JP2022190580A - 運動練習具 - Google Patents

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Abstract

【課題】正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することのできる運動練習具を提供する。【解決手段】運動練習具100は、練習者の親指、人差し指、および中指の各々によって把持される把持部1であって、練習者の人差し指と中指とによって挟まれる位置に設けられた中心軸AXを有する把持部1と、中心軸AXに沿った位置に設けられた打撃部2であって、対象物を打撃するための打撃面21を含む打撃部2とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、運動練習具に関する。より特定的には、正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することのできる運動練習具に関する。
野球選手にとって肘および肩の怪我は、最も注意すべき事項である。肘および肩の怪我は、肘が曲がる可動域が狭くなったり、肩が痛みにより上がらなくなったりする身体的な障害を引き起こし得るものである。肘および肩の怪我の多くは、誤ったフォームでの投球を続けることで肘および肩にストレスが加わることに起因する。
投球の際の肘へのストレスを減らすためには、正しい前腕の回内回外運動を伴う投球動作を行うことが重要である。正しい前腕の回内回外運動を伴う投球動作とは、肩よりも上まで肘を上げて前腕を回外運動させ、次に前腕の回内運動を行いながら肘を振り下ろす動作である。肘を振り下ろす際にボールが手から離される。前腕の回外運動とは、小指が内側(身体に近い側)となるように手首を外側にひねる動きである。前腕の回内運動とは、親指が内側となるように手首を内側にひねる動きである。
正しい前腕の回内回外運動を伴う投球動作を行うことで、肘を振り下ろす際に、前腕の回内運動により肘が外側(身体から離れる側)に移動する。これにより、肘を振り下ろす際に肘が伸びきることがなくなり、肘に加わるストレスを低減することができる。その結果、投球による肘および肩へのストレスが軽減され、肩および肘の怪我を防止することができる。また、肘に加わるストレスを気にせずに腕を力強く振り下ろすことができるため、投げるボールの速度を増加することができる。
前腕の回内回外運動は、野球の投球の際以外にも、バドミントンのラケットでシャトルを打つ際やテニスのラケットでボールを打つ際にも行われる。バドミントンのラケットでシャトルを打つ際やテニスのラケットでボールを打つ際に正しい前腕の回内回外運動を行うことで、ラケットを振る際に肘に加わるストレスを低減することができ、肘の怪我を防止することができる。また、肘に加わるストレスを気にせずにラケットを力強く振り下ろすことができるため、シャトルやボールの速度を増加することができる。
なお、従来の投球練習具は、たとえば下記特許文献1などに開示されている。下記特許文献1の投球練習具は、棒状体と、棒状体の一端部に形成された握り部と、棒状体の中央から先端にかけて設けた溝内に設けられた移動可能な移動体とを備える。
特開2010-158281号公報
しかしながら、従来において正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することは困難であった。練習者は、正しい前腕の回内回外運動を理解していても、その理解が実際の動作に正しく反映されているか否かを把握することは困難であった。練習者は、自身の動作を指導者に見てもらい、その助言を指導者から得ることもできる。しかしこの場合にも、練習者は、指導者の助言によって自身の動作が正しく修正されているか否かを把握することは困難であった。
特許文献1の投球練習具は、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かと移動体の移動との間に因果関係が無く、正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することはできなかった。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することのできる運動練習具を提供することである。
本発明の一の局面に従う運動練習具は、練習者の親指、人差し指、および中指の各々によって把持される把持部であって、練習者の人差し指と中指とによって挟まれる位置に設けられた中心軸を有する把持部と、中心軸に沿った位置に設けられた打撃部であって、対象物を打撃するための打撃面を含む打撃部とを備える。
上記運動練習具において好ましくは、打撃面は平面であり、かつ中心軸に対して平行である。
上記運動練習具において好ましくは、把持部における人差し指および中指の把持位置をガイドするガイド部をさらに備え、練習者がガイド部のガイドに従って把持部を把持した状態で、中心軸が上下方向に延在するように、把持部を把持する腕を水平方向前方に延ばした場合、打撃面の法線は水平方向前方に対して0より大きく90度未満の角度θだけ練習者の人差し指側を向く。
上記運動練習具において好ましくは、把持部と打撃部とを接続する接続部をさらに備える。
上記運動練習具において好ましくは、接続部は、把持部から突出した支柱部と、支柱部の先端に設けられたステージとを含み、ステージには打撃部が固定される。
上記運動練習具において好ましくは、支柱部は、中心軸と同軸となる位置、または中心軸に対して互いに対称となる位置に設けられる。
上記運動練習具において好ましくは、把持部は球状を有する。
上記運動練習具において好ましくは、把持部は棒状を有する。
本発明によれば、正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することのできる運動練習具を提供することができる。
本発明の一実施の形態における運動練習具100の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態における運動練習具100の構成を示す図であって、打撃面21側から見た場合の図である。 本発明の一実施の形態における運動練習具100の構成を示す上面図である。 練習者が把持部1を正しく把持した状態を示す上面図である。 練習者が把持部1を正しく把持した状態で、中心軸AXが上下方向に延在するように把持部1を把持する腕を水平方向前方に延ばした状態を示す斜視図である。 正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作を示す第1の図である。 正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作を示す第2の図である。 把持部1を正しく把持した状態で、正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作と同じ動作を練習者が行った場合の、打撃部2の動きを示す図である。 練習者TPの外側下方から見た場合の打撃面21と対象物HTとの関係を示す図である。 練習者TPの上方から見た場合の練習者TPと対象物HTとの関係を示す図である。 本発明の一実施の形態の第1の変形例における運動練習具100の構成を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態の第2の変形例における運動練習具100の構成を示す上面図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
始めに、本実施の形態における投球練習具の構成について説明する。
図1~図3は、本発明の一実施の形態における運動練習具100の構成を示す図である。図1は斜視図であり、図2は打撃面21側から見た場合の図であり、図3は上面図である。図1~図5および図11では、把持部1が下側に存在し、打撃部2が上側に存在する状態で運動練習具100が示されている。特に言及されていない限り、運動練習具100は右利き用である。
図1~図3を参照して、本実施の形態における運動練習具100(運動練習具の一例)は、正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作を習得するための投球練習具である。運動練習具100は、把持部1(把持部の一例)と、打撃部2(打撃部の一例)と、接続部3(接続部の一例)と、ガイド部4(ガイド部の一例)とを備えている。把持部1、打撃部2、接続部3、およびガイド部4の各々は、任意の材料よりなっており、たとえば木材、合金、プラスチック、または炭素繊維などよりなっている。把持部1、打撃部2、接続部3、およびガイド部4の各々は、互いに異なる材料よりなっていてもよいし、同一の材料よりなっていてもよい。
把持部1は、練習者の親指、人差し指、および中指の各々によって把持される部分である。把持部1は、仮想の中心軸AX(中心軸の一例)を有している。中心軸AXは、練習者の人差し指と中指とによって挟まれる位置に設けられている。
把持部1を把持する感覚を実際のボールを把持する感覚に近づける観点で、把持部1は、球状を有することが好ましい。また把持部1は、軟式野球または硬式野球で使用されるボールと同一または類似の材質および形状を有していることがより好ましい。練習者の年齢または体格などに応じて、把持部1の直径D1や重さを適宜設定することができる。たとえば、練習者が概ね小学生以下である場合には、直径D1は67mm以上70mm以下に設定されてもよい。練習者が概ね中学生以上である場合には、直径D1は70mm以上75mm以下に設定されてもよい。
打撃部2は、中心軸AXに沿った位置に設けられている。対象物を打撃する動作を行いやすくする観点で、打撃部2の重心は、中心軸AX上に存在することが好ましい。打撃部2は、打撃面21(打撃面の一例)と、背面22と、上端(先端)2aとを含んでいる。打撃面21は、対象物を打撃するための面である。打撃面21はたとえば平面であり、かつ中心軸AXに対して平行であることが好ましい。背面22は、打撃面21とは反対側の面である。背面22はたとえば平面であり、打撃面21に対して平行である。背面22は、打撃面21に対して傾斜した平面であってもよい。打撃面21および背面22の各々は曲面であってもよい。
打撃面21の中心軸AXに沿った方向の長さを幅W1とし、打撃面21の中心軸AXに対して直交する方向の長さを幅W2とする。幅W1およびW2の各々は、5cm以上25cm以下であることが好ましく、10cm以上20cm以下であることがより好ましい。幅W1およびW2の各々を5cm以上とすることで、対象物を確実に打撃することができる。幅W1およびW2の各々を25cm以下とすることで、対象物を打撃する際に打撃面21が受ける空気抵抗や運動練習具100全体の質量を抑えることができ、運動練習具100を用いた動作を行いやすくすることができる。特に打撃面21は、バドミントンやテニスのラケットにおけるガットのような網状のものよりなっていてもよい。
接続部3は、把持部1と打撃部2とを接続している。接続部3は、支柱部31(支柱部の一例)と、ステージ32(ステージの一例)と、2つの金具33と、8つのねじ34とを含んでいる。支柱部31およびステージ32は、把持部1と一体的に形成されている。支柱部31は、ここでは1つであり、中心軸AXと同軸となる位置に設けられている。支柱部31の下端は把持部1の上部(頂点)に固定されており、支柱部31は把持部1から上方に突出している。
ステージ32は、打撃部2が固定される部分である。ステージ32は、支柱部の上端(先端)に設けられている。ステージ32は、板状であり、中心軸AXに沿って見た場合にたとえば円形状を有している。ステージ32は、互いに平行な上面321および下面322を含んでいる。ステージ32の上面321には打撃部2が固定されている。ステージ32の下面322には支柱部31の上端が固定されている。支柱部31およびステージ32は、把持部1および打撃部2のうち少なくともいずれか一方と一体的に形成されていてもよいし、把持部1および打撃部2の各々とは別体で形成されていてもよい。
2つの金具33および8つのねじ34は、打撃部2をステージ32に対して着脱可能に固定している。2つの金具33の各々はL字金具である。2つの金具33のうち一方の金具33aは、打撃部2の打撃面21とステージ32の上面321との各々に接触している。金具33aのうち打撃面21と接触する部分に形成された2つの孔には、2つのねじ34の各々が挿入されており、それらのねじ34は打撃面21に固定されている。金具33aのうち上面321と接触する部分に形成された2つの孔には、2つのねじ34の各々が挿入されており、それらのねじ34は上面321に固定されている。
2つの金具33のうち他方の金具33bは、打撃部2の背面22とステージ32の上面321との各々に接触している。金具33bのうち背面22と接触する部分に形成された2つの孔には、2つのねじ34の各々が挿入されており、それらのねじ34は背面22に固定されている。金具33bのうち上面321と接触する部分に形成された2つの孔には、2つのねじ34の各々が挿入されており、それらのねじ34は上面321に固定されている。打撃部2は、打撃面21および背面22の各々に差し込まれた4つのねじ34を取り外すことにより、ステージ32から取り外すことが可能である。
ガイド部4は、把持部1における少なくとも人差し指および中指の把持位置をガイドする部分である。ここでは、ガイド部4は、把持部1の表面に描かれたX印よりなっており、練習者の人差し指と中指とで挟むべき位置を示している。ガイド部4による把持位置のガイド方法は任意である。ガイド部4は、把持部1の表面に設けられた窪みよりなっていてもよいし、把持部1の表面に貼り付けられた貼付材よりなっていてもよい。この場合、貼付材は把持部1の表面と比較して高い摩擦係数を有することが好ましい。さらにガイド部4は、把持部1の表面とは異なる色により把持位置を示すものであってもよい。ガイド部4は、把持部1における親指の把持位置をさらにガイドしてもよい。
続いて、本実施の形態における運動練習具100の使用方法について説明する。
図4は、練習者が把持部1を正しく把持した状態を示す上面図である。図5は、練習者が把持部1を正しく把持した状態で、中心軸AXが上下方向に延在するように、把持部1を把持する腕を水平方向前方に延ばした状態を示す斜視図である。図4では、支柱部31以外の接続部3と、打撃部2との図示が省略されている。
図4および図5を参照して、練習者は、右手の親指F1で把持部1の下部を支え、ガイド部4のガイドに従って親指F1よりも上部に存在する把持部1の表面の把持位置を右手の人差し指F2および中指F3で把持する。具体的には、練習者は、ガイド部4および支柱部31(中心軸AX)の各々を人差し指F2と中指F3とで挟むように、把持部1の表面を人差し指F2および中指F3で把持する。練習者は、右手の薬指F4および小指F5の各々を軽く折り曲げ、薬指F4の左側面を把持部1に接触させる。これが、把持部1を正しく把持した状態である。
なお、ガイド部4の代わりにガイド部4aが設けられてもよいし、ガイド部4および4aの両方が設けられてもよい。ガイド部4aが設けられた場合、運動練習具100は左利き用となる。ガイド部4および4aの両方が設けられた場合、運動練習具100は右利き用および左利き用の両方を兼ねる。ガイド部4aは、中心軸AXを中心としてガイド部4を90度回転した位置に設けられることが好ましい。左利き用のガイド部として、ガイド部4aの代わりに(またはガイド部4aとともに)ガイド部4bが設けられてもよい。
特に図5を参照して、練習者が把持部1を正しく把持した状態で、中心軸AXが上下方向に延在するように、把持部1を把持する腕を水平方向前方(矢印Aで示す方向)に延ばした場合を想定する。この場合、打撃面21の法線NL1は、水平方向前方に対して角度θだけ練習者の人差し指F2側を向く。角度θは0より大きく90度未満であることが好ましく、15度以上45度以下であることがより好ましい。角度θは、ガイド部4がガイドする把持位置により調整可能である。ここでは、水平方向前方は、中心軸AX方向から見た場合に、ガイド部4と中心軸AXとを結ぶ直線の延在方向と一致する方向と重なる。
複数の角度θに対応するガイド部4が設けられてもよい。この場合には、正しい前腕の回内回外運動の習得度に応じて、練習者は、複数のガイド部4の中から適切なガイド部4を選択することができる。初心者の場合には角度θが小さくなるようなガイド部4が選択され、熟練者の場合には角度θが大きくなるようなガイド部4が選択される。
練習者は、図4および図5に示すように把持部1を正しく把持した状態で、野球の投球動作と同じ右腕の動作を行う。練習者は、この動作が終了するまで把持部1を手放さずに把持し続ける。練習者は、打撃面21の通過が見込まれる位置に左手で対象物をトスし、投球動作中のボールリリース直後に相当するタイミングで、対象物を打撃面21で打撃する。練習者は、対象物が飛んだ方向に基づいて、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かを確認する。対象物のトスは練習者の代わりに、練習者とは別の補助者が行ってもよい。
次に、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かと、対象物が飛ぶ方向との関係について説明する。
図6および図7は、正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作を示す図である。図6は投球者の後方から見た場合の第1の図である。図7は投球者の前方から見た場合の第2の図である。なお図6~図10の説明において「内側」とは投球者または練習者の内側を指しており、「外側」とは投球者または練習者の外側を指している。
図6を参照して、投球者は、右掌を後ろに向けて右肘から右腕を引き上げる(図6(a)→(b))。投球者は、右肘を曲げつつ右前腕を上げる(図6(b)→(c))。投球者は、ボールが最高点に達した後、右肘を高く上げたまま、右前腕を回外運動させながら右肘を右肩の前に移動させる(図6(c)→(d)→(e)→(f))。図6(f)では、右前腕の回外運動の結果、右手の小指が内側に存在し親指が外側に存在している。
図7を参照して、次に投球者は、右前腕の回内運動を行いながら右肘を振り下ろす。この時の右前腕の回内運動により、右手の小指は内側から前方を通って外側へ移動し、右手の親指は外側から後方を通って内側へ移動する。右肘の移動方向は下方から外側に徐々に変わる(図7(a)→(b)→(c))。
投球者は、右手の小指が外側に存在し親指が内側に存在するタイミング(つまり、右掌が前方を向いたタイミング)で、ボールを右手から離す(ボールリリース)(図7(d))。ボールリリース直後には、右手の小指が外側の斜め上方に存在し親指が内側の斜め下方に存在する状態となる(図7(e))。その後、練習者は右前腕の回内運動を続けて行う。最終的に右手の小指は内側まで移動し親指は外側まで移動する(図7(e)→(f))。
このように正しい前腕の回内回内運動を行った場合には、腕を振り下ろす際に肘が外側に移動する。これにより、肘を振り下ろす際に肘が伸びきることがなくなり、肘に加わるストレスを低減することができる。
図8は、把持部1を正しく把持した状態で、正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作と同じ動作を練習者が行った場合の、打撃部2の動きを示す図である。図8は投球者の前方から見た場合の図である。図8(a)~図8(f)の各々は、図7(a)~(f)の各々の投球動作のタイミングに対応する打撃部2の状態を示している。
図7および図8を参照して、右手の小指が内側に存在し親指が外側に存在する状態(図7(a))では、打撃面21の法線NL1は下方の内側後方を向いている(図8(a))。右手の小指が内側から前方を通って外側へ移動し、右手の親指が外側から後方を通って内側へ移動する際(図7(a)→(b)→(c))、打撃面21の法線NL1は、徐々に上方を向き、かつ徐々に内側前方を向く(図8(a)→(b)→(c))。
ボールリリース時に相当するタイミング(図7(d))には、打撃面21の法線NL1は、水平方向前方のやや内側を向く(図8(d))。ボールリリース直後に相当するタイミング(図7(e))では、打撃面21の法線NL1は、下方の前方を向く(図8(e))。その後の右前腕の回内運動により、打撃面21の法線NL1は、徐々にさらに下方を向き、かつ徐々に外側後方を向く(図8(e)→(f))。
上述のように、把持部1を正しく把持した状態で、正しい前腕の回内回外運動を伴う野球の投球動作と同じ動作を練習者が行った場合、肘を振り下ろす際に、打撃面21の法線NL1が向く方向は、内側後方から前方を通って内側後方へと徐々に変化する。
図9は、練習者TPの外側下方から見た場合の打撃面21と対象物HTとの関係を示す図である。図10は、練習者TPの上方から見た場合の練習者TPと対象物HTとの関係を示す図である。図9(a)および図10(a)は、練習者TPが正しい前腕の回内回外運動を行った場合を示している。図9(b)および図10(b)は、練習者TPが正しい前腕の回内回外運動を行わなかった場合を示している。図9および図10中矢印Aは、練習者TPの水平方向前方を示している。
図9(a)および図10(a)を参照して、練習者TPが正しい前腕の回内回外運動を行った場合、ボールリリース直後に相当するタイミングで、打撃面21の法線NL1はほぼ前方を向く。対象物HTはこのタイミングで打撃面21にて打撃される。その結果、練習者TPの上方から見た場合に、対象物HTが飛ぶ方向は、ほぼ前方の領域RG1内となる。
図9(b)および図10(b)を参照して、練習者TPが正しい前腕の回内回外運動を行わなかった場合、ボールリリース直後に相当するタイミングで、打撃面21の法線NL1は、前方よりも内側を向く。対象物HTはこのタイミングで打撃面21にて打撃される。その結果、練習者TPの上方から見た場合に、対象物HTが飛ぶ方向は、前方よりも内側の領域RG2内となる。
このように、練習者TPが正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かと、対象物HTが飛ぶ方向とは密接に関係している。したがって、練習者TPは、ボールリリース直後に相当するタイミングで対象物を打撃面21で打撃することで、対象物HTが飛んだ方向に基づいて、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かを確認することができる。
本実施の形態によれば、練習者は、野球の投球動作と同じ腕の動作を行いながら打撃面21で対象物を打撃することで、対象物が飛んだ方向に基づいて、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かを確認することができる。その結果、正しい前腕の回内回外運動を効率的に習得することができる。
正しい前腕の回内回外運動の習得により、投球による肘および肩へのストレスが軽減され、肩および肘の怪我を防止することができる。また、肘に加わるストレスを気にせずに腕を力強く振り下ろすことができるため、投げるボールの速度を増加することができる。
また、把持部1を球状とすることにより、練習者は、打撃面21の角度θ(図4)を好みの角度に調整することが容易になる。
[変形例]
図11は、本発明の一実施の形態の第1の変形例における運動練習具100の構成を示す斜視図である。
図11を参照して、第1の変形例の運動練習具100において、把持部1は棒状を有している。練習者が把持部1を正しく把持した状態で、中心軸AXが上下方向に延在するように把持部1を把持する腕を水平方向前方(矢印Aで示す方向)に延ばした場合を想定する。この場合、把持部1は、水平方向前方に対して直交する方向に(言い換えれば、図4中平面PL0と平行に)延在している。接続部3は、支柱部31よりなっている。支柱部31は、把持部1および打撃部2の各々と直接接続されている。把持部1、打撃部2、および接続部3は一体的に形成されている。
図12は、本発明の一実施の形態の第2の変形例における運動練習具100の構成を示す上面図である。図12では、支柱部31以外の接続部3と、打撃部2との図示が省略されている。
図12を参照して、第2の変形例の運動練習具100において、支柱部31は、ここでは2つであり、中心軸AXに対して互いに対称となる位置に設けられいる。2つの支柱部31の各々の下端は把持部1の上部(頂点)に固定されており、2つの支柱部31の各々は把持部1から上方に突出している。2つの支柱部31の各々の上端はステージ32(図1)の下面に固定されている。このように2つの支柱部31を設けた場合、把持部1の表面における2つの支柱部31の間の位置が、練習者の人差し指および中指の把持位置となる。したがって、2つの支柱部31は、把持部1における人差し指および中指の把持位置をガイドするガイド部としても機能する。
なお、第1および第2の変形例における運動練習具100の上述以外の構成は、上述の実施の形態における運動練習具の構成と同様であるため、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
第1および第2の変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[その他]
接続部3が省略され把持部1と打撃部2とが直接接触していてもよい。また、ガイド部4は省略されてもよい。ガイド部4が省略された場合、練習者は、把持部1の表面における把持位置を変えることで、打撃面21の角度θ(図4)を好みの角度に調節することができる。
図10に示す対象物が飛ぶ方向は一例である。対象物が飛ぶ方向は、打撃面の形状により任意の方向に設定可能である。打撃面の形状は、正しい前腕の回内回外運動を行ったか否かに応じて対象物の飛ぶ方向が変わるものであればよい。
上述の実施の形態における運動練習具100は、バドミントンのラケットでシャトルを打つ際やテニスのラケットでボールを打つ際など、スポーツ全般において正しい前腕の回内回外運動を習得するために使用することが可能である。特にバドミントンやテニスにおいては、正しい前腕の回内回外運動の習得により、ラケットを振る際に肘に加わるストレスを低減することができ、肘の怪我を防止することができる。また、肘に加わるストレスを気にせずにラケットを力強く振り下ろすことができるため、シャトルやボールの速度を増加することができる。
上述の実施の形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。たとえば図1に示す上述の実施の形態の運動練習具において、図11に示す第1の変形例のように接続部3が支柱部31のみよりなっていてもよい。図11に示す第1の変形例のような棒状の把持部1に対して、図12に示す第2の変形例のような複数の支柱部31が設けられてもよい。
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 把持部(把持部の一例)
2 打撃部(打撃部の一例)
2a 打撃部の上端
3 接続部(接続部の一例)
4,4a,4b ガイド部(ガイド部の一例)
21 打撃部の打撃面(打撃面の一例)
22 打撃部の背面
31 接続部の支柱部(支柱部の一例)
32 接続部のステージ(ステージの一例)
33,33a,33b 接続部の金具
34 ねじ
100 運動練習具(運動練習具の一例)
321 ステージの上面
322 ステージの下面
AX 中心軸(中心軸の一例)
DC1,DC2 対象物が飛ぶ方向
F1 親指
F2 人差し指
F3 中指
F4 薬指
F5 小指
HT 対象物
NL1 打撃面の法線
PL0 水平方向前方を法線とする平面
RG1,RG2 領域
TP 練習者

Claims (8)

  1. 練習者の親指、人差し指、および中指の各々によって把持される把持部であって、前記練習者の人差し指と中指とによって挟まれる位置に設けられた中心軸を有する把持部と、
    前記中心軸に沿った位置に設けられた打撃部であって、対象物を打撃するための打撃面を含む打撃部とを備えた、運動練習具。
  2. 前記打撃面は平面であり、かつ前記中心軸に対して平行である、請求項1に記載の運動練習具。
  3. 前記把持部における人差し指および中指の把持位置をガイドするガイド部をさらに備え、
    前記練習者が前記ガイド部のガイドに従って前記把持部を把持した状態で、前記中心軸が上下方向に延在するように、前記把持部を把持する腕を水平方向前方に延ばした場合、前記打撃面の法線は水平方向前方に対して0より大きく90度未満の角度θだけ前記練習者の人差し指側を向く、請求項2に記載の運動練習具。
  4. 前記把持部と前記打撃部とを接続する接続部をさらに備えた、請求項1~3のいずれかに記載の運動練習具。
  5. 前記接続部は、
    前記把持部から突出した支柱部と、
    前記支柱部の先端に設けられたステージとを含み、
    前記ステージには前記打撃部が固定される、請求項4に記載の運動練習具。
  6. 前記支柱部は、前記中心軸と同軸となる位置、または前記中心軸に対して互いに対称となる位置に設けられる、請求項5に記載の運動練習具。
  7. 前記把持部は球状を有する、請求項1~6のいずれかに記載の運動練習具。
  8. 前記把持部は棒状を有する、請求項1~6のいずれかに記載の運動練習具。
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