JP2022552162A - 物質使用障害の処置のための18-mc - Google Patents

物質使用障害の処置のための18-mc Download PDF

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Abstract

医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)の物質使用障害を処置するための組成物。個体に医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を投与し、その個体において物質乱用を予防することにより、物質使用障害を処置する方法。個体において嗜癖行動を予防する方法。個体において渇望を予防する方法。18-MC塩の代謝産物の組成物。個体に医薬担体中の有効量の18-MC塩の代謝産物を投与し、その個体において物質乱用を予防することにより、物質使用障害を処置する方法。図面で示されるような様々な薬物動態プロファイルを有する組成物。

Description

発明の背景
1.技術分野
本発明は、物質使用障害を処置するための組成物及び方法に関する。
2.背景技術
物質使用障害(SUD)は、世界的に大きな公衆衛生及び社会問題に相当する。米国(US)で、薬物及びアルコール濫用及び乱用は最近、主要な死亡、障害及び疾患の原因となっている。さらに、現在、処方せん薬物療法(オピオイド及びベンゾジアゼピンを含む)の濫用及び乱用が蔓延し、過去10年で倍になっており、現在、交通事故よりも大きく死亡に寄与している(Centers for Disease Control and Prevention[CDC],2011)。薬物及びアルコール乱用を処置する費用、二次的な疾病及び怪我の費用及び乱用者の疾病、収監及び早期死亡による収入及び寿命の損失を含め、社会に対するSUDの財務費用は膨大である。米国社会に対する薬物及びアルコール乱用のコストは、毎年、ほぼ5千億ドルであると推定されている(National Institute on Drug Abuse[NIDA],2010)。
現在、SUDの処置のための薬物療法は効果が限定的である。SUDに対してUS Food and Drug Administration(FDA)により承認されている唯一の薬物療法はニコチン及びオピエート使用障害に対するものであり、それらの有効性は中程度と考えられる(Marsch,1998)。
Glick,et al.に対する米国特許出願第14/387,339号は、薬物使用初期の後に哺乳動物に対して有効量のα3β4ニコチン性アンタゴニスト(18-メトキシコロナリジン)を投与し、薬物使用の再発を予防することによって、特に手がかり刺激中の薬物再発を予防する方法を開示する。音楽手がかりで馴化されたラットは、対照群と比較した場合、コカインでの薬物探索行動の増加を示すことが示された。この出願時に、18-MCの作用機序は完全には理解されておらず、ヒトにおいて有効であるというエビデンスもなかった。
従って、現在承認された治療法がない、SUD、特にコカイン障害を処置するための安全で有効で経口利用可能で低コストの薬理学的アプローチが必要とされている。
発明の概要
本発明は、医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)の、物質使用障害を処置するための組成物を提供する。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与し、個体において物質乱用を予防することによって、物質使用障害を処置する方法を提供する。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与し、個体における嗜癖行動を予防することによって、個体において嗜癖行動を予防する方法を提供する。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与し、個体において渇望を予防することによって、個体における渇望を予防する方法も提供する。
本発明は、18-MC塩の代謝産物の組成物も提供する。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-MC塩の代謝産物を個体に投与し、個体において物質乱用を予防することによって、物質使用障害を処置する方法をさらに提供する。
図面の簡単な説明
添付の図面と結びつけて考える場合、続く、発明を実施するための形態を参照することによってより詳しく理解されるようになるので、本発明の他の長所が容易に認められる。
図1は、18-メトキシコロナリジン塩酸塩(18-MC HCl)の化学構造である。 図2は、18-MC受容体結合に対する代表的なトレース図である。 図3は、ラットでのコカイン自己投与時に対する18-MCの効果のグラフである。 図4は、ラットにおけるコカイン自己投与に対する18-MCの急性効果のグラフである。 図5は、処置後1時間で測定した、ラットにおけるコカイン自己投与に対する18-MCの効果に対する用量反応曲線である。 図6は、ラットにおける単回経口投与後の18-MCの血漿濃度のグラフである。 図7は、コカイン自己投与の阻害と血漿濃度との間の関係のグラフである。 図8は、ラットにおける5日間の600mg/kg/日18-MCでの反復投与後のコカイン自己投与の阻害のグラフである。 図9は、単回用量投与後のラットにおけるコカイン自己投与の阻害と18-MC血漿濃度との間の関係のグラフである。 図10は、ラットにおける増感ドパミン反応に対する18-MC効果のグラフである。 図11は、ラットにおける、1日コカイン自己投与セッション、消退及び復元試験セッション中のアクティブレバー(Active lever)反応に対する音楽条件付けの効果を示すグラフである。 図12は、18-MCによるhERGカリウムチャネル阻害のグラフである。 図13は、ウサギ心臓プルキンエ繊維における作用可能な持続時間に対する18-MCの効果のグラフである。 図14は、CD-1マウスにおける18-MCの経口投与後の、平均心拍数の変化のグラフである。 図15は、CD-1マウスにおける18-MCの経口投与後の、平均収縮期血圧の変化のグラフである。 図16は、CD-1マウスにおける18-MCの経口投与後の、平均拡張期血圧の変化のグラフである。 図17は、ヒトにおける、18-MC、M2、M4及びM5(対数線形)、コホートB(0及び+10時間で4mg)の平均濃度のグラフである。 図18Aは、M4に対する濃度反応曲線である。 図18Bは、M4に対する濃度反応曲線である。 図18Cは、M5に対する濃度反応曲線である。 図18Dは、M5に対する濃度反応曲線である。 図18Eは、M4、M5及び18MCに対する用量反応曲線である。 図19Aは、AChの非存在下で18-MCが前もって結合し、除去後しばらくの間ACh誘発電流減衰を加速し続けることを示すグラフである。 図19Bは、AChの非存在下で18-MCが前もって結合し、除去後しばらくの間ACh誘発電流減衰を加速し続けることを示すグラフである。 図20Aは、M4及びM5結合プロファイルを示すグラフである。 図20Bは、M4及びM5結合プロファイルを示すグラフである。 図20Cは、M4及びM5結合プロファイルを示すグラフである。 図20Dは、M4及びM5結合プロファイルを示すグラフである。 図21Aは、M4の化学構造である。 図21Bは、M5の化学構造である。 図21Cは、M1の化学構造である。 図21Dは、M2の化学構造である。 図21Eは、M3の化学構造である。 図21Fは、M6及びM7の化学構造である。 図21Gは、M8及びM9の化学構造である。 図21Hは、M10の化学構造である。 図21Iは、P1の化学構造である。 図21Jは、P2及びP3の化学構造である。 図22は、ラットにおけるICSSに対するMC-18の効果のグラフである。 図23Aは、T0に対するMC-18の効果のグラフである。 図23Bは、M50に対するMC-18の効果のグラフである。
発明の詳細な説明
本発明は、物質使用障害を処置するための組成物及び方法を提供する。より具体的には、本発明は、医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)の、物質使用障害を処置するための組成物を提供する。
「物質使用障害」は、本明細書中で使用される場合、コカイン乱用、禁煙、オピエート離脱又は乱用され得る何らかの他の物質を指す。言い換えると、個体は、コカイン、ニコチン、オピエート、アルコール、モルヒネ、メタンフェタミン又は他の物質などの物質を使用することに対して処置され得る。本発明において行動障害も処置され得る。
「個体」は、本明細書中で使用される場合、哺乳動物を、好ましくはヒトを指す。18-MCが手がかり誘発性薬物再発を予防するためにラットにおいて以前から使用されている一方で、これがヒトで機能することは予想外であった。さらに、ヒトの試験に関して下記で示されるデータは、動物の試験に基づいて予想可能ではなかった。
18-MCは、ニコチン、コカイン、アルコール、モルヒネ及びメタンフェタミンが関与するものを含め、一部の嗜癖動物モデルにおいて活性を示している。18-MCは、渇望を予防するために脳の快楽中枢において機能するので、多くの嗜癖性物質に対して有効である。
遊離塩基18-メトキシコロナリジン(18-MC)は、合成コロナリジン同類物であり、α3β4ニコチン性コリン受容体の特異的な負のアロステリック修飾因子(アンタゴニスト)であり;これは、反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体の遮断を介してドパミン作動性中脳辺縁系経路を間接的に調整する(Glick et al.,2008)。動物実験は、10mg/kg i.p.という低い投与量で多くの物質使用モデル(ニコチン、アルコール、モルヒネ、コカイン及びメタンフェタミン)において18-MCが薬物自己投与を顕著に減少させることを明らかにした(Glick et al.,1994;Rezvani et al.,1995;Glick et al.,1996;Glick et al.,1998;Glick et al.,2000a)。より最近、18-MCは、動物モデルにおいて、コカイン探索又は「渇望」行動を刺激することに関与する環境的手がかりの効果を減弱させることが示された(Polston et al.,2012及びGlick,et al.に対する米国特許出願第14/387,339号)。18-MCのこの特性は、ヒト嗜癖行動の渇望要素に対処することを潜在的に助け得る。
塩は好ましくは塩酸塩であるが、他の塩も使用し得る。18-MC HClは、図1で示される18-MCの可溶性の塩形態である(C2229Cl、分子量404.97g/mol)。18-MC HClは、Glick及び共同研究者(1994)により記載される合成コロナリジン同類物のライブラリからのリード候補である。これは、その作用機序が、それ自体、乱用の特異的な化学物質に対するよりもむしろ嗜癖行動の中心であるので、SUDにおいてより幅広い適用の可能性がある。18-MC HClは、反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断することによりドパミン作動性中脳辺縁系経路を間接的に調整するα3β4ニコチン性コリン受容体の特異的な負のアロステリック修飾因子又は(アンタゴニスト)である(Glick et al,2008)。動物実験は、10mg/kg i.p.という低い18-MC HClの単回用量が、多くの物質使用モデル(ニコチン、アルコール、モルヒネ、コカイン及びメタンフェタミン)において薬物自己投与を顕著に減少させ得ることを明らかにした(Glick et al,1994;Rezvani et al,1995;Glick et al,1996;Glick et al,1998;Glick et al,2000a)。より最近、18-MC HClは、動物モデルにおいて、コカイン探索又は「渇望」行動を刺激することの原因である環境的手がかりの効果を減弱させることが示された(Polston et al,2012)。この18-MCの特性は、ヒト嗜癖行動-即ち渇望、の別の重要な構成要素への対処を潜在的に助け得る。
18-MCは、ラットにおいて、嗜癖性薬物の強化効果を低下させ、コカイン及び他の嗜癖性薬物の自己投与を減少させる。メカニズム試験から、18-MCが、ニコチン性アセチルコリン(nACh)α3β4受容体のアロステリックな非競合的アンタゴニストとして作用することが示された。α3β4 nACh受容体は、大部分、2つの脳核:内側手綱核及び脚間核に局在する。18-MCは、α4β2 nACh受容体(脳においてユビキタスに発現される)に対するか又はNMDA若しくは5HT受容体に対するよりも少なくとも20倍高いα3β4に対する親和性を有する(Glick et al,2002)。脚間核又は内側手綱核への18-MCの局所投与は、(例えばメタンフェタミンの)薬物自己投与を減少させ得、一方で腹側被蓋領域への18-MCの局所投与にはこのような効果はない。これらの行動的知見と一致して、18-MCの全身投与は、側坐核におけるドパミン放出に対する反復されるコカイン処置の増感効果を減弱させる。最後に、「渇望」行動に対する特徴がよく分かっている動物モデルにおいて、18-MCは、コカイン探索行動を刺激することの原因である環境的手がかりの効果を減弱させた。
処方及び投与
18-MC HClは、乾燥剤とともにHDPEボトル中のダブルプラスチックバッグ中に梱包された乾燥粉末として供給され得る。18-MC HClは、患者に投与するための溶液へと臨床現場で処方され得る。18-MC HClは、水(pH2.5)中で30g/mlまで可溶性である。18-MC HClは、中性及びアルカリpHで水溶液中で難溶性である。18-MC HClは、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で十分に可溶性である。化合物の特性に基づき、これは、固体経口処方物(錠剤、カプセル、サシェ、顆粒剤など)中でも処方され得る。
最も好ましくは、本組成物の経口用量が使用される。経口投与処方物は、GLP試験により検証された。18-MC HClの最大溶解度は、5%デキストロース(pH3.0)中で40mg/mLである。18-MC HCl特性(冷蔵保管の10日後の、均一性及び濃度許容性、溶解度及び安定性)は、適用可能なICH基準に合致した。18-MC HCl投与溶液も3回の凍結融解(20℃)サイクル後に求められる安定性基準に合致した。
18-MC HClは、2つの専売非GMP出発物質(アルデヒド及びインドール)で開始して5ステップで合成され、18-MCのHCl塩として完成させられる。18-MC HClは、2つのエナンチオマーの比が1:1であるラセミ体である。
18-MCは、0.01~10mg/kgの用量で投与され得る。下記の動物実験は、無影響濃度(NOEL)及び無毒性量(NOAEL)が90mg/kg及び400mg/kgであったことを示した。実施例6の臨床試験により、1日1回の20mg用量がヒトにおいて安全であることが示された。より好ましい用量は、ヒトにおいて1日2回、4mgであり得る。
本発明の化合物は、個々の患者の臨床的状態、投与の部位及び方法、投与のスケジューリング、患者の年齢、性別、体重及び医師にとって公知の他の要因を考慮して、適正な医療行為に従い、投与及び投薬される。従って、本明細書中の目的のための薬学的な「有効量」は、当技術分野で公知であるようなこのような検討事項により決定される。この量は、生存率の改善又はより急速な回復又は症状の改善若しくは排除及び当業者により適切な目安として選択されるような他の指標を含むが限定されない改善を達成するために有効でなければならない。
本発明の方法では、本発明の化合物は、様々な方法で投与され得る。注目すべきは、それが化合物として投与され得、単独で又は薬学的に許容可能な担体、希釈剤、アジュバント及びビヒクルと組み合わせて有効成分として投与され得るということである。本化合物は、経口で、皮下に、又は静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、扁桃内及び鼻腔内投与並びにくも膜下腔内及び注入技術を含め非経口で投与され得る。本化合物の埋め込みも有用である。処置されている患者は、温血動物及び、特にヒトを含む哺乳動物である。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、アジュバント及びビヒクル並びに埋め込み担体は一般に、本発明の有効成分と反応しない、不活性の無毒性固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入物質を指す。
この用量は、単回投与され得るか又は数日間にわたり複数回投与され得る。この処置は一般に、疾患過程の長さ及び薬物有効性及び処置されている患者種に釣り合った長さを有する。
本発明の化合物を非経口投与する場合、これは一般に、注射可能な単位剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)で処方される。注射に適切な製剤処方物は、滅菌水溶液又は分散液及び滅菌注射用溶液又は分散液への再構成のための滅菌粉末を含む。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なその混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。
例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合は求められる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。綿実油、ゴマ油、オリーブ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油又はピーナツ油などの非水性ビヒクル及びミリスチン酸イソプロピルなどのエステルも化合物組成物に対する溶媒系として使用され得る。さらに、抗微生物保存剤、抗酸化剤、キレート剤及び緩衝剤を含む組成物の安定性、滅菌性及び等張性を促進する様々な添加物が添加され得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより確実なものにされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことが所望される。注射可能な医薬形態の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってなされ得る。しかし、本発明によれば、使用される何らかのビヒクル、希釈剤又は添加物は、本化合物適合性でなければならない。
必要に応じて、様々な他の成分とともに適切な溶媒の求められる量中で本発明の実施において利用される化合物を組み込むことによって、滅菌注射用溶液を調製し得る。
本発明の医薬処方物は、様々なビヒクル、アジュバント、添加物及び希釈剤などの何らかの適合する担体を含有する注射可能な処方物中で患者に投与され得るか;又は本発明で利用される化合物は、徐放皮下埋め込み物又はモノクローナル抗体などの標的化送達系、ベクターによる送達、イオン泳動的、ポリマーマトリクス、リポソーム及びミクロスフェアの形態で患者に非経口投与され得る。本発明において有用な送達系の例としては、5,225,182;5,169,383;5,167,616;4,959,217;4,925,678;4,487,603;4,486,194;4,447,233;4,447,224;4,439,196;及び4,475,196が挙げられる。多くの他のこのような埋め込み物、送達系及びモジュールは当業者にとって周知である。
薬物動態
前臨床試験で試験された全ての種において、18-MCは、経口投与後に急速に吸収され、Tmaxは経口投与後0.5時間未満で起こった。経口投与後、18-MCの消失は多コンパートメント的である。血漿中で、18-MCは高度にタンパク質結合性である(92%~98%)。18-MCはまた、おそらく初回通過代謝によって急速及び広範に代謝される。インビトロ及びインビボの両方で少なくとも13種類の異なる代謝産物が検出されており、下記でさらに説明する(M1~M9、P1~P3)。主要な代謝産物(総薬物関連物質の10%を超える曝露があるもの)は、用量及び投与持続期間で変化すると思われる。主要な代謝産物は、試験される動物種及び用量及び投与の持続時間に依存して、M2、M4、M5、M8、M9及びP2を含む。
経口投与される場合、18-MCは、循環薬物物質のうち非常に小さいパーセンテージである(25mg/kg/日の投与後、マウスにおいて<1%、及び300mg/kg/日の投与後サルにおいて<3%)。
マウスでのGLP経口毒性試験において、25mg/kg 18-MC HClの投与から14日後、主要な代謝産物はM2>M4>>M9>M8であり、18-MCは、全薬物関連物質の<1%であった。18-MCへの曝露は、Cmax105ng/mL及びAUC 251ng x hr/mLであった。25mg/kg 18-MC HClの経口投与後の消失半減期は、両性別で3~4時間であり、主要な代謝産物については約2時間であった。
サルでのGLP経口毒性試験において、300mg/kg 18-MC HClの投与から14日後、代謝産物の相対的頻度はM5>>M2>P2であり、18-MCは総循環薬物関連物質の3%未満であった。第14日に、18-MCに対する曝露は、Cmax144ng/mL及びAUC 1210ng x hr/mLであった。
18-MCを代謝する酵素はまだ同定されていないが、18-MCは、CYP2C9及びCYP2C19を穏やかに阻害し、比較的程度は低いがCYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4を阻害することが示されている。
薬理学
組み換えα3β4 nACh受容体を発現するHEK293細胞の全細胞パッチクランプ記録によって18-MC及び2つの主要代謝産物の薬理学的活性を試験した(Pace et al(2004))。1mMアセチルコリン(Ach)の適用により、同様の大きな内向きの脱感作する電流が生じた。18-MCは、Ach誘発電流を阻害し、IC50値は0.8μMであった。
64個の神経伝達物質関連結合部位との18-MCの結合能を評価した。10μMの18-MCで、アドレナリン作動性アルファ-1受容体、ミューオピオイド受容体及びナトリウム部位2チャネル(sodium site 2 channel)リガンドに対して結合が見られたが;しかし、18-MCのこの濃度は、未結合18-MCの予想されるヒト血漿濃度よりも数桁大きい。
CNS安全性薬理試験において、18-MCの既知の薬理学的活性及び中枢ドパミン作動性活性に対するその効果を考慮して予想されるように、ラットにおける18-MCの投与は、運動機能の低下及び鎮静作用の向上を特徴とした。他の効果には、呼吸数減少、皮膚血流低下、瞳孔径拡大及び体温低下が含まれた。これらの知見は全て、一過性且つ用量依存的であり、頻度の上昇及び発生の増加は用量上昇に対応した。ピーク効果の時間は、投与後90~150分に起こり、投与後6時間で鎮静した。
インビトロで、18-MCは、ウサギプルキンエ繊維において、hERGイオン電導性を阻害し、活動電位持続時間を短縮させた。しかし、雄の無線遠隔測定埋め込みカニクイザルに対する30、90又は270mg/kgの用量での18-MC HClの単回経口投与は、心血管系パラメーター、体温又は呼吸パラメーターに影響を与えなかった。最大用量での嘔吐とは別に、18-MC HClは、サルにおいて一般に忍容性良好であった。心血管系及び呼吸系の両方における無影響濃度(NOEL)が270mg/kgであることが決定された。2週間毒性試験において300mg/kg/日の経口用量まで2週間にわたり18-MC HClで処置したサルにおいて、何れの心電図異常のエビデンスもなかった。インビトロとインビボ知見との間の矛盾の可能性に対する基礎は知られていないが、18-MCはインビボでよく代謝され、且つよくタンパク質結合されるので、代謝及びタンパク質結合などの18-MCの処分の相違に関連し得る。マウス及びサルの両者において、例えば18-MCは顕著に代謝され、親薬物は、代謝産物により表される曝露のほんの一部でしかない。
18-MCは、hERGチャネル及びウサギプルキンエ繊維活動電位持続時間(ADP)に対するその効果について試験されてきた。18-MCはhERGを延長させ、ADPを低下させた。18-MCは循環18-MC薬物関連物質のごく僅かな成分にしかすぎず、これらのインビトロ系において代謝産物における情報が研究されていないので、これらの観察の有意性は知られていない。装着させたサルにおいて、18-MCの投与は、心電図間隔又は心血管系機能に対して影響はなかった。集団的なインビトロ及びインビボデータから、18-MCが顕著な不整脈誘発傾向を提起しないことが示唆される。低い提案出発用量及び慎重な用量漸増スキームを考えると、臨床治験における有害な心血管系事象に対するリスクは低いと考えられる。
動物における用量探索試験中に、18-MC HCl投与後1.5~4時間以内にいくつかの用量で急死が観察され、マウスが最も感受性が高かった。しかし、死因は剖検で同定し得なかった。動脈血圧、心拍及び体温に対する、100mg/kgとそれに続く8時間後の200mg/kgの18-MC HClの第2の投与のマウスにおける経口投与の急性効果を無線遠隔測定マウスにおいてさらに調べた。最初の投与後、死亡前の行動的影響には、振戦、攣縮、歩行異常、嗜眠、運動活性の低下、接触に対する反応向上及び驚愕、てんかん発作、あえぎ及び遅い呼吸、眼球突出及び昏迷が含まれた。ピーク効果は、18-MC HClの経口投与後90分~150分で生じた。第2の投与の後、全動物が、200mg/kgの上の用量に対して同様の反応を呈し、次のように投与1時間以内であった:平均心拍が約50%低下し、収縮期及び拡張期血圧及び体内温度の顕著な低下が見られた。最終的に、測定されたパラメーター全てでさらなる低下があり、マウスの死亡前に温度が急激に(あるマウスにおいて22℃という低温に)低下した。
神経行動学的、臨床病理学、バイタルサイン又は体温の変化が、投与を制限し、顕著な有害な影響の発生から対象を保護する有用な前駆マーカーとなることが予想される場合、安全性薬理学に基づき、臨床病理学及びバイタルサイン(心拍、血圧及び体温を含む)を密接に監視し得る。
毒物学
げっ歯類、イヌ及びサルにおける単回投与試験の結果から、予想されるように、18-MCの既知の薬理学的プロファイル、18-MC HClの経口投与により一過性の用量関連神経行動学的変化が生じたことが示された。300~400mg/kg及び800mg/kgまでの単回投与がそれぞれサル及びラットにおいて一般に忍容性が良好であると思われた(400mg/kgで処置された1匹のサルが、投与第1日に2週間GLP試験において死亡した)。より低い用量(100mg/kg)でイヌにおいて嘔吐が見られ、これにより18-MC HClの毒性プロファイルの特徴を調べるためのこのモデルの有用性が制限される。マウスにおいて、単回投与≧150mg/kg後に死亡が一貫して見られた。マウス、ラット及びサルにおいて、予備的な5日間反復用量範囲探索試験を行った。マウス及びサルにおける決定的な14日試験は5日間試験において観察されるものと一般的に同様の結果をもたらした。
マウス(最も感受性が高い種)での2週間GLP試験において、2~4日の用量漸増後、強制経口投与により14日間にわたり0(ビヒクル)、25、50又は100mg/kg/日の用量を投与した。このGLP試験において、100mg/kg/日群の2匹の雄マウスが第-1日及び12日に死亡したことが分かった。この2匹の動物における死因は、解剖病理学的知見が心房性及び/又は心室性拡張からなったにもかかわらず、不確定であった。第-1日に死亡した動物において、この動物は、100mg/kgの最高用量までの漸増の一部として、18-MC HClの3つの用量(25、50及び75mg/kg)を受けた。この動物の死亡に先立つ臨床的な知見はなかった。第12日に死亡した他の動物も、死亡前に心臓における同様の解剖病理学的変化並びにいくつかの神経行動学的所見(間代性痙攣を含む)を呈し、これにより死亡が被験物質関連であったことが明らかに示唆される。生存動物における臨床病理学的な影響は、総白血球細胞数及びリンパ球の用量関連減少及び血清コレステロールの僅かな上昇(100mg/kg/日雄)に限定された。この試験における無毒性量(NOAEL)は、雄において50mg/kg/日であり(2匹の高用量の雄の死亡に基づく)、雌において100mg/kg/日であった。18-MC HClに起因し得た死亡マウスにおいて組織病理学的な知見はなかった(神経病理学的知見は含まれなかった)。
サルでの2週間GLP試験において、18-MC HClの予想される薬理学的活性と一致する神経行動学的徴候が高用量の動物(雄5匹/雌5匹)で認められ、投与第1日での400mg/kgの投与後、1匹の雄が死亡した(第2日以降、400mg/kgから300mg/kgに用量レベルを下げた)。この試験において他に死亡はなかった。18-MC HClでの処置には、150mg/kg/日の雄及び400/300mg/kg/日の動物において、体重の僅かな減少/体重増加(用量≧50mg/kg/日)、血液学的影響及び骨髄の変化が付随した。認められた主な血清化学の変化は、全用量レベルにわたる、対照と比較したアルカリホスファターゼの減少であり;この減少は、毒性学的に重要であるとは判断されなかった。50mg/kg/日及び400/300mg/kg/日で胸腺の軽度の重量低下が観察され、これは、被験物質関連の全身性のリンパ枯渇と顕微鏡学的に相関した。18-MC HClに起因する神経病理学的変化は観察されなかった。この試験の結果に基づき、この試験でのNOAELは50mg/kg/日であった。
遺伝学的毒性試験において、18-MC HClが、代謝活性化の存在下で、インビトロ染色体異常アッセイにおいて陽性である(しかし非存在下では陽性ではない)ことが分かったにもかかわらず、インビトロのエイムスアッセイにおいて又は行われた2つのインビボ試験(マウス小核及びコメットアッセイ)において、遺伝毒性のエビデンスが見られなかった。まとめた結果から、18-MCが顕著な遺伝毒性のリスクを提起しないことが示される。
臨床試験
実施例6に記載の18-MC HClのFTIH試験は、18-MCの安全性、忍容性及び薬物動態(PK)を評価するための、第1相、ランダム化二重盲検プラセボ対照、単回用量漸増試験である。
この試験の主目標は、健康な男性及び女性(妊娠可能性なし)ボランティアに対して単回漸増用量の経口投与が行われた後の18-MC HClの安全性及び忍容性を評価することである。
副次的目標は、1)単回用量漸増の経口投与後の血漿中の18-MC のPKの特徴を調べること、2)血漿中の18-MCの代謝産物を検出し、定量すること(検証されたアッセイが利用可能であるか又は相対的な代謝産物比を報告する場合)、3)単回漸増用量の経口投与後、18-MCのPD効果及びPD効果の持続時間の特徴を調べることであり、4)実験の目標として、尿中の18-MC及び代謝産物の相対濃度を決定し得る。
現在まで行われた非臨床毒性試験に基づき、マウス及びサルにおける主な有害な知見は、18-MCの既知の薬理学的活性と一致する過剰な急性の神経行動学的知見であった。中心的な2週間試験において、18-MC HClは、雌マウスでは最高100mg/kg/日及び雄マウスでは50mg/kg/日までの用量でマウスにおいて忍容性が良好であり、これはそれぞれ8及び4mg/kg/日のHEDに対応する。これらの用量は、この種における最大非致死用量にも対応する。サルにおいて、18-MC HClは、50mg/kg/日の用量(16mg/kg/日のHEDに対応)で忍容性良好であった。サルに対する最大非致死用量は300mg/kgであった。
FTIH試験において、最初の臨床用量を20mgとすることが提案され、これは、最も感受性が高い種であるマウスにおける非致死用量に基づいており、これは次のように決定された。マウスにおける非致死用量は50mg/kgであり、これは4mg/kgのHEDを有する。さらなる安全性補正因子のためにこの値に1/10を乗じ、その結果、HEDが0.4mg/kgとなった(これは28mgのヒト用量に対応する)。控えめにするために、さらなる安全係数に対して、出発用量を28mgの代わりに20mgとし得る。この試験から、高い血漿レベルが20mgで生じることが示され、そのため、1日2回、4mgというより低い用量を試験した。重篤な有害事象は報告されなかった。
FTIHにおける用量漸増に対して、マウスでの曝露の1/10によって薬物曝露の限度が選定され得、安全性停止基準はプロトコールにおいて詳述される。
この試験は、薬物動態が多重コンパートメントモデルに従うと思われ、18-MC及び代謝産物の消失半減期が約48時間であったことを示した。18-MCは、短い分布半減期及びより長い終末半減期を有する。
非臨床安全性薬理学及び毒性試験からの結果は、18-MCが、提案されるものよりも顕著に高い用量で中枢及び/又は自律神経、心血管系、免疫及び造血系に影響を及ぼし得ることを予想する。このプロトコールは、顕著な有害事象に対する機会を限定するために適切な予防策及び慎重な用量漸増スキームを組み込む。安全性薬理学及びマウス毒性試験の結果に基づき、提案される臨床治験の一部としてバイタルサイン(体温を含む)が密接に監視され得る。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-MC HClを個体に投与し、物質乱用を予防することによって、物質使用障害を処置する方法を提供する。好ましくは、18-MC HClは経口剤形である。この物質は、上記のものの何れかであり得る。投与は、上記の用量範囲の何れかであり得、より好ましくは1日あたり20mg以下である。18-MC HClは、非常によくタンパク質に結合し、多コンパートメント消失が起こる。本方法は、18-MC HClが、反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む。18-MC HClは、実施例4で下に記載されるような酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4をさらに阻害し得る。実施例1は、18-MC HClがコカイン自己投与用量を依存的に低下させ得、血漿濃度が高いほど高い効果を有することを示す。18-MC HClは、薬物に対する増感ドパミン作動性反応を逆転させ、薬物の報酬効果を低下させ得る。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-MC HClを個体に投与し、その個体において嗜癖行動を予防することによって、個体において嗜癖行動を予防する方法を提供する。好ましくは、18-MC HClは経口剤形である。この物質は、上記のものの何れかであり得る。投与は、上記の用量範囲の何れかであり得、より好ましくは1日あたり20mg以下である。本方法は、18-MCが、反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む。18-MCは、酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4をさらに阻害し得る。
本発明は、医薬担体中の有効量の18-MC HClを個体に投与し、その個体において渇望を予防することによって、個体において渇望を予防する方法も提供する。好ましくは、18-MC HClは経口剤形である。この物質は、上記のものの何れかであり得る。投与は、上記の用量範囲の何れかであり得、より好ましくは1日あたり20mg以下である。18-MCは、非常によくタンパク質に結合し、多コンパートメント消失が起こる。本方法は、18-MCが、反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む。18-MCは、酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4をさらに阻害し得る。
本発明は、18-MC塩の代謝産物の組成物及び医薬担体中の有効量の18-MC塩の代謝産物を個体に投与し、物質乱用を予防することによって、物質使用障害を処置する方法も提供する。実施例7は、18-MCよりも速い解離速度であるにもかかわらず、代謝産物M4及びM5はα3β4受容体に結合し得、M5の会合速度がより遅いことを示す。M4は、アゴニストの非存在下又は存在下で予め結合してnAChRを阻害し得る。代謝産物M4及びM5は、効力が低下するものの、18-MCの活性の一部を保持する。
本発明は、図2で示される結合プロファイルを有する組成物、図13で示されるウサギ心臓プルキンエ繊維での活動電位持続時間を有する組成物、図17で示されるヒト血漿中での親及び代謝産物の薬物動態プロファイルを有する組成物、図18Eで示されるような親及び1つ以上の代謝産物のIC50プロファイルを有する組成物、図19A及び19Bで示されるようなアルファ3-ベータ4ニコチン性コリン受容体パッチクランプアッセイプロファイルを有する組成物、図20A、20B、20C及び20Dの何れかで示されるようなヒト代謝産物アルファ3-ベータ4ニコチン性コリン受容体パッチクランプアッセイプロファイルを有する組成物及び図22、23又は24の何れかで示されるようなラットにおけるICSS試験プロファイルを有する組成物をさらに提供する。
次の実験例を参照することにより本発明をさらに詳細に記載する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供するものであり、別段指定されない限り、限定するものではない。従って、本発明は、如何なる意味においても、次の実施例に限定されるものと解釈してはならず、むしろ、本明細書中で提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆるバリエーションを包含するものと解釈すべきである。
実施例1
非臨床薬理学
Pace et al(2004)により既に記載されている方法を使用して、組み換えα3β4 nACh受容体を発現するHEK293細胞の全細胞パッチクランプ記録によって、18-MCの薬理学的活性を試験した。1mM AChの適用によって、0.8μMの18-MCのIC50の、大きな内向きの脱感作する電流が生じた。
18-MCの機能活性に関して理解するために、インビトロ及びインビボ実験を行った。電気生理学試験において作用機序を調べ、コカイン自己投与のラットモデルを使用して18-MC HClのインビボ活性を評価した。以下は行われた試験の説明である。
18-MC受容体結合に対する代表的な波形を図2で示す。1mM AChの適用により、前に述べたものと同様の大きな内向きの脱感作電流が生じた。結果は、18-MCがα3β4 nACh受容体を強力に阻害したことを示す前の試験と一致した(Glick et al, 1996; Pace et al, 2004)。
18-MC HClの腹腔内投与はラットコカイン自己投与を阻害する。
ラットコカイン嗜癖モデルにおいて18-MC HClを評価した(Glick et al, 1996)。18-MCは用量依存的にラットにおいてコカイン自己投与を減少させた(図3)。これらの効果が、18-MC HClの同じ用量が水、非薬物強化因子に対する反応に影響しなかったという点において選択的であったことに注意すること。FR=3の固定比スケジュールに基づき、1日1時間の試験セッション中にコカイン塩酸塩(1回の注入あたり0.4mg/kg)又は水(バー押し1回あたり0.01ml)を自己投与させるために、体重がおよそ250gである雌Sprague-Dawleyラットを訓練した。18-MC HCl(10~40mg/kg、i.p.)をセッションの15分前に投与することによってコカインに対する反応が顕著に低下したが、水に対する反応には影響はなかった。各データ点は、4~8匹のラットからの平均(±S.E.M)である。18-MC HClの全ての試験用量が有意な効果を有した(ANOVA及びt-検定、=p<0.05~0.001)。
ラットコカイン自己投与及び18-MC血漿濃度の阻害の関係
コカインを自己投与するように訓練したラットにおいてインビボ有効性と血漿薬物曝露との間の関係を調べた。18-MC HClの単回経口用量を与えた訓練ラットを1時間後に、自己投与コカインの体積を記録するためにさらに1時間オペラントチャンバーに置いた。オペラントチャンバーでの1時間セッション後に血液試料を動脈カテーテルからすぐに回収した。18-MC HClの単回経口投与後25、49、73、97、121、146時間でコカイン自己投与に対する反復測定を回収した。7日間にわたり測定した異なる18-MC HCl用量の阻害効果を図4で示す。コカイン自己投与(0.32mg/kg/注入)の安定な獲得後、18-MC HCl(又はビヒクル)をp.o.投与し、1時間(0日)で、及び続いて処置後6日間にわたりコカインに対する反応を測定した。ビヒクル処置動物からの有意差は、p<0.01(**として示す)又はp<0.05(として示す)の何れかであった。
投与1時間後のコカイン自己投与は、用量依存的に18-MC HClにより阻害された。しかし、18-MC HClの阻害効果は、動物間で非常に変動性が大きかった。阻害活性は経時的に徐々に逆転し、第6日(投与後146時間)までにコカイン自己投与がベースライン値に完全に戻った。投与後1時間で測定されたコカイン自己投与の阻害は用量依存的に起こり;120mg/kgの投与後にコカイン自己投与が50%阻害され、800mg/kg用量の投与後に82%阻害された(図5)。ビヒクル処置群(X軸の0mg/kg)からの有意差は一元配置ANOVAによってp<0.01であった(**として示す)。
18-MCの血漿濃度は、個々の動物間で大きく変動した(図6)。(投与後1時間での)18-MCによるコカイン自己投与の阻害は、(投与後およそ2時間での)その血漿濃度と関連した(図7)。図7での各データ点は、単一動物に対応し、その自己投与データを1時間にわたり投与した後1時間で回収し、血液試料中のその18-MC血漿濃度は投与後およそ2時間での記録セッション後すぐに回収した。点線は、95%信頼区間(-0.8187~-0.1395)の上界及び下界である。このデータは、二次フィットに適合し、R=0.324、p=0.0137であった。この観察から、より低い濃度よりもより高い血漿濃度でより大きな有効性が見られたので、血漿薬物濃度が18-MCの中央効果の代理予測因子であり得ることが示唆される。
自己投与セッション前1時間の連続5日にわたる18-MC HCl(600mg/kg/日)での反復投与の結果、コカイン自己投与の阻害はより大きくはならなかった(図8)。ベースライン反応からの有意差は、p<0.01であった(**により示される場合)。代わりに、投与の第2日~5日における阻害効果は、初回用量で見られる阻害効果よりも低かった。平均で、投与後2時間での18-MCの血漿濃度は、初日と比較して投与最終日でより低かった(表1)。投与初日(第0日)及び投与最終日(第4日)に、投与後およそ2時間で、それらのコカイン自己投与後すぐに、血液試料を動物から回収した。18-MC HClの最終投与の約1時間前(第4日)に投与前試料を回収した。
Figure 2022552162000002
個々の動物に対してそれらの対応する自己投与値を用いて、投与後最初の3日間に回収した利用可能なPKデータ点の全てを分析した。この分析は、コカイン自己投与の阻害と18-MC血漿濃度との間の二次フィットを示し、R=0.425及びp<0.0001であった(図9)。18-MC HClの単回経口用量を動物に投与し、自己投与されたコカインの体積を投与後1、25、49、73、97、121、146時間に記録した。各記録セッション後に血液試料を回収した。全てのデータ点は、特定の記録セッションの直後に回収された血液試料中のコカイン自己投与体積及び18-MC血漿濃度に相当する。18-MC血漿濃度の欠如があるデータ点は分析から除外した。点線は95%信頼区間(-0.7742~-0.4845)の上界及び下界である。
18-MCは、ラット側坐核においてコカインに対する増感ドパミン反応を遮断する
側坐核(NAC)でのドパミン放出は乱用薬物の強化作用に関わっているので、コカイン投与に対する側坐核殻における急性及び増感ドパミン反応に対する全身18-MC HCl(40mg/kg)前処理(19時間前)の効果を調べた(Szumlinski et al,2000)。18-MC HCl前処理は、コカインに対する急性反応に対してあまり効果がなかったが、コカインに対する増感ドパミン反応を消失させた。
この結果は、18-MC HClが薬物に対する増感ドパミン作動性反応を逆転させ得ることを示し、これは薬物渇望の神経科学的基質であると考えらえる(図10)。これらの結果は、18-MCが薬物の報酬効果を低下させるエビデンスと一致する。NACの殻にわたり微小透析ガイドカニューレをラットに埋め込んだ。ラットに対して5日間にわたり毎日コカイン(15mg/kg、i.p.)又は食塩水の注射を行った。離脱2週間後、18-MC HCl(40mg/kg、i.p.)又はビヒクルの何れかでラットを前処置した。翌日、微小透析実験を行い、コカイン(20mg/kg、i.p.)の効果を評価した。HPLC-ECにより試料を分析した。N=5~7匹/群。(ビヒクル対18-MC前処置群、=p<0.05)。
18-MC HClは、コカイン探索のコンテクスト誘導性(Context-Induced)復元を阻止する(「渇望」モデル)
薬物渇望の低減は、嗜癖のあらゆる処置の非常に重要な因子であると考えられる。薬物の自己投与と関連する刺激にラットが反応する傾向を測定するために、渇望のいくつかのモデルが提案されている。Polston et al(2012)は、薬物自己投与のコンテクストを変更するために長期に及ぶ音楽手がかりを使用した(図11)。音楽の存在下でコカインを自己投与させるために動物を訓練した。次に、音楽の非存在下で数日間にわたり自己投与行動を消退させた。続いて、消退条件下で音楽が再導入されたとき、ラットはコカイン探索行動を回復した(即ち、コカイン条件付けレバーに対して反応)。18-MC HCl(40mg/kg、i.p.)は、コカイン自己投与に関連する手がかりの復元効果を阻止した。
データは、自己投与試行中の平均コカイン注入(±SEM)として、及び消退セッション中に得られる理論的注入を示す。復元試験セッション中の能動的なレバー押し(±SEM)を適切に右x軸でプロットする。動物には、第1~12日の強化のFR1スケジュールを行い、実験の残りに対してFR3スケジュールに変更した。音楽条件にある動物は、NMCond及びNMTest群の動物よりも、復元試験日(試験)に薬物条件付けレバーに対して有意に多い反応を示した。さらに、消退の初日(Ext 1)に有意差が観察され;自己投与中に音楽で条件付けされていなかった動物(NMCond)は、音楽で訓練された動物よりも有意に多い反応を示した。p<0.05、***p<.001。
実施例2
二次的薬力学
インビトロ放射性リガンド受容体及び酵素アッセイ
64個の神経伝達物質関連結合部位との18-MCの結合能を評価した(表2)。100nM濃度の18-MCは、アッセイした受容体の何れに対しても結合活性がなかった。結合は、10μMで、アドレナリン作動性アルファ-1受容体、ミューオピオイド受容体及びナトリウム部位2チャネル(sodium site 2 channel)リガンドに対してのみ見られ、それは、未結合の18-MCの予想されるヒト血漿濃度よりも数桁大きい。
Figure 2022552162000003
実施例3
安全性薬理学
中枢神経、呼吸及び心血管系に対する18-MC HClの影響を評価するために、FDA及びICHガイダンスに従い一連の試験を行った。心臓電気生理学に対する潜在的な影響を評価するために、インビトロ試験(ウサギ心臓プルキンエ繊維におけるhERGイオン電導度及び活動電位持続時間)を行い、行動及び肺及び心血管系機能に対する効果を評価するために、ラット及びサルにおいてインビボ試験を行った。以前のデータに基づき予測される性別特異的な効果はなかったので、インビボ試験では一方の性別(雄)のみを使用した。GLP規制下でインビトロウサギプルキンエ及びインビボ安全性薬理学試験を行った。
インビトロ安全性薬理学
インビトロhERGチャネル阻害アッセイ
hERG mRNAを発現する安定に遺伝子移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において、18-MCがhERGカリウムチャネルを阻害する能力を評価した(図12)。IC50は1.46μMであった。この結果はQT間隔延長に対する中程度のリスクが考えられるので、より高感度の試験(ウサギ心臓から単離された全プルキンエ繊維において活動電位脱分極を測定する)を行った。細胞に対して-80mVの保持電位で電位固定を行った。次に、脱分極ステップ(-50mVを300ms)によってhERG電流が活性化され、12秒ごとに反復した。10mMメタノール保存溶液から18-MCを調製した。3回の個別の記録の平均からhERG電流阻害を計算した。IC50は1.6μMである。
ウサギ心臓プルキンエ繊維における活動電位持続時間(APD)
単離ウサギプルキンエ繊維において心臓活動電位に対する18-MCのインビトロでの影響を評価した(図13)。図13は、1秒ベースサイクル長(BCL)を使用した、被験物質(0.3、1、3及び10μM 18-MC)の平衡化の前(対照)及び後の重ね合わせた記録を示す。陽性対照dl-ソタロール(50μM)がAPD60及びAPD90を顕著に(約40%)延長したことは示されなかった。静止電位が-80mVよりも負であり、正常な活動電位形態(APD90≧150ms)を有する繊維を試験で使用した。少なくとも5分間、1秒のBCLで繊維を継続的に刺激した。この期間の終了時に、1及び0.5秒のBCLでのおよそ50パルスからなる刺激パルス列を使用して、ベースライン対照APDの速度依存性を測定した。1秒のBCLへ戻った後、最低濃度の18-MC(又はdl-ソタロール)を少なくとも20分間適用して平衡化させ、刺激列を反復した。18-MC濃度の累積的上昇時に、順序全体(約20分間の平衡化、それに続いてBCLを減少させた刺激列)を反復した。各試験条件に対して、各刺激列からの最後の5回の記録された活動電位からの平均反応を分析した。
2つの刺激間隔(1s及び0.5sのベースサイクル長)で、4つの調製物に連続的に18-MCの4つの名目濃度(0.3、1、3及び10μM)を添加して、電気生理学的記録を行った。時間を一致させたビヒクル対照の順序に対して、活動電位パラメーターでの18-MCの影響を比較した。18-MCは、試験した何れの濃度でもQT間隔を延長させなかった。しかし、3μMで、18-MCは、1秒ベースサイクル長(BCL)での活動電位持続時間(APD)60の統計学的に有意な(p<0.05)短縮を誘導した。10μMの18-MCは、0.5及び1s BCLでのAPD60の統計学的に有意な(P<0.05)短縮を誘導した。18-MCは、(試験した何れの濃度でも)2つの刺激間隔で、静止膜電位(RMP)、活動電位振幅(APA)又はVmaxの有意な変化を誘導しなかった。まとめると、単離ウサギプルキンエ繊維において、18-MCはQT間隔を延長させなかったが、3μM及び10μMの濃度で活動電位再分極の統計学的に有意な短縮を誘導した。
インビボ安全性薬理学
中枢神経系:Sprague Dawleyラットに対する18-MC HClの経口投与後の改変Irwin試験
一次観察試験の変法、改変Irwin試験を用いたSprague Dawleyラットでの2つの試験において、全体的な行動的、生理学的及び神経学的状態に対する経口投与された18-MC HClの効果を評価した。
異なる処方物中で30~800mg/kg 18-MC HClの単回経口用量を受けた雌ラットにおいてパイロット用量探索試験を行った。この試験の条件下で、無影響濃度(NOEL)及び無毒性量(NOAEL)はそれぞれ90mg/kg及び400mg/kgであると考えられた。
0、200、400及び600mg/kg 18-MC HClの単回経口用量を受けた雄ラットにおいて、第2の最終的なGLP試験を行った。この試験の目的は、一次観察試験の変法、具体的にはIrwin試験を用いて、雄Sprague Dawleyラットの全体的な行動、生理学的及び神経学的状態に対する、経口投与された18-MC HClの単回投与の効果を評価することであった。以前の毒性試験において有意な性別特異的な影響は認められていないので、このアッセイでは雄ラットのみを利用した。
6匹の雄Sprague Dawleyラット/群の4つの群(群1~4)に対してそれぞれ、0、200、400又は600mg/kgで、単回経口用量としてビヒクル(5%デキストロース、pH3)又はビヒクル中の18-MC HCl(pH3に調整)を経管により投与した。全ての群に対する用量体積は20mL/kgであった。投与前(投与日)及び投与後およそ(±5分)30、90、150及び240分に、Irwin試験に対する観察を行った。各Irwin観察期間中に体温を測定し、記録した。
重症度が最小と判断され、ドパミン作動性伝達を減弱させる被験物質、中枢α3β4ニコチン受容体アンタゴニストの意図される薬理学的活性と一般に一致する神経行動学的知見(Szumlinski et. al.,2000)が投与後30分という早い時期に認められた。表3で示されるように、主な観察(ある時点において中及び/又は高用量群の動物の少なくとも半分で起こったもの)は、消極性及び歩行異常(あひる歩行及び/又はウォーキング・ロウ・オン・リムス(walking low on limbs))の発生率上昇であった。他の観察は、自発運動活性の低下、覚醒低下、呼吸数低下、皮膚血流低下及び/又は瞳孔径拡大からなった。この知見は用量依存的であると思われ、より高い用量群の動物で主に認められ、頻度及び発生率の上昇が用量上昇に対応した。200mg/kg用量での観察は、消極性、接触反応増加、自発運動活性低下及び/又は瞳孔径拡大の単独発生(ある一定の時点でのある動物)に限定された。観察のピーク影響時間は投与後90~150分の間になると思われた。体温の用量依存的低下も認められ(それぞれ200、400及び600mg/kg群において、1.5、2.3及び2.3℃までの投与前の値からの平均低下)、投与後およそ90分でピークとなった。投与後240分までに、より早い時点で見られたものと比較して、18-MC HCl処置動物において、所見があった動物数及び所見の頻度及び重症度が低下した。
Figure 2022552162000004
結論として、雄Sprague Dawleyラットにおける18-MC HClの経口投与は、一般にその意図される薬理学的活性と合致する用量依存的な神経行動学的所見と関連付けられた。効果は主に用量≧400mg/kgで認められ、投与後90~150分でピークとなり、投与後240分までに発生が収まった。
心血管系及び呼吸系:覚醒カニクイザルに対する18-MC HClの鼻腔胃投与後のラジオテレメトリー評価
GLP試験において0、30、90又は270mg/kgの鼻腔胃投与後に、覚醒ラジオテレメトリー装着雄カニクイザルにおいて18-MC HClの潜在的な急性効果を評価した。ラテン方格クロスオーバー法において動物を割り付け、およそ7日間の各休薬期間の間に18-MC HClの単回投与を受けさせた。ビヒクル又は18-MC HClの投与前およそ1時間から投与後およそ24時間まで、動脈血圧、心拍、体温、lead II心電図(ECG)及び呼吸パラメーターを継続的に記録した。投与後およそ4及び24時間に臨床観察を行った。
雄ラジオテレメトリー装着カニクイザルへの30、90又は270mg/kgの用量での18-MC HClの単回経口投与は、心血管系パラメーター(即ち心拍、血圧[収縮期、拡張期又は平均動脈]、脈圧、ECG波形の形態又はECG間隔[PR、QRS、RR、QT又はQTcB])、体温又は呼吸パラメーター(呼吸頻度、1回換気量又は毎分換気量)に影響を与えなかった。270mg/kg 18-MC HClを投与された動物の一部で嘔吐が起こった。他の薬物関連の臨床知見はなかった。心血管系及び呼吸系でのNOELは270mg/kg 18-MC HClであり、これは試験した最大用量であった。
心血管系:覚醒CD-1マウスに対する18-MC HClの経口投与後のラジオテレメトリー評価
非GLP急性投与試験において、ラジオテレメトリー計測手段により覚醒雄CD-1マウスで、動脈血圧、心拍及び体温に対する18-MC HClの経口投与の潜在的な急性効果を評価した。他の試験は、マウスにおける18-MC HClのより低い経口用量(100mg/kg以下)での致死性を示した。この試験の目的は、死亡率に関連する生理学的変化を探索することであった。大腿動脈にカテーテルを挿入し、センサーチップを腹部大動脈に留置して、ラジオテレメトリートランスミッターを動物の腹膜腔に装着した。6匹の動物にそれぞれ100mg/kgの経口用量を投与し、8時間後、5%デキストロース中の200mg/kg 18-MC HCl(pH3)を投与した。100mg/kg用量を投与した後、6匹の動物のうち2匹が死亡し、200mg/kg用量の後、他の動物の全てが死亡した。投与の1時間以内に、平均心拍(図14)が約50%低下し、収縮期(図15)及び拡張期血圧(図16)が顕著に低下した。さらに、体温は一般に各回収時点で下落し、投与後120分でベースラインからの差が最大になった(最大6.5℃の平均変化)。200mg/kg用量の投与後、全マウスが死亡するまで(投与後、~12時間)体温が下落し続けた(最大10.5℃)。これらの体温の変化は、被験物質に関連すると考えられ、観察される心拍の変化と相関した。最後に、パラメーターの全てにおいてさらに低下し、直腸温度がマウス死亡前に22℃という低い温度まで低下した。行動及び活動性に対する観察された影響には、振戦、攣縮、歩行異常、嗜眠、運動活性低下、接触に対する反応及び驚愕の増加、てんかん発作、あえぎ及び呼吸数低下、眼球突出及び昏迷が含まれた。影響のピークは、18-MC HClの経口投与後90分~150分で起こった。
18-MC HClの致死的又はほぼ致死的な経口用量には、体温、心拍及び血圧の低下が付随した。ベースラインからの差は、最初に投与後1~2時間で認められ、18-MC HClの予想される薬理学的活性に関する直接的又は間接的効果を反映し得る。
これ及び2週間マウス毒性試験(50mg/kgの用量で体温に対するより穏やかな影響が見られた)の結果に基づき、バイタルサイン(体温を含む)を臨床試験の一部として詳しく監視し得る。この試験で見られる効果はサル心血管系安全性薬理学試験では認められず、観察された低下が種特異的であり得ることが示唆される。
実施例4
動物における薬物動態及び代謝
一連の動物及びヒトモデルにおいて18-MC HClの薬物動態及び代謝を試験した。重要な知見を以下でまとめる。
18-MCは、40mg/kg p.o.又はi.p.を投与したラットにおいて、急速に吸収され、脳及び脂肪組織に分布する。推定される分布体積は8L/kgである。脂肪中の18-MCレベルは、2時間及び24時間でそれぞれ4.2μM及び2.5μMであった。18-MC HClは、インビトロ及びインビボで広範に代謝され、最大13種類の代謝産物が同定される。経口投与時に、試験した動物種に依存して、主要な代謝産物はM4又はM5の何れかであると思われる。M4及びM5は、18-MCよりも大きい割合で存在するので、主要な循環薬物種である。18-MC HClは、ラットにおいて経口バイオアベイラビリティが比較的低い(60mg/kgの投与後約8%)。総原薬(18-MC及びその代謝産物のAUC)に対する経口バイオアベイラビリティは、ラットにおいて60mg/kgの投与後、約25%である。18-MC HClは、CYP2C9及びCYP2C19(<1.5μM)を穏やかに阻害し、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4については阻害がより低い。18-MCは、経口投与後に多コンパートメント消失を示す。試験した動物種において、その半減期はより低い用量で2時間未満である。高用量で長い消失相が明らかである(ラットにおいて9~20時間の範囲)。18-MCはタンパク質への結合性が高い(95~98%)。
肝細胞におけるインビトロ代謝産物プロファイリング
この試験は、マウス、ラット、イヌ、サル及びヒトの肝臓から調製した肝細胞において18-MC HClのインビトロ代謝を評価した。肝細胞における18-MC HCl 10μMの温置後、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって13種類の潜在的な代謝産物が発見された。ピーク高の曲線下面積によって、代謝産物の相対的な存在量を決定した。AUCが全薬物関連物質の10%よりも大きい代謝産物を主要であるとみなし、これらはM2、M4、M5、M8、M9及びP2である。
14日間マウス毒物動態学試験からの曝露
14日間回復期を伴い、CD-1マウスにおいて、18-MC HClの14日間経口経管毒性試験を行った。UPLC/MS/MS法を使用して、25mg/kg/日の動物群において投与の最終日に得られた血漿試料から、相対的な代謝産物濃度を決定した。主要な代謝産物をM2及びM4として、続いてM8及びM9として同定した。親18-MC曝露は、総薬物関連物質の1%未満であった。有意な性別差は観察されなかった。
18-MC薬物動態パラメーターは、用量増加とともに18-MC曝露が増加したことを明らかにした。投与の初日及び最終日後のパラメーターは同様であり、25mg/kgの後に一貫した性差はなかったが、雌の曝露は、より高用量の雄と比較してより低いと思われた。
14日間サル試験での薬物動態
4週間回復期を伴うカニクイザルでの14日間18-MC HCl毒性試験において、高用量群で投与最終日(第14日)に得られた血漿試料から、相対的な代謝産物濃度を決定した。これらの動物は、第1日に400mg/kgを、その後300mg/kg/日を受けた。UPLC/MS/MS法により、ピーク高によって代謝産物及び18-MCの相対濃度を決定した。主要な代謝産物がM5>>M2>>P2として同定された。代謝産物M4は主要な代謝産物とみなされるべきボーダーライン上にあった。親18-MC曝露は、薬物及び代謝産物曝露全体の3%未満であった。
一般に、18-MC曝露は性別と独立していた。曝露は、用量との比例未満で上昇し、中間用量群と高用量群との間でより顕著であった。投与初日及び最終日でのパラメーターを比較したとき、18-MCの蓄積はなく、代わりに、曝露は反復投与とともに減少すると思われた。殆どの動物において、吸収は急速であると思われ、最初の血漿試料の時間(1時間)でTmaxとなった。
血漿タンパク結合試験
18-MCは、試験した全ての種において、同様の程度のタンパク質結合、平均92~98%を示した(表4)。代謝産物の何れのタンパク質結合に対する情報もない。
Figure 2022552162000005
18-MC HClによるヒトチトクロムP450アイソエンザイムのインビトロ阻害
組み換えヒトCYP酵素1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4を用いて、18-MCが代謝アイソザイムを阻害する能力を評価した(表5)。適切な陽性阻害対照とともに各アッセイに対して対照温置を行った。アイソザイムに対する代謝産物の何れの阻害能に対するデータもない。
Figure 2022552162000006
実施例5
毒性学
14日間の回復期を伴うCD-1マウスにおける14日間経口経管毒性
経口経管によってCD-1マウスに連続14日間にわたり18-MC HClを毎日投与したGLP試験において、18-MC HClの潜在的な毒性及び毒物動態プロファイルを調べ、最短で14日間の回復期後の何らかの影響の回復、持続又は進行を評価した。
試験方法
この試験は、潜在的な神経毒性の拡大評価及び14日間の回復セグメントを伴い、2~4日の用量漸増レジメン後に、経口経管により14日間、0、25、50又は100mg/kg/日で投与が行われた場合のCD-1マウスにおける18-MC HClの毒性学的効果を評価するために設計された(表6)。
Figure 2022552162000007
全ての被験物質処置動物に対して、最大1日用量に到達する前に投与量レベルの漸増を行い、これを連続14日間投与した。より早期の試験から、用量をゆっくりと増量することによって忍容性が改善され得ることが示されたので、漸増を行った。用量体積は、全ての群に対して10mL/kgであった。群1及び4はそれぞれ25匹の動物/性別からなり、群2~3はそれぞれ各性別に対して20匹の動物から構成された。用量投与の14日後、15匹のマウス/性別/毒性群を安楽死させ;14日間の非投与(回復)期間後に残りの5匹、(対照及び高用量群に対しては10匹)のマウス/性別/毒性群を安楽死させた。最終血液回収(試験第13日)の後、全ての毒物動態学動物(動物18匹/性別/用量レベルのサテライト群から)を安楽死させた。
毒性評価のために、死亡及び瀕死について全動物を1日2回観察した。臨床観察を毎日記録し、詳細な身体検査を毎週行った。週に2回、体重及び食物消費を記録した。投与前及び投与後、投与後臨床観察を行った時間に体温を記録した。処置期間の開始付近、治療期間の終了付近及び回復期の終了付近で全ての動物に対して機能観察総合評価表(FOB)データを記録した。予備試験中及び投与期間の終了付近で眼に対する検査を行った。一次剖検時に、10匹の動物/性別/群及び回復剖検時に5匹の動物/性別/群を完全剖検、臨床病理学評価(血液学及び血清化学)、臓器重量回収及び組織の完全リストの顕微鏡検査のために選択した。各終結間隔で、5匹の動物/性別/群を、灌流固定、脳の網羅的な切片作製及び選択された末梢神経の採取及び僅かな神経傷害を検出するために使用される特別な染色の使用を含んだ神経病理学的評価に割り当てた。
毒性学的結果
100mg/kg/日群に割り当てられた1匹の雄が、4つの用量(12.5、25、50及び75mg/kg/日)による漸増期間中、試験第-1日に死亡しているのが発見され、顕著な臨床徴候は示さなかった。試験第12日に別の雄の死亡が発見され、間代性痙攣、活動性低下,後肢の広がり及び呼吸数低下の臨床知見があった。臨床徴候を呈した雄の死亡は被験物質に関連すると考えられ、一方で他の雄の死亡に対する被験物質の関係はあまり確実ではなかった。何れかの動物の死因を最終的に決定する、顕微鏡、肉眼的又は臨床観察知見はなかった。具体的に、これらの雄に対する死因は顕微鏡的には決定されなかったが、両方で心臓において心房性及び/又は左心室拡張が認められた。これらの知見は、予定された剖検まで生存した何れの動物でも観察されず、それ自体、被験物質投与に明らかに直接関連していなかった。
2匹の雌の死亡が発見された(対照1匹及びそれぞれ試験第4及び2日に50mg/kg/日で処置された1匹)。両方の死亡とも被験物質とは無関係であり;50mg/kg/日の雌の死亡は外傷に起因した。
全ての他の主要な試験動物は予定された剖検まで生存した。
第12日に死亡した1匹の100mg/kg/日の雄における知見に加えて、投与期間中に用量投与後およそ1時間で被験物質関連の臨床所見が認められ、50mg/kg/日群の雄及び100mg/kg/日群の雄及び雌に対する軟便が含まれた。さらに、100mg/kg/日群の雄に対して、身体の冷たさ(cool body)、肛門生殖器領域周辺の褐色物質及び下痢の知見がやや認められた。
体重;摂食量;ホームケージ、ハンドリング、オープンフィールド、感覚又は神経筋所見;又は臓器重量において、被験物質に関連する知見はなかった。血液学、骨髄細胞診、血清化学又は眼の検査において、毒性学的に顕著な被験物質関連の変化はなかった。神経病理学的肉眼的剖検、脳重量又は測定又は顕微鏡評価において、被験物質関連の変化はなかった。
体温の生理的変化があった。100mg/kg/日群の雄及び雌に対する平均体温は、試験第0日の投与1時間後で対照群よりも低く;雄での差は顕著であった(p<0.05)。試験第13日の投与1時間後に、50及び100mg/kg/日群の雄及び100mg/kg/日群の雌について有意に(p<0.01又はp<0.05)より低い体温が認められた。これらの知見は、被験物質関連であるが、有害ではないとみなされ、身体の冷たさ(cool body)の臨床知見と対応した。
毒物動態学の結果
毒性動態パラメーターを表7で示す。
Figure 2022552162000008
一般に、18-MC曝露(Cmax及びAUC(0-24))は、単回及び反復投与について両性別で用量とともに上昇した。雄での曝露は、両試験日で雌よりも高かった。14日間の反復毎日投与後にマウスにおいて18-MCの明らかな蓄積はなく、これは18-MCの半減期が短いことと一致する。
Crl:CD1(ICR)マウスの、3つの毒性試験群(群2~4)及び3つの毒物動態学群(群2A~4A)に対して連続14日間、1日1回18-MC HClを経管経口投与した。処置相中に100mg/kg/日群の1匹の雄について死亡が認められた。この動物の死因は顕微鏡では決定されなかったが、被験物質の過剰な薬理学的影響(間代性痙攣、活動性低下,後肢の広がり及び呼吸数低下)が死亡前に認められた。従って、50mg/kg/日の投与量レベルは、雄に対して無有害量(NOAEL)としてみなされ、雌に対しては100mg/kg/日がそのようにみなされ、これらは、試験第13日で、それぞれ、164ng x h/mL及び188ng x h/mLのAUC(0-24)値に対応した。50及び100mg/kg/日の雄及び雌での非有害体温低下を除いて、行動機能観察において測定した場合、神経行動学的知見は認められなかった。
4週間の回復期を伴う、サルにおける14日間経口経管毒性及び毒物動態学
カニクイザルに対して18-MC HClを連続14日間毎日投与したGLP試験において、18-MC HClの毒物動態学及び毒性プロファイルを調べた。
0(ビヒクル=5%デキストロース、pH=3)、50、150又は400/300mg/kg/日の用量で連続14日間にわたり鼻腔胃経管によって、若い成体雄及び雌カニクイザルに18-MC HClを投与した。高用量群で投与の初日に重篤な臨床所見が見られたため、その後、用量を400mg/kg/日から300mg/kg/日に減少させた。試験デザインを以下の表8にまとめる。
Figure 2022552162000009
神経行動学的効果及び一般的毒性の評価は、死亡率、行動機能観察(FOB)評価、臨床所見、体重及び体温;眼底検査、心電図検査;及び解剖学的及び臨床病理学に基づいた。解剖学的病理学評価は、全ての動物からの組織の完全リストの組織病理学及び全身灌流及び特別な染色を利用した中枢神経系(選択された末梢神経を含む)の網羅的評価を含んだ。全動物からの骨髄スメアを顕微鏡により評価した。完全な差異及び骨髄-赤血球(ME)比を行った。被験物質及び代謝産物に対して毒物動態学評価を行った。
何れの用量レベルでも、何れの性別でも18-MC関連眼底検査所見の知見、尿検査間の変化又は凝固パラメーターはなかった。何れの用量でも雌において骨髄パラメーターの間で18-MC関連知見は観察されなかった。神経学的検査での知見は、臨床所見の一部として報告されたものと一致した。ヘマトキシリン及びエオシン、ルクソールファストブルー及びフルロジェイド(fluro jade)染色技術を使用して、脳、脊髄、横隔神経又は迷走神経においてMC-18関連の顕微鏡的知見は観察されなかった。
18-MC HClの投与に直接起因した心電図の変化はなかった。第1日で死亡した1匹の動物(下記参照)は、第1日投与後ECGにおいて、顕著な第1度AVブロック、心室内伝導障害及び洞性頻脈を呈した。第1日に、測定時に鎮静させた別の高用量動物は、おそらく異常性を伴う接合部頻拍であった、ワイドコンプレックス頻脈(wide complex tachycardia)を有した。影響は、測定時にこの動物で見られた顕著な臨床徴候に関連する間接的な影響であるようだった。処置期間終了時に18-MC HCl処置動物において心電図の影響は見られなかった。400mg/kgでの処置後の上述した2匹の動物以外の全てにおいて心電図の所見がないことと一致した。心血管系安全性薬理学試験において、心血管系の知見は報告されず、テレメーターを装着したサルには270mg/kgという高い用量を与えた。
400mg/kgで処置した1匹の雄が、第1日の投与後に認められた18-MC関連の影響のために、計画された切迫安楽死の直前に切迫死した。18-MC関連の肉眼的又は顕微鏡的所見は認められなかったが、この動物に対する死因は判断できなかった。この死亡に基づいて、その後、投与期間の残りにわたり、この群に対する用量レベルを300mg/kg/日に減量した(第2日に実施)。
400mg/kg/日(第1日)で認められた18-MC関連の臨床徴候には、眼瞼の部分的又は完全な閉鎖、活動性低下、猫背の姿勢及び流涎が含まれ、全て、少数の動物で起こり、発生率は低かった。300mg/kg/日で、活動性低下、運動失調、食欲不振、流涎、猫背の姿勢、催吐、嘔吐及び部分的/完全な眼瞼の閉鎖の18-MC関連臨床徴候が認められ、これらは全て発生率が低かった。150mg/kg/日で、少数の動物で、活動性低下、食欲不振、部分的/完全な眼瞼の閉鎖の数件の発生が認められた。
18-MCの投与に関連した≧50mg/kg/日の用量で時折認められたさらなる徴候は、水様便及び/又は軟便、嘔吐及び/又は催吐であった。
平均体重/体重増加は、18-MC HClを投与された動物において僅かに小さくなった。この点で、雄/雌における平均累積体重増加(第1~14日)は、それぞれ-0.042/+0.04kg、-0.22/-0.08kg、-0.28/-0.12kg及び-0.23/-0.09kgであった。
血液学的変化は、用量≧150mg/kg/日の両性別における赤血球質量の18-MC関連の軽度~中程度の低下からなり、これは、時折起こった網状赤血球の減少と関連した。赤血球の形態に対して意義ある影響はなかった。400/300mg/kg/日の雄及び全用量レベルの雌において(リンパ及び骨髄細胞に起因する)総白血球の軽度減少が認められた。表9はこれらの血液学的変化をまとめる。
Figure 2022552162000010
臨床化学の変化は、全用量レベルの両性別でアルカリホスファターゼ及び総ビリルビンの限定的~軽度の低下があり、≧150mg/kg/日の用量の雌でリンの、及び≧150mg/kg/日の用量の雄でナトリウム及び塩素の軽度の減少があった(表10)。これらの変化は、有意な毒性学的関連性があるとみなされなかった。
最終剖検での18-MC関連の肉眼的所見は胸腺に限定された。50mg/kg/日及び400/300mg/kg/日で軽度に小さい胸腺が観察された。軽度に小さい胸腺は、被験物質関連の全身性リンパ系枯渇と顕微鏡的に相関した。
≧50mg/kg/日の用量で肝臓(増加)及び胸腺(減少)において最終剖検での臓器重量知見が観察された。これらの臓器重量の相違は、個々の臓器において顕微鏡的知見と関連した。次の表は、対照と18-MC HCl処置動物との間の平均臓器重量値の差をまとめる。
Figure 2022552162000011
≧50mg/kg/日の雄及び雌の終末動物の肝臓及び胸腺並びに≧150mg/kg/日の雄終末動物及び≧400/300mg/kg/日の雌の骨髄(大腿骨、肋骨及び胸骨)において、18-MC関連の顕微鏡的知見が観察された。
胸腺において、皮質における又は組織全体にわたるリンパ系枯渇が認められた。胸腺リンパ系枯渇は二次的/ストレス関連変化とみなされることが多いものの、用量≧150mg/kg/日を投与された雌で認められた胸腺リンパ系枯渇の重症度は有害とみなされた。顕微鏡的胸腺変化の発生及び重症度を以下の表11でまとめる。
Figure 2022552162000012
肝臓において、認められた肝臓重量増加に付随する肝細胞肥大は、適応応答及び非有害とみなされた(表12)。
Figure 2022552162000013
用量≧150mg/kg/日の雄において及び高用量動物において認められた骨髄枯渇は有害とみなされた。この顕微鏡的観察の発生及び重症度を以下の表13でまとめる。
Figure 2022552162000014
上でまとめられた骨髄知見を考慮して、完全鑑別分析及び骨髄/赤血球(M/E)比を実施した。400/300mg/kg/日を投与された雄において、対照と比較したM/E比の軽度上昇(+59%)が観察された。これらの知見は一般に、この用量レベルでの利用可能なデータを有した2匹の動物における赤血球細胞の減少に起因した。1匹の400/300mg/kg/日の雄は、網状赤血球が減少し、これはM/E比の上昇と一致する。別の400/300mg/kg/日の雄ではM/E比が軽度に上昇し、網状赤血球の明らかな減少はなかった。血液学データと骨髄知見との間の不調和に対する理由は不確定であるが、手作業による血液学的検査の差異の反映であり得る(自動化されたものと比較して正確性が低い)。これらの知見は全て、18-MC関連であり、骨髄における造血系細胞集団の変化及び/又は減少を反映するものとみなされた。
18-MCに対する全身性曝露は性別と独立していた。個々の18-MC血漿濃度-時間プロファイル、Cmax及びAUC値は変化し易く、第1日及び第14日に雄と雌との間の一貫した相違が示されなかった(0.502~1.70の範囲の性別比)。従って、次の考察は、雄及び雌を合わせたデータに基づく。
CV%により測定された場合の平均18-MC血漿濃度の変動性は、用量群にわたり同様であり、第1日に38%~110%の範囲であり、第14日では36%~154%の範囲であった。中央値18-MC血漿濃度は、第1及び14日に全用量群に対して投与後24時間まで定量可能であった(個々のTlast値は、投与後12~24時間の範囲であった)。中央値ピーク18-MC血漿濃度は、第1及び14日に全ての用量群に対して投与後1時間までに観察された(個々のTmax値は投与後0~12時間の範囲であった)。
18-MC HClの経口経管投与後、18-MCのCmax及び平均全身曝露(AUC0-24)値は、用量漸増とともに上昇した。用量の1:3:8倍の増量の結果、Cmaxがおよそ1:1.4:2.3倍上昇し、第1日にAUC0-24がおよそ1:2.6:3.9倍上昇した。第14日に、用量の1:3:6倍の増量の結果、Cmaxがおよそ1:1.3:2.2倍上昇し、AUC0-24がおよそ1:2.1:3.6倍上昇した。
全身曝露(AUC0-24)は一般に、18-MC HClの反復投与後に低下すると思われる。蓄積率は、第1日の投与後の400mg/kgから300mg/kgへの用量変更により、高用量群に対して決定され得なかった。個々の蓄積率は、R値がそれぞれ1.12及び2.94である2匹の雌を除き、50mg/kg用量群に対して0.297~0.866の範囲であり、150mg/kg用量群に対して0.254~0.939の範囲であった。
平均蓄積率は、50及び150mg/kg用量群に対してそれぞれ0.912及び0.596であった。
結論:
18-MCに対する全身曝露は性別とは独立していた。個々の18-MC血漿濃度-時間プロファイル、Cmax及びAUC値は変化し易く、第1日及び第14日に雄と雌との間で一貫した相違が示されなかった。
18-MC HClの経口経管投与後、18-MCの平均全身曝露(AUC0-24)値は、第1日に低用量~中用量群でおよそ用量に比例して、及び第1及び14日に用量範囲にわたり用量比例未満で、用量増加とともに上昇した。
18-MC HClの経口経管投与後、18-MCの平均全身曝露Cmax値は、第1日及び14日において用量範囲にわたり用量比例未満で用量増加とともに上昇した。
全身曝露(AUC0-24)は一般に、反復投与後に低下すると思われた。
雄及び雌サルに対する経口18-MC投与の14日後に(及び来たる回復/可逆性データなしで)、NOAELは50mg/kg/日であり、試験の低用量レベルであった。第14日に、1日400mg/kg、続いてt13日間にわたる300mg/kg/日(NOAEL用量)で18-MC血漿AUC0-24及びCmax値はそれぞれ、144μg x hr/mL及び1210μg/mLであり、性別にわたって平均を算出した。
遺伝毒性
18-MC HClの遺伝毒性の可能性を評価するために、4回のGLP試験を行った。これらの試験は、細菌変異原性(エイムス試験)及び哺乳動物染色体異常誘発能(細胞における染色体異常)試験を含む2つのインビトロ試験からなった。2回のインビボGLP試験も行った。マウス骨髄を用いたGLPインビボ小核試験及び単一細胞ゲル電気泳動を使用した経口投与後のマウスの肝臓において遺伝学的損傷を評価するGLPコメットアッセイ試験。各アッセイにおいて、代謝活性化(アロクロール誘導性ラット肝臓S-9)の非存在及び存在下で18-MC HClを試験した。全てのインビボアッセイは、最大許容用量を使用した。予備的なスクリーニングエイムス及びインビボ小核アッセイも行い、その結果は、最終的な試験で報告されたものと一致する。
細菌復帰突然変異アッセイ
予備的な非GLP試験によって、エイムス試験における18-MC HClのインビトロでの変異原性を評価した。使用した試験株は、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)ヒスチジン栄養要求体TA98、TA100、TA1535及びTA1537及びエスケリキア・コリ(Escherichia coli)WP2 uvrAであった。適切なビヒクル対照及び陽性対照と一緒に、最大5000μg/プレートの濃度で被験物質を試験した。18-MC HClは、アロクロール誘発性ラット肝臓S9の非存在下又は存在下の何れでも、試験株の何れにおいても変異原性反応を引き起こさなかった。上位2つの濃度で被験物質が沈殿した。
GLP試験において、プレート組み込み法を使用して、インビトロでのサルモネラ(Salmonella)-E.コリ(E.coli)/哺乳動物ミクロソーム復帰突然変異アッセイで、変異原性活性について18-MC HClをさらに評価した。サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)の4つの試験株(TA1537、TA98、TA100及びTA1535)及び1つのエスケリキア・コリ(Escherichia coli)株(WP2 uvrA)を使用した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中の処方物として18-MC HClを調製し、最大500μg/プレートの濃度で試験した。アロクロール(商標)1254誘発性ラット肝臓S9代謝活性化系あり及びなしで、各濃度で3つ組で変異原性試験を行った。
代謝活性化あり及びなしで、負の反応に対する基準が全ての試験株に合致した。18-MC HClとの温置後の復帰変異体コロニー数の平均は、代謝活性化あり及びなしでの、全ての試験株に対する全濃度での歴史的対照範囲と同等であった。ビヒクル及び陽性対照からのデータにより、代謝活性化あり及びなしで化学変異原を検出するためのこの試験系の妥当性及び感度が明らかになった。
これらのデータは、代謝活性化あり及びなしで、サルモネラ(Salmonella)株TA1537、TA98、TA100及びTA1535において及びE.コリ(E.coli)株WP2 uvrAにおいて、18-MC HClが変異原性活性について陰性であるという結論を裏付ける。
培養したヒト末梢血液リンパ球におけるインビトロ染色体異常試験
GLP試験において、外因性代謝活性化系あり又はなしで、短時間(3時間)及び長時間(22時間)温置中にヒト末梢血液リンパ球(HPBL)において染色体異常を誘導する可能性について18-MC HClを評価した。
DMSO中で18-MC HClを処方し、およそ1mMまでの範囲探索アッセイにおいて試験し、最大濃度は現在の制御指針によって推奨されるものであった。アロクロール(商標)1254誘発性ラット肝臓S9ミクロソーム分画の存在下及び非存在下で、HPBL培養物を被験物質、陽性対照又はビヒクル対照で処理した。代謝活性化なしで、22時間処理において≧46.3μg/mL(0.11mM)での処理、及び代謝活性化あり及びなしで3時間処理において≧92.5μg/mL(0.22mM)での処理の終了時に沈殿物が観察された。範囲探索アッセイで観察された沈殿物に基づいて、最終的な染色体異常アッセイ中に使用された濃度は、代謝活性化あり及びなしでの3時間の処理においてa)7.5、15、25、50、100及び150μg/mL及びb)代謝活性化なしでの22時間処理において1.0、15、25、30、35、40、45、50、55、60及び75μg/mLであった。ビヒクル及び各処理条件に対する1つの濃度の陽性対照とのこれらの培養を異常について分析した。全部で200個の中期細胞(可能な場合)又は≧30個の異常な細胞から、各濃度に対して構造染色体異常をスコア化した。400個の中期細胞/濃度において数値的異常を評価した。
50及び100μg/mL(又は123及び247μM)で代謝活性化ありでの3時間処理において、構造染色体異常がある細胞のパーセントの統計学的に有意な上昇(p≦0.01)が観察された。さらに、100μg/mL(又は246μM)で代謝活性化ありでの3時間処理において、複数の異常がある細胞のパーセントの統計学的に有意な上昇(p≦0.01)が観察された。代謝活性化なしでの3時間又は22時間処理の何れかでも、構造染色体異常がある細胞のパーセント又は複数の異常がある細胞のパーセントの統計学的に有意な差は認められなかった。ビヒクル対照と比較して、何れの処置においても数値的な異常(倍数性又は核内倍加)の統計学的に有意な被験物質関連の上昇はなかった。ビヒクル及び陽性対照培養における異常は、許容可能な歴史的対照範囲と同等であった。
このアッセイの結果に基づいて、18-MC HClは、この試験系の条件下で、代謝活性化ありでのHPBLにおける構造異常の誘発について陽性とみなされ、代謝活性化なしのHPBLにおける構造異常の誘発について陰性とみなされた。これらのインビトロの結果は、経口投与後にマウスにおいて実証されなかった。インビボ小核アッセイ又はインビボコメット試験において、染色体異常誘発能又は遺伝毒性のエビデンスは観察されなかった。
マウス骨髄インビボ小核アッセイ
その潜在的なインビボ染色体異常誘発活性を評価するためにマウス骨髄で多染性赤血球において18-MCが小核を誘導する可能性及び/又は分裂装置を破壊する可能性。
最初に、非GLPスクリーニング試験は、懸濁液として、リン酸緩衝食塩水、pH7.4中で処方された(GLP試験に対して利用された処方物ではない)100、150、200、250、300及び400mg/kgの用量レベルでの18-MC HClの単回経口投与後にICRマウスにおいて18-MCの毒性及び遺伝毒性を評価した。処置の結果、200~400mg/kgの用量で嗜眠及び立毛の臨床徴候が起こり、300及び400mg/kgの用量で雄及び雌ICRマウスの死亡が起こった。最大非致死用量は250mg/kgであった。ビヒクル対照群と比較して、死亡がない用量レベル(250mg/kg以下)での雄及び雌ICRマウスの骨髄での小核を有する多染性赤血球(MPCE)の発生の有意な増加は観察されなかった。
最終的GLP試験において、ビヒクル(5%デキストロース、pH=3)中で18-MC HClを処方し、50、75及び120mg/kg/日の投与量レベルで、雄Crl:CD1(ICR)マウスに1日1回、連続3日間、経管により経口投与した。これらの用量は、より高い用量がこの種での死亡に関連したことを示す以前の毒性データに基づいた。同時ビヒクル対照群には同等なレジメンでビヒクルを投与した。陽性対照群には、計画された安楽死の前日である第2日に60mg/kgシクロホスファミドの単回経口用量を投与した。各群は6匹の雄から構成された。以前の毒性及び毒物動態学データに基づき、性別に関する反応において有意な差は予想されなかったので、雄のみを使用した。最終投与の翌日である第3日に全動物を安楽死させ、骨髄回収後に処分した。
死亡及び瀕死状態について全動物を1日2回観察した。計画された安楽死時(第3日)に各群で6匹の動物中5匹に対して、小核評価のための骨髄回収を行った。剖検なしで全動物を処分した。第3日の最終骨髄試料回収後に、骨髄スメアを調製し、コード化したスライドを多染性、正染性及び小核がある多染性赤血球についてカウントした。
投与3時間以内に120mg/kg/日群の1匹の動物で致死性が観察された。剖検時に、この動物において顕著な臨床又は肉眼的知見は認められなかった。投与3時間内の低頻度の死亡が以前の試験においてこの用量で見られていたことを考えると、死亡は被験物質に関連すると考えられた。計画された安楽死まで他の全動物が生存した。
臨床所見、体重又は摂食量に対して被験物質関連の影響はなかった。
ビヒクル対照と比較して、被験物質によって小核がある多染性赤血球のパーセント平均数(%MN-PCE)の上昇は生じなかった。何れの被験物質処置群でも骨髄細胞毒性(多染性の総赤血球に対する比、PCE:TE比の低下)は認められなかった。ビヒクル及び陽性対照値は、予想される歴史的範囲内であり、試験結果が検証された。従って、18-MCは、このアッセイの条件下での骨髄細胞毒性及び染色体異常誘発活性及び/又は分裂装置の破壊に対する陰性反応についての基準と合致した。
インビボコメットアッセイ
コメットアッセイの原理を使用してマウスの肝臓においてDNA損傷を誘導する能力について18-MC HClの遺伝毒性能を評価した。コメットアッセイ(アルカリ単細胞ゲル電気泳動)は、個々の細胞においてDNA損傷を検出するマイクロゲル電気泳動技術である。DNA損傷は、アルカリ不安定部位により誘導される、DNA単鎖破壊、2本鎖破壊及び鎖破壊として表され得る。代謝活性化の存在下で18-MC HClで陽性反応を示したインビトロ染色体異常アッセイの結果に基づき、この試験を開始した。この試験に対して、経口投与後に肝臓組織は高濃度の親薬物及び代謝産物を含有すると予想されるので、評価のための組織として肝臓を選択した。
以下の表に従い、0(ビヒクル=5%デキストロース)、50、90及び120mg/kg/日の経口用量を雄マウスに経管により投与した。群1~4の動物に連続3日間投与し、最終投与から3~4時間後にCO吸入により安楽死させた。個別の動物群にメタンスルホン酸メチル(MMS)を投与し、これを陽性対照とした。安楽死の直後に、各動物から肝臓を摘出し、回収した。
この試験において、各動物/処置群に対してコメットテイル遊走、%テイルDNA(%テイル強度としても知られる)及びテイルモーメントを決定し、DNA損傷のパラメーターとした。90mg/kg/日の用量でビヒクル対照に対する統計学的に有意な上昇平均%テイルDNAが観察されたものの(2.60+/-0.7対1.27+/-0.52)、高用量群において同様の上昇は見られず、90mg/kg群の平均値は、十分に歴史的対照範囲の上界内(平均-4.42)であった。陽性対照(MMS)は、コメットパラメーターの予想される上昇を生じさせ、これはアッセイの結果を検証する。
この試験の結果に基づいて、18-MC HClは、マウスコメットアッセイにおいて陰性であると考えられる。これらの結果は、以前のインビボ小核試験と一致し、まとめると、18-MC HClは著しい遺伝毒性リスクを提起しないことが示唆される。
実施例6
臨床試験
14匹の正常で健康なボランティアが試験に登録された。7名のボランティアを第1のコホートにおいて処置し(3名プラセボ、4名は18-MCの20mgの単回投与を受けた)、第2のコホートにおいて7名(2名のプラセボ、5名は、0及び+10時間で4mgの18-MCの用量が投与されたので、8mgを受けた)を処置した。コホートAに対して、2日間(36時間)日にわたり病院単位でボランティアを監視し、第3、7及び30日に安全性についてフォローアップした。コホートBに対して、2日間(36時間)にわたり病院単位でボランティアを監視し、第3、4、7及び30日に安全性についてフォローアップした。
試験の目標:薬物18-MCの安全性及び忍容性を判定すること、及び個々の参加者の生化学的(安全性)パラメーターを評価すること及び薬物動態(PK)パラメーターを決定すること。
試験デザイン
ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、単一施設第1相のヒトで初めての臨床試験としてこの試験をデザインした。スクリーニング後、ボランティアを36時間入院させた。投与初日に、1つの活性薬剤及び1つのプラセボのセンチネル群を処置してあらゆる顕著な安全性シグナルを評価し、成功したセンチネル群の後に残りのボランティアを登録した。第1日に試験物品を開始し、第2日にボランティアを退院させた。コホートAは、第3、7及び30日に外来として来院させた。コホートBは、第3、4、7及び30日に外来として来院させた。男性5名及び女性9名の14名の対象は試験中であった。試験中断はなかった。
プロトコールで述べられるような試験計画は、単回投与処置群として処置される2つのコホートを含むことであり、第1の群が18-MCの20mg又はプラセボ(それぞれ4名及び3名のボランティア)及び第2の群が60mgの18-MC又はプラセボ(これもそれぞれ4及び3名)を受けた。これに続いて、2つのコホートで複数回投与プロトコールパートが行われることになっていた。対象には20mgの1日用量を3回投与するものとし(5名の活性及び3名のプラセボ)、続いて別のコホートで、対象が60mg 18-MCを受けた(これも5名の活性及び3名のプラセボ)。複数回投与パートの拡大も計画したが、単回投与処置群で予想外に血漿レベルが高かったため、2回目の単回投与コホートも複数回投与処置群も行わなかった。
段階1Aの20mg処置群は、非臨床試験結果に基づいて予想された値よりも20倍超高い血漿濃度に戻った。結果として、プロトコールに対する修正(#2)が提出され、計画された60mg処置群の代わりに、朝4mgとして投与し、10時間後に反復するものとして8mg 18-MCのより低い用量処置群又はプラセボに7名のボランティアを登録した(それぞれ5名の活性及び2名のプラセボボランティア)。表14は、投与量/処方物番号を示す:
Figure 2022552162000015
主要な組み入れ基準には、18歳~最年長の40歳の男性及び/又は非妊娠女性が含まれ;対象は、同意書を読み、理解し、署名可能でなければならず;対象は、何れかの薬物の継続的使用を必要とする何れかの慢性疾患の保有者であってはならず;対象は、病歴、健康診断及びボランティアの選択過程中に評価される臨床検査の結果に基づき、良好な身体的及び精神的な健康状態でなければならない。
主要な除外基準には次のものが含まれる:血液及び尿の異常な生化学的パラメーター;肝臓疾患、心疾患、腎臓疾患を含むが限定されない主要な臓器機能不全の病歴;高血圧の病歴又は高血圧;癌又は癌の病歴;治験責任医師の裁量での何らかの生理学的異常の存在は、この試験に干渉し得;糖尿病;AIDS及び肝炎を含むが限定されない何らかの臨床的に重要な感染性疾患;煙草又はCNSで作用し得る何らかの他のタイプの薬物の物質乱用;及び妊娠。
評価基準
全てのボランティアは、スクリーニング試験を含むあらゆる試験手順が行われる前にインフォームドコンセントの書類に署名しなければならない。
全ての組み入れ及び除外基準の評価、人口動態データ(年齢、性別、人種、月経状態、体重、身長)、現在の疾病歴、過敏症の病歴(アレルギー薬物療法)、現在の症状の重症度を含む全てのデータの病歴及び一般的な医学的評価を含め、病歴の判定を行う。
薬物療法の見直しを行い、詳細な健康診断を行い、有害事象を評価し、格付けした。
臨床検査室:血液学検査を行った:完全血球計算(CBC)、鑑別、血小板数、PT、PTT血清化学:アルブミン、総タンパク質、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ALT/AST、AST/ALT、クレアチニン、尿素窒素(BUN)、グルコース及び電解質、コレステロール及びHDL-C及びLDL-C、トリグリセリド、LH、FSH、プロラクチン、TSH、T3、T4。尿検査を行った:沈渣、培養、コロニー数及び必要に応じて抗生物質。妊娠検査を行った(血清又は尿、女性のみ)。ECG及びEEGを行った。
結果
薬物動態学
コホートAに対して、ベースライン時及び投与後0.5、1.0、2.0、6.0、12.0、24、36時間及び7日で薬物動態試料を得た。コホートBに対して、消失相速度定数及び半減期を説明するために次の時間に回収時間を変更した:ベースライン及び初回投与後0.25、0.5、1.0、2.0、6.0、9.5、10.25、11、12、16、22、35 72、96及び168時間及び7日(第2の用量は初回投与後10時間で投与した)。コホートAに対する結果を表15でまとめ、コホートBに対する結果を表16でまとめる。
Figure 2022552162000016
Figure 2022552162000017
試料に対して2つの分析を行った:生データを回収するためにMicroConstants,Incによって開発された研究アッセイ(LC/MS/TOF)を使用した。最初の分析は、18-MC及び既知の代謝産物M2、M4及びM5を定量することであった(この操作で含まれる標準曲線を使用)。第2の分析では、18-MC及び相対的ピーク高(M1~M10及びP1~P3)に対して同定され得る全代謝産物のピーク高を比較した。代謝産物の全てのコア構造は類似しているので、吸収及びイオン化は親化合物と同様である可能性が非常に高い。構造を図21A~21Jで代謝産物に対して示す。
コホートA又はBの何れかでの18-MCの投与後、18-MC、M2、M4及びM5の血漿濃度が急速に出現した。18-MC、M4及びM5に対するTmaxは一般に1/2時間以内に生じ、TmaxはM2に対してはおそらく僅かに遅かった。コホートAにおける20mgの投与後、18-MCのCmaxは119ng/mLであり、一方でM4 Cmax平均濃度は約2.5倍高く(347ng/mL)、M2及びM5のCmaxは、18-MCのCmaxよりも僅かに低かった。コホートBにおいて0及び+10時間で4mgとして8mg用量を投与した後、18-MCのCmaxは約30ng/mLであり、M4のCmaxは72ng/mLであった。18-MCの20mg投与後の曝露(AUCall)は339hrs.ng/Lであり、一方で、M4の曝露は2692hrng/mLであった。M2及びM5の曝露は、18-MCよりも僅かに低かった。4mg用量の2回目の投与後(合計8mg)、18-MC(AUCall)の曝露は195hrng/mLであり、一方でM4の曝露は1648hrng/mLであった。薬物動態は、多重コンパートメントモデルに従うと思われた(図17参照)。20mg投与後、試料採取間隔は、消失半減期と比較して短く、つまり、データは予備的なものと考えるべきである。試料採取間隔がより長い0及び+10時間での4mgの投与後(合計8mg)、18-MC及び代謝産物の消失半減期は約48時間であった。4mgを2回与えた8mg投与を単回の20mg投与と比較して、20mg投与後のCmaxは、最初の4mg投与と比較して、比例して上昇し、一方で曝露(AUC)は比例よりも僅かに低く上昇した(2倍対2.5倍の用量増加)。
同定された16種類の異なる代謝産物を用いて、ピーク高を使用して代謝産物の相対的濃度を決定した。総薬物関連物質の曝露(代謝産物の全て+18-MCからのAUCの合計として計算)の曝露に基づき、18-MCは、循環薬物関連物質のうちごく少量しかなかった(4~9パーセントの範囲)。20mg単回投与後、M4は唯一の主要な代謝産物であり、一方でM8はボーダーラインであった(8~10%の曝露の%)。0及び+10時間で2回の4mgの投与後(合計8mg)、相対的な主要代謝産物が変化した。総薬物関連物質の10%より大きい割合で存在したのは2種類の代謝産物、M4(約40%)及びP10のみであり、一方でM8の曝露は、総薬物関連物質の10%未満であった。P10の蓄積は非常に遅く(Tmaxは6~10時間の範囲)、消失半減期が非常に長く、消失速度定数及び半減期の適切な推定が可能ではなかった(おそらく長い日数)。P10が主要な代謝産物として出現し、消失が的確に決定され得なかったので、総薬物関連曝露(無限に)は的確に特徴評価されなかった。
安全性
報告された有害事象、血液学、血清化学(電解質、腎臓及び肝臓機能、尿検査、ECG及びバイタルサインを含む)により安全性を監視した。さらに、異常な眼の動き、眼振、振戦、反射、上肢及び下肢強度、遠位感覚認知、企図振戦、ロンベルク検査、過度の傾眠及び精神状態に対する評価を含む神経学的検査(精神状態短時間検査)を行った。
有害事象
重篤な有害事象は起こらなかった。次の表17は報告される有害事象をまとめる:
Figure 2022552162000018
臨床所見
何れのボランティアでも臨床的に意義のある臨床検査異常は認められなかった。治験責任医師は、検査室正常範囲外の各結果を評価し、それらが「臨床的意義なし(NCS)」と判定された。
臨床担当医師による症例レポートフォーム上で心電図(ECG)上の臨床的意義のある異常は認められなかった。コホートAの1名の対象が第30日に臨床的意義があるものではないと判定された右脚伝導障害を呈した。
症例レポートフォーム上で脳波計(EEG)における臨床的意義がある異常は認められなかった。
症例レポートフォーム上で、神経学的検査において起こった臨床的意義がある異常は認められなかった。
症例レポート
対象004A1は、スクリーニングのためにコホートAにおいて2014年7月3日にこの試験に参加した26歳の健康な小柄な女性である。対象004A1の体重は45.8Kg及び身長は159cmであり、BMIは18.2である。スクリーニング時のバイタルサインは正常であったが(BP110/70、Temp37.2、RR20及びHR103)、HRは103で少し高かった。健康診断及びスクリーニング検査所見は正常であったが、Hbは12.9でボーダーライン正常であった。ECG及び精神状態検査は特記すべきものがなかった。対象は、2014年7月9日に試験処置を開始し、投与前のバイタルサインは正常であり、HRは76であった(BP120/80、RR20、temp36.8、HR76)。この時の対象004A1のHbは12.4で僅かに異常であった(しかし、若く健康な女性においては臨床的に意義ありとはみなされない)。08:28に、対象はプロトコールどおりに20mg 18-MCの単回投与を受けた。08:58までに(投与30分後)、対象は吐き気を経験しており、その血圧は測定したところ80/60であった。この対象に対して対症療法を行い、血圧は15分以内に正常に戻り、吐き気は30分以内に消散した。
両AEはグレード1に格付けされ、おそらく関連していた。この時点(投与後30分)での血液検査は正常な化学的値(Na 141.3、K 4.2及びCl 107)を示し、Hbは12.2で、正常範囲を僅かに下回った。30分後に血液を採取し(投与後1時間)、正常なNa(145)及びK(3.6)を示し、Cl(114)及びHb 11.6は異常であった。投与から2時間後の次の血液採取は、正常なK、僅かに上昇したNa(147.5)、Cl(115)及びHb(11.9)を示した。投与後6時間で、対象の検査所見は、ボーダーラインの高Na(145)及びCl(121)を示し、Ca(7.2)は正常より低く、総タンパク質(5.25)であり、Hb12.0であった。12時間に、その対象の電解質は、僅かに上昇したCl(113)及び上昇したグルコース(114)を除き正常であり、Hb 11.9であった。24時間までに、僅かに上昇したCl(111)を除き、対象の血液化学は正常であった。Hbは12.7で正常であった。しかし、この対象はその尿中に8個の白血球があった。この対象をさらに12時間、臨床ユニットで監視し、退院前に、全ての化学及び血液学所見が、尿検査で白血球>50であったことを除き、正常であった。これは、関係する可能性があるグレード2AE(尿路感染)として分類された。36時間中の全ての他の検査(VS、ECG、精神状態検査)は著変なしであった。この対象を(このコホートの他の対象であったように)処置後30日間追跡し、さらなる有害事象はなかった。
血漿18-MCレベル及び代謝産物を測定し、対象はBMIの下限(18.2)であったものの、PK分析により、18-MC及びその主要な代謝産物M4が、コホートA(20mg 18-MC単回投与)において処置された4名の対象の群に対する平均的範囲であったことが明らかになった。しかし、注目すべきは、20mg単回投与によって、臨床前毒性試験に基づき予想されるものよりもかなり高い血漿18-MCレベルが生じたということである。
まとめると、対象004A1は18-MCの20mg単回投与を受け、投与から約30分後に吐き気を伴う低血圧事象を経験した。この対象を対症療法で処置し、15~30分以内に回復した。事象後、いくつかの電解質異常があり、最も顕著であったのはClであり、Hbが正常レベル未満まで僅かに低下し、これが約12時間続いた。24時間で、化学及び血液学検査は正常であったが、対象は、その尿中に白血球があることが認められ、投与後36時間までに、対象はUTIと診断された。これらの有害事象はおそらく関連があったが、ボーダーライン低HBであり、くすぶり型UTIである小柄な女性において、全ての知見が不安症により説明され得るということを除外できなかった(注記:スクリーニングHR=103)。
結論
これは、18-MCに対するヒトで最初の試験であった。最も高感度の種のNOAELの1/10で開始する規制基準に基づき、20mgの開始用量を選択し;この場合、最も高感度の種はマウスであった。20mg単回投与コホートでの血漿レベルが予想外に高かったために、第2のコホートに対する用量を8mg(4mg b.i.d.)に減量した。18-MCは、8mg~20mgの用量範囲で忍容性であった。関連する試験項目であり得るTEAEはグレード1であり、低血圧又は頭痛の何れに対しても実際には軽度であった。18-MCは、分布半減期が短く、終末半減期がより長いので、第2のコホート、コホート2に1日間、1日2回(b.i.d)投与した。対象が初日を通じて顕著な曝露を有するようにb.i.d.用量を選択した。
4mg~20mgの用量範囲にわたるPKは、Cmax及びAUCの両方に対して比較的直線的であった。安全性評価及びPK分析によって4mg~20mgの範囲の用量にわたり比較的直線状のPKが示されたという所見のため、修正#2で許可されるような16mg(8mgb.i.d.)の第3のコホート用量に対する試験を継続するためのさらなる科学的/医学的ニーズがなかったと判断された。
このFIH試験で健康なボランティアにおいて最大20mgの用量で投与される場合、18-MCは安全であり、多段階漸増用量臨床試験への進展に適切である。
実施例7
試験目標
この試験の目標は、ラットα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)における18-MC HClのM4及びM5代謝産物の機能活性を決定すること及び親化合物とそれらの効力を比較することであった。ラット組み換え受容体を発現するHEK293細胞において試験を行い、-70mVで電位固定法を行い、高速灌流によって試験した。
パッチクランプ記録
10%ウシ胎児血清及び2mMグルタミン(Life Technologies)を補給した最小必須培地中でヒト胚腎臓293線維芽細胞(ATCC CRL1573)を培養した。遺伝子移入された細胞に対する視覚的マーカーとして含まれる高感度緑色蛍光タンパク質とともに1:1の比で(総cDNAの10%、w:w)ラットニコチン性α3及びβ4受容体サブユニットに対するcDNAを用い、Lipofectamine 2000(Life Technologies)を使用して細胞を遺伝子移入した。遺伝子移入後16~42時間で機能分析を行った。Axopatch 200Aパッチクランプ増幅器(Axon Instruments)を使用して、全細胞の設定において-70mVで電圧固定記録によって細胞を調べた。薄壁ホウケイ酸ガラス微小電極(TW150F,World Precision Instruments)の抵抗は、135 CsCl、10 CsF、10 HEPES、5 EGTA、1 MgCl2及び0.5 CaCl2(mM単位)、pH7.2を含有する内部溶液で満たした場合、3~5MΩであった。8極ベッセルフィルタ(Cygnus Technologies)を用いて電流反応を5kHzでフィルタリングし、1kHzでデジタル化し、データ収集及び分析プログラムSynapse(Synergy Research)の制御下でITC-16インターフェース(Instrutech)を使用してMacintosh PowerPC-G3コンピュータ上に保管した。(mMで):150 NaCl、3 KCl、5 HEPES、1 MgCl2、1.8 CaCl2、10 グルコース及び0.1mg/mlフェノールレッド、pH7.3を含有する細胞外溶液で細胞に対して継続的に表面灌流を行った。試行間の30sの間隔で、急速灌流によって、対照、アゴニスト及び被験物質溶液を個々の細胞に適用した。およそ直径100μmの1つの共通アウトプットで収束する6~8のインプットを有する送り管を通じてシリンジポンプによって溶液を推進した。コンピュータ制御下で一連の上流ソレノイドバルブ(Lee Co.)を使用して、インプット間の急速な切り替えを達成した。
IC50決定
前に記載された方法(Pace et al.,2004)を使用して、組み換えα3β4受容体において1mM ACh-誘発電流の阻害について、1~30μMの濃度の代謝産物(M4及びM5)を試験した。これらの実験は、昇順で同じ細胞においてAChのみ又はACh+様々な濃度の試験代謝産物を送達するために、8-バレルフローパイプを使用した。溶液交換プロトコールは、AChパルスの途中で送達されるM4又はM5の2秒の混用がある5秒AChパルス(1mM)を送達した。7~8個の細胞の記録を濃度ごとに回収した。条件にわたりACh誘発電流振幅を比較し、ACh対照と比較した電流振幅測定値に用量阻害曲線をフィットさせることによってIC50値を決定し;曲線フィットは、ロジスティック方程式:I=Imax/(1+[薬物]/IC50)に対して与えられる。30μM代謝産物による1mM ACh誘発電流の、それぞれ遮断の開始及び遮断からの回復に関連する電流減衰への単一指数フィットによって代謝産物会合及び解離動態を決定した。
動態プロファイル:上記のIC50プロトコールにより得られたデータから、30μM M4(10X IC50)又はM5代謝産物(~IC35)の固定濃度で遮断及び回復の動態を記録した。組み換えα3β4受容体での1mM ACh誘発電流におけるM4又はM5の作用を試験するために、3つの補完的なアッセイを行った:(1)遮断の程度及び静止状態からの遮断開始の速度を測定するために、AChとのM4又はM5の同時混用を使用した。(2)遮断の程度及び薬物結合からの遮断開始の速度を測定するために、M4又はM5への予備曝露後のACh適用とのM4又はM5の組み合わせを使用した。(3)薬物結合状態からの固有のACh電流減衰速度(脱感作)を測定するために、及びACh活性化なしでM4又はM5結合が起こり得ることを確認するために、M4又はM5の予備曝露及び除去後のACh単独適用を使用した。
被験物質及びビヒクル処方物
Obiter Researchから18-MC HCl(ロット番号OBI-215-21-3)を得た。M4及びM5はSavant HWPにより提供された。固体化合物を乾燥デシケーター中で-20℃にて保存した。M4及びM5のLC-MS分析が付録において提供される。18-MC HClの10mM保存液及びM4及びM5の20mM保存液を調製するために、被験物質をDMSO中で溶解させた。1Mアセチルコリン保存液は細胞外溶液中で作製した。保存液を-20℃にて凍結保存した。
NaOHでpH7.3に調整された、150mM NaCl、3mM KCl、5mM HEPES、1mM MgCl2、1.8mM CaCl2、10mMグルコース及び0.1mg/mlフェノールレッドを含有する細胞外溶液中で適切な濃度に希釈することによって、ACh、18-MC HCL、M4又はM5を含有する灌流溶液を新たに調製した。
結果
IC50決定
混用プロトコールを使用して18-MC HClに対して前に記載されているように代謝産物IC50値を決定し、それにより、1mM ACh誘発電流中で30μMまでの様々な代謝産物濃度を同時適用した。代謝産物パルスは、5秒のACh誘発反応中、2秒の持続時間であった。例となるトレースを図18A、18Cで示し、これらはACh誘発電流の用量依存的阻害を例示する。この同じプロトコールを使用して、18-MC HClに対するIC50は以前、0.75μMで決着し(Pace et al.,2002)、これを参照のために図18Eで再プロットする。本実験において、M4及びM5代謝産物に対するIC50値はそれぞれ2.6μM及び57μMであった。しかし、M5は非常に弱かったので、M5 IC50値は、試験された最大30μM濃度を超えた外挿により推定したことに注意すること。AChの予備曝露なく、2秒間の混用を使用して、同様の結果が見られた(図18B、18D)。
動態パラメーター
試験した最大濃度から派生した電流トレースを使用して、発明者らは、代謝産物阻害に関連するいくつかの動態パラメーターを推定した。代謝産物の結果を図18A~18Eで示し、表18でまとめる。薬物会合及び解離速度は、次のように導かれた:阻害の速度(τ遮断)をフィットさせる指数関数的な時間定数の逆数としてkonが与えられ;koffは、遮断からの回復の速度(τrecov)をフィットさせる指数関数的な時間定数の逆数として与えられる。koffが遅すぎて信頼して測定できない場合、薬物除去から1秒後の持続的阻害が結合状態の安定性の指標となる。注目すべきは、M4及び特にM5の両方が、α3β4受容体から18-MC HClよりもかなり速く解離すると思われ、一方でM5は相当により遅い会合速度も示しており、これにより、この代謝産物が修飾因子結合部位への結合との静電気的又は立体的な不適合性を導入することが示唆される、ということである。
Figure 2022552162000019
M4及びM5=30μM;18-MC HCl=20μM(Kuehne et al.,2003から);nd=回復速度が遅すぎてフィットできなかったため決定せず。30μMでM5に対する1秒での最大阻害及び持続的阻害を測定し、これは、そのIC50の10X未満の非飽和濃度であった。
活性プロファイル
以前の実験において、AChの非存在下で18-MC HClがnAChRと予め結合し得、薬物除去後でさえもACh誘発性の電流減衰を加速し続けたことが知られていた。このようなプロファイルは、ACh誘発電流のより速い減衰が、18-MC HCl結合時のnAChR動態における固有の変化のためであり、18-MC結合により誘導される遮断の開始によるものではないことを示す(図19A~19B参照)。
同様の活性を有するか否かを決定するために同様にM4及びM5代謝産物の30μM濃度を試験した。M4に関して、30μM濃度は、そのIC50のおよそ10倍であり、示される10μM 18-MC HClと同等である。M5に関して、30μM濃度は、そのIC50未満である。図20A~20Dで例示され、表19でまとめられるように、M4代謝産物は、18-MCのように、同時適用した場合、ACh誘発電流の急速な遮断を引き起こした。ピークACh誘発電流は、M4が同時適用された場合は68±2%減少し、M4が予め適用され、AChパルス中持続した場合は86±2%減少した。しかし、18-MCとは異なり、M4代謝産物は、予備曝露及び除去後、ACh誘発電流減衰を加速しなかった。むしろ、M4の予備曝露はACh誘発電流のピークを消失させ、正常な定常状態レベルまでその開始を緩徐化した。このような挙動が18-MC HClとは異なる作用機序を意味するか否かはこれらの実験のみからは不明である。むしろ、これは、M4のより速い解離及び持続的阻害の欠如により完全に説明され得る。何れのケースでも、結果から、アゴニストの非存在下又は存在下でnAChRを阻害するためにM4が予め結合し得ることが明らかとなる。M5が比較的弱く、かなり速く解離することを考慮すると、予想通り、M5代謝産物の予備温置及び除去後、効果は見られなかった。
Figure 2022552162000020
M4代謝産物は、AChの非存在下で予め結合し、予め適用される場合、より完全に遮断する。しかし、M4は、18-MC HClよりも速く解離し、M4からACh単独への溶液ジャンプ(solution jump)がピークのないゆっくりとした開始反応を引き起こすようになる。より低親和性のM5代謝産物は、さらにより速く解離し、M5からACh単独へのジャンプはACh誘発電流に対して効果がなかった(示されるもの:1mM ACh;30μM M4、M5)。
代謝産物に対するさらなる情報を表20で示す。
Figure 2022552162000021
代謝産物の一部に対する化学名は次のとおりである:
M2:メチル7-(2-ヒドロキシエチル)-7,8,9,10-テトラヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-6(6aH)-カルボキシラート
M3:メチル7-(2-ヒドロキシエチル)-7,8,9,10,12,13-ヘキサヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-6(6aH)-カルボキシラート
M4:メチル7-(2-メトキシエチル)-7,8,9,10-テトラヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-6(6aH)-カルボキシラート
M5:2-(6-(メトキシカルボニル)-6,6a,7,8,9,10,12,13-オクタヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-7-イル)酢酸
M8:メチル2-ヒドロキシ-7-(2-メトキシエチル)-7,8,9,10-テトラヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-6(6aH)-カルボキシラート
M12:(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(6-(メトキシカルボニル)-6,6a,7,8,9,10,12,13-オクタヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-7-イル)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸
P10:(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(6-(メトキシカルボニル)-6,6a,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-5H-6,9-メタノピリド[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール-7-イル)エトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸。
結論
ラットα3及びβ4サブユニットcDNAを同時遺伝子移入したHEK293細胞において、18-MC HClの2つの主要な代謝産物、M4及びM5(図21A及び21Bで示される)を試験した。両代謝産物は、M4の場合は2.6μM、M5の場合は57μMのIC50値で、ACh誘発電流を阻害した。これらの値は、親18-MC HClよりも、それぞれおよそ3.5倍及び76倍効力が小さい。30μMでのM4に対する動態速度は、kon 4.5sec-1、koff=2.5sec-1であり、除去後1秒での持続的阻害は21±3%であった。30μMでのM5に対する動態速度は、kon 2.2sec-1、koff=6.2sec-1であり、除去後1秒での持続的阻害は2±2%であった。
活性プロファイルは一般に、効力が大きく低下したにもかかわらず、18-MC HClの活性を幾分保持するM4及びM5と一致する。認められる唯一の表現型の相違は、18-MC HClと比較して、M4除去後のACh誘発電流の定常状態への緩徐な開始であったが、この相違は、受容体からのそのより速い解離と完全に一致する。
実施例8
本試験の目的は、周波数-反応率(frequency-rate)手順を使用して、脳内自己刺激(ICSS)により維持される、ラットにおけるレバー押し率に対する18-MC HClの効果を評価することであった。18-MC HClの用量(10、40、56mg/kg)及びビヒクル(滅菌水中の0.01M NaH2PO4)を試験した。ビヒクルと比較して、18-MC HClは、ICSSの周波数-反応率(frequency-rate)曲線、最大半量応答(M50)を支持する推定周波数にも、閾値反応(T0)にも影響を与えなかった。注射のおよそ5分後、18-MC HClの全ての用量で処置したラットにおいて、行動的影響(正向反射の喪失、運動失調、下垂)が観察されたが、ラットは、オペラントセッションの開始前(18-MC HCl投与の45分後)に回復していると思われた。全体的に見て、これらのデータは、18-MC HClがこれらの条件下で内側前脳束刺激により強化された反応を変化させないことを示唆する。
背景
内側前脳束の電気刺激を含むICSSは、引き続いて中脳皮質系の至る所で遠心性の上行性投射を送るVTA及び黒質のドパミン作動性樹状突起又は細胞体を利用する有髄ニューロンの活性化を引き起こすと考えられる。ニコチン、アンフェタミン及びオピエートなどの薬物乱用は一般に、この行動を支持する閾値周波数又は強度を低下させることによってICSSを促進し、この効果は、それらの乱用関連効果と相関するという仮説が立てられる。逆に、神経遮断薬、リチウム又はκ-オピオイドアゴニストなどの、快感消失又は不快を引き起こす薬物は一般に、この行動を支持する閾値周波数又は強度を上昇させる。
本試験は、そのICSS改変能について18-MC HClを評価した。従って、ビヒクル、次いで18-MC HCl(10、40及び56mg/kg)を半ランダム化した順序で与えてラットを試験し、経時的に安定性を評価するためにビヒクルでもう一度試験した。
方法
対象
380~420gの重量範囲を維持するために餌(7012 Teklad LM-485 Mouse/Rat Sterilizable Diet;Harlan,Indianapolis,IN)への接近を制限し、水への接近は自由にした、温度制御(20~22℃)AAALAC公認施設において11匹の成体の実験未処置の雄Sprague-Dawleyラット(Harlan,Indianapolis,IN)を個別に収容した。実験の持続時間にわたり12時間/12時間明暗サイクル(0600~1800に照明をオン)でラットを維持し、このサイクルの明セグメント中にラットを訓練し、試験した。イソフルラン吸入(約3%)を介してラット(外科手術時360~420g)に麻酔をかけ、定位座標に従い、体軸方向:十字縫合から-2.8mm、外側:正中線から1.7mm、腹背:頭蓋から-7.8mmで、内側前脳束に電極を装着した(Paxinos & Watson,2007)。
装置
換気扇が付いた防音小部屋で囲われ、前面のインテリジェンスパネル上に2個の格納式レバー、各レバーの上に刺激ランプ及び5-W家庭用照明が取り付けられた標準的なオペラント条件付けチャンバーにおいて実験セッションを行った(Med Associates,St.Albans,VT)。釣り合わせられたテザー(counterbalanced tether)(Plastics One,Roanoke,VA)が電極をICSS刺激装置(製品番号PHM-152/2,Med Associates,St.Albans,VT)に連結し、それにより、オペラントチャンバー内で自由な動きが可能になる。
手順
外科手術から1週間後、ラットは、固定比率1(FR1)自己刺激トレーニングを開始した。最初に、左右両方のレバーが拡張され、家庭用照明が照らし、右側レバーのそれぞれの押し(即ちFR1)の結果、刺激が送達された(100μA、158Hz)。左レバーにおける反応は、プログラムされた因果関係は伴わなかった。刺激の送達の持続時間の間(500ms)、家庭用照明が消え、各レバーの上の手がかり光が3Hzでフラッシュした。最大周波数で行動の安定な最大速度(>40回の反応/min)を維持することが必要な場合、電流強度は個々に調整された。実験の残りの部分に対して、この強度レベルを一定に保持した。
周波数-反応率(frequency-rate)手順(Carlezon & Wise,1996から改変)は、複数の(下記参照)コンポーネントからなり、それぞれが10回の1分FR1強化期間から構成された。各1分強化期間中、単回の予定した周波数は、FR1反応に随伴する送達のために利用可能であった。各コンポーネント中に158~56Hz(即ち2.2~1.75logHz)から0.05log-増大で周波数を徐々に低下させた。各1分強化期間に先行して、5秒のサンプル期間が行われ、その間に予定した刺激周波数で5回の非随伴性刺激を送達した。各反応期間には5秒の中断(TO)期間が続き、その間に家庭用照明が消え、ICSSは利用不能であった。記載の手順を使用して、ラットを毎日(M~F)訓練した。朝、訓練セッションを行い、これは、3つの連続コンポーネントから構成された。3つの連続セッションに対する閾値(即ちシータ0;T0)及びM50(データ分析参照)の<10%変動により示されるように、安定な行動が確立されたら、動物は試験を開始し、一連の実験を通じてベースライン安定性を監視した。閾値(T0)は、周波数-反応率(frequency-rate)曲線の直線的部分が横軸と交差する(即ちゼロ反応)理論的周波数である。M50は、最大半量反応を支持する推定周波数である。
試験日に、2回のICSS実験セッションを行った。ベースラインセッション中に、トレーニング日と同一である3つの連続コンポーネントの間に各ラットを試験した。このベースライン決定を完了した後、ラットをそのホームケージに戻し、次いで、試験セッションの45分前に、18-MC HCl(10、40又は56mg/kg)又はビヒクル[0.01M NaH2PO4,Sigma Cat # S0751,Sigma Aldrich, St. Louis, MO]の何れかのi.p.注射を受けさせた。2つの連続コンポーネント(即ち2回の完全周波数スイープ)からなる試験セッションのために、ラットをオペラントチャンバーに戻した。半ランダム化された順序に従い、18-MC HClの用量を決定した。
最大で週に2回(一般的には火曜日及び金曜日)対象を試験し、試験セッション間は最短で72時間であった。周波数-反応率(frequency-rate)反応の安定性を維持し、監視するために、及び試験適格性を判定するために、その週の間、非試験日に、周波数-反応率(frequency-rate)訓練セッションを行った。試験が予定されるために、ラットは、安定性基準(閾値において、及び最後のベースライン試験セッションからのM50において、変動性が<10%)に合致することが必要とされた。行動安定性を評価するために、試験セッション間に1~2回の周波数-反応率(frequency-rate)訓練セッションを行った。
データ分析
2匹のラットをデータ分析から除外した。1匹は不安定なベースライン性能のために除外し、1匹は電極の開存性により除外し、従ってこのレポートに含まれた結果は9匹のラットからのものである。初回の毎日の実験コンポーネント中は、その後のコンポーネントと比較して、行動の安定性が低いことが示されているので、試験日のベースラインセッション中の最初のコンポーネントからの結果をデータ分析から除外した。各周波数に対するベースライン反応速度を決定するために、2つの続く各ベースラインコンポーネント中に各周波数で得られた結果の平均を算出した。次に、ベースラインセッション中に全ての周波数にわたり起こった最大ベースライン反応速度によって、最大制御反応速度(MCR)を定めた。次に、その後のデータ分析のために、個別にベースライン及び試験セッションに対して、ベースライン及び試験セッション中の個別のラットの結果をラットのMCRに対して正規化して、関連する(即ち同じ日の)ベースラインセッション中に決定されるようなラットのMCRにより各周波数で得られた平均反応数を除し、次いで最後にこの商に100を乗じることによって、パーセント最大制御速度(%MCR)スコアを生成させた。
各周波数での反応における処置関連の相違を同定するために、二元配置(処置x周波数)反復測定ANOVA、続いてHolm-Sidak多重比較検定を使用して、周波数-反応率(frequency-rate)反応データを分析した。全ての周波数-反応率(frequency-rate)曲線について、ビヒクルを比較条件とした。周波数-反応率(frequency-rate)曲線における平行な左方向へのシフトは、報酬促進を示し得、周波数-反応率(frequency-rate)曲線における平行な右方向へのシフトは、報酬減弱を示し得る。最大反応速度での周波数-反応率(frequency-rate)曲線における上向き(速度上昇)又は下向き(速度低下)のシフトは、非特異的な運動効果を示し得る。
周波数-反応率(frequency-rate)反応曲線に加えて、さらなるまとめの依存性測定値を計算し、分析した。閾値(T0)は、周波数-反応率(frequency-rate)曲線の直線的部分が横軸と交差する(即ちゼロ反応)理論的周波数である。M50は、最大半量反応(即ち50%)を支持する推定周波数である。試験した各用量での各動物に対するT0及びM50を決定するために、線形回帰分析を使用して、周波数-反応率(frequency-rate)曲線のLog変換を計算した。各ベースライン及び対応する試験セッションに対してT0及びM50対数周波数値を決定し、各条件(ベースライン及び試験)に対して一元配置反復測定ANOVAを使用して分析し、全ての18-MC HCl用量をビヒクル対照と比較するためにフィッシャーLSD検定を使用して多重比較を行った。さらに、薬物投与後のT0及びM50補正前周波数(raw frequencies)をベースライン値(パーセントベースラインT0及びM50)に対して正規化し、反復測定ANOVAを使用して分析し、フィッシャーLSD検定を使用して多重比較を行った。マイクロコンピューターソフトウェア(Prism 6,GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を使用して全ての統計学的検定を行い、p<0.05である場合、比較の全てのタイプを統計学的に有意とみなした。
観察ノート
18-MC HClの用量で処置したラットにおいて、正向反射の喪失、運動失調及び下垂を含む機能障害/中毒の視覚的徴候が観察された。これらの影響は、薬物投与後およそ5分間顕著であり、ビヒクル処置ラットでは観察されなかった。45分間の前処理時間経過後、対象は、ホームケージにおいて及びハンドリング時に正常と思われた。
周波数-反応率(frequency-rate)ICSSに対する18-MC HClの効果
18-MC HCl(10~56mg/kg)及びビヒクルでの周波数-反応率(frequency-rate)の結果を図22で示す。18-MC HCl(10、40、56mg/kg)又はビヒクル(0.01M NaH2PO4)の効果に対する周波数-反応率(frequency-rate)反応曲線。値は、9匹のラットの10個の周波数提示にわたる平均正規化反応速度(%最大制御反応)を表す(1.75~2.20log/Hz)。明確にするためにエラーバーを省略する。周波数の有意な主要効果があった[F(9,72)=106.5,p<0.0001]が、ICSSに対して18-MC HCl処置の主要効果はなく[F(3,24)=0.42,p>0.05]、相互作用はなかった[F(27,216)=0.75,p>0.05]。具体的に、18-MC HCl(10~56mg/kg)の試験用量でICSS周波数-反応率(frequency-rate)曲線に影響を与えたものはなかった。最大反応速度は、18-MC HCl試験中に変化せず、このことから、試験した時間枠内で全身性の運動機能障害を生じさせないことが示唆される。
全ての試験条件についてのT0及びM50レベルに対する18-MC HClの効果を図23A~23B及び表20~21で示す。パーセントベースラインT0及びM50に対する18-MC HClの効果が示される。値は、9匹のラットでのベースラインに対して正規化された計算T0(上パネル)又はM50(下パネル)の平均(+SEM)を表す。ビヒクルと比較して有意差はなかった。パーセントベースラインに対して正規化した場合、個別の一元配置反復測定ANOVAとしてT0及びM50を分析した(図23A~23B)。T0データ(上パネル)の分析により、18-MC HCl処置の主要効果がなかったことが明らかになった[F(3,24)=0.59,p>0.05]。同様に、M50データの分析(下パネル)から、薬物処置の主要効果がなかったことが明らかになった[F(3,24)=0.24,p>.05]。18-MC HCl及びベースラインの対数周波数値を表20及び21で示し、ビヒクル値と異ならなかった。重要なこととして、ベースラインT0及びM50は、一連の試験中に顕著に変動しなかった(表20~21)。全体的に見て、これらの分析からの結果は反応率-周波数(rate-frequency)曲線分析からの知見と一致し、これにより、18-MC HClが試験パラメーター下でICSSを変化させないことが明らかとなる。試験した18-MC HClの全ての用量が、試験セッション前に行動において著しい変化を生じさせなかったという所見を考えると、ピーク行動活性の期間内に試験は起こり得ない。18-MC HClの一層綿密な特徴評価には、是認されるならば、より短い前処理時間後の18-MC HClの評価が含まれる。
Figure 2022552162000022
表21は、18-MC HCl(10~56mg/kg)又はビヒクルを用いて試験したラットにおける閾値log10周波数値(T0)のまとめの表である。フィッシャーLSD多重比較検定を使用して、VEH条件と比較して、T0値において有意差はなかった。データは、9匹のラットの平均T0周波数(log/Hz)+SEMを表す。
Figure 2022552162000023
表22は、18-MC HCl(10~56mg/kg)又はビヒクルを用いて試験したラットにおける、最大半量反応(M50)を持続したlog10周波数値のまとめの表である。フィッシャーLSD多重比較検定を使用して、VEH条件と比較して、M50値において有意差はなかった。データは、9匹のラットの平均M50周波数(log/Hz)+SEMを表す。
本願を通じて、米国特許を含め、様々な刊行物が著者及び年により、及び特許が番号により言及される。この刊行物に対する完全な引用を以下に挙げる。それらの全体におけるこれらの刊行物及び特許の開示は、本発明が属する技術分野の状況をより詳細に説明するために、参照により本願へと本明細書によって組み込まれる。
本発明は、例示として記載されており、使用されている用語は、限定ではなく説明するものであることが意図されると理解されたい。
上記の教示に照らして、明らかに、本発明の多くの改変及びバリエーションが可能である。従って、添付の特許請求の範囲内で、本発明が具体的に記載されるものとして以外に実施され得ることを理解されたい。

Claims (58)

  1. 医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を含む、物質使用障害を処置するための組成物。
  2. 前記組成物が経口用量で処方される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物が塩酸塩である、請求項1に記載の組成物。
  4. 医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与するステップと;
    前記個体において物質乱用を予防するステップ
    を含む、物質使用障害を処置する方法。
  5. 前記物質が、コカイン、ニコチン、オピエート、アルコール、モルヒネ及びメタンフェタミンからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記個体がヒトである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記予防するステップが、前記物質の強化及び報酬効果を低下させることとしてさらに定義される、請求項4に記載の方法。
  8. 前記投与するステップが経口で実施される、請求項4に記載の方法。
  9. 前記塩が塩酸塩である、請求項4に記載の方法。
  10. 前記投与するステップが、0.01~10mg/kgの18-MCを投与することとしてさらに定義される、請求項4に記載の方法。
  11. 前記投与するステップが、18-MCの20mg以下/日を投与することとしてさらに定義される、請求項10に記載の方法。
  12. 投与される18-MCが多重コンパートメントモデルに従い、半減期が約48時間である、請求項4に記載の方法。
  13. 反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  14. 酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4を阻害するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  15. 医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与するステップと;
    前記個体において嗜癖行動を予防するステップ
    を含む、個体において嗜癖行動を予防する方法。
  16. 前記塩が塩酸塩である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記物質が、コカイン、ニコチン、オピエート、アルコール、モルヒネ及びメタンフェタミンからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  18. 前記個体がヒトである、請求項15に記載の方法。
  19. 前記予防するステップが、前記物質の強化及び報酬効果を低下させることとしてさらに定義される、請求項15に記載の方法。
  20. 前記投与するステップが経口で実施される、請求項15に記載の方法。
  21. 前記投与するステップが、0.01~10mg/kgの18-MCを投与することとしてさらに定義される、請求項15に記載の方法。
  22. 前記投与するステップが、20mg以下/日の18-MCを投与することとしてさらに定義される、請求項21に記載の方法。
  23. 投与される18-MCが多重コンパートメントモデルに従い、半減期が約48時間である、請求項15に記載の方法。
  24. 反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  25. 酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4を阻害するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  26. 医薬担体中の有効量の18-メトキシコロナリジン塩(18-MC)を個体に投与するステップと;
    前記個体において渇望を予防するステップ
    を含む、個体において渇望を予防する方法。
  27. 前記塩が塩酸塩である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記物質が、コカイン、ニコチン、オピエート、アルコール、モルヒネ及びメタンフェタミンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  29. 前記個体がヒトである、請求項26に記載の方法。
  30. 前記予防するステップが、前記物質の強化及び報酬効果を低下させることとしてさらに定義される、請求項26に記載の方法。
  31. 前記投与するステップが経口で実施される、請求項26に記載の方法。
  32. 前記投与するステップが、0.01~10mg/kgの18-MCを投与することとしてさらに定義される、請求項26に記載の方法。
  33. 前記投与するステップが、20mg以下/日の18-MCを投与することとしてさらに定義される、請求項32に記載の方法。
  34. 投与される18-MCが多重コンパートメントモデルに従い、半減期が約48時間である、請求項26に記載の方法。
  35. 反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  36. 酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4を阻害するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  37. 18-MC塩の代謝産物を含む、組成物。
  38. 前記代謝産物が、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、P1、P2、P3及びP10からなる群から選択され、前記塩が塩酸塩である、請求項37に記載の組成物。
  39. 前記代謝産物がM4又はM5である、請求項37に記載の組成物。
  40. 個体に医薬担体中の有効量の18-MC塩の代謝産物を投与するステップと;
    前記個体において物質乱用を予防するステップ
    を含む、物質使用障害を処置する方法。
  41. 前記代謝産物が、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、P1、P2、P3及びP10からなる群から選択され、前記塩が塩酸塩である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記代謝産物がM4又はM5である、請求項40に記載の方法。
  43. 前記物質が、コカイン、ニコチン、オピエート、アルコール、モルヒネ及びメタンフェタミンからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  44. 前記個体がヒトである、請求項40に記載の方法。
  45. 前記予防するステップが、前記物質の強化及び報酬効果を低下させることとしてさらに定義される、請求項40に記載の方法。
  46. 前記投与するステップが経口で実施される、請求項40に記載の方法。
  47. 前記投与するステップが、0.01~10mg/kgの18-MCの代謝産物を投与することとしてさらに定義される、請求項40に記載の方法。
  48. 前記投与するステップが、20mg以下/日の18-MCの代謝産物を投与することとしてさらに定義される、請求項47に記載の方法。
  49. 投与される18-MCの代謝産物の半減期が約48時間である、請求項40に記載の方法。
  50. 反屈束経路及び扁桃体基底外側部においてα3β4ニコチン受容体を遮断するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
  51. 酵素CYP2C9、CYP2C19、CYP2C8、CYP2E1及びCYP3A4を阻害するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
  52. 図2で示される結合プロファイルを有する、組成物。
  53. 図13で示されるウサギ心臓プルキンエ繊維における活動電位持続時間を有する、組成物。
  54. 図17で示されるヒト血漿中の親及び代謝産物の薬物動態プロファイルを有する、組成物。
  55. 図18Eで示されるような親及び1つ以上の代謝産物のIC50プロファイルを有する、組成物。
  56. 図19A及び19Bで示されるようなアルファ3-ベータ4ニコチン性コリン受容体パッチクランプアッセイプロファイルを有する、組成物。
  57. 図20A、20B、20C及び20Dの何れかで示されるようなヒト代謝産物アルファ3-ベータ4ニコチン性コリン受容体パッチクランプアッセイプロファイルを有する、組成物。
  58. 図22、23又は24の何れかで示されるようなラットにおけるICSS試験プロファイルを有する、組成物。
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