JP2022542003A - 免疫原 - Google Patents

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Abstract

RSVに対するワクチン組成物の調製に有用なポリペプチドを提供する。被験体におけるサブドミナント抗体応答を増強する方法も開示する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 2020年5月15日 刊行物 Science 368,eaay5051(2020);DOI:10.1126/science.aay5051
本発明は、免疫応答を引き起こすために免疫原として使用され得るポリペプチドに関する。本発明は、上記ポリペプチドを含むワクチン組成物に更に関する。本発明の態様は、被験体においてサブドミナント(subdominant)抗体応答を増強する方法に更に関する。本発明のまた更なる態様は、標的ペプチドの複雑及び/又は不連続な構造配置を模倣するためにペプチド、好ましくは免疫原を設計する方法に関する。
過去数十年にわたって、ワクチン接種が感染性疾患を抑制及び根絶するために重要な対抗策となっている。しかしながら、多くの病原体(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、インフルエンザウイルス、デング熱ウイルス等)が、抗体応答を開始する免疫系を回避することで、再感染に対する広範かつ強力な防御を与えることができず、場合によっては疾患の増進を媒介する。ヒトB細胞の詳細なプロファイリングにより、自然感染によって出現する強力な中和抗体が明らかとなることが多いが、概してサブドミナントである。次世代ワクチンの大きな課題は、確立された免疫優勢階層を克服し、抗体応答を極めて重要な中和エピトープに焦点化することである。
ワクチン接種は、感染性疾患の負荷を軽減するのに最も成功した医学的介入の1つであることが証明されており、ワクチンにより誘導される免疫の主要な関連要因は、感染を阻止する中和抗体の誘導である。しかしながら、不活性化又は弱毒化された病原体の配合に依存する従来のワクチンアプローチは、多数の重要な病原体に対する防御免疫を誘導することができず、新規のワクチン開発戦略が至急必要とされている。免疫原設計のための構造ベースのアプローチが、抗体媒介中和に感受性を有する構造的に明確なエピトープに対して焦点化された抗体応答を誘発する有望な戦略として現れている。
近年、ハイスループットB細胞技術の進歩により、HIV-1、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ジカウイルス、デング熱ウイルス等を含む、数十年にわたって従来のワクチン開発手段に対抗していた種々の病原体に対する驚くほど多くの強力な中和抗体(nAb)が明らかとなった。これらの抗体の多くは、それらのウイルス標的タンパク質との複合体で構造的に特性評価され、中和感受性のエピトープの原子的詳細が明らかにされている。詳細な機能及び構造の研究と併せた大規模な抗体単離の活動により、抗体媒介中和の影響を受けやすいエピトープを詳しく説明し、合理的な構造ベースのワクチン設計アプローチのロードマップを与えるウイルス融合タンパク質の包括的な抗原マップが得られている。
中和抗体によって定義されるエピトープをワクチン開発に活用する概念的フレームワークは、一般に逆ワクチン学と称される。逆ワクチン学に端を発するアプローチは、過去10年間に多数の面白い進歩をもたらしたが、このような焦点化された抗体応答を誘発する免疫原の設計は依然として困難である。構造ベースの免疫原設計アプローチの成功例としては、ポストフュージョン(postfusion)立体配座と比較して優れた血清中和力価をもたらす、RSVFのプレフュージョン(prefusion)状態(preRSVF)での立体配座安定化が挙げられる。インフルエンザの場合、広域中和抗体(bnAb)の標的となる幾つかのエピトープがヘマグルチニン(HA)ステムドメインにおいて特定され、HAステムのみの免疫原は、完全長HAよりも広範な中和抗体応答を誘発した。一般に、これらのアプローチは、抗体応答をウイルスタンパク質の特定の立体配座又はサブドメインに焦点化することを目的としている。より積極的なアプローチにおいて、Correia et al.は、RSV抗原部位IIを提示する合成免疫原をコンピューターにより設計し、非ヒト霊長類において単一エピトープによって媒介されるRSV中和活性の誘導の原理証明を行った。
新規のタンパク質を第一原理から設計する努力により、de novoタンパク質の構造的特徴を制御する様々な規則が明らかとなった(1~4)。コンピューターによるアプローチを用いた機能の設計は、高精度エネルギー関数を必要とし、不正確にモデル化されるか又は無視された極めて重要なパラメーター(例えば分子環境、配座動力学)を伴い得るため、はるかに困難なものとなっている。それにもかかわらず、設計されたタンパク質に、他のタンパク質に結合することによって機能を果たす構造モチーフを付与することにより、分子認識事象の設計において大幅な進歩が見られた。稀な例外を除いて、移植される結合モチーフは、線状ヘリックスセグメント等の既存のタンパク質構造によく見られるものであり、大幅な骨格の調節なしにかかるモチーフをグラフトすることが可能であった(5~8)。一般に、タンパク質機能は、タンパク質構造の単一の規則的セグメントが有するのではなく、全体構造の規定のトポロジー特徴によって支持される幾つかの、多くの場合、不規則な構造要素の三次元配置から生じる(9,10)。そのため、所望の機能を果たすことができる不規則なマルチセグメントの複雑な構造モチーフをde novo設計タンパク質に付与する、コンピューターによるアプローチを開発することが本分野には最も重要である。
機能性タンパク質設計の期待が高まっている重要な領域は、免疫応答の調節、特にin vivoでの中和抗体(nAb)の誘導であった(11)。規定のエピトープを標的とするnAbの誘導は、依然としてワクチン開発にとって最重要の課題である。多くのnAb-抗原相互作用の構造的理解の高まりにより、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、インフルエンザウイルス、HIV、デング熱ウイルス等に対する免疫原の合理的設計の鋳型が得られている。この構造的知識の拡大にもかかわらず、これら及び他の病原体には、依然として効果的なワクチンはなく、ナイーブ及び曝露前の免疫系の両方において重要な中和エピトープに対する抗体応答を効率的に導く次世代ワクチンの必要性が強調される。実際に、規定のエピトープ特異性を有する抗体応答の誘発は、改変ウイルスタンパク質に由来する免疫原にとって長年の課題となっている。
抗体応答の焦点化に対するde novo設計アプローチがCorreiaらによって示されている(11)。コンピューターによるタンパク質設計を用いて、臨床的に承認されたモノクローナル抗体の標的となる線状ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフであるRSVF抗原部位IIを異種タンパク質スキャフォールドに移植した。エピトープ焦点化免疫原は、反復ブースティング免疫化後に非ヒト霊長類(NHP)においてin vivoでnAbを誘発した。コンピューターにより設計された免疫原を用いた機能的抗体の誘導についての原理証明が実証されてはいるが、構造的に複雑なエピトープへのコンピューターによるアプローチの適用性の欠如及び免疫原性研究において観察された一貫性のない中和力価という幾つかの大きなボトルネックが生じている。
これらの限界に対処するために、本発明者らはここで、2つの不規則かつ不連続なRSV中和エピトープ(図1に示す部位0(12)及びIV(13))を模倣するエピトープ焦点化免疫原を設計し、de novo設計タンパク質におけるこれらの構造的に困難なモチーフの提示を可能にする2つのコンピューターによる設計方法を紹介する。以前に設計された部位II免疫原を含むカクテル製剤は、3つ全てのエピトープに対して指向された防御閾値を超える一貫した中和レベルをin vivoで生じた。提示の設計戦略は、タンパク質を操作して不規則かつ不連続な結合部位を安定化するための青写真を与え、誘導される抗体特異性の微調整を必要とする病原体に対するワクチン設計、より一般的には複雑な機能モチーフを提示するde novoタンパク質の設計に適用可能である。
本発明の第1の態様によれば、複数種の非自然発生の免疫原性ポリペプチドを含み、該免疫原性ポリペプチドの少なくとも1種が、フォールディングされて標的病原体の複雑及び/又は不連続な中和エピトープを模倣する三次構造を有するアミノ酸配列を有する模倣ペプチドを含む、標的病原体に対するワクチン組成物が提供される。
「模倣する」とは、アミノ酸配列の三次構造が、上記標的病原体に由来する複雑及び/又は不連続な中和エピトープの三次構造をほぼ再現することを意味し、少なくとも、上記標的病原体に由来する複雑及び/又は不連続な中和エピトープを標的とする中和抗体が模倣ペプチドに結合することができる程度まで2つの三次構造間に十分な類似性が見られるのが好ましい。最も好ましい実施の形態においては、模倣ペプチドに結合する抗体の親和性及びアビディティのいずれか、好ましくは両方が、標的病原体に由来するエピトープに結合する抗体の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上である。
本発明は、病原体に由来する複雑又は不連続なエピトープが模倣ペプチドによって模倣されることを可能にする本明細書に開示される設計原理及びペプチドに基づく。本明細書の実施例においては、病原体はRSVである。それぞれが本明細書に記載されるように設計されても、又は設計された免疫原と他の免疫原との組合せであってもよい、組成物中の免疫原の組合せを使用することで、病原体に対して十分な免疫応答をもたらす様々な免疫応答を誘発し得ることが見出された。或る特定の実施の形態においては、ワクチン組成物を用いて初期のサブドミナント中和抗体応答を増強することができる(例えば、かかるサブドミナント応答は病原体への初期曝露に応答して生じ得る;応答がサブドミナントであるため、その後の曝露の際に病原体を中和するのに不十分な場合がある。本明細書に記載のワクチン組成物によるサブドミナント応答の増強は、病原体へのその後の曝露の際に中和応答を生じる可能性がある)。
好ましい実施の形態において、上記複数種の非自然発生の免疫原性ポリペプチドの各々は、フォールディングされて上記標的病原体の複雑及び/又は不連続な中和エピトープを模倣するアミノ酸配列を有する模倣ペプチドを含む。上記複雑及び/又は不連続な中和エピトープの各々が重複しないのが好ましい。単一の模倣ペプチドを使用する(他の免疫原も存在する)実施の形態においては、免疫原の各々が非重複エピトープを提示することが好ましい。しかしながら、必ずしも全ての免疫原が模倣ペプチドを含むとは限らず、免疫原の少なくとも1つが自然発生免疫原であってもよい。このようにして、複数の別個の抗体応答を単一の病原体に対して誘発することができる。複合免疫応答は、単一の免疫原に対する個々の免疫応答の誘発と比較して相乗的であり得る。
好ましい実施の形態において、また本明細書の実施例に記載されるように、上記標的病原体はRSVである。しかしながら、本明細書に説明される設計原理を用いて、他の病原体、特に、例えばサブドミナント中和抗体応答を誘発する傾向があるため、及び/又は強力な中和エピトープではなく株特異的エピトープの抗体標的化を生じる表面分子の頻繁な突然変異のために従来のワクチン設計に耐性を示し得る病原体に対するワクチンを調製することができる。他の潜在的に好適な標的病原体の例としては、インフルエンザウイルス、HIV、デング熱ウイルスが挙げられる。
標的病原体がRSVである場合、複雑及び/又は不連続な中和エピトープは、好ましくはRSV部位0、部位II及び部位IVからなる群より選択され、より好ましくは、部位0及びIVの両方からのエピトープが使用され、最も好ましくは全てのRSV部位0、II及びIVからのエピトープが使用される。
好ましくは、RSV部位0を標的とする模倣ペプチドは、表4又は表6、好ましくは表6から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、最も好ましくはS0_2.126ペプチド配列を含むか又はそれのみからなる。RSV部位IVを標的とする模倣ペプチドは、表3又は表5、好ましくは表5から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれのみからなることができ、最も好ましくはS4_2.45ペプチド配列を含むか又はそれのみからなる。RSV部位IIを標的とする模倣ペプチドは、Sesterhenn et al 2019(PLoS Biol. 2019 Feb; 17(2): e3000164, doi: 10.1371/journal.pbio.3000164)に記載されるFFL_001又はFFLMペプチド(好ましくはFFLMペプチド)を含むか又はそれのみからなることができる。FFLMペプチドは、アミノ酸配列ASREDMREEADEDFKSFVEAAKDNFNKFKARLRKGKITREHREMMKKLAKQNANKAKEAVRKRLSELLSKINDMPITNDQKKLMSNQVLQFADDAEAEIDQLAADATKEFTG(配列番号1)を有し、本明細書においてS2_1又はS2_1.2とも称される。
本発明の或る特定の実施の形態において、免疫原性ペプチドは、複雑及び/又は不連続な中和エピトープの模倣を補助するように模倣ペプチドを提示するスキャフォールド、好ましくはペプチドスキャフォールドを含むことができる。例えば、設計された模倣配列は、スキャフォールド配列に線状に融合させることができる。代替的には、模倣配列を2つ以上の構造フレームワーク要素(例えばヘリックス、シート等)に非線状にグラフト又は融合して、模倣配列を所望の構造形式で提示させることができる。模倣配列自体が、特に複数の構造要素上に提示される場合に複数の配列を含んでいてもよい。スキャフォールドが複数の免疫原性ペプチドを含むナノ粒子を形成してもよく、該ナノ粒子は可溶性であるのが好ましい。好ましい実施の形態においては、スキャフォールドは、RSVN及びフェリチンから選択され得る。
本発明のワクチン組成物は、標的病原体に由来するネイティブ免疫原を含むワクチン組成物と組み合わせて提供することができる。これらは、別個に(別個の組成物として)又はともに(単一のワクチン組成物として)提供することができる。本明細書に記載される複数のワクチン組成物を含むキットも本発明によって提供される。例えば、病原体がRSVである場合、ネイティブ免疫原は、付加的なRSV由来のタンパク質又は糖タンパク質、最も好ましくはRSVF糖タンパク質又はRSVFタンパク質前駆体(例えば、コアペプチド配列又はpreRSVF)であってもよい。RSVFタンパク質配列の例は、UniProt KBデータベースにエントリA0A110BF16(A0A110BF16_HRSV)として与えられる。「ネイティブ免疫原」への言及が、免疫原が病原体から直接得られることを必要とせず、明らかに他の発現系又は合成源を使用することができることに留意されたい。免疫原が病原体内又は病原体上に存在する場合の免疫原と同じ配列/立体配置を有することが意図される。ワクチンが別個の組成物として提供される場合、ワクチンをプライム:ブーストスケジュールで投与することができ(すなわち、「プライム」投与としてのネイティブ免疫原ワクチンの投与に続く、その後の「ブースト」としての他のワクチンの投与)、かかるスケジュールは、プライムワクチンに応答して見られる初期のサブドミナント中和免疫応答を増強すると考えられる。本発明の或る特定の実施の形態においては、ワクチン組成物(ネイティブ免疫原を含まない)を、以前にネイティブ免疫原に曝露された被験体に投与することができる。かかる投与スケジュールは、別個のプライム投与を必要とすることなく、プライム:ブーストスケジュールと同様の効果を有すると考えられる。スケジュールは、複数回のブーストワクチン接種を施すことを含んでいてもよい。プライム及び最初のブーストワクチン接種は、任意の好適なスケジュールに従って施すことができ、例えば、2回のワクチン接種を1週間、2週間、3週間、4週間又はそれ以上の間隔を空けて施すことができる。複数回のブーストワクチン接種を施す場合、これらも任意の好適なスケジュールに従って施すことができ、例えば、2回のワクチン接種を1週間、2週間、3週間、4週間又はそれ以上の間隔を空けて施すことができる。2回のブーストワクチン接種を施すのが好ましい。
本発明の特に好ましい一実施の形態において、本明細書に記載されるS0_2.126ペプチド配列及び本明細書に記載されるS4_2.45ペプチド配列を含むワクチン組成物が提供される。組成物は、Sesterhenn et al 2019に記載されるFFL_001又はFFLMペプチドを更に含んでいてもよい(FFLMは、本明細書においてS2_1又はS2_1.2とも称される)。S0_2.126及びS4_2.45ペプチド配列のいずれか又は好ましくは両方が、フェリチンにコンジュゲートしていてもよい。FFL_001又はFFLMペプチド配列は、RSVNにコンジュゲートしていてもよい。
本明細書に記載されるワクチン組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体及び/又はアジュバントを更に含んでいてもよい。アジュバントはAS04、AS03、alhydrogel等であり得る。
本明細書に記載されるワクチン組成物は、経口、筋肉内、非経口、皮下、鼻腔内、口腔内、肺内、直腸又は静脈内投与を含むが、これらに限定されない任意の経路によって投与することができる。
a)上記ワクチン組成物を被験体に投与することと、b)上記投与の前に、RSV由来のタンパク質若しくは糖タンパク質、好ましくはRSVF糖タンパク質を含む更なるワクチン組成物を投与することとを含むか、又は任意の上記の請求項のワクチン組成物を、以前にRSV感染に曝された被験体に投与する、RSVに対して被験体を免疫化する方法に使用される、上記標的病原体がRSVである、本明細書に記載されるワクチン組成物が提供される。
本明細書に記載されるペプチド配列、本明細書に記載されるペプチド配列をコードする核酸配列、及びかかる核酸配列を含むベクターが本発明によってまた更に提供される。ワクチン組成物の製造における本明細書に記載されるペプチド配列の使用が更に提供される。本明細書に記載されるワクチン組成物を投与することを含む、被験体にワクチン接種する方法も提供される。
本発明の更なる態様は、
模倣すべき標的ペプチドの複雑及び/又は不連続な構造配置を決定する工程と、
アミノ酸配列を有する予備模倣ペプチドを特定する工程と、
上記予備模倣ペプチドのアミノ酸配列の推定構造配置を、該配列のin silico分析によって決定する工程と、
上記予備模倣ペプチドに対して指向性進化を行い、上記ペプチドの様々な変異体を生成する工程と(好ましくは、指向性進化は、変異体を生成する突然変異誘発及び該変異体の発現によって行われ得る)、
上記標的ペプチドに見られる所望の特性の改善を示す上記ペプチドの変異体を選択する工程と(上記特性は、例えば抗体等の標的に対する結合親和性;熱安定性;酵素に対する感受性又は耐性であり得る)、
を含む、標的ペプチド(好ましくは免疫原)の複雑及び/又は不連続な構造配置を模倣するペプチド(ここでも好ましくは免疫原)を設計する方法を提供する。
上記方法は、改善を有する上記変異体を複数特定する工程と、該複数の変異体から変異の組合せを有する更なるペプチドを得る工程とを更に含むことができる。変異体の更なる生成及び選択のために上記方法を更に繰り返してもよい。
予備模倣ペプチドを特定する工程は、所望の標的ペプチドに対して構造的類似性を有するペプチドをペプチドデータベースから選択することを含むことができ、又は上記工程は、上記予備模倣ペプチドが所望の標的ペプチドに対して構造的類似性を有するように、上記標的ペプチドのアミノ酸配列と1つ以上の構造ペプチド要素とを組み合わせることを含むことができる。
本明細書に記載されるTopoBuilder設計プロトコルを少なくとも部分的に参照する、記載の設計プロトコルが本明細書においてまた更に提供される。該設計プロトコルにおいては、理想的な二次構造要素の配置をパラメトリックにサンプリングした後、ループセグメント(例えばループ、シート、ヘリックス等の構造要素)によって連結し、構造モチーフの所望の立体配座を安定化し得るトポロジーをアセンブルする。次いで、これらのトポロジーを多様化し、フォールディング及び設計段階により構造多様性及び配列多様性を高める。これにより2つの設計目標を達成することが可能である:(1)そのネイティブ四次環境を模倣するエピトープを安定化する、安定したトポロジーをde novo構築すること;(2)トポロジーの二次構造配置を微調整して、フォールド安定性を最大化し、高親和性の抗体結合のためにエピトープ提示を最適化すること。
ここで、本発明のこれら及び他の態様を、以下の図面を参照して詳細に説明する。
3つの遠位エピトープに焦点化されたRSV中和抗体を誘発する合成免疫原のコンピューターによる設計の概念的概要を示す図である。(A)部位0、II及びIVを強調したプレフュージョンRSVF構造(PDB 4JHW)。部位IIの免疫原は、以前に報告されている(11)。(B)コンピューターによるタンパク質設計戦略。アプローチ1:設計鋳型を部位0/IVとの緩やかな構造的類似性に基づいてPDBにおいて特定し、続いてin silicoフォールディング及び設計、並びに指向性進化による配列最適化を行った。アプローチ2:タンパク質トポロジーをモチーフの構造制約に合わせるためにモチーフ中心の設計のde novo設計アプローチを開発した。下:異なるアプローチによる設計された免疫原のコンピューターによるモデル。(C)3つの合成免疫原ナノ粒子のカクテル製剤は、3つの非重複エピトープに焦点化された中和抗体(nAb)を誘発する。 RSVF合成免疫原のコンピューターによる鋳型設計及び生物物理学的特性評価を示す図である。(A)タンパク質設計戦略。部位0及びIVと構造的類似性を有する鋳型をPDBにおいて特定し、続いてin silicoフォールディング、設計及び指向性進化による最適化を行った。付加的なin silicoフォールディング及び設計工程が、指向性進化によって明らかとなった切断鋳型配列に部位0を導入するために必要であった。中間体及び最終設計(S0_1.39及びS4_1.5)のコンピューターによるモデルを示す。(B)S0_1.39(上)及びS4_1.5(下)の20℃で測定されたCDスペクトルは、設計モデルの予想二次構造含量と一致する。(C)5mM TCEP還元剤の存在下、208nmでCDによって測定された熱融解曲線。(D)標的抗体D25(上)及び101F(下)に対するSPRによって測定された結合親和性。CD=円偏光二色性、T=融解温度。SPR=表面プラズモン共鳴。 エピトープ焦点化免疫原のモチーフ中心のde novo設計を示す図である。(A)理想的な二次構造要素(SSE)をRSVFエピトープの周囲にアセンブルし、同じトポロジー内の異なる配向をサンプリングし、続いてin silicoフォールディング及び設計を1回行った。更なる詳細については図12を参照されたい。Rosetta abinitioシミュレーションを各トポロジーについて行い、設計された構造へとフォールディングする傾向を評定し、フォールディング性スコアを返す。次いで、選択された設計を酵母表面上に提示させ、その後のディープシークエンシングのために2つの異なる選択圧下で選別する。(B)高選択圧及び低選択圧下での選別された集団のエンリッチメント分析。D25及び5C4結合の両方について高度に富化された配列は、部位0スキャフォールドの極めて重要なコア位置に収束配列特徴を示す。(C)3つ全ての設計されたトポロジー変異を、高親和性結合及びキモトリプシンに対する耐性についてスクリーニングし、安定にフォールディングされたタンパク質を選択した。エンリッチメント分析により、プロテアーゼ消化に耐性があり、101Fに高親和性で結合する、設計されたヘリックス配向の1つ(S4_2_bb2)への強い選好性が明らかとなった(緑色)。(D)高い熱安定性を示す最良の設計(S0_2.126、上及びS4_2.45、下)についてCDによって測定された熱融解曲線。(E)SPRによって測定されたD25に対するS0_2.126(上)及び101F抗体に対するS4_2.45の解離定数(K)。 de novo設計された免疫原の構造特性評価を示す図である。(A)101F Fabに結合したS4_2.45(橙色)の結晶構造は、設計モデル(灰色、RMSD=1.5Å)と厳密に一致する。(B)S0_2.126のNMR構造アンサンブル、D25エピトープを紫色で強調する。NMR構造は、設計モデルとよく一致している(2.8Åの骨格RMSD)。(C)D25 Fabに結合したS0_2.126(紫色)の結晶構造は、設計モデル(灰色、RMSD=1.3Å)と非常によく似ている。(D)ネイティブpreRSVF部位0/IV及び設計された免疫原の重合せは、エピトープのサブオングストローム(sub-angstrom)模倣を示す。設計されたスキャフォールドは、preRSVFの形状制約に適合する(表面表示)。(E)開始エピトープ構造(preRSVF、部位IVペプチド)と比較した、D25(上)及び101F(下)と設計された免疫原との間の界面側鎖相互作用のクローズアップ図。 合成免疫原がマウス及びNHPにおいて中和血清応答を誘発し、既存の免疫を部位0及びIIに焦点化することを示す図である。(A~C)マウスにおけるTrivax2免疫化研究。(A)単一免疫原又はTrivax2カクテルによる3回の免疫化後のpreRSVF交差反応性血清レベル(56日目)。(B)競合物としてD25、モタビズマブ及び101F IgGを用いたSPR競合アッセイによって測定される、Trivax2で免疫化した5匹の代表的なマウスについて示される血清特異性は、全ての部位に対して一様に均衡の取れた応答を示す。(C)Trivax2成分を個別に及びカクテルとして用いて免疫化したマウスの56日目のRSV中和力価。点線(IC50=100)は防御閾値を示す。(D~K)NHPにおけるTrivax1免疫化研究。(D)NHP免疫化スキーム。(E)群1のpreRSVF交差反応性血清レベル。(F)血清抗体は、SPR競合アッセイによって測定されるように7匹全ての動物において3つ全ての抗原部位を標的とする。(G)群1のRSV中和力価。(H)群2(灰色)及び3(青色)におけるpreRSVF力価。(I)群2及び3のRSV中和力価。(J)SPR競合アッセイによって測定された部位特異的抗体レベル。部位0及び部位II特異的力価は、Trivax1ブースティング後に2と比較して群3において有意に高かった(p<0.05、マン-ホイットニーU検定)。(K)部位0、II、IV特異的スキャフォールドを用いた91日目の血清の枯渇後のRSV中和曲線。中和活性の60%が群3において競合するが、対照群2においては有意な減少は観察されない。 機能モチーフの構造の複雑性の増大により、既知の構造に見られる設計可能な鋳型の数が決まることを示す図である。合計17539個の構造を含むnrPDB30データベースに対してMASTER検索{Zhou, 2015 #1431}を行い、構造の複雑性が増大する異なる中和エピトープ(構造内で青色とする)についての一致数を照会した。データベースの修復率をy軸にプロットする。一致を180残基未満のタンパク質サイズについてフィルタリングした。縦線(橙色)は、特定された最初の10個のスキャフォールドのRMSDカットオフを示す。モチーフの二次構造組成を以下によって表す:E - ストランド;L - ループ;H - ヘリックス;x - 鎖切断。 S4_1設計シリーズのコンピューターによる設計及び実験的最適化を示す図である。A)S4_1.1の鋳型特定及びコンピューターによる設計。RSVF抗原部位IVは、preRSVFの小さな埋め込みドメインに位置する。この切除されたドメインは、Rosetta abinitio予測においてフォールディングファネルを示すことができず、大腸菌(E. coli)において組み換え発現させることができなかった。切除されたドメインを鋳型として使用することで、このトポロジーを、Rosetta FunFolDesを用いてフォールディング及び配列設計し、abinitioフォールディングシミュレーションにおいて強い漏斗状のエネルギー地形を示す設計S4_1.1を得た。B)飽和突然変異誘発によるS4_1.1の実験的最適化。飽和突然変異誘発ライブラリーを、一度に1つが縮重コドン「NNK」によってコードされる20個のアミノ酸のいずれかに突然変異することを可能として、部位IVエピトープの近位にある11個の位置についてオーバーハングPCRを用いて構築した。ライブラリー(サイズ 11個の位置×32個のコドン=352)を酵母にて形質転換し、設計を細胞表面に提示させた。細胞を125nMの101F抗体で標識することによって選択を行った。次いで、101F抗体に高親和性で結合する上位1%のクローンを、示されるように下位99%とともに選別した。2つの集団の次世代シークエンシング後に、エンリッチメント値を各配列変異体について計算した。C)網羅的突然変異スキャニングデータのバイオインフォマティクス分析。log(エンリッチメント)を各配列変異体についてヒートマップとして示す。白色は欠測データを示す。他の位置について見られる他のあまり顕著でないエンリッチメントとともに、位置20がアルギニン及びリジンについて最も高いエンリッチメントを示した。 S4_1設計シリーズの実験的特性評価を示す図である。A)上:101F抗体に対するコンピューターによる初期設計S4_1.1についての表面プラズモン共鳴測定により、85μM超の解離定数が明らかとなった。中央:低い親和性にもかかわらず、R29S突然変異体により、対象のエピトープへの結合が特異的であることが明らかとなった。下:S4_1.1の円偏光二色性スペクトル。B)上:網羅的突然変異スキャニングスクリーンにおいて特定されたS4_1.1の単一及び複合突然変異の解離定数。K20/E24二重突然変異体(S4_1.5と命名した)は、35nMの結合親和性を示した(中央)。下:S4_1.5の円偏光二色性スペクトル。 S0_1設計シリーズのコンピューターによる設計及び実験的最適化を示す図である。A)鋳型特定及び設計。MASTERを用いて、抗原部位0を提示し、安定化する設計鋳型となる設計ヘリックスリピートタンパク質(PDB ID:5CWJ)を特定した(詳細については方法を参照されたい)。D25抗体との衝突を回避するためにN末端の29残基を切断し、Rosetta FunFolDesを用いてS0_1.1を設計した。設計プロセスの詳細については方法を参照されたい。B)S0_1.1をベースとして、コンビナトリアル配列ライブラリーを構築し、酵母表面ディスプレイを用いてスクリーニングした。高親和性結合クローンの3回連続の選別後に、個々のコロニーをシークエンシングした。位置100の終止コドンへの突然変異がよく見られ、発現収率が増大した切断変異体が生じた。C)切断変異体のモデルを2回目のin silicoフォールディング及び設計の鋳型とした。鋳型のN末端の14残基を更に切断し、残基1及び43の間にジスルフィド結合を導入し、S0_1.39を得た。設計選択プロセスの全詳細については方法を参照されたい。 S0_1設計シリーズの生物物理学的特性評価を示す図である。上:円偏光二色性スペクトル。中央:D25及び5C4に対する表面プラズモン共鳴測定。下:サイズ排除クロマトグラフィーと組み合わせた多角度光散乱。A)S0_1.1は、1.4μMのKDでD25に結合し、5C4への結合は検出可能でなかった。結合相互作用がエピトープに対して特異的であることを検証するために、ノックアウト突然変異体(N30Y)を生成し、結合相互作用がないことを観察した。B)S0_1.17は、D25に対して270nMのKDを示し、5C4への結合を示さなかった。C)S0_1.39は、5nMのKDで5 D24及び5C4に結合する。全ての設計がヘリックスタンパク質に典型的なCDスペクトルを示し、溶液中でモノマーとして挙動した(上列及び下列)。 プレフュージョンRSVFと比較した、コンピューターにより設計された免疫原の形状模倣を示す図である。A)プレフュージョンRSVF(PDB 4JHW)に重ね合わせ、表面表示(灰色)で示される、設計された免疫原(S2_1.2、S0_2.126、S4_2.45)。(B,C)表面表示で示されるS0_1.39及びS4_1.5とRSVFとのクローズアップ図。S0_1.39設計に使用される設計鋳型は、ネイティブ環境(preRSVF)における部位0エピトープの形状制約に違反する。部位0は、preRSVFにおいては抗体結合に自由にアクセス可能であるが、S0_1.39のC末端ヘリックスは、そのアクセス可能性を制約する(濃い灰色の表面)。(D)以前に設計された部位II抗原に使用される設計鋳型は、部位IIの四次環境を遵守した。(E,F)エピトープの形状制約を遵守し、自然発生設計鋳型と比較してエピトープ安定化を改善するためにde novo鋳型を構築した。 理想的なSSE及び対象のモチーフをアセンブルするコンピューターによるde novo方法を示す図である。 部位IV免疫原のde novo骨格アセンブリを示す図である。部位IVエピトープを、de novo構築された3つの逆平行βストランド及びこのβシートに対して様々な配向でのヘリックスパッキングによって安定化した(bb1~bb3)。各骨格を、設計モデルに近い低エネルギー状態へとフォールディングされる能力についてRosetta abinitioシミュレーションにおいてシミュレートし、S4_2_bb2及びbb3が、設計されたフォールドへとフォールディングする傾向がより強いことが示された。 de novo部位IV設計の生物物理学的特性評価を示す図である。酵母ディスプレイ選択アッセイにおいてプロテアーゼ耐性及び101Fへの結合について富化されたS4_2設計シリーズの13個の設計について円偏光二色性スペクトル及び101Fに対するSPRセンサーグラムを示す。 S4_2.45(A,C,E)及びS0_2.126(B,D,F)の生物物理学的特性評価を示す図である。A,B:S4_2.45及びS0_2.126は、SEC-MALSプロファイルによって示されるように溶液中で単量体である。C,D:25℃での円偏光二色性スペクトル。E,F:S4_2.45(E)及びS0_2.126(F)についての15N HSQCスペクトルの2D NMRは、よく分散し、設計が溶液中で良好にフォールディングされることが確認された。 部位0を安定化するためのde novoトポロジーアセンブリを示す図である。部位0エピトープを支持するために3つのカスタマイズされたヘリックス配向をアセンブルし(S0_2_bb1~bb3)、設計されたトポロジーへとフォールディングする能力についてRosetta abinitioシミュレーションにおいて評価した。S0_2_bb3が漏斗状のエネルギー地形を示し、その後の配列設計に選択した。 (A)de novo部位0スキャフォールドのD25及び5C4結合についての結合親和性測定。酵母ディスプレイ選択後に首尾よく発現及び精製された、富化された設計のSPRセンサーグラム。(B)実験的に特性評価された配列の配列アラインメント。 部位特異的ヒト中和抗体のパネル及びヒト血清に対する設計された免疫原の結合親和性を示す図である。A)プレフュージョンRSVF(青色)と比較した、様々な部位特異的中和抗体のパネルに対するS0_1.39(灰色)及びS0_2.126(黒色)の結合親和性(KD、Fabを分析物として流すSPRによって決定される)。部位0について示す抗体は5C4、D25(1)、ADI-14496、ADI-18916、ADI-15602、ADI-18900及びADI-19009(2)である。部位IVについては、結合親和性を101F(3)、ADI-15600(2)、17E10、6F18及び2N6(4)に対して試験し、S4_1.5(灰色)及びS4_2.45(黒色)をプレフュージョンRSVFと比較した。第1世代及びプレフュージョンRSVFと比較してより高い第2世代設計(S0_2.126及びS4_2.45)の結合親和性は、設計された免疫原におけるそれぞれの抗原部位の大幅に改善されたネイティブに近いエピトープ模倣を示す。B)プレフュージョンRSVFに対して血清陽性の50人の健常なヒト成人から得られた血清との設計された免疫原のELISA反応性。S0_2.126及びS4_2.45の両方が、第1世代設計と比較して有意に増大した反応性を示し、血清レベルでのエピトープ模倣の改善が確認された(p<0.05及び**p<0.01、ウィルコクソン検定)。 天然タンパク質に対するS0_2.126 Rosettaスコアの比較を示す図である。S0_2.126と同じサイズ範囲(57±5残基)のタンパク質構造をCATHデータベースからダウンロードし、70%の配列相同性によってフィルタリングし、S0_2.126と同様のサイズの天然タンパク質の代表的なデータベースを得た(n=1013個の構造)。次いで、タンパク質を最小化し、Rosettaによってスコアリングして、それらの回転半径、タンパク質内空洞(cavities:キャビティ)(空洞)及びコアパッキング(packstat)を計算した。1013個の天然タンパク質におけるこれらのスコア項目の分布をプロットし(青色のヒストグラム)、S0_2.126についての同じスコアを橙色で示す。S0_2.126のNMR構造を(A)に示し、S0_2.126のコンピューターによるモデルを(B)に示し、S0_2.126が、同様の回転半径にもかかわらず、同様のサイズの天然タンパク質と比較して相当の空洞容積及び非常に低いコアパッキングを示すことが示される。 RSVF三量体と複合した部位特異的抗体の電子顕微鏡分析を示す図である。(A)リガンド非結合RSVF(黒色の線)、並びに101F(緑色の線)、D25(青色の線)、Mota(紫色の線)及び3つ全ての(101F、D25、Mota - 赤色の線)Fabと複合したRSVFの重ね合わせたサイズ排除プロファイル。(B~F)リガンド非結合RSVF三量体(B)及び101F(C)、D25(D)、Mota(E)又は3つ全ての(101F、D25、Mota(F))Fabと複合したRSVFの代表的な参照なし2Dクラス平均。Fabに結合した完全飽和RSVF三量体、及び準化学量論的なクラスが観察される。(G)左パネル:3コピーの101F、D25及びMota Fabが明らかに結合したRSVF三量体の参照なし2Dクラス平均。右パネル:個々のFabとのRSVFの既存の構造(PDB ID 4JHW、3QWO及び3O45)に基づく101F、D25及びMota Fabが結合したRSVF三量体の予測構造。101F、D25及びMotaと複合したRSVFの予測構造を用いて、Cryosparc2において2Dクラス平均をシミュレートし、3つ全てのタイプのFabによりシミュレートされた2Dクラス平均を中央のパネルに示す。Fabには以下のように色を付ける:赤色 - 101F;青色 - Mota;緑色 - D25。スケールバー - 100Å。 Trivax1 RSVNナノ粒子の組成及びEM分析を示す図である。A)Trivax1は、環状構造を有する自己集合RSVNナノ粒子に融合した等モル量の部位II、0及びIVエピトープ焦点化免疫原を含む(n=10又は11個のサブユニット)。部位II-RSVNナノ粒子は、以前に記載されている(5)。ナノ粒子-免疫原融合タンパク質のコンピューターによるモデルを示す。B,C)S0_1.39-RSVN及びS4_1.5-RSVNナノ粒子のネガティブ染色電子顕微鏡法により、設計された免疫原の融合時に環状構造が維持されることが確認される。 Trivax2フェリチンナノ粒子のEM分析を示す図である。A,B,D,E)フェリチンナノ粒子に融合したS0_2.126及びS4_2.45のネガティブ染色電子顕微鏡法(A,D)及び3D再構築(B,E)。C)S0_2.126が首尾よく多量体化されており、抗体結合部位がアクセス可能であることを示す、S0_2.126モノマー(赤色)と比較した、5C4抗体へのS0_2.126ナノ粒子の結合親和性(青色)。F)スキャフォールドが多量体化され、エピトープが抗体結合にアクセス可能であることを示す、単量体S4_2.45(赤色)と比較した、フェリチンナノ粒子上で多量体化した場合の101F抗体へのS4_2.45の結合(青色)。 Trivax1を用いたマウス免疫化研究を示す図である。A)個別に、2つのカクテルとして、また3つのカクテル(Trivax1)として配合したエピトープ焦点化免疫原のRSVF交差反応性。B)設計された免疫原及びその組合せで免疫化したマウスのRSV中和血清力価。 独立研究所によるNHP中和力価の確認を示す図である。指定の時点からの血清が、Vero-118細胞株及びGFP読出しを用いる異なるRSV中和アッセイにおいてRSV中和について独立研究所によって試験された。方法の詳細については(6)を参照されたい。 設計された免疫原とのNHP血清反応性を示す図である。A)異なる時点で測定されたNHP群1(Trivax1で免疫化)のELISA力価。全ての動物が91日目にTrivax1免疫原に対して応答し、部位IV免疫原の反応性は、部位0及び部位IIの反応性と比較して低かった。B)NHP群2(灰色、RSVFプライム)及び3(青色、RSVFプライム、Trivax1ブースト)のELISA力価(免疫化スケジュールについては図5を参照されたい)。プライミング免疫化後に、全ての動物が設計された免疫原との検出可能な交差反応性を発現し、設計されたスキャフォールドがRSVFによってプライミングされた関連抗体を認識することが示された。
図6~図25の説明文のみについての参照文献:
1. J. S. McLellan et al., Structure of RSV fusion glycoprotein trimer bound to a prefusion specific neutralizing antibody. Science 340, 1113-1117 (2013).
2. M. S. Gilman et al., Rapid profiling of RSV antibody repertoires from the memory B cells of naturally infected adult donors. Sci Immunol 1, (2016).
3. J. S. McLellan et al., Structure of a major antigenic site on the respiratory syncytial virus fusion glycoprotein in complex with neutralizing antibody 101F. J Virol 84, 12236-12244 (2010).
4. J. J. Mousa et al., Human antibody recognition of antigenic site IV on Pneumovirus fusion proteins. PLoS Pathog 14, e1006837 (2018).
5. F. Sesterhenn et al., Boosting subdominant neutralizing antibody responses with a computationally designed epitope-focused immunogen. PLoS Biol 17, e3000164 (2019).
6. E. Olmedillas et al., Chimeric Pneumoviridae fusion proteins as immunogens to induce cross-neutralizing antibody responses. EMBO Mol Med 10, 175-187 (2018).
構造的に複雑なエピトープを有する免疫原のde novo設計
構造的に複雑な機能部位を有するタンパク質の設計は、コンピューターによるタンパク質設計の分野で依然として殆ど対処されていない課題である。本発明者らは、特に構造的によく研究されているRSV中和エピトープの正確な模倣体を設計し、免疫化研究においてそれらの機能性を評価しようとした。抗原部位0及びIV(図1)を選択したが、これらはどちらも強力なnAbの標的となり、以前にコンピューターによるタンパク質設計アルゴリズムによって扱われていた機能モチーフとは構造的に異なる。抗原部位0は、17残基のキンク(kinked)αヘリックス及び7残基の無秩序ループからなる構造的に複雑かつ不連続なエピトープを提示し、nAb D25及び5C4の標的となるが(12,14)、部位IVは、不規則な6残基のバルジ(bulged)βストランドを提示し、nAb 101Fの標的となる(13)。
構造モチーフを模倣するタンパク質のコンピューターによる設計は、これまで、自然発生構造に由来する又はde novo構築された適合するタンパク質スキャフォールドを初めに特定し、これを次いでモチーフをグラフトするための設計鋳型とすることによって行われていた(5,6,8,15,16)。部位0及びIVの構造の複雑性を考えると、このアプローチでは、緩い構造基準とでも、いかなる有望な一致も得られなかった(図6)。
このため、部位IVについては、本発明者らは、エピトープを含む免疫グロブリンフォールドに類似した小さな構造ドメインをpreRSVF構造から切除することができることに気付き、これがその歪んだネイティブエピトープ構造を維持する保守的アプローチであると仮定した(図7)。切除されたドメインは、Rosetta abinitioシミュレーションにおいてフォールディングファネルを示さず、大腸菌において発現させることができなかったため、Rosetta FunFolDes(17)を用いたin silicoフォールディング及び設計を行い、安定性及びエピトープ模倣性について配列を最適化した(図2a)。部位IVについて最良のコンピューターによる設計(S4_1.1)は、85μM超のKで101F標的抗体に結合した。結合親和性を改善するために、選択位置について網羅的突然変異スキャニングライブラリーを生成し、より高親和性のクローンを選別し、次世代シークエンシングを用いて、高親和性結合について富化された位置及びアミノ酸を特定した(図7)。組み換え発現させたタンパク質において富化された位置の組合せを抗体結合について試験し、35nMのKで標的抗体に結合し、設計された二次構造含量に対応する円偏光二色性(CD)スペクトルを示し、65℃まで熱安定性である二重突然変異体(S4_1.5)を得た(図2b~図2d及び図8)。
部位0の不連続な構造は、ドメイン切除及び安定化アプローチに適していなかった。エピトープのヘリックスセグメントを模倣し、同時にループセグメントにグラフトすることができる鋳型構造を検索し、設計されたヘリックスリピートタンパク質を設計鋳型として選択した(PDB 5cwj)(図2a及び図9)(18)。標的抗体D25との衝突を回避するために、5cwj鋳型のN末端29残基を切断し、in silicoフォールディング及び設計シミュレーションを行い、部位0エピトープの提示を可能にする局所的及び大域的な変更をスキャフォールドに対して行った(図2a)。試験した9つの配列のうち、2つが大腸菌において首尾よく発現され、溶液中でモノマーとして挙動した(図10)。S0_1.1と命名された最良の設計は、標的親和性よりも4桁低い1.4μMのKでD25標的抗体に結合した(図10)(19)。酵母ディスプレイを用いた複数回の指向性進化後に、富化され、大幅に増大した発現収率を示し、D25に対する親和性が約5倍増大した、C末端が29残基切断された配列(S0_1.17)を発見した(図9及び図10)。この切断された構造をin silicoフォールディング及び設計の新たな鋳型として使用した。最終的に、この多段階プロセスにより、更に13残基切断され、D25に5nMで結合した設計であるS0_1.39が得られた(図2d)。S0_1.39は、5C4抗体とも結合し(図10)、5C4-preRSVF相互作用と同一の5nMの親和性で部位0と異なる配向から係合することが示された(19)。
抗体結合に適した立体配座での不規則かつ複雑な結合モチーフの安定化という点で設計の主要目的が達成されたが、全体的戦略では、その一般的有用性に関して重大な限界が示された。設計鋳型として多数の構造を利用可能であるにもかかわらず、機能性タンパク質の設計に実際に有用なものの数は、モチーフの構造の複雑性とともに極端に限られてくる。上記のように、最適以下の設計鋳型は、高親和性結合を有する配列が特定されるまで設計プロセスに対する広範な骨格柔軟性及び複数回の指向性進化を必要とする。さらに、開始トポロジーが設計されたタンパク質の全体形状を決定するが、これはモチーフの正確な安定化について最適以下である可能性があり、設計された機能を妨げる望ましくない三次立体障害に対抗する可能性がある。特に、免疫原の設計については、病原体が提示するタンパク質と交差反応し得る機能的抗体の誘導を最大化するために、エピトープのネイティブ様アクセス可能性を維持することが有利である。鋳型ベースの設計アプローチがどのようにこれらの基準を満たさない可能性があるかについての実例は、preRSVF及びS0_1.39における部位0エピトープの四次環境の比較であり、このトポロジーが、幾つかのモノクローナル抗体の結合を可能にはするが、かかる環境を模倣しないことが示される(図11)。
これらの限界を克服するために、複雑な機能モチーフを安定化するためにオーダーメードのトポロジーを生成する、鋳型なしの設計プロトコルであるTopoBuilderを開発した。TopoBuilderにおいては、理想的な二次構造要素の配置をパラメトリックにサンプリングし、これを次いでループセグメントによって連結し、構造モチーフの所望の立体配座を安定化することができるトポロジーをアセンブルする。次いで、これらのトポロジーを多様化し、Rosetta FunFoldDesを用いたフォールディング及び設計段階により構造多様性及び配列多様性を高める(全詳細については図12及び方法を参照されたい)。このアプローチについては、利用可能な構造鋳型を用いる本発明者らの以前の設計では満たされなかった2つの新たな設計目標を定義した:(1)そのネイティブ四次環境を模倣するエピトープを安定化する、安定したトポロジーをde novo構築すること;(2)トポロジーの二次構造配置を微調整して、フォールド安定性を最大化し、高親和性の抗体結合のためにエピトープ提示を最適化すること。
抗原部位IVを提示するために、S4_2フォールドと称される、4本の逆平行鎖及び1つのヘリックスを有するβシートから構成されるフォールドを設計した(図3a)。S4_2トポロジーにおいて、3つの異なるヘリックス二次構造要素をパラメトリックにサンプリングし、配向及び長さを変化させ、βシートに対するパッキング相互作用を最大化することによって3つの異なる構造変異体(S4_2_bb1~3)を生成した。3つの構造変異体のうち2つ(S4_2_bb2及びS4_2_bb3)から生成した配列は、Rosetta abinitioシミュレーションにおいて設計された構造を回復する強い傾向を示した(図3a及び図13)。
コンピューターにより設計された配列の規定のセットを、酵母ディスプレイを用いてスクリーニングし、101Fへの結合、及び部分的にフォールディングされていないタンパク質を消化する効果的な方法である非特異的プロテアーゼキモトリプシンに対する耐性という2つの選択圧をかけた(5,20,21)。異なる条件下で選別された集団のディープシークエンシングから、S4_2_bb2ベースの設計が、フォールディング及び101F結合について厳しい選択条件下で強く富化されることが明らかとなり、設計鋳型における微妙なトポロジー差異が機能及び安定性に対して大きな影響を与える可能性があることが示された。15個のS4_2_bb2設計変異体を発現させ、14個を首尾よく精製し、生化学的特性評価した。この設計は、α/β CDスペクトルの混合を示し、1nM~1μMの範囲の親和性で101Fに結合した(図14)。最良の変異体であるS4_2.45(K=1nM)は、よくフォールディングされ、CD及びNMRによると75℃のTで熱安定性であった(図3d及び図20)。
同様に、部位0エピトープの三次構造を提示する最小de novoトポロジーを構築した。このトポロジーの選択は、部位0のアクセス可能性をトポロジー的に制約したS0_39天然鋳型とは対照的に、部位0が、そのネイティブ環境のpreRSVFにおいて様々な角度から抗体結合にアクセス可能であるということ(14)によって動機付けられた(図11)。鋳型をde novo構築することによって、ネイティブ四次制約を模倣し、部位0特異的モノクローナル抗体に対する結合親和性を改善しようと試みた。
preRSVFの形状制約においてトポロジー空間を検証し、両方のエピトープセグメントを支持する3つの異なるヘリックス配向を構築した。Rosetta abinitioによる設計された配列の評価から、3つのトポロジーのうち1つ(S0_2_bb3)をベースとして生成した配列のみが漏斗状のエネルギー地形を示すことが示された(図16)。S0_2_bb3をベースとするコンピューターにより設計された配列のセットを、酵母において2つの部位0特異的抗体(D25及び5C4)の選択圧下でスクリーニングし、エピトープの完全性を確実にした。二重富化クローンのディープシークエンシング及びその後の配列分析から、28位のバリンが、2つのエピトープセグメント間に形成される空洞を保持し、両方の抗体への結合を確実にするのに不可欠であることが明らかとなった(図3b)。
更なる生化学的特性評価のために3個~21個の位置が異なる5つの配列を選択した(図17)。最良の溶液挙動を有する設計(S0_02.126)は、殆どヘリックスのタンパク質のCDスペクトルを示し、還元条件下であっても極めて高い熱安定性(T=81℃、図3d)及びよく分散したHSQC NMRスペクトル(図15)を有していた。驚くべきことに、S0_02.126は、preRSVF-D25相互作用(150pM)と同様の約50pMの親和性でD25に結合し、K=4nMで5C4に結合した(図3e及び図18)。
全体として、TopoBuilderを用いたトポロジーアセンブリによって生成した設計の特性は、利用可能な構造鋳型を用いたものと比較して結合親和性及び熱安定性の改善を示した。この設計及びスクリーニング手順によって、提示されるウイルスエピトープをより良好に模倣するスキャフォールドが得られたか、又はむしろ選択時に使用される抗体に対して高度に最適化されたインターフェースを有する配列が明らかになったかを調査するために、部位特異的抗体のパネルに対するS4_2.45及びS0_2.126の親和性を決定した。S4_2.45及びS0_2.126は、第1世代の設計と比較して、様々な部位特異的抗体のパネルに対して大きな親和性の改善を示し、preRSVFに対する抗体と非常によく似た幾何平均親和性を示した(図18)。かかる結果を踏まえて、トポロジー的に設計された免疫原が、鋳型ベースの設計と比較して改善された部位IV及び0の模倣体であると結論付けた。
de novo設計されたトポロジーは、予測された構造を採用する
コンピューターによる設計アプローチの構造精度を評価するために、101Fと複合したS4_2.45の結晶構造を2.6Åの分解能で解明した。この構造は、本発明者らの設計モデルと1.5Åの全原子RMSDで厳密に一致した。エピトープは、0.135ÅのRMSDで模倣され、101Fとの本質的相互作用を全て保持した(図4a)。重要なことには、構造データから、多くのタンパク質間相互作用に見られる共通モチーフである(22)、不規則なβストランドが完全にde novo設計されたタンパク質においてサブオングストローム精度で提示されることが確認された。
次に、S0_2.126の非結合構造をNMRによって解明することで、設計されたフォールドの精度を確認し、平均構造とモデルとの骨格RMSDは2.8Åであった(図4b)。さらに、D25に結合したS0_2.126の結晶構造を3.0Åの分解能で解明した。この構造は、設計モデルに対する1.5Åの全RMSD及びプレフュージョンRSVFと比較して不連続エピトープ全体で0.9ÅのRMSDを示した(図4c及び図4d)。本発明者らの知る限りでは、これが原子レベルの精度で2つのセグメントの構造的に不規則な結合モチーフを提示する、初めてのコンピューターによりde novo設計されたタンパク質である。S0_2.126は、ネイティブタンパク質と比較して、大きなコア空洞のために並外れて低いパッキングを示したが(図19)、非常に高い熱安定性を保持していた。コア空洞は、抗体結合に不可欠であったため、構造的に困難なモチーフを受け入れ、機能に必要とされる空洞を保存する低分子タンパク質を設計するde novoアプローチの可能性が強調される(2)。注目すべきは、TopoBuilderの制御及び正確さのレベルのために、設計された抗原はどちらも、機能的抗体の誘発の改善に重要であり得る構造的特徴である、それらのネイティブ環境のpreRSVFにおけるそれぞれのエピトープの形状制約を遵守した(図11)。
設計された免疫原のカクテルは、in vivoで中和抗体を誘発する
最後に、設計された抗原が抗体応答をin vivoで誘発する能力について評価しようとした。部位0、II及びIV免疫原をカクテル製剤中で組み合わせる本発明者らの論理的根拠は、電子顕微鏡分析によって検証されるように3つ全ての部位が重複しないため(図20)、より広範な抗体応答をin vivoで誘導し得ることである。免疫原性を増大させるために、各免疫原を自己集合タンパク質ナノ粒子上で多量体化した。10個又は11個のサブユニットを有する自己集合環状構造であり、部位II免疫原の効果的な担体であることが以前に示されている(23)、RSV核タンパク質(RSVN)を選び、等モル量のS0_1.39、S4_1.05及びS2_1.2免疫原ナノ粒子を含有する三価免疫原カクテル(「Trivax1」、図21)を配合した。RSVNへのS0_2.126及びS4_2.45の融合により、難溶性のナノ粒子が得られたため、フェリチン粒子を50%の占有率(約12コピー)で多量体化に使用し、S2_1.2がRSVNに含まれ、残りの免疫原がフェリチンに含まれる第2のカクテル(「Trivax2」、図22)を作製した。
Trivax1は、マウスにおいて低レベルのRSVF交差反応性抗体を誘発し、血清は、殆どの動物においてRSV中和活性を示さなかった(図23)。対照的に、Trivax2は、強いレベルのRSVF交差反応性血清レベルを誘導し、応答は3つ全てのエピトープに対して均衡が取れていた(図5a、図5b)。驚くべきことに、Trivax2免疫化は、10匹のうち6匹のマウスにおいて防御閾値を超えるRSV中和活性を生じた(図5c)。注目すべきことに、これらの結果から、ウイルス中和エピトープを模倣するde novo設計されたタンパク質から構成されるワクチン候補が、複数の特異性を標的とする強い抗体応答をin vivoで誘導し得ることが示される。このことは、マウスが従来、スキャフォールドベースの設計アプローチによって中和抗体を誘導することが困難なモデルであったことを考えると、重要な発見である(11,15)。
並行して、NHPにおける三価免疫原カクテルの可能性を試験しようとした。以前に設計された部位II免疫原は、NHPにおいて有望であったが、誘導された中和力価は低く、動物間で一貫性がなく、4匹のうち2匹の動物において中和抗体を誘発するために最大5回の免疫化が必要であった(11)。図5dに詳述するように7匹のRSVナイーブNHPをTrivax1で免疫化した。マウスとは対照的に、NHPは、全ての動物において強いレベルのRSVF交差反応性血清力価を発現し(図5e)、誘導された抗体は、3つ全てのエピトープに対して指向された(図5f)。驚くべきことに、7匹のうち6匹のNHPが、単回のブースティング免疫化後に防御閾値を超えるRSV中和血清レベルを示す(平均IC50=312)ことが見出された(図5g)。中和力価は、84日目に最大となり(IC50中央値=408)、防御閾値の4倍であり(19)、測定値は独立研究所によって確認された(図24)。
ナイーブ動物における免疫化研究は、設計された免疫原を試験するのに重要であるが、RSV、インフルエンザウイルス、デング熱ウイルス等の標的病原体に対するワクチン開発の最重要の課題は、より高品質であり、長期防御を媒介する可能性がある規定の中和エピトープに対して広範な特異性の既存の免疫を焦点化するか又は作り変えることである(23)。広範な特異性の血清応答を模倣するために、13匹のNHPをプレフュージョンRSVFで免疫化した。全ての動物が、強いpreRSVF特異的力価及び全てのエピトープ焦点化免疫原との交差反応性を発現し、エピトープ特異的抗体が感作され、設計された免疫原によって認識されることが示された(図25)。群2(6匹の動物)を、続いてエピトープ特異的抗体の動態を経時的に追跡するための対照群とし、群3(7匹の動物)をTrivax1で3回ブーストした(図5d)。preRSVF特異的抗体及び中和力価は、どちらの群においても28日目に最大となり、119日目まで維持された(図5h、図5i)。部位特異的抗体レベルの分析により、部位0、II及びIV応答が対照群において動的であり、それぞれ28日目及び91日目に部位IIが37%から13%まで低下し、部位0が17%から4%まで低下することが示された(図5j)。対照的に、部位IV特異的応答は、同じ期間にわたって13%から43%まで増大した。Trivax1ブースティング免疫化は、preRSVF特異的血清応答の大きさを有意に変化させなかったが、プライミング動物における血清特異性を作り変えた。部位II特異的力価は、非ブースト対照群と比較して6.5倍高く(91日目)(84%対13%、p=0.02、マン-ホイットニー)、これらの抗体は、非ブースト群における部位0特異的抗体の急速な低下とは異なり、Trivax1ブースティング後に維持された(25%対4%、p=0.02、マン-ホイットニー)(図5j)。対照的に、部位IV特異的応答は、どちらの群においても同様のレベルまで増大し、群2及び3においてそれぞれ43%及び40%であった。驚くべきことに、プールした血清からの部位0、II及びIV特異的抗体の枯渇後に、非ブースト対照群における僅か7%の低下と比較して、群3における中和活性の60%の低下が観察され、Trivax1ブースティングが広範な特異性の血清応答を、RSV中和について主に部位0、II及びIV特異的抗体に依存する、より焦点化された応答へと作り変えることが示された(図5k)。
全体として、どちらの設計戦略も、カクテル製剤により中和抗体を誘導する複雑な中和エピトープに対して抗原を生じ、エピトープ焦点化ワクチン接種戦略において複数の、理想的には重複しないエピトープを含めることの強い論理的根拠を与えると結論付けた。第1世代の免疫原は、生物物理学的パラメーターによると劣っており、マウスにおいて中和を誘導することができなかったが、NHPにおける2つの異なる免疫学的シナリオ下では成功し、生物物理学的特性が改善され、エピトープの正確な模倣を示した第2世代が今回、マウスにおいて中和抗体を誘導し得ることが示される。これは、小動物モデルにおいて異なるナノ粒子、製剤及び送達経路を最適化し、試験することを今回可能にすることから重要な工程であり、これらの第2世代免疫原がNHPにおいて中和血清応答を誘導するのに優れていると証明されることが予見される。
論考及び結論
ここで、構造的に複雑なエピトープの正確な模倣体を設計するためのコンピューターによるタンパク質設計戦略を紹介し、マウス及びNHPの両方でカクテル製剤において中和抗体応答を誘発する、それらの機能性を検証した。
完全な骨格柔軟性を有する既存の鋳型のコンピューターによる設計によって、不規則かつ不連続なエピトープが異種スキャフォールドにおいて首尾よく安定化されることが示された。しかしながら、この設計戦略は、広範なin vitro進化最適化を必要とし、得られるスキャフォールドは、それらの生化学的及び生物物理学的特性に関して最適以下のままであった。加えて、設計されたタンパク質の正確なトポロジー制御がないことは、移植部位の局所的模倣に加えて、特異的なトポロジー類似性を必要とする機能性タンパク質の設計にとって大きな制限となる。例えば、部位0免疫原の設計鋳型は、対象のエピトープの四次環境を模倣せず、これがマウスにおいて誘導される機能的抗体の低いレベルに寄与していた可能性がある。これらの制限を克服するために、タンパク質フォールドを対象の機能部位に直接合わせるモチーフ中心の設計アプローチであるTopoBuilderを開発した。本発明者らの方法は、安定したスキャフォールドトポロジーを初めに構築し、第2の工程において結合モチーフを付与する(5)、これまで用いられていたde novo設計アプローチと比較して、構造的に複雑なモチーフに対して大きな利点を有する。第一に、安定したタンパク質の適合(多くの場合、不安定化)によって機能部位に対応させるのではなく、設計プロセスの初めからトポロジーを機能モチーフの構造要件に合わせることが可能である。第二に、トポロジーアセンブリ及び微調整により、コンピューターによるタンパク質設計努力においてよく用いられるような指向性進化による更なる最適化を必要とすることなく、単回のスクリーニングにおいて安定にフォールディングされ、高親和性で結合する最適な骨格配向及び配列を選択することが可能であった(5,24,25)。総合すると、本発明者らのアプローチは、通常はタンパク質に多様な生化学的機能(例えば、結合又は触媒作用)を付与するのに必要とされる不規則かつ不連続な構造モチーフを提示するde novoタンパク質のコンピューターによる設計を可能にし、これにより、機能性タンパク質のde novo設計のための新たな手段がもたらされた。
本発明者らの設計研究の機能面においては、これらの免疫原が、カクテル製剤としてマウス及びNHPにおいて中和血清レベルを一貫して誘発することがin vivoで示された。ワクチン接種による焦点化された中和抗体応答の誘発は、従来のワクチン開発努力を妨げた病原体に対するワクチンにとって依然として中心的な目標である。RSVをモデル系として用いることで、コンピューターにより設計された抗原のカクテルが、ナイーブ動物において中和血清レベルを強く誘発し得ることが示された。これらの中和レベルは、エピトープ焦点化免疫原に関する以前のいかなる報告よりもはるかに優れており(11)、複数の非重複エピトープが関与するエピトープ焦点化ワクチン接種戦略について強い論理的根拠を与える。また、NHPにおいて非ナイーブレパートリーの性質を劇的に作り変えるそれらの能力は、効果的なワクチンが必要とされている病原体を標的とする多くの次世代ワクチンにとって重要な課題に対処するものである。このカテゴリーの重要な病原体は、インフルエンザウイルスであり、ヘマグルチニンステム領域に見られる交差防御nAb(27)ではなく、株特異的抗体特異性を優先する、確立された免疫優勢階層(26)を克服することが課題である。株特異的エピトープに取り囲まれた規定の広く防御的なエピトープを標的とするサブドミナントnAbを選択的にブーストする能力は、交差中和抗体が誘発後に何年間も持続することが示されていることを考えると、ワクチン開発の長年の課題を克服する可能性がある(28)。エピトープ焦点化免疫原の興味深い将来の用途は、この技術を免疫系の改変成分と結び付け、モノクローナル治療用抗体をin vivoで発現する養子移入した改変B細胞の抗体産生を刺激するために使用され得る(29)。
全体として、この研究は、従来のワクチン開発アプローチから逃れた病原体に対するエピトープ焦点化ワクチン接種戦略の設計のための青写真を与える。提示の設計戦略は、免疫原の設計以外にも、規定の構造特性を有する新規の機能性タンパク質の設計に適用可能な複雑な結合部位を安定化するタンパク質のde novo設計への扉を開く。
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方法
鋳型ベースのエピトープ焦点化免疫原のコンピューターによる設計
部位0
抗原部位0を伴う構造セグメントは、抗体D25に結合したプレフュージョン安定化RSVF Ds-Cav1結晶構造(PDB ID:4JHW)から抽出した(1)。エピトープは、2つのセグメント:キンクヘリックスセグメント(残基196~212)及び7残基ループ(残基63~69)からなる。
MASTERソフトウェア(2)を用いて、141920個のタンパク質構造を含むProtein Data Bank(PDB、2018年8月より)の構造検索を行い、部位0モチーフと局所的に構造的類似性を有する鋳型スキャフォールドを選択した。2.5Å未満のCα RMSD閾値を用いた最初の検索においては、局所的模倣及び大域的トポロジー特徴の両方の点でいかなる使用可能な構造的一致も得られなかった。2回目の検索を、かなりの局所的類似性を有するものではなく、モチーフに適合するトポロジーを優先する一致に検索を偏らせるために、エピトープをネイティブ環境で支持する追加の構造要素をクエリーモチーフの一部として含めて行った。含まれる追加の構造要素は、preRSVF構造において部位0と直接接触する2つの埋もれたヘリックスであった(4JHW残基70~88及び212~229)。検索により、初めに5Åの骨格RMSD下で7600の一致が得られ、これを続いて、長さ50残基~160残基のタンパク質、高い二次構造含量、及び抗体結合のためのエピトープのアクセス可能性についてフィルタリングした。残りの一致を手動で検査し、抗原部位0のネイティブ立体配座の提示に適した鋳型スキャフォールドを選択した。続いて、クエリーに対するRMSDが4.4Å(部位0セグメントのみについては2.82Å)の8つの規則的ヘリックスからなる、コンピューターにより設計された、高度に安定したヘリックスリピートタンパク質(3)(PDB ID:5CWJ)を選択した。D25抗体との立体衝突を回避するために、5CWJ鋳型構造のN末端を29残基切断し、7つのヘリックスから構成される構造トポロジーを得た。
Rosetta FunFolDes(4)を用いて、切断した5CWJトポロジーをフォールディングし、D25が認識するグラフト化部位0エピトープを安定化するように設計した。25000個の設計を生成し、Rosettaエネルギースコア(RE)によって上位300個を選択し、低いパッキングスコア、歪んだ二次構造要素及び満たされていない埋もれた原子のような明白な欠陥を示す設計骨格を切り捨てた。上位300個の設計から、Rosetta FastDesign(5)を用いる構造緩和及び設計の追跡反復サイクルのために3個を残し、合計100個の設計配列を生成した。
Rosettaエネルギースコアによる最良の9つの設計を大腸菌において組み換え発現させた。同じ骨格に由来する2つの設計配列が首尾よく発現及び精製された。最良の変異体をS0_1.1と命名し、酵母表面ディスプレイを用いる実験的最適化に供した(図9及び図10)。ライブラリーの1つにおいて、発現及び結合について富化された切断配列(S0_1.17)が発見され、これを2回目のコンピューターによる設計の鋳型とした(図9及び図10)。Rosetta FunFolDes(4)を用いて25000回のフォールディング及び設計シミュレーションを行った。総Rosettaエネルギースコアにより最良の300個のデコイを抽出し、Rosetta Relaxアプリケーション(6)を用いて緩和した。平均総REを計算し、設計集団の平均(RE=-155.2)よりも低いエネルギースコア、0.7Å未満の緩和後のエピトープのRMSDドリフト及び60Å未満の空洞容積を示す設計を選択した。最良のスコアの5つのデコイの1つを選択し、エピトープ安定化に寄与しないN末端の14残基を切断し、残基1と43との間にジスルフィド結合を導入した。4つの配列を実験的に試験した(S0_1.37~40)。結合が最良の変異体であるS0_1.39は、5nMの親和性で抗体D25に結合し、重要なことには、5C4抗体とも結合した(K=5nM)。
部位IV
設計シミュレーションを行った時点で、部位IV特異的nAbと複合した完全なRSVFタンパク質の構造は利用可能でなかったが、101F nAbが認識するこの部位のペプチドエピトープは、以前に報告されている(PDB ID:3O41)(7)。
結晶化ペプチドエピトープは、RSVFタンパク質の残基429~434に相当する。101F結合ペプチドエピトープは構造的に、バルジストランドを示し、101Fの認識が線状βストランドを超えて拡大し、抗原部位IVに位置する他の残基と接触することが幾つかの研究により示唆されている(8)。エピトープの明らかな構造の単純さにもかかわらず、設計可能なスキャフォールドの構造検索により有望な開始鋳型を得ることはできなかった。しかしながら、RSVFの抗原部位IVが個々のドメインに内蔵され、これを潜在的に切除し、可溶性のフォールディングされたタンパク質として設計し得ることに気付いた。これらの接触を最大にするために、初めに一見内蔵されている領域を、βサンドイッチを形成し、部位IVを有するRSVFプレフュージョン構造(PDB ID:4JHW、残基:402~459)から切断した。Rosetta FastDesignを用いて、この最小トポロジーのコア位置を最適化し、本発明者らの初期設計:S4_wtを得た。しかしながら、S4_wtは、Rosetta ab initioシミュレーションにおいて漏斗状のエネルギー地形を示さず、大腸菌において発現を得ることはできなかった。
S4_wtの立体配座及び安定化を改善する目的で、Rosetta FunFolDesを用いて、部位IVエピトープの立体配座を固定したままで、このトポロジーのフォールディング及び設計を行った。25000回のシミュレーションのうち、REスコア及び全体的RMSDにより上位1%のデコイを手動検査に選択し、12個の設計配列を大腸菌における組み換え発現に選択した。
TopoBuilder - モチーフ中心のde novo設計
部位0及び部位IV等の構造的に複雑なモチーフを受け入れるのに適した開始鋳型の限られたアベイラビリティを考慮して、鋳型なしの設計プロトコルを開発し、TopoBuilderと命名した。既存のトポロジーをエピトープに対応するように適合させることとは対照的に、設計目標は、理想的な二次構造(βストランド及びαヘリックス)を用いてエピトープ周囲のタンパク質スキャフォールドをゼロから構築することである。長さ、配向及び3D位置決めは、そのネイティブ環境から抽出されるエピトープに関する各二次構造について、ユーザーによって定義される。構築されたトポロジーは、以下の基準を満たすように設計された:(1)二次構造とエピトープとの間の接触秩序が高く、安定したフォールディング及びエピトープのネイティブ立体配座での正確な安定化を可能にする低分子球状タンパク質、(2)コンテクスト模倣、すなわちエピトープのネイティブ状況での形状制約の遵守(図12)。トポロジーをアセンブルするために、αヘリックス間のデフォルト距離を11Åに設定し、隣接βストランドについては5Åとした。各々の不連続な構造スケッチについて、二次構造要素間の接続性を定義し、適当な骨格の幾可学的形状を維持しながら所与の距離をカバーし得る最小の残基数で二次構造要素を接続するループ長を選択した。
部位0については、(1)タンパク質にコアを与え、(2)二次構造間の適当な接続性を可能にするために、エピトープループセグメントに先行するS0_1.39の短いヘリックスを維持し、第3のヘリックスをエピトープの裏側に配置した。
設計された支持αヘリックスについて合計3つの異なる配向(部位0が形成する平面に対して45°、0°及び-45°)を試験した(図3及び図16)。
部位IVの場合、101Fへの既知の結合領域(残基428F~434F)をプレフュージョンRSVF(PDB 4JWH)から抽出した。エピトープと対をなす3本の逆平行βストランドと埋もれた側のαヘリックスとを101Fエピトープの周囲にアセンブルした。3つの異なる立体配置(βシートに対して45°、(-45°,0°,10°)及び-45°)をαヘリックスについてパラメトリックにサンプリングした(図3)。
構造スケッチを用いて、Rosetta FunFolDes(4)フォールディング軌道を導くためにC!距離制約を生成した。およそ25000本の軌道を各スケッチについて生成した。新たに生成した骨格をレイヤーベースのFastDesign(5)に更に供し、すなわち、各アミノ酸位置に、その露出度及び二次構造のタイプに基づいてレイヤー(「コア」、「境界」、「表面」及び「シート」又は「ヘリックス」の組合せ)を割り当て、その位置で許容されるアミノ酸の種類が決定付けられた。
配列設計の反復サイクル後に、制約のないFastRelax(9)(すなわち、側鎖再パッキング及び骨格最小化)を設計全体に適用し、それらのエピトープ領域の立体配座安定性を評価した。各緩和サイクル後に、エピトープ領域の構造変化を評価した(エピトープRMSDドリフト)。エピトープRMSDドリフトが1.2Åを超える設計は切り捨てた。設計を部位0については0.5、部位IV設計シリーズについては0.6のカットオフ、及び50Å未満の空洞容積で疎水性コアパッキング(packstatスコア)によってもランク付けし、選択した。このコンピューターによるプロトコルから1000個~10000個の設計配列が生成した。配列プロファイルを設計について評価し、重複オリゴをアセンブルすることによって重要な位置をコンビナトリアルにコード化した。PCRアセンブリ後に、ライブラリーを酵母にて形質転換し、プロテアーゼ消化アッセイによって評定される抗体結合及び安定性についてスクリーニングした(10~12)。
マウス免疫化
全ての動物実験が、スイスの動物福祉に関する規制(動物プロトコル番号3074)に従い、ヴォー州獣医局(Veterinary Authority of the Canton of Vaud)(スイス)によって承認されている。雌性Balb/cマウス(6週齢)をJanvier labsから購入した。免疫原を氷上で融解し、同量のアジュバント(2%Alhydrogel、Invivogen又はSigma Adjuvant System、Sigma)と混合し、30分間インキュベートした。合計10μgの免疫原(Trivax免疫化のための等モル比の各免疫原)を含有する100μlのワクチン製剤をマウスに皮下注射した。免疫化は0日目、21日目及び42日目に行った。100μl~200μlの血液を0日目、14日目及び35日目に採取した。56日目にマウスを安楽死させ、心臓穿刺によって採血した。
NHP免疫化
21匹のアフリカミドリザル(AGM、3歳~4歳)を、各性別に少なくとも2匹の動物を含む3つの実験群に分けた。ELISAによりAGMがプレフュージョンRSVF(preRSVF)に対して血清反応陰性であることを事前スクリーニングした。各動物について0.5mlのPBS中50μgのpreRSVF又は300μgのTrivax1を含有し、0.5mlのアラムアジュバント(Alhydrogel、Invivogen)と混合したワクチンを注射の1時間前に調製した。0日目、28日目、56日目及び84日目にAGMを筋肉内免疫化した。14日目、28日目、35日目、56日目、63日目、84日目、91日目、105日目及び119日目に血液を採取した。
RSV中和アッセイ
RSV中和アッセイは、以前に記載されているように行った(13)。簡潔に述べると、Hep2細胞をCorning 96ウェル組織培養プレート(Sigma)において10%FBS(Gibco)、2mM L-グルタミン(Gibco)及びペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を添加した100μlの最小必須培地(MEM、Gibco)中に40000細胞/ウェルの密度で播種し、37℃、5%COで一晩成長させた。フェノールレッドを含まないMEM(M0、Life Technologies、2mM L-グルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシンを添加)中で熱不活性化血清の段階希釈物を調製し、800pfu/ウェル(最終MOI 0.01)のRSV-Luc(ルシフェラーゼ遺伝子を有するA2株)とともに37℃で1時間インキュベートした。血清-ウイルス混合物をHep2細胞層に添加し、48時間インキュベートした。1μg/mlルシフェリン(Sigma)及び2mM ATP(Sigma)を添加した溶解バッファーに細胞を溶解させ、発光シグナルをTecanのInfinite 500プレートリーダーで読み取った。中和曲線をプロットし、1/Yで重み付けしたGraphPad可変勾配フィッティングモデルを用いてフィッティングした。
血清分画
単量体Trivax1免疫原(S2_1、S0_1.39及びS4_1.5)を用いて、免疫化血清中の部位0、II及びIV特異的抗体を枯渇させた。HisPur(商標) Ni-NTA樹脂スラリー(Thermo Scientific)を、10mMイミダゾールを含有するPBSで洗浄した。およそ1mgの各免疫原をNi-NTA樹脂に固定化し、続いて2回の洗浄工程を行い、非結合スキャフォールドを除去した。同じ群内の全ての動物からプールした60μlの血清を洗浄バッファーで600μlの最終容量まで希釈し、500μlのNi-NTA樹脂スラリーとともに4℃で一晩インキュベートした。対照として、同量の血清を、スキャフォールドを含まないNi-NTA樹脂とともにインキュベートした。樹脂を13000rpmで5分間ペレットダウンし(pelleted down)、上清(枯渇血清)を回収した後、中和アッセイに使用した。
部位飽和突然変異誘発ライブラリー(SSM)
S4_1.1設計モデルにおけるエピトープの周囲の11個の選択位置を、一度に1つの突然変異を可能として20種全てのアミノ酸に突然変異させて、SSMライブラリーをオーバーハングPCRによってアセンブルした。11個のライブラリーは各々、選択位置に縮重コドン「NNK」を有するプライマー(表1)によってアセンブルした。11個全てのライブラリーをプールし、EBY-100酵母株に1×10個の形質転換体という形質転換効率で形質転換した。
コンビナトリアルライブラリー
タンパク質コア内の疎水性アミノ酸のコンビナトリアルサンプリングのために、選択位置に縮重コドンを有する複数の重複プライマー(表2)をアセンブルすることによってコンビナトリアル配列ライブラリーを構築した。理論的多様性は、1×10~5×10であった。プライマーを混合し(各10μM)、PCR反応(55℃で30秒間のアニーリング、72℃で1分間の伸長時間、25サイクル)においてアセンブルした。完全長アセンブル産物を増幅するために、完全長産物に特異的なフォワード及びリバースプライマーを用いて第2のPCR反応を行った。PCR産物を脱塩し、EBY-100酵母株に少なくとも1×10個の形質転換体という形質転換効率で形質転換した(14)。
タンパク質の発現及び精製
設計されたスキャフォールド
設計されたタンパク質の全ての遺伝子をTwist BioscienceからDNAフラグメントとして購入し、ギブソンアセンブリによってpET11b又はpET21b細菌発現ベクターのいずれかにクローニングした。プラスミドを大腸菌BL21(DE3)(Merck)に形質転換し、LB培地中で一晩成長させた。タンパク質発現のために、前培養物を100倍希釈し、OD600が0.6に達するまで37℃で成長させ、続いて1mM IPTGを添加して、発現を誘導した。培養物を22℃で12時間~16時間後に採取した。ペレットを溶解バッファー(50mM Tris(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、1mg/mlリゾチーム、1mM PMSF、1μg/ml DNase)に再懸濁し、15秒間の超音波処理後に45秒間の休止の間隔で合計12分間にわたって氷上で超音波処理した。溶解物を遠心分離(20000rpm、20分間)によって清澄化し、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーに続く、PBSバッファー中のHiLoad 16/600 Superdex 75カラム(GE Healthcare)でのサイズ排除によって精製した。
抗体 - IgG及びFab構築物
IgGの重鎖のcDNAをコードするプラスミドをGenscriptから購入し、pFUSE-CHIg-hG1ベクター(Invivogen)にクローニングした。抗体フラグメント(Fab)の重鎖及び軽鎖DNA配列をTwist Bioscienceから購入し、ギブソンアセンブリによってpHLsec哺乳動物発現ベクター(Addgene、#99845)に別個にクローニングした。HEK293-F細胞に重鎖及び軽鎖を1:1の比率でトランスフェクトし、FreeStyle培地(Gibco)中で7日間培養した。上清を遠心分離によって回収し、IgG発現については1mlのHiTrap Protein A HPカラム(GE Healthcare)、Fab精製については5mlのkappa-selectカラム(GE Healthcare)を用いて精製した。結合した抗体/Fabを0.1Mグリシンバッファー(pH2.7)で溶出させ、即座に1M Trisエチルアミンバッファー(pH9)によって中和し、PBSにバッファー交換した。
プレフュージョン安定化RSVF
熱安定化preRSVFタンパク質をコードする構築物は、Joyceらによって報告されたsc9-10 DS-Cav1 A149C Y458C S46G E92D S215P K465Q変異体(DS2と称される)に相当する(15)。配列を哺乳動物細胞発現にコドン最適化し、2つのC末端Strep-Tag II及び1つの8×Hisタグが隣接したpHCMV-1ベクターにクローニングした。発現及び精製を以前に記載されているように行った(13)。
ナノリングベースの免疫原
ヒトRSV株Long、ATCC VR-26(GenBankアクセッション番号AY911262.1)に由来する完全長N遺伝子をPCR増幅し、pET28a+にNcoI-XhoI部位でクローニングして、pET-Nプラスミドを得た。部位0、II及びIVエピトープを提示する免疫原を、それぞれpET-S0_1.39-N、pET-S2_1.2-N及びpET-S4_1.5-NとしてpET-NプラスミドにNcoI部位でクローニングした。ナノリング融合タンパク質の発現及び精製を以前に記載されているように行った(13)。
フェリチンベースの免疫原
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)フェリチンをコードする遺伝子(GenBank ID:QAB33511.1)を哺乳動物発現用のpHLsecベクターにN末端6×Hisタグとともにクローニングした。設計された免疫原(S0_2.126及びS4_2.45)の配列を、GGGGSリンカーを挟んでフェリチン遺伝子の上流にクローニングした。他の免疫原-ナノ粒子融合構築物について以前に記載されているように、1:1の化学量論比の「裸の」フェリチン及び免疫原-フェリチンをHEK-293F細胞に共トランスフェクトすることによってフェリチン微粒子免疫原を作製した(16)。トランスフェクションの7日後に上清を回収し、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィー及びSuperose 6 increase 10/300 GLカラム(GE)でのサイズ排除によって精製した。
ネガティブ染色透過電子顕微鏡法
サンプル調製
RSVN及びフェリチンをベースとしたナノ粒子を0.015mg/mlの濃度に希釈した。サンプルを炭素被覆銅グリッド(EMS,Hatfield,PA,United States)に3分間吸着させ、脱イオン水で洗浄し、新たに調製した0.75%ギ酸ウラニルで染色した。
データ取得
200kVで動作するF20電子顕微鏡(Thermo Fisher)下でサンプルを観察した。デジタル画像を、直接検出器カメラFalcon III(Thermo Fisher)を用いて4098×4098ピクセルの設定で収集した。自動データ収集前に、グリッド上の染色サンプルの均一性及び被覆率を初めに低倍率モードで可視化した。自動データ収集は、EPUソフトウェア(Thermo Fisher)を用いて、2Åのピクセルサイズに相当する50000倍の公称倍率及び-1μm~-2μmのデフォーカス範囲で行った。
画像処理
CTFFIND4プログラム(17)を用いて、収集した各画像のコントラスト伝達関数を推定した。およそ1000個の粒子を、SCIPIONフレームワーク(18)内のインストール済みパッケージXMIPPを用いて手動で選択した。手動で選抜した粒子をXMIPP自動選抜ユーティリティの入力とし、少なくとも10000個の粒子を得た。選択された粒子を100ピクセルのボックスサイズで抽出し、RELION-3.0 Betaスイート(19)を用いてCTF補正を行わない3回の参照なしの2D分類に供した。
RSVF-Fab複合体形成及びネガティブ染色EM
20μgのRSVF三量体を80μgのFab(モタビズマブ、D25又は101F)とともに4℃で一晩インキュベートした。3つ全てのモノクローナルFabとの複合体形成のために、各Fabを80μg使用した。TBSバッファー中にてAkta Pureシステムを用いるSuperose 6 Increase 10/300カラム(GE Healthcare)で複合体を精製した。複合体を含有する主画分をネガティブ染色EMに直接使用した。RSVF及びFabの精製複合体を、およそ0.02mg/mlで炭素被覆銅グリッドに堆積させ、2%ギ酸ウラニルで染色した。200kVで動作する電界放出FEI Tecnai F20電子顕微鏡で画像を収集した。Orius電荷結合素子(CCD)カメラ(Gatan Inc.)を用い、34483倍の較正倍率で画像を取得し、2.71Åのピクセルサイズを得た。RSVFと単一Fabとの複合体については、Cryosparc2(20)を用いておよそ2000個の粒子を手動で選択した。20クラスを可能として粒子画像の2回の2D分類を行った。RSVFとD25、モタビズマブ及び101F Fabとの複合体については、Relion 3.0(19)を用いておよそ330000個の粒子を選抜し、続いてCryosparc2にインポートし、50クラスを可能として2回の2D分類を行った。
表面プラズモン共鳴(SPR)による結合親和性の決定
SPR測定は、HBS-EP+をランニングバッファー(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%(v/v)Surfactant P20、GE Healthcare)としてBiacore 8K(GE Healthcare)で行った。リガンドをアミンカップリングによってCM5チップ(GE Healthcare #29104988)上に固定化した。およそ2000反応単位(RU)のIgGを固定化し、設計された単量体タンパク質を2倍段階希釈で分析物として注入した。120秒間の接触時間後の400秒間の解離時間で流量を30μl/分とした。各注入後に、3M塩化マグネシウム(固定化リガンドとして101F)又はpH4.0の0.1Mグリシン(固定化リガンドとしてモタビズマブ及びD25 IgG)を用いて表面を再生した。Biacore 8K分析ソフトウェア(GE Healthcare #29310604)において1:1 Langmuir結合モデルを用いてデータをフィッティングした。
SPRによる血清抗体特異性の精査
免疫化動物からのバルク血清におけるエピトープ特異的抗体応答を定量化するために、モノクローナル抗体(D25、モタビズマブ及び101F)を用いて以前に記載されているようにSPR競合アッセイを行った(13)。簡潔に述べると、およそ400RUのプレフュージョンRSVFをアミンカップリングによってCM5チップ上に固定化し、ランニングバッファー中の10倍希釈した血清を注入して、全応答(RU非ブロッキング表面)を測定した。50mM NaOHを用いたチップ再生後に、飽和量のD25、モタビズマブ又は101F IgGのいずれかを注入することによって部位0/II/IVエピトープをブロッキングし、血清を再び注入して、残留応答(RUブロッキング表面)を定量化した。Δ血清応答(ΔSR)を以下のように算出した:
ΔSR=RU(非)ブロッキング表面-RUベースライン
ブロッキング率を各部位について以下のように算出した:
ブロッキング率(%)=(1-(ΔSRブロッキング表面/ΔSR非ブロッキング表面))×100
SEC-MALS
オンライン多角度光散乱(MALS)デバイス(miniDAWN TREOS、Wyatt)によるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、溶液中のタンパク質のオリゴマー状態及び分子量を決定した。精製タンパク質をPBS(pH7.4)で1mg/mlまで濃縮し、100μlのサンプルをSuperdex 75 300/10 GLカラム(GE Healthcare)に0.5ml/分の流量で注入し、UV280及び光散乱シグナルを記録した。ASTRAソフトウェア(バージョン6.1、Wyatt)を用いて分子量を決定した。
円偏光二色性
遠紫外円偏光二色性スペクトルを、1mm光路長キュベットにおいてJasco-815分光計を用いて測定した。タンパク質サンプルを10mMリン酸ナトリウムバッファー中で30μMのタンパク質濃度に調製した。190nm~250nmの波長を20nm/分の走査速度及び0.125秒の応答時間で記録した。全てのスペクトルを2回平均化し、バッファーの吸収に対して補正した。温度勾配融解(Temperature ramping melts)を2.5mM TCEP還元剤の存在下又は非存在下にて2℃/分の増分で25℃から90℃まで行った。熱変性曲線を大域的曲線最小値での楕円率の変化によってプロットし、融解温度(T)を算出した。
酵母表面ディスプレイ
設計されたタンパク質の変異体をコードする線状DNAフラグメントのライブラリーを、Chaoらによって以前に記載されているプロトコルに基づいて線状化pCTcon2ベクター(Addgene #41843)とともに形質転換した(14)。形質転換手順により、概して約10個の形質転換体が得られた。形質転換細胞を誘導の前にSDCAA培地中で2回継代した。細胞表面発現を誘導するために、細胞を7000r.p.m.で1分間遠心分離し、誘導培地(SGCAA)で洗浄し、100mlのSGCAAにSGCAA 1ml当たり1×10細胞の細胞密度で再懸濁した。細胞をSGCAA培地において30℃で一晩成長させた。誘導細胞を冷洗浄バッファー(PBS+0.05%BSA)で洗浄し、様々な濃度の標的IgG又はFab(101F、D25及び5C4)を用いて4℃で標識した。1時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄バッファーで2回洗浄した後、FITCコンジュゲート抗cMyc抗体及びPEコンジュゲート抗ヒトFc(BioLegend、#342303)又はPEコンジュゲート抗Fab(Thermo Scientific、#MA1-10377)とともに更に30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、ソニー株式会社のSH800フローサイトメーターを「超純度」モードで用いて選別した。選別した細胞をSDCAA培地中で回収し、30℃で1日~2日間成長させた。安定にフォールディングされたタンパク質を選択するために、誘導細胞をTBSバッファー(20mM Tris、100mM NaCl、pH8.0)で3回洗浄し、1μMキモトリプシンを含有する0.5mlのTBSバッファーに再懸濁した。30℃で5分間インキュベートした後、1mlの洗浄バッファーを添加することによって反応をクエンチし、続いて5回の洗浄工程を行った。次いで、細胞を上記のように一次及び二次抗体で標識した。
ELISA
96ウェルプレート(Thermo ScientificのNunc MediSorpプレート)を、100μlの総量のコーティングバッファー(100mM重炭酸ナトリウム、pH9)中50ng/ウェルの精製抗原(組み換えRSVF又は設計された免疫原)を用いて4℃で一晩コーティングした。一晩のインキュベーション後に、ウェルをブロッキングバッファー(5%スキムミルクを含有するPBS+0.05%Tween 20(PBST)(Sigma))を用いて室温で2時間ブロッキングした。プレートをPBSTで5回洗浄した。3倍段階希釈物を調製し、二連でプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後に抗マウス(abcam、#99617)又は抗サル(abcam、#112767)HRPコンジュゲート二次抗体を、ブロッキングバッファーでそれぞれ1500倍又は10000倍に希釈し、1時間インキュベートした。更に5回の洗浄工程を行った後、100μl/ウェルのPierce TMB基質(Thermo Scientific)を添加した。同量の2M硫酸を添加することによって反応を停止させた。450nmでの吸光度をTecan Safire 2プレートリーダーで測定し、バックグラウンドの2倍のシグナルを生じる血清希釈率の逆数として抗原特異的力価を決定した。
NMR
NMR用のタンパク質サンプルは、pH7.4の10mMリン酸ナトリウムバッファー、50mM塩化ナトリウム中にて500μMのタンパク質濃度で調製した。全てのNMR実験を、CPTC H,13C,15N 5mmクライオプローブ及びAvance IIIコンソールを備える18.8T(800MHzのプロトンラーモア周波数)のBrukerの分光計において行った。骨格共鳴帰属のための実験は、13C及び15Nで二重標識した0.5mMサンプルに対して取得される標準三重共鳴スペクトルHNCA、HN(CO)CA、HNCO、HN(CO)CA、CBCA(CO)NH及びHNCACBであった(21)。側鎖帰属は、同じサンプルに対して取得されるHCCH-TOCSY実験と15N標識サンプルに対して取得されるHNHA、NOESY-15N-HSQC及びTOCSY-15N-HSQCとによって得られた。NOESY-15N-HSQCを、非標識サンプルに対して収集された2D NOESYとともに構造計算に用いた。骨格帰属のスペクトルは、15N次元においては40増分、13C次元においては128増分で取得し、線形予測を用いることによって128ポイント及び256ポイントで処理した。HCCH-TOCSYは、13C次元において64~128増分で記録し、2倍のポイント数で処理した。15N分解NOESY及びTOCSYスペクトルは、15N次元において64増分、間接H次元において128増分で取得し、2倍のポイント数で処理した。H-H 2D-NOESY及び2D TOCSYスペクトルを間接次元において256増分で取得し、512ポイントで処理した。NOESYスペクトルの混合時間は100msであり、TOCSYスピンロックは60msであった。異核H-15N NOEは、64回のスキャン及び6秒間の飽和時間を用いて128の15N増分で測定し、256ポイントで処理した。全てのサンプルを、サンプルの分解を防ぐために10%O及び0.2%アジ化ナトリウムを含む20mMリン酸バッファー(pH7)中で調製した。
全てのスペクトルをBrukerのTopSpin 3.0で取得及び処理し(標準パルスプログラムによる取得)、プログラムCARA(http://cara.nmr.ch/doku.php/home)によって手動で分析し、骨格及び側鎖共鳴帰属を得た。NOESYスペクトル(15N分解NOESY及び2D NOESY)のピーク選抜及び帰属は、Cyana 2.1(24)と組み合わせたプログラムUNIO-ATNOS/CANDID(22、23)により、両方のプログラムの標準設定を用いて自動的に行った。Talos-n(25)による化学シフトから導かれた二面角によって実行を補完した。
X線結晶化及び構造決定
複合体D25 FabとS0_2.126との共結晶化
4℃で一晩のインキュベーション後に、S0_2.126/D25 Fab複合体を、10mM Tris(pH8)、100mM NaCl中で平衡化したSuperdex200 26 600(GE Healthcare)を用いるサイズ排除クロマトグラフィーによって精製し、続いて約10mg/mlまで濃縮した(Amicon Ultra-15、MWCO 3000)。結晶を、10%PEG 8000、100mM HEPES(pH7.5)及び200mM酢酸カルシウムを含有する1μlのリザーバー溶液と混合した1μlの精製タンパク質を含有する液滴中でシッティングドロップ蒸気拡散法を用いて291Kで成長させた。
凍結保護のために、20%エチレングリコールを含有する母液に結晶を短時間通した。
S0_2.126/D25 Fab複合体のデータ収集及び構造決定
回折データをESRFビームラインID30Bで記録した。XDS(26)によってデータ統合を行い、I/σ=1での高分解能カットを適用した。データセットには、1/2、0、1/2の疑似並進対称性に対応するパターソン関数の強い原点外(off-origin)ピーク(原点に対して88%の高さ)が含まれていた。構造は、PHASER(27)を用いた分子置換法によって、D25構造(1)(PDB ID 4JHW)を検索モデルとして用いて決定した。手動モデル構築はCoot(28)、及びPhenix(29)における自動精錬を用いて行った。数回の自動精錬及び手動構築の後に、ペア精錬(paired refinement)(30)によって最終精錬のための分解能カットオフを決定した。
複合体101F FabとS4_2.45との共結晶化
S4_2.45とF101 Fabとの複合体を、2つのタンパク質を2:1のモル比にて4℃で1時間混合し、続いてSuperdex-75カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィーを行うことによって調製した。S4_2.45と101F Fabとの複合体をSDS-PAGEによって検証した。複合体を続いて6mg/ml~8mg/mlまで濃縮した。ハンギングドロップ蒸気拡散法を用いて結晶を20℃で成長させた。S4_2.45/101Fタンパク質複合体を0.2M酢酸マグネシウム、0.1Mカコジル酸ナトリウム(pH6.5)、20%(w/v)PEG 8000を含有する同量のウェル溶液と混合した。ネイティブ結晶を0.2M酢酸マグネシウム、0.1Mカコジル酸ナトリウム(pH6.5)、20%(w/v)PEG 8000及び15%グリセロールの抗凍結剤溶液に移し、続いて液体窒素中で瞬間冷却を行った。
S4_2.45/101F Fab複合体のデータ収集及び構造決定
SLAC国立加速器研究所のSSRL施設BL9-2ビームラインで回折データを収集した。結晶は空間群P3221に属していた。回折データを初めにX線検出器ソフトウェア(XDS)によって2.6Åに処理した(表9)。プログラムPHENIX PHASERを用い、101F Fabモデル(PDB ID:3O41)及びS4_2.45のエピトープ領域とペプチド結合構造(PDB ID:3O41)とを重ね合わせることで生成したS4_2.45/101F Fabのコンピューターによるモデルを用いて分子置換検索を行い、明確な分子置換解を得た。初期精錬により42.43%のRfree及び32.25%のRworkが得られ、Phenix Refineを用いて複雑な構造を精錬し、続いてプログラムCOOTにより手動の再構築を行った。最終精錬統計値、ネイティブデータ及び位相決定統計値を表9にまとめる。
設計プールの次世代シークエンシング
選別後に酵母細胞を一晩成長させ、ペレット化し、Zymoprep Yeast Plasmid Miniprep II(Zymo Research)を用い、製造業者の説明書に従ってプラスミドDNAを抽出した。設計された変異体のコード配列を、ベクター特異的プライマー対を用いて増幅し、オーバーハングPCRを用いてIlluminaシークエンシングアダプターを付加し、PCR産物を脱塩した(Qiaquick PCR精製キット、Qiagen)。Illumina MiSeq 2×150bpペアエンドシークエンシング(300サイクル)を用いて次世代シークエンシングを行い、45万~58万リード/サンプルを得た。
バイオインフォマティクス分析のために、配列を正確なリーディングフレームにおいて翻訳し、エンリッチメント値を各配列について計算した。エンリッチメント値Eは、以下のように定義した:
Seq=カウントSeq(高選択圧)/カウントSeq(低選択圧)
高選択圧は、それぞれの標的抗体の低い標識濃度(図3に示すように100pM D25、10nM 5C4又は20pM 101F)又はより高濃度のキモトリプシンプロテアーゼ(0.5μM)に相当する。低選択圧は、図3に示すように抗体による高い標識濃度(10nM D25、1μM 5C4又は2nM 101F)又はプロテアーゼ消化がないことに相当する。両方の選別条件において少なくとも1回のカウントを有する配列のみを分析に含めた。
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Claims (14)

  1. 複数種の非自然発生の免疫原性ポリペプチドを含み、該免疫原性ポリペプチドの少なくとも1種が、フォールディングされて標的病原体の複雑及び/又は不連続な中和エピトープを模倣する三次構造を有するアミノ酸配列を有する模倣ペプチドを含む、標的病原体に対するワクチン組成物。
  2. 前記複数種の非自然発生の免疫原性ポリペプチドの各々が、フォールディングされて前記標的病原体の複雑及び/又は不連続な中和エピトープを模倣するアミノ酸配列を有する模倣ペプチドを含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
  3. 前記複雑及び/又は不連続な中和エピトープの各々が重複しない、請求項2に記載のワクチン組成物。
  4. 前記標的病原体がRSVである、請求項1~3のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
  5. 前記複雑及び/又は不連続な中和エピトープがRSV部位0、部位II及び部位IVからなる群より選択される、請求項4に記載のワクチン組成物。
  6. 前記免疫原性ペプチドが表3~表6に記載のペプチド、好ましくは表5又は表6から選択される、請求項5に記載のワクチン組成物。
  7. 前記免疫原性ペプチドが、前記複雑及び/又は不連続な中和エピトープの模倣を補助するように前記模倣ペプチドを提示するスキャフォールド、好ましくはペプチドスキャフォールドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
  8. 前記スキャフォールドがRSVN及びフェリチンから選択される、請求項7に記載のワクチン組成物。
  9. 前記標的病原体に由来するネイティブ免疫原を含むワクチン組成物と組み合わせた、請求項1~8のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
  10. 本明細書に記載されるS0_2.126ペプチド配列及び本明細書に記載されるS4_2.45ペプチド配列を含み、任意にFFL_001又はFFLMペプチドを更に含む、ワクチン組成物。
  11. a)前記ワクチン組成物を被験体に投与することと、b)前記投与の前に、RSV由来のタンパク質若しくは糖タンパク質、好ましくはRSVF糖タンパク質を含む更なるワクチン組成物を投与することとを含むか、又は請求項1~10のいずれか一項に記載のワクチン組成物を、以前にRSV感染に曝された被験体に投与する、RSVに対して被験体を免疫化する方法に使用される、前記標的病原体がRSVである、請求項1~10のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
  12. 模倣すべき標的ペプチドの複雑及び/又は不連続な構造配置を決定する工程と、
    アミノ酸配列を有する予備模倣ペプチドを特定する工程と、
    前記予備模倣ペプチドのアミノ酸配列の推定構造配置を、該配列のin silico分析によって決定する工程と、
    前記予備模倣ペプチドに対して指向性進化を行い、前記ペプチドの様々な変異体を生成する工程と(好ましくは、指向性進化は、変異体を生成する突然変異誘発及び該変異体の発現によって行われ得る)、
    前記標的ペプチドに見られる所望の特性の改善を示す前記ペプチドの変異体を選択する工程と(前記特性は、例えば抗体等の標的に対する結合親和性;熱安定性;酵素に対する感受性又は耐性であり得る)、
    を含む、標的ペプチドの複雑及び/又は不連続な構造配置を模倣するペプチドを設計する方法。
  13. 改善を有する前記変異体を複数特定する工程と、該複数の変異体から変異の組合せを有する更なるペプチドを得る工程とを更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記予備模倣ペプチドを特定する工程が、所望の標的ペプチドに対して構造的類似性を有するペプチドをペプチドデータベースから選択することを含み、又は前記工程が、前記予備模倣ペプチド配列が前記所望の標的ペプチドに対して構造的類似性を有するように、前記標的ペプチドのアミノ酸配列と1つ以上の構造ペプチド要素とを組み合わせることを含む、請求項12又は13に記載の方法。
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