JP2022189130A - マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】高い気密性を有しつつ、使用時の息苦しさや不快感などのマスク着用時のストレスを軽減できる衛生マスクを提供する。【解決手段】マスク全体が無縫製のよこ編地からなり、口および鼻を覆うマスク本体と、前記マスク本体の左右に設けられた一対の耳かけ部とを少なくとも有し、前記マスク本体を線状に縦断または横断する形態で融着糸が編み込まれており、前記融着糸が凸状に膨らんだ形態で硬化しているマスクが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、マスクに関し、特に、口および鼻を覆う衛生マスクに関する。
衛生マスク(以下、マスクと略記する)には、冷気や乾燥から鼻やのどを守ったり、口や鼻から分泌される分泌物を撒き散らすのを防いだり、空気中の花粉や病原体などの浮遊物が体内に取り込まれるのを防いだりする。
現在、マスクは、長方形状の不織布タイプが一般的である。不織布タイプのマスクでは、マスク本体の前面長手方向に沿って複数のプリーツが設けられており、マスク本体の中央部分を摘まんで上下方向に引っ張ることで閉じた状態のプリーツを上下に徐々に拡げることができる。これにより、マスク本体が口および鼻だけではなく顎部分までも覆うようにしてマスクを装着することができる。
しかしながら、不織布タイプのマスクは、マスク装着者の個々人で異なる顔の輪郭に十分に追従することができず、マスク本体と顔面との間に隙間が生じるため、マスクの上下および左右から呼気が漏出し、気密性を十分確保することができないという欠点を有する。マスクの上下および左右からの呼気が漏出すると、マスク正面方向、つまりマスクを通過する呼気の量が減ることとなり、マスク本来のろ過機能を十分に発現できなくなる。
このため、顔面との密着性を高くしたマスクも提案されているが、このようなマスクでは、マスクの口や鼻への張り付きによる息苦しさや汗による不快感などによってマスク着用時にストレスを感じることがある。
そこで、凸曲線状に膨らみを持ち、鼻孔と口を覆うマスク用補助具を、マスクの内側に装着することで、マスクの口や鼻への張り付きによる息苦しさや汗による不快感などのマスク着用時のストレスを軽減させる技術が提案されている(特許文献1)。
実用新案登録第3227260号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたマスク用補助具を用いる場合、マスクの中央部分が持ち上げられるため、マスクと顔面との隙間が拡大されることになる。この結果、マスクと顔面との間の気密性が大きく低下する。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、高い気密性を有しつつ、使用時の息苦しさや不快感などのマスク着用時のストレスを軽減できるマスクを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
(1)本発明に係るマスクは、マスク全体が無縫製のよこ編地からなり、口および鼻を覆うマスク本体と、前記マスク本体の左右に設けられた一対の耳かけ部とを少なくとも有し、前記マスク本体には、融着糸が線状に編み込まれており、前記融着糸は、凸状に膨らんだ形態で硬化している。
(2)本発明に係るマスクにおいて、前記融着糸は、前記マスク本体を線状に縦断または横断する形態で前記マスク本体に編み込まれているとよい。
(3)本発明に係るマスクにおいて、前記融着糸は、前記マスク本体の鼻から顎に対応する部分を縦断しているとよい。
(4)本発明に係るマスクにおいて、前記マスク本体の顔面側に、編目のループが多数突出しているとよい。
(5)本発明に係るマスクは、一般財団法人カケンテストセンターが規定する花粉粒子捕集(ろ過)効率試験方法にて測定した花粉粒子捕集効率が85%以上であるとよい。
(6)本発明に係るマスクにおいて、前記マスクの繊維表面に有害物質不活化剤が付着しているとよい。
(7)本発明に係るマスクにおいて、前記有害物質不活化剤は、少なくとも銀と光触媒とを含むとよい。
本発明に係るマスクによれば、高い気密性を有しつつ、使用時の息苦しさや不快感などのマスク着用時のストレスを軽減できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、本発明は、以下の態様のみに限定されるものではなく、本発明の精神と実施の範囲において多くの変形が可能である。
本実施の形態に係るマスクは、マスクを装着するマスク装着者(ユーザ)の口および鼻を覆うマスク本体と、マスク本体の左右に設けられた一対の耳かけ部とを少なくとも有する。一対の耳かけ部は、マスク装着者の耳が入る大きさの穴を有している。マスク本体は、マスク装着者の口および鼻だけではなく、顎および頬も覆っていてもよい。本実施の形態では、マスク本体と一対の耳かけ部とを一体的に編成している。
本実施の形態に係るマスクは、マスク全体が無縫製のよこ編地からなる。つまり、マスク本体だけではなく一対の耳かけ部も無縫製のよこ編地によって構成されており、マスク本体と一対の耳かけ部とが一体的に編成されている。より具体的には、マスク本体も、一対の耳かけ部も、マスク本体と耳かけ部の境界部分も、全体が一体的に編成されている。
このように、マスク全体を無縫製のよこ編地とすることで、編糸が外力に応じて動ける融通性が高くなり、よこ編地の伸縮性を最大限に発揮させることができる。これにより、マスク装着者の顔のサイズに左右されることなく、口や鼻の周辺部分(頬から顎の下、鼻梁など)でマスクが顔面に密着して高い気密性を発揮し、また、ごわつき感や異物感が低減され優れた装着感や、締結張力緩和による耳への負担を軽減する効果が得られる。さらに、無縫製のよこ編地は、編み方(デザイン)の設計自由度が高く、高い意匠性を付与できる利点も有する。
マスク本体は、口および鼻を覆うことができれば、大きさや形状は特に限定されるものではないが、後述する硬化した融着糸による凸状の形状保持部に合わせて、椀状の立体形状となるようにマスク本体を立体編成することで、マスクに歪みが生じず意匠性の高いマスクが得られやすい。
マスク本体を含めてマスクの大部分を構成する繊維の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアセタール、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、または、アセテートやキュプラ、ビスコースなどのレーヨンなどがあり、さらに、これらの他に、ポリ乳酸、芳香族ポリアミド、ポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドなどの化学繊維、綿、麻、絹または羊毛などの天然繊維などが挙げられる。さらに、これらの素材の混繊、混紡、または交編品を用いてもよいし、あるいは、芯鞘構造やカバリングヤーンなどの複合繊維を用いることもできる。
これらの素材の中でも、熱伝導率が高い素材を用いることが好ましい。熱伝導率が高い素材を用いることで、マスク内にこもる熱気を外部に排出する能力が高まり、マスク着用時の快適性が向上する。熱伝導率が高い素材の具体例としては、アセテートやキュプラ、ビスコースなどのレーヨン、ポリアセタール、ナイロン、芯にポリエステル、鞘にEVOHを用いた芯鞘構造の繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが挙げられる。
また、マスクを構成する繊維の素材には、ポリウレタン弾性繊維が含まれることが好ましい。マスクにポリウレタン弾性繊維が含まれることで、マスクの肌への密着性が向上するとともに、マスクの装着感も向上する。マスク本体またはマスクにおけるポリウレタン弾性繊維の混率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
マスク本体の編組織としては、よこ編であれば特に限定されないが、マスク本体の顔面側に編目のループが多数突出している組織であることが好ましい。マスク本体の顔面側に編目のループが突出していることで、マスクのろ過性能を向上させるために繊維製のシート材をマスクの内側に装着させて用いる際に、シート材が有する毛羽立ちがマスク本体のループに面ファスナーの原理で係合されるので、シート材がずれにくくなるという効果を発揮する。マスク本体の具体的な編組織としては、天竺編、インレイ編、または、ループ編であれば、自然に編目のループが多数突出する組織であるため好ましい。また、表裏が存在し、編地がカールする天竺編みであれば、カールする性質を利用してマスク本体に椀状の立体形状を付与できるため、特に好ましい。その他の組織であっても、マスク本体に対してブラシやかぎ針によってよこ編地表面のループを引き出す起毛処理などを施すことで、編目のループを突出させることができる。
本実施の形態におけるマスク本体は、JIS L1096:2010 A法 フラジール形法 にて測定したときの通気性が、25cm/cm・s以上、120cm/cm・s以下であることが好ましい。マスク本体の通気性が25cm/cm・s以上であれば、マスクの正面方向に呼気の流路を集中させやすくなり、かつ呼吸や発話などの際の息苦しさを緩和させる効果が高くなる。また、マスク本体の通気性が120cm/cm・s以下であれば、マスク本来のろ過機能を十分に発揮させることができる。
本実施の形態におけるマスクについては、マスク本体に融着糸が編み込まれている。融着糸とは、乾熱、湿熱または活性エネルギー線照射などの外部刺激の存在で溶融し、刺激が除かれた後に固化して融着糸同士、または周囲の繊維と融着することで、刺激を与える前と比較して硬くなる糸である。融着糸の具体的な素材としては、ポリエチレン、低融点ポリエステル、低融点ナイロン、または、これらの素材を外層に持つ芯鞘構造やカバリングヤーンなどの複合繊維が挙げられる。
融着糸を構成する繊維は、長繊維および短繊維のいずれであってもよい。また、この繊維を用いた糸は、生糸、撚糸、および加工糸のいずれであってもよい。加工糸についても、特に限定されるものではなく、加工糸としては、仮撚加工糸(ウーリー加工糸、DTY、改良仮撚加工糸など)、押込加工糸、賦型加工糸、擦過加工糸、タスラン加工糸、糸長差引きそろえ加工糸、複合加工糸、毛羽加工糸、交絡集束糸、交絡混繊糸などを用いることができる。
また、融着糸を構成する繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、丸型、三角、星形、扁平、C型、中空、井形、ドックボーンなどが挙げられる。
融着糸は、マスク本体に線状に編み込まれている。融着糸は、マスク本体を線状に縦断または横断する形態でマスク本体に編み込まれているとよい。つまり、融着糸は、マスク本体における端縁の一部から他の端縁の一部にわたって線状に編み込まれているとよい。本実施の形態において、融着糸は、マスク本体の鼻から顎に対応する部分を直線状に縦断している。なお、融着糸は、マスク本体を完全に縦断または横断していなくてもよい。例えば、線状の融着糸は、マスク本体の端縁の一部から他の端縁に到達することなくマスク本体の途中まで延在するように編み込まれていてもよいし、マスク本体のどの端縁にも接していない形態で編み込まれていてもよい。また、融着糸は、直線状に限らず、湾曲状または曲線状であってもよい。
融着糸をマスク本体に編み込む場合、無縫製のよこ編地を編成する際に線状の融着糸をマスク本体と一体的に編み込むことで、融着糸をマスク本体に編み込むことができる。
そして、マスク本体に編み込まれた線状の融着糸は、凸状に膨らんだ形態で硬化している。具体的には、マスク本体の鼻から顎に対応する部分に沿って線状に且つマスク本体の前方に凸状に突出するように、融着糸が凸状に膨らんだ形態で硬化している。この場合、融着糸をマスク本体に編み込んだ後に、融着糸を凸状に膨らんだ形態で硬化させることで、マスク本体の一部を線状に部分的に突出させることができる。このように、融着糸を凸状に膨らんだ形態で硬化させることで、マスク本体に椀状の立体形状を与えることができ、口および鼻孔とマスク本体との間に空間を設けることができると同時に前記立体形状を保持できる形状保持部とすることができる。これにより、マスクの口や鼻への張り付きによる息苦しさや汗による不快感などのマスク着用時のストレスを軽減させることができる。
また、本実施の形態に係るマスクは、一般財団法人カケンテストセンターが規定する花粉粒子捕集(ろ過)効率試験方法にて測定した花粉粒子捕集効率が85%以上であるとよい。少なくともマスク本体の花粉粒子捕集効率が85%以上であるとよい。マスク本体の花粉粒子捕集効率が85%以上であれば、ろ過性能が高く、口や鼻からの分泌物を撒き散らすことを防いだり、空気中の花粉や飛沫などの浮遊物が体内に取り込まれることを防いだりする能力に優れる。マスク本体の花粉粒子捕集効率は、より好ましくは、90%以上である。
また、本実施の形態に係るマスクについては、所期の目的を逸脱しない限りにおいて、酸化チタンなどの艶消し剤、酸化防止剤、安定剤、着色防止剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱剤、抗菌防臭剤、制菌剤、抗ウイルス剤、SR剤、無機粒子、染色助剤、保湿剤、吸湿剤、撥水剤、香料、接触冷感剤などの各種機能性剤が、マスクを構成する繊維に内添、または、その繊維表面に付着されていてもよい。前記機能性剤は、単独で用いてもよいし複数組み合わせて用いてもよいし、さらに、付着量向上や付着した機能性剤の脱離を防ぐためのバインダーと組み合わせてもよい。
特に、マスクで捕集した有害物質の有害性を低減させるために、マスクの繊維表面には、有害物質不活化剤が付着しているとよい。有害物質不活化剤としては、例えば、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、または抗アレル物質などが挙げられる。具体的には、有害物質不活化剤は、硫酸アルミニウムや酸化亜鉛などの両性物質、銀や銅などの貴金属およびそれらをゼオライトや活性炭などに担持した粒子、ジンクピリチオン、タンニン酸、酸化チタンや酸化タングステンなどの光触媒などである。なかでも、マスクの繊維表面には、有害物質不活化剤として、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤として機能する銀と、光触媒とが付着しているとよい。銀は、口臭の主な原因物質である硫化水素やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物と結びつきやすく、口臭の消臭能力が高い。また、銀および光触媒は、真菌、細菌、ウイルスなどの微生物に対して抗微生物能を有することが知られているが、銀および光触媒を併用して用いることで、それぞれ単独で用いた場合または他の抗微生物剤を用いた場合と比較して、ヒトコロナウイルス229Eなどのプラス鎖RNAウイルスに対して特異的に高い抗ウイルス性が発現されるため、幅広い抗微生物スペクトルを有するマスクを得ることができる。なお、銀を安定的に繊維表面に付着させるために、銀は、多孔質体に担持した形態で用いることが好ましい。また、多孔質体は、臭気成分を物理吸着し、消臭剤としての効果も発揮する。
次に、本実施の形態に係るマスクの製造方法について説明する。なお、本実施の形態に係るマスクの製造方法は、以下に説明する製造方法に限定されるものではない。つまり、本実施の形態に係るマスクは、以下に説明する製造方法で得られるものに限定されない。
本実施の形態におけるマスクは、前後に少なくとも一対のニードルベッドを有するよこ編機を用いて製造される。このよこ編機に、マスクを構成する繊維を供給し、上記の構造を有するマスクが得られるように、マスク本体とマスク本体の左右に設けられた一対の耳かけ部とを連続する糸で一体的に編成する。また、マスク本体には、融着糸を編み込む。具体的には、マスク本体には、マスク本体を線状に縦断または横断する形態で融着糸を一体的に編み込む。
この編成は、例えば、株式会社島精機製作所が開発したホールガーメント(登録商標)と呼ばれる製法によって行うことができる。ホールガーメント(登録商標)とは、通常の編物からなる繊維製品であれば、個別に編成した複数のパーツを接着剤や縫製で一体化させるところを、複数のパーツを無縫製で一体的かつ立体的に編成する技術である。
具体的には、編成の大部分については、片側または両側のニードルベッドの針に所定の繊維を供給し、例えば片方の耳かけ部から編み始め、続いてマスク本体、最後にもう片方の耳かけ部を編むことにより行うことができる。なお、マスク全体を均一な厚みに編成する必要は無く、マスク本体は通気性を考慮した厚みに、耳かけ部は気密性(口や鼻の周辺部分でマスクが顔面に密着させられる伸縮性の強さ)と締結張力のバランスとを考慮した厚みとするなど、部分ごとに厚みを変更して編成してもよい。
さらに、天竺編のように表裏が存在し、編地がカールする組織にてマスクを編成する場合には、表裏を逆転させた編地を二重にしてもよい。表と表、または裏と裏を対向させるように二重に重ねることで、全体としてカールを抑制することができる。加えて、端部からのほつれ(ラン)を防止する目的で、端部を袋編みにしたり、編み終わりの際にもう一本の糸を供給して編み込んだりしてもよい。
また、マスク本体に融着糸を一体的に編み込む際には、一方の側のニードルベッドの針に供給した融着糸を、マスク本体を編成している途中に編み込ませ、マスク本体を線状に縦断または横断する形態で融着糸をマスク本体に配置すればよい。融着糸の配置の形状は、例えばマスク本体を縦断または横断する形態であるが、硬化処理後にマスク本体に椀状の立体形状を保持させられる硬度を有していれば、融着糸が配置された線状部分の形状やサイズ、配置される個数(融着糸が配置されてなる線の本数)などは特に限定されない。形状を保持する能力および意匠性の観点から、マスク本体の鼻から顎に対応する部分を縦断する形態で融着糸がマスク本体に編み込まれていることが好ましい。
続いて、マスク本体に編み込んだ融着糸を硬化し、形状保持部を形成する硬化処理を行う。この硬化処理は、融着糸が融着して硬化するメカニズムに合わせて外部刺激を与えることで行えばよい。融着糸として熱融着糸を用いた場合には、例えば、熱風オーブンやホットニップ機、アイロンなどを用いて、乾熱または蒸気と組み合わせて、70~200℃で0.1秒から5分程度熱処理を行えばよい。また、50℃~140℃の熱水中に浸漬し、1秒~5時間程度の熱処理にて熱融着糸を融着させてもよい。また、溶融した融着糸が固化する際に型崩れするのを防ぐため、型を用いてもよい。さらに、条件が合えば、マスクに有害物質不活化剤や機能性剤などを付着させるための熱処理と同時に熱融着糸を融着させてもよい。
本実施の形態におけるマスクでは、融着糸が凸状に膨らんだ形態で硬化している。具体的には、マスク本体に椀状の立体形状を与え、口および鼻孔とマスク本体との間に空間が設けられるように、マスク本体を編成する際に硬化後の形状を計算して融着糸を編み込んでおき、編成後に融着糸全体を硬化させてもよいし、型などを用いて融着糸の所定の部分のみを硬化させ、凸状に膨らんだ形態で硬化させる(マスク本体に椀状の立体形状を与える)方法でもよい。マスク着用感および意匠性の観点から、マスク本体を編成する際に硬化後の形状を計算して融着糸を編み込んでおくことが好ましい。
このようにして得られたマスクは、必要に応じて、柄の印刷加工、制電加工、SR加工、抗菌防臭加工、制菌加工、抗ウイルス加工、消臭加工、防炎加工、吸湿加工、撥水加工、香気加工、接触冷感加工、染色などの着色を行ってもよい。具体的には、水に機能性剤や着色剤、およびバインダーなどの助剤を溶解または分散させた処理液を作製し、浸漬、噴霧、塗付などで、得られたマスクにその処理液を付与し、脱水および乾燥を行ってマスクを構成する繊維の表面に機能性剤を付着させればよい。バインダーを併用する場合には、さらに、熱処理や活性エネルギー線照射による架橋促進または湿熱処理によるグラフト重合などを行ってもよい。また、前記の各種加工を複数行う場合には、処理液中に機能性剤を複数添加して一括で加工してもよいし、処理液を別々に準備して段階的に加工してもよい。
また、これらの加工は、繊維の段階で機能性剤を付与しておき、機能性剤が繊維中に練りこまれている繊維、または機能性剤が繊維表面に付着している繊維を用いて編成してもよい。
以上、本実施の形態に係るマスクによれば、無縫製のよこ編地からなり口および鼻を覆うマスク本体には融着糸が線状に編み込まれており、融着糸が凸状に膨らんだ形態で硬化している。具体的には、融着糸は、マスク本体を線状に縦断または横断する形態でマスク本体に編み込まれている。
これにより、マスク本体に椀状の立体形状を与えることができるので、マスク着用者の口および鼻孔とマスク本体との間に空間(隙間)を保つことができるともに、線状に硬化した融着糸によってその立体形状を容易に保持することができる。これにより、マスクの口や鼻への張り付きによる息苦しさや汗による不快感などのマスク着用時のストレスを軽減させることができる。
また、本実施の形態に係るマスクにおいて、融着糸は、マスク本体の鼻から顎に対応する部分を縦断している。
これにより、マスク本体の中央部における鼻から顎に対応する部分を、線状で凸状に硬くすることができる。このようにすることにより、マスクの中央部における鼻から顎に対応する部分にかけてマスク本体の形状が変化することを抑制することができ、マスク着用者の口および鼻孔とマスク本体との間に空間(隙間)が保たれる。したがって、マスクを着用しているときに、会話中や運動中などで呼吸が荒くなるような状況においても、呼吸が行いやすくなり、また、熱がこもった感じをより抑制することができる。
以下、本実施の形態に係るマスクについて、実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲で変更を施すことは、全て本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例および比較例における「%」は、「質量%」、を意味する。
また、以下の実施例および比較例におけるA~Cの各評価項目における各種物性などの測定および評価は、次の方法によって行った。
[A 花粉粒子捕集効率]
一般財団法人カケンテストセンターが開発した花粉粒子捕集(ろ過)効率試験方法にて評価を行った。
[B 通気性]
JIS L1096:2010 A法 フラジール形法 に準じてマスク本体の通気性を測定した。
[C 抗菌性]
JIS L1902:2015に規定の菌液吸収法に準じて、黄色ブドウ球菌(ATCC6538P)に対する抗菌活性値を測定した。具体的には、黄色ブドウ球菌を菌濃度2.2×10CFU/mLで接種し、白色蛍光灯(ネオルミスーパー FL20SW、三菱電機株式会社製)を用いた400lxの光環境下で18時間培養後、混釈平板培養法にて定量測定を行って得られた値、および標準布で同様の試験を行って得られた値を基に抗菌活性値を計算した。
(実施例1)
株式会社島精機製作所製のホールガーメント(登録商標)よこ編機であるMACH2X S123に対し、同社製3DデザインシステムSDS-ONE APEX3で作製したマスクの編成パターンを読み込ませた。基本となる編組織は全体を天竺編とした。
続いて、次の2種類の糸を準備した。
・Ny/PU糸:ポリウレタン弾性繊維の周りをナイロン糸でカバリングしたもの
糸の太さ;172dtex
混率;ナイロン93%/ポリウレタン7%
・熱融着糸:ポリウレタン弾性繊維の周りを熱融着性ナイロン糸でカバリングしたもの
糸の太さ;277dtex
混率;ナイロン93%/ポリウレタン7%
次に、前記よこ編み機の両側のニードルベッドに準備した前記Ny/Pu糸を供給し、前記編成パターンに従い、一方の耳かけ部(例えば左耳の耳かけ部)から編み始めた。裏面と裏面とが対向するように、前後のニードルベッドそれぞれで厚み約0.9mmの天竺編の組織で編み、かつマスクの端部では袋編みを行うことで、二枚の天竺編地が裏面と裏面が対向するように重ねられ、かつ端部が袋編みで接続されている耳かけ部を得た。引き続いて糸を切らずマスク本体を後ろ側のニードルベッドのみマスク本体を厚み約0.9mmの厚みで編み進めた。マスク本体の中央付近まで編み終わった後、準備した前記熱融着糸を供給された前側のニードルベッドとの間で目移しを行ってマスク本体に熱融着糸を編み込む形態で接続し、前側のニードルベッドのみでマスク本体の鼻から顎に対応する部分を熱融着糸で直線状に4列編んだ。再度後ろ側のニードルベッドとの間で目移しを行って熱融着糸とNy/Pu糸とを編み込む形態で接続し、以降はNy/Pu糸を用いて前記と同様にして左右対称となるように、マスク本体と他方の耳かけ部(例えば右耳の耳かけ部)を編むことで、マスクを編成した。得られたマスクの全体が天竺編であり、マスク本体は天竺組織由来のカールをしている一方、両方の耳かけ部はカールしていないため、マスク本体部に椀状の立体形状が形成されていた。また、得られたマスク本体には天竺組織由来の編目のループが多数突出していた。
編成したマスクの内側に、凸状に膨らんだ形状の型紙を挟んでマスク本体の鼻から顎に対応する部分の形を整え、熱風オーブンにより120℃で30秒間熱処理することで熱融着糸を溶融させ、次いで室温で放冷することで固化させることで、融着糸が凸状に膨らんだ形態で硬化しているマスクを得た。得られたマスクの各種評価結果を表1に示す。
このようにして得られた実施例1のマスクは、よこ編地からなるので伸縮性を有している。このため、優れた装着感を有しており、耳への負担も軽減された。また、マスク本体が椀状の立体形状を有しており、口および鼻孔とマスク本体との間に空間があり、かつ呼吸や会話の際にもマスク本体が口や鼻への張り付くことなく形状が維持できており、息苦しさや汗による不快感などのマスク着用時のストレスが軽減された。その一方、マスクの伸縮性が高いため、頬から顎の下、鼻梁の部分で顔面に密着しており気密性が高かった。加えて、表1から分かる通り、実施例1のマスクは、花粉粒子捕集効率が高く、ろ過性能が高い。
さらに、厚さ2mmのダブルラッセル編地の片面をサンドペーパーによりサンディングし、長方形に切り出すことで、片面に毛羽立ちを有する繊維製のシート材を得た。得られた繊維製のシート材の毛羽立ち面をマスクの内側に対面させて装着したところ、発話や運動を行ってもシート材がずれることがなかった。
(実施例2)
次に、実施例2のマスクについて説明する。
実施例2では、実施例1で得られたマスクを、可視光応答型酸化タングステン系光触媒0.5%、銀ゼオライト0.4%、およびシリコーン系バインダー0.05%の水分散液中に浸漬させ、脱水、乾燥し、繊維表面に光触媒と、銀が担持されたゼオライト粒子を付着させた。得られたマスクの各種評価結果を表1に示す。
このようにして得られた実施例2のマスクは、実施例1のマスクの効果に加えて、高い有害性低減能力を有していた。
(比較例)
次に、比較例のマスクについて説明する。
比較例では、前側のニードルベッドに供給する糸を前記Ny/PU糸とし、熱融着糸の硬化工程を省略した以外は実施例1のマスクと同様にしてマスクを編成した。得られたマスクの各種評価結果を表1に示す。
このようにして得られたマスクは、マスク本体が椀状の立体形状を有しており、口および鼻孔とマスク本体との間に空間があるが、呼吸のたびごとにマスク本体が口や鼻に張り付き、息苦しさや不快感があった。
Figure 2022189130000001

Claims (7)

  1. マスク全体が無縫製のよこ編地からなり、
    口および鼻を覆うマスク本体と、
    前記マスク本体の左右に設けられた一対の耳かけ部とを少なくとも有し、
    前記マスク本体には、融着糸が線状に編み込まれており、
    前記融着糸は、凸状に膨らんだ形態で硬化している、
    マスク。
  2. 前記融着糸は、前記マスク本体を線状に縦断または横断する形態で前記マスク本体に編み込まれている、
    請求項1に記載のマスク。
  3. 前記融着糸は、前記マスク本体の鼻から顎に対応する部分を縦断している、
    請求項2に記載のマスク。
  4. 前記マスク本体の顔面側に、編目のループが多数突出している、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のマスク。
  5. 一般財団法人カケンテストセンターが規定する花粉粒子捕集(ろ過)効率試験方法にて測定した花粉粒子捕集効率が85%以上である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のマスク
  6. 前記マスクの繊維表面に有害物質不活化剤が付着している、
    請求項1~5のいずれか1項に記載のマスク。
  7. 前記有害物質不活化剤は、少なくとも銀と光触媒とを含む、
    請求項6に記載のマスク。
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