JP2022549667A - パルス・モード電荷検出質量分析のための装置および方法 - Google Patents

パルス・モード電荷検出質量分析のための装置および方法 Download PDF

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Abstract

電荷検出質量分析装置は、イオンを受け取り格納するように、および格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されるイオン・トラップと、イオン・トラップから離れた静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)とを含み、ELITは、第1および第2のイオン・ミラーと、これらの間に配される電荷検出シリンダと、イオン・トラップを選択的に制御して、格納されたイオンの少なくとも幾らかを解放してELITの中へ向けて移動させるようにするため、および第1および第2のイオン・ミラーを制御して、ELITにおいてその中を通るイオンの1つをトラップし、トラップされたイオンを、1と第2のイオン・ミラーの間で前後に振動させ、その度に電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせる手段とを含む。【選択図】図10

Description

関連する出願の相互参照
[0001] この特許出願は、2019年9月25日に出願された米国仮特許出願シリアル番号62/905921の利益および優先権を主張するものであり、この参照によりその開示の全体をここに明確に組み込む。
政府の権利
[0002] この発明は、アメリカ国立衛生研究所から与えられたGM131100の下で、政府の支援を受けてなされた。
発明の分野
[0003] 本発明は、一般に、電荷検出質量分析(charge detection mass spectrometry)機器に関し、より具体的には、そのような機器のパルス・モード動作を行うための装置および方法に関する。
[0004] 質量分析は、イオンの質量および電荷に従って物質のガス状イオンを分離することにより、物質の化学成分の識別を提供する。そのような分離したイオンの質量を決定するための様々な機器および技術が開発されており、1つのそのような技術は、電荷検出質量分析(CDMS)として知られている。CDMSでは、イオンの質量は、典型的には「m/z」と称される測定されたイオン質量対電荷比(ion mass-to-charge ratio)と測定されたイオンの電荷との関数として決定される。
[0005] 初期のCDMS検出器ではm/zおよび電荷の測定における不確実性のレベルが高いので、静電リニア・イオン・トラップ(electrostatic linear ion trap)(ELIT)検出器が開発されることとなり、これにおいて、イオンは、電荷検出シリンダを通って前後に振動するようにされる。そのような電荷検出シリンダを通るイオンの複数のパスは、各イオンについて複数の測定を提供するものであり、電荷測定における不確実性がn1/2で低減することが示されおり、ここでのnは電荷測定の数である。しかし、このような複数の電荷測定は、必然的に、現在のELIT設計を用いてイオンのm/zおよび電荷の測定を得ることができる速度を制限する。従って、イオンのm/zおよび電荷の測定のレートを、現在のELIT設計を用いて取得可能なものを越えるように増加させる、ELITの設計および/または動作における改善に努めることが望ましい。
[0006] 本発明は、添付の請求の範囲に記載の特徴のうちの1以上の特徴、および/または下記の特徴のうちの1以上の特徴およびそれらの組み合わせを、含むことができる。1つの構成では、電荷検出質量分析装置は、サンプルからイオンを生成するように構成されるイオン・ソースと、生成されたイオンを受け取りその中へ格納するように、および格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されるイオン・トラップと、イオン・トラップから離れており、第1イオン・ミラーおよび第2イオン・ミラーと、これらの間に配される電荷検出シリンダとを含む静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)と、イオン・トラップを選択的に制御して、その中に格納されたイオンの少なくとも幾らかを解放してELITの中へ向けて移動させるため、および第1イオン・ミラーおよび第2イオン・ミラーを制御して、ELITにおいてその中を通るイオンの少なくとも1つのイオンをトラップし、その少なくとも1つのトラップされたイオンを、第1イオン・ミラーと第2イオン・ミラーとの間で前後に振動させ、毎回に電荷検出シリンダを通り、そこで対応する電荷を誘導するようにさせる手段とを含むことができる。
[0007] 別の構成では、電荷検出質量分析装置は、サンプルからイオンを生成するように構成されるイオン・ソースと、複数の出力電圧を生成するように構成された少なくとも1つの電圧ソースと、第1組の複数の出力電圧と結合されるイオン・トラップであって、そのトラッピング状態に応答して、生成されたイオンを受け取りその中へ格納するように、およびその透過状態に応答して、格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されたイオン・トラップと、イオン・トラップから離れている静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)であって、前方イオン・ミラーおよび後方イオン・ミラー、およびこれらの間に配される電荷検出シリンダを含み、前方イオン・ミラーおよび後方イオン・ミラーは、それぞれ、第2組の複数の出力電圧および第3組の複数の出力電圧に結合され、その透過状態に応答して、その中をイオンが透過するようにし、また、その反射状態に応答して、電荷検出シリンダからその中へ入ってくるイオンを反射して電荷検出シリンダへ戻すように構成される静電リニア・イオン・トラップと、第1組の電圧をその透過状態へと制御して、イオン・トラップが格納したイオンの少なくとも幾らかをそこから解放して前方イオン・ミラーを介してELITの中へ向けて移動するようにするため、および、その後、第2組の電圧が後に続く第3組の電圧をその反射状態へと制御して、その中を通るイオンの少なくとも1つのイオンをトラップし、少なくとも1つのトラップしたイオンを、前方イオン・ミラーと後方イオン・ミラーとの間で前後に振動させ、毎回に電荷検出シリンダを通りそこで対応する電荷を誘導させるようにする処理回路と
を含むことができる。
[0008] 更に別の構成では、前方イオン・ミラーと後方イオン・ミラーとの間に配される電荷検出シリンダを有する静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)と、前方イオン・ミラーから離れたイオン・トラップとを含む電荷検出質量分析装置を動作させるための方法が提供される。方法は、サンプルからイオンを生成することと、生成されたイオンをイオン・トラップへ格納することと、イオン・トラップを制御して、格納されたイオンの少なくとも幾らかをイオン・トラップから解放して、前方イオン・ミラーを介してELITの中へ向けて移動するようにすることと、格納されたイオンを解放するようにイオン・トラップを制御した後に、後方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、後方イオン・ミラーが、電荷検出シリンダからそこへ入ってくるイオンを反射して、電荷検出シリンダを通って前方イオン・ミラーの方へ戻るようにすることと、後方イオン・ミラーをその反射状態へと制御した後に、前方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、前方イオン・ミラーが、電荷検出シリンダからそこへ入ってくるイオンを反射して、電荷検出シリンダを通って後方イオン・ミラーの方へ戻るようにして、イオン・トラップから解放されたイオンの少なくとも1つのイオンをELITにトラップして、少なくとも1つのトラップされたイオンが、前方イオン・ミラーと後方イオン・ミラーとの間で前後に振動するようにし、毎回に電荷検出シリンダを通り、そこで対応する電荷を誘導するようにさせることと、を含むことができる。
図1は、制御および測定のコンポーネントが結合された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)アレイの実施形態を含むイオン質量検出システムの簡素化した図である。 図2Aは、図1に示すELITアレイのイオン・ミラーの1つのミラーの例の拡大図であり、ミラー電極は、例示のイオン・ミラー内にイオン透過電場を生成するように制御される。 図2Bは、図1に示すELITアレイのイオン・ミラーの1つのミラーの別の例の拡大図であり、ミラー電極は、例示のイオン・ミラー内にイオン反射電場を生成するように制御される。 図3は、イオンの質量および電荷の情報を決定するように図1のELITアレイの動作を制御するプロセスの実施形態を例示する、簡素化したフローチャートである。 図4A-4Eは、図3に示すプロセスに従った複数のイオン・ミラーのシーケンシャルな制御および動作を説明するための、図1のELITアレイの簡素化した図である。 図5Aは、ここで例示され説明されたELITアレイの何れかを含むイオン分離装置の実施形態の簡素化したブロック図であり、ELITアレイ(1以上)の上流側のイオン・ソースの一部を構成し得るものであり、かつ/またはELITアレイ(1以上)の下流側に配され得るものであり、ELITアレイ(1以上)から出て行くイオン(1以上)を更に処理するものである、イオン処理装置の例を示す。 図5Bは、ここで例示され説明されたELITアレイの何れかを含むイオン分離装置の別の実施形態の簡素化したブロック図であり、従来のイオン処理装置と、ここで例示され説明されたイオン質量検出システムの実施形態の何れかと、を組み合わせる実装の例を示す。 図6は、制御および測定のコンポーネントが結合された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)の別の実施形態を含むイオン質量検出システムの簡素化した図である。 図7Aは、図6に示すイオン・ステアリング・チャンネル・アレイにおいて実施できる単一イオン・ステアリング・チャンネルの例としての実施形態の簡素化した斜視図である。 図7Bは、図7Aに示すイオン・ステアリング・チャンネルの動作モードの例を示す簡素化した斜視図である。 図7Cは、図7Aに示すイオン・ステアリング・チャンネルの動作モードの別の例を示す簡素化した斜視図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図8A-8Fは、イオン・ステアリング・チャンネル・アレイとELITアレイとの制御および動作の例を説明するための、図6のELITアレイの簡素化した図である。 図9は、制御および測定のコンポーネントが結合された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)の更に別の実施形態を含むイオン質量検出システムの簡素化した図である。 図10は、パルス・モード動作のために構成された電荷検出質量分析装置の実施形態の簡素化した図である。 図11は、図10の装置の例示のパルス・モード動作を示すタイミング図である。 図12Aは、サンプル濃度が10μg/mLおよび0.5μg/mLITであるHBVのT=4のカプシドについて、図10の装置により測定されたCDMS質量分布のプロットを示す。 図12Bは、0.5μg/mLから10μg/mLまでの濃度の範囲についての10000トラッピング・イベントの間に図12Aに示す3.8MDaから4.4MDaの質量ウィンドゥで検出されたイオンの数のlog-logプロットである。 図13Aは、プロテイン濃度が1μg/mLであるHBVのT=4のカプシドについて図10の装置により測定されたCDMS質量分布のプロットを示すものであり、装置の標準(即ち、非パルス型)動作の下で測定された、およびここで説明される装置のパルス・モード動作の下で測定された分布を含む。 図13Bは、図13Aと似たプロットを示すが、ここでは、HBVのT=4のカプシドは、プロテイン濃度が0.05μg/mLおよび0.5μg/mLである。 図14は、3.0MDaあたりにT=3のカプシドに起因するピークを持ち、4.05MDaあたりにT=4のカプシドに起因するピークを持つHVBのカプシドについて図10の装置により測定されたCDMS質量分布のプロットを示すものであり、装置の標準(即ち、非パルス型)動作の下で測定された(プロテイン濃度は100μg/ml)、および装置のパルス・モード動作の下で測定された(プロテイン濃度は1μg/ml)分布を含む。 図15は、PKの四量体(230kDa)、八量体(460kDa)、十二量体(690kDa)、および十六量体(920kDa)に起因するピークを持つピルビン酸キナーゼ(PK)溶液について図10の装置により測定されたCDMS質量分布のプロットを示すものであり、装置の標準(即ち、非パルス型)動作の下で測定された分布を含み、ここで説明される装置のパルス・モード動作の下で測定された分布を含み、遅延時間は、四量体を透過させるように調節され、再び、八量体および十二量体を透過させるように調節される。
[0030] 発明の原理の理解を促進するために、添付の図面に示される複数の例としての実施形態をここで参照するが、これらを説明するために特定の言語が用いられる。
[0031] この開示は、静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)アレイに関し、これは、2以上のELITまたはELIT領域と、これらを制御する手段とを含み、この制御は、少なくとも2以上のELITまたはELIT領域が同時に動作して、その中に捕獲された少なくとも1つのイオンの質量対電荷比と電荷とを測定するようにする。このようにして、イオン測定のレートは、従来の単一ELITシステムと比べて2倍以上増加し、対応して合計イオン測定時間の低減もなされる。幾つかの実施形態では、その例を図1-4Eに関して下記で詳細に説明するが、ELITアレイは、直列、即ち、カスケードに配された2以上のELIT領域の形でインプリメントすることができ、2以上のカスケード型のELITまたはELIT領域のそれぞれにおける対向する端部にあるイオン・ミラーは、各ELITまたは各ELIT領域で少なくとも1つのイオンを順に捕獲して、少なくとも2つのELITまたはELIT領域における捕獲されたイオン(1以上)をそれらの中に配された個々の電荷検出器を通って同時に前後に振動するようにさせ、捕獲したイオン(1以上)の質量対電荷比と電荷とが測定されるように、制御される。別の実施形態では、図6-10に関して下記で詳細に説明されるように、ELITアレイは、互いに対して並列に配された2以上のELITの形でインプリメントすることができる。イオン・ステアリング・アレイは、少なくとも1つのイオンを順にまたは同時に並列配置形のELITのそれぞれの中へ送るように制御することができ、その後、2以上のELITは、少なくとも2つのELIT内の捕獲されたイオン(1以上)が各ELIT内の電荷検出器を通って同時に前後に振動するようにさせ、捕獲されたイオン(1以上)の質量対電荷比と電荷とが測定されるように、制御される。
[0032] 図1を参照すると、イオン質量検出システム10が示されており、これは、制御および測定のコンポーネントが結合された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)アレイ14の実施形態を含む。例示の実施形態では、イオン質量検出システム10は、ELITアレイ14の取込口と動作可能に結合されたイオン・ソース12を含む。図5に関して説明するように、イオン・ソース12は、例として、サンプルからイオンを生成するための任意の従来のデバイスまたは装置を含み、また、イオンを分離、収集、フィルタリング、分解、および/または標準化するための1以上のデバイスおよび/または装置を更に含むことができる。何れの限定とも考慮すべきではない1つの例として、イオン・ソース12は、従来の質量分析装置の取込口に結合される従来のエレクトロスプレー・イオン化ソース、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)ソース、または他の同様のものを含むことができる。質量分析装置は、任意の従来の設計とすることができ、限定ではなく例として、飛行時間型(TOF)質量分析装置、反射型質量分析装置、フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析装置、四極質量分析装置、三連四極質量分析装置、磁気セクター型質量分析装置、または他の同様のものを含む。何れにしても、質量分析装置のイオン放出口は、ELITアレイ14のイオン取込口に動作可能に結合される。イオンの生成源となるサンプルは、任意の生物学的材料または他の材料とすることができる。
[0033] 例示の実施形態では、ELITアレイ14は、例として、3つのELITまたはELIT領域をカスケード型、即ち、直列型またはエンド・ツー・エンド型に配置した形で提供される。3つの個別の電荷検出器CD1、CD2、CD3のそれぞれは、それぞれのグランド・シリンダGC1-GC3により囲まれ、対向するミラー電極により共に動作可能に結合される。第1ミラー電極M1は、イオン・ソース12と電荷検出器CD1の一方の端部との間に動作可能に配置され、第2ミラー電極M2は、電荷検出器CD1の逆側の端部と電荷検出器CD2の一方の端部との間に動作可能に配置され、第3ミラー電極M3は、電荷検出器CD2の逆側の端部と電荷検出器CD3の一方の端部との間に動作可能に配置され、第4ミラー電極は、電荷検出器CD3の逆側の端部に動作可能に配置される。例示の実施形態では、イオン・ミラーM1-M3のそれぞれは、軸方向に隣接するイオン・ミラー領域R1、R2を定め、イオン・ミラーM4は、例として、1つのイオン・ミラー領域R1を定める。例として、第1ミラー電極M1の領域R2、電荷検出器CD1、第2ミラー電極M2の領域R1、およびCD1とミラー電極M1、M2との間の空間が共になってELITアレイ14の第1のELITまたはELIT領域E1を定め、第2ミラー電極M2の領域R2、電荷検出器CD2、第3ミラー電極M3の領域R1、およびCD2とミラー電極M2、M3との間の空間が共になってELITアレイ14の第2のELITまたはELIT領域E2を定め、第3ミラー電極M3の領域R2、電荷検出器CD3、ミラー電極M4の領域R1、およびCD3とミラー電極M3、M4との間の空間が共になってELITアレイ14の第3のELITまたはELIT領域E3を定める。幾つかの代替の実施形態では、ELITアレイ14が、より少ない数のカスケード型にされたELITまたはELIT領域、例えば、カスケード型にされた2つのELITまたはELIT領域を含み得ること、および、別の代替の実施形態では、ELITアレイ14が、より多くの数のカスケード型にされたELITまたはELIT領域、例えば、4つ以上のカスケード型にされたELITまたはELIT領域を含み得ることが、理解されるであろう。そのような任意の代替のELITアレイ14の構成および動作は、一般に、図1-4Eに例示され下記で説明される実施形態の構成および動作に従ったものとなる。
[0034] 例示の実施形態では、4つの対応する電圧源V1-V4が、イオン・ミラーM1-M4とそれぞれ電気的に接続される。それぞれの電圧源V1-V4は、例として、1以上の切り替え可能DC電圧源を含み、これは、複数Nのプログラマブルの又は制御可能な電圧を選択的に作り出すように制御またはプログラムすることができ、ここでのNは任意の正の整数とすることができる。このような電圧の例は、下記で詳細に説明するようにそれぞれのイオン・ミラーM1-M4の2つの異なる動作モードの1つを個別に且つ/又は共に確立するために、図2Aおよび2Bに関して下記で説明する。何れにしても、長手軸24は、電荷検出器CD1-CD3およびイオン・ミラーM1-M4の中央を通って延びて、長手軸24は、電圧源V1-V4により選択的に確立される電場の影響の下で、ELITアレイ14内でイオンが移動する理想的な移動パスおよびその複数部分を定める。
[0035] 電圧源V1-V4は、複数Pの信号経路により従来のプロセッサ16へ電気的に接続されているものとして例示されており、プロセッサ16は、命令を格納したメモリ18を含み、その命令がプロセッサ16により実行されると、プロセッサ16は電圧源V1-V4を制御して、それぞれのイオン・ミラーM1-M4の領域R1、R2内で電場を選択的に確立するために望まれるDC出力電圧を作り出させる。Pは任意の正の整数とすることができる。幾つかの代替の実施形態では、電圧源V1-V4のうちの1以上のものを、1以上の一定出力電圧を選択的に作り出すように、プログラマブルとすることができる。別の代替の実施形態では、電圧源V1-V4のうちの1以上のものを、任意の望まれる形状の時間変化する1以上の出力電圧を作り出すように、構成することができる。代替の実施形態では、より多くの又はより少ない数の電圧源を、ミラー電極M1-M4へ電気的に接続できることが、理解されるであろう。
[0036] それぞれの電荷検出器CD1-CD3は、3つの電荷感応型前置増幅器(charge sensitive preamplifier)CP1-CP3のうちの対応するものの1つの入力へ電気的に接続され、それぞれの電荷前置増幅器CP1-CP3の信号出力はプロセッサ16へ電気的に接続される。電荷前置増幅器CP1-CP3のそれぞれは、例として、電荷検出器CD1-CD3のそれぞれのものにより検出された検出信号を受け取り、それに対応する電荷検出信号を作り出してその電荷検出信号をプロセッサ16へ供給するように、従来の形で動作可能である。次に、プロセッサ16は、例として、電荷前置増幅器CP1-CP3のそれぞれにより作り出された電荷検出信号を受け取ってデジタル化し、デジタル化した電荷検出信号をメモリ18に格納するように、動作可能である。プロセッサ16は、更に、例として、プロセッサ16への信号入力(1以上)の提供のため、および/またはプロセッサ16から信号入力(1以上)を提供するために、1以上の周辺デバイス20(PD)へ結合される。幾つかの実施形態では、周辺デバイス20は、従来のディスプレイ・モニタ、プリンタ、および/または他の出力デバイスのうちの少なくとも1つを含み、そのような実施形態では、メモリ18は命令を格納し、その命令がプロセッサ16により実行されると、プロセッサ16は、1以上のそのような出力用周辺デバイス20を制御するようにされ、そりにより、格納されデジタル化された電荷検出信号の分析を表示および/または記録するようにさせる。幾つかの実施形態では、従来のマイクロチャンネル・プレート(MP)検出器22を、ELITアレイ14のイオン放出口、即ち、イオン・ミラーM4のイオン放出口に配置することができ、プロセッサ16へ電気的に接続することができる。そのような実施形態では、マイクロチャンネル・プレート検出器22は、プロセッサ16へ検出信号を供給するように動作し、これは検出されたイオンおよび/または中性物質(neutral)に対応する。
[0037] 下記で更に詳細に説明するが、電圧源V1-V4は、例として、イオンをイオン・ソース12からELITアレイ14内へ送らせるように制御され、これは、少なくとも1つのイオンを、3つの個別のELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中で振動するように、選択的に捕獲して閉じ込めて、それぞれの捕獲されたイオン(1以上)が、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれのものの電荷検出器CD1-CD3のそれぞれものの中を反復して通過するようにする。複数の電荷および振動期間の値が、それぞれの電荷検出器CD1-CD3で測定され、記録された結果が処理されて、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれに捕獲されたイオン(1以上)についての質量対電荷比と質量との値が決定される。限定ではないが、3つのELITまたはELIT領域E1-E3の寸法、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中でのイオンのイオン振動周波数および滞留時間を含む複数のファクタに応じて、捕獲されたイオン(1以上)は、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のうちの少なくとも2つの中で同時に振動し、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中での典型的な実装では、イオンの電荷および質量対電荷比の測定は、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のうちの少なくとも2つから同時に制御することができるようにされる。
[0038] ここで図2Aおよび2Bを参照すると、図1のELITアレイ14のイオン・ミラーMXのうちの1つのものの実施形態が示されており、ここではX=1-4であり、その構成および動作を例示している。図2Aおよび2Bのそれぞれにおいて、例示のイオン・ミラーMXは、カスケード型に配置した7つの間隔を空けられた導電型のミラー電極を含む。イオン・ミラーM2-M4のそれぞれに関して、第1電極30は、電荷検出器CDX-1の個々のものの周りに配されるグランド・シリンダGCX-1により形成される。他方、イオン・ミラーM1の第1電極30は、イオン・ソース12(IS)のイオン放出口により、またはイオン・ソース12とELITアレイ14との間のイオン・フォーカシングまたは遷移ステージの一部として、形成される。図2Bは前者を例示し、図2Aは後者を例示する。何れにしても、第1ミラー電極30は、その中央を通る開口A1を定め、これは、対応するイオン・ミラーMXへのイオン取込口および/または対応するイオン・ミラーMXからのイオン放出口として働く。開口A1は、例として、形状が円錐形であり、これは、GCX-1またはISの内側面と外側面との間で、GCX-1またはISの内側面で定められる第1直径P1からGCX-1またはISの外側面での拡張された第2直径P2まで、線形的に大きくなる。第1ミラー電極30は、例として、D1の厚さを有する。
[0039] イオン・ミラーMXの第2ミラー電極30は、第1ミラー電極30から間隔が空けられており、直径P2のそれを通る通路を定める。第3ミラー電極30は、第2ミラー電極30から間隔が空けられており、同様に、直径P2のそれを通る通路を定める。第2および第3ミラー電極30および30は、例として、D2≧D1の等しい厚さを有する。第4ミラー電極30は、第3ミラー電極30から間隔が空けられている。第4ミラー電極30は、直径P2のそれを通る通路を定め、例として、D3≒3D2の厚さを有する。プレートまたはグリッド30Aは、例として、第4ミラー電極30の通路内で中央に配され、それを通る直径P3の中央開口CAを定める。例示の実施形態では、P3<P1であるが、他の実施形態では、P3をP1より大きく又はP1と等しくすることができる。第5ミラー電極30は、第4ミラー電極30から間隔が空けられており、第6ミラー電極30は、第5ミラー電極30から間隔が空けられている。例として、第5および第6ミラー電極30および30は、第3および第2ミラー電極30および30と、それぞれ、同じである。
[0040] イオン・ミラーM1-M3のそれぞれについて、第7ミラー電極30は、電荷検出器CDの個々のものの周りに配されるグランド・シリンダGCにより形成される。他方、イオン・ミラーM4の第7ミラー電極30は、順番の最後なので、独立型電極とすることができる。何れにしても、第7ミラー電極30は、その中央を通る開口A2を定め、これは、イオン・ミラーMXへのイオンの入口および/またはイオン・ミラーMXからのイオンの出口として働く。開口A2は、例として、開口A1のミラー・イメージであり、円錐形であり、これは、GCの外側面と内側面との間で、GCの外側面で定められる拡張された直径P2からGCの内側面での減少された直径P1まで、線形的に小さくなる。第7ミラー電極30は、例として、D1の厚さを有する。幾つかの実施形態では、図1の例で示すように、順番の最後のイオン・ミラー、即ち、図2のM4は、プレートまたはグリッド30Aで終わるようにすることができ、M4が、ミラー電極30-30のみ及びプレートまたはグリッド30Aを含むミラー電極30の一部のみを含むようにできる。そのような実施形態では、M4の中央開口CAは、ELITアレイ14からのイオン出口通路を定める。
[0041] ミラー電極30-30は、例として、互いに等しく空間S1だけ間隔が空けられている。ミラー電極30-30のこのような空間S1は、幾つかの実施形態では空所、即ち、真空ギャップとすることができ、別の実施形態では、このような空間S1は、1以上の非導電性、即ち、絶縁性の材料で満たすことができる。ミラー電極30-30は、軸方向にアライメントされ、従って、共線上にあるものされ、長手軸24が、それぞれのアライメントされた通路の中央を通り、また、開口A1、A2、およびCAの中央を通るようにされる。空間S1が1以上の非導電性材料を含む実施形態では、そのような材料は、同様に、それらを通るそれぞれの通路を定め、それらの通路は、ミラー電極30-30を通して定められた通路と軸方向にアライメントされ、従って、共線上にあるものとされ、P2以上の直径を有する。
[0042] イオン・ミラーM1-M4のそれぞれにおいて、領域R1は、ミラー電極30の開口A1とプレートまたはグリッド30Aを通して定められた中央開口CAとの間に定められる。イオン・ミラーM1-M3のそれぞれにおいて、隣接する領域R2は、プレートまたはグリッド30Aを通して定められた中央開口CAとミラー電極30の開口A2との間に定められる。
[0043] ELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中で、それぞれが長い導電性のシリンダの形である電荷検出器CD1-CD3のそれぞれは、イオン・ミラーM1-M4の対応するものの間に配され、空間S2だけ間隔を空けられている。例として、S2>S1であるが、代替の実施形態ではS2をS1以下とすることができる。何れにしても、電荷検出シリンダCD1-CD3のそれぞれは、例として、それを軸方向に通る直径P4の通路を定め、電荷検出シリンダCD1-CD3のそれぞれは、その通路の中央を通って長手軸24が延びるように、イオン・ミラーM1-M4に対して向きを定められる。例示の実施形態では、P1<P4<P2であるが、代替の実施形態では、P4の直径は、P1以下、またはP2以上とすることができる。電荷検出シリンダCD1-CD3のそれぞれは、例として、グランド・シリンダGC-GCの個々のものの無場(field-free)領域内に配され、グランド・シリンダGC-GCのそれぞれは、上述のように、イオン・ミラーM1-M4の個々のものの間に配されてその一部を形成る。動作において、グランド・シリンダGC-GCは、例として、第1および第7電極30および30が常に接地電位であるように電位を接地するように、制御される。幾つかの代替の実施形態では、イオン・ミラーM1-M4の1以上のものにおける第1および第7電極30および30の何れか又は双方を、任意の望ましいDC基準電位に設定することができ、別の代替の実施形態では、イオン・ミラーM1-M4の1以上のものにおける第1および第7電極30および30の何れか又は双方を、切り替え可能なDCまたは他の時変の電圧源へ電気的に接続することができる。
[0044] 以前に簡単に説明したように、電圧源V1-V4は、例として、イオン・ソース12からELITアレイ14内へイオンが送られるように、および少なくとも1つのイオンが、3つの個別のELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中に選択的に捕獲され閉じ込められて振動するようにされ、それぞれの捕獲したイオン(1以上)が、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれのものにおける電荷検出器CD1-CD3のそれぞれのものを反復して通過するように、制御される。電荷と振動期間との値は、電荷検出器CD1-CD3のそれぞれで、それをそれぞれの振動するイオン(1以上)が通過する毎に、測定される。測定値は記録され、記録された結果は処理されて、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれに捕獲されたイオン(1以上)についての質量対電荷比と質量の値とが決定される。
[0045] ELITアレイ14のELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中において、イオン・ミラーM1-M4の領域R1、R2の中でイオン透過電場とイオン反射電場とを選択的に確立するように電圧源V1-V4を制御することにより、少なくとも1つのイオンが捕獲され、個々のイオン・ミラーM1-M4の対向する領域の間で振動するようにされる。この点について、各電圧源VXは、例として、1つの実施形態では、7つのDC電圧DC1-DC7を作り出すように、そして、電圧DC1-DC7のそれぞれをそれぞれのイオン・ミラーMXのミラー電極30-30の個々のものへ供給するように、構成される。ミラー電極30-30の1以上のものが常に接地電位を保持するようにされる幾つかの実施形態では、1以上のそのようなミラー電極30-30は、代わりに、電圧供給源VXの接地基準へ電気的に接続することができ、対応する1以上の電圧出力DC1-DC7を省くことができる。代替的に又は更に、ミラー電極30-30の任意の2以上のものが同じ非ゼロDC値へと制御される実施形態では、任意のそのような2以上のミラー電極30-30を、電圧出力DC1-DC7の1つのものへ電気的に接続することができ、出力電圧DC1-DC7の余分なものを省くことができる。
[0046] 図2Aおよび2Bの例により示したように、各イオン・ミラーMXは、電圧DC1-DC7を選択的に印加することにより、電圧源VXにより作り出される電圧DC1-DC7がイオン・ミラーMXの領域R1、R2のそれぞれにおいてイオン透過電場を確立するイオン透過モード(図2A)と、電圧源VXにより作り出される電圧DC1-DC7がイオン・ミラーMXの領域R1、R2のそれぞれにおいてイオン・トラッピングまたは反射電場を確立するイオン反射モード(図2AB)との間での制御が、可能である。イオン透過モードでは、図2Aの例により示されるように、イオン・ミラーMXの領域R1内にイオン透過電場TEF1を確立するように、およびイオン・ミラーMXの領域R2内に別のイオン透過電場TEF2を確立するように、電圧DC1-DC7が選択される。イオン透過電場TEF1およびTEF2は、例として、イオン・ミラーMX内で中央の長手軸24の方へイオンを焦点合わせするようにして、イオン・ミラーMXの領域R1、R2の双方を通る何れもの方向に移動するイオンの加速も行いつつ、ELITアレイ14を通して軸24に沿った狭いイオン軌道を維持するように、確立される。イオン反射モードでは、図2Bの例により示されるように、イオン・ミラーMXの領域R1内にイオン・トラッピングまたは反射電場REF1を確立するように、およびイオン・ミラーMXの領域R2内に別のイオン・トラッピングまたは反射電場REF2を確立するように、電圧DC1-DC7が選択される。イオン・トラッピングまたは反射電場REF1およびREF2は、例として、MXの中央開口CAへ向けてそれぞれの領域R1、R2内へ軸方向に移動する1以上のイオンが向きを逆にされ、中央開口CAから軸方向に離れる反対方向に反射電場REF1、REF2により透過させられるように、確立される。イオン反射電場REF1、REF2のそれぞれはこれを行うが、そのために、最初に、1以上のイオンを減速させ停止させ、即ち、トラッピングし、イオン・ミラーMXの個々の領域R1、R2内へ移動させ、次に、そのような1以上のイオンを個々の領域R1、R2を通って反対方向へ戻すように加速して、1以上のイオンが個々の領域R1、R2へ入ってきた反対方向へ1以上のイオンが個々の領域R1、R2から離れるように移動させられる。すなわち、中央の長手軸24に沿って電荷検出シリンダCDX-1からイオン・ミラーMXの領域R1内へと移動するイオンは、反射電場REF1により、中央の長手軸24に沿って電荷検出シリンダCDX-1の中へ向けて逆の方へ反射され、また、中央の長手軸24に沿って電荷検出シリンダCDXからイオン・ミラーMXの領域R2内へと移動する別のイオンは、反射電場REF2により、中央の長手軸24に沿って電荷検出シリンダCDXの中へ向けて逆の方へ反射される。電圧源V1-V4のそれぞれにより、イオン・ミラーM1-M4のうちの対応するものを上述のイオン透過モードおよびイオン反射モードへと制御するために作り出される出力電圧DC1-DC7のセットの例が、下記の表1に示されている。DC1-DC7の下記の値が単なる例として提供されていること、およびDC1-DC7のうちの1以上のもので他の値を代替的に使用できることは、理解されるであろう。
Figure 2022549667000002
[0047] ここで図3を参照すると、イオン・ミラーM1-M4を、それらの上述の透過モードと反射モードとの間で選択的および順に制御するように、電圧源V1-V4を制御するプロセス100の簡素化したフローチャートが示されており、これは、イオンがイオン・ソース12からELITアレイ14内へ送られるようにし、次に、順に、少なくとも1つのイオンが3つの個別のELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれの中で選択的に捕獲され閉じ込められて振動するようにされ、それぞれの捕獲されたイオン(1以上)が、3つのELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれのものの電荷検出器CD1-CD3のそれぞれのものを反復して通過するようにされる。電荷および振動期間の値は、電荷検出器CD1-CD3のそれぞれで、それぞれの振動するイオン(1以上)がその中を通過するたびに、測定され記録され、次に、記録されたデータに基づいて、イオン質量値が決定される。例示の実施形態では、プロセス100は、例として、命令の形でメモリ18に格納され、命令がプロセッサ16により実行されると、プロセッサ16に、以前に述べた機能を実行させる。電圧源V1-V4のうちの1以上のものがプロセッサ16から独立してプログラマブルである代替の実施形態では、プロセス100の1以上の特徴は、その一部または全てが、1以上のそのようなプログラマブルの電圧源V1-V4により実行され得る。しかし、この開示の目的のために、プロセス100は、プロセッサ16のみにより実行されるものとして説明する。図4A-4Eを補助的に用いて、プロセス100を1以上の正の電荷のイオンに作用するものとして説明するが、代替的には、プロセス100が1以上の負の電荷のイオンに作用し得ることが理解されるであろう。
[0048] 図4Aを参照すると、プロセス100はステップ102で開始し、ここで、プロセッサ16は、電圧DC1-DC7のそれぞれを設定するように電圧源V1-V4を制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM1-M4の全てをイオン透過モードで動作させて、それぞれの個々の領域R1、R2で確立された透過電場TEF1、TEF2が、それを通してイオンを加速させて通過させるように動作させる。1つの例示の実施形態では、電圧源V1-V4は、例として、プロセス100のステップ102で、上記の表1に示すように全パス透過モードに従って電圧DC1-DC7を作り出すように、制御される。何れの場合でも、イオン透過モードで動作するようにイオン・ミラーM1-M4を制御するようにステップ102で設定された電圧源V1-V4のそれぞれを用いると、図4Aに描かれた例示のイオン軌道50で示すように、イオン・ソース12からM1へ入るイオンは、イオン・ミラーM1-M4の全てと電荷検出器CD1-CD3の全てとを通過し、M4から出る。イオン・ミラーM1-M4をそれらのそれぞれの透過モードにするそのような制御は、従って、図4Aに示すように、1以上のイオンをイオン・ソース12からELITアレイ14全体内へと引き出す。図4Aに描かれたイオン軌道50は、例として、1つのイオンまたは一群のイオンを表すことができる。
[0049] ステップ102に続いて、プロセス100はステップ104へ進み、ここで、プロセッサ16は、一時停止して、いつステップ106へ進むかを決定するように動作可能である。ステップ102の1つの実施形態では、ELITアレイ14は、例として、「ランダム・トラッピング・モード」で制御され、このモードでは、イオン・ソース12により生成された1以上のイオンがELITアレイ14へ入ってその中を移動することが期待される選択された時間期間だけ、イオン・ミラーM1-M4はそれらの透過モードで維持される。限定ではない1つの例として、ランダム・トラッピング・モードで動作するときの、プロセッサ16がステップ106へ進む前にステップ104で消費する選択された時間期間は、ELITアレイ14の軸方向の長さおよびELITアレイ14へ入るイオンの速度に応じて、1-3ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が3msより長い場合や1msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ104のNO分岐をたどり、ループしてステップ104の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ104のYES分岐をたどり、ステップ106へ進む。マイクロチャンネル・プレート検出器22含む実施形態のような、ステップ104の幾つかの代替の実施形態では、プロセッサ16は、検出器22により1以上のイオンが検出された後にのみ、更なる追加の遅延期間を伴って又は伴わずに、ステップ106へ進むようにして、ステップ106へ進む前にイオンがELITアレイ14を透過していることを保証するように、構成することができる。他の代替の実施形態では、ELITアレイ14は、例として、プロセッサ16により「トリガ・トラッピング・モード」で制御することができ、このモードでは、電荷検出器CD3で少なくとも1つのイオンが検出されるまで、イオン・ミラーM1-M4はそれらの透過モードで保持される。そのような検出まで、プロセス100は、ステップ104のNO分岐をたどり、ループしてステップ104の開始へ戻る。プロセッサ16による電荷検出器CD3での少なくとも1つのイオンの検出は、イオン・ミラーM4へ向けて電荷検出器CD3を通過する少なくとも1つのイオンを示すものであり、プロセッサ16にステップ104のYES分岐をたどらせてプロセス100のステップ106へ進ませるトリガ・イベントとして働く。
[0050] ステップ104のYES分岐に続いて、そして、図4Bを参照すると、プロセッサ16は、ステップ106で、電圧源V4を、その出力電圧DC1-DC7を設定するように制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM4の動作を、イオン透過モードの動作から、M4の領域R1内にイオン反射電場R4が確立されるイオン反射モードの動作へと変更または切り替えるようにする。イオン反射電場R4は、上述のように、M4の領域R1へ入ってくる1以上のイオンを、図2Bに関して以前に説明したように、イオン・ミラーM3の方へ(そして電荷検出器CD3を通るように)戻すように反射するように動作する。電圧源V1-V3により作り出された出力電圧DC1-DC7は、それぞれ、ステップ106では変化せず、従って、イオン・ミラーM1-M3のそれぞれはイオン透過モードにとどまる。結果として、ELITアレイ14内をイオン・ミラーM4の方へ移動する1以上のイオンは、イオン・ミラーM3の方へ反射されて戻され、図4Bに例示するイオン軌道50で示されるように、軸24に沿ってM1のイオン取込口の方へ透過するようにされる。
[0051] ステップ106に続いて、プロセス100はステップ108へ進み、ここで、プロセッサ16は、一時停止して、いつステップ110へ進むかを決定するように動作可能である。ELITアレイ14がプロセッサ16によりランダム・トラッピング・モードで制御されるステップ108の実施形態では、ステップ108で、イオン・ミラーM1-M3は、1以上のイオンがELITまたはELIT領域E3へ入り得る選択された時間期間の間は、それらの透過モードで保持される。限定ではない1つの例として、ランダム・トラッピング・モードで動作するときの、プロセッサ16がステップ110へ進む前にステップ108で消費する選択された時間期間は、0.1ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が0.1msより長い場合や0.1msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ108のNO分岐をたどり、ループしてステップ108の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ108のYES分岐をたどり、ステップ110へ進む。ELITアレイ14がトリガ・トラッピング・モードでプロセッサ16により制御されるステップ108の代替の実施形態では、イオン・ミラーM1-M3は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD3で検出されるまで、それらのイオン透過モードで保持される。そのような検出まで、プロセス100は、ステップ108のNO分岐をたどり、ループしてステップ108の開始へ戻る。プロセッサ16による電荷検出器CD3での少なくとも1つのイオンの検出は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD3を通って移動していることを保証し、プロセッサ16にステップ108のYES分岐をたどらせてプロセス100のステップ110へ進ませるトリガ・イベントとして働く。
[0052] ステップ108のYES分岐に続いて、そして、図4Cを参照すると、プロセッサ16は、ステップ110で、電圧源V3を、その出力電圧DC1-DC7を設定するように制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM3の動作を、イオン透過モードの動作から、M3の領域R1内にイオン反射電場R3が確立され、M3の領域R2内にイオン反射電場R3が確立されるイオン反射モードの動作へと、変更または切り替えるようにする。結果として、少なくとも1つのイオンがELITまたはELIT領域E3にトラップされ、ミラーM3の領域R2内とミラーM4の領域R1内とにそれぞれ確立される反射電場R3およびR4に起因して、少なくとも1つのトラップされたイオンは、、M3とM4との間で振動して、毎回、図4Cに例示するイオン軌道50で示されるように電荷検出シリンダCD3を通過する。少なくとも1つのイオンが電荷検出シリンダCD3を通過するたびに、これはシリンダCD3で電荷を誘導し、これは電荷前置増幅器CP3(図1を参照)により検出される。ステップ112で、少なくとも1つのイオンがイオン・ミラーM3、M4の間で及び電荷検出シリンダCD3を通って前後に振動すると、プロセッサ16は、それぞれのそのようなCD3電荷検出イベントの振幅およびタイミングを記録し、それをメモリ18に格納するように動作可能である。
[0053] 上述のように、イオン反射電場R3は、M3の領域R1へ入ってくる1以上のイオンを、図2Bに関して以前に説明したように、反対にイオン・ミラーM2の方へ向けて(および電荷検出器CD2を通るように)反射するように、動作する。電圧源V1-V2のそれぞれにより作り出される出力電圧DC1-DC7は、ステップ110および112では変化せず、従って、イオン・ミラーM1-M2のそれぞれはイオン透過モードにとどまる。結果として、イオン・ミラーM3へ向けてELITアレイ14内を移動する1以上のイオンは、図4Cに例示するイオン軌道501,2で示されるように、イオン・ミラーM2の方へ戻されるように反射され、M1のイオン取込口の方へ軸24に沿って透過する。
[0054] ステップ110および112に続いて、プロセス100はステップ114へ進み、ここで、プロセッサ16は、一時停止して、いつステップ116へ進むかを決定するように動作可能である。ELITアレイ14がプロセッサ16によりランダム・トラッピング・モードで制御されるステップ114の実施形態では、ステップ114で、イオン・ミラーM1-M2は、1以上のイオンがELITまたはELIT領域E2へ入り得る選択された時間期間の間は、それらの透過モードで保持される。限定ではない1つの例として、ランダム・トラッピング・モードで動作するときの、プロセッサ16がステップ116へ進む前にステップ114で消費する選択された時間期間は、0.1ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が0.1msより長い場合や0.1msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ114のNO分岐をたどり、ループしてステップ108の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ114のYES分岐をたどり、ステップ116へ進む。ELITアレイ14がトリガ・トラッピング・モードでプロセッサ16により制御されるステップ114の代替の実施形態では、イオン・ミラーM1-M2は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD2で検出されるまで、それらのイオン透過モードで保持される。そのような検出まで、プロセス100は、ステップ114のNO分岐をたどり、ループしてステップ114の開始へ戻る。プロセッサ16による電荷検出器CD2での少なくとも1つのイオンの検出は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD2を通って移動していることを保証し、プロセッサ16にステップ114のYES分岐をたどらせてプロセス100のステップ116へ進ませるトリガ・イベントとして働く。
[0055] 上述のように、イオン反射電場R2は、M2の領域R1へ入ってくる1以上のイオンを、図2Bに関して以前に説明したように、反対にイオン・ミラーM1の方へ向けて(および電荷検出器CD1を通るように)反射するように、動作する。電圧源V1により作り出される出力電圧DC1-DC7は、ステップ116および118では変化せず、従って、イオン・ミラーM1はイオン透過モードにとどまる。結果として、イオン・ミラーM2へ向けてELITアレイ14内を移動する1以上のイオンは、図4Dに例示するイオン軌道50で示されるように、イオン・ミラーM1の方へ戻されるように反射され、M1のイオン取込口の方へ軸24に沿って透過する。
[0056] ステップ114のYES分岐に続いて、そして、ELITまたはELIT領域E3内の少なくとも1つのイオンがイオン・ミラーM3とM4との間で電荷検出シリンダCD3通って前後の振動を継続すると、プロセス100はステップ116へ進む。図4Dを参照すると、ステップ116で、プロセッサ16は、電圧源V2を、その出力電圧DC1-DC7を設定するように制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM2の動作を、イオン透過モードの動作から、M2の領域R1内にイオン反射電場R2が確立され、M2の領域R2内にイオン反射電場R2が確立されるイオン反射モードの動作へと、変更または切り替えるようにする。結果として、少なくとも1つのイオンがELITまたはELIT領域E2にトラップされ、ミラーM2の領域R2内とミラーM3の領域R1内とにそれぞれ確立される反射電場R2およびR3に起因して、少なくとも1つのトラップされたイオンは、M2とM3との間で振動して、毎回、図4Dに描かれたイオン軌道50で例示されるように電荷検出シリンダCD2を通過する。少なくとも1つのイオンが電荷検出シリンダCD2を通過するたびに、これはシリンダCD2で電荷を誘導し、これは電荷前置増幅器CP2(図1を参照)により検出される。ステップ118で、少なくとも1つのイオンがイオン・ミラーM2、M3の間で及び電荷検出シリンダCD2を通って前後に振動すると、プロセッサ16は、それぞれのそのようなCD2電荷検出イベントの振幅およびタイミングを記録し、それをメモリ18に格納するように動作可能である。即ち、ステップ116に続いて、少なくとも1つのイオンが、イオン・ミラーM3とM4との間で、ELITまたはELIT領域E3の電荷検出シリンダCD3を通って前後に振動し、同時に、少なくとも1つの別のイオンが、イオン・ミラーM2とM3との間で、ELITまたはELIT領域E2の電荷検出シリンダCD2を通って前後に振動する。
[0057] ステップ116および118に続いて、プロセス100はステップ120へ進み、ここで、プロセッサ16は、一時停止して、いつステップ122へ進むかを決定するように動作可能である。ELITアレイ14がプロセッサ16によりランダム・トラッピング・モードで制御されるステップ120の実施形態では、ステップ120で、イオン・ミラーM1は、1以上のイオンがELITまたはELIT領域E1へ入り得る選択された時間期間の間は、その透過モードで保持される。限定ではない1つの例として、ランダム・トラッピング・モードで動作するときの、プロセッサ16がステップ122へ進む前にステップ120で消費する選択された時間期間は、0.1ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が0.1msより長い場合や0.1msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ120のNO分岐をたどり、ループしてステップ120の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ120のYES分岐をたどり、ステップ122へ進む。ELITアレイ14がトリガ・トラッピング・モードでプロセッサ16により制御されるステップ120の代替の実施形態では、イオン・ミラーM1は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD1で検出されるまで、そのイオン透過モードで保持される。そのような検出まで、プロセス100は、ステップ120のNO分岐をたどり、ループしてステップ120の開始へ戻る。プロセッサ16による電荷検出器CD1での少なくとも1つのイオンの検出は、少なくとも1つのイオンが電荷検出器CD1を通って移動していることを保証し、プロセッサ16にステップ120のYES分岐をたどらせてプロセス100のステップ122へ進ませるトリガ・イベントとして働く。
[0058] ステップ120のYES分岐に続いて、ELITまたはELIT領域E3内の少なくとも1つのイオンが、イオン・ミラーM3とM4との間で電荷検出シリンダCD3を通って前後に振動を継続し、また、ELITまたはELIT領域E2内の少なくとも1つの別のイオンが、イオン・ミラーM2とM3との間で電荷検出シリンダCD2を通って前後に振動を同時に継続すると、プロセス100はステップ122へ進む。図4Eを参照すると、ステップ122で、プロセッサ16は、電圧源V1を、その出力電圧DC1-DC7を設定するように制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM1の動作を、イオン透過モードの動作から、M1の領域R1内にイオン反射電場R1が確立され、M1の領域R1内にイオン反射電場R1が確立されるイオン反射モードの動作へと、変更または切り替えるようにする。結果として、少なくとも1つのイオンがELITまたはELIT領域E1にトラップされ、ミラーM1の領域R2内とミラーM2の領域R2内とにそれぞれ確立される反射電場R1およびR2に起因して、少なくとも1つのトラップされたイオンは、M1とM2との間で振動し、毎回、図4Eに描かれたイオン軌道50で例示されるように電荷検出シリンダCD1を通過する。少なくとも1つのイオンが電荷検出シリンダCD1を通過するたびに、これはシリンダCD1で電荷を誘導し、これは電荷前置増幅器CP1(図1を参照)により検出される。ステップ124で、少なくとも1つのイオンがイオン・ミラーM1、M2の間で及び電荷検出シリンダCD1を通って前後に振動すると、プロセッサ16は、それぞれのそのようなCD1電荷検出イベントの振幅およびタイミングを記録し、それをメモリ18に格納するように動作可能である。即ち、ステップ122に続いて、少なくとも1つのイオンが、イオン・ミラーM3とM4との間で、ELITまたはELIT領域E3の電荷検出シリンダCD3を通って前後に振動し、同時に、少なくとも1つの別のイオンが、イオン・ミラーM2とM3との間で、ELITまたはELIT領域E2の電荷検出シリンダCD2を通って前後に振動し、また、同時に、少なくとも1つの別のイオンが、イオン・ミラーM1とM2との間で、ELITまたはELIT領域E1の電荷検出シリンダCD1を通って前後に振動する。
[0059] ステップ122および124に続いて、プロセス100はステップ126へ進み、ここで、プロセッサ16は、一時停止して、いつステップ128へ進むかを決定するように動作可能である。1つの実施形態では、プロセッサ16は、電荷検出器CD1-CD3のそれぞれによるイオン検出イベントがプロセッサ16により記録される選択された時間期間、即ち、合計イオン・サイクル測定時間、ELITまたはELIT領域E1-E3のそれぞれを通って同時にイオンが前後に振動することを可能とするように、構成、即ち、プログラムされる。限定ではない1つの例として、プロセッサ16がステップ128へ進む前にステップ126で消費する選択された時間期間は、100-300ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が300msより長い場合や100msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ126のNO分岐をたどり、ループしてステップ126の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ126のYES分岐をたどり、ステップ128および140へ進む。プロセス100の幾つかの代替の実施形態では、電圧源V1-V4は、例として、ステップ126で、イオン(1以上)が、電荷検出器CD1-CD3のそれぞれによるイオン検出イベントがプロセッサ16により記録される測定サイクルの選択された回数だけ、即ち、合計数だけ、電荷検出器CD1-CD3を通って前後に振動することを可能とするように、プロセッサ16により制御され得る。プロセッサが、電荷検出器CD1-CD3の1以上のものの選択された数のイオン検出イベントを数えるまで、プロセス100は、ステップ126のNO分岐をたどり、ループしてステップ126の開始へ戻る。選択された数のイオン検出イベントがプロセッサ16により検出されたことは、プロセッサ16にステップ126のYES分岐をたどらせてプロセス100のステップ128および140へ進ませるトリガ・イベントとして働く。
[0060] ステップ126のYES分岐に続いて、ステップ128で、プロセッサ16は、電圧源V1-V4を、それぞれの出力電圧DC1-DC7を設定するように制御するように動作可能であり、イオン・ミラーM1-M4の全ての動作を、イオン反射モードの動作から、イオン・ミラーM1-M4のそれぞれがその中をイオンが通過することを許可するように動作するイオン透過モードの動作へと、変更または切り替えるようにする。例として、プロセス100のステップ128で、電圧源V1-V4は、例として、上記の表1に例示する全パス透過モードに従って電圧DC1-DC7を作り出すように制御され、これは図4Aに例示するイオン軌道50を再確立し、ここでは、(i)ELITアレイ14内の全イオンが、ELITアレイ14を通して及びその外でイオン・ミラーM1-M4のそれぞれに確立されたイオン透過電場TEF1、TEF2の影響の下で透過し、(ii)イオン・ソース12からM1へ入る全イオンが、イオン・ミラーM1-M4の全て及び電荷検出器CD1-CD3の全てを通過する。
[0061] ステップ128に続いて、ステップ130で、ELITアレイ14内に含まれるイオンがELITアレイ14から外へ透過することを可能とするように、選択された時間期間だけ一時停止するように動作可能である。限定ではない1つの例として、プロセッサ16がプロセス100を再スタートするためにステップ102へループして戻る前にステップ130で消費する選択された時間期間は、1-3ミリ秒(ms)のオーダーであるが、他の実施形態ではこのような選択された時間期間が3msより長い場合や1msより短い場合があり得ることが理解されるであろう。選択された時間期間が経過するまで、プロセス100は、ステップ130のNO分岐をたどり、ループしてステップ130の開始へ戻る。選択された時間期間が経過した後、プロセス100はステップ130のYES分岐をたどり、ステップ102へループして戻り、プロセス100を再スタートする。
[0062] また、ステップ126のYES分岐に続いて、プロセス100は更にステップ140へ進み、先ほど説明したプロセス100のステップ112、118、および124の間に収集したデータを分析する。例示の実施形態では、データ分析ステップ140は、例として、ステップ142を含み、そこでは、プロセッサ16が、電荷前置増幅器CP1-CP3のそれぞれに提供され格納された電荷検出信号の記録されたセットのフーリエ変換を計算するように動作可能である。例として、プロセッサ16は、限定ではなく例として、従来の高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムなどのような任意の従来のデジタル・フーリエ変換(DTF)技術を用いて、ステップ142を実行するように動作する。何れにしても、プロセッサ16は、ステップ142で、3つのフーリエ変換、FT、FT、およびFTを計算するように動作可能であり、FTは、第1電荷前置増幅器CP1により提供され記録された電荷検出信号のセットのフーリエ変換であり、従って、ELITまたはELIT領域E1の電荷検出シリンダCD1により検出された電荷検出イベントに対応し、FTは、第1電荷前置増幅器CP2により提供され記録された電荷検出信号のセットのフーリエ変換であり、従って、ELITまたはELIT領域E2の電荷検出シリンダCD2により検出された電荷検出イベントに対応し、FTは、第1電荷前置増幅器CP3により提供され記録された電荷検出信号のセットのフーリエ変換であり、従って、ELITまたはELIT領域E3の電荷検出シリンダCD3により検出された電荷検出イベントに対応する。
[0063] ステップ142に続いて、プロセス100はステップ144へ進み、そこで、プロセッサ16は、イオンの質量対電荷比の値(m/z、m/z、m/z)と、イオンの電荷の値(z、z、z)と、イオンの質量の値(m、m、m)との3つのセットを、それぞれ、計算されたフーリエ変換の値(FT、FT、FT)の個々のものの関数として、計算するように動作可能である。その後、ステップ146で、プロセッサ16は、計算された結果をメモリ18へ格納するように、および/または観察および/または更なる分析のために結果を表示するために周辺デバイス20の1以上のものを制御するように、動作可能である。
[0064] ELITまたはELIT領域E1-E3の何れかの中の対向するイオン・ミラーの間で前後に振動するイオン(1以上)の質量対電荷比(m/z)は、下記の式
m/z=C/ff
に従って、振動するイオン(1以上)の基本振動数ffの二乗に反比例することが、一般に理解され、ここで、Cは、イオン・エルルギの関数であり、また個々のELITまたはELIT領域の寸法の関数である定数であり、基本振動数ffは、それぞれの計算されたフーリエ変換から直接に決定される。即ち、ffはFTの基本振動数であり、ffはFTの基本振動数であり、ffはFTの基本振動数である。典型的に、Cは、従来のイオン軌道シミュレーションを用いて決定される。何れにしても、イオン電荷の値zは、イオン振動サイクルの数を考慮する、FTの大きさFTMAGに比例する。次に、イオン質量mが、m/zとzの積として計算される。即ち、第1電荷前置増幅器CP1により提供され記録された電荷検出信号のセットに関して、プロセッサ16は、ステップ144で、m/z=C/ff と、z=F(FTMAG1)と、m=(m/z)(z)とを計算するように動作可能である。第2電荷前置増幅器CP2により提供され記録された電荷検出信号のセットに関して、プロセッサ16は、同様に、ステップ144で、m/z=C/ff と、z=F(FTMAG2)と、m=(m/z)(z)とを計算するように動作可能であり、第3電荷前置増幅器CP3により提供され記録された電荷検出信号のセットに関して、プロセッサ16は、同様に、ステップ144で、m/z=C/ff と、z=F(FTMAG3)と、m=(m/z)(z)とを計算するように動作可能である。
[0065] ここで図5Aを参照すると、イオン分離装置60の実施形態の簡素化したブロック図が示されており、これは、ここで例示され説明されるELITアレイ14、205、302の任意のものを含むことができ、これは、ここで例示され説明されるイオン質量検出システム10、200、300の任意のものを含むことができ、これは、ELITアレイ(1以上)の上流側のイオン・ソース12の一部を形成し得る任意の数のイオン処理装置を含むことができ、且つ/又は、これは、ELITアレイ(1以上)から出で行くイオン(1以上)を更に処理するためにELITアレイ(1以上)の下流側に配される任意の数のイオン処理装置を含むことができる。この点に関して、図5Aでは、イオン・ソース12は、イオン・ソース12であり得るか又はイオン・ソース12の一部を形成し得るものである数Qのイオン・ソース段IS-ISを含むものとして例示されている。代替的に又は更に、図5Aには、イオン処理装置70は、ELITアレイ14、205、302のイオン放出口へ結合されるものとして例示されており、イオン処理装置70は、任意の数のイオン処理段OS-OSを含むことができ、Rは任意の正の整数とすることができる。
[0066] イオン・ソース12に焦点を合わせると、イオンをフィルタリングする(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷比、イオン移動度、イオン保持時間などのような、1以上の分子特性に従って行う)ため、イオンを分解または分離するため、イオン電荷状態を標準化するため、およびこれらのようなことのために、ELIT10へ入るイオンのソース12が、イオン・ソース段IS-ISの1以上のものの形で、イオンの従来のソースであり得るか又はイオンの従来のソースを含み得ること、および1以上の分子特性に従って(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷比、イオン移動度、イオン保持時間などに従って)イオンを分離するための1以上の従来の装置、および/またはイオンを収集および/または格納するための1以上の従来のイオン処理装置(例えば、1以上の四重極イオン・トラップ、六重極イオン・トラップ、および/または他のイオン・トラップ)を更に含み得ることが、理解されるであろう。イオン・ソース12が、任意のこのような従来のイオン・ソース、イオン分離装置、および/またはイオン処理装置のうちの1または任意の順の任意の組み合わせを含み得ること、および幾つかの実施形態が、任意のこのような従来のイオン・ソース、イオン分離装置、および/またはイオン処理装置のうちの複数のものが隣接して又は間隔を空けて含まれ得ることは、理解されるであろう。
[0067] ここでイオン処理装置70を見ると、イオンをフィルタリングする(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷比、イオン移動度、イオン保持時間などのような、1以上の分子特性に従って行う)ため、イオンを分解または分離するため、イオン電荷状態を標準化するため、およびこれらのようなことのために、装置70が、イオン処理段OS-OSの1以上のものの形で、1以上の分子特性に従って(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷比、イオン移動度、イオン保持時間などに従って)イオンを分離するための1以上の従来の装置であり得るか又は1以上の従来の装置を含み得ること、および/またはイオンを収集および/または格納するための1以上の従来のイオン処理装置(例えば、1以上の四重極イオン・トラップ、六重極イオン・トラップ、および/または他のイオン・トラップ)であり得るか又は1以上の従来のイオン処理装置を含み得ることは、理解されるであろう。イオン処理装置70が、任意のこのような従来のイオン分離装置および/またはイオン処理装置のうちの1または任意の順で任意の組み合わせを含み得ること、および幾つかの実施形態が、任意のこのような従来のイオン分離装置および/またはイオン処理装置のうちの複数のものが隣接して又は間隔を空けて含まれ得ることは、理解されるであろう。1以上の質量分析器を含む任意の実装では、任意の1以上のそのような質量分析器は、図1に関して以前に説明した任意の形でインプリメントすることができる。
[0068] 何れの限定とも考慮すべきではない図5Aに例示されるイオン分離装置60の1つの特定の実装として、イオン・ソース12は、例として、3つの段を含み、イオン処理装置70は省かれる。この例示の実装では、イオン・ソース段ISは、イオンの従来のソース、例えば、エレクトロスプレー、MALDIなどであり、イオン・ソース段ISは、イオンの従来のマス・フィルタ、例えば、ハイパスまたはバンドパス・フィルタとして動作させられる四重極または六重極のイオン・ガイドなどであり、イオン・ソース段ISは、以前に述べたタイプの質量分析器の何れかである。この実施形態では、イオン・ソース段ISは、従来の様式で制御されて、下流の質量分析器による分析のため、望まれる分子特性を有するイオンを事前選択し、そのような事前選択されたイオンのみを質量分析器へと通過させ、ここにおいて、ELITアレイ14、205、302により分析されるイオンは、質量対電荷比に従って質量分析器により分離された、事前選択されたイオンである。イオン・フィルタから出て行く事前選択されたイオンは、例えば、特定のイオンの質量または質量対電荷比を有するイオン、特定のイオンの質量または質量対電荷比より大きいおよび/または小さいイオンの質量または質量対電荷比を有するイオン、イオンの質量または質量対電荷比の特定の範囲内のイオンの質量または質量対電荷比を有するイオンなどであり得る。この例の幾つかの代替の実施形態では、イオン・ソース段ISを質量分析器とすることができ、イオン・ソース段ISをイオン・フィルタとすることができ、イオン・フィルタは、下流のELITアレイ14、205、302による分析のために、質量分析器から出て行く望まれる分子特性を有するイオンを事前選択するように、以前に説明したように動作可能とすることができる。この例の他の代替の実施形態では、イオン・ソース段ISをイオン・フィルタとすることができ、イオン・ソース段ISを、別のイオン・フィルタが後に続く質量分析器を含むようにすることができ、ここでは、これらのイオン・フィルタのそれぞれは先ほど説明したように動作する。
[0069] 何れの限定とも考慮すべきではない図5Aに例示されるイオン分離装置60の別の1つの特定の実装として、イオン・ソース12は、例として、2つの段を含み、イオン処理装置70は省かれる。この例示の実装では、イオン・ソース段ISは、イオンの従来のソース、例えば、エレクトロスプレー、MALDIなどであり、イオン・ソース段ISは、以前に述べたタイプの従来の質量分析器の何れかである。これは図1に関して以前に説明した実装であり、ここでは、ELITアレイ14、205、302は、質量分析器から出て行くイオンを分析するように動作可能である。
[0070] 何れの限定とも考慮すべきではない図5Aに例示されるイオン分離装置60の更に別の1つの特定の実装として、イオン・ソース12は、例として、2つの段を含み、イオン処理装置70は省かれる。この例示の実装では、イオン・ソース段ISは、イオンの従来のソース、例えば、エレクトロスプレー、MALDIなどであり、イオン・ソース段ISは従来の単一または複数段のイオン移動度分光計である。この実施形態では、イオン移動度分光計は、イオン・ソース段ISで生成されたイオンを、イオン移動度の1以上の関数に従って時間にわたって分離するように動作可能であり、ELITアレイ14、205、302は、イオン移動度分光計から出て行くイオンを分析するように動作可能である。この例の代替の実施形態では、イオン・ソース12は、イオンの従来のソースの形の1つの段ISのみを含むことができ、イオン処理装置70は、従来の単一または複数段のイオン移動度分光計を1つの段OS(または複数段の装置70の段OS)として含むことができる。この代替の実施形態では、ELITアレイ14、205、302は、イオン・ソース段ISで生成されたイオンを分析するように動作可能であり、イオン移動度分光計OSは、ELITアレイ14、205、302から出て行くイオンを、イオン移動度の1以上の関数に従って時間にわたって分離するように、動作可能である。この例の別の代替の実施形態として、単一または複数段のイオン移動度分光計が、イオン・ソース段ISとELITアレイ14、205、302との双方に続くようにすることができる。この代替の実施形態では、イオン・ソース段ISに続くイオン移動度分光計は、イオン・ソース段ISで生成されたイオンを、イオン移動度の1以上の関数に従って時間にわたって分離するように動作可能であり、ELITアレイ14、205、302は、イオン・ソース段のイオン移動度分光計から出て行くイオンを分析するように動作可能であり、ELITアレイ14、205、302に続くイオン処理段OSのイオン移動度分光計は、ELITアレイ14、205、302から出て行くイオンを、イオン移動度の1以上の関数に従って時間にわたって分離するように動作可能である。この段落で説明した実施形態の何れの実装においても、更なる変形は、イオン・ソース12および/またはイオン処理装置210における単一または複数段のイオン移動度分光計の上流側および/または下流側に動作可能に配された質量分析器を含むことができる。
[0071] 何れの限定とも考慮すべきではない図5Aに例示されるイオン分離装置60の更に別の1つの特定の実装として、イオン・ソース12は、例として、2つの段を含み、イオン処理装置70は省かれる。この例示の実装では、イオン・ソース段ISは、例えば、分子保持時間に従って液体中の分子を分離するよう構成されるHPLCなどのような従来の液体クロマトグラフとすることができ、イオン・ソース段ISは、イオンの従来のソース、例えば、エレクトロスプレーなどとすることができる。この実装では、液体クロマトグラフは、液体中の分子成分を分離するように動作可能であり、イオン・ソース段ISは、液体クロマトグラフから出て行く液体の流れからイオンを生成するように動作可能であり、ELITアレイ14、205、302は、イオン・ソース段IS生成されたイオンを分析するように動作可能である。この例の代替の実施形態では、イオン・ソース段ISは、代わりに、サイズ毎に液体中の分子を分離するように動作可能な従来のサイズ排除クロマトグラフ(SEC)とすることができる。別の代替の実施形態では、イオン・ソース段ISは、従来のSECが後続する従来の液体クロマトグラフ、またはこの逆のものを、含み得る。この実装では、イオンは、最初に分子保持時間に従い、次にそれに続いて分子のサイズに従い、またはこの逆に、2回分離された液体から、イオン・ソース段ISにより生成される。この段落で説明した実施形態の何れの実装においても、更なる変形は、イオン・ソース段ISとELITアレイ14、205、302との間に動作可能に配された質量分析器を含むことができる。
[0072] 図5Bを参照すると、イオン分離装置80の別の実施形態の簡素化したブロック図が示されており、これは、例として、複数段質量分析器装置82を含み、これはまた、高イオン質量分析コンポーネントとして実装されるここで例示し説明したイオン質量検出システム10、200、300、即ち、CDMSの任意のものを含む。例示の実施形態では、複数段質量分析器装置82は、ここで例示され説明されたイオン・ソース(IS)12と、これに続きこれに結合される第1の従来の質量分析器(MS1)84と、これに続きこれに結合され、例えば、衝突誘起解離(CID)、表面誘起解離(SID)、電子捕獲解離(ECD)、および/または光誘起解離(PID)などのうちの1以上のものにより、質量分析器から出て行くイオンを解離させるように動作する従来のイオン解離段(ID)86と、これに続きこれに結合される第2の従来の質量分析器(MS2)88と、これに続く従来のイオン検出器(D)90、例えば、マイクロチャンネル・プレート検出器や他の従来のイオン検出器などとを含む。イオン質量検出システム10、200、300、即ち、CDMSは、イオン解離段86と並列に結合され、イオン質量検出システム10、200、300、即ち、CDMSが、質量分析器84および/またはイオン解離段86からイオンを選択的に受け取れるようにされる。
[0073] MS/MS、例えば、イオン分離装置82のみを用いることは、確立された手法であり、その場合、特定の分子量の前駆イオンが、それらのm/z値に基づいて第1質量分析器84(MS1)により選択される。質量選択された前駆イオンは、イオン解離段86で、例えば、衝突誘起解離、表面誘起解離、電子捕獲解離、または光誘起解離により、断片化される。断片化されたイオンは、次に、第2質量分析器86(MS2)により分析される。前駆の断片化されたイオンのm/z値のみが、MS1とMS2との双方で測定される。高質量イオンに関しては、電荷状態は解明されず、従って、m/z値のみに基づいて特定の分子量を持つ前駆イオンを選択することは不可能である。しかし、ここで例示し説明したCDMS10、200、300へ装置82を結合することにより、狭い範囲のm/z値を選択して、次に、CDMS10、200、300を用いて、m/zで選択した前駆イオンの質量を決定することは可能である。質量分析器84、88は、例えば、磁気セクター型質量分析装置と飛行時間型質量分析装置と四極質量分析装置とのうちの1つ又は任意の組み合わせとすることができるが、代替の実施形態では他の型の質量分析器を用いることもできる。何れの場合でも、MS1から出て行く既知の質量を持つm/zで選択された前駆イオンは、イオン解離段86で断片化することができ、結果として得られた断片化されたイオンは、次に、MS2(ここではm/z比のみが測定される)および/またはCDMS装置10、200、300(ここではm/z比および電荷が同時に測定される)により分析することができる。従って、低質量断片は、従来のMSにより分析することができ、高質量断片(電荷状態が解明されない)は、CDMSにより分析される。
[0074] ここで図6を参照すると、制御および測定のコンポーネントが接続された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)アレイ205の別の実施形態を含むイオン質量検出システム200が示されている。例示の実施形態では、ELITアレイ205は、3つの個別のELIT202、204、206を含み、それぞれは、図1に例示したELITアレイ14のELITまたはELIT領域E3と同じように構成されている。例えば、ELIT202は、グランド・チャンバGC1で囲まれた電荷検出シリンダCD1を含み、グランド・チャンバGC1の一つの端部は1つのイオン・ミラーM1のミラー電極の1つを定め、グランド・チャンバGC1の反対側の端部は、別のイオン・ミラーM2のミラー電極の1つを定め、イオン・ミラーM1、M2は、電荷検出シリンダ202の対向する端部に配される。イオン・ミラーM1は、例として、構造および機能が、図1-2Bに例示したイオン・ミラーM1-M3のそれぞれと同じであり、イオン・ミラーM2は、例として、構造および機能が、図1-2Bに例示したイオン・ミラーM4と同じである。例として構造および機能が図1-2Bに例示した電圧源V1と同じである電圧源V1は、イオン・ミラーM1へ動作可能に結合され、例として構造および機能が図1-2Bに例示した電圧源V4と同じである別の電圧源V2は、イオン・ミラーM2へ動作可能に結合される。イオン・ミラーM1は、例として構造および機能が図2Aに例示したイオン・ミラーMXの開口A1と同じであるイオン取込開口AIを定め、イオン・ミラーM2は、例として構造および動作が図1および図2Bに関して以前に説明したイオン・ミラーM4の開口CAと同じである放出開口AOを定める。長手軸24は、ELIT202の中央を通って延び、例として、開口AIおよびAOを二分する。電荷前置増幅器CP1は、電荷検出シリンダCD1へ電気的に結合されるものであり、例として、構造および機能が、図1に例示し以前に説明した電荷前置増幅器CP1と同じである。
[0075] ELIT204は、例として、ここで説明したELIT202と同じであり、イオン・ミラーM3、M4はELIT202のイオン・ミラーM1、M2に対応し、電圧源V3、V4は、ELIT202の電圧源V1、V2に対応し、取込/放出開口AI/AOは長手軸24を定め、これは、ELIT204を通って延び、例として、開口AI、AOを二分する。電荷増幅器CP2は、ELIT204の電荷検出シリンダCD2へ電気的に結合され、例として、構造および機能が図1に例示し以前に説明した電荷前置増幅器CP2と同じである。
[0076] ELIT206は、同様に、例として、ここで説明したELIT202と同じであり、イオン・ミラーM5、M6はELIT202のイオン・ミラーM1、M2に対応し、電圧源V5、V6は、ELIT202の電圧源V1、V2に対応し、取込/放出開口AI/AOは長手軸24を定め、これは、ELIT206を通って延び、例として、開口AI、AOを二分する。電荷増幅器CP3は、ELIT206の電荷検出シリンダCD3へ電気的に結合され、例として、構造および機能が図1に例示し以前に説明した電荷前置増幅器CP3と同じである。
[0077] 電圧源V1-V6および電荷前置増幅器CP1-CP3は、図1に関して説明したメモリ212を含むプロセッサ210へ動作可能に結合され、メモリ212は、例として、命令を格納しており、この命令がプロセッサ210により実行されると、プロセッサ210は、以前に説明したイオン透過モードとイオン反射モードとの間でイオン・ミラーM1-M6を制御するように、電圧源V1-V6の動作を制御するようにされる。代替的には、電圧源V1-V6の1以上のものを、上述のように動作するようにプログラマブルとすることができる。何れの場合にしても、メモリ212に格納された命令は、例として、更なる命令を含み、この命令がプロセッサ210により実行されると、以前に説明したように、プロセッサ210は、電荷前置増幅器CP1-CP3により検出された電荷信号を受け取り、処理し、記録(格納)するように、および記録した電荷信号情報を処理して、ELIT202、204、206のそれぞれの中に捕獲されたイオンの質量を計算するようにされる。例として、プロセッサ210は、図1に関して以前に説明した1以上の周辺デバイス20と同じであり得る1以上の周辺デバイス214へ結合される。
[0078] 図6に例示する実施形態では、イオン・ソース12とELITアレイ205のELIT202、204、206のそれぞれのイオン取込開口AI-AIとの間に動作可能に結合されるイオン・ステアリング・アレイ208の実施形態が示されている。イオン・ソース12は、例として、図1および/または図5に関して説明したものであり、イオンを生成し、イオン開口IAを介してイオン・ステアリング・アレイ208へ供給するように構成される。イオン・ステアリング電圧源VSTは、プロセッサ210とイオン・ステアリング・アレイ208との間でそれらへ動作可能に結合される。後に詳細に説明するが、プロセッサ210は、例として、イオン・ステアリング電圧源VSTを制御して、それによりイオン・ステアリング・アレイ208に、イオン・ソース12のイオン開口IAからそれぞれの取込開口AI-AIを介してELIT202、204、206へと出て行くイオンを選択的にステアリングおよびガイドさせるように、構成、即ち、プログラムされる。プロセッサ210は、更に、電圧源V1-V6を制御するように構成、即ち、プログラムされて、それによりELIT202、204、206のイオン・ミラーM1-M6がイオン透過モードとイオン反射モードとの間で選択的に切り替わるようにさせて、それによりELIT202、204、206のそれぞれで少なくとも1つのイオンをトラップするようにさせ、次に、そのようなイオンを、ELIT202、204、206のイオン・ミラーM1/M2、M3/M4、およびM5/M6のそれぞれの間でそれぞれの電荷検出シリンダCD1-CD3を通って前後に振動させて、以前に説明したようにそれぞれの電荷前置増幅器CP1-CP3により検出されたイオン電荷検出イベントを測定および記録するようにさせる。
[0079] イオン・ステアリング・アレイ208は、例として、2つの分離した平面状基板のそれぞれに配された4つの導電パッドの組P1-P4、P5-P8、およびP9-P12を3つ含み、平面状基板の1つにある導電パッドP1-P12のそれぞれは、別のほうの基板にある導電パッドのそれぞれのものとアライメントされて対向するようにされる。図6に例示する実施形態では、基板220のうちの1つのもののみが示されている。
[0080] ここで図7A-7Cを参照すると、イオン・ステアリング・アレイ208の一部が示されており、望まれる位置へイオンを選択的にステアリングするための、その制御および動作が例示されている。図7Bおよび7Cの例で示されるように、イオン・ステアリング208の例示の部分の電圧DC1-DC4が制御されて、それにより、イオン・ソース12のイオン開口IAから矢印Aで示される方向に出て行くイオンが、約90度方向を変えてELIT202のイオン取込開口AIとアライメントされた、即ち、共線上にある経路に沿って送られるようにされる。図には例示されていないが、任意の数の従来の平面状イオン・カーペットおよび/または他の従来のイオン・フォーカシング構造を用いて、イオン・ソースのイオン開口IAから出て行くイオン軌道を焦点合わせすること、および/またはイオン・ステアリング・アレイ208により選択的に変更されるイオン軌道をELIT202、204、206のそれぞれのイオン取込開口AI-AIとアライメントすることができる。
[0081] 特に図7Aを参照すると、4つの実質的に同じで間隔を空けられた導電パッドP1-P4のパターンが、1つの基板220の内側の主な面220Aに形成され、基板220はこの反対の外側の主な面220Bも有し、また、4つの実質的に同じで間隔を空けられた導電パッドP1-P4の実質的に同じパターンが、別の基板222の内側の主な面222Aに形成され、基板222はこの反対の外側の面222Bも有する。基板220、222の内側面220A、222Aは、一般に平行の関係で間隔が空けられ、導電パッドP1-P4は、導電パッドP1-P4の個々のものの上に並置される。間隔が空けられた基板220、222の内側の主な面220A、222Aは、例として、それらの間に距離Dの幅のチャンネルまたは空間225を定める。1つの実施形態では、チャンネル225の幅Dは約5cmであるが、他の実施形態では距離Dは5cmより長く又は短くすることができる。何れの場合にしても、基板220、222が共になってイオン・ステアリング・アレイ208の例示の部分を構成する。
[0082] 対向するパッドの対P3、P3およびP4、P4は、対向するパッドの対P1、P1およびP2、P2の上流側にあり、対向するパッドの対P1、P1およびP2、P2は、逆に、対向するパッドの対P4、P4およびP3、P3の下流側にある。この点に関して、チャンネル225を通っての「不変更のイオン移動の方向」は、ここで用いられる用語としては、「上流」のことであり、一般に、イオン・ソース12から出て行くイオンの方向Aと平行である。基板220、222の横の縁部220C、222Cはアライメントされ、反対側の横の縁部220D、222Dも同様にされ、「変更されたイオン移動の方向」は、ここで用いられる用語としては、アライメントされた縁部220C、222Cからアライメントされた縁部220D、222Dの方へのことであり、一般に、そのようなアライメントされた縁部220C、222Cおよび220D、222Dに対して直角である。
[0083] 図6に例示する実施形態では、イオン・ステアリング電圧源VSTは、例として、少なくとも12の切り替え可能なDC電圧を作り出すように構成され、それぞれの電圧は、それぞれの対向する導電パッドP1-P12の対へ動作可能に接続される。12のDC電圧のうちの4つのものDC1-DC4が図7Aに例示されている。第1DC電圧DC1は、並置された導電パッドP1、P1のそれぞれへ電気的に接続され、第2DC電圧DC2は、並置された導電パッドP2、P2のそれぞれへ電気的に接続され、第3DC電圧DC3は、並置された導電パッドP3、P3のそれぞれへ電気的に接続され、第4DC電圧DC4は、並置された導電パッドP4、P4のそれぞれへ電気的に接続される。例示の実施形態では、DC電圧DC1-DC12のそれぞれは、例えば、プロセッサ210を介して、および/または電圧源VSTのプログラミングを介して、独立的に制御されるが、別の実施形態ではDC電圧DC1-DC12のうちの2以上のものをグループとして制御することができる。何れにしても、電圧DC1-DC12はDC電圧として例示され開示されているが、この開示は他の実施形態も考えており、それらでは、電圧源VSTは、代替的に又は更に、例えば、1以上のRF電圧などのような任意の数のAC電圧を作り出し、任意の1以上のそのようなAC電圧を、導電パッドの対応するもの又は対へ、および/または1以上のイオン・カーペットまたは他のイオン・フォーカシング構造へ、これらを含む実施形態において、供給するように、構成される。
[0084] ここで図7Bおよび7Cを参照し、例として図7Aおよび7Bの4つの対向する導電パッドの対P1/P1、P2/P2、P3/P3、およびP4/P4を用いて、図6に例示するイオン・ステアリング・チャンネル・アレイ208の動作を説明する。図6の基板220に例示された4つの導電パッドP5-P8および4つの導電パッドP9-P12も、同様に、それぞれが、基板220、222のそれぞれの内側面220A、222Aに配された対向するアライメントされ並置された導電パッド対を構成すること、および導電パッドの4つの対向する対のそのような組のそれぞれが、電圧源VSTにより作り出されるそれぞれの切り替え可能DC(および/またはAC)電圧DC5-DC12により制御可能であることは、理解されるであろう。何れの場合にしても、例示を明確にするために図7Bおよび7CではDC電圧DC1-DC4を省略しており、その代わりに、電圧源VSTにより作り出され、接続される導電パッドの対P1/P1、P2/P2、P3/P3、およびP4/P4へ印加されるDC電圧DC1-DC4は、グラフィック的に表されている。特に図7Bを参照すると、イオン・ステアリング・アレイ208の例示の部分は、基準電圧VREFが導電パッド対P1/P1、P2/P2のそれぞれへ印加され、VREFより小さい電位-XVが導電パッド対P3/P3およびP4/P4のそれぞれへ印加されている状態が、示されている。例として、VREFは、正または負、またはゼロの電圧、例えば、グランド電位とすることができ、-XVは、VREFより小さい正、負、またはゼロ電圧の任意の電圧とすることができ、図7Bに示すように電場E1を確立するようにし、この電場E1は、基板220、222の側部220C/222Cおよび220D/222Dと平行であり、不変更のイオン移動の方向、即ち、下流側の導電パッド対P1/P1、P2/P2から上流側の導電パッド対P3/P3およびP4/P4の方へ延びる。図7Bに例示するように確立された電場E1がある場合、イオン・ソース12からイオン開口IAを介して出て行くイオンAは、下流側の導電パッド対P1/P1、P2/P2の間のチャンネル225へ入り、不変更のイオン移動の方向230に沿って電場E1によりステアリングまたはガイド(または方向付け)され、不変更のイオン移動の方向230は、電場E1と同じ方向であり、イオン・ソース12のイオン開口IAとアライメント、即ち、共線上にあるものとされる。そのようなイオンAは、例として、図7Bに示すように、不変更の移動の方向に沿ってチャンネル225を通ってガイドされる。
[0085] ここで特に図7Cを参照すると、イオンAの方向を、図7Bに示す不変更のイオン移動の方向から変更されたイオン移動の方向へと変えることが望まれる場合、電圧源VSTにより作り出されるDC電圧DC1、DC3が切り替えられて、基準電圧VREFが導電パッド対P2/P2、P3/P3のそれぞれへ印加され、VREFより小さい電位-XVが導電パッド対P1/P1およびP4/P4のそれぞれへ印加されて、それにより図7Cに示すように電場E2が確立されるようにし、電場E2は、基板220、222の側部220C/222Cおよび220D/222Dに対して直角であり、不変更のイオン移動の方向、即ち、基板220、222の側部220C/222Cから基板220、22の側部220D/222Dの方へ延びる。図7Cに例示するように確立された電場E2がある場合、イオン・ソース12からイオン開口IAを介して出て行くイオンAは、変更されたイオン移動の方向240に沿って電場E2によりステアリングまたはガイド(または方向付け)され、変更されたイオン移動の方向240は、電場E2と同じ方向であり、イオン・ソース12のイオン開口IAとアライメント、即ち、共線上にあるものとされる。そのようなイオンAは、例として、図7Cに示すように、導電パッド対P1/P1、P4/P4の間の、不変更の移動の方向に沿って、チャンネル225を通ってガイドされる。幾つかの実施形態では、1以上の従来のイオン・カーペットおよび/または他の従来のイオン・フォーカシング構造を用いて、イオンを、図7Cに例示するイオン軌道240に沿うように制限することができる。
[0086] 再び図6を参照すると、メモリ212に格納される命令は、例として、図1-4Bに関して以前に説明したようにプロセッサ210がそれぞれのイオン電荷検出情報をメモリ212に記録するときに、プロセッサ210により実行されると、プロセッサ210が、電圧DC1-DC12を選択的に生成し切り替えるようにイオン・ステアリング電圧源VSTを制御するようにさせて、イオンをイオン・ステアリング・アレイ208に沿ってガイドし、続いて少なくとも1つのイオンを各ELIT202、204、206の各イオン取込開口AI-AIへ送るようにし、また、電圧源V1-V6を、それらにより作り出されるDC電圧を選択的に生成し切り替えるように制御するようにさせて、それにより、それぞれのイオン・ミラーM1-M6を、そのイオン透過モードとイオン反射モードとの間で制御して、イオン・ステアリング・アレイ208により各ELIT202、204、206へガイドされた少なくとも1つのイオンをトラップし、次に、それぞれのトラップされたイオン(1以上)が各ELIT202、204、206のそれぞれのイオン・ミラーM1-M6の間で前後に振動するようにする命令を含む。図8A-8Fを補助的に用いて、そのようなプロセスの一例を、1以上の正の電荷のイオンに対して作用するものとして説明するが、代替的にプロセス100が1以上の負の電荷のイオンに対して作用し得ることは理解されるであろう。以下の説明では、導電パッドP1-P12の特定の1以上のものについての参照は、図7Aに関しての例で示されたそれぞれの基板220、222の内側面220A、222Aに配された対向し並置され間隔を空けられた導電パッドの対を参照するものと理解され、導電パッドP1-P12の特定の1以上のものに印加される電圧についての参照は、図7Bおよび7Cに関しての例で示されたこのような対向し並置され間隔を空けられた導電パッドの対のそれぞれへ印加されているものと理解されるであろう。更に、図8A-8Fに例示するDC電圧VREFは、任意の正または負の電圧、またはゼロの電圧、例えば、グランド電位とすることができること、および図8A-8Fに例示する-XVは、VREFより小さい正、負、またはゼロ電圧の任意の電圧とすることができ、図7Bおよび7Cに示すようにチャンネル225内に対応する電場を確立するようにし、この電場は、VREFに制御された導電パッドから-XVに制御された導電パッドへの方向に延びる、ということが理解されるであろう。
[0087] 図8Aを参照すると、プロセッサ210は、電圧源VSTを制御して、-XVをパッドP5-P7のそれぞれへ印加し、電圧VREFをパッドP1-P4のそれぞれへ印加するように、動作可能である。幾つかの実装では、VSTは、図8Aに示すようにパッドP9-P12のそれぞれへVREFを印加するが、別の実装では、VSTを、パッドP9-P12のそれぞれへ-XVを印加するように制御することができる。何れの場合でも、このような電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225内で得られる電場は、例示したイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向に、チャンネル225を通して、イオン・ソース12のイオン開口IAから出て行くイオンを引き出す。
[0088] 図8Bを参照すると、プロセッサ210は、続いて、電圧源VSTを制御して、パッドP2およびP4へ印加される電圧を-XVに切り替え、他には、P1、P3、およびP5-P12で前に印加された電圧を維持するように、動作可能である。このような切り替えられた電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225で確立された電場は、前にイオン・ソース12から図8Aに例示したイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向へ移動していたイオンを、イオン軌道252に沿った変更されたイオン移動の方向に沿ってELIT202のM1のイオン取込開口AIの方へ、ステアリングする。この切り替えと同時に又はこれの前に又は後に、プロセッサ210は、電圧源V1およびV2を制御して、例えば、図1-2Bに関して説明したように、イオン・ミラーM1およびM2の双方をそれらのイオン透過モードで動作させる電圧を作り出させるように、動作可能である。結果として、イオン軌道252に沿ってイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225を通って移動するイオンは、図8Bに示すイオン軌道252により例示されるように、M1を通るELIT202の取込開口AI内へ向けられ、イオン・ミラーM1およびM2のそれぞれに確立されたイオン透過フィールドにより、M1を通り、電荷検出シリンダCD1を通り、M2を通るように透過させられる。幾つかの実施形態では、1以上の従来のイオン・カーペットおよび/または他の従来のイオン・フォーカシング構造をイオン・ステアリング・アレイ208とELIT202のイオン・ミラーM1との間に動作可能に配して、イオン軌道252に沿って移動するイオンをELIT202のイオン取込開口AI内へ向けることができる。何れの場合にしても、プロセッサ210は、この後の或る点で、V2を制御して、例えば、図1-2Bに関して説明したように、イオン・ミラーM2をイオン透過モードの動作からイオン反射モードの動作へと切り替えさせて、イオンをM1の方へ反射して戻させるようにする電圧を作り出させるように、動作可能である。M2のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT202の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存する。
[0089] 図8Cを参照すると、プロセッサ210は、続いて、電圧源V1を制御して、イオン・ミラーM1をイオン透過モードからイオン反射モードの動作へ切り替えさせる電圧を作り出すように、動作可能である。M1のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT202の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存するが、何れの場合でも、M1のイオン反射モードへの切り替えは、図8Cに示すイオン軌道252により例示するように、ELIT202内に少なくとも1つのイオンをトラップする。少なくとも1つのそのようなイオンがELIT202内にトラップされ、M1とM2との双方がそれらのイオン反射モードで動作するように電圧源V1およびV2によりそれぞれ制御されると、図3に関して以前に説明したように、ELIT202内にトラップされたイオン(1以上)は、イオン・ミラーM1とM2との間で前後に振動し、電荷検出シリンダCD1を通過して対応する電荷をそれに誘導するたびに、これは電荷前置増幅器CP1により検出されてプロセッサ210によりメモリ212に記録される。
[0090] 前述のELIT202の制御と同時に又はそれに続いて、そして、イオン(1以上)がELIT202内でイオン・ミラーM1、M2の間で前後に振動していると、プロセッサ210は、VSTを制御して、図8Cに示すように、パッドP2およびP4へ印加される電圧をVREFへ戻すように切り替え、パッドP5-P8へ印加される電圧を-XVからVREFへ切り替え、パッドP9-P12へ印加される電圧をVREFから-XVへ切り替えさせるように、動作可能である。そのような電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225に生じる電場は、再び、例示のイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向にチャンネル225を通る、イオン・ソース12のイオン開口IAから出て行くイオンを引き出す。
[0091] ここで図8Dを参照すると、プロセッサ210は、続いて、電圧源VSTを制御して、パッドP6およびP8へ印加される電圧を-XVへと切り替え、他には、P1-P4、P5、P7、およびP9-P12で前に印加された電圧を維持するように、動作可能である。このような切り替えられた電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225内で確立された電場は、前にイオン・ソース12から図8Cに例示したイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向へ移動していたイオンを、イオン軌道254に沿った変更されたイオン移動の方向に沿ってELIT204のM2のイオン取込開口AIの方へ、ステアリングする。この切り替えと同時に又はこの前に又は後に、プロセッサ210は、電圧源V3およびV4を制御して、イオン・ミラーM3およびM4の双方をそれらのイオン透過モードで動作させる電圧を作り出させるように、動作可能である。結果として、イオン軌道254に沿ってイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225を通って移動するイオンは、図8Dに示すイオン軌道254により例示されるように、M3を通るELIT204の取込開口AI内へ向けられ、イオン・ミラーM3およびM4のそれぞれに確立されたイオン透過フィールドにより、M3を通り、電荷検出シリンダCD2を通り、M4を通るように透過させられる。幾つかの実施形態では、1以上の従来のイオン・カーペットおよび/または他の従来のイオン・フォーカシング構造をイオン・ステアリング・アレイ208とELIT204のイオン・ミラーM3との間に動作可能に配して、イオン軌道254に沿って移動するイオンをELIT204のイオン取込開口AI内へ向けることができる。何れの場合にしても、プロセッサ210は、この後の或る点で、V4を制御して、イオン・ミラーM4をイオン透過モードの動作からイオン反射モードの動作へと切り替えさせて、イオンをM3の方へ反射して戻させるようにする電圧を作り出させるように、動作可能である。M4のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT204の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存する。
[0092] 図8Dに例示した動作状態に続いて、プロセッサ210は、図8Cに関して説明したのと同様に、電圧源V3を制御して、イオン・ミラーM3をイオン透過モードからイオン反射モードの動作へ切り替えさせる電圧を作り出させるように、動作可能である。M3のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT204の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存するが、何れの場合でも、M3のイオン反射モードへの切り替えは、図8Eに示すイオン軌道254により例示するように、ELIT204内に少なくとも1つのイオンをトラップする。少なくとも1つのそのようなイオンがELIT204内にトラップされ、M3とM4との双方がそれらのイオン反射モードで動作するように電圧源V3およびV4によりそれぞれ制御されると、図3に関して以前に説明したように、ELIT204内にトラップされたイオン(1以上)は、イオン・ミラーM3とM4との間で前後に振動し、電荷検出シリンダCD2を通過して対応する電荷をそれに誘導するたびに、これは電荷前置増幅器CP2により検出されてプロセッサ210によりメモリ212に記録される。図8Eに例示する動作状態では、イオンは、ELIT202および204のそれぞれの中で同時に前後に移動し、電荷前置増幅器CP1およびCP2のそれぞれから取られるイオン電荷/タイミング測定値は、従って、プロセッサ210により同時に収集され格納される。
[0093] 図8Eに関しての前述のELIT204の制御と同時に又はそれに続いて、そして、イオン(1以上)がELIT202および204のそれぞれの中で同時に振動していると、プロセッサ210は、VSTを制御して、パッドP6およびP8へ印加される電圧をVREFへ戻すように切り替え、それによりパッドP1-P12が図8Cに例示する電圧へと制御されるようにする。そのような電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225に生じる電場は、再び、図8Cに例示するように、例示のイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向にチャンネル225を通る、イオン・ソース12のイオン開口IAから出て行くイオンを引き出す。その後、プロセッサ210は、電圧源VSTを制御して、パッドP9およびP11へ印加される電圧をVREFへと切り替え、他には、P1-P8、P5、およびP11-P12で前に印加された電圧を維持するように、動作可能である。このような切り替えられた電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225内で確立された電場は、前にイオン・ソース12から図8Cに例示したイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向へ移動していたイオンを、イオン軌道256に沿った変更されたイオン移動の方向に沿ってELIT206のM5のイオン取込開口AIの方へ、ステアリングする。この切り替えと同時に又はこれの前に又は後に、プロセッサ210は、電圧源V5およびV6を制御して、イオン・ミラーM5およびM6の双方をそれらのイオン透過モードで動作させる電圧を作り出させるように、動作可能である。結果として、イオン軌道253に沿ってイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225を通って移動するイオンは、図8Eに示すイオン軌道256により例示されるように、M5を通るELIT206の取込開口AI内へ向けられ、イオン・ミラーM5およびM6のそれぞれに確立されたイオン透過フィールドにより、M5を通り、電荷検出シリンダCD3を通り、M6を通るように透過させられる。幾つかの実施形態では、1以上の従来のイオン・カーペットおよび/または他の従来のイオン・フォーカシング構造をイオン・ステアリング・アレイ208とELIT206のイオン・ミラーM5との間に動作可能に配して、イオン軌道256に沿って移動するイオンをELIT206のイオン取込開口AI内へ向けることができる。
[0094] 何れの場合にしても、プロセッサ210は、この後の或る点で、V6を制御して、イオン・ミラーM6をイオン透過モードの動作からイオン反射モードの動作へと切り替えさせて、イオンをM5の方へ反射して戻させるようにする電圧を作り出させるように、動作可能である。M6のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT206の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存する。その後、プロセッサ210は、図8Cに関して説明したのと同様に、電圧源V5を制御して、イオン・ミラーM5をイオン透過モードからイオン反射モードの動作へ切り替えさせる電圧を作り出させるように、動作可能である。M5のこの切り替えのタイミングは、例として、ELIT206の動作が、プロセッサ210により、図3に関して説明したランダム・トラッピング・モードで制御されているか又はトリガ・トラッピング・モードで制御されているかに依存するが、何れの場合でも、M5のイオン反射モードへの切り替えは、図8Fに示すイオン軌道256により例示するように、ELIT206内に少なくとも1つのイオンをトラップする。少なくとも1つのそのようなイオンがELIT206内にトラップされ、M5とM6との双方がそれらのイオン反射モードで動作するように電圧源V5およびV6によりそれぞれ制御されると、図3に関して以前に説明したように、ELIT206内にトラップされたイオン(1以上)は、イオン・ミラーM5とM6との間で前後に振動し、電荷検出シリンダCD3を通過して対応する電荷をそれに誘導するたびに、これは電荷前置増幅器CP3により検出されてプロセッサ210によりメモリ212に記録される。図8Fに例示する動作状態では、イオンは、ELIT202、204、および206のそれぞれの中で同時に前後に移動し、電荷前置増幅器CP1、CP2、およびCP3のそれぞれから取られるイオン電荷/タイミング測定値は、従って、プロセッサ210により同時に収集され格納される。
[0095] また、図8Fに例示されているように、前述のELIT206の制御と同時に又はそれに続いて、そして、イオン(1以上)がELIT202、204、および206のそれぞれの中で同時に振動していると、プロセッサ210は、VSTを制御して、パッドP5-P8へ印加される電圧を-XVに切り替え、パッドP10およびP12へ印加される電圧をVREFへ切り替え(またはパッドP9およびP11へ印加される電圧を-XVへ切り替え)、それによりパッドP1-P12が図8Aに例示する(または図8Aに関して説明した)電圧へと制御されるようにする。そのような電圧を適用した結果としてイオン・ステアリング・アレイ208のチャンネル225に生じる電場は、再び、図8Aに例示するように、例示のイオン軌道250に沿った不変更のイオン移動の方向にチャンネル225を通る、イオン・ソース12のイオン開口IAから出て行くイオンを引き出す。
[0096] 例えば、図3に例示するプロセス100のステップ126に関して前述したように、ELIT202、204、および206のそれぞれで、合計イオン・サイクル測定時間または合計測定サイクル回数だけイオンが前後に振動した後に、プロセッサ210は、電圧源V1-V6を制御して、イオン・ミラーM1-M6のそれぞれをイオン透過モードへ切り替えさせて、その中にトラップされたイオンが、イオン放出開口AO-AOを介してELIT202、204、および206のそれぞれから出て行くように、動作可能である。次に、イオン質量検出システム200の動作は、例として、図8Bに関しての前述のものへ戻る。同時に、または別の都合の良い時に、記録されたイオン電荷/タイミング測定値を集めたものは、例えば、図3に例示するプロセス100のステップ140に関して説明したように、プロセッサ210により処理されて、ELIT202、204、206のそれぞれのものにより処理されたイオンの質量が決定される。
[0097] 限定ではないが、ELIT202、204、206の寸法、ELIT202、204、206のそれぞれを通るイオンの振動の1又は複数の周波数、およびELIT202、204、206のそれぞれにおける合計測定サイクル数/合計イオン・サイクル測定時間を含む多くのファクタに依存して、イオンは、ELIT202、204、および206の少なくとも2つの中で同時に前後に振動することができ、電荷前置増幅器CP1、CP2、およびCP3のそれぞれのものから取られたイオン電荷/タイミング測定値は、従って、プロセッサ210により同時に収集して格納することができる。図8Fに例示する実施形態では、例えば、イオンは、ELIT202、204、および206の少なくとも2つの中で同時に前後に振動し、電荷前置増幅器CP1、CP2、およびCP3のそれぞれから取られたイオン電荷/タイミング測定値は、従って、プロセッサ210により同時に収集され格納される。別の実施形態では、ELIT202の合計測定サイクル数または合計イオン・サイクル測定時間は、上述のようにELIT206内に少なくとも1つのイオンがトラップされる前に終了し得る。そのような場合、プロセッサ210は、電圧源V1およびV2を制御して、イオン・ミラーM1およびM2をそれらの透過動作モードへ切り替えることができ、それにより、その中で振動するイオン(1以上)が、少なくとも1つのイオンがELIT206内で振動するようにされる前に、ミラーM2を通って出て行くようにする。そのような実施形態では、イオンがELIT202、204、および206の全ての中で同時に前後に振動しないようにでき、任意の一時にELIT202、204、および206の少なくとも2つの中で同時に前後に振動するようにできる。
[0098] ここで図9を参照すると、制御および測定のコンポーネントが接続された静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)アレイ302の更に別の実施形態を含むイオン質量検出システム300が示されている。例示の実施形態では、ELITアレイ302は、3つの個別のELIT E1-E3を含み、それぞれは、図6に例示したELIT202、204、206と同じように構成されている。図9に例示する実施形態では、電圧源V1は、例として、図1-2Bに例示する電圧源V1と構造および機能が同じであり、ELIT E1-E3のそれぞれのイオン・ミラーM1へ動作可能に結合され、別の電圧源V2は、例として、図1-2Bに例示する電圧源V4と構造および機能が同じであり、ELIT E1-E3のそれぞれのイオン・ミラーM2へ動作可能に結合される。代替の実施形態では、ELIT E1-E3の2以上のもののイオン・ミラーM1を、1つのイオン・ミラーへとマージすることができ、且つ/又はELIT E1-E3の2以上のもののイオン・ミラーM2を、1つのイオン・ミラーへとマージすることができる。何れの場合にしても、電圧源V1、V2はプロセッサ304へ電気的に結合され、3つの電荷前置増幅器CP1-CP3が、プロセッサ304と、ELIT E1-E3のそれぞれのもののそれぞれの電荷検出シリンダCD1-CD3と間に電気的に結合される。メモリ306は、例として、命令を含み、この命令がプロセッサ304により実行されると、プロセッサ304は、下記で説明するようにELIT E1-E3の動作を制御するために電圧源V1およびV2を制御するようにされる。例として、プロセッサ304は、図1に関して前述した1以上の周辺デバイス20と同じであり得る1以上の周辺デバイス308へ、動作可能に結合される。
[0099] イオン質量検出システム300が、構造および動作について前述したイオン・ステアリング・アレイ208へ動作可能に結合されるイオン・ソース12を含むという点で、イオン質量検出システム300は、幾つかの点でイオン質量検出システム200と同じである。メモリ306に格納された命令は、例として、更に命令を含み、この命令がプロセッサ304により実行されると、プロセッサ304は、前述のようにイオン・ステアリング・アレイ電圧源VSTを制御するようにされる。
[00100] 図9に例示する実施形態では、イオン質量検出システム300は、更に、例として、3つの従来のイオン・トラップIT1-IT3を含み、それぞれは、個々のイオン取込口TI-TIと、反対側のイオン放出口TO-TOとを有する。イオン・トラップIT1は、例として、図9に示すように、導電パッドP1-P4の組とELIT E1のイオン・ミラーM1との間に位置し、ELIT E1の中央を通って延びる長手軸24が、IT1のイオン取込口TIおよびイオン放出口TOを二分し、かつパッド対P1/P2とP3/P4との中央を通るようにされる。似たように、イオン・トラップIT2は、導電パッドP5-P8の組とELIT E2のイオン・ミラーM1との間に位置し、ELIT E2の中央を通って延びる長手軸24が、IT2のイオン取込口TIおよびイオン放出口TOを二分し、かつパッド対P5/P6とP7/P8との中央を通るようにされ、同様に、イオン・トラップIT3は、導電パッドP9-P12の組とELIT E3のイオン・ミラーM1との間に位置し、ELIT E3の中央を通って延びる長手軸24が、IT3のイオン取込口TIおよびイオン放出口TOを二分し、かつパッド対P9/P10とP11/P12との中央を通るようにされる。イオン・トラップIT1-IT3のそれぞれは、任意の従来のイオン・トラップとすることができ、その例は、限定ではないが、従来の四重極イオン・トラップ、従来の六重極イオン・トラップなどを含むことができる。
[00101] イオン・トラップ電圧源VITは、プロセッサ304とイオン・トラップIT1-IT3のそれぞれとの間に動作可能に結合される。電圧源VITは、例として、従来の形でイオン・トラップIT1-IT3のそれぞれのものの動作を分離して個別に制御するための、適切なDCおよびAC、例えば、RFの電圧を作り出すように構成される。
[00102] プロセッサ304は、例として、イオン・ステアリング・アレイ電圧源VSTを制御して、それにより、図8A-8Fに関して説明したように、イオン・ソース12のイオン開口IAから出て行く1以上のイオンを、個々のイオン・トラップIT1-IT3のそれぞれのイオン取込口TI-TI内へと順にステアリングさせるように、構成、例えば、プログラムされる。幾つかの実施形態では、1以上の従来のイオン・カーペットおよび/または他のイオン・フォーカシング構造を、イオン・ステアリング・アレイ208とイオン・トラップIT1-IT3の1以上のものとの間に配することができ、イオンを、イオン・ステアリング・アレイ208から個々のイオン・トラップIT1-IT3のイオン取込口TI-TI内へ向けるようにすることができる。プロセッサ304は、更に、イオン・トラップ電圧源VITを制御して、それによりイオン・トラップIT1-IT3のイオン取込口TI-TIを、その中へイオンを受け入れるように制御するための対応する制御電圧を作り出させるように、および従来のようにイオン・トラップIT1-IT3を、その中へイオンをトラップまたは閉じ込めるように制御するように、構成、例えば、プログラムすることができる。
[00103] イオン・トラップIT1-IT3がイオンで満たされているとき、プロセッサ304は、ELIT E1-E2のイオン・ミラーM1およびM2をそれらのイオン透過動作モードで動作させるように制御する適切なDC電圧を作り出すように、V1およびV2を制御するように構成、例えば、プログラムすることができ、それにより、その中に含まれる何れのイオンもイオン放出口AO-AOのそれぞれを介して出て行くようにされる。ここで説明したイオン・ステアリング・アレイ208およびイオン・トラップIT1-IT3の制御を介して、少なくとも1つのイオンがイオン・トラップIT1-IT3のそれぞれのものの中にトラップされたとき、プロセッサ304は、ELIT E1-E3のイオン・ミラーM2をそれらのイオン反射動作モードで動作するように制御する適切なDC電圧を作り出すようにV2を制御するように、構成、例えば、プログラムされる。その後、プロセッサ304は、イオン・トラップ電圧源VITを制御して、個々のイオン・トラップIT1-IT3のイオン放出口TO-TOを同時に開くようにする適切な電圧を作り出すように構成され、それにより、それらの中にトラップされた少なくとも1つのイオンを、それぞれのイオン・ミラーM1のそれぞれのイオン取込開口AI-AIを介して、ELIT E1-E3のそれぞれのものへ向けるようにする。プロセッサ304が、イオン・トラップIT1-IT3を同時に開くことに続いての、または電荷前置増幅器CP1-CP3のそれぞれによる電荷の検出に続いての、或る時間期間の経過後に、少なくとも1つのイオンがそれぞれのELIT E1-E3へ入ったと判断すると、プロセッサ304は、電圧源V1を、ELT E1-E3のイオン・ミラーM1をそれらのイオン反射動作モードで動作するように制御する適切なDC電圧を作り出すように制御するように、動作可能であり、これにより、少なくとも1つのイオンをELIT E1-E3のそれぞれの中にトラップする。
[00104] ELIT E1-E3のそれぞれのイオン・ミラーM1およびM2がイオン反射動作モードで動作していると、ELIT E1-E3のそれぞれの中の少なくとも1つのイオンは、M1とM2との間で同時に前後に振動し、その各回に電荷検出シリンダCD1-CD3のそれぞれのものを通過する。電荷検出シリンダCD1-CD3で誘導された対応する電荷は、それぞれの電荷前置増幅器CP1-CP3により検出され、電荷前置増幅器CP1-CP3により作り出された電荷検出信号は、プロセッサ304によりメモリ306に格納され、次に、例えば、図3に例示するプロセス100のステップ140に関して説明したように、プロセッサ304により処理されて、ELIT E1-E3の個々のものにより処理されたイオンの質量を決定する。
[00105] イオン質量検出システム200および300の実施形態は、図6-8Fおよび9のそれぞれでは、それぞれが3つのELITを含むものとして例示したが、そのようなシステム200、300の一方又は双方が、代替的には、より少ない数、例えば、2、又はより多い数、例えば、4以上、のELITを含むことができることは、理解されるであろう。何れのそのような代替の実施形態における様々なコンポーネントの制御および動作も、一般に、上記の概念に従うものであり、当業者は、任意のそのような実施形態(1以上)を実現するために必要なシステム200および/またはシステム300の任意の変更が機械的なステップのみと関係することを認識するであろう。更に、イオン質量検出システム200および300の実施形態は、図6-8Fおよび9のそれぞれでは、それぞれが例示のイオン・ステアリング・アレイ208を含むものとして例示したが、上記のようにイオンをステアリングまたはガイドするために1以上の他のイオン・ガイディング構造を代替的にまたは追加的に使用できること、および任意のそのような代替のイオン・ガイディング構造(1以上)が本開示の範囲内にあると意図されていることが、理解されるであろう。1つの限定ではない例として、DC四重極ビーム・デフレクタのアレイを、上述のようにイオンをステアリングまたはガイドするために、システム200、300の一方または双方とともに用いることができる。そのような実施形態では、また、1以上の集束レンズおよび/またはイオン・カーペットも、イオンを上述のように様々なイオン・トラップへと集束させるために用いることができる。
[00106] ここで図10を参照すると、図9に例示する装置300の変形を表す電荷検出質量分析器装置400の実施形態が示されている。図10に例示する装置400では、イオン・ソース領域402で生成されたイオンは、イオン・トラップ418により捕獲され格納され、次に、イオン・トラップ418は、パルス・モードで制御されて、その中に格納したイオンを、イオン質量および電荷検出器434へ選択的に供給する。従って、装置400は、生成されたイオンをイオン・トラップ418に捕獲し格納するように、そして次に、イオン・トラップ418をパルス様式で制御して、時間圧縮したイオンのパケットをイオン質量および電荷検出器434、例えば、単一段の静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)434の形のものへ、制御可能に供給するように、構成可能であり動作可能である。幾つかの実施形態では、イオン・トラップ418のイオン放出口は、検出器434のイオン取込口から、その間を移動するイオンがそれらの質量対電荷の値に従って時間的に分離されることを可能とする距離だけ、間隔を空けることができる。そのような実施形態において、イオン・トラップ418からのイオンの解放と、検出器434でのイオンの捕獲との間の遅延時間を変化させることにより、異なる質量対電荷比のウィンドウまたは範囲を持つイオンをトラップすることができる。幾つかの実施形態では、イオン・フィルタ424が、イオン・トラップ418と検出器434との間に配され、そのような実施形態では、イオン・フィルタ424は、質量対電荷比に従って、イオン・トラップ418から出て行くイオンをフィルタリングするように制御可能であり、イオン・トラップ418により検出器434へ供給されるイオンの質量対電荷比または質量対電荷比の範囲を代替的または追加的に選択または制限するようにする。
[00107] 上記で簡単に説明したように、図10に例示した装置400は、イオンを生成し、生成したイオンをイオン・トラップ418のイオン取込口へ供給するように構成されたイオン・ソース領域402を含む。例示の実施形態では、イオン・ソース領域402は、毛管406を介してソース領域408へ結合されたイオン・ソース404を含む。幾つかの実施形態では、毛管406は、温度制御、例えば、加熱および/または冷却されるものとすることができる。何れの場合も、ソース領域408は、ポンプP1へ動作可能に結合され、ポンプP1は、領域408を真空へと制御するように動作可能であり、それにより領域408は第1の異なってポンピングされた領域を定める。イオン・ソース404は、例として、ソース領域404、例えば、大気圧または他の圧力の外側に位置し、イオンをサンプルから毛管406を介してイオン・ソース領域408へ供給するように構成される。幾つかのそのような実施形態では、イオン・ソース404は、従来のエレクトロスプレー・イオン・ソース(EIS)である。そのような実施形態では、ESIソース404は、電圧源450の出力V1へ動作可能に結合され、電圧源150は、ESIソース404の動作を制御するためにV1で適切なDCまたは時変信号を作り出すように構成される。何れの場合でも、イオン・ソース404によりイオンを生成する元となるサンプルは、例として、生物学的材料であるが、他の実施形態では、サンプルを非生物学的材料とすること又は非生物学的材料を含むものとすることができる。
[00108] 上述のように、イオン・ソース404が、第1の異なってポンピングされた領域408の外側に位置し、イオンを生成してソース領域408へ供給するように動作可能である幾つかの実施形態では、ソース領域408は、例として、広い質量分布を持つイオンをイオン・トラップ418のイオン取込口へ効率的に送るように構成されるイオン処理インターフェース410を含むことができる。幾つかのそのような実施形態では、インターフェース410は、例として、ドリフト・チューブ412を含むことができ、これは、毛管406のイオン放出口端部の近くに又はそこから間隔を空けられて位置する開放端部を有し、また、ドリフト・チューブ412の端部から、断面が小さくなったイオン放出口へと先細りになるファンネル領域414の一端へ結合される反対側の端部を有する。イオン・カーペット416は、ファンネル領域414のイオン放出口へ動作可能に結合することができ、それを通りイオン・トラップ418のイオン取込口へ結合されるイオン通路を定めることができる。電圧源450の少なくとも1つの出力V2が、インターフェース410へ電気的に結合され、Kの数のDCおよび/または時変の電圧信号をインターフェース401へ供給してその動作を制御し、ここでのKは任意の正の整数とすることができる。装置400の中央の長手軸Aは、例として、ここで説明し且つ後に更に説明する様々なイオンの取込口および放出口の中央を通る。これを含む実施形態では、インターフェース410は、例として、その中にバーチャル・ジェット・ディスラプタ(virtual jet disrupter)を定め、これは、毛管406を通って異なってポンピングされた領域408へ入るガス流により生成されたガス・ジェットを乱すように構成され、これによりイオンを熱平衡化し、イオンをイオン・トラップ418内へ集中させる。インターフェース410の実施形態の構造および動作と関連する更なる詳細は、同時係属中の2019年1月11日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/013274号と、2019年6月4日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/035379号とに例示され説明されており、これらの出願の名称は共に「HYBRID ION FUNNEL-ION CARPET (FUNPET) ATMOSPHERIC PRESSURE INTERFACE FOR CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY」であり、これらの出願の開示の全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00109] 幾つかの代替の実施形態では、ソース領域408がインターフェース410を含まないようにもできる。別の代替の実施形態では、イオン・ソース404は、1以上の他の従来のイオン・ソースの形で提供することができ、1以上の他の従来のイオン・ソースの1以上のものはソース領域408の外側に配することができ、且つ/又は1以上のものはソース領域408の内側に配することができる。幾つかのそのような実施形態では、ソース領域408はインターフェース410を含むことができ、他のそのような実施形態では、インターフェース410を省くことができる。
[00110] イオン・トラップ418のイオン取込口は、例として、電圧源450の出力V3へ電気的に接続される導電プレート、グリッド、またはこれらと同様のもの420を通して形成される中央開口により定められる。イオン・トラップ418のイオン放出口は、中央軸Aに沿ってイオン取込口から間隔を空けられており、同様に、例として、電圧源450の別の出力V5へ電気的に接続される導電プレート、グリッド、またはこれらと同様のもの422を通して形成される中央開口により定められる。別のポンプP2が、イオン・トラップ418へ動作可能に結合され、例として、ソース領域408のそれよりも低い圧力、例えば、高い真空へと、イオン・トラップ418でのポンピングを行うように動作可能であり、イオン・トラップ418が第2の異なってポンピングされた領域を定めるようにする。幾つかの実施形態では、P2は、イオン・トラップ418を制御して10-100mbarの圧力とするように構成可能または動作可能であるが、別の代替の実施形態では、P2は、イオン・トラップ418を、この範囲外の圧力にするように制御するものとすることができる。幾つかの実施形態では、ガス・ソースGSは、イオン・トラップ418へ動作可能に結合することができ、そのような実施形態では、バッファ又は他のガスをイオン・トラップ418の内部へ供給するように動作可能とすることができる。幾つかのそのような実施形態では、ガスは、それとのイオンの衝突によりイオン・エネルギが低減されるように、選択される。1つの実施形態では、イオン・トラップ418は従来の六重極イオン・トラップとして構成されるが、代替の実施形態では、イオン・トラップ418は、別の従来の構成、例えば、四重極、八重極などを有するものとすることができる。何れの場合でも、イオン・トラップ418は、典型的には、電圧源450の出力V4が動作可能に結合される、軸Aを囲む複数の延びた導電ロッドを含む。例として、出力V4は、それぞれの反対になるロッドの組または対が別の反対の対と位相がずれるように、ロッドへ結合され、出力電圧V4は、例として、時変、例えば、無線周波数の電圧である。幾つかの実施形態では、V4は1以上のDC電圧を更に含むことができる。
[00111] 電圧源V3およびV5が制御可能なDC電圧であり、この電圧は、イオンがイオン取込口を介してトラップ418へ入ることを可能とするように制御されて、イオンがその中にトラップされるようにし、また、イオンをイオン放出口から解放されるようにする、という点でイオン・トラップ418の動作は従来のものである。例えば、電圧V3は、例として、イオン・エネルギを設定するDC電位へと制御される。ガス・ソースGSを含む実施形態では、ガス・ソースGSはバックグラウンド・ガスを供給し、これとイオン・トラップ418へ入ってくるイオンとが衝突して、ソース領域408からイオン・トラップ418へのガス流からイオンにより取られた過剰な運動エネルギを熱平衡化する。時変の電圧V4は、径方向にイオンを閉じ込めるように動作し、電圧V5は、イオンをイオン・トラップ418内にトラップするように、およびイオンをイオン・トラップ418から放出するように、制御される。例えば、イオンがイオン・トラップ418を透過するためには、V5は、典型的には、V4の電位より小さい電位へと制御され、また、イオンを収集および格納、即ち、トラップするためには、電位B5は、例として、イオンがイオン・トラップ418のイオン放出口を透過できない電位へと上げられる。
[00112] 幾つかの実施形態では、上記で簡単に説明したように、装置400は、例として、イオン・トラップ418のイオン放出口と結合される又は一体化されるイオン取込口を有する質量対電荷比フィルタ424を含むことができる。イオン放出口は、中央軸Aに沿ってフィルタ424のイオン取込口から間隔を空けられており、例として、電圧源450の更に別の出力V7へ電気的に接続される導電プレート、グリッド、またはこれらと同様のもの426を通して形成される中央開口により定められる。別のポンプP3が、フィルタ424へ動作可能に結合され、例として、イオン・トラップ418のそれよりも低い圧力、例えば、高い真空へと、フィルタ424でのポンピングを行うように動作可能であり、フィルタ424が第3の異なってポンピングされた領域を定めるようにする。幾つかの実施形態では、ガス・ソースGSをフィルタ424へ動作可能に結合することができる。
[00113] 質量対電荷比フィルタ424は、例として、従来の四重極質量対電荷フィルタの形で提供されるが、代替の実施形態では、フィルタ424は、六重極、八重極、または他の従来の構成の形で提供することができる。何れの場合でも、質量対電荷比フィルタ424は、典型的には、電圧源450の出力V6が動作可能に結合される、軸Aを囲む複数の延びた導電ロッドを含む。例として、出力V6は、それぞれの反対になるロッドの組または対が別の反対の対と位相がずれるように、ロッドへ結合され、出力電圧V6は、例として、時変、例えば、無線周波数の電圧である。幾つかの実施形態では、V6は1以上のDC電圧を更に含むことができる。
[00114] 幾つかの実施形態では、イオンがフィルタ424を透過するように、電圧V7は、電圧V5のものよりも十分に低く設定される。別の実施形態では、フィルタ424を第2イオン・トラップとして動作させるように、電圧V7を、同様に、V5のものへと切り替えることができる。電圧V6が時変のみ、例えば、RFのみである実施形態における何れかの場合において、質量対電荷比フィルタ424は、例として、ハイパス・フィルタとして動作して、選択された質量対電荷比の値より上りイオンのみがフィルタ424を通ることを可能とする。選択された質量対電荷比の値は、例として、時変の電圧V6の大きさの関数である。そのような実施形態では、質量対電荷比フィルタ424は、従って、高い質量対電荷比のフィルタとして動作して、選択された質量対電荷比のスレッショルドより上の質量対電荷比を有するイオンのみを事前選択する、即ち、通過させる。幾つかの代替の実施形態では、電圧V6は時変およびDCの成分を含み、質量対電荷比フィルタ424は、例として、バンドパス・フィルタとして動作して、質量対電荷比の選択された範囲内のイオンのみがフィルタ424を通過することを可能とする。質量対電荷比の選択された範囲は、例として、時変およびDCの成分の大きさの関数である。そのような実施形態では、質量対電荷比フィルタ424は、従って、質量対電荷比バンドパス・フィルタとして動作して、イオンの質量対電荷比の選択可能な範囲内にある質量対電荷比を有するイオンのみを事前選択する、即ち、通過させる。
[00115] 幾つかの代替の実施形態では、質量対電荷比フィルタ424は、イオン・トラップ418の上流側に配することができる。そのような実施形態では、フィルタ424は、ここで説明したモードの何れかで制御して、質量対電荷比の指定範囲内にある質量対電荷比を有するイオンのみをイオン・トラップ418内へと通過させるようにすることができる。幾つかのそのような実施形態では、質量対電荷比フィルタ424は、イオン・トラップ418の上流側および下流側に配することができる。そのような実施形態では、イオン・トラップ418の上流側の質量対電荷比フィルタ424は、例として、質量対電荷比の選択された範囲内にある質量対電荷比を有するイオンのみを通過させるように制御することができ、イオン・トラップ418の下流側の質量対電荷比フィルタ424は、質量対電荷比の前記の選択された範囲のサブセット内にある質量対電荷比を有するイオンのみを通過させるように制御することができる。代替的には、2つの質量対電荷比フィルタ424を、質量対電荷比の同じ範囲内にある質量対電荷比を有するイオンのみを通過させるように、制御することができる。この後者の実施形態では、上流側の質量対電荷比フィルタ424は、質量対電荷比の選択された範囲内にある質量対電荷比を有するイオンのみをトラップ418内へ通過させるように制御することができ、イオン・トラップ418の下流側の質量対電荷比フィルタ424は、イオン・トラップ418から出て行くイオンが、検出器434へ行く途中でそれを通過するときに時間的に分離されることを可能とするように、用いることができる。
[00116] 幾つかの代替の実施形態では、従来のドリフト・チューブを、質量対電荷比フィルタ424の代わりにする、即ち、それに代えることができる。幾つかのそのような実施形態では、ドリフト・チューブを通って定められる軸方向の通路は、一定の断面の面積を有することができる。幾つかのそのような実施形態では、ドリフト・チューブは、電圧源450により作り出される1以上の電圧を用いて構成および制御され、これを通って軸方向に移動するイオンを径方向に集中させることができる。別の実施形態では、ドリフト・チューブのイオン放出口端部に近いドリフト・チューブの少なくとも一部は、ファンネル形状とする、即ち、イオン放出口への方向に、軸方向の通路の断面の面積が減っていくようにすることができる。幾つかの実施形態では、少なくともファンネル部分は、電圧源450により作り出される1以上の電圧を用いて構成および制御されて、これを通って軸方向に移動するイオンを径方向に集中させることができ、別の実施形態では、ドリフト・チューブ全体を、電圧源450により作り出される1以上の電圧を用いて構成および制御して、これを通って軸方向に移動するイオンを径方向に集中させることができる。幾つかのそのような実施形態では、それを通る中央開口を定める従来のイオン・カーペットに、プレートまたはグリッド426を置換することができ、イオン・カーペットは、電圧源450により作り出される1以上の電圧を用いて構成および制御されて、更に、イオンを、装置400の次の段への開口の中へ向けて、開口を通るように集中させることができる。
[00117] 装置400は、更に、質量対電荷比フィルタ424のイオン放出口と結合される又は一体化されるイオン取込口を有する第4の異なってポンピングされた領域428を含む。第4のポンプP4が、領域428へ動作可能に結合され、フィルタ424の圧力よりも小さい圧力にするように領域428でのポンピングを行うように構成される。例示の実施形態では、第4の異なってポンピングされた領域428は、イオン・レンズおよびデフレクタ430を含み、それに従来のエネルギ・アナライザ432が続き、これは電圧源450の電圧出V8へ電気的に接続される。1つの実施形態では、エネルギ・アナライザ432は、デュアル・ヘミスフェリカル・デフレクション・エネルギ・アナライザ(dual hemispherical deflection energy analyzer)(HDA)であり、130eV/zの名目イオン・エネルギあたりに中心がある狭い帯域のイオン・エネルギを送るように構成される。代替の実施形態では、エネルギ・アナライザ432は、別の従来の形でインプリメントすること、および/または別のイオン・エネルギ値あたりに中心があるイオン・エネルギを送るように構成することができる。
[00118] 装置400は、更に、イオン質量および電荷検出器434を含み、これは、この例示の実施形態では、単一段の静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)の形で提供される。ELITの構成は、一般に、図1-2Bに例示し上記で詳細に説明したELIT14の一段である。例えば、ELIT434は、間隔を空けられたエンド・キャップ436、438を含み、これらのそれぞれは、例として、図2Aおよび2Bに例示するイオン・ミラーMXの向かい合う半部を表し、その間に検出シリンダ440が配される。ELIT434はポンプP5へ動作可能に結合され、これは、ELITチャンバにより定めらる第5の異なってポンピングされた領域内で圧力、例えば、真空を確立するように構成および制御される。1つの実施形態では、ポンプP5は、約10-9mbarの圧力をELIT434内で確立するように制御されるが、別の実施形態では、ポンプP5は、ELITチャンバ内で、より高いまたは低い圧力を確立するように制御することができる。
[00119] 従来の電荷感応型前置増幅器442の入力は、電荷検出シリンダ440へ電気的に接続され、前置増幅器442の出力は、従来のプロセッサ444の入力へ電気的に結合される。プロセッサ444は、例として、メモリ446を含むか、またはメモリ446へ結合され、メモリ446は、下記で説明するように装置444の動作を制御するためにプロセッサ444により実行可能な命令を格納する。幾つかの実施形態では、プロセッサ444は、Pの数の信号経路を介して1以上の周辺デバイスPD448へ動作可能に結合され、Pは任意の正の整数とすることができる。幾つかの実施形態では、プロセッサ444はまた、Mの数の信号経路を介して電圧源450へ電気的に結合することができ、M任意の正の整数とすることができる。このような実施形態では、プロセッサ444は、電圧源450の動作を制御するようにプログラムすることができる。代替の実施形態では、電圧源450は、それ自体をプログラマブルとすることができ、かつ/または手動で制御できるようにすることができる。何れの場合でも、電荷感応型前置増幅器442、プロセッサ444、メモリ446、および周辺デバイス(1以上)448は、例として、すべて図1に関して上記で説明したものである。
[00120] 電圧源450の電圧出力V9は、イオン・ミラー436へ電気的に接続され、電圧源450の別の電圧出力V10は、イオン・ミラー438へ電気的に接続される。電圧V9とV10とのそれぞれは、例として、図2Aおよび2Bの例により示し上記で詳細に説明したように、イオン・ミラー436、438の個々のものの動作を制御するための複数の異なる切り替え可能な電圧を含むこと、およびそのような電圧V9およびV10の制御の下でのELIT434の動作もまた、図1-4Eに描かれた段のそれぞれに関して説明されたようなものであることが、理解されるであろう。
[00121] ここで図10および11を参照すると、CDMS装置400のパルス型動作は、少なくとも電圧V5、V9、およびV10の選択的制御を含む。イオン・トラップ418内にイオンがトラップされて格納されるようにするV5、即ち、V5の電圧の場合のイオン格納またはトラッピング状態に対応する、またはイオン・ミラー436、438の場合の、イオン・トラッピングまたは反射状態、即ち、イオン・ミラー436、438をそれらの反射モードで動作させて電荷検出シリンダ440からその中にイオンを受けるようにするV9およびV10の電圧に対応する、電圧V5、V9、およびV10の高状態は、イオンの移動の方向を逆にし、イオンが電荷検出シリンダ440を通って戻って別のミラーの方へと加速するようにし、上述のように、イオンがELIT434内にトラップされて、イオン・ミラー436、438の間で前後に振動して、毎回、検出シリンダ440を通過するようにされる、ということが理解されるであろう。電圧V5、V9、およびV10の低状態は、透過状態、即ち、イオン・トラップ418からイオンが解放さてれ放出される電圧に対応し、これは、上述のように、イオン・ミラー436、438をそれらの透過モードで動作させて、イオンがそれらを透過するようにする。
[00122] イオン・ソース404は、電圧源450により作り出された電圧V1に応じてイオンを生成する。幾つかの実施形態では、プロセッサ444は、イオン・ソース404にイオンを生成させるために電圧V1を制御するために、メモリ446に格納された命令を実行するように動作可能である。代替の実施形態では、電圧源450は、それ自体がそのようにプログラムされるようにでき、また、電圧源450は、V1を作り出すように手動で制御することができる。何れの場合でも、生成されたイオンは、ソース領域408を通ってイオン・トラップ418の中へ行く。ソース領域408がインターフェース410を含む実施形態では、電圧源450は、前記で簡単に説明したように、インターフェース410を、その中をイオンが通過するように制御するための1以上の電圧V2を作り出すように動作可能である。何れの場合でも、電圧源450により作り出された電圧V3は、イオン・トラップ418のイオン取込口を制御して、ソース領域408から入ってくるイオンのエネルギを、目標エネルギ、例えば、約130eV/zに設定する。最初に、図11に示すように、電圧(1以上)V5は、生成されたイオンをイオン・トラップ418に捕獲し、トラップし、蓄積するためのトラッピング状態に設定され、電圧V9およびV10は、ELIT434へ向けて移動する何れのイオンもそれを通過することを可能とすることによりELIT434をクリアにするために、透過状態に設定される。
[00123] 装置400のパルス型動作は、パルス幅期間twだけ透過状態へ切り替える電圧(1以上)V5から開始し、その後、電圧(1以上)V5はトラッピング状態へ再び戻るように切り替えられる。パルス幅期間twは、選択可能、即ち、調節可能であり、この時間の間、イオン・トラップ418に格納されたイオンは、電圧V5およびV7により確立された電場に応答して、そこから解放または放出されて領域424の中へ進み、ELIT434の方へ移動する。領域424が質量対電荷比フィルタを含む実施形態では、電圧(1以上)V6により通過のために選択された質量対電荷比の値を有するイオンのみが、領域424を通過して領域428内へ進む。エネルギ・アナライザ432の透過エネルギあたりの狭い帯域のエネルギ内のエネルギを有するイオンは、領域428を通過してELIT434のイオン・ミラー436内へ進み、この狭い帯域の外側のエネルギを有するイオンは、ELIT434のイオン取込口から離れるようにそらされる。
[00124] イオン・トラップ418からイオンを解放するためのイオン透過状態への電圧(1以上)V5の遷移に続く遅延時間tD1が満了すると、後方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ438への電圧V10は、透過状態からトラッピングまたは反射状態へと切り替えられる。その後、電荷検出シリンダ440から後方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ438へ入ってくるイオンは、従って、図2Aおよび2Bに関して上記で詳細に説明したように、その中で確立されるイオン反射電場により向きを逆にされ、電荷検出シリンダ440を通って前方ミラーまたはエンド・キャップ436の方へ戻るようにイオン反射電場により加速される。イオン・トラップ418からイオンを解放するためのイオン透過状態への電圧(1以上)V5の遷移に続く別の遅延時間tD2が満了すると、前方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ436への電圧V9は、透過状態からトラッピングまたは反射状態へと切り替えられる。トラッピングまたは反射状態への電圧V9のこのような切り替えのときの電荷検出シリンダ440内または後方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ438内のイオンは、従って、ELIT434内にトラップされ、イオン・ミラー436、438の双方がそれらの反射モードとされていると、上述のように、トラップされたイオン(1以上)は、イオン・ミラー436、438の間で前後に振動し、毎回、電荷検出シリンダ440を通ってそこで対応する電荷を誘導する。イオン(1以上)は、図11に示されたトラッピング時間期間ttrapだけ、トラップされた状態でELIT434内にとどまり、トラッピング時間期間ttrapの終わりに、電圧V9およびV10はそれらの透過状態へ戻って、再びシーケンスを開始する前にELIT434を空にする。電荷検出シリンダを通るイオンにより電荷検出シリンダで誘導された電荷の検出に応答して電荷前置増幅器442により作り出される結果的な電荷検出信号は、上述のように、トラップされたイオン(1以上)の質量および電荷を決定するためにプロセッサ444により処理される。幾つかの実施形態では、ELIT434で1つのイオンをトラップするように、電圧がここで説明したように制御され、別の実施形態では、ELIT434で1つより多くのイオンをトラップするように、電圧を制御することができる。
[00125] CDMS装置400のパルス・モード動作は、イオン・トラップ418にイオンを蓄積および格納し、次に、ELIT434へのイオンの到着がイオン・ミラー436、438の開と閉(それぞれ、透過モードと反射モード)に同期するように、トラップ418からイオンを制御可能に解放することにより、改善された検出効率を提供する。
[00126] 図10に例示するように、イオン・トラップ418のイオン放出口と電荷検出シリンダ440の前方端部との間に実質的な距離D1(例えば、0.86m)がある。1つの実施形態では、D1は約0.86メートルであるが、代替の実施形態では、D1は0.86メートルより長くすること又は短くすることができる。何れの場合でも、イオンがD1だけ移動するのに要する時間は、その運動エネルギおよびその質量対電荷比(m/z)に依存する。エネルギ・アナライザ432は、狭い運動エネルギ分布内のイオンのみを透過させるので、この通行または移動の時間は主にイオンのm/zに依存する。パルス幅期間twが短い場合、1つの範囲のm/z値は、所与の合計遅延時間tD1の間、トラップされるが、tは、イオン・トラップ418のイオン放出口を開いてそこからイオンを解放または放出することに対応するイオン透過モードへの電圧(1以上)V5の遷移、即ち、twでのV5の立ち下がりと、ELIT434のイオン・ミラー436の閉、即ち、反射モードに対応し、ELIT434におけるイオン(1以上)のトラッピングに対応するイオン・トラッピングまたは反射状態への電圧V9の遷移、即ち、twでのV5の後続の立ち上がりに続くV9の立ち上がりと間の時間であり、従って、t=tD1+tD2である。トラッピングできる最大の質量対電荷比m/zMAX(即ち、最も低速)のイオンは、これらの状況の下では、前方エンド・キャップが反射モードへ切り替わったときに検出シリンダへ入ってきたばかりのものである。
[00127] m/zMAX = 2eE[tD 2/d1 2] (1)
[00128] 式1において、電気素量Eはイオン・エネルギであり、dは前述のとおりであり図10に示されている。トラッピングできる最小の質量対電荷比m/zMIN(即ち、最も高速)のイオンは、電圧V9が反射状態へと切り替わったときに電荷検出シリンダ440を通って移動して、後方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ438により反射されて、電荷検出シリンダ440を通って戻るように移動して、前方イオン・ミラーまたはエンド・キャップ436から出ようとしているものである。
[00129] m/zMIN = 2eE[tD 2/(d1 + 2d2 + d3)2] (2)
[00130] 式2において、dは電荷検出シリンダ440の長さであり、dは、それぞれのイオン・ミラー436、438の取込口/放出口と、電荷検出シリンダ440の対応する端部との間の距離である。式(2)の2dは、イオンが電荷検出シリンダ440を通って前方と後方との双方に移動するので、このようになり、dは、エンド・キャップで消費した時間から求められる。ELIT434の幾つかの実施形態では、d=dであり、従って、電荷検出シリンダ440を通る移動にイオンにより消費される時間は、各エンド・キャップ436、438を通る移動に消費される時間と等しい。そのような実施形態では、式(2)は、下記のように減縮することができる。
[00131] m/zMIN = 2eE[tD 2/(d1 + 3d2)2] (3)
[00132] 従って、トラッピングできる最大と最小のm/zの比率は下記の式により得られる。
[00133] m/zMAX/m/zMIN = (d1 + 3d2)2/d1 2 (4)
[00134] 従って、トラッピングできるm/z値の範囲は、イオン・エネルギおよび遅延時間tから独立している。遅延時間が長い場合、より大きいm/z値へとm/zウィンドゥがシフトするが、m/zウィンドゥの相対的な幅は同じにとどまる。上述のようにd=dであるCDMS装置400についての最大と最小のm/z値の比率は1.38であり、そのため、1つの遅延時間tを用いてトラッピングできるm/zウィンドゥの幅はm/zMINから1.38×m/zMINである。例えば、トラッピングできる最小m/z値が25kDaとなるように遅延時間tが設定された場合、34.5kDaまでのm/z値を持つイオンを同時にトラップすることができる。
[00135] 例
[00136] トランケートされたB型肝炎ウイルス(HBV)のカプシドたんぱく質(Cp149)が、24時間、300mMの塩化ナトリウムにアセンブルされ、100mMの酢酸アンモニウム(シグマ・アルドリッチ、99.999%トレース・メタル・ベース(Sigma Aldrich, 99.999% trace metal basis))へ透析され、使用前に少なくとも1週間格納された(自己修正するためのアセンブリ・エラー時間を与えるため)。カプシドたんぱく質の最初の濃度は1mg/mLであった。アセンブリは、主に、120のカプシドたんぱく質二量体で構成される二十面体T=4カプシド(直径は約32nm)を生じ、これに、小量(この場合は約5%)の、90のたんぱく質二量体を持つ二十面体T=3カプシド伴った。300mMのNaClにおけるHBVアセンブリに関しての擬似臨界濃度(pseudo critical concentration)は3.7μMであり、従って、最終的カプシド濃度は約0.22μMである。原液のサンプルは、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)により、6kDaカットオフで、純化された。純化された液体のアリコートは、次に、100mMの酢酸アンモニウムで、0.05μg/mLから100μg/mLの範囲である要求された濃度へと薄められた。
[00137] ピルビン酸キナーゼ(PK)が、酢酸アンモニウムにおいて10mg/mlで調製された。原液のアリコートは、SECにより、6kDaカットオフで、純化された。純化された液体は、次に、100mMの酢酸アンモニウムで、2mg/mLへと薄められた。
[00138] 図12Aは、図10に例示し上記で説明したCDMS装置400を用いて測定したHBVサンプルの2つの代表的質量分布の幾つかの部分を示す。2つの濃度に関しての結果が示されており、100μg/mL(HBV原液の100倍希釈)が図12Aでは500として示され、0.5μg/mL(2000倍希釈)が図12Aでは502として示されている。図12Aに示すCDMS分布は、16.6分(10000トラッピング・イベント)記録され、25kDaビンでプロットされた。10μg/mLの濃度(500で表す)では、約4.05MDaの質量のところに目立つピークがあり、これはHBV Cp149のT=4のカプシドに関しての予想される質量に近い。0.5μg/mLの濃度(502で表す)では、ピークは殆ど消えている。イオンは比較的長い時間(100ms)測定されるので、CDMSにおけるスプリアス信号のレートが非常に小さいことに留意されたい。HBVのT=4のカプシドのイオンは、約140電気素量を持ち、ランダムなノイズ信号が100msの時間期間にわたってこの大きさのイオン信号として偽装され得る可能性は、かなり小さい。従って、対象とする範囲でのバックグラウンド・ノイズも、同様に、かなり小さい。
[00139] エレクトロスプレーの小滴に含まれる分析物の数が検出効率に影響し得ることに、留意されたい。小滴に存在するカプシドの平均数の見積もりは、例として、濃度および小滴サイズから得ることができる。また、主なエレクトロスプレーの小滴の平均サイズは、エレクトロスプレーの状態から見積もることができる。見積もられた小滴サイズが70nmの場合、小滴あたりのカプシドの平均数は、HBV原液の濃度(1mg/mL)では、約0.025(即ち、40小滴のうちの1つがカプシドを含む)である。
[00140] 図12Bは、0.5μg/mLから10μg/mLまでのHBV濃度に対しての3.8MDaから4.4MDaの範囲の統合した計数のlog-logプロット504を示す。点は測定値であり、線は、例として、最小二乗適合である。応答対濃度のlog-logプロットに関して1.0の傾きが予想されており、1.0に近い傾きが観察されている。図12Bのプロット504において、例えば、傾きは1.031である。これらの結果に基づくと、HBVのT=4のカプシドに関する検出の限界は、約0.5μg/mLとすることができる。これは、1.1×10-10モル/Lまたは6.6×1010粒子/mLに対応する。16.6分の収集期間の間に、約1.3μLの液体がエレクトロスプレーされた。これを考慮すると、検出の限界は、従って、約0.14フェムトモルまたは8.6×10粒子である。16.6分のデータ獲得時間の間に、19のイオンが検出された。従って、HBVのT=4のカプシドに関しての検出効率は、約2.2×10-7である。
[00141] 図13Aは、1μg/mLの濃度についてのHBVのカプシドに対して、標準モード(即ち、非パルス型)(図13Aでは602で表す)と、ここで説明したパルス・モード(図13Aでは600で表す)との双方でCDMS装置400により測定した質量分布の比較を示す。明らかに、パルス・モードで測定した分布600における強度は、標準(非パルス型)モードで測定した分布602における強度よりもかなり大きく、標準モードの分布は15のイオンを含み、パルス型は3695を含み、従って、この例での強度のゲインは246である。
[00142] 図13Bは、標準(非パルス型)モード606とパルス・モード604との間での質量分布の別の比較を示す。この場合、標準モードの分布606は、0.5μg/mLの濃度で測定され、パルス・モードの分布604は、0.05μg/mLの濃度で測定された。標準モードの分布606は8のイオンを含み、パルス・モードの分布604は145を含み、従って、強度のゲインは181である(濃度差を考慮)。
[00143] 強度のゲインは、トラッピングの効率、パルス幅期間tw、および遅延時間tD1およびtD2(全て図11に示す)に依存する。イオン・トラップ418にトラップされたイオンからの信号は、エレクトロスプレー・ソース404がオフにされた後に20秒より長く持続することが発見され、これはイオン・トラップ418にイオンが効率的にトラップされていることを示す。パルス幅twが短すぎる場合、イオンがイオン・トラップ418を離れるための十分な時間がない。他方、パルス幅twが長すぎる場合、イオン・トラップ418にイオンを蓄積することの利益が失われ、信号は、非パルス型のモードに関しての値に近づく。パルス幅twおよび遅延時間tD1およびtD2が最適化されると、パルス・モードの動作から得られる強度のゲインは、平均が約200になることが発見された。2800Daのm/zに関して、CDMS装置400の非パルス型の動作モードでは、620のうちの約1つのイオンのみをトラップできることに、留意されたい。上述のようにパルス・モードで動作することにより、非パルス型モードでは失われる信号の多くの部分を回復することができる。ここで例示し説明したパルス・モードの動作を行うと、HBVのT=4のカプシドに関する検出の限界は約200倍低く、5.5×10-13モル/Lまたは3.3×10粒子/mLである。これは、1.3μLのサンプルに関して約4.3×10粒子または約0.7アトモルに対応する。パルス・モードの動作でのHBVのT=4のカプシドに関しての検出効率は、約4.4×10-5(即ち、非パルス型モードでの検出効率の200倍)である。
[00144] パルス・モードのCDMSにより得られる高感度の場合、多くのイオンをELITへ同時に注入することが比較的容易である。しかし、複数のイオン・トラッピング・イベントを分析して、小量の同時にトラッピングしたイオンのm/z値および電荷を決定することはできるが、ELIT434内でのイオンとイオンとの相互作用は、軌道およびエネルギを変動させ得、これはm/z分解能を劣化させる。似たm/z値を持つ複数のイオンのトラッピングは、データ分析でのエラーを生じさせ得、添付の図面に描かれた測定値は、平均でトラッピング・イベントあたりに1つのイオンがトラップされるサンプルに制限されている。トラップされたイオンの分布はポアソン分布であり、平均トラッピング効率が約1の場合は、おおよそ、トラッピング・イベントの三分の一は空であり、別の三分の一は1つのイオンを含み、残りの三分の一は2以上のイオンを含む。10μg/mLのサンプル濃度に関しては、パルス・モードでトラップされたイオンの数は、平均でイベントあたりに1つよりもかなり多く、サンプルは、添付の図面に描かれた測定が行われるようにするために、希釈しなければならない。
[00145] 上述のように、HBVカプシドたんぱく質のアセンブリは、T=4に加えて、小量の小さいT=3のカプシドという結果をもたらす。T=4イオンの平均m/zは28700Daであり、T=3イオンの平均m/zは25500Daである。これらのm/z値の比は1.13であり、これは、同時にトラッピングできる範囲内にある。この点に関して、図14は、CDMS装置400を用いて測定されたHBVに関してのCDMS質量分布700、702を示し、約3.0MDaのところにT=3のピークを示し、約4.05MDaのところにT=4のピークを示す。分布702は、CDMS装置400を標準動作状態(即ち、非パルス型)の下で用いて測定され、分布700は、上述のようにパルス・モードで動作するCDMS装置400を用いて測定された。HBVたんぱく質の濃度は、非パルス型(分布702)に関しては100μg/mLであり、パルス型(分布700)に関しては1μg/mLであった。T=3のカプシドの部分(統合された計数から)は、標準モードの分布702では0.0435であり、パルス・モードの分布700では0.0470である。しかし、より大きい(即ち、より遅い)イオンはELIT434のトラップ可能領域で、より長い時間を費やすので、標準モードの分布702での検出効率は(m/z)1/2に比例する。CDMS装置400のパルス・モードの動作では、ELIT434のトラップ可能領域にある全イオンがトラップされ、これらのイオンに関する検出効率はm/z比に依存しない。検出効率に関しての標準モードの比の修正の後、比は、0.0461に増加する(パルス・モードに関しての0.0470と比較して)。従って、強度の比は、パルス・モードの動作に大きく影響されない。
[00146] m/z分布が、上述のm/zMINから1.38×m/zMINのウィンドゥよりも広い場合、合計遅延時間tは、分布の別の部分をトラップするように調節することができる。例えば、図15は、CDMS装置400を用いて測定されたピルビン酸キナーゼ(PK)サンプルに関してのCDMS質量分布を示す。質量分布804は、標準(即ち、非パルス型)条件の下で測定され、PKの四量体(230kDa)、八量体(460kDa)、十二量体(690kDa)、および十六量体(920kDa)に起因するピークがはっきりと現れている。パルス・モードで全ての多量体を同時に透過させることは可能ではない。しかし、遅延時間tを調節することにより、異なるm/zバンドを透過させることは可能である。質量分布800は、四重体を含むm/z値を透過させる(約6600Daから9150Daの範囲のm/z値が透過される)ように最適化された遅延時間tを用いてパルス・モードで測定され、質量分布802は、八重体および十二重体を透過させるように最適化された遅延時間tを用いてパルス・モードで測定された。双方の場合において、透過される最小と最大の質量対電荷比の比は、上記の予測された値(1.38)に近い。m/z分布の幾つかの部分を選択する能力は、多数の応用において有益である。例えば、個々のイオンはCDMSで処理されるので、有用な情報を含まないイオンの処理に時間を消費しないことは有益である。従って、前述のように、有用な情報を含まないm/z分布の部分の区別は、有益である。多くのサンプルは、このアプローチを使用することに対して区別され得る多数の低質量のイオンを含む。
[00147] ここで説明した装置400の例示の実施形態では、イオン質量および電荷検出器434は、一段の静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)の形で提供されるが、別の実施形態では、イオン質量および電荷検出器434は、代替的に、多段のELIT、例えば、図1-4Eに関してここで説明したELIT14、または複数の一段のELIT、例えば、図6-8Fに関してここで説明したものの形で、または、幾つかの実施形態では、1以上のオービトラップ、例えば、下記の同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013278号に開示されたものの形で提供され得ることが、理解されるであろう。最初の2つの場合では、装置400の動作は、多段のELITまたはELITの段へイオンを順に供給するように、上記のシステム10、200の説明と矛盾することなく変更することができる。図1-4Eに例示し上記で説明した型の多段ELITの場合、各ELIT領域(例えば、E1、E2、およびE3)は、イオン・トラップ418から漸次大きくなる距離だけ離れるように間隔が空けられ、最小と最大の質量対電荷比の値がそれぞれ幾らか異なるようにされることに、留意されたい。更に、ELIT領域のそれぞれの中にトラップできる質量対電荷比の範囲は、上記の式(4)で与えられるように、漸次に、イオン・トラップ418からELIT領域までの距離が増加すると値が減少することに、留意されたい。
[00148] 添付の図面に例示し上記で説明したELITおよび/またはアレイ14、205、302、434の任意のものの様々なコンポーネントの寸法は、例として、その中でのおよび/または各ELITまたはELIT領域E1-E3中での、イオン振動の望まれるデューティ・サイクルを確立するように、選択することができ、これは、個々の電荷検出シリンダ(1以上)CD1-CD3でイオン(1以上)により消費される時間と、1つの完全な振動サイクルの間に対応するイオン・ミラーと個々の電荷検出シリンダ(1以上)CD1-CD3との組み合わせを横切るイオン(1以上)により消費される合計時間との比に対応するようにする。例えば、約50%のデューティ・サイクルは、測定信号の調波周波数成分から生じる基本周波数の大きさの量定におけるノイズを低減する目的のために、ELITまたはELIT領域の1以上のものにおいて望ましいものであり得る。例えば50%などのような望まれるデューティ・サイクルを達成するためのこのような寸法の考慮と関連する詳細は、2019年1月11日に出願され名称が「ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP DESIGN FOR CHARGE DETECTION MASS SPECTROSCOPY」である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013251号に例示され説明されており、この出願の開示は、その全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00149] 更に、ELITおよび/またはアレイ14、205、302、434の任意の1以上のものの電荷検出シリンダ(1以上)と共に、および/またはELITまたはELITアレイの領域(1以上)E1-E3の任意の1以上のものにおいて、電荷の校正または再設定の装置を使用できることが、理解されるであろう。1つのそのような電荷の校正または再設定の装置の例は、同時係属中の2019年1月11日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/013284号と、2019年6月4日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/035381号とに例示され説明されており、これらの出願の名称は共に「APPARATUS AND METHOD FOR CALIBRATING OR RESETTING A CHARGE DETECTOR」であり、これらの出願の開示の全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00150] 更に、トリガ・トラッピングまたは他の電荷検出のイベントに対して、ELITおよび/またはアレイ14、205、302、434の任意の1以上のものと共に、および/またはそのようなELITおよび/またはELITアレイの1以上の領域E1-E3と共に、1以上の電荷検出最適化技術を用いることができることが、理解されるであろう。幾つかのそのような電荷検出最適化の装置および技術の例は、2019年1月11日に出願され名称が「APPARATUS AND METHOD FOR CAPTURING IONS IN AN ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP」である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013280号に例示され説明されており、この出願の開示は、その全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00151] 更に、ここで例示し説明したイオン・ソース12の1以上の実施形態と共に、1以上のイオン・ソース最適化の装置および/または技術を用いることができることが理解され、それらの幾つかの例は、同時係属中の2019年1月11日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/013274号と、2019年6月4日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/035379号とに例示され説明されており、これらの出願の名称は共に「HYBRID ION FUNNEL-ION CARPET (FUNPET) ATMOSPHERIC PRESSURE INTERFACE FOR CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY」であり、これらの出願の開示の全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00152] 更に、ここで例示し説明したイオン質量検出システム10、60、80、200、300、400を、リアルタイム分析および/またはリアルタイム制御の技術に従ってインプリメントできることが理解され、その幾つかの例は、2019年1月11日に出願され名称が「CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY WITH REAL TIME ANALYSIS AND SIGNAL OPTIMIZATION」である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013277号に例示され説明されており、この出願の開示は、その全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00153] 更に、ここで例示し説明したイオン質量検出システム10、60、80、200、300、400は、複数のイオンを、ここで例示し説明したELITおよび/またはアレイ14、205、302、434の任意の1以上のものへ供給して、そのようなたELITおよび/またはELITアレイの1以上のものが一度に複数のイオンの質量および電荷を測定するように動作できるように構成できることが理解され、その幾つかの例は、2019年1月11日に出願され名称が「APPARATUS AND METHOD FOR SIMULTANEOUSLY ANALYZING MULTIPLE IONS WITH AN ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP」である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013285号に例示され説明されており、この出願の開示は、その全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00154] 更に、ここで例示し説明したイオン質量検出システム10、60、80、200、300、400の1以上のものにおいて、少なくとも1つのELITを、代替的に、オービトラップの形で提供できることが理解され、その幾つかの例は、2019年1月11日に出願され名称が「ORBITRAP FOR SINGLE PARTICLE MASS SPECTROMETRY」である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013278号に例示され説明されており、この出願の開示は、その全体がこの参照によりここに明確に組み込まれる。
[00155] 更に、CDMS装置400が、追加的に、図5Aに例示され上記で説明されたイオン質量検出装置の実施形態として(即ち、イオン質量検出システム10、200、300の代替のものとして)含まれることが、理解されるであろう。同様に、CDMS装置400が、追加的に、図5Bに例示され上記で説明されたイオン質量検出装置の実施形態として(即ち、イオン質量検出システム10、200、300の代替のものとして)含まれることが、理解されるであろう。
[00156] 発明が、上述の図面および記載で詳細に例示され説明されたが、これは、例示と考えられ、特徴の限定ではなく、その例示的な実施形態のみが示され説明されていること、および発明の精神の範囲内にある全ての変更および改造の保護が望まれることが、理解されている。

Claims (22)

  1. 電荷検出質量分析装置であって、
    サンプルからイオンを生成するように構成されるイオン・ソースと、
    イオン・トラップであって、生成された前記イオンを受け取りその中へ格納するように、および格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されるイオン・トラップと、
    前記イオン・トラップから離れており、第1イオン・ミラーおよび第2イオン・ミラーと、これらの間に配される電荷検出シリンダとを含む静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)と、
    前記イオン・トラップを選択的に制御して、格納された前記イオンの少なくとも幾らかをそこから解放してELITの中へ向けて移動させるため、および前記第1イオン・ミラーおよび前記第2イオン・ミラーを制御して、前記ELITにおいて、その中を通るイオンのうちの1つのイオンをトラップし、トラップされた前記イオンを、前記第1イオン・ミラーと前記第2イオン・ミラーとの間で前後に振動させ、毎回に前記電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせる手段と
    を含む電荷検出質量分析装置。
  2. 請求項1の電荷検出質量分析装置であって、
    前記電荷検出シリンダへ結合される入出と、出力とを有し、前記電荷検出シリンダを通るトラップされた前記イオンにより前記電荷検出シリンダで誘導された電荷の検出に応じて、対応する電荷検出信号を前記出力で作り出す電荷感応型増幅器と、
    複数の前記電荷検出信号を処理し、その処理から、トラップされた前記イオンの質量および電荷を決定する手段と
    を更に含む電荷検出質量分析装置。
  3. 請求項1の電荷検出質量分析装置であって、
    前記イオン・トラップと前記ELITとの間に配される質量対電荷比フィルタであって、質量対電荷比スレッショルドより上の、または質量対電荷比スレッショルドより下の、または選択された質量対電荷比の範囲内の質量対電荷比を有するイオンのみがその中を通るように構成される質量対電荷比フィルタ
    を更に含む電荷検出質量分析装置。
  4. 電荷検出質量分析装置であって、
    サンプルからイオンを生成するように構成されるイオン・ソースと、
    複数の出力電圧を作り出すように構成される少なくとも1つの電圧源と、
    第1組の前記複数の出力電圧へ結合されるイオン・トラップであって、そのトラッピング状態に応じて、生成された前記イオンを受け取りその中へ格納するように、およびその透過状態に応じて、格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されるイオン・トラップと、
    前記イオン・トラップから離れている静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)であって、前方イオン・ミラーおよび後方イオン・ミラーと、これらの間に配される電荷検出シリンダとを含み、前方イオン・ミラーおよび後方イオン・ミラーは、それぞれ、第2組の前記複数の出力電圧および第3組の前記複数の出力電圧へ結合され、その透過状態に応じて、その中をイオンが透過するようにし、また、その反射状態に応じて、前記電荷検出シリンダからその中へ入ってくるイオンが前記電荷検出シリンダの中へ戻されるように反射するように構成されるELITと、
    処理回路であって、前記第1組の電圧をその透過状態へと制御して、前記イオン・トラップが格納した前記イオンの少なくとも幾らかをそこから解放して、前記前方イオン・ミラーを介して前記ELITの中へ向けて移動するようにさせ、その後、前記第2組の電圧が後に続く前記第3組の電圧をその反射状態へと制御して、その中を移動する前記イオンのうちの1つのイオンをトラップするように、およびトラップされた前記イオンが前記前方イオン・ミラーと前記後方イオン・ミラーとの間で前後に振動するようにして、毎回に前記電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせる処理回路と
    を含む電荷検出質量分析装置。
  5. 請求項4の電荷検出質量分析装置であって、
    前記電荷検出シリンダへ結合される入出と、出力とを有し、前記電荷検出シリンダを通る前記イオンにより前記電荷検出シリンダで誘導された電荷の検出に応じて、電荷検出信号を前記出力で作り出す電荷感応型増幅器を更に含み、
    前記処理回路は、複数の前記電荷検出信号を処理し、その処理から、トラップされた前記イオンの質量および電荷を決定するように構成される、
    電荷検出質量分析装置。
  6. 請求項4の電荷検出質量分析装置であって、
    前記イオン・トラップと前記ELITとの間に配される質量対電荷比フィルタであって、質量対電荷比スレッショルドより上の、または質量対電荷比スレッショルドより下の、または選択された質量対電荷比の範囲内の質量対電荷比を有するイオンのみがその中を通るように構成される質量対電荷比フィルタ
    を更に含む電荷検出質量分析装置。
  7. 請求項4の電荷検出質量分析装置であって、
    前記処理回路は、パルス幅期間の間、前記第1組の電圧をその前記トラッピング状態から前記透過状態へと制御するように、および前記パルス幅期間の満了に応じて、前記第1組の電圧をその前記透過状態から前記トラッピング状態へと制御するように構成される、
    電荷検出質量分析装置。
  8. 請求項7の電荷検出質量分析装置であって、
    前記処理回路は、前記トラッピング状態から前記透過状態への前記第1組の電圧の制御からの第1遅延時間が満了すると、前記第3組の電圧をその前記透過状態から前記反射状態へと制御するように構成され、
    前記処理回路は、前記トラッピング状態から前記透過状態への前記第1組の電圧の制御からの第2遅延時間が満了すると、前記第2組の電圧をその前記透過状態から前記反射状態へと制御するように構成され、前記第2遅延時間は前記第1遅延時間より大きい、
    電荷検出質量分析装置。
  9. 請求項8の電荷検出質量分析装置であって、
    前記ELITにトラップされた前記イオンの質量対電荷比は、前記第1遅延時間と前記第2遅延時間との合計に比例し、
    前記第1遅延時間と前記第2遅延時間との前記合計は、前記ELITでトラップするイオンの対応する質量対電荷比範囲を選択するように、前記処理回路により制御される、
    電荷検出質量分析装置。
  10. 前方イオン・ミラーと後方イオン・ミラーとの間に配される電荷検出シリンダを有する静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)と、前記前方イオン・ミラーから離れているイオン・トラップとを含む電荷検出質量分析装置を動作させる方法であって、
    サンプルからイオンを生成することと、
    生成された前記イオンを前記イオン・トラップへ格納することと、
    前記イオン・トラップを制御して、格納された前記イオンの少なくとも幾らかをそこから解放して、前記前方イオン・ミラーを介して前記ELITの中へ向けて移動させることと、
    格納されたイオンを解放するように前記イオン・トラップを制御した後に、前記後方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、前記後方イオン・ミラーが、前記電荷検出シリンダから前記後方イオン・ミラーへ入ってくるイオンを、前記電荷検出シリンダを通って前記前方イオン・ミラーの方へ戻されるように反射するようにすることと、
    前記後方イオン・ミラーをその前記反射状態へと制御した後に、前記前方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、前記前方イオン・ミラーが、前記電荷検出シリンダから前記前方イオン・ミラーへ入ってくるイオンを、前記電荷検出シリンダを通って前記後方イオン・ミラーの方へ戻されるように反射して、前記イオン・トラップから解放された前記イオンのうちの1つのイオンを前記ELITにおいてトラップして、トラップされた前記イオンが前記前方イオン・ミラーと前記後方イオン・ミラーとの間で振動するようにして、毎回に前記電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせることと
    を含む方法。
  11. 請求項10の方法であって、
    プロセッサを用いて、複数の誘導された前記電荷の検出を処理して、その処理から、トラップされた前記イオンの質量および電荷を決定すること
    を更に含む方法。
  12. 請求項10の方法であって、
    前記イオン・トラップから解放された前記イオンについて、前記ELIT内へと通過させる前に、質量対電荷比スレッショルドより上または下の、または選択された質量対電荷比の範囲内の質量対電荷比を有するイオンのみに関してのフィルタ処理を行うこと
    を更に含む方法。
  13. 請求項10の方法であって、
    前記ELIT内にトラップ可能なイオンの質量対電荷比の範囲は、前記イオン・トラップと前記ELITとの間の距離および前記ELITの内部の軸方向の寸法の関数である、
    方法。
  14. 請求項13の方法であって、選択した範囲の質量対電荷比を、前記イオン・トラップと前記ELITとの間に対応する距離を確立することにより、前記ELIT内にトラップするように、前記分析装置を構成すること
    を更に含む方法。
  15. 電荷検出質量分析装置であって、
    サンプルからイオンを生成するように構成されるイオン・ソースと、
    イオン・トラップであって、生成された前記イオンを受け取りその中へ格納するように、および格納したイオンをそこから選択的に解放するように構成されるイオン・トラップと、
    前記イオン・トラップから離れている静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)であって、第1イオン・ミラーおよび第2イオン・ミラーと、これらの間に配される電荷検出シリンダとを含み、前記第1イオン・ミラーは前記イオン・トラップに対向しており、前記イオン・トラップのイオン出口は、前記第1イオン・ミラーに対向する前記電荷検出シリンダの第1端部から第1距離だけ間隔が空けられており、前記電荷検出シリンダの第1端部と、前記第2イオン・ミラーに対向する前記電荷検出シリンダの第2端部との間の前記電荷検出シリンダの長さは第2距離を定め、前記第1距離および前記第2距離は、前記ELIT内にトラップ可能なイオンの質量対電荷比の範囲を定めるように選択される、ELITと、
    前記イオン・トラップを選択的に制御して、格納された前記イオンの少なくとも幾らかをそこから解放して前記ELITの中へ向けて移動させるため、および前記第1イオン・ミラーおよび前記第2イオン・ミラーを制御して、前記ELITにおいてその中を移動すイオンのうちの少なくとも1つのイオンをトラップし、トラップされた前記少なくとも1つのイオンを、前記第1イオン・ミラーと前記第2イオン・ミラーとの間で前後に振動させて、毎回に前記電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせる手段と
    を含む電荷検出質量分析装置。
  16. 請求項15の電荷検出質量分析装置であって、
    前記電荷検出シリンダへ結合される入出と、出力とを有し、前記電荷検出シリンダを通る前記少なくとも1つのイオンにより前記電荷検出シリンダで誘導された電荷の検出に応じて、電荷検出信号を前記出力で作り出す電荷感応型増幅器を更に含み、
    前記処理回路は、複数の前記電荷検出信号を処理し、その処理から、トラップされた前記少なくとも1つのイオンの質量および電荷を決定するように構成される、
    電荷検出質量分析装置。
  17. 請求項15の電荷検出質量分析装置であって、
    前記イオン・トラップと前記ELITとの間に配される質量対電荷比フィルタであって、質量対電荷比スレッショルドより上の、または質量対電荷比スレッショルドより下の、または選択された質量対電荷比の範囲内の質量対電荷比を有するイオンのみがその中を通るように構成される質量対電荷比フィルタ
    を更に含む電荷検出質量分析装置。
  18. 請求項15の電荷検出質量分析装置であって、前記処理回路は、パルス幅期間の間、第1組の電圧をそのトラッピング状態から透過状態へと制御するように、および前記パルス幅期間の満了に応じて、前記第1組の電圧をその前記透過状態から前記トラッピング状態へと制御するように構成される、
    電荷検出質量分析装置。
  19. 請求項18の電荷検出質量分析装置であって、
    前記処理回路は、前記トラッピング状態から前記透過状態への前記第1組の電圧の制御からの第1遅延時間が満了すると、第3組の電圧をその透過状態から反射状態へと制御するように構成され、
    前記処理回路は、前記トラッピング状態から前記透過状態への前記第1組の電圧の制御からの第2遅延時間が満了すると、第2組の電圧をその透過状態から反射状態へと制御するように構成され、前記第2遅延時間は前記第1遅延時間より大きい、
    電荷検出質量分析装置。
  20. 前方イオン・ミラーと後方イオン・ミラーとの間に配される電荷検出シリンダを有する静電リニア・イオン・トラップ(ELIT)と、前記前方イオン・ミラーから離れているイオン・トラップとを含む電荷検出質量分析装置を動作させる方法であって、
    前記イオン・トラップのイオン出口と、前記ELITの前記前方イオン・ミラーに対向する前記電荷検出シリンダの端部との間の第1距離と、前記電荷検出シリンダの対向する端部の間の第2距離とを選択して、前記ELIT内にトラップ可能なイオンの質量対電荷比の範囲を確立することと、
    サンプルからイオンを生成することと、
    生成された前記イオンを前記イオン・トラップへ格納することと、
    前記イオン・トラップを制御して、格納された前記イオンの少なくとも幾らかをそこから解放して、前記前方イオン・ミラーを介して前記ELITの中へ向けて移動させるようにすることと、
    格納されたイオンを解放するように前記イオン・トラップを制御した後に、前記後方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、前記後方イオン・ミラーが、前記電荷検出シリンダから前記後方イオン・ミラーへ入ってくるイオンを、前記電荷検出シリンダを通って前記前方イオン・ミラーの方へ戻されるように反射するようにすることと、
    前記後方イオン・ミラーをその前記反射状態へと制御した後に、前記前方イオン・ミラーを反射状態へと制御して、前記前方イオン・ミラーが、前記電荷検出シリンダから前記前方イオン・ミラーへ入ってくるイオンを、前記電荷検出シリンダを通って前記後方イオン・ミラーの方へ戻されるように反射して、前記イオン・トラップから解放された前記イオンのうちの少なくとも1つのイオンを前記ELITにおいてトラップして、トラップされた前記少なくとも1つのイオンが前記前方イオン・ミラーと前記後方イオン・ミラーとの間で前後に振動するようにし、毎回に前記電荷検出シリンダを通り、対応する電荷を誘導するようにさせることと
    を含む方法。
  21. 請求項20の方法であって、
    プロセッサを用いて、複数の誘導された前記電荷の検出を処理して、その処理から、トラップされた前記少なくとも1つのイオンの質量および電荷を決定すること
    を更に含む方法。
  22. 請求項20の方法であって、
    前記イオン・トラップから解放された前記イオンについて、前記ELIT内へと通過させる前に、質量対電荷比スレッショルドより上または下の質量対電荷比、または選択された質量対電荷比の範囲内の質量対電荷比を有するイオンのみに関してのフィルタ処理を行うこと
    を更に含む方法。
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