本開示は、シェルのヒンジ軸から延びる装具本体と一体的に形成された少なくとも1つの屈曲可能なフラップと、シェルと対応する屈曲可能なフラップとの間のそれぞれのフラップ境界領域内に配置された少なくとも1つの円弧状部材と、を含む取り外し可能な歯科装具について記載する。取り外し可能な歯科装具による歯列矯正治療は、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ及びフラップ境界領域内の少なくとも1つの円弧状部材を使用して、患者の歯に加えられる力ベクトルをより良く制御することができる。屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに、所望の位置に向けて歯を移動させるために歯に力を加える。例えば、屈曲可能なフラップの静止位置は、歯の所望の位置によって画定される空間に侵入し得る。シェルは、シェルの内部に空隙を画定し、所望の位置に歯を受け入れるように成形された表面を含んでもよい。取り外し可能な歯科装具の使用中、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、歯によって変形位置へ変位され、力を生じる一方で、周囲のシェルは実質的に変形しないままである。変形した屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、空隙とは反対側の歯の側に力を加えて、歯を空隙に向かって移動させる。このようにして、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材を含む取り外し可能な歯科装具は、屈曲可能なフラップ、ヒンジ軸、又は円弧状部材のうちの少なくとも1つに変形を集中させるように構成されてもよい。
屈曲可能なフラップ、ヒンジ軸、又は円弧状部材のうちの少なくとも1つに変形を集中させることによって、シェルは歯とより強く係合された状態を保ち得る。例えば、取り外し可能な歯科装具が変形状態にある、例えば、患者によって装着されたとき、シェルは、屈曲可能なフラップを有さない取り外し可能な歯科装具と比較して、それぞれの歯とのより多くの接触点、それぞれの歯に対するより大きな接触表面積などを有することができる。このようにして、取り外し可能な歯科装具は、シェル内の歯の係合、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材の集中的な変形、又はその両方を改善することができる。力生成部材(例えば、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材)と係合部材(例えば、シェル)を分離することによって、取り外し可能な歯科装具は、患者の歯に加えられる力のより大きな制御を可能にする。対照的に、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ及び円弧状部材、又はその他の類似の特徴を含まない取り外し可能な歯科装具では、装具本体がそれぞれの歯と係合し、歯を歯列矯正処置の過程で移動させるのに必要な力を生み出す。歯の係合の程度(例えば、シェル/歯の接触の量及び位置)は、歯に加えられる力の制御に影響を及ぼす。
屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、それぞれの歯に加えられる力の大きさ、方向、及び発現長を制御するように構成される。例えば、屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の位置、形状、及び寸法のうちの少なくとも1つは、それぞれの歯に所望の力ベクトルをもたらし得る。力ベクトルは、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材なしでは歯の表面に加えることができない方向又は大きさで歯に加えられてもよい。屈曲可能なフラップ及び円弧状部材はまた、装置のシェルの変形に依存して力を発現する取り外し可能な歯科装具よりも長い距離にわたる力の発現を可能にし得る。例えば、屈曲可能なフラップの静止位置は、歯の所望の位置で歯によって画定される空間内に延び得るため、歯が所望の位置で歯を受け入れるように成形された空隙内に移動するとき、屈曲可能なフラップは、歯槽骨の再構築を引き起こすのに十分な大きさの力を引き続き発現する。歯の移動は、屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の曲げモーメントの部分的緩和をもたらす。発現範囲全体にわたって正の力レベルを確保するために、いくらかの残留応力を屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材に残すことができる。このようにして、取り外し可能な歯科装具は、力ベクトル方向、大きさ、又は発現長のうちの少なくとも1つの制御を改善して、他の歯列矯正治療と比較して、屈曲可能なフラップなしでは可能となり得ない所望の歯の移動、短縮された治療時間での所望の歯の移動、取り外し可能な歯科装具のセット内の取り外し可能な歯科装具のより少ない進行を伴う所望の歯の移動などのうちの少なくとも1つを達成することができる。
いくつかの実施例では、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットの各取り外し可能な歯科装具は、例えば、各治療段階の過程にわたって比較的一定のままである装具の実形状のために、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材を有さない取り外し可能な歯科装具と比較して、より大きな発現をもたらし得る。屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、個々の歯に分離される力アクチュエータを作ることができるため、歯に有向の力を加えるには、装具(屈曲可能なフラップ)のこれらの集束部分のみが変形する必要がある。したがって、装具の全ての他の部分を相当に剛性とすることができ、それにより、歯の移動のための案内チャネルと、移動が所望されない場所での変形に耐えるブレースとを提供する。単一の取り外し可能な歯科装具によって達成可能な発現量は、各歯受容空隙の深さと、各屈曲可能なフラップによって可能な屈曲の弾性限界とによって制限され得る。例えば、発現量は、0.25ミリメートル(mm)超の歯冠の移動、例えば、0.5mm超の歯冠の移動、又は1mm超の歯冠の移動であってもよい。一般的に使用される熱可塑性物質と比較して、より長い生体内期間にわたって審美性及び機械的特性を維持する堅牢な材料と併せて、より大きな発現及び制御は、例えば、取り外し可能な歯科装具当たりのより多くの発現のため、選択された歯の移動を達成するために必要とされる順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内の取り外し可能な歯科装具の数を低減することができ、例えば、治療の進行における医師の信頼度の向上のため、医院への訪問回数を低減することができ、例えば、より連続的な力及び低減されたラウンドトリッピングのため、治療期間を短縮することができ、例えば、より高い装具剛性及び移動範囲全体にわたる正の力の印加のため、より正確な仕上げを可能にする。
図1A~図1Eは、複数のシェル104A~104D(集合的に「シェル104」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具100の一部を示す顔側図、斜め顔側図、及び近心断面図であり、シェル104Cは、患者の歯103Cに力107Cを加えるように構成された屈曲可能なフラップ108Cと円弧状部材109Cとを含む。取り外し可能な歯科装具100は、患者の下顎歯列弓101の複数の歯103A~103D(集合的に「歯103」)を少なくとも部分的に囲むように構成される装具本体102を含む。装具本体102は、シェル104を含む。シェル104は、歯103を受け入れるように構成されてもよい。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに、歯103Cの所望の位置に向けて歯103Cを移動させるために、歯103Cに力107Cを加えるように構成されてもよい。所望の位置は、歯列矯正治療後の初期位置と最終位置との間の中間位置を含み得る。
いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、歯103C上のアタッチメントに力107Cを加えて、歯103Cを所望の位置に向かって移動させるように構成されてもよい。アタッチメントは、例えば、咬頭頂部や頸部輪郭などの天然アンダーカット、人工アンダーカット、突出部、ノブ、ハンドルなどを含んでもよい。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cを介して歯103Cに力107Cを加えることにより、取り外し可能な歯科装具100は、力のベクトル方向、大きさ、又は発現長のうちの少なくとも1つの制御を改善して、他の歯列矯正治療と比較して、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cなしでは可能となり得ない所望の歯の移動、短縮された治療時間での所望の歯の移動、取り外し可能な歯科装具のセット内の取り外し可能な歯科装具のより少ない進行での所望の歯の移動のうちの少なくとも1つを達成することができる。
例示のために、歯103、シェル104、及び屈曲可能なフラップ108Cのみが図1A~図1Eに示されているが、装具本体102は、任意の数の歯103、任意の数の屈曲可能なフラップ108、及び/又は任意の数の円弧状部材109を少なくとも部分的に囲むように構成された任意の数のシェル104を含んでもよい。例えば、歯列弓101上の歯103の数は、14個、14個未満(例えば、1つ以上の歯が抜かれた患者)、又は14個超(例えば、親知らず又は過剰歯を有する患者)であってもよい。シェル104の数は、14個、14個未満(例えば、2つ以上の歯を囲むように構成された少なくとも1つのシェル)、又は14個超(例えば、1つの歯を囲むように構成された2つ以上のシェル)であってもよい。加えて、又は代わりに、装具本体102は、同じ又は異なるシェル104上に複数の屈曲可能なフラップ108を含んでもよい。加えて、又は代わりに、屈曲可能なフラップ108のそれぞれの1つ以上は、1つ以上の円弧状部材109を含んでもよい。
装具本体102は、患者の上顎歯列弓、又は図1A~図1Eに示されるような下顎歯列弓101のいずれかの歯103を少なくとも部分的に囲むように構成されている。例えば、装具本体102は、歯103の顔側面、舌側面、及び咬合面のうちの少なくとも1つを囲む、患者の歯肉の一部と重なり合う、などであってもよい。いくつかの実施例では、装具本体102は、異なる歯103の異なる部分を囲んでもよい。
装具本体102は、シェル104を含む。いくつかの実施例では、装具本体102は、歯103の各それぞれの歯に対してシェル104の対応するシェルを含んでもよい。他の実施例では、装具本体102は、歯よりも少ないシェルを含んでもよく、例えば、シェルは、2つ以上の歯を受け入れてもよく、又は任意の数の歯103が装具本体102によって囲まれなくてもよい。他の実施例では、装具本体102は、歯103よりも多くのシェル104を含んでもよく、例えば、2つ以上のシェル104が、歯103のうちの少なくとも1つの歯の少なくとも一部を囲んでもよい。シェル104の各それぞれのシェルは、歯103のうちの少なくとも1つの対応する歯を受け入れるように成形されてもよい。いくつかの実施例では、シェル104は、歯103の顔側部、舌側部、及び咬合側部を囲むことができる。いくつかの実施例では、シェル104は、例えば、歯103の顔側部及び舌側部のみ又は顔側部若しくは舌側部のうちの一方のみなど、歯103のより少ない部分を囲むことができる。例えば、シェル104A、104B、104C、及び104Dは、歯103A、103B、103C、及び103Dの舌側部、咬合側部、及び顔側部を囲むように成形されてもよい。いくつかの実施例では、シェル104は、複数の空隙を画定してもよい。例えば、装具本体102は、選択された位置で歯103に接触するように構成されたフレーム構造を画定してもよい。選択された位置は、例えば、隣接する歯の間の隣接歯間領域の部分、歯の咬合面の部分、又は歯の歯肉縁の部分を含むことができる。フレーム構造は、内部応力によって引き起こされる変形に抵抗するために、必要に応じて領域内又は線に沿って凝縮された材料を含んでもよい。これらの内部応力は、装具本体102に加えられる力及び作用する反力の両方の結果としてもたらされ、加えられる力は概して、屈曲可能なフラップ108が歯と接触する際の弾性変形の結果であり、また、反力は概して、装具本体102の他の部分(例えば、シェル104)が加えられた力の反対の歯面及びそれらの接触点に接触する結果である。フレーム構造を使用するための重要な利点としては、例えば、材料の低減、材料コストの低減、製造時間の短縮、美観の向上、及び唾液流の増加を挙げることができる。このようなフレーム構造はまた、力の線が集中して装具材料の応力を増加させる領域において厚さを増大させるという条件で、一定の厚さを有する装具よりも剛性が高い可能性がある。したがって、材料が比較的低い応力又は最小応力を受ける領域が除去される。これは本質的に、ジェネレーティブデザインのプロセスであるが、典型的には、最大剛性、最小容積、又はこれらの組み合わせなどの特定の目標に向けた最適化の点で、戻りの減少が達成される(閾値に到達する)まで応力を評価し、連続反復後の設計をさらに改良するために反復的である。このようにして、シェル104は、複数の空隙を画定して、それぞれの歯の近心の第1の隣接歯間領域、それぞれの歯の遠心の第2の隣接歯間領域、それぞれの歯の咬合面、又はそれぞれの歯の歯肉縁のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に接触するフレーム構造を画定してもよい。
いくつかの実施例では、それぞれのシェルは、屈曲可能なフラップ(例えば、シェル104A、104B、及び104D)を含まなくてもよい。いくつかの実施例では、それぞれのシェルは、それぞれのシェルの変形によって、それぞれの受け入れられた歯に力を加えることができる。例えば、患者によって着用されるとき、シェル104A、104B、及び104Dは変形し得る。変形は、それぞれのシェルが未変形構造に向かって移動する際に復元力をもたらし得る。復元力は、それぞれのシェルとそれぞれの歯との間の1つ以上の接触点を介して、それぞれの歯に伝達され得る。このようにして、取り外し可能な歯科装具100は、屈曲可能なフラップを含むいくつかのシェル104と、歯103を歯103の所望の位置に移動させるために変形するいくつかのシェル104とを組み合わせることができる。他の実施例では、それぞれのシェルは、変形しないように十分な剛性を有するように構成されてもよい。変形しないそれぞれのシェルは、例えば、屈曲可能なフラップ108を含むシェルなどの隣接シェルのためのアンカーを提供し得る。どのシェル104が屈曲可能なフラップ108を含むかの選択は、それぞれの歯103に及ぼされる力、それぞれの歯103の移動、又はその両方に依存し得る。例えば、それぞれのシェル104の変形が隣接する歯103に及ぼされる力又は隣接する歯103の移動を妨げない場合、それぞれのシェル104は屈曲可能なフラップ108を含まなくてもよい。逆に、それぞれのシェル104の変形が隣接する歯103に及ぼされる力又は隣接する歯103の移動を妨げる場合、それぞれのシェル104は、それぞれのシェル104の変形を低減するために屈曲可能なフラップ108を含んでもよい。
いくつかの実施例では、装具本体102は、1つ以上のアンカー歯を受け入れるように構成された1つ以上のアンカーシェルを含んでもよい。いくつかの実施例では、アンカー歯は、1つ以上の臼歯、前臼歯、又はその両方を含んでもよい。他の例では、アンカー歯は、1つ以上の前歯、又は1つ以上の前歯及び臼歯の組み合わせを含んでもよい。アンカーシェルは、それぞれのアンカー歯を移動させるのに十分な力をもたらすことなく、選択された歯を移動させるのに十分な力(例えば、歯槽骨の再構築を引き起こすのに十分な力)をもたらすように、装具本体102が変形することを可能にするように構成されてもよい。
シェル104Cは、歯103Cの初期位置において歯103Cと係合するように成形されてもよい。歯103Cの初期位置で係合するために、シェル104Cの内表面は、歯103Cの少なくとも1つの選択された位置、選択された表面領域、又はその両方と接触してもよい。例えば、図1Cに示されるように、シェル104Cの表面111Cは、歯103Cの咬合面と舌側面の少なくとも一部に初期位置で接触することができる。接触の位置、接触の表面領域、又はその両方は、屈曲可能なフラップ108Cによって歯103Cに加えられる力107C、その結果生じる歯103Cの移動、又はその両方に影響を及ぼし得る。
シェル104Cはまた、歯103Cの所望の位置において歯103Cを受け入れるように成形されてもよい。歯103Cの所望の位置は、歯103Cをシェル104C内で可能な限り移動させるように歯103Cに力107Cが加えられた後の位置であってもよい。例えば、表面111Cは、シェル104Cの内側に空隙110Cを画定し得る。図1Cに示されるように、空隙110Cは、歯103Cの歯肉縁付近の最大深さを有する楔形の空隙を含み、この空隙は、歯103Cの切歯縁部付近の回転軸116C付近で最小となるまでテーパ状である。歯103Cが表面111Cによって画定される所望の位置に向かって移動する際に、空隙110Cの楔形状は、歯103Cの経路と一致し得る。歯103Cは、歯103Cが表面111Cに接触するまで、空隙110Cを通って所望の位置に向かって移動してもよい。このようにして、表面111Cは、歯103Cが所望の位置を越えて移動するのを防止することができる。
取り外し可能な歯科装具100は、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ108Cを含む。一般に、任意の数の屈曲可能なフラップが、任意の数のシェル104上に配置されてもよい。屈曲可能なフラップ108Cは、装具本体102のシェル104Cと一体形成されて、ヒンジ軸110Cから延びてもよい。ヒンジ軸110Cは、近心-遠心方向にシェル104Cの切歯縁部に沿って延びる。一般的に、それぞれの屈曲可能なフラップ108は、それぞれのシェルの任意の部分に沿って延びるそれぞれのヒンジ軸110から任意の方向に延びてもよい。それぞれのヒンジ軸110の長さ及び向きを選択することにより、取り外し可能な歯科装具100は、それぞれの屈曲可能なフラップ108を介してそれぞれの歯の任意の部分にそれぞれの力を加えるように構成されてもよい。
図1A~図1Eに示されるように、屈曲可能なフラップ108Cは、装具本体102の顔側面上でヒンジ軸110Cから延び、取り外し可能な歯科装具100の顔側に配置される。装具本体102は、屈曲可能なフラップ108Cの周囲の第1の端部114Cから第2の端部112Cまで延びるフラップ境界領域113Cを画定する。フラップ境界領域113Cは、装具本体102の周囲部分と比較して、剪断応力及び引張応力が低減された領域を含んでもよい。例えば、フラップ境界領域113Cの少なくとも一部は、円弧状部材109Cを含む。
円弧状部材109Cは、周囲の装具本体102と比較して、フラップ境界領域113Cにおける装具本体102の可撓性を増加させることができる。図1A~図1Eに示されるように、円弧状部材109Cは、フラップ境界領域113Cの少なくとも一部の周りに延び、シェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cに連結されるスプリングベローズ(例えば、材料のリボン)を含んでもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、複数のスプリングベローズを含んでもよい。他の実施例では、円弧状部材109Cは、シェル104Cの表面に正接する平面内に弧を画定する、又はシェル104Cの表面に正接する平面の外側に延び、シェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cに連結される、1つ以上のジャンパー(例えば、材料のロッド)を含んでもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、1つ以上のスプリングベローズ、1つ以上のジャンパー、又は1つ以上の剪断低減領域の任意の好適な組み合わせを含んでもよい。
円弧状部材109Cは、シェル104Cの表面に正接する平面及び/又はシェル104Cの表面に正接する平面に垂直な平面内に、円弧状、正弦波形状、ジグザグ形状、パルス波形状、渦巻形状、螺旋形状、蛇行形状、又は折り畳まれた形状の断面を有してもよい。円弧状部材109Cの(例えば、シェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cに対する)位置及び形状は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときの、屈曲可能なフラップ108Cのカンチレバー運動、及び屈曲可能なフラップ108Cを介した歯103Cへの選択された力107Cの印加を可能にするように選択されてもよい。
いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、シェル104Cと同じ材料で作製されてもよい。例えば、円弧状部材109Cは、シェル104Cと一体に形成されてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、円弧状部材109Cを画定するように装具本体102の部分をレーザ切断することによって形成されてもよい。加えて、又は代わりに、円弧状部材109Cは、装具本体102の部分を改造する(例えば、加熱して力を加える)か、又は(例えば、接着、熱溶接、超音波溶接などによって)追加の材料を装具本体102の表面に結合するかして、円弧状部材109Cを画定することによって形成されてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cの少なくとも一部は、例えば、スプリングベローズ又はジャンパーの可撓性を高めるために、シェル104Cより薄くてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cの少なくとも一部は、スプリングベローズ又はジャンパーの剛性又は強靱性を高めるために、シェル104Cより厚くてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、装具本体102の材料よりも高い弾性率を有する材料、金属(ワイヤ、リボン、又はシート)などの異なる材料又は追加材料を含んでもよい。円弧状部材109Cの材料及び製造は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときの、屈曲可能なフラップ108Cのカンチレバー運動、及び屈曲可能なフラップ108Cを介した歯103Cへの選択された力107Cの印加を可能にするように選択されてもよい。
円弧状部材109Cがスプリングベローズを含む実施例では、スプリングベローズは、例えば、円弧状、半波形状、全波形状、ジグザグ形状、正弦波形状、パルス波形状、又は蛇行形状など、装具本体102の連続又は不連続曲線部分を含んでもよい。いくつかの実施例では、円弧状変位は、スプリングベローズの長さ及び/又は可撓性を増加させるために、少なくとも1つの折り目を含んでもよい。スプリングベローズの長さは、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに、スプリングベローズの変形から生じる選択された力を提供するように選択されてもよい。
スプリングベローズが連続曲線を含む実施例では、円弧状変位は、例えば、スプリングベローズの最外表面の外側曲率半径を画定してもよい。いくつかの実施例では、外側曲率半径は、約0.5ミリメートル~約3ミリメートル、又は約0.75ミリメートル~約1.5ミリメートル、又は約1.0ミリメートルであってもよい。曲率半径は、実質的に一定であってもよく、又は隣接境界曲線に沿って変化してもよい。スプリングベローズはまた、フラップ境界領域113Cの中線とスプリングベローズの中線との間に延びる変位距離を画定してもよい。いくつかの実施例では、変位距離は、約3ミリメートル未満、又は約1ミリメートル未満、又は約0.75ミリメートル未満、又は約0.5ミリメートルであってもよい。変位距離は、実質的に一定であってもよく、又はフラップ境界領域113Cに沿って変化してもよい。
スプリングベローズの厚さは、スプリングベローズがシェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cよりも大きく変形して、スプリングベローズの圧縮、張力、剪断、曲げ、又はねじれを集中させるように、シェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cの厚さより薄くてもよい。スプリングベローズの厚さは、約0.025ミリメートル~約1.0ミリメートル、又は約0.1ミリメートル~約0.75ミリメートル、又は約0.15~約0.6ミリメートル、又は約0.3ミリメートルであってよい。スプリングベローズの厚さは、実質的に一定であってもよく、又はフラップ境界領域113Cに沿って変化してもよい。
いくつかの実施例では、スプリングベローズは、少なくとも1つの剪断低減領域、例えば、スプリングベローズ内の少なくとも1つの空隙又は切欠きを画定し得る。少なくとも1つの剪断低減領域は、スプリングベローズ108の選択された部分に、スプリングベローズ108の変形を集中させることができる。シェル104C及び屈曲可能なフラップ108C上のスプリングベローズの終端の位置は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに選択された方向及び大きさの力を提供するように選択されてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、複数のスプリングベローズを含んでもよく、複数のスプリングベローズの各それぞれのスプリングベローズは、フラップ境界領域の対応する部分に沿って配設されている。
スプリングベローズの形状、長さ、曲率半径、及び変位距離を選択することにより、取り外し可能な歯科装具100は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに、装具本体102の変形から生じる、屈曲可能なフラップ108上の力の方向、大きさ、発現長のうちの少なくとも1つを制御することができる。他のスプリングベローズ構成は、参照により全文が本明細書に組み込まれる、Rabyらによる米国特許出願第62/568,982号に記載されている。
円弧状部材109Cがジャンパーを含む例では、ジャンパーは、シェル104C又は異なるシェル104(例えば、屈曲可能なフラップ108Cに直接隣接していないシェル)の任意の好適な部分に連結された第1の端部と、屈曲可能なフラップ108Cの任意の好適な部分に連結された第2の端部との間で長手方向軸に沿って延びる細長構造体を含む。力107Cの少なくとも一部は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときのジャンパーの変形から生じる。例えば、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されるとき、ジャンパーは、第1及び第2の端部の位置の選択が力107Cの方向及び大きさを制御するように、第1の端部及び第2の端部に曲げ力、捻れ力、圧縮力、引張力、又は剪断力のうちの少なくとも1つを及ぼすように変形することができる。
ジャンパーは、細長い構造の長手方向軸に沿って、例えば、ジャンパーの第1の端部と第2の端部との間に延びる円弧状、折り目形状、ジグザグ形状、正弦波形状、渦巻形状、螺旋形状、又は蛇行形状のうちの少なくとも1つなどの任意の好適な形状を含んでもよい。いくつかの実施例では、細長構造体は、少なくとも1つの折り目を含み得る。いくつかの実施例では、ジャンパーの中間部分(例えば、第1の端部と第2の端部との間)は、シェル104Cの表面に正接する平面から離れて延びてもよい。他の実施例では、ジャンパーの中間部分は、実質的にシェル104Cの表面に正接する平面内にあってもよい(例えば、平面から約0.5mm未満だけ逸れる)。
いくつかの実施例では、ジャンパーは、約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの外側曲率半径(例えば、ジャンパーの最外表面)を有する円弧状形状を含み得る。いくつかの実施例では、ジャンパーは、約2ミリメートル未満、又は約1ミリメートル未満、又は約0.5ミリメートル未満、又は約0.5ミリメートルの変位距離(例えば、シェル104Cの表面に正接する平面とジャンパーの内側半径の中線との間の距離)を含み得る。ジャンパーは、選択力屈曲可能なフラップ108Cを提供するように選択された任意の好適な形状、面積、又はアスペクト比を有する細長構造体の長手方向軸に垂直な平面内の断面を画定してもよい。断面の形状、面積、又はアスペクト比は、一定であってもよく、又は長手方向軸に沿って変化してもよい。
ジャンパーは、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに、装具本体102の変形から生じる力107Cの大きさ及び方向又は集中位置を制御するように選択される任意の好適な厚さを含み得る。いくつかの実施例では、ジャンパーは、シェルよりも可撓性を高くして、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときのシェルの変形を低減する、又はジャンパーに応力を集中させる、のうちの少なくとも一方を達成することができる。いくつかの実施例では、装具本体102の厚さは、例えば、第1及び第2の端部と装具本体102との交点の強靱性を改善するために、ジャンパーの第1の端部又は第2の端部のうちの少なくとも一方の付近で増加する。ジャンパーの厚さは、実質的に一定であってもよく、又は細長構造体に沿ってテーパ状又は段階的に変化してもよい。いくつかの実施例では、ジャンパーの厚さは、約0.1ミリメートル~約3.0ミリメートル、又は約0.3ミリメートル~約1.0ミリメートルであり得る。
いくつかの実施例では、装具本体は、歯肉を介して装具本体102を歯槽突起に少なくとも部分的に固定するために、ジャンパーの第2の端部に連結された歯肉部を含むことができる(第1の端部は屈曲可能なフラップ108Cに連結されている)。いくつかの実施例では、円弧状部材109Cは、複数のジャンパーを含んでもよく、複数のジャンパーのうちの各それぞれのジャンパーは、シェル上のそれぞれの位置に連結されたそれぞれの第1の端部と、屈曲可能なフラップ上のそれぞれの位置に連結されたそれぞれの第2の端部との間に延びるそれぞれの細長構造体を含む。
ジャンパーの形状、長さ、曲率半径、及び変位距離を選択することにより、取り外し可能な歯科装具100は、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されたときに、装具本体102の変形から生じる、屈曲可能なフラップ108上の力の方向、大きさ、及び発現長のうちの少なくとも1つを制御することができる。他のジャンパー構造は、参照により全文が本明細書に組み込まれる、Rabyらによる米国特許第62/569,144号に開示されている。
いくつかの実施例では、円弧状部材109Cが力107Cの少なくとも一部をもたらし得る、屈曲可能なフラップ108Cが変形部分で比較的屈曲しないままであり得る、又はその両方であり得る。円弧状部材109Cは、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されるか、又は歯に嵌合されるとき、屈曲可能なフラップ108Cと歯103Cとの表面接触を増大させる、フラップ境界領域113C又は装具本体102の他の部分における食物粒子又は歯垢の蓄積を低減する、屈曲可能なフラップ108Cと患者の歯科構造との間の不一致を低減する、のうちの少なくとも1つを可能にする。
いくつかの実施例では、シェル104Cは、より薄くてもよく、又はヒンジ軸線110Cに沿って1つ以上の空隙を含んでもよい。薄い材料又はヒンジ軸110Cに沿った空隙は、屈曲可能なフラップ108C内の曲げ応力を緩和することができる。いくつかの実施例では、フラップ境界領域113Cの少なくとも一部はまた、装具本体102内に1つ以上の切り欠き又はスリットを画定してもよい。フラップ境界領域113Cからの材料の除去は、フラップ境界領域113C内の剪断応力及び引張応力を効果的に無効にすることができる。加えて、又は代わりに、フラップ境界領域113Cの少なくとも一部は、周囲の装具本体102と比較してフラップ境界領域113Cの可撓性を高めるために、装具本体102や装具本体102の薄肉領域よりも弾性率が低いエラストマー性ポリマー又は材料を含んでもよい。このようにして、フラップ境界領域113Cは、屈曲可能なフラップ108Cが舌側-顔側方向に偏向するのを可能にする、屈曲可能なフラップ108Cの変形量を低減させて、屈曲可能なフラップ108Cと歯103Cとの間の接触数の接触面積を増加させる、又はその両方により、歯の移動に対する制御を改善することができる。フラップ境界領域113Cがエラストマー材料を含む実施例では、エラストマー材料は、屈曲可能なフラップ108Cが顔側-舌側方向に偏向するのを可能にする、フラップ境界領域113Cの少なくとも一部を覆って、フラップ境界領域113C又は装具本体102の他の部分における食物粒子又は歯垢の蓄積を低減する、又はその両方を行うように選択され得る。
屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、歯103Cの顔側面に力107Cを加えるように構成されてもよい。例えば、屈曲可能なフラップ108Cの静止位置は、歯103Cの所望の位置に歯103Cによって画定された空間に侵入することができ、それにより、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されると、歯103Cの初期位置は、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cの変形を引き起こし得る。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cの変形は、力107C、例えば、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cが未変形構成に向かって移動する復元力をもたらし得る。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cの静止位置は、取り外し可能な歯科装具100が歯に装着されるときに歯103Cの切歯縁部との衝突を低減するように選択されてもよい。加えて、又は代わりに、屈曲可能なフラップ108Cは、屈曲可能なフラップ108Cの歯肉部付近に傾斜面を含んでもよく、それにより、傾斜面が屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cを偏向させる、ないしは別の方法で、取り外し可能な歯科装具100が歯に嵌合されるときに歯103Cの切歯縁部との衝突を低減する。
力107Cに応答して、歯103Cが表面111Cに接触するまで、歯103Cは、空隙110Cを通って所望の位置に向かって移動し得る。いくつかの実施例では、歯103Cの一部のみが表面111に接触し、間隙が他の場所に残っている場合、接触点と力107Cとの間に連結が形成されてもよい。結果として生じる連結は、歯103Cを表面111とより整合している位置に移動させる、例えば、「歩かせる」ことができる。例えば、歯103Cは、歯103Cが表面111と実質的に一致する位置に完全に受け入れられるまで、交互の並進及び回転で段階的に移動してもよい。いくつかの実施例では、表面111Cは、歯103Cの中間位置又は初期位置に向かう歯103Cの戻りを補償するために、歯103Cの所望の位置を越えて配置されてもよい。このようにして、シェル104Cの表面の形状を選択することにより、力の位置、及びその結果生じる歯103Cの移動の制御を可能にすることができる。シェル104A、104B、及び104Dについても同様の効果が可能である。
力107Cは、屈曲可能なフラップ108Cと歯103Cとの1つ以上の接触点によって、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cから歯103Cに伝達され得る。例えば、屈曲可能なフラップ108Cの内表面は、歯103Cの少なくとも一部に接触してもよい。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ108Cの内表面は、歯103Cが所望の位置に向かって移動する際に屈曲可能なフラップ108Cと歯103Cとの間の接触が増加するように、歯103Cの所望の位置における歯103Cの形状に適合するように成形されてもよい。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ108Cの厚さは、接触点の数又は位置を制御するように選択されてもよい。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ108Cは、(例えば、レーザ切断によって)接触点の数又は位置を制御する複数のフラップに分割されてもよい。他の実施例では、屈曲可能なフラップ108Cは、屈曲可能なフラップ108Cの内面上に少なくとも1つの突出部を含んでもよい。突出部は、力107Cを歯103Cの少なくとも1つの選択された部分に伝達するように配置又は成形されてもよい。例えば、屈曲可能なフラップ108Cは、歯103Cへの力107Cの移動が歯肉縁付近に集中するように、屈曲可能なフラップ108Cの歯肉部付近に少なくとも1つの突出部を含んでもよい。歯肉縁付近に力の伝達を集中させることにより、屈曲可能なフラップ108Cは、歯103Cのトルク付与又は歯根傾斜をより効果的に引き起こすことができる。このようにして、それぞれの屈曲可能なフラップ上の突出部を使用して、例えば、並進、回転、傾斜、トルク付与、挺出、押し込み、又はこれらの組み合わせなどの歯の移動の有効性を達成又は増大させるために、それぞれの力の伝達を制御することができる。
いくつかの実施例では、図1Cに示されるように、取り外し可能な歯科装具100が患者によって装着されるとき、回転軸116Cは、例えば歯103A、103B及び103Dなどの歯科構造の他の部分に装具本体102を介して実質的に固定するか又は留めることができる。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cによる歯肉縁付近の歯103Cの一部へ力107Cを加えることで、回転軸116Cとの連結を形成することができる。連結は、ある距離だけオフセットされた2つの対向する力を含んでもよい。例えば、力107Cが歯103Cの根元の中心付近に位置する抵抗の中心で歯103Cを移動させると、シェル104Cの固定回転軸116Cは、歯103Cの切歯縁部に第2の対向する力を加えることができる。回転軸116Cとの連結を形成することにより、力107Cは、歯103Cの空隙110Cに向かう回転118C、例えば、歯根傾斜又はトルク付与の移動をもたらすことができる。このようにして、シェル104Cの表面111Cの接触位置、接触の表面積、又はその両方は、歯103Cに加えられる力107C、結果として生じる歯103Cの移動、又はその両方に影響を及ぼし得る。
取り外し可能な歯科装具100が歯103に嵌合されるか、又は歯103から取り外されると、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cが歯103Cを収容するように変形するにつれ、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cが舌側-顔側方向に偏向する。偏向は、ヒンジ軸110Cの第1の端部114C及び第2の端部112Cの近くに応力を生じさせることができる、及び/又は円弧状部材109Cがシェル104C及び屈曲可能なフラップ108Cに連結される。屈曲可能なフラップ108C及び/又は円弧状部材109Cの偏向によって引き起こされる応力を低減するために、装具本体102は、応力集中低減領域を画定し得る。円形の応力集中低減領域は、フラップ境界領域113Cの幅よりも少なくとも大きい直径を有してもよい。屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cが偏向するにつれて、応力は、円形の応力集中低減領域の周りに分散されて、さもなければ装具本体102を引き裂くか、又は装具本体102の摩耗を引き起こす可能性がある局所応力集中を低減することができる。局所応力集中を低減することにより、装具本体102の摩耗が低減され、取り外し可能な歯科装具100の使用可能な寿命を延ばすことができる。
屈曲可能なフラップ108Cの舌側-顔側方向への偏向を可能にすることによって、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、空隙110Cとは反対側の歯103Cの側に力107Cを加えて、歯103Cを空隙110Cに向かって移動させるように構成されてもよい。例えば、屈曲可能なフラップ108Cは、屈曲可能なフラップ108Cが静止位置にあるときに、歯103Cの所望の位置によって画定される空間に侵入するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、歯103Cの所望の位置は、歯103Cが、シェル104Cの内側に空隙110Cを画定する装具本体102の表面の少なくとも一部に接触した後の位置である。図1Eに示されるように、屈曲可能なフラップ108Cは、歯103Cによって画定された空間内に侵入する。歯103Cによって画定される空間内の所望の位置に侵入することにより、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、歯103Cの空隙110Cへの移動を通じて歯103Cに力107Cを加えることができる。例えば、図1Cに示されるように、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、歯103Cが初期位置にあるときに、歯103Cに力107Cを加えることができる。図1Dに示されるように、屈曲可能なフラップ108C及び円弧状部材109Cは、歯103Cが所望の位置にあるときに、歯103Cに力107Cを加える。歯103Cが所望の位置にあるとき、力107Cは、歯槽骨の再構築を引き起こす最小力よりも大きくてもよい。このようにして、取り外し可能な歯科装具100は、空隙110Cを通って表面111と実質的に一致する位置への歯103Cの完全な発現を達成することができる。
いくつかの実施例では、装具本体102は、患者の歯肉(例えば、歯肉縁)の少なくとも一部と重なる歯肉領域106A、106B、106C、及び106D(集合的に「歯肉領域106」)を含んでもよい。例えば、歯肉領域は、シェル104の歯肉部の周囲に延びていてもよく、ここで歯103が歯肉と接する。歯肉領域106は、固定のために、歯肉、歯槽突起、又はその両方の少なくとも一部を使用するように構成され得る。例えば、患者によって装着されるとき、歯肉領域106は、歯103の移動を妨げることなく、歯槽プロセスに間接的に関わっている歯肉領域106によって提供される追加のブレースにアクセスするために、歯肉に少なくとも部分的に接触してもよい。加えて、又は代わりに、歯肉領域106でシェル104の範囲を増加させることによって、隣接する歯の代わりにアンカーとしてより剛性の高い歯槽プロセスを使用しつつ、歯103のうちの選択された歯により大きな力を加えることができる。したがって、歯肉領域106は、隣接する歯の望ましくない反応移動を引き起こすことなく、固定基準(歯槽プロセス)に対する歯の移動をより良く制御することができる。いくつかの実施例では、装具本体102は、歯肉領域106を省いてもよい。
いくつかの実施例では、装具本体102は、一体型材料、例えば、単一の均一な材料を含んでもよい。一体型材料は、単一のポリマー、又は1つ以上のポリマーの均質混合物を含んでもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100は、単一の連続3D印刷構成要素又は熱成形構成要素からなってもよい。他の実施例では、装具本体102は、多層材料を含んでもよい。多層材料は、異なる弾性率を有する複数の層で装具本体102の1つ以上の部分を形成することを可能にして、屈曲可能なフラップ108Cの力特性、変位特性、又は両方の選択を可能にすることができる。多層材料は、単一の材料、例えば、単一のポリマー、複数の材料の複数の層、例えば、2つ以上のポリマー、ポリマー及び別の材料の複数の層を含んでもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100は、多層3D印刷構成要素又は熱成形構成要素からなってもよい。好適なポリマーとしては、(メタ)アクリレートポリマー;エポキシ;シリコーン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;チオール-エンポリマー;ウレタン(メタ)アクリレートポリマー、ポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、脂肪族(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリレートポリマー;ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)などのポリエチレンテレフタレート系ポリマー;ポリプロピレン;エチレン-酢酸ビニルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。装具本体102の厚さは、約0.2~約1.0ミリメートル、又は約0.3ミリメートル~約0.75ミリメートルなど、約0.10ミリメートル~約2.0ミリメートルの範囲であってもよい。同じ又は異なる実施例では、取り外し可能な歯科装具100は、装具本体102の縁及び他の空間の面取り又はフィレットを含んでもよい。このような面取り又はフィレットは、患者の快適性を向上させることがあり、かつ取り外し可能な歯科装具100の視認性を低下させることがある。同じ又は異なる実施例では、取り外し可能な歯科装具100は、装具本体102の領域(例えば、屈曲可能なフラップ108C又は円弧状部材109C)の剛性を増大させて、装具本体102の領域(例えば、ヒンジ軸110C)の強度を増大させるために、少なくとも1つの補強構造体を含んでもよい。
いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具100は、囲まれた歯のうちの1つ以上に取り外し可能な歯科装具100によって加えられる力を増強するように構成された金属部品を含んでもよい。例えば、金属部品は、屈曲可能なフラップ108C又は円弧状部材109Cなどの装具本体102の少なくとも一部を通って延びる任意の好適な断面形状(例えば、円形、直線状、又はリボン)を有する金属ワイヤを含んでもよい。いくつかの実施例では、歯ぎしり又は咀嚼などによって引き起こされる高圧咬合接触の応力に打ち勝つためにより高い耐久性が必要とされる場合、取り外し可能な歯科装具100は、金属咬合構成要素などの1つ以上の他の金属構成要素を含んでもよい。いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具100は、患者内に埋め込まれたアンカーデバイス、例えば、一時的なアンカーデバイス又は小型ねじに接続するための受け具を含んでもよい。例えば、キャッチは、アンカーシェル上に配置されて、アンカー歯上のアンカーデバイスに接続することができる。このようにして、そのような取り外し可能な歯科装具100は、金属及びプラスチックのハイブリッド構造を提供してもよい。プラスチック部品は、視認性を低下させるために略透明であってもよいが、金属部品は、患者によって装着されるときの取り外し可能な歯科装具100の視認性を低下させるためにめっき又は他の着色剤を含んでもよい。例えば、装着時に患者の歯103付近に配置された金属部品としては、例えば、ロジウム、銀、白い陽極酸化チタン、テフロン、PTFEなどの白色のコーティング又はめっきを含んでもよく、又は、例えば、ロジウム、銀、白い陽極酸化チタンなどの白色金属で形成されてもよい。他の場所に配置された金属部品は、患者の口腔内の組織色と概ね一致するように着色されてもよい。
いくつかの実施例では、それぞれの屈曲可能なフラップ又は複数の屈曲可能なフラップは、螺旋状構成を画定し得る。図2A~図2Cは、螺旋状構成を有する屈曲可能なフラップ2008を含む例示的な取り外し可能な歯科装具2000を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2000は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照した上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
屈曲可能なフラップ2008の螺旋状構成は、屈曲可能なフラップ(又は複数の屈曲可能なフラップ)を可能にして、螺旋の中心付近に力を加え、螺旋の周囲の周囲に対応する変形を分散させることができる。例えば、図2Aに示されるように、装具本体2002は、二重螺旋状構成を画定する単一のフラップ境界領域2013Aを画定する2つの屈曲可能なフラップ2008Aを含んでもよい。静止位置にあるとき、屈曲可能なフラップ2008Aの中心2015Aは、歯の所望の位置によって画定される空間に侵入し得る。変形位置では、患者によって着用されるとき、屈曲可能なフラップ2008Aは、変形して、中心2015A付近の歯に変形力を集中させることができる。屈曲可能なフラップ2008Aの変形力は、螺旋状構成の周辺部2010の周囲で装具本体2002に伝達され得る。いくつかの実施例では、図2Bに示されるように、螺旋状構成は、複数の屈曲可能なフラップ2008C、2008D、2008E、2008Fを有する四重螺旋状構成を含んでもよい。いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具2000は、図1A~図1Eを参照して上述したような円弧状部材を含んでもよい。
いくつかの実施例では、それぞれの屈曲可能なフラップは、スロット付き縁部を画定してもよく、ヒンジ軸に沿ってより薄い材料、及びヒンジ軸の反対側の円弧状部材を画定するより薄い材料を有することができる。図3A~図3Cは、ヒンジ軸2110から延びる屈曲可能なフラップ2108と、ヒンジ軸線2110の反対側のスプリングベローズ2109と、を含む例示的な取り外し可能な歯科装具2100を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2100は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
図3A~図3Cに示されるように、屈曲可能なフラップ2108は、ヒンジ軸2110において装具本体2102から延びる。ヒンジ軸2110は、装具本体2102の薄肉領域を画定する空隙2117を含み得る。いくつかの実施例では、空隙2117は、エネルギー貯蔵部材よりも柔軟な機構を作用させ得る一体型ヒンジを形成するための一連のノッチを含んでもよい。屈曲可能なフラップ2108は、スロット付き側部2113を画定する。スロット付き側部2113は、装具本体2102を通って延びる開口部を含んでもよい。他の実施例では、スロット付き側部2113は、装具本体2102の隣接する部分と比較して、剪断抵抗が低減された任意の好適なタイプの領域を含んでもよい。装具本体2102は、ヒンジ軸2110の反対側の円弧状部材2109を含む。図3Bに示されるように、円弧状部材2109は、屈曲可能なフラップ2108の表面に接する平面から離れる装具本体2102の変位を画定してもよい。図3Cの断面図に示されるように、円弧状部材2109及びヒンジ軸2110の厚さは、屈曲可能なフラップ2108及びシェル2104を含む装具本体2102の他の部分の厚さよりも実質的に薄くてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材2109は、ばねとして作用し、ヒンジ軸2110に蓄積されたエネルギーに加えて潜在的エネルギーを蓄積することができる。屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109の弾性率を組み合わせることによって、複合弾性率は、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109のいずれかが独立して達成できるよりも、約10Nの水平線に近似することができる。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109は、例えば、U字型の屈曲可能なフラップを囲む連続的なスプリングベローズと比較して、より単純であり、より容易に設計及び製造することができる。例えば、U字型の屈曲可能なフラップを囲む連続的なスプリングベローズと比較して、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110及び/又は円弧状部材2109の力を、より容易にモデル化し計算することができる。このような簡易化モデリングは、選択された力を歯に加えて選択された治療計画を達成するために、屈曲可能なフラップ及び円弧状部材の位置、寸法、及び形状を決定する際の計算強度又は時間を低減することができる。加えて、又は代わりに、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109は、直線状の切断路しか必要でないことがあるため、より簡易に機械加工することができる。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109は、予め製造された部品として大量生産され、形成された装具本体2102に後で取り付けられてもよい。このような実施例では、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109は、材料の連続的な直線押出を使用することと、屈曲可能なフラップ2108、ヒンジ軸2110、及び/又は円弧状部材2109を任意の所与の幅の個々の部分に切断することによって形成されてもよい。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ2108に隣接する装具本体2102の少なくとも一部は、空隙を画定し得る(例えば、スロット2013が拡大され得る)。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ2108に隣接する装具本体2108に力を直接伝達しないことによって、装具本体が変形する懸念が現実のものとなるとき、又は隣接する構造体の近接のために歯に嵌合する装具本体2108がそのような変形に起因して損なわれ得る例において、装具本体2108の変形を低減することができる。
いくつかの実施例では、装具本体は、スロットを含むヒンジ軸から延び、スロット付き縁部を画定する屈曲可能なフラップと、装具本体の表面に正接する平面内にジグザグばねを含む、ヒンジ軸の反対側の円弧状部材と、を含んでもよい。図4A~図4Cは、スロット付きヒンジ軸2210から延びる屈曲可能なフラップ2208と、ヒンジ軸2210の反対側の装具本体2202の表面に正接する平面内のジャンパー2209と、を含む例示的な取り外し可能な歯科装具2200を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2200は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
図4A~図4Cに示されるように、屈曲可能なフラップ2208は、スロット付きヒンジ軸2210において装具本体2202から延びる。上述のように、スロット付きヒンジ軸2210は、スロット付きではないヒンジ軸と比較して、可撓性が高くなり得る。屈曲可能なフラップ2208は、スロット付き側部2213を画定する。スロット付き側部2213は、装具本体2202を通って延びる開口部を含んでもよい。他の実施例では、スロット付き側部2213は、装具本体2202の隣接する部分と比較して、剪断抵抗が低減された任意の好適なタイプの領域を含んでもよい。装具本体2202は、ヒンジ軸2210の反対側の円弧状部材2209を含む。円弧状部材2209は、装具本体2202の表面に正接する平面内にジグザグ形状のばねを含む。いくつかの実施例では、円弧状部材2209は、屈曲可能なフラップ2208が、スロット付きヒンジ軸2210に垂直な方向、及び舌側-唇側方向に移動することを可能にし得る。屈曲可能なフラップ2208の移動は、いくつかの実施例では、それぞれの歯の移動中の発現を改善することができる。いくつかの実施例では、図4A~図4Cに示される構成は、シェル2204を反応力から隔離するのに有効であり得る。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ2208、ヒンジ軸2210、及び/又は円弧状部材2209は、装置本体2202の熱成形後にエンドミル又はレーザカッターを使用してそれらの要素を装具本体202に切断することができるため、より容易に機械加工することができる。これにより、図4A~図4Cに示す構成は、実質的に一定の厚さの装具を求める設計制約及び製造方法に適し得る。いくつかの実施例では、ヒンジ軸2210に沿って材料を除去することにより、屈曲可能なフラップ2208の変形を低減して、歯との接触面積を増加させるか、又はより予測可能な接触点を可能にすることができる。いくつかの実施例では、図4A~図4Cに示される構成は、舌、唇、又は頬の方向にあまり突出しないことによって、患者にとってより快適であり得る。例えば、1つ以上のジャンパー、又は1つ以上のジャンパーの振幅、幅、長さ、装着点などにおける変形など、円弧状部材2209の多くの変形が可能である。
いくつかの実施例では、装具本体は、スロットを含むヒンジ軸から延びる屈曲可能なフラップと、フラップ境界領域を架橋する複数の円弧状部材と、を含み得る。図5A及び図5Bは、スロット付きヒンジ軸2310から延びる屈曲可能なフラップ2308と、ヒンジ軸2310の反対側の装具本体2302の表面に正接する平面内でフラップ境界領域2313を架橋する複数のジャンパー2309と、を含む例示的な取り外し可能な歯科装具2300を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2300は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
図5A及び図5Bに示されるように、屈曲可能なフラップ2308は、スロット付きヒンジ軸2310において装具本体2302から延びる。屈曲可能なフラップ2308は、フラップ境界領域2213を画定する。装具本体2302は、シェル2304から屈曲可能なフラップ2308まで延びる複数の円弧状部材2309を含む。6つの円弧状部材2309が図示されているが、他の実施例では、装具本体2303は、より少ない又はより多い円弧状部材2309を含んでもよい。円弧状部材2309は、装具本体2302の表面に正接する平面内にジグザグ形状のばねを含む。いくつかの実施例では、円弧状部材2309は、屈曲可能なフラップ2308が、装具本体2302の表面に正接する平面内で、舌側-唇側方向に移動することを可能にし得る。屈曲可能なフラップ2208の移動は、いくつかの実施例では、それぞれの歯の移動中の発現を改善することができる。加えて、又は代わりに、複数の円弧状部材2309は、屈曲可能なフラップ2308によって歯の表面に加えられる力の方向又は大きさの制御を改善することができる。図5A及び図5Bに示される構成は、屈曲可能なフラップ2308の側部に沿って追加の円弧状部材2309を配置することによって、他の構成と比較して力を増大させることができる。いくつかの実施例では、円弧状部材2309が屈曲可能なフラップ2308の遠位端(例えば、ヒンジ軸から最も遠い端部)から省略されて、屈曲可能なフラップ2308を、隣接する歯科構造体又は力アクチュエータにより近接させて配置することができる。いくつかの実施例では、図5A及び図5Bに示される構成は、円弧状部材2309の数を減少させ、円弧状部材2309の長さを増加させることによって、より可撓性の高い屈曲可能なフラップ2308を可能にし得る。これは、屈曲可能なフラップ2308の遠位端の領域に加えて、屈曲可能なフラップ2308の横側にフラップ境界領域2313を利用する際に利用可能な長さを増加させることによって可能となる。
いくつかの実施例では、装具本体は、ヒンジ軸から延びる屈曲可能なフラップと、フラップ境界領域の少なくとも一部を架橋するスプリングベローズを画定する円弧状部材と、を含み得る。図6A及び図6Bは、ヒンジ軸2410から延びる屈曲可能なフラップ2408と、フラップ境界領域2413全体の周囲に延びるスプリングベローズ2409と、を含む例示的な取り外し可能な歯科装具2400を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2400は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
図6A及び図6Bに示されるように、屈曲可能なフラップ2408は、ヒンジ軸2410において装具本体2402から延びる。ヒンジ軸2410は、1つ以上の空隙2417を含んでもよい。装具本体2402は、フラップ境界領域2413全体の周りに延びる円弧状部材2409を含む。図6A及び図6Bに示されるように、円弧状部材2409は、シェル2404の表面に正接する平面から離れた装具本体2402の変位を画定してもよい。図6Aの断面図に示されるように、円弧状部材2409及びヒンジ軸2410の厚さは、屈曲可能なフラップ2408及びシェル2404を含む装具本体2402の他の部分の厚さよりも実質的に薄くてもよい。比較的薄い円弧状部材2409及びヒンジ軸2410は、周囲の装具本体2402又は屈曲可能なフラップ2408よりも高い可撓性を有してもよい。加えて、又は代わりに、いくつかの実施例では、円弧状部材2409及びヒンジ軸2410の1つ以上の部分は、選択領域における剪断応力を低減するためのスロットを含んでもよい。図6Bに示されるように、円弧状部材2409は、テーパ状のスプリングベローズを含んでもよい。テーパ状のスプリングベローズは、ヒンジ軸2410の近くの装具本体2402の表面に正接する平面内に配設されてもよく、フラップ境界領域2413の周囲の他の位置で平面から更に突出してもよい。このようにして、ヒンジ軸2410に近い円弧状部材2409の部分ほど、ヒンジ軸2410から遠い円弧状部材2409の部分よりも可撓性が低くなり得る。いくつかの実施例では、円弧状部材2409は、装具本体2402の表面に正接する平面に向かう及び平面から遠ざかる複数の起伏を含んでもよい。このような起伏は、円弧状部材2409によって屈曲可能なフラップ2408に加えられる力の方向及び/又は大きさの制御を改善することができる。図6A及び図6Bに示される構成は、装具材料の露出縁部を排除することによって患者の快適性を高める、フラップの側面を含むようにスプリングベローズの有効長を増加させることによって、他の実施例よりも実質的に大きな力を提供する、及び/又は円弧状部材を画定する空隙を有する装具本体と比較して、食品及び歯垢の蓄積を低減することができる。いくつかの実施例では、装具本体2402は、患者の快適性を改善するため、及び/又は装具本体2402の角部又は内縁部における食物又は歯垢の蓄積を低減するための丸め又は面取り部を含んでもよい。いくつかの実施例では、装具本体2402は、機械加工又は切断などの後加工を必要とせずに熱成形されてもよい。いくつかの実施例では、装具本体2402は、プリンタ内の装具の配向に応じて、(局所支持を欠く可能性がある露出縁部の排除のために)屈曲可能なフラップ2408上又はその近傍の支持構造体を必要とせずに3D印刷可能であってもよい。
いくつかの実施例では、装具本体は、ヒンジ軸から延びる屈曲可能なフラップと、フラップ境界領域の少なくとも一部を架橋するジャンパーを画定する円弧状部材と、を含み得る。図7A及び図7Bは、ヒンジ軸2510から延びる屈曲可能なフラップ2508と、フラップ境界領域2513を架橋する複数のジャンパー2509とを含む例示的な取り外し可能な歯科装具2500を示す概念図である。取り外し可能な歯科装具2500は、本明細書で説明する相違点を除いて、図1A~図1Eを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100と同じ又は実質的に同様であってもよい。
図7A及び図7Bに示されるように、屈曲可能なフラップ2508は、ヒンジ軸2510において装具本体2502から延びる。ヒンジ軸2510は、1つ以上の空隙2517を含んでもよい。装具本体2502は、フラップ境界領域2513を架橋するジャンパー2509を含む。図7A及び図7Bに示されるように、ジャンパー2509は、シェル2504の表面に正接する平面から離れる装具本体2502の変位を画定し得る。図7Bの断面図に示されるように、ジャンパー2509及びヒンジ軸2510の厚さは、屈曲可能なフラップ2508及びシェル2504を含む装具本体2502の他の部分の厚さよりも実質的に薄くてもよい。比較的薄いジャンパー2509及びヒンジ軸2510は、周囲の装具本体2502又は屈曲可能なフラップ2508よりも高い可撓性を有してもよい。加えて、又は代わりに、いくつかの実施例では、ジャンパー2509及びヒンジ軸2510の1つ以上の部分は、選択領域における剪断応力を低減するためのスロットを含んでもよい。いくつかの実施例では、力は、個々の貫通孔又は剪断低減領域を有するジャンパー2509の連続性を中断し、それにより、耐久性、成形性、印刷性などが損なわれる点まで厚さを減らすことなくジャンパー2509の総面積を減少させることによって低減され得る。ジャンパー2509はまた、屈曲可能なフラップ2508の側面のみに配置して、屈曲可能なフラップ2508のアスペクト比又は全長を低減することができる。いくつかの実施例では、装具本体2502(例えば、ジャンパー2509)によって画定される空隙は、歯の周囲及び装具を通る唾液流を増加させる場合があり、これは、歯と長時間接触した場合に、歯のエナメル質の脱灰、白斑病変、虫歯、歯肉炎などをもたらす可能性のある酸の排出にとって有益であり得る。
一般に、それぞれの屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、それぞれの装具本体の舌側面、顔側面、又は咬合面のいずれか1つのそれぞれのシェルと一体的に形成されてもよい。図8は、そのうちの1つがシェル204として図8に示される複数のシェル、屈曲可能なフラップ208、及び患者の歯203の舌側表面に力207を加えるように構成された円弧状部材209を含む例示的な取り外し可能な歯科装具200の一部の舌側図である。取り外し可能な歯科装具200は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図7Bを参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具200は、患者の下顎歯列弓201の複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体202を含んでもよい。装具本体202は、歯203の初期位置において歯203と係合するように成形されたシェル204を画定し、また、所望の位置に歯203を受け入れる。屈曲可能なフラップ208は、装具本体202と一体的に形成されて、シェル204のヒンジ軸210から延びる。装具本体202はまた、第1の端部212及び第2の端部214を含む、フラップ境界領域213を架橋する円弧状部材209を含む。装具本体202は、装具本体102と同様に、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
図8の実施例では、屈曲可能なフラップ208及び円弧状部材209は、装具本体202の舌側に配置され、歯203の舌側面に力207を加えるように構成されている。例えば、屈曲可能なフラップ208の静止位置は、歯203の所望の位置に歯203によって画定された空間に侵入する。取り外し可能な歯科装具200が患者によって装着されるとき、歯203の初期位置は、屈曲可能なフラップ208及び円弧状部材209の変形を引き起こす。屈曲可能なフラップ208の変形は、力207をもたらす。力207は、屈曲可能なフラップ208の1つ以上の歯203との接触点、例えば屈曲可能なフラップ208の表面、又は屈曲可能なフラップ208からの突出部によって、屈曲可能なフラップ208から歯203に伝達される。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ208及び円弧状部材209は、歯203の切歯縁部付近に力207を集中させるように配置及び成形される。歯203の切歯縁部付近に力207を集中させることによって、屈曲可能なフラップ208及び円弧状部材209は、回転軸216を中心として回転方向218に歯203のトルク付与をもたらす。図8には示されていないが、シェル204の表面は、シェル204の内側に空隙を画定してもよい。歯203が回転軸216を中心にトルク付与されると、歯203は空隙内に移動し、歯203の顔側面はシェル204の表面に接触することができる。
いくつかの実施例では、複数の屈曲可能なフラップ及び複数の円弧状部材は、装具本体の対向する側にあってもよい。図9A~図9Cは、そのうちの1つが図9A~図9Cでシェル304として示されている複数のシェルと、屈曲可能なフラップ308A及び308B(集合的に「屈曲可能なフラップ308」)と、患者の歯303にそれぞれ力307A及び307B(集合的に「力307」)を加えるように構成された円弧状部材309A及び309B(集合的に「円弧状部材309」)と、を含む例示的な取り外し可能な歯科装具300の唇側図、舌側図、及び咬合側図である。取り外し可能な歯科装具300は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図8を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具300は、複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体302を含んでもよく、それらの歯のうちの1つは、患者の下顎歯列弓301の歯303として図9A~図9Cに示されている。装具本体302は、装具本体102と同様に、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル304は、歯303の初期位置において歯303と係合し、歯303の所望の位置に歯303を受け入れるように成形されてもよい。装具本体302は、第1の端部312A及び第2の端部314Aを有するフラップ境界領域313Aを画定してもよい。屈曲可能なフラップ308Aは、装具本体302と一体的に形成されて、シェル304のヒンジ軸310Aから延びてもよい。
取り外し可能な歯科装具100及び200とは対照的に、取り外し可能な歯科装具300は、第2の屈曲可能なフラップ308B及び第2の円弧状部材309Bを更に含む。屈曲可能なフラップ308Aと同様、屈曲可能なフラップ308Bは、装具本体302と一体的に形成されて、シェル304のヒンジ軸310Bから延び、装具本体302は、第1の端部312B及び第2の端部314Bを有するフラップ境界領域313Bを画定する。図9Cに示されるように、屈曲可能なフラップ308Aは、取り外し可能な歯科装具300の顔側に配置されるのに対し、屈曲可能なフラップ308Bは、取り外し可能な歯科装具300の舌側に配置される。屈曲可能なフラップ308A及び円弧状部材309Aは、歯303の顔側面に力307Aを加えるように構成されてもよい。屈曲可能なフラップ308B及び円弧状部材309Bは、歯303の舌側面に力307Bを加えるように構成されてもよい。図3A及び図3Bに示されるように、力307A及び307Bは、水平面に対して歯303のほぼ同じ高さを中心としてもよい。他の実施例では、力307A及び307Bは、歯303の異なる高さを中心としてもよい。
屈曲可能なフラップ308A及び308Bは、連結を形成するように配置されてもよい。例えば、力307Aは、力307Bと実質的に対向し、ある距離をおいて離れていてもよい。力307A及び307Bの連結は、歯303のほぼ中心に位置し、咬合側-歯肉側方向に延びる軸316を中心とした歯303の回転をもたらし得る。図9A~図9Cには示されていないが、シェル304の表面は、シェル304の内部に空隙を画定し、歯303の所望の位置に歯303を受け入れるように成形されてもよい。例えば、屈曲可能なフラップ308Aは、歯303を空隙に向かって移動させるために、空隙とは反対側の歯303の顔側-遠位面に力307Aを加えるように構成されてもよい。同様に、シェル304の表面は、シェル304の内部に第2の空隙を画定し、歯303の所望の位置に歯303を受け入れるように成形されてもよい。例えば、屈曲可能なフラップ308Bは、第2の空隙とは反対側の歯303の舌側近心面に力307Bを加えて、歯303を第2の空隙に向かって移動させるように構成されてもよい。このようにして、屈曲可能なフラップ308及びシェル304は、歯303を歯303の所望の位置に向かって移動させるように一体的に形成されてもよい。
いくつかの実施例では、複数の屈曲可能なフラップ及び複数の円弧状部材は、装具本体の同じ側にあってもよい。図10は、そのうちの1がシェル404として図10に示される複数のシェル、複数の屈曲可能なフラップ408A及び408B(集合的に「屈曲可能なフラップ408」)、並びに患者の歯403にそれぞれ力407A及び407B(集合的に「力407」)を加えるように構成された複数の円弧状部材409A及び409B(集合的に「円弧状部材409」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具400の舌側図である。取り外し可能な歯科装具400は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図9を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具400は、複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体402を含んでもよく、それらの歯のうちの1つが、患者の下顎歯列弓401の歯403として図10に示されている。装具本体402は、装具本体102と同様に、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル404は、歯403の初期位置において歯403と係合し、歯403の所望の位置に歯403を受け入れるように成形されてもよい。装具本体402は、シェル404のヒンジ軸410Aから延びる屈曲可能なフラップ408A、及びフラップ境界領域413Aの周りで第1の端部412Aから第2の端部414Aまで延びる円弧状部材409Aを含んでもよい。加えて、取り外し可能な歯科装具300と同様、取り外し可能な歯科装具400は、第2のヒンジ軸410Bから延びる第2の屈曲可能なフラップ408B、及びフラップ境界領域413Bの周りで第1の端部412Bから第2の端部414Bまで延びる第2の円弧状部材409Bを含んでもよい。
図10に示されるように、屈曲可能なフラップ408A及び408Bは、取り外し可能な歯科装具400の舌側に配置される。屈曲可能なフラップ408A及び円弧状部材409Aは、歯403の切歯縁部付近の舌側面に力407Aを加えるように構成されてもよい。屈曲可能なフラップ408B及び円弧状部材409Bは、歯403の歯肉縁付近の舌側面に力407Bを加えるように構成されてもよい。力407A及び407Bは、歯403の中心(例えば、歯403にわたって近心-遠心方向に延びる軸の中心)に集中させてもよい。他の実施例では、力407A及び407Bは、歯403上の異なる位置に集中させてもよい。
力407A及び407Bは、類似の大きさ又は異なる大きさであってもよい。力407A及び407Bの大きさが類似している例では、歯403は、顔側方向に並進させられ得る。力407A及び407Bの大きさが異なっている例では、歯403は、顔側方向に並進させられるとともに傾けられ得る。例えば、力407Aが力407Bより大きい場合、歯403は、咬合側方向に傾いて顔側方向に並進することができる。いくつかの実施例では、異なる力407A及び407Bが使用されて、例えば、歯403の抵抗の中心を考慮することによって、歯403上で得られる力のモーメントを低減することができる。このようにして、屈曲可能なフラップ408A及び408Bは、歯403の直線状並進をもたらすように構成されてもよい。
いくつかの実施例では、装置本体の同じ側の複数の屈曲可能なフラップ及び複数の円弧状部材が、それぞれの複数の力を集中させるように構成されてもよい。例えば、図11は、そのうちの1つがシェル504として図11で示される複数のシェル、複数の屈曲可能なフラップ508A及び508B、並びにそれぞれ力507A及び507Bを患者の歯503に加えるように構成された円弧状部材509A及び509Bを含む例示的な取り外し可能な歯科装具500の舌側図である。
取り外し可能な歯科装具500は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図10を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具500は、患者の下顎歯列弓501の歯503を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体502を含んでもよい。装具本体502は、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル504は、歯503の初期位置において歯503と係合し、歯503の所望の位置に歯503を受け入れるように成形されてもよい。装具本体502は、第1の端部512A及び第2の端部514Aを有するフラップ境界領域513Aを画定してもよい。屈曲可能なフラップ508Aは、装具本体502と一体的に形成されて、シェル504のヒンジ軸510Aから延びてもよい。加えて、取り外し可能な歯科装具400と同様、取り外し可能な歯科装具500は、装具本体502と一体的に形成されてシェル504のヒンジ軸510Bから延びる第2の屈曲可能なフラップ508Bを含んでもよく、装具本体502は、第1の端部512B及び第2の端部514Bを有するフラップ境界領域513Bを画定する。屈曲可能なフラップ508A及び508Bは、取り外し可能な歯科装具500の舌側に配置されてもよい。
図11に示されるように、屈曲可能なフラップ508A及び508B並びに円弧状部材509A及び509Bは、歯503の中心付近の舌側面に力507A及び507Bをそれぞれ加えるように構成されてもよい。力507A及び507Bは、歯503の中心付近(例えば、近心-遠心軸の中心)に集中させてもよい。他の実施例では、力507A及び507Bは、近心-遠心軸に沿って歯503上の異なる位置に集中させてもよい。いくつかの実施例では、円弧状部材509A及び509Bは、共通軸515に沿って接続されてもよい。他の実施例では、円弧状部材509A及び509Bのうちの少なくとも1つは、軸515に沿って屈曲可能なフラップ508A及び508Bの両方に連結されてもよい。歯503の同じ部分に力507A及び507Bの両方を集中させることによって、取り外し可能な歯科装具500は、単一の屈曲可能なフラップで可能となり得るよりも大きな力をその歯503の部分に伝達することができる。このようにして、取り外し可能な歯科装具500は、屈曲可能なフラップ508A及び508Bを有さない歯科装具と比較して、より短い期間で歯503の移動を達成し得る。
いくつかの実施例では、複数の屈曲可能なフラップは、装具本体の同じ側に4つ以上の屈曲可能なフラップと対応する複数の円弧状部材とを含み得る。複数の屈曲可能なフラップ及び複数の円弧状部材は、それぞれの歯の1つ以上の位置にそれぞれの複数の力を集中させるように構成されてもよい。例えば、図12は、そのうちの1つがシェル604として図12に示される複数のシェル、複数の屈曲可能なフラップ608A、608B、608C、及び608D(集合的に「屈曲可能なフラップ608」)、並びに患者の歯603に力607A、607B、607C、及び607Dを加えるように構成された複数の円弧状部材609A、609B、609C、及び609D(集合的に「円弧状部材609」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具600の舌側図である。
取り外し可能な歯科装具600は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図11を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具600は、患者の下顎歯列弓601の歯603を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体602を含んでもよい。装具本体602は、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル604は、歯603の初期位置において歯603と係合し、歯603の所望の位置に歯603を受け入れるように成形されてもよい。装具本体602は、第1の端部612A及び第2の端部614Aを有するフラップ境界領域613Aを画定してもよい。屈曲可能なフラップ608Aは、装具本体602と一体的に形成されて、シェル604のヒンジ軸610Aから延びてもよい。加えて、取り外し可能な歯科装具500と同様、取り外し可能な歯科装具600は、装具本体602と一体的に形成されて、シェル604のヒンジ軸610Bから延びる第2の屈曲可能なフラップ608Bを含んでもよく、装具本体602は、第1の端部612Bを有し、屈曲可能なフラップ608Aと共通の第2の端部612Aを有するフラップ境界領域613Bを画定する。
取り外し可能な歯科装具500とは異なり、取り外し可能な歯科装具600はまた、第3の屈曲可能なフラップ608C、第3の円弧状部材609C、第4の屈曲可能なフラップ608D、及び第4の円弧状部材609Dを含んでもよい。屈曲可能なフラップ608は、取り外し可能な歯科装具600の舌側に配置されてもよい。図12に示されるように、屈曲可能なフラップ608及び円弧状部材609は、力607A、607B、607C、及び607D(集合的に「力607」)を歯603の中心付近の舌側面に加えるように構成されてもよい。力607は、歯603の中心付近(例えば、603を横切る近心-遠心軸に沿った歯603の中心)を中心にしてもよい。他の実施例では、力607は、歯603上の異なる位置に集中させてもよい。例えば、それぞれの屈曲可能なフラップ608及び円弧状部材609は、屈曲可能なフラップ608の対応する屈曲可能なフラップ上の任意の位置に、それぞれの力607を加えるように構成されてもよい。歯603の同じ部分に力607を集中させることによって、取り外し可能な歯科装具600は、1つ又は2つの屈曲可能なフラップを用いて可能となり得るよりも大きな力をその歯603の部分に伝達することができる。
歯603へより大きな力を伝達することにより、屈曲可能なフラップ608及び円弧状部材609は、より少ない数の屈曲可能なフラップと比較して、より短い期間で歯603を移動させることができる。例えば、屈曲可能なフラップ608は、屈曲可能なフラップ608及び/又は円弧状部材609を有さない他の歯科装具と比較して、より短い期間で顔側方向への歯603の並進を生じさせることができる。他の実施例では、屈曲可能なフラップ608及び円弧状部材609は、例えば、回転、並進、傾斜、トルク付与、挺出、及び押し込みのうちの少なくとも1つなどの他の歯の移動、又は歯の移動の組み合わせを生成するように構成されてもよい。代わりに、又は加えて、歯603に対する力が大きいと、取り外し可能な歯科装具600が、より少ない数の屈曲可能なフラップでは可能となり得ない歯603の移動、例えば、前臼歯の並進を可能にすることができる。このようにして、取り外し可能な歯科装具600は、屈曲可能なフラップ608を有さない歯科装具と比較して、歯603に比較的大きな力を加える必要のある歯603の移動、より短い期間での歯603の移動、又はその両方を達成することができる。
いくつかの実施例では、1つ以上の屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、それぞれの歯の押し込みを引き起こすように構成される。例えば、図13A~図13Fは、そのうち1つがシェル704として図7に示される複数のシェル、複数の屈曲可能なフラップ708A、708B、708C、及び708D(集合的に「屈曲可能なフラップ708」)、並びに患者の歯703にそれぞれ力707A、707B、707C、及び707D(集合的に「力707」)を加えるように構成された複数の円弧状部材709A、709B、709C、及び709D(集合的に「円弧状部材709」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具700の咬合側、舌側、及び遠位側断面図である。図7Aは、歯703が初期位置、例えば不正咬合位置にある歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の一部の咬合側図である。図7Bは、歯703が所望の位置、例えば、歯列矯正治療後の最終位置、又は取り外し可能な歯科装具700の使用によって達成される中間位置にある、歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の一部の咬合側図である。図7Cは、歯703が初期位置にある、歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の舌側図である。図7Dは、歯703が所望の位置にある、歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の一部の舌側図である。図7Eは、初期位置にある歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の断面図である。図7Fは、所望の位置にある歯703を囲む取り外し可能な歯科装具700の一部の断面図である。
取り外し可能な歯科装具700は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図12を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具700は、患者の下顎歯列弓701の歯703を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体702を含む。装具本体702は、装具本体102と同様に、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル704は、歯703の初期位置において歯703と係合し、歯703の所望の位置に歯703を受け入れるように成形されてもよい。更に、取り外し可能な歯科装具600と同様、取り外し可能な歯科装具700の実施例は、円弧状部材709の4つの屈曲可能なフラップ708を含む。例えば、装具本体702は、第1の端部712A、第2の端部714A、第3の交点712B、及び第4の交点714Bを有するフラップ境界領域713A、713B、713C、及び713D(集合的に「フラップ境界領域713」)を画定する。屈曲可能なフラップ708の各それぞれの屈曲可能なフラップは、装具本体702と一体的に形成されて、シェル704のそれぞれのヒンジ軸710A、710B、710C、及び710D(集合的に「ヒンジ軸710」)から延びる。
図13A~図13Fに示されるように、屈曲可能なフラップ708は、取り外し可能な歯科装具700の咬合面上又はその近くに配置される。屈曲可能なフラップ708の各それぞれの屈曲可能なフラップ及びそれぞれの円弧状部材709は、それぞれの力707を歯703の咬合面に加えるように構成されている。力707は、歯703の咬合面にわたって実質的に均等に分布されてもよく、又は歯703の咬合面の1つ以上の部分に集中させてもよい。力707が均等に分布される実施例では、力707は歯703の押し込みを引き起こし得る。他の実施例では、力707は、歯703の1つ以上の領域内に集中させられて、押し込みに加えて、傾斜などの他の移動を引き起こし得る。
図7Eに示されるように、屈曲可能なフラップ708は、歯703の初期位置において歯703と係合するように成形される。例えば、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されると、屈曲可能なフラップ708及び円弧状部材709は、初期の変形位置に変形する。力707は、屈曲可能なフラップ708及び円弧状部材709が初期の変形位置にあるときに最大である。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ708が変形位置にあるとき、シェル704の表面711は歯703の形状に対応する。変形位置において歯703の形状に対応することにより、屈曲可能なフラップ708は、歯703のより多くの部分と係合する。このように、力707の大きさが最大であるとき、力707の方向制御も最大である。歯703が力707に応答して移動すると、屈曲可能なフラップ708は、歯703との係合が次第に弱まり、力707が次第に減少する。例えば、図7Fに示すように、歯703が所望の位置に到達すると、表面711と歯703との間に空隙710が形成される。歯703の移動は、力707が歯槽骨の再構築を引き起こすのに不十分となるまで継続する。例えば、力707は、屈曲可能なフラップ708が、フラップ境界領域709のうちの1つ以上が互いに接触するように収束する位置まで移動するとき、歯槽骨の再構築を引き起こすのに不十分であり得る。
他の実施例では、表面711は、歯703の所望の位置における歯703の形状に対応してもよい。例えば、屈曲可能なフラップ708は、歯703が初期位置にあるとき、歯703との係合が弱い状態であってもよい。力707に応答して歯703が移動するにつれて、屈曲可能なフラップ708の係合を強めることができる。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップ708が歯703と漸進的に係合する際に、歯703が1つ以上の並進又は回転で移動するように、歯703と表面711との間に連結が形成されてもよい。
いくつかの実施例では、1つ以上の屈曲可能なフラップ及び1つ以上の円弧状部材は、それぞれの歯の挺出を引き起こすように構成される。例えば、図14は、そのうち1つがシェル804として図14に示される複数のシェル、複数の屈曲可能なフラップ808A、808B、及び808C(集合的に「屈曲可能なフラップ808」)、並びに患者の歯803にそれぞれ力807A、807B、及び807C(集合的に「力807」)を加えるように構成された複数の円弧状部材809A、809B、及び809C(集合的に「円弧状部材809」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具800の一部の咬合側図である。
取り外し可能な歯科装具800は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図13を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様である。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具800は、患者の下顎歯列弓801の歯803を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体802を含む。装具本体802は、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル804は、歯803の初期位置において歯803と係合し、歯803の所望の位置に歯803を受け入れるように成形されてもよい。更に、取り外し可能な歯科装具400と同様、取り外し可能な歯科装具800の実施例は、複数の屈曲可能なフラップ808及び複数の円弧状部材809を含む。装具本体802は、第1の端部812A及び第2の端部814Aを有するフラップ境界領域813A、第1の端部812B及び第2の端部814Bを有するフラップ境界領域813B、並びに第1の端812C及び第2の端814Cを有するフラップ境界領域813Cを画定する。装置本体802と一体的に形成された屈曲可能なフラップ808の各それぞれの屈曲可能なフラップは、シェル804のそれぞれのヒンジ軸810A、810B、及び810C(集合的に「ヒンジ軸線810」)から延びる。
図14に示されるように、屈曲可能なフラップ808は、歯803の歯肉縁付近に配置される。屈曲可能なフラップ808の各それぞれの屈曲可能なフラップ及び円弧状部材809は、歯803の輪郭の高さより下の歯803の表面にそれぞれの力807を加えるように構成されている。歯803の輪郭の高さは、歯冠の凸部又は隆起の最大量である。屈曲可能なフラップ808は、力807が歯803の舌側及び顔側部の両方にわたって実質的に均等に分配されるように、シェル804の顔側部及び舌側部にわたって実質的に均等に分布され得る。例えば、図14には示されていないが、対応するシェルの顔側に配置されたそれぞれの屈曲可能なフラップは、対応するシェルの舌側に配置された対応する屈曲可能なフラップを有してもよい。このようにして、力807は、歯803を単に並進又は回転させるのではなく歯803を押し出すように構成されてもよい。他の実施例では、屈曲可能なフラップ808及び円弧状部材809は、挺出に加えて、傾斜、トルク付与、並進、又は回転などの他の移動を引き起こすように構成されてもよい。
いくつかの実施例では、1つ以上の屈曲可能なフラップ及び円弧状部材は、それぞれの歯の並進を引き起こすように構成されてもよい。例えば、図15A及び図15Bは、そのうち1つが図15A及び図15Bにシェル904として示される複数のシェル、複数の円弧状部材909A及び909B(集合的に「円弧状部材909」)、並びに患者の歯903にそれぞれ力907A及び907B(集合的に「力907」)を加えるように構成された複数の屈曲可能なフラップ908A及び908B(集合的に「屈曲可能なフラップ908」)を含む例示的な取り外し可能な歯科装具900の頬側図及び咬合側図である。図15Aは、歯903が初期位置、例えば不正咬合位置にある歯903を囲む取り外し可能な歯科装具900の一部の頬側図である。図15Bは、歯903が初期位置にある、歯903を囲む取り外し可能な歯科装具900の一部の頬側図である。
取り外し可能な歯科装具900は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図14を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具900は、患者の下顎歯列弓901の歯903を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体902を含む。装具本体902は、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。シェル904は、歯903の初期位置において歯903と係合し、歯903の所望の位置に歯903を受け入れるように成形されてもよい。更に、取り外し可能な歯科装具300と同様、取り外し可能な歯科装具900の実施例は、2つの屈曲可能なフラップ908を含む。例えば、装具本体902は、第1の端部912A及び第2の端部914Aを有するフラップ境界領域913A、並びに第1の端部912B及び第2の端部914Bを有するフラップ境界領域913Bを画定する。装具本体902と一体的に形成された屈曲可能なフラップ908の各それぞれの屈曲可能なフラップは、シェル904Bのそれぞれのヒンジ軸910A及び910B(集合的に「ヒンジ軸910」)から延びる。
図15A及び図15Bに示されるように、屈曲可能なフラップ908は、シェル904と隣接シェルとの間の隣接歯間領域付近で、取り外し可能な歯科装具900の対向する顔側及び舌側に配置される。屈曲可能なフラップ908の各それぞれの屈曲可能なフラップ及び円弧状部材909は、歯903と隣接歯との隣接歯間領域付近の歯903の表面にそれぞれの力907を加えるように構成されている。力907Aの大きさは、歯903の遠位並進を生じさせるように、力907Bの大きさと実質的に同様であってもよい。他の実施例では、力907は、顔側又は舌側方向のいずれかの遠位並進及び並進、すなわち、通所の歯軸のうちの1つに対して角度のある軸に沿った並進を生じさせるように、異なる大きさ又は顔側若しくは舌側に偏った位置を有してもよい。
いくつかの実施例では、装具本体の少なくとも1つの部分は、補強構造体を含む。補強構造体は、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の剛性を高めるように構成され得る。一例として、図16は、そのうちの1つがシェル1004として図16で示される複数のシェルと、患者の歯1003に力1007を加えるように構成された少なくとも1つの屈曲可能なフラップ1008とを含む例示的な取り外し可能な歯科装具1000の一部の舌側図である。
取り外し可能な歯科装具1000は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図15を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具1000は、患者の下顎歯列弓1001の歯1003を含む複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体1002を含む。シェル1004は、歯1003の初期位置において歯1003と係合し、歯1003の所望の位置に歯1003を受け入れるように成形される。更に、取り外し可能な歯科装具200と同様、取り外し可能な歯科装具1000は、装具本体1002の舌側に配置された屈曲可能なフラップ1008を含む。装具本体1002は、第1の端部1012及び第2の端部1014を有するフラップ境界領域1009を画定する。屈曲可能なフラップ1008は、装置本体1002と一体的に形成され、シェル1004のヒンジ軸1010から延びる。装具本体1002は、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
図16に示されるように、装具本体1002は、補強構造体1005を含んでもよい。補強構造体1005は、屈曲可能なフラップ1008上に配置される。他の実施例では、補強構造体は、円弧状部材1009上など、屈曲可能なフラップ1008に隣接して配置されてもよい。補強構造体1005は、図16の屈曲可能なフラップ1008などの装具本体1002の少なくとも一部の剛性を高めるように構成される。例えば、補強構造体1005は、上述したように、取り外し可能な歯科装具1000が患者によって装着されたときに屈曲可能なフラップ1008が変形するとき、屈曲可能なフラップ1008の剛性を高めるための追加材料のストリップを含む。いくつかの実施例では、補強構造体1005は、上述したようにジャンパーを含んでもよい。図16の実施例では、補強構造体1005を形成する追加材料は、装具本体1002と同じ材料である。他の実施例では、補強構造体は、例えば、異なるポリマーや生体適合性金属などのような、装具本体材料よりも高い弾性率を有する少なくとも1つの材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、補強構造体1005の1つ以上の縁部は、面取りされてもよく、又は丸みをつけられてもよい。補強構造体1005の少なくとも一部を面取り又は丸み付けすることにより、患者の快適性を向上させることができる。このようにして、補強構造体1005は、屈曲可能なフラップ1008の剛性を高めて、屈曲可能なフラップ1008によって提供される力の大きさを増大させ、屈曲可能なフラップ1008によって提供される力の制御及び結果として生じる歯1003の移動、又はその両方を向上させることができる。
いくつかの実施例では、補強構造体は、屈曲可能なフラップ上ではなく、1つ以上の屈曲可能なフラップに隣接して配置されてもよい。例えば、図17は、そのうちの1つが1104として図17に示される複数のシェル、屈曲可能なフラップ1108A及び1108B、並びに患者の歯1103にそれぞれ力1107A及び1107Bを加えるように構成された円弧状部材1109A及び1109Bを含む例示的な取り外し可能な歯科装具1100の一部の舌側図である。
取り外し可能な歯科装具1100は、本明細書に記載の相違点を除いて、図1A~図16を参照して上述した取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500と同じ又は実質的に同様であってもよい。例えば、取り外し可能な歯科装具100と同様、取り外し可能な歯科装具1100は、患者の下顎歯列弓1101の歯1103などの複数の歯を少なくとも部分的に囲むように構成された装具本体1102を含む。シェル1104は、歯1103の初期位置において歯1103と係合し、歯1103の所望の位置に歯1103を受け入れるように成形される。更に、取り外し可能な歯科装具400と同様、取り外し可能な歯科装具1100は、装具本体1102の舌側に配置された屈曲可能なフラップ1108A及び1108B(集合的に「屈曲可能なフラップ1108」)を含む。装具本体1102は、第1の端部1112A及び第2の端部1114Aを有するフラップ境界領域1109A、並びに第1の端部1112B及び第2の端部1114Bを有する屈曲可能なフラップ境界領域1109Bを画定する。屈曲可能なフラップ1108は、装具本体1102と一体的に形成されて、シェル1104のそれぞれのヒンジ軸1110A及び1110Bから延びる。装具本体1102は、装具本体102と同様に、歯肉領域を含んでもよく、又は含まなくてもよい。また、取り外し可能な歯科装具1000と同様、装具本体1102は、補強構造体1105を含む。
補強構造体1105は、屈曲可能なフラップ1108に隣接して配置される。補強構造体1105は、装具本体1102の少なくとも一部の剛性を高めるように構成されている。例えば、補強構造体1105は、第1のヒンジ軸1110Aと第2のヒンジ軸1110Bとの間の装具本体1102の領域の剛性を増大させるため、シェル1104の厚化領域、又はシェル1104上の追加材料のストリップを含んでもよい。取り外し可能な歯科装具1100が患者によって装着されると、屈曲可能なフラップ1108が変形する。屈曲可能なフラップ1108の変形は、第1のヒンジ軸1110Aと第2のヒンジ軸線1110Bとの間の装具本体1102の領域に変形又は応力を生じさせることができる。補強構造体1105を形成する追加材料は、第1のヒンジ軸1110Aと第2のヒンジ軸1110Bとの間の装具本体1102の領域の可撓性を低減することで、この変形に抵抗し、第1のヒンジ軸線1110Aと第2のヒンジ軸線1110Bとの間の装具本体1102の領域内の応力を低減することができる。このようにして、補強構造1105は、力1107の制御及び結果として生じる歯1103の移動を改善するために、屈曲可能なフラップ1108における変形度(concentration of deformation)を改善することができる。加えて、又は代わりに、補強構造体1105を形成する追加材料は、装具本体1102の少なくとも一部の耐久性を向上させることができる。このようにして、補強構造体1105は、取り外し可能な歯科装具1100が患者によって装着されるか、又は歯に嵌合されるときに、装具本体1102の少なくとも一部の永久変形又は破損の可能性を低減することができる。
図18は、診療所14と製造施設20とが、患者12用の取り外し可能な歯科装具22のセットの製造プロセス全体を通じて情報を通信する、例示的なコンピュータ環境10を示すブロック図である。取り外し可能な歯科装具22のセットは、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000,2100、2200、2300、2400、及び2500のうちの少なくとも1つを含んでもよい。上述のように、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500は、複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、及び少なくとも1つの円弧状部材を含む。最初に、診療所14の歯科矯正医は、任意の適切な画像化技術を使用して患者12の歯科構造の1つ以上の画像を生成し、デジタル歯科構造データ16(例えば、患者12の歯構造のデジタル表現)を生成する。例えば、医師は、デジタル走査され得るX線画像を生成し得る。あるいは、医師は、患者の歯構造のデジタル画像を、例えば、従来のコンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、レーザ走査、口腔内走査、歯科印象のCT走査、印象から注入された歯科用鋳造の走査、超音波計測、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、又は3次元(3D)データ取得の任意の他の好適な方法を使用して取り込んでもよい。他の実施形態では、デジタル画像は、Brontes Technologies,Inc.(Lexington,Massachusetts)によって開発され、参照により全文が本明細書中に組み込まれる国際公開第2007/084727号(Boerjesら)に記載されているアクティブ波面サンプリング(active wavefront sampling)を用いる口腔内スキャナなどの手持式口腔内スキャナを使用して提供してもよい。あるいは、他の口腔内スキャナ又は口腔内接触プローブを使用することもできる。別の選択肢として、患者12の歯のネガ印象を走査することによって、デジタル歯科構造データ16を提供してもよい。更に別の選択肢として、患者12の歯のポジの物理的モデルを画像化することにより、又は患者12の歯のモデルに対して接触プローブを使用することにより、デジタル歯科構造データ16を提供してもよい。走査に使用されるモデルは、例えば、アルギネート又はポリビニルシロキサン(PVS)などの好適な印象材から、患者12の歯列の印象をキャスティングし、キャスティング材料(歯列矯正石膏又はエポキシ樹脂など)を印象に鋳込み、キャスティング材料を硬化させることによって作製することができる。上記のものを含む任意の好適な走査技法を用いてモデルを走査してもよい。他の可能な走査方法は、参照により全文が本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinaderら)に記載されている。
歯の露出面を走査してデジタル画像を提供することに加え、歯列の見えていない特徴部、例えば、患者12の歯根、及び患者12の顎骨を画像化することが可能である。いくつかの実施形態では、デジタル歯科構造データ16は、これら特徴部のいくつかの3D画像を用意し、続いて、それらをともに「縫い合わせる」ことによって形成される。これらの異なる画像は、同じ画像化技術を使用して提供される必要はない。例えば、CTスキャンを備えた歯根のデジタル画像は、例えば、参照により全文が本明細書に組み込まれる、Rabyらによる米国特許出願第62/787,025号に記載されているように、口腔内可視光スキャナを用いて提供される歯冠のデジタル画像と一体化されてもよい。2次元(two-dimensional、2D)歯科画像の3D歯科画像とのスケーリング及びレジストレーションについては、参照により全文が本明細書中に組み込まれる米国特許第6,845,175号(Kopelmanら)及び同じく参照により全文が本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0029068号(Baduraら)に記載されている。参照により全文が本明細書中に組み込まれる発行済みの米国特許第7,027,642号(Imgrundら)及び同じく参照により全文が本明細書中に組み込まれる米国特許第7,234,937号(Sachdevaら)は、種々の3D源から提供されたデジタル画像を一体化する技術の使用について記載している。したがって、用語「画像化」は、これが本明細書において使用される際、視覚的に明らかな構造の、通常の写真画像化に限定されず、視界から隠れた歯科構造の画像化を含む。歯科構造としては、歯列弓の1本以上の歯冠又は根、歯肉、歯周靭帯、歯槽骨、皮質骨、インプラント、人工歯冠、ブリッジ、ベニア、義歯、歯列矯正装置、又は治療前、治療中、若しくは治療後に歯列の一部とみなされ得る任意の構造物の、任意の部分を挙げることができるが、これらに限定されない。
デジタル歯科構造データ16を生成するために、コンピュータは、画像化システムからの未加工データを、使用可能なデジタルモデルに変換しなければならない。例えば、コンピュータが受け取る歯の形状を表す未加工データにおいて、未加工データは、多くの場合、3D空間内の点群にすぎない。典型的には、この点群を表面に構成し、1本以上の歯、歯肉組織及び他の周囲口腔構造を含む患者の歯列の3Dオブジェクトモデルを作製する。このデータが歯列矯正の診断及び治療において有用となるように、コンピュータは、歯列表面を「セグメント化」し、個々の歯を表す1つ以上の個別の移動可能な3D歯オブジェクトモデルを生成してもよい。コンピュータは、これら歯モデルを歯肉から別個のオブジェクトへと更に分離してもよい。
セグメント化によって、ユーザは、歯の配列を個々のオブジェクトのセットとして特性評価し、操作することが可能となる。有利には、コンピュータはこれらモデルから、歯列弓周長、噛み合わせ、隣接歯の間に介在する間隔などの診断情報、及び更にはAmerican Board of Orthodontics(ABO)の客観的評価を得てもよい。更なる利点として、デジタル歯列矯正セットアップは、製造プロセスに可撓性をもたらしてもよい。物理的プロセスをデジタルプロセスで置き換えることによって、データ取得工程とデータ操作工程とを、石モデル又は印象をある位置から別の位置へ輸送する必要なく、別々の位置で実行することが可能である。物理オブジェクトを輸送して行き来させる必要を低減する又はなくすことは、カスタマイズされた装具の顧客及び製造者の両者にとって、大幅なコストの節減につながり得る。
デジタル歯科構造データ16の生成後、診療所14は、デジタル歯科構造データ16をデータベースの患者記録内に記憶してもよい。診療所14は、例えば、複数の患者記録を有するローカルデータベースを更新してもよい。あるいは、診療所14は、ネットワーク24を介して、(任意選択的に製造施設20内の)中央データベースを遠隔に更新してもよい。デジタル歯科構造データ16を記憶した後に、診療所14は、デジタル歯科構造データ16を製造施設20に電子的に通信する。あるいは、製造施設20は、デジタル歯科構造データ16を中央データベースから取り出してもよい。あるいは、製造施設20は、既存のデジタル歯科構造データ16を、診療所14とは無関係のデータソースから取り出してもよい。
診療所14はまた、医師の診断と患者12の治療計画とに関する全般的な情報を伝える処方データ18を、製造施設20に転送してもよい。いくつかの例では、処方データ18は、より具体的であってもよい。例えば、デジタル歯科構造データ16は、患者12の歯科構造のデジタル表現であってもよい。診療所14の医師は、デジタル表現を精査し、患者12の個々の歯の所望の移動、間隔、及び最終位置のうちの少なくとも1つを示してもよい。例えば、患者12の個々の歯の所望の移動、間隔、及び最終位置は、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具によって治療の各段階で患者12の歯に加えられることになる力に影響を及ぼすことができる。上述のように、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具(例えば、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500)によって加えられる力は、複数のシェル(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404、又は2504)、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408、又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409又は2509)、少なくとも1つの補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などのうちの少なくとも1つの寸法、形状、及び位置を選択することによって決定されてもよい。患者12の個々の歯の所望の移動、間隔、又は最終位置のうちの少なくとも1つによって、医師、製造施設20の技師、及び製造施設20のコンピュータが、シェル、屈曲可能なフラップ、円弧状部材、及び補強構造体のうちの少なくとも1つの選択された寸法、形状、及び位置のうちの少なくとも1つを決定することが可能になる。このようにして、デジタル歯科構造データ16は、患者12の歯の所望の移動をもたらすために、取り外し可能な歯科装具22のセットの取り外し可能な歯科装具のそれぞれのシェル、屈曲可能なフラップ、円弧状部材、及び補強構造体のうちの少なくとも1つの、医師、技師、又はコンピュータによって選択された寸法、形状、及び位置のうちの少なくとも1つを含んでもよい。デジタル表現を精査した後に、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具のシェル、屈曲可能なフラップ、円弧状部材、及び補強構造体の選択された寸法、形状、及び位置を含むデジタル歯科構造データ16は、製造施設20に転送されることができる。製造施設20は、別の場所にあってもよく、又は診療所14内にあってもよい。
例えば、それぞれの診療所14は、臨床的環境において臨床医又は助手がローカルにインストールされたソフトウェアを使用して治療計画及びデジタル設計を完全に実施できるように、製造施設20のための現地設備を含んでもよい。製造は3Dプリンタの使用によって(又は積層造形(additive manufacturing)の他の方法によって)診療所内でも行ってよい。3Dプリンタは、歯科装具の複雑な特徴部又は患者12の歯科構造の物理的表現の製造を積層印刷によって可能にする。3Dプリンタは、患者12の本来の歯科構造及び患者12の所望の歯科構造の繰り返しデジタル設計を使用して、複数のデジタル装具、患者12の所望の歯科構造を作成するようにカスタマイズされたデジタル装具パターン、又はその両方を作成してもよい。製造は、未硬化樹脂を除去し、支持構造を除去する、又は様々な部品を組み立てる後処理を含んでもよく、後処理は必要なことがあり、臨床的環境において実行されることもできる。
製造施設20では、患者12の歯を再配置するために、患者12のデジタル歯科構造データ16を用いて、取り外し可能な歯科装具22のセットを構築する。その後しばらく経って、製造施設20は、取り外し可能な歯科装具22のセットを診療所14に、又はその代わりに、患者12に直接送る。例えば、取り外し可能な歯科装具22のセットは、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットであってもよい。患者12は、その後、患者12の歯を再配置するために、取り外し可能な歯科装具22のセット内の取り外し可能な歯科装具22を所定のスケジュールに従って長い時間にわたり順次装着する。例えば、患者12は、取り外し可能な歯科装具22のセット内の各取り外し可能な歯科装具を約2週間~約4週間又は約3週間など、約1週間~約6週間の期間にわたって装着してもよい。任意選択的に、患者12は、取り外し可能な歯科装具22による治療の経過の定期的な観察のために診療所14に戻ってもよい。
そのような定期的な観察の間に、臨床医は、取り外し可能な歯科装具22のセット内の取り外し可能な歯科装具を長い期間をかけて順次装着する患者12の所定のスケジュールを調整してもよい。観察には、一般に、患者12の歯の目視検査を含むとともに、デジタル歯科構造データを生成するための画像化も含んでよい。いくつかの実施例では、臨床医は、例えば、新たな取り外し可能な歯科装具22のセットを作製するために、新たに生成したデジタル歯科構造データ16を製造施設20に送信することによって、取り外し可能な歯科装具22のセットによる患者12の治療の中断を決定してもよい。いくつかの実施例では、臨床医は、取り外し可能な歯科装具22による治療の所定のスケジュールの完了後に、新たに生成したデジタル歯科構造データ16を製造施設20に送信してもよい。いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具22による治療の所定のスケジュールの完了後に、臨床医は、新たな取り外し可能な歯科装具のセットを製造施設20に要求し、患者12の治療を継続してもよい。
図19は、本開示の一実施例による、診療所14で実施されるプロセス30を示すフロー図である。最初に、医師が診療所14において、患者12から患者の個人情報及び他の情報を収集し、患者記録を作成する(32)。上述するように、患者記録は、診療所14内に置かれていてもよく、任意選択的に、製造施設20内のデータベースとデータを共有するように構成されていてもよい。代わりに、又は加えて、患者記録は、ネットワーク24を介して診療所14にリモートアクセス可能な製造施設20のデータベース内に、又は製造施設20と診療所14との両方によりリモートアクセス可能なデータベース内に配置されてもよい。
次に、任意の好適な技術を用いて患者12のデジタル歯科構造データ16を生成し(34)、これにより、仮想歯科構造を作成してもよい。デジタル歯科構造データ16は、歯科構造の2次元(2D)画像、3次元(3D)表現、又はその両方から構成されてもよい。
一例では、歯科構造の3D表現は、(Imaging Sciences International,LLC(1910 N Penn Road,Hatfield,Pennsylvania)から入手可能な)i-CAT 3D歯科画像化デバイスなどのコーンビームコンピュータ断層撮影(cone beam computerized tomography、CBCT)スキャナを用いて生成される。診療所14は、CBCTスキャナにより生成した(放射線画像の形態の)3Dデジタル歯科構造データ16を、診療所14内、又はその代わりに、製造施設20内に配置されたデータベースに記憶する。コンピューティングシステムは、複数のスライスの形態であってもよい、CBCTスキャナからのデジタル歯科構造データ16を処理し、3Dモデリング環境内で操作することができる歯構造のデジタル表現を計算する。
2D放射線画像が使用される(36)場合、医師は、3Dデジタルデータを更に生成(38)してもよい。3Dデジタル歯科構造データ16は、例えば、患者12の歯構造の物理的印象又は鋳造物を形成し、その後、それをデジタル走査することによって生成してもよい。例えば、患者12の歯列弓の物理的印象又は鋳造は、(Laser Design,Inc.(Minneapolis,Minnesota)から入手可能な)OM-3Rスキャナ、又は(GOM GmbH(Braunschweig,Germany)から入手可能な)ATOSスキャナなどの、可視光スキャナを用いて走査してもよい。その代わりとして、医師は、咬合科の3Dデジタル歯科構造データ16を、患者12の歯列弓の口腔内走査又は既存の3D歯データを使用することで生成してもよい。一実施例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Rabyらによる米国特許第8,491,306号に記載される、キャスティング又は印象からデジタル走査を形成する方法を使用してもよい。同じ又は異なる例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Seeらによる米国特許出願公開第2013/0325431号に記載されているような仮想歯面及び仮想歯座標系を画定するための技術が使用されてもよい。いずれの場合においても、デジタルデータは、3Dモデリング環境内にデジタルで位置合わせされ、歯根及び咬合面を含み得る歯構造の複合的なデジタル表現を形成する。
一実施例では、歯列弓の咬合面の2D放射線画像及び3Dデジタルデータは、放射線画像及び3Dデジタル走査の両方を生成する前に、最初に、レジストレーションマーカ(例えば、基準マーカ又は既知の幾何学的形状寸法を有するペデスタル)を患者12の歯構造に取り付けることによって位置合わせされる。その後、2D放射線画像及び3Dデジタルデータ内のレジストレーションマーカのデジタル表現は、米国特許第8,491,306号に記載される位置合わせ技術を用いて、3Dモデリング環境内で位置合わせしてもよい。
別の例では、歯構造の3Dデジタルデータは歯構造の2つの3Dデジタル表現を組み合わせることによって生成される。例えば、第1の3Dデジタル表現は、CBCTスキャナ(例えば、i-CAT 3D歯科画像化デバイス)から取得した根の比較的低解像度の画像であってもよく、第2の3Dデジタル表現は、患者の歯列弓の印象の産業用CT走査又は鋳造の可視光(例えば、レーザ)走査から取得した歯冠の比較的高解像の画像であってもよい。3Dデジタル表現は、3D表現をコンピュータ環境内で操作することを可能にするソフトウェアプログラム(例えば、(3D Systems,Incから入手可能な)Geomagic Studioソフトウェア、333 Three D Systems Circle(Rock Hill,South Carolina))を用いて位置合わせしてもよく、又はその代わりに、米国特許第8,491,306号に記載される位置合わせ技術を使用してもよい。
次に、3Dモデリングソフトウェアを実行するコンピュータシステムが、患者の歯列弓の咬合面及び根構造を含む歯構造の合成されたデジタル表現をレンダリングする。モデリングソフトウェアは、医師が3D空間内の歯のデジタル表現を患者の歯列弓のデジタル表現に対し操作することを可能にするユーザインターフェースを提供する。コンピュータシステムと対話することによって、医師は、患者12の個々の歯の、所望の位置の兆候、最終位置、若しくはその両方、それぞれの治療段階の持続時間、又は治療段階の数、治療段階中の患者12の歯に対する力の方向若しくは大きさなどの表現を選択することなどによって、治療情報を生成する(40)。いくつかの実施例では、屈曲可能なフラップは、治療の少なくとも1つの段階中、しかし全てよりは少ない治療段階で使用され得る。例えば、患者12の個々の歯の所望の位置、治療のそれぞれの段階の持続時間、又は治療段階の数は、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具による治療の各段階における、患者12の歯に対する力の方向又は大きさに影響を及ぼすことができる。上述のように、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具(例えば、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400又は2500)によって加えられる力は、複数のシェル(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404、又は2504)、屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408、又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409又は2509)、補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などのうちの少なくとも1つの寸法、形状、及び位置を選択することによって決定されてもよい。このようにして、診断及び治療情報でデータベースを更新すること(40)は、患者12の歯の所望の移動をもたらすために、医師、技師によって、又はコンピュータによって自動的に、取り外し可能な歯科装具22のセットの取り外し可能な歯科装具のそれぞれの複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、少なくとも1つの補強構造体などの寸法、形状、及び位置を決定又は選択することを含むことができる。
医師が3D環境内において診断及び治療計画に関する全般的な情報の伝達を完了すると、コンピュータシステムは、患者記録に関連付けられたデータベースを更新し、医師が指定した診断及び治療計画に関する全般的な情報を伝える処方データ18を記録する(42)。その後、処方データ18は、製造施設20が取り外し可能な歯科装具22などの、少なくとも1つの屈曲可能なフラップを含む1つ以上の取り外し可能な歯科装具を構築するために、製造施設20に中継される(44)。
歯科矯正診療所にいる歯科矯正医に関して記載したが、図19に関して検討した工程の1つ以上は、製造施設20にいるユーザなどの遠隔ユーザによって実施されてもよい。例えば、歯科矯正医は、放射線画像データと患者の印象又は鋳造とを製造施設20に送信するのみであってもよく、製造施設20で、ユーザがコンピュータシステムと対話し、3Dモデリング環境内において治療計画を策定する。任意選択的に、3Dモデリング環境内における治療計画のデジタル表現は、その後、診療所14の歯科矯正医に送信されてもよく、歯科矯正医は治療計画を精査し、自身の承認を返送するか所望の変更を示すかのいずれかであってもよい。
図20は、ネットワーク24を介して製造施設20に接続されたクライアントコンピュータ50の一実施例を示すブロック図である。図示される実施例では、クライアントコンピュータ50は、モデリングソフトウェア52の動作環境を提供する。モデリングソフトウェア52は、患者12の歯の3D表現をモデリングし、かつ描画するためのモデリング環境を提示する。図示される例では、モデリングソフトウェア52は、ユーザインターフェース54と、アライメントモジュール56と、レンダリングエンジン58とを含む。
ユーザインターフェース54は、患者12の歯の3D表示を視覚的に表示するグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を提供する。加えて、ユーザインターフェース54は、モデル化された歯列弓内の患者12の歯を操作するために、診療所14の医師60から、例えば、キーボード及びポインティングデバイス、タッチスクリーンなどによる入力を受け取るためのインターフェースを提供する。
モデリングソフトウェア52は、ネットワークインターフェース70を介して製造施設20にアクセス可能であってもよい。モデリングソフトウェア52は、データベース62と対話して、治療データ64、患者12の歯構造に関する3Dデータ66、及び患者データ68などの様々なデータにアクセスする。データベース62は、データ記憶ファイル、ルックアップテーブル、又は1つ以上のデータベースサーバで実行されるデータベース管理システム(database management system、DBMS)を含む、様々な形態で提示されてもよい。データベース管理システムは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、階層型データベース管理システム(HDBMS)、多次元データベース管理システム(MDBMS)、オブジェクト指向データベース管理システム(ODBMS若しくはOODBMS)、又はオブジェクトリレーショナルデータベース管理システム(ORDBMS)であってもよい。データは、例えば、Microsoft Corporation製のSQLサーバなど、単一のリレーショナルデータベース内に記憶されてもよい。データベース62は、クライアントコンピュータ50のローカルとして示されるが、クライアントコンピュータ50からリモートに位置し、公共ネットワーク又は私設ネットワーク、例えばネットワーク24を介してクライアントコンピュータ50に接続してもよい。
治療データ64は、医師60によって選択されて、3Dモデリング環境内に配置される、患者12の歯の診断又は再配置情報を記述する。例えば、処理データ64は、治療計画全体にわたって患者の歯(例えば、歯103)に加えられる力ベクトルの選択された大きさ及び方向をもたらし得る、複数のシェル(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404、又は2504)、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408、又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409、又は2509)、少なくとも1つの補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などのうちの少なくとも1つの寸法、形状、及び位置を含むことができる。
患者データ68は、医師60に関連する1人以上の患者の一群、例えば、患者12を記述する。例えば、患者データ68は、各患者12に関する氏名、出生日、及び歯科疾病歴などの一般的な情報を特定する。
レンダリングエンジン58は、3Dデータ66にアクセスしてレンダリングし、ユーザインターフェース54により医師60に提示される3D図を生成する。より具体的には、3Dデータ66は、3D環境内で各歯(任意選択的に根を含む)及び顎骨を表す3Dオブジェクトを画定する情報を含む。レンダリングエンジン58は、各オブジェクトを処理し、3D環境内で医師60の視点に基づき、3D三角メッシュをレンダリングする。ユーザインターフェース54は、レンダリングされた3D三角メッシュを医師60に対して表示し、医師60が3D環境内で視点を変更し、オブジェクトを操作することを可能にする。
参照により全文が組み込まれるRabyらの米国特許第8,194,067号、及び参照により全文が組み込まれるEisenbergによる米国特許第7,731,495号には、本明細書に記載される技術と共に使用され得るユーザインターフェースを有するコンピュータシステム及び3Dモデリングソフトウェアの他の例が記載されている。
クライアントコンピュータ50は、モデリングソフトウェア52を記憶し、かつ実行するために、プロセッサ72とメモリ74とを含む。メモリ74は、任意の揮発性又は不揮発性ストレージ要素を表してもよい。例としては、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及びフラッシュメモリなどのランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。例としては、また、ハードディスク、磁気テープ、磁気又は光データストレージ媒体、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、Blu-rayディスク、及びホログラフィックデータストレージ媒体などの不揮発性ストレージを含んでもよい。
プロセッサ72は、汎用マイクロプロセッサ、特別設計のプロセッサ、特定用途用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理のコレクション、又は本明細書中に記載される技術を実行することができる任意の種類の処理デバイスなどの1つ以上のプロセッサを表す。一実施例では、メモリ74は、プロセッサ72によって実行されて、本明細書中に記載される技術を実行するプログラム命令(例えば、ソフトウェア命令)を記憶してもよい。他の実施例では、本技術は、プロセッサ72の特別にプログラムされた回路によって実行されてもよい。これら又は他の手法では、プロセッサ72は、本明細書中に記載される技術を実行するように構成されてもよい。
クライアントコンピュータ50は、患者の3D歯構造のデジタル表現と、任意選択的に、治療データ64及び/又は患者データ68とを製造施設20のコンピュータ80にネットワーク24を通じて送信するように構成されている。コンピュータ80は、ユーザインターフェース82を含む。ユーザインターフェース82は、歯のデジタルモデルの3D表現を視覚的に表示するGUIを提供する。加えて、ユーザインターフェース82は、患者の3D歯構造のデジタル表現内の患者の歯を操作するための、例えば、キーボード及びポインティングデバイスによる入カをユーザから受け取るためのインターフェースを提供する。
コンピュータ80は、取り外し可能な歯科装具22のセットの各取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状を自動的に決定するように更に構成されてもよい。取り外し可能な歯科装具22の寸法及び形状は、複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、少なくとも1つの円弧状部材、少なくとも1つの補強構造体などのうちの少なくとも1つの位置、寸法、及び形状(例えば、少なくとも1つの位置、少なくとも1つの寸法、及び少なくとも1つの形状のうちの少なくとも1つ)を含むことができ、それにより、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに、取り外し可能な歯科装具22が1つ以上の歯を初期位置から最終位置に再配置するように構成される。図1~図17に関連して上述したように、複数のシェル(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404、又は2504)、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409又は2509)、少なくとも1つの補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などのうち少なくとも1つの位置、寸法、及び形状が、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに、歯に加えられる力の発現の大きさ、方向、及び長さに影響を及ぼし得る。例えば、それぞれの屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の位置、寸法、及び形状は、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の変形から生じる力の発現の大きさ、方向、及び長さを、少なくとも部分的に決定することができる。円弧状部材及び/又は任意選択の補強構造体の位置、寸法、及び形状は、それぞれの屈曲可能なフラップの選択された領域における変形を集中させて、歯に加えられる力の方向を制御することができる。また、複数のシェルのそれぞれのシェルの位置、寸法、及び形状は、それぞれのシェルとそれぞれの歯との係合の位置に影響を及ぼし得る。係合の位置は、それぞれの歯に加えられる力の方向に影響を及ぼし得る。コンピュータ80は、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに、それぞれの屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の変形から生じる少なくとも1つの力の発現の大きさ、方向、及び長さのうちの少なくとも1つを分析して、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに患者の対応する歯の所望の移動をもたらす、それぞれのシェル、それぞれの屈曲可能なフラップ、それぞれの円弧状部材、それぞれの補強構造体などの位置、寸法、及び形状のうちの少なくとも1つを決定してもよい。
コンピュータ80は、寸法及び形状の精査を含む、ユーザが精査するための取り外し可能な歯科装具22の表現を提示してもよい。代わりに、又は加えて、コンピュータ80は、ユーザからの入力を受け入れて、患者12の取り外し可能な歯科装具22のセットの寸法及び形状を決定することができる。例えば、ユーザ入力は、自動的に決定された寸法又は形状のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことができる。コンピュータ80は、取り外し可能な歯科装具22のセットの製造のために、取り外し可能な歯科装具22のセットのデジタルモデル、取り外し可能な歯科装具22のセットの寸法及び形状、又はその両方をコンピュータ支援製造システム84に送信する、又は別の方法で送ってもよい。
クライアントコンピュータ50及びコンピュータ80は、例示的なコンピュータシステムの単なる概念的な表現である。いくつかの実施例では、クライアントコンピュータ50、コンピュータ80、又はその両方に関して記載した機能を単一のコンピューティングデバイスに組み合わせてもよく、又はコンピュータシステム内の複数のコンピューティングデバイス間で分散させてもよい。例えば、本明細書に記載する歯科装具のデジタル設計に、クラウドコンピューティングを用いてもよい。一例では、歯構造のデジタル表現が診療所の1つのコンピュータで受信される一方で、取り外し可能な歯科装具の形状及び寸法は、コンピュータ80などの異なるコンピュータを用いて決定される。加えて、コンピュータ80などの異なるコンピュータは形状及び寸法の決定のために同一データをすべて受信する必要がない場合がある。形状及び寸法は、少なくとも一部、対象症例の完全な3D表現を受け取ることなく履歴症例又は例示的症例の仮想モデルの分析を通じて得た知識に基づき決定してもよい。このような例では、クライアントコンピュータ50とコンピュータ80との間で送信される、又は別の方式で特別仕様の歯科装具を設計するために利用されるデータは、患者の完全なデジタル歯科モデルを示す全データセットよりも、大幅に小さくできる。
図21は、取り外し可能な歯科装具1522の構築のための例示的なコンピュータ支援製造システム1500を示すブロック図である。コンピュータ支援製造システム1500の例は、コンピュータ1504と通信し、かつ構築材料源1510に結合された積層造形製造システム1502を含む。いくつかの実施例では、コンピュータ支援製造システム1500は、図20のコンピュータ支援製造システム84を含むことができる。例えば、コンピュータ1504は、コンピュータ80と同じ又は実質的に同様であってもよい。構築材料源1510は、例えば、上述した装具本体102のポリマー材料のうちの少なくとも1つなどの、少なくとも1つのポリマー材料の供給源を含む。歯科装具1522は、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、及び2500のうちの少なくとも1つと同じ又は実質的に同様であってもよい。いくつかの実施例では、歯科装具1522は、歯科装具22のセットの1つの歯科装具を含む。
積層造形製造システム1502は、可動プラットフォーム1508及び押出ヘッド1506を含む。可動プラットフォーム1508及び押出ヘッド1506は、歯科装具1522を製造するように構成される。例えば、コンピュータ1504は、押出ヘッド1506及び可動プラットフォーム1508を制御して、取り外し可能な歯科装具1522を製造する。コンピュータ1504によって押出ヘッド1506を制御することは、構築材料源1510から押出ヘッド1506への材料供給速度を制御すること、歯科装具1522上の構築材料の堆積速度を制御すること、押出ヘッド1506の温度を制御すること、及び押出ヘッド1506の位置を制御すること、のうちの少なくとも1つを含むことができる。材料供給速度、材料堆積速度、押出ヘッド1506の温度、及び押出ヘッド1510の位置のうちの少なくとも1つを制御することにより、コンピュータ1504は、歯科装具1522の少なくとも一部の位置、寸法、及び形状の製造を制御することができる。コンピュータ1504によって可動プラットフォーム1508を制御することは、押出ヘッド1506からの材料堆積の方向に垂直な平面内の可動プラットフォームの並進を制御すること、及び押出ヘッド1506からの材料堆積の方向と実質的に平行な軸に沿った可動プラットフォームの高度を制御することのうちの少なくとも1つを含むことができる。可動プラットフォーム1508の並進及び上昇のうちの少なくとも1つを制御することにより、コンピュータ1504は、歯科装具1522の少なくとも一部の位置、寸法、及び形状の製造を制御することができる。
図21は、熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling、FDM)用に構成されたコンピュータ支援製造システム1500を示しているが、コンピュータ支援製造システム1500はまた、光造形法(stereolithography、SLA)、逆槽重合積層造形製造、インクジェット/ポリジェット積層造形製造、又は積層造形製造の他の方法のために構成されてもよい。コンピュータ支援製造システム1500がポリジェット印刷用に構成される実施例では、コンピュータ支援製造システム1500は、単一の印刷で複数の材料を印刷するように構成され、これにより、歯科装具1522の剛性構成要素(例えば、シェル)のための高弾性率材料、及び歯科装具1522のより剛性の低い構成要素(例えば、屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材)のための低弾性率材料又はエラストマー材料を可能にすることができる。更に、ポリジェット付加製造では、弾性率は、歯科装具1522にわたって選択的に変更することができ、例えば、シェル、屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の異なる部分、又はシェルの異なる部分に使用される弾性率とは異なる弾性率を屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材に使用することができる。同様に、個々の歯を再配置するために使用されるシェルに使用される弾性率とは異なる弾性率が固定シェルに使用されてもよい。
加えて、又は代わりに、歯科装具を製造することは、熱成形、及び多軸ロボット又はCNC機械によって制御されたフェムト秒レーザを使用して、スロット、ヒンジ、及びばね機構を形成するための材料を切り取ることを含むことができる。いくつかの実施例では、切断深さは、例えば、より可撓性の高いヒンジ軸を形成するか、又はばね要素の可撓性を高めるために、特定の領域の材料を選択的に除去し、装具の厚さを低減するように制御されてもよい。
加えて、又は代わりに、歯科装具の製造は、装具全体でない場合には装具の少なくとも一部を、装具を固体ブロックからミリング加工するか、ないしは別の方法で機械加工することによって形成することを含んでもよい。
加えて、又は代わりに、歯科装具の製造は、特に、様々な厚さの補強材が必要とされる場合、装具本体を熱成形することと、多軸ロボットを使用して、加熱された押出ノズルを介して、熱い熱可塑性材料を、さもなければ均一な厚さとなる装具上に分注することと、を含んでもよい。このことは、より厚い領域の構造を作り出すように機能することができる。同様に、光硬化性樹脂が表面に分注され、分配直後、又は全ての特徴部が敷設された後のいずれかで光硬化されてもよい。
加えて、又は代わりに、歯科装具の製造は、屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材の事前作製を含んでもよい。事前に作製された屈曲可能なフラップ及び/又は円弧状部材は、ステンレス鋼、チタン、又はニッケルチタン(NiTi)などの材料を含み、熱成形又は3D印刷などの他の手段によって形成される装具本体に接合又は締結されてもよい。このアプローチの利点は、より小さい構造でより大きな力送達を可能にすることである。そのような場合、コンピューティングデバイスが使用されて、予め製造されたフラップの個別のセットの中から、所定の移動を達成するために必要な力及び偏向基準を満たすものを選択し、各歯上に配置するための最良の位置を判定する。
図22は、取り外し可能な歯科装具22のセットの構築のために製造施設20において行われるプロセス1600を示すフロー図である。いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具22のセットは、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500のうちの少なくとも1つを含んでもよい。製造施設20のコンピュータ80は、患者の1本以上の歯の初期位置を含むデジタル歯科構造データ16及び処方データ18を診療所14から受信する(1602)。あるいは、コンピュータ80は、コンピュータ80内にある、又はそうでなければコンピュータ80によってアクセス可能なデータベースから、情報を取り出すことができる。診療所14がまだ行っていない場合には、コンピュータ80に関わる訓練されたユーザがコンピュータ80上で実行されるコンピュータ化モデリング環境と対話し、患者の歯構造のデジタル表現に対し治療計画を策定し、処方データ18を生成してもよい。他の実施例では、コンピュータ80は、患者の歯構造及び既定の設計制約のみに基づき治療計画を自動的に策定してもよい。
コンピュータ80が患者の歯構造を受信すると、コンピュータ80は、患者の取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状を決定する(1604)。取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状は、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに患者の1つ以上の歯をそれらの初期位置から所望の位置へと再配置するように構成される。同じ又は更なる実施例では、コンピュータ80は、順次装着されるように構成された患者の取り外し可能な歯科装具22のセットの寸法及び形状を決定する。
いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状を決定することは、コンピュータ80によって、取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状を既定の設計制約のセットに従って選択することを含む。予め設計された設計制約のセットは、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着され、かつ取り囲まれた歯がそれらの初期位置にあるときに、取り囲まれた歯のうちの1つ以上に加えられる最小及び最大局所力のうちの少なくとも1つ、取り囲まれた歯のうちの1つ以上に加えられる最小及び最大回転力のうちの少なくとも1つ、取り囲まれた歯のうちの1つ以上に加えられる最小及び最大並進力のうちの少なくとも1つ、取り囲まれた歯のうちの1つ以上に加えられる最小及び最大総力のうちの少なくとも1つ、並びに取り外し可能な歯科装具に加えられる最小及び最大応力又は歪みのうちの少なくとも1つを含む1つ以上の因子を含んでもよいが、これらに限定されない。
取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状の決定時、コンピュータ80は、有限要素法(finite element analysis、FEA)技術を用いて、患者の歯及び取り外し可能な歯科装具にかかる力を分析してもよい。例えば、コンピュータ80は、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットを含む治療を示す、モデル化された歯がそれらの初期位置からそれらの最終位置へと移動する際の患者の歯のソリッドモデルにFEAを適用してもよい。コンピュータ80は、歯に所望の力を加えるための適切な取り外し可能な歯科装具を選択するために、FEAを使用してもよい。加えて、コンピュータ80は、治療中のモデル化された歯の移動全体を通した歯同士の間の接触点を決定するために、仮想咬合器を使用してもよい。コンピュータ80は、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内の歯科装具の設計時、FEA力分析において、取り外し可能な歯科装具からの力と併せて、咬頭嵌合力などの咬合接触力を更に含んでもよい。コンピュータ80は、力の印加を最適化し、治療時間を短縮し、患者の快適性を改善するなどのために、歯が移動されることになる順序を更に決定することができる。
いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具(例えば、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500)の寸法及び形状を決定することは、コンピュータ80を用いて、装具本体(例えば、装具本体102、202、302、402、502、602、702、802、902、1002、及び1102)、複数のシェルのうちの少なくとも1つ(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404、又は2504)、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408、又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409、又は2509)、少なくとも1つの補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などの厚さを選択し、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに、患者の1つ以上の歯を初期位置から最終位置に再配置するのに好適な剛性を提供する。いくつかの実施例では、選択された厚さは、約0.2~約1.0ミリメートル、又は約0.3~約0.75ミリメートルなどの、約0.10ミリメートル~約2.0ミリメートルの範囲であってもよい。いくつかの実施例では、コンピュータ80は、既定の設計制約に従って取り外し可能な歯科装具の材料を更に選択してもよい。
患者の取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状は、コンピュータ80の82のユーザインターフェースを介してユーザに提示されてもよい(1606)。取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状が82のユーザインターフェースを介してユーザに提示される例では、ユーザは、設計データがコンピュータ支援製造システム84に送られる前に、設計制約を調整する又は取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状を直接調整する機会を有してもよい。いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状は、取り外し可能な歯科装具がコンピュータ支援製造システム84によって製造される際に、コンピュータ80によって直接ユーザに提示されてもよい。例えば、コンピュータ80は、取り外し可能な歯科装具のデジタルモデルをコンピュータ支援製造システム84に送ることができ、コンピュータ支援製造システム84は、取り外し可能な歯科装具をコンピュータ80からのデジタルモデルに従って製造する。
しかしながら、患者の取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状がコンピュータ80の82のユーザインターフェースを介してユーザに提示することができる実施例においても、ユーザの承認後、コンピュータ80は、取り外し可能な歯科装具のデジタルモデルをコンピュータ支援製造システム84に送り(1608)、コンピュータ支援製造システム84は、取り外し可能な歯科装具をコンピュータ80からのデジタルモデルに従い製造する(1610)。
いくつかの実施例では、コンピュータ支援製造システム84は、3Dプリンタを含んでもよい。装具本体(例えば、装具本体102、202、302、402、502、602、702、802、902、1002、及び1102)を形成することは、複数のシェル(例えば、シェル104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1104、2004、2104、2204、2304、2404又は2504)、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ(例えば、屈曲可能なフラップ108C、208、308A、308B、408A、408B、508A、508B、608A、608B、608C、608D、708A、708B、708C、708D、808A、808B、808C、908A、908B、1008、1008A、1108B、2008、2108、2208、2408、又は2508)、少なくとも1つの円弧状部材(例えば、円弧状部材109C、209、309A、309B、409A、409B、509A、509B、609A、609B、609C、609D、709A、709B、709C、709D、809A、809B、809C、909A、909B、1009、1009A、1109B、2009、2109、2209、2409、又は2509)、少なくとも1つの補強構造体(例えば、補強構造体1005又は1105)などのうちの少なくとも1つの表面を3Dプリンタを用いて印刷することを含んでもよい。他の実施例では、装具本体を形成することは、複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、少なくとも1つの円弧状部材、少なくとも1つの補強構造体などを形成するために、患者の歯(例えば、歯103)の表現を3Dプリンタで印刷することと、患者の歯の表現の上に装具本体を熱成形することと、余分な材料をトリミングすること(任意選択的に、エンドミルやレーザカッターなどのCNC又はロボット機械によって自動化される)とを含んでもよい。患者の歯の表現は、熱成形及びトリミングされた装具本体内に、複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、少なくとも1つの円弧状部材、少なくとも1つの補強構造体などのうちの少なくとも1つを形成するのを容易にする隆起面を含んでもよい。
図22の技術は、順序付けられた取り外し可能な歯科装具22のセットのそれぞれの設計及び製造に適用してもよい。例えば、順序付けられた取り外し可能な歯科装具22のセット内の各取り外し可能な歯科装具は、患者の歯を段階的に再配置するように構成されてもよい。このようにして、順序付けられた取り外し可能な歯科装具22のセットは、取り外し可能な歯科装具22のセット内の取り外し可能な歯科装具のいずれか1つよりも大きな程度まで患者の歯を再配置するように構成されてもよい。そのような順序付けられた取り外し可能な歯科装具22のセットは、患者用の順序付けられた取り外し可能な歯科装具22のセットの取り外し可能な歯科装具が患者によって順次装着されるにつれて、患者の1つ以上の歯をそれらの初期位置から所望の位置に段階的に再配置するように特別に構成されてもよい。
いくつかの実施例では、図22に関し記載した技術を、コンピュータ50、コンピュータ80、又は両方のコンピュータ可読記憶媒体などの、コンピュータ可読記憶媒体内で具現化してもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、実行されると、図22に関して記載された技術を実行するようにプロセッサを構成する、コンピュータ実行可能命令を記憶することができる。
取り外し可能な歯科装具22のセットの設計後、製造施設20は、取り外し可能な歯科装具22のセットをデジタル歯科構造データ16及び処方データ18に従い作製する(1610)。取り外し可能な歯科装具22の構築には、3D印刷、熱成形、射出成形、ロストワックス鋳造、5軸ミリング加工、レーザ切削加工、スナップ嵌合及びオーバーモールドなどのハイブリッド式プラスチック及び金属製造技術、並びに他の製造技術を含んでもよい。
図23は、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットを使用した治療の連続的な繰り返しを示すフロー図1700である。順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットは、患者の1つ以上の歯を再配置するように構成される。いくつかの実施例では、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットは、取り外し可能な歯科装具100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
治療は、治療の第1の繰り返しから開始する(1702)。治療の第1の繰り返しの開始時、患者の歯は、隔離状態(detention state)Xによって示されるような患者の歯の初期位置にある(1704)。順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットの設計を容易にするために、患者の歯の走査が、例えば、図18に関して上記したように行われる(1706)。患者の歯の走査から、コンピュータ、例えばコンピュータ50は、例えば、順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具のための異なる2つの形状及び寸法である第1のセットアップXa1708A及び第2のセットアップXb1708Bのうちの少なくとも1つを決定する。患者の歯のデジタルモデルを作成するための例示的な技術は、参照により全文が本明細書に組み込まれる、Cinadarらの米国特許第8,738,165号に記載されている。コンピュータは、患者の歯のデジタルモデルを最初に調整して、治療後の患者の歯の所望の位置のモデルを作成することによって、第1のセットアップXa1708A及び第2のセットアップXb1708Bを決定してもよい。その後、コンピュータは、順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具の形状及び寸法を、患者の歯を初期位置から所望の位置に移動させるために必要な時間及び力に基づき作成してもよい。例えば、コンピュータモデルは、初期位置から所望の位置へ患者の歯を動かすのに必要な力を生じさせるために、順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具の複数のシェル、少なくとも1つの屈曲可能なフラップ、少なくとも1つの補強構造体などのうちの少なくとも1つの厚さ、位置、形状、及び寸法を調節してもよい。順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具によって加えられるモデル化された力は、更に、治療中の患者の歯の段階的位置移動に基づいてもよい。このようにして、コンピュータは、順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されることになる治療時に歯の予想位置で歯に加えられる予想される力に従って、順序付けられたセット内の取り外し可能な歯科装具のそれぞれを設計してもよい。
いくつかの実施例では、取り外し可能な歯科装具のセット内の少なくとも1つ、例えば3つの異なる取り外し可能な歯科装具は、第1のセットアップXa1708A及び第2のセットアップXb1708Bのそれぞれを用いて製造して、取り外し可能な歯科装具のセット内の少なくとも2つ、例えば6つの取り外し可能な歯科装具を製造することができる。例えば、第1のセットアップXa1708Aを使用して、第1の取り外し可能な歯科装具(RDA)Xa,SOFT1710A、第2のRDA Xa,MEDIUM1710B、及び第3のRDA Xa,HARD1710Cを製造し、第2のセットアップXb1708Bを使用して、第4のRDA Xb,SOFT1710D、第5のRDA Xb,MEDIUM1710E、及び第6のRDA Xb,HARD1710Fを製造することができる。第1、第2、及び第3のRDA1710A~1710Cは、実質的に同じ形状及び寸法であってもよいが、異なる剛性特性を有する材料を含んでもよい。例えば、第2のRDA1710B及び第3のRDA1710Cは、第1のRDA1710Aよりも高い剛性特性を有してもよく、第3のRDA1710Cは、第2のRDA1710Bよりも高い剛性特性を有し得る。同様に、第4、第5、及び第6のRDA1710D~1710Fは、実質的に同じ形状及び寸法であってもよいが、異なる剛性特性を有する材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、第1のRDA1710Aは、比較的軟質のポリマー材料などの、第4のRDA1710Dと同じ剛性特性を有してもよい。同様に、第2のRDA1710Bは、第1のRDA1710Aよりも比較的剛性の高いポリマー材料などの、第5のRDA1710Eと同じ剛性特性を有してもよい。同様に、第3のRDA1710Cは、第2のRDA1710Bよりも比較的剛性の高いポリマー材料などの、第6のRDA1710Fと同じ剛性特性を有してもよい。
順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内のRDA1710A~1710Fは、患者により長期間にわたって順次装着されてもよい。例えば、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内のRDA1710A~1710Fのそれぞれは、約2週間~約4週間、又は約3週間など、約1週間~約6週間装着されてもよい。取り外し可能な歯科装具1710A~1710Fを使用した治療計画の後、患者の歯は、隔離状態X+1(1712)によって示されるような、治療の第1の繰り返しにおける歯の最終位置にあってもよい。
患者の歯が歯列状態X+1に又はその付近にあると、患者は、臨床医の元に戻ってもよく、臨床医は、治療の第1の繰り返しの結果を評価してもよい(1714)。治療の第1の繰り返しが、患者の歯の許容可能な最終位置をもたらした場合、治療は、終了することができる(1716)。しかしながら、治療の第1の繰り返しによって、患者の歯の許容可能な最終位置がもたらされなかった場合、1回以上の追加の治療の繰り返しを実施してもよい。治療の次の繰り返しを開始するために、臨床医は、患者の歯の走査をもう一度行って、その後の順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットの設計を容易にすることができる(1706)。いくつかの実施例では、治療の第1の繰り返しの結果の評価には、患者の歯の走査をもう一度行うことを含んでもよく、この場合、治療の次の繰り返しを開始することには、患者の順序付けられた取り外し可能な歯科装具の別のセットが患者の歯の新たな位置に基づき製造することができるように、患者の歯のデジタルモデルを製造施設に送ることを単に含んでもよい。更に別の例では、新たに取得した走査を用いて、取り外し可能な歯科装具の1回以上の繰り返しを、臨床医の施設において作成してもよい。
図23の技術は、1つの特定の例を示すものであり、図23の技術に本開示の趣旨の範囲内において種々の改良を施してもよい。例えば、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセットは、6つよりも多い又は少ない取り外し可能な歯科装具を含んでもよい。別の例として、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内の各取り外し可能な歯科装具は、固有の形状及び寸法を有してもよく、順序付けられた取り外し可能な歯科装具のセット内の各取り外し可能な歯科装具は、実質的に同じ又は同様な剛性特性を有する材料で作製されてもよい。
様々な実施例について説明してきた。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲内である。