JP2022531664A - 一本鎖第viii因子分子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質に関し、ここでBドメインは2つの欠失において部分的に欠失しており、第1の欠失はトロンビンによって切断可能な規定されたプロセシング配列の存在をもたらし、第2の欠失は位置R1664-R1667におけるフーリン切断認識部位の欠如をもたらす。Bドメインの内部フラグメントは維持されている。前記タンパク質をコードする核酸、宿主細胞、およびタンパク質を調製する方法ならびに前記タンパク質、核酸または宿主細胞を含む医薬組成物が提供され、これらは血友病Aの処置のために使用され得る。

Description

本発明は、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子(FVIII)タンパク質に関し、ここでBドメインは2つの欠失において部分的に欠失しており、第1の欠失はトロンビンによって切断可能な規定されたプロセシング配列の存在をもたらし、第2の欠失はフーリン切断認識部位の欠如をもたらす。Bドメインの内部フラグメントは維持されている。前記タンパク質をコードする核酸、宿主細胞、およびタンパク質を調製する方法ならびに前記タンパク質、核酸または宿主細胞を含む医薬組成物が提供され、これらは血友病Aの処置のために使用され得る。
FVIIIは、凝固カスケードにおける重要な補因子である。天然のFVIIIは一本鎖タンパク質として合成され、その後細胞内プロテアーゼによって切断される。分泌されたFVIIIは、切断されたBドメインを有するヘテロ二量体である。凝固カスケードが活性化されると、FVIIIはトロンビンによって3つの位置で切断され、ヘテロ三量体、およびBドメインの欠損をもたらす(ヘテロ三量体FVIIIa)。このヘテロ三量体は活性化された凝固第IXa因子および凝固第X因子と複合体を構築し、それにより後者の活性化を促進する。
ヒト天然FVIII一本鎖タンパク質は2351アミノ酸からなる。最初の19アミノ酸はシグナル配列を含み、これは分泌前に切断されて2332アミノ酸を含むFVIII分子をもたらす。さらに、BドメインのC末端部分において切断が生じ、成熟ヘテロ二量体FVIIIをもたらす。ヘテロ二量体の重鎖はドメインA1(残基20-355)、A2(392-729)およびB(760-1667)を含み、軽鎖はドメインA3(1709-2038)、C1(2039-2191)およびC2(2192-2351)を含む。さらに、a1(356-391)、a2(730-759)およびa3(1668-1708)の3つのスペーサー領域が存在する。
FVIII分子におけるアミノ酸のアノテーションは著者間で異なっている。これは、アミノ酸の数に含まれ得るか、または省略され得る19アミノ酸のシグナル配列に起因する(上記のアノテーションはシグナル配列を含めたものに基づく)。このプラスまたはマイナス19アミノ酸の変動が、先行文献における全長FVIII配列の数え方の頻繁な差異である。Bドメイン欠失FVIIIコンストラクトの場合、欠失は数え方に変化をもたらし得る。重鎖について、数え方は全長FVIIIの数え方と相関する。Bドメイン欠失から、軽鎖の数え方は全長FVIII分子の数え方と同じに保たれるか(例えば、欠失の前にあるQ763の後に欠失後のD1582が続く)、または欠失が生じていないかのように継続され得る(例えば、アミノ酸が欠失しているにもかかわらずQ763の後にD764が続く)。何個のアミノ酸が欠失したか不明である場合、継続の数え方はアミノ酸配列の比較を複雑にする。本明細書において、全長FVIII分子の数え方は、(部分的な)Bドメインの欠失にかかわらず維持される。
血友病AはX染色体に結合した凝固第VIII因子の欠乏を伴う遺伝性の出血性疾患であり、男性新生児5000人に1人が発症する。しかし、血友病AはFVIIIに対する自己免疫応答により自然発症し得る。血友病Aの患者は、より長い出血の持続時間、自然出血および内出血に苦しみ、これらは日常生活に影響を及ぼす。
血友病Aの患者は、一般にFVIIIの投与によって処置される。疾患の重症度(軽度、中等度または重度)に応じて、処置はオンデマンドまたは予防的である。治療用FVIII製品はヒト血漿から精製されている(pFVIII)か、または細胞培養で組換えにより産生されている(rFVIII)かのいずれかである。
治療のための組換えFVIII分子の開発において、Bドメインは凝固におけるFVIIIの機能性に重要でないため、Bドメイン欠失FVIII分子が設計されている。これは主にサイズの減少をもたらし、製造および貯蔵を容易にする。最も一般的なBドメイン欠失FVIII製品は、ファイザーによって製造されているReFacto(登録商標)またはReFacto AF(登録商標)である。このFVIIIバリアントは、Bドメインの894アミノ酸を持たない。しかし、Bドメインの末端におけるフーリン切断認識部位は未だ存在しているため、ReFacto AF(登録商標)は二重鎖タンパク質である。Kenneth Lieuwの総説(J Blood Med. 2017; 8: 67-73)は、現在利用可能な第VIII因子製品間のいくつかの差異を強調している。
現在、ほとんどのrFVIII治療法は、重鎖(ドメインA1-a1-A2-a2-[B])および軽鎖(ドメインa3-A3-C1-C2)を含む古典的な二重鎖FVIII構造に基づいている。発現時において、重鎖および軽鎖はともに1つのmRNA分子から最初に翻訳されるが、アミノ酸配列はBドメインの末端にフーリン切断認識部位(R1664-R1667)を含んでおり、これはR1667後の切断による細胞内タンパク質プロセシングおよび両ドメインの分離を可能にする。しかし、重鎖および軽鎖は通常、二価の陽イオンを介して非共有結合している。
最近では、組換え一本鎖FVIIIタンパク質が開発されている。このようなBドメイン欠失FVIIIタンパク質はBドメイン切断型組換えFVIII分子として設計され、安定な一本鎖FVIII分子を形成するために軽鎖および重鎖は共有結合している(Schmidbauer S. et al., Thromb Res 2015; 136: 388-395)。この手法により、重鎖および軽鎖セグメントは強力な共有結合を介して結合するため、該セグメントは解離しにくくなる(Pabinger-Fasching, I., Thromb Res 2016; 141S3: 2-4)。一本鎖分子は、純粋で均一な化合物として単離され得る。一本鎖FVIII分子の半減期は、全長組換えFVIII分子の約2倍であったことが観察されている(Zollner S. et al., Thromb Res 2014; 134: 125-131)。しかし、組換え一本鎖第VIII因子分子(AFSTYLA(登録商標))を用いたいくつかの臨床結果は、二重鎖分子と比較した一本鎖分子のわずかに増強された半減期を示した。Nguyen et al.(J Thromb Haemost. 2017 Jan; 15(1): 110-121)は、改変されたフーリン切断認識部位(1664-1667位のフーリン切断認識部位)を有する新規の第VIII因子バリアントを記載している。フーリン切断認識部位に変異を有するバリアントは、主に単一ポリペプチド鎖の形態で分泌され、二重鎖Bドメイン欠失バリアントと比較して改善された発現を示す。
WO2017/123961A1は、Bドメインの欠失を有する第VIII因子バリアントを開示しており、ここで1676位または1677位の1つまたは2つのアミノ酸が野生型FVIIIと比較して置換、改変または欠失されている。任意で、該バリアントは変異したPACE-フーリン切断認識部位(1664-1667位のHHQRまたはRHQR)をさらに含み得る。
US6,316,226B1は、FVIII活性を有するポリペプチドを開示しており、該ポリペプチドはヒトFVIIIと比較して760から1687までのアミノ酸の内部欠失を有する。
WO2014/008480A2は、Bドメインの完全または部分的な欠失を有する一本鎖FVIII分子を開示している。好ましい分子は、784-1677位の欠失ならびに置換R1683AおよびR1686Aを有する(WO2014/008480A2の配列番号8)。
WO2013/057219A1は、760から1666位のアミノ酸から選択される第1のアミノ酸が、1668から1709位のアミノ酸から選択される第2のアミノ酸と融合しているFVIII分子を記載している。Arg1667とGlu1668との間のタンパク質切断部位、および存在する場合にはArg1332とAla1333との間のタンパク質切断部位が不活性化されている。
WO2004/067566A1は、約760から801までのBドメインにおける任意のアミノ酸配列と融合した、1668~1707の1つ以上のアミノ酸の内部欠失を含むFVIIIポリペプチドを開示している。
US6,316,226B1は、第VIII因子類似体をコードするDNAを開示しており、ここで該類似体はヒト第VIII因子と比較して760から1687までのアミノ酸の内部欠失を有する。
さらなる一本鎖FVIII分子が、例えばWO88/09813A1およびWO2011/041770A1に記載されている。
WO2014/210547A1、WO2014/026954A1、WO2013/122617A1、WO2013/106787A1、WO2015/106052A1は、フーリン切断認識部位の改変または欠失を有するさらなる一本鎖FVIIIバリアントを開示している。要約すると、FVIIIの一本鎖バリアントは、特に医薬品用途を目的とする場合、その精製および製造に関して特定の利点を有する。野生型FVIIIの精製は、FVIII重鎖と軽鎖との間の非共有結合のために困難である。さらに、対応する非共有結合はFVIIIフラグメントにより形成され得る。その結果、精製はフラグメントの共精製ならびに重鎖および軽鎖の不定比の精製をもたらし得、これらはすべて、純粋で、明確に定義され、頑強なプロセスで製造されるべきである医薬製品のために望ましくない。
しかし、現在の一本鎖FVIIIバリアントは、特定の不利益(低い発現レベルおよび生物活性の障害など)に悩まされている。したがって、高い発現レベルおよび改善された生物活性を有するさらなる改善されたFVIII一本鎖バリアントが必要とされている。
先行技術を考慮して、本発明者らは、改善されてバランスのとれた性質のプロファイルを有する改善された一本鎖第VIII因子分子を開発するという問題に取り組んだ。例えば、該分子はサイズ排除クロマトグラフィーなどによる簡便な精製を可能にし、高レベルの発現を示し、安定であり、良好に維持された生物学的機能(改善された高い比活性を含む)を示す。
第1の実施態様において、本発明は、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
a)前記組換え第VIII因子タンパク質において、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のF761とP1659との間の連続したアミノ酸に対応する894アミノ酸が欠失しており、第1の欠失をもたらす;
b)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第1の欠失の部位に広がる配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
c)前記組換え第VIII因子タンパク質において、少なくとも野生型第VIII因子のアミノ酸R1664からR1667に対応するアミノ酸が欠失しており、第2の欠失をもたらす;および
d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2の欠失のC末端およびA3ドメインのN末端に第2のトロンビン切断部位を含む、組換え第VIII因子タンパク質を提供する。
第2の実施態様において、本発明は、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
a)前記組換え第VIII因子タンパク質が、配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
b)任意で、前記第VIII因子タンパク質が異種配列を前記プロセシング配列のC末端に直接含む;
c)前記第VIII因子タンパク質が、配列番号9、配列番号10および配列番号11からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する統合配列を前記プロセシング配列のC末端に直接、または存在する場合には前記異種配列のC末端に直接含む;および
d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2のトロンビン切断部位を配列番号9~11のC末端に含む、組換え第VIII因子タンパク質を提供する。
第3の実施態様において、第2の実施態様(実施態様2)の第VIII因子タンパク質はまた、第1の実施態様(実施態様1)のタンパク質である。
第4の実施態様において、実施態様1~3のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、配列番号9の配列を含む。
第5の実施態様において、実施態様1~4のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、配列番号1に規定される野生型第VIII因子の
i)F761およびS1656;
ii)S762およびQ1657;
iii)Q763およびN1658;または
iv)N764およびP1659に対応するアミノ酸が互いに隣接しており、ここで前記アミノ酸は配列番号2に規定される配列の一部である。これは、第1の実施態様に規定される第1の欠失に起因する。
第6の実施態様において、実施態様1~5のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号2または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり、任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。
第7の実施態様において、実施態様1~5のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号3または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり、任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。
第8の実施態様において、実施態様1~5のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号4または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり、任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。
第9の実施態様において、実施態様1~5または8のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号4、5、6、7または8からなる群から選択される。
第10の実施態様において、実施態様9の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号5である。第11の実施態様において、実施態様9の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号6である。第12の実施態様において、実施態様9の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号7である。第13の実施態様において、実施態様9の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号8である。第14の実施態様において、実施態様9の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号4である。
第15の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、前記プロセシング配列は、野生型第VIII因子のQ1675、I1681またはE1690に対応するアミノ酸の直接のN末端にある。
第16の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、野生型第VIII因子のアミノ酸K1663からL1674に対応するアミノ酸が欠失しており、これは第2の欠失をもたらす。
第17の実施態様において、実施態様1~16のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびL1674に対応するアミノ酸が互いに隣接しているか、または野生型第VIII因子のアミノ酸L1662およびQ1675に対応するアミノ酸が互いに隣接している。両方の選択肢は同一の配列をもたらし得る。
第18の実施態様において、実施態様1~16のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびI1681に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
第19の実施態様において、実施態様1~16のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸P1660およびI1681に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
第20の実施態様において、実施態様1~16のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびE1690に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
第21の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、フーリン切断認識部位を含まない。
第22の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、プロセシング配列と統合配列との間にフーリン切断認識部位RHQRに対して75%よりも高い(好ましくは50%よりも高い)配列同一性を有する配列を含まない。前記フーリン切断認識部位を含む配列番号15に対応する配列は、欠失されてい得る。任意で、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、配列番号15に対して30%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。あるいは、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、配列番号15に対して40%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。
第23の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、プロセシング配列および前記プロセシング配列のC末端に統合配列を含み、ここで前記プロセシング配列は配列番号2、3、4、5、6、7または8を含む群から選択され、前記統合配列は配列番号12、13または14を含む群から選択される。
第24の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号4であり、統合配列は配列番号12である。第25の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号5であり、統合配列は配列番号12である。第26の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号6であり、配列番号12の統合配列である。第27の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号7であり、配列番号12の統合配列である。第28の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号8であり、統合配列は配列番号12である。第29の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号3であり、配列番号13の統合配列である。第30の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号2であり、統合配列は配列番号13である。第31の実施態様において、第23の実施態様の組換え第VIII因子タンパク質において、プロセシング配列は配列番号3であり、統合配列は配列番号14である。第32の実施態様において、実施態様23~31のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、統合配列は前記プロセシング配列の直接のC末端にある。
第33の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、Fc領域、アルブミン結合配列、アルブミン、PASポリペプチド、HAPポリペプチド、絨毛性ゴナドトロピンのベータサブユニットのC末端ペプチド、アルブミン結合小分子、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプンからなる群から選択される少なくとも1つの異種融合パートナーとの融合タンパク質である。
第34の実施態様において、実施態様33の組換え第VIII因子タンパク質において、前記異種融合パートナーは、前記プロセシング配列のC末端に直接挿入されている。第35の実施態様において、実施態様33または34のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質において、前記異種融合パートナーは、C2ドメインのC末端に挿入されている。
第36の実施態様において、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質は、A1ドメインとA2ドメインとの間に第3のトロンビン切断部位をさらに含む。
本発明はさらに、第37の実施態様として、先行実施態様のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質をコードする核酸を提供し、ここで前記ポリヌクレオチドは任意で、哺乳類細胞(例えばヒト細胞)における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターである。
本発明はさらに、第38の実施態様として、実施態様37の核酸を含む宿主細胞を提供し、ここで好ましくは宿主細胞は、前記細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターを含む哺乳類細胞である。前記細胞は、Hek293細胞株またはCAP細胞株を含む群から選択されるヒト細胞であり得る。好ましくは、前記細胞はCAP細胞株である。
本発明はさらに、第39の実施態様として、第VIII因子タンパク質を調製する方法であって、実施態様38の宿主細胞を第VIII因子タンパク質の発現に適した条件下で培養すること、および第VIII因子タンパク質を単離することを含む方法を提供し、ここで前記方法は任意で、第VIII因子タンパク質を医薬組成物として製剤化することを含む。
第40の実施態様において、本発明は、実施態様1~36のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質を含む組成物を提供し、ここで全ての第VIII因子タンパク質のうち一本鎖タンパク質である第VIII因子タンパク質の含有量は少なくとも90%である。
本発明はさらに、第41の実施態様として、実施態様1~36または40のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質、実施態様37の核酸または実施態様38の宿主細胞を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、薬学的に許容され得る溶媒(例えば水または緩衝液)および/または薬学的に許容され得る賦形剤を含み得る。第42の実施態様において、実施態様41の医薬組成物、または実施態様41の医薬組成物を含むキットは、免疫抑制物質(例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シクロホスファミド、リツキシマブおよび/またはシクロスポリンを含む群から選択される免疫抑制物質)をさらに含む。
本発明はさらに、第43の実施態様として、血友病Aの処置における使用のための実施態様41または42のいずれかに記載の医薬組成物を提供し、ここで任意で、処置は免疫寛容導入(ITI)である。第44の実施態様において、実施態様41~43のいずれかに記載の医薬組成物は、任意の第VIII因子タンパク質で以前に処置されていない患者、第VIII因子タンパク質で以前に処置された患者、第VIII因子タンパク質に対する阻害性抗体応答を含む抗体応答を有する患者、およびITIで処置されているか、またはITIで処置されていない第VIII因子タンパク質に対する阻害性抗体応答を含む抗体応答を有する患者を含む群から選択される血友病Aの患者の処置における使用のためのものである。
第45の実施態様において、本発明は、実施態様41~44のいずれかに記載の医薬組成物を含むバイアル(例えば、プレフィルドシリンジまたは使用準備済のシリンジ)を提供する。
第46の実施態様において、本発明は処置方法であって、実施態様41~44のいずれかに記載の有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者(例えば、本明細書に規定される患者群から選択され得る血友病Aの患者)に投与することを含む方法を提供する。
図1は、フーリン切断認識部位を欠失させた一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトの比較を示す。バリアントAC_SC-V1(V1)および-V3(V3)は天然のトロンビン切断部位(それぞれPR/SVまたはSC/SV)を有しており、aa(アミノ酸)760-1687(V1)およびaa731-1687(V3)の単一の欠失のみが存在する。V1およびV2と比較して、バリアントAC_SC-V2(V2)および-V4(V4)は異なるトロンビン切断部位(それぞれPR/VAまたはIR/SV)を含み、ここでV1に基づくV2は、Bドメインに由来すると考えられ得るVA配列を含む。V3に基づくV4は、欠失部位における挿入DPR-IRSV-VAQを含む。
図2は、wt FVIII(A)、ならびに2つの欠失の導入によってReFacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Ref SCに基づく一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトAC_SC-V0(B)、-V5(C)、-V6(D)、および-V7(E)(または、省略して、V0、V5、V6、V7)を示す。矢印はトロンビン切断部位を示す。Sigはシグナルペプチド(19aa)である。太字で斜体の文字は、aa759の後の切断による(すなわち、本発明のコンストラクトにおけるプロセシング配列における)トロンビン切断認識部位のアミノ酸を示す。野生型タンパク質ではフーリン切断認識部位に下線が引かれている。括弧内の斜体の数字は、野生型の配列におけるアミノ酸番号に関連している。 図2は、wt FVIII(A)、ならびに2つの欠失の導入によってReFacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Ref SCに基づく一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトAC_SC-V0(B)、-V5(C)、-V6(D)、および-V7(E)(または、省略して、V0、V5、V6、V7)を示す。矢印はトロンビン切断部位を示す。Sigはシグナルペプチド(19aa)である。太字で斜体の文字は、aa759の後の切断による(すなわち、本発明のコンストラクトにおけるプロセシング配列における)トロンビン切断認識部位のアミノ酸を示す。野生型タンパク質ではフーリン切断認識部位に下線が引かれている。括弧内の斜体の数字は、野生型の配列におけるアミノ酸番号に関連している。 図2は、wt FVIII(A)、ならびに2つの欠失の導入によってReFacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Ref SCに基づく一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトAC_SC-V0(B)、-V5(C)、-V6(D)、および-V7(E)(または、省略して、V0、V5、V6、V7)を示す。矢印はトロンビン切断部位を示す。Sigはシグナルペプチド(19aa)である。太字で斜体の文字は、aa759の後の切断による(すなわち、本発明のコンストラクトにおけるプロセシング配列における)トロンビン切断認識部位のアミノ酸を示す。野生型タンパク質ではフーリン切断認識部位に下線が引かれている。括弧内の斜体の数字は、野生型の配列におけるアミノ酸番号に関連している。 図2は、wt FVIII(A)、ならびに2つの欠失の導入によってReFacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Ref SCに基づく一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトAC_SC-V0(B)、-V5(C)、-V6(D)、および-V7(E)(または、省略して、V0、V5、V6、V7)を示す。矢印はトロンビン切断部位を示す。Sigはシグナルペプチド(19aa)である。太字で斜体の文字は、aa759の後の切断による(すなわち、本発明のコンストラクトにおけるプロセシング配列における)トロンビン切断認識部位のアミノ酸を示す。野生型タンパク質ではフーリン切断認識部位に下線が引かれている。括弧内の斜体の数字は、野生型の配列におけるアミノ酸番号に関連している。 図2は、wt FVIII(A)、ならびに2つの欠失の導入によってReFacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Ref SCに基づく一本鎖FVIIIタンパク質コンストラクトAC_SC-V0(B)、-V5(C)、-V6(D)、および-V7(E)(または、省略して、V0、V5、V6、V7)を示す。矢印はトロンビン切断部位を示す。Sigはシグナルペプチド(19aa)である。太字で斜体の文字は、aa759の後の切断による(すなわち、本発明のコンストラクトにおけるプロセシング配列における)トロンビン切断認識部位のアミノ酸を示す。野生型タンパク質ではフーリン切断認識部位に下線が引かれている。括弧内の斜体の数字は、野生型の配列におけるアミノ酸番号に関連している。
未精製の一本鎖FVIIIバリアントのインビトロでの機能性についての比較。二重鎖FVIII分子AC-6rs-REFおよび一本鎖FVIIIバリアントAC_SC-V0、-V1、-V2、-V5、-V6、-V7を発現するCAP-T細胞の細胞培養上清を、FVIII発色活性(A)、アクチンFSLによって誘導されるFVIII凝固活性(B)、FVIIIタンパク質の総量を示すFVIII抗原レベル(C)について分析した。発色比活性を、%で表示されるFVIII抗原に対するFVIII発色活性の比率として算出した(D)。凝固比活性を、%で表示されるFVIII抗原に対するFVIII凝固活性の比率として算出した(E)。n=2。
図4は、インビトロにおける24時間(A)および14日間(B)のV0およびReFacto AF(登録商標)の(発色活性によって決定される)安定性の比較を示す。Aでは、安定性は緩衝液中で分析され、ReFacto AF(登録商標)をひし形で示し、V0(AC-SC)を四角形で示している。Bでは、FVIII製剤緩衝液中のReFacto AF(登録商標)をひし形で示し、FVIII枯渇血漿(FVIII-dp)中のReFacto AF(登録商標)を四角形で示し、緩衝液中のV0を三角形で示し、FVIII-dp中のV0を×印で示している。
図5は、血友病Aマウスにおけるインビボでの薬物動態試験からのノンコンパートメント分析の結果として、V0(実線)およびReFacto AF(登録商標)(破線)の(発色活性によって決定される)正規化された活性の回帰曲線を示す。
配列
配列番号1 野生型第VIII因子
配列番号2 PRSFSQNPP 最小のプロセシング配列
配列番号3 PRSFSQNPPV プロセシング配列
配列番号4 PRSFSQNPPVL プロセシング配列
配列番号5 PRSXSQNPPVL プロセシング配列
配列番号6 PRSFXQNPPVL プロセシング配列
配列番号7 PRSFSXNPPVL プロセシング配列
配列番号8 PRSFSQXPPVL プロセシング配列
配列番号9 QSDQEEIDYD、(例えばV0における)統合配列
配列番号10 IDYDDTI (例えばV5+V6における)統合配列
配列番号11 EMKKEDFD (例えばV7における)統合配列
配列番号12 Q1675からR1708 von V0、(例えばV0における)統合配列
配列番号13 I1681からR1708 von V6、(例えばV6における)統合配列
配列番号14 E1690からR1708 von V7、(例えばV7における)統合配列
配列番号15 KRHQREITRTT 本発明のタンパク質において欠失されたフーリン切断認識部位を含む配列
配列番号16 V0 aa配列
配列番号17 V1 aa配列
配列番号18 V2 aa配列
配列番号19 V3 aa配列
配列番号20 V4 aa配列
配列番号21 V5 aa配列
配列番号22 V6 aa配列
配列番号23 V7 aa配列
配列番号24 V0 na配列
配列番号25 V5 na配列
配列番号26 V6 na配列
配列番号27 V7 na配列
配列番号28 AC-6rs-REF aa配列
配列番号29 AC-6rs aa配列
配列番号30 AC-6rs-REF na配列
配列番号31 SVEMKKEDF V1における統合配列
配列番号32 DSYEDISAYLLSKNNAIEPR プロセシング配列の2aaを含む、プロセシング配列のN末端の配列(すなわち、トロンビン切断部位のN末端の配列)
配列番号33-38 部分的なFVIII配列
第1の実施態様において、本発明は、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
a)前記組換え第VIII因子タンパク質において、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のF761とP1659との間の連続したアミノ酸に対応する894アミノ酸が欠失しており、第1の欠失をもたらす;
b)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第1の欠失の部位に広がる配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
c)前記組換え第VIII因子タンパク質において、少なくとも野生型第VIII因子のアミノ酸R1664からR1667に対応するアミノ酸が欠失しており、第2の欠失をもたらす;および
d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2の欠失のC末端およびA3ドメインのN末端に第2のトロンビン切断部位を含む、組換え第VIII因子タンパク質を提供する。
本発明者らは、Bドメインの欠失を含む領域が他の一本鎖FVIIIバリアントよりも短い新たなFVIII一本鎖バリアントを分析した。特に、Bドメインの内部フラグメントを保持することによって、本発明者らは、野生型のプロセシング配列により近いプロセシング配列(配列番号2参照)を形成することができた。好ましくは、プロセシング配列の一部は切断されたBドメインに対応しており、従ってプロセシング配列は野生型FVIIIに由来する配列に組み込まれている。これらの知見の結果として、得られたFVIIIタンパク質は高レベルの発現、フラグメントおよび副生成物の低いプロファイル、ならびに特に、種々の生物活性アッセイによって証明される高い比活性を示す。さらに、本発明者らは、特定の羊膜細胞株が機能性分子の高レベルの発現に特に良く適していることを見出した。
さらなる利点および好ましい実施態様が、本明細書の他の部分で説明されている。
二重鎖FVIII(Moroctocog Alfa配列を用いている、実施例参照)または最新の一本鎖バリアント(バリアントV1およびV2、実施例参照)のいずれかとの対照比較は、改善された比活性と組み合わされた高い発現レベルを示す。本発明におけるFVIIIタンパク質はまた、設計および試験された他の一本鎖バリアント(V3、V4)よりもはるかに優れた結果をもたらす。
当業者はFVIII(または第VIII因子)という用語を理解しており、野生型FVIIIおよびその典型的なバリアントの構造および生物学的機能を認識している。上記で特定された配列とは別に、本発明のFVIIIタンパク質は、当業者によって適切かつ有利であると考えられるように設計され得る。特に、本発明の第VIII因子タンパク質は通常、生物学的機能に重要であることが知られているすべての必要な部分およびドメインを含むべきである。例えば、好ましくは、FVIIIタンパク質は、野生型FVIIIのAおよびCドメインに対応する、実質的に対応する、および/または機能的に対応するドメインをさらに含む。FVIIIタンパク質は、追加の部分およびドメインをさらに含み得る。例えば、好ましくは、FVIIIタンパク質は、A1ドメインとA2ドメインとの間にa1ドメイン、およびA2ドメインのC末端にa2ドメインをさらに含み、ここでプロセシング配列はa2ドメインのC末端に位置する。プロセシング配列の一部は、切断されたBドメインに対応する。前記プロセシング配列のC末端に、FVIIIタンパク質は少なくとも切断されたa3ドメインを含み、これは本明細書で規定される統合配列を含み得る。プロセシングの前に、本発明の第VIII因子タンパク質はまた、シグナル配列を含み得る。前記ドメインのいずれかまたはすべては野生型(wt)FVIIIドメインであり得、または(例えば、最新の技術において知られているように、または当業者によって適切であると考えられているように)野生型ドメインと異なり得る。前記ドメインは、好ましくはこの順序(すなわち、タンパク質のN末端からC末端まで)でタンパク質中に含まれる。
本発明におけるFVIIIタンパク質は、(特に凝固における機能に関して)wt FVIIIタンパク質の少なくとも1つの生物活性または機能を有する。FVIIIタンパク質はトロンビンによって切断可能であるべきであり、これは活性化をもたらす。好ましくは、前記トロンビン認識部位および/またはトロンビン切断部位は、野生型FVIIIのものに対応するか、または実質的に対応する。FVIIIタンパク質は活性化された凝固第IXa因子および凝固第X因子との複合体を形成でき、軽鎖はリン脂質二重層(例えば(活性化された)血小板の細胞膜)に結合できる。
FVIIIの生物活性は、本明細書に記載されているように、タンパク質の発色活性または凝固活性を分析することによって決定され得る。通常、発色活性は生物活性の尺度として用いられる。
本発明のFVIIIタンパク質の他の部分は当業者によって所望されるように設計され得るが、好ましくは高いFVIII生物活性を維持している。実施例に示されるように、本発明は、(例えば発色活性によって測定される)高い生物活性を有するFVIIIタンパク質を作製できる。したがって、好ましくは、本発明におけるFVIIIタンパク質は、wtタンパク質の活性に少なくとも相当する発色活性を有する(すなわち、本発明におけるFVIIIタンパク質は、wtタンパク質(配列番号1)の少なくとも50%の発色活性を有する)。好ましくは、本発明におけるFVIIIタンパク質は、wtタンパク質の少なくとも80%の発色活性、少なくとも100%の発色活性、または100%よりも高い発色活性を有する。好ましくは、発色活性はまた、市販のBドメイン欠失型FVIII(Pfizer)であるReFacto AF(登録商標)(国際一般名称:Moroctocog Alfa)の少なくとも80%の発色活性、少なくとも90%の発色活性、少なくとも100%の発色活性、または100%よりも高い発色活性である。
a)において規定されるように、本発明のFVIIIにおいて、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のF761とP1659との間の連続したアミノ酸に対応する894アミノ酸が、本発明の第VIII因子タンパク質において欠失しており、これは第1の欠失をもたらす。ある実施態様において、特に、欠失または挿入を有しないFVIIIのアミノ酸の番号付けから開始する場合、用語「対応する」は「同一である」を意味することが理解されるはずである。
wtと比較して変異され得る特定のアミノ酸について、野生型aaに対応するアミノ酸は、例えばEMBOSS Needle(ニードルマン-ブンシュアルゴリズムに基づく;設定:MATRIX:「BLOSUM62」、GAP OPEN:「20」、GAP EXTEND:「0.5」、END GAP PENALTY:「false」、END GAP OPEN:「10」、END GAP EXTEND:「0.5」)を用いたアライメントによって決定される。
2つのポリペプチドの配列同一性を評価するために、このようなアライメントは2段階の手法で実行され得る:I.EMBOSS Needle(設定:MATRIX:「BLOSUM62」、GAP OPEN:「20」、GAP EXTEND:「0.5」、END GAP PENALTY:「false」、END GAP OPEN:「10」、END GAP EXTEND:「0.5」)を用いてグローバルタンパク質アラインメントを行い、最も高い類似性を有する特定の領域を同定する。II.対になっていないアミノ酸を除外しながら(I)で同定した完全に重なっているポリペプチド配列を比較するEMBOSS Needle(設定:MATRIX:「BLOSUM62」、GAP OPEN:「20」、GAP EXTEND:「0.5」、END GAP PENALTY:「false」、END GAP OPEN:「10」、END GAP EXTEND:「0.5」)を用いて第2のアライメントによって正確な配列同一性を規定する。
「間(between)」は記載されたアミノ酸を除外する(例えば、記載されたアミノ酸は維持されていることを意味する)。「欠失」または「欠失した」は、先行の分子に以前に存在していたアミノ酸を欠失させることによってタンパク質が実際に調製されたことを必要とせず、分子の調製とは独立してアミノ酸が存在しないことを単に規定する。例えば、タンパク質は、デノボ合成または遺伝子工学技術によって調製された核酸に基づいて作製され得る。
b)において規定されるように、組換え第VIII因子タンパク質は、第1の欠失の部位に広がる配列番号2(PRSFSQNPP)または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列は第1のトロンビン切断部位を含む。したがって、プロセシング配列の少なくとも1つのアミノ酸は欠失のC末端のアミノ酸に対応し、プロセシング配列の少なくとも1つのアミノ酸は欠失のN末端のアミノ酸に対応する。プロセシング配列は、配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含む(すなわち、プロセシング配列はより長くなり得る)。特に、プロセシング配列は、配列番号2、3、4、5、6、7または8を含む群から選択される。本発明者らは、本発明のプロセシング配列がトロンビンによる特に良好な切断を可能にすることを見出した。
通常、プロセシング配列は配列番号4よりも長くない。プロセシング配列は、a2ドメインからの配列(例えばwt a2ドメイン配列)の直接のC末端にあり得る。プロセシング配列の最初のN末端の2つのアミノ酸は、a2ドメインに既に属してい得る。好ましくは、プロセシング配列の直接のN末端のアミノ酸はEである。
配列番号2の1つのアミノ酸は、例えば免疫原性を低下させるために置換され得る。任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。
プロセシング配列は、配列番号2または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり得、ここで任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。例えば、本発明のFVIIIタンパク質V0、V5、V6およびV7は配列番号2を含む。V6のプロセシング配列は配列番号2からなる。
あるいは、プロセシング配列は、配列番号3(PRSFSQNPPV)または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり得、ここで任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。例えば、本発明のFVIIIタンパク質V0、V5およびV7は配列番号3を含む。V5およびV7のプロセシング配列は配列番号3からなる。
あるいは、プロセシング配列は、配列番号4(PRSFSQNPPVL)または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり得、ここで任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている。例えば、本発明者らは、配列番号4、5、6、7または8のように、プロセシング配列のC末端におけるLがFVIIIに特に優れた活性を与えることを示している。特に有利であることが見出されている本発明のFVIIIタンパク質V0のプロセシング配列は配列番号4からなり、これは配列番号5~8の特定の実施態様である。
代替のプロセシング配列である配列番号5(PRSXSQNPPVL)、配列番号6(PRSFXQNPPVL)、配列番号7(PRSFSXNPPVL)および配列番号8(PRSFSQXPPVL)は、Xが天然に存在する任意のアミノ酸であり得るバリアントである。任意で、Xは配列番号4における対応するアミノ酸と比較して保存的な置換である(すなわち、疎水性アミノ酸は疎水性アミノ酸に置換され、親水性アミノ酸は親水性アミノ酸に置換され、芳香族アミノ酸は芳香族アミノ酸に置換され、酸性アミノ酸は酸性アミノ酸に置換され、塩基性アミノ酸は塩基性アミノ酸に置換される)。
c)において規定されるように、本発明のFVIIIタンパク質において、野生型第VIII因子のアミノ酸R1664からR1667に対応するアミノ酸は欠失しており、第2の欠失をもたらす。これらのアミノ酸は、wt FVIIIのフーリン切断認識部位に対応している。したがって、タンパク質は本質的にフーリンによって切断されない。本組成物において、本発明のFVIIIタンパク質の少なくとも80%(任意で少なくとも90%または少なくとも95%)が、一本鎖の形態で存在する。
d)において規定されるように、本発明の組換え第VIII因子タンパク質は、第2の欠失のC末端およびA3ドメインのN末端に第2のトロンビン切断部位を含む。したがって、活性化により、プロセシング配列におけるトロンビン切断部位と第2のトロンビン切断部位との間のFVIIIタンパク質の部分が、活性化されたFVIIIタンパク質から切除される。
第2の実施態様として、本発明はまた、一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
a)前記組換え第VIII因子タンパク質が、配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
b)任意で、前記第VIII因子タンパク質が異種配列を前記プロセシング配列のC末端に直接含む;
c)前記第VIII因子タンパク質が、配列番号9(QSDQEEIDYD)、配列番号10(IDYDDTI)および配列番号11(EMKKEDFD)からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する統合配列を前記プロセシング配列のC末端に直接、または存在する場合には前記異種配列のC末端に直接含む;および
d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2のトロンビン切断部位を配列番号9~11のC末端に含む、組換え第VIII因子タンパク質を提供する。
前記第VIII因子タンパク質は任意で、第1の実施態様として上述された第VIII因子タンパク質である。いずれの場合においても、本明細書で与えられている定義は両方の実施態様に適用される。
b)に記載されているように、任意で、前記第VIII因子タンパク質は異種配列をプロセシング配列のC末端に直接含む。異種配列は、野生型タンパク質において同一の相対的な位置に生じておらず、任意で本発明のタンパク質から欠失した配列と同じ数のアミノ酸からならない。好ましくは、異種配列は、野生型FVIIIに生じていない少なくとも10個(任意で少なくとも20個、少なくとも30個または少なくとも40個)のアミノ酸の非FVIII配列を含み、好ましくは、任意の野生型FVIIIフラグメントに対して30%未満の配列同一性(任意で、任意の野生型FVIIIフラグメントに対して25%未満の配列同一性)を有する。特に、異種配列は、Bドメインまたはa3ドメインからの任意のwt FVIII配列に対して20%未満の配列同一性を有し得る。しかし、異種配列は、FVIIIに見出される部分配列を含み得る。任意で、異種配列の少なくとも60%は非FVIII配列である。
c)に記載されているように、前記第VIII因子タンパク質は、配列番号9(QSDQEEIDYD)、配列番号10(IDYDDTI)および配列番号11(EMKKEDFD)からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する統合配列をプロセシング配列のC末端に直接、または存在する場合には前記異種配列のC末端に直接含む。用語「統合配列」は、配列がプロセシング配列とともに最終的な配列に統合されており、任意で前記配列のC末端に直接統合されていることを示しており、これはwt FVIIIにおける欠失によってもたらされ得る。統合配列は「a3由来」の配列に指定され得、これは配列の起源を示す。この配列は、本発明の組換え第VIII因子タンパク質に含まれるすべてのa3配列に対応することを必ずしも意味しない。好ましくは、規定された統合配列のN末端にa3由来のアミノ酸は存在しないが、特に配列番号9~11において、(例えば配列番号12、13または14で規定されるように)規定された前記配列のC末端にa3由来のアミノ酸が存在し得る。
好ましくは、第VIII因子タンパク質は、配列番号9、10または11からなる群から選択される統合配列を含み得る。本発明者らは、FVIIIタンパク質が配列番号9のC末端にあるa3ドメインの部分に対応する(好ましくは配列番号12の配列をもたらす)より長い配列を含む場合に有利であることを示し得る。配列番号10(好ましくは配列番号13の配列をもたらす)および配列番号11(好ましくは配列番号14の配列をもたらす)についても同様である。したがって、好ましくは、組換え第VIII因子タンパク質は配列番号9を含む。例えば、V0タンパク質は配列番号9を含む。これはまた、配列番号9の(少なくとも部分的に)C末端にあるa3領域に由来する配列番号10および配列番号11を含む。V5およびV6は配列番号10を含み、V7は配列番号11を含む。
本発明の第VIII因子タンパク質は、配列番号1に規定される野生型第VIII因子の
i)F761およびS1656;
ii)S762およびQ1657;
iii)Q763およびN1658;または
iv)N764およびP1659に対応するアミノ酸が互いに隣接している限りにおいて規定され得、ここで前記アミノ酸は配列番号2に規定される配列の一部である。これは、第1の実施態様に規定される第1の欠失に起因する。当業者は、この特定の構造物が欠失を有しない場合と欠失を有する場合とで同一のアミノ酸の維持をもたらすことを認識する。したがって、タンパク質の構造は、最新技術において公知のBドメインの他の欠失よりも欠失によって影響されない場合がある。本発明の文脈における「隣接する」は「直接隣接する」と同じ意味であり、タンパク質の二次構造に関する。
異種配列がプロセシング配列のC末端に直接挿入されていない本発明のある実施態様において、プロセシング配列は野生型第VIII因子のQ1675、I1681またはE1690に対応するアミノ酸の直接のN末端にあることがさらに好ましい。例えば、これはV0ではQ1675、V5およびV6ではI1681、ならびにV7ではE1690について生じる。
本発明の第VIII因子タンパク質において、a3ドメインの7個のN末端アミノ酸は好ましくは存在せず(すなわち欠失しており)、すなわちa3ドメインは部分的に欠失または切断されている。
本発明の第VIII因子タンパク質において、野生型第VIII因子のアミノ酸K1663からL1674に対応するアミノ酸は欠失してい得、これは第2の欠失をもたらし得る。これは、例えばV0およびV5~V7における場合である。
本発明のFVIIIタンパク質において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびL1674に対応するアミノ酸が互いに隣接してい得、または野生型第VIII因子のアミノ酸L1662およびQ1675に対応するアミノ酸が互いに隣接してい得る。V0は、これが適用されるタンパク質の一例である。異種配列がプロセシング配列のC末端に直接挿入されている場合、野生型第VIII因子のアミノ酸L1662およびQ1675に対応するアミノ酸は互いに隣接していない。
本発明の他のFVIIIタンパク質(例えばV5)において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびI1681に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
本発明の他のFVIIIタンパク質(例えばV6)において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸P1660およびI1681に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
本発明の他のFVIIIタンパク質(例えばV7)において、第2の欠失により、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のアミノ酸V1661およびE1690に対応するアミノ酸が互いに隣接している。
本発明の組換え第VIII因子タンパク質は、フーリン切断認識部位を含まない。好ましくは、本発明の組換え第VIII因子タンパク質は、プロセシング配列と統合配列との間にフーリン切断認識部位RHQRに対して75%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。フーリン切断認識部位の欠失は、他の変異(例えば置換)よりも優れていることが見出されている。任意で、本発明の組換え第VIII因子タンパク質は、プロセシング配列と統合配列との間にフーリン切断認識部位RHQRに対して50%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。
好ましくは、フーリン切断認識部位の近傍にある他のアミノ酸も欠失している。したがって、好ましくは、本発明のFVIIIタンパク質は、フーリン切断認識部位を含む配列番号15(KRHQREITRTT、すなわち配列番号1のaaK1663-T1673)に対して30%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。任意で、本発明のFVIIIタンパク質は、配列番号15に対して40%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない。
フーリン切断認識部位が存在しないため、本タンパク質は本質的にフーリンによって切断されず、全ての第VIII因子タンパク質のうち一本鎖タンパク質である第VIII因子タンパク質の含有量は少なくとも90%である。
プロセシング配列および前記プロセシング配列のC末端に統合配列を含み、プロセシング配列が配列番号2、3、4、5、6、7または8を含む群から選択され、統合配列が配列番号12、13または14を含む群から選択される本発明の組換え第VIII因子タンパク質について、発現および活性に関する特に良好な結果が見出されている。
したがって、本発明はまた、プロセシング配列および前記プロセシング配列のC末端に統合配列を含み、プロセシング配列が配列番号2、3、4、5、6、7または8を含む群から選択され、統合配列が配列番号12、13または14を含む群から選択される組換え第VIII因子タンパク質を提供する。
例えば、(例えばコンストラクトV0のように)プロセシング配列は配列番号4であり得、統合配列は配列番号12であり得る。プロセシング配列はまた、配列番号5であり得、統合配列は配列番号12であり得る。プロセシング配列は配列番号6であり得、統合配列は配列番号12であり得る。プロセシング配列は配列番号7であり得、統合配列は配列番号12であり得る。プロセシング配列は配列番号8であり得、統合配列は配列番号12であり得る。(例えばV5のように)プロセシング配列は配列番号3であり得、統合配列は配列番号13であり得る。(例えばV6のように)プロセシング配列は配列番号2であり得、統合配列は配列番号13であり得る。(例えばV7のように)プロセシング配列は配列番号3であり得、統合配列は配列番号14であり得る。任意で、前記統合配列は、前記プロセシング配列の直接のC末端にある。あるいは、例えば以下の融合パートナーについて規定されるように、異種配列はプロセシング配列と統合配列との間に挿入され得る。
本発明の組換え第VIII因子タンパク質は通常、A1ドメインとA2ドメインとの間に第3のトロンビン切断部位をさらに含む。本発明の組換え第VIII因子タンパク質はまた、生物学的機能が維持される限りさらなるトロンビン切断部位を含み得るが、これは必須ではない。
本発明の好ましいFVIIIタンパク質は、配列番号16(V0)、21(V5)、22(V6)または23(V7)のいずれか(好ましくは配列番号16)の成熟タンパク質(すなわちシグナル配列を含まない)またはこれらのタンパク質のいずれかの融合タンパク質のアミノ酸配列を含む。
したがって、本発明は、配列番号16、配列番号21、配列番号22または配列番号23(それぞれはシグナル配列を含まない)におけるアミノ酸配列を含むか、またはこれらの配列の少なくとも1つを含む融合タンパク質である組換え第VIII因子分子を提供する。配列番号16(シグナル配列を含まない)におけるアミノ酸配列を含むタンパク質は、特に良好な特性を有することが示されている。シグナル配列は、各タンパク質のアミノ酸1-19に対応する。(特に医薬の目的で通常使用される)成熟タンパク質において、シグナル配列は通常、欠落している。しかし、シグナル配列が本発明のタンパク質に含まれることもあり得る。
融合パートナーは、本発明のFVIIIタンパク質のインビボでの血漿中半減期を延長するために利用され得る。ある実施態様において、本発明の組換え第VIII因子タンパク質は、少なくとも1つの異種融合パートナー(好ましくはFVIIIタンパク質のインビボでの血漿中半減期を延長する融合パートナー)との融合タンパク質である。融合パートナーは、例えばFc領域、アルブミン、アルブミン結合配列、PASポリペプチド、HAPポリペプチド、絨毛性ゴナドトロピンのベータサブユニットのC末端ペプチド、アルブミン結合小分子、およびこれらの組合せを含む群から選択され得る。FVIIIタンパク質は、代替的または追加的に非タンパク質融合パートナー(PEG(ポリエチレングリコール)および/またはHES(ヒドロキシエチルデンプン)など)と共有結合してい得る。PASポリペプチドまたはPAS配列は、主にアラニンおよびセリン残基を含むか、または主にアラニン、プロリンおよびセリン残基を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、PAS配列はWO2015/023894に規定されているように生理条件下でランダムコイル構造を形成する。HAPポリペプチドまたは配列は、WO2015/023894に規定されているように、例えばグリシンまたはグリシンおよびセリンの反復配列を含むホモアミノ酸ポリマー(HAP)である。潜在的な融合物、融合パートナーおよびそれらの組合せは、例えばWO2015/023894により詳細に記載されている。
任意で、特定の治療応用のために、組換えFVIIIタンパク質はFc領域と融合され得る。Fc領域との融合は、半減期を延長し、免疫原性を低下させるために使用され得る。
本発明者らは、前記異種融合パートナーが前記プロセシング配列の直接のC末端および/またはC2ドメインのC末端に有利に挿入され得ることを見出した。これらの位置は、FVIIIタンパク質の良好な生物活性を維持しつつ、融合に有利であることが本発明者らによって見出されている。任意で、融合タンパク質は少なくとも1つのリンカーをさらに含む。
本タンパク質は、さらにグリコシル化および/または硫酸化されてい得る。好ましくは、翻訳後修飾(タンパク質のグリコシル化および/または硫酸化など)はヒト細胞中で生じる。翻訳後修飾の特に適したプロファイルは、CAP細胞(特にCAP-T細胞またはCAP-Go細胞)を用いて達成され得る(WO2001/36615;WO2007/056994;WO2010/094280;WO2016/110302)。Cevec Pharmaceuticals GmbH (Cologne, Germany)から入手可能なCAP細胞は、日常的な羊水穿刺中に経腹腔的に単離されたものであるため、ヒト羊膜細胞に由来する。得られた羊膜細胞をアデノウイルス機能(E1A、E1BおよびpIX機能)により形質転換し、次いで無血清培地中の懸濁での増殖に適応させた。
wt FVIIIは通常、vWFによって結合される。vWFは分解を遮蔽し得、免疫寛容に良い影響を与え得る。したがって、本発明の特定の実施態様において、本タンパク質はvWFとの結合が可能であるべきである。例えば、本発明のFVIIIタンパク質のvWFへの結合力は、ReFacto AF(登録商標)のvWFへの結合力の10%-100%、10%-90%、20-80%、30-70%、40-60%または50-60%であり、これはELISAに基づく方法で決定され得る。vWF結合は、特にアミノ酸位置Y1683およびY1699によって媒介される。vWF結合が望まれる場合、これらは変異させるべきではない。
特定の例において、FVIIIタンパク質がvWFと結合できない場合があり得、または望まれ得る。例えば、これは安定化がvWF結合とは異なる手段によって媒介される場合であり得る。vWF結合を回避するために、例えばアミノ酸Y1683および/またはY1699が変異され得、またはvWF結合は異なる結合パートナーによって立体的に障害され得る。
有利なことに、本発明におけるFVIIIタンパク質は、医薬用途のために十分安定であることが可能である。本発明者らは、本発明のFVIIIタンパク質のインビトロおよびインビボでの安定性がReFacto AF(登録商標)の安定性に相当することを示し得る(実施例参照)。したがって、本発明のタンパク質は、好ましくはインビトロおよび/またはインビボ(特にインビボ)のヒト血漿中で十分に安定である。好ましくは、インビボにおいて、(阻害剤を有しない患者の)ヒト血漿中における本発明のFVIIIタンパク質の半減期は、少なくとも約6時間(好ましくは少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間または少なくとも30時間)である。本明細書に規定されているように、FVIIIタンパク質は融合パートナーを含まないFVIIIタンパク質であってもよく、本明細書に規定されている融合タンパク質であってもよい。しかし、実施例に示されているように、特定の半減期は融合パートナーを含まずに既に得られ得る。1以上の融合パートナーが存在する場合、FVIIIタンパク質の半減期は同じであってもよく、さらに長くてもよい。
本発明はまた、本発明の組換え第VIII因子タンパク質をコードする核酸を提供する。前記ポリヌクレオチドは、(例えば、ヒト細胞などの哺乳類細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した)発現ベクターであり得る。
核酸は、好ましくはN末端シグナル配列(例えば配列番号1の19aaのシグナル配列)を有するFVIIIをコードする。本発明の好ましい核酸は、配列番号16および21-23(V0、V5、V6、V7)、または任意でその融合タンパク質をコードする。本発明の好ましい核酸は配列番号24-27であり得る。本発明の核酸はDNA分子またはRNA分子であり得る。核酸は、宿主細胞(例えばヒト細胞)における発現のために最適化されてい得る。
発現ベクターは、構成的または誘導性プロモーターであり得る適切なプロモーターの機能的制御下においてFVIIIタンパク質をコードする配列を(好ましくはコドン最適化された形態で)含む。プロモーターは、天然におけるFVIIIの発現に関連しないプロモーター(例えばEF-1アルファ)または異種プロモーター(例えばCMVまたはSV40)であり得る。発現ベクターは、原核生物および/または真核生物選択マーカー(アンピシリン耐性およびジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)など)ならびに複製起点(例えばSV40複製起点および/またはpBR322複製起点)をさらに含み得る。「コドン最適化」は、宿主細胞における発現(好ましくはヒト宿主細胞における発現)のための最適化を意味する。
あるいは、核酸は遺伝子治療(例えばヒト患者の遺伝子治療)に適したベクターであり得る。遺伝子治療に適したベクターは当分野で公知であり、例えば(例えばアデノウイルスもしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)またはレトロウイルスに基づく)ウイルスベースのベクター(レンチウイルスベクターなど)または非ウイルスベースのベクター(限定されないが、小型プラスミドおよびミニサークルまたはトランスポゾンベースのベクターなど)である。本発明のAAVベースのベクターは、例えば血友病A患者の遺伝子治療のためにAAV粒子にパッケージ化されてい得る。
本発明はまた、本発明の核酸を含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は、細菌細胞、植物細胞、真菌細胞、酵母細胞または動物細胞であり得る。好ましくは、宿主細胞は動物細胞(特に哺乳類細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターを含む前記細胞)である。宿主細胞は好ましくは、ヒト細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターを含むヒト細胞である。細胞は、本発明の核酸を一過性または安定に遺伝子導入されてい得る。細胞は、細胞株、初代細胞または幹細胞であり得る。タンパク質の産生のために、細胞は通常、細胞株(HEK-293細胞などのHEK細胞、CHO細胞、BHK細胞、Crucell’s Per.C6などのヒト胚性網膜細胞、またはCAPなどのヒト羊膜細胞など)である。本タンパク質を用いたヒト患者の処置のために、宿主細胞は好ましくはヒト細胞(例えばHEK293細胞株またはCAP細胞株(例えばCAP-T細胞またはCAP-Go細胞))である。本発明者らは、CAP細胞株において特に高い一本鎖含有量の本発明のFVIIIタンパク質が産生されることを見出した。CAP細胞のうち、CAP-T細胞は一過性の発現のために好ましく、CAP-Go細胞はFVIII分子に有利なグリコシル化プロファイルを与える安定な細胞株の作成のために使用され得る。
細胞は、遺伝子導入および患者の体内への再導入後に患者においてFVIIIを産生するのに適した血友病A患者の自己細胞であり得る。細胞は幹細胞(例えば造血幹細胞)であり得るが、好ましくは(特に患者がヒトである場合)胚性幹細胞ではない。細胞はまた、肝細胞、肝類洞壁内皮細胞または血小板であり得る。
本発明のタンパク質を発現する細胞株は、FVIIIタンパク質の発現に適した条件下で前記細胞を培養すること、および(例えば本明細書に記載されている)例えば当業者に公知の複数の方法を用いて前記タンパク質を精製することを含む、本発明のタンパク質を調製する方法において使用され得る。そのような精製方法は、細胞除去のための標準的な回収手順(例えば遠心分離およびその後のクロマトグラフィー工程(例えばアフィニティークロマトグラフィー))およびFVIIIタンパク質を適切な緩衝液中に交換する方法を含み得る。したがって、本発明は、第VIII因子タンパク質の発現に適した条件下で本発明の宿主細胞を培養すること、および第VIII因子タンパク質を単離することを含む第VIII因子タンパク質を調製する方法を提供し、ここで前記方法は任意で、第VIII因子タンパク質を医薬組成物として製剤化することを含む。
したがって、本発明は、本発明の組換え第VIII因子タンパク質、本発明の核酸または本発明の宿主細胞を含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物は、適切な賦形剤(例えば、緩衝液、安定化剤、充填剤、保存剤、別の(例えば組換え)タンパク質またはそれらの組合せ)を含み得る。本発明の文脈において他に明示されていない場合、「a」は1以上を意味することが理解される。製剤に適した緩衝液は、例えば205mM NaCl、5.3mM CaCl、6.7mM L-ヒスチジン、1.3%スクロースおよび0.013% Tween20を蒸留水中に含み得、pHは7.0であり得る(FVIII製剤緩衝液)。前記緩衝液は、他に記載されていない場合、本明細書に記載の実験において使用される。FVIIIの製剤は、特にインビボでの使用のために無菌であり得、例えば無菌濾過されてい得る。
医薬組成物は、当業者が望むように適切に(例えば静脈内(i.v.)または皮下への適用、腹腔内または筋肉内への適用のために)製剤化され得る。一般に、医薬組成物は緩徐なi.v.プッシュボーラス注入としての投与のためのものである。持続注入は、例えば重度の出血または外科手術のために入院を必要とする患者に指示される。(例えば植物における発現の後に)耐性誘導に寄与し得る経口適用も可能である。医薬組成物は徐放用であり得る。
FVIIIを含む医薬組成物は、凍結乾燥され得る。投与量および処置スキームは、(例えば、出血の予防のために、または出血性イベントのための間欠的なオンデマンドの治療とともに)適切に選択され得る。投与量の決定は医師によってなされ得る。投与量は患者(例えば、体重、FVIII状態など)に依存する。例えば、本発明のFVIIIは、疾患の重症度に応じて0.5~6日ごとに0.5~250IU/kg体重(通常、0.5~200IU/kg体重)の用量で静脈内投与され得る。本発明はまた、本発明のFVIIIタンパク質を免疫抑制物質(例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シクロホスファミド、リツキシマブおよび/またはシクロスポリン)と組み合わせて含む医薬組成物を提供し、かつ/またはそのような物質と実質的に同時(例えば数分~12時間以内)に投与するためのものであり得る。
(例えば本発明のタンパク質を含む)医薬組成物は、それを必要とする患者(特に血友病A患者、例えばFVIIIに対する自己免疫応答を伴う後天性血友病を有する患者または先天性血友病A患者)の処置における使用のためのものであり得る。哺乳類(マウスまたはイヌなど)は本発明の医薬組成物で処置され得るが、患者は通常、ヒト患者である。
本発明の医薬組成物はまた、組換えおよび/または血漿第VIII因子タンパク質で以前に処置された患者の処置のために使用され得る。組換えおよび/または血漿第VIII因子タンパク質に対する阻害性抗体応答を含む抗体を有する患者において、医薬組成物は例えば免疫寛容導入(ITI)処置のために使用され得る。したがって、本発明の組成物はまた、レスキューITIのために使用され得る。医薬組成物はまた、組換えおよび/または血漿第VIII因子タンパク質に対する阻害性抗体応答を含む抗体応答を有する患者(例えばITIによって処置されている患者)において有利に使用され得る。医薬組成物はまた、ITIによって処置されていない組換えおよび/または血漿第VIII因子タンパク質に対する阻害性抗体応答を含む抗体応答を有する患者において有利に使用され得る。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含むバイアル(例えばシリンジ)を提供する。シリンジはプレフィルドシリンジ(例えば使用準備済のシリンジ)であり得る。
本明細書において引用されているすべての刊行物は、本明細書に完全に組み込まれる。本発明は以下の実施例によってさらに説明されるが、これらは本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
1.一本鎖バリアントの生成および生物活性の決定
新たな組換え血友病A治療物質の開発において、フーリン切断認識部位を持たず、それにより酵素切断を阻害する一本鎖FVIII分子を使用する可能性を試験した。前記一本鎖FVIII分子は精製および保存中の安定性に関して有利であり得るが、(例えば皮下投与のための)安定性および血漿中半減期に関してインビボにおいても利点を有し得る。したがって、フーリン切断認識部位を含む個別の欠失をそれぞれ有する種々のBドメイン切断型FVIII一本鎖バリアントをコードするDNAプラスミドを設計し、それらの機能性をインビトロでのアッセイを用いて評価した。
材料および方法
コンストラクトの調製
クローニングのための基本的なFVIII配列としてRefacto AF(登録商標)のコドン最適化された配列を用い、ここでクローニングを単純化するためにサイレント変異により6つの制限部位を追加した。これらの制限部位のいくつかは、コドン最適化のために再度除外された。基本配列はAC-6rs-REF(配列番号28)である。
本発明のFVIIIをコードするコンストラクトおよびこの文脈で分析された比較コンストラクトについて、完全なFVIII配列またはFVIIIのa2ドメインからA3ドメインまでの550~600bpをコードするDNA領域のいずれかを合成した。完全に合成されたDNAをコドン最適化した。DNAフラグメントは、5’末端においてEcoRV制限部位と隣接しており、3’末端においてEcoRI制限部位と隣接しており、これらの制限部位は使用した基本のFVIII配列にも存在していた。DNA挿入物およびFVIII骨格プラスミドの制限は、標的ライゲーションおよびFVIII一本鎖プラスミドの生成を可能にした。完全に合成されたFVIII DNAは5’末端においてHindIII制限部位と隣接しており、3’末端においてNotI制限部位と隣接していた。
大腸菌K12を前記プラスミドで形質転換し、形質転換した細菌をアンピシリン選択下で増殖させ、プラスミドを調製することにより、大量のプラスミドを調製できた。遺伝子工学の作業は、VectorNTIソフトウェア(Thermo Fisher Scientific, Massachusetts, USA)を用いた設計の後に、Thermo Fisher Scientificによって行われた。
CAP-T細胞の培養
CAP-T細胞(Cevec Pharmaceuticals, Koln, Germany)を、4mM GlutaMAX(Thermo Fisher Scientific, 35050038)および5μg/mlブラストサイジン(Thermo Fisher Scientific, R21001; 完全PEM培地)を添加したPEM培地中で培養した。細胞を解凍するために、必要な量の冷凍されたバイアルを37℃の水浴に移した。解凍後、各バイアルを10mlの冷却された完全PEM培地に移した。細胞懸濁液を150xgで5分間遠心分離した。この洗浄工程において、凍結保存のために使用したジメチルスルホキシド(DMSO)を除去した。ペレットを15mlの温かい完全PEM培地に再懸濁し、125mlの振盪フラスコに移した。細胞を、5%COを含む雰囲気の加湿インキュベーター内において37℃でインキュベートした。フラスコを50mmの軌道および185rpmで回転する振盪プラットフォームに配置した。
細胞の継代培養を3~4日ごとに行った。必要な量の培養細胞懸濁液を新たなフラスコに移し、完全PEM培地を加えることによって新鮮な培養物を0.5x10細胞/mlに設定した。移した細胞懸濁液が全体積の20%を超える場合、懸濁液を150xgで5分間遠心分離し、ペレットを新鮮な完全PEM培地に再懸濁した。振盪フラスコあたりの細胞懸濁液の体積は、フラスコの全体積の20%であった。
解凍後、遺伝子導入実験を行う前に、最低3回の継代培養を行った。
一過性の遺伝子導入によるCAP-T細胞におけるタンパク質発現
CAP-T細胞を、4D-Nucleofector(商標)(Lonza, Basel, Switzerland)を用いて遺伝子導入した。各遺伝子導入について、10x10個のCAP-T細胞を15mlのコニカルチューブ中において150xgで5分間遠心分離した。ペレットの体積およびプラスミド溶液の体積を考慮して、細胞を95μlの追加のSE緩衝液に再懸濁した。その後、5μgの各プラスミドを細胞懸濁液に添加し、次いで穏やかに混合した。この溶液を100μlのNucleocuvetteに移した。使用した遺伝子導入プログラムはED-100であった。遺伝子導入後、1つのNucleocuvetteからの細胞を12.5mlの完全PEM培地を含む125mlの振盪フラスコに移した。細胞を上述のように4日間培養した。4日目に細胞を150xgでの5分間の遠心分離によって回収した。上述のように12.5mlの手法を組み合わせることによって、より大きなタンパク質量を産生できた。
FVIII発色活性
FVIIIの活性を発色アッセイによって決定した。この2段階のアッセイでは、第1の段階においてFIXaおよびFVIIIaがFXを活性化する。第2の段階において、活性化されたFXが発色基質を加水分解して色の変化をもたらし、これは405nmで測定され得る。カルシウムおよびリン脂質が最適な量で存在し、過剰なFIXaおよびFXが利用可能であるという事実のため、FXの活性化率は試料中の活性なFVIIIの量のみに依存する。
このFVIII発色活性アッセイのための試薬を、Coatest(登録商標)SP FVIIIキットから得た。このキットは、リン脂質、塩化カルシウム(CaCl)、微量のトロンビン、基質であるS-2765、FIXaおよびFXの混合物、ならびにトロンビン阻害剤であるI-2581を含んでいた。反応中に構築されたトロンビンによる基質の加水分解を防ぐため、阻害剤を添加した。すべての希釈を、蒸留水またはTris-BSA(TBSA)緩衝液(25mM Tris、150mM塩化ナトリウム(NaCl)および1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含み、pH7.4に設定した)で行った。各試料を、FVIII枯渇血漿で少なくとも1:2に希釈した。TBSA緩衝液を用いてさらなる希釈を行った。
このアッセイを、全自動止血分析装置であるBCS XP(Siemens Healthcare, Erlangen, Germany)を用いて行った。水、TBSA緩衝液および試料を含むすべての試薬を分析装置に挿入した。各試料について、分析装置により34μlの塩化カルシウム、20μlのTBSA緩衝液、10μlの試料、40μlの水、11μlのリン脂質、および56μlのFIXa-FX混合物を混合した。この混合物を300秒間インキュベートした。その後、50μlのS-2765+I-2581を反応物に加えた。基質を添加して、405nmの吸収を200秒間測定した。
活性なFVIIIの量を算出するために、反応を開始した後30秒~190秒の間に測定された動態の勾配を分析装置のソフトウェアによって評価した。この結果は、FVIIIの生物学的基準製剤(BRP)を用いて作成された検量線と相関していた。BRPの活性をIU/mlで示す。しかし、IU/mlはU/mlと同等であると想定され得る。結果を「正常の%」として示した。正常なFVIII活性の100%は1mlあたりの1UのFVIII活性と同等であるため、これらの結果をU/mlに変換した。
凝固活性FSL
2段階の発色アッセイ(上記参照)に加えて、活性なFVIIIの量を決定するために1段階の凝固アッセイを行った。このアッセイでは、FVIII枯渇血漿、CaCl、活性化剤アクチンFSL、およびFVIIIを含む試料を1段階で混合する。活性化剤は、FIXを活性化するFXIaの生成をもたらす。FVIIIa、FIXaおよびFXはテナーゼ複合体を構築し、FXが活性化される。プロトロンビンおよびフィブリノーゲンのさらなる活性化は、フィブリン塊の形成を最終的にもたらす。この塊を形成するのに必要とされる時間である活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定する。aPTTは、FVIIIの量に応じて変動する。
凝固アッセイを、BCS XPを用いて行った。TBSA緩衝液、FVIII枯渇血漿、アクチンFSL、CaCl、および試料を分析装置に挿入した。試料をFVIII枯渇血漿で少なくとも1:2に希釈した。TBSA緩衝液を用いてさらなる希釈を行った。各試料について、分析装置により45μlのTBSA緩衝液、5μlの試料、50μlのFVIII枯渇血漿、および50μlのアクチンFSLを混合した。50μlのCaClを添加することによって反応を開始した。分析装置により、塊の形成に必要とされる時間を測定した。
活性なFVIIIの量を算出するために、反応開始時の405nmにおけるベースライン吸光を分析装置のソフトウェアによって評価した。200秒以内のその後のすべての吸光値を、ベースライン吸光との差に関して分析した。規定された閾値を超えた最初の時点を凝固時間として決定した。この結果は、FVIIIのBRPを用いて作成された検量線と相関していた。
FVIII抗原ELISA
FVIII抗原の量を、Asserachrom(登録商標)VIII:Ag ELISA(Diagnostica Stago, Asnieres sur Seine Cedex, France)を用いて決定した。このサンドイッチELISAにおいて、適用したFVIIIは、製造者によってプレートにコーティングされたマウスモノクローナル抗ヒトFVIII F(ab’)フラグメントと結合する。結合したFVIIIの検出は、ペルオキシダーゼと結合したマウスモノクローナル抗ヒトFVIII抗体により行われる。FVIIIが存在する場合、ペルオキシダーゼと結合した抗体はFVIIIに結合し、テトラメチルベンジジン(TMB)溶液の添加によって検出され得る。TMBはペルオキシダーゼとの反応により透明な溶液から青緑色の溶液に変化する。短時間経過した後に、この反応を硫酸(HSO)の添加によって停止させ、これは溶液を黄色に変化させる。結合したFVIIIの量は、450nmで測定され得る黄色の強度に相関する。FVIIIの最終的な量を、既知の抗原濃度を有する標準物質の少なくとも5つの段階希釈物の測定によって作成された検量線を用いて算出する。
提供された標準物質および対照を、ELISAを開始する30分前に500μlの蒸留水を用いて再構成した。このインキュベーション時間の後、標準物質を提供されたリン酸緩衝液で1:10に希釈した。これは開始濃度であった。さらに、標準物質を1:64の希釈物まで1:2で段階希釈した。標準物質の濃度はバッチに応じて約1U/mlのFVIIIを含んでいたため、開始濃度は0.1U/mlのFVIIIに相当し、最後の希釈物は約0.0016U/mlのFVIIIを含んでいた。対照をリン酸緩衝液で1:10および1:20に希釈した。すべての試料を、検量線の中央にあることを目的として以前に決定された活性(上記参照)に応じてリン酸緩衝液で希釈した。FVIII試料、対照および標準物質を希釈した後、200μlの各溶液をウェルごとに二通りで適用した。さらに、ブランク対照として2つのウェルを200μlのリン酸緩衝液で満たした。プレートをフィルムで覆い、室温で2時間インキュベートした。この時間に、ペルオキシダーゼと結合した抗ヒトFVIII抗体を8mlのリン酸緩衝液を用いて再構成し、室温で30分インキュベートした。抗原を固定化した後、以前に蒸留水で1:20に希釈した提供された洗浄溶液でウェルを5回洗浄した。洗浄後すぐに、200μlのペルオキシダーゼと結合した抗ヒトFVIII抗体を各ウェルに添加し、フィルムで覆い、室温で2時間インキュベートした。その後、以前と同様にプレートを5回洗浄した。結合したFVIIIの量を明らかにするために、200μlのTMB溶液を各ウェルに添加し、室温で正確に5分間インキュベートした。この反応を、50μlの1M HSOを各ウェルに添加することによって停止させた。室温で15分間インキュベートした後、各ウェルの吸光度をPOLARstar Omegaプレートリーダー(BMG LABTECH, Ortenberg, Germany)を用いて450nmで測定した。
ELISAの結果を、MARSソフトウェア(BMG Labtech)を用いて算出した。最初の段階において、すべてのウェルをブランク補正し、二通りの平均値を算出した。その後、検量線から濃度を算出するために、4パラメータフィットを適用した。この検量線に従って、各ウェルにおけるFVIII抗原の量を決定した。最後の段階において、これらの値を希釈率で補正し、これは各試料のFVIII抗原量をもたらした。
結果および考察
一本鎖FVIII分子の種々のバリアント(図1、2)を作成および分析した。すべてのバリアントにおいて、フーリン切断認識部位を欠失させた。バリアントAC_SC-V1(V1)および-V3(V3)は、天然のトロンビン切断部位(それぞれPR/SVまたはSC/SV)を有し、aa760-1687(V1)およびaa731-1687(V3)の単一の欠失のみが存在する。V1およびV3と比較して、バリアントAC_SC-V2(V2)および-V4(V4)は異なるトロンビン切断部位(それぞれPR/VAまたはIR/SV)を含み、V1に基づくV2はBドメインに由来すると考えられ得るVA配列をさらに含む。V3に基づくV4は、欠失の部位に挿入DPR-IRSV-VAQを含む(図1)。コンストラクトV1-V4はいずれも本発明に必要とされる(例えば、目的のトロンビン切断部位の文脈において配列NPPを含む)プロセシング配列を含まない。
本発明者らは、図2に示されるAC_SC-V0、-V5、-V6、および-V7(または、省略してV0、V5、V6、およびV7)と名付けられた追加のコンストラクトを作成することによってさらなる実験を行った。あまり単純ではない方法において、それらのBドメインの単一の欠失から2つの欠失を作成し、これらはBドメインの短いフラグメントを保持することによって架橋されている。このように、野生型の配列により近いと考えられるプロセシング配列を生成した。これらのコンストラクトは、2つの欠失の導入によってRefacto AF(登録商標)のアミノ酸配列AC-6rs-Refに基づいており、すなわち本明細書に規定されるプロセシング配列を含む本発明のタンパク質である。したがって、V0、V5、V6およびV7は、本発明におけるFVIIIタンパク質を表す。
V0-V7のウエスタンブロットは主に一本鎖分子としてのすべての分析されたコンストラクトの発現を示し(図示せず)、これは約180kDの二重のバンド、および約80kDの重鎖のバンドの欠如または低い存在によって示される。
種々の一本鎖FVIIIバリアントの発現レベルおよびインビトロでの機能性を、ReFacto AF(登録商標)と同一のアミノ酸配列を有し、血友病A治療物質の開発におけるベースライン分子として使用される二重鎖FVIIIバリアントAC-6rs-REFと比較して評価した。当然に、この二重鎖FVIIIが最も優れた機能的結果をもたらすことが予想されるはずである。
上述のように、CAP-T細胞に、AC-6rs-REFまたは種々の一本鎖分子のいずれかをコードする各プラスミドDNAを二通りで一過性に遺伝子導入した。4日間の培養の後に、細胞を遠心分離し、細胞培養上清を(I)FVIII発色活性、(II)FVIIIタンパク質の総量に対応するFVIII抗原、および(III)アクチンFSLを介して誘導されるFVIII凝固活性を決定するために直接使用した。
コンストラクトV1-V4とFVIII二重鎖分子AC-6rs(配列番号29)との比較において、発現した一本鎖コンストラクトの発色活性および発色比活性(発色活性とFVIII抗原の比率を示す)は、二本鎖分子よりも低かった。より詳細には、V3およびV4の発色活性および発色比活性は、V1およびV2よりも低かった。また、発現したコンストラクトV1およびV2の発色活性および発色比活性は、二本鎖分子よりも低かった(データ示さず)。
V1、V2、V0、V5、V6、V7および二重鎖FVIII(AC-6rs-REF)の比較において、図3Aに示されるように、二重鎖FVIII対照は最も高いFVIII発色活性レベルである約1U/mlに達した(すべて遺伝子導入細胞からの上清において決定されている)。一本鎖バリアントAC_SC-V0、-V5、および-V6は約0.7U/mlの発色活性を示し、AC_SC-V1、-V2、および-V7は約0.4~0.5U/mlを示した。
FVIIIタンパク質量は、約2.4U/mlを有する二重鎖AC-6rs-REF対照において最も高いことが見出された(図3C)。一本鎖バリアントは、AC_SC-V2の1.4U/mlからAC_SC-V5の2.0U/mlまでの範囲で発現していた。2段階のFVIII発色アッセイと比較して、1段階の凝固アッセイは一般により低い活性値をもたらした(図3B)。AC_SC-V0、AC-6rs-REF、AC_SC-V5、およびAC_SC-V6は約0.3U/mlを示したが、AC_SC-V7は約0.2U/mlの凝固活性を示し、AC_SC-V1および-V2は非常に低い凝固活性を示した。
発色比活性はFVIII発色活性とFVIII抗原レベルの比率を表し、すなわち活性の決定的な尺度を表す。患者の観点から、高い比活性はより少ない物質でより良い処置を達成し得ることを意味するため望ましい。この文脈において、比活性を、%で表示されるFVIII抗原に対するFVIII発色活性の比率として算出した。図3Dに示されるように、AC_SC-V0について最も高い比活性が観察された(44%)。二重鎖AC-6rs-REF対照は40%の比活性に達し、次いでAC_SC-V5、-V6、および-V7の活性であった。凝固比活性を、%で表示されるFVIII抗原に対するFVIII凝固活性の比率として算出した。図3Eに示されるように、AC_SC-V0(22.8%)について最も高い比活性が観察され、次いで-V6(16.9%)、-V5(15.5%)、-V7(14.8%)であった。二重鎖AC-6rs-REF対照は13.9%というより低い凝固比活性に達し、一本鎖コンストラクトAC_SC-V1および-V2(先行技術)はそれぞれ6.7%および9.6%にしか達しなかった。
結論として、種々の一本鎖FVIII分子AC_SC-V0、-V1、-V2、-V5、-V6、および-V7を、二重鎖FVIIIであるAC-6rs-REFと比較してインビトロでの機能性について評価した。したがって、2段階の発色活性アッセイ、1段階の凝固アッセイ、およびFVIIIタンパク質の総量を検出するFVIII抗原ELISAを用いて、すべてのFVIII分子を分析した。FVIII抗原レベルが測定できたため、すべてのFVIIIバリアントが発現したことが観察された。さらに、発色および凝固の両方のアッセイにおいて活性値が測定できたため、すべての分子は一般に機能的であった。しかし、一本鎖バリアントAC_SC-V1およびAC_SC-V2について最も低い活性が測定された。AC_SC-V7はこれらの活性アッセイにおいて中程度であったが、AC_SC-V0、-V5、-V6、および-V7は一本鎖バリアントとして最良であった。二重鎖AC-6rs-REF対照は、全体的に最も高いタンパク質量およびFVIII発色活性を示した。FVIII抗原に対する発色活性の比率またはFVIII抗原に対する凝固活性の比率のいずれかを表す比活性(これらはともにタンパク質の機能性の指標となる)は、AC_SC-V0、AC_SC-V5、AC_SC-V6、およびAC_SC-V7について最良であった。
2.安定性および薬物動態データ
インビトロでの安定性実験およびインビボでの実験の前に、細胞除去および上清の濃縮、その後のアフィニティークロマトグラフィーによるFVIIIタンパク質の精製、ならびにFVIII製剤緩衝液への再緩衝を含む標準的な精製手順によって、FVIII一本鎖タンパク質を精製した。
V0およびReFacto AF(登録商標)の発色活性および凝固活性を、緩衝液中およびFVIIIを有しない血漿中の両方において24時間および14日間にわたって分析した。V0およびReFacto AF(登録商標)は安定性に関して同等であった(図4)。
V0および市販の二重鎖FVIIIであるReFacto AF(登録商標)の薬物動態データをマウスにおいて分析した。雌性血友病Aマウス(FVIII欠損マウス、Jax No B6;129S-F8tm1Kaz/J, Charles River Laboratories, Sulzfeld, Germany)に、凝固因子(200IU(発色活性)/kg体重)を6mL/kg体重で単回尾静脈内注射によって投与した。処置の0.5、4、8、12および20時間後に採血を行い、次いでクエン酸血漿を遠心分離によって抽出した。血漿試料を、FVIII発色活性およびFVIIIタンパク質量(FVIII抗原)について分析した。生の値を分析し、Phoenix WinNonlin 8.1(Certara, USA)を用いてノンコンパートメント分析(NCA)を行うことによって、薬物動態評価を行った。
この試験において、ReFacto AF(登録商標)は抗原について約7.4時間およびFVIII発色活性について6.9時間という平均を上回る半減期を達成した。これと比較して、V0は抗原および発色活性についてそれぞれ6.1および6.8時間の半減期を示した。静脈内投与後の最大濃度をV0およびReFacto AF(登録商標)の両方について注射の0.5時間後に採取した試料において観察し、これらはそれぞれ2.16IU/mlおよび2.02IU/mlの値であった。したがって、両バリアントは抗原および発色活性の両方に関して同等の半減期を示し(図5)、注射後において同等の最大濃度を示す。
したがって、インビトロでの知見を動物モデルに適用し、本発明者らは本発明におけるFVIIIバリアントの有利な特性をインビボでの状況においても確認できた。

Claims (15)

  1. 一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
    a)前記組換え第VIII因子タンパク質において、配列番号1に規定される野生型第VIII因子のF761とP1659との間の連続したアミノ酸に対応する894アミノ酸が欠失しており、第1の欠失をもたらす;
    b)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第1の欠失の部位に広がる配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
    c)前記組換え第VIII因子タンパク質において、少なくとも野生型第VIII因子のアミノ酸R1664からR1667に対応するアミノ酸が欠失しており、第2の欠失をもたらす;および
    d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2の欠失のC末端およびA3ドメインのN末端に第2のトロンビン切断部位を含む、組換え第VIII因子タンパク質。
  2. 一本鎖において、第VIII因子のA1およびA2ドメインを含む重鎖部分ならびにA3、C1およびC2ドメインを含む軽鎖部分を含む組換え第VIII因子タンパク質であって、
    a)前記組換え第VIII因子タンパク質が、配列番号2または配列番号2において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列を含むプロセシング配列を含み、前記プロセシング配列が第1のトロンビン切断部位を含む;
    b)任意で、前記第VIII因子タンパク質が異種配列を前記プロセシング配列のC末端に直接含む;
    c)前記第VIII因子タンパク質が、配列番号9、配列番号10および配列番号11からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する統合配列を前記プロセシング配列のC末端に直接、または存在する場合には前記異種配列のC末端に直接含む;および
    d)前記組換え第VIII因子タンパク質が、第2のトロンビン切断部位を配列番号9~11のC末端に含む、
    ここで、前記第VIII因子タンパク質が任意で請求項1記載の第VIII因子タンパク質である、組換え第VIII因子タンパク質。
  3. プロセシング配列が配列番号4または前記配列において最大で1つのアミノ酸置換を有する配列であり、任意で、F、FのC末端のS、QまたはNが置換されている、請求項1または2に記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  4. プロセシング配列が配列番号4、6、7または8からなる群から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  5. プロセシング配列が配列番号4である、請求項1~4のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  6. 野生型第VIII因子のアミノ酸K1663からL1674に対応するアミノ酸が欠失しており、第2の欠失をもたらす、請求項1~5のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  7. フーリン切断認識部位を含まず、プロセシング配列と統合配列との間にフーリン切断認識部位RHQRに対して75%よりも高い配列同一性を有する配列を含まず、好ましくは配列番号15に対して40%よりも高い配列同一性を有する配列を含まない、請求項1~6のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  8. プロセシング配列および前記プロセシング配列のC末端に統合配列を含み、前記配列が以下からなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質:
    a.配列番号4のプロセシング配列および配列番号12の統合配列、
    b.配列番号5のプロセシング配列および配列番号12の統合配列、
    c.配列番号6のプロセシング配列および配列番号12の統合配列、
    d.配列番号7のプロセシング配列および配列番号12の統合配列、
    e.配列番号8のプロセシング配列および配列番号12の統合配列、
    f.配列番号3のプロセシング配列および配列番号13の統合配列、
    g.配列番号2のプロセシング配列および配列番号13の統合配列、
    h.配列番号3のプロセシング配列および配列番号14の統合配列、
    ここで任意で、前記統合配列は前記プロセシング配列の直接のC末端にある。
  9. A1ドメインとA2ドメインとの間に第3のトロンビン切断部位をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  10. Fc領域、アルブミン結合配列、アルブミン、PASポリペプチド、HAPポリペプチド、絨毛性ゴナドトロピンのベータサブユニットのC末端ペプチド、アルブミン結合小分子、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプンからなる群から選択される少なくとも1つの異種融合パートナーとの融合タンパク質であり、任意で前記異種融合パートナーが前記プロセシング配列のC末端に直接挿入されている、請求項1~9のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質をコードする核酸であって、任意で前記ポリヌクレオチドがヒト細胞を含む群から選択される哺乳類細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターである、核酸。
  12. 請求項11に記載の核酸を含む宿主細胞であって、好ましくは宿主細胞が前記細胞における前記組換え第VIII因子タンパク質の発現に適した発現ベクターを含む哺乳類細胞である、宿主細胞。
  13. 第VIII因子タンパク質を調製する方法であって、請求項12に記載の宿主細胞を第VIII因子タンパク質の発現に適した条件下で培養すること、および第VIII因子タンパク質を単離することを含み、任意で第VIII因子タンパク質を医薬組成物として製剤化することを含む、方法。
  14. 請求項1~10のいずれかに記載の組換え第VIII因子タンパク質、請求項11に記載の核酸、または請求項12に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
  15. 血友病Aの処置における使用のための請求項14に記載の医薬組成物であって、任意で処置が免疫寛容導入である、医薬組成物。
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