JP2022540944A - 抗細菌性とオステオインテグレイティブ性とを有するインプラントロジー用途の金属基材 - Google Patents

抗細菌性とオステオインテグレイティブ性とを有するインプラントロジー用途の金属基材 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材であって、前記表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)により改質されて、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgで富化される、基材に関する。本発明はまた、任意に前処理し、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgを含む電解液中に浸漬し、基材にアノーディックスパーク堆積(ASD)技術を適用することにより、前記基材を製造するプロセスに関する。最後に、本発明はまた、前記基材を含むか又は好ましくは前記基材で製造されたプロテーゼ及び外科インプラント、さらにはインプラントロジー手術、好ましくは整形外科プロテーゼインプラントロジー手術における、細菌コロニー形成の防止及びオステオインテグレーションの促進のためのそれらの使用に関する。

Description

本発明は、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材であって、前記表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)及びその製造プロセスにより改質されて、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgで富化される、基材に関する。本発明はまた、前記基材を含むか又は好ましくは前記基材で製造されたプロテーゼ及び外科インプラント、さらにはインプラントロジー手術、好ましくは整形外科プロテーゼインプラントロジー手術における、細菌コロニー形成の防止及びオステオインテグレーションの促進のためのそれらの使用に関する。
ここ何十年にもわたり、整形外科及び歯科の両方のプロテーゼインプラントロジー介入に漸進的増加が見られた。整形外科のプロテーゼインプラントロジー介入に関しては、たとえば股関節や膝関節などの関節の置換が関与するものが、最も一般的で広く普及している。この置換は、たとえば、疼痛及び運動制限を誘発する損傷関節を置換するだけでなく、その形態及び機能性を再確立するという目標も有するので、疼痛の低減及び患者の生活の質の向上を可能にする。そのため、プロテーゼ法の分野では、患者の適正治療を可能にするために、生体組織に適合可能な材料の入手可能性を有することが基本的に重要である。当技術分野の現状では、整形外科又は歯科の領域でのプロテーゼ及び/又は外科インプラントの製造のための第1選択の材料は、多くの場合、チタン又はその合金の基材に代表される。なぜなら、かかる材料は、生体適合性と弾性率、機械的強度、及び耐食性との両方に関して優れた特性を呈するからである。特定的には、チタンの生体適合性は、空気への暴露後に材料の表面上に自発的に形成されてヒト身体内に植え込まれると材料をイナートにする、薄いパッシベート酸化物層の存在に結び付けられる。これまでのところ、整形外科及び/又は歯科の領域でチタンを最も広く使用される材料にしてきた特性があるにもかかわらず、この材料で製造されたプロテーゼ及びインプラントは、オステオインテグレーションの欠如及び細菌感染をはじめとする各種理由で奏効しにくいこともある。事実上、チタン又はその合金で作製されたプロテーゼ及び/又はインプラントの使用に関係する欠点の1つは、植え込まれる患者の生体組織にインテグレートするのに長い時間がかかることであり、これにより植込み領域の治癒が緩徐になるか又は無効になるので、細菌増殖のより大きなリスク、ひいてはプロテーゼ及び/又はインプラントの不奏効の原因になる。正確に言えば、抗生物質治療及び薬理学的治療が多くの場合に無効であることが判明していることを考慮に入れて、植込みデバイスで発生する細菌感染は最も一般的な不奏効の原因の1つであることが、臨床診療から示される。手術の不奏効の影響は、宿主の身体からのデバイスの除去及びその置換の行為が、医療コスト及び社会的コストの増加だけでなく、患者に対するリスクの増加ももたらすことである。こうした問題に対処するために又は少なくともそれらの発生を制限するために、近年、材料の表面形態を改質して以上に列挙された特性、特定的には抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性に関係する特性を改善することを目指す各種タイプの処理が提案されてきた。こうした処理としては、略マイクロ多孔性形態により特徴付けられるとともに生体組織と相互作用する能力のある化学剤を組込み可能な均一酸化チタン表面を有する基材を得ることにより、プロテーゼ及び/又はインプラントと組織とのインテグレーションを改善するように、チタン又はその合金の表面改質を可能にする電気化学処理、いわゆる「アノーディックスパーク堆積」(ASD)が挙げられる。
この技術は、チタン基材をPイオンとCaイオンとで表面改質するように、Ishizawaら(“H.Ishizawa,“Formation and characterization of anodic titanium oxide films containing Ca and P”,Journal of Biomedical Materials Research,Vol.29,6572(1995))による先駆的方法で適用された。Ishizawaらは、骨中に存在するカルシウムのほぼ全体が貯蔵された鉱質であるヒドロキシアパタイトを置換する元素であるCaイオンとPイオンとを含有する酸化チタン層により被覆された、改質チタンの基材を得ることを可能にする、β-グリセロホスフェート(β-GP)と酢酸カルシウム(CA)とを含有する電解液を開発した。この研究は、金属基材の表面改質のためのASD技術の変形形態及び実現形態に焦点を当てた後続の開発への道を開いた。米国特許出願公開第2014/021055号明細書の文書には、たとえば、ASD技術を利用して改質された、チタン、タンタル、チタン合金、及びタンタル合金からなる群の中から選択される金属の基材が記載されている。その表面上には、基材は、Ca、P、Si、Naと、抗細菌剤としてAg及びGaから選択される少なくとも1種の金属と、で富化された、基材を形成する同一金属の酸化物のマイクロ多孔性ナノ粗さ層を有する。
一方、米国特許出願公開第20070191944号明細書の文書には、チタン表面をその抗酸化活性を増加させるという目標でアノーディックスパーク堆積(ASD)処理に付すことに依拠する、インプラント、たとえば医療インプラントなどを被覆する方法が記載されている。その文書に記載のいくつかの実施形態では、インプラントの表面は、ASD処理後に酸化チタンを含みうるとともに、ひいては少なくとも1種の金属、たとえば、バリウム及び/又はストロンチウムなどを含みうる。
米国特許出願公開第2014/021055号明細書及び米国特許出願公開第20070191944号明細書に記載の技術は、Ishizawaらの方法よりも優れた改善を示すが、これらの先行技術文書はどちらも、抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性を同時に呈する基材を得るという問題に対処しない。
そのため、本分野には、細胞と植込みデバイスとの正の相互作用が得られるように細胞が正常に相互作用するものにできる限り類似した表面形態で、抗細菌性を有する整形外科デバイスを提供する必要性が残っている。基材の表面処理は、通常、細菌の接着又は増殖を制限することを目指すが、ほとんどの場合、宿主組織の真核細胞に有害であることが判明していることか、又はほとんど安定でないインプラントの形成をもたらすことを考慮して、オステオインテグレイティブ活性をほとんど、さらにはまったく有していないことを示すので、これまでのところ、事実上、高いオステオインテグレイティブ活性及び抗細菌性の両方を同時に有してASD技術により得られる、利用可能な基材は存在しない。
本発明は、オステオインテグレーションを増強すると同時にプロテーゼインプラントロジー介入、好ましくは整形外科プロテーゼインプラントロジー介入に伴う感染を防止するという問題に対処する能力のある、好適に改質された形態的及び化学的特性を有する金属基材と、前記基材を含むか又は好ましくは全体が前記基材で製造されたプロテーゼ若しくは外科インプラントと、を提供することにより、先行技術の問題を解決する。本発明のさらなる目的は、生体組織と最適に相互作用すると同時に抗細菌性を付与するように適合化された構造を持たせることにより、金属基材の表面形態及び表面化学を改質するプロセスを提供することである。したがって、本発明の目的は、本出願人により開発されたプロセスを利用して、整形外科プロテーゼと患者の骨組織とのオステオインテグレーションに有利でインプラントの安定性及び機能性が確保される金属基材のバイオミメティック処理を提供することであり、前記プロセスは、そのうえ、信頼性が高く競争力のあるコストでの提供が比較的容易である。最後に、本発明の主題はさらに、ASD処理を利用して改質された前記金属基材を含んで又は完全に前記金属基材で製造されて、インプラントロジー手術、好ましくは整形外科インプラントロジー手術における細菌コロニー形成の防止、細菌バイオフィルム接着の低減、又はオステオインテグレーションの促進に効果的に使用可能な、プロテーゼ又はインプラントに関する。
本発明は、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材であって、前記表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンで富化される、基材に関する。
本発明はまた、
(i)Ga塩とキレート化剤とを含む水性溶液(溶液A)、任意にAgの塩も含む前記溶液(溶液A’)、及びSr塩とホスフェートとカルシウム塩とを含む水性溶液(溶液B)を構成する工程、
(ii)溶液A(又は溶液A’)と溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液を含有するレセプタクルと、工程(iii)の基材又は任意に工程(iv)で得られた基材と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と、
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む、金属の前記基材の作製プロセスに関する。
最後に、本発明はまた、前記基材を含むか又は好ましくは全体が前記基材で製造されたプロテーゼ及び外科インプラント、さらにはインプラントロジー手術、好ましくは整形外科インプラントロジー手術における、細菌コロニー形成の防止、細菌バイオフィルム接着の低減、又はオステオインテグレーションの促進のためのそれらの使用に関する。
本発明に係る抗細菌性とオステオインテグレイティブ性とを有する基材の作製プロセスに使用される電解セルの模式図を示す。 未処理サンプル(NT)と、GaイオンとSrイオンとを含有する電解液によるASD処理後に得られたSrGaサンプルと、の間の肉眼で認知可能な比較を示す写真を含有し、後者は、実施例1に従って0.08Mの濃度で呈する。 溶液中のSrイオンとサンプル上に存在する酸化チタン層中のSrイオンとの線形関係を示すグラフを含有する。 実施例3に記載のNTサンプル、SrGaサンプル、及びGaサンプルの1500×倍率のSEM画像を示す。 実施例3に記載のSrGaサンプルのEDSスペクトルを示す。 実施例3に記載のGaサンプルの5000×倍率のSEM画像を示す。 実施例3に記載のSrGaサンプルの切片の光学顕微鏡画像を示す。矢印及びラインは、酸化チタン層を示唆する。 実施例4に従って未処理サンプル(a)及びSrGaサンプル(b)の表面を被覆する酸化チタン層上に堆積された1滴の水の画像を示す。 実施例6に従って行われた処理ごとの1、3、5、及び7日目の光学濃度(490nmでのO.D.)で表されるS.エピデルミディス(S.epidermidis)の細胞生存能のグラフを示す。 実施例6に従って行われた処理ごとの1、3、5、及び7日目の光学濃度(490nmでのO.D.)で表されるS.アウレウス(S.aureus)の細胞生存能のグラフを示す。 実施例7に従って行われた処理ごとの1、2、及び3日目のヒト胎児骨芽細胞(hFOB)による細胞生存能の傾向を例示するグラフを示す。 実施例7に従って行われた処理ごとの1、2及び3日目のU-2OSによる細胞生存能の傾向を例示するグラフを示す。
本発明の目的では、「パッシベーション層」という表現は、金属表面を空気に暴露したときにパッシベーション現象の結果として金属の表面を被覆して形成される酸化物層を意味する。したがって、本発明の目的では、「パッシベート金属」とは、前記パッシベーション層により被覆された少なくとも1つの表面を有する金属を意味する。
「アノーディックスパーク堆積」(ASD)技術は、MAO(マイクロアーク酸化)又はPEO(プラズマ電解酸化)とも呼ばれる。
「金属の酸化物層の形態改質及び化学改質」とは、本発明の目的では、ASD技術による処理前に金属、好ましくはチタン又はその合金の基材の表面上にすでに存在する「パッシベーション層」ともいわれる酸化物層のアノーディックスパーク堆積(ASD)による改質を意味する。したがって、この表現は、次の改質:前記酸化物層(すなわち、ASD技術による処理前に前記表面上にすでに存在するパッシベーション層)の厚化及びミクロ多孔度の形成、さらには化学剤及び化学種、たとえばCa、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンなどによる前記層の富化を意味する。
代替的に、たとえば酸洗処理後、金属の基材の前記表面がパッシベーション層を有してない場合、「金属の酸化物層の形態改質及び化学改質」という表現は、本発明の目的では、前記処理と同時に形成される酸化物層(「新形成」酸化物層とも呼ばれる)のアノーディックスパーク堆積技術による処理を利用した改質を意味する。したがって、この場合には、この表現は、次の改質:「新形成」酸化物層上のミクロ多孔度の形成、さらには化学剤及び化学種、たとえば、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンなどによる前記層の同時厚化及び富化も意味する。
本発明の目的では、「Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgで富化された表面」など、並びに「Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgで富化された金属の酸化物層」などという表現は、前記表面が金属の前記酸化物層で被覆されて類似したものとして理解されるべきである。
本発明の目的では、「Caイオン」、「Ca」、「カルシウムイオン」、及び「カルシウム」という用語は、酸化状態+2の元素カルシウム(すなわちCa2+イオン)を示唆する完全に互換性のある同義語として理解されるべきである。
本発明の目的では、「Pイオン」、「P」、「リンイオン」、及び「リン」という用語は、酸化状態+5の元素リン(すなわちP5+イオン)を示唆する完全に互換性のある同義語として理解されるべきである。
本発明の目的では、「イオンGa」、「Ga」、「ガリウムイオン」、及び「ガリウム」という用語は、酸化状態+3の元素ガリウム(すなわちGa3+イオン)を示唆する完全に互換性のある同義語として理解されるべきである。
本発明の目的では、「Srイオン」、「Sr」、「ストロンチウムイオン」、及び「ストロンチウム」という用語は、酸化状態+2の元素ストロンチウム(すなわちSr2+イオン)を示唆する完全に互換性のある同義語として理解されるべきである。
本発明の目的では、「Agイオン」、「Ag」、「銀イオン」、及び「銀」という用語は、酸化状態+1の元素銀(すなわちAgイオン)を示唆する完全に互換性のある同義語として理解されるべきである。
本発明の目的では、「酸化チタン」という用語は、「酸化チタン(IV)」又は「二酸化チタン」の完全に互換性のある同義語、すなわち、化学式TiOにより同定される化学化合物とみなされるべきである。
本発明は、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する金属の基材であって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されてCa、P、Ga、及びSrイオンで富化される、基材に関する。
本発明の一実施形態では、前記被覆表面は、Agイオンで改質され及びさらに富化される。
したがって、この実施形態によれば、金属の前記基材は、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有し、前記被覆表面は、アノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用してCa、P、Ga、及びSrイオン、並びにさらにAgイオンで改質され及び富化される。
本発明の目的では、「Agイオン(Ag ion)で[さらに]富化された」及び「Agイオン(Ag ions)で[さらに]富化された」という表現は、同義語として用いられる。
有利には、本発明に係る基材は、ASD技術による処理の結果として金属の基材の少なくとも1つの表面が受ける形態改質及び化学改質に由来する、かなりの抗細菌性及びオステオインテグレーション性を呈する。
好ましくは、前記基材は、医療外科領域の用途、特定的には整形外科プロテーゼインプラントロジー手術に有利である。
基材の金属は、好ましくは、チタン及びチタン合金からなる群の中から選択される。一実施形態では、本発明に係る基材は、好ましくはプラズマスプレー技術を利用して金属チタンの層で被覆されたチタン合金を含む。
チタンは、好ましくは非合金チタン、すなわち、添加合金元素を含まない純粋金属チタンであり、より好ましくは、前記チタンは、ISO5832-2チタン(https://www.iso.org/standard/69907.html)である。
チタン合金は、好ましくはTiAlV合金及びTiAlNb合金、より好ましくはTiAlNb合金から選択される。一実施形態では、チタン合金は、TiAlV ISO5832-3合金(https://www.iso.org/standard/66637.html)及びTiAlNb ISO5832-11合金(https://www.iso.org/standard/21973.html)、好ましくはTiAlNb ISO5832-11合金から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、ASD技術による処理前、金属の基材の少なくとも1つの表面は、パッシベーション層により被覆される。前記パッシベーション層は、金属自体の酸化物層であり、好ましくは二酸化チタンの層である。
本発明の一実施形態では、前記パッシベーション層で被覆された基材の少なくとも1つの表面は親水性表面であり、その親水性の特性は、アノーディックスパーク堆積(ASD)による処理で得られる形態改質及び化学改質の後も維持される。
本発明の他の一実施形態では、ASD技術による処理前、基材の少なくとも1つの表面は、パッシベーション層により被覆されない。この場合には、アノーディックスパーク堆積による処理は、前記少なくとも1つの表面上での酸化物層の形成並びに前記「新形成」酸化物層の同時の形態改質及び化学改質を可能にする。こうして得られた基材は、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有し、前記表面は親水性表面である。
医療外科領域では、特定的には整形外科インプラントロジー手術の場合には、感染に関与する細菌株は、典型的には疎水性であるため主に疎水性表面に接着して増殖するスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)株又はスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)株に属するので、基材自体の湿潤性に結び付けられる最終基材の表面の親水性、すなわち、アノーディックスパーク堆積技術による処理後の親水性は、本発明の目的に有利であることが証明される。
本発明に係るアノーディックスパーク堆積技術による処理後の基材の少なくとも1つの表面を被覆する金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層は、1~20μm、好ましくは2~15μm、さらにより好ましくは3~8μmに含まれる厚さを有する。
金属の基材の少なくとも1つの表面がパッシベーション層により被覆される本発明の実施形態では、アノーディックスパーク堆積技術による処理後に得られる酸化物層の厚さは、正確にはその層により被覆される基材の表面が改質されるため、すなわち、ASD処理後に生じる改質により、パッシベーション層の前記酸化物の厚さが成長し(以上に示唆されるように、数ナノメートルから数マイクロメートルに)、それと同時に基材の表面がコンパクトで平滑な状態からマイクロ多孔性の状態に変換されるため、基材上に存在する前記パッシベーション層の金属の酸化物、好ましくは二酸化チタンの厚さ(約5nmに等しい)よりも厚い。酸化物層の厚化は、生理食塩水溶液中でのパッシビティー電流を低減するとともに、体液中での基材の金属、好ましくはチタンのイオンの放出及び金属自体又は合金元素、好ましくはチタン又はチタン合金の溶解を防止するという利点も有する。医療外科領域の用途では、特定的には整形外科プロテーゼインプラントロジー手術では、これは、本発明の基材が組織における局所刺激の原因になる、又は長期的に患者において放出金属イオンに対する感作の原因になる可能性を防止する。
両方の実施形態で、すなわち、ASD技術による処理前に金属の基材の少なくとも1つの表面がパッシベーション層により被覆される場合及び前記少なくとも1つの表面がパッシベーション層を有していない場合の両方で、ASD処理後、本発明に従って金属の基材の少なくとも1つの表面を被覆する金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層は、走査電子顕微鏡(SEM)分析により測定したとき、50nm~5μm、好ましくは100nm~3μmに含まれるサイズの細孔を有することにより特徴付けられる、マイクロ多孔性層である。前記細孔は、酸化物層中に均一に分布する。
本発明によれば、アノーディックスパーク堆積技術による処理後の基材の少なくとも1つの表面を被覆する酸化物層の多孔性構造は、骨細胞(骨芽細胞)の接着、増殖、及び分化に好影響を及ぼして、「in vivo」用途で骨との接触を増加させ、ひいてはインプラント全般の機械的安定性を改善することを可能にする。
さらに、ASD処理は、ASD処理で発生する高温及びプラズママイクロ放電(スパーク)により誘起される酸化物層自体の溶融及び固化の局所現象のおかげで、処理に使用される電解液中に最初に存在するドーピング剤の酸化物層への組込みを可能にする。同時に、かかる溶融現象(マイクロ溶融とも呼ばれる)の結果として、制御された均一に分布する多孔度の形成も見られる。
有利には、厚化及び多孔度による形態的特性は、アノーディックスパーク堆積技術による処理後に酸化物層が基材に堅固にアンカーされることを保証する。事実上、厚さが過度に厚い場合、たとえば、酸化物層の離層現象が起こってインプラントの性能及び奏効が損なわれる可能性がある。
有利には、厚化及び多孔度による形態的特性は、本発明に係る基材の少なくとも1つの表面を被覆する金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層へのASD処理により付随的に同時に付与される。
かかる形態改質のほか、本発明に係る金属自体の酸化物層で被覆された金属の基材の少なくとも1つの表面は、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンで富化される。
一実施形態によれば、本発明に係る金属自体の酸化物層で被覆された金属の基材の少なくとも1つの表面は、Ca、P、Ga、及びSrイオンで富化される。
他の一実施形態によれば、本発明に係る金属自体の酸化物層で被覆された金属の基材の少なくとも1つの表面は、Ca、P、Ga、Ag、及びSrイオンで富化される。
両方の実施形態で、この富化は、ASD処理において形態改質と同時に起こる前記酸化物層の化学改質に基づく。
前記イオンは、ASD技術で使用される電解液中に存在するイオンに由来し、処理時に酸化物層に組み込まれる。
本発明の一実施形態では、アノーディックスパーク堆積技術による処理後、金属、好ましくはチタン又はその合金の基材は、金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層で被覆された少なくとも1つの表面を有し、前記層は、0.01~30μg/cm、好ましくは2~30μg/cm、より好ましくは0.02~8μg/cm、より好ましくは3~8μg/cm、さらにより好ましくは0.03~6μg/cm、さらにより好ましくは4~6μg/cmに含まれる量のGaで富化される。
本発明の一実施形態では、アノーディックスパーク堆積技術による処理後、金属、好ましくはチタン又はその合金の基材は、金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層で被覆された少なくとも1つの表面を有し、前記層は、10~250μg/cm、好ましくは50~350μg/cm、より好ましくは30~120μg/cm、より好ましくは70~250μg/cm、さらにより好ましくは40~70μg/cm、さらにより好ましくは100~150μg/cmに含まれる量のSrで富化される。
本発明の一実施形態では、アノーディックスパーク堆積技術による処理後、金属、好ましくはチタン又はその合金の基材は、金属の酸化物層、好ましくは二酸化チタン層で被覆された少なくとも1つの表面を有し、前記層は、
- 0.01~30μg/cm、好ましくは2~30μg/cm、より好ましくは0.02~8μg/cm、より好ましくは3~8μg/cm、さらにより好ましくは0.03~6μg/cm、さらにより好ましくは4~6μg/cmに含まれる量のGaで、及び
- 10~250μg/cm、好ましくは50~350μg/cm、より好ましくは30~120μg/cm、より好ましくは70~250μg/cm、さらにより好ましくは40~70μg/cm、さらにより好ましくは100~150μg/cmに含まれる量のSrで、
富化される。
前記被覆表面が改質されてさらにAgイオンで富化される本発明の一実施形態では、前記層は0.05~10μg/cm、好ましくは0.10~5μg/cm、より好ましくは0.30~2μg/cmに含まれる量のAgで富化される。
この実施形態によれば、前記層は、好ましくは0.01~30μg/cm、好ましくは2~30μg/cm、より好ましくは0.02~8μg/cm、より好ましくは3~8μg/cm、さらにより好ましくは0.03~6μg/cm、さらにより好ましくは4~6μg/cmに含まれる量のGaで、及び好ましくは10~250μg/cm、好ましくは50~350μg/cm、より好ましくは30~120μg/cm、より好ましくは70~250μg/cm、さらにより好ましくは40~70μg/cm、さらにより好ましくは100~150μg/cmに含まれる量のSrで富化される。
有利には、Ca及びPイオン(線維状組織の介在を伴うことなく骨とインプラントとの直接接触の促進に有用である)の存在、及びとりわけ上記の厚さ及び多孔度による特定の形態的特性の存在と同時に、Ga及びSrイオンの存在、又はGa、Ag、及びSrイオンの存在は、本発明の基材に優れた抗細菌性だけでなく、優れたオステオインテグレーション性を付与する。
これらの性質は、改質酸化物層の形態的及び化学的特性の組合せの相乗効果に基づく。
特定的には、具体的理論により拘束されることを望むものではないが、正確には、制御された多孔度の形成と、酸化物層中へのGa及びSrイオン、又はGa、Ag、及びSrイオン(前者(すなわち、Gaイオン、又はGa及びAgイオン)は抗細菌性で知られ、一方、後者(すなわち、Srイオン)はオステオインテグレイティブ性で知られる)の組込みと、を同時に行うおかげで、ASDプロセスは、骨細胞(骨芽細胞)の接着、増殖、及び分化を可能にしつつ、オステオインテグレーション性及び抗細菌性の増強への寄与を維持することが可能である。
特定的には、Srイオンは、カルシウムに対して感受性のあるレセプターCaSRを活性化することにより、同時に破骨細胞活性を阻害しつつ骨芽細胞の複製及び分化をさらに促進するため、新しい骨マトリックスの形成に有利である。
厚さ、湿潤性、及び多孔度に関して形態的に有利な特性と共に、層内へのGa及びSrイオンの共ドーピング、又はGa、Ag、及びSrの多重イオンドーピングを有する可能性は、本発明の基材が所望の抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性を同時に有することを保証する。さらに、実施例のセクションで実証されるように、Gaイオン単独、又はGa及びAgイオン単独の存在は、優れた抗細菌活性を確保しうるが、しかしながら、Sr及びGaイオンの共ドーピング、又はGa、Ag、及びSrの多重イオンドーピングにより得られうるものよりも優れていたとしても、所望のオステオインテグレイティブ性を保証しないであろう。
同様に、酸化物層中のSrイオンの単独の存在は、はるかに大きなオステオインテグレーションに有利でありうるが、しかしながら、適正抗細菌作用を可能にしないであろう。
実施例のセクションに例示される実験試験によっても実証されるように、本発明は、ASD処理を利用して得られる酸化物層の形態改質及び化学改質を活用することにより、抗細菌作用とオステオインテグレイティブ作用との間で得られる最適バランスを可能にする。これは、ガリウム及びストロンチウム(及び任意にAg)イオンと、基材の表面を被覆する酸化物層の多孔度、湿潤性(すなわち親水性)、及び厚さの特性と、が同時に存在すること基づき、それらの異なる寄与は、本発明の目的に望まれる抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性を相乗的に基材に付与する。
以上に述べたように、医療外科領域では、特定的には整形外科インプラントロジー手術の場合には、感染に関与する細菌株は、典型的には疎水性であるため主に疎水性表面に接着して増殖するS.アウレウス(S.aureus)株又はS.エピデルミディス(S.epidermidis)株に属するので、基材の表面の親水性は、本発明の目的にさらに有利である。
本発明はまた、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオンで富化され、前記プロセスが、
(i)Ga塩とキレート化剤とを含む水性溶液(溶液A)及びSr塩とホスフェートとカルシウム塩とを含む水性溶液(溶液B)を構成する工程と、
(ii)溶液Aと溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と、
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む、作製プロセスに関する。
本発明はまた、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオン並びにさらにAgイオンで富化され、前記プロセスが、
(i)Ga塩とAg塩とキレート化剤とを含む水性溶液(溶液A’)及びSr塩とホスフェートとカルシウム塩とを含む水性溶液(溶液B)を構成する工程と、
(ii)溶液A’と溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と、
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む、作製プロセスに関する。
本発明の一実施形態では、工程(ii)で得られる電解液は、0.001~0.008M、好ましくは0.002~0.004Mに含まれる濃度で前記Ga塩を含む。
工程(i)で調製された溶液(溶液A’)がAg塩をさらに含む実施形態では、工程(ii)で得られる電解液は、0.0001~0.002M、好ましくは0.0003~0.001Mに含まれる濃度で前記Ga塩と、0.001~0.015M、好ましくは0.002~0.010Mに含まれる濃度で前記Ag塩と、を含む。
前記Ga塩は、好ましくは、硝酸ガリウム(Ga(NO)、硝酸ガリウム水和物(Ga(NO・HO)、及び酢酸ガリウムGa(Cからなる群の中から選択される。
前記Ag塩は、好ましくは、硝酸銀(AgNO)及び酢酸銀(AgC)からなる群の中から選択される。
工程(ii)で得られる電解液は、好ましくは0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度で前記Sr塩を含む。
前記Sr塩は、好ましくは、酢酸ストロンチウム((CHCOSr)及び硝酸ストロンチウムSr(NOからなる群の中から選択される。
工程(ii)で得られる電解液は、好ましくは、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度で前記キレート化剤と、0.02~0.2M、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度で前記ホスフェートと、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度で前記カルシウム塩と、を含む。
前記キレート化剤は、好ましくは、L-システイン(HSCHCH(NH)COH)、シュウ酸、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)からなる群の中から選択される。
前記ホスフェートは、好ましくは、β-グリセロホスフェート二ナトリウム塩五水和物(β-GP)(CNaP・5HO)である。
前記カルシウム塩は、好ましくは、酢酸カルシウム一水和物(CA)(CCaO・HO)である。
本発明に係るプロセスの工程(iii)で提供される金属の基材は、好ましくは、パッシベーション層により被覆されていてもいなくてもよい少なくとも1つの表面を有し、前記パッシベーション層は、金属自体の酸化物層である。言い換えると、本発明に係るプロセスの工程(iii)は、金属の基材を提供することを想定し、前記金属は、好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である。
本発明の一実施形態では、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオンで富化される、作製プロセスは、
(i)以下:
0.001~0.008M、好ましくは0.002~0.004Mに含まれる濃度でGa塩と、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度でキレート化剤と、を含む水性溶液(溶液A)と、
0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度でSr塩と、0.02~0.2M、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度でホスフェートと、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度でカルシウム塩と、を含む水性溶液(溶液B)と、
を構成する工程と、
(ii)溶液Aと溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程であって、前記金属が好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である、工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む。
本発明の好ましい実施形態では、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオンで富化される、作製プロセスは、
(i)0.001~0.008、好ましくは0.002~0.004Mに含まれる濃度で硝酸ガリウム水和物(Ga(NO・HO)と、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度でL-システイン(HSCHCH(NH)COH)と、を含む水性溶液(溶液A)と、0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度で酢酸ストロンチウム((CHCOSr)と、0.02~0.2、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度でβ-グリセロホスフェート二ナトリウム塩五水和物(β-GP)(CH7NaP・5HO)と、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度で酢酸カルシウム一水和物(CA)(CCaO・HO)と、を含む水性溶液(溶液B)と、を構成する工程と、
(ii)溶液Aと溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程であって、前記金属が好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である、工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む。
本発明の一実施形態では、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオン並びにさらにAgイオンで富化される、作製プロセスは、
(i)以下:
0.0001~0.002M、好ましくは0.0003~0.001Mに含まれる濃度でGa塩と、0.001~0.015M、好ましくは0.002~0.010Mに含まれる濃度でAg塩と、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度でキレート化剤と、を含む水性溶液(溶液A’)と、
0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度でSr塩と、0.02~0.2M、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度でホスフェートと、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度でカルシウム塩と、を含む水性溶液(溶液B)と、
を構成する工程と、
(ii)溶液A’と溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程であって、前記金属が好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である、工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と、
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む。
本発明の好ましい実施形態では、金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオン並びにさらにAgイオンで富化される、作製プロセスは、
(i)以下:
0.0001~0.002M、好ましくは0.0003~0.001Mに含まれる濃度で硝酸ガリウム水和物(Ga(NO・HO)と、0.001~0.015M、好ましくは0.002~0.010Mに含まれる濃度で硝酸銀(Ag(NO))と、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度でL-システイン(HSCHCH(NH)COH)と、を含む水性溶液(溶液A’)と、
0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度で酢酸ストロンチウム((CHCOSr)と、0.02~0.2、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度でβ-グリセロホスフェート二ナトリウム塩五水和物(β-GP)(CNaP・5HO)と、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度で酢酸カルシウム一水和物(CA)(CCaO・HO)と、を含む水性溶液(溶液B)と、
を構成する工程と、
(ii)溶液A’と溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
(iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程であって、前記金属が好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である、工程と、
(iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
(v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は任意に工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と
(vi)基材及びカソードをそれぞれセルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による基材の処理に進む工程と、
を含む。
有利には、電解液の成分の濃度は、それらの再使用を可能にするために(結果として経済上の利点を有して)、溶液中での元素の自然沈殿を回避するようなものにする。さらに、これらの濃度は、より高濃度で行ったときにASD処理により酸化物層中に、特定的には酸化物と基材との界面に破壊又は不連続を有する被膜を生じて、骨組織への接着性能を損ない、結果的にオステオインテグレーションを低減する可能性があるという事実を考慮したものにする。
本発明の代替実施形態では、工程(iii)の金属の基材は、好ましくは、「付加製造」技術を利用して得られる基材である。有利には、この技術は、前記基材の少なくとも1つの表面上に、好ましくはすべての表面上に開細孔又は閉細孔のマクロ多孔性構造を有する基材を得ることを可能にする。これは、本発明の基材の長期オステオインテグレーション性能にさらに有利な構造である。
工程(iv)に関して、基材の少なくとも1つの表面の前処理は、形態的視点から基材の少なくとも1つの表面の改質を可能にする。
前記前処理は、好ましくは、サンドブラスティング、プラズマスプレーイングによる金属チタンコーティング、表面上に焼結されるチタンマイクロスフェアコーティング、チタンフラグメントコーティング、粗状又は多孔性チタンコーティング、及びそれらの組合せからなる群の中から選択される表面改質技術を利用して行われる。
具体的理論により拘束されることを望むものではないが、本出願人は、前記前処理により基材の少なくとも1つの表面の粗さを増加させて表面粗面化を呈する基材を得ることが可能であることを見いだした。この特性は、本発明の基材の長期オステオインテグレーション性能をさらに改善する。
工程(v)に関して、前記カソードは、好ましくは金属又は非金属材料で作製されたカソードであり、より好ましくは前記カソードは金属カソードであり、さらにより好ましくは前記カソードはチタンで作製されたカソードである。
本発明の好ましい実施形態では、工程(v)の電解セルのレセプタクル(1)は、内壁(5)と外壁(6)との間に介在する空間内に液状冷媒(7)を含む二重壁冷蔵レセプタクルである。
本発明の好ましい実施形態では、工程(v)の電解セル内に含有される金属カソードは、金属メッシュ(4)、好ましくはチタンで作製されたもの、好ましくは酸洗プロセスに付されてレセプタクル(1)の内壁(5)の被膜として適用されたものである。
一実施形態では、本発明に係るプロセスは、アノーディックスパーク堆積による処理工程(工程(vi))が-5~+5℃に含まれる温度で、好ましくは-1~+1℃に含まれる温度で行われることを想定する。この温度は、回路のアノードとカソードとの間で起こりうる電流阻害を回避する働きをする。さらに、この温度は、酸化物層と基材との間の接着能力の維持を確保する役割も果たし、より高温では能力は減少する。
本発明の一実施形態では、以上に記載の基材、すなわち、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材の作製プロセスであって、前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンで富化される、作製プロセスは、前記ASD技術を利用した処理工程が、5~50mA/cm、好ましくは10~30mA/cmに含まれる第1の電流密度で、210~330V、好ましくは260~310Vに含まれる値まで非依存的に増加する電位で、最終電位値に達するのに必要な時間にわたり、及び第1の電流密度の値の50%~5%に含まれる第2の電流密度で、直流を用いて実施されることを想定する。
一実施形態では、以上に記載の基材の作製プロセスは、ASD技術を利用した処理工程がパルス電流を用いて実施されることを想定する。パルス電流を用いることが可能である可能性は、処理の均一性の利点をもたらすだけでなく、電解セル内の温度のより良好な制御さらにはプロセスの再現性の増加を達成することも可能にする。
有利には、本発明のプロセスは、金属の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する、金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を得ることを可能にし、前記被覆表面は、医療外科領域の用途、たとえば、整形外科プロテーゼインプラントロジー手術に理想な特性を有して、アノーディックスパーク堆積(ASD)技術による金属の前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、Sr、及び任意にAgイオンで富化される。本発明のプロセスは、事実上、処理基材の少なくとも1つの表面を被覆する酸化物層の形態的及び化学的特性を同時に単一工程で調整することを可能にするので、抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性の両方を有する基材を得ることを可能にする。
工程(i)及び(ii)に従って得られる電解液中にGa及びSr、又はGa、Ag、及びSrを同時に存在させると、前記イオンがASDプロセス時に酸化物層に組み込まれるので、酸化物層の効率的な共ドーピング(又は多重ドーピング)がもたらされることを、本出願人は実証した。
有利なことに、正確には酸化物層の同時の形態改質及び化学改質のおかげで、所望の抗細菌性及びオステオインテグレイティブ性を有する基材を得ることが可能である。
本発明の一実施形態では、ASDプロセスを利用して形成された細孔にイオン、分子、及び/又は薬剤をロードすることができ、それらは本発明の基材に導入されると、患者の骨組織内に放出される。ASDプロセスを利用して形成された細孔へのイオン、分子、及び/又は薬剤の前記ローディングは、好ましくは、前記イオン、分子、及び/又は薬剤、たとえば、抗生物質などを含有する溶液中に本発明の基材を浸漬することにより行われる。
本発明はさらに、以上に記載の基材を含むプロテーゼに関する。
本発明の好ましい実施形態では、前記プロテーゼは、全体が前記基材で製造される。
本発明の一実施形態では、前記プロテーゼは、上肢プロテーゼ及び下肢プロテーゼからなる群の中から選択される整形外科プロテーゼである。最後に、本発明はまた、以上に記載の基材を含む外科インプラントに関する。
本発明の好ましい実施形態では、前記インプラントは、全体が前記基材で製造される。
本発明の一実施形態では、前記インプラントは、股関節プロテーゼ、膝関節プロテーゼ、肩及び足首関節プロテーゼ、骨接合手段、椎間融合ケージ、脊髄プロテーゼ、骨小腔を満たすためのデバイス、及び創外固定器のための骨固定システムからなる群の中から選択される整形外科インプラントである。
本発明の主題はさらに、インプラントロジー手術、好ましくは整形外科インプラントロジー手術における細菌コロニー形成の防止、細菌バイオフィルム接着の低減、又はオステオインテグレーションの促進に使用するための以上に記載のプロテーゼ又は外科インプラントに関する。
有利には、事実上、本発明の基材を含むか又は好ましくは本発明の基材で全体が製造されたプロテーゼ又は外科インプラントは、真核細胞にいかなる有害な影響も誘発することなく、その表面上での細菌の接着及び増殖に対処できるようにすると同時に、骨芽細胞の接着、分化、及び成長を促進して患者の骨組織中へのオステオインテグレーションを増強する。
実施例1 - 材料及び方法
1.1 サンプルのタイプ
下記実験に使用したサンプルは、規格ISO5832-3に適合するチタン合金TiAlNbで作製された1cmの直径及び0.2cmの厚さを有するディスク形サンプルであり、Medacta International SA社により供給された。サンプルは、サンプルの一方の側を白色コランダムF36でサンドブラストすることにより、表面仕上げ前処理に付された。こうして得られたサンプルは、「未処理」サンプル(NT)として表される。
1.2 ASD処理
以上に記載のように得られたサンプル(NT)の一部をASD処理に付し、一方、適切な比較実験を行えるように他の一部を「未処理」状態で貯蔵した。
使用した電解液は、オステオインテグレーションに有利な元素としてストロンチウム塩を含有する溶液及び/又は抗細菌剤としてガリウム塩を含有する溶液を追加することにより変更を加えて、Ishizawaら(“H.Ishizawa,“Formation and characterization of anodic titanium oxide films containing Ca and P”,Journal of Biomedical Materials Research,Vol.29,6572(1995))により記載されたように、酢酸カルシウム一水和物(CA)とβ-グリセロホスフェート二ナトリウム塩五水和物(β-GP)とを含有する水性溶液を用いて調製された。
溶液中でのガリウムイオンの沈殿を防止するために、そのイオンに対するキレート化剤としてL-システインも添加した。
電解液は、2つの異なる溶液:ガリウムとL-システインとを含有する第1の溶液(溶液A)及び残りの元素を含有する第2の溶液(溶液B)を合わせるにより調製された。この調製の理由は、他のイオンではなくガリウムイオンのみに有利に結合しなければならないキレート化剤の存在に依拠する。キレート化を行ったら、溶液A及びBを組み合わせてASD処理に使用される電解液を得ることが可能である。
各種電解液中に存在する試薬は、関連仕様及び使用されるモル濃度と共に以下の表(表1)に示される。
Figure 2022540944000002
表に示されるように、本発明の目的に最良の電解液を決定するために、ストロンチウムの濃度(a、b、c、d)を変動させることにより電解液を試験した。
定電流モードでASD処理を実施し、300Vの電圧及び20mA/cmの電流密度に設定した。
処理では、溶液中に存在するイオンにかかわらず、平均陽極酸化時間はおおよそ5分間であった。
使用した実験構成は、図1に模式的に例示されるように、まず最初に、内壁と外壁との間に介在する空間が自動冷蔵庫(温度範囲-35~+200℃のJulabo F32-HL冷蔵/加熱回路)により温度調整される冷媒液で占有された二重壁レセプタクルを含む電解セルの準備を必要とする。これにより、レセプタクル内に含有される電解液は、処理時に0±1℃の一定温度に徐々に達してそれを維持することが可能である。マグネチックスターラーは、レセプタクルの底に位置し、連続撹拌下で電解液を保持するボルテックスを生成する。
実験試験を行う目的で、電気化学回路のアノードに対応する処理されるサンプル(すなわち、以上に記載のチタン合金サンプル)を溶液中に浸漬した。それは、同様にチタンで作製されたサンプルホルダーのおかげで懸垂状態に保持されてセルの正極に接続され、一方、負極は、レセプタクルの内壁をカバーしてカソードとして作用するこれもチタンで作製された金属メッシュ(あらかじめ酸洗プロセスに付される)に接続される。処理に使用した機器は、600Vのフルスケール値及び2.4Aの最大電流強度のプログラマブルDC電流ジェネレーター(N5772A、Agilent Technologies,Everett,WA,USA)である。
サンプルを得て、続いて特徴付けし、そして以下に記載の実験に使用した。これらのサンプルは、以下のように分類される。
- ストロンチウムイオンの不在下の表1に記載の電解液によりASD処理後に得られる「Ga」サンプル、
- ガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は異なる濃度で存在する)を含有する電解液によりASD処理後に得られる「SrGa」サンプル(表1に示される溶液a、b、c、dを参照されたい)。
図2に示されるように、未処理のサンプル(NT)対ASD処理に付されたサンプルの表面の変化を認識することが可能であり、後者の表面は具体的な色を帯びた外観を呈するので、肉眼でも分かる。
1.3 統計解析
GraphPad Prism7.0ソフトウェアを用いて統計解析を実施した。p値<0.05を有意水準として同定した。
以下の実施例に記載されるように、接触角並びに細胞及び細菌の生存能を測定するために、変動の正規分布を検証した後、一元配置ANOVA検定を実施し、続いて独立サンプルに対して適切な事後検定及びスチューデントのt検定を行った。
以下の実施例に記載されるように、微生物学的及び生物学的試験のために、二元配置ANOVA検定を行った(特定的には、実施例6及び7を参照されたい)。
実施例2 - 化学的特徴付け
2.1 誘導結合プラズマ-発光分光測定(ICP-OES)
処理サンプルを被覆する酸化チタン層に組み込まれたストロンチウム及びガリウムイオンの存在を検証及び定量する目的で、化学的特徴付けを行った。
特定的には、酸化チタン中へのイオンの組込みに関して本発明の方法の有効性を検証するために、誘導結合プラズマ-発光分光測定(ICP-OES)を利用して化学的特徴付けを行った。このタイプの分析は、サンプルの表面上に存在する酸化チタン層に組み込まれた元素、特定的にはストロンチウム及びガリウムの濃度をμg/cm単位で測定することを可能にする。
Perkin Elmer Optima8300分光計を用いて分析を実施した。
酸化チタン層中に存在するストロンチウムを定量するために及び溶液中の塩の量とサンプル上に存在するイオンの量とのいずれかの関係を同定するために、まず最初に、ガリウムイオンの不在下で異なる濃度(0.05M-溶液a、0.08M-溶液b、0.12M-溶液c、及び0.15M-溶液d)でストロンチウムイオンを含有する表1に記載の電解液で処理されたサンプルに対してICP-OES分析を実施した。図3のグラフに示されるように、使用した濃度のインターバルで良好な線形性が存在することから、サンプル上のストロンチウム堆積の量を溶液中のその量に基づいて予測することが可能である。
続いて、ガリウム塩とキレート化剤とを含有する溶液をこれらの溶液の各々に添加し、次いで、さらなるICP-OES分析を利用して、堆積されたストロンチウムイオンの量が変動しないことを検証するとともに、堆積されたガリウムイオンの量も検証した。
最初に、以上に記載のストロンチウムのモル濃度及び2つの異なるガリウムのモル濃度:0.002M及び0.004Mを用いて、2つの溶液を調製した。溶液のモル濃度にかかわらず、堆積されたガリウムの量は5.7~19μg/cmに含まれる範囲内の値であることが、ICP-OES分析から示された。そのため、ガリウムを含有する溶液では達成される処理、同程度であると考えられた。
実施例3 - 形態的特徴付け
チタン合金TiAlNbの表面上に堆積された酸化物の構造を特徴付けるために、異なる形態分析を実施した。
ASD処理によりサンプルに付与された表面形態を評価するために、及びそれを未処理のサンプル、すなわち、サンドブラスティングによる表面仕上げのみに付されたサンプルと比較するために、形態的特徴付けを行った。
走査電子顕微鏡法(SEM)を利用して特徴付けを行った。分析されたサンプルは下記の通りであった。
- ASD処理ではなくサンドブラスティングによる表面仕上げのみに付された未処理サンプル(NT)、
- 表面サンドブラスティング及びストロンチウムイオンの不在下で0.004MのGaイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Ga)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は0.08Mの濃度で存在するが、ガリウムイオンは0.002Mの濃度で存在する)を含有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(SrGa)。
3.1 走査電子顕微鏡(SEM)による分析
2つの異なる走査電子顕微鏡:SEM Cambridge-Stereoscan360及びSEM EVO50(後者はエネルギー分散X線分光計(EDSプローブ)も備えている)を用いてSEM分析を実施した。
比較として図4に3つのサンプルが示される。観測されうるように、NTサンプルは、サンドブラスティングによる表面仕上げプロセスに起因して均一に「粗い」表面を有する。しかしながら、SrGa及びGaサンプルに関しては、両方ともに、均一細孔分布で酸化物中のクラックの存在がほとんどなく「スパーク現象」に特有の形態を有する表面多孔度を呈する。細孔の形態及びサイズは、おそらくサンプル上で実施された表面仕上げ前処理に関係する現象として、わずかに不規則な状態を示す。
SEM中に存在するEDSプローブを用いることにより、図5に示されるSrGaサンプルのスペクトルを得ることがさらに可能であった。このスペクトルから、合金元素、たとえば、チタン、アルミニウム、及びニオブ、さらにはASD処理を利用して酸化物内に堆積された元素、すなわち、ガリウム及びストロンチウム、ただし、同様にカルシウム及びリンも、その存在を知ることが可能である。
3.2 細孔サイズの評価
以上に述べたように、酸化チタン層のSEM画像の取得のおかげで、得られた細孔の直径を測定することが可能であった。図6では、5000×倍率でGaサンプルの表面形態を観測することが可能である。
異なる細孔で9回の測定を実施したところ、その平均サイズは1.066μmであった。
SrGaサンプルに関して、この場合も同様に、細孔のサイズ分析(2つのサンプルの形態は同等である)は、以上に与えられた値に一致する結果を提供した。
3.3 酸化物厚さの評価
標準的金属組織学的技術を利用してサンプルの表面上に存在する酸化チタンの厚さを評価し、光学顕微鏡下で観察し、そしてLeica LAS-Camera Leica DFC290ソフトウェアを利用して測定した。この分析のために、以上に記載の2つのSrGaサンプルを作製し、ダイヤモンド被覆銅ブレードを用いてサンプルを切片化することによりそれらから2つの金属組織学的断面を作製した。続いて、こうしてカットされたサンプルをホットプレス(160℃)を利用して熱硬化性エポキシ樹脂に埋め込んだ。平滑な均一表面を得るために、粒度120~150番から粒度1500~2000番までの異なる粒子サイズの研磨紙を用いてサンプルを研磨した。5~6μmの初期粒子サイズ及び0.20~0.10μmの最終粒子サイズでアジャスタブルスピード回転ディスクラッピング機を用いて、最終ラッピングも実施した。この処理後、サンプルの表面は完全に平滑な状態を示した。最後に、サンプルを濯いて余分な樹脂を除去して乾燥させ、次いで、それらをアルミナペースト(0.3μmアルミナ粉末)で研磨した。
各サンプルに対して光学顕微鏡で5回の測定を実施し、次いで平均を計算したところ、7.59±2.56μmであることが分かった。図7は、酸化チタン層を認識可能なSrGaの2つのサンプルの1つの切片の光学顕微鏡画像を示す。
実施例4 - 物理的特徴付け
ASDで処理されたサンプルの酸化チタン層を特徴付けることを目標として、構造的及び物理的視点から物理的分析を行った。分析されたサンプルは下記の通りである。
- ASD処理ではなくサンドブラスティングによる表面仕上げ処理のみに付された未処理サンプル(NT)、
- 表面サンドブラスティング及びストロンチウムイオンの不在下で0.004MのGaイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Ga)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は0.08Mの濃度で存在するが、ガリウムイオンは0.002Mの濃度で存在する)を含有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(SrGa)。
4.1 接触角の評価
湿潤性は、植込みデバイスに対する身体の生物学的反応を左右するパラメーターである。
表面の疎水性又は親水性の程度に依存するサンプルの湿潤性を定量的に評価するために、液状分子間で確立される表面張力に結果的に関係する液体と表面との接触角の測定を行った。
静滴技術を用いて接触角を測定した。この技術は、可動静置表面上に位置するサンプルの表面上で拡大するMillipore水の液滴を堆積するためのシリンジディスペンサーを備えた機器の使用を必要とする。液滴の拡大は、液体内の凝集力と液滴を拡大させる傾向のある重力接着力との間で平衡に達するまで継続する。
コンピューターに接続された高分解能カメラからなるビデオシステム(Allied Vision technologies)により画像をキャプチャーし、それをスクリーン上に投影し、一方、Shape Analysis(DSA)(Kruss,Germany)ソフトウェアにより液体と固体との間の界面を決定するためのベースラインを定め、液滴の自動プロファイルを作成し、そしてプロファイルとベースラインとの交差により規定される2つの角度の値の平均接触角の測定を提供する。
分析をより繰返し可能で標準化されたものにするために、分析に付されるサンプルごとに適用されるプロトコルを定義することが必要であった。サンプルのすべてを撹拌プレート上でMillipore水で5分間洗浄し、37℃の温度のオーブン内で15分間乾燥させ、そして閉容器内で室温(25℃)に放冷する。分析されたサンプルは、パラグラフ4に記載のように2つのNTサンプル及び2つのSrGaサンプルである。
サンプルごとに4滴のMillipore水を上に堆積させて逐次分析した。得られた接触角の値は、試験ごとに得られた値の算術平均の結果である。NTサンプル及びSrGaサンプルの角度θの平均値は、それぞれ、81.14°±8.85°及び76.48°±5.15°であった。
図8から、湿潤性に関してサンプルの挙動を定性的に認識することがさらに可能である。事実上、NTサンプル及びSrGaサンプルの類似の液滴形態が観測されることから、接触角の測定は同等の値を示すことが確認される(p>0.05)。
実施例5 - 放出試験
酸化チタン層からのストロンチウム及びガリウムイオンの放出を調べるために、作製された各サンプルを15ml円錐底管に挿入し、37℃の10mlのリン酸生理食塩水緩衝溶液(D-PSB)(Sigma Aldrich D8537)中に浸漬した。サンプルの表面を被覆する酸化チタンの一部の溶解(もしあれば)を評価するために、それに組み込まれたイオンの結果的に生じる放出による放出試験も実施した。
分析されたサンプルは、SrGaサンプル、すなわち、表面サンドブラスティング及びガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は0.08Mの濃度で存在するが、ガリウムイオンは0.002Mの濃度で存在する)を含有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(SrGa)であった。
これらのSrGaサンプルの12個をPBS溶液中に浸漬することにより、試験を行った。4つの時間点:1日間、7日間、14日間、及び21日間を考慮した。時間点ごとに3個のSrGaサンプルを作製した。考慮されたすべてのサンプルに対して同時に試験を開始し、以上に記載の時間点で中断した。この時点で10mlの溶液を2つの管から抜き取り、3つ目を対照として維持し、ICP-OESにより分析した。
21日目、ICP-OES分析は、チューブ中に存在する溶液及びサンプル自体の両方を評価した。
表2は、4つの時間点のうち3つでPBS中に放出されたストロンチウム及びガリウムの平均量をmg/l単位で示す。
Figure 2022540944000003
実施例6 - 微生物学的特徴付け
ASDで処理されたサンプルに対して抗細菌処理の有効性を評価するために、整形外科感染に関与する2つの主要細菌株:スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(両方ともグラム陽性多剤耐性(MDR)株のカテゴリーに属する)を用いて、下記微生物学的分析を実施した。XTTアッセイを利用して、微生物学的試験に使用した両方の株の細菌生存能を評価した。試験の時間点(1日目、3日目、5日目、7日目)ごとに、未処理サンプル(NT)で検出された値に対して、光学濃度(O.D.)で得られた結果を規格化した。分析されたサンプルは下記の通りである。
- ASD処理ではなくサンドブラスティングによる表面仕上げのみに付された未処理サンプル(NT)、
- 表面サンドブラスティング並びにストロンチウムイオン及びガリウムイオンの両方の不在下で、すなわち、P及びCaイオン(マトリックス)のみの存在下で表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル、
- 表面サンドブラスティング及びストロンチウムイオンの不在下で0.004Mに等しいGaイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Ga)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンの不在下で0.08Mに等しいSrイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Sr)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は0.08Mの濃度で存在するが、ガリウムイオンは0.002Mの濃度で存在する)を含有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(SrGa)。
6.1 原核細胞培養条件
スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)株は、臨床単離物から得られ、“Azienda Ospedaliero-Universitaria Maggiore della Carita”(Novara,Italy)の細菌学及びウイルス学ユニットにより供給され、一方、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)株(ATCC43300、LGC Standards,Sesto San Giovanni,Milan,Italy)は、市販されている。株は両方とも、本発明に係るチタン合金のサンプルへの細菌接着を評価するために使用された。個別のコロニーが現れるまで、好気条件下、マンニトール寒天培地(M9052、Sigma Aldrich)中、37℃で細菌を48h培養した。使用時までプレートを4℃で保持した。どの実験前にも、ルリア・ベルターニ液状培地溶液(LB、Sigma-Aldrich,Milan,Italy)中に約2~3個の個別コロニーを接種することにより、20mlのフレッシュ細菌培養物を調製した。細菌沈殿物の形成を防止するために、120rpm、オービタルシェーカーインキュベーター中、37℃でこれらのコロニーを90分間培養した。指数成長期の細菌をサンプルに感染させるために、1×10細胞/mlの最終濃度に達するように細菌懸濁液をPBS中に希釈した。この濃度は、600nmでの懸濁液の光学濃度と、光学濃度(λ=600nm)と細胞数とを相関付ける標準曲線と、を比較することにより決定された。最終細菌濃度の値は、プロテーゼの除去を必要とする場合など、重度の整形外科インプラント感染時に存在する細菌の含有量(約1×10細胞/ml)に基づいて決定された。試験時、感染の最悪の場合をシミュレートすることを目標とした。手術室に存在する感染の最大レベルは、約1×10細胞/mlであると推定されたので、本発明のサンプルの実際の抗微生物有効性は、サンプルをさらにより重度の感染状態(1×10細胞/mlに等しい最終細菌濃度)に付すことにより検証された。
6.2 サンプルの滅菌
PBS中70%(v/v)で1mlのエタノール(Sigm-Aldrich Milan Code R3154)中に浸漬することによりサンプルを2時間滅菌し、続いてPBS(各1ml)中で濯ぎ、次いで、それらを12ウェル培養プレート(Thermo Scientific TM Nunc TM,code142485)中に配置した。
6.3 サンプルの感染及びバイオフィルム形成
サンプルに感染させるために、1×10細菌を含有する1ミリリットルの細菌溶液を表面上に堆積した。120rpmのシェーキング下、37℃で細胞をインキュベーター中に90分間放置して、均一接着(接着工程)を可能した。続いて、プランクトン様細胞を含有する懸濁液を除去し、一方、表面に接着する細菌を有するサンプルを1mlのLB培地中に浸漬し、湿潤大気中、37℃で24時間インキュベートした。評価前、37℃でバイオフィルムを1、3、5、7日間成長させた。
処理ごとに6つのSrGaサンプル及び6つの未処理サンプル(NT)に対して細菌株の両方で、記載の手順に従った。
6.4 - 合金TiAlNbの抗細菌活性の評価
細菌感染の1、3、5、及び7日後、XTTアッセイを利用して、ASDで処理されたサンプル(マトリックス、Sr、Ga、及びSrGa)と対照として使用される未処理のもの(NT)とを比較して、抗細菌活性を評価した。
6.4.1 XTTアッセイ
XTTアッセイ(2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド)は、細胞生存能の評価に使用される比色アッセイである。XTT塩(Sigma,St Louis,MO,USA)は、生存細菌細胞の代謝状態の指示薬として酵素デヒドロゲナーゼの活性を決定するために使用され、それはXTT黄色テトラゾリウム塩を水溶性褐色ホルマザン塩に変換して物質に橙色を付与する。
XTT塩をアセトン(3mg/ml)に溶解させ、次いで溶液をPBSで10%(v/v)に希釈した。評価時ごとに、100μlのこの溶液をマルチウェルプレートのウェル中に存在する各サンプル上に堆積させた。次いで、サンプルを37℃の暗所に5時間放置してインキュベートした。続いて、どのウェルからも100μlを1200rpmで2分間遠心分離し、次いで、取り出して新しい96ウェルプレートに導入した。490nmに設定された分光測光器(Victor,Packardbell,Lainate,Italy)を利用して、それらの光学濃度(O.D.)を測定した。
スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の両方の細菌株に対して、ASD処理ごとに6つの作製物(マトリックス、Ga、Sr、及びSrGa)及び6つの未処理サンプル(NT)でXTTアッセイを実施した。
処理に対する微生物生存能の値を未処理チタンの値を基準にして規格化した。
図9及び図10は、それぞれ、S.エピデルミディス(S.epidermidis)及びS.アウレウス(S.aureus)の両方の細菌株に対して、試験の時間点ごとに、各種溶液で処理されたサンプルの抗細菌活性の傾向を示す。
S.エピデルミディス(S.epidermidis)の場合には、NTサンプルは、ASDで処理されたサンプルと比較して、より大きな光学濃度を示すことを観測可能であり、ただし、ストロンチウムイオン及びガリウムイオンの両方の不在下で、すなわち、P及びCaイオンのみの存在下で電解液によるASD処理に付されたサンプル(「マトリックス」サンプル)は例外で、その光学濃度値はNTサンプルのものに匹敵する。細胞生存能に関するSrサンプルとSrGaサンプルとの差は、この株では、1日目及び5日目(p>0.05)を除きに、有意である(p<0.05)。
S.アウレウス(S.aureus)に関しては、NTサンプルは、ASDで処理されたサンプルよりも高い光学濃度値を示し、3日目の「マトリックス」サンプル(p=0.06)を除き、常に有意差がある(p<0.05)。S.アウレウス(S.aureus)を用いた試験に付されたSr及び「マトリックス」サンプルは、それらの上に堆積されたいずれの抗細菌剤(すなわちガリウムイオン)も有することなく、類似の光学濃度値を示す。
Gaサンプルに関しては、S.エピデルミディス(S.epidermidis)及びS.アウレウス(S.aureus)の両方の感染の場合で、非常に低い細菌生存能値が得られることを観測可能である。SrGaサンプルでは、両方の細菌株で、NTサンプルと比較して光学濃度に関してより大きな細菌活性が認められることから、抗細菌活性の存在が確認されるが、抗細菌活性は、いずれの場合も許容可能であるとはいえ、Gaサンプルと比較して低いことが示される。
この結果は、Gaサンプルとは対照的に、SrGaサンプル上に存在するより少量のガリウムイオンに起因しうる。
実施例7-生物学的特徴付け
2つの市販の細胞系:ヒト胎児骨芽細胞プロジェニター細胞(hFOB1.19、ATCC CRL-11372)及び骨肉腫を起源とする成熟ヒト骨芽細胞(U-2OS、ATCC HTB-96)を用いてin vitro試験を行った。分析されたサンプルは下記の通りである。
- ASD処理ではなくサンドブラスティングによる表面仕上げのみに付された未処理サンプル(NT)、
- 面サンドブラスティング並びにストロンチウムイオン及びガリウムイオンの両方の不在下で、すなわち、P及びCaイオン(マトリックス)のみの存在下で表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル、
- 表面サンドブラスティング及びストロンチウムイオンの不在下で0.004Mに等しいGaイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Ga)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンの不在下で0.08Mに等しいSrイオン濃度を有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(Sr)、
- 表面サンドブラスティング及びガリウムイオンとストロンチウムイオンと(後者は0.08Mの濃度で存在するが、ガリウムイオンは0.002Mの濃度で存在する)を含有する表1に記載の電解液によるASD処理に付されたサンプル(SrGa)。
7.1 サンプルの滅菌
最初に、γ線によりサンプルを滅菌した。これはその効率及びチタン合金を損傷しない能力で知られる技術である。
続いて、70%(v/v)で1mlのエタノール(Sigma-Aldrich Milan Code R3154)を用いた浸漬によりサンプルを滅菌し、次いで、PBS中で洗浄した。次いで、サンプルを12ウェル細胞培養プレート(Thermo Scientific TM Nunc,code142485)中に配置した。
7.2 細胞培養
U-2OS細胞の培養
37℃、5%COのインキュベーター内、抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン、Code P0781、1%v/v)及び胎仔ウシ血清(FBS、Sigma-Aldrich Milan,Code F7524,10%v/v)が補充された市販培地のフレッシュダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma-Aldrich Milan)中で、供給元(ATCC)の説明書に従って、U-2OS細胞を培養した。
hFOB細胞の培養
34℃、5%COのインキュベーター内、抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン、Code P0781、1%v/v)及び胎仔ウシ血清(FBS、Sigma-Aldrich Milan,Code F7524,10%v/v)が補充された市販培地のフレッシュ改変イーグル培地/F12ミックス(MEM/F12、Sigma-Aldrich Milan)中で、供給元(ATCC)の説明書に従って、hFOB細胞を培養し、ネオマイシン(G418塩、Sigma-Aldrich Milan)を利用して選択した。
7.3 直接細胞適合性の評価
処理サンプルの細胞適合性を元のチタン合金と比較して評価するために、サンプルの処理表面に直接接触させて細胞を培養した。プレート中で70~80%の集密度に達したら、トリプシンによる酵素消化により細胞(hFOB及びU-2OS)を取り出し(37℃、5分間)、遠心分離し(5分間、900rpm)、そしてトリパンブルー染色及びBurkerチャンバーを利用してカウントした。サンプルごとにその表面上で、50マイクロリットルの体積の培地中に1×10細胞を播種し、37℃、5%COで細胞を2時間接着させ、その後、直接培養のために1ml/サンプルの新鮮培地中にサンプルを浸漬した。1-2-3日間の直接接触後、パラグラフ6.4.1の実施例6に詳述されるように、XTT比色代謝アッセイを利用して、サンプルの表面上で直接培養された細胞の生存能を検証した。
評価時:1日目、2日目、3日目ごとに、光学濃度で表された生存能値を未処理チタン合金(NT)の値を基準にして規格化する。図11及び図22では、それぞれ、光学濃度によりhFOB及びU-2OSの両方の系列の細胞増殖の経時的トレンドを見ることが可能である。
両方の細胞系列で、各種処理及びNTサンプルの間で同等の光学濃度値を認めることが可能であったが、Srは例外で、細胞系列U-2OSで骨芽細胞の増殖の経時的増加を示す。
こうしてストロンチウムは細胞増殖に対して正の作用を有しうるので、実際にオステオインテグレーションのプロセスで積極的役割を果たすと推測される。さらに、「in vitro」の多数のかかる細胞は、「in vivo」で新しい骨のより多くの堆積をもたらして骨安定性に有益な結果を生じうると推測される。
最後に、これらの結果に基づいて、チタン合金上で実施されるASD処理に由来するいかなる細胞傷害作用も見られないものと思われる。
特定的には、2日目及び3日目の両方で、どのサンプルでも光学濃度の増加が認められることから、サンプル上での細胞の増加が示唆される。こうした光学濃度の増加は、NTサンプルの場合にはより少なかった。
これらの実験から、ガリウムを含有する電解液で実施されるASD処理は、優れた抗細菌性を示すが、ストロンチウムを含まないので、いかなる細胞傷害作用も示さないにもかかわらず、オステオインテグレーションに有意な影響を及ぼさないと結論付けることが可能である。さらに、ストロンチウムとガリウムとの共堆積を有するサンプルは、ガリウムのみを有するサンプルよりもわずかに少ない抗細菌活性を示すが、オステオインテグレイティブと抗細菌効果との良好な折衷策であるように思われる。

Claims (26)

  1. 金属自体の酸化物層で被覆された少なくとも1つの表面を有する金属の基材を含む、プロテーゼ又は外科インプラントであって、
    前記被覆表面がアノーディックスパーク堆積(ASD)技術による前記酸化物層の形態改質及び化学改質を利用して改質されて、Ca、P、Ga、及びSrイオンで富化され、前記プロテーゼ又は前記外科インプラントが好ましくは全体が前記基材で製造される、
    プロテーゼ又は外科インプラント。
  2. 前記被覆表面が改質されてAgイオンでさらに富化される、
    請求項1に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  3. 前記金属が、チタン及びチタン合金、好ましくはTiAlNbからなる群の中から選択される、
    請求項1又は2に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  4. 前記金属の前記酸化物層が、1~20μm、好ましくは2~15μm、さらにより好ましくは3~8μmに含まれる厚さを有する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  5. 前記金属の前記酸化物層が、50nm~5μm、好ましくは100nm~3μmに含まれる寸法の細孔を有することにより特徴付けられるマイクロ多孔性層であり、
    前記細孔が前記層上に均一に分布する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  6. 前記金属の前記酸化物層は、0.01~30μg/cm、好ましくは2~30μg/cm、より好ましくは0.02~8μg/cm、より好ましくは3~8μg/cm、さらにより好ましくは0.03~6μg/cm、さらにより好ましくは4~6μg/cmに含まれる量のGaで富化される、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  7. 前記金属の前記酸化物層は、0.05~5μg/cm、好ましくは0.10~3μg/cm、より好ましくは0.25~2μg/cmに含まれる量のAgで富化される、
    請求項2~6のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  8. 前記金属の前記酸化物層は、10~250μg/cm、好ましくは50~350μg/cm、より好ましくは30~120μg/cm、より好ましくは70~250μg/cm、さらにより好ましくは40~70μg/cm、さらにより好ましくは100~150μg/cmに含まれる量のSrで富化される、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
  9. 請求項1又は3~8のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラントを作製するプロセスであって、
    (i)Ga塩とキレート化剤とを含む水性溶液(溶液A)及びSr塩とホスフェートとカルシウム塩とを含む水性溶液(溶液B)を構成する工程と、
    (ii)溶液Aと溶液Bとを混合して電解液を得る工程と、
    (iii)金属、好ましくはチタン又はチタン合金の基材を提供する工程であって、前記金属が好ましくはパッシベート状態又は非パッシベート状態である、工程と、
    (iv)改質形態を有する表面が得られるまで工程(iii)の基材の少なくとも1つの表面を任意に前処理する工程と、
    (v)工程(ii)で得られた電解液(2)を含有するレセプタクル(1)と、工程(iii)の基材(3)又は工程(iv)で得られた基材(3)と、カソードと、を含む電解セルを提供する工程と、
    (vi)前記基材及び前記カソードをそれぞれ前記セルの正極及び負極に接続してアノーディックスパーク堆積(ASD)による前記基材の処理に進む工程と、
    を含むプロセス。
  10. 前記工程(i)が、Ga塩とキレート化剤とを含み、及びさらにAg塩も含む水性溶液(溶液A’)を構成する工程であり、並びに前記工程(ii)が、前記溶液A’と溶液Bとを混合して電解液を得る工程である、
    請求項2~8のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラントを作製するための請求項9に記載のプロセス。
  11. 工程(ii)で得られる電解液が、0.001~0.008M、好ましくは0.002~0.004Mに含まれる濃度で前記Ga塩を含む、
    請求項9に記載のプロセス。
  12. 工程(ii)で得られる電解液が、0.0001~0.002M、好ましくは0.0003~0.001Mに含まれる濃度で前記Ga塩と、0.001~0.015M、好ましくは0.002~0.010Mに含まれる濃度で前記Ag塩と、を含む、
    請求項10に記載のプロセス。
  13. 工程(ii)で得られる電解液が、0.01~0.3M、好ましくは0.05~0.15Mに含まれる濃度で前記Sr塩を含む、
    請求項9~12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 工程(ii)で得られる電解液が、0.002~0.01M、好ましくは0.004~0.008Mに含まれる濃度で前記キレート化剤と、0.02~0.2M、好ましくは0.03~0.05Mに含まれる濃度で前記ホスフェートと、0.05~0.6M、好ましくは0.2~0.3Mに含まれる濃度で前記カルシウム塩と、を含む、
    請求項9~13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. 工程(iv)で得られる改質形態を有する前記表面が、サンドブラスティング、プラズマスプレーイングによる金属チタンコーティング、前記表面上に焼結されるチタンマイクロスフェアコーティング、チタンフラグメントコーティング、粗状又は多孔性チタンコーティング、及びそれらの組合せからなる群の中から選択される表面改質技術を利用して実施される前処理により得られる、
    請求項9~14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. 前記Ga塩が、硝酸ガリウム(Ga(NO)、硝酸ガリウム水和物(Ga(NO・HO)、及び酢酸ガリウムGa(Cからなる群の中から選択される、
    請求項9~15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 前記Ag塩が、硝酸銀(AgNO)及び酢酸銀(AgC)からなる群の中から選択される、
    請求項10又は12~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. 前記Sr塩が、酢酸ストロンチウム((CHCOSr)及び硝酸ストロンチウムSr(NOからなる群の中から選択される、
    請求項9~17のいずれか一項に記載のプロセス。
  19. 前記キレート化剤が、L-システイン(HSCHCH(NH)COH)、シュウ酸、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)からなる群の中から選択される、
    請求項9~18のいずれか一項に記載のプロセス。
  20. 前記ホスフェートがグリセロホスフェート二ナトリウム塩五水和物(β-GP)である、
    請求項9~19のいずれか一項に記載のプロセス。
  21. 前記カルシウム塩が酢酸カルシウム一水和物(CA)(CCaO・HO)である、
    請求項9~20のいずれか一項に記載のプロセス。
  22. 前記カソードが金属カソードであり、前記カソードが好ましくはチタンカソードである、
    請求項9~21のいずれか一項に記載のプロセス。
  23. アノーディックスパーク堆積による処理の工程(工程(vi))が、-5~+5℃、好ましくは-1~+1℃に含まれる温度で実施される、
    請求項9~22のいずれか一項に記載のプロセス。
  24. アノーディックスパーク堆積による処理の工程が、5~50mA/cm、好ましくは10~30mA/cmに含まれる第1の電流密度で、210~330V、好ましくは260~310Vに含まれる値まで非依存的に増加する電位で、前記電位値に達するのに必要な時間にわたり、及び前記第1の電流密度の値の50%~5%に含まれる第2の電流密度で、直流を用いて実施される、
    請求項9~23のいずれか一項に記載のプロセス。
  25. アノーディックスパーク堆積による処理の工程が、パルス電流を用いて実施される、
    請求項9~24のいずれか一項に記載のプロセス。
  26. インプラントロジー手術、好ましくは整形外科プロテーゼインプラントロジー手術における細菌コロニー形成の防止、細菌バイオフィルム接着の低減、又はオステオインテグレーションの促進に使用するための、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のプロテーゼ又は外科インプラント。
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