JP2022191156A - 送電装置、受電装置、制御方法、および、プログラム - Google Patents

送電装置、受電装置、制御方法、および、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 送電装置が送電を制限する期間における電圧及び電流を測定する処理を複数回行う場合における適切な制御を可能にする。【解決手段】 送電装置402は、送電アンテナ105を使用して受電装置へ無線により送電し、受電装置401へ送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における送電アンテナ105における電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する、第1の測定処理と第2の測定処理を含む複数の測定処理を行う。ここで、第1の測定処理に係る処理期間と第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御される。【選択図】 図1

Description

本開示は、無線電力伝送技術に関する。
近年、無線電力伝送システムの技術開発が広く行われている。特許文献1には、Wireless Power Consortium(WPC)規格における、異物検出(Foreign Object Detection)の方法が開示されている。また、特許文献2には、電力の伝送を停止した後に、送電器の電圧が徐々に低下する期間における送電器の電圧値の減衰量に基づいて、送電器の近傍に物体が存在するか否かを判定する方法が開示されている。
特開2017-70074号公報 特表2018-512036号公報
特許文献2に記載の方法を使用して物体の有無を判定する際、送電装置が送電を制限する期間における電圧又は電流を測定する処理により得られる測定結果が、判定に適さないデータとなる可能性がある。したがって、送電装置が送電を制限する期間における電圧又は電流を測定する処理を複数回行うことにより、判定に適したデータが得られ、より確実な判定が行えるようになることが想定される。しかしながら、特許文献1、2においては、送電装置が送電を制限する送電期間における電圧又は電流を測定する処理を複数回行う場合の制御については考慮されていない。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、送電装置が送電を制限する期間における電圧又は電流を測定する処理を複数回行う場合における適切な制御を可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するための一手段として、本開示の送電装置は以下の構成を有する。送電装置は、アンテナを使用して受電装置へ無線により送電する送電手段と、前記送電手段により前記受電装置へ送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における前記アンテナにおける電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する測定処理を行う測定手段と、前記測定手段により第1の測定処理と第2の測定処理とが行われる場合、前記第1の測定処理に係る処理期間と、前記第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御する制御手段とを有する。
本開示によれば、送電装置が送電を制限する期間における電圧又は電流を測定する処理を複数回行う場合における適切な制御が可能になる。
送電装置の構成例を示す図である。 受電装置の構成例を示す図である。 送電装置の制御部の機能構成例を示すブロック図である。 無線電力伝送システムの構成例を示す図である。 無線電力伝送を行うための処理例を示すシーケンス図である。 波形減衰法による異物検出を説明するための図である。 送電中の送電波形に基づいて異物検出を行う方法を説明するための図である。 実施形態1における送電装置の動作を説明するフローチャート図である。 実施形態1における受電装置の動作を説明するフローチャート図である。 Power Loss法による異物検出における閾値の設定方法を説明するための図である。 波形減衰法による異物検出における閾値の設定方法を説明するための図である。 実施形態2における送電装置の動作を説明するフローチャート図である。 実施形態2における受電装置の動作を説明するフローチャート図である。 実施形態3における送電装置の動作を説明するフローチャート図である。 実施形態3における受電装置の動作を説明するフローチャート図である。 実施形態1における送電アンテナと受電アンテナの第一の結合状態を示す指標の測定方法を説明する図である。 実施形態1における送電アンテナと受電アンテナの第二の結合状態を示す指標の測定方法を説明する図である。 実施形態1における送電アンテナと受電アンテナの結合状態を用いた状態異常検出の閾値の設定方法を説明する図である。
<実施形態1>
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが実施形態に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付す。
[無線電力伝送システムの構成]
図4に、本実施形態における無線電力伝送システムの構成例を示す。本システムは、一例において、受電装置401と送電装置402を含んで構成される。受電装置401と送電装置402の詳細な構成については図2及び図1を用いて後述する。以下では、受電装置をRXと呼び、送電装置をTXと呼ぶ場合がある。RX401は、TX402から受電して内蔵バッテリに充電を行う電子機器である。
TX402は、TX402の一部である充電台403に載置されたRX401に対して無線で送電する電子機器である。以下、充電台403はTX402の一部であるため、「RX401が充電台403に載置される」ことを「RX401がTX402に載置される」と表現する場合がある。点線で囲まれた範囲404は、RX401がTX402から受電することが可能な範囲である。すなわち、範囲404は、TX402がRX401に送電可能な範囲であるともいえる。RX401がTX402に載置される状態は、RX401とTX402又は充電台403とが接触していなくてもよい。例えば、RX401がTX402(充電台403)と非接触で範囲404に含まれている状態も、「RX401がTX402に載置された」状態とみなすものとする。
なお、RX401とTX402は無線電力伝送以外のアプリケーションを実行する機能を有しうる。RX401の一例はスマートフォンであり、TX402の一例はそのスマートフォンを充電するためのアクセサリ機器である。RX401及びTX402は、タブレットや、ハードディスク装置やメモリ装置などの記憶装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置であってもよい。また、RX401及びTX402は、例えば、撮像装置(カメラやビデオカメラ等)であってもよい。また、RX401は、スキャナ等の画像入力装置であってもよいし、プリンタやコピー機、プロジェクタ等の画像出力装置であってもよい。また、TX402がスマートフォンであってもよい。この場合、RX401は、別のスマートフォンでもよいし、無線イヤホンであってもよい。また、RX401は、自動車であってもよい。また、TX402は、自動車内のコンソール等に設置される充電器であってもよい。
本システムでは、RX401とTX402は、Wireless Power Consortium(WPC)規格に基づいて、無線電力伝送のための電磁誘導方式を用いた無線電力伝送を行う。すなわち、RX401とTX402は、RX401が有する受電アンテナ(受電コイル)とTX402が有する送電アンテナ(送電コイル)との間で、WPC規格に基づく無線電力伝送を行う。なお、本システムに適用される無線電力伝送方式は、WPC規格で規定された方式に限られず、他の電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、マイクロ波方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、無線電力伝送が無線充電に用いられるものとするが、無線充電以外の用途で無線電力伝送が行われてもよい。
ここで、WPC規格における受電装置と送電装置の処理について説明する。WPC規格では、受電装置が負荷(例えば、充電用の回路、バッテリー等)に出力可能であることが保証される電力の大きさが規定されている。具体的には、Guaranteed PowerあるいはGuaranteed Load Power(以下、「GP」と呼ぶ)と呼ばれる値である。GPは、例えば受電装置と送電装置の位置関係が変動して受電アンテナと送電アンテナとの間の送電効率が低下したとしても、受電装置の負荷への出力が保証される電力値を示す。例えばGPが5ワットの場合、受電アンテナと送電アンテナとの位置関係が変動して送電効率が低下したとしても、送電装置は、受電装置内が負荷へ5ワットの電力を出力することができるように制御して送電を行う。GPは、送電装置と受電装置とが、後述するNegotiationフェーズにて交渉を行うことにより決定される。また、WPC規格では、Power Transferフェーズにおいて、受電装置が負荷(例えば、充電用の回路、バッテリー等)に出力可能な最大電力の大きさが規定されている。具体的には、Maximum PowerあるいはReference Power(以下、「MP」と呼ぶ)と呼ばれる値である。
また、WPC規格では、Power Transferフェーズにおいて、送電装置が、適切な基準となる受電装置に対して送電する際に送電可能な電力の大きさが規定されている。具体的には、Potential PowerあるいはPotential Load Power(以下、「PP」と呼ぶ)と呼ばれる値である。つまりPPは、送電装置が受電装置と交渉可能な、最大のGPである。なお、GP、MP、PPに限らず、送電装置と受電装置とが互いに交渉を行うことにより決定される電力で送受電が行われる構成において、本実施形態は適用可能である。
また、送電装置から受電装置へ送電を行う際に、送電装置の近傍に受電装置とは異なる物体(以下、「異物」と呼ぶ)が存在する場合がありうる。この場合に、例えば異物が金属片などであれば、送電のための電磁波が異物に影響して異物の温度を上昇させたり異物を破壊したりしてしまう虞がある。そこでWPC規格では、送電装置が送電可能な範囲に異物が存在する、又は異物が存在する可能性があることを検出する手法が規定されている。具体的には、送電装置における送電電力と受電装置における受電電力との差分により異物を検出するPower Loss(パワーロス)法が規定されている。また、送電装置における送電アンテナ(送電コイル)の品質係数(Q値)の変化により異物を検出するQ値計測法が規定されている。これらの方法を使用して異物を検出することにより、送電装置は、異物が存在する場合に送電を停止して異物の温度上昇や破壊を防ぐことができる。
なお、本開示における異物とは、例えば、金属片、クリップ、またはICカード等である。受電装置および受電装置が組み込まれた製品または送電装置および受電装置が組み込まれた製品に不可欠な部分の物体のうち、送電アンテナが送電する無線電力にさらされたときに意図せずに熱を発生する可能性のある物体は、異物には当たらない。
本実施形態におけるRX401及びTX402は、上述したような異物の存在を検出する処理(以下、「異物検出処理」と呼ぶ)を行う。なお、本実施形態におけるTX402が検出する異物は充電台403の上に存在する物体に限定されない。TX402は、TX402の近傍に位置する異物を検出すればよく、例えばTX402が送電可能な範囲404に位置する異物を検出することとしてもよい。
WPC規格で規定されているPower Loss法に基づく異物検出について、図10を用いて説明する。図10の横軸はTX402の送電電力、縦軸はRX401の受電電力である。図10のグラフは、キャリブレーション処理(Calibration処理(CAL処理))により取得することができる。以下、キャリブレーション処理について説明する。
まず、TX402は第一送電電力値Pt1でRX401に対して送電を行う。RX401は、このとき第一受電電力値Pr1で受電するものとする(この状態をLight Loadの状態(軽負荷状態)という)。そして、TX402は第一送電電力値Pt1を記憶する。ここで、第一送電電力値Pt1、又は第一受電電力値Pr1は、RX401とTX402との間で予め定められた最小の送電電力又は受電電力である。このとき、RX401は受電する電力が最小の電力となるように、負荷を制御する。たとえば、RX401は、受電した電力が負荷(充電回路とバッテリなど)に供給されないように、受電アンテナと負荷との接続を切断してもよい。
続いて、RX401は、第一受電電力の電力値Pr1をTX402に通知する。RX401からPr1の通知を受信したTX402は、TX402とRX401との間の電力損失はPt1-Pr1(=Ploss1)であると算出し、Pt1とPr1との対応を示すキャリブレーションポイント1000を作成することができる。
続いて、TX402は、送電電力値を第二送電電力値Pt2に変更し、RX401に対して送電を行う。このとき、RX401は、第二受電電力値Pr2で受電するものとする(この状態をConnected Loadの状態(負荷接続状態)という)。そして、TX402は第二送電電力値Pt2を記憶する。ここで、第二送電電力値Pt2、又は第二受電電力値Pr2は、予め定められた最大の送電電力又は受電電力である。このとき、RX401は受電する電力が最大の電力となるように、負荷を制御する。あるいは、負荷に所定の閾値以上の電力が供給される状態となるように、負荷を制御する。たとえば、RX401は、受電した電力が負荷に供給されるように、受電アンテナと負荷を接続する。続いて、RX401はPr2をTX402に通知する。RX401からPr2の通知を受信したTX402は、TX402とRX401との間の電力損失はPt2-Pr2(=Ploss2)であると算出し、Pt2とPr2との対応を示すキャリブレーションポイント1001を作成することができる。
そしてTX402はキャリブレーションポイント1000とキャリブレーションポイント1001の間を直線補間する直線1002を作成する。直線1002はTX402とRX401の近傍に異物が存在しない状態における送電電力と受電電力の関係を示している。TX402は直線1002に基づいて、異物がない状態において所定の送電電力で送電した場合にRX401が受電する電力値を予想することができる。例えば、TX402が第三送電電力値Pt3で送電した場合は、直線1002上のPt3に対応する点1003から、RX401が受電する第三受電電力値はPr3になると推測することができる。
以上のように、負荷を変えながら測定したTX402の送電電力値とRX401の受電電力値との複数の組み合わせに基づいて、負荷に応じたTX402とRX401との間の電力損失の関係を求めることができる。また、複数の組み合わせからの補間により、すべての負荷に応じたTX402とRX401との間の電力損失を推定することができる。
図10のグラフを用いて、Power Loss法による異物検出を行う方法について説明する。キャリブレーション処理後、TX402がPt3でRX401に送電した場合に、TX402がRX401から受電電力値Pr3’という値の通知を受信したとする。
TX402は異物が存在しない状態における受電電力値Pr3から、実際にRX401から受信した受電電力値Pr3’を引いた値Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)を算出する。このPloss_FOは、TX402とRX401の近傍に異物が存在し、その異物で消費される電力による電力損失であると想定される。
よって、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOがあらかじめ決められた閾値よりも大きい場合に、異物が存在すると判定することができる。あるいは、TX402は、事前に、異物が存在しない状態における受電電力値Pr3から、TX402とRX401との間の電力損失Pt3-Pr3(=Ploss3)を求めておく。そして次に、異物が存在する状態においてRX401から受信した受電電力値Pr3’から、異物が存在する状態でのTX402とRX401との間の電力損失Pt3-Pr3’(=Ploss3’)を求める。そして、Ploss3’-Ploss3(=Ploss_FO)を用いて、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOを推定してもよい。
以上述べたように、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOの求め方としては、Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)として求めてもよいし、Ploss3’-Ploss3(=Ploss_FO)として求めてもよい。以下の本開示においては、基本的にPloss3’-Ploss3(=Ploss_FO)として求める方法について述べるが、Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)として求める方法においても本実施形態の内容を適用可能である。以上がPower Loss法に基づく異物検出の説明である。
キャリブレーション処理により直線1002が取得されたのち、TX402の異物検出部305は、通信部104を介して、RX401から定期的に現在の受電電力値(例えば上記のPr3’)を受信する。RX401が定期的に送信する現在の受電電力値は、Received Power Packet(mode0)としてTX402に送信される。TX402の異物検出部305は、Received Power Packet(mode0)に格納されている受電電力値と、直線1002とに基づいて異物検出を行う。
Power Loss法による異物検出は、後述するCalibrationフェーズにより得られたデータを基に、電力伝送(送電)中(後述のPower Transferフェーズ)に実施される。また、Q値計測法による異物検出は、電力伝送前(後述のDigital Ping送信前、NegotiationフェーズまたはRenegotiationフェーズ)に実施される。
次に、WPC規格に基づく受電装置と送電装置との間の通信について説明する。本実施形態によるRX401とTX402は、WPC規格に基づく送受電制御のための制御通信を行う。WPC規格では、電力伝送が実行されるPower Transferフェーズと、実際の電力伝送前の1以上のフェーズとを含んだ、複数のフェーズが規定され、各フェーズにおいて必要な送受電制御のための通信が行われる。電力伝送前のフェーズは、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、Identification and Configurationフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズを含みうる。なお、以下では、Identification and ConfigurationフェーズをI&Cフェーズと呼ぶ。以下、各フェーズの処理について説明する。
Selectionフェーズでは、TX402が、Analog Pingを間欠的に送信し、物体がTX402の充電台に載置されたこと(例えば充電台にRX401や導体片等が載置されたこと)を検出する。TX402は、Analog Pingを送信した時の送電アンテナの電圧値と電流値の少なくともいずれか一方を検出し、電圧値がある閾値を下回る場合又は電流値がある閾値を超える場合に物体が存在すると判断し、Pingフェーズに遷移する。
Pingフェーズでは、TX402が、Analog Pingより電力が大きいDigital Pingを送信する。Digital Pingの電力の大きさは、TX402の上に載置されたRX401の制御部が起動するのに十分な電力である。RX401は、受電電圧の大きさをTX402へ通知する。このように、TX402は、そのDigital Pingを受信したRX401からの応答を受信することにより、Selectionフェーズにおいて検出された物体がRX401であることを認識する。TX402は、受電電圧値の通知を受けると、I&Cフェーズに遷移する。また、TX402はDigital Pingを送信する前に、送電アンテナのQ値(Q-Factor)を測定する。この測定結果は、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する際に使用する。
I&Cフェーズでは、TX402は、RX401を識別し、RX401から機器構成情報(能力情報)を取得する。RX401は、ID Packet及びConfiguration Packetを送信する。ID PacketにはRX401の識別子情報が含まれ、Configuration Packetには、RX401の機器構成情報(能力情報)が含まれる。ID Packet及びConfiguration Packetを受信したTX402は、アクノリッジ(ACK、肯定応答)で応答する。そして、I&Cフェーズが終了する。
Negotiationフェーズでは、RX401が要求するGPの値やTX402の送電能力等に基づいてGPの値が決定される。また、MPやPPの値もNegotiationフェーズで決定される。またTX402は、RX401から、Reference Quality Factor Valueの情報が入ったFOD Status Packetを受信し、Q値計測法における閾値を調整し、決定する。そして、TX402はRX401からの要求に従って、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する。また、WPC規格では、一旦Power Transferフェーズに移行した後、RX401の要求によって再度Negotiationフェーズと同様の処理を行う方法が規定されている。後述するPower Transferフェーズから再度Negotiationフェーズと同様の処理を行うフェーズのことを、Renegotiationフェーズと呼ぶ。
Calibrationフェーズでは、WPC規格に基づいて、上述したキャリブレーション処理を実施する。また、RX401が所定の受電電力値(軽負荷状態における受電電力値/最大負荷状態における受電電力値)をTX402へ通知し、TX402が、効率よく送電するための調整を行う。TX402へ通知された受電電力値は、Power Loss法による異物検出処理のために使用されうる。
Power Transferフェーズでは、送電の開始、継続、及びエラーや満充電による送電停止等のための制御が行われる。TX402とRX401は、これらの送受電制御のために、WPC規格に基づいて無線電力伝送を行う際に使用する送電アンテナ及び受電アンテナを用いて、送電アンテナあるいは受電アンテナから送信される電磁波に信号を重畳して通信を行う。なお、TX402とRX401との間で、WPC規格に基づく通信が可能な範囲は、TX402の送電可能範囲とほぼ同様である。
[送電装置402および受電装置401の構成]
続いて、本実施形態における送電装置402(TX402)及び受電装置401(RX401)の構成について説明する。なお、以下で説明する構成は一例に過ぎず、説明される構成の一部(場合によっては全部)が他の同様の機能を果たす他の構成と置き換えられる、又は省略されてもよく、さらなる構成が説明される構成に追加されてもよい。さらに、以下の説明で示される1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよいし、複数のブロックが1つのブロックに統合されてもよい。また、以下に示す各機能ブロックは、ソフトウェアプログラムとして機能が実施されるものとするが、本機能ブロックに含まれる一部または全部がハードウェア化されていてもよい。
図1は、本実施形態に係るTX402の構成例を示す機能ブロック図である。TX402は、制御部101、電源部102、送電部103、通信部104、送電アンテナ105、メモリ106、共振コンデンサ107、スイッチ108を有する。図1では、制御部101、電源部102、送電部103、通信部104、メモリ106は別体として記載しているが、これらの内の任意の複数の機能ブロックは、同一チップ内に実装されてもよい。
制御部101は、例えばメモリ106に記憶されている制御プログラムを実行することにより、TX402全体を制御する。また、制御部101は、TX402における機器認証のための通信を含む送電制御に関する制御を行う。さらに、制御部101は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(MicroProcessor Unit)等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部101は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部101は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA(Field Programmable Gate Array)等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部101は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ106に記憶させる。また、制御部101は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
電源部102は、各機能ブロックに電源を供給する。電源部102は、例えば、商用電源又はバッテリである。バッテリには、商用電源から供給される電力が蓄電される。
送電部103は、送電アンテナ105を使用して、RX401へ無線により送電を行う。送電部103は、電源部102から入力される直流又は交流電力を、無線電力伝送に用いる周波数帯の交流周波数電力に変換し、その交流周波数電力を送電アンテナ105へ入力することによって、RX401に受電させるための電磁波を発生させる。例えば、送電部103は、電源部102が供給する直流電圧を、FET(Field Effect Transister)を使用したハーフブリッジ又はフルブリッジ構成のスイッチング回路で交流電圧に変換する。この場合、送電部103は、FETのON/OFFを制御するゲートドライバを含む。
送電部103は、送電アンテナ105に入力する電圧(送電電圧)又は電流(送電電流)、又はその両方を調節することにより、出力させる電磁波の強度を制御する。送電電圧又は送電電流を大きくすると電磁波の強度が強くなり、送電電圧又は送電電流を小さくすると電磁波の強度が弱くなる。また、送電部103は、制御部101の指示に基づいて、送電アンテナ105からの送電が開始又は停止されるように、交流周波数電力の出力制御を行う。また、送電部103はWPC規格に対応したRX401の充電部206に15ワット(W)の電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
通信部104は、RX401との間で、上述のようなWPC規格に基づく送電制御のための通信を行う。通信部104は、送電アンテナ105から出力される電磁波を周波数偏移変調し、RX401へ情報を伝送して、通信を行う。また、通信部104は、RX401が振幅変調あるいは負荷変調した送電アンテナ105から送電される電磁波を復調して、RX401が送信した情報を取得する。すなわち、通信部104で行う通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる。また、通信部104は、送電アンテナ105とは異なるアンテナを用いたWPC規格とは異なる規格による通信でRX401と通信を行ってもよいし、複数の通信を選択的に用いてRX401と通信を行ってもよい。この通信規格の例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、NFC(Near Field Communication)が挙げられる。
メモリ106は、制御プログラムを記憶するほかに、TX402及びRX401の状態(送電電力値、受電電力値等)なども記憶しうる。例えば、TX402の状態は制御部101により取得され、RX401の状態はRX401の制御部201により取得され、通信部104を介して受信されうる。
スイッチ108は、制御部101に制御される。送電アンテナ105は、共振コンデンサ107と接続されており、スイッチ108がON状態になって短絡される場合、送電アンテナ105と共振コンデンサ107は直列共振回路となり、特定の周波数f1で共振する。この時、送電アンテナ105と共振コンデンサ107、スイッチ108が形成する閉回路に電流が流れる。スイッチ108がOFF状態になり、開放されると、送電アンテナ105と共振コンデンサ107には、送電部103から電力が供給される。
図2は、本実施形態によるRX401の構成例を示すブロック図である。RX401は、制御部201、UI(ユーザインタフェース)部202、受電部203、通信部204、受電アンテナ205、充電部206、バッテリ207、メモリ208、第一スイッチ部209、第二スイッチ部210、共振コンデンサ211を有する。なお、図2に示す複数の機能ブロックを1つのハードウェアモジュールとして実現してもよい。
制御部201は、例えばメモリ208に記憶されている制御プログラムを実行することによりRX401全体を制御する。すなわち、制御部201は、図2で示す各機能部を制御する。さらに、制御部201は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部201の一例は、CPU又はMPU等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部201が実行しているOS(Operating System)との協働によりRX401全体(RX401がスマートフォンである場合には当該スマートフォン全体)を制御するようにしてもよい。
また、制御部201は、ASIC等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部201は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部201は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ208に記憶させる。また、制御部201は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
UI部202は、ユーザに対する各種の出力を行う。ここでいう各種の出力とは、画面表示、LED(Light Emitting Diode)の点滅や色の変化、スピーカーによる音声出力、RX401本体の振動等の動作である。UI部202は液晶パネル、スピーカー、バイブレーションモーター等により実現される。
受電部203は、受電アンテナ205を用いて、TX402から無線により電力を受電する。受電部203は、受電アンテナ205を介して、TX402の送電アンテナ105から放射された電磁波に基づく電磁誘導により生じた交流電力(交流電圧及び交流電流)を取得する。そして、受電部203は、交流電力を直流又は所定周波数の交流電力に変換して、バッテリ207を充電するための処理を行う充電部206に電力を出力する。すなわち、受電部203は、RX401における負荷に対して電力を供給するために必要な、整流部と電圧制御部を含む。上述のGPは、受電部203から出力されることが保証される電力量である。受電部203は、充電部206がバッテリ207を充電するための電力を供給し、充電部206に15ワットの電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
通信部204は、TX402が有する通信部104との間で、上述したようなWPC規格に基づく受電制御のための通信を行う。通信部204は、受電アンテナ205から入力された電磁波を復調してTX402から送信された情報を取得する。そして、通信部204は、その入力された電磁波を振幅変調あるいは負荷変調することによってTX402へ送信すべき情報に関する信号を電磁波に重畳することにより、TX402との間で通信を行う。なお通信部204は、受電アンテナ205とは異なるアンテナを用いたWPC規格とは異なる規格による通信でTX402と通信を行ってもよいし、複数の通信を選択的に用いてTX402と通信を行ってもよい。この通信規格の例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、NFC(Near Field Communication)が挙げられる。
メモリ208は、制御プログラムを記憶するほかに、TX402及びRX401の状態なども記憶する。例えば、RX401の状態は制御部201により取得され、TX402の状態はTX402の制御部101により取得され、通信部204を介して受信されうる。
第一スイッチ部209および第二スイッチ部210は、制御部201により制御される。受電アンテナ205は、共振コンデンサ211と接続されており、第二スイッチ部210がON状態になって短絡される場合、受電アンテナ205と共振コンデンサ211は直列共振回路となり、特定の周波数f2で共振する。この時、受電アンテナ205と共振コンデンサ211、第二スイッチ部210が形成する閉回路に電流が流れ、受電部に電流は流れない。第二スイッチ部210がOFF状態になり、開放されると、受電アンテナ205と共振コンデンサ211により受電された電力は、受電部203へ供給される。
第一スイッチ部209は、受電した電力を、負荷であるバッテリに供給するか否かを制御するためのものである。また、第一スイッチ部209は、負荷の値を制御する機能も有する。充電部206とバッテリ207とが、第一スイッチ部209により接続されると、受電した電力はバッテリ207に供給される。充電部206とバッテリ207との接続が、第一スイッチ部209により切断されると、受電した電力はバッテリ207に供給されない。
なお、第一スイッチ部209は、図2においては、充電部206とバッテリ207の間に配置されているが、受電部203と充電部206の間に配置されてもよい。あるいは、受電アンテナ205と共振コンデンサ211、及び第二スイッチ部210が形成する閉回路と受電部203との間に配置されてもよい。つまり、第一スイッチ部209は、受電した電力を受電部203に供給するか否かを制御するためのものであってもよい。また、図2では第一スイッチ部209を一つのブロックとして記載しているが、第一スイッチ部209を充電部206の一部、あるいは受電部203の一部として実現することも可能である。
次に、図3を参照して、TX402の制御部101の機能について説明する。図3は、TX402の制御部101の機能構成例を示すブロック図である。制御部101は、通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305を有する。通信制御部301は、通信部104を介したWPC規格に基づいたRX401との制御通信を行う。送電制御部302は、送電部103を制御し、RX401への送電を制御する。測定部303は、後述する波形減衰法に使用される波形減衰指標を測定する。また、送電部103を介してRX401に対して送電する電力を計測し、単位時間ごとに平均送電電力を測定する。また、測定部303は、送電アンテナ105のQ値を測定する。
設定部304は、測定部303により測定された波形減衰指標に基づいて、異物検出のために用いる閾値を、例えば算出処理により、設定する。
異物検出部305は、Power Loss法による異物検出機能、Q値計測法による異物検出機能、及び、波形減衰法による異物検出機能を実現しうる。また異物検出部305は、その他の手法を用いて異物検出処理を行うための機能を有してもよい。例えば、TX402がNFC(Near Feald Communication)通信機能を備える場合、異物検出部305は、NFC規格による対向機検出機能を用いて異物検出処理を行ってもよい。また、異物検出部305は、異物を検出する以外の機能として、TX402上の状態が変化したことを検出することもできる。例えば、TX402は、TX402上のRX401の数の増減も、検出することが可能である。設定部304は、TX402が、Power Loss法や、Q値計測法や、後述する波形減衰法による異物検出を行う上で、異物の有無を判定するための基準となる閾値を設定する。また設定部304は、その他の手法を用いた異物検出処理を行う上で必要となる、異物の有無を判定するための基準となる閾値を設定する機能を有してもよい。また、異物検出部305は、設定部304により設定された閾値と、測定部303により測定された波形減衰指標や送電電力やQ値に基づいて、異物検出処理を行うことができる。
通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305は、制御部101において動作するプログラムとしてその機能が実現される。各処理部は、それぞれが独立したプログラムとして構成され、イベント処理等によりプログラム間の同期をとりながら並行して動作しうる。ただし、これらの処理部のうち2つ以上が1つのプログラムに組み込まれていてもよい。
[WPC規格に従った電力伝送のための処理の流れ]
WPC規格では、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、及びPower Transferフェーズが規定されている。以下では、これらのフェーズにおける、TX402及びRX401の動作について、図5のシーケンス図を用いて説明する。図5は、WPC規格に従った電力伝送のためのシーケンス図である。ここでは、TX402(TX402)とRX401を例に説明する。
TX402は、送電可能範囲内に存在する物体を検出するため、WPC規格のAnalog Pingを繰り返し間欠送信している(F501)。TX402は、WPC規格のSelectionフェーズとPingフェーズとして規定されている処理を実行し、RX401が載置されるのを待ち受ける。RX401のユーザは、RX401(例えばスマートフォン)を充電すべくRX401をTX402に近づける(F502)。例えば、RX401をTX402に積載することにより、RX401をTX402に近づける。TX402は、送電可能範囲内に物体が存在することを検出すると(F503、F504)、WPC規格のDigital Pingを送信する(F505)。RX401はDigital Pingを受信すると、TX402がRX401を検知したことを把握できる(F506)。
またTX402は、Digital Pingに対する所定の応答があった場合に、検出された物体がRX401であり、RX401が充電台403に載置されたと判定する。
TX402は、RX401の載置を検出すると、WPC規格で規定されたI&Cフェーズの通信により、RX401から識別情報と能力情報を取得する(F507)。ここで、RX401の識別情報には、Manufacturer CodeとBasic Device IDが含められる。RX401の能力情報には、以下の情報が含まれる。例えば、対応しているWPC規格のバージョンを特定可能な情報要素、RX401が負荷に供給できる最大電力を特定する値であるMaximum Power Value、WPC規格のNegotiation機能を有するかを示す情報が含まれる。なお、TX402は、WPC規格のI&Cフェーズの通信以外の方法でRX401の識別情報と能力情報を取得してもよい。また、識別情報は、Wireless Power ID等の、RX401の個体を識別可能な任意の他の識別情報であってもよい。能力情報として、上記以外の情報を含んでいてもよい。
続いて、TX402は、WPC規格で規定されたNegotiationフェーズの通信により、RX401との間でGPの値を決定する(F508)。また、MPやPPの値もNegotiationフェーズで決定される。なお、F508では、WPC規格のNegotiationフェーズの通信に限らず、GP、MP、PPを決定する他の手順が実行されてもよい。また、TX402は、例えばF507において、RX401がNegotiationフェーズに対応していないことを示す情報を取得した場合に、Negotiationフェーズの通信は行わず、GP、MP、PPの値を所定の値としてもよい。また、このときにGP、MP、PPとして設定される所定の値は、例えば、WPC規格で予め規定された、比較的小さな値であってもよい。本実施形態では、GP=5ワットとする。
TX402は、GPの決定後、当該GPに基づいてCalibrationを行う。Calibration処理では、まず、RX401が、TX402に軽負荷状態(負荷切断状態、送電電力が第一の閾値以下になる負荷状態)における受電電力を含む情報(以下、「第1基準受電電力情報」と呼ぶ)を送信する(F509)。本実施形態での第1基準受電電力情報は、TX402の送電電力が250ミリワットの時の、RX401の受電電力情報とする。第1基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode1)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。TX402は、自装置の送電状態に基づいて、第1基準受電電力情報を受け入れるか否かを判定する。TX402は、受け入れる場合は肯定応答=ACKを、受け入れない場合は否定応答=NAKを、RX401へ送信する。
次にRX401は、TX402からACKを受信すると(F510)、TX402に負荷接続状態(最大負荷状態、送電電力が第二の閾値以上になる負荷状態)における受電電力を含む情報(以下、「第2基準受電電力情報」と呼ぶ)を送信するための処理を行う。本実施形態では、GPが5ワットであることから、第2基準受電電力情報は、TX402の送電電力が5ワットの時の、RX401の受電電力情報とする。ここで第2基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode2)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。RX401はTX402からの送電電力を5ワットまで増加させるために、正の値を含む送電出力変更指示を送信する(F511)。
TX402は上述した送電出力変更指示を受信し、送電電力の増加対応が可能な場合、ACKを応答し、送電電力の増加を行う(F512、F513)。第2基準受電電力情報は、TX402の送電電力が5ワットの時の受電電力情報であることから、TX402は、5ワットを超える電力増加要求をRX401から受信した場合は(F514)、送電出力変更指示に対してNAKを応答する。これにより、規定以上の電力送電を抑止する(F515)。
RX401は、TX402よりNAKを受信することで既定の送電電力に達したと判断すると、TX402へ負荷接続状態における受電電力を含む情報を、第2基準受電電力情報として送信する(F516)。TX402は、TX402の送電電力値、および、第1および第2基準受電電力情報に含まれる受電電力値に基づいて、負荷切断状態と負荷接続状態におけるTX402-RX401間の電力損失量を算出することが可能となる。また、それらの電力損失量の間を補間することで、TX402の取り得るすべての送電電力(本ケースでは250ミリワットから5ワット)におけるTX402-RX401間の電力損失値を算出することができる(F517)。TX402は、RX401からの第2基準受電電力情報に対してACKを送信し(F518)、Calibration処理を完了する。充電処理を開始可能と判断したTX402が、RX401に対して送電処理を開始した場合、RX401の充電が開始される。なお、送電処理の開始前に、TX402とRX401が機器認証処理を行い(F519)、相互の機器がより大きなGPに対応可能と判断した場合は、GPをより大きな値、例えば15ワットに再設定するようにしてもよい(F520)。
この場合、RX401とTX402は、TX402の送電電力を15ワットまで増加させるために、送電出力変更指示、ACK、及びNAKを使い送電出力を上げる(F521~F524)。そしてTX402及びRX401は、GP=15ワットに対して、再度Calibration処理を実施する。具体的には、RX401は、TX402の送電電力が15ワットの時の、RX401の負荷接続状態における受電電力を含む情報(以下、「第3基準受電電力情報」と呼ぶ)を送信する(F525)。TX402は、第1、第2及び第3の基準受電電力情報に含まれる受電電力に基づいてCalibrationを行う。これにより、TX402の取り得るすべての送電電力(本ケースでは250ミリワットから15ワット)におけるTX402-RX401間の電力損失量が算出される(F526)。TX402はRX401からの第3基準受電電力情報に対してACKを送信し(F527)、Calibration処理を完了する。充電処理を開始可能と判断したTX402は、RX401に対して送電処理を開始し、Power Transferフェーズに移行する(F528)。
Power Transferフェーズでは、TX402はRX401に対して、送電を行う。また、Power Loss法による、異物検出が行われる。Power Loss法ではまず、TX402は、上述したCalibrationにより、TX402による送電電力と、RX401による受電電力との差分から、異物がない状態におけるTX402-RX401間の電力損失量を算出する。当該算出された値は、送電処理中の通常状態(異物がない状態)における、基準の電力損失量に相当する。そしてTX402は、Calibration後の送電中に測定したTX402-RX401間の電力損失量が、当該通常状態の電力損失量から閾値以上はなれた場合に「異物あり」と判定する。
以上がPower Loss法の説明である。Power Loss法は、TX402からRX401への送電中に、電力損失の測定結果に基づいて異物検出を行うものである。Power Loss法での異物検出は、TX402が大きな電力を送電しているときには異物検出の精度が低下するという短所がある一方で、送電を継続しながら異物検出を行えるため送電効率を高く保てるという長所がある。
このように、Power Transferフェーズ中には、Power Loss法による異物検出を行うことができる。しかし、Power Loss法による異物検出のみでは、異物の誤検出の可能性や、異物が有るにも関わらず異物なしと判定してしまう誤判定の可能性がある。特に、Power TransferフェーズはTX402が送電を行うフェーズであり、送電中にTX402とRX401の近傍に異物が存在すると異物からの発熱等が大きくなるため、このフェーズにおける異物検出精度を向上させることが求められる。そこで、本実施形態では、異物検出精度を向上させるために、Power Loss法とは異なる異物検出方法として、波形減衰法もあわせて実施することを考える。
[波形減衰法を用いた異物検出方法]
以下では、送電波形の減衰状態に基づいて異物検出を行う方法(以下、「波形減衰法」と呼ぶ)を、図6を用いて説明する。ここで、「送電波形」とは、TX402の送電アンテナ105における電圧の波形又は電流の波形である。図6は、波形減衰法による異物検出の原理を説明する図である。ここでは、TX402からRX401への送電に係る送電波形を用いた異物検出を例に説明する。
図6において、波形は、TX402の送電アンテナ105に印加される高周波電圧の電圧値600(以下、単に「電圧値」と言う)の時間経過に伴う変化を示している。図6の横軸は時間、縦軸は電圧値を表す。送電アンテナ105を介してRX401に送電を行っているTX402は、時間T0において送電を停止する。すなわち、時間T0において、電源部102からの送電用の電力供給は停止される。TX402からの送電に係る送電波形の周波数は、所定の周波数であり、例えばWPC規格で使用される85kHzから205kHzの間の固定された周波数である。
点601は、高周波電圧の包絡線上の点であり、時間T1における電圧値である。図中の(T1、A1)は、時間T1における電圧値がA1であることを示す。同様に、点602は、高周波電圧の包絡線上の点であり、時間T2における電圧値である。図中の(T2、A2)は、時間T2における電圧値がA2であることを示す。この送電アンテナ(送電コイル)105の品質係数(Q値)は、時間T0以降の送電アンテナ105の電圧値の時間変化に基づいて求めることが可能である。たとえば、電圧値の包絡線上の点601および602における時間、電圧値および高周波電圧の周波数fに基づいて、式1によりQ値が算出される。
Q=πf(T2-T1)/ln(A1/A2) (式1)
TX402とRX401の近傍に異物が存在する場合には、このQ値が低下する。これは、異物が存在する場合には、当該異物によってエネルギーの損失が発生するためである。よって、電圧値の減衰の傾きに着目すると、異物が無い時よりも、異物が有る時の方が、異物によるエネルギーの損失が発生するため、点601と点602を結ぶ直線の傾きが急になり、波形の振幅の減衰率(減衰量)が高くなる。つまり、波形減衰法は、この点601と点602との間の電圧値の減衰状態に基づいて異物の有無の判定を行うものであり、実際に異物の有無を判定する上では、この減衰状態を表す数値の所定の指標を用いることによって判定をすることが可能となる。
例えば、上述したQ値を用いて判定を行うことができる。Q値が低くなるということは、波形減衰率(単位時間当たりの波形の振幅の減少度合い)が高くなることを意味する。あるいは、(A1-A2)/(T2-T1)から求められる点601と点602を結ぶ直線の傾きを用いて判定が行われてもよい。あるいは、電圧値の減衰状態を観測する時間(T1及びT2)が固定であるならば、電圧値の差を表す(A1-A2)や、電圧値の比(A1/A2)の値を用いて判定を行うこともできる。あるいは、送電を停止した直後の電圧値A1が一定であるならば、所定の時間経過後の、電圧値A2の値を用いて判定を行うこともできる。あるいは、電圧値A1が所定の電圧値A2になるまでの時間(T2-T1)の値を用いて判定が行われてもよい。このように、TX402は、送電が制限される期間内の少なくとも2以上の時点における送電アンテナ105の電圧を測定し、測定結果に基づいて電圧の減衰量、減衰率、及びQ値等の値を取得することで、異物の有無の判定を行うことができる。なお、TX402は、3以上の時点の電圧を測定する構成であってもよい。
以上述べたように、送電停止期間中の電圧値の減衰状態によって異物の有無は判定可能であり、その減衰状態を表す値は複数存在する。これらの減衰状態を表す値のことを、本実施形態では、「波形減衰指標」と呼ぶ。例えば、上述したように、式1で算出されるQ値は、送電に係る電圧値の減衰状態を表す値であり、「波形減衰指標」に含まれる。波形減衰指標はいずれも、波形減衰率あるいは波形減衰量に対応する値となる。なお、波形減衰法において、波形減衰率及び減衰量そのものが「波形減衰指標」として測定されてもよい。以下では、波形減衰率を波形減衰指標として用いる場合を中心に説明するが、その他の波形減衰指標を用いる場合も同様に本実施形態の内容を適用できる。
なお、図6の縦軸を、送電アンテナ105を流れる電流値としても、電圧値の場合と同様に、送電停止期間中の電流値の減衰状態が異物の有無によって変化する。そして、異物が有る場合は異物がない場合より波形減衰率が高くなる。よって、送電アンテナ105を流れる電流値の時間変化に関して、上述した方法を適用しても、異物を検出できる。すなわち、電流波形より求められるQ値、電流値の減衰の傾き、電流値の差、電流値の比、電流値の絶対値、及び所定の電流値になるまでの時間等、電流の減衰状態を表す指標を波形減衰指標として用いて、異物有無を判定し、異物を検出することができる。また、電圧値の波形減衰指標と電流値の波形減衰指標とから算出される評価値を用いて異物有無を判定するなど、電圧値の減衰状態と電流値の減衰状態の両方に基づく異物検出が行われてもよい。
なお、上記の例では、TX402が送電を一時停止した期間の波形減衰指標を測定するものとしたが、これに限定されない。例えば、TX402が電源部102から供給される電力を所定の電力レベルからそれより低い電力レベルまで一時的に下げた期間の波形減衰指標を測定するものとしてもよい。すなわち、波形減衰法においては、TX402が送電を停止または所定値まで低下させるように制限する期間における送電アンテナ105の電圧及び電流の少なくともいずれかの減衰状態に基づいて、異物検出が行われる。
波形減衰法により、送電中の送電波形に基づいて異物検出を行う方法について、図7を用いて説明する。図7では、波形減衰法による異物検出を行う際の送電波形が示され、横軸は時間を表し、縦軸は送電アンテナ105の電圧値を表す。なお、図6と同様、縦軸が送電アンテナ105を流れる電流の電流値を表すものとしてもよい。なお、図7は、波形減衰法が複数行われている場合の波形を表すが、ここでは、図7を参照し、1回の波形減衰法が行われる場合について説明する。
TX402は、送電期間中にRX401から異物検出実行要求パケット(コマンド)を受信したら、所定の期間経過後に送電を一時停止する。あるいは送電電力を一時低下させるように制限する。この、異物検出実行要求パケット(以下、「実行要求パケット」と呼ぶ)が受信されてから送電電力の制限が開始されるまでの所定の期間を、以降準備期間と呼ぶ。なお、本実施形態においては、実行要求パケットとして使用される信号は、RX401がTX402から受電した電力の大きさを表す信号であるものとする。受電した電力の大きさを表す信号は、例えば、TX402はReceived Power Packet(mode0)、Received Power Packet(mode1)、及びReceived Power Packet(mode2)等である。TX402は、これらの信号を受信した場合に、実行要求パケットを受信したものとして、波形減衰法を実施する。なお、実行要求パケットはこれに限定されず、要求のための専用のパケットが使用されてもよい。
TX402の送電制御部302は、実行要求パケットを受信すると、送電を停止、あるいは送電電力を一時低下させる。すると、送電波形の振幅は減衰する。このTX402が送電電力を一時停止、あるいは一時低下させるように制限し、送電を再開するまでの、送電が制限される送電制限期間を、以降、送電電力制御期間と呼ぶ。より具体的には、TX402がRX401に対して送電している送電波形の包絡線の傾きが、所定の値以下のマイナスの傾きとなった時から、傾きがゼロ、あるいは所定の値以上のプラスの傾きとなるまでの期間を送電電力制御期間と呼ぶ。
TX402はこの減衰波形の波形減衰指標を算出し、算出した波形減衰指標と所定の閾値を比較し、異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)を判定する。なお、この判定は、送電電力制御期間中に実施してもよいし、後述する通信禁止期間、あるいは送電期間に実施してもよい。
送電電力制御期間の経過後、異物が検出されなければ、TX402は送電を再開する。TX402が送電を開始した直後の過渡応答期間は、送電波形が安定しない。よって、この送電波形が安定しない過渡応答期間中は、RX401はTX402に対して通信(振幅変調あるいは負荷変調による通信)を行わないように制御する。また、TX402はRX401に対して通信(周波数偏移変調による通信)を行わないように制御する。以降、この通信が制限される通信制限期間を、通信禁止期間と呼ぶ。
具体的には、送電再開後の、TX402がRX401に対して送電している送電波形の包絡線の傾きが、プラスの所定の値以上となるタイミングから、通信が可能となるタイミングまでの期間を通信制限期間と呼ぶ。通信が可能となるタイミングは、RX401とTX402が通信を実施してもよいタイミング、TX402あるいはRX401がパケットを送信するタイミングである。あるいは、通信制限期間は、送電再開後の、TX402がRX401に対して送電している送電波形の包絡線の傾きがゼロとなるタイミングから、通信が可能となるタイミングまでの期間でもよい。あるいは、通信制限期間は、TX402が送電を再開するタイミング、すなわち送電制御部302が送電電力の供給を増加させるタイミングから、通信が可能となるタイミングまでの期間でもよい。あるいは、通信制限期間は、TX402がRX401から異物検出実行要求パケット(コマンド)を受信したタイミングから、通信が可能となるタイミングまでの期間でもよい。あるいは、通信制限期間は、RX401がTX402に対して異物検出実行要求パケット(コマンド)を送信したタイミングから、通信が可能となるタイミングまでの期間でもよい。
なお、この通信禁止期間中、TX402によるRX401に対する送電は行われる。通信禁止期間を経たあとの、TX402がRX401に対して送電を行う期間を、以降、送電期間と呼ぶ。
以上のように、TX402は、準備期間、送電電力制御期間、通信禁止期間、送電期間を決定する。そしてTX402は、決定した各期間に基づき所定のタイミングで減衰波形の波形減衰指標を算出し、算出した波形減衰指標と所定の閾値を比較し、異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)を判定する。以上が波形減衰法による異物検出の基本的な処理である。なお、以降の説明においては、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間を含む一連の期間を、波形減衰法における検出処理期間ともいう。
なお、検出処理期間は、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間の全てを含んでいなくてもよい。検出処理期間は、少なくとも送電電力制御期間を含む期間を表すものとする。すなわち、検出処理期間は、送電電力が制限される期間内の少なくとも2以上の時点における電圧又は電流の測定をする測定処理に係る処理期間である。また、検出処理期間は、TX402の送電制御部302により決定される。
なお、送電電力制御期間に、RX401の受電アンテナ205と共振コンデンサ211に、受電部203、充電部206、及びバッテリ207等の要素が接続されていると、減衰波形の波形減衰指標は、これらの要素による負荷の影響を受ける。すなわち、受電部203、充電部206、及びバッテリ207の状態によって、波形減衰指標が変化することになる。そのため、たとえば波形減衰指標が大きくても、それが異物による影響によるものなのか、受電部203、充電部206、バッテリ207等の状態変化によるものなのかの区別が困難になる場合がある。よって、波形減衰指標を観測して異物検出を行う場合には、RX401は上記準備期間中に第一スイッチ部209を切断してもよい。これにより、バッテリ207の影響を排除することが可能になる。あるいは、RX401は受電する電力が最小の電力となるように、上述したLight Loadの状態(軽負荷状態)となるように負荷を制御してもよい。あるいは、RX401は受電する電力が最大の受電電力となるように、あるいは、負荷に所定の閾値以上の電力が供給される状態となるように、上述したConnected Loadの状態(負荷接続状態)となるように負荷を制御してもよい。このように、負荷の状態を所定の状態にすることで、受電部203、充電部206、バッテリ207等の状態変化の影響を排除することが可能になる。
また、第二スイッチ部210をONにして短絡し、受電アンテナ205、共振コンデンサ211、及び第二スイッチ部210で形成される閉ループに電流が流れる状態にしてもよい。これにより、受電部203、充電部206、及びバッテリ207の影響を排除することが可能になる。つまり、RX401はTX402に対して実行要求パケット(コマンド)を送信したら、上記処理を実施し、第一スイッチ部209あるいは第二スイッチ部210をONにして短絡(接続)する。この状態で観測した波形の波形減衰指標を基に異物検出を行うことで、精度の高い異物検出が可能となる。
また、RX401は、上記準備期間中に、第一スイッチ部209をONにして短絡し、第二スイッチ部210をOFFにして切断した状態において、低消費電力モードに移行する、あるいは消費電力が一定になるように制御するようにしてもよい。RX401で消費される電力が一定でない場合や、大きな電力が消費される場合、減衰波形の波形減衰指標はそれらの消費電力の変動の影響を受ける。よって、それを排除するために、RX401で動作するソフトウェアアプリケーションの動作を制限・停止する、RX401が有するハードウェア機能ブロックを低消費電力モードにする、又は動作停止モードにする等を行う。これにより、RX401は自身が消費する電力を制御する。そのような状態で観測した波形の波形減衰指標を基に異物検出を行うことで、精度の高い異物検出が可能となる。
また、TX402は、RX401から実行要求パケット(コマンド)を受信したら、準備期間中に、スイッチ部108をONにして短絡する。すなわち、TX402は、送電アンテナ105、共振コンデンサ107、及びスイッチ部108で形成される閉ループに電流が流れる状態にしてもよい。これにより、電源部102、送電部103、及び通信部104の影響を排除することが可能になる。あるいは、送電アンテナと送電部の間にスイッチ(不図示)を設け、上記準備期間中に当該スイッチを切断することで電源部102、送電部103、及び通信部104の影響を排除することが可能になる。
[送電アンテナと受電アンテナの第一の結合状態を示す指標の測定方法]
無線電力伝送は、送電アンテナ105と受電アンテナ205を、電磁結合させて送電を行う。すなわち、送電アンテナ105に交流電流を流し、受電アンテナ205を貫く磁束を変化させることによって受電アンテナ205に電圧を誘起して送電を行う。送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標として、結合係数がある。例えば、送電アンテナで発生した磁束の全て(100%)が受電アンテナ205を貫く時、結合係数kは「k=1」となる。また、例えば送電アンテナ105で発生した磁束の70%が受電アンテナ205を貫く時、結合係数kは「k=0.7」となる。この場合、送電アンテナ105で発生した残り(30%)の磁束は漏れ磁束(漏洩磁束)となり、これは送電アンテナ105で発生した磁束のうち、受電アンテナ205を貫かなかった磁束である。つまり、結合状態が良好であり、結合係数の値が大きい時、TX402からRX401に送電される電力の伝送効率は高くなる。一方、結合状態が悪く、結合係数の値が小さい特、TX402からRX401に送電される電力の伝送効率は低くなる。
結合状態が悪くなる(結合係数が低くなる)要因としては、送電アンテナ105と受電アンテナ205間に異物の混入や、送電アンテナ105と受電アンテナ205の位置ずれが考えられる。送電アンテナ105と受電アンテナ205間に異物が混入すると、異物において発熱が発生する可能性がある。また、送電アンテナ105の受電アンテナ205の位置ずれが発生すると、上述したように漏れ磁束(漏洩磁束)が多くなるため、周囲に大きなノイズを発生させる可能性がある。よって、結合状態が悪い(結合係数が低い)ことを検出し、適切に制御することが求められる。本実施形態では、TX402とRX401が、上述した送電アンテナ105と受電アンテナ205間の結合状態(結合係数を含む)の測定を実施してもよい。
図16には、送電アンテナ105の等価回路と受電アンテナ205の等価回路が示されている。この場合、送電アンテナ105と受電アンテナ205間の結合状態を表す結合係数kは、以下の式で求められる。
Figure 2022191156000002
よって、例えばTX402が結合係数を算出する場合には、RX401は、測定した受電アンテナ205にかかる受電電圧V2と、予め保持している受電アンテナ205の自己インダクタンスL2の値を、TX402に通知する。そして、TX402は、測定した送電アンテナ105にかかる送電電圧V1と、予め保持している送電アンテナ105の自己インダクタンスL1の値と、V2とL2の値を用いて、kを算出することが可能となる。あるいは、RX401は、V1、L1、L2のすべて、あるいはいずれかを用いて算出される定数をTX402に通知し、TX402はこの定数とV2とを用いてkを算出してもよい。
一方、例えば、RX401が結合係数を算出する場合には、TX402は、測定した送電アンテナ105にかかる送電電圧V1と、予め保持している送電アンテナ105の自己インダクタンスL1の値を、RX401に通知する。そして、RX401は、測定した受電アンテナ205にかかる受電電圧V2と、予め保持している受電アンテナ205の自己インダクタンスL2の値と、V1とL1の値を用いて、kを算出することが可能となる。あるいは、TX402はV2、L1、L2のすべて、あるいはいずれかを用いて算出される定数をRX401に通知し、RX401はこの定数とV1とを用いてkを算出してもよい。
なお、上述した送電アンテナ105にかかる送電電圧V1は、TX402が実際に測定してもよいし、TX402が送電する送電電力の設定値から送電電圧を算出してもよいし、あるいは送電時の送電電圧設定値としてもよい。また、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧(V3とする)と、共振コンデンサ211の両端にかかる電圧から送電アンテナ105にかかる送電電圧V1を求めてもよい。この場合の送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧(V3とする)も、TX402が、送電する送電電力の設定値から算出してもよい。
また、TX402あるいはRX401が上述の測定を実施する際には、RX401は、受電アンテナ205と共振コンデンサ211の間に存在するスイッチ(不図示)をOFFにして、受電アンテナ205の端子が開放状態になるように制御してもよい。これにより、図16で示すように受電アンテナの両端が開放状態にすることが可能となる。これにより、上述の測定を実施するにあたり、共振コンデンサ211、受電部203、充電部206、バッテリ207の影響を受けることが無くなるため、より高精度に送電アンテナと受電アンテナの結合状態(結合係数)を測定することが可能となる。
また、TX402あるいはRX401が上述の測定を実施する際には、RX401の負荷が、軽負荷状態(Light Loadの状態)になるように制御してもよい。あるいは、RX401の負荷が負荷接続状態(Connected Loadの状態)になるように制御してもよい。このようにすることで、RX401の負荷の状態を一定にすることでより高精度に送電アンテナと受電アンテナの結合状態(結合係数)を測定することが可能となる。
以上では、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標として、「結合係数」を用いた。しかし、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標は、「結合係数」のみならず、結合状態を表す値は複数存在する。これらの送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す値のことを、本実施形態では、「結合状態指標」と呼ぶ。例えば、上述したような「結合係数」は「結合状態指標」に含まれる。結合状態指標はいずれも、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態に対応する値となる。結合係数以外の、その他の結合状態指標を用いる場合も同様に本実施形態の内容を適用できる。
例えば、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す結合状態指標は、以下の指数でもよい。すなわち、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧(V3とする)と、受電部203が含む回路(例えば整流器)にかかる受電電圧(V4とする)とを用いて算出される指数でもよい。あるいは、結合状態指標は、受電部203が含む回路(例えば整流器)が出力する出力電圧(V5とする)を用いて算出でもよい。この出力電圧V5は、負荷(充電部、バッテリー)に印加される電圧である。この場合、TX402が送電電圧V3をRX401に通知することで、RX401は送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標を算出することが可能となる。また、TX402は送電アンテナ105の電気特性を含む(例えばL1)定数をRX401に通知し、それに基づいてRX401は送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標を算出してもよい。
また、RX401が受電電圧V4あるいは出力電圧V5をTX402に通知することで、TX402が送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標を算出してもよい。この場合、RX401は受電アンテナ105の電気特性を含む(例えばL2)定数をTX402に通知し、それに基づいてTX402は送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標を算出してもよい。
なお、上述したように、TX402とRX401は、各電圧値や、自己インダクタンス値、あるいは送電アンテナの電気特性(例えばL1)を含む定数、受電アンテナの電気特性(例えばL2)を含む定数の情報のやり取りを行う。これら電圧値の測定のタイミングや、各情報のやり取りのタイミングについて、以下述べる。
まず、各電圧値の測定タイミングとしては、Pingフェーズに実行してもよい。Pingフェーズでは、TX402はRX401に対してDigital Pingを送信する。そして、TX402およびRX401は、上述したV1~V5のいずれかの値を測定し、メモリ106あるいはメモリ208に保持する。TX402は、RX401から通知されたV2、V4、V5いずれかの電圧値の情報が入った所定パケットを受信し、その情報をメモリに記録する。
所定パケットには、RX401の受電電圧だけでなく、受電電力を含んでもよい。また、所定パケットには、L1、L2の自己インダクタンス値、あるいは送電アンテナの電気特性を含む(例えばL1)定数、受電アンテナの電気特性を含む(例えばL2)定数の情報を含めてもよい。所定パケットとしては、Signal Strength Packetを使用できる。なお、Signal Strength Packetは、別のSignal Strength PacketでRX401の受電電力をTX402に通知してもよい。また、所定パケットは、I&Cフェーズにおける、Identification PacketまたはExtended Identification PacketまたはConfiguration Packetであってもよい。また、所定パケットは、CalibrationフェーズやPower Transferフェーズにおける、Received Power Packet(mode1)であってもよい。また、所定パケットは、Received Power Packet(mode2)、Received Power Packet(mode0)であってもよい。
以上は、TX402がDigital Ping送信時に発生する電圧値を用いる場合について述べたが、Selectionフェーズにおける、TX402がAnalog Ping送信時に発生するV1~V5のいずれかの各電圧値を用いてもよい。また、TX402あるいはRX401が上述の測定を実施する際には、RX401は共振コンデンサ211と受電部203の間にあるスイッチ210をON(短絡)にする。そして、受電アンテナ205と共振コンデンサ211で構成される回路が閉回路になるように制御してもよい。これにより、上述の測定を実施するにあたり、受電部203、充電部206、バッテリ207の影響を受けることが無くなるため、より高精度に送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指数を測定することが可能となる。
[送電アンテナと受電アンテナの第二の結合状態を示す指標の測定方法]
以下、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を示す別の指標の測定方法について述べる。図17には、送電アンテナ105と受電アンテナ205がある場合、送電アンテナ105と受電アンテナ205間の結合状態を表す結合係数kは、以下の式で求められる。
Figure 2022191156000003
ここで、Lscは、受電アンテナ205の両端を短絡させた場合の、送電アンテナ105のインダンクタンス値である。これは、例えば共振コンデンサ211と受電部203の間にあるスイッチ210をON状態(短絡)にした状態で、送電アンテナ105のインダクタンス値を測定することで、Lscを測定することができる。このとき、共振コンデンサ211と受電部203の間に直列にスイッチ(不図示)を設け、スイッチをOFF状態(開放)としてもよい。これにより、受電部203、充電部206、バッテリ207の影響を受けることが無くなるため、より高精度にLscを測定することが可能となる。送電アンテナ105のインダクタンス値Lscの測定は、送電アンテナ105に入力される入力電圧(V6)と、送電アンテナ105に流れる電流(I1)から求めることができる。また、Lopenは、受電アンテナ205の両端を開放させた場合の、送電アンテナ105のインダンクタンス値である。これは、例えば共振コンデンサ211と受電部203の間に直列にスイッチ(不図示)を設け、スイッチをOFF状態(開放状態)にする。そして、RX401は共振コンデンサ211と受電部203の間にあるスイッチ210をOFF(開放)にした状態で、送電アンテナ105のインダクタンス値を測定することで、Lopenを測定することができる。送電アンテナ105のインダクタンス値Lopenの測定は、送電アンテナ105に入力される入力電圧(V7)と、送電アンテナ105に流れる電流(I2)から求めることができる。つまり、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標(結合係数)は、受電アンテナ205の両端を短絡にした場合と、開放にした場合それぞれの、送電アンテナ105に入力される入力電圧と、送電アンテナ105を流れる電流により求められる。
また、TX402は、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧と、送電部103が含む回路(例えばインバーター)に流れる電流を基に送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標を算出してもよい。つまり、図8に記載の送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標を算出する際に用いる上述した入力電圧V6あるいはV7は、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧であってもよい。また、V6あるいはV7は、送電アンテナ105にかかる電圧であってもよいし、送電アンテナ105と共振コンデンサから成る直列共振回路の両端子にかかる電圧であってもよい。また、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧と、共振コンデンサ211の両端にかかる電圧を測定し、その結果から送電アンテナにかかる電圧を算出してもよい。つまり、送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧と、共振コンデンサ211の両端にかかる電圧の測定結果から、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態指標を求めてもよい。また、この場合の送電部103が含む回路(例えばインバーター)にかかる送電電圧も、TX402が送電する送電電力の設定値から送電電圧を算出してもよい。
また、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態を表す指標を算出する際に用いる、図17に記載の電流I1あるいはI2は、以下の電流でもよい。すなわち、送電部103が含む回路(例えばインバーター)に流れる電流であってもよいし、送電アンテナ105に流れる電流であってもよい。また、図17に記載の、受電アンテナの「OPEN」および「SHORT」の状態は、制御部201に制御される上述したスイッチで実現されてもよいし、受電部203で実現されてもよい。あるいは、「SHORT」の状態は、上述したLight Loadの状態(軽負荷状態)であってもよい。
本測定法では、TX402が入力電圧V6、V7および電流I1、I2を測定することによって、TX402が、結合状態を表す指標を算出することが可能である。つまり、RX401が測定する電圧値や、の受電アンテナ205のインダクタンス値等は必要なく、RX401からTX402に対してそれらの情報の通知は不要である。ただし、TX402が入力電圧V6および電流I1を測定するときは、RX401は受電アンテナ205が含まれる回路の両端子をOPEN(開放)にする必要がある。また、TX402が入力電圧V7および電流I2を測定する場合は、RX401は受電アンテナ205が含まれる回路の両端子をSHORT(短絡)にする必要がある。つまり、TX402が入力電圧又は電流を測定するタイミングに応じて、RX401は受電アンテナ205が含まれる回路の両端子をOPEN(開放)あるいはSHORT(短絡)になるように、適切に制御する。このタイミングは、TX402が決定してRX401に通知してもよいし、RX401が決定してTX402に通知してもよい。通知方法は、TX402が有する通信部104と、RX401が有する通信部204の間で行うWPC規格に基づく通信によって実施される。あるいは、WPC規格とは異なる規格による通信(例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、NFC(Near Field Communication)等)によって実施されてもよい。
また、TX402が電圧値V6、V7および電流値I1、I2を測定するタイミングとしては、Pingフェーズに実行してもよい。Pingフェーズでは、TX402はRX401に対してDigital Pingを送信する。よって、Digital Ping送信時に発生するV6、V7のいずれかの電圧値を測定する。また、Digital Ping送信時に発生するI1、I2のいずれかの電流値を測定する。Pingフェーズにおいて、TX402は、上述したV6、V7、I1、I2のいずれかの値を測定し、メモリ106に保持し、結合係数を算出する。
以上は、TX402がDigital Ping送信時に発生する電圧値、電流値を用いる場合について述べたが、TX402がAnalog Ping送信時に発生するV6、V7、I1、I2のいずれかの電圧値、電流値を用いてもよい。
以下において「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」と記載した場合には、上述した2つの測定方法のいずれも適用可能であることを意味する。すなわち、この場合には、「送電アンテナと受電アンテナの第一の結合状態を示す指標の測定方法」および「送電アンテナと受電アンテナの第二の結合状態を示す指標の測定方法」のいずれも適用可能である。
[送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標を用いた状態異常検出の閾値の設定方法]
送電アンテナ105と受電アンテナ205間の異物検出や、送電アンテナと受電アンテナの位置ずれの検出のような状態異常検出を行う方法を述べた。以下、「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を基に、状態異常の有無を判定するために用いる、閾値の設定方法について述べる。
まず、一つ目の閾値設定方法について述べる。送電アンテナ105と受電アンテナ205の間の状態異常を検出するために用いられる結合状態指標と比較する閾値は、状態異常が無い状態での結合状態指標を用いることができる。例えば、試験用の送電装置にRX401が載置され、かつ、試験用の送電装置の送電アンテナと受電アンテナ205間の状態異常が無い場合の、送電アンテナと受電アンテナ205の結合状態指標を閾値とすることができる。つまり、事前に測定された結合状態を示す指標をRX401はメモリに保持しており、RX401は結合状態指標をTX402に通知することで、TX402は結合状態指標を閾値とすることができる。この閾値となる結合状態指標は、RX401がTX402に対して、WPC規格で規定されるFOD Status Packet内に含めて送信してもよい。
次に、二つ目の閾値設定方法について述べる。この場合、状態異常が無い状態において測定した結合状態指標を閾値とする。すなわち、送電アンテナ105および受電アンテナ205の間に状態異常が無い状態において、TX402とRX401が、上述した「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を用いて測定した結合状態指標を閾値とする。この状態異常が無い状態を確認する方法としては、上述したPower Loss(パワーロス)法による異物検出や、Q値計測法等がある。つまり、状態異常が無い状態を確認するために、「送電アンテナと受電アンテナの結合状態の指標を測定方法」以外の「送電アンテナおよび受電アンテナの間の状態異常を検出する手段」を実行する。そして、その結果、「状態異常無し」と判定された場合に、「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を用いて結合状態指標を測定し、その測定結果を閾値とする。
たとえば、WPC規格ではNegotiationフェーズまたはRenegotiationフェーズに、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する。このQ値計測法による異物検出処理の結果、「異物無し」と判定された場合、NegotiationフェーズまたはRenegotiationフェーズ以降に「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を用いて結合状態指標を測定する。そして、その測定結果を閾値とすることで、適切な閾値を設定することが可能となる。また、Power Loss(パワーロス)法による異物検出処理は、Power Transferフェーズ中に実行されてもよい。つまり、Power Transferフェーズ中にPower Loss(パワーロス)法を実行した後に、「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を用いて結合状態指標を測定し、その測定結果を閾値としてもよい。あるいは、Selectionフェーズや、PingフェーズにQ-Factor等を用いて異物検出処理を実行してもよい。この場合には、それら異物検出処理を実行したフェーズ以降に「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」を用いて結合状態指標を測定し、その測定結果を閾値としてもよい。
次に、三つ目の閾値設定方法について述べる。図18は、この閾値の設定方法を説明するための図である。以下は、上述した「送電アンテナと受電アンテナの第一の結合状態を示す指標の測定方法」での結合状態指標算出に、受電部203が含む回路(例えば整流器)にかかる受電電圧V4あるいは、その回路が出力する出力電圧V5を用いる場合の例である。この場合、受電部203には充電部206、バッテリ207の負荷が接続されるため、この負荷の状態によって、算出される結合状態指標は変化する。よって、負荷の状態によって状態異常の有無を判定するための送電アンテナ105と受電アンテナ205間の結合状態(結合係数を含む)の閾値を設定する。その方法について、以下述べる。まず、RX401は、TX402から送電があった場合に、RX401の負荷に電力が供給されない、あるいはとても小さな電力しか供給されないような状態になるように、RX401の負荷が軽負荷状態になるように制御する。この時のTX402の送電電力をPt1とする。そして、TX402とRX402は、その状態で上述したTX402側の入力電圧およびRX401側の受電電圧の測定を実施し、入力電圧と受電電圧の情報のやり取りを行い、TX402あるいはRX401は結合状態指標を算出する。この時の結合状態指標をk1とする。この時、TX402は、TX402が送電している送電電力Pt1を認識しており、送電電力Pt1と結合状態指標k1とを関連付けるキャリブレーションポイント1800をメモリに記憶しておく。次に、RX401は、TX402から送電があった場合にRX401の負荷に最大電力が供給される、あるいは所定の閾値以上の電力が供給される状態になるように、RX401の負荷が負荷接続状態になるように制御する。この場合のTX402の送電電力をPt2とする。そして、TX402は、その状態で上述したTX402側の入力電圧およびRX401側の受電電圧の測定を実施し、TX402あるいはRX401は入力電圧と受電電圧の情報のやり取りを行い、TX402あるいはRX401は結合状態指標を算出する。この時、TX402は、送電電力Pt2と結合状態指標k2とを関連づけるキャリブレーションポイント1801をメモリに記憶しておく。続いて、TX402は、キャリブレーションポイント1800とキャリブレーションポイント1801との間を直線補間し、直線1802を作成する。直線1802は、TX402とRX401の周辺に状態異常がない状態における送電電力と結合状態指標との関係を示している。よって、TX402は直線1802から、TX402とRX401の周辺に状態異常がない状態における、送電電力値毎の結合状態指標を推定することができる。例えば、送電電力値がPt3の場合は、送電電力値Pt3に対応する直線1802上の点1803から、結合状態指標はk3であると推定することができる。そして、上記の推定結果を基に、TX402は、送電電力値毎の、状態異常の有無の判定に用いる閾値を算出することができる。例えば、ある送電電力値における状態異常無しの場合の結合状態指標の推定結果より所定値(測定誤差に対応する値)だけ大きい結合状態指標を、異物有無の判定の閾値として設定してもよい。TX402が送電電力値と結合状態指標との組み合わせを取得するためにTX402とRX401とが行うキャリブレーション処理を、以下では「結合状態測定法のCalibration処理(CAL処理)」と呼ぶ。なお、RX401は、負荷に対して電力が供給されない/軽負荷の状態となるような制御と、負荷接続状態となるような制御を、それぞれTX402に制御を行うことを通知したあとに行ってもよい。また、当該2つの制御はいずれが先に行われてもよい。なお、本実施形態で述べた、負荷毎(送電電力値毎)の状態異常有無の判定に用いる閾値を算出するための動作は、Calibrationフェーズにおいて行われてもよい。上述したように、Calibrationフェーズでは、TX402は、Power Loss法による異物検出を行う際に必要となるデータを取得する。その際、TX402は、RX401の負荷状態が軽負荷状態の場合と、負荷接続状態の場合における、電力損失に関するデータを取得する。そこで、図18におけるキャリブレーションポイント1800とキャリブレーションポイント1801の測定を、Calibrationフェーズにおける軽負荷状態と負荷接続状態の際に電力損失の測定と一緒に行ってもよい。すなわち、TX402は、RX401から第1基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき所定の処理に加えて、キャリブレーションポイント1800の測定を行う。ここで、第1基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode1)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。また、TX402は、RX401から第2基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき所定の処理に加えて、キャリブレーションポイント1801の測定を行う。ここで第2基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode2)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。よって、キャリブレーションポイント1800とキャリブレーションポイント1801の測定を行う期間を別途設ける必要がなくなるため、より短時間でキャリブレーションポイント1800とキャリブレーションポイント1801の測定を行うことができる。以上が三つ目の閾値設定方法の説明である。
四つ目の閾値設定方法について述べる。四つ目の閾値設定方法は、TX402あるいはRX401は、所定の範囲内の値を有する結合状態指標に対して、予め閾値を設定する方法である。たとえば、結合状態指標を「結合係数」とする場合、結合係数kは上述した通り、0から1の範囲内の値になる。よって、TX402あるいはRX401は、たとえば、「0≦k<0.3は状態異常有り」、「0.3≦k<0.6は状態異常の可能性有り」、「0.6≦k≦1は状態異常無し」と判定する。具体的には、予め結合係数kとその判定条件をメモリに保持しておき、それに基づいて判定を行うようにする。以上が四つ目の閾値設定方法の説明である。
また「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を用いた状態異常検出閾値の設定」においても、同様に閾値を設定してもよい。つまり、上述した、測定あるいは受信した情報に基づいて算出された「結合状態指標」より所定値(測定誤差に対応する値)だけ大きい、あるいは小さい波形減衰率を、異物有無の判定の閾値として設定してもよい。また、閾値は段階的に複数の閾値を有してもよい。そして、第一の閾値の場合は「状態異常有り」とし、第二の閾値の場合は「状態異常の可能性有り」とし、第三の閾値の場合は「状態異常無し」のように設定してもよい。
[異物検出方法として波形減衰法を用いた場合の各期間の設定方法]
以下では、本実施形態における波形減衰法における各期間の設定方法と、各期間の適切な時間長を決定する方法の例について説明する。
準備期間の決定方法について述べる。本実施形態では、準備期間は、TX402が予め決められた所定の値(時間長)を設定するものとする。しかしこれに限定されず、例えば、TX402が自身の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをRX401に通知してもよい。あるいはRX401がRX401の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをTX402に通知してもよい。あるいは、TX402とRX401でお互い通信を行い、やり取りをして所定の値(時間)を決定してもよい。あるいは、TX402が決定した最大時間長をRX401に通知し、またRX401が決定した最小時間長をTX402通知し、TX402とRX401で設定した範囲内の値(時間長)で準備期間をRX401が決定し、TX402に通知してもよい。また、このTX402とRX401の関係は逆であってもよい。準備期間を適切な時間の長さに設定することによって、送電電力制御期間の波形が乱れることを防止することが可能となる。
次に、送電電力制御期間の決定方法について述べる。本実施形態においては、送電電力制御期間は、RX401とTX402との間で交渉して決定されるものとする。交渉の方法は、例えば以下の方法である。すなわち、TX402が送電電力制御期間として設定可能な最小の時間長を決定してそれをRX401に通知する。またRX401は、送電電力制御期間として設定可能な最大の時間長を決定してそれをTX402に通知する。TX402とRX401は、互いに通知した時間長で設定可能な範囲内の時間長を決定し、送電電力制御期間として設定する。この場合、TX402とRX401で設定した範囲のうち、TX402あるいはRX401は最小の時間長を送電電力制御期間として決定するものとする。なお、交渉の内容はこれに限定されない。例えば、TX402とRX401とのうちの一方が、自身が設定可能な時間長の範囲を相手に通知し、通知された側が時間長を決定する構成でもよい。また、TX402が最大の時間長を通知し、RX401が最小の時間長を通知する構成でもよい。また、送電電力制御期間を決定するための情報が、実行要求パケット(例えば、Received Power Packet)に含まれていてもよい。
あるいは、予め決められた所定の値(時間長)が送電電力制御期間として設定されてもよい。あるいはTX402がTX402の状態に応じて所定の値(時間長)を決定して、それをRX401に通知してもよい。あるいはRX401がRX401の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをTX402に通知してもよい。あるいはTX402とRX401で設定した範囲のうち、TX402あるいはRX401は最大の時間を送電電力制御期間と決定してもよい。このようにすることで、送電波形の波形減衰状態を長時間観測できるため、高精度な異物検出が可能になる。
また、TX402から送電される送電電力と、送電電力制御期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、TX402が送電する送電電力が小さい時よりも大きい時の方が、送電電力制御期間が短くなるように決定する。送電電力制御期間を経て送電を再開すると、送電波形は送電を再開したタイミングで送電波形にリンギングが発生する。そして、送電再開直前の電力と、送電再開時の送電電力との高低差が大きければ大きいほど、大きなリンギングが発生する。よって、リンギングを小さくするためには、送電再開直前の電力と、送電再開時の送電電力との高低差を小さくすることが必要になる。これを実現するために、送電電力制御期間を短くする。これにより、送電波形減衰が少ない状態で送電が再開されるので、結果として、送電再開直前の電力と、送電再開時の送電電力との高低差が小さくなり、リンギングを抑制することが可能となる。同様に、送電電力が大きければ大きいほど、送電電力制御期間を短くすることで、送電再開直前の電力と、送電再開時の送電電力との高低差を小さくし、リンギングを抑制することが可能となる。
また、上述では、リンギングを抑制するために、送電電力が大きければ大きいほど、送電電力制御期間を短くすることについて説明した。一方で、波形減衰法における波形減衰指標の測定の精度を優先する場合は、送電電力が大きいほど、送電電力制御期間が長くなるようにしてもよい。例えば、送電電力が大きいほど、異物が存在する場合における危険性が高まるため、高精度な異物検出を求められる。したがって、送電電力が所定の値よりも大きい場合は、送電電力制御期間をより長くして減衰状態を長時間観測する。これにより、減衰状態の測定の精度があがるため減衰指標の精度も向上する。このように、波形減衰指標の測定の精度を優先する場合として、送電電力が所定の値よりも大きい場合は、小さい時よりも送電電力制御期間を長くする。なお、送電電力が大きいほど、送電電力制御期間を長くする構成であってもよい。また、送電電力の大きさに応じて、送電電力制御期間を長くするか短くするかを、ユーザによる指定などに基づいて決定する構成であってもよい。以上のように、TX402及びRX401は、送電電力の大きさに基づいて、送電電力制御期間の長さを決定することが可能である。
なお、上述では、TX402がRX401に対して送電する送電電力の大きさに基づいて、送電電力制御期間の長さを決定する場合について述べた。しかし、それに限らず、上述のTX402が送電する送電電力は、GP、MP、PPに置き換えてもよい。すなわち、TX402とRX401との間で交渉を行うことにより決定される送電電力に関する設定値の大きさに基づいて、送電電力制御期間の長さを決定してもよい。あるいは、RX401がTX402に送信する、Received Power Packet(mode0)に格納される情報に基づいて、送電電力制御期間の長さを決定してもよい。また、送電電力制御期間の長さは、Received Power Packet(mode1)やReceived Power Packet(mode2)に格納される情報に基づいて決定されてもよい。これらのReceived Power Packetには、RX401がTX402から受電した電力の大きさを示す受電電力値情報が格納されている。また、TX402が送電する送電電力は、この受電電力値情報に置き換えてもよい。
次に、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態と、送電電力制御期間の関係について述べる。TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態指標は、例えば、「送電アンテナと受電アンテナの結合状態を示す指標の測定方法」によって測定可能である。あるいは、その結合状態指標は、その他の送電アンテナと受電アンテナの結合状態測定方法によって測定を行ってもよい。
TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、送電アンテナ105と受電アンテナ205の結合状態が良好な時よりも悪い時の方が、送電電力制御期間が長くなるように決定する。ここで、「結合状態が良好な時」とは、例えば上述のように、測定した結合係数と所定の閾値を比較して「状態異常無し」と判定された場合である。また、「結合状態が悪い時」とは、例えば上述のように、測定した結合係数と所定の閾値を比較して「状態異常の可能性有り」あるいは「状態異常有り」と判定された場合である。
結合状態が悪いほど、送電アンテナ105と受電アンテナ205間に異物が混入している可能性も考えられるため、高精度な異物検出を求められる。したがって、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、送電電力制御期間をより長くして減衰状態を長時間観測する。これにより、減衰状態の測定の精度が上がるため減衰指標の精度も向上する。このように、波形減衰指標の測定の精度を優先する場合として、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、良好な時よりも送電電力制御期間を長くする。なお、結合状態が悪いほど、送電電力制御期間を長くする構成であってもよい。
また、上述では、波形減衰指標の測定の精度を向上させるために、結合状態が悪ければ悪いほど、送電電力制御期間を長くすることについて説明した。一方で、送電効率を優先する場合は、結合状態が悪ければ悪いほど、送電電力制御期間が短くなるようにしてもよい。結合状態が悪いほど、送電効率は低下する。したがって、結合状態が悪い場合は、送電電力制御期間をより短くして送電可能な期間を長く確保する。これにより、送電効率が向上する。このように、送電効率を優先する場合として、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、良好な時よりも送電電力制御期間を短くする。なお、結合状態が悪いほど、送電電力制御期間を短くする構成であってもよい。また、上述したTX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態は、TX402が送電を開始する前に測定されてもよいし、TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで複数回測定されてもよい。TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで測定を複数回実施する場合には、それぞれの測定結果に基づいて、送電電力制御期間を変更してもよい。例えば、TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで測定を3回実施し、測定した結合状態の値がすべて異なる場合、送電電力制御期間は3回変更されることになる。
また、結合状態の状態に応じて、送電電力制御期間を長くするか短くするかを、ユーザによる指定などに基づいて決定する構成であってもよい。以上のように、TX402及びRX401は、結合状態に基づいて、送電電力制御期間の長さを決定することが可能である。
次に、TX402の送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数と、送電電力制御期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数が高い時よりも周波数が低い時の方が、送電電力制御期間が長くなるように決定する。ここで、送電のために放射される電磁波の周波数とは、送電期間中に送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数である。
一般的に、電磁波の周波数は高ければ高いほど、損失は大きくなる。そのため、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高いほど、送電電力制御期間中の電磁波の減衰率は大きくなり、急峻に減衰する。一方、電磁波の周波数が低いほど、送電電力制御期間中の電磁波の減衰率は小さくなり、緩やかに減衰する。また、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高いほど、送電電力制御期間中の電磁波の波長は短くなり、より短い期間で減衰率を算出することが可能となる。一方、電磁波の周波数が低いほど、送電電力制御期間中の電磁波の波長は長くなり、減衰率を算出するにはより長い期間を要する。したがって、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低いほど、送電電力制御期間をより長くして減衰状態を長時間観測する。これにより、減衰状態の測定の精度が上がるため減衰指標の精度も向上する。このように、波形減衰指標の測定の精度を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が所定の値よりも低い場合は、周波数が高い時よりも送電電力制御期間を長くする。なお、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低いほど、送電電力制御期間を長くする構成であってもよい。
また、上述では、波形減衰指標の測定の精度を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低ければ低いほど、送電電力制御期間を長くすることについて説明した。一方で、送電効率を優先する場合は、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低ければ低いほど、送電電力制御期間が短くなるようにしてもよい。送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低ければ低いほど、電磁波の波形は安定する。一方、電磁波の周波数が高ければ高いほど、電磁波は送電アンテナ105周辺の物体等の影響を受けやすくなり、電磁波の波形が不安定になる虞がある。したがって、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高い場合は、送電電力制御期間をより長くして減衰状態を長時間観測する。これにより、減衰状態の測定の精度が上がるため減衰指標の精度も向上する。このように、波形減衰指標の測定の精度を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が所定の値よりも高い場合は、周波数が高い時よりも送電電力制御期間を長くする。なお、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高いほど、送電電力制御期間を長くする構成であってもよい。
また、上述したように、例えばWPC規格で送電のために使用される電磁波の周波数は、85kHzから205kHzの間の周波数である。上述した送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数は、85kHzから205kHzの間で変化する場合、それに応じて送電電力制御期間を制御してもよい。あるいは、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が、例えば85kHzから205kHzのような、第一の所定の周波数帯域内である場合には送電電力制御期間を第一の送電電力制御期間に設定する。そして、第一の所定の周波数帯域とは異なる第二の所定の周波数帯域内である場合には送電電力制御期間を第一の送電電力制御期間とは異なる第二の送電電力制御期間に設定するようにしてもよい。
また、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数に応じて、送電電力制御期間を長くするか短くするかを、ユーザによる指定などに基づいて決定する構成であってもよい。以上のように、TX402及びRX401は、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数に基づいて、送電電力制御期間の長さを決定することが可能である。
次に、通信禁止期間の決定方法について述べる。通信禁止期間の目的は、送電再開後は送電波形にリンギングが発生するため、リンギング発生状態においては通信を行わないようにすることで、安定した通信を実現することである。本実施形態においては、通信禁止期間は、RX401により決定され、TX402に通知されるものとする。しかしこれに限定されず、例えば、TX402がTX402の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをRX401に通知してもよい。あるいはRX401がRX401の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをTX402に通知してもよい。あるいは、TX402とRX401でお互い通信を行い、やり取りをして所定の値(時間長)を決定してもよい。
あるいは、TX402が決定した最大時間長をRX401に通知し、またRX401が決定した最小時間長をTX402通知し、TX402とRX401で設定した範囲内の値(時間長)でRX401が通信禁止期間を決定し、TX402に通知してもよい。また、このTX402とRX401の関係は逆であってもよい。この場合、TX402とRX401で設定した範囲のうち、TX402あるいはRX401は最小の時間を通信禁止期間と決定してもよい。あるいはTX402とRX401で設定した範囲のうち、TX402あるいはRX401は最大の時間を通信禁止期間と決定してもよい。また、通信禁止期間を決定するための情報が、実行要求パケット(例えば、Received Power Packet)に含まれていてもよい。
また、TX402から送電される送電電力と、通信禁止期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、TX402が送電する送電電力が小さい時よりも大きい時の方が、通信禁止期間が長くなるように決定する。送電電力制御期間を経て送電を再開すると、送電波形は送電を再開したタイミングで送電波形にリンギングが発生する。そして、送電再開時の送電電力の高低差が大きければ大きいほど、大きなリンギングが発生する。つまり、送電電力が大きければ大きいほど大きなリンギングが発生する。したがって、送電電力が大きいほど通信禁止期間を長くすることにより、リンギングが収束、あるいは十分小さくなってから通信を行うことができ、TX402とRX401の間で安定した通信を行うことが可能となる。なお、例えば通信に係る期間をできるだけ短くしたい場合等は、通信禁止期間がより短くなるようにしてもよい。以上のように、TX402及びRX401は、送電電力の大きさに基づいて、通信禁止期間の長さを決定することが可能である。
なお、上述では、TX402がRX401に対して送電する送電電力の大きさに基づいて、通信禁止期間の長さを決定する場合について述べた。しかし、それに限らず、上述のTX402が送電する送電電力は、GP、MP、PPに置き換えてもよい。すなわち、TX402とRX401との間で交渉を行うことにより決定される送電電力に関する設定値の大きさに基づいて、通信禁止期間の長さを決定してもよい。あるいは、RX401がTX402に送信する、Received Power Packet(mode0)に格納される情報に基づいて、通信禁止期間の長さを決定してもよい。また、通信禁止期間の長さは、Received Power Packet(mode1)、及びReceived Power Packet(mode2)に格納される情報に基づいて決定されてもよい。これらのReceived Power Packetには、RX401がTX402から受電した電力の大きさを示す受電電力値情報が格納されている。TX402が送電する送電電力は、この受電電力値情報に置き換えてもよい。また、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態と、通信禁止期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、送電アンテナと受電アンテナの結合状態が良好な時よりも悪い時の方が、通信禁止期間が長くなるように決定する。結合状態が悪いほど、送電アンテナと受電アンテナ間に異物が混入している可能性も考えられる。異物の混入はTX402とRX401との間の通信に対して、例えば波形のひずみを生じる等の悪影響を及ぼす可能性があるため、TX402とRX401との間の通信にエラーが発生する可能性も高くなる。したがって、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、通信禁止期間をより長くする。これにより、送電再開時の送電波形のリンギングが収束、あるいは十分小さくなってから通信を行うことができ、通信のエラーが発生する可能性が低くなる。このように、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、良好な時よりも通信禁止期間を長くする。なお、結合状態が悪いほど、通信禁止期間を長くする構成であってもよい。
また、上述では、通信の品質を向上させるために、結合状態が悪ければ悪いほど、通信禁止期間を長くすることについて説明した。一方で、通信品質を向上させるために、結合状態が悪ければ悪いほど、通信禁止期間が短くなるようにしてもよい。結合状態が悪いほど、TX402とRX401との間の通信にエラーが発生する可能性も高くなる。したがって、結合状態が悪い場合は、通信禁止期間をより短くして通信可能な期間を長く確保する。そして、結合状態が良い場合に比べて、TX402とRX401との間の通信はより低速な通信を行う。あるいは、TX402とRX401との間の通信はより大きな変調度(Modulation depth)の通信を行う。つまり、結合状態が悪い場合は、TX402は、より低速な周波数偏移変調を用いて通信データを送信する。あるいは、より大きな変調度(Modulation depth)の周波数偏移変調を用いて通信データを送信する。また、結合状態が悪い場合は、RX401は、より低速な振幅変調あるいは負荷変調を用いて通信データを送信する。あるいは、より大きな変調度(Modulation depth)の振幅変調あるいは負荷変調を用いて通信データを送信する。
これにより、通信エラーが発生する確率を低くすることができ、通信品質が向上する。このように、結合状態が所定の値よりも悪い場合は、良好な時よりも通信禁止期間を短くする。そして、TX402とRX401との間の通信は、良好な時よりも低速な通信、あるいは大きな変調度を用いた通信を行う。なお、結合状態が悪いほど、通信禁止期間を短くし、TX402とRX401との間の通信をより低速な通信、あるいはより大きな変調度を用いた通信をする構成であってもよい。
また上述では、結合状態が悪い場合は、通信禁止期間をより短くして通信可能な期間を長く確保して、かつTX402とRX401との間の通信はより低速な通信、あるいはより大きな変調度を用いた通信を行う場合について述べた。しかし、結合状態が悪い場合は、結合状態が良い場合に比べて、TX402とRX401との間の通信はより低速な通信、あるいはより大きな変調度を用いた通信を行うことのみが行われてもよい。つまり、結合状態が悪い場合は、TX402は、より低速な周波数偏移変調を用いて通信データを送信する。あるいは、より大きな変調度(Modulation depth)の周波数偏移変調を用いて通信データを送信する。また、結合状態が悪い場合は、RX401は、より低速な振幅変調あるいは負荷変調を用いて通信データを送信する。あるいは、より大きな変調度(Modulation depth)の振幅変調あるいは負荷変調を用いて通信データを送信する。これにより、通信エラーが発生する確率を低くすることができ、通信品質が向上する。
また、上述したTX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態は、TX402が送電を開始する前に測定されてもよいし、TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで複数回測定されてもよい。TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで測定を複数回実施する場合には、それぞれの測定結果に基づいて、通信禁止期間、あるいは通信の速度や通信の変調度を変更してもよい。例えば、TX402が送電を開始した後に所定のタイミングで測定を3回実施し、測定した結合状態の値がすべて異なる場合、通信禁止期間、あるいは通信の速度や通信の変調度は3回変更されることになる。また、結合状態の状態に応じて、通信禁止期間を長くするか短くするかを、ユーザによる指定などに基づいて決定する構成であってもよい。以上のように、TX402及びRX401は、結合状態に基づいて、通信禁止期間の長さを決定することが可能である。
また、TX402の送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数と、通信禁止期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数が高い時よりも周波数が低い時の方が、通信禁止期間が短くなるように決定する。ここで、「送電のために放射される電磁波の周波数」とは、送電期間中に送電アンテナ105からRX401の受電アンテナ205に対して送電のために放射される電磁波の周波数である。送電電力制御期間を経て送電を再開すると、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の送電波形は、送電を再開したタイミングで送電波形にリンギングが発生する。そして、送電波形の周波数が高ければ高いほど、大きなリンギングが発生する虞がある。つまり、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高ければ高いほど、大きなリンギングが発生する虞がある。したがって、アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高いほど通信禁止期間を長くすることにより、リンギングが収束、あるいは十分小さくなってから通信を行うことができる。このため、TX402とRX401の間で安定した通信を行うことが可能となる。このように、TX402とRX401の間の通信の安定を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が所定の値よりも高い場合は、周波数が低い時よりも通信禁止期間を長くする。なお、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高いほど、通信禁止期間を長くする構成であってもよい。
また、上述では、TX402とRX401の間の通信の安定性を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が高ければ高いほど、通信禁止期間を長くすることについて説明した。一方で、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低ければ低いほど、送電電力制御期間が長くなるようにしてもよい。送電電力制御期間を経て送電を再開すると、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の送電波形は、送電を再開したタイミングで送電波形にリンギングが発生する。そして、送電波形の周波数が低ければ低いほど、リンギングが長期間に亘って発生する虞がある。つまり、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低ければ低いほど、長期間リンギングが発生する虞がある。したがって、アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低いほど通信禁止期間を長くすることにより、リンギングが収束、あるいは十分小さくなってから通信を行うことができる。これにより、TX402とRX401の間で安定した通信を行うことが可能となる。このように、TX402とRX401の間の通信の安定を向上させるために、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が所定の値よりも低い場合は、周波数が高い時よりも通信禁止期間を長くする。なお、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が低いほど、通信禁止期間を長くする構成であってもよい。
また、上述したように、例えばWPC規格で送電のために使用される電磁波の周波数は、85kHzから205kHzの間の周波数である。上述した送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数は、85kHzから205kHzの間で変化する場合、それに応じて通信禁止期間を制御してもよい。あるいは、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数が、例えば85kHzから205kHzのような、第一の所定の周波数帯域内である場合には通信禁止期間を第一の通信禁止期間に設定する。そして、第一の所定の周波数帯域とは異なる第二の所定の周波数帯域内である場合には通信禁止期間を第一の通信禁止期間とは異なる第二の通信禁止期間に設定するようにしてもよい。
また、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数に応じて、通信禁止期間を長くするか短くするかを、ユーザによる指定などに基づいて決定する構成であってもよい。以上のように、TX402及びRX401は、送電アンテナ105から送電のために放射される電磁波の周波数に基づいて、通信禁止期間の長さを決定することが可能である。
また、送電電力制御期間と、通信禁止期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、送電電力制御期間が長くなればなるほど、通信禁止期間を長くするように決定する。上述したように、送電再開直前の電力と送電再開時の送電電力との高低差が大きければ大きいほど、大きなリンギングが発生する。送電電力制御期間が長くなるほど、送電波形の減衰も大きくなるため、結果として送電再開直前の電力と送電再開時の送電電力との高低差が大きくなり、大きなリンギングが発生する。よって、送電電力制御期間が長くなればなるほど、通信禁止期間を長く設定することで、リンギングが収束、あるいは十分小さくなってから通信を行うことができ、TX402とRX401の間で安定した通信を行うことが可能となる。以上のように、TX402及びRX401は、送電電力制御期間の長さに基づいて、通信禁止期間の長さを決定することが可能である。
次に、送電期間の決定方法について述べる。本実施形態においては、RX401により送電期間の長さが決定され、TX402に通知されるものとする。しかしながらこれに限定されず、送電期間は、TX402により予め決められた所定の値(時間長)が設定されてもよい。また、例えば、TX402がTX402の状態に応じて所定の値(時間)を決定して、それをRX401に通知してもよい。あるいはRX401がRX401の状態に応じて所定の値(時間長)を決定して、それをTX402に通知してもよい。あるいは、TX402とRX401でお互い通信を行い、やり取りをして所定の値(時間長)を決定してもよい。あるいは、TX402が送電期間として設定可能な最大の時間長を決定してそれをRX401に通知し、RX401が送電期間として設定可能な最小の時間長を決定してそれをTX402通知する。この通知に基づき、TX402とRX401で設定した範囲内の値(時間)でRX401が送電電力制御期間を決定して、その値をTX402に通知してもよい。また、このTX402とRX401の関係は逆であってもよい。
また、TX402から送電される送電電力と、送電期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、TX402が送電する送電電力が小さい時よりも大きい時の方が、送電期間が短くなるように決定する。送電電力が大きくなればなるほど、高い異物検出精度が求められる。よって、送電電力が大きくなればなるほど、送電期間を短くすることで、所定時間内の送電電力制御期間の回数を増やし、送電波形の減衰状態を観測する回数を増やして異物検出する機会を増加させることが可能となり、高精度な異物検出が可能となる。あるいは、送電電力が大きくなればなるほど、送電期間を長く設定してもよい。送電期間をより長く設定することにより、TX402からRX401に対する送電電力伝送効率を下げることなく、送電を行うことが可能になる。
なお、上述では、TX402がRX401に対して送電する送電電力の大きさに基づいて、送電期間の長さを決定する場合について述べた。しかし、それに限らず、TX402が送電する送電電力は、GP、MP、PPに置き換えてもよい。すなわち、TX402とRX401との間で交渉を行うことにより決定される送電電力に関する設定値の大きさに基づいて、送電期間の長さを決定してもよい。
また、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態と、送電期間の関係について述べる。TX402あるいはRX401は、上述した方法に加えて、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態が良好な時よりも悪い時の方が、送電期間が短くなるように決定する。結合状態が悪いほど、送電アンテナと受電アンテナ間に異物が混入している可能性も考えられるため、高い異物検出精度が求められる。
よって、結合状態が悪いほど、送電期間を短くすることで、所定時間内の送電電力制御期間の回数を増やし、送電波形の減衰状態を観測する回数を増やして異物検出する機会を増加させることが可能となり、高精度な異物検出が可能となる。あるいは、結合状態が悪くなればなるほど、送電期間を長く設定してもよい。結合状態が悪いほど、送電電力効率は低くなるが、送電期間をより長く設定することにより、TX402からRX401に対する送電電力伝送効率を下げることなく、送電を行うことが可能になる。
なお、送電期間中にTX402が実行要求パケットを受信しなかった場合、検出処理期間としての送電期間は設定されず、送電が継続される。
以上、各期間の設定方法について説明した。なお、各期間は必ずしも個別で設定されなくてもよい。例えば、送電電力制御期間を少なくとも含む検出処理期間全体の長さが決定される構成であってもよい。この場合、TX402及びRX401は、送電電力の大きさに基づいて、検出処理期間全体の長さを決定する構成であってもよい。あるいは、TX402とRX401との間で交渉を行うことにより決定される送電電力に関する設定値の大きさに基づいて、検出処理期間全体の長さを決定する構成であってもよい。あるいは、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態に基づいて、検出処理期間全体の長さを決定する構成であってもよい。
[波形減衰法における異物検出閾値の設定方法]
波形減衰法による異物検出を行う際の、異物の有無、あるいは異物存在の可能性(存在確率)を判定するための閾値の設定方法について述べる。上述したように、波形減衰法においては、波形減衰指標に基づき、異物検出を行う。本実施形態における異物検出処理では、測定した波形減衰指標と、所定の閾値を比較し、その結果に基づいて異物の有無、あるいは異物存在の可能性を判定する。この閾値の設定方法としては、以下の方法がある。
一つ目は、閾値を、送電対象となるRX401に依存しない共通の値として、予め定められた所定の値をTX402が保持する方法である。なお、これはいかなる場合においても同一の値であってもよいし、状況に応じてTX402が決定する値であってもよい。上述したように、送電電力制御期間中の送電波形は、異物が存在すると、異物が存在しない場合と比較して波形減衰率が高くなる。よって、「異物が存在しない」と考えられるときの波形減衰指標を予め所定の値として保持しておき、これを閾値として、測定された波形減衰指標の結果と比較する。測定された波形減衰指標が、閾値よりも波形減衰率が大きい結果である場合、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」と判定する。たとえば、波形減衰指標としてQ値を使用する場合、TX402が測定したQ値と、予め定められた異物が存在しないと考えられるときの所定のQ値(閾値)とを比較する。測定したQ値が閾値のQ値よりも小さい場合、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性有り」と判定する。測定したQ値が閾値のQ値よりも大きい、あるいはほぼ同等である場合、「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性は低い」と判定する。以上のようにすることで、一つ目の方法を用いて、波形減衰法による異物検出が可能となる。
二つ目は、RX401から送信される情報に基づいて、TX402が閾値を調整し、決定する方法である。上述したように、送電電力制御期間中の送電波形は、異物が存在すると、異物が存在しない場合と比較して波形減衰率が高くなる。よって、「異物が存在しない」と考えられるときの波形減衰指標を予め所定の値として保持しておき、これを閾値として、測定された「波形減衰指標」の結果と比較する。測定された波形減衰指標が、閾値よりも波形減衰率が大きい結果である場合、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」と判定する。ここで、波形減衰指標の値は、TX402に載置される、送電対象のRX401によって異なる可能性がある。これはTX402の送電アンテナ(送電コイル)を介して結合するRX401の電気特性が、波形減衰指標の値に影響を与えるからである。
たとえば、波形減衰指標をQ値とする場合、異物が存在しないときのTX402が測定するQ値は、TX402に載置されるRX401によって異なる可能性がある。よって、RX401は、RX401がTX402に異物が存在しない状態で載置された際のQ値情報をTX402毎に保持しておき、そのQ値をTX402に通知する。そして、TX402はRX401から受信したQ値情報に基づき、閾値を調整し、決定する。より具体的には、TX402は、Negotiationフェーズにおいて、Reference Quality Factor Valueの情報が入ったFOD Status Packetを受信し、Q値計測法における閾値を調整して、決定する。このReference Quality Factor Valueが、「TX402の送電可能範囲内に異物が存在しない状態でRX401が載置された際のQ値情報」に相当する。
よって、波形減衰法による異物検出における閾値も、TX402がこのReference Quality Factor Valueに基づいて調整して、決定する。なお、NegotiationフェーズにおいてRX401からTX402に送信されるReference Quality Factor Valueは、本来周波数領域でQ値を計測する、Q値計測法における異物検出に用いる情報である。しかし、「波形減衰指標」をQ値とする場合、Q値の導出方法は異なるが、時間領域でQ値を計測する波形減衰法を使用しても、例えば図6の波形から(式1)を用いてQ値を求めることが可能となる。
このため、Reference Quality Factor Valueに基づいて、波形減衰法のQ値の閾値を設定することは可能である。このようにNegotiationフェーズですでにRX401からTX402に対して送信された情報を基に、TX402が波形減衰法のQ値の閾値を設定することで、閾値設定のための新たな測定等の処理が必要なくなる。この結果、より短時間に閾値を設定することが可能となる。
TX402が測定したQ値と、上記の方法で決定した閾値を比較し、測定したQ値が閾値のQ値よりも小さい場合、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性有り」と判定する。測定したQ値が閾値のQ値よりも大きい、あるいはほぼ同等である場合、「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性は低い」と判定する。以上のようにすることで、2つ目の方法を用いて、波形減衰法による異物検出が可能となる。
三つ目は、TX402が、異物がない状態で波形減衰指標を測定し、その測定結果の情報に基づいて、TX402が閾値を調整し、決定する方法である。波形減衰指標の値は、TX402の送電電力によって異なる可能性がある。これは、TX402の送電電力の大小によって、発熱量、TX402の電気回路の諸特性等が変化し、それらが波形減衰指標の値に影響を与えるからである。よって、TX402が、送電電力毎の波形減衰指標を測定し、その結果に基づき閾値を調整し、決定することで、より高精度な異物検出が可能となる。
図11は、波形減衰法におけるTX402の送電電力毎の異物検出閾値の設定方法を説明するための図である。まず、RX401は、TX402から送電があった場合に、RX401の負荷に電力が供給されない、あるいはとても小さな電力しか供給されないような状態にし、RX401の負荷が軽負荷状態になるように制御する。この時のTX402の送電電力をPt1とする。そして、TX402は、その状態で送電を停止し、波形減衰指標を測定する。この時の波形減衰指標をδ1とする。この時、TX402は、TX402が送電している送電電力Pt1を認識しており、送電電力Pt1と波形減衰指標δ1とを関連付けるキャリブレーションポイント1100をメモリに記憶しておく。
次に、RX401は、TX402から送電があった場合にRX401の負荷に最大電力が供給される、あるいは所定の閾値以上の電力が供給される状態にし、RX401の負荷が負荷接続状態になるように制御する。この時のTX402の送電電力をPt2とする。そして、TX402は、その状態で所定の期間送電を制限し、波形減衰指標を測定する。この時、TX402は、送電電力Pt2と波形減衰指標δ2とを関連づけるキャリブレーションポイント1101をメモリに記憶しておく。
続いて、TX402は、キャリブレーションポイント1100とキャリブレーションポイント1101との間を直線補間し、直線1102を作成する。直線1102は、TX402とRX401の周辺に異物が存在しない状態における送電電力と送電波形の波形減衰指標との関係を示している。よって、TX402は直線1102から、異物がない状態における、送電電力値毎の送電波形の波形減衰指標を推定することができる。例えば、送電電力値がPt3の場合は、送電電力値Pt3に対応する直線1102上の点1103から、波形減衰指標はδ3であると推定することができる。そして、上記の推定結果を基に、TX402は、送電電力値毎の、異物有無の判定に用いる閾値を算出することが可能となる。例えば、ある送電電力値における異物なしの場合の波形減衰指標の推定結果より所定値(測定誤差に対応する値)だけ大きい波形減衰指標を、異物有無の判定の閾値として設定してもよい。TX402が送電電力値と波形減衰指標との組み合わせを取得するためにTX402とRX401とが行うキャリブレーション処理を、以下では「波形減衰指標のCalibration処理(CAL処理)」と呼ぶ。なお、上述した例では、TX402の送電電力Pt1とPt2の2ポイントの測定を行ったが、より精度を高めるために、3以上の複数のポイントで測定を実施して各送電電力の波形減衰指標を算出するようにしてもよい。
なお、RX401は、負荷に対して電力が供給されない/軽負荷の状態となるような制御と、負荷接続状態となるような制御とに関して、それぞれTX402に制御を行うことを通知したあとに行ってもよい。また、当該2つの制御はいずれが先に行われてもよい。
なお、本実施形態で述べた、負荷毎(送電電力値毎)の異物有無の判定に用いる閾値を算出するための動作は、Calibrationフェーズにおいて行われてもよい。上述したように、Calibrationフェーズでは、TX402は、Power Loss法による異物検出を行う際に必要となるデータを取得する。その際、TX402は、RX401の負荷状態が軽負荷状態の場合と、負荷接続状態の場合における、電力損失に関するデータを取得する。そこで、図11におけるキャリブレーションポイント1100とキャリブレーションポイント1101の測定を、上述したCalibrationフェーズにおいて、RX401が軽負荷状態になった時と負荷接続状態になった時に行ってもよい。すなわち、TX402は、RX401から第1基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき所定の処理に加えて、キャリブレーションポイント1100の測定を行う。また、TX402は、RX401から第2基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき所定の処理に加えて、キャリブレーションポイント1101の測定を行う。これにより、キャリブレーションポイント1100とキャリブレーションポイント1101の測定を行う期間を別途設ける必要がなくなるため、より短時間でキャリブレーションポイント1100とキャリブレーションポイント1101の測定を行うことができる。
このようにTX402が各送電電力で測定した波形減衰指標の情報を基に、TX402が各送電電力の波形減衰法の波形減衰指標の閾値を調整し、設定する。TX402は、例えば、波形減衰指標をQ値とする場合、TX402が測定したQ値と、上記の方法で決定した閾値とを比較し、測定したQ値が閾値のQ値よりも小さい場合、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性有り」と判定する。また、TX402は、測定したQ値が閾値のQ値よりも大きい、あるいはほぼ同等である場合、「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性が低い」と判定する。以上のようにすることで、TX402の各送電電力における閾値を設定することが可能となり、より高精度な異物検出が可能となる。
なお、上述した方法においては、閾値として使用される波形減衰指標は所定の値であるものとしたが、これに限定されない。例えば、閾値として使用される波形減衰指標は、所定の幅(範囲)を持った値であってもよい。この幅は、例えば減衰率の測定において想定される測定誤差に基づいて設定されてもよい。このような閾値が設定される場合、TX402は、測定により得られた波形減衰指標が、閾値として設定されている範囲内の値であった場合は、「異物無し」又は「異物が存在する可能性が低い」と判定する構成であってもよい。
[受電装置401および送電装置402の処理]
上述した内容を実行するための、RX401およびTX402の処理の流れについて図8、9を使用して説明する。図8は、TX402の処理を表すフローチャート図であり、図9はRX401の処理を表すフローチャート図である。図8、9の処理は、TX402及びRX401が有する制御部が、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
TX402は電源をONすると、上述したSelectionフェーズ、Pingフェーズを経て、RX401を検出する(S801)。TX402は、検出したRX401に対して送電を開始する(S802)。このときの送電は、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズ等において行われる送電である。
また、RX401はTX402に載置されると(S901)、Selectionフェーズ、Pingフェーズを経て、TX402により検出される。また、RX401は、TX402から送電される電力の受電を開始する(S902)。ここで受電される電力は、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズ等においてTX402から送電される電力である。
RX401は、所定の条件を満たす場合に、TX402に対して異物検出を要求することを決定する(S903でYes)。一方、RX401は、所定の条件を満たさない場合は、TX402に対して異物検出を要求しないことを決定し(S903でNo)、受電を継続する。
ここで所定の条件とは、例えば、以下の条件であるものとする。すなわち、TX402とRX401との間の通信にエラーが発生する、TX402からRX401への送電電力の低下が観測される、取得したキャリブレーションデータが異常値である、TX402あるいはRX401において温度の上昇が観測される、等である。これらの条件は、異物の存在が疑われる場合である。あるいは、所定の条件は、TX402からRX401に対して送電する送電電力をより高くする場合である。あるいは、所定の条件は、異物検出において使用する閾値を設定するための測定である、キャリブレーション(Power Loss法のCalibration処理)を実施する場合である。あるいは、所定の条件は、RX401がTX402に対して、RX401の状態(例えば、RX401が受電している受電電力等)を通知する場合である。RX401は、上述したような所定の条件を予め設定しておき、設定された所定の条件のうち少なくともいずれかが満たされた場合に、異物検出を行うと決定する。なお、所定の条件としては、上述したもの以外の条件が設定されてもよい。また、所定の条件として、上述した条件のうち任意のものが設定されてもよい。
RX401がTX402に対して異物検出を要求することを決定(S903でYes)した場合には、RX401は、異物検出処理に係る検出処理期間を決定する(S904)。検出処理期間は、準備期間、送電電力制御期間、通信禁止期間、送電期間を含む期間である。そして、RX401は、送電電力制御に関わる各期間を決定するための情報を含んだ実行要求パケットをTX402に対して送信する(S905)。ここで、本実施形態においては、実行要求パケットに含まれる情報として、例えば、送電電力制御期間の長さ、及び、通信禁止期間の長さを決定するための情報が含まれるものとする。実行要求パケットは、例えば、Received Power Packet(mode0)、あるいはReceived Power Packet(mode1)、あるいはReceived Power Packet(mode2)であってもよい。また、実行要求パケットとして個別のパケットが使用されてもよい。
TX402は、RX401から異物検出要求パケットを受信した場合(S803でYes)は、実行要求パケット内の情報に基づいて送電電力制御に関わる各期間を設定する(S804)。そして、設定された各期間に基づいて、送電電力制御を実行する(S805)。そして、波形減衰指標を測定し、その結果と上述した閾値を比較して、異物の有無、あるいは異物存在の可能性(存在確率)を判定する(S806)。そして、判定の結果、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」となった場合(S807でYes)は、TX402はRX401に対して所定のパケットでその旨を通知する(S808)。これは、TX402がRX401に対して、例えば否定応答であるNAKを送信することで実現できる。判定の結果、「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性が低い」となった場合(S807でNo)は、TX402はRX401に対して所定のパケットでその旨を通知する(S809)。これは、TX402がRX401に対して、例えば肯定応答であるACKを送信することで実現できる。そしてTX402は送電を継続する。
なおTX402は、判定の結果求められる「異物が存在する可能性」を、可能性(存在確率)のレベルに応じた指標にしてRX401に通知してもよい。例えば、測定した波形減衰指標と、設定した閾値との差分に基づいて決定される、異物が存在する確率を特定して、RX401に通知してもよい。したがって、TX402は、異物検出を行った場合、RX401に対し、異物が存在する、異物が存在しない、異物が存在する可能性がある、及び、異物が存在する確率、のうち少なくともいずれかを含む所定のパケットを送信する。
RX401は、TX402から、異物検出の判定結果を含むパケットを受信する(S906)。また、RX401は、受信した判定結果が「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」であった場合(S907でYes)、RX401はTX402に対して送電の停止を要求する送電停止コマンドを送信する(S908)。この送電停止コマンドは、EPT(End Power Transfer)コマンド(パケット)でありうる。なおこの時、TX402は、EPT(End Power Transfer)コマンド(パケット)を送信することを要求する情報を、異物検出の判定結果を含むパケットに含めて、異物検出の判定結果を含むパケットをRX401に送信してもよい。S907の判定結果が「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性が低い」であった場合(S907でNo)、RX401は所定の処理を実行する(S909)。ここで、所定の処理とは、例えば以下の処理である。すなわち、TX402からRX401に対して送電する送電電力を上げる、異物検出において使用する閾値を設定するための測定処理を実施する、及び、RX401の状態(RX401が受電している受電電力等)をTX402に通知する、等である。
TX402は、RX401から送電停止コマンドであるEPT(End Power Transfer)コマンド(パケット)を受信したら(S810)、RX401に対する送電を停止する(S811)。あるいは、S811において、TX402はRX401に対して送電する送電電力を低下させてもよい。なおこの時、TX402は、RX401所定の動作を要求する情報を、異物検出の判定結果を含むパケットに含めて、異物検出の判定結果を含むパケットRX401に送信してもよい。以上が、RX401およびTX402の処理の流れである。
<実施形態2>
実施形態1では、WPC規格に波形減衰法を用いた異物検出を行う場合の適用方法、波形減衰法を用いた場合の送電波形の各期間の設定方法、波形減衰法における異物検出閾値の設定方法について述べた。しかしながら、異物検出を行う場合、異物検出を行うための処理を1回実行するだけでは正確な異物検出を実施できない可能性もある。例えば、一回の送電電力制御を行い、その波形減衰指標から異物の有無、あるいは異物存在の可能性(存在確率)を判定する場合に、以下のような要因により適切な波形減衰指標が得られないことがありうる。例えば、送電電力制御期間に他のノイズが混入する、あるいはTX402上に載置されるRX401の位置がずれる、等の要因により、送電電力制御期間中の送電波形に乱れが生じうる。このときに、適切な波形減衰指標が得られない可能性がある。
そして、適切な波形減衰指標が得られず、結果として異物検出において誤判定をしてしまう可能性がある。
誤判定を抑制するために、本実施形態におけるTX402は、送電電力制御を複数回行い、複数の送電電力制御期間中の送電波形から波形減衰指標を測定して、その結果から異物検出を行うこととする。このような場合に、複数の波形減衰指標を測定し、その結果に基づいて異物検出を行うことによって、より確実に異物検出が可能となる。本実施形態においては、実施形態1で述べた方法を用いながら、より確実に異物検出を行うために、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合について述べる。また、その時の異物検出の判定方法についても述べる。
本実施形態における、複数の波形減衰指標を測定して異物検出を行う場合の送電波形について、図7を用いて説明する。図7に示すように、複数回の波形減衰法を実行する場合には、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間を複数回繰り返すことになる。本実施形態においては、この時の各期間は同一の長さになるように設定される。つまり、通信禁止期間については、1回目の通信禁止期間、2回目の通信禁止期間、3回目の通信禁止期間・・・、N回目の通信禁止期間は全て同一の長さに設定する。また、送電期間については、1回目の送電期間、2回目の送電期間、3回目の送電期間・・・、N回目の送電期間は全て同一の長さに設定する。また、準備期間については、1回目の準備期間、2回目の準備期間、3回目の準備期間・・・、N回目の準備期間は全て同一の長さに設定する。また、送電電力制御期間については、1回目の送電電力制御期間、2回目の送電電力制御期間、3回目の送電電力制御期間・・・、N回目の送電電力制御期間は全て同一の長さに設定する。それぞれの期間の設定方法は実施形態1で述べた通りであり、実施形態1で述べた方法に基づいて、TX402とRX401は、それぞれの期間について最適な時間を決定する。以上のように、それぞれの期間を最適な時間に設定してそれを複数回繰り返すことで、複数回の波形減衰指標を測定することが可能となる。また、各期間を最適な長さに設定し、複数回の波形減衰法において各期間を同一の長さで実行することにより、送電波形の乱れの抑制、リンギングの抑制、安定した通信を行いつつ、高精度な異物検出を実施することが可能となる。
なお、上述の例では、検出処理期間における通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間のそれぞれについて、他の検出処理期間における各期間と、期間の長さが同一になるように制御した。しかしこれに限定されない。TX402は、例えば、少なくとも送電電力制御期間を含む検出処理期間全体の長さが、他の検出処理期間の長さと同一になるように制御する構成でもよい。また例えば、TX402は、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間のうちの少なくともいずれかについて、他の検出処理期間における期間と、期間の長さが同一となるように制御する構成でもよい。
次に、上述したように、TX402が複数回の波形減衰指標(たとえばQ値)を測定した場合に、その複数の測定結果から、異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)をどのように判定するかの判定方法について述べる。TX402は、所定の複数回の送電電力制御期間に送電電力制御を行い、その送電波形の減衰状態の測定結果から、複数の波形減衰指標を得ることができる。TX402は、これら複数の波形減衰指標について、予め定められた閾値に基づく判定を行う。例えば、波形減衰指標としてQ値が使用される場合、TX402は、複数の波形減衰法において、得られた複数のQ値のうち閾値のQ値よりも小さいQ値の数が所定数よりも多い場合に、「異物あり」と判定する。また例えば、波形減衰指標として波形減衰量又は波形減衰率が使用される場合、TX402は、複数の波形減衰法において、得られた複数の指標(減衰量又は減衰率)のうち、閾値よりも大きい指標の数が所定数よりも多い場合に、「異物あり」と判定する。
なお、このときの閾値は、上限の閾値と下限の閾値を有する所定の範囲として設定されてもよい。この場合にも、複数の波形減衰法により得られた複数の指標のうち、閾値により表される所定の範囲に含まれる指標の数、又は所定の範囲に含まれない指標の数に応じて、異物の有無の判定が行われる。なお上述した「所定の数」は、送電電力制御を実行する回数に対して所定の割合を乗じた数、とする。例えば、TX402は、5回の波形減衰法が実行される場合に、所定の数として5回の40%の数(=2)を設定する。TX402は、複数の波形減衰法により複数のQ値を取得した場合、閾値のQ値よりも小さいQ値の数が2よりも大きい場合に、異物ありと判定する。なお、Q値以外の指標が使用される場合にも同様である。また、所定の数を決定するための割合は任意の数を設定可能である。また、所定の数の決定方法はこれに限定されず、任意の数を設定することが可能である。
また、TX402は、所定の閾値と比較し、異物が存在する可能性(存在確率)を求め、所定の指標で表してもよい。異物が存在する可能性(存在確率)を示す指標のことを、以下、「異物存在確率指標」と呼ぶ。たとえば、TX402は、上限の閾値と下限の閾値を有する予め定められた所定の範囲に対して、範囲内に入っている波形減衰指標の数に応じて、「異物存在確率指標」を設定し、その指標をRX401に通知する。つまり、所定の範囲内に入っている波形減衰指標の数が多いほど異物の存在確率が低い、とし、所定の範囲内に入っている波形減衰指標の数が少ないほど異物の存在確率が高い、とする。TX402は、この方法により特定される異物の存在確率の大小に応じて指標を設定して、RX401に通知する。なお、波形減衰指標の種別に応じて、判定の基準は任意に変更が可能である。また、異物存在確率指標として、異物の存在確率そのものが使用されてもよい。
あるいは、TX402は、複数の波形減衰指標それぞれに対して、所定の閾値と比較し、異物が存在する可能性(存在確率)を求め、所定の指標で表す。これにより、TX402は、異物が存在する可能性(存在確率)を示す「異物存在確率指標」を複数取得する。
そして、TX402は、複数の異物が存在する可能性(存在確率)を示す指標から、最終的な異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)を決定する。TX402は、存在確率に基づいて異物の有無を判定し、判定結果に基づく信号(例えば、ACK又はNAK)をRX401に送信する。又は、TX402は、異物の存在確率そのものを、所定のパケットを用いてRX401に通知してもよい。
また、複数の波形減衰指標、あるいは複数の異物存在確率指標の情報を、RX401がTX402から受信し、上述した判定をRX401が行ってもよい。また、上述した実施形態においては、波形減衰指標はTX402が測定結果から算出するとした。しかし、送電アンテナと受電アンテナは電磁的に結合しているため、送電波形の減衰状態はRX401でも観測は可能である。よって、波形減衰指標はRX401が測定結果から算出するようにしてもよい。また、RX401が算出した波形減衰指標を基に、上述した判定をRX401が行ってもよい。
以上のように、TX402が送電電力制御を複数回実行し、その波形減衰状態から複数の波形減衰指標を算出して、それらを用いて異物検出の判定を行うことで、より高精度な異物検出が可能となる。なお、TX402又はRX401が、波形減衰法を複数回実行するか否かを判定する構成を有していてもよい。例えば、TX402は、1回目の波形減衰法により得られた判定結果が「異物なし」であった場合は、2回目以降の波形減衰法は行わず、1回目の波形減衰法により得られた判定結果が「異物あり」であった場合は、2回目の波形減衰法を実行してもよい。また例えば、TX402は、異物の存在確率を特定し、存在確率が所定の値の範囲内である場合は、2回目の波形減衰法を実施してもよい。このとき、RX401は、TX402が特定した存在確率の値を取得し、値に応じて実行要求パケットを送信する構成であってもよい。
上述した内容を実行するための、RX401およびTX402の処理の流れについて図12、13を使用して説明する。図12は、TX402が行う処理のフローチャートであり、図13は、RX401が行う処理のフローチャートである。
TX402は電源をONすると、上述したSelectionフェーズ、Pingフェーズを経て、RX401を検出する(S1201)。TX402は、検出したRX401に対して送電を開始する(S1202)。このときの送電は、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズ等において行われる送電である。
また、RX401はTX402に載置されると(S1301)、Selectionフェーズ、Pingフェーズを経て、TX402により検出される。また、RX401は、TX402から送電される電力の受電を開始する(S1302)。ここで受電される電力は、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズ等においてTX402から送電される電力である。
RX401は、所定の条件を満たす場合に、TX402に対して異物検出を要求することを決定する(S1303でYes)。RX401は、所定の条件を満たさない場合は、TX402に対して異物検出を要求しないことを決定し(S1303でNo)、受電を継続する。ここで所定の条件とは、例えば以下の場合である。すなわち、TX402とRX401との間の通信にエラーが発生する、TX402からRX401への送電電力の低下が観測される、取得したキャリブレーションデータが異常値である、TX402あるいはRX401において温度の上昇が観測される、等である。また例えば、所定の条件は、TX402からRX401に対して送電する送電電力を高くする場合である。また例えば、所定の条件は、異物検出において使用する閾値を設定するための測定である、キャリブレーション(Power Loss法のCalibration処理)を実施する場合である。また例えば、RX401がTX402に対して、RX401の状態(RX401が受電している受電電力等)を通知する場合である。RX401は、上述した条件のうち少なくとも何れかを満たす場合に、異物検出を行うことを決定する。
RX401がTX402に対して異物検出を要求することを決定(S1303でYes)した場合には、RX401は、送電電力制御に関わる検出処理期間を、実施形態1で述べた方法で決定する(S1304)。検出処理期間は、準備期間、送電電力制御期間、通信期間、送電期間を含む期間である。そして、RX401は、検出処理期間の長さを決定するための情報を含む実行要求パケットをTX402に対して送信する(S1305)。
実行要求パケットとしては、Received Power Packet(mode0)、Received Power Packet(mode1)、あるいはReceived Power Packet(mode2)等が使用される。TX402は、RX401から異物検出要求パケットを受信した場合(S1203でYes)は、実行要求パケット内の情報に基づいて送電電力制御に関わる各期間を設定する(S1204)。また、TX402は、RX401が実行要求パケット内の情報を設定するために必要な情報を、予めRX401に対して通知することとしてもよい。すなわち、RX401は、送電電力制御に関わる各期間を設定するために必要なTX402に関連した情報をTX402から受信する。そしてTX402は、当該情報に基づいて決定した、送電電力制御に関わる各期間を設定するための情報を実行要求パケット内に含めて、実行要求パケットをTX402に送信してもよい。
TX402は、設定された各期間に基づいて、送電電力制御を実行する(S1205)。そしてTX402は、送電電力制御を、予め定められた所定の回数分完了したかを判定する(S1206)。ここで送電電力制御を実行する回数は、予めTX402が決定してもよいし、予めRX401が決定し、それをTX402に通知することとしてもよい。また、予めTX402が決定する場合は、それをRX401に通知することとしてもよい。次に、TX402は、送電電力制御が所定の回数分完了していない、と判定した場合(S1206でNo)には、TX402はRX401に対して、所定の信号を送信する(S1207)。所定の信号は、例えばND(Not-Defined)パケットでありうる。TX402は、所定の信号を送信することにより、所定の回数の送電電力制御が未完了であることと、追加の実行要求パケットを送信するようにRX401に要求することとをRX401に通知することが可能になる。
RX401は、受信したパケットより、所定の回数の送電電力制御が完了したかを表す所定の信号を受信(S1306)する。また。RX401は、所定の回数の送電電力制御が完了していないことを表す情報を取得した場合(S1307でNo)、S1304に戻り、再度送電電力制御を行う。このときS1304において、RX401は前回の送電電力制御実行時に設定した送電電力制御に関わる各期間と同一の長さを、今回行う送電電力制御に関わる各期間の長さに設定する。つまり、TX402は、例えば2回目の送電電力制御に関わる各期間の長さは、1回目の送電電力制御に係る各期間の長さと同一となるように設定する。そして、RX401は、送電電力制御に関わる各期間を含んだ実行要求パケットを再度TX402に対して送信する(S1305)。この実行要求パケットは、例えばReceived Power Packet(mode0)、あるいはReceived Power Packet(mode1)、あるいはReceived Power Packet(mode2)でありうる。
TX402は、RX401から2回目の異物検出要求パケットを受信した場合(S1203でYes)は、実行要求パケット内の情報に基づいて再度送電電力制御に関わる各期間の長さを設定する(S1204)。そして、設定された各期間の長さに基づいて、送電電力制御を実行する(S1205)。そしてTX402は、送電電力制御を、予め定められた所定の回数分完了したかを判定する(S1206)。ここで、まだTX402が、送電電力制御が所定の回数分完了していない、と判定した場合(S1206でNo)には、再度S1203以降の処理を繰り返す。
TX402の送電電力制御が所定の回数分完了した場合、TX402はS1206でYesに進む。そしてS1208で、TX402はRX401に所定の回数の送電電力制御が完了したことを示す情報を含むパケットを送信する。RX401は、S1306において前記パケットを受信し、当該パケットの情報から、所定の回数の送電電力制御が終了したと判定し、S1307においてYesに進む。以上のようにTX402とRX401を制御することにより、少なくとも予め定められた所定の回数分の送電電力制御においては、送電電力制御に関わる各期間の長さは同一となるように設定される。
次に、S1209は複数回分の波形減衰指標等の結果から、異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)を判定する。この詳細な判定方法については、上述したとおりである。そして、判定の結果、「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」となった場合(S1210でYes)は、TX402はRX401に対してその旨を所定のパケットで通知する(S1211)。
これは、TX402がRX401に対して、否定応答であるNAKを送信することで実現できる。判定の結果、「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性が低い」となった場合(S1210でNo)は、TX402はRX401に対してその旨を所定のパケットで通知する(S1212)。これは、TX402がRX401に対して、例えば肯定応答であるACKを送信することで実現できる。そしてTX402は送電を継続する。なおTX402は、判定の結果求められる「異物が存在する可能性」を、可能性(存在確率)のレベルに応じた所定の指標で表し、その指標を含む所定のパケットをRX401に送信してRX401に通知してもよい。RX401は、TX402から、異物検出の判定結果を含むパケットを受信する(S1308)。また、RX401は、受信した判定結果が「異物有り」あるいは「異物が存在する可能性が高い」であった場合(S1309でYes)、RX401はTX402に対してEPTコマンド(パケット)を送信する(S1310)。
S1309の判定結果が「異物無し」あるいは「異物が存在する可能性が低い」であった場合(S1309でNo)、RX401は所定の処理を実行する(S1311)。ここで、所定の処理とは、例えば以下の処理である。すなわち、TX402からRX401に対して送電する送電電力を高くする、異物検出において使用する閾値を設定するための測定であるキャリブレーションを実施する、等である。あるいは、所定の処理は、RX401がTX402に対して、RX401の状態(RX401が受電している受電電力等)を通知する、等である。TX402は、RX401から送電停止コマンドであるEPT(End Power Transfer)コマンド(パケット)を受信したら(S1213)、RX401に対する送電を停止する(S1214)。あるいは、S1214において、TX402はRX401に対して送電する送電電力を低下させてもよい。
なお、上述した実施形態では、TX402は、複数回の送電電力制御を行うにあたり、検出処理期間を決定するための情報を毎回RX401から通知を受けて設定を行った。しかしこれに限定されず、TX402はRX401から毎回通知を受けるのではなく、初回の送電電力制御を行うまでに、1回だけ通知を受ける構成としてもよい。たとえば、RX401はTX402に1回だけ検出処理期間の長さを決定するための情報を送信し、TX402はその情報に従って、TX402が決定した所定の回数分の検出処理期間の長さを設定してもよい。またTX402は、複数回の送電電力制御を行うにあたり、実行要求パケットを毎回RX401から通知を受けて設定を行った。しかし、RX401から毎回通知を受けるのではなく、初回の送電電力制御を行うまでに、1回だけ通知を受ける構成としてもよい。たとえば、RX401はTX402に1回だけ実行要求パケットを送信し、TX402はそれに従って、TX402が決定した所定の回数分の送電電力制御を実行してもよい。
また、TX402は、RX401から取得される情報に基づいて、検出処理期間の長さを決定するものとしたが、これに限定されない。例えば、TX402は、検出処理期間に含まれる各期間のうち少なくともいずれかを、予め決められた検出処理期間の長さで、送電電力制御を行ってもよい。ただし、TX402がRX401から実行要求パケットを受信するごとに送電電力制御を行う構成である場合は、実行要求パケットを受信するタイミングに応じて、検出処理期間の長さが変動する可能性がある。例えば、TX402が、送電期間において実行要求パケットを受信するタイミングが毎回異なると、送電期間も変動しうる。よって、この構成の場合は、RX401は、複数の検出処理において検出処理期間が同一となるように、実行要求パケットを送信するように制御する。例えば、複数回の検出処理が行われる場合に、RX401は、一定の間隔で実行要求パケットを送信する。
このときの間隔は、TX402が検出処理を行うための検出処理期間と同一の長さの間隔であるものとする。このように、検出処理期間が変動しうる場合にも、RX401が実行要求パケットを送信するタイミングを制御することにより、検出処理期間の長さを一定にすることができる。
また、実行要求パケットには、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間のそれぞれを決定するための情報を全て含む必要はない。例えば、実行要求パケットには、送電電力制御期間を決定するための情報が含まれ、それ以外の期間については、TX402に対して予め決定された値が使用されるようにしてもよい。また例えば、実行要求パケットには、通信禁止期間を決定するための情報が含まれ、それ以外の期間については、TX402に対して予め決定された値が使用されるようにしてもよい。このように、実行要求パケットには、各期間のうち任意の期間について、期間の長さを決定するための情報が含まれうる。また、実行要求パケットに、検出処理期間全体の長さを決定するための情報が含まれる構成でもよい。
<実施形態3>
実施形態2では、送電電力制御に関わる各時間を同一にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合について述べた。本形態では、送電電力制御に関わる各時間を異なる値(時間)にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合について述べる。
波形減衰法による異物検出を行う場合、異物検出を行うための処理を1回実行するだけでは正確な異物検出を実施できない可能性があることは、実施形態2で述べたとおりである。そのため、異物検出を行うための処理を複数回実行し、複数の結果から異物を判定することで、より確実な異物検出を実現する。実施形態2では、送電電力制御に関わる各時間を、それぞれ最適な値(時間長)に設定して複数回繰り返すことで、高精度な異物検出を実現した。
しかしながら、実施形態2の方法の場合、複数回の送電電力制御を行う間の送電波形が周期的になるため、特定の周波数帯においてノイズが発生しうる、という課題がある。周期的な波形は、基本波と、高調波に分離されるため、特定の複数の周波数帯において電力の大きな電磁波が観測されることになる。つまり、複数の送電電力制御において、複数の検出処理期間をそれぞれ同一の長さに設定して複数回繰り返すと、送電に使用する周波数帯である、85kHzから205kHzの間の周波数以外にも、特定の周波数帯で電力の比較的大きな電磁波が発生しうる。このとき、例えばTX402からRX401に対して送電する電力が所定値よりも低い場合には、特定周波数帯での電磁波もそれほど大きくならず、問題が生じないケースもある。したがって、送電電力が所定値よりも低い場合は、実施形態2で説明したように、複数の検出処理期間を最適な同一の時間長に設定することで、高精度な異物検出を行うことができる。しかしながら、例えば送電電力が所定値よりも高い場合等は、発生した電磁波が、例えばその他の機器に対して誤動作等を招くノイズになる可能性がある。また、各国の電波法においては、各周波数帯での電力に対して規制値が設定されているが、送電状態によっては、85kHzから205kHzの間の周波数以外に発生する電磁波が、上述した規制値以上になってしまうことも考えられる。
上述したような実施形態2の方法の欠点を補うために、本実施形態では、送電電力制御に関わる各時間は異なる長さになるように制御する。以下、詳細について述べる。本実施形態における、複数の波形減衰指標を測定して異物検出を行う場合の送電波形について、図7を用いて説明する。図7に示すように、複数回の波形減衰指標を測定する場合には、通信禁止期間、送電期間、準備期間、送電電力制御期間を複数回繰り返すことになる。本実施形態においては、この時の各期間は異なる長さになるように設定される。つまり、通信禁止期間については、1回目の通信禁止期間、2回目の通信禁止期間、3回目の通信禁止期間・・・、N回目の通信禁止期間は全て異なる長さに設定される。あるいは、少なくとも1つの通信禁止期間が、その他の通信禁止期間と異なる長さとなるように設定されてもよい。また、送電期間については、1回目の送電期間、2回目の送電期間、3回目の送電期間・・・、N回目の送電期間は全て異なる長さに設定される。あるいは、少なくとも1つの送電期間が、その他の送電期間と異なる長さとなるように設定されてもよい。また、準備期間については、1回目の準備期間、2回目の準備期間、3回目の準備期間・・・、N回目の準備期間は全て異なる長さに設定される。あるいは、少なくとも1つの準備期間が、その他の準備期間と異なる長さとなるように設定されてもよい。また、送電電力制御期間については、1回目の送電電力制御期間、2回目の送電電力制御期間、3回目の送電電力制御期間・・・、N回目の送電電力制御期間は全て異なる長さに設定される。あるいは、少なくとも1つの送電電力制御期間が、その他の送電電力制御期間と異なる長さとなるように設定されてもよい。
なお、上述の例では、各期間の長さについて、それぞれ異なる長さとなるように設定したが、これに限定されない。例えば、検出処理期間に含まれる少なくとも一つの期間の長さが、他の検出処理期間における期間の長さと異なる長さとなるように制御されてもよい。また、検出処理期間全体の長さが、他の検出処理期間の長さと異なる長さとなるように設定されてもよい。
それぞれの期間の設定方法は実施形態1、2で述べた方法を適用可能である。例えば、実施形態1で述べた方法に基づいて、TX402とRX401は、それぞれの期間の最適な長さが決定される。ただし、検出処理期間の長さを異ならせるためには、必ずしも毎回最適な期間の長さとする必要はない。例えば、1回目の異物検出の際は、実施形態1で述べた方法により検出処理期間の長さが決定され、2回目以降は、1回目の検出処理期間とは異なる長さとなるように調整された検出処理期間が決定されるようにしてもよい。また、このときの期間の長さの調整方法は、任意の方法により行われてよい。
また例えば、TX402は、RX401から受信される実行要求パケットに含まれる情報に基づいて、検出処理期間を決定する。この場合、RX401は、検出処理期間の長さを決定するための情報を含む実行要求パケットをTX402に送信するが、この情報により表される検出処理期間の長さは、検出処理ごとに異なる長さとなる。
以上のように、それぞれの期間を、異なる値(時間長)に設定してそれを複数回繰り返すことで、特定の周波数帯におけるノイズを抑制して、高精度な異物検出を実施することが可能となる。
上述した内容を実行するための、RX401およびTX402の処理の流れについて図14、15を使用して説明する。図14はTX402が行う処理のフローチャートであり、図15はRX401が行う処理のフローチャートである。
大部分は実施形態2で述べた図12の送電装置のフローチャート図と、図13の受電装置のフローチャート図と同様であるため、同一部分に関しては説明を省略し、異なる部分のみ説明する。実施形態2と異なる点は、図15のRX401のフローチャート図におけるS1504である。送電電力制御に関わる各時間を決定する際に、前回の送電電力制御に関わる時間とは異なる時間を設定する。例えば、2回目の送電電力制御を実行する場合には、1回目の送電電力制御時に設定した送電電力制御に関わる各時間とは異なる時間を設定する。
例えば、TX402とRX401の間で通信をして情報のやり取りを行い、送電電力制御に関わる各時間の最大値(最大時間)と最小値(最小時間)を決定する。RX401は、決定された送電電力制御に関わる各時間の最大値(最大時間)と最小値(最小時間)の範囲内において、前回の送電電力制御に関わる時間とは異なる時間を設定するようにする。このようにすることで、実施形態1で述べたように、送電波形の乱れの抑制、リンギングの抑制、安定した通信を行いつつ、高精度な異物検出を実施することが可能となり、かつ、特定の周波数帯において発生する大きなノイズを抑制することも可能となる。
そしてS1505で、RX401はTX402に対して、送電電力制御に関わる各時間を含んだ実行要求パケットを送信する。一方TX402は、RX401から送信される前記実行要求パケットを受信し(S1403でYes)、実行要求パケット内の情報に基づいて送電電力制御に関わる各時間を設定する。このときの送電電力制御に関わる各時間は、前回の送電電力制御に関わる時間とは異なる時間を設定することになる。以上のようにTX402とRX401を制御することにより、少なくとも予め定められた所定の回数分の送電電力制御においては、送電電力制御に関わる各期間の長さは、前回の送電電力制御に関わる各期間とは異なる時間が設定される。
以上のようにすることで、送電電力制御を複数回実行する場合において、送電波形が周期的にならないため、特定の周波数帯において大きなノイズが発生することなく、異物検出を実行することが可能となる。なお、上述した方法により行われた複数回の異物検出かにより得られる波形減衰指標から、異物の有無、あるいは異物が存在する可能性(存在確率)をどのように判定するかの判定方法については、実施形態2で述べた判定方法を、本実施形態にも適用可能である。また、本実施形態は、実施形態2と比較して、複数の検出処理期間の長さが異なるという点において異なる。したがって、実施形態2と異なる点以外の構成については、実施形態2の構成を適用することが可能である。
また、上述したフローチャートでは、RX401が実行要求パケットを送る毎に異物検出が実行される。しかしながらこれに限定されず、例えば、最初の1回のみ実行要求パケットが送信される構成でもよい。この場合、例えば実行要求パケットに、複数回の異物検出に係る検出処理期間の長さを特定するための情報が含まれていてもよい。
また、TX402は、RX401から取得される情報に基づいて、検出処理期間の長さを決定するものとしたが、これに限定されない。例えば、TX402は、検出処理期間に含まれる各期間のうち少なくともいずれかを、予め決められた検出処理期間の長さで、送電電力制御を行ってもよい。ただし、TX402がRX401から実行要求パケットを受信するごとに送電電力制御を行う構成である場合は、実行要求パケットを受信するタイミングに応じて、検出処理期間の長さが変動する可能性がある。例えば、TX402が、送電期間において実行要求パケットを受信するタイミングが毎回異なると、送電期間も変動しうる。よって、この構成の場合は、RX401は、複数の検出処理において検出処理期間が異なる長さとなるように、実行要求パケットを送信するように制御する。例えば、複数回の検出処理が行われる場合に、RX401は、検出処理期間が異なる長さとなるように、ランダムな間隔で実行要求パケットを送信する。このように、RX401が実行要求パケットを送信するタイミングを制御することにより、複数の検出処理の検出処理期間を異なる長さにすることができる。
<実施形態4>
実施形態2では、送電電力制御に関わる各時間を同一にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合について述べた。実施形態3では、送電電力制御に関わる各時間を異なる値(時間)にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合について述べた。本実施形態では、実施形態2で述べた方法と、実施形態3で延べた方法を、所定の条件になった場合に切り換える方法について述べる。
実施形態2で述べた、送電電力制御に関わる各時間を同一にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合は、TX402は、送電電力制御に関わる各時間を最適な値に設定し、複数回の送電電力制御を行う。このため、実施形態2は、実施形態3の場合に比べて、より高精度な異物検出が可能となる、より短時間で異物検出が可能となる、より安定した通信が可能となる、より高速な通信が可能となる等の効果がある。一方で、実施形態3で述べた、送電電力制御に関わる各時間を異なる値(時間)にし、複数回の波形減衰法による異物検出を行う場合は、実施形態2の場合に比べて、特定の周波数帯でのノイズを抑制することが可能となるという効果がある。
ここで、たとえばTX402からRX401に対して送電する電力が所定値よりも低い場合には、実施形態2の方法を用いても、特定周波数帯でのノイズはそれほど大きくならず、問題が生じないケースもある。よって、TX402からRX401に対して送電する電力が所定値よりも低い場合は、実施形態2の方法を用い、TX402からRX401に対して送電する電力が所定値よりも高い場合には、実施形態3の方法を用いるようにしてもよい。
また例えば、上述したTX402の送電アンテナとRX401の受電アンテナの結合状態が一定以上強く、アンテナ間から漏洩する電力が基準よりも少ないと判断される場合には、実施形態2の方法を用いてもよい。なぜなら、特定周波数帯でのノイズが問題とならないケースもあるからである。よって、TX402の送電アンテナとRX401の受電アンテナの結合状態の強さが基準を満たし、漏洩電力が基準よりも小さい場合は、TX402は実施形態2の方法を用いるとする。一方、TX402の送電アンテナとRX401の受電アンテナの結合状態の強さが基準を満たさず、漏洩電力が基準よりも大きい場合には、TX402は実施形態3の方法を用いるとする。
なお、このTX402の送電アンテナとRX401の受電アンテナの結合状態の強さは、以下の2通りにより変動し得る。一つ目は、TX402の送電アンテナとRX401の受電アンテナの本来の性能に関する要因である。たとえば、TX402の送電アンテナの大きさ(アンテナ径)と、RX401の受電アンテナの大きさ(アンテナ径)との差が大きいほど、結合が弱くなる可能性がある。TX402の送電アンテナと、RX401の受電アンテナは複数の種類が存在するので、TX402が実施する検出処理期間は、TX402に載置されるRX401によって、実施形態2の方法と実施形態3の方法を切り替えるようにしてもよい。
二つ目は、TX402に載置されるRX401の位置ずれに関する要因である。例えばRX401が、何らかの理由で初期位置から位置がずれると、送電アンテナと受電アンテナの相対位置に変化が生じ、結果としてアンテナ間の結合が位置ずれの前よりも弱くなる可能性がある。よって、TX402あるいはRX401は、TX402とRX401の相対位置の変化を検知した場合に、TX402が実施する送電電力制御に関わる時間設定は、実施形態2の方法と実施形態3の方法を切り替えるようにしてもよい。TX402とRX401の相対位置の変化を検知する方法としては、TX402あるいはRX401に実装される光電センサ、渦電流式変位センサ、接触式変位センサ、超音波センサ、画像判別センサ、重量センサ等のセンサによる測定結果を用いる方法がある。またあるいは、時間領域で測定したTX402アンテナあるいはRX401アンテナのQ値、あるいは周波数領域で測定したTX402アンテナあるいはRX401アンテナのQ値の変化を観測してもよい。あるいは、TX402の送電アンテナ105とRX401の受電アンテナ205間の結合状態(たとえば結合係数)の変化を観測してもよい。
位置ずれの検出に使用されるQ値を測定する方法としては、例えば以下の方法がある。すなわち、共振周波数の信号(例えば、正弦波、矩形波等)を送信し、当該共振周波数におけるQ値を測定する方法がある。あるいは、共振周波数近傍の複数の周波数の信号を複数回送信し、それらのQ値を測定する。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数のすべての周波数成分、あるいは一部の周波数成分を有する信号(例えば、パルス波)を1回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数におけるQ値を測定する。あるいは、送電アンテナの共振周波数、共振曲線の鋭さ、あるいは送電アンテナのインダクタ値や、送電アンテナと送電装置上に載置される物体との結合係数、送電装置の送電アンテナを含む送電部の電気的特性等の測定結果を用いてもよい。また、それらは一つの周波数における電気的特性の測定結果を基に判定してもよいし、複数の周波数における電気的特性の測定結果を基に判定してもよい。なお、複数の周波数における電気的特性を測定するための方法としては、電気的特性を測定したい各周波数の信号(例えば、正弦波、矩形波等)を複数回送信し、各々の周波数の信号における電気的特性を測定することで実現可能である。この方法は、送電装置での演算処理を比較的少なくして測定ができるという効果がある。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数のすべての周波数成分を有する信号(例えば、パルス波)を1回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数における電気的特性を算出することができる。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数の一部の周波数成分を有する信号を複数回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数における電気的特性を算出することができる。この方法は、測定のための信号を送信する回数を少なくすることができるため、比較的短時間で測定ができるという効果がある。あるいは、RX401がTX402から受電する電力の値の変化を観測して、TX402とRX401の相対位置の変化を検知してもよい。
また、TX402とRX401とが、WPC規格とは異なる規格の無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、NFC(Near Field Communication)等)を行う場合がありうる。この場合、実施形態1の方法を用いると、TX402の送電電力制御で発生するノイズが通信に悪影響を及ぼす可能性がある。よって、TX402とRX401が通信を行わない場合は実施形態1の方法を用い、TX402とRX401が通信を行う場合は実施形態2の方法を用いるようにしてもよい。あるいは、TX402とRX401がWPC規格とは異なる規格の無線通信を行わない場合は実施形態2の方法を用い、TX402とRX401がWPC規格とは異なる規格の無線通信を行う場合は実施形態3の方法を用いるようにしてもよい。
また、上述したような場合において、実施形態1の方法、実施形態2の方法と実施形態3の方法との使い分けが行われるが、このときに使用する方法の決定は、TX402及びRX401のどちらで行われてもよい。
<その他の実施形態>
上述した実施形態1~4の内容は、任意に組み合わせて実施されてもよい。また、上述した実施形態においては、TX402が送電電力制御を行い、その波形減衰指標から異物検出を行った。波形減衰指標の一つであるQ値を測定するその他の方法としては、例えば以下の方法がある。すなわち、複数の周波数成分を有する信号(例えば、パルス波)を送信し、その波形の振幅あるいは減衰状態等を測定し、結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことでQ値を測定する。この方法を上記の実施形態に適用することも可能である。
また、上述した実施形態は、RX401及びTX402とは異なる装置により行われてもよい。例えば、TX402が送電を制限する期間における電圧又は電流の測定、及び、測定結果に基づく異物の有無の判定、の少なくともいずれかが、他の装置により行われてもよい。また、検出処理期間の時間長の決定が、他の装置により行われてもよい。また、他の装置が、上述した実施形態で説明した処理をRX401及びTX402に実施させるように制御してもよい。
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC等)によっても実現可能である。また、そのプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
また、図8、9、12~15に示すフローチャートの少なくとも一部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのプログラムからFPGA上に自動的に専用回路を生成すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。
また、送電装置および受電装置は例えば、撮像装置(カメラやビデオカメラ等)やスキャナ等の画像入力装置であってもよいし、プリンタやコピー機、プロジェクタ等の画像出力装置であってもよい。また、ハードディスク装置やメモリ装置などの記憶装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォンなどの情報処理装置であってもよい。
また、本開示の受電装置は、情報端末機器でもよい。例えば、情報端末機器は、受電アンテナから受けた電力が供給される、情報をユーザに表示する表示部(ディスプレイ)を有している。なお、受電アンテナから受けた電力は蓄電部(バッテリ)に蓄積され、そのバッテリから表示部に電力が供給される。この場合、受電装置は、送電装置とは異なる他の装置と通信する通信部を有していてもよい。通信部は、NFC通信や、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。
また、本開示の受電装置が自動車などの車両であってもよい。例えば、受電装置である自動車は、駐車場に設置された送電アンテナを介して充電器(送電装置)から電力を受けとるものであってもよい。また、受電装置である自動車は、道路に埋め込まれた送電アンテナを介して充電器(送電装置)から電力を受けとるものでもよい。このような自動車は、受電した電力はバッテリに供給される。バッテリの電力は、車輪を駆動する発動部(モータ、電動部)に供給されてもよいし、運転補助に用いられるセンサの駆動や外部装置との通信を行う通信部の駆動に用いられてもよい。つまり、この場合、受電装置は、車輪の他、バッテリや、受電した電力を用いて駆動するモータやセンサ、さらには送電装置以外の装置と通信を行う通信部を有していていもよい。さらに、受電装置は、人を収容する収容部を有していてもよい。例えば、センサとしては、車間距離や他の障害物との距離を測るために使用されるセンサなどがある。通信部は、例えば、全地球測位システム(Global Positioning System、Global Positioning Satellite、GPS)に対応していてもよい。また、通信部は、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。また、車両としては、自転車や自動二輪車であってもよい。
また、本開示の受電装置は、電動工具、家電製品などでもよい。受電装置であるこれらの機器は、バッテリの他、バッテリに蓄積された受電電力によって駆動するモータを有していてもよい。また、これらの機器は、バッテリの残量などを通知する通知手段を有していてもよい。また、これらの機器は、送電装置とは異なる他の装置と通信する通信部を有していてもよい。通信部は、NFCや、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。
また、本開示の送電装置は、自動車の車両内で、無線電力伝送に対応するスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末機器に対して送電を行う車載用充電器であってもよい。このような車載用充電器は、自動車内のどこに設けられていてもよい。例えば、車載用充電器は、自動車のコンソールに設置されてもよいし、インストルメントパネル(インパネ、ダッシュボード)や、乗客の座席間の位置や天井、ドアに設置されてもよい。ただし、運転に支障をきたすような場所に設置されないほうがよい。また、送電装置が車載用充電器の例で説明したが、このような充電器が、車両に配置されるものに限らず、電車や航空機、船舶等の輸送機に設置されてもよい。この場合の充電器も、乗客の座席間の位置や天井、ドアに設置されてもよい。
また、車載用充電器を備えた自動車等の車両が、送電装置であってもよい。この場合、送電装置は、車輪と、バッテリとを有し、バッテリの電力を用いて、送電回路部や送電アンテナにより受電装置に電力を供給する。
<その他>
上述した実施形態の開示は、以下の構成、方法、及びプログラムを含む。
(構成1)
アンテナを使用して受電装置へ無線により送電する送電手段と、
前記送電手段により前記受電装置へ送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における前記アンテナにおける電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する測定処理を行う測定手段と、
前記測定手段により第1の測定処理と第2の測定処理とが行われる場合、前記第1の測定処理に係る処理期間と、前記第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御する制御手段と
を有することを特徴とする送電装置。
(構成2)
前記受電装置と通信を行う通信手段を有し、
前記測定手段は、前記通信手段により前記受電装置から所定の信号が受信されたことに応じて、前記測定処理を行う
ことを特徴とする構成1に記載の送電装置。
(構成3)
前記測定手段は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されるごとに前記測定処理を行う
ことを特徴とする構成2に記載の送電装置。
(構成4)
前記測定手段は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されたことに応じて、前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の前記測定処理を行う
ことを特徴とする構成2又は3に記載の送電装置。
(構成5)
前記所定の信号は、前記送電制限期間を決定するための情報を含む
ことを特徴とする構成2乃至4のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成6)
前記所定の信号は、前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を決定するための情報を含む
ことを特徴とする構成2乃至5のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成7)
前記所定の信号は、前記受電装置が前記送電装置から受電した電力の大きさを示す信号である
ことを特徴とする構成2乃至6のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成8)
前記制御手段は、前記所定の信号に基づいて前記処理期間の長さを決定する
ことを特徴とする構成2乃至7のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成9)
前記処理期間は、前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を含み、
前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る通信制限期間と前記第2の測定処理に係る通信制限期間とが同一の長さとなるように制御する
ことを特徴とする構成2乃至8のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成10)
前記処理期間は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されてから前記送電手段により送電される電力の制限が開始されるまでの所定の期間を含み、
前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る前記所定の期間と前記第2の測定処理に係る前記所定の期間とが同一の長さとなるように制御する
ことを特徴とする構成2乃至9のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成11)
前記処理期間は、前記送電制限期間を含み、
前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る送電制限期間と前記第2の測定処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように制御する
ことを特徴とする構成1乃至10のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成12)
前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の前記測定処理の結果に基づいて、受電装置とは異なる物体を検出する検出手段を有する
ことを特徴とする構成1乃至11のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成13)
前記検出手段は、前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の測定処理における複数の測定結果のうち、所定の条件を満たす測定結果の数が所定数よりも大きいことに応じて、前記受電装置とは異なる物体を検出する
ことを特徴とする構成12に記載の送電装置。
(構成14)
前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される電圧の減衰量及び減衰率の少なくともいずれかが閾値よりも大きいことである
ことを特徴とする構成13に記載の送電装置。
(構成15)
前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される電流の減衰量及び減衰率の少なくともいずれかが閾値よりも大きいことである
ことを特徴とする構成13又は14に記載の送電装置。
(構成16)
前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される品質係数が閾値よりも小さいことである
ことを特徴とする構成13乃至15のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成17)
前記検出手段による検出処理の結果に応じて、前記受電装置とは異なる物体が存在する、前記受電装置とは異なる物体が存在する可能性がある、及び、前記受電装置とは異なる物体が存在する確率、のうち少なくともいずれかを出力する出力手段
を有する
ことを特徴とする構成12乃至16のいずれか1項に記載の送電装置。
(構成18)
受電装置であって、
アンテナを使用して送電装置から無線により受電する受電手段と、
前記送電装置と通信する通信手段と、
前記送電装置により行われる所定の処理であって、前記受電装置とは異なる物体を検出するための前記所定の処理に係る処理期間の長さを決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される処理期間の長さを前記送電装置に通知するための所定の信号が前記通信手段により前記送電装置に送信されるように制御する制御手段と、を有し、
前記決定手段は、前記送電装置により第1の所定の処理と第2の所定の処理とが行われる場合、前記第1の所定の処理に係る処理期間と前記第2の所定の処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように前記処理期間の長さを決定する
ことを特徴とする受電装置。
(構成19)
前記処理期間は、前記所定の処理において前記送電装置により送電される電力が制限される送電制限期間を含み、
前記決定手段は、前記第1の所定の処理に係る送電制限期間と前記第2の所定の処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように、前記処理期間の長さを決定する
ことを特徴とする構成18に記載の受電装置。
(構成20)
前記処理期間は、前記所定の処理において前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を含み、
前記決定手段は、前記第1の所定の処理に係る通信制限期間と前記第2の所定の処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように、前記処理期間の長さを決定する
ことを特徴とする構成18又は19に記載の受電装置。
(方法21)
送電装置の制御方法であって、
アンテナを使用して前記送電装置から受電装置へ無線により送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における前記アンテナにおける電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する測定処理を行う測定工程と、
前記測定工程において第1の測定処理と第2の測定処理とが行われる場合、前記第1の測定処理に係る処理期間と、前記第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御する制御工程と
を有することを特徴とする制御方法。
(方法22)
受電装置の制御方法であって、
アンテナを使用して送電装置から無線により受電する前記受電装置とは異なる物体を検出するための所定の処理に係る処理期間の長さを決定する決定工程と、
前記決定工程において決定される処理期間の長さを前記送電装置に通知するための所定の信号が前記送電装置に送信されるように制御する制御工程と、を有し、
前記決定工程においては、前記送電装置により第1の所定の処理と第2の所定の処理とが行われる場合、前記第1の所定の処理に係る処理期間と前記第2の所定の処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように前記処理期間の長さが決定される
ことを特徴とする制御方法。
(プログラム)
コンピュータを、構成1乃至17のいずれか1項に記載の送電装置、又は、構成18乃至20のいずれか1項に記載の受電装置として機能させるためのプログラム。
402 送電装置
101 制御部
103 送電部

Claims (23)

  1. アンテナを使用して受電装置へ無線により送電する送電手段と、
    前記送電手段により前記受電装置へ送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における前記アンテナにおける電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する測定処理を行う測定手段と、
    前記測定手段により第1の測定処理と第2の測定処理とが行われる場合、前記第1の測定処理に係る処理期間と、前記第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御する制御手段と
    を有することを特徴とする送電装置。
  2. 前記受電装置と通信を行う通信手段を有し、
    前記測定手段は、前記通信手段により前記受電装置から所定の信号が受信されたことに応じて、前記測定処理を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の送電装置。
  3. 前記測定手段は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されるごとに前記測定処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  4. 前記測定手段は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されたことに応じて、前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の前記測定処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  5. 前記所定の信号は、前記送電制限期間を決定するための情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  6. 前記所定の信号は、前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を決定するための情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  7. 前記所定の信号は、前記受電装置が前記送電装置から受電した電力の大きさを示す信号であることを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  8. 前記制御手段は、前記所定の信号に基づいて前記処理期間の長さを決定することを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  9. 前記処理期間は、前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を含み、
    前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る通信制限期間と前記第2の測定処理に係る通信制限期間とが同一の長さとなるように制御することを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  10. 前記処理期間は、前記通信手段により前記所定の信号が受信されてから前記送電手段により送電される電力の制限が開始されるまでの所定の期間を含み、
    前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る前記所定の期間と前記第2の測定処理に係る前記所定の期間とが同一の長さとなるように制御することを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  11. 前記処理期間は、前記送電制限期間を含み、
    前記制御手段は、前記第1の測定処理に係る送電制限期間と前記第2の測定処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の送電装置。
  12. 前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の前記測定処理の結果に基づいて、受電装置とは異なる物体を検出する検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の送電装置。
  13. 前記検出手段は、前記第1の測定処理及び前記第2の測定処理を含む複数の測定処理における複数の測定結果のうち、所定の条件を満たす測定結果の数が所定数よりも大きいことに応じて、前記受電装置とは異なる物体を検出することを特徴とする請求項12に記載の送電装置。
  14. 前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される電圧の減衰量及び減衰率の少なくともいずれかが閾値よりも大きいことであることを特徴とする請求項13に記載の送電装置。
  15. 前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される電流の減衰量及び減衰率の少なくともいずれかが閾値よりも大きいことであることを特徴とする請求項13に記載の送電装置。
  16. 前記所定の条件は、前記測定結果に基づいて取得される品質係数が閾値よりも小さいことであることを特徴とする請求項13に記載の送電装置。
  17. 前記検出手段による検出処理の結果に応じて、前記受電装置とは異なる物体が存在する、前記受電装置とは異なる物体が存在する可能性がある、及び、前記受電装置とは異なる物体が存在する確率、のうち少なくともいずれかを出力する出力手段を有することを特徴とする請求項12に記載の送電装置。
  18. 受電装置であって、
    アンテナを使用して送電装置から無線により受電する受電手段と、
    前記送電装置と通信する通信手段と、
    前記送電装置により行われる所定の処理であって、前記受電装置とは異なる物体を検出するための前記所定の処理に係る処理期間の長さを決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定される処理期間の長さを前記送電装置に通知するための所定の信号が前記通信手段により前記送電装置に送信されるように制御する制御手段と、を有し、
    前記決定手段は、前記送電装置により第1の所定の処理と第2の所定の処理とが行われる場合、前記第1の所定の処理に係る処理期間と前記第2の所定の処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように前記処理期間の長さを決定する
    ことを特徴とする受電装置。
  19. 前記処理期間は、前記所定の処理において前記送電装置により送電される電力が制限される送電制限期間を含み、
    前記決定手段は、前記第1の所定の処理に係る送電制限期間と前記第2の所定の処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように、前記処理期間の長さを決定する
    ことを特徴とする請求項18に記載の受電装置。
  20. 前記処理期間は、前記所定の処理において前記通信手段により行われる通信が制限される通信制限期間を含み、
    前記決定手段は、前記第1の所定の処理に係る通信制限期間と前記第2の所定の処理に係る送電制限期間とが同一の長さとなるように、前記処理期間の長さを決定する
    ことを特徴とする請求項18に記載の受電装置。
  21. 送電装置の制御方法であって、
    アンテナを使用して前記送電装置から受電装置へ無線により送電される電力が制限される送電制限期間の少なくとも2以上の時点における前記アンテナにおける電圧及び電流の少なくとも何れかを測定する測定処理を行う測定工程と、
    前記測定工程において第1の測定処理と第2の測定処理とが行われる場合、前記第1の測定処理に係る処理期間と、前記第2の測定処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように制御する制御工程と
    を有することを特徴とする制御方法。
  22. 受電装置の制御方法であって、
    アンテナを使用して送電装置から無線により受電する前記受電装置とは異なる物体を検出するための所定の処理に係る処理期間の長さを決定する決定工程と、
    前記決定工程において決定される処理期間の長さを前記送電装置に通知するための所定の信号が前記送電装置に送信されるように制御する制御工程と、を有し、
    前記決定工程においては、前記送電装置により第1の所定の処理と第2の所定の処理とが行われる場合、前記第1の所定の処理に係る処理期間と前記第2の所定の処理に係る処理期間とが同一の長さとなるように前記処理期間の長さが決定される
    ことを特徴とする制御方法。
  23. コンピュータを、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の送電装置、又は、請求項18乃至20のいずれか1項に記載の受電装置として機能させるためのプログラム。
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