JP2022531841A - ハンチントン病を予防又は処置するためのp16INK4a阻害剤 - Google Patents

ハンチントン病を予防又は処置するためのp16INK4a阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、ハンチントン病の予防及び/又は処置での使用のための、p16INK4a阻害剤、医薬組成物の組成に関し、前記阻害剤は、核酸又はペプチド、低分子化合物分子又は市販の薬物である。【選択図】

Description

本発明は、NIHにより授与されたGrant No.RO1NS100529のもとアメリカ合衆国政府の支援を受けてなされた。合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明はハンチントン病の処置に関する。
U.S National Library of Medicineによれば、ハンチントン病は、運動制御不能、情動問題及び思考力の欠如(認知)を引き起こす進行性の脳障害である。
この障害の最も一般的形態である成人発症ハンチントン病は通常、30代又は40代で発症する。初期の徴候及び症候は、易刺激性、うつ、小さな不随意運動、協調不良、及び新しい情報の学習又は決断を行う上での困難を含み得る。多くのハンチントン病患者は、舞踏病として知られる不随意の筋肉反射又は攣縮運動を発する。疾患が進行するにつれて、これらの動作がより顕著になる。罹患者は、歩行、発話及び嚥下に困難を有し得る。この障害がある者では、性格の変化、思考力及び判断能力の低下も起こる。成人発症型のハンチントン病の者は通常、徴候及び症候開始後、約15~20年生存する。
若年型として知られるあまり一般的ではない形態のハンチントン病は、小児又は思春期に始まる。これは、運動の問題及び精神的及び情動的変化も含む。若年型のさらなる徴候としては、動作緩慢、不器用、頻繁な転倒、固縮、発語不明瞭及び流涎が挙げられる。思考力及び判断能力が損なわれるために学業成績が低下する。この状態の小児の30パーセント~50パーセントで痙攣が起こる。若年性ハンチントン病は、成人発症型よりも速く進行する傾向があり;罹患者の生存期間は通常、徴候及び症状の出現後10~15年である。
HDがアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、プリオン病及び歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、前頭側頭型認知症(FTD)、脊髄小脳失調(SCA)などの神経変性疾患(ND)であるという事実、及びNDの多くが共通の特性及び分子機序を共有するという事実にもかかわらず、HDと細胞老化との間には何の関連も示されていない。
細胞老化は、様々なストレス要因と反応して細胞において永久的な増殖停止を強要する過程である。これは歴史的に、加齢及び加齢性障害などの複雑な生物学的過程に寄与するものとみなされてきた。細胞老化は、細胞が細胞成分を修復しようと試みること(細胞修復)、特に細胞周期停止又は細胞周期への再進入を含み得るDNA損傷を修復するという細胞の試みと関連づけられる。細胞老化は、長引くがうまくいかない又は準最適な細胞修復からの結果であり得る。細胞修復と細胞老化との間の関連性は、星状細胞、乏突起膠細胞及びミクログリアなどの脳の分裂細胞を含むがそれらだけではない分裂細胞、並びにニューロンなどの脳の有糸分裂後細胞を含むがそれらだけではない有糸分裂後細胞に適用される。有糸分裂後細胞において、細胞老化は、「細胞老化様状態」又は「老化応答」と呼ばれることが多い。両ケースで、細胞老化特性は、外部ストレス要因に対する細胞脆弱性並びに炎症性サイトカインなどの周囲細胞に対して有害である分子の分泌を含み得る。細胞周期停止の主要な調節因子はp16INK4aであり、これは主要な誘導因子及び細胞老化の重要なマーカーでもある。
本発明は、HDの予防又は処置におけるp16INK4aの役割の偶然の発見からの結果である。
本発明は、ハンチントン病(HD)の予防及び/又は処置での使用のためのp16INK4a阻害剤に取り組む。
本発明の特定の態様では、前記阻害剤は、核酸、ペプチド、低分子化合物分子又は市販の薬物である。
本発明のさらなる態様では、p16INK4a阻害剤は、siRNA、shRNA、マイクロRNA、非コードRNA、デオキシリボサイム(deoxyribosyme)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム DNAzyme、修飾若しくは合成DNA又はRNA変性耐性ポリヌクレオシドアミド、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA)、他の核酸塩基含有ポリマー、アプタマー又はポリヌクレオチド標的遺伝子編集又は何らかのそれらの組み合わせなど、p16INK4aを干渉するRNAをコードする核酸である。
本発明のさらなる態様では、p16INK4a阻害剤は、リガンド、キナーゼの阻害剤、低分子化合物分子、例えばPPARγアンタゴニストなど又はレチノイドX受容体(RXR)アンタゴニスト低分子SIRT1活性化因子、FOXO因子の活性を刺激可能な化合物、AMPK活性化因子などを含む群の間で選択されるペプチドである。
本発明のさらなる態様では、p16INK4a阻害剤はリガンドであり、このリガンドは、抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、アプタマー又はVHHドメインである。
別の態様によれば、本発明は、HDの処置又は予防での使用のための組成物に取り組み、この組成物は、上記のような少なくとも1つのp16INK4a阻害剤を含む。
本発明のさらなる態様では、本組成物は、医薬組成物であり、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。
本発明のさらなる態様では、本組成物は、細胞特異的な標的化のためのペプチドをコードする核酸配列を含有し、及び/又は細胞特異的な発現を可能にする核酸を含有する。
本発明のさらなる態様では、本組成物は、HDを処置するための1つ以上の活性薬剤及び/又はその活性薬剤の副作用を処置するための1つ以上の活性薬剤をさらに含む。
またさらなる態様では、本発明は、上記のような使用のための少なくとも1つのp16INK4a阻害剤を含む薬剤に取り組む。
特定の態様では、p16INK4a阻害剤又は先行する請求項の何れか1つに記載の使用のための組成物は、治療的有効量で対象に投与される。
本発明のp16INK4a阻害剤のさらなる態様では、本組成物又は薬剤は治療的有効量で対象に投与される。
本発明のさらなる態様では、対象は、HDと診断されている、HDに対する遺伝的素因を呈する、又は罹患している。
本発明のより好ましい態様では、対象はHDと診断される。
定義
「p16INK4」は、本明細書中で使用される場合、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤のInk4ファミリーの主要なメンバーである。これはINK4a/ARF遺伝子座内で染色体9p21に位置するCDKN2A遺伝子によりコードされ、この遺伝子は、異なるプロモーターを伴う2つの異なるタンパク質:p16Ink4a及びp19ARFをコードする。これは、S期を阻害することによって、細胞周期進行の調節に寄与する。細胞周期調節におけるp16Ink4aの作用に加えて、このタンパク質は、アポトーシス、細胞浸潤及び血管形成などの他の過程にも関与している。
「p16INK4阻害剤」は、本明細書中で使用される場合、対象に投与された場合にp16INK4の正常な生理学的活性の部分的又は完全な低下につながる、何らかの分子、化合物又は物質を指す。p16INK4の正常な生理学的活性は、これらのCDK阻害剤の生理学的活性を意味する。
「ハンチントン病」は、Mayo Clinicにより定義されるように、及び本明細書中で使用される場合、ハンチントン遺伝子におけるCAGリピート延長又はHD臨床的表現型模写を生じさせる、及び神経細胞、ニューロン及び脳の他の細胞の進行性の崩壊(細胞機能不全とそれに続く可能性がある細胞変性)を引き起こし得る他の遺伝学的原因が関連する遺伝性疾患を指す。ハンチントン病は、人間の機能的能力に大きな影響があり、通常、その結果、運動、思考(認知)及び精神医学的障害を引き起こす。
「発現」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子の発現を指す。遺伝子の発現は、例えば免疫組織化学、マルチプレックス法(Luminex)、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチELISA、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)などの方法により、タンパク質レベルで決定され得る。或いは、遺伝子の発現は、例えばRT-PCR、RT-qPCR(qPCRは定量的PCRを意味する)、ハイブリッド形成技術、例えばノーザンブロット、マイクロアレイの使用及び、RT-PCRにより得られるアンプリコンのハイブリッド形成を含むが限定されないそれらの組み合わせ、シーケンシング、例えば次世代DNAシーケンシング(NGS)又はRNA-seq(「全トランスクリプトームショットガンシーケンシング」とも呼ばれる)などの方法によってmRNAレベルで決定され得る。
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」及び「オリゴヌクレオチド」は、DNA及びRNAにおける(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)一連のヌクレオチド塩基を指し、2個以上のヌクレオチドの何らかの鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、キメラ混合物又は誘導体又はその修飾型、1本鎖又は2本鎖であり得る。
「過剰発現」は、本明細書中で使用される場合、「参照発現レベル」と比較した場合に試料中での遺伝子発現がより高いことを指す。参照発現レベルは、対象の大きな群(一般的には10名を超える、好ましくは少なくとも50名以上の対象)の中での、癌細胞の同様の集団において観察される典型的な発現レベルであり得る。参照発現レベルは、同じ対象における起源の同じ組織の、又は対象の大きな群由来の健常細胞での発現のレベルも指し得る。参照発現レベルは、異なる時点での対象の癌細胞における発現レベルも指す。当業者は、遺伝子発現レベルの比較を可能にする技術に精通している。
「受容体アンタゴニスト」は、本明細書中で使用される場合、受容体に結合し、それによりその活性化リガンド(即ち受容体アゴニスト)の結合時に観察される正常な生理学的活性を妨げる、あらゆる分子、化合物又は物質を指す。受容体アンタゴニストは、例えば受容体へのアゴニストの結合と競合し得る。
「予防(Preventing)」は、重篤な症状の発症前に、即ちハンチントン病の症状が出る前又はその前駆期に、処置を開始することを意味する。予防は、標的とされる病的状態の発症年齢を遅らせることを意味する。
「処置する(treating)」は、疾患の進行を停止させるか又は遅らせるために、症状を示すHD過程の何れかの時点で処置を開始することを意味する。このように、「処置する(treat)」は、標的とされる病的状態又は障害を鈍化させる(和らげる)ことを意味する。
「治療的有効量」は、本明細書中で使用される場合、(1)標的とされる状態又は障害の発症を遅延させるか又は予防する;(2)標的とされる状態又は障害の1つ以上の症状の進行、増悪又は悪化を鈍化又は停止させる;(3)標的とされる状態又は障害の症状の寛解を引き起こす;(4)標的とされる状態又は障害の重症度又は発生率を低下させる;及び/又は(5)標的とされる状態又は障害を治癒させることを目的とする(しかし対象に対して顕著な負の又は有害な副作用を引き起こさない)、本発明による阻害剤又は組成物のレベル又は量を指す。本発明による阻害剤又は組成物の治療的有効量は、予防的又は予防作用のために標的とされる状態又は障害の発症前に投与され得る。或いは又はさらに、本発明による阻害剤又は組成物の治療的有効量は、治療作用のために、標的とされる状態又は障害の発症後に投与され得る。
「対象」は、本明細書中で使用される場合、温血動物、好ましくはヒトを指す。いくつかの実施形態では、対象は男性又は女性の対象である。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば18歳(ヒト年齢)を超える対象又は小児(例えば18歳未満の対象、より具体的には15歳未満及びより具体的には10歳(ヒト年齢)未満である。いくつかの実施形態では、対象は、「患者」、即ち医療ケアを受けるために待機中であるか又は医療ケアを受けている、又は、本発明の方法による医学的手順の目的であった/目的である/目的となろう、又は疾患の発症に対して監視される対象であり得る。
ハンチントン病対象は、30代又は40代に徴候及び症状を発する。しかし、疾患は、生涯の中でより早く又は遅く現れ得る。疾患が20歳前に発症する場合、その状態は「若年性ハンチントン病」と呼ばれる。疾患が早期に発現する結果、一連の症状が幾分異なり、疾患進行がより速いことが多くなる。薬物療法は、ハンチントン病の症状の管理を助けるために利用可能であるが、処置は、脳における細胞機能不全及び変性と関連する身体的、精神的及び行動の減退を予防し得ない。
本発明は、p16INK4a阻害剤又はHDを予防及び/又は処置するための活性薬剤として前記p16INK4a阻害剤を含む組成物を利用することによって、この要求に対処する。
本発明は、p16INK4a阻害剤又はHDを予防及び/又は処置するための活性薬剤として前記p16INK4a阻害剤を含む組成物を利用する。
第一の実施形態によれば、本発明は、ハンチントン病の予防及び/又は処置での使用のためのp16INK4a阻害剤に関する。
p16Ink4aは、細胞周期の調節に関与するタンパク質である。p16Ink4aはCDK阻害剤のInk4ファミリーの主なメンバーである。これは、INK4a/ARF遺伝子座内の染色体9p21上に位置する遺伝子によりコードされる。p16は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤である。p16Ink4aの発現は、殆どのマウス組織において及びヒト皮膚及び腎臓組織において加齢とともに顕著に上昇し、これにより、加齢及び老化におけるこの腫瘍抑制因子の重要性が示唆される。さらに、酸化ストレス、DNA損傷及びクロマチン構造変化に応答したp16Ink4a過剰発現が老化線維芽細胞において報告されている。それにもかかわらず、老化の引き金となるシグナルは現在、完全に理解されておらず、p16Ink4aは老化における主要な因子の1つであると思われるものの、この過程での各因子の正確な役割を確認するためにより多くの情報が必要とされている。
特定の態様では、本発明による使用のためのp16INK4a阻害剤は、核酸、ポリペプチド又は低分子化合物分子である。
本発明のより具体的な態様では、本発明による使用のためのp16INK4a阻害剤は、siRNA、shRNA、マイクロRNA、非コードRNA、デオキシリボサイム(deoxyribosyme)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムDNAzyme、修飾若しくは合成DNA又はRNA変性耐性ポリヌクレオシドアミド、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA)、他の核酸塩基含有ポリマー又はアプタマーなどのp16INK4aを妨害するRNAをコードする核酸配列である。
本発明の核酸分子又は配列は、DNA及びRNAにおける(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)一連のヌクレオチド塩基を指し、2個以上のヌクレオチドの何らかの鎖を意味する。ポリヌクレオチドはキメラ混合物又は誘導体又はその修飾型、1本鎖又は2本鎖であり得る。
オリゴヌクレオチドは、例えば分子の安定性、そのハイブリッド形成パラメーターなどを改善するために塩基部分、糖部分又はリン酸骨格で修飾され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、チオ-グアニン及び2,6-ジアミノプリンを含むが限定されない群から選択される修飾塩基部分を含み得る。
ヌクレオチド配列は一般的に、タンパク質及び酵素を作製するために細胞機構により使用される情報を含め、遺伝情報を保有する。これらの用語は、2本鎖又は1本鎖ゲノム及び相補的DNA、RNA、何らかの合成及び遺伝子改変ポリヌクレオチド及びセンス及びアンチセンス両方のポリヌクレオチドを含む。これは、1本鎖及び2本鎖分子、即ちDNA-DNA、DNA-RNA及びRNA-RNAハイブリッド、並びにアミノ酸骨格に対する複合化塩基により形成される「タンパク質核酸」(PNA)を含む。これは炭水化物又は脂質を含有する核酸も含む。
代表的なDNAとしては、1本鎖DNA(ssDNA)、2本鎖DNA(dsDNA)、プラスミドDNA(pDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、アンチセンスDNA、葉緑体DNA(ctDNA又はcpDNA)、マイクロサテライトDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNA又はmDNA)、キネトプラストDNA(kDNA)、プロウイルス、溶原菌、反復性DNA、サテライトDNA及びウイルス性DNAが挙げられるが限定されない。
代表的なRNAとしては、1本鎖RNA(ssRNA)、2本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA)、低分子ヘアピン型RNA又は短いヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、転移RNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNA又はlncRNA)、サテライトRNA、ウイルス性サテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、低分子量細胞質RNA、核内低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、核小体低分子RNA(snoRNA)、スプライスリーダーRNA、ウイルスRNA及びウイルス性サテライトRNAが挙げられるが限定されない。
本明細書中に記載のポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の標準的方法により、例えば自動DNA合成装置(Biosearch,Applied Biosystemsなどから市販されているものなど)の使用によって合成され得る。アンチセンスDNA又はRNAを細胞に送達するために多くの方法が開発されており、例えばアンチセンス分子を組織部位に直接注入し得るか、又は所望の細胞を標的とするために設計される、修飾されたアンチセンス分子(ペプチドに連結されるアンチセンス又は受容体に特異的に結合する抗体又は標的細胞表面上で発現される抗原)を全身投与し得る。或いは、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロ及びインビボ転写によって、RNA分子が作製され得る。このようなDNA配列は、T7又はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多岐にわたるベクターに組み込まれ得る。或いは、使用されるプロモーターに依存して構成的又は誘導的にアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNAコンストラクトを細胞株に安定に導入し得る。しかし、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスの細胞内濃度を達成することは困難であることが多い。従って、好ましいアプローチは、強力なプロモーターの制御下にアンチセンスオリゴヌクレオチドが置かれる組み換えDNAコンストラクトを利用する。患者において標的細胞に遺伝子移入するためにこのようなコンストラクトを使用することにより、内因性標的遺伝子転写産物との相補的塩基対が形成され、それにより標的遺伝子mRNAの翻訳を防ぐのに十分な量の1本鎖RNAの転写が起こる。例えば、細胞により取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を支配するように、ベクターをインビボで導入し得る。このようなベクターは、所望のアンチセンスRNAを作製するために転写され得る限り、エピソーム性のままであり得るか又は染色体に組み込まれ得る。このようなベクターは、当技術分野の標準的な組み換えDNA技術の方法により構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞での複製及び発現のために使用される、プラスミド、ウイルス又は当技術分野で公知の他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物の、好ましくはヒトの細胞で作用させるための、当技術分野で公知の何れかのプロモーターによるものであり得る。このようなプロモーターは、誘導性又は構成的であり得る。組織部位に直接導入され得る組み換えDNAコンストラクトを調製するために、何れかのタイプのプラスミド、コスミド、酵母人工染色体又はウイルスベクターを使用し得る。
ポリヌクレオチドは、天然の調節(発現制御)配列に隣接し得るか、又は、プロモーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)及び他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、反応エレメント、抑制因子、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’-及び3’-非コード領域などを含め、異種配列を付随し得る。
特定の態様では、本発明によるp16Ink4a阻害剤は、薬物投与時のp16Ink4a陽性老化細胞の誘導排除のための、特異的なコンストラクトINK-ATTACである。INK-ATTACトランスジェニックコンストラクトを次のように作製した。aP2-ATTACトランスジェニックコンストラクトからFKBP-Casp8断片をサブクローニングし(Pavani UB,et al.,Nature Med.2005;11:797-803)、pBlueScriptII(Stratagene)に挿入した。マウスp16Ink4aプロモーターの2,617-bpセグメントをBAC DNAからPCRで増幅させて、aP2プロモーターを置き換えた。IRES-EGFP断片をATTACの3’に挿入した。このコントラクト(contruct)はBaker D.J.et al.,Nature.2011 Nov 2;479(7372):232-236に記載されている。
核酸はまた、当技術分野で公知の多くの手段によって修飾され得る。このような修飾の非限定例としては、メチル化、「caps」、類似体での天然ヌクレオチドの1つ以上の置換及びヌクレオチド間修飾、例えば無電荷の連結(例えばメチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、カルバマートなど)及び電荷結合(例えばホスホロチオアート、ホスホロジチオアートなど)があるものが挙げられる。ポリヌクレオチドは1つ以上のさらなる共有結合部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-1-リジンなど)、干渉物質(例えばアクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば金属、放射活性金属、鉄、酸化金属など)及びアルキル化剤を含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチル又はエチルホスホトリエステル又はアルキルホスホロアミダート結合の形成により誘導体化され得る。さらに、本明細書中のポリヌクレオチドはまた、直接又は間接的の何れかで、検出可能なシグナルを提供可能な標識で修飾され得る。代表的な標識としては、放射性同位元素、蛍光分子、同位体(例えば放射活性同位体)、ビオチンなどが挙げられる。
「アプタマー」は、本明細書中で使用される場合、分子認識の点で抗体に対する代替物に相当する分子のクラスを指す。アプタマーは、高い親和性及び特異性で実質的にあらゆるクラスの標的分子を認識する能力があるオリゴヌクレオチド又はオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、ランダム配列ライブラリのSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)を通じて単離され得る。ランダム配列ライブラリは、DNAのコンビナトリアル化学合成により入手可能である。このライブラリでは、各メンバーは、ユニークな配列の、最終的に化学修飾される直鎖オリゴマーである。このクラスの分子の可能な修飾、使用及び長所は、Jayasena(1999.Clin Chem.45(9):1628-50)により概説されている。ペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法によりコンビナトリアルライブラリから選択される、E.コリ(E.coli)チオレドキシンAなどのプラットフォームタンパク質により提示される、立体構造的に束縛される抗体可変領域からなる。
アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含む「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、それへの結合により5-HTR1mRNAの翻訳を直接的に阻止するために作用し、従ってタンパク質翻訳を防ぐか又はmRNA分解を増加させ、従って、細胞において、5-HTR1レベル、及び続いて5-HTR1活性を低下させる。例えば、少なくとも約15塩基であり、5-HTR1をコードするmRNA転写産物配列のユニークな領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば従来からのホスホジエステル技術により合成され、例えば静脈内注射又は点滴により投与され得る。
配列が当技術分野で周知である遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためのアンチセンス技術を使用するための方法(例えば米国特許第5,981,732号明細書、同第6,046,321号明細書、同第6,107,091号明細書、同第6,365,354号明細書、同第6,410,323号明細書、同第6,566,131号明細書及び同第6,566,135号明細書を参照)。
「リボザイム」は、RNAの特異的な切断を触媒可能な酵素性RNA分子を指す。リボザイム作用の機序は、相補的な標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的なハイブリッド形成、それに続くヌクレオチド鎖切断を含む。5-HTR1 mRNA配列のヌクレオチド鎖切断を特異的且つ効率的に触媒する改変ヘアピン又はハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、それにより本発明の範囲内で有用である。何らかの潜在的なRNA標的内の特異的なリボザイム切断部位は、リボザイム切断部位について標的分子をスキャンすることによって最初に同定され、これは一般的に次の配列、GUA、GUU及びGUCを含む。同定したら、切断部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する約15~20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列を、不適切なオリゴヌクレオチド配列を与え得る二次構造など、予想される構造特性について評価し得る。候補標的の適切性はまた、例えばリボヌクレアーゼ保護アッセイを使用して、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成に対するそれらの接近性を試験することにより評価され得る。
公知の方法によってアンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムの両方を調製し得る。これらは、例えば固相ホスホロアマダイト(phosphoramadite)化学合成など、化学合成のための技術を含むが限定されない。或いは、asRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のインビトロ又はインビボ転写により作製され得る。このようなDNA配列は、T7又はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多岐にわたるベクターに組み込まれ得る。本発明のオリゴヌクレオチドに対する様々な修飾は、細胞内安定性及び半減期を向上させる手段として導入され得る。可能な修飾としては、分子の5’及び/又は3’末端へのリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの隣接配列の付加又はオリゴヌクレオチド骨格内のホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオアート又は2’-O-メチルの使用が挙げられるが限定されない。
「RNAi」は、本明細書中で使用される場合、p16INK4転写産物に標的化される、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)及びマイクロRNA(miRNA);並びに、細胞内部に存在することにより標的5-p16INK4転写産物に対して標的化されるsiRNA、shRNA又はmiRNAが産生されるRNAiベクターが挙げられるが限定されない。このようなsiRNA、shRNA又はmiRNAは、標的である5-p16INK4転写産物の領域に相補的であるRNAの部分を含む。
RNA干渉は、多段階工程であり、一般に、標的とされるp16INK4遺伝子の配列に相同である2本鎖RNA(dsRNA)により活性化される。生物の細胞への長鎖dsRNAの導入は、相同遺伝子転写産物の配列特異的な分解につながる。長鎖dsRNA分子は、ダイサーとして知られる内因性リボヌクレアーゼの作用により低分子(例えば21~23ヌクレオチド)干渉RNA(siRNA、shRNA又はmiRNA)へと代謝される。干渉RNAは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるタンパク質複合体に結合するが、これはヘリカーゼ活性及びエンドヌクレアーゼ活性を含有する。ヘリカーゼ活性は、RNA分子の2本鎖を解きほぐし、アンチセンス鎖が標的p16INK4RNA分子に結合できるようにする。エンドヌクレアーゼ活性は、アンチセンス鎖が結合される部位で5-HTR1 RNAを加水分解する。従って、RNAiは、1本鎖(ssRNA)RNA分子が標的p16INK4RNA分子に結合し、p16INK4RNAを分解するリボヌクレアーゼを動員するので、アンチセンス作用機序である。
適切なdsRNA又はdsRNAコードベクターを選択するための方法は、配列が既知である遺伝子について、当技術分野で周知である(例えばTuschl et al.,1999.Gene Dev.13(24):3191-7;Elbashir et al.,2001.Nature.411(6836):494-8;Hannon,2002.Nature.418(6894):244-51;McManus & Sharp,2002.Nat Rev Genet.3(10):737-47;McManus et al.,2002.RNA.8(6):842-50;Brummelkamp et al.,2002.Science.296(5567):550-3;米国特許第6,573,099号明細書及び同第6,506,559号明細書;及び国際公開第1999032619号パンフレット、同第2001036646号パンフレット及び同第2001068836号パンフレット)を参照。
さらなる態様では、p16INK4a阻害剤は、ペプチド性リガンド、p16INK4aのアンタゴニスト又は、その活性を低下させるp16INK4aタンパク質に直接的若しくはアロステリックに結合可能である低分子の化合物分子、又は定義されるか若しくは未定義の機序を通じてp16INK4a mRNA若しくはタンパク質の発現レベルを低下させ、またその活性を低下させることが可能である低分子の化合物分子を含む群の間で選択される化学物質である。
さらなる態様では、p16INK4a阻害剤はリガンドであり、このリガンドは、抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー又はVHHドメインである。
「抗体」は、本明細書中で使用される場合、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、単ドメイン抗体、ナノボディー、抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片など)、1本鎖Fv(scFv)突然変異体、多特異性抗体(少なくとも2つのインタクトな抗体から作製される二特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質及び抗原認識部位を含むあらゆる他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα(アルファ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、γ(ガンマ)及びμ(ミュー)と呼ばれるその重鎖定常ドメインの同一性に基づき、免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つの主要クラス又はそのサブクラス(アイソタイプ)(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)の何れかであり得る。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なるよく知られるサブユニット構造及び三次元立体構造を有する。抗体は裸であってもよいし、又は毒素、放射性同位元素若しくは本明細書中で挙げられる他の具体的な分子の何れかなどの他の分子と複合化されていてもよい。
「モノクローナル抗体」は、単一の抗原性決定基又はエピトープに対する特異性が高い認識及び結合に関与する均一な抗体集団を指す。これは、一般的に異なる抗原性決定基に対する異なる抗体を含む「ポリクローナル抗体」とは対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクト及び全長モノクローナル抗体の両方、並びに抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、1本鎖(scFv)突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質及び抗原認識部位を含むあらゆる他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現及びトランスジェニック動物を含むが限定されないあらゆる多くの方法で作製されるこのような抗体を指す。「ヒト化抗体」という用語は、最小の非ヒト(例えばマウス)配列を含有するように改変されている非ヒト(例えばマウス)免疫グロブリン由来の抗体を指す。一般的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット、ウサギ又はハムスター)のCDRからの残基により置き換えられているヒト免疫グロブリンである。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FW)残基は、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種由来の抗体において対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体特異性、親和性及び/又は能力を洗練し最適化するために、Fvフレームワーク領域中及び/又は置き換えられた非ヒト残基内の何れかでさらなる残基の置換によりさらに修飾され得る。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域の全て又は実質的に全てを含有する少なくとも1つ及び一般的には2つ又は3つの可変ドメインの実質的に全てを含み、一方で、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)の少なくとも一部、一般的にはヒト免疫グロブリンのもの、も含み得る。
またさらなる態様では、p16INK4a阻害剤は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPAR-γ)アンタゴニストなど又はレチノイドX受容体(RXR)アンタゴニスト、AMPK活性化因子、SIRT1活性化因子又はそれらの組み合わせなどの低分子の化合物分子である。
レチノイドX受容体(RXR)アンタゴニストは、次の非限定リストの間で選択され得る:UVI3003、しかしPPARガンマアンタゴニストとの組み合わせ、HX531、PA452、NEt-3IB、β-Apo-13-カロテノン、LG100754、AGN1985393、Ro26-5405、LG101506、PA451、PA452、BI-1003、BI-1005、SR11179、UV13003、HX531、ダンスロン、レイン、ベータ-アポ-13-カロテン、R-エトドラク、スンディラク(Sundilac)スルフィド、K-8003、K-8008、トリプトライド、TRC4、NSC-64358、フラバスタチン(Flvastatin)、9-シスレチノイン酸、PA024、CD3254、LG100754、UVI3003、HX531及び“Retinoid X Receptor Antagonists”,Masaki Watanabe and Hiroki Kakuta,International Journal of Molecular Sciences 2018,19,2354に記載の全ての構成成分、ジアゼピニル安息香酸骨格に基づくRXRアンタゴニスト、(2E,4E,6Z)-7-[2-ブトキシ-3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-フェニル]-3-メチル-2,4,6-オクタトリエン酸、(2E,4E,)-(1RS,2RS)-5-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ブトキシ-フェニル)-シクロプロピル]-3-メチル-ペンタ-2,4-ジエン酸、(2E,4E)-(1RS,2RS)-5-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-フェニル)-シクロプロピル]-3-メチル-ペンタ-2,4-ジエン酸、(2E,4E,6Z)-7-[35-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2-エトキシ-フェニル]-3-メチル-2,4,6-オクタトリエン酸エチルエステル、(2E,4E)-3-メチル-5-[2-(2,6,6-トリメチル-シクロへキシ-1-エニルエチニル)-シクロヘプト-1-エニル]-ペンタ-2,4-ジエン酸、(2E,4E)-3-メチル-5-[(1RS,2RS)-2-(5,5,8)8-テトラメチル-3-プロポキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-シクロプロピル]-ペンタ-2,4-ジエン酸、(2E,4E,6Z)-3-メチル-7-(5,58-テトラメチル-3-プロポキシ-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-オクタ-2,4,6-トリエン、又は
Figure 2022531841000002
又は
Figure 2022531841000003
又は
Figure 2022531841000004
又は
Figure 2022531841000005
又は
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又は
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又は
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又は
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又は
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又は
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又は
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又は
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又は
Figure 2022531841000014
又は
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又は
Figure 2022531841000016
又はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR;NR1C1-3)、肝臓X受容体(LXRs;NR1H2-3)又はファルネソイドX受容体(FXR;NR1H4)。
次の非限定リスト中でPPAR-ガンマ又はPPAR-アルファアンタゴニスト、特に脳関門を通過し得るもの(特許データベースをスクリーニング)を選択し得る:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、GW9662、イソラムネチン、T0070907、RUO2-クロロ-5-ニトロベンズアニリド、3-[[[2-メトキシ-4-(フェニルアミノ)フェニル]アミノ]スルホニル]-2-チオフェンカルボン酸メチルエステル、N-((2S)-2-(((1Z)-1-メチル-3-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)プロプ-1-エニル)アミノ)-3-(4-(2-(5-メチル-2-フェニル-1,3-オキサゾール-4イル)エトキシ)フェニル)プロピル)プロペンアミド、2-クロロ-5-ニトロ-N-4-ピリジニル-ベンズアミド、AZ6102、FH535、フェノフィブリン酸、GSK0660、GSK3787。
又は
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又は
Figure 2022531841000018
又は
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又は
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低分子SIRT1活性化因子は、次の非限定リストにおいて選択され得る:ニコチンアミド(NAM)、カルバ-NAD+、チオアセチル-リジンペプチド及びアセチル化-リジン-ADPリボース複合物、テノビンス(tenovins)、MC2141、EX-527、レスベラトロール、全レスベラトロール類似体、ケルセチン及びケルセチン誘導体、フィセチン、アルキルレゾルシノール、SRT1460、SRT1720、SRT2183及び(脳浸透性)SRT3025、STAC-5、ブテイン、STAC-9、STAC-10。
AMPK活性化因子は、次の非限定リストにおいて選択され得る:メトホルミン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、レスベラトロール、ケルセチン、ゲニステイン、エピガロカテキン没食子酸、ベルベリン、クルクミン、ジンセンシド(ginsenside)Rb1、アルファ-リポ酸、クリプトタンシノン、AICAR、チエノピリドン、ベンズイミダゾール、サリシクレート(salicyclate)、国際公開2010036613号パンフレットからのex229、Abbott A769662化合物及びAICAR(5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド)、991[国際公開2010036613号パンフレットからのex229としても知られる)、クチベーター(ctivator)-3,2-[2-(4-(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)チアゾール-4-イル]酢酸、CNX-012-570、MK-8722、
Figure 2022531841000021

又は
Figure 2022531841000022
FOXO補助因子(例えばβ-カテニン)又は上流調節因子(例えばAMPK、SIRT1)だけでないものを介してFOXO因子の活性を刺激する化合物はまた、本発明の化合物の一部でもあり、それらは、非限定的な次のリストから選択され得る:レスベラトロール(Parket et al.,Nat Genet.2005 Apr;37(4):349-50.Epub 2005 Mar 27.)及び3β-メトキシ-プレグネノロン(MAP4343)、17β-エストラジオール(17βE2)、塩化リチウム、イソクエルシトリン(レスベラトロールファーマコフォアを伴うフラボノイド)及びレスベラトロールファーマコフォアを伴う11種類のフラボノイド類(化合物A~K)(Farina et al.,Sci Rep.2017 Jun 21;7(1):4014.doi:10.1038/s41598-017-04256は以下で示す:
Figure 2022531841000023
Figure 2022531841000024
Figure 2022531841000025
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特定の態様では、本発明によるp16Ink4a阻害剤は、標的化遺伝子編集のためのポリヌクレオチドである。本発明で企図される遺伝子編集方法の例としては、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)に基づく編集システム、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート-Cas9 5CRIR-Cas9)、自己不活型KamiCas9システム、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)(Nature.2011 Nov 2;479(7372):232-236)などが挙げられるが限定されない。
さらなる態様では、本発明はさらに、HDの予防及び/又は処置での使用のための本発明によるp16INK4阻害剤を含む組成物に関する。
本発明はさらに、HDの予防及び/又は処置での使用のための、本発明による少なくとも1つのp16INK4阻害剤及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物にも関する。
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、無毒性固体、半固体又は液体充填剤、希釈剤、封入材料又はあらゆるタイプの処方補助剤を指す。本発明の組成物で使用され得る薬学的に許容可能な賦形剤としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンなど、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えばプロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、シリカ、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが限定されない。
本発明による医薬組成物は、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHT、ソルビン酸カリウム又はロスマリヌス・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)抽出物を含むが限定されない抗酸化剤をさらに含み得る。
本発明による医薬組成物は、糖、果実又はお茶の香味料を含むが限定されない香味剤をさらに含み得る。
本発明による医薬組成物は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成されるもの)を含むが限定されない薬学的に許容可能な塩をさらに含み得、この酸付加塩は、例えば塩酸若しくはリン酸などの無機酸又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成される塩はまた、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は三価鉄の水酸化物などの無機塩基及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基由来でもあり得る。
賦形剤は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、その適切な混合物及び植物油、例えばオレイン酸などを含有する溶媒又は分散媒でもあり得る。例えば、レシチン(即ちダイズレシチン又は脱脂ダイズレシチン)などのコーティングの使用によって、分散の場合は求められる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適正な流動性が維持され得る。
様々な抗菌及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって微生物の作用の予防をもたらし得る。
多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。
本発明による医薬組成物の吸収延長のために、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含むが限定されない、吸収を遅らせる物質を添加し得る。
別の態様では、本発明の組成物は、細胞特異的な標的化のためのペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含有し、及び/又は細胞特異的発現を可能にする核酸を含有する。
別の態様では、本発明の組成物又は医薬組成物は、HDを処置するための1つ以上の活性薬剤及び/又は前記活性薬剤の副作用を処置するための1つ以上の薬剤をさらに含む。
本発明はさらに、HDの予防及び/又は処置での使用のための、本発明によるp16INK4阻害剤を含む薬剤に関する。
本発明の一実施形態では、p16INK4阻害剤、p16INK4阻害剤を含む、組成物、医薬組成物又は(or)が、治療的有効量で使用される。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、当業者により決定される用量で投与され、各対象に個々に適合するものである。
本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医師により決定されることが理解されよう。何れかの特定対象に対する具体的な治療的有効量は、処置されている状態及び状態の重症度;使用される具体的な組成物、対象の、年齢、体重、総体的健康状態、性別及び食事;投与時間、投与経路、処置の持続時間;本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤と組み合わせて若しくは同時に使用される薬物;及び医学の技術分野で周知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるものより低いレベルで治療用化合物の投与を開始すること及び所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは十分に当技術分野の技術の範囲内であるが;反対に、定常状態血漿濃度により素早く到達させるための方法を初期量で開始し、次に排出過程の影響を的確に代償するために計算される維持用量で続けることは、等しく有用であり得る。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の治療的有効量は、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の治療的有効量は、2、3、4、5、6日ごとに投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の治療的有効量は、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと、1カ月に1回投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の治療的有効量は、毎月、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、5カ月ごと、6カ月ごと、1年に1回投与されるものである。
一実施形態では、本発明による5p16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤の治療的有効量は、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、1年間という期間又は、例えば数年間又は対象が死亡するまでなど、より長期間にわたり投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、全身的又は局所的に投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、経口、口腔、注射により、経皮的投与により、非経口で、腹腔内に、内視鏡により、局所的に、経皮で、経粘膜で、鼻腔に、吸入噴霧により、直腸に、膣に、気管内に又は埋め込みリザーバーを介して、投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、経口投与されるものである。
経口投与に適応した処方物の例としては、固形形態、液体形態及びゲルが挙げられるが限定されない。
経口投与に適応した固形形態の例としては、丸剤、錠剤、カプセル、軟ゼラチンカプセル、硬ゼラチンカプセル、ドラジェ、顆粒剤、カプレット、圧縮錠剤、カシェ、ウエハ、糖衣コーティングした丸剤、糖衣コーティングした錠剤又は崩壊(dispersing)/若しくは崩壊(disintegrating)錠、粉末、経口投与前の液体中の溶液又は懸濁液に適切な固形形態、及び発泡性錠剤が挙げられるが限定されない。
経口投与に適応した液体形態の例としては、溶液、懸濁液、飲用溶液、エリキシル、密封バイアル、薬、水薬、シロップ剤、濃縮溶液及びスプレーが挙げられるが限定されない。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、注射、好ましくは全身注射されるものである。
全身注射に適応した処方物の例としては、液体溶液又は懸濁液、注射前の液体中の溶液に又は懸濁液に適切な固形形態が挙げられるが限定されない。
全身注射の例としては、静脈内、頭蓋内、リンパ内、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、膀胱内、肝内、病巣内、空洞内、点滴技術及び灌流が挙げられるが限定されない。
別の実施形態では、注射されるとき、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は滅菌状態である。滅菌組成物、医薬組成物、薬剤又は栄養補助食品組成物を得るための方法としては、GMP合成(GMPは「製造管理及び品質管理に関する基準(Good manufacturing practice)」を意味する)が挙げられるが限定されない。
送達系
一実施形態では、本発明による組成物、医薬組成物又は薬剤は、中枢神経系への薬剤の送達を促進する送達系と合わせて使用され得る。例えば、様々な血液脳関門(BBB)透過性促進剤を使用して、治療剤に対する血液脳関門の透過性を一過性に及び可逆的に上昇させ得る。このようなBBB透過性促進剤としては、ロイコトリエン、ブラジキニンアゴニスト、ヒスタミン、タイトジャンクション破壊剤(例えばゾヌリン、zot)、高張液(例えばマンニトール)、細胞骨格収縮剤及び短鎖アルキルグリセロール(例えば1-O-ペンチルグリセロール)が挙げられるが限定されない。経口、舌下、非経口、埋め込み、鼻腔及び吸入経路は、中枢神経系への活性薬剤の送達を提供し得る。いくつかの実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、末梢神経系への影響を最小限に抑えて中枢神経系に対して投与され得る。
別の実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、エクソソーム、ナノ粒子又はポリマー性ナノ粒子薬物送達系の形態で送達される。
持続放出
一実施形態では、本発明による少なくとも1つのp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、即時放出形態で投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、混合放出形態で投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、腸溶コーティング形態で投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、持続放出形態で投与されるものである。
一実施形態では、本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤は、有効成分の放出を制御する送達系を含む。
一実施形態では、対象は動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、さらにより好ましくはヒトである。
一実施形態では、対象は男性である。一実施形態では、対象は男性又は女性である。
一実施形態では、対象は成人である。
一実施形態では、対象は小児である。
一実施形態では、対象は10代である。
一実施形態では、対象は10、15、18又は20歳である。一実施形態では、対象は30歳を超える。一実施形態では、対象は40歳を超える。
一実施形態では、対象は50歳を超える。一実施形態では、対象は55歳を超える。一実施形態では、対象は60歳を超える。
一実施形態では、対象は、HDと診断されている/診断された、HDに対する遺伝的素因を呈する/呈した、又はHDに罹患している、好ましくはHDと診断されている。一実施形態では、対象は既にHD処置を受けた。
予防及び処置
本発明はさらに、HDの予防及び/又は処置を必要とする対象におけるHDの予防及び/又は処置での使用のための、p16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物又は薬剤に関する。これは、HDの予防及び/又は処置を必要とする対象に本発明によるp16INK4阻害剤、組成物、医薬組成物、薬剤又はワクチン組成物を投与することによって、HDを予防及び/又は処置する方法にも関する。
処置を必要とする者としては、障害が既にある者並びに障害を有する傾向がある者又は障害が予防されるべきである者が含まれる。対象又は哺乳動物は、本発明による阻害剤又は組成物の治療量を投与した後に、患者が次の観察可能な及び/又は測定可能な変化の1つ以上:特異的な疾患又は状態と関連する症状の1つ以上に関する寛解、死亡率及び罹患率の低下及びクオリティーオブライフ問題の改善を示す場合、「処置」は成功している。処置の成功及び疾患の改善を評価するためのパラメーターは、例えばUnited Huntington’s Disease Rating Scale(UHDRS)及び例えばHuntington’s disease Cognitive Assessment Battery(HD-CAB)などであるが限定されない開発されている他のスケールなどであるがそれらだけではない医師が熟知している通常の手順によって、容易に測定可能である。
本発明はさらに、p16INK4阻害剤、前記p16INK4阻害剤を含む、組成物、医薬組成物又は薬剤の投与を含む、HDの予防又は処置を必要とする対象においてHDを予防又は処置する方法に関する。
本発明は、p16INK4阻害剤の投与を含む、ニューロン及び/又はNSCの死滅率の低下を必要とするHD対象においてニューロン及び/又はNSCの死滅率を低下させる方法にも関する。
本発明は、p16INK4阻害剤の投与を含む、慢性及び/又は非適応性の老化応答からHDニューロン及び/又はHD NSCを保護するための方法にも関する。
本発明はさらに、p16INK4阻害剤の投与を含む、DNA損傷修復の持続軽減を必要とするHD対象においてDNA損傷修復の持続を軽減するための方法に関する。
本発明は、p16INK4阻害剤の投与を含む、HDニューロンにおいて正常な活性を回復させるための方法にも関する。
本発明による阻害剤又は組成物の治療量を受けた後、患者が早い時期に徴候及び症状を示さないか又は疾患進行が遅くなる場合、予防は成功である。
図1は、ヒトHD及び正常-HTT NSCにおける遺伝子調節レベルのFOXO3-ETS2、ETS2-p16INK4a及びETS1-p16INK4a相互作用の特徴に関する。 siRNA処置を含む実験において、非標的対照(NTC)siRNAで処理した細胞に対してmRNAレベルを正規化する。他の実験では、C116細胞又は増殖因子(GF)欠乏がない細胞に対してmRNAレベルを正規化する。ns、有意性なし。 (A)GF欠乏に供されるHD NSCにおけるFOXO3低下によって、ETS2 mRNAレベルが上昇し、基底状態でも正常HTT細胞でも影響は観察されない(左パネル:P<0.05)。ETS2 mRNAレベルはHD NSCにおいて低下する(中央パネル:**P<0.01)。GF欠乏によって、C116 NSCではETS2 mRNAレベルは変化せず、HD NSCではETS2 mRNAレベルが低下する(右パネル:P<0.05)。 (B)基底状態のHD NSCで及びストレスを受けた細胞ではETS2低下によってp16INK4amRNAレベルが低下し、正常HTT細胞では影響が検出されない(左パネル:P<0.05、**P<0.01)。HD NSCにおいてp16INK4a mRNAレベルが上昇する(中央左パネル:***P<0.001)。GF欠乏によって、C116 NSCではp16INK4a mRNAレベルは変化せず、HD NSCではp16INK4a mRNAレベルが低下する(中央右パネル:P<0.05)。GF欠乏に供されたHD NSCにおいて、FOXO3ノックダウンによってp16INK4a mRNAレベルが上昇する傾向がある(右パネル:P=0.0736で有意ではない)。 (C)基底状態のC116 NSCにおいて及び基底及びストレスの両状態のHD NSCにおいて、ETS1低下によってp16INK4amRNAレベルが低下する(左パネル:P<0.05、**P<0.01)。C116 NSCと比較してHDにおいてETS1 mRNAレベルは変化しない(中央パネル)。GF欠乏によって、C116 NSCではETS1 mRNAレベルが変化せず、HD NSCではETS1 mRNAレベルが低下する(右パネル:P<0.05)。 (D)ETS2-p16INK4a経路におけるFOXO3標的再プログラミングの効果に対する作業モデル。 図2は、ヒトHDプレパターン化NSCにおいて、p16INK4aのレベル上昇を説明し、SA-β-gal活性上昇を特徴とする老化表現型を示す。 (A)HDプレパターン化NSCにおいてp16INK4amRNAレベルが上昇する。データは平均±SD(**P<0.01)、N=3である。 (B)HD NSCにおける中程度p16INK4a上昇に対する代表的画像。全パネルのスケールバー:100μm。 (C)N=532 C116 NSC及びN=1000 HD NSCに対する核p16INK4aピクセル強度の定量。データは平均±SD(**P<0.01)である。 (D)HD NSCにおけるSA-β-gal活性の発現上昇に対する代表的画像。全パネルのスケールバー:200μm。 (E)N=547個のC116 NSC及びN=645個のHD NSCに対するSA-β-gal活性の定量。データは平均±SD(****P<0.0001)である。 (F)パネルEで示されるデータに対するSA-β-galシグナルの度数分布。 図3は、p16INK4aのレベル上昇及びSA-β-gal活性上昇も他の非アイソジェニックなHD NSC株の特徴であることを示す。 (A)対照NSCにおけるRT-PCR分析により決定される場合のp16INK4amRNAレベル(青いバー;MN08i-33114.B及びND42241)及びHD NSC(赤いバー;ND41656-CAG57及びND42222-CAG109)。データは平均±SD(N=3)である。***P<0.001(一元配置ANOVA;テューキー多重比較検定)。 (B)免疫蛍光分析は、HD NSCにおけるp16INK4aのロバストな上昇を明らかにする。全パネルでのスケールバー:100μm。 (C)対照NSC(MN08i-33114.B及びND42241)と比較した、HD NSC(ND41656-CAG 57;ND42222-CAG109)におけるSA-β-gal活性の発現上昇を示す代表的画像。10X拡大率。全パネルでのスケールバー:200μm。 図4は、ヒトHD MSNにおいてp16INK4a発現が上昇することを示す。 (A)規定の促進培地(Synaptojuice medium)を使用してNSCから調製されるヒトMSNの代表的画像。 (B)C116及びHD MSNにおけるp16INK4a、FOXO3及びRykのRT-PCR分析から、HD MSNにおける、FOXO3 mRNAレベルの中程度の上昇並びにp16INK4a及びRyk mRNAレベルのロバストな上昇が明らかになる。データは平均±SD(P<0.05、***P<0.001)である。N=3。 (C)免疫蛍光分析から、HD MSNにおけるp16INK4aの劇的な上昇が明らかになる。全パネルのスケールバー:100μm。 (D)N=596 C116 NSC及びN=609 HD NSCに対する核p16INK4aピクセル強度の定量。データは平均±SD(****P<0.0001)である。 (E)パネルDで示されるデータに対する核p16INK4aシグナルの度数分布。 図5は、FOXO3及びp16INK4aがヒトHD神経幹細胞の脆弱性を逆に調整することを示す。 細胞増殖アッセイにおいて、二元配置ANOVAを使用して有意性を検定した。細胞脆弱性アッセイにおいて、スチューデントのt検定を使用して有意性を検定した。ns:有意性なし。 (A)ヒトHD NSCは細胞増殖速度の低下を示す。データは平均±SEMである。 (B)FOXO3低下により、C116 NSCの増殖は変化しない(左パネル)。FOXO3低下は、ヒトHD NSCの増殖を強く減弱させ(右パネル)、HTT mRNAレベルでは変化は検出されない(図6C、左パネル参照)。データは平均±SEMである。 (C)p16INK4aの低下により、C116(左パネル)及びHD(右パネル)NSCの増殖が僅かに上昇する。p16INK4aの低下により、HD NSCにおいてHTT mRNAレベルは変化しない(図6C、右パネル参照)。データは平均±SEMである。 (D)FOXO3の低下により、ヒト HD NSCの死滅率が上昇し、C116 NSCでは影響は検出されない(左パネル:P<0.05、**P<0.01)。p16INK4aの低下により、ヒトHD NSCの死滅率が低下し、C116 NSCでは影響は検出されない(右パネル:P<0.05)。 図6は、siRNAでの処理時の遺伝子標的発現レベル及びFOXO3の低下又はp16INK4aの低下時のHTT発現レベルを示す。データは平均±SDである。(A)siRNA処理HD及び正常HTT NSCにより、FOXO3 mRNAレベルが低下する。NTC siRNAと比較して**P<0.01及び***P<0.001。図5に関連。(B)siRNA処理HD及び正常HTT NSCにより、p16INK4a mRNAレベルが低下する。非特異的な対照siRNA処理と比較して***P<0.001。図5に関連。(C)HD NSCにおいてFOXO3又はp16INK4a siRNA処理により、HTT mRNAレベルは変化しない。ns、有意性なし。 図7は、HD NSC及びMSNにおいて評価される老化の適切なマーカーを示す。 (A)C116 NSCと比較して、HDにおいてp21CIP1 mRNAレベルが低下する(**P<0.01)。(B)C116 NSCと比較して、HDにおいてp27KIP1mRNAレベルは変化しない。ns、有意性なし。(C)C116 NSCと比較して、HDにおいてMMP-3mRNAレベルが上昇する(***P<0.001)。(D)免疫蛍光分析から、C116 MSNと比較して、HD MSNの核からのHMGB1の欠乏が明らかになる。全パネルのスケールバー:100μm。(E)N=437 C116 NSC及びN=491 HD NSCに対する核HMGB1 ピクセル強度の定量。データは平均±SD(****P<0.0001)である。 図8は、非標的shRNA(CTR)又はp16INK4aに対するshRNA(p16)を安定して発現するHD及び対照(C116)NSCにおける酸化ストレスに応答したDNA損傷修復(DDR)機構のマーカーであるγH2AXの発現を示す。非標的shRNA(CTR)又はp16INK4aに対するshRNA(p16)を安定して発現するHD及び対照(C116)NSCの何れも400mM Hで1時間処理するか又は未処理のままにする(酸化ストレスは軸の下で示される)。次に、処理した細胞C116及びHDを洗浄し、24時間にわたり培養に戻す。次にγH2AXに対する免疫蛍光のために全細胞を処理した。次に核γH2AXの斑点を数え、プロットした。ボールド体の数字は、未処理細胞に対する核γH2AX斑点の倍率変化を示す。統計のためにT検定を使用した。***p<0.001;****p<0.0001;n.s.:有意性なし。データは全部で45~87個の細胞に対する平均±SDである。 図9は、非標的shRNA(CLTR)、p16INK4aに対するshRNA(shp16)又はp16INK4a及びp14ARFの両方の発現を標的とするshRNA(shCDKN2a)を安定して発現するHD及び対照(C1116)NSCから分化したMSNにおけるFOSB(qPCR)の発現を示す。未処理(UT、黒いバー)試料を除き、指定のshRNAを安定して発現するNSCから分化したMSNに5μMエトポシド(Etop.)を1時間適用した。次に、細胞を洗浄し、指定の回復時間、培養に戻した(点線バー、指定されるように左から右へ回復時間が長くなる:左から右へ:0時間、0.5時間、1時間、3時間)。次に全試料をRT-qPCR用に処理し、ハウスキーピング遺伝子HPRTの発現に対してFOSB発現を正規化した。データは平均±SDである。
実施例
本発明を次の実施例によりさらに例示する。
実施例1:材料及び方法
細胞培養
発明者らは、HD患者(女性、20歳:72Q/19Q)由来のヒトiPSC及びそのCAG修正対応物(21Q/19Q:C116)を使用した[An MCet al.,Genetic correction of Huntington’s disease phenotypes in induced pluripotent stem cells.Cell Stem Cell.2012;11(2):253-63]。これらの細胞を記載のようにNSCに分化させた[Ring KL,et al.,Genomic Analysis Reveals Disruption of Striatal Neuronal Development and Therapeutic Targets in Human Huntinghton’s Disease Neural Stem Cells. Stem Cell Reports.2015;5(6):1023-38]。簡潔に述べると、ReLesR(STEMCELL technologies)でiPSCを継代し、bFGFを含まないES培地(20%KnockOut Serum Replacement(Gibco)、2.48mM L-グルタミン、1X NEAA、15.4mM HEPES、50μM β-メルカプトエタノール、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び4ng/ml塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)(PeproTech、100-18B)を補給したEmbryonic Stem culture medium:KnockOut DMEM/F12(Gibco))中で低吸着ペトリ皿(0,1%アガロースでコーティング)にて細胞塊を培養した。2日ごとにES培地の25%をEB分化培地(20%FBS、1X非必須アミノ酸、50μM β-メルカプトエタノール、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを補給したDMEM)により置き換えた。第8日に、培地の100%が胚様体(EB)培地となった。第10日に、神経誘導培地(1X N2(Gibco)、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを補給したDMEM/F12)及び25ng/ml bFGF中でポリ-L-オルニチン/ラミニン(それぞれpO/L、Sigma-Aldrich P4957及びL2020)コーティングした皿にEBを付着させた。培地を2日ごとに交換した。10~12日後に、STEMdiff(商標)Neural Rosette Selection Reagent(STEMCELL Technologies)を使用してロゼットを採取し、完全神経増殖培地(NPM)(Neurobasal medium、1X B27サプリメント(Gibco)、2mM L-グルタミン、25ng/ml bFGF、10ng/ml白血病阻害因子(LIF)(Peprotech、300-05)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン)中でpO/Lコーティングプレート上に播種した。NSCマーカーであるネスチンに対する(Sigma-Aldrich、1:200)及びSOX1(Sigma-Aldrich、1:50)に対する抗体及びiPSCマーカーOCT3/4に対する抗体(Pierce antibodies、1:500)を使用して、免疫蛍光によってNSCへの分化のレベルを試験した。全実験にわたるNSCへの分化のレベルは少なくとも98%であった。Applied Stemcell Inc.(Menlo Park,CA)により行われるマルチカラーFISH分析を使用して実験を行う前にゲノムの完全性に対してiPSC株を検証した。プレパターン化アクチビンA NSCを作製するために、第10日にEB段階開始後、上のプロトコールを使用して作製したNSCを一貫して25ng/mlアクチビンA(Peprotech)中で維持した。
前述のNSC(実施例5、図9)からMSNを作製するために、以前に記載のように細胞培養3週間にわたり低分子のカクテルを使用した[Telezhkin Vl,et al.,Forced Cell Cycle exit and modulation of GABAA,CREB,and GSK3β signaling promote functional maturation of induced pluripotent stem cell-derived neurons.Am J Physiol Cell Physiol.2016 Apr 1;310(7):C520-41.]。β3-チューブリンに対する抗体(Sigma-Aldrich、1:500)及びGABAに対する抗体(Sigma-Aldrich、1:500)を用いた免疫蛍光を使用してMSNの分化を評価した。平均で、発明者らの分化集団において細胞の>80%がMSN(β3-チューブリン及びGABAを発現)であった。
非アイソジェニックなHD及び対照iPSC株ND41656(CAG57)、ND42222(CAG109)、ND42241は、Coriell Repositoryから、MN08i-33114.B株はWiCellから入手した。マニュアルの指示通り、PSC神経誘導培地(Life Technologies)を使用してNSC株を作製した。簡潔に述べると、1mg/mlコラゲナーゼを使用して、mTeSR中で培養したiPSCを回収した。Matrigel(1:60希釈、BD Biosciences)でコーティングした60mm皿にコロニーを移し、7日間にわたり1μM LDN-193189及び10μM SB431542を補給したPSC神経誘導培地中で培養して、神経上皮運命を誘導した。次に、これらの細胞を回収し、25ng/ml bFGFを補給した神経増殖培地(PSC神経誘導培地及びDMEM/F12培地(1:1)、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン及び2mM L-グルタミン)中で増やした。
遺伝子発現分析
RNeasyキット(Qiagen)を使用してトータルRNAを細胞から単離し、製造者の説明書キット(Ambion)に従いDNAフリーDNA除去キットを使用してDNase処理した。製造者の説明書に従い、RevertAID First Strand cDNA synthesis kit(Thermo Fisher scientific、K1622)を使用して、等量のトータルRNA(1μg)を逆転写した。ファーストストランドcDNAを希釈し、リアルタイム定量的PCR分析で鋳型として使用した。LightCycler 480 Real-Time PCR Systemを使用して、GoTaq qPCR Master Mix(Promega,A6002)を使用するqRT-PCRを行った。次のプライマーを使用して3つ組でqRT PCR実験を行った:FOXO3:フォワード:5’-AGGGAGTTTGGTCAATCAGAA-3’(配列番号1)、リバース:5’-TGGAGATGAGGAATCAAAGTT-3’(配列番号2);Ryk:フォワード:5’-CCACTTCTACGCGTGTGTTT-3’(配列番号3)、リバース:5’-GCCCTTGGGAACTACTGC-3’((配列番号36);p16INK4:フォワード:5’-CCAACGCACCGAATAGTTACG-3’(配列番号4)、リバース:5’-GCGCTGCCCATCATCATG-3’(配列番号5);p14ARF:フォワード:5’-CCCTCGTGCTGATGCTACTG-3’(配列番号6)、リバース:5’-CATCATGACCTGGTCTTCTAGGAA-3’(配列番号7);CDKN2AIP:フォワード:5’-GTGTATAGGGTCGGCCATCAA-3’(配列番号8)、リバース:5’-CCTGCCGTTGTTACCTGAGAG-3’(配列番号9);SERTAD1:フォワード:5’-CTCAAGCTCCACCACAGCCT-3’(配列番号10)、リバース:5’-AGTGTTCACGACCAGCACCA-3’(配列番号11);ETS2:フォワード:5’-CTGGGCATTCCAAAGAACCC-3’(配列番号12)、リバース:5’-CCAGACTGAACTCATTGGTGG-3’(配列番号13);ETS1フォワード:5’-GGGAGGACCAGTCGTGGTAAA-3’(配列番号14)、リバース:5’-CACGCTGCAGGCTGTTGAAAG-3’(配列番号15);p21CIP1:フォワード:5’-CACCGAGGCACTCAGAGGAG-3’(配列番号16)、リバース5’-CCGCCATTAGCGCATCACAG-3’(配列番号17);p27KIP1:フォワード:5’-TAATTGGGGCTCCGGCTAACT-3’(配列番号18)、リバース:5’-TGCAGGTCGCTTCCTTATTCC-3’(配列番号19);HRPT:フォワード:5’-ATGCTGAGGATTTGGAAAGG-3’(配列番号20)リバース:5’-CTCCCATCTCCTTCATCACA-3’(配列番号21);ACTB:フォワード:5‘-CCAACCGCGAGAAGATGA-3’(配列番号22)、リバース:5’-CCAGAGGCGTACAGGGATAG-3’(配列番号23);FOSB:フォワード:5’-TGACAGTGTTATCCCAAGACCC-3’(配列番号34)、リバース:5’-CCAGCAGGACGGCATCA-3’(配列番号35)。95℃で10分間、この後、95℃で15秒、60℃で30秒及び72℃で30秒を40サイクルでQRT-PCRを行った。LightCycler480ソフトウェア(Roche)及びアドバンスト相対定量(advanced relative quantification)法を使用して、データを分析した。3回の測定に対する平均サイクル閾値(Ct)の値により遺伝子発現を定量した。2-ΔΔCt式に従い、2つのハウスキーピング遺伝子(HPRT及びACTB)に対して標的遺伝子発現を正規化した。GraphPad Prism v6を使用して統計分析(二元配置ANOVA及びt検定)を行った。
アクチビンA及びMSNの生化学分析のために、ISOLATE II RNA Mini Kit(Bioline)を使用して、トータルRNAをNSC及びMSNから単離した。SensiFAST cDNA合成キット(Bioline)を使用して20μlの総反応体積で1μgのRNAからcDNAを調製した。10μlの総体積で2X SensiFAST Probe No-ROXキット(Bioline)及び1μl cDNA/反応を使用して、384ウェル方式でRT-PCR反応を組み立てた。Roche LightCycler 480機器上でRT-PCRを行った。定量のために、二次微分最大値法(second derivative maximum method)を使用することにより、各増幅の閾値サイクル、Ctを決定した。2-ΔΔCt法を使用して、ハウスキーピング遺伝子b-アクチンに対して正規化された各遺伝子の相対発現レベルを決定した。使用したプライマーは次の通りであった:p16INK4a:フォワード:5’-CAGCAGCATGGAGCCTTC-3’(配列番号24)、リバース:5’-CGTAACTATTCGGTGCGTTG-3’(配列番号25)、プローブ67及びフォワード:5’-CTGCCCAACGCACCGAATA-3’(配列番号26)、リバース:5’-GCTGCCCATCATCATGACCT-3’(配列番号27)、プローブFAM;FOXO3:フォワード:5’-CTTCAAGGATAAGGGCGACA-3’(配列番号28)、リバース:5’-CGACTATGCAGTGACAGGTTG-3’(配列番号29)、プローブ11;MMP3:フォワード5’-GCTGATATAATGATCTCTTTTGCAGT-3’(配列番号30)、リバース:5’-CATAGGCATGGGCCAAAA-3’(配列番号31)、プローブ85。
p16INK4a、γH2AX及びHMGB1の免疫蛍光分析及び定量
8ウェルNunc Lab-Tek II Chamber Slides(Thermo Fisher Scientific)において播種したNSC(及びMSNに分化させたもの)を4%パラホルムアルデヒドで室温(RT)にて15分間固定し、PBSで2回洗浄した。PBS中で15分間、RTにて0.25%Triton X-100(Sigma-Aldrich)で細胞を透過処理し、次にPBSで2回洗浄した。RTで30分間、PBS中5%ロバ血清及び1%BSAを使用して、ブロッキング処理を行った。細胞をPBSで洗浄し、一次抗体とともに4℃にて一晩温置し、PBSで3回洗浄し、蛍光二次抗体とともに暗所でRTにて2時間温置した。PBSで3回洗浄した後、DAPI(Thermo Fisher Scientific)とともにProLong Gold antifadeを使用してカバースリップを載せた。スライドをRTにて暗所で24時間硬化させ、Plan Apoλ20X/0.75対物レンズを使用してNikon Eclipse Ti-U顕微鏡上でイメージングを行った。次のものに対する一次抗体、p16INK4a(Abcam、ab108349)、HMGB1(Abcam、ab18256)及びネスチン(SCBT、sc-23927)を1:100希釈で使用した。γH2AXに対する一次抗体(Merck Millipore、05-636)を1:1000希釈で使用した。二次Alexa Fluor抗体はInvitrogenから購入した。Gen5ソフトウェアを使用して画像分析を行った。TIFF画像をモノクロ画像に変換し、DAPI染色核を使用して一細胞分析を行い、関心のある領域を定めた。
老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色
25ng/mlアクチビンA(Peprotech、AF-120-14E)を添加して、上記のようにNSCを培養した。老化染色キット(#9860、Cell Signaling Technology)を使用してNSCを染色した。DAPIで核を染色し、上記のようにカバースリップを載せた。Lionheart FX Automated Microscope及び10X Plan Fluorite WD 10 NA 0.3対物レンズを使用して画像を捕捉した。Gen5ソフトウェアを使用して画像解析を行った。TIFF画像をモノクロ画像に変換し、DAPI染色核を使用して一細胞分析を行い、関心のある領域を定め、平均SA-β-gal強度/細胞を定量した。
MSNへのヒトNSCの分化
60mm皿又は6ウェルプレートを100μg/mlポリ-D-リジン(Sigma-Aldrich、P6407)でコーティングし、次にMatrigel(1:60、Corning)でコーティングした。NSCを播種し、NPM中で培養した。コンフルエント時に、1週間にわたりSynaptojuice A培地でNSCを処理し、続いてSynaptojuice B培地により37℃で10日間処理した[71]。25ng/mlアクチビンAをSynaptojuice A及びSynaptojuice B培地の両方に添加した。2日ごとに半量の培地交換を行った。次のものに対する抗体を使用した免疫蛍光によって、得られたMSNの特徴を評価した:β-III-チューブリン(SCBT、sc-80005)、DARPP-32(SCBT、sc-11365)、カルビンディンD-28K(Sigma-Aldrich、C9848)、GABA(Sigma-Aldrich、A2052)、MAP2(EMD Millipore、AB5622)。MSNはこれらのマーカーに対して陽性標識された。DARPP-32発現もRT-PCRにより判定した。
ヒト神経幹細胞の遺伝子移入
FOXO3 siRNA(ON-TARGET+SMARTプール、L-003007-00-0020)、ETS1 siRNA(ON-TARGET+SMARTプール、L-003887-00-0005)、ETS2 siRNA(ON-TARGET+SMARTプール、L-003888-00-0005)及び陰性対照siRNA(ON-TARGET+非標的対照プール、D-001810-10-20)はDharmacon(GE-Healthcare)から入手した。以前に検証したCDKN2AのsiRNA標的エクソン1は、p16INK4A siRNA-1(配列番号32:5’-AACGCACCGAATAGTTACGGT-3’)[Kan CY et al.,Endothelial cell dysfunction and cytoskeletal changes associated with repression of p16(INK4a)during immortalization.Oncogene.2012;31(46):4815-27helial cell dysfunction and cytoskeletal changes associated with repression of p16(INK4a)during immortalization.Oncogene.2012;31(46):4815-27]及びp16INK4A siRNA-2(配列番号33:5’-CUGCCCAACGCACCGAAUA-3’)[Lejeune FX,et al.,Large-scale functional RNAi screen in C.elegans identifies gene that regulate the dysfunction of mutant polyglutamine neurons.BMC Genomics. 2012;13:91.Epub 2012/03/15]及び非特異的対照47%CG siRNAはEurofins Genomicsから入手した。製造者の指針に従い、Neon System 100μlキット(Life Technologies MK10096)を使用してヒトNSCに対して遺伝子移入を行った。簡潔に述べると、Stempro Accutase(Life Technologies、A1110501)を用いて細胞を回収し、DPBSで洗浄し、緩衝液R中で細胞2x10個/mlで再懸濁した。細胞2x10個を250nM siRNAと混合した。エレクトロポレーションのために使用した条件は、パルス電圧1400V、パルス幅20ms及び2パルスであった。2mLの抗生物質なしの予め温めた増殖培地を用いて6ウェルマトリゲルコーティングプレートに細胞を播種し、37℃で温置した。遺伝子移入48時間後に、トータルRNA抽出前に6時間にわたり、bFGF及びLIFなしの培地に完全NPMを置き換えた。
細胞増殖アッセイ
遺伝子型ごとに6ウェルずつ、細胞0.5~1x10個/ウェルで24ウェルプレートにヒトNSCを播種した。37℃及び5%COで1、2、3、4及び5日後、製造者のプロトコールに従い、10%v/v AlamarBlue(登録商標)試薬(ThermoFisher Scientific、DAL1025)を含有する500μL新鮮培地で培地を置き換えた。次に、プレートを37℃で3時間温置した。読み取りのために、各ウェルからの100μlを96ウェルプレートに移した。Infinite(登録商標)F500マイクロプレートリーダー(Tecan Genios)を使用して、蛍光(550及び595nmの励起及び発光波長)を測定した。AlamarBlue(登録商標)の100%還元型、(即ち121℃で15分間オートクレーブにかけた10%v/vAlamarBlue(登録商標)を含有する培地)を陽性対照として使用した。10%v/vAlamarBlueを含有する培地があり細胞がないウェルを陰性対照として使用した。第X日の試料のAlamarBlue(登録商標)蛍光シグナル-陰性対照のシグナルとして、各遺伝子型及び各日に対する相対蛍光強度を計算した。Prism v6を使用して統計分析(二元配置ANOVA)を行った。
細胞脆弱性アッセイ
細胞遺伝子移入48時間後に行った場合、ヒトNSCを24時間の増殖因子欠乏に供し(上記のようなエレクトロポレーションによる)、その後、製造者の説明書に従い、ApoLive-Glo Multiplexアッセイ(Promega,G6410)を使用して細胞生存能及びカスパーゼ-3/7活性を検出した。簡潔に述べると、10μlの試薬(GF-AFC基質)を各ウェルに添加し、プレート振盪器で30秒間穏やかに混合した。37℃で30分間の温置後、プレートリーダーFLUOstar Optima(360nmでEx、490nmでEm、BMG Labtech)を使用して蛍光を測定した。次に、50μlのカスパーゼ-Glo(登録商標)3/7試薬を各ウェルに添加し、30秒間穏やかに混合した。次にこれらのプレートを室温で30分間温置し、プレートリーダーFLUOstar Optima(BMG Labtech)を使用して各試料の発光を測定した。点あたり5回の反復を使用してカスパーゼ-3/7アッセイを行い、データは、カスパーゼ-3/7活性(RLU)を細胞生存能(RFU)で除したものとして表した。GraphPad Prism v6を使用して統計分析(スチューデントt検定)を行った。
統計
スチューデントのt検定、テューキーの多重比較検定により多重検定に対して補正した一元配置ANOVA又は二元配置ANOVAを使用して統計を行った。少なくとも3回全実験を反復した。P<0.05を有意とみなした。
実施例2:プレパターン化HD NSCは、線条体ニューロンにおいて細胞老化特性を示す。
p16INK4aがストレス応答における細胞老化の重要なエフェクターであると仮定すると[Baker DJ,Childs BG,Durik M,Wijers ME,Sieben CJ,Zhong J]、発明者らの結果(図1A~D)から、FOXO3標的再プログラミングの1つの結果が、一連のニューロン分化においてHD NSCにより獲得される細胞老化特性に対抗することであるという可能性が生じる。従って発明者らは、アクチビンA背腹側プレパターン化C116及びHD細胞においてp16INK4a発現をアッセイした(図2)。アクチビンAがヒトiPSCの線条体突起ニューロン分化を効率的に指揮することが報告されているので、この目的で、発明者らはアクチビンA誘導性背腹側プレパターン化を使用した[Biswas SC,Zhang Y,Iyirhiaro G,Willett RT,Rodriguez Gonzalez Y,Cregan SP,et al.,Sertad1 plays an essential role in developmental and pathological neuron death.J Neurosci.2010;30(11):3973-82]。C116プレパターン化NSCと比較して、p16INK4amRNAレベルがHDで上昇した(図2A)。対応して、ICCにより測定した場合、C116 NSCと比較して、プレパターン化HDにおいてp16INK4a陽性細胞のレベルがより高かった(図2B及び2C)。さらに、広く使用される推定上の老化マーカーである老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)活性は、HDにおいて、C116 NSCと比較してより高かった(図2D、2E及び2F)。次に、発明者らは、さらなる非アイソジェニックなHD iPSC(即ちND41656及びND42222)及び対照iPSC(即ちMIN08i-33114.B及びND42241)株由来のNSCにおいて細胞老化について試験した。アイソジェニックなNSCモデルでの発明者らの以前の知見と一致して、発明者らは、非アイソジェニックなHD NSC株において、p16INK4a発現のロバストな上昇(図3A及び3B)及びSA-γ-ガラクトシダーゼ活性上昇(図3C)を報告する。これらの結果は、HD NSCにおける細胞老化がHD突然変異の存在に直接起因し、アイソジェニックなHD NSCにより示される老化表現型がクローン依存性(clonal dependency)の結果であるという可能性を排除し得ることを実証する。
発明者らは、HD NSC由来のHD MSNにおいてp16INK4aレベルが変化したか否かも試験した(図4A)。HD MSNにおいてp16INK4amRNAレベルが上昇し、これはまたFOXO3及びRyk mRNAレベルでも当てはまった(図4B)。p16INK4amRNAレベルの上昇(~5倍;図4A)は、ヒトHD NSCでの上昇(~1.7倍;図2A)よりも規模が大きく、p16INK4a免疫染色の向上を付随した(図4C~E)。発明者らは、p53応答性CDK阻害剤p21CIP1をコードするCDKN1A、CDK阻害剤p27KIP1をコードするCDKN1B、AKT-FOXO経路のメンバーをコードする遺伝子及びマトリクスメタロプロテイナーゼをコードするMMP3のmRNAレベル上昇を含む細胞老化の他のマーカーについても試験した(図7)。基底条件下で、C116 NSCと比較して、HD NSCにおいて、p21CIP1mRNAレベルが低下し(図7A)、p27KIP1mRNAレベルは変化せず(図7B)、MMP-3 mRNAレベルは上昇した(図7C)。従って、HD NSCは、細胞老化のいくつかのマーカー(p16INK4a、MMP-3、SA-βgal)のレベル上昇を示す。さらに、ヒトHD MSNは、核HMGB1のレベル低下を示し、これは老化細胞において細胞外スペースに再局在し[Li J,Dissection of CDK4-binding and transactivation activities of p34(SEI-1)and comparison between functions of p34(SEI-1)and p16(INK4A).Biochemistry.2005;44(40):13246-56];核HMGB1のこの低下はヒトHD NSCでは観察されなかった(図7D及び7E)。まとめると、これらの結果から、線条体ニューロンへのNSCの分化には、HDにおける次第に顕著になる細胞老化の特性が付随することが示唆される。
実施例3:p16INK4aは、ヒトHD NSCにおいてストレス脆弱性に影響する。
FOXO因子は、いくつかの組織において幹細胞ホメオスタシスの重要な調節因子であり[Ohtani N,et al.Opposing effects of Ets and Id proteins on p16INK4a expression during cellular senescence.Nature.2001;409(6823):1067-70,Arber C,et al.Activin A directs striatal projection neuron differentiation of human pluripotent stem cells.Development(Cambridge,England).2015;142(7):1375-86 aniczek JR,Kelly C,Noakes Z,et al.Activin A directs striatal projection neuron differentiation of human pluripotent stem cells.Development(Cambridge,England).2015;142(7):1375-86]、以前の試験から、p16INK4aが、造血幹細胞プールの維持を調節するためのFOXO因子に対して下流で作用し得ることが示唆された。[Ohtani N,et al.Opposing effects of Ets and Id proteins on p16INK4a expression during cellular senescence.Nature.2001;409(6823):1067-70]]。発明者らの結果(図1)から、ストレスをかけられたヒトHD NSCにおいてETS2を抑圧することによりFOXO3活性がp16INK4a上昇に対抗し得ることが示唆される。さらに、ヒトHD NSCは細胞老化マーカーのレベル上昇を示し、これはニューロンに分化するときにさらに上昇し(図2~4)、p16INK4aは幹細胞において加齢表現型を促進すると考えられる[Davalos AR,et al.p53-dependent release of Alarmin HMGB1 is a central mediator of senescent phenotypes.J Cell Biol.2013;201(4):613-29]。従って、HD NSCにおけるFOXO3活性は、HDにおける神経幹細胞プールのホメオスタシスにおいてp16INK4aの効果に対抗し得る。従って、発明者らは、培養における細胞倍増時間及び血清欠乏後のカスパーゼ-3/7活性化のレベルにより測定した場合の細胞脆弱性におけるFOXO3又はp16INK4aの抑制の効果を試験した。
ヒトHD NSCは、C116 NSCと比較してよりゆっくりと分裂した(図5A)。FOXO3の低下(図6A)は、ヒトHD NSCの増殖を遅らせ(図5B、左パネル)、HTT発現で変化は検出されず(図6C、左パネル)、C116 NSCでは増殖低下の傾向があった(有意性なし)(図5B、右パネル)。これらの知見から、FOXO3がヒトHD NSCの増殖を促進することが示唆される。p16INK4a低下(図6B)により、HD(図5C、左パネル)及びC116(図5C、右パネル)NSCの両方の増殖が僅かに上昇し、HTT発現の変化はなく(図6C、右パネル)、これにより、HTT遺伝子型にかかわらず、p16INK4aがヒトNSCの増殖を正常に抑制することが示唆される。FOXO3-ETS2-p16INK4a経路における発明者らのデータを考慮すると(図1D)、これらの結果から、p16INK4aがHDにおけるNSCプールのダイナミクスに顕著に影響を与えないことが示唆される。
細胞脆弱性アッセイにおいて、FOXO3発現低下(図6A)は、HD NSCの死滅率を強く増強し、C116細胞における影響はなく(図5D、左パネル)、これにより、FOXO3がヒトHD NSCの生存を促進することが示唆される。対照的に、p16INK4a発現低下(図6B)は、HD NSCの死滅率を低下させ、C116細胞において影響は検出されず(図5D、右パネル)、これにより、ヒトHD NSCにおけるp16INK4a上昇が有害であることが示唆される。FOXO3-ETS2-p16INK4a経路における発明者らのデータを考慮すると、これらの結果から、FOXO3活性がHDにおける神経幹細胞プールの脆弱性及び生存におけるp16INK4aの有害効果に対抗することが示唆される。
実施例4:p16INK4aの慢性的な遺伝子阻害は、HD72Q NSCにおいてDNA損傷修復(DDR)機構の持続を低下させる。
急性酸化ストレス(400mM H2O2、1時間)後、DNA2本鎖破壊(DSB)を認識するDDR機構のマーカーであるγH2AXのレベルは、C116細胞と比較してHD72Q/19Q NSCにおいて持続的により高い(図8)。
さらに、p16INK4aの慢性的な遺伝子抑制により、急性酸化ストレスから回復するHD細胞におけるγH2AX核斑点の持続性が低下する(図8)。DDRの持続性は、病的現象であり得る(DNA瘢痕をマークし得る)(DNA-SCARS:損傷誘導性の老化成長抑制及び炎症性サイトカイン分泌を持続する明瞭な核構造)ことが記載されており、p16INK4a阻害によって、このヒトNSCの状況において病原性が緩和されることが示唆される(Rodier F,Munoz DP,Teachenor R,Chu V,Le O,Bhaumik D,Coppe JP,Campeau E,Beausejour CM,Kim SH,Davalos AR,Campisi J.J Cell Sci.2011 Jan 1;124(Pt1):68-81)。
実施例5.p16INK4aの慢性的な遺伝子抑制は、インビトロでHD MSNの活動亢進を低下させる。
HDニューロン活動亢進(興奮毒性につながる)は、異なるモデルにおいて記載されている(Excitotoxic neuronal death and the pathogenesis of Huntington’s disease.Estrada Sanchez AM1,Mejia-Toiber J,Massieu L.Arch Med Res.2008 Apr;39(3):265-76;Arnoux I,Willam M,Griesche N,et al.Metformin reverses early cortical network dysfunction and behavior changes in Huntington’s disease.Elife.2018;7:e38744.Published 2018 Sep 4.doi:10.7554/eLife.38744)。ここで、発明者らは、この現象を試験するためにiPSC由来のMSNを使用した。さらに、発明者らは、DSBを生成させるトポイソメラーゼII阻害剤であるエトポシドを使用してニューロン活動をDNA損傷修復能と連結させた。DSBは、クロマチンを開き、それが転写機構に近づけるようにすると考えられており、従って特異的なゲノム部位での転写を活性化する。DSB修復能は、これらのゲノム部位での正常な転写低下につなげられる。
エトポシドは、それらのプロモーターにおいてトポイソメラーゼIIの存在により転写活性化が開始されるので、いくつかの遺伝子(初期応答遺伝子など)としてインビトロでニューロンを活性化することが示されている(Activity-Induced DNA Breaks Govern the Expression of Neuronal Early-Response Genes.Madabhushi R,Gao F,Pfenning AR,Pan L,Yamakawa S,Seo J,Rueda R,Phan TX,Yamakawa H,Pao PC,Stott RT,Gjoneska E,Nott A,Cho S,Kellis M,Tsai LH.Cell.2015 Jun 18;161(7):1592-605)。ニューロン活動のレポーターとして、発明者らは、初期応答遺伝子であるFOSBの発現を監視した。
shRNAを使用したp16INK4a阻害は、HDと対照(C116)MSNとの間の差異を縮小させ、これは、shp16(及びshCDKN2A)で処理したHD細胞がそれらのエトポシド応答及びまた基底(未処理)状態でのそれらのFOSBレベルを正常化し得ることを示す(図9)。
まとめると、これらのデータは、p16INK4a阻害が、慢性及び非適応性の老化応答からヒトHD NSCを保護するだけでなく、ヒトHD中型有棘ニューロンにおいて正常な活性を回復させることも可能であるモデルを実証する。

Claims (12)

  1. ハンチントン病(HD)の予防及び/又は処置での使用のための、p16INK4a阻害剤。
  2. 核酸又はペプチド、低分子化合物分子又は市販の薬物である、請求項1に記載の使用のためのp16INK4a阻害剤。
  3. 前記核酸が、siRNA、shRNA、マイクロRNA、非コードRNA、デオキシリボサイム(deoxyribosyme)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムDNAzyme、修飾又は合成DNA又はRNA変性耐性ポリヌクレオシドアミド、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA)、他の核酸塩基含有ポリマー、アプタマー又はポリヌクレオチド標的遺伝子編集又は何らかのそれらの組み合わせなど、p16INK4aを妨害するRNAをコードする、請求項2に記載の使用のためのp16INK4a阻害剤。
  4. 前記ペプチドが、リガンド、キナーゼの阻害剤、低分子化合物分子、例えばPPARγアンタゴニストなど、又はレチノイドX受容体(RXR)アンタゴニスト、低分子SIRT1活性化因子、FOXO因子の活性を刺激可能な化合物、AMPK活性化因子などを含む群の間で選択される、請求項2に記載のp16INK4a阻害剤。
  5. 前記リガンドが、抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、アプタマー又はVHHドメインである、請求項4に記載のp16INK4a阻害剤。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の少なくとも1つのp16INK4a阻害剤を含む、HDの処置又は予防での使用のための組成物。
  7. 医薬組成物であり、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項6に記載の使用のための組成物。
  8. さらに、細胞特異的な標的化のためのペプチドをコードする核酸配列を含有し、及び/又は細胞特異的発現を可能にする核酸を含有する、請求項6又は7の何れか1項に記載の組成物。
  9. HDを処置するための1つ以上の活性薬剤及び/又は前記活性薬剤の副作用を処置するための1つ以上の活性薬剤をさらに含む、請求項6~8に記載の使用のための組成物。
  10. 治療的有効量で前記対象に投与される、請求項1~9の何れか1項に記載の使用のための少なくとも1つのp16INK4a阻害剤を含む薬剤又は請求項1~9の何れか1項に記載の使用のための組成物。
  11. 前記対象がHDと診断されている、HDに対する遺伝的素因を呈する、又はHDに罹患している、請求項1~10の何れか1項に記載の使用のためのp16INK4a阻害剤、組成物又は薬剤。
  12. 前記対象がHDと診断されている、請求項11に記載の使用のためのp16INK4a阻害剤、組成物又は薬剤。
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