JP2022189440A - 車輪の転削計画支援装置、車輪の転削計画支援システム及び車輪の転削計画支援方法 - Google Patents

車輪の転削計画支援装置、車輪の転削計画支援システム及び車輪の転削計画支援方法 Download PDF

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雅幸 三津江
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Abstract

Figure 2022189440000001
【課題】鉄道車両における車輪のライフサイクルコストの適正化に貢献することを目的とする。
【解決手段】軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援装置であって、基準時における鉄道車両の車輪の形状データと、基準時以降の鉄道車両の予定走行データとに基づいて、基準時以降の少なくとも1つの将来時期における車輪の推定形状を演算し、当該推定形状に基づいて、少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で車輪を転削した場合に発生する、車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する処理部を備える。
【選択図】図2

Description

この開示は、鉄道車両における車輪の転削計画を支援する技術に関する。
特許文献1は、鉄道車両のジャイロセンサに基づいて、鉄道車両に取付けられる車輪及び回転支持装置から発せられる振動を検出する振動センサの出力信号を処理し、処理された出力信号により、車両の転動装置の異常検出を行う技術を開示している。
特許文献2は、車両に設けられた6軸センサによる測定値を車輪回転速度やGPS信号とともに演算処理して異常診断を行う技術を開示している。
特開2008-209229号公報 特開2012-100434号公報
鉄道車両における車輪の転削時期は、車輪の異常が発生する前に転削するよう計画する必要がある。なお、転削とは、摩耗した車輪の周りを削ってレール上を転がるのに適した形状に加工することをいう。
特許文献1及び2では、摩耗による車輪の異常が検知される。
しかしながら、車輪の異常を検出するという技術だけでは、車輪の実際の摩耗状況が反映されず、車輪のライフサイクルコストの適正化を図ることはできない。
そこで、本開示は、鉄道車両における車輪のライフサイクルコストの適正化に貢献することを目的とする。
車輪の転削計画支援装置は、軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援装置であって、基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する処理部を備える。
車輪の転削計画支援方法は、軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援方法であって、(a)基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、(b)前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、(c)前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する。
本車輪の転削計画支援装置及び転削計画支援方法は、鉄道車両における車輪のライフサイクルコストの適正化に貢献する。
第1実施形態に係る車輪の転削計画支援装置を示すブロック図である。 転削計画支援方法に係る処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る車輪の転削計画支援システムを示すブロック図である。 転削計画支援方法に係る処理を示すフローチャートである。 車軸に沿った鉛直方向断面における車輪の形状例を示す図である。 軌道における距離に曲率の変化、加速度(又はヨーレート)の変化及び上下加速度の変化を対応付けた図である。 将来時期における車輪の推定形状を演算する処理の一例を示すフローチャートである。 同上の処理のデータフローを示す図である。 運動解析シミュレーションのために入力されるデータの一例を示す図である。 転削後における予測車輪径を演算する処理を説明するための説明図である。 走行距離に対する車輪径、フランジ厚み及びフランジ高さの変化を示す図である。 限度値からの裕度に対する脱線発生確率の変化を示す図である。 台車振動度合い増加分に対する故障確率の変化を示す図である。 台車振動規格超過分に対する故障確率の変化を示す図である。 端末装置における処理例を示すフローチャートである。 端末装置における表示装置の表示画面例を示す図である。
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る車輪の転削計画支援装置及び車輪の転削計画支援方法について説明する。図1は車輪の転削計画支援装置30を示すブロック図である。
車輪の転削計画支援装置30は、鉄道車両における車輪の転削計画の策定を支援する装置である。すなわち、鉄道車両が軌道を走行すると、車輪が摩耗し、正規形状からずれていく。車輪を正規形状に戻すために、車輪の転削が行われる。
車輪の転削計画支援装置30は、例えば、プロセッサ32と記憶装置34等とを有するコンピュータを備える。プロセッサ32は、CPU(Central Processing Unit)等の回路によって構成される処理部である。記憶装置34は、HDD(hard disk drive)、SSD(Solid-state drive)等の不揮発性記憶装置である。記憶装置34には、プログラム35、予定走行データ36及びコストデータ37等が格納されている。
プログラム35は、プロセッサ32が転削計画支援装置としての処理を実行するための命令を含む。
予定走行データ36は、将来における鉄道車両の走行に関するデータである。例えば、予定走行データ36は、軌道の経路情報36a、走行速度情報36b、走行ダイヤ情報36cを含む。軌道の経路情報36aは、将来において、鉄道車両が走行することとなる軌道の経路に関する情報である。軌道の経路情報36aを参照することによって、例えば、鉄道車両が走行することとなる距離、鉄道車両が走行することとなる軌道における曲線の形状が特定され得る。走行速度情報36bは、鉄道車両が走行する際の走行速度に関する情報である。走行速度は、軌道の経路における位置に対応付けられている。走行速度情報36bを参照することによって、将来において、鉄道車両が経路の各位置を走行する際の予定走行速度が特定され得る。走行ダイヤ情報は、鉄道車両の走行スケジュールに関する情報である。走行ダイヤ情報36cは、例えば、軌道の経路における位置に対して走行時刻及び走行速度を対応付けた情報である。走行ダイヤ情報36cを参照することによって、将来期間における、鉄道車両の各軌道の走行回数及び各区間における走行速度が特定され得る。
コストデータ37は、車輪の転削に関するコストを含む。例えば、コストデータ37は、車輪の転削のためのコスト、車輪の交換のためのコストに関するデータを含む。車輪の交換のためのコストは、車輪価格と車輪の交換のための作業コストとを含む。コストデータ37を参照することによって、将来時期に応じた周期で車輪の転削を行った場合において、車輪の1ライフサイクル当りのコストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値が演算され得る。なお、車輪の1ライフサイクルは、車輪径が限度値以上又は限度値を超える範囲で当該車輪が使用されるサイクルである。すなわち、車輪は、摩耗及び転削によって徐々に車輪径が小さくなっている。車輪径については限度値が規定されている。車輪径が限度値を下回るか限度値以下となると、車輪が交換される。限度値に鑑みて車輪が交換されるまでのサイクルが、車輪の1ライフサイクルである。
プロセッサ32が、プログラム35に記述された命令に従って、予定走行データ36及びコストデータ37を参照しつつ、演算処理を実行することによって、後で説明する転削計画支援装置30としての処理が実行される。
転削計画支援装置30は、入力部40及び表示装置42を備えていてもよい。入力部40は、キーボード、タッチパネル等であり、利用者による入力を受付ける装置である。入力部40を介して上記予定走行データ36、コストデータ37等が転削計画支援装置30に入力され得る。表示装置42は、例えば、液晶表示装置である。表示装置42に、車輪ライフサイクルコスト評価値、候補転削周期等が表示されてもよい。表示装置42における表示例は、後で説明する表示装置197における表示例と同じであってもよい。
図2は車輪の転削計画支援装置30が車輪の転削計画支援方法を実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、基準時以降の少なくとも1つの将来時期における車輪の推定形状が演算される。基準時は、例えば、転削計画を策定する時刻である。基準時は、車輪の推定形状を演算する時刻であってもよい。基準時には、当該基準時における車輪の走行距離が対応付けられる。将来時期は、基準時以降の走行距離によって設定されてもよい。例えば、基準時以降の予め定められた距離走行時点が将来時期として設定されてもよい。将来時期は、基準時以降の時刻によって設定されてもよい。
将来時期における車輪の推定形状は、基準時における鉄道車両の車輪の形状データと、基準時以降の鉄道車両の予定走行データとに基づいて演算される。基準時における鉄道車両の車輪の形状データは、車輪の実測データであってもよい。基準時における鉄道車両の車輪の形状データは、鉄道車両の過去の走行中に取得されたデータに基づいて推定されたデータであってもよい。基準時から将来時期までの将来期間における車輪の摩耗量が、予定走行データ36に基づいて演算され得る。例えば、将来時期における車輪の推定形状、経路情報36a及び走行速度情報36bに基づいて軌道を転がる車輪の運動解析シミュレーションが実行される。運動解析シミュレーション結果から、車輪の各位置における滑り量と滑り方向における力が求められる。滑り量が大きくなればなるほど摩耗量が多くなり、滑り方向における力が大きくなればなるほど摩耗量が多くなる。このため、車輪の各位置における摩耗量は、滑り量と滑り方向における力と正の相関関係がある量として演算され得る。基準時における鉄道車両の車輪の形状データから、基準時以降の鉄道車両の予定走行データに基づいて演算される摩耗量に相当する分を削除する処理を行うことによって、将来時期における車輪の推定形状が演算される。
次ステップS2において、転削後における予測車輪径が演算される。すなわち、摩耗した車輪は正規形状となるように転削される。すなわち、ステップS1において将来時期における摩耗後の車輪の推定形状が推定されているため、当該推定形状を正規形状に戻すためどの程度転削すればよいかが推定され得る。推定された転削加工後の車輪径が、転削後の予測車輪径として演算され得る。
次ステップS3において車輪の1ライフサイクル当りの車輪ライフサイクルコスト評価値が演算される。車輪ライフサイクルコスト評価値は、車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた値である。車輪ライフサイクルコスト評価値は、コストそのものを示す値であってもよいし、当該コストと正又は負の相関にある値であってもよい。車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストは、車輪自体の交換に要するコストと転削に要するコストとを含む。このため、1ライフサイクル当りの転削回数が推測されれば、1回の転削に要するコストに転削回数を乗じることで、1ライフサイクル当りの総転削コストを演算することができる。1ライフサイクル当りの総転削コストに、車輪自体の交換に要するコストを加算すれば、1ライフサイクル当りの車輪ライフサイクルコスト評価値を演算することができる。
1ライフサイクル当りの転削回数は、ステップS1のように摩耗による減少車輪径を演算し、ステップS2のように転削による減少車輪径を演算することで、演算可能である。例えば、1ライフサイクル当りの転削回数は次のようにして演算され得る。新しく製造された車輪の初期時期から上記将来時期までの期間を転削周期とし、当該転削周期に応じた周期で転削を繰返すとする。転削を繰返す周期は、例えば、初期の転削周期と同じであってもよいし、初期の転削周期を徐々に小さくした周期であってもよい。新しく製造された車輪の径は設計上既知の値であるから、当該新しく製造された車輪の径とステップS2において演算された転削後の予測車輪径とに基づいて、1回目の周期における減少車輪径が演算される。2回目以降の転削周期における減少車輪径についても、1回目の転削周期における減少車輪径に基づいて推定可能である。転削周期毎に、車輪径が推定された減少車輪径分減少していくと考え、減少後の車輪径が限度値を超える又は以上となる条件で転削を行うと考えれば、上限となる転削回数を求めることができる。
なお、新しく製造された車輪の形状及び径を基準として処理がなされる必要は無く、前回の転削時における車輪の形状及び車輪径を基準として処理がなされてもよい。
1ライフサイクル当りの車輪ライフサイクルコスト評価値は、車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストだけでなく、他のコスト要因を含む評価値であってもよい。
次ステップS4において、1ライフサイクル当りの車輪ライフサイクルコスト評価値が出力される。評価値は、認識可能な数字として表示装置42に表示されてもよい。評価値は、データとして出力され、記憶装置34に記憶されてもよい。評価値は、評価を行う条件となった将来時期と対応付けられて出力されてもよい。
ステップS1からステップS3の処理が、複数の将来時期に対して行われる場合、当該複数の将来時期のそれぞれに評価値が対応付けられて出力されてもよい。また、最も低コストとなる評価値に対応する転削周期が候補転削周期として出力されてもよい。
このように構成された車輪の転削計画支援装置及び車輪の転削計画支援方法によると、車輪の形状データと、予定走行データとに基づいて、基準時以降の少なくとも1つの将来時期における車輪の推定形状を演算し、この推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、この車輪転削後の予測車輪径に基づいて、車輪ライフサイクルコストを演算する。この車輪ライフサイクルコスト評価値に基づいて、鉄道車両におけるライフサイクルコストの適正化がなされ得る。
例えば、鉄道車両の走行距離又は走行時間に応じて、定期的に車輪の形状を実測し、当該実測値を参考にして転削時期を計画することが考えられる。当該計画方法を実行する場合、定期的な実測確認作業が必要となり、当該作業のためのコストが大となる。
本実施形態では、予定走行データに基づいて将来時期における車輪の推定形状が演算される。このため、定期的な車輪の形状の実測作業を減らして、転削時期が計画され得る。なお、定期的又は不定期に車輪の形状の実測がなされてもよい。
また、例えば、車両の振動から車輪摩耗に起因する異常振動を検出し、異常振動が生じた場合に転削を行うことが考えられる。車輪摩耗に起因する異常振動は、例えば、車輪が軌道を滑走することによって、車輪の踏面の一部が平面になることによって生じ得る。この考えによると、異常振動が検出された場合の転削は検討されるが、通常走行による摩耗に鑑みた転削計画の策定には役立たない。
本実施形態に係る転削計画支援装置30及び転削計画支援方法は、将来時期における車輪の推定形状及び予測車輪径を演算し、車輪転削後の予測車輪径に基づいて、車輪ライフサイクルコストを演算するため、通常走行による摩耗に鑑みた転削計画の策定を適正に実施するのに役立つことができる。
なお、車両の振動から車輪摩耗に起因する異常振動を検出し、異常振動が生じた場合に転削を行うようにしてもよい。
なお、第2実施形態で説明される1又は複数の例は、第1実施形態において説明した内容の具体例として、又は、付加的な例として適用可能である。
{第2実施形態}
第2実施形態に係る車輪の転削計画支援装置、車輪の転削計画支援システム及び車輪の転削計画支援方法について説明する。図3は車輪の転削計画支援システム100を示すブロック図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明した内容と同じ構成部分については説明を省略する場合がある。
転削計画支援システム100は、鉄道車両20における車輪50の転削計画の策定を支援するシステムである。
鉄道車両20の一例について説明する。鉄道車両20は軌道16を走行する。軌道16は、鉄道車両20を経路に沿って導く路である。ここでは、軌道16は、2つのレールを含む。2つのレールは、地上に枕木等を介して並行状態で敷設されている。軌道は、高架橋等によって地上よりも上方位置に設けられていてもよい。軌道は、地下に掘られたトンネル内に設けられていてもよい。
鉄道車両20は、車体22と台車24とを備える。台車24は、台車枠25と、複数の車輪50とを備える。複数の車輪50は、台車枠25の左右部位に車軸部を介して回転可能に支持されている。車軸部を支持する部分は軸箱と呼ばれることがある。なお、本実施形態において、鉄道車両20の進行方向を前側、後退方向を後側ということがある。また、鉄道車両20から進行方向を見た場合を基準として左右という場合がある。重力方向において重力が加わる側を下側、その反対側を上側という場合がある。左右の車輪50は、それぞれ2つのレール17によって案内されつつ当該レール17上を走行する。台車24が下方から車体22を支持している。台車24が軌道16上を走行することで、車体22を含む鉄道車両20が軌道16に沿って走行する。鉄道車両20は、軌道16を走行する車両であればよく、電車、貨物列車の機関車、貨車、旅客列車の機関車、客車のいずれであってもよい。貨車又は客車は、機関車によって牽引される付随車であってもよいし、自身が動力を有する動力車であってもよい。機関車は、電気機関車であってもよいし、ディーゼル機関車等の内燃機関車であってもよい。
鉄道車両20に、走行状態用センサ28と、通信装置29とが組込まれる。
走行状態用センサ28は、鉄道車両20の走行中における車輪50の挙動を検出するセンサである。車輪50の挙動は、例えば、軌道16の長手方向における位置に対する、当該軌道16の長手方向に対して交差する方向における車輪50の位置又は加速度によって検出される。車輪50の挙動は、個々の車輪50別に検出されてもよい。また、車輪50の挙動は、当該車輪50を支持する台車枠25の挙動及び車体22の挙動に影響を与える。このため、車輪50の挙動は、複数の車輪50を支持する台車枠25の挙動として検出されてもよいし、また、車体22の挙動として検出されてもよい。鉄道車両20における全ての車輪50を対象として転削計画支援に係る処理を行ってもよいし、台車24毎、又は、鉄道車両20毎に1つの車輪50を対象として、転削計画支援に係る処理を行ってもよい。
より具体的には、走行状態用センサ28は、台車枠25に取付けられ、台車枠25の挙動を検出することで、当該台車枠25に支持された車輪50の挙動を検出する。走行状態用センサ28は、例えば、台車24の左右加速度を検出する加速度センサを含んでもよい。走行状態用センサ28は、台車24のヨーレートを検出するジャイロセンサを含んでもよい。台車24の左右加速度及び台車24のヨーレートは、軌道16の曲線部分に起因する台車24の挙動に対して同じような変化を示す。このため、走行状態用センサ28は、台車24の左右加速度を検出する加速度センサ及び台車24のヨーレートを検出するジャイロセンサの少なくとも一方を含めばよい。走行状態用センサ28は、台車24の上下加速度を検出する加速度センサを含んでもよい。
通信装置29は、通信網13を介して転削計画支援装置130と通信を行う回路を含む装置である。走行状態用センサ28からの信号が、通信装置68及び通信網13を介して、転削計画支援装置130に送信される。走行状態用センサ28の検出結果は、軌道16における鉄道車両20の走行位置と対応付けられて、転削計画支援装置130に送信されるとよい。例えば、鉄道車両20に搭載された速度発電機の出力又はGPS(Global Positioning System)受信部の出力に基づき、走行状態用センサ28の検出結果が、軌道16における鉄道車両20の走行位置と対応付けられるとよい。なお、通信網13は、有線式であっても無線式であってもよいしそれらの複合方式であってもよい。また、通信網13は、公衆通信網であっても専用回線による通信網であってもよい。
走行状態用センサ28による検出結果が、通信装置29及び通信網13介して転削計画支援装置130に送信されることは必須ではない。鉄道車両20に、走行状態用センサ28による検出結果を走行状態データとして記憶する不揮発性記憶装置が搭載されていてもよい。この場合、鉄道車両20の停車駅等において、不揮発性記憶装置に記憶された走行状態データが、転削計画支援装置130に転送されてもよい。また、鉄道車両20に、転削計画支援装置130が搭載されてもよい。
車両の転削計画支援システム100は、車輪の転削計画支援装置130と、端末装置190とを備える。
車輪の転削計画支援装置130は、第1実施形態と同様に、例えば、プロセッサ132と記憶装置134等とを有するコンピュータを備える。記憶装置134には、プログラム135、予定走行データ36、コストデータ37、走行状態データ138等が格納されている。記憶装置134には、車輪の形状データ136が記憶されてもよい。
プログラム135は、プロセッサ32が第2実施形態における転削計画支援装置130としての処理を実行するための命令を含む。
第1実施形態で説明したように、予定走行データ36は将来における鉄道車両の走行に関するデータであり、コストデータ37は、車輪の転削に関するコストを含むデータである。
走行状態データ138は、鉄道車両20の走行中における走行状態を含むデータである。例えば、走行状態用センサ28によって検出された結果が、本転削計画支援装置130に送信されることで、蓄積されたデータである。上記のように、走行状態データ138は、例えば、走行状態用センサ28の検出結果に基づく車輪50の挙動に応じたデータが、軌道16における鉄道車両20の走行位置に対応付けられたデータであるとよい。
転削計画支援装置130は、第1実施形態で説明したように、入力部40及び表示装置42を備えていてもよい。
端末装置190は、例えば、プロセッサ192と記憶装置194等とを有するコンピュータを備える。プロセッサ192は、CPU等の回路によって構成されている。記憶装置194は、HDD、SSD等の不揮発性記憶装置である。記憶装置194には、端末側プログラム195等が格納されている。
端末装置190は、入力部196及び表示装置197を備える。入力部196は、キーボード、タッチパネル等であり、利用者による入力を受付ける装置である。入力部196は、利用者からの車輪50の加工、交換コストの入力を受付ける入力受付部の一例である。表示装置197は、例えば、液晶表示装置である。表示装置197は、車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像を表示する表示装置の一例である。
端末装置190は、通信装置198を備えている。通信装置198は、通信網13を介して転削計画支援装置130と通信を行う回路を含む装置である。入力部196を介して入力された車輪50の加工、交換コストが、通信網13を介して転削計画支援装置130に送信される。転削計画支援装置130において、車輪50の加工、交換コストに基づいて車輪ライフサイクルコスト評価値が演算されると、当該演算結果に基づくデータが端末装置190に送信される。当該演算結果に基づく画像が表示装置197に表示される。
プロセッサ192が、端末側プログラム195に記述された命令に従って演算処理を行うことによって、入力部196を介した入力の受付、入力されたデータの転削計画支援装置130への送信、転削計画支援装置130で演算された車輪ライフサイクルコスト評価値に基づくデータの受信、及び、当該データに基づく画像の表示処理がなされる。
図4は車輪の転削計画支援装置130が車輪の転削計画支援方法を実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS11において、基準時における車輪50の形状データが設定される。第1実施形態で説明したように、基準時における鉄道車両の車輪の形状データは、車輪の実測データであって予め記憶装置134に記憶されたデータであってもよいし、鉄道車両の過去の走行中に取得されたデータに基づいて推定されたデータであってもよい。
ステップS12は、第1実施形態のステップS1と同様の処理である。ステップS13は、第1実施形態のステップS2と同様の処理である。ステップS14及びステップSS15は、第1実施形態のステップS3で説明したのと同様の処理である。
ステップS12からステップSS15の処理は、複数の将来時期のそれぞれに対して実行される。複数の将来時期は、基準時以降の走行距離によって設定されてもよい。例えば、複数の将来時期は、基準時以降の所定距離走行毎の時期であって、車輪50の寿命と考えられる距離以下の範囲で設定されてもよい。
次ステップS16において、演算された評価値に基づく結果が出力なされる。利用者は、評価値に基づく結果を見ることで、転削計画、例えば、転削を行うべきサイクルを検討することができる。
評価値に基づく結果が出力された後、処理を終了してもよい。上記処理は、複数のプロセッサによって実行されてもよいし、複数のプロセッサによって分散して処理されてもよい。
上記各ステップの具体的な処理例について説明する。
ステップS11において、基準時の車輪50の形状データを推定する処理例について説明する。
車輪50の形状の特定例について説明する。図5は車軸に沿った鉛直方向断面における車輪の形状例を示す図である。図5において新しく製造された車輪50の形状の例が線55で示されている。摩耗後の車輪50の形状の例が線56a、56b、56cで示されている。
車輪50の外周部は、リム部51である。リム部51は、踏面52と、フランジ部53とを含む。
踏面52は、リム部51の外周面のうち車幅方向外側の部分である。踏面52がレールの上向き面に接触した状態で、車輪50がレール上を転がることができる。踏面52は、車幅方向内側に向けて徐々に径が大きくなる形状に形成されている。図5に示す断面において、踏面52は、車輪50の回転軸に水平な方向に対して勾配をもった形状として表現される。
フランジ部53は、リム部51のうち車幅方向内側から車輪50の径方向外側に突出する環状突部である。フランジ部53が、レールに対してレール間から接触することによって、レールに対する車幅方向の車輪50の位置を車幅方向内側から規制することができる。左右の車輪50がレール上を走行するため、鉄道車両20は、一対のレールに対して車幅方向両側から位置規制される。図5に示す断面において、フランジ部53は、下側に凸となる曲線を描いて突出する形状として表現される。踏面52とフランジ部53とは、曲線をなして連なっている。
車輪50の形状は、例えば、フランジ高さHfと、フランジ厚みWfと、踏面勾配θと、車輪径Rとによって特定される。図5では、摩耗後の車輪50の形状の例に対して、フランジ高さHfと、フランジ厚みWfと、踏面勾配θと、車輪径Rとが示されている。
車輪径Rは、例えば、踏面52のうち最もレールと接触し易い箇所における、車輪50の径であってもよい。車輪径Rは、例えば、車輪50の車幅方向外向き面から中心軸方向に沿って予め定められた距離D1内側の位置における、車輪50の径であってもよい。車輪径Rは、車輪50の車幅方向内向き面を基準として特定されてもよい。車輪径Rは、車輪50の軸方向において、車輪50の車幅方向外向き面と内向き面との間で予め定められた比率の位置(例えば、中央位置)における径によって特定されてもよい。
踏面勾配θは、例えば、踏面52のうち最もレールと接触し易い箇所が、車輪50の中心軸に対して傾斜する角度θであってもよい。例えば、上記踏面52のうち車輪径Rの基準となる部分が、車輪50の中心軸に対して傾斜する角度θであってもよい。
フランジ高さHfは、例えば、踏面52のいずれかの部分を基準とした高さである。フランジ高さHfは、例えば、上記車輪径Rに対する突出長、即ち、フランジ部53において最も突出した頂部の直径から上記車輪径Rを減じた値であってもよい。
フランジ厚みWfは、例えば、フランジ部53のうちレールに対して側面から当る部分の厚みである。フランジ厚みWfは、例えば、車輪径Rに予め定められた距離D2を加算した位置における、フランジ部53の前記中心軸方向に沿った厚みであってもよい。
新しく製造された車輪50の形状は、設計上の形状に従って製造されているため、少なくともフランジ高さHfと、フランジ厚みWfと、踏面勾配θと、車輪径Rとによって特定され得る。
ステップS11における基準時の車輪50の形状データは、走行による摩耗後の車輪50の形状データであってもよい。基準時の車輪50の形状データは、鉄道車両の過去の走行中に取得されたデータに基づいて推定されたデータであってもよい。当該データを推定するための処理例について説明する。
上記したように、摩耗後の車輪50の形状は、例えば、フランジ高さHfと、フランジ厚みWfと、踏面勾配θと、車輪径Rとによって特定され得る。
図6は軌道16における距離に、軌道16における曲率の変化、台車24の加速度(又はヨーレート)の変化及び台車24の上下加速度の変化を対応付けた図である。なお、軌道16における曲率の変化は、軌道の曲率情報を含む軌道の経路情報36aに基づく。軌道16に対する台車24の加速度(又はヨーレート)の変化及び台車24の上下加速度の変化は、走行状態用センサ28に検出されるデータに基づく。同図では、鉄道車両20が直線経路から曲線経路を経て直線経路に進む様子が示される。曲線経路Qは、入口緩和曲線Qaと、円曲線Qbと、出口緩和曲線Qcとを含む。入口緩和曲線Qaは円曲線Qbの曲率に向って徐々に曲率が大きくなる部分であり、円曲線Qbでは最も大きい一定曲率が続く部分であり、出口緩和曲線Qcは円曲線Qbの曲率から徐々に曲率が小さくなる部分である。
フランジ厚みWfを推定する処理例について説明する。鉄道車両20が入口緩和曲線Qaに進入すると、台車24は遠心力によって入口緩和曲線Qaの外周側に振れ、フランジ部53がレールに接触する。フランジ部53が摩耗するほど、フランジ部53がレールに接触する時期が遅くなる。よって、台車24が曲線Qに進入した時点からのフランジ部53がレールに接触する迄の距離が大きくなるほど、フランジ部53の厚みは小さくなる。なお、台車24が曲線Qに進入した時点からのフランジ部53がレールに接触する迄の距離は、経路情報36aに基づき台車24が曲線Qに進入した後、当該曲線Qの曲る方向とは逆側への台車加速度又は台車ヨーレートのピーク値が現れる位置を参照することで、特定され得る(図6におけるA1の囲み部分参照)。
また、鉄道車両20が円曲線Qbを走行する際には、内周側の車輪50が径の小さい部分でレールに接し、外周側の車輪50が径の大きい部分でレールに接することで、内周側と外周側との経路差が吸収される。ここで、フランジ部53が摩耗しているほど、内周側と外周側との経路差の吸収可能量が大きくなる。よって、曲率半径の小さい円曲線Qbにおいて、フランジ部53が摩耗していない場合には、内外の経路差を十分に吸収できない可能性がある。この場合、内外の経路差を十分に吸収できなければ、車輪50とレールとの間に滑りが発生し、この滑りに起因する左右方向又はヨー方向の振動が大きくなる。そこで、台車左右加速度又は台車ヨーレートの振動強度が小さくなるほど、フランジ部53の厚みは小さいと考えることができる((図6におけるA2の囲み部分参照)。振動強度は、前記周期成分における台車左右加速度又は台車ヨーレートの最大ピーク値、ピーク値の平均値、又は、実効値であってもよいし、一定区間の積分値であってもよい。なお、振動強度は、台車左右加速度又は台車ヨーレートを表す信号の強度で表現される。
そして、例えば、台車24が曲線Qに進入した時点からのフランジ部53がレールに接触する迄の距離及び円曲線Qbにおける所定の周期成分における振動強度のうちの少なくとも1つのパラメータとフランジ部53の厚みとを対応付けた参照テーブルを、理論的、実験的又は経験的法則から作成しておく。経路情報36a及び走行状態用センサ28に検出されるデータに基づいて前記パラメータの少なくとも1つを特定し、特定されたパラメータ及び前記参照テーブルに基づいてフランジ部53の厚みを推定することができる。前記少なくとも1つパラメータからフランジ部53の厚みを推定する数式が予め設定されていてもよい。
踏面勾配θを推定する処理例について説明する。鉄道車両20が曲線Qを通った後、直線経路に進入すると、台車24の左右振動が徐々に小さくなる。踏面勾配θが大きいほど、振動の収束が遅くなる。そこで、曲線Qから直線経路への進入時の左右の振動に応じた周期成分における振動強度が予め定められた基準値以下又は当該基準値を下回るまでの距離が大きくなるほど(つまり、振動が収束するまでの距離が大きくなるほど)、踏面勾配θが大きいと考えることができる(図6のA3の囲み部分参照)。振動強度は、前記周期成分における台車左右加速度又は台車ヨーレートのピーク値又は実効値であってもよいし、一定区間の積分値であってもよい。
そして、例えば、曲線Qから直線経路へ進入した時点から所定の周期成分における振動強度が予め定められた基準値以下又は当該基準値を下回るまでの距離と、踏面勾配θとを対応付けた参照テーブルを、理論的、実験的又は経験的法則から作成しておく。経路情報36a及び走行状態用センサ28に検出されるデータに基づいて振動が収束する迄の距離を特定し、特定された距離及び前記参照テーブルに基づいて踏面勾配θを推定することができる。前記振動が収束するまでの距離をパラメータとして踏面勾配θを推定する数式が予め設定されていてもよい。
車輪径Rを推定する処理例について説明する。走行状態用センサ28に検出される台車上下方向加速度の変化には、車輪50の回転に起因する周期的な波形が表れる。台車上下方向加速度の変化波形に表れるピーク値間の距離が小さくなるほど、車輪径Rは小さい。または、当該変化波形に含まれる周波数成分が小さいほど、車輪径Rは小さい。
そして、上下方向加速度の変化波形に表れるピーク値間の距離(図6の距離A4参照)又は周波数成分に、車輪径Rを対応付けた参照テーブルを、理論的、実験的又は経験的法則から作成しておく。走行状態用センサ28に検出されるデータに基づいて、台車上下方向加速度の変化波形に表れるピーク値間の距離又は当該波形に含まれる周波数成分を抽出し、求められたピーク値間の距離若しくは周波数成分と、参照テーブルとに基づいて、車輪径Rを求めることができる。ピーク値間の距離若しくは周波数成分をパラメータとして車輪径Rを推定する数式が予め設定されていてもよい。
車輪50のフランジ部53の頂部はレールに接触しないので摩耗しないと考えることができる。このため、上記のように車輪径Rが求められると、元のフランジ部53の頂部の位置を基準にして、フランジ高さHfが特定され得る。
上記のように、走行状態データ138に基づいて、摩耗後の車輪50の形状が、フランジ高さHfと、フランジ厚みWfと、踏面勾配θと、車輪径Rとによって特定され得る。図5において、車輪径Rと踏面勾配とに基づいて、踏面52の一部が線56aによって表現され得る。また、フランジ厚みWfに基づいて、フランジ部53の基端部のうち踏面52側の部分が線56bによって表現され得る。線56bは、車輪50に対して予め定められた角度傾く線分として表現されてもよい。また、フランジ部53のうち頂部及び踏面52とは反対側の部分は、摩耗せず、初期の形状を保っていると考えることができ、線56cによって表現され得る。線56a、56b、56cの間56eについては、スプライン補間等によって滑らかな線で繋ぐように補間することによって、基準時における車輪50の形状が推定される。
なお、既に述べたように、基準時における車輪の形状データは、実測データであってもよい。また、鉄道車両20の過去の走行状態データが判明している場合には、ステップS12における処理と同様に、過去の走行状態データから摩耗量を推定し、新しく製造された車輪50の形状データから摩耗量分を減らすことで、基準時における車輪50の形状を推定してもよい。
ステップS12において、将来時期における車輪50の推定形状を演算する処理例について説明する。図7は将来時期における車輪50の推定形状を演算する処理の一例を示すフローチャートである。図8は同処理におけるデータフローを示す図である。
ステップS21において、本処理を行う最初の基準となる車輪形状がセットされる。初期にセットされる車輪形状は、上記基準時における車輪形状である。
次ステップS22において、上記車輪形状と、軌道16の経路情報36aと、走行速度情報36bとに基づいて、鉄道車両20の将来の走行中における、軌道16に対する車輪50の運動シミュレーション処理を実行する。
例えば、基準時から予め定められた一定の期間が推定期間に設定される。経路情報36a及び走行ダイヤ情報36cに基づいて、推定期間における代表的な複数の曲線種及び当該曲線における走行速度が抽出される。例えば、経路情報36a及び走行ダイヤ情報36cに基づいて、推定期間における走行回数が上位である曲線種が抽出される。また、抽出された各曲線種において、出現回数が上位である走行速度が抽出される。これにより、代表的な曲線種と走行速度との組合せが複数抽出される。
ここで、車輪の形状はステップS21においてセットされた車輪形状であり、レールの形状は既知の形状であると考える。また、鉄道車両20の質量、車輪50とレールとの間の摩擦係数は、設計上又は実験的な知見から既知であると考える。これらの既知の条件、地表における物理的条件、曲線種が定める曲率、走行速度条件から、曲線種と走行速度との各組合せに対し、レールに対する車輪50の挙動を推定することができる。より具体的には、レールに対して車輪50がどの方向でどのような力を受けて動くかをシミュレーション処理することができる。
図9は運動解析シミュレーションのために入力されるデータの一例を示す図である。本例では、経路情報36aとして、No.1からNo.6の各曲線の開始・終了キロ程(つまり、軌道16の始点等を基準とする位置からの軌道16の位置)、各曲線の入口緩和曲線長・曲り具合、各曲線の出口緩和曲線長・曲り具合、各曲線の円曲線長・曲り具合、各曲線のカント量、各曲線のスラック等が入力される。また、No.7に車輪形状が入力される。さらに、走行ダイヤ情報36cとして、No.8のキロ程に対応した走行速度、No.9の推定期間中の走行ダイヤが入力される。曲線の曲り具合だけではなく、各曲線のカント量、各曲線のスラック等をも考慮してシミュレーションすることで、より正確なシミュレーションが可能となる。
このシミュレーション結果においては、車輪50の中心軸方向における各位置において、レールと車輪50との間における平面2軸方向の滑り量と当該平面2軸方向において車輪50に発生する滑り方向の力とが演算される。また、車輪50の中心軸方向における各位置において、レールと車輪との間における平面垂直軸の回転方向の滑り量と、当該平面垂直軸を中心として車輪50に発生するトルクとが演算される。平面2軸方向は、重力方向に対して直交する水平方向であってもよく、平面垂直軸の方向は重力方向であってもよい。ここで、滑り量と滑り方向の力(回転方向の滑りである場合にはトルク)との積を、摩耗係数とする。2つの物体間で、滑り量が大きいほど摩耗量が大きくなり、また、滑り方向の力が大きいほど摩耗量が大きい。このため、摩耗係数は、摩耗のし易さを表す係数である。例えば、車輪50の中心軸に沿った各位置において、レールと車輪50との間における平面2軸方向の滑り量と車輪50に発生する滑り方向の力との積の時間積分値と、レールと車輪50との間における平面垂直軸の回転方向の滑り量と車輪に発生するトルクとの積の時間積分値とを演算し、両方の時間積分値を加算した値を、摩耗係数とすることができる。
代表的な曲線種と走行速度との各組合せに対して上記シミュレーション処理を実行することによって、曲線種別と走行速度との各組合せに対して、摩耗係数と摩耗箇所(車輪50における中心軸に沿った方向各位置)とを対応付けた曲線速度-摩耗テーブルが作成される(図8参照)。
なお、処理の効率化のため、代表的な曲線種と走行速度との各組合せに対してシミュレーション処理を行うとしたが、鉄道車両20の走行対象となる全ての曲線種と走行速度との各組合せに対してシミュレーション処理を実行してもよい。
次ステップS23において、曲線速度-摩耗テーブル及び走行ダイヤ情報36cに基づき、推定期間中における曲線による車輪50の摩耗量を演算する。すなわち、摩耗係数は摩耗のし易さを表しているため、車輪が上記テーブルに規定された曲線と走行速度との条件を満たす毎に、当該テーブルによって定められる摩擦係数に応じた摩耗が発生する。摩耗量は、摩耗係数に対して正の相関がある量として演算されればよく、例えば、摩耗量は摩耗係数に対して単純比例する量又は多次関数的に増加する量として演算されてもよい。摩耗係数は、車輪50の中心軸方向に沿って細分化された各部に対して定められており、摩耗量も、車輪50の中心軸方向に沿って細分化された各部に対して算出される。
また、走行ダイヤ情報36cに基づくことで、推定期間において、曲線種と走行速度との各組合せに対して車輪50が走行する予定回数が特定される。上記摩耗量を、曲線種と走行速度との各組合せに対して車輪50が走行する予定回数に応じて積算することによって、推定期間中において、曲線によって生じ得る摩耗量が演算される。
次ステップS24において加減速による摩耗量が加算される。すなわち、走行ダイヤ情報36cにおける車両速度に基づくことで、軌道16の各位置における鉄道車両20の加減速の有無及び量が特定される。加減速によって、レールに対して車輪50が滑るため、その滑りによる摩耗量を加算する。
上記曲線速度-摩耗テーブルに規定された曲線種及び速度の組合せにおいて、加減速が生じる場合には、曲線速度-摩耗テーブルで定められる摩耗係数に一定値を加算したり、当該係数に1を超える係数を乗じたりして、加減速による摩耗量を加算してもよい。
上記軌道16の直線箇所において加減速が生じる場合には、上記と同様に、運動解析シミュレーションを実行し、当該シミュレーション結果に基づいて、車輪の中心軸方向の各位置に摩耗係数を対応付けた直線-摩耗テーブルを作成しており、当該テーブルを参照して摩耗量を加算してもよい。
加減速の大きさが大きくなるほど、加減速による摩耗量の加算量が大きくなるように変更されてもよい。例えば、加減速の大きさに応じて、曲線速度-摩耗テーブルで定められる摩耗係数に加算又は乗じる値を変えてもよい。また、例えば、加減速の大きさに応じて、直線-摩耗テーブルを変更してもよい。
次ステップS25において、推定期間が推定上限期限に達したか否かが判定される。推定上限期限は、予め設定された期限であり、例えば、経験的に転削を行うべき上限期限に設定される。推定期間が推定上限期限に達していない場合、ステップS27に進む。
ステップS27では、ステップS23及びS24で求められた摩耗量に基づき、摩耗後の車輪形状が演算される。例えば、ステップS21においてセットされた車輪形状に基づき、車輪の中心軸に沿った各位置において、ステップS23及びS24で求められた摩耗量分を減らしていくことによって、摩耗後の車輪形状が演算される。この演算結果が摩耗後の車輪形状として推定された形状となる。
この後、ステップS21に戻る。2度目以降のステップS21では、推定された摩耗後の車輪形状を、車輪形状としてセットする。
続く、ステップS22からS24において、推定された摩耗後の車輪形状を基準とし、前回の推定期間終了時から次の推定期間を対象として、シミュレーション処理及び摩耗量の演算がなされる。
ステップS25において、推定期間が推定上限期限に達したと判定されると、ステップS26に進む。推定期間が推定条件期間に達するまで、上記ステップS21からS25及びS27の処理が繰返されることによって、複数の推定期間の各終了時における摩耗後の車輪形状が推定される。これにより、基準時から推定上限期間までの車輪形状の摩耗推移の演算が完了する。
なお、摩耗量の推定は、シミュレーション処理によって実行される必要は無い。例えば、鉄道車両20が過去及び将来において類似する軌道を走行しており、かつ、過去における車輪50の摩耗形状が実測され、または、過去の走行データから推測されているとする。このような場合には、過去における車輪50の摩耗形状から、将来における車輪50の摩耗形状を推定してもよい。
ステップS13において、転削後における予測車輪径を演算する処理について説明する。図10は転削後における予測車輪径を演算する処理を説明するための説明図である。
ステップS12において、将来時期における摩耗後の車輪50の形状が推定されている。図10において摩耗後の車輪50の形状が実線で示される。摩耗後の車輪50の車輪径Rも、ステップS12において求められている。
転削の目的は、車輪50の形状を初期の形状に近づけることにあるため、転削による目標形状は予め決定されている。図10において転削後の目標形状が2点鎖線で示されている。
将来時期における摩耗後の車輪50の形状内に、転削後の目標形状の全てが包含されるように、転削後の目標形状の位置が設定される。当該位置における転削後の目標形状によって規定される車輪径が、磨耗後の車輪径RよりもRa減少した転削後の予測車輪径R-Raである。
図11は上記処理にて求められた走行距離に対する車輪径R、フランジ厚みWf及びフランジ高さHfの変化を示す図である。走行距離に対する車輪径Rの変化としては、予測された摩耗量に基づく変化とは別に、各将来時期において転削を行った場合の予測車輪径を結ぶ線が示されている。
同図に示すように、走行距離が多くなるのに従って、車輪径R及びフランジ厚みWfが減少していき、フランジ高さHfが増加していくことが予測される。
なお、車輪径R、フランジ厚みWf及びフランジ高さHfについては限度値が設定されている。限度値に対するフランジ厚みWfの差を裕度Wfm(L)とし、限度値に対するフランジ高さHfの差を裕度Hfm(L)とする。
図10から、早期に転削を行うと、裕度Wfm(L)、Hfm(L)が初期値に近い段階で転削が行われることになり、過剰に転削がなされる可能性があることが理解される。また、転削を遅らせると、裕度Wfm(L)、Hfm(L)が限界値に近いてしまう可能性があることが理解される。
ステップS14において転削回数Nfを演算する処理について説明する。新製時から将来時期に対応するまでの走行距離Lを、1周期として転削を行うと仮定し、転削周期Lとする。この場合において、ステップS13において求められた1転削サイクル当りの減少車輪径Rd(L)とする。新製時の車輪径Rnは設計上の値として既知であり、最小限度値の車輪径Rrも設定値として既知と考えることができる。すると、限度値を下回らない条件で車輪50を使い切るまでの転削回数Nfは、数1によって表される。
Figure 2022189440000002
ステップS15において車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する処理例について説明する。
車輪径Rが減少していくと、同距離走行時の車輪50の回転数は増加する。そこで、車輪径Rの減少量に比例して摩耗量は増加するものと仮定すると、転削周期をLとした場合の車輪寿命Tallは、数2によって表される。車輪寿命Tallは、転削周期Lの関数となる。
Figure 2022189440000003
車輪ライフサイクルコストCallは、車輪50を使い切るまでの1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じたコストであると考えると、車輪ライフサイクルコストCallは、次の数3によって定義され得る。
Figure 2022189440000004
上記車輪ライフサイクルコストCallに基づいてライフサイクルコスト評価値が定義される。ライフサイクルコスト評価値は、車輪ライフサイクルコストCallそのものであってもよいし、車輪ライフサイクルコストCallに対して正又は負の相関にある評価値であってもよい。
本実施形態では、数4に示すように、車輪ライフサイクルコストCallを、車輪寿命Tallで除することによって、転削周期Lを変数とする評価関数G1を定義する。評価関数G1の演算結果は、転削周期Lとした場合の単位走行距離当りの車輪使用コストを表すコスト評価値となる。
Figure 2022189440000005
評価関数G1を用いることで、例えば、複数の転削周期Lのそれぞれに対する、単位走行距離当りの車輪使用コストを演算し、転削周期Lと単位走行距離当りの車輪使用コスト等を総合的に考慮して、転削周期を含む転削計画を策定することができる。また、評価関数G1を最小化するようにLを導出することによって、単位走行距離当たりの車輪使用コストが最小化される。
ところで、フランジ厚みWfとフランジ高さHfが限界値に近づくにつれて脱線の発生確率が高くなる。そこで、将来時期における車輪50の推定形状に基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算してもよい。脱線可能性は、将来時期(転削周期L)における車輪50の推定形状としてのフランジ高さHfとフランジ厚みWfとによって左右される。このため、フランジ高さHfとフランジ厚みWfとに基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算してもよい。この場合、当該脱線コスト評価値と車輪ライフサイクルコスト評価値とに基づいて、脱線可能性を考慮して車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両20の総ライフサイクルコストを演算してもよい。
なお、上記車輪50のライフサイクルは、転削周期Lで転削を行った場合において、車輪50の加工、交換によって発生するコストである。車輪のライフサイクルコスト評価関数又は評価値は、当該車輪50自体のライフサイクルコストを評価する関数又は値である。鉄道車両20の総ライフサイクルコストは、車輪50のライフサイクルコストを含み、さらに、転削周期Lで転削を行った場合において鉄道車両20の運用に起因して発生する鉄道車両20の運用コストを含むコストである。例えば、転削周期Lは、故障の発生率及び脱線率に影響を与えることが考えられ、故障の発生率及び脱線率が変動すれば、鉄道車両20の運用コストも変動する。鉄道車両20の総ライフサイクルコストは、車輪50のライフサイクルコストに、鉄道車両20の運用コストを考慮したコストである。鉄道の総ライフサイクルコスト評価関数又は評価値は、当該車輪50自体のライフサイクルコスト評価関数又は値に、上記運用コストによる評価関数又は評価値を考慮した関数又は値である。
本実施形態では、脱線発生時に復旧などで必要とする費用をCdrとし、数5に示す評価関数G2を定義する。なお、費用Cdrは、過去例等に基づいて設定されてもよい。評価関数G2の演算結果は、当該鉄道車両20の総ライフサイクルコスト評価値となる。
評価関数G2は、数6に示すように定義されてもよい。
Figure 2022189440000006
Figure 2022189440000007
数5又は数6において、フランジ厚みWfに起因する脱線発生確率Pwfは、フランジ厚みWfに関する裕度Wfm(L)が小さくなるほど大きくなる。脱線発生確率Pwfと裕度Wfm(L)との関係は、例えば、過去の知見又はシミュレーション結果から求められ得る。例えば、図12に示すように、裕度Wfm(L)が小さくなるにつれて脱線発生確率Pwfが徐々に大きくなり、裕度Wfm(L)が0に近づくと脱線発生確率Pwfが急に大きくなるような関係を持つことが考えられる。上記関係に基づく参照テーブルが事前に準備されており、裕度Wfm(L)から脱線発生確率Pwfが求められることが考えられる。
また、裕度Wfm(L)は、転削周期Lにおける摩耗した車輪50のフランジ厚みWfと限度値との差である。このため、転削周期Lの時点における摩耗した車輪50のフランジ厚みWfを演算すれば、裕度Wfm(L)が演算される。このため、脱線発生確率Pwfは、転削周期Lによって特定されるフランジ厚みWf(L)によって決る脱線発生確率Pwf(Wf(L))であると考えることができる。
同様に、図12に示すように、フランジ高さHfに起因する脱線発生確率PHfは、フランジ高さHfに関する裕度Hfm(L)が小さくなるほど大きくなる。脱線発生確率PHfと裕度Hfm(L)との関係は、例えば、過去の知見又はシミュレーション結果から求められ得る。例えば、図12に示すように、裕度Hfm(L)が小さくなるにつれて脱線発生確率PHfが徐々に大きくなり、裕度Hfm(L)が0に近づくと脱線発生確率PHfが急に大きくなるような関係を持つことが考えられる。上記関係に基づく参照テーブルが事前に準備されており、裕度Hfm(L)から脱線発生確率PHfが求められることが考えられる。
また、裕度Hfm(L)は、転削周期Lにおける摩耗した車輪50のフランジ高さHfと限度値との差である。フランジ高さHfは、転削周期Lにおける摩耗した車輪50の車輪径Rによって求められる。このため、転削周期Lの時点における摩耗した車輪50の車輪径Rを演算すれば、裕度Hfm(L)が演算される。このため、脱線発生確率PHfは、転削周期Lによって特定されるフランジ高さHf(L)によって決る脱線発生確率PHf(Hf(L))であると考えることができる。
このため、評価関数G2も、転削周期Lの関数として表現され得る。評価関数G2を最小化するようにLを導出することによって、脱線によるコストを考慮して、車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両20の総ライフサイクルコストを最小化し得る転削周期Lを候補転削周期として導出することができる。
また、車輪50にフラットな部分が生じたり、摩耗に伴う偏心が生じたりした場合には、台車24の振動が増加し、台車24の搭載部品や台車枠25に故障が発生する可能性がある。台車24の振動は、走行状態データ138に含まれる台車上下加速度データによって把握され得る。そこで、走行中における鉄道車両20(ここでは台車24)の振動データに基づき、振動によって発生する故障コスト評価値を演算してもよい。そして、車輪ライフサイクルコスト評価値と故障コスト評価値とに基づいて、振動による故障可能性を考慮して車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両20の総ライフサイクルコストを演算してもよい。当該鉄道車両20の総ライフサイクルコストは、転削周期Lで車輪50を転削した場合に車輪50の運用に起因して発生する鉄道車両20の運用コストであって、車輪50の1ライフサイクル当りのコストである。
本実施形態では、台車枠25を含む各台車搭載部品に対して、振動増加分に対する故障確率を定義する。また、各部品価格と交換に要する費用(部品代と作業代とを含む)と故障時に鉄道車両20の運行への影響により発生する損害の和と振動増加分に対する故障確率との積の和を、車輪寿命で除した値を、評価関数G1に加算した評価関数G3を定義する。評価関数G3が数7に示される。
Figure 2022189440000008
なお、故障確率Pcc,iは、基準時における台車振動度合い増加分に応じて決る値である。例えば、台車振動度合い増加分としては、新製時又は車輪転削後からの、特定周波数領域における振動実効値、振幅累積値及びp-p値の増加量のいずれかが採用されてもよい。
図13に示すように、新製時又は車輪転削後からの台車振動度合い増加分が増加すると、故障確率が大きくなることが考えられる。
台車振動度合増加分は、予め定められた規格上の基準値からの超過分として把握されてもよい。上記と同様に、図14に示すように、台車振動規格超過分が大きくなるほど、故障確率が漸増することが考えられる。
図13又は図14に示す関係が参照テーブルとして予め設定されていれば、上下加速度データに基づいて基準時における台車振動度合い増加分を求め、当該増加分から参照テーブルを参照することで、故障確率Pcc,iが求められる。故障確率Pcc,iは、各搭載部品及び台車枠25に共通する確率であってもよいし、別々の確率であってもよい。
このように、評価関数G3も、転削周期Lの関数として表現され得る。評価関数G3を最小化するようにLを導出することによって、振動による故障に起因するコストを考慮して、車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両20の総ライフサイクルコストを最小化し得る転削周期Lを候補転削周期として導出することができる。
脱線によるコストと、台車振動増加によるコストとの両方を考慮した評価関数G4が、数8によって定義される。
Figure 2022189440000009
評価関数G4を最小化するように転削周期Lを導出することによって、転削及び車輪50の交換に要するコストと、脱線によるコストと、台車振動増加によるコストとの総和を最小化する候補転削周期Lを演算することができる。
図15は端末装置190における処理例を示すフローチャートである。本処理は、プロセッサ192が端末側プログラム195に記述された命令を実行することによってなされる。
同図に示すように、ステップS31において条件が入力される。条件は、上記評価関数G1からG4のいずれかを演算するための条件である。
図16に端末装置190における表示装置197の表示画面例が示される。表示画面には、台車分解費用、車輪費用、車輪転削費用等を入力するための空欄が表示される。この欄への入力値に基づいて評価関数G1が求められる。表示画面には脱線発生時費用を入力するための空欄が表示される。この欄への入力値に基づくことで、評価関数G2も演算され得る。さらに、防振ゴム、ブレーキ装置、差圧弁等の台車搭載部品の交換コストを入力するための空欄が表示される。また、台車搭載部品に対する故障確率を設定するための「設定」ボタンが設けられる。「設定」ボタンを選択することによって、故障確率設定のための画面が表示される。故障確率の設定は、例えば、台車振動増加度合を横軸とし故障率を縦軸とするグラフにおいて、故障率を示す線が通過する複数のポイントを指定することによってなされる。表示画面には、既存の転削周期を設定する欄が設けられる。
上記表示画面を利用することによって、ステップS31における条件入力がなされる。
次ステップS32において最適化実行指令が有ったか否かが判定される。例えば、表示画面における「最適化実行」ボタンがクリックされると、最適化実行指令有りと判定され、ステップS33に進む。最適化実行指令無しと判定されると、ステップS31に戻り、条件入力を受付ける。
ステップS33では、入力された条件を転削計画支援装置130に送信する。これにより、転削計画支援装置130は、端末装置190において入力された条件に基づいて、上記各処理を実行する。例えば、評価関数G4に基づいて、評価関数G4を最小化する候補転削周期を演算する。当該評価関数G4に基づいて、候補転削周期における評価値を演算する。なお、既存の転削周期を設定する欄が設けられる場合、評価関数G4に基づいて、既存の転削周期に対する評価値を演算する。処理後、転削計画支援装置130から端末装置190に演算結果が送信される。評価関数G4を最小化する転削周期Lは、例えば、複数の転削周期に基づいて総当りによって求められてもよい。
ステップS34では、転削計画支援装置130からの演算結果の受信が有ったかが判定される。受信有りと判定されると、次ステップS35に進み。
ステップS35では結果が表示される。例えば、図16に示すように、候補転削周期が、最適化転削周期として表示されてもよい。表示された最適化転削周期は、本支援装置が提案する提案転削周期である。この際、最適化転削周期で転削を行った場合の評価値と、既存の転削周期で転削を行った場合の評価値との差分に基づく改善値と、最適化により期待できる改善効果として表示してもよい。図14では、1日値のコスト改善効果が表示されている。この後、処理を終了する。条件の修正又は再入力により、上記処理が繰返されてもよい。
このように構成された車輪の転削計画支援装置130、車輪の転削計画支援システム100及び車輪の転削計画支援方法によると、基準時における車輪50の形状データと予定走行データ36とに基づいて、各将来時期における車輪50の推定形状を演算し、この推定形状に基づいて、各将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算する。この予測車輪径に基づいて、車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する。この車輪ライフサイクルコスト評価値に基づいて、鉄道車両20における車輪50の転削計画の適正化が実施され得る。例えば、車輪ライフサイクルコスト評価値を最小化する転削周期L演算することで、車輪ライフサイクルコストを最小化し得る転削周期Lを提案することができる。
車輪50の形状データとしては、フランジ高さと、フランジ厚みと、踏面勾配と、車輪径とを含むデータとすることで、車輪50の推定形状を適切に演算できる。
予定走行データ36としては、軌道16の経路情報と、走行速度情報とを含むデータとすることで、鉄道車両20の将来の走行中において、軌道16に対する車輪50の挙動を推定することができる。これにより、摩耗に起因する車輪50の推定形状を適切に演算できる。
また、複数の将来時期に対して車輪ライフサイクルコスト評価値を演算することによって、複数の将来時期に応じた複数の転削周期Lを候補として、車輪ライフサイクルコストの適正化が検討され得る。
車輪ライフサイクルコスト評価値と脱線コスト評価値とに基づいて、将来時期に応じた転削周期Lで車輪50を転削した場合に当該車輪の運用に起因して発生する、車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算することによって、脱線コストを評価して、ライフサイクルコストの適正化を図ることができる。
この際、車輪50の推定形状としてのフランジ高さとフランジ厚みとに基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算することによって、脱線コスト評価値を適切に演算できる。
車輪ライフサイクルコスト評価値と故障コスト評価値とに基づいて、将来時期に応じた転削周期で前記車輪を転削した場合に当該車輪50の運用に起因して発生する、車輪50の1ライフサイクル当りの、鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算するため、振動による故障コストを評価して、ライフサイクルコストの適正化を図ることができる。
総ライフサイクルコストが、転削周期Lを変数とする評価関数G2、G3、G4によって定義されていれば、総ライフサイクルコストを最小化する候補転削周期が容易に演算され得る。
また、鉄道車両20の実際の走行状態データ138に基づくことによって、基準時における車輪50の形状データを容易に推定することができ、車輪50の形状を実測する作業を減らすことができる。
また、基準時における車輪50の形状データと、基準時以降の鉄道車両20の予定走行データとに基づけば、鉄道車両の将来の走行中における、軌道に対する車輪の挙動を推定することができる。この推定された挙動に基づいて、軌道16と車輪50との間における滑り量と滑り方向の力等に基づいて摩耗量を演算して、車輪50の推定形状を演算することができる。
表示装置42、197に、車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく提案転削周期が表示されるため、提案転削周期を容易に確認することができる。
端末装置190が通信網13を介して転削計画支援装置130に接続されており、端末装置190の入力部196を介して車輪の加工、交換コストの入力を受付けられると、その入力内容―が転削計画支援装置130に送信される。転削計画支援装置130の処理結果が端末装置190に送信されると、転削計画支援装置130の演算結果である車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像が表示装置197に表示される。このため、転削計画支援装置130から離れた遠隔地でも、車輪50の加工、交換コストを入力し、車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像を視認することができる。
{付記}
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
本明細書及び図面は下記の各態様を開示する。
第1の態様は、軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援装置であって、基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する処理部を備える、車輪の転削計画支援装置である。
第1の態様によると、車輪の形状データと、予定走行データとに基づいて、基準時以降の少なくとも1つの将来時期における車輪の推定形状を演算し、この推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、この車輪転削後の予測車輪径に基づいて、車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する。この車輪ライフサイクルコスト評価値に基づいて、鉄道車両における車輪の転削計画の適正化がなされ得る。
第2の態様は、第1の態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記車輪の形状データは、フランジ高さと、フランジ厚みと、踏面勾配と、車輪径とを含むものである。これにより、フランジ高さと、フランジ厚みと、踏面勾配と、車輪径とを含む形状データに基づいて、車輪の推定形状を適切に演算できる。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記予定走行データは、軌道の経路情報と、走行速度情報とを含むものである。これにより、摩耗に起因する車輪の推定形状を適切に演算できる。
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記少なくとも1つの将来時期として、複数の将来時期に対する演算を実行するものである。これにより、複数の将来時期を候補として、鉄道車両における車輪のライフサイクルコストの適正化が検討され得る。
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状に基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算し、前記車輪ライフサイクルコスト評価値と前記脱線コスト評価値とに基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に当該車輪の運用に起因して発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの、前記鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算するものである。これにより、脱線コストを評価して、ライフサイクルコストの適正化を図ることができる。
第6の態様は、第5の態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記車輪の推定形状としてのフランジ高さとフランジ厚みとに基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算するものである。この場合、フランジ高さとフランジ厚みとに基づくことで、脱線コスト評価値を適切に演算できる。
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記鉄道車両の走行中における前記鉄道車両の振動データに基づき、振動によって発生する故障コスト評価値を演算し、前記車輪ライフサイクルコスト評価値と前記故障コスト評価値とに基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に当該車輪の運用に起因して発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの、前記鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算するものである。この場合、振動による故障コストを評価して、ライフサイクルコストの適正化を図ることができる。
第8の態様は、第5から第7のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記鉄道車両の総ライフサイクルコストが、前記転削周期を変数とする評価関数によって定義されており、前記処理部は、複数の前記転削周期のうち、前記評価関数を最小化する周期を、候補転削周期として演算するものである。これにより、総ライフサイクルコストを最小化する候補転削周期が演算される。
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記鉄道車両の走行状態データに基づいて、前記基準時における前記車輪の形状データを推定するものである。これにより、車輪の形状を実測する作業を減らすことができる。
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部は、前記基準時における前記車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記鉄道車両の将来の走行中における、軌道に対する車輪の挙動を推定し、推定された挙動に基づいて、前記車輪の各位置において、前記軌道と前記車輪との間における平面2軸方向の滑り量と前記車輪に発生する滑り方向の力との積の時間積分値と、前記軌道と前記車輪との間における平面垂直軸の回転方向の滑り量と車輪に発生するトルクとの積の時間積分値を演算して、前記将来時期における前記車輪の形状データを推定するものである。これにより、鉄道車両の将来の走行中における車輪の挙動に基づく滑り量と摩擦力の積に基づいて、前記車輪の推定形状を適切に演算することができる。
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置であって、前記処理部による演算結果に基づいて、前記車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく提案転削周期を表示する表示装置を備えるものである。これにより、提案転削周期を視認することができる。
第12の態様に係る車輪の転削計画支援システムは、第1から第11のいずれか1つの態様に係る車輪の転削計画支援装置と、通信網を介して前記車輪の転削支援装置と通信可能に接続され、前記車輪の加工、交換コストの入力を受付ける入力受付部と、前記車輪の転削計画支援装置における処理部の演算結果である前記車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像を表示する表示装置とを含む端末装置と、を備える。これにより、転削計画支援装置から離れた遠隔地でも、前記車輪の加工、交換コストを入力し、車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像を視認することができる。
第13の態様は、軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援方法であって、(a)基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、(b)前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、(c)前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算するものである。
第13の態様によると、車輪の形状データと、予定走行データとに基づいて、基準時以降の少なくとも1つの将来時期における車輪の推定形状を演算し、この推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、この車輪転削後の予測車輪径に基づいて、車輪ライフサイクルコストを演算する。この車輪ライフサイクルコスト評価値に基づいて、鉄道車両におけるライフサイクルコストの適正化がなされ得る。
13 通信網
16 軌道
20 鉄道車両
24 台車
25 台車枠
28 走行状態用センサ
29 通信装置
30、130 転削計画支援装置
32、132 プロセッサ
36 予定走行データ
36a 経路情報
36b 走行速度情報
36c 走行ダイヤ情報
37 コストデータ
40 入力部
42 表示装置
50 車輪
52 踏面
53 フランジ部
68 通信装置
100 転削計画支援システム
138 走行状態データ
190 端末装置
196 入力部
197 表示装置
198 通信装置

Claims (13)

  1. 軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援装置であって、
    基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する処理部を備える、車輪の転削計画支援装置。
  2. 請求項1に記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記車輪の形状データは、フランジ高さと、フランジ厚みと、踏面勾配と、車輪径とを含む、車輪の転削計画支援装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記予定走行データは、軌道の経路情報と、走行速度情報とを含む、車輪の転削計画支援装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記少なくとも1つの将来時期として、複数の将来時期に対する演算を実行する、車輪の転削計画支援装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状に基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算し、前記車輪ライフサイクルコスト評価値と前記脱線コスト評価値とに基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に当該車輪の運用に起因して発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの、前記鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算する、車輪の転削計画支援装置。
  6. 請求項5に記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記車輪の推定形状としてのフランジ高さとフランジ厚みとに基づいて、脱線によって発生する脱線コスト評価値を演算する、車輪の転削計画支援装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記鉄道車両の走行中における前記鉄道車両の振動データに基づき、振動によって発生する故障コスト評価値を演算し、前記車輪ライフサイクルコスト評価値と前記故障コスト評価値とに基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に当該車輪の運用に起因して発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの、前記鉄道車両の総ライフサイクルコストを演算する、車輪の転削計画支援装置。
  8. 請求項5から請求項7のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記鉄道車両の総ライフサイクルコストが、前記転削周期を変数とする評価関数によって定義されており、
    前記処理部は、複数の前記転削周期のうち、前記評価関数を最小化する周期を、候補転削周期として演算する、車輪の転削計画支援装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記鉄道車両の走行状態データに基づいて、前記基準時における前記車輪の形状データを推定する、車輪の転削計画支援装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部は、前記基準時における前記車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記鉄道車両の将来の走行中における、軌道に対する車輪の挙動を推定し、推定された挙動に基づいて、前記車輪の各位置において、前記軌道と前記車輪との間における平面2軸方向の滑り量と前記車輪に発生する滑り方向の力との積の時間積分値と、前記軌道と前記車輪との間における平面垂直軸の回転方向の滑り量と車輪に発生するトルクとの積の時間積分値を演算して、前記将来時期における前記車輪の形状データを推定する、車輪の転削計画支援装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1つの記載の車輪の転削計画支援装置であって、
    前記処理部による演算結果に基づいて、前記車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく提案転削周期を表示する表示装置を備える、車輪の転削計画支援装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1つの記載の車輪の転削計画支援装置と、
    通信網を介して前記車輪の転削支援装置と通信可能に接続され、前記車輪の加工、交換コストの入力を受付ける入力受付部と、前記車輪の転削計画支援装置における処理部の演算結果である前記車輪ライフサイクルコスト評価値に基づく画像を表示する表示装置とを含む端末装置と、
    を備える車輪の転削計画支援システム。
  13. 軌道を走行する鉄道車両における車輪の転削計画支援方法であって、
    (a)基準時における前記鉄道車両の車輪の形状データと、前記基準時以降の前記鉄道車両の予定走行データとに基づいて、前記基準時以降の少なくとも1つの将来時期における前記車輪の推定形状を演算し、
    (b)前記推定形状に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径を演算し、
    (c)前記少なくとも1つの将来時期における車輪転削後の予測車輪径に基づいて、前記少なくとも1つの将来時期に応じた少なくとも1つの転削周期で前記車輪を転削した場合に発生する、前記車輪の1ライフサイクル当りの加工、交換コストに応じた車輪ライフサイクルコスト評価値を演算する、車輪の転削計画支援方法。
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