JP2022531174A - 精索静脈瘤に罹患している男性における、生殖アプローチの特定におけるcap-score(商標)の使用 - Google Patents

精索静脈瘤に罹患している男性における、生殖アプローチの特定におけるcap-score(商標)の使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、精索静脈瘤修復のための患者を特定するための方法を提供する。前記方法は、CAP-ScoreTMアッセイを使用して、受精能が精索静脈瘤によって影響されるかどうかを評価することを含む。本開示はまた、精索静脈瘤に罹患している患者における生殖アプローチを特定するための方法を提供する。前記方法は、CAP-ScoreTMアッセイを使用して、生殖アプローチを特定及び実施することを含む。【選択図】図1

Description

関連技術の相互参照
本願は、参照によりその全体を本明細書に援用する、2019年4月30日出願の米国仮出願第62/840,846号に対する優先権を主張する。
精索静脈瘤は、男性不妊の知られた原因である。それらは陰嚢の特定の静脈が肥大すると発生する。精索静脈瘤は、形態、クロマチンの完全性、運動性、機能、又はそれらの組合せのいずれかにおいて精子を損傷させることによって受精能に影響を及ぼし得るが、正確に精索静脈瘤がどのように精子を損傷させるかについては不明である。いずれにしても、精索静脈瘤の外科的処置によって受精能が改善されることが示されている。
Androvia LifeSciencesによって開発されたCAP-ScoreTMAssayは、男性の受精能を測定する試験である。CAP-ScoreTMアッセイは、精子の受精能獲得の尺度であり、受精能を獲得する精子の割合(%)として表される。受精能獲得は、精子が卵子と受精できるようにするために受けなければならないプロセスである。精子の受精能獲得は、GM1局在パターンを使用して視覚的に評価することができる。特に、頂端先体(apical acrosome)(AA)のGM1局在パターンと先体原形質膜(acrosomal plasma membrane)(APM)のGM1局在パターンは、ヒトの精子の受精能獲得に関連付けられている。AA及びAPMのGM1の各局在パターンに加えて、Lined-Cell、中間体(INTER)、先体後原形質膜(post acrosomal plasma membrane)(PAPM)、頂端先体/先体後(apical acrosome/post acrosome)(AA/PA)、エクアトリアルセグメント(ES)、及びディフューズ(DIFF)のGM1局在パターンなどの他の標識局在パターンがあるが、これらのパターンは受精能獲得と関連していない(非特許文献1)。
Cap-ScoreTMアッセイは、([AAのGM1局在パターンの数+APMのGM1局在パターンの数]/GM1標識局在パターンの総数)として定義され、より簡単に説明すれば、受精能を獲得した精子の数をGM1局在パターンの総数で除し、100%を乗じて、受精能を獲得した精子の割合(%)を求める。35以上のCAP-ScoreTMは、正常な受精能状態を示す。CAP-ScoreTM受精能アッセイは、例えば、特許文献1~3に記載されており、これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する。
一実施形態では、精索静脈瘤に罹患している対象における生殖アプローチを特定するための方法が開示される。一実施形態では、前記方法は、対象が精索静脈瘤と診断されたという情報を受け取ることと、精子サンプルを得ることと、前記精子サンプルを固定剤で固定することと、前記精子サンプルを、GM1局在パターンを特定する標識で標識することと、前記精子サンプルで発現されるGM1局在パターンの総数(「総GM1」)を測定することと、前記精子サンプルで発現される頂端先体(AA)及び先体原形質膜(APM)のGM1局在パターンを測定することと、特にAA+APM/総GM1局在パターンを使用して、総GM1、AA、及びAPMの関数としてCAP-ScoreTMを得ることと、推奨される生殖アプローチを使用するための指示を与えることとを含む。本発明の実施形態では、生殖アプローチは、精索静脈瘤修復手術、自然受胎、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、子宮頸管内授精(ICI)、顕微授精(ICSI)、配偶子卵管内移植(GIFT)、及び囲卵腔内精子注入(SUZI)から選択される。本発明の実施形態では、精索静脈瘤は、理学的検査によって診断される。本発明の実施形態では、生殖アプローチは、CAP-ScoreTMが低受精能範囲内である、即ち、参照平均値未満又はより低く1標準偏差よりも低い場合、精索静脈瘤修復手術、IUI、ICI、IVF、ICSI、GIFT、及びSUZIから選択される。本発明の実施形態では、生殖アプローチは、一般に、CAP-ScoreTMが参照平均値未満で約1標準偏差よりは高い、CAP-ScoreTMが通常の受精能範囲内である場合、自然受胎、ICI、及びIUIから選択される。本発明の実施形態では、生殖アプローチは、精索静脈瘤修復手術である。本発明の実施形態では、指示は、対象に与えられる。別の実施形態では、指示は、医療専門家に与えられる。
本発明の実施形態では、前記方法は、精索静脈瘤修復手術が成功したかどうかを判定するために、精索静脈瘤修復手術後に得られた精子サンプルに手術後のCAP-ScoreTMを提供することを更に含む。実施形態では、前記方法は、手術前に生成された元のCAP-ScoreTMを手術後のCAP-ScoreTMと比較することを更に含む。実施形態では、初期のCAP-ScoreTMと比較した手術後のCAP-ScoreTMの上昇が、精索静脈瘤修復手術の成功を示す。実施形態では、手術後のCAP-ScoreTMの少なくとも7パーセントの上昇が、精索静脈瘤修復手術の成功を示す。
本発明の実施形態では、GM1局在パターンは、頂端先体(AA)、先体原形質膜(APM)、裏打ち細胞、中間体(INTER)、先体後原形質膜(PAPM)、エクアトリアルセグメント(ES)、及びディフューズ(DIFF)から選択される。本発明の実施形態では、精子サンプルは、少なくとも30分間固定される。本発明の実施形態では、標識は、蛍光標識である。別の実施形態では、標識は、コレラ毒素bサブユニットである。本発明の別の実施形態では、前記方法は、運動性、形態、量、濃度、pH、粘度、及びそれらの組合せから選択される1以上の精子の特徴を分析することを更に含む。
前述の概要、及び本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことで、よりよく理解される。
図1は、相対的な受精能と、3回の試行以内に妊娠を引き起こす、対応する確率を示す(星印)。連続体(continuum)は、複数の臨床現場からの複数の患者から得たデータを使用して生成及び試験した。
図2は、図2A~図2Lを含み、精索静脈瘤切除前後の射精液についての実施例2のデータを示す。図2A~図2Dは、ノンレスポンダのデータを表し、図2E~図2Hは、レスポンダのデータを表し、図2I~図2Lは、精索静脈瘤切除前後のサンプルの平均(+)を示すボックスウィスカープロットを表す。図2A、図2D、及び図2Iは、CAP-ScoreTM測定を表し、図2B、図2E、及び図2Jは、精子濃度を表し、図2C、図2F、及び図2Kは、精子の運動性を表し、図2D、図2G、及び図2Lは、正常な精子の形態を表す。
発明の詳細な説明
特段の断りがない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はいずれも、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるの意味と同一の意味を有する。本明細書で言及される特許及び刊行物はいずれも、参照によりそれらの全体を援用する。
添付の図面を参照して、以下、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示される。実際、本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化することができ、明示的に記載された実施形態に限定されると解釈されない。本発明の図面及び説明の少なくとも一部は、本発明の明確な理解に関連する要素に焦点を合てて簡略化されているが、明確化のために、当業者であれば本発明の一部も含み得ると理解する他の要素を排除していることが理解される。しかし、かかる要素は当技術分野でよく知られており、且つそれらは必ずしも本発明のより良い理解を容易にするとは限らないので、かかる要素の説明を本明細書では行わない。
定義
誤解を避けるために、本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例に関連して記載される具体的な特徴(例えば、整数、特性、値、用途、疾患、式、化合物、又は基)は、互換性がない場合を除き、任意の他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であることが理解されることが、本明細書で意図される。したがって、かかる特徴は、本明細書で定義される定義、特許請求の範囲、又は実施形態のいずれかと併せて、必要に応じて使用することができる。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又はそのように開示された任意の方法又はプロセスの全ての工程は、特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが互いに排他的である組合せを除く任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、開示された実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つ又は新規の組合せ、又は開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規の1つ又は任意の新規の組合せに及ぶ。
用語「約」及び「およそ」は、統計的に意味のある値の範囲内を意味する。かかる範囲は、所与の値又は範囲の1桁以内、好ましくは50%以内、より好ましくは20%以内、更により好ましくは10%以内、更により好ましくは5%以内であることができる。用語「約」又は「およそ」に含まれる許容される変動は、試験中の具体的な系に依存し、当業者によって容易に理解され得る。更に、本明細書においては、用語「約」及び「およそ」は、寸法、サイズ、組成、パラメータ、形状、並びに他の量及び特性が正確ではない及び正確である必要がないが近似している及び/又はより大きい又はより小さくてもよいことを意味し、所望により、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映する。一般に、寸法、サイズ、組成、パラメータ、形状、又はその他の量若しくは特性は、そのように明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「およそ」のものである。非常に異なるサイズ、形状、及び寸法の実施形態は、記載された配置を採用し得ることが留意される。
添付の特許請求の範囲で使用される、「含む(comprising)」、「本質的にからなる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」という移行句は、元の形式及び補正された形式で、特許請求の範囲から排除される未記載の追加のクレーム要素又は工程が何であるかに関して請求範囲を規定する。用語「含む」は、インクルーシブ又はオープンエンドであることが意図され、いかなる追加の未記載要素、方法、工程、又は材料も排除しない。用語「からなる」は、請求項で特定されたもの以外の要素、工程、又は材料、及び後者の場合、特定された材料に通常関連する不純物を排除する。用語「本質的にからなる」は、請求項の範囲を、特定された要素、工程、又は材料、及び請求された発明の基本的且つ新規の特性に実質的に影響を与えないものに限定する。本発明を具現化する本明細書に記載の組成物、方法、及びキットはいずれも、代替の実施形態においては、「含む」、「本質的にからなる」、及び「からなる」のいずれかの移行句によってより具体的に定義することができる。
M1は、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシドを意味し、ガングリオシドのガングリオシリーズのメンバである。用語「GM1局在パターン」は、本明細書においては、GM1パターン、GM1局在、パターン、及び/又は局在パターンと相互変換可能に使用される。
ヒトの精子の場合、精子がインビトロでの受精能獲得条件下にあった場合、8つの異なるGM1局在パターンが報告されている。局在パターンを視覚化するために、受精能を獲得した精子を、蛍光検出可能な標識を有するコレラ毒素bなどのGM1用標識分子で処理した。次いで、標識された精子細胞は、当業者に知られているように、蛍光顕微鏡を使用して視覚化される。
INTERは、蛍光シグナルの大部分がエクアトリアルセグメントの周りのバンドにあり、原形質膜の一部のシグナルが先体を覆っている精子細胞によって特徴付けられる。通常、蛍光シグナルの勾配があり、エクアトリアルセグメントで最も多く、次いで、先端に向かって徐々に小さくなる。エクアトリアルセグメントを横切るバンドの精子頭部の縁で、蛍光シグナル強度の上昇がみられる場合が多い。
頂端先体「AA」は、蛍光シグナルが頂端に向かって集中し、輝度が増し、シグナルのある領域が減る精子細胞によって特徴付けられる。
先体原形質膜「APM」は、先体を覆う原形質膜に分布した蛍光シグナルを示す精子細胞によって特徴付けられる。APMシグナルは、先端に向かって頂端に移動する明るいエクイトリアルINTERバンドから確認される、又は、AAとの連続体であるので、先端方向に更に上方に向かい始めることができ、より小さな領域で見出すことができる。
先体後原形質膜「PAPM」は、蛍光シグナルが先体後原形質膜にのみ存在する精子細胞によって特徴付けられる。
頂端先体/先体後「AA/PA」は、蛍光シグナルが先体を覆う原形質膜と先体後原形質膜の両方に位置する精子細胞によって特徴付けられる。エクアトリアルセグメントは、蛍光シグナルを示さない。
エクアトリアルセグメント「ES」は、エクアトリアルセグメントにのみ位置する明るい蛍光シグナルを有する精子細胞によって特徴付けられる。エクアトリアル領域に亘って、精子頭部の肥厚を伴う場合がある。
ディフューズ「DIFF」は、精子頭部全体に拡散蛍光シグナルが存在する精子細胞によって特徴付けられる。
Lined-Cellは、先体後領域の上部、先体を覆う原形質膜、及びエクアトリアルセグメントの下部(即ち、先体後/エクアトリアルのバンド)に拡散蛍光シグナルを有する精子細胞によって特徴付けられる。エクアトリアルセグメントの周りで、蛍光シグナルが欠落している。
「CAP-ScoreTM」は、[頂端先体(AA)のGM1局在パターンの数+先体原形質膜(APM)のGM1局在パターンの数]を[GM1標識局在パターンの総数]で除した比として定義される(Travis et al., “Impacts of common semen handling methods on sperm function,” The Journal of Urology, 195 (4), e909 (2016))。様々なGM1局在パターンの総数に達するためには、局在パターンの数を、少なくとも100個の精子細胞についてカウントする。CAP-Scoreは、米国特許出願第2017/0184605号明細書及び同第2017/0234857号明細書においても説明及び言及されており、これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する。
本願の目的のために、「授精」は、生殖アプローチに依存する意味を有すると理解される。例えば、「性交」の場合、授精は、女性の生殖管への精子の導入を意味すると理解される。例えば、「子宮頸管内授精(ICI)」の場合、授精は、女性の子宮頸部への精子の導入を意味すると理解される。「子宮内授精(IUI)」の場合、授精は、精子が女性の子宮に導入される場合を意味すると理解される。「体外受精(IVF)」の場合、授精は、精子が卵細胞(卵母細胞)を含む培地の液滴に導入され、精子と卵細胞の共培養を可能にすることを意味すると理解される。「顕微授精(ICSI)」の場合、授精は、卵細胞への精子又は受精能獲得精子の注入を意味すると理解される。「配偶子卵管内移植(GIFT)」の場合、授精は、精子又は受精能獲得精子と卵細胞とを、女性の卵管に注入することを意味すると理解される。「囲卵腔内精子注入(SUZI)」の場合、授精は、透明帯の直下に1個の精子細胞又は1個の受精能獲得前の精子細胞を注入することを意味すると理解される。本願の目的では、用語「凍結保存」は、細胞を使用するために、凍結、保存、及び解凍するプロセス全体を意味する。
以下、本明細書においては、雄性は、哺乳動物である。実施形態では、雄性は、ヒトである。別の実施形態では、雄性は、非ヒト哺乳動物である。かかる一実施形態では、雄性は、コンパニオンアニマルである。別の実施形態では、雄性は、農業用動物である。かかる一実施形態では、雄性は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、又はバッファローである。
用語「受精能獲得」精子は、受精能獲得のプロセスを促進する条件下でインキュベートされた精子を意味する。受精能獲得精子は、先体エキソサイトーシスを受ける能力を獲得し、運動性の過剰活性化パターンを獲得している。受精能獲得精子は、卵子と受精することができる。
CAP-Score TM 分析
本開示は、特定のGM1局在パターンが、雄性の受精能に関する情報を提供し得るという観測に基づく。GM1局在パターンの決定は、米国特許第7,160,676号明細書、同第7,670,763号明細書、及び同第8,367,313号明細書に記載されており、これらの開示内容を参照により本明細書に援用する。本開示は、精索静脈瘤に罹患している雄性における、生殖アプローチを決定するための方法を提供する。特定の実施形態では、前記方法は、インビトロで受精能獲得刺激への曝露時の特定のGM1局在化パターンの割合(%)の変化に基づく。
本発明の実施形態では、CAP-ScoreTMは、[GM1標識局在パターンの総数]で除した[頂端先体(AA)のGM1局在パターンの数+先体原形質膜(APM)のGM1局在パターンの数]を評価することによって算出される。本発明の実施形態では、精液サンプルを得て、精液サンプルを、受精能獲得条件に曝露し、固定し、標識し、視覚的に検査して、GM1局在化パターンを特定する。
一実施形態では、受精能獲得条件は、重炭酸イオン、カルシウムイオン、及びステロール受容体、例えば、血清アルブミン又はシクロデキストリンの1以上の培地中での存在を含む。一実施形態では、インビトロ受精能獲得条件は、培地中の重炭酸イオン及びカルシウムイオンの存在、並びにステロール受容体の存在を含む。一実施形態では、ステロール受容体は、ステロール流出のメディエータである。
一実施形態では、受精能獲得は、重炭酸塩及びカルシウムイオンなどの外部刺激、並びにステロール流出のメディエータ、例えば、2-ヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、血清アルブミン、高密度リポタンパク質、リン脂質小胞、リポソームなどへの曝露によってインビトロで誘導され得る。特定の実施形態では、これらの刺激の1以上にインビトロで精子が曝露されると、GM1局在パターンの特定可能な変化が観察される。
一実施形態では、回収後、精液サンプルは、典型的には、液化、洗浄、及び/又は濃縮のうちの1以上を含む、何らかの方法で処理される。いくつかの実施形態では、液化は、サンプルを室温又は37℃(又はその間の任意の温度)で様々な時間(通常15~20分間であるが、10~60分間の範囲)に亘って液化させることを含む。液化は、精漿がゲル状から、流体/液体の粘稠度に変換されるプロセスである。精漿は通常、操作なしで液化するが、特に粘性の高いサンプルの場合、又はプロセスを早める若しくは全てのサンプルを取り扱う際の一貫した液化プロトコルを作成したい場合には、個人がサンプルを操作して液化を実現してもよい。特定の実施形態では、精液サンプルは、非金属材料で作製された広いオリフィスのピペットを使用することによって精液粘度を低下させるように操作される。いくつかの実施形態では、広いオリフィスのピペットは、少なくとも18ゲージ、16ゲージ、又は14ゲージのゲージサイズを有する。いくつかの実施形態では、広いオリフィスのピペットは、少なくとも1mm、1.2mm、又は1.4mmのオリフィスサイズを有する。特定の実施形態では、精子膜を損傷しない様々な試薬を添加することによって液化を達成することもできる。避けるべき試薬は、精子の膜を損傷する試薬である。精子は、遠心分離及び再懸濁によって洗浄され、精液分析に供され、及び/又は以下を含む1以上の選択プロセスに供することができる:上層を作製し、密度勾配によって遠心分離すること;上層を作製し、密度勾配によって遠心分離した後、精子が濃縮されたフラクションを回収し、続いて再懸濁及び洗浄すること;上層を作製し、密度勾配によって遠心分離した後、精子が濃縮されたフラクションを回収し、続いてその上層に、運動性精子がスイムアップする低密度培地を重層すること;又はサンプルの上に低密度培地を重層して、運動性精子がその中をスイムアップすることを可能にすること。
一実施形態では、回収後、精液サンプルは、例えば、参照によりその全体を本明細書に援用するPCT/US2019/059477に記載される精液増量培地に添加される。実施形態では、精液増量培地は、精液サンプルから洗浄され、本明細書に記載されるように処理される。
一実施形態では、初期の処理後、精子数をカウントし、所望の最終濃度を達成するために、所与の数の精子を受精能獲得培地含有容器(チューブなど)に入れる。一実施形態では、精子の典型的な最終濃度は、1,000,000/mlである(最終濃度範囲は、250,000/ml~250,000,000/mlまで変化し得る)。一実施形態では、精子は、非受精能獲得培地含有容器に入れられる。
一実施形態では、受精能獲得媒体は、生理学的緩衝液、例えば、ヒト卵管液(HTF);改変ヒト卵管液(mHTF);ウィッテン培地;改変ウィッテン培地;KSOM;リン酸緩衝生理食塩水;HEPES-緩衝生理食塩水;トリス緩衝生理食塩水;ハムF-10;タイロード培地;改変タイロード培地;TES-トリス(TEST)-卵黄緩衝液;又はBiggers、Whitten、及びWhittingham(BWW)培地である。一実施形態では、基本培地は、生存率を上昇させるため、又は受精能獲得の誘発を助けるのに十分な濃度で、胎児臍帯血清限外濾過液、プラズマネート、卵黄、脱脂乳、アルブミン、リポタンパク質、又は脂肪酸結合タンパク質などの、タンパク質の1以上の決まった(defined)若しくは複合供給源又は他の因子を含む。本発明の実施形態では、受精能獲得のための典型的な刺激は、以下のうちの1以上を含む:重炭酸塩(典型的には20~25mM、範囲:5~50mM)、カルシウム(典型的には1~2mM、範囲:0.1~10mM)、及び/又はシクロデキストリン(典型的には1~3mM、範囲:0.1~20mM)。シクロデキストリンは、2-ヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリン及び/又はメチル-β-シクロデキストリンを含むことができる。
本発明の実施形態では、受精能獲得培地中でのインキュベーションは、30℃~38℃の温度で行われる。実施形態では、温度は、37℃である。実施形態では、受精能獲得培地中でのインキュベーションは、約15分間~約36時間以上行われる。本発明の実施形態では、インキュベーション時間は、約1時間~約4時間である。別の実施形態では、インキュベーション時間は、約3時間である。別の実施形態では、インキュベーション時間は、約24時間である。別の実施形態では、インキュベーション時間は、約36時間である。
一実施形態では、GM1パターンを生成するために、精子を標準的な基本培地(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、改変ウィッテン培地、又は他の同様の培地)で洗浄される。GM1は、エピトープとして機能し得る細胞外糖残基を有するので、細胞を固定して透過処理する必要なしに視覚化することができる。
別の実施形態では、精子は固定される。精子細胞の固定は、標本のより良い保存、より容易な視覚化(遊泳している精子の識別パターンと比較して)をもたらし、より長い視覚化時間を可能にする。精子の組織学的研究で知られている様々な固定剤は、当業者の知識の範囲内である。好適な固定剤としては、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ブアン固定剤、及びカコジル酸ナトリウム、塩化カルシウム、ピクリン酸、タンニン酸などを含む固定剤が挙げられる。一実施形態では、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、又はそれらの組合せが使用される。
本発明の実施形態では、固定剤は、パラホルムアルデヒドである。実施形態では、パラホルムアルデヒドは、精子を固定するために、約0.004%(重量/体積)~約4%(重量/体積)のパラホルムアルデヒドで使用される。別の実施形態では、パラホルムアルデヒドは、精子を固定するために、約0.01%~約1%(重量/体積)で使用される。一実施形態では、約0.005%(重量/体積)のパラホルムアルデヒド~約1%(重量/体積)のパラホルムアルデヒドが使用される。一実施形態では、精子を固定するために、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、及びCaClの組合せが使用される。実施形態では、リン酸緩衝生理食塩水中の約4%のパラホルムアルデヒド(重量/体積)、約0.1%のグルタルアルデヒド(重量/体積)、及び約5mMのCaClが使用される。
精子サンプルが固定剤中で固定される期間は、様々であり得る。一実施形態では、精子サンプルは、固定剤中で、少なくとも約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、又は約60分間、固定される。別の実施形態では、精子サンプルは、固定剤中で約5時間以下、固定される。一実施形態では、精子サンプルは、固定剤中で約5時間超、固定される。別の実施形態では、精子サンプルは、固定剤中で、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、約24時間、約24.5時間、約25時間、約25.5時間、約26時間、約26.5時間、約27時間、約27.5時間、約28時間、約28.5時間、約29時間、約29.5時間、約30、又は前記時間から決められ得る任意の範囲の時間(例えば、約26時間~約28時間又は約3時間~約5時間)固定される。
一実施形態では、生きている精子又は固定された精子におけるGM1局在パターンは、標識/結合技術を使用することによって得られる。一実施形態では、GM1ガングリオシドに対して特異的な親和性を有する分子を使用することができる。別の実施形態では、標識分子は、検出可能な標識(フルオロフォアなど)に直接結合させることができる、又は検出可能な標識を有する第2の標識分子によって検出することができる。例えば、コレラ毒素のbサブユニットは、GM1に特異的に結合することが知られている。したがって、標識された(例えば、蛍光標識された)コレラ毒素bサブユニットを、GM1局在パターンを得るために使用することができる。一実施形態では、フルオロフォアに結合したコレラ毒素のbサブユニットの最終濃度は、約10μg/ml~約15μg/mlである。別の実施形態では、フルオロフォアに結合したコレラ毒素のbサブユニットの最終濃度は、約0.1μg/ml~約50μg/mlである。
別の実施形態では、GM1に対する標識化抗体を使用することができる。更に別の代替形態では、コレラ毒素bサブユニットに対する標識化抗体を使用して、GM1染色のパターンを視覚化することができる。別の実施形態では、GM1に直接結合する一次抗体又はコレラ毒素のbサブユニットに結合する一次抗体のいずれかに結合する標識化二次抗体を使用することができる。本明細書においては、用語「GM1染色」若しくは「GM1の染色」又は「標識」若しくは関連用語は、GM1への標識化親和性分子の結合のために細胞上又は細胞内に見られる染色を意味する。例えば、蛍光タグ/標識化コレラ毒素bサブユニットがGM1の局在に使用される場合、シグナル又は染色は、コレラ毒素bサブユニット由来であるが、GM1の位置の指標となる。用語「シグナル」及び「染色」及び「標識化」は、相互変換可能に使用される。検出可能な標識は、検出可能なシグナルを生成することができる。かかる標識としては、放射性核種、酵素、蛍光剤、又は発色団が挙げられる。精子中のGM1分布の標識化(又は染色)及び視覚化は、標準的な技術によって行われる。本発明の一実施形態では、コレラ毒素のbサブユニット以外の標識分子、例えば、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体も使用することができる。GM1ガングリオシドに対する特異的抗体は、通常の免疫プロトコルによって生成することができ、商業的に購入することもできる(例えば、Matreya,Inc.,State College,PA)。抗体は、GM1に対して産生され得る、又はGM1分子の関連するエピトープのペプチド模倣物を使用することによって生成され得る。ペプチド模倣物の同定及び生成は、当業者によく知られている。更に、コレラ毒素へのbサブユニットの結合は、低分子によって模倣され得る。所与の試薬に対して同様の結合特性を有する低分子の同定は、当業者によく知られている。
受精能閾値と生殖アプローチのための推奨事項
本発明の実施形態では、CAP-ScoreTMに関連する受精能閾値は、公知の受精能参照集団の分布統計に基づいて決定される。参照集団の平均CAP-ScoreTM未満で1標準偏差よりも高い値に対応する受精能閾値は、正常な雄性の受精能を示し、参照集団の平均未満で1標準偏差以下である受精能閾値は、低受精能状態を示す。図1は、受精能を有する参照集団を示す。図1は、27.6%の例示的な参照値を示し、この値は、正常な受精能の雄性の平均値(35.36%、星印で示す)未満で1標準偏差である。この値を超えるCAP-ScoreTMの結果のサンプルは、「正常な受精能」範囲にあるとみなされる。参照集団の平均値未満で1標準偏差以下(即ち、図1では27.6%以下)のCAP-ScoreTMは、「低受精能」範囲とされる。実際のパーセント値は、最低正常受精能閾値と低受精能閾値との間の厳密な「カットオフ」であると解釈されない。その理由は、平均値をより正確にするためにデータが継続的に参照集団に追加され、図1に示される「妊娠を引き起こす確率」として、雄性の受精能をCAP-ScoreTMが最も良く測定するためである。低受精能と正常受精能との間の受精能閾値は、前記のように特徴付けられる。即ち、正常な受精能状態は、参照平均未満で1標準偏差より高く、低受精能状態は、参照平均未満で1標準偏差以下である。
当業者は、生殖アプローチの推奨が、雄性の受精能状態、雌性の受精能状態、及び他の変数を含む、多くの要因に基づくことを理解する。本願では、生殖アプローチの推奨は、雄性の受精能の特性に基づいている。例えば、CAP-ScoreTMが「正常な受精能」範囲にある雄性は、通常、自然受胎、IUI、又はICIなどの生殖アプローチが推奨される。CAP-ScoreTMが低受精能範囲にある雄性は、IVF、ICSI、SUZI、又はGIFTなどのより積極的な生殖アプローチが推奨され得る。
精索静脈瘤自体が、CAP-ScoreTMが低受精能範囲となる理由であることがある。この場合、生殖アプローチの推奨事項は、まず、精索静脈瘤修復手術を試みてから、CAP-ScoreTMを再評価することになり得る。修復手術が成功すれば、CAP-ScoreTMは上昇する。一実施形態では、CAP-ScoreTMは、正常な受精能閾値まで上昇する。別の実施形態では、CAP-ScoreTMは、正常な受精能閾値まで上昇しない。CAP-ScoreTMが上昇するものの正常な受精能範囲内までではない限り、生殖アプローチの推奨は、低受精能の雄性に対する推奨と同様であり、即ち、IVF、SUZI、又はGIFTである。CAP-ScoreTMが正常な受精能範囲内まで上昇した場合、生殖アプローチの推奨は、自然受胎、IUI、又はICIを含む。
精索静脈瘤及びCAP-Score TM
精索静脈瘤に罹患している患者は、対照群と比較して、必ずしも有意に異なる精液分析を示すとは限らないことが確認されている(実施例1を参照)。したがって、医療提供者が量、濃度、運動性、及び形態などの従来の精液分析パラメータのみを使用する場合、精索静脈瘤は、雄性の受精能/生殖の障害として特定されない場合があり、その修復は、受精能を改善する手段として特定されないことがある。CAP-ScoreTM分析では、精索静脈瘤が、精子の受精能獲得に大きな影響を及ぼすことが示されている。表1は、CAP-ScoreTM、総精子受精能獲得、及び精索静脈瘤患者と対照患者との間で妊娠を引き起こす確率の有意差を示しており、精索静脈瘤の修復により受精能獲得が改善され、男性患者の受精能が向上することを示す。
本発明の実施形態では、CAP-ScoreTMは、精索静脈瘤に罹患している雄性が、受精能を改善するために精索静脈瘤修復手術を受ける候補であるかどうかを評価するための方法に有用である。前記方法は、雄性が精索静脈瘤に罹患しているという情報を得ることと、前記雄性のCAP-ScoreTMを評価することとを含み、CAP-ScoreTMが低受精能範囲にある場合、雄性は、受精能を改善するために精索静脈瘤修復手術を受ける候補である。
本発明の実施形態では、CAP-ScoreTMは、精索静脈瘤修復手術が成功したかどうかを評価するための方法に有用である。実施形態では、CAP-ScoreTMは、手術前及び手術後に評価され、手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、手術が成功したことを示す。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも、CAP-ScoreTMの正常な変化を説明するのに十分である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも7.7%である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%以上である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも約7.7%である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも約6%~約20%である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも7%~約15%である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも約7%である。本発明の実施形態では、手術前のCAP-ScoreTMに対する手術後のCAP-ScoreTMの上昇は、少なくとも約12%である。本発明の実施形態では、静脈瘤切除術前後のCAP-ScoreTMの上昇は、手術の成功を示すことができ、手術後のCAP-ScoreTMは、正常な受精能範囲になり得る。かかる場合、自然受胎、IUI、又はICIなどの生殖アプローチが推奨され得る。本発明の実施形態では、静脈瘤切除術前後のCAP-ScoreTMの上昇は、手術の成功を示し得るが、CAP-ScoreTMは依然として低受精能範囲内にあることもある。かかる場合、ICI、IVF、GIFT、SUZI、又はICSIなどの生殖アプローチが推奨され得る。
本発明の実施形態では、精索静脈瘤に罹患している対象における生殖アプローチを特定するための方法が開示される。前記方法は、前記対象が精索静脈瘤に罹患しているという情報を受け取ることと、前記対象のCAP-ScoreTMを評価することと、推奨される生殖アプローチに関する指示を提供することとを含む。本発明の実施形態では、CAP-ScoreTMを上昇させて受精能を上昇させるために、精索静脈瘤修復手術が推奨される。別の実施形態では、前記方法は、精索静脈瘤修復手術を受けた患者の手術後のCAP-ScoreTMを評価して、推奨される生殖アプローチを特定することを更に含む。本発明の実施形態では、手術後のCAP-ScoreTMの正常な受精能範囲への上昇により、自然受胎、IUI、又はICIの推奨がなされる。本発明の実施形態では、手術後のCAP-ScoreTMの正常な受精能範囲への上昇により、ICI、IVF、GIFT、SUZI、又はICSIの推奨がなされる。
実施例1:精索静脈瘤が精子の受精能獲得に及ぼす影響
Philip Xieらによる、2019 American Society for Reproductive Medicine (ASRM) Scientific Congress & Expoで示された研究データ(Oct.15,2019;DOI:https://doi.org/10.1016/j.fertnstert.2019.07.793)によれば、精索静脈瘤が精子の受精能獲得に影響を及ぼすことが示されている。18名の男性から射精液を得、従来の精液分析を行った。CAP-ScoreTMは、米国特許出願第2017/0184605号明細書及び同第2017/0234857号明細書に記載されているように、Androvia LifeSciencesによって開発された独自方法を使用して決定した。簡単に説明すれば、各射精液を受精能獲得培地で3時間インキュベートした。次いで、射精液を固定剤で少なくとも30分間固定し、蛍光標識で少なくとも10分間標識し、GM1局在パターンを評価した。パターンAAとAPMは、受精能獲得精子を示す。AA+APMパターンの割合(%)を決定し、CAP-ScoreTMを割り当てた。CAP-ScoreTMが、受精能を有する男性の集団の平均(約35.3%)未満で1標準偏差より低い男性は、低受精能(約27.6%以下)を有するとみなした。
試験を受けた18名の男性のうち8名は、理学的検査によってグレード2以上の精索静脈瘤と診断された。対照群は、10名の男性とした。射精液サンプルは、対照群と精索静脈瘤群とで同時に採取した。
対照群と精索静脈瘤群との間の精液分析の結果は、量、濃度、運動性、及び形態などの精液パラメータが有意に異ならなかったことを示した。しかし、CAP-ScoreTM、総精子受精能獲得、及び妊娠を引き起こす確率(PGP)はいずれも、精索静脈瘤集団で有意に低く(以下の表1を参照)、初めて、精子の受精能獲得、延いては、卵子と受精する能力が精索静脈瘤に影響されることを示している。
表1:精液分析とCAP-Score TM の結果
Figure 2022531174000002
実施例2:精索静脈瘤手術後のCAP-Score TM の改善-研究1
Eric Seamanらによる、2019 Annual Conference of the Foundation for Reproductive Medicine (Nov. 21-24,2019)で示された研究データによれば、CAP-ScoreTMが精索静脈瘤後に改善することが示されている。射精液を、精索静脈瘤切除前と精索静脈瘤切除後少なくとも3ヶ月間の両方で、精索静脈瘤と診断された男性から得た。従来の精液分析を、世界保健機関(WHO)によって定められているように行った。WHO精液パラメータは、量(ml)、精子濃度、総精子数、運動性(%活動性)、バイタリティ(%生存率)、及び形態(%正常)を含む。CAP-ScoreTMは、実施例1に記載した方法を使用して評価した。結果の有意性は、対応のあるサンプルのt検定を使用して決定した。
本実施例では、7名の男性が試験を受け、このうち5名(即ち、71%)がCAP-ScoreTMの改善を示した。この改善は、3サイクルで妊娠を引き起こす確率(PGP)の91%上昇に対応した。CAP-ScoreTMの改善を示す男性は、自然受胎及び/又はIUIを含む生殖アプローチを行うように助言された。CAP-ScoreTMの改善が見られない男性は、IVF及び/又はICSIを行うように助言された。
レスポンダとノンレスポンダの結果を図2A~図2Lに示す。図2A~図2Dは、CAP-ScoreTM、濃度、運動性、及び正常な形態のそれぞれにおけるノンレスポンダの結果を示す。図2E~図2Hは、これらの同一カテゴリのそれぞれにおけるレスポンダの結果を示す。図2I~図2Lは、「ボックスウィスカー」プロットである。これらのプロットでは、「+」は、それぞれのパラメータの静脈瘤切除前後の各群の平均を示し、中央のバーは中央値であり、ボックスの下限と上限は、それぞれ第1四分位数と第3四分位数である。上限及び下限を上回る又は下回る点は、外れ値とみなす。
図2Eは、静脈瘤切除前後のCAP-ScoreTMの改善を示し、平均で約12.6%±1.0%上昇し、図2Iの対応するウィスカープロットは、0.02のp値を示す。図2Fは、静脈瘤切除前後の濃度の改善を示し、図2Jの対応するウィスカープロットは、0.155のp値を示す。図2Gは、静脈瘤切除前後の運動性の改善を示し、図2Kの対応するウィスカープロットは0.088のp値を示す。図2Hは、静脈瘤切除前後の形態を示し、図2Lの対応するウィスカープロットは、0.023のp値を示す。3名のレスポンダは、濃度、運動性、及び形態の3つ全てにおいて有意な改善を示し、1名のレスポンダは、運動性と形態に有意な改善を示し、1名のレスポンダは、形態のみに有意な改善を示した。7名の男性のうち全部で6名は、少なくとも1つの精液パラメータに一定の改善を示した。
前記実施例は、当業者に、本発明の組成物、システム、及び方法の実施形態を製造及び使用する方法の完全な開示及び記載を与えるために提供され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することは意図されない。当業者に明らかである本発明を実施するための前記態様の改変は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に記載される特許及び刊行物はいずれも、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを示す。
見出し及びセクションの指定はいずれも、明確化及び参照目的でのみ使用され、限定するものとはみなされない。例えば、当業者は、本明細書に記載の本発明の精神及び範囲にしたがって、必要に応じて、異なる見出し及びセクションからの各種態様を組み合わせることが有用であることを理解する。
本明細書に引用される文献はいずれも、各刊行物又は特許若しくは特許出願が、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用されていることが個別具体的に示されているのと同様に、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に援用される。
当業者に明らかであるように、本願に対する多くの修正及び変形を、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態及び実施例は、単なる例としてのみ提供されており、本願は、請求項と等価と考えられる等価物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
Travis et al., "Impacts of common semen handling methods on sperm function," The Journal of Urology, 195 (4), e909 (2016)
米国特許公開第2017/0248584号明細書 米国特許公開第2017/0184605号明細書 米国特許公開第2017/0234857号明細書

Claims (15)

  1. 精索静脈瘤に罹患している対象における生殖アプローチを特定するための方法であって、
    (a)前記対象が精索静脈瘤と診断されたという情報を受け取ることと、
    (b)前記対象から精子サンプルを得ることと、
    (c)前記精子サンプルを固定剤で固定することと、
    (d)前記精子サンプルを、GM1局在パターンを特定する標識で標識することと、
    (e)前記精子サンプルで発現されるGM1局在パターンの総数(「総GM1」)、前記精子サンプルで発現される頂端先体(AA)のGM1局在パターンの数及び先体原形質膜(APM)のGM1局在パターンの数を測定することと、
    (f)総GM1、AA、及びAPMの関数としてCAP-ScoreTMを得ることと、
    (g)推奨される生殖アプローチを使用するための指示を与えることと
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記精索静脈瘤が、理学的検査によって診断される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生殖アプローチが、精索静脈瘤修復手術、自然受胎、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、子宮頸管内授精(ICI)、顕微授精(ICSI)、配偶子卵管内移植(GIFT)、及び囲卵腔内精子注入(SUZI)から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記生殖アプローチが、前記対象の前記CAP-ScoreTMが参照集団平均未満で1標準偏差より高い場合、自然受胎、IUI、及びICIから選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記生殖アプローチが、前記CAP-ScoreTMが参照集団平均未満で1標準偏差より低い場合、IVF、ICSI、GIFT、及びSUZIから選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記指示が、前記対象に与えられる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記指示が、医療専門家に与えられる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記生殖アプローチが、精索静脈瘤修復手術である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記精索静脈瘤修復手術が成功したかどうかを判定するために、精索静脈瘤修復手術後に得られた精子サンプルに手術後のCAP-ScoreTMを提供することを更に含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記CAP-ScoreTMを前記手術後のCAP-ScoreTMと比較することを更に含み、前記手術後のCAP-ScoreTMの少なくとも7パーセントの上昇が、精索静脈瘤修復手術の成功を示す、請求項9に記載の方法。
  11. 前記GM1局在パターンが、頂端先体(AA)、先体原形質膜(APM)、裏打ち細胞、中間体(INTER)、先体後原形質膜(PAPM)、エクアトリアルセグメント(ES)、及びディフューズ(DIFF)から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記精子サンプルが、少なくとも30分間固定される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記標識が、蛍光標識である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記標識が、コレラ毒素bサブユニットである、請求項13に記載の方法。
  15. 運動性、形態、量、濃度、pH、粘度、及びそれらの組合せから選択される1以上の精子の特徴を分析することを更に含む、請求項1に記載の方法。

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