JP2022512120A - 磁気結合機構を有する患者インターフェース装置 - Google Patents

Abstract

患者インターフェース装置は、患者に面する側、反対側の外側に面する側、患者に面する側の上又はその中に固定される第１の複数の磁気要素、及びそれを通り画定される第１の開口を有する中央部分を持つフレームを含む。第１の開口は、送達導管に連結されるように構成され、外側に面する側から患者に面する側に向かって延在する第１の部分、及び患者に面する側から外側に延在し、ハブを形成する壁により画定される患者側部分を有する。この装置は、患者の１つ以上のオリフィスの周りに密封係合するように構成される患者接触側、ハブの周りに係合するようにサイズ決定及び構成される、その中に画定される第２の開口を含む反対側のフレーム接触側、並びにクッションをフレームに磁気的に結合するための第２の複数の磁気要素を持つクッションをさらに含む。

Description

本特許出願は、米国特許法第１１９条の下、２０１８年１２月２４日に出願された米国仮特許出願第６２／７８４，５７２号の優先権を主張し、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。

本発明は、患者に呼吸ガス流を送達するために患者インターフェース装置が使用される非侵襲的換気及び圧力支持システムに関し、より詳細には、クッションとフレームとを結合するのに使用するための磁気結合特徴を有する患者インターフェース装置に関する。

患者の気道に呼吸ガス流を非侵襲的に、すなわち患者に挿管することなく又は患者の食道に気管チューブを外科的に挿入することなく、送達することが必要である又は望ましい状況が多く存在する。例えば、非侵襲的換気として知られる技術を用いて患者を換気することが知られている。ある内科的疾患を治療するために、陽圧呼吸（ＰＡＰ）療法を行うことも知られており、その疾患の中で最も有名なのは、閉塞性睡眠時無呼吸（ＯＳＡ）である。既知のＰＡＰ療法は、患者の気道をスプリント解放(splint open)するために、患者の気道に一定の陽圧が供給される持続的気道陽圧（ＣＰＡＰ）と、患者の気道に供給される圧力が患者の呼吸サイクルと共に変化する可変気道圧力とを含む。そのような治療は通例、患者が眠っている夜間に患者に施される。

上述したような非侵襲的な換気及び圧力支持療法は、呼吸ガス流を生成するためのガス流発生器、及びマスク構成要素を含む患者インターフェース装置を患者の顔の上に配置することを含む。ガス流発生器は、周囲環境から空気を取り込み、ファンを回転させることにより正の空気圧を生成し、このガス流発生器からの空気を、送達導管を介して患者に送達される患者インターフェース装置内に押し出す。

患者インターフェース装置の従来のクッション部材は、患者の顔との密封を提供するために、患者の顔と係合するよう構成される密封部分、並びにクッションを所望の位置に保持するため、並びにフレーム及びクッションを患者の頭部に固定するのに使用されるヘッドギア部材の取り付け点を提供するために一般的に使用されるより硬質の材料から通例に形成されるフレームを含む。通例、クッション及びフレームは、これら部材の１つを清掃及び／又は交換することを可能にするために容易に分離されるような方法で結合される。従って、そのような結合は一般に、不意に外れないように十分な強さである必要がある一方、依然として素早い及び一般に簡単な方法で分解及び再組み立てされることもできない。

本発明の実施形態は、従来の設計を改善する結合機構を提供する。本発明の一態様として、患者の気道に呼吸ガス流を送達するのに使用するための患者インターフェース装置は、一般に薄い部材として形成される中央部分を持つフレーム及びクッションを有し、前記中央部分は、患者に面する側、反対側の外側に面する側、中央部分を通り画定される第１の開口及び第１の複数の磁気要素を有し、前記第１の開口は、前記外側に面する側から、呼吸ガス流を供給する送達導管に結合されるように構成される前記患者に面する側に向かって延在している第１の部分、及び前記患者に面する側から外側に延在する壁により画定され、ハブを形成する患者側部分を持ち、前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、前記患者に面する側の上又はその中に固定され、前記クッションは、患者の１つ以上のオリフィスの周りに密封係合するように構成される患者接触側、前記患者接触側の反対側に置かれるフレーム接触側及び第２の複数の磁気要素を有し、前記フレーム接触側は、前記フレームの前記中央部分の前記ハブの周りに係合するようにサイズ決定及び構成され、並びに前記フレームの前記中央部分の前記第１の開口を通過する呼吸ガス流の流れが、一般に前記患者接触側と前記フレーム接触側との間にある、前記クッションに画定される空洞に入るように構成される前記クッション内に画定される第２の開口を含み、前記第２の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、前記クッションが前記フレームに磁気的に結合されるように、前記フレームの前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素に対応する位置において、前記クッションの前記フレーム接触側の上又はその中に固定される。

構成物の関連する要素の動作方法及び機能、並びに製造部品と製造の経済性との組み合わせと同じく、本開示のこれら及び他の目的、特徴並びに特性は、付随する図面を参照して、以下の説明及び添付の請求項を考慮するとより明白となり、これらの全てが本明細書を形成している。様々な図面において、同様の参照番号は対応する部品を示している。しかしながら、これら図面は単に例証及び説明を目的とするものであり、本発明の境界を規定するものとは意図されないことは明白に理解されるべきである。

図１は、本発明の１つの例示的な実施形態による、患者に呼吸療法レジメンを提供するように適応するシステムを形成するための、患者インターフェース装置及び（概略的に示される）ガス流／圧力発生装置に接続して示される導管の一部の正面等角図である。 図２は、図１の患者インターフェース装置の組み立てられたフレーム及びクッションの後面等角図である。 図３は、図２の線３－３に沿って切り取られた図２の組み立てられたフレーム及びクッションの断面等角図である。 図４は、図１の患者インターフェース装置の分解正面等角図であり、クッション及びヘッドギアがフレームから分解されて示されている。 図５は、図１の患者インターフェース装置のフレームの後面等角図である。 図６は、図１の患者インターフェース装置のクッションの正面図である。 図７は、図１の線７－７に沿って切り取られた図１の患者インターフェース装置の断面図である。 図８は、図１の患者インターフェース装置のフレームの背面図である。 図９は、本発明のもう１つの例示的な実施形態による、図１のフレームの別バージョンの背面図である。 図１０は、本発明の１つの例示的な実施形態による、対応するフレームのクッション及び磁石の断面図である。 図１１は、本発明のもう１つの例示的な実施形態による、対応するフレームのクッション及び磁石の断面図である。

明細書において、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あると述べていなくても、それらが複数あることを含む。明細書において、２つ以上の部品又は構成要素が"結合される"と述べることは、連動している限り、これらの部品が直接的に又は間接的、すなわち１つ以上の中間部品若しくは構成要素を介しての何れかにより接合される又は共に動作することを意味する。明細書において、"直接結合される"は、２つの要素が互いに直に接して結合される（すなわち接触している）ことを意味している。明細書において、"固定して結合される"又は"固定される"は、２つの構成要素が互いに対し一定の方向を維持している間、１つとして移動するように結合されることを意味している。

明細書において、２つ以上の部品又は構成要素が互いに"係合する"と述べることは、これらの部品が互いに向けて直接的に又は１つ以上の中間部品若しくは構成要素を介して間接的にの何れかにより力を及ぼしていることを意味する。明細書において、"数字"は、１若しくは１以上の整数（すなわち複数）を意味する。

明細書において、例であり限定ではない方向の表現は、左、右、上方、下方、前、後、その上に及びそれらの派生語は、図面に示される要素の方位に関連し、特に明瞭に言わない限り、請求項を制限しない。明細書において、「及び／又は」という用語は、そのような言葉で隔てられた要素の一方又は両方を意味する。例えば、「Ａ及び／又はＢ」は、ｉ）Ａ、ｉｉ）Ｂ、又はｉｉｉ）ＡとＢの何れかを意味する。

本発明のある例示的な実施形態に従う、患者に呼吸療法レジメンを提供するように適応するシステム２が図１に一般的に示される。システム２は、（概略的に示される）圧力発生装置４、（概略的に示される）送達導管６、導管セグメント１２を介して結合される流体結合導管１０を持つ患者インターフェース装置８及び（ストラップ１４のみが示される）ヘッドギアを含む。圧力発生装置４は、呼吸ガス流を生成するように構成され、限定ではないが、人工呼吸器、定圧力支持装置（例えば、持続陽圧呼吸療法装置又はＣＰＡＰ装置）、可変圧力装置（例えば、ペンシルベニア州マリスビルのフィリップス・レスピロニクス社により製造及び流通されるＢｉＰＡＰ（登録商標）、Ｂｉ－Ｆｌｅｘ（登録商標）又はＣ－Ｆｌｅｘ（登録商標）装置）及び自動滴定圧力支持装置を含む。送出導管６は、圧力発生装置４からの呼吸ガス流を、流体結合導管１０及び導管セグメント１２を介して患者インターフェース装置８に伝達するように構成される。図１に示される例示的な実施形態において、流体結合導管１０は真っすぐなコネクタであるが、この流体結合導管１０は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切な結合部が用いられてよいことを分かるべきである。導管セグメント１２は取り除かれてもよく、故に、送達導管６は、本発明の範囲から逸脱することなく、患者インターフェース装置８に直接接続されるか、又は上述した結合部を介して接続されることも分かるべきである。送達導管６及び患者インターフェース装置８はしばしば、患者回路と総称される。

ＢｉＰＡＰ（登録商標）装置は、患者に供給される圧力が患者の呼吸サイクルと共に変化するので、呼気中よりも吸気中に高い圧力が供給されるバイレベル装置である。自動滴定圧力支持システムは、患者の状態、例えば患者がいびきをしているかどうか、又は無呼吸或いは低呼吸を経験しているかどうかにより圧力が変化するシステムである。現在の目的では、フロー／圧力発生装置４は、圧力勾配が生成されるとき、流れが生じるので、ガス流発生装置とも呼ばれる。本発明は、フロー／圧力発生装置４が、患者の気道にガス流を送達するため、又は患者の気道におけるガスの圧力を上昇させるための、上記に要約された圧力支持システム及び非侵襲的換気システムを含む如何なる従来のシステムでもあることを考慮している。

図１を引き続き参照すると共に、図２を参照すると、患者インターフェース装置８は、以下に詳細に説明される磁気機構を介してフレーム１８に結合されるクッション１６を含む。クッション１６は、如何なる柔軟な材料（例えば、限定ではないがシリコーン）から形成される。フレーム１８は、実質的に堅い材料（例えば、限定ではないが１つ以上のプラスチック）から形成される。

図１及び図２を引き続き参照すると共に、図３－５を参照すると、フレーム１８は、患者に面する側２２及び反対の外側に面する側２４を持つ一般に薄い部材として形成される中央部分２０を含む。恐らくは図３の断面図が最もよく分かるように、示される例示的な実施形態において、中央部分２０は、患者に面する側２２が概ね凹形であるのに対し、外側に面する側２４は概ね凸形であるように湾曲している。フレーム１８は、中央部分２０の第１の端部２８から第１の遠位端３０に、わずかに先細りながら延在する第１のウィング部分２６、及び中央部分２０の第２の端部３４から第２の遠位端３６に、わずかに先細りながら延在する第２のウィング部分３２をさらに含む。図３に示されるように、示される実施形態において、第１及び第２のウィング部分２６及び３２の各々は、（３６及び３８に概ね示される）夫々のスペーサ部分により、中央部分２０の患者に面する側面２２から距離ｄだけ各々オフセットされ、これらスペーサ部分は、各々が、中央部分２０、並びにこの中央部分の近接するウィング部分２６及び３２からなる部分よりも狭い寸法である。

図４及び図１の分解図及び組立図を参照すると、各ウィング部分２６及び３２は、各ストラップ１４をフレーム１８に固定するやり方で、ヘッドギアストラップ１４の夫々のストラップと協働して係合するように構成される。より詳細には、各ストラップ１４は、閉じた先端１４Ａを持つ一般に平坦な管状部材として、伸縮性のある織物材料から形成される。各々の平坦な管状部材の内側部分へのアクセスを提供する開口１４Ｂは、各ストラップ１４において、そのストラップの閉じた先端１４Ａから距離ｄ１だけ離れて画定される。ストラップ１４をフレーム１８に固定するために、ウィング部分２６の遠位部３０が、ストラップ１４の開口１４Ｂに挿入される。次いで、開口１４Ｂの周界の外を向く部分がスペーサ部分３６に接するまで、この開口１４Ｂは、ウィング部分２６に沿ってスライドされる。このとき、ウィング部分２６の大部分は、ストラップ１４である平坦な管状部材の内部に位置決められる。次に、ウィング部分２６の残りの部分が、一般に開口１４Ｂとシールされる端部１４Ａとの間にある前記平坦な管状部材の部分に位置決められ、開口１４Ｂがスペーサ部３６を取り囲んで配されるように、開口１４Ｂは、前記ウィング部分２６の残りの部分の周りに伸ばされ、故に、ストラップ１４をフレーム１８に固定する。他方のストラップ１４も同様に、第２のウィング部分３２を用いて同じステップを繰り返すことによりフレーム１８に固定される。ストラップ１４は、本発明の範囲から逸脱することなく、如何なる適切なヘッドギアと共に使用され得ることも分かるべきである。

ここで図３、図５、図８及び図９を参照すると、中央部分２０は、導管６から受け取った呼吸ガス流を、中央部分２０を介して外側に面する側２４から患者に面する側２２に伝達するための、中央部分を通り画定される開口４０を含む。例示される実施例において、開口４０は、（導管セグメント１２の内径により概ね画定される）直径Ｄを持つ一般的にねじ部分４２（図３）を含む。ねじ部分４２は、外側に面する側２４から患者に面する側に向かって延在し、導管セグメント１２の端部と協働して係合するようにサイズ決定及び構成され、導管セグメントは、（例えば、接着剤又は他の如何なる適切な機構を介して）容易にネジ山部分４２に確実に結合される。しかしながら、開口４０は代わりに、本発明の範囲から逸脱することなく、直接結合される、又は適切な結合導管（例えば、エルボ又は直線コネクタ）を介して結合されるように構成されてもよいことも分かるべきである。

患者に面する側２２において、開口４０は、壁４４により画定され、この壁は、患者に面する側２２から外向き延び、ハブを形成する。好ましくは、開口４０は、導管セグメント１２から出る空気流をできるだけ拡散させるために、できるだけ大きく作られる。示される例示的な実施形態において、壁４４は、開口４０の中心線４６に沿って見るとき、わずかに台形形状のハブを形成する。このような台形形状は、中央部分２０に含まれる他の要素の中で、使用可能な領域内で開口の面積を最大にするので、このような実施形態において一般に利用される。従って、このような機構において、開口４０は、外側に面する側２４の円形断面から、患者に面する側２２の略台形断面に移行することが分かるべきである。所定の利用のために、開口の面積を最大にすることに加えて、前記台形形状は、患者が自分の鼻先で穴を塞ぐことも非常に困難にさせる。

フレーム１８をクッション１６に固定するために、フレーム１８は、開口４０の対向する側において、中央部分２０の患者に面する側２２の上又はその中に（例えばオーバーモールドにより）固定される複数の（示される実施形態では２つ含む）磁気要素５０をさらに含む。各々の磁気要素５０は、各々の磁気要素５０の外側に面する（すなわち、クッション１６に面する）面が一般に、中央部分２０において、（示されるように）患者に面する側２２から外向きに突出するか、又は中央部分２０の患者に面する側２２内に引っ込む（図示せず）ように位置決められる。各々の磁気要素５０の位置決め及び機能のより詳細な説明が以下に述べられる。例示される実施形態において、磁気要素５０の各々は、軸方向に磁化されたディスク状の磁石５０を有するが、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切な磁石及び／又は磁気材料が用いられてよいことを分かるべきである。

フレーム１８は、開口４０の周りに置かれる複数の（示される実施形態では２つ示される）より小さな開口６０をさらに含んでもよい。各々の開口６０のさらなる詳細及び機能は、以下にさらに述べられる。

ここで図２、図４及び図６を一般に参照すると、クッション１６は、患者の１つ以上のオリフィスの周りに密封係合するように構成され、好ましくは柔軟な材料（例えば、限定ではないが、シリコーン）から形成される患者接触側６２、及びこの患者接触側６２の反対側に置かれ、好ましくはより堅い材料（例えば、限定ではないが、より堅いシリコーン、プラスチック）から形成されるフレーム接触側６４を含む。示される例において、クッション１６は、鼻クレードルであり、従って、患者接触側６２は、患者の鼻孔の両方を収容するようにサイズ決定及び構成される単一の開口６６（図２）を含む。クッション１６は、その代わりとして、本発明の範囲から逸脱することなく、鼻枕の機構でもよいし、又は他の如何なる適切な患者インターフェース機構でよいことも分かるべきである。フレーム接触側６４は、その側に画定される開口６８を含む。開口６８は、壁４４により形成されるフレーム１８の中央部分２０のハブの周りと係合するようにサイズ決定及び構成され、並びにフレーム１８の中央部分２０の開口４０を通過する呼吸ガス流の流れが、一般に患者接触側６２とフレーム接触側６４との間にあり、クッション１６に画定される空洞７０に入る（このとき、開口６６を通り患者の鼻孔に至る）ことを提供するように構成される。

開口４０及び６８を通過する呼吸ガス流が漏れるのを防ぐために、開口６８は、フレーム１８の中央部分２０の開口４０の周りにおいて、この中央部分２０から延在する壁４４と密封係合するように対応して形成される、好ましくは可撓性材料（例えば、シリコーン）から形成されるシーリングリップ７２により囲まれる。図３に示されるように、示される例において、シーリングリップ７２は、壁４４と容易に位置合され、一貫して係合するように、空洞７０に向かって角度が付けられている。壁４４及び故にシーリングリップ７２の台形形状は、フレーム１８とクッション１６との間において、円形の機構よりも大きな密封領域を提供する。

クッション１６をフレーム１８に固定するために、クッション１６は、上述したフレーム１８の磁石５０と対応するように、開口６８の対向する側において、クッション１６のフレームに面する側６４の上又はその中に（例えば、オーバーモールド、圧入、スナップ嵌め、超音波溶接により）固定される複数の（示される実施形態では２つ含む）磁気要素５０をさらに含む。各々の磁気素子５０は、クッション１６が、フレーム１８に磁気的に結合されるだけでなく、クッション１６とフレーム１８との間における如何なる可能な回転も一般に防ぐような方法で、フレーム１８の対応する磁気素子５０と協調的に係合するように、各々の磁気素子５０の外側に面する（すなわち、フレーム１８に面する）面が一般に、（示されるように）フレームに面する側６４に引っ込むか又はフレームに面する側６４から突出する（図示せず）ように位置決められる。図３の例に示されるように、そのような突出部５０Ａ及び引っ込み部５０Ｂの位置合わせを促進するために、好ましくは、そのような素子の各々は、協調的に先細りする。クッション１６にある引っ込み部と協調的に係合する突出する磁石部分を備えるフレーム１８が示されたとしても、そのような協調する機能の一方又は両方が、本発明の範囲から逸脱することなく、反対にされてよいことが分かるべきである。

追加の回転防止機能として、クッション１６は、開口６８の周りに、フレームに面する側６４から延在する複数の（示される実施形態では２つ示される）突出要素８０をさらに含む。各々の突出要素８０は、フレーム１８の中央部分２０に画定されるより小さな開口６０の対応する開口に協調的に収容されるように位置決められる。上述した突出部と引っ込み部との機構と同様に、各々の突出要素８０は、対応するより小さな開口６０との位置合わせを促進し、一旦完全に係合すると、その中に密着嵌合(tight fit)を提供するように、好ましくは先細りしている。示される例において、各々の突出要素８０は、それを介して、空洞７０からのガスの流れがその中を通過することを可能にするように構成される呼気ポート８２を画定する。

磁気要素５０の配置は、円滑で信頼性のある磁気的なクッション取り付け機構を提供するために極めて重要である。図８及び図９は、最適な磁石配置のためのガイドラインを示す。より詳細には、図８は、軸方向の磁石５０の中心Ｃが一般に置かれるべき最適の配置区域Ｚを示す。この区域Ｚは、開口４０の中心線４６を中心とし、開口４０の直径Ｄの０.７５倍の高さ、及び開口４０の直径Ｄの２．５倍の幅を持つ。図９も同様に、３つ以上の磁石が用いられる場合の最適な配置区域Ｚを示す。このような例において、区域Ｚは、開口４０の中心線４６を中心とし、開口４０の直径Ｄの３倍の直径（すなわち、３×Ｄ）を持つ円により画定される。これらの区域外の配置は、時折起こる位置合わせ不良(misalignment)、キックスタンディング及びユーザによるより正確な配置の必要につながる。例えば、離し過ぎて置かれる磁石は、第２の対の磁石が互いの範囲内に入る前に、位置がずれ、貼り付いてしまう可能性がある。対の磁石間の一方の磁場が引き寄せているとき、他方の磁場は範囲外となる可能性がある。位置がずれたクッションは、ハブ（即ち、壁４４）上でキックスタンドとなる。

前記ハブに近接して置かれる磁石は、位置ずれ又はキックスタンドにはならない。一方の磁場が引き寄せ、位置合わせする時間まで、他方の磁場は、範囲内にあり、位置合わせ／引き寄せを開始する。図１０に示されるように、理想的には、磁石５０は、磁石５０の隣接面がハブ（すなわち、壁４４）と同じ平面Ｐ内にあるように置かれるべきであるが、このような配置は、所定の用途に対して常に実用的であるとは限らない。そのような配置が実用的でないそのような用途において、磁石５０の隣接面が作る平面Ｐからの最大角Θは２５°である。内側に傾き過ぎる（すなわち、２５°を超える）磁石は、互いにけんかする傾向があり、クッション１６は、磁石がクッション１６をフレーム１８に引き寄せる前に、フレーム１８により近づける必要がある。

図１０を引き続き参照すると、クッション１６がフレーム１８に逆さま（すなわち、適切な位置合わせから中心線４６の周りを１８０°逆さま）に磁気的に結合される、又は部分的に磁気的に結合されることを防ぐために、磁石５０は、フレーム１８の一方の磁石５０が、その極を第１の向きに（例えば、Ｎ極側の端部が中央部分２０の外側に面する側２４の方に向けて）配向され、フレーム１８の他方の磁石５０が、その極を第１の向きと反対の第２の向きに（例えば、Ｎ極側の端部が中央部分２０の外側に面する側２４から離れる方に向けて）配向されるように配されてもよい。クッション１６の対応する磁石５０も同様に配される場合、対ではない磁石５０は単に互いに反発し合うだけなので、１８０°の位置ずれは不可能であり、従って、望まない結合を防ぎ、企てられる位置ずれの目安となる。そのような１８０°の位置ずれを防ぐためのもう１つの解決策の一例が図１１に示される。そのような例において、一方の磁気的な対の磁石５０は、中心線４６から一般に第１の距離Ｓ１だけ離間しているのに対し、他方の磁気的に対の磁石５０は、第１の距離とは異なる第２の距離Ｓ２だけ離間している。

さらにもう１つの例として、４つの磁石５０からなる２つの対を使用する代わりに、各々が１つの磁石５０及び１つの鋼部材からなる２つの対が使用されてもよい。そのような例において、フレーム１８は、１つの磁石５０及び１つの鋼部材を含むのに対し、クッション１６も同様に、正しく位置合わされるとき、フレーム１８の磁石５０がクッション１６の鋼部材に磁気的に結合され、同様に、クッション１６の磁石５０がフレーム１８の鋼部材に磁気的に結合されるように配される夫々の１つを含む。そのような機構が位置合わせから１８０°回転される場合、磁石は互いに反発し合い、鋼部材は如何なる引力も持たない。

従って、上述した例から、本発明の実施形態は、患者インターフェース装置のクッションとフレームとの間に一貫した信頼できる接続を提供する磁気結合機能を利用する、患者インターフェース装置を提供することが分かるべきである。

請求項において、括弧の間に置かれる如何なる参照記号もその請求項を限定するとは解釈されない。「有する」又は「含む」という言葉は、請求項に挙げられる以外の素子又はステップの存在を排除するものではない。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムにより具現化されてもよい。要素が複数あると述べていなくても、その要素が複数あることを排除しない。幾つかの手段を列挙している如何なる装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの１つの同じアイテムによって具現化されてもよい。幾つかの要素が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用されることができないことを示していない。

本発明は、最も実用的で好ましい実施例であると現在考えられているものに基づいて、例示の目的に詳細に説明されていたとしても、そのような詳細は、単に例示が目的であること、並びに本発明は、開示される実施例に限定されるのではなく、それどころか添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内にある修正案及び同等の構成を含むことが意図されることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、何れかの実施例の１つ以上の特徴が他の何れかの実施例の１つ以上の特徴と組み合わされ得ることを検討していることが理解されるべきである。

Claims (15)

1. 患者の気道に呼吸ガス流を送達するのに使用するための患者インターフェース装置において、前記患者インターフェース装置は、
   一般に薄い部材として形成される中央部分を持つフレーム、及び
   クッション
   を有し、前記中央部分は、
   患者に面する側、
   反対側の外側に面する側、
   前記中央部分を通り画定される第１の開口であり、前記呼吸ガス流を供給する送達導管に結合されるように構成され、前記外側に面する側から前記患者に面する側に向かって延在する第１の部分、及び前記患者に面する側から外向きに延在する壁により画定され、ハブを形成する患者側部分を持つ、第１の開口、並びに
   各々が前記患者に面する側の上又はその中に固定される、第１の複数の磁気要素
   を有し、前記クッションは、
   患者の１つ以上のオリフィスの周りに密封係合するように構成される患者接触側、
   前記患者接触側の反対側に置かれるフレーム接触側であり、前記フレームの前記中央部分の前記ハブの周りに係合するようにサイズ決定及び構成され、並びに前記フレームの前記中央部分の前記第１の開口を通過する呼吸ガス流の流れが、一般に前記患者接触側と前記フレーム接触側との間にあり、前記クッション内に画定される空洞に入るように構成される、前記クッション内に画定される第２の開口を含む、フレーム接触側、並びに
   前記クッションが前記フレームに磁気的に結合されるように、各々が、前記フレームの前記第１の複数の磁石要素の各々の磁気要素に対応する位置において、前記クッションのフレーム接触側の上又はその中に固定される、第２の複数の磁気要素
   を有する、患者インターフェース装置。
2. 前記第１の複数の磁気要素は、前記第１の開口の第１の側に置かれる第１の磁気要素、及び前記第１の開口の第２の側に置かれる第２の磁気要素を有する、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
3. 前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、前記中央部分において、各々の磁気要素のクッションに面する面が一般に、前記中央部分の前記患者に面する側から外向きに突出するか、又は前記中央部分の前記患者に面する側に引っ込むように位置決められ、
   前記第２の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、前記フレームの前記第１の複数の磁気素子の対応する磁気要素と協調して係合するように、各々の磁気素子のフレームに面する面が一般に、前記クッションの前記フレームに面する側に引っ込むか、又は前記クッションの前記フレームに面する側から外向き突出するように位置決められる、
   請求項１に記載の患者インターフェース装置。
4. 前記第１の開口は、直径（Ｄ）を持ち、前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、中心（Ｃ）を持つ軸方向の磁石を有し、各々の磁石の中心は、区域（Ｚ）内に位置決められ、前記区域は、前記第１の開口の中心線を中心とし、前記直径の７５％の高さ、及び前記直径の２５０％の幅を持つ、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
5. 前記第１の開口は、直径（Ｄ）を持ち、前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、中心（Ｃ）を持つ軸方向の磁石を有し、各々の磁石の中心は、区域（Ｚ）内に位置決められ、前記区域は、前記第１の開口の中心線を中心とし、前記第１の開口の前記直径の２５０％の直径を持つ、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
6. 前記第１の開口は、直径（Ｄ）を持ち、前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、中心（Ｃ）を持つ軸方向の磁石を有し、各々の磁石の中心は、区域（Ｚ）内に位置決められ、前記区域は、前記第１の開口の中心線４６を中心とし、前記第１の開口の前記直径の３００％の直径を持つ、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
7. 前記ハブは、平面（Ｐ）内に位置し、前記第１の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、前記中央部分において、各々の磁気要素のクッションに面する面が、前記平面に対して最大２５°の角度（Θ）を形成するように位置決められ、前記第２の複数の磁気要素の各々の磁気要素は、各々の磁気素子のフレームに面する面が、前記平面に対して最大２５°のもう１つの角度を形成するように位置決められる、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
8. 前記ハブが平面（Ｐ）内に位置し、前記第１の複数の磁気素子の各々の磁気素子は、前記中央部分において、各々の磁気素子のクッションに面する面が、前記平面内にあるするように位置決められ、前記第２の複数の磁気素子の各々の磁気素子は、各々の磁気素子のフレームに面する面が、前記平面内にあるように位置決められる、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
9. 各々の磁気要素は、軸方向に磁化されたディスク状の磁石を有する、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
10. 前記クッションの前記第２の開口は、前記第１の開口の周りにおいて、前記フレームの前記中央部分から延在する前記壁と密封係合するように対応して形成されるシーリングリップにより囲まれる、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
11. 前記第２の開口の部分は、前記第１の開口の部分よりも大きい断面積を持つ、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
12. 前記第１の開口の部分は、導管セグメントの端部と協調して係合するようにサイズ決定及び構成される、一般にねじ部分を有する、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
13. 前記中央部分は、患者に面する側が概ね凹形状であるのに対し、外側に面する側は、概ね凸形状であるように湾曲している、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
14. 前記ハブは、前記第１の開口の中心線に沿って見るとき、台形形状である、請求項１に記載の患者インターフェース装置。
15. 前記フレームは、前記中央部分の第１の端部から僅かに先細りして第１の遠位端まで一般に延在する第１のウィング部分、及び前記中央部分の第２の端部から僅かに先細りして第２の遠位端まで一般に延在する第２のウィング部分をさらに含む、請求項１に記載の患者インターフェース装置。

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