JP2022552544A - 核酸配列濃度の決定 - Google Patents

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Abstract

本発明は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を、断片化された核酸において測定された前記検出される配列の濃度に補正係数を適用することによって決定する方法に関する。【選択図】図2

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年10月16日に出願された欧州特許出願第EP19306346号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、生体サンプル中の核酸配列の濃度を測定する方法に関する。
正常なヒトは、全ての健康な2倍体細胞に23個の染色体を2組有している。いくつかの条件下では、突然変異が前記染色体のいずれか1つまたは複数で起こり、染色体異常につながる可能性ある。これらの異常は、遺伝病、癌および他の疾患に関連している可能性がある。染色体異常の検出は、特定の疾患を発症する傾向のある個体を特定することができ、または所与の個体に対して最も推奨される治療法を定義することができる。この点に関して、染色体異常についての検査は非常に価値がある。
ヒトの健康に加えて、染色体異常の検出は、限定されるものではないが、昆虫、細菌、植物、ならびに土壌および食品などの有機物を含有する混合サンプルを含む追加の種に関連があり、遺伝子工学による遺伝子組換え生物(GMO)検出は、例えば、品質管理のために行うことができる。ウイルス、ウイロイドおよび他の染色体を含まないゲノムで起こる遺伝子突然変異の検出もまた非常に関連がある。
この文脈において、ゲノム異常の徴候、すなわち、生体サンプル中の特定の核酸配列に対する変化を、定性的にも定量的にも検出することに関連する。
このような検出は、現在、目的のサンプル中の標的核酸を増幅することによって効率的に行われている。増幅は、オリゴヌクレオチドプライマーとそのサンプルと合わせた後、そのサンプルをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件などの核酸定量に適合する増幅条件に供することによって行うことができる。これらの増幅方法は、単一の標的核酸配列の複数のコピーを生成することを可能にし、従って、検出閾値に到達する。
しかしながら、生体サンプル中のそのような特定の核酸配列の濃度を定量的に測定することは、例えば、目的が遺伝病を検出することだけでなく定量すること、例えば、稀な突然変異の進化を監視することでもある場合に、より関連性がある。
場合によっては、生体サンプル中に存在する核酸は、損傷を受けており、典型的には、短い長さの配列に断片化されている。そのような断片化核酸の集団では、所与のPCRアッセイで増幅すべき配列がランダムに切断されることがある。このシナリオでは、この核酸配列の増幅は、PCR法では起こり得ないため、目的の核酸配列の存在を過小評価することになる。
本発明は、そのような過小評価問題を修正する方法を提案する。
本発明は、非断片化核酸中の検出される配列(以下でさらに定義されるように)の濃度を決定する方法であって、断片化された核酸を含むサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正し、それによって、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得ることを含む(ここで、その補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)、方法に関する。
いくつかの実施形態では、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
ii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む方法が提供されている。
いくつかの実施形態では、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む方法が提供されている。
いくつかの実施形態では、この方法は、
i.断片化された核酸のサンプルを提供する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.前記断片化された核酸の核酸断片の長さ分布(LD)を提供する工程;
iii.断片化された核酸の前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;
iv.前記断片化された核酸の前記核酸断片長さ分布(LD)と前記測定方法のパラメーターに応じて補正係数を決定する工程;および
v.断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程
を含む。
一実施形態では、断片化された核酸のサンプルは、以下の3つのカテゴリーの任意の組合せである:
i.無細胞サンプルまたは細胞含有サンプルのいずれか;
ii.自然に断片化されたサンプルまたは人工的に断片化されたサンプルのいずれか;および
iii.あらゆる種類のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)。
一実施形態では、測定方法は等温定量的核酸増幅法であり、好ましくは、ループ媒介等温増幅および核酸配列に基づく定量的増幅から選択される。
別の実施形態では、測定方法は非等温定量的核酸増幅法であり、好ましくは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、デジタルポリメラーゼ連鎖反応、多重ポリメラーゼ連鎖反応および多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される。
一実施形態では、前記測定方法のパラメーターは、以下でさらに定義されているように増幅すべき配列の長さを含む。この実施形態の特定の構成において、核酸断片の少なくとも5%は増幅すべき配列の長さより短い長さを有する。この実施形態の別の特定の構成において、核酸断片の多くとも95%は増幅すべき配列の長さより短い長さを有する。
一実施形態では、増幅すべき配列の長さは、40bpより長く200bpより短い、好ましくは、50bpより長く170bpより短い、より好ましくは、65bpより長く150bpより短い、さらにより好ましくは、70bpより長く130bpより短い。
一実施形態では、核酸断片の長さ分布(LD)は、25bp~350bp、好ましくは、30bp~320bp、より好ましくは、35bp~290bp、さらにより好ましくは、40bp~270bpの範囲に含まれる。
本発明はさらに、非断片化核酸中の第1の検出される配列Sの第1の濃度と第2の検出される配列Sの第2の濃度の関数を決定する方法であって、次の工程:
i.上記のいずれかの決定方法に従って前記非断片化核酸中のSの濃度を決定する工程;
ii.上記のいずれかの決定方法に従って前記非断片化核酸中のSの濃度を決定する工程;および
iii.前記S濃度および前記S濃度の前記関数を計算する工程
を含み;
ここで、前記S濃度と前記S濃度は同じサンプルで決定され;Sに関連する増幅すべき配列の長さはSに関連する増幅すべき配列の長さと異なる、方法に関する。
本発明はまた、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、
i.断片化された核酸のサンプル中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュール(前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される)と;
ii.前記断片化された核酸の核酸断片長さ分布(LD)と前記測定のパラメーターに応じて補正係数を計算するように構成されたモジュールと;
iii.非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により計算するように構成されたモジュールと
を備えるシステムにも関する。
特定の構成において、前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールは等温定量的核酸増幅モジュールであり、好ましくは、ループ媒介等温増幅モジュールおよび核酸配列に基づく定量的増幅モジュールから選択される。
別の構成において、前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールは非等温定量的核酸増幅モジュールであり、好ましくは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応モジュール、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応モジュール、デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュール、多重ポリメラーゼ連鎖反応モジュールおよび多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される。
一実施形態では、前記測定のパラメーターは増幅すべき配列の長さを含む。
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
用語「アンプリコン」とは、増幅反応の核酸産物を指す。アンプリコンは、一本鎖または二本鎖、またはそれらの組合せであり得る。
用語「増幅」とは、複製が経時的に繰り返して行われ、鋳型分子の少なくとも1つのセグメントの複数のコピーを形成する反応を指す。増幅は、増幅が進むにつれて、コピー数の指数関数的または線形的な増加を生じ得る。典型的な増幅は、コピー数および/またはシグナルの1,000倍を超える増加をもたらす。本明細書に開示される液滴に基づくアッセイのための例示的な増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応を含むことができ、これらの各々は熱サイクルによって駆動される。液滴に基づくアッセイは、さらにまたはあるいは、等温的に行うことができる他の増幅反応を使用してもよい。増幅は、組成物中に存在する場合、核酸標的分子の複数のコピーを生成することができる任意の組成物である増幅混合物中で行われるか、またはその発生についてアッセイされ得る。「増幅混合物」は、少なくとも1つのプライマーまたはプライマー対、少なくとも1つのプローブ、少なくとも1つの複製酵素(例えば、少なくとも1つのポリメラーゼ、例えば、少なくとも1つのDNAおよび/またはRNAポリメラーゼ、例えば、逆転写酵素)、およびデオキシヌクレオチド(および/またはヌクレオチド)三リン酸(dNTPおよび/またはNTP)ならびにとりわけ、複製酵素活性に必須の任意の成分を含有するバッファーの任意の組合せを含み得る。
用語「アッセイ」とは、サンプルを特徴付けるために使用される手順および/または反応、ならびにその手順および/または反応から得られる任意のシグナル、値、データ、および/または結果を指す。
用語「切断される」は、核酸配列に関して、用語「断片化される」と等価である。
用語「検出される配列」とは、本発明の方法においてサンプルから定量される正確な配列を指す。点突然変異の場合、検出される配列は検出される突然変異を含む。いくつかの実施形態では、蛍光リポーターが使用される。特定の配列に連結された蛍光リポーターが使用される場合(例えば、図1Aに示されるように)、「検出される配列」は、増幅すべき配列より短く、その配列内に含まれ得る(本明細書でさらに定義されるように)。遊離の蛍光リポーターが使用される場合(例えば、図1Bに示されるように)、検出される配列は、通常、アンプリコンである。
用語「デジタルPCR」または「dPCR」とは、サンプルの分割物で、サンプル分割物の多くが標的の増幅を支援するかどうかに基づいて、サンプル中の核酸標的の存在/不在、濃度、および/またはコピー数を決定するために行われるPCRアッセイを指す。デジタルPCRの概念は、核酸に加えて、他の種類の分析物に拡張することができる。
用語「標識」とは、化合物、生物学的粒子(例えば、細胞、細菌、胞子、ウイルス、またはオルガネラ)、または液滴などの任意の実体に結合または組み込まれた識別マーカーおよび/もしくは鑑別マーカーまたは識別子を指す。標識は、例えば、実体を光学的に検出可能および/または光学的に鑑別可能にする色素であり得る。標識に用いられる例示的な色素は蛍光色素(フルオロフォア)および蛍光消光剤である。
核酸に関連する用語「長さ」とは、一本鎖分子を形成する連続するヌクレオチドもしくは塩基の数または二本鎖分子を形成する連続する塩基対の数を指す。長さは、ヌクレオチドおよび塩基対で測定する。
用語「多重デジタルPCR」とは、少なくとも2つの異なる核酸配列を同時に、特に、2、3、4、5、6、7、8またはそれより多くの異なる核酸配列を同時に増幅する(多くの別個のPCR反応を全て一緒に単一個のポットで実施する場合と同様)ために行われるデジタルPCRアッセイを指す。この方法は、複数のプライマーを用いてサンプル中で核酸を増幅する。具体的には、「多重デジタルPCR」は、「二重デジタルPCR」および「三重デジタルPCR」を含む。逆に、1つの核酸配列を増幅するために行われるデジタルPCRアッセイは、「単一デジタルPCR」であり、「デジタルPCR」に短縮されることが多い。
用語「多重PCR」とは、少なくとも2つの異なる核酸配列を同時に、特に、2、3、4、5、6、7、8またはそれより多くの異なる核酸配列を同時に増幅する(多くの別個のPCR反応を全て一緒に単一個のポットで実施する場合と同様)ために行われるPCRアッセイを指す。この方法は、複数のプライマーを用いてサンプル中で核酸を増幅する。具体的には、「多重PCR」は、「二重PCR」および「三重PCR」を含む。逆に、1つの核酸配列を増幅するために行われるPCRアッセイは、「単一PCR」であり、「PCR」に短縮されることが多い。
用語「核酸」とは、増幅の産物であるか、合成的に生成されるか、RNAの逆転写の産物であるかまたは天然に存在するかどうかにかかわらず、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)の両方を指す。一般に、核酸は、一本鎖分子または二本鎖分子であり、天然に存在するヌクレオチドから構成される。
用語「ヌクレオチド」は、天然に存在するリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドモノマーに関することに加えて、本明細書では、文脈上他の意味に解すべきことが明らかでない限り、ヌクレオチドが使用されている特定の文脈(例えば、相補的塩基とのハイブリダイゼーション:アデニン(A)はチミン(T)と対合し、グアニン(G)はシトシン(C)と対合する)に関して機能的に等価な、誘導体および類似体ならびに化学修飾を含むその関連する構造的変異体を指すと理解されるべきである。
用語「分割物」とは、バルク容量の分離された部分を指す。分割物は、バルク容量を形成するサンプル(調製されたサンプルなど)から生成されたサンプル分割物であり得る。バルク容量から生成された分割物は、サイズが実質的に均一である場合があり、または異なるサイズを有する場合もある(例えば、2つ以上の個別の均一なサイズの分割物のセット)。例示的な分割物は「液滴」である。分割物はまた、所定のサイズ分布でまたはランダムなサイズ分布でサイズが変動する場合もある。
用語「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」とは、連続ラウンドの複製を達成するために、加熱および冷却の交互のサイクル(すなわち、熱サイクル)に依存する核酸増幅アッセイを指す。PCRは、2つ以上の温度設定点(より高い融解(変性)温度およびより低いアニーリング/伸長温度など)の間、またはとりわけ、3つ以上の温度設定点(より高い融解温度、より低いアニーリング温度、および中間の伸長温度など)の間の熱サイクルによって行うことができる。タッチダウンPCRなどの他の型のPCRは、この定義に含まれ得、アニーリングおよび/または伸長温度はサイクル反応中に変化し得る。
用語「プライマー」とは、ポリヌクレオチド伸長が開始される条件下;例えば、適当なバッファー中、好適な温度または温度サイクルで(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応の場合と同様)必要なヌクレオシド三リン酸(コピーされる鋳型によって決定される)およびポリメラーゼの存在を含む条件下におかれた場合に鋳型指向性核酸合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。
用語「プローブ」とは、少なくとも1つの色素などの少なくとも1つの標識に結合される核酸を指す。
用語「定性的PCR」とは、標的がサンプル中に存在するか否かを、一般に標的の存在の実質的な定量を行わずに決定するPCRに基づく分析を指す。例示的実施形態では、定性的なデジタルPCRは、分割物のパケットが少なくとも予め規定したパーセンテージの陽性液滴を含む(陽性サンプル)か含まない(陰性サンプル)かを決定することによって行うことができる。
用語「定量的PCR」、「qPCR」、「リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応」または「動的ポリメラーゼ連鎖反応」とは、サンプル中の標的の濃度および/またはコピー数を決定するPCRに基づく分析を指す。この技術はPCRを用いて標的核酸を同時に増幅し定量し、この定量は、標的核酸にハイブリダイズした場合にのみ検出可能である挿入蛍光色素または配列増幅時にのみ検出可能な蛍光レポーター分子を含む配列特異的プローブによる。
用語「リアルタイムPCR」とは、反応の最終熱サイクルの前に1回以上の熱サイクルが完了した後など、反応中にアンプリコン形成が測定されるPCRに基づく分析を指す。リアルタイムPCRは、一般に、標的増幅の動態に基づいた標的の定量を提供する。
用語「複製」とは、核酸またはそのセグメントのコピー(すなわち、直接コピーおよび/または相補的コピー)を形成する過程を指す。複製、一般に、とりわけ、ポリメラーゼおよび/またはリガーゼなどの酵素を含む。複製される核酸および/またはセグメントは複製のための鋳型(および/または標的)である。
用語「サンプル」とは、任意の好適な供給源からの目的の化合物、組成物、および/または混合物を指す。サンプルは、サンプルの態様(サンプル中に存在し得る少なくとも1つの分析物に関する態様など)を分析するアッセイのための目的の一般的な対象である。サンプルは、収集されたままのそれらの自然の状態でおよび/または、例えば、とりわけ、貯蔵、保存、抽出、溶解、希釈、濃度、精製、濾過、1種以上の試薬との混合、前増幅(例えば、PCRの前のサンプルに対してPCRの限定されたサイクル(例えば、<15)を行うことによって標的濃縮を達成するために)、アンプリコンの除去(例えば、前に生成されたアンプリコンによるキャリーオーバー汚染をなくすためのPCRの前のウラシル-d-グリコシラーゼ(UDG(UNG、ウラシル-N-グリコシラーゼ遺伝子としても知られている))での処理(すなわち、アンプリコンはdTTPの代わりにdUTPで生成されるためUDGで消化可能である))、分割、またはそれらの任意の組合せの後の変更された状態で分析され得る。臨床サンプルには、とりわけ、鼻咽頭洗浄液、血液、血漿、無細胞血漿、バフィーコート、唾液、尿、便、痰、粘液、創傷スワブ、生検組織、乳汁、体液吸引物、スワブ(例えば、鼻咽頭スワブ)、および/または組織が含まれ得る。サンプルは、診断目的のため(例えば、感染性病原体などの臨床分析物の定量的測定)または監視目的のため(例えば、生物脅威剤などの目的の環境分析物が所定の閾値を超えたか否かを判定するため)に収集され得る。
用語「増幅すべき配列」とは、フォワードプライマーの配列で開始し、リバースプライマーと相補的な配列で終わる、それらのプライマー配列の間に位置する任意の追加の塩基対を含む「検出される配列」(上記で定義したように)を含む核酸を指す。増幅すべき配列の増幅産物はアンプリコンである。最終的に、増幅は、濃度の決定によって「増幅すべき配列」の定量を可能にする。増幅すべき配列の長さを「L」と記す。
図1は、限定ではなく例としての定量的核酸増幅法の概略図である。ここでは、二本鎖の断片化された核酸は水平方向の黒い実線で示されている。2つのプライマー(フォワードプライマーFPおよびリバースプライマーRP)が増幅すべき配列(SA)の左右の境界をそれぞれ画定する。増幅すべき配列(SA)の両鎖は、増幅中にコピーされる。図1Aでは、検出される配列(DS)は、増幅すべき配列(SA)の一部である。蛍光標識プローブ(プローブ)は検出される配列に特異的に結合する。図1Bでは、検出される配列(DS)と増幅すべき配列(SA)とは同じである。増幅中に生成された二本鎖の核酸には、蛍光色素(FD)が挿入される。 図2は、実施例E1で用いたサンプル中のDNA断片の長さ分布(LD)を、150bpを中心とした長さ分布に関して示すグラフである。f(i)は、サンプル中の断片がi塩基対の長さ(X軸)を有する確率(Y軸-任意単位)である。 図3は、図2に示したサンプルについて推定された増幅すべき配列が切断されない確率Pを増幅すべき配列の長さL(単位は塩基対bp)の関数として示している。 図4は、図2に示したサンプルについて推定された予測補正因子(PCF)を増幅すべき配列の長さL(塩基対bpにおける)の関数として示している。
発明の具体的説明
本願は、断片化された核酸を含む核酸サンプル中の検出される配列の測定された濃度を補正するための方法およびシステムを提供する。本明細書で提供される方法およびシステムは、非断片化核酸中の検出される配列の真の濃度により厳密に近似する、検出される配列の補正された濃度の決定を可能にする。検出される配列の濃度がその検出される配列を含む増幅すべき配列の増幅により測定される場合、増幅すべき配列の一部を含むが、増幅すべき配列の長さより短い長さを有する断片は複製されない。末端切断型標的領域(すなわち、増幅すべき配列)のこの複製の失敗が濃度の過小評価につながる。本明細書で提供される方法は、非断片化核酸サンプル中の核酸の濃度の結果として生じる過小評価を修正するために適用することができる。
従って、本発明は、いくつかの態様では、次の工程を含む、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法(前記検出される配列のコピー数を決定することを含む)(以下、「基本的方法」と呼ぶ)を提供する。いくつかの態様では、本発明は、断片化された核酸分子を含むサンプル中の検出される配列の濃度(前記検出される配列のコピー数を含む)を較正する方法を提供する。また、本明細書に記載の方法に有用なキット、ソフトウエア、デバイス、および他の製造品も提供する。
I.本願の方法
本発明は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、断片化された核酸を含むサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正し、それによって、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得ることを含み、ここで、その補正係数は長さ分布と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく、方法に関する。
いくつかの実施形態では、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
ii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態では、非断片化核酸中の検出される配列(以下でさらに定義されるように)の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列を含む標的領域(以下、「増幅すべき配列」と呼ぶ)を増幅する工程;
ii.前記検出される配列の濃度を測定する工程;および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む方法が提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を、それが非断片化核酸中のその検出される配列の濃度をより厳密に反映するように較正する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程であって、それらの断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される、工程;および
ii.その測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程であって、その補正係数は長さ分布(LD)とその検出される配列の濃度を決定するために使用された測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく、工程
を含む方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を較正する方法であって、その検出される配列の測定された濃度はそのサンプル中のその検出される配列の実際の濃度の過小評価であり、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);および
ii.その測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)とその検出される配列の濃度を決定するために使用された測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む、方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を、それが非断片化核酸中の検出される配列の濃度をより厳密に反映するように補正する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;
および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む、方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を補正する方法であって、その検出される配列の測定された濃度はそのサンプル中のその検出される配列の実際の濃度の過小評価であり、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;
および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む、方法である。
いくつかの実施形態における本願の方法は、断片化された核酸の配列を得ることを含まない。いくつかの実施形態では、これらの方法は、断片化された核酸の遺伝的座標を取得または予測することを含まない。いくつかの実施形態では、これらの方法は、断片化された核酸を連続した配列にすることを含まない。
いくつかの実施形態における断片化された核酸のサンプルは、以下の「核酸サンプルおよび長さ分布」サブセクションに記載されるように、以下の3つのカテゴリーの任意の組合せである:
i.無細胞サンプルまたは細胞含有サンプルのいずれか;
ii.自然に断片化されたサンプルまたは人工的に断片化されたサンプルのいずれか;および
iii.あらゆる種類のデオキシリボ核酸またはリボ核酸。
いくつかの実施形態では、測定方法はサンプル中の核酸を配列決定することを含まない。いくつかの実施形態では、検出される配列の濃度を測定する工程は、その検出される配列を含む増幅すべき配列を増幅することを含むことができる。いくつかの実施形態では、測定方法は等温定量的核酸増幅法(例えば、ループ媒介等温増幅または核酸配列に基づく定量的増幅)である。いくつかの実施形態では、測定方法は非等温定量的核酸増幅法(例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、デジタルポリメラーゼ連鎖反応、多重ポリメラーゼ連鎖反応および多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応)である。
前述の方法のいずれかによるいくつかの実施形態では、検出される配列と増幅すべき配列は同じであり、測定する工程は、図1Bに示されるように、増幅中に生成された核酸中への標識(例えば、フルオロフォアを含む蛍光色素などの挿入色素)の取り込みを検出することを含む。
いくつかの実施形態では、検出される配列は増幅すべき配列のサブセットであり、および/または測定する工程は、図1Aに示されるように、検出される配列への標識プローブ(例えば、フルオロフォアを含む蛍光標識プローブ)の結合を検出することを含む。
本発明の基本的方法の測定工程で実施される測定方法は、本質的に、補正係数を決定するために関連するいくつかのパラメーターを使用する。特定の実施形態では、この測定方法は、複製および増幅混合物を用いた増幅方法である。
いくつかの実施形態では、その方法は、サンプル中の核酸の長さ分布と前記測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づいて補正係数を決定する工程をさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、増幅すべき配列の長さを含むことができる。いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、増幅すべき配列の長さのみを含む。
従って、例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と検出される配列を含む増幅すべき配列の長さに基づく)
を含む、方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を、それが非断片化核酸中の検出される配列の濃度をより厳密に反映するように較正する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);および
ii.その測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と検出される配列を含む増幅すべき配列の長さに基づく)
を含む、方法である。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、断片化された核酸を含むサンプル中の検出される配列の測定された濃度を、それが非断片化核酸中の検出される配列の濃度をより厳密に反映するように補正する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と検出される配列を含む増幅すべき配列の長さに基づく)
を含む、方法である。
増幅すべき配列の長さはLと表すことができ、これは、実際には、プライマー(フォワードおよびリバース)の長さとそれらのプライマー間に位置する任意の追加の塩基対の長さとの合計である。
一実施形態では、増幅すべき配列の長さLはプライマー(フォワードおよびリバース)の長さ以上であり、いくつかの実施形態では、約200bp以下、例えば、約170bp以下、150bp以下、または130bp以下である。
複製のためには、プライマーは、最初に核酸に結合する必要がある。結合は、プライマーの全ての塩基が核酸と相補的である場合に最適である(DNAの場合、アデニンはチミンと相補的であり、グアニンはシトシンと相補的である;RNAの場合、アデニンはウラシルと相補的であり、グアニンはシトシンと相補的である)が、プライマーの数個の塩基が核酸と相補的でない場合も結合は効率的であり得る。言い換えれば、プライマーが結合するはずの核酸配列が数個の塩基だけ短縮されている場合も、複製工程は依然として効率的であり得る。関連パラメーターは、L、またはL-n(nは0より大きい整数である)、またはr.L(rとLとの積)(短縮係数rは75%~100%の範囲である、ただし、r.Lは常に整数値である)であり得る。いくつかの実施形態では、nは、1~15、1~10、または1~5の整数である。いくつかの実施形態では、rは0.75より大きく1より小さい、0.8より大きく1より小さい、0.85より大きく1より小さい、0.9より大きく1より小さい、または0.95より大きく1より小さい値である。
補正係数は、長さパラメーターLを用いて、以下の「補正係数の決定」サブセクションに記載されている実施形態のいずれかに従って決定することができる。
補正係数は、依然として複製に至る短縮された断片を考慮に入れるために、以下の「補正係数の決定」サブセクションに記載されているように、L-n(nは0より大きい整数(例えば、1~15、1~10、または1~5)である)またはr.L(rとLとの積)(短縮係数rは75%~100%の範囲である、ただし、r.Lは常に整数値である)を用いて同様に計算することができる。
いくつかの実施形態では、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;およびiii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は、
Figure 2022552544000002
(式中、
Lは、(L-n)またはrであり;
は、前記増幅すべき配列の長さであり;
nは、0より大きく15より小さい整数であり;
rは、0.75~1であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000003
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される)
を含む、方法が提供されている。
いくつかの実施形態では、LはLである。
核酸断片の長さ分布に関しては、L(またはL-nまたはr.L)より短い長さの断片は、いずれにせよ複製されない。そのような断片が増幅すべき配列の一部を含む場合、それは複製されず、これが濃度の過小評価につながる。
本明細書に記載の補正係数はまた、増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率に基づくことができる。いくつかの実施形態では、増幅すべき配列が断片化されることになる相対的確率は既知である。いくつかの実施形態では、増幅すべき配列が断片化されることになるその確率は断片化の原因(例えば、自然発生の核酸断片化または音波処理などの物理的手段による断片化)に依存する。例えば、補正係数は、調整前の補正係数に増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率を乗算することにより調整することができる。あるいは、増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率は、断片化長さ分布(LD)曲線を修正することによって説明することができる。
いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、増幅すべき配列のGC含量;増幅プライマーのGC含量;増幅プライマーの長さ;使用されるポリメラーゼの種類;および増幅サイクルの温度からなる群から選択される増幅工程のパラメーターをさらに含む。いくつかの実施形態では、増幅工程の追加のパラメーターは、以下の「補正係数の較正」サブセクションに記載されているように、係数と断片長さ分布(LD)曲線との積として、または較正係数と補正係数との積として組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、検出プローブの配列;使用されるフルオロフォアの光安定性;使用されるフルオロフォアの化学安定性;使用されるフルオロフォアの量子収率;および使用されるフルオロフォアの波長からなる群から選択される測定工程のパラメーターをさらに含む。いくつかの実施形態では、増幅工程の追加のパラメーターは、以下の「補正係数の較正」サブセクションに記載されているように、係数と断片長さ分布(LD)曲線との積として、または較正係数と補正係数との積として組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、補正は、断片化された核酸を含むサンプルにおいて測定された濃度に補正係数を乗算することを含む。いくつかの実施形態では、補正は、断片化された核酸を含むサンプルにおいて測定された濃度に補正係数および追加の補正因子を乗算することを含む。いくつかの実施形態では、この追加の補正因子は、増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率に基づく。いくつかの実施形態では、その追加の補正因子は、上記のように、測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく。いくつかの実施形態では、その追加の補正因子は、配列増幅に影響を与える測定方法の少なくとも1つのパラメーター(例えば、増幅すべき配列のGC含量)に基づく。いくつかの実施形態では、その追加の補正因子は、検出される配列の検出に影響を与える測定方法の少なくとも1つのパラメーター(例えば、使用されるフルオロフォアの光安定性または化学安定性)に基づく。いくつかの実施形態では、その追加の補正因子は、以下の「補正係数の較正」サブセクションに記載されているように、実験的に決定された較正率に基づく。
いくつかの実施形態では、補正は、サンプル中の核酸の少なくとも5%が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する場合に適用される。いくつかの実施形態では、サンプル中の核酸断片の95%以下が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する。
本願はまた、非断片化核酸の同じサンプルにおいて第1の検出される配列(検出される配列S)の第1の濃度と第2の検出される配列(検出される配列S)の第2の濃度の関数を決定する方法も提供する。この関数は分数または比率であり得る。
この目的のために、本明細書に記載の方法は、
i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の第2の検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
ii.それらの断片化された核酸中の前記第2の検出される配列の濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記第2の検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、第2の検出される配列の濃度の測定は、その第2の検出される配列を含む増幅すべき第2の配列を増幅することを含む。いくつかの実施形態では、測定方法は多重増幅工程を含む。いくつかの実施形態では、増幅すべき第1の配列の長さは、増幅すべき第2の配列の長さと異なり、第1の検出される配列と第2の検出される配列には異なる補正係数が適用される。いくつかの実施形態では、増幅すべき第1の配列と増幅すべき第2の配列の長さは同じである。いくつかの実施形態では、測定方法の他のパラメーターは第1の検出される配列と第2の検出される配列との間で異なる(例えば、以下の「補正係数の決定」サブセクションに記載されているように、プローブの結合/検出に関連するパラメーター、または増幅に影響を与える任意のパラメーター)。
いくつかの実施形態では、増幅すべき第1の配列は、突然変異対立遺伝子検出配列または変異型対立遺伝子検出配列を含み、増幅すべき第2の配列は、対応する参照対立遺伝子検出配列を含む。いくつかの実施形態では、増幅すべき第1の配列は、増幅すべき第2の配列に含まれる対応する参照配列と比較して挿入または欠失を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第2の検出される配列と比較して、第1の検出される配列の補正された突然変異対立遺伝子頻度(MAF)を決定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第2の検出される配列と比較して、第1の検出される配列の補正された変異型対立遺伝子頻度(VAF)を決定する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、増幅すべき第1の配列は、コピー数多型(CNV)を含む変異型核酸から増幅され、増幅すべき第2の配列は参照核酸から増幅される。いくつかの実施形態では、本方法は、変異型配列と比較して、参照配列の補正されたコピー数多型(CNV実際値)を決定する工程をさらに含む。
前述の実施形態のいずれかにおいて、本方法は、第1の断片長さ分布(LD)を有する第1の核酸サンプルおよび第2の断片長さ分布(LD)を有する第2の核酸サンプルにおける検出される配列の測定された濃度に基づいて補正係数を較正する工程をさらに含むことができる。
核酸サンプルおよび長さ分布
本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、断片化された核酸を含むサンプルが提供される。これらの断片化された核酸は、実際には、断片化を受けた元の核酸、すなわち、非断片化核酸からの断片である。実際に、非断片化核酸中の検出される配列の濃度が求められている測定値であるが、利用可能なサンプルは実際には断片化される。いくつかの実施形態では、本方法は、断片化された核酸を含むサンプルを生成するために、非断片化核酸を断片化することを含まない。
このサンプルは、あらゆる種類の断片化された核酸を含み得る。特に、サンプルは、無細胞サンプル、すなわち、唾液、血漿、尿もしくは全血などの細胞から核酸が放出された生体液;または細胞含有サンプル、すなわち、生検組織などの本質的に細胞を含む生体サンプルであり得る。さらに、サンプルは、自然に断片化されたサンプルであり得る、すなわち、非断片化核酸は、サンプル採取前に、すなわち、生存する生物体内で、または保存処理条件もしくは貯蔵条件によりサンプル採取後に自然に分解されている。サンプルは、最終的には、人工的に断片化されたサンプルであり得る、すなわち、非断片化核酸は、サンプル採取された後、測定方法の必要性に応じて人工的に分解される。さらに、サンプルはデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり得る。
無細胞の、自然に断片化されたDNAサンプルの例は、
・アポトーシス中および死にかけている細胞の食作用後のリソソームDNアーゼII消化後にカスパーゼ活性化DNアーゼによって消化されたDNA;および
・血漿ヌクレアーゼによって切断された循環DNA
である。
自然に断片化されたRNAサンプルの例としては、限定されるものではないが、リボヌクレアーゼ(エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなど)によって切断されたメッセンジャーRNAが挙げられる。これらのサンプルは、無細胞または細胞含有サンプルであり得る。
人工的に断片化されたDNAおよびRNAサンプルの例は、
・核酸がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)後に断片化されたもの(細胞含有サンプルの例);および
・核酸が音響剪断法を用いて断片化されたもの(無細胞サンプルの例)
である。
本発明の基本的方法の測定工程で実施される測定方法は、等温定量的核酸増幅法または非等温定量的核酸増幅法であり得る。
等温定量的核酸増幅法は、ループ媒介等温増幅または核酸配列に基づく定量的増幅であり得る。これは、RNAの検出を可能にするために逆転写工程と組み合わせることができる。
非等温定量的核酸増幅法は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、デジタルポリメラーゼ連鎖反応、多重ポリメラーゼ連鎖反応または多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応であり得る。これは、RNAの検出を可能にするために逆転写工程と組み合わせることができる。
本方法のいくつかの実施形態では、核酸断片の長さ分布(LD)が提供される。本発明において、断片とは、元の非断片化核酸の自然断片化または人工断片化から生じる個々の核酸を指す。限定ではなく例示として、10000塩基対(bp)の長さを有する元の非断片化核酸は、例えば、75bpの長さを有する25断片と、100bpの長さを有する50断片と、125bpの長さを有する25断片とに断片化され、短鎖核酸の集団が生成され得る。次に、この集団の核酸断片の長さ分布、すなわち、可能な全ての長さについて、所与の長さを有する断片の数を定義することが可能である。長さ分布はまた、通常の統計関数(例えば、ガウスまたはポアソン分布)または平均値および標準偏差のようなパラメーターを使用して定義することもできる。
サンプル中の核酸断片の長さ分布を測定するのに好適なデバイスは、例えば、Tape Station 4200またはBioanalyzer 2100(両方ともAgilent Technologies製の機器)、またはLabChip GX Touch核酸分析装置(PerkinElmer製)である。
核酸断片の長さ分布に関しては、増幅すべき配列の長さ、L(またはL-nまたはr.L、上記の通り)より短い長さを有する断片は複製されない。そのような断片が増幅すべき配列の一部を含む場合、それは複製されず、これが濃度の過小評価につながる。本明細書で提供される方法は、非断片化核酸サンプル中の核酸の濃度の結果として生じる過小評価を修正するために適用することができる。
補正係数は、数断片だけがL(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する場合に小さくなる可能性がある。実際には、本出願人は、補正係数は、核酸断片の少なくとも5%がL(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する場合により適切であることに言及する。L(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する断片の割合は、少なくとも6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%または85%であり得る。いくつかの実施形態では、補正係数を決定し、検出される配列の濃度を補正する工程は、核酸断片の少なくとも5%がL(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する場合に適用される。
さらに、補正係数は、ほぼ全ての断片がL(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する場合に非常に高くなる可能性がある。実際には、本出願人は、補正係数は、核酸断片の多くとも95%がL(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する場合により適切であることに言及する。L(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する断片の割合は、多くとも94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%または15%であり得る。
特に、L(またはL-nまたはr.L)より短い長さを有する断片の割合は、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%から選択される範囲にあり得る。
別の実施形態では、Lは、40bpより長く200bpより短い、好ましくは、50bpより長く170bpより短い、より好ましくは、65bpより長く150bpより短い、さらにより好ましくは、70bpより長く130bpより短い。いくつかの実施形態では、増幅すべき配列の長さLは、65~70bp、70~75bp、75~80bp、80~90bp、90~100bp、100~110bp、110~120bp、または120~130bpの範囲である。
別の実施形態では、核酸断片の長さ分布は、10bp~1000bpの範囲に含まれる。核酸断片の長さ分布は、好ましくは、25bp~350bp、好ましくは、30bp~320bp、より好ましくは、35bp~290bp、さらにより好ましくは、40bp~270bpの範囲に含まれる。
補正係数の決定
いくつかの実施形態では、補正係数が決定される。実際には、元の非断片化核酸が、増幅すべき配列内で断片化されている場合、使用される測定方法によりその増幅すべき配列を検出することができない。この検出欠如が濃度の過小評価につながる。この補正係数は、核酸断片の長さ分布と、増幅すべき配列のコピーが断片化中に切断される確率を定義するために関連するパラメーター、例えば、増幅すべき配列の長さ、潜在的には、特に測定方法に関連するパラメーターとに依存する。
いくつかの実施形態では、検出される配列の測定された濃度は、非断片化核酸中、すなわち、元のサンプル中の検出される配列の濃度を取得するために、補正係数で補正される。
いくつかの実施形態では、検出される配列の濃度を測定するために実施される測定方法は、本質的に、補正係数を決定するために関連するいくつかのパラメーターを使用する。いくつかの実施形態では、この測定方法は、複製および増幅混合物を用いた増幅方法である。
特に関連性のあるパラメーターは、増幅すべき配列の長さ(以下、Lと記す)である。増幅すべき配列の長さLは、実際には、プライマー(フォワードおよびリバース)の長さとそれらのプライマー間に位置する任意の追加の塩基対の長さとの合計である。
一実施形態では、増幅すべき配列の長さLはプライマー(フォワードおよびリバース)の長さ以上であり、200bpより短い、好ましくは、170bpより短い、より好ましくは、150bpより短い、さらにより好ましくは、130bpより短い。
複製のためには、プライマーは、最初に核酸に結合する必要がある。結合は、プライマーの全ての塩基が核酸と相補的である場合に最適である(DNAの場合、アデニンはチミンと相補的であり、グアニンはシトシンと相補的である;RNAの場合、アデニンはウラシルと相補的であり、グアニンはシトシンと相補的である)が、プライマーの数個の塩基が核酸と相補的でない場合も結合は効率的であり得る。言い換えれば、プライマーが結合するはずの核酸配列が数個の塩基だけ短縮されている場合も、複製工程は依然として効率的であり得る。関連パラメーターは、L、またはL-n(nは1~15の整数である)、またはr.L(rとLとの積)(短縮係数rは75%~100%の範囲である、ただし、r.Lは常に整数値である)であり得る。いくつかの実施形態では、rは0.75より大きく1より小さい、0.8より大きく1より小さい、0.9より大きく1より小さい、または0.95より大きく1より小さい値である(ただし、r.Lは常に整数値である)。
いくつかの実施形態では、nまたはrの値は、プライマーが結合するはずの、数個の塩基だけ短縮された増幅すべき配列に結合するプライマーの予測される強度に基づいて予測することができる。例えば、nまたはrの値は、増幅すべき配列および/またはプライマーのパラメーター(例えば、増幅すべき配列のGC含量;増幅プライマーのGC含量;増幅プライマーの長さ;使用されるポリメラーゼの種類;増幅サイクルの温度)に基づいて予測することができる。いくつかの実施形態では、nまたはrの値は、(a)増幅すべき全長配列に結合するプライマーの予測される融解温度(Tm)、(b)上記のようにnまたはrだけ短縮された増幅すべき配列(すなわち、La-nまたはr.La)に結合するプライマーの予測される融解温度、および(c)増幅方法で使用されるアニーリング温度に基づいて予測することができる。
いくつかの実施形態では、nまたはrの値は、例えば、以下の「補正係数の較正」サブセクションに記載されている較正工程で、実験的に決定することができる。いくつかの実施形態では、nまたはrは、増幅すべき所与の配列および1つのサンプルの増幅プライマーのセットについて実験的に決定することができ、次に、増幅すべき配列および増幅条件が同じである任意のサンプルのLパラメーターを較正するために使用することができる。
長さパラメーターLを用いて、補正係数は、次のようにして決定することができる。
P(X)を事象Xの確率とする。
を増幅すべき配列の長さ(単位は、塩基対の数)とする。
fをサンプル中の核酸断片の長さの確率分布とする(f(i)はサンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率である)。
Figure 2022552544000004
を断片の平均長さ(単位は、塩基対の数)とする。
非断片化核酸の切断位置はランダムであり、塩基対に沿って等確率であると仮定する。
確率の全体集合Ωを互いに排反する事象に分割させる:
Figure 2022552544000005
(式中、
Figure 2022552544000006

その結果、
Figure 2022552544000007
ベイズの規則P(A∩B)=P(A/B)P(B)の適用により
Figure 2022552544000008
および
Figure 2022552544000009
さらに、Nを断片化された核酸サンプル中の断片の総数とする:
Figure 2022552544000010
従って:
Figure 2022552544000011
また、
Figure 2022552544000012
最後に、非断片化核酸のサンプル中の検出される配列の濃度(C実際値)は、断片化された核酸のサンプル中の検出される配列の測定された濃度(C測定値)に補正因子を乗算した後に得られる:
Figure 2022552544000013
この補正因子は、サンプル(f)中の核酸断片の長さ分布と、増幅方法のパラメーター、すなわち、増幅すべき配列の長さLとに依存する。
補正係数は、依然として複製に至る短縮された断片を考慮に入れるために、L-n(nは0より大きい整数(例えば、1~15、1~10、または1~5の整数)である)またはr.L(rとLとの積)(短縮係数rは75%~100%の範囲である、ただし、r.Lは常に整数値である)を用いて同様に計算することができる。
例えば、増幅プライマーのセットが、nだけ短縮された標的領域に依然として結合し、増幅することができるいくつかの実施形態では、その補正係数が
Figure 2022552544000014
(式中、
Lは、標的領域の長さ-n(L-n)であり、ここで、nは、1~15の整数であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000015
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される。
増幅プライマーのセットが、短縮係数rにより短縮された標的領域に依然として結合し、増幅することができるいくつかの実施形態では、その補正係数が
Figure 2022552544000016
(式中、
Lは、前記標的領域の長さ×r(r.L)(ここで、rは、少なくとも0.75であり1より小さい(ただし、r.Lは、常に整数値である))であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000017
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される。
特に、突然変異を受けた核酸の頻度、例えば、突然変異対立遺伝子頻度(MAF)を測定することが適切な場合がある。この特定のケースでは、第1の検出される配列(S)は突然変異型(mut)であり、第2の検出される配列(S)は野生型(wt)である。両方の検出される配列が、異なる長さの増幅すべき配列と関連している場合、両方の濃度の補正係数は異なり、考慮する必要がある。
また、増幅された参照核酸(ref)に対する増幅された変異型核酸(var)の比率、すなわち、コピー数多型(CNV)を測定することが適切な場合もある(変異型は必ずしも参照の突然変異ではない)。
いくつかの実施形態では、この方法は次の工程を含む。
第1の工程において、非断片化核酸中のSの濃度が、上記の基本的方法に従って決定される。この工程では、補正係数は、Sに関連する増幅すべき配列の長さを考慮して決定される。
第2の工程において、非断片化核酸中のSの濃度が、上記の基本的方法に従って決定される。この工程では、補正係数は、Sに関連する増幅すべき配列の長さを考慮して決定される。
第3の工程において、S濃度とS濃度の関数が決定される。
この方法では、前記S濃度と前記S濃度は同じサンプルで決定される。同じサンプルでSとSの濃度の測定を行うためには、多重PCRまたは多重デジタルPCRが特に好適である。
この方法では、Sに関連する増幅すべき配列の長さは、Sに関連する増幅すべき配列の長さと異なる。
突然変異対立遺伝子頻度(MAF)の特定のケースでは、関数は次の関係を用いて決定される分数である:
Figure 2022552544000018
補正された変異型対立遺伝子頻度(VAF)は、突然変異対立遺伝子頻度(MAF)を決定するために使用された同じ方法に従って決定することができる。
コピー数多型(CNV)の特定のケースでは、関数は次の関係を用いて決定される比率である:
Figure 2022552544000019
補正係数の較正
いくつかの実施形態では、本方法は、補正係数を較正する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、較正係数は、増幅すべき配列のパラメーターまたは測定方法のパラメーター(例えば、増幅工程または検出工程のパラメーター)に基づいて較正される。
本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、補正係数はまた、増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率に基づくことができる。いくつかの実施形態では、増幅すべき配列が断片化されることになる相対的確率は既知である。いくつかの実施形態では、増幅すべき配列が断片化されることになるその確率は、断片化の原因(例えば、自然発生の核酸断片化または音波処理などの物理的手段による断片化)に依存する。
いくつかの実施形態では、断片化バイアスは、増幅すべき配列を含む領域のクロマチン構造に依存する。いくつかの実施形態では、断片化バイアスは、増幅すべき配列内の断片化に関連する配列の相対的発生(例えば、制限酵素が標的とする部位)に依存する。
例えば、いくつかの実施形態では、核酸サンプルは、アポトーシス中にカスパーゼ活性化DNアーゼによって消化されたDNAを含むことができる。いくつかの実施形態では、補正係数は、アポトーシス中に増幅すべき配列が断片化される確率に基づいた補正因子を含むことができる。体細胞組織の大部分では、アポトーシスによるDNA切断により、おおよそ195bpおよびその倍数の長さの断片が形成されるが、一方、ニューロンのクロマチンの断片化パターンは約165bpのサイズを特徴とする。繰り返し可能な長さは、単一のヌクレオソームサイズ(分解されたDNAリンカーを含む)に対応する。ヌクレオソームコア内では、DNAはヒストンによってヌクレアーゼから保護されているが、一方、リンカーは消化に対して脆弱である。従って、いくつかの実施形態では、補正因子は、増幅すべき配列が、クロマチン構造内(例えば、ヌクレオソームまたはリンカー領域内)のその位置に基づいて断片化される確率を表す補正係数に適用される。
いくつかの実施形態では、配列断片化バイアスは位置バイアスである。例えば、いくつかの実施形態では、核酸サンプルはRNAサンプルである。RNA転写産物は、その転写産物内の特定の位置で、例えば、転写産物の開始時点および/または終了時点で、優先的に切断され得る。(Tuerk A, Wiktorin G, Guler S (2017) Mixture models reveal multiple positional bias types in RNA-Seq data and lead to accurate transcript concentration estimates. PLOS Computational Biology 13(5): e1005515)。従って、この種のバイアスは位置バイアスと呼ばれる。従って、いくつかの実施形態では、補正因子は、増幅すべき配列が、RNA転写産物内の増幅すべき配列の位置に基づいて断片化される確率を表す補正係数に適用される。
いくつかの実施形態では、核酸サンプルは、人工的に断片化された核酸、例えば、機械的剪断または酵素的断片化によって生成された核酸を含むことができる。酵素的に断片化された核酸を含む核酸サンプルの場合、補正因子は、使用される酵素の認識配列または配列優先度(例えば、トランスポゼースの配列バイアス)を説明する補正係数に適用することができる。
いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、増幅すべき配列のGC含量;増幅プライマーのGC含量;増幅プライマーの長さ;使用されるポリメラーゼの種類;および増幅サイクルの温度からなる群から選択される増幅工程のパラメーターをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、検出プローブの配列;使用されるフルオロフォアの光安定性;使用されるフルオロフォアの化学安定性;使用されるフルオロフォアの量子収率;および使用されるフルオロフォアの波長からなる群から選択される測定工程のパラメーターをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、増幅工程の追加のパラメーターは、係数と長さ分布(LD)曲線との積として、または較正係数と補正係数との積として組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、上記のような測定方法の追加のパラメーターの効果は、実験的に決定され、実験的に決定された較正率として補正係数に組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の断片長さ分布(LD)を有する第1の核酸サンプルおよび第2の断片長さ分布(LD)を有する第2の核酸サンプル中の検出される配列の測定された濃度に基づいて補正係数を較正する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸サンプルは非断片化サンプルである。いくつかの実施形態では、第1の核酸サンプルは、核酸断片の5%未満が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する断片化された核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸サンプルを用いて、第2の核酸サンプルについてのグラウンドトゥルース補正因子を決定する。グラウンドトゥルース補正因子と予測される補正係数との相対誤差を求め、検出される配列の補正された濃度の算出に較正率として適用することができる。
いくつかの実施形態では、当業者ならば容易に理解するように、nまたはrは、予測される補正係数とグラウンドトゥルース補正因子との最良の一致をもたらすnまたはrの値に基づいて決定することができる。
本明細書で提供される実施形態のいずれか1つによるいくつかの方法では、その方法は、上記のパラメーターのいずれか1つに基づく較正率で濃度を補正することをさらに含む。いくつかの実施形態では、較正率は、本明細書で提供される測定方法のいずれか1つに従って修正された希釈率として適用することができる。
II.本願のシステム
最後に、本発明は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムに関する。このシステムは、以下のモジュールを含む。
第1のモジュールは、断片化された核酸のサンプル中の検出される配列の濃度を測定するように構成されており、前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導されたものである。このモジュールは、本発明の基本的方法の測定工程を実現する。
好適なモジュールは、リアルタイムサーモサイクラーを含み、適当なバッファー中にプライマー、挿入蛍光色素または蛍光プローブおよびポリメラーゼ酵素を含む反応混合物を使用して、増幅反応を実行する。あるいは、リアルタイムサーモサイクラーの代わりにデジタルPCRプラットフォームを使用することもできる。そのようなデジタルPCRプラットフォームは、PCRリザーバー(多くの場合、チューブ、プレートまたはマイクロ流体チップ)分割システム、サーモサイクラーおよび蛍光リーダーと、分析ソフトウエアとから構成される。
第2のモジュールは、前記断片化された核酸の核酸断片長さ分布と、前記測定のパラメーターに応じて補正係数を計算するように構成されている。このモジュールは、一般に、表示画面、少なくとも1つのマイクロプロセッサー、データ交換モジュールおよび少なくとも1つのコンピューター読み取り可能記録媒体を含むコンピューター装置である。あるいは、このモジュールは、少なくとも1つのマイクロプロセッサー、データ交換モジュールおよび少なくとも1つのコンピューター読み取り可能記録媒体を含むリモートサーバーに接続し得る。
コンピュータープログラムがコンピューターまたはリモートサーバーによって実行されるときに、そのコンピューターまたはリモートサーバーに補正係数を自動的に計算させ得る命令を含むコンピュータープログラム。
コンピュータープログラムがコンピューターまたはリモートサーバーによって実行されるときに、使用され得る命令を含むコンピューター読み取り可能記録媒体。一実施形態では、コンピューター読み取り可能記録媒体は一時的でないコンピューター読み取り可能記録媒体である。
第3のモジュールは、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を補正係数により計算するように構成されている。
第1のモジュールは、等温定量的核酸増幅モジュールまたは非等温定量的核酸増幅モジュールであり得る。
等温定量的核酸増幅モジュールは、一般には、増幅反応を実行するために適当な等温バッファー中に等温増幅に適合するプライマー、挿入蛍光色素およびポリメラーゼ酵素と、互換性の分析ソフトウエアを備えた温度調節蛍光スキャナーとを含む。好適なモジュールは、ループ媒介等温増幅、核酸配列に基づく定量的増幅、RNA技術のシグナル媒介増幅および鎖置換増幅を実行するモジュールである。
非等温定量的核酸増幅モジュールは、一般には、定量的ポリメラーゼ連鎖反応モジュール、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応モジュール、デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュール、多重ポリメラーゼ連鎖反応モジュールおよび多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュールである。
第2のモジュールは、増幅すべき配列の長さを、第1のモジュールによって実行される測定のパラメーターとして使用して、補正係数を計算し得る。
これらの全てのパラメーターは、第2のモジュールによって行われる補正係数の計算において1つずつまたは組み合わせて含めることができる。
IIi.例示的実施形態
本願の一態様は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を補正する方法を提供する。本願の別の態様は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムを提供する。
この目的のために、本願は次の例示的実施形態を提供する:
実施形態1.非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸のサンプルを提供する工程(前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.前記断片化された核酸の核酸断片の長さ分布(LD)を提供する工程;
iii.断片化された核酸の前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;
iv.前記断片化された核酸の前記核酸断片の長さ分布(LD)と前記測定方法のパラメーターに応じて補正係数を決定する工程;および
v.それらの断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程
を含む、方法。
実施形態2.断片化された核酸のサンプルが以下の3つのカテゴリーの任意の組合せである、実施形態1による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法:
i.無細胞サンプルまたは細胞含有サンプルのいずれか;
ii.自然に断片化されたサンプルまたは人工的に断片化されたサンプルのいずれか;および
iii.あらゆる種類のデオキシリボ核酸またはリボ核酸。
実施形態3.前記測定方法が等温定量的核酸増幅法であり、好ましくは、ループ媒介等温増幅および核酸配列に基づく定量的増幅から選択される、前述の実施形態のいずれかによる非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態4.前記測定方法が非等温定量的核酸増幅法であり、好ましくは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、デジタルポリメラーゼ連鎖反応、多重ポリメラーゼ連鎖反応および多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される、実施形態1または2による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態5.前記測定方法のパラメーターが増幅すべき配列の長さを含む、実施形態3または4による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態6.核酸断片の少なくとも5%が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する、実施形態5による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態7.核酸断片の多くとも95%が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する、実施形態5または6による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態8.増幅すべき配列の長さが、40bpより長く200bpより短い、好ましくは、50bpより長く170bpより短い、より好ましくは、65bpより長く150bpより短い、さらにより好ましくは、70bpより長く130bpより短い、実施形態5~7のいずれか1つによる非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態9.核酸断片の長さ分布が、25bp~350bp、好ましくは、30bp~320bp、より好ましくは、35bp~290bp、さらにより好ましくは、40bp~270bpの範囲に含まれる、実施形態1~8のいずれか1つによる非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態10.非断片化核酸中の第1の検出される配列Sの第1の濃度と第2の検出される配列Sの第2の濃度の関数を決定する方法であって、以下:
iv.実施形態5~9のいずれか1つに従って前記非断片化核酸中のSの濃度を決定する工程;
v.実施形態5~9のいずれか1つに従って前記非断片化核酸中のSの濃度を決定する工程;および
vi.前記S濃度および前記S濃度の前記関数を計算する工程
を含み;
ここで、前記S濃度と前記S濃度は同じサンプルで決定され;および、Sに関連する増幅すべき配列の長さはSに関連する増幅すべき配列の長さと異なる、方法。
実施形態11.非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、
i.断片化された核酸のサンプル中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュール(前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される)と;
ii.前記断片化された核酸の核酸断片長さ分布(LD)と前記測定のパラメーターに応じて補正係数を計算するように構成されたモジュールと;
iii.非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により計算するように構成されたモジュールと
を備える、システム。
実施形態12.前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが等温定量的核酸増幅モジュールであり、好ましくは、ループ媒介等温増幅モジュールおよび核酸配列に基づく定量的増幅モジュールから選択される、実施形態11による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
実施形態13.前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが非等温定量的核酸増幅モジュールであり、好ましくは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応モジュール、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応モジュール、デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュール、多重ポリメラーゼ連鎖反応モジュールおよび多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される、実施形態11による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
実施形態14.前記測定のパラメーターが増幅すべき配列の長さを含む、実施形態12または13による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
IV.実施形態
本願の一態様は、断片化された核酸を含む核酸サンプル中の目的の核酸配列の存在の過小評価に関する問題を修正する方法を提供する。本願の別の態様は、非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムを提供する。
この目的のために、本願は以下のような実施形態を提供する:
実施形態1’.非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
iii.断片化された核酸を含むそのサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
を含む、方法。
実施形態2’.検出される配列の濃度の測定がその検出される配列を含む増幅すべき配列を増幅することを含む、実施形態1’の方法。
実施形態3’.検出される配列と増幅すべき配列は同じであり、測定する工程は、増幅中に生成された核酸中への標識の取り込みを検出することを含む、実施形態2’の方法。
実施形態4’.標識はフルオロフォアを含む蛍光色素である実施形態3’の方法。
実施形態5’.検出される配列が増幅すべき配列のサブセットであり、測定する工程は、検出される配列への標識プローブの結合を検出することを含む、実施形態2’の方法。
実施形態6’.標識プローブがフルオロフォアを含む蛍光標識プローブである、実施形態4’の方法。
実施形態7’.サンプル中の核酸の長さ分布(LD)と前記測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づいて補正係数を決定する工程をさらに含む、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態8’.測定方法の少なくとも1つのパラメーターが増幅すべき配列の長さ(L)を含む、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態9’.補正係数が
Figure 2022552544000020
(式中、
Lは、増幅すべき配列の長さ(L)であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000021
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される、実施形態2’~8’のいずれかの方法。
実施形態10’.増幅プライマーのセットが、nだけ短縮された増幅すべき配列に依然として結合することができ、その補正係数が
Figure 2022552544000022
(式中、
Lは、前記増幅すべき配列の長さ-n(L-n)であり、ここで、nは、1~15の整数であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000023
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される、実施形態2’~8’のいずれか1つの方法。
実施形態11’.nが1~5の整数である、実施形態10’の方法。
実施形態12’.増幅プライマーのセットが、短縮係数rにより短縮された増幅すべき配列に依然として結合することができ、その補正係数が
Figure 2022552544000024
(式中、
Lは、前記増幅すべき配列の長さ×r(r.L)(ここで、rは、少なくとも0.75であり1より小さい(ただし、r.Lは、常に整数値である))であり;
f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
Figure 2022552544000025
は、核酸断片の平均長さである)
により決定される、実施形態2’~8’のいずれかの方法。
実施形態13’.補正係数がまた増幅すべき配列が配列断片化バイアスに基づいて断片化される確率にも基づく、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態14’.測定方法の少なくとも1つのパラメーターが、増幅すべき配列のGC含量;増幅プライマーのGC含量;増幅プライマーの長さ;使用されるポリメラーゼの種類;増幅サイクルの温度からなる群から選択される増幅工程のパラメーターをさらに含む、実施形態2’~13’のいずれかの方法。
実施形態15’.測定方法の少なくとも1つのパラメーターが、検出プローブの配列;使用されるフルオロフォアの光安定性;使用されるフルオロフォアの化学安定性;使用されるフルオロフォアの量子収率;および使用されるフルオロフォアの波長からなる群から選択される測定工程のパラメーターをさらに含む、実施形態4’または6’のいずれか1つの方法。
実施形態16’.補正が、断片化された核酸を含むサンプルにおいて測定された濃度に補正係数を乗算することを含む、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態17’.サンプル中の核酸の少なくとも5%が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する場合に補正が適用される、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態18’.サンプル中の核酸断片の95%以下が増幅すべき配列の長さより短い長さを有する、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態19’.増幅すべき配列の長さが40bpより長く200bpより短い、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態20’.増幅すべき配列の長さが50bpより長く170bpより短い、実施形態19’の方法。
実施形態21’.増幅すべき配列の長さが65bpより長く150bpより短い、実施形態19’の方法。
実施形態22’.増幅すべき配列の長さが70bpより長く130bpより短い、実施形態19’の方法。
実施形態23’.サンプル中の核酸断片の長さ分布(LD)が、25bp~350bpの範囲に含まれる、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態24’.サンプル中の核酸断片の長さ分布(LD)が、30bp~320bpの範囲に含まれる、実施形態23’の方法。
実施形態25’.サンプル中の核酸断片の長さ分布(LD)が、35bp~290bpの範囲に含まれる、実施形態23’の方法。
実施形態26’.サンプル中の核酸断片の長さ分布(LD)が、40bp~270bpの範囲に含まれる、実施形態23’の方法。
実施形態27’.断片化された核酸の配列を得ることを含まない、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態28’.断片化された核酸の遺伝的座標を取得または予測することを含まない、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態29’.断片化された核酸を連続した配列にすることを含まない、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態30’.断片化された核酸を含むサンプルを生成するために、非断片化核酸を断片化することを含まない、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態31’.測定方法がサンプル中の核酸を配列決定することを含まない、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態32’.断片化された核酸を含むサンプルが細胞含有サンプルである、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態33’.断片化された核酸を含むサンプルが無細胞サンプルである、実施形態1’~31’のいずれか1つの方法。
実施形態34’.断片化された核酸を含むサンプルが自然に断片化されたサンプルである、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態35’.断片化された核酸を含むそのサンプルが人工的に断片化されたサンプルである、実施形態1’~29’または31’~33’のいずれか1つの方法。
実施形態36’.断片化された核酸を含むサンプルがデオキシリボ核酸サンプルである、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態37’.断片化された核酸を含むサンプルがリボ核酸サンプルである、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態38’.前記測定方法が等温定量的核酸増幅法である、実施形態2’~37’のいずれか1つによる非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法。
実施形態39’.測定方法がループ媒介等温増幅および核酸配列に基づく定量的増幅からなる群から選択される、実施形態38’の方法。
実施形態40’.測定方法が非等温定量的核酸増幅法である、実施形態2’~37’のいずれか1つの方法。
実施形態41’.測定方法が定量的ポリメラーゼ連鎖反応、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、デジタルポリメラーゼ連鎖反応、多重ポリメラーゼ連鎖反応および多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応からなる群から選択される、実施形態40’の方法。
実施形態42’.第1の断片長さ分布(LD)を有する第1の核酸サンプルおよび第2の断片長さ分布(LD)を有する第2の核酸サンプルにおける検出される配列の測定された濃度に基づいて補正係数を較正する工程をさらに含む、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態43’.
i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の第2の検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;および
ii.それらの断片化された核酸中の前記第2の検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記第2の検出される配列の濃度を得る工程(ここで、その補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
をさらに含む、前述の実施形態のいずれか1つの方法。
実施形態44’.第2の検出される配列の濃度の測定がその第2の検出される配列を含む増幅すべき第2の配列を増幅することを含む、実施形態43’の方法。
実施形態45’.増幅すべき第1の配列の長さが増幅すべき第2の配列の長さと異なる、実施形態44’の方法。
実施形態46’.増幅すべき第1の配列が突然変異対立遺伝子検出配列を含み、増幅すべき第2の配列が対応する参照対立遺伝子検出配列を含む、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態47’.増幅すべき第1の配列が増幅すべき第2の配列に含まれる対応する参照配列と比較して挿入または欠失を含む、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態48’.第2の検出される配列と比較して、第1の検出される配列の補正された突然変異対立遺伝子頻度(MAF)を決定する工程をさらに含む、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態49’.補正されたMAF(MAF実際値)が
Figure 2022552544000026
を使用して計算される、実施形態48’の方法。
実施形態50’.増幅すべき第1の配列が、コピー数多型(CNV)を含む変異型核酸から増幅され、増幅すべき第2の配列が参照核酸から増幅される、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態51’.増幅すべき第1の配列がコピー数多型(CNV)を含む変異型核酸から増幅され、増幅すべき第2の配列が参照核酸から増幅される、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態52’.増幅すべき第1の配列がコピー数多型(CNV)を含む変異型核酸から増幅され、増幅すべき第2の配列が参照核酸から増幅される、実施形態43’~45’のいずれかの方法。
実施形態53’.式:
Figure 2022552544000027
を使用し、変異型配列と比較して参照配列の補正されたコピー数多型(CNV実際値)を決定する工程をさらに含む、実施形態50’の方法。
実施形態54’.測定方法が多重増幅工程を含む、実施形態43’~51’のいずれか1つの方法。
実施形態55’.非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、
i.断片化された核酸を含むサンプル中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュール(前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される)と;
ii.そのサンプル中の核酸の長さ分布(LD)と前記測定のパラメーターに応じて補正係数を計算するように構成されたモジュールと;
iii.非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により計算するように構成されたモジュールと
を備える、システム。
実施形態56’.前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが、ループ媒介等温増幅モジュールおよび核酸配列に基づく定量的増幅モジュールから選択される等温定量的核酸増幅モジュールである、実施形態53’による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
実施形態57’.前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが、定量的ポリメラーゼ連鎖反応モジュール、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応モジュール、デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュール、多重ポリメラーゼ連鎖反応モジュールおよび多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される非等温定量的核酸増幅モジュールである、実施形態53’による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
実施形態58’.前記測定のパラメーターが増幅すべき配列の長さを含む、実施形態54’または55による非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステム。
実施形態59’.非断片化核酸中の第1の検出される配列Sの第1の濃度と第2の検出される配列Sの第2の濃度のコピー数多型(CNV)を決定する方法であって、
i.断片化された核酸を含む核酸サンプル中のSおよびSの濃度を測定する工程;
ii.断片化された核酸を含むそのサンプル中のSおよびSの測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、その補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく);
iii.SおよびSの補正された濃度を使用してCNVを計算する工程;
を含み、
ここで、SおよびSの濃度は同じサンプルで測定され;および
に関連する、測定方法の少なくとも1つのパラメーターは、Sに関連する、測定方法の少なくとも1つのパラメーターと異なる
、方法。
実施形態60’.SおよびSの濃度の測定がSを含む増幅すべき第1の配列およびSを含む増幅すべき第2の配列を増幅することを含む、実施形態59’の方法。
実施形態61’.測定方法の少なくとも1つのパラメーターが増幅すべき配列の長さを含む、実施形態60’の方法。
実施形態62’.Sを含む増幅すべき配列の長さがSを含む増幅すべき配列の長さと異なる、実施形態61’の方法。
様々な実施形態を説明し、例示してきたが、詳細な説明は、本明細書に限定されるものと解釈されるべきではない。特許請求の範囲によって定義される本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態に様々な修正を加えることができる。
実施例1
実施例1の方法:
a.音波処理済DNAの調製
出発サンプルは200ng/μlのストックDNA(=6.06E+4 cp/μl)(ヒトゲノムDNA、Bio-35025、Bioline、パリ、仏国)(製造業者によれば平均長さは50kbpより大きい)である。
Covaris(登録商標)マイクロチューブ-15を使用する(15~20μl±1を含める)(製造業者によれば最大1μgのDNAを収容することができる)。従って、DNAの保存溶液の希釈工程は、TE:Tris-EDTAを用いて行う。これにより、60ng/μl(=1.82E+4 cp/μl)のDNA溶液が得られ、これをCovaris(登録商標)マイクロチューブ-15に入れて音波処理することができる。
音波処理は、M220 Focused-ultrasonicator(Covaris(登録商標)、ブライトン、英国)で行う。
まず、Covaris(登録商標)によって達成可能な最小の断片(150bpを中心とした長さ分布)を調製して、ヒトDNA断片長さの分布にできるだけ近づけるようにする、すなわち、ヒト血漿で見られる様式(163、316および465bp)に近づける。
続いて、200bp、350bpおよび550bpを中心とした長さ分布を準備する。
全ての音波処理は、Covaris(登録商標)マイクロチューブ-50(55μl±2.5)またはスナップキャップ付きマイクロチューブ(130μl±5)(製造業者によれば最大5μgのDNAを収容することができる)で行った。
b.TapeStationを使用した音波処理済DNAサンプルの検証
全ての理論的補正因子を算出するのに必要な塩基対分布を取得するために、4200 TapeStationシステム(Agilent Technologies、サンタクララ、カリフォルニア州、USA)の電気泳動画像からグレースケールデータを抽出する。質量単位を塩基対単位に変換するために、画像の強度を反転させた後、画像のピクセル位置で予想される断片長さで割った。
高感度D1000 ScreenTapeを使用する。
c.プライマー、プローブおよびフルオロフォア
使用するプライマーおよびプローブは、Eurogentec(Eurogentec、アンジェ、仏国)により合成し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。
TriPlex PCR実験で使用するフルオロフォアはFAM、HEX、およびシアニン(Cy5)であり、次の通りである:
・長さ117塩基対の増幅すべき配列を用いて配列BRAF V600 WTを検出するための青チャネルFAMフルオロフォア;
・長さ78塩基対の増幅すべき配列を用いて配列EGFR L858 WTを検出するための緑チャネルのHEXフルオロフォア;
・長さ81塩基対の増幅すべき配列を用いて配列ALBを検出するための赤チャネルのCy5フルオロフォア。
調製鋳型BRAF-EGFR-ALBを表1に示す。表記{}は、ロックド核酸塩基を意味する。
Figure 2022552544000028
d.PCRミックス
PCR反応は、Perfecta(登録商標)Multiplex qPCR ToughMix(登録商標)(Quanta Biosciences、ビバリー、MA、USA)を終濃度1×で用いて実施した。PCRミックスには0.1μMのフルオレセイン(VWR International、フォントネー・スー・ボワ、仏国)が添加されている。
PCRミックスアセンブリーは以下である:
・Perfecta(登録商標)qPCR Multiplex ToughMix(登録商標)(1×)
・フルオレセイン(0.1μM)
・オリゴヌクレオチドBRAF V600 WT、FAMフルオロフォア(1×)
・オリゴヌクレオチドEGFR L858 WT、HEXフルオロフォア(1×)
・オリゴヌクレオチドALB、Cy5フルオロフォア(1×)
・水
Figure 2022552544000029
サンプルは、表2に説明したように、音波処理していない場合の各標的配列の予想される終濃度が3000cp/μLとなるように、PCRミックス中の標的配列の希釈により得られる。
e.dPCR実験
サンプルは、サファイアチップ(Stilla Technologies、ヴィルジュイフ、仏国)の注入チャンバーに投入され、チャンバーあたり27μLの容量が投入される。音波処理済サンプルごとに3反復行う(サンプルごとに3つのチャンバー)。1つの音波処理していないサンプルが3つの独立したチャンバーに3反復で投入される。
Naica(商標)Geode(Stilla Technologies、ヴィルジュイフ、仏国)は、サンプルを分割するようにプログラムされている。
PCR条件は次の通りである:95℃10分間、続いて、95℃30秒間および58℃15秒間を45サイクル行う。
青、緑、および赤チャネルについてのNaica(商標)Prism3(Stilla Technologies、ヴィルジュイフ、仏国)による画像取得にデフォルトで設定されている露光時間は、それぞれ、65ms、250ms、および50msである。
f.補正因子の算出
本発明の方法(「予測」)に従って予測される補正因子は、150bpを中心とした長さ分布について図2に示すように、実験的に測定されたサンプルの断片長さ分布から、および増幅すべき配列の塩基対(bp)の長さから算出される。
本発明の方法に従って補正因子を計算するには、150bpを中心とした長さ分布について図3に示すように、増幅すべき配列の長さの関数として、増幅すべき配列が切断されていない確率が必要である。同じ条件の補正因子を図4に示す。
グラウンドトゥルース補正因子(「グラウンドトゥルース」)は、音波処理していないサンプルと音波処理済サンプルとで実験的に測定された検出される配列の濃度の比率を計算することによりイン・ビトロ(in vitro)で得られる。
相対誤差(「相対誤差」)は、グラウンドトゥルース補正因子に対する予測補正因子の誤差として定義される。
実施例1の結果:
実験結果と理論結果を表3で比較する。予測補正因子およびグラウンドトゥルース補正因子は、異なる断片長さ(150bp、200bp、350bp、550bp)の音波処理済サンプルにおいて異なる配列長さ(78bp、81bp、117bp)を有する増幅すべき配列の濃度を測定するTriPlexデジタルPCR実験を用いて得た。各実験測定は3反復で行った、表示した値は3反復値の平均である。
Figure 2022552544000030
得られた相対誤差値が1%から17%の範囲であることは、予測された補正因子が一貫して正確であり、グラウンドトゥルース補正因子に対してわずかに過大評価を示していることがわかる。
上記から、増幅すべき配列の長さは標準的なPCR配列を代表し、断片長さ分布は自然に発生する断片化と一致しているため、本発明の方法は、実際の条件で直接使用可能な結果を提供すると推測することができる。

Claims (15)

  1. 非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定する方法であって、次の工程:
    i.断片化された核酸を含むサンプル中の核酸の長さ分布(LD)を決定する工程(ここで、断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される);
    ii.断片化された核酸を含む前記サンプル中の前記検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程;
    および
    iii.断片化された核酸を含むサンプル中の前記検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づく)
    を含む、方法。
  2. 前記検出される配列の濃度の測定が、検出される配列を含む増幅すべき配列を増幅することを含み、かつ、前記測定方法の少なくとも1つのパラメーターが、その増幅すべき配列の長さ(L)を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記補正係数は、
    Figure 2022552544000031
    (式中、
    Lは、前記増幅すべき配列の長さ(L)であり;
    f(i)は、前記サンプル中の断片がi塩基対の長さを有する確率であり;および
    Figure 2022552544000032
    は、核酸断片の平均長さである)
    により決定される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記補正が、前記サンプル中の核酸の少なくとも5%が前記増幅すべき配列の長さより短い長さを有する場合に適用される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記増幅すべき配列の長さが40bpより長く200bpより短い、請求項2に記載の方法。
  6. 前記サンプル中の核酸断片の長さ分布(LD)が25bp~350bpの範囲に含まれる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記断片化された核酸の遺伝的座標を取得または予測することを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記測定方法が等温定量的核酸増幅法である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記測定方法が非等温定量的核酸増幅法である、請求項1に記載の方法。
  10. i.断片化された核酸を含む前記サンプル中の第2の検出される配列の濃度を測定方法により測定する工程(ここで、第2の検出される配列の濃度の測定はその第2の検出される配列を含む増幅すべき第2の配列を増幅することを含む);および
    ii.断片化された核酸中の前記第2の検出される配列の測定された濃度を補正係数により補正して、非断片化核酸中の前記第2の検出される配列の濃度を得る工程(ここで、補正係数は長さ分布(LD)と測定方法の少なくとも1つのパラメーターに基づき、増幅すべき第1の配列の長さは増幅すべき第2の配列の長さと異なる)
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記測定方法が多重増幅工程を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、
    i.断片化された核酸を含むサンプル中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成された増幅モジュール(前記断片化された核酸は前記非断片化核酸から誘導される)と;
    ii.サンプル中の核酸の長さ分布(LD)および前記測定の少なくとも1つのパラメーターに応じて補正係数を計算するように構成されたモジュールと;
    iii.非断片化核酸中の前記検出される配列の濃度を前記補正係数により計算するように構成されたモジュールと
    を備える、システム。
  13. 請求項12に記載の非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが、ループ媒介等温増幅モジュールおよび核酸配列に基づく定量的増幅モジュールから選択される等温定量的核酸増幅モジュールである、システム。
  14. 請求項12に記載の非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、前記断片化された核酸中の前記検出される配列の濃度を測定するように構成されたモジュールが、定量的ポリメラーゼ連鎖反応モジュール、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応モジュール、デジタルポリメラーゼ連鎖反応モジュール、多重ポリメラーゼ連鎖反応モジュールおよび多重デジタルポリメラーゼ連鎖反応から選択される非等温定量的核酸増幅モジュールである、システム。
  15. 請求項12に記載の非断片化核酸中の検出される配列の濃度を決定するように構成されたシステムであって、前記測定のパラメーターが増幅すべき配列の長さを含む、システム。
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