JP2022502414A - ハイドロフルオロエーテル及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

以下の一般式(I):[式中、Rf1及びRf2のそれぞれは、独立して、F、CF3、C2F5、C3F7、又はC4F9であるが、但し、Rf1及びRf2のいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、Rf3は、F、CF3、C2F5、C3F7、又はCF(CF3)2であり、Rf4は、F、CF3、C2F5、C3F7、又はCF(CF3)2であり、Rhは、CH3又はC2H5である]で表される化合物。

Description

本開示は、ハイドロフルオロエーテル、その使用、及びそれを製造する方法に関する。
様々なハイドロフルオロエーテル化合物は、例えば、米国特許第8,791,254号及び米国特許出願公開第2005/0127322号に記載されている。
いくつかの実施形態において、HFE化合物が提供される。HFE化合物は、以下の一般式(I)で表される:
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH又はCである]。
いくつかの実施形態において、熱伝達のための装置が提供される。この装置は、デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構とを含む。この機構は、一般式(I)で表される化合物を含む熱伝達流体を含む:
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、C、又はHである]。
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態を説明することを意図したものではない。本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明にも記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになろう。
作動流体として使用するための環境に優しくかつ低毒性の化学化合物に対する需要の増加を考慮すると、様々な異なる用途(例えば、熱伝達、溶媒洗浄、堆積コーティング溶媒)の性能要件(例えば、不燃性、溶解性、安定性、動作温度範囲)を満たし、所望の環境プロファイル(例えば、低毒性、低地球温暖化係数)を呈する一方で、コスト効率的に製造することができる新規作動流体が引き続き必要とされていることが認識される。
概して、本開示は作動流体として有用な新たな分類のフッ素化化合物を提供する。新規フッ素化化合物は、環状ハイドロフルオロエーテル(HFE)であり、これは類似のHFEの有益な物理的特性の多くを提供するが、驚くべきことに、著しく高い沸点及び著しく低い大気寿命並びに地球温暖化係数を呈する。
本明細書で使用する場合、「フルオロ(fluoro-)」(例えば、「フルオロアルキレン」若しくは「フルオロアルキル」若しくは「フルオロカーボン」の場合などの、基若しくは部分に関して)又は「フッ素化(fluorinated)」は、(i)部分的にフッ素化されており、したがって、炭素に結合した少なくとも1つの水素原子が存在するか、又は(ii)ペルフルオロ化されていることを意味する。
本明細書で使用する場合、「ペルフルオロ(perfluoro-)」(例えば、「ペルフルオロアルキレン」若しくは「ペルフルオロアルキル」若しくは「ペルフルオロカーボン」の場合などの、基若しくは部分に関して)又は「ペルフルオロ化(perfluorinated)」は、完全にフッ素化されており、したがって、別段の指示をされている場合を除き、フッ素で置き換えることが可能な、炭素に結合した水素原子が存在しないことを意味する。
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で利用される。
本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されていると理解されるものとする。これに応じて、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
いくつかの実施形態において、本開示は、以下の一般式(I)で表されるハイドロフルオロエーテル化合物を対象とする:
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり;Rhは、CH、C、又はHである。いくつかの実施形態において、Rf及びRfは、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである]。いくつかの実施形態において、Rfは、C又はCF(CFである。いくつかの実施形態において、Rhは、H又はCHである。
いくつかの実施形態において、一般式(I)で表されるハイドロフルオロエーテル化合物を再度参照すると、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり;Rhは、CH又はCである。いくつかの実施形態において、Rf及びRfは、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである。いくつかの実施形態において、Rfは、C又はCF(CFである。いくつかの実施形態において、Rhは、CHである。
いくつかの実施形態において、一般式(I)で表されるハイドロフルオロエーテル化合物を更に参照すると、Rfは、CF、C、又はCであり;Rfは、C、C、又はCであり;Rfは、CF(CF又はCであり;Rfは、Fであり;Rhは、Hである。いくつかの実施形態において、Rfは、CFであり、Rfは、C、C、又はCである。いくつかの実施形態において、Rfは、C又はCF(CFである。
いくつかの実施形態において、一般式(I)で表されるハイドロフルオロエーテル化合物を再度参照すると、Rf、Rf、Rf、及びRfの中からペルフルオロ化アルキル基(Rf)の1つ又は2つの対(例えば、RfとRf、又はRfとRf)は、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成してもよい。共に連結していないRf、Rf、Rf、及びRfのいずれかは、上述の定義のいずれかを有してもよい。
いくつかの実施形態において、一般式(I)で表されるハイドロフルオロエーテル化合物を更に参照すると、RfとRf及び/又はRfとRfは、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成してもよい。あるいは、RfとRf及び/又はRfとRfは、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成してもよい。共に連結していないRf、Rf、Rf、及びRfのいずれかは、上述の定義のいずれかを有してもよい。
上記の実施形態のいずれにおいても、Rf基(Rf〜Rf)のうちの1つ以下、Rf基(Rf〜Rf)のうちの2つ以下、又はRf基(Rf〜Rf)のうちの3つ以下は、F原子である。
本開示の目的のために、C2n+1型の実験式は、その置換基の任意の及び全ての異性体を指すことを理解されたい。
様々な実施形態において、一般式(I)の化合物の代表例には、以下が挙げられる。
Figure 2022502414
Figure 2022502414
Figure 2022502414
Figure 2022502414
いくつかの実施形態において、本開示の環状HFE化合物は、疎水性で、相対的に化学的に非反応性で、かつ熱的に安定であり得る。環状HFE化合物は、環境に及ぼす影響が低くなり得る。この点に関して、本開示の環状HFE化合物は、500未満、300未満、200未満、100未満、20未満、又は10未満の地球温暖化係数(GWP)を有し得る。本明細書で使用する場合、GWPは、化合物の構造に基づく化合物の地球温暖化係数の相対的尺度である。化合物のGWPは、1990年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって規定され、2007年に改訂されており、特定の積分期間(ITH)にわたる、1キログラムのCO放出による温暖化に対する、1キログラムの化合物放出による温暖化として計算される。
Figure 2022502414
この式中、aは大気中の化合物の単位質量増加当たりの放射強制力(その化合物のIR吸光度に起因する大気を通る放射束の変化)であり、Cは化合物の大気濃度であり、τは化合物の大気寿命であり、tは時間であり、iは対象化合物である。一般的に許容されるITHは、短期間の効果(20年間)と長期間の効果(500年間以上)との間の折衷点を表す100年間である。大気中の有機化合物iの濃度は、擬一次速度論(すなわち、指数関数的減衰)に従うと仮定される。同じ時間間隔のCOの濃度は、大気からのCOの交換及び除去に関する、より複雑なモデルを組み込む(Bern炭素循環モデル)。
いくつかの実施形態において、一般式(I)で表される環状HFE化合物は、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、2−ブロモ−1−ブタノール、2−クロロ−1−ブタノール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの反応物質を使用して、反応物質を、一般式(II)に記載されるようなペルフルオロ化オレフィンと反応させて、合成することができる:
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがFである場合、他方はフッ素ではなく;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり;Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFである]。
いくつかの実施形態において、一般式(II)中のRf基のうちの1つ以下、Rf基のうちの2つ以下、又はRf基のうちの3つ以下は、F原子である。
いくつかの実施形態において、一般式(II)中のペルフルオロアルキル基(Rf)の1つ又は2つの対は、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成してもよい。したがって、RfとRfとが、共に連結してもよく、及び/又はRfとRfとが、共に連結して、ペルフルオロ化環構造を形成してもよい。あるいは、RfとRfとが、共に連結してもよく、及び/又はRfとRfとが、共に連結して、ペルフルオロ化環構造を形成してもよい。
いくつかの実施形態において、一般式(I)の環状HFE化合物は、日本特許第2010047523号に記載されるように、一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンを、少なくとも化学量論的塩基の存在下で、上記に列挙したビシナルハロアルコールなどのビシナルハロアルコールと反応させることによって合成することができる。
あるいは、いくつかの実施形態において、一般式(I)で表される環状HFE化合物は、一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンを、触媒の存在下で環状有機カーボネートと反応させることによって合成することができる。好適な環状有機カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、又はブチレンカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、環状有機カーボネートは、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートである。好適な触媒としては、ハロゲン化物及び疑似ハロゲン化物アニオンを含む、求核性アニオンの様々な塩が挙げられる。ある特定の実施形態において、触媒は、塩化物、臭化物、又はヨウ化物塩などのハロゲン化物塩である。任意に、クラウンエーテル、第四級アンモニウム塩、及び他の非プロトン性オニウム塩などの追加の共触媒又は相間移動触媒を用いて、反応速度を更に増加させることができる。
なお更なる実施形態において、一般式(I)で表される環状HFE化合物は、一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンを、上記の触媒などの触媒の存在下で、有機エポキシドと反応させることによって合成することができる。好適な有機エポキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドが挙げられる。様々な実施形態において、有機エポキシドは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドである。
環状有機カーボネート又は有機エポキシド反応物質が用いられる本開示の触媒プロセスは、コスト、原子効率、並びに場合によっては安全性に関して有意な利点を提供する。この点に関して、環状有機カーボネートは、一般に、ほとんどのビシナルハロアルコールと比較して、低コストかつ比較的安全な(例えば、低毒性の)反応物質である。また、環状有機カーボネートとの反応から形成される唯一の廃棄副生成物は、COガスである。有機エポキシドに関しては、このような反応物質はまた、ほとんどのビシナルハロアルコールと比較して一般的に低コストの反応物質でもあり、廃棄副生成物は反応から形成されず、したがって、100%の原子効率を達成する。
いくつかの実施形態において、上記の合成は、非プロトン性有機溶媒中、又は溶媒の非存在下で実施することができる。好適な非プロトン性有機溶媒としては、例えば、ジグリム、テトラグリム、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、及びアジポニトリルが挙げられる。あるいは、過剰な環状有機カーボネート又は過剰な有機エポキシドは、溶媒並びに反応物として機能し得る。
いくつかの実施形態において、一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンは、触媒異性化反応により異性体ペルフルオロ化オレフィンからin situで触媒的に生成され、続いて環状有機カーボネート又は有機エポキシドと反応して、一般式(I)の環状HFEを合成することができる。初期ペルフルオロ化オレフィンの異性化は、一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンと、環状有機カーボネート又は有機エポキシドとの反応を触媒するために使用される同一の触媒を使用して実施されてもよく、又は異なる触媒が使用されてもよい。このように、一般式(I)の環状HFEを形成するために、一般式(II)のペルフルオロオレフィン異性体を形成するための初期のペルフルオロ化オレフィンの異性化、及び一般式(II)のペルフルオロ化オレフィンと環状有機カーボネート又は有機エポキシドとの反応の両方を、単一のポットで実施することができる。このようなワンポット合成の具体例は、スキーム(I)に示されており、ここではECはエチレンカーボネートであり、EOはエチレンオキシドである。
Figure 2022502414
いくつかの実施形態において、本開示は更に、上記の環状HFE化合物を主要成分として含む作動流体を対象とする。例えば、作動流体は、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の上述の環状HFE化合物を含んでもよい。作動流体は、環状HFE化合物に加えて、次の成分:アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、シロキサン、フッ素化ニトリル、ペルフルオロ化ニトリル、ペルフルオロスルホン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロケトン、又はこれらの混合物のうちの1つ以上を、作動流体の総重量に基づいて合計で最大75重量%、最大50重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、又は最大5重量%含んでもよい。このような追加成分は、組成物の特性を、特定の用途向けに改変又は強化するために選択できる。
いくつかの実施形態において、本開示は更に、デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構とを含む、熱伝達のための装置を対象とする。熱を伝達するための機構は、本開示の環状HFE化合物を含む熱伝達作動流体を含んでもよい。
提供される熱伝達のための装置はデバイスを含んでもよい。デバイスとは、冷却、加熱又は所定の温度若しくは温度範囲に維持されるコンポーネント、加工対象物、アセンブリ等であってもよい。このようなデバイスには、電気コンポーネント、機械コンポーネント及び光学コンポーネントが含まれる。本開示のデバイスの例としては、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用されるウエハ、電力制御半導体、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された及びパッケージ化されていない半導体デバイス、レーザー、化学反応器、燃料電池、熱交換器、並びに電気化学セルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、冷却器、加熱器、又はそれらの組み合わせを含み得る。
更に他の実施形態において、デバイスは、マイクロプロセッサを含めたプロセッサのような、電子デバイスを含み得る。これらの電子デバイスはより強力になるにつれて、単位時間当たりに発生する熱量が増加する。したがって、熱伝達の機構は、プロセッサの性能において重要な役割を果たす。熱伝達流体は、典型的には、良好な熱伝達性能、良好な電気的適合性(冷却板を採用するものなどの「間接接触」用途で使用する場合であっても)、並びに低い毒性、低い燃焼性(又は不燃性)、及び小さい環境影響を有する。電気適合性が良好であることは、熱伝達流体候補が、高絶縁耐力、高体積抵抗率及び極性物質に対する乏しい溶解性を呈することを示唆する。加えて、熱伝達流体は、良好な機械適合性を示す必要があり、すなわち、構造体の典型的物質に悪影響を与えないものとする。
提供される装置は、熱を伝達するための機構を備えてもよい。その機構は、熱伝達流体を含んでもよい。熱伝達流体は、1つ以上の本開示の環状HFE化合物を含んでもよい。デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱を伝達し得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。
熱伝達機構としては、これらに限定されるものではないが、ポンプ、弁、流体収納システム、圧力制御システム、凝縮器、熱交換器、熱源、ヒートシンク、冷却システム、能動型温度制御システム及び受動型温度制御システムを含む、熱伝達流体を管理するための設備を挙げることができる。好適な熱伝達機構の例としては、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)ツールの温度制御ウエハチャック、ダイ性能試験のための温度制御試験ヘッド、半導体プロセス装置内の温度制御作動領域、熱衝撃試験槽液体収容容器及び恒温槽が挙げられるが、これらに限定されない。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器等の一部の系では、所望の動作温度の上限は、170℃、200℃、又は更には230℃の高温であり得る。
デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱を伝達し得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。提供される装置として、冷蔵システム、冷却システム、試験装置及び機械加工装置も挙げることができる。いくつかの実施形態において、提供される装置は、恒温槽又は熱衝撃試験槽であり得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、ランキン(Rankine)サイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する装置を対象とする。この装置は、1つ以上の本開示の環状HFE化合物を含む作動流体を含んでもよい。装置は、作動流体を気化させて気化作動流体を形成するための熱源と、気化作動流体を通過させることにより熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンと、タービンを通過した後の気化作動流体を冷却するための凝縮器と、作動流体を再循環させるためのポンプとを更に含んでもよい。
いくつかの実施形態において、本開示は、ランキン(Rankine)サイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換するプロセスに関する。このプロセスは、熱源を使用して、1つ以上の本開示の環状HFE化合物を含む作動流体を気化し、気化した作動流体を形成することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、熱は、熱源からエバポレーター又はボイラー内の作動流体に伝達される。気化作動流体は、加圧されてもよく、膨張により作動するように使用することができる。熱源は、化石燃料、例えば、石油、石炭又は天然ガス由来のもの等、任意の形態であってもよい。更に、いくつかの実施形態において、熱源は、原子力、太陽エネルギー、又は燃料電池から得ることができる。他の実施形態において、熱は、他の場合であれば大気に失われていたと思われる他の熱伝達システムからの「廃熱」であり得る。いくつかの実施形態において、「廃熱」は、第2のランキン(Rankine)サイクルシステム(第2のランキン(Rankine)サイクルの凝縮器又は他の冷却デバイス)から回収される熱であることができる。
更なる「廃熱」源は、メタンガスが燃焼処理される埋立地で見出すことができる。メタンガスが環境に入って地球温暖化の一因になることを防止するために、埋立地によって発生するメタンガスを「フレア」によって燃焼させ、二酸化炭素と水を生成することができ、この二酸化炭素と水はいずれも、地球温暖化係数の点から環境有害性がメタンよりも低い。提供されるプロセスにおいて有用であり得る他の「廃熱」源は、地熱源、並びに排気ガス中で著しい熱を出すガスタービンエンジン等の他の種類のエンジンから水及び潤滑剤等の冷却液への熱である。
提供されるプロセスにおいて、気化作動流体は、デバイスを通って膨張することができ、デバイスは、加圧した作動流体を機械エネルギーに変換することができる。いくつかの実施形態において、気化作動流体は、タービンを通って膨張し、タービンは気化作動流体の膨張圧からシャフトを回転させることができる。このタービンは、その結果、いくつかの実施形態において、発電機を作動させ、それにより発電するといった、機械的仕事を行うために使用することができる。他の実施形態において、このタービンは、ベルト、ホイール、ギヤ、又は取り付けた若しくは連結したデバイスで使用するための機械的仕事若しくはエネルギーを移すことができる他のデバイスを駆動するために使用することができる。
気化作動流体が機械エネルギーに変換された後、気化した(その時点で膨張した)作動流体を、冷却源を使用して凝縮し、再使用のために液化することができる。凝縮器によって放出された熱は、同じ又は別のランキン(Rankine)サイクルシステムに再循環させる等、他の目的に使用して、エネルギーを節約することができる。最後に、凝縮された作動流体は、閉鎖系で再使用するため、ポンプによってボイラー又はエバポレーターに戻すことができる。
有機ランキン(Rankine)サイクル作動流体の所望の熱力学的特徴は、当業者には周知であり、例えば、米国特許公開第2010/0139274号(Zyhowskiら)に説明されている。熱源の温度と凝縮液体又は提供された凝縮後のヒートシンクの温度との差が大きいほど、ランキン(Rankine)サイクルの熱力学的効率は高い。熱力学的効率は、作動流体を熱源温度と調和させることにより、影響を受ける。作動流体の蒸発温度が熱源温度に近いほど、システムの効率は高い。トルエンは、例えば、79℃〜約260℃の温度範囲で使用できるが、トルエンは、毒性及び可燃性の点で懸念される。1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン等の流体を、代替としてこの温度範囲で使用することができる。しかし、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタンは、300℃未満では毒性化合物を生成する可能性があり、かつ気化温度を約93℃〜約121℃に限定する必要がある。したがって、より高い臨界温度を有し、その結果、ガスタービン及び内燃機関排気ガス等の熱源温度を作動流体に、より一致させることができる、環境に優しい他のランキン(Rankine)サイクル作動流体が望まれている。
いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の本開示の環状HFE化合物を含む溶媒組成物と、溶媒組成物に可溶性又は分散性である1つ以上のコーティング材料と、を含むコーティング組成物に関する。
様々な実施形態において、コーティング組成物のコーティング材料としては、顔料、潤滑剤、安定剤、接着剤、酸化防止剤、染料、ポリマー、医薬、離型剤、無機酸化物等、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。例えば、コーティング材料としては、ペルフルオロポリエーテル、炭化水素、及びシリコーン潤滑剤;テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。好適なコーティング材料の更なる例としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、ペルフルオロポリエーテル、ポリシロキサン、ステアリン酸、アクリル接着剤、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態において、上記コーティング組成物は、コーティング付着に有用となる可能性があり、この場合、環状HFE化合物がコーティング材料の担体として機能し、基材表面への材料の付着を可能にする。これに関連して、本開示は、更に、コーティング組成物を使用して基材表面にコーティングを付着させるプロセスに関する。このプロセスは、基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、(a)1つ以上の環状HFE化合物を含有する溶媒組成物と、(b)上記溶媒組成物に可溶性又は分散性である1つ以上のコーティング材料と、を含む液体コーティング組成物のコーティングを適用する工程を含む。溶媒組成物は、1つ以上の共分散剤若しくは共溶媒及び/又は1つ以上の添加剤(例えば、界面活性剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤等)を更に含んでもよい。好ましくは、プロセスは、例えば、蒸発させることによって(蒸発は、例えば、熱又は真空の適用によって促進することができる)、コーティングから溶媒組成物を除去する工程を更に含む。
様々な実施形態において、コーティング組成物を形成するために、コーティング組成物の構成成分(すなわち、用いられる環状HFE化合物、コーティング材料、及び任意の共分散剤又は共溶媒)を、コーティング材料を溶解、分散又は乳化するために用いられる任意の従来の混合技術によって、例えば、機械的撹拌、超音波撹拌、及び手動撹拌等によって組み合わせることができる。溶媒組成物及びコーティング材料は、所望のコーティング厚に応じて任意の比率で組み合わせることができる。例えば、コーティング材料は、コーティング組成物の約0.1〜約10重量パーセントを構成し得る。
例示的な実施形態において、本開示の付着プロセスは、任意の従来技術によりコーティング組成物を基材に適用することによって実行することができる。例えば、組成物を基材上にはけ塗りすること若しくは噴霧すること(例えば、エアゾールとして)ができ、又は基材にスピンコーティングすることができる。いくつかの実施形態において、基材は、組成物に浸漬することによりコーティングされてもよい。浸漬は、任意の好適な温度で行うことができ、任意の都合のよい長さの時間にわたって維持することができる。基材が、カテーテルなどの管であり、カテーテルの管腔壁に組成物を確実にコーティングすることが望まれる場合、減圧の適用により管腔内に組成物を引き込んでもよい。
様々な実施形態において、コーティングを基材に適用した後、溶媒組成物をコーティングから(例えば、蒸発によって)除去することができる。所望であれば、蒸発速度を、減圧又は穏やかな熱の適用により加速することができる。コーティングは、任意の都合のよい厚さであってよく、実際には、厚さは、コーティング材料の粘度、コーティングが適用される温度、及び引き上げ速度(浸漬が用いられる場合)などの要因によって決定されるものとなる。
有機基材及び無機基材の両方を本開示のプロセスによってコーティングすることができる。基材の代表例としては、金属、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、天然繊維(及び天然繊維に由来する布地)、例えば、綿、絹、毛皮、スエード、革、リネン及びウール、合成繊維(及び布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン又はこれらの混紡、天然繊維と合成繊維との混紡を含む布地、並びに上記材料の複合材が挙げられる。いくつかの実施形態において、コーティングされ得る基材としては、例えば、ペルフルオロポリエーテル潤滑剤を用いた磁気ハードディスク若しくは電気コネクタ、又はシリコーン潤滑剤を用いた医療機器が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の本開示の環状HFE化合物と、1つ以上の共溶媒とを含む、洗浄組成物に関する。いくつかの実施形態において、環状HFE化合物は、環状HFE化合物と共溶媒の総重量に基づいて、50重量%超、60重量%超、70重量%超又は80重量%超の量で存在してもよい。
様々な実施形態において、洗浄組成物は、界面活性剤を更に含んでもよい。好適な界面活性剤としては、フッ素化オレフィンに十分に可溶性である界面活性剤及び汚れを溶解、分散又は排除することによって汚れの除去を促進する界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の1つの有用な分類は、約14未満の親水性−親油性バランス(HLB)値を有する非イオン性界面活性剤である。例としては、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシ化フルオロアルコール及びフッ素化スルホンアミドが挙げられる。1種の界面活性剤が油性汚れの除去を促進するために洗浄組成物に添加され、別の界面活性剤が水溶性の汚れの除去を促進するために添加された、相補的特性を有する界面活性剤の混合物を使用してもよい。界面活性剤は、使用する場合、汚れ除去を促進するのに十分な量で添加することができる。典型的には、界面活性剤は、洗浄組成物の約0.1〜5.0重量%の量、好ましくは約0.2〜2.0重量%の量で添加される。
代表的な実施形態において、共溶媒としては、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、環状HFE、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロスルホン、ペルフルオロニトリル、又はこれらの混合物を挙げることができる。洗浄組成物に使用できる共溶媒の代表例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、シクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−デカン、テルペン(例えば、a−ピネン、カンフェン、及びリモネン)、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、メチルシクロペンタン、デカリン、デカン酸メチル、酢酸t−ブチル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、p−クロロベンゾトリフルオライド、トリフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ−N−メチルモルホリン、ペルフルオロ−2−ブチルオキサシクロペンタン、塩化メチレン、クロロシクロヘキサン、1−クロロブタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、2,3−ジヒドロペルフルオロペンタン、1,1,1,2,2,4−ヘキサフルオロブタン、1−トリフルオロメチル−1,2,2−トリフルオロシクロブタン、3−メチル−1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、1−ヒドロペンタデカフルオロヘプタン、又はこれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本開示は、基材を洗浄するプロセスに関する。洗浄プロセスは、汚染された基材を上述のような洗浄組成物と接触させることによって実施できる。環状HFE化合物は、単独で用いることも、互いとの混合物若しくは他の一般に使用されている洗浄溶媒(例えば、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、パーフルオロカーボン、パーフルオロ化第三級アミン、パーフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、環状HFE、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロスルホン、ペルフルオロニトリル、又はこれらの混合物)との混合物で用いることもできる。このような共溶媒は、特定の用途のために洗浄組成物の溶解特性を改変又は強化するように選択でき、得られる組成物が引火点を持たない比率(環状HFE化合物に対する共溶媒の比率)で用いることができる。特定の用途に望ましい場合、洗浄組成物は、1つ以上の溶解又は分散された気体、液体又は固体添加剤(例えば、二酸化炭素ガス、界面活性剤、安定剤、酸化防止剤又は活性炭)を更に含有することができる。
いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の本開示の環状HFE化合物と、任意に1つ以上の界面活性剤とを含む、洗浄組成物に関する。好適な界面活性剤としては、環状HFE化合物に十分に可溶性である界面活性剤及び汚れを溶解、分散又は排除することによって汚れの除去を促進する界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の1つの有用な分類は、約14未満の親水性−親油性バランス(HLB)値を有する非イオン性界面活性剤である。例としては、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシル化フルオロアルコール及びフッ素化スルホンアミドが挙げられる。一界面活性剤が油性汚れの除去を促進するために洗浄組成物に添加され、別の界面活性剤が水溶性の汚れの除去を促進するために添加された、相補的特性を有する界面活性剤の混合物を使用してもよい。界面活性剤は、使用する場合、汚れ除去を促進するのに十分な量で添加することができる。典型的には、界面活性剤は、洗浄組成物の0.1〜5.0重量%又は0.2〜2.0重量%の量で添加されてもよい。
本開示の洗浄プロセスを用いて、基材の表面から大部分の汚染物質を溶解又は除去することもできる。例えば、軽質炭化水素汚染物質などの物質;鉱油及びグリースなどの高分子量炭化水素汚染物質;ペルフルオロポリエーテル、ブロモトリフルオロエチレンオリゴマー(ジャイロスコープ流体)、及びクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(油圧油、潤滑剤)などのフルオロカーボン汚染物質;シリコーン油及びグリース;はんだフラックス;微粒子;水;並びに、精密、電子、金属、及び医療機器の洗浄で遭遇するその他の汚染物質を除去することができる。
洗浄組成物は、気体状態又は液体状態のいずれか(又は両方)で使用することができ、基材と「接触させる」ための既知技法又は将来の技法のいずれかを用いることができる。例えば、液体洗浄組成物を基材上に噴霧若しくははけ塗りすることができ、気体洗浄組成物を基材に吹き付けることができ、又は基材を気体若しくは液体組成物のいずれかにさらすことができる。高温、超音波エネルギー及び/又は撹拌を使用して、洗浄を促進することができる。様々な異なる溶媒洗浄技術が、B.N.EllisによってCleaning and Contamination of Electronics Components and Assemblies,Electrochemical Publications Limited,Ayr,Scotland,182〜94(1986)に記載されている。
有機基材及び無機基材の両方を本開示のプロセスによって洗浄することができる。基材の代表例としては、金属、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、天然繊維(及び天然繊維に由来する布地)、例えば、綿、絹、毛皮、スエード、革、リネン及びウール、合成繊維(及び布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン又はこれらの混紡、天然繊維と合成繊維との混紡を含む布地、並びに上記材料の複合材が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記プロセスは、電子部品(例えば回路基板)、光媒体若しくは磁気媒体又は医療機器の精密洗浄に使用され得る。
数十年間、PFC流体は、専門分野において、通常は価値の高い電子機器の冷却用途において使用されており、冷却する電子機器と直接接触して配置されることが多かった。例としては、軍用電子機器及びスーパーコンピュータ用途が挙げられる。PFC流体は、非常に不活性であり、優れた誘電体であるため、好まれていた。より最近では、HFC、HFE、及びPFKが、これらの用途のために検討されている。
サーバ及びデスクトップコンピュータ等のより主流の電子機器は、歴史的に使用されている空冷を有するが、近年、より高い計算能力への要求により、チップパワーのレベルが、改善された効率により液体冷却が高性能機械に出現し始めたレベルまで引き上げられた。水性作動流体は、間接接触液相システムにおける性能の観点から好ましいが、漏れが発生した場合、短絡が起きる傾向のため、信頼性の懸念を生じる。誘電性液体は、漏れの場合に火災が起こり得るため、同様の理由で不燃性であるべきである。誘電性液体の環境特性はまた、コンピュータ製造業者及びその顧客の環境要件と一致しなければならない。PFC液体(ペルフルオロ化炭化水素、ペルフルオロ化アミン、及びペルフルオロ化エーテル及びポリエーテル液体を含む)及びHFC液体は、高いGWPのため、この用途について理想的な候補ではなく、したがって、改善された環境プロファイルを提供することができる一方で、電子機器の直接接触浸漬冷却のための全ての他の要件も満足することができる材料の開発が、引き続き必要とされている。
本開示のHFEは一般に、この用途についての性能及び環境の要件を満たす。これらの安全性、不燃性、高い誘電強度、低い体積抵抗率、材料適合性、及び優れた熱伝達特性は、優れた信頼性によって、直接接触冷却及び価値の高い電子機器への使用に好適である。加えて、短い大気寿命は、GWPの著しい低減及び温室効果ガスとしての影響の最小化につながる。
例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、FET)及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)のような最新のパワー半導体は、非常に高い熱流束を発生させる。これらのデバイスは、ハイブリッド電気自動車の電力変換モジュールに使用される。これらのデバイスは、極端な熱及び低温の条件下で機能しなければならず、このことが直接接触冷却技術の採用に拍車をかけている。これらの用途において使用される液体もまた、電気絶縁性であり、不燃性であり、接触する電子機器構成要素に適合性があり、ハイブリッド技術の環境目標と一致するレベルの環境持続性を提供しなければならない。本開示のHFEは一般に、これらの要件を満たす。
本開示の環状HFEは、単独で又は組み合わせて、熱管理を提供し、極端な動作条件下で最適な構成要素性能を維持するために、直接接触によって様々な電子機器構成要素から熱を伝達するための流体として採用され得る。例示的な材料は、約100℃〜約150℃(いくつかの実施形態においては、約120℃〜約150℃、約160℃〜約190℃、又は更には約195℃〜約250℃)の沸点を有する環状HFEである。
直接接触流体浸漬技術は、電子機器構成要素の熱管理に有用であることが周知である。ハイドロフルオロエーテル及びペルフルオロケトンは、不燃性、低毒性、小さな環境フットプリント(ゼロODP、低GWP)、高誘電強度、低誘電率、高体積抵抗率、安定性、及び良好な熱特性などの厳格な性能要件を採用する流体に設けている、直接接触流体浸漬熱伝達用途において長年使用されている、環境を持続可能な化学物質の2つの例である。これらの流体は、半導体製造、並びに電子機器の冷却(例えば、パワーエレクトロニクス、変圧器、コンピュータ/サーバ、バッテリー及びバッテリーパック)を含めた、多くの熱管理用途における使用を見出している。驚くべきことに、本開示の環状HFEは、一般に、非環状の分離型HFEと比較して、予想を上回る沸点、並びに予想を下回るGWPを提供することが発見された。本開示の環状HFEはまた、ペルフルオロケトン及び非環状の分離型HFEと比較して、改善された加水分解安定性を提供する。したがって、本開示の環状HFEは、直接接触浸漬冷却用途において使用するための非常に魅力的な流体候補となる、独特な特性のバランスを提供することが、最近見出されている。
いくつかの実施形態において、本開示は、電子機器用の単相浸漬冷却流体としてのHFEの使用を記載する。単相浸漬冷却は、コンピュータサーバの冷却において長い歴史がある。単相浸漬において相転移はない。その代わりに、液体は、それぞれコンピュータハードウェア及び熱交換器に流れるか、圧送される際に温められ、冷却され、それによってサーバから熱を伝達させる。サーバの単相浸漬冷却に使用する流体は、蒸発損失を制限するために約75℃を超える沸点をまた有しながら、上に概説したものと同じ要件を満たさなければならない。本開示のHFEは一般に、これらの要件を満たす。
いくつかの実施形態において、本開示は、単相浸漬冷却によって動作する浸漬冷却システムを対象とすることができる。一般的に、単相浸漬冷却システムは、作動流体の液相に少なくとも部分的に浸漬される(及び完全に浸漬されるまで)ように、ハウジングの内部空間内に配置された熱発生構成要素を含むことができる。単相システムは、ポンプ及び熱交換器を更に含むことができ、ポンプは、作動流体を熱発生構成要素及び熱交換器に、そして熱発生構成要素から移送させるように稼働し、熱交換器は作動流体を冷却するように稼働する。熱交換器は、ハウジング内又はハウジングの外部に配置されてもよい。
いくつかの実施形態において、本開示は、バッテリーパック(例えば、リチウムイオンバッテリーパック)の熱管理システムを目的とする。リチウムイオンバッテリーパックのための熱管理システムは、リチウムイオンバッテリーパックと、リチウムイオンバッテリーパックと熱的に連通する上述のHFE又は作動流体のいずれかと、を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、
電子部品を冷却するための方法を対象とすることができる。一般的に、本方法は、
上述のHFE又は作動流体を含む液体中に、熱発生電子部品(例えば、コンピュータサーバ)を少なくとも部分的に浸漬することを含むことができる。本方法は、上述のHFE又は作動流体を使用して、熱発生電子部品から熱を伝達することを更に含むことができる。
実施形態の一覧
1.以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、又はCである]
で表される化合物。
2.Rf及びRfが、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである、実施形態1に記載の化合物。
3.Rfが、C又はCF(CFである、実施形態1〜2のいずれか1つに記載の化合物。
4.Rhが、CHである、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
5.以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rfは、CF、C、又はCであり、
Rfは、C、C、又はCであり、
Rfは、CF(CF、又はCであり、
Rfは、Fであり、
Rhは、Hである]
で表される化合物。
6.Rfが、CFであり、Rfが、C、C、又はCである、実施形態5に記載の化合物。
7.以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rf、Rf、Rf、及びRfの中からのRf基の1つ又は2つの対は、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成してもよく、
Rhは、CH、C、又はHであり、
共に連結していないRf、Rf、Rf、及びRfのいずれかが、以下の通りである:
Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFである]
で表される化合物。
8.実施形態1〜7のいずれか1つに記載の化合物を含む作動流体であって、この化合物が、作動流体中に、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、作動流体。
9.熱伝達のための装置であって、
デバイスと、
以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、C、又はHである]
で表される化合物を含む作動流体を含む、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構と、
を備える、装置。
10.Rf及びRfが、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである、実施形態9に記載の熱伝達のための装置。
11.Rfが、C又はCF(CFである、実施形態9〜10のいずれか1つに記載の熱伝達のための装置。
12.Rhが、H又はCHである、実施形態9〜11のいずれか1つに記載の熱伝達のための装置。
13.化合物が、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の化合物を含む、実施形態9に記載の熱伝達のための装置。
14.デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、バッテリーパック、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、実施形態9〜13のいずれか1つに記載の熱伝達のための装置。
15.熱を伝達するための機構が、電子デバイスの温度又は温度範囲を維持するためのシステム内の構成要素である、実施形態9〜14のいずれか1つに記載の熱伝達のための装置。
16.熱を伝達する方法であって、
デバイスを提供することと、
以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、C、又はHである]
で表される化合物を含む熱伝達流体を使用して、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達することと、
を含む、方法。
17.以下の一般式(I):
Figure 2022502414
式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、C、又はHである]
を有する化合物を製造するためのプロセスであって、
プロセスが、以下の一般構造(II):
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがFである場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFである]を有するペルフルオロ化オレフィンを、
触媒の存在下で、環状有機カーボネート又は有機エポキシドと反応させる工程を含む、プロセス。
18.環状有機カーボネートが、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートを含む、実施形態17に記載のプロセス。
19.有機エポキシドが、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを含む、実施形態17に記載のプロセス。
20.触媒が、ハロゲン化物塩である、実施形態17〜19のいずれか1つに記載のプロセス。
21.一般構造(II)のペルフルオロ化オレフィンが、触媒異性化を介して、異性体ペルフルオロ化オレフィンからin situで生成される、実施形態17〜20のいずれか1つに記載のプロセス。
22.以下の一般式(I):
Figure 2022502414
[式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
Rhは、CH、C、又はHである]
で表される化合物。
23.ランキン(Rankine)サイクルにおいて熱エネルギーを機械エネルギーに変換するための装置であって、
作動流体と、
作動流体を気化させて、気化した作動流体を形成するための熱源と、
気化した作動流体を通過させることにより熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンと、
タービンを通過した後の気化した作動流体を冷却するための凝縮器と、
作動流体を再循環させるためのポンプと、を備え、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、装置。
24.ランキン(Rankine)サイクルにおいて熱エネルギーを機械エネルギーに変換するためのプロセスであって、
作動流体を熱源によって気化させて、気化した作動流体を形成することと、
気化した作動流体を、タービンに通して膨張させることと、
気化した作動流体を、冷却源を使用して冷却して、凝縮した作動流体を形成することと、
凝縮した作動流体をポンプ輸送することと、を含み、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、プロセス。
25.廃熱を回収するためのプロセスであって、
液体の作動流体を、廃熱を生成するプロセスと連通している熱交換器に通過させて、気化した作動流体を生成することと、
気化した作動流体を熱交換器から取り出すことと、
気化した作動流体を、廃熱が機械エネルギーに変換される膨張器に通過させることと、
気化した作動流体が膨張器を通過した後に、気化した作動流体を冷却することと、を含み、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、プロセス。
26.コーティング組成物であって、
実施形態1〜8、及び23のいずれか1つに記載の化合物又は作動流体を含む溶媒組成物と、
上記溶媒組成物に可溶性又は分散性であるコーティング材料と、
を含む、コーティング組成物。
27.コーティング材料が、顔料、潤滑剤、安定剤、接着剤、酸化防止剤、染料、ポリマー、医薬、離型剤、無機酸化物を含む、実施形態26に記載のコーティング組成物。
28.コーティング材料が、ペルフルオロポリエーテル、炭化水素、シリコーン潤滑剤、テトラフルオロエチレンのコポリマー又はポリテトラフルオロエチレンを含む、実施形態26に記載の組成物。
29.洗浄組成物であって、
実施形態1〜8及び23のいずれか1つに記載の化合物又は作動流体と、
共溶媒と、
を含む、洗浄組成物。
30.化合物又は作動流体が、化合物及び共溶媒の総重量に基づいて、組成物の50重量%を超える、実施形態29に記載の洗浄組成物。
31.共溶媒が、アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、ハロ芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、環状HFE、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロニトリル、ペルフルオロスルホン、又はこれらの混合物を含む、実施形態29〜30のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
32.洗浄組成物であって、
実施形態1〜8及び23のいずれか1つに記載の化合物又は作動流体と、
界面活性剤と、を含む、洗浄組成物。
33.洗浄組成物が、0.1〜5重量%の界面活性剤を含む、実施形態33に記載の洗浄組成物。
34.界面活性剤が、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシ化フルオロアルコール、フッ素化スルホンアミド又はこれらの混合物を含む、非イオン性界面活性剤を含む、実施形態32〜33のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
35.基材から汚染物を除去するためのプロセスであって、
基材を、
実施形態1〜8及び23のいずれか1つに記載の化合物又は作動流体と、
共溶媒と、
を含む組成物に接触させることを含む、
プロセス。
35.浸漬冷却システムであって、
内部空間を有するハウジングと、
内部空間内に配置された熱発生構成要素と、
熱発生構成要素と接触するように内部空間内に配置された作動流体液と、を含み、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、
浸漬冷却システム。
36.化合物が、作動流体中に、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、実施形態35に記載の浸漬冷却システム。
37.熱発生構成要素が、電子デバイスを含む、実施形態35〜36のいずれか1つに記載の浸漬冷却システム。
38.電子デバイスが、コンピュータサーバを含む、実施形態35〜37のいずれか1つに記載の浸漬冷却システム。
39.コンピュータサーバが、3GHz未満の周波数で稼働する、実施形態38に記載の浸漬冷却システム。
40.加熱された液体の作動流体が熱交換器と接触するようにシステム内に配置された熱交換器を更に含む、実施形態35〜39のいずれか1つに記載の浸漬冷却システム。
41.浸漬冷却システムが、単相浸漬冷却システムを含む、実施形態35〜40のいずれか1つに記載の浸漬冷却システム。
42.浸漬冷却システムが、作動流体を、熱交換器へ及び熱交換器から移送するように構成されているポンプを更に含む、実施形態35〜41のいずれか1つに記載の浸漬冷却システム。
43.熱管理システムであって、
バッテリーパックと、
バッテリーパックと熱的に連通するように、熱管理システム内に配置された作動流体と、を含み、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、
熱管理システム。
44.熱発生構成要素を冷却するための方法であって、
作動流体中に、熱発生構成要素を少なくとも部分的に浸漬することと、
作動流体を使用して、熱発生構成要素から熱を伝達することと、を含み、
作動流体が、実施形態1〜7、23のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態8に記載の作動流体を含む、方法。
本開示の操作を、以下の詳細な実施例に関連して更に説明する。これらの実施例は、様々な実施形態及び技術を更に例示するために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
本開示の目的及び利点を、以下の比較例及び実施例によって更に説明する。別途断りのない限り、実施例及び明細書のその他の部分における、全ての部、百分率、比などは重量によるものであり、実施例で使用した全ての試薬は、一般的な化学物質供給元、例えば、Sigma−Aldrich Corp.(Saint Louis,MO,US)などから入手したもの、若しくは入手可能なものであるか、又は通常の方法によって合成することができる。
以下の略語をこの項で使用する:mL=ミリリットル、h=時間、yr=年、g=グラム、mol=モル、mmol=ミリモル、℃=摂氏度、amu=原子質量単位、ポンド/平方インチ=psi、ポンド/平方インチゲージ=psig、ppmv=体積あたりの百万分率である。
サンプル調製手順
Figure 2022502414
実施例1:2−フルオロ−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン
実施例1の合成手順A:磁気撹拌器、熱電対、冷水凝縮器、乾燥Nバブラー、及び加熱マントルを装備した2Lの三つ口丸底フラスコ内で、アセトニトリル(802g、19535.9mmol)、トリメチルアミン(155.24g、1534.1mmol)及び2−ブロモエタノール(176.35g、1397.1mmol)を合わせた。1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(417.08g、1390.1mmol)を添加漏斗を介してゆっくり添加して、発熱を最小限にした。1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンの約2/3を添加したとき、反応混合物中に白色塩が形成された。添加が完了したら、混合物を40℃の温度で一晩撹拌した。反応物質を濾過して塩の大部分を除去した後、DI水で4回洗浄し、合計375gの生成物を回収し、これをモレキュラーシーブ上で乾燥させ、次いで濾過した。生成物を、GC−FIDにより分析したところ、生成物への少なくとも74%の反応変換率が示された。生成物を分別蒸留した(b.p.=150.1℃)。表1に示すように、生成物構造を、GC−MS及びH、19F NMRによって確認した。
実施例1の合成手順B:300mLのHastelloy Parr反応器に、12.2g(0.0375mol)のテトラブチルアンモニウムブロミド触媒、90.4g(1.027mol)のエチレンカーボネート、及び70.8g(0.236mol)の1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンを投入した。反応器を直ちに密封し、3時間にわたって撹拌しながら100℃に加熱し、その間、圧力は最終圧力208psiまで上昇した(CO発生による)。次いで、反応器を室温まで一晩冷却し、残留圧力を逃がした。大気圧になったら反応器を分解し、反応混合物を200mLの水で撹拌しながらクエンチし、二相液体混合物を得た。下側のフルオロケミカル相を回収し、分液漏斗内で水150mL部分で2回洗浄して、残留エチレンカーボネート及び臭化物触媒を除去した。最終水洗浄後、65.10gの粗フルオロケミカル生成物を回収した。粗生成物を、GC−FIDにより分析したところ、69.0%の所望の生成物(2−フルオロ−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン)及び13.6%の未反応の1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンからなることが明らかにされた。所望の生成物の同一性を、GC−MS分析によって確認し、これは344amuの質量を示した。
実施例1の合成手順C:300mLのHastelloy Parr反応器に、11.99g(0.0372mol)のテトラブチルアンモニウムブロミド触媒、90.3g(1.027mol)のエチレンカーボネート、及び71.50g(0.238mol)の1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンを投入した。反応器を直ちに密封し、4日間にわたって撹拌しながら70℃に加熱し、その間、圧力は最終圧力132psiまで上昇した(CO発生による)。4日間保持中に間隔を置いて反応混合物からヘッドスペースサンプルを採取し、GC−FIDにより分析し、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンの1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンへの異性化が徐々に起こることを示した。70℃で4日間後、異性化は90%で完了した。次に、反応温度を段階的に100℃にし、撹拌しながら3時間保持して反応を完了させ、最終圧力を272psiとした。次いで、反応器を室温まで一晩冷却し、残留圧力を逃がした。大気圧になったら反応器を分解し、反応混合物を200mLの水で撹拌しながらクエンチし、二相液体混合物を得た。下側のフルオロケミカル相を回収し、分液漏斗内で水150mL部分で2回洗浄して、残留エチレンカーボネート及び臭化物触媒を除去した。最終水洗浄後、75.20gの粗フルオロケミカル生成物を回収した。粗生成物を、GC−FIDにより分析したところ、89.5%の所望の生成物(2−フルオロ−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン)からなることが明らかにされた。未反応の1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン又は1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンは、GCによって検出されなかった。所望の生成物の同一性を、GC−MS分析によって確認し、これは344amuの質量を示し、また19F NMR分光法によって確認した。
実施例2:2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン
1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプタ−3−エン(200.3g、445.04mmol)、トリエチルアミン(49.5g、489.18mmol)、2−ブロモエタノール(55.3g、442.53mmol)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(300g、2235.90mmol)及びフッ化セシウム(88.1g、579.96mmol)を、600mlのParr圧力反応器内で合わせた。混合物を75℃まで2日間加熱した。次いで、反応混合物を、GC−FIDにより分析したところ、生成物への少なくとも42%の反応変換率が示された。反応物質を、DI水で4回洗浄し、合計175gの生成物を回収し、これをモレキュラーシーブ上で乾燥させ、次いで濾過した。生成物を分別蒸留した(b.p.約220℃)。表1に示すように、生成物構造を、GC−MS及びH、19F NMRによって確認した。
実施例3:2−フルオロ−5−メチル−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン
600mLのHastelloy Parr反応器に、アセトニトリル(53.6g、1310mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(40.9g、127mmol)、ペルフルオロ−2−メチル−ペンテン(294g、979mmol)、及びプロピレンオキシド(59.4g、1020mmol)を投入した。反応器を密封し、窒素でバックフィルし、酸素を除去するために3回通気した。次いで、反応器を70℃に加熱した。この温度で、反応器の圧力は、30psigであった。温度を100℃の最終温度まで上昇させ、圧力を50psigに上昇させた。反応物を一晩撹拌し、その後、反応器の圧力を20psigに戻した。反応器を10℃に冷却し、未希釈サンプルを採取し、GC−FIDにより分析したところ、未補正の50%の化合物純度が示された。未希釈サンプルのGC−MSによる分析は、純度53%の358amuとして所望の生成物の質量を確認した。次いで、反応器を分液漏斗に排出し、水(200mL)で2回洗浄した。回収した材料をモレキュラーシーブ上に置き、蒸留のために水を除去した。次いで、乾燥した粗材料を500mLの蒸留フラスコに移した。低沸点を有する材料を、15トレイのOldershaw真空ジャケット付き蒸留カラムを使用して、ヘッドの上に来る材料が125℃の沸点を有するまで、周囲圧力で留去した。次いで、蒸留フラスコを室温まで冷却し、残りの材料を真空下で蒸留し、標題化合物を222グラムの無色透明の液体として得て、これをGC−FIDにより分析したところ、98.2%の未補正純度が示された。GC−MS及びH、19F NMRによる単離された物質の分析により、358amuの質量及び96.4%のNMR純度の2−フルオロ−5−メチル−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランとの化合物の同一性を確認した。単離されたプロピレンオキシド付加物(2−フルオロ−5−メチル−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン)の流動点は、実施例1の関連するエチレンオキシド付加物(−11℃)と比較して、驚くほど低い(−85℃)ことが見出された。低温度性能を必要とする用途における熱伝達流体として、2−フルオロ−5−メチル−2−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−3,3−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン(実施例3)の特定の有用性を示唆している。
実施例4:2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−5−メチル−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン
300mLのHastelloy Parr反応器に、1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプタ−3−エン(98.7g、219mmol)、プロピレンオキシド(14.0g、241mmol)、アセトニトリル(15.31g、372.9mmol)、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(11.06g、34.31mmol)を投入した。反応器を密封し、窒素でバックフィルし、酸素を除去するために3回通気した。次いで、反応器を100℃に加熱し、この温度で、反応器の圧力は、45psigであった。16時間撹拌した後、圧力は35psigに低下した。反応器を20℃まで冷却し、その内容物を分液漏斗に注いだ。反応混合物は、水を添加する前に二相であった。フルオロケミカル層を回収し、未希釈サンプルをGC−FIDにより分析したところ、62%の2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−5−メチル−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランの未補正純度が示された。分液漏斗内に残った上相を水(50mL)で2回洗浄した。得られたフルオロケミカル相をGC−FIDにより分析したところ、30%の2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−5−メチル−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランの未補正純度が示された。前に回収したフルオロケミカル層を水(50mL)で2回洗浄し、ボトル内で前に洗浄した上相と合わせた。混合した粗物質を、磁気撹拌下で、モレキュラーシーブ上で2時間乾燥させた。次いで、乾燥した粗物質を250mLの蒸留フラスコに移した。低沸点を有する材料を、オーバーヘッドに来る材料が100℃の沸点を有するまで、単蒸留を用いて周囲圧力で留去した。次いで、蒸留フラスコを室温まで冷却し、残りの材料を真空下(80℃/20torr)で蒸留し、標題化合物を明黄色の液体として得て、これをGC−FIDにより分析したところ、89%の2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−5−メチル−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランの未補正純度が示された。GC−MS及びH、19F NMR分光法による単離された物質の分析により、508amuの質量及び87%のNMR純度の2−フルオロ−3−(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−5−メチル−2−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフランとの標題化合物の同一性を確認した。
実施例5:5−メチル−2,2,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン
100mLのParr反応器に、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ブタ−2−エン(17g、56.659mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.9g、5.9mmol)、プロピレンオキシド(3.1g、53mmol)、及びアセトニトリル(21.3g、519mmol)を投入した。反応器を密封し、次いで窒素で充填及び通気を3回行い、最終的に正の窒素圧力でバックフィルした。次いで、反応器を100℃で一晩加熱した。100℃で、反応器の圧力は50psigであった。翌朝、反応器の圧力は30psigであった。反応器を冷却し、通気し、分液漏斗に排出した。下相を回収し、等量の水で3回洗浄した。サンプルをGCにより分析したところ、90%の純度で可能な所望の物質が示された。サンプルをGC−MS/FID及び1H/13C/19F−NMR技法により分析し、所望の生成物、5−メチル−2,2,3,3−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン(87.7絶対質量%で16.2グラム)であることが確認された。
試験方法
沸点は、ASTM D1120−94「エンジンクーラントの沸点の標準試験方法」を用いて測定した。
流動点は、4mLガラスバイアル中のおよそ2mLのサンプルを、手動温度制御槽に入れることによって決定した。温度は、Analytical Instrument No.325によって読み取った。流動点は、5秒間水平に傾けた後、サンプルの流動が視覚的に観察される最低温度として定義される。
環境寿命及び地球温暖化係数(GWP)値は、国連気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書(Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fifth Assessment Report(AR5))に記載されている方法を使用して決定されたものであり、次の3つの部分から本質的になる。
(1)化合物について測定された赤外線断面に基づく、化合物の放射効率の計算。
(2)化合物の大気寿命の計算、測定、又は推定。
(3)100年の対象期間にわたる、COに対する、化合物の放射効率と大気寿命との組み合わせ。
GWPを計算するために使用する3つの工程は、以下のとおりであった。既知であり、文書化された濃度を有する、評価する材料のガス標準は、3M Environmental Labにおいて調製し、この化合物のFTIRスペクトルを得るために使用した。質量流量計を使用して、サンプル標準を窒素で希釈することによって、2つの異なる濃度レベルにおける、定量的な気相の単一成分FTIRライブラリ参照スペクトルを発生させた。流量は、FTIRセル排気において、認証されたBIOS DRYCAL流量計(Mesa Labs(Butler,NJ,US))を使用して測定した。希釈手順はまた、認証されたエチレン較正ガスシリンダーを使用して検証した。AR5に記載されている方法を使用し、FTIRデータを使用して放射効率を計算し、これを今度は大気寿命と組み合わせて、地球温暖化係数(GWP)値を決定した。
3部のAR5方法を用いて、実施例1、2、CE1、及びCE2について、地球温暖化係数(GWP)値を決定した。各物質の大気寿命は、参照化合物としてクロロメタン(CHCl)を利用した、相対速度研究から決定した。参照化合物及び試験化合物のヒドロキシルラジカル(・OH)との擬一次反応速度を、実験室のチャンバ系において決定した。参照化合物の大気寿命は文献に記録されており、この値及びチャンバ実験において測定された擬一次速度に基づいて、各試料の大気寿命を決定した。試験チャンバ内のガスの濃度は、FTIRによって定量した。測定された各流体の大気寿命値を、GWP計算に使用した。
ラットにおける4時間の急性吸入毒性(LC−50)は、空気中で動物に表2に示す量で4時間投与し、続いて投与後14日間監視を行うことにより測定した。動物試験の結果、及び試験化合物の蒸気濃度に基づいて、LC−50値を推定した。
比較例CE2の急性単回投与経口毒性を、2000mg/kg体重で投与したラットで調べた。投与後の回復期間中に有害な臨床観察は認められず、剖検結果は全ての動物に関して正常であった。この試験に基づいて、CE2のLD50は、>2000mg/kg体重であると推定された。
これらの実施例において、Log KOWの値(オクタノール/水分配係数)は、OECD Method 117に記載の方法を用いて、HPLCにより測定した。
結果
特性及び環境寿命の結果を表2に要約し、本発明のハイドロフルオロエーテル、実施例1及び2は、同様の分子量のハイドロフルオロエーテル(CE1及びCE2)と比較して、実質的に高い沸点及び著しく短い環境寿命を有することを示す。これは、驚くべき及び予想外の結果であり、これらの物質を、装置内の熱伝達流体として特に有用にする。
Figure 2022502414
合成手順Aにより調製
当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。本開示に引用される参照文献は全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (21)

  1. 以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rhは、CH又はCである]
    で表される化合物。
  2. Rf及びRfが、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである、請求項1に記載の化合物。
  3. Rfが、C又はCF(CFである、請求項1に記載の化合物。
  4. Rhが、CHである、請求項1に記載の化合物。
  5. 以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rfは、CF、C、又はCであり、
    Rfは、C、C、又はCであり、
    Rfは、CF(CF、又はCであり、
    Rfは、Fであり、
    Rhは、Hである]
    で表される化合物。
  6. Rfが、CFであり、Rfが、C、C、又はCである、請求項5に記載の化合物。
  7. 以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf、Rf、Rf、及びRfの中からのRf基の1つ又は2つの対は、共に連結して、5員又は6員のペルフルオロ化炭素環を形成し、
    Rhは、CH、C、又はHであり、
    共に連結していないRf、Rf、Rf、及びRfのいずれかが、以下の通りである:
    Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFである]
    で表される化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含む作動流体であって、前記化合物が、前記作動流体中に、前記作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、作動流体。
  9. 熱伝達のための装置であって、
    デバイスと、
    以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rhは、CH、C、又はHである]
    で表される化合物を含む作動流体を含む、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達するための機構と、
    を備える、装置。
  10. Rf及びRfが、両方ともCFであるか、又はRfがCFであり、かつRfがC若しくはC若しくはCであるか、のいずれかである、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  11. Rfが、C又はCF(CFである、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  12. Rhが、H又はCHである、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  13. 前記化合物が、請求項1に記載の化合物を含む、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  14. 前記デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、バッテリーパック、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  15. 前記熱を伝達するための機構が、電子デバイスの温度又は温度範囲を維持するためのシステム内の構成要素である、請求項9に記載の熱伝達のための装置。
  16. 熱を伝達する方法であって、
    デバイスを提供することと、
    以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rhは、CH、C、又はHである]
    で表される化合物を含む熱伝達流体を使用して、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達することと、
    を含む、方法。
  17. 以下の一般式(I):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがフッ素である場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rhは、CH、C、又はHである]
    を有する化合物を製造するためのプロセスであって、
    前記プロセスが、以下の一般構造(II):
    Figure 2022502414
    [式中、Rf及びRfのそれぞれは、独立して、F、CF、C、C、又はCであるが、但し、Rf及びRfのいずれかがFである場合、他方はフッ素ではなく、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFであり、
    Rfは、F、CF、C、C、又はCF(CFである]
    を有するペルフルオロ化オレフィンを、
    触媒の存在下で、環状有機カーボネート又は有機エポキシドと反応させる工程を含む、プロセス。
  18. 前記環状有機カーボネートが、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートを含む、請求項17に記載のプロセス。
  19. 前記有機エポキシドが、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを含む、請求項18に記載のプロセス。
  20. 前記触媒が、ハロゲン化物塩である、請求項18に記載のプロセス。
  21. 一般構造(II)の前記ペルフルオロ化オレフィンが、触媒異性化を介して、異性体ペルフルオロ化オレフィンからin situで生成される、請求項18に記載のプロセス。
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