以下の開示は、いくつかの実施形態の限定されない例を記載している。本明細書に開示される実施形態はそれぞれいくつかの態様を有するが、それらのうち本開示の望ましい特性を単独で担うものは一つもない。例えば、開示されるシステム及び方法の他の実施形態は、本明細書に記載される特徴を含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい。さらに、開示される利点及び便益は、特定の実施形態にのみに該当してもよく、本開示を限定するために用いられるべきではない。
一態様によれば、インプラントは、近位端部及び遠位端部を有するフレームと、アンカーと、フレームの近位端部又は遠位端部のうちの一方に結合されたアンカーハウジングとを備える。アンカーハウジングはアンカーハウジングの穴内に配置されたアンカースリーブを備え、アンカースリーブはアンカースリーブの中を貫通して延びる管腔を有し、管腔はアンカーを移動可能に係合させるために管腔の内壁に配置された少なくとも1つの要素を含む。アンカースリーブは、アンカーハウジングの穴内で移動可能であり、アンカーハウジングの中を通過するアンカーの移動を制限するように構成され得る。
様々な実施形態において、アンカースリーブは、アンカースリーブの近位端部に配置されて、穴内におけるアンカースリーブの移動及びアンカースリーブ内におけるアンカーの移動のいずれか一方又は双方を制限するカラーを備え得る。カラーは、近位面と、近位面に配置された少なくとも1つのドライバ係合要素とを備え得る。アンカーは近位端部に配置されたアンカーヘッドをさらに含むことができ、アンカーヘッドは駆動カプラを備える。アンカーヘッドは、スリーブ係合要素が配置された遠位面を備えることができ、スリーブ係合要素は、駆動チューブのドライバ係合要素と協働して、アンカースリーブをアンカーハウジングの穴内で移動させるように構成されている。
一実施形態では、アンカーハウジングは複数のアンカーハウジングのうちの1つであり、アンカースリーブは複数のアンカースリーブのうちの1つであり、アンカーは複数のアンカーのうちの1つであり得、複数のアンカーハウジングはフレームのまわりに配置される。各アンカーハウジングは、複数のアンカーのうちの1つを支持する複数のアンカースリーブのうちの1つに係合し得る。複数のアンカーの各々は、結合されたアンカー及び関連するアンカースリーブを独立して移動させるために、複数の駆動チューブのうちの1つの駆動チューブに結合され得る。
さらに別の態様によれば、弁輪形成術のためのシステムは送達カテーテルを含み、送達カテーテルは、近位ハンドルと、遠位端部と、送達カテーテルを通って延びる複数の駆動チューブとを有する。システムは、送達カテーテルの複数の駆動チューブに結合されたインプラントをさらに含み、インプラントは、近位端部及び遠位端部を有するフレームを備える。一実施形態では、システムは複数のアンカーを含むことができ、各アンカーは、アンカーを独立して移動させるために、複数の駆動チューブのうちのある駆動チューブに結合されている。複数のアンカーハウジングはフレームの近位端部又は遠位端部のうちの一方に結合され得る。各アンカーハウジングはアンカーハウジングの穴内に配置されたアンカースリーブを備え、アンカースリーブはアンカースリーブの中を貫通して延びる管腔を有し、管腔は少なくとも1つのアンカーを移動可能に係合させるために管腔の内壁に配置された少なくとも1つの要素を含む。各アンカースリーブは、少なくとも1つのアンカーハウジングを通る少なくとも1つのアンカーの進行の遠位範囲を制御するために、アンカーハウジングの穴内で移動可能であり得る。
様々な実施形態において、アンカースリーブは、アンカースリーブの近位端部に配置されて、穴内におけるアンカースリーブの移動及びアンカースリーブ内におけるアンカーの移動のうちの一方又は双方を制限するカラーを備え得る。カラーは、近位面と、近位面に配置された少なくとも1つのドライバ係合要素とを備え得る。各アンカーは近位端部に配置されたアンカーヘッドをさらに含むことができ、アンカーヘッドは駆動カプラを備える。少なくとも1つの駆動チューブは、アンカーヘッドに着脱可能に結合して、アンカースリーブの管腔の中を通ってアンカーを駆動するように構成された遠位ドライバを備え得る。
様々な実施形態において、遠位ドライバは、その遠位端部から径方向に延びるスリーブ係合要素を備えることができ、スリーブ係合要素は、カラーの近位面にあるドライバ係合要素と協働して、アンカースリーブをアンカーハウジングの穴内で移動させるように構成されている。アンカーヘッドは、アンカースリーブの管腔内へのアンカーヘッドの遠位方向の移動を妨げるように、アンカースリーブの管腔の管腔径よりも大きなサイズの遠位アンカーヘッド径を備え得る。カラーはアンカースリーブの管腔から径方向に延びることができ、カラーのカラー径は、アンカーハウジングの穴内へのカラー遠位方向の移動を妨げるべく、アンカーハウジングの穴の穴径よりも大きくすることができる。アンカースリーブはアンカースリーブの外面に配置された少なくとも1つの外部係合要素を備えることができ、アンカーハウジングの穴は穴の壁に配置された少なくとも1つの内部係合要素を備えることができ、アンカースリーブの少なくとも1つの外部係合要素は、アンカーハウジングの穴の少なくとも1つの内部係合要素と協働して、アンカースリーブをアンカーハウジングの穴内で移動させ得る。アンカースリーブの管腔の内壁に配置された少なくとも1つの要素は、アンカーの少なくとも1つの縁部と協働して、アンカーをアンカースリーブ内で移動させるように構成され得る。
一実施形態では、フレームは、遠位端部で連結されて遠位頂点を形成する少なくとも2本のストラットと、近位端部で連結されて近位頂点を形成する少なくとも2本のストラットとを備えた拡張可能なフレームを備えることができ、少なくとも1つのアンカーハウジングがフレームの遠位頂点のまわりに配置され得る。アクチュエータは、フレームを圧縮するためにフレームの近位頂点のまわりに移動可能に配置され得る。様々な実施形態において、複数の駆動チューブの各駆動チューブは、アンカーの移動及びアンカースリーブの移動のいずれか一方又は双方をカスタマイズするために独立して制御され得る。
別の態様によれば、弁輪形成術の方法が記載されており、弁輪形成術システムは、近位端部及び遠位端部を有するフレームと、フレームの近位端部又は遠位端部のうちの一方に結合された複数のアンカーハウジングとを含む。各アンカーハウジングはアンカーハウジングの穴内に配置されたアンカースリーブを備えることができ、各アンカーは駆動チューブ係合要素を有する近位カラーを備える。各アンカーが駆動チューブに結合された近位アンカーヘッドと遠位先端部とを含む、複数のアンカーを備えることができ、各アンカーは複数のアンカーハウジングのアンカースリーブのうちの1つの中に配置され得る。上記方法は、近位アンカーヘッドの移動がアンカースリーブの近位カラーによって妨げられ、且つ駆動チューブ係合要素が駆動チューブのスリーブ係合要素に係合するまで、各アンカースリーブを通して各アンカーを前進させるステップと、スリーブ係合要素に対する駆動チューブ係合要素の作用によって、アンカースリーブの移動が妨げられるまで、アンカーハウジングを通して各アンカースリーブを独立して前進させて、アンカーハウジングを越えて組織内にカスタマイズされた範囲までアンカーの遠位先端部を前進させるステップとを含む。一実施形態において、上記方法は、アンカースリーブの移動が妨げられているときに、アンカーとの結合を維持したまま、アンカースリーブから駆動チューブを離脱するステップと、アンカーを駆動し続けて、組織をアンカーに引き寄せるステップとをさらに含み得る。
このような構成により、アンカースリーブは、個々の各アンカーが駆動される深さを制限して、患者の解剖学的構造の変動に応じてインプラントの留置をカスタマイズするために使用され得る。
本開示の上記特徴及び他の特徴は、以下の説明及び添付する特許請求の範囲から、添付図面と併せて考えると、より完全に明らかになるであろう。図面において、文脈上他の指示がない限り、同様の符号は典型的には同様の構成要素を特定する。詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載する例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよいし、他の変更がなされてもよい。本明細書に概して記載され、図面に示されるような本開示の態様は、種々様々の異なる形態に構成され、置換され、組み合わせられ、設計されることが可能であり、それらのすべては明示的に企図され、本開示の一部をなすことは容易に理解されるであろう。
心疾患は患者の心拍出を阻害し、それにより患者の生活の質を低下させ、また寿命を縮める。心臓弁がその心周期中に適切に接合、即ち閉鎖することができない場合、血液は左心室が収縮する度に後方に漏れて心房内に入る可能性がある。弁不全症を克服するために様々な処置が実行されてきた。これらの処置としては、弁輪(心臓弁を部分的に取り巻く線維輪)に対して構造的完全性を回復させるための方法、及び/又は伸びた若しくは断裂した腱索によって生じる動揺弁尖を修復するための方法が挙げられる。これらの方法の多くは、インプラント又は他の物体を心臓組織に固着することを必要とする。例えば、弁輪形成術は、アンカーを使用して、弁輪のまわりにリング又はフレームを固定することを必要とし得る。
心臓弁の解剖学的構造は、心臓弁を包囲する組織の厚さを含めて、その周長に沿って変化するため、そのような解決策に関して1つの問題が生じる。アンカーを同一の深さに均一に留置すると、アンカーが心組織へ深く刺通し過ぎて、処置の有効性を低減する可能性がある。
一態様によれば、これらの問題は、改善されたアンカーハウジングアセンブリを有するインプラントの使用によって克服される。いくつかの実施形態において、アンカーハウジングは、例えば弁輪に近接した治療部位に送達されるべきインプラントのフレームの近位端部又は遠位端部のうちの一方に結合される。各アンカーハウジングは、アンカーハウジングの穴内に配置されたアンカースリーブを備える。アンカースリーブはアンカースリーブの中を貫通して延びる管腔を備え、管腔は少なくとも1つのアンカーを移動可能に支持するために管腔の内壁に配置された要素を含む。アンカーは、アンカー駆動チューブに着脱可能に結合可能な近位アンカーヘッドを備え、アンカーに対するアンカー駆動チューブの作動(回転又は平行移動など)により、アンカースリーブを通って治療部位に向かうアンカーの平行移動がもたらされる。
アンカースリーブは、アンカースリーブの近位端部に配置され、スリーブ内におけるアンカーの遠位方向の進行の範囲を制限するように構成されたカラーを備える。例えば、アンカーがスリーブの中を通って遠位に移動されるときに、さらなる遠位方向の進行が近位アンカーヘッドとアンカースリーブのカラーとの相互作用によって阻害されるように、カラーによって包囲されたアンカースリーブの管腔の直径は、近位アンカーヘッドの直径よりも小さくすることができる。従って、アンカースリーブのカラーは、アンカーハウジングの中を通過するアンカーの遠位方向の移動を制限して、アンカー深さを患者の解剖学的構造に適応させるために使用され得る。
アンカーハウジングの中を通過するアンカーのさらなる遠位方向の移動は、アンカーハウジングの中を通ってアンカースリーブを移動させることによって達成される。いくつかの実施形態において、アンカースリーブのカラーは、カラーとアンカー駆動チューブとの着脱可能な係合を可能にする要素を備え得る。従って、近位アンカーヘッドの進行がアンカースリーブのカラーによって阻害されるようになると、駆動チューブがカラーに配置された要素に作用して、アンカースリーブ及びアンカーを同時に回転させ、アンカーハウジングの穴を通ってアンカースリーブと結果としてアンカーとを遠位方向に前進させる。
アンカースリーブをアンカーハウジングとともに使用することによって、アンカーの送達の深さに対する適応制御が提供され、外科医が治療位置における解剖学的構造の変動に応じてアンカー深さをカスタマイズすることが可能となる。例えば、最小の厚さを有する弁組織に送達されるべきアンカーは、アンカーハウジングを通して途中までだけアンカースリーブを前進させることができる。未使用のアンカーを露出したままにすることによって血栓及び他の塞栓の危険性を増大させるのではなく、アンカースリーブがアンカーのねじ山を覆い、そのような危険性を最小限にするとともに、インプラントの弾力性及び強度を増大させて疲労から保護する。
しかしながら、弁組織がより厚い治療位置については、開示するアンカーハウジングアセンブリは、アンカースリーブ及びアンカーがそれらの最大遠位範囲まで進むことを許容して、完全な固着能力を活用する。
開示されるアンカーハウジングアセンブリのこれら及び他の有益な態様について、以下により詳細に記載する。本開示の実施形態は、特に僧帽弁を参照して記載され得るが、カスタマイズ可能な深さの固着を提供する本明細書に開示されるようなアンカーハウジングは、例えば三尖弁輪を含む、任意の弁輪の再建を促進するように容易に適合され得、及び/又は心臓組織への構成要素の固着を必要とする他の拡張、弁機能不全、弁の漏れ、及び他の同様の心不全症状に同様に役立ち得る。
本明細書で用いられる場合、「遠位」という用語は、患者の体内に医療装置を導入するときに医療専門家から最も遠く離れた端部を指し、一方、「近位」という用語は、患者の体内に医療装置を導入するときに医療用専門家に最も近い端部を指す。
図1は、心臓弁又は他の心臓の要素のまわりに配置され得るフレーム110を備えたインプラント100を示している。明瞭にするために、インプラントの構成要素のすべてに番号が付されているとは限らない。一実施形態において、フレーム110は、フレームの中心点を通って近位及び遠位に延びる中心フレーム軸線を中心として周方向に延びるとともに、該中心フレーム軸線に沿って軸線方向に部分的に延び得る。フレーム110は、中心フレーム軸線に関して概して対称であり得るが、対称である必要はない。フレーム110は略管状形を形成し得る。本明細書において「管状」には、円形形状、及び他の丸みをおびた形状又は他の場合には閉じた形状が含まれる。フレーム110は、形状、サイズ、及び/又は形態を変更するように構成され得る。例えば、フレーム110は、事前送達、送達、組織係合及び緊締などの留置の異なる段階の間に、様々な形状、サイズ、形態等をとり得る。
一実施形態によれば、フレーム110は、フレーム110のすべて又は一部を形成し得る1本以上のストラット112から形成され得る。ストラット112は、金属合金、ニッケルチタン若しくは他の金属の合金などの形状記憶材料、金属合金類、プラスチック、ポリマー、複合材、他の適当な材料、又はこれらの組み合わせのうちから形成された長尺状構造部材を備え得る。図1では16本のストラット112が示されているが、いくつかの実施形態では、16本より少ない又は多いストラットが存在してもよいことが理解される。
一実施形態において、フレーム110のストラット112は、同一の一体となった材料片から形成され得る。従って、ストラット112に対する言及は、同一の広範囲な構成要素の異なる部分を指す場合がある。代替的には、ストラット112に対する言及は、別々に形成され、例えば溶接又は他の方法によって恒久的に共に付着された構成要素を指す場合がある。いくつかの実施形態では、ストラット112は、分離可能に共に結合されて近位頂点及び遠位頂点を形成する別個の構成要素であってもよい。例えば、ストラット112は、それらの近位頂点ではアクチュエータ130によって連結され、それらの遠位頂点ではアンカーハウジングアセンブリ120によって連結されて示されている。
いくつかの実施形態において、「頂点」及び同類の用語は、本明細書で用いられる場合、及び参照によって本明細書に援用される任意の参考文献で用いられる場合、特に明記しない限り、「クラウン」及び同類の用語と交換可能に使用され得る。一実施形態において、「頂点」は、フレームの近位部分又は遠位部分を含み得る。
一実施形態において、アクチュエータ130は、フレーム110の近位端部によって回転自在に支えられるアクチュエータシャフト134を備え、例えば、アクチュエータシャフト134のヘッドはフレーム110の近位頂点において窓部又は他の開口部(図示せず)によって支えられ得る。アクチュエータシャフト134は、近位端部において駆動カプラ136を備え得る。アクチュエータ130はアクチュエータカラー132をさらに備えることができ、アクチュエータカラー132は、駆動カプラ136に結合されたアクチュエータ駆動チューブによるアクチュエータシャフト134の回転によりアクチュエータカラー132がアクチュエータシャフト134及びストラット112の上で軸線方向に移動されるように、アクチュエータシャフト134の要素と相互作用するように構成された内部要素を有する。いくつかの実施形態において、アクチュエータカラーの軸線方向の移動又は制限に適用されるような「軸線方向」とは、少なくとも部分的に近位方向又は遠位方向にあり、少なくとも部分的に軸線Yに沿うような、フレーム内を通って(近位及び遠位に)延びる中心軸線に平行又はほぼ平行な方向を含む。図1に示すように、ストラット112は、近位頂点から相反する方向に離れて延びている。ストラット112上におけるアクチュエータカラー132の遠位方向の前進は、ストラットを共にアクチュエータカラー132内に引っ張り、結果としてアンカーハウジングアセンブリ120同士の間の距離を縮めて、心臓組織の解剖学的構造を再形成し、例えば弁をその本来の形態に再建するために用いられ得る。一実施形態において、各アクチュエータカラー132は、対応するアンカー対の再形成の目的に応じて独立して作動され得る。
インプラントはアンカーハウジングアセンブリ120をさらに備える。図1の実施形態では、アンカーハウジングアセンブリはシンチコード140によって結合されて示されている。いくつかの実施形態において、シンチコード140は、ナイロン又は他の縫合材料で製造することができ、そして、アンカーハウジングアセンブリ120の相対位置を保持したり、変更したりするために使用され得る。
各アンカーハウジングアセンブリ120は、アンカーハウジング121、アンカースリーブ122、及びアンカー124を備えるように示されている。各アンカー124は、アンカー124をアンカー駆動チューブに接続するように構成されたアンカー駆動カプラ125を備える。一実施形態において、アンカー124はアンカースリーブ122によって移動可能に支持されており、アンカースリーブ122はアンカーハウジング121によって移動可能に支持されている。ストラット112上における各アクチュエータカラー132の前進の後又は前に、アンカー124は、アンカースリーブ122及びアンカーハウジング121の中を通って駆動されて、アンカー124の遠位先端部を組織内に埋め込み得る。
一態様によれば、本明細書において様々な実施形態で開示されるアンカーハウジングアセンブリ120は、外科医がアンカーハウジング121を通るアンカー124の進行の範囲をカスタマイズすることにより組織の解剖学的構造の変動に応じて固着深さを適応させることを可能にする。
図2は、アンカーハウジングアセンブリ120の一実施形態をより詳細に示している。アンカーハウジングアセンブリ120は、アンカーハウジング121を貫通して延びる穴201を含むアンカーハウジング121を備えるように示されている。アンカーハウジング121はまた、フレーム110(図1)の1本以上のストラットを受け入れて、アンカーハウジングアセンブリ120をフレーム110に結合するように構成されたフレームスリーブ220も備え得る。他の実施形態では、アンカーハウジングアセンブリはフレーム110と一体であってもよい。いくつかの実施形態において、アンカーハウジングアセンブリは、インプラントのシンチコード140(図1)を支持するためにアンカーハウジングの一部を貫通して延びるシンチコード管腔141を備え得る。
穴201は、アンカーハウジング121の近位面203から遠位面204を貫通して延びる。穴201は、穴201の内壁に配置された隆起部、ねじ山、又は他の種類の機構などの要素205を備え得る。穴201の内壁に配置された要素205は、アンカースリーブ122の外面に配置された要素206と協働して、アンカーハウジング121の穴201の中を通ってアンカースリーブ122を軸線方向に移動させ得る。
アンカースリーブ122は、アンカースリーブ122の近位端部に配置されたカラー222と、カラー222からアンカースリーブ122の遠位端部233まで延びるスリーブシャフト230とから構成される。カラー222はカラー222を通って延びる開口部を有し、この開口部は、カラー222からスリーブシャフト230の遠位端部233を貫通して延びる管腔202を画定する。いくつかの実施形態では、カラー222の直径は、アンカースリーブ122がアンカーハウジング121の近位面203を通り越して遠位方向に移動するのを制限するように、穴201の直径よりも大きくすることができる。
一実施形態において、カラー222は、カラー222の近位面に配置された1つ以上のドライバ係合要素223a,223bを備え得る。ドライバ係合要素223a,223bは、アンカー駆動チューブ(図示せず)の相補的な要素と協働する、タブ、切り欠き、隆起部、フランジ、フック又は他の要素を含み、カラー222とアンカー駆動チューブとのかみ合い係合を可能にし、従ってアンカー駆動チューブによるアンカースリーブ122の作動を可能にし、例えばアンカーハウジング121の穴205の中を通ってアンカースリーブ122を駆動する。
様々な実施形態において、管腔202を画定するアンカースリーブ122の内面は、アンカー124の縁部、隆起部、ねじ山、又は他の要素と協働して、アンカースリーブ122を通るアンカー124の軸線方向の移動を支持するように内面上に配置された要素を有し得る。
アンカー124は、近位アンカーヘッド128、遠位端部129、及び近位アンカーヘッド128から遠位端部129まで延びるらせん状シャフト123を備えるように示されている。近位アンカーヘッド128は、アンカー駆動チューブ(図示せず)とのかみ合った係合のために構成された近位アンカー駆動カプラ125を有する駆動シャフト126を備える。アンカーシャフトカラー127は、駆動シャフト126から径方向外側に、且つ駆動シャフト126のまわりに少なくとも部分的に延びる。いくつかの実施形態において、アンカーシャフトカラー127の直径は、アンカー124の近位アンカーヘッド128がアンカースリーブ122のカラー222を通り越して遠位方向に移動するのを制限するように、アンカースリーブカラー222によって画定された管腔202の直径より大きくすることができる。
いくつかの実施形態において、アンカー124、アンカースリーブ122及びアンカーハウジング121は、ステンレス鋼、コバルトクロム、プラチナイリジウム、ニッケルチタンなどの好適な生体適合性金属合金、他の好適な材料、又はそれらの組み合わせで製造され得る。各アンカー124は、総軸線方向長さが約10~約15ミリメートル(mm)であり得る。いくつかの実施形態では、アンカー124は、総軸線方向長さが、10~15ミリメートル(mm)よりも短くてもよいし、又は長くてもよい。「総」軸線方向長さとは、遠位穿通先端部129の端から反対側の近位アンカーヘッド128までのアンカー124の軸線方向長さを意味する。アンカー124のらせん状シャフト123は、軸線方向長さが約6~約12ミリメートル(mm)であり得る。いくつかの実施形態では、らせん状シャフト123は、軸線方向長さが6~12ミリメートル(mm)よりも短くてもよいし、又は長くてもよい。アンカー124の近位アンカーヘッド128及び/又は他の非らせん状部分は、軸線方向長さが約3~約4ミリメートル(mm)であり得る。いくつかの実施形態では、アンカー124の近位アンカーヘッド128及び/又は他の非らせん状部分は、軸線方向長さが3~4ミリメートル(mm)よりも短くてもよいし、又は長くてもよい。
いくつかの実施形態において、アンカー124の遠位端部129は、アンカーハウジング121の対応する遠位面204を越えて約4~約7ミリメートル(mm)軸線方向に延出可能であり、らせん状シャフト123が心組織内に4~7ミリメートル(mm)入り込むことができるようにし得る。
いくつかの実施形態において、アンカーハウジング121は、2.5mm~5mmにわたる高さHを有し得る。アンカースリーブ122のシャフト230は、シャフト230がアンカーハウジング121の穴201全体を貫通して延びるように高さHに一致し得るが、アンカースリーブのシャフト230がアンカーハウジング121の高さHに一致することは必須ではない。アンカースリーブ122は、例えば、脆弱な解剖学的構造を有した標的治療部位のためにアンカー挿入の深さを低減するように、対応するアンカーの深さを適応させるために使用されることが理解される。従って、いくつかの実施形態では、アンカースリーブ122は、アンカーの深さを4ミリメートル(mm)未満に低減するために使用されてもよい。
本開示は、アンカースリーブ121のシャフト230の長さがアンカーハウジング121の高さHに一致する実施形態に限定されるものではなく、アンカーシャフト230の長さがアンカーハウジングの高さHの0.25~1倍である実施形態をさらに含んでもよいことに留意すべきである。
実施形態の一例において、アンカーハウジングの高さHは例えば3mmとすることができ、アンカースリーブの長さは3mmとすることができ、アンカーの長さは遠位先端部からカラー127まで7mmとすることができ、それによりアンカーが1~4mmのアンカー深さの範囲を有して送達されることが可能となる。
図3Aは、図1及び図2に関して記載したようなアンカーハウジングアセンブリを備えたインプラント100を留置するために使用され得る留置システム300の例を示している。
一実施形態において、留置システムは、例えばフランス国コロンブのアルケマ(ARKEMA)社によって提供されるPEBAXなどの熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer:TPE)の層の複合材から構成されたイントロデューサシース310を含み得る。代わりに、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン又は他の同様の材料を使用してもよい。いくつかの実施形態において、イントロデューサシャフト310の長さは、遠位に支えられたインプラントの心腔内への低侵襲性経管的(例えば経大腿的又は経中隔的)導入を可能にするように選択される。従って、イントロデューサシャフト310の長さは、61cm~132cm(24インチ~52インチ)、より詳細には107cm~117cm(42インチ~46インチ)にわたり得る。一実施形態において、内径は24~31フレンチ(Fr)にわたってもよく、外径は26フレンチ~34フレンチ以上にわたってもよい。実施形態の一例では、内径は例えば28Frであってもよく、外径は32Frであってもよい。
一実施形態において、イントロデューサシース310は、心臓の治療部位への経管的ナビゲーションを可能にするスティーラブルシースであってもよい。近位ハンドル330は、シース310の操縦及びシース310に結合された構成要素の操作を可能にするために様々な制御部を備え得る。例えば、近位ハンドルは、シース操縦ノブ303、アンカーノブ304、及びシンチノブ306を備え得る。イントロデューサシース310は、近位ハンドル330の操縦ノブ303からイントロデューサシース310の遠位端部333へ延びる操縦ワイヤを備えることができ、その場合、操縦ノブ303の回転によって、経管的ナビゲーション中にイントロデューサシース310の遠位端部333の偏向が制御され得る。
近位ハンドル330は、ステージ302によって支持され、シンチノブ306及びアンカーノブ304などのドライバ制御機構をさらに備え得る。以下により詳細に記載するように、イントロデューサシースは複数の駆動チューブを支え得る。各駆動チューブは、インプラント100の植え込みを制御するために、その長さに沿ってトルクを伝達するように構成されたハイポチューブ又は同様の装置を備え得る。例えば、シンチノブ306は、アクチュエータシャフト134に結合されたアクチュエータ駆動チューブを制御して、アクチュエータ130をストラット112上に移動させるために使用され得る(図1)。アンカーノブ304は、アンカーノブ304を回転させることでアンカー124をアンカーハウジングアセンブリ120内へ回転前進させることができるように、アンカー124の近位アンカーヘッド(図1及び図2)に結合されるアンカー駆動チューブを制御するために使用され得る。加えて、アンカーノブ304を回転させると、以下により詳細に記載するように、アンカー駆動チューブがアンカースリーブをアンカーハウジング内へ回転前進させ得る。
いくつかの実施形態では、血管内心臓超音波検査(intravascular cardiac echography:ICE)カテーテル327がインプラント100内に配置され得る。ICEカテーテル327は、ICEカテーテル制御ハンドル329に結合されて、インプラントの留置中にアンカーの配置を監視し得る。
図3Bは、ワーキングカテーテル325内に送達カテーテル320を支えるイントロデューサシース310の遠位端部333の一実施形態を示しており、送達カテーテルは駆動チューブ350を支持するチャネルを備えるように示されている。一実施形態において、駆動チューブ350は、アクチュエータ駆動チューブとアンカー駆動チューブとを含み得る。駆動チューブ350は、各駆動チューブをアクチュエータ、アンカー、又は留置システム300の他の構成要素に結合するための駆動カプラ352を備え得る。
図4A~図4Cは、本明細書に開示するように使用され得るアンカースリーブ/アンカー駆動チューブ連結機構の一実施形態の斜視図である。アンカースリーブ122はアンカーカラー222を備えるように示されている。管腔202はアンカースリーブ122の中を貫通して延びる。1つ以上の駆動チューブ係合要素223a,223bが、アンカーカラー222の近位方向に向いた表面225上に形成されるか、又は表面225に結合され得る。また図4Aには、アンカー駆動チューブ400の遠位端部が示されており、スリーブドライバ要素402がその遠位端部に配置されて示されている。
図4Bは、アンカー駆動チューブ400の遠位端部の近位方向視図であり、この図では、スリーブ係合要素402及びスリーブ係合要素404がアンカー駆動チューブの外周部に配置されて示されている。一実施形態において、近位アンカーヘッド128(図2)の駆動カプラ125に結合されるように構成されたアンカー駆動カプラ403は、アンカー駆動チューブ400の遠位端部の内周部に配置され得る。図4Cは、アンカードライバの遠位端部の一実施形態の側面斜視図であり、アンカー駆動カプラ403はスリーブ係合要素402,404の間に配置されて示されている。図6A~図6Cに関してより詳細に記載するように、アンカー駆動チューブ400が、スリーブ122の管腔202を通してアンカーの近位ヘッドを駆動する場合、アンカーの近位ヘッドがカラー222に近づくと、アンカードライバ400のスリーブドライバ要素402,404がカラー222のアンカードライバ要素223a,223bと接触して、アンカー駆動要素223a,223bとスリーブ係合要素402,404との相互作用によって駆動チューブからの力がアンカースリーブ122に伝達されることが可能となる。そのような構成により、アンカー駆動チューブ400は、アンカー及びアンカースリーブの双方を駆動するために使用され得る。
図5A及び図5Bは、例えば本明細書に記載するような適応性アンカー深さ制御(adaptable anchor depth control)を備えたインプラントを送達する方法及び弁輪用インプラントの連続斜視図である。インプラントは、例えば大腿静脈又は腸骨静脈などの脚部の血管系へのアクセスを通じてインプラントを心腔に送達するための、図3Aに関して記載したような送達システムを使用して挿入され得る。
図5Aに示すように、そのような送達システム501は、送達カテーテル510の遠位端部502を心臓の左心房内にナビゲートして僧帽弁修復用のインプラントを留置するために使用されるガイドワイヤ525をその遠位端部に備えた送達カテーテル510を含み得る。図5Bにおいて、インプラント550、例えば本明細書に開示するようにアンカー深さを適応させるように構成されたアンカーハウジングを備えたインプラントは、例えば、送達カテーテル510からインプラントを押し出すか、又はイントロデューサシースを引っ張ってインプラント100を露出させることによって、送達カテーテル510の遠位端部502から離脱され得る。インプラント550は、僧帽弁輪に近接した位置、僧帽弁輪を取り囲む位置、又は僧帽弁輪を部分的に取り囲む位置などの治療部位に配置され得る。
図6A~図6Cは、本明細書で開示する深さを適応させることができるアンカーハウジングアセンブリを使用してアンカーを治療部位に留置する方法の一実施形態の連続図を示しており、アンカーハウジング121、アンカースリーブ122、及びアンカードライバ400が断面図で示されている。図6Aにおいて、アンカー駆動チューブ400は、例えばアンカーを回転させることによって、アンカー124を作動させる。アンカー124は、アンカースリーブ122の内面299上の縁部、隆起部、又は他のねじ山と相互作用して、アンカースリーブ122を通してアンカー124を移動させる。アンカー駆動チューブ400は、図6Bに示すようにアンカーシャフトカラー127がアンカースリーブカラー222と接触して、アンカースリーブ122内でのアンカー124のさらなる移動を制限するまで、アンカー124を作動させ続け得る。一実施形態において、スリーブは最初に、アンカースリーブ122のアンカーカラー222がアンカーハウジング121の近位面203からスリーブ露出範囲600だけ離間されるように、アンカーハウジング121の穴201内に配置される。スリーブ露出範囲は、アンカーの長さ及び組織内におけるアンカーの最小所望深さを考慮する設計上の選択事項であることが理解される。例えば、図6Bに示すように、アンカーシャフトカラー127が最初にカラー222と接触するとき、アンカー124の遠位先端部129はアンカーハウジング121から遠位範囲602だけ遠位に延出する。アンカー駆動チューブ400は、アンカースリーブ121を近位又は遠位に移動させて、アンカーハウジング121から露出されるアンカーの遠位範囲602を変更する。例えば、図6Cは、アンカー駆動チューブ400を回転させ続けることで、アンカーの遠位範囲602が増大されるように、アンカースリーブ122をアンカーハウジング121の穴内に前進させたアンカーハウジング121を示している。アンカー駆動チューブ400は、アンカーカラー222がアンカーハウジングの近位面203と接触してアンカー124の遠位端部129の組織内への進行の範囲を制限するまで、アンカースリーブ122を作動させ続け得る。
一実施形態において、アンカー駆動チューブは、アンカーカラー222のスリーブ係合要素402,404(図4A~図4C)を離脱するように構成され得る。例えば、スリーブ係合要素402,404をアンカー駆動チューブ400内に引っ込めることができる。スリーブ係合要素402,404を引っ込めることにより、組織内へのアンカー124のさらなる回転が有利に可能となる。アンカーの遠位方向の移動がアンカーカラー222とアンカーシャフトカラー127との相互作用によって制限されているときにアンカー124を組織内にさらに回転させることで、組織を有利に締め付けて、アンカーの付着を改善することができる。
図7は、本明細書に開示するような適応性アンカー深さ制御メカニズムを有したインプラントの一実施形態を示している。図7では、インプラント700は複数のアンカー724a~724dを備えるように示されており、アンカー724a~724dは、それらの各アンカーハウジング721a~721dを通って異なる深さに前進させられている。例えば、アンカー724c,724dは、アンカー724a,724bよりも小さな遠位範囲に前進させられている。結果として、アンカースリーブ722c,722dがアンカーハウジング721c,721dから露出され、これによりアンカー724c,724dの露出したねじ山に対する心腔の露出が低減される。
本開示に記載された実施形態に対する様々な変更は当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。従って、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される特許請求の範囲、原理、及び新規な特徴と一致する最も広い範囲で認められるべきである。「例」という語は、本明細書では「例、事例、又は例示としての役目を果たすこと」を意味するように排他的に用いられている。「例」として本明細書に記載されるいずれの実施形態も、他に明示されない限り、他の実施形態に対して好ましい又は有利であると必ずしも解釈されるものではない。
別々の実施形態の文脈で本明細書に記載された特定の特徴を、単一の実施形態で組み合せて実施することもできる。反対に、単一の実施形態の文脈で記載された様々な特徴を、複数の実施形態で別々に又は任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴が特定の組合せで作用するものと上述され、最初はそのように権利請求され得るとしても、権利請求された組合せの1つ以上の特徴が一部の場合には組合せから削除されてもよく、権利請求される組合せは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象とすることができる。
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を得るために、そのような動作が図示された特定の順序で若しくは順次に行われること、又はすべての例示された動作が行われることを必要とすると理解されるべきではない。加えて、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。一部の場合には、特許請求の範囲に列挙された行為は異なる順序で行われ、依然として望ましい結果を得ることができる。
一般に、本明細書に用いられる用語は概して「非限定的(open)」用語として意図されることが当業者には理解されるであろう(例えば「~を含む(including)」という語は「~を含むが、これ(ら)に限定されるものではない」と解釈されるべきであり、「~を有する」という語は「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「~を含む(includes)」という語は「~を含むが、これ(ら)に限定されるものではない」などと解釈されるべきである)。導入された請求項の記載事項において特定の数が意図される場合には、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載され、そのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないことが当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」という導入句の使用を含むことがある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞による請求項の記載事項の導入が、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句と「a」又は「an」などの不定冠詞とが含まれる場合であっても、そのように導入された請求項の記載事項を含むいかなる特定の請求項も、そのような記載事項を1つしか含まない実施形態に限定されることを意味すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)、請求項の記載事項を導入するために用いられる定冠詞の使用についても同様のことが当てはまる。加えて、導入された請求項の記載事項において特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他に修飾語のない「2つの記載事項」という単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する慣用的表現が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がこうした慣用的表現を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又はA、B、及びCを共になどを有するシステムを含むが、これらに限定されるものではない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する慣用的表現が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がこの慣用的表現を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又はA、B、及びCを共になどを有するシステムを含むが、これらに限定されるものではない)。当業者には更に、2つ以上の選択的な用語を表す任意の離接語及び/又は離接句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれの中であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の双方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されるであろう。