JP2022509845A - コーティング組成物 - Google Patents

Abstract

爪をコーティングし、液晶を使用して審美的色変化効果をもたらす、コーティング組成物。組成物は、塗り広げ可能なジェルであり、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、硬化開始剤と、非密閉液晶と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング組成物、特に基材、特に爪及び人工爪並びに爪上の既存のコーティングをコーティングするための液晶ジェル組成物に関する。本発明は、特に、色変化効果をもたらす液晶組成物を含むジェル組成物に関する。

ケラチン性生体基材（例えば、爪、肌、唇等）及び人工爪（例えば、アクリルネイル、ネイルエクステンション）等の非生体基材をコーティングするための多種多様な装飾化粧品がパーソナルケア市場で入手可能であり、審美的及び／又は機能的効果をもたらす。かかる組成物は、典型的には溶剤系であり、又は製品の具体的な種類に応じて水性でもよく、典型的には毒性及びその他の安全性並びに試験に関する規格及びプロトコルに準拠しなければならない。
市販の配合済みのネイル製品は、典型的には液体又はジェルの形態であり、塗りやすさ、コーティングの均一さ、耐久性並びに耐欠損性及び耐洗浄性、鮮やかな色、適度な乾燥時間及び無毒性等の所望の特徴の組合せをもたらす。ネイルコーティングは、典型的には有機溶剤と、着色顔料と、被膜形成成分とを含み、付着すると、溶剤が蒸発して乾燥した耐久性コーティングを残し、更にレオロジー改質剤、光開始剤、可塑剤、着色添加剤（例えば、パール剤、マイカ等）、粘度調整剤、ＵＶ添加剤及びその他の成分を含み得る。
色変化効果をもたらす変色性成分を有するネイル組成物は公知である。変色性成分は、例えば温度、磁気、若しくは圧力の変化、又は光の入射によるエネルギーの適用等の外部条件の変化に応答して、第１状態と第２状態との間で変化し、これらの状態は、両方が着色若しくは白色でもよく、又は一方が着色若しくは白色で、他方が無色であってもよい。変色性成分のうち、温度の変化により変色するものは熱変色性、圧力によるものは感圧変色性、水によるものは水変色性、光によるものは光変色性として知られる。刺激に応答して、異なる状態間で色又は不透明度が変化する変色性成分は、本明細書で「着色剤」と呼ばれる。変色性組成物における色変化は、ロイコ染料及び液晶等の様々な種類の材料によってもたらされ得る。
熱変色性組成物は、充分な大きさの温度変化を受けたときに、色が可逆的に変化するか、又は異なる着色状態間で変化、若しくは着色状態と無色状態との間で変化する。典型的には、温度の変化は、色変化材料の色の変化を招く。温度が上昇又は低下すると、色変化材料は、典型的には、完全な着色状態を保持するための最高又は最低温度に達するまで、色を保持する。組成物は、その後、温度の上昇又は低下につれて、徐々に色が変化するか又は無色になり、最終的には完全に色が変化する。熱変色性組成物が冷えると、その温度より低いと色が変化、消失又は再出現する温度に達する。熱変色性材料は、標準的な色変化スキーム及び帯域幅（すなわち、第１の色から第２の色へ、及び逆に第２の色から第１の色への色変化が起こる温度の差）を有しており、例えばＬＣＲ Ｈａｌｌｃｒｅｓｔから市販されている。
市販のネイルコーティング製品は、典型的には有機溶剤系である。水性ネイルコーティング組成物は公知であるが、商品化が難しいことが判明している。
変色性化粧品では、色変化はロイコ染料によってもたらされ得るが、特定の溶剤は、かかる材料の色変化特性に影響する場合があり、慎重な配合が要求される。色変化効果及びそれが起こる条件、例えば特定の温度範囲は、ロイコ染料組成物を当業者に公知の方法で改質することで制御できる。

本発明者らは、液晶と、硬化時にジェルを形成する硬化性オリゴマー及び／又はモノマーとを有する組成物を提供することによって、色変化ネイル製品の液晶が損なわれることなく、強烈な色を有することを見出した。

第１の態様では、本発明は、液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、硬化開始剤と、を含む、コーティング組成物を提供する。
コーティング組成物は、天然爪及び人工爪への塗布に好適である。
好ましくは、コーティング組成物は、液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、硬化開始剤と、を含むジェルである。
液晶、特にカプセル化液晶は、典型的には有機溶剤中で安定ではない。コーティング組成物は、有機溶媒を実質的に含まなくてもよい。
コーティング組成物は、オリゴマーを含み、硬化するとジェルコートを提供してもよく、又はモノマーを含み、硬化するとジェルコート若しくは非ジェルコートを提供してもよい。
第２の態様では、本発明は、液晶を含む変色性成分と、硬化オリゴマー及び／又は硬化モノマーから誘導された連続ポリマー相と、開始剤と、を含む硬化コーティングであって、上記変色性成分は、上記連続相中に分散されている、硬化コーティングを提供する。
第３の態様では、本発明は、硬化コーティングを提供する方法であって、コーティング組成物をコーティングしようとする基材に塗布する工程であって、コーティング組成物は、液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、開始剤とを含む、工程と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーを、好ましくは塗布したコーティング組成物への照射によって硬化してポリマーを形成し、ポリマーを含む連続相と、連続相中に分散された変色性組成物を含む分散相とを提供する工程と、を含む、方法を提供する。

コーティングは、ケラチン性材料、特に爪の直接的又は間接的なコーティング、並びに人工的な、非ケラチン性の爪及びネイルエクステンション、例えばアクリルネイルのコーティングに特に好適である。コーティングは、既存のコーティング、例えばベースコート、ジェルコート、シェラックコート及び磨いたネイルに塗布されてもよく、コーティングされていない爪に塗布されてもよい。
「ジェル」という用語は、本明細書で用いられるとき、分散相（例えば、固体分散相）及び連続相（例えば、流動可能な液相）を有する固体状のコロイドを指す。液相は、固体のように挙動するのに充分に粘稠であってもよい。分散相は、好適には液晶を含み、連続相はオリゴマー及び／又はモノマーを含み、該オリゴマー及び／又はモノマーは、硬化して、分散された液晶の島又は領域を有するポリマーマトリックスを提供する。ジェルは、例えばゼラチンのような弾性又はゼリー様の外観の場合があり、又は例えばシリカゲルのように比較的固体で剛直な場合もある。
コーティングは、特定の状況又は雰囲気のための所望の審美的外観を提供するように調整すること、及び温度の帯域幅又は他の外部パラメータ内での単一又は複数の色変化にて、より速い又はより遅い色変化を提供するように適応させることができる。例えば、コーティングは、他の非色変化又は色変化型の同じ配合の着色ジェルと積層又は混合されてもよい。色変化は、可逆的でも不可逆的でもよい。
有利には、本発明の製品は、速い硬化速度、硬度、耐引掻き性、下にある爪又はアンダーコートへの接着性、ＵＶ安定性、可撓性、アセトン等の公知の溶剤での除去が容易、個別の要求に合わせた仕上げ（例えば、艶やか又はマット）、及び爪への損傷を避けるための極小収縮又は無収縮のうちの１つ以上を含む、所望の品質を提供する。

用語「変色性成分」は、１つ以上の連続する色変化を起こし得る材料を指す。色変化は、可逆的でも不可逆的でもよい。色変化は、刺激（例えば、は熱、光（光変色性）、圧力）の適用、存在又は変化への応答であってもよく、刺激の例であり、水との接触に応答する水変色性着色剤、特定の気体若しくは蒸気の存在に応答し、汚染物質又はその他の環境作用物質の存在の検出に使用できるベイポクロミック着色剤、極性の変化に応答するソルバトクロミック着色剤、イオン濃度の変化に応答するイオノクロミック着色剤、ｐＨの変化、例えば、ネイルの基材若しくは隣接する皮膚のｐＨの変化を検出できるハロクロミック着色剤であってもよい。
変色性成分は、いかなる刺激もなく、時間の経過（数秒か数日かにかかわらず）により色が変わり、これは例えば、成分が、特定の刺激あり又はなしで、より短い若しくは長い期間にわたって異なる色を呈する特定の状態にあるように、帯域幅を調節することによって行われる。

液晶は、非密閉であってもカプセル化されていてもよい。好ましくは、液晶は非密閉である。非密閉液晶は、好ましくは、ポリマー分散液晶を含む。ポリマー分散液晶は、連続ポリマー相中に分散された液晶を含む別個の相を有し、該相中で、液晶は、典型的にはミクロンスケール、例えば０．１～１００μｍの液滴として存在する。
液晶は、好適には、周囲条件又は適用された外部条件の変化（例えば、温度変化及び光）に従って、色変化効果をもたらす。好適な液晶としては、コレステリック液晶が挙げられ、これは典型的にはコレステロール又はその他のステロール誘導化合物（コレステリルカーボネートエステル等）をベースとするか、又はこれらを含む。他の好適な液晶としては、非ステロール系化合物、例えば安息香酸フェニルエステルが挙げられる。好適な液晶は、ＬＣＲ Ｈａｌｌｃｒｅｓｔ等の様々な供給源から入手できる。
好ましい実施形態では、液晶は、オリゴマー及び／又はモノマーと不混和性又は低混和性の液晶を含む。例えば、オリゴマー及び／又はモノマーが高極性であるか、又は極性置換基を有する場合、液晶は、好ましくはコレステリック液晶を含む。他の実施形態では、安息香酸フェニルエステル等の非コレステロール系液晶は、より強烈で明るい色をもたらし、より高い審美効果を付与するとともに、コレステリック液晶と比べて低濃度の液晶で所与の明度又は強度を達成することから、好ましい。
液晶は、非密閉液晶に加えて、又は非密閉液晶の代わりに、カプセル化液晶を含んでもよい。好適には、カプセル化液晶は、最小量の水と共に、好ましくは水なしで、組み込まれる。
カプセル体は、好適には、液晶に適合性のある公知のカプセル化材料を含む。一実施形態において、液晶変色性成分は、好適にはゼラチン及びアラビアガム混合物、例えば、アラビアガム及び／又はグルタルアルデヒド架橋ゼラチンを含む壁の中にカプセル化されている。公知の又は後に考案された他のカプセル化材料が使用されてもよい。他の種類のカプセルの例としては、シロキサンベースのカプセル、熱可塑性ポリマーベースのカプセル、及び熱硬化性ポリマーベースのカプセルが挙げられる。
好適な液晶としては、コレステリック液晶が挙げられ、これは典型的にはコレステロール又はその他のステロール誘導化合物（コレステリルカーボネートエステル等）をベースとするか、又はこれらを含む。他の好適な液晶としては、非ステロール系化合物、例えば安息香酸フェニルエステルが挙げられる。好適なカプセル化液晶は、ＬＣＲ Ｈａｌｌｃｒｅｓｔ等の様々な供給源から入手できる。安息香酸フェニルエステル等の非コレステロール系液晶は、高反射率を有する明るく強烈な色効果をもたらし、高級製品に好適である。コレステリック型液晶は、典型的には、非コレステリック液晶よりも強度が低い着色効果をもたらすが、コストが低く、より大規模な市場に適する可能性がある。非コレステリック液晶とコレステリック液晶との混合物を用いて、製品性能及びコストを最適化し得る。好ましい実施形態では、液晶は、好適には、非コレステリック液晶のみを含む。
着色剤がカプセル化される場合、カプセル化は、好適には公知のカプセル化材料、例えばゼラチンとアラビアガムとの混合物を含む。壁材料は、好ましくは、カプセル化液晶材料の質量を基準にして１～３０質量％、より好ましくは５～２５質量％、例えば８質量％又は２０質量％の壁材料を含む。
液晶は、コーティング組成物中で１～９９％の任意の所望の濃度であってもよい。低濃度では、液晶は、所望の濃度及び効果をもたらす濃度で用いられる。オリゴマー及び／又はモノマーが、目的とする表面に付着する連続相を提供する濃度で存在するという条件で、液晶は、高濃度で提供されてもよい。コーティングは、好適には、１０～９０質量％、好ましくは３０～８０質量％、より好ましくは３５～７５質量％、特に４０～７０質量％の濃度で存在する。
変色性成分は、所定の温度より高温又は所定の温度より低温で、単色をもたらすように選択されてもよい。
変色性成分は、特定の刺激への応答ではなく、ある時間が経過した後に色変化をもたらすように調節されてもよい。

開始剤は、使用するオリゴマー又はモノマー成分に対する公知の開始剤から選択できる。好ましくは、開始剤は、熱活性化開始剤及び光開始剤から選択される。好適な光開始剤の例としては、エチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエート、イソアミル４－（ジメチルアミノ）ベンゾエート、ＩＲＧＡＣＵＲＥ ２９５９及びエチル（２，４，６－トリメチルベンゾイル）フェニルホスフィネートが挙げられる。好適な熱開始剤の例としては、４，４’－アゾビス（４－シアノペンタン酸）が挙げられる。
コーティング組成物は着色剤も含んでもよい。着色剤は、組成物が使用される条件で単色を示す任意の材料を含み得る。単色は、色が変化しない着色剤、例えば、染料及び／又は顔料によってもたらされてもよく、又は色変化が可能であるが、組成物の通常の使用条件下では色変化を起こさない液体着色剤、例えば液晶又はロイコ染料（「スタティック」着色剤として知られる）によってもたらされてもよい。用語「スタティック」は、使用条件下で色が変わらないロイコ染料又は液晶を指す。従って、着色剤は、色変化の能力はあるが、使用条件下で通常は色変化を示さず、固定色を示す。
好ましくは、着色剤は、固体、好ましくは粉末形態のスタティック液晶、染料及び顔料から選択される。
好適には、着色剤は染料を含む。顔料は、光を散乱して「白化」効果又は霞み（ｈａｚｉｎｅｓｓ）をもたらし得る。染料及び／又は顔料は、意図する所望の効果に従って選択されてもよい。顔料は、よりシンギュラーな色変化をもたらしてもよい。
用語「シンギュラー」（ｓｉｎｇｕｌａｒ）は、「ツートン」カラーシステムを指し、スタティックな色、又は無色から着色へ、若しくは着色から無色へ、若しくは第１の色から第２の色への顕著な色変化、又は液晶で典型的に観察される従来の色のスペクトル（赤、緑、及び青）及びこれらの色の間での移行とは異なる２色間での色の変動のいずれかである。例えば、シンギュラーな液晶系は、赤を示さずに緑と青等の２色の間で変動し得る。用語「シンギュラー」は、特定の所定温度又は調節された温度より高温又は低温で観察される単一の色も指す。シンギュラー色液晶は、好適には、より厚いカプセル化壁、例えば５～１０μｍの壁を有する。
霞みは、顔料の使用によって、又は反射光が回折するように複数層の液晶若しくは複数層の連続相を適用することによって、視覚効果をもたらすように意図的に付与されてもよい。

コーティング組成物は、着色剤と色変化成分とが密に混合された単一組成物として着色剤と色変化成分とを含んでもよく、又はコーティング組成物の塗布前にアンダーコートとして爪に塗布されてもよい。
着色剤は、固定色であり、視覚外観又は液晶の特性強化を可能にするか又は増進する。着色剤は、任意の色、例えば、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫、茶、及び黒であってもよい。より暗い色は、より強力な着色効果を観察者に与えることから、好ましい。より明るい色は、真珠光沢又は乳白色の効果を付与し、場合によっては望ましくなり得る。
着色剤は、任意の所望の濃度でコーティング組成物に組み込むことができる。
着色剤は、黒又は青、例えばカーボンブラックであってもよい。好ましい実施形態では、着色剤は、カーボンブラック、酸化鉄、マイカ、黒鉛、合成メラニン及びポリドーパミン顔料を含む。好適な黒色染料又は顔料の例としては、ＭＩＮＩＳＯの商標名で入手可能な製品が挙げられる。

更なる態様では、本発明は、非密閉液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、開始剤と、黒色着色剤、例えば黒色染料又は黒色顔料と、を含むコーティング組成物を提供する。
有利には、黒色染料又は顔料を単一組成物に含むコーティング組成物、特にジェルコーティング組成物は、染料又は顔料を含む組成物と液晶を含む組成物とを別々に塗布するよりも使用が容易である。別々のコートを塗布する場合、第２の上層のコートを塗布する前に第１のコートを硬化又は乾燥する必要がある。染料又は顔料を含むコーティング組成物において、染料又は顔料の割合は液晶を上回り、それにより液晶の有効反射が低下し得る。この実施形態では、より高濃度の液晶を使用して、組成物中の黒色染料又は顔料の存在による明度の低下を緩和又は回避できる。

硬化性オリゴマーは、好適には、硬化時にポリマー被膜をもたらす。好ましくは、オリゴマーは極性であり、液晶と不混和性である。硬化すると、硬化性オリゴマーは、被膜を連続相として形成し、その連続相内に小さな分散した液晶領域がある。コーティングされた組成物は、魅力的な審美効果、特に優れた表面反射をもたらし、強烈な色、異なる色の間のコントラスト、及び応答性色変化並びに基材への付着を提供し、他の望ましい特徴が確保され得る。
硬化性オリゴマー及び／又はモノマーは、液晶と硬化性オリゴマー及び／又はモノマーとが不混和性であるように選択されてもよい。
別の実施形態において、オリゴマー及び／又はモノマーは、液晶と硬化性オリゴマー及び／又はモノマーとが混和性であるように選択されてもよい。オリゴマー及び／又はモノマーを硬化すると、液晶成分は、好適には溶液から分離し、ポリマーマトリックス中に小さな分散した液晶領域を形成する。オリゴマーは、液晶との混和性を増大するために、非極性であってもよく、又は非極性置換基を含んでもよい。好適には、モノマーはオリゴマーよりも小さいことから、液晶との溶解性が望ましい場合にはモノマーが好ましい。
有利には、液晶は連続相中に微細に分散され、ジェルの粘稠構造は液晶の再凝集を低減する。次いで、オリゴマー及び／又はモノマーを含む連続相の硬化により、分散した液晶領域を適所に固定し、それによって、卓越した色変化特性をもたらす。
好適には、硬化性オリゴマーはウレタンを含む。好ましくは、ウレタンオリゴマーは、脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンメタクリレート、ポリエーテルウレタンアクリレート、ポリエーテルウレタンメタクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート及びポリエステルウレタンメタクリレートから選択される。
本発明の組成物は、硬化性モノマーを含んでもよい。好適には、モノマーは極性であり、液晶と不混和性である。モノマーは、シェラックを含んでもよい。好ましくは、モノマーは、ヒドロキシル置換アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート、例えばヒドロキシエチルメタクリレートを含む。好適なモノマーの例としては、イソボルニルメタクリレート、２－ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
一実施形態において、モノマーは、二官能性又は多官能性であり、コーティングの硬度及び／又は耐摩耗性を改善し得る架橋の形成を促進する。好適な二官能性モノマーの例としては、ジ－ＨＥＭＡトリメエチルヘキシルジカルバメートが挙げられる。
別の実施形態において、モノマーはシェラックを含み、コーティング組成物はオリゴマーを実質的に含まず、ジェル形態ではない。
モノマーは、粘度調整剤として作用し、揺変（ずり減粘）特性を改善し、湿潤を促進することもできる。有利には、組成物は貯蔵時に増粘し、塗布時に容易に減粘することから、貯蔵安定性を促進し、塗布時の性能を改善する。一実施形態において、連続相はオリゴマーを含み、モノマーは、その粘度を所望のレベルまで低下させるためにオリゴマーに添加される。
硬化性オリゴマー及び／又はモノマーは、好適には、コーティング組成物中に９０～１０質量％、好ましくは８０～２５質量％、より好ましくは７０～３５質量％、特に６５～５０質量％の濃度で存在する。好ましくは、モノマーは、オリゴマーとの組合せで存在する。好ましくは、モノマーは、組成物の１～３０質量％、好ましくは５～２０質量％、特に５～１５質量％の濃度で存在する。特に好ましい例では、オリゴマーは３５～７０％の濃度で存在し、モノマーは５～１５％の濃度で存在する。
オリゴマー及び／又はモノマーは、非水性溶媒中に溶解又は分散されてもよく、又は溶剤を含まずに、単に開始剤及び非密閉液晶と一緒に混合されてもよい。
好適には、オリゴマー及び／又はモノマーは、ＵＶ源（例えば、広域スペクトルの低強度ランプ）、又はＬＥＤ源（例えば、狭帯域かつ高強度のＬＥＤランプ）を用いて硬化される。好適には、コーティングは、３０秒以内～５分、好ましくはＵＶ源でのコーティング１回当たり１～３分、ＬＥＤ源の場合は１分未満で硬化される。

本発明によるコーティング組成物は、爪に直接塗布されてもよく、又は爪に既に塗布されたアンダーコートの上に塗布されてもよい。アンダーコートは、好適には溶剤フリーのジェル組成物を含む。当該分野で市販されている任意の組成物、例えばＥｄｇｅ ｎａｉｌｓ製ＮＡＩＬＦＸベースコート、及びＬａｚｙ Ｎａｉｌｓ製ワンステップＵＶ ＬＥＤジェルネイルポリッシュを使用してもよい。
本発明によるコーティング組成物は、爪に塗布された後、オーバーコートでコーティングされてもよい。オーバーコートは、審美的若しくは機能的効果又はその両方を提供してもよく、例えば、コーティング組成物の保護コーティングを提供する。オーバーコートは、好適には、当該技術分野で公知の溶媒フリーのジェルコートを含んでもよく、当該分野で市販されている任意の組成物、例えばＰｒｏｇｅｌ製のＳＵＰＥＲＮＡＩＬを使用してもよい。

更なる態様では、本発明は、色変化効果、好ましくは強烈な色変化を、基材、好ましくはヒト又は動物の爪、蹄等にもたらすための、硬化性オリゴマー及び／又は硬化性モノマーから誘導された連続ポリマーマトリックスを含むコーティング中に液晶、好ましくはポリマー分散液晶を含む、変色性製品の使用を提供する。
コーティングは、従来のブラシを使用して基材に塗布されてもよい。追加的に、ジェルは、成形型内に塗布された後、爪上に配置されＵＶ照射又は熱に曝露されてもよく、ネイルはそれと同時に硬化する。
硬化コーティング組成物は、所望の効果に従って非玉虫色でも玉虫色でもよい。他の外観、例えば真珠光沢、マット、光沢及び蛍光が、特にＵＶスペクトルに近い入射光により、もたらされてもよい。玉虫色は、好適には、入射光を散乱して、複数の色又は多様な色の揺らめき効果をもたらし、好適な屈折特性を有するネイル製品によって発生する。有利には、ＰＤＬＣ液晶は、玉虫色の品質並びに色変化特性を提供することができる。
コーティングは、好ましくは、基材にコーティングされた後の製品に硬度及び耐摩耗性を付与するため、耐摩耗添加剤を含む。好適には、耐摩耗添加剤は、酸化ポリエチレンワックス又は任意の他の好適な耐摩耗添加剤から選択される。
コーティングは、色強度を促進するための蛍光増白剤を含んでもよい。任意の公知の蛍光増白剤、例えばスチルベンを使用してもよい。
任意選択で、コーティングは、分散性及び広がりを促進するためにレオロジー改質剤を含んでもよい。レオロジー改質剤は、無機物でも有機物でもよい。好適なレオロジー改質剤の例としては、天然増粘剤、合成増粘剤及び／又は分散剤若しくは界面活性剤が挙げられる。組成物の使用が意図される分野における使用に好適な任意の公知の増粘剤又は界面活性剤を用いることができる。好ましくは、レオロジー改質剤は、最大でも部分的に水に可溶であり、望ましくは非水溶性である。
有機増粘剤の例としては、アルカリ膨潤性エマルジョン（ＡＳＥ）、疎水変性アルカ
リ膨潤性エマルジョン（ＨＡＳＥ）、疎水性エトキシ化ウレタン樹脂（ＨＥＵＲ）が
挙げられる。無機レオロジー改質剤の例としては、粘土、ケイ酸塩、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、変性ベントナイト、及びその他の鉱物性レオロジー改質剤が挙げられる。
コーティング組成物は、ＵＶ添加剤を含んでもよい。ＵＶ添加剤は、油又は水に可溶であってもよいが、好ましくは水に不溶性である。好適なＵＶ添加剤としては、ベンゾフェノン－４及びフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸（Ｍｅｒｃｋから入手可能なＥＵＳＯＬＥＸ２３２）が挙げられる。コーティング組成物は、ＵＶ安定剤を含んでもよいが、これは光開始剤の作用を妨害し得る。より好ましくは、ＵＶ吸収剤／安定剤は、硬化後に液晶含有層の上に追加されるトップコートに含まれる。このトップコート層は、トップコート中のＵＶ吸収剤／安定剤による強い妨害を受けない近可視光を利用するために、強力なＬＥＤランプで硬化されてもよい。かかるトップコートに使用できる好適な光開始剤の例としては、Ｌａｍｂｓｏｎから供給されるＳＰＥＥＤＣＵＲＥ ＴＰＯ－Ｌが挙げられる。
ＵＶ吸収剤／安定剤は、化学的又は物理的／鉱物性吸収剤のいずれかであり、鉱物性吸収剤は液晶の着色硬化を隠蔽／低下すると考えられることから、より好ましくは化学的ＵＶ安定剤である。トップコートに含むことができる好適なＵＶ吸収剤の例としては、アボベンゾン、メトキシケイ皮酸オクチル等が挙げられる。

本発明はまた、本発明に従って爪にコーティングされて、変色性層と、該変色性層上にコーティングされた硬化オリゴマー及び／又はモノマーとＵＶ吸収剤とを含むトップコートと、を提供する硬化コーティング、好ましくは硬化ジェルコーティングも提供する。
コーティング組成物は可塑剤を含むこともでき、公知の市販されている可塑剤が好適である。
コーティング組成物は、特にヒト又は動物の身体への使用を意図する場合には、香料を含むこともできる。好適な香料の例としては、ペパーミント油、スイートオレンジ精油、メントール、リナロオール、パルファム、酪酸メチル、シトラル、ミルセン、リモネン及びユーカリプトールが挙げられる。

所望に応じて、コーティング組成物は、色変化着色剤に加えて、更なる着色剤を含んでもよい。
好適な染料の例としては、化粧品への使用に好適な任意の染料が挙げられ、以下のもの等を組合せて、又はそれ自体で、使用できる；Ｎ，Ｎ－ビス（２－ヒドロキシエチル）－２－ニトロ－ｐ－フェニレンジアミン、４－アミノ－３－ニトロフェノール、４－ヒドロキシプロピルアミノ－３－ニトロフェノール、ヒドロキシエチル－２－ニトロ－ｐ－トルイジン、ＨＣブルーＮｏ．１２、３－ニトロ－ｐ－ヒドロキシエチルアミノフェノール、２－アミノ－６－クロロ－４－ニトロフェノール、アシッドレッド３３、ＨＣイエローＮｏ．２、ＨＣオレンジＮＯ．１、ＨＣイエローＮＯ．１３、ベーシックイエロー５７、ＨＣレッドＮｏ．３、ベーシックレッド７６、ベーシックレッド５１、アシッドレッド９２、ベーシックイエロー８７、ベーシックオレンジ３１、ベーシックバイオレット２、ＨＣブルーＮｏ．１６、アシッドバイオレット４３、ベーシックブラウン１７及びＳｅｎｓｉｅｎｔ（登録商標）Ｃｏｓｍｅｔｉｃ ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓによって提供される染料；Ａｒｉａｎｏｒ Ｊａｄｅ Ｂｌｕｅ（ＨＣブルー１５）、ｐｈａｔ ｂｌａｃｋ ＤＣ ９２０６（ＣＩ６１５６５、ＣＩ６０７２５、ベーシックブラウン１６、アシッドバイオレット４３、ベーシックレッド７６、ＣＩ２６１００の混合物）、Ａｒｉａｎｏｒ ｆｌａｓｈ ｄｅｅｐ ｂｌａｃｋ（ベーシックブルー９９、ベーシックブラウン１６、アシッドバイオレット４３、ベーシックレッド７６、ベーシックイエロー５７、ベーシックブラウン１７、ポリクオタニウム３７、加水分解酵母タンパク質）。
好適な顔料の例としては、化粧品への使用に好適な任意の顔料が挙げられ、以下のもの等を組合せて、又はそれ自体で、使用できる；酸化鉄、酸化チタン、合成マイカ（合成フルオロフロゴパイト）、カーボンブラック、レーキ、天然マイカ、シリカ、Ｃｏｖａｌｕｍｉｎｅ ｆｉｒｅ ｒｅｄ ＡＳ（ＣＩ１５８５０、アルミナ、トリエトキシカプリリルシラン）、Ｎｏｉｒ Ｗ ６９９（ＣＩ２０４７０、硫酸ナトリウム）、Ｃｏｖａｌｕｍｉｎｅ ａｓｔｒａｌ ｂｌｕｅ（ＣＩ４２０９０、アルミナ、トリエトキシカプリリルシラン）、Ｕｎｉｐｕｒｅ ｗｈｉｔｅ ＬＣ９８６ ＦＳＰ（ＣＩ７７８９１、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ポリペルフルオロメチルイソプロピルエーテル）、Ｕｎｉｐｕｒｅ ｒｅｄ ＬＣ３０７１（ＣＩ１５８５０、水酸化アルミニウム）、Ｕｎｉｐｕｒｅ ｗｈｉｔｅ ＬＣ９８７ ＧＣＡ（ＣＩ７７８９１、ココイルグルタミン酸ナトリウム、シスチン、ラウロイルアルギニン）、Ｃｏｖａｒｉｎｅ ｗｈｉｔｅ ＷＮ９７８７（ＣＩ７７８９１、水、グリセリン、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム）、Ｃｏｖａｐａｔｅ Ｕｎｉｗｈｉｔｅ ＬＣ９７８１（Ｒｉｃｉｎｕｓ Ｃｏｍｍｕｎｉｓ（カストール）種子油、ＣＩ７７８９１、ポリヒドロキシステアリン酸）、Ｕｎｉｐｕｒｅ ｗｈｉｔｅ ＬＣ９８１ ＳＧＰ（ＣＩ７７８９１、グリセロリン酸ナトリウム）、Ｖｅｒｔ Ｃｏｖａｓｏｌ Ｗ７０３５（ＣＩ１９１４０、ＣＩ４２０９０）、Ｕｎｉｐｕｒｅ ｙｅｌｌｏｗ ＬＣ１８２ ＡＤＴ－Ｃ（ＣＩ７７４９２、イソプロピルチタントリイソステアレート、ビス－ＰＥＧ－１５ジメチコン／ＩＰＤＩコポリマー、ＰＥＧ－２ソイアミン）、ｕｎｉｐｕｒｅ ｂｌａｃｋ ＬＣ９８９ ＡＤＴ－Ｃ（ＣＩ７７４９９、イソプロピルチタントリイソステアレート、ビス－ＰＥＧ－１５ジメチコン／ＩＰＤＩコポリマー、ＰＥＧ－２ソイアミン）、ｕｎｉｐｕｒｅ ｂｌａｃｋ ＬＣ９８８ ＦＳＰ（ＣＩ７７４９９、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ポリペルフルオロメチルイソプロピルエーテル）。

本発明を、以下の非限定例によって例示する。特記のない限り、全ての百分率及び部数は本発明の組成物を基準にした質量によるものである。

実施例１
組成物は、以下の成分を下表に示した量（全組成物を基準とした質量による）で混合することによって調製した。

実施例２
組成物は、以下の成分を表示量（全組成物を基準とした質量による）で混合することによって調製した。

実施例３
以下の成分を有するＵＶトップコート配合物を調製した。

上記トップコート配合物を、実施例１及び２に記載の本発明によるジェルコーティングでコーティングした爪に塗布した結果、耐久性、耐摩耗性及びＵＶ保護が改善された。

実施例４
黒色のベースコートを爪に塗布した。次いで、実施例１によるジェル組成物を塗布した。硬化すると、ジェルコーティングは魅力的な変色効果と耐久性のある仕上げをもたらした。この手順を、実施例２によるジェル組成物で繰り返した。魅力的で耐久性のある仕上げが得られた。

Claims (24)

1. 液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、硬化開始剤と、を含む、コーティング組成物。
2. 前記オリゴマー及び／又はモノマーは、非水性溶媒中に溶解又は分散されている、請求項１に記載のコーティング組成物。
3. 前記液晶は、コレステリック液晶及び／又は安息香酸フェニルエステルを含む、請求項１又は２に記載のコーティング組成物。
4. 前記液晶は、前記組成物の３５～７５質量％の濃度で存在する、請求項１～３のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
5. 着色剤を含む、請求項１～４のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
6. 前記着色剤は、スタティック液晶、染料及び顔料から選択される、請求項５に記載のコーティング組成物。
7. 前記着色剤は、粉末又は非水性溶液を含む、請求項５又は６に記載のコーティング組成物。
8. 非密閉液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、開始剤と、前記組成物に粉末形態で添加された着色剤と、を含む、請求項１～７のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
9. 前記硬化性オリゴマー及び／又は硬化性モノマーは、極性であり、前記液晶と不混和性である、請求項１～８のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
10. ウレタンを含む硬化性オリゴマーを含む、請求項１～９のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
11. 脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンメタクリレート、ポリエーテルウレタンアクリレート、ポリエーテルウレタンメタクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート及びポリエステルウレタンメタクリレートのうちの１つ以上から選択される硬化性オリゴマーを含む、請求項１～１０のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
12. ヒドロキシル置換アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート、及びイソボルニルメタクリレートのうちの１つ以上から選択される硬化性モノマーを含む、請求項１～１１のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
13. 前記オリゴマー及び／又はモノマーは、３５～７０質量％の濃度でコーティング組成物中に存在する、請求項１～１２のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
14. 前記オリゴマー及びモノマーを含み、前記オリゴマーは、３５～７０％の濃度で存在し、前記モノマーは、５～１５％の濃度で存在する、請求項１～１３のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
15. 請求項１～１４のいずれか一項に記載のコーティング組成物と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーとＵＶ吸収剤とを含む非水性組成物と、を別々の組成物として含む、コーティング製品。
16. 前記ＵＶ吸収剤は水に不溶性である、請求項１５に記載のコーティング製品。
17. 爪のコーティングに適合された、請求項１～１６のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
18. 前記液晶は、非密閉液晶を含む、請求項１～１７のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
19. ジェルコーティング組成物である、請求項１～１８のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
20. 液晶を含む変色性成分と、硬化オリゴマー及び／又は硬化モノマーから誘導された連続ポリマー相と、開始剤と、を含む硬化コーティングであって、前記変色性成分は、前記連続相中に分散されている、硬化コーティング。
21. 爪にコーティングされて、変色性層と、前記変色性層上にコーティングされた硬化オリゴマー及び／又はモノマーとＵＶ吸収剤とを含むトップコートと、を提供する、請求項１９に記載の硬化コーティング。
22. 硬化コーティングを提供する方法であって、コーティング組成物をコーティングしようとする基材に塗布する工程であって、前記コーティング組成物は、液晶を含む変色性成分と、硬化性オリゴマー及び／又はモノマーと、開始剤とを含む、工程と、前記硬化性オリゴマー及び／又はモノマーを硬化してポリマーを形成し、前記ポリマーを含む連続相と、前記連続相中に分散された前記変色性組成物を含む分散相とを提供する工程と、を含む、方法。
23. 前記基材は、ケラチン性爪、人工爪、非ケラチン性爪、ネイルエクステンション、下層のケラチン性爪又は人工爪上の既存のコーティングから選択される、請求項２２に記載の方法。
24. 硬化性オリゴマー及び／又は硬化性モノマーから誘導された連続ポリマーマトリックスを含む液晶コーティングを含む変色性製品の、基材に色変化効果をもたらすための使用。