JP2022546385A - 呼吸インターフェースデバイスに関する改良 - Google Patents

Abstract

呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、（ｂ）ポリマー注入ポートを介してポリマーを金型のキャビティに注入するステップと、（ｃ）ガス導入ポートを介してガスを金型のキャビティに導入するステップと、を含み、これによって呼吸インターフェースデバイスのためシーリング部材を形成する。呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は、ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、患者接触面は、金型のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する。

Description

本発明は、呼吸インターフェースデバイス及び関連する製造方法に関する。

患者の呼吸器系に呼吸器具を接続するために、呼吸器具は一般に何らかの形の呼吸インターフェースデバイスを含む。フェイスマスクや鼻マスクなどの非侵襲的なインターフェースデバイスと、気管内チューブ、ラリンジアルマスクエアウェイのような声門上エアウェイといった侵襲的なインターフェースデバイスとを含む、広範囲の異なるインターフェースデバイスが存在する。

これらのインターフェースデバイスの多くは、患者の気道との有効なシール（密着、密着性）を形成するために、外側表面でも内側表面でもありうる患者の体の表面に対してシールするように構成されている。例えば、非侵襲的インターフェースデバイスは、デバイスを患者の顔に対してシールし、デバイスと患者の口及び／又は鼻との間に有効な接続を形成するシーリング部材を一般的に含み、侵襲的インターフェースデバイスは、デバイスを患者の気道の内部表面に対してシールし、デバイスとその気道との間に有効な接続を形成するシーリング部材を含むことが多い。

これらの呼吸インターフェースデバイスの多くは、例えばシーリングクッションやシーリングカフといった膨張可能なシーリング部材を含んでおり、これは、ガスが充填された内部チャンバを取り囲む薄い囲い壁（ｅｎｃｌｏｓｉｎｇ ｗａｌｌ）によって形成されている。

呼吸インターフェースデバイスの一例は麻酔マスクである。麻酔マスクは、患者に麻酔ガスを送達する間、患者の鼻と口を覆うように保持される呼吸マスクである。これらのマスクは一般に、麻酔ガスの供給源に接続する管状コネクタを含むマスク本体と、マスク本体への入口の周縁の周りに延びる膨張可能なシーリングクッションとを備えている。膨張可能なシーリングクッションの壁は薄く、その形状を保持して弾性変形可能とするにはシーリングクッションの内部に大気圧を超える十分な圧力のガスが必要である。シーリングクッションは一般に、シーリングクッションの膨張を可能にする一方向弁を備えた入口を含む。シーリングクッションは、シリンジを用いて収縮させることもできる。使用の際、膨張したシーリングクッションを有する従来の麻酔マスクは患者の鼻及び口を覆うように配置され、麻酔ガスを患者に送達することができる十分なシールが得られるまで患者の顔に付勢される。しかしながら、許容可能なシールを達成するためにかなりの量の圧力を要する場合がある。

膨張可能な部分を含む呼吸インターフェースデバイスのさらなる重大な欠点は製造コストであり、この製造には一般に、膨張可能部分をデバイスの残りの部分に取り付ける組立ステップと、多くのデバイスにおいて膨張可能部分の膨張を可能にする弁を提供する追加のステップが必要である。具体的には、ブロー成形が一般に使用されて膨張可能なシーリング部材が形成され、次に、膨張可能なシーリング部材は本体部、例えばより剛性の高いマスク本体に接着される。ブロー成形は、射出ブロー成形と呼ばれるプロセスにおいて金型内で膨張される中空内部を有する予備成形インサート、又は、押出ブロー成形と呼ばれるプロセスにおいて各端部で型締めされ、金型内で膨張される押出パリソンチューブのいずれかを使用する。

呼吸インターフェースデバイスにおける膨張可能部分の使用に対する代わりのアプローチは、解剖学的に形状づけられた柔軟なシーリング部材を提供して患者、例えば患者の顔との有効なシールをもたらすことである。これらのデバイスは、膨張可能部分を有する呼吸インターフェースデバイスの製造と比べ、組立ステップを減らす２ショット射出成形プロセスで形成することができる。一般に、これらのマスクでは、許容可能なシールを達成するにはより少ない圧力を加えることが必要である。しかしながら、これらのデバイスは、許容可能なシールが達成されない場合に、上昇圧力が加えられるとシーリングクッション又はシーリングカフが患者の顔にさらに適応できなくなり、圧力が加えられるとシーリング部材が変形して広がり、漏れを生じてしまうリスクがある、という欠点を有する。

ここで、従来技術に関連する上記の欠点及び／又は他の欠点を克服するか又は実質的に軽減する、呼吸インターフェースデバイスの改良された製造方法、及び改良された呼吸インターフェースデバイスが考案された。

本発明の第１の態様によれば、呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）前記ポリマー注入ポートを介してポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
（ｃ）前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
を含み、
これによって前記呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材を形成し、
前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者接触面を含み、前記患者接触面は、前記金型の前記キャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する。

本発明による方法は呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を提供し、このシーリング部材は、ポリマーによって画定される弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれ、したがって従来技術のデバイスの膨張可能部分と同様に機能することのできる内部チャンバと、金型のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含み、したがって従来技術の解剖学的に形づくられたシール膜と同様に機能するよう構成することができる囲い壁と、を備えている。この特徴の組み合わせにより、その解剖学的なフィット性によって患者との有効なシールをもたらすシーリング部材を形成することができるが、シールを改善する必要がある場合には、シーリング部材をその内部チャンバによって患者、例えば患者の顔に付勢することもできる。

患者接触面は、シーリング部材が使用時に変形する前に患者との解剖学的なフィット性をもたらすことができる、すなわち、患者接触面を解剖学的に形づくることができる。解剖学的なフィット性をもたらすために、患者接触面は、先頭部分、すなわち、シーリング部材が変形する前に患者の表面と接触する部分を有することができ、この先頭部分は解剖学的に形づくられている。この解剖学的な形状は、少なくともシーリング部材が患者の表面と係合する方向において決定され、これにより、患者接触面の先頭部分の位置は、例えば患者接触面に沿った異なる位置においてこの方向で変化することができる。患者接触面の先頭部分は、例えば呼吸マスクのマスク本体、又はラリンジアルマスクエアウェイあるいは気管内チューブのエアウェイチューブの周りに延びる閉ループの形状を有することができる。患者接触面の先頭部分及び／又は先頭部分上の中心線は、基準平面又は基準円筒面などの基準面に対して変化する位置を有することができ、ここで基準面は、シーリング部材が患者の表面と係合する方向、又はシーリング部材によって患者の表面に加えられる全体的な圧力の方向に対して垂直に配置されることが可能である。患者接触面の先頭部分及び／又は先頭部分上の中心線は、基準面に対して非線形に変化する位置を有することができる。

金型のガス導入ポートをガス源に接続することができ、ガス源は、ガス導入のために体積、圧力、温度及び／又は時間を決定するコントローラを含むことができる。ガスは、金型のキャビティ内でシーリング部材を形成するためにポリマーを誘導し、変形させ、及び／又は移動させるのに十分な圧力を有することができる。例えば、ガス導入ポートなどを介してガスを注入することができ、圧縮源からガスを供給することができる。ガスが圧縮源によって供給される場合、ガスを、窒素や十分に不活性な他のガスとすることができる。

金型のガス導入ポートは、例えばノズルの形態でキャビティ内に突出することができる。ガス導入ポートは、キャビティを画定する金型の内周面に対して突出することができる。ガス導入ポートはキャビティへの出口開口を有することができ、ガスはこの出口開口を介してキャビティに入る。シーリング部材が患者に装着される際、シーリング部材の長手方向軸は患者の長手方向軸と一致することができる。呼吸マスクのためのシーリング部材の場合、呼吸マスクのためのシーリング部材の鼻部の頂点に対応するキャビティの端部にガス導入ポートを配置することができる。

ガス導入ポートの出口開口を金型の壁に形成することができる。出口開口を、キャビティを画定する金型の内周面から離すことができる。出口開口をキャビティの横断面に対してほぼ中央に配置することができ、例えばキャビティの横断面の最長寸法の３５～６５％の範囲に配置することができる。横断面とは、キャビティの中心に沿ってループ状に延びるキャビティの中心軸に対してほぼ垂直に配向されたキャビティの面を意味する。

ガス導入ポートは、キャビティを画定する金型の内周面に対して突出することができ、これによりシーリング部材の囲い壁に開口を形成することができる。開口を、シーリング部材の内部チャンバと流体連通させることができる。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）ポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
（ｃ）前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
を含み、
これによって前記呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材を形成し、
前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者接触面を含み、前記ガス導入ポートは、前記キャビティを画定する前記金型の内周面に対して突出し、これにより前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が形成される。

開口を、シーリング部材の内部チャンバと流体連通させることができる。

呼吸マスクにおいて、シーリング部材の開口は、シーリング部材の内部チャンバと周囲空気との間に流体連通をもたらすことができる。ラリンジアルマスクエアウェイなどの侵襲的呼吸インターフェースデバイスでは、シーリング部材の開口は、シーリング部材の内部チャンバとシーリング部材を膨張させるためのガス源との間に流体連通をもたらすことができる。

キャビティのためのガス導入ポートを、キャビティのためのポリマー注入ポートに隣接して配置することができる。

金型のキャビティに注入されるポリマーは、キャビティの体積よりも小さい体積を有することができる。ポリマーの注入時、ポリマーは、例えばポリマー溶融物の形態で流れるのに十分な柔らかさを有する。ポリマーの注入後であるがガスの導入前に、ポリマーはキャビティに沿って部分的にのみ延びることができる。このときポリマーは、ポリマー注入ポートが配置されるキャビティの端部とは反対側のキャビティの端部から隔てられた単一構造体の形態を有することができる。

製造時にキャビティのためのポリマー注入ポートをシーリング部材の一端に配置することができ、ポリマーがポリマー注入ポートからキャビティに沿って両方向に流れることによってシーリング部材を形成することができる。

注入されたガスは金型のキャビティ内でポリマーを誘導し、変形させ、及び／又は移動させてシーリング部材を形成することができる。ガスは、ポリマーに圧力を加えて内部チャンバ及びポリマーの囲い壁を形成することができる。ガスによって加えられる圧力は、キャビティの内部表面に向かってポリマーを外方に誘導し、変形させ、又は移動させ、これによってシーリング部材の囲い壁を形成可能な径方向成分を有することができる。ガスによって加えられる圧力は、ガス導入ポートから離れるようにポリマーをキャビティに沿って軸方向に誘導し、変形させ、又は移動させる軸方向成分を有することができる。

ガス導入ポートを介してガスを金型のキャビティに導入するステップは、ガス導入ポートから延びるガスの泡をポリマー内に形成することができる。製造時にガス導入ポートをシーリング部材の一端に配置することができ、内部チャンバは、ガスがガス導入ポートからポリマーを通ってキャビティに沿って両方向に流れることによって形成することができる。しかしながら、キャビティの異なる領域に複数のガス導入ポートを含む他の構成を用いてもよい。

製造時に内部チャンバにガスを充填することができる。形成される囲い壁の厚さを４ｍｍ未満、３ｍｍ未満、又は２．５ｍｍ未満とすることができる。囲い壁は、例えば囲い壁の表面積の少なくとも８０％にわたって平均厚さから２０％未満のばらつきなど、少なくとも内部チャンバの大部分にわたってほぼ均一な厚さを有することができる。

また、キャビティに導入されるガスは、例えばポリマー注入ポート及び／又はガス導入ポートが配置されるキャビティの端部とは反対側のキャビティの端部に向かって、ポリマーをキャビティに沿って移動させることもできる。

ポリマーを、閉ループの形状を有する前記キャビティに沿って、ポリマー注入ポート及び／又はガス導入ポートと反対の方向へ移動させることができ、これによってポリマーはキャビティに沿って前進する２つの枝部を有する。ポリマーの枝部は合流し、接合し、結合して、閉ループに沿って延びる呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成することができる。

シーリング部材は中実部分、すなわち内部チャンバのない部分を有することができ、これをキャビティのガス導入ポートとは反対側の端部に配置することができる。したがって、注入されたガスによって形成される内部チャンバは第１の端部及び第２の端部を有することができ、例えば呼吸インターフェースデバイスのガス導入ポートとは反対側の端部において、これらの端部をポリマーの連続した中実体によって隔てることができる。内部チャンバは、シーリング部材の中実部分に隣接するテーパー状の端部を含むことができる。

中実部分は、シーリング部材の１つ以上の選択された領域においてより大きな変形抵抗を与えることができる。例えば、中実部分は、呼吸マスクのシーリング部材の１つ以上の選択された領域、例えば顎領域においてより大きな変形抵抗を与えることができ、これによって別途補強を形成する必要性をなくすことができる。同様に、この中実部分はラリンジアルマスクエアウェイのシーリングカフの先端領域により大きな変形抵抗を与えることができ、これにより、患者の気道への挿入時にシーリングカフが折れてしまうリスクを低減することができ、別途補強を形成する必要性をなくすことができる。

キャビティに沿ったポリマーの移動と平衡する圧力を有するガスの導入を可能にするために、１つ以上の追加のガス導入ポートを設けることができる。ポリマーがキャビティに沿って移動する際に、１つ以上の追加のガス導入ポートを介して導入されたガスを排出することができる。

製造時に内部チャンバにガスを充填することができ、シーリング部材が金型から取り外された後にこのガスを周囲空気と入れ替えることができる。シーリング部材は、ガス又は周囲空気の内部チャンバへの出入りを可能にする開口又は流体通路を含むことができる。

金型は、キャビティのためのポリマー注入ポートを含むことができる。射出成形ステップは射出ユニットを含むことができる。射出ユニットは、ポリマーが流れるのに十分に柔らかくなるまでポリマーを加熱し、これによってポリマー溶融物を形成するように構成でき、射出ユニットを移動させて金型のキャビティの注入ポートと係合させ、これと流体連通させることができる。次に、射出ユニットは、ポリマー溶融物に圧力を加え、ポリマー注入ポートを介してポリマー溶融物を金型のキャビティに注入することができる。ポリマーが熱可塑性樹脂である場合、キャビティ内のポリマー溶融物を冷却してポリマーを固化させる。ポリマーが熱硬化性である場合、流れるには十分に柔らかいが硬化を開始しない温度でポリマーを射出ユニット内で加熱することができ、キャビティ内のポリマー溶融物を加熱してポリマーの硬化を開始することができる。あるいは、液体射出成形では、ポリマーをポリマー溶融物ではなく、射出ユニットにおいて室温以下とすることのできる液体混合物とすることができ、そして、例えば熱を加えることによってこれを金型内で硬化させることができる。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）前記ポリマー注入ポートを介してポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
（ｃ）前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
を含み、
これによって前記呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材を形成し、
これにより、前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバは前記金型の前記キャビティ内で前記シーリング部材内に形成され、前記囲い壁は患者との解剖学的なフィット性をもたらす患者接触面を含む。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）前記ポリマー注入ポートを介してポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
（ｃ）前記金型の前記キャビティが前記ポリマーによって少なくとも部分的に充填されると、前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
を含み、
これによって前記呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材を形成し、
前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者との解剖学的なフィット性をもたらす患者接触面を含む。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材の製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）前記金型の前記キャビティが部分的にのみ充填されるように、前記ポリマー注入ポートを介してポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
（ｃ）前記金型の前記キャビティが前記ポリマーによって少なくとも部分的に充填されると、前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
を含み、
これによって前記呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材を形成し、
これにより、内部チャンバは前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれ、前記囲い壁は患者との解剖学的なフィット性をもたらす患者接触面を含む。

本発明のさらなる態様によれば、上記に定義された方法のいずれかによって製造されたシーリング部材が提供される。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材が提供され、このシーリング部材は、弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含み、前記シーリング部材は、前記シーリング部材の前記内部チャンバ及び周囲空気と流体連通する開口を含み、これによって使用時に周囲空気が前記内部チャンバに出入りすることができる。

本発明のこの態様によるシーリング部材は、患者との解剖学的なフィット性をもたらす患者接触面を含む弾性変形可能な囲い壁を、弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバ、そして使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口と組み合わせて構成されている。この特徴の組み合わせは、その解剖学的なフィット性によってシーリング部材に患者との有効なシールをもたらすが、シールを改善する必要がある場合には、その内部チャンバと、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口とにより、シーリング部材を患者、例えば患者の顔に付勢することもできる。特に、内部チャンバと、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口は、従来技術の膨張可能なシーリング部材と比較すると、弾性変形可能な囲い壁の所与の厚さに対してより大きな変形能をシーリング部材に与えることができる。このことにより、使用時に内部チャンバからガスを出さない従来技術の膨張可能なシーリング部材よりも厚い壁厚が可能になり、この厚い壁厚は、変形時及び変形後の解剖学的形状をより良好に保てること、耐久性の向上及び損傷のリスクの低減を可能にすること、そして使用前に再膨張させる必要のないシーリング部材を可能にすることを含む利点を提供することができる。さらに、膨張式でない従来技術のシーリング部材と比較して、本発明のこの態様の構成は、臨床医によって圧力が加えられた際にシーリング部材が広がって漏れが生じてしまうリスクを低減させる。

したがって、シーリング部材の患者接触面を所定の解剖学的形状で形成することができる。シーリング部材の患者接触面は閉ループの形状を有することができる。

シーリング部材が呼吸マスク用である場合、患者接触面は使用時に患者の前頭面と概ね一致することができるが、患者接触面の頬領域に凸面、ならびに／又は患者接触面の鼻領域及び／あるいは顎領域に凹面を周方向に含むことができる。患者接触面は横方向又は径方向に凸面を含むことができる。患者接触面の周方向の凸面はマスクの長さの大部分に沿って延びることができ、患者接触面の周方向の凹面はマスクの幅に沿って、例えば各端部で延びることができる。凸状及び／又は凹状の湾曲は、使用時に、患者の矢状軸に対する位置の変化を患者接触面にもたらすことができる。

シーリング部材がラリンジアルマスクエアウェイ又は気管内チューブ用の場合、シーリング部材は患者の喉頭又は気管との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有することができる。

シーリング部材の囲い壁に開口を設けることができる。開口は、シーリング部材の内部チャンバと流体連通することができる。複数の内部チャンバが設けられる場合、各内部チャンバのシーリング部材の囲い壁に開口を設けることができる。

呼吸マスクでは、シーリング部材の開口はシーリング部材の内部チャンバと周囲空気との間に流体連通をもたらすことができる。この実施形態では、シールを改善する必要がある場合、使用時に、ユーザは、例えば患者の顔に向かって呼吸デバイスインターフェースに圧力を加えることによってシーリング部材を患者の顔に付勢することができる。シーリング部材及び内部チャンバが圧縮されて空気が内部チャンバから出るが、シーリング部材の弾性は、内部チャンバが完全にはつぶれず、すなわち囲い壁の対向する内部表面の間に間隙が残り、圧力が取り除かれると元の形状に戻る程度であれば十分である。

開口は常に開いていてもよいし、シーリング部材の内部チャンバに出入りする空気の流れによって開かれてもよい。開口は、閉鎖構成を有する弁がなくてもよい。いくつかの実施形態では、開口は、シーリング部材の内部チャンバに出入りする周囲空気の流れを調節する弁を含むことができる。

ラリンジアルマスクエアウェイなどの侵襲的呼吸インターフェースデバイスでは、シーリング部材の開口は、シーリング部材の内部チャンバと、シーリング部材を膨張させるためのガス源との間に流体連通をもたらすことができ、したがって供給導管又は供給導管用コネクタの一部を形成することができる。

シーリング部材はループの形状を有することができる。シーリング部材の内部チャンバは連続的であり、ループの少なくとも大部分の周りに延びることができる。内部チャンバは、湾曲した経路に沿った長手方向の中心軸を有することができる。湾曲した経路は、ループの少なくとも大部分の周りに延びることができる。

ループは、性質上円形、楕円形、三角形又は長円形とすることが可能である。例えば、シーリング部材を呼吸インターフェースデバイスのシール膜とすることができ、外面を患者接触面とすることができる。患者の顔の鼻領域及び／又は口領域を受けるために、患者接触面に開口を形成することができる。患者接触面及び／又はその開口を性質上ほぼ三角形とし、すなわち患者の顔の鼻及び口の形状に合わせることができる。

内部チャンバは、ループの長さの少なくとも８０％、又は少なくとも９０％の周りを延びることができる。内部チャンバは、ループの長さの８０～１００％、８０～９０％、又は９０～１００％の周りを延びることができる。ループの長さは、ループの中心軸の長さを指すことができる。ループは３６０度の角度にわたって延びることができ、内部チャンバはループの周りを３００～３６０度の角度、ループの周りを３００～３３０度の角度、又はループの周りを３３０～３６０度の角度にわたって延びることができる。いくつかの例では、内部チャンバはループ全体の周りを延びることができ、すなわち、内部チャンバはループを形成することもできる。

内部チャンバの断面積は、例えば囲い壁の位置及び／又は厚さの変化によって変わりうる。

シーリング部材は１つ以上の中実部分、すなわち内部チャンバのない部分を有することができる。内部チャンバは第１の端部及び第２の端部を有することができ、これらの端部をシーリング部材の１つ以上の中実部分によって隔てることができる。内部チャンバは、シーリング部材の中実部分に隣接するテーパー状の端部を含むことができる。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材が提供され、シーリング部材は弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、内部チャンバは、シーリング部材の１つ以上の中実部分によって隔てられた第１の端部及び第２の端部を有する。

内部チャンバの第１の端部及び第２の端部を隔てるシーリング部材の１つ以上の中実部分を単一の連続した中実部分とすることができる。

１つ以上の中実部分は、シーリング部材の１つ以上の選択された領域においてより大きな変形抵抗を与えることができる。例えば、１つ以上の中実部分は、呼吸マスクのシーリング部材の１つ以上の選択された領域、例えば顎領域においてより大きな変形抵抗を与えることができ、これによって別途補強を形成する必要性をなくすことができる。同様に、１つ以上の中実部分はラリンジアルマスクエアウェイのシーリングカフの先端領域により大きな変形抵抗を与えることができ、これにより、患者の気道への挿入時にシーリングカフが折れてしまうリスクを低減することができ、別途補強を形成する必要性をなくすことができる。

また、ブロー成形を用いる方法のような従来技術の膨張可能なシーリング部材の製造方法と比較して、本発明による呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材の製造方法では、組立ステップをより少なくし、製造時間を短縮し、製造コストを削減して呼吸インターフェースデバイスを製造できることも見出された。特に、２ショット成形又はオーバーモールドプロセスのような、シーリング部材の形成ステップにおいてシーリング部材を呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定する製造プロセスに、本発明による呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の製造方法を組み込むことができることが見出された。このことは、膨張可能なシーリング部材を有する呼吸インターフェースデバイスの製造に際し、従来では不可能であった。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材が提供され、シーリング部材は弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、患者接触面は患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する。

本発明のさらなる態様によれば、上記に定義された呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の製造方法を含む呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティと、第１のポリマー注入ポートと、第２のキャビティと、第２のポリマー注入ポートと、前記第２のキャビティに開口するガス導入ポートとを有する１つ以上の金型を提供するステップと、
（ｂ）前記第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを前記金型の前記第１のキャビティに注入し、前記呼吸インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｃ）前記第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに注入し、前記ガス導入ポートを介してガスを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに導入し、前記呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は、前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、前記シーリング部材を形成するステップと、
を含み、
前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を任意の順序で形成することができ、これにより、前記本体部又は前記シーリング部材の一方が先に形成される部分となり、前記本体部及び前記シーリング部材のうちの他方が後に形成される部分となり、前記後に形成される部分の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で前記後に形成される部分を前記先に形成される部分と係合させる。

本発明による呼吸インターフェースデバイスの製造方法は、膨張可能部分を有する呼吸インターフェースデバイスを形成する従来技術の方法と比較して、より少ない組立ステップ、製造時間の短縮、及び製造コストの低減を可能にしうるため有利である。

呼吸インターフェースデバイスの製造方法は、上記に定義された呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の製造方法のいずれか、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。

本発明による方法によって形成された呼吸インターフェースデバイスの本体部は、呼吸インターフェースデバイスの流路を含むことができる。また、呼吸インターフェースデバイスの本体部は、呼吸チューブ及び／又は呼吸ガスの供給源などの呼吸器具にデバイスの流路を接続するコネクタを含むこともできる。

呼吸インターフェースデバイスの本体部は一般に先に形成される部分となり、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は一般に後に形成される部分となる。しかしながら、いくつかの実施形態では、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材が先に形成される部分であり、呼吸インターフェースデバイスの本体部が後に形成される部分であることに利点のある場合がある。

呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分を、呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成するキャビティ（第１のキャビティ又は第２のキャビティのいずれか）に隣接して又はその中に配置できるように、第１のキャビティ、第２のキャビティ、及び第２のキャビティに開口するガス導入ポートを有する１つ以上の金型を構成し、これにより、後に形成される部分の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様で後に形成される部分を先に形成される部分と係合させることができる。後に形成される部分の射出成形時に、後に形成される部分を前に形成される部分と接触させることができる。

本体部とシーリング部材との間の固定を、化学結合及び機械的結合のうちの１つ以上によるものとすることができる。呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分の射出成形の直後に結合を形成することができ、これにより、本体部及びシーリング部材を一緒に固定するためのさらなる組立ステップが不要となる。

第２のポリマーは、マスク本体又はエアウェイチューブなどの呼吸インターフェースデバイスの本体部の境界領域に接触することができ、これは周縁を含むことができる。第２のポリマーが呼吸インターフェースデバイスの本体部の単一の境界領域に接触する場合、第２のポリマーによって画定される囲い壁によってのみ内部チャンバを囲むことができる。

前記ガス導入ポートは、前記第１のキャビティ又は前記第２のキャビティのいずれかを画定する前記金型の内周面に対して突出することができ、これにより、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部、及び／又は前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記囲い壁のいずれかに前記開口を形成することができる。

金型のガス導入ポートは、第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して第２のキャビティ内に突出することができる。

この実施形態では、先に形成される部分を、第１のショット構成における金型の第１のキャビティ又は第２のキャビティ内で形成することができ、次に、呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分が呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成する第１のキャビティ又は第２のキャビティのうちの他方に隣接して配置されるように、金型を第２のショット構成に移動することができ、後に形成される部分の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様で後に形成される部分を先に形成される部分と係合させる。例えば、金型の第２のショット構成では、本体部の周縁や周縁に隣接する本体部の表面の境界領域など、呼吸インターフェースデバイスの本体部の表面を、呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成するキャビティの内部に露出させることができる。第１のショット構成の金型によって第１のキャビティを画定することができ、第２のショット構成の金型によって第２のキャビティを画定することができるが、第１のキャビティ及び第２のキャビティは金型によって必ずしも同時に画定されるとは限らないことに留意されたい。したがって、この金型を単一の射出成形機内に設けることができ、このプロセスは通常２ショット成形と呼ばれる。

あるいは、１つ以上の金型は、第１のキャビティを画定する第１の金型と、第２のキャビティを画定する第２の金型とを含むことができる。この実施形態では、呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分を第１の金型又は第２の金型内で形成した後、第１の金型又は第２の金型を開き、呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分が呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成するキャビティ内に配置されるように、先に形成される部分を第１の金型及び第２の金型のうちの他方に移すことができ、後に形成される部分の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様で後に形成される部分を先に形成される部分と係合させる。したがって、第１及び第２の金型を２つの別個の射出成形機に設けることができ、このプロセスは一般にオーバーモールドと呼ばれる。

したがって、呼吸インターフェースデバイスの製造方法は２ショット成形プロセスでもオーバーモールドプロセスでもよく、これらのプロセスの双方において、呼吸インターフェースデバイスの本体部は一般に先に形成される部分となり、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は一般に後に形成される部分となる。これらの２つの実施形態は以下に別々に定義される。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティ及び第１のポリマー注入ポートを画定する第１のショット構成と、第２のキャビティ、第２のポリマー注入ポート、及び第２のキャビティに開口するガス導入ポートを画定する第２のショット構成とを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）金型を第１のショット構成に配置するステップと、
（ｃ）第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを金型の第１のキャビティに注入して呼吸器インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｄ）呼吸インターフェースデバイスの本体部が第２のキャビティに隣接して配置されるように、金型を第２のショット構成に配置するステップと、
（ｅ）第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを金型の第２のキャビティに注入し、ガス導入ポートを介してガスを１つ以上の金型の第２のキャビティに導入して呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、シーリング部の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様でシーリング部材を本体部と係合させ、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は、第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は、金型の第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、シーリング部材を形成するステップと、
を含む。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティ及び第１のポリマー注入ポートを有する第１の金型と、第２のキャビティ、第２のポリマー注入ポート、及び第２のキャビティに開口するガス導入ポートを有する第２の金型とを提供するステップと、
（ｂ）第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを第１の金型の第１のキャビティに注入して呼吸インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｃ）呼吸インターフェースデバイスの本体部が第２のキャビティ内か又は第２のキャビティに隣接して配置されるように呼吸インターフェースデバイスの本体部を第２の金型に移すステップと、
（ｄ）第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを第２の金型の第２のキャビティに注入し、ガス導入ポートを介してガスを第２の金型の第２のキャビティに導入して呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、シーリング部の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様でシーリング部材を本体部と係合させ、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は、第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は、１つ以上の金型の第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、シーリング部材を形成するステップと、
を含む。

金型のガス導入ポートは第２のキャビティ内に突出することができる。ガス導入ポートは、第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して突出することができる。あるいは、ガス導入ポートは呼吸マスクの本体部を介して第２のキャビティ内に突出することができる。２ショット成形プロセスでは、ガス導入ポートは、金型の第１のショット構成において第１のキャビティを画定する金型の周囲内面に対して突出することができ、これにより、第１のポリマーが金型の第１のキャビティに注入されて呼吸インターフェースデバイスの本体部が形成される際に、ガス導入ポートは第１のキャビティ内の第１のポリマーを貫通し、ガス導入ポートは金型の第２のショット構成において呼吸マスクの本体部を貫通して第２のキャビティ内に突出することができる。

ガス導入ポートは第２のキャビティへの出口開口を有することができ、ガスはこの開口を介して第２のキャビティに入る。ガス導入ポートの出口開口を、第２のキャビティの長手方向軸、したがって呼吸インターフェースデバイスの長手方向軸と一致させることができる。呼吸インターフェースデバイスが患者に装着される際、呼吸インターフェースデバイスの長手方向軸は患者の長手方向軸と一致することができる。呼吸マスクの場合、呼吸マスクの鼻部の頂点に対応する第２のキャビティの端部にガス導入ポートを配置することができる。

製造時に、内部チャンバへの開口をガス導入ポートの周りに形成することができ、この開口によって使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることが可能になる。開口を、第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁に形成することができる。あるいは、内部チャンバは、第１のポリマーによって画定される第１の層と、第２のポリマーによって画定される第２の層とを有する壁によって少なくとも部分的に囲まれてもよく、内部チャンバへの開口はこの壁に形成されてもよい。

ガス導入ポートは、第１のキャビティ又は第２のキャビティのいずれかを画定する金型の内周面に対して突出することができ、これにより、呼吸デバイスの本体部及び／又は呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の囲い壁のいずれかに開口を形成することができる。開口は、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の内部チャンバと流体連通することができる。

したがって、呼吸マスクでは、マスク本体及び／又はシーリング部材に開口を形成することができ、開口はシーリング部材の内部チャンバと周囲空気との間に流体連通をもたらすことができる。ラリンジアルマスクエアウェイなどの侵襲的呼吸インターフェースデバイスでは、開口は、シーリング部材の内部チャンバと、シーリング部材を膨張させるガス源との間に流体連通をもたらすことができる。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティと、第１のポリマー注入ポートと、第２のキャビティと、第２のポリマー注入ポートと、前記第２のキャビティに開口するガス導入ポートとを有する１つ以上の金型を提供するステップと、
（ｂ）前記第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを前記金型の前記第１のキャビティに注入し、前記呼吸インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｃ）前記第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに注入し、前記ガス導入ポートを介してガスを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに導入し、前記呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者接触面を含む、前記シーリング部材を形成するステップと、
を含み、
前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を任意の順序で形成することができ、これにより、前記本体部又は前記シーリング部材の一方が先に形成される部分となり、前記本体部及び前記シーリング部材のうちの他方が後に形成される部分となり、前記後に形成される部分の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で前記後に形成される部分を前記先に形成される部分と係合させ、
前記ガス導入ポートは、前記第１のキャビティ又は前記第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して突出し、これにより前記呼吸デバイスの前記本体部及び／又は前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が形成され、前記開口は、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記内部チャンバと流体連通している。

本発明による方法は、第１のキャビティ及び第２のキャビティが設けられた１つ以上の金型を画定する１つ以上の金型工具を使用することができ、各キャビティは金型の内壁によって画定される。

金型のガス導入ポートは第２のキャビティ内に突出することができる。ガス導入ポートは、第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して突出することができる。あるいは、ガス導入ポートは呼吸マスクの本体部を貫通して第２のキャビティ内に突出することができる。

呼吸インターフェースデバイスの製造方法は２ショット成形プロセスでもオーバーモールドプロセスでもよく、これらのプロセスの双方において、呼吸インターフェースデバイスの本体部は一般に先に形成される部分となり、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は一般に後に形成される部分となる。これらの２つの実施形態は以下に別々に定義される。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティ及び第１のポリマー注入ポートを画定する第１のショット構成と、第２のキャビティ、第２のポリマー注入ポート、及び第２のキャビティに開口するガス導入ポートを画定する第２のショット構成とを有する金型を提供するステップと、
（ｂ）金型を第１のショット構成に配置するステップと、
（ｃ）第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを金型の第１のキャビティに注入して呼吸器インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｄ）呼吸インターフェースデバイスの本体部が第２のキャビティに隣接して配置されるように、金型を第２のショット構成に配置するステップと、
（ｅ）第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを金型の第２のキャビティに注入し、ガス導入ポートを介してガスを１つ以上の金型の第２のキャビティに導入して呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、シーリング部の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様でシーリング部材を本体部と係合させ、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は、第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は、金型の第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、シーリング部材を形成するステップと、
を含み、
前記ガス導入ポートは、前記第１のキャビティ又は前記第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して突出し、これにより前記呼吸デバイスの前記本体部及び／又は前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が形成され、前記開口は、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記内部チャンバと流体連通している。

ガス導入ポートは、第２のキャビティを画定する金型の内周面に対して突出することができる。あるいは、ガス導入ポートは金型の第１のショット構成において第１のキャビティを画定する金型の周囲内面に対して突出することができ、これにより、第１のポリマーが金型の第１のキャビティに注入されて呼吸インターフェースデバイスの本体部が形成される際に、ガス導入ポートは第１のキャビティ内の第１のポリマーを貫通し、ガス導入ポートは金型の第２のショット構成において呼吸マスクの本体部を貫通して第２のキャビティ内に突出することができる。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸インターフェースデバイスの製造方法が提供される。この方法は、
（ａ）第１のキャビティ及び第１のポリマー注入ポートを有する第１の金型と、第２のキャビティ、第２のポリマー注入ポート、及び第２のキャビティに開口するガス導入ポートを有する第２の金型とを提供するステップと、
（ｂ）第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを第１の金型の第１のキャビティに注入して呼吸インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
（ｃ）呼吸インターフェースデバイスの本体部が第２のキャビティ内か又は第２のキャビティに隣接して配置されるように呼吸インターフェースデバイスの本体部を第２の金型に移すステップと、
（ｄ）第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを第２の金型の第２のキャビティに注入し、ガス導入ポートを介してガスを第２の金型の第２のキャビティに導入して呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、シーリング部の射出成形時に、呼吸インターフェースデバイスの本体部及びシーリング部材を一緒に固定する態様でシーリング部材を本体部と係合させ、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は、第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は、１つ以上の金型の第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、シーリング部材を形成するステップと、
を含み、
前記金型の前記ガス導入ポートは、前記第２のキャビティを画定する前記金型の内周面に対して前記第２のキャビティ内に突出することができ、これにより前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が形成され、前記開口は、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記内部チャンバと流体連通している。

いくつかの実施形態において、ガス導入ポートは、例えば第１の金型での射出成形時に形成された開口を介してなど、呼吸マスクの本体部を貫通して第２のキャビティ内に突出することができる。

各キャビティは、キャビティへの出口開口を有する単一のポリマー注入ポートを有することができ、ポリマーはこの出口開口を通ってキャビティに入ることができる。ポリマー注入ポートの出口開口を、第２のキャビティの長手方向軸、したがって呼吸インターフェースデバイスの長手方向軸と一致させることができる。呼吸インターフェースデバイスが患者に装着される際、呼吸インターフェースデバイスの長手方向軸は患者の長手方向軸と一致することができる。呼吸マスクの場合、呼吸マスクの鼻部の頂点に対応する第２のキャビティの端部にポリマー注入ポートを配置することができる。出口開口は金型の壁に形成してもよく、キャビティを画定する金型の内周面と同一平面上であってもよい。

第１及び第２のポリマーの各々を、そのガラス温度及び／又は結晶化温度を超えるポリマー液体であるポリマー溶融物の形態で対応するキャビティに注入することができる。しかしながら、ポリマーが熱可塑性樹脂であるか熱硬化性樹脂であるかによって射出成形のプロセスは異なる。さらに、液体射出成形では、ポリマーをポリマー溶融物ではなく液体混合物とすることができ、これは、例えば熱を加えることによって金型内で硬化される。

第１の注入ユニットに第１のポリマーを供給することができる。ポリマーが流れるのに十分に柔らかくなるまで第１のポリマーを射出ユニット内で加熱し、これによって第１のポリマー溶融物を形成することができ、第１の射出ユニットを移動させて金型の第１のキャビティの注入ポートと係合させ、これと流体連通させることができる。

第２の注入ユニットに第２のポリマーを供給することができる。ポリマーが流れるのに十分に柔らかくなるまで第２のポリマーを射出ユニット内で加熱し、これによって第２のポリマー溶融物を形成することができ、第２の射出ユニットを移動させて金型の第２のキャビティの注入ポートと係合させ、これと流体連通させることができる。

第１のポリマーが金型の第１のキャビティに注入され、呼吸インターフェースデバイスの本体部、例えば呼吸マスクのマスク本体、又はラリンジアルマスクエアウェイあるいは気管内チューブのエアウェイチューブが形成される。第１のポリマーを、ポリプロピレン、ポリ（スチレン－ブタジエン－スチレン）（ＳＢＳ）、ポリカーボネート又は他の適切な材料とすることができる。第１のポリマーと第２のポリマーは異なっていてもよい。

第２のポリマーが金型の第２のキャビティに注入され、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材が形成される。第２のポリマーは、第１のポリマーの対応する弾性率よりも低い弾性率を有することができる。第２のポリマーを、液状シリコーンゴムなどの熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーとすることができる。

２ショット成形プロセスが用いられる場合、先に形成される部分用のポリマーの注入の完了後、先に形成される部分用のポリマーが完全に固化する前に、後に形成される部分用のポリマーを金型のキャビティに注入することができる。オーバーモールドプロセスが用いられる場合、呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分は、呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成するキャビティに移される前に、ほぼ又は完全に固化させることができる。

ポリマーが熱可塑性樹脂である場合、ポリマー溶融物は、流れることができるように注入前に周囲温度よりも高い温度に加熱され、注入ステップの間は周囲温度に対して高い温度を保つ。ポリマー溶融物は十分に冷却されると固化する。周囲温度とは、例えば１５～２５℃の一般的な室温を意味する。

ポリマーが熱硬化性である場合、流れるには十分に柔らかいが硬化を開始しない温度でポリマーを射出ユニット内で加熱することができる。あるいは、液体射出成形では、ポリマーをポリマー溶融物ではなく液体混合物とすることができ、これは、例えば熱を加えることによって金型内で硬化される。次に、ポリマーを金型のキャビティに注入することができる。ガスの注入及びシーリング部材の形成は、熱可塑性樹脂の場合と同じである。しかしながら、ポリマーを冷却して固化させることはしない。代わりに、金型を例えば１８０～２００℃の温度で加熱して硬化を開始させる。

本発明のさらなる態様によれば、上記で定義された方法によって製造された呼吸インターフェースデバイスが提供される。

例えば、２ショット成形又はオーバーモールドのいずれかによって提供される形態の化学結合又は機械的結合により、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定することができる。本体部とシーリング部材との間の結合を永久的なものとすることができる。

シーリング部材の患者接触面は閉ループの形状を有することができる。シーリング部材が呼吸マスク用である場合、患者接触面は使用時に患者の前頭面と概ね一致することができるが、患者接触面の頬領域に凸面、ならびに／又は患者接触面の鼻領域及び／あるいは顎領域に凹面を周方向に含むことができる。患者接触面は横方向又は径方向に凸面を含むことができる。患者接触面の周方向の凸面はマスクの長さの大部分に沿って延びることができる。凸状及び／又は凹状の湾曲は、使用時に、患者の矢状軸に対する位置の変化を患者接触面にもたらすことができる。

呼吸インターフェースデバイスの本体部は、例えば、呼吸マスクのマスク本体や、気管内チューブ又はラリンジアルマスクエアウェイのエアウェイチューブによって画定された流路を含むことができる。シーリング部材は、患者の気道との有効なシールを形成するように、外側表面でも内側表面でもありうる患者の体の表面に対してシールするためのものとすることができる。

呼吸インターフェースデバイスを非侵襲的インターフェースデバイスとすることができ、このデバイスにおいて、シーリング部材は流路、例えばマスク本体を患者の顔に対してシールし、これにより流路と患者の口及び／又は鼻との間に有効な流体接続を形成することができる。あるいは、呼吸インターフェースデバイスを侵襲的インターフェースデバイスとすることができ、このデバイスにおいて、シーリング部材は患者の気道の内部表面に対して流路をシールし、これによってデバイスの流路、例えばエアウェイチューブと患者の気道との間に有効な流体接続を形成することができる。

シーリング部材及び／又は患者接触面を連続したループとして構成することができ、これは呼吸インターフェースデバイスの流路の入口の周りに延びることができる。

呼吸インターフェースデバイスをマスクとすることができ、ここで、呼吸インターフェースデバイスの本体部は鼻、又は口及び鼻を収容するマスク本体を画定し、シーリング部材は患者の顔と係合するためのものであり、シーリングクッションの形態を有することができる。また、呼吸インターフェースデバイスの本体部は、呼吸チューブ及び／又は呼吸ガスの供給源などの呼吸器具にデバイスのマスク本体を接続するコネクタを含むこともできる。マスク本体によって画定される流路の、シーリング部材が配置される端部に対してもう一方の端部にコネクタを配置することができる。

呼吸インターフェースデバイスを、気管内チューブ、又はラリンジアルマスクエアウェイのような声門上エアウェイとすることができ、ここで、呼吸インターフェースデバイスの本体部はエアウェイチューブを画定し、シーリング部材は患者の喉頭又は気管と係合するためのものであり、シーリングカフの形態を有することができる。また、呼吸インターフェースデバイスの本体部は、呼吸チューブ及び／又は呼吸ガスの供給源などの呼吸器具にデバイスのエアウェイチューブを接続するコネクタを含むこともできる。エアウェイチューブによって画定される流路の、シーリング部材が配置される端部に対してもう一方の端部にコネクタを配置することができる。

シーリング部材は１つ以上の中実部分、すなわち内部チャンバのない部分を有することができる。内部チャンバは第１の端部及び第２の端部を有することができ、これらの端部をシーリング部材の１つ以上の中実部分によって隔てることができる。内部チャンバは、シーリング部材の中実部分に隣接するテーパー状の端部を含むことができる。

本発明のさらなる態様によれば、第１のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスの本体部と、第２のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材とを含む呼吸インターフェースデバイスであって、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定されており、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は第２のポリマーから形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、内部チャンバは、シーリング部材の１つ以上の中実部分によって隔てられた第１の端部及び第２の端部を有する呼吸インターフェースデバイスが提供される。

例えば、２ショット成形又はオーバーモールドのいずれかによって提供される形態の化学結合又は機械的結合により、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定することができる。本体部とシーリング部材との間の結合を永久的なものとすることができる。

シーリング部材の中実部分又は各中実部分を、第２のポリマーの単一の連続した中実体とすることができる。内部チャンバの第１の端部及び第２の端部を隔てるシーリング部材の１つ以上の中実部分を、第２のポリマーの単一の連続した中実体とすることができる。

１つ以上の中実部分は、呼吸インターフェースデバイスの１つ以上の選択された領域においてより大きな変形抵抗を与えることができる。例えば、１つ以上の中実部分は、呼吸マスクのシーリング部材の１つ以上の選択された領域、例えば顎領域においてより大きな変形抵抗を与えることができ、これによって別途補強を形成する必要性をなくすことができる。同様に、１つ以上の中実部分はラリンジアルマスクエアウェイのシーリングカフの先端領域により大きな変形抵抗を与えることができ、これにより、患者の気道への挿入時にシーリングカフが折れてしまうリスクを低減することができ、別途補強を形成する必要性をなくすことができる。

呼吸インターフェースデバイスは、シーリング部材の囲い壁及び／又はマスク本体などの呼吸インターフェースデバイスの本体部の壁に開口を含むことができ、これにより、開口は呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の内部チャンバと流体連通し、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることができる。この特徴は、使用時に患者の表面に付勢される際のシーリング部材のコンプライアンス（弾力性）を改善し、したがってその表面と実現されるシールを改善することができる。

本発明のさらなる態様によれば、第１のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスの本体部と、第２のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材とを含む呼吸インターフェースデバイスであって、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定されており、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は第２のポリマーから形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、呼吸インターフェースデバイスはシーリング部材の囲い壁及び／又は呼吸インターフェースデバイスの本体部の壁に開口を含み、これにより、開口は呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材の内部チャンバと流体連通し、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることが可能になる。

本発明のこの態様による呼吸インターフェースデバイスは、患者との解剖学的なフィット性をもたらす患者接触面を含む弾性変形可能な囲い壁を、弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバ、そして使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口と組み合わせて構成されている。この特徴の組み合わせは、その解剖学的なフィット性によってシーリング部材に患者との有効なシールをもたらすが、シールを改善する必要がある場合には、その内部チャンバと、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口とにより、シーリング部材を患者、例えば患者の顔に付勢することもできる。特に、内部チャンバと、使用時に周囲空気が内部チャンバに出入りすることのできる開口は、従来技術の膨張可能なシーリング部材と比較すると、弾性変形可能な囲い壁の所与の厚さに対してより大きな変形能をシーリング部材に与えることができる。このことにより、使用時に内部チャンバからガスを出さない従来技術の膨張可能なシーリング部材よりも厚い壁厚が可能になり、この厚い壁厚は、変形時及び変形後の解剖学的形状をより良好に保てること、耐久性の向上及び損傷のリスクの低減を可能にすること、そして使用前に再膨張させる必要のないシーリング部材を可能にすることを含む利点を提供することができる。さらに、膨張式でない従来技術のシーリング部材と比較して、本発明のこの態様の構成は、臨床医によって圧力が加えられた際にシーリング部材が広がって漏れが生じてしまうリスクを低減させる。

呼吸インターフェースデバイスを呼吸マスクとすることができる。開口は常に開いていてもよいし、シーリング部材の内部チャンバに出入りする空気の流れによって開かれてもよい。開口は、閉鎖構成を有する弁がなくてもよい。いくつかの実施形態では、開口は、シーリング部材の内部チャンバに出入りする周囲空気の流れを調節する弁を含むことができる。弁は二方弁であってもよい。呼吸インターフェースデバイスのマスク本体の壁と、その下にあるシーリング部材の任意の壁に開口が形成される場合、使用時に開口が塞がってしまうリスクを低減することができる。

この構成では、内部チャンバ内のガス圧を大気圧とすることができるが、囲い壁は、それにもかかわらず、例えば使用時に十分な圧力で患者の顔に付勢されない限り、取扱時にその形状を保持するのに十分な剛性を有することができる。

ユーザが、例えば患者の表面に向かって呼吸デバイスインターフェースに圧力を加えることによりシーリング部材を患者の表面に付勢する場合、シーリング部材及び内部チャンバが圧縮されて空気が内部チャンバから出る。しかしながら、シーリング部材の剛性は、圧縮時に内部チャンバが完全にはつぶれず、すなわち囲い壁の対向する内部表面の間に間隙が残り、圧力が取り除かれると囲い壁及び内部チャンバが元の形状に戻る程度であれば十分である。

本発明のさらなる態様によれば、第１のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスの本体部と、第２のポリマーから形成された呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材とを含む呼吸インターフェースデバイスであって、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は呼吸インターフェースデバイスの本体部に固定されており、呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材は第２のポリマーから形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、囲い壁は患者接触面を含み、患者接触面は患者との解剖学的なフィット性をもたらす呼吸インターフェースデバイスが提供される。

本発明のさらなる態様によれば、呼吸ガスの供給源と、上記に定義された患者インターフェースデバイスと、呼吸ガスの供給源と患者インターフェースデバイスとの間に延びる呼吸チューブと、を含む呼吸回路が提供される。

添付の図面を参照して、本発明の実施可能な実施形態を単なる例として説明する。

本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法の第１のショットで形成されたマスク本体の背面図である。 本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法の第２のショットの第１段階の概略図であり、第２のショットのポリマー溶融物が導入されている。 本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法の第２のショットの第２段階の概略図であり、第２のショットのポリマー溶融物が完全に導入された状態にある。 本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法の第２のショットの第３段階の概略図であり、ガスが第２のショットのポリマー溶融物に部分的に導入されている。 本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法の第２のショットの第４段階の概略図であり、ガスが第２のショットのポリマー溶融物に完全に導入された状態にある。 本発明の第１の実施形態による２ショット成形方法によって形成された呼吸マスクであり、第２のショットのためのポリマー及びガスの入口が示されている。 本発明の第２の実施形態による２ショット成形方法によって形成された呼吸マスクの第１の斜視図である。 本発明の第２の実施形態による２ショット成形方法によって形成された呼吸マスクの第２の斜視図である。

図１～図６に示す本発明の第１の実施形態による方法は、呼吸マスクを製造するための２ショット射出成形方法である。

射出成形プロセスは通常、出口ノズルと、金型を画定するツールと、クランプユニットとをそれぞれ含む射出ユニットを備えた装置を含む。クランプユニットは、ポリマー溶融物を金型のキャビティ内に射出することのできる閉鎖構成と、成形品を金型から取り外すことのできる開放構成との間で金型の構成要素を移動させるように配置される。

金型ツールは、第１のキャビティ及び第２のキャビティを備えた金型を画定し、各キャビティはそのキャビティにポリマー溶融物を導入するためのポリマー注入ポートを有し、各キャビティは金型の内壁によって画定される。

２ショット射出成形方法の第１のショットのための第１の射出ユニットには、この実施形態では熱可塑性樹脂のポリプロピレン（ＰＰ）である第１のポリマー溶融物が設けられている。第１のポリマー溶融物は、流れるのに十分な柔らかさになるまで射出ユニット内で加熱され、射出ユニットの出口ノズルが移動されて金型の第１のキャビティの注入ポートと係合し、流体連通する。

さらに、２ショット射出成形方法の第２のショットのための第２の射出ユニットには、この実施形態では熱可塑性樹脂の熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）である第２のポリマー溶融物が設けられている。第２のポリマー溶融物は、流れるのに十分な柔らかさになるまで第２の射出ユニット内で加熱され、第２の射出ユニットの出口ノズルが移動されて金型の第２のキャビティの注入ポートと係合し、流体連通する。

本発明の第１の実施形態による方法の第１のショットでは、金型はその第１のショット構成に移動される。次に、第１の射出ユニットは、例えばピストン及びシリンダ構成（当該分野ではスクリュー及びバレル構成としても知られている）を使用して第１のポリマー溶融物に圧力を加え、出口ノズル及びポリマー注入ポートを介して第１のポリマー溶融物を金型の第１のキャビティに注入（射出）する。次いで、ポリマー溶融物に加えられた圧力を保ちながら第１のキャビティ内のポリマー溶融物の冷却を開始し、ポリマー溶融物は部分的に固化される。

第１のキャビティに注入されたポリマー溶融物はマスク本体１０の形をとる。このマスク本体は図１に示されており、分かりやすくするために金型は図示しない。

マスク本体１０は、周縁１６と、周縁１６から管状コネクタ１４へ前方及び内方に延びるテーパー壁１２とを備えている。管状コネクタ１４は、呼吸回路に接続するための、例えば直径２２ｍｍの従来の雄型又は雌型円筒状コネクタである。テーパー壁１２は一般にドーム状であり、使用時に患者の顔の面、すなわち前頭面に対応する面においてほぼ環状の断面を有する口部と、形状がほぼ三角形であり、患者の鼻筋と係合するための丸みを帯びた頂点を有する狭まった鼻部とを備えている。図１に示すマスク本体では、テーパー壁１２の鼻部はマスク本体の長手方向軸に沿って狭まった部分も含み、この部分は管状コネクタ１４からテーパー壁１２の鼻部の丸みを帯びた頂点に向かって延びている。テーパー壁１２のこの狭まった部分は、例えばつまむ動作でユーザによって把持されることが可能な側面を画定する。

２ショット射出成形法の第１のショットにおいてマスク本体１０が部分的に固化した状態で形成されると、次に金型は移動されて第２のショット構成に入り、これにより、金型の第２のキャビティはマスク本体１０の周縁１６、及び周縁１６に隣接するマスク本体１０の表面の境界領域と流体連通する。

本発明の第１の実施形態による方法の第２のショットでは、マスク本体１０が部分的に固化した状態の間に、第２の射出ユニットは、例えばピストン及びシリンダ構成を用いてポリマー溶融物に圧力を加え、出口ノズル及びポリマー注入ポートを介して第２のポリマー溶融物を金型の第２のキャビティに注入する。圧力を加えて金型の第２のキャビティに注入する前に発泡剤を第２の射出ユニットの第２のポリマー溶融物と混合してもよく、これにより、金型のキャビティを介して注入されるガスの進行がより均一になることを確実にできる。この方法は、英国特許出願第２０１３１０８．２号にさらに記載されている。

図２は、第２のキャビティに部分的に導入された第２のポリマー溶融物２０を示し、図３は、第２のキャビティに完全に導入された第２のポリマー溶融物２０を示している。第２のポリマー溶融物２０は、図３に示すように第２のキャビティを部分的にのみ充填し、したがって第２のポリマー溶融物２０の体積は第２のキャビティの体積よりも小さい。第２のキャビティ用のポリマー注入ポート２８はマスク本体１０の鼻部の頂点に配置され（図６を参照）、第２のキャビティはポリマー注入ポート２８からマスク本体１０の周縁１６の周りを両方向に延びているため、第２のポリマー溶融物２０はポリマー注入ポート２８から２つの枝部２１、２２内の第２のキャビティに沿って流れ、各枝部２１、２２内の第２のキャビティにほぼ同じ距離で延びている。

第２のポリマー溶融物２０が第２のキャビティに完全に導入され、第２のキャビティに部分的に充填されると、窒素ガス３０がガス導入ポート３８（図６を参照）を介して第２のキャビティ内の第２のポリマー溶融物２０に導入される。ガス導入ポート３８は第２のキャビティ用のポリマー注入ポート２８に隣接するように位置し、これに対して垂直に配向されている。ガスが第２のキャビティ内の第２のポリマー溶融物２０内に泡を形成するように、ガス導入ポート３８は第２のキャビティの壁から第２のキャビティの中央領域へ延びている。

また、ガス導入ポート３８はマスク本体１０の鼻部の頂点に配置されており、第２のキャビティはガス導入ポート３８からマスク本体１０の周縁１６の周りを両方向に延びているため、ガス３０の泡は、ガス導入ポート３８から２つの枝部３１、３２の第２のキャビティ内で第２のポリマー溶融体２０の中心軸に沿って流れる。

図４は、第２のキャビティの第２のポリマー溶融物２０に部分的に導入されたガス３０を示し、図５は、第２のキャビティの第２のポリマー溶融物２０に完全に導入されたガスを示している。

図４及び図５に示すように、第２のポリマー溶融物２０の２つの枝部２１、２２がマスク本体１０の顎領域で合流し、混合して接合するまで、ガス３０の導入によって第２のポリマー溶融物２０が第２のキャビティに沿ってマスク本体１０の顎領域に向かってさらに移動する。この実施形態では、第２のキャビティ内の第２のポリマー溶融物２０に導入されたガス３０は、ガスが充填された内部チャンバ４４を有する薄肉のシーリングクッション４２を第２のポリマー溶融物２０から形成するのに十分である。しかしながら、第２のキャビティ内の第２のポリマー溶融物２０に導入されたガス３０は２つの枝部３１、３２内にとどまり、マスク本体１０の顎領域で合流しない。その代わりに、ガスが充填された内部チャンバ４４の２つの枝部３１、３２はそれぞれテーパー状端部で終端をなし、各テーパー状端部は第２のポリマー溶融物の中実部分、すなわちガスが充填された内部を含まない第２のポリマー溶融物の部分の各側に配置され、この部分はシーリングクッション４２の顎領域４６を形成する。

呼吸マスクのシーリングクッション４２が形成されると、ガス３０によってポリマー溶融物に加えられる圧力が保たれる一方でマスク本体１０及びシーリングクッション４２が冷却され、完全に固化される。これによって第２のポリマーがマスク本体１０の境界領域及び周縁に接合され、呼吸マスクのマスク本体１０とシーリングクッション４２とが一緒に接合される。したがって、マスク本体１０及びシーリングクッション４２を互いに固定するための、接着などの追加の組立ステップは必要ない。

金型の第２のキャビティは、患者の顔の鼻及び口周辺の輪郭に対応するよう構成された解剖学的形状を呼吸マスクのシーリングクッション４２にもたらすように形状づけられている。

呼吸マスクのシーリングクッション４２は、ガスが充填された内部チャンバ４４を取り囲む薄い囲い壁を含む。さらに、ガス導入ポート３８は第２のキャビティの壁から第２のキャビティの中央領域へ延びているため、呼吸マスクのシーリングクッション４２の壁がガス導入ポート３８の周りに形成され、これにより、呼吸マスクが金型から取り外される際に呼吸マスクのシーリングクッション４２の壁に開口が設けられる。呼吸マスクのシーリングクッション４２の壁のこの開口により、呼吸マスクのシーリングクッション４２のガスが充填された内部チャンバ４４と周囲空気との間に流体連通がもたらされる。

図７及び図８は、本発明の第２の実施形態による２ショット成形方法によって形成された呼吸マスク１００を示している。この呼吸マスク１００は、ガス導入ポート３８によって形成された開口１３８の位置を除き、上述した本発明による方法の第１の実施形態によって形成された呼吸マスクと同一である。

本発明による方法の第２の実施形態によって形成された呼吸マスク１００では、ガス導入ポートによって形成された開口１３８は、マスク本体１１２から延びるシーリングクッション１４２の変形可能な壁ではなく、マスク本体１１２とその下にあるシーリングクッション１４２の壁に位置している。開口１３８のこの位置は、金型の第２のショット構成において、ガス導入ポート３８が金型の第１のキャビティの壁から金型の第２のキャビティの中央領域へ延びる金型を提供することによって実現される。この構成では、マスク本体１１２を形成するために第１のポリマーが金型の第１のキャビティに注入されると、マスク本体１１２がガス導入ポート３８の周りに形成される。金型の第２のショット構成では、ガス導入ポート３８が第１のキャビティ内のマスク本体１１２を貫通し、第２のキャビティ内に突出する。この構成では、シーリングクッション１４２を形成するために第２のポリマーが金型の第２のキャビティに注入されると、マスク本体１１２の隣接する壁の下にあるシーリングクッション１４２の壁がガス導入ポート３８の周りに形成される。したがって、呼吸マスク１００が型から取り外される際に、呼吸マスク１００のマスク本体１１２とその下にあるシーリングクッション１４２の壁に開口１３８が形成される。この開口１３８により、呼吸マスク１００のシーリングクッション４２のガスが充填された内部チャンバと周囲空気との間に流体連通がもたらされる。

本発明による方法の第３の実施形態ではオーバーモールドプロセスが用いられる。これは、第１のポリマーで形成されたマスク本体（基板）が一般にはほぼ又は完全に固化されてから第２の金型内の第２のキャビティに移され、第２のポリマーが第２のキャビティに射出されて成形される、したがってマスク本体を「オーバーモールド」するという点で、２ショット成形プロセスである第１及び第２の実施形態とは異なっている。この実施形態では、第２のポリマーによって形成されたシーリング部材は、化学結合及び機械的結合のうちの１つ以上により、第１のポリマーによって形成されたマスク本体に固定される。

さらに、第１、第２、及び第３の実施形態のいずれも、例えばシーリング部材用の熱硬化性ポリマーと共に用いることができる。例えば、液状シリコーンゴム（ＬＳＲ）を、シーリング部材を形成するための第２のポリマーとすることができる。しかしながら、熱硬化性ポリマーを使用する場合、熱硬化性ポリマーは一般的に硬化を開始するために熱を必要とするため、射出成形ステップ及び関連する装置は上記のものとは異なる。液状シリコーンゴムの場合、液体射出成形（ＬＩＭ）プロセスが一般的に用いられる。

ＬＩＭプロセスで一般に用いられる材料はシリコーン及びアクリルである。ＬＩＭプロセスでは、添加剤及び繊維で強化することのできるベース形成プラスチックと触媒とを、ポンプを用いて一緒にする。混合反応を起こすスタティックミキサー中に各々を１：１の割合でポンプにより注入し、例えば液状シリコーンゴム（ＬＳＲ）を形成する。射出ユニットの出口ノズルが移動されて金型のキャビティの注入ポートと係合し、これと流体連通する。

次に、液体混合物を金型のキャビティに注入する。ガスの注入及びシーリング部材の形成は、熱可塑性樹脂について上述したものと同じである。しかしながら、ポリマーを冷却して固化させることはしない。代わりに、金型を例えば１８０～２００℃の温度で加熱して硬化を開始させる。ポリマーが硬化したら、呼吸インターフェースデバイスを金型から取り外すことができる。

Claims (42)

1. 呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法であって、
   （ａ）キャビティと、ポリマー注入ポートと、ガス導入ポートとを有する金型を提供するステップと、
   （ｂ）前記ポリマー注入ポートを介してポリマーを前記金型の前記キャビティに注入するステップと、
   （ｃ）前記ガス導入ポートを介してガスを前記金型の前記キャビティに導入するステップと、
   を含み、
   これによって前記呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材を形成し、
   前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者接触面を含み、前記患者接触面は、前記金型の前記キャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する、方法。
2. 前記患者接触面は、前記シーリング部材が変形する前に前記患者の表面と接触する部分である先頭部分を有し、前記先頭部分は、少なくとも前記シーリング部材が前記患者の表面と係合する方向に解剖学的に形づくられており、これにより、前記患者接触面の先頭部分の位置は、前記患者接触面に沿った異なる位置においてこの方向で変化する、請求項１に記載の方法。
3. 前記患者接触面の前記先頭部分及び／又は前記先頭部分上の中心線が、基準平面又は基準円筒面である基準面に対して変化する位置を有し、前記基準面は、前記シーリング部材が前記患者の表面と係合する方向、又は前記シーリング部材によって前記患者の表面に加えられる全体的な圧力の方向に対して垂直に配置される、請求項２に記載の方法。
4. 前記金型の前記ガス導入ポートはガス源に接続されており、前記ガスは、前記金型の前記キャビティ内で前記シーリング部材を形成するために前記ポリマーを誘導し、変形させ、及び／又は移動させるのに十分な圧力を有する、請求項１～３のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記金型の前記ガス導入ポートは前記キャビティ内に突出して前記キャビティへの出口開口を有し、前記ガスは前記出口開口を介して前記キャビティに入り、前記出口開口は、前記キャビティを画定する前記金型の内周面から離れている、請求項１～４のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記ガス導入ポートは、前記キャビティを画定する前記金型の内周面に対して突出し、これにより前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が形成され、前記開口は、前記シーリング部材の前記内部チャンバと流体連通している、請求項１～５のいずれか一項に記載の方法。
7. 前記金型の前記キャビティが部分的にのみ充填されるように、ポリマーが前記ポリマー注入ポートを介して前記金型の前記キャビティに注入される、請求項１～６のいずれか一項に記載の方法。
8. 前記ポリマーの注入後であるがガスの導入前に、前記ポリマーが、前記ポリマー注入ポートが配置される前記キャビティの端部とは反対側の前記キャビティの端部から隔てられた単一構造体の形態で前記キャビティに沿って部分的にのみ延びるように、前記金型の前記キャビティに注入される前記ポリマーは前記キャビティの体積よりも小さい体積を有する、請求項７に記載の方法。
9. 前記金型の前記キャビティが前記ポリマーによって少なくとも部分的に充填されると、前記ガスが前記ガス導入ポートを介して前記金型の前記キャビティに導入される、請求項１～８のいずれか一項に記載の方法。
10. 前記ポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた前記内部チャンバが、前記金型の前記キャビティ内で前記シーリング部材内に形成される、請求項１～９のいずれか一項に記載の方法。
11. 製造時に前記キャビティのための前記ポリマー注入ポートは前記シーリング部材の一端に配置され、前記シーリング部材は、前記ポリマーが前記ポリマー注入ポートから前記キャビティに沿って両方向に流れることにより形成される、請求項１～１０のいずれか一項に記載の方法。
12. 前記ガスは前記ポリマーに圧力を加えて前記内部チャンバ及び前記ポリマーの前記囲い壁を形成し、
    前記ガスによって加えられる前記圧力は、前記キャビティの内部表面に向かって前記ポリマーを外方に誘導し、変形させ、あるいは移動させ、これによって前記シーリング部材の前記囲い壁を形成する径方向成分を有し、及び／又は、前記ガスによって加えられる前記圧力は、前記ガス導入ポートから離れるように前記ポリマーを前記キャビティに沿って軸方向に誘導し、変形させ、あるいは移動させる軸方向成分を有する、請求項１～１１のいずれか一項に記載の方法。
13. 製造時に前記ガス導入ポートは前記シーリング部材の一端に配置され、前記内部チャンバは、前記ガスが前記ガス導入ポートから前記ポリマーを通って前記キャビティに沿って両方向に流れることにより形成される、請求項１～１２のいずれか一項に記載の方法。
14. 前記ポリマーは、閉ループの形状を有する前記キャビティに沿って、前記ポリマー注入ポート及び／又は前記ガス導入ポートと反対の方向へ移動され、これにより前記ポリマーは前記キャビティに沿って前進する２つの枝部を有する、請求項１～１３のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記シーリング部材は内部チャンバのない部分である中実部分を有し、前記中実部分は、前記ガス導入ポートとは反対側の前記キャビティの端部に配置される、請求項１～１４のいずれか一項に記載の方法。
16. 請求項１～１５のうちいずれか一項に記載の方法によって製造された呼吸インターフェースデバイス用シーリング部材。
17. 前記シーリング部材は、弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含み、前記シーリング部材は、前記シーリング部材の前記内部チャンバ及び周囲空気と流体連通する開口を含み、これによって使用時に周囲空気が前記内部チャンバに出入りすることができる、請求項１６に記載のシーリング部材。
18. 前記シーリング部材は呼吸マスク用であり、前記患者接触面は使用時に患者の前頭面と概ね一致するが、前記患者接触面の頬領域に凸面、ならびに／又は前記患者接触面の鼻領域及び／あるいは顎領域に凹面を周方向に含む、請求項１６又は請求項１７に記載のシーリング部材。
19. 前記シーリング部材の前記囲い壁に開口が設けられており、前記開口は前記シーリング部材の前記内部チャンバ及び周囲空気と流体連通し、これによって使用時に周囲空気が前記内部チャンバに出入りすることが可能になる、請求項１７又は請求項１８に記載のシーリング部材。
20. 前記開口は、前記シーリング部材の前記内部チャンバに出入りする周囲空気の流れを調節する弁を含み、前記弁は前記シーリング部材の前記内部チャンバに出入りする空気の流れによって開かれる、請求項１９に記載のシーリング部材。
21. 前記シーリング部材は内部チャンバのない１つ以上の中実部分を有し、これにより、前記内部チャンバは前記シーリング部材の１つ以上の中実部分によって隔てられた第１の端部及び第２の端部を有する、請求項１５～２０のいずれか一項に記載のシーリング部材。
22. 前記内部チャンバの前記第１の端部及び前記第２の端部を隔てる前記シーリング部材の前記１つ以上の中実部分が単一の連続した中実部分からなる、請求項２１に記載のシーリング部材。
23. 前記シーリング部材が呼吸マスクのためであり、前記１つ以上の中実部分が、顎領域を含む前記シーリング部材の１つ以上の選択された領域においてより大きな変形抵抗を与える、請求項１５～２２のいずれか一項に記載のシーリング部材。
24. 前記シーリング部材はラリンジアルマスクエアウェイのためであり、前記１つ以上の中実部分は前記ラリンジアルマスクエアウェイのシーリングカフの先端領域により大きな変形抵抗を与えることができる、請求項１５～２２のいずれか一項に記載のシーリング部材。
25. 請求項１～１５のいずれか一項に記載の呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法を含む、呼吸インターフェースデバイスの製造方法。
26. 呼吸インターフェースデバイスの製造方法であって、
    （ａ）第１のキャビティと、第１のポリマー注入ポートと、第２のキャビティと、第２のポリマー注入ポートと、前記第２のキャビティに開口するガス導入ポートとを有する１つ以上の金型を提供するステップと、
    （ｂ）前記第１のポリマー注入ポートを介して第１のポリマーを前記金型の前記第１のキャビティに注入し、前記呼吸インターフェースデバイスの本体部を形成するステップと、
    （ｃ）前記第２のポリマー注入ポートを介して第２のポリマーを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに注入し、前記ガス導入ポートを介してガスを前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティに導入し、前記呼吸インターフェースデバイスのシーリング部材を形成するステップであって、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材は、前記第２のポリマーで形成された弾性変形可能な囲い壁によって少なくとも部分的に囲まれた内部チャンバを含み、前記囲い壁は、前記１つ以上の金型の前記第２のキャビティによって決定され、患者との解剖学的なフィット性をもたらす形状を有する患者接触面を含む、前記シーリング部材を形成するステップと、
    を含み、
    前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を任意の順序で形成することができ、これにより、前記本体部又は前記シーリング部材の一方が先に形成される部分となり、前記本体部及び前記シーリング部材のうちの他方が後に形成される部分となり、前記後に形成される部分の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で前記後に形成される部分を前記先に形成される部分と係合させる、方法。
27. 請求項１～１５のいずれか一項に記載の呼吸インターフェースデバイスのためのシーリング部材の製造方法を含む、請求項２６に記載の方法。
28. 前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部が先に形成される部分であり、前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材が後に形成される部分である、請求項２６又は請求項２７に記載の方法。
29. 前記呼吸インターフェースデバイスの先に形成される部分を、前記呼吸インターフェースデバイスの後に形成される部分を形成する、前記第１のキャビティ又は前記第２のキャビティのいずれかのキャビティに隣接するか又はその中に配置できるように前記１つ以上の金型を構成し、これにより、後に形成される部分の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で後に形成される部分を先に形成される部分と係合させることができる、請求項２６～２８のいずれか一項に記載の方法。
30. 後に形成される部分の射出成形時に、後に形成される部分を前に形成される部分と接触させる、請求項２９に記載の方法。
31. 前記１つ以上の金型が、前記第１のキャビティ及び前記第１のポリマー注入ポートを画定する第１のショット構成と、前記第２のキャビティ、前記第２のポリマー注入ポート、及び前記第２のキャビティに開口する前記ガス導入ポートを画定する第２のショット構成とを有する金型を含み、これにより、前記第１のショット構成では、前記第１のポリマー注入ポートを介して前記第１のポリマーを前記金型の前記第１のキャビティに注入して前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部を形成し、前記第２のショット構成では、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部を前記第２のキャビティに隣接して配置し、前記第２のポリマー注入ポートを介して前記第２のポリマーを前記金型の第２のキャビティに注入し、前記ガス導入ポートを介して前記ガスを前記金型の前記第２のキャビティに導入して前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材を形成し、前記シーリング部の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で前記シーリング部材を前記本体部と係合させる、請求項２６～３０のいずれか一項に記載の方法。
32. 前記１つ以上の金型が、前記第１のキャビティ及び前記第１のポリマー注入ポートを有する第１の金型と、前記第２のキャビティ、第２のポリマー注入ポート、及び前記第２のキャビティに開口する前記ガス導入ポートを有する第２の金型とを含み、これにより、前記第１のポリマー注入ポートを介して前記第１のポリマーを前記第１の金型の前記第１のキャビティに注入して前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部を形成し、次に前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部が前記第２のキャビティ内か又は前記第２のキャビティに隣接して配置されるように前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部を前記第２の金型に移し、前記第２のポリマー注入ポートを介して前記第２のポリマーを前記第２の金型の前記第２のキャビティに注入し、前記ガス導入ポートを介して前記ガスを前記第２の金型の前記第２のキャビティに導入して前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材を形成し、前記シーリング部の射出成形時に、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部及び前記シーリング部材を一緒に固定する態様で前記シーリング部材を前記本体部と係合させる、請求項２６～３０のいずれか一項に記載の方法。
33. 前記第２のポリマーが、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部の境界領域に接触する、請求項２６～３２のいずれか一項に記載の方法。
34. 製造時に、前記内部チャンバへの開口が前記ガス導入ポートの周りに形成され、前記開口によって使用時に周囲空気が前記内部チャンバに出入りすることが可能になる、請求項２６～３３のいずれか一項に記載の方法。
35. 前記開口は、前記第２のポリマーから形成された前記弾性変形可能な囲い壁に形成される、請求項３４に記載の方法。
36. 前記内部チャンバが、前記第１のポリマーによって画定される第１の層と、前記第２のポリマーによって画定される第２の層とを有する壁によって少なくとも部分的に囲まれており、前記内部チャンバへの前記開口が前記壁に形成される、請求項３４に記載の方法。
37. 前記ガス導入ポートは、前記第１のキャビティ又は前記第２のキャビティのいずれかを画定する前記金型の内周面に対して突出し、これにより、前記呼吸インターフェースデバイスの前記本体部、及び／又は前記呼吸インターフェースデバイスの前記シーリング部材の前記囲い壁のいずれかに前記開口が形成される、請求項３４～３６のいずれか一項に記載の方法。
38. 前記ガス導入ポートは、前記呼吸マスクの前記本体部を貫通して前記第２のキャビティ内に突出する、請求項３４～３７のいずれか一項に記載の方法。
39. 請求項２５～３８のいずれか一項に記載の方法によって製造された呼吸インターフェースデバイス。
40. 請求項１６～２４のうちいずれか一項に記載のシーリング部材を含む呼吸インターフェースデバイス。
41. 請求項２５～３８のうちいずれか一項に記載の方法によって製造される、請求項４０に記載の呼吸インターフェースデバイス。
42. 呼吸ガスの供給源と、請求項３９～４１のいずれか一項に記載の患者インターフェースデバイスと、前記呼吸ガスの供給源と前記患者インターフェースデバイスとの間に延びる呼吸チューブと、を含む呼吸回路。
    

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