JP2022512648A - 心筋線維化の処置のためのαV-インテグリン(CD51)阻害剤の使用 - Google Patents

心筋線維化の処置のためのαV-インテグリン(CD51)阻害剤の使用 Download PDF

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Abstract

活性化された心臓線維芽細胞は、心筋線維化中に蓄積する細胞外マトリックスタンパク質の産生に不可欠であり、PW1+心臓成体幹細胞は、虚血心における線維芽細胞の細胞源として最近提案された。ここで本発明者らは、αV-インテグリン(又はCD51)をPW1+心臓成体幹細胞の線維形成挙動の必須調節因子として同定している。αV-インテグリンを阻害すると、線維化促進遺伝子の発現プロフィール、及び線維芽細胞への心臓PW1+細胞の分化能が低下する。αV含有インテグリンの薬理学的遮断は、梗塞サイズを縮小し、反応性心筋線維化の拡大を弱めることにより、MI後の心機能及び生存率を改善した。特に、αV含有インテグリンの薬理学的遮断後、総心筋線維化領域並びに遠隔心筋領域の間質線維化が有意に減少する。これらのデータは、虚血性損傷に応答した心筋線維化を調節する新しい機序を特定し、αV-インテグリンの薬理学的標的化が心筋線維化の処置における臨床的有益性を提供する可能性を示唆している。

Description

本発明は、心筋線維化の処置のためのαV-インテグリン(CD51)阻害剤の使用に関する。
心不全(HF)は、依然として世界中で死亡や入院の主な原因であり、医療費の大きな負担となっている1-6。現在の薬物療法は、心機能障害の末梢への影響を制限しているが、心筋レベルで原発性の有害な心臓リモデリングに影響を与える治療法の数は限られている。HFの病因は多様であるが、HFは典型的には心筋の線維化を包含する様々な生理学的及び形態学的変化に関連している7-9。実際、心筋線維化は、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の過剰な産生及び心筋への沈着を特徴とし、正常組織構造の破壊、組織の伸展性低下、機械的及び電気的機能障害を引き起こし、そして最終的にHFへの進行を加速する10,11。しかし、心筋線維化に寄与する機序は完全には解明されていないため、HFの現行治療法を補完し得る効果的な抗線維化治療方針は現在のところ存在しない9,11,12
活性化された心臓線維芽細胞は、心筋線維化中に蓄積するECMタンパク質の産生に不可欠であるが、最近の研究では、心臓線維芽細胞が非常に不均一な細胞集団の典型であることが立証されている10-14。活性化された線維芽細胞の正確な性質、及びその結果としての心筋線維化の原因は、未だ十分に解明されていない9,12。常在線維芽細胞の増殖と活性化15、それぞれ内皮間葉転換と上皮間葉転換による損傷後の内皮細胞及び/又は心外膜細胞の形質転換16,17、造血骨髄由来細胞と血管周囲細胞の遊走18を包含する、様々な機序が報告されている。別のモデルは、組織に常在する前駆細胞集団がストレスに応答して活性化し、心臓を包含する臓器線維化の主要な細胞源になることを提案している。最新の研究において我々は、心筋に常在し、虚血性心損傷に応答して線維形成挙動を示す新規な心臓細胞集団を同定した19。この集団は、トランスジェニックPw1-βガラクトシダーゼレポーターマウスモデルを使用して、汎幹細胞マーカーであるPw1/Peg3(以降PW1と呼ばれる)20,21の発現に基づいて同定された。β-galレポーター酵素の強力で生産的な発現を利用して、我々は線維芽細胞のかなりの割合(~22%)が虚血心PW1発現細胞に由来することを発見したが、このことは、よって心臓PW1細胞が、線維芽細胞を直接生じさせ、追加のECMの供給源となることにより、心筋線維化に寄与する可能性があることを示唆している。
発明の要約
本発明は、心筋線維化の処置のためのαV-インテグリン(CD51)阻害剤の使用に関する。詳細には、本発明は請求の範囲により定義される。
発明の詳細な説明
活性化された心臓線維芽細胞は、心筋線維化中に蓄積する細胞外マトリックスタンパク質の産生に不可欠であり、PW1心臓成体幹細胞は、虚血心における線維芽細胞の細胞源として最近提案された。ここで本発明者らは、αV-インテグリン(又はCD51)をPW1心臓成体幹細胞の線維形成挙動の必須調節因子として同定している。トランスクリプトミクスアプローチ及びプロテオミクスアプローチの組合せを利用して、本発明者らは心臓PW1細胞の原形質膜におけるαV-インテグリンの存在を同定した。発現解析により、αV-インテグリンの発現は、心臓PW1細胞に高感度で特異的であることが明らかになった。FACSで分離された心臓PW1細胞の93%超がCD51を発現し、そして相互にPW1細胞の85%超が、FACSで分離されたCD51心臓細胞の間で回収される。αV-インテグリンを阻害すると、線維化促進遺伝子の発現プロフィール、及び線維芽細胞への心臓PW1細胞の分化能が低下する。心臓PW1細胞は、TGF-β活性化を介した臓器線維化の推定重要メディエーターであるαVβ1複合体の優勢な発現を示した。その結果、αV含有インテグリンの薬理学的遮断は、梗塞サイズを縮小し、反応性心筋線維化の拡大を弱めることにより、MI後の心機能及び生存率を改善した。特に、αV含有インテグリンの薬理学的遮断後、総心筋線維化領域並びに遠隔心筋領域の間質線維化が有意に減少する。これらのデータは、虚血性損傷に応答した心筋線維化を調節する新しい機序を特定し、αV-インテグリンの薬理学的標的化が心筋線維化の処置における臨床的有益性を提供する可能性を示唆している。
したがって、本発明の第1の目的は、治療有効量のαV-インテグリン阻害剤を患者に投与することを含む、これを必要とする患者の心筋線維化を処置する方法に関する。
本明細書に使用されるとき、「心筋線維化」という用語は、当技術分野でその一般的な意味を有しており、そして正常組織構造の破壊、組織の伸展性低下、機械的及び電気的機能障害を引き起こす、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の過剰な産生及び心筋への沈着を特徴とする症状のことをいう。心筋線維化は、加齢、特定薬物への曝露から、又は心筋梗塞や高血圧などの種々の心疾患に応答して発生する。急性心筋梗塞に続いて、多数の心筋細胞が突然失われると炎症反応が引き起こされ、最終的には死んだ心筋がコラーゲン瘢痕で置換される。他の幾つかの病態生理学的症状は、完全梗塞が存在しない場合には、より潜行性のコラーゲンの間質及び血管周囲への沈着を誘発する。加齢は進行性線維化と関連しており、高齢患者の拡張期心不全の発生に寄与する可能性がある。高血圧又は大動脈弁狭窄症によって誘発される圧過負荷は、初期には剛性の増加及び拡張機能障害に関連する、広範な心筋線維化をもたらす。弁膜逆流病変による容量過負荷もまた、心筋線維化を引き起こす可能性がある。肥大型心筋症及びウイルス感染後の拡張型心筋症も、しばしば重大な心筋線維化の発生に関連している。更には、種々の毒性傷害(アルコールやアントラサイクリンなど)及び代謝障害(糖尿病や肥満など)が心筋線維化を誘発する。
詳細には、本発明のαV-インテグリン阻害剤は、生存心筋における反応性間質線維化の発生を制限するのに特に適している。より具体的には、本発明のαV-インテグリン阻害剤は、心筋線維化に罹患した対象者の心機能を改善するのに適している。本明細書に使用されるとき、「心機能」という用語は、心臓の全体及び局所機能を包含する、心臓の機能のことをいう。本明細書に使用される「全体」心機能という用語は、心臓全体の機能のことをいう。このような機能は、例えば、一回拍出量、駆出率、心拍出量、心筋収縮能などによって測定することができる。「局所心機能」という用語は、心臓の一部又は部位の機能のことをいう。このような局所機能は、例えば、壁肥厚、壁運動、心筋量、セグメント短縮(segmental shortening)、心室リモデリング、新しい筋形成、心筋細胞増殖とプログラム細胞死の割合、血管新生、並びに線維組織及び梗塞組織のサイズによって測定することができる。より具体的には、本発明のαV-インテグリン阻害剤は、心筋線維化に罹患した対象者の生存率を改善するのに適している。
本明細書に使用されるとき、「処置」又は「処置する」という用語は、予防的又は防止的処置、更には治癒的又は疾患修飾的処置の両方のことをいい、これらの処置は、疾患にかかるリスクのある患者又は疾患にかかった疑いのある患者、更には病気であるか、又は疾患若しくは内科的疾患に罹患していると診断された患者の処置を包含し、そして臨床的再発の抑制を包含する。処置は、障害又は再発障害の1つ以上の症状を予防するため、治癒するため、発症を遅らせるため、重症度を軽減するため、又は改善するために、あるいはこのような処置がない場合に予想されるよりも対象者の生存期間を延長するために、内科的障害を有するか、又は最終的に障害にかかる可能性がある対象者に行うことができる。「治療レジメン」とは、病気の処置のパターン、例えば、治療中に使用される投薬のパターンを意味する。治療レジメンは、導入レジメン及び維持レジメンを包含してよい。「導入レジメン」又は「導入期間」という句は、疾患の初期の処置に使用される治療レジメン(又は治療レジメンの一部)のことをいう。導入レジメンの一般的な目標は、処置レジメンの初期に患者に高レベルの薬物を提供することである。導入レジメンは、(部分的又は全体的に)「負荷レジメン」を採用することができ、これは、維持レジメン中に医師が用いるよりも大量の薬物を投与すること、維持レジメン中に医師が薬物を投与するよりも頻繁に薬物を投与すること、又はその両方を包含してよい。「維持レジメン」又は「維持期間」という句は、病気の処置中の患者の維持のために、例えば、患者を長期間(数ヶ月又は数年)寛解状態に保つために使用される治療レジメン(又は治療レジメンの一部)のことをいう。維持レジメンは、継続的治療(例えば、定期的に、例えば、毎週、毎月、毎年などに薬物を投与すること)又は間欠的治療(例えば、中断された処置、間欠的処置、再発時の処置、又は具体的な所定基準[例えば、疾患の兆候など]の達成時の処置)を採用することができる。
本明細書に使用されるとき、「αV-インテグリン」又は「CD51」という用語は、当技術分野でその一般的な意味を有しており、ヒトではITGAV遺伝子によってコードされるそのタンパク質のことをいう。CD51の例示的なヒトアミノ酸配列は、配列番号1によって表される。インテグリンは、α鎖とβ鎖で構成されるヘテロダイマーの統合膜タンパク質である。αVは翻訳後切断を受けてジスルフィド結合した重鎖と軽鎖を生成し、これが複数のインテグリンβ鎖と結合して様々なインテグリンを形成する。既知の関連β鎖(β鎖1、3、5、6、及び8;「ITGB1」、「ITGB3」、「ITGB5」、「ITGB6」、及び「ITGB8」)の中で、それぞれが細胞外マトリックスリガンドと相互作用することができる。
Figure 2022512648000001
本明細書に使用されるとき、「αV-インテグリン阻害剤」とは、αV-インテグリンの活性又は発現を阻害することができる、天然かどうかを問わず任意の化合物のことをいう。この用語は、当技術分野で現在知られているか、又は将来同定されるであろう任意のアンタゴニストを包含し、そして患者に投与するとαV-インテグリンに関連する生物活性の阻害又はダウンレギュレーションをもたらす任意の化学物質を包含する。よって阻害剤は、αV-インテグリンの発現又は活性を阻害するか、αV-インテグリンのシグナル伝達経路を調節又は遮断するか、及び/又はαV-インテグリンの結合パートナーへの結合を遮断することができる。この用語はまた、発現の阻害剤を包含する。
阻害抗体、ペプチド及び低分子を包含する、かなりの数のαV-インテグリンアンタゴニスト(Goodman et al, Trends in Pharmacological Sciences, 2012, 33, 405; Tucker, Gordon C. "Alpha v integrin inhibitors and cancer therapy." Current opinion in investigational drugs (London, England: 2000) 4.6 (2003): 722-731.; Hatley, Richard JD, et al. "An αv‐RGD Integrin Inhibitor Toolbox: Drug Discovery Insight, Challenges and Opportunities." Angewandte Chemie International Edition 57.13 (2018): 3298-3321.)が文献に開示されている。
幾つかの実施態様において、本発明のαV-インテグリン阻害剤は、抗体であり、更に詳細には、αV-インテグリンに対する特異性を有する抗体である。
よって本明細書に使用されるとき、「抗体」という用語は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子のことをいうために使用され、そしてこの用語は、Fab’、Fab、F(ab’)2、シングルドメイン抗体(DAB)、TandAbダイマー、Fv、scFv(一本鎖Fv)、dsFv、ds-scFv、Fd、線形抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント、バイボディ、トリボディ(scFv-Fab融合抗体、それぞれ二重特異性又は三重特異性);sc-ダイアボディ;κ(λ)ボディ(scFv-CL融合抗体);BiTE(二重特異性T細胞誘導抗体(Bispecific T-cell Engager)、T細胞を誘引するscFv-scFvタンデム);DVD-Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット);SIP(小免疫タンパク質(small immunoprotein)、一種のミニボディ);SMIP(「小モジュール免疫医薬(small modular immunopharmaceutical)」scFv-Fcダイマー);DART(ds安定化ダイアボディ「二重親和性リターゲティング(Dual Affinity ReTargeting)」);1つ以上のCDRを含む小型抗体模倣物などの、抗原結合ドメインを含む抗体フラグメントを包含する。種々の抗体に基づく構築物及びフラグメントを調製及び使用するための技術は、当技術分野で周知である(引用例として本明細書に具体的に取り込まれる、Kabat et al., 1991を参照のこと)。特に、ダイアボディは、EP 404,097及びWO 93/11161に更に記載されており;一方、線形抗体は、Zapata et al. (1995)に更に記載されている。抗体は、従来法を使用して断片化することができる。例えば、抗体をペプシンで処理することにより、F(ab’)2フラグメントを作成することができる。得られたF(ab’)2フラグメントは、ジスルフィド架橋を還元してFab’フラグメントを作り出すように処理することができる。パパイン消化によりFabフラグメントの形成に至ることが可能である。Fab、Fab’及びF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAb、TandAb、ds-scFv、ダイマー、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント及び他のフラグメントも、組換え技術によって合成することができるか、又は化学的に合成することができる。抗体フラグメントを作り出すための技術は、当技術分野で周知であり、説明されている。例えば、Beckman et al., 2006; Holliger & Hudson, 2005; Le Gall et al., 2004; Reff & Heard, 2001 ; Reiter et al., 1996; 及びYoung et al., 1995のそれぞれは、有効な抗体フラグメントの作成を更に説明し、可能にする。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、一本鎖抗体である。本明細書に使用されるとき、「単一ドメイン抗体」という用語は、当技術分野でその一般的な意味を有しており、天然に軽鎖を欠くラクダ科哺乳類に見られるタイプの抗体の単一重鎖可変ドメインのことをいう。このような単一ドメイン抗体はまた、「ナノボディ(登録商標)」である。(単一)ドメイン抗体の一般的な説明については、上で引用した先行技術、並びにEP 0 368 684, Ward et al. (Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6), Holt et al., Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490; 及び WO 06/030220, WO 06/003388も参照されたい。
幾つかの実施態様において、抗体は、ヒト化抗体である。本明細書に使用されるとき、「ヒト化」は、CDR領域の外側のアミノ酸の一部、大部分、又は全部が、ヒト免疫グロブリン分子に由来する対応するアミノ酸で置き換えられている抗体を表現する。ヒト化の方法は、米国特許第4,816,567号、5,225,539号、5,585,089号、5,693,761号、5,693,762号及び5,859,205号(これらは引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されているものを包含するが、これらに限定されない。
幾つかの実施態様において、抗体は完全ヒト抗体である。完全ヒトモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分の遺伝子導入マウスを免疫することによって調製することができる。例えば、米国特許第5,591,669号、5,598,369号、5,545,806号、5,545,807号、6,150,584号、及びそこに引用されている参考文献(これらの内容は、引用例として本明細書に取り込まれる)を参照のこと。
幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、一本鎖抗体である。本明細書に使用されるとき、「単一ドメイン抗体」という用語は、当技術分野でその一般的な意味を有しており、天然に軽鎖を欠くラクダ科哺乳類に見られるタイプの抗体の単一重鎖可変ドメインのことをいう。このような単一ドメイン抗体はまた、「ナノボディ(登録商標)」である。
幾つかの実施態様において、抗体は、ヒト重鎖定常領域配列を含むが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導しないであろう。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、FcgRIIIA(CD16)ポリペプチドに実質的に結合することができるFcドメインを含まない。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、Fcドメインを欠く(例えば、CH2及び/又はCH3ドメインを欠く)か、又はIgG2若しくはIgG4アイソタイプのFcドメインを含む。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、一本鎖抗体フラグメント、又は複数の異なる抗体フラグメントを含む多重特異性抗体からなるか、又はこれらを含む。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、毒性部分に連結されていない。幾つかの実施態様において、アミノ酸残基から選択される1つ以上のアミノ酸は、抗体がC2q結合を変化させるか、かつ/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を減らすか消失させるように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。このアプローチは、ldusogieらによる米国特許第6,194,551号に更に詳細に記載されている。
αV-インテグリンに対する特異性を有する抗体は、当技術分野において周知であり、典型的にはインテツムマブ及びアビツズマブを包含する。インテツムマブは、αvβ1、αvβ3、αvβ5、及びαvβ6インテグリンを認識する汎αvヒトモノクローナル抗体である。インテツムマブは、αvβ3及びαvβ5インテグリンの両方に競合的に結合して遮断する。アビツズマブは、全てのαvインテグリンを特異的に標的とするヒト化モノクローナルIgG2抗体である(Mitjans F, et al. J Cell Sci 1995; 108:2825-38; Monnier Y, et al. Cancer Res 2008:68; 7323-31)。
幾つかの実施態様において、αV-インテグリン阻害剤は、シレンギチド(Cilengitide)である。シレンギチドは、ανβ1、ανβ3及びανβ5を阻害する環状ペプチドアンタゴニストである。シレンギチドのIUPAC名は、2-[(2S,5R,8S,11S)-5-ベンジル-11-{3-[(ジアミノメチリデン)アミノ]プロピル}-7-メチル-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-8-(プロパン-2-イル)-1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-2-イル]酢酸である。
幾つかの実施態様において、αV-インテグリン阻害剤は、それぞれαV-インテグリン発現の阻害剤である。「発現の阻害剤」とは、遺伝子の発現を阻害する生物学的効果を有する天然又は合成の化合物のことをいう。本発明の好ましい実施態様において、遺伝子発現の前記阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムである。例えば、アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を包含する、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、αV-インテグリンmRNAに結合することによってαV-インテグリンmRNAの翻訳を直接ブロックするように作用して、タンパク質翻訳を防止するか、又はmRNA分解を増加させ、そして細胞内のαV-インテグリンのレベル、ひいては活性を低下させる。例えば、少なくとも約15塩基の、αV-インテグリンをコードするmRNA転写物配列の固有の領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば、従来のホスホジエステル法によって合成することができる。配列が既知である遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためのアンチセンス法を使用する方法は、当技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,566,135号;6,566,131号;6,365,354号;6,410,323号;6,107,091号;6,046,321号;及び5,981,732号を参照のこと)。低分子阻害性RNA(siRNA)もまた、本発明において使用するための発現の阻害剤として機能することが可能である。αV-インテグリン遺伝子発現が特異的に阻害される(即ち、RNA干渉又はRNAi)ように、患者又は細胞を、低分子二本鎖RNA(dsRNA)と、又は低分子二本鎖RNAの産生を引き起こすベクター若しくは構築物と接触させることによって、αV-インテグリン遺伝子発現を減少させることができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA及びリボザイムは、インビボで単独で、又はベクターを伴って送達することが可能である。その最も広い意味で、「ベクター」は、細胞及び典型的にはαV-インテグリンを発現する細胞へのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はリボザイム核酸の移行を促進することができる任意のビヒクルである。典型的には、ベクターは、ベクターの非存在下で生じるであろう分解の程度よりも分解を低下させて核酸を細胞に輸送する。一般に、本発明において有用なベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、ウイルス又は細菌源に由来する他のビヒクル(アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はリボザイム核酸配列の挿入又は組み込みによって操作されている)を包含するが、これらに限定されない。ウイルスベクターは好ましいタイプのベクターであり、以下のウイルスからの核酸配列を包含するが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、及びラウス肉腫ウイルスなどのレトロウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40タイプのウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタインバーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;並びにレトロウイルスなどのRNAウイルス。名前を挙げられていないが当技術分野で知られている他のベクターも、容易に使用することができる。幾つかの実施態様において、発現の阻害剤は、エンドヌクレアーゼである。「エンドヌクレアーゼ」という用語は、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する酵素のことをいう。デオキシリボヌクレアーゼIなどの幾つかのものは、(配列に関係なく)比較的非特異的にDNAを切断するが、典型的には制限エンドヌクレアーゼ又は制限酵素と呼ばれる多くのものは、非常に特異的なヌクレオチド配列でのみ切断する。エンドヌクレアーゼに基づくゲノム不活性化の背後にある機序は、一般にDNA一本鎖又は二本鎖切断の最初の段階を必要とするが、これが次に、DNA不活性化に利用され得るDNA修復のための2つの異なる細胞機序を誘発することができる:エラーが発生しやすい非相同末端結合(NHEJ)及び忠実度の高い相同組換え修復(HDR)。特定の実施態様において、エンドヌクレアーゼはCRISPR-casである。本明細書に使用されるとき、「CRISPR-cas」という用語は、当技術分野でその一般的な意味を有しており、塩基配列の短い反復を含有する原核生物DNAのセグメントである、関連する「クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)」のことをいう。幾つかの実施態様において、エンドヌクレアーゼは、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に由来するCRISPR-cas9である。CRISPR/Cas9システムは、US 8697359B1及びUS 2014/0068797に記載されている。幾つかの実施態様において、エンドヌクレアーゼは、CRISPR-Cpf1であり、これは、Zetscheら(“Cpf1 is a Single RNA-guided Endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System (2015); Cell; 163, 1-13)でプレボテラ属(Provotella)及びフランシセラ属(Francisella)1(Cpf1)由来のごく最近特性決定されたCRISPRである。
「治療有効量」とは、あらゆる医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で症状を処置又は軽減するために十分な活性成分の量を意味する。当然のことながら、本発明の化合物及び組成物の1日総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されよう。任意の具体的な対象者に対する特定の治療有効用量レベルは、処置される障害及び障害の重症度;使用される特定化合物の活性;使用される特定の組成、対象者の年齢、体重、一般的健康状態、性別及び食生活;投与時間、投与経路、及び使用される特定化合物の排泄速度;処置期間;活性成分と併用して使用される薬物;医療分野で周知の同様の要因を包含する種々の要因に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることは、当技術分野の技能の範囲内である。しかし、製品の1日用量は、成人1人あたり1日0.01~1,000mgの広い範囲で変化する可能性がある。典型的には、組成物は、処置される対象者への用量の症状調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250及び500mgの活性成分を含有する。医薬品は、典型的には、約0.01mg~約500mgの活性成分、典型的には1mg~約100mgの活性成分を含有する。有効量の薬物は、通常、1日あたり0.0002mg/kg~約20mg/kg体重、特に1日あたり約0.001mg/kg~7mg/kg体重の用量レベルで供給される。
典型的には、本発明の活性成分(例えば、αV-インテグリン阻害剤)は、薬学的に許容し得る賦形剤、及び場合により生分解性ポリマーなどの徐放性マトリックスと組合せられて、医薬組成物を形成する。「薬学的に」又は「薬学的に許容し得る」という用語は、適切に哺乳動物(特にヒト)に投与されたときに、副作用、アレルギー反応又は他の有害反応を引き起こさない分子成分及び組成物のことをいう。薬学的に許容し得る担体又は賦形剤とは、非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、カプセル材料、又は任意のタイプの製剤助剤のことをいう。担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する、溶媒又は分散媒であってもよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散媒の場合には必要な粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射組成物の持続的吸収は、組成物での吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらすことができる。本発明の医薬組成物において、本発明の活性成分は、従来の医薬支持体との混合物として、単位投与剤形で投与することができる。適切な単位投与剤形は、錠剤、ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口懸濁剤又は液剤などの経口剤形、舌下及び口腔投与剤形、エアロゾル、インプラント、皮下(subcutaneous)、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下(subdermal)、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与剤形並びに直腸投与剤形を含む。
本発明は、以下の図面及び実施例によって更に説明される。しかし、これらの実施例及び図面は、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
シレンギチドはMI後の心筋線維化を減少させ心機能を改善する。(A)実験計画。手術前にマウスをシレンギチド又はビヒクル(1群あたりn=16)で7日間前処置し、次にMIモデルとして完全なLAD結紮を行った(0日目として定義)。次にマウスを経過観察して、シレンギチド又はビヒクルで更に7日間処置した。最終的な非侵襲的及び侵襲的評価を手術の7日後に実施した。(B)MI後7日間のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける生存曲線。p<0.05、ログランク検定。(C)手術直前及び7日後のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける左室駆出率。**p<0.01、****p<0.0001。(D)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なマッソントリクローム染色並びに両群間の梗塞サイズの定量、***p<0.001、1群あたり動物n=4匹。(E)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なピクロシリウスレッド染色並びに両群間の遠隔領域の間質線維化の定量、****p<0.0001、1群あたり動物n=4匹。 シレンギチドはMI後の心筋線維化を減少させ心機能を改善する。(A)実験計画。手術前にマウスをシレンギチド又はビヒクル(1群あたりn=16)で7日間前処置し、次にMIモデルとして完全なLAD結紮を行った(0日目として定義)。次にマウスを経過観察して、シレンギチド又はビヒクルで更に7日間処置した。最終的な非侵襲的及び侵襲的評価を手術の7日後に実施した。(B)MI後7日間のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける生存曲線。p<0.05、ログランク検定。(C)手術直前及び7日後のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける左室駆出率。**p<0.01、****p<0.0001。(D)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なマッソントリクローム染色並びに両群間の梗塞サイズの定量、***p<0.001、1群あたり動物n=4匹。(E)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なピクロシリウスレッド染色並びに両群間の遠隔領域の間質線維化の定量、****p<0.0001、1群あたり動物n=4匹。 シレンギチドはMI後の心筋線維化を減少させ心機能を改善する。(A)実験計画。手術前にマウスをシレンギチド又はビヒクル(1群あたりn=16)で7日間前処置し、次にMIモデルとして完全なLAD結紮を行った(0日目として定義)。次にマウスを経過観察して、シレンギチド又はビヒクルで更に7日間処置した。最終的な非侵襲的及び侵襲的評価を手術の7日後に実施した。(B)MI後7日間のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける生存曲線。p<0.05、ログランク検定。(C)手術直前及び7日後のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける左室駆出率。**p<0.01、****p<0.0001。(D)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なマッソントリクローム染色並びに両群間の梗塞サイズの定量、***p<0.001、1群あたり動物n=4匹。(E)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なピクロシリウスレッド染色並びに両群間の遠隔領域の間質線維化の定量、****p<0.0001、1群あたり動物n=4匹。 シレンギチドはMI後の心筋線維化を減少させ心機能を改善する。(A)実験計画。手術前にマウスをシレンギチド又はビヒクル(1群あたりn=16)で7日間前処置し、次にMIモデルとして完全なLAD結紮を行った(0日目として定義)。次にマウスを経過観察して、シレンギチド又はビヒクルで更に7日間処置した。最終的な非侵襲的及び侵襲的評価を手術の7日後に実施した。(B)MI後7日間のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける生存曲線。p<0.05、ログランク検定。(C)手術直前及び7日後のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける左室駆出率。**p<0.01、****p<0.0001。(D)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なマッソントリクローム染色並びに両群間の梗塞サイズの定量、***p<0.001、1群あたり動物n=4匹。(E)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なピクロシリウスレッド染色並びに両群間の遠隔領域の間質線維化の定量、****p<0.0001、1群あたり動物n=4匹。 シレンギチドはMI後の心筋線維化を減少させ心機能を改善する。(A)実験計画。手術前にマウスをシレンギチド又はビヒクル(1群あたりn=16)で7日間前処置し、次にMIモデルとして完全なLAD結紮を行った(0日目として定義)。次にマウスを経過観察して、シレンギチド又はビヒクルで更に7日間処置した。最終的な非侵襲的及び侵襲的評価を手術の7日後に実施した。(B)MI後7日間のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける生存曲線。p<0.05、ログランク検定。(C)手術直前及び7日後のシレンギチド対ビヒクル処置マウスにおける左室駆出率。**p<0.01、****p<0.0001。(D)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なマッソントリクローム染色並びに両群間の梗塞サイズの定量、***p<0.001、1群あたり動物n=4匹。(E)ビヒクル及びシレンギチド処置動物における典型的なピクロシリウスレッド染色並びに両群間の遠隔領域の間質線維化の定量、****p<0.0001、1群あたり動物n=4匹。 シレンギチドは心臓PW1細胞の線維化促進性活性化を低下させる。(A)漸増濃度のシレンギチド(ビヒクルのみ0、300nM、1000nM)の存在下で培養された単離心臓PW1細胞におけるacta2、mmp2、tgfrb1及びcol1a1発現の定量的PCR評価。データは平均値±SEMとして表される(n=4二重測定)。全群間のクラスカル・ウォリス検定では、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001;ビヒクル処理細胞とのダンの比較では、#p<0.05、##p<0.01。(B)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片におけるビメンチン陽性細胞内のβ-gal細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、p<0.05。(C)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片における細胞総数内のβ-galかつビメンチン陰性細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、***p<0.001。 シレンギチドは心臓PW1細胞の線維化促進性活性化を低下させる。(A)漸増濃度のシレンギチド(ビヒクルのみ0、300nM、1000nM)の存在下で培養された単離心臓PW1細胞におけるacta2、mmp2、tgfrb1及びcol1a1発現の定量的PCR評価。データは平均値±SEMとして表される(n=4二重測定)。全群間のクラスカル・ウォリス検定では、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001;ビヒクル処理細胞とのダンの比較では、#p<0.05、##p<0.01。(B)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片におけるビメンチン陽性細胞内のβ-gal細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、p<0.05。(C)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片における細胞総数内のβ-galかつビメンチン陰性細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、***p<0.001。 シレンギチドは心臓PW1細胞の線維化促進性活性化を低下させる。(A)漸増濃度のシレンギチド(ビヒクルのみ0、300nM、1000nM)の存在下で培養された単離心臓PW1細胞におけるacta2、mmp2、tgfrb1及びcol1a1発現の定量的PCR評価。データは平均値±SEMとして表される(n=4二重測定)。全群間のクラスカル・ウォリス検定では、p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001;ビヒクル処理細胞とのダンの比較では、#p<0.05、##p<0.01。(B)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片におけるビメンチン陽性細胞内のβ-gal細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、p<0.05。(C)ビヒクル及びシレンギチドのMI後心臓切片における細胞総数内のβ-galかつビメンチン陰性細胞の定量、1群あたり動物3匹からn=30野、***p<0.001。
方法:
全ての手順及び動物の管理は、我々の機関の研究委員会によって承認され、欧州議会の指令2010/63/EUにおける動物の管理のガイドラインに準拠した。
LAD結紮による心筋梗塞
オス8週齢のC57BL/6又はPW1レポーター(PW1nLacZ)マウスを、1.0L/分 100% Oと混合した2%イソフルランで導入チャンバー中で麻酔し、体温を維持するために加熱パッドに仰臥位で置いた。マウスに気管内チューブを挿管し、次に齧歯類用人工呼吸器につないだ(180呼吸/分、1回換気量200μl)。外科処置中、Oを含む1.5~2%イソフルランで麻酔を維持する。胸部には左側から肋間腔を通って到達して、心膜を切開した。冠動脈左前下行枝(LAD)を露出させて、左心室の頂点で8.0プロリーン縫合糸で取り囲んだ。縫合糸を短時間輪にして、動脈領域を白くして結紮を確認した。LAD永久結紮の7日後にマウスを分析した。
オスのC57BL/6Jマウス(Janvier labs)又はPW1レポーター(PW1nLacZ)マウスに、シレンギチド 10mg/kg/日(Adooq bioscience、ref:A12372)又はビヒクルを14日間腹腔内投与した。LAD手術は、シレンギチド又はビヒクル投与を開始してから7日後に実施された。マウスは、MI-CIL(シレンギチド)、MI-Veh(ビヒクル)、Ctrl-CIL及びCtrl-Vehの4群に分けられた。14日目に、動物を安楽死させ、心臓を注意深く採取し、4%ホルムアルデヒド溶液(Ted Pella)中で4℃で2時間インキュベートし、次に30%スクロース/PBS溶液で24時間インキュベートした後、OCT包埋し、液体窒素蒸気で凍結した。心機能を評価するために、0日目及び7日目に心エコー測定を行った。
細胞分離及び蛍光活性化細胞選別
安楽死の前に、動物にヘパリン(100UI/25g)を注射した。右心房に外科用ハサミで注意深く切れ目を入れ、右心室を通して10mL PBS(Gibco)で心臓を灌流して血液を除去した。心臓を採取後、心房を切り取り、心室を薄くスライスした(0.5~1mm)。心筋細胞は、DPBS(GIBCO)中の480U/mL コラゲナーゼII(Worthington)での酵素消化により37℃で30分間で解離させた。10% FBS(Sigma)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S;Life Technologies)を補足したDMEM(Life Technologies)で消化を停止させ、細胞懸濁液を100μm Falconセルストレーナーで濾過して、次に416gで4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットを500μL 赤血球溶解(Red Blood Cell Lysing)(RBCL)緩衝液に再懸濁し、RTで30秒間赤血球を溶解した。DPBSを添加して、次に上記と同じ条件で10分間遠心分離した。次に細胞ペレットを1% FBSを含有する300μL HBSS(Gibco)(HBSS-1% FBS)に再懸濁して、暗所の氷上で45分間免疫染色を行った。使用した抗体のリストを補足表1に示す。インキュベーション後、HBSS-1% FBSを添加し、細胞を416gで4℃で10分間遠心分離して、PW1+細胞染色を行った。このために、フローサイトメトリーによるβ-gal検出の基質である、60μM 5-ドデカノイルアミノフルオレセイン ジ-β-D-ガラクトピラノシド(C12FDG、ThermoFisher Scientific)を含有する300μL HBSS-1% FBSを細胞に添加し、次に一定の撹拌下37℃で1時間、暗所でインキュベートした。HBSS-1% FBSの添加により反応を停止させた。細胞遠心分離後、ペレットを200μL HBSS-1% FBSに再懸濁し、生死判別色素のヨウ化プロピジウム(Sigma)を添加し、分析の直前に試料を50μm Filcon(BD bioscience)で濾過した。
生死判別の閾値は、生死判別色素がある場合とない場合の条件を比較することによって決定された。全ての免疫染色された集団は、無染色細胞及びFMO(Fluorescence Minus One)条件からのシグナルを比較することによって得られた。B-Gal活性の閾値は、B-Gal陰性細胞と陽性細胞とを比較することによって得られた。
RNA-seq
新たに単離した細胞から抽出した総RNA 300ngを使用して、製造業者の取扱説明書に従い、SureSelect Strand-Specific RNAキット(Agilent)でのライブラリー調製を行った。得られたライブラリーの品質をチェックし、Bioanalyzer High Sensitivity DNA LabChip(Agilent)でのピーク積分によって定量した。等量の12個の精製ライブラリーがプールされ、各ライブラリーは異なるインデックスでタグ付けされた。miRNAプールライブラリーは、Rapidフローセルを使用してIllumina Hiseq 1500機で最終的に配列決定された。プールはフローセルの2レーンにロードされた。2×100bpのペアエンドの配列決定を行った。
Illuminaフィルターを通過しなかった読み取りデータを破棄し、Cutadaptプログラム24を使用して低品質(q<28)の配列決定塩基をトリミングした後、我々のダウンストリーム分析を90bpを超える長さの読み取りデータに制限した。選択された読み取りデータは、全マウスリファレンスゲノムからのRSEMパッケージ25及びENSEMBL26からのgtf転写物アノテーションファイルにより作成されたマウスリファレンストランスクリプトームにマッピングされた。RSEMプログラムを使用して、12個の処理済み試料のそれぞれにおける大量の転写物の整列及び推定を行った。2個を超える試料(N=36,948)で存在量カウントが10を超える転写物は、発現していると見なされ、更なる解析のために保持された。同じ遺伝子に割り当てられた転写物の存在量を合わせて、16,403個の遺伝子発現のプロファイリングを行った。次に主成分分析が12個の発現プロファイルで実行され、最初の3つの主成分が遺伝子発現プロファイリングの総変動の約84%を説明していることが明らかになった。第1、第2、第3成分によって説明される変動の割合は、それぞれ39.4%、28.5%及び15.7%であった。分析はR環境下で実施された(バージョン3.2.2)。
Galaxy15.10インスタンスをサーバーマシンにローカルにインストールした。WolfPsort、TMHMM、及びSignalPを、CBS予測サーバー集(http://www.cbs.dtu.dk/services/)から入手した。NetNEはGalaxyに実装されていなかったため、代わりにNLStradamus及びPredictNLSを使用した。次に各集団のRNA Seqは、シグナルペプチド、少なくとも1個の膜貫通セグメントを含有し、核外輸送シグナルがなく、原形質膜に理論的に存在する配列を選択するように設計されたパイプラインを介して処理された。推定メンブレノームは、偽陽性配列について手動で品質検査され、幾つかのデータベース(Qiagen's Ingenuity Pathway Analysis、Uniprot、Ensembl)と比較されたため、意図的に緩いフィルターが選択された。最後に、全ての試料が比較され、PW1細胞にのみあるが、心筋梗塞には感受性がない配列のみが検出された。
プロテオミクス
PW1FACSで選別された細胞試料は、完全なプロトコールを実行するには回収された細胞が少なすぎるため、適応プロトコールでのMS分析用に調製された。300,000個のPW1選別細胞を、500gで4℃で10分間遠心分離した。ペレットを溶解バッファー(10mM HEPES、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5mM DTT、1mM オルトバナジン酸及びタンパク質阻害剤カクテル)100μL中で溶解し、氷上で15分間インキュベートした。次に機械的な細胞破壊を、ダウンス・ポッター型ホモジナイザーで20回上下させて行った。次に試料を600gで4℃で10分間遠心分離した。次に上清を100,000gで4℃で25分間遠心分離した。ペレットを濯ぎ緩衝液150μLで濯ぎ、上記と同じ条件で遠心分離した。最終ペレットをNHHCO 50mM 150μLで再懸濁し、ホモジナイズした。膜タンパク質を、SDS-PAGEゲル(4%スタッキング及び12%ランニングゲル)で分析して、MS準拠の硝酸銀染色プロトコールで染色した。全てのタンパク質を1つの大きなストリップに切り出し、タンパク質の還元、アルキル化(DTT、ヨードアセトアミド)及びトリプシン消化(AMBIC 50mM中に500ng、ACN 5%)の直前に1mm立方体に細かく刻んだ。最後に、ペプチドをACN 30% FA 0.1% 20μLで抽出した。質量分析は、2時間勾配でのnanoHPLC Dionex Ultimate3000及びThermofisherQExactive +で構成されるオンラインLC-MSに4μLを注入して実施した。全てのプロテオミクス工程は、LaPitie-Salpetriere(P3S, UPMC)のプロテオミクス施設の監督下で行われ、LC-MS分析は、Paris-Descartes大学(3P5, Paris Descartes)のプロテオミクス施設で実施された。
使用したソフトウェアはX!Tandemパイプライン(Ver:3.4.3)を使用するX!Tandem(Ver:2015.04.01.1)であり、使用したUniprotの参照プロテオームは2016年12月12日にダウンロードされた。標準の汚染物質は除去された。適用フィルター:e値が0.05未満のペプチドが少なくとも1個あるタンパク質;FDRペプチド=0.128;FDRタンパク質=0.95。最終タンパク質スコアLog(e値)<-2。最終結果では、1831個のサブグループを持つ1679個のグループが得られた。
LC-MS分析から得られたタンパク質リストは、原形質膜タンパク質のみを保持するように手動で選別されている。この観察されたPW1メンブレノームは、推定PW1+メンブレノームに突き合わせられた。両方のリストで見つかったタンパク質のみが処理された。次に文献並びにフローサイトメトリー及び免疫蛍光染色の利用可能性について検証された抗体により、見込みある候補を選択した。
ウェスタンブロット分析
マウス心臓からのタンパク質は、ダウンス・ポッター型ホモジナイザーでアンチプロテアーゼ(Sigma-Aldrich)、セリン/トレオニン及びチロシンタンパク質ホスファターゼ阻害剤(ホスファターゼ阻害剤カクテル2及び3、Sigma-Aldrich)及び1mM NaVOを含有する氷冷RIPA緩衝液(50mM Tris pH7.4、150mM NaCl、1% Igepal CA-630、50mMデオキシコール酸、及び0.1% SDS)に、又は尿素-チオ尿素緩衝液(5M尿素、2Mチオ尿素、50mM DTT、0.1%[w/v]SDS(PBS pH7.4中))で凍結組織から抽出した。4℃で1時間インキュベートした後、ホモジネートを15,300gで4℃で15分間遠心分離し、タンパク質を含有する上清を集めた。全ての試料のタンパク質濃度は、ブラッドフォード法に基づくタンパク質アッセイ(Biorad)で決定された。
選別後、マウス22匹の心臓PW1細胞及びマウス16匹の心臓PW1細胞をプールし、500gで4℃で15分間遠心分離し、尿素-チオ尿素緩衝液で溶解した。上記のとおりタンパク質を抽出した。
心筋細胞(CM)及び非心筋細胞(非CM)細胞は、僅かな変更を加えて以前に報告されたとおり(Ackers-Johnson et al, 2016)、成体マウス心臓から分離した。細胞を収集した後、CMを上記のとおりタンパク質抽出のためにRIPA及び尿素-チオ尿素緩衝液で溶解し、非CMを増殖培地(DMEM 10%FBS 1% P/S)に蒔いた。細胞が80% コンフルエンスに達したら、タンパク質をRIPA及び尿素-チオ尿素緩衝液で抽出した。
タンパク質(10~30μg)をNuPAGE(商標)LDS試料緩衝液、NuPAGE(商標)試料還元剤及び抽出緩衝液と混合し、70℃で10分間インキュベートし、次にNuPAGE(商標)Novex(登録商標)4~12% Bis-Trisゲル(Life Technologies)のゲルレーンにロードした。NuPAGE(商標)MES SDS泳動用緩衝液(Life Technologies)により90Vで3時間泳動後、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、5%スキムミルクを含有する0.1% Tween-20(TBS-Tween)を含むTris緩衝生理食塩水中で、絶えず振盪しながら1時間ブロックした。次に膜を、5% BSA/TBS-Tweenに希釈したCD51(Bioss)、インテグリンβ1(Abcam)、インテグリンβ3(Cell Signaling)、インテグリンβ5(Cell Signaling)及びインテグリンβ8(Sigma-Aldrich)に特異的な一次抗体と共に、絶えず振盪しながら4℃で一晩インキュベートした。次に、膜をTBS-Tweenで洗浄し、5%スキムミルク又はBSA/TBS-Tweenに希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体と共に室温(RT)で1時間インキュベートした。次に膜をTBS-Tweenで再度洗浄し、次いでSuperSignal(商標)West Pico PLUS化学発光基質(Life Tecnologies)と共に5分間インキュベートした後、Chemidoc(登録商標)XRS+カメラ(Biorad)及びImageLab(商標)ソフトウェアにより画像処理した。
インビトロのPw1細胞の薬理学的阻害
FACSで選別されたPW1又はPW1細胞を、接着因子(ThermoFisher Scientific)でコーティングされた培養皿に1cmあたり25,000細胞の密度で蒔いた。細胞を増殖培地(DMEM 10% FBS 1% P/S)0.5mLで一晩接着させた。翌日、培地を交換した。5日目に、培地を交換し、0.300nM、又は1μMのシレンギチドを補足した。6日目に培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。次に細胞を溶解し、RNAを抽出した後、RT-PCRを行った。選択された線維化マーカーで最後にQ-PCRを実行した。
統計解析
この原稿のデータは平均±SEMとして表された。2群を超えて比較する場合、一元配置分散分析及び多重比較のためのテューキー検定とのペアワイズ比較を使用して、定量的データを解析した。マンホイットニーU検定は、2群間の連続変数を比較するために使用された。ログランク(Mantel-Cox)検定を使用して、群間の生存率を比較した。P値<0.05を有意であると見なした。
結果
バイオインフォマティクス分析が心臓PW1細胞の推定メンブレノームを定義する
最初に我々は、RNA配列決定によって心臓PW1細胞のトランスクリプトームプロフィールを特性決定した。この目的のために、β-ガラクトシダーゼ活性の蛍光基質であるC12FDGを使用した我々のPW1nLacZレポーターマウスモデルを使用して、新鮮な心臓組織から心臓PW1をFACS分離した。我々は心臓PW1を、正常心臓、更には虚血心(即ち、MIの7日後)から取得した。次に我々は、選別、整列、品質管理されたRNA-seq出力ファイルを使用して、対応する遺伝子のアミノ酸配列を予測し、次に一連のバイオインフォマティクスアルゴリズムを使用して、推定膜タンパク質を同定した(データは示されていない)。簡単に述べると、我々は、タンパク質が、予測されるN末端小胞体標的シグナルペプチド及び予測される膜貫通ドメインを持つが、細胞内局在化シグナルは持たないと考えた(即ち、ER保留シグナルモチーフや、ミトコンドリア標的ペプチドも核外輸送シグナルも存在しない)。よって漸進的選別により、我々は、正常及び虚血条件の両方で心臓PW1細胞膜で発現する2040候補のリストを作成した(データは示されていない)。これらの2040候補の特性は、利用可能なデータベースで更にスクリーニングされて、心臓PW1細胞の原形質膜で発現される可能性が高い913候補が同定された(データは示されていない)。次に我々は、同じ戦略を実行して、他の細胞型(即ち、心筋細胞、非筋細胞の心臓画分及び胚性幹細胞)の推定表面メンブレノームを定義し、最後のスクリーニングを実行して、心臓PW1細胞で得られたデータセットでのみ観察された378候補に我々のリストを限定した(データは示されていない)。心臓PW1特異的で条件非感受性の細胞表面マーカーのこの短いリストの機能エンリッチメント解析により、重要な数の膜貫通受容体、トランスポーター、並びにより少ない割合のイオンチャネル及び酵素が同定された(データは示されていない)。しかしながら分子機能は、同定された候補の大部分について説明されなかった。
プロテオミクス分析が心臓PW1細胞における9個の細胞表面タンパク質の発現を相互検証する
トランスクリプトミクスアプローチと並行して、我々は質量分析を使用してFACSで分離された心臓PW1細胞のプロテオミクス分析も実行した(データは示されていない)。我々は1885個のタンパク質の発現を同定し、これらを利用可能なデータベースで更に分析して、データセットを原形質膜に位置する230個のタンパク質に制限した。次に我々はトランスクリプトミクス及びプロテオミクスのデータセットを直接比較し、両方のアプローチで9候補の交差同定を確認した(データは示されていない)。これら9個の細胞表面タンパク質の中で、3個のトランスポーター、4個の受容体及び2個の酵素が見つかり、これらの候補の大部分は、細胞の運動性、マトリックスへの接着及び創傷への応答に関与していた(データは示されていない)。これらのうち5候補は、分化の原形質膜クラスターとして非心臓細胞で既に報告されており(即ち、CD51-Itgav、CD140a-Pdgfra、CD172a-Sirpa、CD39-Entpd1及びCD163)、残りの我々の研究で更に検討された。
Itgav(CD51)は心臓PW1細胞で高度に発現する
これら5個の新たに同定された細胞表面マーカーの発現は、PW1nLacZレポーターマウス心臓から単離されたC12FDG細胞のサイトメトリーによって分析された。心臓PW1細胞の実に92.98±1.01%がCD51を発現していることを我々は観察した(データは示されていない)。他の4個の新しいマーカー並びに典型的な成体幹細胞マーカー(即ち、CD44、CD34、CD166)は、心臓PW1細胞のより低い割合(即ち、約50%)で発現し(データは示されていない)、よってCD51が心臓PW1細胞を識別する強力なマーカーであることを示した。選別されたCD45Ter119心臓細胞での更なる分析は、FDG及びCD51発現の高いクラスター化を示したが、これにより常在心臓PW1細胞がCD51の高い発現レベルを示すことを更に確認した(データは示されていない)。相互に、CD51の発現はFDGCD45Ter119心臓細胞の大多数で観察された(データは示されていない)。
CD51発現に基づく心臓PW1細胞の新しい選別戦略を開発及び検証するために、我々は、PW1nLacZレポーターマウス心臓からのCD51選別細胞における研究された他の4個の候補の発現を最初に分析し、FDGCD51CD45細胞は専らCD140a(即ち、PDGF受容体アルファ)を発現するが、一方FDGCD51CD45細胞はCD172aを発現することが分かった(データは示されていない)。次に我々のPW1nLacZレポーターマウスを使用して、心臓PW1細胞の新しい選別戦略を提案するために、我々はCD51、CD45、CD140a及びCD172を使用する細胞選択を開始した。簡単に述べると、心臓CD51細胞集団は、CD45、CD140a及びCD172の発現により簡単に分離できる(データは示されていない)。次に我々は、これらの亜集団のそれぞれでβ-ガラクトシダーゼ活性を評価し、新しい戦略により、CD51CD45CD140aCD172集団ではPW1細胞の84.57±1.61%を、そしてCD51CD45CD140aCD172集団では91.13±0.81%を回収できることが分かった。これらの結果は、CD51がほぼ全ての心臓PW1細胞で発現しており、心筋でPW1を発現している細胞に優勢に見られることを示した。
心臓PW1細胞は様々なαV含有インテグリンを発現する
CD51(Itgav)は、細胞-ECM結合及び細胞-細胞相互作用の橋として作用する膜貫通型受容体であるインテグリンのファミリーに属する。よって最初に我々は、マウスの正常な心臓から新たに単離された心筋細胞及び非筋細胞画分におけるCD51発現を分析した。Huvec細胞を陽性対照として使用した。CD51は専ら非筋細胞画分で発現していることが分かった(データは示されていない)。次に我々は、正常及び虚血マウスの心臓からPW1及びPW1細胞画分をFACSで選別し、CD51発現が心臓PW1細胞でのみ観察されることが分かった(データは示されていない)が、このことは、結果としてトランスクリプトミクス、プロテオミクス及びサイトメトリーのデータを更に裏付けている。ウエスタンブロット分析により、虚血心、そして更に具体的には梗塞域でのCD51発現の有意な増加が更に確認された(データは示されていない)が、このことは、梗塞領域に優勢に位置するMI後の心臓PW1細胞の数の有意な増加を我々が以前に示したように、心臓PW1細胞での優勢な発現と一致している19
インテグリンαVサブユニットは、βサブユニットに結合して、特定の細胞型で更に大量に観察できる様々なインテグリンの組合せを形成できる。よって我々は心臓PW1細胞に特有のインテグリンの痕跡を探した。最初に我々は、我々のトランスクリプトームデータセットを使用して、Itgav及びβサブユニット(Itgb1、Itgb3、Itgb5、及びItgb8を包含する)の発現を評価した。我々のウエスタンブロットデータと一致して、Itgavは、研究された他の細胞型よりも心臓PW1細胞では豊富にあると予測された。次に我々は、Itgb1のmRNA発現レベルが、研究された他の細胞型と同様に心臓PW1細胞で他のインテグリンβサブユニットと比較して高いことを発見した(データは示されていない)が、このことは、心臓PW1細胞において優勢なαVβ1複合体を示唆している。心臓細胞画分のウエスタンブロッティング(データは示されていない)により、非筋細胞にITGβ1、ITGβ3、ITGβ5、及びITGβ8が存在することが確認された。ITGβ1だけでなくITGβ3の存在も心臓PW1細胞で更に確認されたが、一方ITGβ5、及びITGβ8はこれらの細胞では観察されなかった(データは示されていない)。一貫して、ITGβ1及びITGβ3はMI後心臓の梗塞領域で過剰発現していた(データは示されていない)。全体として、これらの結果は、心筋のPW1細胞におけるCD51(即ち、ITGAV)の優勢な発現を確認し、心臓PW1細胞におけるαVβ1及びαVβ3ヘテロダイマーの重要な存在を示唆している。
PW1αVインテグリンの標的化によりMI後の心筋線維化が軽減する
最新の証拠は、αVインテグリンが、TGF-β活性化を介した臓器線維化の中心的なメディエーターであることを示しており22,23、とりわけαVβ1インテグリンの重要な役割を示している。我々の結果は、CD51をPW1細胞を同定するための細胞表面マーカーとして使用できることを示したが、次に我々は、以前に報告された19とおりCD51が心臓PW1線維形成挙動にも直接関与できるかどうか知りたいと考えた。CD51(αVインテグリン)は、細胞-細胞及び細胞-ECM相互作用の重要なモチーフであるトリペプチド配列RGD(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)を認識及び結合する。このモチーフに基づいて、環状RGDペンタペプチド(シレンギチドと呼ばれる)が開発され、そしてαVβ1、αVβ3及びαVβ5を包含するインテグリンαVに対して強力な阻害活性を発揮することが示された。
心臓PW1+細胞に見られるαVインテグリンの潜在的寄与を更に評価するために、虚血性損傷に応答した心筋線維化を予防するためのαVインテグリンの薬理学的遮断の可能性を調べた。マウスをシレンギチド又はビヒクルで7日間前処置し、次に完全なLAD結紮によりMIに付した。マウスに、追加の7日間シレンギチド又はビヒクルを更に1日1回投与し、次に心機能及びリモデリングの最終評価を行った(図1a)。シレンギチド投与は、MIの7日後に生存率の有意な改善(図1b)と関連しており、左室駆出率(図1c)で測定した心機能の有意な増加と相関していることが分かった。次にコラーゲン(マッソントリクローム及びピクロシリウスレッド)染色を、8つの心臓連続切片で実施した(データは示されていない)。デジタル画像の定量により、梗塞サイズの有意な縮小(シレンギチド対ビヒクルでそれぞれ38.8±7.9%対56.8±14.9%、p=0.0008、図1d)、更には遠隔心筋領域で測定された間質線維化の有意な減少(シレンギチド対ビヒクルでそれぞれ15.9±10.4%対36.8±13.1%、p<0.0001、図1e)が証明されたが、一方シレンギチド投与は、偽処置動物の生存率、心機能又は心筋線維化のどのような変化とも関連していなかった(データは示されていない)。
αVインテグリン遮断は線維形成挙動又は心臓PW1細胞を減少させる
全体として、これらの結果は、MIに応答した心筋線維化の発生につながる機序の一次鈍化を示唆しており、これは、MI後に線維形成挙動を示すことが以前に示された心臓PW1細胞が関与する可能性のある現象であり19、ここで我々は、それらの細胞がシレンギチドの標的となるαVインテグリンを優勢に発現することを示した。この仮説を検証するために、我々は最初に、CD51の薬理学的阻害が新たにFACSで単離された心臓PW1細胞における線維化促進遺伝子の発現に影響を与えるかどうかを調査した。これらの細胞を播種して4日間培養した後、濃度を上げながらシレンギチド又はビヒクルで48時間処置した。シレンギチド処置は、aSma(又はActa2)、mmp2及びtgfrb1の有意なダウンレギュレーションをもたらしたが(図2a)、このことは、TGF-βシグナル伝達及び筋線維芽細胞分化能の低下を示唆している。しかしCol1a1の発現はシレンギチド処置の影響を受けなかったが、これは、個々のECM遺伝子に対する特異的な調節的役割を支持している。
次に我々は、PW1nLacZレポーターマウスモデルを使用して、心臓PW1細胞の短期系統追跡を実行した。β-galレポーターの安定性(生産性)により、実際にβ-gal細胞に由来する細胞の同定が可能になる。我々は、MI後(7日)心臓の心臓切片におけるインビボでのβ-gal活性及び典型的な線維芽細胞マーカー(即ち、ビメンチン)発現を調べ、シレンギチド処置が、β-gal及びビメンチンを共発現する細胞の割合の有意な減少と関連することを見い出した(図2b)。相互に、我々は、シレンギチド処置後にビメンチンを発現しなかったβ-gal細胞の数が有意に増加することが分かった(図2c)。全体として、これらの結果は、シレンギチドによるαVインテグリン遮断が、線維芽細胞に分化して線維性瘢痕化に寄与する心臓PW1細胞の能力に影響を与えたことを示唆している。
考察:
我々の知る限りでは、ここでPW1心臓成体幹細胞の細胞表面で発現するタンパク質の最初の説明を提供する。細胞表面マーカーの痕跡の同定は、常在成体幹細胞の分離、特性評価及び理解にとって極めて重要である(これらの細胞は通常、臓器内の生細胞のごく一部を占めているに過ぎないため)。更に、提案されているマーカーは多様であるが、マーカー間にかなりの重複があり、そして識別力は限られている。例えば、ここで我々は、典型的な幹細胞マーカー(例えば、CD140a、CD44、CD166)が実際に心臓PW1細胞の表面に見られるが、これらの細胞の約50%にしか見られないことが分かった。これまでのところ、PW1細胞の同定は、トランスジェニックPW1レポーターマウスモデルを使用することで可能になっており、このモデルは、汎組織幹細胞マーカーとしてPW1を証明するのに非常に見込みあることが明らかになった19,20,27-29。ここで我々は、このモデルを使用して心臓PW1細胞を特異的に分離し、次にマルチオミクスの不偏のアプローチを実行して、これらの細胞の細胞表面メンブレノームを更に解明した。トランスクリプトミクス予測は、質量分析法によって同定された実に多数の膜タンパク質を我々が選別するのに役立ち、したがって、限られた数の残りの候補の中から更に特異的な細胞表面マーカーを同定する尤度を高めた。骨髄幹細胞のセクレトームを定義するために、同様のアプローチが最近提案された30
次に我々は、CD51が心臓PW1細胞の大部分で発現していることを見い出したが、この結果は、以前には報告も予測もされなかった。相互に、CD51は心筋のPW1を発現している細胞に優勢に見られ、よってこれは、PW1細胞の選別に今後役立つ可能性のあるこの新しいマーカーの識別力の価値を強調している。しかしCD51が非心臓臓器においてPW1細胞を特異的に認識するかどうかは未だ決定されていない。
この新しい細胞表面マーカーの同定は次に、心臓PW1細胞の病態生理学的役割に関する重要な情報を提供した。CD51は、αV-インテグリンサブユニット、即ち、インテグリンファミリー細胞接着受容体のサブセットであり、これらは、TGF-β活性化を介した臓器線維化の中心的なメディエーターとして最近示唆された22,23。驚くべきことに、我々は最近、心臓PW1細胞が、特に線維芽細胞を直接生じさせることにより、虚血性損傷に応答して線維形成挙動を示すことを報告した19。我々の新しい結果は、CD51(又はITGAV)が心臓PW1細胞の線維形成の運命を制御する上で直接的な役割を果たすことを示している。実際我々は、αV-インテグリンの遮断により、単離された心臓PW1細胞における線維化遺伝子の発現が制限され、MIマウスモデルにおいて線維芽細胞への心臓PW1細胞の分化能がインビボで低下することが分かった。このモデルにおけるシレンギチドによるαV-インテグリンの薬理学的遮断は、梗塞サイズ及び間質線維化の有意な減少と共に、MI後の線維化リモデリングを有意に減少させた。その結果、シレンギチド処置動物の生存率及び心機能が改善された。幾つかのインテグリンは内皮細胞で発現するため、シレンギチドには幾分の抗血管新生作用があることが示唆されている31。しかし、抗血管新生作用はMI後の心機能を逆に悪化させるはずであるため、この機序では我々の最新の観察結果を説明できなかった。同様に、ITGβ3は内皮細胞によって発現することができるが、我々は、梗塞領域、即ち、通常は血管が激減しているがPW1細胞が豊富なゾーンでITGβ3発現の有意な増加を見い出した。我々のデータはむしろ、αV-インテグリンが心臓細胞内のPW1細胞で優勢に発現していることを示しており、よってこのことは、心臓の線維化リモデリングで観察された利点は、これらの細胞の線維形成挙動を低下させることによって主として実施されることを示唆している。しかしながら、循環細胞(心筋細胞壊死に応答する炎症細胞など)の寄与を排除することはできない。
非心臓臓器線維化(即ち、肺及び肝臓)におけるインテグリンの役割の認識はますます高まっており、インテグリンの遺伝子欠失又は薬理学的阻害を、線維化リモデリングの減少と関連させている23,32,33。興味深いことに、これら最新の研究は、臓器線維化におけるαVβ1の極めて重要な役割を示している23,32。筋肉及び心筋線維化の発生におけるαVβ1ヘテロダイマー並びに間葉様細胞αVインテグリンの役割は、最近認められたばかりである23,34。我々の現データは更に、αVインテグリンを介した心筋線維化の発生における心臓PW1成体幹細胞の役割の証拠を提供する。我々の結果は、線維芽細胞に直接分化することにより心臓PW1細胞が線維化の細胞源に相当するという仮説と一致する。しかし、心臓PW1細胞が、常在線維芽細胞の活性化又は細胞外マトリックスのリモデリングに更に好都合な微小環境を統合することにより、間接的に線維化に寄与する可能性もある。我々のデータは、αV-インテグリン遮断後の個々のECM遺伝子(特にTGF-β経路に関連するもの)の幾つかの特異的変化、即ち、更なる実験に値する観察を示唆する。
最後に、我々の研究は、線維形成性心臓PW1細胞で発現するαV-インテグリンを標的とすることにより、新しい抗線維化療法を開発し得ることを示している。これまでのところ、心不全治療は、心仕事量を軽減し、間接的に心臓リモデリングを減らすために利用されているが、HFの現行治療法を補完し得る効果的な抗線維化治療方針は現在のところ存在しない9,11,12。抗線維化療法を達成するには、心筋線維化に寄与する機序のより良い理解が必要であり、我々のデータは心筋線維化の新しい細胞源について報告している。重要なことに、我々の研究では、αV-インテグリンの薬理学的遮断は、マウスMIモデルにおける好ましい転帰と関連していた。MIの抗線維化戦略は、生存心筋細胞を欠く領域を復旧して心破裂を防ぐ、置換性線維化の発生を制限することにより、心破裂のリスクにしばしば曝された35。例えば、炎症細胞の動員を梗塞部位に制限する戦略は、死んだ心筋細胞の除去及び瘢痕組織によるそれらの置換を遅らせ、したがって心破裂に対する感受性を高めることが最近示された36。我々はそのような有害転帰を観察せず、むしろシレンギチド処置下での生存率の有意な改善を見い出した。シレンチギチド処置動物における間質線維化の有意な減少と相まって、これは、αV-インテグリンの遮断が置換性線維化リモデリングに直接影響を与えず、むしろ生存心筋における反応性間質線維化の発生を制限することを示唆している12
全体として、これらのデータは、αV-インテグリンを介した虚血性損傷に応答する心筋線維化の原因として心臓PW1細胞を同定し、αV-インテグリンの薬理学的標的化が心虚血の処置における臨床的有益性を提供する可能性を示唆している。
参考文献:
本出願の至るところで、種々の参考文献は、本発明が関係する最新技術を記述している。これらの参考文献の開示は、引用例として本開示に取り込まれる。
Figure 2022512648000002

Figure 2022512648000003

Figure 2022512648000004

Figure 2022512648000005

Claims (7)

  1. 治療有効量のαV-インテグリン阻害剤を患者に投与することを含む、これを必要とする患者の心筋線維化を処置する方法。
  2. 心筋線維化が、加齢、特定薬物への曝露から、又は心筋梗塞や高血圧などの種々の心疾患に応答して発生する、請求項1記載の方法。
  3. αV-インテグリン阻害剤が、生存心筋における反応性間質線維化の発生を制限するのに適している、請求項1記載の方法。
  4. αV-インテグリン阻害剤が、心機能を改善するのに適している、請求項1記載の方法。
  5. αV-インテグリン阻害剤が、抗体であり、更に詳細には、αV-インテグリンに対する特異性を有する抗体である、請求項1記載の方法。
  6. αV-インテグリン阻害剤が、シレンギチドである、請求項1記載の方法。
  7. V-インテグリン阻害剤が、αV-インテグリンの阻害剤である、請求項1記載の方法。
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