNR7、O、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A1はNR7、OまたはSである。特定の実施形態では、A1はNR7、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A1はNR7またはOである。特定の実施形態では、A1はNR7またはSである。特定の実施形態では、A1はNR7である。特定の実施形態では、A1はOである。特定の実施形態では、A1はSである。
特定の実施形態では、式(IV)のA2はNまたはCHである。特定の実施形態では、A2はNである。特定の実施形態では、A2はCHである。
特定の実施形態では、式(IV)のA3はNR7、OまたはSである。特定の実施形態では、A3はOである。特定の実施形態では、式(IV)のA3はSである。特定の実施形態では、A3はNR7である。
特定の実施形態では、式(IV)のX1およびX2は水素である。
特定の実施形態では、式(IV)のX1およびX2はハロゲンである。特定の実施形態では、X1およびX2はClである。
特定の実施形態では、式(IV)のX1およびX2は独立して、水素またはハロゲンである。特定の実施形態では、X1は水素およびX2はClである。特定の実施形態では、X1はClおよびX2は水素である。
特定の実施形態では、式(IV)のR7は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R7は水素である。特定の実施形態では、R7はC1-C4アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C3アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C2アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C4n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC1-C3n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C3)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C2)-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C4)-n-アルキルである。特定の実施形態では、R7はC(O)O-(C1-C3)-n-アルキルである。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
別の態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(V)の化合物
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
X3は、NまたはCR8であり;
X4は、NまたはCR9であり;
X5は、NまたはCR10であり;
X6は、NまたはCR11であり;ただし、X3、X4、X5、またはX6のうちの2つまたは3つはNであり;
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンであり;
A4はNR16、O、SまたはCH2であり;
A5はNまたはCHであり;
A6はNR16、OまたはSであり;
R8~R15は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、(C1-C4)-アルキルチオ、(C1-C4)-アルキルスルフィニルもしくは(C1-C4)-アルキルスルホニルであるか;またはR8~R11の2つもしくはR12~R15の2つは共に、(C1-C4)-アルキレンジオキシであり;ならびに
R16は水素、C1-C4アルキルまたはC(O)O-(C1-C4)-アルキルである。
C2-C5アルキレン上の適切な置換基としては、1つまたはそれを超えるアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオが挙げられる。好ましい置換C2-C5アルキレンは置換エチレンである。より好ましい置換C2-C5アルキレンは-C(CH3)2C(CH3)2-である。
当業者により、
Zが
であるか、またはZが
であるという指定は、Zが
である場合には、式(V)の化合物は、
を包含すると理解され;Zが
である場合には、式(V)の化合物は、
を包含すると理解されることを示すことが認識されるであろう。
いくつかの式(V)の化合物では、R8~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R8~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF3)である。
式(V)の他の化合物では、R8~R11は水素である。
式(V)の化合物の特定の実施形態では、R12~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R12~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF3)である。
特定の実施形態では、式(V)のR12およびR15は水素である。
特定の実施形態では、式(V)のR13は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R13は水素である。特定の実施形態では、R13はハロゲンである。特定の実施形態では、R13はハロアルキルである。
特定の実施形態では、式(V)のR14は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R14は水素である。特定の実施形態では、R14はハロゲンである。特定の実施形態では、R14はハロアルキルである。
特定の実施形態では、式(V)のYはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C1-C4)-アルキルである。
特定の実施形態では、式(V)のA4はNR16、SまたはCH2である。特定の実施形態では、A4はNR16またはOである。特定の実施形態では、A4はNR16またはSである。特定の実施形態では、A4はNR16である。特定の実施形態では、A4はOである。特定の実施形態では、A4はSである。
特定の実施形態では、式(V)のA5はNまたはCHである。特定の実施形態では、A4はNである。特定の実施形態では、A4はCHである。
特定の実施形態では、式(V)のA6はOまたはSである。特定の実施形態では、A6はOである。特定の実施形態では、A6はSである。
特定の実施形態では、式(V)のX3およびX6は窒素である。
特定の実施形態では、式(V)のX3およびX4は窒素である。
特定の実施形態では、式(V)のX3およびX5は窒素である。
特定の実施形態では、式(V)のX4およびX5は窒素である。
特定の実施形態では、式(V)のX4およびX6は窒素である。
特定の実施形態では、式(V)のX5およびX6は窒素である。
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
R14は、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF3)であり;ならびに
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
実施形態では、式(V)の化合物は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
一態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(VI)の化合物
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
式中、
Z1およびZ2は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZ1およびZ2は、それらが結合しているホウ素原子と共に、
ここで、
Xは置換または非置換C2-C5アルキレンである。
一実施形態では、式(VI)のアルドースレダクターゼ阻害剤は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
一実施形態では、式(VI)のAH阻害剤は、
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、特に指示がない限り、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分またはそれらの組み合わせを有する一価脂肪族炭化水素ラジカルであって、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分またはそれらの組み合わせの1つまたはそれを超える炭素において、各炭素における1つまたはそれを超える置換基で必要に応じて置換された一価脂肪族炭化水素ラジカルを指し、1つまたはそれを超える置換基は独立して、C1-C10アルキルである。「アルキル」基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ-」という用語は、塩素(Cl)、フッ素(F)、ヨウ素(I)または臭素(Br)を意味する。
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、タイプRCO-のラジカル(式中、Rは、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル、アラルキル、アリール、脂環式または複素環式ラジカルであり得る有機ラジカルを表す)を指定するために広い意味で使用されるか;または異なる定義によれば、「アシル」という用語は、カルボキシルラジカルのOH基がカルボン酸の分子から除去された場合に残る一価ラジカルを広く指定するために使用される。
「アルコキシ」という用語は、式:-O-Rの基(式中、Rは、ハロゲンなどの置換基を必要に応じて含有するアルキル基である)を指定するために用いられる。好ましくは、「アルコキシ」という用語は、1~6個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシを指定するために使用される。最も好ましくは、「アルコキシ」という用語は、1~3個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシを指定するために用いられる。
「シクロアルキル基」という用語は、本明細書では、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを特定するために使用される。
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、適切な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれた化合物またはその薬学的に許容され得る塩を意味する。適切な溶媒は、投与される投与量で生理学的に許容可能である。適切な溶媒の例は、エタノール、水などである。水が溶媒である場合、分子は「水和物」と称される。
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、いくつかの場合では、親薬物よりも投与するのが容易であるので有用であることが多い。それらは、例えば、経口投与により生体利用可能であるのに対して、親薬物は、あまり生体利用可能ではないか、または全く生体利用可能ではない。プロドラッグはまた、医薬組成物において、親薬物よりも改善された溶解性を有する。例えば、化合物は、体液、例えば血流中で加水分解により分割されて、活性化合物が放出される保護基を担持するか、または体液中で酸化もしくは還元されて、化合物が放出される。「プロドラッグ」という用語は、このような官能基、例えば式(I)の化合物の酸性官能基に適用され得る。プロドラッグは、酸性基が、例えばエステルまたはアミドとして保護された構造から構成され得る。プロドラッグのさらなる例は、本明細書で議論される。参照により組み込まれる、Alexanderら(J.Med.Chem.1988,31,318)も参照のこと。プロドラッグの例としては、限定されないが、生体加水分解性部分、例えば、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバミン酸塩、生体加水分解性炭酸塩、および生体加水分解性リン酸塩の類似体などを含む化合物の誘導体および代謝産物が挙げられる。プロドラッグはまた、例えば、The Practice of Medicinal Chemistry(Camille Wermuth,ed.,1999,Academic Press(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。特定の実施形態では、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、好都合には、分子に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することにより形成される。プロドラッグは、典型的には、周知の方法、例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6thed.(Donald J.Abraham ed.,2001,Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs(H.Bundgaard ed.,1985,Harwood Academic Publishers Gmfh(これはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)により記載されるものを使用して調製され得る。式Iの化合物の生体加水分解性部分は、(a)化合物の生物学的活性に干渉しないが、インビボで有利な特性、例えば取り込み、作用持続時間もしくは作用の発現をその化合物に付与し得るか;または(b)生物学的に不活性であり得るが、生物学的に活性な化合物にインビボで変換される。生体加水分解性エステルの例としては、限定されないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステルおよびコリンエステルが挙げられる。生体加水分解性アミドの例としては、限定されないが、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。生体加水分解性カルバミン酸塩の例としては、限定されないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環および複素環式芳香族アミンおよびポリエーテルアミンが挙げられる。
「塩」という用語は、当技術分野で周知の任意の適切な有機対イオンおよび無機対イオンに由来する塩を含み、例として、前述のアミノ酸の塩酸塩または臭化水素酸塩またはアルカリ塩または酸性塩が挙げられる。この用語は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2スルホン酸および他の酸を含む無機酸または有機酸に由来する塩;ならびに例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたはテトラフルオロホウ酸塩を含む無機塩基または有機塩基に由来する塩を含むことが意図される。例示的な薬学的に許容され得る塩は、例えば、Bergeら(J.Pharm.Sci.1977,66(1),1;ならびに米国特許第6,570,013号および米国特許第4,939,140号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見られる。薬学的に許容され得る塩はまた、化合物:酸の比がそれぞれ、2:1である半塩を包含することが意図される。例示的な半塩は、2つのカルボン酸基を含む酸、例えばリンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、シュウ酸、アジピン酸およびクエン酸に由来する塩である。他の例示的な半塩は、硫酸などの二陽子鉱酸に由来する塩である。例示的な好ましい半塩としては、限定されないが、ヘミマレイン酸塩、ヘミフマル酸塩およびヘミコハク酸塩が挙げられる。
「酸」という用語は、すべての薬学的に許容され得る無機酸または有機酸を企図する。無機酸としては、鉱酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば臭化水素酸および塩酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。有機酸としては、すべての薬学的に許容され得る脂肪族、脂環式および芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸および脂肪酸が挙げられる。好ましい酸は、ハロゲン基もしくはヒドロキシル基で必要に応じて置換された直鎖もしくは分枝状飽和もしくは不飽和C1-C20脂肪族カルボン酸、またはC6-C12芳香族カルボン酸である。このような酸の例は、炭酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、吉草酸、アルファ-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸および乳酸、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸ならびにサリチル酸である。ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸およびマレイン酸が挙げられる。トリカルボン酸の例は、クエン酸である。脂肪酸としては、4~24個の炭素原子を有するすべての薬学的に許容され得る飽和または不飽和脂肪族または芳香族カルボン酸が挙げられる。例としては、酪酸、イソ酪酸、sec-ブチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびフェニルステリック酸が挙げられる。他の酸としては、グルコン酸、グリコヘプトン酸およびラクトビオン酸が挙げられる。
III.組成物
III.組成物
化合物は、医薬組成物などの適切な組成物の形態で投与され得る。医薬組成物は生理学的に許容され得るものであり、典型的には、活性化合物および担体を含む。「担体」という用語は、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。このような薬学的担体の非限定的な例としては、石油、動物、植物または合成起源のものを含む液体、例えば水および油、例えばピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが挙げられる。薬学的担体はまた、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤が使用され得る。適切な薬学的担体の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso Gennaro ed.,Krieger Publishing Company(1997);Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy,21stEd.(Lippincot,Williams&Wilkins(2005);Modern Pharmaceutics,vol.121(Gilbert Banker and Christopher Rhodes,CRC Press(2002)(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
組成物は、生理学的および/または薬学的に許容され得る所望の形態、例えばテーブル、カプセル、溶液、エマルジョン、懸濁液、ゲル、ゾルまたはコロイドであり得る。所望により、担体は、例えば、緩衝液、例えばアルカリ性緩衝液、例えばアンモニウム緩衝液、酸性緩衝液、例えばエタン酸塩、クエン酸塩、乳酸、酢酸塩など、または両性イオン緩衝液、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニン、クレブスリンガー緩衝液、TRIS、MES、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、塩化コラミン、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、アセトアミドグリシン、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、TRIZMA、グリシンアミド、グリシル-グリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPSおよびCABSを含み得る。
組成物が液体形態である実施形態では、担体は、限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により;例えば、液体ポリオールまたは脂質などの担体への分散による必要な粒子サイズの維持により;例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用により;またはこのような方法の組み合わせにより維持され得る。所望により、例えば、糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせなどの張度調整剤が含められ得る。いくつかの実施形態では、組成物は等張性である。
組成物はまた、さらなる成分、例えば許容され得る界面活性剤、共溶媒、皮膚軟化剤、pHおよび浸透圧を調整する薬剤、ならびに/または1つもしくはそれを超える成分の酸化を遅らせる抗酸化剤を含み得る。
組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば眼(眼周囲および硝子体内投与を含む)投与、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、経肛門投与、膣内投与、局所投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与、くも膜下投与および腹腔内投与のために調製され得る。したがって、くも膜下投与は必要に応じたものであり、臨床医により選択され得るが(例えば、アルドースレダクターゼ阻害剤が中枢神経系浸透剤ではない場合)、アルドースレダクターゼ阻害剤をくも膜下投与しないことが一般に好ましい。経口組成物は、食事の食品に直接組み込まれ得る。経口投与のための好ましい担体は、不活性希釈剤、食用担体またはそれらの組み合わせを含む。薬学的に許容され得る担体の例としては、例えば、水または生理食塩水、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、炭水化物およびその誘導体、油、脂肪酸またはアルコールが挙げられ得る。例えば、洗剤などの界面活性剤もまた、製剤において使用するために適切である。界面活性剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトールまたはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;またはアクリル誘導体、例えばメタクリレートなど、アニオン性界面活性剤、例えばアルカリ性ステアリン酸塩、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムまたはステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸トリエタノールアミン;アルキル硫酸塩、特にラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;または脂肪酸、特にココナッツオイルに由来するもの、カチオン性界面活性剤、例えば式NR’R”R’”R””Y”の水溶性第4級アンモニウム塩(式中、Rラジカルは、必要に応じてヒドロキシル化された同一のまたは異なる炭化水素ラジカルであり、Y’’は、強酸のアニオン、例えばハロゲン化物、硫酸およびスルホン酸アニオンである);使用され得るカチオン性界面活性剤の1つである臭化セチルトリメチルアンモニウム、NR’R’R”のアミン塩(式中、Rラジカルは、必要に応じてヒドロキシル化された同一のまたは異なる炭化水素ラジカルである);使用され得るカチオン性界面活性剤の1つであるオクタデシルアミン塩酸塩、非イオン界面活性剤、例えばソルビタンの必要に応じてポリオキシエチレン化されたエステル、特にポリソルベート80またはポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセリンエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、両性界面活性剤、例えばベタインの置換ラウリル化合物が挙げられる。
所望により、経口組成物は、1つまたはそれを超える結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、香味剤およびそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、以下:結合剤、例えばトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンもしくはそれらの組み合わせなど;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムもしくはそれらの組み合わせなど;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸もしくはそれらの組み合わせなど;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味剤、例えばスクロース、ラクトース、サッカリンもしくはそれらの組み合わせなど;香味剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバー、または上記の2つもしくはそれを超えるものを含有するそれらの組み合わせの1つまたはそれよりも多くを含み得る。
他の投与様式に適切なさらなる製剤としては、坐薬が挙げられる。また、滅菌注射溶液は、適切な溶媒を使用して調製され得る。一般に、分散液は、様々な滅菌アミノ酸成分を、基本分散媒および/または他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。任意の所望の投与様式のための適切な製剤化方法は、当技術分野で周知である(一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18thEd.Mack Printing Company,1990を参照のこと)。
典型的な薬学的に許容され得る組成物は、約0.01~約2wt%、例えば0.01~約1wt%または約0.05~約0.5wt%の範囲の濃度でAR阻害剤および/またはその薬学的に許容され得る塩を含有し得る。組成物は、溶液、懸濁液、軟膏またはカプセルなどとして製剤化され得る。医薬組成物は水溶液として調製され得、さらなる成分、例えば保存剤、緩衝液、等張化剤、抗酸化剤、安定剤、粘度調整成分などを含有し得る。他の同等の投与様式は、米国特許第4,939,140号に見られ得る。
被験体に投与される場合、AR阻害剤および薬学的に許容され得る担体は滅菌のものであり得る。適切な薬学的担体はまた、賦形剤、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、プロピレングリコール300、水、エタノール、ポリソルベート20などを含み得る。本組成物は、所望により、少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。
本開示の医薬製剤は、薬学で周知の方法により調製される。必要に応じて、1つまたはそれを超える補助成分(例えば、緩衝液、香味剤、表面活性剤など)も添加される。担体の選択は、化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与経路ならびに標準薬務により決定される。
いくつかの実施形態では、組成物は、単位剤形、例えば錠剤、カプセル、または単回投与バイアルである。適切な単位用量、すなわち治療有効量は、選択された化合物の投与が示される各条件について適切に設計された臨床試験中に決定され得、当然のことながら、所望の臨床エンドポイントに応じて変動するであろう。
本開示の化合物および/または組成物はいずれも、化合物および/または組成物を含むキットで提供され得る。したがって、一実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、同じパッケージまたは別個のパッケージにおいて、担体と、必要に応じて、治療用途または予防用途のためにキットを使用するための説明書とを含むキットで提供される。
IV.併用療法
IV.併用療法
本明細書に記載される方法は、AR阻害剤および1つまたはそれを超えるさらなる治療剤の投与を含む。さらなる治療剤は、AR阻害剤の前に、それと同時に、またはその後に投与され得るが、AR阻害剤およびさらなる治療剤の薬理学的活性の重複を提供する方法で投与され得る。さらなる治療剤は、例えば、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤、抗酸化剤またはその両方であり得る。
例えば、第2のアルドースレダクターゼは、例えば、米国特許第5,677,342号;米国特許第5,155,259号;米国特許第4,939,140号;米国特許出願公開第2006/0293265号;およびRoyら(Diabetes Research and Clinical Practice,10,Issue 1,91-97,1990;ならびにそこで引用されている参考文献(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている化合物であり得る。アルドースレダクターゼ阻害剤としては、例えば、米国特許第4,939,140号;米国特許第6,159,976号;および米国特許第6,570,013号に記載されている例えばゾポルレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、ベルベリンおよびソルビニルが挙げられる。好ましくは、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210から選択される。
投与され得る他の治療剤としては、例えば、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンまたはトリアムシナロンアセチニドまたは非コルチコステロイド抗炎症化合物、例えばイブプロフェンまたはフルビプロベンが挙げられる。同様に、ビタミンおよびミネラル、例えば亜鉛および微量栄養素が同時投与され得る。加えて、ケルセチン、ラベンデュスチンA、エルブスタチンおよびハービマイシンAのような天然タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、ならびにチルホスチンのような合成タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含むタンパク質チロシンキナーゼ経路の阻害剤(例えば、AG490、AG17、AG213(RG50864)、AG18、AG82、AG494、AG825、AG879、AG1112、AG1296、AG1478、AG126、RG13022、RG14620およびAG555)、ジヒドロキシ-およびジメトキシベンジリデンマロノニトリル、ラベンデュスチンAの類似体(例えば、AG814およびAG957)、キナゾリン(例えば、AG1478)、4,5-ジアニリノフタルイミドおよびチアゾリジンジオンは、ゲニステインまたはその類似体、プロドラッグもしくは薬学的に許容され得る塩と同時投与され得る(Levitzkiら、Science 267:1782-1788(1995);およびCunninghamら、Anti-Cancer Drug Design 7:365-384(1992)を参照のこと)。これに関して、ゲニステインの潜在的に有用な誘導体としては、Mazurekらの米国特許第5,637,703号に記載されているものが挙げられる。セレノインドール(2-チオインドール)および関連ジスルフィドセレニド、例えばDobrusinらの米国特許第5,464,961号に記載されているものは、有用なタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である。成長因子に対する中和タンパク質、例えば所定の成長因子、例えばVEGF(例えば、Aielloら、PNAS USA 92:10457-10461(1995)を参照のこと)またはホスホチロシン(Dharら、Mol.Pharmacol.37:519-525(1990))に特異的なモノクローナル抗体が同時投与され得る。同時投与され得る他の様々な化合物としては、プロテインキナーゼCの阻害剤(例えば、米国特許第5,719,175号および米国特許第5,710,145号を参照のこと)、サイトカインモジュレーター、増殖の内皮細胞特異的阻害剤、例えばトロンボスポンジン、内皮細胞特異的阻害成長因子、例えばTNFα、抗増殖性ペプチド、例えばSPARCおよびプロフェリン様ペプチド、グルタミン酸受容体アンタゴニスト、アミノグアニジン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばアンジオテンシンII、カルシウムチャネル遮断薬、y-テクトリゲニン、ST638、ソマトスタチン類似体、例えばSMS 201-995、モノシアロガングリオシドGM1、チクロピジン、神経栄養成長因子、メチル-2,5-ジヒドロキシシンナメート、血管新生阻害剤、例えば組換えEPO、スルホニル尿素経口血糖降下剤、例えばグリクラジド(インスリン非依存性糖尿病)、ST638(Asahiら、FEBS Letter 309:10-14(1992))、サリドマイド、ニカルジピン塩酸塩、アスピリン、ピセアタンノール、スタウロスポリン、アドリアマイシン、エピデルスタチン、(+)-アエロプリシニン-1、フェナゾシン、ハロメチルケトン、抗脂血剤、例えばエトフィブラート、クロルプロマジン、スピンゴシンおよびレチノイン酸およびそれらの類似体(Burkeら、Drugs of the Future 17(2):119-131(1992);およびTomlinsonら、Pharmac.Ther.54:151-194(1992))が挙げられる。
本開示はさらに、PMM2-CDGにより引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法における、式(I)~(VI)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用を提供する。別の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGにより引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法であって、(a)このような処置を必要とする被験体を特定する工程;(b)式(I)~(VI)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグを提供する工程;ならびに(c)治療有効量で式(I)~(VI)の前記化合物を投与して、このような処置を必要とする被験体における疾患状態または症状を処置、抑制および/または予防する工程を含む方法における、式(I)~(VI)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用に関する。
別の実施形態では、本開示は、PMM2-CDGにより引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法であって、(a)このような処置を必要とする被験体を特定する工程;(ii)式(I)~(VI)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグまたは互変異性体を含む組成物を提供する工程;ならびに(iii)治療有効量で前記組成物を投与して、このような処置を必要とする被験体における疾患状態または症状を処置、抑制および/または予防する工程を含む方法における、式(I)~(VI)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用に関する。
前述の実施形態では、化合物または組成物は、好ましくは、経口的に使用される。
V.実施例-化合物BによるPMM2のインビトロ活性化
化合物BによるPMM2のインビトロ活性化を、PMM2-CDG患者由来の線維芽細胞において研究した。化合物Bは、アルドースレダクターゼの強力な選択的阻害剤である。化合物BのAR阻害活性を、マイクロプレートアッセイにおいて、D-グリセルアルデヒドおよびNADPHをアルドースレダクターゼの基質として使用して、0.1nMから10μMまでの範囲の濃度の化合物Bの存在下で決定した。最大活性の阻害の百分率として提示する結果を図1に要約する。72nMという報告された平均AR阻害濃度[IC50]を有するエパルレスタットと比較して、化合物B(IC50=0.10nM)は、アルドースレダクターゼ酵素活性の有意により強力な阻害剤であることが留意される。
化合物BによるPMM2のインビトロ活性化を、PMM2-CDG患者由来の線維芽細胞において研究した。化合物Bは、アルドースレダクターゼの強力な選択的阻害剤である。化合物BのAR阻害活性を、マイクロプレートアッセイにおいて、D-グリセルアルデヒドおよびNADPHをアルドースレダクターゼの基質として使用して、0.1nMから10μMまでの範囲の濃度の化合物Bの存在下で決定した。最大活性の阻害の百分率として提示する結果を図1に要約する。72nMという報告された平均AR阻害濃度[IC50]を有するエパルレスタットと比較して、化合物B(IC50=0.10nM)は、アルドースレダクターゼ酵素活性の有意により強力な阻害剤であることが留意される。
PMM2-CDG患者の中枢神経系に有害な影響があるので、CNS貫通アルドースレダクターゼ阻害剤である化合物Bを、PMM2酵素活性化が検出され得るか否かを決定する目的で、4人の独特な個体であるPMM2-CDG患者由来の線維芽細胞の細胞系において、試験した。
細胞を96ウェルプレートに播種し、均質化緩衝液(20mMのHEPES、25mMのKCl、1mMのDTT、10μg/mlのロイペプチン、10μg/mlのアンチパイン)を添加し、そしてプレートを、-80℃での凍結-解凍を2回行って、細胞を溶解させた。次いで、200μMのマンノース-1-リン酸を基質として含有する反応緩衝液(50mMのHEPES、5mMのMgCl2、0.5mMのNADP+、10μg/mlの酵母グルコース-6-リン酸脱水酵素、10μMのグルコース-1,6-二リン酸、10μg/mlのホスホグルコイソメラーゼ(phosphoglucoisomerase)、5.25μg/mlのホスホマンノースイソメラーゼ(phosphomannoseisomerase))を各プレートのウェルに添加した。プレートを37℃で270分間インキュベートし、そして吸光度を、340nmで、30分、60分、90分、120分、150分、180分、210分、240分および270分に、それぞれの時点でプレートをインキュベーションから外すことにより読み取った。全てのインキュベーションを、基質(マンノース-1-リン酸)ありまたはなしで行い、そしてこれらの2つの値の差を酵素活性として計算した。酵素活性を全溶解タンパク質レベルに対して標準化した。AR阻害剤の非存在下での線維芽細胞の酵素活性を決定した。酵素活性に対する化合物Bの影響を評価するために、化合物Bを細胞系と一緒に、50nMの濃度で24時間にわたりインキュベートした。この後に、酵素活性を上記のように評価した。少なくとも2回の生物学的再現実験を行い、化合物Bの存在下での酵素活性を、コントロールとして使用した、DMSO処置した変異細胞系の酵素活性と比較した。分析を容易にするために、各処置条件の酵素活性(NADPH濃度により表される)を、ベースラインの未処置の変異細胞系の最後の時点での活性と比較した。
これらの研究の結果を図2に示す。各個々の患者のヘテロ接合のアミノ酸置換を、図2のグラフの各棒の下に示す。化合物Bは、試験した4人の患者由来の細胞系の各々において、PMM2酵素活性を増大させた。化合物Bは、PMM2-CDG患者由来の線維芽細胞におけるPMM2の活性化の強力なアクチベーターであることが示された。
特に定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用し得るが、適切な方法および材料は前述の段落に記載されている。加えて、材料および方法は例示にすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で引用される米国特許および公開または未公開米国特許出願はすべて、参照により組み込まれる。本明細書で引用される公開外国特許および特許出願はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用される公開参考文献、文書、原稿、科学文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で参照される科学データベース(例えば、PUBMED、NCBI、GENBANK、EBI)に関する識別子およびアクセッション番号はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
Claims (19)
- PMM2-CDGを処置する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
- PMM2-CDGを有する被験体におけるPMM2酵素活性を増大させる方法であって、前記被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(III)の化合物またはその塩である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Bまたはその塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(II)の化合物またはその塩である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Aまたはその塩である、請求項7に記載の方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物またはその塩である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
- 前記被験体がヒトである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
- PMM2-CDGの処置において使用するための、アルドースレダクターゼ阻害剤。
- 処置が、PMM2-CDGを有する被験体におけるPMM2酵素活性を増大させる、請求項11に記載の使用。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(III)の化合物またはその塩である、請求項11~12のいずれか一項に記載の使用。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Bまたはその塩である、請求項11~14のいずれか一項に記載の使用。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(II)の化合物またはその塩である、請求項11~12のいずれか一項に記載の使用。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Aまたはその塩である、請求項17に記載の方法。
- 前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物またはその塩である、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
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