JP2022541174A - アッセイ - Google Patents

アッセイ Download PDF

Info

Publication number
JP2022541174A
JP2022541174A JP2022502187A JP2022502187A JP2022541174A JP 2022541174 A JP2022541174 A JP 2022541174A JP 2022502187 A JP2022502187 A JP 2022502187A JP 2022502187 A JP2022502187 A JP 2022502187A JP 2022541174 A JP2022541174 A JP 2022541174A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fst
coch
olfml3
fgfr1
paired
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022502187A
Other languages
English (en)
Inventor
スーザン キンバー
フィリップ ルイス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Manchester
Original Assignee
University of Manchester
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from GBGB1910477.7A external-priority patent/GB201910477D0/en
Priority claimed from GB201914959A external-priority patent/GB201914959D0/en
Application filed by University of Manchester filed Critical University of Manchester
Publication of JP2022541174A publication Critical patent/JP2022541174A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/5005Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells
    • G01N33/5008Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics
    • G01N33/5044Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells for testing or evaluating the effect of chemical or biological compounds, e.g. drugs, cosmetics involving specific cell types
    • G01N33/5073Stem cells

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、マーカータンパク質の存在を決定することにより幹細胞培養物の多能性状態を評価する方法、関連するキット及び使用に関する。【選択図】図1(1)

Description

本発明は、マーカータンパク質の存在を決定することにより幹細胞培養物の多能性状態を評価する方法、関連するキット及び使用に関する。
緒言
ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、基礎研究、医薬品開発(創薬)、及び臨床細胞治療のための、事実上あらゆる種類の細胞の重要な供給源となる可能性を持っている。ヒト多能性幹細胞を用いたアプローチを含む再生医療の臨床的可能性は他の追随を許さないものの、有望な治療法をスケーラブルで再現性の高い商業的プロセスに移行させるには大きなハードルが存在する。特に、hPSCを多能性状態に維持することは、困難で手間がかかることが判明している。SelecT(TAP biosystems(ティーエーピー・バイオシステムズ) - ハーフォードシャー(Hertfordshire)、英国)、Freedom EVO(TECAN Trading AG(テカン・トレーディング)、スイス)システムの開発、又は東京エレクトロン(京都、日本)によって開発された技術等によって、高品質のPSCの培養及び増殖の自動化が進んでいるが、あらゆる規模のPSC培養において克服すべき課題として残っているのは、多能性培養物のための迅速で再現性があり非侵襲的かつ定量的な測定基準がないことである。
最も一般的に使用されている技術は、いずれもPSC製造に使用するには大きな欠点がある。例えば、コアとなる多能性転写因子及び細胞表面マーカーを評価するために免疫蛍光法を使用すると、培養物全体の多能性の初期喪失を正確に拾うことができず、むしろ個々の細胞における多能性の喪失を拾い上げる。免疫蛍光法は不正確でもあり、非定量的でもあるため、製造プロセスに組み込むことができず、検査した細胞を再びプロセスに戻すことができない。多能性マーカーの喪失を特定するためにフローサイトメトリを使用すると、ランのばらつきが見られ、しかも細胞産物を犠牲にしてしまう。現在、利用できる最も定量化可能な多能性の測定基準は、Pluri-test[1]及びScoreCard[2]等の細胞に対するRNAベースのアッセイ、又はテラトーマアッセイ[3]である。しかしながら、これらの測定基準は現在のところ費用対効果が高くはなく、細胞産物を犠牲にする必要があり、リスクのある培養物に対して結果を提供するには時間がかかりすぎ、そのため、そのような細胞は結果が出るまでに永久に損なわれてしまう可能性が高い。研究者が現在持っている最も迅速で費用対効果の高いツールは、細胞形態の分析であるが、しかしながら、これは本質的に主観的なものである。PSCの形態学的特徴を自動化し、定量化する試みがなされているが[4、5]、多能性を測定する方法としては、依然として低分解能のままである[6]。従って、多能性のごく初期の喪失を拾い上げることができる便利な定量的アッセイは存在しない。
Trans-Proteomic Pipeline, a standardized data processing pipeline for large-scale reproducible proteomics informatics Schneider,C.A.、W.S.Rasband、及びK.W.Eliceiri、Nature Methods、2012. 9(7):671-675頁 Muller,F.J.ら、Nat Methods、2011. 8(4):315-7頁 Bock,C.ら、Cell、2011. 144(3):439-52頁 Avior,Y.、J.C.Biancotti、及びN.Benvenisty、Stem Cell Reports、2015. 4(6):967-74頁 Kerz,M.ら、J Biomol Screen、2016. 21(9):887-96頁
本発明の目的は、多能性喪失の現在の評価に関連する1つ以上の課題に対処することである。多能性の喪失、内在する喪失、又は潜在的な喪失を特定するために使用することができる1つ以上のバイオマーカーを特定することが望ましいであろう。細胞増殖の阻害を最小限に抑え、分析に細胞溶解液を使用しないように、1つ以上のバイオマーカーが培養培地中で検出可能であれば、さらに望ましい。さらには、多能性の喪失を評価又は検出する方法であって、迅速で信頼性が高く、実施しやすい方法を提供することが望まれる。
本発明は、幹細胞培養物の多能性状態を評価する方法に関する。本発明者らは、PSCのセクレトームには、多能性解消時に急速に減少又は増加するタンパク質が多数存在することを示した。このようにして、多能性細胞の状態と一貫した相関を示す、信頼度の高いタンパク質バイオマーカーがいくつか特定された。これらのタンパク質バイオマーカーは、多能性喪失の迅速な診断法として利用されてもよい。
加えて、本発明者らは、新規な対にされたタンパク質の比率という測定基準(指標)を開発することにより、分泌タンパク質の定量のための機能的な正規化方法の欠如を克服することに努めた。これは、同じ刺激に反応して増加又は減少するタンパク質は、他の正規化標準よりも、互いに対してより一貫して検出可能に変化するという観察に基づいていた。使用される細胞及び培養物の種類に関係なく、多能性幹細胞培養物を非多能性幹細胞培養物から一貫して確実に区別するタンパク質対比を与える、PSCのセクレトームの中のタンパク質バイオマーカーが数多く特定された。
幹細胞培養物の多能性状態を判断するためのタンパク質対の評価は、幹細胞培養物中の個々のタンパク質の存在量を評価するよりもさらに有益である。タンパク質対の評価は、多能性幹細胞の状態をより確実に、統計的に有意に、信頼性高く、かつ迅速に定量的に読み取ることをもたらす。これは、幹細胞産物を犠牲にすることなく多能性の喪失を回復できる段階で、培養物の質の低下の早期警告として使用することができる。本発明のタンパク質バイオマーカー、特に本発明のタンパク質対の評価により、細胞治療用のPSCのスケールアップ及び製造中、又は医薬品の開発及び毒性試験におけるその使用のための断続的若しくは連続的な培養モニタリングも可能となる。
従って、1つの態様では、本発明は、幹細胞培養の多能性状態を判断する方法であって、幹細胞を培養する工程と、
a)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(Cochlin)(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 8)(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein)(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン(exostosin)様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン(neuronal pentraxin)-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される2種のタンパク質の相対存在量を測定し、この相対存在量を基準値と比較する工程、並びに/又は
b)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質の絶対存在量を測定し、この絶対存在量を基準値と比較する工程と
を含む方法に関する。
本発明は、幹細胞培養物の多能性状態を評価することにおける、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質バイオマーカーの使用にも関する。例えば、本明細書に例示される対が使用される。
本発明は、
a)以下のタンパク質、ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOM、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/又はWFDC2の1つ以上に結合する、若しくはその他の方法で検出することができる1つ以上の成分、並びに任意に
b)上記1つ以上の成分と上記1つ以上のタンパク質との結合及び/又は検出を定量するための手段、例えば抗体又は抗体断片
を含むキットにも関する。
b).
本発明は、以下の非限定的な図においてさらに説明される。
試料採取及びデータ処理のための実験デザイン。A)実験開始前に、細胞を少なくとも2継代、E8で培養した。その後、細胞を、Rock阻害剤を含むE8培地でビトロネクチン-Nコーティングフラスコにプレーティングし、実験条件の開始前に24時間静置した。細胞をPBSで洗浄し、その後、半数はE8で、半数はE6で培養し、24時間後に培地を全量交換した。実験条件下で48時間培養後、培地を回収し、回転し、濃縮し、LC-MS/MS用に処理した。この細胞を回収し、品質管理、及びRNA-Seq分析のために処理した。これらのデータは、次に、多重統合された方法によって分析され、その後、タンパク質のサブセットがさらなる標的分析のために選択された。B)E8(対照)で培養したMan-13細胞又はE6で48時間培養した後のMan-13細胞の免疫細胞化学。 試料採取及びデータ処理のための実験デザイン。C)E8で培養したRebl.PAT及びMan-13細胞、又はE6で48時間培養した後のRebl.PAT及びMan-13細胞のフローサイトメトリ。Rebl.PAT細胞については、24時間時点の細胞状態を観察できるように、実験用フラスコと一緒に余分なフラスコを培養した(Rebl.PATについて示す)。 プロテオミクスの概要。A)プロテオミクス実験のインプット及びアウトプットの概要。B)SignalP 4.0(古典的)若しくはSecretomeP 2.0(非古典的)による、又はUniprotペプチド配列による、分泌されたと特定されたタンパク質の割合を示す円グラフ。タンパク質の分類に使用した細胞外遺伝子オントロジー(Gene Ontology、GO)タームは、細胞外マトリクス、細胞外空間、細胞外ベシクル(細胞外小胞)、細胞表面、細胞外領域であった。この分析に使用したすべてのタンパク質は、1つ以上のユニークなペプチドを持ち、3回のプロテオミクスランすべてにおいて信頼度スコアが30以上であった。 プロテオミクスの概要。C)Cで説明した各カテゴリーで一般的なGOタームのWebGestaltからのGoSlim細胞内構成要素(Cellular Component)の概要。p<0.05への濃縮。細胞外GOタームは黒いバーで強調されている。 mRNAとタンパク質とのデータの間の条件間log(対数)倍率変化の間の相関。E6/E8の条件間log倍率変化は、プロテオミクスによって特定されたタンパク質についてEntrez IDがすぐに利用可能であるセクレトミクス(分泌液網羅解析)と対応するRNA-Seqデータで比較された。これらのデータは、プロテオミクスデータと対応するRNA-seqデータとの間の変化の方向がよく一致していることを示す。生物学的関連性の低い確率的変化から保護するために、セクレトミクス及びRNA-Seqデータによってq<0.05有意であったデータ識別名(ID)のみをこの比較に使用した。同じRNA-Seqデータセットを、Man-13プロテオミクスの両実行に対する比較に使用した。 タンパク質対比率の方法論。A)分泌型プロテオミクスは、総タンパク質存在量の変化に非常に脆弱である。生物学的及び技術的なばらつきに加え、(A)で明らかにされた異なるタンパク質源の相対的な寄与は、関心のあるタンパク質の正規化に影響を与え、統計的ノイズを増加させる可能性がある。正規化された個別のタンパク質存在量は変化しても、関心のある同じ刺激に強く応答するタンパク質の相対存在量は、それらの条件下で比較的一貫しているはずである。例えば、B)に提示された2つのマーカータンパク質は、それぞれの質量分析ランでE8とE6に有意な変化を示したが(q<0.05)、しかしながら、これらのタンパク質の個別の存在量はラン間で劇的に変化する。箱ひげ図のひげは外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。C)これらのタンパク質の間の関係を調べることにより、外れ値を除いたすべてのランで、すべての例において、NPTX2の個別の存在量はE6のOLFML3の3倍未満であるが、しかしながらE8のOLFML3の個別の存在量の9倍を超えることが明らかになる。D)すべての試料におけるこれらのタンパク質の相対存在量を計算することにより、この測定基準による条件間の差は、個別の存在量を比較する場合よりも大きくなり、MS/MSラン間でより一貫性がある。 対にされたタンパク質の比率分析による確実なマーカータンパク質の特定。A)タンパク質の相対存在量の比率が、すべてを別のタンパク質と比較することにより算出された。これらの比率は、E8とE6との間でFDR調整された統計的有意性について検定された。Man-13ラン1(M13 R1)、Man-13ラン2(M13 R2)及びRebl.PATでq<0.05を示したタンパク質対の組み合わせが、ネットワークを作成するために使用された。タンパク質がノードとして働き、E8とE6との間のこれらのタンパク質の相対存在量の有意な変化は、タンパク質の対の間のエッジとして働く。B)他のタンパク質に対して最も一貫した変化を示したタンパク質は、最も相互に関連した30種のタンパク質を特定することにより分離された。C)統計学的及び生物学的特性の両方に基づいて抗体アッセイ用に選択された8種のタンパク質のデータ概要。 ウエスタンブロットで確認するために選択されたマーカータンパク質のMS/MS個別存在量及び相対存在量の箱ひげ図。示された個別の存在量(左列及び最上行)並びに相対存在量タンパク質対(対応する行と列の交点)は、対の相対存在量に基づいてウエスタンブロットにより確認するために選択されたマーカータンパク質のものである。箱ひげ図のy軸は、Log2変換した個別の存在量(個々のマーカーについて)、又はLog2変換したE8マーカーの個別の存在量から差し引かれたLog2変換したE6マーカーの個別の存在量として表現した相対存在量のいずれかを示す。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。 A)7日間の救出後のマーカー相対存在量の再確立。Man-1細胞は(1.A)に記載されたように培養されたが、48時間後の培地回収後、E6培養細胞は継代されて7日間E8に戻された。各タンパク質対は、1枚の膜で試験した。(B)OLFML3/NID1及び(C)FST/NPTX2についての救出実験からの使用済み培地の代表的なウエスタンブロットバンドと対応するデンシトメトリー測定を示す。デンシトメトリーは、ImageJで計算した。膜は、LICOR Odysseyシステムを使用して画像化した。 条件培地中のマーカータンパク質のウエスタンブロット。各条件で等量の濃縮条件培地を泳動させ、各対で同じ膜を両方の抗体でプロービングした。膜はLICOR Odysseyシステムを用いて画像化された。これらのブロットの定量化は、図7Aに示されている。 E8(Man13)又は48時間後にE6(Man13又はReblPat)で培養され、その後E8で7日間回復させたヒト多能性幹細胞の皮下移植によって生成されたテラトーマのパラフィン切片(7μm)を、形態マーカー及び3つの胚葉のタンパク質マーカーについて染色した。パラフィン切片は、ヘマトキサリン及びエオシン、又は初期内胚葉に対する抗体(GATA6)、神経外胚葉に対する抗体(β3チューブリン)又は中胚葉の平滑筋アクチンに対する抗体(αSMA)で染色した。スケールバー[=1/6幅=]100um。 A)ADAMTS8/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。ADAMTS8個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)APP/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。APP個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)B3GNT7/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。B3GNT7個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)CHGA/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。CHGA個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)EFEMP1/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。EFEMP1個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)EPHA1/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。EPHA1個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)EXTL2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。EXTL2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)FBLN2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。FBLN2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)FGF2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。FGF2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)FUCA2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。FUCA2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)GALNT1/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。GALNT1個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)GGH/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。GGH個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)HEXB/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。HEXB個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)IGFBP4/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。IGFBP4個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)NID1/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。NID1個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)NPTX2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。NPTX2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)NTS/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。NTS個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)PCDHB5/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。PCDHB5個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)SEMA3A/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。SEMA3A個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)SEMA3F/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。SEMA3F個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)SFRP2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。SFRP2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)TIMP4/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。TIMP4個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)TNFRSF8/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。TNFRSF8個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 A)WFDC2/E6マーカータンパク質 - 相対存在量。WFDC2個別の存在量を選択された各E6マーカータンパク質の個別の存在量で割ることによって計算された相対存在量を示す箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。B)各条件及び細胞株における各タンパク質対の相対存在量、並びに対応する条件間倍率変化及び条件間の差の有意性についてのT検定を示す表。 プロテオミクスデータ(1)におけるE8マーカータンパク質、すなわち、E6培地においてよりも多能性培地E8において存在量が大きいタンパク質の個別の存在量の箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。 プロテオミクスデータ(2)におけるE8マーカータンパク質、すなわち、E6培地においてよりも多能性培地E8において存在量が大きいタンパク質の個別の存在量の箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。 プロテオミクスデータ(3)におけるE8マーカータンパク質、すなわち、E6培地においてよりも多能性培地E8において存在量が大きいタンパク質の個別の存在量の箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。 プロテオミクスデータにおけるE6マーカータンパク質、すなわち、多能性E8培地においてよりも多能性喪失培地E6において存在量が大きいタンパク質の個別の存在量の箱ひげ図。箱ひげ図のひげは、外れ値(点として表示されている)を除いた最小値及び最大値を表す。 RNA及びタンパク質の個別の存在量に関する条件間log倍率変化及びFDR調整p値を示す表。 代替培地で培養された幹細胞培養物におけるNPTX2/FSTの相対存在量の評価。A)は、異なる濃度の培地TeSR1におけるNPTX2、FST及びNIDタンパク質の検出を示す。E6培地中のそれらタンパク質の濃度も対照として示されている。B)は、TESR1培地で成長した細胞、並びに24時間(hr)後及び48時間後のステージ1軟骨細胞分化培地で成長した細胞を示す。24時間後及び48時間後に、分化培地でNPTX2の消失とともにフォリスタチンが増加していることが明確に観察される。 代替培地で培養された幹細胞培養物におけるNPTX2/FSTの相対存在量の評価。C)は、TeSR1多能性培地対ステージ1軟骨細胞分化培地で成長した細胞から濃縮した培地の中のNPTX2/FST比を示す。これは、NPTX2/FSTの相対存在量の減少は多能性の喪失を示唆するということを示す。この知見は、図24A)及びB)に示すように、E8/E6培地を用いた培地における知見と一致するため、本明細書に記載されるタンパク質対の相対存在量は、異なる培地を用いた多能性状態の指標として用いることができることを実証する。
これより本発明がさらに説明される。以下の節では、本発明の異なる態様がより詳細に規定される。このように規定された各態様は、組み合わせることができないと明確に示されない限り、他の任意の態様(複数可)と組み合わされてもよい。特に、好ましい又は有利であるとして示された任意の特徴は、好ましい又は有利であるとして示された任意の他の特徴(複数可)と組み合わされてもよい。本発明の実施は、特段の記載がない限り、当業者の技術範囲内にある細胞生物学、微生物学、組織培養、分子生物学、化学、生化学、組換えDNA技術、バイオインフォマティクスの従来技術を採用することになる。このような技術は、文献で十分に説明されている。
本発明者らは、幹細胞培養物の多能性状態の指標、例えば多能性喪失の指標を提供するためのマーカーとして使用することができる、多能性幹細胞のセクレトーム中のタンパク質バイオマーカーを特定した。このバイオマーカーは、培養された胚性幹細胞(Man-13)及び人工多能性幹細胞(Rebl.PAT)からの使用済み培地のプロテオーム分析で特定された。細胞は、多能性を維持する培地であるEssential 8培地(E8)で成長後、E6培地(E6)に48時間移され、多能性の早期の無指向性解消を再現した。E6はE8培地と同一であるが、成長因子であるFGF2及びTGFβを欠き、従って分化を誘導する。従って、E6は分化培地と説明することができる。それゆえ、E6培地は、多能性を失った細胞が多能性を持つ細胞と比較して、どのタンパク質が異なって産生されるかを試験するために使用することができる。E8とE6の両方の培養液から培地が回収され、2つの培地間のトランスクリプトームの変化が分析され、多能性マーカーが特定された。E8培地(「多能性培地」)及びE6培地(「分化培地」)で異なるレベルで存在するタンパク質バイオマーカーが特定された。このように、多能性の早期喪失に関連するタンパク質マーカーを決定することができた。
加えて、特定のタンパク質対の比率を評価した。4つのE8濃縮タンパク質及び4つのE6濃縮タンパク質は、2つの細胞状態(すなわち、多能性対分化)を一貫して確実に区別する16のタンパク質対の比率を与えることが実証された。本発明者らはさらに、48時間E6培養した細胞を7日間E8に戻すと、健全なレベルの多能性を回復し、セクレトーム中の多能性関連マーカーの比率がこれを反映していることを明らかにした。その後の実験により、細胞培養物の多能性状態のバイオマーカーであるさらなるタンパク質対が特定された。このように、2つのタンパク質の比率、すなわちタンパク質の相対存在量を評価することは、幹細胞培養物の多能性状態を評価する信頼性が高く確実な方法を提供する。それゆえ、本発明の方法によれば、多能性細胞培養物の基準値又はベースライン値(例えば、タンパク質の絶対存在量又は相対存在量のベースライン値)を確立し、次にタンパク質の絶対存在量及び/又は相対存在量を監視することによって、任意の与えられた幹細胞株及び培地における幹細胞培養物の状態を監視することが可能である。基準値からの偏差は、多能性状態の変化を示す。本明細書において、基準値又はベースライン値という用語は、互換的に使用される。
従って、第1の態様では、本発明は、幹細胞培養物の多能性状態を判断する方法であって、幹細胞を培養する工程と、
a)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される2種のタンパク質の相対存在量を測定し、この相対存在量を基準値と比較する工程、並びに/又は
b)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質の絶対存在量を測定し、この絶対存在量を基準値と比較する工程と
を含む方法に関する。
本明細書で使用する場合、用語「幹細胞」(「SC」)は、自己再生及び複数の系譜に分化することができる細胞を指す。幹細胞は、発生学的に多能性又は多分化能の細胞である。幹細胞は分裂して2つの娘幹細胞、あるいは1つの娘幹細胞と1つの前駆(「トランジット」)細胞を作り出し、次にこれが組織の成熟した完全に形成された細胞へと増殖することができる。幹細胞は、例えば、胚由来のもの(「胚性幹細胞」)であってもよいし、成体由来のものであってもよい。本発明によれば、異なる幹細胞株が使用されてもよく、これにはMan-13及びRebl.PATが含まれるが、これらに限定されない。
成体幹細胞の例としては、造血幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞、及び骨髄間質細胞が挙げられるが、これらに限定されない。これらの幹細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨髄間質細胞、及び胸腺間質(間葉系幹細胞)、肝細胞、血管細胞、筋肉細胞(造血幹細胞)、筋細胞、肝細胞、及びグリア細胞(骨髄間質細胞)、さらには3つのすべての胚葉からの細胞(成体神経幹細胞)等様々な種類の細胞への分化能を有していることが確認されている。
本明細書で使用する場合、「多能性細胞」又は「多能性幹細胞」(PSC)という用語は、完全な分化汎用性、例えば、哺乳動物の身体の約260種の細胞型のいずれかに成長する能力を有する細胞を指す。多能性細胞は、インビトロで及び胚内で一過性に自己再生することができる。多能性幹細胞という用語には、体細胞からリプログラミングされて多能性幹細胞の性質を持つようになった人工多能性幹細胞も含まれる。全能性細胞(例えば、受精した二倍体卵細胞)とは異なり、多能性細胞は、多能性胚性幹細胞であっても、通常、新たな胚盤胞を形成することができない。本発明の様々な態様によれば、多能性幹細胞は、ヒト多能性幹細胞であってもよい。
哺乳動物胚性幹(ES)細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来する多能性細胞である。ES細胞は、発育中の胚の外側の栄養外胚葉層を除去し、内側の細胞塊を非成長細胞の支持細胞層上で培養することにより単離することができる。適切な条件下で、増殖中の未分化なES細胞のコロニーが生成される。このコロニーを取り出し、個々の細胞に解離させた後、新しい支持細胞層に再プレーティングすることができる。再プレーティングされた細胞は増殖を続け、未分化ES細胞の新しいコロニーを生成することができる。次に、この新しいコロニーを取り出し、解離させ、再び再プレーティングし、成長させることができる。この未分化ES細胞の「継代培養」又は「継代」のプロセスを何回か繰り返して、未分化ES細胞を含む細胞株を作製することができる。
本明細書で使用する場合、用語「胚性幹細胞」(「ES細胞」又は「ESC」)は、胚盤胞(例えば、4~5日齢のヒト胚)の内部細胞塊に由来し、成熟動物に存在する多くの又はすべての細胞型をもたらす能力を有する多能性細胞を指す。ヒト胚性幹細胞の非限定的な例としては、HI、H9、hES2、hES3、hES4、hES5、hES6、BGOl、BG02、BG03、HSFl、HSF6、HI、H7、H9、H13B、MAN1-16及びH14が挙げられる。多能性細胞は、以下でより詳細に議論されるように、人工多能性細胞(iPSC)であってもよい。iPSCの非限定的な例としては、ReblPatが挙げられる。
マウスES細胞を取得する方法は周知である。1つの方法では、129系マウス由来の着床前胚盤胞がマウス抗血清で処理されて栄養外胚葉が除去され、その内部細胞塊が化学的に不活性化されたマウス胎仔線維芽細胞の支持細胞層上でウシ胎仔血清含有培地中で培養される。発育した未分化ES細胞のコロニーは、ウシ胎仔血清の存在下でマウス胎仔線維芽細胞の支持細胞層上で継代培養され、ES細胞の集団が作製される。ある方法では、マウスES細胞は、サイトカインである白血病抑制因子(LIF)を血清含有培養培地に添加することにより、支持細胞層の不存在下で成長させることができる。
ES細胞のもう1つの供給源は、樹立されたES細胞株である。様々なマウス細胞株及びヒトES細胞株が公知であり、それらの成長及び増殖のための条件は、当該技術分野において明確にされている。本発明の実施が、本発明の実施に向けてhES細胞又は胚性幹細胞を製造するために、ヒト胚盤胞を解体することを必要とすることは決してない。実際、hES細胞は、公的寄託機関(例えば、WiCell研究所(WiCell Research Institute)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州、米国、又はアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type culture Collection)、マナサス(Manassas)、バージニア州、米国)から入手可能な確立された系統から得ることが可能である。
PSCは、「人工多能性幹細胞」(「iPSC」)、すなわち、体細胞、例えば分化した体細胞からリプログラミングすることによって誘導された幹細胞であってもよい。iPS細胞は、ESCと同様にして自己再生して成熟細胞へと分化することができる。
本明細書で使用する場合、用語「支持細胞」は、いくつかの組織培養系で成長支持体として使用される細胞を指す。支持細胞は、胚性線条体細胞又は間質細胞であってもよい。
本発明は、幹細胞を培養するために用いられる特定の培養培地に限定されるものではなく、当業者であれば、当該技術分野で開示されるような多数の異なる培地を用いることができることを知っているであろう。適切な培地は、多能性を支持し、PSCの自己再生を維持する。特定の態様では、細胞は、線維芽細胞等の支持細胞とともに、又は線維芽細胞条件培地中で成長させられてもよい。しかしながら、好ましくは、幹細胞が、支持細胞の不存在下で成長させられることが好ましい場合がある。いくつかの態様では、細胞は、TeSR1培地(米国特許出願公開第2006/084168号明細書参照)等の限定培地中で成長させられてもよい。このような培地は、ES細胞の無血清培養のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、培地は、必要な成長因子を供給するためにウシ又はヒトの血清を補充される。
例えば、培養培地は、DMEM/F12、RPMI 1640、GMEM、又はneurobasal medium、TeSR1、TeSR2、TeSR-E8、RSeT及びNaiveCult(STEMCELL Technologies(ステムセル・テクノロジー))、StemPro、Essential 8(Thermo Fisher Scientific(サーモフィッシャーサイエンティフィック))、StemFlex(Thermo Fisher Scientific)、Pluripro(Cell Guidance Systems(セル・ガイダンス・システムズ))、PluriSTEM(Millipore(ミリポア))、StemFit(味の素)、又はNutristem(Corning(コーニング))から選択することができる。1つの実施形態では、培養培地は、Essential 8培地(E8)である。TeSR2等、これらの培地の一部には、ヒト血清アルブミン(HSA)を含むものがあるが、TeSR2由来の、より最近広く使用されているE8培地は、HSA及びウシ血清アルブミン(BSA)のいずれも含まない。E8培地は、ヒト多能性幹細胞の成長及び拡大のために特別に調合されたゼノフリー及びフィーダー(支持体)フリーの培地である[18]。
幹細胞培養培地は、血清を含むことができるし、又は無血清培地であることも可能である。無血清培地は、外因性成長因子を添加せずに用いることができるし、又は塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-2(IGF-2)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子8(FGF8)、ソニックヘッジホッグ(Shh)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)等の成長因子又はビタミンCを補充することも可能である。非付着面は、低付着性組織培養プラスチックとすることができる。
培地は、Rock阻害剤等の付加的な因子を含んでいてもよい。Y-27632等のRock阻害剤でRhoキナーゼ(ROCK)活性を阻害すると、凍結保存ストックからのhES細胞の回収が著しく高まり、hES細胞のコロニー数及びコロニーサイズが増加するということが知られている。培養培地は、塩類、ビタミン類、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞成長因子、γアミノ酪酸、ピペコリン酸、リチウム及びトランスフォーミング成長因子βを、複数回の連続的な継代培養によりヒト幹細胞を未分化な状態に維持するのに十分な量で含有してもよい。
本明細書で使用する場合の「絶対存在量」又は「個別の存在量」という用語は、試験試料、すなわち幹細胞培養物中の関心のある(目的の)個々のタンパク質のレベル、すなわち濃度を指す。それゆえ、これは、試料中に存在する個々のタンパク質の量を表す。これは、以下にさらに例示され、そして質量分析に基づく方法を含む当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。値は、ProgenesisIQプロテオミクスソフトウェア[1]又はImageJ画像解析ソフトウェア[2]のいずれかによって提供される数値であることができ、個々のタンパク質の量を表す。
本明細書で使用する場合の「相対存在量」という用語は、同じ試料中のタンパク質Xの存在量/タンパク質Yの存在量を指す。従って、相対存在量を評価するためには、タンパク質の対が分析される。相対存在量は、タンパク質Xの個別の存在量をタンパク質Yの個別の存在量で割ることによって計算される。このことは、実施例及び図でさらに説明される。従って、相対存在量の値は、関心のある2つのタンパク質間の存在量の差を表す。相対タンパク質存在量を測定することは、個々のタンパク質の絶対存在量を測定することと比較して、より信頼性が高く、統計的に有意で、再現性のある比較を提供する。相対存在量を評価することにより、マーカー発現は「正規化」され、これは、動態内及び動態間のばらつき(試料間及びラン間のばらつき)を補正する。正規化されたデータは、タンパク質の発現を定量化する際に特に有用である。従って、本発明の方法は、タンパク質の定量的発現(疾患体液バイオマーカーの発見及び評価のように)に依存せず、むしろ、個々の細胞株に適用される制御条件間、すなわち多能性維持条件及び早期自然分化又は誘導分化誘導条件との間、の比率に依存する。このため、この方法は、体液/組織中の新規(例えば、疾患)バイオマーカーを定量化する際、並びに異なる性別、年齢、環境の影響及び合併症等を有する全く異なる個体間を比較する際(このような場合、修飾及びアイソフォームによってデータが不明瞭になり/歪むことになる)に特有の困難を大幅に回避する。異なる条件下での中央値(すなわち、たった1つのイオンや平均値に依存しない)を用いてペプチド比の差を指定する中央値(平均値ではない)ベースの統計が、計算に使用される。
本明細書で使用する場合の「基準値」又は「ベースライン値」という用語は、幹細胞基準培養物において確立された値を指す。「基準培養物」は、陽性対照であってもよいし陰性対照であってもよい。基準培養物が陽性対照である場合、細胞の基準培養物は、PSCを含む。好ましくは、このような基準培養物は、既知の割合のPSCを含む。従って、試験されるタンパク質マーカーに応じて、試験される細胞の培養物におけるマーカーレベルが、細胞の基準培養物におけるマーカーレベルよりも低いことは、培養細胞における残存する未分化なPSCの不存在又は存在を示す。1つの例では、試験される細胞の培養物中のマーカーレベルが細胞の基準培養物中のマーカーレベルより低いことは、培養細胞中の残存する未分化のPSCの存在を示すが、細胞の基準培養物中のPSCの既知の割合より低い割合での存在であることを示す。基準培養物は、試験培養物と同じ細胞株を含み、試験培養物と同じ培地を用いて培養される。例えば、試験培養物は、細胞が多能性を失ったか否かを評価するために、一定期間培養維持された基準培養物に由来するものであってもよい。基準培養物の多能性を確立するための基準培養物の多能性は、フローサイトメトリ[例えばTra 181及びNanogを用いる]、免疫細胞化学、細胞を培養すること等による標準法を用いて、成長及びさらなる継代とともに分化の合図に対する応答及び3胚層胚様体形成を評価することによって、評価することができる。
本発明の方法によれば、基準値から離れた偏差は、本明細書でさらに説明するように、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失(多能性の喪失の可能性)又は多能性の回復を示してもよい。
用語「条件間log倍率変化」、「条件間対数倍率変化」は、例えばE8及びE6細胞培地での培養物のような、関心のある2つの条件間のタンパク質存在量の差を表す数値を意味することが意図されている。
本明細書で使用する「多能性状態」という用語は、幹細胞培養物における幹細胞の多能性、すなわち、幹細胞が多能性であるか否かを指す。
試験タンパク質又は試験タンパク質対という用語は、分析されている関心のあるタンパク質/タンパク質対を指す。同様に、試験培養物という用語は、多能性状態について評価されている関心のある幹細胞培養物を指す。1つの実施形態では、当該方法は、1つ以上のタンパク質対の相対存在量を測定することを含み、このタンパク質対は、以下の群の1つから選択される単一群に列挙された2つのタンパク質によって形成される。
a)COCH、FGFR1、FST、OLFML3、CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A(すなわち、図6に示すように16の可能な対)、好ましくは第1のタンパク質は、COCH、FGFR1、FST及びOLFML3を含む第1の組のタンパク質から選択され、第2のタンパク質は、CHGA、NID1、NPTX2及びSEMA3Aを含む第2の組のタンパク質から選択される、
b)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったADAMTS8、
c)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったAPP、
d)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったB3GNT7、
e)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったCHGA、
f)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったEFEMP1、
g)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったEPHA1、
h)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったEXTL2、
i)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったFBLN2、
j)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったFGF2、
k)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったFUCA2、
l)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったGALNT1、
m)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったGGH、
n)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったHEXB、
o)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったIGFBP4、
p)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったNID1、
q)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったNPTX2、
r)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったNTS、
s)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったPCDHB5、
t)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったSEMA3A、
u)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったSEMA3F、
v)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったSFRP2、
w)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったTIMP4、
x)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったTNFRSF8、
y)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9又はSTOMと対になったWFDC2。
測定された2つのタンパク質の相対存在量は、基準値と比較される。1つの実施形態では、基準値は、多能性幹細胞(PSC)培養物、すなわち既知の割合のPSCを含む幹細胞培養物、好ましくは高い割合のPSCを含む幹細胞培養物、又はより好ましくは初期状態のpSCの純粋培養物を含む幹細胞培養物で測定された2つのタンパク質の相対存在量である。相対存在量の差は、幹細胞が多能性を失っているか否か、すなわち、試験された幹細胞が、細胞の基準培養物中のPSCの割合よりも低い割合の未分化細胞(従って、細胞の基準培養物中のPSCの割合よりも高い割合の分化細胞)を含むか否かを示す。これらの方法工程を適用すると、図6、図7、図9~図32に示すように、以下のタンパク質対のうちの1つ以上の相対存在量が測定され、幹細胞培養物の多能性状態が判断される。
a)COCH/CHGA、COCH/NID1、COCH/NPTX2、COCH/SEMA3A、FGFR1/CHGA、FGFR1/NID1、FGFR1/NPTX2、FGFR1/SEMAS3A、FST/CHGA、FST/NID1、FST/NPTX2、FST/SEMAA3、OLFML3/CHGA、OLFML/NID1、OLFML3/NPTX2、又はOLFML3/SEMA3A、各対について、相対存在量の増加は多能性の喪失を示す、
b)ADAMTS8/ASS1、ADAMTS8/CKB、ADAMTS8/CNMD、ADAMTS8/COCH、ADAMTS8/FGFR1、ADAMTS8/FST、ADAMTS8/OLFML3、ADAMTS8/SERPINB9又はADAMTS8/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
c)APP/ASS1、APP/CKB、APP/CNMD、APP/COCH、APP/FGFR1、APP/FST、APP/OLFML3、APP/SERPINB9又はAPP/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
d)B3GNT7/ASS1、B3GNT7/CKB、B3GNT7/CNMD、B3GNT7/COCH、B3GNT7/FGFR1、B3GNT7/FST、B3GNT7/OLFML3、B3GNT7/SERPINB9又はB3GNT7/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
e)CHGA/ASS1、CHGA/CKB、CHGA/CNMD、CHGA/COCH、CHGA/FGFR1、CHGA/FST、CHGA/OLFML3、CHGA/SERPINB9、又はCHGA/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
f)EFEMP1/ASS1、EFEMP1/CKB、EFEMP1/CNMD、EFEMP1/COCH、EFEMP1/FGFR1、EFEMP1/FST、EFEMP1/OLFML3、EFEMP1/SERPINB9又はEFEMP1/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
g)PHA1/ASS1、EPHA1/CKB、EPHA1/CNMD、EPHA1/COCH、EPHA1/FGFR1、EPHA1/FST、EPHA1/OLFML3、EPHA1/SERPINB9又はEPHA1/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
h)EXTL2/ASS1、EXTL2/CKB、EXTL2/CNMD、EXTL2/COCH、EXTL2/FGFR1、EXTL2/FST、EXTL2/OLFML3、EXTL2/SERPINB9又はEXTL2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
i)FBLN2/ASS1、FBLN2/CKB、FBLN2/CNMD、FBLN2/COCH、FBLN2/FGFR1、FBLN2/FST、FBLN2/OLFML3、FBLN2/SERPINB9又はFBLN2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
j)FGF2/ASS1、FGF2/CKB、FGF2/CNMD、FGF2/COCH、FGF2/FGFR1、FGF2/FST、FGF2/OLFML3、FGF2/SERPINB9又はFGF2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
k)FUCA2/ASS1、FUCA2/CKB、FUCA2/CNMD、FUCA2/COCH、FUCA2/FGFR1、FUCA2/FST、FUCA2/OLFML3、FUCA2/SERPINB9又はFUCA2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
l)GALNT1/ASS1、GALNT1/CKB、GALNT1/CNMD、GALNT1/COCH、GALNT1/FGFR1、GALNT1/FST、GALNT1/OLFML3、GALNT1/SERPINB9又はGALNT1/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
m)GGH/ASS1、GGH/CKB、GGH/CNMD、GGH/COCH、GGH/FGFR1、GGH/FST、GGH/OLFML3、GGH/SERPINB9又はGGH/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
n)HEXB/ASS1、HEXB/CKB、HEXB/HEXB/CNMD、HEXB/COCH、HEXB/FGFR1、HEXB/FST、HEXB/OLFML3、HEXB/SERPINB9又はHEXB/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
o)IGFBP4/ASS1、IGFBP4/CKB、IGFBP4/CNMD、IGFBP4/COCH、IGFBP4/FGFR1、IGFBP4/FST、IGFBP4/OLFML3、IGFBP4/SERPINB9又はIGFBP4/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
p)NID1/ASS1、NID1/CKB、NID1/CNMD、NID1/COCH、NID1/FGFR1、NID1/FST、NID1/OLFML3、NID1/SERPINB9又はNID1/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
q)NPTX2/ASS1、NPTX2/CKB、NPTX2/CNMD、NPTX2/COCH、NPTX2/FGFR1、NPTX2/FST、NPTX2/OLFML3、NPTX2/SERPINB9又はNPTX2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
r)NTS/ASS1、NTS/CKB、NTS/CNMD、NTS/COCH、NTS/FGFR1、NTS/FST、NTS/OLFML3、NTS/SERPINB9又はNTS/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
s)PCDHB5/ASS1、PCDHB5/CKB、PCDHB5/CNMD、PCDHB5/COCH、PCDHB5/FGFR1、PCDHB5/FST、PCDHB5/OLFML3、PCDHB5/SERPINB9又はPCDHB5/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
t)SEMA3A/ASS1、SEMA3A/CKB、SEMA3A/CNMD、SEMA3A/COCH、SEMA3A/FGFR1、SEMA3A/FST、SEMA3A/OLFML3、SEMA3A/SERPINB9又はSEMA3A/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
u)SEMA3F/ASS1、SEMA3F/CKB、SEMA3F/CNMD、SEMA3F/COCH、SEMA3F/FGFR1、SEMA3F/FST、SEMA3F/OLFML3、SEMA3F/SERPINB9又はSEMA3F/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
v)SFRP2/ASS1、SFRP2/CKB、SFRP2/CNMD、SFRP2/COCH、SFRP2/FGFR1、SFRP2/FST、SFRP2/OLFML3、SFRP2/SERPINB9又はSFRP2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
w)TIMP4/ASS1、TIMP4/CKB、TIMP4/CNMD、TIMP4/COCH、TIMP4/FGFR1、TIMP4/FST、TIMP4/OLFML3、TIMP4/SERPINB9又はTIMP4/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
x)TNFRSF8/ASS1、TNFRSF8/CKB、TNFRSF8/CNMD、TNFRSF8/COCH、TNFRSF8/FGFR1、TNFRSF8/FST、TNFRSF8/OLFML3、TNFRSF8/SERPINB9又はTNFRSF8/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す、
y)WFDC2/ASS1、WFDC2/CKB、WFDC2/CNMD、WFDC2/COCH、WFDC2/FGFR1、WFDC2/FST、WFDC2/OLFML3、WFDC2/SERPINB9又はWFDC2/STOM、各対について、相対存在量の減少は多能性の喪失を示す。
本明細書で説明されるように、基準値を参照することによって言及される減少又は増加。
上記に示した異なる実施形態では、上記の1つのグループからの1つ以上の対の相対タンパク質存在量が測定され、例えば、グループaからの1対、2対、3対、4対、5対、6対、7対、8対、9対、10対、11対、12対、13対、14対、15対若しくは16対又はグループb)~y)のいずれかからの1対、2対、3対、4対、5対、6対、7対、8対若しくは9対が、それぞれ測定される。
別の実施形態では、当該方法は、異なるグループから選択される1対、2対又はそれより多い対、例えばグループa)~y)のそれぞれから選択される1対、2対若しくはそれより多い対又はグループa)~y)の組み合わせから選択される1対、2対若しくはそれより多い対の相対タンパク質存在量を測定することを含む。
1つの実施形態では、グループa)から選択される1対、2対又はそれより多い対は、グループb)~y)の1つ以上から選択される1対、2対又はそれより多い対と一緒に測定される。
1つの実施形態では、上記の対のすべてが測定される。従って、当該方法は、多重法であることができる。
当業者であれば、上記の対が、タンパク質X(例えばNTS)を分子とし、タンパク質Y(例えばASS1等のE6マーカー)を分母として示されることを理解するであろう。本発明は、このように分子及び分母を指定することに限定されるものではなく、タンパク質Y/タンパク質Xを測定することにより、これらの対の相対存在量を異なって測定することも勿論可能である。
別の態様では、本発明は、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質の絶対存在量を測定し、この絶対存在量を基準値と比較することに関する。例えば、少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、24種、25種、26種、27種、28種、29種、30種、31種、32種又は33種のタンパク質の存在量を測定することができる。
1つの実施形態では、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、CHGA、NID1、NPTX2及び/又はSEMA3Aの絶対存在量が測定される。これらのタンパク質の絶対存在量は、図6に示されている。例えば、COCH、FGFR1、FST、OLFML3の絶対存在量は、多能性培養物と比較して多能性を喪失した培養物において高く、CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aの絶対存在量は、多能性培養物と比較して多能性を喪失した培養物において低い。
APP、ADAMTS8、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT1、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及びWFDC2の絶対存在量は、多能性を失った培養物と比較して、多能性を有する培養物において高い(図33~図35を参照)。ASS1 CKB、CNMD、SERPINB9、Coch FGFr1、FSt及びOLFML3及びSTOMの絶対存在量は、多能性培養物と比較して多能性を喪失した培養物において高い(図36を参照のこと)。
別の実施形態では、当該方法は、上記のように相対タンパク質存在量を測定し、加えて、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A、ASS1、CKB、CNMD、SERINB9、STOM、APP、B3GNT7、EFEMP1、EPHA1M、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT1、GGH、HEXB、IGFBP4、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SRP2、TIMP4、TNFRSF8、WFDC2及び/又はADAMTS8のうちの1つ以上の絶対的なタンパク質存在量を測定することを含む。別の実施形態では、当該方法は、上記のように相対タンパク質存在量を測定し、加えて、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、CHGA、NID1、NPTX2及び/又はSEMA3Aのうちの1つ以上の絶対タンパク質存在量を測定することを含む。
当該方法は、試験タンパク質又は試験タンパク質対の相対存在量又は絶対存在量の基準値を決定する工程を含んでもよい。この工程は、幹細胞培養物の多能性状態を判断する方法の最初の工程として、上記方法細胞が培養され基準値が決定されるように、当該方法の最初の工程を形成してもよい。この工程に続いて、次に、試験用幹細胞培養物aを評価することができる。これは、基準培養物と同じ培養物であってもよいが、その後、多能性喪失を評価するために24時間、48時間又は72時間等の時間にわたって評価されるものである。本明細書で説明するように、基準値は、多能性細胞培養物において決定されてもよい。
上記に挙げたタンパク質は、すべて細胞のセクレトームの一部であり、すなわち、それらは、細胞外に輸送されるか、又は細胞外膜に存在する。従って、タンパク質又はそのペプチド部分は、培養培地中で測定することができる。
幹細胞は培養培地中にあってもよく、本明細書で上述したようなタンパク質の存在量は、培養培地中のタンパク質の存在量であってもよい。有利には、上記タンパク質は、細胞によって培養培地中に分泌又はその他の方法で放出されるので、使用済み培養培地を、当該方法によって評価することができる。
培養培地は、幹細胞を播種してから12時間、24時間、48時間及び/又は72時間以上、例えば4日、5日、6日、7日、8日、9日又は10日後等、一定の時間間隔で評価されてもよい。代替的に又は追加的に、培養培地は、成長条件を変更してから12時間、24時間、48時間及び/又は72時間以上、例えば4日、5日、6日、7日、8日、9日又は10日後に評価されてもよい。培養培地は、代替的に、連続的に、例えば12時間、24時間、48時間及び/又は72時間以上、例えば4日、5日、6日、7日、8日、9日又は10日間評価されてもよい。
当業者には、タンパク質の存在量は、タンパク質の同定及び定量に使用される多くの手段によって評価されてよいことが明らかであろう。例えば、タンパク質の存在量は、質量分析(MS)によって評価されてもよい。マーカータンパク質は、ゲル電気泳動(例えば、ウエスタンブロット又は二次元ゲル電気泳動)、デンシトメトリー(濃度測定)、蛍光、ルミネセンス、及び/又は放射活性を含むプロセスによって定量化されてもよい。
代替的に又は追加的に、タンパク質の存在量は、抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv断片(scFv)又は単一ドメイン抗体(例えばVH若しくはVHHドメイン)又は抗体模倣タンパク質を含む1種以上の抗体によって評価される。多能性培養物における多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を評価するように、多くの既存の研究キットを適合させることができることも明らかであろう。例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/又は類似の技術は、タンパク質の存在量を評価するために採用することができよう。
関連する態様では、本明細書で上述したような方法は、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失、安定した多能性状態の回復、又は実際に安定した健全な多能性培養物の成長の継続を検出することにおいて使用するためのものであってよい。
さらなる関連する態様では、本明細書に記載される方法は、多能性培養物における多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を回復することにおいて使用するためのものであってよい。この態様では、当該方法は、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失について細胞を評価するために用いられ、そのような喪失が判断された場合、その細胞を多能性の望ましい状態に回復させるように細胞に改善剤を提供する(及び/又は行動をとる)ことができ、それによって多能性はその後、上述のような方法を用いて評価される。さらなる関連する態様では、本明細書に記載される方法は、細胞培養物中のPSCを検出することにおいて使用するためのものであってもよい。
PSC細胞を多能性状態に維持する方法であって、そのPSC細胞を、以下のタンパク質、APP、ADAMTS8、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2FUCA2、GALNT1、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8、WFDC2、CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aのうちの1つ以上をより高いレベルで発現させることを含む方法。
本発明のさらなる態様によれば、PSCを成長させる方法であって、
a)成長培地にPSCを播種し、その細胞を、成長を可能にするのに有効な条件下でインキュベートする工程と、
b)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOM、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/又はWFDC2のタンパク質又は列挙されたタンパク質のうちの2つから選択されるタンパク質対の1つ以上の個別の存在量及び/又は相対存在量の変化について、成長培地を試験する工程
を含み、上記変化した個別の存在量及び/又は相対存在量は、上記細胞の多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示唆する方法が提供される。
を含む方法が提供される。
本発明の関連する態様では、細胞は、多能性の喪失を阻止するために1つ以上の薬剤を添加するか、又は多能性の喪失を阻止するための改善措置をとることにより、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失から回復される。
多能性は、細胞の継代培養、及び/又は新鮮な培地への培養培地の交換、及び/又は多能性の喪失を阻止若しくは逆転させるための1つ以上の薬剤の使用によって回復されてもよい。
本発明のさらなる態様によれば、多能性幹細胞培養物の多能性状態を評価するための部品のキットであって、
a)以下のタンパク質、ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOM、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/又はWFDC2の1つ以上に結合する、若しくはその他の方法で検出することができる1つ以上の成分、並びに任意に
b)上記1つ以上の成分と上記1つ以上のタンパク質との結合及び/又は検出を定量するための手段、例えば抗体又は抗体断片
を含む部品キットが提供される。
当該キットは、細胞が多能性状態にあるときに細胞培地中に予想されるタンパク質の定量値又はタンパク質存在量を表す対照を含んでいてもよく、使用者が自身の培養系における多能性細胞のベースライン値を確立して当該方法の適用性及び精度を高めることが可能であるようになっていてもよい。
上記1つ以上の成分と上記1つ以上のタンパク質との定量的な結合を検出するための手段はさらに、1つ以上のタンパク質が試料中で増加しているか減少しているかを示してもよい。
当該キットは、1種、2種又はそれより多い、例えば1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、24種、25種、26種、27種、28種、29種、30種、31種、32種又は33種の別々のタンパク質と結合できる1つ、2つ又はそれより多い成分を含んでいてもよく、定量的な結合を検出するための手段はその2つ以上の成分とその2種の別々のタンパク質との定量的結合を検出する。好ましくは、当該キットは、ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOMから選択される第1のタンパク質に結合できる第1の成分と、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/又はWFDC2から選択される第2のタンパク質に結合できる第2の成分を含むであろう。
定量的結合を検出するための手段は、2つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/又は相対存在量を計算できるように、2つ以上の別々のタンパク質の各々の相対的な量を示してもよい。
当該キットは、その成分が使用済みの又は条件付けられた(馴化された)成長培地(若しくはその画分)と混合されることを可能にするように、1つ以上の反応容器をさらに含んでもよい。
上記1つ以上の成分は、抗体又はその抗体断片等を含んでもよい。
当該キットは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/又は類似の技術を含んでもよい。
当該キットは、質量分析を用いてタンパク質を検出することにおける使用に適した成分を含んでいてもよい。
一態様では、当該キットは、多能性幹細胞培養物の使用済みの又は条件付けられた成長培地中の多能性幹細胞培養物の多能性状態を評価することにおいて使用するためのものであってもよい。
上述の開示は、本発明の製造及び使用の方法並びにその最良の態様を含む、本発明の範囲内に包含される主題の一般的な説明を提供するが、以下の実施例は、当業者が本発明をさらに実施することができ、その完全な書面による説明を提供するために提供されるものである。しかしながら、当業者は、これらの実施例の具体的な内容は、本発明を限定するものとして読むべきではなく、本発明の範囲は、本開示に添付された請求項及びその均等物から理解されるべきであると理解するであろう。本発明の様々なさらなる態様及び実施形態は、本開示の観点から当業者には明らかであろう。
配列データベース識別子への言及を含め、本明細書で言及されたすべての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特段の記載がない限り、配列データベース識別子が参照される場合、バージョン番号は1である。本明細書で使用される「及び(並びに)/又は(若しくは)」は、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれについて、他方を含むか含まないかの具体的な開示として解釈されるものとする。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBのそれぞれについて、それぞれが本明細書に個別に記載されているのと同様に、具体的な開示とみなされるものとする。
文脈と矛盾しない限り、上記に記載された特徴の説明及び定義は、本発明の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載されるすべての態様及び実施形態に等しく適用される。
本発明はさらに、以下の実施形態に関する。
1. 以下のタンパク質、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及び/若しくはWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)の1つ以上の個別の存在量並びに/又は相対存在量を決定することにより、多能性幹細胞培養物の多能性状態を評価する方法。
2. 多能性が、以下のタンパク質、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、クロモグラニンA(CHGA)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、及び/若しくはセマフォリン3A(SEMA3A)の1つ以上の個別の存在量並びに/又は相対存在量を決定することにより評価される実施形態1に記載の方法。
3. 上記1つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/又は相対存在量を、その1つ以上のタンパク質の既知若しくはベースラインの個別の存在量及び/又は相対存在量と比較することを含む実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
4. 上記1つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/若しくは相対存在量の増加又は減少が、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示す実施形態1から実施形態3のいずれか1つに記載の方法。
5. ベースラインの個別の存在量及び/又は相対存在量を決定することを含む実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の方法。
6. 上記ベースラインの個別の存在量及び/又は相対存在量が、多能性を示す細胞の個別のタンパク質存在量及び/若しくは相対タンパク質存在量並びに/又はセクレトームを評価することによって決定されてもよい実施形態5に記載の方法。
7. 上記ベースラインからの個別の存在量及び/又は相対存在量の偏差が、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示すことができる実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
8. 上記タンパク質のうちの2つ以上の個別の存在量及び/又は上記タンパク質のうちの2つ以上の間の相対存在量を決定することを含む実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の方法。
9.上記方法が、上記2つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/又は上記2つ以上のタンパク質間の相対存在量を決定することを含み、第1のタンパク質は、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)を含む第1の組のタンパク質から選択され、第2のタンパク質は、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及び/又はWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)を含む第2の組のタンパク質から選択される実施形態8に記載の方法。
10. 好ましくは、第1のタンパク質が、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)及びオルファクトメジン様3(OLFML3)を含む第1の組のタンパク質から選択され、第2のタンパク質が、クロモグラニンA(CHGA)、ナイドジェン1(NID-1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、及び/又はセマフォリン3A(SEMA3A)を含む第2の組のタンパク質から選択される実施形態9に記載の方法。
11. 上記個別のタンパク質存在量及び/又は上記相対タンパク質存在量が、多能性の喪失若しくは多能性の潜在的な喪失、及び/又は多能性の回復を示してもよい実施形態1から実施形態10のいずれか1つに記載の方法。
12. 上記2つ以上のタンパク質間のベースラインの相対存在量が決定される実施形態8から実施形態11のいずれか1つに記載の方法。
13. 上記2つ以上のタンパク質間のベースライン相対存在量が、多能性を示す細胞の個々の相対タンパク質存在量及び/又はセクレトームを評価することによって決定されてもよい実施態様12に記載の方法。
14. 上記ベースラインからの偏差が、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示す実施形態12又は実施形態13に記載の方法。
15. 個別のタンパク質存在量及び/又は相対タンパク質存在量が、多能性の喪失及び/又は多能性の潜在的な喪失及び/又は多能性の回復を示す実施形態1から実施形態14のいずれか1つに記載の方法。
16. 多能性幹細胞が培養培地中に存在する実施形態1から実施形態15のいずれか1つに記載の方法。
17. 上記タンパク質の存在量が、培養培地中の上記タンパク質の存在量である実施形態1から実施形態16のいずれか1つに記載の方法。
18. 上記培養培地が、多能性幹細胞を播種してから72時間後に評価される実施形態1から実施形態17のいずれか1つに記載の方法。
19. 上記培養培地が一定の時間間隔で又は連続的に評価される実施形態1から実施形態18のいずれか1つに記載の方法。
20. 上記タンパク質の存在量が質量分析(MS)によって評価される実施形態1から実施形態19のいずれか1つに記載の方法。
21. 上記タンパク質の存在量が、1つ以上の抗体によって評価される実施形態1から実施形態20のいずれか1つに記載の方法。
22. 上記タンパク質の存在量が、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/又は類似の技術によって評価される実施形態21に記載の方法。
23. 多能性の喪失若しくは多能性の潜在的な喪失及び/又は安定した多能性状態の回復を検出することにおいて使用するための実施形態1から実施形態22のいずれか1つに記載の方法。
24. 多能性幹細胞における多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を回復することにおいて使用するための実施形態1から実施形態22のいずれか1つに記載の方法であって、当該方法は、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失について上記細胞を評価するために用いられ、そのような喪失が判断された場合、その細胞を多能性の望ましい状態に回復させるように細胞に改善剤を提供することができ、かつ/又は改善処置を取ることができ、それによって多能性がその後、実施形態1から実施形態22のいずれか1つに記載の方法を用いて評価される方法。
25. 多能性幹細胞を成長させる方法であって、
a)成長培地に多能性幹細胞を播種し、その細胞を、成長を可能にするのに有効な条件下でインキュベートすることと、
b)以下のタンパク質、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及び/若しくはWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)の1つ以上の個別の存在量並びに/又は相対存在量の変化について上記成長培地を試験することと
を含み、上記個別の存在量及び/又は相対存在量の変化は、上記細胞の多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示唆する方法。
26. 上記1つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/若しくは相対存在量を、予め決定されたベースラインと比較すること、又は上記ベースラインを確立することを含む実施形態25に記載の方法。
27. 多能性の喪失を阻止するために1つ以上の薬剤を添加すること、又は多能性の喪失を阻止するための改善措置をとることによって、上記細胞が多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失から回復される実施形態25又は実施形態26に記載の方法。
28. 細胞の継代培養、及び/又は新鮮な培地への培養培地の交換、及び/又は多能性の喪失を阻止するための1つ以上の薬剤の使用によって多能性が回復されてもよい実施形態25から実施形態27のいずれか1つに記載の方法。
本発明は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。
本発明者らは、培養中のヒト幹細胞の健全な多能性状態をモニタリングするための非侵襲的な方法を開発することを目的として、培養した胚性幹細胞(Man-13)及び人工多能性幹細胞(Rebl.PAT)の使用済み培地のプロテオーム分析を実施した。細胞をE8培地で成長させて多能性を維持し、次いでE6培地(同一であるが成長因子FGF2及びTGFβを欠く)に48時間移し、多能性の早期無指向性解消を再現した。48時間の成長因子飢餓の後、条件培地(馴化培地)を回収し、LC-MS/MSで分析した。本発明者らは、両細胞株における多能性の早期喪失に関連する明確なプロテオミクス的足跡、及びトランスクリプトームの変化との強い相関を特定した。多能性喪失の迅速な診断に利用されてもよいように、多能性状態と一貫した相関を示す信頼性の高いタンパク質バイオマーカーを複数特定した。加えて、新しい対になったタンパク質の比率の測定基準を開発することにより、分泌タンパク質の定量に機能的な正規化法がないことを克服しようとした。本発明者らは、同じ刺激に反応して増加又は減少するタンパク質は、他の正規化基準よりも互いに対してより一貫して検出可能に変化すると仮定した。本発明者らは、4種類のE8濃縮タンパク質と4種類のE6濃縮タンパク質が、両細胞株で2つの細胞状態を一貫して確実に区別する16種のタンパク質対比を与えることを明らかにし、さらに3つの細胞株でウエスタンブロット法により確認した。さらに、48時間E6で培養した細胞を7日間E8に戻すと、健全なレベルの多能性が回復し、セクレトーム中の多能性関連マーカーの比率がこれを反映していることを明らかにした。これらのタンパク質マーカーを将来的に使用するための検証をさらに進める作業により、多能性幹細胞の状態を迅速に定量的に読み取り、幹細胞産物を犠牲にすることなく回復可能な段階で培養品質の劣化を早期に警告することができるようになる。
ヒト多能性幹細胞(hPSC)を用いたアプローチを含む再生医療の臨床的可能性は、他の追随を許さないものの、有望な治療法をスケーラブルで再現性の高い商業的プロセスに移行させるには大きなハードルが存在する。特に、hPSCを多能性状態に維持することは、困難で手間がかかることが判明している。SelecT(TAP biosystems - ハーフォードシャー、英国)、Freedom EVO(TECAN Trading AG、スイス)システムの開発、又は東京エレクトロン(京都、日本)によって開発された技術等によって、高品質のPSCの培養及び増殖の自動化が進んでいるが、あらゆる規模のPSC培養において克服すべき課題として残っているのは、多能性培養物のための迅速で再現性があり非侵襲的かつ定量的な測定基準がないことである。
最も一般的に使用されている技術は、いずれもPSC製造に使用するには大きな欠点がある。例えば、コアとなる多能性転写因子及び細胞表面マーカーを評価するために免疫蛍光法を使用すると、培養物全体の多能性の初期喪失を正確に拾うことができず、むしろ個々の細胞における比較的遅い多能性の喪失を拾い上げる。免疫蛍光法は不正確でもあり、非定量的でもあるため、製造プロセスに組み込むことができず、検査した細胞は培養から失われてしまう。多能性マーカーの喪失を特定するためにフローサイトメトリを使用すると、大きいランのばらつきが見られ、しかも同じく細胞産物を犠牲にしてしまう。現在、利用できる最も定量化可能な多能性の測定基準は、Pluri-test[3]及びScoreCard[4]等の細胞に対するRNAベースのアッセイ、又はテラトーマアッセイ[5]である。しかしながら、これらの測定基準は現在のところ費用対効果が高くはなく、細胞産物を犠牲にする必要があり、リスクのある培養物に対して結果を提供するには時間がかかりすぎ、そのため、そのような細胞は結果が出るまでに永久に損なわれてしまう可能性が高い。研究者が現在持っている最も迅速で費用対効果の高いツールは、細胞形態の分析であるが、しかしながら、これは本質的に主観的なものである。PSCの形態学的特徴を自動化し、定量化する試みがなされているが[6、7]、多能性を測定する方法としては、依然として低分解能のままである[8]。従って、多能性のごく初期の喪失を拾い上げることができる便利な定量的アッセイは存在しない。
これらの制限に対処するため、本発明者らは、潜在的な多能性の喪失が始まってから48時間以内に使用済み培養培地中で特定できる分泌タンパク質バイオマーカーを特定しようとした。hPSCのセクレトームは過去に研究されているが[9~13]、多能性状態及びその喪失を示唆する培地中のタンパク質を特定することを目的とした比較研究はまだ存在しない。hPSCは、その自己再生のために、FGF-2及びTGFβのファミリーのメンバーの下流のシグナル伝達経路に依存することがよく確立されている[14~16]。標準的なhPSC培養培地からこれらの成長因子を除去した後は、細胞は系統分化の前提条件である強固な制御多能性ネットワークを失う[17]。それゆえ、本発明者らは、培地からFGF-2及びTGFβを除去することを用いて培養物の劣化を再現し、細胞産物の救出が可能なうちに使用済み培地において検出できるタンパク質バイオマーカーを特定することを目指した。本発明者らは、条件培地のLC-MS/MSを使用して、セクレトーム中の4つのE8濃縮タンパク質及び4つのE6濃縮タンパク質を特定し、これらは健全な又は不安定な多能性培養物を強く示唆するものである。加えて、本発明者らは、E6中で富むタンパク質に対してE8中で富むタンパク質を多重化することにより、多能性解消及び培養物の劣化のごく初期の兆候に対する高感度アッセイの開発につながるような、条件間の変化の規模と確実性を高めることができることを実証する。本発明者らはさらに、これらのマーカーの有用性を、E6培養物をE8培地に戻して、本発明者らのマーカータンパク質、及びテラトーマアッセイの両方によって判定されるように多能性の完全な回復を導くことにより、実証する。使用済み培地中のこのような指標は、細胞のサンプリング及び産物の損失を回避しながら培養物の劣化を逆転させるために、スケールアップした培養環境において特に有用であり、簡単な検出アッセイにも順応できる。
結果
FGF2/TGFβ除去から48時間後の多能性喪失は、フローサイトメトリ及び免疫細胞化学(ICC)による検出の限界であった。
HESC(Man-13:[18])及びiPSC(Rebl.PAT:[19])株(総称してPSCと呼ぶ)を多能性維持培地(E8[20])、又は多能性維持因子FGF2及びTGFβ1を欠く同一培地(E6[21])で48時間培養し、その後分析した(図1.A)。以前の研究では、この条件下では、系統特異的マーカータンパク質mRNAは少なくとも4日目までは明確に発現しないが、多能性喪失のマーカーはFGF2/TGFβの喪失後わずか48時間でRNAマイクロアレイにより検出可能であることが示された[17]。それゆえ、この早い時点で多能性の解消の始まりに関連するセクレトームの変化を特定することができるはずであり、培養物をそれらが救出できる時点で特定することができると仮定した。
48時間後、免疫細胞化学(ICC)は、E8とE6の両方の細胞が、E6でNANOG及びTRA160がわずかに減少し、多能性マーカーOCT4とSSEA3がほぼ同等のレベルを呈することを示した(図1B)。SSEA1(初期分化マーカー)はE6でやや高いレベルで観察された(図1B)。フローサイトメトリでも、E6で24時間培養後と48時間培養後の両方で同様の発現パターンが観察され、多能性関連マーカーのNANOGとTRA1-81はE6でごくわずかに減少した(図1C)。
ICC及びフローサイトメトリの両方で、Sox2はFGF2/TGFβ喪失の48時間後に中程度に増加することが観察された。Sox2は多能性関連マーカーであるが、Sox2の発現はSMAD2/3阻害及びFGF2欠乏により増加する[22]。PSCにおけるSox2発現の増加は分化を開始させることができ[23、24]、Sox2は神経外胚葉系へのPSCの特化と分化に重要な役割を持つ[25~27](図1.B、C)。最後に、これらの細胞からのRNAに対してqPCRを行ったところ、Oct4及びNanogは有意な変化を示さず、Sox2が一貫して有意に上方制御された。加えて、Apotox-Gloアッセイ[28]又はNucleoCounter NC-200 Via-1カセットのいずれによっても、条件間の細胞の生存率に有意な変化は観察されなかった(データは示していない)。
これらのデータは、現在のルーチンの測定基準は48時間の成長因子除去後に多能性関連マーカーにおけるいくつかの微妙な変化を識別できるものの、これらは、その試料を高品質の多能性対照と比較した場合にのみ区別可能であり、幹細胞培養の品質劣化を示唆するものとして単独で識別することはほとんど不可能であろうということを示す。
FGF2/TGFβ除去の48時間後にセクレトームにおける一貫した検出可能な変化が観察できる。Man-13細胞及びRebl.PAT細胞を、プロテオーム分析のためにプレーティングする前に、E8培地でビトロネクチンNコートしたT75フラスコで3継代培養した。培地を除去し、交換し、回収した後、図1A並びに材料及び方法に記載されているように、LC-MS/MS用にタンパク質を調製し濃縮した。Rebl.PAT細胞の5生物学的反復×3技術的反復を実施し、ラベルフリー質量分析によってすべて一緒に分析した(図2A)。Man-13試料は、特定されたバイオマーカーがいずれもランのばらつきに強いことを確認するため、2生物学的反復×3技術的反復の2バッチでLC-MS/MSによって分析した(図2A)。48時間の時点における細胞のサブセットも、RNA-Seq分析のために収集し処理した。
条件間の一般的なデータ傾向として、E8培地ではE6に比べて少数のタンパク質が濃縮され(p<0.05)、これらのタンパク質は、E6濃縮タンパク質よりも高い倍率変化を示し、細胞株及び実験反復の間でより一貫性があった(図2A)。タンパク質濃縮の分布は条件によって非対称であり、E6ではE8よりも多くのタンパク質が濃縮されていたが、しかしながらE6ではE8よりも濃縮度が低く、細胞内タンパク質の割合が増加し、試料間の一貫性も低かった(図2B)。
E8で濃縮されたタンパク質は、アミノ酸分泌タグ(SignalP)、非古典的分泌を示唆するアミノ酸配列(SecretomeP)の存在、又は細胞外空間、細胞外ベシクル、細胞表面、又は細胞外領域の細胞成分遺伝子オントロジー(GO)タグによる注釈で識別されるように、主に古典的分泌物であった(図2B)。対照的に、E6で濃縮された(p<0.05)タンパク質のうち、上記の測定基準により古典的な分泌物として特定されたものは少なかった。しかしながら、古典的に分泌されたE6で濃縮されたタンパク質は、他のp<0.05濃縮されたタンパク質よりもより高いレベルの統計的一貫性を示し、これは、これらの変化が、細胞の溶解や漏出のわずかな増加に起因すると考えられるセクレトーム中の細胞内タンパク質のより確率的な濃縮よりも、より生物学的に根ざしている可能性があることを示唆している。
最後に、両細胞株で有意に濃縮されたタンパク質(p<0.05)のGOタームについて、セクレトームを分析した。これらは、E8で濃縮されたタンパク質では「細胞外空間」カテゴリーを最も一般的と特定したのに対し、E6では同じカテゴリーはかなり低く、「膜」及び「細胞外マトリクス」カテゴリーがはるかに上位にランクされていた(図2C)。
条件間のタンパク質及びRNAの存在量の変化の相関性
観察されたプロテオミクス的変化が、単にFGF2/TGFβ1受容体の直下流シグナル環境に限定された一過性の効果ではなく、細胞の多能性状態における根本的変化を示しているか否かを特定するために、セクレトームにおける有意な変化(q<0.05)を、同じ細胞のトランスクリプトームにおける有意な変化(q<0.05)と比較した(図3)。E8細胞とE6細胞との間の有意な変化の方向は、強いタンパク質/RNAの一致を示した(M13R1 r=0.85;M13R2 r=0.78、Rebl.PAT r=0.66)。さらに、RNA/タンパク質の濃縮が一致しない場合、これらのタンパク質は分泌型ではなく、細胞内型であることが一般的であった。
2種のタンパク質の比率マーカー
E8及びE6の培地は共に高濃度のトランスフェリンを有するため、培地中の総タンパク質含有量に対して幹細胞の分泌プロテオームを正規化すると、統計的に不確かで誤差が生じる可能性がある。密度、生存率、成長率の違いによって生じる、条件培地中の総タンパク質含有量に対する細胞及び培地の相対的寄与のわずかな変動は、細胞による一貫した分泌にもかかわらず、分泌タンパク質の正規化された量を大きく変化させることがある(図4A)。
この問題を回避するために、関心のある条件に反応して変化するタンパク質を特定する新しい分析戦略を開発した。すべてのタンパク質を1つの正規化因子と比較するのではなく、複数のタンパク質の対を識別することを目指した。これらの相対存在量は、条件間の正確な識別に使用できた。それぞれの個別の試料内のこれらのタンパク質対の比率を特定することで、総タンパク質存在量が変動する問題を取り除くことができる。というのも、両方のタンパク質が、細胞密度又は同様の細胞の変動によって同じように影響を受けるからである。これは図4に示されており、Rで書かれたスクリプトで、タンパク質のすべての組み合わせの間の存在量の対ごとの比率を計算し、条件間の識別力を持つものを特定する。これらの対が条件を区別する能力は、FDR調整されたp値がq<0.05に達するか否かで判断した。この閾値を超えたタンパク質を特定し、各タンパク質をノード、対の比率をエッジとしたネットワークとして表現した(図5A)。最も相互作用の強いタンパク質を、より厳密な分析のために選択した(図5B~C)。
ウエスタンブロット法によるマーカータンパク質対の確認
すべての分析方法における成功、生物学的関連性、及びRNAレベルの対応する変化に基づいて、8つのタンパク質をウエスタンブロットに選んだ(図5C)。加えて、すべての場合において、選択したタンパク質の相対存在量は、各タンパク質の存在量と個別に比較すると、条件間の統計的な差異を改善することが示された(データは示していない)。各条件で濃縮された4つのタンパク質を選択した結果、両方の細胞株のすべての試料で多能性喪失を診断する16の比率対が得られた(図6)。これらのタンパク質のうち、コクリン(COCH)、FGF受容体-1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)及びオルファクトメジン様3(OLFML3)はE6でE8に比べて増加し、クロモグラニンA(CHGA)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)及びセマフォリン3A(SEMA3A)はE6に比べE8で増加していた。この分析では、Man-13 LC-MS/MSの両ランからのデータがうまくプールされ、これらのマーカー比率が、技術的反復及び生物学的反復だけでなく、異なるラベルフリーLC-MS/MS実験においても一貫していることが確認され、上記マーカータンパク質がランによるばらつきに強いことが示されたことは特筆される。
LC-MS/MSデータにおけるこれらのマーカーの強度に基づき、hESC株Man-1、Man-7、Man-13、H9及びiPSC株Rebl.PATからの条件培地試料(図1Aに記載のように採取)を、これらのマーカータンパク質の相対存在量についてウエスタンブロットによりプローブした(図7)。示した各タンパク質対は、同じ膜上でプローブされ、存在量比はImageJのデンシトメトリーによって計算した。これらのウエスタンブロットから、LC-MS/MSで観察された変化は、異なる遺伝的背景を持つ細胞間で非常に頑健で識別可能であることが確認された。また、複数の系統間、及び異なるタンパク質の組み合わせ間における比率の変化の一貫性は、PSC系統間の初期多能性喪失の判別基準としての当該方法論の一般性を確認するものである。
E6培地で48時間培養した後のタンパク質対の存在量比の回復
多能性喪失が間近に迫り、PSC培養物の品質が低下した場合のアッセイの重要な要素は、細胞が回復可能な状態で培養物品質の劣化を検出する能力である。それゆえ、本発明者らは、上記の実験を繰り返したが、今回は一部の細胞をE6培地で2日間培養した後、E8培地に7日間移し替えた。Man-1細胞を用いると、本発明者らの分析から選択した2対のタンパク質バイオマーカー(OLFML3-NID1及びFST-NPTX2)の比率が、E8回復の7日後に多能性レベルに戻ることが明らかになった(図8A、B)。さらに、E6で48時間培養し、E8培地で7日間回復させた細胞もテラトーマを形成することができ(図8B)、3つの胚葉すべての組織への分化が実証された。このことは、これらの細胞の多能性がE6での48時間後に完全に回復することを示唆するだけでなく、本発明者らのマーカータンパク質がこの回復をしっかりと追跡できることを示唆している。これは、観察される変化が単に成長因子の消失直後の分子マーカーではないことを確認する。上記タンパク質は数日かけてベースラインに戻るのであり、FGF2及びTGFβ1が回復するとすぐに戻るのではない。従って、多能性の喪失がこれらの初期マーカーの変化によって認識される時点では、培養物はまだ回復可能である。
考察
本研究では、本発明者らは、多能性幹細胞培養物の劣化に関わる分泌型の初期マーカータンパク質として機能する一連のタンパク質を特定した。このマーカータンパク質の長いリスト(図5Bのネットワークに要約されている)のうち、ウエスタンブロットでさらに分析するための8つのタンパク質の短いリストを特定した。これらのプロテオームの変化は、遺伝子転写の変化にも反映されていた。
マーカータンパク質の生物学的関連性
hESC株及びiPSC株の両方のプロテオームは、過去に様々な質量分析技術によって研究されてきたが[9~12]、これらの細胞のタンパク質セクレトームについては、ほとんど研究されていない[13]。本発明者らは、LC-MS/MS及びバイオインフォマティクス解析の組み合わせを用い、ウエスタンブロット法で確認することにより、健全な多能性幹細胞又は早期(48時間)の多能性解消解離を示唆するセクレトーム中のいくつかのマーカーを特定した。重要なことは、これらのセクレトームマーカーは、LC/MSによる分析のために選択されたiPS株及びhESC株Rebl.Pat及びMan13以外のhESC株で独立して検証されたことである。さらに、E6で48時間培養した後でE8に戻した細胞は回復し、再び多能性状態と相関するセクレトームマーカータンパク質を発現することも示された。
膜貫通型FGF2受容体FGFR1は、多能性解消についての最も高い発現量を示した分泌型マーカーの1つであった。E6条件培地中のFGFR1の発現量が増加したことを説明するには、いくつかの可能性がある。まず、FGFR1は、MMP2によるその膜隣接細胞外ドメインの切断により、細胞外空間に放出されることが知られている[29]。FGFR1タンパク質は基質結合時に細胞によってエンドサイトーシスされ、リソソームで分解されるため[30~32]、FGF2の存在量が減少すると、FGFR1の表面存在量が増加し、それに伴って表面メタロプロテイナーゼによって切断されるFGFR1の量も増加する可能性は十分にある。実際、本発明者らのプロテオミクス研究でE6条件下で有意に増加したと特定されたFGFR1ペプチドの大部分は、想定されるMMP2切断部位のN末端であった。FGFR1の細胞外領域の分泌型がFGF2活性を阻害することが以前に報告されているので[33]、FGF2欠損培地におけるFGFR1の蓄積は、残存するFGF2シグナル伝達をさらに阻害するのではないかと推測される。
実際、E6で濃縮されたタンパク質バイオマーカーの生物学的機能は、分化を誘発された細胞が、成長因子と結合して調節する因子を培地に放出し、FGF2及びTGFβ1等の多能性促進因子を隔離してその局所利用率を下げ、他の分化促進因子のシグナル伝達を増強するという仮説と一致する。これは、元の多能性解消シグナルのフィードフォワード増幅を発生させる。フォリスタチンは周知の幹細胞分化因子であり、TGFβスーパーファミリーのメンバーと結合して中和することで機能するTGFβ阻害剤である[16]。同様に、OLFML3もE6で濃縮されるが、これはBMP4と結合してこれを安定化し、内皮細胞におけるSMAD1/5/8シグナル伝達を増強することが示されている[34]。BMP4はFGFの不存在下でヒト胚性幹細胞から栄養膜細胞への分化を開始することから[35~37]、FGF2/TGFβ喪失後48時間以降、これらの細胞は近傍細胞で分化を促進し、それらをこの状態に付する因子を分泌すると結論づけることができよう[38]。
軸索誘導に関与するニューロンシグナル伝達タンパク質であるSEMA3Aは、セクレトミクス及びRNAseqの両方でE8状態に非常に濃縮されており、その膜貫通型受容体であるNRP1はE6トランスクリプトームで非常に濃縮(q<0.01)される[39~41]。NRP1もFGF2及びTGFβの両方に結合し、それらのシグナル伝達を調節していることから、これは重要なことである。HUVEC細胞では、NRP1の発現が増加するとTGFβ-β刺激によるSmad2/3の活性化が抑制され、TGFβに応答するSMAD標的遺伝子の発現がNRP1欠損HUVEC細胞で増加することが実証されており[42]、この関係はマウス内皮細胞においてインビボで再現されている[43]。NRP1は非常に無差別の(プロミスキャスな)受容体であるため、リガンドはNRP1との結合を巡って競合する[44]。SEMA3AとVEGFA[44]との間、及びVEGFAとTGFβ[45]との間にリガンド競合が存在することが明らかにされている。このことを確認する実験的証拠が必要であるが、これはSEMA3AがTGFBの隔離及びNRP1による負の調節を防ぐ方法でNRP1の結合についてTGFβと競合する可能性を示唆する。
CHGAは、いくつかの神経内分泌シグナル伝達タンパク質の前駆体タンパク質である。CHGA分子全体からのペプチドは、E6条件培地よりもE8条件培地に高度に濃縮されていることがほぼ共通に特定された。しかしながら、多能性状態との関連は不明である。一般に、CHGAは分泌顆粒の形成及び放出を促進する[46、47]と言われており、多能性解消中の幹細胞におけるその存在量の減少は、全体の分泌量の減少を反映している可能性がある。このことは、E6と比較してE8条件培地で特定された分泌タンパク質の数が多いことと矛盾しないであろう(図2B)。
NID1は分泌型糖タンパク質であり、柔軟な鎖で隔てられた2つの主要なタンパク質結合ドメイン(G2及びG3)を持つ[48]。NID1は、基底膜の異なる成分とドメイン特異的に結合することにより、基底膜の複数の成分を架橋し基底膜を安定化させている[49、50]。NID1は、機械的ストレスに対するさらなる弾力性が必要な場所に多く存在し、逆に柔軟性が必要な場所や組織の性質が固定されていない場所ではあまり存在せず[51]、例えば基底膜が分解されるときに活発に分解される[52]。プロテオミクス分析により、NID1は、hESCによってかなりの量で発現されることが明らかにされている[13、53]。今回のデータでは、E8と比較してE6培地ではNID1の存在量が劇的に減少していることが観察される。NID1は基底膜に対して安定化効果を有することから、多能性幹細胞から初期前駆細胞への移行に特有の上皮間葉転換の前に存在量が減少している可能性がある。これは、多くの細胞外マトリクス複合体の分解を伴うことになる。卵巣癌細胞では、ナイドジェンがこのEMT転換に重要な役割を果たす[54]。
COCHは分泌されることが公知であるが[55]、内耳の細胞外マトリクスでの役割を超えるその機能については、比較的ほとんど知られていない[56]。マウスES細胞では、COCHはBMP4シグナル伝達に応答して発現することが報告されており、これは自己再生をサポートすることが示唆された[57]。本発明者らの研究では、COCHはE8培地で増強される。ヒトとマウスとの間でのESCの多能性状態の分子的な違いは、マウスのESCの表現型が早くナイーブであり、ヒトのESCの表現型が後にプライムされたものであることを反映していると考えられており[58]、これは、マウス及びヒトの幹細胞維持に必要なシグナル伝達の違いに関する多くのデータによって支持されている[14、15、59、60]。従って、BMPシグナル伝達はhESCとマウスESCとで異なる効果を持ち、後者では幹細胞維持に活性がある[36、60]。BMPシグナル伝達はhESCの中胚葉系及び栄養外胚葉系への分化に強く関連していることから[35、61~64]、これは、BMPの下流のCOCH等の標的と多能性を解消して初期の系統分化を促進させることとの相関関係と合致すると思われる。
NPTX2は、神経組織においてα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体サブユニットグルタミン酸受容体4(GRIA4)に結合する[65]以外の機能については、ほとんど情報がない。確かにGRIA4の転写物発現もE6よりE8ではるかに高いことは注目に値する[データは示さず]。
対比率法の利点についての考察
これらの分析の注意点は、すべてのセクレトミック研究で遭遇することであるが、条件間の変化を確実に特定するために、どのタンパク質を比較するかに対する適切な正規化標準がないことである。通常、「オミクス」研究では、総タンパク質若しくは総mRNA、又はGAPDH若しくはアクチン等のハウスキーピング遺伝子若しくはハウスキーピングタンパク質に対して正規化する。これらの対照により、条件間又は実験間の信頼性、再現性のある比較が可能になる。しかしながら、細胞プロテオームの分泌された補体を分析する場合、そのようなハウスキーピングタンパク質は存在せず、条件間のタンパク質存在量全体は、培地タンパク質の存在及び濃度、細胞の密度、細胞の生存率の違い、細胞質の漏れ、その他の多くの要因に起因して非常に変動しやすくなっている。本研究では、実験条件間の識別性を高める比率を提供するために、互いに多重化できるマーカータンパク質を特定した。細胞セクレトームにおける他の変化にかかわらず、これらのタンパク質の相対存在量は、個々の遺伝的背景の中で比較的一定であるはずだと考えられる。そのため、対照条件下で個々の細胞株のベースライン比が特定されると、これらの比は、感度、価格、迅速な時間スケールにおいて現在のどの方法よりも優れた、培養PSCにおける切迫した多能性喪失の迅速かつ定量的警告を提供すると予想される。
要約すると、PSCのセクレトームには、多能性が消失する過程で急速に減少又は増加するタンパク質が多数存在することが示された。このようなタンパク質を4種類ずつ集めたマトリクスを用いると、安定した多能性又はその初期の喪失を示唆するタンパク質の確実な比率が明らかになった。さらに、このような比率はMS/MSによっても特定され(図9~32)、今後の分析の優れたターゲットとなると思われる。このようなタンパク質は、細胞治療用のPSCのスケールアップ及び製造中、又は医薬品の開発及び毒性試験におけるその使用のための断続的若しくは連続的な培養モニタリングを可能にするマーカーとして、非常に有用であると考えられる。しかしながら、このようなマーカーをモニタリングする費用対効果の高い方法があれば、それらは研究室でも同様に有用であり、どちらの状況でも細胞産物を失うことなく培養状態を迅速に評価することができる。
方法
細胞培養
細胞は、Essential 8(E8)培地(Life Technologies(ライフ・テクノロジーズ))でビトロネクチン-N(Life Technologies)上で維持し、TrypLE解離試薬を用いて継代した。セクレトーム分析のための試料採取に先立ち、10μM Rock阻害剤を24時間添加したE8培地に、75cm培養フラスコ(Corning)に20,000(Rebl.PAT)又は25,000(Man-13)細胞/cmの密度で細胞をプレーティングした。プレーティングから24時間後(実験時間0)、細胞に新鮮なE8培地を与えたか、又は細胞をEssential 6(E6)培地(Life Technologies)に移した。プレーティング後48時間及び72時間(それぞれ実験時間24時間及び48時間)に細胞に供給し、これらの時点で培地を回収し、-9℃で1,000×gで5分間回転させ、次いでlo-bind 2ml遠心管(Eppendorf(エッペンドルフ))に分注し、液体窒素で急速凍結した。プレーティング後72時間(実験時間48時間)に、細胞をTrypLEで解離させ、PBS中で1,000×gで5分間回転させ、上清を除去し、ペレットを液体窒素中で急速凍結した。この時点の細胞のサブセットも回収し、RNA-Seq分析用に処理した。Rebl.PATについては、5つの生物学的反復を実施し、それぞれが3つの技術的反復からなり、すべての試料は1回のランでLC-MS/MSによって分析した。複数の分析にわたって特定されたマーカータンパク質の定量的再現性を確保するために、4つのMan-13生物学的反復が収集され、これらはそれぞれ2つの生物学的反復からなる2つの独立したLC-MS/MSランで分析した。PSC培養物の質の低下に関するアッセイの重要な要素は、細胞が回収可能である間に培養物の質の低下を検出する能力である。上記の実験を繰り返したが、E6で2日間培養した後、細胞をE8培地に戻して7日間培養し、完全な多能性を回復できるか否かを評価した。培地は48時間ごとに新しくし、24時間ごとに条件培地の試料をウエスタンブロットによる分析のために採取した。
多能性マーカーの免疫化学的染色
細胞を24ウェルプレートに20,000(Rebl.PAT)又は25,000(Man-13)細胞/cmの密度で播種し、プロテオーム分析及びRNA-Seq分析用に準備した試料(図1A)と同じように処理した。多能性hESCに特徴的な細胞表面マーカー及び転写因子は、免疫細胞化学を用いて検出した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、ステージ特異的胎児性抗原SSEA-4、SSEA-1、TRA-1-60、TRA-1-81(Abcam(アブカム))及び転写因子SOX2、NANOG(Cell signalling Technologies(セル・シグナリング・テクノロジーズ))、及びOCT-4(BD Biosciences(ビーディー・バイオサイエンシーズ))に対する抗体と4℃で一晩インキュベートした。Q-Imagingカメラ(Micro Imaging Applications Group,Inc(マイクロ・イメージング・アプリケーション・グループ)、バッキンガムシャー(Buckinghamshire)、英国)を搭載したBX51顕微鏡(Olympus(オリンパス)、ハーフォードシャー(Hertfordshire)、英国)を用いて、一次抗体の種及びアイソタイプに特異的で、FITC又はTRITCに結合した二次抗体(Life Technologies)を検出に使用した。画像処理は、Q-Capture Proソフトウェアパッケージ(Micro Imaging Applications Group,Inc)の助けを借りて行った。
フローサイトメトリ
細胞を、各実験でプレーティング時、48時間時点、及び実験のサブセットについては24時間時点で回収した。すべてのフローサイトメトリ分析は、BD LSRFortessa(商標) セルアナライザー(Becton-Dickinson(ベクトン・ディッキンソン)、サンノゼ(San Jose)、カリフォルニア州)で行った。細胞はTrypLE Express(Invitrogen(インビトロジェン))を用いて解離させ、4%パラホルムアルデヒド中で室温、7分間暗所で固定し、5%FBSで2時間ブロックし、氷冷した70%メタノール中で細胞内染色のために透過処理した。使用したすべての抗体は、蛍光色素と直接結合していた。非特異的結合をコントロールするために、各抗体に種と蛍光色素をマッチさせたアイソタイプ対照を使用した。
細胞を、以下の希釈で、室温で30分間一次抗体とともにインキュベートした;フィコエリトリン結合マウスα-TRA 1-81(Ebioscience(イーバイオサイエンス) 12-8883-80) 1:300;フィコエリトリン結合マウスアイソタイプ対照(Santa-Cruz(サンタクルーズ)、SC2870) 1:75;Alexa 488結合マウスα-Nanog(BD Bioscience、BD560791)、1:10;Alexa 488結合マウスアイソタイプ対照(BD Bioscience、BD557702) 1:100;Alexa 647結合マウスα-Sox2(BD bioscience、BD56139) 1:80;Alexa 647結合マウスアイソタイプ対照(BD Bioscience、BD557714) 1:80。フローサイトメトリデータを収集し、FACSDIVA(商標)ソフトウェアで予備処理した後、FlowJo(いずれもBecton-Dickinson、サンノゼ、カリフォルニア州)で分析と図の作成を行った。
プロテオミクス試料の調製
培地試料を、以下の改変を加えた改変フィルター支援試料調製(Filter-assisted Sample Preparation、FASP)法を用いて消化した。この試料を、Microcon - 10kDa遠心フィルターユニット(Merck Millipore(メルクミリポア))を用いて、14,000×gの速度で約50μLに濃縮した。その後、これを100μLの25mM炭酸水素アンモニウムを加えながら3回洗浄及び遠心を行ってバッファ交換し、その後、タンパク質を50μLの25mM炭酸水素アンモニウムで再構成した。タンパク質濃度はMillipore Direct Detect(登録商標) 分光計で決定し、50μg(Man-13)又は25μg(Rebl.PAT)のタンパク質を新しい10kDaフィルターチューブに加え、フィルターチューブを使って還元、アルキル化、及び消化を行った。消化後、ペプチドを遠心分離で回収し、この試料をマイクロプレートシステム上のOLIGO(商標) R3逆相媒体で脱塩し、5%アセトニトリル及び0.1%ギ酸で再構成した。
LC-MS/MS
UltiMate 3000 Rapid Separation LC(RSLC、Dionex Corporation(ダイオネックス・コーポレーション)、サニーベール(Sunnyvale)、カリフォルニア州)とOrbitrap Elite(Thermo Fisher Scientific、ウォルサム(Waltham)、マサチューセッツ州)質量分析計を組み合わせて使用して、消化された試料をLC-MS/MSにより分析した。ペプチド混合物は、250mm×75μm(内径) 1.7mM BEH C18分析カラム(Waters(ウォーターズ))を用いて、0.1%ギ酸中5%から33%アセトニトリルまでのグラジエントを用いて44分間、300nL/分で分離した。ペプチドは、データに応じて自動的にフラグメンテーションの対象として選択された。
ペプチドの特定と定量
取得したMSデータは、Progenesis LC-MS(v4.1、Nonlinear Dynamics(ノンリニア・ダイナミクス))を用いて解析した。各試料の保持時間は、1つのLC-MSランを基準として整列させ、次に「Automatic Alignment(自動アライメント)」アルゴリズムを使用して2次元フィーチャーマップの最大限のオーバーレイを作成し、必要に応じて最小限の手動調整を用いてアライメントスコアを80%以上に増加させた。電荷が+5以上のフィーチャーはマスクされ、3つ以下の同位体ピークを持つフィーチャーと同様に、さらなる分析から除外した。得られたピークリストは、Mascot v2.5.1(Matrix Science(マトリクス・サイエンス))を用いてSwissProt(リリース2016-04)及びTrembl(リリース2016-04)データベースに対して検索した。検索パラメータは、前駆体許容量5ppm、及びフラグメント許容量0.6Daを含んでいた。酵素特異性はトリプシンに設定し、1つの残存の切断部位を許容した。システインのカルバミドメチル修飾は固定修飾とし、メチオニン酸化は可変修飾とした。Mascotの結果を、ペプチドピークのアノテーションのためにProgenesis LC-MSにインポートした。
プロテオミクスデータ処理
Swissprot及びTremblデータ識別名を使用して、Uniprotデータベースから遺伝子名、Uniprotデータ識別名、ペプチド配列、及びEntrezデータ識別名を取得した。UniprotのエントリーにEntrezデータ識別名がないものについては、それらは、オンラインアノテーションデータベースDAVIDで遺伝子名を検索するか、又は遺伝子名及び説明文を用いて手動でキュレーションして特定した。重複するEntrezデータ識別名は、定量信頼度が最も高い(2種類以上のユニークペプチドが存在する、又は信頼度スコアが最も高い)エントリーの保持によって1つのエントリーに統合した。
Figure 2022541174000002
Figure 2022541174000003
Figure 2022541174000004
Figure 2022541174000005
分泌経路
すべてのタンパク質のペプチド配列をSignalP 4.1サーバー[66]にアップロードし、古典的な分泌シグナルペプチド配列を持つタンパク質の割合を特定した。非古典的な分泌は、ペプチド配列をSecretomeP 2.0サーバー[67]にアップロードして特定し、推奨カットオフスコア0.6を使用して非古典的経路で分泌されると思われるタンパク質の割合を定量した。細胞外関連GOタームは、全タンパク質のEntrezデータ識別名をDAVID Bioinformatics Resource 6.8[68]にアップロードして特定し、GOターム(細胞表面、細胞外領域、細胞外空間、細胞外マトリクス、及び細胞外ベシクル)を持つタンパク質についてタンパク質リストを取得した。
統計解析
すべての存在量データをLog2変換し、その分布の正規性を向上させ、統計的検定の検出力を高め、データの非対称性を低減させた。プロテオミクスのp値(ウェルチ(Welch)のT検定)及びq値(ベンジャミニ-ホッホベルク(Benjamini-Hochberg)法による多重比較調整)は、いずれもRの関数t.test()及びp.adjust(method=”fdr”)を用いて算出した。
タンパク質-タンパク質の比率存在量を用いたマーカー特定
細胞多能性への変化を示唆する新規のタンパク質対関係を特定するために、Progenesis信頼度スコアが30を超えるタンパク質のすべての正規化タンパク質存在量データを、すべてのタンパク質のすべての試料についてタンパク質対の組み合わせを計算するカスタムRスクリプトに入力した。E8とE6との間のすべての比率のp値及びFDRを計算した。E8とE6との条件間で非常に有意な変化を示す比率対は、Cytoscape[69]を使用してネットワークとして表現した。他のタンパク質と最も変化したタンパク質対の組み合わせを形成した30個のタンパク質を分離し、それらの相互作用、生物学的機能、及び相対存在量を個別に評価した。
ウエスタンブロット法
MAN-13及びRebl.PATに加え、Man-1、Man-7及びH9等の様々な細胞株からの培地を図1Aに記載したように採取し、3mlの培地をMicrocon - 10kDa遠心フィルターユニット(Merck Millipore)で50~100μlまで濃縮した。試料を、MES SDS Running Buffer(Thermo(サーモ) #B0002)を用いて、Mini Gel Tank(Thermo #A25977)上で10% Bis-Trisゲル(Thermo #NW00100BOX)で広範囲マーカー(11~245KDa、NEB #P7712S)と共に泳動させた。各レーンは20μgのタンパク質を含み、Pierceレーンマーカー還元バッファ(Thermo #39000)中で、95℃で10分間加熱した。ゲルは、IBlot2 Gel Transferデバイス(Thermo #IB21001)を用いて、iBlot 2 Transferスタック(ニトロセルロース膜、Thermo #IB23001)を用いて転写した。細胞は、以下の抗体を用いた免疫ブロット法によって分析した:1/200 マウスα-クロモグラニンA(Novus Biologicalis(ノヴス・バイオロジカルズ)、NBP2-44774);1/100 ウサギα-COCH(Abcam、ab170266);1/500 マウスα-FGFR1(R&D systems(アールアンドディー・システムズ)、MAB658);1/1000 ウサギα-フォリスタチン(Abcam、ab157471);1/1000 ウサギα-エンタクチン/NID1(Abcam、ab133686);ウサギα-神経ペントラキシン2(Abcam、ab191563);1/1000 ウサギα-ニューロテンシン(Abcam、ab172114);1/300 ウサギα-オルファクトメジン様3(Abcam、ab111712);1/500 マウスα-セマフォリン3A(R&D、MAB1250);1/500 マウスα-分泌性Frizzled関連タンパク質2(R&D、MAB6838)。二次抗体染色は、1/20,000 IRDye 800CW ヤギα-マウス、又は1/20,000 IRDye 680RD ロバα-ウサギ(それぞれP/N 925-32210及び925-68071、いずれもLI-COR)を用いて行った。これらの蛍光二次抗体は、Odyssey CLxイメージングシステム(LI-COR)を用いて、通常、ウサギ及びマウスの抗体のペアで一緒にイメージングした。画像の明るさ/コントラストの調整及びデンシトメトリーの定量は、すべてImageJ(NIH)で行った。
TeSR1培地での評価
図38に示すように、Man 13細胞培養物をTeSR1で評価した。この培地はウエスタンブロット法を妨害するHSAを多く含んでいるため、ゲルを泳動にかける前にHSAを除去する必要があった。
図38Aは、この代替の一般的に使用されているTeSR1培地を、50μg、100μg及び200μgの濃度の3つの異なる濃度で示す。NID1及びNPX2はTeSR培地で確認できるが、NID1はHSA抽出後の200μgで泳動した後でしか検出できなかった(これはHSAで一部除去されている可能性がある)。E6培地は、20μgのタンパク質をロードしただけで検出できる。強いフォリスタチンのバンドがあり(これは分化で増加する)、これも分化培地E6で20μgのタンパク質のみを用いて強く検出され、50μgのTESR1よりも強い。
図38B)は、TESR1で成長した細胞並びに24時間及び48時間分化させた後の2レーンを示す。24時間後及び48時間後にフォリスチンが増加している。38A)は、NPTX2が欠損した分化培地(軟骨形成培地)を示す。定量結果は図38Cにあり、これは、TeSR1多能性培地対ステージ1軟骨細胞分化培地で成長した細胞から濃縮した培地中のNPTX2/FST比を示す。
参考文献
1. Trans-Proteomic Pipeline, a standardized data processing pipeline for large-scale reproducible proteomics informatics.
2. Schneider,C.A.、W.S.Rasband、及びK.W.Eliceiri、NIH Image to ImageJ: 25 years of image analysis. Nature Methods、2012. 9(7):671-675頁.
3. Muller,F.J.ら、A bioinformatic assay for pluripotency in human cells. Nat Methods、2011. 8(4):315-7頁.
4. Bock,C.ら、Reference Maps of human ES and iPS cell variation enable high-throughput characterization of pluripotent cell lines. Cell、2011. 144(3):439-52頁.
5. Avior,Y.、J.C.Biancotti、及びN.Benvenisty、TeratoScore: Assessing the Differentiation Potential of Human Pluripotent Stem Cells by Quantitative Expression Analysis of Teratomas. Stem Cell Reports、2015. 4(6):967-74頁.
6. Kerz,M.ら、A Novel Automated High-Content Analysis Workflow Capturing Cell Population Dynamics from Induced Pluripotent Stem Cell Live Imaging Data. J Biomol Screen、2016. 21(9):887-96頁.
7. Perestrelo,T.ら、Pluri-IQ: Quantification of Embryonic Stem Cell Pluripotency through an Image-Based Analysis Software. Stem Cell Reports、2017. 9(2):697-709頁.
8. Smith,D.、K.Glen、及びR.Thomas、Automated image analysis with the potential for process quality control applications in stem cell maintenance and differentiation. Biotechnol Prog、2016. 32(1):215-23頁.
9. Munoz,J.ら、The quantitative proteomes of human-induced pluripotent stem cells and embryonic stem cells. Mol Syst Biol、2011. 7: 550頁.
10. Phanstiel,D.H.ら、Proteomic and phosphoproteomic comparison of human ES and iPS cells. Nat Methods、2011. 8(10):821-7頁.
11. Yamana,R.ら、Rapid and deep profiling of human induced pluripotent stem cell proteome by one-shot NanoLC-MS/MS analysis with meter-scale monolithic silica columns. J Proteome Res、2013. 12(1):214-21頁.
12. Pripuzova,N.S.ら、Development of a protein marker panel for characterization of human induced pluripotent stem cells (hiPSCs) using global quantitative proteome analysis. Stem Cell Res、2015. 14(3):323-38頁.
13. Soteriou,D.ら、Comparative proteomic analysis of supportive and unsupportive extracellular matrix substrates for human embryonic stem cell maintenance. J Biol Chem、2013. 288(26):18716-31頁.
14. Xu,R.H.ら、Basic FGF and suppression of BMP signaling sustain undifferentiated proliferation of human ES cells. Nat Methods、2005. 2(3):185-90頁.
15. Beattie,G.M.ら、Activin A maintains pluripotency of human embryonic stem cells in the absence of feeder layers. Stem Cells、2005. 23(4):489-95頁.
16. Vallier,L.、M.Alexander、及びR.A.Pedersen、Activin/Nodal and FGF pathways cooperate to maintain pluripotency of human embryonic stem cells. J Cell Sci、2005. 118(Pt 19):4495-509頁.
17. Gonzales,K.A.ら、Deterministic Restriction on Pluripotent State Dissolution by Cell-Cycle Pathways. Cell、2015. 162(3):564-79頁.
18. Ye,J.ら、High quality clinical grade human embryonic stem cell lines derived from fresh discarded embryos. Stem Cell Res Ther、2017. 8(1): 128頁.
19. Hammad,M.ら、Identification of polymer surface adsorbed proteins implicated in pluripotent human embryonic stem cell expansion. Biomater Sci、2016. 4(9):1381-91頁.
20. Chen,G.ら、Chemically defined conditions for human iPSC derivation and culture. Nat Methods、2011. 8(5):424-9頁.
21. Lippmann,E.S.、M.C.Estevez-Silva、及びR.S.Ashton、Defined human pluripotent stem cell culture enables highly efficient neuroepithelium derivation without small molecule inhibitors. Stem Cells、2014. 32(4):1032-42頁.
22. Greber,B.ら、Conserved and divergent roles of FGF signaling in mouse epiblast stem cells and human embryonic stem cells. Cell Stem Cell、2010. 6(3):215-26頁.
23. Kopp,J.L.ら、Small increases in the level of Sox2 trigger the differentiation of mouse embryonic stem cells. Stem Cells、2008. 26(4):903-11頁.
24. Boer,B.ら、Elevating the levels of Sox2 in embryonal carcinoma cells and embryonic stem cells inhibits the expression of Sox2:Oct-3/4 target genes. Nucleic Acids Res、2007. 35(6):1773-86頁.
25. Zhao,S.ら、SoxB transcription factors specify neuroectodermal lineage choice in ES cells. Mol Cell Neurosci、2004. 27(3):332-42頁.
26. Thomson,M.ら、Pluripotency factors in embryonic stem cells regulate differentiation into germ layers. Cell、2011. 145(6):875-89頁.
27. Wang,Z.ら、Distinct lineage specification roles for NANOG, OCT4, and SOX2 in human embryonic stem cells. Cell Stem Cell、2012. 10(4):440-54頁.
28. Schultz,S. Determining the Predictive Mechanism of Toxicity Using a Single-Well Multiplexed Assay. 2009 [2019年引用;http://www.promega.co.uk/resources/pubhub/determining-the-predictive-mechanism-of-toxicity-with-apotox-glo/から閲覧可能.
29. Levi,E.ら、Matrix metalloproteinase 2 releases active soluble ectodomain of fibroblast growth factor receptor 1. Proc Natl Acad Sci USA、1996. 93(14):7069-74頁.
30. Haugsten,E.M.ら、Different intracellular trafficking of FGF1 endocytosed by the four homologous FGF receptors. J Cell Sci、2005. 118(Pt 17):3869-81頁.
31. Auciello,G.ら、Regulation of fibroblast growth factor receptor signalling and trafficking by Src and Eps8. J Cell Sci、2013. 126(Pt 2):613-24頁.
32. Sorokin,A.ら、Internalization of fibroblast growth factor receptor is inhibited by a point mutation at tyrosine 766. J Biol Chem、1994. 269(25):17056-61頁.
33. Guillonneau,X.ら、Fibroblast growth factor (FGF) soluble receptor 1 acts as a natural inhibitor of FGF2 neurotrophic activity during retinal degeneration. Mol Biol Cell、1998. 9(10):2785-802頁.
34. Miljkovic-Licina,M.ら、Targeting olfactomedin-like 3 inhibits tumor growth by impairing angiogenesis and pericyte coverage. Mol Cancer Ther、2012. 11(12):2588-99頁.
35. Pera,M.F.ら、Regulation of human embryonic stem cell differentiation by BMP-2 and its antagonist noggin. J Cell Sci、2004. 117(Pt 7):1269-80頁.
36. Onishi,K.ら、Local BMP-SMAD1 signaling increases LIF receptor-dependent STAT3 responsiveness and primed-to-naive mouse pluripotent stem cell conversion frequency. Stem Cell Reports、2014. 3(1):156-68頁.
37. Amita,M.ら、Complete and unidirectional conversion of human embryonic stem cells to trophoblast by BMP4. Proc Natl Acad Sci USA、2013. 110(13):E1212-21頁.
38. Xu,R.H.ら、BMP4 initiates human embryonic stem cell differentiation to trophoblast. Nat Biotechnol、2002. 20(12):1261-4頁.
39. Janssen,B.J.ら、Neuropilins lock secreted semaphorins onto plexins in a ternary signaling complex. Nat Struct Mol Biol、2012. 19(12):1293-9頁.
40. Lepelletier,Y.ら、Immunosuppressive role of semaphorin-3A on T cell proliferation is mediated by inhibition of actin cytoskeleton reorganization. Eur J Immunol、2006. 36(7):1782-93頁.
41. Catalano,A.、The neuroimmune semaphorin-3A reduces inflammation and progression of experimental autoimmune arthritis. J Immunol、2010. 185(10):6373-83頁.
42. Aspalter,I.M.ら、Alk1 and Alk5 inhibition by Nrp1 controls vascular sprouting downstream of Notch. Nat Commun、2015. 6: 7264頁.
43. Hirota,S.ら、Neuropilin 1 balances beta8 integrin-activated TGFbeta signaling to control sprouting angiogenesis in the brain. Development、2015. 142(24):4363-73頁.
44. Bachelder,R.E.ら、Competing autocrine pathways involving alternative neuropilin-1 ligands regulate chemotaxis of carcinoma cells. Cancer Res、2003. 63(17):5230-3頁.
45. Glinka,Y.及びG.J.Prud’homme、Neuropilin-1 is a receptor for transforming growth factor beta-1, activates its latent form, and promotes regulatory T cell activity. J Leukoc Biol、2008. 84(1):302-10頁.
46. Stettler,H.ら、Determinants for chromogranin A sorting into the regulated secretory pathway are also sufficient to generate granule-like structures in non-endocrine cells. Biochem J、2009. 418(1):81-91頁.
47. Hendy,G.N.ら、Targeted ablation of the chromogranin a (Chga) gene: normal neuroendocrine dense-core secretory granules and increased expression of other granins. Mol Endocrinol、2006. 20(8):1935-47頁.
48. Fox,J.W.ら、Recombinant nidogen consists of three globular domains and mediates binding of laminin to collagen type IV. EMBO J、1991. 10(11):3137-46頁.
49. Ho,M.S.ら、Nidogens-Extracellular matrix linker molecules. Microsc Res Tech、2008. 71(5):387-95頁.
50. McKee,K.K.ら、Role of laminin terminal globular domains in basement membrane assembly. J Biol Chem、2007. 282(29):21437-47頁.
51. Poschl,E.ら、Collagen IV is essential for basement membrane stability but dispensable for initiation of its assembly during early development. Development、2004. 131(7):1619-28頁.
52. Mayer,U.ら、Sites of nidogen cleavage by proteases involved in tissue homeostasis and remodelling. Eur J Biochem、1993. 217(3):877-84頁.
53. Evseenko,D.ら、Identification of the critical extracellular matrix proteins that promote human embryonic stem cell assembly. Stem Cells Dev、2009. 18(6):919-28頁.
54. Zhou,Y.ら、NID1, a new regulator of EMT required for metastasis and chemoresistance of ovarian cancer cells. Oncotarget、2017. 8(20):33110-33121頁.
55. Robertson,N.G.ら、Subcellular localisation, secretion, and post-translational processing of normal cochlin, and of mutants causing the sensorineural deafness and vestibular disorder, DFNA9. J Med Genet、2003. 40(7):479-86頁.
56. Nagy,I.、M.Trexler、及びL.Patthy、The second von Willebrand type A domain of cochlin has high affinity for type I, type II and type IV collagens. FEBS Lett、2008. 582(29):4003-7頁.
57. Zhang,J.ら、BMP induces cochlin expression to facilitate self-renewal and suppress neural differentiation of mouse embryonic stem cells. J Biol Chem、2013. 288(12):8053-60頁.
58. Tesar,P.J.ら、New cell lines from mouse epiblast share defining features with human embryonic stem cells. Nature、2007. 448(7150):196-9頁.
59. Kunath,T.ら、FGF stimulation of the Erk1/2 signalling cascade triggers transition of pluripotent embryonic stem cells from self-renewal to lineage commitment. Development、2007. 134(16):2895-902頁.
60. Ying,Q.L.ら、BMP induction of Id proteins suppresses differentiation and sustains embryonic stem cell self-renewal in collaboration with STAT3. Cell、2003. 115(3):281-92頁.
61. Roberts,R.M.ら、Specification of trophoblast from embryonic stem cells exposed to BMP4. Biol Reprod、2018. 99(1):212-224頁.
62. Oldershaw,R.A.ら、Directed differentiation of human embryonic stem cells toward chondrocytes. Nat Biotechnol、2010. 28(11):1187-94頁.
63. Kurek,D.ら、Endogenous WNT signals mediate BMP-induced and spontaneous differentiation of epiblast stem cells and human embryonic stem cells. Stem Cell Reports、2015. 4(1):114-28頁.
64. Loh,K.M.ら、Mapping the Pairwise Choices Leading from Pluripotency to Human Bone、Heart, and Other Mesoderm Cell Types. Cell、2016. 166(2):451-467頁.
65. von Roemeling,C.A.ら、Neuronal pentraxin 2 supports clear cell renal cell carcinoma by activating the AMPA-selective glutamate receptor-4. Cancer Res、2014. 74(17):4796-810頁.
66. Petersen,T.N.ら、SignalP 4.0: discriminating signal peptides from transmembrane regions. Nat Methods、2011. 8(10):785-6頁.
67. Bendtsen,J.D.ら、Feature-based prediction of non-classical and leaderless protein secretion. Protein Eng Des Sel、2004. 17(4):349-56頁.
68. Huang da,W.、B.T.Sherman、及びR.A.Lempicki、Bioinformatics enrichment tools: paths toward the comprehensive functional analysis of large gene lists. Nucleic Acids Res、2009. 37(1):1-13頁.
69. Shannon,P.ら、Cytoscape: a software environment for integrated models of biomolecular interaction networks. Genome Res、2003. 13(11):2498-504頁.

Claims (35)

  1. 幹細胞培養物の多能性状態を判断する方法であって、幹細胞を培養する工程と、
    a)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される2種のタンパク質の相対存在量を測定し、前記相対存在量を基準値と比較する工程、並びに/又は
    b)アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質の絶対存在量を測定し、前記絶対存在量を基準値と比較する工程と
    を含む方法。
  2. 以下のタンパク質対の1つ以上の相対存在量が測定される請求項1に記載の方法。
    a)CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったCOCH;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFGFR1;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFST;及び/若しくはOLFML3 CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A、
    b)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったADAMTS8、
    c)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったAPP、
    d)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったB3GNT7、
    e)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったCHGA、
    f)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEFEMP1、
    g)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEPHA1、
    h)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEXTL2、
    i)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFBLN2、
    j)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFGF2、
    k)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFUCA2、
    l)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったGALNT1、
    m)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったGGH、
    n)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったHEXB、
    o)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったIGFBP4、
    p)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNID1、
    q)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNPTX2、
    r)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNTS、
    s)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったPCDHB5、
    t)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSEMA3A、
    u)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSEMA3F、
    v)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSFRP2、
    w)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったTIMP4、
    x)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったTNFRSF8、並びに/又は
    y)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったWFDC2。
  3. COCH、FGFR1、FST、OLFML3、CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aから選択される1つ以上のタンパク質の絶対存在量を測定する工程を含む請求項1に記載の方法。
  4. CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったCOCH;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFGFR1;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFST;及び/又はCHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったOLFML3から選択される1つ以上のタンパク質対の相対存在量を測定する工程を含む請求項1に記載の方法。
  5. 2つのタンパク質の相対存在量が基準値と比較され、前記基準値が多能性幹細胞(PSC)培養物における前記2つのタンパク質の相対存在量である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 2つのタンパク質の絶対存在量が基準値と比較され、前記基準値が多能性幹細胞(PSC)培養物における前記2つのタンパク質の絶対存在量である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 測定された相対存在量又は絶対存在量を、前記培養物中の未分化細胞の存在と相関させる工程をさらに含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記1つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/又は前記1つ以上のタンパク質対の相対存在量の基準値と比較した増加又は減少が、多能性の喪失又は多能性の潜在的な喪失を示す請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 基準の個別の存在量及び/又は相対存在量を決定する工程を含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記基準の個別の存在量及び/又は相対存在量が、多能性幹細胞培養物中の前記個別のタンパク質存在量及び/又は相対タンパク質存在量を評価することによって決定される請求項9に記載の方法。
  11. 前記PSCがiPSCである請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記細胞が、以下の培地、DMEM/F12、RPMI 1640、GMEM、neurobasal medium、TeSR1、TeSR2、TeSR-E8、RSeT及びNaiveCult、StemPro、Essential 8、StemFlex、Pluripro、PluriSTEM(Millipore)、StemFit又はNutristemのうちの1つで培養される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記タンパク質の存在量が、培養培地中の存在量である請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 培養培地が、多能性幹細胞を播種してから一定の時間間隔、例えば12時間、24時間、48時間又は72時間後に評価される請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 培養培地が連続的に評価される請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記タンパク質の前記絶対存在量又は相対存在量が質量分析(MS)によって評価される請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記タンパク質の前記絶対存在量又は相対存在量が1つ以上の抗体又は抗体断片によって評価される請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記タンパク質の前記絶対存在量又は相対存在量が、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/又は類似の技術によって評価される請求項17に記載の方法。
  19. 多能性の喪失若しくは多能性の潜在的な喪失及び/又は安定した多能性状態の回復を検出することにおいて使用するための、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 幹細胞培養物の多能性状態を評価することにおける、アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)、クレアチンキナーゼB型(CKB)、コンドロモジュリン-1(CNMD)、コクリン(COCH)、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)、フォリスタチン(FST)、オルファクトメジン様3(OLFML3)、セルピンB1(SERPINB1)、ストマチン(STOM)、トロンボスポンジン8型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS8)、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)、UDP-GlcNAc:βGal β-1,3-N-アセチルグルコサミン転移酵素7(B3GNT7)、クロモグラニンA(CHGA)、EGF含有フィビュリン様細胞外マトリクスタンパク質1(EFEMP1)、エフリンA型受容体1(EPHA1)、エキソストシン様2(EXTL2)、フィビュリン2(FBLN2)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、血漿α-L-フコシド分解酵素(FUCA2)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素1(GALNT)、γ-グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、β-ヘキソサミニダーゼサブユニットβ(HEXB)、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4)、ナイドジェン1(NID1)、神経ペントラキシン-2(NPTX2)、ニューロテンシン(NTS)、プロトカドヘリンβ-5(PCDHB5)、セマフォリン3A(SEMA3A)、セマフォリン3F(SEMA3F)、分泌性Frizzled関連タンパク質2(SFRP2)、メタロプロテアーゼ阻害剤4(TIMP4)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8(TNFRSF8)及びWAP4ジスルフィドコアドメインタンパク質2(WFDC2)から選択される1つ以上のタンパク質バイオマーカーの使用。
  21. 前記タンパク質の絶対存在量が評価される請求項20に記載の使用。
  22. 1対以上のタンパク質の相対存在量が評価される請求項21記載の使用。
  23. 幹細胞培養物の多能性状態を評価することにおける、以下から選択される1つ以上のタンパク質バイオマーカー対の使用。
    a)CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったCOCH;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFGFR1;CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3Aと対になったFST;及び/若しくはOLFML3 CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A CHGA、NID1、NPTX2、SEMA3A、
    b)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったADAMTS8、
    c)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったAPP、
    d)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったB3GNT7、
    e)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったCHGA、
    f)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEFEMP1、
    g)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEPHA1、
    h)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったEXTL2、
    i)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFBLN2、
    j)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFGF2、
    k)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったFUCA2、
    l)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったGALNT1、
    m)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったGGH、
    n)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったHEXB、
    o)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったIGFBP4、
    p)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNID1、
    q)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNPTX2、
    r)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったNTS、
    s)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったPCDHB5、
    t)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSEMA3A、
    u)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSEMA3F、
    v)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったSFRP2、
    w)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったTIMP4、
    x)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったTNFRSF8、並びに/又は
    y)ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB9若しくはSTOMと対になったWFDC2。
  24. a)以下のタンパク質、ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOM、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/若しくはWFDC2の1つ以上に結合する、若しくはその他の方法で検出することができる1つ以上の成分、並びに任意に
    b)前記1つ以上の成分と前記1つ以上のタンパク質との結合及び/又は検出を定量するための手段、例えば抗体又は抗体断片
    を含むキット。
  25. 細胞が多能性状態にあるときに予想される前記タンパク質及び/又はタンパク質存在量の定量値を表す対照を含む請求項24に記載のキット。
  26. 前記対照により、使用者が自身の培養系における多能性細胞のベースライン値を確立し、前記方法の適用性及び精度を高めることが可能である請求項25記載のキット。
  27. 前記1つ以上の成分と前記1つ以上のタンパク質との定量的な結合を検出するための手段が、さらに、前記1つ以上のタンパク質が試料中で増加しているか減少しているかを示す請求項24から請求項26のいずれか1項に記載のキット。
  28. 前記キットが2つ以上の別々のタンパク質と結合できる2つ以上の成分を含み、前記定量的結合を検出するための手段が、前記2つ以上の成分と前記2つ以上の別々のタンパク質との定量的結合を検出する請求項24から請求項27のいずれか1項に記載のキット。
  29. ASS1、CKB、CNMD、COCH、FGFR1、FST、OLFML3、SERPINB1、STOMから選択される第1のタンパク質に結合できる第1の成分と、ADAMTS8、APP、B3GNT7、CHGA、EFEMP1、EPHA1、EXTL2、FBLN2、FGF2、FUCA2、GALNT、GGH、HEXB、IGFBP4、NID1、NPTX2、NTS、PCDHB5、SEMA3A、SEMA3F、SFRP2、TIMP4、TNFRSF8及び/又はWFDC2)から選択される第2のタンパク質に結合できる第2の成分とを含む請求項24から請求項28のいずれか1項に記載のキット。
  30. 前記定量的結合を検出するための手段が、2つ以上のタンパク質の個別の存在量及び/又は相対存在量を計算できるように、前記2つ以上の別々のタンパク質の各々の相対的な量を示す請求項24から請求項29のいずれか1項に記載のキット。
  31. 前記キットが、成分が使用済みの又は条件付けられた成長培地(若しくはその画分)と混合されることを可能にするように、1つ以上の反応容器をさらに含む請求項24から請求項30のいずれか1項に記載のキット。
  32. 前記1つ以上の成分が抗体又はその抗体断片を含む請求項24から請求項31のいずれか1項に記載のキット。
  33. 酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/又は類似の免疫測定法を含む請求項24から請求項32のいずれか1項に記載のキット。
  34. 質量分析を用いてタンパク質を検出することにおける使用に適した成分を含む請求項24から請求項33のいずれか1項に記載のキット。
  35. 多能性幹細胞の使用済みの又は条件付けられた成長培地中の前記多能性幹細胞の多能性状態を評価することにおいて使用するための請求項24から請求項34のいずれか1項に記載のキット。
JP2022502187A 2019-07-22 2020-07-22 アッセイ Pending JP2022541174A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB1910477.7A GB201910477D0 (en) 2019-07-22 2019-07-22 Assay
GB1910477.7 2019-07-22
GB1914959.0 2019-10-16
GB201914959A GB201914959D0 (en) 2019-10-16 2019-10-16 Assay
PCT/GB2020/051752 WO2021014154A1 (en) 2019-07-22 2020-07-22 Assay

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022541174A true JP2022541174A (ja) 2022-09-22

Family

ID=71846423

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022502187A Pending JP2022541174A (ja) 2019-07-22 2020-07-22 アッセイ

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20220252576A1 (ja)
EP (1) EP4004542A1 (ja)
JP (1) JP2022541174A (ja)
WO (1) WO2021014154A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4367263A2 (en) * 2022-01-14 2024-05-15 Seer, Inc. Systems and methods for assaying secretome

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9365821B2 (en) * 2009-09-01 2016-06-14 Mcmaster University Transformed human pluripotent stem cells and associated methods
WO2013122609A1 (en) * 2012-02-17 2013-08-22 Genentech, Inc. Methods of using cdk8 antagonists

Also Published As

Publication number Publication date
EP4004542A1 (en) 2022-06-01
WO2021014154A1 (en) 2021-01-28
US20220252576A1 (en) 2022-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Posfai et al. Evaluating totipotency using criteria of increasing stringency
Kunath et al. Developmental differences in the expression of FGF receptors between human and mouse embryos
Nakamura et al. A developmental coordinate of pluripotency among mice, monkeys and humans
Marchand et al. Transcriptomic signature of trophoblast differentiation in a human embryonic stem cell model
Sugimoto et al. A simple and robust method for establishing homogeneous mouse epiblast stem cell lines by wnt inhibition
Raj et al. Cell-type-specific profiling of human cellular models of fragile X syndrome reveal PI3K-dependent defects in translation and neurogenesis
JP6493881B2 (ja) 人工多能性幹細胞の選別方法および血球への分化誘導方法
Kojima et al. Efficient production of trophoblast lineage cells from human induced pluripotent stem cells
Karvas et al. 3D-cultured blastoids model human embryogenesis from pre-implantation to early gastrulation stages
Zijlmans et al. Integrated multi-omics reveal polycomb repressive complex 2 restricts human trophoblast induction
Kumar et al. Polycomb repressive complex 2 shields naïve human pluripotent cells from trophectoderm differentiation
JP6090937B2 (ja) 新規ドーパミン産生神経前駆細胞マーカー
Karvas et al. Use of a human embryonic stem cell model to discover GABRP, WFDC2, VTCN1 and ACTC1 as markers of early first trimester human trophoblast
Farina et al. Temporal proteomic profiling of embryonic stem cell secretome during cardiac and neural differentiation
MacDougall et al. Intracellular Ca2+ homeostasis and nuclear export mediate exit from naive pluripotency
Posfai et al. Defining totipotency using criteria of increasing stringency
Brinkhof et al. Characterization of bovine embryos cultured under conditions appropriate for sustaining human naïve pluripotency
US20230236171A1 (en) Methods, culture medias and devices for generating embryos in vitro from stem cells
DeVeale et al. Surfaceome profiling reveals regulators of neural stem cell function
López-Anguita et al. Hypoxia induces an early primitive streak signature, enhancing spontaneous elongation and lineage representation in gastruloids
Cloutier et al. Preventing erosion of X-chromosome inactivation in human embryonic stem cells
Carbognin et al. Esrrb guides naive pluripotent cells through the formative transcriptional programme
Hou et al. The efficient derivation of trophoblast cells from porcine in vitro fertilized and parthenogenetic blastocysts and culture with ROCK inhibitor Y-27632
JP2022541174A (ja) アッセイ
García-López et al. Pluripotency markers in tissue and cultivated cells in vitro of different regions of human amniotic epithelium