JP2022536698A - 細胞老化活性化化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然に存在する化合物、具体的には健常リンパ球細胞に対して細胞傷害性及び遺伝毒性を有しない、薬剤中で使用されるグアユリンA、B、C及びDを提供する。【解決手段】インビボ動物モデルにおける健常リンパ球細胞に対して細胞傷害性又は遺伝毒性を呈しない、式(I)及び(I’)の、アルジェンタチンA及びC、イソアルジェンチンB、及びアルジェンタチンDと称されるグアユリン化合物A、B、C及びDにおいて、老化プロセスを通して抗炎症活性を呈し、がん細胞の成長を阻害することを特徴とするグアユリン化合物A、B、C及びD。前記活性化合物は、ヒトがん細胞株中において、老化プロセスを通してそれらの成長を阻害するため、炎症性プロセスに干渉し、及び抗腫瘍活性を有する。【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明は、医薬品化学の分野、特に天然起源の化合物の治療効果に関する。
発明の背景
がんは、現在、世界規模で最も危惧される疾患の1つであり、疾患が課す経済的及び社会的側面に起因して、特に開発途上国の公衆衛生システムにとって課題である。
メキシコでは、この疾患は、栄養障害及びその地域に典型的な感染伝染病に起因する罹患率及び死亡率の主因である。この病気は、2000年から現在まで、死亡の第2原因と第3原因との間に留まっている。2013年、メキシコでは、がんは、死亡の12.84%を引き起こすことが記録されたが、専ら心疾患(24.3%)及び糖尿病(14.3%)に続いて死亡の第3原因として位置付けられている。2000年~2013年の間、がんの主なタイプの中でも、肺がん、胃がん、肝がん、前立腺がん、乳がん及び子宮頸がんは、この疾患からの死亡の45%を引き起こしている。その疾患からの死亡率(100,000名の集団あたり)は、増加していることが認められている。2000年には58.7であると評価されたが、2013年には、報告された死亡率は、65.1であり、2020年までにこの率が100,000名の住民あたり79になり(95%CIが76.51~81.48)、1,262,861名のメキシコ人は、がんの一部のタイプと診断される(95%CIが1,079,419~1,446,303)と算出されている(Mohar-Betancourt et al, 2017)。
がんに対して異なる治療オプションがあり、それらの使用は、がんのタイプ及び疾患のステージに依存することになる。手術と化学療法及び/又は放射線療法との組み合わせを使用するか、又は免疫療法治療、ホルモン療法若しくは特異的な標的療法も使用することが最も一般的である。メキシコでは、健康施設は、それらの診療ガイドラインにおいて、がんの主なタイプの治療のための異なる化学療法オプション、例えばシスプラチン、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、エピルビシン、マイトマイシンC、ビノレルビン、ゲムシタビン、カペシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、エトポシド、タモキシフェン、セツキシマブ、トラスツズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブなどを含む。これらの薬剤は、腫瘍細胞の成長を阻害するための異なる作用機序を有するが、一部のものは、非常に高いコストを有する可能性があり、他のものは、関連した異なる重症度の有害反応を有する。したがって、がんの化学療法治療の臨床経験において、2つの関連機会領域が、利用可能な治療の改善において提示されることが多い:1)薬剤の安全性及び有効性に関する側面、及び2)利用可能な治療のコスト。一般に、メキシコにおいて利用可能な化学療法薬及び世界的にも分布されたもののコストは、高い。がん治療は、大部分の進行期にある患者あたり100,000米ドルを超え得る(化学療法とともに特に手術、入院にかかる費用を含む)と推定されている(Blumen et al, 2016)。さらに、このタイプの薬剤に対する応答及び安全性において有意な個体間可変性が認められており、それにより特定の症例における治療成功の確率が低下することがある(Chen et al, 2015;Visa et al, 2018;Zhuang et al, 2017)。
抗新生物薬の安全性に関して、細胞傷害性タイプのものは、ヒトに処方可能である最も有毒な薬剤と考えられ、その中にメキシコで最も使用される薬剤が含まれる(例えば、特にシスプラチン、5-フルオロウラシル、エピルビシン、ゲムシタビン、カペシタビン、パクリタキセル、エトポシド)。これらの多くは、治療量が中毒量と事実上同じであることを意味する1の治療指数を有する。主に、細胞傷害性薬物は、骨髄、胃腸粘膜及び毛包を冒し得る。なぜなら、これらの組織は、高い成長因子を有し、それは、これらの薬剤タイプがそれらの作用機序を発揮する場合に一致するためである。細胞傷害性薬物タイプに応じて、心毒性、聴器毒性、肝毒性及び腎毒性も生じ得る(Waller and Sampson, 2018)。重要なことに、本発明に記載の化合物は、実施された毒性学的試験において、参照細胞傷害性薬物と比較してより高い安全性を示している。
細胞傷害性化合物の高い毒性は、その作用機序に関連する。なぜなら、それらは、がん細胞DNAの合成に介入するが、それらの選択性は、このプロセスが非悪性細胞内でも実施され、それらの一部が悪性細胞と同様の成長率を有する場合があることから制限されるためである。細胞傷害性薬物によってもたらされるDNA合成における改変は、異なるレベルで、例えばプリン性若しくはピリミジン性含窒素塩基の生合成において、リボヌクレオチドの形成において、DNA生合成において、直接的にDNAに対して、mRNA及び/又はタンパク質の形成において又は合成されたタンパク質に対してなされ得る(Waller and Sampson, 2018)。それに対して、本発明に記載の化合物の効果は、腫瘍細胞に特異的な細胞老化プロセスを促進することにより、抗腫瘍効果を発揮する。
標的がん療法は、細胞傷害性薬物によって用いられる作用機序と異なる、モノクローナル抗体(ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ)又は小阻害分子(エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ)からなる、この病態に対する他の薬理学的な選択肢である。一般に、標的療法薬は、細胞傷害性薬物よりも優れた耐性を有し、乳がん、肺がん、結腸がん、膵がん、リンパ腫、白血病及び多発性骨髄腫などの異なる一般的ながんに対して使用可能である。このタイプの治療は、特にがん細胞内で発現される分子を標的とし、したがって個別化療法の始まりを意味する。しかし、最初に、がん細胞が薬剤の誘導に対して特異的な分子及び/又は受容体を有する必要があり、特にそれが腫瘍に対する効果を発揮しない可能性があることから、すべての患者にとって最良の選択肢であるように思われない。さらに、このタイプの薬剤では、コストが大幅に上昇し、例えば、ベバシズマブ又はセツキシマブを含む、結腸がんに対する多剤治療は、8週治療において最大で30,790米ドルかかる可能性がある一方、同じ期間であるが、フルオロウラシルをロイコボリンと併用する治療は、約63米ドルのコストを有することが報告されている。同様に、このタイプの治療の選択性にもかかわらず、これらの薬剤に対するいくつかの有害反応、例えば皮疹、心不全、血栓症、高血圧症及び蛋白尿が既に報告されており、さらに小阻害分子による治療の場合、異なるタイプの相互作用がチトクロムP450を通して生じることがある(Gerber, 2008)。本発明に記載の化合物は、腫瘍細胞によって発現される特定の受容体又はタンパク質に対して特異的ではなく、代わりに、化合物は、異なるタイプの腫瘍を形成する、細胞の細胞周期の停止を活性化するための酵素的機構に対して作用する。
そのため、がん研究作業は、現在利用可能なものよりも優れた安全性特性及び低コストを提示する新しい効果的治療の開発を重視している。この意味では、天然物の使用は、抗発がん活性を有する植物性医薬の発見のための機会領域となっている。なぜなら、それらは、がんの発症、発現及び進行に様々な細胞機構(増殖、分化、アポトーシス、血管新生及び転移)の調節を通して干渉し得ることが認められているためである。また、天然物の使用は、新生物の治療における対費用効果の高い選択肢を提示し得ることが示唆されている(Rajesh et al, 2015)。
時間とともに、「ゴムノキ」を意味するグアユールの異なる二次代謝物質が同定され、単離されている。グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)は、国の北部及び米国南部の乾燥地帯で成長する低木であり、1852年に最初にJM Bigelowによって言及され、その植物学的特徴が1859年にAsa Gray of Harvard Universityによって記述された(Hammond and Polhamus, 1965)。この木では、ゴムが、個別の細胞内に制限されたコロイド状ラテックス懸濁液として貯蔵され、実際には植物のすべての器官、茎、根及び葉に存在する(Rollins, 1950)。グアユールから単離された化合物中には、パルテニオール、精油(特にa-ピネン、フェランドラルリモネン)、メトキシル化フラボノイド、エタノール抽出物からのグアユリンA、B、C及びDと称されるセスキテルペン、特にアルジェンタチンA及びC、イソアルジェンチンB並びにアルジェンタチンDという名称のシクロアルタンタイプのトリテルペンが含まれる。
グアユールからゴムを得るための化学プロセス中、ゴムの1キログラムあたり1キログラムの樹脂が得られ、その中のアルジェンタチンが27%を表すことから、顕著な性能を有する樹脂が得られる(Komoroski et al., 1986)。
アルジェンタチンは、科学文献では、ヒトがん細胞株において炎症性プロセスに干渉し、及び抗腫瘍活性を有する活性化合物についての探索における優れた候補と考えられているトリテルペンである(Akihisa et al, 2000;Dzubak et al, 2006;Flores-Rosete and Martinez-Vazquez, 2008;Oviedo-Chavez et al, 2004;Oviedo-Chavez et al, 2005;Recio et al, 1995a;Recio et al, 1995b;Ukiya et al, 2009)。
特に、グアユールからのアルジェンタチンの試験は、これらの化合物がカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、トルロプシス・グラブラタ(Torulopsis glabrata)、ハンゼヌラ種(Hansenulla sp.)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する抗菌活性を有することを示している(Martinez-Vazquez et al, 1994)。同様に、別の試験では、ヒトがん細胞系(前立腺、白血病、中枢神経系、胸部及び結腸)におけるアルジェンタチンA及びBの細胞傷害性活性が評価され、アルジェンタチンは、がん細胞におけるそれらの細胞分裂停止活性における差異を示すが、健常リンパ球細胞に対する細胞傷害性又は遺伝毒性を示さないことが見出された(Parra-Delgado et al, 2005a)。
さらに、アルジェンタチン由来の9つの化合物の増殖阻害能は、前立腺がん細胞株、中枢神経系、結腸及び白血病において評価されており、そこでは、これらの誘導体の中でも、細胞成長の阻害においてより大きい活性を有する化合物があることが認められ(Parra-Delgado et al, 2005b)、これら及び他のアルジェンタチン誘導体の抗炎症活性もマウスモデルにおいて報告されている(Romero et al, 2014)。別の試験では、アルジェンタチンB化合物及びその誘導体は、がん細胞を阻害する能力が実証されており(Parra-Delgado et al, 2006)、がん細胞に対するこの効果は、具体的には、腫瘍細胞の腫瘍抑制タンパク質p53及びp73に対して作用することによる(Romero-Benavides et al, 2017)細胞老化のプロセスを通して実施されることが記載されている(Alcantara-Flores et al, 2015)。この最後の試験では、アルジェンタチンB及びその誘導体は、G1相における細胞周期の停止をもたらし、上記タンパク質のリン酸化を誘導することが示された。
老化は、Leonard Hayflick (1961)により、生存にとって必要な代謝的に活性な状態で維持する細胞の増殖能の不可逆的喪失として提示された。細胞老化は、DNAを損傷する薬剤及び放射線による、細胞傷害、がん遺伝子の活性化、テロメア短縮を含む異なる機構により誘起され得る(Saretzki, 2010)。
インビトロでの細胞老化プロセスは、DNA複製の喪失、テロメア短縮の決定、β-ガラクトシダーゼ酵素の濃度増加及び特定の遺伝子の発現特性を判定する異なる方法により試験可能であると考えられる。これらの細胞プロセスを検出するための特定の分子的方法は、特に、5-ブロモデオキシウリジン又はチミジン-3Hの組み込み、PCNA及びKi-67などのタンパク質に対する免疫組織化学、テロメア反復配列を認識する放射活性標識プローブによる末端制限断片分析(TRF)、テロメア断片の測定のための蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの定量化(Q-FISH)、老化細胞を定量するためにQ-FISHの特性とフローサイトメトリーとを組み合わせるFlow-FISH技術、13-ガラクトシダーゼ酵素レベルの測定、老化表現型を維持するシグナル伝達経路の因子、遺伝毒性ストレスマーカー、炎症性サイトカインの分泌の検出を含む(Martinez Salazar et al, 2009)。すべてのこれらの技術は、利点及び欠点を有し、それらの適用は、試験の必要性に依存する。例えば、従来技術では、老化したヒト線維芽細胞内において、テロメア短縮を意味する、β-ガラクトシダーゼ酵素のレベルにおける有意な増加があることが認められており、したがってこの状態が老化細胞に対する信頼できるバイオマーカーであると考えられている(Dimri et al., 1995;Kurz et al., 2000;Yang and Hua, 2004)。
細胞老化は、増殖の不可逆的停止、アポトーシスに対する抵抗性及び多くの場合に炎症促進性であり、且つ組織を破壊することを特徴とする老化細胞の分泌性表現型の生成を含む。老化細胞は、加齢プロセス中の様々な組織内に蓄積し、様々な慢性疾患、老年症候群及びレジリエンスの喪失に関する病態形成の一部である。したがって、老化細胞の蓄積を予防するか又はそれらの負荷を低減することは、老化に関連する複合病態の遅延、予防又は改善に寄与し得ると考えられる(Kirkland and Tchkonia, 2017)。しかし、老化プロセスの機構に従い、それは、2つの異なる治療目的を得るために改変され得る。それらの一方は、既に述べられた老化細胞の阻害効果により加齢及び慢性変性疾患の結果を改善することであり、他方の機構は、腫瘍細胞における老化プロセスの誘発により抗腫瘍効果を発揮することであろう。
文献米国特許第8759304号、米国特許第9913851号、米国特許第9403866号、米国特許第8481721号、米国特許第7846904号(それぞれD1~D5)では、特定の疾患は、未成熟細胞老化をもたらす迅速なテロメア喪失に関連することが説明されている。例えば、腫瘍細胞及び特定の幹細胞と異なり、体細胞は、少なくとも一部の染色体のテロメア末端が、プログラム細胞老化(細胞死)をもたらす決定的長さまで短縮されているとき、テロメラーゼ活性をほとんど又は全く有さず、分裂を停止させる。老化をもたらす、体細胞内でのテロメア反復配列の喪失は、低いテロメラーゼ活性により増強されることから、テロメア反復配列のアレイをテロメアに付加する効果を有するテロメラーゼ活性の誘発は、増強された複製能を致死性体細胞に付与し、且つ損傷組織の修復後、増殖し、細胞周期から適切に逸脱する能力を老化細胞に付与する。
テロメラーゼは、テロメア反復配列のテロメア末端への付加を触媒するリボ核タンパク質である。テロメアは、染色体の末端に及ぶ反復配列の長いストレッチであり、染色体を安定化させると考えられる。テロメラーゼは、大部分の成熟細胞内で発現されず、テロメア長は、複製の連続ラウンドとともに減少する。特定数の複製ラウンド後、テロメアの漸進的短縮は、細胞のテロメア危機の段階への進入を引き起こし、次いで細胞老化をもたらす。
この意味において、上記の特許は、細胞内でのテロメラーゼ活性を増強するための化合物、それらの組成物及び方法を記載し、保護している。かかる方法及び組成物は、細胞培養下、即ちインビトロ又はエクスビボ若しくはインビボで、ヒト対象及び非ヒト哺乳類を含む対象の組織内で成長する細胞などの細胞に対して使用可能である。テロメラーゼ活性の増強により、細胞複製能及び増殖能が促進され、抗加齢効果がもたらされる。それに対して、本発明に記載の化合物は、腫瘍細胞に対して老化プロセスをもたらし、それらの増殖能を阻止し、したがって抗腫瘍効果を発揮することを追求する。
一態様では、従来技術において記載される方法は、テロメラーゼ活性の増強が所望される細胞又は組織を同定することと、その細胞又は組織を、米国特許第7,846,904号;米国特許第8,481,721号;米国特許第8,759,304号;米国特許第9,403,866号;米国特許第9,913,851号などの文献中に記載の化合物と接触させることとを含む。
従来技術において記載される方法は、対象の細胞又は組織におけるテロメラーゼ活性を増強し、且つ化合物を対象に投与することが所望される方法における、対象の特定の病態の同定、判定又は診断を含む。対象は、哺乳類対象、例えば家畜、イヌ又はネコ或いはさらにマウス、ラット、サル又はヒト対象若しくは患者であり得る。
予防又は治療対象のかかる病態又は疾患は、例えば、ウイルス及び日和見感染症、例えばHIV、様々な変性疾患、例えば神経変性疾患、骨若しくは関節及び結合組織の変性疾患、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、心血管疾患、例えば中枢及び末梢血管疾患、クローン病及び他の免疫病態、線維症及び肝硬変を含む肝疾患、肺線維症、喘息、肺気腫及びCOPDを含む肺疾患、造血障害(貧血、血小板減少症、好中球減少症及び他の血球減少症を含む)、慢性炎症性疾患、バレット食道などの胃腸疾患並びに幹細胞又は前駆細胞集団における増殖能の喪失に関連する任意の障害を含み得る。かかる病態は、骨髄不全症候群、再生不良性貧血、骨髄異形成性貧血又は骨髄異形成症候群を含み得る。これらの病態は、皮膚及びその付属器の創傷及び他の急性又は慢性病態、例えば火傷、擦過傷、切開傷、移植、感染病原体によって引き起こされる損傷、慢性静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性又は褥瘡性潰瘍、粘膜潰瘍、ケロイド形成、色素又は毛髪の喪失並びに皮膚及びその付属器の他の構造異常も含む。かかる病態は、低いテロメラーゼ又は短縮されたテロメアが、ゲノム不安定性、又は増加した突然変異率、又は腫瘍抑制因子機能の喪失に関連し、結果として対象における腫瘍開始、腫瘍進行又は腫瘍再発のリスクが増加するようながん及び前がん病態も含む。しかし、実験又は手順は、がん細胞に対する保護された化合物の安全性及び健常細胞に対するそれらの安全性について実証している文献D1~D5中に記載されていない。
細胞又は組織内でテロメラーゼ活性を増強することにより得ることができる利点は、例えば、前記組織内の前記1つ以上の細胞の複製能及び/又は寿命の改善を含む。
この意味では、例えば、米国特許第8,759,304B2号におけるテロメラーゼ活性を増強するための方法及び化合物が保護されている。これらの化合物は、複数の置換基を有するアストラガロシドの誘導体である(図1)。アストラガロシドは、高い極性を有するアルコール型の四環系トリテルペノイドである(Ren et al, 2013)。逆に、式Inの化合物及びその誘導体は、シクロアルタン型のトリテルペンであり、両方の構造の炭化水素骨格が高い類似性を呈するが、これらの化合物間の差異は、重要なことに、化合物Inなどの場合、アストラガロシドとシクロアルタンとの間に異なる化学的特徴を付与する、炭素3、6及び16中に見出される置換基にある。
アストラガロシドの誘導体について公表された効果は、健常体細胞内での細胞老化を阻害し、それらの増殖を促進することと、それによる、HIV、アルツハイマー病、心疾患(移植組織内)などの疾患の治療に寄与することがある特定の細胞及び組織の再生とである。後出の特許(米国特許第9,913,851B2号)では、研究者は、本発明が、ゲノム不安定性、又は突然変異率の増加、又は腫瘍抑制遺伝子の機能喪失を引き起こすテロメラーゼの活性低下又は短いテロメアが認められ、その結果として、個体が腫瘍形成の開始、既存の腫瘍の進行又は再発性腫瘍のより高いリスクを有するがん及び前がん病態にも適用可能であることを示している。
しかし、これらの試験は、テロメラーゼ活性の増強が腫瘍細胞の増殖低下をもたらさず、むしろ腫瘍細胞の老化プロセスの誘発をもたらすプロセスが求められる、がんの試験での動物モデル又は腫瘍細胞における保護された化合物の特異的な抗腫瘍活性又はその機構について科学的に実証していない。本発明は、細胞周期の停止を通してこのタイプの細胞の増殖を阻害し、それらの死滅を誘導するような腫瘍細胞の老化プロセスの誘発を支持する方法を指す。同様に、がん治療において以前に記載の通り、それらの安全性は、見出された特許中で詳述されていない健常細胞に対する化合物の毒性に依存し、従来技術に対する別の差異は、本発明に記載の化合物が健常細胞に対して毒性を呈さないことである。なぜなら、化合物In及びその誘導体は、それらに対する抗増殖性効果を引き起こさないことが間接的に示されている細胞周期の調節機構に対して作用するためである。
テロメラーゼ活性を増強するために使用されるアストラガロシド化合物(米国特許第8,759,304B2号)。 化合物Inの効果に起因する、アネキシンV及びIPによる二重標識を用いたアポトーシス誘発の結果。 HCT-116細胞で異種移植されたマウスにおける化合物Inの効果の評価。矢印は、週1回の投与で3週間のレジメンでの化合物投与の日数を示し、各点は、マウス6匹の平均及び標準偏差を表す。In(250及び500mg/kg)及びシスプラチン(4mg/kg)で処置されたマウスの群と、媒体で処置された群とで治療群間の有意差が認められた(****p<0.0001、スチューデントt検定)。 A)媒体、B)4mg/kgのシスプラチンで週1回、C)250mg/kgのInで週1回、D)500mg/kgのInで週1回、3週間処置されたマウス腫瘍のサイズの画像。腫瘍は、HCT-116結腸がん細胞株で誘導された。 HCT-116細胞で異種移植されたマウスにおける化合物Inの効果の評価。矢印は、週3回の投与で3週間での投与の日数を示し、各点は、マウス6匹の平均±標準偏差を表す。In処置及びシスプラチン処置群と、媒体処置群との間で有意差が認められた(****p<0.0001、スチューデントt検定)。 A)媒体、B)250mg/kgのInで週3回、及びC)2mg/kgのシスプラチンで週3回、3週間処置された腫瘍のサイズの画像。 A)500mg/kg、250mg/kgの用量のIn又は4mg/kgのシスプラチンで週1回、3週間の腹腔内投与により処置されたnu/nuマウスの体重変化。B)250mg/kgの用量のIn又は2mg/kgのシスプラチンで週3回、3週間の腹腔内投与により処置されたnu/nuマウスの体重変化。グラフ内の各点は、1実験群あたりマウス3匹の体重の平均±標準偏差を表す。シスプラチン処置マウスの体重と媒体群マウスの体重との間で統計学的差異が認められた(****p<0.0001、スチューデントt検定)。 ヘマトキシリン・エオシンで染色されたHCT-116細胞異種移植体の代表的な顕微鏡写真。A)媒体、B)500mgのInで週1回、C)250mg/kgのInで週1回、D)250mg/kgのInで週3回。画像は、20倍顕微鏡スケールにおいて、Qlmaging社製のQcapturepro 5ソフトウェアを使用してOlympus IX71倒立顕微鏡により取得された。 DAPIで染色されたHCT-116細胞異種移植体の代表的な顕微鏡写真。A)媒体、B)500mg/kgのInで週1回、C)250mg/kgのInで週1回、D)250mg/kgのInで週3回。画像は、U-mwu2フィルター、330~420nmの励起帯、Fluorite plan 20×NA0.45対物レンズを備える400ダイクロイックミラーとともに、Qlmaging社製のQcapturepro 5ソフトウェアを使用してOlympus IX71倒立顕微鏡により取得された。 PCNA免疫標識の代表的な顕微鏡写真。A)媒体、B)500mgのInで週1回、C)250mg/kgのInで週1回、D)250mg/kgのInで週3回。画像は、20倍顕微鏡スケールにおいて、Qlmaging社製のQcapturepro 5ソフトウェアを使用してOlympus IX71倒立顕微鏡により取得された。褐色は、PCNA陽性細胞を示す。 HCT-116異種移植細胞における細胞増殖マーカーPCNAにより認められた化合物Inの抗増殖性効果。結果は、PCNAの百分率±標準偏差で示される。fiji.scソフトウェアを使用して、1実験群あたり3つの異種移植組織からの10の無作為に選択された顕微鏡視野における(全部で30の測定値になる)抗原陽性細胞の平均数が計算された。Inによる異なる治療と対照群との間で有意差が認められた(****p<0.0001、スチューデントt検定)。 A)HCT-116細胞内でのβ-ガラクトシダーゼ活性、B)HCT-15細胞内でのβ-ガラクトシダーゼ活性、C)HCT-116細胞株の細胞対照、D)30μMのInで72時間処置されたHCT-116細胞。
発明の詳細な説明
本発明は、健常細胞に対する抗増殖性効果を引き起こさないことが間接的に示されている、細胞周期の調節機構に対して作用するという事実に起因して無毒性である、式(I)及び(I’)の化合物の重要且つ新規な抗腫瘍活性に関する。化合物(1)は、式:
(A)-(B)-(C)
(式中、
Aは、
Figure 2022536698000002

の1つから選択される基であり、
Bは、
Figure 2022536698000003

であり、及び
Cは、
Figure 2022536698000004

の1つから選択される基であり、
ここで、Rは、
Figure 2022536698000005

から選択される基を表し、
は、
Figure 2022536698000006

から選択される基を表し、
は、
Figure 2022536698000007

から選択される基を表し、
は、-OH、
Figure 2022536698000008

から選択される基を表し、
及びRは、同時に、
Figure 2022536698000009

であり得、
及びRは、同時に、-OH又は-OAcであり得、
及びRは、同時に、それぞれ
Figure 2022536698000010

及び-Brであることはなく、
は、H、CH又はアルキル鎖の1つから選択される基であり、
Aが、
Figure 2022536698000011

であるとき、Rは、
Figure 2022536698000012

ではなく、且つRは、-Brではなく、且つR及びRは、同時に、-OH又は-OAcから選択される基であり、
Cが、
Figure 2022536698000013

であるとき、R及びRは、同時に=Oであり得、及びRは、-Brではないか、又は
Aが、
Figure 2022536698000014

であるとき、R及びRは、一緒に、基
Figure 2022536698000015

を形成し得る)
並びに上記の化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩を有する。
一実施形態では、式(1)の化合物は、
(A)-(B)-(C)
(式中、
A、B、R、R、R、R及びRは、上記で定義された意味を有するが、但し、
及びRは、同時に-OHであり得ず、及び
及びRは、同時に、それぞれ=O及び-Hであることはないことを条件とする)
並びに上記の化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩が好ましい。
一実施形態では、式(1)の化合物は、化合物であって、
Aは、基
Figure 2022536698000016

であり、
Bは、基
Figure 2022536698000017

であり、
Cは、基
Figure 2022536698000018

であり、
ここで、Rは、基:=Oを表し、
は、基:-Hを表し、
は、-OHから選択される基を表し、
は、-OHから選択される基を表す、化合物及び/又は上記の化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩である。
一実施形態では、式(I’)の化合物は、
(A)-(B)-T
(式中、
A及びBは、上記で定義された意味を有し、
は、=O、
Figure 2022536698000019

から選択される基を表し、
は、
Figure 2022536698000020

から選択される基を表し、
は、
Figure 2022536698000021

から選択される基を表し、
及びRは、同時に=Oであり得、
及びRは、同時に、それぞれ
Figure 2022536698000022

及び-Brであることはなく、
は、H、CH又はアルキル鎖の1つから選択される基であり、
Aが、
Figure 2022536698000023

であるとき、Rは、
Figure 2022536698000024

ではなく、及びRは、-Brではなく、
Aが、
Figure 2022536698000025

であるとき、R及びRは、一緒に、基
Figure 2022536698000026

を形成し得、Tは、基
Figure 2022536698000027

を表す)
並びに上記の化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩が好ましい。
一実施形態では、
Figure 2022536698000028

Figure 2022536698000029

Figure 2022536698000030

から選択される式(I)及び(I’)の化合物が好ましい。
式(I)及び(I’)の化合物は、インビボ動物モデルにおいて健常細胞に対する抗増殖性効果を引き起こさないことが間接的に示されている、細胞周期の調節機構に対して作用するとき、無毒性を呈するという事実により、抗腫瘍活性を有する。同様に、本発明の化合物は、細胞周期の停止を通して腫瘍細胞の老化プロセスの誘発を支持し、細胞のこのタイプの増殖を阻害し、その死滅を誘導する方法を指す。
最初に、式(I)及び(I’)の化合物の細胞傷害性活性は、化合物Inの異なる結腸がん細胞株に対する特殊な方法で評価され(表1)、ここでは、化合物が中等度の細胞傷害性効果を示し、且つHCT-116結腸がん細胞株がトリテルペン投与に対してより感受性があることが認められた。同様に、細胞株に対する化合物In(アルジェンタチンA)の細胞傷害性活性にもかかわらず、治療の72時間後、それは、専らHCT-116株(30μM)においてアポトーシスを誘導することが記録された(図2)。これは、化合物Inが、延長されたインキュベーション期間内にアポトーシスを誘導し得ることを示すが、これは、後に説明される通り、最終的に細胞死をもたらす細胞老化のプロセスを化合物が誘導することを示す1つの優位性である。
Figure 2022536698000031
国立がん研究所及びいくつかの科学雑誌は、薬用植物から単離された化合物が、≦4μg/mLのED50値(平均有効用量)を示すときに限り、細胞傷害性薬物とみなされるべきであることを示している。したがって、化合物Inは、この参照に従うと不活性化合物とみなされることになるが、従来技術において、トリテルペンタイプの化合物は、低い細胞傷害性であるが、重要な抗腫瘍活性を発揮し得る重要な抗炎症活性を示すことが認められている。
この意味では、HCT-116がん細胞が接種されたマウスを用いる異種移植試験において化合物Inの抗腫瘍活性が実証された。第1の試験が実施され、そこでは、Inが250~500mg/kg体重の用量で週1回、21日間投与され、治療を受けていないマウスによって発現された腫瘍と比較して、腫瘍サイズの減少が49.1%及び48.8%でそれぞれ認められた(図3及び図4)。
その後、試験が実施され、そこでは、Inの250mg/kg体重の用量で週3回、21日間の投与により、未治療マウスの腫瘍と比較して、腫瘍の78.1%の減少が達成されることが示された。この腫瘍減少は、化合物Inの投与と同じレジメンにおける2mg/kgのシスプラチンの投与によって発揮された効果と同等であった(図5及び図6)。
Inがシスプラチンのものと同等の抗腫瘍効果を有することが示されるという事実に加えて、トリテルペン型化合物は、薬剤シスプラチンのものと非常に異なる毒性学的特性を有する。まず、Inの500、250又は125mg/kgの用量で週1回、3週間の投与は、nu/nuマウスにおいて毒性を示さず、算出された平均致死量(LD50)が非常に高く、500mg/kgを上回ったことが示されている。さらに、Inの250及び500mg/kgの用量での投与は、4mg/kgの用量で週1回又は2mg/kgの用量で週3回、21日間、シスプラチンで処置されたマウスにおける事象と異なり、マウスにおける体重減少を引き起こさない(図7)。
同様に、In治療マウス(500mg/kgで週1回及び250mg/kgで週3回、3週間)は、対照群と比較して身体又は挙動変化を示さない。しかし、シスプラチンで処置されたマウス(4mg/kgで週1回及び2mg/kgで週3回、3週間)は、肝毒性(アラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値の増加)及び白血球減少の証拠を示す(表2)。
Figure 2022536698000032
加えて、ヘマトキシリン・エオシンで染色された腫瘍組織における細胞形態に対するIn投与の効果を評価するために試験が実施された。これは、化合物で処置された組織がやや引き延ばされた核及びそれらの間の拡大された空間を示すことを示し、細胞質領域の拡大が示唆される。この知見は、細胞が対照群の組織と比較していくつかのタイプの損傷を被っていることを示す(図8)。
これらの核が細胞死のシグナルとして断片化されるか否かを評価するため、組織は、DNA配列内のアデニン及びチミンが豊富に存在する領域に強力に結合し、紫外線で励起され、蛍光顕微鏡を通して青色フィルターで検出される(吸収最大が紫外線範囲内の358nmであり、その発光最大が青色スペクトル内の461nmである)、蛍光マーカー(CAPI(4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール)で標識された。この場合、治療群及び対照群が類似のパターンを呈し、細胞死を示す断片化された核が存在しないことが認められたが、それらは、Inで処置された群からの組織内でより引き延ばされることが認められている(図9)。
一方で、化合物Inによって引き起こされる細胞増殖の阻害は、500mg/kgの用量、週1回のInで処置されたマウスの組織内と、250mg/kgの用量、週3回の化合物で処置されたマウスの組織内との両方において、増殖細胞核抗原(PCNA)の発現について陽性の細胞減少により実証された(図10)。
PCNAの定量化により、異なる用量の化合物Inで処置された群において、対照群と比較して細胞増殖の減少がある(10~20%対54.81%±15.63)ことが確認された(図11)。
ここで、既に上で述べた通り、Inが、健常細胞に対して細胞傷害性をもたらすことなく、抗腫瘍効果を発揮する機構は、細胞老化の誘発を通したものである。このプロセスは、結腸がん細胞株の細胞内でのβ-ガラクトシダーゼ酵素の活性の評価により実証される。この酵素の活性は、30μMの濃度で72時間、Inで処置されたHCT-116株の細胞内で主に認められる(図12)。
したがって、得られた結果により、化合物Inは、現在市販されている細胞傷害性薬物によって発揮されるものに類似した抗腫瘍効果を有するが、利用可能な薬剤と同じ副作用をもたらさないことにより、顕著な安全性の利点を有することが確認され得る。なぜなら、腫瘍細胞が、健常細胞に対する直接的損傷を引き起こさず、結果的に細胞死を招く細胞周期の停止状態のままである細胞老化プロセスの誘発を通して、これが行われるためである。さらに、腫瘍細胞における細胞老化プロセスの誘発は、下記の化合物Inの誘導体(Ia~Ii)に関連し得る。
他方では、異なる細胞株に対する化合物Ia~Iiの効果に関する試験が以下の表に示される。
Figure 2022536698000033
一方で、化合物Imの場合、結腸(HCT-15)、胸部(MCF-7)、CNSグリア細胞(U-251)、前立腺(PC-3)、肺(SKUL)及び前骨髄球性白血病(K-562)などの異なる細胞株における成長阻害の%は、以下の結果をもたらす。
Figure 2022536698000034
合成アプロ-チ
化合物(Ia)の合成
Figure 2022536698000035

100mgのInを5mLの氷酢酸に溶解させ、酢酸中の0.4mLの臭素の1M溶液と反応させた。反応は、撹拌下において3℃で実施した。1.25時間後、反応混合物を、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注いだ。大量の沈殿物の存在が認められ、それを5%NaHCO溶液で洗浄し、及びその後、再結晶化して生成物Iaを得た(94%)。P.f.116~118℃.IR(フィルム)Vmax cm-1:3380.48(O-H),2972.39-2872.9(C-H),1721.94(C=O),1463.42,1382.14.EMIE m/z(%):550(M,0.77),498(15),496(15),351(5),349(5),143(100),125(30),107(31),81(20),71(32),43(30)。RMN H(200MHz,CDCl)δppm:0.60(d,J=4.3,1H,H-19),0.73(d,J=4.3,1H,H-19’),0.89(s,3H,CH),1.14(s,3H,CH),1.16(s,6H,2CH),1.25(s,3H,CH),1.29(s,3H,CH),2.70(sa,2H,2O-H),3.86(t,J=7.7,1H,H-24),4.63(m,1H,H-16),5.11(dd,J=6.5,J=12.8,1H,H-2β).RMN 13C(75MHz,CDCl)δppm:32.9(C-1),37.6(C-2),201.4(C-3),50.9(C-4),47.7(C-5),21.01(C-6),25.6(C-7),43.5(C-8),20.8(C-9),25.9(C-10),26.6(C-11),31.8(C-12),46.2(C-13),46.5(C-14),48.3(C-15),73.2(C-16),55.4(C-17),21.6(C-18),30.2(C-19),87.0(C-20),21.1(C-21),37.3(C-22),27.3(C-23),84.5(C-24),70.9(C-25),27.3(C-26),26.1(C-27),20.4(C-28),20.7(C-29),21.0(C-30).
化合物合成(Ib)
Figure 2022536698000036

EtOAc(4.6ml)中のIn(200mg)及び塩化フェニルセレン(120mg)の溶液を室温で2時間にわたって撹拌した。その後、1mLの水を撹拌しながら反応混合物に添加した。水相を分離し、且つ2mLのTHF及び0.2mLの30%H2O2を添加した。得られた混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。その時点後、反応を従来の方法によって処理し、及び不純な固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィーによって精製して、140mg(70%)の所望の生成物を融点196~198℃の結晶性固体として得た。IR(フィルム)Vmax cm-1:3380.47(O-H),2967.73,2873.35,1667.21(C=O),1463.32,1379.72。EM-IE m/z(%):470(M,1),452(12),434(7),411(2),143(100),125(25),107(10),59(10).RMN H(200MHz,CDCl)δppm:0.81(d,J=4.6,1H,H-19),0.90(s,3H,CH),0.97(s,3H,CH),1.11(s,3H,CH),1.15(s,3H,CH),1.26(s,3H,CH),1.30(s,3H,CH),1.42(s,3H,CH),3.86(t,J=7.6,1H,H-24),4.61(m,1H,H-16),5.94(d,J=10.0,1H,H-2),6.77(d,J=10.0,1H,H-1).RMN 13C(75.4MHz,CDCl)δppm:153.7(C-1),126.7(C-2),205.1(C-3),47.015(C-4),44.9(C-5),19.7(C-6),27.6(C-7),44.5(C-8),24.1(C-9),29.9(C-10),24.0(C-11),32.8(C-12),46.1(C-13),46.3(C-14),47.6(C-15),73.2(C-16),55.5(C-17),21.5(C-18),30.8(C-19),87.2(C-20),25.5(C-21),37.5(C-22),23.8(C-23),84.5(C-24),70.9(C-25),27.3(C-26),26.1(C-27),19.8(C-28),20.1(C-29),19.1(C-30).
化合物(Ic)の合成
Figure 2022536698000037

25.5mgの誘導体Ib、21mgの酢酸ナトリウム及び2mLの酢酸無水物の混合物を還流温度で1時間にわたって加熱した。その後、混合物を、5gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注ぎ、及び3分間にわたって撹拌した。フラスコの内容物をAcOEt(3×)で抽出した。有機相を減圧下で乾燥及び濃縮して半固体を得た。前記生成物を再結晶化(ヘキサン/AcOEt)して、158~160℃の融点を有する27.4mgの酢酸Ic(99%)を得た。IR(フィルム)cm-1:2971.64,2937.91,2873.33,1734.33(C=O),1668.83(C=O),1460.83,1367.44,1241.0,755.46。RMN H(300MHz,CDCl)δppm:0.95(s,3H,CH),1.10(s,3H,CH),1.22(s,3H,CH),1.25(s,6H,2CH),1.47(s,3H,CH),1.55(s,3H,CH),1.99(s,3H,CH),2.03(s,3H,CH),2.54(d,J=8.49,1H),3.74(t,J=7.9,1H,H-24),5.40(m,1H,H-16),5.95(d,J=10,1H,H-2),6.77(d,J=10,1H,H-1).RMN 13C(75.4MHz,CDCl)δppm:153.5(C-1),126.9(C-2),205.1(C-3),47.0(C-4),44.6(C-5),19.6(C-6),27.8(C-7),44.2(C-8),24.1(C-9),30.1(C-10),23.9(C-11),31.8(C-12),46.0(C-13),46.9(C-14),44.6(C-15),74.8(C-16),56.8(C-17),19.4(C-18),29.7(C-19),85.1(C-20),22.7(C-21),35.1(C-22),25.7(C-23),81.7(C-24),82.3m(C-25),28.6(C-26),22.9(C-27),19.1(C-28),19.1(C-29),19.1(C-30),21.6及び22.5(酢酸群のメチル),170.4及び170.3(酢酸群のカルボニル).
化合物(Id)の合成
Figure 2022536698000038

4.5mLのピリジン中の301mgの化合物Inを、99mgのNHOH・HClと、撹拌下において還流温度で1時間にわたって反応させた。その後、反応混合物を、100gの氷を含むフラスコに注ぎ、及びAcOEt(3×)で抽出した。有機相を10%HCl溶液、続いて水で繰り返し洗浄し、且つその後、減圧下で乾燥及び濃縮した。蒸発後に得られた残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して277mgのオキシムId(90%)を得た。P.f.200~205℃.IR(KBr)Vmax cm-1:3379.8,2968.9,2870.9,1638.5,1460,1380.1,1103.9.EM-IE m/z(%):487(M,13),470(9),452(9),286(8),143(100),125(21),59(10).RMN H(300MHz,CDCl)δppm:0.54(d,J=4.2,1H,H-19),0.74(d,J=4.2,1H,H-19’),0.88(s,3H,CH),1.1(s,6H,2CH),1.3(s,3H,CH),1.3(s,3H,CH),1.4(s,3H,CH),3.38(dq,1H),3.9(t,J=1.8,J=7.8,1H,H-24),4.6(m,1H,H-16).RMN 13C(75.4MHz)δppm:32.7(C-1),20.0(C-2),167.1(C-3),43.4(C-4),48.8(C-5),21.7(C-6),26.1(C-7),47.6(C-8),20.9(C-9),27.3(C-10),26.1(C-11),33.1(C-12),46.3(C-13),46.6(C-14),48.7(C-15),73.4(C-16),55.6(C-17),21.2(C-18),30(C-19),87.2(C-20),25.7(C-21),37.3(C-22),23.7(C-23),84.5(C-24),70.8(C-25),27.3(C-26),26.3(C-27),20.3(C-28),20.9(C-29),20.9(C-30).0.40×0.32×0.26mmの結晶を使用し、X線回折分析を実施した。前記分析は、Siemens P4回折計において293Kの温度で実施した。化合物の結晶学的データを表5に示す。X線回折分析の実験条件及び結果は、コードCCDC254670でCCDCに寄託した。
Figure 2022536698000039
化合物(Ie)の合成
Figure 2022536698000040

4mLの酢酸中の100mgのInの溶液を0~5℃において0.3mLの水中の三酸化クロム(100mg)で処理した。1時間後、混合物を室温で放置し、及びその後、AcOEt(3×)で抽出した。有機相を従来通りに処理して所望の生成物Ie(40%)を得た。P.f.138~140℃.IR(フィルム)Vmax cm-1:2972.73,2876.01,1768.64(C=O),1737.46(C=O),1703.84(C=O),1462.38,1385.8.EM-IE m/z(%):426(M,100),411(23),313(35),288(34),270(15),99(42),43(27).RMN H(200MHz,CDCl)δppm:0.68m(d,J=4.5,1H,H-19),0.88(d,J=4.5,1H,H-19’),1.07(s,3H,CH),1.12(s,3H,CH),1.13(s,3H,CH),1.34(s,3H,CH),1.49(s,3H,CH).RMN 13C(75.5MHz)δppm:33.1(C-1),37.3(C-2),215.1(C-3),50.1(C-4),48.5(C-5),21.2(C-6),26.2(C-7),47.0(C-8),20.2(C-9),26.5(C-10),26.1(C-11),33.4(C-12),45.7(C-13),46.2(C-14),50.6(C-15),215.8(C-16),65.1(C-17),28.3(C-18),30.1(C-19),85.5(C-20),22.1(C-21),42.4(C-22),27.8(C-23),177.2(C-24),19.7(C-28),20.7(C-29),19.9(C-30).
化合物(If)の合成
Figure 2022536698000041

200mgのIn、60.2mgの酢酸ナトリウム及び5mLの酢酸無水物の混合物を還流温度で18時間にわたって加熱した。その後、混合物を、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注ぎ、及び15分間にわたって撹拌した。フラスコの内容物をAcOEt(3×)で抽出した。有機相を減圧下で乾燥及び濃縮して半固体を得た。前記生成物を再結晶化(ヘキサン/AcOEt)して、200~206℃の融点を有する対応する酢酸If(99%)を得た。IR(フィルム)cm-1 2971.49,2943.41,2872.45,1734.68(C=O),1706.33(C=O),1459.92,1368.46,1241.62.EM-IE m/z,(%):556(M),496(24),436(27),395(28),185(52),143(42),125(100),43(57).RMN H(300MHz)CDClδppm:0.53(d,J=4.2,1H,H-19),0.83(d,J=4.2,1H,H-19’),0.96(s,3H,CH-21),1.05(s,3H,CH-29),1.09(s,3H,CH-18),1.23(s,3H,CH-26),1.40(s,3H,CH-28),1.47(s,3H,CH-27),1.55(s,3H,CH-21),2.00(s,3H,CH),2.02(s,3H,CH),3.74(t,J=7.7,1H,H-24),5.39(m,1H,H-16).RMN 13C(300MHz,CDCl):33.2(C-1),37.3(C-2),214.9(C-3),50.1(C-4),47.7(C-5),21.2(C-6),25.9(C-7),48.4(C-8),20.7(C-9),26.5(C-10),26.8(C-11),32.1(C-12),46.6(C-13),46.9(C-14),45.5(C-15),75.04(C-16),57.16(C-17)20.7(C-18),30.3(C-19),85.0(C-20),22.6(C-21),35.2(C-22),25.7(C-23),81.6(C-24),82.3(C-25),28.5(C-26),22.9(C-27),19.9(C-28),22.2(C-29),20.07(C-30),21.5,22.4,170.13,170.29.
化合物(Ig)の合成
Figure 2022536698000042

6.5mLのピリジン中の200mgのIn二酢酸を、95mgのNHOH・HClと、撹拌下において還流温度で1.5時間にわたって反応させた。その後、反応混合物を、50gの氷を含むフラスコに注ぎ、及びAcOEt(3×)で抽出した。有機相を10%HCl溶液と、その後、水とで3回洗浄した。有機相の再結晶化は、p.f.140~143℃からのIgオキシムの精製(90%)を可能にした。IR(フィルム)Vmax cm-1:3318.57,2972.66,2942.16,2872.86,1734.27,1456.29,1368.98,1242.09.EM-IE m/z(%):571(M),511(12),434(15),185(67),143(49),125(100),43(60).RMN H(300MHz,CDCl)δppm:0.44(d,J=4.2,1H,H-19),0.72(d,J=4.2,1H,H-19’),0.94(s,3H,CH),1.08(s,3H,CH),1.14(s,3H,CH),1.22(s,3H,CH),1.38(s,3H,CH),1.47(s,3H,CH),1.54(s,3H,CH),2.00(s,3H,CH),2.02(s,3H,CH),2.52(d,J=8.4,1H,H-17),3.36(dc,1H),3.73(t,J=7.5,1H,H-24),5.38(m,1H,H-16),6.62(sa,1H,O-H).RMN 13C(75.5MHz)δppm:32.6(C-1),20.0(C-2),166.9(C-3),42.7(C-4),48.7(C-5),21.0(C-6),25.8(C-7),47.5(C-8),20.4(C-9),26.8(C-10),26.5(C-11),32.0(C-12),46.6(C-13),46.9(C-14),45.4(C-15),75.1(C-16),57.0(C-17),21.6(C-18),30.2(C-19),85.1(C-20),22.6(C-21),35.0(C-22),25.6(C-23),81.7(C-24),82.3(C-25),28.6(C-26),22.9(C-27),19.8(C-28),23.6(C-29),20.0(C-30),21.5及び22.5(酢酸群からのメチルの炭素),170.4及び170.3(酢酸群中のカルボニルに対応する炭素).
化合物(Ih)の合成
Figure 2022536698000043

不活性雰囲気中に含有される、6mLの乾燥ピリジン中の200mgのInの溶液に1mLのギ酸エチル(新規に蒸留された)及び無水MeOH中の0.8mLのナトリウム溶液(0.44g/6ml)を添加した。反応を室温で一晩撹拌し続けた。黄褐色の外観及び/又は不溶性沈殿物の形成を反応の証拠とみなした。適切な時間後、反応混合物を27mLの水中の3mLの酢酸の冷却溶液中に入れた。上記作用の結果として、沈殿物の外観を観察し、それを塩化メチレンで抽出した。水相を廃棄した。有機相を水で洗浄し、及び2%水酸化カリウム溶液で抽出した。塩基性抽出物をエーテルで洗浄し、氷酢酸で酸性化し、及び最後に塩化メチレンで抽出した。最終的な塩化メチレン相を減圧下で乾燥及び濃縮して、不純な半固体生成物を得た。前記生成物を分取層クロマトグラフィーによって精製してホルミル化誘導体Ih(89%)を得た。IR(KBr)Vmax cm-1:3403.7,2974.0,2941.9,2874.8,1635.1,1586.9,1464.6,1355.9.EM-IE m/z(%):500(M,2),482(6),441(M-59,6),143(100),125(22),107(13),85(12),71(12),59(8),43(13).RMN H(200MHz,CDCl)δppm:0.49(d,J=4.4,1H,H-19),0.70(d,J=4.4,1H,H-19’),0.92(s,3H,CH),1.1(s,3H,CH),1.15(s,3H,CH),1.22(s,3H,CH),1.26(s,3H,CH),1.3(s,3H,CH),1.46(s,3H,CH),2.60(d,J=15,1H),3.46(sa,2H,2O-H),3.86(t,J=7.4,1H,H-24),4.63(m,1H,H-16),8.7(s,1H,H-31),14.8(sa,1H,O-H).RMN 13C(50MHz)δppm:33.1(C-1),106.6(C-2),190.5(C-3),42.7(C-4),48.5(C-5),21.4(C-6),26.1(C-7),44.7(C-8),19.3(C-9),29.7(C-10),25.5(C-11),31.8(C-12),46.3(C-13),46.6(C-14),48.6(C-15),73.5(C-16),55.6(C-17),21.2(C-18),30.2(C-19),87.2(C-20),25.2(C-21),37.3(C-22),23.7(C-23),84.5(C-24),70.9(C-25),27.3(C-26),26.1(C-27),20.6(C-28),24.4(C-29),21.6(C-30),188.9(C-31).
化合物(Ii)の合成
Figure 2022536698000044

5mLの氷酢酸中の60mgのホルミル化誘導体Ihの溶液を撹拌下において30mgの塩酸ヒドロキシルアミンと還流温度で2時間にわたって反応させた。その後、反応混合物を、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注ぎ、及びAcOEtで抽出した。有機相を5%炭酸水素ナトリウム溶液(3×)及び水で洗浄した。水相を廃棄した。有機相を減圧下で乾燥及び濃縮して、不純な半固体を得た。前記半固体をカラムクロマトグラフィーによって精製してイソオキサゾールIi(80%)を得た。P.f.125~129℃.IR(フィルム)Vmax cm-1:3377.57,2970.67,2940.45,2875.63,1640,1564.63,1463,1379.57.EM-IE m/z(%):497(M,4),479(8),439(10),420(10),337(10),296(9),143(100),125(22),107(15),43(15).RMN H(300MHz,CDCl)δppm:0.47(d,J=4.5,1H,H-19),0.74(d,J=4.5,1H,H-19’),0.94(s,3H,CH),1.15(s,153H,CH),1.21(s,3H,CH),1.26(s,3H,CH),1.30(s,3H,CH),1.36(s,3H,CH),1.46(s,3H,CH),2.66(d,J=15.6,1H),3.87(t,J=7.2,1H,H-24),4.63(m,1H,H-16),7.98(s,1H).RMN 13C(75.4MHz)δppm:28.3(C-1),109.9(C-2),174.8(C-3),37.4(C-4),48.5(C-5),20.8(C-6),26.4(C-7),46.3(C-8),19.7(C-9),24.8(C-10),25.3(C-11),33.2(C-12),46.6(C-13),46.8(C-14),48.8(C-15),73.4(C-16),55.7(C-17),21.2(C-18),30.4(C-19),87.2(C-20),25.7(C-21),37.3(C-22),23.8(C-23),84.5(C-24),70.9(C-25),27.3(C-26),26.1(C-27),20.6(C-28),25.5(C-29),22.2(C-30),149.4(C-31).
化合物(Ij)の合成
Figure 2022536698000045

CHCl中に溶解された100mgのInオキシムに0.5mLのトリフルオロ酢酸無水物を0℃で徐々に添加した。添加が完了すると、反応混合物を25℃で18分間にわたって定常的な撹拌下に維持した。反応混合物を減圧下で蒸発させた。この反応から、In 16-トリフルオロアセトキシ-ラクタムとして同定される生成物を得た。メタノール中の炭酸カリウムの溶液を前記生成物に添加し、及びそれを室温で15分間にわたって撹拌し続け、その後、溶液を濾過し、及び溶媒を減圧下で蒸発させた。反応生成物を2:1のHex:AcOEtの極性のカラムクロマトグラフィーによって精製し、38mgのIjを得た。IR(CHCl):Vmax cm-1:3612,3395,2963,2871,1644cm-1.EIMS m/z(%):487(M,29.27),429(M-58,5.4),428(11.5),413(64.86),58(100).HRMS:実測値m/z 488.3726,[M+H];C3050NOは、488.3739を必要とした.H NMR(CDCl,300MHz):d0.61(1H,d,J=6Hz,H-190),0.68(1H,d,J=6Hz,H-19),0.86(3H,s,H-29130),1.11(3H,s,H-18),1.21(3H,s,H-21),1.26(3H,s,H-27),1.30(3H,s,H-26),1.33(3H,s,H-29/30),3.1(1H,m,H-2),3.83(1H,t,J=7Hz,H-24),4.60(1H,m,H-16),7.5(1H,s,NH).13C NMR(75MHz,CDCl):d20.2(C-18),20.3(C-28),21.0(C-6),21.0(C-9),22.1(C-29),23.9(C-23),24.4(C-30),25.3(C-21),26.5(C-7),26.5(C-10),26.7(C-11),27.0(C-26),27.5(C-27),29.5(C-1),29.9(C-2),30.8(C-19),33.0(C-12),36.2(C-22),45.5(C-14),45.9(C-13),48.2(C-5),48.5(C-8),50.08(C-15),55.5(C-4),56.3(C-17),69.4(C-25),71.5(C-16),83.4(C-24),85.6(C-20),175.6(C-3).
化合物(Ik)の合成
Figure 2022536698000046

200mgのInを170mgのm-クロロ過安息香酸で3時間にわたって処理して、180mgの、Ikとして同定される白色固体を得た。
化合物(Il)の合成
Figure 2022536698000047

100mgのInを80mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)で処理し、125~128℃の融点及び474g/モルの分子量を有する、Ilとして同定される白色固体を得た。
化合物(Im)の合成
Figure 2022536698000048

事前に得られた且つ不活性雰囲気下の0.15mmolの塩化ヘキサデカノイルに0.22mmolのInを添加し、4mLの乾燥ジクロロメタンに溶解した。反応を30分間にわたって撹拌させた。この時点後、15mLの酢酸エチルを反応混合物に添加し、及びそれを分液漏斗に入れた。有機相を蒸留水で3回及びNaHCOの飽和溶液で3回洗浄し、減圧下において、無水NaSOで乾燥させ、及び濃縮した。反応混合物を、シリカを充填したオープンカラムクロマトグラフィーにかけた。溶出混合物としてヘキサン-酢酸エチル混合物(7:3)を使用した。画分3~8から50mgの白色非晶質固体をp.f.246℃、70%の収率で得た。IR(CHCl溶液)cm-1:2920.70,2851.35(CH),1732.60(C=O),1707.92(C=O),1463.77,1379.20,1270.56,1153.83.EM-FAB m/z(%):948(1),933(5),437(77),381(34),125(100),43(93).EM-IE(70eV), m/z,(%):692[M-パルミチン酸](6),436(24),381(22),256(22),125(100),43(54).RMN H(300MHz,CDCl)δppm:5.44(1H,ddd J=5.4,J=2.7 y J=12.3Hz,H-16),3.66(1H,dd,J=6.9Hz及びJ=8.51Hz,H-24),1.38(3H,s),1.25(m,パルミチン酸塩残基の2群のCH及びいくつかのCHの場合),1.14(3H,s),1.09(3H,s),1.04(3H,s),0.87(3H,s),0.81(1H,d,J=4.3Hz,H-19a),0.59(1H,d,J=4.3Hz,H-19b).RMN 13C(75MHz,CDCl)δppm:215.68(C3),175.46及び172.91(パルミチン酸エステルのカルボニル),81.91(C24),81.89(C25),74.45(C16),56.35(C17),49.58(C4),47.84(C8),47.15(C5),46.15(C13),46.02(C14),44.91(C15),35.97(C2),36.80(C22),33.64(C1),32.64(C12),29.56(C19),29.54(パルミチン酸塩残基からのメチレン),29.01(C20),26.30(C11),25.88(C7),27.90(C26),27.36(C27),24.40(C23),21.61(C21),21.61(C18),20.19(C29),19.63(C30),14.07(パルミチン酸メチル).
化合物(I’a)の合成
Figure 2022536698000049

EtOH中の100mgのIeの溶液を289mgの水酸化カリウムとともに40分間にわたって還流に維持した。反応の中和後、70mgの3,16-ジオキソ-25-ノル-シクロアルタン-17-エン-24-オイック酸[I’a]を得た。P.f.182~184℃.IR(KBr):Vmax cm-1:3327,1741,1703,1615cm-1.EIMS m/z(%):426(M,39.69),411(100),143(4.5),125(3).HRMS:実測値m/z 427.2864,[M+H];C2739は、427.2848を必要とした。H NMR(300MHz,CDCl):δppm:0.64(d,J=4.2Hz,1H,H-19),0.86(d,J=4.8Hz,1H,H-190),0.99(s,3H,CH),1.06(s,3H,CH),1.11(s,3H,CH),1.35(s,3H,CH),1.92(s,3H,CH).13C NMR(75MHz,CDCl):δppm:20.2(C-18),20.7(C-28),20.8(C-30),20.9(C-9),21.2(C-29),22.1(C-21),22.6(C-6),26.0(C-7),26.3(C-11),26.3(C-10),29.2(C-23),30.6(C-19),30.8(C-22),32.6(C-12),33.1(C-1),37.2(C-2),42.3(C-13),45.7(C-14),47.9(C-8),48.2(C-5),50.20(C-4),51.0(C-15),141.7(C-17),149.5(C-20),177.8(C-24),207.3(C-16),216.0(C-3).

Claims (22)

  1. インビボ動物モデルにおける健常リンパ球細胞に対して細胞傷害性又は遺伝毒性を呈しない、式(I)及び(I’)の、
    アルジェンタチンA及びC、
    イソアルジェンチンB、及び
    アルジェンタチンD
    と称されるグアユリン化合物A、B、C及びDにおいて、老化プロセスを通して抗炎症活性を呈し、がん細胞の成長を阻害することを特徴とするグアユリン化合物A、B、C及びDであって、
    式(I):
    (A)-(B)-(C)
    (式中、
    Aは、
    Figure 2022536698000050

    の1つから選択される基であり、
    Bは、
    Figure 2022536698000051

    であり、及び
    Cは、
    Figure 2022536698000052

    の1つから選択される基であり、
    ここで、Rは、
    Figure 2022536698000053

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000054

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000055

    から選択される基を表し、
    は、-OH、
    Figure 2022536698000056

    から選択される基を表し、
    及びRは、同時に、
    Figure 2022536698000057

    であり得、
    及びRは、同時に、-OH又は-OAcであり得、
    及びRは、同時に、それぞれ
    Figure 2022536698000058

    及び-Brであることはなく、
    は、H、CH又はアルキル鎖の1つから選択される基であり、
    Aが、
    Figure 2022536698000059

    であるとき、Rは、
    Figure 2022536698000060

    ではなく、且つRは、-Brではなく、且つR及びRは、同時に、-OH又は-OAcから選択される基であり、
    Cが、
    Figure 2022536698000061

    であるとき、R及びRは、同時に=Oであり得、及びRは、-Brではないか、又は
    Aが、
    Figure 2022536698000062

    であるとき、R及びRは、一緒に、基
    Figure 2022536698000063

    を形成し得る)
    の前記化合物並びに上記の前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩であり、及び
    式(I’):
    (A)-(B)-T
    (式中、
    A及びBは、上記で定義された意味を有し、
    は、=O、
    Figure 2022536698000064

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000065

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000066

    から選択される基を表し、
    及びRは、同時に=Oであり得、
    及びRは、同時に、それぞれ
    Figure 2022536698000067

    及び-Brであることはなく、
    は、H、CH又はアルキル鎖の1つから選択される基であり、
    Aが、
    Figure 2022536698000068

    であるとき、Rは、
    Figure 2022536698000069

    ではなく、及びRは、-Brではなく、
    Aが、
    Figure 2022536698000070

    であるとき、R及びRは、一緒に、基
    Figure 2022536698000071

    を形成し得、Tは、基
    Figure 2022536698000072

    を表す)
    の前記化合物並びに上記の前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩である、グアユリン化合物A、B、C及びD。
  2. 式(I):
    (A)-(B)-(C)
    (式中、A、B、R、R、R、R及びRは、請求項1に従って定義される)
    のグアユリン化合物において、
    及びRは、同時に-OHであり得ず、及び
    及びRは、同時に、それぞれ=O及び-Hであることはない、
    ことを特徴とするグアユリン化合物並びに上記の前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩。
  3. 請求項1に記載の、式(I):
    (A)-(B)-(C)
    のグアユリン化合物において、
    Aは、基
    Figure 2022536698000073

    であり、
    Bは、基
    Figure 2022536698000074

    であり、
    Cは、基
    Figure 2022536698000075

    であり、
    ここで、Rは、基:=Oを表し、
    は、基:-Hを表し、
    は、-OHから選択される基を表し、
    は、-OHから選択される基を表す、
    ことを特徴とするグアユリン化合物及び/又は上記の前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩。
  4. 請求項1に記載の、式(I’):
    (A)-(B)-T
    (式中、A及びBは、上記で定義された意味を有する)
    のグアユリン化合物において、
    は、=O、
    Figure 2022536698000076

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000077

    から選択される基を表し、
    は、
    Figure 2022536698000078

    から選択される基を表し、
    及びRは、同時に=Oであり得、
    及びRは、同時に、それぞれ
    Figure 2022536698000079

    及び-Brであることはなく、
    は、H、CH又はアルキル鎖の1つから選択される基であり、
    Aが、
    Figure 2022536698000080

    であるとき、Rは、
    Figure 2022536698000081

    ではなく、及びRは、-Brではなく、
    Aが、
    Figure 2022536698000082

    であるとき、R及びRは、一緒に、基
    Figure 2022536698000083

    を形成し得、Tは、基
    Figure 2022536698000084

    を表すことを特徴とする、
    グアユリン化合物並びに上記の前記化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、鏡像異性体の混合物、ジアステレオ異性体の混合物、アノマー、水和物、溶媒和物、多形体及びその薬学的に許容できる塩。
  5. Figure 2022536698000085

    Figure 2022536698000086

    Figure 2022536698000087

    から選択されることを特徴とする、
    請求項1に記載の式(I)及び(I’)のグアユリン化合物。
  6. 前記化合物Inは、化合物
    Figure 2022536698000088

    であることを特徴とする、
    請求項1に記載の式(I)及び(I’)のグアユリン化合物。
  7. 前記化合物(Ia)の合成は、100mgのInが5mlの氷酢酸に溶解され、酢酸中の0.4mlの臭素の1M溶液と反応し、前記反応が撹拌下において3℃で1.25時間にわたって実施され、反応混合物が、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注がれ、5%NaHCO溶液で洗浄され、及びその後、再結晶化されるステップ
    Figure 2022536698000089

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  8. 前記化合物(Ib)の合成は、EtOAc(4.6mL)中のIn(200mg)及び塩化フェニルセレン(120mg)の溶液が室温で2時間にわたって撹拌され、その後、1mlの水が撹拌しながら反応混合物に添加され、水相が分離され、且つ2mLのTHF及び0.2mlの30%Hが添加され、前記得られた混合物が室温で1時間にわたって撹拌されるステップ
    Figure 2022536698000090

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  9. 前記化合物(Ic)の合成は、25.5mgの誘導体Ib、21mgの酢酸ナトリウム及び2mlの酢酸無水物の混合物が還流温度で1時間にわたって加熱され、その後、前記混合物が、5gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注がれ、及び3分間にわたって撹拌され、前記フラスコの内容物がAcOEt(3×)で抽出され、有機相が減圧下で乾燥及び濃縮されて半固体が得られ、再結晶化され、及び前記酢酸Icが得られるステップ:
    Figure 2022536698000091

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項8に記載のグアユリン化合物。
  10. 前記化合物(Id)の合成は、4.5mlのピリジン中の301mgの化合物Inが、99mgのNHOH・HClと、撹拌しながら還流温度で1時間にわたって反応され、その後、反応混合物が、100gの氷を含むフラスコに注がれ、及びAcOEt(3×)で抽出され、有機相が10%HCl溶液、続いて水で繰り返し洗浄され、且つその後、減圧下で乾燥及び濃縮され、蒸発後に得られた残渣がカラムクロマトグラフィーによって精製されて前記オキシムIdが得られるステップ
    Figure 2022536698000092

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  11. 前記化合物(Ie)の合成は、4mlの酢酸中の100mgのInの溶液が0~5℃において0.3mlの水中の三酸化クロム(100mg)で処理され、1時間後、混合物が室温で放置され、及びその後、AcOEt(3×)で抽出され、有機相が従来の方法で処理されて前記生成物Ieが得られるステップ
    Figure 2022536698000093

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  12. 前記化合物(If)の合成は、200mgのIn、60.2mgの酢酸ナトリウム及び5mlの酢酸無水物の混合物が還流温度で18時間にわたって加熱され、その後、前記混合物が、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注がれ、及び15分間にわたって撹拌され、AcOEt(3×)で抽出され、有機相が減圧下で乾燥及び濃縮されて半固体が得られ、前記生成物が再結晶化(ヘキサン/AcOEt)されて酢酸Ifが得られるステップ
    Figure 2022536698000094

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  13. 前記化合物(Ig)の合成は、6.5mlのピリジン中の200mgの二酢酸Inが、95mgのNHOH・HClと、撹拌しながら還流温度で1.5時間にわたって反応され、その後、反応混合物が、50gの氷を含むフラスコに注がれ、及びAcOEt(3×)で抽出され、有機相が10%HCl溶液と、その後、水とで3回洗浄され、前記有機相の再結晶化が前記オキシムIgを精製するステップ
    Figure 2022536698000095

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項12に記載のグアユリン化合物。
  14. 前記化合物(Ih)の合成は、不活性雰囲気中に含有される、6mlの乾燥ピリジン中の200mgのInの溶液に1mlのギ酸エチル(新規に蒸留された)、無水MeOH中の0.8mlのナトリウム溶液(0.44g/6ml)が添加され、反応が、撹拌下で室温において、黄褐色の外観及び/又は不溶性沈殿物の形成まで8~12時間にわたって維持され、その後、反応混合物が27mlの水中の3mlの酢酸の冷却溶液中に入れられ、前記沈殿物が塩化メチレンで抽出され、有機相が水で洗浄され、及び2%水酸化カリウム溶液で抽出され、塩基性抽出物がエーテルで洗浄され、氷酢酸で酸性化され、及び最後に塩化メチレンで抽出され、最終的な塩化メチレン相が減圧下で乾燥及び濃縮されて、不純な半固体生成物が得られ、分取層クロマトグラフィーによって精製して前記ホルミル化誘導体Ihが得られるステップ
    Figure 2022536698000096

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  15. 化合物(Ii)の合成は、5mlの氷酢酸中の60mgの前記ホルミル化誘導体Ihの溶液が、撹拌しながら、30mgの塩酸ヒドロキシルアミンと還流温度で2時間にわたって反応され、その後、反応混合物が、50gの氷を含むエルレンマイヤーフラスコに注がれ、及びAcOEtで抽出され、有機相が5%炭酸水素ナトリウム溶液(3×)及び水で洗浄され、前記有機相が減圧下で乾燥及び濃縮されて、不純な半固体が得られ、その後、前記半固体がカラムクロマトグラフィーによって精製されてイソオキサゾールIiが得られるステップ
    Figure 2022536698000097

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項14に記載のグアユリン化合物。
  16. 前記化合物(Ij)の合成は、CHClに溶解された100mgのInオキシムに0.5mLのトリフルオロ酢酸無水物が0℃で徐々に添加され、反応混合物が25℃で18分間にわたって常に撹拌され、その後、前記反応混合物が減圧下で蒸発され、前記反応からInの16-トリフルオロアセトキシ-ラクタムが得られ、メタノール中の炭酸カリウムの溶液が添加され、及び室温で15分間にわたって撹拌され、前記溶液が、その後、濾過され、及び溶媒が減圧下で蒸発され、反応生成物が2:1のHex:AcOEtの極性のカラムクロマトグラフィーによって精製され、Ijが得られるステップ
    Figure 2022536698000098

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項10に記載のグアユリン化合物。
  17. 前記化合物(Ik)の合成は、200mgのInが170mgのm-クロロ過安息香酸で3時間にわたって処理されて、180mgの白色固体Ikが得られるステップ
    Figure 2022536698000099

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物/アルジェンタチン。
  18. 前記化合物(Il)の合成は、100mgのInが80mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)で処理され、白色固体Ilが得られるステップ
    Figure 2022536698000100

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  19. 前記化合物(Im)の合成は、事前に得られた且つ不活性雰囲気下の0.15mmolの塩化ヘキサデカノイルに0.22mmolのInが添加され、4mlの乾燥ジクロロメタンに溶解され、前記反応が30分間にわたって撹拌され、その後、15mLの酢酸エチルが添加され、及びそれが分液漏斗に入れられ、有機相が蒸留水で3回及びNaHCOの飽和溶液で3回洗浄され、減圧下において、無水NaSOで乾燥され、及び濃縮され、反応混合物が、シリカを充填したオープンカラムクロマトグラフィーにかけられ、使用された溶出混合物がヘキサン-酢酸エチル(7:3)であり、画分3~8から白色非晶質固体(Im)が得られるステップ
    Figure 2022536698000101

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項5に記載のグアユリン化合物。
  20. 前記化合物(I’a)の合成は、EtOH中の100mgのIeの溶液が289mgの水酸化カリウムとともに40分間にわたって還流に維持され、その後、前記反応が中和され、及び3,16-ジオキソ-25-ノル-シクロアルタン-17-エン-24-オイック酸[I’a]が得られるステップ
    Figure 2022536698000102

    に従って実施されることを特徴とする、
    請求項11に記載のグアユリン化合物。
  21. ヒトがん細胞株中で炎症性プロセスに干渉し、及び抗腫瘍活性を有する活性化合物であることを特徴とする、
    請求項1~20のいずれか一項に記載のグアユリン化合物。
  22. 前記グアユリン化合物が、健常細胞に対して細胞傷害性をもたらすことなく、抗腫瘍効果を発揮する機構は、細胞老化の誘発を通したものであることを特徴とする、
    請求項1~21のいずれか一項に記載のグアユリン化合物。
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